1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十日(月曜日)
午前十時三十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 安井 謙君
理 事
亀井 光君
草葉 隆圓君
竹中 恒夫君
小林 武君
横川 正市君
委 員
工藤 智君
久保 勘一君
後藤 義隆君
鈴木 恭一君
野本 品吉君
長谷川 仁君
日高 広為君
二木 謙吾君
丸茂 重貞君
三木與吉郎君
岡田 宗司君
北村 暢君
鈴木 強君
中村 順造君
佐藤 尚武君
衆議院議員
修正案提出者 多賀谷眞稔君
国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
文 部 大 臣 愛知 揆一君
労 働 大 臣 石田 博英君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
国 務 大 臣 増原 恵吉君
政府委員
内閣法制局第一
部長 関 道雄君
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務総局
管理局長 小林 巖君
人事院事務総局
任用局長 矢倉 一郎君
人事院事務総局
職員局長 大塚 基弘君
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 岡田 勝二君
外務省条約局長 藤崎 萬里君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
農林大臣官房長 中西 一郎君
労働省労政局長 三治 重信君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
常任委員会専門
員 鈴木 武君
常任委員会専門
員 結城司郎次君
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第
八十七号)の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・安井謙
○委員長(安井謙君) ただいまより、国際労働条約第八十七号等特別委員会を開会いたします。
それでは、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
質疑の通告がございますので、順次発言を許します。小林武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/1
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002・小林武
○小林武君 外務大臣にお尋ねいたします。ILO八十七号は批准することによって、条約の効力は拒否することができなくなる、こう思うのですが、ILO八十七号条約の効力の拒否というのは具体的にはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/2
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003・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) ILO八十七号条約の趣旨が、現行の日本国内法と抵触する部分がもしありとすれば、そこに問題が起こると思います。一般的に言って、条約は国内法に優先するということになっております。しかし、ILO条約の関係国内法は必ずしも単純ではございません。明確に抵触するものと、それから条約の趣旨を解釈して、その解釈上国内法と両立しないというような面もあるように思われます。それらの諸点につきましては、それぞれ関係各省がありますが、とりあえず法制局から答弁申し上げるのが適当だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/3
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004・関道雄
○政府委員(関道雄君) お答え申し上げます。条約が国内的にも効力を発生いたしました上は、国内法と抵触を生じました場合には、抵触する限りにおいて国内法の形式的効力が条約のそれに劣るというふうに考えております。仰せの全般のいままでのわが国のやり方といたしましては、条約は国内的に効力を発生いたしました場合には、これと抵触する国内法の関係を全部整理をいたしまして、相互に矛盾のない形で施行をするというふうに心掛けてきておりますことは、御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/4
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005・小林武
○小林武君 いまの説明でわかりました。ただ、はっきりさしていただきたいのは、結社の自由及び団結の保護に関する条約第八十七号の全文、全部の文章、特に結社の自由第一条から条を追うて全部、これに少なくとも抵触するような国内法があった場合においては、条約の効力を拒否したということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/5
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006・関道雄
○政府委員(関道雄君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、条約が国内的に効力を発生いたしました場合に、これは批准をいたしまして条約の効力発生の規定に従いまして自動的に効力が発生いたしますが、その場合に、国内法の規定がこれと矛盾をする場合には、わが国の憲法九十八条二項の精神によりまして、国内法のほうが形式的効力が劣後いたしますので、その限りにおいて、運用する限りにおいて効力を失うことになりまして、条約のほうが効力をそのままに発生いたすというたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/6
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007・小林武
○小林武君 条約の効力をかりに拒否したという場合ですね。そういう事態が起こった。そうすると、これは条約に違反したということになりませんか。条約違反ということになる。ただし、それはまあ国内法が改められれば別でありますけれども、改められないで、そのまま押し通されていった場合は条約違反ということになる。
そこで、外務大臣にお尋ねいたしたいのですが、条約違反ということがもしかりに起こった場合に、私はそういうことが起こり得る可能性というものが相当あると想像いたしますので、お尋ねをするのですけれども、そういう場合は、自動的に一体どういう義務をわれわれは、日本の国は生ずるものなのかどうか。この点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/7
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008・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約違反の内容にもいろいろあると思うのでありますが、一般的にこれを論ずることはきわめて困難であると思います。具体的にいかなる問題について条約違反というのが起こってくるかという具体問題に関連して、いろいろこれに対する議論というものが起こり得ると思うのでありますが、問題になっておるILOの八十七号条約に関連いたしまして、どういうことが起こり得るかということでありますが、一応条約局長から答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/8
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009・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 先ほどから法制局の第一部長が御説明いたしておりますように、憲法のたてまえ上、条約の規定に抵触する法律は条約の発効によって効力を失う、条約のほうが優先するということになっておりますので、かりに条約の内容を実現するために立法措置をとらない場合におきましても、そのことによって条約違反という状態は理論上生じてこないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/9
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010・小林武
○小林武君 そうすると、条約が優先されるというたてまえから言えば、この条約に違反した、効力を否定した、そういう国内法というものは自然になくなる。こういうことになるわけですが、しかし、その間において、これは現在も起こりつつあるのですけれども、労働者側の立場、あるいは政府側の立場において解釈上の相違があります。これは条約違反でないかというような、そういう質疑がここの委員会の中においても、前回において行なわれた。そうすると、判定が、もしこれは条約を締結した相手のほうの側から、これは条約違反ではないか、こういうことになった場合には、その論争はそのことによって打ち切られるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/10
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011・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 政府が条約の規定、法律の規定についてある解釈をとって、それによって実施しておったところが、その条約の解釈が誤りではないかというふうにILOの当局から見られる、そういう可能性は理論上あり得ることだろうと思います。その場合には、一般のそういう条約解釈の問題として問題になるわけでございまして、そのことが、たまたま条約の規定内容を実施するための国内法が制定されていなかったからということとは、直接関係がなく、かりに法律を制定いたしましても、その法律の内容が条約の内容と完全に合致しないということが、理論上はあり得るわけでございますから、その間の関係は、一般の場合と同じに取り扱われるべきものだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/11
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012・小林武
○小林武君 一般の場合というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/12
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013・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 条約の内容を実施するための国内法が制定されなかったということの場合を、いままで話しておったわけでございますが、そうじゃなくて、一般の条約の違反と申しますか、条約内容が完全に実施されてない、加盟国によって実施されてないという一般のケースと同様に取り扱われるべきものだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/13
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014・小林武
○小林武君 あまり抽象的になるとお互いに理解ができなくなりますから、ひとつ具体的に申し上げますと、条約を締結した、われわれは条約を締結して批准をした。批准をした場合に、この内容はILO八十七号の条約というものについて効力を拒否することができなくなる。そういう義務がわれわれの場合生じた場合、これはもういろいろなことを言っても、理屈をつければ、いろいろな無理な理屈もできるかしらないけれども、ILO八十七号の内容というものは、もうきわめてはっきりした内容です。この内容に違うようなことをやった場合、私は効力の否定だ、条約に違反したと、こう考える、そういう法律をつくったということは。その場合です。その場合、あなたは先ほどこう言われた。これは国内法が、自然に条約が優先するから、効力がなくなると、こう言われた。しかし、なくなると言っても、いま論争されておるように、いや、国内法はILO八十七号の条約に違反しておりませんというような論争は相当あるわけです。そういうことはいまだってあるのですから、将来だって考えられる。すでにわれわれからいえば、批准された条約の中にも、さっぱり効力が拒否されているような、否定されているような事実があるから申し上げるのですけれども、そういう場合ですね、結局国内におけるところのひとつの論争をやっておる。結局、結末がつかぬから、ILOはどう考えるのだと、そういうことが起きる場合、その場合はあれでしょう。ILOの側で、これは国内法の誤りですと、こう言った場合には、これはその判定に服さざるを得ないでしょう、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/14
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015・三治重信
○政府委員(三治重信君) 加盟国が批准した条約に違反したというような場合におけるILO当局の取り扱いにつきましては、憲章上二種類の提訴の手続が定められております。その一つは二十四条による労使団体の申し立てでございます。もう一つは、二十六条に基づきまして、条約の他の当事国または理事会または総会の代表による苦情でございまして、前者の場合には、理事会は、その申し立てを審議し、そして当該政府にその申し立ての内容を通知し、またはそれを公表する等の措置によりまして、当該政府の反省を求めるとともに、国際的な批判に供すると、こういうふうになっております。それからもう一つの場合は、理事会がその苦情を審議して、必要と認める場合には審査委員会を設置しまして、審査委員会の審議が終了いたしましたときは、審査委員会はその報告書を作成してILOに、そのILO事務局長はこの報告書を理事会及び関係政府に送付するとともに、その内容を公表いたしまして、当該政府に反省を求めるとともに、国際的な批判に供すると、こういうのが憲章に基づく違反の場合の取り扱いになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/15
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016・小林武
○小林武君 この一点で外務大臣に関する質問は終わりますが、違反した場合にはどうやるかというようなことは、いままでのいろんな具体的な事実によって明らかになっておると思います。まあそういう手続をなるたけとらないほうがいいということは、国内でずいぶん議論された。私はそう思わないけれども、あまり極端には思わないけれども、何か国辱だというような考え方の人があるようです。こういう考え方は私はどうかと実は思う。そんなにまで思い詰めるなんていう、そのこと自体がちょっとこっけいだと思うけれどもですね、しかし、あまり国内で処理できるだけの能力のあるものが処理しないということは、はなはだ怠慢だと思う。そういう角度からいえば、一体これはILO条約によってかくかくの義務が出るのだと、条約違反についてはそんなことよりかも外務大臣が条約を批准する責任者としてどうなければならない、日本がどうこの点について考えるかという、この点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/16
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017・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん国内法的に矛盾のある事項につきましては、関係各省と十分の協議をとげまして、この条約の発効以前に、国内法をしかるべく整備するということが必要であると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/17
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018・小林武
○小林武君 次に、労働大臣にお尋ねいたしますが、ただいままで質疑を行ないましたことは、ILO条約批准に伴って、その条約の内容による拘束というものがわれわれは国内法で受けなければならぬということになるわけでしょう。今度改正される国内法ですね。この国内法の中に、条約違反、勧告無視、こういうような問題点は万々ないと承知してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/18
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019・石田博英
○国務大臣(石田博英君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/19
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020・小林武
○小林武君 もう一つお尋ねいたしますが、国内法改正案について、ドライヤー委員会は満足したという、こういう理解に立つべきですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/20
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021・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 最終的な結論をまだ出す段階ではないが、重要な部分について、提訴者の意見、あるいは昨年九月に行なわれましたドライヤー委員会の審問の経過というものを取り入れられておるという表現が提案文の中にございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/21
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022・小林武
○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/22
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023・安井謙
○委員長(安井謙君) ちょっと小林君、文部大臣もう間もなく来るのですが、ちょっといまおくれておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/23
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024・小林武
○小林武君 だれかいるでしょう、文部省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/24
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025・安井謙
○委員長(安井謙君) 文部省の政府委員に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/25
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026・小林武
○小林武君 文部省のこれは初等中等局から発表されたものだと、こういうふうに思っているのですが、違いましたら、またひとつそうでないということを言ってもらいたい。これは「教育委員会月報」に出したもので、「ILO八十七号条約批准に伴う地方公務員法の一部を改正する法律案について」、「少なくともドライヤー氏一行もこのたびの新政府案に不満足でないことは明りょうである。」、こういう断定をくだされたのですが、それはどういう根拠によってそういう断定をくだされたのでありますか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/26
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027・福田繁
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。文部省としてはそういう断定をくだしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/27
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028・小林武
○小林武君 それではお尋ねしますが、この文章はだれが書いたのですか、そういうものはありませんか。「教育委員会月報」、そのほかにも質問はたくさんあるのですが、ないということになれば、むだだからこれからはやらない。「初中局地方課公務員係」、こういうあれで書いてあるが、そういう事実はないのかあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/28
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029・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、文部省としてはそういう断定をくだしたことはございませんが、個人的な見解として、あるいは「教育委員会月報」の中に何か記事があったとすれば、それはもちろん個人的な見解でございます。私どもといたしましては、先ほど労働大臣からもお答え申し上げましたように、ドライヤー提案の中に、いままでの提訴者の意見あるいは昨年九月におけるジュネーブにおける証人喚問の経過、そういうものが織り込まれているというような表現がございますので、したがって、その趣旨において政府案というものを理解しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/29
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030・小林武
○小林武君 個人的見解と言うが、私はあなたのおっしゃることがよく理解できない。これがどこかの週刊誌にでも個人的にだれかが署名して書いたというものであれば、私もそういうことは案外すなおに認めるたちなほうですが、しかし、これは「教育委員会月報」というものに出したと、こういう「教育委員会月報」というのは、あなたとのほうの関係で、どういう関係の雑誌であるかということを御存じでしょう。少なくともあなたのほうのものの考え方を教育委員会に徹底させるひとつの行政的なものでありませんか、文書でありませんか、雑誌でありませんか。その中に、初中局の係としてカッコ書きの中に書いてある場合において、それは個人的と言われますか。私は、ただしかし、こういう資料を直接私がとったわけではないのだから、ここで大いばりをして、必ずありますと言われない。あなたのほうで、ないという証拠を私に見せてくれれば引き下がりますよ。そうでない限りにおいては、これは個人的なんということは言わせない。こんな個人的なことがどこにある……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/30
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031・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私は御指摘のありましたその文章を読んでおりませんけれども、雑誌そのものは御指摘のありました性格でございます。しかしながら、その中に書きます執筆者はいろいろの方がおられますので、したがって、個人的見解も盛られることも相当過去においてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/31
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032・小林武
○小林武君 あなたはいいかげんなことを言っちゃいかぬよ。個人的というのは、個人的立場を明らかにした場合には個人的と、こう言う。この雑誌の中に、たとえばあなたのほうのあれも書いてあるのだな。あなたのほうの高橋恒三という人の書いたものもある。これは個人的に書いてあるかどうか知らぬ。肩書きがついておらない。これは名前はない。ただ、これを書いたものの最後に「初中局地方課公務員係」、こう書いてある。これは個人的ですか、そういう場合に。これを受け取るほうは個人的に見れと、こういうふうに訓練してありますか。いやなことを言うようだけど、あなたの答弁を聞いていると、そういうものの言い方をしたくなる。個人的じゃないでしょう。個人的であるかないか言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/32
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033・福田繁
○政府委員(福田繁君) 従来「教育委員会月報」に出します記事につきましては、文部省発表のもの、あるいは文部省として公式に掲載します分については、文部省として責任を明らかにして出しております。それ以外のものは、たてまえとして個人的な論文あるいは記述でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/33
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034・小林武
○小林武君 そうすると、この係はあれですか、文部省の名前をかたって、ある効力を期待してやられたということになりますか。そういうことをやって、あなたは自分の所管の係にいろいろな責任を負わせようという御意向ですか。文部省の慣例としてどうなっていますか。こういうのを個人的ということになっておりますか、係として発表しているのを。そういうことを言うのは、ちょっとおかしいじゃないですか。こんなことが通りますか、実際問題としてどうです。そのほかにも問題にすべきところがありますからね。ですけれども、あなたのほうでは少しやり過ぎているようだな。やり過ぎているところはこれからの問題として、一体これは個人的なのかどうなのか。個人的じゃないでしょう。率直に言いなさい。個人的じゃありません。文部省の見解ですと、それは文部大臣でもあなたでも責任がないとは言われませんよ。しまったと思ってもだめなんです。出てしまったら責任は生ずるのです。おのずから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/34
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035・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/35
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036・小林武
○小林武君 冗談言うな。文部大臣の出席を…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/36
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037・安井謙
○委員長(安井謙君) いま来ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/37
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038・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) たいへんおくれまして申しわけございません。ただいま局長からちょっと経緯を伺っただけで、あるいは私の答弁がとんちんかんになるかと思いますけれども、「教育委員会月報」等に文部省の者が執筆をしておりますことは、公の意見か個人の意見か、こういうお尋ねだと思いますけれども、これは個人の意見と言えば、あまりぎくしゃくし過ぎるかと思いますが、平素こういうふうな問題に関与しております者の意見、こういうふうに御理解願えればよろしいかと思います。文部省として正式にその原稿等について、私どもが承認を与えたというふうな意味においての公の見解ということはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/38
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039・小林武
○小林武君 私は、いまの御答弁について納得いかないんです。私は、公の意見か個人の意見か、そんなふうなあいまいなものの聞き方をしているんじゃない。二つの例をあげて、高橋恒三氏という署名のあるものは、これは文部省の初中局の地方課長、この人は、あるいは個人的というようなことを言えるかもしれない。しかし、たとえばそれは個人的と言ってみたところで、直接指導的に、ある場合においては拘束性を持ったような関係にある役所の者が、そういう文庫を発表したということになれば、これは個人的見解で、文部省はさらさら関係ございませんというようなことを言うのは、ちょっと私は当を得ないと思う。しかし、それはここでは言わない。ただ、先ほどから問題にしているのは、初中局の公務員係、こういうことで出している。初中局の公務員係として出しているからにおいては、文部省の見解であろうと、ぼくは言っている。そう書いてあろうが何であろうが、とにかく文部省の見解ではございませんと、こう言うなら、その場合には一体どういうことになるか、だれが責任をとるのか。これは名前も書いてない、そういうことを言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/39
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040・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) どうも私、そのものを読んでおらないかと思いますが、読みましたらなお一そう正確なお答えができると思いますが、公務員係として出ておりますれば、公務員係としての大体の意見だと私思います。常識的に。ただ、さらに大きな重大な問題について文部省の公式の見解ということになりますれば、省議を経るなり、あるいは大臣の決裁を求めるなりしたものが正式の態度、公式の態度ということになろうと思いますが、そういう意味では、私承知しておりませんから、文部大臣の所見ということは、私としては申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/40
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041・小林武
○小林武君 文部大臣の責任かどうかというようなことはともかくとして、「ILO八十七号条約批准に伴う地方公務員法の一部を改正する法律案について」、「(解説)」と書いてある。そうして「新政府案の国会提出まで」、「職員団体の組織に関する事項」、その他登録の問題とか、いま問題になっているような改正に関する全般のことを書いてある。その解説を文部省の係の名前でやっている。その場合に、私はこれは文部大臣が命じたとか何とか言うのじゃない、文部省の責任だろう、初中局の責任だろうと、こう言うのです。初中局の見解と見られてもしかたがないだろうと、こう言っている。見られるのが当然だろうと、こう言っている。私は、文部大臣いまそういうことを考えるのはどうこうという批判をやるつもりはない。文部大臣がどんな考えを持っているかもよくわからないし、これはそういうことを言っているのじゃない。その点はどうなんですか。一体文部省はそういう点について、もう少しぼくは敏感でなくちゃいかぬと思うんですね。こういう文章を教育委員会月報に出されたら、教育委員会の諸君は一生懸命になって見るんだ、解説を。そうしてその内容を把握して文部省の御趣旨に沿うというような、そういうような人がわりあいに多いと私は思う。あなたたちも期待していると思う。そうだとしたら、そんなあいまいな、これは一係がかってにやったんだとか、それは個人的でしょうとか、初中局には関係ございませんとか、文部省の意見ではございませんというようなことを言うというのは、これはとんでもない話だと思う。しかし、このことでいつまでもやっていてもしようがありませんから、ここらでやめますけれども、あなたたちは、こういうことをやったという事実だけは認めなければいかぬ。この責任は免れがたいということだけははっきりしておいてもらわなければならぬ。責任はあるということだけは言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/41
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042・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) すべてそういうものに書きます場合におきましては、書いた人がやはり責任を持つべきものである、さような意味におきまして、公務員係ということで書いてあれば、その書いた人がその内容については責任を持つべきであろうと考えますけれども、まあくどいようでございますけれども、文部省のそれは正式見解かどうかということになりますと、このILO関連の問題というのはこれだけの大問題でございますから、私、内容を読まずにお答えするのはたいへんどうも不勉強で申しわけございませんけれども、重大なことが取り上げられているとすれば、そういう種類の問題を公式に発表します場合には、これは当然上司の決裁を経るべきものであると思いますが、それを経ていない限りにおいては、文部省の正式の見解であるということは、私としては申し上げることができない、こういうふうにお答えをせざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/42
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043・小林武
○小林武君 そういう答弁をいただくというと、どうしてもまた続けてやらなけりゃならぬことになるわけでありますけれども、そうするとあれですか、この文章を見て、ああこれは文部省の見解だな、初中局の見解だな、特に地方公務員であるところの教師諸君に関係の深いものである、こういうふうに理解するということは想像できませんか。これは文部省の初中局の見解だ、そういうふうに理解してはいけないのですか。そういう見解を持ったとしたらどういうことになりますか。誤った見解を持つとか、あるいはこの内容に盛られたことを文部省の見解だと思ったことについて、どうですか、責任を持たないのですか、あなたのほうで。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/43
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044・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) それは先ほど来申しておりますように、公務員係の所見というふうに私は理解していただきたいと思います。もっとも、それは内容いかんにもよりますので、内容につきましては私もひとつ読ましていただきたいと思います。読んだ上で大体の見解が私の意見と同じでございますれば、あらためて意見を申し上げることもできるかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/44
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045・横川正市
○横川正市君 ちょっといまのに関連して。先ほどの初等中等局長の答弁では、この種の発行物というものは、従来文部省の文部行政についてどれだけの権威を持った発行物なのかという点については、大体文部行政の地方教育委員会等に対する指導的な、ないしは行政上の一つの責任を持った発行物だということが言われているわけです。従来役所の関係で法律解釈とかあるいは行政指導をする場合には、同人の形で指導する場合もありますし、それから係が——係はこれは専門家でありますから——法的解釈等については専門家の意見を聞いて解釈をするというこういう方法をとって、省議だとかあるいは局議等にはかってものごとをきめる場合については、大綱であるはずなんですね、具体的な内容の説明や下部への浸透をはかる場合の解釈、理解のしかた等をこまかにやる場合には、それぞれの係がやるのであって、その係のやった仕事は、これはあなたの目を通さないとかあるいは局長が実際上知らなかったとか言ってみても、これは文部省の私は一つの見解なり指導として当然とられるということは、これは文部省も期待をしていることなんではないでしょうか。いや、そういうふうに期待することよりか、それが事実上の文部省の考え方として下部に実行してもらいたいことや考えてもらいたいことだと、こういうふうに私は考えるわけなんですが、いま小林委員の質問に対して大臣や局長の答弁というのは、従来の慣例の中からものごとを考えた場合に、一体責任はどこにあるのか、こういうふうに言われてみて、それは大臣が責任がある、局長が責任があるという、そういう明確な答弁が私はなされるべきものだと、そう考えるわけですが、この点について重ねてひとつ答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/45
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046・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御指摘になりました点は私全く同感でございます。文部省といたしましては、これは役所で出しております雑誌でございますから、文部省の方針なり文部省で決定しました事柄につきましては、そういう趣旨でこれを掲載するように従来から運営されております。ただ、雑誌でございますので、一般のやはり刊行物と同じように、個人の名前をあげまして論文その他を書くこともございます。そういう場合に、文部省の方針として考えなければならぬような重要な問題は、十分みんなでそれを見まして、委員会を設けまして、そこで一応検討した上で載っけるというような慎重な配慮をいたしておりますが、先ほど御指摘になりました論文自体を私も読んでおりませんので、これは何とも申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/46
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047・小林武
○小林武君 読んでいないから責任があるとかないとかということを言えないというのは、これはやはりおかしいのだな。読むとか読まぬとかいう問題ではない。あなたがその前に、それならこういう内容のものがあるはずがないということならば、調べてもらいたいということは、僕は先ほどから言っている。あったとしたら、あなたは責任を感ずるのですか、どうですか。あなたの局の係りの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/47
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048・福田繁
○政府委員(福田繁君) その雑誌の発行につきましては私の責任でございます。したがって、その書いてございます内容については、私の一切責任を負うべき問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/48
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049・小林武
○小林武君 十分ひとつ読んで、もしその内容について、あなたぐあいが悪いところがあったら、雑誌の性格上からいって、文部省はその責任を十分とるような措置を講じなければならない。この点を申し添えておきましょう。このことばかりやっておられませんか……。しかし僕は、だいぶ腹にすえかねるところがある。世は無責任時代だというが、いささか無責任時代の答弁を先ほどからやって、われわれをそれによってだいぶ憤激させた。時間を空費してしまったのは残念だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/49
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050・岡田宗司
○岡田宗司君 その点、関連して局長にお伺いしますが、いまの小林委員の言われましたこと、つまりその内容について不適当である、そういうようにあなたが検討の上思われたならば取り消しを出すかどうか、それは不適当であったということを、あなたの名前でその雑誌に明らかにするかどうか、その点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/50
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051・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん間違いであるとか適当でなければ訂正をいたしたいと思います。その点は十分内容を検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/51
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052・小林武
○小林武君 労働大臣にお尋ねいたしたいわけでありますが、政令二百一号が出て、その体制——長々申しますと時間がかかりますから——そういう体制のもとでの職員団体というのもですね、それから八十七号条約が批准された後におけるところの——これはこれからの問題ですけれども——その職員団体と、性格的に違いがあると私は思うのですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/52
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053・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 政令二百一号と直接関係があるかないか、こういうことは別といたしまして、八十七号条約の批准に伴いまして、職員団体あるいは公共企業体の労働組合というようなものに対する法律上の立場というもの、措置というものは変わってまいってきておることは、それはそのとおりだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/53
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054・小林武
○小林武君 これは増原長官にお尋ねをいたしたいのですけれども、いまと同じ問題なんです。労働大臣かいまそういう御発言がございました、面接関係あるかないか別としてというような労働大臣のお話でございますけれども、政令二百一号が出たことによって労働法の適用というものから除外されておる、このことは、あなたもよく御存じのとおりなんです。したがって、その趣旨によって改正された国公法、地公法、そのもとにおけるところの職員団体というものの性格と、八十七号条約批准後におけるところの、少なくとも改正案以後の職員団体というものは、性格的に私は違うように思う。同一のものではないと、こういうようにまあ考える。質的に変化をしていると、こう考えるのですが、この点は便宜としてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/54
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055・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 提案をいたしておりまするのに、国家公務員法におきましても、職員団体については新しい章を設けておるわけでございます。そういう意味において、職員団体の諸般の扱いについて変更があることは当然のことでございます。御質問の趣旨が、性格が変わるというように申された趣旨が十分のみ込めないところがあるわけですが、法律の改正によりまして職員団体の扱い方について変化があるということは開進いないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/55
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056・小林武
○小林武君 性格が変わるということについて理解がいかないという話がございましたが、私は、まあ連合国の最高司令官の書簡で政令二百一号が出た。その政令二百一号の暫定措置として、とにかくそのときから争議権や団交権というものが、とにかく取られてしまった。否認されてしまった。その暫定措置の趣旨に従って国公法、地公法を改正して、そうして職員団体というものの制度ができたわけであります。それについて、労働者の不満というようなものは非常なものであったということは、あなたも御存じのとおりなんです。そういうところから、いろいろILOを中心にするさまざまな動きがあって、今度は八十七号条約批准という問題が一つ新たな事態として起こってきた。このことは一々申し上げるまでもないことですけれども、その中に盛られている内容は、少なくともかってのその政令二百一号下の職員団体とは違っておる。そういうものとは違った意味の性格を私は持っておると思うのですが、それは御理解いただけませんか。私の言うことがちょっとおかしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/56
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057・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 政令二百二号に基づいてと申しますか、政令二百一号が公布されてから、公務員あるいは公共企業体の労使関係について、法の改正あるいは公布が行なわれました、そのときにおける職員団体や公共企業体の労働組合の法律上の規制、立場、これが八十七号条約の批准に伴いまして種々改正されるわけであります。そういう意味において法律上の立場は、改正前と改正後との間には変わってまいります。そう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/57
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058・小林武
○小林武君 増原さんの御意見も同じでありますか。これは特に公務員の関係の大臣でございますから、その点についてもうちょっとはっきりさしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/58
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059・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 国家公務員の関係におきましても、ただいま労働大臣の申しましたように、今回の法の改正を行ないまして職員団体についての規定を改正をいたすわけでございまして、改正をいたす範囲において、従来の職員団体の扱いと異なるところが出てまいるということは、労働大臣の申されたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/59
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060・小林武
○小林武君 労働大臣にお尋ねいたしますが、職員団体の規定について「「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として」とあるが、この場合の勤務条件というのは、労組法にある労働条件と違いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/60
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061・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 原則的には同じものだと思います。ただ公務員の場合は、法令で他に定められているいろいろなものがございますから、その点は一般の民間における労働条件というものと、全部が全部一緒ということにはならないと思いますが、原則的なものは同じだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/61
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062・小林武
○小林武君 ちょっといまのあれははっきりしないのですが、勤務条件と労働条件というものは大体同じだと。労働組合法に示された労働条件、こういうものと勤務条件というものはそんなに差がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/62
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063・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 私は、先ほどから申しますとおり、原則的に同じだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/63
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064・小林武
○小林武君 同じで当然だと思うのです。
これはひとつ増原国務大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、地方公務員関係も国家公務員関係におきましても、「勤務条件の維持改善を図ることを目的として」と書いてありますけれども、労組法のほうだと、そのほかに 勤務条件、労働条件どちらでも同じだということでありますが——「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図る」ということがこの場合抜けているわけですわな。これの抜けたのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/64
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065・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) その条項が入っておらぬということですが、実質的には差はないと解釈をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/65
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066・小林武
○小林武君 労働大臣か、あるいは労働省の政府委員の方でもけっこうですけれども、「経済的地位の向上」ということ、労働条件のほかにこのことが一つ加わったということの内容をひとつ明らかにしてください。そうして、それが抜けているということが、何ら別に国家公務員、地方公務員が本質的に違いがないんだということは、ひとつあらためてまた増原国務大臣から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/66
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067・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 表現は適確であるかどうかわかりませんが、労働条件の維持改善ということ以外に、それで限局されたもの以外と申しますか、それをさらに範囲を広めて考えて、経済的な利益というような意味で、労働条件というよりは少し広い意味をも持たせたものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/67
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068・小林武
○小林武君 労働省の政府委員の方にお尋ねをいたしますが、いまの点について、もう少し明確にひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/68
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069・三治重信
○政府委員(三治重信君) お尋ねの意図がどういうところにあるのか、ちょっと私聞いておりまして、はかりかねるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/69
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070・小林武
○小林武君 それじゃもう一ぺん言いましょう。あまりむずかしいことじゃない。労組法のほうと職員団体のほうと比較してお考えいただけばいい。見ていただけばいい。国家公務員、地方公務員の場合は「「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する」とある。ところが労組法の場合には、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図る」とある。「その他経済的地位の向上を図る」というのはどういう内容を持ち、労働条件以外に——石田労働大臣のおっしゃることは妥当だと思う、労働条件以外にまだプラス・アルファがついておるというようなお話——そういうのは一体どうなのか。それがついておるというのはどういう内容なのかと聞いているのです。それから職員団体の場合にそれがないのは一体どういうのか。「経済的地位の向上」というのは、取ったのだけれども内容は同じなんだということなのか、それだけは減らして、おかなければならぬということなのか、明らかにしていただきたいということなんです。簡単なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/70
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071・三治重信
○政府委員(三治重信君) 「経済的地位の向上」というのは、やはり労働条件の維持向上によって結果的にもたらされるわけです。しかし、労働条件というのは広くも狭くも解釈できるわけでございますが、そうしますと、やはりそこに当初の計画としては、労働条件を維持改善することによって経済的な地位の向上もはかられるという関連した言い回しになっているわけでございます。「その他経済的地位の同上」というふうになりますと、やはり会社が行なう福利厚生施設に対する要求なんかも、結局従来は一方的に行なわれておったのを、そういうことによってはかられるとかいうふうに、そういう経済的な地位の向上というのは勤務条件の外延的な問題で労働者の地位の向上がはかられる一切のものが含まれるというふうに解釈すべきだと思います。ただ、国家公務員その他いわゆる公務員関係でそういうふうなことが書いてもりませんのは、やはり国家公務員、地方公務員関係につきましては、そういう法令で一切きめてありますし、ことに身分関係が法令でずっと定められておりますから、その意味において、やはり地位、身分というものが非常に安定しておるというとしから、そういうことが特別に書かれていないのじゃないかという、ふうなことになりまして、特別その字句上の点で、書いてある書いてないということで、それだけの差があると言われても……、しかし、先ほどから御答弁がありますように、広く解釈すればそういうものも含まれるというふうに御理解願えれば、そうその間に矛盾はないのじゃないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/71
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072・小林武
○小林武君 しつこくこういうことを申し上げるのは、何も困らせるために言っておるのじゃない。やっぱり法律というものは出てしまうと、あとではいろいろな理屈をつけて、これはもう弓から離れた矢のようなもので、立法の当初は、いまのような、あなたのような御答弁で大体われわれが納得しているものも、出てしまったらどうなるかわからない。私はそういうことをたくさん経験しているし、あなたたちもわれわれ以上に経験しているだろうと思う。あるときにおいては都合いい解釈をたくさん立てることにおいて、あなたたちのほうがずっと上前はねるくらいにやっていると思う。そういうことを心配しますというと、やはり「経済的地位の向上」というのは一体どういうことなのかということが明らかにされなきゃいかぬですよ、これは。それが抜けているということは、国家公務員や地方公務員、公共企業体の労働者というのは、一体、それを引かれたのかどうなのかということをはっきりしておかぬというと、これはやっぱりいかぬと思うんですよ。だから言うんですよ。あとでこれがいざこざの種にならぬような趣味であるならば、われわれはかれこれ言わないのです。とにかくこの問題について、少なくとも施行停止になっておる。このことがここで一つも議論されていかないというと、こいつが今度は次のいろんな公平な機関の中で今度討論されるということになるんだが、そこで討論されるときも、また私は何ら問題の提起がないままに上すべりをするというふうなことも起こると思いますので聞いているんですがね。実際、いまのような話だというと、ちょっと失望するのですよ、あまり内容のないような話。それから公務員は法律その他何とかかんとかというようなことをおっしゃいますけれども、それじゃ法律のどこにどういうことになっているからそうなんだということを引例しなきゃいかぬですよ。そうでしょう。どこにどうなっているからどうなんだということを言わぬで、何とはなしに法律であれされているからというようなことを言われたんじゃこれは困るし、「その他経済的地位の向上」というものの内容もわからぬ。これもいかぬ。やっぱりその点は明瞭にしてください。それから増原国務大臣のお話も、そう変わらぬじゃろうというような話だけでは、これはやっぱり公務員労働者というものは安心しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/72
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073・関道雄
○政府委員(関道雄君) 各法律に共通の問題でございますから私から御答弁申し上げます。
御懸念の御質疑の点、労働組合法のほうでは、「労働条件」「その他経済的地位の同上」ということで、労働条件も経済的地位の向上をはかるうちの一つの項目としてあげております。したがって勤務条件というのも、そういう意味では、やはり経済的な地位の向上ということにかかわりがあるわけでございますが、それでは「勤務条件の維持改善」ということに関してだけ限られているのか、公務員につきましては職員団体の活動がそういうものだけに限られているのかと申しますと、必ずしもそうではございませんで、たとえば国家公務員法の百八条の五の一項をごらんくださいますと、「勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項」というように、交渉の内容を一般的に示してございますが、これによってもわかりますように、勤務条件だけに限定されているのだ、それ以外のことは重く見い出せないというようなことで、たとえば国家公務員法で申せば百八条の二の職員団体の目的において、そういう意味で非常に限定をしたいという、そういうことにはならないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/73
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074・小林武
○小林武君 増原国務大臣、同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/74
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075・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/75
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076・小林武
○小林武君 いまの件についてはまだ十分納得し得たと思いません。それからまた、この問題はなかなかいまの程度の掘り下げ方では、私は、将来いろいろな問題も残ると思うのでありますが、これはひとつもう少し御検討いただきたい。そうして来たるべきそのことについての討論の機会がありましたら、十分納得のいくような方法をひとつ見出していただきたい。
労働大臣にお尋ねをするのでありますが、このことは、前回の際に、労働大臣がおいでにならぬところで若干議論したものでございます。したがって、労働大臣に何かこれから質問することは、わかり切ったようなことを聞いているというふうにお考え願わないで、この閥はたいへんどうも私とすればこんがらがったり、なかなかお互いが理解をしたというところまでいかなかったので、そういう角度からひとつお尋ねしますから、お答えいただきたいと思います。私の聞きたいのはこういうことなんです。筋は。これはただし労働大臣だけではなくて、自治大臣それから増原国務大臣にもお尋ねすることですけれども、一般職員の組織する職員団体、それから管理職員の組織する職員団体、そのいずれもが法に規定する職員団体であるということは、どうもなかなか納得させることができないのじゃないか、こういう考え方なんです。私の考え方は。だからそれをひとつ頭に置いておいてもらって御答弁いただきたいと思うのです。
労組法では御用組合というのは除外されている。これは申すまでもないわけであります。御用組合といったら、使用者の利益を代表する者が参加する組合、使用者が経費の援助等をなしている組合だと、こういうことを言われますが、常識的な話。労働大臣にお尋ねしたいのは、労働組合の場合に、使用者の利益代表だけで組織する組合なんというものはあるものなんでしょうか。それは労働組合法の立場からいったら、そういう思想の上に立ったら、それは御用組合の御用組合、れっきとした金看板的御用組合、そういうことにならぬかどうか、その点の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/76
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077・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 御説のとおりそういうことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/77
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078・小林武
○小林武君 それはもう労働大臣としてはそうお答えくださるだろうと私は思っていた。当然だと思うのです。
そうすると、お尋ねするのでありますが、今度の場合、管理職は一般職員の職員団体に加入することができないが、管理職だけの職員団体はつくれると、こう言う。管理職員のそれは一体どういう団体かといったら、これは端的に言ってしまえば使用者団体、使用者のこれは利益代表、そういう立場に置かれているから、とにかく職責団体の中には入っていけない、こういう制限を法が規定しようとしている。一体、そういう使用者の利益代表が組合をつくって、それが同じ職員団体として法の上において同じ性格を持つ。この間の答弁だというと、事務次官から以下入っても、それは別に法に違反したことにならぬ、本庁において。こういうことは一体まともかどうか、これは労働大臣が労働組合の場合には御用団体だと、間違いないと、こうおっしゃる。これは増原さん、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/78
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079・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 御質問の趣旨は、民間の労働組合においては、使用者の利益を代表する立場の者だけの組合というようなものは、これは成り立たない、認められない、国家公務員法、地方公務員法等においては管理者だけの組合が職員団体として認められるのはおかしいじゃないか、こういう御議論ですけれども、この国家公務員、地方公務員等の管理者は、一般の被使用者に対しては使用者の利益を代表すべき立場、いわゆる管理職の立場でありますが、今度は管理者として、管理職という職にあって働いておるのでありますから、その職において、おのおの自分の利益を守るべき別の立場がやはりあるのでありますから、その組合は、今度は管理職だけの組合として、使用者に自分の利益を守る立場はあり得る、こう考えるのであります。これが混淆されますると、つまり一般の雇用者、一般の公務員に対して、使用者の利益を代表する立場と、それから自分の利益を守るべき立場とは混淆されてまいりますから、分けたほうがよろしい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/79
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080・小林武
○小林武君 石田労働大臣、ちょっとおかしいと思うのですよ。国家公務員や地方公務員のいわゆる管理職というのは、いまのお話だというと、一般の労働者、いわゆる職員に対するときは、それは利益代表である、使用者の。しかし、自分たちだけになった場合においては、これはやはり一個の使用されている者の立場、こういう言い方をすれば、労働組合法の中におけるところのいわゆる人事にあずかる者、これも労働者という点におい、ては同じなんです。あの中には役員とかなんとかと、ずっとあとのほうに書いてある。私は役員は労働者と見るべきでないと思いますけれども、しかし、そのほかの者は、これは労働者ですよ。しかし労働者ではあるけれども、利益代表であるというところのものは労働組合の中には入っていけない、こう言っている。だから私は、あなたのほうで、それはひとつそういう管理職だけが集まって労働組合をつくったらそれはいいのだ、労働行政の中でそういうお考えを持っていれば、これは別の話です。先ほどのしかし御答弁では、持っておらないと、それで、私はそれじゃおかしいじゃないか、こういうことを言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/80
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081・三治重信
○政府委員(三治重信君) その場合に、やはり企業の組織を考えてみますと、個人企業の場合においては、一つの事業主と従業員というものは、はっきり分けて考えることができる。使用者というのは、いわゆる事業主だけでもいいような考え方ができるわけですが、いまの大きな会社、いわゆる組織、制度を考えてみますというと、やはり重役の下に部長もあれば課長もある、あるいは多いときには百幾つか、少ないときでも十、十五という支店をかまえておる。こういう場合において、やはり断層的に労働組合法は考えているわけでございまして、たとえば支店の場合におきましても、やはり支店長はその支店の労使関係においてはやはり支店長はその下の従業員とは一緒になるわけにはいかない。それからまた、実際において本社において各支店その他の人事や勤務条件の関係の係をやっている者は、使用者のやはり機密の事務を取り扱う者の中に入っている。そういうようなことを考えてみますというと、段階的になりまして、一般の労働組合の上に管理職あるいは職員組合というふうなものになり、さらにまた、たくさん支店があれば、やはり支店長だけの組合もできる可能性も出てくるわけでございまして、あくまで使用者と労働者という関係におきましては、その地位、自分の下に使っている労働者との管理、監督の関係からいって重層的になるというふうになる。その重層的な立場において各階層ごとに組合ができた場合には、その上に対しては対使用者、被用者の関係になるというふうに考えて法律はつくられておるわけでございまして、そういう意味におきまして、管理職組合は、ただ、種類、労組法では一種類じゃなくて、二種熱、三種類をつくってもかまわない。ただし、それはもちろん会社のほんとうのいわゆる機能上の重役が入れば、先ほど先生がおっしゃったように御用組合的なものになる。同じ管理職といっても、また管理、監督の地位の者といっても、そこに重層的に考えて、対使用者、被用者ということで考えていくべきであるというふうなのが労組法上の労働組合に対する考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/81
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082・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 先ほど小林さんの私に対する御質問ですね、これは、使用者の利益を代表する労働組合というものは慰められるかと、こういう御質問でありましたから、そういうものは認められないというお答えをしたので、使用者の利益を代表する立場にある、具体的に言えば管理職の者の団体は認められるかという御質問ではなかったように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/82
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083・小林武
○小林武君 まあいろいろと御説明をいただいたけれども、そうするとあれですか。いまの労働行政としては、たとえば支店長——支店長と限らなくてもいいのですが、いわゆる一般労働組合の中に入ってきてもらっては困る、それが入ったら御用組合になるのだというような連中だけを集めた組合をつくるということができれば、あなたのほうではそれを労働組合として扱うわけですか。それだけ聞けばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/83
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084・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 法律上は私はそういうものはあり得ると思います。現実にはあまり聞いたことはありませんけれども、法律上はあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/84
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085・小林武
○小林武君 いや、法律的にあり得るというようなことは、あいまいだと思うのですよね。労働行政というものは、そんなものじゃ私はないと思う。そういうことを言ったらたいへんなことだと私は思う。石田さんらしくもないぼくは答弁だと思うのですよ。そういうことはありますか、一体。これはもう観念上の遊戯じゃないのですから。しかも、もう労働問題というものは、これはもう一つの日本の国内だけの問題でもない、国際的に一つの広がりを持ったものですから。そう考えた場合、いまのような労働組合というものはあり得るのかどうか。私は労働組合法の中においてそういうものは肯定されないと思うのです。労働行政としてはそれは否定さるべきものだと思う。ところが、れっきとして今度は職員団体の中においてはそれが同じ性格のものだということをこの間再々答弁された。同じ性格だと、こう言っている。私から言わせれば、同じ性格なもので、それを認めるなら何で二つになんか分けるか。それほどのものなら一つにしておいたらいいじゃないか。一つにしたら都合が悪い、二つにしたら都合がいいというのはどういうことかわからない。いろいろな機出山を知っているとか何だとかいうことがあるなら、労働次官がもし組合つくってやった場合どうなるか。それはいまは労働次官としてとにかく職員組合に対したときはこうだったけれども、今度はわがほうは別の職員団体の立場から大臣に交渉しますとやったときに、大臣、いろいろ機密なことをみんな知っているのにみんなやられたら、たいへん困るじゃないですか。同じことじゃないですか。そういう見え透いたことですよ、このことは。ぼくはそんなことに管理職の範囲をきめていかぬなんということを言っているのじゃない。これはある程度あってしかるべきと思う、常識的なあれでは。しかし、それを二つに分けなければならぬということがおかしいし、二つに分ければ、そんなつまらない職員団体までつくらなければならないというような法律自体に、私は問題があると思う。どうなんです。ぼくは増原さんに聞きたいのですよ、そのことは。ずいぶん議論してきたんだろうが、労働行政ではそういうことは観念的な遊戯みたいな話ではあり得ても、実際上はあり得ないと、こう言ている。それがなぜ一体公務員や地方公務員の場合には堂々と行なわれるのか。その点の観点はあなたの責任でお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/85
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086・石田博英
○国務大臣(石田博英君) この法律では、管理職の組合をつくれと別に言っているわけではございません。つくるならおつくりになってもけっこうでありますということであります。
それからこれは民間の会社やその他におきましても、公務員においても、管理職といえども二つの性格があると思う。一つは使用者の利益を代表して、そうしてその部下の者に対する立場、それからもう一つは、やはり給料をもらって雇われておるという立場、二つあると存じます。そこで、その部下の者を使用者の利益を代表して監督し、指揮命令する立場、管理する立場にある者が、その管理される立場にある者と一緒の労働組合をつくるのは、これは不適当だと思いますけれども、それと同時に、それがやっぱり雇われて月給をもらっておるという立場、雇われて月給をもらっておるんですから、首になったら困ります。月給下げられたら困ります。そういう部門において使用者に対抗する必要が生ずる場合もあり得るのでございまして、そういう人たちはそういう人たちで組合をつくられることはそれは否定をしていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/86
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087・小林武
○小林武君 それは無恥ですよ。ぼくはILO八十七号というものは、そもそもこれは使用者が団体をつくったっていいんです。資本家が団体をつくったっていいんですよ、そのことは。しかし、そのつくった団体と労働組合とは性格的に根本的には違うんです。そうでしょう。私は、そういう人たちが何か団体つくるということについて、ILO八十七号条約が認めていることはいいんです。しかし、同じ性格の職員団体つくるなんて、そんなばかな話がありますか。そういうことはないでしょう。そのことを言ってるんですよ。団体つくることは、使用者のほうだってそれはかってに団体つくっていい。いろんな規約をつくってやるのはけっこうだと書いてある。自主権を認めている。労働者の団体をつくる自主権を認めているんですよ。それが八十七号批准でありませんか。そのことでしょう。そのことを否定しているんじゃない、私は。しかし、法律的に同じ職員団体という性格を与えて、同じ目標を持ってやるなんということは、大体おかしいじゃないですか、そんなことをやるのは。なぜ二つにしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/87
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088・安井謙
○委員長(安井謙君) 石田労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/88
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089・小林武
○小林武君 石田労働大臣じゃないんだ。増原さん、あんた答えて。だめだよあんた、よそから入ってきて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/89
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090・石田博英
○国務大臣(石田博英君) よそって……。
いまの場合、広い意味で一応お答えをいたすのでありますが、親睦団体にしとけばいいじゃないかという御意見もそれはあると思います。しかし、先ほどから申しておりますとおり、管理者といえどもやっぱり雇われておって、給料をもらっておるのでありますから、やはり会社の重役とか、あるいは閣僚とかいう立場とは違うと思うのであります。したがって、やはり百になっては困るわけでありますし、いろいろ条件を下げられても困るわけでございます。したがって、そういう意味において、使用者に対抗する、あるいは使用者と交渉し、あるいは使用者に要求する立場はやっぱりある。ただ、それはその職務上、雇われている自分の部下に対して、先ほどから申しましたように、管理する立場、使用者の意図を体して管理する立場にありますから、その場合において、そういう人たちと一緒になることはこれは混淆いたしますが、別に自分の利益を守る立場の団体をつくってもこれは差しつかえない。つくるならおつくりなさいと、こういう規定でありまして、管理者の団体は別につくらなければならぬというようなことではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/90
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091・小林武
○小林武君 それは詭弁ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/91
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092・安井謙
○委員長(安井謙君) 小林君にちょっと申し上げます。
文部大臣が十二時過ぎに渉外事務で退席いたしたいということでありますが、もし御質問がありますなら、順序を変えてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/92
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093・小林武
○小林武君 順序が悪くってできませんから、文部大臣がいなくてもしかたがないです。しかし、かわりがだれかいるでしょう。ただ、ぼくはいろいろな御都合があるということはよくわかりますけれども、ここの委員会でやられていることもそんなに決して軽い問題では私はないと思う。だから、いろいろ御都合をつけていただいていると私は思う。それでもなおかつどうしてもできないというような事情のある場合は、これはやむを得ません。これはかわりが出てやってもらいたい。順序はなかなか狂わせるわけにいかぬです。筋をたどってやっておりますから。
それでね、石田労働大臣、やっぱりぼくは石田さんとやりたくないんだ。ほんとのことを言うと、何べんやったって同じことだから。それは無理ですよ。それは使われていることからいえば、同じ首も切られるし、給与も上げてもらいたいと、こういうことになる。そうすれば、一般の労働組合と同じでいいじゃないかということなんだけれども、先ほど言ったように、使用者の利益を代表するという立場に貫かれておる。だから、労働組合法の場合には、そういう者を入れると御用化するからうまくないと、こういう。みんなと一緒になっているときは御用化するからぐあいが悪いけれども、自分らだけがつくったらけっこうだと、そういう理屈はぼくは成り立たないと思う。それは団体つくることはそれぞれいいでしょう、団体つくることは。しかし、私はどっちかというと、法でがんじがらめにやるような、国家公務員法とか地方公務員法の制度の中で、そこにできた職員団体、一体同じ性格のものだというふうに規定するというのはぼくは誤りだと思う。幸いこれはとにかくこれから討論されることでもあるから、私はこの点についてはひとつ虚心になって大いに検討してもらいたいんですよ。こんなことを労働行政の中に逆に持ち込まれていったらたいへんなことだと私は思う、それは。どうですか、その点。増原さんは一体その点についてどうですか。ぐあいが悪いと思いませんか、率直に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/93
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094・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 労働大臣がいままで申したことと同じ式になってまいりまするが、職員団体というものを考える場合に、やはり一般職員というのは、使用される立場というものが非常に純粋であるといいますか、そういう意味で、そういう人たちだけの職員団体をつくることが労働条件の維持改善という立場の職員団体として適当であるので、そういう人々の団体をつくってもらう。しかし、管理監督の立場の職員といえども、法に基づいた規定によって身分をつくられ勤務条件等がきまるという、そういう立場は一般職員と公務員の場合は同様であるわけでありまして、そういう立場に立って自分たちの勤務条件の維持改善をはかるというために職員団体をつくるということを否定することは、これはやはり適当ではない。しかし、そういう管理監督の立場のものと一般職員の立場とは、使用者と密着する程度においてやはり性格が非常に異なる異質のものであるから一緒にすることは適当ではない。しかし、管理監督の立場の者も、厳格に言うってやはり使用される立場も持っておるわけですから、そういう意味の人人が職員団体をつくることを否定することはこれは適当でない。同様と申しましても、何と申しますか、法律的な性格が職長団体であるということでありまして、やはりその動き方等については、おのずから使用者に密着した管理監督の立場の者と一般職員の者との間では変わってくることで、これはまあ当然であると思います。そういう意味においては異なる性格も十分に持っておる。法律的には一応職員団体の扱いとしては同様な扱いになるが、御用団体を職員団体として、何か一般職員の職員団体の動きを牽制するとかなんとかいう趣旨でこれを認めようということではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/94
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095・小林武
○小林武君 やはりあなたのおっしゃることは、それは無理なんですよ。どう考えたってこれは無理でしょう。そういう無理なことをやるというのはだめですよ、これは。そうでしょう。ぼくは先ほどから言っているとおり、ILO八十七号条約の性格から言って、これはそれぞれの団体つくることはそれは自由にやったっていいのですよ。それは自由なのです。自由でけっこうですけれども、法で一体あれでしょう、いろいろな法の制約を受けるわけでしょう。この地方公務員とか国家公務員とか。だから、職員団体なんという妙な名前をつけるのでしょう。本来ならば労働組合なんですよ、これは。労働組合の性格でないということはこれは私は言わせないつもりだ。大体そういう性格になってきている。労働組合なんです。これは労働者の中に入ってきて、同じ労働組合の性格を持ってやろうなんていうような、そういう考え方は、私は、これは間違いだと思う。だから、こういうやり方をやるから、あなたのほうで、これは一般職員組合をどうかしようというある種の意図があるのだという、こういうわれわれのほうは疑惑を持ってくるわけなんですよ。どうですか。そういう疑惑を生むようなやり方というのはおやめになったらいい。あくまでもその点は職員組合というものとちゃんと区別すべきだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/95
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096・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) この法において職員団体というふうな規定を書いておりまする条項について同様の扱いをされるということは、そのとおりでございまするが、繰り返して恐縮ですけれども、公務員というものは一般公共全体に対する奉仕者でございます。その地位、身分、給与等は法律をもって保障されるという意味で規定をされて出るという、そういう性格のものでございます。そういう性格のものとしてとらえて、職員団体、職員という名前ですから、職員団体という名前を用いる、基本的に労働者団体という性格のものと基本的な性格は同様でありましても、やはり全体の奉仕者、法律によってその地位、身分、進退、給与がきまっておるという性格を持つもので、やはり職員団体ということになり、それが一般の職員は被使用者というたてまえが明確であって、これは他と混淆をしないほうがいいから、そのたてまえで職員団体をつくってもらう。使用者と密着をしておるという形の管理監督の立場のものも、しかし、そういう意味で団体をつくるということを否定することは適当とは考えられません。やはりこれも職員団体を別個につくる。その間に混淆があることが一般職員の職員団体の勤務条件改善等のための諸種の行動にかえって不都合があるという、異質のものとしての別個の団体をつくらせる。そういうことによって、一般職員の職員団体の行動を何か制限をしようというような意図があるというようなことは全然ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/96
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097・小林武
○小林武君 いまの御答弁は、結局ますます問題を紛糾させるだけで、解決策にはならない。何と言っても次官以下がとにかく入れば入れるような職員団体ができて、そうして、それが他の職員と同じ性格を持ったものである。しかも、それらのものは、今度は普通の職員団体に入る場合には、使用者の利益代表だからはなはだぐあいが悪いと、こう言っている。登録の条件等にも影響するというようなことでは、これはもう筋が合わない。そういう論理は成り立たないと思う。これを、しかし、いつまでもいまのようなやりとりをやってもしようがないから、この点は十分に検討の機会もあることで、これは施行停止にもなっている問題でありますから、どうぞひとつ十分な御検討をいただきたいのだが、そこで一つだけお尋ねいたしますが、管理職員団体が、私は、これは使用者の利益代表だということは明らかなんだ。あなたたちも認める。ところが、これらが一つの組合をつくって、職員団体をつくっていろいろ行動できるということになると、一人の人間が二つの立場の使い分けというものの可能性というものを認めたということになりましょう。労働大臣もその点は認めている。利益代表ではあるけれども、今度利益代表という立場を離れて、今度は首切られるとたいへんだというような、その立場で今度はやろうという、こういう二つの立場を認めようとする。その切りかえが完全にできるものだという判断をしている。政府はそういう考えだ。そういうことになったらどうなんですか。私はそういう議論が成り立つならば管理職の範囲というものをやたらふやさないほうがよろしい、広げないほうがよろしい、こう考える。ピンからキリまでありますよ。事務次官と、そういったら失礼ですけれども、課長さん以下の人、係長さんというか、何というか、そこら、そういうところと一体同じに取り扱うなんという考え方はおかしいじゃないかということになる。そういうことを、いま一例をあげたのだけれども、管理職の範囲をやたらにふやす傾向にこのごろはあるけれども、びっくりするようなところに管理職手当をやって、おまえ、管理職だといわれる。もらうほうも戸惑いする。しかし、もらうものはもらってもいいと思ってふところに入れる。これはしかし石田さん、労働政策としてはまことに悪い手ですよ。こういう手は。こういうやり方を今度は法律でとにかくきめていこうというようなことが、今度のILO第八十七号条約の批准と一緒に公務員や地方公務員の中に持ち込まれるということは重大なんでありますから、そういう二面的に使い分けをすることができるということになるならば、管理職の範囲というものはあまり広げないほうがよろしいと思うのです。この点については、私は人事院総裁にひとつお尋ねをしたい、どういうものでしょう、こういう考え方は。やたらにふやすという状況、あなたが認めているかどうか知りませんけれども、どうもそういう傾向になっている、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/97
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098・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) ただいまやたらにふやすということにつながりをもって、管理職手当のことに言及されましたけれども、これはいつぞやここでも、予算委員会でお答えしたと思いますけれども、管理職手当は、法律の表現はいささか、管理職、管理者というようなこと女今度の場合と似たような表現をとっておりますけれども、私ども運用の立場から一口に申しますと、超勤を一々やるのになじまない職務だというような、給与上の問題に重点を置いてやっているわけであります。したがいまして、今度の御指摘の問題とはちょっと違う問題だというふうに私どもは考えております。あと今回の問題として、管理職の範囲をどうするかということは、前回もお答えいたしましたけれども、要するに、政府案の趣旨はおそらく一般の組合の自主性の尊重というところに線を引かれているものと思いますけれども、しかし、さてこれから人事院規則で規定する段になりますと、なかなかこれはたいへんなことなんであります。この間申しましたように、労働組合法の二条あるいは公労法によってこまかに告示が出ております。一応の相場はその辺できまっているという見方もできましょうが、それらも勘案して、今後の御審議等をも十分承って善処したい、こういう気持ちでいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/98
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099・小林武
○小林武君 どうですか、管理職の範囲をやはりいまのように野方図もなく広げていくということよりかも、縮小すべきだという立場ですね。その立場は、先ほど申し上げているように、一体そういうふうに使い分けが、事務次官でもできるような解釈をしているのですから、どうですか、増原さん、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/99
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100・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) ただいま人事院総裁からもお答えをしましたが、管理職手当の問題は、厳格にこの場合の管理職の定めと相照合するものとは私ども考えておりません。これは給与の関係において管理職手当が出て、いるわけでございます。やはり管理職をやたらにふやすというふうな方向は政府として考えておりません。十分第三者機関でありまする人事院なり人事委員会、公平委員会で客観的な事態をよく検討していただいて、そういう者が一般職員の職員団体に入ることが職員団体の本来の機能発揮に支障のあるようなものはこれは入れないという意味で、管理職に指定をするということで、客観的な基準も十分に見定めて、これを定めてもらう。それは政府でやりませんで、第三者機関で公正にやっていただこう、でたらめにこれを広げていくという趣旨はもっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/100
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101・小林武
○小林武君 今度は文部省にお尋ねをいたしますが、管理職の範囲の問題でちょっとお尋ねしたいのですが、教職員については、教特法で、「国立学校の職員の例に準じ、人事委員会規則又は公平委員会規則で定める。」、こう書いてありますが、この点について先ほどの文章です。先ほどの雑誌です。その中にこう書いてありますね。「「国立学校の職員の例に準じ」としたのは、公立学校の職員のなかには、国立学校に例のない職員もあるので、人事院規則で管理職員等として定められた職員のほか、それらの職員と同等な職務を処理する地位にある公立学校独自の職員(たとえば、定時制課程主事、通信制課程主事等)についても、当然人事委員会等が管理職員等の範囲に含ませることを予定して規定したものである。」こう書いてある。これはどういうことになるんです。もうすでに予定しちゃったんですか。こういうことを、一体地方教育委員会にもこういう予断を与える、あるいは公平委員会、人事委員会にもこういう予断を与えるようなやり方を前もって一体やるというような考え方は私はわからないんですがれ、これは、これではまるで国会の一体審議とか、あるいは三者におけるところのいろいろな折衝とかいうものを無視して文部省は先走ってこういうふうなことをどんどんやるというようなこと、それを受けとめたほうは一体それに従ってやるといったようなことになったらどうなるのか、私はまあそういり点を非常にこの文章から心配するんですが、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/101
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102・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御審議を願っております政府案では、公立学校の職員の管理職の問題につきましては、国立学校の教職員の例に準じて人事委員会規則あるいは公平委員会規則で定める、かようになっておりますことは御承知のとおりであります。国立学校の管理職の範囲につきましては、これは人事院で定めるわけでございますが、しかし、国立学校あるいは公立学校を通じまして管理職の範囲というのは学校の運営上必要な管理職の地位というものは、校長、教頭等学校教育法あるいは学校教育法施行規則等によって定められております。したがいまして、人事院でおきめになります際にも、それらの点を十分御考慮いただいて決定されるものと考えておりますが、そこに御指摘になりました問題は、高等学校の延応制主事あるいは通信制主事あるいは分校主任等の問題であろうかと思いますが、それらは国立学校にございませんので、したがって、そういう職種については公立学校だけに特有な職種でございます。しかしながら、これも対等学校の定時制主事あるいは通信制の主事等は学校教育法施行規則の中で管理職的な職務を持つ者として規定されております。したがって、予断を与える意味ではございませんけれども、当然に教頭等と同じ扱いをなさるべきものであるというような考え方から書いておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/102
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103・小林武
○小林武君 書いたものと考えますというよりな気軽なことをおっしゃいますけれども、一体定時制課程主事とか、通信制課程主事というものについて、そういうことをきめるのは何できめるかというと、人事委員会とか、これは公平委員会できめるんじゃないですか。そういうきめることを、これを当然そうなることが国立学校に準じ、ということになっているんだから承知しておけというようなことを、一体何のために教育委員会にそういうことをやらなきゃいかぬのです。これがわからない、一体そういうあれはどういうことになるんです。これは、石田労働大臣にお尋ねしたいんですが、一体スト権を取られたのはそういう、それのこれはもう代償機関ですよ。それが一体どうなんだ、一体そんなに行政官庁から拘束されるものなのかどうか、その点はどうですか。いろいろILO特別委員会の結社の自由委員会、その他からでもいろいろな点で、この点は代償機関としての性格を十分に発揮させろというようなことの要望があったと思うが、そういう中でいまのようなことをやられては、私は大問題だと思う。これは、そういうとは人事院総裁だって、政府にそんなことをやたらにやられたのでは、国家公務員たまったものではない。一体そういうあれはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/103
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104・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 人事院とか公平委員会というのは、ただいま御発言ように、代償保障説であります。したがって、行政機関から拘束を受ける性格のものではありませんが、その文章は、まあ私の答える範囲ではありませんけれども、文部省としての、何といいますか、それこそ文部省としてのお考えとでも、御希望とでも申しましょうか、そういうふうに受け取っております。あくまで行政機関からは独立している第三者機関だと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/104
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105・小林武
○小林武君 増原国務大臣にお尋ねいたしますが、どうなんですか、そういう公務員あるいは地方公務員に対して、一体そういう代償機関に拘束を加えるというようなことはいいですか、悪いですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/105
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106・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 先ほど人事院総裁からもお答えいたしましたが、この管理職をきめる場合には、人事院が第三者機関としての独自の観点で、諸般の法律、規則、皆さんの御論議等を十分参酌をして独自の見解できめるわけでございます。これを行政機関がそういう町で拘束を与えるというふうなことをすべきではないと考えます。しかし、人事院ないし人事委員会、公平委員会等も、必ず独自の見解をもってこれをきめていただくというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/106
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107・小林武
○小林武君 どうですか、福川初中局長、そうすると、こういうことをやったのは誤りですね。誤りでしょう。国立学校に準じ、というのは、こういうものが予定されているんだからというようなことを、この法律案の審議の過程において、そういうことを一体自分の指導監督をするような機関に流すというようなことは、これは誤りじゃないですか。誤りでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/107
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108・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん文部省といたしまして、第三者機関である人事院あるいは人事委員会、公、平委員会等に対して拘束的なことをやる権限もございませんし、またやる意思ももちろんございません。ただ先ほど申しましたことは、高等学校の定時制主事あるいは通信制主事の職制から見ますと、これは学校教育法施行規則の中にそういう管理監督の地位にある管理職だという趣旨のことが書いてありますので、したがって、その趣旨から考えて、文部省としてはそういうふうなものの考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/108
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109・小林武
○小林武君 管理職の範囲の問題については、これは議論のあるところで、だからこの問題についても、あなたも知ってるだろうと思うが、今後いろいろと議論する余地を残している、特に公平な第三者にまかせるべきであるというようなことについては、労働者側の強い意思表示もある、こういう段階、一体、そういうことをやるというのはおかしいじゃないですか。あなた、そこではっきり間違いなら間違いと言いなさい。いろんなことを、言ってもだめなんだ。こういうふうに想像しますとか、前に、大体こういうことになると思いますからということを言っちゃいかぬ。大体国立学校の職員に準じとしたのはこうこうこうですというようなことを説明しているのですよ、ここのところは。あんた、その原本持っていますか。——持っているようだね。持っているならひとつ、どうだろう、あなたのほうの責任ある回答できるだろう。してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/109
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110・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん先ほど申し上げましたように、これは第三者機関である人事院あるいは人事委員会、公平委員会で決定していただく趣旨でございますけれども、しかしながら、ここに書いてあります事柄は、これは表現はまあ適当であるかないかは別といたしまして、先ほど私が申し上げましたような趣旨を述べておるわけでございまして、従来からこの高等学校の主事につきましてはさような立場にあるという趣旨を述べておると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/110
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111・小林武
○小林武君 そんなことを言う時期じゃないです。そういう答弁は不謹慎だとぼくは思う、一体それらについて結論の出ていない、いろいろ議論されている段階で出している。いつ出した、その雑誌は。そういうことをやって、なおかつここで言を左右するというようなことはやめてもらいたい。誤りなら誤りだと、第三者機関が決定するものだと、そういうことを言いなさい、ここへ来て。
そのほかにもう一つある。一体、これは益原担当大臣にお伺いしたいが、こういうことも言っている。一般的な管理職の解釈より労使関係上の利益代表者はその範囲が狭いのでないか、管理職手当支給は必ずしも労使関係上の管理者には入らない場合があるのではないかと私は思う。ところが、こういうことを書いてある。「管理職手当の対象となる職と、ここでいう管理職員等の範囲との関係について触れておく。」といって、「管理職手当の対象となる職は、管理または監督の地位にある職員のうちからその職務上の地位に応ずる勤務時間の特殊性を配慮して給与政策上の観点から定められるものである。したがって、実態的には、相当程度両者は一致することとはなるが、管理職手当を受けていなくても、職員団体との関係では管理職員等として位置づけられる職にある職員もありうることである。」、拡大するように、こう言っている。これはどうなんですか。そういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/111
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112・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) まあ私の所管は国家公務員でございまするが、地方公務員も含めまして、管理職の範囲の決定は、人事院なり人事委員会なり公平委員会——第三者機関で、これまたそれぞれ相当そういうことについての、何といいまするか、職務権限内容を持っておる機関、第三者機関でございます。ここで公正にきめていただくということでございます。いろいろな予断的なことを行政機関から、政府筋からとやかく言うべきものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/112
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113・小林武
○小林武君 まあひとついまの御答弁を聞いてどうですか。それにも私は、いまの答弁必ずしも満足していないのですけれども、それ以上のことでしょう、あなたのほうは、国務大臣の話をいま上回ってあなたのほうは考えている。広げられるものである、管理職手当以上に広げられるものである、そういう場合もあると断定している。そういうことを文部省が、一体だれに断わって言う権限がある、そういう解釈をどうして下に押しつけなければならないか。その二点だね。前の点と一点について、たいへんどうも行き過ぎました、これは誤りですと、そう言えばこれでやめますから、どうぞそういうことを、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/113
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114・福田繁
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。この管理職の範囲につきましては先ほど来申し上げましたように、国家公務員につきましては人事院、地方公務員につきましては人事委員会、公平委員会で御決定願う趣旨でございまして、それ以上のことはございませんが、ただ先ほど申し上げました趣旨は、高等学校の主事については現状そういう規定になっているという趣旨のことを説明しているのでありまして、もしこの表現が適当でなければ、これは訂正してもよろしゅうございます。
それから第二の点は、これは大部分の場合におきまして管理職手当を支給されている者と管理職の地位にある者とは一致いたしている、しかしながら、必ずしも管理職手当をもらうから管理職の地位にある者だというようには、法的に考えられないのでございまして、たとえば分校主任、あるいはまた、国立の学校におきましても生徒主事、あるいは教務主事等は、管理職の地位にある者とは考えますけれども、現実には管理職手当は支給されておりません。したがいまして、手当を受けていない者につきましても、管理職としての地位にある者は学校の中にいるということを書いているわけでございまして、それが私どもの解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/114
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115・小林武
○小林武君 その解釈は間違いだから、あなたは第三者機関できめてもらうべきものだ、こう言っているのだから、それは行き過ぎですとここで言いなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/115
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116・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは先ほど来申し上げておりますように、人事院あるいは人事委員会におまかせする事項でございます。しかし、現行法の解釈は、私がいま申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/116
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117・小林武
○小林武君 それではよろしい。(「それは保留しておけ」と呼ぶ者あり)そうですね、この点はひとつ文部大臣が来てから、もう一ぺんよく念を押しましょう。
人事院とか人事委員会とか公平委員会は、スト権の禁止の代償機関として十分な機能を果たしていないということは、先ほど私が申し上げましたが、こういう点について、将来十分考慮をする意思があるのかどうか、この点について増原長官から確認をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/117
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118・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 職員につきましては、労働三権についての規制がある、その代償として、基本的なものは御承知のように、その身分なり給与と労働条件が、全体の奉仕者というたてまえで、法律をもって、法令をもって規定をされているというところが、一番の代償だろうと考えます。さらにしかし、一面は、人事院という第三者機関を設けまして、ここで労働者の利益の保護をしかけるということでございます。人事院はその立場において努力をしてもらっていると思うのでございます。今度の国家公務員法改正女人事局をつくるという問題がございまするが、人事院の、職員の利益保護という立場、公正保持という立場の職務権限は全然変わっておらないわけでございます。そういう意味におきましての人事院の権限の縮小なんということは全然ないわけでございます。しこうして、人事院の従来のやり方が万全であったか、こう申されますると、私どもも十分に努力をしてもらっているということでございまするが、具体的に申しますると、勧告が出ました場合に完全実施というものが十分に行なわれていないという点があるわけでございます。これはしかし、主として財政上の観点で、やむを得ざる措置として、五月遡及を、十月もしくは九月というふうにとどめるということでございます。この点は、政府として底本的にはまことに遺憾に存じておるわけでございまして、人事院の勧告は、これを完全実施をする、そういう意味で人事院が十分に代償的機能を発揮をしていただくということに、政府としても協力をしなければならぬというふうには考えておるわけでございます。人事院としては、十分その機能を発揮をするように努力をしてもらっておるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/118
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119・小林武
○小林武君 人事委員会とか公平委員会、そういうものの委員というのは、何といっても公平な、信頼される人でなきゃならぬといりようなことは、これはILOの五十八次の報告あるいは六十六次の報告等についても述べられているわけでありますから、この点については、なお一そうの努力をしなければならないと私ども考えるわけでありますが、どうぞひとつ、そういう点について十分の検討をいただきたい。
最後に一つ、私はお伺いしておきたいのでありますが、日教組とか、自治労とかというのは連合体でありますけれども、これは登録制度がないんでありまして、これらのものが、交渉とか、法人格の取得とか、あるいは専従制等々というようなものについて差別を受ける。これはどうでしょう。八十七号批准という、この関連でとらえてみた場合は、これは不当ではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/119
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120・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 改正法案につきましては、職員団体は、職員団体またはその連合体ということに、定義が明確にされております。したがいまして、自治労あるいは自教組が、単位職員団体の連合体たる性格を持つことになりまするならば、これは改正法におきましては、職員団体としての取り扱いを受けるということになるわけでございます。
それから登録の点につきましては、連合体たる職員団体につきましても、改正法案では登録はできないのでございまするが、それらの連合体が活動をすることにつきましては自由でございます。
なお、また、法人格の取得についてお話がございましたが、法人格を取得いたしますのは、それが財産上の権利義務の主体になり得る資格を与えられるということでございまして、職員団体としての活動について、法人格によって格別の制限をしようという趣旨ではございません。その点はILO八十七号との関係において問題はないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/120
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121・小林武
○小林武君 八十七号条約を批准したということについて、私はやはり政府においても、十分に、この点についての責任をお感じいただいて、その施策に十分反映さしていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/121
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122・安井謙
○委員長(安井謙君) 本日午前の審議は、この程度にとどめます。午後は一時二十分より委員会を再開いたすことにし、暫時休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
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午後一時四十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/122
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123・安井謙
○委員長(安井謙君) ただいまから国際労働条約第八十七号等特別委員会を開会いたします。
午前に引き続きまして、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件ほか関係四法律案を一括して議題といたします。
質疑の通告がございますので、順次発言を許します。
なお、ちょっと政府側に申し上げますが、きょうは一時二十分から再開ということになっております。瞬間が、大臣の出席が二十分以上おくれているような事情でもありますので、今後気をつけていただきたいと思います。北村楊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/123
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124・北村暢
○北村暢君 まず私は、臨時行政調査会の答申について、公務員制度に関する答申がなされておりますが、この答申によれば、国家公務員、私は主として国家公務員についてきょうは質問いたしまするので、国家公務員について労働基本権としての団体交渉権というものを与えるべきでないか。こういう趣旨の答申がなされ、その形は、たとえば中央の場合、英国のホイットレー方式による。こういう技術的な問題がありますけれども、そういう答申がなされているわけでありますが、この問題に対して、この答申に対して政府は一体どのように検討されておられるか、政府の態度をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/124
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125・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 臨時行政調査会につきましては、全般として、政府では行政改革本部を設けまして、実施のための検討という形でいま検討をいたしておる段階でございます。今国会に法案として提出できるものをまず取り上げるという形で具体的な検討をいたしまして、昨年一ぱいくらいでその準備をする必要がありましたので、そのほうの検討が具体的には先になりまして、御指摘の問題はただいまなお検討中という段階でございます。まだ取りまとめの段階には至っておらないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/125
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126・北村暢
○北村暢君 今回のドライヤー委員会が日本へ来て、労使の信頼感というものに対して、非常に相互の信頼感、信頼関係というものが欧米のそれとは比較にならない、ちょっと常識で考えられないような状態であるということを指摘されておりますが、この公務員に関する改革意見においても、このことははっきり指摘しておるわけです。管理者と職員団体との間において基本的な相互の信頼関係が欠けておる、こういうことを指摘しておるのであります。職員団体については、一部に管理者を敵視する、労働組合側にも、そういう考え方がある。また、政府の団体におきましても、労働組合というものを同様に敵視をしている。こういう問題があらゆる問題において混乱を起こしておるのではないか。したがって、基本的には、政府の労働組合に対する考え方、また、公務員法上の職員団体に対する考え方、こういうもののあり方について、私は、せっかくドライヤー委員会が参りましてそういう指摘を受けたのでありますから、この際、政府もそういう考え方というものを根本的に改めるべき段階に来ているのじゃないか、このように思います。その点については、まあドライヤー委員会の、トップ・レベルの段階における相互信頼の関係、こういうことが主として言われておりますけれども、これは、政府全体の末端に至るまで、指導その他において、相互信頼というものがない限り、労使間の正常化というものはないのではないかと、私はこのように考えているのです。私は、個人的でありますけれども、そういう問題については従来もずっと主張してまいりましたし、お互いに信頼関係のないところに労使間の正常化というものはあり得ないと、このように考え、そのように私も労働組合にも言ってきておりますし、政府側にも反省を求めている。後ほど、私は具体的な例をもってこれらの問題について一々お伺いしたいと思うのですが、そういう面についての法全体の今度の改正案、国内法全体の考え方の中に、私は、まだまだこの信頼感を回復するような形というものが出てこないのではないかという感じがするのです。たとえば、午前中小林君の指摘しておりました管理者組合、こういうものも従来なかったわけです。それが、今度は管理者組合というものができるのだということをこれはつくれとかつくるなということを言っているのではない——それもできる。職員団体をつくろうとすればできるのだ、こういう解釈なんだということだけのようでありますけれども、これは表向きの問題であって、管理者組合というものをいま政府は積極的に助長してこれをつくらせようという意図があるのではないかということが察せられるのです。そういう点からして、今度の法案においても、具体的な例は、その管理者組合という一つの例をとっても、どうも信頼関係というものが出てこないのではないかと、このように思うのです。したがって、この考え方について政府が、これは労働大臣にもお尋ねしたいと思うのですけれども、その相互の信頼関係というものを、欧米の先進国並みの常識的なところまで持っていくために、具体的にどういう施策を労働政策としてとられるおつもりなのか、まず、この基本的な考え方についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/126
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127・石田博英
○国務大臣(石田博英君) これは、やはり歴史的な要因とか、いろいろなものがあると思いますけれども、何はおいても、やはり人間関係でありますから、接触をする機会を多く持つということが最大だろうと思います。これは、私はしょっちゅう組合の方々とお目にかかってもおりますし、表に裏に、まあいろいろな接触もありますから、したがって、そういうことでは、特別の山方えとか特別の認識というものを持たない、普通のお互い友人としてのおつき合い、ところが、全然接触の機会がない人の場合は、やはりお互いにそれがない。やはり接触の機会、それからざっくばらんにものを言う機会を多く持つことが私は大切だろうと基本的に第一に思います。
それから、これから開始されますトップ・レベルの定期会合もそうでありますが、それがひとつ模範になりまして、四角ばったときにばかり会わないで、ふだんでもやはり会っていくという習慣が各段階においてできることがまず第一に望ましいことだろうと思います。それから、やはり信頼関係というものを生ずる根底は、お互いが相手を敵視しないということが前提でなければならぬ。敵と呼んだり、戦うのだと言ったりしているところには平和な信頼関係は生まれないのでありまして、そういう態度、用語の上からもやはりお互いが理解して注意していかなければならないように思うのであります。
それからもう一つは、労働組合というものはわが国において公認されてまいりましてからもう約十七、八年、約二十年足らずでありますが、その二十年足らずの間に人間形成を行なった人と、その以前に人間形成がある程度でき上がっている人との間には、やはりいろいろな認識の違いがあるの、じゃなかろうか。しかし、今日すでに組織された人員は約一千万を数えるというような事態に相なっておるということ、やはりその事実を認めた上で一切のものを考えていくということでなければならぬのじゃないか。同時に、約一千万の組織体をかかえているのでありますから、やはり近代社会の構成員の一人としての責任を分担するという気がまえに組合側の人々もなってもらう、こういうことが望ましいのではないかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/127
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128・北村暢
○北村暢君 そこで二、三お伺いいたしますが、いわゆる労使間の正常化の問題で、お互いに信頼感がないという具体的な例として、かつて、これは農林省関係の、林野庁関係の組合でございますが、これは衆議院の社会労働委員会等においていろいろ論議になりました、いわゆる労務管理のための団体交渉のやり方とかなんとかいうようなものですね、指導する資料として労務ハンドブックというのを出している。その中には明らかに、総評傘下の組合は、これは過激な組合であって、良識的な組合じゃないのだ、こういう根本的な観念に基づいて労働指導をした。これは政府部内に明らかにあるわけです。それから、最近の例、もう昨年の暮れの話です。昨年の暮れの話で、これは現実にそういう問題が起こっておるのですが、たとえば第二組合を育成する、こんなことは当局ではやっておりませんというふうに答弁するに相違ない。しかしながら、いまの全林野という組合は、これで行ったならば、国有林野事業というものは破壊されてしまう、賃上げ、賃上げで、やっている国有林野会計は赤字になりつつある、この組合の言うことを聞いていたのじゃ、とても国有林野事業は成り立たないのだ、こういうようなことを、これを事業所の主任会議——当局の会議であります——その会議で事業所主任を全部集めておいて、盛んに全林野という労働組合を、いま言ったように誹謗をしている。そうして、誹謗をして、その主任会議、業務上の会議でそういうことをやって、そうしてその管理者はすっと出るわけです。その主任というのは労働組合員であるわけです。また第二組合員もいる。そういうところで盛んにそういう誹謗をしてすっと出る。そうして、事業用主任が自主的にその全林野を脱退しようじゃないかということを決議をする。そうして、そういうことを、言うことを聞かない者については、事業所主任会議で決定をしたんだから、おまえもう全林野を脱退しろ、こういうことを言っているんですね。そうして、それを当局者が主催をする会議で盛んに言って、その主任会議で決定するときにはそっと部屋を出る。こういうことを事実やっているんです。これは昨年の暮れのことです。十一月のことなんです。したがって、あなた方は、その労働組合についてはこれを分裂策動やっておりませんとかなんとか言っているけれども、そういう一貫した思想のもとに実は分裂策動というものを当局が指導をしてやっている。これは私は現実にそれを指摘をして当局に反省を求めて、そういう事実があるからひとつ、やめさせてもらいたいということを育っておきました。そういうことを事実やっているんですね。そういう分裂策動を積極的にやるようなところに信頼関係なんというものは生まれてくるはずがないでしょう。あなた方は、幹部のトップ・レベルだけで、相互信頼なんて……よく労働大臣は総評の幹部とお会いになっている。総評が今日、労働大臣はこれは破壊的な行動をやる組合だなんということをゆめにも考えておりませんわね。ところが、政府機関の末端の幹部は、そういう指導を受けて、事実そういう策動をやっているのであります。しかも、昨年の春ですかね、本庁の責任ある課長が行って主催した会合で、とにかく第二組合をつくれ、こういうことを堂々と言っている。しかも、それはある局の方針で、管理者の所長だとかその労務担当の会議である当局の会議であるのでありますから、その会議で、その管理者側の中から、営林局のそういう第二組合をつくれという方針は営林局の統一した方針なのかどうなのか、その質問が管理者の中から出ている。それに対して、それは統一した方針である、こう言っている。それから、具体的にどうやるんだ。おもしろい問答が行なわれているんですね。脱退させるのに一体どうやったらいいのだ。自分の職場のところの部下に、おまえ労働組合脱退しろ、第二組合に行けということを言うのは、すぐわかるからぐあいが悪いじゃないか。したがって、隣の署へ行って、前に署におった人が転勤して行っている、そういうのに働きかけたらいいのじゃないか、そのためには主張旅費をですかと、こう聞いているんですね。主張旅費まで出してやらなくても手近なところからやれと、こういうふうに言っておりますが、あなた、五年前や十年前のことじゃないのですよ。これは去年の話なんです。その当局の正式の会議でそういうことが行なわれている。それは、ある管理者から私に、こういう会議であったということを、ちょっと名前を言うとこの人に迷惑かかりますから言わないのですけれども、そういうことが現実に行なわれているんです。そういうところに一体労使間の正常化だの信頼関係なんというものは生れてくるはずがないのですよ、これは。現実に政府の関係機関の末端ではそういうことが行なわれている。で、私は農林省の関係者の幹部には、こういう事実があるからやめさしたらよかろうと言って、今日ではそれはもう改められている。それはまだ一年たっていないのです。そういう方針ではないということで、その実態調査もやってもらいました。そういう事態が今日あるという認識の上に立って、こんなことを言えば、これはもう前時代的な労務管理ですわね。不当労働行為であるということはもうはっきりしている。それは、証拠がつかめるか、つかめないかということによって提訴できるかできないかの問題があるわけなんですが、実際にはそういうことが行なわれているわけです。ですから、私はこの際政府は労使間の信頼関係というものをほんとうに、そういうふうに指導するというのならば、これはやはり末端の管理者に至るまでそういう指導というものがなされなければならない、こう思うのですがね、どうですか、労働大臣のひとつ御意見をお伺いいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/128
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129・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 私はただいま御指摘のような事実について詳細に知りません。したがって、事実関係はこれを除外いたしまして、一般論として申し述べますが、組合の中には、大ぜいいることでありますから、政治的信条あるいはものの考え方、まあいろいろ違っておりますし、そのために組合が分かれることもこれはやむを得ない場合もあると思いますが、管理者がそれに対して介入することは、これは間違いだと思います。そういう点につきまして、そういうことのないよりにいたさなければならないと、こう思っております。
それから、政府全体としてそういう考え方にあるかどうかということでありますが、実はこれは少しこんなところでお話しするのはどうかと思うのでありますが、労政担当者として考えれば、これは相手方が単一であることほど楽なことはないのでありまして、幾つもの組織に分かれますと、労使の間の調整どころではない、労使の間の調整に奔走させられるということもありますので、やはり私は、実際労政担当者の考えは正直のところそういうところにございますから、幾つかに分けていくことが政府の基本的な方針という事実は、これはございません。ただ、相互の信頼関係というものは、あくまで相互でございますから、やはり法秩序の中で、そうして近代社会の構成員の一人として——一人でない、非常に大きな存在としての責任を十分自覚されていくことがやはり相互信頼関係の回復の一つであろう、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/129
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130・北村暢
○北村暢君 確かに政府全体がそういり指導でやっているというふうには私は受け取りませんけれども、まあ、一時職場闘争が激しかったときに、日経連が指導した職場闘争に対する管理者の、経営者の指導をやった。これがそのまま受け取られて、相手の労働組合のいかんにかかわらず指導されたという形跡がある。それで、職場闘争に対するこまかい団体交渉の、ここでたばこを吸えとか、こういうときに便所に行けとか、そういうところまで指導がされているのです。そういうハンドブックが出ている。これは一切破棄しました。破棄させたのです。まだ残っているらしいのですが、破棄したということです。これはもう実物は衆議院の社会労働委員会で何回かこれを取り上げてやっておりますから、二、三年前からやっているので、事大については、まあ、実物を労働大臣に見せたらびっくりするだろうと思うのですが、そういうことが政府において行なわれておるということ。これはひとつ資料を出せと言われれば、あるので、出してもいいのです。そういう事実たがあるのです。
それから、労働大臣のおっしゃるように、私も、労働組合というのは、第二組合があったりなんだりするというと、これは職場は明朗化しませんし、決して事業の運営、業務の運営、そういう面においても決してプラスにならないと思っているのです。近代社会における労働組合というものを対等の立場において人格を認める、そういう中で私は労使間の正常化ができて、そのことによって事業の能率なり事務能率なり行政能率なりがあがる、こういうふうに理解をしておる。したがって、一部の管理者が、いま言ったような第二組合をつくって何てんびんにかけてやれば、片一方の努力をそげる、こういうような考え方というものは、いまどきこういうことを考えるばかはいないはずなんですが、現実にはおるわけです。そういうことでありますから、いま労働大臣のおっしゃられたようなことは私も賛成です。ぜひひとつ労使の正常化というものについては、労政担当者として、今後労働問題が、この条約批准をめぐって国家公務員の場合の団体交渉の問題も問題になろうとしているときでありますから、特に私は労働組合が何をやってもいいということではないので、労働組合もやはり慎むところは慎む、誠意を持って話すべきところは話す。そういうふうに近代化されていくことが必要だと思うのですが、ぜひひとつ、いま申し上げたようなこそくな手段による労働対策、労務対策といいますか、そういうものはひとつ、政府としても今後、そういう指導がなされておった事実があるのでありますから、ひとついま労働大臣の言われたような方向で指導してもらいたい。私も賛成であります。お願いいたしておきたいと思います。
それから、次にお伺いしますが、先ほど増原長官は、公務員の団体交渉等の問題については検討中である、こういうふうに言われたのでありますけれども、私は、八十七号条約批准にあたって国内法を整備してその体制をつくって批准するんだと、こういうんでありますけれども、このために今度の改正案も出たのですが、しかし、それ以前に、法律以前に、その体制というものを、かえって法律改正以前にいま逐次とりつつあるんじゃないかというふうに思うのです。それは何かというと、いわゆる労働対策としての管理体制の確立、これだろうと思うのですね。これは着々と行なわれているんじゃないか、このように思うのです。これは管理体制というのは、いままで国家公務員の組合、特にそういうところでは管理体制というのは、どちらかといえば、なかったと思うのですね。したがって、その体制を確立していくというのもわかるのでありますけれども、それを一体体制を確立していく場合に、どういうところに目標を置いて確立していくかということなんです。何か公務員の場合、すでに公労法適用の各組合と同じような考え方で管理体制を確立していくというようなふうに受け取れるのであります。ということは、どういうことかというと、管理体制のほうだけは、いかにも職員団体でなしに労働組合、こういうような権利を持ったものと同じような管理体制で右へならえをしていく。先ほどの小林君の質問に対して人事院総裁は、管理者の範囲についても、前に公労法の例があるので、それにならってやることになるのじゃないだろうかというようなことを言ったですね。そういう考え方自体が私は非常に違うのではないか。やはり法律は違うのですから、管理体制においても若干違うのじゃないかと思うのです。管理体制を確立していくという本本的な考え方を、公務員にも団体交渉権を与えるということ、近く与えるという考え方に立って、管理体制を確立していくのですか、どうなんですか。ここのところをひとつ増原長官にお答え願いたいと思います。その方針をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/130
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131・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 臨時行政調査会の答申の処理という形においては、先ほど申しましたように、まだその面における結論を残念ながら出すに至っておりません。しかし、このたびの条約批准に関連する国家公務員法の改正におきまして、御承知のように、公務員制度審議会をつくるということに相なっておるわけでございます。臨調答申の中にも、別に審議会をつくってこうした問題を討議することがよかろう。これは団体交渉権等についてこれを与える方向でという意味が得かれておるわけでございます。ただいまの政府の方針の段階といたしましては、国家公務員法改正に基づく公務員制度審議会につきまして、労働関係の基本について審議をしていただこうという形で、この問題を前向きに考えていこうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/131
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132・北村暢
○北村暢君 私そういうことを聞いているのではなくて、いま国家公務員、地方公務員でも、労働対策としての管理体制というものが非常に微弱であった。それで、いま政府は盛んに管理体制の確立をやっているのじゃございませんか。その管理体制を確立する基本的な方針というのはどういうところに置いてやっているのですか、こう聞いているわけです。管理体制が確立することをやっていないのですか、やっているのですか。やっているとすれば、その基本的な考え方はどういうことろに置いてやっているのですか、こう聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/132
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133・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) このたびの法律改正で具体的に考えておりますることは、御承知のとおり、内閣総理大臣を中央人事機構の一つとする。そうして、その下に人事局を設置しようという改正が提案されているわけでございます。これは、以前未定稿と申しますか、として考えられておりました人事局とはたいへん趣を異にするものでございまして、職員に対しまする利益保護というふうな面、公平保持というふうな面は、全然ここで人事院にそのまま置くわけでございまして、そういう方面についての変更はございません。公務員の人事管理ということばをつかっておりまするが、その全体の企画調整、各省庁等における人事管理の企画調整を内閣人事局、内閣総理大臣のもとで行なおう、国務大臣たる総務長官のところで行なわせようというわけでございます。これは、何といいまするか、一般の民間における労使関係の人事管理というふうなものとはこれは若干趣が迷うわけでございまして、公務員たる身分においてその勤務が全体の奉仕者として適確にいけまするような人事管理の企画なり調整なりをやろう。具体的な問題として問題に出ますのは、各省の人事交流などを活発に、上層部だけでなく、広く人事管理、人事交流を行なうなどというような問題が具体的に取り上げられ、これは可能な範囲において実施に移っておるというふうな問題もあるわけでございます。いわゆる職員団体を、通常民間で言う意味における人事管理の強化というふうな意味合いとは若干趣の変わったものでございます。しかし、公務員全体としての、臨調答申にもありまするいろいろな事項を改善をいたしまするためには、やはり中央人事機構の一つとして内閣総理大臣がこれを所掌する現在の公務員制度調査室、それに乗っかっておる公務員担当という形では全体の企画調整がうまくいかないという意味のものを人事局として置こうということでございま発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/133
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134・北村暢
○北村暢君 いま人事局の問題が出ましたが、私どもは、この人事局の設置は、やはり公務員に団体交渉権を与えるという前提のもとに私どもは考えておる。それでなければ人事局というものの必要性というものを認めない。したがって、臨時行政調査会の答申においても、中央階段における団体交渉のやり方というものについて一応明確な線を出しておるわけです。したがって、その団体交渉をやる一つの形として人事局のようなものは必要でないか、こういう意見を持っているのです。したがって、これは私の意見でありますから、今後公務一制度審議会で検討せられることである。また現在総評と政府との間で話し合われている問題でもある。したがって私は、この問題について深くは触れません。深くは触れませんが、人事局設置というのは公務員に団体交渉権というものを認めるということが私は最大の前提ではないか、こう考えておるのです。しかし、遺憾ながら、今度の改正案にはそういうふうになっておらないわけですね。したがって、これは私の意見でありますから、ただ、中央段階のことをいま増原長官は答弁なされておるのでありますが、中央段階でなしに地方の階段、さらに県よりもまだ下の段階、こういう階段においても、今日管理体制というものについて着々として整備をなされておるのではないですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/134
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135・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 北村さんの言われるような意味合いにおける人事管理を着々固めておるというふうなことは、自治省町所管の地方団体についても特別にはないように承知をいたしております。やはり公務員の勤務が国民に対する適確なサービスが親切に迅速に行なわれるという意味の事柄についての改善をはかるという意味では努力をしておりまするが、これも実は具体的なまだ指示が出せるように臨調答申をそしゃくはし切っていないという段階にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/135
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136・北村暢
○北村暢君 管理体制を確立しているということは、これは一つ農林省の例をとりますし——農林省ばかりでないと思いますが、今年の一月一日からいわゆる管理職手当、調整額表ですね、これの支給する範囲というものを拡大をいたしましたれ。これは人事院規則を改正して、管理職手当を支給する範囲というものを大幅に拡大したんです。農林省だけでも約三千名くらいその該当者が出てきておる。で、今度の改正案によりますというと、管理監督の地位にある者、それから機密保持の者。したがって、公労法関係の管理職手当をもらっている者以外でも非組合員というのはたくさんいるわけですけれでも、管理職手当をもらっていて組合員になっている者は公労法適用の組合員にはないわけですね。ないわけです。したがって、将来、この管理職手当に該当するものをもらっている、調整額表をもらっている者は、これは一般職の職員団体にはならないんじゃないか、私はそう思うんです。したがって、末端において、政府はすでに、いままで現行法における管理者的な人が組合員に幾らもなっているわけです。それをすでに整理をして、管理者になる者と管理者でない者と、それは改正法では人事院規則によってきめることになっておる。その人事院規則が出る以前に、すでにもう準備としてそういうことが行なわれておる、こう見て差しつかえないんじゃございませんか。先ほど、この点については、これは超過勤務を支給するのしはなくして、超過勤務でなしに、一定の調整額でやったほうが適当なことで、給与政策上のことでやっているのであって、これは管理者とかなんとかいうことと関係はない、職員団体関係のこととは関係ないことで、給与政策上でやっているんですと、こう言っているんですけれども、この給与政策上のことが必ずこれは職員団体に影響してくる。事実上、この管理職手当が本年の一月一日から支給せられることになって、この何千名かの組合員はどんどんいま全農林という労働組合から脱退をしている。また脱退をするように指導している。事実そうなっている。したがって私は、法律なり人事院規則なりできめられる以前に末端における管理体制を確立しておるんではないかということを質問しているのは、そういう事実に基づいて質問している。どうなんですか。いま全公務員でこの調整額表の俸給をもらう、調整額をもらうのは一体どのくらいいるんですか。人事院総裁と増原長官から答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/136
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137・岡田勝二
○政府委員(岡田勝二君) 改正法案のもとにおきまして、いわゆる管理職員等の範囲は人事院規則で定めるということになっておることは御承知のとおりであります。そして、いまお話に出ました管理職手当、国家公務員につきましては俸給の特別調整額と言っておりますが、これを支給する範囲も、現行法のもとにおきまして人事院規則で定めることになっておるわけです。したがいまして、たとえば、御指摘のように、農林省限りでこの範囲まで出す、もっと下げるというふうなことができるものではございません。したがいまして、いずれの規則にいたしましても人事院がおやりになることで、そこは中立公正な機関としての人事院が、それぞれ給与政策上あるいは職員団体制度上の必要性に基づいて認定しておきめになることと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/137
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138・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 現在の管理職弁当の性格については、先ほど申し上げたとおりであります、ただいまその全体の人数をお尋ねでございましたが、たしか二万九千人になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/138
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139・北村暢
○北村暢君 この二万九千人も、国家公務員十六、七万だと思うのですが、国家公務員の中で二万九千人も管理者がおるから管理職の職員団体をつくらなければならなくなってくるのです。これは、おそらくこの管理職手当をもらっている以外に非組合員というものがこれからおそらく出てくると思います。公労法適用の組合からいくというと。いま現実に管理職手当をもらっている者が二万七、八千名もおるのですから、おそらく管理職手当をもらわない非組合員というのが出てくるに相違ないのです。そうすると、これは先ほどの午前中の小林委員の質問のように、どうもわけのわからない管理職組合というのが、こういう膨大なものをつくるからつくらざるを得なくなってくる。いままではその必要なかった。岡田室長はいまの答弁で、給与政策上のことでなくて、職員団体、労働組合対策としても、管理対策としても、政策上やるのだと、こういうことを言っておるわけです。人事院総裁の答弁と違います。人事院総裁は、給与で超過勤務を支払うには不適当で、一定額の調整額をやったほうがいいのだ、こういうことのためにやったのだと、こうおっしゃっているのです。いまの岡田さんはそうじゃない。それもあるけれども、労務対策上も、管理体制の上からいっても必要だからやった、こう言っているのです。だから私は、岡田さんは正直だと思います。これは、やはり給与政策上だけではないのです。だから、確かに労務対策として管理体制を確立する意味においてこれがなされ、しかも、これは本年の一月一日から行なわれている。人事院はそう言って改正をしておる。これは、何かの意図がなくして膨大なこういう調整額表をもらう者をつくるはずがない。したがって、これは私は増原さんにお伺いしたいのは、中央の団体交渉というものを想定するばかりでなしに、県段階なり、そのまた末端の段階においての管理体制を確立するということは、交渉ということを想定をしてその管理体制をつくっているのじゃないか、ここが聞きたかったのです。そういう末端まで交渉の能力のある交渉を想定されてこの管理体制というものを確立しているのじゃないか。このよりに想像するのですけれども、そうじゃないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/139
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140・岡田勝二
○政府委員(岡田勝二君) 先ほど私がお答え申し上げたこと、私の申し上げたところと違った趣旨にお取りいただいているように存じましたので、もう一回申し上げます。
俸給の特別調整額、通称管理職手当てというものは、これは超過勤務の意味からいうと、いわゆる給与政策上の観点からその範囲がきめられるものであるということに対しまして、改正法案のもとにおきまする管理職員等の範囲、これは労使関係における立場が異質であるという労使関係、職員団体制度の立場からきめることでありまして、この混淆をして申し上げた趣旨ではございませんので、念のため申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/140
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141・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 職員の人事管理は、団体交渉という考えで中央も地方もやっておるのではないかという御趣旨であったかと思いますけれども、現在のところ、政府として国家公務員法改正の提案の段階では、そうした問題は公務員制度審議会で審議をしていただくということで、団体交渉その他の労働権をフルに職員団体に認めるという前提で今度の国家公務員法の改正をまだいたしておるわけではございません。したがいまして、これは公務員制度審議会でひとつ慎重に御審議を願っていく。したがって、いまの人事管理——中央に人事局を設ける等のことは、そういう趣旨を持っておるわけではございませんで、公務員としての、全体の奉仕者としての全体の企画調整を人事局ではやっていく。各それぞれの単位においても、そういう趣旨の管理のひとつ整備をしてもらおうという趣旨は持っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/141
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142・北村暢
○北村暢君 いま申し上げたのはね、現行法においては、私は、こういうこと、管理職手当を大幅に、やることについては、これはまことにけしからぬことだと思っているのです。先ほども言ったように、これは労働組合に対して、このために非常に大きな紛争が起こっているのですよ。この管理職手当てをもらったところは、何か偉くなっちゃったつもりで、労働組合からどんどん脱退するのですよ。脱退しているのです。したがって、人事院は給与政策上やったと覆うけれども、人事院の意図するところは、管理職手当をもらったから組合から脱退しなさいとは何も言っていないはずなんです。ところが、末端の各省庁に行くというと、どうも管理職手当をもらったんだから労働組合にいるのはおかしいじゃないかというようなことで、示唆をし、そしてどんどん脱退をしていっている。これは一面からすれば、労働組合の団結権に対する不当な私は放棄的な意図を持っての、分裂と言うよりは労働組合をくずしていくんですね、これは。破壊していくというか、そういう作用が現実に起こっている。また、各管理者はそういうふうに指導しているようですね。したがって、これは労働組合に対して大きな混乱を今日与えておるのです。これをほうっておくということはおかしい。現行法のもとでは私はこれはおかしいと思う。明らかに、この改正法が成立して人事院が、一般職の組合員じゃないという者とはっきり人事院規則できめたならばこれはしかたないとしても、それ以前にすでにもうこういうことが指導として行なわれているということについては、私は納得いかない。しかも、これは膨大な数なんですね。全公務員について二万七、八千人というのでしょう。それじゃ、一月一日以前は管理職手当をもらっていたのはどのくらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/142
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143・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) だいぶふえております。一万一千であったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/143
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144・北村暢
○北村暢君 この点は、もうあまりやっていてもあれですから終わりますが、給与政策上やったというのですけれども、これは給与に関する問題ですから、職員の意思も十分聞いて、こういう改正をやっていくときにはやってもらいたいと思うのです。これは一方的に人事院が規則改正でもってこういうことをやられるということは、せっかく第三者機関としての人事院の性格が、人事院はろくなことをやらないというふうに批判を受けるというのは、こういうことから起こってくるのですよね。ですから、人事院は慎重にやっていただきたいと思うのですけれども、とにもかくにも、これを末端の人から言わせるというと、何か管理職手当だなんと言ってくれるけれども、超過勤務手当をもらっていたほうがずいぶんよけいもらっておったと言うのですね。管理職手当になってから減ってしまって大打撃を受けて、全農林は、そういうことをやってもらってはけしからぬじゃないか——労働組合がやったと思っているのですよ。人事院が一方的にやったことを労働組合がやったと誤解している人が出てきているのですよ。したがって、かえって手取りが減ったと言う人が出てきちゃった。たいへんな問題なんです。給与政策上給与をふやしてくれるならいいけれども、減らすようなことはあまりやらないほうがいいと思うのですね。そういう誤解を受けるくらい問題が起こっているのです。ですから、そういう給与上の問題については、やはり人事院はもう少し慎重にやってもらわなければならない。給与上の問題でなしに、労働対策の問題として必ず出てくるという配慮もしていただきたかったと、このように思うわけです。
この問題はそのくらいにして終わりますが、次に、人事院は、今度の改正法においては、一部の所管が人事局に移るだけで、大体改正法においては、従来の人事院の性格とほとんど同じで変わらない、まあこういうことなんでありますが、私は将来を考えるというと、やはり人事院の性格というものについて、もう少しやはり総裁は人事院のあり方というものについて、公務員に喜ばれる人事院になってもらわなければいけないのではないか、このように思うのです。そこで、公平審査の制度について公務員に喜ばれる人事院になっていない。いろいろな点について今後改善の意思があるかどうか、ひとつお伺いをいたしたいのですが、公務員が労働組合をやったり何かすることによって不利益を受けない、こういうことになっておるのです。しかしながら、公平審査の請求をした場合に、その公平審査そのものがどうも公平にいっておらぬ、こういうことなんです。その一つの具体的な例として、いわゆる処分者側、不利益を与えた側、当局側は、当局側の証人あるいは代理人、これは一切当局の出張で出頭いたしておりますね。ところが、公平審査の費用の負担においては、これは政府側と請求側と平等におのおのが負担するということになっておるのに、結局、請求者側の代理人あるいは証人、これはすべて請求者の負担なんです。一方は国家機関でありますから、国の予算をふんだんに使って弁護人も証人も全部公費でできる。請求者側は、これはもう個人であります。個人で証人なり代理人の費用負担なんといったって、とてもできない。結局、呼びたい証人も呼べない、代理人になってもらいたくても出れない、こういう結果になって、実際の審理が公平にいかない、こういう結果になっておるんですね。これをひとつ改める意思があるかないか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/144
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145・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) かねがねそういうような御意見は承っておりますのですけれども、突き詰めてまいりますというと、いまのおことばにもございましたけれども、結局、処分をやった当局者というものがその公の立場での処分についての弁明なり何なりをするということになりますから、これはどうしても役所の仕事と言わざるを得ないわけであります。これに対して、請求をされるほうの側はやはり個人として見なきゃならぬというところに根本の立場の違いがどうもあるのではないかということがまあ考えられるわけです。しかしながら、おっしゃるようなこともございますので、これは御承知であろうと思いますけれども、私どもとしては、そういう面において請求者のほうの負担をできるだけ増さないように、それぞれ請求者のおられる現地までわざわざ出張をいたしましてそうして出張審理をやっているわけです。そうすると、今度は逆に処分者側が出張旅費をもらってそこまで行かなきゃならぬということで、出張旅費の問題などがちょっと目立った形になります。私どもの本来の心がまえは、そういう趣旨で、そういう点を考慮してやってまいる、ただし、いまの根本の問題については、先ほど申しましたとおりでありますけれども、なお何らかの方法があれば考えたい、こういう気持ちであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/145
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146・北村暢
○北村暢君 たとえば弁謹上の場合なんかですね、国はもう優秀な弁護士をどんどん雇って弁護をやっている。ところが、一介の公務員である請求人が弁護士を雇うということは、個人の経済的にいってとてもできないですね、裁判であれば、個人にその支払い能力がなければ、国選弁護人という制度がある。ところが、公平審査の場合はそういうことがないんですね。これなんかも一つの制度上の不備だと思うんですが、弁護士の問題について、この制度上の不備の問題について検討される意思があるかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/146
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147・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) ただいま申しました趣旨から申しますというと、制度上の明らかなる不備というところまでは率直に申しましてわれわれのほうとしては考えておりません。しかし、たまたまその当事者の中に弁の立つ者がおったために、その弁にこちらが引きずられて、そうして不公正な判断をする、そういうことは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/147
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148・北村暢
○北村暢君 そういうことを聞いてるんじゃなくして、弁護士の費用負担の問題についてですね、国選弁護人のような制度というものを考えてもいいんじゃないかと思うんですよ。したがって、そういう意味のことを聞いておる。何も不公正な審理をやっているということを言っているんじゃない。
それから次にお伺いしたいのは、公平委員会の独立性の問題ですが、これは、御存じのように、公平委員は人事院の職員から人事院総裁が任命することになっておる。そうして、その判決は、公平審査に当たった公平委員の意思そのものではなくて、人事宜が最終的にきめる、こういう制度になっているようですが、絶対に裁判と同じというわけにはいかないのでしょうけれども、公平審理に全然立ち会わない人事官が最終的に判決に対して意見を育って訂正することができるような形になっていることは、どうもこの独立性の問題からいって問題があるのじゃないか。そうしてまた、第三者にこの公平委員を依頼することができるわけですね。ところが、いまだかつて第三者に学識経験者なり何なりに公平委員を依頼したということはないようであります。全部——まあ全部というか、ほとんどというか、人事院の職員によって行なわれている。この点が、どうも公平委員会の審理の独立性という問題について疑義があるように考えるのであります。したがって、この点について、公平委員に任命されて事実この審査に当たる者はなるべく第三者がいいのじゃないか、公平な判断ができるというふうに——これも人事官が任命することになるわけですけれども、第三者というものにやらしたほうがいいのじゃないかという意見があるわけです。これに対する見解をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/148
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149・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 前段の弁護士の問題は、最初お答えしましたとおりで御了承願いたいと思いますが、先ほど弁の立つ人に引きずられるようなことはないと申しましたけれども、やはりそういう点も公平委員は十分考えて、そうしてむしろこっちで考えの足らないところを補ってやるくらいのつもりでやっておるということを、いま公平局長から耳打ちされまして、明らかにしておきたいと思います。
それからあとのほうの問題は、これはなかなか重大な問題で、私自身も、率直に申しますというと、地方の公平委員会なり地方の人事委員会がやられますときは、人事委員そのものが出て直接審理をやっているわけです。あるいはむしろ先ほどお話しになった公平な第三者といえば、われわれ三人の人事宜、これがまあ一番公平な第三者であろうと思うわけであります。その三人が直接審理に当たるということがおそらく理想的な姿であろうとこれは思います。ところが、御承知のように、たいへんなこれは件数でございまして、われわれが三人がかりでとうていこれはこなせることではないというところから、おそらくいまの公平委員の制度をつくりまして、そうして公平局の職員の中からそれぞれの適任者を三人ずつ選びまして公平委員会をつくる。この公平委員会というのは、相当たくさん同時にできているわけであります。これらがみな手分けをして一生懸命にやっている。この人事院職員も、また申すまでもありませんけれども、普通の一般の政府職員の立場とは全然違う。独立機関である人事院の、しかも中立公正なるわれわれ三人の人事官のもとにおいて任命され職務を行なっているものでありますから、この公平性についてはこれを御信頼いただきませんと、何とも話が進まなくなるということになります。ただし、公平委員といえども、先ほどおことばにありましたように、専門外のことは出てまいる。たとえば、医者の知識を要するような問題などは最も顕著な事例でございます。そういう場合には、それぞれの専門家を公平委員会の中に加える——もうすでに実例もございますし、加えてやっているということで、まあ現存のやり方はやむを得ないのじゃないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/149
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150・北村暢
○北村暢君 まあ、公平委員会の審理は、別段労働組合関係のことに限ったことではないわけでありますが、労働組合関係の事案についても、労働委員会、公労委等の調停と違いまして、申請人は個人であるわけですね。ところが、往々にして労働組合の関係の問題になるというと、労働組合が法人格が提訴をするということがあり得るのじゃないかと思うのです。あり得るのじゃないか。これは認められておらないんじゃないかと思うのですが、今後の運用としてこれは法律改正しなければおそらくできないだろうと思うのですが、どうでしょう、労働組合が申請人であるということは今後ともあり得ないことなんでしょうか。そこら辺の見解をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/150
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151・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 人事院でやっておりますもう一つの仕事であります措置要求につきましては、おっしゃるとおり、労働組合が主体となって要求書を請求をされることをおそらく認めておると思いますが、こちらのただいまの公平審理のほうは、これは何としてもたてまえはやはり当法被害を受けた公務員個人ということになりますから、筋はどうしてもやはりこれは個人がたてまえになるのじゃないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/151
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152・北村暢
○北村暢君 そこで、その公平委員会に不満が出てくるわけなんです。ということは、労働組合運動に対する当局の介入、あるいは団体交渉——まあ団体交渉ということばは公務員の場合使わないのかもしれませんが、団体交渉を否認した場合、こういうまあ労働法からいえば不当労働行為、この不当労働行為に関する問題は公平審査の対象にならない。ならないですね。したがって、この不当労働行為に該当する問題はどこへも持っていきよりがないんです。今日。どこへも持っていきようがない。こういう状態になっていることについで、労働組合から不満の出るのは当然なんであります。救済措置がない。これについてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/152
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153・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) おことばのとおり、公務員については不当労働行為というそのままの観念はございませんけれども、われわれは、公務員法の全体から申しまして、同じようなものがやはりそこにあるので、それの救済というものは当然考えられるべきものだという前提に立っておるわけであります。ただいまのような交渉の申し出に対して、不当にこれに応じなかったという場合は、先ほどちょっと触れました措置要求の形でわがほうに提起されることができる。現にそういう請求が相当ございます。われわれのほうで扱っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/153
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154・北村暢
○北村暢君 たとえば、この措置要求というような形で救済措置ができるというような解釈でありますけれども、実際に人事院の性格上からいって、第三者機関という立場で、労使間の紛争が起きた場合に、これを調停、仲裁するという性格は持っておらない。したがって、不当労働行為という概念のものはないけれども、交渉に応じなかったというようなものについては措置している、こういうことですけれども、この不当労働行為的なものについての規定というものがないんじゃないですか。その交渉に応じなければならない理由、役務、こういうものについても、登録組合と非登録組合でもって差がある。その解釈のしかたいかんによっては、不当労働行為に該当するとも思われるし、そうでないとも言える。いろいろな解釈が自由にできるようになっているんですね。したがって、私は、労働組合に対する不当労働行為のようなものは、やはりある程度明確に規定をして、そして人事院が第二者的な性格をもって救済措置をすることができるような形にもっと明確にすべきじゃないか、このように思うのですが、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/154
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155・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) まあいやが上にも明確にしていただくことについては、全然異存はございませんけれども、しかし、先ほども申しましたように、たまたま不当労働行為というような労働法にありますようなそのままの条文がございませんけれども、職員は正当な理由なしに不利益な扱いを受けないというような条文も公務員法には出ておりますし、かたがた、公務員法全体の趣旨から申しまして、そういう不当労働行為に対する防衛というものは当然あるものとわれわれは信じて、また、その趣旨でいままでやってまいっておりますし、今後もそういう気持ちで臨んでまいりたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/155
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156・北村暢
○北村暢君 この点は、今後の研究課題として十分ひとつ御検討願いたいと思うのですね。
それから次に、人事院規則には明らかにあるんですが、懲戒処分は交渉の対象にならないということが人事院規則にはっきり出ておった。ところが、今度の改正案では、これがないようでございます。したがって、懲戒処分は交渉の対象になる、このように考えて差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/156
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157・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) その点に関係のある条項といたしましては、今度の改正案では、管理運営事項は交渉の対象にならない、こういう形であらわれておると思います。したがって、その管理運営事項云々の表現と現在の懲戒の問題がどうかみ合うか、これはひとつ立案者たる政府のほうにお尋ね願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/157
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158・北村暢
○北村暢君 それじゃ、増原国務大臣にお伺いしますが、
〔委員長退席、理事竹中恒夫君着席〕
ILOの委員会の審理における岡田さんの陳述の中には、懲戒処分であっても労働条件に関する問題については団体交渉の対象になるのだということを述べているように記憶しておるのであります。懲戒処分は、労働条件に関するものは交渉の対象になるのだ、このように、言っておるんです。で、改正法の中では、管理運営事項は交渉の対象にならない。したがって、懲戒処分というのは管理運営事項であるのかないのかというのが問題になる。ところが、明らかに懲戒処分でも労働条件に関するものは交渉の対象になるのだということをILOの委員会における陳述において明確に答弁しておるのですね。そういう意味からして、私は懲戒処分は交渉の対象になるんじゃないかというふうに理解をしておるのですが、この解釈で差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/158
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159・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 懲戒処分そのものは管理運営の中に入る概念でございまして、懲戒処分そのものが交渉の対象になるとは考えておりません。ただ、懲戒をされた結果、労働条件の問題に関連をするような事項が出てまいりました場合に、その労働条件に関する問題について交渉の対象になるというふうに理解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/159
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160・北村暢
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、現行法の九十八条の五項で、これは同盟罷業、怠業等争議行為をなした場合の規定でございますが、この場合に、こういう争議行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、あおったという場合ですね。この場合に公平審査の請求というものを棄却をしておる、これは労働組合の活動上非常に不利益になっているんじゃないか、このように考えるわけです。で、あおり、そそのかしたのか、共謀したのか、または計画したのかということについては、審査の要求があったならば、これはやはり公平審査として受けていいんじゃないか、こういうふうに思うんです。したがって、労働組合と使用者である政府との剛に紛争が起きて、いやこれは計画したんじゃないとかなんとかいっても、一方的に処分されてしまう。こういう場合に、国家公務員法の不利益処分を受けないという原則からいっても、その主張をする機会というものは与えるべきでないか。したがって、人事院は第三号機関としての性格をみずから放棄したんじゃないか、放棄することになるんじゃないか、このように考えるわけです。したがって、これらは、公務員の身分保障の関係からいって、当然申請を棄却するということではなしに、正当に受理して審理すべきではないか、このように思うのですが、この点についての見解をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/160
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161・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) お尋ねの問題は、その次の項に第六項がございますね。六項ですか七項ですか、これこれの「行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。」という、こういう非常にドラスティックな——ことばは言い過ぎになりましたけれども、強い規定があるわけでございます。これがありますために、一体どうこれを扱っていいかということが出発点になるわけでございます。これは、沈みようによりますと、争議行為をやったというような処分に対しては、もう一切門前払いだという考え方もあるかと思いますが、これはひど過ぎやせぬかということで、私どものほうとしては、まずこういう事実をやったかどうかというところまでは普通の審理と同じようにとことんまで究明いたします。それが明らかになってくれば、これはしかたがない、次の項が働くということで棄却するというような形にしております。そこまでは現行法の趣旨に基づいてやれるだろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/161
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162・北村暢
○北村暢君 それからもう一つ、法務関係は見えておりませんな。——来ていなければ、質問はやめましょう。
それじゃ、次に、公正審査に関係する問題で具体的に起こっておる問題を一つお伺いいたしますが、それは現在公平委員会で審理中の問題でありますが、中国農試の関係している問題です。これについて請求者側が申請している証人に対して当局側が圧力を加えているという問題です。請求者側が証人を請求しているのに対して、その証人になることを拒否する、行かないほうがいいぞといって上司がそれを利益誘導の形で、君は証人になるというと、将来、何というんですかね、昇格というんですか、昔でいえば出世することに支障になるぞ、こういうことで圧力を加えているんですね。実際には、その上司が、公平審査委員会のある日だろうと思うんですが、「きょうのところは会う機会がないんだけれども、どうかあとで損をしないようにお願いしますよ」、こういうようなことで、証人に出る者に対して面接的に圧力を加えていますね。こういうことが現実に行なわれているわけです。これでは幾ら公平委員会が正しい各理をやろうたって、出てくる参考人が圧力が加わっちゃって自由にものがしゃべれない、こういう状態では、公平審理そのものがうまくいかない、こういう結果になるんじゃないか。これは、当局側の弁護士からは、それはしゃべることは自由なんだから、そういうことはあっていいんだ、こういうような是認した形に言っておるんですね。これでは公平委員会というものはうまくいかないんじゃないか。これに対しては、人事院総裁の見解を承ると同時に、農林省当局にも、あなたのところでは、こういう問題に対してそういう半分おどかし的な卑劣な手段方法を講じて公平審理に臨もうとしているようなんですが、いろいろ当局は当局なりに公平審査に出る場合に作戦を練って行く場合に、こういう卑劣なことまでやるように一体指導しているのかどうなのか、これは農林省の方針を承っておきたい。人事院総裁も答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/162
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163・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お話しの点、中国農試でそういうような事態があるということをわれわれも承知いたしまして、現状の調査も重ねていたして今日に至っておりますし現状では、その名刺に書いて渡したというような事柄が人情でありますけれども、ことさらに証人に立とうとした人に対して圧力を加えたという事実関係はないというふうに考えております。証人に立とうとした人といわれておる本人について当たってみたのですが、本人が進んで証人に立とうとしたという関係もなさそうであります。重ねて申しますが、当局としてそういうことを悪意、故意に制肘するというふうなことをことさら指導しておることは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/163
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164・北村暢
○北村暢君 名刺に渡したというのは、ここに名刺の写真をとったのがありますが、名刺だけの問題じゃないんです。これは中国農試の松江でこの審理はやっているのでしょうが、そこへ出てきた際に、ここは中国農試の畜産部というのですが、その部長の部屋へわざわざ呼んで、そして、組合のほうではこれこれの証人を呼ぼうとしているようだけれども、この総務関係からは証人としては出さない、出すというとこの者の将来を傷つけることになるので出さないのだ、こういうようなことで、はっきり言っておるんです。これは証人に立てるといえば立てるのですが、いま言ったようなことを、指導はしなかったのかもしれないけれども、末端の管理者が独断でやっているのかもしれませんけれども、こういうことが事実あるわけです。これについて、この請求者でなしに、全農林の本部から人事院に対してこういう公平審査は中止してもらいたいということの申し入れが行なわれておると思うのです。したがって、私はあまりこまかいことはわかりませんけれども、そういう事態にある公平審査というものについて、人事院はどういうふうな態度で臨まれるのか、この点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/164
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165・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 御承知のように、証人にも二通りございまして、公平委員会が職権をもって、喚問する証人というのがございます。これはわれわれのほうで全責任をもって喚問した証人でございます。公務員法には、それらについてのただいまお話しのような事柄に対する罰則規定があるわけであります。ところが、いまお話しの点は、請求者のほうからの証人であります。われわれのほうからいうと、直接は実は関係のないことなのであります。しかし、これは、とにかく理想の形からいいますと、たいへん好ましくないことだとわれわれは当然思います。いまお話しの事件は、関係の組合のほうからの多ぶん申し入れだったと思いますけれども、自主的に解決するからしばらく審理を待ってくれというお話で、お待ちしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/165
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166・北村暢
○北村暢君 それじゃ、次にお伺いいたしますが、二、三労使紛争のいろいろな問題になっておる問題についてお伺いいたしたいのですが、勧奨退職のことについてお伺いいたしますが、まず、退職を勧奨することができるのはどういう場合なのか、これは私あまりこういう面は詳しくないので、この事情を若干どなたか説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/166
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167・岡田勝二
○政府委員(岡田勝二君) 公務員法上では、免職ということに対する規定はございますが、辞職という場合の規定を直接持っておりません。辞職する場合につきましては、人事院規則にその規定があるわけでございます。本人の申し出があって、任命権者がこれを承認するという形で辞職承認が行なわれるわけでございます。で、ただいまお話しの退職を勧奨するということは、その辞職の申し出をするようにということを適宜の人が本人にすすめまして、その結果、本人が辞表を出し、それを任命権者が承認する、こういう形になって手続が進んでいくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/167
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168・北村暢
○北村暢君 それじゃ、具体的にお伺いいたしますが、「退職勧奨の取扱いについて」という農林省の三十七年五月二日の三十七秘第三百九十二号農林次官通達が出ておるのですが、これの内容について、考え方をひとつ農林省のほうから説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/168
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169・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。お話しの三十七秘第三百九十二号で勧奨職退の取り扱いについて通達を出しております。で、その後三十九年の三月二十日になりまして同じく農林事務次官から「退職勧奨の取扱いについて」という通達を出しまして、前の三十七年の通達を廃止しておる経過になっております。要するに、国家公務員等退職手当法あるいはその施行令等で勧奨退職の規定があるわけでございます。本人のいままでの勤務の実態、将来の生活についての安定の度合い等を考えまして、差しつかえない者には勧奨するということを原則として定型化した通達であります。で、勧奨に応じなかった場合、あるいは、それに準ずる場合——と申しますのは、勧奨を受けて一年以内に退職しないというような場合には、原則として将来にわたって勧奨退職の取り扱いをしないということを骨子としたものであります。ただ、あくまでもそれぞれの個人に対する措置でございますので、善意と十分な慎重さをもって対処するようにということを三十七年に言っておるわけでございます。三十九年にはどういう点を変えたかと申しますと、職種によりまして勧奨退職をする基準の年齢についてのさらに内訳を明らかにしましたことと、それから退職手当の取り扱いとしまして同じように一年以内に退職をしなかった場合には勧奨退職の取り扱いをしないという原則をきめておりますが、そのほか、退職勧奨の記録等について細目をきめまして、三十九年四月一日から施行するということにいたしまして、三千七年の通達を廃止したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/169
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170・北村暢
○北村暢君 いずれにしましても、国家公務員等退職手当法の解釈を拡大して、実際的には一回の退職勧奨に応じた者は退職、手当法の四条、五条を適用して退職手当が増額になるが、そのときに応じなかった者については四条、五条は適用しないのだということを明確に通達を出している。四条、五条の精神は、一回の勧奨退職に応じなかったらいかぬとかなんとかいうことは一つも出ていない。しかも、これは一回の勧奨退職に応じなかったときにはそれを記録にとどめるということを印鑑を押さしてとっておるんですね。こういうことは、次官通達でやっていいのかどうなのか、ほうっておいていいのかどうなのか。私は明らかに行き過ぎでないかと思う。こういう点について、人事院は——この退職等については、やはり給与等に関係が出てくる関係ですからね。したがって、一次官が法律の精神を逸脱してこういう通達をかってに流していいのかどうなのか。これは農林省だけでなしに、ほかの官庁全部そうなっているのかもしれませんけれども、一体こういうことを妥当と判断されているのかどうなのか、私は、明らかに行き過ぎだと判断しておるんです。こういう点についての見解をひとつお伺いしたい。
それから公務員の退職、手当法の関係は、これはどこが所管ですか。——大蔵省ですか。大蔵省だというと、大蔵省の関係者はきょうはいないわけですね。ですから、これは給与に関係がありますから、人事院総裁だけでひとつ答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/170
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171・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 退職手当法は、御承知のとおり、大蔵省の所管でございまして、そのもの自体は私ども所旭日に持っておらぬということであります。私どもが最も関心を持ちますのは、勧奨退職に名をかりて一方的の首切りと同じようなことが行なわれるのじゃないか。また、そういう面についてのいろいろな不満もわれわれの耳に入っておるわけであります。また、それについての不利益処分の審査請求も出ているケースがございます。そういう関係から、われわれは常に関係各省に注意いたしまして、行き過ぎのないようにという努力をしておるということを申し上げまして、他は大蔵省その他からひとつお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/171
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172・北村暢
○北村暢君 現実の問題として、こういう農林次官の行き過ぎの問題ですよ。紛争が起こるのは、この次官通達のとおりにやって紛争が起こるんです。したがって、私は次官通達そのものが行き過ぎじゃないかと、こういうふうに思うんです。法律を逸脱しておるのじゃないか、こう思うんです。したがって、この次官通達は法律に違反の疑いがあるのじゃないかと、こう思うんです。その見解を明らかにしていただきたい。こういうことなんです。これは法制局は来ているですね。法制局にも話しておきましたから、法制局からも法制上の見解をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/172
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173・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 一応私からお答え申し上げますが、先ほど申しましたように、われわれの最も関心の対象としておる重点は、行き過ぎた首切りと同様の、一方的罷免と何様のことになりはせぬかという点が重点であります。一方、いろいろのケースを見ておりますというと、退職手当法の勧奨をめぐる問題として、退職者のほうがいつでも都合のいい時期に、むしろ退職者の便宜のために勧奨をやってくれという面が極端な場合を考えますと出てくる。これでは、全く自由な辞職、自由な退職に対して五割の割り増し金をつけるということになって、これではまた筋が狂ってまいります。おそらくその辺のところの両極端の中間を考えていろいろ各省で努力されておるのじゃないか、そこまで私は推察でございますけれども申し上げさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/173
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174・関道雄
○政府委員(関道雄君) 勧奨を受けまして退職をする者に対して退職金の取り扱いにおいて有利な地位を与えるという制度になっておりますが、この勧奨と申しますのは、全く人事管理当局が人事管理上の必要を考えまして行なうものでございまして、いま人事院総裁からお答えを申し上げましたとおりに、これを必ず退職するときには勧奨をまず先行させて退職するというような慣行になりますれば、いまの退職金の制度は趣旨が非常に没却せられることにもなりますし、おそらく、農林当局においては、一括して一定の基準で不公平のないよりに勧奨を行なうという制度を立てる必要上そういう通達をしておるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/174
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175・横川正市
○横川正市君 関連して。これは国家公務員関係の事実上の認定のしがたい問題でありますけれども、慫慂された場合に、四条ないし五条を適用して、退職金の判り増し支給をやっているわけなんですが、それが各省の事務次官とか局長で、今回も明確に出ておりますが、参議院の選挙の候補者になるということを一つの目的でもってやめておるといり事実がある場合には、やめるのですから、退職金を出すことはかまわないのですけれども、これに対して割り増し金をつけてやめるということについての見解をひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/175
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176・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 公務員担当ということで私がお答えをいたしまするが、ちょっと事情がよくわかりませんので……。まあ御承知のように、勧奨退職ということは、制度上は一応認められて、割り増しをつけ得るようにもなっておるわけですが、おっしゃるようなとおりのことが行なわれておるかどうかということについて、ちょっと事情をつまびらかにいたしません。その場合に、勧奨をどういう形でやりましたか、事情を調べましてからお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/176
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177・北村暢
○北村暢君 時間がないようですから、ごく簡単にもう一問だけ御質問いたします。
それは、これも農林省の次官通達で出ている「刑事事件に関し起訴された場合の身分の取扱いについて」という通達でございますが、これによりますというと、「事由の如何をとわず直ちに国家公務員法第七十九条第二号の規定により休職とするものとする。」と、こういうことも通達しているのであります。これは国公法第七十九条の二号の法律解釈に私は違反をしているんじゃないかというふうに思いますが、まず法制局にお伺いしますけれども、これの法制審議会の解釈が出ているわけなんですけれども、これについて御存じであるかどうか、また、どのように出ているか。そして、農林省の出している通達は明らかにこの解釈に違反をしているんじゃないか、このように思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/177
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178・関道雄
○政府委員(関道雄君) 法制審議会の意見が出ておるということでございましたが、それについては、私、不勉強でまだ承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/178
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179・北村暢
○北村暢君 これは、きのうこういうことを質問するからということを通知してあったはずですが、法制局のほうには言ってなかったわけですね。法制審議会の意見としては、「刑事事件に関し起訴された場合、事情によっては直ちに休職させなくともよい。」ということで、七十九条の精神は、任命権者の自由裁量になっているんですね。これを次官通達でもって任命権者の自由裁量というものを一方的にしかも事由のいかんを問わず直ちに休職にしろ、こういうことなんです。そのほかに、また、法制宿議会では、「本法——というのは国家公務員法——七九条第二号の休職については、任命権者は公務上の必要に応じ任意に復職を命じてさしつかえないものとする。」と、こういうように、休職になっている者でも、公務の非常に忙しいというような場合は、任意裁量で復職させることができるようになっているんです。それくらい任命権者の自由裁量にゆだねているんですね。それを、次官通達によって一方的に任命権者の自由裁量というものを無視するということは、明らかにこれは私は法律に違反をしているんじゃないか、このように思う。これは休職になった場合の刑事事件で労働組合関係でもずいぶんあるわけなんですけれども、しかもこの審理が非常に長くかかるといった場合に、そのあとの救済措置は、人事院の公平審査による救済措置——救済措置というのではなくして、事由がなくなった場合の、もとの形に復旧する、何というんですか、この表現は、原状復帰の形とははるかに不利な形になっているんです。刑事訴訟の場合は。そういうものを、次官通達によって一方的に任命権者の自由裁量、事情のいかんを問わずこういうことをやるということは、これは明らかに私は法律の解釈から逸脱した次官通達である、このように思うのですが、この点についての見解をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/179
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180・関道雄
○政府委員(関道雄君) ただいま先生も仰せられましたごとく、七十九条の「休職することができる。」という規定は、当局者に自由裁量の余地を与えた条文で、あると思います。したがって、私、当該場合場合についての同順を存じませんので、具体的に農林省の場合にどうこうということでございませんが、自由裁量の余地が与えてあるということは、結局、その事犯なり、あるいはその役所の全体の人事管理についてのいろいろな事情であるとか、いろいろなものを勘案しまして人事当局がこれを与えること、休職にすることもまた休職にさせないこともできるという自由があるわけでございます。したがって、当該場合について、私、事情を知りませんから、何とも申せませんが、七十九条の認めている可能性としては、そういう場合に、二号の「刑事事件に関し起訴された場合」については全部休職にするという方針で臨むことも、また七十九条の認めている範囲内に属することではあると、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/180
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181・北村暢
○北村暢君 それは法制局はいつもそういう答弁をする、わかっているんです。しかし、法の精神からいえば、私はこれは次官通達はおかしいと思うのです。法の精神からいえばね。それは、休職にすることもできるし、しないこともできる。そのしないほうのやつを農林省が統一的に次官通達でもって任命権者の自由裁量行為というものを一方的にこれでやれという命令をするということは、行き過ぎだと言っているんです。私は。行き過ぎだと言っている。自由減量の余地はないでしょう、この次官通達でいくというと。休職させることもさせないこともできないように、任命権者でない農林次官が任命権者に強制することになるんです。これは。したがって、農林省はこの通達を改める意思はないかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/181
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182・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 結論から申し上げますと、この通達を現状において直ちに改定しなければならないというふうには思っておりません。ただ、誤解があるといけませんので補足したいのですが、「起訴事由の如何による判断は一切行なわず、」というようなことを言っていますし、「起訴事由の如何をとわず直ちに」と、こう言っておりますけれども、同じ通達の中で、「一の休職処分は、略式手続によって開始された刑事事件の場合には行なわない。」ということも実は明記しております。そういうことで、先ほどの法制局のお話にもありました、権限付与をされて、その中で自由裁量の一つの態様としてこういう通達が出ておるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/182
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183・北村暢
○北村暢君 そういう自由裁量を否定するものでないというようなことは、うしろの説明にも書いてある、この通達に。そういうことはわかっているんですけれどもね。そう聞けばこういうふうに答弁するだろうということはわかっている。わかっているのですが、先ほど官房長の答弁した略式手続による場合は、これは罰金刑で、簡単にきまることがわかっているんです。だからこれは休職にしないということなんで、起訴された者は一切直ちに休職にせいと、こう言っているんです。したがって、この第一項は、これは任命権者の自由裁量行為というものは完全に否定されているんですよ。否定されていると解釈していいと思うんですよ。この点は一つ問題のあるところで、法制審議会の意見等もはっきり出ている問題でもありますし、この問題については当事者からすれば相当大きな問題なんです。したがって、数は、起訴されている人なんというのは少ないわけでございますけれども、公務員の不利益を受けない点からいって私は疑義がありますので、この点のひとつ検討をしていただきたい、このように希望をいたしまして、きょうの質問を私は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814312X00519650510/183
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184・竹中恒夫
○理事(竹中恒夫君) 本日の、審査はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後三時四十二分散会
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