1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年五月十一日(木曜日)
午前十一時四十二分開会
—————————————
委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
斎藤 昇君 山本 杉君
五月八日
辞任 補欠選任
鳥畠徳次郎君 増原 恵吉君
山本 杉君 斎藤 昇君
五月十一日
辞任 補欠選任
増原 恵吉君 岸田 幸雄君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
上原 正吉君
大谷藤之助君
中田 吉雄君
向井 長年君
委 員
植垣弥一郎君
岸田 幸雄君
斎藤 昇君
前田 久吉君
阿部 竹松君
大矢 正君
椿 繁夫君
国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
国 務 大 臣 高橋 衛君
政府委員
経済企画庁調整
局長 高島 節男君
通商産業政務次
官 村上 春藏君
通商産業大臣官
房長 熊谷 典文君
中小企業庁長官 中野 正一君
中小企業庁次長 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
—————————————
本日の会議に付した案件
○海外経済協力基金法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○小規模企業共済法案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/0
-
001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長、理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案及び小規模企業共済法案の審査を行なうこととなりましたから、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/1
-
002・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、委員の異動について御報告いたします。
五月八日、鳥畠徳次郎君が辞任され、その補欠として増原恵吉君が選任され、本日、増原恵吉君が辞任され、その補欠として岸田幸雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/2
-
003・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
先回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/3
-
004・中田吉雄
○中田吉雄君 ただいま提案されました議題につきましては、わが党の大矢議員がほとんど重要な点について指摘されていますが、それを補完するような意味で、若干のお尋ねをしてみたいと思うわけであります。
今回の改正については、数点ありますが、まず小さい数字的なことから局長にお伺いしてみたいと思うわけであります。
この改正の第一点は、政府からの借り入れ金または債券の発行、それから政府が基金の費用の一部を交付することと、その他監事の権限等になっていますが、そこでお尋ねいたしますが、この第二十九条の二の借り入れ金及び海外経済協力基金の債券の発行についていろいろありますが、資本金と積み立て金を限度としておるわけですが、この資本金は百六十七億にことしプラス十億ですか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/4
-
005・高島節男
○政府委員(高島節男君) 現在の資本金は百六十九億円、それで今回の一般会計の予算におきまして十億円の増資がございまして、百七十九億となっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/5
-
006・中田吉雄
○中田吉雄君 いただきました「参議院商工委員会提出資料」の二十七ページに積み立て金というのがあるのですが、積み立て金のこの正確な数字はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/6
-
007・高島節男
○政府委員(高島節男君) 積み立て金がその二十七ページにございますのは、三十八年度の積み立て金が、前年度三十七年の積み立て金と純利益合わせまして八億二百万になっております。前の積み立て金が三億、それに純益が五億で大体八億になる。それで三十八年度の純益が九億ほどございますので、大体十七億くらいのものが三十九年度のほうに入ってきたと思います。三十九年度の利益がどのくらいあがるかということでございますが、ちょっと正確な数字が決算的に出ておりませんが、大体四億から五億くらいのものと思われますので、結果として二十一、三億の積み立て金を持つことになる計算になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/7
-
008・中田吉雄
○中田吉雄君 二十一億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/8
-
009・高島節男
○政府委員(高島節男君) 二十一億見当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/9
-
010・大矢正
○大矢正君 八億と四億ないし五億を足すと、十二、三億にしかならないじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/10
-
011・高島節男
○政府委員(高島節男君) ここにございます八億の積み立て金と、それから三十八年度中に出ております純益が九億見当、その下の欄にございます九億二百万、そうしますと大体十七億程度のものが三十九年度の初めに積み立てになっているわけです。それを三十九年度中に純益がどれだけあがりますか、それだけを加えてくることに相なりますから、八億と九億、それに四億ないし五億ということで二十一、二億になる、こういうあらましの見当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/11
-
012・中田吉雄
○中田吉雄君 ただいまの局長の御説明で大体のことはわかったのですが、これはどうして貸借対照表には、三十九年度のはもう年度も過ぎましたのに出ていないのでしょうか。その点をはっきりしてもらいたい。あとの質問にいろいろ関連するわけです。借り入れ金並びに債券の発行限度は資本金と積み立て金、その合計を限度としているわけです。その数字を正確につかみたいためにいま質問しているわけであります。その点は、きょうどうせ上がるということもないでしょうから、できるだけ協力したいと思いますが、この点ひとつ貸借対照表を説明していただいてもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/12
-
013・高島節男
○政府委員(高島節男君) 貸借対照表で決算が確定いたしますのは、年度決算でございますから、三月の末に締めまして、ほかの会社なども大体そうでございますが、五月末が決算というような形になってまいりますけれども、それだけの時間をかけまして目下正確な数字を整備しているところでございます。ただ、三十九年度におけるこれだけの材料に、三十九年度においてどれだけ利益があがったかというところをつかみますると、大体の数字が出ると思います。それはいまあらまし聞いているところでは四億から五億と、こういう計数をつかまえておりますので、ここにあります積み立て金が、三十八年度は初めに八億だ、それから九億ほど三十八年度中に純益があがった、それで十七億になっております。それに四億ないし五億を加えて二十一億から二十二億ぐらいのことになっているということが、決算は確定いたしませんでもおおよそ言えると思います。それで前回も大体積み立て金は二十億程度を持っているものとして御議論いただいたらどうだろうかということで、あらまし二十億見当ということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/13
-
014・大矢正
○大矢正君 関連。いま局長から三十九年度の決算というのは五月の末日でなければ提出困難だというお話がありますが、それは三月決算期の各会社というのは、おおよそ五月の末に株主総会を開いて決算報告をする、こういうのが常識でありますから、私もその点はわからないわけじゃないんです。しかも、その開かれる株主総会と普通称される企業の場合には、そのかなり以前から決算報告は送るわけですから、ですから普通の一般的な企業においてはすでにもう決算は明らかにわかっているのです。新聞等を見ましても、最近の民間企業の決算状況というのはもう統計まですでに数字的に出ているじゃないですか。三月期決算はどうであったというやつが。それがこの基金だけがいまだに具体的な内容を発表できないというのは、私はあなた方が調べる気がないからそういうことになるのじゃないかと思う。しかも、私どもがいま三十九年度の決算報告をせいと言っているのは、ほんとうにしろうとでもわかるような、たとえばここに二十六ページから二十七ページ、それから二十八、二十九、三十ページ程度までの、言うならば、さらっとなぜた大まかなものしか要求していないので、こまかい具体的な内容を出せといっているわけじゃないですから、その程度のことをあなたがここで説明できないということはないと思う。もしそれが説明できないくらいならば、四十年度に何のために債券を発行しなければならぬのか、あるいは借り入れをしなければならないのかという検討ができないわけです。あしたとかあさってとか言わないで、きょうこの場で明らかにしてもらわなければ困るです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/14
-
015・高島節男
○政府委員(高島節男君) 私大体四億ないし五億とつかまいていると申し上げましたが、いま大矢委員のお話のように、決算をやっておりますので数字はちょこちょこ変わってくると思いますが、しかし大きな変動ではございません。ここにございます見込の数字で、だいぶ前のデータでございますが、このときは五億八千万ほどの数字が上がっておりました。大体計数としてその前後で、そう大きな狂いはないんではないかということで申し上げておりました。数字を何かの形で確定いたせとおっしゃられました場合には、大体五億台じゃないかということで、現在積み立て金のほうは、したがって十七億に足しまして二十一億から二十二億というところが大きく狂わないものという認識を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/15
-
016・大矢正
○大矢正君 関連だから悪いから長くは言わないが、単に積み立て金が幾らで、その本年度の利益が幾らかということを聞いているのじゃなくて、ここにも資料に出ているとおり、貸借対照表が出ているわけでしょう。ですから、三十九年度の貸し付け総額は幾らで、それに対する出資金の増加というものはおそらくないと思うが、国債を幾ら持っていてどうなっているというようなものを、全部ここで説明しても五分もあれば説明が終わるのじゃないですか。ぼくは積み立て金と利益金が幾らあるという、ことを聞いているのじゃなくて、全体の貸借対照表、それから損益計算書を明らかになさい。あなたがそこで読めば私のほうはちゃんと資料があるのだから横へ書いていくから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/16
-
017・高島節男
○政府委員(高島節男君) 整理中の数字でございますけれども、いまの御質問の線に沿いまして、未決定ではございますがバランスの内容を申し上げます。
三十九年度末の見込みといたしまして、資産と負債と両方の一応のバランスを組んでございます。単位億円で申し上げますと、貸し付け金九十億円、出資金十五億円、それから国債で持っておりますのが八十億円、現金、預け金の形になっておるのが十億円、そのほか動産、不動産が九千万程度でございまして、百九十五億八千万円それが資産の部でございます。負債の部は、雑勘定で〇・二億円、二千万円。それから貸し倒れ等の準備金が三億三千万円、資本金が先ほどからのお話のように百六十九億円、それから積み立て金が十七億円、当年度の純利益金が三十九年度五億九千万という数字を一応出しております。それで両方でやはり百九十五億円というところでバランスしております。ただ、この数字は確定じゃございませんので、一応の御審議の材料としていだきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/17
-
018・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、今度の改正の第二十九条の三ですね、「借入金等の限度額」というのがあるわけですね。それは資本金と積み立て金の合計額ですか。そうしますと合計幾らになりますか、結局……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/18
-
019・高島節男
○政府委員(高島節男君) 百六十九億円と積み立て金が三十九年度初めでは十七億円で、百八十六億円見当になります。三十九年度の益金が五億九千万で、ちょうど百九十二億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/19
-
020・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますると、借り入れ金と債券の発行限度は百九十二億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/20
-
021・高島節男
○政府委員(高島節男君) 今年度の出資金が十億加わりますから、大体二百億と言っておりますのは、そういう計算からきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/21
-
022・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、私のこういう質問をします意図は、限度一ぱいやれば二百億まで大体原資を調達できるわけですね。そうすると、一体この改正は何を意図しているか。大蔵省は最近四月十九日の発表までが、アメリカのアジア政策の肩がわりになるおそれがあるどいうことを書いているわけですね、韓国や国府について。大蔵省ですらそういうことを——あとでこれは中心的な質問としてお伺いしようと思うのですが、大蔵省ですら、これはアメリカの対韓、対国府の援助の肩がわりになるおそれがあって、一般的なこれまでやっている援助を圧迫する非常に重大な意味を含んでいる、こういうことを言っているから聞こうとするのですが、そうすると、いただいた資料の四十一ページに、四十年度の投融資見込み内訳というのがありますね。この既往年度承認済み分、四十年度が三十億五千五百かとありますね。この内訳は表のどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/22
-
023・高島節男
○政府委員(高島節男君) その内訳は出ておりませんが、内容を御説明さしていただきます。これはいままで基金が貸しましたやつ、その計画にタッチいたしまして、ここまでは貸そうといって承諾を与えましてまだ金が出ていない分でございます。大体、おもなもので九件ほどございますが、インドネシアのニッケル開発とか、メキシコのマイクロウエーブの建設とかいうものでございまして、そのほかに大ものとしてはペルーのタクナ開発、あるいはタイの精糖事業といったようなところがございます。これはものによりまして、まだ初期であって、四十年度に相当大きな金が出るのもございますし、四十年度にいよいよあがるというものもございます。それが大体七十七億円ほど承諾がございまして、そのうち四十六億円程度が三十九年度までに金を出してしまいました。残っております分のうち四十年度に金が出ますのが大体三十億見当、こういうことになっております。この分がこの一番上の欄の三十億という数字になってあがっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/23
-
024・中田吉雄
○中田吉雄君 私のいまお伺いしているのは、既往年度承認済みの分で、実行予想額四十年度三十億五千五百万とあるものをまず聞いておるわけです。これはただいまの御説明で大体のことはわかりましたが、具体的に印刷にしてよこしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/24
-
025・大矢正
○大矢正君 いまの中田委員の質問に関連して、局長の答弁で私のどうも理解のできないところがあるのですが、あなたのほうからいただいた資料の三十八ページの三十六年度、基金が現実の貸し付け業務を行なってから三十九年度までのトータルにおける承諾額というのは百十九億五千七百万円となっているのです。この点は間違いないですね。そこで年度別貸し付け額というのを見ますると、その総トータルは八十五億五千三百万円とこうなっております。そういたしますと、承諾額に対して貸し付け額は八十五億でありますから、残は三十四億円しかないはずなんです。その三十四億円しかないものに対して本年度は一挙にそれを三十億を貸すとなる。私の言っておる数字と数字がまず合わないことが一つと、それから従来の承諾額に対する貸し付けの状況から計算をしてみますると、三十四億の承諾に対して三十億貸したなどという年度はただの一度もない。せいぜい三割か四割程度しか現実には承諾に対して毎年度貸していない。今年度に限って一挙にそれを八割も九割も貸さなければならぬという理屈がどこにあるのか。中田委員の質問にあわせてひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/25
-
026・高島節男
○政府委員(高島節男君) いまあがっております案件三十億、いまおっしゃいますように、大体非常に残り少なになるのじゃないか、三十億との差額は、ちょっとのことになりますから、その差が非常に詰まってくる。すなわち、いままで承諾した案件は本年度中に大体片がついていく、こういう感覚で予算を立てているではないか、こういう御質問だと思います。現実の動きからいたしまして、そういう段階に大体差しかかってきているように私どもは見ております。現在基金にはここにあります既往の承諾分以外の新しい案件がたくさんまいっておりますが、既往の承諾をいたしました分は、大体それぞれのプラントの計画が成熟段階に入ってまいりまして、びた一文も間違いなくこのとおりにいくかどうかというところは、若干問題は見方によって、進行によってあるかと思いますが、大勢といたしまして、それぞれの計画というものが軌道に乗ってきて、四十年度中には既往承諾分はほとんど出費になっていくという感じにとらえております。それに基づいて三十億という数字を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/26
-
027・大矢正
○大矢正君 いまあなた承諾額と、実際の今日まで三十九年度までですか、貸し付け額の差というものは、私が言ったような三十四億どころではない。まだまだあるという発言をあなたはなさったじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/27
-
028・高島節男
○政府委員(高島節男君) これから先に出てまいります案件は、それぞれ新規に受け付けまして、成熟の度合いその他から言いまして、ことし手をかけてもなかなか金が落ちるということにいかないものもたくさんある傾向かと思いますが、現在三十九年度までに承諾いたしてまいりました案件については、個別にずっと見てまいりますと、大体において三十九年度までに片がついておるものは比較的多い。もちろんプロジェクトの中で二、三これはここまで進むかなと思うものも少しはございますが、プロジェクトの大勢としては、大体三十九年度中までに承諾したものは四十年度までには金が出ていく。こういう感じに見ていいという感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/28
-
029・中田吉雄
○中田吉雄君 既往年度の承諾済み分につきましては、お願いしました資料をいただいて検討させていただきたいと思うのですが、四十年度新規承諾予想分というのがありますね。その下に実行予想額というのが七十四億九千万とありますね。その(注)を見ると、さきに大矢委員も質問されたように、承諾の額と実行済みの分と非常に違っておるんですが、これは正確な予測ははなはだ困難でまちまちであって、一応の試算だと、こうなっておるわけですね、一体この正確度はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/29
-
030・高島節男
○政府委員(高島節男君) 経済協力案件というのは、相手がございまして、しかも大体プロジェクトとしてきわめて困難性を持っておるものが多いのでございます。特に基金の場合はその性格が強うございます。大体新しい案件でございますと、全般的におくれぎみの傾向が出てくるわけでございます。ただこの表に載っかっておりますものの内容をずっとごらんいただきますと、スラムの砂糖開発、マレーシアの製鉄事業、カリマンタンの森林開発(第三期)、ジャワ、砂糖、改修、ナイジェリアの綿紡事業(第二期)、こういうのが大体いま掲げてございまして、これが代表的なケースで、そのほかにこまかいものが別にその他としてあって、そして締めて七十五億程度の具体的な金が出て、それに過去からの継続分が三十億、大体過去のものはこの辺で片づきぎみになるんじゃないか、こういう予測を立てております。ただ何ぶんにも相手がございますし、国内でわれわれが事業計画や会社の建設工事やその辺の進みぐあいを見ておりますのに比べますと、実に予測に苦しむわけでございます。非常に不安定な要素が多い。特にこういう新規な案件につきましては、これから条件が成熟してまいりますと、実際に金が出る時期というのは非常にずれぎみでございます。したがって、その点は相当この内容というものが具体的にやってみないとなかなかどのくらい要るかわからないと、こういうことをこの(注)で言っておるわけでございますが、ただ基金ができましたときからずっと見てまいりますると、三十六年から三十七年ころまでは九億円から十億程度の金、この前御説明しましたくらいしか年に出ておりません。三十八年度になって三十億見当出まして、三十九年度は六十五億見当のものが出ておる。したがって、来年度の計画としまして、いろんな材料から可能性を考えてから一応計算してみたのですが、百億ちょっとこすもの、百五億の貸し出しが行なわれるということは、大体ここにあがっている案件からしぼってみて、そう無理ではない、いいところじゃないか、こういう形で予想をつけていった。ただ(個々の案件について一つ一つがそういうむずかしい条件を含んでおりますので、詰めてみて、はたして当たるか、こう言われますと、経済事情は非常に当たりにくい要素を含んでおると思います。急に金が要ってみたり、急に少なくてみたり、その辺の予測には一応悩みますが、一応私どもとして来年度——今年度でございますか、その事業の内容の予測を立てていくという場合の思想統一をこの辺に置いたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/30
-
031・中田吉雄
○中田吉雄君 国内のいろんな設備投資の融資その他を見ても、なかなか思うようにいかぬので、ましてや海外の計画のことですから、いま局長の言われたことはよくわかるのですが、そういうことを別にしまして、既往年度の承諾分が三十億五千五百万、それから四十年度新規承諾予想分で実行せねばならぬのが七十四億九千万、合計百五億四千五百万円ですね。そうしますと、いま基金の残は幾らあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/31
-
032・高島節男
○政府委員(高島節男君) その左側のページにございますように、翌期繰り越しを一応九十億という数字で見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/32
-
033・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、実際足らぬところは、この既往年度の承諾分、四十年度の新規承諾予想分を合計しても、残が九十億ありますれば、ある意味ではとんとんかもわかりませんわね。そうすると、大矢委員の質問の中心もそこだったと思うのですが、四十年度の新しく出さねばならぬ投資分と残とを差し引いても十億くらいしか足らない。まあ十億くらいですわね。それだのに借り入れ金と債券の発行限度からすれば二百億だということになると、一体九十億は何を具体的に対象にしているものであるか。これは大矢委員もかねて質問されましたが、政府が予算を組んだり、投融資をきめる際には何らかの大体の見込みがないと、それに見合ったものがないとしないわけですね。こういうことは。それで私はお伺いしたいし、社会党がこの法案に多大の関心を持っているのは、今度の日韓交渉、吉田元総理が訪台されて、四月二十六日ですか、台湾に一億五千万ドルの経済協力ですか、やるというようなこととからんで、そういうものの実際の裏づけのためのこの法の改正じゃないか。ただいまの御説明のように、いただきました資料の四十年度の投融資見込みの内訳でいけば百五億であり、基金の残は九十億である、そうすればある程度見合っているわけなんです。二百億のこの裏づけというものをまず具体的に聞きたい。これは大臣です。予算の編成過程では大まかに、あれほどかたく手がたい石橋をたたいても渡らぬ大蔵大臣がこれを認めたということには相当な背景があると思う。それの一体具体的な裏づけは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/33
-
034・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) その当時、まだ日台間の問題については具体化した話は私ども十分連絡を受けていなかったわけでございます。しこうして、その当時の段階におきましては、実は昨年の春から夏にかけての国連の貿易開発会議におきまして、それぞれ低開発国側から先進国に対して開発に対するところの協力方の強い要請があったわけでございます。それで、それがなかなか双方の意見が対立いたしまして、日本は非常に、むしろいままでの実績が少ないというような点から苦しい立場に立っておったような関係もございましたが、結論的に申しますると、日本としてはどうしても東南アジアその他低開発国との貿易をこれからどんどん伸ばしていかなければならぬ。ところが、そういうふうな低開発国との貿易関係を見てみますると、日本からの輸出が多くて向こうからの輸入が少ないというふうな点もございまして、どうしても日本としてもその点について決意を迫られておったような次第でございます。そんなような関係から、そのときそれぞれ各先進国は国民所得に対して大体一%程度の経済協力をしていこうじゃないかという考え方に対して日本は賛成をいたしたような次第でございます。ところが、実績を見てみますると、昭和三十八年度はこれが〇・五四にしかなっていないという状況でございます。これは輸銀等において延べ払い等の形で出しているものまで含めまして〇・五四になっているというところから、どうしても日本としては相当余裕のある準備をしておかなければ、日本はせっかくそういうふうに一%程度まではそれに賛成の意見を表明しているにかかわらず、その準備は何もしていないじゃないか、こういうことになるおそれがあることをまず政府としては考えました次第でございます。しこうして、また具体的に事務的に積み上げてまいりますると、先ほどからお話のございましたように、経済協力基金もできましてからすでに四年を経過しておるわけでございます。当初二年間は九億円台の実際の貸し付けでございましたが、三年目には二十九億円になり、四年目には六十五億円になるというように、漸次事務機構もなれてまいりましたし、調査のスピードも進んでまいりましたし、また、この経済協力基金の存在についての一般の認識もだんだん深まってきたというようなところから、相当これが進捗してまいってきたような事情もございます。そういうふうな関係から、そういうふうな国連の貿易開発会議の事柄がなくても、相当金額の増額が必要であるという考え方を持った次第でございます。したがって、まずさしあたりは、この事務的に積み上げました金額をまかない得るという程度までの予算措置を講じておきたいというところから、一般会計から十億円の出資をしていただきますと同時に、財政投融資の計画では十億円を、これは資金運用部資金からの借り入れということで予定をいたしたような次第でございます。
しこうして、その後にこの台湾関係の問題が起こってまいり、最近この問題が大体話し合いが妥結に至ったような事情でございますが、この問題は、これは私も長年台湾におりまして、この辺の地理もわきまえておりますが、台南州の約十五万町歩に及ぶところの非常に広い地域の土地改良事業でございますが、これが一応完成した形にはなっておりますけれども、結局三年輪作の形で、一カ年は米作、一カ年半はサトウキビ、それからあと半年は雑作という形になっておったのでございます。ところが何と申しましても、米作については非常に大量の水を要する。ところが、米作が一番利益が多いというふうな関係もあり、また野菜その他のものをつくるというふうな場合におきましても、この程度の水量ではなかなか十分な収穫も得ることができぬという実情がその当時からあったわけでございます。そんな関係からであろうと存じますが、しかし、この問題は、これから技術的に、また実際上の運用の面からみて相当にやはり検討を要する点があるのじゃなかろうかというふうに私どもは見ておるわけでございます。経済協力基金において資金の運用をいたしまする際には、十分にそれらの計画の内容を審査した上で、またそれが具体的にきめられた事柄は、曽文渓という川の多目的ダムでございますが、これは結局台湾の台南に近いところの平原の一つの嘉南大センという一種の組合がございますが、その組合の償還能力等の問題も十分に検討いたさねばならぬ。それらの面をいろいろ検討した上で、経済協力募金としては最終的に決定しなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。しかしながら、その方向で前向きにとにかく検討して、そしていずれ具体的にこれが結実する場合におきましては、さらに新たにやはり資金の手当てを必要とする段階になりはしないか、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/34
-
035・大矢正
○大矢正君 先ほどの局長の報告、説明の中で、最終的に確認さしてもらいたいことは、四十年度について考えてみますと、この資料によりますれば、三十九年度の決算が終わってから四十年度に繰り越される金額が九十億円であるというならば、したがって、百五億四千五百万円の実行予想を持った貸し付け内容については当然のこととして金が不足になるという問題、また、回収金や利子の収入その他がいろいろあるが、いずれにしても、そういうことが出てくる心配があるというお話なんです。そこで私はわからないのは、三十九年度の基金収支見込みというのをあなた方が四十ページに書いておられるのですね。これによると、三十九年度の支出として出されているのは、既往年度の承諾分として二十二億、三十九年度の新たな分として四十三億、合わせて六十五億の貸し付け及び出資があったと、こう資料は書いてある。よろしゅうございますか。それから先ほどあなたが三十九年度の貸借対照と申しますか、決算の説明をせいと私が申し上げたら、あなたは貸し付け金が九十億、出資が十五億という説明をされている、これはどっちがほんとうなんです。二億や三億違うというのなら話はわかるが、六十五億とあなた百億との違いですよ。たいへんな金額の違いですよ。しかも、この資料をもらったのは、私どもは決して一月とか二月とかいうような予測ができない事態にもらったものではない。ごく最近これは出てきた資料じゃないですか。その資料がどうしてこう違うのかということをまずお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/35
-
036・高島節男
○政府委員(高島節男君) いまの御質問は、先ほどのバランスシートとしまして、貸し付け金の残高を申し上げましたので、この残高は、三十九年度中に出資及び貸し付けをやったもののほかに、それまでにやりました分が入っておるわけでございます。静態的なバランスシートで申し上げたわけでございます。この四十ページにございます表は、三十九年度中に、すなわちそれまである程度基金が貸してまいっておりますが、その上積みとして基金の金がどういうふうに動いたかというところを動態的に書いてあるのが三十九年度、四十年度についての支出、収入と、資金の出入りを書いたものでございます。したがって、先ほど中田委員からの御質問にも関連いたしますが、二百億金が使えるということじゃなくて、それは借り入れ金の計算なり何なり、将来の法律改正に伴いました場合の自己資本的なもの、計算がそうであるということでございまして、三十九年度に使えた金及び四十年度で使えていく金は、これは四十ページの表でごらんいただく形になってまいります。したがって、それを若干補足さしていただきますと、三十九年度では、ここにございますように金が出ているのが六十五億ある。そうして、下にございますように、翌朝繰り越しが可能であった分が九十億である。その翌朝繰り越しの九十が、四十年度の表の収入のところの一番上の前期繰り越しの九十につながってまいりまして、ここに九十億の財源が残っている。二百億残っているわけではございませんで、九十だけが残ってまいります。それに回収金が若干あり、利息収入が若干あり、そのあと、先ほど大臣から御説明がございました一般会計としての出資が十あり、運用部からの借り入れを十つけまして、百二十六というところの金が財源で、先ほど四十一ページで御説明いたしました百五億という金を中心にした支出のほうをまかなっていこう、こういう形になっております。で百五億のほかに事務費が三億かかり、それから翌期への繰り越し、すなわち来年の三月来にきて手ぶらになっても困りますから、十八億程度の翌期繰り越しを考えまして、百二十六億にバランスをとった。そうして先ほどの大臣の御説明と関連させますと、ここの百五億という金の中には、いろいろ先ほど御質問がございましたように、非常に予測困難な要素があるのじゃないか、これはおっしゃるとおりだと思います。このとおり金が出るかどうか、あるいはそれ以上出るか、その辺つかみにくい実態ではございますが、一応百五億というこの中には、台湾関係はあとから出てまいったので、これに計算上入っているかといえば、これには入ってない。しかし基金としてのたてまえは、いま大臣がおっしゃったように、この問題に前向きに臨んでいきたいという方針がきまっている、こういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/36
-
037・大矢正
○大矢正君 それは、あなたがそういう発言をされると、百二十六億の四十年度の予算を組んで、十八億は次年度繰り越しになるということは、四十年度の事業は実際問題として、新たな法律改正に基づく債券の発行なり、資金運用部からの借り入れをしないでもできるということじゃないの。しかもあなた、法律の中には明らかに、毎年度の事業開始前にはその年度の収入や支出、あるいは事業計画、資金計画を作成して云々ということがきめられているわけなんだから、だから四十年度に関しては何もあなたは資金の不足を生ずるということはないのじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/37
-
038・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御質問まことにごもっともでございますが、御承知のように承諾ベースと貸し付けベースとは相当違っていることは、既応の実績についてもごらんのとおりでございます。そうしてその他の政府関係金融関係の公庫、輸出入銀行等においても、やはり相当程度の余裕を持たなければ、次年度にまたがるこういうような基金の貸し付けの対象になる事業というものはどうしても長期の、一年ですぐ完成できるような仕事ではないものが性格上多くなるのが実態でございます。したがって、ある程度余裕を持たなければ、そういうようなことを承諾していいかどうか、国会の御承認を得ない、手持ちもない、そういう状態で承諾はできない。しかも、承諾は今して、そして準備にかからなければ、そして一部分の金でも出していかなければ、この仕事は非常におくれるというふうな事態が非常に多いものでございますから、最小限度翌朝繰り越し十八億、この程度の金はどうしても余裕として持っておるというのが、基金のような性格のものとしては当然に必要なものじゃなかろうかと、かように政府としては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/38
-
039・中田吉雄
○中田吉雄君 高島局長は私の発言を誤解しておられる。私は二百億あるとは言いません。その二十九条の三によって、借り入れ金と債券の発行限度のトータルがそうなるということを申し上げているわけです。なぜそれをやったかということを、また問題にしようとしているわけなんです。ただいま大矢委員が言われたように、繰り越しもあり、やはりいろいろいただいた資料を見ますと、残もあり、大体間に合うわけでしょう。間に合うでしょう、十分。その辺がわからないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/39
-
040・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほど大矢委員の御質問に対して答弁を申し上げましたとおり、どうしても次年度にわたる、または三年、四年にかかる問題も相当あるわけでございますが、そういうふうな問題について、まず基金としては融資の承諾をするということが行なわれ、つまり契約が行なわれて、そしてそれに基づいてそれぞれの事業の進行度合い、資金の必要度合いを勘案しながら次々と金を出していくというやり方をやっておる次第でございます。そういう場合に、次の年度においてどの程度の出資ができるか、国会の御承諾が得られるかどうかという不安定な状況で次年度のつまり承諾をあらかじめしておくということは非常にむずかしい。そうかといって、こま切れにした仕事の計画では、これはプロジェクトにならない、こういうふうな観点からいたしまして、私どもといたしましては、実は十八億程度の余裕ではとうてい困るということで、予算折衝の段階において私自身もずいぶんこれは強く主張した点でございますが、四十年度の財源等の関係から申しまして、もうやむを得ず出資十億、借り入れ金十億ということで話をまとめたような次第でございます。しこうして、借り入れという制度は、この基金については初めて行なった次第でございますが、これも結局財源の関係上、今後どうも政府の一般会計からの出資のみに依存するということになりますと、先ほど申し上げましたように、国連の貿易開発会議において日本が賛成いたしました一%というふうな目標にだんだん近づいていくためには、とうてい負担にたえ切れないであろうというふうな観点から、どうしても借り入れ金の制度を導入せざるを得ぬというふうに判断いたしまして、そういうふうな判断から、出資十億、運用部資金からの借り入れ千億という考え方を打ち出したような次第でございます。ところで、当初経済企画庁から大蔵省に要求いたしました金額は、一般会計からの出資を百六十億というふうにいたしておったのでございます。その程度の準備をしなければ、どうも日本が正々堂々と一%は協力いたしましょうといいながらも、その準備が全然ないじゃないかということで、どうも形がつかないというふうなことも懸念されましたし、また、具体的に事業計画等につきましても漸次相当になれてまいりましたし、準備が進んでまいりました、能率もあがってまいりましたので、そんな関係からそういう点を十分検討いたしたのでございますが、結局、一般会計の財源をそういうふうに大量に食っていかなければならぬということになれば、一般会計から年々そういうふうに多額な金額を出資するということは非常に困難である、そういうような観点から借り入れの制度をこの際導入しよう、こういう結論に達した次第でございます。しかも、それを結局先ほども申しましたとおり、最小限度必要な程度、十億、千億ということで一応計画をまとめた次第でございます。そこで借り入れ金の制度を新らしくつくるということになりますと、したがって借り入れの限度をどうするかという問題になるわけでございます。輸出入銀行の場合におきましても、確か輸出入銀行の場合においては、出資並びに積み立て金に対して借り入れの限度を三倍くらいにしているかと思いますが、基金の性格は輸出入銀行とはある程度違っておりますから、やはり国の一般会計の財源になるべく依存するということのほうがより適当であろうというふうな観点から、資本金と積み立て金の合計額、つまり実質の資本金との同額までという限度が妥当なところであろうという考え方から、法律としてはそういうふうに御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/40
-
041・中田吉雄
○中田吉雄君 この高橋長官の国連の貿易会議ですか、国民所得の一%——長い間台湾におられて、それに対して持っておられる愛情の片りんはわからないことはないのですが、ちょっと技術的にわからぬのですがね、さっき局長の言われた実行予想額としては、いまの残と出資その他で間に合うわけでしょう。この借り入れ金等の限度額を三十九条の三できめたというのは、一体承諾予想額と見合わなければいかぬのですか。実行予想額と見合えばいいのですか。これは実行予想額でいいのでしょう。これはどうなんでしょう技術的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/41
-
042・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 実行予想額と見合えばいい一応のたてまえにはなりますけれども、しかし、これはまあ中田さんもよく御理解が願えると思いますが、どの事業につきましても、その事業がおくれる場合もございますし、非常にスピードアップされる場合もあるのでございます。それでそういう時宜を失せずに絶えず手当てをしていくということになれば、どうしてもある程度の余裕が必要であるということと、それから四十一年度以降の問題は四十一年度において承諾を与えればいいのじゃないかという御議論も成り立たぬことはないわけではございますが、しかし基金の立場から申しますれば、そのさいふの底がないのに、これだけ貸しましょうということをお約束することは非常に不安な状況にあるわけでございます。そんな関係からやはり余裕はどうしても最小限度この程度——私は十八億の余裕というものはむしろ少な過ぎるというように感じているぐらいでございまして、二の程度の余裕がないことにはなかなかどうも将来そういうふうな契約をするのに、承諾をするのに、募金としては何とか契約に踏み切るということについて決心がしにくいということに相なろうかと、かような観点からある程度の余裕は常時持たしておくべきものだ、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/42
-
043・中田吉雄
○中田吉雄君 じゃ時間がありませんので、私は午前中は資料の要求だけにとどめたいと思いますが、まあ高橋長官の言われることもわからぬではないのですが、やはり今度の二百億を限度とする原資を調達されるというのは、少しもっと裏づけがあるのじゃないかと、うがった見方かもしれません。そこで午後時間がありましたら小規模共済をやりまして、その後時間がありましたら、その次でもけっこうですが、日韓交渉に伴う大平・金メモに基づいて、同時に今度椎名外相とやられまして、いろいろ日韓の経済協力をきめられました。これはまだ正式調印にもなっておりませんし、国会の議決もずっと先のことでしょうが、この日韓交渉によって一応仮調印ですが、していますね。それで基金の対象になる有償分は幾らで、その条件はどんなものであるかという問題。それから、たしか四月二十六日だったと思うんですが、台湾に一億五千万ドルの、ただいま長官の言われました多目的ダムですが、三分五厘で二十年返済というような、いろいろな問題があると思うんですが、それはたしかきまって輸銀が幾らとか、基金が幾らとかいうふうになっていると思うんですが、そういう具体的なもし印刷ができましたら、それの基金に該当する部分が一体幾らになるのかという数字をお願いして、私の質問はこれで一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/43
-
044・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 午前の審議はこの程度にとどめ、午後は一時半再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
—————・—————
午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/44
-
045・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を再開いたします。小規模企業共済法案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/45
-
046・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/46
-
047・阿部竹松
○阿部竹松君 私はこの法律の内容について、先般来中小企業庁長官、あるいは常任調査室の皆さん方からそれぞれ中身について承っておりますので、あまり質問ないわけですが、要点だけ大臣並びに長官にお尋ねしておきたいわけですが、一番先にお尋ねすることは、この小規模企業共済制度というものは保険であるか貯蓄であるか、こういうことです。保険ということになると、一定の事故が起こったときには保険金が全額もらえるわけですが、これはそういうふうになっておりませんし、貯蓄ならば、預金して置いただけ、しかもそれが初めから利子がつくわけですが、受け取る、こういうことに相なっているわけですが、まずその点を初めにお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/47
-
048・中野正一
○政府委員(中野正君) この小規模企業共済制度と申しまするのは、大臣が提案理由でも御説明になりましたように、小規模企業者が相互扶助の精神に基づいて、廃業の場合あるいは退職の場合等に備えて、日ごろから掛け金をして、そういう退職とか廃業のときに、そういう一定の共済金をもらえるような制度です。この資金によって退廃業後における生活の安定、あるいは事業の再建等に資しよう、こういう制度でございまして、その意味から申しますと、いま先生は保険か貯蓄かと言われましたが、趣旨としては貯蓄というものではないと思います。ただ、これを保険という制度にするということも考えられるわけでございますが、保険ということにいたしますると、その事故発生理由が退職であるとか廃業というようなことになりますので、ややもすると、いわゆる逆選択というようなことに制度上なりまして、こういう退廃業に備えた保険というものは、実際問題として成り立たないということになるかと思います。それで、小規模企業者の相互扶助によるところの、精神による共済制度ということを考えたわけでございまして、その意味においては、どちらかというと保険に近い制度であって、これは共済制度である。しかし一面、先ほど先生の御指摘になりましたように、日ごろ掛け金をして、その掛け金を元にして、これを運用して一定の共済金を退職したり廃業した場合にもらう、その金が幾らの金になるかというときに、利回りを考えますと、一種の長期の貯蓄という意味も、給付を受ける本人から見ればそういう意味合いも持つかと思いますが、どちらかと言えば保険に近い共済制度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/48
-
049・阿部竹松
○阿部竹松君 保険でもない、しかしながら貯蓄でもないということになって、共済制度ということになると、中小企業共済制度というものがあるわけですが、それともまた若干違っているようですが、これは十一カ月までは掛け金も解約金ももらえぬわけですね。それから三十五カ月までは元金だけ、しかも利子はつかぬ。それ以上の契約者に初めて共済金が受け取れる、こういう仕組みになっているように承りましたのですが、そうすると、いま申し上げました企業共済制度、前にあるのとこれは違うということになりますが、前のは、同じ中小の小のうちの零細の従業員であって、これは役職員その他が加入できるからということで差をつけているのですが、そのなぜ差がついたかということについてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/49
-
050・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは提案理由でも御説明申し上げておりますが、この小規模企業者といういわゆる零細企業者は、その所得の水準等からいいましても、一般の中小企業等に働いている雇用者とそんなに給与水準等も差がないにもかかわらず、各種の社会保険制度あるいは労働保険制度の適用がありません。したがって先ほど御説明しましたように、小規模企業者、すなわち役員であるとか事業主でございますが、廃業に追い込まれるとか退職のやむなきに至るというような場合にも、いわゆる共済金なり給与金というものをもらうようなシステムがありませんので、今度こういう制度を考えたわけでございまして、その意味におきましては、いま先生の御指摘ありましたように、一番これと似通った制度としては、従来ありますこれは労働省が主管しておりますが、中小企業退職金共済制度、いわめる中小企業に働いている方々の退職金を支給するために日ごろから事業主が掛け金を毎月いたしまして、これは月に二百円から二千円までということになっておりますが、これをやはり中小企業退職金共済事業団というものがこれを運用いたしまして、退職金を退職したときに支給する。この小規模企業者の共済制度も、一番似ているといえばこの中小企業の退職金共済制度に似ているのじゃないかというふうに考えております。
この中小企業の退職金共済制度におきましても、共済制度でありますので、一年以内はかけ捨て、それから二年から三年の間も、たとえば一年から二年の間は大体五割程度のかけ捨てということになっております。それから三年以上かけた場合に初めて利回りが、運用益がプラスされて給付が始まる、こういうことに中小企業の退職金共済制度もなっております。大体これと同じような制度の趣旨で、零細企業の事業の事業主には退職金制度すらない。こういうことからこの制度を考えてつくったわけでございます。大体労働省で主管しております中小企業に働いておる者に対する退職金共済制度に準じてこの制度を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/50
-
051・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいま長官が例として出されました中小企業退職金共済制度ですね、これは私領ははっきり記憶しておりませんが、補助金を出しておりますね。今度のはお伺いしましたが補助金が出ておらぬ。運用資金ですか、四千万円ですか、そういう金額が出ているようですが、そうしますと、なるほど対象とする相手が違うためかもわかりませんけれども、同じような退職金制度とこれは違うかもしれませんけれども、さいぜんお伺いしたように、これは貯蓄でもない、保険でもないということで、似通ったのは共済制度であるということであれば、これは大体同じようにこの種のものは国が見てやらなければならぬのではないかというように考えることが第一点。
それから、大体この法律の対象となってそれぞれ加盟される、そして政府の推定される大体の数ですね、この法案によってこの対象となる小規模企業者の数が大体どのくらいに長官のほうでは見ておられるのかということを第二点としてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/51
-
052・中野正一
○政府委員(中野正一君) 最後のお尋ねの、この制度によるいわゆる小規模企業者として対象になる人数は全国で約三百万人、これは個人事業とそれから小規模企業の会社等の役員、両方入っておりますが、個人事業主と、小規模企業を営んでおる会社の役員、これで大体三百万人と考えております。
それから、中小企業退職金共済制度のほうには、いま先生御指摘のように補助金がついております。これは月の掛け金二百円について、三年以上かけた場八日は五%、十年以上かけた場合には一〇%、したがって十年以上かけた場合には二百円について一〇%でございますから、二十円の補助金がつく、これは掛け金は私のほうの小規模共済事業のほうは、御承知のように月五百円から五千円というふうになっておりますが、中小企業退職金共済は二百円から二千円、かりに二千円毎月かけてもやはり二百円については一割、したがって二十円の補助金がつくということになっております。これは御承知のように中小企業者ではなかなか事業主が、退職金というものはほんとうは事業主がやらなければならぬのでありますが、なかなかそこまでいかない。そこでこの中小企業の退職金制度というものを普及さして、中小企業に働いておる方々の福利増進に資しよう、こういう政策的な意味がございまして、この制度に加入する人については一定の補助金を出す、こういうことを考えたんだろうと思います。ところが、今日提案しております小規模共済制度のほうは、小規模事業主あるいは小規模企業を営んでおる会社の役員が自分の将来のために日ごろから掛け金をする、自分の負担において自分のために掛け金をする、こういう制度になるもんですから、そういう事業主がそういうことをやるのに対して国が補助金を出す必要はないじゃないかということが実は予算折衝の段階で非常に問題になりまして、実は大臣も非常にその点は御心配なされまして、まあこういうことは私が言う必要ないですが、実は大臣折衝まで持ち込まれて、大臣もやっていただいたんですが、どうしても政府全体の考え方として、中小企業の従業員のほうに補助金を出しているのと趣旨が少し違うじゃないかということで、給付に対する国庫補助は通産省としてはあきらめざるを得なかった。しかし今度の共済事業団には、御承知のように四千万円の出資金を出していただくことになりました。これは労働省の事業団には出資はございません。それから事業団を運営するのに必要な運営費は全額国庫から出す、これは労働省の退職金事業団と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/52
-
053・阿部竹松
○阿部竹松君 中小企業問題を論ずるとき、高度化とか近代化とか、合理化とかいうことで、中小企業とは一体何ぞやということで、いつも論議するわけですが、中小企業の対象人員は幾らかという点について、ときどきいまの長官はじめ、前あるいは前々長官等それぞれお伺いしてみるときに、資本金で押えたり、人数で押えておるわけですが、その概数は大体三百二十八万、これは半年前の話ですから、若干数字が違っておるかもしれませんが、中小企業というのは三百二十八万から三百三十万である。いまこの対象はどのくらいかとお尋ねしたところが、三百万という数字ですね、この数字が俗にいう中小企業とダブっておるかもしれませんけれども、この法律で見ますと、工業においては二十人以下あるいは商業においては五人以下、こういうことになっておりまするから、この二十人のほうは切り捨てて、一番最低の五人で押えても、一千五百万の人間がこの零細企業に従事しておるということになるのです。数字のけたが合わぬような気がするのですがね。これに該当するまあ三百万のあれで、そうして一千五百万の人々がこれに該当するということは、そうします…と、三百二十八万ないし三百三十万は若干ダブっておるのもあるかと思いますが、しかし、そうなりますと、大手企業を合わせますと相当な数になりますが、何を基準にしてお示しになったか、その点をひとつお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/53
-
054・中野正一
○政府委員(中野正一君) いまの中小企業者の数等の問題でございますが、このたび国会に出しました中小企業に関する年次報告、これによって数字を申し上げますと、中小企業の数は企業の数で言っておりますが、民間企業の三百二十二万のうちで三百二十一万、九九・八%が中小企業ということになっております。三百二十一万が中小企業でございます。それからここに働いておる従業員を全部計算をいたしますと、このいま申し上げました農林水産をのけました民間企業の三百二十一万の中小企業に働いておる従業員は全体で千七百二十万、そのうちの従業員のほうは全部いま言った労働者のほうの共済事業団の対象になっておる。したがって、三百二十一万のうちで今度は従業員が二十人以下の零細企業、その会社と個人などの数は大体どのくらいになるかと申しますと、約三百万、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/54
-
055・阿部竹松
○阿部竹松君 まあ社長が主人で、長男が専務で奥さんが重役などという会社もありましょうから、役員の数で必ずしもその従業員一片や二十人、片や五人以下というのを割り切るわけにはいかぬと思いますから、長官の答弁のようなことになるかもしれませんけれども、ただ私は三百万も対象が役員におるということが不審でならないということなんです。
次にお尋ねするのは、相互扶助に基づいておるわけですから、この共済事業はできるだけ多くの人が契約に参加していただくことが望ましいのです。大体三百万のうちどのくらいという年度計画がおありになったらお示し願いたいし、将来の展望をひとつお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/55
-
056・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘の点は、われわれはこの法律の対象になる事業所の数で言っておりますが、約三百万と申しましたが、そのうちの二百五十八万というのが個人の営業主でございます。これは案外人数が多いのです。個人営業主が二百五十八万おりまして、それから法人、会社が四十二万、これでいま大体三百万ということを申し上げたのであります。
それから四、五年後にわれわれは加入者を大体全体の一割以上、三十万ないし四十万というものを一応目標にいたしております。しかし、これはこの制度の趣旨を十分理解していただいて、関係方面で十分この趣旨が徹底して協力していただければなおそれ以上になるかと思いますが、一応四、五年後に三十万ないし四十万というものを目標といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/56
-
057・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/57
-
058・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/58
-
059・向井長年
○向井長年君 ちょっと私わかったようでわからないのですが、小規模企業振興対策の一環としてこういう共済法案なるものを出して救済しようということなんですが、これはいわゆる退廃業後における生活の安定あるいは事業の再建、転業、こういうところを中心に実施しよう、こういうことになっておりますが、これは結局一般にいう共済制度でしょう。しからば六十五歳という形、三十年満期掛金の場合六十五歳というのはどういうわけでそういうものを出したのか。一般的にいえば五十五歳が定年になり、あるいは共済関係の適用もあるわけですね。これを六十五歳という形で出されているのは何か意味があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/59
-
060・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは一般のサラリーマン、つとめ人がやめたり退職する場合からいうと、こういう零細企業にしても役員なり事業主等の退職なり何なりの傾向を見ますと、やはり相当年齢が高くなっておることは御承知のとおりでございます。それからもう一つは国民年金でございますね、これが六十五歳過ぎてからもらえる。こういうようなことを参考にいたしまして、この制度は法律にありますように、二十年以上かけておって、しかも六十五歳に達したという場合にはこの共済金がもらえる、こういう制度にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/60
-
061・向井長年
○向井長年君 そこで、会社の役員が退職したときは、三十年の満期というようなことを書いていますが、六十五歳で退職したときは、いわゆる三十年勤続でいかなければいかぬということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/61
-
062・中野正一
○政府委員(中野正一君) 九条にございますように、どういう事由が起きたときにこの共済金をもらえるか、こういうことでございますが、一に書いてございますように、事業が廃止になった、事業廃止というのは、個人営業主については、本人がなくなった場合と、それから本人がもう年を取って事業をやめて子供に譲るという場合がございます。これも個人事業でございますから、子供に譲ったときは事業の廃止となるわけでございます。それからもう一つは、もうすでにいろいろ情勢が悪くなって事業をほんとうにやめてしまう、この場合が一でございまして、事業が廃止になったときは、いまの三十年かけるとかいうようなことは関係ないわけでございます。先ほど阿部先生の御質問にありましたように、三年以上かけておればこれは共済金はもらえる、いつ事業をやめてももらえる、こういうことでございます。
それから二番目は、今度は会社の役員である者については、この役員を退職したとき、役員をやめたとき、このときにもらえる。これは六十五歳とか年齢は関係ございません。それから三年以上かけておれば一定の共済金がもらえるのであります。
それから第三番目は、いま申し上げましたように、事業の廃止だとか退職というようなことがなくても、六十五以上になった、しかも二十年以上もかけているという場合は、本人の請求によって共済金を出してもいいじゃないか。国民年金等の関係もございまして、そういう思想を三に入れて、六十五歳以上の者で二百四十カ月以上納めた場合、すなわち二十年以上納めた場合は本人の請求によってこの金をもらえる、これが三番目であります。
最後に、今度はこういうその間に退職もしなければ廃業もなく、ずっとうまくいって三十年かけた、そのときには満期という制度を活用して、満期になれば当然その金がもらえると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/62
-
063・向井長年
○向井長年君 二十年間掛け金をすれば、六十五歳であっても六十歳であってもいいのではないかというような感じを持つわけなんですが、六十五歳ということになると、これはまあ寿命が延びているからいいんじゃないかというようなことを言われるかもわかりませんけれども、一応この条件が、先ほど言った事業の退廃なりあるいは再建のためにということならば、六十歳になった場合にでも、掛け金を二十年かけておればこれを適用されるということになってもいいんではないかというような感じがするわけなんですが、六十五ということにどうしてこだわってこの法案をつくられたのか。一般的に国民年金の問題を適用されておりますけれども、一般の通例は、大企業におきましても、その他の年金制度に対しても、もう大体五十五歳といままでなっているわけです。これは退職年齢の延長という問題を取り上げておってもまだ実現されないと、こういう段階で、必ずしも六十五歳でなければならぬということではないんじゃないかというような気がするんですがね。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/63
-
064・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど御説明いたしましたように、いまのたとえば六十五歳でなくてもう少し下げたらいいじゃないかという御議論も、確かにうなずける議論だと思いますが、一応われわれのほうは、いま申し上げましたように、事業主の退廃業の大体の年齢の時期、あるいは国民年金の支給される時期等を考えまして、こういう六十五歳以上というふうにしたわけでございます。もちろん御承知のように六十五歳にならなくてその前に事業の廃止とか退職になれば、これは当然一、二の条項でもらえるわけでございます。まだ事業をやっておる、本人も役員としてつとめておるという場合であれば、六十五歳まではかけていただきたいと、こういう趣旨でできておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/64
-
065・向井長年
○向井長年君 一般法人とか会社ではなくて、個人の場合はもちろん一定の店を出しているところがあると思うのですが、こういうところは子供に代を譲ってもいわゆるおやじは一応お手伝いはしますよ、これは名義は別として。そういう人たちは一応重点をまあ子供なりにかえて自分はお手伝い程度にするわけですが、こういう場合でもやはり六十五歳にならなければだめだと、こういうことになるわけですね、その場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/65
-
066・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま個人事業の場合は、これは実際のケースとしてはいろいろの場合があるかと思いますが、もうある程度隠居的なものでお手伝いをする、この場合でもやはり名前はおとうさんのほうの名前で営業をやっておる、そのほうが対外的に信用とかいろいろの面からいいというような場合もあるかと思いますが、この事業の廃止というのは、先ほど申し上げましたようにその店の名義をかえた場合、かえて隠居をして、しかし実際にはお手伝いをしておるというような場合は一に該当いたしますから、これは共済金がもらえるわけでございます。六十五歳にならなくてもですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/66
-
067・向井長年
○向井長年君 それから国からも所要の助成の措置を講ずるというのは、これはよくわからないが、どのくらい助成をしようとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/67
-
068・中野正一
○政府委員(中野正一君) これはこういう制度に対する助成としてはいろいろなことが考えられるわけでありますが、先ほどちょっと御説明いたしましたが、共済金という給付金ですね、給付金そのものに補助金を出すべきじゃないか、こういう零細企業の人が退職したとき及び亡くなられたとき、特に最近のような構造変化に応じてこれに即応できなくなってやめざるを得ない、廃業に追い込まれるというようなことであるなら、囲む見舞い金的に補助金でも出していいという思想もあろうかと思います。これは先ほど阿部先生の御質問にお答えしたように、いろいろ議論があった末に、政府としてそこまで考えなくてもいいということになりました。あとはこの事業団の事務経費、これは全額国が見よう、これを一応三千万円予算では組んでおります。これは大体四カ月分の予算を組んでおります。
それから次に、この事業団を運営するのに、やはり事業団に出資金というものが要りますから、たとえばいろいろ家を借りるにしても敷金等が要りますし、あるいは所要経費が要るから、これは四千万円の出資ということで全額政府出資、したがって、四千万円の政府出資と三千万円の事務経費と、予算は七千万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/68
-
069・向井長年
○向井長年君 この共済金の額は、掛け金の率に応じて、かつ事業の廃止による場合には特に有利な給付条件になるように定める、これはあとでどういう形できめられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/69
-
070・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは法律の一番最後のところに別表がございますから、これを見ていただくとわかりますが、それでこの別表の一番最後、満期の場合をとってみますと、三百六十カ月かけますと、これは月五百円かけた計算でいっておりますから、かりに五千円かければこの十倍ということになりますが、三百六十カ月かければ五十七万二千円共済金が出る。それからいま先生が御指摘になりました廃業等の場合には幾ぶん有利な給付になっておる。というのは、この上の欄と下の欄を見ていただくとわかりますように、たとえば三百五十カ月の場合に、上の欄は五十三万八千円となっておりますが、下の欄は四十六万七千円とこの差が一割程度ついておりますが、廃業の場合には上の欄の金をもらう、退職の場合は下の欄の金をもらう、こういうシステムになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/70
-
071・向井長年
○向井長年君 この運営上の問題で、特に学識経験者等から評議員会を設置するということになっておりますね。この評議員会というのは、もちろん小規模事業者の意見を反映するということになると思うのですが、それはどういう権限、性格、あるいは共済事業団に対してどういう一つの何を持っているのか、建議をするというか、あるいは意見反映等、どういう一つの任務を持っているか。あるいはその構成をどう考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/71
-
072・中野正一
○政府委員(中野正一君) この評議員会は、この事業団の運営について、理事長の諮問に応じて運営上の重要事項を審議するということになっておりまして、またそういうことに関して理事長に意見を述べることができます。これはできるだけやはり民主的に、そういう小規模企業に関して学識経験のある者から選ぶ。したがってこれは実際には零細企業者の代表というふうな方もぜひこのメンバーの中には入れたい。それからいわゆる中小企業等に関する学識経験者等ももちろん入れるわけでございます。いずれにしても評議員十人以内ということになっておりまして、通産大臣がそういう方々のうちから任命するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/72
-
073・阿部竹松
○阿部竹松君 私の調べていただいた表をちょっと申し上げてみますと、三百六十カ月掛け金をして百十四万円、これではその中小企業を助けるというわけに、なかなか倒れかかったやつを助けるというようなしろものではないような気がするのですね。三百六十カ月かけなければならぬわけですから——三十年。それではとてもこれはなかなか中小企業——中小といっても零細企業なんですから、純然たる退職金制度のような気がするのですが、そこで長官にお尋ねしたいことは、中小企業もだんだん近代的になって、中小企業庁でも骨折っておるようですが、このごろ新聞で見たりラジオで聞くと、零細企業が転廃業したり倒産するようですが、これが急速に増加しておるということなんですが、大体の現在の段階の数字は手元にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/73
-
074・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘は二つの問題があるかと思うのでありますが、最近の倒産の件数でございますが、これはもう大部分が中小企業の倒産でございますが、ちょっと数字を申し上げますと、昨年のまあ終わりくらいから非常に倒産が顕著にふえてきたわけでありますが、昨年の十月が全国で四百四十九件、十一月が五百十八件、十二月に最高に達しまして五百九十六件、それから一月にやや減りまして四百二件、二月に再びふえまして五百二十一件、三月が五百七件、四月が五百八十四件ということで、非常に高水準の倒産が続いております。ただ御承知のように、これは東京商工興信所の調べでございまして、負債金額が一千万円以上の負債を負って倒れたものということでございまして、一千万円以下の負債を負って倒れたものがまだたくさんあるじゃないかという御指摘があるかと思いますが、この調査がなかなか現在の段階では非常にむずかしいわけでございまして、これは大蔵省のほうと相談いたしまして、大蔵省のほうから全国の銀行にその調査を依頼をいたしたものがございます。それでちょっと参考のために申し上げますと、これは銀行の取引停止処分、いわゆる全国の手形交換所において取引停止処分を受けたものがどれくらいか、これは法人で資本金が百万円以上、個人では負債金額一千万円以上のものを調べたものでございますが、これを見ますと、件数が十月から申しますと、十月が千三十二件、十一月が千十五件、十二月が九百七十三件ということになっておりまして、大体いまの東京興信所の調べの倍程度くらいに件数が多いわけであります。これはいま言ったように、負債金額一千万円以上のものが相当入っておるということでございまして、調査としてはこの程度しかございません。いずれにしても相当の高水準で続いております。金額で申し上げますと、東京興信所の調べのものが、昨年の十二月が九百二十九億、一月が四百二十億、これは非常に減りまして、二月が四百五十九億、三月が九百九十億、四月がちょっと金額が減りまして三百九十八億、三月の九百九十億というのは件数が少ないのに金額が張っておりますのは、御承知の姫路の山陽特殊製鋼が倒れて、これは一社でちょうど五百億の負債を負って倒れました。負債の金額のほうは横ばい、件数は少しふえ気味ということでございますので、中小企業、しかも比較的規模の小さいところが相当倒れておるということをあらわしておるかと思います。それからなお全国的にこの廃業はどのくらいになっているか、これもなかなかむずかしい問題でありますが、昭和三十七年度の総合基本調査によりますと、過去五年間に商業関係で、製造業で一六・五%がやめまして、大体同じ程度のものがまた新規に開業しておるというような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/74
-
075・阿部竹松
○阿部竹松君 この国の補助についてさいぜんお尋ねしましたところが、長官はもちろんのこと、大臣折衝までやって努力したんだが、かくかくの結果になった、こういうお話でしたが、いま申し上げましたとおり、ともかく三十年かけても百十四万にしかならんわけですから、そうすると、これに税金がかかるわけですからね、三十年後の経済ベースがどういう状態であるかは別といたしましても、ともかくこれはなかなか中小企業、零細企業あるいは家内工業まで入るかもしれませんが、そういうものをカンフル注射でもしてやろう。やはりそれを果たすためには一人でも多くの人が入ってもらわなければならない。こういうことに相なろうかと存ずるわけでして、そうしますと、どうしても国の力というものは必要でないか。このままでいくと、十一カ月かけ捨ててくれた人がたくさん出ると財政基礎が確立する、そういうようなことであっては、どうも理解に苦しむところがあるわけですがね。三十年かけて長官、百十四万です。それから税金を取るというんでしょう。経済ベースがその三十年後どうなっておるかわかりませんけれども、それではちょっと魅力がないような気がするのですがね。もうすこし魅力があるようにして、一人でも多くの者が加入できる、参加できるようにしてあげるのが親切じゃないかという気がするのですが、そういう点はいかにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/75
-
076・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生御指摘の点は、全くわれわれ中小企業を担当しておる者としてはほんとうに御同感の次第でございますが、先ほど申し上げましたように、この制度をつくるときにいろいろ折衝したのでありますが、先ほど申し上げたように事務経費あるいは出資金等に対する政府の助成というもの以外は認められなかったのでございます。また税制上もいま御指摘ありましたように、この共済金はいわゆる一時所得として税金がかかる。しかし一時所得ではございますが、掛け金についても同じでございますが、大体生命保険に準じたというか、生命保険と同じ扱いをしようということで大蔵省と話し合いをつけまして、掛け金につきましても生命保険控除の中で所得控除をする、それからこの共済金をもらう場合も一次所得ではございますが、生命保険をもらうことと同じ控除をこれに適用しようということまではいって、そういうことになっておりますが、なお国の税制上の優遇、あるいは国の助成をもう少し手厚くするというようなことによりまして、本制度を零細企業者のためにさらに魅力あるものにしていくという方向で、われわれとしては努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/76
-
077・阿部竹松
○阿部竹松君 さいぜん向井委員の質問の中にも含まれておりましたこの事業団に四千十万出資するわけですね。それから運用資金というんですか、三千万円出して合計七千万円、これは私いままで主張いたしました補助金は別といたしまして、四千万円の政府出資の資本金と三千万円の運用資金で、はたして長官のねらっておるような三百万を対象とした小規模業者の加盟ができるかどうか。東京都だけでもそれくらい必要じゃないかと思うような気がするのですが、その点についての御解釈と、その四千万円は年々出資するものか、それからもう一つ一方の三千万円の事務補助金ですか、運用資金ですか、この三千万円はこれまた毎年国として応援するものかどうかという二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/77
-
078・中野正一
○政府委員(中野正一君) この事業団の事務経費は全額国庫補助でまかなう、こういうたてまえにいたしまして、初年度でございまして、これはPR、準備等にも役所べースでも相当準備もかかるという意味合いから実は四カ月分の予算ということになっております。したがって、これを一年直せば、初年度の分として三千万円ですから、一年分としては約九千万円ということになるわけでございますが、これは全額国庫補助でやる。それからそれ以外に出資というものを考えまして、今後は、事務経費のほうは全額国庫補助でございますが、むしろ今後の方向としては出資の増額というようなことは来年度以降大いにこれは考えられることじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/78
-
079・阿部竹松
○阿部竹松君 次にお尋ねする点は、豊田委員長は専門家でいらっしゃるから、豊田委員長あたりからお尋ねになったほうが当を得ているかもしれませんが、私はこの小規模企業者ですね、この人たちがこの共済制度を望んでいるということは、このような制度ではあるのだが、国から補助金をもらって、そうして大企業の圧迫と自由主義経済の圧力によって苦しい思いをしているわけですから、何らかの足しにするためにはやはり国の補助を多く期待しているのじゃないかというような、しろうとですが、そういう気がするわけです。こういう点については、法律を企画立案された中野長官は業者の意向等も参考までにお尋ねになったかと思うのです。業者の意向等はどのように反映されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/79
-
080・中野正一
○政府委員(中野正一君) この小規模共済制度というような制度をぜひつくってほしい、むしろこれは自分たちの力でやるべきじゃないかというふうな動きが前々からございまして、いろいろ計画が立てられたわけでありますが、どうもやはり民間べースでこれをやったのではなかなか成り立たないということになりまして、ぜひこれは国の機関でこれをやってほしいという、これは全国の中小企業団体あたりの決議あるいは商工会議所、それから全国の地方にありまする商工会、それから税関係で言いますと、青色申告会というものがございますが、こういう青色申告会の地方の方々等から非常に要望がございまして、そういうことをもとにして、われわれもそういうことをひとつぜひ考えようということを考えたわけでありますが、そういう業界の方の意向としては、もちろんこの事業団の運営の費用は全部国で出してほしい、それから相当なやはり出資なり何なりして、その運用益というようなものがありますから、そういうもので給付金のほうもできるだけ手厚くしてほしい、あるいは場合によっては、必要によっては直接の補助金というようなことも考えてほしいというような、これは具体的にどの程度の補助金を出せとか、そういうふうな要望でなくて、比較的そういう抽象的ないろいろなことが考えられるから、そういう方法でもってこういうことをやる以上は、国の助成を厚くすべきであるという要望はございました。そういうことも勘案いたしましていろいろ案をつくってやった結果がこういうふうになったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/80
-
081・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで立法化されると、中央はじめ地方で組織化され行動に移るわけですが、さいぜんも申し上げましたとおり、四千万円の出資金と三千万円の事務補助費では、とうていそちらこちらに、いわば全国的に事務所等を持って仕事をなさるわけにいかぬわけですね。これはどういうところの機関で委託事務といいますか、そういう業務を担当なさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/81
-
082・中野正一
○政府委員(中野正一君) いまこの事業団の仕事については、第一に、広くこういう制度の正しい意味のPRということが必要でございます。これはもちろん中小企業庁あるいは通産省、その出先あるいは関係の府県等役所べースでももちろんやらなければいけませんが、特に一番こういう問題に関心の深い事業協同組合あるいは企業組合、その他の中小企業の団体がございます。あるいは商工会議所、商工会というような団体がございますから、そういうところの御協力を得たい、またそういうところから非常な御要望もあったわけでございますので、そういうところにひとつ応援をしていただきたいということで、四十三条にございますように、事業団は、通産大臣の認可を受けて事業協同組合その他の事業者の団体に対して、たとえば掛け金を収納するとかというふうな、あるいは加入を促進して加入の申し込みを受け付けるとか、こういうふうな仕事、それからいろいろな調査、PR、広報、そういうようなことをそういう中小企業の団体に委託をしてやらせよう、広くそういう方々の協力を得たい、したがって、それには全然費用を出さずにやるというわけにいきませんので、これには必要な委託にかかる費用については一定の手数料を出すようにしようということで、この手数料についてはいま言ったようないろいろな広報その他の普及に必要な金と掛け金を徴収するに必要な実費等を、たとえば失業保険で事務代行手数料というものが御承知のようにございますが、こんなようなことも参考にいたしまして必要な手数料を決定いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/82
-
083・阿部竹松
○阿部竹松君 なかなかいま御説明のあったPR等については容易なことでないと思うわけですが、いずれにしてもPRをやって一人でも多く加入者を募ってものにしなければならぬわけですが、手数料は何人募集すると何%やるというような、請負制度というとちょっと表現が悪うございますが、そういうようなシステムでやられるわけですか。具体的にどういうようなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/83
-
084・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生が御指摘になったような加入何口に対して何口までは何ぼというふうなやり方も加味して促進に資したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/84
-
085・阿部竹松
○阿部竹松君 次にお尋ねするのは、これは一年や二年融資するということじゃないわけですから、今度これは融資するようになっておるわけですが、この基準はどういうことになりますか。この掛け金のあれですね。たとえば今日厚生年金の積み立て金がその融資等をめぐって大論争になっておるわけですね。厚生年金法をつくるときにあまり融資について考えておらなかった。もちろん年金法はつくった後、法も改正されておりますが、戦時中つくった法律ですから、いまの経済状態、国の経済が違っておるから、当時はよかったかもしれませんが、いま大問題になっておる。そういうような事故のないように万全の処置を講じてあるとは思いますが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/85
-
086・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、四、五年で大体三十万ないし四十万、どのくらいの金になるか、これはいろいろな計算がございますが、大体四、五年後で二百億円程度の掛け金が集まるのじゃないか。先ほど申し上げました労働省のやっております共済事業団が今年で大体約二百億の積み立てになると思います。まあ労働省の退職金共済事業団の例を申しますと、これも掛け金のうちの一部をいわゆる還元融資をするという規定が法律にございまして、三十九年から還元融資を始めました。そして百億の積み立て金のうちで、そのうちの約一割の十億を三十九年度で還元融資をするということをやっております。この小規模共済事業団におきましても、第四十二条にございますが共済の契約をした零細企業者でございますね、あるいは「主として共済契約者を直接又は間接の構成員とする事業協同組合その他の団体」、したがって、契約者とその契約者を主としたメンバーにしている事業協同組合等に対して、事業に必要な資金を貸し付けるということでございますから、もちろん先ほどお話の出ておりました転業資金であるとか、再建資金とかいうようなものだけではなくして、たとえば災害復旧資金とか、その他一般の事業資金というものも貸し付け得るわけでございます。ただこれは、この法律にもありますように、本来の事業団の「業務の円滑な運営を妨げず、かつ、事業団の資産の安全で効率的な運営を害しない範囲内で行なわなければならない。」という規定もございます。それでいまの段階では、大体この余裕金が還元融資を行なえるような規模に達した時期、大体これは二、三年後に考えておりますが、二、三年後には大体全体の積み立てた余裕金の少なくとも一割程度は還元融資をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/86
-
087・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで、長官の御説明にもあった、四十二条に還元融資の点が明記されておる。しかしこの法文からいくと、金がたまらぬことにはだめなのですよ。長官おっしゃるとおり、三年ないし五年くらいかかるでしょう。そのとき初めて、基礎ができ上がったときに融資できるような金額が出てまいりますので、融資する。しかし、融資を受ける資格者は相当数おるわけですから、なかなか希望どおりにいかない。そうしますると、一方は、三十年かけて、やめたときには百万だというような希望の人もおるかもしれませんけれども、業者ですから、やはり反面何とか融資を受けたいという希望を持っている人もあるかもしれない。そうすると、基準について非常にめんどうな問題が起きてきはせぬかというような気がするわけです。その場合の交通整理はどういうことになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/87
-
088・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは確かに先生御指摘になったように、なかなかむずかしい問題でございますが、ただ、御承知のように、中小企業のこれは一種のやはり、還元融資は、金融でございますから、金融関係については、たとえば零細企業の金融としては国民金融公庫、中小企業には中小企業金融公庫、あるいは組合関係については商工中金、それぞれの政府関係の金融機関もございますので、そういうものとそういう事業団もタイアップして事業を進めていきたい。ただ、主としてこれは小規模企業者がメンバーでございますから、最高限はある程度切って、なるべく多くの人に行き渡るようにいたしたい。御承知のように、国民金融公庫が主として零細企業金融を扱っておりますが、これは一件の貸し付けの最高金額が三百万円でございます。最近引き上げまして、いままでは会社が二百万円、個人企業が百万円であったものを、三十九年二月に、両方二百万円に引き上げ、さらに今年四月、両方三百万円にいたしました。これはなお三百万円では低過ぎるので上げてくれという要望もございますが、実際に国民金融公庫から借りた人の平均金額は幾らかというと、五十万円に満たないわけです。四十何万でございます。一件当たり。それほど零細なやはり金というものが実際に順調に借りられるということになると、非常に零細企業者というものは助かるということが実態じゃないかと思います。そういうことで、できるだけ広く、しかし有効な金が使えるようにということで、基準等は十分に考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/88
-
089・阿部竹松
○阿部竹松君 この四十二条の二項ですね、「効率的」とか、運用を害してはならぬとか云々、こう書いてありまして、そこで、融資をしなければならぬということになっておるわけですが、こういう点は、当事業団みずからが認めればそれでけっこうなものか。それとも通産大臣の認可等があって初めて、その積み立て金と運用資金というのが初めて明確になったところで始まるものかどうかということと。
それからもう一つは、大体、さいぜんもお尋ねしましたが、融資にあたって大ぜいの人の申し込みを受けた場合に、もう一度お尋ねしておきますが、どこでだれが裁定をしてその融資をするものか。同じような条件の人がたくさん出てくるわけですね。いま局長のおっしゃるように、三百万戸、これが三百万人が三分の一でも百万人、そのうちの有資格者が十分の一にしても十万という数字になりますので、これは容易でないことになるとような気がしますが、その点はいまからお考えになっておかぬとあとで問題になるわけですから、もう一後明確にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/89
-
090・中野正一
○政府委員(中野正一君) これも還元融資についての貸し付けの条件、運用等の基準ですね、たとえば最高額を幾らぐらいにするとか、金利をどのくらいにする、それから保証金を取るとか、あるいは償還の期限がどのぐらいかというふうなことは、全部事業団の業務方法書というものできめまして、通産大臣の認可を受けさせることにいたします。
それからどの程度でございますかは、中小企業の退職金事業団のほうで見ますと、昨年は一年間に十億円程度のものを還元融資するということにきめておりますが、これも計画を毎年つくって通産大臣の認可を受けるということでございまして、いま先生の御指摘のあったような点については、この基準をつくる際に十分配慮して万全を期したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/90
-
091・阿部竹松
○阿部竹松君 十分配慮はわかりますが、それはどこでおきめになるわけですか。この法律には、還元融資云々といって四十二条で一項、二項と、ここに出ておりますが、条件はどこでおきめになるわけですか。ただいままでの御答弁では、十一カ月でおやめになった人は、掛け金全部没収、三十五カ月までは金利をパーにする、こういうような、片方は、かける人はきつい締めつけがあるわけです。したがって、融資をする場合等においては、たとえば政府出資の、政府融資の開発銀行、こういうところよりは金利が安くてしかるべきだと思うんですが、そういう点の条件は一体どこでおきめになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/91
-
092・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは事業団のほうで規定をつくって、そうして通産大臣の認可を受けるということにいたしております。確かに、もちろんこれは融資先は、小規模事業者で事業団と共済契約をいたした者か、あるいはそれを構成員としている団体ということでございますが、非常に金が少ないような場合には、たとえば先ほど言いましたように、事業資金といっても、そのうちでたとえば再建資金等に重点を置くとか、そういうような基準についは、いま言った金利であるとか、この償還期限であるとか、それから、そういう条件だけでなくて、運用の基準等につきましても、これは通産大臣の認可を受けさしてそういうものについてはやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/92
-
093・阿部竹松
○阿部竹松君 その貸し付けのほうもあまり役に立たぬということになると、また、さいぜんの話になりますが、この中小企業の退職金のほうは、比較的初めがよくて最後が悪いわけですね。こちらは逆なんですね、退職金共済制度を見ると。しかし、そうなってみると、この退職金制度のほうがいいような気がしますがね。中で大事に取り扱ってもらっているわけですから、とても三十年かけている人が、結局、いまのお話を聞くと、多くなるような気がする、なかなか融資を受けられませんからね。融資を受けて融資の恩恵に浴そうということになれば、しし営々として二十年、三十年つとめて掛け金をしまして、やはり最後にもらう以外に方法がない。融資を受けて若干でも恩恵にあずかるという人は百分の何とか、千分の何とかになってしまうというところにあります。そうすると、その論であれば、中小企業退職金共済制度のほうがいいような気がする。三十年かけて百万もらうのだったら、銀行預金にしてもこれより分がよくなりはせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/93
-
094・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど先生の申されました百十四万が三十年でもらえるじゃないか、これは御指摘のとおりなんですが、これは月に千円かけたときの計算になっております。かりに、この制度で最高は月五千円でございますが、そうすると、これの五倍で約五百七十万ということになるわけでございます。それから小規模共済制度と労働省でやっております中小企業退職金共済制度、これを比べてみますと、いま御指摘のあったように、一年から八年目ぐらいまでは、私のほうの小規模企業共済制度のほうの率がよくなっております。それからずっと長期のものになると、小規模企業共済制度のほうが退職金の共済制度よりも率が悪い。ちょっと数字で申し上げますと、三百六十カ月、すなわち三十年かけた場合に、払い込み金の、掛け金に対して何倍になっておるのかという数字を御参考のために申し上げますと、小規模共済制度のほうは、払い込みに対して支給される共済金は三・一八倍でございます。それに対して、中小企業退職金共済制度のほうだと三・二三倍ということで、これはもちろん、先ほど申し上げました補助金がつきますので、そういうような関係がおもな理由でございますが、こういうことになっております。ただ非常に短い期間でやめた場合は、これは小規模共済制度のほうが有利になっております。たとえば一年未満はかけ捨てで、それから一年から二年の間は、大体半分くらいはかけ捨てで、二年から三年は、元本という中小企業退職金共済制度になっておりまして、私の方よりもやや不利な扱いになっておるわけでございます。
それから先生が御指摘になりましたように、確かに還元融資で潤う分も相当少ないじゃないかと、御指摘のとおりでございますが、何といってもやはり共済制度は、適切な運用で必要な共済金を支払えるような仕組みにしておかなければいけません。したがって、これで集まった金は、国の責任において最も安全有利な方法で運用するということで、余裕金は大部分をたとえば商工中金債を買うというようなことによって、この集まった金は必ず中小企業にこれが広い意味で還元されるということを考えておるわけでございます。集まった金の一割ないし二割という金をほかに、今度は商工中金なんかを通じて還元するというようなことでなくて、契約者御自身に直接にもその一部の金を還元しよう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/94
-
095・阿部竹松
○阿部竹松君 どうも集まった金は、商工中金債等を買うから、そこで商工中金一が助かるから結局大局的に見てもいいではないかというような大きな話になってはこの法律はとても論議できない。この法律の相手とする対象が直接どうなるかということで、日本の国がどうなるかという話まで発展しては、とても長官、幅が広がって、きょうやあすで上がりませんよ、そこまで論拠を発展させるなら。しかし、あなたがたまたま持っている数字はどこから出したかわかりませんが、これは同じだね。そうすると、私の言わんとするところは、三十年、月千円でかけて百十四万五千五百六十円ですよ。一方の退職金のほうは百十六万二千二百七十円です。それでこちらのほうがいい、論議している法律のほうが安いわけです。中が高いからいいではないかというあなたのお話ですが、この還元融資を受けて助かる人は非常にありがたいけれども、還元融資をしていただいて、企業が倒れるところを共同で金を借りて企業が助かった人は喜ぶかもしれないけれども、しかし実際問題として、そういう融資を受けられる人は、先ほど申し上げたように何千分の一か何万分の一ですよ。そうしますと、三十年しし営々としてかけた人が、同じ共済制度であっても、退職金共済制度のほうが有利である、大多数の人が有利なような扱いを受ける、こういうことになるわけなんです。ですから、これはいかぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/95
-
096・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘の点は、すべてごもっともでございますが、先ほど来申し上げておりますように、われわれとしては、この制度を発足さしていただきますれば、今後の問題として少くとも退職金共済制度、中小企業のこれと同じ程度の給付金に、あるいは共済金に対するように、われわれとしては今後せっかくの努力をしなければいかぬといふうに考えております。そういうことでいろいろ予算折衝もしたわけでございますが、いろいろ政策的な観点等から、そこまではまだ踏み切れないじゃないかということから、こういう結果になりました。いま申し上げましたように、先生の御指摘のように、この共済制度と中小企業退職金共済制度の給付金の差は、主として国の補助金があるかないかということが大きな差になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/96
-
097・阿部竹松
○阿部竹松君 補助金云々ということでありますが、確かに補助金は一方にはついておるわけですね。こちらには七千万円の資金と事務補助費しかないのでその差がつくわけですか。こちらのほうは、十一カ月かけても十二カ月目続かなかったら全部没収でしょう。それから三年未満という話がありますが、これは三十五カ月間は無利子でしょう。そうすると、初め、スタートもやはり違うのじゃないでしょうか。たとえば十一カ月も没収、三十五カ月三年未満、これは金利一銭もつかない、こういうことですか。スタートも違うのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/97
-
098・中野正一
○政府委員(中野正一君) お手元に提出してあります資料にも出ておるかと思いますが、両制度とも、一年未満はかけ捨ては同じでございます。それから、たとえば十二カ月目は、それからちょうど一年かけたときには、私のほうの小規模共済制度のほうは、元本だけは元のとおりもらえる、三年未満まで元本はもらえるということになっております。ところが中小企業の退職金共済制度のほうは、ちょっとそれよりもきつくて、たとえば一年、ちょうど十二ヵ月かけたときは三千六百円しかもらえないということになっております。したがって、中小企業退職金共済制度のほうは、一年未満はかけ捨て、それから一年から二年未満は、月によって違いますが、大体半分程度かけ捨て、それから二年から三年までかけたものが元本と、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/98
-
099・阿部竹松
○阿部竹松君 解約のときは、元金もらえないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/99
-
100・中野正一
○政府委員(中野正一君) 解約の場合は、八割から十割まで、かけた月によってもらえることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/100
-
101・阿部竹松
○阿部竹松君 十一カ月、三十五カ月、没収、無利子、これはわからぬでもないですが、これは十一カ月かけても、十一カ月の金利など出して元金全額初めから返却するぞということになったら、事務費が膨大になってとんでもないことになるから、没収する意味はわからぬでもないわけですがね。しかし、十カ月三割没収とか、あるいは一年は無利子とか、二年目から利子をつけるというようなわけにいかぬものですか。この種のまことに——こういう企業ということになっておりますが、まあ家内工業であり、零細企業であり、おそらく何々企業などという筋合いのものでなかろうと思う。こういう諸君が対象なんですから、あまりきびし過ぎるような気がしますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/101
-
102・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点もわれわれとして、いろいろな考え方でいろいろ計算をしてみたわけでありますが、結局こういう制度が一番いいんじゃないかということになったわけでございますが、主としてこれは、従来からありまする中小企業退職金共済制度の運用の実績等を見ましてこういう決定をいたしたわけでございます。いま先生の御指摘のような点も、零細企業者の立場から見れば、もう少し短い間にやめていかなきゃならぬ者等についても、あたたかい手を伸ばすべきじゃないかという御意見も非常によくわかりますので、今後さらに十分研究してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/102
-
103・向井長年
○向井長年君 関連。長官、こういう小規模企業者から非常に強い希望もあったし、みずからもそういうこともやりたいんだと、こういう意見も先ほどから答弁されておりますが、これは共済制度という形でこういうことを実施しようとしておりますけれども、実際は、自分たちがかけた退職金を自分たちが若干有利に取ろう、こういう性格のものだと思うんですよ。そこで、長年つとめるとか、あるいは事業をやっておって、大体年金制度か、あるいは退職金か一時金か、どちらかですね。そうすると、年金制度といえば毎月か毎年もらえるわけですね。そういう形であるならば、自分たちがかけるということは当然だと思うんですよ。そこで、一時退職金というやつは、これは掛け金をしてなくてもらうわけです。大企業等の従業員は。だから、これをごっちゃにしておると思うんですね、いまこの法案は。そうすると、やはり雰細な企業の強い希望というものは、少なくとも政府自身がある程度の助成をして有利に支給されることを望んでおると思うんですよ。こういう内容であるならば、これは場合によれば、一人、月五千円投資信託に持っていったり、あるいは場合によれば保険かけたら、もしかのときはこれは全額もらえるわけですから、そのほうが有利だというような意見が出てくるんじゃないかというような気分がするんです。だからこの点、趣旨としては、苦肉の策というか、決して悪くはないんですよ。ところが、実際かけた額に対する支給という問題を考えれば、これは一般の退職金制度とかあるいは年金制度とかと比較した場合に、実に、何といいますか、いいことじゃないんですよ。たいへんなんだ、これは。先ほど阿部先生言われたように、掛け金から考えて、戻ってくるときには、まあ最終的には三・一八とかいう比例を出されておりますが、だからこの点、こういうものを零細企業行の諸君がぜひつくりたいということは、少なくとも政府助成というか、そこに大きなウェートを持ってもらいたいという希望の中から私は出ておると思うんですよ。自分たちがかけて、そしてそれがもらえるときにはわずかな利子で、だからこの金を、最終的には四百九十何万というような金を、投資信託なりあるいはその他で運用した場合に、三十年間の間だったらあるいは利益がそっちのほうが多いかわからぬと思うんですよ。そういう意味におきましては、いま直ちにこれは無理といたしましても、相当やはり政府の助成というものが加わらなければ、零細小規模企業の諸君はそうありがたがらないと思うんですよ。
それと同時に、先ほど長官から言われた国民金融公庫の問題も出ておりましたが、これはひとつ実態をもっとつかんでもらいたいと思うんです。長官は。百万とか二百万限度になっておりますけれども、実際は借りるのは四十万あるいは五十万までだと、こういうことを言われておるけれども、これは借りようとしても貸さないんですよ。たいてい五十万の申請をした場合に、二十万なり二十五万で押えられますよ、これは百万の申請をしたときには、とってもたいへんです。これは担保を入れよというようなかっこうで借りられないのですよ、したがって、二十万なり三十万なりの程度でしんぼうせざるを得ないというのが現状なんです。それを、いや、実は百万、二百万に限度を上げましたと、こういうような話をしておるけれども、事実それだけ出しても地方において国民金融公庫が貸すか。大体百万までが支店長の権限ですか、二百万になれば本店権限になるのです。こうなっているけれども、審査されたときに、とてもたいへんだということで、そんなものぐっと切り下げられて、五十万借りたいけれども、二十万か三十万しか実際には借りられません。そういうこともあわせて実態を把握しなければ、そういう阿部先生の質問に対して、長官が軽く答弁されているけれども、実際はそうではない。したがって、この法案の趣旨から考えて、必ずしも悪い法案ではないけれども、相当中小企業に対するいろいろな方策から、共済制度もつくろうということで、けっこうだと思いますが、事実上その金の運用というものは、零細な諸君が月五千円掛け金した場合に、それに見返るものをやっぱり頭の中に置いておると思うのですよ。それが、さっき言ったように、一年間は切り捨てだ、それからは八分通りの還元だ、二十年なり三十年なりしたときにこれくらいの率でこれがもらえる、こうなれば、退職金制度と年金制度の形がごっちゃになっているのじゃないか。だから、恩給とか年金は相当助成があるから、わずかかけても毎年もらえるわけです。退職金は一時金ですから、自分たちがかけなくてももらっている。企業者は、まあ自分たちが企業をやっているのだから、そういう退職金はもらえないにしても、掛け金に対するいわゆる還元の額というものはもっと大きくなければならぬ。そのためには、やっぱりこの法案をつくるためには大きな助成を加えなければ一般企業者はたいへんだと思うのですよ。いい法律をつくってもらったけれども、実際入ってやるとすれば、それをもって計算すれば、あまりありがたがらない。五千円の金があればほかへやったほうがいいという感じが起きるのじゃないか、こういう感じがしますが、基本的にこの法案をつくられた趣旨から考えて、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/103
-
104・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま向井先生が御指摘になったような点も、われわれ案をつくる際にはいろいろ考えたわけでございまして、結局まあこのような制度になったわけでございます。一応、弁解するわけではございませんが、既存の保険とか共済制度に比べましてどういうような利点があるかというようなことを、これはいろいろこの制度をつくるときに、中小企業の皆さん方にも御説明したのですが、いわゆる既存の保険とか共済制度では、廃業のときに金がもらえるという制度がないから、それをひとつ考えてほしい、それから、同時に、やはり退職ということもこれに準じて、それも零細企業主自身にはないから考えてほしい。もちろん、そのほかの年金制度とかいろいろな制度は、これはみな一般国民として利用できるわけでございますが、そういうことが一つと、それから、この給付金は、法律にもございますが、確実に本人に渡るように、要するにそれを譲渡したり、それから担保にしたり、あるいは差し押えたりすることはできないという法律の規定がございますので、確実に何年か先に、自分が廃業なり退職したときには、これだけの金が必ず入るという保証があるわけでございます。この点がやはり一つの利点というか、まあ皆さま方に喜ばれている点じゃないかと思います。
それからもう一つは、利回りの点は、確かに金銭信託とかなんとかに比べれば劣ります。大体七分二厘程度の利回りになっておりますが、しかし、これも考えてみれば、非常に長期にわたって高い利回りの、しかも国がこれを安全に確実なものとして保証をしておるということは、ほかにはまあないのじゃないか。ただ、保険といいますと、保険は満期になった場合は非常に運用利率が低いわけでございます。もちろんこれはそれまでに事故が起こったら満額もらえるわけでございます。大体普通の保険は、運用利回りは満期になった場合は五分程度になっております。したがって、満期の給付はこの保険よりはいいと、こういうようなこともあるわけでございますが、しかし、根本的にはやはり先生が御指摘のように、せっかくこういうものをつくるんなら、国がもう少し助成をすべきじゃないかという要望等があったことはあるし、また、これからも出てくることは確かだと思いますから、今後はこれをもう少し零細企業者に最も喜ばれるような制度にしていくということが、やっぱりつとめじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/104
-
105・向井長年
○向井長年君 もう一つ。長官ね、この法律の立法精神と、先般決定いたしました信用保険法ですか、の改正、これのいわゆる二つの立法精神がね、趣旨が相矛盾してるんじゃないか。これはまあ転業ということを頭へ置いて——若干そういうことも頭へ置きつつこういう共済制度をつくるわけです。前の貸し付けの場合には、三年間絶対だめだと、同じ業種をやってなけりゃ貸さないんだと、こういうことになっておるわけなんですよ。これはね、まあ法律の性格が違いますけれども、しかし中小企業庁として、一方においては転換しないでその方向をとっていきなさいと、そうすればこういう道も開かれるんだと、こういう形になってるし、こっちは、転業する場合にはこういう制度を行なうんだということですが、これはいわゆる精神上の問題ですがね、実際上はそういうことはあり得ると思うんですが、そういう問題について、いわゆる相矛盾するような感じを受けるんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/105
-
106・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点は、確かに先生が御指摘になったような見方ですればそういうことになるかと思いますが、私どもの気持ちでは、やはり零細企業者というものは、今日のような、労働需給状況が変わりまして、しかも、労使関係等もだんだん近代化されたものにならなきゃ経営もやっていけないと、安い賃金で経営を安易な気持ちでやっていくというようなことは許されないような、非常にきびしい経済情勢にどんどんなっていってるわけでございますね。その意味において、零細企業者等はいわゆる激しい経済情勢の変化に対応できなくて転落していく——転落と言うと悪いんですが、転業なり廃業を余儀なくされているということは事実であります。また、相当今後もそういう問題が出てくると思います。しかし、零細企業なり小規模企業なりに、その経営というものを合理的なものにすればまだ十分やっていける業態として成り立ち得ると、こういうふうに——もちろんこれは業種業態によっていろいろ情勢は違いますけれども、そういうことがわれわれの基本的な考え方でございます。したがって、政府としては、そういう小規模企業なり零細企業が経営の合理性を持って、十分激しい情勢の中でやっていけるように、まあお手伝いをするというのがわれわれ政府の役目じゃないかということを考えまして、先ほど御指摘の信用保険制度を改善しまして、そういう零細な方々も、健全な経営を営々としてやっておられるものについては、損保とか保証人とかいうようなやかましいことを言わずに金を貸す方法を——必要な資金を融通できるような方法をこの際考えようじゃないかと、それによっていまやっておられる営業というものができるだけ合理性を持ち、また情勢の変化に対応できるように、ひとつみずからの力でもって事業内容を改善していただきたい、その金を融通するということは当然これはやはり必要なんじゃないか、できるだけそれは、企業は企業としてやれるように御自身でやっていただくと、これが基本だろうと思うんです。したがって、それはもう十年なり二十年なり自分のやっている仕事、あるいはまた違った仕事に移られても、やっていくのをお助けする。しかし、そういうふうにやりましも、やはり転業とか廃業あるいは退職というようなことになっていく場合が相当多いわけでございますから、それに対する一つの制度としてこういう共済制度を考えよう。もちろんこれは基本的に非常に、今後経済情勢が激しくまた変化して、そういういわゆる転廃業というような問題を、国の政策としていかに円滑にやっていって、そうしていわゆるこのわが国の経済の順調な発展をさせるために、そういう既存の業者の転業、廃業について、いろいろ制度なり対策をやらなければいかぬということは、これは別個の問題としてありますし、これは私は今後の問題として、これだけの制度だけでなくて、政府として今後大いに考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/106
-
107・阿部竹松
○阿部竹松君 中小企業においては、従業員が役員であったり、役員が従業員になっているところがたくさんあろうかと思います。そうすると、一方において、中小企業退職金の共済法案があって、そのほうのお世話になってきている。一方では、ただいま論議されているこの小規模の共済法案がある。これはダブる人が出てくるのじゃないか、両方に入る人が出てくるというような問題も起きてこようかというように、まあ法の施行の場合にあたって考えられる。ですから、これはそういうのを一本にして、どちらか一方しか入れませんよと、役員一の身分使うのと、従業員の身分使うのと、両方入るのはいけませんよというようなことは、この法律の中にないようですから、これは当然そういうようなダブるケースがあるというように考えられる。ですから、これは、一本に規制せいと言うても、これは二本出すたてまえ上それはできませんということに御答弁が相なろうかと思います。しかし、こういうそのダブった場合の問題をどうお考えになって、どう御処置になろうとなさっているか、こういう点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/107
-
108・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘がありましたように、小規模企業において役員が従業員になる、あるいは従業員が役員になるというケースが確かにあるわけでございますが、これは現在の制度でいいますというと、先ほどちょっと御説明申し上げました税法上の扱いが、中小企業の退職金共済制度では、掛け金が損金扱いになる、それから特にその給付が退職所得になるということになっております。今度はこっちのほうの小規模共済のほうは、掛け金は生命保険料の控除の中で見る。それから特にこの共済金、すなわち給付金は、これも生命保険と同じような扱いの一時所得ということで、退職所得と一時所得では相当税法上の扱いが、御承知のように、退職所得のほうが、もらったほうから言うと有利になるのでございます。そういう差もございまして、ちょっといまこれを、先生御指摘のように、小規模共済制度と中小企業退職金共済制度との通算制度を何か考えたほうがいいのじゃないかと、これは考えてみたわけでございますが、そういう税法上の差等の問題もございまして、現在はまだそういう制度をとるところまで至っておりませんが、この点については、共済制度の主務官庁であります労働省と、目下いろいろと、目下いろいろ相談をいたしております。ぜひこれは何とか、これに加入される方の便宜のために、前向きの方向で検討しようということでございまして、至急これは十分検討して考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/108
-
109・阿部竹松
○阿部竹松君 それは、委員長を例にとって申し上げてたいへんに恐縮ですがね、豊田商事に働いている場合は従業員で、お隣の中野商店に行ったところが、理事か役員であるというようなことは、これは中小企業にはたくさんある例ですね。ですから、その場合ですね、両方のお世話になると思う、これは。この法はこれは認めているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/109
-
110・中野正一
○政府委員(中野正一君) 現在の制度では別々の制度になっておりますので、こっちの従業員から私のほうの——今度A商店の従業員からB商店の役員になるというような場合には、一回従業員としての退職金をもらって、そうしてこちらに移って、またこちらで小規模共済のほうの共済制度に入るということで、それは御指摘のへそれを通算したほうが本人のために非常にぐあいいいじゃないかということは、現在の制度ではそういう制度になっておらぬわけでございます。今後これは考えていかなければならぬ問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/110
-
111・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると本法案は、きょう委員会上がって、明日本会議で議決すると、明後日から発効することになるんですね。そういうことになりますか。そうすると、この前にできた法律があるわけですから、こっちのほうをやめて向こうのほうに加入するというわけにいきませんけれども——向こうのほうの法律ということは、私のさしておるのは中小企業の退職金共済制度ですね、向こうのほうはおやめにならなければこっちに入れぬと、こういうことに相なるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/111
-
112・中野正一
○政府委員(中野正一君) 従来の共済制度に入っている人は、これは従業員として入っているわけでございますから、かりにその人がやめて今度は別のところに移って、今度はその会社の役員になったというような場合は、今度の共済制度、小規模共済のほうに入れるわけでございます。したがって、従来から入っておられる方は、そのままでこれは差しつかえないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/112
-
113・阿部竹松
○阿部竹松君 そういう意味でないのです。私の言うのは、さいぜん委員長並びに長官の例を申し上げてたいへん恐縮でしたが、中野商事に行って従業員として働いておるわけです。しかし一方、豊田商事のほうに来て、理事長であるか理事であるかわからぬけれども役員になっておるわけです。一方、そちらに行って中野商事の従業員だから当然退職金共済のほうのお世話になっているわけです。ところが、この法律が明後日からできるわけですから、今度そっちに行って、そちらのほうは私は重役であるといって入ることができるわけです。この法律見ると。そうすると、ダブルプレーができるかどうかということと、それから私は、この法律にも国から補助金を出せと、こう言っておるわけですから、そうすると、こちらは従業員が国から補助金をもらっておる、徴々たるものであっても。こちらは役員だからといってまた補助金をもらうと。それができるとすれば私の論挙がつじつまが合わぬということが一つと、それから、継続ということを申し上げましたが、こちらに移行する場合には、三年間の積み立て金、中身が違うから不可能だと思いますが、今度継続ということは、いままで五年入っていたのを今度は六年目でこちらのほうに入ってくるのか、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/113
-
114・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど私ちょっと御質問の趣旨を取り違えまして矢礼いたしました。あとで申されました、前に従業員が何年間かかけておって、今度はやめてほかの店の役員になったというような場合に、その前にかけておった年数とこれからかける年数を通算できるかという御趣旨につきましては、先ほどお答えいたしましたように、税法上の扱い等の差があって現在は別々の制度になっておりまして、通算制度はいまのところは考えておりません。法律の規定ございません。しかし、これは将来の問題として考える。
それから前申されました、A商店の従業員で同時にB商店のほうは役員をしておるというケースもあるかと思いますが、この場合は、両方の制度を利用できる、別々の制度でございますので利用できるということになっております。特に、従業員として働いておる場合は、自分がかけるのでなくて、そこの店の主人なり会社で退職金共済のほうはかけてくれるわけでございますから、これは差しつかえないわけでございます。前に御指摘になったような場合、ただ、二つ以上の会社の役員をしておる場合には、これは同じ制度の中でございますので、これはどっちか、A商店の役員として入ればB商店の役員としては入れない、こういう制度に実はなっております。従業員と役員の場合は差しつかえない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/114
-
115・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/115
-
116・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/116
-
117・阿部竹松
○阿部竹松君 いままでの質問の過程を、大臣がお留守だったので、突然お尋ねしてピントが合わぬかもしれませんけれども、長時間にわたって長官にお尋ねして、大体法律の内容を理解することができました。最後に一、二点残った点についてお尋ねしておきたいわけですが、この法律の五十八条に「掛金及び共済金等の額は、少なくとも五年ごとに、共済金等の支給に要する費用及び運用収入の額の推移及び予想等を基礎として、検討するものとする。」と、こういう五十八条の条文があるわけです。これはどの点とどの点とどの点を五年ごとになさるわけですか。たとえば、いままでいろいろ問題になった、と申し上げても、ちょうどおられなかったのでわかりませんでしょうが、まあ額の面とか国の補助の問題とか、いろいろ問題を出して長官にお尋ねしたわけです。ですから、いままでいろいろと問題になった点が、五年ごとに論議されるものかどうかということが第一点と、その次お尋ねしたいことは、この法案とやや似たような共済法案が、中小企業退職金共済法という法律が五年前にでき上がっておりますが、これも五年ごとにやるということに、こういう条文でやることになっておりまして、ことしがちょうど五年目です。ことしやられるものかどうかということと、もしやられた場合の結論に、この本法も右へならえするのかどうか、あわせて三点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/117
-
118・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 第五十八条の、少なくとも五年ごとに検討するという検討事項は、ここに書かれております掛け金及び共済金等の額はもとよりでございますが、全般的に少なくとも五年ごとに検討をしていきたい、こう思います。
それから中小企業の退職金共済制度のほうにつきましては、現在労働省では検討中であるそうでございまして、お話の、このほうの結論が出たときに小規模企業共済法のほうはどうするかということでございますが、五十八条に「少なくとも五年ごとに、」、とこうなっておりますので、退職金共済制度との均衡上考えなければならぬ点がございますれば、さっそく検討することについては、私としてはやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/118
-
119・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで、私のお尋ねしたいことは、中小企業退職金共済制度は、ちょうど立法以来五年になって、ことしが検討する時期になっておるわけです。このほうも五年ということになりますると昭和四十四年ということになるわけですから、それまで待つのか。これと類似の法案で同じ種の対象される層のための法律であるから、五年間たたなければ経済状態が変わってもやらないのかどうかということをお尋ねしているわけです。なぜかならば、来年改正する法律をいまから御答弁いただくわけにいきませんけれども、「五年ごとに」と明確に出ておりますので、あるいは若干手直ししなければならぬということであっても、五十八条という規制に基づいて、五年たたなければ直さないものかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/119
-
120・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま私のことばが不十分で恐縮でございましたが、これは「少なくとも五年ごとに」と、こうなっておりますので、はっきり五年五年と、こういうふうに解さなくてもよろしいかと思うのであります。しこうして、この退職金共済制度のほうの検討は、現に労働省のほうでしておりまして、それとの均衡上必要がございますれば、五年以内でありましても、私としては、これは手直しをするなり検討をするなりすることについては、これは当然やるべきではないかと、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/120
-
121・阿部竹松
○阿部竹松君 重ねてお尋ねいたしますが、長官のお説明によると、これは保険でもありません、あるいはまた貯蓄制度でもございません、純然たる共済制度でございます。という御答弁なんですが、この内容をだんだんと承ってみますると、どうも中小企業退職金共済制度よりも歩率が悪いことになる。もちろん退職金制度のほうは、純然たる従業員ということになっておりますし、この法案の対象は、役員ということになっておりますから、若干、対象される階層が生活程度においても上かもしれませんけれども、現実の問題として、役員という名前はもらっているけれども、家内工業的な役員もおりますので、ある場合においては、従業員より苦しい生活をしている者があるやもわからぬわけです。にもかかわらず、一方は、政府の補助金、助成をもらっているわけです。この法律によりますと、四千万の出資と三千万の事務補助費、合計七千万しか政府の恩恵に浴しておらぬ。これはどうもいけませんということで、長官にお尋ねいたしましたところが、努力をいたしまた、大蔵省に対して大臣が折衝してくれたのだが、なかなか目的を達することができません、こういう御答弁がありました。そこで、論議の中身をつらつら判断してみたときに、これは十一カ月までかけた人は、一銭ももらえぬわけです。没収です。それから三十五カ月かけた人は、金利を一銭ももらうことができない。したがって、二十年あるいは三十年かけて百万円もらう人は、これは十一カ月間かけた没収と、それから三十五カ月の無利子の金が該当されるという、端的に申し上げれば、きわめて残酷な法案であるというように考えるわけです。趣旨はけっこうですから、これは賛成しなければなりませんけれども、そういう点について、最大の努力を払いました、という長官の御説明をいただいておりますけれども、当該大臣として、この法案の自後の扱い方についての御答弁をいただいて、私、質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/121
-
122・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 本制度が不十分であって、まことに恐縮に思います。中小企業庁の長官よりお答えをさせましたとおりに、私としても、大蔵当局との折衝に最善を尽くしたつもりではございましたが、何といたしましても、各種の施策の中で、新規に取り上げる施策というものについては、なかなか認識を得られないという点があったわけでございます。私としては、不十分でもございますが、しかし、何しろこういう制度が発足をする、そうしてこれらが実施され、運用されているうちに、よりよいものにいたしたい。これが偽らない折衝の最終段階の心境であったわけでございます。今後、御指摘の出資金が四千万、事務費の補助三千万、こんな程度ではどうにもならぬではないか、ごもっともだと思います。私としては、出資金をさらに増額をしてもらいまして、その運用による効果もねらいたい、かように考えているようなわけでございますが、いずれにいたしましても、小規模企業の経営者が一般の中小企業の従業員と比較して必ずしもよくないものもあるということは、御指摘のとおりだと思います。今後において、この共済法の拡充につきましては、われわれとして十分努力をして御期待にこたえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/122
-
123・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/123
-
124・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記を始めて。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/124
-
125・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/125
-
126・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。小規模企業共済法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/126
-
127・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/127
-
128・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時五十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01719650511/128
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。