1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十七日(月曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
館 哲二君 草葉 隆圓君
鹿島 俊雄君 上林 忠次君
五月十五日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 鹿島 俊雄君
山口 重彦君 藤原 道子君
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出席者は左のとおり。
委員長 小柳 勇君
理 事
草葉 隆圓君
丸茂 重貞君
藤田藤太郎君
委 員
亀井 光君
川野 三暁君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
竹中 恒夫君
鈴木 強君
藤原 道子君
小平 芳平君
林 塩君
衆議院議員
社会労働委員長 松澤 雄藏君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省公衆衛生
局長 若松 栄一君
厚生省医務局次
長 大崎 康君
厚生省児童家庭
局長 竹下 精紀君
厚生省年金局長 山本 正淑君
社会保険庁年金
保険部長 實本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○議案の撤回に関する件
○寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(衆議
院提出)
○医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
改正する法律案(第四十六回国会中村順造外四
名発議)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/0
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001・小柳勇
○委員長(小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。五月十四日、館哲二君、鹿島俊雄君が委員を辞任され、その補欠として草葉隆圓君、上林忠次君がそれぞれ選任されました。また、五月十五日、上林忠次君、山口重彦君が委員を辞任され、その補欠として鹿島俊雄君、藤原道子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/1
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002・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 理事の補欠互選を議題といたします。
委員の辞任に伴い、理事が一名欠員となっております。
つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと思います。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/2
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003・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に草葉隆圓君を指名いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/3
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004・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 議案の撤回についておはかりいたします。
本委員会に付託されております医療法の一部を改正する法律案(参第一一号)について発議者から撤回の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/4
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005・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。よって本案は、撤回を許可することに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/5
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006・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提出者衆議院社会労働委員長松澤雄藏君より提案理由の説明を聴取いたします。松澤雄藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/6
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007・松澤雄藏
○衆議院議員(松澤雄藏君) ただいま議題となりました寄生虫病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案の趣旨とするところは、現行寄生虫病予防法におきまして定められております日本住血吸虫病の予防のための溝渠新設の基本計画が昭和三十二年度以降十ヵ年とされているものを昭和四十年度以降七ヵ年とし、日本住血吸虫病の予防の徹底をはかろうとするものであります。
御承知のように、日本住血吸虫病は、山梨、岡山、広島、福岡、佐賀などにおきまして広く蔓延し、農耕その他住民の日常生活に重大な障害を与えているのであります。しかも、この疾病につきましては、医学の進歩した今日におきましても的確な予防治療の方法がなく、その根絶をはかるには、病原虫の中間宿主である宮入貝を絶滅する必要があり、このため、昭和三十二年度より十ヵ年計画で宮入貝の生息地帯における溝渠のコンクリート化を行なってまいったのであります。しかしながら、計画実施後、これまでの経過を見てみますと、地方における財政支出などの関係に災いされまして、十ヵ年計画の最後の年であります昭和四十一年度までに当初の計画を完了するのは困難な状況となっております。
この法律案は、このような状況及びこの疾病の住民に及ぼす大きな影響を考えまして、昭和四十年度よりあらためて七ヵ年にわたる溝渠新設の基本計画を作成し、日本住血吸虫病の撲滅をはかろうとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/7
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008・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 本日は提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/8
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009・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し、これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/9
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010・鈴木強
○鈴木強君 最初に、大臣にお尋ねいたしますが、医療金融公庫が設立をされましてちょうど五年になると思います。この間、関係皆さんの御苦労によって、およそその目的を達成しておると思いますが、大臣は、その公庫の五ヵ年間の運営について、後ほどまたこまかいことをお尋ねいたしますが、総括的にいってうまくいっているかどうかですね、そういう点についてのおおよそのあなたの見方を最初に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/10
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011・神田博
○国務大臣(神田博君) 医療金融公庫がその目的を十分に達しておるかどうか、その機能を十分に発揮しておるかどうかという御趣旨のお尋ねのように承ったのでありますが、ただいまお述べございましたように、医療金融公庫発足以来、私は、十分その役割りを尽くしておると考えております。ことに貸し付け面から見ましても、あとで政府委員からまた御答弁させるつもりでございますが、必要に応じまして申し込み額も相当の額にのぼっておりまして、足らないというようなこと、それから、また、診療所もこの種の資金の借り出しをはかりまして、これを活用いたしまして、できるだけ診療所を整備いたしまして、そうして近代医学を完全にひとつ利用してもらおうというようなことが順次行き渡ってまいったのでございます。でございますから、私どもとしましては、低利の金が出回りまして、そうしてその実効をあげておる、今後ますますその必要に迫まられておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/11
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012・鈴木強
○鈴木強君 たいへん大臣から、適切な御答弁だと思いますが、運営についての御処置も承りました。私は、すべて事業は人にありと、こういわれておりますが、問題は、いかに崇高な理想、目的を掲げましても、要は、そこに働く人たちが一体になって目的完遂のために熱意を持って努力するという態勢ができないと、なかなかものごとはうまくいかないと、こう思うわけです。したがって、私の心配いたしますのは、現在のこの公庫の職員諸君がいろいろと制約のある中で努力されておることはわかりました。しかし、はたしてこの五年の間、そこに働く従業員の数も教えてもらいたいと思いますが、そういった諸君との間にかりそめにも紛争のごときものはなかったかどうか、また、かりにあったとするならば、まことに適切、また妥当、無理からぬ要求であれば、この問題についてはこれをいれてやると、こういうふうな御配意がなされておったかどうか、これは一つの仮定のお話を聞いておりますが、なければないでけっこうでございますが、そのことはいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/12
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013・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまお尋ねございました金融公庫の運営がどうなっているかということでございます。私の見たところによりますと、御承知のように、この金融公庫は最初からいまの総裁が理事長としてずっとやってまいっております。幹部もほとんどずっとやってまいったわけでありまして、一度も内部の紛争というようなことは聞いたことはございません。非常に信頼を受けておる、中も十分いっている、そこで貸し付け額も非常に伸びております。こういうことでございまして、この種の公庫といたしましては、まあまあ申し分なくこの役割りを果たしている、私はこういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/13
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014・鈴木強
○鈴木強君 それは非常にけっこうです。もう一つ、具体的なことで恐縮ですが、概括的には運営が非常にうまくいっているということですが、おそらく新しい試みでありましたし、設立当初から今日までの間において、やはりこうしたらいいだろうとか、ああいうふうにしたらよかっただろうとか、たとえば運用の貸し付け資金等についても、あるいはこういうふうにしていたらどうだろうとか、そういった、言うならば経営の基本に関するような問題について、公庫総裁、あるいは公庫から厚生省のほうに対して直接そういうふうな要望とか意見というものはなかったのですか。全然なかったというのか、あるいはどういうものがあったか、これはどうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/14
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015・神田博
○国務大臣(神田博君) 公庫からいつもお話ございますことは、公庫の仕事が非常に医師等に徹底してまいりまして、非常に申し込みが多い、その申し込みが多いのにその需要に応じ切れない、こういうことでございまして、この限られた資金を多くの申し込み者にいかに緩急よろしきを得てこれを貸し付けるか、こういうことである。また、貸し付け金の回収も十分に順調にいっているということでございまして、いままでに見聞きいたしましたことは、事業がだんだん繁栄してきておる、この分であれば資金がもっとほしいというようなこと、ことにただいま御審議願っております、どうしても本所一ヵ所だけで東京でやっておりますだけでは不便だ、大阪に一つ支所をつくりまして、診療所の貸し付け等につきましては、関西以西の分はそちらでひとつ権限を持った理事を置いてやっていきたい、こういうことでございまして、この強い希望でございまして、それをかなえたいということでこの法律案を出して御審議願った、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/15
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016・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、いままで公庫のほうから要望のあった問題については、今回のこの法律改正によってほとんどその要求に応じられるということになる、したがって、この改正がもしできれば今後万全な運営ができる、こういうふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/16
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017・神田博
○国務大臣(神田博君) この段階においてはさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/17
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018・鈴木強
○鈴木強君 それでは、私は、これから具体的にお尋ねいたします。
まず第一にお尋ねいたしたいのは、いまも問題になりました公庫の融資原資の問題でございますが、資料を拝見しますと、四十年度の予定として政府の出資金五億、それから資金運用部資金の借り入れ金が百四十億、貸し付け金の回収金が二十五億、合計百七十億を予定しておりますが、この貸し付け金回収金、こういうものの性格は、貸し付け年限によってすでに回収しなければならぬことになっているものだと思いますが、こういうものの中で、たとえば予定の回収金が回収できないようなものがあるかどうか、二十五億が全部予定どおり回収できるのかどうなのか。
もう一つは、資金運用部資金の借り入れ金の百四十億というものは、一体その内訳は何か、これをひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/18
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019・大崎康
○政府委員(大崎康君) まず、第一点の貸し付け金の回収状況でございますが、貸し付け金の回収は順調に行なわれておりまして、三十五年度三百八十九万円、三十六年度三億七千百六十八万円、三十七年度十億千五百七十一万円、三十八年度十九億九千二百五十五万円、三十九年度十二月末現在で二十億七千六百十七万円の回収がございました。また、貸し付け金債権の取りつけは、目下のところございません。
第二の問題でございますが、本年度の公庫の資金のうち、運用部資金から借りましたものの内訳でございますが、厚生年金の還元融資といたしまして六十二億、国民年金の還元融資から八億、その他運用部資金を七十億、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/19
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020・鈴木強
○鈴木強君 この「貸付金回収金」ですね、おたくでいただいたこの資料を見ますと、年次別の推移が書いてあるのだが、三十五年度はゼロ、三十六年度は二億、三十七年度は六億というので、あなたがいま言ったのとこれは数字が違いますね。これはどういう資料ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/20
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021・大崎康
○政府委員(大崎康君) お手元にございます参考資料といたしまして、「貸付金回収金」とございまして、これは予定の額でございます。私がいま申し上げましたのは、それを実行いたしました結果、現実に回収をいたしました金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/21
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022・鈴木強
○鈴木強君 それなら、この資料はきわめて何というか、われわれには迷惑な資料だ。こう書いてあれば、これは過去の三十五、三十六、七、八と書いてあれば、実際に貸し付け金が回収されたのはこれだけだと理解するでしょう。それなら、なぜ資料にいまあなたが言われたように書いておかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/22
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023・大崎康
○政府委員(大崎康君) 資料の点につきまして御迷惑をかけたことは申しわけないわけでございますが、私どもの考えといたしましては、ここのところは貸し付け原資の額を書いたわけでございます。で、その貸し付け原資の中には、政府出資金と資金運用部の借り入れ金と貸し付け回収金等に分かれておるわけでございまして、それを貸し付け原資として書いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/23
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024・鈴木強
○鈴木強君 これはちょっとこの資料の理解のしかたにあると思いますが、あなたのほうでは、一応当時こういうふうになるというものを、まだ決算が済まない未定稿のものを並べたやつをそのま出してきたのだよ、これは不親切だよ。ここへ出す場合には、三十五年度は幾らと、実物を書いてもらわなくちゃ、実際のものを。こんなあなた資料の取り方はよくないな。大臣、厚生省というのは何の資料を聞いてもだめだね、こんな資料を出したらおかしいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/24
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025・大崎康
○政府委員(大崎康君) 貸し付け原資にございます「貸付回収金」は、これは出資金の中で出資金として回収があった部分でございます。出資金がありました分は、これは貸し付け原資として貸し付けされるわけでございます。ただし、貸し付け金の回収金の中には、出資金以外に、借り入れ金によるものが入っておるわけでございまして、その間にその数字の違いが出るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/25
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026・鈴木強
○鈴木強君 それなら貸し付け金回収金とそういうものがあって、実際には資金はどう動いたというものをほしいわけですよ。これはすぐわかるでしょう、資料は。あとでこの法案の審議が終わるまでにそれを出してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/26
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027・大崎康
○政府委員(大崎康君) お手元まで資料を提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/27
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028・鈴木強
○鈴木強君 それから、この百四十億の運用部資金の借り入れ金の内訳は厚生年金の積み立て金ですか、これの中から六十二億、国民年金が八億、その他が七十億というのですが、これは七十億というのはどういうのですか、一体その他七十億というのは、国民年金が八億でしょう、そういう御説明でしたね、その他というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/28
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029・大崎康
○政府委員(大崎康君) 御案内のように、運用部資金の中には、厚生年金、あるいは国民年金の保険料、それから郵便貯金等の金が入ってくるわけでございます。その中で二五%相当がこれは還元、その中で、保険料による積み立て金のうち、二五%相当は、御案内のように、これは還元融資としてこれは還元をされているわけでございます。その中から、それぞれ厚生年金につきましては六十二億、国民年金といたしましては八億という額をちょうだいいたしたわけであります。したがいまして、資金運用部資金の七十億という額は、還元融資以外の保険料その他の運用部資金に積み立てられた原資から割り当てられたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/29
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030・鈴木強
○鈴木強君 二五%の還元融資と保険料その他というのですが、それはあなたのほうへは、そういうことの内訳を何もあえて知らなくても、大蔵省のほうからそういう借り入れ金として運用部資金から出してもらう金だからいいようなものだけれども、保険料その他というのは一体どこから、簡易保険とか郵便年金とか、いろいろあるでしょう、そういうものはどこからきている金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/30
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031・大崎康
○政府委員(大崎康君) 厚生年金、国民年金の保険料、それから郵便貯金、そういうふうなものからきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/31
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032・鈴木強
○鈴木強君 その点はわかりました。それから、これは大臣、私は、公庫の融資原資の年次推移というのを拝見しまして、当初三十五年政府出資が十億でしたね、これは少ないでしょうけれども、発足当時としてですから、まあまあわかりますが、三十六年には二十億になり、三十七年には二十五億になり、三十八年には二十六億になり、三十九年には二十九億、まあまあ少ないですけれども、上昇傾向をたどってきているわけです。ところが、四十年度には、政府出資金が五億というふうに、出発当初の半分になってしまった。逆に運用部資金からの借り入れ金というものが非常にふえてきております、百四十億と。私は、やはり公庫の運営上、政府資金というものが多いほどいいわけです。後ほどまた利率とか償還期限とか、そういうものを開きますけれども、そうしてみると、さっきあなたがおっしゃったように、政府としてはできるだけ公庫の運営に便利な方法をとってやるべきだと思うわけです。ところが、どうして神田厚生大臣になって政府出資金が、がたっと五億になったか、これは合点いきません。ですから、大臣、その理由を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/32
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033・神田博
○国務大臣(神田博君) いまの鈴木委員のお話はそのとおりでございまして、私も、はっきり考え方といたしましては鈴木委員と同じ考え方を持っております。厚生省の考え方もそうでありましたが、御承知のように、四十年度の国庫の財政の窮屈といいますか、非常に弾力性がなくなってしまったわけです。こういうことでございます。できるだけ政府出資金があったほうが公庫の運営がいいということは、これは当然でございます。しかし、それがうまくいかなかった。しかし、この公庫の需要がやはり盛んなものでございますから、その他のほうで補ってまいった、こういうことでございます。理論的に言えばおっしゃるとおりで、これは私もそのとおり承服いたします。そういう考え方で、私どもも考えておったのでございますが、それがうまくいかなかった。うまくいかなかったが、全体の金としてはそういうわけにもいかないので、他のほうの、いま政府委員が説明したような金の出どころからこれを補ってきた、こういうことで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/33
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034・鈴木強
○鈴木強君 やっぱり大臣、それがベターだということだったら、やはり万難を排してやるべきじゃないでしょうか。総体のワクで帳じりを合わしたからということでは、ちょっとこれは大臣として申しわけないのじゃないですか。これは国家財政全体のワクがあるということも私はよくわかっています。しかし、必要として設立されたものである限りにおいては、やはり前年の実績を下回るなどということは、私はやっぱりまずいと思う。しかも、伺いますと、七十億というものは、国民年金、あるいは厚生年金の還元融資だとおっしゃるわけです。そうすれば、そういうものの主要目的というものは、私は、私的医療機関に対する一つの協力といいますか、のための金として使うということは、これは疑義のあるところです。みんな一生懸命掛けているわけですよ。それが全体のために益することを願っているわけですから、
〔委員長退席、理事草葉隆圓君着席〕
そういう趣旨からいっても、どうも運用部資金のほうがふえたから、これによってということはちょっと理屈に合わぬ。ですから、こういうことは非常に遺憾なことであれば、あなたの力が足りなかったということであれば、それを反省して、少なくとも何とかもっと最大限の努力をしてもらいたい。思ったのだからしでいただくと思うけれども、さらに努力をするとか、あるいは四十年度はこれでやむを得ないとしても、当初のプリンシプルを厚生省が捨てない限りにおいては、どんなことがあっても、大蔵省と談判して、実績を下回らない程度の政府出資金というものを獲得するというこれはやはり決意がなければいかぬですよ。こんなことをしておったら、だんだん最後には政府出資金がゼロになりますよ、そんな甘っちょろい考え方では。その辺、理論的にそうであるというならば、なぜ理論どおりにいかなかったか、その正しい理論を否定するのは何か。正しい理論を否定していくという考え方が世の中に通るならば、正しい理論がつぶされて、まあまあ主義の理論が通っていくことになる。そんなことが政治の中に生かされてはいかぬと思う。ですから、ここは非常に大事なところです。公庫設立の大事なポイントだと思いますから、そういう意味で大臣にしつこく伺うのですけれども、もう少しき然たる態度をもってこの原資獲得のために大いに努力していただかなければ、私らは納得できない。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/34
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035・神田博
○国務大臣(神田博君) 考え方としてはいま鈴木委員のお話のとおりで、私もそういう意気込みで努力いたしたわけでございますが、遺憾ながら、国家財政の現状がなかなかそういうわけにまいらなかったということと。もう一つは、公庫がここまで伸びてまいりまして、コマーシャル・ベースで仕事ができるようになってきたということも一つの原因だと思う。それから、いまの厚生年金、あるいは国民年金の還元融資を使ってというような意味のお尋ねがあったように思いますが、私は、診療所等にこういう資金を投入することは、やはり一般勤労者のためになることでございますから、医療に費途を充てておくということは、考え方としては私は決して悪いことではないと、こういうふうに考えています。いろいろ予算の折衝の最後におきまして、質も大事であったが、量も大事であったということで、むろんこれは来年度においては、私はその本質を捨てたわけではございませんから、十分努力いたしまして、国家の財政資金を投入してもらいたいという努力は続けるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/35
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036・鈴木強
○鈴木強君 どうも伺っていると、その基本になる柱というものはそのとおりだとおっしゃっているのだが、やっぱりそこが現実に政府出資金というものが少なくなったから、そのことによってあなたの考え方というものがダウンしているのだと思いますけれども、やはり立っておる柱そのものがほんとうにそうであるならば、きわめて遺憾である、これがこういうふうに減ることはね。したがって、やはり政府出資金の増額についてはさらに努力をしてみるという御答弁ならば私はわかりますよ。ところが、何かそのとおりだというふうに私の立論をお認めいただいているのだが、現状はまあまあ質より量だということでほかへそらされてしまいますと、目的をちょっと私は、大臣、納得できないのですよ、これは。あなた努力してくれたのだから、ことし五億になったことをいまから二十億にふやしてくれといっても、これはできない仕事ですから、財政投融資の資金計画というものも立っているのですから、われわれそのことは百も承知なんです。しかし、今後の厚生省としての決意としてこういう問題ははっきりしておかぬと、だんだんとおかしくなりますよ。だから、そういう意味において、私だって厚生年金の積み立て金の還元融資というものは、それはもう基本的には勤労者諸君のいろいろな社会保険施設というか、何かそういうものに使われるというのが筋ですよ。だけれども、こういった営利を目的とする医療機関に使うことも、私は絶対否定する立場ではないのですよ、これは。あなたの言うように、悪いことではない、それは私もわかりますよ。しかし、それはやむを得ない場合のことであって、本来の目的はそこにあるのじゃないでしょうか。さしてみれば、やはり政府出資金というものに依存をしていくというのか立場じゃないでしょうか。これはコマーシャル・ベースと言うけれども、医療金融公庫をつくっても、営利を目的とするわけじゃないでしょう。やはり厚生省がおやりになるよりかも公庫のほうがやりいいからということが公庫の設立の目的ですから、本来ならば、これは政府の目的ですよ。こんなコマーシャル・ベースでペイするからという、そんな考え方自体もおかしい。もう少しその辺の基本的な考え方についてはっきりしておかぬと、公庫設立そのものも私はちょっとおかしくなる。そういう意味においてあなたの御所見を承っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/36
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037・大崎康
○政府委員(大崎康君) 先ほど先生がお述べになりました資料にもございますように、政府出資金は三十五年度十億、それから漸次累増いたしておりまして、三十九年度で二十九億になっておるわけでございます。四十年度の五億を足しますと、政府出資金が合計百十五億程度になるわけでございます。で、政府出資金そのものの額を幾らにするかということは非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、政府出資金の額を一円でもふやしまして医療金融公庫の収支をよくしようというふうな気持ちは十分ございますが、四十年度の医療金融公庫の帳じりを合わせてみますと、出資金がだんだんふえてきておる関係上、その業務運営を勘案いたしてまいりますと、四十年度においては五億程度で大体収支が合うような実は計算ができてまいったわけでございます。で、この点につきましては、私ども出資金の額はさらにふやしたいということは、ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございまして、私ども事務当局ではございますが、将来さらにこの点は努力をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/37
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038・鈴木強
○鈴木強君 大臣 事務屋さんというのはなかなかうまいですよ、理屈をつけるのが。だから、私は、そういう事務的な話ではもう済まぬのです、これは。だから大臣に答弁を求めているのですよ。何と言おうと、資金計画を立てる場合に、従来の実績というものがあるわけですからね、実績が。それをくずす場合だったら、政府出資金を出したときにはこういう弊害がある、だから政府出資金はなるべく減らして、資金運用部資金なら資金に依存していくほうが、公庫の将来に向かってはそのほうがいいのだ、五年間やってみたけれども、政府出資金というものはあまりためにならぬのだ、そういうはっきりした五年間の経験に徴して減らす理由があればいいのですが、そうでないでしょう。むしろそれをふやしてやったほうが当初設立した目的に沿うのではないか。そうであれば、なぜこれを減らしたかということになる。だから、私は、これはことしはそういうわけでやむを得ないとしても、昨年の実績を下回るというようなことについては、これはたいへん厚生省として不満である。しかし、国家財政全般からことしはやむを得なかったが、ひとつ来年度についてはもっとこれをふやすために最善の努力をいたしますと、これは大臣が留任してもらえばいいと思うのですが、何か改造も近くあるようだから、それはあなたがかわったときに、これはたいへん失礼だけれども、引き継ぎをしてもらう、そのあとで私は聞きますから、引き継ぎをしてあるかどうか。そういう点をやはり明確にしてもらわぬと、せっかく医療金融公庫法というのを改正して、りっぱなものにして十分してやろうという目的が達せられませんから、これはあくまでも大臣の御所信でないと、これはちょっと事務当局では弱い。政府はそういうふうに事務的になかなかわれわれをうまく納得させるように説明するのですけれども、ぼくはその手には乗りません。
〔理事草葉隆圓君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/38
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039・神田博
○国務大臣(神田博君) いま鈴木委員がお述べになられたことについては、私も原則論として、この種の運営については同感なんでございまして、できるだけ政府出資金であれば、資金の質がいいといいますか、両方抱き合わせまかすら低利な金融になります。あるいは、また、事務費等が出てくるということでございまして、経営が楽になるわけでございます。そういう面につきましては十分努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/39
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040・鈴木強
○鈴木強君 それから、この厚生年金等の積み立て金から、年金福祉事業団というものを通じて、事業主や健康保険組合が経営する病院とか、あるいは日本赤十字社、済生会等の公的病院に対する融資に回されている額があると思いますが、その額は幾らでございますか、いままで融資した額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/40
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041・大崎康
○政府委員(大崎康君) 四十年度の年金福祉事業団の融資の原資のうち、四十五億が医療金融公庫、医療機関に対する融資に充てられている、かように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/41
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042・鈴木強
○鈴木強君 これは四十五億の四十年度中の融資額は、全部公的な病院に対するものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/42
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043・大崎康
○政府委員(大崎康君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/43
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044・鈴木強
○鈴木強君 そこで、この年金積み立て金の使途を明確にするというか、使用目的をはっきりするとか、そういう意味において、資金運用審議会の中に特別委員会を設置して、そうしてそれを出したほうがいいかという検討をされているという私は話を聞いているんですが、そういう事実がございますか。あれば、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/44
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045・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 年金の積み立て金の運用につきましては、これは従来から各般の御意見の出ているところでございまして、私どもといたしましても、またこの資金運用につきましては一つの意見を厚生省といたしまして持っているわけでございますが、不幸にいたしまして、この問題につきましては、昭和三十六年国民年金の発足当時、時の厚生大臣が中心となりまして、さらに前進をいたしたいという話を進めたのでございますが、それが成功に終わらなかったわけでございまして、それ以後におきましても、毎年この年金積み立て金の使途については、現在、使途別分類表というものが明示されているのですが、それでは不十分である、年金積み立て金がどこに幾ら融資されているかということが毎年度明確に被保険者なり保険料の拠出者に明示できるような方法を講ずる必要があるという考えに立ちまして、実は特別勘定の設置というものを主張してまいったのでございますが、これにつきまして結論を得られないものでございまして、そこで、厚生、大蔵両省の話し合いといいますか、予算の折衝の最終段階におきまして資金運用審議会にひとつ諮問をして、そこで今後こういった厚生省の主張、あるいは厚生年金の還元融資のワクを拡大すべきかどうか、国民年金についてどうかといったようなことを資金運用審議会でひとつ結論を得ようということになりまして、現在、資金運用審議会でこの問題については特別委員会ができまして、御審議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/45
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046・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、それは特別委員会はいつ設置されて、一体いままで何回審議したか、で、一体おおよそいつごろになったらこれは結論が出るのか、たいへん運営の中に立ち入って恐縮ですけれども、ちょっと私たちもこれはたいへん大事なところでございますから、絶えず関心を持っておりました。したがって、そういう特別委員会が設置されたことは聞いたのですが、その後一体どういうふうな運営をなさって、現在どこまできておって、今後いつごろ結論が出るか、ひとつこの見通しがわかりましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/46
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047・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) この特別委員会が設置されましたのは昨年の当初でございまして、昨年の五月に厚生省の主張を聴取されまして、それから、十月に大蔵省側の主張が聴取されました。その後、両省を省きまして、審議会の委員の方々だけで審議が続けられている現状でございます。いつごろ結論が出るかということにつきましては、私どもといたしましてはなるべく早く結論を出していただくということで、まだいつごろという期日まで私どもが明確なところを伺う段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/47
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048・鈴木強
○鈴木強君 大臣、お聞き及びのとおりです、特別委員会の進行状態は。で、私は、やはりせっかく設置した委員会ですから、委員の皆さん方にも御苦労ですけれども、できるだけ御奮発いただいて、まあ委員の手当も少ないし、たいへんだろうと思いますけれども、まあひとつ御苦労いただいてすみやかに結論を出していただく、そうして、できれば、私は、来年の予算編成ころまでにということですけれども、編成もそろそろ夏に入るのですが、そういうふうな一つのスケジュールに乗った委員会の運営をしてもらわぬと困ると思うのです。さればといって、私も、何も拙速主義で将来の大方針を誤るようなことになってはいけないので、これはあくまでも委員の皆さんの自主性を尊重しなければなりませんので、大臣が圧力をかけるとか、何か無理を言うとか、そういうことはとってもらいたくないのですが、厚生省の意のあるところを十分御説明いただいて、そうしてできるだけ委員会の御審議を促進するようにしていただきたいと思いますが、大臣は、これが発足したときにはどうだったのでございますか。当初だから厚生大臣がやられておったのですか、おられなかったのですか。その後、五月と六月にそれぞれ委員会は開かれておるようですが、それには出席されたのでしょうか、出席する必要もなかったのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/48
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049・神田博
○国務大臣(神田博君) 私、昨年の七月からでございますので、五月にはそこに出るわけにまいらぬわけですが、いまの問題は、私も年金局長が言うたとおりに考えております。また、鈴木さんのおっしゃったとおりに、やはり厚生省が大きな発言力を持って管理すべきものだという根本原則を強く私は持っております。そこで、そういうような指導をするとともに、委員会等にもそういうことを、大臣はこう考えておる、ひとついろいろ御都合もあろうと思うが、早く審議をしていただきたい、こういうことをお願いしておるわけでございます。いろいろまた政府部内でも、審議会の答申待ちということでございますから、意見はまとめてはございませんが、資金効率から見てどうだろうかというような、私と違った意見を持っておる方もございます。しかし、私は、はっきりした考えを持っておりまして、できるだけそういう結論が早く出るようにしていただいて、そうして善処してまいりたい、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/49
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050・鈴木強
○鈴木強君 これは大臣の仰せのとおり、相当厚生省が私は発言権を持っていいと思うんです。ところが、なかなかそうはいっていない、そういうところにこの資金の使い方についての論争があるわけです。ですから、やはり厚生省が御所管なさって苦労なさっているものですから、できるだけ厚生省の御趣旨に沿うような方向でやったほうが私たちは間違いがないと思うから、そのほうが目的に沿うと思いますからそういう意見を出すわけです。ですから、その点は省をあげてそういう方向にひとつ結論が出るように御配意をいただきたいと思います。特段の御奮発をお願いしておきたいと思います。
それから、年金福祉事業団がいま行なっております日赤とか済生会の公的医療機関に対する融資と、それから、医療金融公庫がやっている増改築等の貸し付けの資金の条件ですね、これはたしか利率、据え置き期間、償還期間、貸し付け限度、こういうものについて不均衡があるわけです。したがって、昨年の公庫法一部改正のときにそういう意見がたしかあったと思うんですが、その後、厚生省当局としてはどういうふうにこの点について御配意をいただいておりますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/50
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051・大崎康
○政府委員(大崎康君) 年金福祉事業団の融資先でございますが、先ほど私、全部いわゆる公的医療機関であるというふうにとれるような御答弁を申し上げましたが、それは事業主病院を除きました公的医療機関であるという意味でございます。日赤、済生会だけが年金福祉事業団の対象になっているわけではもちろんないわけでございます。で、年金福祉事業団と医療金融公庫との融資条件につきましては、昨年度も本委員会でいろいろ御指摘があったわけであります。貸し付け利率につきましては、これは医療金融公庫のほうにおきまして、四十年度から乙種増改築資金——乙種増改築資金と申しますのは、病床過剰地区に対する改築資金でございます。その利率は八分でございましたが、これを七分に引き下げたい。それから、年金福祉事業団におきましては、これに相当する貸し付け利率を六分五厘から七分に引き上げるというふうに承知をいたしておるわけであります。で、両者の条件は同一になるわけであります。で、医療金融公庫、年金福祉事業団のいわば病床不足地区におけるところの新築、それから同じく病床不足地区における増改築、これにつきましては従来六分五厘でございました。
それから、第二番目の償還期限でございますが、この償還期限につきましては、医療金融公庫の期限を延長いたしまして年金福祉事業団にそろえたい、かように考えているわけでございます。
それから、第三番目の据え置き期間につきましては、これは医療金融公庫におきましては、原則として病院が二年、診療所が一年でございます。それから、年金福祉事業団におきましては、病院が五年、それから、診療所が三年というふうに一応表面ではきまっておりますが、実質的にはこれは医療金融公庫の据え置き期間と同じに運用をいたしておりまして、これは両者の条件は同一であるといって差しつかえないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/51
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052・鈴木強
○鈴木強君 貸し付け限度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/52
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053・大崎康
○政府委員(大崎康君) 貸し付け限度につきましては、まず、第一に貸し付け率でございますが、これは医療金融公庫のほうにおきましては所要額の八割でございます。それから、年金福祉事業団におきましては所要額の九割でございますが、大企業に対しましては八割の貸し付け率と承知をいたしております。それから、新築、増改築資金につきましては、医療金融公庫におきましては、病床数が四十未満の病院につきましては三千万円、それから、病床数が四十をこえる病院につきましては五千万円でございます。ただし、特定病院、これは総合病院等の特定病院につきましては、これは一億まで一応貸し付けることができるようになりまして、さらにその上になりますと、厚生、大蔵両省の協議によりまして、実情に即しまして融資ができる、こういうことになっておるわけであります。年金福祉事業団においては、かように区別を設けた限度額を設けておらないわけであります。
それから、機械購入につきましては、これは病院の病床数五十未満の場合は五百万円、病床数が五十以上百床未満は、病床数に十万円を乗じたもの、それから、病床数が百床以上では一千万円、これが限度でございます。診療所につきましては百万円、共同利用施設につきましては三百万円。なお、今年度からは薬局、助産所に対してもそれぞれ機械購入資金を対象とすることにいたしております。これに対しまして、年金福祉事業団につきましては、これは限度を設けておりませんが、一品の単価五万円以上のものを対象とする、このようになっておるわけであります。
なお、長期運転資金につきましては、医療金融公庫には定めはございますが、年金福祉事業団におきましては、長期運転資金は貸し付けの対象といたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/53
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054・鈴木強
○鈴木強君 この両者の不均衡を是正するということは、やはり私は当然のことだと思うのですね。できるだけ統一していくということについては努力はされておるのですが、そのやり方がやはり妥当であるか妥当でないか、適切かどうかという、そういう判断は出てくると思います。私は、いま次長の御説明になったのをお伺いしますと、どうも年金福祉事業団が従来六分五厘だったものを七分に引き上げて、これを五分上げた、それから、今度公庫のほうについては、乙種増改築といっておるのですか、何かそういうようなものを一つ設けて、そしてその分については従来八分だったものを七分に一分引き下げたと、こうおっしゃるのですが、そうして乙種を七分にした。いま新築とか増改築の場合、従来六分五厘だったわけですね、公庫の場合。——違うのですか。従来は六分五厘だった新築とか増改築、この点は今度新しく公庫の貸し付けの方法について増改築と、それから新築と乙種増改築というのをつくったのは、一体従来から見てどういうふうに変わっていくか、その理解がちょっと私はできませんから、そこのところをもう一回伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/54
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055・大崎康
○政府委員(大崎康君) 従来このように分かれておりました新築資金、これは病床不足地区に限るわけでございます。これは六分五厘でございます。それから、甲種増改築資金と申しますものがございます。これは病床不足地区におけるベッド増、改築等のための資金でございますが、これは従来も六分五厘でございます。それから、乙種増改築資金というのがございます。これは病床過剰地区における改築資金でございます。ベッドの増は含まないわけであります。この改築資金は、これは従来八分でございました。それを、この際、病床不足地区六分五厘というものと見合わせまして、これを八分から七分に引き下げたわけでございます。これと相応するといいますか、年金福祉事業団におきまして、日赤、済生会につきましては、同じような病床過剰地区の改築につきましては、これは六分五厘を七分にするというふうに承っておるわけであります。ただし、その場合におきましても、これは従来医療金融公庫で扱っております乙種増改築資金についても同断でございましたが、医療法の指示指導等があった場合には、これは六分五厘で貸し付ける、こういうふうに年金福祉事業団の上におきましても措置があるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/55
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056・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、甲種改築費の病床の不足地の場合の六分五厘という甲種ですね、これは六分五厘のやつはこれからも残っていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/56
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057・大崎康
○政府委員(大崎康君) もちろんさようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/57
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058・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、その六分五厘あり、それから七分ありというふうに、まだ利率についてはちぐはぐなんですよ、それは理由はわかりますよ。わかりますけれども、ちぐはぐである。しかし、ものの考え方が、六分五厘の年金福祉事業団のほうのやつを七分に上げて、公庫のほうの八分を七分に下げていく、こういうふうにして七分という数字を合わしただけだ。ちょっと機械的であって、しからば年金福祉事業団の利率というものは一体どうあるべきか、それから、医療金庫公庫の利率というものは一体どこが適切であるかという、そういう科学的な検討をしたのですか。これは保険数理と違いまして、利息が七分であろうが六分五厘であろうが、そうたいして問題はないと私は思うのですがね。これがほかの保険数理的なものであると、一分でもこれは問題がありますけれども、この場合は普通の一般的に言う利息ですからね。あなたのほうでは八分では高過ぎるから七分にした、六分五厘では安過ぎるから七分にした、両方国会の意見もあったからそろえたというようなふうに機械的に考えたのかどうかですね。この利息ではどうも八分というのは高いから七分にした、六分五厘は安過ぎるから七分にした、こういうのか、そこらはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/58
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059・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融機関に対する融資の利子につきましては、医療機関の公共性、あるいは医療機関が今日置かれております状況にかんがみまして、その利率そのものにつきましては、これは当然のことでございますが、低いほうがいいわけでございます。ただし、この利率につきましては、他のいろいろな、たとえば起債等の関係、たとえば特別地方債の利率は六分五厘であります。そういうふうな関係からかみ合わせていきまして、医療金融公庫における病床不足地区の利率というものは六分五厘程度が大体つり合いがとれている利率ではないか、こういうふうに考えているわけであります。それを基本といたしまして、病床過剰地区における改築資金の利率につきましては、これもまた低ければ低いほうがいいわけでございます。六分五厘との見合いにおきまして七分と下げたわけでございます。しかしながら、利率そのものにつきましては、医療機関の今日置かれている状況からかんがみまして、低いほうがよろしいわけでございます。その点、今後とも前向きで検討いたしたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/59
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060・鈴木強
○鈴木強君 これは、たとえば政府出資金、運用部資金の借り入れによって原資は確保しているわけですからね。いいですか、だからその利息との関係が出てきますね。資金運用部資金五分五厘なら五分五厘、六分なら六分で、利息から払わなければならぬわけですからね。払わなければならぬでしょう。その上に多少でも上積みして、その金によって間接直接の経営費を生み出して、あるいはその年金事業団なり、あるいは医療金融公庫というものが、そういう多少なり上はねをしてその運営の一端に充てるという考え方であれば、これはたくさんとったほうがいいんですよ、そうでしょう。しかし、本来厚生省がやるべきものなんだから、運用部資金なり政府資金の払うべき利息をもって、最低限それよりか安くなればなおいいけれども、そうもいかぬだろうから、最低限その運用部資金の利息でそういうものくらいやるのは、私は当然だと思うんでんよ。だからいま私、おそらく一時間くらいしか時間がないと思いますのであれですが、五年間の事業団の経営実績というものが知りたいんですよ。率直に言って、一体人件費が幾らで——これは予算があるでしょうから、それと決算の実体ですね、こういうものについて、私は、ひとつあとから資料をぜひ出してもらいたいと思うんですよ。一体毎年ごとにどういう経理状態になっているか。それとの関連でこれは問題がもう少し発展しなけりゃいかんと思うんですが、いまその資料がはっきりわからない。厚生省からその事業団に対して毎年毎年どういう一体援助をしているか、補助を出しているか、そういう点だけでもいいから、ひとつ毎年毎年この医療金融公庫と、それから、年金福祉事業団に対して、出資金というか、金の援助をやっているんでしょう、やってないんですか、これは。全然ただ名前をつけて出資金だけで動いているというわけじゃないんでしょう。政府の出資金、資金運用部資金だけの運営でコマーシャル・ベースのようにやっているんじゃないでしょう。これは厚生省の予算との関係で——まあそのとき聞きゃよかったんだが、もう一回ひとつ教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/60
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061・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫のいわゆる収支、これはその経営につきましては政府出資金にたよっているわけであります。で、政府出資金は、言うまでもなく、これは運用部資金のごとく利子をつけて返済をする必要がございませんので、貸し付け利子との間の利差益が生ずるわけであります。それが公庫のいわゆる経常支出に充てられておると、このようになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/61
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062・鈴木強
○鈴木強君 それもちょっとひどいんだ。そんな利息でもうけてやりなさいというのも、これはちょっとひどいんだね。だから、もっと厚生省は、年間たとえば何億でも、もっと切って何千万円でもいいから、そういった公庫なり事業団に対してほんとうは援助すべきですよ、つくったからには。そんなものはやらないで利息だけでやっているから、できるだけ高くしようという根性を起こすんだ。それは商売人根性を起こさなけりゃできないからね。しかし、そんなものじゃないでしょう。医療問題は人間の命を扱うことと関係しているんだから、もう少しその点は、これは私、厚生省の援助が足りないと思うんだが、大臣、どうですか。それは出発当初からそういうシステムで来て、物心両面からの援助というのは全然してないんですかね。厚生省というのは事業団や公庫にずいぶん薄情なところだね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/62
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063・神田博
○国務大臣(神田博君) お答えいたします。まあ営利事業ではございませんから、もうけようという考えはございませんが、出資金の利ざやでやっていくというシステムであることは間違いのないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/63
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064・鈴木強
○鈴木強君 利ざやでやるからそういうことになるんだから、いままでやってなかったら、何がしかやっぱり政府がめんどうをみるという考え方は、これはどうですか。大臣、賛成できませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/64
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065・神田博
○国務大臣(神田博君) これは根本の考え方の問題ですが、私にはよくわかるのでございまして、それはそれ、これはこれというようなふうに割り切って、そして出資金のほうは利率の低減に引き当て、経営の合理化に引き当てていくというようなことにするのが、私は、監督上からいっても一番いいと思いますが、これは最初から、政府のほうの出資金は、その利息で運営費に充ててきたというような関係もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/65
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066・鈴木強
○鈴木強君 どうもこれは政府の出資金の利息を使って公庫の運営をしているんじゃないですか。このことはわれわれにはわかっている、一般の人にはわからんだろうけれども。その利息によって運営している金が幾らか、いまはっきりわからないのですが、うまいこと事業団なり公庫なり運営していく、こういうやり方をさしているわけですよ。だから、本来、考え方としては、厚生省がやって役人さんで運営していくということだと思うんですよ。それをだんだん政府は、事業団にやらしたほうが官僚的な役人的な経営からもっと純民間的な経営になっていくから、そのほうがよろしい、効率的であるし、経済的だ、こういうことで各省とも事業団というものをどんどんつくってきているわけですね。ですから、本来は厚生省がこれはおやりになるべきものだけれども、そういうふうにしてまかしたほうがよりベターだという点でやっているのですから、思想は、やはり国がめんどうをみてやるべきだと思うのです。そうであれば、私は、たとえば厚生省の予算の中に何がしかの金を組んで、それを毎年毎年事業団なり公庫のほうに補助金として出してやるということだってこれはいいでしょう。これはやったっていいじゃないですか。そういうふうにしてやらなければ、何か利息だけで仕事をせいと言うからこういう変な利息の問題が論議されることになるのですよ。少なくとも、国庫に預託されている金——預託というか、運用部資金にある金の利息で最低限やるということになれば、もう少しこの利率を下げてもいいのじゃないか、こういうことにもなるわけですけれども、なかなかそうもいかぬ、だから多少資金運用部資金の利回りよりも高い利回りをもって金を貸している。それはほかから見れば安いという事情もあるかもしれません。本来は医療問題ですから、私は、そういう意味において、特にこの公庫に対する配慮というものはしてしかるべきじゃないか、こういう意見を、これは私の意見ですが、持っているわけです。そこで、そこのところは、大臣、今後の問題としてどうでございましょう。それはおまえの言うのはちょっと筋が違うよというのか、確かにそうなんだけれども、なかなかむずかしいとおっしゃるのか、まあそうであるから努力しようというのか、そういうやっぱり三段論法があると思うのですが、そのうちのどの論法に合うのか、ひとつ聞かしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/66
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067・神田博
○国務大臣(神田博君) 私は、鈴木さんのおっしゃることはよくわかります。私もそのほうの中和した説に賛成なんです。だから、あなたの言われているのは私は賛成だ。だが、なかなか沿革もあり、また、いろいろ財政事情もありまして、なかなかできないことは遺憾なことであります。本来、私は、そういうような方法でやるほうが、監督の面からいっても、また、弾力性からいってもいいじゃないかという考えを持っておりますが、なかなかそれが行なわれていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/67
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068・鈴木強
○鈴木強君 わかりました。そうであれば、ひとつ今後ともその方向に改善していただくようにお願いしたいと思うのです。ですから、私が最初にいろいろとお尋ねをしたのは、そういう不断の御研究をなされ、そして足らざるは補って、よりよき公庫の運営ができるようにしていただきたい、こういうふうに私は念願しておったものですから最初に伺ったわけです。
そこで、この資料を拝見しますと、非常に申し込みが多うございますね、それに対して約半分ぐらいしかこたえておらない。昭和三十九年十二月末現在の貸し付け状況を拝見しますと、施設別は別として、トータルで見ても、件数が五千三百二十二件、三百十八億円何がし、そのうち、実際に貸し付けが決定したのが、件数は四千二百三十五件でございますけれども、額は百六十一億三千四百万円と、大体半分しかないわけでございますね。ですから、こういう点についてはもう少し、その全員というわけにはいかないでございましょうけれども、貸し付け原資に限度があるわけですから、そうはいきませんでしょうけれども、できるだけその要求を満たせるようにしてやってもらいたいと思うのですが、そういう立場で、ことし全体で百七十億でございますけれども、とても足りそうもない。したがって、前年度に申し込みがございましたね、受理したが、実際に貸し付けができなかった、貸し付けができなくて四十年度に繰り越されております件数と金額はどうなっておるのでございましょうか。要するに、貸し付けができなくて繰り越しているやつですね、申し込んだものが全部ほしいというふうにいままだ意思が変わっていないのか、申し込んだものそれがすべて四十年度に繰り越されて、新規の申し込みと合わせて四十年度全体の申し込み者数と、こうなるのかと思いますが、その辺はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/68
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069・大崎康
○政府委員(大崎康君) 三十八年度から三十九年度に対しまして申し込みの中で繰り越した分は、お手元の資料にございますように、約八十七億九千万円でございます。それから、三十九年度から四十年度に繰り越される金額でございますが、これは百三十億というふうに一応予定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/69
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070・鈴木強
○鈴木強君 この百三十億は、前年度申し込みを受理したものは、新しく申し込まなくてもそれが継続的に生きているわけですね、四十年度に。それで、三十九年度中に申し込んでおって、まあ事情が変わったからというので申し込みをやめたというのは全然ないのでございましょうか。その資料はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/70
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071・大崎康
○政府委員(大崎康君) 審査をいたしまして、その審査にパスしなかったもの、返却をいたしましたものがございますが、その審査にパスをしないで、未決のままで置いてお取り下げになったという数字は、いま手元に持っておりませんが、大体そういうことは万般なかったと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/71
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072・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、四十年度の皆さんが推定をされる借り入れ申し込みの件数と金額は推定どうなりますか、わかりますか。それは前年度の繰り越しを含めて、四十年度における借り入れ申し込みの人員、件数と金額は大体どの程度に推定をして百七十億という一応貸し付け原資をはじいたのか、その四十年度中の推定額はできておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/72
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073・大崎康
○政府委員(大崎康君) 四十年度に新規に申し込みを受理します予定額は二百五十億と一応算定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/73
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074・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、大体申し込み額の半分しか御要望に満たないということがことしも続いていくということでございますね。しからば、そのパーセンテージは、三十五年から、申し込んだにかかわらず、貸し付けられなかった人のパーセンテージというものはどういうようになっているのか。まあ時間の関係があるから、もしわかっておったら知らしてもらいたいと思うのですが、そのパーセンテージから比べて、三十九年度よりも四十年度は貸し付け額が減るようなことはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/74
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075・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫の借り入れ申し込み金額に対する貸し付け金額の三十五年度以降の数字を申し上げますと、三十五年度が四二・一%、三十六年度が八五・六%、三十七年度が七一・六%、三十八年度が六六・九%、それから、三十九年度十二月末、これはお手元にある数字によって算出したわけでございますが、これが五〇・七%でございます。で、三十九年度は、私どもが想像した数字以上に、非常に多額な申し込みが実は出てきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/75
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076・小柳勇
○委員長(小柳勇君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/76
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077・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/77
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078・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、やはりこの貸し付けのパーセントというものは、四十年度はもっと下がっていくような気がするんですけれども、まあできるだけそういうふうな需要供給のバランスを考えて、医療者の意思に沿えるようにワクをふやしていくということしかないと思います。ですから、ひとつその点は十分心得ておいて、少しでも前進するように今後とも御配慮いただきたいと私は思うのです。
それから、貸し付けの事務のスピード化の問題ですけれども、おおよそ申し込んでから、これは何か委員会を通すとか、相当時間がかかるようですけれども、これはもう少しスピードアップするということはできないでしょうか。申し込んでから貸し付けてくれるまでの間、平均でどのくらいになっておるのですか。余地はないのですか、スピードアップするという方法は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/78
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079・大崎康
○政府委員(大崎康君) 受託金融機関に申し込みましてから資金の交付までにつきましては、大体三ヵ月というのが従来の通例でございまして、そして受託金融機関から公庫の受理までこれは一ヵ月程度かかるわけでございます。それから、そのあとのいわゆる決定交付というものが実は最近漸次おくれているような状況になっておるわけでございます。おくれている状況の主たる原因は、残念でございますが、総資金量が足りませんものですから、その決定なり資金交付がおくれる、こういうふうなことに相なっておるわけでございます。現在たまっている分につきましては、約六ヵ月程度を要しておるというのが実情であるかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/79
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080・鈴木強
○鈴木強君 それはできるだけスピードアップしてやらないと、もう待ち遠しくて困るという意見を私たちは聞くものですから、人も足りないだろうし、いろいろ困難な面もあるでしょうが、そういう点はひとつ是正することによってスピードアップ化をお願いしたい。
それから、医療金融公庫の貸し付け業務を実際にやる場合に、医療機関の適正配置ということに十分配意する必要があると思いますが、医療法第七条の二にもそういう趣旨のことが書いてあります。公的医療機関の適正配置の整備、こういうことが医療金融公庫による私的医療機関の整備についても十分政策的に私は考慮さるべきだと思うのですが、この点に対しては厚生省はどういう考え方であるか、これは簡単に答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/80
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081・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫法の改正の趣旨は、病床の不足している地区に対しまして病床を整備するということと、それから、病院の機能を向上させる、この二つにあるわけでございます。そこで、医療金融公庫におきましても、先ほど申し上げましたように、病床不足地区のいわば金利を低目に定めておりまして、その融資の関係でその病床の不足地区に対する整備を優先的に行ないたい、かように考えておるわけであります。御案内のように、医療法の七条の二に、いわば公的医療機関を制限するための一つの病床数が定められております。で、医療金融公庫の貸付準則におきましては、そのベッド数に準じましたものを貸し付けの基準にいたしておりまして、第一に病床不足地区に対する貸し付けを考えておるわけでございます。実績におきましても、数字を申し上げませんが、大体人口十万未満、あるいは人口五万未満に対する市町村の融資が相当部分を占めておるというふうに申し上げてもいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/81
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082・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 政策の問題は、大臣、どうですか。いまの医療機関の配置の問題は政策の問題ですから、大臣の御答弁を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/82
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083・神田博
○国務大臣(神田博君) 病院の適正配置の問題につきましては、これはまあ非常に大事な問題でございまして、私どもといたしましては絶えず考慮いたしております。公的医療機関の設置の問題、また、その他の医療法人なんかのつくる問題、または診療所等の設置等につきましてそれぞれ配慮いたしまして、国民の医療に支障ないようにいたしたい、これは僻地対策と同時に、万全の注意をしておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/83
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084・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 関連。ぼくはね、皆保険なんですからね、皆保険を打ち出されて、医療機関をどう整備するかという、ここにこの医療公庫の重要な意義が私はあると思うんです。ですから、いまのような答弁じゃ、なかなかその医療金融公庫の本来の姿というのは出てこないと思うんです。現在ある医療機関の整備、これは必要です。しかし、無医地区や無医地区にひとしいところにどう医療機関を建設していくか、この整備がこの計画の柱になっていなければ、特に医療機関だけ公庫をつくっていままで六百億も貸し出して、ことしは百七十億も貸し出すわけですから、その皆保険体制への私はこれは柱だとお考えにならなければ、その既成の整備でいろいろとお考えになるだけでは事は済まされない問題である。これは無医地区や無医地区にひとしいところをどう整備するか、それにはどれだけ金が要るか、鈴木委員が言われたように、国庫の出資金というのもこれに関連してくるわけであります。政府の大方針に沿って医療金融公庫というものがどういう役割りをするかということをもっと明確にしておかなければいかない問題ではないか、私はそう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/84
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085・神田博
○国務大臣(神田博君) いま藤田委員のお述べになったことは、これは当然のことでございまして、でございますから、貸し付け順位等につきましても、できるだけそういうような配慮でひとつやっていく、ただ病院がペイするからということだけを考えているということでなく、そういう僻村、僻地、あるいは少ない方面に資金が流れていって医療機関が整備されていく、こういうふうな考え方を公庫のほうにもよく徹底させておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/85
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086・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ぼくはね、だからいまどういうぐあいに動いてるかということはこの資料に当然私はつけるべきだと思ってるが、そういうものは全然ないわけですね。だから、何か本来の姿というものを忘れてしまってるんじゃないかという気がしたからお尋ねしたので、そういうものをやっぱり明らかにしておかないと、医療金融公庫の本来の目的というものは消えてなくなってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/86
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087・鈴木強
○鈴木強君 私も実はそういうふうな立場に立って御所信を聞いたわけです。これは非常に大事な政策でございますから、どうかひとつ今後そういう点を十分配意して公庫の運営に当たってもらいたいと、こう思います。
それから、時間がないそうですから、直接今度のこの改正案の中の問題点で一、二伺いますが、「主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」と、こういうふうに法律を改正されるわけですが、これは具体的には大阪に設置をして、近畿以西の貸し付け業務を行なわせる、こういうことになっておりますが、将来、主務大臣の認可を受けて、必要な地域に従たる事務所を置くということは、年次別にどういうふうに長期計画を持っておられるのか、この点はきまっているのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/87
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088・大崎康
○政府委員(大崎康君) これはいまお話がございましたように、現在のところ大阪に支店を設置いたしまして、西日本に対する貸し付けにつきましてそれぞれ事務を行なわせたいと、かように考えているわけであります。それから、今後においてまあどうするかというふうなお尋ねでございますが、この点につきましては、今後における業務量の推移でございますとか、所要人員でありますとか経費等を勘案いたしまして具体的な計画を立てたいと考えているわけであります。で、とりあえずは大阪に設置したい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/88
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089・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、当分大阪以外に従たる事務所を置くということは考えておらないと、まあ当分ということは、これはいろいろ解釈はありますが、ここ当分の間は大阪だけだと、こういうふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/89
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090・大崎康
○政府委員(大崎康君) 将来のことでございますので、なかなかこの点をどういうふうに判断するか、むずかしい問題でございますが、できればブロック別程度には設けたいというふうに考えておりますが、この将来のいわゆる資金需要等の関係もございまして、明確にここで御答弁申し上げる段階になっていないわけなんでございますが、できれば設置をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/90
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091・鈴木強
○鈴木強君 その将来の各ブロック別ということは、一体どういうブロックをお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/91
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092・大崎康
○政府委員(大崎康君) まだ具体的にまとまった計画を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/92
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093・鈴木強
○鈴木強君 まあその点は御決定になっておらないようですから、それでは私はこの貸し付けのやり方について一つ伺っておきます。いままで公庫の貸し付け業務というのは、その取り扱い金融機関を代理店として、その代理店を通じての代理貸しというものをやっておったのですね。ですから、いろいろと不便もあったと思うのです。しかし、まあ大口の場合、大学付属病院だとか、あるいは総合病院等に貸し付ける場合は直接公庫がやっておった、そういうたてまえをとっておりましたですね。そこで、今回この大阪支所を設置するのですが、いまのお話のように、各ブロックにもできれば支所を置きたいと、こういうふうなお考え方でありますが、この従たる事務所の増加に伴って、現在の代理貸しというものを直接貸しのほうに移行さしていくという方針を当然とらなければならぬと私は思うのですが、この点についての考え方はそういう方向であるかどうか、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/93
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094・大崎康
○政府委員(大崎康君) 公庫の貸し付けにつきましては、当初ふなれでございましたので、すべての決定を代理機関を通じて行なっておったわけでございます。しかし、その点は順次習熟をしてまいりまして、昨年度から直接貸し付けのワクを実は設けたわけでございます。で、この点につきましては、その実績もまだはっきり出ておりませんので、それらの仕事の内容等、実績をも勘案いたしまして将来検討をいたしたいというふうに考えているわけでございます。で、方向といたしましては、直接貸し付けの分野を可能な限り広げていくというふうな方向で考えてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/94
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095・鈴木強
○鈴木強君 今度大阪に支所を設けるのですが、この代表権というものを持った公庫の理事を一人置くわけでしょう。そうしますと、その理事が置かれたからには、たとえば診療所とか助産所とか薬局等に対する代理貸しの点ですね、こういったふうな代理貸し付けというふうな問題については別として、貸し付け業務だけを行なわせる、そして貸し付けの決定権というものを本店がやはり持っているのです、公庫の本所が。そういうかっこうになるのですが、これは理事ですからね。その理事としての商法上の権限というのを持っていると思うのです。ですから、その理事に一定のワクをはめて、その理事の代理権によって、公庫代理権ですね、によってやらしてもいいじゃないか、こういう考え方も出てくるわけです。ということは、やはりスピード化の問題と関連する。しかし、これはまあなかなか一たん間違うとむずかしいことも起きますからたいへんだと思いますが、要するに、理事にりっぱな人がおればいいわけですから、その人が適切な御判断をなさって、公庫の中央できめた方針に基づいて、一定のワクの中で貸し付けるということにしておいたらもっとスピードアップするのではないか、こう思うのですが、そこいらの代表権と貸し付け事務だけをやらして、本体はやはり従来と変わらないというようなことに対して一考を要する点はなかったのでございましょうか。これはやはりどういう意味でそういうふうにしたのか、ちょっと伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/95
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096・大崎康
○政府委員(大崎康君) 大阪支店におきましては、診療所に対する代理貸し付けに関する権限は、これは原則として大阪支店の権限にいたしたいと、かように考えておるわけでございます。それから、その他の分に対しては、やはり本所といいますか、本所からの指揮を仰ぐということにいたしております。その本所で指揮を仰ぐ部面が大阪支店に移りますと、それだけ仕事がスピードアップされるわけでありますが、経験的に初めてのことでもございますし、金融のことでありますので、その辺は慎重に考えたい、かように考えておるわけでございます。なお、その点は将来とも十分検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/96
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097・鈴木強
○鈴木強君 私もこれは次長と大体同じ考え方なんです。これは非常にむずかしいことでして、他にもいろいろな悪用をされて、それは理事者が悪いわけですから、制度が悪かったかよかったかは別として、そういったものに利用されるというか、そういうことにならないとも限らないのです。ですから、ただスピード化の問題だけを考えて代表権全部をまかしてその公庫の仕事をさせるということになりますと、なかなかそれは問題が出てきますから、この点はもう少し支所をつくったあと、運営の実績等をごらんになった上で、私は、一つの方法として、こういう点も将来改正する余地のあるところだという意味において意見を出し、考え方を聞いたわけですから、そういう点も、ひとつ十分支所を置く場合に配慮をして運用を守っていただきたい、こう思います。
それから、いま公庫の総裁ですか、それから理事の皆さんですね、こういう皆さんが大体どこから来ているかということを調べてみますと、大体において厚生省、大蔵省の御出身の方が多い。私は、必ずしも厚生、大蔵御出身の方が悪いという考え方は持っておりません。公庫の運営、経営に対してふさわしい方であれば、どこから出ようと、これはわれわれ歓迎するところでありますが、とかくこの公庫、公団がそういった天下り的な人事の捨てどころになっている、こういうような批判も聞くわけでありまして、必ずしもそれが当たっているか当たっていないか、適切な批判であるかどうかは私は別として、そういった誤解を生みやすい。したがって、現在の官僚出身者だけのような役員体制に、一歩ひとつ民間のシビリアン的な経営の新風を吹き込むという意味においては、私は一人くらい民間から起用してもよかろう、武家の商法になりがちですから、その点を補うためにもよろしかろう、こういう気もするわけですが、そこいらについては大臣はどうお考えになりますか。それから、聞くところによりますと、医師会あたりでも、できたらそういうところに一人くらいは入れていただきたいという御要望もあるように聞いておりますが、これらの問題を含めて、理事の将来の任命といいますか、採用といいますか、そういう点についての大臣の構想があったら、この際、伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/97
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098・神田博
○国務大臣(神田博君) これは一番最初にお尋ねございましたように、こういう公庫の運営がうまくいくかいかんかということは、これを管掌していく人できまると思います。そこで、私といたしましては、厚生省の主管であるから厚生省を中心で人事を考えようというようなことであってはいけないと思います。やはり視野を広く、そうして適材を物色して御審議願う、これが私の姿勢でございます。今度のこの公庫につきましてもさように考えておりますし、いかなる場合でも、私はそういう趣旨に考うべきものではないかと思います。ただ、問題は、御承知のように、なかなかいい人となりますと、やはりどこもここも引っぱりだこでございまして、なかなか来てくれないのです。それがまあ難点だと思います。公庫に入るとなかなか役所の監督がうるさいから、あるいはまあ非常に予算というものが窮屈だからというようなことで、なかなかいい人材を求めることが至難なことは御承知のとおりだと思います。しかし、その中から、やはりそれを乗り越えて、人材を広く物色いたしたい、かように考えております。まあいまお話のございました医師会のほうからも希望があったということでございましたが、これも聞いてはおります。聞いてはおりますが、私は、この公庫の問題、きょうはまたこの公害防止事業団の法律も参議院をあがったようでございますが、これは将来の問題でもございます。いずれも広い観点に立って、広い視野でひとつ適材適所をお願いいたしてみたい、そうして公庫がうまく運営されるようにしたいと、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/98
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099・鈴木強
○鈴木強君 最後ですが、いまの大臣の御所見、まあ私もそうであろうと思います。やはり公庫の経営というものに対して、ほんとうに自分がぶつかっていくというようなやはり熱意と、き然たる態度を持った人でないといけないと思うのです。とかく役所で大体任務を終わって、そうして回転椅子にすわっているような、そういうふうな考え方であっては困るわけですから、私は、そのかわり待遇もよくやっていいと思う。そのかわり一〇〇%努力してもらうという体制をつくらなければいけないと思います。ですから、そういう意味において広く人材を登用していただくということもけっこうですし、とかく世間から批判を受けることのないように、この機会に、任務については大臣のひとつ今後の配慮を特にお願いしておきます。
それから、これは私最後の要望ですが、大阪に設置される支所については、組織それから、職員構成ですね、大体どうやっていくのか、いろいろとお伺いしたいこともあります。予算その他を見ますと、二十二、三名の職員をもって充てるというような御方針もあるようですけれども、東京、大阪の連係をどうやっていくか。新しく設置する支所の運営については、だれが理事になっていくかわかりませんが、御苦労があると思いますが、どうかひとつ優遇をして、その目的が達成できるように、りっぱに支所が発足できることを私は期待いたしまして、これで終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/99
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100・林塩
○林塩君 私は、医療金融公庫法の一部が改正されますにあたりまして、助産所の問題につきまして伺ってみたいと思うわけです。助産所問題については、これは融資の対象になっておりますが、この助産所を育成をしていこうというお考えなのか、あるいは、また、そういうことはもうあまり必要がないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっと御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/100
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101・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産所の設置を育成しようと、かような考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/101
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102・林塩
○林塩君 助産所の規制をしようと——助産所を育成するという御意見ではないわけですか。育成していきたいという御意見でございますか。いまのはちょっとはっきりいたしませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/102
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103・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産所を育成していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/103
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104・林塩
○林塩君 それでは伺いたいのでございますが、融資の対象になって出てきておりますのを見ますと、助産所に融資されているのが非常に少ないわけです。それで、これは行政指導として、この辺を育成するように指導されておりますものか、あるいは、また、助産婦の方々はこういうことについて知らないままに、一応あまりPRされていないからそのままになっているのか、その辺の問題だと思うのです。お調べになっていると思いますけれども、私の調べましたところでは、先ほど鈴木委員からもこのことについては特に指摘はありませんでしたが、件数が非常に多い、前年度の貸し付け繰り越しになっておりますのと本年度合わせて、件数としては四千二百三十五件ございます。助産所のそれについてはわずかに二十件、こういうような状態なんですが、これにつきまし、厚生省ではどういうふうにお考えになっておられて、こういうふうになったか、その辺の見通しはどうでございますか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/104
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105・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産所の設置につきましては、ただいま私が御答弁申し上げましたように、ぜひ育成したいということで、この医療金融公庫の対象にもなっているわけであります。で、医療金融公庫におきましては、定例的にいろいろな方々と懇談をいたしまして、医療金融公庫の業務のあり方についていろいろ御意見を拝聴するという場があるわけでございますが、私の承知いたしておりますところによりますと、そのような場におきましても助産所の関係の方々もお見えになっておられると考えております。そういうふうな機会、あるいは私どもの都道府県に対する会議等におきましても、この辺は十分連絡をとっているつもりでございます。しかしながら、先生御指摘のように、その助産所に対する貸し付けが少ないというふうなことでございますので、今後ともそのPRにつきましては十分に行き渡らせるようにしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/105
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106・林塩
○林塩君 それで、助産婦の問題になるわけでございますけれども、助産婦といいますのは、一応助産が生業でございます。近ごろ受胎調節指導員というようなことで助産婦がたいへん職がなくなっているので、それでその方面に使うことだけお考えになっているかのように巷間いっております。それで、法律的には「助産婦とは、厚生大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導」をする、これがたてまえなんです。それでありますのに、この辺の施策がうまくいっておりませんために、このせっかく厚生大臣の免許を受けて助産を生業としている人たちが、決してこの仕事をしていないということにつきまして、これは非常に、厚生行政上の大きな私は問題であろうと思うのですが、それにつきまして厚生大臣はどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/106
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107・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま林委員の御指摘になりましたような事例も私は耳にいたしておりまして、実に遺憾に思っております。私といたしましては、助産所においても、十分ひとついまお述べになりましたようなことが行なわれ、また、助産婦といたしましても、幼児の育成その他に十分御活躍願うようなことにしていただきたい、こういうような面で強い考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/107
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108・林塩
○林塩君 それでは、これはどうしてこういうふうになったかということについて、厚生省ではいろいろ御研究になったことがあるでしょうか。それから、経験のある助産婦がいるのに、なぜこの助産婦が助産のために正しく使われ、そして母子保健の向上のために使われていないかということについて、あるいは最近におきます社会情勢というものについて、たとえばいまございましたように、分べんが施設で行なわれるようになっているということにつきましての住宅の問題とか家族構成とかいうものがどうなっているかというようなことについて、何か基本的の調査をなさったことがありますかどうか、それについて全国的にそういう観点に立って調査をされたことがあるのか。経験のある人がそのままあるのに、片や施設分べんといいましても、施設必ずしも整備されておりません。そこへもってきて、非常に施設は人手不足でございます。その人手不足なところにいきますために、産婦は必ずしもいい指導、あるいは取り扱いをされていないということについて、厚生保護の意味から、それから、また、乳児の指導の上から、いろいろの面から厚生行政としては非常に大事な問題だと思うのでございますけれども、そういうことについて全体的の何かお考えをお持ちでございましょうか。また、それについて、過去においてそういうことについて一応何らか対策をお立てになったことがあるかどうか、私は伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/108
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109・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産婦の問題は、ただいま林先生が仰せられましたように、施設内分べんが漸次ふえておる等の関係がありまして、開業助産婦の方々に対する比重というものが漸次施設内分べんに移りつつある、これは御指摘のとおりであります。一方におきまして病院、保健所の関係をながめてみますと、助産婦は相当数不足をしておるというふうに考えられるわけでございます。これを全体的にながめてみますと、わが国のいわゆる母子保健の関係から考えまして、助産婦の養成ということが短期的にも、また、長期的にもこれは考えなければならないと、かように考えておるわけであります。私どもにおきましては、このような観点から、助産婦のいわば需給計画といいますか、さようなことにつきましてもこれは相当な考慮をめぐらしているつもりでございます。助産婦の養成とか拡大ということにつきましては、これは助産婦の養成施設の増設ということもございます。これには、御案内のように、補助金も出ておるわけでございますし、あるいは助産婦の養成施設の志望者の確保という面からは修学資金等も支給する方途を講じておるわけでございます。そのほかに給与の待遇の改善というふうな面もあるかと思うわけでありまして、この点につきましては、人事院等にも、昨年度におきましてもその待遇の改善につきまして厳重に申し入れておるところでございます。そのほか、病院助産婦につきましては、いろいろ夜勤の問題等もあるわけでありまして、いずれもこれら重要な問題でございますので、総合的に私どものほうで力の及ぶ限りの努力をいたしておるわけでございますが、しかしながら、努力が足りませんで、いろいろ先生の御指摘になったような状態になっておるわけでございます。今後とも、私どものほうにおきましても懸命の努力を重ねていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/109
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110・林塩
○林塩君 私が言っていますのは、助産婦をめぐる母子保健の問題からお産の問題、それから、巷間、施設に行かなければお産ができないというような——必ずしも施設に行きたくないけれども、やはり家庭では人員構成が少ないので、お手伝いその他がいないから、もっと最寄りのところで、もっと気楽にお産ができないであろうかと考えておる庶民の訴えがあるわけでございますが、私の言っておるのは、ただ助産婦の問題だけではございませんで、片方では余っておる。あなたがおっしゃいましたのは、これは病・産院の助産婦は足りません。病・産院の助産婦がなぜ足りないかという問題につきましては、それは医療法、それから、また、給与その他の問題がございますけれども、お産は必ずしもそこでなければならないことはないのでございます。そこで、助産婦が足りない足りないといっておりますのは主として病・産院です。そして足りないことについては、病・産院助産婦の問題、勤務助産婦の問題点は、皆さんもちゃんとこういうふうに実態調査もできておりますのですが、それだからといって、助産婦が看護婦のように絶対数足りないかというと、そうではない。で、先ほど申し上げましたように、助産婦であって腕があり、そして相当経験がありますにもかかわらず、その業務に従事し得ない状態がある。これを調査されているかどうか、それをどういうふうに活用することができるかどうか、病・産院にそれでは就職したらどうかということがいわれますけれども、おのずから給与その他の問題がありまして、そういうところには就職できないということです。それから、やや年齢も高うございますからできないというような状態でございますが、そういうことで、ただ給与問題だけでなくて、全体の母子保健向上の上から、また、いかにしてこの助産婦を活用するかという意味におきまして、一応全体の姿の中でお考えになったことがありますかと、こういうふうに申し上げておるわけです。私はそういうことをしておられないのじゃないかと思いますから、それで申し上げておる。といいますのは、少し助産所をつくる資金がありますれば、各自営業としての助産所がつくれるのじゃないか。それから、改築をいたしますについても、なかなか改築資金がありません。ようやく住宅の状態がよくなってまいりまして、古びたところにはやはり産婦も入院をしたがらない。そして近代設備があるところのよい病・産院に入院したいというような意向もあります。これは当然なことだと思うのですけれども、で、助産婦がいままで開業しておりましても、そういうところにはなかなか来にくい状態になっている。それは家が非常に古びてきている。それから、また、多額のそういう資金を借り入れるにしましても、資金源を持ちません。そういう意味で金融公庫がうまく利用されるならばいいのじゃないかという考え方がございますけれども、それについて何らかの施策をされたことがあるかどうか。そして、また、都市におきましてはそれはいい施設もございましょう。わりあい便利に入院をされますけれども、まだ郡市なんかにいきますとそういう問題がずいぶんあるわけでございます。助産婦がほしいという声は巷間にありますけれども、しかし、出張分べんではもう間に合わない。といいますのは、家族構成が小さくなっておりますために、施設に入ってそこで分べんをしたいという母親たちの希望があるわけでございます。最近、母子健康センターその他のところで力を入れられておりますけれども、それだけではとても需要を満たすべきものではございません。そういう意味で、ここに経験のある助産婦があり、しかも、その人たちが生活困窮者はおりませんけれども、そういう人たちにやはり働く何らかのことを与えるということにもなります。それから、同時に、民間のそういう母親の入院する病・産院に行くといえば非常にかさ高でございます。少し気のきいた助産所ができますならば、もっといい状態ができるのじゃないか。これは病・産院に入院されたおかあさん方の話でございますが、病・産院では人手が非常に不足でございます。これは看護婦不足と同様に不足だというときに、取り扱いが非常に荒々しい。それから、医師がおられますが、お医者さんは四六時中ついておるわけじゃございません。助産というのは、やはりじっと待っているということが一番大切なことです。それで待つ時間というものは、これは非常に大事でございます。助産婦の方ならば、ついて、そうして安全に、不安なく、そうして適当な指導をしてお産をさせることができるというようなことを考えてみますと、何としてもよい母子保健、あるいは、じょく婦の、あるいは産婦のそういう指導と安全な分べんのためには、何としましても助産所がもう少し拡充されるならばいいのじゃないかと思いますが、これを見てみますと、四千何件に対して助産所の要求はただ二十件だけというようなことでは、これは厚生省御当局としては、全体的なことについてのいろいろな総合計画といいますか、そういうものがなされていないのじゃないか。それから、また、さっきおっしゃいましたが、そういうところに助産婦を入れて、そうしてそういう状態を話していると、だから入っているとおっしゃいますが、私はそういうことができていないのじゃないかと思います。それにつきまして、何とかそういう面で、将来、厚生施策並びにその中の助産所の拡充ということはたいへん大切なことだというふうな一つの施策をお持ちになると同時に、そういう意欲のある助産婦につきましてはこういう融資ができるのだと、これをできるだけ利用したほうがいいというような行政指導その他も大切じゃないかと思うわけでございます。診療所には、一般診療所といいますと、これは医師の開業二十床、有床、無床の開業の診療所でございますが、そこにはかなりたくさん産科の入院施設ができております。そうしてそこではどういうふうになっているかといいますと、やはり産科の先生がされるのでなくて、このごろでは産科の先生のほうから准助産婦というものを養成してほしいという意見が出てきております。要するに、お手伝いです、お手伝いがほしいわけです。しかし、片方はっきりと助産婦として資格があり、そうして、また、同時に、経験もある助産婦がある。ただ施設自体がありますならば、そういうような准助産婦という、将来助産婦の程度を低下させるようなものの養成をはばむこともできるのではないかかと、こういうふうに考えますが、これらについて総合的な何か施策を厚生省としてお持ちでございますかどうか、助産婦の数が足りない足りないといっている反面、利用すればできる人もあるということが考えられていいことじゃないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/110
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111・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 問題が五つばかりあるから、整理して答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/111
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112・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産婦の方々の総体的な人数でいけば、先生ただいま御指摘になりましたように、必ずしも足りなくはないわけでございます。しかしながら、施設内分べんが漸次普及をいたしまして、病院あるいは産院におけるところの助産婦というものにつきましては、これは相当数不足をしているというふうに考えておるわけであります。これらの対策につきましては、これは助産婦の養成の対策でございまして、これにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、施設の問題、あるいは修学資金等の問題を中心といたしまして対策を立てているところでございます。
それから、第二番目に、病院あるいは産院等になじみにくい地区が日本では非常にたくさんまだあるわけでございます。で、そこにおきましては、これは局の所管が違いますが、母子健康センターが漸次設置を見まして普及をいたしておるわけであります。で、そういうふうな母子健康センターを急速に普及をすることによって助産婦の方方に対する働く場所が与えられる、こういうふうなことになるかと思います。この点については、児童局のほうにおきましても今後努力を重ねるであろうと考えておるわけでございます。
第三番目は、助産所の問題でございます。助産所の問題につきましては、ただいま先生が御指摘のとおり、いわばわれわれの努力が最もおくれている部面であろうかと思います。そういうふうな観点から今度の医療金融公庫のことを申し上げますと、助産所の償還期限というものを、従来耐火十年、それから簡易耐火八年、その他六年、こういうふうになっておりましたものを、耐火とその他と二本立てにいたしまして、おのおの十五年、十年というふうに償還期限の延長をはかっているわけでございます。それから、助産所につきましては、従来器械購入資金を医療金融公庫では融資する道を開いていなかったわけでありますが、四十年度からは、助産所につきましては器械購入資金を新設をいたしまして、新たに助産所におけるところのいわば施設の近代化をはかりたい、かようなふうに考えておるわけでございます。
第四番目は、そのような医療金融公庫の施策そのものをできるだけ活用するという方途を講ずるように、これはPRその他、私どもの努力の至らざるところがございますので、今後、医療金融機関における、私が先ほど申し上げましたような場におきまして関係の方々と十分連絡をとりまして、そのPRにつとめたい、こういうふうなことでございます。
最後に、助産所の総合計画というふうなものを持っているかどうか、こういうふうなことでございますが、これは直接そのお答えになるかどうかわかりませんが、助産所の設置そのものにつきましては、やはり医療金融公庫の融資準則におきまして基準を設けておりまして、その基準に沿ってこの助産所の設置をはかっていきたい、かように考えているわけでございます。これは私どもの持っている計画そのものではございませんが、しかしながら、融資の基準を通じまして助産所の施設の充実をはかりたい、かように考えているわけでございます。
なお、助産所全般につきまして私どもの努力の不足ということを先生御指摘になったのでございますが、今後におきましても、先生の御意見等も十分考えあわせまして努力をいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/112
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113・林塩
○林塩君 お答えでございますので、将来そういうふうにしていただきたいという要望を申し上げて——助産婦の方々はそういう声を十分持っておられるようでございますけれども、しかし、なかなか声がそこまで届きません。そして届きませんことが、かえって何ですか、行き届かない状態になるのではないかと考えます。それで、そういう点で、厚生省全体として、この間も申し上げました母子保健法等も提案されておりますが、その母子保健法といいますのは、大体地域の住民の方々のこれは母子保健でございます。その中に助産婦も非常勤として入れる、医師と同様に、非常勤として入れるのだとございますが、非常勤として入られましたときに、いかように地域の人たちによき母子の保健指導ができるかということになりますれば、直接地域社会の中でそういうお仕事をしておられる方でなければ、ただ助産婦がいるからそれでいいというわけではないと思うのでございます。そういう意味におきまして需要と供給があるはずでございますので、供給をするように助産所というのが法律的にもちゃんとございます、医療施設としての助産所があるのでございます。それから、また、医療金融公庫貸し付けの対象にもなっているのでございますから、意欲をもう少し盛り上げるような行政指導的なものがぜひ必要ではないかと思うわけです。捨てておいてできるというものではないと思います。その間に萎縮してまいまして、何らそういうものができ上がっていかないということは母子にとって非常に不幸なことであろうと思いますので、あえて私はこれを特に重点的と言うてはいけませんが、今年度はかなり強力にその面の施策をお立てになり、そうして御指導をお願いしたいわけです。
以上要望しまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/113
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114・紅露みつ
○紅露みつ君 関連。専門家の御指摘で、だいぶ急所を突かれているのでございますが、母子健康センターというのは、あれはもう申し上げるまでもありませんが、保健所等の手の及ばない、つまり辺地なんでございますね、都会ではございません。都会のほうは病院がたくさんございますから、その施設でよろしい、こういうことでございましょうけれども、お話のように、助産婦が足りないというこの現状は何としても打開しなければならないのですが、林委員からお話のように、どうも普通民間の助産婦というものの立場、施設、それのめんどうのみかたがやはり足りないのですね。これはまあ全体を把握していらっしゃらないようでございますので、私はそれをあくまでも追及しようというつもりはございません。しかし、もう少し把握していらっしゃらなければいけないのじゃないかと思うのですよ。夫婦二人で子供が一人あるとか、あるいは二人あるとかというような家庭でございましたらば、なかなか病院に入ってしまうというわけにはいかないのですね。これは助産婦自体の問題でありますけれども、妊産婦のほうの問題でもあるわけでありますから、手軽に行けるように、近所に有資格者があるならば、当然そうした助産婦というものを活用しないということは、いまおっしゃっていらっしゃるとおり、ほんとうに怠慢ですよ。もう少し実態を把握していただきたい。
それから、もう一つ申し上げたいと思うことは、行政指導をするとおっしゃるけれども、私はその道の専門家でないからよくわかりませんが、具体的にどうやってそれを指導なさるのですか。こういう制度がありますよ、それは一応わかっておるとは思いますし、何らかの機関があるのでしょうけれども、厚生省としてはそれをもっと周知徹底せしめて、そうしてめんどうをみてやる。これはたいした金額ではないのでございますね。病院や何かの融資と違いまして、わずかの金です。しかも、住民の方々が手軽にお産ができるということは、これはぜひ考えなければならないと思いますけれども、行政指導というのは具体的にどんなことをしていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/114
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115・大崎康
○政府委員(大崎康君) 先ほど御説明申し上げましたように、医療金融公庫におきましては、各界の方にお集まりをいただきまして、いろいろ医療金融公庫の仕事につきましていわば御意見を承っている場がございます。そういうふうなところに助産婦の方々の団体の方々もおみえでございます。そういうふうな方々を通じまして、一つはそのような団体の会員の方にいろいろお知らせをいただくということが一つでございます。それから、私どものほうにおきましては、各都道府県のいわば看護係といいますか、そういうふうなものがございます。そういうふうなものの会議等を通じまして、そうしてその趣旨をさらに各県ごとにそういうふうな方々に知らせる。すなわち、会合に出ましていろいろそういうお話を申し上げる、大体こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/115
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116・紅露みつ
○紅露みつ君 一応わかりますけれども、何という名称があるか存じませんけれども、そういう相談機関があって、その中の構成員としてただそこに加わっているというようなことだけでは私は力が弱いと思うのです。それから、構成員の数の問題もありますし、質の問題もありますし、それから、何というのですか、各県の指導官というものがまあ一応中央官庁として指導していらっしゃるのでしょうけれども、それが完全に行なわれているのか、強力に行なわれているのかどうか。これをしっかり調べて、そうしてもっとこの点を強力に伸ばしてほしいと思います。実態ももっと集計してみて、そうしてやはり全体の総合的な施策をひとつ立てていただかないと、これはもう子供が生まれるのでございますからたいへんなことなので、もう少し強力にこの問題と取り組んでいただきたいと私は思います。あらためてそういう相談をしていらっしゃる機関は何というのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/116
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117・小柳勇
○委員長(小柳勇君) ちょっといま話を聞いていて、実態把握の認識が相当違うような気がするから、助産婦協会などと政府がどういうふうな話し合いをしているか、いまの紅露さんの質問に加えて、一緒に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/117
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118・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫におきましては医療金融協議会というものが設けられておりまして、これは非公式な話し合いの場でございます。そこにおきましては助産婦の関係団体の方々が二ヵ月に一回程度御出席になりまして、二ヵ月に一回程度開いております。そのたびごとに御出席をいただきまして、いろいろの懇談を申し上げているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/118
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119・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 医務局次長、助産婦協会などと厚生省のたとえば看護課とか、医務局でどういうふうな接触をやっていますか、そのことを御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/119
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120・大崎康
○政府委員(大崎康君) 助産婦関係の団体と私どもの看護課とはそれぞれ密接な連係がございまして、いろいろこの辺の問題につきましてはお話し合いを申し上げる機会がしばしばあるわけでございます。陳情等につきましては、私なり局長も十分これは承っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/120
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121・小柳勇
○委員長(小柳勇君) いま林君はその辺の意見を集約しておるし、あなた方の答弁聞いていると相当の食い違いがあるものだから心配しているのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/121
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122・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私もその問題ちょっと初めに触れておいて、鈴木委員が質問しましたから、あまり質問することはないのですが、いま言われている助産婦はそんなに不足しているわけじゃないけれども、助産婦の働くところがない、こういうことだと思うのです、一口に言えば。だから助産婦の団体が、要するに出産が助産婦個人——個人というとおかしいけれども、助産婦自身で社会が信用して病院やお医者さんばかりの手にかからないでもやる条件がこの金融公庫の金でつくれるのじゃないか、これが一つ。
それから、もう一つは、地方自治体がそういう助産の設備がつくような、助産婦が活用できるようなものを地方自治体が政府を通じてやることができないかというようなことも私は質問の中で受け取れたと思うので、その点について、これはやはり政府はもっと明確に、いまここで的確に返事をしてくれと言いませんから、よくこの医療金融公庫を活用する、皆保険、医療制度、医療保険、一切の国民保険の上に立って活用するということを十分にお考えになったらどうですか。これは返事は要りませんから、ひとつそういうことを関係者と密接にお話しになったらこの問題は漸次解消していくのじゃないかと、私は先ほどから聞いておってそういう気がしましたので申し上げておきたいと思います。
それから、私の質問は、先ほどちょっと触れましたけれども、どうも私は皆保険体制へのかまえが質疑を聞いていて足らないような気がします。皆保険の柱になっているのは国保です。国保は御存じのような状態なんです。ですから、たとえば診療所をつくるとか巡回診療をやるとか、そういうことについて地方自治体の財政力が私は持ちこたえられないということに、国保の赤字の問題と関係して、非常に重要な問題がある。金融公庫の出先としては、条件をそろえたところにできるだけコントロールをして貸す、腰をすえて貸すということにおちいってしまうと私は思う。本来の問題が、どうも医療金融公庫の罪じゃなしに、厚生行政の私は足らざるものによってそういうものが欠けていくということは、せっかく医療金融公庫をつくった意義というものがやはり削減されていく、ここのところは私はしっかりやってもらいたいと思うのです。できれば医療の配置計画をお立てになって社労委員会にひとつ出していただいて、そうしてこの融資計画も、できれば皆保険体制への道を開いていただきたい、これをお願いしておきたいと思うわけでございます。
二番目の問題は、先ほど日赤や共済会の貸し付けの利率の問題で議論がありました。ところが、これを見てみますと、医療金融公庫が八分、今度は七分に、増改築乙は七分になった。ところが、年金のところへいきますと、ただし、大企業だけ七分ということが書いてある。どうなるのか、金融公庫の四十年度は乙種改築費が七分で、年金事業団へいけば大企業だけは七分、あとは六分五厘だと、こうあるわけだが、これはどういう利率になるのか。だんだんと御説明を聞いていると、甲種の増改築で六分五厘のほうへみんな持っていくんだとおっしゃるわけですが、年金事業団と医療金融公庫とのこの乙種に関する増改築は、金融公庫は七分だと、それから年金事業団は大企業だけが七分だと、こうけさもらった資料に書いてあるのだが、ちょっと説明をしてもらわないとわかりにくいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/122
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123・大崎康
○政府委員(大崎康君) 年金福祉事業団におきましては、これは事業主病院でございます。事業主病院の場合は通常六分五厘でございます。しかし、大企業においてはこれは七分でございます。そこで、日赤、済生会等につきましては、この大企業七分というのは当たりませんで、原則として六分五厘、しかしながら、病床過剰地区におきましては七分にする、こういうことでございます。それで先生がお持ちの資料で六分五厘、ただし、大企業は年七分と書いてある、この年七分のただし書きでございますが、ここに書きましたのは、書き方としては不適当であったかと思います。実際はいま私が申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/123
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124・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 いや、不適当であったかと思うというけれども、この表を見たらそれしか解釈できないじゃないですか。だから、大企業は七分というのはどこへいくのか、それじゃ医療金融公庫においては乙種改造費七分と書いてあるから、これはどうなるのか。だから、制限医療をこえたところには七分だと、こうおっしゃるわけですけれども、そういう注釈も何にもここに書いてない。だから問題は、八分が七分になって、六分五厘が七分になったということは私は気に入らぬわけだけれども、大体長期で皆保険体制へいく医療整備の問題は貸すか貸さないかということでコントロール、セレクションができるわけですから、それじゃ六分五厘を七分にする必要もないのだとぼくは思うのです。それをこういうかっとうで、この表は間違っているなら間違っているで理解しますから、それはいいが、どうもそこらあたりがもう少しはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/124
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125・大崎康
○政府委員(大崎康君) この表は、ここのただし書きをつけたのはあるいは不適当だったかと思いますが、この一番上のところをごらんになりますと、「年金福祉事業団(現行)」というふうに書いてございます。現行というのはいままでということでございます。いままでは原則は六分五厘でございまして、事業主病院、この大企業のものにつきましては年七分にいたしておるわけでございます。そこで、「備考」というところに書いてございますように、事業団の四十年度におきましては日赤、済生会等については、病床不足地区は六分五厘、その他の地区、すなわち、過剰地区は七分、医療法等の規定による命令、指示またはこれにかわる指導があった場合は六分五厘にする、こういうふうに書いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/125
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126・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、ここのところに備考が書いてございますけれども、基本的に、年金事業団はことし改正しますか、年金福祉事業団の改正案は出てないでしょう。現行というものが、この法律が通れば、これと同じように現行になるわけです。そうすれば年金事業団が大企業だけ七分で、こっちは一般の小さいところまで乙種の七分という理屈はわからないですよ、こう言っておるのです。これは重要な問題ですから、運営上の問題は、単に日赤、済生会ばかりでなしに、むしろ貸し出しのところで適切か適切でないか、そこらのコントロールをして、やはり利子の高いものを借りたら医療機関はもたぬわけですから、特別な配慮をしていただきたいと思うのです。命令、指示またはこれにかわる指導があった場合ということで、できるだけそんな大企業並みに零細な医療機関を持ち込むことのないようにしていただきたい。これは特にお願いをしておきたい。
もう一つは、公庫と市中銀行との関係なんです。これはこの法律ができたときの約束として、中小企業金融公庫のように、手数料をとりながら定期積み立て金をして、そして云々ということはしないのだというお約束でございました。だから、いままでの市中銀行を通じての公庫の貸し出しは、六分五厘以外には積み立て金とか何とか一切とってないのか、そこのところを明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/126
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127・大崎康
○政府委員(大崎康君) 第一番目の、年金福祉事業団の関係につきましては、ここにも書いてございますように、医療法の指示、命令等があった場合には、これは六分五厘にするわけでございますから、その規定を十分活用いたしまして御趣旨に沿いたいと考えております。
それから、第二点の問題につきましては、おそらく歩積み両建て等のことであろうかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/127
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128・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/128
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129・大崎康
○政府委員(大崎康君) そのようなことがあるということは一切聞いていないわけで、ないと私ども信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/129
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130・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そういたしますと、今度大阪に支所を出しておやりになることは、これは直接貸しになる。いままでは委託貸しですね、そういうことになっておったわけですが、たとえば医療金融公庫から金を借りようということになれば、地方のAならAという銀行、都市のBならBという銀行の承認がなければ申請もできないわけです、このたてまえは。だから、銀行の取引関係と信頼度、それから危険度合い、そういう一切の条件がそろわなければ金融公庫の窓口に申請書がこないというのがこのたてまえだと私は思うのです。だから、金融という立場に立って金融機関の健全化ということは当然のことであろうと、私もそう思います。しかし、国家がやる皆保険の整備ということでありますから、この点についてはもう少し配慮があってしかるべきではないか、私は常日ごろそう考えておる。こういうことについて研究なさったことがあるかどうか、これもこの際、聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/130
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131・大崎康
○政府委員(大崎康君) ただいまの御質問でございますが、ちょっと私わかりかねている点がございますが、大阪に支店を設けまして、診療所、病院の代理貸しの部分は代理貸しの部分で従来どおり残るわけであります。ただ、その事務を大阪支店で行なわせるということになるわけでございます。それから、直接貸しの部分が現在もあるわけでございます。これは今度は東京と大阪とこれも二つに分かれる。代理貸しの部分も東京と大阪と二つに分かれるわけであります。銀行との関係におきましては、直接貸しのほうはもちろん銀行を通さないわけでございますが、代理貸し付けの部分は、大阪支店といえども、代理店を通すわけでございます。そこで代理店に出しまして、それを代理店がチェックするのじゃないかという御質問かと思いますが、やはり代理店はいろいろ利用者に対しましてその制度や何かを説明いたしまして、それで利用者のほうが、これは条件に合致しないものであるということであきらめる場合があると思います。いまたてまえそのものにつきましては、医療機関の調査の結果を申請書につけまして、本所、すなわち、従来でございますと東京、あるいは今度西日本になりますとたとえば大阪、こういうふうなところに申請が来まして、そこで審査をいたしまして決定する、かような仕組みになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/131
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132・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 少し私のと違うのですが、私は直接貸しをするのはけっこうだという立場に立っている。そうでないと中小企業金融公庫のように、市中銀行との間に三分二厘の手数料を取りながら歩積み両建てを平気でやっている、担保を取って。こういうことにこの公庫がおちいっちゃ困るというたてまえであなたのところに聞いているのです。この公庫ができたときには、そういう歩積み両建てはやりませんというお約束でありましたから、それがいつまでも存続するかっこうを進めていただきたい。しかし、問題は、一つ残るのは、その代理を通じて、市中銀行を通じて実はまいりますから、そこに償却の条件、危険度合いがないとか担保条件、一切の条件がそろわなければ申請書というものが公庫の窓口にこないのです。そういうことが皆保険という立場に立って、医療機関整備という観点に立って、大阪ばかりでなしに、将来直接に調査をして、実際に各地域地域ごとに医療機関が整備されるような方法は厚生行政としてとっていいのじゃないかということを言っているのです。わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/132
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133・大崎康
○政府委員(大崎康君) 前にお答与え申し上げましたように、公庫の成立当初、歩積み両建てはしないということに私どもの政府のほうで御答弁申し上げたわけでありますが、その点につきましては、いまも続いて変わっておらないわけでございます。これが第一点。
それから、第二点の問題につきましては、これは全部直接貸し付けにするということにつきましては、医療金融公庫法にいろいろの問題がありますし、いわゆる信用調査というふうなものにつきまして、多数になりますとやはり銀行等を使わざるを得ないわけです。したがいまして、直接貸し付けの部分につきましては大口だけをいま行なうたてまえになっているわけでございます。この点につきましては、公庫におけるいろいろの事務の習熟ということと相まちまして、漸次拡大の方向で検討していきたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/133
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134・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 いや、私はここでいまどうするといっても、すぐできる問題ではないから、そういうことを皆保険のたてまえ、医療機関整備というたてまえから十分に考えてもらいたいということを言っている。直接貸しにされていくことが一番いいのですが、そう各地に置くわけにもいくまいから、漸次ふやしていくということでけっこうです。けっこうですが、どうも歩積み両建ての問題があまりにも激しいものですから、これも一夜知らぬ間にそういうことになっていきやせぬかという心配をしているわけです。だからそれが前段で、いまの代理貸しですと、銀行の主管の認定を受けなければ手続もできない状態にあるから、それじゃ皆保険や医療整備の問題とは、少し考え方がそろばん勘定だけにおちいってしまうということになってしまって、これもまた本旨からはずれやせぬかということについて特別の配慮を願いたい。そして、最後に聞いておきますが、市中銀行にはどれだけの手数料を出しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/134
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135・大崎康
○政府委員(大崎康君) 実収利息の二千万までが二割、それをこえる場合は実収利息の一割五分、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/135
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136・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 二千万円までが二〇%、それから二千万をこえると一五%ですね。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/136
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137・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/137
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138・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(閣法第二〇号)及び、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案(第四十六回国会参第一四号)を一括して議題といたします。
本案に対し、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/138
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139・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 原爆医療法という形でこの法案ができて、被爆者がこの法律の恩恵というか、法律のたてまえによっていろいろの給与を受けているわけでございます。原爆というのは、他の伝染病とか、それから、業務上の疾病とか、そういうものでないわけであります。そして、これは私がここで説明するまでもなしに、広島の原爆、長崎の原爆、いまじゃ水素爆弾というものがつくられて、非常に大きな被害を人類、また、生物が受けるというかっこうにまで進んでいるということが、いろいろのものを通じてわれわれに知らされているわけでございます。ですから、私は、そこらあたりの概念のつかみ方が、やはり原爆医療法の原爆被爆者援護の問題として非常に重要な問題ではなかろうか、そのことをもうこの段階において議論をするときではなかろうか、私はそういう理解を持っているわけです。両院において原爆被爆者の援護決議が行なわれましたことも、これは事実でございます、昨年。ですから、それがどう生きていくか、生かしていくかというところに国の政治のいま焦点があるのではなかろうか、こういうぐあいに私は思っているわけであります。ですから、何としても私の主張したいことは、その両院の院の決議、これを発展をさして、名実ともの被爆者援護法というものを今日われわれはつくるという段階にきているんではないか、これが私たち九千七百万の日本民族が、原爆の実験、製造、使用の禁止という民族の悲願を実現し、国際的に各国にこれを主張する非常に大きないしずえではなかろうか、私はそう思うんです。最近、残念ながら、中国で二回目の実験が行なわれて、この保有国になったようなかっこうになってまいりますと、原爆や核兵器というものが、今後間違いがあったときには地球上の生物がどのような形になるか、これはもう私がここで述べる必要はないと思うのです。だから、唯一の原爆被爆国としての日本が、このことを政府とか与党とか野党とか、またはそれを乗り越えて、民族全体として地球上から原爆、核兵器をなくしていくという運動に帰結していいのではないかと、私はそう思うのです。そのためにも、われわれ日本民族は、あの被爆を受けた人の援護をし、そうして再びこれが地球上に起こらないような一つの実証としてこれを行ない、そうして世界に主張をしていく、こういうことをいまやるときにきているのじゃないかと、私はそう思うのですが、厚生大臣はこのことについてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/139
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140・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま藤田委員から、被爆者に対する処遇を被爆者援護法というようなふうに発展させて、そうしてこの被爆者の健康管理をすべてひとつ国があたたかい気持ちをもってやっていく、世界のただ一つの被爆国といたしまして、しかも、この段階までまいっておるとすると、ことにわれわれは、あげて原爆の使用禁止を説いている際でございますので、国みずからがそういう大きな手を打つべきではないか、こういうお尋ねに対する厚生大臣の所見ということでございます。私も、実はその基本的な姿勢につきましては藤田委員のお考え方に同調できると申しましょうか、同じ考えを持っている一人でございます。いわゆるあのような被害を受けた、これは人類としてまことにぬぐうべからざる悲惨なことでございます。また再びああいうことがあってはならないことでございます。そういう観点からいたしますならば、これをひとつ取り上げて、われわれ民族として当然これはやるべきものではないかという議論については、これはもう傾聴に値すると申しましょうか、私ももちろんそのことについては通ずるものがあるわけでございます。しかし、援護法をこの段階において制定してまいるということになりますると、まだ一般戦災者、その他戦争犠牲者に対する処遇とか、その均衡の問題等々の問題が未解決になっておりまして、どこまで発展するかというような問題もないでもないというような状態でございます。いろいろそういう面を考えますと、もちろん財政上の問題も出てまいるわけでございますが、この段階でとうとう援護法までは踏み切れなかった、こういうことでございまして、非常に私ども議論いたしたわけでございます。お説のような両院の強い決議もあったわけでございます。しかし、結論から申し上げますといま申し上げたような事情で、この段階では万やむを得なかった、この程度でひとつこの際はがまんをしていただくと申しましょうか、お忍びしていただいて、だんだんひとつ深く考えてまいりたい。ことに今度の予算措置といたしましては、被爆者の実態調査の予算、いままでは実態調査をしてこなかった、今度は実態調査をして再検討を加えたい、有力な基礎をつかんだ上でひとつ再検討いたしたいというような考えをもちまして、いまお述べになりましたところまで入ることができなかった、こういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/140
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141・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 前段の問題をもう一、二点お尋ねいたしますけれども、池田内閣が佐藤内閣になって、自民党のほうとしても、原爆は反対だ、核兵器反対だとおっしゃっているわけです。これは私は共通した民族の悲願だと思う。これをどう実現し、どう実行さすかということが、私は問題の焦点である。この議論はあまり私はしませんけれども、両院の被爆者援護決議というのは、単に恩恵という形じゃなしに、日本が再び被害をこうむりたくないという意思も、この援護をしていこうという気持ちの中には、戦争全体の問題と違って、原爆の被害というものは違った要素を含んでいると私は思うわけです。そうでなければ院の決議に私はならないと思うのですよ。だから、そういう意味が十分に政府としても理解して踏み切ってもらいたかったと私は思うわけです。ここへ出てくる原爆医療法は、要するに医療手当の二千円を三千円にするとか、定期診断をするということでございますから、前向きであります。前向きでありますけれども、被爆者援護というか、被爆者をどう守っていくかという点からすれば、大きな壁を乗り切っていないばかりか、どうも院の決議と少し考え方が離れているのじゃないか、私はそういうことを考え、厚生大臣のいまの決意を聞いたわけであります。しかし、私は、まあこれ以上返事は求めませんが、そういう意味で、もっと積極的に、政府は、この実験の停止、それから、製造、使用の禁止という、原水爆、核兵器については、もっともっと積極的にやってもらいたいということを、これは閣議で主張し、佐藤内閣の方針としてやってもらいたいということを特に希望をしておきたいのであります。
問題は、広島、長崎に落ちた原爆の——アメリカが広島へ来てABCCですか、原爆の研究所で活動をやっておる。この活動状況は、いままではどういうことをやり、いまどういうことをやっているか。それから、日本の被爆者をABCCはどういうぐあいに援護をしたかということ。アメリカの原爆で両方合わせて四十万近い人が事実なくなったわけですが、被爆者はもっと大きい数になるわけですが、この問題についてアメリカ自身はどう考えているか、こういうことをひとつこの際、聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/141
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142・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ABCCは、御承知のように、戦後直ちにアメリカの調査団が参りまして研究をやりまして、そのあと引き続きまして、講和条約発効後も依然としてそのままの事業を継続しているわけでございまして、ABCCの主要な目的は、原爆の影響がどのように将来残ってあらわれてくるであろうかということが基本でございまして、したがって、基本的には原爆被爆者を、被爆当時から現在まで、さらに将来にわたっても、その健康状態を追求していくということが一番主要な任務でございまして、そのために、寿命調査と申しておりますが、被爆者のサンプルをとりまして、この方たちの健康状態はどういうふうに変わっていくか、終末的な疾病が多い、あるいは寿命が縮まる、あるいは遺伝関係が出る、白血病その他の特殊な疾病があらわれるというようなことを、過去から将来にわたって追求していくというのが目的でございまして、具体的には、現在は数万名のサンプルをとりまして、この方を定期的に健康診断し、さらに死亡者につきましては一々その家族にお願いをいたしまして、病理解剖もさしていただくというようなことで、非常に基礎的な、しかも、非常に着実な研究態度をとっているのであります。
アメリカがABCCに対してどういう態度をとっているか、また、被爆者に対してどういう態度をとっているかということでございますが、御承知のように、このABCCは、アメリカの学士院といいますか、科学アカデミーの費用でやっている仕事でございますので、非常に学問的な面を重視しておりまして、いわゆる被爆者の援護とか、あるいは救済というような点については全く考慮いたしておりません。また、アメリカ自体が日本の被爆者に対してどうこう考えるということにつきましては、これは現在も昔も、アメリカ政府自体として、日本の被爆者に対してどのような援助をするかというようなことは、全く意思表示はございません。事実無関係ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/142
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143・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そのアメリカが研究していると、まるでまあアメリカの研究は世界人類のためでございましょう、大きく言えば。しかし、直接アメリカの手によって原爆が落とされて、その被爆者を学術研究をして事終わりだと、これには私は意見を持っていますが、厚生省は、こういうアメリカのABCCに対してどう見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/143
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144・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) アメリカの原子爆弾によって被爆の事実が起きたということは、これはもう疑いないことでございますが、その被爆者を援護し、救済していくということは、これは日本国政府の義務でございますので、これをアメリカ側に依頼する、依存するということは適当ではないと存じます。特に講和条約等におきまして実際の取りきめがすでになされまして、そういう賠償その他の請求はしないということになっておりますので、これはどこまでも日本政府の責任でやるべきものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/144
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145・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあ日本人というのは考え方の広い民族なんですと言えるかどうか。とにかく落としておいたそこへ来て、一番景色のいいところに病院を建てて学術研究をやられて、何か支配者と被支配者のような民族感情で事を処理しているというような、民族自決の九千七百万の日本国家として、まあ大臣がおいでにならないから、あなたにあまり理屈は言いませんけれども、そのままでいいのかどうかということを私は厚生省で議論されているかどうかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/145
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146・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 原爆被爆者の実態に対する調査研究、あるいは医療問題に対する研究、あるいは原爆等、広く放射能全般の医療衛生という問題について、当然だれしもが研究すべき問題だと思いまして、単にアメリカの出先機関であるABCCにだけまかしておくわけではございません。広島、長崎にそれぞれ研究所を大学に付設いたしまして、日本は日本で独自の研究をいたしております。しかし、アメリカのABCCがいち早く研究に着手したということもまた事実でございまして、そういう意味で実績がございますし、また、われわれがいまからやろうとしてもなかなかできないような計画を当初からやっておりましたために、いまここでABCCの研究計画に横やりを入れるとか、あるいはそれを中止させるということは、むしろ適当でなく、将来においてABCCの非常にいい研究が続くとすれば、将来において日本政府はこういうものを継続していくということがむしろ適当ではないかと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/146
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147・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私の言っているのはこういうことなんです。その占領下に五年も六年もあったからなかなか言いにくかったでしょうけれども、いまは国連にも入り、国際的なあらゆる機関に入って、医学、科学も発達している現状でありますから、単に日本の大学で研究しているばかりでなしに、ABCCと日本の学者が一緒に人類のために研究しようじゃないかという考えが厚生省にあってもいいのではないかと、私はそう思うわけです。いままであまりそういう議論をしなかったけれども、そういう気がいたします。まあいいでしょう。そこで、大臣、もう一度参議院の「原爆被爆者援護強化に関する決議」というものを読んでおいていただきたいと思う。ここで書いていろものは「すみやかにその援護措置を改善し、もって生活の安定に役立つよう」にする。健康管理及び医療の措置、それから生活安定、それから原爆被爆者の援護ということを明確に書いて、こういう二百五十名全員で決議をしております。これはきょう言うてきょうどうせよと言いませんけれども、私は、厚生行政はそういう立場からひとつ考えておいてもらいたい。
それから、その次に、死の灰の問題といわれているが、原爆実験が行なわれると灰が気流に乗ってくるわけであります。これは専門的な話ですからよくわからないけれども、よく地図で日本がいつも谷間になって降ってくるような気流の関係になっているようですが、そこらをこの際、聞かしておいていただきたい。
それから、もう一つは、水爆とよくいわれるんですが、水爆の威力というものはどれぐらいの殺戮力を持っているか、この点も参考までにひとつ聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/147
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148・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 原爆実験等に伴って起こります死の灰につきましては、科学技術庁が日本全国各地の象台と関連して関係づけまして、そこで常時調査をいたしております。そのほかに、地方衛生研究所に一部を委託し、あるいは大学等が独自な研究をいたしておりますので、それらの情報を集めて状況を判断するという仕組みになっておるわけでございます。
なお、原子爆弾の威力というものの説明をしろということでございますが、原子爆弾の威力というものは、大ざっぱに申しまして、機械的な破壊力と熱による障害と放射能の威力と、三つの面がございます。機械的な破壊力というものはどの程度あるかということを日本学術会議の原子爆弾災害調査報告書によって申し上げますと、「家屋、建物の破損は五・五キロメーターまで及ぶ。かわらのずれは約八キロまでに及んでいる。家屋のガラスの破損は八ないし十キロに及んでいる。武藤、梅村氏によれば十六キロまでと報告されている。おそらく十キロ以上の地点も相当の破損があったと思われる。」これは機械的力の点でございます。それから、熱の点でございますが、熱は、御承知のように、広島では約地上六百メートル、長崎では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/148
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149・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ちょっといまの説明ですけれども、私はそれを聞いておるんじゃないんで、いま原水爆といわれている水爆というものが爆発したときにはどれぐらいの生物を殺傷し、建物を破壊するかということがわかっていたらということをお尋ねしたのですが、広島、長崎のことについてはもうけっこうです。なかなかどうもむずかしそうですから、けっこうです。
それじゃ次の質問に入ります。原爆被爆者には白血球が欠乏する。これをめぐって、たとえば生理上の問題がどうなっているかとか、心理上の問題、それから遺伝がどうなっているか、遺伝性があるのかどうか、こういうことが世間で喧伝されておりますが、厚生省はお調べになっておりましたらお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/149
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150・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 放射能を受けた者が白血球の減少が起こることは、これはすでに昔から知られた事実でございまして、レントゲンを取り扱う技師等が白血球の減少症が起こっておるのはすでに常識的でございます。広島、長崎の被爆者におきましても、当初は白血球の減少を来たした者が相当ございました。しかし、これは比較的急性症状でございまして、比較的早期に回復いたしております。それとはまた逆に、白血病が起こることもまた事実でございまして、放射能を多量に受けた者、あるいは長期にわたって放射能を受けた者に白血病ができることも事実でございまして、広島、長崎においても相当の発生がございます。しかし、これも最近におきましてはほとんど発生率が平常に近いところに戻っておるようでございます。
なお、遺伝の問題につきましては、これは放射能が精子あるいは卵子なりというように、生殖細胞に放射される場合にその遺伝子を変化させるということは事実でございまして、これは動物実験等ではすでに証明されておるところでございますが、人間については実験というようなことができませんので、明確な答えは出ておりませんが、少なくとも妊娠が減ったという事実はございます。また、原爆を被爆してから最初に産む子供に流産が多かったということも事実でございます。遺伝的には、遺伝としてどういうふうにあらわれるかということは必ずしも明確でございませんで、広島、長崎等における大学の産婦人科等で外来で先天性の異常を調査いたしました結果、明確な関連は数字的にはあげることができなかったというのが大筋の報告でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/150
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151・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうなってまいりますと、いまおあげになった分だけ見ましても、この被爆者が全国に散らばっておるわけですね。生活上の問題、援護措置がございませんから、生活の道を通じて、あらゆるところに散らばっておるわけですから、その方々のやはり健康の保護ですね、援護措置というもの、それから、定期的な健康の保持のための診断というようなものが医療法のいまの法律のたてまえからいっても必要なんじゃないですか。私たちの言っておるのは、非常に生活に困っておる方々に生活上の援護をしてあげなければいかぬのじゃないかということの主張を私たちはしてまいりましたけれども、いま大きな問題として、研究課題として大臣もその決意のようでありますから、それ以上言いませんが、現在のこの医療法のたてまえからいっても、単に拾えないとかいうことじゃなしに、全国に散らばっておる方々の健康管理というようなものは必要なんじゃないですか。そこらはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/151
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152・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 健康管理はぜひやっていかなければならない問題だと思いますので、現在も法律的に年二回ということで健康診断を行なうことになっておりますが、ただいまお話にも出ましたように、被爆者には、被爆者ということによって健康状態に対して異常に神経を使い、事実上神経質になっておる患者が相当ございますので、それらの方々の希望も考慮いたしまして、今年度から定期の健康診断のほかに、随時の健康診断も行なえるように手配いたしまして、日本全国どこにおる患者につきましても必要な健康診断が随時行なえるような手配をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/152
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153・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 これは原爆の障害者に対する障害年金と、こういうようなもの、それから、この産業困窮者の特別援護手当というようなもの、それから、この子弟が、やっぱりどうもこの原爆の放射能を受けた人が妊娠をして、そうして新しく子供ができたのが、いま遺伝性は人間は実験できぬけれども、動物では明確であると、こうおっしゃるのですから、人間にも同じ動物としてあると認定せぜるを得ないと思うのです。そういうものに対する援護処置というものを講じるための研究、それから、そういうおつもりというものはないのでございますかね、大臣。お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/153
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154・神田博
○国務大臣(神田博君) 原爆の被害につきましては、いろいろの各分野で調査していることは御承知のとおりでございます。その結果、いまお述べになったようなことが出てまいりますならば、これは取り上げてまたひとつ問題にしてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/154
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155・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、ほんとうに両院の決議の趣旨に沿って原爆医療法が立て直されなければ十分な援護処置はできないと思う。そう理解しております。
そこで、最後に私は申し上げておきたいのでありますけれども、厚生省の事務当局として、原爆医療法の限界点に達していろいろの処置を講じられておる、少しは上げなきゃいかぬという程度でこれをお上げになっていると、私はそう思うのですが、しかし、私は、この原爆医療法を本来の姿に返してもらいたい、要するに原爆被爆者の援護というものを両院の決議に沿ってやってもらいたいということが一つの希望でございます。それから、これをやること自身が、地球上から原水爆を抹殺していく運動の日本民族の悲願がほんとうに名実ともに国際的に訴えるときの大きな柱になるのではないかと、私はそう思うので、何とか厚生大臣、このことについてもう少しはっきりした決意をひとつ聞かしておいていただきたい、こう思うわけであります。私はいろいろとこまかいことを聞きたいのがたくさんあります。たとえば弔慰金を出してもらいたいという非常に熱心な希望がありますが、これもやはり何とか実現をしてやっていただきたいと思います。そういうことを取り上げますと、非常にたくさん問題があるわけですから、私も、そういうのも一切含めて、厚生大臣としては、との両院の決議に従って被爆者援護を厚生行政としてはとにかくやるかまえで、今度のところはこうだけれども、次の近い将来にこのことを実現するという私は決意をここで聞かしておいていただかなければ、このことだけでわれわれは原爆医療法を、はい、よろしいと言うわけにはなかなかいきにくい、そう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/155
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156・神田博
○国務大臣(神田博君) この原爆医療法の中にいま論議されています援護の精神を組み入れるという問題でございます。もっと具体的に申し上げれば、両院の決議の趣旨を尊重して、そしてそのような方向にひとつ前進していきなさいという御意見でございます。これは私ども、この両院の決議がございましたうちから、むろんそういうふうに考えておったことでございまするし、特に私は、昭和三十二年でございますか、この原爆法をつくりましたときの最初の厚生大臣をつとめておりまして、原爆医療法の問題につきましては、決して人後に落ちないまじめな熱心さをもって努力してまいったつもりでございます。先ほどもお答え申し上げましたように、いろいろまあ議論もございましたが、予算折衝等におきましても、一番最後に、それならひとつ調査費をほしいのだ、調査をひとつやって実態調査をして、実態調査の結果でひとつなお相談しようじゃないか、これはもう予算折衝の最後の段階で私の主張が入れられたという問題でございまして、そういういきさつもございます。内部の事情を申し上げて、正直なお話でございますが、まあそういう観点からいたしましても、私はもとより、厚生省も皆熱心であることは間違いない事実です。ただ、まあ政治的情勢がいろいろ複雑な点もございまして、いろいろ戦争被害という問題になりまするとまだまだの感もございまして、それらの問題に関連いたす問題もあるものでございますから、十分な解決の緒についてないということは遺憾でございます。しかし、先ほどから論議がございましたように、原水爆のこうした主張というものは、われわれのもう徹底的なこれは禁止の悲願でございますることもお述べになったとおりでございます。日本が唯一の被爆国といたしましてこの問題に対処するのに、外国からいろいろな目で、なるほどというようなことも私は必要であることも考えないわけではないわけでございます。将来とも、この問題につきましては前向きの姿勢で、そして被爆者の援護を十分にしていきたい、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/156
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157・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/157
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158・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。神田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/158
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159・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
国民年金は、昭和三十四年に発足して以来、数次にわたる改正が行なわれてまいりましたが、本制度は、国民皆年金の一翼をにない、農家・自営業者等を中心とする二千万人にのぼる被保険者を包含する年金制度としてその使命を果たすべく、なお一そうの内容の充実を必要とするところであります。
また、児童扶養手当につきましても、発足後三年有余を経過し、今日まで手当額の引き上げ、支給制限の緩和等の改善が行なわれてまいりましたが、引き続き内容の充実をはからなければならないところであり、重度精神薄弱児扶養手当につきましても、昨年発足したばかりでありますが、なお、今後の改善が望まれるところであります。
以上のような事情にかんがみ、今回の改正法案は、国民年金、児童扶養手当及び重度精神薄弱児扶養手当につきまして、福祉年金の額及び手当の額を引き上げ、支給制限を緩和するとともに、障害年金の対象範囲を精神薄弱者にまで拡大することによりまして、これらの制度の改正をはかることとしたものであります。
以下、改正法案のおもな内容につきまして、国民年金に関する事項から御説明申し上げます。
第一に、福祉年金の額の引き上げにつきまして、老齢福祉年金の額を現行の月額千百円から千三百円に、障害福祉年金の額を現行の月額千八百円から二千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を現行の月額千三百円から千五百円に、それぞれ引き上げることにいたしたのであります。
第二に、障害年金等の支給範囲の拡大についてでありますが、これには二点ございまして、第一点は、障害年金及び障害福祉年金の支給の対象となる障害の範囲を精神薄弱にまで拡大することにいたしたのであります。
第二点といたしましては、母子年金及び母子福祉年金の対象となる子についてでありまして、障害のため所定年齢をこえてもなお対象とされる場合の障害の範囲を、障害年金の場合と同様に、精神薄弱にまで拡大することといたしております。なお、準母子年金、準母子福祉年金及び遺児年金の対象となる障害の子等についても同様であります。
第三に、福祉年金の支給制限の緩和について申し上げます。
これには三点ございまして、第一点は、受給権者の所得による支給制限の限度額を二十万円から二十二万円に引き上げるとともに、受給権者が子等を扶養する場合において二十二万円に加算する額を現行の三万円から四万円に引き上げることにいたしたのであります。
第二点といたしまして、受給権者の扶養義務者の所得による支給制限の限度額を引き上げ、扶養親族が五人の標準世帯では従前の六十五万四千円を七十一万六千円に緩和することといたしております。
第三点といたしましては、公務扶助料等の戦争公務に基づく公的年金と福祉年金との併給制限の緩和についてでありまして、その限度額を現行の八万円から十万二千五百円に引き上げることといたしました。
次に、児童扶養手当に関する事項について、御説明申し上げます。
第一に、手当額の引き上げにつきまして、その月額を、児童一人の場合は現行千円でありますのを千二百円に、二人の場合には現行の千七百円を千九百円に、三人以上の場合には現行では千七百円に三人以上一人につき四百円を加算することとなっているのを、千九百円に三人以上一人につき四百円を加算することといたしたのであります。
第二に、児童の障害の範囲につきましては、国民年金と同様に、精神薄弱によるものにまで拡大し、これらの児童にも手当を支給することができることといたしたのであります。
第三に、支給制限の緩和についてでありますが、国民年金と同様、支給対象者本人の所得による手当の支給制限の限度額を二十万円から二十二万円に、その扶養する児童についての加算額を三万円から四万円に引き上げるとともに、支給対象者の扶養義務者の所得による支給制限の限度額を六十五万四千円から七十一万六千円に引き上げることといたしております。
次に、重度精神薄弱児扶養手当に関する事項について御説明申し上げます。
第一に、手当額の引き上げにつきまして、重度精神薄弱児一人につき月額千円から千二百円に引き上げることといたしております。
第二に、支給制限の緩和についてでありますが、国民年金及び児童扶養手当と同様、支給対象者本人の所得による手当の支給制限の限度額を二十万円から二十二万円に、その扶養する児童についての加算額を三万円から四万円に引き上げるとともに、支給対象者の扶養義務者の所得による支給制限の限度額を六十五万四千円から七十一万六千円に引き上げることといたしております。
最後に、実施の時期につきましては、障害者の範囲の拡大に関する事項につきましては、昭和四十年八年一日から、年金額及び手当の額の引上げに関する事項につきましては、同年九月一日から、公務扶助料等と福祉年金の併給の緩和に関する事項につきましては同年十月一日から、それぞれ適用し、その他につきましては公布の日から施行することといたしております。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/159
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160・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 本案に対し、これより順次質疑に入ります。
御質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/160
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161・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 児童局長に、この年金の中の児童扶養手当の問題について少し聞きたいと思うのです。この児童手当は今度は何ぼになったのですかね、千二百円、七百円、それから四百円、あとみんな四百円ということになったわけです。で、私は、児童扶養手当というものについて、どんな目的で児童手当を厚生省は考えているのかということを児童局長に、あとから大臣が見えたら大臣にも聞きますけれども、児童手当というのはどういうたてまえでお出しになっているのかということをひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/161
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162・竹下精紀
○政府委員(竹下精紀君) 児童扶養手当の趣旨でございますが、御承知のとおり、国民年金法ができまして母子福祉年金が創設されたわけでございますが、母子福祉年金につきましては、死別をした母子世帯の方々に対しまして福祉年金が支給される、こういうことになっておるわけであります。そういった面からいたしまして、現実の問題としまして、母子世帯はそういう死別の方もございますけれども、離婚をした母子世帯——母子家庭、また、夫に遺棄された母子世帯もございます。また、同様の、たとえば刑務所に長く入っておるような夫を持った母子世帯もあるわけでございます。これは一時的な母子世帯でございます。そういった世帯につきまして何ら対策を講じられないということにつきましては、母子家庭という目からながめますると確かに問題があると考えられるわけでございます。そういう面からいたしまして、児童扶養手当は母子福祉年金の補完的な制度であると、こういうふうに理解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/162
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163・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 厚生省はたくさんのスタッフをお持ちになっているわけですから、いま世界の流れで社会保障というから、所得保障の年金制度——所得保障、医療保障、それから児童手当法、この三本の柱が社会保障のいま柱になっていると、私はそう思うのです。あなたのおっしゃる生別家族にこの児童手当を出すのだということのこの児童扶養手当というのは、まあ社会が保障するのだから社会保障とは言えましょうけれども、一般共通にいわれている児童保障というもの、児童憲章からくるものとは違いますけれども、児童保障というのは、やはり児童を社会が育成していこうと、特に多子家族の児童を社会が保障しようというところ社会保障の意義、児童手当法の手当としての意義があると私は思うのですけれども、それから見ると、ちょっと法律のたまえが母子福祉の補完処置だということだけで、児童局長とし、厚生省として、一般的な児童手当法、扶養手当法という概念というものがこれでいいのだとお思いになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/163
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164・竹下精紀
○政府委員(竹下精紀君) 先生の御指摘のように、社会保障の大きな柱といたしまして所得保障、それから医療保障、それから新たに児童手当法、こういった保障によりまして家庭の、あるいはそれぞれの個人の生活、医療の問題等についても保障をいたしておるわけでございますが、遺憾ながら、わが日本におきましては、児童手当につきましては制度化されていない現状でございます。そういった面からいたしまして、厚生省といたしましても、児童手当をできるだけ早くつくりたい、こういう希望を持っておるわけでございますが、ただ、その間におきまして、最も生活上経済的にも負担が重くなっております母子家庭につきましては、すでに母子福祉年金というものがあるわけでございますので、そういった面だけの観点から、均衡をとる意味で、生別、それから死別と、両方の面で母子世帯につきましての手当を考えたわけでございます。したがいまして、これは将来児童手当ができます際には、当然その中に入っていくべき性格のものだと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/164
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165・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、いまのこの児童扶養手当法というのはこういうことですか。名前は児童手当ですから、日本も児童手当法をつくったと社会に喧伝をするわけだけれども、実際は母子福祉手当の補完処置として幾らか頭を並べておいたらいいということで、社会保障——これはむずかしいところだけれども、一般的に言う貧乏をなくしていこう、貧困を排除していこうという社会保障の一般概念とは異質なものだ、異質と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、一般的に世界共通のものとは違うんだ、こういうぐあいにおっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/165
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166・竹下精紀
○政府委員(竹下精紀君) 多子家庭による貧困をなくするという趣旨からいたしますると、相当の金額を児童手当としては考えるべきだと考えるわけでございますが、現在のところ、母子福祉年金にいたしましても、あるいはそれに準じております児童手当にいたしましても、必ずしも十分な金額でないという点はあろうかと思います。また、母子福祉年金、児童扶養手当は子供の全体に対しましての手当でございませんで、先ほど申し上げましたように、母子家庭の中の生別と死別の両方の世帯で、さらに所得制限その他が加わっておりますので、そういう面では、社会保障という面からいたしまするとまだまだ不十分な制度ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/166
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167・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 生別家族ばかりでなしに、一般の児童全体に昭和四十二年度から児童手当を出すというんだということは一、二回私はこの委員会で聞いたと思うのですけれども、その決意は間違いないのですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/167
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168・神田博
○国務大臣(神田博君) 児童手当をいつから出すかという問題でございますが、これは御承知のように、いま厚生省でこのほうを担当する参事官ができまして、担当いたしてやっております。できるだけ早くいたしたい。できれば、四十一年度に間に合えば四十一年度に出したいと思っておりますが、四十二年度には間違いなく出したいという意気込みでいまこちらの調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/168
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169・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そうすると、来年か再来年には必ず出すという児童手当法の概念はどこに置いて出されるのか。たとえば全般の児童に手当を出すわけですから、多子家族の貧困を防止するために出していくというこのたてまえ、要するに社会保障的なたてまえに立たれるのか、児童憲章のたてまえに立って児童手当法をおやりになるのか、または、いまおやりになっているように、労務対策、家族手当と同じようなことでとにかく並べておいたらいいということになるのか、このどちらをおとりになるのですか、それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/169
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170・神田博
○国務大臣(神田博君) それらの点はただいま検討中でございますが、しかし、私の考えを率直に申しますと、これは児童憲章を対象として、いわゆる全児童にひとつ出したい。われわれの次の時代をになう児童をひとつ政府が責任を持って育てていく、いわゆる児童憲章によるところの手当にいたしたい、これは私の考えでございますが、そういう構想でやりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/170
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171・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 これは私は少し厚生大臣としては異な返事を聞いたわけなんです。児童憲章として児童を守っていくという政治的な一般概念がございます。しかし、社会保障としての児童手当というのは児童憲章ということでいいのかどうか、私はそこらは非常に議論のあるところだし、問題点があるのじゃないか。だから、ひとつ厚生省の企画室か何かで世界じゅうの児童手当、六十何カ国かが出しておりますが、その児童手当法の流れというものはどういうところにあるのか、最近の移り変わりの問題について少し聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/171
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172・竹下精紀
○政府委員(竹下精紀君) 担当の企画室長が参っておりませんので、至急お呼びいたしますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/172
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173・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それじゃ私の知っている範囲の社会保障の三本の柱の一つとしての児童手当法というのはいまどうなっているかということを、私はこういうぐあいに考えているということを申し上げておきたいと思うのです。本来いえば、所得保障の年金というものは老後の保障、いまは単に。この前毛大臣と少し議論をいたしましたが、生産と消費のバランスの中に社会保障をどう位置づけるかというところにヨーロッパの各国にきていると思う。この議論はまた厚生年金や年金のときにもやりますけれども、国民所得の二〇%の水準でバランスをとるようになってきているのがヨーロッパの姿であると私は思うのです。それから、それの中に所得保障の年金があり、その中に医療制度の社会保障があり、それから児童手当ということになっていると、私はそう思う。最低生活保障の問題はむろんありますけれども、しかし、問題は、最低生活の保障が規制されて、生産労働に対する生産と消費のバランスからくる賃金というものがここできめられる。それで社会保障の所得保障が行なわれて、労働力を中心に。社会保障はそうじゃありませんけれども、賃金所得は、労働力を中心に、社会に貢献するその度合いで所得というものがきまっていくわけですから、個人でございます。ですから、夫婦二人で生活している人がかりに十万円給与があって、夫婦に子供が五人あっても十万円だということでは、その家庭は一般水準から破壊されていくということ、これが私は児童手当の概念ではなかろうかと、社会保障の補完処置としての児童手当の概念じゃなかろうかと、私はそう思っている。最近のEECが一九六二年の十二月になってフランス方式に児童手当法をきめ、年金法はドイツ方式をとりました。昨年あたりで大体全部実施いたしました。おそらくこの考えは、EFTAのあとの各国も、もう一、二年のうちに全部実施するのではなかろうかと、私はそう思っております。給与の六割を年金所得保障にし、それから自分の給料では夫婦と子供一人は生活するが、あとは社会が保障する、こういうたてまえに立って児童手当を出している。子供五人もあれば、おやじの給料の半額から六割ぐらいは児童手当を出して生活を補完しているという流れに私はなっているんではないか。それで、いま厚生大臣の言われたその児童憲章というものが本来そういう要素の中で守られていくということになるんじゃないかと、私はそう思っておるわけなんであります。ですから、そういうたてまえというものを日本はおとりになるのかならないのか、そういう片りんもここへは出てこないわけです。この前千円が千二百円になり、次が千七百円が千九百円になる。あとは四百円。子供があればあるほど、第一子の三分の一しか支給されないでどうしてそれじゃ生活ができるのか。このことを私はうがった言い方をしますけれども、賃金が安いから労使の争い、争議、要求という中で、家族手当方式、妻が千五百円、子供が千円、第二子が八百円、第三子三百円ぐらいで、あとはもう一銭も出さぬ、極端に言えば。そうでないところは三百円か四百円あと幾らあっても出すというような、まるで労務対策方式の家族手当がいま日本にあるわけです。しかし、労働者はそんなのが本旨じゃなしに、むしろ賃金生活というところに主体がいっておって、労務対策というのは戦後の五、六年の間にそういう概念があったわけですが、そういうものがこの児童手当にまた生き写しに採用されているという、これはちょっとうがった、ひがんだ考え方になるかもしれませんけれども、そのままここへ生き写しにきて、これ児童手当なり、即、児童憲章なりという議論には私はならないんではないか。私は、たくさんのスタッフを持ち、研究所を持って、有能な諸君が厚生省にはたくさんおいでになるわけですから、そこらあたりのことはもう少し検討されないものかという気がしているわけでございます。どうも私がおしゃべりをあんまりしたようでありますけれども、そういうところがどうも私は、児童手当が今度千円が千二百円にふえる、何でもちょっとでもふえたらそれでけっこうだという問題では私はないんではないか。いま六十何ヵ国やっておって、出発の当初には一律で千円なら千円、二千円なら二千円、イタリアやイギリスのように一律方式をとった国がありますけれども、最近の傾向というものは、ほんとうに社会保障の柱として児童手当、児童保障をどうかまえていくか、そういうものを含んでこれ全体の所得保障、要するに購買力と生産とのバランスをどうとっていくかというところに、先進国といいますか、産業国といわれる国の流れが流れておる。日本も片手で数えられるくらいの産業国であり、大国であるとおっしゃるなら、私は、やはりそこらあたりはもっと実質的に住民主権の人権尊重というところにもつと問題を議論をされて持っていかれていいんではないかという気がするわけでありまして、そこらあたりの問題についてどういうぐあいに検討されているか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/173
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174・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 問題は、児童手当の考え方についての藤田先生のお考えでございますが、これは児童手当だけじゃなしに、所得保障の基本になる問題でございますが、基本的には先生がいまおっしゃられましたような傾向にあるということは私も了承いたしております。それから、特にこの所得保障、年金制度を考えます際に、先生がいま御指摘になりましたような日本の生産と購買力という問題は、従来理論的には議論されておりましても、実際問題として比較的議論にのぼってこなかった問題でございますが、私どもは、所得保障の観点といたしましては非常に大きな問題である、また、将来の姿勢である、かように考えている次第でございます。
それから、その意味におきまして、やはりいまEECの御指摘がございましたが、EECの諸国だけでなしに、北欧諸国を含めまして、やはり年金においては所得の六割保障というものを目標にいたしておりますし、その辺のところは、児童手当について何を基本として考えるかということによりまして、児童手当の額のきめ方の問題、あるいは、また、第一子から含めるか第二子から含めるかという問題、あるいは子供の数が多くなるに従って金額をふやしていくか同額でいくか、こういったような問題が、先生がただいまおっしゃられましたような基本的態度を何に持つかということによって児童手当の内容は変わってくると、かように私どもは承知いたしているわけでございまして、そういった問題につきましては、今後厚生省におきましてその基本的なものの考え方を詰めまして方向を考えていくことに相なるだろうと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/174
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175・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、その児童手当の今度の改正はプラスされているわけですから、それはそれとしましても、私は、日本が先進国といわれているけれども、児童手当が低いところで一律、そうでなければ社会保障としての児童手当に大波を打ってそこへ流れていく、六十何ヵ国も世界じゅうでやっている、日本もいまの生別家族の児童手当でその一国になっているというなら、全くこれはおはずかしい話でございまして、私は、事はそこで済まされないと思うのです。事はそこで済まされないときにいま来ているということを申し上げているわけでありますから、大臣のおことばによると、来年には出したい、悪くても再来年には明確に全児童の児童手当法を出したいとおっしゃるわけですから、そこは大臣の決意を了といたしまして、ひとつ十分に——私だけが議論してもこれはどうにもなりませんから、厚生省の中で、われわれ先進国日本が歩んでいく中で何が必要なのか、どういう法律の内容が必要なのかということを十分に検討をしていただきたい、私はそれをお願いをしておきます。
それから、大臣さっきおいでにならなかったからそういう問題から触れたわけでありますが、今度は国民年金でありますけれども、国民年金の改定は四十一年度にやるということに法律の上ではなっていくと思います。ですから、いまの児童手当の問題と非常に関連がある問題だと私は思う。ですから、いまもう検討されているんではないかと、私はそう思いますから、その来年度から国民年金をお変えになる、どういう構想でお変えになっていこうとしているか、これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/175
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176・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) 御指摘のように、国民年金につきましては、来年が拠出年金の再計算の時期に当たっているわけでございます。再計算の時期ということでございまして、制度改正とは直接法律的には関係ないわけでございますが、しかし、厚生年金におきましても、やはり再計算の時期に従来法律改正を実施いたしております。また、国民年金ができましてからこの数年間というものにおける社会情勢の変化、生活水準の上昇ということがありますので、厚生年金の改正の法案を可決していただきました後におきましては、国民年金の改正にさっそく取りかかる予定でございます。最近、新聞紙上等に、国民年金の改正をこういうふうに考えているというふうな記事もあるのでございますが、これは別にいま成案を持っているわけじゃございません。衆議院の審議の過程における質疑応答を通じまして、こういうことじゃないかというふうな推定ではないと存じますが、ただ、厚生年金におきまして、一番端的に申し上げますと、従来、厚生年金の定額部分が二十年並びに二十年以降におきましても二千円という定額部分でありましたのを、二十年で五千円ということに引き上げ、かつ、二十年を経過する一年ごとに二百五十円加算して、三十年で七千五百円、こういうような定額の構想をいたしておりますので、基本的には、国民年金の改正につきましても、今回の厚生年金の改正によりまして一万円年金を実現するということと見合いまして、給付内容を大幅に改善しなければならない、かように考えておるので、ございます。それにつきましては、大きな問題といたしましては、やはり負担能力という問題があるわけでございまして、これが国民年金につきましては一番むずかしい問題でございまして、給付の改善をいたしますと、その費用をどういう形で、どれだけを現状として国庫負担をしていくかという問題がまっ先に出てくるわけでございます。かつ、また、その意味合いにおきまして、定額制の国民年金というものをそのまま踏襲していいかどうかという問題が出てくるわけでございます。これは一部比例の年金部分というものを付加してはという議論にも通ずる問題でもあるし、かつ、また、保険料にいたしましても、定額の保険料で定額の給付ということでありますと、保険料による所得再配分という要素は非常に少ないわけでございまして、そういう意味におきまして、保険料を報酬比例で把握できないかどうかといった問題も関連してくるわけでございまして、そういった非常にむずかしい問題をかかえておりまして、これは昨年来、国民年金審議会におきまして、次の国民年金の改正については何を問題点とし、そうしてどういう方向でものを考えるかということの御審議は願っておるわけでございますが、まだ今日の段階におきまして具体的な成案を持っておりません。ただ、厚生年金の改正というものに見合いまして、相当大幅な改善が必要であるということは申し上げられるのじゃないか、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/176
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177・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあたとえば私は少し先ほど議論しましたが、これはまた厚生年金のときの議論に関連してくると思いますのですが、私は、たとえば社会保障、所得保障というものと経済の問題のバランスという中から、ヨーロッパ各国は国民所得の二〇%水準にあるということを申しました。これは単に防貧という段階では私はないと思うのです。人権尊重というか、もっと大きく言えば経済社会、国民一体が発展していく、だんだん全体が発展していくコースに入ってきていると私は思う。みんなが汗を流して生産を高めれば、あらゆるところが全体に上がっていく、そういうやはり社会制度、政治体制になっていく一つの一コマを取るとこの社会保障があげられると、私はそう思うのです。たとえば中期経済計画をちょっと見ると、そこらあたりも少し触れているわけですね。三十八年で振替所得を含めて国民所得の五・三%だと、こういっておる。本来の外国並みにいこうとしたならば八・二%、四十三年度は九・九%だと、一応四十三年になったらもっと高い水準になるでしょうけれども、しかし、日本の国民所得の何%が必要だという議論は、これから私は国の経済全体の中で国民生活の論理が出てくると思うのです。それを五・三%から七%で押さえておるのだというようなことが中期経済計画に書いてある。私はそこらあたりがまずよくわからぬところなんです。そこらあたり、この所得保障の国民年金や厚生年金その他の問題の議論というものがうんと議論をされないで、ただ大蔵省のさいふをどっちへどれだけ出すかというようなものの考え方で私はやっておったら、結局その日本の経済なんというようなものは、もう宝の持ちぐされ、むだ経済以外に何にもないのじゃないかと、ひどいことを言うようですけれども、そういう気がいたすわけでございます。ですから、そこらあたりに厚生行政としてはもっと力を入れて、国の経済の中で、これはひいては国民を守ることになるわけですから、そういう行政庁なんですから、厚生省はやっぱりそこに力をお入れにならないとどうにもならぬのじゃないか。たとえば福祉年金を今度お上げになる、千百円から老齢年金が千三百円になる、母子が千五百円、身体障害者が二千円になる。少しずつふえることは、実際に乏しい生活をしている人はそれはけっこうでありがたいでございましょうけれども、しかし、いま最低生活費がどうだというと、大蔵省はその免税点の限度を月に一万二千八百円ですか、独身者でも押さえておる。今度は最低生存費ということになると、それじゃどこへくるかということになると、七千何百円、少なくとも八千円なければ最低の生存ができないのだという、これはまああらゆるところで認められている実態なんだと思う。その実態とこの年金、所得保障の関係というものとのちぐはぐ、さっき児童手当で少し議論をいたしましたけれども、そこら辺は、振替所得がうんと伸びることは国民は困りますけれども、しかし、いずれにしたって、そういう議論というものがもっともっとこの所得保障、年金問題についてはされていいんじゃないか、私はまあそう思うのです。そこらあたりの所感をひとつ大臣から聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/177
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178・神田博
○国務大臣(神田博君) いま藤田委員からお述べになりましたことは私も全く同感でございまして、それはそのとおりだと考えております。厚生省の立場、厚生行政の面からいたしましても、これはやはりそういう考えのもとでこれは担当すべきものだと考えております。したがいまして、私ども中期経済計画等の審議にあたりましても、そういう立場で意見を実は述べてまいっておりまして、日本がまだまだやり足らないと、そういう問題について始終議論をいたしてまいっておるわけでございます。まあ四十年度はいろいろの事情がございまして十分ではなかったのでございますが、これはあくまで姿勢はそういう姿勢で終始したい、努力してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/178
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179・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/179
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180・小柳勇
○委員長(小柳勇君) 速記を起こして。
本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
他に御発言もなければ、本日はこれをもって散会いたします。
午後五時十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814410X01919650517/180
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