1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十三日(木曜日)
午前十一時四十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
佐町 廣君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
中足 辰義君
委 員
大竹平八郎君
太田 正孝君
岡崎 真一君
堀 末治君
村松 久義君
木村禧八郎君
野溝 勝君
鈴木 市藏君
政府委員
大蔵政務次官 鍋島 直紹君
大蔵省国有財産
局長 江守堅太郎君
大蔵省証券局長 松井 直行君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
大蔵大臣官房財
務調査官 塩谷 忠男君
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本日の会議に付した案件
○国有の会議場施設の管理の委託等に関する特別
措置法案(内閣送付、予備審査)
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/0
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十一日大和与一君が辞任され、その補欠として佐野芳雄君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/1
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002・西田信一
○委員長(西田信一君) 国有の会議場施設の管理の委託等に関する特別措置法案を議題といたします。
本案は、去る二十日予備審査のため付託せられました。
まず、本案の提案理由の説明を聴取いたします。鍋島政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/2
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003・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) ただいま議題となりました国有の会議場施設の管理の委託等に関する特別措置法案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
政府は、かねてから京都市に国際会議場施設を建設しておりましたが、本年秋に完成する見込みとなりました。これに伴い、この施設の管理を効率的に行なうため、国有財産である会議場施設の管理を、関係地方公共団体に管理委託することができることとする等の必要がありますので、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。
以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。
まず、国有財産である国際会議場施設で京都市左京区松ケ崎に存するものの管理を、その施設の所在地をその区域とする地方公共団体その他その関係地方公共団体に委託することができることとし、その施設の管理上必要があるときは、施設に備えつける物品を当該地方公共団体に無償で貸し付けまたは譲与することができることにしようとするものであります。
また、管理の委託を受けた地方公共団体は、管理の委託を受けた施設を使用しまたは収益することができることとし、さらに、当該地方公共団体は、管理の委託を受けた施設の管理に関し通常必要とする費用を負担するとともに、施設の収益行為から生ずる収入は当該地方公共団体の収入とすることとしようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/3
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004・西田信一
○委員長(西田信一君) 以上で提案理由の説明は終わりました。
本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/4
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005・西田信一
○委員長(西田信一君) 証券取引法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/5
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006・木村禧八郎
○木村禧八郎君 松井局長に聞きますが、新聞にも出ておりましたが、証券会社の運用預かり、あの規制をするということが出ていましたが、この目的はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/6
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007・松井直行
○政府委員(松井直行君) 証券業者のあり方につきまして、まず経営基盤の強化とそれから投資家の信頼を得るという方向で、今回証券業者を免許制にもっていくために、いま法案の審議を願っているという段階でございます。その中で証券業者金融のあり方あるいは正常な証券業者の金融のあり方という問題に関しましては、一つは非常に高利の金を使っておるという不健全な金融もあります。一番わりあいに安易に金融がつく形であるというのがこの運用預かりということでございまして、債券を発行者からお客さんに消化しますと、お客さんは自分で持っておらずに、すぐ証券業者に預ける。品貸し料をお客さんがもらうわけですが、幾ぶんお客さんにとっては利回りがふえるということで非常に有利なわけでございます。金融でございますので、証券業者はむろん優良な担保でもあります、一つは。
一つはまた、お客さんとの間における預かりの形態は、法律的には消費寄託契約ということでして、同じ券を返す必要はない。たとえ一たん証券業者が処分しましても、また証券業者が買戻しするか、あるいはまたほかの金融債でもって返済できる。わりあいに便利と申しますか、非常に便利に近いという形の預かり有価証券でございます。そうした安易にそういう形で金融がつくということは、いわば無担保、お客さんに対して担保を預けるわけではありません、無担保で有価証券を借りると、しかもその有価証券がいつでも金券にかわり得るという状態、いわば、本質は違うかもわかりませんが、経済機艦内には非常に預金に近いということまで言い得ると思います。
そういう安易な姿で金融がつくということは、これはいまのように証券界が沈滞しておるときは別でございますが、非常に市場がブーム化しておるというときに、そうした安易な形で証券界なり証券業者に金が流れ込むということは非常に危険なことである。流通市場の過当投機が行なわれる一つの非常に大きな要素にも相なってまいりますし、あの一九二九年のアメリカの大きな恐慌をながめてみましても、それ以前に非常にホットマネーがたくさん証券界あるいは証券業者を通じて市場に流れ込んだという貴重な経験を生かしまして、まあ証券業者自身の健全経営からいってもあぶないし、それから証券市場全体の平穏無事な運営といいますか、価格形成あるいは流通市場の秩序維持という観点から申しましても、そうした不健全に近いような、非常に安易な資金繰りが証券業者につくということにつきましては、これは証券業者の業者金融の正常化という観点から見て、大いに批判さるべき問題じゃないかという観点で、かねてからいろいろ研究しておったところでございますが、まあ免許制になるのを機会に、証券業者がおのおのどういう形で金融をつけようとするのかということを明確にする必要がありますので、この機会に従来のような野方図な運用預かりというものをもう少し厳格にするなり、あるいは整理してしまうなり、何らかの方法で証券業者の正常金融のあり方を考えたい、その一つの大きな課題として持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/7
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008・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは金融政策の面からぼくは主として伺いたいと思ったんですが、運用預かりというのはですね、証券をお客さんから預かって、それを担保にしてコールを取っているんでしょう。そうしますと、これを規制すると今度はコールの取り方がやはり減ってくると思うんですよ。私は、どうもこれを規制することによってコールの金利を下げると、政府の全体の低金利政策というんですか、いままでずっと続けている金利を下げていくと、こういうことと関連があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/8
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009・松井直行
○政府委員(松井直行君) 大きな金融政策ともむろん関係してまいると思います。特に発行者の発行条件、あるいは受益者の利回りにも、運用預かりするかせぬかによって消化者の利回りにも関係してくる問題でもありますので、御指摘のような血はございますが、われわれはもっぱら証券業者の正常業務金融といいますか、証券業者金融の正常化という観点からこれを取り上げたいと、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/9
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010・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ従来コールは非常に高かったわけですがね、証券業者がだいぶこのコールを運用しておった。そこで、日銀からずいぶん日証金を通じて肩がわりしましたね。四千億くらいですか。そういうことと、それから最近では景気が悪くなって、資金需要もわりあいに停滞してきたということから、コールは下がってはきていますね。しかし、これは私は金融の正常化の問題と関連して伺っているんですが、それは証券業者の運用上、これは投資家を保護する、お客さんを保護するという点からも、これは重要であると思うんですが、私は全体の金融正常化の問題と関連していま質問しているんですが、銀行局長もあとから見えますから、そこでまだ見える前に、金融政策の関連でいまの運用預かりの規制について伺いたいのです。
この規制することによりまして、規制をするとやはりコールの取り方は減りますから、どうしたって金融が、コールはもっとレートは下がってくる、こう思うのですが、それをどのくらいに規制するかでしょうけれどもね。そういう点、やはり銀行局のほうと全体の金融政策との関連で話し合ってやっているのでしょうね。そういうことと、もう一つは、今度これを規制した場合に、たとえば株価の安定との関連はどうなのか。その規制しっぱなしで、証券金融つけない、取りっぱなしである、そういう場合どうなのですか。そうなると、いままでやはり、いい悪いは一応別として、こういう運用預かりによってかなり金融をつけておったのです。これを規制するかわりに、何か手当てが考えられているのですか。その二つの点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/10
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011・松井直行
○政府委員(松井直行君) 証券業者が信用取引等を通じましてお客さんに信用を供与する、から買いのお客さんに対しては信用を供与するということになるわけでございますが、これはやはりどこまでも証券業者の自己金融ができれば一番好ましいわけでございます。証券業者自身が自己資本を充実する、そうでなければ自分が本来所有している有価証券を担保にして正規の取引銀行から金を借りて、お客に信用を供与する。アメリカにおきましても、証券業者は自分の取引銀行からブローカーズ・ローンというものを引いております。したがって、信用のある業者は非常に安い金でブロカーズ・ローンを引いておりますし、信用のない、薄い証券業者はわりあいに高い金利のブローカーズ・ローンを引いており、その上でお客さんに信用供与するときでも、信用のあるお客さんにはわりあいに安く、信用の少ないお客さんにはわりあいに高く利ざやを乗っけて貸しているということでございますが、このブローカーズ・ローンにつきましても、アメリカではやはり証券市場が不当に何といいますか、イージーにホットマネーが入ってくることによって不当に混乱を起こすことがないように、かつまた多くの証券業者の金融力というものをある程度規制することによって証券業者の経営の安定化という、二つの観点から厳格なレギュレーションがアメリカでもございます。
日本の場合には、いま証券金融というのは非常に問題になっています。特に証券業者の金融のあり方ということが問題になっておりますが、わりあいにまだ自己資本も充実していない業者が多うございますので、場合によっては非常に不健全な高い金利の金を高い市場から借りているという点もございまして、証券業者の信用力をつけることによって正常金融ルールに返したいということが一番の本旨ではありますけれども、先ほど申しましたように、割引金融債を運用預かりするという方法による金融の道が野方図に開かれているときには、不当に証券界に金が流れ込む危険性があるし、証券業者の経営自身をもひいては危殆に瀕せしめるおそれが多い。現に三十四年、三十五年、三十六年というブームのときと、それ以降スランプ時期に入りまして、非常に痛手を受けた証券業者の度合いをながめてみますときには、むしろ運用預かりというものによって過当な取引をやった、過当な思惑ができる条件を撮った証券業名にむしろそういうふうな被害が大きいということができるという貴重な経験にもかんがみまして、規制をしたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは銀行局のほうの人との関連があるので聞いているのですが、それでは証券局長にもう一つ聞いておきますが、一応その規制によりまして、実際問題としてコールの取り分が減ってきますよね。そうでしょう。いままでそれを担保としてコールを取っていたのですからね。ですから、それは金融政策の上からいくと、やはりコールのレートを下げる、そういう影響があると思います。また、そういう影響があることをむしろぼくはねらっているのじゃないかというふうに考えるのですがね。
それと、もう一つ、まだ御答弁されていないのですけれども、これを規制することも、どの程度の規制かわかりませんが、その程度も明らかにしてもらいたいのですが、それをやった場合に、規制しっぱなしで、それにかわる手当てというものはやらないのですか。規制しっぱなしなんですか、どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/12
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013・松井直行
○政府委員(松井直行君) 金融政策上のねらいが一つあるのかどうかというお話でございますが、何べんも繰り返しますように、証券業者の業者金融の正常化という観点からわれわれ取り上げているわけでございます。結果としてはコールの取りが減るから需給関係に影響があることはもっともでございますが、コール市場の金利その他は、また銀行局からお答えになると思いますが、むしろ金融機関間の資金の需給のバランスによって決定される。これは投資意欲というものが盛んか沈潜するかということによっても大いに関係する問題であろうと思いますが、わがほうにおきましては、もっぱら証券業者の金融のあり方という観点からこれを批判してまいりたいと、こう考えております。
それから、それでは規制したときにこれにかわるものはどうするかというお話でございますが、職能分化の一つの動向をわれわれ考えておりまして、今度の証取法の一部にもその片りんがあらわれているところでありますが、これはやっぱりブローカー、ディーラー、アンダーライター、その他証券業者の職能の内容が、いままでのように百貨店方式で何でもやるというのじゃなしに、職能が明確化いたしてまいりますならば、かつまた、明確化することによって経営の基盤が強化し内部留保が厚くなるということであれば、当然正規のルートで必要な資金がつくはずだし、またつけるというふうにもっていく必要があるということは仰せのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つ。その運用預かりを規制しっぱなしで、ほかに証券金融の手当てをしないで、できますか、この運用預かりの規制というのは。規制自体についての目的は、それはよくわかりました。それを私否定するわけじゃないのです。実際問題として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/14
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015・松井直行
○政府委員(松井直行君) まあこういう例で考えてみればいいと思います。いまのおっしゃることはよくわかりますが、いまにわかに全部廃止したらどうなるかと考えますと、現に運用預かりという方法によって相当の営業資金を運用しておるわけでございますので、非常に大きな混乱が起こってくることはもう間違いはないと思います。そういう意味におきまして、常業活動に支障のない限度で漸次これを減らしていって、健全な方向へのルールづけに持っていくという、ある時期をかす必要があるかとは思います、そういう意味におきまして、まあなしくずし的にある程度時間をかけてやる以外に方法はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/15
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016・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまなぜ私はそういう質問をしたかと申しますと、これから銀行局の方に質問することと関連してくるのですが、それは金融正常化の問題との関連なのですがね。きょうの新聞を見ますと、吹原産業の問題がきっかけとなりまして、金融機関の業務の不健全性が世間の批判を浴びるようになってきて、田中大蔵大臣が、きのうですか、全金融機関に対して大蔵大臣通達を発した。業務運営の徹底的改善を求めるという、まあそういう通達を出したその趣旨も新聞に発表されておりますが、この趣旨をもう少し具体的に説明していただきたい。
それで、この証券取引法の一部改正案ですね、この法律との関連でこれまで幾度も質問もしてきたのですが、これは全体の金融の正常化の問題とやはり関連させて考えなければなりませんし、それから吹原帝業の問題だって、これは日本のいまの金融の非常な非正常化から来ていると思うのですよ。それで、新聞でも伝えられているように、とにかく金融機関が過当競争をしている。貸し出しの過当競争が預金獲得の過当競争になり、そういうことからやはり金融機関の業務の不健全化というところがあらわれてきておると思うのですね。そこで、一応大蔵大臣が通達を出したというのですが、この通達の趣旨を一応伺いたいのです。どうも新聞に伝えられているところも一応の理由はあると思うのですが、私はこんな表面的なことだけでは問題は解決しないと思いますので、もっと突っ込んで御質問したいので、ですから、まず十二日の金融機関に対して出したこの通達の目的、内容、これを一応大蔵当局のほうから説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/16
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017・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) ただいま御質問の通達の件でございますが、その趣旨といたしますところは、ただいま御指摘のとおり、本日の新聞紙上にかなり詳しく出ておると思いますが、もう一度その要点につきまして申し上げますと、第一の問題点は、最近いろいろな事件と申しますか、問題が起こりまして、このことによりまして社会的公器であるべき金融機関に対する信頼がかなりそこなわれてきたと思われるわけでございます。したがいまして、この際、金融機関といたしましては、経営全般にわたりまして刷新改善の努力をいたしまして、世間の信頼に対する十分なる態勢をとるべきではないかということが第一のねらいでございます。
まあ最近起きましたいろいろな問題の背景のようなものを考えてみますと、ただいま木村先生も御指摘のとおりでございまして、戦後におきます金融機関のいわゆる過当競争、特に資金量の拡大をねらいといたしました過当競争というものがございます。この点は、金融機関のみならず、日本の産業界にもそういう通弊のようなものが見られるわけでございますが、特に金融機関におきましては、資金量の増大、業容の拡大といったことにかなり学業の重点が置かれております関係上、そのことからいろいろな問題が起こっておるわけでございます。これは一つは与信面、つまり貸し出し面におきましても、大口貸し出しあるいは系列融資その他、いろいろいわゆる堅実な貸し出し態度から見て問題とされるような貸し出し態度が見られる。受信面、つまり資金の吸収面におきましては、やはり預金獲得のためにかなり無理をしておるというような点がございます。そういういろいろな問題がございますので、これらを通達に全部盛り込むというわけにもまいりませんので、一応例示的に若干の問題点を提示いたしておりまして、これらに関しまして、具体的の措置を要するものにつきましては、早急に対策を立てて報告を求めておるわけでございます。
こういう通達を出すに至りました経緯はいま申しましたとおりでございますが、私どものねらいといたしましては、何と申しましても、金融機関というものは国民大衆からの信頼が第一の基礎でございます。そういう信頼と申しますか、あるいは信用というものが、若干なりとも傷つけられるということは、日本の金融界、あるいはひいては経済界全般にとりまして、非常に大きな問題であろうと存じまして、この際、大蔵大臣の通達をもちまして厳重なる反省を求めた、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一応抽象的にはその説明はわかるのですけれども、それでは、その過当競争、貸し出しなりあるいは預金の過当競争をもたらすような現在の日本の金融の非正常化ですね、ゆがんだ姿ですね、その点がその背景にあると思うのです。それにメスを入れないで、ただ技術的に銀行、金融機関に対してそういう正常化を呼びかけてみたところで、私は効果はないと思うのですよ。たとえば健全な融資態度の確立と審査機能の整備とか、行き過ぎた預金獲得行為とかあるいはお客に対する過剰サービス等、その自粛とか、こういうことを呼びかけても、その前にやはりいまの日本の金融の不正常な姿、これを直さなければ、私は技術的にこういう通達を出したり指導してもしようがない。だから、その根本には、またその前提には、金融の正常化について大蔵省は一体どう考えているか、この点に触れなければ、これは私は百年河清を待つもので、こんな通達を出したって、次々にやはりそういう不祥事件が起こると思いますよ。そんなことでは根本的な解決がつかないですよ。ですから、たとえばいままで一貫して、非常にオーソドックスな考え方だけれども、金利の自由化なり金融市場の正常化なり、あるいは公社債市場の正常化なりあるいは公社債市場の確立なり、そういう一連の金融正常化の方針があるわけですよ。それを具体的にこの際に、こういう吹原産業事件が起きて金融機関の業務に対する不健全性が非常に問題になった機会に、金融正常化をほんとうにここではっきりと進める意思を持たなければならないと思うのですよ。そうじゃなければ、ただこんな通達を出したくらいでは問題は解決しませんよ。ただ当面を糊塗するだけで、世間のいろいろな非難、批判をこんな通達一片で一時緩和しても、問題の解決にはならぬと思うのです。金融正常化の問題について具体的にどうしようとしておるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/18
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019・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) ただいま御指摘の問題は、金融制度あるいは金融政策の基本に関する御質問でございまして、この点につきましてはお話のとおりでございまして、ここ数年来、この金融の正常化対策というものにつきましては、私どものみならず業界におきましても真剣に取り組んでおるわけでございます。たとえば、一昨年の五月に、金融制度調査会がオーバーローンの是正に関する答申というのを出しておりますが、このねらいは結局、現在の金融非正常化の一番現象的にあらわれた問題点の第一はオーバーローンにあるじゃないか、そのオーバーローンというものにあらわれておる不正常な現象の原因を追及することによりまして、正常化の方向というものを探ろうと、こういう考え方から、かなり長期にわたりまして、オーバーローンの問題を中心にいたしまして議論を重ねていただいたわけでございます。したがいまして、木村先生のただいまの御指摘のように、正常化対策というものの中身は、本日のこの通牒にありまするような金融機関の経営問題だけではなしに、大きな意味でいえば、中央銀行の金融政策、それから金利政策、資本市場対策、そういうものを総合的に見た上でないと問題が解決しないことは当然のことでございます。
まあ金融政策の問題につきましては、これも原因が非常に複雑でございますので、単に機動的、弾力的に金融政策を運営するというような抽象的な表現では、なかなか解決しがたい問題が多いと思います、また、金利の問題につきましても、私どもは基本的な方向といたしましては、金利の自由化を推進する、つまり金利の価格機能を活用いたしまして、それによって資金の需給の総合的な調整をはかって経済の安定成長をはかると、こういう基本的な線につきましてはもちろん積極的にやるべきであるという考えに立っておるわけでございますが、ただ、現実問題といたしまして、やはり金利を動かすいろいろな要因の中にかなり経済政策的に考えなくてはいけないような要因もございますので、基本的な方向でそういうことを取り上げます場合にも、現実におけるいろいろな問題を解決しながらやはりやっていかなければならない問題があるように思うわけでございます。
資本市場の問題も同様でございまして、公社債市場の育成ということにつきましては、もちろん正常化の方向といたしましてぜひこれをやっていきたいということでございますが、これにつきましても、たとえば公社債条件の改訂の問題一つをとりましても、なかなかいろいろな具体的な障害もございまして、一挙に解決いたしがたい問題もあるわけでございます。
これら言いわけばかりでございますが、問題点につきましては、私ども十分承知いたしておりまして、できるものから逐次片づけていく、そういう考え方で現在取り組んでおるわけでございます。たとえばオーバーローンの答申の中にあります中央銀行の新金融調節方式、つまり従来の日本銀行の貸し出し政策をむしろオペレーション政策のほうに重点を移していくというようなことが現に実施に移されておるわけでございます。ただ、これをやってみますと、日銀の貸し出しはだんだん減っていったかわりに、都市銀行のその他の外部負債がふえるというような問題が起こりまして、なかなか全体としての正常化を推進するということは現実の問題といろいろ関連いたしますので、非常にむずかしいと思うのでございます。しかし、私どもといたしましては、できるだけ全般の正常化対策は促進してまいりたい。しかし、何と申しましても、金融を動かす銀行、あるいはその他の金融機関も含めまして、こういう機関の経営者あるいは当事者がほんとうにその気がまえで仕事をやってもらうことがやはり根本的な問題でなかろうかということで、こういう金融機関の経営問題をこの際特に取り上げたわけでございます。その他の正常化対策につきましても、御指摘のとおりでございまして、十分努力いたしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/19
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020・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は、いまの金融の非正常化の一番の顕著な現象は、たとえば基本的には短期資金をもって長期の金融をしている。つまり短期金融市場と長期金融市場とのそこにはっきりした区別がなされていない。銀行は預金をどんどん獲得競争して集めては、その短期の預金を長期に運用して、そうやって競争すると、そういうところにたとえばサンウェーブあるいは特殊製鋼とか——これは山陽特殊製鋼ですが、そういうところに設備が行き過ぎたんだ。これは長期資本でまかなっていれば、ああいうことはすぐに起こらなかったのです。それが短期資金でまかなっている。だから、結局問題は、この長期の金融市場をどうして確立するかという点が具体的な日程にのぼらなければならないと思うのです。その前提として、突破口として公社債市場の条件を、ここで貸し出し金利と公社債の条件との間のアンバランス、これを直すということがいま一番具体的な当面の私は問題だと思うのです。これに対して大蔵省はなぜ反対しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/20
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021・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) 社債条件改訂問題は実はただいま検討中でございまして、ただいまお話しのように、大蔵省が社債条件の改訂、つまり社債金利の引き上げに反対しておるということではございませんで、大蔵省の中にも社債金利の引き上げを強く主張する考え方もかなり有力でございます。むしろ方向といたしましては、この際社債金利の引き上げをやったほうがいいという意見のほうが私は強いように思うのでございますが、ただ問題は、社債金利の引き上げをやった場合には、一つには発行のコストがこれによってどの程度上がるのか、それから金利体系の中で社債金利の引き上げだけでとどめ得るのか、あるいは政府保証債あるいは利付金融債といった関連の金利にどの程度の波及があるのか、そういう問題について十分納得のいく結論が出るということにならなければ、やはり社債金利の引き上げということを直ちにきめるというわけにはまいらないわけでございまして、ただ、方向といたしましては、社債金利の引き上げはこの際やったほうがいいんじゃないかという意見のほうが有力であるように私は考えております。ただ、これは先ほど申しましたように、目下検討中のことでございますので、結論めいたことをここで申し上げるのはまだ時期が早いと思うのでございますが、ただ、考え方といたしましては、御指摘のように、公社債市場の育成という見地から、広い意味で社債条件の改訂をこの際取り上げたほうがいいんじゃなかろうか、そういう意見はかなり有力でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/21
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022・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうじゃないと思うんです。それは一部にそういう意見はあるかもしれませんけれども、全体として金融界は、こういう通達を出しましたけれども、全体としてほんとうに金融を正常化する意思がないんじゃないか。というのは、もし公社債市場がここで確立されると——すぐ確立されないかもしれないけれども、育成されていく、そうして公社債の発行条件がここで上がると、貸し出しのほうも、いままで短期でやっているんでしょうが、短期の資金を流しているんでしょうが、それが長期になる。短期で高利に貸しているんですよ。その高い貸し出し金利がそこでかせげなくなる。そうでしょう。それで、長期の公社債のほうに振りかわってくると、いままでよりもうけが少なくなる、金融機関としてはですよ。そこで、どうも私どもの見方では、公社債発行条件は変えないで、むしろ全体の金融金利を下げて、相対的にいまの公社債の条件を引き上げていこう、こういう考え方のように思うのです。
それで、さっきのですね、運用預かりの規制をやると、コールの取り方が少なくなる。それでコールのレートが下がってくる。一般的な金利を下げて、そうしていまの公社債の発行条件は変えないで、そこでその不均衡をそういう形で直していこうという考えではないか。しかも、もう少し憶測すれば、いまの財政、ことに税収入の状況から見ると、どうしても公債を発行せざるを得なくなる。そういうことを考慮すると、公社債の発行条件を引き上げることによって正常化するよりは、金利を引き下げることによって、そうして正常化していく、そのほうが公社債発行に有利になる。発行コストが高くならないで済む。
しかし、それはかなり時間がかかると思うんですよ、そういう形のやり方では。だから、もういまの金融正常化の突破口としては、いまの公社債の発行条件をここでやはりある程度引き上げて、どの程度か、〇・六%か、〇・四%という説もありますが、あるいは〇・七%か、とにかく引き上げて、そうして短期の資金をいま銀行が無理して、高い金利で運用している、それを長期資金に、安定した長期資金に振りかえさせる。こういうことを思い切ってやらなければ、いまの銀行にこういう通達を出しただけじゃだめだと思う。だから、銀行も採算ばかりを考えておれば、そういう金融正常化を好まぬわけですよ。どうも銀行のそういう意見に大蔵省は押されておって、一部には、オーソドックスに考えれば、理論的に考えれば、また実際問題としては、早く正常化するにはいまの公社債の発行条件をここで引き上げて、それで貸し出し金利とのアンバランスを直す、こういうところに手を染めなければ、私はいつまでたったって正常化というものは具体的に発展していかないと思うのですよ。いろいろ検討はしておると言いますけれども、いろいろと検討しておる間にどんどん月日がたって、いつまでたったってできやしませんよ。だから、ここでいわゆる金融機関の採算ばかりにこだわらないで、ここでやはり長期の安定した資本市場を、こういう吹原産業事件などが起こっておるこの機会に思い切ってその方向に踏み出すべきだと思うのですよ。その点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/22
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023・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) ごもっともなお話でございますが、私どもは、金融機関の経営につきまして、現在の経営に対して非常に問題があるということはかねがね考えております。それは今回の通牒にもありますような経営についての考え方とか、あるいは内部規律的なそういう意味の問題のほかに、大きな意味で日本の経済の中に置かれた金融機関というもののあり方、そういうものについての問題点等あるわけでございますが、ただいまの御指摘の点は、あとのほうに申しました大きな意味の問題点だろうと思うのでございますが、この点は金融界の経営のしぶりとか姿勢を正すということはもとより肝要でありますが、同時に、日本経済全体としての成長のあり方その他から問題を解決しなくてはならぬような要素も多分にあると思うのでございます。現在都市銀行について見ますと、預金に対して外部負債、つまり日本銀行の借り入れ金、あるいはコールマネー、あるいは金融機関貸し付け金という形の外部負債がほぼ三割を占めておるということでございまして、しかも、日本銀行からの借り入れ金のウエートがだんだん減っておる。つまり採算的に申しますと、必ずしも得にならない状態になっておるわけでございます。そういうような資金を集めて、しかもオーバーローンをやらなければいけないというような経営にむしろ問題があるんじゃないか。したがいまして、できるだけオーバーローンを是正する、つまり外部負債に依存してまで貸し出しを行なうような経営を改めるということに重点を置いて考えておるわけでございます。
その際にはいろいろな対策はございますが、やはり何といいましても、都市銀行に集中する資金需要をいかにして拡散するかという問題が一つございます。その有力な手段といたしまして、社債といいますか、資本市場の発達をはかりまして、できるだけ企業の資金需要をそちらのほうに移していく。それによりまして都市銀行に対する依存度をだんだん低めながらオーバーローンを是正していく。そういう意味合いにおきまして、社債条件の改訂によりまして社債市場がそれだけ伸びればオーバーローンの改善にも役立つ、こういう考え方でおるわけでございまして、金融機関のもうけが減るから社債条件の改訂に消極的であるというようなことは、もう全く考えておらないわけでございまして、その点の誤解をお解きいただきたいと思うのでございます。その他、社債条件の改訂についてはいろいろ問題がございますが、何ぶんただいま検討中のことでございますので、この程度にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/23
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024・木村禧八郎
○木村禧八郎君 金融機関の、特に銀行のいまの安易な金融態度というものを直すには、いろいろ方法があるでしょうけれども、突破口として第一に具体的にいま手を染めなければならぬのは、私は公社債の発行条件の改訂の問題だと思うのです。具体的に何から手を染めるかといったら、これから手を染めるよりほかないと思います。突破口というのはここでしょう。それは大蔵省の中ではやはり条件を引き上げるという意見もかなり多いといいながら、ちっとも実行されていないというところに、やはり問題があるのですよ。それはやはりいまの金融機関がほんとうに正常化するという気持ちになっていない。それで、その気持ちになっていない原因をだんだん突き詰めていけば、結局採算の問題だと思うのです。そういうところが大蔵省が押されておって、それで大蔵省はむしろいまの発行条件に手を触れないで、そうしてコールレートを下げたり、そういうことをして、そうしていままでの低金利政策を性急に進めて、そういう形で正常化をしていこう、こういう考え方じゃないかと、こう思うのです。だから、そこに非常に二つの考え方が対立していると思うのですよ、はっきり。
そこで、大蔵省は踏み切らなければいけないと、私はこう思うのですけれども、具体的にこれを踏み出さなければ、幾ら、先ほどいろいろ御説明がありましたけれども、金融正常化に努力いたしますとか、検討いたしますとか言ったって、これがいいチャンスですよ。吹原産業の問題等が起こって、金融正常化の問題がいまの時期くらい私は緊急になっている時期はないと思うのです。この際にこれをやらなくてどうして金融正常化ができますか。具体的に、じゃ金融正常化の突破口として何をやろうとしておりますか、具体的にですよ。ただ口先で言っただけじゃ、何ら具体化されていきませんよ。
その一つの方法としては、さっき言った全体の金利を下げて、そして発行条件は改訂しないで、貸し出し金利と公社債の金利との不均衡を是正するという、そういう方向に行っているように思うのですよ。先ほど松井局長に伺った運用預かりの規制の問題は、証券局としてはそういうコールレートを下げるという意味でそれをやっているということじゃないですけれども、結果としてはそうなる、規制していけば。コール需要が少なくなる、そしてコールレートを下げていく、そういう方向になる。それで質問したのですけれども、だから、具体的に一体何をどういう方向でやろうとするのか、いま二つの道のうちどっちを選ぼうとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/24
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025・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) 社債条件の問題が非常に具体的に出ておりますが、少なくとも社債条件を現在据え置いてその他の金利を下げるということによって、相対的にバランスをとるという考えじゃないか、こういう御指摘でございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/25
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026・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それと公債発行に有利な条件。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/26
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027・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) そこで、まあ考え方はおそらく、従来政府がいわゆる低金利政策を非常に無理をしてやってきたのじゃないかという御指摘があると思うのでございますが、ただ、低金利政策ということばが適当かどうか存じませんが、日本の金利水準が外国の例と比較いたしましてかなり高い。しかも、日本の場合は企業の借り入れ金に対する依存度が非常に高いということが、最近における金融費用の増大というものは非常に大きな問題になっているわけであります。したがいまして、私どもといたしましても、長期的な観点からいたしますれば、金利水準はなるべく低いほうが望ましいし、そのことが企業のコストを軽減し、ひいては国際競争力の強化に役立つ、そういう基本的な考え方は持っております。しかし、これはいわば長期的な方向の問題でございます。金利政策がそういうことによって非常に硬直しては意味がないと思います。やはり資金の需給の状況なり金融情勢に即応いたしまして、弾力的に動かしていくということは、これは当然やらなくちゃいかぬわけでございます。
そういう見地からいいますれば、社債条件の改訂の問題は、どちらかというと長期的な問題でございますから、もしお話のようにこれを引き上げないでも十分に消化ができるというような素地があるならば、あえて引き上げる必要はない。ただ、現状から申しますれば、消化先の金融機関のコストの関係その他から考えまして、やはり消化の意欲を持たせるという意味においては、ある程度引き上げたほうが消化しやすい、そういう状態だろうと思うのです。これは現実にはですね。したがいまして、大きな金利政策の方向の問題は別といたしまして、当面の措置といたしましては、やはり社債条件の改訂というものが行なわれたほうがそういう意味においては消化を促進するのじゃないか、かように思うわけでございます。
コールレートの問題が先ほど来いろいろ出ておりますが、これは恣意的にあるいは強制的にレートを下げるということをやっておるのでなくて、やはり現在における資金の需給の実勢からむしろコールレートが下がっておるというように見ていただいたほうがいいんじゃないかと思うのです。したがいまして、現在、まあ自由金利に近いといわれておりますコールレートが下がっておるということは、反面におきましては資金の需給関係がそれだけゆるまっておるということになろうかと思うのであります。コールレートにつきましては、無理な規制をいたしましても、なかなかうまくこれはおさまりませんので、できるだけ自由な姿で動かしておるわけでございます。これを強制的にどうこうしておると、そういう意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/27
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028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 コールレートのこと出ましたけれども、それは資金の需給関係から下がっているのと、もう一つは、証券金融に日銀から日証券を通じて相当流した、それもあるわけですね。その二つだと思うのです。だから、そこで運用預かりのあれを規制すれば、理論的には、その程度によるのですけれども、さっき局長さんが一挙にやるわけじゃないと言ったけれども、これは急激にやれば、それはコールの取り高の急減になりまするから、コールレートはさらに下がると、こう思ったわけです。
そこで、むしろ伺いたいのは、ここで公社債の発行条件をたとえば〇・四%上げた場合どういう支障があるのです、具体的に。これは今度大蔵省証券の発行条件とかその他、そういうほかの金利にやはり響いてくるのか。長期金利のほうには響かぬですよ、かなり開きがあるのですから。もう貸し出しのほうについては、大体八%から一側でしょう。だから、金融学会で非常に問題になったそうですよ。ぼくはそれを聞いたんですが、金利の自由化を中心にして金融学会で論争した。ところが、興銀と大蔵省が非常に反対しておると、そういうことを聞いたのです。これはあなたが、大蔵省は大体発行条件の引き上げの方向に大体行っている、そういう意見が多いとさっき言われたけれども、そうじゃないようですね。興銀と大蔵省はだいぶ反対していると聞いたものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/28
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029・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) 金融学会のお話が出ましたのですが、実は金融学会で報告いたしましたのは私がやりましたので……。私が申しましたのは先ほど来から申し上げておるような趣旨でございまして、私はあの中ではっきり基本線としては賛成だということを話はしておるわけでございます。ただ、日本の場合は、中小企業なりあるいは農林漁業といった特殊な産業分野に対しましては相当政策的な配慮で金利も考えなくちゃいかぬという問題もございますし、そのほか資金の需給関係が、現在はともかくといたしまして、やはり全体としては上不足の状態にあるわけでございます。自由化をそのまま適用いたしますと、金利がどちらかというと上昇する。そういうことは日本の国際競争力等から見て、はたして受け入れられるのかどうか。だから、金利の自由化という問題と同時に、日本の金融界あるいは産業界の合理化とか、あるいは正常化というものについての努力が並行的に行なわれないと、金利の自由化だけをやってもあまり意味がないのじゃないか、そういう趣旨で申しましたので、先生がそういうぐあいに受け取っておられますのが、必ずしもそうじゃないということをちょっと申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/29
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030・木村禧八郎
○木村禧八郎君 金利の自由化についてのいまのお考え、これは私もそうだと思いますよ。ただ、当面の公社債発行条件、その問題についていえば、いまここで吹原産業の問題等も起こって、金融機関の業務の連営の健全性が非常に問題になっていると。それに対してどうするかと。その対策として大蔵省が金融機関に通達を出して、それもむだとは思いませんけれども、それだけでなくて、もっとその背後にそういう不健全な業務運営をさせる日本の金融の不正常なものをもっと倒していかなければいけないので、その不正常を直す具体的な突破口としては、いま公社債市場、その条件の問題、貸し出し金利と長期金利、この不均衡を直す。ことに、短期資金をもっていま長期金融をまかなっているようなそういうところにやはりこういう問題が起こる根本の原因があるのじゃないかと、そういうことから質問しているのですよ。
それで、具体的に、ただ抽象論を述べていたってしょうがないので、具体的に、それじゃ正常化に踏み出すにはまず何からやるべきかといったらば、やはりまず公社債市場の発行条件から突破口を見出すよりほかないのじゃないですか。その点はどうですか、私はそう思うのですが。そうしたら、なぜそれをここで大蔵省が踏み切れないのか私はふしぎに思うのですが、その点はどうもまだ納得いかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/30
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031・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) 社債条件が正常化の突破口であるから、それについてなぜやらないかという御質問でございまして、先ほど来お答えいたしておりますように、この問題につきましての考え方は、もう私のほうとしては十分整理しておるつもりでございます。ただ、非常に影響が大きい問題でございます、金利の問題でございますので、したがいまして、大蔵省といたしましては正式な結論が出るまで待っておるというような表現がなかなかできにくいものですから、いわば検討しておる過程においてこういう考え方があるという程度のことでいま申し上げておるわけでございます。御趣旨の点は十分わかっておるつもりでございまます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/31
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032・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは大蔵大臣にでも聞きませんと、その点は非常にあなたに対しては無理な質問かもしれませんから、また大蔵大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/32
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033・西田信一
○委員長(西田信一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/33
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034・西田信一
○委員長(西田信一君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/34
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035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つ銀行局に伺いたいのですが、こういう通達を出されますね。あとはどういうふうになるのですか、通達を出しっぱなしなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/35
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036・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) 従来の通達でございますと、出しっぱなしのものもございます。あるいはその通達に基づきまして定期の報告を徴するものもございますが、今回の場合は、通達の中にも書いてございますが、具体的に措置をして、その措置の内応を六月十日までに報告しろとはっきり書いてございます。いままでよりはるかにきびしい対策を要求しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/36
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037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 金融機関から、それに対してどういう措置をとるかということを報告しろということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/37
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038・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) そうです。この中で、たとえば〇〇円貯蓄運動とかいろいろございますし、内部規律の確立とか、検査制度の云々とか、いろいろ書いてございますが、それについて具体的にどういうことをやった、どういうことをやるのだということを報告しろ、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/38
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039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それを点検して、そしてどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/39
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040・塩谷忠男
○説明員(塩谷忠男君) この中には、銀行自体ができるものと、それから銀行が共同してやるものと、いろいろございます。たとえば、銀行間の話し合いといいますか、申し合わせによりましてやったほうが効果的だというようなものがいろいろあるわけです。そういうものは銀行協会の中にこういう措置に関する特別の委員会とか協議会というものをつくらせまして、具体的に実効のあがる対策をも立てさせる、そういうことにしておりまして、今回は各銀行の頭取あてに出したほかに、協会長あてに、そういう銀行同士で話し合いをして、まとまるものについてはそういう措置をとってもらいたいということを、あわせてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/40
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041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 松井局長に伺いたいのですが、前に参考人として小竹豊治氏の意見を徴したときに、いまの事業会社の決算について粉飾決算がかなりある、そういう決算の内容を正確に投資家に知らせるために、いまの証券取引法の範囲内でも十分粉飾決算などについての監督というものができるはずだというようなことを言われておりましたが、これはもっと厳粛に指導すべきじゃないかという意見があったんですよ。この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/41
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042・松井直行
○政府委員(松井直行君) おっしゃるとおり、証券取引法の目的が投資者保護、国民経済の適切な運営ということにございまして、投資家に事業会社の内容を的確に表示し、これを公開するという二章関係にその条文がございまして、非常に重要な柱の一つになっていることはお示しのとおりであろうと思います。この有価証券の届け出書ですか、増資をいたします場合の届け出書のほかに、年々アニュアル・レポートも出すということに相なっておりまして、不審があるとき、必要があるときには、大蔵省も事業会社へ立ち入りまして検査できるという規定に相なっております。これにつきましては、全面的に大蔵省がすべて調べ上げればいいじゃないかという極端な意見もございますが、私に言わせますと、もしそういうことを証券局でやれというなら、国税庁と同じ組織でもそろえなければできないということにも相なるわけなんですが、幸いにして公認会計士という制度がございまして、公認会計士の監査証明書をつけて一般投資者に公開するという制度に相なっております。
その公認会計士の監査が不徹底であるとか、あるいは事業会社からの独立性が薄いということで、投資家のために経営者の経営の実績をつぶさにこれを監査するという本来のねらいが十分発揮されていない。それから、事業会社の経営者自身も、公認会計士の監査がいかにもよけいなものがあるという感じでありまして、本来の趣旨が全然生かされていないということを十分反省いたしまして、必要に応じましては、むろん事業会社に直接調査に参るということも考えなければならないことが一つと、一般的にはこの公認会計士の監査をいかにして徹底して行なうか、その地位の向上をどういうふうにして行なうかということ、いま一つ、監査基準は、企業会計審議会というのがございまして、いわば立ち会いと確認が行なわれておらないところに一つの穴があるということをわれわれ考えまして、監査基準の改定がどうあるべきかということについていま諮問をいたしております。公認会計士の企業家からの独立性の回復といいますか、樹立のためにどうあるべきかということにつきましては、公認会計士法のおそらく改正になってまいると思いますが、公認会計士の公共的使命にかんがみ、十分目主的な改正ができるように、たとえば公認会計士の協会の公共性を明確にする、あるいはいま大部分の公認会計士が一人おやじといいますかということで経営いたしておりますが、大きな事業会社につきましては、もう共同してお互いに牽制しながらやるということが必要だろうと思います。共同監査の方法、あるいはできますれば、ヨーロッパ、アメリカから公認会計士が相当に進出してきておりますし、これに対抗しますには、英米式のパートナーシップというような形で、いろいろな繊維だとか鉄鋼だとか造船だとか、そういう種類別の専門家が集まりまして、大きなファームとしての公認会計士事務所というものをつくりまして、ファーム自身が積み重ねの実績によって、お客さんといいますか、事業会社から信用を獲得するということによりまして、事業会社のしりに敷かれた公認会計士でないという制度にどうしてつくり上げていくかということについても、これもそれぞれ近々諮問を発しまして具体案を練ろうといたしております。昨今のいろいろな不幸な事案にかんがみまして、これを契機といたしまして、そうした投資家に対する事業会社の真実の姿の公開をどうして意義あらしめるべきかということにつきましては、単に流通市場の需給の回復ということばかりじゃなしに、これも非常に大きな問題の一つであるということを十分認識いたしまして、手を打とうとしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/42
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043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 たとえば山陽特殊鋼なんか見ますと、ずいぶん経理が乱脈であった。ですから、あれは証券局としてもやはりああいう事態が起こったについては責任がありますね、そういう意味では。ああいう不詳事件が起こらないように、事前にもっとそういう粉飾決算なんかについて、もっと徹底した指導というんですかを行なう必要があると思うんですけれども、要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/43
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044・西田信一
○委員長(西田信一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X02719650513/44
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045・西田信一
○委員長(西田信一君) 速記を始めて。
他に御発言もないようですから、本案につきましては本日はこの程度にいたします。
散会いたします。
午後一時一分散会
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