1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十三日(木曜日)
午前十一時十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
上原 正吉君
大谷藤之助君
中田 吉雄君
向井 長年君
委 員
赤間 文三君
植垣弥一郎君
川上 為治君
岸田 幸雄君
斎藤 昇君
阿部 竹松君
大矢 正君
椿 繁夫君
衆議院議員
発 議 者 海部 俊樹君
発 議 者 麻生 良方君
国務大臣
国 務 大 臣 高橋 衛君
政府委員
経済企画庁調整
局長 高島 節男君
通商産業省公益
事業局長 宮本 惇君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する
法律案(衆議院送付、予備審査)
○電気工事業及び電気工事士法案(衆議院送付、
予備審査)
○海外経済協力基金法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案、電気工事業及び電気工事士法案、以上両案の提案理由の説明を聴取した後、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の審査を行なうこととなりましたから、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/1
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002・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) それでは、これより議事に入ります。
予備審査のため、本委員会に付託されました、電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案、電気工事業及び電気工事士法案、以上両案を一括して議題といたします。
発議者から順次提案理由の説明を聴取いたします。発議者、衆議院議員海部俊樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/2
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003・海部俊樹
○衆議院議員(海部俊樹君) ただいま議題となりました電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案につきまして、その提案理由及び上要旨を御説明申し上げます。
近年における電気技術の急速な進歩による電気施設の高度化と家庭電化の進展に伴う電気使用量の著しい増加とにより、電気施設の保安の重要性はますます高まっているのであります。さきに制定されました電気事業法におきましても、この点を重視し、電気工作物の保安体制を整備し、合理化することが大きな目的の一つになっていることは御承知のとおりであります。ここに提出いたしました電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案は、一般用電気工作物の保安の確保に資することを目的としているのでありまして、このため電気工事業を営む君の営業所について登録の実施、電気工事管理者の設置、工事記録の保存等の措置を定め、あわせて、電気工事業の運営の適正化をはかろうとするものであります。
次にこの法案の要旨を御説明申し上げます。第一は、電気工事業者の登録等に関する規定であります。電気工事業を営んでいる者または営もうとする者は、営業所ごとに都道府県知事に所要の事項を記載した登録申請書を提出し、登録を受けることができることとしたことであります。なお、この登録を受けるときは、当該営業所に電気工事士が二名以上置かれていることを要件としているのであります。
第二は、電気工事の管理に関する規定であります。これは電気工事にかかる事故を防止するため、電気工事業者の管理体制を整備しようとするもので、所属する電気工事士のうちから電気工率管理者を置き、電気工事の設計、施工等電気工事に関する業務を管理させることとしたことであります。また、電気工事の施行に関する帳簿書類を保存させることにいたしております。
第三は、登録電気工事店等の名称についてであります。登録電気工事業者は、登録電気工事店の名称を使用し得ることとし、登録を受けていない者の類似名称の使用を禁止したことであります。
第四は、その他、報告及び検査、罰則等所要の規定を設けたことであります。
以上がこの法案の提案理由及び要旨の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/3
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004・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 発議者、衆議院議員麻生良方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/4
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005・麻生良方
○衆議院議員(麻生良方君) ただいま議題となりました電気工事業及び電気工事士法案の提案理由を御説明いたします。
いまや、国民経済の発展に伴い、家庭、店舗、工場、その他の諸施設における電力消費は増加の一途に向かっており、これに伴って電気工事量も急増しております。それは、工場やホテルなどの複雑な配電工事をはじめ、家庭におきましても各種の電気器具の利用度が高まりましたので、配電は複雑になってまいりました。電気工事費の総額で見ますと、昭和三十八年度の建築工事額二兆四千三百億円のうち、電気工事費は、おおよそ千九百億円ないし二千二百億円程度に達するものと推定されております。いまや、電気工事業の工事費総額は、一つの産業としても、相当高い地位を占めるに至っているのであります。電気工事業はますます高度の技術と確実なる保安が要求され、産業としての、かつ企業としての会社責任を正当に負担すべき時代となってきているのであります。
ところが、現在の電気工事業は、法制上で独立した廃業としての扱いを受けておりません。すなわち、電気工事業は電気配線工事として、建設業法の定める建設工事の一部に含まれております。電気工事業は総合的な建設工事の下請の立場に置かれております。その結果として、電気工事の下請単価を常に脅かされ、工事の保安責任を完遂し得る態勢になっておりません。私どもは、この憂うべき弊害を除去し、今後の電気工事業が十分に保安責任と高度化する配線工事技術を駆使し得る産業態勢を確立せんがため、ここに本法案を提出したのであります。
本案の要旨の第一点は、電気工事業は電気事業法で定める電気工作物の工事の任に当たる業種として、適確なる法制上の根拠を与えて、業界の社会責任を明らかにする点であります。この見地に立って、本案では、まず第二章「電気工事業者」におきまして、業種としての電気工事業のあり方を規定しました。まず、この業を営む者を、すべて通産大臣または都道府県知事に対する登録制とし、登録有効期間を二年とし、登録の要件として、事業所ごとに電気工事士であって電気工事に関し三年以上の実務の経験を有する者を一人以上置かねばならないこととしました。登録制によりまして、企業責任を明らかにし、登録期間と、電気工事士の配置義務によって、保安及び配線上の技術責任を明らかにしたのであります。
また登録を受けた業者に対し、国は適正な施工の確保と、業の健全な発達をはかるための必要な指導助言または勧告を行なうことができることとし、かつ、電気工事が委託その他いかなる名義いかんを問わず、その工事契約は、電気工専の請負契約とみなすこととしました。これによって、国は業の健全なる発展に助力し、電気工事契約の自主独立を保障することとしました。
本案の要旨の第二点は、第三章「電気工事業者団体」におきまして、業の健全なる発展をはかることを目的とする社団または財団の法人格を持つ団体の設立は届け出制とし、国に対して所定の報告を義務づけることにしました。これによって、業者団体の社会上、産業上の責任と役割りを高く評価することにしたのであります。
本案の要旨の第三点は、第四章「電気工事士」であります。現在、電気工事業は電気工事士の免状のある者が営むことができることになっているので、小規模零細企業が乱立し、過当競争を招来しております。したがって、私どもは現行の電気工事士法を本案の第四章として織り込むこととし、電気工裏をまず業として確認し、この上に立って電気工事士の地位、任務を定めることとしました。なお、電気工事士の免状、試験、義務については、おおむね現行法を準用することといたします。
なお、本案の施行は、公布の日から起算して六十日以内とします。
また、経過規定として、現在、建設業法に基づき電気工事を営む者は、本案の施行より三年間は登録を受けないでも、業を営むことができることにしました。
本案は、あくまでも、電気工事業の健全な発達によって、技術の高度化と保安の確保をはかり、あわせて中小企業者が多い本業種の自主独立性を守らんとするものであります。
何とぞ、慎重御審議の上、本案に賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/5
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006・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 以上をもって両案の提案理由の説明を終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。
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007・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 次に、海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/7
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008・大矢正
○大矢正君 先般来、海外経済協力の問題について議論をいたしてまいりましたが、海外経済協力といいましても、借款あり、賠償あり、輸出入銀行を通じての延べ払いあり、そしてまた、この法律にあります基金の制度あり、民間の経済協力あり、あるいはまた技術援助がありというように、非常にたくさんの援助の方式があると思うのであります。そこで、ごく最近の統計として、昭和三十九年度のそれら海外経済協力と思われる内容は具体的にどうなっておるのか。先般、経済企画庁長官はエカフェにおける話し合いとか、あるいは国民所得に対する一%程度の海外に対しての経済協力というような御発言もありましたが、三十九年度はどういう項目でどういう援助をしたのか、その点について具体的にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/8
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009・高島節男
○政府委員(高島節男君) 三十九暦年でお答え申し上げますと、大体大きく分けまして三つの柱があるかと思います。
一つは、賠償あるいは技術協力といった比較的贈与に近い感じのもの、これが一つ。これは大体六千八百万ドル、三十九暦年でございます。それが第一。
それから第二は、長期の信用供与、いわゆる延べ払いとか、あるいは円借款と称しております直接借款とか、そういうものを合わせまして一億二千七百万ドル、その内訳は、直接借款が四千九百万ドル、それから五年をこえます延べ払い、輸出債権、これが八千九百万ドル程度でございまして、若干過去の債権の繰り延べの返りがございますから、一千百万ドルを引きまして、これらの合計が一億二千七百万ドル、第二のグループがございます。
第三のグループに移りまして、民間の直接投資でございます。これが三千九百万ドルでございまして、合計で二億四千五百万ドルでございます。これが三十九年暦年でございますが、国民所得の計数はいつも正確なものは決算的に出てまいるのは非常におくれますが、一応の三十九暦年の国民所得の推計に対してこれを充ててみますと、大体〇・四五%になるというのが、この前長官からお答えがありました〇・四五%の内訳でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/9
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010・大矢正
○大矢正君 いま申されましたこの賠償あるいは技術協力、それから次は信用供与、三番目は民間直接投資、この中で長期信用供与というものは、輸出入銀行における延べ払いと、いま議題となっておりまする基金による借款と申しますか、これ以外にはこの中にはないのかどうか。それから具体的にこれは二つに分けた場合にどの程度の金額にそれがなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/10
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011・高島節男
○政府委員(高島節男君) ちょっとその点内訳を持っておりませんが、大勢を申し上げますと、輸出入銀行から出ているのが大部分でございます。基金はこの前申し上げましたような程度の数字でございますから、三十九年暦年としてもわずかなものでございますので、大半が輸出入銀行から出ているものと御理解いただいてよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/11
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012・大矢正
○大矢正君 そこで、いま言われたような方法による経済協力があるわけでありまするが、政府としては経済協力というものの柱を一体どこに置いて、これから海外に対しての経済協力をしていこうとお考えになっておられるのか。これは賠償というのはもともときまっている問題でありまして、品目の内容を両国が話し合うという程度で、金額のことはおよそきまっているわけでありますが、要は、一体どこにウエートを置いて海外に経済協力をしようとしているのか、その基本的な方向についてこの際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/12
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013・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいまお話のとおり、賠償関係は大体金額があらかじめきまっておりまして、その内容について話し合いが行なわれるというだけにとどまる次第でございます。しかも、これは過去において取りきめの行なわれたものについては金額が漸次減少してきているのが現状でございます。したがって、今後は民間のものが相当出ていくという見通しがなければ、結局政府のつまり援助といいますか、輸出入銀行を通じ、または基金を通ずるところのものがある程度中心にならざるを得ないかと思うわけでございます。大体のこれは見通しでございますけれども、どこに中心を置くかということについては、民間の自発的な協力が一番望ましいことは望ましいのでありますが、なかなかそうスムーズにいく問題でもないかと思いますが、自然政府において相当これを援助をするという形にならざるを符ないというふうな見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/13
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014・大矢正
○大矢正君 だいぶ委員会の中が騒々しいものですから、たいへん恐縮ですが、少し大きい声でお答えをいただきたいと思うのであります。
先航のアメリカのジョンソン大統領が表明をされた、特に東南アジアに対しての十億ドルと言われる経済援助、開発援助、それに対してわが国が協力をする云々という話も出ております。さらにまた、アジア開発銀行を設立し、それに対して日本が協力をしていくというような話も現状出ている。それから確定的であるかどうかわかりませんが、外務省等においては、総理基金という仮称をつけて、総理が直接無償で東南アジア諸国に対して開発援助のために供与するという方向も議論されているというように承っておりまするが、そういう国際的な情勢の中におけるわが国の海外経済協力の基本的な姿勢、考え方というものはどういうものなのか、この際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/14
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015・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、東南アジアはじめアフリカ等低開発国に対する日本との貿易関係は、ほとんど大部分が出超でございまして、輸出が多く輸入が少ないというふうな片貿易になっている関係からいたしまして、それらの国々から強く、つまり第一次産品等を中心にしての日本への輸入の要請が非常に強くあるわけでございます。また日本といたしましても、たとえばトウモロコシ等を漸次アメリカからタイに移行するというような形でもって、つまり輸出を増進するためには、それらの低開発国から輸入をもある程度積極的に考える。そのために必要な開発投資と申しますか、そういうふうな施設も相当に必要になってくる次第でございます。そういうふうな関係から申しまして、どうしても日本としては東南アジアを中心とし、低開発国に対する海外経済協力という面においても積極的な態度をとることによって、そういうふうな輸出入のアンバランスについても、しばらくの期間了解を求めつつなお輸出の増進をはかっていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。しこうして、ただいま御質疑のございました総理大臣基金でございますが、この問題については、政府としてはただいまのところこれを考えておるわけではございません。ただ、アジア開発銀行的な構想につきましては、これは日本が中心になるということは、とても日本の現在の経済力から申しまして、とうてい困難であるという考え方ではございますが、もしもそれが成り立ち得るならば、日本はそれに協力していくという考え方のもとに今後話を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/15
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016・大矢正
○大矢正君 先般のジョンソン提案に対して、日本も積極的にそれに協力をすべきであり、またしたいという意思表明が佐藤総理を通してなされておることを私は聞き及んでいるわけであります。そうなってまいりますと、海外経済協力基金というものをもって海外経済に対して協力をしていこうとする考え方をお持ちになっている企画庁長官として、いま申し上げました総理の基本的な考え方に従って、ジョンソン提案というものをどう具体的に受けとめるか、アジア開発銀行をどうするのか、あるいは総理基金というようなものを、現実にこれは供与であります。新聞の内容等を見ますと、これは借款ではなくて供与です。そういうものを現実にやろうとしているのか。やろうとする際にはどこでやろうとしているのか。たとえば総理の基金というものは、供与だということになりますると、この供与というのは、韓国との間における三億ドルの供与もありまするし、またベトナム等に対する協力という問題もありますし、いろいろ問題があると思うのでありますが、あなたのおっしゃられたようなつかみどころのないような御答弁ではなくて、そういう海外の経済協力に対する基本的な考え方はどうやっていきたいのだということを、私はこの際明らかにしてもらいたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/16
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017・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 予算の際にも論ぜられました総理大臣基金というものは、内容が必ずしもこれは政府部内でまとまった問題ではございませんので、政府全体としてはこれを発足するに至らなかった次第でございます。しかし、大体外務省等において意図された考え方は、供与的な性格のものであったように聞いておる次第でございます。なお、アジア開発銀行については、これはまあ第二世銀的な性格のもの言いかえれば相当低金利長期のものではございますが、しかしやはり返還をするものであって供与ではない、こういうふうに私どもはこの性格を受けとめておるような次第でございます。そういうふうな考え方のもとに、これに対しては日本としてもこれが具体化する段階になれば協力していきたいという考え方を持っているわけでございます。ただこれが、いつしからば具体的な話し合いがまとまって出発できるかという問題になると、必ずしもそう近く相談がまとまりかけているというふうな状況でもございませんので、当面は経済協力というのは、やはり低利長期を要するところの開発投資等につきましては、どうしても海外経済協力基金を活用することによっていくのが筋道である、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/17
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018・中田吉雄
○中田吉雄君 いろいろ御説明がありましたけれども、やはり海外経済協力をどういうような姿勢で、どういうような機関で、どこに重点を置くかという大矢議員の質問について、必ずしもはっきりしないと思うのですが、あるいは長官もおいでになったかもしれませんが、十日の午前十一時から丸ノ内の工業倶楽部で第二回海外経済協力強調運動記念式典で佐藤総理は、エカフェー国連のアジア極東経済委員会を中心とするアジア開銀、それについても積極的に協力する。世上伝えられるところによると二億ドルぐらいの出資をする。同時に四月七日ですか、ボルチモアでジョンソン大統領が演説しました、アジアに対して十億ドルの平和と経済発展のためにまあ海外援助をする。その意を受けて、たしかロッジ特使とロストウですか日本に来て、この問題についてかなり立ち入った打ち合わせをしているように新聞では伝えられ、同時にその会議で佐藤大臣は、これについても積極的に協力すると、こういうことを言って、新聞にはこれに対しても約三億ドルの協力を惜しまないというふうに伝えられているわけなんです。しかも、これは特にジョンソンの構想については十分警戒を要するものがあると思うわけであります。たしかビルマ以東のベトナムとか、あるいは韓国とかというような共産圏との接点にあって問題になっているようなところが主として対象のようだし、一体どこを中心にしていくんだか、その辺もう少し具体的に協力基金の担当所管とされては、やはりこういう問題については相当立ち入った交渉をされていると思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/18
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019・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 私十日の会合には全然出席いたしておりませんでしたし、また経済企画庁からもだれも出席いたしておりませんので、その点はそのときにどういうことがあったかということについては、中田先生と同じように新聞を通じて承知しておるだけでございますが、しかしこのアジア開発銀行の趣旨とか、これに対する日本の政府の考え方というものについては、かねてから各省間に相談もありました事柄でございますが、これはどこまでも各国がアジア開発銀行に出資をして、そしてアジア開発銀行からそれぞれの地域の開発に対して金を貸すというたてまえのものでございまして、日本が直接協力するというものとは全然違った性格のものに相なるわけでございます。日本から二億ドル程度出資をするという問題につきましても、これは私も新聞を通じて知っている程度でございまして、具体的な相談はこれはまだ全然受けておりません。それで、もちろん日本といたしましては、昨年の国連における貿易開発会議におきましても、国民所得の一%まで協力すべきであるという提案に対して賛成をいたしております関係もございますし、またその金額が一%ということになれば、大体六億ドルをこえるところの金額に年間なるわけでございます。したがって、もちろん出資をするということになれば、その一%の範囲内には当然入るべきものだというふうに私どもは考えますが、しかし具体的にこれがどうなるかという問題はこれからの問題であろうかと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/19
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020・中田吉雄
○中田吉雄君 やはりこの基金の今度の大きな改正では、二百億ですか、まあ借り入れできるようになるというのが柱で、海外経済協力をやるのはそういう全体の一環としてやはり整った体制でいかぬと、経済協力の効果も十分でないと思うので、アメリカに追随とは申しませんが、私はやはりただいま長官も言われたように、国連のアジア極東経済委員会で満場一致でアジア開発銀行というのが決議をされており、やはりこの線を通じて私はいくべきじゃないかと思う。ところが、そのジョンソン大統領のボルチモアの演説を受けて、ロッジとコチニクですか、ロッジ米代表が来たりして、やはりその十億ドルもマレーシアとかベトナムとか、あるいは韓国とかというような、政情のおさまらないところを対象にしたジョンソン構想というものとからんで非常にその辺が問題であり、特にやはり日本の経済協力の限度もあり、やはりどこを中心にするかということをきめねばならぬと思う。私はあとでも質問をしようと思うのですが、関連質問ですから、これでやめようと思うのですが、やはり基本的な筋はエカフェの満場一致の決議に基づくアジア開発銀行の構想をやはり積極的に進めるべきで、マレーシアとかベトナム、そういうアメリカのアジア政策の一環をになうような、大蔵省ですら心配しているような、アメリカの必ずしも長い目で見て正しいとは思われないアジア政策の一環をになうようなことがはたして妥当かどうか。こういう点はやはり十分問題にすべき点ではないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/20
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021・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 日本の近年におけるところの経済成長は相当目ざましいものはございますが、しかし海外経済協力について一%の負担というものは相当大きな金額に相なるわけでございます。そういうふうな関係もございまして、アジア開発銀行というふうなものをつくります場合におきましても、日本が中心的な役割りを果たすというふうなところまでは、とうていただいまの日本の経済力から申しまして、なかなかできにくいのではなかろうか、かように金額的には考えるわけでございます。そうしてまた、一億ドル出資するというような話も聞いておりますけれども、聞いておるというのは新聞を通じて承知しているような程度でございますけれども、それにいたしましても、これは一応に出すものではなくて、やはりある程度期間を置いて出すものであろうとかように考えておるわけでございます。それで、先ほども答弁申し上げましたけれども、経済協力基金というものは、もともとこれは事業を一々審査して、その事業が返還をし得るかどうかという、返還能力があるかどうかというところまで審査をしながら、一々具体的に適当であると考えた場合に、それを貸し付けをさしていく、または投資をしていくというたてまえのものでございまして、ただいまお話のように、いやベトナムだとか、いや何だとかいうような非常に政治的な考え方に基づいたところの問題として私どもは考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/21
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022・大矢正
○大矢正君 大臣の御答弁では、なかなか納得がいきませんが、時間の関係もありまするからして、基本的だ問題はその程度にして、次に、海外経済協力の一体中心はどこにあるだろうかという点で私は非常に疑問があるわけなんです。金額的にいえば、どうも長期信用供与と申しますか、借款と申しますか、輸出入銀行を通じてのプラントを中心とした延べ払いということがどうも金額的には中心になりそうだ。しかし、性格的にいうと、これよりはむしろこの基金なり、あるいはまた相手側の国からの希望によってきめられる内容ではあるが、賠償というものがどうも中心になるような感じがする。一体この海外経済協力の柱となるものは何なのかということが私どもにはわからないわけです。それぞればらばらに実際にやっておるというような感じを持たざるを得ないのです。なぜかというと、輸出入銀行を通じてのブラント等を中心とした設備能力に対して、金がかさばるから長期の延べ払い、こういう考え方でありますれば、たとえば経済協力基金というものはあくまでも開発に直接結びつく、言うならば借款という考え方が筋として通らなければならぬのでありまするが、それがどうもそうではなしに、輸出入銀行で長期の延べ払いをやるにしては将来不安があるから、その分はこの海外経済協力基金で補おうというような形が出ている。そうなると、海外経済協力基金というのは、この借款を与えるのではなしに、将来戻ってこないことを前提として供与を与えるというかっこうにわれわれとしては考えざるを得ないのです。この際私は、賠償あり、技術協力あり、それから延べ払いあり、また基金による貸し付けがあり、そうして民間の投資がありというように、非常に複雑多岐に分かれているそれぞれの分野に対しては、それなりの一つの性格づけを明らかにする必要性があるのじゃないか。私は特にそのことが考えられてならないわけであります。たとえばいままで貸し付けされた案件の内容を見ましても、なるほど銅山の探鉱調査とか、あるいはまたその他森林の開発事業とか、いろいろありまするが、精糖合弁事業などというものもこの中に見受けられる。今日日本の国は御存じのとおり海外の糖価水準の低落によって非常に混乱を巻き起こして、政府みずからが価格安定帯を設けなければならないような状況に立ち至っている。そこへもってきて東南アジアの各国に対して精糖合弁卒業に日本の精糖会社を通じて多額の金を貸すということになりますれば、勢いそれはわが国に影響をしてくる問題であるというように、非常に一貫しない問題が私には見受けられるのであります。したがって、この際政府はそういうような、どれがどういう性格を持ってどのような金を貸すのかということを明らかにする必要性があるのではないかという感じを私は持ちますが、長官、どういうふうにお考えになっておられるか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/22
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023・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 大矢先生御存じのとおり、輸出入銀行によるところの延べ払いは大体五年程度で必ず返ってくる金でございまして、いわばコマーシャルベースのものでございますが、しかし海外経済協力の一%のうちに含むものとして認められておるものでございますから、これを算入いたしておるわけでございますが、金額的にはどうしても一番これが大きな柱にならざるを得ない、かように考えます。なお海外経済協力基金の性格は、過般来しばしばお答え申し上げておりますように、つまり、そういうような短期の延べ払い、プラント輸出等によるところの延べ払い等ではとうていできないような長期または低利の開発投資といいますか、もちろんこれは返還について相当十分な見込みのあるもので、しかも長期低利を要するという事業を選びますことと、また同時に、先ほども申し上げましたが、日本と片貿易になっているというような国々において開発投資をし、そうしてそれが当然に日本が輸入しなければならぬような物資について地域の肩がわりをしていくということによって、その地域に対する日本の輸出をさらに増進していくというふうなねらいを持って従来も運営してまいったわけでございますが、今後もやはりそういうふうな方向に重点的に行かざるを得ないかと思います。それで、ただいま砂糖についてのお話がございましたが、砂糖については、お話しのとおり、一昨年ごろは非常な糖価の騰貴がございました。そのためにむしろ国内の物価に対する影響等もございまして、相当世界的に非常な騰貴を来たしたのでございますが、それが昨年以来急に暴落をしてきたということでございます。国際的に見まして、砂糖の価格というのは非常に騰落の激しいものでございますから、今日ただいまこういうふうな非常にその価格が低落しているという現状だけをもって、将来もそのとおりいくというふうに考えることは、必ずしも当を得たものでないんじゃないか。同時に甘味資源対策についても、政府として一応の対策を立てておりますけれども、これにおいてもやはり過半数量以上はどうしても海外の輸入に依存せざるを得ない。そしてその依存する場合において、日本が輸出をする低開発国向け、そうして片貿易になりがちな地域において、そこに開発投資をし、そこから輸入を地域的な振りかえをしていくということは、これは日本の今後の貿易を伸ばす上においてどうしても必要な事柄であろうかと、かように考えるわけでございます。またカリマンタンの森林資源の開発等につきましても、漸次フィリピンにおけるところのラワン材の資源が少なくなってきたような関係もございまして、価格が漸次騰貴するという傾向もございますので、したがって新しい輸入先を開発によってつくりあげることによって片貿易を直すということのほかに、やはり輸入についても日本がより有利な立場に立ち得るというような点もございまして、そういうふうなつまり日本の貿易構造の改善と申しますか、というような点も相当考えながら積極的にそういうふうな方面に施策をしていきたい。かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/23
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024・大矢正
○大矢正君 時間がありませんから、まとめて三つほど質問をいたしたいと思います。
一つは、この出資に関する問題であります。出資とまあ融資ということになるわけでありますが、「特に必要がある場合」には出資をすることができると、こういうように法律上はなっております。「特に必要がある場合」は出資をするというのは一体どういう意味の解釈になるのか。どういうことを考えて「特に必要がある場合」は投資ができるというふうにしているのか。
それからまた同じことでありますが、新しい改正の中に「特に必要があるときは」債券を発行したり、それからまた借り入れ金をすることができるという、「特に必要」ということばが使われておる。至るところにまあ「特に必要がある場合」とうたわれておるわけなんだが、あなたのほうの先般来の答弁によれば、特に必要があるのではない、もうあすからでも必要なんだから、ともかく債券の発行ができるように、あるいは借り入れ金ができるようにしてもらいたいというお話のように私は承っておる。何のために特にこの「特に必要がある場合」ということばを入れておるのかということが一つ。
それからこの基金が債券を発行する際に出てくる問題でありますが、どういう状態のときに債券を発行するのか、どういう状態のときに借り入れ金をするのか、ということは借り入れ金一本でありますれば、資金が不足すれば借り入れ金をするということは当然なんでありますが、そこに借り入れ金と債券というものが出ているわけでありまするからして、債券を発行するというのはどういう状態のときに債券を発行するのかという問題、それから債券発行に対しての政府の保証というものが現実にはない。この点はどうなるのか。
それからこの余裕金の運用について、日銀に対して預託をする、こういう一項目がこれは現行法においてあるが、日銀に預託をしなければならないという理由は一体どこにあるのか、余裕金を。その点お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/24
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025・中田吉雄
○中田吉雄君 ちょっと関連して。だいぶ余裕金があるわけですが、三つばかり具体的な運用の項目がありますから、それもはっきりしてもらいたい、具体的に数字を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/25
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026・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御質問の第一点の特に必要がある場合には投資をすることができる、その投資の場合でございますが、御承知のとおり投資ということになれば、つまり株主としてその事業に経営に参加するということになる。したがって、その危険の負担も同時に株主としての立場において受けることに相なるわけでございます。ところが、貸し付けの場合においてはどこまでもこれは借り貸しの関係だけでございますから、したがって、担保があり、保証があれば必ず返ってくる、こういう性質の差異がございます。したがって、その地域におけるところの開発のためにどうしても日本が——日本と申しまするよりも、基金が投資という形でその事業に関与する必要があると特に認めたような場合に投資をしよう、どこまでも原則は貸し出しでいきたい、こういう趣旨で特に必要があると認めた場合には投資をすることができる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
それからいま一つ、第二点であるところの債券の発行の問題でございますが、これは資金運用部資金の運用について運用部資金から借り入れる場合においては、債券の発行をするところの政府関係機関でなければならぬ、こういうふうな法律のたてまえにたしかなっているのでございます。そういうふうな関係上資金運用部資金から借り入れるための条件を整えるために債券を発行することができる、こういうことにいたしましたので、現実に債券を発行する意図は政府としては今日持っておりません。
それからいま一つ、特に必要なときは借り入れをし、また債券の発行をすることができる、こう書いたその主要な意図はどういうことかというお尋ねでございますが、経済協力基金は長期、低利を原則としておりますので、どうしても金利のかかった、資金コストのかかったものでない金のほうがよりベターであることは、これはもう事実でございます。それで、そんな関係から原則はやはり金利のかからないところの政府出資金を原則としていきたい、しかしながら、財政の関係上出資がとうてい困難であるというふうな場合には、借り入れ金に依存せざるを得ない、こういう趣旨をもって「特に必要があるときは」というふうに規定いたした次第でございます。なお、現在の余裕金の運用の状況等については事務当局から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/26
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027・高島節男
○政府委員(高島節男君) 第三点の日銀に預託をするという方式をとるゆえんでございますが、金をずっと出して出資あるいは融資の要望に応じてまいります場合に、ある程度当座的なものを持っていなければ事務運営がつかない。運営上円滑にいきませんので、日銀に預託の規定を母法をつくりますときに置いた次第でございまして、そういった当座的な預金という形になっております。あとの資産等はこの前申し上げましたような国債その他で出資金の運営が行なわれている、それが貸し出しの要望に応じて出ていっているという形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/27
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028・中田吉雄
○中田吉雄君 具体的にどうなっているのですか。この三十条には、いま言われたように業務上の余裕金を次のような方法で運用しなくてはならぬ、一は国債の保有、二、資金運用部への預託、三、日本銀行への預金となっておるのですが、具体的な数字はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/28
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029・大矢正
○大矢正君 日銀に預けた場合の最高限度というのは、一体過去において幾らになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/29
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030・高島節男
○政府委員(高島節男君) 正確な数字が判明をいたしませんので恐縮でございますが、大体百万程度のところで、用途は若干先ほど私が申し上げました感覚よりも、当座の月給を払っていくとか、事務経費の引き当てとか、そういったものに引き当てるためのごく短期に使う金を日銀への当座として運用いたしてまいっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/30
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031・大矢正
○大矢正君 債券を発行した場合における発行の裏打ちは何なのかということの答弁がまだない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/31
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032・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、資金運用部資金から借り入れする場合においては、債券を発行する機関であるということが条件になっておるものですから、政府としては債券を発行する意図はございませんけれども、その条件を満たすという意味においてこういうふうな条項を入れた次第でございます。したがって発行する場合におけるところの保証とかその他の準備は何もいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/32
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033・大矢正
○大矢正君 それはおかしいじゃないですか。債券を発行することができる、必要がある場合となっておるわけでしょう。なっておる際に、当然債券を発行した場合にはどうするのかということがなければならないのじゃないですか。債券を発行することができると法律には書くけれども、それは発行しないのだから、それに対する保証なり裏づけなりというものは必要ないという理屈にはならないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/33
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034・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) この基金で借り入れ金並びに債券発行の限度を出資金とそれから積み立て金の限度額までにとどめておるわけでございます。したがってその範囲で基金としては保証能力はある。それ以上特に別途に政府が保証するとか何とかという制度を設ける必要はない、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/34
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035・大矢正
○大矢正君 ちょっと私はあなたの言うことがふに落ちないのだがね。出資はもちろんありますよ。ありますけれども、その出資というものは、全部これは融資する対象になって、ことしのあなた方の想定からいけば、現実にはみな貸してしまうわけでしょう。そうすると、発行した債券に対してどういうものを抵当にして債券を発行するとか、どういう保証があるからということがなければならないのじゃないですか。出資があるからかまわないということにはならないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/35
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036・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、過去の事例によりますれば、債券発行等の場合においては政府保証をするのが現実の姿でございます。したがって相当巨額に債券の発行をしなければいかぬという場合におきましては政府保証という問題が、当然その線が起きてこようかと存じます。そういう必要になった場合においてはあるいは法律の改正等を必要とするかと思いますが、先ほども申しましたとおり、資金運用部資金の貸し出し先についての資金運用部資金法におけるところの制限の関係上、債券を発行することができるたてまえにしておきたい、こういう趣旨でこういう規定を入れておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/36
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037・大矢正
○大矢正君 まあ、これは幾ら言ってもらちがあかないからしようがないですが、そこで次にお尋ねをすることは、過去においてかなりの金額を貸し付けてまいりましたが、その貸し付けに対する担保なり抵当なりというものは、具体的にどういうことになるのか。
それから貸し付けたあと、かりに、これは据え置き期間というものがあるのかどうか、ないような感じを私は持っているのだが、あるのかどうかということと、それから過去における貸し付けは、当然のこととして返済の年次計画があるのだが、私どもが聞いておる限りにおいては、かなりの焦げつきなり、それから、すでに返済をしなければならない計画があるにもかかわらず、返済されてないという内容がある、こういうように聞いておるのだが、その点はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/37
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038・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 据え置き期間があるかないかという問題については、これは三分五厘、二十年というような大体の標準はきめておりますが、その中で据え置き期間を置くか置かないかということは、その相手方の状態によって問題をきめるということで、必ずしも一定しておるわけではございません。
それからその次、担保の問題につきましては、担保はみなそれぞれ適当な担保を取っているわけでございまして、また、いままで貸し倒れとかなんとかいうような事例はいままでのところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/38
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039・中田吉雄
○中田吉雄君 それに関連して、私聞いていますのでは、ボリビアの三菱金属鉱業のやったものとか、あるいはチリの住友金属鉱山のやったもの、あるいはタイのオイルシェール開発とかいうようなのは、たしか、もうかなり、実際実行済みでもあるが、これは失敗しているというふうになっているが、どういうことですか、ただいまの発言と関連して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/39
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040・高島節男
○政府委員(高島節男君) お答え申し上げます。いま中田委員のおあげになりましたケースは、いずれも鉱山の探鉱に関連するケースでございます。鉱脈があるかどうかということにまずリスクがございますが、探鉱してみるその調査の費用を貸し出しましたわけです。いまおあげになったのは一々記憶しておりませんが、いずれも、その意味で探鉱計画としては、稼行に値しないという結論が調査の結果出てまいりました。しかし、先ほど大臣がおっしゃいましたように、返済のほうは、担保その他は取ってございますし、同時に、基金への返済はいずれも債務者のほうから基金に対して予定どおり金を返してまいっております。これは探鉱費という非常にリスキーなものをやるわけでございますから、別途の担保を取って、かつ、相当のところがやっております形でございますので、円滑ないま返済がなされておりますが、ただ、山が当たらなかったのは、この山というのは、当たるか当たらないか、当たってみないと結果が出ないわけでございますので、その点は残念だったけれども、しかし、その山に本格的な金はつぎ込まないものであるという判定がついたという意義があったのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/40
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041・大矢正
○大矢正君 昭和三十七、八年ごろの、貸し付けが非常に低額であった時代においては、国会においてもいろいろ議論をされたのでありますが、その際の、当時の経済企画庁長官の答弁というものは、なかなか内容的にまた事業的に簡単に金を貸せるようなものは見当たらない、したがって思うように金を出すことができないのだというようなことから、今日、多額の余裕金といいますか、を持ってやっておるのだというような答弁であった。したがって、金貸しが逆に金預けということになって、言うならば余った金をそれぞれに預託をすることによって、利子かせぎでやっているというような、金貸しがまるきり逆になったというような状態だったと思うのです。今日も多少、その傾向なしとしないわけでありますが、二、三年前にそういう状況であったものが、急速に貸す対象がふえたということは、私どもとしては理解に苦しむ点がある。おそらくこれは、一つには、いま中田委員が言われたように、言うならば内容が多少不明確であり、不良であっても貸し付けをするという傾向が生まれてきているのではないか。しかし、返済その他の条件からいきますと、十五年後とか二十年後に返済すればいいのでありますからして、三年や五年では、はたしてそのものが将来どうなるかということについてはわからないわけでありまするから、幾ら議論してもこれは議論のしようがない問題です。しかし、内容的にはかなりおかしな内容を含んでいるのではないかということを一般では言われておる。私どもは耳にしております。
それからいま一つは、特に基金をふくらますという大きな目的は、韓国なり台湾なり、あるいはベトナムなりというような地域に、これから重点的に金を貸そうという意図があり、そのことのために借り入れ金をすることができるようにしなければいかぬ、あるいは債券を発行することにしなければいかぬということが、一番の私は今日この法律の問題点だという気がするわけであります。そこで、最近新聞等でもいろいろといわれておるのでありますが、たとえば南ベトナムに対してこの基金を通じて借款を与えるということについては、なるほど見た目には、南北の間における戦いというものに直接関係をするものではありませんけれども、しかし間接的には、どうもこの戦争に協力をするというような内容のものなきにしもあらず、たとえば、港が不良であり、それを改築すれば、当然大きな船が入る。船が入ればアメリカの軍艦が入るということで、それが一つの作戦の当地になる。これは明らかに南北ベトナムに対する日本の間接的な介入であり、援助であるというようなことが一部いわれている向きも私は聞いているわけです。したがって、そういうようなものにわが国が、経済協力であるからという理由に基づいて金を貸すということについては、非常に多くの疑義がある。
それから、ごく最近出されたこの資料を見ましても、韓国に対する二億ドルの借款については、その全額を基金がこれを行なうということになると思う。もちろんこれは、今日の韓国経済の中で見ますれば、中心は民間の経済協力に置かれる。将来危険性のある、リスクの伴う問題については、この基金を通じて行なう。そうすれば、当然のこととして、これは将来返済が不能になるということは想像にかたくないところであります。こういうようなことをこれからこの基金がやるということは、私は、東南アジア全体に対して特に力を入れて開発に協力をするというわが国の立場や姿勢とは、およそ違う結果が出てくるのではないかということを感じているわけでございますが、最後にこの点について、担当大臣、主管大臣である経済企画庁長官はどのように考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/41
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042・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 第一の御質問は、創立当初二年間ぐらいというものは、貸し出しが九億程度でございまして、むしろ金融機関が金を預ける機関になったというような実態になっていることが論議されたというお話、そのとおりでございます。ただ、御理解願いたいと存じますのは、こういうような海外における事業というものは、やはり相当に調査に期間を要するという問題でございます。たとえばカリマンタンの森林資源の開発等につきましても、これはもうすでに五、六年前からこの問題が提起され、そして調査が行なわれてまいっておったのでございますが、これが現実に着手できたのは、たしか一昨年ごろようやく着手できるというふうな状況でございまして、言いかえれば、この海外経済協力基金ができましたことによって、積極的にそういうふうな問題とも取り組むことができた、したがって、調査も漸次進んでまいった、こういうふうにこれが実態であると、かように申し上げております。すなわち、長期低利の貸し出しの制度がなければ、そういう問題をかりに調査を進めましても、実現性がないということでそれまで放置されておった問題が、この基金法ができますことによって新しく取り上げられ、そして調査が漸次進んでいく、その結果として一昨年は約三十億円に近い金額、そしてまた昨年度は六十五億円という金額がぐんぐんとふえてきたというのが現在の実態でございます。
なお、ただいまベトナムの問題がございましたが、ベトナムについては、私ども相談を受けたことは全然ございません。したがって、どういう事態があるかは存じません。
韓国並びに台湾については、台湾については、先般中田委員の御質問に対してお答え申し上げましたとおりの実態でございます。また韓国についても、大平・金メモにおいて、そういうような事項が存在しておることはそのとおりでございますが、この際申し上げておきたいと存じますのは、海外経済協力基金は、借款や貸し付けをいたします際におきましても、担保を必ず取り、そして償還の確実なものということが条件になっておりますので、これがその事業が不成功に終わること等によって、全然リスクがないわけではございませんけれども、どこまでもたてまえはそういうふうになっておるということを特に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/42
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043・中田吉雄
○中田吉雄君 今回の法改正の根本は、一番の中心点は、やはりこの借り入れ金及び債券の発行だと思うのです。そこでお伺いしますが、差し迫っていただきました資料の「日韓間の請求権問題解決及び経済協力に関する合意事項の内容」並びに「中華民国に対する円借款の供与について」で、経済協力基金が受け持つべきものを合計しますと、大体今回の法改正とよく合っているように思うわけです。たとえば、この韓国との合意に達しました長期低利借款の中で、経済協力基金によるものが一億ドルあって、十年間均等供与であります。そうすると、初年度に七十二億要るわけであります。それから四月二十六日に、木村駐中準民国大使と中華民国の経済部長との合意に達したのを見ましても、曽文水庫多目的ダムですか、これによって、輸銀と基金の両方でやる分が出ておるわけであります。これは、この多目的ダムのほうは、たしか基金のほうが四千四百万ドル持つようになっていると思うのです。五年に貸すというと、大体一年度に三十一億要るわけです。基金が韓国と台湾に受け持つべきものが、両方合計すると百億円くらい、日韓交渉がどうまとまるかわかりませんが、かりに社会党の反対があっても多数党で押し切られてやるとすれば、そういうふうになると思うのですが、まずお伺いしたい点は、さきに長官は、担保を取って貸し付けの返済が確実なものというようなことですが、一体この日韓の合憲に達した半上映からして、七年間据え置きで幾らですか、ずいぶん長い期間きまっている。たとえば日韓のオーブン勘定ですれ、清算勘定でたしか四千五百七十三万ドルも返済ができない、十年間無利子で返すというような協定を結んでいる。一体そういうところが返済が確実だと思えますか。この基金法あるいは業務方法書、業務の解説等を見ても、そういう対象にはたして値するでしょうか、その点をまず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/43
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044・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 今回の基金法の改正を御提案申し上げました具体的な必要性は、先般御答弁申し上げましたとおり、具体的にもうすでに承諾した金額、それから、これから見込まれる貸し出しの金額等から見て、最小限度この程度の金の準備がどうしても必要であるという考え方に基づいて準備をいたしましたような次第であります。しかし、その後、中華民国との円借款についての取りきめがございました。それで、これはただいま御指摘のとおり四千四百万ドル程度になろうかと存じますが、このプロジェクトは、結局ただいまお話しのとおり、曽文水庫多目的ダム計画に対する融資でございますが、ここに書いてありますように、「この計画が経済的及び技術的に実施可能であることが日本政府により確認されることを条件として基金が行ない、」ということで、まだこれから相当——これらの確認については、いままでその調査を日本政府がやったわけじゃございませんので、これから相当の期間を要するのじゃなかろうかと、かように私どもは考えておるわけであります。
なお、日韓の問題につきましては、これはどこまでも大平・金メモの合意に達した事項という程度でございまして、具体的な内容はこれから漸次固まっていく問題であろうかと存じます。したがって、その内容が具体的に定まり、ことに日韓条約というものが批准ができました後において、初めて基金としてはこれをどう対処するかということを考えておる、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/44
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045・中田吉雄
○中田吉雄君 日韓交渉は、韓国内にも反対があるし、また予断を許さぬと思うのですが、この合意事項がかりに実現するとすれば、今回出されている基金に期待するものは、私の計算では、七十二億円じゃないかと思うのです。それからこの一億五千万ドルの中華民国に対するなには、輸銀と両方ですから、これに対してやはり四千四百万ドルで基金のほうに百五十八億円、五年間で、ということになると、三十一億で、トータル百億円要るわけなんです。私は、今度の法改正があたかも符節を合わしたようにそういうものと合うのじゃないか。特に申し上げたいと思うのですが、一体台湾はどうなるかということは、さきに言われたように、計画を調査したり、経済効果も調査するということですが、第一、中国政権は台湾の領土を奪還すると言っておるし、蒋介石総統は高齢でもあり、蒋経国氏の思想がどうだとかいうことからいけば、そういうもっと高度な観点からいえば、最も安全性のないことかもしれぬわけなんです。最も危険を含んでおるかもしれない。そういう点では、この基金法や方法書、解説等から見ても、一番問題じゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/45
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046・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) しばしば答弁申し上げておりますとおり、こういうように日韓とか日台というものを目的として考えるといたしますれば、予算的な準備を当然すべきはずでございますが、そういうふうな準備は、先般来御答弁申し上げておりますとおり、出資において十億円、借り入れにおいて十億円という準備を具体的にはしている程度でございます。しこうして、その金額が今後の基金の仕事を円滑に行なうために必要な最小限度の金であるということも、御了承願えるかと思うのでございます。それで結局、その後に起こった問題として日台間の取りきめの問題が出てまいりますが、それで台湾の将来がどうなるかという問題については、あえて私から申し上げるのは妥当でないかと思いますが、かねて総理から御答弁申し上げておりますとおりの状況でございます。しこうして、これも、なるほど五年間に均等で割ればそういうことになりますけれども、ここにわざわざ日本の政府が、「経済的及び技術的に実施可能である」ということを日本の政府が確認するという条件をわざわざ入れました趣旨は、これは確認に相当の期間を要する、こういうふうに見ておるわけでございます。したがって、これを目的としあるいは主たる目的としてさしあたり改正をしようとする趣旨では全然ございません。もちろん法律的には、それを除外するという性格の法律ではございませんが、今回改正の趣旨は、どこまでもさしあたっての必要な資金を用意しておきたいと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/46
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047・中田吉雄
○中田吉雄君 まあこの御発言もわからぬことはないですが、四十年度の投融資見込み内訳を見れば、この第二十九条の二の「(借入金及び海外経済協力基金債券)」という新しい改正がなくてもやれるわけなんですが、それが合うというのは、やはりいただいた資料の日韓、日台というのとちょうど合うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/47
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048・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 中田先生よく御承知のとおり、法律の改正をいたします際に、どうもその借り入れなり債券の発行の限度をきめますのに、資本金のたとえば五分の一とか三分の一とかいう、その前例はいままでございませんし、輸出入銀行は大体三倍ということになっております。したがって、法律の改正をいたします際には、これはやはり資本金と同額程度というのが、こういうふうな基金というようなものの性格から見て常識的な線じゃなかろうかということで、そういうふうに御提案申し上げておるのでございまして、それと、こういうふうな日台、日韓との関係があるわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/48
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049・中田吉雄
○中田吉雄君 日本輸出入銀行法の第十八条の三を見ますると、資本金及び準備金の三倍のなにができるようになっているわけですね。それから計算しますと、四千四百五十九億のなにができるのですが、実際借り入れておるのはその六割五分なんです。かりにこの法改正によって二百億借り入れできるとしますね、六割五分とかりに輸銀と同じような率でやると百億余りになりますね。そうすると、くどいようですが、ちょうど合うのですよ。これはちょうど合うのです。いただいた資料から見ると、もうとにかく既往のなにもされて、このいただいた資料の四一ページを見ると、これなしでもやれるわけなんです。ちゃんと準備をされているのは何か伏線があり、社会党としては、吉田書簡あるいは日韓交渉、そういう全体の大きな一環じゃないかということを思うわけなんです。そのことはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/49
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050・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 繰り返し御答弁申し上げて恐縮でございますが、この基金法を改正いたす提案をいたしました段階におきましては、そういうふうな事実もございませんでしたし、その準備のためにしたということではないということはよく御了承願えると思うのであります。と申しますのは、もしもその準備のためであるならば、財政投融資計画でもって資金運用部資金の資金の運用計画上やはりもう少し、十億円でなしにもつと多額の金額を予定をしなければその実行ができないわけでございますから、したがって、これはどこまでも事後に発生した事態でございまして、今後これを除外するという趣旨ではございませんけれども、この基金法の改正を提案申し上げました段階においての政府の考え方というものは、どこまでもさしあたって必要な原資をまかなえるもの、要するに最小限度の必要な原資をまかないたい、こういう趣旨で御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/50
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051・中田吉雄
○中田吉雄君 反駁するようですが、それはもう補正予算は何回もあるわけですからね、それは補正すればいいわけですから、そういうことにも間に合うような改正じゃないかとも言えると思うのです。補正予算は何回か組まれますからね。一年に大体二、三回あるわけでありますから、あるいは四回ぐらいあることもあるし、そこまで勘ぐっては悪いと思いますが、そういうおそれもあるのじゃないか。
さらにお伺いしたいことは、貸し付けの対象地域ですね、未調印国はどうなりますか。国交が回復していない未調印国というものは一体どうなるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/51
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052・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) その第一の問題は、これは実は補正がどんどん細めるような状況に日本の経済がどんどん立ち直ってくることを私どもは期待はしておりますが、現状は、中田先生よく御承知のとおり、なかなか本年は苦しい状況じゃなかろうか、こう見ているわけでございます。
それから未調印国がどうなるかという問題につきましては、これは法律的にそれを除外していくたてまえではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/52
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053・中田吉雄
○中田吉雄君 除外はしていないが、現実的にはどうなりますか。その問題と、それは財政事情はなかなか苦しいと思います。まあ高橋長官は大蔵省の出身ですからよく御案内だろうと思います。ところが、さきに言いました佐藤総理の演説では、はっきりアジア開発銀行の構想も積極的に進めるし、ジョンソン構想にもこたえる、また新たな機関もつくる、つくるべきだ、こういうことをはっきり総理大臣が協調運動記念式典で、私、その新聞の切り抜きも持ってきておりますが、はっきり明言しておられる。したがって、この提案に対しては、四月七日、ボルチモアで行なわれたジョンソン提案に対して、この提案に対しては積極的にこたえ、この構想を受け入れるために新たな機関をつくるべきだ、日本はその一端をになおうというふうには、この財政的な見通しなしには言えないわけで、日本に特使で来た、だれですか、ロッジですか、ロストウですか、政策企画委員長だかは、とにかく二億ドルを要請したということが伝えられておるけれども、だから、なかなか財政事情がないとも言えないと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/53
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054・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほども御答弁申し上げましたように、国連貿易開発会議において、日本があの一%に賛成する過程において、日本の態度が非常に消極的であるというふうな趣旨をもって相当日本が苦しい立場に立ったことは——まあ立ったような経過がありましたことは、中田先生も御承知のとおりだと思います。しこうして、日本としては、やはり低開発国の開発に対してきわめて積極的であるという姿勢をとるべきであるという、その際政府として結論に達して、それに積極的に賛成する態度をきめたわけでございます。したがって、今回の場合において佐藤総理が、私も新聞記事によって承知しているだけでございますけれども、佐藤総理が、そういうふうに積極的に発言をなさることは、これまた日本の低開発国に対するところの外交上の姿勢としてこれは当然であろうかと、かように思います。もちろん経済のこれからの動きというものはなかなかデリケートでございまして、補正が組まれるか組まれぬか、今年の経済の成長がどうなるかというような問題については、あらかじめこうなりますがということを申し上げたところで、予想のはずれる場合もございますので、確定的なことは申し上げることはできませんが、少なくとも政府の対外的な姿勢としては、そうあるべきであると、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/54
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055・中田吉雄
○中田吉雄君 台湾との五百四十億円の円借款のときなんかは、私は、少なくともまあニチボーのプラント輸出等については、まあ自民党の立場としてこれだけやられるのなら、プラント輸出等について、輸銀の問題等についてつべこべ言うなというくらいのコミットをとるくらいのその自主性が期待されるべきじゃないかと思うのですが、所管かどうかは知りませんが、国務大臣高橋長官としての御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/55
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056・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいまの御質問の点は、私の所管でございませんので、非常にまた今後対外的な問題であり、私どもは、積極的にそういうふうなプラント輸出が政経分離の線に沿ってどんどん進められることを心から熱望しているものとして、そういうその論議をあまりいたすことが妥当ではないのじゃないかというふうに感じますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/56
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057・中田吉雄
○中田吉雄君 私、一言申し上げたいことは、もう少し、アメリカのほうばかり見ずに、海外経済協力等をやるべきだ。まあ国交についてもそうだと思うのです。私、調べてみますと、ソビエトの労農政府ができた際に、できたのが一九一七年で大正六年です。日本が承認したのは八年後です。一九二五年の大正十四年です。アメリカが承認しましたのは、それから八年おくれて一九三三年で昭和八年です。満州事変が起きたときに、対日政策としてソビエトと共同戦線を張るためにやったわけなんです。そのときは、日本はそうアメリカのほうを向きませんから、アメリカよりかも八年も早くソビエト政権を承認しているわけです。まあ朝海さんなんか、アメリカにおっても、なかなか夜の目も眠れぬ、いつアメリカが中国を承認するだろうか、一歩でもおくれぬように何とかやりたいという、このような自主性のないことでは、私は、問題じゃないか。とにかく、日本が戦前におきましては、ソビエト政権ができてから八年後に承認し、アメリカはそれより八年もおくれてやっている。そこらにまあいまの自主性の問題がはっきり外交政策であらわれていると思うのですが、私は、どうもジョンソン構想に、もう無条件的に応じられている佐藤総理の態度はどうかと思うので、実際は、この貿易問題一般で通産大臣、佐藤総理等においで願って質問したいと思うのですが、最後に申し上げたい点は、大蔵省が四月十九日に、経済協力に関する総合計画というのを検討しております。そして、その検討しました結果、今年に入ってまとまった海外経済協力は、韓国に対する供与が八億ドル以上、そのうち無償供与が三億ドル、ただいま問題になりました有償援助が二億ドル、民間の経済協力が三億ドル、韓国向け借款が一億五千万ドル、インド向け第五次の円借款が六千万ドル、こうなって、非常な特徴的なことは、アジア地域に向けられる経済協力の比重が非常に高まったということと、同時に、一番大蔵省が心配しているのは、アメリカの援助の肩がわりに、アメリカの極東政策で援助しているのを日本が肩がわりさせられていくという心配を大蔵当局ですら——高橋さんの前身である大蔵当局ですら心配しているのです。まあ、ただいま実績に出ています貸し付けの二十件、出資の二件ですか、これなんか見ますると、二、三失敗したのがありますが、まあ比較的問題がないと思うのです。今度改正される、はっきりきまっておるのでも、韓国とか台湾、あるいはジョンソン構想にこたえるとすれば、ベトナム、マレーシアというようなことになると、ますます多角的な日本の貿易発展のためにやらなくてはならないこの経済協力が圧迫されるのです。日本の原資の都合からいって、非常に圧迫されるおそれがある。だから、その経済効果というものを考えて、そして輸出と輸入等のことを考えてやらねばいかぬということを大蔵当局ですら、——ほとんどまあ私は正しく指摘していると思うのですが、これまでの貸し付け二十件、出資二件については、比較的問題は少ないと思うのです。三つばかりの失敗した問題がある。しかし、今度の改正をきっかけに、あるいは合意に達したもの等からすると、非常に政情不安なところが対象になって、アフリカとか、あるいはその他の安定した東南アジア諸国の、日本の出超の多いところがどうもだんだん圧迫されるのじゃないかと思うのですが、そういうことはどうなりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/57
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058・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいまの中田先生の御意見は、大体先生の御意見のようでございますが、政府といたしましては、どこまでも基金は、融資または投資をする機関でございまして、したがって、償還の確実な、しかも、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、低開発国については、片貿易になることによって今後の輸出の増進がはなはだ困難になってくるというふうな半信の対象になる国が相当多数ございます。そういうふうなことについて十分な手当てをしていきたい。そして、開発投資をし、そこから、いままではたとえば南北米等から輸入したものを東南アジア等の低開発国に振りかえるとか、そういうふうな方向でももって漸次二国間におけるところの貿易のバランスをとりながら貿易の伸長をはかっていく、こういうふうな方向に寄与さしていきたいということが、政府としては重点的に考えている事柄でございます。したがって、もちろん日本は自主的な立場において外交を進める、進めていく次第でございますし、また、アメリカの肩がわりとかなんとかというのは、これはそういうふうな意図はもう全然政府としては持っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/58
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059・中田吉雄
○中田吉雄君 ただいまのは、中田委員の見解だと言われたが、そうじゃないんですよ。四月二十日の日本経済の記事がもし正しいとすれば、大蔵省の見解としては、まず最近の海外経済協力の動向からして「アジア地域向け援助の比重が高まった」と。「結果的に米国の対外援助の肩代わりをする例が多い」と。非常にこれは問題だということで、地域的なバランスその他を考えて経済効果が多いようにやらねばいけぬということで作業を開始したと、こういうことを書いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/59
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060・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) わかりました。ちょっと中田委員のお話を取り違えまして失礼申し上げました。その新聞記事がそのとおりであるかどうか、私は承知いたしておりませんが、やはり政府としては、そういうふうな点については十分留意をしながら日本の貿易全体がどんどん積極的に増進できるような方向に基金が活用されていくということが望ましいあり方であると、かように私どもとしては考えておるわけでございます。ただし、日韓の問題等が、これは将来の問題でございますけれども、批准がされ、効力を発生した後において、それはやはり肩がわりという形じゃなしに、そうなれば韓国と日本との間の、つまり韓国に対して輸出するものはたくさんあるが輸入するものはないというふうな関連からいたしまして、やはり両国間の貿易の伸長にこれが大いに役立つという意味においてこれが活用されることを、私どもは期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/60
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061・中田吉雄
○中田吉雄君 最後に、余裕金の逆用のことをちょっと……。
高島局長の話といただいた資料とはちょっと違うように思うのですが、日銀ですか、どこかに給料を出したりするために巨万とかなんとかということだったのですが、この資料とは違うようですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/61
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062・高島節男
○政府委員(高島節男君) いま申し上げました給与その他で日銀に当座をつくっているのが百万程度でございまして、あとは国債を買いましたり、先ほどから御議論がありましたように、資金の払い込みがあって、それが基金の中に抱かれておるわけでございますから、国債その他を運用して利子をかせいでいる。ただ当座の預金をするために日銀を使っている、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/62
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063・中田吉雄
○中田吉雄君 この法の三十条にありますね、三つ。で、これに限って運用しなければならない、この有利性その他からいろいろと問題じゃないですか、安全性さえあれば。これはどうなっているのですか、内訳は実際。利子をかせぐのなら、もっと高いところがあるわけですから、国債は安いわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/63
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064・高島節男
○政府委員(高島節男君) ちょっと内訳はいま調べさしておりますが、利子をかせぐことが目的であるというように、コマーシャルにそこは徹底した運用をすることは、私の意見としてはどうかと考えております。国債あたりを持っていくのがこういう政府機関としてはわりあい妥当な方法であろう。やはり当座の金が要る、月給を払うなどございますから、そういう際には当座預金として、この日銀を使うという運用になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/64
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065・中田吉雄
○中田吉雄君 時間もありませんので、前にくどくどしく申し上げましたように、この基金の性格がだんだん変質して、実質的にはアメリカの援助の府がわりになり、他の地域がそのために圧迫されて、地域的にもアンバランスにならぬように強く期待して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/65
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066・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/66
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067・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/67
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068・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/68
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069・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/69
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070・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814461X01819650513/70
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