1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月七日(金曜日)
午前十時五十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 紅露 みつ君
理 事
中野 文門君
北村 暢君
北條 雋八君
委 員
木島 義夫君
久保 勘一君
栗原 祐幸君
後藤 義隆君
二木 謙吾君
丸茂 重貞君
林 虎雄君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
政府委員
厚生政務次官 徳永 正利君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
通商産業省企業
局産業立地部長 馬郡 巖君
工業技術院長 馬場 有政君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○公害防止事業団法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。
公害防止事業団法案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。櫻内通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/1
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002・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました公害防止事業団法案の提案の理由を御説明申し上げます。
近年におけるわが国の経済成長は、まことに目ざましいものがありますが、産業活動の急速な発展に伴い、東京、大阪等に見られますように、産業活動が集中して行なわれる地域におきまして、大気汚染、水質汚濁等による生活環境の悪化が、重大な社会問題となっており、またそれが、産業の健全な発展を阻害する要因ともなっておりますことは、御承知のとおりであります。
政府といたしましては、従来、公害防止のための施策といたしまして、ばい煙の排出の規制等に関する法律、工場排水等の規制に関する法律等により規制を行なう一方、企業に対する助成措置といたしましては、中小企業近代化資金、日本開発銀行等による融資、税法上の優遇措置等を行なってきました。
ところで、最近特に問題となっております産業集中地域の産業公害は、既成工業地域に見られるように工場と住宅の無秩序な乱立によるもの、あるいは近年における技術革新の進展による大規模工場の集中立地化に伴うものでありまして、深刻にして複雑、かつ、広域的性格を有しているものであります。
したがいまして、政府といたしましても、従来の助成措置の強化と並びまして、このような産業集中地域における公害を早急に解消するために、積極的に効果的な対策を実施する必要に迫られている現状にあります。
かかる現状にかんがみまして、産業集中地域における産業公害を防止するために、長期低利の財政資金を重点的に活用し、共同公害防止施設、共同利用建物、工場移転のための敷地、公害防止のための緩衝施設等の設置、譲渡、公害防止施設に対する融資等の事業を行なう公害防止事業団を新設することといたした次第でありまして、昭和四十年度におきましては、厚生年金還元融資十億円を含む資金運用部資金二十億円を事業資金として発足することといたしております。
この法律案は、このような事業団設立の趣旨に基づきまして、事業団の目的、業務の範囲を定めるとともに、役職員の任命など事業団の組織に関すること、予算、決算その他会計の方法、事業団の業務についての厚生大臣及び通商産業大臣の監督等について規定しているものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/2
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003・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 次に、本法案の補足説明を願います。通産省企業局馬郡産業立地部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/3
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004・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) お手元に配付してございます「公害防止事業団法案参考資料」の八ページに、公害防止事業団法案の要綱がございますが、これを中心に補足説明をいたします。
御承知のように、公害防止ということをいたしますためには、もちろん、公害を発生いたします発生源におきまして、これを発生しないように、いろんな防止施設をつくるということが大事でございますが、しかし、それだけによりまして公害が完全に防止できるというようなことにはなかなかいかないというのが現状でございます。特に最近の公害現象と申しますものは、産業公害のほかに、一般公害と申しますか、工場、事業所以外から出てまいりますいろんな公害現象というものが、ふくそうをしてまいりますので、発生源の施設だけということにもまいりませず、これと、こういう発生源におきますいろんな施設と並行いたしまして、都市計画をさらに検討し直す、あるいは下水道の整備を行なう、あるいは技術のさらに開発を考えるというような対策も並行して行なわなければならないというふうに考えられます。特にまた、公害の防止につきましても、過密都市等の既成工業都市、既成都市というものと新しい産業都市というものとは、またその公害防止につきましてのいろいろな諸施策につきましても、いろいろ方法を変えていかなければならぬというような点もあるわけでございます。
この公害防止事業団は、この法案の第一条の目的にございますように、いま申しましたいろいろな方策のうちで、主として現在すでに公害が著しくなっておる、あるいは今後著しくなるおそれのある地域というものに重点的に必要な業務を行ないまして、公害の防止を行なうという趣旨で設立するものでございます。これは、現在すでに公害がひどくなっている、あるいは今後ひどくなるおそれのある地域というものには、緊急に対策を行なう必要がございますので、その地域を特に重点的に取り上げて、また、その地域の公害現象というものも、非常に複雑かつ慢性的になっておりますので、個々の企業の力のみでは、とうてい解決が困難であるというような事態もございますので、そういう点も考え合わせまして、この地域を重点的に事業団が業務を行なっていきたい、こういうふうに考えた次第であります。
主たる業務につきましては、九ページに「第六 業務の範囲」がございますので、この項目に従って御説明申し上げますと、
第一には、こういった地域におきまして公害の共同防止施設を設置するということでございます。
ちょっと話が前後いたしましたが、事業団の業務のうち、一号から五号までございますが、一号から四号までは、事業団自身が施設をつくりまして、これを適当なる相手方に譲渡するという業務でございます。第五号は融資事業を規定いたしております。
その第一号でございますが、先ほど申しましたように、共同で公害を防止する施設をつくるということでございまして、公害防止処理施設と申しますのは、かなりの費用も要る仕事でございますし、また、共同で処理したほうがはるかに能率的でもございますというようなことで、主として中小企業が相手になろうかと考えておりますが、そういう中小企業を中心といたしまして、共同の公害防止処理施設をつくるというようなことが第一でございます。
第二号は、共同公害防止処理施設をさらに一歩進めました形でございますが、工場アパートと私たち俗称いたしておりますが、たとえて申しますと、隅田川あたりにおきましては、廃水処理施設をつくるにいたしましても、もうその廃水処理施設をつくるに必要な土地自体が全然手に入らないという状態でございますので、そういう工場をある程度集約化いたしまして、一つの建物にそれらの業者を収容いたしまして、さらにその建物にはもちろん公害共同処理施設もつくるわけでございますし、また、そういう余裕もできるわけでございますので、そういう工場アパートをつくろうという考え方でございます。
それから第三号は、過密都市において現在いろいろお仕事をしていただいている工場のうちで、いろいろなことを考えても、どうしてもその地域におきまして仕事をやっていくということが非常に困難であるというような場合におきましては、これを地方に移転していただくということが必要な場合もございますし、したがいまして、そういうことを助成いたしますために、工場が集団で移転できるような必要な敷地を造成いたしまして、また、そこには当然公害防止のための共同施設というようなものも同時に設置してまいるという事業でございます。
第四号のほうは、これは新産都市等の場合に比較的多いかと考えられますが、現在の公害問題のうちの一つの大きな問題は、やはり都市と住宅が混在しているということから出てまいりますいろいろな問題がございますし、そういう現状にかんがみまして、特に石油コンビナート等、新しい企業ができます地域におきましては、住宅街と工場街との混在を防ぐという意味で緩衝施設というような施設が必要でございます。まあ、緩衝施設、緩衝地域自体につきましては、都市計画法の運用につきましてさらに今後考える必要がございますが、それに並行いたしまして、その緩衝施設といたしまして、当該地域の工場、事業場の従業員なりあるいは住民の福祉に役立ちますようなものを施設として設置してまいりたいということでございます。
それから第五号は融資事業でございますが、公害防止施設に対する融資につきましては、従来より日本開発銀行あるいは中小企業金融公庫等から融資をしてまいりましたわけでございますが、特に事業団といたしましては、この公害防止をさらに推進いたしますために、事業団におきましても融資事業をやっていきたい。ただ、従来の日本開発銀行なり中小企業金融公庫というものの業務分野との関係もございますので、さしあたりは産業公害の共同施設というものを中心にして行なってまいりまして、今後日本開発銀行、中小企業金融公庫との業務分野の調整なり、あるいは事業団自体の組織の固まり方、業務の実際上の遂行ができるような体制というものを、時期を見まして、さらに政令でその業務の範囲を拡大してまいりたい、こういうふうな趣旨で第五号の規定をいたした次第であります。
あと、第七にございますのは、融資事業をいたします場合の金融機関に対する業務委託の関係でございます。
それから飛びまして第九でございますが、事業団の業務はもちろん地元と非常な関係がございますので、具体的な事業実施計画をつくります場合には、都道府県知事に事業団から協議をしてもううというやり方をいたしたわけでございます。なお、都道府県知事は、協議を受けました場合には、関係市町村長の意見を聞くという形をとったわけでございます。
それから十一でございますが、この事業団は、本年度予算におきましては出資はいたしておりませんので、その事務費、管理費につきましては、一般会計から交付金を交付するという形をとったわけでございます。
なお、事業団の四十年度の予算でございますが、四十年度におきましては、ただいまの交付金は三千四百万円という予定でございます。そのほか、事業自身につきましては、資金運用部資金から二十億の借り入れをいたしまして、六分五厘の借り入れをいたしまして、この二十億を、先ほどの業務の順序で申しますと、第一号の共同公害防止施設につきましては四億五千万円でございます。それから第二号の共同利用建物につきましても、同額、四億五千万円でございます。それから工場の移転用地造成は二億五千万円、共同福利施設五億、それから貸し付け事業に三億五千万円、合計二十億というものを予定いたしておる次第でございます。なお、この条件でございますが、貸し付け条件は、中小企業につきましては七分、その他の企業につきましては七分五厘ということで、期間は十年ないし二十年というものを予定いたしておる次第でございます。
簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/4
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005・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 本法案に対しまして質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/5
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006・藤原道子
○藤原道子君 この産業公害につきましては、非常にいま大きな問題となっておりますことは御案内のとおりでございますが、これに対して今回公害防止事業団が発足する。これはまあ一歩前進ということにおいて、まことにけっこうだと思いますが、その内容が私はあまりにも貧弱なように思うのです。公害防止事業団ができ、そうして公害防止に大いに活躍しようというこの案に対して、内容を伺いますとわずかに二十億、二十億でどれだけのことができるのだろう、こう言わざるを得ないわけなんです。で、中小企業が対象となっておりますが、対象の中小企業に対しましてはどのくらいを見込んでおいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/6
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007・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 二十億のうちで、十五億から十七億というぐらいの見当かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/7
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008・藤原道子
○藤原道子君 対象がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/8
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009・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 中小企業向けに使う金額が、二十億のうち十五億から十七億の見当を中小企業向けに使うという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/9
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010・藤原道子
○藤原道子君 私は、その対象の中小企業をどのくらいに見ていらっしゃるか、産業公害防止対策をしなければならない、この貸し付けをするとかなんとかいう対象の中小企業はどのくらいあるかというんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/10
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011・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 対象とします中小企業の数というのは非常に多い数でございますが、さしあたりは、業務発足当初でもございますし、ある程度限定されざるを得ないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/11
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012・藤原道子
○藤原道子君 これは、あまりにも世論がやかましくなったので、何とかしなければならない、こういうことでお考えつきになったものだろうと思うのです。と同時に、行政監察の結果も非常にきびしい勧告が出ておるわけでございまして、何とかしなければならない、こういうことで、まあこの事業団が発足することになったものと思うのであります。けれども、御答弁もお困りだろうと思うぐらいに、全部ひっくるめて二十億。これで一体何ができるんだろう、私はこう思わざるを得ないのです。
そこで、大臣にお伺いしたいのでございますが、たしか昭和七、八年ごろだったかと思うんですけれども、東京——まだその当時は東京市ですか、そのころ、飛行機を使ったり、あらゆる方法をもって公害の調査をされた記録があるわけなんです。その当時でも、このままでいけば将来ゆゆしきことになる、大阪に起きた問題その他から推進されて、大きな調査をされ、警鐘が乱打されております。ところが、これに対して、政府は、その後ずっと今日に至るまで、何ら打つべき手が打たれてこなかった。終戦後、産業の非常な発達に伴って今日の事態が起きたんだというふうなことで、いつも逃げていらっしゃるのですが、したがって、こうした問題については、先進国において公害に対する対策、調査というようなものが非常に進んでなされておるにもかかわらず、日本では、今日までこれが放置されてきた、こういうことに対して、大臣はどういうふうに考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/12
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013・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 私、昨年七月に就任をいたしまして、私自身としては、公害問題を特に強調してまいってきたつもりでございます。お話のように、過去における東京市においての調査、これについては、たいへん恐縮でございますが、私はその当時の調査記録を見ておらないのでございます。たいへん恐縮でございます。で、私が公害に対してどういう考えを持っておるかと、こう申し上げますと、ただいま藤原委員おっしゃるように、公害問題がだんだんやかましくなってきたが、特にこれという対策もない、それはどこに原因があるか、元来各企業がそれぞれの立場で、また責任で公害に対処しておる、しかしそれでは及ばない——こういうことから、御承知のような大気汚染あるいは水質汚濁に対しての諸法案ができてまいりました。これに対しては金融措置等によって助成を講じておる、こういうわけでございますが、現在、特に東京都の隅田川とか、あるいは四日市とか、そういうような特に公害問題のやかましい地域がございますので、これに対処するために公害防止事業団の必要があるんじゃないか、まずそういうような特定の地域を対象にして問題の処理に当たっていきたい、こういうようなことが公害防止事業団の発足の大きな原因になっております。
そういうようなことで、先ほどから、全般的の公害に対処するについてこの事業団では不十分でないか、それはもう全く御指摘のとおりでございまして、私としては、厚生省と通産省で、とりあえずその問題になっておる地域に対処させつつ、この事業団の事業の拡張に当たりたい、こういう考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/13
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014・藤原道子
○藤原道子君 私は、きょうまで生産拡大第一主義をおとりになった——もとより生産の拡大はわれわれとしても期待しているわけでございますけれども、これに対して、住民福祉ということがあらゆる面で忘れられてきたのじゃないか、こう考えざるを得ないわけなんです。それで、まあ昭和三十八年度でも設備投資は一兆四千七百六十二億というようなばく大なもの、三十九年度一兆八千七百八十六億というようなものが見込まれてやってきたわけでございますが、これらの中で、公害防止のための設備投資というようなものは、どのくらいになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/14
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015・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) いま先生から御質問ございました点でございますが、実は、申しわけございませんが、三十八年、三十九年はしっかりした数字がございませんが、昭和四十年度におきましては、通産省関係の主要企業につきまして調査いたしましたところでは、約二百二十億というような数字になっております。これは大きな企業だけの数字でございまして、中小企業は入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/15
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016・藤原道子
○藤原道子君 これは、全設備投資の何%ぐらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/16
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017・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 全設備投資が、大体四十年度が一兆七千億、私たちが調査対象にいたしましたものが一兆七千億でございますので、約一・五%ぐらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/17
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018・藤原道子
○藤原道子君 先進国はどのくらいになっておりますか。その比率、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/18
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019・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 先進国の数字は、残念ながら、まだ私たちは手に入れる状態になっておりません。ただ、全体の設備投資としましては、一・何%という数字でございますが、これは、企業によりましては、たとえば機械工業の場合なんか、ほとんど公害防止施設は要らない。一方、たとえば紙パルプの産業でございますとか、あるいは石油精製の産業でございますとか、それから鉄鋼業、こういうようなものは、かなりの設備投資をしなければならないというふうに思われます。で、現在ばい煙規制法なり水質二法の指定地域になっておりまして、その基準によります設備をいたしますという計算でまいりますと、業種によって非常に差はございますが、五%前後というものが必要な設備投資というふうに出てまいります。そのほかに、たとえばほとんど要らないというような企業もございますので、全体として見ますと一・何%、こういうふうな数字に相なっております。こういうふうな感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/19
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020・藤原道子
○藤原道子君 私、大臣にお伺いいたしますけれども、今後新たに設備されます場合、あるいは既存の設備等に対しましても公害防止を義務づける、もしもこれができない場合は企業の許可をしないというくらいな強い御決意がおありになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/20
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021・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) この点につきましては、現に、ばい煙規制法、あるいは水質保全法、工場排水規制法等がございまして、一定の基準がございます。それで、この基準に触れてはならないように私ども監督をしているわけでございまして、お話の御趣旨に十分沿っているかどうかは、これは何とも申し上げかねますが、しかし、そういう法律の規制によって、工場等をつくります場合に、もし大気を汚染する、水質を汚濁する、こういうふうになると、触れてまいります。これらにつきましては、当然この公害防止施設はすべきでございまして、それらにつきましては、資金の融資助成あるいは税制上の助成を現にしておる。ただ、企業がそれぞれの立場でやりましても、なかなかやれない、社会資本を必要とする面も出てまいります。たとえば、下水道などを完備する必要も出てまいる。そういうような点については、これは政府がやっていく。しかし、この公害発生過程を見ますと、ある地域に工場が一つできた。そのときには、ばい煙は問題でなかったが、これが、言うまでもないことでございますが、五つとか十になって、そこで問題になってくる。そうすると、そのときに、いままで防止施設が十分でなかったという場合には、どうも手の施しようがないので、そういう点については、たとえば、いま御審議を願っておる事業団などで、隅田川の場合をどうする、四日市をどうするとかいうようなことに相なってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/21
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022・藤原道子
○藤原道子君 私は、いま法律とおっしゃるけれども、非常に抜け穴が多くて十分な成果をあげていないように思うのです。同時に、政府のこれに対する誠意のほどが疑われる、と申し上げては失礼でございますが、そういう感じがしてならないのは、先日、私は岡山の水島に参りました。あそこにはいろいろ問題が起こりつつあるわけでございますが、いまだに逆転層の調査がなされていない。気流の関係等が非常に大きく影響いたしますこれらの公害の防止対策に対して、あれだけ大きな規模で建設されつつある水島地区において毛逆転層の調査がまだなされていない。それからいろいろあちらこちら聞き合わせて見ましても、それがなされておるところはまだ少ないようでございます。これらの一番危険を伴うことに対しての調査もこういう状態では、はたして効果があげ得るかどうかというようなことを疑わざるを得ないことになりますが、これらに対しての対策は、どのようにお考えになっておいでになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/22
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023・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 御指摘のとおり、まだ現在のところ非常に不十分なものでございますので、四十年度予算におきましては、岡山等のような新産都市や工特地域におきます工業開発にあたりましては、産業公害を未然に防止する施策を講じておかなければならないというふうに考えておりまして、四十年度予算におきまして、厚生省と通産省で共同いたしまして、御指摘のような気象調査を含めます総合調査をいたしまして、今後におきますそういう地域におきます工場の配置あるいは住宅の配置、あるいは都市計画のあり方なり、工場の規模なり、ないしは工場の持つ公害防止施設というようなものがどういうふうになくてはならぬかというふうな調査をやってまいりたいというふうに考えておりまして、四十年度におきまては、さしあたり御指摘の岡山の水島、大分の鶴崎、それから茨城の鹿島臨海地区、この三地区を、こういうふうな調査をする地点として予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/23
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024・藤原道子
○藤原道子君 私どもとしては、ああいう岡山の水島地区のようなところが、もし調査した結果で、気象状況が悪いということになってからでは、それはたいへんな手おくれになる。したがって、そうした計画のある場合には、先んじてこれの調査をしてから許可するということでなければならないと思うのでございますが、大臣、そういう点について、どういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/24
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025・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) お話のように、十分事前の調査をすべきだと思います。しかしながら、岡山の水島地域につきましては、ただいま政府委員から御説明申し上げたとおり、本年度調査をいたすわけでございますが、私は必ずしも本年の調査が非常におくれておると、この調査の結果が障害になる、こういうふうには考えておりません。やはり、この調査の結果を参考にいたしまして今後の措置が十分とり得るものと、こういうふうに私は判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/25
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026・藤原道子
○藤原道子君 私が申し上げたのは、ああいう計画をする場合には、事前にそういう調査がなされてからでなければおかしいのじゃないかと、こう申し上げたのです。今後新産都市の設定ができますね、地方に。そういう場合には、この地方はこの程度の障害がある、このところはこういう程度だ、ということの調査がなされた上でなければ、そういう計画を推進していくことは無理じゃないか、ということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/26
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027・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) ただいま申しましたような公害の事前防止対策調査と申しますのは、四十年度から予算をいただいたわけでございますが、今後におきましては、御指摘のようなかっこうで進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/27
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028・藤原道子
○藤原道子君 この間、私どもは、社会労働委員会から、播磨地区というのですか、兵庫県の、播磨地区に調査に行ったわけであります。私は、先ほどから言っておりますように、予算が非常に少ない、これで一体何ができるのだろうかということの、何としても心配でたまらないものがあるわけです。あすこの富士製鉄ですね、あすこで公害対策に要した費用が三十八億ぐらい、一企業で。ところが、それをやったことによって、七色の煙ですか、赤い煙とか出ておりましたのが、いまでは白い煙になったのです。水を攪拌して薄める施設がございますね、あれも非常に効果があがった、こういうことを言っておるのです。そうすると、高価な対策資金は要するけれども、それによって地域住民の福祉が守られるということになれば、私は、幾ら金がかかっても、やらなければいけないと思うのです。これに対しては、政府も、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、税制措置であるとか、あるいは金融措置であるとか、いろいろな点が考慮されて——私は、幾ら産業が発達しても、住民の福祉がそこなわれる、とりわけ健康がそこなわれてきたのでは、これは意味ない、結局、最終的には、文化の発展ということは地域住民のしあわせに直結しておる、こういうふうに考えられますので、特に今後のこれが対策には、通産省におきましては特段の御努力が願わしいわけです。
こういうことを申し上げますのは、かつて水俣における水俣病の問題がいろいろ大きな問題になってきましたことは、お互いに承知しておることでございますが、その後の、あの公害によって起こりました住民の不しあわせな状態が、いまなお非常に悲惨な状態に放置されており、生活保護によって細々と命を長らえておるというだけであって、これに対する補償というものはスズメの涙なんですね。ああいうことが起きてから、ああだこうだと言っても追っつかない。したがって、いやが上にも、注意をして、こういうことのないように努力していただきたい。これも私、心から念願しておるわけなんでございます。こういうことは各地で起きているのですね。こういうことに対して申し上げて、したがってイギリスあたりにおきましては、非常にこの対策が慎重に行なわれて、いまでは家庭炉のばい煙、これの防止対策に対してさえ国が十分の四を負担し、地方当局が十分の三、あるいは特別の場合には地方当局が十分の六まで負担する。ただで家庭炉のばい煙防止対策ができるというところまで心を配ってやっている。産業問題となりますと、各国ともに非常に苦心の存するところで、努力はしておるようでございますが、日本はそれに比べますと非常におくれているわけです。これに追いつけ、追い越せということで、私は今後格段の御努力が願わしい。まして、さっき私非常に不満足でございましたのは、設備投資等に対しての公害防止に要する費用などということは、おそらく衆議院においても質問があったのじゃないかと思うのでございますが、これに対して、十分承知していないというようなことでは、まことにちょっとさびしいような気がするわけでございますので、こういう点についてお伺いしたわけでございます。
それからもう一つお伺いしたいのは、今度のこの法案を見ますと、騒音に対する対策というものは入っていないですね。これはどういうふうにお考えになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/28
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029・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 御指摘の騒音対策は、全般的にまだ政府部内におきましてもおくれている対策でございます。と申しますのは、実は私ども通産省におきましても、過去二年ばかり、各方面のいろいろな学者の方々にお集まり願いまして、騒音というものを防止するのには一体どういう方法がいいだろうかという、いろいろな研究をやっていただきましたが、これはという、実のところまだはっきりしためどのある結論を出していただいていないわけでございます。ただ、その中でも漸進的な方向で考えたいということで、比較的音を出しそうな、たとえばコンプレッサーだとか、送風機というような機械につきまして、施設基準と申しますか、そういうものをつけます場合には、こういう据えつけ方で、こういう防音壁をつくったらどうかというような指導書を、今回四十年度でつくりまして、さしあたりステップ・バイ・ステップに進めてまいりたい、若干試み的ではありますが、そういうふうに進めていきたいというふうに考えております。
なお、いま申しましたのは工場騒音でございますが、あと交通騒音とか、建築騒音というような、騒音としてはかなり大きな問題がございます。現在、総理府にございます公害防止対策推進連絡会議というのが、総理府の中で各省集まりまして連絡会議を持っておりまして、各省の政策の連絡調整をやっております。現在騒音問題を取り上げまして、各省協力して研究しようじゃないかというふうに進めておる次第でございまして、できるだけ早くその成果を実らしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/29
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030・藤原道子
○藤原道子君 騒音をこれから調査しようじゃないかというようなところらしいですが、これもイライラだとか、ストレスだとかいうことが非常にやかましく言われているのですが、町なかにある工場から深夜において発せられます騒音というものが、どれだけ健康に影響しているかというようなことを考えますと、私どもはまず第一に、この騒音対策をもっと推進してほしいと思う。精神病なんかの面にも相当これが原因になっているのじゃないか。これに対して厚生省はどういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/30
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031・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 御指摘のように、最近の都市における騒音が、都市住民のイライラといいますか、神経にさわることによって、健全な精神を阻害する点は多々あろうと思います。もっと具体的に、生理上の障害も起こしてくるに違いないということでございますが、これをさらに徹底的に調査するために、本年度、予算を計上いたしまして、具体的な調査をする予定でございます。しかし、そのような調査の結果いかんにかかわらず、現実に騒音が都市住民の生活を阻害していることは事実でございまして、御指摘のように工場騒音、交通騒音、ことに航空機の騒音はかなり広範囲に、かなり強烈な影響を及ぼしている現状でございまして、これに対しては何らかの施策をする必要があるということでございます。航空機に対しましては、基地周辺の小学校等について防音壁をつくるというようなことに対して、防衛庁等は補助金を交付しておりますけれども、御指摘のように、騒音に対する対策は今日非常に不十分でございます。一面、騒音に対する調査研究も非常におくれているわけでございます。しかしながら、お話のございましたように、都市の騒音を減らすということにもう少し努力する必要がある。これはあらゆる分野の施策において具現していく必要があると私どもは考えておりまして、ただいままでの公害対策は、大気汚染とか水質汚濁の防止に重点がそそがれた傾向がございますけれども、これからは騒音に対しても十分私どもとしても努力してまいる必要があると思っております。これは、ただ遺憾ながら今後の施策でございまして、今日のところは非常におくれている、かように私どもとしても思わざるを得ない現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/31
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032・藤原道子
○藤原道子君 私は、騒音には自分自身もときどき悩まされるわけです。こういうところは特段の努力で早い解決をしてもらいたい。また、これはあとでいずれ御質問したいと思いますが、町なかに工場かあって非常に騒音を発している。それが地域住民に非常な迷惑をかけている。こういう場合にも、この工場アパートというのですか、工場団地ですか、こういうところの対象になるのですか。これはどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/32
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033・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 町なかにおきまして騒音を発生するというのが、実は騒音で一番むずかしい問題でございますが、これは、音を消すあるいは音が外に出ないようにするという、技術的な解決方法というものは非常にむずかしい状態でございます。しかし、これに対する研究も、もちろん現在進めております。この解決方法としましては、やはり将来におきます都市計画自体におきまして、工場を住宅地の中につくらないようにというような、建築基準法の改正等も検討いたさなければならんかと思いますが、すでに起こっている問題につきましては、どうしてもこれはその場所からよそに——そういうじゃまのないところに移す以外には、さしあたりの解決方法はないかというふうに考えております。したがいまして、この公害防止事業団の業務の中で、工場を過密都市から外に出すという計画を一つ持っておりますが、その対象とすることにつきましては、今後検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/33
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034・藤原道子
○藤原道子君 そうすると、そういう場合に、かりにここに工場があった所へあとから住宅ができたという場合と、それから住宅があった所へ工場ができた場合と、二通りあると思うのです。ですから、これからはばらばらなやり方でなしに、都市計画をぴしっと立てて、工場は工場、住宅は住宅というふうにやらなきゃならないことはもちろんでございますが、特に工場があった場合にあとから住宅ができた、しかしいま住宅の騒音対策あるいは公害対策のためにこれを移転させる、こういう場合に工場アパートですか、こういうことで移る場合にはどういうことになるのですか、経費その他は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/34
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035・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) ただいま先生から御指摘がございました、工場ができてあとから住宅ができたというようなケースというものは、これは音だけではなくて、水の場合も、煙の場合も、すべての場合にしまして、公害を実際上具体的に解決する場合には非常にややこしい問題と思っております。でそれに対して、一体法律的にどういうことになるかという点につきましても、これは学者の間でもいろいろ議論がございまして、はっきりしたまだ意見の統一もございません。しかし具体的現実の問題として解決いたしますとすれば、その議論の展開というものは、どうもいまの学者の方々の御意見を聞いてみますと、なかなか理論的にも解明されそうにもないと思われます。しかし一方、事態はそういう事態が起こっているとなりますと、具体的にこれを解決せざるを得ないということが現実の姿であろうかと思います。したがいまして、それを具体的に解決するとしますと、やはりそういう対象になるのは主として小さな中小企業の場合がほとんど大部分でございます。したがいまして、これを解決するためには、やはりそういう中小企業に対して相当の助成策をやって、経営的にそう大きな無理がかからぬような形で解決せざるを得ないというふうに思いますので、公害防止事業団等におきまして金利的にも、あるいは償還期限におきましても、できるだけの優遇をいたしたつもりでございます。なおこのほか、中小企業のいわゆる高度化資金という制度がございまして、まあこれは若干の例はすでにございますが、たとえばプレスの工場あたりは、これはドシンドシンという音がかなりいたします。こういうものを集団的に地方に持っていくというケースはすでに一、二、中小企業の高度化資金ということでいたしたようなことで、具体的に、個々的にそういう形で、できるだけの助成を行ないながら解決していかざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/35
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036・藤原道子
○藤原道子君 すでに実行されたところでは、うまくいっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/36
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037・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) これはまだその計画が始まったばかりでございまして、まだ完了いたしておりません。しかし一年の間に完了するかと思いますので、そういう場合には非常な効果をあげてくるんじゃないかというふうに期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/37
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038・藤原道子
○藤原道子君 しかし、今度のこの法案で——法案審議はこの次の機会に譲りたいと思っているんですが、中小企業の工場アパートですか、これはどのくらいつくる予定になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/38
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039・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 四十年度におきましては、さしあたり一つを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/39
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040・藤原道子
○藤原道子君 どこへ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/40
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041・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 大体、東京を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/41
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042・藤原道子
○藤原道子君 東京は隅田川の方向に予定されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/42
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043・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 大体、隅田川の皮屋さんかメッキ屋さんあたりを一応頭に描いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/43
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044・藤原道子
○藤原道子君 私は、大臣にお伺いしたいのでございますが、隅田川は私たちの若かりしころには非常にきれいな川だったんでございますけれども、いまはあそこの橋の上を通ると鼻をつままなきゃならない状態に置かれているんですね。ところがオリンピックの初めに、何だか水を非常に流し込んだら急速ににおいが減ってきた、このぶんでいけばいいんじゃないかと思ったら、このごろまた何やら後退しているように聞くのですが、あれを積極的に浄化を進めていらっしゃる具体的な方法をお持ちなんでしょうか。オリンピックのためじゃ困るので、住民のためにやってほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/44
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045・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 四十年度で河川浄化事業、これは隅田川が対象でございますが、利根の導水に四十億円、それから河底しゅんせつに一億六千万、こういうふうに河川浄化事業をやることにいたしております。また、これに関連いたしまして、公共下水道事業二百五十二億円、大体隅田川対策としては三百億円余りに、政府及び地方公共団体の資金上はなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/45
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046・藤原道子
○藤原道子君 どのくらいたったら、きれいになる見込みなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/46
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047・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 隅田川の浄化につきましては、ただいまの隅田川に利根川の余剰水を流す事業なり、あるいは河川のしゅんせつ、それと並行いたしまして下水道の建設というのが非常に大きな意味を持ってまいっております。もちろん工場側におきましてやりますことは当然でございますが、そのほかに、たとえば一般下水の関係もございますし、そういうものも入れましたいわゆる下水道の完備ということが必要でございますが、大体現在のところ、東京都内におきます下水道の布設状況は約二五%程度でございます。現在の計画によりますと、そういうものが下水道の完備というものと相まちまして隅田川の浄化ができるわけでございますが、大体の現在の計画では、四十八年になりますと、そういうものが完成してまいりますので、四十八年ごろになると、きれいな水になるのじゃなかろうかというふうな計画で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/47
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048・藤原道子
○藤原道子君 四十八年というと、またこれから八年かかるわけですね。まあ、それでもできないよりはいいんですけれども、結局また水はこのごろ少し減ってきているとかいうのですが、水がないからですか、どうなんです。そんなことになると、また、水がございませんために、こういうふうになりましたなんということで、また四十八年が五十八年になるかもわからないんですが、ほんとうにやる気でやってもらわなければ困ると思う。しかも、あそこの住民は、川の汚染のために家財道具まで腐食していっているんですね。そういうことであれば、あそこに住んでいる人の身になって、ひとつ早急に浄化対策を立てていかなければ困ると思います。それから下水のほうは、あれは建設省ですね。厚生省の終末処理とこれは十分タイアップして行っているのですか。厚生省のほうはいつごろできる予定なんですか、終末処理と下水の関係は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/48
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049・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) お尋ねのございました隅田川の浄化は、だんだんよくなる計画になっておりまして、いま御説明申し上げました、四十八年度にその計画が完成するということを申し上げたわけでございます。第一段階は、荒川から水を取りまして毎秒三十トン、日量にしますと二百七十万トンくらいの水を隅田川へ流し始めたわけでございます。その導水路が昨年完了いたしまして、それによって御承知のように、一時水がきれいにといいますか、薄めたわけでございますから一時きれいになったわけでございます。ところが、このごろ水量が少のうございますから、その水を薄める分の水がやや少ない。その導水路の水は東京都の上水道と共同で取っておりますので、御承知のように上水道も困っておるし、荒川の浄化の水もやや減っておるという状況で、最近になって雪解けの水ないしは雨が降るということで、その水もだいぶ流すようになるわけで、今後は、利根川、荒川から取る水で、相当隅田川は薄まるわけでございます。そのほかに、先般これは経済企画庁が主管いたしております公共用水域の水質の保全に関する法律に基づきまして、隅田川を地域指定いたしまして、隅田川に流す工場排水、その他汚水の排出基準をきめたわけでございます。そのきめた期限は、あと一年半ほど猶予期間があるわけでございますが、その期間がきますと、排出の、これは区域によって違いますけれども、出てくる水をBOD三〇〇という、相当程度きれいにしなければ排出できないということで、浄化設備を各工場が備えなければならない規定になるわけでございます。それにいたしましても、三〇〇といえば、必らずしも魚が住めるほどのきれいさではございませんし、また規制にかからない小さい工場もございますし、また家庭汚水も相当入っておりますから、その段階において必ずしも隅田川は魚が住むほどのきれいさにはならないわけでありまして、先ほど通産省から御説明のありましたように、完全にきれいになるためには、隅田川の沿岸は、すべて下水道が完備いたしまして、汚水を一切下水道へ流される、あるいは工場排水は特別のルートで浄化されて、その末端は下水道へ流されるということになれば、これは隅田川は再び昔の姿にかえるということが期待できるわけでございまして、この計画はかなり計画的にいま進められております。私どもは必らず完成すると期待いたしておりまして、それが昭和四十八年度でございまして、大体まあハゼがつれるということを目標にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/49
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050・藤原道子
○藤原道子君 私は工場を建てるときに、もう公害対策がなされてなければならない、あるいは下水道等が完備することは、地域社会において当然のことなんですね。これができていない。何もかも後手々々になって、これだけ大きな問題が起こっておる。で、資料が整わないというけれども、事ここに至るまで放置されていたということが、われわれ住民にとっても非常に不幸だと思う。したがいまして、今回こうした問題になりましたことを契機といたしまして、さらに抜本的な対策を立てて、これを必らず行なうのだ、ただ問題は、工場等においてこの公害排除の施策をしても、それは利潤に相反するわけですね、工場とすれば。この施設をしたからといって利潤が上がるわけでない、むしろ持ち出しになるような傾向だから、どうしてもやりたがらないと思う。そういう場合には、いまの減税措置等もございますけれども、まだまだ手当の面において、特に中小企業がいま非常に困難な状態にあるときに、これをやらせなければならぬ。これに対しましては、十分な配慮をもって中小企業が成り立つように、しかも地域住民の福祉を阻害しないようにということになれば、防止設備に対しての国の補助金その他について、さらに一段の配慮が好ましい、こういうふうに考えるわけです。大臣はこういうことについては、どういうふうにお考えでしょうか。いまの程度でよろしいとお考えでしょうか。さらに今後、中小企業育成のためにも、地域住民の福祉のためにも、抜本的なこれが対策についてお考えがあれば、お聞かせを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/50
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051・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどからの私どものお答えで十分御承知いただけていると思うのでありますが、私どもとしては、この対策が不十分であるということについては、これは深く認識をしておるわけでございます。いまの中小企業に対してもっと万全の対策を講ずべきである、この御所見については私も念頭におきまして、今後における予算措置あるいは金融措置その他の助成施策の上に反映さしていきたいと思います。先ほどからの御論議の中で、一点補足しておくほうがよろしいかと思いますのは、それはこの公害に対する技術開発のことでございます。この見ようによりましては、大気を汚染しておるとか、あるいは水質を汚濁しておるとかいうのは、これは有用な資源がそれだけむだになっておるというふうにも考えられるわけでございますので、公害防止の技術開発につきましては、やはり防止対策とともに、ある程度力を入れておるわけでございます。この技術開発に伴って、公害の上に寄与する面もあろうかと思います。現状のままでありますならば、先ほどの御所見のとおりに、今後さらに施策の拡充を進めるべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/51
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052・藤原道子
○藤原道子君 もう一点だけ厚生省にお伺いしたいのです。最近の新聞発表によりましても、食中毒の五二%近いものが腸炎ビブリオから起こっておる。しかも、これは終末処理が十分でないために、し尿の海洋投棄から起こっておるということは、いつぞやの社会労働委員会の質疑でも明らかになっておる。これは十五年も前に腸炎ビブリオが発見されて、これは海洋投棄に起因するということが明らかでありながら、今日までこれの対策がおくれおくれになっておるのですね。これも大きな公害だと思うのです。これに対して、これから夏にかかりますにつきましても、食中毒が倍加されてくるんじゃないか。こういう場合に、やはり半数以上が腸炎ビブリオから発生する、しかもこれはし尿の海洋投棄のためです。これに対する対策はお考えになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/52
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053・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) お話のとおり、食中毒の原因は過半数が腸炎ビブリオによるものでございます。これにし尿の海洋投棄、あるいはし尿が海に流れ出すということが影響なしとは私どもも思っておらぬわけでございます。したがいまして、東京都のように大部分のくみ取りし尿を海洋に投棄して処分しておるというようなことは、一日も早く解消すべきであると私どもも痛感いたしております。そこで長期計画といたしましては、これは完全な下水道によって処理することが望ましいわけでございますが、これはとうてい一朝一夕にできることではございません。もちろん、できるだけ早く下水道計画も促進いたしますけれども、とりあえず、くみ取りし尿を衛生的に処理することが当面の課題でございますので、五カ年計画を立てまして、昭和三十八年度からし尿浄化装置施設を全国的につくる計画を進めておりまして、これは昭和四十二年度が最終目標でございますが、実際は明年度あたりがおおむね最終目標になるほど事業が進捗いたしておりまして、いま東京のみならず、全国各地で、くみ取りし尿の終末処理場がつくられております。これが完成すれば、投棄は少なくともなくなる。ただし、水洗便所化は相当程度年数のかかることはやむを得ないものと思っておりますけれども、さような処理をいま進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00619650507/53
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054・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会
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