1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十七日(火曜日)
午後一時二十五分開会
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委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
石原幹市郎君 二木 謙吾君
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出席者は左のとおり。
委員長 白木義一郎君
理 事
後藤 義隆君
新谷寅三郎君
松本 賢一君
中村 正雄君
委 員
小柳 牧衞君
斎藤 昇君
長谷川 仁君
二木 謙吾君
小酒井義男君
横川 正市君
衆議院議員
発 議 者 鈴木 善幸君
発 議 者 山中日露史君
発 議 者 山下 榮二君
国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
自治省選挙局長 長野 士郎君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提
出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/0
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001・白木義一郎
○委員長(白木義一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
初めに理事の補欠互選についておはかりいたします。委員の異動に伴いまして、現在当委員会に理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠互選を行ないます。
互選の方法は、成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/1
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002・白木義一郎
○委員長(白木義一郎君) 御異議ないと認めます。それでは理事に新谷寅三郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/2
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003・白木義一郎
○委員長(白木義一郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、前回までに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/3
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004・横川正市
○横川正市君 私は三党共同提案にかかわるものですから、この提案された内容については別に異議を持っておりませんので、ただ関連事項として自治省のほうに質問をいたしておきたいと思う。それはたとえば連呼の時間が延ばされた、前後において延ばされたというようなことのよってきたる原因というものの中には、まあ言ってみますと、たとえば連呼の時間が早いと非常に迷惑をさせるとか、あるいはまあ良識的には病院だとか、そういったところには遠慮をしなさいとか、選挙をやる側が常にいろいろ遠慮しがちなひとつの気持ち、それにまあ公共に対してある程度のやる側が遠慮するということよりか、それをおもんぱかって時間などというものはきめられてきた経緯というものがあるわけです。しかし、実際上連呼行為がそれじゃだれもが全部やっておらないかというと、おそらくこれを完全に守って選挙をやっている人というのは、まあ残念ながら一人もいないわけです。そういうふうに選挙法の中に取りきめても守れないが、法律だけはたとえば禁止や制限や制約をしている、そういうものの取りきめがずっとこの選挙法の中には非常に多いような気がするわけです。たとえば、最近のこれは最高裁の判決だったと思いますが、あるいは下級裁判かどっちかわかりませんが、戸別訪問の規定が、戸別訪問をするのにあぜ道で話した一ものが戸別訪問なのか、それから庭先で話したのが戸別訪問なのか、この判断というのが出されておりました。私は、普通いまの選挙法でいきますと、たとえば路傍で会ってよろしく頼むというのは、これは戸別訪問にはならない。だから選挙違反ではない、それをあぜ道なんかでやられたものについてはその範疇だと、ところが同一宅地の中で、所有地の中で働いている人に話しかけた者はそれは戸別訪問、いわゆる戸をあけてごめんくださいと言っ入っていったと同じことだというふうに判決が出て、そしてこれはたしか違反だということになったはずです。これも通常、常識からいきますと、一体、その判決が正しいのか、正しくないのか、私は、議会の立場では、明確にしておかないと、何でもかんでも、法律をつくったほうの意思とは全然反して、取り締まり当局は、これを拡大して解釈するというような余地を、実は選挙法には残しておかないほうが、選挙をやる側にとって都合がいいというだけでなしに、私は、そういう拡大解釈で取り締まられる、Aのところでは違反にならないが、Bのところでは違反になる、重点をかけられたところでは、非常にたくさん違反が出るが、そうでないところは、違反が出ないというような、各段階でいろいろ取り扱いにまちまちな状況というものをとっておかないほうがいいのではないかというふうに私は考えるわけです。
それから、もう一つは、たとえば経歴なんかを書いたものを配っておる。文書配布だというので、文書配布の限界というのを聞きますと、三枚くらい配ったのなら、これは違反にならない。十五枚配ったら、違反なる。それじゃ、十三枚はどうか。これは厳重注意だというようなことで、やり方について非常に問題があるようです、取り締まり当局の意見を聞いてみても。それならば、私は、経歴書などというようなものは、これは表にビラを張っているようなものなんだから、それくらいのものは配ってもいいのじゃないか。たとえば、鈴木善幸さんはどこどこ出身、どういう経歴であるというようなやつを、これを選挙民が持っておったって、別に私は、立候補している五人の者が、五人とも持っているならば、別にたいした問題じゃないじゃないか。あるいは、そのことがだめだというのならば、経歴書の配布については、公営の段階で完全に行き渡るような配布のしかたというものがあっていいのじゃないか。すなわち、やる側と取り締まりの段階で、ある者は、一万円くらいの罰金刑で、そうして、公民権停止三年なんというのをつけられる。ある者は、同じことをやっておるのに、一向にそういうことの取り締まりの対象にならないというような余地を残さないことのほうが、私は、選挙をやることについては親切なんではないかというふうに思っておるわけです。この点について、大体、自治当局ではどういうお考えかをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。これが一点。
それから、第二は、参議院のほうは全国区の場合がある。参議院の全国区の場合に、私は、当然、ビラというのは、張らしてもらう側が頼み込んで、張ってもいいということの了承を得て、ビラを張るのでありますから、別に、これは、そういう段階では不都合はないのです。ところが、下部段階にいきますと、警察官が、ビラを張ってありますと、このビラはだれが張りにきたんだ、こういう質問をするそうです。そうすると、張らした側は、ビラを張ったということだけで、何か選挙違反でも行なっている、あるいは悪いことでもしている、もっとひどいのは、この人を特別に支持していることが、相手側に明らかに判断をされる、そのことが都合がいいとか、悪いとかという個人のものの考え方で、ビラ張りについて、張らしてもいいんだけれども、張らさないほうがいいということで、公正を欠く場合が出てきているわけです。
それから、もう一つ、地方の段階で、よくこういう例があるわけです。たとえば、支持している者、いない者等のビラは、これは張ってもいいとか、張っては悪いとかという指令が出るのです。どこから出るかというと、銀行関係から出るのですね。信用組合とか相互銀行だとか、あるいは地方の銀行の支店とか、こういうところから出るのです。一番多いのは、商店なんです。すなわち、金の融資を受けている側が、ビラを張っていいか悪いかという判断を、みずから支持する、しないの問題にかかわらず、そういう第三者が、今度、この町で出ている何々の候補者の推薦団体に商工会がなったから、反対の者についてのビラは、絶対張ってはならぬ、こういう指令が出ますと、表通りの商店というのは、全部、いわゆる商工会とか銀行筋とか信用組合が支持している候補者のビラだけしか張らせないで、反対者のビラというのは張られないわけです。私は、そういうような人情の機微というものにまで触れて、いろいろこの取り締まりやあるいは選挙法規をつくるというのはむずかしいかもわかりませんけれども、そういうことが、日常茶飯事で下部段階では行なわれているわけですから、それならば、それに対処するように、たとえば、参議院全国区の場合には、電電公社の電柱だとか、あるいは電灯会社の電柱等はへ当然、張ってもいい、こういうことで、無差別に、だれもが、他のだれにも気がねをしないで張れるような方法というものは、講じてもいいのではないか。そういうような親切心があって、初めて、不当な警察の介入とか、不当な支持者の排除とかというようなこと、これを受けないで、公正ないわゆる選挙活動というものができるのではないかというふうに私は思うわけでありますが、その点についての配慮という点で、どういうお考えを持っているか、二点についてお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/4
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005・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 選挙法の条文の運動に関する規制等の表現と、実際の取り扱いとに、当初の立案者の考えていることと違った場面があるということでありますが、そういうことがあることは、非常に不都合を来たすので、疑問の余地がないようにしておくべきだというお話でございます。私ども事務当局といたしましても、その点については、全く同感でございまして、むしろ、ほんとうに疑問の余地のない形がとられるのが一番いいと思うのであります。ただ、先ほどお話のありました連呼の問題等につきまして、いままでも御承知のように、街頭演説におきますところの連呼は、六時から九時までということで認められているわけです。が、これは街頭演説を行ないますにあたりまして、その場所にとどまって、演説をするかたわら、あるいは同時に、その候補者の名前を重複して繰り返したり、あるいは、その政策内容を、非常に簡単なことばで繰り返し訴えるというようなことは、当然に伴うものとして認められているというか、考えられたのだと思います。しかし、選挙運動用の自動車が進行しておる間に、移動中に連呼する、これは、演説というよりも、むしろ、いわゆる流して歩くような形でございますので、その移動中に連呼するというものが、街頭演説の場合と違いまして、いろんな居住地でありますとか、市街地の中を通っていくという一とについて、世間の批評といいますか、いろんな批判が、一時、あったように思うわけであります。そこで、そういう街頭演説でないほうの、連呼尋問といっては悪うございますが、連呼だけやるような形のものについての時間制限というものがあるわけでございます。で、その連呼と街頭演説の時間とが食い違っているために、違反が起きるということを御指摘になったのであろうと思いますが、確かに、そういう意味では、時間が、街頭演説の場合と連呼の場合とが統一されることが、間違いが少なくていいということであろうかと思います。それも一つの解決の方法だと思いますが、現在のところ、そこまでなかなかいっていないわけであります。
戸別訪問につきましても、個々面接か、戸別訪問か、これは昔から非常にむずかしい問題でございまして、ただ、御指摘のありました最高裁判所の判決は、ちょっといま聞きますと、北海道で行なわれたもののようでございますが、宅地に続いている田畑、そこらのところは見分け方が非常にむずかしいものでございますけれども、一つの宅地の中で、宅地に対している田畑を続いて訪問する、要するに庭先と同じになっておるという解釈を裁判所としてはとったようであります。また戸別訪問も一回目のところでとっつかまっちまうということもあり得るという解釈が従来行なわれております。それは本人が連続して行なおうという計画のもとにまず一回目を行ったんならば、これはやはり戸別訪問になる、こういう考え方もあるようでございまして、しかしながら、それと個個面接とがどれだけ違うかということになりますと、境い目はすこぶるむずかしい問題で、しかし、現在は戸別訪問と個々面接につきましては、非常に問題はむずかしゅうございますが、一応判例なり解釈が積み重なっておりまして、ある程度のところまでいっている。しかし、まあこれは具体に運動をされる側からいいますと、非常にむずかしい場合ももちろんあると思いますが、私どもこれが簡単になることを非常に望んでおるわけでございます。
それから文書の配布につきましては、いまの選挙法は文書の配布というものを非常に厳重に取り締まるといいますか、禁止をしております。したがって、十枚ならいいけれども十五枚ならいかぬということではなくて、本来なら一枚でもいかぬというような、これがまあ現実の法の例示しておるところだと思います。しかし、まあそこを現実との関係で取り締まり当局が一つの実態に合わした扱いをしておるのではないかと思うのであります。で、もちろん経歴等につきまして、もっと自由にしたらいいじゃないかという御意見もごもっともでございますが、選挙公報は主として経歴が述べられ、しるされるわけでございまして、これは過去の国の選挙等におきましては、もちろん選挙の投票日の前、二日目ぐらい前までには少なくとも配布されるということで、候補者の経歴は有権者のほとんど全部が伺い知るようにできておるわけでございますから、経歴だけを自由にすべきだということの実質は、これはほとんど実現はされておるといってもいいのではないだろうかと思っております。いまの文書図画に関する制限はそういう面で非常にきびしすぎるという意見はたくさんございます。確かにそのとおりでございますが、いまの現行法はそういうふうになっておるわけでございます。
それから全国区のポスターの問題でございますが、たとえば、電柱なら電柱に無差別に認めるようにしたらどうだという御意見でありますが、これは現行法では電力会社の電柱でございますから、法律なり何なりでそういう制度をつくる、たとえば衆議院や参議院の地方区の場合に、公営掲示場というものが当然にポスターを掲示する場所になるわけです。同じように、全国区の場合はあらゆる電柱というものを一つの公営掲示の個所と考えるというようなことでも考え方としてできますれば、そういうことも可能だと思いますが、しかし、電力会社の電柱は電力会社自身の所有なり管理に属するものでございましょうけれども、現状においては電柱広告という一つの業態がそれぞれ地区の電柱について存在しておるようなわけでございまして、そこで、そういう営業の一つの立場といいますか、地位が認められておるものがあるわけでございますが、それとの調整その他いろいろ問題がありまして、またあとでポスターの撤去ということにつきまして十分に行なわれない、最近は付着するのりとか、その他の非常に強力なものができておりますので、はがれませんことは非常にいいのでございますが、選挙が終わりましたあとで、なかなかそれがとれない、非常に美観を害する、また、そういう他の広告主の利益をおかすというようないろいろな問題が、電力会社が選挙のたびごとに、だんだんとポスターを張ることに消極的な態度で臨んでいるというようなかっこうになっているわけでございます。確かに全国区のポスターの掲示につきまして、どういうふうに考えることが非常に合理的な扱いであるかという点につきましては、今後なお検討をいたさなければならないと思いますが、いますぐ電力会社の電柱が、当然にその管理者とか所有者の承諾がなくても、張り得る場所として考えてよろしいのだということには、なかなか持っていきにくいのではないか、これは関係者の了解を得まして、そうしてそういう管理者や所有者の了解があれば掲示できるということで、個々に進めていくということが実際は行なわれている。ただ電力会社はほとんど申し合わせをいたしまして、ポスターの掲示をことわるというような消極的な態度でいるようには聞いておりますが、直ちにそれを直していくということは、いまのあれだとなかなか困難で、なお解決をする問題があるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/5
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006・横川正市
○横川正市君 私は長野さんのいま言った中で、根本問題でやはり少し現実にやっている者の立場というものを理解する点が違っていると思うのですよ。非常に選挙というのは萎縮して、何か選挙をやることそれ自体に危険を感じたりなんかをするというような、そういう気持ちがありますよね、一般の国民に。選挙というのは楽しいものだとか愉快なものだというような感じというものはないでしょう。選挙というのは、言って見ればきわめて重要なことだけれども、それをやるということに、なるべくならば関係なくしてそっぽを向いておきたいという、無関心の状態の中で選挙というものは行なわれて、事実上自治省が一生懸命全員投票運動やって見ても、相当なボスがいて圧力をかけない限り、選挙に行かないで、六割とか、六割五分とか七割とかというところにおかれているわけですね、実際上の投票率というのは。そうでなしに、みんなが楽しく行かれるようなものなら、私はあなたのほうが特段に笛や太鼓をたたかなくても、選挙にみんな行ってくれると思うのですよ。その選挙をやる立場に立って、もっと締まりとか何とかというものを緩和して、そうして実際上はみんなが喜んで選挙に行けるような、そういうものをやっていかなければ、私はいけないのじゃないかというのが、根本的なものの考え方なんであって、そこでたとえば、電信柱に張るということは、これは街頭の美観を損なうからという、いわゆる選挙をやる側の遠慮が、積極的にやってあとを片づけるという方向にいかないで、一歩後退をして、今度は壁なんかを了承を得て張るのだ、こういうことになったわけですね。そういうふうに選挙法がなると、今度は取り締まり当局はどういうようになってきたかというと、だれに頼まれて、どういう関係でビラを張ったかというふうな干渉の余地が残ってくるから、今度張った側は、そんな危険なことなら張らないといって逃げてくることになるわけです。それからいま言ったように、商工会や銀行筋から言われると、金を借りている弱みもあって、張ってやらないというような変な形の干渉が出て来て、選挙そのものの不明朗な形が出てきていると思う。もう一歩積極的にやれば、たとえば美観を損なうというのだったら、いまベニヤでできているわけです。あれをあなたのほうが要する金の面でたいへんだというなら、私はあれを張るのに何も制限なしにどこででも張れるような。そういう方向にこれをやらせていけば、私はやはり積極的な意味で問題の解決になっていくと思うのです。
それからもう一つ、文書配付は厳重だ、厳重だというけれども、いまテレビとかラジオとか、あるいは機関紙とか、いろいろな格好であるわけですけれども、積極的な意味なら、たとえば、全国区の候補者に十万枚街頭に張るビラを許すなら、同じ十万とか十五万は個別に配ってもいいようなものを許して、そうしてビラ十万枚あるいは経歴書十五万枚というようなものは、これは配ってもいいのだというふうに、私はまず、いくのがいいのではないか、いわゆる積極的な意味でものを解決するような方法というのは、私は考えられていいのではないかというふうに思っているのですが、その点はどうですか。いままでのいろいろな面を勘案してみて、考え方を聞いてみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/6
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007・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 確かにお話しのように、根本的にはいまの選挙法は非常に制限がきびし過ぎまして、そうして同時に、第三者といいますか、一般の有権者が選挙に参加するという、参加できるという方法をほとんど禁止して、ほとんど選挙に手を触れさせないという形で、そしてまた同時に、運動をするほうにつきましても、いま申し上げますような、文書でありますとか、あるいは運動方法につきまして、非常にきびしい制限をしている。したがいまして、一般の有権者というものは、選挙は国民のものであるということで、まあ口ではやかましく言われますけれども、選挙運動に際してはほとんど協力のしかたがない、傍観者であるような形、常に受け身で選挙を見ておる。そして極端に言うと、投票日になると、やれ投票に行けという態勢をとらされておる。極端ではございますが、やはり全体の考え方がそういうふうに仕組まれているように思います。したがいまして、選挙運動なり何なりというものを、私どももまあ個人的な考えではありますけれども、もっと開放して、のびのびとしたものに仕組んでいかなければ、ほんとうに国民が、主権者たる国民が選ぶという態勢ではないのではないかという気がいたすのでありまして、お説のように、そういう意味で取り締まりがきびしゅうございますから、萎縮し、めんどうなことには手を触れたくないという気分が非常に行き渡ってしまっている。片一方取り締まり当局が、しかしながら、さればといって常識なり、あるいはそれぞれの主観によりまして、手心を加えるということがかりに非常に多くなってまいりますと、これもやはり一つの問題でありましょうし、やはり取り締まり当局としては戸別訪問であるとか、連呼であるとか、文書の配付が、そういう状態であると言えば、取り締まらざるを得ない。ただし、これは選挙運動の取り締まりについての一つの特色と申しますか、関係者が非常に多く、また時期が非常に限られておる。そして捜査当局の力の向け方というものも、重点的にあるいは地域的にものを考えていかなければならない。あるいは違反事実があった、早く上がったところから手をつけるというようなことが、どうしてもやはり出てくるようであります。したがって、そこに全体として見ると、取り締まりがときにいき過ぎたような印象を受けたり、ときに非常に見過ごされたような印象を受ける場合があるのではないかというふうにも思いますが、しかし、全般としては取り締まり当局が違反事実を見逃がすというわけにもこれはまいらぬのであります。そういたしますと、全体のたてまえは、いまの選挙法自身が非常にそういう意味で窮屈で、そうして有権者は選挙に対して非常に熱の入れようのない態勢をとっているところに、今後の問題があるのじゃないだろうかと思うのでございます。そこで、いまのお話のように、もっと積極的にものを考えるとしますと、そういう考え方、私どもも実は賛成でございますが、同時に、この選挙法というものも、そういう意味で根本的に考え直してみる必要がある。現在第三次選挙制度審議会におきましては、政党本位の選挙というような観点から、この挙選制度、選挙運動なり、政治資金なり、選挙資金、罰則のほとんどの各項目について検討を始めておられますが、審議の途中でございますので、結論がどうなるかはまだ将来のことに属しますけれども、そういう論議の中におきましては、ほとんど文書図画等の制限を撤廃し、一般の有権者が選挙に参加し得る道を十分開いていこうという考え方で、選挙制度を根本的に洗い直そうという意見が多いようでございますので、大体そういうところから進めていきませんと、このポスターをどうする、あるいはどこをどうするという対症療法では、ちょっとでも対症療法をやりますと、次にまた引っかかってくるということが出てくるので、元から直さなければいかぬのじゃないだろうかという、そういう個人的な意見でございますが、持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/7
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008・横川正市
○横川正市君 私は、いま言われているような部分は、最も根本的な改正については、ひとつ審議会の結論待ちで論議してもいいと思うんですが、これは衆議院の三人の先生方にも要望しておきたいんですが、たとえば、連呼時間がこれだけ長くなったということで、こういう現象が起ってきますね。候補者が連呼をしていると、向こうからおまわりさんらしい者がくる、びっくりして連呼をやめる、あすこは交番だからやめようという心配がなくなるわけですね。逆に言えば、もっと正々と、形式的なことであまり心配をしないで選挙ができるという、そういうことが選挙をやる側にとってみて、これは十分考えておくべきだと思うんですよ。向こうからおまわりさんがきたからこっちへ曲れなんという、全くおかしな選挙を選挙法によってきめられてやっているというのは、私はおかしいと思うんですよ、いままで何回か選挙法を改正しておきながら。私は、この法案が参議院で前国会、審議されたときにその点は強く主張して、少なくとも参議院では、連呼時間というものは、その意味ではあなたのほうで修正するより先に、手回しよく修正しておいたわけですが、そういう点でぜひひとつ、こちらも公職選挙法の特別委員会がありますし、衆議院の先生方の代表で論議されるわけですから、その点は十分ひとつ検討していただくようにお願いをいたしたいと思うし、それから自治省も、根本問題もさることながら、できることからひとつ手がけていくということで、ぜひひとつこういうふうな末梢的なものは早く解決していくべきじゃないかと思うので、その点も強く要望いたしておきたいと思う。
以上で私は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/8
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009・松本賢一
○松本賢一君 いまの横川さんの質問に関連したようなことで、ちょっと補足的のような質問をしてみたいと思いますが、いま連呼の質問がありましたが、一体選挙の連呼は、こういうふうにいままで制限があって、全然できなかった時代もあったわけですが、一般の選挙以外に、町を自動車でいろいろな大きな声を出して流して歩く、そのほうの制限はどういうことになっているんですか。御存じありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/9
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010・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 地方には、騒音というと誤弊がございますが、騒音防止という観点から、ところによってその規制方法が多少違うようでありますけれども、ある一定の音響以上の騒音については規制をするという、いわゆる騒音の観点からの規制が行なわれておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/10
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011・松本賢一
○松本賢一君 それについて時間の制限とかなんとかといったようなことが、これは警察の方でないとよくわからないのかもしれませんが、おわかりでしたら大体教えてもらいたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/11
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012・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 時間についてはよくわかりませんので、さっそく問い合わして、調べてお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/12
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013・松本賢一
○松本賢一君 これが、たとえば一般のそういった連呼が時間が相当ゆるやかな制限しか持たれていないと仮定すれば、選挙がそれよりもきびしい制限を受けるということは、どうしても私は納得いかないことなんです。選挙というものは国民にとって非常に重要なことで、できるだけいろいろな方法で国民に徹底させなきゃならぬものと思うにもかかわらず、ある時代には全然連呼をやらせなかった時代もあるのです。一方ではプロレスの広告だとか、やれ何とか、キャンディの広告だとかいうようなものがどんどん町を走っておるというようなことは、むしろ本末転倒した取り締まりのやり方じゃないかと私は感じてきておった。このごろ法律が何回か改正されて、だんだん連呼がゆるやかに、選挙の場合はできるようになったと思うのですが、これで、私なんか選挙の連呼なんというものはもう制限は撤廃して、そして夜中に大きな声を出すようなばかな候補者はひとりでに落選すればいいのですから、そういうふうなことにして、形式的な制限なんかつくらないほうがいいのじゃないか。あらゆる方法で国民に耳から目から徹底させるべきことなんですから、私はそういうふうに思うのですが、まずひとつ局長さんのそれに対する所感を、まあ先ほどから大体わかったような気もするのですが、もう一ぺんお答えいただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/13
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014・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 連呼につきましては、お話のように、たとえばイギリスなんかでは連呼についての制限はないようであります。ただし、イギリスではほとんど連呼をやっておりません。連呼をすれば必ず評判が悪くなってだめだという不文律といいますか、そういう社会的な見方があるようであります。それから、わが国の場合には、いまのたてまえがあらゆることを規制してかかろうという、極端に言いますと、選挙運動をすすめる法律であるよりも、規制する法律でございます。あらゆるものを規制してかかるたてまえで、連呼の問題も対処されておるということでございます。しかし、また一面、選挙の場合の連呼というものが、お話のようにプロレス的であることを国民は嘆いておるのであって、むしろ、そうでない、高い品位を持ってほしいという気持ちもあって、同じような騒音になることをなるべく戒めるべきだという気持ちも、一面、連呼に対する、選挙についての連呼について特に批判がいままで強かったのは、ややそういう点がやはり国民の間にあるのではないか。そこで、ほかの騒音と同じような扱いというより、もっと選挙運動としてもふさわしいかふさわしくないかというような見方もあるようにも思われるのでありまして、単なる騒音としてものを考えているだけではないというところが、このいままで規制をさしてきたひとつの理由の一つにあるのじゃないだろうかという感じもいたしますが、お話しのように、全く規制をはずしてしまう、そして、それは、その運動をするしかたに対する有権者の判断なり何なりにまってもいいのじゃないかということも確かに一つの考えだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/14
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015・松本賢一
○松本賢一君 これはまあ局長さんもわれわれと大体同じような気持ちを持っていられると思うのですが、よくこの問題を——ほかの問題もそういうことが言われる場合もあるかもしれませんが、特にこの連呼の問題のときによく言われることは、連呼を無制限に許すと、新しい候補者が非常に名前を売るのにチャンスが多くなって、古い候補者のほうが何となく損をする、だから、現在の国会議員が、法律をつくるときには、必ず現在の国会議員のほうが有利になるような法律をつくりたがるから、そういう制限をするのだというようなことを、新聞等にも、投書なんかにはちょいちょい見られることですし、世間でもそういううわさをよく耳にするのですけれども、私はまだ議員になって法律案をつくった経験が非常に少ないので、古い先生方にひとつお伺いしてみたいと思うのですけれども、そういったような、選挙法をつくる場合に、そういうような、世間でうわさされているようなことは、実際には私はないと信じるのですけれども、そういうことはないのでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/15
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016・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 選挙は何といっても民主政治の基礎でございますので、公正なものでなくちゃいかぬ各党及び各候補者につきまして、みんなが納得できるような共通の土表でなくちゃいかぬというのが、選挙法改正にあたっての基本的な態度でなくちゃいかぬ、こう考えるわけで、連呼の問題等につきましても、私は先ほど来お話ししているように、なるたけ制限を加えるとか、規制を加えるとかいうようなことは、関係者の良識にまつことにして、あまり法的に規制を加えることは好ましくない。供応だとか、買収とか、そういう選挙の腐敗をもたらすようなことは厳重に規制すべきだと思いますけれども、その他の言論とか、文書活動とか、いろいろな運動は、大らかにやったほうがいいのじゃないか、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/16
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017・松本賢一
○松本賢一君 それでよくわかりましたが、そうしてみると、万民ほとんどが、もっと選挙というものは気楽にやれるものにしたいという気持を持っているにもかかわらず、いつまでも——一口に言えば、つまらない制限がたくさん、あっちにもこっちにも選挙法にあるわけなんですよ。で、これをひとつ何とか近い将来に——私は日本の選挙民というものは、もう頭から罪人扱いにされている法律じゃないかと思うのですね。こういう法律は、もう悪いことをするやつのために法律をつくってあるような、そういうものであって、ひとつの、あたりまえのことをみんな制限してしまっているようなことなんで、そのもとをただすと、こういうことを許しておくと何をしでかすかわからぬといったような、そういった、選挙民なり、選挙運動する人たちを、頭から、すきがあれば悪いことをするといったようなふうな取り扱いがしてあるような選挙法なんで、こういう法律というものは、ほんとうに私はなるべく早く根本的に改正すべきじゃないかと思うのです。それは選挙制度審議会の結論待ちというようなこともありましょうけれども、役所は役所なりに、むしろ国会は国会なりに考えていくべきことじゃないかと思いますので、ひとつよろしく皆さん方にもお願い申し上げたいと思います。これで私は質問を終わります。
〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/17
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018・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 委員長より質疑がありますので、私がかわって委員長の職務を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/18
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019・白木義一郎
○白木義一郎君 大臣が見えるまでに若干質問をしたいと思いますが、最初に提案者の方々に先日公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由の説明をお伺いしたわけですが、そのおもな内容について、一番に、「補充選挙人名簿の登録手続及び調製手続の合理化をはかるため、補充選挙人名簿は、選挙期日の公示または告示の前日までに登録の申し出をした者について調製することとし、選挙期日の公示または告示後に登録の申請ができる制度を廃止することといたした」、こういうような御説明がありましたのですが、その点について、補充選挙人名簿の登録手続及び調製手続の合理化をはかる。従来の現行法よりもさらに合理化をしようという御趣旨でありますが、具体的にどういう点を合理化せねばならないか、あるいはどういう点が現行法で不合理であったか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/19
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020・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 補充選挙人名簿の登録の申し出の制度、登録の申請の制度と、二つ現行法におきましては認められておるわけであります。自治省の調べによりますと、最近に至りまして、この登録の申し出の制度が非常に活用されまして、このことは当局及び選挙管理委員会等の啓発運動もだいぶ浸透してきておると思いますし、選挙民の意識も高まったといいますか、この申し出制度によって登録が比較的順調に進められておるということを私どもも報告を受けておるわけであります。したがいまして、私どもは、この登録の申し出制度が十分に行なわれてまいりますならば、補完的な役割りを持ちますところの公示または告示後における申請制度というものは、この際、廃止したほうがよろしい、こういうぐあいに考えておるわけであります。いままでの事例を見てまいりますと、選挙の公示または告示後に申請の手続がなされましたものが、六大都市の例を見ましても、非常に短時日の間に申請が殺倒しているということが数字的にも明らかになっているのでございます。御参考までに申し上げるわけでありますが、東京都二十三区で登録者の数が二十六万二千五百七十三、一日平均にいたしまして三万七千五百十人、大阪市の場合におきましては、登録者の数が十七万一千五十二人、一日平均にいたしまして二万四千四百三十六と、こういうような実態でございまして、これが四日とか五日とかというきわめて短時日の間に、一日に四百万近いような、東京におきましては申請の手続がなされる、こうなってまいりますと、選挙管理委員会等におきまして、これが住居の移転等について実態の調査をする時間的、物理的な余裕を持たない。しかも選挙の公示または告示後、選挙に入ってから、そういうことをやらにゃいかぬのでございますので、十分正確な認定をすることができないままに処理せざるを得ない。そこに私どもは選挙の管理上からいたしまして、また投票の不正防止というような観点からいたしまして、どうしてもこれを合理化せにゃいかぬ、かように考えているのでございます。さようにいたしまして、登録の申し出という制度が先ほど申しましたように活用されまして、それが自治省の報告では順調に進められているということでございますので、申請制度はこの際廃止すべきである、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/20
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021・白木義一郎
○白木義一郎君 問題は、この選挙人名簿から、いろいろな都合で漏れて、選挙をしたくもできない人がある。この問題を啓発しなければならない。そのために、いろいろな事務手続の問題が今回の改正案のおもな趣旨となっている。こういう御説明があったわけですが、しからば、この改正案の施行期日には五月一日から施行すると、このようになっておりますが、そうしますと、近く行なわれるであろう参議院の通常選挙に臨むにあたって、そういう点がはたして十分合理化ができるかどうか、こういう点が非常に心配になってくるわけです。しかも、通常選挙とは言いながらも、まだ選挙の期日も決定されていない。実際に事務手続をする管理委員会等は非常に混乱を招くおそれがある。また十分な準備もできないというようなことを各地方から耳にしているわけですが、あえてこの時点に改正しなければならない理由は認めがたいと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/21
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022・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) この補充選挙人名簿の登録の問題につきましては、昨年の選挙法の改正におきまして、従来の選挙の公示または告示後に行なわれます申請制度のほかに、新たに選挙の前日までに申し出をすることによって補充選挙人名簿に登録をされるということが認められたわけであります。本来、住居の移転等選挙人名簿の調製登録に関係のあります新しい事態が起りました場合には、遅滞なくそれを当該選挙管理委員会等に手続をしまして、そうして登録をして置くということが望ましいことであって、選挙が始まってからあわててそういう手続をするというようなことは、制度的におもしろくないのではないか。先ほど申し上げましたように、短時日の間にたくさんの事務的にさばき切れないほどの申請がなされるということでは正確を期し得ない、こういうことでございますので、私どもは登録の申し出制度というものを今後十分この上とも徹底をし、先ほども申したように、現在も相当選準民の意識の高揚なりあるいは理解によって、順調に進められておるのでありますが、今後は一そうこの申し出制度によって正確に交付手続がなされることを私ども期待をいたしておるわけであります。
なお、お尋ねのいまの時点でこの改正をすることが混乱を来たさないかどうか、こういう御質問でございますが、自治省当局の報告によりますと、申し出の制度というものが十分活用されて順調に進められておるということでございますので、混乱を起こすようなことはないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/22
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023・白木義一郎
○白木義一郎君 申し出制度が順調に行なわれているということは、現行法の範囲内で行なわれているのですか。それとも現在それが順調に行なわれていると、そういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/23
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024・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 現行法に基づいて現在順調に進められておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/24
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025・白木義一郎
○白木義一郎君 選挙局長にちょっと伺いますが、現行の選挙法ではまだ一度も選挙が行なわれていないと思うんです。そういう点で、さらに今回三党から改正案が提出されたわけですが、この内容は、常時補充選挙人名簿の受け付けができる、そういう点が従来よりも幅が広く、自由になったわけですが、この現行法と新法とが食い違いが起きてくる心配があるわけです。ということは、まだこの現行法が実際に選挙に適用されていない。改正以後選挙が行なわれていないにもかかわらず、また再び改正をしなければならない、こういうことはちょっと立法するにあたって不適当だ。数回の選挙を行なった上で、いろいろな不合理な点が発見されたのであらためて改正をする、合理化をするというのが普通じゃないかと、このように思っているのですが、その点は、局長は御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/25
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026・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 補充選挙人名簿に対しまして、登録の申し出の制度が開かれたというのは、昨年の通常国会におきまして公職選挙法の一部が改正になりまして、道が開かれたわけであります。そうしてそれは昨年の十月一日から施行になっております。したがいまして、申し出の制度は、昨年の十月一日から現実に行なわれているわけであります。そうしてその間に地方選挙あるいは参議院の補欠選挙がございまして、現実に申し出に基づきましてその選挙のたびごとに補充選挙人名簿が調製をされておるわけでございます。衆議院の総選挙とか、あるいは参議院の通常選挙というのは、この申し出制度が開かれましてから、今度の行なわれる参議院の通常選挙が初めてでございますけれども、それまでに地方選挙あるいは宮城県の知事選挙のような地方選挙あるいは参議院の補欠選挙あるいは衆議院の補欠選挙等が行なわれておりまして、そういうところでは十月一日以降は年齢満二十歳以上の者で住所を移したりいたした者、あるいはその市町村に住所があります者で年齢満二十歳以上に達した者等で、なお、基本選挙人名簿やそのときまでにありますところの補充選挙人名簿に自分の名前が載っていない人は、順次申し出をいたしておるわけでありまして、そうしてその選挙がありましたたびごとにその申し出に基づいて補充選挙人名簿がつくられております。ただ、いままで選挙の告示がありました告示後も申請期間というものがあったわけでありますが、申し出というのは、十月一日からいつでもできるようになりましたが、選挙のたびごとにまた申請期間というものが一定の期日できたということでございます。それが今度の改正法によりますと、この申請期間だけはずす。したがって、申し出期間だけがずっと残るということになるわけであります。
私どもは、ことしの初めに昨年の十月一日以降に開かれました申し出について、どれだけのものが行なわれているかというので、大都市を中心にして多少調べたものがございますが、たしか三カ月ぐらいの間に、いまちょっと詳しい数字は覚えておりませんが、たしか四十二万くらい申し出が行なわれた。法律が改正になりまして、昨年の秋以降、一般のPR等を各市町村でいたしました影響でもあろうと思いますけれども、申し出制度というものが大体軌道に乗っているということは言えるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/26
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027・白木義一郎
○白木義一郎君 局長さんのいまの御説明では、十月一日から非常に順調にいって来ている。申し出制度並びに告示後の補充選挙人名簿の申請、申し出、受け付け等が管理委員会等のPRによって非常に順調に行なわれている、こういう御説明があったわけであります。さらに合理化すると言いながら、ここで告示後の登録を切ってしまう、させない、こういう改正案については自治省ではこういう改正は最も選挙民に対して不親切な、改正どころではない、従来の期間をさらに短縮してしまう。順調に業務が、業務といいますか、申請、申し出等が順調に来ていながら、あらためてこれを合理化の名目によって、告示後の手続等を打ち切ってしまうという点がどうも、いま局長さんも非常にこの日本の選挙法は窮屈である、選挙民を傍観的な立場に置く悪法であると、まあ悪法とはおっしゃいませんでしたけれども、そういうわれわれも大賛成の御意見があった。そのほうから言えば、どうもこの合理化という改正案の趣旨には納得ができない点があるのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/27
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028・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 先ほど私ちょっとお答えが十分でなかったかもしれませんので、つけ加えさしていただきますが、私ども申し上げましたのは、申し出制度が非常に順調に行なわれているということを申し上げておるのでございまして、いまのところは補充名簿に、申請の手続と申し出の手続と両立てになっております。申し出というものは初めて昨年の十月から開かれた制度でございますから、非常に不なれであるかというふうに思っておりましたが、案外とその申し出がわりに多く行なわれておるということでございます。申し出制度というものを、昨年の改正のときに法律案として政府提案として出さしていただきましたのもつけ加えて御説明申し上げますと、いままでの選挙のときに行ないますところの短期間の申請の制度でございますと、一時にそこに申請が殺到いたしまして、そうして十分正確な住所の確認ができないということが現実に多いわけでございます。したがいまして、申し出というものをいつでもできるようにいたしますことによりまして、逐次選挙のずっと前から申し出があることによって、それを時間をもって調査をいたしましたりいたしまして、住所の確認をすることのほうが補充選挙人名簿調製の場合、正確を期することができるということで、申し出の制度というものを前に認めていただいたわけでございます。そこで、その当時は申し出制度というものは、何せ初めての制度でございますから、そこでずっと申請の制度をやめて、申し出制度だけに切りかえるということについては自信がなかったので両立てでお願いをいたしておったわけでございます。しかし、実際問題といたしましては、選挙の告示後の登録申請というものは、そこに申請が殺到いたしますと、とうてい正確な名簿の調査というものはできない。そこで、そういう意味から言いますと、それほど申し出制度というものが国民の間にわかってくるような状況であれば、私は選挙のいまは公営をしなければならぬものがたいへんふえてまいりました。選挙管理委員会の当局というものは、そういう意味で選挙法の告示後は非常に多忙でございます。そこへまた人口移動が非常に激しいこのごろでございますので、申請が一時に殺到するということは、とうていさばき切れないということがございますので、もっともっと申し出制度を活用してもらいたいと考えておったところでございます。申し出制度が現在のように十分活用できるというのであれば、私どもはこの改正は、そういう意味で名簿の調製を正確ならしめる期間が与えられるという意味では、非常に合理化されるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/28
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029・白木義一郎
○白木義一郎君 管理の立場から考えますと、いま説明があったようなことも考えられますが、前回の改正で新しい申し出制度が認められて、非常に選挙民として、選挙に参加する機会を与えられてきた。しかも、それが順調にきているという状態でありながら、さらに一方的に事務能力の点、また管理の点から、二本立てをあえて一本立てにしなければならない。その点もう少し選挙民の立場、また選挙民を自由に選挙に参加せしめるという選挙管理の根本精神から言って、もう少し納得のいく御説明を願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/29
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030・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 国民の選挙権の資格を持っております者に、できるだけ選挙に参加させるように便宜をはかるということにつきましては、白木さんの御意見と、私ども提案者である三党も全然同感でございます。そういう趣旨の上に立ちまして、また一面選挙にあたりましては、不正な投票等が行なわれてはいけない、選挙の公正が確保されなければいかぬということも大事な要件である、こう考えております。先ほどから御意見があります、選挙はおおらかに、もっと闊達にやったらどうかということにつきましては、私ども全然同感でございますが、その人がはたして正しい選挙人としての要件を備えているかどうかということは、これは根本の問題でございますから、この点において間違いがあるようなことは、選挙の自由とか、おおらかな選挙をやるとかという問題とは、全然違う根本的な問題だと、こう考えるわけであります。先ほど来御説明申し上げておりますように、選挙の告示または公示後、数日間の短時日の間に、登録申請の手続が殺到いたしますと、どうしてもこれは物理的に、時間的に住居の移動等を調査をし、正確にそれを確認することができない。こういうような全然確認もできないままに、選挙人としての登録をやってしまうというようなことは、これは選挙の公正を期する上からも改めなければいけない、かように考えるわけでございまして、白木さんの冒頭におっしゃった、あらゆる機会に正しい、有権者に投票の機会を与えるという根本趣旨には全く同感であり、その点につきましては、私ども今回の改正は、決してもとるものではない、かように確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/30
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031・白木義一郎
○白木義一郎君 いまの御説明の中に、従前どおりの現行法のままでいく、短期日のうちに非常に申請が殺到して、そうして事務的にも非常に混乱を来たす。と同時に、そこに不正が行なわれるおそれがある。選挙は明朗に濶達にしなければならないという観点からそれを取り締まるという、そういう意味からも、この改正案が適当であると、こういう御説明がありましたけれども、かつて、この補充選挙人名簿の申し出、また申請等をめぐって、どのような不正が行なわれたか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/31
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032・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 私は、不正が行なわれたというようなことを申し上げておるのじゃありませんで、先ほど計数的にちょっと御説明を申し上げたとおり、東京都二十三区におきましては一日平均三万七千五百人も申請がなされておる、大阪市においては一日二万四千四百人以上の申請がなされておる。これでは、選管の現在の事務処理能力をもっていたしますならば、これは全く時間的、物理的に不可能である。したがって、一件一件、住居の確認等調査をして正確を期するということは、ほとんどこれは不可能に近い。これでは適正な登録がなされておるかどうかということを、私どもどうしても……。その点について合理的な改正をしなければならない、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/32
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033・白木義一郎
○白木義一郎君 大都市においては一日三万あるいは二万というような申請が行なわれて、非常に事務手続上適当を欠く場合があると、こういうような御説明ですが、これは一か所の受付であれば、三万人というような膨大な数字は、とてもさばき切れる数字ではないことはよくわかります。しかしこれは、東京都の場合も、全部にわたる数字じゃないかと思うわけです。しかも、いまお伺いしているのは、そういうような大きな数字を現在までまかなってきて、どういう弊害が起きたか、あるいは、不正な事件が発生したか、その具体的な実例をお伺いしているわけです。その点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/33
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034・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) これは自治省当局を通じまして、選管等において一日にこれだけ多くの申請が殺到しておる。それを一つ一つチェックして、そうして事務的に正確を期しておるかどうか、それを私ども調査をいたしたのでありますが、ほとんど現在の人員をもってしては、一件一件チェックし、それについて住居の移動の実態というようなものを調査しておるひまがない。でありますので、ほとんど申請されたものを、そのまま補充選挙人名簿に登録をしているというような書類上で処理をしておるという実態でございます。これでは、私どもどうしても正確にこれがなされておるということを確認するわけにはいかない。やはり事務処理で、申請がなされたならば、一件一件十分調査もし、確認もし、そうして、ここに不正が行なわれる余地がないというように、はっきりしてやることが、選挙というものの権威、また選挙権の正しい行使からいって必要である、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/34
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035・白木義一郎
○白木義一郎君 その御説明はよくわかるのですが、いま私がお伺いしたのは、現在までにどのような具体的な不正があったか。あるいは、局長さんでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/35
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036・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 具体的に全国の都市についてこまかく調査したものは手元にはいまございませんけれども、市町村の選挙管理委員会当局からの意見なり実情なりを、個々に当たりましたものの結果について概略申し上げますと、現実問題といたしまして、先ほど御説明がございましたように、従来は申請が参りましても、ほとんどこれを調査するいとまがない、したがって、申請が来ましたものは、ほとんどの都市におきましては、ごく疑わしいと申しますか、正確でないということがほんとうに明らかなものは別といたしまして、ほとんどそのまま登録しておるという状況のようでございます。そこで、実際にそれを真実に近いものとして、もう一ぺん実態調査をした場合には、実態とどれだけ違いがあるかという問題になるわけでございますが、個々の都市につきましては、やはり多いところでは、一割程度の、そういう事実に反するようなものもあるようでございますが、現に大阪におきましては、三十七年の十七万一千という数字につきましては、これは非常に特殊な事例のようでございますが、申請が殺到いたしまして、その当時二十五万以上の申請が殺到したようでございますが、その殺到のしかたで、ついにさばき切れないということで、実際に登録をいたしましたものは十七万に終わっておるというようなかっこうでございます。これは事務処理能力の限界をこえておるものでございますし、また、現に大阪府下の市につきましてその後に調査いたしましたところによりますと、そこに住所があるというその住所が、青い田んぼであったというようなこともございまして、これはもう名簿に載ってしまったあとでございますので、名簿は一応確定したというかっこうになっておりますから、それを直すということはできませんけれども、そういう事例も現に聞いております。で、市町村の選挙管理委員会当局は、やはりこの申請というものが非常に短時間に行なわれて、それを受け付けるということはとうてい不可能だということを現在申しておることは確かでございます。そのことが、ひいては二重登録あるいは三重登録というかっこうで出てきておるということを、全然根絶するということの保証なり自信はないというのが現状のようでございます。そうであるといたしますと、申し出制度というものが、いつでも申し出ができる制度が開かれておりますから、むしろ、申し出をしていただきまして、そうして、かすに十分な時間をもって調査をさしてほしいというのが現在の市町村の選挙管理委員会当局の希望でございます。具体的にどこでどう、どれがあったかということについては、詳細の資料を持っておりませんが、そういうことが現実の実情のようでございますので、やはり常識的に考えましても住所の認定というのは、かなりめんどうでございます。その本人の住所というものの認定は、本人の申し出をそのまま受け取るということも一つの方法だと思いますけれども、住々にしてそれが真実と違うという場合があることも、現在までの各市町村におきまして任意に実態を調査した結果を私ども見ますと、相当そういう食い違いがあるようでございまして、そういう意味から申しましても、この選挙の公示または告示後の申請というものについては、どうも時間的に十分な余裕がない、そして選挙人名簿が非常にそういう正確を欠く状態でありますと、選挙そのものの真実性といいますか信頼というものもおかされる結果になるということが非常に心配されておる状況でございますので、私どもといたしましても、いま提案になっておりますような改正が行なわれることは、もちろんその前に告示後の申請というものだけしかないような認識を持っておる人が多いといたしますと問題でございますので、十分にPRをしなければいけないと思いますけれども、こういう制度に改めていただいたほうが、名簿の正確性を期し、それによって選挙の正確を期するという点ではいいのではないだろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/36
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037・白木義一郎
○白木義一郎君 いま御説明があったような実態から、十月一日から申し出のワクを広げてそして能率をあげ、また適正化していこうと、こういうような方向になっていると思うのです。選挙民としては、選挙が実際に告示に入って、そして選挙のムードが盛り上がってきたときに、初めて選挙に行こう、選挙権を確認しようと、こういうのが一般の選挙民の状態だろうと思うのです。したがって、選挙管理という精神からいえば、せっかくワクを去年から広げておきながら、あえて通常選挙を目前にそのワクを狭めていかなくちゃならないその理由としては、確固たる不正とかあるいは不適格な事例をつかまずして、事務能力の不足という理由で選挙民に迷惑をかける、幅を広げたものをあえてここで狭くしなければならない、そういう点がどうもよくわからない。一方では開票立会人等は、できるだけ選挙民の意思を確認するためにまぎらわしい投票用紙の名前等はできるだけ選挙民の意思を尊重してその意思に沿っていくように管理をしているわけです。一方こういったような改正をして、そしてさらに先ほど局長が言われたように、もっとオープンにすべきであると言っておきながら、こういう事務能率の不足から起きる問題について、選挙民の行動、意思を限定していこうという点は、非常に矛盾があるんじゃないかと思うのです、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/37
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038・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 選挙の告示後の登録申請の期間を一週間とか、あるいは地方選挙によりますと四日間くらいでございましょうが、そういうところで申請し得る機会があったものが、告示前までに申し出をしなければ登録されない、その選挙には登録をされないという意味では、確かにお話のようにそれだけその選挙についての機会が狭くなるという点は確かにございます。ございますが、その事務能力の不足ということはまことに申しわけないことでもありますけれでも、なるべくそうやって選挙の機会を多く与えるということはもちろん必要なことだと思っておりますが、ただ、事務能力の不足と申しますか、そういう時期に登録を申請する人が非常に殺到いたしますと、これは人員の関係もございますが、実際問題といたしまして、真実に住所がそこに存在するかどうかということを確認することは非常に困難でございます。そこで、名簿の正確を期するために、その告示後の申請を狭めるということによりまして、その選挙に参加できる人が少なくなるということ、これは避けられないわけでございますが、しかし名簿の正確を期することがいいか、ある程度少なくなることに目をつぶるか、その人はそれで永久に選挙の機会がなくなるわけではございません。その選挙については機会を逸するということが起こるという面がございますが、どちらを重く見るかという問題であろうと思うのでありまして、やはり選挙人名簿は正しい登録資格のある人が登録されておるということが、もう選挙の根本の第一歩、第一条件ではないだろうかということから考えますと、その機会が多少狭められることも、正確を期するためには忍ばなければならないことではないだろうかという気がするのでございます。ちなみに、わが国は、選挙のたびごとに補充選挙人名簿というものをとりまして選挙の機会を多く与えるということを非常に至上命令のようにいままでしてまいりました。それ自身はけっこうだと思いますが、よそがそうだからそうだという意味ではございませんけれども、諸外国でこのように選挙のたびごとに補充選挙人名簿というような、わが国の制度のようなものをとっている例は、私どもいままで見当らないのでございます。諸外国では、大体定時名簿なり随時申し出ということでやっておるというようなことでございまして、その点では非常に行き届いた制度であると思います。しかしながら、行き届くことはいいわけでございますけれども、正確を欠くということになりますと、選挙の基本の条件が侵されるということになるわけでございますので、ある程度のところは、どちらを重んずるかという場合には、やむを得ないことではないだろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/38
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039・白木義一郎
○白木義一郎君 諸外回の選挙法を例に出されると、いろいろ現行のわが国の公職選挙法は諸外国と比べてむしろ国辱的な面が出てくるわけですけれども、事務能力の不足という点の解消に意を注ぐべきではないかと思うのです。なぜかならば、いま告示後の受付については、殺到するということは確かに御説明のあったとおりでよくわかりますが、しからばそれ以外は事務能力が適正に行なわれているかというようなことになりますと、基本選挙人名簿を毎年写しかえると思うのですが、この基本選挙人名簿の作成についても非常に手落ちがある。今回わかったことですが、大阪の府会議員の名簿が落ちている。一家そろってずっと子供のときからそこで暮らしていながら、今回この問題があったので、あらためて早目に迷惑をかけないようにということで申し出たところが、去年はちゃんと選挙を行使したにもかかわらず、今回は脱落している、これは事務能力が不足である、あるいはその能力がないかという点をはっきり証明した事件であろうと思うのです。したがって、その事務能力の不足をカバーせずして、これを選挙民の犠牲によって合理化していこうという点は非常にまずいと思う。なおかつこれが五月一日から施行されるといたしますと、現行法でいえば、大体五月の二十八日が告示がうわさされております。その告示後に満二十歳になって初めて成人として選挙権を得られると楽しみにしていた人間が、告示で打ち切られなければならない。その数は相当な数にあがると思うのですが、もしわかったらどの程度の人数がこの改正案によって犠牲を受けるか、この点御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/39
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040・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 基本名簿をつくります際に、市町村におきましては名簿作成のために毎年九月十五日現在で調査をいたしまして名簿に登載をする作業をいたすわけでございますが、そのときに、いまのようなお話の例は、係の者の非常な不注意と申しますか、記載漏れと申しますか、要するに一つの脱漏が生じたということで、まことに申しわけないのでございますが、そういう意味では確かに事務的に不注意があったということについては、これは関係者に対しましては非常に申しわけない次第でございますけれども、そういう意味では現在の名簿を毎年基本名簿をつくるということ自身も、これは根本的にはいろいろ考えなければならない問題もあるわけでございます。たとえば名簿につきましては永久選挙人名簿というようなやり方も前から考えたいというので検討いたしておる次第でございますが、そういうことにいたしまして名簿の脱漏というものが絶対ないようにいたしたいと考えておる次第でございます。それからいまお話になりました告示後の満二十歳になるというような人がどのくらいあるかというお話でございますが、統計局の資料によりますと、昭和四十年の推計でございまして、新有権者の数が四十年の推計では百八十八万ということに一年間でなるようでございます。これを一日当たりに——一日という当て方が必ずしも正確かとうかわかりませんが、一日当たりにいたしますと五千百五十人ということに相なります。全国で五千百五十人ということになりますので、かりに四日間くらいが縮まるということになりますと、二万人ちょっとということになりましょうか。二万人の有権者がお話のような場合に機会を失うか失わないかということが起こると思うのでございます。今度の参議院議員選挙の有権者の数は、まだはっきりいたしません。この補充名簿の取り扱い等が一つの前提になっておるわけでございますが、私どもが推計をいたしますと、大体六千万をこえる予定でございます。そういう場合に二万人の人の機会が失われるということが、いま御指摘のあった数だろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/40
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041・白木義一郎
○白木義一郎君 ちょっと局長の計算には、こまかく計算してみないと……。これは平均の数字ですからともかくとしても、とりあえず新しく有権者として今回の選挙に臨む人たちが犠牲になる。しかも五月一日から新法が施行されるとしましても、どれほどのPRをして、そうして全国民に周知徹底せしめるか。局長は十月一日から数次の選挙によってその点の心配はなくなったというようなお話がありましたけれども、これは部分部分の選挙であって、全国的にはこれが徹底はしていない。ほとんどの人がこういう問題はわかってない。したがって、かりに新有権者となって今回の国家的な行事である参議院議員選挙に臨むことを楽しみにしている二万人の者に対して、あえてそれを犠牲にしなければならないという点についても、もっともっと特にその有権者の代表であるわれわれは、慎重に考慮しなければならない、こういうように考えるわけです。したがって、有権者にさらにせっかくワクを広めてきたこの選挙法を、通常選挙の直前に窮屈なものにしなければならない、こういう点はどうしても承服できないわけです。しかも、片一方では多額の国費を使ってそうして選挙の奨励をしておる。公明選挙、これは名前がよくないというので非常に自治大臣も力を入れて、正しい清らかな選挙という名前にお変えになったほどの熱意がありながら、しかも多額の費用を、マッチだとかあるいは風船を飛ばして事足れりとするような管理を行ないつつある。一向選挙は公明にならない。あるいは正しくもならない。ならないどころではない。回を追うごとに選挙はいまわしく、きたない選挙になっている。こういうような費用を、私は、選挙管理の事務能力の充実という方向に向けて、一方、なおかつそれを適正にするために時間をかけて、そうして選挙民に徹底をさせる、そうして大量な犠牲者を新有権者から起こさないでも済むような深い配慮のある法案でなければならないと思います。この点、提案者の方から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/41
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042・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 白木さんの御質問、御意見で、私ども特にお考えをいただきたいと思いますことは、先ほど来申し上げておりますように、選挙の公示または告示後のきわめて短時日の間に事務能力を越えたところの多数の申請が殺到する。これは具体例をもってお話し申し上げておりますように、昭和三十七年の七月の参議院議員選挙の際におきましては、東京の一選挙管理委員会に一日に千六百件以上の申請が出されておる。こういうようなことでは、いかに選管の陣容を増強いたしましても、毎日数日間にわたって千数百件ずつの申請がなされた場合には、住居の移動等を的確に調査をし、把握することができない、これは白木さんにもよく御了解のいけることだとも思うわけであります。そういうように十分確認もせずして補充選挙人名簿に有資格者として登録をされるということは、いかにもこれは選挙の公正を期する観点からいたしまして、私どもはそれでいいということが言えないと思うのでございます。先ほど来、白木さんは、むしろ選管の事務能力を整備増強すべきだという点を強調されておるのでありますが、いまの実態からいたしまして、私は、それは時間的、物理的に不可能であるという選管の意見というものは、私ども率直にこれを受け入れて、所要の法改正をすることが妥当である、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/42
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043・白木義一郎
○白木義一郎君 事務能力の点についてはよく了解するわけですが、それも長年の選挙の推進の効果のあらわれとしてわれわれは喜ぶべきじゃないかと思うのです。ただ現時点において——将来においてこのような改正をされることはこれはよくわかりますが——直前の選挙を控えて、そしてあえてここで改正しなければならないという点について、非常に事務能力の点においても迷惑をこうむるという点が一つと、同時に、選挙民に対しても非常に不親切な法案になる、こういう点を私は非常に心配しているわけです。で、これはあくまでも立案者、提案者の方々とわれわれの国民を中心にした考え方の相違点であろうと思います。非常にその混雑とか、あるいは混乱というものを心配されて、それでかえって選挙民に迷惑をかけるという実態から目をふさいでおられるように強く考えるわけです。
で、さらにお伺いしますが、この二百七十条の二項にただし書きを加える、ここの問題ですが、「第二十六条第二項の規定による閲覧の請求は、当該市町村の選挙管理委員会の職員につき定められている執務時間内にしなければならない。」、この点ですが、選挙民としては土曜、日曜の休日を利用して、そして自分の選挙権を行使したい、確認したいという人々がほとんどだろうと思いますが、あえてこのただし書きを加えるのは、日曜日、あるいは土曜、日曜という休日には、登録申請等をする人が皆無である、こういう実態調査がなされた上でのただし書きであるかどうか。ほとんどの人が、告示後になったら選挙権を獲得できない、こういうようなものの考え方は、民主主義から非常に大きく後退する。憲法にうたってある選挙の自由を非常に制限するような問題が感じられてくるわけです。したがって、このようにさらに窮屈にして、そして選挙法を改悪をする。これはもう徳川時代の専制政治に逆行する、国民の選挙の自由を法律で縛っていく、非常な窮屈な、しかも悪法に思うわけですが、この点の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/43
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044・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 従来のこの点につきましての運用の面におきましては、選挙期間に入ってから届け出申請をするということを前提としてやっております関係から、選挙期間中でございますので、日曜日でも祭日でも、いつでも閲覧できる、こういうようになっておるのでございますが、しかし、今回の場合は、常時届け出をするということを前提に法の改正をいたします関係からいたしまして職員の執務時間に閲覧をやっていただく、そして、その責任のある職員によってこのことが適正になされるということでございますので、私は、このような改正が決して選挙民に迷惑をかけるものではない。今日選挙管理委員会等で働いております人たちの立場も考えまして、常時届け出制度というものを採用いたします以上は、このような改正がある、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/44
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045・白木義一郎
○白木義一郎君 鈴木さんの御意見はあくまでも管理するほうの立場に立ってのお考えであり、御答弁のように伺いますが、われわれは選挙民の立場から申し上げているわけで、もし選挙権の有無を確認するとすれば、まず申し出て、そしてそれが受理されて、そして名簿に記載されて初めて選挙権が発効し、また、選挙に国民としては臨めるわけです。したがって、その選挙権を獲得するためには、最低二日間は仕事を休んで、そして手続に行かなければならない。こういうきびしいただし書きは、先ほどから皆さんがおっしゃっている民主主義と、はるかに逆行するものの考え方である、このように考えるわけですが、そこで、大臣に伺いますが、この選挙法の第一条には、「この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」このように第一条にうたわれております。また、第五条には、「自治大臣は、参議院全国選出議員の選挙以外の選挙に関する事務について都道府県の選挙管理委員会を指揮監督する。」こういう権限が自治大臣に与えられております。そこで、自治大臣にこの二百七十条の二にただし書きを加えるという改正案についての所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/45
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046・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 今回議員立法で、第二百七十条の二にただし書きを加えられて修正された点でございますが、先ほど来提案者からお答えがございましたように、過去の実績に徴しまして、わりあいたくさんな登録があって、それを受け付けるのに、やはり選挙期日をもって告示の日をもってきめるということのほうが公正を期し得る、こういうことでございまして、私どもも御説明を聞きまして、ごもっともなことだと、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/46
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047・白木義一郎
○白木義一郎君 大臣は私の質問からちょっと……。私が伺っているのは、選挙管理委員会の職員、並びにその手伝いをする市町村の職員の時間内にやらなければならない、こういうただし書きを加えた、すなわち土曜日とかあるいは日曜日は受け付けない。こういう改正ですが、そうなりますと、非常に選挙民が窮屈になってくる。むしろ選挙を推進していくべき段階でありながら、時間の点においても、また日数の点においても、非常に窮屈に狭めていく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/47
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048・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) わかりました。私ちょっと聞き間違えておりまして、いまわかったわけでありますが、常時のことでございまするので、やはり選挙管理委員会の職員につきましても、執務時間中に限るべきであろう、かように存じまして、私も賛成いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/48
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049・白木義一郎
○白木義一郎君 大臣は高い立場から判断されるので、非常に困るわけですが、局長に具体的にお伺いしますが、この法案が施行されるとしますと、五月一日から発足と。ほとんどの有権者が改正案については認識していない。どんな宣伝をもって周知徹底せしめるか、どんな用意をされているかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/49
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050・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 去る二十二日に都道府県の選挙管理委員会の書記長会議を開きまして、まあ今回の提案されておりますところの改正案についても、内容につきましては一とおり説明をいたし、そして特に、もしこの改正が国会で成立するということになれば、五月一日から施行されるということになっておるので、有権者に選挙の機会が与えられないようなことにならないように、県市町村が一体となって十分にPRをするようにということを強く指示しておるのでございます。また、それだけでは国といたしましても不親切になってもどうかと思いますので、ただいま二十五万枚のポスターを一応用意をいたしまして、全国各市町村に私どもといたしましても掲示ができるような一応の計画をもちまして、誤りのないように、有権者に選挙の機会を失わさせないように周知宣伝をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/50
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051・白木義一郎
○白木義一郎君 自治省としては、あくまでもこの改正案にのっとって適正な管理をしていくと、こういう用意をされているようですが、実際問題として、去年の十月から改正された登録申請等が、一向この半年を経過して周知徹底していないと、こういう事実から、しかもこの五月一日からで、現時点においては五月二十八日が告示日になるであろうという予想をされている。短時日において周知徹底せしめて、しかも混乱なくその事務を完遂しようということは、ちょっと不可能なことだと思うわけです。しかも、一か月に満たない限られた期間の間に、この名簿に漏れているのであろう選挙民は、その選挙権を行使しようとすれば、仕事を休み、数回管理委員会に足を運ばなければならない、こういうこととが実際に考えられるわけです。その点、事務当局の立場も考えようと、こういうようなお答えがあったわけですが、こういう点は、もう少し選挙民の便宜を考えて、そして親切に、しかも主権著たる有権者全員が、先ほどもしばしば言われている明朗濶達な正しい選挙に参加できるように推進していかなければならない。にもかかわらず、この改正案では、非常に窮屈な問題を選挙民に押しつけていかなければならない。私は、あくまでもこの改正案は、決定的である参議院議員選挙を目前においているわけで、将来においてこれが徹底された暁には、これは常時申し出、あるいは事務能力も絶えずそれを適正に行っていけるという点においては、この改正案は認めるわけですが、現時点においては、非常にこれは適正を欠く、選挙民に非常に不親切な、お役所的な、前時代的な改正案である、こうどうしても判断せざるを得ないわけです。
なお、自治省の、改正案に対する国民に向けての宣伝、PRが、次第に漸進的に行き渡っていきますと、どうしても後半にそういう受付等の問題が殺到せざるを得ないということを予想できます。そのときにこのただし書きがものを言って、そしてもうきょうはこれで時間で打ち切ります、あしたから告示ですから、もう皆さんは選挙権はあきらめてください、こういうようなことも現実問題として予想されるわけです。こういう点について、どこまで検討されているか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/51
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052・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 先ほど長野選挙局長から御説明がありましたように、常時の登録の届け出制度、これを昨年の改正で新たに設けました際に、選挙の告示後の登録申請制度というものは初めての試みであるので、本来は申請制度はやめてもいいのであるけれども、まだ確信が持てなかった、さようなことで、二つの制度を並列して行なうということになったわけでありますが、しかし、その後におきまして、局長からの御説明がありましたように、届け出の制度というものが非常に順調に行なわれてきておる。これは選管等の指導また選挙民の理解、意識の高揚というようなことで、届け出の制度が順調に進められておるというようなことから、告示後の選挙期間中の申請制度は廃止しても差しつかえない、こういうことに当局としても考えておりますという御説明があったわけでありますが、私どもも選管等の最近の報告、自治省の調査等に基づきまして、決して白木さんが御心配になるような混乱は私どもないものと確信をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/52
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053・白木義一郎
○白木義一郎君 数回同じ御意見を伺ったわけですが、何回伺っても私には承服できませんが、あらためてお伺いしますが、選挙民の立場に立って、そして五月一日から、二十八日が告示としますと、三回程度の日曜日があります。選挙民としては、登録申し出等の事務手続にこの日曜日は全然必要ない、こういうような実態調査をされましたかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/53
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054・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは常時の届け出制度というものを先般の法改正の眼目にいたしておりまして、その実際の運用なり進行状態等を見ておりまして、土曜、日曜等を特に使いませんでも、常時のことでございますので、この届け出制度は円満に行なわれるものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/54
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055・白木義一郎
○白木義一郎君 それでは鈴木さんは、選挙民は仕事を休んで積極的に選挙権の獲得に熱意を入れて、選挙管理委員会へ足を運ぶであろうとこういう御見解ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/55
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056・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) 白木さんの御心配になっております選挙告示後の申請をなくするというようなことを考えました場合に、この申請期間に殺到いたしました場合には、どうしても受付にいたしましてもまた事情聴取にいたしましても、たくさん殺到いたしますから、一時間か二時間で済むところを何べんも順番を待って足を運ばにゃいかぬというようなことで、かえって登録を求められますところの選挙民の方に迷惑をかけることになるのでございます。たとえそれが土曜日であろうと日曜日であろうと殺到して参りますと、さばき切れませんから、そういう御迷惑がかかることになると思います。しかし常時の届け出制度でごいますれば、さような殺到するというようなこともございません。事務もスムーズに行なわれるわけでございますから、かえってこのほうが御迷惑がかからないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/56
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057・白木義一郎
○白木義一郎君 常時という考え方からいえばそのとおりだと私も認めます。ただし、五月一日から決定的な通常選挙を目の前にして、はたして常時と言い切れるかどうか。この短時日における混乱あるいは迷惑をどうこの改正案で除いていくかということを私は心配しているわけです。選挙法には、「選挙人に対しては、特別な事情がない限り、選挙の当日、その選挙権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。」、このように明記されております。にもかかわらず、目前の選挙を考慮に入れずして、それを一般論として、常時この問題は扱えるがゆえに迷惑をかけない、こういう判断は非常に国民を無視した一方的なものの考え方である。したがって選挙を推進してきた、啓発してきたわが国の現状からすれば、今回の選挙に限っては非常な悪法になりかねないし、また、非民主的な改正案である、このようにわれわれは断定せざるを得ないわけです。したがって、先ほども詳しく御説明したとおりに、選挙民は選挙になって、そうして新聞あるいはマスコミ等あるいは宣伝車等の宣伝によって、そうして選挙に対する意識が目ざめてくるのが一般の見方だろうと思います。したがって、次第に自治省のPRが徹底してくるのは、どうしてもかすに日数を経なければならない。そうしますと、当然その問題は告示に接近してくる、その接近したときに、常時それを活用した人々は別としましても、それを知らずに、その時点において改正の趣旨を理解した人々は、どうしてもその登録補充等に足を向けなければならない。そのときに、先ほど申したとおりに、このただし書きを職員としてはあくまでも守らなければならないと思います。守らなければ、これは公職選挙法に違反して、そうして選挙の一切が無効になるおそれがある、こういう非常な心配があるわけです。この点、局長さんはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/57
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058・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 事務当局といたしましては、改正法が成立いたします場合には、先ほども申し上げましたように、現在府県、市町村でも、それぞれ周知宣伝に対する準備を整えておるところでございまして、改正法が成立しますれば、直ちにその周知宣伝を、あらゆる手段を講じまして遺憾なきを期させるようにいたしたいと思っておるのでございます。しかしながら、それが有権者に徹底するのにある時間がかかるのは当然じゃないかというお話でございますが、それはある程度そういうことになるだろうというふうに思います。ただ、通常の執務時間内に出なければならないという点でいろいろ御意見があるわけでございますが、この執務時間内に登録の申し出書を提出されました場合は、執務時間内に非常に多くの方が登録申し出書を提出されましても、執務時間内である限りは、自治省といたしましては選挙管理当局に受付をいたさせるというふうに考えております。要するに、執務時間内に提出があれば、当然にそれは受け付けなければなりませんので、その実際の受付が五時半を非常に過ぎましても、それは執務時間内に申し出書の提出がありました以上は、これは受け付けざるを得ないというふうな指導を、いたしまして、また、それが当然取り扱いとしては正しいというふうに私どもは思いますので、そういうふうなやり方にしまして、支障のないように、遺漏のないように取り扱ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/58
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059・小酒井義男
○小酒井義男君 関連をして大臣にお尋ねしたいのですが、白木議員の質問を聞いておっても、六月二十日が大体投票日であろうというようなことを想定してその質問がされておるように思えるのですが、まあ一般にも、参議院の選挙は投票日六月二十日だろうというのは半ばきまったかのような常識的なふうに扱われておるのですが、自治省としては、いつ投票日をおきめになるつもりか、お聞かせ願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/59
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060・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 自治省といたしましては、あらゆる場合を考えて支障のないようにという準備をしておるわけでございますが、一応会期は御承知のように五月十九日で延長がなければ終わる予定でございます。そうしますると、それから告示をして、日曜に投票日を予定するとすると、六月の二十日になりゃしないか、こういうことでおるわけでございます。しかしながら、国会の状況によるわけでございまして、国会の状況がどういうふうになるかという点が私どものほうでもまだわかりません。政府内におきましてもまだ結論が出ておらないのでございます。しかしそうかといって、いつまでも押し迫りますと準備の都合もございますので、私どもとしてはできるだけ早くひとつきめるようにという督促をしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/60
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061・横川正市
○横川正市君 いまの答弁ですがね、現在の議員は六月一日で半数改選に当たるわけですよ。例年の、議会が終わるとかあるいは議会の都合というよりか、参議院での半数改選という三年目の年に当たっておるので、私は、自治省はもっとその点をはっきりして、選挙の日というものをもう少し早くきめるべきじゃないかと思いますがね。ただ、五月十九日議会が終わって、六月の一日まで任期があるのですね。その間のことをおもんぱかって選挙の公示というものをいつまでも何かできないでいるというのは少しおかしいんじゃないですか。もっと明確に、これは例年のあれと違って、半数が議員でなくなるわけですからね。判断としてはもう少しきちっと出していいんじゃないですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/61
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062・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 私どものほうといたしましては、法律の規定に基づいてきめざるを得ないのでありますから、議員の任期は六月一日でございますので、したがいまして、その六月一日を基準にしてそうして逆算をして期日をきめまするというと、国会が延長しないときには、先ほど来申し上げましたように六月十九日から六月二十三日の間にきめなければならぬ。それから会期が延長になればそれに従ってずれるわけであります。ずれても任期に制限がございまするから、いつまでもというわけにはいかない。だからその幅の中できめなければいけない。だから一に国会がいつ終わるかということで決定されるわけでございますから、したがいまして、私どものほうでそれをかってに期日をいついつであるということを言えないということでまあ非常に苦心をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/62
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063・小酒井義男
○小酒井義男君 普通の年と違いますから、参議院議員選挙のある印に会期延長というのは、よほど大きな問題がなければやるべきじゃないと思うのです。しかし、そのときがわからなければ期日をきめぬということですと、ぎりぎりまできめぬでもいいのですか。五月十九日ぎりぎりまできめずにおくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/63
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064・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) これは十九日ぎりぎりまできめないということではございませんで、十九日になってそうして国会を延長しないぞということになりますると、先ほど申しましたように告示は五月二十七日くらいにしなければなりませんから、わずか一週間くらいで準備をするということはなかなかできないわけでございます。したがいまして、準備をする最小限度の時間というものは、これは事務的にあるわけでありますけれども、その点を考慮して、まあできるだけ早くきめてほしいということをいま申し入れておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/64
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065・白木義一郎
○白木義一郎君 引き続き局長さんにお伺いしますが、先ほど私が申し上げた問題についての答弁では、実情に即して、このただし書きの時間の制限という点も幅広く指導していく、決してそれがただし書きを守らないことによって公職選挙法違反にならない、管理委員会は違反をしたことにならない、こういうような解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/65
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066・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) ただし書きを守らないということを申し上げたわけではございませんので、この改正案によりますところのただし書きは「当該市町村の選挙管理委員会の職員につき定められている執務時間内にしなければならない。」、これはそれぞれの市町村におきましてその執務時間というものが違う場合もございますが、おおむね大体のところは八時三十分から午後五時までというようなきめ方を市町村の職員の執務規程等において定めておると思います。思いますが、そういう時間でありますので、その時間の中で、すなわちまあかりにそれが午後五時までといたしますと——私が先ほど申し上げましたのは、午後五時までの間に登録の申し出書の提出があれば、それを受け付けるについて、時間がかりにかかりましても、それは全部受け付けることに取り扱うことは差しつかえないことであるというふうに考えておりますので、午後五時までに登録の申し出書の提出がなければ、それは六時に登録の申し出書の提出があったという場合、あるいは極端に言いますと、五時をちょっと過ぎたというような場合はいろいろあるかもしれませんが、理屈からいえば、その時間内に登録の申し出書の提出がありますれば、それを受け付けるということにつきまして、自後時間がかかりましても、それは時間内に申し出があったということについては毫も疑いのないところでございますから、それについては、受付の時間を過ぎましても受け付けさしてまいりたい。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/66
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067・白木義一郎
○白木義一郎君 この点は非常に大事なことだと思うので、繰り返しお尋ねしますが、短時日の間に宣伝をしていかなければならない自治省としては、自信がおありのような御答弁ですが、実際の窓口としては、非常に今度の改正案は迷惑である。しかも、いまお話があったように、いまだに選挙期日がはっきりしてない、そういう点から、作業が非常に困難である、こう言っているわけです。そこで、繰り返すわけですが、次第に自治省のPRが行き届いても、それはもう後半になると思うのです。後半になって、そして選挙期日が発表になり、告示が確定される。その直前において自治省の指導宣伝を確認した選挙民が管理委員会へ出向いた場合に、非常なこれは長蛇の列になり、しかも本人でなければなかなかそれを受け付けてもらえないというような現状からいいますと、いよいよただし書きどおりに職員としては法を守らなければならない。しかも、片方では、選挙民は選挙権獲得のために行列をしている。こういうような事態がどうしても予想されるわけです。その後の選挙については、これは次第に周知徹底して、そうしてみんなも認識していく、さしたる障害は予想されないわけですが、今回の選挙においては、明らかにその点が予想され、非常に心配をするわけです。そこで、このただし書きの扱い方について、はっきりしておかなければならない。選挙管理委員会が積極的に選挙民に便宜を与えなかった、こういう非難がこのただし書きを順守すれば選挙民の中に起きてまいります。また、選挙民の意思を尊重し、また、公選法の趣旨を尊重して「選挙権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。」という第六条の規定からいえば、どうしてもあしたで打ち切りだ、こういう選挙権の確認をする以外にないというときに、窓口の職員がただし書きの時間をオーバーした、そして選挙民に便宜を与えた。そのときには、今度は職員が公選法違反に問われるという危険性が現実的な問題としてあるわけです。おそらく提案者の方々は、そこまで実情に即してお考えになったことじゃないと思うのですが、現実に起き得る問題について、この際、はっきりと確認しておかなければならないと思います。もう一度確定的なひとつ答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/67
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068・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) たびたび申し上げますように、改正法案が成立いたします場合には、現在府県市町村はこの改正が成るか成らないかということにつきまして、非常に関心を持っております。したがいまして、私どもは直ちに連絡をいたしますれば、この周知宣伝につきましては、いま用意、準備を整えて、いつか、いつかと待っているような状態にいたしておりますので、急速に一般の有権者にその趣旨の徹底ははかり得るものと思っております。また、その周知宣伝におきましては、早目に申し出をするということの指導の周知宣伝を第一眼目にいたしております。早目に、早いことは幾ら早くてもかまわないということで、むしろ、このことを知ったならば急いで選挙人名簿について聞き合わせを行なうようにという指導を第一眼目に実はいたしております。そういうことでいたしておりますので、全力をあげまして、混乱を防ぎたいという趣旨からそういうふうな態勢を整えている状況でございますが、それにいたしましても、なおそういうことが終わりのほうになって殺到するというふうな場合が万々一起こらないとも限らない次第でございます。そういう場合には、午後五時までの時間内に登録の申し出をする者については、すみやかに受付を了しまして、審査その他については、その後の時間を用いることを強力に指導をいたしまして支障のないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/68
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069・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) ちょっと関連してお伺いしますが、白木さんも非常にその点心配しているのですが、このただし書きの条文を見ますと、「登録の申し出及び同条第六項(選挙人名簿の閲覧)の請求は、当該市町村の選挙管理委員会の職員に定められている執務時間内にしなければならない。」と、こうあって、登録の申し出と、それから閲覧の請求を執務時間内に要求しているのであって、この条文を見れば、有権者の上に要求している条文であって、そこでもって執務時間を過ぎて後に受け付けたからといって、それが選挙違反になるとか何とかいうふうな、そう窮屈に解すべきものではないのじゃないかというふうに思うが、それはどうですか。したがって、午後五時に来なければ、六時に来たらほかの人がおったから六時に来て受け付けてはいかぬ、選挙法違反だとか、そういうようなものではないのじゃないか、受け付けなくてもかまわないけれども、六時になったから受け付けなくてもかまわないけれども、受け付けても何も別に悪いというわけではないのじゃないですか、その点は一体どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/69
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070・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 選挙事務の取り扱い事務処理につきましては、従来から、ただし書きがございませんが、ただし書きのない本文のほうの問題におきましても、これは選挙期間中でございますけれども、立候補の届け出受付等につきましても、従来から長い取り扱いがございます。そして、その取り扱いによりますと、極端に言いますと、五時を一秒過ぎても受け付けられないということで、事務処理の公正を期するということが一つの鉄則になっております。したがいまして、その執務時間内に受付は少なくとも了したい、受付を了したものにつきましては、個々の審査でございますとか、説明を求めることというようなことは、これは時間を過ぎても扱うことはできますけれども、受付自体は午後五時までに閉鎖したいと、こういうことに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/70
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071・白木義一郎
○白木義一郎君 大事なことですから、その受付だとか届け出というところが、局長の答えでははっきりしないのです。現在協力的な選管では、公選法の趣旨にのっとって、日曜日もサービスしましょう、あるいは閲覧の問題については、プリントを作成して、そうして選挙民の便宜を計らっておる、むしろ考え方によっては非常にサービス過剰な選挙管理委員会もあるわけです。にもかかわらず、あえてただし書きをここへ載せなければならないという点は、私は巷間のうわさを申し上げれば、この改正案は公明党対策である。なぜかならば、公明党は過去の選挙において多数の移動を行なってきた、あるいは二重登録をして、そうして選挙を有利に導いてきた、こういうことをいまだに信じている無認識な議員もおるように聞いております。この点、機会あるごとに公明党は大臣にもただし、そういう実例があったかないかという点についても、大臣は明確にそういう点はなかったと答弁されているわけですから、そういう点は御心配は絶対にない、むしろ積極的に調査をしていただきたい。そうしてこういう悪質な謀略的なデマを私たちは打ち破って、あくまでも公明な選挙に協力していきたい。また、過去においても協力をしてまいったつもりですが、そういう意見を吐く人もたくさんおるわけですが、もう一度提案者にこのただし書きの点をつけ加える問題について、その理由を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/71
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072・鈴木善幸
○衆議院議員(鈴木善幸君) この二百七十条の問題でございますが、土曜、日曜、祭日でも制限を加えない、それを問わないという規定は、従来選挙告示後の申請期間中に登録の申請がなされる関係から、きわめて短時日でございますので、日曜、祭日がその間に入っても取り扱いをする、こういう前提があるわけでございます。しかるに、今回の場合には、その選挙告示後の申請という制度を廃止するわけでございまして、常時の届け出制度というものをたてまえといたします場合におきましては、やはり土曜、日曜、祭日というような面は、これは改めて、そうして職員の執務時間にこの大切な事務を専任の職員によって正しく執行していくというのが私どもきわめて合理的な体制であると、このように考えておるわけであります。先ほど来いろいろ御意見が白木さんからございましたが、常時の届け出制というのは、すでに昨年の法律の改正によって十月から実施されて、現在もこの届け出が順調に進行しておるということでございまして、五月一日から施行されます部分は、この二百七十条の問題であるわけでございます。したがって、全体といたしましては、常時の届け出制というものが選挙民にも理解をされ、そうして現在も順調に行なわれておるということでございますので、私は、この附則の問題で混乱を来たすようなことはない、このように考えておるのであります。
また、公明党対策ではないか云々というお話がございましたが、これは私ども全然さようなことは考えておりません。先ほど来るる申し上げておりますように、従来の選挙公示または告示後行なわれまするところの短時日の期間に、届け出、登録の申請が殺到するというようなことでは、十分正確を期することができない。これを適正に処理するためには、常時の届け出制の趣旨の徹底をあくまではかって、その線でやっていくことが必要である、こういうような趣旨でございまして、決してそういうような、ある意図をもってこれを改正をするというようなことでない、こういうことをはっきりと申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/72
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073・白木義一郎
○白木義一郎君 じゃ大臣も予算委員会へ行かれるようですから、結論として一つお伺いしたいことは、公明選挙ということばは不適当である、特定の政党を応援するようだというような解釈のもとに、先般、懸賞をつのって「正しく明るい選挙」ですか、そういうように名称を変えられたようですが、この選挙法の中にも、公明選挙云々ということばがありましたが、これも将来において、適当でないとして変更する、改正なさる御意思があるかどうか、これが一点です。
それから結論として、今回の改正案につきましては、三党共同の提案で、衆参両院の三党の議員諸公が全員賛成者になって出された改正案でありますが、大臣も詳しいことはおわかりにならないようですし、私は、国民の立場、有権者の立場で、また、局長の説明によりますと、今度の改正案によれば、現行法であれば、当然数万の新有権者が今回の参議院議員選挙にも参加できない、しかも事務能力の弱小から、この改正案によって大勢の有権者に非常に迷惑をかける。なおかつ、いま論議されましたこのただし書きで時間を縛って、あくまでも正しく明るい選挙であるべき現時点において、非常に選挙民に対するサービスが打ち切られている、こういうふうに解釈すると同時に、この改正案から起きる数多くの弊害が予想されるわけです。そういう点を大臣は考えられてそうしてこの参議院議員選挙に臨んで、この改正案がりっぱな効果をあげ得るかどうか、その責任を自治大臣としてはおとりにならなければならない、非常にわれわれは心配するわけですが、この改正案について担当の責任大臣である大臣に所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/73
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074・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お尋ねの第一点でございますが、第一点の選挙法にございます公明という文字は、公明という意議につきましては私ども何も異論は持っておりません。したがいまして、これを変える筋はございません。ただ、従来いままで行なっておりました公明選挙運動ということになりますと、特定の政党の運動とまぎらわしいということは、これはどうかと思いまして、同じような意味ではございまするけれども、他の文字を募集いたしまして、御指摘のように明るい正しい選挙ということに改めた次第でございます。その点はひとつ誤解のないように願いたいと思います。
それから、従来選挙期日に入っても認めていたものを告示に打ち切ったという点は、先ほど来提案者からるる御説明がございましたように、従来の実績によりまするというと、まぎわにたくさんな登録があって、それを調べるひまもなく困っていたということでございまするので、私は公示をいたしました日によって締め切るということがかえって公正を期するであろう、若干の人の登録ができなくなるという点もございますけれども、しかし、他の面において公正を期する点を考えまするときに、提案者のこの案につきましては、政府といたしましても賛成をいたしておる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/74
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075・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 委員の異動について御報告いたします。
ただいま石原幹市郎君が委員を辞任され、その補欠として二木謙吾君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/75
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076・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異疑なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/76
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077・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 御異疑ないと認め、それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/77
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078・白木義一郎
○白木義一郎君 私は自由民主党並びに日本社会党、民主党三派提案になる公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表いたしまして反対の討論をいたすものであります。
その理由といたしましては、この改正案は総体的には事務能力の適正化あるいは選挙民の常時登録の受付、そういう点については提案者の御趣旨はよく理解をしているつもりではございますが、何ぶんとも目前に控えた参議院通常選挙にこの改正案を用いるとなりますと、選挙民は、告示が始まってからようやく選挙に対する意識を持ち、自分の選挙権の確認にようやく心を用いるというような現状から、今回の改正案によりますと、それが告示後には補充登録が打ち切られてしまう、その時点においては現行法よりもさらに選挙民の自由が狭められている、こういう点に反対の第一点をあげるものであります。
また改正案によりますと、現行法であれば選挙の告示の最中にも満二十歳以上になって、そうして日本国民として選挙権を行使できるようになる人たちが平均しますと数万人今回の改正案によって選挙権を得られなくなる、この点も選挙民に非常に不親切な改正案になる。さらに二百七十条の二のただし書きを考えますと、職員の時間を制限している、そうしてあくまでも選挙民の自由を法律において制限していこう、こういう点がこの参議院議員選挙に当てはめてどうしても避けられない不便な点が強く考えられるわけです。したがって、私どもはこの参議院議員選挙を対象としてこの改正案を考えた場合には、非常に時代逆行的なまた非常に非民主的な、有権者、国民を弾圧するような傾向を強く憂慮いたしまして、この改正案には強く反対を表明する次第です。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/78
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079・横川正市
○横川正市君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、私は日本社会党を代表し、賛成の討論を行なうものであります。
選挙は国民主権の民主化、国家にとって最も重要な行事でありまして、これが運営に誤りを来たすようなことがあれば、国家の危機をも招来するやもしれない問題でありますので、私どもはその重要性にかんがみまして、次の諸点については十分留意すべきであると思います。
一つは、この選挙法のような法律案の提案については、本来議員立法は避くべきだと考えます。第二は、選挙に対する国民の意思や行動が、取り締まり当局のその判断によって精神的に制限を受けることのないように、十分立法当局においては配意すべきことだと思います。第三点としては、少なくともこの法律が施行されることによりまして、いささかでも不都合の起らないように十分選挙民に対してはこれを公知徹底いたしまして、遺憾なきように期すべきだと考えます。
以上の諸点を申し上げまして賛成討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/79
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080・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/80
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081・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。公職選挙法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/81
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082・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 挙手多数。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/82
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083・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814226X00619650427/83
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