1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月九日(火曜日)
午後一時十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 天坊 裕彦君
理 事
西郷吉之助君
竹中 恒夫君
林 虎雄君
委 員
井川 伊平君
斎藤 昇君
高野 一夫君
和田 鶴一君
加瀬 完君
鈴木 壽君
松本 賢一君
二宮 文造君
市川 房枝君
衆議院議員
発 議 者 安井 吉典君
国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省財政局財
政課長 岡田 純夫君
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本日の会議に付した案件
○石油ガス譲与税法案(内閣送付、予備審査)
○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(衆議院送付、予備審査)
○市町村の合併の特例に関する法律案(内閣提
出)
○地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
出、第四十八回国会衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/0
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001・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。石油ガス譲与税法案を議題といたします。提案理由の説明を願います。吉武自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/1
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002・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) ただいま議題となりました石油ガス譲与税法案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
本法案は、地方税法の一部を改正する法律案と同様、今次地方税制改正の一環をなすものとして立案されたものであります。その目的といたしますところは、今国会に提案されております石油ガス税法による石油ガス税の収入額の二分の一に相当する額を石油ガス譲与税として都道府県及び指定市に譲与することによりまして、これらの地方団体の道路財源を充実強化するところにあります。
御承知のとおり、石油ガスをその燃料とする自動車は、昭和三十七年の後記ころからタクシー用を中心にしまして急激に増加してまいったのでありますが自動車用燃料としての揮発油及び軽油に対しては、揮発油税及び地方道路税または軽油引取税が道路目的財源として課税されているにもかかわらず、同じ自動車用燃料としての石油ガスに対して課税が行なわれていないことは、負担の均衡を失する等の意見がつとになされていたのであります。
過般、政府の税制調査会におきましても慎重にこの問題を検討された結果、自動車用燃料としての石油ガスに対して相応の負担を求めることが適当であると答申されたわけであります。
この答申に基づき、さらにまた、昭和三十九年度を初年度として策定されました道路整備五カ年計画による道路整備事業費の増加状況等を勘案いたしまして、国税として創設されることとされております石油ガス税の収入額の二分の一に相当する額を、石油ガス譲与税として都道府県及び指定市に対して譲与することといたしたいと考えたものであります。
これが今回石油ガス譲与税制度を設けようとする趣旨であります。
以下この法律案の具体的内容を簡単に御説明申し上げます。
第一は石油ガス譲与税の額でありますが、すでに御説明いたしましたように、石油ガス税の収入額の二分の一に相当する額とし、これを都道府県及び六大市に譲与するものとしております。昭和四十年度は初年度であり、昭和四十一年一月から石油ガス税を課税することとされておりますので、譲与する額は、四億円程度となりますが、平年度におきましては三十五億円程度となる見込みであります。
第二は譲与の基準でありますが、それぞれの都道府県及び六大市の区域内にある国道及び都道府県道の延長及び面積に案分して譲与するものといたしております。なお、この道路の延長及び面積につきましては、道路の種類、幅員による道路の種別等によって、これらを補正することができるものといたしておるのであります。
第三は譲与時期でありますが、地方交付税の交付時期との調整をはかりまして、地方道路譲与税と同様、八月、十二月及び三月とし、それぞれ原則として各譲与時期の前四カ月間に収納した石油ガス税の収入額の二分の一に相当する額を譲与することにいたしております。第四は石油ガス譲与税の使途であります。すでに制度創設の趣旨で御説明いたしましたように、石油ガス譲与税は、道路に関する費用に充てなければならないものといたしております。
以上石油ガス譲与税法案につき、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、これらのほか、石油ガス譲与税の会計につきましては、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がありますので、別途関係法律の改正案が用意されております。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/2
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003・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/3
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004・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(衆第五号)を議題といたします。
提案理由の説明を願います。衆議院議員安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/4
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005・安井吉典
○衆議院議員(安井吉典君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は相変わらず低い状態に置かれております。特に物価高を背景として、社会保障の飛躍的な拡充が望まれるところであります。
さらに、最近における医療費の急激な増加は、各種共済組合の財政収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくさせており、このまま放置するならば、医療保険は崩壊の危機に追い込まれるのであります。また、老後の生活安定のための年金保障制度の確立は、今日、労働者の切実な関心となっているのであります。
このときにあたり、国は社会保障の立場から強力な財政措置を講ずる必要があると考えるものであります。
すなわち、まず第一に、組合員の掛け金及びこれに見合う使用主負担の財源だけで運営されている現在の保険主義の原則を改め、大幅な国庫負担の導入により共済組合の社会保障的性格を強める必要かあります。イギリスに例をとれば、国民保険事業に要する費用の七六%――国六八%、地方八%――が公費負担であり国民の生命と健康の管理には巨額の予算が組まれております。いやしくも政府が福祉国家の実現を政治スローガンとする限り、医療保障に対する国の財政的裏づけを強化すべきことは当然であります。
第二は、大幅国庫負担の導入つまり社会保障主義の拡大をはかりつつ、ばらばらの各種医療保険を高い給付水準で統合し、医療サービスの格差と不均衡等を是正することでありまよ。政府は、医療保険の中核たる政府管掌健保に薬代半額本人負担を実現し、このようにして押し下げた水準で全体の統合調整を強行しようとしております。われわれは、医療給付水準切り下げの統合調整構想は不当であり、今日必要なことは働く者の医療保障を前進させる高い水準での制度統合であると考えるものであります。
以上の立場から、特に医療費増高の事態に対処して、さしあたり共済組合短期給付に重点を置き、当面する退職一時金の任意選択権の問題を含めて、本改正案を提出することといたした次第であります。
次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
第一は、地方公務一等共済組合法等の一部改正についてであります。
すなわち、共済組合短期給付に要する費用につき、新たに社会保障の立場から、国庫は二割相当分を負担することとするものであります。これにより、地方公務員等共済組合法に基づく組合につきましては、国の負担金二割、地方公共団体の負担金五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。
第二に、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法の一部改正を行ない、年金通算と退職一時金のいずれかを選択することができる権利の制限を男子について二年間延長することといたしております。
なお、本法律案は、地方公務長等共済組合法の改正部分は昭和四十年四月一日から、地方公務口等共済組合法の長期給付等に関する施行法の改正部分は公布の日からそれぞれ施行することにいたしております。なお、選択制度の期間延長は、現行法の定める期限の到来した日の聖日からこの法律の施行の日の前日までの間に退職した男子についても適用することといたしております。
以上、本法律案の提案の趣旨及びその内容の概要を申し述べました。
何とぞ慎重御再議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/5
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006・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案について質疑は後日に渡りたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/6
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007・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 市町村の合併の特例に関する法律案を議題といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/7
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008・加瀬完
○加瀬完君 きょうはしばらく大臣はいらっしゃるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/8
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009・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/9
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010・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/10
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011・加瀬完
○加瀬完君 この前、私は市町村の合併の特例に関する法律案の質疑の中で、どのように町村合併を進めたところで、結局その市町村の基準の行政規模というものが明確になって、それに対する財源の裏づけというものが確保されなければ、貧弱な団体を幾ら集めたところで、それはゼロかける幾らということになって、結局、初めの合併促進法の目標でございます地方自治の確立とか、あるいは住民の福祉の推進といったようなことは不可能になるんではないかという質問をいたしたわけでございます。それで、ただいままでも何回かこの市町村の合併法あるいは特例に関する法案というものが提案をされたわけでございますが、一方自治省としては、健全な運営のできる地方団体の行政規模というものは一体どういうものであるか、また、どうすれば健全な運営ができるのか、こういう一つの研究といいますか方策というものが、あます明瞭には打ち出されておらなかったように思うわけでございますが、大臣いらっしゃいましたので、この点どうお考えになりますか、あらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/11
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012・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お話の点はごもっともだと思います。私、いまちょっと数字をよく覚えませんけれども、市の基準は、いま提案しておりまするように五万ということで提案をしております。皆さん方の御意見では、現在五万を切っておるところが相当ありはしないかという、これはまあその後の情勢の変化でそういう点もございますが、町村につきましても一応の基準を設けておりまして、これはたしか地方制度調査会にかかって検討されたものだと私は記憶しておりますが、また政府委員からも御答弁いたしますけれども、一応八千という基準が町村としての最低基準規模というふうに考えております。なお、政府委員から詳しくもう一度御説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/12
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013・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 過日御質問に対しましてお答えいたしましたところでございまするが、町村の規模につきましては、地方行政調査委員会議の勧告で人口七、八千程度を標準として弱小町村の解消をはかるべきだ、こういうことでございまして、町村合併促進法第三条におきましても人口八千人以上で、できるだけ能率を高くして住民の福祉の向上に資するように規模を考える、こういう趣旨の規定があったわけでございまして、私どもも最低はもう八千、それ以下の弱小町村は解消しよう、しかし、それ以上のものにつきましては、最近におけるいろいろな行政需要ともにらみ今わせまして、地形あるいは社会的経済的諸条件等も勘案いたしまして、どの程度が一番行政能率を高くして住民の福祉の増進に資し得るか、これは個々の場合について検討し、指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/13
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014・加瀬完
○加瀬完君 私の伺っておりますのは、人口八千とかあるいは人口五万とかいいますけれども、人口がふえても、あとの行政運営の機能なりあるいは行政運営の附源なりが裏づけられるということにはならないわけですね。人口八千と押えるなら、その八千の町村に対してはどういう行政事務を最低限行ない得るとするのか。五万を市とするならば、その人口五万の市はどういう行政事務を最低限義務として当然やらなければならないとするのか、そういうことが非常に不明確ではないか。たとえば人口六万あっても、常備消防を持たないような市もあれば、人口二万でも常備消防を持っている町がある。こういうことでは、人口をふやし地域を広げるということだけでは、住民の福祉は向上できないし、市といったところで、町村といったところで、市になりましてどれくらいの行政事務の向上があるのか、町村に押えればどれくらいの向上になるのか、全然成り立ちませんし、そういう点でここいらで合併法を進めるとともに、行政機構の基準というものを明確にすべきではないか、こういう意味で伺っておるわけでございます。八千とか五方ということではなくて、標準町村とか標準の市というものにはどれだけの仕事というものをさせるかをはっきりすべきじゃないか、こういうお考えがあるかどうかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/14
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015・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先生の御指摘になりましたことは、私どももかねがね検討いたしているところでございます。具体的には地方制度調査会で行政事務の再配分の問題としてただいま御検討いただいているところでございます。私どもの現段階におきまして考えておりますことを申し上げますと、市におきましては、社会福祉事務所は、これは現行法でも必置になっておりますが、それによりまして、住民の身近かな社会福祉に関する行政は、原則として市に責任を持たせてやらせていきたい。さらにまた消防につきましても、ただいま御指摘のございましたように常備消防は市になれば必置にするというようなことは、今後の問題として検討いたしておるところでございます。町村につきましては、実は人口八千を最低限といたしましたときに地方行政調査委員会議で極付されたのは、新制中学校の維持管理あるいは消防団の適正、な大きさ、あるいはこれは政府によつて取り上げられませんでしたけれども、そのときには社会福祉に関しまして、町村におきましてもケースワーカー一人は置くことができることを考えようというようなことが、当時検討されておったところでございまして、今後の問題といたしまして、そのようなこともなお考えてまいりたいと考えておるわけでございます。さらに人口八千というのは最低限でございますが、今後行います町村合併におきましては、普通の町村におきましても水道とかあるいはじんあい処理、し尿処理等の環境衛生の事務は、やはり町村としては処理できるような体制で今後これを考えていくべきではなかろうか、これもこのような一つの考え方で検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/15
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016・加瀬完
○加瀬完君 これは行政指導の一つの柱としてそういう点をおやりになろうとしている、あるいはなっているということにすぎない。私の質問しているのはそうでなくて、町村合併などというものを進めていくならば、もうここらで行政規模の基準というものをきちんと法定すべきだ、例を言うならば、いま局長さんがおあげになったじんあい処理とか、あるいはし尿を処理というものは、市なら市に義務づけるのか、町村はそれを市なら市にやらせるのか、あるいは町村まで全部義務づけるのか、あるいは水道とか下水道、消防とかその他衛生環境の問題とか、いろいろありますよ。町村というのはどこまでやるのか、市というのはどこまでやらなければならないのか、こういうことを明瞭にいたしまして、それに対して財源を裏づけていくということをしなければ、ただ町村を合わせてみたところで、これは住民の福祉にはならないじゃないか、なるかもしれないけれども、積極的に住民の福祉を推進するということには非常に薄いことになるのではないか、希薄な効果しか上がらないのじゃないか、こういう点、大臣のお考えを伺いたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/16
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017・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のようないろいろと積極的な国民福祉になる仕事というものをやるようにということは、私どもも同感でございます。ただしかし、町村と申しましてもいろいろの規模もございまするし、また、いろいろの環境の町村もございまするし、ただ一律に法律でもって町村はこれこれでなければならないと義務づけるという性質のものではなかろうと思います。ただ私どもは、町村合併をできるだけ進めますれば、非常に合理化かできます。合理化ができますれば、したがって財政的にもいま言ったような積極的な施策をやりやすくなることであります。各小さい町村別にいろいろの仕事をやろうと申しましても、財政も伴わないでありましょうし、また、むだも多いことでございまするから、できるだけ広範囲な行政規模になりまするというと、それだけ国民福祉につながる仕事もやりやすい、また、やらせたいという趣旨でやっていることでございまして、町村合併やったら、これとこれとこれとをぜひやらせなければならぬ、こういうふうに義務づけるということは、私いかがかと、こういう気持がいたしまして、できるだけその点は行政指導によって向上さしていきたいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/17
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018・加瀬完
○加瀬完君 町村合併やれば、町村合併促進法で最初予想したように、自治権が確立をして、あるいは住民の福祉が向上するということになっておるならば、いま大臣のおっしゃることはうなずけます。なっておらない事実がたくさんある。行政は能率化したかわかりませんけれども、自治権は後退しているかもしれない。あるいは福祉行政ということではいろいろトラブルも出てきたりなんかして、必ずしもプラスの面だけではない。そこで私はこの間から質問をしているわけでございますが、町村合併を進めるということは、一応その前提に、町村合併を進めてこういう町村の能率を上げるんだと、こういう福祉の効果を上げるんだというものがなければならなかったはずだと思う。それが現状においては実現しておらないじゃないか。そこで、さらに何回もこういう市町村の合併の手続法を出すならば、手続法に終始をしないで、もっと根本的な町村のあるべき姿というものを自治省は想定すべきじゃないか。最低限これだけのことは市町村で行なうべきものだということを想定をして、それに対する財政的な裏づけということをしなければ、これはイタチごっこになるおそれがあるのではないか。なぜならば、合併はいたしましたが、この委員会でも取り上げられたと思いますが、越県合併なんかの場合には、合併をしたためにトラブルが起こっちゃってどうにもならない。福祉の向上にもならなければ、自治法の第二条の市町村の事務として指定されている公共の秩序の維持にもなりませんよ。けんかばかりしているんだから。こういう問題がありますので、それは特殊の例かもしれませんが、もう手続法というものはここいらでやめるべきだ。それよりは、むしろ市町村が市町村として自前の動きのできるような形を法律的にとるべきじゃないか。そうでないならば、幾らこれを繰り返したところで、どうにもならないというたくさんの例がございますので、ひとつ自治省の指導するような標準の町村というものを、あるいは市というものを、合併法によってつくるならばこれだけの仕事ができますよという裏づけというものを考えていただがなければ困る、と言っては正確な表現にはならないかもしれませんけれども、そうしていただくことが、より市町村合併を意義あらしめ、目的を達することになるのじゃなかろうかと、そういう点では、内容のほうに、もう少し御援助が願いたい、こう思うわけでございます。この点、ひとつ大臣の御所見を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/18
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019・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) そういう積極的な意図というものは、望ましいことではございまするけれども、御指摘がありましたように、合併によっていろんなトラブルが起こるというようなことは、まことに悲しい現象でございまして、町村というのは――町村のみに限りませんけれども――自治体というものは、やはり歴史的な発展過程を経まして存在をしているものでございまするから、強制をするということは私は好ましくないと思います。どこまでも自主的な住民の意思によって結成されていくべきものである、かように存ずるわけであります。したがいまして、いろいろとえさを掲げまして、合併をしたらこういうこともやってやる、あれもやってやるというような姿において合併をさせるということは、いい面もあるかもしれませんけれども、住民に対して必ずしもいい結果をもたらさないんじゃないか。したがって、私は今回の合併にあたりましても、強制がましいことは一切避けて、自発的にもし合併をされるということであれば、合併されやすい措置は講じよう。たとえば従来交付税をもらっていたのが、合併したために、交付税がもらえない、こういうことになりましては、それはかえって合併したいものを阻害する結果にもなりまするから、そういう点は一つの猶予を認めるというようなことによって、合併をやりやすいようにする。しかし、えさでつって、その合併をさせるというような行き方は、私は自治体の本来の性質からいって必ずしも好ましくない、こういう気がするわけであります。それから先生の御指摘になりましたように、せっかくやるからには国民の福祉にもっと積極的にというこのお気持ちは私も同感ではございまするけれども、しかしそのことは、合併という問題もさることながら、今日の自治体に求める問題でございまして、合併をしたからということでそういう問題を政府がやるということではなくて、合併をするとしないとにかかわらず、今日の行政下においては住民の福祉というものは特に気をつけていくべきである。合併すればこれをやってやる、合併しなければそれをやらないということは、私はいかがか、こういう感じがいたします。ただしかし、せっかく合併すればこういうこともできたということは望ましいことでございまするから、行政指導やその他の点では、これは考慮していくべきだと思いまするけれども、あまりこう法律によってそういうふうな点を掲げることがいいかどうかという点を実は考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/19
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020・加瀬完
○加瀬完君 私の質問は、合併法の中にプレミアムを盛り込むという主張ではございません。大臣のおっしゃるように合併というのは自治体の自主的な判断によって自然に行なわれるべきものでございますので、強制すべきものではございませんし、何か合併をすればこういう利益があるぞというものを、法律に掲げることはいかがなものかという御意見は、私も同感でございます、ただ問題は、合併をいうものを進める目的は、自治権を確立したり、住民の福祉を向上させたりということだとするならば、大臣のおっしゃるように、合併以前に解決されなければならない問題ではございますけれども、市町村がそれぞれ自治体としての一〇〇%の能力あるいは福祉の目的を達していないわけでございますから、それを、より達しさせるということで合併を進めるならば、少なくも合併した町村の、標準目標にしている規模というものの町村をつくったならば、そこでは、いままで合併をしなかった以前よりは幾ぶんかでも能率的に福祉の向上ができるような内容というものが備わっておらなければおかしいじゃないか、そういう点で合併の問題と、もちろん切り離した根本的な問題でございますが、むしろ合併を進めるということよりは――合併はある程度進んでいるのだから――その合併町村が動けるような裏づけの財政なりあるいは行政の権能なり、こういうものについて最低限これだけの能力の発揮ができるのだという点は、検討していただかなければならないのじゃないか、こういう趣旨でございます。ただいままでの合併というものは、大臣が御心配をなさっていらっしゃいますように、反強制的に、してはならない合併が行なわれておらなかったとは言い切れません。ある程度強制的に住民の意思にかかわりなく合併が進められている傾きがございます。あるいは将来の自治体の発展というものからしては再考をしなければならないような問題が、そのままに合併が推進をされておりまして、時がたちまして、それがいま、一つの合併をした町村の病根になって現われておるという自治体もないわけではございません。そういう点を考えますと、合併をさせるということよりも、むしろ合併いかんにかかわらず、大臣の御指摘のように、現在の市町村が市町村として動けるような裏づけのほうをもっと自治省としては積極的にしていただかなければならないのではないか、こういう意味でございます。
質問を続けて、別の角度から伺いますが、そういう点から考えますと、いままでの地方財政計画を策定をする方法に私は問題があると思うわけでございます。説明を加えさせていただくならば、いまのような地方財政計画の策定方法を積み重ねていくならば、合併をしたところで、現在合併をしないで解決できない地方のもろもろの問題は、やはり解決できないまま残るのじゃないか、こういう観点から伺うのでございますが、この既定財政規模としては、最近年度の決算を基礎として、その上に次年度以降の新規需要というものを十二分に加算をしていくというように、一体地方財政計画の策定方法はなっておるのでございましょうか。これは課長さんでもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/20
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021・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) おっしゃいますように、前年度の財政規模を基礎に置きながら、その後、たとえば学校の教員の標準法に基づきますところの増減でございますとか、あるいはまた、各省のほうでいろいろ、たとえば五カ年計画等を立てておりますが、それについての考え方等を自治省との間に調整をいたしまして、そういうものは盛り込む。それ以外にも、なお地方団体の財政需要等を見て算定いたしております。もとより全般の歳入の前提がございますので、四十年度の税収見通しでありますとか、あるいは交付税の付与見込みというような総体ワクの中で、極力そういうような配慮をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/21
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022・加瀬完
○加瀬完君 三十七年度の決算はもうすでに出ておるわけですね。三十七年度の決算というものを押えて、三十八年度、三十九年度の伸びというものを十二分に勘案して四十年度の財政計画というものは編まれておるのでしょう。もっと率直に言うならば、一番近い年度の決算というものがもとになっておる。それにいろいろの問題点が加算をされて財政計画が編まれている。そういう方法をとっているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/22
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023・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) もちろん決算年度の決算分析等もいたしまして、十分その歳出の配分等にあたっては考慮いたしておりますけれども、一方、地方財政計画のほうは、あくまでも地方団体に対するところの標準的な姿なりあり方についての指導をも含めております。したがいまして、過去の積み上げと申しましても、財政計画は、主として四十年度の計画を立てます場合には、三十九年度の計画規模に対して、どの程度それに対して歳出の内容を追加できるか、あるいは義務的な人件費その他をどの程度追加すべきかというような意味合いにおきまして三十九年度の計画を基礎にいたしております。もちろん計画を策定いたします場合には、過去の決算状況等も十分検討しておりますけれども、あくまで基礎としては前年度の基礎に対し計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/23
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024・加瀬完
○加瀬完君 そういう方法でおやりになっておることは承知いたしております。しかし三十四年、三十五年、三十六年、三十七年、まあ三十八年も大体わかる。そうすると、決算とそれから初めの予想をされる財政計画というものとの開きというものは、だんだん大きくなっておりますね。そうじゃございませんか。そうするとすれば、いまのようなやり方で財政計画を編んでまいりますれば、財政計画は一つの指導の方針を示すものであるにかかわらず、指導方針としてははなはだ微弱なものになる、現実性からやや離れたものになる、こういう反省を私どもは持つわけでございます。もっと最近年度の決算というもの、それをもとにして財政計画の別の観点からの編み直しというものをやらなければ、私は、財政計画というものによって地方財政のワクをある程度締めていくという効果はなくなってくると思うのです。財政計画に対する策定方法については、何か別の方法を加えなければという失礼なことばでございますが、御反省はございませんか、自治省には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/24
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025・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) おっしゃいますように、決算と申しますか、地方団体の財政運営の実態の総体と、それから自治省――国と申しますか――の策定しておるところの地方財政計画の規模との間には開きがございます。しかしながら、その開きそのものは必ずしもふえてきておりません。おおむね、三十七、八年度同程度に推移しておるというふうに見ております。しかしながら、極力実態と計画とが合うような方法で検討はいたさなければならないというふうには考えておりまして、できる限りそういうふうな検討は加えつつあるのでございますけれども、決算の上では、たとえば超過課税をしておるそのこと自体は、別の意味において極力標準的な税収に立てていくような指導をいたさなければならないのでございまして、超過課税をそのままそっくり財政計画でも超過課税すべきであるという打ち出し方はいかがかと思うわけであります。また、あるいは国民健康保険に対するところの市町村の繰り出し金も事実問題で大きうございます。大きうございますけれども、国民健康保険は国民健康保険として解決すべきである、そういうふうな繰り出しを財政計画上本来やるべきであるというふうに判断すべきかどうか、そこら辺については、現在の段階としては問題がございます。したがって、そういうふうな財政計画で、何と申しますか、正当化すべきでないものもございますので、したがいまして、まるまるこれを取り入れるというのも問題がございます。しかしながら、たとえばおしかりを受けるかもわかりませんけれども、公債費等につきましては、四十年度の公債償還費はふえております。このものは、従来は地方債計画のワク外において起債を事実許可いたしております。そういうものについての償還分、これは当然事実上のやはり償還債務でございますので、そういうものはこの隙取り入れるべきものである。返すべきものは返す、そのことはまた認めていかなければならない。地方債計画計の計画に基づくところの償還費も含めて今回の公債費に計画いたしました。今後歳入の可能性と勘案して、極力おっしゃいますように実態の中から組み入れるべきものはこれを組み入れる努力を続けてまいりたい、そういう意味においては絶えず反省をしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/25
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026・加瀬完
○加瀬完君 確かに超過課税がございまして、超過課税が決算額にふくらみになって出てくるわけです。しかし逆な見方をすれば、超過課税をしてでも仕事をしなければならないという事業内容は、住民にとっては必要な行政の範囲という見方も成り立ちますね、その裏づけが法定課税では十分でないところに超過課税の必要が生まれてくると考えられるわけであります。こういう見方をするならば、超過課税をしなくて済むような財源の配分というものが事前に行なわれておらなければならないのじゃないか、それがないということは、結局財政計画そのものに不完全さがあるということにはならないか、こういう考え方も、あげ足を取るようで恐縮ですが、立場をかえて見ればあるのじゃないか。特に四十年度の保険税、保険料と申しますか、これは市町村の財政では、健康保険は健康保険だけでやっていけというようなわけにはまいらなくなってますね、これは自治省の責任とばかり言われませんけれども、結局その税金をかける、あるいは保険料を賦課する責任が市町村に当然あるわけでございます。市町村自体にとりましては、こういう保険料なり保険税なりというものの計画をされては、運転はつかなくなってくるわけですね。しかし地方財政計画では、一応その地方税なら地方税、特に住民税というものは、若干のふくらみはありましても、標準課税に近づけてきているわけですね。しかし今度は保険税になりますと、標準課税というものはないわけですね、その町村によりましていろいろかけられるわけですね。新聞の情報でございますから、確実とは私も申しかねるわけでございますが、徳島ですと、去年の三十九年度は二七%上がって、今度は六〇・二%平均に保険税は引き上げなければならないということになりますね。財政計画どう見たって、そんなべらぼうな賦課が行なわれるということは見当もつかないです。しかし、個々の町村になればそういう結果も出てくるということになりますと、もう少し私は、おたくの責任ではございませんけれども、地方財政を運営していくその裏づけである財政計画というものには、事実に即した計画というものを考えていかなければならないと、まあ意見がましくなりますが、思うわけでございます。何も合併促進の場合、その法案の中でこういう問題を取り上げるのは場所を得ないようでございますが、こういう問題が解決しなければ、どんなに合併をして、三千が八千になって、八千が一万になって、一万が四万で市になろうとか、しようとかいったところで、基本的な住民の福祉なり自治権の確立ということは出てこないでしょう。そこで財政課長さんに伺うわけでござまいすが、一体、地方団体等からは、もっと事実に即した財政計画の策定に変えてもらいたいという意見はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/26
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027・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) 事実に即して考えてもらいたいという一般的な要望はございますけれども、地方団体としては、一応国のほうではどう見ておるだろうか、翌年の経済見通しの前提に立った場合の地方財政の総体規模なり、あるいは国のほうで地方税収入はどのくらいにいくだろうかというふうな考え方、あるいはまた交付税の算定の基礎に入っておりますところの標準的な単価でございますとか、いろいろ見方がございます。そんなものについても参考として十分生かしていってもらいたいというような要望を主として聞いております。もちろん、現実問題について極力ひとつ判断してもらいたいというような意見もございますけれども、やはり主として標準的な指針を示してもらいたいというところに重点が置かれているように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/27
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028・加瀬完
○加瀬完君 最初に町村合併というものが非常に地域から要望されました一つの理由が、市町村職員の給与費の膨張というものを、これによってある程度バランスをとることができるのではないかという希望もあったわけです。そこで、最近また給与費の問題がクローズ・アップされておりますけれども、給与の実鰻調査を自治省ではいたしましたね。この前の実態調査のときには、国家公務員と比較をいたしますと、それよりも下の線の市町村というのが非常に多かった。今度の実態調査では、この関係はどのようなふうになっておりましょうか。具体的に申しますと、国家公務員の給与水準というものと各市町村と比べてみて、下回っている町村というのがまだ相当残っているのではないでしょうか。上回っている町村もございますけれども、上回っている町村の数、下回っている町村の数、これおわかりになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/28
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029・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 昭和三十八年の四月一日現在で、実施をいたしました給与実態調査の結果が最近まとまりましたので、ここにも資料として御提出を申し上げております。本日ただいまその関係の資料は手元にございませんが、町村につきましては、たしか前回三十三年のときにおきましては、国家公務員と比べまして七七・余でございましたのが、一昨年の調査におきましては八七・余になっておったかと思います。この調査は、同一の学歴、同一経験年数の者につきまして、国家公務員と町村との比較をいたしたものでございます。個々の、どこの町村がどうかということにつきましては、そこまでははっきり分析はまだしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/29
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030・加瀬完
○加瀬完君 この三十三年のときの調査の七七・余というのは、これは平均給与が国家公務員に対して七七・何%であった、このたびの調査では八七・何%に上がってきているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/30
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031・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 平均給料ではございませんで、町村の職員と国家公務員の職員それぞれにつきまして、同一学歴、同一経験年数の者同士を比較をするという方法によりまして、それを全体総合いたしました比較が、ただいま申し上げたような数字でございます。三十三年のときも三十八年のときも同様な比較をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/31
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032・加瀬完
○加瀬完君 問題は、八七%というものが、一つの基準としては押えることができますけれども、具体的に、上回っている市町村が幾つで、下回っている市町村が幾つということが出てこなければ、給与費が非常に増高をしているというような結論は、簡単には出せないわけですね。国家公務員に比べて地方公務員の給与が非常に上回っているという結論は出せないわけですね。この数はおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/32
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033・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先ほど申し上げました数字、正確に申し上げますと、町村につきましては、昭和三十三年の四月一日現在で調査いたしましたものが七七・一で、昭和三十八年四月一日現在でいたしましたものが八七・二でございます。これは先ほども申しましたとおりに、町村の全職員につきまして、それぞれの学歴及び経験年数による比較の方法をいたしたものでございまして、個々の地方公務員百五十二万ほどの職員につきまして、全部個票を書かせまして、それを統計局に委託をいたしまして、集計をしていただいたものでございまして、個々の町村につきまして、町村ごとの比較というものの数字は出しておりません次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/33
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034・加瀬完
○加瀬完君 大臣も衆議院での御答弁の中におっしゃっておられましたようですが、給与費が非常に増高している。それは確かに前の年度、前々年度というものに比べれば増高しているということになりますよ。しかし、国家公務員と同じ水準であるべきはずのものが、個々の町村にとりますと、上がっているといわれているけれども、法律て一応基準として定められているものだけの給与を受けてないという町村もたくさんあるわけです。八七・二%ということになりますと、これは東京都も含んでおれば大阪も含んでいる。水準よりも上といわれている市町村や都道府県も含んでいる。問題は、だからといってすべての市町村が八七・二%になっているということにはならないわけでしょう、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/34
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035・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先ほど申しましたのは、町村でございます。ただいまお話のように都道府県、市につきましては、また別な数字が出ております。それで、全体を引っくるめての数字でございまするので、個々の町村につきましては、それよりも高いところもございまするし、低いところもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/35
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036・加瀬完
○加瀬完君 具体的な例を出しますと、同一学歴で勤務年数が同じてありながら、たとえば市町村幼稚園の保母さんは、そこで四十年も勤務しておっても二万五千円という例もあるわけですよ。それは助役さんの給料というものが基準になって、助役さんの給料より上げるわけにいかぬというので、ずっとそのままになっているという例もあったわけです。もしこれが同じ町村で学校の校長なら、四十年も勤務して二万五千円なんという俸給にはなりませんよね。女の先生だってそういうことになりませんよ。一般的に具体的な例を拾ってみれば、給与費が問題だというけれども、問題は、むしろ貧弱な市町村にとりましては、一般の基準までいってないということが非常な問題だと思うのですよ。町村合併促進法によって合併を進めてまいりましても、その一つの理由が、低い給与費をさらに切り詰めるられるんじゃないかというようなことがねらいの一つであるとすれば、これは本末転倒というべきでしょうね。低い待遇のところにいい人材が集まってこないわけですから、待遇を悪くして人材を集めないで、市町村行政を確立しょうたってどうにもなりませんからね。この点は、私は大臣に、そういう一般の国家公務員よりもはるかに低い市町村職員の給与のところに対しましては、やはり合併促進などを進めるときに、合併をしていけば給与費が切り下げられるのだといった、巷間伝えられるようなねらいというものは、自治省におきまして一切ぬぐい去っていただかなきゃならないと思うわけですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/36
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037・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 町村合併をして、合併をしたら給与が引き下げられるということは、私はおそらくないと思っております。しかし、数多い中でございまするから、特殊なある村が非常に高かったということで、あるいはそういう事例が、探せばあるかもしれませんけれども、私は合併して下がるという――ただ、合併をいたしますると、それぞれたとえば議会制度にいたしましても、それぞれの議会制度を持っているのが一本で済む、あるいは一つの行政事務にいたしましても、一本でやれるというふうになりますれば、そこに、つまり事務の合理化というものが行われていくということは考えられると思うのであります。でありまするから合併をして、合理化されるという意味は、賃金を引き下げる意味で合併を進めるというようなことは、私どもも毛頭考えておりませんし、また、事実もおそらくそういうことはないんじゃないだろうかという感じがいたします。
なお、実態調査の点について御指摘がございましたが、それは全体の平均というか、全体の統計を出した結果が、先ほど申しましたような数字でございまして、これをごらんいただきましても、国家公務員に比べて、町村は三十三年の七月一日と三十八年の七月一日とを比べまするというと、三十三年は七七であったものが八七になって、町村のいわゆる給与も相当改善をされたという感じを私どもは持っております。しかし、まだ一〇〇に達しないということは、それはございまするけれども、これは各町村々々の実情というものもございまして、ただ公務員だけがすぐ一足飛びにということにもいきにくいのじゃないかという私は感じを持っております。と同時に、指摘されることは、心あるいは六大都市というものは国家公務員を一〇〇にいたしまして二二四、三割四分、これは全体の平均といいますか、票を集めたものが三割四分ですから、そのことは、ただいま御指摘になりましたように、高いところもある、低いところもあるというように……。ですから相当高いところもあるのじゃないか。平均といいますか、全体を見ての結果が三割四分上がっておるということは、中には相当大幅な値上がりもあるということは、これは指摘されるところじゃないかと思います。これは自治体の場合におかれましても、私どもしばしば聞くところでありまして、その原因は、ただベースアップ、ベースアップといって、給与がやたらに高くなるかといえば、必ずしもそうではないと思う。年齢がだんだんと高くなりますると、給与というものがベースが上がりまして、そうしてこういうふうになる。国家公務員はあっちこっち行くという点がございますけれども、自治体というものはよそへ転勤という機会も少ないために、つい年齢が高くなりがちである。そこで定年制というものは何とかして設けてもらえないかということが自治体自身の中から出てきておるような状況でございます。私どもは、それぞれの実情もあろうかと思いますけれども、国家公務員のベースに準じて地方公務員に対するベースアップも考えておるときでありまするから、同時にまた、ベースアップにいたしましても、プラス・アルファにいたしましても、できるだけひとつ国家の基準に合わせるようにしていただきたい、かように存じております。したがいまして、ただいま御指摘になりました町村等においては、それに及ばないものもございまするので、これは漸を追いましてそれに近づいていくことが望ましいのじゃないかという感じを持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/37
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038・加瀬完
○加瀬完君 定年制の問題は別の機会にいろいろまた議論になる問題だと思いますから省きまして、市なんかになりますと、国家公務員よりも三四%上回っているところがあるというお話がございましたが、これには大臣御存じのように、東京などはもう初めから国家公務員と比べると歴史的に高いのですね。歴史的に高い。そういう経緯を持っている。大都市とか裕福な都市にいたしましても、県庁や市庁の役人になるよりは昔から市役所の職員になったほうが高いという歴史的な経緯があるわけです、ですから、これを、国家公務員に準じておらないから、給与費の計画が妥当でないとばかりは私は言えないと思いますが、この問題は議題は議論になりますから省きます。そこで、私も行政事務の合理化ということを否定するわけではないのです。行政事務の合理化というのは、低水準のものも平均水準に上げるという意味も積極的になければならないと思います。町村合併をいたしますと、その一つのねらいは、いままでの行政事務の非常に立ちおくれておった点を、近隣市町村の水準に上げようということも、要求としては出てくるわけでございますから、そういたしますと、三つの町村が一つになったから、いままでの議会事務局の職員は三分の一ていいということにはならないわけです。なぜならば、議会事務局というのが完全に独立して職員を配置しておるところばかりじゃないわけですから、あったところで、人数が非常に僅少ということで、一定の水準に上げるには、なかなか人員の整理などということを簡単にできる状態では私はないと思うのです。それで一定水準に上げるということを先にするのか、それとも一応過負が生ずるから行政整理するということを先にするるのか、この指導の方針は、行政局長どちらです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/38
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039・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 今回御提案申し上げております法律案の第六条にも書いてございますが、「合併関係市町村は、その協議により、市町村の合併の際現にその職に在る合併関係市町村の一般職の職員が引き続き合併市町村の職員としての身分を保有するように措置しなければならない。」と、また「合併市町村は、職員の」「身分取扱いに関しては、職員のすべてに通じて公正に処理しなければならない。」という規定を置いております。これは、従来、町村合併促進法にもあった規定でございますが、私どもといたしましては、合併によって行政整理をするということではなくて、ただいま、先生がおっしゃいましたように、合併によって職員の身分取り扱いにつきましても公正を期するし、それによって、さらに行政水準の向上が期せられるように配慮していくべきだと、かような考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/39
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040・加瀬完
○加瀬完君 給与費のことでもう一つ財政課長に伺いたいのですが、給与費の財政計画上といいますか、交付税の算定をする場合の単位費用というものは、国家公務員と同じに考えているのでしょうね、基準単価は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/40
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041・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) 一般職員の場合と、それから教員の場合と分けまして、教員につきましては、文部省の単価、それと合わせております。一般職員等につきましては、先ほどお話にありました給与実態調査の結果を、国家公務員に、いわば置き直しまして、それを基礎にして算定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/41
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042・加瀬完
○加瀬完君 それで、予算面に出てくるのは、国家公務員と違って非常に低い水準で出されてまいりますね。こういうことを毎年繰り返されているわけです。財政計画なり交付税の基準なりというものは、国家公務員と変わりがない単位でもってはじいているにもかかわらず、実態として支給される額ははるかに低い。そうすると、一体、単位費用として計算をしたその額は、正当には使われておらないということになりますね。悪く言うならば、給与費の計算として盛られておったはずの交付税が、給与費でないほうに流用されているということになりますね。厳格にはそういうわけにはまいらないことはわかりますけれども、一応、形の上ではそういう見方が成り立ちますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/42
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043・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) 御指摘の点とあるいは少し食い違っているかもしれませんけれども、四十年度の算定にあたりましては、少なくとも三十八年度の実施いたしましたところの実態調査の結果の学歴、経験年数等に照らしまして、国家公務員と全く同一のものを保証するという姿に置き直して、当然、四十年度も、それに定期昇給等も加味しておりますので、したがいまして、財源保障としては国家公務員にまさるとも劣らないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/43
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044・加瀬完
○加瀬完君 それで、四十年産の給与が何ら是正、されなくて、従前のように国家公務員を下回るという形で決算が出てまいりました場合は、どういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/44
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045・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) あるいは御指摘の点は町村の吏員等を言っておいでになるかと思いますけれども、これにつきましても、やはり国家公務員と同じように、いま申し上げましたとおりの財源保障をいたしております。したがいまして、これは、あるいは行政局長のほうのことになりますけれども、指導といたしましては、たとえ再建団体でございましても、許容できる限り国家公務員ベースに近づけるように、下回った団体については行なうべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/45
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046・加瀬完
○加瀬完君 これは当然形式的に考えれば、算術的に考えれば、そういうもとの計算をしておるのですから、そのまま支給されたっていいわけですね。ところが支給されておらないわけです。これは四十年度もおそらくそうでございましょうし、いままでさっぱり支給されておらない。これに対して行政局長はといいますか、自治省は、どういういままで見方をしておりますか。あるいは御指導をなさってまいりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/46
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047・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 財政計画におきまして、国家公務員ベースで算定をいたしました財源が、実際上町村の場合におきましては、国家公務員ベースより低位に給与があるとした場合に、それじゃその財源がどういうところに使われておるのかと、こういうお尋ねでございますが、この点につきましては、財政関係者のほうからお答えをしていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、町村につきましても、町村の給与を改善をする必要があるということで、実は三十三年の実態調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたような結果が出ましたが、これではいかぬということで、三十五年には町村給与の改善に関する通達を出しまして、町村におきまして計画的に漸次国家公務員ベースに近づけるようにという指導をいたしたわけでございます。その後におきましても、そういうことで指導をいたしておりまして、三十八年の調査におきまして、三十三年よりも相当改善されましたのも、一つはそういう指算もあずかって力あったかとも思うのでございますが、なお引き続きその後も同様な方針で指導をしてまいっておりまするので、御指摘の点につきましては、十分念頭に置いて今後とも指導をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/47
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048・加瀬完
○加瀬完君 四十年度においても、国家公務員より非常に低いところは、国家公務員に少なくとも近づいた線にこれは助成をさるべき財源の裏づけというものはあると考えていいわけですね。そうしてそういう指導をしていただけると考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/48
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049・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そういう方向で指導をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/49
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050・加瀬完
○加瀬完君 大臣には間もなく他の委員会のほうに御用があるようでございますから、順序不同に質問して恐縮でございますが、町村合併に関しましては、現在の市町村にいたしましても一番困りますのは交付税や何かを頼りにしなければ、自治体の運営が完全にやっていけるというわけにまいらないということが問題でございます。で、何としてでも、特に市町村は独立の税源というものを求めているわけでございますが、その点で非常に町村で不合理を感じておりますのは、ゴルフに対する娯楽施設利用税でございます。一番道路をこわされますのは、市町村道が多いわけでございます。ところが、御存じのようにゴルフの娯楽施設利用税は、全部都道府県の税金として入ってしまいますから、道路を整備をしなければならない責任は町村に残って、支出がかさむ。しかし税源は別に与えられないということになっておるわけでございますが、ゴルフに対する市町村で取れる税金というものを、自治省は何か御研究をしておられましょうか。そうでないならば、もっと税率を上げるか何かして、市町村に現在の娯楽施設利用税を還元してもらわなければ、まるで税金だけは吸い上げられて、あと始末だけは市町村に負担をさせられるという現状でございますが、この点ひとつ大臣にゴルフに関する娯楽施設利用税あるいは特別に何かゴルフ税をおつくりになってもけっこうでございます。市町村に税配分を御考慮をしていただくというお考えはおとりいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/50
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051・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) まず第一に、町村の財政が非常に窮屈である、したがって何かひとつ独立財源はないかということは、しばしばいわれることでございまして、私どもも実は非常に苦心をしております。苦心をしていろいろ検討してみまするが、実はなかなかその独立財源というものが見出せない。いま御指摘のようなものなんかを拾えばそれはありましても、それは今日の町村の財政をまかなうに足るようなものではございませんで、結局、何か一つとりましても、いま町村の財政の一番難点はどこにあるかというと、つまり格差があるわけです。ですから、同じ一つの税源を見出してその税源を取るということになれば、それは東京、大阪から青森の末端まで同じに取っていく。そうすると、税源といいましても、実はいわゆる格差の是正になる税源というものはない。いなかだけで取るといって、いなかだけでよけい取れば、それはもういわゆる過重になりまするから、それで結局まだ検討はしつつございまするけれども、結局、交付税のように一本で取って、そうして格差の是正といいますか、貧弱町村あるいは貧弱府県について交付金によって財源を与える、こういうことしかないじゃないかという感じがいたします。しかしながら、独立財源を見出すことは、これはできればけっこうなことでございまして、なお検討いたすつもりでございます。
第二に御指摘になりましたゴルフの税でございますが、これは、ゴルフの施設があれば町村道もいたむということでございましょうが、町村道もいたむでありましょうし、府県道もいたむでありましょうし、それはそれぞれの利用度によってまた個々に違うと思いますが、ゴルフ場についての固定資産税は町村のほうへ入っていく。利用税の娯楽税は府県のほうへ入っていく。こういうような状況でございまするので、将来利用税も一緒にということも御指摘の点でございまするから、将来の問題としては考えてみる必要があるかと思いまするけれども、固定資産税として町村のほうへ入っておりまするので、必ずしもゴルフは全部が府県に入っているというわけでもございません。なお、独立財源の点はしばしば指摘されるところでございまして、私どもも非常に頭を悩ませておりまして、何かいい財源なり知恵がございましたら、ひとつ御指摘をいただきまして将来の参考にいたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/51
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052・加瀬完
○加瀬完君 この娯楽施設利用税をゴルフ場から取るにしては、都道府県というものは、ゴルフ場の施設その他に対しまして許可を与えるというだけで、別にあとで税金の割り返しをしてもらわなければならないような支出は何もないわけです。しかし、町村は、先ほど申しましたように、まるまる支出をしなければならないわけです。固定資産税とおっしゃいますが、ゴルフ場の固定資産税というものを改めるなら別ですが、これは一番安い雑地みたいなものです、芝に税金かけられないから。市や町村なんかにとりましては、それが工場敷地か何かになれば固定資産税の収入は非常にふえるわけですけれども、まあ、具体的な例を申し上げまして恐縮ですが、山林地主なんかは、ある程度の値上がりを待つためにゴルフ場にして、税金は安い、しかも、一応ゴルフ場という形で土地が確保される。時期を待ってこれを他に転売をしようというようなためにゴルフ場というような形にさせられて、固定資産税は安い、土地の発展にはさっぱり協力をしてくれない。さて、遊んでいただくゴルファーから税金を取ろうとすれば県に吸い上げられるということで、非常に困っております。一つの市町村に三つもゴルフ場があって、税金はさっぱり上がらない。しかし、町村として三つもゴルフ場があってこれにいろいろ道路施設なんかをするのは容易なことじゃございません。そういう町村もないわけではございません。娯楽施設利用税は、その町村にある幅を還元をしていただくような御配慮がいただけませんか。県税とすれば娯楽施設利用税なんかというものはささいなものです。しかしながら、町村にとりましては、三百万でも五百万でも割り戻しがあるということになれば、これは一つの非常な財源になるわけです。これは税務局のほうですか、財政関係のほうじゃないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/52
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053・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) この問題は、御指摘の点も検討を要する点もございまするので、ひとつ将来の問題として研究をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/53
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054・加瀬完
○加瀬完君 もう一つ、先ほども公債費の問題が出ましたけれども、この公債費で支払う額と地方債で入ってくる額というもが非常に狭まってまいりました。こういう形で、一般財源で当然考えなければならないものを地方債でまかなってまいりますと、借りた金と支払いをする金がとんとんになってくるという時期がもう迫っております。千六百億に千三百何億といういま比率でしょう。これは、何かあれば公債でまかなうということは少し考えていただかなければ、また地方団体が身動きができなくなるような一つの要素になるんじゃないでしょうか。どうお考えでございましょうか。また、市町村合併をやると、何か事業をやると、じゃ地方債でもやってやろうということになるけれども、はたして地方債を受け入れるだけの財政状態にあるかというのも問題だし、受け入れれば、さっき言ったように、借りる金と払う金が同じだということにもなりかねませんので、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/54
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055・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) 御指摘のように、公債費の額も上がってまいりました。しかしながら、その内容には、先ほど申し上げましたように、地方債計画を越えて出しましたものの償還費等も今回含まれておりますので、そういう意味からいって、必ずしも歳入側の地方債額と公債費の額と一致しているとも申せないのでございます。しかしながら、御指摘のように、さようだから幾らやってもいいということは、これはもちろん問題がございます。したがいまして、個々の団体につきましての指導については、たとえば、その団体においての一般財源の二〇%をこえるような多額の公債償還費を支払っておるという団体につきましては、地方債を許可するよりも、一般財源等を賦与する方法で措置していくというような姿において指導していくべきであるというふうに考えておりまして、個々の団体についての指導については、地方債にやたらにたよらないように指導をいたしますとともに、根本的には、やはり税源をはじめ一般財源の制度上の賦与のワクを広げるべきものであるというふうに考えております。しかしながら、地方債のワクと申しましても、やはり財投の全般の伸びなり、あるいは地方財政計画全体の伸びとほぼ比例した程度の事業の執行も必要でございますので、行政水準確保の上から、やはりこの程度の地方債計画のワクなり、地方債は必要であろうと考えております。しかしながら、個々の団体につきましては、いま申し上げましたように、それが側々の団体の財政圧迫から負担のいくことのないような注意を今後も十分払っていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/55
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056・加瀬完
○加瀬完君 償還率は大体一四%ぐらいでいままで押えておったのじゃないですか。二、三年前は大体一四%程度で押えましたね。それから一四・何用ですか、とにかく一四%か一五%辺ですね。それで一応押えておったものを二〇%というふうに今度ふくらますわけでしょう。そうなってまいりますれば、償還の、何と申しましょうか、つまり一四%であったときには相当制限をされて地方債というものを受け入れておったわけですけれども、それが二〇%に伸びるということは、一四%の当時の制限を越えて、あと三、四%、四、五%ですか、ふくらむわけでございますから、償還に対する力関係というものは弱くなってくるわけですね。借金で苦しむ度合い、返還の能力というのは薄くなってくるわけですね。それだけ、財政的に見れば、これは危険な状態になってるくということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/56
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057・岡田純夫
○説明員(岡田純夫君) いま申し上げましたのも、まだこれも決定したものではございません。方向でございます。限度でございます。したがいまして、個々の団体に許可いたします場合には、二〇%だからどことも同じようなワクを認めていくというふうなことではなくして、十分押さえていかなければなるまいと思っています。また、事実そこまで到達している団体は比較的少ない――きわめて少ないというふうに了解しておりますが、最高限度をそこで押さえておるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/57
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058・加瀬完
○加瀬完君 昭和三十七年度かに、私はちょっと計算をしたのでございまするが、そのときにはたしか一四・何%であったかと思いますね。しかし、都道府県だけを調べて一四%もこしている団体が非常にございます。それは非常に危険信号が出されていたわけです。大蔵省はなかなか一四%から上というものは許さなかった。二〇%ということになりますと、そうでなくても、公債費と地方債の比率が近づいているのに、一四%と押さえていたのに近づいているのに、二〇%までふくらませばもっとこれは近づいてきますよね。そういう形で現状の地方財源というものをやりくりをつけさせておきましても、それはちょうど昭和二十九年から以後の赤字財政のときと同じように、また公債費のためにほとんど歳入が食われてしまうという形になって、赤字転化の原因になりませんか。しかも、この地方債の借り入れ内容というものが、市町村の独自の事業ばかりではございませんね。国が引き受けをしなければならないようなものをそのまま地方の負担で仕事を続けておりますから、その負担のために地方が支出を重ねてくるという問題もございますね。これは町村合併には直接関係のないことでございますけれども、こういう財政的な、地方の負担をしなくてもいい負担というものを整理をしていただかなければ、これは合併をどんなに進めたって根本的な問題は解決できないと思うわけでございます。これはひとつ十二分に御研究をいただきたいと思いますし、あるいは、財政問題、税制問題の法案が出ましたときに、あらためて伺いたいと思いますが、法案そのものは簡単に特例に関する法律案というものをつくることも容易でしょう、運用することも容易でしょうけれども、だからといって、根本的な自治の確立にもならなければ、福祉の向上にもならない。まだ解決できない、未解決の要因があるという点をぜひ解決をしていただきたいと希望を申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/58
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059・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認めます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/59
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060・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 次に、地方行政連絡会議法案を議題といたします。
前回説明を聴取いたしておりますが、本日は、これを補足して説明を願います。松島官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/60
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061・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 地方行政連絡会議法案につきまして、補足説明を申し上げます。
第一は、地方行政連絡会議の目的であります。「地方行政連絡会議は、地方公共団体が、国の地方行政機関と連絡協調を保ちつつ、その相互間の連絡協調を図ることにより、地方における広域にわたる行政の総合的な実施及び円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資することを目的とする。」ものといたしております。
第二に、連絡会議の組織でございますが、全国の都道府県を九つの地域に分けまして、それぞれの地域ごとに、都道府県及び地方自治法の二百五十二条の十九のいわゆる指定都市をもって組織するものといたしております。
第三に、連絡会議の任務でございますが、地方における広域にわたる行政の計画及び実施につきまして必要な連絡及び協議を行なうものといたしております。この場合、「地方における広域にわたる行政」と申しますのは、具体的には二つ以上の府県の広域にわたる地方の開発計画等のほか、府県の区域を越えて広域的な見地から計画され実施されます、たとえば道路交通、地形の整備、河川改修、水資源の開発利用、農業の近代化、雇用対策、住宅、環境、衛生施設等の建設、災害対策等がこれに該当するものと考えております。
第四に、連絡会議を行なうための会議といたしましては、法案の第四条に規定しておりますとおり、連絡会議を組織している都道府県の知事及び指定都市の長のほかに、地方における広域行政に関係の深い国の出先機関の長、公共企業体の機関の長等をもって構成するものといたしております。なお、会議の議長は、この会議の性格上、会議において定める都道府県知事をもって充てることにいたしております。
第五に、連絡会議の協議事項の処理についてでありますが、会議の構成員は、協議のととのいました事項については、これを尊重して、それぞれ担当する事務を処理するようにつとめるものといたしまして、できるだけ協議の結果が関係行政に反映するような趣旨の規定を設けているのでございます。
第六に、連絡会議と関係行政機関等との関係について若干の規定を設けております。すなわち、連絡会議は関係行政機関等に対し必要な協力を求めることができることといたしまして、そのほか、これらの機関からの求めに応じまして関係資料を提出しなければならないものとし、また連絡会議は必要に応じて関係大臣、公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとするほか、関係大臣は、所管行政について連絡会議の意見を聞くことができるものとする規定を設けてあります。
最後に、連絡会議の運営その他につきまして若干規定をいたしておりますが、その一は、連絡会議の運営に要する経費は、連絡会議を組織する都道府県及び指定都市の負担としております。その二は、連絡会議は開催のつど、その結果を自治大臣及び関係ある大臣に報告するものといたしております。その三は、連絡会議の庶務その他連絡会議の運営に関して必要な事項は、連絡会議が定めるものといたしております。
以上が、地方行政連絡会議法案の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/61
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062・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) それでは、これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/62
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063・林虎雄
○林虎雄君 この法律案は、今回で三度目の提案になっておるわけでありまして、第一回目は四十三国会で、このときは衆議院で可決をされて、本院で審議未了になったのであります。第二回目は四十六国会で、このときは本院の先議でございまして、可決をされましたが、衆議院で継続審議ということになって、今国会で去る二月の二十五日でありますか、衆議院の本会議で可決されて、本院へ回ってきたという因縁のついたといいますか、そういう経緯をたどってきておるものでありまして、自治省が――自治省というか、政府というか、三回にわたって内容はほとんど同じの法律案を出されたという熱意のほどは、よくわからないではないのですけれども、おそらくこれを三回にわたって出したということは、この法律を制定することによって、地方行政のよりよき発展ということを意図しておるものであろうと思いますが、そういうふうに前提としてこの法律案を考える場合に、その内容においては、すでに何回も指摘されたと思いますが、委員会でもってあらゆる角度から指摘をされたと思いますが、中身はあまり期待できない内容であるというふうに率直に申し上げざるを得ないと思います。したがって、政府がこの案を三回にわたって出したということにつきまして、地方行政の進展のためにどれだけの効果があるかということになりますと、具体的にどうも指摘する内容というのはあまりないのではないかと思います。私は、まあそう思うわけでありますが、しかし、ないよりはあったほうがいいという程度のものであるかもしれないと思っております。いままでも何回も質問してまいりましたので種も尽きたようなことでありますけれども、最初にお聞きしたいのは、都道府県とそれから指定都市との会議をブロックごとに持たれるわけでありますが、その場合に国の出先機関の長がこれに加わって、そそうして国と地方との連絡協調を保つということになっておりますが、財政負担といいますか、この会議に要する経費というものは、みな地方団体の負担ということになっております。おそらく会議の経費は少ないでありましょうけれども、法律で、国の出先機関の長も参加すると言う以上は、負担も、若干であろうとも負担することのほうが、合理性を持っておると思いますが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/63
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064・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) この法案につきましては、何度も申し上げてまいりましたように、今日広域行政の必要性ということが各方面においていわれておるわけでございますけれども、これにこういう対処のしかたをしていくかという場合に、国の側から国の権限を強化して対処するという行き方が一方において考えられております。それに対してこの法案がねらいといたしますところは、どこまでも地方団体に主体性を持たせつつ、国の出先機関もその中に引き込んで、地方団体の側から広域行政をいかに円滑に進めていくかという体制を打ち立てようというところにねらいを置いておるつもりでございます。そういう意味から申しまして、どこまでも地方団体が主人であって、国の出先機関は会議に加わっていただきますけれどもお客さんだ、こういう考え方でございます。したがいまして、費用の点につきましても、主体たる地方団体が会議の経費を持つ。もちろん、国の出先機関が出席いたしますような場合に、その出席旅費を国の出先機関が持つことは当然でございますけれども、会議自体の経費といたしましては、地方団体がこれを負担すると、こういうたてまえにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/64
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065・林虎雄
○林虎雄君 地方団体に主体性を持たせるという意味で経費も当然地方団体が持つのだという考え方でありますが、主体性を持つことはいいですけれども、この法全体の内容が主体性を持って、かなり地方自治がこの会議によって国が制約されて、国のほうも地方団体の要請に応ずるように義務づけられるような内容でも出ればともかくといたしまして、主体性を打つといっても、会談そのものはともかくとして、内容においてずいぶん主体性を持ってもおらないような感じもいたすわけでございます。すでに御承知のように、別表にあるような九ブロックの連絡会議は、過去においても全国知事会議が大体このブロックでブロック会議を開いておると思います。そうして、今回の法律にもあります国の出先機関の長に参加してもらうということは、別にブロック会議は何も制約はありませんけれども、必要に応じては、もうすでに今日までも出先機関の長の出席を求めていろいろ院議をしておる事例も相当あると思うわけであります。たとえば、いま官房長の指摘しましたように、連絡会議の任務にありますように、河川の総合開発あるいはまた農業の近代化とかいろいろ他県にまたがるような問題で各省に――建設省、農林省に関係するような、そういう問題を取り上げる会議等には出先機関の長が参加しておるので、特にこうした法律がなくても、実際いままで連絡会議というものは、この法律案で意図しておるような程度のことは行なっておるような気がするわけでありますが、それを法制化すことによって何かプラスになるものがあればともかく、といたしまして、この内容としては、あまり取り柄がないように思うわけであります。
そこでお聞きしたいことは、この会議の積極的な意義というものですね。こういう点についてお聞きしたいと思うのですが、従来も大体このブロック会議を知事会議等がやっておった。知事会議だけでありますから、指定都市の長というものは参加したかどうかそれはわかりませんけれども、大体従来も同じことを、やっておった。したがって、この法律が制定されますともっと中身が充実する、連絡会議の中身が充実するということは何があるかという点について疑問を持つわけであります。いま説明にもありましたように、また法律の内容にもありましたように、この構成員で協議のととのったものについては、これを尊重して事務を処理する、これは当然のことでありますが、それから、関係の機関に対して資料の提出その他必要な協力を求めることができる、これも、いまでも法律がなくとも、特別の秘密的な書類以外のものは資料の提出その他協力を求めておると思うのです、いままでも。これはおそらく国の機関についてだと思いますけれども、そうすると、これもあまりたいしたこともないし、それから、必要があるときは関係のある大臣または公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとする、これも法律にうたわなくとも、地方団体の長は、関係のある大臣、あるいは公共団体の長に対して意見を、あるいは陳情等を申し出ていくことがあるわけですから、そうなりますと、この法律ができたために、どんなプラスが地方団体に与えられるかという、何か例年をとって御説明いただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/65
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066・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま先生から御指摘のありました事柄でございますけれども、現在もそれぞれのブロックごとに自主的な知事会議等が行なわれ、必要があれば指先機関の長に協力を求めて出席をしてもらって、いろいろの意見を聞く機会があるということでございますが、おそらくそのとおりの運営に事実上なっておると思います。それじゃ、なぜこんな法律をつくるのかということでございますが、先ほども申しましたように、今日広域行政ということが非常に問題になってきております。この広域行政に一体どう対処していくのか、対処のしかたというものをやはりこの際明らかにしていく必要があるのではないか。その対処のしかたを明らかにするにあたって、国の側から、いわば出先機関の強化とか、あるいは中央集権的な形で対処していくのか、あるいは地方団体が主体性を持って対処していくのかという問題となるわけでございますけれども、私どもは、地方団体がどこまでも主体性を持って広域行政に対処していくべきである。その対処の一つのしかたとして、この際、国の出先機関も、単に出てきてくれと言われたから恩恵的に出ていってやるんだというようなことではなくて、一つの制度として、出なければならないという義務を負わせる、そういう仕組みをつくることによって今日の広域行政というものは府県あるいは指定市が主体になって国の出先機関も協力してやらなければならないのだという法律的な体制を整えることが必要ではないか、かような観点からこの法律案を提案いたしているわけでございますし発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/66
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067・林虎雄
○林虎雄君 官房長の趣旨はよくわかりますけれども、広域行政、広域経済というような新しい時代を迎えておるのでありますから、これに対処する必要がある。それには地方の自主性をもっと強化していかなければならない。そういう意味で積極的に考えるということでありますが、中央集権的な傾向をむしろ排除して地方自治というものを確立したいというふうに解釈ができたわけでありますが、しかし、国のいまの一つの方向というものは、遺憾ながら中央集権的な方向に、いろいろ行政制度等も、先ほど加瀬委員からも指摘されましたように、財政的にもほとんど地方の自主性というようなものは失なわれておるというようなことで、遺憾ながら、方向としては中央集権的な方向に、逆な方向に移りつつあるというふうに思うわけです。それを、あえて地方の自主性を守ろうということはけっこうでありますが、この連絡会議という、これも一つのステップとして考えることならば別としまして、これだけで地方の自主性を守るということはとうてい及ばないことであろうと思います。ただ、私は、この法律案の中に意図されておるものをこういうふうに一応考えておるわけです。御承知のように、政府の各省ですね、各省それぞれ総理大臣のもとに各省大臣なり、大臣の管轄のもとに、行政的な各省があるわけですが、これが一般にいわれておりますように、セクト主義といいますか、なわ張り主義といいますか、なわ張り意識といいますか、そういうものがあって一つの政府のもとにありながら各省の考え方というものは一つの方向を必ずしも指向しておるとは言いがたいと思います。そういうために、地方ではずいぶん迷惑をこうむっておる。むしろ、地方行政の事務の遂行上マイナスをしておる点が多いというふうに私も思っておるわけであります。おそらく自治省としましては、地方団体のめんどうを見ておる立場から、地方の問題として各省のばらばらな行政というものに対して目に余るものがあるというふうにお考えになっておるのではなかろうか。また、そういう事実を私は具体的にたくさん知っておるつもりでありますけれども、この各省のセクト主義、なわ張り主義、意識というものはかなり根深いものがあって、そうして、それを打破しなければなりませんけれども、また、打破しようとして自治省あたりはお考えになっている点があろうと思いますが、これは容易なことではない。ですから、国のほうの制度では、そういうセクト主張の打破というものは困難である。そこで、自治省といっていいか、政府といっていいか知りませんが、各省のセクト主義の弊を上から改めていくということは、今日の情勢下でなかなか容易でないから、連絡会議等を持って、地方団体と出先機関とを通じて、末端からこういう弊害を正していきたい、そういう意図がこの法案の中に含まれているような感じがいたすわけでありますが、それにしても、そういう意図が含まれているとすればするほど、少し弱過ぎるような気がいたしますが、いまの点はどうですか、お答えにくいと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/67
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068・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま御指摘ございましたように、各省間にいろいろな意味でなわ張り主義と申しますか、そういうものがあることは御指摘のとおりだと考えております。もちろん、それが各省か悪意を持ってやっているものとは考えませんが、自分のところの仕事ができるだけ円滑にいくようにということから、おのずからそうなっている面も少なくないのではないかと考えます。しかし、私ども地方団体の実態についていろいろお話を伺ってまいりますと、名打がどれだけなわ張りの問題で相争おうと、結局、一つの仕事が現実に行なわれる場所、そこにおいては、何らかの形で統合されていかなければ仕事が進まないわけでございます。私の知っていろある県の例で申しますと、沼を埋め立てるのについていろいろ問題がございまして、農林省は農林省の立場、通産省は通産省の立場、建設省は建設省の立場、厚生省は水道の立場というようなことで、いろいろその沼の水、あるいは埋め立てをめぐって主張をされたことがございます。各省はそれぞれ自分の所管に従って一番いいと思うことを主張されているには違いございませんけれども、そのままでは、現地の総合行政を扱っております都道府県といたしましては、何ともその問題を解決する方法はないわけでございます。そこで、どうしても現地においてはそういう問題は何らかの形で調整された姿において行なわれていかなければならないということになるわけでございまして、そういうようなことは、上からなわ張りを是正するとか、下からなわ張りを是正するとかいう問題以上に、現地においては切実な問題でございます。そういった問題を考えましても、やはりこういう連絡会議というようなものをつくって、現地における行政を、地方団体がどこまでも主体となって問題を解決していく、その発言の場というものが十分確保されていくという体制を今日確立することが最も必要なことではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/68
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069・林虎雄
○林虎雄君 確かにいまのような問題は相当あろうと思いますが、こういう問題は、たとえば総合開発等の場合において、実際はブロック会議あるいは総合開発のブロックの審議会といいますか、河川の審議会等におきましては、建設省、農林省あるいは通産省というような出先の長も実際には参加して、ある程度はスムーズにいっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/69
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070・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 御指摘のように、もちろん、円滑にいっている問題もあろうと存じます。しかし、中には、いざ実施の段階というような段階になりまして、そういう話し合いではなかったとか、話し合いの内容が、自分の聞いたのはそうではなかったとかいうような、いろいろな問題が現実に起きているのも事実でございます。したがいまして、どういう問題が起ころうとも、現地においては、その問題の調整をして行政を行なっていかなければなりませんので、こういう会議がやはり必要性があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/70
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071・林虎雄
○林虎雄君 実施段階においていろいろ問題が起こる場合もある、したがって、従来も話し合いではやっておったが、むしろ法律化することによってさらにその推進は行なわれる、推進はスムーズにいくというふうな考えで法案を提出した、こういうふうに解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/71
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072・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 私、最初に申し上げましたとおり、広域行政という問題がいろいろ問題になってきておりますが、これに対処して、地方団体がどこまでも主体性を持ってやっていくんだという体制をやはり打ち立てるという意味が一つあるのではないか。これはそれではこれでもって十分、やれるかやれないかという御議論があろうかと思いますけれども、一応そういう体制、どこまでも広域行政の主体性は地方団体が主になってやるんだという、こういう体制をこの際打ち立てるという意味が一つこの法律をつくることに含まれていると考えます。現実には、もちろん、この法律をつくったらそれだけの、何と申しますか、宣伝効果と言うとちょっとことばが適当じゃありませんけれども、そういう効果だけの問題じゃありません。現実の問題は、先生かいま御指摘になっておりますように、この会議を通じて具体的な問題をこなし、処理していくというところに目的があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/72
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073・林虎雄
○林虎雄君 最後に、地方団体が主体性を持っていくためにひとつ筋金を入れるという意図を持っておるようでありますが、それにしても、先ほど私が指摘いたしましたように、第五条から七条までの三カ条が具体的な会議の内容であると解しますが、どうも抽象的過ぎて、主体性を確立するためにはこの程度の抽象性では心もとないというふうに思えるわけでありますが、もう少し、国が、逆に法律化する以上は地方団体のこうした会議の制約を受けると言うと語弊がありますが、何か国として義務づけられるような、もう少しはっきりしたものが必要ではなかったかというふうに思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/73
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074・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 御指摘ごもっともでございます。しかし、私どもは、この会議をつくり、地方団体に主体性を持たせつつ広域行政の問題を処理するという体制をつくり、その会議を通じて地方団体がいろいろと問題を提起し問題を調整をしていく、そういう過程を通じてこの会議の存在意義が世間に認められるということになれば、おのずから、いま先生おっしゃいましたような問題も、解決をしていくんではないか。したがいまして、問題は、この会議をいかに運営していくかというところにそういった問題の解決のかぎがあるのではないかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/74
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075・林虎雄
○林虎雄君 もうこの法律案はすでにいろいろの角度から審議し尽くされ、質問もみんなダブったことになりますので、この程度で終わりたいと思いますが、ただ私の懸念されることは、繰り返して申し上げたように、ほんとうに地方自治を確立する、この主体性の確立のために、いわゆる国の中央集権化を、防波堤のような意味で守り抜けるようにこれが運営されなければならないと思いますが、そういう上においては、法案の内容としては何かどうもあいまいな点があろうと思いますが、今後幸いにこれが可決された場合には、ひとつほんとうの筋金を入れるように一そうの御努力を希望、期待をいたしたいと思います。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/75
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076・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) それでは本日はこの程度にいたしまして、次回は、三月十一日(木曜日)午前十時に開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十五分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01219650309/76
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