1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十二日(木曜日)
午前十時三十四分開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
佐野 廣君 小林 英三君
浅井 亨君 中尾 辰義君
四月十四日
辞任 補欠選任
小林 英三君 佐野 廣君
四月十五日
辞任 補欠選任
佐野 廣君 小林 英三君
四月十六日
辞任 補欠選任
小林 英三君 佐野 廣君
四月二十二日
辞任 補欠選任
鳥畠徳次郎君 上林 忠次君
村松 久義君 井野 碩哉君
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
佐野 廣君
西川甚五郎君
田畑 金光君
委 員
太田 正孝君
岡崎 真一君
栗原 祐幸君
津島 壽一君
鳥畠徳次郎君
林屋亀次郎君
日高 広為君
堀 末治君
村松 久義君
木村禧八郎君
佐野 芳雄君
柴谷 要君
鈴木 市藏君
政府委員
大蔵省証券局長 松井 直行君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○参考人の出席要求に関する件
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/0
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十三日佐野廣君及び浅井亨君が辞任され、その補欠として小林英三君及び中尾辰義君が選任せられました。去る十四日小林英三君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任せられました。去る十五日佐野廣君が辞任され、その補欠として小林英三君が選任せられました。去る十六日小林英三君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/1
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002・西田信一
○委員長(西田信一君) 理事の補欠互選につきましておはかりいたします。
委員の異動に伴い、理事が二名欠けておりますので、この際、理事の補欠互選を行ないます。互選の方法は、便宜、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/2
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003・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に中尾辰義君及び佐野廣君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/3
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004・西田信一
○委員長(西田信一君) 参考人の出席要求につきましておはかりいたします。
証券取引法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人から意見を聴取することとし、参考人の人選及び出席を求める日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/4
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005・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/5
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006・西田信一
○委員長(西田信一君) 証券取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明は聴取いたしております。
それでは、これより補足説明を聴取いたします。松井証券局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/6
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007・松井直行
○政府委員(松井直行君) 先般、政務次官から提案の理由、その概要について説明がありましたが、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
現在の証券取引法が施行されましたのは昭和二十三年でありますが、この法律によりまして登録されました証券業者の数は、累計千五百六十七件にのぼっております。このうち、本年二月末までに廃業または登録取り消し等によりまして営業を廃止いたしましたものは、実に千五十件の多きにのぼっているのであります。この事実に一端があらわれておりますように、登録制のもとにおきまして、証券業者の経営は財務的にもまた必ずしも安定を得なかったのみならず、証券業者の営業態度等におきましても、各種の問題があったと考えられるのでありまして、お客さんに迷惑を及ぼしました事例も少なくないのであります。一方、わが国の経済の発展に伴いまして、証券投資が広く一般大衆まで拡大普及いたしましたため、証券業者のこのような体質を根本的に改憲し、経常基盤を強固にするとともに、営業面の健全性を高め、投資者の保護に一そうの充実をはかる必要が生じてまいったわけでございます。
さらに、昨今におきます証券市場の状況におきまして、共同証券によるてこ入れ、それから増資の延期、証券保有組合による株式の買い入れ等、産業界、金融界各界からの異例の援助あるいは特別の協力を得て、ようやく流通市場の機能を維持しておるという実情にございますことは御承知のとおりでありまして、市場の正常化を促進する面から申しましても、すみやかに証券業者の体質を改善いたしまして、社会的信用を回復し、証券市場本来の正常な機能を奪回するということが急務であると考えております。
もとより、広く証券事業ないし証券市場の整体をはかりますためには、証券業者の問題のみならず、証券取引所の制度その他の諸問題につきましても、改善策を講ずる必要のあることを痛感いたしておるのでありますが、これらの点を検討するため、証券取引審議会をことしも再開する準備を進めております。しかし、証券業者に関する問題につきましては、証券市場のにない手といたしまして、基本的に非常に重要な問題でありますので、昭和三十八年六月以来続けられてまいりました証券取引審議会における検討の結果も昨年十二月二十二日に報告されておりますので、その報告を十分尊重いたしまして、まず最も緊急に改善を必要といたします証券取引法第三竜の証券業者に関する部分につきまして今回改正を行なうことにいたした次第でございます。
その改正事項は、先般政務次官から説明がありましたように、証券業を免許制にするということ、これは二十八条にございます。監督規定を免許制に伴いまして整備すること、それから外務員を登録制といたしましてその代理権限を明確にすること、この三つの重要事項に集約されるのでありますが、特に重要な点について補足させていただきます。
まず、証券業を登録制から免許制に改めるのに伴いまして、証券業の営む業務にはそれぞれ性格的に性質の違いました業務があることに目をつけまして、免許は性格のそれぞれ違います四種類の業務に区分して与えるということにいたしております。二十八条の規定がこれでございまして、一号、二号、三号、四号とございますが、一号は自己の計算において売買をやりますいわばディーラーでございます。二号はお客さんの注文を取り次いで行ないますブローカー、三号は引き受け業務でございまして、普通アンダーライターと称しております。四番目はセーリング・グループ、売り出しの取り扱いを行なう業者、大体四つに区分して与えることを原則といたしております。これは性質が違います業務を混淆することから生ずるおそれのあります弊害を極力防止するためのものでありますとともに、それぞれの専門業者が、ディーラーならディーラー、ブローカーならブローカー、アンダーライターという、将来発達いたしました場合にその専業の免許を与えるためのものでございます。
いわゆる証券業者の職能分離という問題につきましては、各国の例を勉強いたしましても、証券業者には各種の態様のものがありまして、必ずしも一様のものではなく、ある程度職能が分離されているものでも、これは長い間の歴史的経過のうちに自然に熟成されてきたものであります。諸外国の事例並びにわが国の現状を慎重に検討いたしました結果、業務別に免許を与える制度といたしましたもので、これはすぐに文字どおり職能分離を完全に進めるということを意味するものではなく、それを一つの理想としながらも、環境の展開に応じまして職能の分化を可能とするよう、その受け入れ体制を整備しようとするものであります。
次に、監督規定の整備でございますが、これは免許制の採用に伴います当然の改正がそのおもな内容となっております。従来の規定は徹底した自己責任体制の登録制が前提になっておりまして、経営の不健全化に対しましてはすぐに大蔵省が営業の停止だとかあるいは登録の取り消しを行なうということを原則といたしておりましたが、今回の改正案では、経営の不健全化のおそれがある場合には、まず行政当局が予防的措置を講じ得ることを原則といたしまして、健全経営に引き戻すための是正保全命令を発動することを主眼といたしております。その他重要事項を認可の対象とし、あるいは内部留保の充実による経営の安定化のための制度といたしまして、三つの準備金の制度を法制化いたしております。五十六条、五十七条、五十七条の二というところでございますが、その証券取引の重要なにない手である証券業者及びその役職員の行為につきまして特別の禁止規定を設けることとし、財務体質及び営業態度両面における証券業の健全性の向上をはかることといたしております。
最後に、証券取引に関係いたします紛争の多くが外務員とお客さんとの間の関係において生じております実情でございますので、外務員を登録制とし、これを大蔵大臣の監督下に置くことといたしております。証券取引の特殊な性格にかんがみまして、外務員の職務権限につきまして、外務員は証券業者にかわって有価証券の売買その他の取引に関し裁判上の行為を除きまして原則として一切の権限を有するものとみなしまして、紛争の防止に一段と徹底した措置を講じております。
以上、この法律案の提案理由につきまして、説明を補足いたしました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/7
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008・西田信一
○委員長(西田信一君) 以上で補足説明は終わりました。
引き続き、本案の質疑に入ります。御質疑のおありの力は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/8
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009・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この改正案のいまの補足説明では、今回の改正の範囲は、これは大体、証券取引法第三章ですか、証券業者の業務についての、あるいは監督についての改正のようですが、その前に、この証券取引について最近いろいろ問題があるのですが、これは全体の金融政策の一環としてこの証券行政というものを考えなきゃならぬと思うのですね。そういう全体の金融政策を見ますと、日本の場合、御承知のようにもう異常なる状態になって、たとえば銀行なんかの預貸率を見ましても、非常にアブノーマルな状態になっておりますし、あるいはまた幾ら大蔵省が預貸率についていろいろ指示を与えても守れない、そういうようなこと、それから短期資金をもって長期金融をまかなっているような状態、あるいはまた御承知のように企業間信用が異常なる状態になっているとか、また株式相場はいろいろてこ入れをやっているにかかわらず一向に安定しないとか、いろいろそういうアブノーマルな状態にあると思うのですね。そういうもとで証券金融をどうするか、証券行政をどうするかということを考えますと、単に証券業者についての改正では——改正そのものも決して意味のないことでないし、かなり前向きの改正になっておりますから、われわれは必ずしもこの趣旨に反対するものじゃないのですけれども、もう少し何か高度の立場に立って、そうして将来取引所についても、何か証券取引審議会ですかを再開して、また今後の基本的なあり方についての答申を求めるということがここにありましたけれども、今後の何というか、証券行政を全体の金融政策の一環としてどういうふうにとらえ、どういうふうにしてそれをやっていこうとしているか、そういうやはり立場から、そのまた一環としてこういう改正というものが必要であると思うのですよ。そういう全体の総合的な着眼との関連ですね、そういうものをどういうふうに考えておられるか、これはかなり長期的な見通しとの関連にもなるわけですがね、そういう点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/9
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010・松井直行
○政府委員(松井直行君) お説のとおり、銀行を中心といたします金融市場を含めまして非常に大きな金融市場の一環である証券市場というものが、原則として短期の作業資金をまかなうといたしまするならば、産業の必要といたします長期の資金はやはり株式とか社債とかという形で資本市場を通じてまかなうというのが本来のルールであろうと思います。いまお示しのとおり、日本の経済の現状におきましては、そういう意味における長期金融、あるいは短期金融、あるいは直接金融方式、間接金融方式というように分けまして、産業が必要といたします資金調達のあり方、ルールを考えますときに、そこにまだひずみと申しますか、直接投資市場の後進性あるいは脆弱性というものが存することはおっしゃるとおりであろうと思います。先進諸国と肩を並べまして競争力をつけるためには、やはり本来の資本市場としての機能を全うするように、金融市場と肩を並べて、二つ相そろえまして、広い意味における金融市場というものの中でその地位を確保する機能を発揮するということが、長期的に非常に大きな課題になってくると思います。これは日本の経済運営に関する基本的な姿勢であろうと思います。
従来、税制面におきましても、その他あらゆる面におきまして、直接金融方式といいますか、国民の産業に対する直接投資の道が幾ぶんおろそかにされておったということは、私は否定し得ないところであろうと思います。一方、証券界というものが整備されていないから、そうした間接金融方式に向かうのだということもいわれておりますし、また、間接金融方式一本で経済運営を進めるものだから、逆に直接資本市場というものが発達をしないのだという面もあるかと思います。長期的な観点に立って申しますときに、やはり車の両輪といたしまして、直接投資市場というものの育成が、わが国におきましてもその発達を期することが焦眉の急務であるとわれわれ信じております。たとえば、一例を申してみますと、昨年の夏の決議でもってことしの二月以降増資がストップいたしております。これもあらゆる経済のひずみと申しますか、ひずみが資本市場に寄ってまいりまして、企業の自己資本を充実するという本来の立場から申しますならば、当然増資が自由に行なわれてしかるべきところを、これをストップするという異常事態を招来いたしましたのも、資本市場が持っております弱さ、あるいは従来の慣行のひずみがここにあらわれてきておるとわれわれは考えております。
金融につきまして、一種の融資ルールというものがいま検討されている状況でございますが、増資につきましても、従来のように、企業が食い逃げ増資あるいは単なる金繰り増資でもって増資を行なうということでもって、資金を提供いたします投資家のことはほとんど考えないという態度で増資が再開されたときには、再び資本市場をこわすということになるわけでございまして、やがて増資が自由に再開されますにあたりましても、従来のような覊束性のない増資態度ではいけないということでもって、現在産業界、金融界、証券界が相寄りまして、適正な増資のルールというものをおのおの各界の人が心に持ちまして、資本市場を破壊しないように本来の増資のあり力に立ち返ろうと、いまそれぞれの努力を続けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/10
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011・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今度の改正案は、主として投資者ですね、投資者を保護する。一時株が非常に暴落して、大衆の投資者に非常に損害を与えた、迷惑を与えた。また、証券業者の中で不健全な証券業者がありまして、だいぶ迷惑をかけた。だから、投資者保護ということがかなり強く改正の眼目になっている。もちろんそれが必要なわけですよ。しかし、投資者保護の場合、証券業者の取り締まりを強化しただけでは済まないわけでして、問題は、さかのぼれば、なぜ株式市場をああいうふうに混乱せしめたかというその根本の原因の反省が十分にこの際必要だと思うのですよ。私は、証券業者ももちろん不健全な内容のものがありまして、また証券業者の利益追求の立場から不健全な取引があったと思うのですけれども、その責任は証券業者だけの責任ではないと思うのですよ。もっと広い、さっきお話ありましたように、増資を二月一ぱいまでストップしなければならぬというような情勢ということば、いかにも産業界のいわゆるシェアの拡大競争、そういう無政府的な、無秩序的な拡大競争によってむやみに増資を行ない、また増資のやり方につきましても、たとえば持ち合い的な増資のやり方、持ち持ちの増資のやり方をやりまして、それがいま金繰りに困って売り出している。それがまた株価を下げる一つの原因になっている。また、増資の場合は投資信託との関係もあるわけですよ。だから、持ち合いと投資信託、両方でそういう増資をやって、無理な増資をやって、そうしていま金に詰まってきて、そうして少し相場がよくなってすぐに売る。もっとも一番その基本は設備の過当競争にあるわけですね。それで利潤率が低下してきている、最近無理に減配しなければならぬようになってきている、これが一番基本だと思う。それが基本ですけれども、金繰りに弱ってくると、そこで持ち合い株を売る、こういうことでいつまでたってもいまの証券市場は安定しない、そこに一番基本的原因がある。底をさかのぼると、いまの銀行の金融のしかたにやはり問題があると思うのですよ。ですから、松井局長さんの証券局だけの立場ではなく、これは銀行局なり、また大蔵省全体として、全体の金融政策の立場からも考えなければいけないと思うんですよ。
銀行はあれでしょう、いま銀行の預貸率を申しましたが、これはあとで資料としてもいただきたいと思うんですが、最近の銀行の預貸率はどうなっているか。大体最近では二五%くらいになっているんじゃないかと思うんです、平均。こういう不健全な銀行の貸し出しになっている。それで、理想としては預貸率が大体七〇%くらいといわれておるんですが、大蔵省で内面指導として大体八五%くらいの預貸率の指導を幾らやったって、だめなんでしょう。全く大蔵省は権威ありゃしませんよ。全く銀行から無視されちゃって、これの内面指導なんかも無視して、そうして非常に不健全な、大体一一五%くらいと思うんですが、あとで資料をいただきたいと思うんですが、これでは非常な不健全な増資、それでまたそれが設備過剰になってきているわけです。それでまた利潤率の低下をもたらし、それがまた株式低落の原因にもなり、それが証券業者の経営内容の悪さというものと相まって投資者に損害を与えていると、こういうことになってきていると思うんですよ、まあ筋道は。
ですから、投資者大衆保護の立場から証券業者の規制、それから機能の分化ですね、証券業者の機能の分化というもの、これは必要だと思うんですけれども、こういう狭い範囲だけにとどまらないで、これはまあいろいろな対策の一つとしてもちろん必要なんですよ。全体には、いま私が申し上げたようなことに対する一つの、政府としてはそういう点を改善する方針がなきゃならぬと思うんですよ。そういう方針があって、そうしてその一環としてこういう改正が出てきているんだと、こういうことにならないと、小手先の、その場限りのこう薬ばり程度の私は対策にすぎないと、こう思うんですが、この改正そのものは別として、まあ前向きでございますから、これにも問題ございますから、あとまたこまかく具体的に伺いたいと思いますけれども、まずそういう点をはっきりさせませんと、この程度の改正では、最近の証券市場の混乱に対処する手当てとしてはあまりお粗末だと思うんですよ。あまりお粗末ですよ、こんな程度じゃ。もちろんそれは局長さんいろいろ考えているのかもしれませんけれども、これをお考えになっているならば、そういう全体としての総合的な、あるいは長期的見通しに立った着想というものをひとつ——おそらくそういう作業をやっているに違いないと思うんですよ。そういう作業の一環として出てきたんだと、そう解しなければあまりにお粗末過ぎると思うんでして、お粗末じゃないと言うんなら、そういう点についてひとつ答弁——これは大蔵大臣に聞いてもいいんですが、大蔵大臣あまりこういうことはわからぬようですからね。大蔵大臣はあまりそういうことはわからぬと思うから、松井さんに聞いたらいいと思うから、松井大蔵大臣ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/11
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012・松井直行
○政府委員(松井直行君) 非常に広範な、根本的な問題に触れることでございまして、われわれが管掌いたしております証券局の、この中はいかにも狭いところから見ており、狭いことだけを論じておるということに相なるおそれもあるかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、いま木村委員がおっしゃったことは日本経済運営に関する基本的な姿勢の問題であろうと思います。その一つが、先ほど申しました企業の必要とする資金を一体間接金融方式でいくのか直接金融方式でいくのかということを、いま私一つの面からとらえて申し上げたことでありますが、長期の資金は、株式だとかあるいは社債という形でもって長期の安定資金を資本市場から調達するというルールの確立とその機能の発揮はぜひとも必要であろうと思っています。単に家計から金融機関、金融機関から企業、金融機関が資金に不足しますときには日本銀行から借りるなりあるいは他の金融機関から金を借りてきて、銀行自身も貸し出し過ぎ、企業自身も借金で悩んでいる、こういう事態でございまして、企業の財務体質の悪化と、それから銀行自身の外部負債の超過、金融市場の不正常と企業財務の不正常という形でいまあらわれてきておるんじゃないかと思います。
これを解決する道はやはり、先ほど申し上げましたように、資本市場というものを確立いたしまして、それが本来の機能を発揮するようにもっていくということが一番大事なことでありまして、そういう観点から見ますときには、資本市場のにない手といたしましての証券業者が、従来どおり非常に信用度が薄い、資本市場のにない手としての機能を十分発揮し得ない状態のままで放置するわけにはいかないということから考えますときには、たとえ今回の法制が広い証券取引法の中の一環の証券取引業者行政に関する部分だけのようにも受け取れますけれども、資本市場のにない手としての証券業者というものをしっかりしたものにし、脱皮し、そうして信用を得るようにもっていくということも非常に重要なことであろうと思います。
それに関連いたしまして、いま問題になっておりますのは社債市場の再開の問題でございます。これも広い意味におきます金融市場の一環の問題として非常にむずかしい問題ではございますけれども、企業金融といいますか、企業が本来どんな金をどんな形でどういうルールで調達すべきかということに関連した基本的問題として、ぜひとも社債の条件の自由化なりあるいは社債市場の再開というものもあってしかるべきでございまして、鋭意検討、勉強いたしておるところでございます。
もう一つ非常に重要なことは企業のそうした財務体質の改善ということでございますが、諸外国の企業と比べてみますとともに一番見劣りのいたしますことは、外部負債の多いことはむろんのことでございますが、特に内部留保が少ないというところに議論が集中いたしております。いま木村委員がおっしゃいましたように、総運用資本、総資本一単位あたりの収益率がいまどんどん落ちてきております。こういう状態下においてなお内部留保の充実をはからすにはどうすればいいかということも、われわれ真剣に考えざるを得ないところでございまして、まあ基本的には企業家の、企業家としてのあり力についていま反省の時期に参っておりますが、その他税制等につきましても、これは私の個人的な意見にわたることではございますが、企業の内部留保を充実するという観点からいいますならば、たとえば企業税制というものも非常に大きな課題になってくるわけでありまして、ことしは投資者の側からする株式の配当につきましての課税関係につきましては、これは家計の蓄積が金融機関に流れるか直接資本市場に流れるか、この資金の流れを税制の上から規制するのはおかしいという立場に立ちまして、配当の受け取り側の税制の改正は思い切ってやっていただいた次第ではありますが、あわせて企業の税制改正ということも非常に大きな問題であろうと思います。
いま一、二しか思いついておりませんが、そうした社債市場の育成とかあるいは企業の内部留保の充実のために、金融政策上あるいは税制その他もっと広い視野に立った総合的な政策が必要であるということは間違いないところでございまして、資本市場の後進性というものをぜひ早く回復したいとわれわれ念願いたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/12
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013・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはあとでまた大蔵大臣にも総合的に伺いますけれども、要はいまの日本の金融全体が不正常化になっているということだと思うのです。だから、金融の正常化というものと並行して、その一環として、いまの証券市場をどういうふうに健全化していくか、育成化するかという、そういう立場でのこの改正でなければならぬと思うのですね、投資者保護といいましても。
そこで、いま社債市場の育成と言いましたが、最近公社債の条件を引き上げるという問題が起こっているわけですよね。これは大蔵当局としてどうなんですか、これに対して賛成なのか反対なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/13
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014・松井直行
○政府委員(松井直行君) まだ省議の形で一本の方向に固まったとはなかなか言いがたいだろうと思いますが、われわれ証券局といたしましては、非常にその中でも積極的な意見を持っておるものでございまして、あとまあ時期の問題と申しますか、社債だけ——これは非常に広い意味におきまして金利体系全般に関係する問題でございますので、各種の金利との調整の問題もございますし、条件改訂いたします幅の問題、それからどういう時期が来ればこれが支障なしに、ほかへ悪い影響を及ぼすことなしに実施できるかというような時期をどう考えるかという問題にかかっておるように、われわれ個人的に考えております。ぜひともこの問題につきましては、そうした条件整備ができ次第、社債市場の再開への糸口はつけていただくということが、あわせて株式市場の機能回復ということにも大いに関係してまいることでもありますので、われわれ念願いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/14
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015・木村禧八郎
○木村禧八郎君 じゃ、証券行政の立場としては、条件引き上げに賛成なわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/15
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016・松井直行
○政府委員(松井直行君) 証券界一本にまとまった意見書として出ておるかどうか、私しかと記憶ございませんが、各証券業者の研究部門、調査部門が発表いたしております資料を見てみますと、大体いまのわれわれの考え方に近いわけでありまして、短期金利と長期金利の調整の問題がございますが、長期金利の中におきまして社債金利というものだけがいかにも低いところに固定され過ぎておるという観点をとっておることば事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/16
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017・木村禧八郎
○木村禧八郎君 何だか、興銀だけが反対しているように聞いていますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/17
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018・松井直行
○政府委員(松井直行君) 事業債のみの条件変更で済むのか、その他たとえば興銀債、利付でございますが、すぐに影響がある問題、そういうものまで一体響かすべきなのか響かさずに済むのか、それは社債条件の改訂の幅とも関連してまいることだろうと考えますが、やはりその他の金利への影響もございまして、それぞれ各界から賛成反対の意見もあろうと思いますので、この辺、自由化いたしますにいたしましても、その条件引き上げの幅なり、どの世界まで影響があるのかないのかということを突き詰めまして、各界すべてこの程度ならという合意が得られるまで容易に踏み切り得ない事情にあることを、先ほど申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/18
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019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、最近銀行の二年定期の問題が起こっています。これはやはり証券市場と関連もあるわけですがね、これはどうなんです。賛成なんですか、反対なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/19
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020・松井直行
○政府委員(松井直行君) まだ詳しく検討いたしておりませんし、大蔵省内でも、われわれ証券局として意見を述べたこともございませんので、ここで申し上げる段階ではないと思いますが、あえて個人的意見でもいいから言えとおっしゃるとすれば、やはりこういう考え方なんでございます。普通銀行はやはり商業銀行に返るべし、長期資金は長期銀行または先ほど言いました資本市場から調達すべし、というルールを確立するという方向づけから申しまするならば、よほど慎重に考えなければならない問題ではなかろうかと私個人的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/20
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021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 じゃ、もう一つだけ。全体の、さっき一応質問したのですが、松井局長さんの立場からお答えにくい点もありますから、そういう点はあとへ残します。ただ、具体的に外国の事情を私は知らぬものですから、外国の事情についてちょっと伺いたい。
証券業のこの機能分化で、私の聞いたところでは、ニューヨーク市場とかロンドン市場では、この取引所の上場証券については、ブローカーとディーラーですね、ブローカーとディーラーが機能は分離されているが、取引所取引以外ではこれは分離されていない、兼ねてやっている、こういうことを聞くのですが、これは事実かどうかということと、大蔵省は今度のこの機能分化につきまして、いますぐに全部きちんと四つに分化をするわけではないので、その過渡的な段階であり、またそういうことができるように今後条件をだんだん整備していくのだというお話がありましたが、ニューヨーク市場とかロンドン市場では、取引所取引の場合は、上場証券の取引では分離されておるけれども、取引所の取引以外では分離されていないのだ。日本とそこのところは実態が違うのですね。ですから、そういう違いをやはり前提としてお考えになっておるのかどうか、全体としてとにかく取引所上場師券の場合も取引所の取引以外の場合もひっくるめてそういう機能分化ということを考えているのかどうかということなんです。その二つの点を、事実認識と、それから今後のこの機能分化をやっていく場合に、取引所上場の場合と上場以外の場合と区別してやっていくのかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/21
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022・松井直行
○政府委員(松井直行君) 職能分化の問題を外国の例と照らしてどういう基本的立場に立っておるのかという御質問だろうと思います。職能分化と、あるいは分離とも申しておりますが、非常に私個人の考え方、非常に狭義の問題に限定いたしますと、ディーラーとブローカーの分離の問題であろうと思います。御存じのように、ブローカーというのは、お客さんからの買ってくれ、売ってくれという注文を、忠実にお客さんの立場に立って最もお客さんの有利なように執行するという義務を持っておるものでございます。ディーラーは自分自身の計算で、自分がもうけようと思って売買をやるというのがディーラーの機能でございますので、これがあわせ行なわれる一つの業態が、証券業がこれをあわせ行なうというときには、やはりお客さんのために忠実にそうした委託事務を執行するということがおろそかになるといいますか、場合によっては自分の自己計算による取引を優先することになりかねないということは、もう理屈の上で非常にはっきりしたことだろうと思います。こういう意味におきまして、ディーラーとブローカーの分離ということが実は中心になってきております。
そこで、アメリカにおきましては、一九三四年法というものがアメリカの母法でございまして、これをわれわれ引き継いで、ほとんどこの法律をそのままもらってきたというのが現状でございますが、三四年法ができるときに、そうした意味の職能分化というものが非常に問題になっております。日本の場合ですと、大体大きな証券業者が市場占拠率というものが非常に大きな形で力を持っておりますが、これは一つは大きなブローカーであると同時に、自分自身でも、自分の計算で持ちます有価証券というものが相当ございますので、ディーラー活動もやる、あわせてアンダーライターの活動もやる、一種の総合機能と申していいかと思います。そういう大きな証券業者が市場を占拠といいますか、市場の支配が非常に大きい。これが公正な価格形成のために一体支障があるのかどうなのかと。われわれといたしましては、大きな証券業者がそうしたいろんな業務を併営いたしますときには、そのことから来るお客さんとの利害の衝突ということのほかに、やはり市場占拠率の大きな業者が各種の業務を幅広くやるということは、すなわち市場に対する価格形成というものに相当影響を持つというふうに考えておりますので、最初からアメリカで問題にされました意味におきますディーラーとブローカーの分離というものは非常に好ましい方向じゃないかというふうに考えております。
しかしながら、アメリカにおきましては、実は完全に分離はまだしておるとは言い得ないのですが、ディーラー活動とブローカー活動をあわせて行ない得ますスペシャリストという特殊な会員を証券市場に持っております。これは御存じのとおり、証券市場の中において売買いたします証券業者がすべてブローカーばかりであるといたしますと、お客さんの売り注文、買い注文というものをそのまま市場につなぐわけでございますので、非常に出合いがつきにくい、あるいは少し時間が経過いたしますと非常に著しく株が上がったり下がったりするということにもなるおそれがございますので、市場におきまして自由に自己の計算で買い出動あるいは売り出動ができるという業者の存在があったほうが、市場の価格形成の継続性ということばで言っておりますが、そういうことに便利じゃないかということで、すでにスペシャリストという制度ができております。大部分の証券業者は純粋ブローカーに近い形で活動いたしますし、そうしたブローカー同士の出合いをつけるにも、あるいは出合いが不円滑になったときに自己の計算でもって買い出動、売り出動に出るというために、スペシャリストという特殊な職種の業者を置きましてこの間調整が行なわれておる。こういう点から見ますと、日本よりもはるかにある種の職能分化が行なわれておるということに相なりますが、このことはまた別の意味においてそうしたスペシャリストの自己売買業務がはたして価格の正常化、調整化に役立っておるのか、あるいは価格の変動を激化さしておるんじゃないかという観点から、また別に証券業者の自己売買というものが問題に相なっております。
それから、ロンドンにおきましては、証券業者の大部分は純粋ブローカーでございます。アメリカのスペシャリストに対応いたします特殊な業者といたしまして、ジョッバーという業者がございます。これは特殊な銘柄別に区分されておるようでございますが、場内におきましてそれぞれのブローカーはこのジョッバーを相手に売り買いをやるということでございまして、むしろ何といいますか、ジョッバーが市場で値をつける。一人一人のジョッバーが細分化された市場であるということがいえると思います。こういう形ですと、お客さんから注文を受けて、これを忠実に執行するブローカーの業務と、そのブローカー自身が自己の計算で売買をいたしましてお客さんの利益に反した行為をするということは相当程度防げるということに相なっておりまして、この面におきましては、ニューヨーク、ロンドンのほうが日本より進んでいるといいますか、職能分化の方向もわりあいに進んでおるということが言い得ると思います。
今回、わがほうで一応一号、二号、三号、四号というふうに区分して免許を与えますけれども、日本におきましては、そうしたスペシャリストとかあるいはジョッバーというものが、制度上つくるといたしましても、なかなかこれはにわかにできるものじゃございません。歴史的にあるいは慣行的にこういうものが生まれてきたという英、米の実情も考えまして、当分の間は大ブローカーがディーラーを兼業するのはやむを得ないけれども、ディーラー活動が非常に大きく相なりましてブローカーの利益と相反するとか、あるいはまあ市場支配力が大きくなって価格の公正な形成を阻害するというおそれがあるときに、こういう弊害を除去し、将来ディーラー、ブローカーというものの分化が行なわれ、あるいはまたスペシャリストという特殊な職種ができるときにそれを専業とする業者ができてもそれを受け入れられる体制をつくろうというのが、今回の二十八条の業種別の免許の考え方でございます。
いま申し上げたことは、主として非常に大量の取引が行なわれるということで、上場会社の株式の数も大きいし、投資家の数も多いという上場証券を中心に考えられていることでございまして、非上場証券につきましては、地方的な産業もございますし、全国的な取引ということになっておりませんので上場にもなっていないというものもございましょう。したがいまして、場外取引につきましては、なかなかディーラー、ブローカーの分離ということは、アメリカでも徹底して行なわれておらないようでございまして、場内、市場内における上場証券中心にディラー、ブローカーの分離の論議が行なわれているようにわれわれ理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/22
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023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ですから、いまの御説明でややはっきりしたのですけれども、まだ十分はっきりしないのですが、取引所の上場証券については非常にはっきりしたんですね。ですから、今度の改正で、機能分化を目途として免許制度を設けるにあたりまして、取引所の上場証券の場合と、それから取引所の上場証券以外の場合とを、ニューヨークあたりでははっきり区別されておって、上場証券の場合はブローカーとディーラーは機能が分離されている。ロンドンでも機能が分離されている。それから、上場証券以外では分離されていないんですね。そこで、このわが国の改正を考える場合、四つの機能の分化を考える場合に、上場証券と非上場証券についてひっくるめて考えているのかどうかということなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/23
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024・松井直行
○政府委員(松井直行君) 非常にむずかしい問題でございますが、ブローカーの職種、それが持ちます使命という観点から申し上げますと、上場証券であろうと非上場証券であろうと、自己売買業務を行なうことによって忠実にお客さんの注文を執行する義務を阻害するおそれのあるということは、これはもう両方にわたってあるだろうとわれわれも考えます。ただし、この場合、非上場証券につきましては、仕切りでお客さんから買い、仕切りで売るわけでございますので、一種の仕切り商いでありますから、一種のディーラー——法律的にはディーラーと言い得るにいたしましても、実はその機能はブローカーに類似した機能もあろうかと思います。たとえば電話債券を専門にやっております証券業者がございますが、これはお客さんから仕切りで買う、仕切りで売る、毎日の商いに支障がないように相当な、ある程度の手持ち電話債券というものが必要なことに相なるのですが、企業の危険性をも考えまして、大体一日か二日分くらいしかランニング・ストックは持っていないという健全な証券業者も多いわけでございますので、そういう場可には機能的に見ればブローカーではありますが、法律的に要ればディーラーと断ぜざるを得ないという、特殊な二つの性格が混淆しておるということが言い得ると思いますが、このときにも、あわせてそうしたディーラー活動を通じて忠実に執行するブローカーの機能が阻害されないようにという考慮はやはり同じように働かす必要があると思います。そういう観点から、あわせて企業としての健全経営という立場から申しましても、そうしたランニング・ストックを持つ量の制限というものも当然考えられてきていいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/24
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025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 どうも、まず事実認識において少しはっきりしない点と、それから今後の機能の分化の方針についてもどうもはっきりしない点があるのですね。先ほどのニューヨークとかロンドン市場の場合ですね、これは上場証券についてはブローカーとディーラーは分離されている。されているのですね、そうでしょう。ところが、上場証券以外の取引については、これはブローカーとディーラーは兼ねることができることになっているのですね。そこに二つはっきり区別があるのですよ。そしてさっきのスペシャリストのことですが、このスペシャリストは上場証券の場合でもそうなんですかどうかということと、それから日本ではいわゆる才取り人というのですかね、いわゆるフロア・ブローカーですね、日本の才取り人は自分で思惑ができないけれども、外国ではスペシャリストというのがいまあるという話を聞きましたが、大体機能は日本の才取り人みたいなんじゃないかと思うのですがね、スペシャリストは。そこで、今後日本の免許制度として機能を分化していく場合、上場証券と上場証券以外を区別して、ちょうどロンドン市場、ニューヨーク市場におけるようにやっていくのか、あるいはそうではなくて上場証券も非上場証券も区別なくやはりブローカーとディーラーの機能を分化していくようにしていくのか、そういう点を聞いているわけなんですよ。
それで、非上場証券については将来は、ニューヨークやあるいはロンドン市場におけるように、これはブローカーとディーラーを兼ねることができるようにやっていこうとしているのかどうか。そこが日本の場合はいまの御説明ではごっちゃになっているのですよ。ニューヨーク、ロンドン市場では、上場証券と非上場証券と違っているわけなんですよ。片一方は、上場証券はブローカー、ディーラーの機能は分化されている、ところが非上場証券については兼ねることができる、こうなっているのです。事実認識が、そこではっきりしないわけですよ。日本の場合、ニューヨークとかあるいはロンドン市場というものを一つのお手本にしてやっていこうとするのかどうか。将来は日本では非上場証券についてはディーラーとブローカーを兼ねられるようにし、そうしてスペシャリストみたいなものを育てていく、こういう方針でいるのかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/25
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026・松井直行
○政府委員(松井直行君) 大体おっしゃる趣旨でございます。この廃業資金の大部分の調達の対象になっておりますのが上場証券でございます。それから、スペシャリストと申し上げたのは、これは場内におきますそういう特殊な業種でございまして、日本の才取り会員というのは、場内におりますAブローカー、Bブローカーで、Aが売りたい、Bが買いたいという場合、中をとって突き合わせてやると、媒介と言っておりますが、これが日本の才取り会員でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、アメリカのスペシャリストは、こういうAブローカー、Bブローカーの注文の突き合わせもしておりますが、AがあってBがないという場合に、しかもほうっておくと値が上がる、値が下がるという場合に、自分が売り向かい買い向かうという自己計算による売買もやる、実はこの機能こそ、スペシャリストに自己売買の機能が許され、かつそれが市場の価格形成を円滑にする、継続性を維持させるという、機能を発揮させるために、私は与えられたものだろうと思います。ところが、日本の場合はいわば大証券がブローカーであると同時に、自分で持っている手持ちの株で売り向かいあるいは買い向かうという形でも、実はスペシャリストの機能をかってにやっているといいますか、というようなことが言えると思います。
ところが、非上場証券につきましては、これはなかなかむずかしい問題ですが、ディーラー、ブローカー、おそらく分けるということはなかなか困難でしょうし、いまおっしゃるとおりだろうと思います。将来国債ができましても、商いの形態はほとんど場外の仕切り商い、結局ディーラーということばをもってすればディーラーであろうと思いますが、果たしておる機能はブローカーであると思います。かつ、持ち過ぎたと思えば場内で売るし、手当てをしたいと思えば場内で買ってくるということもございますし、あるいはお客さんの注文を場内にまたつなぐというブローカーの機能も果たすこともあろうかと思いますが、ですから、先ほど言いましたように、何ですか、法律的には仕切り商いという形ですので、ディーラーということは言い得ますが、あわせて場内につないでお客さんの注文を執行するという場合もございますので、これははっきりディーラー、ブローカーを分離するというところまで立論する、何というのですか、実情にない。そういう必要性も少ないのじゃないかというふうにわれわれ考えております。したがって、大筋の考え方といたしましては、いま木村委員が御理解なさっておるような方向でわれわれもビジョンを描いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/26
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027・佐野芳雄
○佐野芳雄君 この際聞いておきたいんですけれども、証券業界の現状なり投資者の立場がひどくなってきて、そういう点から投資者の立場を守るというふうないろいろな意味から、今度の改正が一応考えられたと思うのですが、ところで、免許制に切りかえることによって一応は証券業の体質の健全化がはかられるということは、私も一応納得するのですけれども、そのために中小証券の統廃合ということが行なわれ、あるいは統廃合からはずれて取りつぶされる業者も出てくるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。その点については見通しはどういうふうにお持ちになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/27
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028・松井直行
○政府委員(松井直行君) 免許制、これは経過期間は置きますが、三年先には免許の資格を得た有資格者だけが残るということに相なりまして、そういう業者につきまして、また大蔵省も投資家のために非常に大きな責任を負うというのがこの趣旨ではございますが、いまおっしゃいました証券業者の合理化の問題は、たとえば免許制というものがございませんでも、昨今不幸にして三年間続いてまいりました不況下の現況におきましては、相当程度の業者が、投資家保護の観点からも、あるいは現状におきます取引市場下におきまして証券業者としての機能を果たすためにも、それぞれの証券業者が合理化を進めていかねばならないということは、たとえこの免許制という事態が起こらなくても同じように起こり得るであろうと思います。ただ、免許制ということに相なりますと、三年先にこうした関門が与えられるわけでありますので、一そう経営者として心を引き締めて経営の合理化に邁進しなければならないという自覚を促すことに相なろうかと思いますが、この際証券業者の合理化の方法あるいは整理統廃合につきましてのやり方につきましては、これはどこまでも企業としての証券業者の自己責任の問題でございまして、行政当局があれこれ干渉または介入すべき性質のものではないとは思いますが、検査等を通じまして、証券業者の将来の向こうべき方向につきまして相談等を受けるときには、できるだけ知恵もおかしするという形で御相談にも乗り、指導もしていける余地はあると思いますけれども、整理統合の基本的な、あるいは本源的な責任は、やはり経営者自身にとってもらって合理化を進めていくということに相なろうかと思います。
この際、小さい業者——免許制への移行の際に、非常に小さい証券業者が心配しているということではございますが、この免許条件のところにありますとおり、単に資本金が小さいというだけで排除しようという意図は全然持っておりません。証券業として一体社会的に信用があり、安心して資本市場のにない手としての任務をまかせておける証券業者といいますのは、単に資本金が大きいということばかりで安心はできないわけであります。真実経理内容がいい、営業状態がいいといったような、そういう業者にこそわれわれは期待したいわけであります。まして、ブローカー本位に営業をやろうという場合におきましては、そんなに大きな資本金を必要としないということも考えるわけでございますので、現在あります地方の業者で、ブローカーを主体におやりになっている業態であって、非常に資本金は小さいけれども内容が充実しておる、商いのしっぷりにつきましても、その地方のお客さんに非常に信頼を博しておるというものにつきましては、その他の条件さえそろいますならば、十分免許を受ける資格がある業者もたくさんおられることだろうとわれわれ信じております。こういう意味におきまして、最低資本金を政令に委任はいたしておりますが、アンダーライターの資本金は別といたしまして、それ以外の証券業者につきましては、政令でもってしても最低資本金をにわかに大きく引き上げるということは全然考えておりません。また、最低資本金を引き上げるということでもって小さな業者を排除しようという意図は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/28
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029・佐野芳雄
○佐野芳雄君 いずれ次の機会にもう少しいろいろ聞きたいと思いますが、いま局長のほうから、一応小さな業者に対して圧迫と申しますか、いろいろ統廃合その他についての監督官庁としての立場での圧力はかけないつもりだということであるので、この点私は了承したのですが、それと、この際もう一つお聞きしておきたいことは、この取引所がいま九つあるのですね。これは東京、大阪、あるいは名古屋等にあると思いますが、そのほか京都、神戸にもあるのですが、こういう小さい取引所の業態を見ますと、だんだん売買高が減ってきておるわけです。そういたしますと、今度の免許制と同時に、いろいろ監督官庁の監督が強化され、いろいろの作業が行なわれてくると、取引所の統廃合という問題も当然話題にのぼってくると思うのですが、これについていま局長はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/29
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030・松井直行
○政府委員(松井直行君) 人口、産業等が大都会に集中してまいりますし、それから通信施設も非常に発達してまいりますと、極端な言い方をする人におきましては、日本のような小さな国におきましては、どっかの市場に一つ取引を集めるとすれば、東京一本でいいのじゃないかという極論も出てくるかとも思います。しかしながら、取引所の存廃という問題は、単にそうした経済的あるいは機能的な問題ばかりではなしに、多分に歴史的なあるいは社会的な、あるいは地方地方のまた特殊事情を加味したむずかしい問題もありますので、単にそういった極端な議論からのみこれを割り切って考えることは非常にむずかしい問題であろうと思います。
で、われわれはまだ結論は得ておりません。そうした極端なことができるというふうにも考えておりませんが、やはり地方取引所が地方取引所として残るためには、それに期待される機能といいますか、何をその取引所に期待するのか、取引所が果たすべき機能がやはり明確化される必要があろうと思います。こういう観点から見ますならば、やはり地方開発というものも進んでまいりますし、地方産業というものも興ってまいりますし、何でもかでも東京に集められる全国上場銘柄というものばかりじゃなしに、地方的な取引が行なわれる、その地方に住んでいる住民が投資家として活用するというそういうものもやはり残ろうと思いますが、そうしたものを中心にいたしまして、かつ、そういう地方取引所で全国的な銘柄も取引するためには、やはり中央市場と何らかの形で結びつきがあるということに相なってまいりますと、その限度で何か地方取引所のやっていくべき任務、果たすべき機能というものが限定的に確立され得るだろうと思います。そういう範囲において地方取引所というものはやはり残していいということに相なるわけでありまして、現在アメリカにおきましても、地方取引所の統廃合ということが非常に大きな問題になっております。太平洋岸におきまして、サンフランシスコのほかにロスに取引所がございましたけれども、これを二つ一緒にいたしまして、太平洋岸取引所ですかという名前でロスにございます取引所の場といいますか、取引の場というものをつぶしてしまわずに、両方で同時に、両方の取引所に共通する銘柄につきましては同時に一本の値がつくという形でうまく統合をしていくということも聞いておりますので、そういう方法もわれわれ勉強し、参考にいたしまして、それぞれ地方取引所の今後の歩むべき道、あるいは地方取引所が存続いたしますならば、それと中央取引所との間における結びつきをどうすればいいかということも、今後続いて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/30
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031・佐野芳雄
○佐野芳雄君 資料をひとつお願いしたいと思うのです。私のほうにもらっているのは全体の数字の資料でございますので、いま聞きました取引所別資料をもらいたいと思います。取引所別に会員の数——これは会員と非会員と分けてもらって、できたら会員の数。それから、資本金は、いまもらっておりますこちらのほうの資料では二千万円、三千万円から五千万円、五千万円から一億、一億から五億、五億から十億、こういうふうに分かれておりますが、そういうものを資料として出してもらいたい。それから、従業員数と会員数、それから資本金、営業所数、それから従業員数、それからこれは社員と外務社員とに分けて、これはちょっと取引所別に出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/31
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032・松井直行
○政府委員(松井直行君) おっしゃいました資料につきましては、別途またこまかいことを佐野委員とお打ち合わせさせていただきまして、できるだけ御趣旨に沿う資料を提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/32
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033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほどの資料を、直接あなたのほうの関係でないかもしれませんが、銀行の預貸率の状況と大蔵省のこれまでの内面指導のしかた、どういう内面指導をしておるか、その実積、そういう点について出してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/33
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034・松井直行
○政府委員(松井直行君) 銀行局とよく打ち合わせいたしまして、もう少し突っ込んで、どういう形の資料であれば御満足いくか、おそらく係員を派遣いたしまして御趣旨をよくお伺いしたほうがいいと思いますので、なるべく御趣旨に沿う資料を提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/34
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035・鈴木市藏
○鈴木市藏君 資料要求の関連ですが、ちょっとこまかいのですけれども、四大証券の三月仮決算の状況ですね、これが一つ。それから、二つ目に、投信十社の九月決算及び三月仮決算の状況、それから運用五社の九月決算及び三月仮決算の状況。その次に、投資信託の運用状況、これに対する大蔵当局の行政指導の方針を出してもらいたい。それから、中小証券の経営状態、先ほどちょっと佐野委員から質問がありましたけれども、これは検査されているはずだと思いますから、検査の結果をほしい。それから、日本共同証券と日本証券保有組合の運用の状況の実態、それから運用預かりの状況、これは十九社分でいい。大体以上七つの資料をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/35
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036・松井直行
○政府委員(松井直行君) 三月仮決算、これは五月になりませんとまだ出てまいりませんですが、その他のものにつきましては大体できると思いますが、詳細はまたお打ち合わせいただく機会を持たしていただけると思います。御趣旨に沿う資料をつくりたいと思っております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/36
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037・西田信一
○委員長(西田信一君) 委員の異動について御報告いたします。
鳥畠徳次郎君及び村松久義君が委員を辞任され、その補欠として上林忠次君及び井野碩哉君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/37
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038・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御発言もないようでございますので、本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時五十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02319650422/38
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