1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十六日(火曜日)
午前十一時四十六分開会
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委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
竹中 恒夫君 古池 信三君
三月十五日
辞任 補欠選任
古池 信三君 杉原 荒太君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田藤太郎君
理 事
鹿島 俊雄君
杉山善太郎君
委 員
亀井 光君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
横山 フク君
阿具根 登君
小柳 勇君
柳岡 秋夫君
村尾 重雄君
林 塩君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省公衆衛生
局長 若松 栄一君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君
厚生省薬務局長 熊崎 正夫君
厚生省社会局長 牛丸 義留君
厚生省児童家庭
局長 竹下 精紀君
厚生省保険局長 小山進次郎君
厚生省年金局長 山本 正淑君
厚生省援護局長 鈴村 信吾君
社会保険庁医療
保険部長 坂元貞一郎君
社会保険庁年金
保険部長 實本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
厚生大臣官房企
画室長 網野 智君
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本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する調査
(厚生行政の基本方針に関する件)
(昭和四十年度厚生省関係予算に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/0
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001・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまより開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。去る三月十二日、竹中恒夫君が委員を辞任され、その補欠として古池信三君が選任され、また、三月十五日、古池信三君が委員を辞任され、その補欠として杉原荒太君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/1
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002・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 社会保障制度に関する調査中、厚生行政の基本方針に関する件及び昭和四十年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/2
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003・小柳勇
○小柳勇君 それでは、大臣に質問いたします。この前、私は、大臣の施政方針のあと、質問できておりませんので、伺いたいと思います。
第一点は、いままで医療行政で国会の審議もストップしたような情勢でありますが、たとえば医療問題なり、あるいは健保の問題なり、世間でいろいろ騒がれました問題に対する現状と、なお問題が相当残っておりますが、これに対する大臣の現在の取り組みについて、質問がばく然としておりまするが、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/3
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004・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま小柳委員から医療問題、また、健保問題等につきまして、どういうような現状になっておるか、また、このように審議のおくれておるのはどういうことか、こういう意味のお尋ねと思いますので、お答え申し上げます。
御承知のように、国民皆保険に踏み切りまして、しかも、国保七割給付をしたいというようなことで、医療問題が、御承知のように、国民保険、また、国民生活の上に大きな問題になっていることは御承知のとおりでございます。しかも、ここ数年来、地域差の撤廃、あるいはまた薬の選択の自由と申しましょうか、いろいろございまして、特に医学、医術の進歩と申しますか、さらに薬の異常な進歩向上等によりまして医療費が非常にからまってまいった。同時に、また、国民保険が非常に向上してまいりまして、わが国の死亡率が非常に減った、健康で、しかも長命になってきた、まあこういうようなよい面があらわれてまいっておることは御承知のとおりでございます。その反面、各保険とも、医療費が非常に増してまいりまして、保険財政というものが収支の均衡を非常に失しておるということも御承知のとおりと思います。そこへまいりまして、一昨年の暮れでございますか、医療費の緊急是正をしたいということでございまして、これが昨年の四月に答申がございまして、この中医協の答申をもとにいたしまして、そして医療費の改定を企てたわけでございます。そのためにさらに診療費が増してまいった。そこで一そうこの保険財政は大きく収支の均衡を失ったようなことになってまいりました。この保険財政を、やはり適当な財政計画を立てまして、そして国民の医療の完ぺきを期したい、こういう考えをもちまして財政当局にいろいろお話をしてまいったわけでございますが、社会保険でございますので、なかなか大蔵省も財政上非常に苦しい状態――まあそういうことばで申し上げていいかどうかわからぬが、この三十九年度においては一般収支の均衡が、まあぎりぎりというか、あるいはひょっとすると赤字を見るおそれなしとしないというような窮迫な状態でございまして、しかも、高度成長から安定成長に切りかえたというようなこともございまして、税収の伸び等もないというようなことで、なかなか国庫の大幅な保険財政への投入もむずかしくなってまいりまして、保険財政自体でこれをひとつ収支の均衡を得る、同時に、できるだけ財政当局の財政投資をひとつお願いしたわけでございますが、御承知のように、政府管掌の健保の例を申し上げますと三十億程度でございまして、それから日雇健保を申し上げますと、三億程度でございますか、そういうようなことでございましたので、保険財政の収入の面におきまして、従来は標準報酬制をとっておったわけでございますが、むしろこういう際でもございますので、総報酬制に改めてはいかがだろうか、まあ適当な頭打ちを考えて総報酬制をとって、できるだけひとつ収入をカバーしてまいりたいというようなこと、さらに、また、最近の医療費の異常な上昇でございますので、一部薬価負担をお願いしたらどうか、こういうようなことを考えたわけでございます。これにつきまして支払い側から、非常に政府の財政投資が少ないのじゃないか、これではなかなか社会保険であっても、社会保障をひとつ思い切ってやってもらわなくちゃならぬというような強い要望でございました。もちろんこの薬価負担につきましては、診療側も非常な反対をしておることは御承知のとおりと存じます。そういういきさつを経まして、政府側を代表して官房長官、また、与党を代表いたしまして幹事長、政調会長、こういう方々と支払い側との間にいろいろと折衝がございまして、その覚え書きによって、目下そういうことも考慮に入れまして、社会保険審議会、また、社会保障制度審議会等におきまして審議をお願いいたしておるようなわけでございます。政府といたしましては、この両審議会の答申を尊重いたしたい、こういうことでございまして、これは総理大臣も衆参両院の予算委員会においてしばしばお答えを申し上げております。私もまた総理のその点を明らかにいたしまして、ふえんして申し上げているとおりでございます。そういう事情でございますから、ただいまではこの両審議会で審議をお進め願っております。この答申がございましたならば、その答申を尊重いたしまして、そうして政府の最終意思を決定いたしまして、そこで御審議をお願いしたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/4
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005・小柳勇
○小柳勇君 全般的ないままでの経過についての大臣のとられた処置をお聞きいたしましたが、いま社会保障制度審議会などの答申について、それを尊重するという御発言がございましたが、私どもは、新聞その他情報によりまして、過去に、たとえば職権告示などのときに、社会保障制度審議会の意見などが十分取り入れてなかったということが混乱をいたしました最大の原因のように理解いたしておりますが、答申についての取り扱い方について、もう一度大臣の見解をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/5
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006・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまの小柳さんのお尋ねでございますが、いまの両審議会に諮問いたしておりますことの答申があればこれを尊重して、そうして法案を成案して御審議願うということにつきまして、その点は了とするが、過去において答申を十分尊重した例がなかった、こういうようなことでございます。おそらく中医協の問題だと思いまして、それにしぼってお答え申し上げたいと思います。
先ほども申し上げましたように、診療報酬の改定が長い間行なわれないような情勢でございまして、これを緊急に是正したいということで一昨年の暮れから中医協が開かれておりましたことは御承知のとおりでございます。これにつきまして、中医協といたしましては、昨年の春、四月に答申をお出しになっております。いまの診療報酬では、物価の変動その他の事情によって、非常に少額である、やはり緊急是正をする必要があるというような答申がございまして、厚生省といたしましては、この答申を土台にいたしまして、これを尊重いたしまして、そうして計算をいたしたわけでございます。その算定によりまして、まあ常識的に申しますと、答申の本文には別に率はなかったわけでございます。診療側の希望した率は載っておりましたが、中医協側の率としては明確には載っておりませんが、それにつきました文書等によりまして、おおむね八%、こういうようなことでございました。しかし、それ以外に、有沢委員長の談話でございますが、おおむね八%と言っておるが、八%以下でもいいのだ、あるいはまた八%を上回るかもしれない、しかし、上回っても一〇%をこえるというようなことではないのだと、こういうようなことが付言されておりました。そこで、答申を尊重いたしまして計算しますと、自動的に九・五というような率になるわけでございまして、これを中医協を昨年の十二月二十二日からお開き願って御諮問したわけでございます。中医協といたしましては、支払い側、診療側、また、公益委員の三者構成のもとに、暮れにおきましても六日間、しかも、長時間かけて御審議願ったわけでございますが、暮れには答申を得ることができなかった。そこで、お正月早々さらに再開していただいて御審議を願ったわけでございます。御審議を願ったわけでございますが、御承知のように、支払い側と診療側との意見がついにまとまることができなかった、これでは緊急是正というものをいつするかという見通しが立たなくなったというようなことでございまして、公益委員の側から公益委員独自の考え方というものを明らかにされまして、そしてこれを中医協の場で答申のもとをつくりたい、支払い側、診療側はそれぞれの立場で意見を明らかにされたいというようなことでございましたが、支払い側の同意を得ることができなくて、中医協を開くことが不可能になったわけでございます。そこで、公益側といたしましては、それらの事情を明らかにいたしまして、そして公益側の意見をお出しになったわけでございます。しかも、それによりますると、政府の諮問した案につきまして、診察料あるいは入院料等につきまして若干の修正を加えまして、そして、この時点においては政府として処置することは適当であろう、こういうようなことでございました。政府といたしましては、緊急是正のたてまえと、しかも、一昨年の暮れからごうごうたるそういった要望でございましたので、この公益委員側の答申を土台として、これを尊重してやったということでございます。よく職権告示だという御批判を受けておりますが、いずれの場合を問わず、厚生大臣のやる仕事でございますので、厚生省といたしましても、このままでは医療問題の進展をみない、ためにまたいろいろな紛争の事態も予想されるというようなことでございまして、いつまでもそのまま放置することもいかがかと存じまして、まあ断を下したということでございます。その結果、お述べになったような混乱がありまして、いろいろいきさつがございましたことは御承知のとおりでございます。これははなはだ遺憾のことと考えておりますが、まあそういういきさつを経て今日に至っておる、こういうことと御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/6
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007・小柳勇
○小柳勇君 いろいろ詳しく答弁がありましたが、私が申し上げておりますのは、審議会の答申に対する大臣並びに厚生省の態度を率直にお聞きしたのでありまして、時間もないようでありますから、医療費問題その他については後日また質問いたしますが、ただ、大臣には、最後になりますが、昭和三十七年の八月に社会保障制度審議会から答申が出ております。これは内閣に対する答申でありますが、この中に重要な事項がたくさんありまして、これから社会保障制度が歩いてまいる十年くらいの構想、青写真を出したのでありますが、これに対する大臣の取り組み、そういうものをお聞きしておきたいと思います。この今年度の予算に対してどういう取り組みをされたか。それから、たとえば生活保護基準の引き上げなり医療保険制度なり、いろいろこの中に重要事項が書いてありますが、こういう問題に対して予算を査定するときにどういうふうに取り組みなさいましたかということをお聞きして、細部の問題は、大臣がおいでになりました午後また細部にわたって質問していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/7
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008・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまの小柳さんのお尋ねでございますが、三十七年の八月の「社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申および社会保障制度の推進に関する勧告」を社会保障制度審議会からお出しになったことについてのお尋ねでございますが、これはわが国の社会保障制度の総合調整に関する基本問題についてのこれは非常に広範な、しかも、適切なことを示唆した答申と考えております。厚生行政のあり方は、この基本線に沿ったことにひとついくべきものだというふうに、私はじめ、厚生省として考えております。また、政府部内につきましても、日本の厚生省のあり方、社会保障制度の総合調整に関する基本方策についてはこの審議会の答申を尊重していく、こういうことでございまして、いまの現時点におきましてはこれが一番の私は目標だと考えております。
そこで、四十年度の予算とこれとの関連はどうかということでございまして、私どもも、この基本方策の答申に沿うた面について財政当局と折衡したわけでございます。ことに今年は、今年と申しましょうか、四十年度予算編成につきましては、例年でございますと、前年度の当初予算に比べて五割程度の頭打ちで予算要求をするようにということでございましたが、非常な四十年度は財源難が予想されておりましたので、三割頭打ちというようなことで予算編成の閣議了解がございました。このときにも、了解に至る前に、厚生行政は、こうした基本政策について答申があるから、この答申の線に沿ったいわゆる総合的な厚生行政としてのバランスのとれたあり方をしたい、だから厚生省は三割豆打ちでやられると非常に困るのだ、ことに保険財政等につきましては、もう当時すでに大幅な赤字が予想されておりましたので、三割頭打ちでは収支の均衝を得ることも困難なような問題である、それで、これはぜひひとつ三割頭打ちでは困る、あるいは、また、肢体不自由あるいは精神衛生、そういう最近手をけつつあります仕事は、まだ手がけて間もないのでございまして、いわゆる揺籃期と申しましょうか、これからどんどん金の要る仕事でございます。そういうものに全部一律に三割頭打ちをされることは忍びないということを主張いたしたわけでございますが、厚生省一つだけそういうワク外にしておくというわけにいかない、できるだけひとつ厚生省の中でくめんをしていただいて、それを尊重しようというようなことで予算編成方針の三割頭打ちの断が下ったわけでございます。そこで、そういう経緯を経て予算要求をし、そうし七予算の編成で折衝してまいったわけでございます。いろいろ御批評を受けておりまするが、国庫財政が、全体はこの四十年度は一二・四でございますが、その伸びに対して厚生行政は二〇・八伸びておる。決して私、二〇・八伸びたからといってよろしいというふうには考えておりません。三割要求に対して二割〇八でございますが、国の一般の伸びが一二・四、そういう時点でございまして、非常に財政窮乏しておる。先ほどから申し上げましたような、親も困っておることなんだからがまんしてくれというようなことで、いろいろ折衝の結果ああいうような数字になったわけでございます。しかし、これについていろいろ御批判もあることでございますし、また、現にこの保険の問題等につきましては、これはもう非常に困難な問題であるということで、それぞれ社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会で御審議を願っており、この答申はおそらく相当大幅な財政投入を考えられておるのではないかと思います。そういうことでありますれば、答申を尊重するというたてまえでございますので、これは十分そういう線になろうかと考えておりますし、同時に、また、国民保険につきましても、これは両審議会にはかかっておりませんが、財政当局と折衝いたしまして、ひとつ適当な財政措置をしてもらうというようなことで進めております。おおよその財政当局の返事を得つつあるという現状でございます。いずれにいたしましても、いまお尋ねのございました社会保障制度の総合調整に関する基本方針についての答申あるいは勧告をひとつ十分身につけまして、そうして今後なお一そう努力いたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/8
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009・小柳勇
○小柳勇君 それでは質問いたします。大臣は、社会保障制度審議会の答申を尊重していくとおっしゃっております努力については敬意を表しますが、具体的におもな柱を一、二、時間の許す限り質問いたしますが、私は、いまの社会保障制度の一番の柱、中心は、何と言いましても生活扶助の基準だと考えております。このことがいまの日本の日雇い労働者の賃金なり最低賃金にも影響してまいりまして、日本における最低生活を形成しておるものの中核であると理解いたしておりますが、生活保護基準について、少くとも四十五年には三十六年度に比べて実質三倍に引き上げなさいよと書いてありますが、現状は一体どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/9
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010・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 現状の御説明は、便宜、私からさせていただきたいと思います。
社会保障制度審議会の勧告は、三十六年から四十五年までに、ただいま御指摘がございましたおおむね三倍程度の引き上げということでございまして、それに対しまして、三十六年度当初から私どものほうで実際に予算措置しましたものは、指数で申し上げまして、四十年度を入れまして一五九・六%、これは年率に直しまして九・八程度になるわけでございます。名目から言いますと二〇二・九%でございまして、四十年までに、四十年度当初の分を入れまして現在二倍強になっているわけでございます。これは年率に直しまして、平均上昇率が一五・二%でございます。これに対しまして、制度審議会の勧告はおおむね三〇〇%、三倍ということでございますので、これを平均年率に直しますと一二・九八でございますので、名目指数から言いますと、それを上回って一五・二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/10
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011・小柳勇
○小柳勇君 それには物価の上昇を考えておりませんし、答申には実質三倍と書いてありまして、物価の上昇を考えますと一六〇%くらい――私の試算ですよ。だから、数字については、前もって詳しく言ってなかったから、また勉強していただきますが、このテンポ、私が言いますのは、こういうものが基礎になっているような気がするわけです。大臣、予算折衝の中であなた方が生活扶助基準を出していきまして大蔵省で折衝いたしますと、労働省は日雇い賃金で折衝してきます。そのときに大蔵省としては両方を見ながらお互いに足を引っぱっているような気がします。また、労働省の日雇い賃金の基準なども、生活扶助の基準というものが基礎になっておるような気がいたします。そういうのでありますから、大臣はがんばったと思いますけれども、この数字ですね、実質的には、物価上昇を考えますと、五年間に約六割しか上がっていないわけです。これから一体どうするかという大きな問題でありますが、この点について御苦心談でもあれば聞くし、大臣、決意を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/11
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012・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまのお尋ねでございますが、予算折衝のときには、もう非常にこの点につきまして折衝いたしたわけでございます。これは内輪のことを申し上げて恐縮でございますが、私が折衝に入ったときは、もう労働省のほうが済んでおりまして、むしろ私のほうが、労働省とは打ち合わせして、大いに共同作戦をとっておったわけでございますが、労働省が先に済んでおったような事情がございまして、なかなか――そう言いましても、労働省に別にどうこうというのではございませんが、期せずして一致したと申しましょうか、そういうことになった事情がございまして、私のほうはできるだけひとつもっとという考えはあったわけでございます。これは最低生活保障でございますから、厚生省といたしましては、こういった方々のもっと明るさをひとつ増してまいりたく、これは憲法に保障されたことをやるわけでございますから、厚生省の立場からいえば、もっとあたたかみのある考え方でやっていくということが当然じゃなかろうかと思います。そういう考え方に立って折衝いたしたわけでございます。決して労働省と足の引っ張り合いをしなというわけではございません。労働省とも共同戦線をとってやった、こういうことでございまして、これはひとつそういうふうにお考えいただきたいと思います。
それから、パーセンテージは上がっておるが、実質賃金と見合って考えた場合においては、さきにこの社会保障制度審議会の出した目標に到達するには容易でない努力が要るんじゃないかというおことばでございました。これはおっしゃるとおり、私もさように考えております。決してなまやさしい努力で社会保障制度審議会の勧告に沿うとは考えておりません。もちろん国力の上昇がどういうことになるかという問題とも関連してまいりますが、十分そういう心組みで、ひとつバランスのとれた――せっかくこの答申を尊重しているわけでございますから、そういう趣旨で今後なお一そう努力してまいりたい、こういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/12
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013・小柳勇
○小柳勇君 その問題については、ずいぶんたくさん問題がありますが、また予算の質問のときに部分的に質問いたしますが、次の問題は、社会福祉対策に対して年次計画を立てよと書いてあるわけですね。その年次計画について、ばらばらにいろいろ対策を立ててまいりますが、厚生大臣として社会福祉対策をどういうふうに系統的に、年次的に考えておられるか、質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/13
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014・神田博
○国務大臣(神田博君) 御承知のように、厚生行政は非常に間口も広いし、奥行きも深い、しかも、これは一口に言えば簡単でございますが、非常に幅と奥行きを持っておりますので、この間のバランスを失うようなことがありますれば、厚生行政としての意味がなくなると申しましょうか、減少するわけでございまして、私ども予算をとることと同時に、このバランスをひとつとって、各界各層、いかなる場合でもバランスがとれているんだというような仕組みにいたしたいということが真情でございます。そこで、予算の折衝のみならず、日ごろの行政におきましても、最終的には省議を開きまして、全部の局長に集まっていただきまして、そうして何度も何度もそこで検討いたしまして、そして一つが非常に早く前進した、一つは非常におくれているんだというようなことのないように考えてやっておりますのでございまして、しかし、そう申し上げましても、たとえば児童福祉年金というような大事なものが抜けているじゃないかというようなこともございます。こういうこともひとつ早急に取り入れなければならぬということで、今度の予算におきましても調査費を計上して、そうしてできるだけ早い機会にひとつのせたい、これは低所得者階層の生活を顧みるときに、一番重大な役割を持つ問題だと思っております。そういうわけでいろいろ苦心はいたしておりますが、なお一体そういうバランスがどうなっているかということでございますれば、関係政府委員からひとつ述べさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/14
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015・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/15
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016・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/16
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017・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) ただいまの御質問の社会福祉対策の年次計画でございますが、これは一つは社会福祉関係の施設整備の問題、それから、ただいま大臣から申し上げましたバランスのとれた対策の推進、こういうことになるわけでございますが、施設整備等につきましては、中期計画におきまして、全体の年次、長期的な資金需要というふうなものを一応計算しまして、それに基づいて年々の予算にできる限り織り込んでいく、そういうふうな措置をとっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/17
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018・小柳勇
○小柳勇君 社会福祉施設整備だけでなく、系統的な、あなたの関係のほうの体系的なものを質問しているわけですが、これをあとで体系的に、年次的にあなたのほうの構想もあろうから、そういうものをお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/18
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019・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/19
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020・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を始めてください。
午前中の質疑はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/20
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021・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) それではこれで休憩をいたします。
午後零時二十四分休憩
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午後一時二十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/21
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022・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまから開会をいたします。
午前に引き続き、質疑を行ないます。小柳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/22
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023・小柳勇
○小柳勇君 大臣に御質問いたしますが、午前に引き続きまして、社会保障制度審議会からの答申の根本問題について、あと三、四点質問いたします。なお、時間がまいりますと同僚議員と交代いたしますから、残りましたものはあとの予算委員会で質問いたします。
まず、午後の第一の問題は、医療保険制度に財源のプール制をやれ、それから、財政を調整しようというようなことが答申で書かれておりまして、現在これが当面しておる問題になっておりますが、財源のプール制及び財政の調整について、大臣のお考え並びにとられた処置を質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/23
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024・神田博
○国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。
この保険のプール制の問題は、これは考えなければならぬものでございまして、目下検討を加えておる最中でございます。たとえば国民保険の問題にいたしましても、これはいまのような市町村営で今後もずっとやっていける能力があるかどうかという問題、単位を府県くらいにすべきものかどうか、あるいはいっそ国の段階まで引き上ぐべきではないかどうかというような問題、それから、また、健康保険につきましては、政府管掌と組合管掌の保険と一本にしたらどうだというような世上の議論もございまするし、また、私どもとしても大事な問題でございますので、検討いたしております。しかし、いずれもそれぞれ沿革があって今日に至っているわけでございます。同時に、また、給付の差等もございまして、これをすぐというわけにはまいらない点も多々あることは御承知のとおりでございます。いずれにいたしましても、国が皆保険をする、そして国民の医療を社会保険としてもり立てていく、あるいは、また、国の財政の許す限度においては社会保障制度も十分加味して、そうして国が相当つぎ込んでいくと、こういうようなことになりますと、プール制の問題はいろいろ考慮しなければならぬ点があると思います。相当期間これは検討を加えまして、そうして被保険者が安心できる、みんな御納得がいくというようなことをひとつ考えてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/24
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025・小柳勇
○小柳勇君 御存じのように、大臣、答申が出ましてもう四年になるのですけれども、大臣、いまの答弁では非常にあいまいでありまして、大臣のこれからどうするんだという御決意と関連して、いままでの政府委員、事務当局のやられた措置をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/25
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026・神田博
○国務大臣(神田博君) ちょっと政府委員のほうから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/26
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027・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 先に経過のほうを申し上げて、あとから大臣が申し上げるようにいたします。経過のほうから申し上げますと、小柳先生も答申をおまとめになった当時に御参画願っておられたわけでありますが、社会保障制度審議会があの答申を出されました場合の考え方というのは、今日の時点で見ますと、やや憶病過ぎる答申になっているという実態であると言わざるを得ないと思います。いろいろ各種の保険の間に給付の違いがあり、これを調整していく必要があるという前提に立ちながらも、財政調整ということは容易にできがたい問題であるということで、さしあたりは、まず組合相互の間でプール制をやっていくというところから手をつける、こういうような答申の内容になっているわけでございます。ところが、現実の問題として世の中で矛盾を感じておりますのは、組合相互の間のプール制という程度のことで問題が解決できるだろうかということなんであります。常に言われますことは、被用者保険と国民健康保険との間にかなり大きい給付の格差がある。また、被用者保険の間でも、組合健康保険系統のものと政府管掌の健康保険との間には相当開きがある。こういった状態のもとで、比較的富める者の集団といわれている組合相互のプール制を行なって、それを固めるということが将来の発展から見ていいだろうか。確かにそれによって組合の中における比較的条件のいい組合と悪い組合との間の調整という目的は達せられますし、また、相互の共同事業というものは促進されますけれども、それだけに組合は組合で固まってしまって、これと政府管掌との間の財政調整というものはかえってしにくくなるのではないか、こういうような点に私ども検討に着手いたしましてから問題を感じまして、この点は従来の答申の受け方とやや違って、答申が考えておられるよりもやや進んだ考え方をある程度とる必要があるという考えのもとに、第一段階としては、まず被用者保険の内部においてプール制というものを考える必要がある。しかも、そのプール制によって従来の給付内容が引き下げられるというようなものが出てはぐあいが悪いので、政府管掌というようなものの給付内容を引き上げる過程においてプール制というものを考えてまいりたいというので、昨年の五月に、一応プール制を考えるとするならばこういうような問題を解決する必要があり、また、これはこういうふうに解決をしたらどうでしょうかという試みの案をまとめてみたわけであります。ところが、その後実は私どもの考えも、まだある意味においては現実の事態に対しては甘かったわけでありまして、その後出てまいります事態というものは、一体その程度で問題が解決されるだろうか、むしろ問題は、もっと進んで、被用者保険と国民健康保険との間についても、ある程度の対案としての意味を持つ程度のものを考える必要がある、こういうことで、先ほど大臣が申し上げましたいわゆる保険統合論というものがとみに強くなったわけであります。ただ、結論としては、大臣が言われましたように、なかなかこれは保険統合といってもにわかに行ないがたい性質のものでございますが、いずれにしても、御答申をいただいたときに考えておった程度の規模では今日の問題の解決にはならない。さりとて、昨年の五月に厚生省の事務当局が試みの案としてまとめました程度でも、どうも現実の深刻な問題の解決にはやややはり遠い解決になっている、こういうような事情からいたしまして、この際、根本にさかのぼって、問題を徹底的に洗い直して対案をまとめたいと、こういうことで目下研究を進めているわけでございます。ただ、先ほど小柳先生も仰せられましたように、答申をいただいてすでに年久しいのでございますので、その間、部分的な研究は相当しております。したがって、根本の問題についての考え方の調整がつきますならば、比較的早い機会に、どうすることが一番実際的であろうかという対案は一応まとめ得ると思っております。現在はそういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/27
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028・小柳勇
○小柳勇君 大臣のお決意をお願いいたしますが、今回のこの医療費是正につきましても、現在保険などの財政が四苦八苦でありまして、しかも、各保険が黒字であったり赤字であったり、ばらばらであります。そういった場合の財政の調整というものは、組合保険とかあるいは政府管掌保険とか、いろいろいっておりましてもなかなかできがたいのでありますが、積極的に厚生省がこれに取り組みませんと問題は解決しないと思うのです。昨年試案をつくったというようなことでありますが、私まだ不勉強で、その試案についてもお目にかかっておりません。したがいまして、この社会保障制度審議会の答申は、この社会保障制度の大きな基本的なレールでありますから、積極的に取り組んで、少なくとも一年に一回とか二年に一回とか、あの問題はこうしたらどうかというようなぐらいの積極的な取り組みがありませんと、十年はまたたく間に過ぎてしまいやせぬかと思うわけです。ちょうど保険財政が赤字になりまして、どうしようかというような根本的な時期、基本的な時期でありますから、この際、この答申の大きな柱である保険財政のプール制及び財政調整について、厚生省として積極的に取り組むかどうか、大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/28
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029・神田博
○国務大臣(神田博君) 保険一本化につきまして、厚生省は、いま局長からも述べましたように、私がまた先ほど述べましたように、これは大きな決意をもって臨みたいと思います。御承知のように、いま医療制度調査会に三法の改正をお願いしておりますが、これはいわば暫定措置でありまして、これによって当面の問題は一応軌道に乗せ得ると思いますが、すぐその後に取り組むのは、いまお述べになったようなことが一番根本であると思っております。おっしゃる気持ちもわかります。私どももそのような決意でございますので、これはひとつなお一そう御支援と御鞭撻をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/29
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030・小柳勇
○小柳勇君 次に、年金について基本的な問題を質問いたしたいと思います。
それは、各種年金の給付の大幅引き上げというものも答申されておりますが、特に格差の是正などは早急にやらなければならぬと私は思います。高度経済成長で非常に成長した面があると同時に、これに取り残されておる面があります。これは産業的にもそうでありますし、地域的にもそうであるし、階層的にもそうであります。したがって、これを救う道は年金の公平、ひとしく年金を受けるという、それが一番大事ではないかと思う。特に私は、たとえば公務員であろうが私企業であろうが、あるいは工業であろうが農業であろうが、一生働いて老後安心して生活する、その生活安定は年金が保障してくれるものと思う。したがって、その各種年金給付の大幅引き上げに対する今日までの取り組みと、それから格差是正に対してどうお考えか質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/30
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031・神田博
○国務大臣(神田博君) 社会保障制度をわが国といたしまして大幅に取り入れていこう、こういうことでございますので、この場合、年金制度を確立していく、大幅な年金を国民にまかなえるようにしたいと、これはもう基本的な考え方は小柳先生と私とはこれは同じ考えだと思います。ただ、これをやってまいります段階が、いろいろ財政問題等がございまして御意見が多少違うことがあると思いますが、私どもといたしましては、国家財政の許す限り、これはひとつ所得の再配分というようなことを考えまして、国民生活の安定向上を考えましても、年金制度の確立を待たなくちゃならぬことは、これは当然だと思っております。そこで、そういうような考えで厚生年金の一万円年金というようなことも打ち出し、また、福祉年金の増額というようなことを考えたわけでございます。何といたしましても、物価が上がる、こういう時勢でございますので、その物価以上に年金が上がることに努力しなければ上がったという感じを与えませんから、そういうことを基調として今度も改正案を御審議願うというような段階でございます。いろいろの仕組みにつきましては、政府委員から詳しく答弁させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/31
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032・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 所得保障の問題といたしましては、特にわが国におきましてこの年金、老齢年金の制度がおくれておるわけでございまして、ただいま小柳先生のおっしゃられましたように、どういう職場で働いておったということに関係なしに、やはり老後の保障というものは同じような扱いをすべきじゃないかといった考えに、私ども基本的には全くそのとおりだと思っております。したがいまして、現在厚生年金が最も多くの被保険者を対象としておりながら、非常にまあ不十分な給付内容にあるという現状に立脚いたしまして今回の改正案を考えたわけでございまして、二十年勤続で標準的に一万円、三十年勤続で標準的に一万五千円の年金と、こういう構想でございます。ただ、この構想をもちましても、ただいま御指摘がございましたように、公務員共済との比較におきましては、なお十分でないという点があるわけでございます。ただ、この問題は、公務員共済の場合には、一応二の給与体系その他で一定いたしておりますが、厚生年金の被保険者というものにつきましては非常にまあ複雑である。これは賃金体系も複雑であるし、賃金格差等もありまして、非常にまあむずかしい問題があるわけでございます。そこで、現在の厚生年金は定額部分と比例部分と、こういった仕組みになっておりまして、定額部分によって所得再配分を相当強度に行なうと、こういうしかけになっておりますので、定額部分をどこまで上げるかということがその辺のバランスをとる手順になるわけでございまして、今回の改正案では、現在の二千円を二十年勤続で五千円、三十年勤続の場合は七千五百円になるように定額部分を相当部厚く引き上げて、それによってある程度バランスをとりたいと考えておるわけでございます。
それから、もう一つ大きな体系といたしまして国民年金が控えておるわけでございますが、国民年金につきましては、申し上げるまでもなく、事業主負担といったものがない関係で、かつまた、自営業者の負担能力という問題からいいまして、厚生年金と比べましては、さらにこの負担能力の面でむずかしい問題があるわけでございますが、しかしながら、ただいま先生もおっしゃられましたような基本的な線に沿って厚生年金の改正が実現いたしますれば、引き続いて国民年金の大幅改正を実現しなきゃならない、かように考えておりまして、ただいまの御質問の線に沿って進んでいきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/32
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033・小柳勇
○小柳勇君 厚生年金、国民年金の方向については伺いましたが、その他の共済年金など、あるいは公的年金などとの結びつきといいますか、非常に格差がひどい。したがって、まあ掛け金などについて問題があります。それから、それを取る方法についてもいろいろ問題がありますが、近い将来にこの年金を一体化するというのがわが党の政策でもありますが、政府としても、国としてもその方向でなければならぬと思うわけです。これに対する取り組みですね、現在どういうふうに取り組んでおるかということをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/33
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034・神田博
○国務大臣(神田博君) いまの小柳委員のお尋ねでございますが、まあこの所得保障を十分にする、年金制度を国民のすべてにあまねく、しかも、まあ公平にと申しましょうか、やっていくということになりますと、いまお話のございましたように、一本化するということが私は理想だと思っております。私もその点については疑いを持っておりませんが、わが国の制度がいろいろの沿革によってまあ今日こういうふうになっております事実と、それから、なおまたいろいろ負担区分等につきましても相当やはり大きな差がございますので、これを直ちにその目標を立てて取り組んでいくということはなかなかたいへんなことではないか。しかし、いつまでもそれじゃこれをながめっぱなしかというと、そういうわけにも私はまいらないと思います。社会保障制度のこの答申や勧告にもありますように、長期展望といたしまして、やはり今後十カ年くらいにめどを置きまして、そうして取り組んでいかなきゃならぬじゃないか、少なくとも私はそのくらいの考え方は必要なんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/34
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035・小柳勇
○小柳勇君 まあ事務的に事務局のいろいろな取り組みをお聞きしたいのでございますが、それはあとで詳しくお聞きいたしますが、もう一つは、この年金のスライドアップの問題ですね。貨幣価値がだんだん下落いたしますと、せっかく年金を取っておりましても生活に不安があるわけです。スライドアップも一部きざしが見えますけれども、もっと積極的にやっておきませんと、せっかく年金を取りましても、年金に対して不安を持ちます。そういうものがまた生活不安ともつながりますが、スライドアップについての見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/35
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036・神田博
○国務大臣(神田博君) 年金をまあ物価にスライドせいという御趣旨だと思います。これは私も所得保障をする限り、これは物価の変動を見ないと、特にまあ物価が上昇していくというような場合に考えないということは穏やかじゃないという考えを持っております。できればそういうことにいたしたい、また、すべきものだと考えております。ただ、その場合、物価だけにスライドしたらいいかどうか、賃金にスライドする必要があるのじゃないか、あるいはその他も考慮する必要があるのじゃないかというようなことも検討の必要があるのじゃなかろうか、こういうようにも考えるわけでございます。それから、また、他の制度と申しましょうか、いまお述べになったような他の恩給その他の問題がございますので、そういうのとやはりあわせて考えなくちゃならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。で、問題は、そういうことをあわせて勘案しながら、終局はそういうような制度に移行したいと、こういう考えでございます。とりあえずは、物価の上昇を大幅に上回る改正案をひとつ出したい、こういう考えでいま進んでまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/36
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037・小柳勇
○小柳勇君 年金に関連するのですが、これは援護局との関連もありますが、今年度の予算を見ますと、一番最後の末尾に、軍人遺族関係、戦傷病者関係の予算がずっと計上されています。金額としては、たいしたことはございませんようです。もっとこれは上げなければならぬでしょうが、私は、戦後二十年になりまして、いま戦傷病者に対する手厚い国の保護があるということについてはもちろん賛成でありますが、ほかに戦いの現地に行かれない方、国民のいろいろな被害も戦争であったわけですね。そういう人との関連を考えてみますと、一般年金――いわゆる厚生年金とか国民年金とか、そういうふうなものでみるべきであって、特に戦争の「戦」の字をつけたようなことできわもの的に扱われるということについて若干奇異な感をいま持っているわけです。援護局関係については、あとで援護局長からお聞きいたしますけれども、年金の制度というものは社会保障制度というもので考えるべきであって、国民平等に、公平に恩恵を受けるべきである、こういう見解ですが、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/37
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038・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまのお尋ね、私も一般論としては小柳先生のお考え方をそのまま素朴に考えたいと、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、しかし、今度の大東亜戦争でございますか、これは御承知のように、非常に広範にわたって、しかも、内地も戦場化した、特に召集された方々の御労苦と申しましょうか、また、残された遺族の方々の立場を考えますときに、ああいった再びあっては困る未曽有の困難に耐えたと申しましょうか、悲惨な状態にあったことを考えますと、この際、すべて社会保障制度でひとつまかなっていくという考えだけに徹することはいかがであろうかと、こういうようなことでございます。お述べになりましたことをさらっとした気持ちで考えますれば、国民ひとしく所得再配分というような気持ちで、そうして所得保障をしていく、みんな平等にしていくという考え方については、私も前段に申し述べたとおり、よくお気持ちとしては共鳴できるわけでございますが、いま申し上げたような事情を勘案いたしますと、当分の間は、いまのような制度もやはりこれは存置しなければならぬのじゃないか、こんな気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/38
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039・小柳勇
○小柳勇君 その問題は、またあとでもう少し具体的に詳しく説明を伺いますが、もう一つ年金の問題で、国民年金の福祉年金の受給資格の中で、老齢年金は七十歳になりますと千三百円支給されるわけですが、公的年金との併給の問題がございまして、軍人である場合の年金と一般公務員である場合の年金は、受給資格に差があるわけです。控除の差があるわけです。これについて、大臣はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/39
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040・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 福祉年金と他の年との併給の問題につきましては、いま御指摘のとおりでございまして、これは実は公務扶助料との併給問題が、福祉年金ができましてからあとで起こりまして、そうしてこの併給の限度額というものが、公務扶助料の上がるに伴いまして引き上げるという措置を講じてまいりました。今回も、その関係で、従来の限度額が八万円であったものを十万二千五百円まで引き上げておるのでございます。これは八万円のときに併給を受けておった人たちが、その従来の権利といいますか、受けておった額は受けられる。それから、今回の老齢年金のベースアップも、その要素を加味いたしまして、そういった限度額の引き上げの措置を講じておるのでございますが、そこで、いま御指摘になりました公務扶助料以外の一般の公的年金との併給限度ということを御指摘かと存じます。これは当初、限度額といたしまして二万四千円という線を引きまして、二万四千円に満たない額との差額の併給をするということになっておりまして、据え置きになっておるわけでございます。この問題につきましてはいろいろ議論があるところでございますが、本来ならば、他の公的年金におきまして二万四千円に満たないといった非常に少額の年金制度というものがあるのが問題じゃないかという気持ちを持っておりまして、今回の厚生年金の改正におきましては、遺族年金につきましても月額五千円という最低保障をいたしまして、これは障害年金その他一切、今回の厚生年金の改正が通過いたしますれば、六万円以下の年金というものは一つもない、いわば原則的にはそういうことになるわけでございますが、そういった最低保障のしかけをそれぞれの公的年金の本法において実現するというのが問題解決の筋ではあるまいかという考え方が一つ基本にあるわけでございます。確かに公務扶助料との併給の限度額を引き上げて、他の公的年金との併給の限度額をそのままに据え置いているということについては、いろいろぎらつく面もありますし、問題もございますが、本筋としては、いま申しましたように、厚生年金関係においては最低保障を相当大幅な額のところに線を引きますので、厚生年金との関係におきましては解決する。共済年金との関係が若干残るわけですが、本筋としては、やはり本法においてそれぞれの最低保障額というものを考える、相当のところに線を引くというのが筋ではあるまいかというような点を勘案いたしまして、この問題は実は未解決のままに残しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/40
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041・小柳勇
○小柳勇君 そうしますと、公的年金のほうの、たとえば共済年金などで二万四千円くらい取っておるのです。実際あるんですが、そういうものに対して、その組合だけではなかなか問題は解決しないのですが、よそとの関連がありまして。そういうものとの調整などお考えになったことがあるか、あるいは過去に会議などお持ちになったことがあるのかどうか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/41
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042・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 各種の年金との調整問題は、先ほど先先も御指摘になりましたし、大臣もお答えになりましたように、今後多数の調整問題が残っておりまして、実は厚生年金の改正を機会に各省の連絡会議を持ちまして、そのつど連絡会議をやっておりまして、今後各種年金間の調整をできる限り同じような方針にいくようにやっていこう、かような方針でまいっております。この会議は今後も続けまして、なるべく問題を少しずつでも解決していきたいと、かように考えております。
それから、ただいまの二万四千円の問題は、先ほど私言い落としましたが、厚生年金改正が通りますれば、次の通常国会には国民年金の大幅改正を提案いたしたい、こういう心組みでおります。で、国民年金の大幅改正ということが近づいておりますので、その機会にこの二万四千円問題も根本的に検討いたしまして結論を出したいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/42
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043・小柳勇
○小柳勇君 年金問題については、また予算のところで少し具体的に質問いたします。
次に、公衆衛生と環境衛生の問題です。公衆衛生及び環境衛生に対しましても、年次計画を持って推進しなさいということが答申してありますが、環境衛生については年次計画が若干あるようでありますが、公衆衛生関係についての年次計画などについて大臣の抱負をお聞かせ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/43
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044・神田博
○国務大臣(神田博君) 環境衛生につきましては年次計画を立てまして、それぞれ施設の整備をはかっていることは御承知のとおりでありますが、公衆衛生につきましては全般的な計画を立ててやっていくというような段階ではないのでございまして、ただ、精神衛生につきまして年次計画を立ててやっておる。これは政府委員からひとつ説明させたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/44
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045・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 公衆衛生の問題は、物をつくっていくとか設備をしていくとかいうような問題が比較的少なうございまして、人に対するサービスを主眼にいたしておりますために、物をつくっていく、環境衛生のように、設備や施設をつくっていくというような年次計画は比較的少ないわけでございますが、そういう意味で、公衆衛生全般としては、年次的な計画というものは、事業を逐次増大さしていくという――サービスを拡大していくということでございますので、数字の上の年次計画はあまり持ち合わしておりません。ただし、精神衛生のように、非常にこれから大幅に急速に進展しなければならない、しかも、ベッドの増設というような問題、つまり物をつくっていくというような問題をかかえておりますところについては、年次計画を定めてその実施をしていく所在でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/45
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046・小柳勇
○小柳勇君 関連でありますが、たとえば福祉事務所とか保健所などの窓口の連携、横の連携などで相互の連携などをよくするようにということも答申してございますが、年次計画ではなくて、これは当面の問題ですが、そういう問題についての指導体制はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/46
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047・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 公衆衛生の分野におきましても、結核あるいは精神の医療費の公費負担、あるいは伝染病予防の公費負担というような点で、公費負担の事務がかなりふえておりますので、これらの事業を実施してまいりますにつきましては、福祉事務所と十分な連携をとるというたてまえで、現に低所得者の取り扱いについては、福祉事務所と協議しながら進めておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/47
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048・小柳勇
○小柳勇君 それから次は、この社会保障関係の職員の養成ですね、社会保障関係の職員の計画的な養成、そういうものについて、まあ去年でしたか、社会保障研究所ができたようでありますが、職員もわずかであるし、予算もわずかで、今年はたしか七名ぐらいの増員の提案があるようでありますが、社会保障制度の研究、あるいはそういう職員の養成に対する大臣の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/48
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049・神田博
○国務大臣(神田博君) 社会保障制度を実施していく、社会福祉を拡充していくということにつきましては、予算の充実も当然でございますが、やはりこれを担当する担当員と申しますか、指導する指導職員の必要なことは言うまでもないわけでございます。わが国といたしましては、この分野がおくれておりますので、今後相当数のこれらの専門員をひとつ養成いたしたいと、こういうことで、厚生省といたしましては、長期展望のもとに、熱意をもって養成所をつくったわけでございます。詳細につきましては説明員からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/49
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050・網野智
○説明員(網野智君) ただいま御指摘のございました社会保障研究所は今年の一月から発足いたしまして、所長以下、専任の職員が研究員といたしまして今年度は五名ということになっております。来年からはその専任の研究員が十二名ということになりまして、社会保障の学問的な研究、総合的にして、かつ、基本的な研究をやっていく、こういうことになっておりまして、いろいろ研究テーマその他につきましては、今後私どもと研究所が打ち合わせをいたしましてやってもらいたい、こう考えております。関連いたしまして、まだ具体的な計画はございませんが、社会保障研究所の先生方は非常に有能な先生方でございますので、都道府県、あるいは市町村等における社会保障関係の職員の研修というようなものにつきましても、県から委託を受けてやっていくというような計画も考えてもらいたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/50
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051・小柳勇
○小柳勇君 同僚議員との関係もありますので、大臣がおいでのときにあと二、三はしょって質問いたしますが、一つは、この前北海道の夕張の爆発がありまして参りましたときに、緊急医療対策と言えるかどうかわかりませんが、高圧酸素治療器を北大から運んでおります。これが日本で三基しかないといわれている。それが非常に治療効果がある。炭素中毒などには、三池の場合は非常に困りましたけれども、これで二十四時間やりますと回復が顕著でありますという医師のお話がありましたが、こういうものこそ緊急医療対策として、費用も組んでおられると思いますが、少なくとも各地の医科大学に一基ぐらいは置くべきだと思いますが、大臣はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/51
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052・神田博
○国務大臣(神田博君) いま小柳さんがお述べになりましたように、先般の不幸な夕張炭鉱爆発につきまして、この高圧の機械が非常な治療効果をあげたということは、私も詳細聞いておりまして、非常に喜んでいるわけでございます。また、この付置については、各大学等に付置をさせたらという御意見はまことにごもっともだと思っております。御承知のように、交通事故が非常にふえてまいっておりますので、交通戦争というようなことをいわれている際でございます。こういう際でございますので、できるだけこの種の機械を一つ救急病院等に備えつけるか、あるいはまた適当な方法でひとつ移動するような仕組みを考えるか、何らかいたしたいと思いますが、これは大事なことでございますので、ひとつまた医務局長から述べさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/52
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053・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 最近の医学の進歩の一つに、高圧酸素を患者に施用して、それによる治療効果を求めたいという動きが昭和四十年度の医学の一つのテーマではないかと、こういうふうにいわれており、日本で現在東大とガンセンターと札幌大学に高圧酸素タンクが一台づつ、合計三台入っているような状態でございますが、今度の夕張の災害におきまして、北海道のほうがこの点にいち早く気づきましてこの高圧酸素タンクを現場へ運び、一酸化中毒の治療にきわめて大きな効果を発揮した。はなはだりっぱな緊急対策であったと思って感心しているわけでございますが、いま大臣からもお話がありましたように、また、小柳先生からお話がありますように、大学等へもこれを設置していただきますよう、文部省に私どももお願いしたいと思いますし、また、国立病院におきましても、これは私どものほうで自分でやれますので、今後高圧酸素タンクを要所、要所に置いていく。特に一酸化炭素中毒とかいうような、これの施用の可能性の多いところにこれを配置するというようなことも考えていきたいと思います。なお、これだけでなく、先般の交通安全国民会議におきまして指摘があったのでございますが、一般の救急病院、さらに救急車にも酸素吸入のできるように、たとえば酸素ボンベを置き、また、酸素テントを持たすというふうなことを考えることが必要ではないかというふうな御意見もございましたので、救急医療体制全体として、いま先生の御指摘のございましたような点でわれわれも一そうの努力を払っていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/53
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054・小柳勇
○小柳勇君 札幌大学にありましたやつがちょうど分解してありまして、組み立てて出すのに壁を破ったという話も聞きましたから、しかも、あれは非常に重いのです、五キロの圧力ですから。軽金属でもっと持ち運びが簡単にできると私は考えたんですが、どうぞ早急に検討してもらって、各大学に配置できるように、大臣も局長もひとつ御尽力願いたいと思うのです。
次の問題は、この間ちょっと質問いたしました看護婦の拡充対策ですが、あのときも質問して宿題にしておきましたが、この予算はいろいろ何人当たり幾らと書いてあります。また、貸費生の制度もあるようでありますが、一般に学校などに対するPRといいますか、働きかけ、教育宣伝ですね、そういうものが足らないから優秀な婦女子が看護婦の職に希望されぬのではないかという気がするわけです。私の専門ではありませんが、各地を歩きまして、全国的に医師から言われるのは、看護婦が足らぬ、優秀な看護婦が見当たらぬということでありますので、この点について私はこの前質問いたしまして保留いたし、宿題にいたしました点を御説明願いたいと思います。これは担当官でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/54
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055・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦さんの志望者を多くするために、各中学とか高等学校等へ働きかけるようにもう少しやれ、こういうようなお話でございます。そのとおりだと思います。大体いまの状態では、各養成施設がそれぞれ近くの中学校、高等学校というようなところに働きかけをやっておる、それに対して府県がある程度援助しているという状態でございましたが、来年度におきましては、はなはだ些少ではございますが、従来十万円だったそういうふうな奨励費を百二万九千円――率から言いますと十倍でございますが、にふやして、できるだけ国といたしましてもこの点は努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
なお、この前御心配いただきました看護婦の志望者の数でございますが、比べてみますと、国立の病院の看護婦養成関係で、三十九年の三月八日現在では志望者が三千六十六名だったのが、四十年の三月八日には四千六百三十名、約五割以上ふえております。それから、この傾向は日赤につきましても同じ状態でございまして、ちょうどこれはベビー・ブームがいまここへきているということもございますが、看護婦の志望者は、ことしは正看護婦につきましては、かなりふえているような見込みでおります。ただ、准看護婦の関係がこの点いかがかと、多少心配しておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/55
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056・小柳勇
○小柳勇君 医務局長がおられますから、血液対策ですね、血液対策費で、きのうの新聞で、日赤の血液がなくて大騒ぎしたようでありますけれども、全国的にも血液が足らぬというようなことを書いてありまして、心配のあまり質問するわけでありますが、しかも、方々で血清肝炎と申しましょうか、それで苦しんでいる人も方々から陳情があるわけですが、この血液対策について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/56
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057・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 所管が薬務局になっておりますので、私からお答え申し上げます。
昨年、血清肝炎の問題を含めまして、いわゆる黄色い血ということで社会的に問題になりましたが、昨年の八月閣議決定をいたしまして、日本赤十字社及び地方公共団体を主体にしまして献血の推進をはかるということにいたしまして、それで従来二十六都道府県に、全然血液銀行も移動採血車もなかったところに移動採血車を二十六台分予備費でもって支出をするという決定をいたしたわけでございます。それ以降、各都道府県に血液銀行並びに移動採血車の配置を大体ことしの初めあたりから完了いたしまして、今年が結局この血液対策といたしまして献血推進の一番重要な年になっておるわけでございます。それで昨年八月以降、献血推進に切りかえたわけでございまして、しかも、未設置の県は全部自動車の完成がおくれまして、これが完全に配置されたのはことしに入ってからということで、その間の需要が、やはり多少時期的な点で献血等のいわゆる採血の絶対量が少なくなったというような事情になりまして、各府県において若干血液が不足じゃないかというふうな議論も、また、そういう世論も出ておる点は私ども承知いたしております。しかし、何ぶんにも従来大体五十八万リッターくらい使っていました日本の血液需要といいますものは、中には使わぬでもいい場合に血液が使われたというふうな事由もございまして、絶対量の五十八万リッターは必ずしもこれが絶対的な需要だというふうには私どもは考えておりませんで、むしろ貴重な血液でございますので、必要な量を確保したいということで、目標はもう少し下げてもいいのじゃないかというふうに私どもは考えておったわけでございます。それで昭和三十九年度の十二月まで、暦年にいたしまして十二月までの統計が最近になって出てまいりましたが、三十八年度に比べますと、大体二割ぐらい血液の供給量が減っております。しかし、片一方におきまして、三十八年度までは大体九七%ぐらいの売血という――血清肝炎の問題を起こします血液が九七%くらいございましたのが、ことしに入りましてはこれが八六%程度になりまして、その他は献血、預血でまかなわれる、いわゆるいい血でまかなわれておるというふうな状態になっておりまして、これは三十九年度は暦年でございますが、特に閣議決定をいたしました八月以降、九月、十月、十一月、十二月までに献血、預血の率は二七、八%ということで、売血の量は七〇%前後ということで非常に減ってきておるわけでございまして、ことしに入りまして、未設置の県も移動採血車等で採血を始めておりますので、ことしはこの率が相当高くなるのじゃないかということを私ども期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/57
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058・小柳勇
○小柳勇君 ほかに国保の問題なり予算の一般質問がありますが、同僚議員の関係でやめますが、私きょう大臣に質問いたしましたのは、社会保障制度審議会の答申というものがまあ現在のレールだと思いまして、これと真剣に国会も取り組まなければいかぬし、厚生省も取り組んでいただかなければならぬ、そういう気持ちでございます。この中に大体の方向がありますから、まあ一年に一回くらい質問しながら、国会も政府もこれをチェックしていくことが必要であると思って質問いたしました。なお、ことしの予算に盛られた基本的な問題、いま予算委員会もあるようでありますから、そういうところで質問することにいたしまして、最後の三つの問題は緊急な問題でありまして、心配なあまり質問いたした次第でございます。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/58
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059・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと私、いま小柳委員の質問に関連して二つほど聞いておきたいと思います。いずれ小柳委員はこの次の機会に一般問題で質問されると思いますが、少し気になるのは、一つは、大蔵省が、一日の生活を物資でカロリー計算をして発表をしておる。ああいう管轄は厚生省はどんな感じで見ておられるのか。あのような人間生活に関することは厚生行政だと私は思っているわけなんだが、ああいうかっこうのものを厚生省が相談をしておやりになったのか。そこらあたりのこと、及び、その他今後の考え方を聞いておきたい。
それから、もう一つは、いま熊崎さんの言われたことですが、献血と売血との関係で、どうも日赤が、いまお話がありましたが、少し問題を起こしているようだが、受けるほうは同じ値段だということが少し国民に解明が足らないのではないかという感じがするのだが、その後の経過をちょっと聞かしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/59
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060・神田博
○国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。
第一点の、大蔵省の例の一日当たりのカロリー、あるいはこれを金銭に換算した場合の問題について厚生省は相談にあずかっておるかということでございますが、これは結論的に申し上げますと、相談にあずかっておりません。あれは税の問題に関連しまして、免税点をどこへ持っていくかというようなこと、あるいは自衛隊の一日の食費をどうみるかというような、予算査定に関連して向こうははじいたというように聞いております。
第二のほうは政府委員からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/60
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061・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 御指摘の点は、献血された血が日本赤十字社から医療機関に納められまして、それで医療機関がこれを使用した場合に、支払い基金のほうに、売血の血液でやった血液製剤と同じように、千六百五十円で請求される、つまり売血の血も献血の血も同じように千六百五十円でそれぞれ支払われて、それが日本赤十字社のほうに戻ってくる、これは献血された血については、売血の場合と違って、千六百五十円の中の五百円というものが入っておるので、むしろ五百円を差っ引くべきではないかというふうな御意見ではないかと思います。それから、また、もう一つ極端なことを申し上げますと、献血された血液であるがゆえに、これは支払い基金のほうに請求せずに、むしろただといいますか、全く千六百五十円という値段じゃなしに、これはまるまるただであってしかるべきではないかというふうな御意見も含まれておると思います。これにつきましては、実は昨年の予備費支出をやりましたときにいろいろと日本赤十字社側とも私どもは話したわけでございますが、従来日本赤十字社は、献血をいたしました人が病気になり、血液が必要だといった場合には、その人にただでこれを提供するということをいたしておったわけでございます、一部。しかし、これはその人にただで血液を差し上げるといいましても、実際にその人が医療機関で治療を受ける場合には、その医療機間はただで提供を受けました血液代については支払い基金に対する請求を捨てることになるわけでございます。みすみす捨てることになる。支払い基金のほうに請求すれば千六百五十円それを払ってくれるわけでございます。それを日赤のほうから、これはただでもらったのだからそれを請求しないということになりますので、結局日本赤十字社としては、その血液代についていろいろな諸経費が入ることを全然計算の中に入れてないということになるわけでございます。そもそも血液を血液製剤として、医薬品でございますから、これを製造するにあたりましては、日本赤十字社であるといえども、民間の血液銀行と同じように、看護婦も要りますし医者も要りますし、また、施設関係の経費も要るわけでございます。つまりいろいろな諸経費が要る。それが現在のところ千六百五十円の中身のいわゆる施設管理費といいますか、そういう関係で千百五十円という値段になっておりまして、売血の場合にはこれは五百円を加算して千六百五十円、こういうことになるわけでございますから、やはり日本赤十字社が寄付金その他で、あるいは補助金等でまかなわない限りにおいては、千百五十円というものは絶対的な金額として必要なわけでございます。これを請求するのは私どもはあたりまえではないか。しかし、採血の血液代としての五百円は、これはまさに請求する必要がないかもしれない。しかし、当時日本赤十字社側と話をいたしまして、また、医療機関側としても売血の血、つまり悪い血のほうが千六百五十円であって、いい血のほうが千百五十円という考え方もおかしいじゃないか。同じ血液について同じ値段で千六百五十円で支払い基金に要求するのがたてまえ上あたりまえである。千六百五十円で要求いたしまして、支払われましたその中身の五百円の使用につきましては、これは日本赤十字社がRHのマイナス型の血液検査をやったり、あるいは献血手帳とか献血バッジとか、その他血液の献血をしていただいた方々の処遇の関係の費用に使われるような考え方をとろう。それで五百円の内訳を分析をいたしまして、私どもとしては、大体三百円といったものはそういう処遇者の血液型の判定その他の経費としてこれを使用してもよろしい。残りの二百円というものは、これは日本赤十字社の本部のほうに全部地方から送金していただいて、それで日本赤十字社の血液事業の全般的な費用として、この二百円の使途については厚生省と十分相談をしてきめるというようなとりきめをいたしました。むろんこれは財政当局も入った上でのとりきめでございます。そういう形にして、ともかく昨年の八月以降、日本赤十字社は、血液代については、売血の場合と同じように、支払い基金のほうには千六百五十円の支払いをします、こういうふうにきめたわけでございます。一部日赤の支部の方々にその点の不満もございまして、明らかに私どもとしても十分なPRをやらなかった点もあるわけでございますが、その後再三にわたって日本赤十字社のほうで地方の支部長、事務長を集めましてその趣旨を徹底いたしまして、最近におきましては、おおむねこのようなきめ方については了解をいただいておると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/61
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062・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 大臣に医療費の緊急是正に関してお尋ねをいたします。今回の医療費の緊急是正に関しては、大臣の御苦労等につきましては私どもこれを認めており、また、その御努力に対して敬意を払うものでありますが、この際、告示の方法並びに告示後の措置等について二、三お伺いをいたしたいと思います。
まず第一点は、その医療費の緊急是正は前回の臨時国会におきまして三十九年度補正予算措置が決定し、四月一日より九・五%引き上げ実施ということが確定したわけです。したがって、厚生大臣は、当然十二月中に勇断をもって告示に踏み切り、努力をすべきものであったと存ずるものであります。これがなされなかった理由についてお伺いしたい。現在このために一部混乱が続いておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/62
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063・神田博
○国務大臣(神田博君) いま鹿島委員のお尋ねでありますが、国会のほうに医療費の予算を求めながら、たいへん処置がおくれておるじゃないかという意味のお尋ねでございました。御承知のように、中医協の委員に欠員がございまして、中医協の委員の中立委員を選びましたのが十二月の十五日でございます。そこでようやく中医協が活動できるような状態になりまして、そこからいろいろ中医協の委員の方々の御都合のいい日ということで第一回の会議からのスケジュールを組んだわけであります。年末でございまして、なかなか御多忙のところでございまして、中立委員、支払い側、また、診療側の全員都合がいいというのが二十二日までないということでございまして、十五日に任命をみましたが、第一回の会合は十二月の二十二日から始まった、こういうことになります。その間、私どもも、各支払い側、診療側、また、中立委員等にこの内容の説明、あるいは資料の提出等をいたしましたが、開会が何といいましても二十二日というようなことでございまして、自然におくれたと申しましょうか、その二十二日から約六日間にわたりまして、しかも長時間――二晩ほど徹夜もございまして行なったわけでございます。とうとう暮れの三十日の朝までかかったのでございますが、年末にはきまらなかった、年越しをしたと、こういう事情でございまして、特におくれたというよりも、万やむを得ず年内に処置ができなかった、こういうように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/63
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064・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの御説明によって医療協の審議状況も了解されないことはありませんが、今次の中央医療協の審議実態は、約一カ年有余にわたり、言うべきことはほとんどお互いに言い尽したという状態だと思う。したがって、このような状態下で今回大臣が当然職権による告示を行なったことに対して、あたかも強行告示であるかのごとき支払い者側の反対意見がありますが、これは法的にどう解釈すべきか、また、一月一日に遡及実施ということにからんで、行政訴訟が支払い者側から起こされておる。これらの点を含めまして、その措置の法的な有効性についてお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/64
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065・神田博
○国務大臣(神田博君) 十二月の二十二日から年内に六日間、また、年を越しましてから長時間御審議を願ったわけでございますが、なかなか容易にまとまらなかった。しかも、その最後の段階におきまして中立側が、もうこれはまとまる見通しがない、そこで診療側も支払い側の考え方も大体固まっていることがわかった、そこで、この際、自分たちもひとつ考えをまとめる必要があるというようなことでございまして、中立側としていわゆる意見をおまとめになられた意見で支払い側、診療側に個別に会談された、こういうことでございます。その結果、支払い側がこの中医協に出席をすることを拒んだと申しましょうか、欠席されたわけでございます。御承知のように、これはどちらか片一方が欠席されれば定足数が足りませんからできないわけでございます。そこで、そういうことを詳細明らかにいたしまして、公益委員から公益委員としての意見を具して報告があったわけでございます。また、文書による報告と同時に、口頭で十分御説明を聞きました。これ以上審議を続けましても、なかなか会議を開くというか、案を進めていくということは見通しがつかなくなった。そこで、公益委員側としては諮問案に対して意見をひとつ明らかにしたい、たとえば入院費の一部を増す、診療費の診察料を一部下げる、こういうようなことも加えまして、そうして政府に答申があったわけでございます。政府といたしましては、事ここに至りますれば、一昨年の暮れからのもう緊急是正としての懸案でございまして、早くきめるべきものだと、早くひとつ決定したい、病院経営等も非常に困難に遭遇しておる、また、医療費の上がることを前提としていろいろ金融措置等もいたしておるというようなことでございまして、これ以上報告をちょうだいして延ばすというわけにはいかぬと、こういうことで踏み切ったわけでございます。なお、この踏み切ったことにつきまして、さかのぼったことが法律的にどうかと、あるいはこのことについていま訴訟が提起されておる、この見通しはどうかというような御質問でございますが、これらの点につきましては、私も法律の専門家ではないのでございまして、むしろ小山保険局長から詳細御答弁をさせたほうがよろしいかと思いますので、そのようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/65
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066・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 経過なり政府側の考え方はただいま大臣が申し上げたとおりでございますが、簡単に法律上の根拠を申し上げます。
通常、診療報酬といわれておりますのは、健康保険法では「療養二要スル費用ノ額」という表現になっております。この「療養二要スル費用ノ額」は、健康保険法の四十三条の九第二項で、「療養二要スル費用ノ額ハ厚生大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ算定スルモノトス」と、かように規定されております。つまり診療報酬の額は厚生大臣がきめる職権を持っている、こういう根拠がただいまの条文にあるわけであります。次に、四十三条の十四第一項に、厚生大臣がこの四十三条の九第二項の定めをなさんとするとき、つまり療養に要する費用の額をきめようとするときは中央社会保険医療協議会に諮問するものとすと、かように規定されております。したがって、この規定があります結果、厚生大臣が療養に要する費用の額をきめます場合でも、中医協に諮問をした上でなければならぬと、かような関係になっておるわけであります。で、かような根拠に対応いたしまして諮問が行なわれたのであります。諮問を要求いたしておりまする趣旨は、単に形式的に諮問をすればいいということではもちろんないはずでありまして、諮問する以上は、中医協で審議をしてもらってしかるべき結論を聞き、その結論を十分尊重して療養に要する費用の額をきめるということで諮問するはずであります。そういう意味合いにおいて昨年来いろいろと審議を願ったわけでありますが、不幸にして形式上きれいにまとまった答申というものが得られなかったわけであります。しかし、実質的にはすでに各側の意見も十分に出尽して承知できましたし、さらにこれを会長を中心とする公益委員の報告によって確認することもできましたので、それで健康保険法に定めるすべての条件を満たすものとして、一月九日におけるあの療養に要する費用の額をきめた告示が行なわれたわけであります。
次に、問題は、そういった療養に要する費用の額をきめます場合に、その効果を一月九日以後にしないで、一月一日まで遡及させたということの法律的な効果が一部から問題とされているわけでございます。これについては原則的にこういう関係があるわけであります。刑罰不遡及の原則、これはもう憲法でもきめられておりますが、こういう原則にあらわれておりまするように、相手方にとって不利になるような遡及はしていかぬ、こういう考え方が一つあるわけであります。その典型的なものが刑罰不遡及の原則である、こういう考え方であります。他面、また相手方の利益のためには遡及してよろしいという考え方が一つあるわけであります。問題は、この中間においてそれぞれの態様に応じましてどの程度まで遡及が許されるか、あるいは許されないかという問題があるわけであります。診療報酬の問題は、関係者は通常支払い側と呼ばれる人だけではなく、同時に、これによって収入を得る側の医療担当側というものがあるわけであります。したがって、厚生大臣としては、これを遡及させるかどうか、どの程度まで遡及させるかということについては、関係者の双方について十分公平な考慮を加え、公共の福祉を守るという観点に立って最も慎重に扱わなければならぬ、こういう立場に置かれているわけであります。そこで、厚生大臣が行ないましたことは、診療報酬の部分のうちでも、一部負担に属するものと、しからざるものとがある。一部負担に属する部分は、診療を受けるつど患者が窓口で医療機関に払うという実体のものであって、これはすでに過ぎ去った分について遡及させるというふうなことになると患者にも非常に大きい影響を与えるし、また、いろいろ混乱した事態を生ずる可能性がある。そこで、この告示というものが十分医療機関なり、あるいは国民に周知されるだけの期間を考慮に入れまして、これは一月十四日から働かせるという態度をひとつきめたのであります。残りの基金を通じて医療担当者に支払われる部分につきましては、これはもう私ここで申し上げるまでもなく、一カ月ごとにまとめて翌月の五日に医療機関から支払い基金に請求が出、そこで審査を終えて、その月の二十日以降に逐次支払われる、こういうようなことでございます。これについては、遡及させることによる事務上の混乱というものはほとんどないのみならず、なまじこれを月の中途で切りますというと、医療機関側としては計算その他の面において非常に混乱をする可能性もあるわけであります。これはもう従来この種の仕事を取り扱っていまする基金等の支払い関係者が一致して、どういうきめ方でもいいから、とにかく月単位にしてほしいということを強く言っておった経緯があるわけであります。そういうような事情を考えまして、この部分については一月一日まで遡及さして適用する、かようにしたわけでございます。そういうような点から見まして、遡及をさせるということについて、元来診療報酬の定めを遡及させては悪いという性質のものでないということ、また、遡及させるについて、関係者のうちで、特にその立場を慎重に考えなければならぬ患者については十分の配慮をして、いささかの不利も来たさないような考慮が加えられてあるという点等から見まして、目下裁判中でございますが、私ども行政の関係者から見れば、このことについてのいわば政治論議というものは十分これはあり得ると思います。しかし、法律上の問題としてこれが無効であるとか何とかいうようなことはおそらく成り立つまい、かように確信をしているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/66
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067・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 大体ただいまの説明で了承しましたが、今後とも予算の確定したものにつきましては、大臣は勇断をもって告示をするということが、国会の意志尊重という点からも、当然あるべき姿と思います。意見として申し上げておきます。
続いて、今回の九・五%の上げ幅の問題でございます。これに対して支払い者側は八%引き上げを是とするということを盛んに主張されております。しかし、医療協議会の審議の経過を見ましても、また、答申のどの部分を見ましても、八%引き上げという数字はどこにも見当たらない。この八%を主張する算定の根拠があるのか、また、あればどういうものか、参考に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/67
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068・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) ただいまお話のありましたように、四月十八日の答申は、答申書という主体をなす部分と、これに関連する公益委員の意見要旨及び算定の基礎的考え方、これは四月七日に中医協に提出をされ、そこで検討されたものでございますが、これがあるわけでございます。それで、答申書では、ただいま仰せの、どの程度診療報酬を引き上げるべきかという問題については、こういうような答申をしているのでございます。「前回の改定以後における著るしい人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を一応解決し、かつ、一般の所得水準、生活水準の向上に見合い、医療担当者にそれにふさわしい所得の向上を可能にする程度において、」と、こういうことで、程度はその程度だ、つまりこの程度として通常八%程度がそういう目的を実現するためのものだと、かようにいわれておるわけであります。なぜそういうことになったかと申しますと、中医協の議論がそろそろ大詰めに近づきましたときに、いままでのいろいろな議論を踏まえて、一体どの程度引き上げをすることになるかという点について、厚生省側から事務当局の作業としてそういう数字を出してほしいという要望が支払い側の委員から出されたのであります。この要望に対しましては、事務当局としては、今回の診療報酬に関する論議がいままでのやり方と違って――と申しますのは、いままでのやり方は、一応当局がいわゆる原案なるものを提示いたしまして、その原案をもとにして中央社会保険医療協議会において審議が行なわれ、答申が行なわれる。よく事情を十分御存じない方々は、いままで中央社会保険医療協議会の答申は最も正確に守られているということをおっしゃるのでありますが、それはそういう審議のやり方と関係があるのであります。厚生省が大蔵当局ともある程度調整をつけた上で原案なるものを一応出し、それをもとにして審議をし、答申が出るわけでありますから、これがもうそのとおりに行なわれるというのは理の当然であるだけでなく、実際もそうなるわけであります。ところが、今回はそれと違いまして、つまり診療側のほうから、診療報酬はこういうふうに引き上げるべきだといういわば一つの主張をし、それに対して支払い側が意見を述べ、両者の調整をはかってきたけれども、どうも両者の主張がうまく問題の急所においてかみ合わないために、へたをすると両方言っていることがうまく調整つかぬというような状態でいま申し上げたようなところまでいったわけであります。そういう状況においていまのような要望が支払い側から出てきたのでありますけれども、そういうことの進め方を尊重いたしますならば、その段階において、事務当局が、いわゆる結論を予想させるような数字を出すということは差し控えるべきである。したがって、そういう意味のものはどうも出せません、こういうことになりまして、しかし、それにしても、そういう作業ができるのは、これは何といっても厚生省の事務当局なんだから、事務当局で何かそこの点についてもう少しだめの詰まるようなよりどころになる作業をするように、これは支払い側だけでなく、当時の公益委員もそういう意向でございましたので、それではそういうふうな目的にかなう作業をいたしましょうというので出しましたのが四月七日の「算定の基礎的考え方」というものでございます。これは数字そのものを出すのではなくて、数字を出すもとになるような考え方というものを整理いたしまして、こういう考え方でやるという方法、こういうようなことで提出をしたわけであります。そして、そういう考え方で出しました場合に、当時の大まかな試算として、一つの考え方でやれば引き上げの幅というものがおおむね五・五%程度になる。それから、もう一つの考え方によればおおむね八%程度になるということをあわせて要求に応じて、当時公益委員に私どものほうから報告をしたわけでございます。そういうふうなものがもとになりまして、公益委員としては、引き上げの幅についてはいろいろな考え方があるけれども、どうも支払い側の考え方に、より忠実だという五・五%の考え方というものは無理がある。やはりどっちかといえば八%程度という考え方のほうが適当であろうというので、そういう趣旨のことを先ほど申し上げました公益委員の意見、要旨の中に入れまして、そういうことを踏まえて、社会保障制度審議会答申案なるものを中央社会保険医療協議会に、これは公の場で提案をされたわけであります。そういう事情がありますので、この答申に基づいて考えるとすれば、引き上げの幅はどうなりますかということを、公の討議の場で支払い側から尋ねられました際に、当時の有沢会長、あるいは会長代理である寺尾琢磨氏が、おおむね八%、しかし、きっぱり八%といっても問題があるので、それを下回ることもあろうし、上回ることもあろう。しかし、上回っても一〇%をこえるというようなことはないであろう、こういうようなめどを言われたわけであります。たいへんくどくど申し上げましたけれども、そういうような事情で、答申のときから数字そのものを確定的に答申をした趣旨のものではないということは、あの当時、私、別な立場でいろいろ追及を受けた際に申し上げたことでありますが、これはもうあの当時からいささかも違いのない事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/68
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069・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの説明で八%引き上げ説の内容はわかりましたが、支払い者側の主張する点の裏づけとして承るわけにはまいりません。算定の基礎等につきまして、私はただいまの御説明では全然納得はできない。前有沢会長は引き上げ幅一〇%以内という意志のあった点は私も承知しておりますが、要は、今回の緊急是正の引き上げ幅九・五%なるものは、保険医側としてはきわめて不満足なものと思考されます、その要求額に比較しましてね。こういったような中で支払い者側が追い打ち的な行政討訟を提起されるというような事態は、今後の社保医療行政の上に深刻なみぞを残し、今後の運営の上から見て非常に遺憾な事態だと思う。この際、大臣におかれましては、十分腹をきめて、今後かような状態の起こらないよう解決の緒を開く方向に御努力をせられたい、意見として申し上げておきます。
それから、次にお尋ねしたいことは、大臣は医療協の開催、諮問の当初にあたり、医療技術重視の見地から、再診料の設定実施公約とも申すべき発言をなされておる。再診技術料の要求はまことに妥当である。これについてはできるだけ早期にこの措置の衝に当たりたいというようなことを申されておりますが、こういった方向に関する具体的な方策、あるいは時期的なことについて何かお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/69
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070・神田博
○国務大臣(神田博君) 一昨年の暮れから開かれた中医協の場におきましても、いまの点が非常に論議されたことは御承知のとおりでございます。特に診療側といたしましては、何ものを犠牲にしてもこの点をひとつ貫きたいというような強い決意であったことも承知いたしております。それから、また、医療の実態を見ましても、初診料を厳守して他をといいましょうか、再診料というものはなくていいのだというようなことは、これはそういう議論はなかなか成り立たないというような観点も、言われる気持ちもよくわかるわけであります。厚生省といたしましては、先般の診療報酬の改定は緊急是正でございまして、当面する緊急の問題を処理したと、こう考えております。いまお述べになりました再診料、また、いろいろ医療問題につきましては、なお当面の問題、あるいは、また、根本的な問題が山積していることは御承知のとおりでございます。今後十分ひとつ検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/70
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071・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 医療技術料の適正評価ということは医療の本質を確立することでありまして、したがって、大臣はその公約を忠実に、御実行に移されることが絶対と存じますので、今後とも十分な御努力を望みます。
続いてお尋ねいたしたいことは、これは政府と支払い者側との間にとり行なわれましたいわゆる了解事項と称するものに関連することであります。昭和四十年二月二十七日に、官房長官並びに党代表と支払い者側代表との間に八項目にわたる了解事項なるものが取りきめられましたことに関して、これらの中でまずお尋ねしたいことは薬価基準の改定の問題でございます。かつて諮問事項として大臣は、約三%の薬価基準を引き下げ、ただし、これに相当するものを技術料に充当還元するのだと、こういうことがいわれましたが、こういった技術料に還元の方法について簡潔にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/71
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072・神田博
○国務大臣(神田博君) 三%技術料に振りかえたいということは、昨年の暮れの中医協に諮問しておるとおりでございます。医師の技術を評価する、また、有沢答申にもございましたように、それを忠実に守って、そして診療報酬に振りかえたい、このことを諮問しておるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/72
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073・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 具体的な方策については医療協議会の御意見にまかすと、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/73
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074・神田博
○国務大臣(神田博君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/74
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075・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 そこで、これに関連して、先般大臣の談話として、この際引き続き一・五%の薬価基準の引き下げを早急に三%引き下げと同時に行なう旨の新聞発表がなされましたが、これにつきまして、支払い者側におきましては、この一・五%引下げは大臣職権によって三%引き下げと分離して即時断行すべきであるというようなことがこれまた新聞紙上に報達されましたが、これは非常に重大な発表であり、問題だと思うのですが、この事実について大臣の率直な所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/75
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076・神田博
○国務大臣(神田博君) 中医協の先ほど来の進め方につきまして、また、告示等に関連いたしましていろいろ紛糾していることは御承知のとおりでございまして、しかも、保健三法等の改正をいたしたいというようなことと関連いたしまして、両審議会にひとつそれぞれ事を運んでもらいたい、こういう意向のもとで、政府を代表して官房長官、また、与党を代表してそれぞれ政調会長とか幹事長が出まして、支払い側と御意見の一致したものができましたことは御承知のとおりでございます。私どもこれはよく承知をいたしております。その中にございます薬価のことを取り上げてのお尋ねのように伺いました。これは先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の十月一日を目途にいたしまして、そしてその時点で薬価基準を調査いたしましたところ、三%というような数字の引き下げができる、これをいわゆる医師の技術料に振り向けたいと、こういうことを諮問したということは先ほどお答えしたとおりでございます。そこで、今度はその後の情勢が変わっている、たとえば貿易の自由化が薬に及んでまいっておって、いろいろ下がった問題も出てくる、あるいは、また、製薬業者の企業努力、合理化等によって、あるいは相場の変動等によって下がる見込みのものも出てきている、こういうことでございます。これが一体どの程度出るか、現に出つつあることは、これはわかっておりますが、これが一体何%に相当するかということは今後調査しなければわからぬわけでございます。これをひとつ何がしか下がるようにと、その検討をしなさいということを大臣として主管局長に命じて、いま調査をしている段階でございます。大体いま段取りをつけておりまして、三月一日を目途として、そして薬価を把握して、そうして計算したいと、こういう考え方でございます。それでございますから、これから調査しまして、その調査した結果にまたないと、一体幾ら出るかということは、これは正確にはわからぬわけでございます。ただ、貿易の自由化等によって下がったことは、これはもう鹿島さんも御承知だと思います。それから、また、その他いま申し上げたような合理化とか、あるいはまた競争等によって下がろうとしているものもあることも御想像の点があろうと思います。そういうものを込めて十月一日をとって、そしてまだ半年にもならぬ三月一日をとるのですから、なかなかきびしいようでございますけれども、情勢がたまたまそういうような情勢でありますから、そこをひとつつかんでいただきたい、厳重にひとつ調査していきたいということでございまして、一・幾ら下がる、そうだというようなことを申し上げた事実はないのでございます。どの程度出るかは、ひとつ意欲的に調査してみて、そうして実態をつかみたい、そうしてこれをどうするかということをそこで相談しようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/76
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077・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 大臣の御答弁でございますと、新聞等に報ぜられましたものとだいぶ違っているが、かりにもし一・五%の薬価基準の再引き下げということになりますと、先般の緊急是正がいわゆる八%プラス一・五%という実態ですね。そのプラス部分の一・五%を薬価基準の再引き下げ一・五%によって相殺するという感じを全保険医は受けるでありましょう。同時に、この時点において再引き下げを行なうことはたいへんな混乱を引き起こすおそれがあります。数字については、大臣の御説明によりますと、何ら確定的なものではない、今後とも慎重に調査の上で措置をされるというように承りますのですが、どちらにいたしましても、薬価基準の再引き下げということは軽軽に取り扱わず、この際十分慎重に保険医側の意向も十分尊重した上取り扱うべきであり、また、私は、この際、再引き下げには反対であります。
次に、この了解事項の中に、今後の医療費の改定は、医業経営実態調査に基づき、かつ、これを前提としなければならぬというようなことがいわれております。これについては、まず、この医業経営実態調査そのもののやり方に問題があると同時に、医業経営の実態調査というようなものは、何といっても医療担当者側と十分なる了解、意志調整、協力がなくては妥当な結果は出てこない。政府が支払い者側と単に約束をして、これを一方的に強行するというようなことでは適正、満足な調査結果は出るはずがない。医業経営実態調査なるものは、あくまでも民主的に医療担当者側の意見を十分徴した上で慎重に取り行なうということが絶対必須前提でありまして、しかもなお、このことはなかなか両者の意見調整等の上からも至難の点を多く含むものであり、簡単に意見の一致も至難と思う。こんな点から考えて、とにかくこの医業経営実態調査をやらなければ医療費の是正は行なわないのだということは一方的過ぎるのではないかと思うのでありますが、大臣の率直な御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/77
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078・神田博
○国務大臣(神田博君) まあ医療費のあるべき姿と申しましょうか、これは一体どこが適正かということについてはいろいろ議論があろうかと思います。ことにまあ医療費もここまでまいりますのにいろいろの段階を経てまいっておりまして、まあ言うなれば継ぎ足し継ぎ足すというような経路をたどってきたことも御承知のとおりでございます。そこで、いまのようなやり方をしていったのでは、医療費のあるべき姿、適正な医療費の算定というものがもう全く突き当たってしまったのじゃなかろうか、これは私は大方の御意見は一致していると思います。そこで、まあ前々から、その一つの壁を破る意味においても実態調査が必要だということでございまして、実態調査の必要なことについても、わりあいにその必要というものは高く評価されているのじゃなかろうか。ただ、問題は、その医業の実態調査のやり方の問題ではないのか、こう私ども考えております。調査いたしましても、先ほど来申し上げたように、医療費のあるべき姿を改定するに足るりっぱな医療になるかならぬかということは、やはり私は調査のしかたいかんであると思っております。で、そこの調査は、いまお述べになったように、医師会の円満な協力がなければこれはなかなかむずかしい、あるいはもっと学問的に学者も入れてひとつ考えてもいいんじゃないか、ほんとうにこれは高度なものじゃないかという議論もございます。で、私どもは、そういう意味におきまして、方針はこれはもう不動なものだといたしましても、その実際のやり方については、円滑な実施方法について検討する、こういうことを申しておりまして、これはぜひひとつ早く実行いたしたい、もう予算も取っていることでございます。医師会とも、昨年の二月以来、折衝を続けている事情も御承知のとおりと思いますが、何かひとつこの際、一日も早くこの問題につきましてどういう調査方法がよろしいか、どういう時期をつかむことがいいのかというようなことを十分検討いたしまして、りっぱな調査をして、そうして医療費のあるべき姿というものをひとつ見出したい、これをまたあるべき姿に改めていくということが必要なんじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/78
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079・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 一面、確かに実態を把握されるということもごもっともと思いますが、とにかく将来の社会保険医療運営の円満を考えたとき、この実態調査につきましては慎重な取り扱いをすることを私は強く要望をいたします。また、他面、現下の物価上昇変動の激しい状況下におきましては大臣の御判定によって引き上げるべきはこれ引き上げるという弾力性を持った医療行政をやっていただかなければならぬので、ぜひともさようにお願いをいたしたい。
それから、次に、保険医療機関の監査を励行するということがいわれております。従来とも、保険医療機関の指導、監査は行なわれております。また、当然当局は行政権を持って必要に応じて指導、監査を行なう立場を持っておられるのでありますが、なぜあえてこの際こういうものを了解事項の中に入れたか。これは監査そのものをことさら強く押し出してきた感じを保険医に与えている。かようなことは著しく保険医を刺激するとともに、また、一部の医療機関の診療意欲を萎縮せしめる結果ともなる。正当な医療がゆがめられることにもなり、まことに重大なことであります。現在医療担当者におきましては、これに対して非常に重大な関心と決意を示しておることは御承知のとおりであります。ここにかようなことを了解事項として特に取り上げたことは、今後特段に監査を強化するというような意味の約束でされたのかどうか。また、これについて大臣の受け取り方をこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/79
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080・神田博
○国務大臣(神田博君) 先般の了解事項の第六番目でございますか、付属医療機関の監査は励行する、これはいまお述べになりましたように、この字のとおりでございまして、これは当然なことだと私考えております。いろいろ例示的に書いた場合、この一項はやはり私はたいへん大事なことじゃないかと思っております。御承知のように、昨年度でございますか、やはりずっと指導、監査等のことをやっておりまして、医科においては約五千件、歯科においては約三千件と申しますか、程度の指導、監査の御協力を願った次第でございまして、また、その間、若干の違反者と申しましょうか、譴責その他をしなければならぬものも出たようでございます。医療費が年々急増してまいっております。保険財政の運用面を考えましても、やはりこの適正をはかってまいりたい。それから、また、診療担当者についても十分御留意をしていただきたいというような観点からして、これは監査というものは励行いたしたい。そうすれば、いまもお話がございましたように、診療側も一そう十分気をつけていただくということじゃなかろうかと思っています。これはそういう意味からしても、自己規制になりますか、自己意識を持ったやはり反省と申しましょうか、いままでもよくやっていただいておりますが、今後もやはりよくやっていただきたいと、こういうような感じを持っておりまして、今後これをなお検討いたしまして、もっと有効適切な診療の成績をあげていただくために、また、監査的な性質を盛り込む意味において名案があれば実行し、励行してまいりたい、こういう意味でございまして、とにかく、ただ保険財政が膨脹したからやるんだということでなしに、財政の規模が大きくなってまいりますと乱れがちになることは、これは御承知のとおり。そういう点に留意していただいて、ひとつ真剣にやっていただく、また、取り締まるほうも十分御相談に乗っていく、そうしてともどもにこの制度の完ぺきをはかりたい、こういう趣旨でございまして、別にこの裏に、監査はこういうふうに励行するんだというようなお約束をしておるわけでもないのでございまして、普通あたりまえのことをあたりまえにひとつ世論も喚起してもらう、こういうことだと思います。担当者それぞれの立場で十分意識していただいて、そうして運用の適正、充実をはかりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/80
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081・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの大臣の御説明では納得はいきません。要は、医療というものが医師と患者の人間的関係に基づくもの、また、高いヒューマニズムのもとに医師は医療に従事いたしておるわけでございます。また、患者は医師に対しては無限の尊敬をもって接する、生命を預けるということに医療の本質があるわけです。きわめて一部に正しからざる保険医もありましょうが、これをもって全体を律することは納得がいかない。保険医全体を正しからざるものと見ることを強調するがごとき了解事項の取りきめは、どう見ても納得はできない。全保険医のプライドを傷つける事態であると断じたい。はなはだ遺憾に思っております。大臣におかれては、この点を十分深く留意され、この善処を願うものであります。
次に、念のため先ほどの御質問に戻りますが、医業経営実態調査に関してですが、医療機関の実態を調査するということであれば、そうなればまた当然保険医にとってみればいまの保険財政の中で、保険者側の財政実態がどうなっておるのか、はたして医療報酬是正等に関しても、これが支払い能力の可否の問題、また、徴収された保険料がどのように使われておるのかというような点についても、当然保険医側においても疑問もある向きの意見もあります。そうなれば、保険者側の経営内容の実態調査――実態等を明らかにしなければ片手落ちではないか、そういうことになると思いますが、大臣の率直な意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/81
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082・神田博
○国務大臣(神田博君) それはいまお述べになったとおりだと私は思っています。社会保険のたてまえからまいりまして、もしそうした組合と申しますか、組合保険と申しますか、そういうことがあるべきものじゃないと思っております。そういう場合には、またそのそれぞれ適当な取り締まりをすると申しますか、監査の励行をするということは、これは当然なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/82
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083・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 その点につきましては、ひとつ大臣も十分留意されたい。現在社会保険財政統合という問題が大きくクローズ・アップされておりますし、先般は全国都道府県議長会議等におきましても、各種保険の一本化ということが強く叫ばれております。こういったような時期に、大臣は特に保険者の経営の実態というものを十分に御把握になられることが必要である。また、医療担当者側におきましても、そういったことをよく認識してもらうことが、むしろ今後の医療行政の運営の上においても私は益すること大だと思っております。その点御努力を願います。
最後にお尋ねしたいことは、今回の保険三法は、目下社会保険審議会並びに社会保障制度審議会に諮問されております。大臣は、この両審議会の意見を尊重する、こう言われております。そこで、尊重されるということはけっこうなのでありまするが、現在の社会保険審議会の構成を見ると、医療の本質、根幹に検討を加えるこの社会保険審議会の中に、医療担当者側としての代表者の奴が、学識経験者の名のもとに、わずかに一名である。こういったような形の中で、いま現状において、はたして公正な答申が出てくるかどうか、社会保険審議会の現在の機構等につきまして大いに疑問があるわけです。この点を承りたい。それから、社会保障制度審議会におきましても、現在医療側を代表いたします委員が欠員の状態である。そのままで審議が行なわれております。ここにおいてもこれでは適正な妥当な答申は考えられません。医療を担当する側の妥当な意見というものが反映しない、こういう状態下における答申に基づいて大臣がこの三法の取り扱いの御判定をされるということは、私はまことに遺憾に思うのであります。この二点について御所信を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/83
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084・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま社会保険審議会の委員のそれぞれの分野と申しましょうか、そういう面につきまして十分ではないというようなことを考えないかというお話でございましたが、なお、また、社会保障制度審議会におきましても、そういう点があるが、どう考えるのか、こういう二つを合わせたお尋ねのように承りましたが、御承知のように、両審議会それぞれ沿革がございまして、そしてその沿革を尊重してずっと今日に至ったわけでございます。今日、社会保険が重大な財政難に当面いたしまして、そして保険三法の改正法案の御審議を願っておるわけでございまして、このようなことは予想しておらぬじゃないか、こういう事態になってくると、いまのメンバーでは不安だというか、少し心配じゃないか、こういうようなお尋ねのように承ったわけでございます。私どもといたしましては、いろいろ御意見のあるところ、また、問題点のあるところと申しましょうか、うわさと申しましょうか、要望と申しましょうか、耳に入らぬわけではないわけでございますが、それぞれ今日までこのような経過をたどって委員構成ができておりますので、この際、委員構成を、加えるとかあるいは変更するというようなことは考えておりません。いまの段階でひとつ御審議を願いたい、こういうようなことで考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/84
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085・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 どちらにいたしましても、いまのような状態で社会保険審議会等が答申を出せば、どうしても片手落ちなものが出る。当然常識的にさように考えられてもしかたがない。前々から、このことについては、医療団体から再三要望があったはずであります。したがって、こういったことは大臣は率直にお受け取りになられまして、早急に改善措置を講じていただきたい。特に今回の保険三法の中には、一部負担制度の改定という重大な問題が入っております。この改定によりますと、医療給付の中で非常に重要な位置を占めまする投薬、注射の二分の一自己負担、あるいは歯科補綴等におきます一部自己負担というような画期的なものがこの中に盛り込まれております。こういったことは社保医療全体をゆり動かす重大な問題です。社会保障的な見地からしても、これは著しい後退でもあり、非常に重大な問題だ。こういった重大事項が医療を代表する者がほとんどおらない状態下において審議されておるということは、これは常識では考えられないことであります。したがって、特に強調するわけであります。大臣はすみやかに何らかの手をお打ちになるべきであることを強く要望する次第であります。残念ながら、持ち時間がまいりましたので、次回に引き続き御回答、御所信をいただきますとして、最後に申し上げておきたいことは、昭和三十六年七月当時の灘尾厚生大臣と日本医師会長、日本歯科医師会長間において四項目にわたる文書の合意交換が行なわれておりますことであります。その第一は、医療保険制度の抜本的改正、第二は、医学研究と教育の向上と国民福祉の結合、第三は、医師と患者の人間関係に基づく自由の確保、第四として、自由経済社会における診療報酬制度の確立、この四つの事柄が、当時、党並びに政府、灘尾厚生大臣との間に取りかわされております。このことはきわめて重要な公約であります。しかるに、この公約は大臣の御就任前後の経過において、遺憾ながら率直に申して何ら具体的な履行がされておらない。こういう中で公約が全く無視、たな上げの状況下において、今回支払い者側の要求意見だけを取り上げて、特に政府が八項目にわたる了解事項を取りきめるに至った、こういうことは著しく片手落ちである、こういうことでは円満適正な厚生行政運営は考えられない。特に将来の保険行政運営を考えたときに、保険医側においては、政府に対し、著しい不信感を助長することは当然であります。この点につきましては、特に当時の実態をあらためて深く認識され、御調査の上、大臣におかれては御善処方強く要求するものであります。簡潔に大臣の御所信を承って本日の私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/85
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086・神田博
○国務大臣(神田博君) いま鹿島委員からお述べになりました、いわゆる灘尾厚生大臣の当時、医師会長の武見氏との間の協定と申しましょうか、申し合わせの問題でありますが、これは厚生省としてやはり申し合わせを生かしてまいったと思っております。たとえば地域差の撤廃等の例を見ましても、医療の向上というものをやってまいった。ただ、いろいろ財政上の問題もあり、また恒久的な問題として大きな点が残された点もあろうかと思いますが、考え方、やり方としては、その申し合わせをやはり私はとってまいったと、こう考えております。私の代になりましても、やはりその感じは同じでございます。ただ、いまお述べになりましたようなことは、今後恒久的な措置として考えなければならぬ、解決していかなければならぬ点があると、こう思っております。そういうことにつきまして、先般支払い者側ともそういう話し合いができたわけでございますから、今後ひとつ大幅にそれを取り入れていくには、なおひとつ一歩前進したと、こういうことじゃなかろうかと思います。そういう趣旨を生かす意味で、今後の医療行政、いわゆる恒久的対策を調査会等におきまして十分検討して、そして円満に医療行政が社会保険の中で進んでいく、こういうことにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/86
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087・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの御答弁によると、大体四項目に関しては実施の線に移されておるとおっしゃられますが、それはそのまま了承するわけにいきません。今次の八項目の了解事項取りきめ等から見ましても、さきの四項目の公約の精神は著しく無視されておる。とにかく医師の人格に関する問題、特に今回の医療機関の監査の励行というような問題を一方的に了解事項として政府が取りきめをしたというようなことは、さきの四項目の趣旨に著しく反するものである。社保医療問題の中で財政的な面、経済的な面もきわめて大きな問題でございますが、医師と患者との関係という点をもっと大きく取り上げていただかないと、今後の社会保険医療行政の運営は実質的に崩壊することを私は痛感するものであります。重ねて大臣の深い善処を望む次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/87
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088・佐藤芳男
○佐藤芳男君 ただいまの質疑応答を伺っておりまして、二、三分だけちょっとこの機会に大臣の所見を承るというよりは、大臣に心していただきたいと思うことがございます。先刻、鹿島委員から、幾多案件をあげられて質疑を行なわれたのでございますが、その中の一つの薬価基準の改定、この問題を一つ取り上げましても、鹿島委員みずからがおっしゃいまするように、薬価基準を改定さるることによって九・五%の値上げは、医者のふところからすればふいになってしまうのだというようなお話もございました。私は、ただこれは例に取るだけでございますが、お医者さんといえども、かすみを食って生きておるわけではございません。しかしながら、あくまでも医療行政というものは、筋を立てた合理的なものでなければならぬ。したがって、端的に申しまするならば、医者は技術を売るべきものであって、薬を売る商売ではないのだ。しかし、医師に対する報酬というものがきわめて乏しいからかような叫びが出ざるを得ないのでございます。したがいまして、実態調査の問題もこれは当然のことである。しかしながら、私が厚生大臣に望むところは、この間の党並びに官房長官、支払い者側のお話し合いの結論という、ああした問題は、私はまだきわめて小さい問題だと思う。それよりももっと高度の立場に立って医療費の問題を検討され、実行に移さるるだけの用意と熱意があられなければならぬと、かように思うのでございます。そう考えてまいりますると、まず、医療費問題の前提をなすべきものは医療制度の問題である。したがって、医療制度の問題につきましては、厚生省ではどうした御研究を今日までやっておいでなのか。医療費の問題の前提となるべきものは医療制度の問題でなければならぬ。これをなおざりにして医療費の問題を論ずべきではないとは申しませんが、価値がきわめて薄くなってくる。それとともに、保険制度の問題も、やはりこれも抜本的にお考えにならなければならぬと思うのであります。私はこうしたことをいま提議のような形で大臣の御賢慮を今後わずらわしたいという希望を申し上げるのでございますが、なお、また、鹿島委員からお話がございました社会保障制度審議会、これは学識経験者の中の医療に関係のある方を除きまして、医療担当者というものは出ていない。保険者関係は出ておる。しかし、社会保障制度審議会は、私の経験から申しますと、総評もあり、全労もあり、社会党もあり、自民党もあり、学識経験者もあり、学者もある。従来はお医者さんもおいでであった。もちろん支払い側団体もある。しかし、ずっと経過を見ておりますると、常に満場一致の結論を生んでおるのであります。満場一致ならざることは一回たりとも今日までないのであります。しかし、望むらくは、やはり医療担当者の出席、これが妥当だと私は思う。ところが、これは医療担当者側のほうで先年出席をがえんぜられなかった結果が今日のありさまと相なっておるのであります。社会保障制度審議会は有害無益の存在だと、かように声明されて出席をがえんぜられなかった。その結果が今日の結果になっておるのだから、今度お戻りになることには多少のメンツの問題はありましょうけれども、こいねがわくは、翻然としてお戻りなさって、御協力されることが、私は、さらに各審議会を権威あらしむるためにお力添えをくださる結果と相なると思うのでございまして、これもつけ加えておきたいのでありますが、先ほど申しましたことは、私はきわめて重大な問題だと思う。この間の党や官房長官や支払い側とのあのお話し合いの結論というものは感服に値いする点がございますよ。しかしながら、あれがすべてではない。もっと高度の立場から合理的な解決を要する医療費の問題があるのだということ、しかも、医療費の問題の前提となるべきものは医療制度の大改革でなければならぬということ、また、社会保険の問題、刷新の問題というものもある。さらに、また、政府の心がまえとして、これは社会保障の大宗とも言うべきポイントでございまするから、これは相当政府はこれに向かって歴代総理は社会保障に重点を置くんだと、三本柱を立てた総理大臣も、四本柱をお立てになった総理大臣も、社会保障を柱の一つに置くということはいつでもお忘れになっていなかった。そうするならば、もう少し国は踏んばって出していただくという、それには、主務省であるところの厚生省、主務大臣であるところの神田厚生大臣が責任を持ってこれらの問題に当たっていただかなけりゃならぬということ、これだけを私は所見として申し上げて、大臣の今後の施策にひとつ加えていただきたいと、かように存ずる次第であります。答弁は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/88
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089・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 関連発言。ただいま佐藤委員の御発言中、社会保障制度審議会の医療側の委員が、かつてみずから脱退をしたと言われましたが、当時はそれ相当の理由もあったものと思うし、そんな情勢があったこともありましたが、私は当時のことよりも、現時点において今後の円満な運営を考えたときに、考えていただかなきゃならない。これは厚生大臣の直接責任ではありませんが、厚生大臣の進言のもとに、総理大臣におかれて熱意をもってお考えをいたさなければならぬと思います。そして公正なる審議の場において答申を得られるよう努力されたい、こういうことを申し上げておるわけであります。重ねて申し上げますが、当時脱退をしたことは事実であります。その当時の事情やむを得ざるものありということで、これは別に置いて、今後のためにも、特に佐藤委員の御協力もこの際お願いを申し上げて発言を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/89
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090・神田博
○国務大臣(神田博君) いま佐藤委員、また、鹿島委員からそれぞれ御見識のある御要望でございます、また、うんちくのある御鞭撻でございます。答弁が要らぬということでございますから、答弁のようなことを申し上げると、はなはだ僣越でございますが、そういう考え方、また、心がまえは、申すに及ばず、私はそうあるべきものだと考えておりますので、今後もなお一そうひとつ微力ではございますが、努力いたしまして、御期待に沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/90
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091・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/91
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092・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を起こして。
本件に関する質疑は、本日はこの程度でとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/92
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093・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十四分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X00619650316/93
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