1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十二日(木曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 佐藤 芳男君
四月十五日
辞任 補欠選任
紅露 みつ君 上林 忠次君
四月十六日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 紅露 みつ君
四月二十日
辞任 補欠選任
紅露 みつ君 赤間 文三君
四月二十一日
辞任 補欠選任
赤間 文三君 紅露 みつ君
四月二十二日
辞任 補欠選任
佐藤 芳男君 八木 一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田藤太郎君
理 事
丸茂 重貞君
杉山善太郎君
藤原 道子君
委 員
亀井 光君
川野 三暁君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
山本 杉君
阿具根 登君
小柳 勇君
鈴木 強君
小平 芳平君
発議者 阿具根 登君
発議者 小柳 勇君
国務大臣
郵 政 大 臣 徳安 實藏君
労 働 大 臣 石田 博英君
政府委員
大蔵政務次官 鍛冶 良作君
通商産業省鉱山
保安局長 川原 英之君
運輸政務次官 大久保武雄君
運輸省港湾局長 佐藤 肇君
運輸省鉄道監督
局長 佐藤 光夫君
郵政省人事局長 曾山 克巳君
労働大臣官房長 和田 勝美君
労働省労政局長 三治 重信君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省労働基準
局労災補償部長 石黒 拓爾君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
内閣総理大臣官
房参事官 吉本 實君
大蔵省主計局給
与課長 秋吉 良雄君
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本日の会議に付した案件
○労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○公共企業体等の労働者の労働基本権の確保及び
回復のために公共企業体等労働関係法等の一部
を改正する法律案(小柳勇君外一名発議)
○一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案(阿具
根登君外一名発議)
○港湾労働法案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
(公社の当事者能力に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/0
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001・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまより開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。四月十四日、鈴木万平君が委員を辞任され、その補欠として佐藤芳男君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/1
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002・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府より本案に対する提案の理由の説明を聴取いたします。石田労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/2
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003・石田博英
○国務大臣(石田博英君) ただいま議題となりました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
労働者災害補償保険制度は、昭和二十二年に創設されて以来、労働災害をこうむった労働者及びその遺族に対し災害補償を行ない、あわせて労働者の福祉に必要な施設を行なうことによって、労働者及びその遺族の保護に力を尽くしてまいりました。この間、わが国経済の成長と相まって、労災保険加入事業場数も逐年増加し、保険経済の規模も拡大の一途をたどり、現在、労災保険の適用事業場数は約八十八万、労働者数は約二千万人でありまして、年間約百万人の労働者及び遺族に対し、約五百億円にのぼる保険給付が支給されております。しかしながら、従業員五人未満の零細事業や商業、サービス業などの任意適用事業に働く労働者等でいまだ労災保険の保護の外にある者も決して少なくない現状であり、最近における社会経済情勢の変化により、これらの労働者の保護をはかるため、労災保険の適用の拡大が強く望まれるに至っております。
また、労働災害をこうむった労働者及びその遺旅に対して、必要な期間、必要な補償を行なうという見地から、障害者と遺族に対する保険給付については、原則として年金制を採用し、これによってその生活の安定をはかるとともに、労災医療及びリハビリテーション施設の充実と相まって、その社会復帰に資することが必要であると考えるのであります。このことについては、去る昭和三十五年における労災保険法の改正の際においても、衆議院及び参議院の附帯決議におきまして、遺族年金制の採用等について要望されたところであります。
さらに、労災保険法施行十数年の経験及び最近の諸情勢に徴して、保険給付、保険制度及びその運営につきまして、なお改善すべき点がしばしば指摘されているのでありますが、特に労災保険の適用範囲がますます拡大されようとする事態に対処して、労災保険の事務手続を簡素化して、事業主等の負担を軽減するとともに、保険者たる政府の保険運営を能率的にすることが強く要請されており、このためにも、施設の充実、運用の改善と並んで、現行法令の整備が必要であると考えるのであります。政府におきましては、これらの問題を含めて、労災保険制度の全般にわたって検討を進めてきたのでありますが、同時に、労災保険審議会においても、労災保険制度の問題点について調査研究が行なわれ、昭和三十八年十月にその結果を労働大臣に報告されたのであります。このような諸事情を考慮し、政府といたしましては、昭和三十八念十二月に、労災保険審議会に対し、労災保険制度の改善につき諮問をいたし、昨年七月、法改正の方向に関する答申を得たのであります。この答申に基づき、労災保険法改正要綱案を作成し、これを同審議会及び中央労働基準審議会に諮問し、昨年十二月にそれぞれ答申を得ました。本年一月、右要綱案に若干の修正を加えた要綱を社会保障制度審議会に付議し、その了承を得、その結果に基づいて、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を作成し、国会に提案いたした次第であります。
次に、その内容につきまして概略御説明申し上げます。
この法律案の内容は多岐にわたりますが、諸般の準備を整えた上、逐次これを実施に移すこととして、施行時期別に三カ条に区分しております。すなわち、第一条は適用関係、療養補償、休業補償、支給制限、保険料等に関する改正規定でありまして、昭和四十年八月一日から、第二条は労災保険事務組合、特別加入等に関する規定でありまして、昭和四十年十一月一日からそれぞれ施行することとし、第三条は保険給付の年金化を中心とする改正規定でありまして、昭和四十一年二月一日から施行を予定しております。以下、この区分に従って、法律案のおもな内容を御説明申し上げます。
第一に、改正法案第一条の規定による改正のうち、適用範囲につきましては、強制適用事業の範囲について、従来のもののほか、政令で定めるものを加えて漸次拡大をはかることとするとともに、従業員五人未満の零細事業所等へのいわゆる全面適用については、二年以内に成果を得ることを目途として調査研究を行ない、その結果に基づいてすみやかに必要な措置を講ずることといたしております。
次に、保険給付につきましては、給付基礎日額の算定にあたって、平均賃金を用いることが不適当な場合には、労働大臣が別途これを定めることとし、特殊事情によって賃金額が不当に低くなる場合等における救済をはかることといたしております。また、療養補償については、従来給付の対象としなかった少額の療養費をも支給することとするとともに、休業補償についても、待機期間を三日間とするように改めております。
さらに、事業主の責に帰すべき事由による支給制限を廃止し、その場合にも労働者には保険給付をし、事業主からはその費用の全部または一部を徴収することができることに改めるとともに、労働者の責に帰すべき場合の支給制限についての規定を整備することといたしております。
その他、保険料の算定、納付の方法等を簡便なものに改めるほか、技術的な事項について所要の整備を行なって、保険加入者及び保険者たる政府の事務の簡素化、合理化をはかっております。
第二に、改正法案第二条の規定による改正のうち、労災保険事務組合につきましては、失業保険事務組合の例にならって、中小企業等協同組合その他の事業主団体が、その構成員である事業主の委託を受けて、事業主の行なうべき労災保険事務を一定の条件のもとに代行することを認めることとし、もって中小企業事業主及び保険者たる政府の保険事務の負担の軽減をはかっております。
次に、大工、左官等のいわゆる一人親方、自営農民、小規模事業主及びこれらの者の家族従業者
、労働者と同様な状態のもとに働き、同様な業務災害をこうむる危険にさらされている人々についても、申請に基づき、一定の条件のもとに、特別に労災保険に加入することを認め、保険給付を受けることができるように、特別加入の制度を創設することといたしております。
第三に、改正法案第三条の規定による改正のうち、保険給付の年金化につきましては、まず、障害補償の年金の範囲を大幅に拡大することといたしました。すなわち、従来は障害等級第一級から第三級までの重度障害者にのみ年金を支給していたのを改め、第一級から第七級までについて年金を支給することとし、身体障害者が必要とする期間必要な補償を行なうこととしております。
次に、従来一時金であった遺族補償は、原則として年金とし、一定の範囲の遺族に対し給付基礎年額の三〇%ないし五〇%の額の年金を支給することとし、もって遺族の保護の徹底をはかっております。なお、年金を受けることができる遺族がない場合等には、給付基礎日額の四百日分の一時金をその他の遺族に支給することといたしております。
また、長期傷病者に対する補償につきましては、従来の複雑な体系を改め、その内容を従来のような通院及び入院の区別を廃止して、一律に療養の給付を行ない、かつ、給付基礎年額の六〇%の年金を支給することとしております。また、厚生年金保険等の年金と労災保険の年金とが併給される場合の調整につきましては、厚生年金等の六年間併給停止の制度を廃止し、当初から厚生年金等は全額を支給するとともに、労災保険の年金については、従来の方式に準じ、厚生年金等の一定率相当分を減じて併給することといたしております。
以上のほか、本改正案においては、労災保険事業に要する費用に対する国庫補助等につき所要の規定を設けるとともに、その附則において以上の改正に伴う経過措置、制度の切りかえに伴う暫定措置及び関係諸法律の条文につき所要の整備をいたしております。
以上、簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/3
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004・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/4
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005・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 次に、公共企業体等の労働者の労働基本権の確保及び回復のために公共企業体等労働係法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず 発議者の参議院議員小柳勇君より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/5
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006・小柳勇
○小柳勇君 ただいま議題になりました公企体等労働関係法等一部改正案の提案理由及びその概要を説明申し上げます。
まず、本法律案を提案いたします理由は、簡略に申し上げますと、昭和二十三年の政令二〇一号に基づいて制定されました公企体等労働関係法が、占領行政上の立法措置という特殊事情もありまして、ストライキ権の禁止、代償機能の無能力性、公社等の当事者能力の不備による自主的な団体交渉の規制など、多くの問題点をかかえていることにあります。
現行公労法によりますと、公企体等当局と労働組合は、各種の労働条件については団体交渉によって定めることが基本原則となっております。ところが、賃金その他の給与等については、その年度の予算で定められた給与の額をこえてはならないという給与総額制の原則によって、公社等の交渉当事者能力は実質的になきにひとしい状態に置かれております。すなわち、公企体等の労使間において、給与総額をこえる資金の支出を内容とする協約が締結された場合は、公労法第十六条によって予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする協定とみなされ、このような協定は政府を拘束するものではなく、国会が所定の行為をなすまではいかなる資金も支出してはならないとし、政府には協定締結後十日以内に国会に承認を求める手続を行なうべきことを義務づけているにすぎないのであります。したがいまして、公企体等の当局は、団体交渉の場においてはむろんのこと、第三者機関としての公労委の調停の場においても、賃金問題について自主的な回答をすることが事実上不可能な立場に置かれているのであります。このため公労協の賃金紛争は、例年、団交、あっせん、調停と、いつも長期間にわたって空転を続け、結局は仲裁に持ち込まれるのが実情であります。その結果、公労協の賃金闘争は勢い対政府交渉という性格を帯びざるを得ないのであります。
このような制度上の不合理を持つ公労法は、憲法第二十八条の規定に違反する疑いが濃厚でありまして、すでに司法機関による判定にもそのような見解が幾つか示されているのであります。さらに、昭和二十九年の臨時公共企業体合理化審議会の答申、昭和三十二年の公共企業体審議会、昨年九月の臨時行政調査会の答申等々においても、公企体等の当事者能力の回復、その労使関係の改善についての結論が述べられているのであります。ところが、政府は一貫してこれらの答申を無視してきたのであります。しかも、政府は、昨年の四・一七スト収拾にあたっての太田・池田会談において、現在の賃金決定機構の矛盾を認め、公企体における当事者能力を与えるための努力を約束したにもかかわらず、各公企体当局をして、七千五百円の賃上げ要求に対し、わずか五百円前後の回答を許容させたにすぎないのであります。このような政府による責任ある態度の放棄の結果が、公労協の労働者を明日の半日ストまで追い込んだ根因であります。
このような事態は、ひとえに公労法の欠陥によって公企体当局の当事者能力が規制されているためでありまして、勢いそれが当局に対する不信感となって、労使の賃金紛争の平和的な解決並びに正常な業務の運営に大きな悪影響をもたらしているのであります。したがいまして、公労法及び関係組織法を改正し、労使双方の当事者による自主的な賃金決定ができるようにすることが、公企体等の業務の正常な発展に寄与することになると確信しておるものであります。以上が、本法律案を提案いたします理由であります。
次に、法案の内容について、その極略を説明いたします。
まず、労働関係に関係する法律の改正でありまして、公企体等の労働者にも原則として労働組合法及び労働関係調整法を適用するという基本的立場から、公企体等労働関係法を大幅に改正することにいたしました。
第一に、目的については、憲法第二十八条に規定する団結権及び団体交渉権その他の団体行動権を保障する理念のもとに、労働組合法及び労働関係調整法と相まって、その労働関係の公正な調整をはかり、もって公企体等の事業の正常な運営に寄与することといたしました。
第二に、職員の範囲については、三公社にあっては、日々雇い入れられる者も職員の範囲に含ませることとし、組合員資格については、労働者みずからが決定すること並びに役員の選出も組合が自主的に決定することといたしました。また、団体交渉についての制限を廃止しました。
第三に、公企体等が労働条件について法律に抵触する協定を締結した場合には、政府は十日以内にその法律の改廃措置案を国会に提出しなければならないこととし、また、命令等の改廃措置をとるよう義務づけました。さらに、予算上不可能な資金の支出を内容とする協定が締結された場合には、政府は十日以内にその協定を実施するために必要な補正予算を国会に提出しなければならないことといたしました。また、仲裁裁定の実施措置も協定と同様に扱うことといたしました。
第四に、争議行為を禁止する規定及びこれに違反した職員は解雇される旨の規定を削除し、争議権の回復をはかりました。
第五に、公企体等中央労働委員会(以下中央委員会)と、公企体等地方労働委員会(以下地方委員会)を置くこととし、前者にあっては公労使各五人、後者にあっては公労使各三人をもって組織することにいたしました。特に中央委員会の公益委員については、労働大臣が、労使委員のそれぞれの過半数の同意を得て作成した委員候補名簿に記載されている者のうちから、国会の同意を得て、労使委員については公企体等または組合の推薦に基づき、それぞれ総理大臣が任命することにいたし、地方委員会の委員については労働大臣が任命することといたしました。
第六に、委員会は、不当労働行為についての命令、組合の資格審査、労働争議のあっせん、調停及び仲裁等の権限を有するものとし、特に中央委員会は、右のほか、緊急調整にかかる事務を行なう権限を有することといたしました。
第七に、労働争議の調停及び仲裁の開始事由に関する特例を廃止し、一般の労働者と同様に、労働関係調整法によることといたしました。
第八に、委員会の会長は、あっせん員名簿に記載されている者のうちから、調停委員を委嘱することができるものといたしました。
第九に、五現業の職員について政治的行為の制限を廃止するものといたしました。
次に、公共企業体等の企業に関する法律の改正について説明申し上げます。
第一に、三公社、五現業の職員の給与を定めるにあたっては、国家公務員との均衡は考慮しないものとし、国会が現業職員にかかる給与その他の勤務条件に関する基礎事項を、情勢に適応するように変更できるたてまえを廃止することといたしました。
第二に、三公社、五現業における給与準則に基づく支出が予算で定められた給与の総額をこえてはならないという制限を廃止し、また、能率の向上により、収入が予定より増加し、または経費を予定より節減した場合には、その収入の増加額または経費の節減額の一部に相当する額を、特別給与として支給できるよう配慮することとし、さらに、職員に対して支給する給与に要する経費についての項目相互間における移流用の制限を撤廃することにいたしました。
第三に、現業関係については、郵政事業特別会計法におけると同様に、予備費のうち、業務の運営に要する経費に充てるものについては、大蔵大臣による調整及び閣議の決定を要せず、主務大臣がその使用を決定することができることといたしました。
第四に、五現業にかかる予算については、事業が企業的に運営することができるように需要の増加、経済事情の変動、その他予測することができない事態に応ずることができるよう、弾力性を与えることといたしました。
以上が公企体等労働関係法等一部改正法案の提案説明並びに法律案の骨子であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/6
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007・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/7
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008・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 次に、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案を議題といたします。
まず、発議者の参議院議員阿具根登君より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/8
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009・阿具根登
○阿具根登君 ただいま議題となりました一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案の提案理由と、その内容について御説明いたします。
昭和三十八年十一月九日、三池炭鉱における炭じん爆発は近代的な産業災害としては稀有のものであり、炭鉱合理化政策の強行中に発生した労働災害としては、あまりにも悲惨な事件であります。日本一の優良鉱といわれた三池三川坑の人気口より、わずか千メートルの地点で大爆発を起こし、大量の一酸化炭素ガスを発生し、これが三川坑の全坑内、各切り羽に侵入、充満し、坑内の労働者は一瞬にして倒れ、四百五十八名のとうとい人命を奪い去り、八百名にのぼる一酸化炭素中毒患者を出すという大災害に発展したのであります。また、本年二月二十二日には、三井三池に劣らない優良鉱といわれる北海道の北炭夕張鉱でも、六十一名の死亡者と二十名にのぼる一酸化炭素中毒患者を出すという大災害が発生し、さらに、去る四月九日には、日鉱伊王島炭鉱においても三十名の死亡者と十四名の重軽傷者を出すという災害の発生をみたことは記憶になまなましいところであります。
これらの原因の多くは、政府の国内産業無視のエネルギー政策と炭鉱資本の生産第一の人命軽視の合理化政策による保安要員の人減らし、保安法規の無視などによる人災であり、文化国家として最も恥ずべき事故であります。犠牲者をはじめ、その家族もが暗い一生を送らなければならないことを考えるとき、政府は犠牲者に対してはむろんのこと、かかる災害を永久に防止するために万全の措置を講ずべきであります。
一酸化炭素中毒症はこのほか金属精錬、鉱山、印刷、肥料などの化学工業においても発生をみ、きわめて危険な状態にさらされているのであります。
一酸化炭素中毒は、肺から吸入された一酸化炭素ガスが血液に入り、そのため血液に酸素欠乏を生じ、その結果、人体の各組織、特に中枢神経系を侵し、人体の各組織に回復不能な後遺症をもたらすものであります。また、心肺系も侵し、それが再び中枢神経系その他に影響を与えるといわれています。一酸化炭素中毒の症状は、中枢神経等の侵された程度により異りますが、重症の場合は、新生児にみられるような原始反射を呈するほか、全神経の解体した状態を示し、軽症のものでも痴呆状態を呈することが多く、ほとんど無為、寡動の状態となり幻覚、妄想等に襲われ、神経分裂症に似た症状を呈するものであります。その他記憶力障害、意欲減退、性格変化を来たすとともに、心肺機能、循環器系の障害をはじめ、複雑な症状を呈し、単なる精神神経系疾患というよりも全身的疾患として見るべきであります。以上のごとく、複雑な病状と悲惨な後遺症を残す疾病であるにもかかわらず、今日の高度の近代医学をもってしてもその根本的治療方法はなく、対症的治療が行なわれているにすぎないのであります。しかも、現行の労働基準法、労働者災害補償保険法及び鉱山保安法はその発生の予防において不十分であるのみならず、治療の方法においても、この中毒症の特徴からみて、特に必要であると考えられる長期にわたる継続的治療、回復訓練の実施及び職場復帰の機会を与える措置等に欠けるところが多く、中毒患者に対して、適正かつ十分な治療と災害補償が行なわれているとは認めがたいのであります。ここに業務上の一酸化炭素中毒症に関し、適切な予防及び労働者の健康管理の措置を講ずるとともに、一酸化炭素中毒症にかかった労働者に対して、長期の療養を保証し、また、残存労働能力を有する者については、その活用をはかるために特別の措置が必要とされるのであります。
次に、本法律案のおもなる内容を申し上げます。
第一に、一酸化炭素ガスの発生のおそれのある作業を行なう事業の使用者及び労働者は、一酸化炭素ガスの発生と、これによる中毒を防止するため、作業環境の保安条件の監督、一酸化炭素ガスの発生原因の除去、保護具の使用、その他適切な措置を講じなければならないこと。また、使用者は、労働者に対して一酸化炭素ガスの発生の防止、発生後の応急措置及び健康管理等のため必要な教育を行なわなければならないこと。
第二に、被災労働者の健康管理に万全を期するため、使用者は被災労働者に対して所定の健康診断を行ない、都道府県労働基準局長は、被災労働者の健康管理区分を決定するとともに、健康管理手帳を交付すること。
第三に、被災労働者の健康保持のため、使用者は、健康管理区分により就労可能な者は労働省令で定める危険な作業以外の作業に従事させるようつとめなければならないとともに、被災労働者が作業転換をした場合は、当該作業の転換前に支払っていた資金に見合う資金を支払わねばならないこと。
第四に、使用者は被災労働者の健康管理区分が決定された場合は、その区分に応じて、被災労働者が安心して長期にわたる療養に専念できるようにするとともに、また、残った労働能力を活用させるために、二年または定年に達するまでの期間は、労働基準法の規定にかかわらず、これを解雇してはならないこと。
第五に、被災労働者が一酸化炭素中毒症にかかる療養補償を受ける場合、またはリハビリテーションを受ける場合は、その期間中一日につき平均賃金の百分の四十の準障害補償を行なうとともに、一酸化炭素中毒症がなおった場合は、その障害の程度に応じて、当該障害の存する期間一年につき平均賃金の三百六十日分から百二十日分までの障害補償を行なわなければならないこと。また、常時介護を要する被災労働者に対しては、月額五千円から一万円までの範囲内における額の介護補償を行なわなければならないこと。
第六に、この法律による補償は、労働者災害補償保険法によって行なわれるべきものであること。
第七に、本法の規定により、準障害補償、労働基準法の規定による障害補償の額をこえる部分の障害補償及び介護補償等の給付に要する費用の二分の一は国庫が、残りの二分の一は当該保険加入者が労働者災害補償保険法の特別保険料として、それぞれ負担するものとすること。以上のほか、一酸化炭素中毒症に関する予防、被災労働者の健康管理、障害等級の区分、その他の事項について調査審議するため、関係労働者及び使用者を代表とする者と、精神医学または神経医学に関し学識経験を有する者十五人以内の委員をもって組織する一酸化炭素中毒症対策審議会を設置すること等であります。なお、この法律の施行時に、過去の突発事故により被災した労働者に対して、この法律を適用するため必要な経過措置を定めることにしました。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/9
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010・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/10
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011・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 港湾労働法を議題といたします。
本件に対し、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/11
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012・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まず、最初に、港湾労働法を審議するにあたりまして、内閣総理大臣官房の吉本参事官がおみえになりますね。総理府にお尋ねしますが、御承知のように、昭和三十七年七月の時点で総理府に設置された、内閣総理大臣の諮問機関である港湾労働等対策審議会の組織、概成メンバー、及び、昭和三十九年の三月三日付でいわゆる三・三答申が出ているのでありますが、したがいまして、その作業のあらましと、たとえば全国の主要な港湾等の実情について、作業の過程においてそれぞれ調査をされておると思うのであります。概略でいいのでありまするが、大体その辺の点について御説明をいただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/12
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013・吉本實
○説明員(吉本實君) ただいま御質問のありました港湾労働等対策審議会におきまする審議の模様につきまして御説明申し上げます。
当審議会は三十七年の八月から三十九年の三月まで審議をいたしまして、総会の回数十五回、また、現地調査のための小委員会の開催十二回、並びに、答申案作成のための小委員会の開催十二回というような形で審議を進めてまいりまして、実際に調査をいたしました港湾は、横浜、神戸、大阪、名古屋並びに新潟の諸港でございます。また、昨年の三月三日に総理大臣の諮問、すなわち、三十七年八月九日付の、最近の港湾労働及び港湾運営、利用状況にかんがみ、これが改善のためにとるべき対策について意見を求めるという諮問に答えまして、三月三日に答申を出した次第でございます。
その内容は、一口で申しまして、港湾の近代的秩序を確立するという点に中心がございまして、港湾労働力の確保と港湾運送事業の近代化並びに港湾の利用の面といった諸点につきまして、今後の港湾の対策についての内容を作成した形でございます。港湾労働につきましては、港湾労働者の必要数を策定することとか、あるいは港湾労働者の登録制度を確立する。また、港湾に関係しますものの労働条件の向上もあわせて行ない、付随して、福祉施設の充実等についてもつとめる、こういうような点でございます。
また、港湾運送事業につきましては、港湾の運送事業の近代化を促進するため事業の集約化をはかる。また、集約にあたりましては、事業が公正にして自由な競争のもとに行なわれていくという点を中心として進めていただきたい、こういうような内容でございます。また、港湾運送事業の運賃並びに料金についても、その適正化をはかるという点を掲記してございます。
また、第三点といたしまして、港湾の管理運営の改善につきましても、従来の制度をさらに改善しまして、港湾の統一的な運営をはかるために、中央に中央港湾調整会議並びに地方に地方港湾調整会議というものを設置する、あるいは港湾管理者の財政を確立するとか、あるいは港湾施設を充実するといったような点について答申の内容となっておる次第でございます。
なお、この審議会の構成メンバーは、いわゆる公益並びに労使の三者構成でもって組織されております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/13
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014・杉山善太郎
○杉山善太郎君 その三者構成はここでは一応了承しておりますが、具体的に総理府設置法の一部を改正して内閣に審議会ができたわけでありますので、たとえば労働省とか大蔵省とか、通産省とか運輸省とか、関係のメンバーが出ておられると思いますので、その名前を聞きたいということと、それから、初めてこの港湾労働法をつくるわけでありますが、ただ推定や机上でプランを立てるのではなくて、おそらく全国の主要な港湾に、大体実情聴取に相当な二年もかかっておるわけでありますから、私の了承する範囲では、たとえば東大の教授の石井照久先生が会長であったということは了承しておるわけでありますけれども、具体的にこの法案の審議に入る一つの出発点として、その時点においてどことどこと実態を把握したということが実際は知りたいわけでありますので、その辺のところをひとつ明らかにしていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/14
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015・吉本實
○説明員(吉本實君) 地方の実態につきましては、先ほど申し上げましたように、東京を除きました五大港についてはすべて調査を実施した次第でございます。
それから、特に五大港——横浜、神戸、大阪、名古屋、新潟等でございます。特に横浜、神戸等につきましては、日数をかけて慎重に実態調査をいたしたということでございます。
なお、審議会の委員の概成でございますが、具体的には、労働側の委員といたしまして四名、運送事業関係者で三名、港湾利用の面からの方が五名、一般の公益的な方が七名、並びに、各行政機関から六名ということでございます。なお、関係の行政機関からは、総理府の総理府総務副長官、大蔵、運輸、労働、自治の各事務次官でもって構成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/15
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016・杉山善太郎
○杉山善太郎君 あとでいいんですけれども、氏名を資料として出していただける、それは差しつかえありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/16
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017・吉本實
○説明員(吉本實君) 後刻名簿を御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/17
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018・杉山善太郎
○杉山善太郎君 次に、この法案のかなめである港湾調整審議会の組織、構成、機能等に関しての基本構想といいますか、及び、この法案はいずれ日の目を見てひとり歩きをするわけでありますので、そういう展望の中で、総理府としては、いま申し上げた調整審議会の組織だとか構成、機能といったような問題についての基本構想といったようなものが今日の時点であってしかるべきだと思いますので、一応お聞かせいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/18
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019・吉本實
○説明員(吉本實君) 港湾調整審議会を設置いたします理由でございますが、御承知のように、港湾の近代的な秩序を確立いたしまして、その効率的な利用をはかるというためには、港湾労働の需給調整の問題、港湾運送の近代化の問題、あるいは港湾利用の改善等の問題、これら港湾に関する諸施策を総合的に推進してまいらなければならないと思います。そのために、これらの関係行政機関の施策についての総合調整をはかっていく、こういう観点から、先ほどの港湾労働等対策審議会の答申の趣旨をも尊重いたしましてこういった港湾調整審議会を総理府に設置することといたしたわけでございます。
なお、港湾に関係いたしますその施策の総合調整を要するという点でございますが、港湾の有しますいろいろの諸機能の多面性、こういったものに関連いたしまして、非常に港湾関係行政が複雑多岐になっております。したがいまして、港湾の総合的機能を発揮するためには、関係施策の総合調整をはかってまいることが必要である、こういうことで、当面、港湾労働の需給を調整し、港湾労働力の確保、その雇用の安定をはかってまいりたいという点とか、あるいは港湾運送の近代化なり、あるいは港湾利用の改善の面から、貨物輸送の安定、円滑化をはかる。また、港湾機能の効率的な運用に資するために、関係行政機関の施策を総合調整して行なう、このようなことが、当面、総合調整を要するものであろうかというふうに考えておるわけであります。また、御審議いただいております港湾労働法案の規定によりまして、港湾労働法の雇用の面、すなわち、港湾の雇用調整計画、あるいは雇用調整手当にかかります納付金、
〔委員長退席、理事丸茂重貞君着席〕
これらについても港湾調整審議会で所要の審議をしてまいりたいと、かように存じております。
なお、御質問の審議会の組織の点でございますが、ただいま申し上げましたように、港湾に関係いたします行政機関の施策の総合調整をはかるという機関でございますので、港湾関係施策に直ちに反映されますので、会長及び委員は、当初五人を予定してございましたのですが、その後、いろいろないきさつを考慮いたしまして、七名をもって組織することといたしておる次第でございます。なお、その会長並びにその委員は、港湾関係の事業とか、あるいは港湾事業に直接利害関係のない学識経験者の中から任命いたしたいと、かように思っておる次第でございます。しかしながら、関係者の意見を十分反映できますように、港湾関係の事業者とか、あるいは港湾の労働者、こういった人々の中から、港湾に関します経験の豊かな方を専門委員といたしまして、二十名以内を予定してございますが、審議会の活動に裨益をいたしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。また、公益委員といたしまして任命いたします七名の人のことにつきましても、その一部の委員の人選につきましては、関係者の意見を十分考慮いたしまして、当審議会が実態に即した運営をなし得るように配慮してまいりたい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/19
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020・杉山善太郎
○杉山善太郎君 前段申し上げましたように、この港湾労働法のかなめは、何といっても総理大臣の諮問機関である港湾調整審議会にあると、こういうふうに私は受けとめておるわけであります。
そこで、大体いま概要を承ったわけでありますが、吉本参事官に直接なまでお伺いいたしますが、あなたが大体この作業の中核的な事務活動のスタッフとしてのセンターの作業をおやりになるわけでありますか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/20
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021・吉本實
○説明員(吉本實君) 港湾調整審議会が設置されました暁にはっきりいたすのでありますが、少なくともこの審議の問題、その準備等につきましては、私が担当いたすことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/21
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022・杉山善太郎
○杉山善太郎君 念のため。これはここでいま論議するのはちょっと筋違いかと思いますので、大体以上であなたへの質問はこれでなんでありますが、たとえばILOの内陸運輸委員会の港湾労働の雇用の恒常化に関する決議などは非常に重要なもので、諸外国が港湾労働法を現に持ち、これを運用して、すでに相当の成果をあげているので、非常な参考になると思いますので、十分ひとつ御研究をいただいて、あとから行く者の幸いをかちとるために、鋭意ひとつ情熱を注いでやってもらいたいということを、強くこの時点において希望いたします。
次に、今度は労働省のほうにお伺いいたしますが、大臣がおられませんので、大臣に関する質問は留保いたしておきます。少なくとも、この港湾労働法の内容は、この委員会で慎重審議をすべきに値するものでありますけれども、労働立法が数ある中で、今日的な情勢の中で、港湾労働法という独立立法でこれが処置されることは、歴史的に見ても画期的であるということがいわれるわけであります。そのための所管の大臣がおられませんので、その大臣のおられない面については、これはひとつ質問を留保するというような形で質問内容を進めていきますが、さしあたって職安局長がおられますのでお伺いしますが、三・三答申が出てから今日まで、いわゆる三・三答申の実現のために労働省が行なってきた法案作成に関する作業日程のあらましというものを、これはいわゆるあらましでいいが、ひとつ大体説明をいただきたい、こう思うわけです。なぜこういう質問を申し上げますかというと、もう三十九年の三月三日から、いま四十年のすでに四月何がしか、こういうずいぶん長い間ずっと時間がたっておりますので、その間、相当に苦労されて作業を進めておられるというように推定します。また、そうあるべきだと思いますので、その苦心のほども含めて、そして非常に苦労されていると思いますが、そういう意味で、簡単でいいのでありまするが、ひとつ御説明をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/22
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023・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 昨年三上二答申をいただきまして、私どもとしましては、この答申の内容を事務的に十分討議をいたしまして、昨年の秋ごろから運輸省筋と折衝を開始いたしました。さらに、並行的に使用者側、労働側の各代表とも連絡をとりながら、年末には予算折衝に努力をいたしまして、同時に、党内の意見調整をお願いをいたしまして、二月の中旬に政府案が最終的に固まりましたので、その政府案を国会に提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/23
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024・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まあそれじゃひとつ運輸省の港湾局長お見えですから、とりあえず、これはとりあえずであります。運輸省にこれからたくさんお伺いしたいわけですが、とりあえず三点についてお伺いするわけでありますが、第一点は、これは重要なことでありますので、ひとつお尋ねするわけでありますが、先ほど来申し上げております三・三答申の精神及びその趣旨を運輸省はどのように受けとめ、また、これが実現のために大体年有余たっておりますが、いかに対処してこられましたか。そういう点について運輸省の立場——実はきょう大臣に来ていただこうと思ったわけでありますけれども、何にしても、かなめはやっぱり港湾局長だと思いますのでお伺いするわけでありますので、ひとつ大臣答弁というような、そういうような意味で慎重なかまえをとってやっていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/24
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025・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) この三・三答申は、港湾労働者の雇用の安定と、港湾運送事業の近代化、それから港湾の管理運営の改善、この三つになっておりまして、私どもといたしましては、港湾労働の面につきましては、
〔理事丸茂重貞君退席、委員長着席〕
労働省にお願いしておるわけでありますが、いろいろ緊密な連絡をとってやってまいったわけであります。
次に、港湾運送事業の近代化ということでございますが、これにつきましては、昭和三十四年に港湾運送事業法の改正がございまして、登録制から免許制に法律の改正があったわけでございます。これは手続を昭和三十七年の十月までに了するようになっておったわけでございますが、その手続をしたあとの切りかえ作業におきまして相当時間がかかっておったわけでございますが、まず第一に、この切りかえ作業を完了させるということで、この三十九年度末、すなわち、昭和四十年の三月末までにこれに集中いたしてまいりまして、現在免許切りかえが八七%完了いたしまして、残りにつきましては三カ月の猶予をもって、その間になお基準に達しないものについては却下するということで一応けりをつける、ということを考えてまいったのが一点でございます。その次には、昨年、すなわち、三十九年度以来、荷役の機械化を進めるというような意味におきまして、特定船舶整備公団との共有方式による荷役の機械化ということを進めてまいりまして、昨年は一億円の予算をもって実施したわけでございますが、四十年度におきましては、さらにこれを倍の二億円にいたしまして機械化というものを進めてまいったわけでございます。また、中小企業近代化資金助成法の対象とすることにいたしまして、企業の合併その他を促進できるような下地をつくってまいりました。また、港湾運送事業の業者というのは非常に多うございまして、全国で千八百店社ほどあるわけでございますが、そのうち、千百というものは五大港でございます。これらがいろいろな業種によりましてばらばらの団体になっておる、こういうことで、まず、これを統一して一本としての意思を貫かなければ、答申にいわれておりますような集約化による近代化というものは達成できないわけでございますので、われわれから働きかけまして、現在、新しく全国の港湾運送事業者が打って一丸となる団体をつくるように指導してまいっております。大体これは六月を目途としてその達成をいたしたいと、かように考えているわけでございまして、このような手段を通じて、できるだけ早い機会に、さらに運送事業法の改正によって集約化というものを進めていく、すなわち、規模を拡大すると同時に、一貫作業ができるような体制に持っていきたい、かように考えて作業を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/25
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026・杉山善太郎
○杉山善太郎君 いま港湾局長からおことばの端に出てまいりましたが、港湾運送事業の近代化に関連して、港湾運送事業法の抜本的な改善についての基本構想でいいと思うのでありますが、お聞かせいただきたいと思うのであります。と申しまするのは、御承知のように、三・三答申はかなり克明に、哲学的な内容を込める前文と、三本の太い柱が立っておりますね。もちろん名は実をあらわすように、港湾労働等対策審議会でありますから、もちろん港湾の近代化に大きな比重がかかっておりますけれども、関連して、やはり港湾運送事業の近代化であるとか、港湾の管理運営について柱は立っておりまするけれども、力点は、やはり前時代的な、封建的な性格の強い港湾労働を近代化するというところに比重がかかっておりまするけれども、理屈やことばのあやではそう申しますけれども、実際は港湾事業の近代化というものを、やはりその根っこであるところの現行の港湾運送事業法でかなり抜本的に改善する必要があるのだというふうに私どもは理解をいたしております。したがいまして、やはり港湾局長に、あらましでいいのでありますけれども、その基本的な構想をひとつ伺っておきたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/26
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027・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 次期通常国会に提出を目途といたしまして、現在の法律にあります限定免許、すなわち、船種もしくは貨物の種類を限る限定免許というものがあるわけですが、そういうものと、また、全部下請禁止の規定があるわけでございますが、こういうものを中心にして再検討いたしまして、事業規模を拡大して一貫体制の強化ができるような、そういう構想で港湾運送事業法の改正を行ないたいというのが一つでございます。
もう一つは、近代的埠頭業、通常ターミナル・オペレーターといわれておるわけでございますが、これは埠頭を一貫して運営するという業でございます。こういう新しい事業が確立できるように、法的な裏づけ、それから助成の方法、こういうものを研究したい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/27
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028・杉山善太郎
○杉山善太郎君 重要なことでありますから、もののついででありますけれども、やはり港湾整備緊急五カ年計画の概要について、簡単でいいのでありますけれども、ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/28
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029・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾の整備につきましては、昭和三十六年から昭和四十年間の五カ年計画をもちまして、その総額は二千五百億円でございましたが、実施してまいったわけでございます。ところが、昭和三十八年におきまして、すでに当時われわれが四十年の目標と考えておりました六億三千万トンという数字を突破いたしまして、このようなことから、新しく昭和四十三年を目途といたしまして、三十九年から四十三年までを目途といたします、すなわち、中期経済計画の期間に合う五カ年計画に改定いたしまして、その総ワクを七千二百億円と想定いたしまして、その作業の結果によって大蔵当局と折衝してまいったわけでございますが、この四十年度の予算の成立に際しまして、昭和三十九年度はすでに仕事が終わりました関係上、四十年度から四十四年度に至る五カ年計画というものを確立いたしました。その総ワクは五千五百億円でございまして、旧計画のおよそ倍の事業量になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/29
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030・杉山善太郎
○杉山善太郎君 いまさしあたり三点について説明をいただいたわけでありますが、次は、ぜひ労働大臣でなければこれはだめだと思いますので、これはまた他日に質問するとして、労働大臣に関係の分は留保しておきますが、そこで、職安局長にお尋ねいたします。「この法律の施行期日は、公布の日から起算して二年をこえない範囲内」いうふうに最終的に閣議できめられておるわけであります。その克明な最大の理由は一体何であるか、そういう点について、むろん閣議で決定しておりますので、これは大臣が閣議の構成員でありますので、大臣から聞きたいのでありますけれども、「この法律の施行期日は、公布の日から起算して二年をこえない範囲内」というには、やはりそれなりの理由があると思うのでありますが、最終的に閣議でそういうふうになったわけでありますけれども、最大の理由は一体何であるかということを、補佐官である職安局長からひとつお伺いしたい。実は、これも克明に大臣のぜひ責任ある立場から御答弁をいただきたいと思うのですが、職安局長からでもいいです。この点もうひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/30
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031・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 三・三答申では、労働対策と事業の近代化、港湾の運営管理の改善対策、三本の柱からなっておるわけでございますが、これらの諸対策は相互に相関連しながら総合的に展開さるべきである、できるだけ早い時期に総合的に実現をはかるべきであるというふうに前文でうたってございます。私どもとしましては、できるだけ早い時期に準備を急いで労働対策を実施したいということで原案をつくりましたのですが、いま港湾局長からお話がありましたように、一方において港湾運送事業の近代化、港湾の管理の改善対策等についても、港湾労働対策を実施するについては非常に重大な関連がございますので、私どもとしましては労働対策を先行はさせたいと思いますが、独走をさせることはどうかと思いまして、この実施の期間として二年という御猶予をいただいたわけでございます。また、この労働法案に盛られた内容を現実に実施いたしますにつきましては、御承知のように、現在の港湾における労働慣行を相当大幅に改善をしていくことになりますので、この港湾対策の面だけからいたしましても、相当の準備期間が要るというふうに私どもは判断をいたしました。この両面から二年間の御猶予をいただいたわけでございますが、これはいたずらに全面的に二年に延期をするということでなくて、総則をはじめ、調整計画、あるいは労働者の福祉対策、あるいは審議会等の設置、こういった準備に必要な条項は、法案が成立いたしまするならば、できるだけ早い機会に施行いたしまして準備に取りかかるつもりで、現在事務的な準備を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/31
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032・杉山善太郎
○杉山善太郎君 これはおそらくそういうふうに職安局長も言うだろうと思ったし、おそらく大臣がおってもそう言うだろうと思って、この点が重大でありますから、大体きょうは職安局長、港湾局長、それから、内閣総理府から吉本参事官も出ておりますが、私は、実は労働、運輸の両大臣を前にしながら、この点がやはり非常にかなめでありますので、克明にお伺いしたいと思っておったわけでありますが、やむを得ませんので申し上げますが、どうもざっくばらんに言って、なかなか真実を言っておられないんじゃないか。と申し上げますのは、三十九年の九月の下旬に、いわゆる労働省では三・三答申の精神なり趣旨を体して、相当に苦労していわゆる第一次の要綱案というものを三十九年の九月の時点で大体構想なっておられると思うんです。それは大体新聞などに自主的に発表されたのか、それとも発表されなかったのかは別として、新聞に出ておったわけであります。大新聞に出ておった。その時点においては、もちろんわれわれは、この法案は、すでに衆議院の段階では附帯決議をとって通っておるわけでありますから、それに通せんぼをして流すとか通さぬとか、そういうけちな考え方は持っていない。しかしながら、真実は真実として、十分慎重審議する必要があるのだと、そういうふうに私は理解をしております。同町に、やはり今日の開放経済体制の中で港湾産業の置かれておる位置づけ、そういったような問題を考えてみても重大なことであるから申し上げておきまするが、大体昨年の三十九年の九月の時点で労働省が持っておられた今日から見れば第一次的な要綱案は、おおむね三・三答申の精神なり趣旨を体して大体立案されておったものだと思うのです。念のため記録上やはり申し上げておきまするけれども、十本の柱が立っておる要綱案になっておる。その第一点は、「労働大臣は、毎年、中央港湾調整会議の意見を聴いて、港湾毎に港湾労働者の需給の見透し、労働者の定数、必要な港湾雇用調整計画を策定する。」、二つ目の柱は、「港湾労働者の登録制度を確立し、常傭日雇とも原則として公共職業安定所に登録させ、登録労働者以外の使用を禁止する。」、これはまあ非常に重要なことです。それから第三番は、「登録日雇港湾労働者が就労できない場合は、出頭手当(賃金の六割程度)を支給する、その手当の費用は、国、事業者、労働者の負担とする。」、四番目、「港湾労働における日雇労働への依存性を抑え、常傭化を促進するため、労働者住宅の整備、日雇労働者に対する就職支度金を支給する。」、五番目、「労働者の資質の向上、災害防止のため国、関係団体等の連携により職業訓練等指導監督する」、第六番目、「労働者の福祉対策として、はしけ居住をなくし、福祉施設を整備する。実施主体は雇用促進事業団とし、費用は国と事業者の折半とする。又雇用安定のため常傭日雇を一体とした退職金制度を設ける。」、第七番目、「港湾運送事業を近代化するため、港湾運送事業者の免許に関し、労働大臣が参画する。」、第八番目、「港湾運送運賃料金の制度を改善し、労働大臣が決定に参画し、適正な労務量を確保する。」、九番目、「対象港は六大港で約八万人の労働者に適用する。」、十番目、「施行期日は公布の日から六ケ月以内に施行する。」、これが大体第一次要綱試案のあらましであって、これはあらゆる商業紙にも出ているわけであります。これが私どもが第一次要綱試案だというふうに受けとめているわけであります。したがいまして、この法案の施行期日の設定の作業過程というものを私どもが大体ながめて見ますというと、第一次の要綱試案というものは、やはりその施行期日の設定は公布の日から六カ月以内ということに、いま申し上げたようになっているわけであります。したがって、第二次要綱試案は、大体ことしの一月の時点になってこれが煮詰まってきていると思いますけれども、これは一年以内になっている。それから閣議決定の時点では、前段申し上げているように、要綱案では「二年をこえざる範囲」ということになっているわけであります。以上のように、第一次要綱試案から閣議決定に至るまでの経過の中で、たとえば日本船主協会であるとか、日本港運協会であるとか、全国港湾荷役振興協会等の団体は、本法案の国会の提出は時期尚早であるので、これを見合わせるべきであるといったような要望書ないしは意見書、そういった陰に陽に圧力になってかかってきている、こういうふうに私は受けとめているわけでありますが、この辺の事情はさることながら、もちろんこれは新しい法案に取り組んでおったろう、今までも。これは広範多岐にわたっている非常にむずかしい問題だと思いますけれども、それだけに、いま職安局長が言われた程度の理由で、これが六カ月以内ということが一年以内になり、それから二年以内になっている。その間のいろいろな事情はありましょうけれども、また、いろいろな陳情や要望があったわけでありましょうけれども、今日的に、やはり正式に国会に出されて審議せられているこういう時点で、一体実際面においては「二年以内」ということになっているから、これを一年で十分総理府を中心として作業を進めれば、これはできないことはない、こう思うわけでありますので、その辺の事情については一体どういうふうにいま考えておられますか。この点も実は大臣に聞きたいわけでありますけれども、まあお見えになりませんから、職安局長からもう一度真剣にひとつお聞かせいただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/32
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033・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 港湾をめぐる諸情勢から判断いたしますと、私どもは、一刻も早く港湾労働対策をこの法案に従って確立してまいりたい、こういうように考えているのでございますが、実際問題として、この法案の各条項にも明記してありますように、これだけの対策を実施するにつきましては、いろいろな準備と手順がいるわけでございます。この登録制を実行いたしまするにしましても、その前提となりまする港湾ごとの雇用調整計画を樹立しなければならない。これはその前に適用港湾を決定しなければならない。そして適用港湾ごとに地元の関係者の意見を聞きつつ、しかも、知事の段階で意見をとりまとめて調整計画の樹立に地元の意見を反映させる。しかも、労働大臣の一存できめないで、先ほどの総理府設置法によって設置されます港湾調整審議会、この意見を聴取する手続に相なっております。したがいまして、これらの積み上げ作業、あるいは手続等を考えますと、どうしても総理府に審議会等が設置されるのが夏場以降になると思いますが、それから調整計画の樹立、審議をお願いをするということに相なりますので、かれこれそういった内部事務の手続のために向こう一年近くかかるのではないか、かように私どもは判断をいたしております。かたがた、港湾運送事業の近代化、港湾の管理運営の改善、こういったものも、今年度並びに来年度には、さらに一段の改善策が講ぜられると思いますので、それらの対策と相関連させながら、来年の早ければ七月以降、おそくとも下半期の始まる十月以降には、ぜひこの港湾労働法の諸対策を完全に実施してまいりたい、かような事務的な日程で現在作業を進めておるわけでございます。決して二年の満期後に施行するというふうに、何といいますか、悠長に考えているわけではない点を御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/33
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034・杉山善太郎
○杉山善太郎君 これはまあ社労の委員長を中心とする理事会でも、いずれこれは運輸大臣、労働大臣に出ていただいて、運輸と社労の連合審査というものも一応審議の過程においてはとるべき重要な形式としてやりたいと思いますので、克明な質問は両大臣のおられるところでいたしますけれども、大体四回に及んで修正が行なわれております、私のいろいろ了承しておる記録からいたしますれば。したがいまして、このことはきょうは避けますが、そこで、港湾局長にひとつお伺いいたしますが、この日本船主協会は別といたしましても、これは海運局の所管であると思いますので別といたしましても、この日本港運協会、それから全国港湾荷役振興協会等の団体の組織であるとか、あるいは性格、任務、構成、代表理事並びに役員のおも立った氏名、こういったようなものについてお聞かせいただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/34
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035・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾運送関係の団体でございますが、このうち、日本港運協会と申しますのは、元請、それから、はしけ回漕業をやっておる業者が主体になって組織されたものでありまして、これは任意団体でございます。その会長は相模運輸株式会社の社長であります松永忠男さんでございます。副会長は七名おりますが、その氏名を現在つまびらかにはいたしておりません。次に、全国港湾荷役振興協会でございますが、これは公益法人になっておりまして、船内荷役業者が主体である団体でございます。これは会長が横浜の藤木企業株式会社の社長であります藤木幸太郎さんでございます。副会長は名古屋の大洋海運の社長である大久保常吉さん、それから、神戸の甲陽運輸の社長である田岡一雄さん、もう一人は東京の大洋作業運輸の社長である藤萬亀雄さん、かようになっております。もう一つ、このほかに沿岸荷役業者を主体にする全国沿岸荷役協会というのがございますが、これは任意団体でございまして、この会長は横浜にあります港栄作業株式会社の社長の足立甚一さん、副会長は東京の結城運輸の結城幸作さん、それから、大阪にあります中谷運輸の中谷巌さん、それから、神戸にあります神戸共進という会社がございますが、この大阪福一という方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/35
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036・杉山善太郎
○杉山善太郎君 最近、たとえば運輸省では——業者の中央団体、組織をお聞かせいただいたわけでありますが、その任意組合である日本港運組合を法人格にして、業者の育成強化をやろうというわけで行政指導をしておられるというふうに聞いているわけでありまするけれども、そこで、そうであるならば、その内容をお聞かせいただきたいと思いますが、日本港運協会と全港振とは一体どんな関係があるか、その辺のところをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/36
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037・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 日本港運協会と申しますのは、北海道、東北、日本海、東京、千葉、横浜、東海、大阪、兵庫、中国、四国、九州というような各地区の港運協会がございまして、それの連合体のような形になっております。この会員数は二千三十四店社になっております。これとは別に、いまおっしゃいました全港振というのがあるわけでございますが、これは船内荷役業者が主でございまして、店社数でいいますと百三十七、そのほかに賛助会員というのが百五十五名おりまして、仕事の種類といいますと、元請と船内ということで、仕事の種類でいうとそういう関係があるわけでございますが、この全港振に入っている店社の中で、日本港運協会に入っているものもありますし、入っておらないものもある、こういうのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/37
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038・杉山善太郎
○杉山善太郎君 全国港湾荷役振興協会、略称ですが全港振、これはどことどこの港に支部というような機関があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/38
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039・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) これは東京、横浜、清水、半田、名古屋、四日市、大阪、神戸、門司、ここの船内荷役業者が中心となった団体でございます。なお、本部は東京にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/39
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040・杉山善太郎
○杉山善太郎君 そこで、日本港運協会、いわゆる任意団体をやはり今後法人格にこれを行政指導して業界の育成強化をやろう、そういうことについて、現在、次期役員の選考がいろいろと取りざたされているというふうに聞いている。全港振系の役員がやはりその中に入っていくというふうに聞いているわけでありまするが、それが一体業界の体質改善になり、それが日本の港運の振興の発展に寄与するということについて政府は確信を持って責任ある行政指導ができるかどうか。なぜ私がこういう質問を申し上げるかというと、私は、大体港湾の地帯は、歴史的に見て、戦前というものについて大体何々組という組が、率直に歯にきぬ着せずに言うならば、大体暴力組織の温床的な、そういう背景の中で大体形づけられておるという経緯がありまして、歴史の流れで、たとえば今日やはり公益法人という形でかみしもをつけながら何々振興協会というふうに言っておりましても、やはり中身の質はそう変わっておるましじゃないというふうに判断をいたしております。それで、いま日本港運協会という、人格の上ではやはり人格なき人格であてっも、これが今度法人格を持つという中で、いま関連のある振興協会とやはり役員とミックスしてやる、こういうふうな点について、それが真実でなければ別でありますけれども、そういうことはないというふうに言われれば、あるとすれば、一体行政指導の衝にある運輸省として、これによってやはり港湾労働の近代化なり港湾作業の近代化について、一つの重要な規定がこれによって調整されていくんだということを自信を持っておやりになっているかどうか、そういった点についてひとつお考えを承りたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/40
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041・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 私どもがいま一本にして団体を統合していきたいと、かように考えておりますのは、日本港運協会という名前が仮称でございまして、元請、下請というような関係、または船内業者、沿岸業者というような業種による横の結びつき、こういうような形で、ばらばらのものでは近代化というものができないのではないか、作業というものは、やはり一貫性を持つようにして初めてこの近代化というものが可能になるのではないか、こういうような観点から、このようなばらばらな結びつきというものを一本にさせたい、かように考えておるわけでございます。
それと、もう一つ、ただいまおっしゃられましたような暴力組織の問題でございますが、これはたしか歴史的な経緯もございまして、港湾運送事業の中に組関係のものがあるということは事実でございます。ただ、これをわれわれの行政の範囲内だけで取り組むというのもこれは不可能でございますし、守備範囲がいささか広過ぎるような気もいたします。むしろ私どもは、そういう社会的病弊に対しましては社会的病弊として是正していただくといたしまして、われわれが考えている港湾運送事業の近代化という立場から申しまして、ぜひ全国一体になって、どうやったら集約できるかということを企業の立場から自主的に研究をしていただきたい、われわれも行政の立場から案をもちまして、両方が折衝して、いい形の、すなわち、答申に沿うような形のものをつくっていきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/41
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042・杉山善太郎
○杉山善太郎君 これはきょうは総理府の方は帰られてもいいのでありますけれども、いままで足どめをいたしておりました点は、この点をひとつ運輸省も総理府も労働省も、今後また質問を別な時点で大臣のおられるときにいたしますけれども、一つの題を投げかけて、またこれは質問でありますが、先ほど申し上げた第一次要綱試案の中では、これは運輸省だけで独創的につくられた、つくられないは別といたしましても、たとえばこの「港湾運送事業の免許基準の運用にあたっては、港湾労働者の労働条件及びその雇用の安定について十分な考慮を払わなければならないこととするとともに、運輸大臣が事業免許をしようとするときは、あらかじめ、労働大臣と協議しなければならないものとすること。」、第二点は、「港湾運送事業の運賃及び料金の認可基準の運用にあたっては、港湾労働者の労働条件及びその雇用の安定について十分な考慮を払わなければならないこととするとともに、運輸大臣が運賃及び料金の認可をしようとするときは、あらかじめ、労働大臣と協議しなければならないものとすること。」と、こういった二本の柱が、前段申し上げました第一次要綱案と、私が言いますところの十本の柱の中にこの重要な柱があったわけでございまするけれども、今日、二度、三度、四度の手直しがあって、閣議決定のものは、この重要な柱が消えてなくなってしまっておるのだというふうに——いまここでこれをどうだこうだと言いませんけれども、実はこれはあったほうがいいんじゃないか。少なくとも港湾労働等対策審議会が、港湾労働の近代化であるとか、あるいは運送事業の近代化であるとか、港湾の管理運営の一元化というものを、少なくとも港湾作業が海陸の接点であって、海陸の交易と文化の交流の諸外国の接点であるといったような見地からいって、こういうふうなすっきりしたものであるべきが当然だと思う。だんだんと悪くなったものが、とにかくかりに三・三答申が生みの親であるとするならば、生まれたところの子供は、とにかく親に似ない鬼子のような、妙な風刺でありますけれども、そういうふうに理解をしておりまして、この点につきましては、また不日、大臣のおられるところでお伺いいたしますが、それで、港湾局長にお尋ねいたしますが、港湾の暴力について、この時点でちょっとお話を申し上げておく必要があると思うのであります。これは、この法案が衆議院の段階で運輸・社労の連合審査の過程の中で、港湾の暴力について警察庁の、これはおそらく第二捜査課長だと思いまするが、説明員の立場で発言しておられるわけでありますが、こう言っておるわけであります。港湾関係の暴力団体は昨年末で全国で七十四団体で、しかも、これは氷山の一角で、荷役なり沖仲仕、そういうふうな特有の業態に寄生しておるのが実情であると言っておられるわけであります。運輸省はこれについてどういうふうな受けとめ方をしておられるか、この事実を認めておられるかどうか。また、これは氷山の一角であって、実際は多くあるのか、それはオーバーだというふうに見ておられるのかどうか、その点についてひとつ見解を伺いたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/42
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043・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾運送事業法のたてまえから申しまして、私どもが免許を与える場合に、その欠格条件であるような前科があるとか、その刑を受けてから二年以内の者であるとか、こういうような者は実際ないわけでございますし、なお、この事業の実施そのものにおいて、港湾運送事業法から見て暴力ということで排除されるような事実がない、かようなことでございまして、むしろ先般の暴力問題として見られておるその中でいろいろなことが出ているのだと思いますが、港湾運送事業法そのものを監督している立場からいたしますと、そういう事実を発見し得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/43
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044・阿具根登
○阿具根登君 大臣がおられませんので、そのもの二、三点質問いたします。日雇い港湾労働者が、同一の事業主で二カ月をこえた場合は常用港湾労働者ということになっておるのですが、それでは、事業主がかりに故意に二カ月をこえない範囲でこれを雇用するという場合は一体どうなるかということですね。二カ月来たが、それからしばらく休んでほかの人を雇用して、今度またその人を雇用する。これは引き続きですから、引き続きじゃなかった場合は、常用雇用者にしたくないという考えがある場合は、二カ月たって何日間これを雇用しなかった場合は、これは常用労働者にならない、こういうことになると思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/44
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045・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 法案の二条の定義から申しますと、二カ月ということで日雇いと常用労働者を区別しておりますが、そこで、御指摘のような、事業主が故意に常用化を妨げようとして、この定義どおりに二月刻みで雇用するというふうなことをやった場合にどうするかという御質問だと思いますが、私どもといたしましては、この法律全体を貫く精神として、随所に出ておりますが、常用化の促進ということが大前提になっておるわけでございます。したがいまして、常用化すべきところを、故意に日雇い登録労働者として雇用するというふうな事業主に対しましては、私どもとしては行政指導によって常用化をはかっていく。もし、どうしてもそういった行政指導に従わない場合には、やはり登録労働者の紹介の停止といいますか、制限といいますか、そういった対抗手段でもって、故意に常用化を妨げる事業主に対しては強力な行政指導を行なってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/45
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046・阿具根登
○阿具根登君 一応目を通して見ますとそういうことは言えると思うのですが、いま言われた常用港湾労働者が目的であるということを言われておるけれども、私はそれが全部抜けていると思うのです。いまの問題もそのとおりです。故意に二カ月を過ぎてという質問をしましたからそういう答弁なんでございますけれども、故意だということは一体だれがそれを見るのか、そういう場合に、これは故意である、故意でないという問題をどこで一体やるのかということが一点。
それから、日雇い港湾労働者の手帳を持っておると、その人を雇用しなければならぬ、また、仕事がない場合は事業団から調整資金等が出るということになって、非常に何か保護しておるように感じられるけれども、今度はそのあとでは、日雇い港湾労働者の定数の減少に伴って、大臣がせっかく登録したものを取り消していいようになっている。そうすると、登録手帳をもらったからといってもこれは安心できない、大臣がこれを取り消すことができる。取り消す場合にはどういう順序で取り消すのか。だから、非常に安心できるようになっているけれども、安心できない。
それから、もう一つ、この手帳を持っておる人を採用しなければならぬというようになっておるけれども、適格な求職者がいないときには事業主がかってに雇用してよろしいと、こういう抜け穴もあるわけなんです。一体どっちなのか。この手帳を持っておる者を紹介した場合に、それを雇わなかった場合には、今度は紹介しないぞとか、あるいは一週間とか一カ月とかの罰則までも考えておられるけれども、それが適格者でなかった場合には、今度は、事業主はかってに雇っていいという、こういうちゃんと抜け穴があるわけなんです。だから、法の精神というのがいわれておるのと違う、一々抜け穴がちゃんとつくってある。私は、そういうふうな点、どうもこの法案はなっていない。全部抜け穴が次々出ておるのですが、全部善意の人ばっかしなら法律は要らないのです。善意の人ばっかしを雇いますというならば登録手帳は要らない。そうでないからこういう法律をつくるのに、そこに抜け穴が次々とちゃんと書いてあるから、私はこの法律は意味をなさないというふうに思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/46
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047・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 常用化の促進という考え方で調整計画を策定する場合にも、全体の必要労働者の定数をきめたうちで、日雇い労働者がうち何名という、こういうふうなきめ方をいたします。それから、その定数をきめた日雇い港湾労働者の数に従って事業主が負担すべき納付金の額がきまってくるわけでございまして、やたらに日雇いを使ったほうが安あがりだという考え方で二カ月以内ということを小刻みに繰り返すというような弊害は、まず行政指導でもって是正できるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
それから、登録労働者の取り消しの問題ですが、これはいわば解雇に当たる問題でございますので、法案の十一条の三項以下に、非常に手続上も厳密な手続を経た上で、どうしてもやむを得ない場合には登録を取り消す、こういうふうな慎重な手続を規定しているわけでございます。それから、登録日雇い労働者以外は雇い入れない、使用禁止を原則的にうたっておりますけれども、これには十六条の規定でございますが、ただし書きがあって、どうしても登録日雇い労働者は得られない、また、一般の日雇い労働者でも必要な港湾労働者が得られないというような場合の、ごく例外中の例外として直接募集ができるようになっておりますが、これは非常に条件をしぼって運営をしてまいりたいと思いますので、この例外のために原則がくずれてくるというふうなことは絶対にいたさないつもりで運用してまいりたいと考えておりますので、答申の精神にうたわれました常用化の促進という点、あるいは登録労働者以外の使用禁止という考え方、これは十分貫かれておるというふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/47
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048・阿具根登
○阿具根登君 これでやめますが、答弁としてはそうされると思うのですけれども、この登録労働者が言われたとおりの仕事を、いつもああそうですかといってする場合は問題ないと思うのですけれども、しばしば込んだときということで労働者に対するきめつけは一つできておる。しばしば込んだときはできないぞというように一方ではきめつけておいて、一方では登録日雇いの港湾労働者の数が定数を上回った場合においては、今度は取り消すと、悪いことをした場合取り消すのは、これはまああたりまえ、悪いことをした場合を幾つも列挙してある。そうじゃない場合に取り消す権限を、ちゃんと取り消すようになしておられる。そうして何回も断わっちゃだめだぞというようなきびしいきめつけ方をしている。それだけのきめつけをしてあるなら、一ぺん登録をしたならば安心して働けるのだ、仕事がないときには雇用促進事業団の雇用調整手当をもらえるのだ、訓練を受けられるのだ、こういうふうに安心しておられるかというと、そうではない。非常にきめつけておいて、余った場合には、おまえたちは首切るぞとちゃんと出ている。だから私はおかしいぞと、一方では、先ほど言ったように、当然その人に一番適職ばかりが紹介されればいいけれども、そうじゃない場合は、今度はかってに事業主はよそから雇ってもよろしい、こういうことになっておるわけです。だから安定局は、一番事業主も労働者も、生かすも殺すもおれの手のうちにあるぞというこれは法律案なんだ、どっちから見てみても。だから、どうもそこが私はおかしいと思うのですね。だから首切りまでちゃんとここに規定してある。登録してあっても、定数を上回った場合は、これは取り消しますぞと、その取り消す場合は一体どういうような基準で取り消すのか、この場合は悪いことをした場合じゃないのですよ。不正に使用したり、他人に貸したり、あるいはしばしば断わったと、これも一つ疑問もあります。これも十分疑問があるのだけれども、そういう場合じゃない場合も、ちゃんと、おまえたちの手帳を取り消すぞということまで入っているわけなんです。そうするとあまり不親切じゃないか、こういうことを考えられるわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/48
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049・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 労働者が紹介を拒んだときの取り消し要件というのは十条の各号に書いてございます。特に二号に書いてございますが、これは正当な理由がなくてしばしばということで、非常に要件がしぼられております。私どもも、登録の取り消しということは非常に重大なことでございますので、これは慎重の上にも慎重を期して運用してまいりたい。それから、労働者の取り消しに対応して、事業主のほうの規制が手ぬるいじゃないかという御指摘がございますが、これは二十二条、二十三条という条項で紹介停止条項がございますが、ここで、正当な理由がなくて安定所が紹介した日雇登録労働者を雇い入れなかったときには、七日以内の期間を定めて紹介を停止するという規定がございます。そうして、また、二十三条では、この二つの要件に該当するような、港湾労働者の福祉を害するおそれのあるというような場合には、事業主に対して、一カ月をこえない範囲で紹介を停止するというふうな、非常に強い規定もございます。この点は事業主に対する是正措置が手ぬるいという御指摘でございますが、私どもはこの紹介停止処分によって相当実効があげられると、かように考えております。
それから、最後に、先ほど御指摘がございました取り消しを行なう場合の十一条の規定でございますが、これは一たん定めた定数が経済事情その他によって維持できなくなってきた場合に、どうしてもいわゆる一般の事業場でいえば、人員整理をしなければならぬというふうなもし事態が発生した場合には、まず第一に、労働大臣の指示によってそういった取り消し処分が行なわれるわけでございますが、普通の場合にはやたらと一たん登録したものを取り消さない。短期間でそういった事態が改善されない場合には自然の減少を待つということで対処してまいりたいと思いますが、どうしても経済変動でもって定数を大幅に上回って取り消さなければならぬという場合を一応想定をいたしまして、三項、四項の手続によって、非常に慎重な手続に従って具体的な取り消し処分を行なってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、この十一条の取り消しがやたらと行なわれるということは全然想定していないということをつけ加えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/49
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050・杉山善太郎
○杉山善太郎君 もう一点だけ。きょうは大臣——もっとも運輸大臣は、初めから港湾局長をもって代理とする、そういう受け取り方でやっておるわけで、労働大臣は必ず来るものだと思いまして、しかし、これは非常に事態が緊迫した情勢にありますので、やむを得ませんので他日に譲るといたしまして、港湾局長にもう一点お尋ねいたしますが、たとえば港湾関係に勢力を持っておるところの暴力団関係の団体が逐次下部の団体をふやす、こういったような動きが見られるわけであります。昨日の朝日なり毎日なり、すべての商業紙の夕刊で大々的に、たとえば神戸港の船内荷役を独占しておる山口組の直系に大手入れがあったということが記事によって明らかになっております。朝日新聞のごときは、初号活字、四段抜きでこれだけのスペースをさいておるのでありまして、天下周知の事実でありまして、中身に入ってくどくどしく申しませんが、ただ、先ほど、今日的には日本港運協会はやはり任意団体であるが、これも法人格を取得せしめ、やはり全港振と合作してやはり役員構成をし、これを行政指導する。したがって、こういうふうに一つの一本の体制を整えながら行政指導していくというような形がありましたが、この全港振は、この新聞によれば——さらにこれは連合審査の中で、両大臣がおられるときにひとつ克明に聞きたいと思いますが、たとえば「神戸港での組織暴力の実態を盛込んだ『広域暴力団の対策について』と題する調査資料が提出された。神戸港を舞台にしての組織暴力の全容が、公式の席で明らかにされたのはこれが初めてである。」こういうふうにいわれておりますので、この全貌を私どもうかがい知る時期も時間の問題だと、さように考えておりますが、さらに、この振興協会は、一昨年、公正取引委員会の注目するところとなり、全港振に改善を勧告をしたほどであるということで、かりに神戸港だけというものをとらえて言うならば、神戸港のやはり船内荷役というものは、ほとんどこの山口組直系の手配師を含めた暴力団組織によって掌握されておる、こういう事実を書いておりまして、一昨年、目に余ったところの公正取引委員会は勧告をしておると、こういう経緯も過去に存在をしておる。さらに、港湾運送事業法の欠格条項として、たとえば前科を持っている者といったものにも十分摘発のメスを入れてやろうということが今日的に大々的に報道されているわけでありますが、そこで、一点お伺いしておくわけでありますが、今後運輸省は、港湾運送事業法を、先ほども申し上げましたとおり、やはりこの港湾事業の近代化という方向づけの中で、免許基準の規制について、先ほどあなたは、やはり港湾運送事業法によって免許は与えておっても、それに抵触するところのものがなければ云々というようなニュアンスのようなふうに受けとめられるわけでありますが、職安局長か、まあ基準局長おられませんければ、港は、やはり労働基準法とか職安法というものさしでこれを締めつけていったならば、やはり相当に免許規定に抵触するような多くの事案がある。先ほど前段にちょっと申し上げましたけれども、かりそめにこれは労働省だけの独自の試みの案ではあったと思いますけれども、やはりこういうような事業規制や事業認可基準の合理化の問題について、運輸大臣が労働大臣に云々ということで合議するということのほうが、やはり事案の性質上、進歩的であり、近代的である。これは消えてなくなっておる。これは論議の爼上にのぼせるのは他日に譲りますけれども、かりそめに港湾の組織暴力について、やはり港湾運送事業法による事業規制、あるいは免許規制の問題について、当然従来運輸省のやっておられるような考え方では、少なくとも三・三答申を身につけたやはり港湾運送事業の近代化と関連した港湾労働の近代化というものに背反するのではないかというふうに考えられるわけでありますが、その点についてひとつ見解なり所見を伺って、きょうの時点では私は質問をやめまして、他日、労働大臣、運輸大臣に出席していただいて、克明にやはりこの問題を御質問をする、こういうふうに考えますので、きょうのところはこれで御答弁をいただいてやめるということにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/50
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051・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 昨日の夕刊にもいろいろ出ておるわけでございますが、きのう逮捕された者それ自体は、港湾運送事業に関係しておる者ではありません。また、この事業法の体系といたしまして、たとえば港湾に組織暴力があるからといって、そういうことだけで事業法というものは、まあ陸上についてもいろいろのものにあるわけでありまして、やはり事業法における罰則その他というものは平仄を合わせていかなければならないのではないかと思います。ただ、こういう暴力の問題それ自体は、私どもの事業法の範囲だけでやる問題ではなくて、やはり労働基準法なり職業安定法、さらには警察の一般の治安対策、こういうものでやっていただく以外にはやり得ないのじゃないかということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/51
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052・杉山善太郎
○杉山善太郎君 もう一点だけ。これは失礼な言い分かもわかりませんけれども、港湾局長——まあ大臣は、やはり近い将来大改造があっておやめになる、かりにそういうことがあったとしても、港湾局長や所管局長はそう簡単にやめられないはずでありまするから、これは克明に申し上げておきまするけれども、大体製造工業とか、その他産業に関連するものであるなら、これは人的要素とか物的要素とか財力とかミックスして、当然しかし、船内荷役のごとき、そういうものをつくらない事業であるからといって、人の要素をそう軽視しちゃだめですよ、実際問題としては。やはり船内荷役作業であっても運輸事業であっても、すべては生産というものにつながる限りにおいては、人的要素とか物的要素、したがって、それに対する財力というものが総合勘案されて能率というものに関係をしてくる。その間においては労使関係というものも当然問題になってくるわけで、あなたたちの考え方からいくならば、労働力と手配師とか、そういう旧時代的な観念であって、それらのものが港湾運送事業法に照らしてみて何らの間違いを起こさない限りはそれでいいという考え方では、先ほど私が申し上げたとおり、おくればせながら、この港湾労働法が脚光を浴びて、その生みの親はかりそめにも三・三答申であるというならば、前文をつけて三つの柱から成り立っておってこの港湾労働法ができてきているんだという観念からいくならば、もう少しひとつその辺のところをやはり大所高所から、そういう視点からとらえて問題を見てもらいたいということを希望申し上げまして、きょうのところはこれで、非常に瞬間も長引いておりますので、他日いろんな点について質問をいたしますので、あらかじめ答弁の用意をしておいていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/52
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053・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたい存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/53
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054・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) それでは、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/54
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055・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) この際、委員の異動についてお知らせいたします。本日、佐藤芳男君が委員を辞任され、その補欠として八木一郎君が選任されました。
午前の質疑はこの程度にして、午後は一時十分から再開いたします。休憩します。
午後零時四十三分休憩
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午後一時二十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/55
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056・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまより再開いたします。
労働問題に関する調査を議題といたします。
まず、第一に、公社の当事者能力に関する件について調査を進めます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/56
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057・鈴木強
○鈴木強君 私は、あらかじめ関係大臣に御出席を要求してありますが、いまどことどこと来ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/57
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058・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/58
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059・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/59
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060・鈴木強
○鈴木強君 きょう私は、公労協の賃金紛争について関係の皆さんから御意見を承りたいと思いまして御出席を要求したのでありますが、郵政大臣のほかは、それぞれみんな代理で出てこられましたので、非常に私は遺憾に思います。問題は、二十三日に公労協が統一ストライキを計画をいたしておるのでありますが、これにはいろいろといきさつがございますし、すでにこの委員会でも、何回か問題の解決のために努力をしていただくようにお願いはしてございます。しかし、結論的に、この賃金紛争が長引いて、非常に遺憾な事態にいま立ち向かっておりまして、われわれは、何とかしてこの統一ストライキというものを解決すべきじゃないかと、こう強く思っておりますから、こういう立場に立ってそれぞれの皆さんから御意見を承りたいと思います。
公労協が、昨年の十月ごろですか、統一要求をそれぞれの当局に出して、七千円ベースアップをしてもらいたい、こういう要求を強く出しております。で、これはその後、二月に入って一応五百円の金額回答がございました。これは従来の例からすると、私は一つの前進であったと思います。しかし、根本的には、当事者能力の問題が解決できない今日においてこういう事態の起こるのは、もうあらかじめわかっているわけなんですね。だからこそ、昨年の四月十六日、太田・池田会談の結果、この当事者能力の問題について真剣に考えていこうということが約束されておるわけなんです。われわれはそれを期待しておった。すでに昭和二十四年に国鉄公社が発足し、引き続いて専売、電通、こういった企業が公企体になりましてからの問題であります。これは給与総額制度が設けられて、団体交渉権はあるのだが、実際には給与総額に縛られて当事者能力がないために、紛争は毎年毎年続いておったのです。ですから、きのうきょうの問題じゃなくして、もう十年以来のこれは問題である。したがって、私は、おそまきながらも、太田・池田会談において当事者能力の解決が約束されたのでありますから、これを真剣に推し進めて、これはそれぞれの手続ができておりますならば、すっきりした労使関係の問題として事が解決していくのであります。ところが、政府の怠慢によってこの問題が今日まで未解決になっておる。昨年次官会議において、中間報告的なところまでは結論を得たのでありますが、それもだれかどこかで横やりを入れたのか知りませんけれども、しり切れトンボになってしまって、そして今日は、新しいいまILO問題で政府が出しております国家公務員法の一部改正の中で、総理府設置法の一部改正の中で、例の公務員制度審議会、こういうものが設けられます。そこで、政府はこの問題について検討しようというような、私はきわめて後退した意見になっていると思うのです。ですから、そうい上基本的な問題に対する政府の施策が足りないために、再びここにこういう遺憾な事態が起こっていることを思うにつけましても、私は、政府の公労協に対する考え方、ひいては日本の全労働問題に対する取り組み方というものが非常になまぬるいように思われます。したがって、交渉が決裂をして、今日公労委の調停にかかっておりますが、それもすでに、確か二十二日がもう六十日間の期限がきていると思います。一体政府は、今日、二十三日の公労協のストライキを前にしてどういう態度をとっておられるのか、私はこの点をまずお伺いしたいと思います。労働大臣もこの対策で実は御出席がおくれているようでありますから、これは了承いたしますが、ひとつ、幸い徳安郵政大臣に御出席いただいておりますから、きのうきょう来、次官会議を持たれたようであります。したがって、政府としてどういうふうな態度をお持ちか、まず、この点からお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/60
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061・徳安實藏
○国務大臣(徳安實藏君) ただいまの御質問に対してお答えいたします。政府のほうの基本的な方針といたしましては、必ずしもただいま出しておりますものにこだわるわけではございません。そういう方針だけは統一しておるわけでございますが、さて、しからばどうするかという問題につきましては、いまお話のように、労働大臣が中心となりましてせっかく部内で調整をし、努力中でございますから、そうした政府一体の御答弁につきましては、労働大臣からお答えしていただいたほうが満足な答弁が得られると思いますので、これはしばらく労働大臣がおいでになりますまでお待ちいただきたいと思います。ただ、方針は、先ほど申し上げましたように、過去に出したものだけにこだわるという考え方ではない、こういう考え方だけはただいま申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/61
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062・鈴木強
○鈴木強君 郵政大臣は閣僚ですから、したがって、次官会議がどういう経過でどういう結論を出しておるか、あなたも報告受けているんじゃないですか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/62
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063・徳安實藏
○国務大臣(徳安實藏君) 引き続いて次官会議を昨日もきょうも開いておるようでございます。しかし、私もけさ早くから各方面のあるいは委員会等に出席いたしておりまして、政府のまとまったものに対する報告をまだ受けておりません。おそらく労働大臣がおいでになればそういうことが明瞭に御答弁できるかと思います。私自身は、ただいまのところでは、まだそういう問題に対して断片的なことは聞いておりますけれども、統一した答弁ができるほどまで報告は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/63
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064・鈴木強
○鈴木強君 委員長、議事進行に関連しますが、私の一番聞きたい最近の政府の態度、それから、これからの態度、これが残念ながら閣僚である徳安郵政大臣にもよく伝わっておりません。したがって、これはひとつ官房長官でもさっそくに連絡をとって、御出席をいただくようにしてくれませんか。それから、当面、労働大臣ですから、ひとつ万障差し繰って、そう時間をとりませんから、御出席していただくように、これは再度委員長から要求してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/64
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065・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/65
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066・鈴木強
○鈴木強君 そうでないと私は質問できません。
そこで、そういうことにしていただいて、次官会議の結論については後日伺うことにいたします。それでは、郵政大臣は全逓の当事者の一方として、それから、運輸省の事務次官来られておりますから、国鉄労働組合のその監督官庁として、それから、また、大蔵政務次官のほうは専売との関係ですね、こういう当事者間の今日までのこの問題に対するいきさつはどうなっておりますか。それで、各省とも、一体どうしたらあすの統一ストライキというものを回避して、円満妥結ができるというためにどういう努力をされているか、これをひとつ逐次伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/66
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067・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) ただいま徳安郵政大臣から御答弁がありましたと同じような考え方で対処いたしたいと存じております次第でございますが、国鉄は国民のあらゆる活動の動脈でございますので、あらゆる努力を払いまして円満な解決に持っていきたいと、かように考えましで努力いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/67
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068・鍛冶良作
○政府委員(鍛冶良作君) お尋ねの専売公社に関する問題でございますが、大蔵省としましては、現に調停にかかっているそうでございまするので、できるだけ調停で早くまとめてもらうように専売公社のほうではつとめておりますので、専売公社として早く調停をまとめてもらうのを希望しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/68
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069・徳安實藏
○国務大臣(徳安實藏君) 先ほど申し上げましたように、従来出しておりまする金額には必ずしもこだわらないという考え方で公労委のほうに話し合いをし、同時に、なるべく明日のスト的な行動が話し合いによって中止ができますように、あらゆる努力をいたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/69
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070・三治重信
○政府委員(三治重信君) あしたのストという問題で、これを防止するためにどうするこうするというふうには労働省は考えておらなくて、やはり労政の筋といたしまして、調停にかかってもう二カ月の期間が過ぎようとしておる。やはり調停の段階で、当局としても、また、政府も、そういう公的な場合においてできるだけ円満に事が解決されることを希望して、いろいろ努力をしておりますが、きょうにおいては、大体政府としてはこういうふうにきまったようでございます。四月末までに調停の場において回答をする、したがって、各三公社五現業の組合は、公労法で禁止されておる違法なストは慎重にしてほしい、もしも実力行使ストが行なわれるような場合には、やはり法律に照らして処置せざるを得ないから、慎重に対処してほしいという二項目を、岩井さんが総評の代表として来られて、それにそういう政府の関係各省、それから、主要な当局との打ち合わせでそういうふうにきまったということを伝えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/70
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071・鈴木強
○鈴木強君 鍛冶大蔵政務次官にお尋ねしますが、調停に持ち込まれているので、調停の中で解釈をしてほしいということで、専売公社に指導というか、お話をしているということだと思いますがね、しかし、専売公社には、実際問題として、この問題を解決する力はないでしょう。ですから、やはり大蔵省が、政府として、いま限られた当事者能力の打開についての一つの方針をきめない限りは、幾らあなたが専売公社の総裁に話をしてみても、何ら問題は前進しないと私は思うのですね。ですから、あなたが言う調停段階で解決するように専売公社に努力するようにお願いしてあるということはどういう意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/71
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072・鍛冶良作
○政府委員(鍛冶良作君) 専売公社が調停を解決する権限はないとは思いません。ありますと思います。専売公社を代表しておる者がおるのですから。ただ、その専売公社でやるときに大蔵省と相談するかもしれませんけれども、解決するのは専売公社そのものだと考えておりまするので、それで、専売公社のほうへ、解決してもらうように、大蔵省としてできるだけの努力はしておりますと、こういうことを申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/72
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073・鈴木強
○鈴木強君 これは問題が調停に移っておるわけですから、もちろんこの両当事者が調停の段階においていろいろと事情聴取に応じて意見を出すでしょう。しかし、これはもうことし始まったことでなくして、十数年来の調停段階における動きというのは、ただ単に専売公社の総裁が自主的に調停に行って公労委の中で意見を述べることは、これは事実問題としてできないですね。ですから、あなたのほうと当然相談するでしょう。そして現在五百円の金額回答があるが、これはきわめて人をばかにしたものじゃないか。今日玉ネギ一つ三十円するということですから、あれを五百円というのは初任給是正なんですから、全体としてのベースアップじゃないですね。初任給是正ですから、上にいくと、四万くらいの人になると百円も上がらないそうですな、聞いてみると。そういうものですから、全然これはベースアップではない、ですから、ただ従来ゼロ回答という、それこそ人を食った、ばかにしたようなものが、それぞれ御苦労をいただいて、たとい五百円であっても、そのものが生まれてきたことには意義があるんです。これは私たちも評価はしているわけだ。ただ、しかし、何としてもその五百円では無理だろうということは、これはおよそわかっているわけです。しかも、昨年来の物価の高騰等から見ましても、最近の生活は苦しくなっておる。やがて四月現在の人事院勧告等もいまその作業にかかっておる。昨年九月から国家公務員のベースアップは七・九%上がっておる。こういった一連の中で、おおよそこれから想定されるベースアップというものは、民間の賃金等も勘案して出てくると思います。ですから、そういう総合的な判断の中で大蔵当局がやはりその専売公社と話をされて、ただよろしくやってくれということでなくて、あなた方がそういう指導的な立場に立って一つの方針を授けない限りは、これは幾ら専売の坂田さんがやろうと思っても、自主的な能力がない者にこれはできないわけです。そうでしょう。ですから、そういうことを政府がいままで毎年おおよそ判断をしてきめられて、その線で調停段階における公社総裁からの発言としてあらわれ、あるいは郵政大臣の発言としてあらわれてまとまってきているわけですよ。だから、形式的なことと実質的なことと一緒にしているんです、これは。というのは、十数年来この当事者能力が問題になって、毎年毎年私は十年来これを国会で言ってきている。時の総理は検討するとおっしゃる。検討するから来年出ているかというと、そのことは消えてしまう。あなたも御承知のとおり、昭和二十九年、三十一年と、二度も公共企業体審議会にあなた方は諮問をして、そこから答申が出ておる。確かに給与総額制度というのは矛盾があるから、こういう点は直したらどうかということが二度も答申されておる。にもかかわらず、それが放置されているじゃないですか。だから準禁治産者的な立場に立っていまの三公社の総裁というものはやっておられるんだから、一切手足をもがれているようなかっこうになっているわけです。だから、あなたの言うような、形式的か実質的か知りませんが、そういうことでなくて、私の言っているのは、もっと実態に沿って、調停案でいままとめようとする、まとめて解決しなければならぬという段階ですから私は聞いているんです。そういう意味においてのお答えがほしかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/73
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074・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 政務次官の御答弁の前に、一応事務的かもしれませんが、答弁させていただきます。先生の御指摘の御質問の点は、非常に当事者能力の根本問題に触れるたいへん重要な問題でございまして、多年懸案になっている点は御承知のとおりでございます。昨年来から、当事者能力問題についてはいろいろ論議がなされ、その問題についていろいろ検討なされてきていることも御案内のとおりでございまして、問題は、やはり公労法のたてまえからいきますと、自主的に団交できめて、あるいはきまらないと調停、最終的には賃金委員会としての仲裁、こういうシステムに相なっているわけでございます。そこで、今年といたしましては、そういった当事者能力の問題もさることながら、従前にない、まあ各当局といたしましては相当、先ほど御指摘がございましたように、前進ある金額回答五百円という回答もいたしたわけでございます。初任給調整的じゃないかとおっしゃいますが、多分にその面もございましょう。しかしながら、従来と変わって、単なる初任給調整ということでなしに、全体的の俸給につきまして、多少の多寡については御指摘の御疑問の点もあるかもしれませんけれども、全体の俸給につきましての引き上げということの措置もとっているわけでございます。そこで、問題は、現段階でどうなっているかということでございますが、これはまあ大蔵当局、財政当局から御答弁する筋合いのものでないわけでございますけれども、そこで調停の段階でうまく各当事者が交渉されて、それがまとまるということ、これは筋として非常に好ましいわけでございますけれども、やはりどうしても問題になることは、当事者能力としての一つの制約という点にぶつかるわけでございます。これは先生十分御承知のとおり、何せ予算審議権との関連にぶつかるわけでございます。もちろん御案内のとおり、公労法十六条の制度がございますものの、やはりこういった実施をする場合の財政的な裏づけという点につきましては、やはり当局としても、その裏づけなしにはなかなか事は運ばないという点はあろうかと思います。そういった財政的な裏づけの面につきましては、当局といたしましては十分そういう苦慮をしている点は多々あろうと思います。特に国鉄とか郵政等につきましては、料金問題とか、大きないろいろの問題もございまして、非常になかなかむずかしい状況にもわれわれは伺っております。そういった場合に、財政的な裏づけがはたして可能かどうか、それがまた私ども財政当局といたしましては、一応そういった財政の御相談にあずかる立場にもございます。そういった点につきましては、もしそういう段階になりましたならば当然検討にあずかるくらいは、私ども積極的に検討するという立場にあるわけでございまして、その点をひとつお含み願いまして御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/74
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075・鈴木強
○鈴木強君 給与課長のは事務的なことですから、事務的なこととして私も理解をしているのですが、いま話しているのは、そういう事務的な段階を離れてのことなんです。ですから、いま政務次官のおっしゃることも、形式的には当事者能力というものはあるかないか、これは大いに論議があるところなんです。ないという論議と、それはつめのあかくらいのものはあるかもしれないが、そこまで含めたらあるかもしれないが、しかし、基本的には賃金ベースの改定をするための能力はないのです。これがないからこそ、いままで十年間もめ続けてきているわけなんです。したがって、私の言っているのは、五百円の回答を出す場合でも、なるほどそれぞれの総裁からは出ているが、橋本官房長官以下、石田労働大臣や田中大蔵大臣、また、担当の方々が頭をひねって、その結果そういう回答をさせているのですよ。これは自主的なことは、もういま給与課長が言っているような、そういう一連の制度の中ではこれはやむを得ないことだと思うのですね、いまの段階は。だから、それを早くなおすというのが当面の一番大事なところなんです。その一番大事なところを十年間も十余年間もサボっているから、毎年毎年こんないやな質問を私は繰り返さなければならぬのですよ。だから、一体そういう状態じゃ質問もあまり私はできないのですけれども、政務次官御両所とも、五百円の回答が出ているのですけれども、これであなた方、七千円の要求に対して、まあやむを得ないのだというふうに判断されているのでしょうか、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/75
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076・鍛冶良作
○政府委員(鍛冶良作君) 目下調停中でございますから、調停ではできるだけ譲歩してまとめようという考えでございまするから、五百円をもって一切取り合わないというようなことはいたさないつもりでございます。できるだけのことをしてまとめたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/76
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077・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 先ほど申し上げましたように、徳安郵政大臣が御答弁に相なりましたことと私も全く同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/77
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078・鈴木強
○鈴木強君 五百円あなたのほうも総裁から回答がありますね、国鉄労働組合に対して。それじゃ少ないと思わないですか。これは常識的な線だと考えておるのですか、そうじゃないでしょう、その点を伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/78
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079・大久保武雄
○政府委員(大久保武雄君) 従来の回答にこだわらず検討いたしたい、かような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/79
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080・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/80
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081・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後一時五十八分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01419650422/81
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