1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十一日(木曜日)
午前十時二十三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 天坊 裕彦君
理 事
西郷吉之助君
竹中 恒夫君
林 虎雄君
委 員
小林 武治君
和田 鶴一君
加瀬 完君
鈴木 壽君
松本 賢一君
市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
警察庁長官 江口 俊男君
警察庁交通局長
事務代理 鈴木 光一君
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
出、第四十八回国会衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/0
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001・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(閣法第一一三号)を議題といたします。提案理由の説明を願います。吉武自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/1
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002・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
御承知のとおり、恩給制度について、恩給年額の増額等の措置を講ずるため、政府は、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても同様の措置を講ずる必要があります。このほか、職員団体の事務に専従する組合員の長期給付に要する費用の負担及び健康保険組合の職員期間の通算等についても所要の措置を講ずる必要があります。これらがこの法律案を提出した理由であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
第一は、恩給法の改正に伴う措置であります。
その一は、市町村職員共済組合が支給する旧恩給組合条例または旧市町村職員共済組合法の規定による年金について、恩給または国家公務員共済組合の年金の年額の改定に準じ、その年額を改定することとしております。
その二は、高額所得停止を行なっている退職年金について、恩給法の高額所得停止基準の是正に準じその支給停止の基準を是正することとしております。
その三は、地方職員共済組合等が支給する国家公務員共済組合法の規定による退職年金等の額の改定に要する費用は、恩給公務員期間及び旧国家公務員共済組合法の組合員期間に対応する部分については、全額国または地方公共団体が負担するものとし、国家公務員共済組合法の施行日以後の組合員期間に対応する部分については、公務による給付として国または地方公共団体が全額負担するものを除き、労使並びに国または地方公共団体が負担することとしております。
第二は、その他の事項についての措置であります。
その一は、職員団体の事務に専従する地方公務員である組合員に対する長期給付に要する費用のうち百分の十五に相当する額については、当該組合員の所属する地方公共団体が負担することとしております。
その二は、地方公務員を被保険者とする健康保険組合の職員であった組合員について、その在職期間を組合員期間へ通算することとしております。
以上のほかに、地方公務員等共済組合法及び地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法について、若干の規定の整備を行なうこととしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいまするようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/2
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003・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/3
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004・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回、説明を聴取いたしておりますが、本日は補足して説明を願います。江口警察庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/4
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005・江口俊男
○政府委員(江口俊男君) 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足いたしまして御説明申し上げます。
まず、第一条の改正規定から御説明いたします。
第一に、自動車による人身事故を防止し、その他自動車の安全運転の確保をはかるための規定の新設についてでございます。
その一は、第七十一条の二の規定についてであります。
この規定は、自動二輪車の運転者は、政令で定める道路の区間においては、乗車用ヘルメットをかぶらないで自動二輪車を運転し、または乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて自動二輪車を運転してはならないこととするとともに、高速自動車国道及び都道府県公安委員会が指定した自動車専用道路においては、自動二輪車に運転者以外の者を乗車させて運転してはならないこととしようとするものでありますが、いずれも、自動二輪車の運転者またはその同乗者の人身事故の防止をはかろうとする趣旨のものであります。
その二は、第七十四条の二の規定についてであります。
この規定は、一定台数以上の自動車の使用者は、自動車の安全運転に必要な業務を行なわせるため、一定の要件を備えた者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならないこととし、これに伴う必要な監督規定を設けようとするものでありますが、自家用の自動車の安全運転の管理を制度的なものとして、その責任の所在を明らかにし、安全運転の確保をはかろうとするものであります。
第二に、自動三輪車、軽自動車等に対する運転免許の資格要件等を強化し、その他運転免許制度の合理化をはかるための改正規定について御説明いたします。
その一は、第三条、第八十四条等の改正規定についてであります。
まず、現行の自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験を強化するための改正でありますが、これは、最近における自動車等の性能の向上に伴い、現行の自動三輪車を普通自動車と区分し、現行の二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車を自動二輪車と区分してそれぞれ別個の運転許を設け、その資格要件及び運転免許試験の方法を異にして定めておくことは、これらの自動車等に対する運転免許上の資格要件及び運転免許試験の方法が普通自動車または自動二輪車の運転免計上の資格要件及び運転免許試験の方法に比較して軽きに失し、実情に沿わなくなってきていることにかんがみ、自動車等の運転免許の種類のうち、自動三輪車免許及び第二種原動機付自転車免許を廃止し、自動車等の種類としての自動三輪車を普通自動車とし、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車を自動二輪車としようとするものであります。なお、この改正により、自動三輪車及びこれに対応する運転免許は、それぞれ普通自動車及び普通自動車免許と、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車並びにこれらに対応する運転免許は、それぞれ自動二輪車及び自動二輪車免許となり、また、第二種原動機付自転車免許が廃止され、第二種原動機付自転車が自動二輪車となることに伴い、第一種原動機付自転車及びこれに対応する運転免許は、それぞれ原動機付自転車及び原動機付自転車免許とその名称が改められることとなります。
次に、牽引免許を新設することでありますが、これは、現行法における大型特殊自動車免許の対象には被牽引車を牽引するための自動車とロードローラ等特殊な構造の自動車との両者が含まれており、実情に即しないので、一定重量をこえる被牽引車を牽引して自動車を運転する場合は、大型特殊自動車免許の対象から除外し、新たに、牽引免許の対象としようとするものであります。
その二は、第九十六条及び第九十七条の改正規定についてでありますが、これは、新たに設けられることとなる牽引免許及び牽引第二種免許の受験資格及び運転免許試験の方法について規定するとともに、軽自動車免許の運転免許試験を強化するため、その試験の内容に構造試験を加えることとしようとするものであります。
その三は、第百六十条の改正規定についてであります。
この改正規定は、運転免許に関する事務について、都道府県公安委員会から国家公安委員会に報告すべき事項に、自動車等の運転者が自動車等の運転に関してした道路交通法の違反事項等を加えようとするものであり、運転免許に関する事務の適正をはかろうとする趣旨のものであります。
その四は、第百十二条の改正規定についてであります。
この改定規定は、運転免許の効力の停止を受けた者等が都道府県公安委員会またはその委託した者が行なう講習を受けようとするときは、講習手数料を当該都道府県に納めなければならないこととしようとするものでありますが、これまでの講習の実施の経験にかんがみ、講習の内容を充実し、その体制を整備しようとするためのものであります。
第三に、国家公安委員会は、高速自動車国道における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるため特に必要があると認めるときは、道路交通法の実施に関する事項について、都道府県公安委員会に対し必要な指示をすることができることとする第百十条の改正規定について御説明いたします。
この改正規定は、高速自動車国道における交通が広域的かつ高速的であるという特殊性にかんがみ、これに対処するため高速自動車国道における交通の規制、交通の取り締まり等について特に必要がある場合には、これを一元的に処理するため関係都道府県警察に対し国家公安委員会が必要な指示をすることができることとするものでありますが、これは、高速自動車国道におきましては交通の広域性という点からは、交通の規制、交通の取り締まり等が都道府県によって異なるときは、当該道路における交通の円滑を阻害し、ひいては交通に危険を及ぼすおそれがありますし、また、交通が高速であるという点からは、一の都道府県における交通が直ちに他の都道府県に少なからぬ影響を及ぼすこととなりますので、これらの理由により、高速自動車国道における交通の規制、交通の取り締まり等は、高速自動車国道の存する地域を管轄する都道府県警察単位の判断で行なうことは適当でなく、国家公安委員会の指示のもとに、高速自動車国道全域を一体としてこれを行なうこととする必要があると考えられるからであります。
第四に、身体障害者が車いすによって道路を通行する場合の通行区分を明確にするため、第四条等の関係規定を整備することについて御説明いたします。
これらの改正規定は、最近身体障害者の社会復帰の意欲が高まり、下肢不自由の身体障害者が車いすによって道路を通行する場合が多くなってきておりますので、従来、不明確であった通行区分を歩行者の通行区分によることとして明確化し、その保護をはかろうとする趣旨のものであります。
次に、第二条の改正規定について御説明いたします。
この改正規定は、四輪及び三輪の怪自動車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験の方法を強化しようとするものでありますが、すでに御説明申し上げました自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験の方法の強化と同じく、最近における四輪及び三輪の軽自動車の性能の向上に伴い、軽自動車免許を廃止し、自動車の種類としての軽自動車を普通自動車としようとするものであります。
なお、この改正を第一条と区分して第二条として規定いたしましたのは、後に御説明いたしますように軽免許の廃止による四輪及び三輪の軽自動車の運転免許の資格要件等の強化に関する改正規定を、それ以外の部分に関する改正規定の施行より三年おくらせて施行することとする必要があるからであります。
最後に、附則について御説明いたします。
附則におきましては、その第一条において、本則第一条の改正規定を公布の日から起算して三カ月を経過した日から、本則第二条の改正規定を第一条の改正規定の施行日から三年を経過した日からそれぞれ施行することといたしております。
すなわち、第一条の改正規定につきましては、自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件等の強化にかかる改正を含めて改正法の公布の日から三カ月後に実施することといたしておりますが、第二条の改正規定につきましては、四輪及び三輪の軽自動車の運転免許の資格要件をいま直ちに強化することは、社会的に少なからぬ影響を及ぼすことになりますので、改正法の公布後三年三カ月を経過した日から実施することとし、その間は、四輪、三輪のものに限り、自動車の種類としての軽自動車とこれに対応する運転免許として軽自動車免許をそれぞれ存置することといたしております。したがいまして、改正法の公布後三年三カ月を経過いたしますと、軽自動車免許は廃止され、自動車の種類としての軽自動車は普通自動車となり、これに対応する運転免許は普通自動車免許となるわけであります。
なお、附則第二条以下においては、運転免許の種類の改正に伴い、改正される従前の運転免許は新法の相当規定による運転免許とみなすこととするとともに、運転免許の種類に応じて運転することができる自動車等の種類の改正に伴う必要な経過措置についても所要の規定を設けております。
以上が道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/5
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006・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 議事の都合により、本案についての御質疑は後刻に譲りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/6
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007・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 次に、地方行政連絡会法案を議題といたします。
御質疑の方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/7
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008・松本賢一
○松本賢一君 大臣に少し質問したいと思います。予算委員会のほうでお忙しいようですから、あまり時間をとらないで質問いたします。
この法案、御承知のとおり今度で三度目の提案になっているわけですが、最初篠田さんが大臣のときに出されたときには、私の質問に対して大臣の答弁は、まあ試みにやっているのだというような答弁だったと思うのです。それから、あのときに流れまして、去年でしたか、早川自治大臣のときには、もうあの法案は出さないのだといったようなことで、これはまあうわさですけれども、大臣がおっしゃったわけではないですけれども、出さないのだといったようなことでお出しにならなかった。その後、大臣がかわりまして、赤澤自治大臣になったときに、またおそくなってお出しになったわけですが、そのときの大臣の答弁では、これは非常に重要な法案なんですということで、篠田さんとはだいぶニュアンスの違った答弁があったわけです。そこで、今回またお出しになったわけですが、現在の吉武自治大臣は、この法案について、前の自治大臣の方々と、どういう違ったお考えをお持ちになっておるか、そういう点についてひとつ大臣のこの法案に対する心がまえをお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/8
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009・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 本法案は、何年か持ち越しになっておることは御指摘のとおりでございます。私就任いたしましてからも、この法案の取り扱いにつきまして、省内におきましてもいろいろと相談したのでありますが、私は率直に言って、これはできるだけ早く実現をしていただくことが地方自治の上におきましても非常にプラスになる、かように実は存じましてお願いをしているわけであります。というのは、これは各ブロック、ブロックの府県知事間にはそれぞれ話し合う機会もございまするし、連絡もつきやすいのでありまするけれども、やはり行政官庁の出先官庁との間は結びつきにくい。これは従来からもそうでありまして、特に最近になりまするというと、広域行政と申しまするか、行政が広範な地域にまたがって、連絡をし、また協調を保っていかなければならぬ仕事が相当出てきておるのでありまするから、こういうことで、各ブロックの府県間、それから出先の官憲との間の連絡協調というものが非常につきやすくなりまするから、私は、これは自治体にとりましても、また住民にとりましても、このことが実現すればするだけ、早くできるというと助かる、かように存じて、私は過去の自分たちのやってきました経験から見ましても、そういう感じを深くいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/9
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010・松本賢一
○松本賢一君 そうしますと、地方制度についてのいろいろな議論があるわけですが、根本的に地方制度というものを変えていくというなら、政府の付属機関においても調査等をなされておるわけであります。その過程においてこの法案が出されたわけですが、そうすると、根本的な地方制度の立て直しというか、改正というか、そういうことは別に考えられると、さしあたってこういうことをやってみるということなんですか。それがまあさしあたって地方の住民の利益になるだろうということで、さしあたっておやりになろうということなんですか。どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/10
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011・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘になりました点は、おそらく府県合併とか府県連合とかというような構想との関係がどうかというお尋ねだろうと思います。で、それとはこれは実は別個の関係でございまして、ただいま地方制度調査会に諮問しておりまする問題は、実はその府県合併を主にしてどうかということをまあ諮問しておるわけであります。府県の連合体をつくる、EECのようなものをつくろうかという議論もございますけれども、もうそれも私必ずしも地方制度調査会の御意見がどうなりまするか、私かってにどちらという断定はまだしておりませんけれども、まあ広域行政をやる上において、府県合併にするか連合体をつくるかということになりますると、もしやるならばもう思い切って合併のほうがいいんじゃないかという感じもするわけでありまするが、これはさしあたっては具体的に示してはおりませんけれども、大阪を中心にして奈良とそれから和歌山とが、まあ従来一緒になったらどうだと、もうこれは経済的にはほとんど一体的になっておりまするし、また、社会生活の上におきましてももうほとんど一体になっておりまするから、その問題についてどうしたらいいだろうかということが一つございます。同時に、まあそのことは中京地区におきましても、愛知と岐阜と三重とが一緒になったらどうだと、これも経済的にはもうほとんど一体的な状況でありまするけれども、しかし、まあこの合併という問題は、なかなか歴史的な関係もございまして、そういう関係で、それでこれもまああわせて実は諮問しております。東京付近をどうするかという問題もございますけれども、これはまあ首都圏という問題で出ておりまして、それで、それじゃ大阪地区、中京地区だけに限るのかということになりますると、その他もあり得るかと思いまするけれども、さしあたってはそういうところの問題がまあ問題になっておる。で、いまここでお願いをしておりまする連絡協議会の構想というのは、九州は九州一帯でどういうふうにその連絡をとっていこうかということで、これは合併とはちょっと違った性質のものでございます。したがって、まあ近畿の地方で大阪といまの奈良と和歌山がかりに一緒になりましても、近畿全体としてどういうふうに連絡をとっていくかという問題は、同時に出てくるわけであります。まあ東京付近については、首都圏というような問題でまあ委員会ができておりまするから、それとの関係がどうかという問題は起こるかもしれませんけれども、そういう関係で、この構想は、かりに合併ができましても、別個にやはり必要な問題になってきますので、矛盾はしていない。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/11
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012・松本賢一
○松本賢一君 まあここの、いまうわさにのぼっている府県合併といったようなものとこれとの関係を見ますと、いま大臣のおっしゃったようなことになるのですけれども、府県連合といったような考え方からすると、大体これに分けられたようなブロックの府県連合というようなものが考えられるのであって、そういう考え方との関係、それからこの間もどなたからか質問があったのですが、いますでに全国知事会がブロック別の支部を持って会議をやっておるわけですね。そしてそれに関係官庁の出先機関の方も必要に応じて出席していただいて、意見を聞いておるといったようなことが行なわれておる。それと、今度のこういった制度とが、実際的には大差ないというようなことも考えられるわけなんですが、そこで、これをやられるさしあたっての考え方は、府県連合なんていうようなことを言ったって、それはもうなかなか実現できるものじゃない。だからそれにかわる形として、こういう形をひとまず考えてみようと、で、全国知事会というようなものがやっておる現在のやり方を、ある程度法制化して、そしてはっきりさせようといったような考え方じゃないかと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/12
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013・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘のとおりでございますが、それでは府県連合とこの連絡協議会とは同じようなものじゃないかというお説につきましては、実は府県連合は、そういうところまでは考えていなかったわけでありまして、いまの大阪地区にしてみれば、大阪と和歌山と奈良を府県連合でやっていったらどうか、あるいは合併にしたらどうかというような議論の分かれ方であって、九州全体を一つの府県連合でやろうという構想ではないわけです。それはちょっと現在の自治体のたてまえからいいましても、九州一帯を連合体にして何か一つの仕事をするというところまでの必要性にもまだ迫られておりませんし、問題は、連絡をしてやっていくということでありまするから、第二に御指摘になりました現在府県がやってるじゃないか、こういうことは、私はそうだろうと思うのです。ということは、逆に言いますると、そういう必要性に迫られてきている。迫られてきて、だんだんそういうものが事実上行なわれてきている。それから法律が早くできましたら、この法律にのっとってやるんでしたけれども、法律がなかなかおくれがちになったものですから、つまり実際の必要に応じて生まれてきたとお考えいただいていいんじゃないか。したがいまして、この制度は無から有を生ずるということじゃなくて、その必要に追られて、もうその段階にきておるというふうにお考えいただいてもいいんじゃないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/13
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014・松本賢一
○松本賢一君 この案についての事務当局の答弁を聞いておりますと、これは中央集権という考え方から出発しておるのではなくて、むしろその逆に、地方自治体というものをしっかりさせるというような考え方から出発しているんだというふうな御説明があるわけでありますが、大臣も、これによって地方自治体をむしろ強化するというようなお考え方には変わりないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/14
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015・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) もちろんその考え方でございます。で、こういう構想が、ちょっと終戦ごろにありましたけれども、これは国家のつまり行政の一つの強化のためにつくった、それとは全然別個でございます。これは自治体というものの運営をよくするために設けたものでございます。それで、まあ御承知のように今日の自治体と国との関係はどうかというと、せんだっての衆議院の予算委員会でも議論になったところでありまするけれども、戦後はずっと国の行政自身も、つまり地方の住民の福祉というほうに、非常に重点が向いてきているわけであります。御承知のように国の三兆六千億の予算の中で交付税七千三百億というものは、もうこれは地方へ行く。それから約一兆円、九千九百億程度の国庫支出金も、これは地方の補助金として出ていく。その内容を見まするというと、ほとんどが国民の福祉につながる仕事でありまするから、したがって、中央集権とかなんとかいうことではなくて、府県の自治体はもちろん住民の福祉に直結する問題でありますけれども、国の仕事といえども住民の福祉ということに非常に重点がかかってきておるわけでございまして、その点は、つまり全然昔と逆な形になっておる。それからこの運営にいたしましても、御説明はたしか事務当局からしたと思いますけれども、いわゆる国の行政機関が主体性を持つのではなくて、自治体が主体性を持って、議長は知事の中から選ぶという構想にもなっておるわけでございますから、その御心配は全然ないし、地方自治の発展のためにというところに終始考えを持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/15
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016・松本賢一
○松本賢一君 国の予算が大幅に地方のために使われておるということ、これは当然なことなんで、日本の国民はそれぞれの地方に住んでいるのですから、国民のために使う予算は、結局地方のために使う予算ということになるのですから、問題は、その使い方を地方の自治体にどれだけの権限を与えて使わせるかということにあるのです。いまの形では、それは地方交付税というのが相当たくさん出ておる、これは豊かな団体と貧弱な団体との平均をとるといったような目的でもってやられているわけです。それはけっこうなんですが、一方、補助金というものが、いまおっしゃったような一兆円ものものが、これはそれぞれひもつきになって出るわけなんで、地方自治体には、これはむしろ義務づけられるような形にもなるわけなんです。それで、そういう点について、もう少し地方自治体に権限を持たせなければいけないと思うのですが、ついては、こういうものを制度化するときに、今日の知事会というものは、集まって協議をして、そしてそこでまとまった意見を今度は政府に向かって陳情するという形がとられておるわけなんです。そこで、この法案を見ますと、連絡会議で協議が決定したものについては、構成員は、それを、何というか、守らなければならぬような形になっておりますけれども、政府は、それに対してただ意見を聞くというくらいの程度にしかなっておらぬのです。政府とこの連絡会議との間に、いわば地方自治、ほんとうの自治体たらしめるためには、こういった連絡会議と政府との間に、何というか、対等な立場で協議をするというような形をつくるべきではないか、ただ意見を聞くとか、陳情をするとかいうような形でなく、私はそこまで持っていかなければ、地方自治体の強化というものは考えられないと思うのです。ですから、その意味で、いまの知事会のやっていることをある程度整理し、それを法制化するというようなふうにしか、私どもにはそれ以上あまり効果があるようにも思えないので、せっかくこういう法律をつくるなら、もう一歩前進させて、いま言ったような、政府との間に協議をする法律的な制度を設けたらどうか、こういうことを私は考えのですが、そういう点についてほどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/16
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017・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 各地方の連絡会議と政府政府のどこかという問題ですが、自治省との間は、これはほとんど一体のようなつもりで自治体の仕事を実は引き受けてやっているような状況でございますから、各省との関係になりますと、いま言ったように出先の機関と自治体の間で話をして、そしてその意見は国の機関がそれを尊重してやっていくと、こういうことになるわけであります。この法律で非常にそのきき目がぴりっとくるという性質のものでないことはそのとおりでございます。けれども、それはそうする性質のものではなくて、やはり自治体というものは主体性を持っておるわけでありまするから、ただその間の連絡をよくとって、そうして住民の福祉にできるだけの貢献をさせたい。特に、今日のように非常に広域行政の範囲が広がってきているからそういうことをさせようと、こういうことでありまして、なまぬるいとおっしゃればなまぬるいかもしれませんけれども、これをあまり強くいたしまするというと、あらゆるものを拘束し過ぎるということになりますから、私はこの程度のほうが実際はいいんじゃないだろうかと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/17
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018・松本賢一
○松本賢一君 これの第七条なんですが、(意見の申出等)ということがあるわけなんですが、これを読んでみますと、これは、意見の申し出といったって、結局は陳情なんですね。今日の陳情政治というものは、結局は地方自治というものを全然へなへなにしておるわけなんで、それをこうやって正式に意見の申し出ができるということは、それだけ前進したといえば前進なんですけれども、これをもう一歩進めて、何らかの形で政府との間に協議をすることができるというところまで前進させなきゃ、せっかくこうやってここで協議をまとめても、そのまとまったことを意見を申し出るということだけでははなはだなまぬる過ぎると思うんです。やっぱり政府との間に協議というか、交渉というか、労働組合式に言うと交渉ですが、中央交渉が持たれるような形をやっぱりつくっていただかぬと、ほんとうに自治体というものは一人前とは言えない。やっぱり陳情しかできぬじゃないかということになるんだろうと思うんですが、どうですか、その辺。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/18
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019・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) そういう点も一つの考え方ではございますけれども、衆議院の委員会の段階で、ある方の御意見の中に、こういう御意見もあったわけです。こういう連絡協議会をつくられるのはいいけれども、各府県の自治体というものは一つの権限を持っておる、それから議会も持っておる、そういう議会があるのにもかかわらず、連絡協議会で相談してものをきめると言うけれども、それじゃ一体、その府県の自治体の議会というものをどうする、拘束するのかしないのかと、そういうような逆の議論も出るわけです。ですから私は、それはちっとも侵していない。それは、ある府県なら府県の自治体、そうしてそれを拘束している議会というものは、これは純然たる自治体という権能のもとにあるが、ただそれに連絡をしながら、そうして、帰って、いいことは、こういうことだがしようじゃないかというようなことで話を進めていくんですと、こういう説明をしていると同じように、国と団体交渉というわけじゃありませんけれども、それじゃブロックができて、ブロックと国との間で話をきめるといっても、国は国でやはり国会というものによって政府の予算にしましても方針にいたしましてもきめていくということでありますから、それは十分意見を聞いて、それを取り入れて国策として踏み出していけばいいことで、国とそういうブロックとの間で話をつけるという性質のものではないんじゃないか。だから、要は、出先の官憲との間に話を進めて、そうして、なるほど九州はこういうことにしたらいいぞという意見が出れば、各府県は府県でそれを持ち帰ってそれに協力していく。出先の官憲は、あるいは建設省の出先でありますとか、郵政省の出先でありますとか、運輸省の出先でありますとか、それは、そういうことはいいことだから、それでは本省のほうに持ち帰ってひとつできるだけ協力していこうということで反映していくのでありますから、私は、いまの御指摘のことは、運営の上において当然そうあるべきものであって、法律の上でそういう形をつくる必要はないと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/19
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020・松本賢一
○松本賢一君 これは見解の相違というか、議論だと思いますから、その程度でやめざるを得ないと思いますけれども、いつまで言っても切りがありませんから。
そこで、これはやや事務的な御質問になるかとも思いますが、協議がととのうということはどういうことなんですか。これは多数決できめるといったようなことじゃないと思うんですけれども、どういうふうなことによって協議がととのうということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/20
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021・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 協議がととのうと申しますのは、結局、集まりましていろいろ相談した結果、それではこういう方向で問題を進めようではないかという意見の一致を見る、まことに抽象的でございますが、そういうふうに解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/21
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022・松本賢一
○松本賢一君 そうすると、各自治体あるいは各出先機関の長が構成員になっておるわけですが、全員が賛成しなきゃ協議がととのわぬということにもなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/22
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023・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 性質上は全員が賛成しなければ協議がととのわないということになるわけでございますけれども、具体的な問題に相なりますならば、それと直接の関係を持っている役所の間接的、あるいは当面関係のない役所もございますので、問題は、やはり関係の深い役所あるいは県間において話し合いがつけば、それで協議がととのったという形になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/23
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024・松本賢一
○松本賢一君 この点も私は意見が違うのですが、これは多数決できめるとかなんとかというようなことではうまくいかないと思うのですが、しかし、一応現在知事会なんかは多数決の原則を持っているわけでしょう。実際にはそんなに投票で争ってものをきめるというようなことはないのですけれども、私は知事会になにしたことはないが、市長会なんかは、そういう原則を一応持っているわけですが、しかし、多数決でものを決したということはおそらくないのですけれども、そこで、これはやはり制度上出先機関の人たちが構成員として出ておられるということになりますと、知事の数より出先機関の数のほうがたいていの場合多いのですね、たくさんあるわけですから。知事は五、六人あるいは七、八人程度のものであり、そうなりますと、出先機関の数のほうが多いというために、政府を代表するほうが地方を代表するほうよりも数が多いということになるのですよ。そこで、ものごとをきめようということが、何となく、やはり政府機関に牛耳られてしまうのではないかというような感じを持ち得るわけです。そこで私は、やはり協議して意見を大いに述べたり、尊重したりすることは必要だけれども、やはり協議をしてものをきめる際には、これはやはり知事なり、五大市長なり、そういった地方の構成員だけでやはりきめるべきものじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/24
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025・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 御意見でございますけれども、この構成の中に出先機関が多いから、知事の数より多くなってどうかというまず第一点のお尋ねでございますが、現在地方団体において広域行政をやっていく場合に問題になりますのは、県間において話し合いのつかない問題ももちろんございますが、そのほかに、出先機関相互間で話し合いのつかないという場合も相当多いわけでございます。しかし、府県におきまして現実の問題として何らかの形で調整が行なわれなければならないわけでございますので、そういうことを考えますと、国の出先機関の間で話し合いがつかないから県の仕事が進まないということでは困るわけでございます。そういう点を考えますと、国の出先機関の数が多いからといって、国の出先機関が国の側に立ってそこで青なら青の票を投ずる、地方側は全部白なら白の票を投ずるというような形の運営というものにむしろならないんじゃないだろうか、こういうように考えるわけでございます。そういう点を考えると、やはり国の出先機関も納得をし、地方団体も納得をした上で仕事を進めるという形のほうがいいのではないか。それを、第二段でお尋ねでございましたように、採決と申しますか、表決と申しますか、そういうものは地方団体側だけでやっていくということに相なりますと、それではやるならやってみろというような形にもなってくることも考えられるわけでございまして、かえって会議が円滑に進まないのじゃないかというふうにも憂慮されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/25
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026・松本賢一
○松本賢一君 しかし、この形はお互いにそれは尊重し合ってやるということ、原則としてはそうなんですけれども、やはり形としては一応地方自治体の連絡会議なんだから、その会議でものごとをきめるということ、やはり地方自治体の手によってきめていくということでなければいかぬと思うのですね。政府の出先機関が一応きめる権限を持たされているわけなんですから、この法律ではそこのところはちょっと私どもおかしいと思うのですよ。これも議論になりますから、長くなりますから、これ以上あまり言いませんけれども、そういう点で、この法律はやはり陳情することが法律上正式に認められるというぐらいのことにしかならぬと思うのですが、ですから、さっき大臣が言いましたように、やはり政府とこういう団体との間でその結果について何かいわば対等の立場で協議ができるということでないと、どうも結局、へみたいなものになるのじゃないか、そう思うのです。この点について、もう御答弁必要ありませんけれども、私はそう思うので、こういう法律どうも納得しかねるのですよ。
これで私の質問きょうは打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/26
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027・加瀬完
○加瀬完君 地方連絡会議ですか、広域行政というようなことからこういう必要を何回も提案されておるわけですけれども、広域行政の上でどういう点がこんなもの——ものと言うと悪いけれども、——つくらなければ動きがとれないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/27
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028・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) たとえば、最近非常に問題になってきております道路交通の問題を取り上げて考えてみましても、今日の道路交通の問題は、もちろん一つの都市内あるいは一つの府県の区域内における問題もございますけれども、幹線道路における交通というような問題になりますと、数府県にわたって問題が起きてきているわけでございます。そういった問題を今日の法律なり制度なりで考えてまいりますと、取り締まりの面においては警察関係が関与する、道路の構築という面においては建設省関係が非常に深い関係を持っておる。さらに、陸運業というような面から見ますと、運輸省が非常に大きな関連を持っているというように、いろいろな役所が相関連して一つの行政、交通問題というようなものに関係をしているわけでございます。そういった場合に、一体どこをどういう道路をどういうふうにしていくか。そしてその場合における交通の規制をどういうふうにしていく、あるいはそれに対応して運輸業者に対する扱いをどうしていくかというような問題が、それぞれの関係役所に関連をし、地方団体としても、地方団体だけでこうありたい、ああありたいと考えましても、なかなか問題が解決しないという状態にあるわけでございます。そういう点をたとえば議題にして取り上げますならば、これらの関係の役所が相集まって相互に協議をして、それではこういう方向で道路を構築し、こういう方向で運輸業の規制をし、こういう方向で道路交通の取り締まりをしていこうというようなことがまとまりますならば、道路交通の問題も広域的な処理が可能になる。かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/28
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029・加瀬完
○加瀬完君 そのほかのも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/29
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030・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) そのほかには、災害対策の問題につきましても同じような面が最近においては多く出てきているわけでございます。たとえば河川。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/30
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031・加瀬完
○加瀬完君 説明は要らない。項目だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/31
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032・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) それから、総合開発などというのは最も大きなものでございますが、さらに河川の水資源の利用開発の問題でありますとか、あるいは雇用対策の問題でありますとか、さらには環境衛生関係の問題にしても、最近は広い範囲にわたってきている場合が多くなっております。それから、先ほど申し上げました災害対策というようなものもあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/32
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033・加瀬完
○加瀬完君 私は非常におかしいと思う。そんなものは全部現行法でも連絡できるようになっているわけですね。たとえば、一番先にあげた道路といっても、ここにもきょう道路交通法の一部を改正する法律案の補足の説明があったわけですけれども、どんなに地方で連絡したところで、道路交通法というものを別に地域によって法律をつくるわけにいかない、条例をつくるわけにいかない。条例は、法律に優先するわけにはいきませんから、結局、道路交通法なら道路交通法というものができて、その道路交通法というものが円滑に運営できないというならば、それは行政のしかたが悪いということです。当然地方の国の出先機関にいたしましても、あるいは地方にしても、これは連絡協調しなければできない問題もあるし、初めからこれは連絡協調するべき立場で、もともとそういう性格のもので、あらためて、屋上屋を架して連絡をしなければならないという必要はないと私は思う。
それから、河川の水資源の利用といったところで、これも現行法でできるわけです。かりに利根川なら利根川を例にとって、これで関係の流域各府県が集まって、国の出先機関が集まって、水資源なら水資源の関係、あるいは河川改修の負担金なら負担金の問題を相談したっても、利害相反しているわけですから、どんなに上流と下流でこれは激論が戦わされても、各府県が集まっても、問題がまとまるという見通しは、たとえばいまの例をとるならば、できないわけです。やはりそれは、国なら国というものがイニシアをとっていまの法律を適当に運用するという以外に効果をあげるわけにまいらないと私は思う。総合開発でもそうです。総合開発というものを国の必要でやるならば、いまの法律で国の指導権のもとにやればいいことです。
それから、いろいろあげておりますことは、住民の福祉ということから考えると、直接的な関係はあまりないのですね。産業基盤の強化とか、あるいは高度成長の基盤整備としての水資源とか、あるいは道路開発計画とか、これはみんな、こういうことに地方は奉仕をする、仕事を分担をしているにすぎないじゃないか。一体広域行政をしなければならない、あるいは地方連絡会議をしなければならないと言うけれども、それによって住民がかくのごとくプラスになるのだという、そういう直接目的が、この各地方団体が、国の出先の団体が協議をしなければならない直接目的がはっきりして一おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/33
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034・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 現行法のもとにおいて仕事をやっていく場合に、それぞれの関係役所なり、地方団体間で、連絡をしていくべきものであるという御指摘は、そのとおりだと私は考えております。現在でも、この連絡会議がありませんでも、それぞれの行政が進められておるわけでありまするから、それは現在の法律のもとにおいてもそういう配慮のもとに行なわれるべきものであるということになるわけであります。ただ、私どもが連絡会議をつくってまいりたいという趣旨は、もちろんそういう現行法のもとにおいても連絡をとって仕事をしていくべきではありますけれども、常時そういう連絡の場をつくることによって、より円滑にそういう協議連絡がとれるような体制をつくっていくことが住民福祉に寄与する道ではないか、かように考えておるわけでございます。
それからなお、この法律は高度成長に役立つようなことばかりしかやらない、結局、住民福祉にはつながらないじゃないかという御指摘でございますけれども、何が高度成長にのみ奉仕し、何が住民福祉に奉仕するかという問題を一義的にきめるということはなかなか困難な問題でございますけれども、たとえば東京都における水資源の問題にいたしましても、この水をどう解決するか、水道の用水をどう解決するかということは現実必要な問題でございます。それが、高度成長の結果東京に人が集まったので、その結果の問題だから、それは結局東京に水を供給することは高度成長の問題だと言われればそういう点もあろうかと思いますけれども、しかし、東京に現にいる人にとってみれば、それが何の結果であろうとも、水が必要であるという現実の問題があるわけでありまして、それで水道用水を円滑に供給するという道が開かれるなら、やはりそれは住民福祉に寄与するものではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/34
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035・加瀬完
○加瀬完君 いま東京都の水をあげましたが、東京都の水、このことは、連絡会議、こういうものをつくらなければ水が解決できないということにならないでしょう。現状においても解決の運びになっているじゃないですか。問題は、むしろ、そういうことをおっしゃるならば、都道府県なら都道府県の事務というものをもっとはっきり独立をさせてくれればいい。国の委任事務だか、地方の独立で行なう事務だか、あるいは市町村の区分に属するものだか、こういう点が非常に不明確なんですね。むしろ、住民の福祉というものを進めるのならば、都道府県ではこれだけのことができるということをはっきりさせれば、いまの水のような場合はどうするかというならば、各都道府県にそれぞれの権限があって、出先がこれにサービスをするというなら、東京都なら東京都がイニシアをとって、関係の府県でも何でも集めて、あるいは出先でも何でも来てもらって、そこで話し合いをすればできることなんです。さらに、国土計画とか、あるいは都市計画とか、人口対策とかというようなことであるならば、東京都にまかすべき問題ではなくて、国の厚生省なり建設省なりがイニシアをとってやればいいことなんです。そういうことが必要があるからこういうものをつくらなければならないという私は理由にはならないと思う。たとえば、あなた雇用対策をあげた、環境衛生問題をあげた。それならば、東北六県のように、あるいは東京近郷でも、農村地帯のように、人口がぐんぐん減ってくる。それなら、そこの人口が減らなくてふえるように、雇用される機関というものを設けるように働けばいいでしょう。あるいは、地方にそれだけの工場誘致なりあるいは公営企業でもやられるように、地方にそれだけの権限というものを与えたらいいでしょう。そういうその本質的なことはたな上げしちゃって、便宜的に現象の解決だけを幾ら迫ったって、これは私は地方自治を確立するという目的からは少しもその本質的なものは生まれてこないと思うのですよ。衛生環境の整備にしたってそうでしょう。衛生環境の整備をやりたくたってやれないでしょう。今度の保険税一つだってそうでしょう。徳島ですか、昨年上がったのと本年上がったのとやると、大体九〇%近くなる。八七・何%という比率になる、平均が。三十八年度と四十年度比べて、特に三十万以下の所得の者にうんとかかってくるでしょう、保険税が。そういう政策は地方にどういうような影響を与えて、それが環境衛生の設備を一体プラスにするのかマイナスにするのかという本質的な問題を何も考えないで、連絡協議だけうまくやれば何とかできるだろうという——ゼロではないでしょう——幾らかプラスの面はあるかもしれぬけれども、こういうものをやる前に、町村合併のときに私は言ったけれども、本質的なものをもっと解決をする責任というのが自治省にはあると思うのですよ。特に地方自治体を尊重して、地方自治体の意見が国に左右されないようにここに一つの橋頭堡をつくるのだという御説明がございましたけれども、それならば、現在地方自治体が活動をしていく上に一番阻害事項になっていることは一体何です。国の出先のなわ張り根性でしょう。国の出先の権限というものをうんと圧縮して、あるいは地方に移譲して、あるいは知事なり市町村なりの権限というものを強める、こういう法律をつくってくれたほうがはるかにスムーズに進みます。連絡ができないから仕事ができないのじゃないでしょう。割拠しておってそれぞれのなわ張りを持っておって、府県の、あるいは市町村の行政というものに積極的に国の機関が協力をしないというところに問題があるのです。これが根本的には何ら改められませんよね、いまの国の出先の根性直さない限り。連絡会議やったって、かってなことを言っているだけでしょう。一例を言いましょうか。たとえば、あるところで干拓事業が行なわれた。干拓事業が行なわれて、その配分は当然付近の市町村なりが地番設定の関係があるわけですから、相談をすべき、話をするはずであるのに、出先が漁業組合の漁民のほうに払い下げてしまって、農民の農地の干拓でありながら農民のほうはそっちのけになって、農民の属している市町村はお預けのままだ。こういう出先のやり方というものを改めない限り、連絡調整だけで、いまの地方自治体の国から受けているこのマイナスの面が解消できるとは私はとても考えられないわけでございますが、これは行政局長でもけっこうです。どうですか。問題はそこでしょう。それをやらないで、相談さしたら何とかうまくできるだろう。相談できる体制にならないもの、相談をしなくてもいいような権限というものを出先にうんと残しておいては、これは、昔のように、地方自治体が国の支持命令を持って動かざるを得ないという形にむしろそういう意味の橋頭堡を相手方に与えることにも私はなりかねないと思いますが、どうでしょう。あまり賛成できない、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/35
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036・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先生の御指摘になっておられます出先機関の問題につきましては、私どもも全く同感でございます。ただ、現実に出先機関が相当な権限を持って置かれておるわけでございまするし、しかも、このような地方公共団体と出先において連絡協議を遂げる場が欠けておりまするために、むしろ、各省としてはかえってその出先機関の権限をいよいよ強化をしていこうというような傾向すら、御承知のように、見えるわけでございます。そこで、もちろん先生のおっしゃいますように、根本的には出先機関のあり方を再検討をして、現在出先機関の持っております権限でも、都道府県に移譲してしかるべきものはできるだけ都道府県に移譲をする。そうしてまた、都道府県といたしましても出先機関のごきげんを伺わなければ仕事ができないというようなことをやめさせる方向に持っていくべきである。私どもも全くそうでございますけれども、その根本問題を検討いたしますのとやはり並行いたしまして、現実の問題といたしまして、出先機関がこれ以上、何と申しますか、出先機関と都道府県との関係が、出先機関の権限が強化をされていくという形で進んでいこうとしております傾向をチェックをする必要があるのじゃなかろうかと、まあ、チェックと言うとことばが悪いわけでございますが、それは結局、この現地におきまして出先機関と関係都道府県との間でもっと意思の疎通をはかっていく、そうして、中央の段階へ持ち上げてくる前に、現地において、出先機関におきましても関係都道府県の意向というものにもっと耳を傾けて、そうして事を処理していくというような考え方にだんだんとしていく必要があるんじゃなかろうか。そういうような点から考えてみまするというと、私は、連絡会議がそういう出先機関の事の進め方、あるいは考え方、姿勢と申しますか、そういうものを改めてまいります上にも相当効果のあるものではなかろうか、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/36
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037・加瀬完
○加瀬完君 国の出先機関というものは、当然地方団体と連絡すべき筋合いのものでしょう。そういう性格のものでしょう、これは。この点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/37
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038・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 筋合いといたしましてはそのように存じておりまするが、ただ、実際問題といたしまするというと、なかなか地方公共団体との連絡がうまくいってない、円滑にいってないという面もあるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/38
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039・加瀬完
○加瀬完君 たとえば都道府県の——まあ、都は別として、府県の土木部長なり土木部の幹部なりというものは、知事のあるいはその地域の地方団体の意思だけではきまりませんわね。結局、建設省と連絡をして人を配するでしょう。衛生、民生関係にしたってそういう傾向が非常に強い。こういうばかげた中央官庁の既得権といいますかまぼろしの既得権ですよね、法律的にはそういう根拠は一つもない。そういうものを知事が受け入れなければならない体制を直していくことのほうが先決でしょう。そういうものを直さないで、さらに連絡をするということになったら、知事はどういう主張をしようとも、関係の市町村長はどういう主張をしようとも、その担当の土木部なら土木部、衛生部なら衛生部の幹部は、厚生省なりあるいは建設省なり、国の機関と連絡をして、そちらの意思のほうをよけい体して行動しているような、自治体の吏員にはあるまじき慣習がいまもって行なわれているわけです。国のやりいいようなかっこうになっている。地方の意思が連絡協議会で国に反映されるということは現状においてはありませんよ、法律的に何ら。土木部長を建設省からもらってこなければならない理由はないわけですよ。ところが実際は、部長どころか、課長の更迭まで建設省の御意見を承らなければ、結局いろいろの事業関係で地方の望むような方向が得られないということで、相変わらず昔のとおりの慣行が——陋習ですね——陋習が墨守されておりますね。御存じでしょう。そういうのを改めるのが先ですよ。対等になっていないですよ、いま、府県と出先機関は。出先機関は、相変わらず府県を自分たちの何か指示命令をする下部機構ぐらいにしか考えていないです。こういうものの考え方というのを直さなければだめです。直すように私は法律を改正すべきだと思う。それをやらないで、連絡協議会といったってどうにもならないと思う。で、具体的に申し上げるならば、先ほど大臣は、このごろは国の予算も大幅に地方に使われているということですが、そういうものの考え方は、松本委員が指摘したように、おかしいですよね。主権は国民にある。その国民のために国民が払った税金がよけい使われるのはあたりまえのことである。だけれども、ものの考え方として、そういうものの考え方が、国の機関のほうが上部の機構であって、地方の機関のほうが下部の機構だというものの考え方がある。幽霊の考え方です。地方自治法を見たって、憲法を見たってそんなことはない。むしろ当局はそれを払拭してかからなければならないのに、まだ幻影に取りつかれておる。当然に住民の福祉に貢献するべきものです。私はいかに貢献をしているか、いかに貢献をしていないかという、こういう判別を明らかにしてかかれば、こういう連絡会議、こういうものをつくらなくったってやっていけるのです。その根本的な国の考え方というのが、出先の人たちの考え方というのが、あるいは本省の考え方というのが改められなければ、私は全く絵にかいた餅にもならないと思うんですがね。私は地方の実情を知っておりますから。直轄事業といったってほとんど国のひもつきです。だから、一生懸命知事までが陳情をして、それでどこの道路を直す、どこの港湾を直す、こういうことをきめているのでしょう。こういうばかなことをやらなくて済むような根本的な法律改正をすべきだと私は思うのです。官房長、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/39
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040・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 先生のご指摘になりますことは、地方自治を強化し、住民の福祉を、直接住民の身近な仕事を取り扱っております地方団体が主体になってやっていくべきであるという点から申しまして、まことにごもっともな点であると考えております。私ども、従来そういう方向でいろいろ努力を続けてきているわけでございますが、実際には、力足らずして、御指摘のような面が多々あることは、今後とも大いに反省をし努力をさらに続けていかなければならない点であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/40
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041・加瀬完
○加瀬完君 さっき道路のこと出ましたけれども、陸運事務所は最近では知事の管轄に入りましたがね、こういうように、知事部局のほうに入れたほうがいいというものをずんずん国のほうから落としていけばいい、地方のほうへ。それをやらないで、何も用のないような役所まで隠然たる地方機関だと言ってがんばっておって、それで、それにサービスしたり下請するのが地方だという、こういう慣行を黙認しておっては私はどうにもならないと思うわけであります。そこであらためて伺いますが、地方団体の意思を聞かなければ地方における国の仕事はできないという面をもっとふくらましてもいいと思う。全然地方の意思というものは没却されて、国の計画というものがぼこんぼこんとやってくるでしょう。それでいろいろな問題を起こしているわけですね。なぜ、国のいろいろな事業の場合は地方の団体の意思を聞く制度というものを自治法の中なんかに取り入れないかと思うのです。その一条を取り入れておけば、こういったような連絡会議で、相手方に懇願をして地方の意思を何とか認めてもらおうなんて、そんなまどろっこしいこと要らなくなる。これ、どうでしょう。官房長官でも局長でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/41
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042・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 地方団体の意思を聞かなければ国がいろいろな事業なり施策を行なえないようにするようにすべきだという点につきましては、私ども、その御趣旨全く同感でございまして、従来とも、実は各省がそれぞれ法律案を合議をしてまいりますが、私どもはその中で、これはやはり関係地方公共団体の意見を聞いて事を進めていくべきだというような意見を申しまして、自治省の意見によりまして、国会へ提案するまでの過程において、だいぶ修正をさせているのが実情でございます。なお、地方自治法にそういう一項を置いたらということでございますが、地方自治法に一項置くということにいたしましても、国の事業も千差万別でございまするし、やはり私は、個々の事業法におきまして必要な規定を設けていくということが適切であろうと存じているわけでございまして、その点につきましては今後とも努力を続けてまいりたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/42
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043・加瀬完
○加瀬完君 具体的なことで恐縮ですが、いま参議院のほうには上程をされておりませんけれども、衆議院のほうには新国際空港公団法ですか、といったようなものが出ておりますよね。そうすると、その法律案をどう引っくり返してみたところで、賛否について地方議会の議決を求めるとか、あるいは敷地の決定をする前に地方団体の意思を聞くとかいったことを一言も触れていないですね。全然ないですね。地域の住民の意思というものが圧倒的に反対であっても、そういうことにはかかわりなく、空港はおそらく位置を設定するという運びに、法律の上から見れば、なるわけでしょうね。その地域では、四千五百戸ぐらいの戸数というものが移転をするわけです。ある町村では千百七十八戸あるわけだけれども、少なくもそのうちの九百戸ぐらい、学校とか役場とか目抜きの商店街というもののある地域は全部移転をしなければならないわけですね。千二百戸弱のところで九百戸移転して、三百戸かそこら残ったって町村としての形態はないわけです。ですから、これは町会が全会一致で反対をいたしておりますよ。しかし、そういう意思というのはどこにも取り上げられないわけです。こういう連絡会議というものは持たれないでしょうけれども、持たれたところで、その町村の意思というものはどこに生かされますか。つくりたいという出先の役所が、国の機関が圧倒的である場合は、数で決めないにいたしましたところで、たった一つや二つの町村が関係町村として出席をさせていただいて発言をしたところで、知事が発言をしたところで、住民の意思というものはどこにも採択される余地はありませんよ。こうなってまいりますと、われわれ地方の住民にとりますれば、連絡会議ということよりは住民の意思、自治権を尊重してもらいたいということのほうが先ですよ。そういう立場でこの行政連絡会議の法案というものを見てみると、いままでよりもはるかに地方の意思が尊重をされるんだという裏づけは、確固たるものは——希望としてはありますよ——希望としてはあるけれども、確固たるものはありませんよ。自治省の御主張のように、そういう地方住民の意思というものをはっきりと反映させた自治権の伸張というものを、国の機関に対してはっきり位置づけたいんだというならば、私はむし返しになりますが、連絡会議法案というものの前に、地方のもっと権限というものをはっきりさせていただきたい。国の権限で地方に移譲できるものをうんと地方のほうに移譲させて、国の権限というものをはっきりさせていただきたい。こんなものは昔なかったですね、こんなにいろいろと国の出先機関で地方を縛るようなものは。むしろ繁雑になったくらいです。それを整理することのほうが、私は政府としては先だと思うのです。こういう点は、大臣おりませんけれども、自治省の中では御議論にならなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/43
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044・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 出先機関の整理の問題、あり方の問題につきましては、自治省といたしましては絶えず関心を持っておりまするし、先般、臨時行政調査会の御審議の過程におきましても、この問題について当初からもいろいろ意見も申し上げた次第でございまするし、この法案を立案する過程におきましても、もちろん出先機関のあり方につきまして相当論議もいたしておるわけでございます。原則的には、先生の御意見とわれわれも同感でございまして、なるべく出先機関というものは整理統合と申しますか、その権限の中で、都道府県に移譲できるものはできるだけ都道府県に移譲するという方向でものを考えておるわけでございます。現在、地方制度調査会におきまして、行政事務再配分の問題について御審議をいただいておりますが、その中におきましても、当然、現在、国の事務として出先機関が扱っておりますものについて、さらに都道府県に移譲可能なものがあるかどうかということも、一項目として御検討願っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 この目的にも、「地方自治の広域的運営の確保」ということがあるでしょう。自治体の目的からすれば、必ずしも広域的運営というものばかりが福祉を拡大する唯一のものとは言い切れないわけです。むしろ、地域の部分的なものを、都道府県なら都道府県、市町村なら市町村の地域内の部分的な福祉に関係のあるものを、円滑にしかもすみやかにやってもらいたいというのが意思ですよね。そういうものが行なわれておって、その上に、さらに広域的運営の円滑を期してプラスを加えたいということなら話はわかるけれども、そういうものが行なわれておらない。一番住民が必要とする身近な間極点の解決を、それぞれの地方団体が住民にサービスしてくれる点は、はなはだ劣っている。そちらのほうは進めないでそうして広域的な行政というものを進めるということになりますと、これは一体地方の住民のためなのか、国のためなのか、国の都合には使われますよ、これは。しかし、住民直接のプラスになる面ということでこの地方行政連絡会議というものが使われることは、私は数少ないと思う。
先ほど官房長の御説明にもございましたように、大体これは、国の必要とするようなことをより円滑にさせるために会議を催すに過ぎませんよ。逆ではないかと言うのです、私は。都道府県という自治体があって市町村という自治体があるのだから、都道府県には何をさせるのか、都道府県で現在行なわれているところに欠けるところがあるならば、その都道府県の性格というものや行政の内容というものをどう位置づけるか。あるいは、市町村なら市町村でこれだけのことをやらせるについては、どういう市町村の標準的な規模にするかといったようなことを、たび重ねて申し上げますが、私は研究することのほうが先でなければおかしいと思う。市町村はやりたくてもできない。都道府県はやりたくてもできない。できないから、いまの府県じゃだめだ、広域行政だ。そういうことではなくして、府県の自治体というものを認めるのか、認めないのか。認めるとするならば、どれだけのことを府県にやらせるのか。やられないとすれば、どういう法律をつくり、どういう内容を変えればやれるようにできるのかということをもっと考究すべきじゃないか。現状の都道府県や市町村の事務内容の中に、固有の事務だか委任の事務だかわからないようなものを、めったやたらに国がぶっかけておいて、費用はあまり負担しないで、それでうまくいかないから、さらに地方自治体の広域的運営で地域を広げよう。都道府県を認めるならば、都道府県がやれるようにすべきであって、やれないところを国がカバーすべきで、地方自治体が、国の仕事のやりやすいように、広域的運営の確保ということで、ない金をあらためて出資する必要はごうもないわけです。一体、都道府県というものをどう考えているのですか、自治省は、現状において。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/45
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046・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 都道府県につきましては、地方自治法に規定がなされておりますように、市町村と同様に、地方公共団体としてはいわゆる完全自治体と申しますか、そういう性格のものである。ただ、市町村が住民に直結した基礎的な地方公共団体であるのに対して、もっと広い区域で広域的処理を必要とするものを分担をする広域的な地方公共団体である。そういう、地方自治法に規定されているとおりのものといたしまして、いよいよその広域的地方公共団体としての能力を充実してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/46
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047・加瀬完
○加瀬完君 それが本筋ですよね。しかし私は、数年前に地方制度調査会で広域行政が問題になったときに幸いに委員でございましたけれども、このとき広域行政に賛成をしたのは、みな各省の関係者ですよ。自治体関係者はほとんど反対ですよ、広域行政というものを認めるならば。で、地方行政連絡会議というものが必要だということになれば、地方行政連絡会議ということでは、これは賛否両論も出るであろうし、なかなか意見の一致というのは期することは困難でございますからね。それを期するまでやっていれば、これは効率の上からいえば、非常に非能率的になりますよね。その次には、そうすると、連絡会議というようなものでは、これは抜本的な問題の解決にはならないから、広域行政をずばりやらなければだめだといって、道州制みたいなものが芽を出してくるわけです、いままでの経緯からすれば。町村合併でもそうですけれども、地域を広げ、人口を広めるということは、だんだん、これは地方自治というか、住民が地方をコントロールするという性格が稀薄になってくるでしょう。地域が広くなって人間が多くなればなるほど、道州制なんということになれば、これは国の出先機関ということは判然としますけれども、地方自治体とは私は言われないと思う。話がそれましたけれども、これを認めて道州制を認めないというわけにはいきませんね。地方連絡会議というのは非常に必要だ、しかし、道州制なんというものはこれは地方自治に反するから反対だという主張はできないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/47
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048・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) いわゆる道州制という構想につきましては、自治省といたしまして、現在のところ、これにつきましては進める考えは持っておりません。で、地方行政連絡会議が運用よろしきを得て、いわゆるブロック単位における広域的な行政がうまく処理をされていくということになりますれば、かつて道州制の構想としてこれのねらいとされておりました問題が、これによって相当解決できるものというふうに期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/48
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049・加瀬完
○加瀬完君 第三条に、「第一条の目的を達成するため、地方における広域にわたる行政の計画及び実施について必要な連絡及び協議を行なう。」ということになりますね。自治体は自治体本来のその行政をしていく。別に今度は、広域にわたる行政の計画並びに実施について新しい仕事を持つし、そういう責任を分担をするわけですね。たとえば、東京都の付近ということになれば、水一つとりましても、東京都中心の計画がどうしても広域的には出てきます。そうなって、まいりますれば、当然財政的負担も広域行政のためにある程度振りかえなければならないことになりますから、地方住民の福祉のための財政的な投資というものは、これはバランスの上では少なくなってきますよ。そういう意味からいうと、リードする中心の府県なり計画担当地域というものには非常に有利かもしれませんけれども、まわりのほうは参勤交代の助郷みたいにお手伝いをさせられるだけですね。助郷制度の復活だ、こういうものを推進していくならば。そういう心配がないと言い切れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/49
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050・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) あるいは御質問の意味を少し取り違えておるかとも思いますが、ここで、「広域にわたる行政」、あるいは第一条におきまして「広域的運営」というふうに申しておりまするのは、この法案におきましては、府県の区域を基礎にいたしまして考えておりまするので、一府県の区域を越えて広域的な処理を要するような行政、こういうふうな考え方で書いておるわけでございます。で、しかも、地方自治法その他の法律におきまして、都道府県の責任で処理すべき事務とされておりますものにつきまして、その事務が隣りの府県とも関連を持ってくる、したがって、その行政の解決につきましては、隣接の府県との関連を考えていかなければ処理ができぬと、こういうふうな種類のものを主として念頭に置いておるわけでございます。その場合に、このような会議がございませんというと、隣りの県との話し合いがうまくいかない。すぐそれでは国の出先機関に間に入ってもらう、あるいは中央に持ち上げて中央で話をきめてもらおうと、こういうようなふうに考える風潮が現在、御承知のように、かなりあるわけでございます。極端な場合には、隣りの県との話し合いをしようともせずに、すぐ国の出先機関に持ち込んでしまう、あるいは中央官庁に持ち込んでしまう、そういうことになりますると、先生の御心配のような、本来府県の責任で処理すべき事務について何でもかんでも中央集権的な方法で、国のほうを向いて、問題を上へ持ち込んで処理をしてしまうというようなことにもなるわけでございまして、まあ私は、この連絡会議の運用よろしきを得ますれば、そういうものは国の出先機関に持ち込む、あるいは国の中央官庁に持ち上げる前に、まず現地におきまして、関係府県の間で十分協議を遂げて問題をこなす。またその場合、国の出先機関の長も加えて、そこでよくこなした上で、もし中央へどうしても持ち上げてさばいてもらわなければならぬ場合は持ち上げるというようになることを期待いたしておるのでございます。そういうような運用にされてまいりますならば、先生の御心配のようなことはなくて、こういう会議がありますために、かえって何でもかんで毛中央へ持ち込むという傾向がよほど是正をされることになるだろうと、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 しかし、協議がととのえば、いまの局長の御説明のような結論が出ますけれども、協議がととのうという保証はどこにもないわけです。だから結局、歯にきぬを着せずに言えば、むだなことを一回やって、協議をしたけれども、うまくいかないから中央へ持ってきましたという結果に終わるのが落ちだと思う。先ほど官房長も水の問題をお出しになりましたが、たとえば東京都なら東京都の水がなくなる、利根川から水を取るなら取る、あるいは水資源公団なら水資源公団に頼んでどこかから取水するという形になれば、現状だってこの取水権というのは、みんな利根川上流から下流まで持っておりますから、上流は関係ありませんが、埼玉県に来たら取ると、そうすると、下流の千葉県や茨城県というものは当然取水権があるわけですから、これは東京都は了解をせざるを得ないわけですよね。それで、水資源なら水資源の確保というものを東京都が考えるならば、これは関係の団体で話し合いをせざるを得ないでしょう。埋め立てをするならば、漁業権のあるもの、あるいは地先でいろいろ利害関係のあるものと相談をせざるを得ないでしょう。ですから、現状でできておるのですよ。これで、話し合いをするくらいのことはできておるのです。できておらないとすれば、地方団体の意向というものを十分に国の出先機関が聞かないからということですね。こういう連絡会議を新しくつくらなければならない理由にはひとつも私はならないと思う。連絡会議をつくるならば、もっと国の出先機関の権限というものをこのようにチェックできるというものがなければ私は意味ないと思う。意見になりますが、そう思うんです。お答えは要りません。
この辺で質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/51
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052・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。本日はこの程度にいたしまして、次回は三月十六日(火)午前十時に開会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01319650311/52
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