1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十三日(火曜日)
午前十一時十六分開会
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委員の異動
三月二十二日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 増原 恵吉君
三月二十三日
辞任 補欠選任
増原 恵吉君 二木 謙吾君
白木義一郎君 浅井 亨君
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出席者は左のとおり。
委員長 安田 敏雄君
理 事
稻浦 鹿藏君
川野 三暁君
熊谷太三郎君
瀬谷 英行君
委 員
小沢久太郎君
小山邦太郎君
二木 謙吾君
森田 タマ君
米田 正文君
田中 一君
武内 五郎君
浅井 亨君
田上 松衞君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
政府委員
農林政務次官 谷口 慶吉君
林野庁長官 田中 重五君
建設政務次官 白濱 仁吉君
建設大臣官房長 鶴海良一郎君
建設省河川局長 上田 稔君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
説明員
建設省河川局次
長 国宗 正義君
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本日の会議に付した案件
○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨二十二日、上林忠次君が委員を辞任せられ、その補欠として増原恵吉君が選任せられました。
本日、増原恵吉君及び白木義一郎君が委員を辞任せられ、その補欠として二木謙吾君及び浅井亨君がそれぞれ委員に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/1
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002・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) それでは、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/2
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003・田中一
○田中一君 最初に、政令を準備してすぐに配付をしていただきたい。いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/3
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004・上田稔
○政府委員(上田稔君) 政令を準備いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/4
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005・田中一
○田中一君 一つ二つ質問しておきますが、いわゆる河川改修による河川敷の、従来堤防部分の用地は買収しておりますけれども、河川敷内に民地が過去においても相当大きく存在している。これは、いままでにも再三指摘してきているものでありますけれども、個人の持つ私有財産が、今日の憲法下において、河川法による私権というものが極端に制限されているという現状、これは見のがすことができないものだと思うのです。そうしてかつて、現在あるところの河川敷内における民有地等はどのくらいあるかという調査を要求をしたところが、これは出てまいりません。なかなか出てこぬと思うのです。しかし、この存在というものは、相当大きく指摘されなければならぬ。かつて旧河川法時代から、河川の改修によって災害を守れるんだ、再び災害がないのだ、だから、まあ自分の田畑等があっても、これはやむを得ないという気持ちで、いわゆる権力に圧倒され、自分のあすのしあわせを考えて犠牲になってきているのが、いままでの河川敷内内における民地の存在であるわけであります。しかし、今日の悪法下において、私権というものははっきりと区分をせられ、公共事業、河川改修事業等が、これは国民のために存在するものであり、国民のための事業であるというたてまえから見て、この今後の新しい五カ年計画のうちにおいては、それらのものを全部買収して、そうして河川は公共用地として適当な私権に対する補償をして取り上げて施行するというつもりでこの計画は立っておるのかどうか、その点をひとつ、政府の方針を明示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/5
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006・上田稔
○政府委員(上田稔君) ただいま先生が御指摘になりましたように、民有地はたくさん河川敷にまだ残っております。特に東北地方におきましてその例が非常に多いのでございますが、いま先生がおっしゃたように、私権を制限しております関係上、なるべく早くこれを買収をいたしたいというふうに考えておりますが、何ぶん予算の関係がございまして、堤防をやるのと堤外地の民地買収とのにらみ合いでございますが、こういう点で私どもも非常に苦慮をいたしておるわけでございますが、五カ年計画でそれでは全部買えないのかという御質問ではないかと思うのでございますが、工事をやります分につきましては購入をいたし、それに関連をする区域については買収をいたすようにいたしますが、もうすでに堤防ができておりまして、東北地方のような広大な部分につきましては、これは五カ計年画でも少し無理ではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、これは先日から申し上げております長期計画といいますか、十五年から二十年の計画をいま立てておりますが、それにおきましては、買収をいたしたいというふう言に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/6
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007・田中一
○田中一君 これは、昨年の新河川法の審議にあたってもその調査を要求してあるのですが、いまだにできてきておりません。一体三十九年度まで、しいては三十八年度まででもよい、堤内の、堤内河川敷の中の民有地はどのくらいあるか、そういうことをひとつ調査してほしいと思います。その資料を出していただきたい。これは長い時間がかかると思いますが、地方に行って、地方の知事等に聞いてみても、全然わかりませんという、そういう調査をしたこともございませんしわかりません、こういう現状なんです。おそらく、この土地からは固定資産税は取っておると思うのです。税金を取られ、自分で利用もできない。ことに、自分の私有地で何かしようとすると、耕作物等の河川法による制限で、何にも利用ができないということ、これは非常に困る。したがって、私どもがいままで承知している範囲では、堤防の敷地は買収しているように聞いております。しかしながら、堤防内の敷地については、いま河川局長から説明があったように、これはもう対象になっておらない。これは政務次官、あなたの島にはあんまり河川がないからそれはぴんとこないでしょうけれども、これは相当大きな問題なんです。ただそんなことを、買ってくれと言われればうっちゃっておきますよ、と言われるから、農民はしぶしぶながら、災害より命のほうが大事ですから泣き寝入りになっているという現状なんです。これはよい政治ではありません。ことに新河川法のもとに、四十年度から新しい五カ年計画ができる以上、そこまでの配慮がないというのならば、これはもうただ単に施行する建設省の責任ばかりではなくて、内閣全体の責任ですから、この問題をもう少し具体的にこまかく質問したかったのです。時間があれば、一つ一つ、ケース、事例をあげてお話しします。これはひとつ集約する答弁というものを——どうも白濱君には、あまり大きな河川がないからお困りでしょうから、小山建設大臣は大淀川という大きな川を控えておるから、これはひとつ小山君にあとで答弁していただきたいと思うんです。
それから続いて、この新五カ年計画にそれが入っておらぬと。——全然入っておらぬということなのか、あるいは農民が——主として農民が多いですが、農民が自分のほうは買収しなくてもいいという部分、これを除外しているのか。買収してくれというところは、買収いたします、という答弁が受けられるのかどうか。これが新五カ年計画の積み上げた金額の中に含まれておるかどうかという点。それから、含まれておるとするならば、その部分の申し出があった場合には、必ず買収するかという点について、これはまあ事務的な面からは、そういう計算はしておりませんと、おそらく局長は答弁するだろうと思う。それだけじゃ困りますから、これは大臣に答弁を求めたいと思いますから、それを大臣に伝えておいていただきたいと思います。委員長、それをひとつ審弁を留保しておきますから、要求してください、答弁を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/7
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008・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) これはあとで、大臣は会議中でございますから、来たら答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/8
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009・田中一
○田中一君 それから今度は、それに見合う廃川敷の問題です。廃川敷の処分というものはどういう形でいままで行なってきたか、これも具体的に私はよく知っております。知っておりますが、この新河川法に基づく新五カ年計画を策定する以上、いままでの、かつてのいろいろな意味の問題点というものは解消されたというような立場から私は質問するわけなんでありますけれども、廃川の処分、これらをどう言いう形で行なおうとするか。そうして廃川敷の処分ということは、入札なり何なり、民地に移したという場合には、この収入は新五カ年計画の中に直接入ってこないわけですから、これは国有財産の処分として大蔵省のほうにそのまま入っていくことになりますが、これらの収入というものをこの新五カ年計画の中に見合って、どういう見通しのもとにこの予算が提案されているかということです。相当の、廃川敷を処分すれば、当然これは目的である河川改修というものにプラスされることが望ましいのであって、その払い下げ金というものは、これは全然いままでの目的と違うのだから、国庫に入るでしょうけれども、私に言わせるならば、それらのものの実態をあなた方が掌握していれば、これを処分して、これだけのものの国全体としての収入の剰余金ができる、この分だけはどうしてもこの新五カ年計画の中に、かりに五千億になろうと、二千億になろうと——そんなにならぬと思いますけれども、その分はこちらに入れるというくらいな科学的な合理的な要求をしたかどうかという問題です。これは河川敷における民有地と見合うものであって、あるいはそれらについて交換という形でもって河川敷内の民有地を買収するか、あるいは別途のものとしてこれを払い下げて、いわゆる河川改修の財源として確保するというような努力をしたかどうかという点を聞きたいわけなんです。その点はどうですか。ただ、頭にくるところの予算上の支出の面だけの予算上の要求だけではだめなんです。財源はあるということなんです。財源はあるじゃないか。したがって、いままでの、これはおれのほうの所管じゃないときっと言うに違いないのだ、河川局は。その点はどうなっておるのですか、実際に廃川敷の処分については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/9
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010・国宗正義
○説明員(国宗正義君) 廃川敷の処分につきましては、現にいま施行されておる旧河川法につきましては、適用河川につきまして、廃川処分をいたしまする場合には、それは無条件に管理いたしますところの都道府県に譲与するということになっております。都道府県に帰属することに相なっております。準用河川につきましては、廃川敷処分が行なわれますと、国有財産として管理するというのが、現行法のたてまえでございます。新法におきましては、廃川敷につきましては、まず一級河川につきましては、国有財産に相なるわけでございます。廃川の処分を行なった場合には、国有財産に相なりますが、河川管理者は、一年をこえない範囲内において管理することに相なっております。この一年以内にと書いてありますのは、政令では十カ月といたしまして、河川管理者が管理いたし、かつ、その間におきまして、新たに河川の用地として必要なる土地と交換することができるという交換の制度を法律上確立いたしまして、河川の費用の節約に充てる制度を持ったことが第一点でございます。
二級河川につきましては、まず大蔵大臣と協議の上、国有財産として存置する必要があるものを除きまして、それらの廃川敷は都道府県に譲与するわけでございます。その場合に、旧河川法における処分におきまして、所有権の証跡ありと認められる人、あるいは土地収用で取得した場合におきまして買い受け権の権利のある人、あるいは民法の規定によって買い受け権の権利のある人、そういう人には譲与を受けた都道府県は、その人にそれぞれ買い受けあるいは買い戻しに応じて引き渡さなければならないようにいたしておるわけでございます。
以上が、旧法と新法における制度でございます。
国が廃川敷を処分した場合の収入の帰属でございますが、それは一般会計の雑収入に相なるわけでございまして、必ずしもそれに見合って、河川事業費がそれにリンクして計上せられておるものではございません。新法におきましては、交換によって河川の費用の節約という方法が法律の制度として打ち出されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/10
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011・田中一
○田中一君 よくわかっております。そこでこのような、せめて事務当局が要求した五カ年計画の額以内に圧縮されているという事実言を見ますと、私どもはもっともっと、おそらく河川局、建設省が予定している二十カ年の長期計画なんというよりも、もっと早期に完成させなければならぬという要求を持っているわけなんです。したがって、財源としての圧縮はそれらのものでカバーされなければならぬと思うのです。カバーされるような考え方をもって予算の増加に努力しなければならぬと思う。そういうことをしたかどうかということです。これは御承知のように、道路整備のためにはガソリン税等も増徴しております。河川の管理費がかかるから、管理費として河川による収入というものは、それぞれの管理者に帰属するということは、これはあり得ると思う。しかしながら、それが改修後における残余財産として国庫に編入され、国庫収入となっていくというならば、その額ぐらいは推定して計画予算の増大をはかることが、あなた方のする役目じゃないかと思うのです。要求の根拠にしてもいいのじゃないかと思うのです。したかどうかということを伺っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/11
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012・上田稔
○政府委員(上田稔君) お答え申し上げます。この新五カ年計画におきまして、収入の源にこの廃川敷の売却費を入れないかという話でございますが、その新しくできました廃川敷は、先ほど次長が説明をいたしましましたように、購入をいたします新しい河川敷との交換というようなことも考えておりますので、そういうことになりますと、その収入はそう大きくないのではないかということでございまして、この五カ年計画には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/12
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013・田中一
○田中一君 新五カ年計画でも、河川敷内の民有地は買わないという予算でございます、という答弁をしているでしょう。河川改修後の堤防内の民地というものは、全部買うのだという予算を組んでおりません、と局長は説明したのでしょう、さっき。そうすると、財源として交換という形で要求された場合には、交換に応じようというかまえ方はいま聞きました。そうすると、今度買収してくれという場合にはどうするかということが一つ、これは建設大臣に聞こうと言っているのです、この答弁はね。しかし、額が小さいとか大きいとかいうことを口にするけれども、そんなことはだれがきめているのです。幾らでもいいじゃないですか。たとえそれがどのくらいな規模のものでも、ただ単に雑収入として国庫に入ってくるだけでなくて——それらのものをあなた知らぬはずでしょう。知っていないと思うのです。どこにどういう廃川敷があって、どういう状況だということは知っていないと思うのです。たくさんありますよ。むろんつけかえて水を湛水している部分もあるだろうし、その湛水している部分を埋め立てればたんぼになりますし、何かいろいろあると思うのですよ。それでは現在の廃川敷の、一級河川、今度指定された十五河川でもいいが、廃川敷は何百何十ヘクタールあるか、資料ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/13
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014・上田稔
○政府委員(上田稔君) まだ廃川敷の面積がどのくらいになるかという資料につきましては、現花ございませんが、廃川敷がどこにできるかということにつきましては、これはその年度年度において実施計画を立てますので、その際にわかるわけでございます。
それから、先生がいまおっしゃいました、川の中は全然買わないのじゃないかというお話でござすが、たとえば廃川敷をつくりますような、たとえば蛇行河川をまっすぐにつけかえるというような場合におきましては、ショート・カットの部分は全部買収をいたすようにいたしております。
それから、先ほど五ヵ年計画では廃川敷というか、堤外地の民地というものをそれではどういうふうに考えているかということでございますが、この堤防を築堤をいたしたり、河川の公有施設をつくることによりまして、治水の施設をつくることによりまして、いままでの堤外の民有地が非常に荒らされるというような個所につきましては、これは買収をいたすように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/14
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015・田中一
○田中一君 「堤外」というのは、ぼくらが言っている「堤内」のことを言っているのですか。「堤外」というのは、河川という施設の中の表のことを言っているのか、内のことを言っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/15
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016・上田稔
○政府委員(上田稔君) 「堤内」というのは、人間のほうから見まして守られるほうが堤内でございます。それで、堤防の「堤外」というのは、水の流れておる部分のことを申すわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/16
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017・田中一
○田中一君 そうすると、これは一般国民は迷うね。人間から考えて——それは君らはうまくごまかすのじゃないか、そういうことを言ってわからぬように。これは日本のことばでも非常に当用漢字なんか使って簡易になっているのだから、そういうところは「河川敷内」とすればいいじゃないか。河川敷の内だろう。どうも「人間から見て」云々、哲学的なことでもってわからぬよ。
それで、これは建設大臣、小山さんが来たから伺っておきますが、従来ともに河川堤外が——「堤外」ということばはぼくはぴんとこないけれども、河川の中のいわゆる河川敷にたくさん民有地が存在している。これを全然手をつけておらぬわけですよ。新河川法の制定のときに、そういう点はずいぶん追及してあるのですけれども、新五カ年計画にはショート・カット、その他の問題については、代替地もできるからおそらく返します、という答弁をしていますけれども、拡幅の場合の残された河川敷内の民有地というものに対しては、買収するという原則に立っているとするならば、今回の新五カ年計画には、それらの予算というものを織り込んであるかどうかということを伺っているわけです。これは大臣からひとつ答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/17
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018・小山長規
○国務大臣(小山長規君) いま事務局から聞いたところでありますが、全体の数字がまだつかみ得ないんだそうです。ある河川のどこどこというやつはわかります。だけれども、全体についてまだ河川台帳ができていないので、そこで何千ヘクタールあるのか、何方ヘクタールあるのかという総体の数字がわからないので、五カ年計画の中に、五カ年計画の数字としては入れていない。そういう買収の予算を入れていないと、こういうことですが、これは将来はしかしやはり整理していかなければならぬ問題だと私も考えます。ほかとのつり合いもありますしですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/18
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019・田中一
○田中一君 ところが小山さん、河川台帳なんかつくるのは、おそらく、これから長期計画二十年というならば二十年かかると思うのです。それはどこに費用がございますか。それを地方公共団体にやらせたところが、人なんかいやしませんよ。あるいは土地台帳を調べて、こうでございます、というのが関の山で、川というものは生きものです。常に動いております。したがって、土地台帳からたいへんな大きな変貌を来たしているのが、今日の治山治水緊急措置法で公共事業を行なうというところにあるわけです。河川台帳をつくってから調べますということでは、それはいけないのです。私はそういうことを聞いているのではないのです。そういうことを言って逃げようとしたって逃がしません。政治的にそういうものに対する措置はどうするか。買収するのかしないのか。買収するなら、数字の算定なんかあとでもいい。必ず買収するなら買収するという前提でこの計画が立ったのかということなんです。先ほどは、そういう計画は立っておらない、そういう買収する計画はございません、ということを河川局長は答弁していましたけれども、そういうことでは大淀川の票は来ませんよ。そういうものでないのですよ。いままでの慣行として、自分の土地が河川敷の中に放置されているということは、これはそのくらいのところは自分で犠牲を払っても、災害が来るよりはましだから、まあがまんしようというところに、いままでの旧河川法から引き継いでいるところの、所有者、農民の考え方があったのですよ。政治的にどう処理するかということを答弁してください。これは重大な問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/19
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020・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 河川法の第二条の第二の項を見ますと、「河川の流水は、私権の目的となることができない。」と、こうなっておるのですが、旧法によりますと、旧法の三条では、「河川並其ノ敷地若ハ流水ハ私権ノ目的トナルコトヲ得ス」、こうなっておりますのは、新河川法では、流水だけが私権の目的にならない。前は、敷地も私権の目的となっておらないとなっておったのを、今度は、敷地のほうは私権の目的となり得る、なるというふうに河川法が定めたわけですね。つまり河川敷内にあっても民有地と認めるのだ。国民は自分の所有権を主張することができるのだ。ただ、むろん使用制限がありますけれども、所有権は残るのだ、こういうたてまえになっております。したがって、河川法は、全面的にその河川の中にある所有権を国が買うのだという前提をとっていないようであります。
ただ、実際問題といたしましては、法律のたてまえはそうでありますけれども、実際問題としては、その所有権についてのいろいろな使用上の制限がありまするし、したがって、買ってもらいたい人もおるわけですが、その問題は、したがって、どういう標準で買うことにしているのか、私、そこまではわかりませんから、これは事務局で答えさせますが、要するに、法律のたてまえからいうと、河川敷内にある敷地を全部買収するのだという前提に河川法が立っていない、こういうところから始まるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/20
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021・田中一
○田中一君 それはわかっているのです。しかし、政治的に日本の憲法公平の原則からきているのです。むろん公共事業のためには、財産権の問題も制限は受けます。受けるけれども、政治的にこれをどう解決するかということなんですよ。これは単なる新河川法だ、旧河川法だという問題じゃなくうて、実は以前の問題なんです。現に、新しく河川敷としてこのつけかえの河川をつくる場合には、これは買っているのですよ。そしてまた、堤防という河川の一つの施設をつくる場合には、これはもう買っているのです。それでいいかどうかという問題なんです。じゃ、ことばをかえます。従来あるところの遊水池は、全部買い取って遊水池としているか。あるいは当然これは災害がかかるのだ、ここには洪水時には水が湛水されるのだ、したがって、普通農耕はできませんよ、その時期には。ということが前提となって民有地を使っておるかどうか。かりに、もしも洪水時には湛水して耕作はできませんよと、利用はできませんよ、という前提ならば、公共のために特定なる農民が犠牲を受けたことになるわけです。それならば国民を代表する政府は、これに対してやはりこれは補償しなければならない。現在遊水池というものは全部買収しておりますか、おりませんか。その点、河川局長、はっきり御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/21
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022・上田稔
○政府委員(上田稔君) 遊水池は、その購入といいますか、その計画をいたして工事をいたしましたときの、その時代によってどうも変わっておるようでございます。現在、たとえて申しますと、利根川では渡良瀬の遊水池は全部購入をいたしております。しかしながら、田中菅生の遊水池は民地になっております。それから最近につくりました、たとえば東北のほうの迫川の南谷地の遊水池、これもたしか買収をするようにいたしたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/22
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023・田中一
○田中一君 建設大臣、将来どうしますか。この新五ヵ年計画の場合には、どうしようとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/23
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024・小山長規
○国務大臣(小山長規君) これは、政治的には田中さんのおっしゃるような、たとえば全国買収という方針をとるのが、あるいはおっしゃるように公平の原則からいっていいのかもしれませんが、ただ、そういうのに金を使っておると肝心の今度は治水計画ができないというジレンマにおちいるわけです。つまり、財源が限られておって、治水の五カ年の計画が八千五百億円と、こうなっているときに、堤防を築く金を先にすべきか、民有地を買うほうの金を先にすべきかとなりますと、やはり当面の問題としては、堤防を築いたり、ダムをつくったり、砂防をする工事のほうにまず金を使うということが、これが政治じゃなかろうかというように私は判断するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/24
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025・田中一
○田中一君 あなたはこの計画をつくり、提案している人間ですから、あなたはそれでいいでしょう。われわれが納得しない。もっと大きい規模の計画になさいと言うのです、この計画を。これっぽっちのものじゃいかぬ。限られた予算、限られた予算と言うけれども、それは政府自身の考え方の問題ですよ。倍にすればいいでしょう。長期二十カ年計画を十年に縮めてもいいでしょう。私どもはそれを要求しているのです。通りもしない法律、通ってもいない法律のために、あなたはそれをとりでにして、そういう答弁をするのはよくないですよ。大淀は一体どうなりますか、大淀川はあなたの選挙区ですよ。そこで、さっきもちょっとこれに関連してい聞いておいたんですが、全国に散らばっている廃川敷というものは、先ほど国家君から説明があったように、国有財産として返上されます。少しでもこの計画の規模を大きくするためには、これも一つの財源ではないかという……。全然放置して何も利用されていない廃川敷はたくさんあるのです。廃川敷の調査をしなさい。しなければこれはわかりませんよ。全国にどのくらい廃川敷があるか。せめて今度一級河川になった十五水系だけでも、廃川敷がどのくらいあるか、何十、何百、何千、何万ヘクタールあるか調べなさい。これがわかってないんです。そういうことになりますと、これも一つの計画の資金源なんですね。これは全然今日のたてまえは違います。これは国庫雑収入だそうですが、国庫雑収入に入ります。それなら、これとは関係ございませんというけれども、少なくともこれを立案する過程において、これこれの廃川敷がございます、この地区はこう利用できます、ああ利用できます、これを売却した場合には、プラスアルファすべきではないかというくらいの要求は、同じ内閣の中におきましても、金庫番の番頭に、仕事をするあなた方が、公共事業の大臣が要求するくらいの準備をしなければいかぬ。したかどうかということを聞いておるんです。そういう要求いたしませんという、河川局長、ささいなものだと思いますという、そういうささいなものであろうと何であろうと、公共事業をほんとうに愛し、河川改修を行なって、国民に不安のない生活をさせようとするならば、そのくらいの発言と、そのくらいの気がつき方がなければならぬと思うのです。そういう要求をしたかどうか。廃川敷自身、それすらわかっていはしません。ただ単に、ない、金庫番に対して要求するだけじゃだめだというのです。こういう点もこの計画については考えたかどうかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/25
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026・小山長規
○国務大臣(小山長規君) いま私も不勉強で、廃川敷が市場価値があるかどうかという点を知らなかったわけでありますが、市場価値があるものなら、それは処分して、国の収入に入れることは必要なことだと思いますが、ただ、まあ残念なことに、まだわれわれのほうでは、側所はわかっておるそうでありますけれども、総面積あるいはそれに対する市場価値は幾らになるかというところまでの調査はしていないようでありますから、せめて十五水系だけについても、これは三年以内に台帳をつくってやることになっておりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/26
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027・田中一
○田中一君 ほんとうに三年以内にやるか。ではね、その十五水系の河川台帳をつくるために、予算幾ら計上してある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/27
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028・上田稔
○政府委員(上田稔君) 三年計画で実は一億余りのものを計画をいたしております。ただ四十年度は一千万ばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/28
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029・田中一
○田中一君 そんなもので河川台帳がわかるか。十五水系の延長キロは幾らになりますか。そしてキロ当たり幾らになりますか。四十年度はどこどこを調査しようとするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/29
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030・上田稔
○政府委員(上田稔君) 十五水系の延長につきましては、ちょっといま調べておりますが、合計で、いままでの準用河川を入れまして、河川といたしまして三千七百三十一河川ございますので、ちょっと集計に時間がかかると思います。十五水系だけのものは出ておりません。
それからことしの一千万円でどこについて河川の台帳をつくるかということでございますが、とりあえず、いままで直轄河川としてやっておりました部分につきまして、つくっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/30
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031・武内五郎
○武内五郎君 いま田中君が質問したのは、長年の河川行政の混乱を整理する時期に入っているのじゃないかという意味だと思うのです。ところが、最近、特に新河川法制定前後から明らかになってきておることは、廃川敷の処理問題、特に私権と公権が混乱をしております。ことに公有地を占用しておるものが権利の売買をやったり、あるいは転貸をやったり、いろいろなことが行なわれておって、全く私権、公権が混乱してしまっている。それらに対する処理は、一体どういうふうにしていくかどうか、この際ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/31
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032・国宗正義
○説明員(国宗正義君) 河川敷の占用でございますが、河川は一般の公共の用に供するものでござすので、河川管理に支障のない限り、河川の占用を許可しているわけでございます。占用の内容につきまして種々ございますが、農耕その他ございすわけでございますが、さように占用いたしております者が、新河川法に相なりましても、現に旧河川法で許可されておるものは、新河川法においても、そのまま同じ条件でもって許可されたものとみなすというのが、法律で解決いたしていることでございます。でございますから、新法の施行に伴いまして占用関係が著しく変動をいたすわけじゃございません。御指摘のように、適当でない占用あるいはその占用者が他人に対価を受け取って譲渡する、そういう関係でございますが、それにつきましては、河川管理者の認可を要するわけでございますので、不都合な占用目的に対しましては、その際チェックをいたしまして、河川管理に支障のないように、さらに一般公共に役立つような占用に持っていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/32
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033・武内五郎
○武内五郎君 新河川法では、敷地の私権を認めることになった、こういうのですね。ところが、占用地で小作料を取ったり、あるいははその占用地の権利の売買をやるというようなことは、法上これはどう認めるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/33
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034・国宗正義
○説明員(国宗正義君) 先ほど来話がございますように、堤防と堤防ではさまれたいわゆる堤外地に民地がございまする場合は、民地はやはり私権の対象に相なるわけでございますが、現行法におきましても、区域を認定いたさなければ、ここが河川の区域であるという幅の区域認定を都道府県知事が行なわない限りは、河川の区域には法律上相ならないわけでございます。先ほど来お話の民地があるのにもかかわらず、河川の区域に認定いたしました個所は、全国で、河川法施行以来、私どもの調査では、六百件余りにしかならないわけでございます。河川の区域は数万に及ぶ個所に相なるかと思います。そうでございますので、民地が残っておる場合が非常に多いわけでございます。民地におきましては、河川管理上支障のない限り、私権の行使はもとより許されるところでございますので、それにつきましての譲渡あるいは賃貸料等、いわゆる公の秩序と善良な風俗に反しない限りは、河川管理者においても支障ないということに相なるわけでございます。それとは逆に、河川管理者が買収して河川の区域に認定している個所もございます。買収した区域の認定はないが、公共の用に供している敷地もございますが、いわゆる官地でございますが、官有地につきましての占用につきまして、小作料その他不当な対価を取って譲渡することは適当とは考えておりません。しかしながら、その占用料自体につきましては、やはり財産上の価値のあるものでございますので、たとえばそこのところに河川工事を行なうという場合には、おおむね条件において無料で立ちのいてもらいますが、場合によっては、そこのたとえば立毛の補償等、対価を支払って立ちのく、このように財産上の価値を認めておるわけでございますので、適正な価格において賃貸料を取ることを条件として認可を許される場合もないとは申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/34
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035・田中一
○田中一君 林野庁来ているかな。
どうです、ちかごろ建設省の砂防課長とは仲よく相談してやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/35
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036・田中重五
○政府委員(田中重五君) 建設省とはきわめて緊密に連絡をとって何ら支障なく進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/36
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037・田中一
○田中一君 地方へ行きますとね、なかなかそうはいかないのです。どうも私ども休会になると山歩きをしておりますけれども、常に湲流砂防の面について競合しているところがあるわけなんです。なるほど砂防堰堤をつくる場合にも、なかなか地点がやかましくなるから、安全な地点というところを選ぶと同じようなことになるわけです。いま農林省では、砂防堰堤を、大体例の大正四年の治山砂防と治水砂防との話し合いのワク外の、農林省とすればほんとうの漂流地域に、建設省のほうの所管する地域にまでおりてきて、砂防施設の建設をしているわけなんです。これらの話し合いはうまくいっていないのじゃないかと思うのです。むろんこれは農林省がじかにやるわけじゃないので、地方公共団体にこれを行なわしている。補助砂防としてやらしているわけですから、なかなかどうもうまくいっていないのじゃないかという印象を私は持っているのですが、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/37
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038・田中重五
○政府委員(田中重五君) 建設省と農林省との原則的な仕事の区分といたしましては、湲流工事、それから傾斜が急峻で造林の見込みのないような地域、そういう地域の工事は建設省が担当する。それから森林造成が主体になるような工事、それから湲流工事をやっても造林事業、森林造成、これを伴うような事業については、これは農林省が担当すると、原則的にはそういうことにいたしておりまして、そうしてまず全国的な規模で計画を立てる場合には、建設省と農林省とでよく相談をいたしまして、そうして図上、それからまた現地で計画を立てるわけでございます。なお、年次計画等につきましては、地方建設局それから営林局それから都道府県、それが一緒になりまして、よく具体的な地点についてその分担をきめながら、しかも治山と砂防とが一貫して有効な効果を奏するような、そういう協調をとりながら仕事の計画を進めるというふうにいたしております。
それから、先ほど来お話のございました砂防課長とそれから農林省の治山課長の交流でございますとか、それから係長の交流でございますとか、そういうようなことをいたしておりますほか、さらに先ほどに申し上げました基本的な原則についてさらにもっと具体的に林野庁と建設省の河川局などが文書でそれぞれ申し合わせ事項を交換をいたしまして、できる限り地域の重複を避けるように、そうしてしかも相互に緊密な連絡がとれて治山砂防の効果を奏するように進めている状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/38
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039・田中一
○田中一君 仲よくやってもらわなければ困るのです。
そこで、ちょうど二年ほど前だと思うけれども、山腹砂防に対しては地方起債が認められて、建設砂防の場合には認めなかったという時代があったのです。あんなことは、あなたのほうで認められるチャンスが来れば、すぐ建設省に相談して、君のほうでやろうじゃないかというくらいのことを話し合いをすればいいのですよ。していないじゃないですか。ちょうど二年ほど前、去年かおととしだと思いますけれども、予算委員会の分科会でやかましくそれをねじ上げたら、ようやく建設省のほうの砂防にも地方起債が許されて、同じような資金関係ができたということになって、現在これは一緒になっております。われわれがそういうことを言わなければ、こっそりと林野庁だけが起債のワクをとって、こっちには知らぬ顔をしているなどということは、仲よくなっていないと思うのですよ。まだ末端の都道府県に参りますと、課長が違うものだから、課長が砂防課長じゃなくて、治山課長と砂防課長と二ついるものだから、上では仲よくしても、下のほうではよくないのです。地点についても大体同じようなところをねらうのです。山腹砂防のあなたのほうで実施している山を見ると非常に美しいですよ、はげ山がきれいになっていくのですから。そのほうに専心しなさいよ。あまり下におりてきてざこさがしはしないことです。この分野がまだはっきりしていないのですよ。おそらく建設省は大正初期のあの申し合わせを主張する。あなたのほうではなかなか、奥へ行ったのじゃ仕事をするといったって、する気もなくなってしまって、しないですよ。あんな奥に行ったら、請負人だっていやがる。あの山腹ちょっと見ても、びっくりするほどの奥で仕事をやっていますが、それはそれで克服して、やはり競合して、同じ暖流で、その上で、これが林野、これが建設なんということをしないようにしなければいかぬと思うんですよ。まだおそらくやっていると思うんです。これは建設大臣よくそういう点は話し合って、末端まで通牒を出すなら、お互いの通牒を見せ合いっこしながら、おれは今度こういう通牒出すというものを見せ合いっこしながらやらなければいかぬと思います。をやめたって、いつの間にか建設省にいる課長が向こうへいけば、向こうの課長になり切ってあなたの言う圧力に屈する形になります。その点はよく注意してください。
それから建設大臣、砂防事業というものを、林野と建設の砂防事業を一本化する考え方はありませんか。今度の設置法では出ておらぬけれども、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/39
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040・小山長規
○国務大臣(小山長規君) これはわれわれちょっとしろうとで考えますと、これは一本にしたらどうかというのが普通だれしも言うことでありますが、やはり林野の目的をいろいろ聞いてみますと、その森林を育てて、それがまた川に流れ込まないようにしたり、森林自体を育てるという専門のほうから申しますと、やはり林野庁は林野庁でやったほうが、ほんとうに国民のためになるのだ、そう考えているようでありますので、当分これでいきまして、そうしておっしゃるように、国民の側から言うと、いやこれは山林砂防だ、いやこれは建設砂防だというふうに、あっちへいったりこっちへいったりしなければならぬ不便が確かにあるのでありますから、その点を行政の末端でそういう混乱が起こらないように、建設省は建設省として、農林省は農林省としてやってくれると思いますが、それをお互いいまのような人事の交流はもとより、常時緊密に連絡をとり、また、府県の末端に至るまでそういうことができるように、いろいろ平生から気を配ってやっていきたい、こう思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/40
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041・田中一
○田中一君 私は、今回のこの五カ年計画についての規模が小さ過ぎる。そうしてまだ新河川法に対しては国民が相当期待している面も多分にあると思うんです。一応御承知のように反対連動がずいぶん起きました。起きましても、私はあの河川法の改正はしなければならないものだという持論でもって党内等でも説明してきております。しかしまだ問題がある。問題があるというのは、いままでの慣習というか、これから一本抜き出た新しいリストに出ているために混乱があると思うんです。それならばそれでもって、もう少し新五カ年計画がもう五割くらい計画が上回ってくれれば、これは賛成もできるのですけれども、この程度ではとても私は納得できないのです。これはまあ小山さん来年もひとつ大臣継続して二年やって、これはしようがないけれども、三年目くらいには新しい新五カ年計画ができるような予算要求していただきたいのですよ。さもないと、われわれは今回の計画には賛成いたしかねるものを多分に持っているものであります。これは自分の意見であります。
私はちょっと中座いたしますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/41
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042・田上松衞
○田上松衞君 田中委員が先刻非常に強調しておったのは、別のことばで言うならば、主要な河川区域の変更あるいは廃止等によって廃川敷地ができるだろう。それを金にして、そして五カ年計画を強く推し進めるべきじゃないのか、十カ年計画は五カ年計画に持っていくようにすべきじゃないかというのが要点だったと思うのですよ。そこでその質疑の中で、廃川敷地というものが大臣の答弁の中では、一体市場価値があるものだろうかどうだろうかというふうに私は聞き取ってしまったのですが、そういう御意向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/42
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043・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 私もよくわからないものですから、そのまた調査もまだできていないようですから、市場価値のある廃川敷地というものが一体どの程度あるものだろうか、そういうものがはっきりしていないと財源論にまで責任を持ってお話をする段階にはこれない、こういうふうに思ったものですから、そういうふうに申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/43
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044・田上松衞
○田上松衞君 さっきお聞きしたのが、少しそれで違ってくるのですよ。私どもお聞きして非常に不審に考えますのは、市場価値のあるものがどのくらいあるかということが不明確であったからというようなぐあいに言われた、さっきのことばでは。そういうものは一体市場価値があるものだろうかどうだろうか、こう聞いたものだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/44
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045・小山長規
○国務大臣(小山長規君) そうじゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/45
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046・田上松衞
○田上松衞君 河川法昭和三十九年法律第百六十七号及びこの河川法施行法の昭和三十九年法律第百六十八号、この規定に基づいて政令を制定されておるわけです。現にこれを活用しているわけでしょう、活用していれば御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/46
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047・国宗正義
○説明員(国宗正義君) いま御指摘の河川法施行政令は、施行の期日を新河川法の施行期日すなわち四月一日から施行することに相なっております。しかしながら、河川法に基づく施行令のうち、河川審議会令に関する事項、それは昭和三十九年七月十日に政令を公布いたしておりますが、それは準備のために必要なものは、すでに有効に適用されておりますが、その他の河川法施行令は四月一日からでございます。なお、河川法に基づく指定政令も四月一日から適用されることに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/47
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048・田上松衞
○田上松衞君 四月一日からこれを実施する、だがもう幾日もありはしません。すでにこれに対して十分な用意がなければならぬはずだと思うのです。こういうことを頭に置いて考える場合に、第五十一条で廃川敷地等の交換ということを厳格にここで規定しておるわけでありますが、それによりますると、「廃川敷地等と新たに河川区域となる土地との交換は、価額の差額がその高価なものの価額の二分の一未満の場合にのみ行なうことができる。」そうしてさらに第二項で「前項の交換をする場合において、その価額が等しくないときは、その差額を金銭で補足しなければならない。」と、これもはっきりきめているわけです。こういうような問題を控えていて、それで市場価値があるだろうかないだろうか、そうしてその調査がいまだに不十分であるということは、これは実際ちょっと心もとない気がしてしようがないのですが、大臣の見解をこの際はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/48
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049・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 先ほどのお話は、この五カ年計画の数字が少な過ぎるじゃないか、だからこういうものの財源があるということを主張してもっと財源をふやすべきじゃないか、という田中さんのお考えに対しまして、その廃川敷地というものが一体何千ヘクタールあるいは何万ヘクタールあるのか、それでその市場価値は一体どの程度あるものかということの調査ができていないから、まだ確信を持ってそういう財源の主張をするまでには現在のところ至っていないという話をしたわけでありまして、ここに書いてありますのはその手続をいっておるわけでありますから、したがって、個々の廃川敷地が出てきた場合にはこういう交換をしなさい、もし交換ができないときには金銭でもって支払いなさい、こういうことをいっているわけですから、これは全体の数字がつかめていなくても、この規定は適用されるわけであります。先ほどの話は、五ヵ年計画の全体としての財源をここから生み出すことはできないのかというお話でございましたから、まだ全体の数字がつかめてないときに、全体としての処分価額というものについての財源がこれこれであるから、これを五カ年計画の財源の中に繰入れるという主張をするところまでにはまだ至っておりません、こう申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/49
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050・田上松衞
○田上松衞君 いま大臣が答弁されるそのことについてはよく了解できるのですけれども、ただしかし、全般的に考えて、一体ものごとの計画を立てるのに、十カ年計画といい、五カ年計画といい、ものを計画する場合において、そのものが大きいか小さいかわけもわからないでいて、まだそういえば調査もできていない、あるいは市場価値が特にあるものだろうかないものだろうかというような考えでやるようなことでは、これは私は少なくともこんなたよりない計画でいいのだろうかという疑問を持ってしまうのですよ。すでにものごとを決定されて、早めようとか何とかするならば、それは当然予算との関連をもって、これなら可能である、これは無理があるということが骨になっていかなければ、私は計画立案なんというようなものは、これは信じられないのじゃないか。ただ大学の学生が一つの理屈を研究しているような程度で計画策定なんというようなものをされたら、国民の立場から考えてみると、ほんとうにこれがものになるのかならぬのか、実に不安だと思うのです。くどいようですけれども、どうもただ答弁のための答弁でなくして、われわれは、田中委員がさっき言われたように、ほんとうに災害を予防するということが一番大事だ。さればこそ計画は一年でも縮めて早く実施してもらいたい、こういう熱望に燃えておるわけなんですが、そういうようなことから見まわして、どうもさっき言われたことについては、何だかたよりなくてしょうがないので、くどいようですけれども、もう一ぺん、この際大臣の御所見をひとつお聞かせ願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/50
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051・小山長規
○国務大臣(小山長規君) われわれが新五カ年計画を策定するにあたりましては、たびたび事務当局からもお話をしていると思いますが、昭和五十九年に全水系について、その重要な産業あるいは耕地というものが計画高水位に対して対応できるような堤防、砂防、あるいはダムを建設しようということで、目標年次というものを昭和五十九年に置いて考えておるわけでありまして、それは一本一本の河川についての計画積み上げによって、その計画は策定しておるわけであります。建設省といたしましては、ただそれじゃそれを実現するにあたってはどうするのか。これは当然財源が伴うわけでありますが、その財源についてすでに十カ年計画の前期を終わりましたけれども、この間にいろいろな河川沿いの産業あるいは人口のいろいろな変化が起こりましたので、前の十カ年計画の前期の分はこれを廃止して、新五カ年計画をつくろう、こうなったわけであります。これはいまの昭和五十九年を最終目標とする全計画の一部といいますか、その第一歩なんでありますが、この五ヵ年計画の財源をどうするのかということで、事務当局としましてあるいは建設省としましては、一兆一千億円というものを策定して、これでまず重要水系については大体何%、その他の河川については何%の計画を遂行していこうということで、予算の折衝をいろいろやったわけでありますが、御承知のように中期経済計画の採用という問題がありまして、この問題との間にひっからみができてきたわけであります。つまり、現在の経済成長の度合いからいくと、物価の問題と国際収支の問題に大きな変化が起こるだろうということから中期経済計画をつくろうということになりまして、その中期経済計画によれば、公共投資が十七兆八千億内でおさめないと、物価あるいは国際収支に非常な悪い影響が出てくる。だから、十七兆八千億内でおさめるためには河川は幾らであってほしい、道路幾らであってほしいという中期経済計画が出され、閣議もそれを了承したわけでありますから、その前提に立ってのしたがって財源論であるわけであります。それで、いまの一兆一千億円というところで中期経済計画とも平仄が合うということでこの予算を閣議は承認したわけでありまして、したがって、いまお話しになっておりますところの廃川敷から財源を出したらどうかという議論とはこれは違うわけであります。廃川敷から財源を出すかどうかということは、これも事務当局から話をしたと思いますが、廃川敷をかりに売りましても、それは雑収入になりまして、一般の財源として雑収入として計上される。それがその年度の予算に幾ら具現するかという問題になりますから、したがって五カ年計画を策定するにあたって、廃川敷から出てくる部分が幾らであるであろうから、それを一兆一千億の中に財源として入れろということは、われわれとしては主張しなくてもいいわけであります。これは大蔵省側で考えるべき——と言っては無責任でありますけれども、大蔵省とわれわれとの間にいろいろやっておりまして、一兆一千億円が妥当である、われわれも妥当であると考えたときに一兆一千億円というところに話がまとまるわけであります。でありますから、先ほどのお話で何かたよりないというお話でありますけれども、われわれの計画自体は、ちゃんとした積み上げた、一本々々の河川について積み上げた治水計画というものを持っておることだけは、ひとつぜひ御了承願いたいと思うわけであります。それに対する財源をどうするか、あるいはそれの五カ年計画は一体幾らでいいか。これは一般の計画立案にあたっての日本経済の伸び、国民の所得、それから生じてくるところの税収、あるいは預貯金等の資金の積み立て、そういうものが一体幾らになるだろうか、これを策定して出すわけでありますから、先ほどの問題とは直接関連はないというふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/51
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052・田上松衞
○田上松衞君 非常に時間が迫っておりますので、たいへん恐縮ですけれども、私が知りたいということと御答弁の要旨が違っているわけです。いま御説明になったことは、大体私のほうで承知しておるのです。言いようが悪かったのか、あるいはことさらに問題をそらされたのか、それは別といたしまして、私が申し上げているのは、単に廃川敷地を命にかえて、少しでもそれを財源にして仕事を進めたらいいじゃないか、それだけじゃないです。それはごく一部のことなんです。私のねらいといたしますところは、あくまでわれわれが熱望するところは、災害の予防なんですよ。これを絶対に実現さしていくことは何であるかというと、私は大胆にどんどん河川区域の変更をすべきだ。これはこの問、題が具体的にどこそこということをいま指摘する時間がございませんし、こんなことは皆さんのほうでよくおわかりでもあるでしょうが、変更することによって防止できる、災害を防止できる区域はたくさんあるわけです。それを昔ながらの形にしておいて、ヘビがうねっているような形のままにしておくところに、たくさんの災害が発生することを実は心配しておりますので、こういうものを流れやすいようにしたらいいじゃないか。そのためには、その変更によって当然生まれてきますところの交換という問題が出るだろう。その交換をする場合に、当然問題になってきますのは、その価値がどうかということが出てくるわけでございまして、その点について思わないところで実際の実施が非常に困難になるだろうということを考えますので、むしろその点繰り返して言いますならば、あくまで災害予防のために利する、その根をなしていきまする問題が非常に心配される問題で、そこを頭に置いて解決することを、早く検討されていくことが必要であるというとこにウェートを強く置いているわけなんです。さっきは関連質問の立場で言ったから、少しねらいがはずれたかと思うので、そういう点で申し上げておるわけで、十分御承知あって御検討願いたいと思うのです。もう一言だけ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/52
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053・小山長規
○国務大臣(小山長規君) それは、いまお話にありましたところは、河川改修の一本一本の計画内容でありますが、これは田上委員のおっしゃるとおりに、川は流れやすくしなければなりませんので、そういう計画を立て、それを実現していきたい。その全体計画ができておるその中の第一次のといいますか、新五カ年計画である、こういうふうに御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/53
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054・田上松衞
○田上松衞君 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/54
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055・武内五郎
○武内五郎君 さっき次長から、法の解釈についてお話があった。その中でのたとえば河川、廃川敷地における利権と公権との混乱の際に、良俗に反せざる限りこれを許可する良俗というのは、そういう場合にどういう点を意味するのか。小作料をとって差しつかえないのかあるいは転貸転売しても差しつかえないのか、そういうはっきりしたけじめをしてください。それから私はそういう重大なことは、現在の河川敷地、廃川でなく、敷地の中に土砂が滞留して堆積した。それが占用されている地域がたくさんある。それをおそらく新河川法によって流水は公権ということであり、土地は私権の対象になるのだというような解釈から出たのではないかと思うのですが、河川敷地内の売買の問題、私はこれは非常に重大な問題だと思う。実例をあげてもいいのだが、実際いろいろな方面においてたくさんある。そういうものに対する明確な処置が必要じゃないか。どうなんですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/55
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056・国宗正義
○説明員(国宗正義君) 廃川敷の不法な占用なり私権の排除なりでございますが、河川を廃川にいたします場合は河川にいたします場合は河川工事が完成いたした場合でございますので、そこにありましたところの占用は、原則として河川管理者において消滅せしめ、将来においては交換の財産にいたし、あるいは国有財産として普通財産として大蔵省に引き継ぐべきものでございますので、占用は原則として消滅さすようにいたしておりますので、将来に引き続いての占用あるいは耕作、小作料というふうな問題は、一般的には起こらないと思います。行なわれないと考えます。それから一般に河川敷の占用で耕作のため、田を耕すために占用を許可されたものが、あるいは耕作のためでなく占用を許可されたものが、たまたま他人に耕作せしめて小作料をとるというケースは、これは最も好ましくない姿でございまして、いわゆる民法でいいましても、公の秩序なり善良の風俗に反し、さらに農地法の精神にも相反するかと思いますので、小作料を徴収してさらに他に転売するという関係は、これは排除していかなくちゃならない問題でございます。
次に敷地の占用のうち砂利の採取についてでございますが、砂利の採取自身には、それを鶴来する法律も政令も現にあるわけでございますが、新河川法に基づきましてもその趣旨どおりに行なわれまして、掘さく並びにその生産物の採取については河川管理上の支障も大いに考えられますので、厳重に規制し、許可をいたします場合には条件を厳につけまして、それを励行さすように進めるつもりでございます。
次に、河川敷自身の売買でございますが、これは現在におきましては、河川敷の売買ということはこれはあり得ないわけでございまして、区域に認定されますればそれは私権の対象でございませんので、それの所有権の売買は、法律上は起こり得ないわけでございます。ただ河川の区域に認定せずして堤防の存在する場合におきまして、堤防と堤防の間に民地がありまして、いわゆる堤外の民地でございますが、その堤外の民地の所有権の売買につきましては、さらに相続等につきましても同じでございますが、これにつきましては特別の規制をいたしておりません。他人に移ることもこれは当然のことと考えております。ただそこにおいてその占用の形態が耕作を行ない、あるいは工作物を設置し、あるいは砂利を採取するという行為につきましては、河川法において厳重に規制されるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/56
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057・武内五郎
○武内五郎君 そのとおりでいいんです。そのとおりでいいんですから、現実にあるのだから、それを調査すればすぐわかります。正しく処理していただきたいと思う。
その次に私、地すべりのこと、この間新井の調査事務所で新潟県の地すべり個所に対する警告を発した。融雪期を迎えて地すべりの危険が起こりやすいという地域に対する警告、これはまことにいいと思う。そこでその警告に対する措置ですが、いまのところその警告を受け入れるその地域の人々は、もうただ危険からのがれるというだけの話でよりほかないと思う。流動してくる危険を感じた場合には、みずから家財をまとめて逃げ出すというよりほかないのですが、それだけのものであるのかどうか。この点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/57
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058・上田稔
○政府委員(上田稔君) 現在のところ、地すべりの常発地帯といいますか、常に地すべりが起こりそうなところに対しましては、いろいろな地すべり対策の工事を行なったり、調査をいたしたりいたしておるわけでございますが、そういう地点が地すべりしそうであるというその直前において、住民の人たちを無理にのけるということは現在はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/58
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059・武内五郎
○武内五郎君 それはそのとおりなんだ。けれども警告を発している。危険ですよと、そうするといまの地すべり防止法からいえば、その地域の人がみずから逃げ出すよりほかない。だからそれだけの措置でその防止対策がそれで終わるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/59
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060・小山長規
○国務大臣(小山長規君) それはたしかこうなっておると思います。地すべりの危険があるということになりますと、警告を発しますと、市町村長が公営住宅があればそれに収容をするとか、あるいは他に土地を求めて家を建築したいとなりますと、市町村長の証明で住宅金融公庫は金を貸すことができることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/60
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061・武内五郎
○武内五郎君 まあ結局いまのところは、それよりほかないのですよ。だからその私は今日の地すべりの防止法というのは、ただそれだけの措置よりとれない。何らかやはり事前にそういう別な、やはりもう一歩進んだものが必要じゃないか。それはいまのところまあどうにもしようがないというなら、法の改正をもっと検討してもらうよりほかないと思うのですが、それはそれでいいです。
それから松之山の地すべりについて、私はしばしば現地を見ているんですが、集水井をつくってかなり効果が出ていると思う。井戸によってかなり緩和されていると思います。これは事実です。非常な効果が出ておる。しかし、まだ私はあれで決定的な対策ができたとは思わんのですが、何かやはり地すべりに対する徹底的な防止対策というものが技術上できるのじゃないか。その実施についてもおそらく建設省の優秀な技術をもってできないことはないと思うのですが、それに対する対策措置は考えられると思うが、一応ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/61
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062・上田稔
○政府委員(上田稔君) 地すべりに対しましては、これは非常にいままでむずかしゅうございまして、ほとんど手の施しようがなかったわけであります。それで、その地すべりになります原因でございますが、結局地下何十メートルかの下においてすべり面ができまして、そのすべり面に水が潤滑油のごとくなりまして、そうして土地全体が動いていくわけでございます。したがいまして、そのすべり面ができないようにするといことは、これはちょっといまのところ非常に困難でございまして、その潤滑油になる水というものをとめる、水が入らないようにするということを、まず現在ではやっておるわけでございます。そのやり方としては、いま先生のおっしゃったように、井戸によって、水を抜いていくとか、あるいは横穴を掘って水を抜くとか、あるいはといを突っ込んで水を抜くとか、あるいは水の入る源になるようなところを押えるとかというような方法を通常とっておるわけでございます。しかし、非常に大きな——大きなというよりも重要な地点であって、その地すべりが起こるとたいへんなことになる、たとえて申しますと大阪の大和川でございますが、その亀ノ瀬の地すべり、これが起こりますと、奈良の盆地が全部琵琶湖のようになってしまうというようなところ、こういうものに対しましては、いま試みに今度はすべり面にかかっていく動く土の重さを取っていこう、ある程度つまり荷がかからないように土を取っていくというような方法をとっております。(「簡単、簡単」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/62
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063・武内五郎
○武内五郎君 詳しく聞こうと思うのに、簡単とは何だ。確かに井戸は私は効果があった思うのです、松之山においては。けれども、幾らかずつ移動している。いつまたどう大きなやつがやってくるかわからぬ。前に地質調査所ですか、で調査して、全くもうこれには全力をあげて対策を立てるということになったのですが、地すべりがまだとまってはいない。実際においてとまっていない。緩和されただけである。だから、その基本的な対策というものを考えているのかどうかということ。
それから先ほど新井の建設省の事務所が警告を発したことについて、警告を発するならば、たとえばひずみ計を各地に設置するとかいうようなことで、その土地の移動がどういうふうに動いているかということを、またその土地の人がこれを十分監視していかなければならぬ。それらに対する施設がまだ不十分じゃないかと思うのです。その点なんかどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/63
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064・上田稔
○政府委員(上田稔君) 地すべりが非常に大きく起こりまして、クラックがたしか入っているというふうなところに対しましては、どういうふうに動いているかというはかる施設をつくっておりますが、いまの警告はそういうものが起こるおそれがあるということで皆さんに注意をしていただいて、この前の氷見の地すべりのときに住民の方々が各人が非常に注意をしておられたために、死者がほとんどなかった、死傷者がなかったというような例もございますので、そういう点において警告を発したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/64
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065・武内五郎
○武内五郎君 だから、その警告はいいのです。非常にいいと思うのだ。警告はいいんだが、土地の人もどれくらいの動きをしているかということを常に見ておる必要があるのじゃないか。それには必要な個所に、危険な個所にひずみ計その他の施設が必要じゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/65
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066・上田稔
○政府委員(上田稔君) 松之山につきましては非常に大きく動いております。先ほど申しましたように、クラックの入っておるところについては、そういう計量装置をつけてあるわけでございますが、それが非常に大きく動く場合には警報もいたそうということで実は考えてやったのでございますが、まだうまくいっておらない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/66
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067・武内五郎
○武内五郎君 だから、それをやるつもりなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/67
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068・上田稔
○政府委員(上田稔君) 大きく動いておりますところに対しては、警報装置をつけたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/68
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069・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) それでは、他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/69
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070・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/70
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071・田上松衞
○田上松衞君 民社党を代表して、不満足ではあるけれども、本法案に対して賛成をするという立場で一言だけ討論をしておきたいと考えるわけであります。
正直に申しまして、いま国民が国の施策の中で建設省関係について特に要望しておる事項は、現在の日本が持っておりますところの科学技術を最高度に活用しながら、その上にきわめてまじめな政治性を加えまして、天災を可能の限り食いとめていく、克服していくということだと私は信じておるわけであります。
そういう立場から考えてみますると、いろいろございまするけれども、その中で一番端的に表現されますものが治山治水の問題だと、こう思っておるわけであります。建設省はいろいろこれに対しまして計画を何べんか変えられているわけなんですけれども、これを熱望する国民の気持ちを十分にひとつくみ取っていただきたいということなんですその観点に立って私は中のごく一部を、十分の態勢を整えられるようにということで先刻質疑の中でほんの一部だけを申し上げておいたわけですが、もし時間がありまするならば、いろいろ注文もつけたり、建設大臣の考えもただしたりしたい事項があったわけですけれども、いまの場合になってはそれは省略いたします。どうかひとつ、この国民の気持ちを十分にくみ取られて、要望にこたえるように一そうの努力をしていただきたいということを強く要請いたしまして、本案に対しまして賛成の意を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/71
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072・瀬谷英行
○瀬谷英行君 社会党といたしましては、先ほど田中委員の質疑の過程において理由を明らかにいたしましたように、治山治水事業新五カ年計画が、その規模があまりにも過小であって、国民の期待に反するといったようなことで、この内容そのものについて、趣旨そのものについて反対というわけではありませんけれども、その規模の過小、これでは不十分であるという意味のことが再三いままでにここで述べられております。したがいまして、あらためて反対討論をする必要はないと思いますので、先ほど申し上げた理由によって反対であるという意思を表明をいたしまして討論にかえたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/72
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073・熊谷太三郎
○熊谷太三郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成する一員でございます。もちろん、いま田上先生がお話になりましたように、治山治水はすべての建設関係の問題について優先すべき重要な問題でありまして、社会党が御反対になる理由も、この案が決して、必ずしも心から反対ではないが、非常に積極性がまだ薄いという点におありになるということでありまして、本問題の要点としましては、この案には賛成いたしますが、問題の重要性にかんがみまして、さらにひとつ将来積極的な方法を講じていただきたいということを御要望いたしまして、自由民主党として賛成の意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/73
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074・浅井亨
○浅井亨君 私は、公明党を代表いたしまして本案に賛成の意を表したいと思います。しかしながら、総事業費が一兆一千億という膨大なものでございますが、これが初年度においては千三百三十七億円ということになっております。そうしますと、次年度以降におきまして、ずいぶんそれがしわ寄せになってくるのではないか、こう思います。そうしますと、現在の経済状態で考えてまいりますと、財政規模の順調な拡大はできないのじゃないか、こういうふうに思われますので、今後の事業費を削られ、計画の変更もあるのじゃないか、こういうことを非常におそれているわけでございます。こういうふうなことに対しまして、政府はあくまで治水事業の重大性を認識されて、財源の確保につとめていただきたい、こういうことを要望いたしまして賛成の意を表したいと思います。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/74
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075・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/75
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076・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/76
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077・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X01119650323/77
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078・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十一分散会
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