1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月八日(木曜日)
午後一時三十分開会
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
梶原 茂嘉君 藤野 繁雄君
四月三日
辞任 補欠選任
藤野 繁雄君 梶原 茂嘉君
四月五日
委員近藤信一君は公職選挙法第九十条により
退職者となつた。
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
上原 正吉君
岸田 幸雄君
向井 長年君
委 員
植垣弥一郎君
大谷藤之助君
梶原 茂嘉君
斎藤 昇君
阿部 竹松君
鈴木 一弘君
国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
政府委員
通商産業大臣官
房長 熊谷 典文君
通商産業省軽工
業局長 伊藤 三郎君
中小企業庁次長 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○小規模企業共済法案(内閣送付、予備審査)
○高圧ガス取締法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/0
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001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告をいたします。
本日は、理事の補欠互選を行なった後、小規模企業共済法案の提案理由の説明を聴取いたし、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案の質疑を行なうこととなりましたから御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/1
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002・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、理事の補欠互選についておはかりをいたします。
去る五日、近藤信一君が議員を退職されまして、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/2
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003・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。それでは理事に中田吉雄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/3
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004・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、四月二日予備審査のため本委員会に付託されました小規模企業共済法案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。櫻内通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/4
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005・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 小規模企業共済法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
国民経済の高度成長の過程におきまして、中小企業は、重要な役割りを果たしてまいりましたが、それとともに中小企業自体もまた全体として相応の発展を示し、中小企業従事著の福祉の向上にも着実な進展のあとが見受けられます。
しかし、開放経済体制への移行、労働需給の逼迫、技術革新の進展等に伴う市場構造の変貌など経済的諸条件の変化を通じて、中小企業が従来からよって立っていた社会的経済的存立基盤は、その根底からゆるがされつつあることも事実であります。このため、中小企業を取り巻く経済環境は、最近に至ってますますそのきびしさを加えつつありますが、とくに中小企業の中でも大きな比重を占める小規模零細企業につきましては、急激に変化する経済環境への適応に立ちおくれ、経営困難の度を強める企業が増大してきており、かかる情勢にかんがみまして、政府といたしましては、昭和四十年度の中小企業対策を実施するにあたり、小規模企業対策に最重点を置くこととし、設備近代化資金貸し付け制度の拡充、商工会、商工会議所を通ずる経営改善普及事業の充実、魚掛保、無保証人による融資の保証にかかわる特別小口保険制度の創設、零細下請企業に取引のあっせんを行なう下請企業振興協会の設立助成等、小規模企業対策の大幅な拡充をはかり、小規模企業の健全な発展と振興を強力に助成してまいる所存であります。
ここに提出いたしました小規模企業共済法案は、これら小規模企業振興対策の一環として、政府が昭和四十年度から新たに実施してまいりたいと考えております小規模企業共済制度につき定めたものでありまして、その本旨は、小規模企業者が相互扶助の精神に基づいて、退廃業後における生活の安定あるいは事業の再建、転業に備えて、その拠出による共済事業を行なうことに対し、国からも所要の助成措置を講じつつ、これを安全確実な制度として確立することを目的としたものであります。
御承知のとおり、小規模企業は、その所得の水準から見ても一般の雇用者と実質的にほとんど差がないにもかかわらず、各種社会保険制度、労働保険制度の適用については、制度上十分な恩典を受けられない実情にあります。したがいまして、小規模企業者が不幸にして廃業または退職のやむなきに至った場合において、本制度により共済されるようになることは、小規模企業者の福祉の増進に寄与するとともに、その資金を再建、転業資金等に充当することが可能となり、本共済制度より生ずる余裕金の適切な運用ともあわせ、小規模企業の振興に多大の貢献をなし得るものと確信する次第であります。
次に、法案の内容につきましてその概要を御説明申し上げます。
第一に、事業団と共済契約を締結できる小規模企業者は常時使用する従業員の数が工鉱業等においては二十人、商業またはサービス業においては五人以下の個人事業主及び会社の役員といたしております。なお、共済契約の締結につきましては、任意といたしております。
第二に、掛け金につきましては、小規模企業者の負担とし、その月額は一口五百円、小規模企業者一人につき十口を限度といたしております。
第三に、共済金は、事業の廃止または会社の解散があったとき、公社の役員が退職したとき、三十年の満期に達したときまたは六十五歳以上で二十年間掛け金を納付したときのいずれかの事由が生じたときに支給することとし、共済金の額は、掛け金納付月数に応じ、かつ、事業の廃止による場合には、特に有利な給付条件になるように定めることといたしております。
第四に、この制度の実施主体につきましては、本共済制度の性格にかんがみ、制度の永続性、積み立て金の管理の安全性と効率的な運用並びに小規模企業者に対する確実な給付を保障するため、全額政府出資による小規模企業共済事業団を設置することとし、業務として小規模企業共済制度を一元的に運営するほか、積み立て金の安全かつ効率的な運用を害しない範囲内で積み立て金の一部を小規模企業者に還元融資をできることといたしております。
なお、小規模企業者の意見をも反映させた民主的かつ適正な運営が行なわれるよう、小規模企業共済事業団に小規模企業に関し学識経験のある者からなる評議員会を設置することといたしております。
このほか掛け金につきましては、別途必要な税法土の減免措置を講ずることといたしております。
以上がこの法案の提案理由及び要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/5
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006・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/6
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007・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/7
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008・鈴木一弘
○鈴木一弘君 この高圧ガス取締法の一部を改正する法律案でございますけれども、前に委員会で例の昭和電工のプロピレン・オキサイドのような高圧ガスについて、これは高圧ガスの取り締まり対象でないということでありました。この提案理由等を見てみますと、高圧から減圧をしていくガスについてということがうたわれているんですが、プロピレン・オキサイドのような常圧ガスに対して、あのときの答弁によれば、十分考えるということがうかがわれたわけでありますが、この点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/8
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009・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) その経緯につきましては、伊藤局長からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/9
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010・伊藤三郎
○政府委員(伊藤三郎君) 昭和電工の爆発事故に対しましては、直ちに通産省で調査団を組織いたしまして、事故原因を追及いたしましたが、そのほか全国の石油化学工場の保安状況を中心に調査をいたしました。その結果、今回の高圧ガス取締法の一部改正案を提案をいたしましたほかに、ただいま御指摘のように、高圧でない部分についてどうするかという点があるわけでございます。これにつきましては、化学工場における爆発の危険性の実態に即応して、その防止に関する研究を因みずから実施をするということで、四十年度予算にその関係の経費を工業技術院に計上いたしております。また、民間の研究に対しましても積極的に助成をする方針で予算案に関係の経費を計上してございます。そのほか、立法措置としましては、新しい法的な規制も含めまして、化学工業の特殊性に応じた保安対策を確立する必要があるということで関係各省と協議を進めてまいっているわけでございます。そういう立法措置につきましては、まだ結論に到達しておらないわけでございます。
このほか、当省といたしましては、石油化学のコンビナートにおける保安協力の体制を整備するように関係の業界と連絡懇談会を設けまして、逐次具体策を樹立してまいりたいということで鋭意進めている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/10
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011・鈴木一弘
○鈴木一弘君 前の昭和電工の爆発がありましたときに、通産省では、工業の可燃性ガスの取り締まり法というようなことを考えて、いわゆる常圧の可燃性ガスを製造する工場が全国で三十くらいある、そういうところでつくられているベンゼンであるとか、いまのプロピレン・オキサイドというようなものについての取り締まりを研究する、その検討をすでに昨年の六月の爆発のときから始められたわけですが、すでにかれこれ一年近くになるわけであります。あれだけの事故がありまして、早く法制化が必要であるというのですが、何かいまの御答弁だと、関係各省といろいろ折衝中である、あるいは調査費を載せたというようなことでありますけれども、非常な困難があって思うようにいかないというのですか、それとも連絡にあまりにも手間どっている、いわゆる消防法との関係で因るということになっていらっしゃるのか、その辺をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/11
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012・伊藤三郎
○政府委員(伊藤三郎君) 化学工場の保安の関係に対する規制としましては、高圧ガス取締法、消防法、労働基準法等が現在あるわけでございます。そういう化学工場の保安に対しまして、新しい法的措置をどういう形でやるかということにつきまして、通産省でいろいろ検討し、関係各省と打ち合わせをしてまいっているわけでございますが、そういう新しい法的規制を実施する場合に、労働基準法、消防法ともいろいろ重複し、あるいは欠けるというような面がございますので、そういう点についてさらに調整をしなければならないという点があるわけでございます。したがいまして、現在のところはまだ成案を得る段階に至っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/12
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013・鈴木一弘
○鈴木一弘君 では、今回私はこれを期待しておったのですが、そういう関係のものが出てこなかった、いつごろ法制化のめどがつくか。でき得れば今国会に出せるのか、この次の臨時国会には出せるのか、その辺の具体的なめどをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/13
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014・伊藤三郎
○政府委員(伊藤三郎君) 私どももできるだけ早く化学工場の保安に対する対策を確立いたしたいと考えておりますが、今国会には間に合いかねると思っております。その後のできるだけ早い機会に化学工場の保安に対する対策を樹立いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/14
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015・鈴木一弘
○鈴木一弘君 この問題はこれで終わりたいと思うんですけれども、大臣、例の去年の六月にあれほど騒がれた大きな問題です。その問題が調査だけで終わってしまって、こういう高圧ガスとの関連もありますけれども、こういうときに並行して出されることが本来望ましかったわけですし、そういうことを期待しておったわけですけれども、今回出なかった。できるだけ急いでほしいと思うんですけれども、大臣としてのお覚悟のほどといいますか、その辺を伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/15
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016・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 申し上げるまでもないのでございますが、高圧ガス取締法とともに、昭和電工のような事故に対処する保安対策の必要は、私も十分痛感をしておるのでございますが、先ほど伊藤局長が申し上げましたように、自治省、労働省、それに通産省と各省にまたがっておりますがために、その間の意見調整に手間どっておることはまことに遺憾でございます。今後促進をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/16
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017・上原正吉
○上原正吉君 せっかく大臣がおいでなんですから、二、三質疑を申し上げておきたいと思うんですけれども、廃業が発達すれば、自然産業災害というものがひんぱんになる、これはまことにやむを得ないと思います。しかし、化学工業の災害——まあ炭鉱の落盤であっても何であっても、それは学問技術で防げます。化学工業の災害というものも、熱心に現在の学問技術を応用していけば、必ずと申し上げては言い過ぎかもしれませんが、ほとんど防ぎ得るはずなんです。というのは、その災害を予見しなければ、化学工業そのものに着手できないものなんです、工業自身の性質が。その一番の適例を申し上げますと、たとえば最も災害が激しかろうと思われるような原子産業ですね、こういうもので巨大な災害を起こしたということはほとんどまれなんです。もし起こるとすれば、これほど大きな災害を起こす化学工業はないと思うんですが、幸いと申し上げていいか悪いかわかりませんが、ほとんどその災害が防ぎ得ておる。死の灰が降るというようなことは、これは防ぐ方法が容易でないからでございましょうが、原子爆弾あるいは原子燃料、こういうものをつくるための災害というものはちゃんと防がれておって産業が起こっておるんですね。この事実から見ても、現在の学問技術を十分に利用して準備してかかれば、災害はあらまし防げるはずなんです。ところが、いつでも何か起こって、当然防ぎ得る災害が防がれないで起こって、起こってからあわてて法律を改正したり、つくったりというのは、どうも政府当局の態度として極端にいえば、たいへん怠慢じゃないか、こう思うわけなんですが、熱心な大臣に、今後のこの化学産業によって起こる災害をお防ぎになる積極的な態度を政府自身がおとりになるために十分な努力を賜わりたいと思うんですが、この点どうなんでしょうか、どんな御準備があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/17
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018・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) いまお話しのように、万全の対策のもとに準備をしてかかれば、ほとんどの災害が防げるということは事実であろうと思うのであります。かりにガスが漏洩をしておる、しかしこれは点検をすれば、わかることだろうと思います。また取り扱いの粗漏のためにその結果引火を起こしたというようなことは、これは従業員の訓練を十分にいたしておりますれば、防げるものであろうと思います。したがって、あらゆる方法を講じまして、防除につとめるべきであろうと思うのでありまして、現に通産省として、必要な個所には立ち入り検査もして、さような不安のないようにあらかじめこれを防ぐような対策をしておるのでありますが、しかしながら、人手も十分でないというようなことで、予算の上におきましても人員の要求などもしておりますが、そういう点に欠けるところがあろうかと思いますが、ただいま御指摘のとおりに、確かにわれわれの対策次第で十分災害を防ぎ得るものと、私もそのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/18
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019・上原正吉
○上原正吉君 せっかく大臣の御答弁なのでございまするけれども、その御答弁の中に御当局並びに通商産業省の各局部の考え方があらわれておると思うのです。それは、たとえばガスが漏洩する場所はそれを発見することができるでしょう、気をつけて調べたりすれば、人間を増して調べたりすれば発見することができるでしょうというふうな、そういうおことばがあり、それと似たおことばが三つ四つ、こういうガスが漏洩するのを気をつけて発見をするという考え方がそもそも化学工業精神に沿わないのですよ。化学工業というものはそんななまぬるいことでやれるものじゃないのです。たとえば人工衛星が空を飛ぶ、もし空気が漏洩するのを発見すればというようなことを言っていられるものじゃない、どんなことがあっても漏洩してはならない、どんなことがあっても漏洩してはならないのにはどういうふうにするかということを調べるのが学問なんです、技術なんです。またそういう事業として行なう場合に、ガスが漏洩するかどうかは番人をつけておいて番をしなければならないというような化学工業なんというものはやれるものではないのです。ですから、私はそのお心がけの中に、どうも事が起こってから追っかけて法律をつくったり、規則をつくったり、注意をしたり、こういうふうにしか考えられないので、根本的に、これからますます勃興するであろう化学工業に対する取り締まり当局としての心がけに欠けるところがあるのじゃないか、これを御指摘申し上げておるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/19
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020・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) この私がお答えしているのは、むしろ現在の実情からのお話を申し上げておるつもりでございます。現に事故が起きる、そうするとその事故は何か、こういう先生のおっしゃるような高度の技術の面よりも、むしろ低い技術の面、あるいはその扱っておるものが教育が未熟なもの、そういうような面からの事故のほうが多いんではないか、またそういう面についての指導とか立ち入り検査の必要があるのじゃないか、こういう見地に立ってお答えをいたしたのでございますが、しかし、御指摘のようにそういうあとを追っかけての対策はこれはもう十分でない、そういうような考え方がいかぬと言われるのは、まことに一々ごもっともなことでございます。そういうことがないように施策を進めていくべきでありましょうが、しかし、現在は程度の低い、技術の低い工場とか、あるいは技術者を相手にしておるところに事故が相当多いのじゃないか、これもやはり頭に置いて対策を立てなければならない。おっしゃるような高度のものにつきましては、そういうあとからの措置ではこれはもう当然間に合わないかと思いますので、そのためには工場の設計、あるいはいよいよ工場が作業を開始する前の検査などについての万全を尽くす、あるいは設計書など許可、認可を与える場合に万全を尽くす、こういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/20
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021・上原正吉
○上原正吉君 どうも質問と御答弁とが並行するおそれがあるのですが、たとえどれほど程度の低い工業にしろ、化学工業と名のつくものは、間違いがあれば従業員の人命に関し、付近に住む人たちの財産を焼き滅ぼし、命をそこなうという、結果が大きなこともあれば小さいこともある。たとえ一人でも二人でもそのためにけがをするとか命がなくなるといえば、これは重大問題なので、これを軽度だと扱う心がけに私は不満なんです。だから、そういうことが起こらないように、まず高度の技術、学問のある者でなければ化学工業は行なえない。事業としてこれを扱うからには、高度の技術者を擁すべきである、それが足らなければ、それを養成する施設にも学校にももっと力を入れるべきである。こういう考えでございまして、どうもあとから追っかけで、火薬が爆発すれば火薬工場の取り締まり規則をつくるなどというようなことでは、まことに困ると思うのです。現在の学問、技術でいけば、どういう火薬は何グラムのものを燃やせばどれほどのエネルギーが発生するかということがちゃんと計算ができるのです。そのくらいな計算をすることができて、それを防ぐにはどれだけの壁の厚さがあればいいかとか、あるいは距離がどれほどあればいいかとかと、これも計算がちゃんとできるのです。皆やっているのです。だからそういうことから始めで、学問、技術を縦横に駆使できるような化学工業を建設してほしい、そういうお心がけでお進めを願いたいと、これを申し上げておるのですが、そのままでけっこうですから、この点に関しても御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/21
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022・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) もう御指摘のとおりでございまして、私どもの心がまえとして、また施策をやる上におきましても、お話のような心がまえで処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/22
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023・上原正吉
○上原正吉君 ぜひそうお願いいたしたいと思うのでございます。ことに、この高圧ガスというものの中にいろいろございますが、結局、化学反応というものは固体と固体では容易に起こらないのでして、液体と液体で起こすのが一番楽なんで、一番普通用いられる化学工業の作業態なわけなんです。それからガスとガスとならまだ簡単なんです。しかし、目下一番用いられそうな、今後ますます発達していきそうなのは液化、ガスですね。常温の場合には普通のガスが、高圧を加えて冷却して液化して、そうしてこれで化学反応を営ませる、そうして製品をつくり上げるという工業が今後ますます発達していくと思うのです。そうすると、それ以外に化学工業を発達させる道はないと私は思うのですから、今日のような通商産業省のお考え方、取り締まり方法律のつくり方、監督のしかた、技術者の養成のしかた、これは非常に不安であるとともに不満でもあり、かつ、日本の将来をになう政府御当局の心がけとして欠けるところがあるのじゃないかと思う次第でございまして、率直に申し上げましたが、これは希望でございます。どうかひとつ全国民が安心できるような教育なり、施設なり、法律なり、試験なりやっていただくように切にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/23
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024・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまお話がございましたように、私の手元にある液化ガスの関係をみましても、液化酸素を使う溶接、溶断、製鋼等の高圧ガス消費事業所は二百十になっております。あるいは液化石油ガスの事業所が三百十というように、非常に液化ガスを扱う事業所というものが多いのでございまして、これらに対応する技術者を養成をする、そうしてその事業所にふさわしい貯蔵とか施設とかいうようなものを万全を尽くす、これはお話のとおりであろうと思います。今回御審議を願っておる高圧ガス取締法の趣旨もそこにあろうと思いますので、さらに一そう今後気をつけて努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/24
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025・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/25
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026・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記を始めて下さい。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01219650408/26
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