1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十九日(金曜日)
午後二時三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
佐野 廣君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
田畑 金光君
委 員
大竹平八郎君
栗原 祐幸君
津島 壽一君
日高 広為君
堀 末治君
野溝 勝君
鈴木 市藏君
政府委員
大蔵政務次官 鍋島 直紹君
大蔵大臣官房財
務調査官 吉國 二郎君
大蔵省主税局長 泉 美之松君
大蔵省理財局長 佐竹 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
大蔵省主計局法
規課長 赤羽 桂君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○所得税法案(内閣送付、予備審査)
○法人税法案(内閣送付、予備審査)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の
整備等に関する法律案(内閣送付、予備審査)
○酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、衆議院送付)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○国立学校特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する
特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/0
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
参考人の出席要求につきましておはかりいたします。
所得税法案、法人税法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案につきましては参考人の意見を聞くこととし、参考人の人選及び意見を求める日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/1
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002・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/2
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003・西田信一
○委員長(西田信一君) 次に、先刻予備審査のため付託せられました所得税法案、法人税法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、また、去る三月四日予備審査のため付託せられました所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案、以上四案を一括議題とし、まず各案につきまして順次提案理由の説明を聴取いたします。
鍋島大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/3
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004・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) ただいま議題となりました所得税法案、法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
政府は、昭和四十年度税制改正に関して、すでに物品税法の一部を改正する法律案等、物品税、相続税の減税をはかるための法律案を提出して御審議を願っている次第でありますが、今回の税制改正の一環として、国民負担の現状に顧み、中小所得者を中心とする所得税の負担の軽減及び企業課税の軽減を行なうとともに、納税者の理解を容易にする見地から現行の所得税法及び法人税法の体系的な整備と平明化をはかるため、この両法について全面的な改正を行なうこととし、また、最近の経済情勢に応じ、当面要請される諸施策に対応する税制上の特例措置を講ずるため、ここに所得税法案、法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、並びに所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案を提出した次第であります。
まず、所得税法案の内容について、その大要を申し上げます。
第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。
すなわち、基礎控除を現在の十二万円から十三万円に、配偶者控除を現在の十一万円から十二万円に引き上げることとするほか、扶養控除についても、十三歳以上の者の控除額を現在の五万円から六万円に、十三歳未満の者の控除額を現在の四万円から五万円に、控除対象配偶者がいない場合の第一人目の扶養親族の控除額を現在の七万円から八万円にそれぞれ引き上げることとしております。
また、最近における給与所得者の負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の二万円から三万円に、控除率二〇%の適用範囲の限度を現在の四十万円から五十万円に、最高限度額を現在の十四万円から十五万円にそれぞれ引き上げることとしております。
さらに、最近における一般的給与水準の上昇等を考慮して、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者の控除限度額を現在の十五万円から十八万円に、二十歳未満の専従者の控除限度額を現在の十二万円から十五万円に、白色申告者の場合は、その専従者の控除額を現在の九万円から十二万円にそれぞれ引き上げることとしております。
以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税が課税されない所得の限度は、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、給与所得者では現在の約四十八万円から約五十六万円に、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約四十三万円から約五十万円に、白色申告者については現在の約三十七万円から約四十二万円にそれぞれ引き上げられることになるのであります。
このほか、医療費控除について、現在十五万円とされている控除限度額を三十万円に引き上げることとし、また、少額貯蓄非課税制度についても、非課税元本の限度額を現在の五十万円から百万円に引き上げることとしております。
第二は、納税者の理解を容易にする見地から、規定の体系的な整備と表現の平明化を中心とする税法の整備をはかるため、現行所得税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。
今回の所得税法の全面的な改正は、税法の体系的な整備、表現の平明化及び規定の整備合理化の三つを基本方針としております。
まず、体系的な整備につきましては、租税法律主義をたてまえとしつつ、同時に、一般の納税者にわかりやすい法令体系にするため、現在、政令または省令で規定されている事項で重要なものは法律において規定するとともに、細部はできる限り政令において規定し、省令は原則として手続事項のみについて規定することとしております。
また、法律の構成については、総則的事項、居住者に関する事項、非居住者に関する事項等をそれぞれ別編とする等、規定の配列についても理解しやすいものにするよう配意しております。
次に、表現の平明化につきましては、条文の組み立て及び表現方法につき、各条文をできる限り簡潔平明な表現でまとめ上げることに留意し、これが複雑な内容のものである場合には、項または号を設けて結論を読みやすくする等の配慮をしております。
さらに、規定の整備合理化がはかられたおもな事項について申し上げます。
まず、課税標準及び税額の計算に関しましては、いわゆる子供銀行の預金の利子等を非課税所得に加えるとともに、割賦販売等による所得の計上時期の特例及び返品調整引き当て金の制度を新設する等の整備を行なうこととしております。
また、配偶者控除及び扶養控除については、従来の確定申告書記載等の要件をはずすとともに、その他の所得控除及び税額控除についても、申告書への記載があれば、期限後申告の場合でもこれを認めることとしております。
さらに、申告、約付及び還付の手続に関しても、予定約税制度を合理化するとともに、予定申告制度はこれを廃止することとするほか、資産の譲渡の対価が延べ払い条件つきで支払われる場合には、五年以内の延納を認めることとする等の整備を行なうこととしております。
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次に、法人税法案の内容について、その大要を申し上げます。
まず第一は、中小法人を中心とする法人税負担の軽減をはかることであります。すなわち、各事業年度の所得に対する留保分の法人税率を普通法人にあっては、年三百万円以下の所得金額について現在の三三%から三一%に、年三百万円をこえる所得金額については現在の三八%から三七%に、公益法人、協同組合等にあっては、現在の二八%から二六%にそれぞれ引き下げることとするほか、同族会社の課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の二〇%と百万円とのうちいずれか大きい金額から、所得金額の二五%と百万円とのうちいずれか大きい金額に引き上げることとしております。
第二は、所得税法の場合と同様、税法の体系的な整備、表現の平明化及び規定の整備合理化の三つを基本方針として、法人税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。
まず、体系的な整備及び表現の平明化につきましては、前に申し述べました所得税の場合と同様の方針により、できる限り法人税法の理解を容易にするよう配意しております。
次に、規定の整備合理化がはかられたおもな事項について申し上げます。
まず、課税標準及び税額の計算に関しましては、法人税法上の損益の計算の原則、割賦販売等の収益計上の時期、有価証券の譲渡原価の計算及び評価の方法並びに寄付金の意義等を明らかにするとともに、賞与引き当て金制度及び返品調整引き当て金制度等を新設する等、所要の規定の整備をはかることとしております。
次に、申告、納付及び還付の手続に関しましては、納税者の便宜をはかる見地から、設立第一期の中間申告を廃止し、さらに、中間納付額が二万五千円以下の場合には、中間申告を要しないこととする等、所要の規定の整備をはかることとしております。
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次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を申し上げます。
第一は、利子所得及び配当所得の源泉徴収税率の軽減措置につき、現在の五%の税率を一〇%に引き上げてなお二年間存続することとする一方、資本市場の育成等に資するため、利子所得の分離課税の特例の通用期限を二年間延長することとし、また、新たに配当所得について次のような措置を講ずることとしております。
その一は、昭和四十年一月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金のうち一銘柄につき年五万円以下のものは、確定申告を要しないこととすることであります。
その二は、昭和四十年五月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金については、一銘柄の所有株式数が発行済み株式総数の五%以上の株式の配当と一銘柄につき年五十万円以上の配当とを除き、一五%の税率による源泉選択制度を創設することであります。
第二は、鉱産物資源の開発の促進等に資するため、鉱業を営む法人または個人について、昭和四十年四月一日から三年間、特定鉱物の販売金額の一五%とその販売による所得金額の五%とのうち、いずれか少ない金額の損金算入を認める探鉱準備金制度を創設するとともに、法人については、その事業年度、また、個人については、その年の新鉱床探鉱費の支出額と探鉱準備金取りくずし額とのうちいずれか少ない金額の損金算入を認める探鉱費の特別控除制度を創設する等の措置を講じております。
第三は、国際競争力の強化等に資するため、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、新たに対外支払い手段を対価とする建設請負、修理加工及び映画上映権の譲渡等を加えることとし、その控除限度を建設請負及び修理加工については、その収入金額の三%と輸出所得金額の八〇%とのうちいずれか少ない金額とすることとし、映画上映権の譲渡等については、その収入金額の三〇%と全所得金額の五〇%とのうちいずれか少ない金額とすることとしております。
第四は、中小企業の近代化等に資するため、中小企業近代化資金助成法の小売り商業店舗共同化計画に基づく一定の共同店舗について初年度十分の一の特別償却制度を創設することとしております。
第五は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、最近における交際費の支出の状況に顧み、その損金不算入割合を現在の三〇%から五〇%に引き上げることとしております。
第六は、農業協同組合等の留保所得の一部非課税措置の特例を生産事業を行なわない森林組合及び同連合会についても適用することとしております。
第七は、山林所得に対する所得税の課税について、昭和四十年一月一日から三年間に山林を伐採または譲渡した場合には、その年分の山林所得の計算上、大蔵大臣が定めた金額の再植林費特別控除を行なうこととするほか、山林所得の概算経費率の算定方式の合理化をはかることとしております。
第八は、特定公共事業の用地買収等の場合の課税の特例についてその適用対象を、買い取り等の申し出のあった日から一年以内の期間に譲渡した資産に限っておりましたが、この期間を一年から六カ月に短縮した上、その適用期限をなお二年間延長することとしております。
第九は、外貨債の円滑な発行及び消化に資するため、昭和四十二年三月三十一日までに発行された民間外貨債の利子に対する所得税の税率を一〇%に軽減することとし、また、昭和四十二年三月三十一日までに発行された償還期限五年以上の利付外貨債の償還差益を非課税とすることとしております。
第十は、特定の医療法人に対する法人税率の軽減の特例について、その軽減税率を法人税率の引き下げにならい現在の二八%から二六%に引き下げることとしております。
第十一は、ブドウ糖の消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和砂糖については、砂糖消費税の税率を一キログラム当たり現在の十六円から十一円に軽減することとしております。
第十二は、登録税の課税の特例でありますが、昭和四十年四月一日から三年間に中小企業近代化資金助成法の工場等集団化計画等を行なう事業協同組合が取得した土地をその組合員等が取得する場合の所有権取得登記の登録税について、その税率を現在の千分の五十から千分の六に軽減することとするほか、遠洋区域に出漁する漁船の所有権の保存登記等の登録税について、外航船舶に準じて軽減することとしております。
第十三は、昭和三十九年度末に期限の到来する特別措置のうち、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例措置、農業生産法人に現物出資した場合の納期限の延長の特例措置、鉱業用坑道及び造林費の特別償却の特例措置並びに特殊の外貨借り入れ金の利子の税率の軽減措置等についてなお二年間その適用期限を延長することとしております。
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最後に、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、所得税法案及び法人税法案に関連して、国税通則法、租税特別措置法その他国税に関する法律、並びに所得税法及び法人税法に関連する他の法律について、その整備をはかるため、その所要の規定の改正をしようとするものであります。
まず第一は、現行の所得税法及び法人税法の規定によって設けられている制度のうち、特別の措置と認められる新規重要物産免税、渇水準備金、違約損失補償準備金、異常危険準備金の各制度に関する事項については、これを租税特別措置法において規定することとしております。
第二は、所得税法及び法人税法の全文改正に伴い、国税通則法、租税特別措置法その他の国税に関する法律について、関係規定の表現を改める等、所要の整備を行なうとともに、その他の法律のうち、所得税法及び法人税法の条文を引用している条項等について、所要の整備を行なうこととしております。
以上が所得税法案外三法律案の提案の理由並びにその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/4
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005・西田信一
○委員長(西田信一君) 以上で提案理由の説明は終わりました。
引き続き、各案につきまして順次補足説明を聴取いたします。吉國政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/5
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006・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得税法案外三件につきまして、ただいまの提案理由の説明に補足いたしまして、若干の御説明を申し上げたいと思います。
まず、所得税法から御説明申し上げます。
所得税法の改正点は御承知のとおりでございますが、第一点は、所得税の一般減税でございます。その内容につきましては、ただいま提案理由の説明で詳しく申し上げておりますので、省略をいたします。この改正によりまする軽減額は、初年度八百二億円、平年度九百二十二億円という額にのぼっております。なお、この減税の中に、形式上は少額貯蓄非課税限度の引き上げが入っておりますので、これを合計いたしますと、所得税法の減税額は初年度九百三十一億円、平年度千百三十七億円にのぼるわけでございます。
第二点は、所得税の規定の整備をはかるための全文改正の部分でございます。この全文改正の行なわれました趣旨等につきましては、提案理由によって詳しく御説明申し上げておりますので、省略いたしまして、この内容について簡単に御説明を申し上げたいと思います。
なお、今回の全文改正は、先ほどの御説明を申し上げました趣旨のとおり、全体の税法をわかりやすく平明化するということを主眼に置いておりますので、原則として現行の制度は内容を変えずにいくという考え方でございますが、当然規定の整備等で若干の点は合理化をはかっております。したがいまして、これから御説明申し上げます点は、現行の規定と異なった点、あるいは現在規定しておりませんものを新たに規定いたしましたものについては、御説明をいたしたいと思います。
なお、所得税法は、従来の現行法は、枝番を入れまして延べで百十九条でございますが、今回の新しい税法は、提案しております税法案は、二百四十四条でございます。非常にふえておりますが、これは、提案理由で申し上げたとおり、規定の整備等で、従来取り扱いあるいは政令等によっておりましたものを法律にあげたものが多いということ、それから、一つの条文に長く書いておりましたものをわかりやすく幾つかの条文に分けたということから生じたものでございます。
内容的に申しますと、第一に、非課税所得に新しく加えたものといたしましては、先ほど提案理由でございました子供銀行の預金の利子、これを非課税とすることにいたしております。これは九条の第一項第二号になるわけでございます。
それから、現物給与のうち、「職務の性質上欠くことのできないもの」、たとえば船員の船中における食事でございますとか、たとえば守衛の着ております制服といったようなもの、こういう職務上欠くことのできない現物給与につきまして、非課税を新たに設けました。これは現在通達等で扱っているものでございます。これが第一項の第五号でございます。
それから、破産手続その他いわゆる強制換価手続を行ないました場合に、その納税者が生活困窮に立ち至っておるような場合には、その強制換価されました資産に関する譲渡所得は非課税とするということにいたしております。これが第九号でございます。
次に、課税所得及び税額の計算に関しまして、新しく、あるいは合理化をはかりました点を申し上げます。
第一に、五十一条の第四項におきまして、非営業貸し金の元本の貸し倒れによる損失につきまして、これをその年の貸し金の利子等同一種類の所得の範囲内で控除することを認める。御承知のとおり、非営業貸し金と申しますものの利子は、雑所得ということになっております。これが貸し倒れになりましたときには、現在はこれを控除する道がございませんでしたが、これを今後雑所得の中で控除を認めるということにしたわけでございます。
次に、割賦販売、たなおろし資産の延べ払い条件つき販売、長期工事等につきまして、その収益計上の時期、経費の配賦の時期等について、特例を設けております。割賦販売につきましては六十五条、延べ払い条件つき販売につきましては六十六条、長期工事につきましては六十七条がこれでございます。
それから、出版業その他、いわゆる販売額によって残品を引き取るという契約をいたしてありますものにつきまして、たとえば化粧品でございますとか医薬品については、そういう例が多いわけでございますが、これについて、そのまま売り上げを計上いたしますと、未実現の利益が計上されることになりますので、一定の返品調整引き当て金を設けて、これを調整することにいたしたわけでございます。これも現在通達で実行上認めておりますが、これを規定を明らかにして、法律にあげたわけでございます。五十三条でございます。
それから、昭和二十七年十二月三十一日以前からずっと引き続いて所有いたしておりました資産につきましては、現在その譲渡所得を計算する際の取得価額は昭和二十八年一月一日現在の相続税評価価額によることにいたしておりますが、損失を計算する場合には、実際の財産税の評価額によって損失を計算するということにいたしておりまして、譲渡所得の計算と損失の計算がばらばらになっております。これを今回、譲渡損につきましても、同じく二十八年の一月一日の財産価額によるということに改めることにいたしております。
それから、先ほど提案理由の御説明でありましたが、配偶者及び扶養控除については、確定申告をしなくても適用を認める。その他の控除については、確定申告書の記載があれば期限後申告でもこれを適用するということにいたしました。従来は、期限内に確定申告書を提出いたしませんと、これらのものが適用にならなかったわけであります。
次に、純損失及び雑損失の繰り越し控除につきましては、従来の規定によりますと、その損失の生じた年及び控除を受ける年について、それぞれ期限内申告を必要としたわけでございますが、今回はその損失の生じた年に限り期限内に確定申告書を提出すれば、その後は期限内の申告書がなくてもこれを適用するということにいたしました。
それから、申告及び納付並びに還付の手続に関しましては、第一に、予定納税制度を合理化いたしまして、従来この予定納税制度につきましては、減額承認申請が二段階になっておりましたり、いろいろ複雑でございましたが、これを一本に統合するというような合理化をはかりまして、同時に、予定申告制度はこれを廃止いたしまして、制度の簡素化をはかっております。
次に、資産の譲渡の対価が延べ払いで行なわれる場合、これにつきましては、法人税のほうではその延べ払いについて収益計上の特例を認めておりますが、所得税の場合は、御承知のとおり、譲渡所得につきましては、これが多年にわたるものが一時に発生するという意味で、二分の一の特別課税をいたしておりますので、これを法人税と同様に延べ払いの形で、それぞれ収益計上時期をずらすことにいたしますと、非常に負担の軽減になります。その関係で、所得税におきましては、一応その年の所得といたしますが、その対価の分割に応じて税額の延納を認めるという制度にいたしております。これが百三十二条から百三十七条にわたって規定されております。
それから、確定申告によって還付金が生じました場合に、源泉納税義務者につきましては、納税義務者の申し出によってこれを翌年の源泉微収税額に充当することができることにいたしておりますが、これも例がないので、簡素化のために廃止をいたします。
さらに、源泉徴収制度につきましては、賞与の税率につきまして若干の改正をいたしております。百八十六条第二項がそれでございます。
それから、非居住者が居住者または内国法人から船舶または航空機の貸し付けを受けました場合のその対価を、従来は申告納税ということになっておりましたが、新たに源泉徴収をするということで課税の充実をはかっております。
さらに、非居住者及び外国法人に対する課税に関しまして、従来国外で支払われるものにつきましては、代位納付制度をとっておりますが、これも源泉徴収制度に統合いたすことになりました。
さらに、所得税の総合課税を受けております事業等を有する非居住者につきましては、従来寄付金控除を認めておりませんでしたが、今回はこれを認めることにいたしました。
その他所得の源泉地について個々の規定を設けるべき基本規定を置いております。百六十一条でございます。
以上が、はなはだ簡単でございますが、所得税法の概略の説明でございます。
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次に、法人税法について御説明申し上げます。
法人税法の一般減税につきましても、詳しく提案理由で説明がございましたので、内容は省略をいたしますが、法人税法の改正による減税額は、初年度百八十四億円、平年度三百十四億円となっております。
次に、法人税の税制整備に関する部分について、ごく簡単に御説明いたします。
所得税とほぼ同じ考え方で整備を行なったわけでございますが、法人税法は現在七十四条でございますが、今回の改正案は百六十四条となっておりますことは、所得税と同様でございます。
まず、課税標準及び税額の計算に関しまして、従来の考え方でございます総益金から総損金を控除するという税法上のいわゆる純資産増加をもって所得と考えるという考え方は、従来どおりでございますが、これを収益、費用についてそれぞれ内容を規定いたしまして、さらに、収益と費用が対応して所得が計算される理由を明かにする所得計算の基本規定を置いたわけでございます。
次に、所得税の場合と同様、割賦販売、延べ払い条件つき販売、長期工事における収益計上の時期を明らかにする。これは六十二条、六十三条、六十四条がそれでございます。
次に、三十条におきまして、有価証券の譲渡原価の計算及び評価の方法を定めております。従来、有価証券につきましては、たなおろし資産に属するものは一般のたなおろし資産の評価方法を適用しております。しかし、有価証券の特殊性からいきますと、一般のたなおろし資産の評価方法をそのまま適用することは、これは適当でございませんので、有価証券について特別に評価方法を定めることにいたしております。
次に、法人所得計算の際の評価損益でございますが、従来は評価損益は、法人がこれを計上する際には時価までの範囲内でこれを所得または損失として認めてまいったわけでございますが、商法の改正等の関係もございまして、今回の改正においては、評価損益は原則として損金または益金としないということにいたしました。ただ、災害等により著しい損失が資産について生じたという場合には、その部分については特別の評価損を認めることにいたしております。
それから、三十七条におきまして、寄付金についてその意義を明らかにいたしました。この際、資産を低額譲渡いたしました場合には、その時価との差額につきましては、それが贈与の意思を持っていると認められる分がございました場合には、これは寄付金と認めるということを明らかにいたしました。なお、利益処分によって支出した寄付金は、損金には算入しないという原則を明らかにしております。
それから、四十七条におきまして、損害賠償により資産を取得した場合に、保険金について従来認めておりました圧縮記帳の制度を同様に認めることにいたしております。
さらに、青色申告法人につきましては、前年の賞与実績をもとにいたしまして計算した引き当て金を認めるということにいたしました。従来の取り扱いは、その申告期限までに各人別の支払い内訳が確定している場合に限って、これを未払い金と認めて賞与の引き当て——引き当てと申しますか、奨来支払わるべき賞与を損金に算入いたしておりましたが、これは中小企業等については実際上行ないがたいという事情がございますので、今回、引き当て金という簡略な形を認めることにいたしたわけでございます。これは五十四条でございます。
さらに、五十三条につきまして、先ほど所得税法で申し上げました返品調整引き当て金制度を法人税についても認めております。
それから、通達で従来扱っておりましたものを二つ法律にあげておりますが、一つは、会社の資産調整の際に、役員、株主等が私財を提供いたしました場合には、この私財提供益が、資本の欠損を生んでおります繰り越し欠損の部分に達するまでは、これを益金不算入所得と見るということにいたしております。もう一つの点は、法人を分割いたしますために、法人の施設の一部を現物出資によって法人を設立したという場合がございます。この場合には、従来その現物出資をいたしました資産を従来の帳簿価額で記帳いたしまして、同時に、新しく取得した株式につきましても、従来の資産の価額をつけておく、いわゆる圧縮記帳をいたしております場合には、これを認めるという制度にいたしております。これによりまして、会社の分割ということが可能になっているわけでございます。商法ではこの分割の規定はございませんので、税法上の現物出資のいわば便法によって分割が従来から行なわれてきたわけでありますが、この点を法律において明らかにすることにいたしました。
それから、相互会社である保険会社の契約者配当金を課税所得計算上の損金にすることを法律で明らかにいたしましたのが六十条でございます。
それから、法人が源泉徴収を受けました所得税につきましては、法人税からこれを控除し、控除し切れないときには還付することになっておりますが、この従来の規定では、この所得税の控除はその元本を所有した期間に相当する部分だけしか控除しないことにしております。しかし、実際にはその法人が全額支払って源泉徴収されているわけでございますので、今回の改正ではこの所有期間案分の制度を廃止いたしました。
それから、申告納付及び還付の手続に関しましては、先ほども御説明ございましたが、設立第一期の中間申告書は提出しないでいいと、さらに中間申告の納付税額が二万五千円以下の場合には中間申告を省略することができるというような簡素化をはかりました。
さらに、所得税額、あるいは中間の納付税額、清算中の予納税額等につきましては、精算して還付をいたすわけでございますが、従来は申告書のほかに還付請求書というものを出さなきゃならぬということになっておりましたが、この申告書に還付金額を記載すれば特別の還付手続を要しないという簡素化をはかりました。
さらに、欠損金の繰り戻し控除の制度につきましては、その計算を簡素化いたしまして、前年の繰り戻しを受ける事業年度の税額にその年の所得に対する繰り戻しをされる欠損金額の割合を乗じて計算するという非常な簡素化をはかったわけでございます。
さらに、新規重要物産免税、渇水準備金、違約損失補償準備金及び異常危険準備金の制度は、従来特別措置というふうに考えられておったものでございますが、法人税法または政令において規定をいたしておりましたものを、今回規定を整備いたします際におきましてこれを租税特別措置法に移すということにいたしております。
以上が法人税法の改正の概要でございます。
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次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この租税特別措置法の改正によりまする増減収額は初年度百六十四億増収、平年度四十八億増収となっておりますが、この中で先ほど申し上げましたこれの増収でございますが、この中には少額貯蓄非課税の規定が入っておりますので、租税特別措置の増収額は初年度二百九十三億、平年度二百六十三億という増収額になるわけでございます。
この内容について御説明をいたしますが、提案理由の説明で詳しく御説明がありましたので、重複しない範囲で御説明を申し上げます。
資本市場の育成に関する諸改正は、利子所得についての源泉分離の課税の特例は第三条にございます。それから、配当所得についての源泉徴収税率の特例につきましては八条の二でございます。それから、新たに八条の三、八条の四におきまして、八条の三におきましては源泉選択制度、八条の四におきましては申告不要制度を設けております。
次に、鉱産物資源の開発の促進のための措置の内容を若干簡単に御説明いたしますと、この制度は、従来海外において減耗控除と称して認められてきた制度でございます。鉱山という特殊な事業を営みます場合には、一定の採掘鉱区の鉱量がなくなりますと鉱山が閉鎖になってしまうので、常に探鉱を行ないまして鉱業の継続をはからなければならない。そのためには、減耗控除という制度をアメリカをはじめカナダその他かなりの国で認めているわけでございます。今回、開放体制に入りますに際しまして、わが国といたしましてもこの制度を取り入れるということになったわけでございますが、この内容は、先ほど御説明がありましたが、昭和四十年四月一日から昭和四十三年三月三十一日の三年間におきまして、鉱物の販売金額の一五%とその販売による所得の半分、このいずれか少ない金額を毎年度あるいは毎年探鉱準備金に繰り入れることができる。その繰り入れた金額は、その年またはその事業年度の損金に算入するということになるわけでございます。この準備金は、その繰り入れをいたしまして後三年間で取りくずしをしなければならない。その取りくずしは、最終取りくずしをすればいいわけで、途中は必要に応じて取りくずしをすればいいということになるわけでございます。取りくずしをした場合はもちろん益金に入る。
次に、これと別途に毎事業年度またはその毎年の新鉱床探鉱費の支出額があった場合には、その新鉱床探鉱費と同額だけ損金算入を認める。いわゆる探鉱費の特別控除制度を認めたわけでございます。もちろん、新鉱床の探鉱費自身も大部分はその年の損金になりすまが、中には繰り延べされるものもあるわけでございますが、支出した新鉱床探鉱費同額だけ別途損金に認めるわけでございます。ただし、その範囲は、その年の最初申し上げました探鉱準備金の取りくずし額を限度とするということにいたしております。つまり、探鉱準備金であらかじめ損金に算入して置いたものを、自後三年間取りくずしをいたしますと、そこに益金が立つわけでありますが、その際に実際に探鉱をやっておれば、その探鉱の費用の範囲内でこれは損金に落ちますので、取りくずし益金をそれで相殺する。つまり、最初に損金に算入して積んでおきました準備金が探鉱費特別控除が適用されることによって最終的に免税になります。こういうような制度をとったわけでございます。これはフランス式のやり方でございます。
これらの措置をとりました関係で、三十九年度末に期限が到来いたしました探鉱用機械設備等の特別償却制度、これを廃止することにいたしております。
この探鉱準備金及び探鉱費特別控除制度は、個人については二十二条、二十三条、法人につきましては五十八条の二、五十八条の三に規定いたしております。
それから、技術等海外取引の特別控除制度に新たに建設請負、修理加工及び映画上映権の譲渡等を加えております。これは個人につきましては十三条の三の第四項、二十一条の第二項、法人につきましては四十六条の二の第六項、五十八条第二項となっております。
それから、中小企業の近代化のための共同店舗等の特別償却は四十三条第一項第三号でございます。
それから、交際費の損金不算入制度は六十二条第一項の改正でございます。
農業協同組合等の留保所得の一部非課税の制度を森林組合及び同連合会に適用いたしますのは、五十九条第一項並びに六十一条第一項となっております。
次に、山林所得に対する所得税の課税について新たに措置を講じたわけでございますが、これについて若干御説明いたしますと、昭和四十年一月一日から昭和四十二年十二月三十一日までの間に山林を伐採しまたは譲渡いたしました場合には、その年分の山林所得の金額の計算に際してその山林の植林費の額を控除するという植林費控除の制度を認めることにいたしたわけでございます。——失礼いたしました。植林費の、再植林費の額を認めるということにいたしております。つまり、山林所得の計算につきましては、その山林の植林あるいは保育に要しました費用を積み上げてこれを控除することにいたしておりますが、何ぶんにも四十年あるいは五十年とたった後に伐採をいたしますので、その四十年前の植林費は非常に小さな額になってしまうので、そのために特別の措置を講じないと山林を荒らすという問題がございますので、今度の改正では再植林費を別途控除する。ただし、再植林費を全部控除いたしますと、従来の植林費と二重になってしまいますので、再植林費から従来の植林費を控除する。ただし、その植林が昭和二十七年十二月三十一日以前に行なわれた場合には、昭和二十八年一月一日現在において植林をしたならば要するであろう費用を置きかえまして、それを控除することにいたしております。これが三十条の二の規定でございます。
なお、山林所得の概算経費控除制度をさらに合理化することにいたしております。同じく三十条の二でございます。
それから、特定公共事業の用地の買収等の場合の買いかえの特別控除の規定は、個人については三十三条の二、法人については六十五条の三でございます。
それから、外貨債の利子の課税の特例は第七条の二、さらに、新たに償還差益を非課税といたしましたが、この分は第四十一条の十一でございます。
次に、特定の医療法人に対しましては、御承知のとおり昨年の改正で、公益法人あるいは特別法人並みの税率二八%を適用することにいたしておりましたが、基本税率が改正になりましたので、これについて二六%に引き下げるということにいたしました。これが六十七条の二であります。
それから、昨年同じくブドウ糖混和糖水についての課税の特例を規定いたしましたが、今回はさらに進めまして、一定規格のブドウ糖混和砂糖そのものについても特別の税率を設けることにいたしました。これが九十一条でございます。
その他、中小企業の育成、合理化のための中小企業近代化資金助成法による集団化計画の際の登録税の軽減等を規定いたしておりますが、これが七十八条の二でございます。
それから、遠洋区域に出漁する漁船の所有権登記の登録税の軽減が七十九条でございます。
それから、適用期限の到来いたします事業用資産の買いかえは三十八条の六、これは個人で、法人が六十五条の四、事業用資産の交換の場合の課税の特例は三十八条の九、六十五条の六、農業生産法人に現物出資した場合の約期限の延長は四十一条の九でございます。
鉱業用坑道等の特別償却は四十九条。その他造林費の特別償却の特例並びに特殊の外貨借り入れ金の利子の税率の軽減等について期限の到来するものにつきましては、さらに二年間これを延長することにいたしております。
以上、簡単でございますが、租税特別措置法の御説明を終わります。
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最後に、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
まず第一に、現行の所得税法及び法人税法あるいはその命令規定の中で租税特別措置法に移しかえるものがございます。これは先ほど法人税法を御説明申し上げた際に申し上げたわけでございますが、これが第七条でございます。
それから、所得税法及び法人税法の改正に伴いまして、第十条において国税通則法、第七条において租税特別措置法、第一条において災害減免等につきまして所要の改正を行なっております。
以上、簡単でございますが、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案につきましての補足説明を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/6
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007・西田信一
○委員長(西田信一君) 以上で両案の補足説明を終わりました。両案につきしまては、本日はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/7
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008・西田信一
○委員長(西田信一君) 次に、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明は聴取いたしております。
それでは、補足説明を聴取いたします。吉國政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/8
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009・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。
この法律におきまして改正いたしました第一点は、酒類業組合等に関する不況カルテルの要件につきましての所要の整備を行なうことでございます。この不況カルテルの要件につきましては、従来基準価格を一つの要件として規定いたしております。しかし、御承知のとおり、制度は残っておりますが、昨年六月に酒類の基準価格はすべてこれを廃止いたしたわけでございますので、今回これに応じて規定を整備いたしまして、この基準価格という要件をはずしたわけでございます。しかし、実際上の運用は従来と同じことになる予定でございます。この改正規定は、四十二条五号及び四十三条三項にございます。
次に、酒類業組合等の経営の合理化をいたしますために、特に必要がある場合には、酒類の原材料の購入または酒類の品質等について規制を行なうことができることになっております。これがいわゆる合理化カルテルでございますが、今回酒類において正常な取引慣行の確立に資するため、それに加えまして、組合員が販売する酒類販売方法について同じく規制を行なうことができることにいたしまして、合理化カルテルの拡大をはかったわけでございます。これが四十二条六号の改正規定でございます。
なお、このほか酒造組合の組織の要件を定める第六条の規定、酒類業組合の設立認可に際しての提出書類の記載事項を定める十九条の規定等につきまして、規定の整備をはかることにいたしております。この第六条と申しますのは、酒造組合の名称を付することのできるものの中に、果実酒についての組合を加えたわけでございます。これは御承知のとおり、果実酒につきましては、いわゆる甘味果実酒と普通の果実酒がございます。甘味果実酒はわりに——わりにと申しますか、比較的大企業がつくっておりまして、これに対しまして通常の果実酒は、山梨県のブドー業者等が小規模につくっているものが多いわけです。それが従来同じ組合に入らなければならぬということになっておりまして、実情に沿いませんので、果実酒組合だけは特別に組合がつくれる。従来は任意組合でございましたが、これを酒団法上の組合に認めるということにいたしたわけでございます。
なお、附則第三項及び第四項におきまして、地方税法第三百四十八条第四項の規定を改正いたしまして、これは従来実は、何と申しますか、当然やっておくべきものであったかと思いますが、事業協同組合その他酒類業組合とほぼ同じ性格を持っておるものにつきましては、その事務所及び倉庫について固定資産税を免税いたしていたわけでございます。酒類業組合につきましても、今回これと同様に非課税の範囲に加えるということにいたしているわけでございます。
以上をもって補足説明を終わらしていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/9
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010・西田信一
○委員長(西田信一君) この際、地方自治第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、物品税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、国立学校特別会計法の一部を改正する法律案、以上衆議院送付の四件及び国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の五件をあわせて議題とし、六件を一括質疑に入ります。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/10
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011・成瀬幡治
○成瀬幡治君 物品税法についてこの前いろいろなことをお尋ねしたわけですけれども、それに続いて、今度の改正、四十二年で基本税率に全部なるわけですが、小型のうちでも一九〇〇cc以下一本になるわけですね。そういうようなことについては、これを二つに、たとえば一〇〇〇を境にして分けたがいいとか、どうしたらいいかというようなことについては、全然お考えになっていないのかどうか。
それから、それと関連して、自由化のことが、この間うちの新聞見ますと、やれ六月であるとか、いや九月であるとか、あるいはこの間の新聞によりますと、ホテルオークラでですか、何か通産大臣が関係者とお会いになったときにいろいろと話が出ておるようでございますけれども、あなたのほうとしても十分調査されて今回の改正を行なわれたものと考えますが、なかなかその事業に携わっておる人は、これはいつの場合でも増税になるようなことについては反対だということはわかるわけですけれども、実際経営をしておられるそういう人から見たときに、たとえば自動車産業でいえば一つの戦略産業ともいえるくらい重要な産業のことですから、自由化と関連して、あるいは将来ノックダウンをやるというようなことは考えられない、あるいは資本の自由化というようなことは考えられないと思いますけれども、あるいはケネディ・ラウンドで関税の問題とからんでくるわけですが、そういうような場合には一度考え直してみるというような、自由化が行なわれる、あるいは関税がケネディ・ラウンドが起きたときにもう一ぺん考慮するとか、そういうような前提に立って今度は改正をされておるのか、いやいやそうじゃなくて、そういうようなものは全部織り込み済みでこういう改正案を出しておるのか、どちらなんですか。その二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/11
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012・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま第一点として申されました二〇〇〇cc以下一律でなくて、もっと二二〇〇とか一五〇〇とか分けたらどうかということにも検討したかというお話でございますが、御承知のとおり、従来この規定は一五〇〇cc以下のものに適用しておりましたが、この一五〇〇cc以下だけに特別税率を適用しておりますと、より大きい車、車種についての技術の向上がはかれないという要望がございまして、これは二〇〇〇ccまで実は引き上げを途中でいたしたようなわけでございます。そこで、今度改正いたします際に、この車種によって区別をするということも当然いろいろ検討いたしたわけでございますが、いま申し上げましたと同じような理由で、わが国で国産いたしております標準的なものは一緒に扱わないと、それによって生産にいろいろなひずみを与えるということもございますので、全部一律にして扱うほうがよろしいという結論に、関係当局とも打ち合わした結果なりたわけでございます。したがいまして、この車種別に考えるという問題は一応検討をいたしたと申すことができると思います。
第二番目に、この改正が今後の自由化その他の影響等によって変わる可能性があるかどうかというお話でございますが、これは法律の形といたしまして一年先、二年先の税率まで規定しておりますことからもおわかりと存じますが、これは既定方針どおり進んでいくという考え方でできております。もちろん、非常な激変があって別な角度から問題が出れば別でございますが、現在の税法としては、この三年間の税率をいまからきめておくということは、これで進むという、あとのほうの考え方でやっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/12
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013・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あとのほうの答え、ちょっと不明な点があるのですが、それは関税と自由化の問題は織り込み済みというふうに了承していいと思うのですね。二つ目の問題は、関税の一括引き下げ交渉等があるけれども、それはまあ大体応ぜない。事、自動車に関しては応ぜないのだという方針のもとに勘案したものと了解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/13
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014・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) この物品税の税率はもちろん外車にも同じく適用されるわけでございますから、そういう意味で一応関税と特別関係はないわけでありますが、関税が高ければ物品税の効果も外車については非常に大きくなるという問題はあります。しかし、ケネディ・ラウンド等によって関税率がある程度引き下げられるということが将来考えられるといたしましても、それによって物品税率を左右する必要は現在のところないという前提できめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/14
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015・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういう、左右されることはあるとかないとかということではなくて、もしそういうことが行なわれたら、もう一ぺん考え直すというのか、三年間くらいそういうことはないという、そういう見通しに立っていろいろなことをやっておみえになるということもわかるわけですが、もしそういうことが行なわれたらどうなりますか。考慮し直されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/15
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016・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 現在のたえまえでは考慮し直さないという前提でありますが、もちろんそのときの、非常に大きな影響等があった場合に、そのとき問題になり得るということを否定するわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/16
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017・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一五〇〇が二〇%、一五〇〇以上が中型車ということに基本はなるわけですが、直したわけですね、二〇〇〇に。そうすると、今度は二〇〇〇はそのまま動かさずにおきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/17
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018・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 今回はそのまま動かさずに、現行法をそのまま動かしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/18
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019・成瀬幡治
○成瀬幡治君 通産大臣のこの間の会合での話は、自由化に関連して三段階に分けていくと。第一は自由化だ、第二はノックダウンの問題だ、第三は資本の自由化だ。しかし、第一段はあり得ても、二、三の段階は通産省としては極力阻止するのだ、ないのだというようなふうに受け取れるわけですね。片一方で、は開放経済体制に入ったという大きな看板をあげた。ところが、戦略産業のたてまえから、二、三、の場合は予測せぬでもいいというような通産大臣の話、これは新聞に出たことなんですが、大蔵省としてはそういうことは通産行政のほうとは全然無関係だと言われるかもしれませんが、もし、それじゃそういうことはあり得ないと思いますけれども、かりに二、三というようなものが出れば、当然物品税はお考えになるだろうし、あるいはまた一六はそう問題ではないかもしれませんと思いますけれども、一八というのは、これは大きな問題なんです。そういうようなときに、今後私も産業界がどういうふうになっていくかということは、なかなか想定がつかない問題ですけれども、下請関係には相当な私はきびしい影響が出てくるであろうということは簡単に想像がつくわけです。そういうようなものが出れば、いまあなたがおっしゃったような、何か特別なことができたときにはもう一度考慮し直しますよというその中に、そうした問題は含まれておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/19
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020・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 若干角度が違うかと思いますが、いま通産大臣が言われたという点もございますが、同時に、通産省としては自動車産業について自由化対策としての企業の合理化ということを非常に強く推進しているわけでございます。その点から相当なコストダウンも見込まれる。そういう点で、大体現在の状況でも、自動車についての軽減税率の適用の時期はほぼ終わったという判断で、今回の税率をもとに戻すということにいたしておるわけでございます。国内産業としての規模その他を考えてやっているわけでございますが、これが直りました、軽減税率がすっかりもとに戻った場合を考えますと、物品税は御承知のとおり本来消費者に転嫁すべきものでございます。消費者に転嫁されるべきものが物品税でございます、間接税でございますから。したがいまして、外車についても国内車についても同じ税率で課せられる。消費者が負担すべきものだ。そういう観点から申しますと、今回の軽減税率の漸次的廃止ということで、一つのピリオドを打たれるというふうに私ども考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/20
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021・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この問題については、また私もいろいろな問題でお尋ねしたいと思います。
次に、国立学校関係のことで一言お尋ねしておきたいと思います。この法律改正をされるときに、一応予定と申しますか、いまこの法律を改正したらすぐ適用というのですか、この法律が通過することを待っておるといってはおかしいわけですけれども、改正されたらすぐここに適用しようじゃないかというようなところがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/21
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022・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この法律の規定によりますと借り入れ金の実行が直ちにできるかと、こういうお尋ねかと存じます。この法律の規定といたしまして、借り入れ金をなすことのできる条件といたしまして、過密都市の対策に資するという条件と、借り入れ金をいたします場合にその償還費につきましては必ず売り払い処分収入代金をもって支弁できる、かような条件が二つついておるわけでございます。具体的な例といたしまして、大阪でございますけれども、この借り入れ金を実際に実行する段階にあたりましては、この法律にも書いてございますとおり、政令で定めるところによりという規定が置いてございます。この政令で定めるところによりという規定によりまして、どういう点が国立学校の移転が、過度集中の対策にそれが具体的に資するかどうか、あるいは具体的な処分というものはどのような見通しの上に立てられるかというような点につきまして、なお話を詰めてまいらなければならない点がございますので、直ちに四月一日から実行できるという段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/22
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023・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、四月一日から実行するところが実はありゃしないかと思っているわけです。そうでなくて、これから政令で定めるところによっていろいろなことが行なわれてくるのだから、まあこういう法律だけつくっておいて、予算も少し計上しておく、だから、実際にやるのは四十年にあるかないか、あるいは四十一年にいったときにあるかないか、四十二年にあるかないかというふうに了解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/23
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024・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この法律に基づきまして、四十年度の予算に二十億円の借り入れ金の予定をいたしておるわけでございます。したがいまして、四十年度につきましては、必ず実行いたす、かような計画になっております。これが四十二、四十三、いつでもいいという意味で申し上げておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/24
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025・成瀬幡治
○成瀬幡治君 だから、四十年度にやるという予定をしておいでになっておるところがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/25
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026・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) ただいま申し上げましたとおり、具体的に大阪大学の移転がございます。四十年度にそれはいたす計画にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/26
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027・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大阪大学の、その移転の計画はどのくらいの敷地を予定しておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/27
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028・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) ただいまの計画といたしましては、大阪大学のうち、現在中之島、東野田、堺等にございますところの大学本部、蛋白研究所、産業科学研究所、工学部等を中心といたしまして、坪数にいたしますと約六万坪でございます。建物だけで申し上げますと、約二万四千坪くらいになるわけでございますが、これを移転をいたします。移転先といたしまして、吹田地区に約二十万坪の土地がございますから、この土地の確保につきましては、これは大阪大学が手に入れるという話し合いがついているというぐあいに了解をいたしております。この吹田地区に約二十万坪の土地を取得をいたしまして、ここに移転をするという計画に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/28
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029・成瀬幡治
○成瀬幡治君 その金が約二十億必要なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/29
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030・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) その約二十万坪の土地を取得いたします金額といたしまして二十億円を計上いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/30
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031・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、今後この法律で改正をされようとする趣旨は、都市から学園疎開というのですか、そういうようなことが行なわれる場合に、土地を取得するための必要な費用はまあめんどうを見よう、それはかりに二十億になるかあるいは三十億になるか、そういうことは別として、それの道をあけよう、いつでもそのときに必要な取得費は全額めんどうを見るという趣旨でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/31
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032・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) いまの御質問の点につきまして、全額というところを非常に強調されたような感覚に受け取られましたわけでございますが、国立学校の移転のこの法律の改正規定を見てまいりましても、国立学校の移転に必要な場合という規定でございまして、「その移転に要する用地の取得費を支弁する」という表現を使ってございまして、全額という意味がどういう法律的な意味を有するかわかりませんですが、その必要な範囲内におきまして、もちろんこのときの借り出し先資金運用部の資金源の問題もございましょうが、現在法律的には金額と申し上げても差しつかえないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/32
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033・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この法律の文章でまいりますと、必要なものは「取得費を支弁するため必要があり、かつ、当該移転に伴い不用となる財産の処分収入をもって償還することができる見込みがあるとき」、それは早くいえば、逆にいえば、返還能力がなければ貸しませんよというふうにウエートを置かれてしまうと、学園疎開をやろうとする、実際五十億の土地を取得したいと思うけれども、片一方を売っていくような場合に二十億しかないのだ、三十億の差があるというような場合には、全然めんどうが見てもらえないことになってしまって、二十億しかめんどうが見てもらえないからというようなことになって、実際の運用をやっておいきになる場合にはどちらにウエートを置いて——「かつ」というこういうことばが使ってあって、これは同等なものか、あるいは前段のほうにウエートがあるのか、後段のほうにウエートがあるのか、平等なのが、これは運用の問題になってくると思いますが、どういうふうにお考えになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/33
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034・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この措置は、過密都市対策に資する場合というのがございます。この規定の前提といたしまして、まあ過密都市から郊外に移るというような場合を予定しているわけでございますから、そこに地価の差異というのもかなり開いておるわけでございますが、その差額というものがかなり多い場合が多がろうと存じます。そういった場合を前提といたしましてこの規定が置かれておるわけでございまして、たとえば二十億なら二十億の金を借りる、残った土地の処分収入がどうあろうとも、そのうち要するに二十億の金を返せればいいという意味の規定を置いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/34
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035・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは何年で、金利はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/35
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036・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) 借り入れ金の問題でございますので、私のほうからお答え申し上げます。
この特別会計の借り入れ先、これは実は資金運用部資金を予定しております。したがいまして、運用部資金の金利六分五厘を予定しております。償還年限につきましては、これはまだ目下検討中でございますが、おおよそのめどといたしまして、つまり学校の移転計画、移転完了を要する時期等々ございます、それらを見てこれから詳細にきめるわけでございますが、おおむね五年以内程度のことがと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/36
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037・成瀬幡治
○成瀬幡治君 実際、たとえば大阪の、私はこれはよくわかりませんが、その土地を処分されるということになれば、これはもちろん国有になりますから、国有財産審議会等の議を経て、いろいろな意味合いにおいて払い下げられることになると思いますが、あるいは民間というよりもむしろ過密都市対策としておやりになるわけですから、市がいろいろな意味で買うというようなことがあると思うのですが、そういうような場合には、市はなるたけこの特別会計に払うのに、まあ三年、五年、六年、七年、八年と、こういうふうに長くしてくれないかというような要求もあり得るわけですが、こういうことについての何年にしたらいいがということは、いま検討中で、大体五年見当と言われましたが、こういうようなことについては何か政令、省令等で、あるいは内規ですか、そうケースで措置していったらいいじゃないかというふうにお考えになっておるのですか。ふうにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/37
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038・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) 成瀬先生に申し上げますが、ちょっと、私の答弁で五年程度と申し上げたのは間違いでございまして、それは七年程度ということに考えております。これはその年限等はいわゆる運用部資金の融通条件の問題でございますので、金利、それから償還期限、あるいは据え置き期間、融通条件は、先生御存じのとおり、毎年度、資金運用審議会の議を経て定められることになっております。したがいまして、四十年度の分につきまして近く資金運用審議会を開きまして、そこでおきめをいただくということに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/38
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039・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、せっかく過密都市対策としてこういうことが行なわれるということについては、非常にいいことだと思う。しかし、こういうことをやろうということになれば、種々いろいろと内部的には私は反対をされるところもあろうと思いますけれども、学校がよそへ行ってしまうと、自分の母校がとんでもないところへ行って非常に残念だというような、いろいろなことがあると思う。ですから、せっかくこういうことをおやりになれば、そういうことを奨励をするということになれば、実質的なことにいろいろ有利な点がなければならぬと思う。せっかく行ってみたわ、金のほうでもあまり見てもらえないからちゃちなものになってしまうなんという、そういうことのないように、せっかくのことですから、大阪市立大学ですか、今度そういう方向に、吹田のほうへおいでになるのですか、そうしたら、りっぱなものができるだけのめんどうを見てもらうようにしてもらいたいと思うのです。それだけのことがこの二十億なら二十億で大体できるものなのだというふうに私たちは判断してよろしいのですか。私は実情はよく知りませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/39
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040・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この二十万坪の土地でございますが、これは大学の設置基準というのがいま文部省にでき上がっております。この詳細につきましては文部省のほうから御説明申し上げますと存じますが、この二十万坪の土地というものは、設置基準に合わせましても十分なる広い土地でございます。それから、その上に建つ建物でございます。これがりっぱかとうかということになるわけでございますが、この建物につきましては、実は四十一年度からの予算の問題としております。四十年度といたしましては、とりあえず土地だけ一括してこれは先行的に買う必要があるわけでございまして、土地だけ予算を計上しておるわけでございますが、それに建つ建物はどういうものであるかということにつきまして、四十一年度予算以降につきまして大蔵省と文部省との間に具体的な計画ができ上がるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/40
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041・鈴木市藏
○鈴木市藏君 外資の受け入れに関する問題でちょっと二、三質問したいと思います。
まあ一口にいって、外貨債なり外資の受け入れが非常に窮屈になってきている。この窮屈になってきている事情の中には、おそらくドルとか、最近におけるドル並びにポンドなどのいわゆる危機といわれている一つのそういったものが反映していると思いますけれども、これらの問題に対してはどういう見通しを立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/41
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042・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) 今後におきます外債発行市場と申しますか、外資の市場の見通しはどうかと、非常にきびしい環境となるのではないかというお尋ねでございますが、私どもも、全く先生御指摘のとおり、実は楽観を許さないという感じを持っておるわけでございます。で、これはこの法案の中にございますものは、外資の受け入れとしましては、世界銀行からの借り入れとかというものを予定し、また、外貨債の関係は、先ほど御指摘のございましたように、ドル建て債でございますとか、あるいはドイツ・マルク建て債といったような、外貨建ての債券を外国資本市場において発行する、こういうことに考えておるわけでありますが、一応予算編成の際に、四十年度にどの程度のものが期待できるかということの見込みをいたしてみました。その際、大体三十九年度の実績の数字があるわけでございますが、その実績、横ばい程度ではなかろうかという感じをいたしております。すなわち、三十九年度の実績は、昨年の四月以来今日までのところで外貨債の発行をいたしました分が一億一千七百万ドルでございます。当初は一億三千万程度いけるかと思っておりましたが、もう三月もここまで参りますと、ちょっと年度内にあと追加発行はむずかしかろうという感じでございますので、大体実績として一億二千万見当ということに相なるわけでございます。
そこで、来年度でございますが、当初は、三十九年度の、つまり当初見込みの一億三千万横ばいというような程度に考えておったわけでございますけれども、その後、先生も御承知のように、二月の十日にジョンソン大統領の国際収支対策強化に関する教書が出たわけでございまして、それによりますと、いろいろ外資関係の制限条項もございますが、ただ、わが国にとりまして有利な点が新しく出てまいりました。すなわち、米国市場において従来金利平衡税というものが課税されることになっておりました。それが今後は毎年一億ドルまでは利子平衡税を免除して発行することができる、ただし、これは国債並びに政府保証債に限るわけでございます。民間債は入っておりませんけれども、そういう新たな措置が開かれる。御承知のように、従来は米国市場というものが、これは非常に資本市場として大きなものでありましたが、一昨年の金利平衡税以来、実は米国市場における国債、政保債の発行を停止いたしておりまして、その間大蔵大臣はじめ政府が免税交渉を終始一貫やってまいっておりまして、免税交渉の成立しないうちに発行することはできないという態勢で実は全然米国市場を利用しておりませんでしたが、これがこれからいよいよ一億ドルまではやれるということになりました点は、一つの新しい有利な状況であろうかと思います。
一方、米国市場の発行を停止しております間、欧州市場の開拓に努力をいたしまして、昨年度実績におきましては、西独におきましてマルク国債を五千万ドル、その後大阪府市のマルク債を二千五百万ドル、合わせて七千五百万ドルというものの発行に成功いたしておるわけでございます。で、さらにそのほかに、ユーロダラー建てでございましたが、東京都債を昨年四月に二千二百五十万ドルこれまた発行をいたしております。さらには、昨年秋に開発銀行債二千万ドルをこれまたヨーロッパ市場においてユーロダラー建てでございますが発行をいたしました。そのようにして欧州市場の開拓に非常につとめてまいりました。今後もこのヨーロッパ市場における見通しは、実はユーロダラーの分につきましては、米国の国際収支対策強化ということに伴いまして、漸次窮屈化するのではなかろうかというふうに一般に見られております。現に、昨今のユーロダラー金利が上昇傾向にございますし、その資金量から申しましても必ずしも従来のような大きな伸びが期待できない、そういう意味で、先生先ほど御指摘のような、起債環境はきびしいという面がユーロダラー債関係においてはかなり顕著にあらわれてまいっております。ただ一方、西独におきましてマルク債の発行を見通します場合に、幸いにして西独の経済は、御承知のように非常に健全な経済でございまして、外貨の蓄積が大きい、国内の経済金融安定対策という面から見ましても、資本の輸出というものを相当積極的にやっておるということから見まして、西独市場においては、本年度の実績を若干上回るところまでいけるのじゃないかという感じを持っております。
そういうようなことで、欧米両市場を通じて見ます場合に、当初見込みました一億三千万ドルの発行というものはまあまあ大体いけるのじゃなかろうか。あるいはさらに進んで、米国における一億ドル免税発行という方向で、状況によっては、すなわち市場の状況によりましては、この一億三千万がさらにもう少し増額できるのじゃないかという感じでおりますけれども、しかし、確かに先生御指摘のように、全体として見ますとそう楽観は許されぬ。しかし、一応予算で見込んでおりますところのものは確実に確保できるのではなかろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/42
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043・鈴木市藏
○鈴木市藏君 これはもうおそらく今後ますます窮屈化してくるだろうと思いますけれども、ここでとろうとしている対策の重点は、国内でこれの受け入れの体制の重点は、むしろやっぱりアメリカの利子平衡税に対処するようなそういう受け入れ体制を整備するというところに目が向いている。やっぱり本質的な対策というやつは講じられていないのじゃないかという気がするのですよ。なぜ一体日本の市場に対してこういうふうに外貨債並びに外資が入ってくるのが窮屈になってきているかという本質的な対策が、何かこれがとられていない。それで、むしろやっぱりアメリカの利子平衡税を受け入れやすくするような、そういう一瞬しのぎ的な対策を今回のこの法改正の中でとっているという印象を受けるわけですよ。本的質な対策とは何かという問題についてひとつ、ちょっと意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/43
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044・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) ただいま先生御指摘の、本法案が米国における発行をむしろやりやすくするような受け入れ体制に主眼が置かれておるのではないかという御指摘でございますが、その点は実はそういうことではございません。これは米国市場というものに特に限定せず、広く欧米両市場を通じて、世界、外国の資本市場全体を見ながらそれに対処していくということでございます。
で、いまお尋ねのございました本質的な対策についての見解いかんというお話でございます。これは、そもそも外資なり外貨債なりというものは、ただむやみにたくさん発行して外国からたくさん借金をしさえすればいいというものでないことはきわめて明白でございます。さればといって、それじゃ国内資金だけでやっていって一切この外資等に依存せぬでいくほうがいいという考え方もあるいは一部にあろうかと思いますけれども、これまた必ずしも実情に沿わない面がある。それらを考えますと、やはり年々、何と申しましても、この国民生活水準というものを引き上げてまいらなければならない。それにはまあ経済の成長を確実にはかっていかなくちゃならぬ。一方、その中において産業設備投資もさることながら、いわゆる公共投資と申しますか、社会資本というものの充実が立ちおくれているという実情もございます。そういう意味で、やはり財政計画といたしましては、社会資本の充実というもの、あるいは民生安定という、生活環境の充実といったような面に向かって、やはりかなりの投資を今後とも続けていかにやならぬのじゃないか。その場合に、国内資金は十分に動員活用をはかるべきはもとよりでございますけれども、その足らざるところを安定した長期の外貨資金というものによって補足してまいると。で、国際収支全体の対策といたしましても、長期安定外資というものはやはり適度の量は必要であろうと、かように実は考えておるわけでございます。もとより、外国からの借金でございますから、むろん将来にわたって元利の償還という負担が当然かかってくるわけでございます。将来のその元利償還の負担というものがそのときにおける国際収支の負担力を越えるということになりましては、これはもちろん非常に危険なわけでございますので、私どもとしましては、将来を見通しまして、将来までの元利払いといったことを十分計算に入れつつ、しかも今日の段階においてどの程度の外資の受け入れというものが適度であるか、その適度のものについてできるだけこれを確保してまいるということを、実は基本の考え方としてまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/44
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045・鈴木市藏
○鈴木市藏君 先ほどあんたがユーロダラーの問題を言いましたけれども、いずれこれはホットマネーで、きわめてまあ安定した見通しとしてはこのユーロダラーに依拠するというのは避けなければならない点じゃないかと考えていますけれども、このユーロダラー自体としてはどういういま傾向になっておりますか。特にそこでもう一つ、ユーロダラーの中に社会主義諸国の金というものは具体的にどのくらい入っているか、これおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/45
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046・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) ユーロダラーの正体をめぐりまして学者の間でもいろいろ異論のあるところは、先生十分御承知のとおりだと思います。私、ともも在外勤務者——大蔵省の在外勤務者がございます、それらを通じ、あるいはまあ在外金融機関その他の資料、あるいは外国の各種分析等を見まして、いろいろこのユーロダラーの本体把握に実はつとめておるわけでございますけれども、なかなかこれ外国におきましても正確な実体把握はむずかしいようでございます。で、一時は、まあこれは非常にホットマネーであって、きわめて短期流動的なものだ、安定して長期に定着するような性格のものじゃないというふうに実は言われておりました。私どもも初めはそうかと思っておったわけでございますが、どうも昨年来ユーロダラー建ての債券発行をいたしてみまして、これはわが国だけじゃございません、各国ともユーロダラー債はかなり出してヨーロッパ市場の開拓をやっております。で、問題はその発行いたしましたあとの外債の市価というものが非常に問題なわけですね。もし非常に流動的なものであって、一度は引き受けてみたけれども、すぐどんどん売って資金を回収するという動きがあるとしますと、おそらくはその外債の市価というものがどんどん下落するという現象となってあらわれるのじゃないか。そういうことを考えて、現実の国債なり政府保証債なりの相場の足取りをたどって見てまいっておるわけでございますが、今日までのところ、国債、政府保証債につきましては市価はきわめて良好でございます。強い歩調をとっております。おおむねその発行価額を上回り、あるいは額面を上回るといったような状態で推移しておるところを見ますると、目下のところから見れば、わが国の国債、政府保証債に対して投ぜられたユーロダラーというもの、それは決してそう無理なものではなかったという感じを実は持っております。
ただ、しかし、先生御指摘のように、むしろ今後が非常に問題でございます。ことに米国の国際収支強化対策というものの影響がどの程度ユーロダラー市場というものにあらわれてくるのか。これは現にその影響は早くもあらわれ始めておるわけでございます。その端的な例は、ユーロダラー金利というものがヨーロッパにおいて上昇傾向にあるということが一つのデータかと思うのでございますけれども、ただ、これが先行きどういうふうな動きになりますか、目下のところ実は正確な分析資料がまだ各国ともございません。で、逐次その足取りをこれから注目してまいらなければならぬかと思っておりますけれども、少なくとも先を見通しました場合に、どんどん、どんどん将来に向かってふえていって安定していくという期待を持つことはどうも危険ではないか、むしろそこはかなり間合いを隔てたところで見て慎重にかまえまして、本質的にはやはり短期的流動的なホットマネー的な性格を持っているものだということを忘れずに臨まなければならぬという感じを実は持っております。
最後に、お尋ねのユーロダラーの中で社会主義諸国の放出した分がどのくらいあるかということでございますが、これは実はそういうデータは全然ございませんものですから、私どもよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/46
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047・鈴木市藏
○鈴木市藏君 去年やっぱり若干この問題があったときに、本委員会でも聞いたという記憶があるのですけれども、このユーロダラーの中に数億ソ連の金が入っておるということについて、これについて一体日本政府はどの程度までこれを分析しておるかという質問をしたときも、わからないということだったんです、ここではね。そういうことで、このユーロダラーというものはいわばかなり国籍不明なんですね。
こういうものに外貨債を依存するということは、これはやっぱり本質的に正しくないと私は思うんですよ。何か情勢の変化に応じて引き揚げられるという危険は、さっきあなたの言ったとおり非常に多い。大いにある。そういうものである限り、これに依存しなければならぬということは、私はもう常道を破っていると思う。要するに、外貨債を日本が取得する場合の常道を破っているものだと思うんですよ。だから、こういうものにさえも依存しなければならないというときには、もっとやっぱり本格的にこの問題を取り上げて考えなければならない時期に来ておる。
一つの問題として、たとえば日本でどうしても外資が必要だという場合に、いまのアメリカの利子平衡税その他の問題で窮屈になっておるというけれども、日本自身が力があれば、本質的に力があれば、これは入ってくるはずだと思う。で、一体こういう問題の奥底に動いておるものは、その一国の持っているいわゆる実質的な金の量というか、そこに問題があるんだろうと思うんですよ。そういうことについて、この前、田中大蔵大臣が、ソ連から金の売却の話があったのだけれども——去年のことですか、一時見合わせることにしたという答弁をしておりますけれども、一体その後日本自身では金の保有ということについてどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/47
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048・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) 先ほど申し上げましたユーロダラーの関連でございますが、実はこれ確たる統計といえますかどうかわかりませんが、一応ある程度比較的信頼度の高い統計としましては、例の御承知の国際決済銀行というのがございます。BISと称しております国際決済銀行の報告の中で、ユーロダラーの大体の額が七十億ドルくらいということを申しております。したがいまして、この七十億ドルの中には先生御指摘のようにきわめてホットマネー的な短期流動的なものももとより含まれておりますけれども、一方において、かなり安定した、長期安定的な性格の資金もあるというようなことを、外国の各国の学者なりあるいは実務家なり等も見ておるようでございます。したがいまして、全部が全部ホットマネーだから非常に危険だということでは必ずしもないようでございますけれども、まさに御指摘のように、こういうものにあまり依存していくということは必ずしも好ましくないということは、全く先生のおっしゃるとおりだと思います。
そこで、実は四十年度の外債発行計画を考えます場合にも、米国市場における本格的なドル債の道が開かれたわけでございますから、むしろそっちのほうを主として活用していくという実はかまえでおるわけでありまして、ごく最近、日本電信電話公社の外債を計画いたしました。金額二千万ドルということで、これは平衡税の法律が出まして以後とまっておりましたところの日本外債の米国における発行再開第一号ということで、今日米国において発行の準備を進めております。そういうことで、できるだけ、やはり何と申しましても、ニューヨークの市場というものは非常に深く、かつ広い安定的な資本市場でございますから、そういうところを主にして活用してまいらねばならないと、かように思っております。
で、外債がどの程度出せるかということは、やはり日本国に対するいろいろ信頼の問題、つまり一本に対する信頼度が商いか低いか、あるいは実体的にいえば、日本経済に対して信用があるかないかという問題におそらくは帰着するのではかなろうか。必ずしも日本の現在の外貨準備としての金の保有の高によってそれが変わってくるということでも実際はないようでございます。現在までの日本公債の市価を見てまいりますと、やはりそれはそういう全体としての日本経済の実力と申しますか、先生が先ほどおっしゃられましたような、つまり本質的な力というもの、日本民族というものの非常に力強いバイタリティーといったようなものが、やはり日本経済に対して諸外国から非常な信頼を寄せられておるということが、どうもやはり基礎になっておるのではなかろうか、かように思うわけでございます。
なお、その金の保有についてどういう考え方をとっておるのかというお話でございます。この点は、実ははなはだ申しわけないのでございますが、金準備の問題は、私ども所管外で、国際金融局の問題でございますので、後刻お答え申し上げることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/48
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049・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それで、あなたさっきの答弁と若干食い違っているよ。ぼくは、今度の法律改正の、四項にわたるところの改正案の主たるねらいというか、重点はアメリカ市場向けだと。というのは、利子平衡税に対処すべきものだと言ったら、あなたはそうじゃないと言っておったけれども、いまはやはりアメリカに重点をおいてやったほうがいいと言っているけれども、実際そうだと思う。これ実は見てみると、いい悪いはあとでやるけれども、やはりいままでの行きがかりもあり、そういう形で、つまりアメリカ市場を重点として考えるのに、受け入れ体制をやすくするためにこのような改正案が出された、ぼくはそう見ている。あなたの答弁を聞いてみると、初めはそうじゃないと言ったけれども、いまはそういうふうに言っている。速記録を見ればわかる。ですから、こういうことになってみると、私は、相当やはり日本とアメリカとの関係というものが、特に経済金融の問題について非常に重大になってくる。
で、私たちは基本的には、アメリカに向かってのやはり金融的な依存はできるだけ避けていく方向に持っていかなければいけないのじゃないかというふうに考えている。だから、そういう点から見ても、との改正案全体を流れているものが、依然としてアメリカヘの金融的な、従属的というと語弊があるかもしれませんが、依存度を強めていく方向にいま逆戻りしている。私はだから言っているので、本質的な対策というのは、それをどうしたら切り抜けることができるか。それなしでは日本経済の平和的、自主的な発展ということは考えられない。だから、日本において外貨債並びに外資を必要とする場合に、依然として続くドル依存の体制から抜け出すのにはどうしたらいいかというのが、一番本質的な対策でなくちゃならぬのだ。これに対するところの意見を聞こうと思ったけれども、あなたはどうもその点については明確な答弁を用意されていないように考えられる。この立場では私はだめだと思う。引きずられる一方ではないか。だから、あれほど利子平衡税に強く反対しておきながら、一つの手直しが行なわれると、すぐこういう形で国内においてそれを受け入れの体制を法改正をもって依存していくと、こういうふうなことでは、私はやはり自主性というものは、国としての自主性というものがなかなか保たれにくい。こういうことにおいて、やはり外貨依存をもっと大局的に目を開いて見るという立場で進んでいかないと、アメリカヘの金融の依存度というものはもっと強くなっていくのじゃないか。これをどうしたら脱却することができるかという点を、私たちはこの本質的な対策の第一に置いて考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/49
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050・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) どうも鈴木先生のおことばを返すようではなはだ恐縮なんでございますけれども、本法案の趣旨は実は全くそういうことじゃないわけでございます。まあ金利平衡税の免除ということが定まりましたのが二月十日のジョンソン大統領の教書が出て初めてわかったことでございまして、本法案はずっとそれ以前に準備をいたして国会に御提出申し上げておるわけでございます。その趣旨は、これは昨日補足説明で申し上げたわけでございますが、従来この世界銀行からの借り入れをやります場合に政府保証をいたします。その政府保証をいたしますのも、個々の借り入れ機関別に保証限度を定めて予算総則に載せておったわけでございます。さらには、外貨債を出します場合に、発行機関別にその保証限度といいものを定めて予算総則に計上いたしておったのでございますが、ただ、それが昨日申し上げましたように、世界銀行との借款交渉が、昨年の秋に例のIMF、世銀総会の際、田中大蔵大臣とウッズ世銀総裁との間に一億五千万ドルという総ワクは話がまとまったわけでございますけれども、さてその中身をどこの機関にどういうふうに貸すかという点に入りまして、日本側といたしましては、日本道路公団の例の静岡−豊川間の道路の部分、それから阪神高速道路公団の行ないますところの神戸一号線の道路と、あるいは水不足で悩んでおりますところの東京都の上水道事業の拡張工事の一部というようなことに充てたいということを世銀当局に申し入れをいたしまして、目下それに対して世銀が慎重審議をいたしております。したがいまして、予算編成の際に、昨年十二月の段階におきましては、その機関別内訳を最終的に決するに実は至らなかったわけでございます。
で、そういうわけでございますので、これはまた今後もそういう事態というものは起こり得るわけでございます。そこで、その全体としての総括保証限度を総額において定めていただくということを、この法律をもってお願いを申し上げておるわけでございまして、また、外貨債につきましても、たとえば従来は電電公社債について二千万ドル、あるいは開発銀行債について二千万ドルという形で、それぞれ予算総則の保証限度を定めたわけでございますが、実際に発行をいたしてまいりますと、なかなかこの外国資本市場の状況は常にいろいろこう変動するわけでございまして、たとえばこちらがあらかじめきめたスケジュールで、何月には何を出す、そのときには幾ら出すというふうに、つまりスケジュールを立てて臨めるような性質のものでは実はございません。やはりそのとき、そのときの市場の状況で、市場になじみの深いものを出したほうがいいという場合もございましょうし、あるいは金額がこの段階で出せばもっとふやせると、いろいろございます。そういうこともございますもんですから、政府保証債を出します場合の保証の限度を一括六千五百万ドルということに定めまして、その中の個々の機関が幾ら出るかということは、これはその後の状況に応じて弾力的にいこうと、こういう趣旨でございますもんですから、決して実態は従来と変わりませんのですが、非常にまあ技術的な、事務的と申しますか、まあ実務的な不便さというようなことからまいりました、そういう実は要請に基づくものでございますので、どうかその点、そのいまの米国に対するこの経済依存脱却と、まことに先生の非常に御見識かと思うのでございますけれども、そういう非常に高度の問題ではございませんで、まことに実務的なものでございますので、どうかひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/50
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051・鈴木市藏
○鈴木市藏君 またあとは具体的な問題のときにやりましょう。きょうはこの程度で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01519650319/51
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052・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御発言もないようでございますので、六件につきましては、の程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時一分散会
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