1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年三月二日(火曜日)
午前十時二十二分開会
—————————————
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
和田 鶴一君 大野木秀次郎君
三月二日
辞任 補欠選任
沢田 一精君 和田 鶴一君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 天坊 裕彦君
理 事
西郷吉之助君
竹中 恒夫君
林 虎雄君
委 員
井川 伊平君
大野木秀次郎君
久保 勘一君
小林 武治君
斎藤 昇君
和田 鶴一君
加瀬 完君
鈴木 壽君
松本 賢一君
二宮 文造君
市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
—————————————
本日の会議に付した案件
○地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
出、第四十八回国会衆議院送付)
○市町村の合併の特例に関する法律案(内閣提
出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/0
-
001・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。二月二十六日付、和田鶴一君が辞任され、大野木秀次郎君が選任され、また本日付、沢田一精君が辞任され、和田鶴一君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/1
-
002・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 地方行政連絡会議法案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。吉武自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/2
-
003・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) ただいま議題となりました地方行政連絡会議法案につきまして、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。
今日、社会経済の進展に伴う地域社会の広域化に相応し、地方行政の分野におきましても、都道府県の区域をこえて広域的に処理すべき問題が次第に増加し、その内容も複雑多様となり、各種の行政が相互に密接に相関連してまいっておるのであります。このような地方行政の動向に対処して、それぞれの地方において、広域にわたる行政が総合的にかつ、円滑に実施されるように、地方公共団体が国の地方行政機関との連絡協調を保ちながらその相互の連絡協調をはかることを考えることが緊要と存ぜられるのでありまして、さきに、地方制度調査会におきましても、このような観点から、都道府県をこえる広域行政についてこの種の連絡協議のための組織を設けるべき旨の答申がなされているのであります。
このため、全国各ブロックに地方行政連絡会議を組織し、都道府県及びいわゆる指定都市の長に地方の広域行政に関係のある国の出先機関の長を加えまして、地方公共団体相互間や地方公共団体と国の関係出先機関等との間の連絡協議を組織的に行なわせ、地方における広域行政の総合的な実施と円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資せしめることといたしたいのであります。
次に、この法案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一に、全国の都道府県を九つの地域に分け、それぞれの地域ごとに都道府県及び地方自治法第二百五十二条の十九の規定に基づく指定都市をもって連絡会議を組織することとし、地方における広域にわたる行政の計画及び実施について必要な連絡と協議を行なうものといたしました。この連絡及び協議を行なうための会議は、都道府県の知事及び指定都市の市長のほか、おおむね数府県の区域を管轄する国の地方行政機関の長、その他地方における広域行政に密接な関係を持っている機関の長で構成するものとしております。
第二に、会議の構成員は、協議のととのった事項については、これを尊重してそれぞれの担任事務を処理するようにつとめるものといたしまして、連絡協議の成果を国、地方公共団体の行政に反映させるようにいたしております。
第三に、連絡会議と関係行政機関等との関係につきましては、連絡会議は、関係行政機関等に対して必要な協力を求めるごとができることとするほか、これらの機関からの求めに応じて関係資料を提出しなければならないものとし、また、連絡会議は、必要に応じて関係大臣、公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとするとともに、関係大臣は、所管事務について連絡会議の意見を聞くことができることといたしました。
最後に、連絡会議の経費の負担、会議の結果の報告、その他連絡会議の運営等に関して必要な規定を設けた次第であります。
以上が地方行政連絡会議法案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/3
-
004・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/4
-
005・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 次に、市町村の合併の特例に関する法律案を議題といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/5
-
006・鈴木壽
○鈴木壽君 町村合併の成果、それから町村合併に対する国の助成措置、この二つの資料をいただいておりますが、町村合併の成果について、何かもうちょっと口頭でひとつこの資料に基づきながら御説明をいただきたいと思います。というのは、いま配付されまして全然まだ目を通しておりませんが、その成果について、どのようにお考えになっておられるのか、お話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/6
-
007・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) それではお手元に御配付申し上げました資料を見ながら御説明を申し上げたいと存じます。
まず、町村合併によりまして町村の合併がどのくらい進んだかということでございますが、一一ページの第一表をごらんいただきたいと存じます。ごらんいただきますと、おわかりのように、二十八年の十月一日、これは町村合併促進法を御制定いただきましたその施行のときでございますが、このときが市が二百八十六、町村が九千五百八十二、合計いたしまして九千八百六十八、約一万ございましたのでございます。その後、御承知のような、これを約三分の一程度に減らすという合併計画を立てまして、三十六年六月二十九日といたしておりますのは、町村合併促進法が三十一年で一応失効いたしましたが、その後なお未合併で残っておりましたものにつきまして、新市町村建設促進法で若干合併を促進する規定が残っておりました。それが大体三十六年で終わりましたので、そのときの数字でございます。ほぼ当初の目的どおり、全般的に見ますと、町村合併が進んだのでございます。
そのことは、第二表で見ますというと、町村の規模がどのくらいそれでは大きくなったかということでございます。二十八年十月一日におきましては、町村の平均人口が五千三百九十六人、平均面積三十四平方キロメートル余りでございました。それが三十六年六月二十九日におきましては、平均人口が一万一千五百九十四人、平均面積が約百平方キロでございます。このカッコいたしまして平均人口一万四千余人と書いてございますのは、町村合併の結果、御承知のように市になりましたものが二百六十九市あったのでございます。これは市にはなりましたけれども、実態は町村の規模を適正化するという趣旨から合併をいたしましたものでございまするので、町村の規模がどの程度拡大されたかということを比較いたします場合には、この機会に町村合併によって市になりましたものも含めて比較をすることが、より真相をつかむのに適切ではなかろうかということで計算をいたしたものでございます。そういたしますと、大体一万四千くらいになっておるということでございます。その後、最近までには若干町村合併も行なわれておりまするが、これらの平均人口、平均面積につきましては、そうたいした異同はございません。
このように町村の規模が大きくなりましたことによりまして、どのような効果が見られたかということでございますが、それが四ページ以下に書いておるところでございます。
まず、市町村の関係におきましては、どのような効果が見られたかという点でございますが、第一は、財政運営の合理化と財政力の充実強化がはかられたということでございます。これも表でごらんいただきますると、十二ページ、十三ページに掲げてございます表でございますが、これでごらんいただきますと、昭和二十八年度と昭和三十八年度と比較してみますというと、歳入構造におきまして、一般財源の構成比が五〇・六から五六・五というふうに伸びております。それから国庫支出金、都道府県支出金につきましては、ほぼ異同がございません。使用料、手数料が一・二から二・三に延びております。地方債が九・〇から五・九に縮まっております。これらの状況を見まして、歳入構造もよほど改善されてきておるということが言えると思うのでございます。
それから歳出の面でございまするが、この四表で消費的経費が五七・六%でございましたものが五一・六%ということで、これが減りまして、投資的経費が三七・四%でございましたのが三九・七%にふえておるというようなところで、これまた財政構造がそれだけ健全化されてきているというふうに認められるかと思うのでございます。
その次に、合併に伴いまして、教育施設、あるいは消防施設、厚生衛生施設等の統合整備が、また、支所及び出張所の統合整備ができるというようなことで、それらの関係の経費が節減できて、その資金を効率的に事業のほうに回すことができるようになってきておるということでございます。以上が財政運営の面でございます。
次が、十四ページの五表でございます。行政運営の合理化と行政水準の向上という観点からでございます。これもそこに書いてございますように、新市町村建設計画事業に際しまして、その実施率を見てみまするというと、各費目によって異なりますが、おおむね七〇%から八〇%の実施率を見ておるのでございます。で、まあそれらの結果、町村における行政水準が相当程度向上したというふうに考えられるのでございます。
次は第六表、地方交付税の特例措置でございますが、これは町村合併促進法、あるいは新市町村建設促進法によりまして特別交付税の算定につきまして、合併後毛なお減少しないように特例措置を認めておるわけでございますが、それによってどれだけの特例措置が行なわれたかということを金額的に出したものでございます。普通交付税におきまして千四十六億一千一百万、その次に——御訂正申し上げておりましたか、三十八度年となっておりますものは三十九年度までといたしまして——特別交付税は七十一億八千万でございます。合計いたしますと千百十七億九千百万でございます。
次に、第七表は、国有林野の払い下げの状況でございます。国有林野の所在市町村が千六十六ございます中で、五百三十六払い下げを受けた市町村がございます。
それから第八表は、新市町村建設促進補助金の事業別の額でございます。これもごらんいただきますように、昭和三十一年度から三十五年度まででございますが、ここに書いてございますように、相当の補助金を交付をし、また事業を進歩いたしておるわけでございます。これらを通じまして合併市町村の施設事業が相当程度進捗をし、行政水準も向上したというふうに認められると思うのでございます。
それからいま一つの面は、町村合併によりまして事務処理の面でいろいろな改善が行なわれることになった点でございます。窓口事務あるいは文書事務その他につきまして、いわゆる事務の近代化が行なわれてきております。それとともに見のがすことのできないのは、町村職員の資質が向上されてきております。町村職員が従来は一人の職員でいろいろな仕事をかけ持ちしておることが多かったのでございますが、それぞれ専門的な事業を担当し、そしてまたお互いに相互研修をし合うというようなことで、公務員の資質が向上しておる。さらにまた各特別職、行政委員会の委員等にいたしましても、広い範囲から人材を求めることができるということになりまして、その面における行政能率の向上ということが顕著に認められると思うのでございます。
それから各種公共的団体の総合整理でございますが、これは第十一表でございますが、農協あるいは森林組合、農業協同組合、農業共済組合等、市町村の区域内にございます公共的団体も、合併に伴いまして統合整備されますが、そうすることによって団体の基盤を強化をするということが見られたと思うのでございます。
以上が合併されました市町村につきましてあらわれました成果と認められる点でございますが、さらに、都道府県及び国との関係におきまして、市町村との連絡調整事務等が簡素化、合理化されるようになり、特に町村数が減少されましたことによって都道府県の地方事務所等の出先機関が統合整備されるというような点も見られております。それから府県や国の、町村との間の連絡関係の面におきまして経費の節減も見られる。
大体以上申し上げたような成果があったように考えられるのでございます。
なお、これは御要請によりまして急拠手元にあります資料で取りまとめましたので、さらに町村合併の成果ということにつきましては、もう少し掘り下げた検討も必要であろうかと思うのでございまして、その関係の資料も、現在ある程度収集しつつある状況でございます。とりあえず御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/7
-
008・加瀬完
○加瀬完君 私のお願いをいたしました資料は、ただいまの、町村合併の成果だけでございますが、マイナス面もいろいろあるわけですね。そのプラス面とマイナス面について資料をお願いしたわけでございます。それから町村合併で対立抗争の非常に激しかった地域の抗争の原因、それから現況と申しますか、こういうものを合わせてお願いをいたしたわけでございますが、それらは後日いただくことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/8
-
009・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) マイナス面でございますが、実はまあマイナス面につきましての資料といいますものも、早急に整理いたしかねましたのでございます。また、御質問等ございますれば、承知しております限りにおいて御答弁申し上げたいと存じます。
それから町村合併に伴います紛争の状況でございますが、これにつきましては、その後、私どもといたしましてもできるだけ早く紛争を処理いたしたいということで、県を通じて指導をいたしております。また、越県合併に伴う紛争等、直接自治省といたしましてこの最終的な解決に当たらなければならぬ問題につきましては、私どももその衝に当たりまして、現在のところ大多数の紛争が解決されてきておる状況でございます。特に従来当委員会におきましても御質問のございました全国的に話題をまきましたものにつきまして申し上げますと、越県合併で紛争いたしておりました一つは、栃木県の桑絹村と茨城県の結城市の間の紛争でございましたが、これはだんだん地元におきましても問題解決の動きが高まってまいりまして、最終的には自治省で関係者においでいただき、自治大臣みずからあっせんに乗り出しました結果、これは現状維持という形で一昨年円満に解決を見ております。その後も格別の動きはないようでございます。
それからいま一つは、岡山県の日生町と兵庫県の赤穂市との間の紛争でございましたが、これにつきましても、これは最終的には内閣総理大臣が住民投票を請求することができるケースでございましたが、いろいろ諸般の状況を考えまして、一昨年も両関係団体で話し合いがつかなければ、住民投票を請求をしてでも解決すべき段階になっておるという判断を自治省としていたしまして、そういう決意のもとに関係団体のあっせんに乗り出しました結果、これは日生町の福浦部落が兵庫県赤穂市に合併をするという形で、これも円満に一昨年解決をいたしました。なお、越県合併で、一たん内閣総理大臣の裁定もございまして、法律上は解決を見た形になっておりますが、その後、なお潜在的に関係住民の間で紛争を見ておりますのが、長野県山口村と岐阜県中津川市との間の紛争でございます。この点につきましては、私どもといたしましても重大な関係を持って情勢の推移を見、また、関係者とも適宜会って事情も聴取いたしたりしておるのでございますが、現在なお円満に解決というところまで至っておらない状況でございます。
そのほか、県内におきまする合併で紛争がなお続いておるものも若干ございまするが、これらにつきましては、あるものは住民投票の効力につきまして、現在訴訟に持ち込まれておるものが二、三ございます。しかし、これも訴訟の成り行きもある程度にらみ合わせまして、なるべく早く現地で話し合いで解決をさせるように現在指導をいたしております。あるケースにおきましては、最終的に自治省が間へ入って近く話し合いで解決したいというようなものも出てまいっておる状況でございます。
以上申し上げましたようなことで、全般的に見ますというと、もうほとんど町村合併に伴う紛争も終息に近づいておるというように判断をいたしております。これらの紛争の起こりました原因でございまするが、これはケース、ケースによりまして、いろいろと違った事情がございますが、まあ特に多いのは、一つの町村を二つに分割をいたしまして他の市町村に合併をさせるというような場合に紛争が残っているというようなケースもあるようでございます。それからまた、大多数のものが賛成でございまするが、ごく一部のものがなかなか反対を続けておりまして、一応形の上におきましては話がまとまりましたものでも、なお具体的に争いが残っているというようなケースもあるようでございます。いずれにいたしましても、これらのものにつきましては相当理屈だけではなくして、住民感情がからんでおりまするし、また、この指導の衝に当たっている人たちのいろいろな立場の問題もあるわけでございまするので、それらの事情もよく観察をいたしました上で、なるべくすみやかに争いを終結させるようにいたしたいというつもりで指導しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/9
-
010・加瀬完
○加瀬完君 町村合併の成果というものを、いまるる御説明があったわけですけれども、これは行政能率という点から考えれば成果ですよね。しかし住民の福祉という点から考えて、この表のまま、住民福祉も町村合併によって非常な成果があったとばかりは私は言い切れないと思うのです。特にいま御説明のあった点で私は伺いたいのは、町村合併特に越県合併のような場合は、住民の意思ということだけで、しかし、住民の意思というものも、背景を探れば、行政指導というのが非常に強いのですね。行政指導に基づく住民の意思だけで越県合併というものをきめていいものかどうかという点を、今日の段階においては反省をし直さなければならなくなっているのじゃないか。たとえば、いままでの歴史というものもありますよね。その住民たちがいままでの歴史的な関係というものを十二分に解釈をし尽くして合併という意思を固めたかどうかという点も問題ですよ。それから将来の経済的なあるいは社会的な発展というものを見通して越県合併というものをやったほうがいいか、あるいは過去、未来を通して考えて、これは軽々に住民の意思だけできめられない問題であるとして、十二分に私は検討を要する問題ではないかと思うのです。それを、ただ合併促進法というものの条項に当てはまればそれでいいというふうな形で、もっと言えば、きびしく越県合併のような場合は合併の基準というものをきめておりませんから、問題があとに残って、その表面は、数の上では少ないし、一応問題はおさまってくるようには見えますけれども、この住民の対立感情というものは、なかなか消えるものじゃありませんし、それによって住民の福祉というものが阻害されるということも、はなはだ私は大きいと思う。そういう点がありますし、さらに、今度は合併の、三回目ですか四回目ですか、法律によりますと。もうおやりになるということについては、過去のほんとうの意味の住民のためにならない合併の要因というものを反省していただいて、それから新しい合併法というものを推進をしていただきませんと、どうも便宜的な、手続上の合併ばかり進んでおっては、ほんとうの意味の住民の福祉という点から考えて、地方自治の確立という点から考えて、真の合併というものにほど遠いということに私はならないかと心配するわけでございます。
そこで、あらためて伺いたいのでございますが、合併するというのは一つの手続ですね、どういう合併をさせるのか、初めは、町村ならば一応標準人口は八千というものを押えていたものを、自治法が改正になって、市が五万になった。市は最低の人口というのは五万ということで押えている。しかし、人口だけ押えて、それは基準になりませんね。ここで合併をさらにさせるというのだが、それならば、行政の基準として自治省の考えている町村というものはどんなものか、あるいは市というものはどういうものか、具体的にどういう規模を、あるいは条件を想定してそこに持っていこうと考えているのか、その標準市町村とでもいうべきものをひとつ御説明くださいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/10
-
011・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) まず、初めに御指摘のございました合併につきまして、住民のためにならない合併の要因というものを反省をして促進をしなければいかぬという御指摘でございまして、この点は私どもも深く身にしみて反省をいたさなければならない点だと考えておるわけでございます。したがいまして、今回御提案申し上げておりますのは、かつての町村合併促進法とか新市町村建設促進法のように、積極的に、もしまた話し合いがつかない場合においては、ある程度強権を発動してでも紛争をさばいて合併に持っていこうというような趣旨は全然考えておりませんので、従来ありましたそのような規定は、この機会に町村合併促進法及び新市町村建設促進法を廃止することによりまして、全部打ち切ってまいりたい。そうして、今後は、関係の市町村から自発的に自主的に合併の動きが起こりましたものにつきましてだけ、この法律の定める手続によって、合併がしやすいようにさせていこう、かような考え方をとっておるわけでございます。
次に、お尋ねのございました市町村の標準規模についてどう考えるかということでございます。町村の標準規模につきまして、御承知のように地方行政調査委員会議の勧告におきましては、人口七、八千を標準として町村合併を進めるべきであるということを言っており、それを受けまして、町村合併促進法におきましては、「町村は、おおむね八千人以上の住民を有するのを標準とし、」云々と、こういう規定が設けられ、そうして町村合併促進法のもとに一おきまして行なわれました町村合併におきましては、三カ年間で人口八千未満の弱小町村を解消するという方針で合併計画を立てたのでございます。地方行政調査委員会議が、人口七、八千という最低規模を出しましたときに念頭に置きましたのは、行政事務の再配分によって町村にできるだけ仕事をおろしていこうということで、そのために町村の能力を強化しなきゃしかぬという趣旨でございましたが、その際、町村の行なうべき事務として特に念頭に置いておりましたのは、新制中学校の建設並びに維持管理ということであったと思うのでございます。そのほか、当時の町村の行なうべき事務につきまして、いろいろ検討をされておるわけでございまするが、一番中心にありましたのは、新制中学校一校を、少なくとも町村であるからには、能率的に経営できるくらいの大きさでなければならぬということであったと思うのでございます。しかし、今日、町村合併の動きが起こっております背景となっているものを見てみますと、さらに、町村におきまして、たとえば水道でございますとか、し尿処理でございますとか、あるいはまた常設消防を持とうというようなことでございますとか、あるいは都市計画事業をやる、あるいは産業開発をやっていこうというような、そういうことが、今日、市はもちろんでございますが、町村におきましても重要な住民に対するサービスというふうに考えられてきており、それのために町村の行政をどういうふうに持っていったらいいかということが問題になっておると考えるのでございます。そこで、そうした事務を能率的に処理をしていくという点から考えてみますというと、かつての人口八千程度の町村では、十分こなし切れないということになるのじゃないか。そこで、それを一応最小限度人口八千ということで合併の行なわれました上で、さらに合併をしようという動きが出てきているものと考えるのでございます。しからば、人口はどのくらいがいいかということになるわけでございまするが、この点は、先生もおっしゃいましたように、人口幾らということでもって画一的にきめるわけにはいかないと思うのでございまして、町村合併促進法の第三条の規定は、御承知のとおりでございますが、「町村は、おおむね八千人以上の住民を有するのを標準とし、地勢、人口密度、経済事情その他の事情に照らし、行政能率を最も高くし、住民の福祉を増進するようにその規模をできる限り増大し、これによってその適正化を図るように相互に協力しなければならない。」、かように規定されております。この町村合併促進法でお示しになっております町村の規模の考え方は、私は、今日におきましても変更する必要はないと考えております。ただ、町村合併促進法のもとに行なわれました町村合併は、その中で「おおむね八千人以上」という、とにかく八千人未満の弱小町村を解消しようということに主眼を置いて行なわれておりますので、後段に書いてございますように、「行政能率を最も高くし、住民の福祉を増進するようにその規模をできる限り増大し、」という点につきましては、もちろんそういう観点から行なわれたものもございまするけれども、なお必ずしも全般に十分ではなかった。そういう点が、今日、あらためて町村合併の動きになってきておるのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
しからば、そういう場合におきましては、どのくらいの規模がいいかということでございますが、先ほど申し上げましたように、人口幾らというふうに画一的に言うべきではなくて、ここにも書いてございますが、「地勢、人口密度、経済事情その他に照らし、行政能率を最も高くし、住民の福祉を増進するように」という観点から、これは個々のケースにつきまして、具体的に検討していかなければならないのではないか、かように考えておるわけでございます。そういたしますと、農山村地帯になってまいりまするというと、合併をいたしましたからというて、それらの事務が能率的にできる、また、プラスになるというわけにもこれはまいりまいせんし、そういうところにおきましては、合併をするということを勧奨するつもりは毛頭持っておらないわけでございます。
以上申し上げましたように、町村の規模につきましては、人口幾らということは言えませんけれども、当初、人口八千人ということが定められましたときに、新制中学校の建設ということが一番中心に考えられておった。今日は、上下水道等の環境衛生施設あるいは道路とか産業開発とかいうようなことが、町村においても中心の問題になってきておる。そういうことを念頭に置いて、地勢、社会事情その他の事情に照らして検討をする、かように考えておるわけでございます。
それから、市の点でございまするが、市につきましては、現在、地方制度調査会で事務の再配分の御検討をいただいておりまするが、町村で、いま申しましたような行政事務は、市にも当然あるわけでございまするが、さらに加えて、市の場合におきましては、現在でも、社会福祉の関係の仕事、これは社会福祉事務所が、市は必置になっておりまして、生活保護その他の社会福祉関係の事務は、市は独力でやるというたてまえになっておりますが、こういう方向は、今後ますます進めていくべきじゃないか。それから、たとえば同じ消防につきましても、市につきましては常設消防を・義務づけるというようなことも今後考えていくべきじゃないかというように考えております。さらに、人口が二十五万以上の市につきましては、市議会議長会のほうから、中都市の一つの段階をつくって、もっと県の事務を委譲すべきだという意見を述べておられまして、地方制度調査会の一昨年の答申におきましても、その考え方を取り入れられておりますが、そういう一つの市の段階性ということも考え、そこにおきましては、相当多くの事務を県から委譲するということも考えていくべきじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/11
-
012・加瀬完
○加瀬完君 最初にお願いしておきますが、御答弁をひとつ簡単に願います。いま御説明がございましたけれども、それは自治省なり行政局長なりが考えていることで、今度の合併を進める一つの基準として、町村はこういうもの、市はこういうもの、事務再配分はこういうふうにするという固まったものは何もないわけですね。町村合併というものは、現地が非常に要望をいたしましたのは、財政局にも行政的にも非常に不満足な状態にございますから、町村合併というものを進めるならば、行政的にも財政的にも裏づけができるのじゃないかという大きな希望を持ったわけです。ところが、町村合併をやってみたけれども、何のための合併なのか、合併させてこうさせるのだという話もいろいろありましたけれども、そのこうさせるのだという希望が、こうなったという形になっては、具体的にあらわれておらない。そういうことを繰り返してきたわけですね。ですから、今度合併を進めるというなら、どうするのだということをはっきりさせてもらうとともに、いままでの合併をさせた市町村に、合併の目的というものを具体的に肉づけをしてもらわなければ困るのですよ。単に中学学校の統合や中学校の建設や維持管理のためにだけ合併したわけじゃないのです。そういうこともあったかもしれませんが、それは一部分です。合併の目的というのは、もっといろいろの大きな希望というものを持っておった。やってみたら、ゼロかける幾らで結局ゼロ、どうしてくれるのだというのが極端に言えば現地の声ですよ。合併はいたしました、何にもないじゃないか、どうしてくれるのだ。どうしてもくれておらないじゃないですか。投資的経費がふえたとかなんとか言いますけれども、これは国の政策で高度成長政策というのをとったから、つられて地方も投資的経費がふえたにすぎない。町村合併をやったから財源が豊かになったということではないのですよ。それで投資的経費が非常にふえたということではないですよ。どうも合併をさせても、合併の目的といいますか、合併の利益というものが、はなはだしくあいまいだと思うのですよ。ですから、その合併の成果だけではなくて、合併のマイナス面は何だということを私はくどく聞いている。合併して因っているところがたくさんあるでしょう。たとえば南北二十キロもあるようなところが合併して、御指導によりまして中学校をつくりまして、山の手の炭焼きの子供と海岸の漁師の子供と一つの学校へ、片道十五キロもあるところを通わせておる、問題が起こるのは当然でしょう。そういう問題が所々方々に起こっておる。町村合併というのを進めるなら、町村あるいは小都市の市も含めて、完全に自治体の運営ができるような少なくも財源の心配をまずしなければなりません。財源の心配を、新しく市町村合併したからといって、しているわけじゃないでしょう。ただ、もらえる交付税をもらえない条件になったから、当分の間くれてやろうかということが関の山です。そうでなくて、新市町村ができたのだから、新市町村を運営できるところの財源はこういう形で与えてやるのだ、あるいはこういうように自己財源が集まるように税源配分を考えた、あるいは自己財源を与えた、こういうものが一つもないのですね。ですから、これから合併を地方で希望してするなら、それを私は反対するわけじゃございませんが、国としては、いままで合併促進法をつくって合併させた市町村に対する責任というものをまず明確にしていただかなければ……。それを明らかにしていただかないと、私は、また合併いたしますよと言っても、はいさようでございますかとは賛成するわけにはいかない、いま前に申し上げた点について、ひとつお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/12
-
013・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘の点は、いろいろと私どもも考えなければならない点と思っておるわけでございます。で、前回にも町村合併促進法のもとに行なわれました合併の際におきましても、減らすべきものを減らなくするというだけではございませんで、たとえば合併交付税におきまして合併補正を行ないまして、合併することによって一体化するためにいろいろな事業をやらなければならぬというようなものにつきましても、特別な配慮をいたしておりましたし、また、地方債の配分にあたりましても、合併によってよりよくなるための積極的な面の事業につきましても相当な配慮をいたしてまいったわけでございます。今日ほとんど全国各市町村が、もうすでに合併町村だという状況になっておりまするので、そうした合併をしたところについてだけ特別な配慮をするということは、一般的にはいたしておらないのでございまするが、ただいま御指摘のような点は、今後の財政運営上やはり考えていかなければならない点というふうに存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/13
-
014・加瀬完
○加瀬完君 弱小市町村が非常に多かったので、これを一応合併をすれば行政的にも財政的にも自治体として確立するんじゃないかという一つの見込みで町村合併をさしたわけですね。ところが、町村合併させて、その町村合併をしないような町村はないというような現況においても、かつて弱小町村であったときと財政状態に非常なプラスの変化があったかというと、あまりないんですね。あまりないですよ。ですから自治省としては、市町村合併というものを進めるということだけの方法では、市町村の自治体というものは強化されるわけにはいかないという結論がもう出ていいわけですね。だから市町村合併を進めて、それだけでは解決がつかなかったのだから、今度は国の施策として財源をどう与えるか、あるいは事務再配分をどうするか、こういう問題を積極的に打ち出さなければ、これは初めの町村合併促進法の、住民の福祉を進めたり、地方自治権を確立したりという目的にはそぐわないわけです。ですから、私は手続法ばかりきめますけれども、手続じゃなくて、その内容です。市町村合併をやってみたけれどもうまくいかないのは、財源の問題があり、事務再配分の問題があるのだから、これをどうするのだということを、なぜ自治省は打ち出してくれないのか、これは打ち出すべきじゃないか、そういう責任もあるんじゃないか、それはさっぱりおやりにならない、そうではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/14
-
015・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私どもも、ただ合併をするだけで事が終わるというふうには考えておりませんで、合併はいわば一つの土俵をつくるわけでございまして、その土俵の上でどういうような相撲を取らせるかということにつきましては、これは御指摘のように財源の問題があり、あるいはまた事務再配分の問題があり、そうした肉づけをしていかなければならぬという点につきましては、全く同様な考え方で努力をいたしてまいっておるわけでございます。まあ事務の再配分につきましては、現在地方制度調査会で、市町村にもっと事務を強化するというような方向で御検討を願っておりまするし、それに対応するように財源の配分につきましてもあわせて御検討をいただくようにいたしておるわけでございます。そういう御指摘の点につきましては、十分念頭に置いて努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/15
-
016・加瀬完
○加瀬完君 これは財政局長に聞かなければならない問題かもしれませんがね。新産都市というものをつくった、あるいは工業地域整備促進法ですか、こういうものをつくって、一応新産都市に準ずる方法を考えた、私どもはこういう法案のときに、新産都市というものをつくっても、新産都市の財源というものを国が保証してくれるのか、それが地方に肩がわりをされたり、地方の過重負担になったときは、新産都市はできないのだ、ましてこれを交付税の傾斜配分でやるなんということになれば、今度は他の地域、新産都市でないところが財源を失うことになって、これはさらに地方のアンバランスを生ずるもとになる、財源はあるのかということをしつこく聞いたわけでございますけれども、財源は国で保証するという答えでありながら、今日の状態で新産都市が行き詰まっておる。われわれ心配したように、今度交付税の配分で新産都市の補助をするとか。新産都市という法律をつくっても、工業地域の促進法というものをつくっても、財源というものを確実に与えてくれるという裏づけがなければ、市町村は動きがとれないですよ、どうやったって。ですから、今後考えるとか、答申を待つとかということでなくて、自治省そのものが、市町村合併をやったってどうにも財源に困っている。自治大臣は、給与が非常に高いなんということを言っているけれども、市町村なんかでは国家公務員の給与より低い方が大部分でしょう。去年ようにベースアップなんかが途中であったら、どうにもならないでしょう。しかも、今度住民税のただし書きが廃止されるというようなことになったら、一応の見込み財源も非常に少なくなってきますよ。だから、財源でなくなっちゃっているような条件において合併をしなさいと言ったところで、市制をしきなさいといったところで、これはもう地方自治権も拡大されなければ、住民の福祉にもならないでしょう。で、この財源は省の中で問題にならないんですかね。こういう促進法なんか何回もおやりなにっているけれども、財源をどうするかということは問題になってこないんですか。具体的に問題になってこないなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/16
-
017・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 財政の関係は、所管ではございませんけれども、先生のおっしゃいますことは、私どももそのとおりと思っているわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、現在ほとんど全部が合併市町村でございまするから、今日、町村における財政の苦しい問題は、これは合併に関連しての問題というよりも、町村財政全般の問題ではなかろうかと思うのでございす。したがいまして、自治省といたしましては、地方公共団体、特に市町村の財源強化ということにつきましては、従来から非常に努力をいたしてきているところでございまするし、もちろんその点につきましては、省内におきましても、予算要求の際におきましても十分検討をいたしておったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/17
-
018・加瀬完
○加瀬完君 くどいようですけれども、合併促進法が出るたびに、一体この目的は何だと聞くと、住民の福祉を推進して地方自治を確立するんだと、こうおっしゃる。市町村の現場で、住民の福祉が十分に推進ができない、あるいは地方自治が確立されない原因は何だというと、財政の裏づけが非常に希薄だとおっしゃる。これは私は当たっていると思うんです。それならば、合併促進法なんというものを取り上げるときには、現在の合併された町村、市も含めてですが、地方財政というものをどう確立させるか、財源の裏づけをどう与えていくかということを考えていただかなければ……。問題になりますと、将来はそういうふうにはかりましょうと、私のほうの直接所管ではございませんというだけでは、これは済まない問題だと思うんです。済まない問題だと思う。無責任きわまりますよ。合併促進法というものは何回おやりになりましたか。何回やったって一つも効果が上がらない。財源はたな上げ、行政の事務配分もたな上げ。私は、たびたび指摘をするわけですけれども、国の委任事務をやっておって、いいところで六〇%くらいでしょう。ひどいのは四分の一くらいしか国は負担をいたしません。一〇〇%負担をする義務がありながら、二四・六%なんというくらいの負担しかしないような国の事務を市町村に思い切ってぶっかけておいて、それで、相当財源も持ち出し財源が多いし、財政負担が重いのだから財源の配分を考えようという方法もとらない。市町村というのは国の下請機関ではないんですからね。しかしながら、現在は下請機関よりもまだ悪い。事務は国の事務、財源はお前のほうで持て、こういうことを繰り返されているんでしょう。こういう問題を解決しないで、町村合併を幾らやったって、これはナンセンスですよ。住民の福祉はますますはばまれ、地方の自治権を伸張するについてはますます財源が枯渇をするということが、ただ繰り返されるにすぎないです。どうも合点がいきません。町村のために合併促進法というものをおやりになるならば、現在合併して困っている合併町村の財源を、あるいは事務を、もっと市町村が立っていくように確立をする裏づけをしていただかなければどうにもなりませんよ。これはまあ局長に伺うのは無理かもしれませんけれども、なんならば、問題をとっておいて大臣に聞いたっていいですよ。これは局長だってあれでしょう、私の申し上げていることには、これは反対だと言うわけにいかぬでしょう。お認めになるでしょう。これは市町村の声です。どうでしょう、御感想だけでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/18
-
019・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) るる御指摘をいただいております御趣旨につきましては、私も同感でございます。ただ、先生のお話で、従来の町村合併が町村の住民の福祉の上にそれほどプラスになっていなかったとおっしゃいます御指摘につきましては、私どもといたしましては、それは個々のケースによりましては、うまくいっていなかったこともあったかと思いまするけれども、全般的に申しますると、町村合併前よりも町村合併後のほうがかなり財政的にも運営がしやすくなり、そしてまた、住民の福祉のためにも寄与してまいっておるというふうに考えておるわけでございます。しかし、御指摘のように、なお財源付与の点で十分でない点があったじゃないか、あるいはまた自治権強化という観点から、事務の配分の面でいろいろ未解決の問題があったじゃないかということをおっしゃられますと、その点は私も同様に考えておりまするし、その点につきましては、今後さらに努力をしてまいりたいと、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/19
-
020・加瀬完
○加瀬完君 こだわり過ぎますけれどもね、局長は、さっき、町村合併の最初のねらいは行政の再配分、特に中学校の建設あるいは維持、管理というような問題が一つの目的であったという御説明がございましたね。これを押えても、中学校の維持や管理、あるいは建設という目的を達するために、町村合併というものを進めたほうがいいのか、それとも、いまのような、当然法律的に補助の対象になっておりながら、その七五%なり八〇%なりしか補助をしない、敷地関係につきましては全然補助の対象にしないと、こういうふうに法律を変えたほうがいいかということになりますれば、むしろ市町村なんか小さくたって大きくたって、財源さえ与えてくれれば、りっぱな中学校が建ちますよ。維持、管理も自由ですよ。国が当然行なうべき義務というものを怠っておって、市町村合併というような、形を変えた自治体をつくって、それに転嫁をさしてきておったというのが事実ですよ、これは。それはプラスの面も全然ないわけじゃありません。ありますよ。市役所だとか町村役場だとか、こんなものは起債なんかべらぼうにやって、ずいぶんりっぱにさしていますよ。必ずしもマイナスばかりでもないかもしれませんね。しかし、焦点が少し違うでしょう、焦点が。住民が望んでおるような福祉の増進というものは、市町村合併によってどれだけ進みましたか。さっぱり進まないでしょう。これを見たってね、平均はこうなりますよね、投資的経費。個々の町村が全部伸びているというわけにいきません。特に貧弱町村の合併したところなんかは、赤字がかえって固まったような形になって、身動きがとれないというのが現状ですね。村有財産なんか持って、村有林なんか持って、合併しなければわりあいに村の財政としては豊かであったといったような山村なんかがある、無理に合併をしてしまって、市町村財産は、何か、もとの入り会い地みたいな形になってしまって、市町村財産でなくなったりなんかしてしまって、かえって市町村財政は苦しくなったというようなところもないわけではないですね。財源というものをもう少し確立させるという形で合併を進めてくれる合併でなければ、私は全く無意味だと思うのですよ。しかし、それは意見になりますから、差し控えまして、次の問題に移ります。
合併促進法をここでもう一回出すというなら、そういった財政の面をはずしても、行政の面でも、合併はしたけれどもこのような問題点が残っているという、いわゆる合併の後遺症みたいなものが幾つかありますね。たとえば、一つの部落が分裂をしてしまって、鎮守様の祭りを、町村が二つに分かれてしまったから二つに分かれてやると、おれのほうはA村だとか、おれのほうはB町だといったために、一つの道も境にできなくて、各家の屋敷内をジグザグに町村の区域を割ったり、あるいは飛び地が残ってしまったり、左右の町村から合併をすすめられて、どっちにも行けなくて貧弱町村がぽつんと一つ残されたままに残っておったり、それから選挙区だけは飛び離れた他の地域と一つになって、生活や経済の基盤の周囲というものは全然これは行政区域の違うところになってしまっておる、一種の飛び地みたいな、こういう問題がたくさん残っていますね。そういう問題を、このような法律を提案をするというならば、一挙に解決するような方法をどうしておとりになれないのですか。おとりにならなくていいんですか、このまま残しておいて。農地なんか困るでしょう。いまの人はいいでしょう。代がかわったときに不在地主になりますね。そういう問題が起こってくる。変な町村合併の結果、町村合併の後遺症として残ってしまった問題点が幾つかあるわけですから、こういうものは行政指導ということだけではなかなか片がつきません。行政指導で片がつくくらいなら片がついている。法律の手続で一挙に解決するという方法をおとりになる必要はないんですか。また、なぜ今度こういうときに中へ加えていただけなかったんでしょうかね。この点、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/20
-
021・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先ほど私の申し上げました点について、ちょっと補足させていただきますが、前の合併は新制中学校をつくることが目的でやったというふうにおとりのようでございますが、私の説明が足りませんでしたが、人口七、八千という基準を出したのは、少なくとも新制中学校一校ぐらいは、町村であるからにはなきゃいかぬというところから、この数字を出したという意味で申し上げたわけでございます。
それから、ただいまのお尋ねでございまするが、合併の後遺症ともいうべき問題が、おあげになりましたようにありますことは私どもも承知をいたしております。今回の法律を提案いたしますときに、そのような合併に関連して起こっております問題につきましても、一とおり検討はいたしましたけれども、今回の法律案は、ただ最近起こっております合併の動きについて、市の合併の特例の法律案の対象になっておらない、あるいはまた新産都市や工特の地域内になっていないということだけで合併に関するこの法律の適用が受けられないということでは、いかにも不公平ではないか。その点を解消しようという最小限度のものに考えて御提案いたしたわけでございまして、御指摘のような問題点につきましては、今後引き続き検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/21
-
022・加瀬完
○加瀬完君 まあこの法律案の提案の御説明を承りまして、御趣旨はわかります。しかし、こういうものを出すならば、むしろその必要以上に、かつて進めた町村合併の後遺症の問題というものを解決するということのほうが先じゃないか。他の委員からも御指摘のございました、たとえば人口三万でも一応市に昇格させる。昇格というのはおかしいけれども、市にするという手続法を一時認めたことがございましたね。それなら、また、四万で市になるという問題も、この合併促進をするならばやはり取り上げられていい問題じゃないかといったような、前の合併促進法によって何かそこに未解決のまま問題として残っているような点をまず取り上げて解決をするということのほうが先じゃないか。そのつどそのつど、要求があったり必要があったりするものだけを手続法としてぽんぽん片づけていくから、残ったものは積もっちゃって、そこに矛盾相克を生ずるわけですね。まあ他の委員のおっしゃったことばをお借りして恐縮ですけれども、前に二、三万で市ができて、今度四万で市にできないというのはどういうわけだ。これも理屈ですよ。手続法で便宜的にやっていくものならば、取り上げたほうがいいという便宜性を認めれば、取り上げてしかるべき問題ですよ。そういう問題がたくさんある。それを当然今度の手続と一緒にやはり手続をおつくりになっていただけなかったものか。そのほうの解決のほうが先決じゃないか。こういう私は趣旨なんですよ、伺っておりますのは。ですから、無責任だと言うのですよ。だから、悪いマイナスの点を出せと私が申し上げたのに、マイナスの点は一つも考えないで、プラスの点だけ考えて、またプラス、プラスとこうやっているけれども、それは意図としては当然ですけれども、しかし、作用があれば反作用もあるのですから、合併という作用があれば反作用でマイナスの面が残っているのですから、そのマイナスの面というものをやはり救っていくということも、行政当局としては当然打たなければならない手じゃないか。それが打たれておらないので、先ほど申し上げたような点もなぜ取り上げていただけなかったかと申し上げておるのです。たとえば、質問がくどくどと長くなって恐縮ですけれども、選挙区の問題なんかも、それは選挙関係にとおっしゃるかもしれませんけれども、選挙関係ということになると、この飛び地は隣の市町村に一緒にして選挙をやったほうがいいという条件のところもあれば、飛び地は飛び地として残しておいたほうがおれの選挙には得だという、同じ条件でも選挙ということになれば、利害は必ずしも一致しないわけですよ。ですから、選挙関係の、何と言いますか、その選挙区の問題で解決をしてもらおうと思うと、同じ条件のところが離れたり一緒になったりして客観的には統一性がなくなってくるわけですね。むしろこれは行政局の管轄の範囲内で解決をしたほうが私は妥当だと思うのですよ、一例をあげれば。こういう点は、それじゃ将来考えて法律をお出しになるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/22
-
023・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘の点はまことにごもっともな点でございまするし、私どもも飛び地の解消、それからまた選挙区ということが非常に不自然な形態になっておるという点につきましては、将来これを解決するための何らかの方策を検討しなければならぬというふうに考えております。法律を出すかどうかということにつきましては、よく検討をいたしました上で、要すればそのような措置も考えたいということで、今後ひとつ研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/23
-
024・加瀬完
○加瀬完君 それから行政規模がふくれ上がったというお話しでございますけれども、住民負担は町村合併の前後でどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/24
-
025・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんが、調べまして、この次に御答弁申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/25
-
026・加瀬完
○加瀬完君 この法案の中にも前と引き続いて、新しく合併をいたしましても住民負担が前の自治体のときの住民負担を越えないようにという配慮がございますね。しかし住民税などは、今度は四十年度からは大体統一といいますか、画一になるわけでしょう。ですからA町村とB町村で住民負担が非常に変わるということはないわけですね。そのほかそうすると固定資産税とか県税まで含むのですか——県税は関係ありませんね。固定資産税みたいなものは、前の市町村のかけたのと同じということになるのですか。しかし、大体これはそう固定資産税なんかは町村によって違うということないでしょう。違うべくして違うのは当然ですよ。しかし町村の考え方で、同一条件でありながらはなはだしく違うというようなことはないでしょう。どういうことですか。これはどこを同じにするということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/26
-
027・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) あるいは御質問の意味を取り違えておるかと存じますが、合併をすることによりまして関係の市町村の間におきまする従来の税負担が、将来におきましては、これはまあ均等化されなければならぬということは申すまでもございませんが、急激にそれを統一をするということにつきましては、第七条の規定によりまして、避ける措置を講じておるわけでございます。内容をどのように考えていくかにつきましては、個々の市町村の判断にゆだねることにいたしておるわけでございます。なお、まあ一般に合併をいたしましてから、必ずしも住民の負担が軽減もしていないというような御指摘がございまするが、これはまあ一つには町村の行ないまするいろいろな事業との関係もございまして、住民の福祉のためにいろいろな施設をつくったり事業をやっていくということになりますれば、その関係で住民の負担が増高するということは、これはまあ当然のことかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/27
-
028・加瀬完
○加瀬完君 逆戻りになりますけれども、住民の負担によって投資的経費なりその他の行政的経費なりがふえたということならば、これは町村合併をしたための利益ということにならないわけですね。それは別として、この前問題であったのは主として住民税ですよ。住民税がただし書きオプション二ですか、三を使っておるところと、それから第一方式を使っておるところでは非常に違いがありますので問題が起こったのです。今度は大体一つになる。税率も大体そろうでしょう。そうなってまいりますると、この前の条項というのは、四十年度以降というのはあまり問題にならないのですね。これは御担当ではございませんから、税務関係の方とよくお打ち合わせをして、あとで具体的に、この条項を残しておいてどういう効果があるかどうかお答えをなすってくださいませんか。
それから町村合併によっていろいろの有利な条件というものを与えたわけですよ。まあただいまの御説明でも、国有林野の払い下げ状況がございますね。どれだけ払い下げられたかということはわかりました。しかし、この間、払い下げ申請はどのくらい出ておるでしょう。それで決定したのはその何%くらいの率になるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/28
-
029・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまの資料は、ただいま手元にございませんし、これは調査をいたしますのに少し日にちがかかるかと思いまするので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/29
-
030・加瀬完
○加瀬完君 私の聞きたいのは、大体四万町歩ぐらい払い下げたことになっておりますけれども、これは申請をしたほんの一部分だろうと思うのですよ。申請の町歩、面積というものは相当膨大なものじゃないか、それに対して払い下げをしたものというのはそのほんの一部分ではないか、そうであるとすれば、合併促進法で国有林野を払い下げをするということに政府も協力をすると言ったことは、何分の一かしか協力をしないということになるのだな。それから、その他相当国有財産がありますね。元の軍用地でありますとかあるいはそれに準ずるものとかいった相当国有地がある。これを払い下げて市町村に使わしてもらえば、市町村の財政面でも有利なものがありますけれども、こういう払い下げの申請状況、あるいは払い下げの許可状況というものはおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/30
-
031・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまの点もどうも正確な資料を持っておりませんが、おおよそどのような状況になっておるかということにつきましては、ひとつ関係の省庁に照会をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/31
-
032・加瀬完
○加瀬完君 この最初の合併促進法でいろいろなプレミアムをつけておりますけれども、必ずしもプレミアムが現実化されておらないのですよね。たとえば郵便局、集配局の統合あるいは電話なぞの統合、こういう問題も解決をされておるほうが少ないじゃないか。同一市町村であって、通話区域を——大都市は別ですよ。いわゆる町村合併をすることによって通話区域を一つにしてもらいたい、それはよろしいということであった市町村が、現在通話区域も配達区域もばらばらになっておるというのが多いでしょう。その他の行政庁の管轄の範囲も、市町村合併のときに要求されたような条件は実っておらないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/32
-
033・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまの電話局の統合の点でございますが、これは本日お配り申し上げました「市町村合併に対する国の助成措置」というプリントがございますが、それの一番最後の五ページに書いてございます。昭和三十年度から昭和三十八年度末までに対象になります局が四千五百四十二局ございますが、そのうち三千六百八十局につきましては実施をしております。未実施のものにつきましては、いろいろな事情があるようでございまするが、この点につきましては、私どもといたしましてもさらに推進するように関係当局のほうに強力に要請をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/33
-
034・加瀬完
○加瀬完君 それで、今度の市町村の合併の特例に関する法律の中には、いま言ったような、たとえば電話局の区域の統合、統一でありますとか、あるいはまだ未解決の国有林野の払い下げの問題でありますとか、こういったような問題を積極的に処理をしていくというものは、内容としては含まれておらないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/34
-
035・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 電話局につきましては、この十三条の「国、都道府県及び公共的団体は、合併市町村の建設に資するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という規定の中の「公共的団体」は、主として電話局を考えておりまするし、従来もそういうことで関係当局に協力を求めておりますので、引き続きやってまいりたいと思います。
それから国有林野の払い下げの規定につきましては、今回は落としましたが、今回の法律の趣旨が、積極的に合併をまあやれやれと推進をするということは、いたしませんで、自主的に合併をやろうというものにつきまして合併がやりやすいようにしてやろうと、こういう趣旨でございまするので、非常に積極的な促進的のにおいの強い規定といたしまして、いまの国有林野の規定は落とすことにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/35
-
036・加瀬完
○加瀬完君 まあ都道府県の境界を越えて合併をする町村がもしあれば、それを除外するわけにはまいりませんね。今度の法律は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/36
-
037・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/37
-
038・加瀬完
○加瀬完君 そういうものはないと思いますけれども、この都道府県の境界を越えての合併については、もう少し合併基準というものを私はきびしくしていただかなければならないと思うのです。この委員会でも長野の山口村ですか、問題になったこともございますが、合併基準というものをきびしくすれば、ああいう紛争というのは起こらないですね。まあ同じ都道府県の中にあれば、都道府県の当局が相当仲介あっせんということが可能ですけれども、県境を越えての合併ということになりますと、なかなかそういう形にはなりませんし、自治省がおやりになるとか総理大臣がおやりになるとかいっても、これは現状に最も迂遠なものが解決をはかることになりますから、形式的にいえば。よく実情を知っているものが対立抗争でこれは手が握れなくて、遠くのものが解決をはかるということになれば、実情にうといものがどうしても解決の責任者ということになりますので、問題の解決点というのは本質をつくかどうか問題が残るのですよ。今度は一応対象として考えられているところでは、県境を越えてのそういう問題はございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/38
-
039・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 一とおり各県から非公式に報告を求めたところによりますると、そのようなケースはございません。
なお、今回はあくまでも自主的合併を対象にいたしておりまするので、越県合併の場合におきましては、関係市町村、関係都道府県の議会がそれぞれ同意の議決をいたした上で知事が処分するということになりまするので、お話しのようなケースは起こり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/39
-
040・加瀬完
○加瀬完君 もう一つ伺っておきますがね、この人口三万程度であっても、これを支持するというときには、いわゆる連檐戸数の六割とか、その他高等学校がなければいけないとか、警察署がなければいけないとか、保健所がなければいけないとか、いろいろな府県の条例などがございますけれども、こういうものはずいぶん大目に見られましたね。今度の合併なんかの場合も、連檐戸数といったようなもの、あるいは高等学校とかその他の、市に必置をさるべき公共機関といいますか、こういったものの条件というのは、この前のような形で緩和されて取り扱うということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/40
-
041・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 前回の場合におきましては、合併を促進することを主眼にいたしておりましたので、そのためには、市になります要件の取り扱いにつきましては、多少ルーズと見られるような節があったことは事実でございまするが、今回は合併を積極的に促進するために市をつくろうというような考えはございませんので、市の要件につきましては、前回のようにルーズな取り扱いをするということは避けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/41
-
042・加瀬完
○加瀬完君 もう一つ。町村合併ではございませんけれども、実質的には町村合併と同じような結果を生じている現象があるわけですね。これは東京の近郷の団地の造成ですよ。人口三万ぐらいのところに人口二万ぐらいの団地あるいは二万五千ぐらいの団地ができるわけですね。そうすると、これは人口の状態からいえば町村合併と同じようなことなんですよ。しかし、これは市町村合併そのものも財源的に十二分な裏づけがないわけでございますけれども、町村の中に入ってくる団地は、もっと何ら市町村に対する財源の裏づけがないわけですね。ほとほとこれは困っておる。東京近郷の府県では団地お断わりだというような知事の声明まで出るようなことになってしまった。しかし、団地が来なくたって人口増というのは、はばむわけにはいかぬでしょう。これは団地よりも団地でないものの人口の増のほうが多いのですから。こういう東京の過密化のあおりを食って、自分自身の市町村が過密化の傾向に取りつかれているような人口移動の受け入れ側に立っておる市町村に対しまして、財政的な有利な取り扱いというものをお考えになられておりますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/42
-
043・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 団地の問題は合併と直接関連はございませんが、団地が来たことによって関係市町村の財政需要が増高する場合におきまして、これを特別な財政需要といたしまして特別交付税で配慮するということを自治省といたしましてはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/43
-
044・加瀬完
○加瀬完君 特別交付税ではないわけですね、ほんとうは、性格的には。特別交付税というのは何か臨時的な一つの現象をとらえることなんでしょう、主として。ところが、これはもう来てこれから永住するわけですよね。毎年毎年同じような団地開設のときと、それからこれを維持管理していくときとは違うにいたしましても、町村合併と同じことですね、二万なり三万なりの人口がどかんと来て、それが市町村の行政のワクの中に入るのですから。千葉県の松戸市は二十三年の人口が四万でしたね。今日は十五万です。で、またさらに四十二年度完成を目途に三万の団地ができるわけですね。こうなってまいりますと、三万といったら昔の市ですね。それが市町村の意思にかかわりなくそこにつくられるわけですね。しかし行政費用は団地は団地でまかなってくださいというわけにもいかないわけです。こういうものは、特別交付税ではなくて、何か別の財政的な措置というものを考えていただかなければどうにもならないわけですね、町村合併をしたところで。町村合併した吸収した町村よりも、来た団地のほうが人口がよけいだし、要求も激しいということになれば、合併した町村なんかはそばづえ食って何にもならないですよ。合併したいろいろな約束なんかというものはほごだ。そういう間接的には現象もございますので、この点は省の御会議の中にでもひとつ取り上げていただいて、別な機会に自治省の対策をお聞かせいただきたい。一応これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/44
-
045・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまの点はそのように取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/45
-
046・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/46
-
047・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 速記をつけて。
本案についての本日の審査はこの程度にいたします。
次回は三月四日木曜日午前十時に開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01019650302/47
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。