1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月七日(金曜日)
午前十一時五分開会
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委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
増原 恵吉君 鳥畠徳次郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
上原 正吉君
中田 吉雄君
向井 長年君
委 員
植垣弥一郎君
斎藤 昇君
鳥畠徳次郎君
前田 久吉君
藤田 進君
鈴木 一弘君
衆議院議員
発 議 者 田中 武夫君
発 議 者 麻生 良方君
修正案提出者 浦野 幸男君
修正案提出者 大村 邦夫君
政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
公正取引委員会
事務局長 竹中喜満太君
通商産業政務次
官 村上 春藏君
通商産業大臣官
房長 熊谷 典文君
中小企業庁長官 中野 正一君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○中小企業者の事業分野の確保に関する法律案
(衆議院送付、予備審査)
○下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(第三二号)(衆議院送付、予備審査)
○下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(第三号)(衆議院送付、予備審査)
○小規模企業共済法案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/0
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001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、中小企業者の事業分野の確保に関する法律案ほか三案の提案理由の説明を聞きました後、小規模企業共済法案及び海外経済協力基金法の一部を改正する法律案の審査を行なうこととなりましたから、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/1
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002・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、委員の異動について御報告いたします。
本日、増原恵吉君が辞任され、その補欠として鳥畠徳次郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/2
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003・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) それでは、これより議事に入ります。
予備審査のため、本委員会に付託されました中小企業者の事業分野の確保に関する法律案、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(閣法第一二七号)、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(衆第三二号)、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(衆第三号)、以上、四案を一括して議題といたします。
発議者並びに政府側から、順次提案理由の説明を聴取いたします。発議者、衆議院議員田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/3
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004・田中武夫
○衆議院議員(田中武夫君) 社会党提出、中小企業者の事業分野の確保に関する法律案の提案理由を御説明いたします。
今日、中小企業の経営がきわめて困難な状態に置かれている原因の主たるものは、対大企業との関係であります。大企業がその資本力にものをいわせて、従来の中小企業の分野にまでどんどん進出し、弱小中小企業を駆逐しつつあるのが今日の実情であります。大企業が中小企業分野に進出するやり方には、大企業自身が直接行なうもののほか、既存の中小企業に資本や役員を投入して、実質上の支配権を確立する方法があります。このような傾向を放置しますならば、中小企業は近き将来、その存立の基盤までも奪われること必至であります。
わが党は、この事態を深く憂慮し、かねて中小企業者に適切な事業分野を確保して、その経営の基礎をまず安定させなければならないと繰り返し強調し続けてまいったのであります。これに対して、政府自民党は、事業分野を定めてこれを中小企業者に確保することは、憲法に違反するといって反対してきたのであります。しかしながら、事態の悪化は、誤れる違憲論をもって放置することを許さず、最近ではようやく政府自身でさえ、大企業と中小企業との間の事業分野について、何らかの調整の必要を認めざるを得なくなっているようにうかがえるのであります。
この際、中小企業に適切な事業分野を明確にし、その分野への大企業者の進出を規制することによって、中小企業者に存立の基盤を確保することが何よりも緊急必要なことと存ずる次第であります。これが本法律案を提出する理由であります。
次にその内容の概要を御説明いたします。まず第一に、本法律案は中小企業者の事業分野として確保すべき適切な業種を次の基準に基づいて、政令で指定することにいたしております。すなわち、製造業、建設業またはサービス業に属する業種のうち、その業種に属する事業を営むものの総数のおおむね五分の四以上が中小企業者であり、かつ、その業種の過去一年間の生産実績なり取り扱い量のおおむね三分の二以上が中小企業者によって占められ、経済的にも中小規模の企業形態が適切であって、もしこの分野に大企業者が進出する場合においては、中小企業者を著しく圧迫すると認められるものを、中小企業の事業分野として確保しようとするものであります。
第二に、指定業種を営むものはすべてこれを届け出させ、大企業者が指定業種の分野に新たに進出し、拡張することを制限し、これに違反するものには罰則をもって臨むことといたしたのであります。
第三に、大企業者がみずから行なわなくとも、資本的または人的関係において支配力を持つ中小企業者をして行なわしめる場合も、同様に規制の対象とし、主務大臣が大企業者に対しその違反行為を排除するための命令を出すことができるようにして、予想される脱法行為を未然に防止することといたしたのでありまま。
第四に、かかる業種の指定並びに大企業者の進出制限、脱法行為の禁止等に関する政令を制定、改廃する場合、大企業者に対する命令を行なう場合は、特に公正を期すため中小企業審議会に諮問することといたしたのであります。
以上が本法律案提出の理由並びにその内容の概要であります。何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げまして、提案説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/4
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005・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 臼井総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/5
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006・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
本改正案の内容は、第一に、下請代金の支払い期日は、給付の内容について検査をするかどうかを問わず、その給付を受領した日から起算すべきものである旨を明確にし、第二に、親事業者が下請事業者に対し交付すべき書面の記載事項として、下請代金の支払い方法その他の事項を追加し、かつ、記載事項については、公正取引委員会規則で定めることとし、第三に、親事業者が下請事業者に対し有償支給した原材料等の対価を、下請代金の支払い朝日より早い時期に、その下請代金と相殺し、または支払わせることにより、下請事業者の利益を不当に害することとなる親事業者の行為を規制し、第四に、下請代金の支払いにつき、一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形を交付することにより、下請事業者の利益を不当に害することとなる親事業者の行為を規制し、第五に、下請代金の支払いを遅延している親事業者に対し、下請代金の支払いとあわせて遅延利息の支払いについて勧告することができることとしようとするものであります。
これらは、本法施行後の経験と中小企業政策界議会における本法改正に関する意見の内容に照らし、また、第四十七回国会における「中小企業の危機打開に関する決議」の主旨を尊重して、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめることにより、下請事業者の利益を保護するための措置を講じようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/6
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007・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 発議者、衆議院議員田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/7
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008・田中武夫
○衆議院議員(田中武夫君) 社会党提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり中小企業問題は、今日わが国産業経済の最も重要な課題の一つであり、最近における中小企業の危機的様相は、まことに憂慮にたえないところでありますが、こうした中小企業の危機を端的に示し、中小企業が直面している各種の問題を、最も集約的に包含しているのが下請企業であります。わが国の下請取引関係は、経済の二重構造のもとで、親企業が下請企業を収奪することによって自己の資本投下を節約し、雇用労働者の労働条件抑圧の効果をおさめ、下請企業を景気変動の安全弁として利用するというきわめて冷酷な日本的特殊性を持つものであります。
下請企業は、このような下請制の本質から、平常の事態においても、親企業の恣意的な下請単価の設定、長期手形による下請代金の支払い さらにはきわめて不明確な下請契約等、常に不安定な立場に置かれておりますが、企業例産の記録が毎月更新される最近の経済情勢においては、さらに一方的な発注の打ち切り 極端な単価の切り下げ、あるいは商取引の範疇を脱した支払い条件の悪化等業一般化しており、下請企業の苦況はきわめて深刻なものとなっているのであります。しかも山陽特殊製鋼等の例にみるとおり、一たび親企業が倒産すると、親企業自身は、会社更生法の適用によって再建されるにもかかわらず、下請企業は、下請代金は更生債権として凍結され、銀行からは約手買い戻し請求を受け、一切の私財を投げ出して債務を処理せざるを得ず、結局、親企業のために自滅するのでありまして、これは一身を犠牲にして主君を守るという封建時代の慣習と何ら異なるところはないのであります。このような親企業と下請企業の関係は、まさに前近代的な身分的支配従属関係が今日歴然として存在することを示すものであり、二十世紀における日本の不思議といっても過言ではないのであります。
われわれは、このような下請関係は、基本的には広範かつ強固に下請制の利用を許しているわが国の前近代的産業秩序に基因するものであり、その改革には、まず中小企業省の設置と公正取引委員会の抜本的強化が必要であると考えております。しかして、近代的な下請関係の確立をはかり、下請企業が親企業と対等の立場で取引し得るようにするためには、こうした組織の整備と相まって、下請関係の特殊性に立脚した強力かつ包括的、統一的な下請関係法制を確立することが必要であると考えているのであります。かような見地から、われわれは中小企業等協同組合法、中小企業団体法による団結権、団体交渉権をより明確かつ強力なものにし、下請企業者の団体と親企業の間で締結された協定には法的拘束力を認め、協定の基準が一般化されるような措置をとり、中央・地方に下請関係調整機関を整備する等の点について、目下鋭意検討を進めているのであります。
しかるに、今日政府のとっている下請企業対策は、きわめて消極的な立法である下請代金支払遅延等防止法のほかは、一般的な独禁法、中小企業施策があるにすぎず、下請関係の特殊性に着目した積極的な対策は何一つないのが実情であり、今回ようやく下請代金支払遅延等防止法改正案が提出された程度であります。しかも、この改正案は、昨年末衆議院本会議で行なわれた「中小企業危機打開に関する決議」の趣旨、中小企業政策審議会下請小委員会の中間答申及び法施行の経験に基づき提出したと称しておりますが、その内容は、現行法の解釈を明確にするほか若干の規制を行なうにとどまり、最も重要な手形サイト、トンネル会社等の問題は、すべてこれを回避したまことに不十分なものであります。これでは下請関係の改善は何ら進展しないにひとしいと言わなければなりません。
もとよりわれわれは、下請関係の改善は、全般的な下請関係法制の中で、初めて十分な効果をあげることができると考えるものでありますが、下請代金の支払い遅延を防止することは、当面最も緊急を要する課題であり、また、政府提出改正案があまりにも不十分な内容であることにかんがみ、その対案として、ここに本改正案を提出した次第であります。
次に、その内容を御説明申し上げます。改正の第一点は、親事業者の範囲を拡大することであります。その第一は、資本の額または出資の総額が一千万円以下の法人たる事業である場合でも、業種によつては公正取引委員会規則で定める範囲において、親事業者とすることであります。これは下請取引の実態にかんがみ、一千万円以下のものも親事業者として規制しようとするものであります。その第二は、所定の資本の額または出資の総額を有する法人たる事業者から資本的、人的に支配を受けており、かつ、その事業者に対し物品を販売し、またはその事業者から物品の製造委託、修理委託を受けることを主たる事業としている法人たる事業者であって、個人または所定の資本の額もしくは出資の総額を有する法人たる事業者に対し製造委託、修理委託をするものを親事業者とすることであります。これはいわゆるトンネル会社を規制するものであり、下請企業の資本力がトンネル会社を上回っている場合でも、トンネル会社を支配している企業の資本力に応じ、トンネル会社を親事業者として規制するものであります。
改正の第二点は、親事業者は、下請代金の支払いを手形で行なう場合、手形の満期が下請代金の支払い期日後でなければ到来しない手形を交付してはならないことであります。すなわち、親事業者がやむを得ず手形で下請代金を支払う場合でも、給付を受領した日から六十日以内に満期が到来する手形でなければ交付してはならないのであります。本来下請代金は、給付の受領と同時に現金で支払うべきものであり、かりにやむを得ず手形で支払う場合は手形サイトを明確に規定することが必要であります。この改正は、下請代金の 支払いを本来あるべき姿に近づけようとするものであります。
改正の第三点は、親事業者が下請事業者に対し交付すべき書面の記載事項について、下請代金の支払い方法その他の事項を追加し、その記載事項は公正取引委員会規則で定めることとし、この違反に対しては罰則を科することであります。現行法及び政府提出の改正案は、単なる訓示規定にとどまり、親事業者が交付書面を交付せず、あるいは所定の事項を記載しないことによって、下請代金の支払いを遅延することを的確に規制することができないものであります。そこで本改正案は、罰則をもってこれを順守させようとするものであります。そこで本改正案は罰則をもってこれを順守させようとするものであります。
改正の第四点、原材料等の対価の早期相殺等の規制、改正の第五点、遅延利息の支払いの勧告は政府提出の改正案と全く同様であります。
改正の第六点は、第五条の書類の作成及び保存の義務を下請台帳の作成保存義務とし、これの記載事項に遅延利息の支払いを追加することであります。これは本法制定後今日まで九年間、遅延利息を支払わせた事例が一件もない実情にかんがみ、特に規定したものであります。
改正の第七点は、公正取引委員会が本法違反に対し勧告を行ない、これに従わないため公表した場合は、独禁法の適用があることを念のため明確に規定することであります。
改正の第八点は、中小企業庁長官は下請業者の利益を保護するため特に必要があると認める場合、報告をさせまたは検査することができることになっておりますが、これを「特に」を削り、必要があると認める場合行ない得ることとすることであります。
以上、提案理由及び要旨を簡単に御説明申し上げましたが、十分御審議の上すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/8
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009・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 発議者、衆議院議員麻生良方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/9
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010・麻生良方
○衆議院議員(麻生良方君) ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
最近毎月のように記録を更新している企業倒産件数の約三割は下請中小企業と言われております。下請が苦境に立った最大の原因は、言うまでもなく親事業者の支払い条件の悪化であります。中小企業庁調査によりますと、昨月一−三月で一千二百六十一社の親事業者のうち三百六十七社が下請法違反であったし、四−六月には一千四十五社のうち三百四社が違反していることが判明しました。監査官庁の調査によってすら全体の約三割が違反しているという事実、しかも、このような違反が現行法の制定から減少するのでなく、むしろ増加している点、下請業者の根の深さがうかがわれるのであります。
政府も、現行法の不備に着目されて、総理大臣の諮問機関である中小企業政策委員会をして、現行法の改正を目途とする下請対策を諮問し、これに基づいて改正案を提出されておりますが、政府としての当然の措置であったと思います。
私どもは、かねてより現行法の全面改正案を検討いたしまして、法律の名称も「下請関係調整法」と改称し、下請代金の支払い遅延防止のみならず、下請関係全般にわたる正当なる秩序と取引関係の確立、下請事業の育成と振興にわたる法の全面改正案をすでに用意しております。したがって、これは商法上の契約関係に触れ、経済法の改正としては根本問題に触れる大改正となり、法案審議にも相当の長時間を要します。われわれとしましては、このような大改正はそれとして、当面は緊急措置としての一部改正をすみやかに実現に移すことの必要性が、優先すると考えます。この方針に立って、私どもは本年二月に緊急を要する一部改正案として提案したのが今回の一部改正案であります。
改正点は三点あります。第一点は、法の解釈として、また法の運営として、まことにあいまいな扱いをうけている「第二条の二」の法定支払い期間と検収期間との関係を明確にした点であります。現行法では法定支払い期間が六十日以内と定められておりますが、支払いに至るまでの間に必ず行なわれるであろう物品検収の期間は、法定期間に含まれるのか含まれないのか法律に明記されておりません。したがって、親事業者の支払い期日が法定期間を過ぎるとしても、それは親事業者にとって必要とした検収期間をさらに加えた期間であったといえば、それは違法ではないことになります。われわれの改正案の第一点は、このように支払い遅延を招く法律上のあいまいさをまず排除することに置きました。
改正の第二点は、第七条の「勧告等」の条項に新たに「親事業者が法定期日以内に支払いしない等の不公正行為を行なったと公正取引委員会が認める場合、公正取引委員会が特に必要ありと判断するときは、その不公正事実を公表することができる」ことにした点であります。第七条一項、二項には、まず不公正行為を取りやめるよう勧告をする規定があり、同三項には、その勧告に従わなかったときは公表することができるとの規定がありますが、今回の改正点は、勧告なしで直接に公表することもできるという改正であります。これは親事業者の故意の遅延を絶滅せしめるための当然の措置でありまして、現行法のように勧告期間を過ぎてから公表というように長時間をかけるのでは、その間支払い遅延期間は長くなり、下請事業者の窮状は一そうひどくなる一方なのであります。
改正の第三点は、公正取引委員会の勧告の一つとして、新たに遅延利息の支払いがおくれている場合、それを支払うべきことを勧告することができることにした点であります。第四条の二に遅延利息が法定されているのでありますから、これが支払い遅延についても、代金の支払い遅延の場合と同じく、公正取引委員会の勧告権が発動するのは当然であります。これが欠けていたのは現行法の不備というほかはありません。
以上三点の改正点は、いずれも下請代金等の支払い遅延を防止するための現行法の緊急是正点のみであります。
私どもは以上三点の改正こそがまず緊要と判断し、あえて改正点をこの三点に限定して提案したのであります。
何とぞ、慎重審議の上、本案に御賛成あらんことを希望いたしまして、提案理由の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/10
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011・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 以上で四案に対する提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、いずれも後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/11
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012・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、小規模企業共済法案を議題といたします。
本案につきましては、衆議院において修正されておりますので、まずその修正点の説明を聴取いたします。衆議院議員大村邦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/12
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013・大村邦夫
○衆議院議員(大村邦夫君) 小規模企業共済法案の一部修正案に対する趣旨説明を行ないます。
ただいま議題となりました小規模企業共済法案について、衆議院商工委員会において修正いたしました修正部分について、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
御承知のように、本法案におきます小規模企業者とは、常時使用する従業員の数が鉱工業等においては二十人、商業またはサービス業においては五人以下の個人事業主及び会社の役員となっているのであります。このような小規模企業者の定めは、中小企業基本法にのっとっているところでありますが、この規定は小規模企業における業種の従業員の数を主とし、その業種が個人事業主であるか会社の役員であるかに区分し、小規模企業に制限を設けているのであります。
しかしながら、現在わが国における小規模企業と言われますものの中には、経済事業を営む者と、経済事業を行なう者とがあって、その経営形態で企業または組合組織によっているのであります。このように経営形態か異なる二つの一方を本法案の対象とし、組合組織をとっている中小企業団体を制度上認めているにかかわらず、これらの組合等については小規模企業共済制度への加入対象外になっているのであります。このようなことでありますと、小規模企業振興対策の一環としての本法案の趣旨に沿わないことになりますので、この際、小規模企業の経営指導に多大の貢献を果たしております中小企業団体の役員を小規模企業者の範囲に加え、本制度の拡充をはかることといたしたのであります。
次に、修正の要点を申し上げますと、中小企業団体であって、政令で定めるものの役員を小規模企業者の範囲に加えたことであります。その他関係条文の整理修正を行なったものであります。
以上が修正をいたしました趣旨及び内容でございます。何とぞ御審議の上御賛成をお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/13
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014・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 以上で、修正点の説明は終了いたしました。
次に、政府委員から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/14
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015・中野正一
○政府委員(中野正一君) 小規模企業共済法案についての補足説明をいたします。
小規模企業共済法案提案理由を大臣から御説明があったわけでありますが、この法案の要旨は、要するに小規模企業者が相互扶助の精神に基づきまして、退業、廃業後におきます生活の安定あるいは事業の再建に備えまして、日ごろからの拠出によりまする共済事業を行なうことに対しまして、国からも所要の助成措置を講じまして、特にこの契約主体となる事業団につきましては、全部国の費用でもってこれをまかなう。そういたしまして、これを安全確実な制度として確立したいということが趣旨でございます。
法案の内容に従いまして、問題点を御説明いたしたいと思いますが、まず、本共済制度の対象となりまする小規模企業者、これは第二条に定義がございますが、常時使用する従業員の数が二十人以下の個人で、工業その他の業種をやっている者、商業、サービス業につきまして、従業員が五人以下の個人あるいは会社、それからいま御説明がありました衆議院の修正によりまして、このような小規模企業者を主体としておりまする組合の役員というものもこれに入ってくるわけでございまするが、この小規模企業者の数がどの程度かということでございますが、総理府の三十五年度の事業所統計によりますると、約三百万人と推定されております。そのうち、個人事業主が約二百七十万人おります。業種別にみますというと、商業、サービス業が約七〇%、製造業が約一六%となっております。
次に、本共済制度の特色について申し上げますると、まず第一に、共済の契約者、小規模企業者が、もちろんこれは事業団と任意に共済契約をするわけでございまするが、この共済契約者が納付する掛け金、これは最低月に五百円、最高十口で五千円ということに法律でなっておりますが、この掛け金につきましては、生命保険料控除の適用があるということになっております。掛け金五万円につきまして、年額三万五千円の限度で所得控除が生命保険料の納付については認められておりますので、この掛け金についてはこの中でひとつ所得控除をやろう。これは昭和三十七年に自営業種についてどの程度まで生命保険の控除が行なわれておるかということを実績を見ますというと、平均して二万二千円になっております。そうしますと、最高三万五千円までは所得控除があるわけでありますから、二万二千円を引きました一万三千円が、掛け金をしてもそれだけはまだ所得控除を受けられる余裕があると、こういうことになるわけでありまして、この生命保険料控除の適用によりまして、小規模企業者の納付する掛け金については税法上の特典が受けられる、こういうことになっております。
それから、退業、廃業あるいは死亡等のときに共済金を事業団から給付するわけでありますが、この共済金につきましては、共済契約者が生存中に受け取るものにつきましては、これは一時所得になるわけでありまして、これは退職所得にすべきじゃないかという議論もございまするが、この案では一時所得になる、税法上はそういうことになっておりまして、そうなりまするというと、税金の関係でございまするが、一時所得になりまするので、たとえば五十万円なり四十万円なりという共済金をもらいますると、税関係はどうなるかということでございまするが、そのうちで掛け金に相当する部分がございまするので、これには税金はもちろんかかりません。したがって、掛け金相当分を除きました共済金の受け取り金額 これが一時所得として取り扱うということになります。その場合には、所得額か三十万円——共済金を三十万円以下もらいまするというと、これは全額控除になります。それから三十万円をこえて四十五万円未満のものにつきましては、六十万円からその所得額を引いたものを特別控除する。それから四十五万円以上の場合は、十五万円の特別控除、こういうことに相なるわけでございます。
それから次に、共済金支給でございます。これは第九条にございまして、どういう場合に共済金がもらえるかということでございますが、第一が事業の廃止、これは会社の場合は会社を解散するということでございますが、個人事業主の場合は事業がもうやっていけなくなってやめる場合、それから事業主が年をとって子供さんに事業を譲るという場合もございます。このときも事業主としての地位を失うわけでございますので、事業の廃止になります。会社の場合はこの場合解散。それからこれは満期が三十年ということになっておりますが、満期までかけた場合、この二つの場合を特に優遇をいたしまして、有利な共済金を受けられるということになっております。それからその次の場合は、会社の場合におきまして退職をした場合、これは任意に退職するわけでありますが、退職をして会社の役員でなくなった場合、それから六十五歳以上で二十年以上かけた場合共済金をもらいたいという請求があった、この二つの場合がその次のケースでございまして、いま申し上げましたように、事業の廃止の場合と退職の場合、これは幾ぶん給付金を変えていまして、事業の廃止に有利なように扱われておりまして、掛金五千円の場合で、これは別表にありますが、十年で八十八万三千二百円、二十年で二百五十五万六千七百円、三十年で五百七十二万七千八百円の共済金を給付するということになっております。
それからその次に、木共済制度の運営につきまして、第四十二条に業務の範囲がございまするが、この四十二条の第一項の各号に規定されておりますとおり、小規模企業共済事業団で行なうということになっておりまするが、その業務の一つといたしまして、この共済契約者及びこれを主たる構成員といたしまする団体に対しまして、この事業資金について低利の還元融資ができるということにいたしております。
さらに、五十条でございまするが、五十条に余裕金の運用ということが書いてございまして、余裕金の運用にあたりましては、安全確実かつ効率的に行なうことを前提といたしまして、しかも小規模企業者に融通されるよう配慮する、特にまた商工組合中央金庫の債券の取得を主体といたしまして、関係金融機関への預託等を行なうことになっております。
それから最後に、本共済制度の運営の見通しでございますが、これはなかなかいまのところ見通しもむずかしいのでありますが、御承知のように、この小規模企業共済制度をつくってほしいということは、全国の中小企業者、特にその団体でありまする中小企業団体中央会、それから各地方にありまする商工会、それから商工会議所、それから税関係では青色申告会というふうな各方面から非常に要望がございまして、一部では民間でもこれをひとつやろうじゃないかという空気もあったのでございますが、いろいろやってみますというと、民間でやれば相当経費もかかりますし、それから相当長期に掛け金をしてもらうのでございますので、それを安全確実に運用し、また共済金等についてもできるだけひとつ小規模企業者に有利なように支給をしようというようなこと等を考えますと、なかなか民間ではできない、それで国の機関でやってほしいという要望があったわけであります。そういうこともございますので、都道府県はもちろんのこと、商工会、商工会議所、中央会等の中小企業団体及び金融機関に協力をしていただきまして、この加入促進等をはかりたいと考えておりますが、昭和四十年度は初年度でございまするので、これは加入目標を一応三万人というふうに見ております。次年度以降増加させるようにいたしまして、四、五年後には大体三十五万から四十万程度の加入、余裕金が全体で二百億程度になるのじゃないかというふうな見通しを持っております。
なお、本共済制度の普及をはかるために、第四十三条に規定しておりまするとおり、調査、広報、加入手続、掛け金の徴収等に関する業務の全部もしくは一部を広く商工会、商工会議所、中小企業協同組合その他の中小企業団体に委託することができるような規定になっておりまして、これに対しては委託手数料を払うということにいたしておりますので、この制度の普及とあわせて中小企業団体の組織化の強化にも役立つのじゃないかというふうに考えております。
なお、最後に予算関係でございますが、これは二十六条にございまするように、事業団に対する出資は全部政府出資といたしまして、これは初年度四千万円の出資をいたすことになっております。それから法律には出ておりませんが、予算書できまっておりますように、この事業団に対する事務経費は全額国が持つということで、事務経費の補助三千万円、これは一応四カ月分を見ておりますが、事務経費が三千万円というふうな予算になっておるわけでございます。
簡単でございますが、この法律案の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/15
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016・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 以上で補足説明は終了いたしました。
それではこれより質疑に入ります。御質疑のおあり方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/16
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017・上原正吉
○上原正吉君 お尋ねをちょっといたしますが、この共済金ですね、支給される共済金と掛け金と、たとえば一万円かけたら何ぼの共済金が出るか。かけるほうは積もって、一万円ずつ百回かけたら百万円になる。これは五百円ですから、十回で五千円で百回で五万円ということになりますが、その掛け金と、それからその条件を備えて共済金を受け取るときの共済金の比率はどんなふうなことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/17
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018・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは先ほどもちょっと申し上げましたが、共済金の計算は、事業主が廃業する場合と、それから満期になる場合、これがちょっと有利になっております。それから退職の場合と、それから六十五歳以上で二十五年以上かけた場合、これがちょっと一割程度の差を設けておりますが、廃業の場合で申し上げますというと、これは利回りで一応計算したほうがおわかりやすいかと思いますが、七分二厘程度の半年複利の計算、そういうことで共済金の金額は別表に書いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/18
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019・上原正吉
○上原正吉君 その廃業の場合でなくて、そのほかあと三つ四つあるわけですね、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/19
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020・中野正一
○政府委員(中野正一君) 廃業の場合とそれから三十年満期の場合が七分二厘程度になっております。それから退職の場合、それから六十五歳以上で二十五年以上かけた場合というのが、半年複利で六分余というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/20
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021・上原正吉
○上原正吉君 そうすると、これはいわゆる何といいますかな、昔から月掛け貯金というやつがありますね、それとあまり変わらないように思います。場合によっては月掛け貯金のほうがもっと利回りがいいんじゃないかと思われるのですが、こういうことで相当な加入者があるというお見込みなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/21
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022・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘がありましたように、これはまあ小規模企業者の共済制度でございますので、廃業等に特に重点を置いてやっておりまするが、利回りだけからいいますと、いま御指摘のようなことになりますが、これは非常に長期にわたって掛け金をやるわけでございますので、その安全性等も十分見なければなりませんので、できるだけ共済金の給付については、この小規模企業者のかけた方々の有利なような計算方法をいたしております。大体現在ある制度では御承知と思いますが、労働省でやっておりまする中小企業の退職金共済事業団、例の中小企業に働いておる従業員の退職金制度、これと大体計算上はほぼ同じような計算になっております。ただ労働省の共済事業団につきましては給付金について一部国庫補助をいたしているわけでございます。これは三年以上かけまするというと、月の掛け金二百円につきまして五%、それから十年以上かけますと、月の掛け金二百円についてその一割の二十円の補助金がついておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/22
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023・上原正吉
○上原正吉君 月掛け貯金とあまり変わらないような率で共済金が支払われるということが、すでにあまりありがたい制度ではないということになろうと思うのです。ことに国の補助がないとすれば、これはもう中小企業者の期待に反すること大なるものがありはしないかと心配するわけなんです。まあさしあたりこういう制度から出発していかなければならぬという事情もよくわかりますし、また将来改善されていくであろうという期待も持っているわけなんです。しかし、それだけでは救われない問題が残る。というのは、いま長官は、二十年、三十年先のものを払うのだから、安全性を考えなければならぬとおっしゃったが、それは話があべこべだろうと思う。二十年先、三十年先の七十万円といまの七十万円とではおそらくわけが違うと思うのです。物価は開闢以来の、年々歳々じりじり上がっているのでございまして、たとえば正命保険なんかにおきましても、二十年も三十年もたってから保険金を受け取ってみたらたばこ一つしか買えなかった、給料の何割かを積み立てて保険をかけて、保険金を受け取ったらたばこ一つしか買えないと、こういうことになりかねない。こういう制度は、長期に掛け金をかければかけるほど、かける人の危険が大きくなるわけなんです。危険というよりも、むしろ私は損害というほうが確実だと思うくらいなんです。この点に対してどういう対策がおありなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/23
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024・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに非常に長期にわたって掛け金をかけて、相当長い先で給付金なり共済金をもらったところで、その間にいろいろ経済情勢の変動等によって物価の変動などもございます。そういう点も配慮いたしまして、法律の第五十八条に「掛金及び共済金等の額は、少なくとも五年ごとに、共済金等の支給に要する費用及び運用収入の額の推移及び予想等を基礎として、検討するものとする。」ということで、給付をどのくらいにするかということは、五年ごとに再検討をするという条項で、ただそれだけでは足りないので、むしろスライド条項といいますか、物価等の変動に応じてそういうような議論も出てくるかと思いますが、この第五十八条を十分活用しまして、そのときの情勢に合ったように善処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/24
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025・上原正吉
○上原正吉君 どうも御説明では不十分なように思うのです。五年ごとに掛け金の金額と支給する共済金の金額とが変わっていくことだろうと思うのです。そうなると、やはり五年ごとに変わっても一年ごとに変わっても理屈は一緒で、古くかけた者ほど何といいますか、高価な掛け金をしたことになっていくんじゃないかと思うので、結局物価というか、通貨の価値というか、それにスライドするという制度でないと、ことに零細業者を救うために立てた制度としては不完全じゃないかと思うんですが、もう少し手厚い給付は考えられないものでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/25
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026・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま政府としては、いまの五十八条の条項等を十分活用してやってまいりたいと。しかし、これはわが国の一種の社会保険といいますか、そういうふうなこれもまあ一種の社会保険制度に近い制度でございますから、そういうほかの制度等を十分研究いたしまして、そういう物価の非常な変動、長に期間にわたるそういう問題に対して一体どうするかということは、今後の問題として十分これは考えていかなきゃならぬ問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/26
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027・上原正吉
○上原正吉君 私は今後の問題としてさらにさらに歩を進めて、零細な業者がつまり耐えられなくなって廃業するような羽目に立ち至った場合にはこれを国家が補助するというくらいな覚悟でこういう制度を運営しなければ、その実効をおさめることは困難だと思うんです。率直に極端に申し上げれば、現在存在する零細企業というものがことごとく強大化していくと、そういうことになるはずがないのでありまして、零細業者の中でも自然と、いままでがそうであったように、これからも勝負がついていって、だんだんと零細業者の数が減っていく、そして強大な業者が残っていくことに、いままでがそうであったようにこれからもそうなるだろうと思うんです。そういう場合に、競争に落後するという者が−落後者かないように保護をするということになると、これはもう零細業者を社会保障制度で救うということになってきますから、趣旨説明、補足説明でおっしゃっていたように、いやしくも企業であるものを社会保障制度で救済するということはどうもいかがかと思われるのです。そこで落後する場合には、もう社会保障制度を加味してこれを救済する、つまり零細業者というものが廃業しやすくなるように、わかりやすくいえば、国の費用で保護を与えるというのが本筋ではないかと思うのですが、その点は中小企業庁としてどうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/27
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028・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘がありましたように、最近のこの中小企業を取り巻く環境というものは、非常に情勢がシビアーで、特に日本の産業構造が大きく変わりつつある、しかもいわゆる開放経済体制下に入りまして、そういう国際的な競争にも耐えていかなければならぬ、特に一番中小企業がいま問題になっておりますのは、御承知のようにいわゆる賃金格差がだんだんなくなりつつございまして、いわゆる安い豊富な労働力に依存したような経営ということが非常にむずかしくなって、その経営がどんどん近代化の過程を、好むと好まざるとにかかわらずそういう情勢に追い込まれつつあるのが現在の情勢でございまして、その意味で特に零細業者等を中心にしまして、相当その転業、廃業というような情勢に追い込まれるのじゃないかと、まあこういうことでございます。またそこをじょうずに転換なりをやりまして、新しい経済情勢に合うような形に持っていくということが、政府のやるべき政策としてやっていかなければならぬことだと、それは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、これはいままでのところは、そういういわゆる一口に、簡単に言えば転換対策でございますが、こういうものが非常に不十分であった、またこの小規模共済制度でそういうものをねらっているというにしては、あまりにこれは不十分な制度じゃないかという御指摘もそのとおりでございまして、ぜひこれは今後の中小企業対策の大きな柱として、いわゆる転換対策というものをどういうふうに持っていくか、それをスムーズに持っていくということが、政府の政策としてこれは大いに考えていかなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/28
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029・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 他に御発言もなければ、午前の審議はこの程度にとどめまして、午後は一時に再会することにいたし、これにて休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01619650507/29
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