1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十六日(火曜日)
午後一時十分開会
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委員の異動
三月十一日
辞任 補欠選任
二宮 文造君 鈴木 一弘君
三月十二日
辞任 補欠選任
鈴木 一弘君 二宮 文造君
三月十五日
辞任 補欠選任
久保 勘一君 中野 文門君
三月十六日
辞任 補欠選任
小林 武治君 沢田 一精君
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出席者は左のとおり。
委員長 天坊 裕彦君
理 事
西郷吉之助君
竹中 恒夫君
林 虎雄君
委 員
大野木秀次郎君
斎藤 昇君
沢田 一精君
高野 一夫君
中野 文門君
和田 鶴一君
鈴木 壽君
松本 賢一君
二宮 文造君
国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
自治省官房長 松島 五郎君
自治省行政局長 佐久間 彊君
自治省大臣官房
参事官 山本壮一郎君
消防庁長官 松村 清之君
消防庁次長 川合 武君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○市町村の合併の特例に関する法律案(内閣提
出)
○地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
出、第四十八回国会衆議院送付)
○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/0
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001・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。三月十五日付、久保勘一君が辞任され、中野文門君が、また本日付、小林武治君が辞任され、沢田一精君が、それぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/1
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002・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 市町村の合併の特例に関する法律案を議題といたします。
前回質疑は終局いたしておりますので、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/2
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003・竹中恒夫
○竹中恒夫君 私は、この際、本法律案に対する各派共同による修正案を提出いたしたいと存じます。
以下、本修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。お手元に配付いたしました修正案をごらんいただきたいと存じます。
修正案の内容といたしておりますところは、最近における市町村の人口の実態にかんがみまして、市となるべき普通地方公共団体の要件のうち、人口要件について臨時の特例を設けようとするものであります。御承知のように市となるべき普通地方公共団体の人口要件は、地方自治法第八条第一項第一号におきまして、人口五万以上を有することと規定されているのでありまするが、この要件は、以前は人口三万以上を有することと定められておりましたのを、昭和二十九年六月に同条の改正が行なわれまして、現在このようになっているのであります。このときの改正の理由とするところは、当時人口がおおむね八千を標準として町村合併を促進しまして、町村の規模を適正化いたしますとともに、市についても近代的都市としての形態を整え、都市的施設及び能力を具備させるため、さらにその規模を拡大することが必要であると認められたことにあったのであります。なお、その際、経過措置として、この改正規定の施行の際、現に定められている都道府県の区域内のすべての市町村を通ずる市町村の廃置分合または境界変更に関する知事の計画に基づいて処分の申請がなされた場合等、特定の場合に限り、従前の例によることとされたことは御承知のとおりであります。しかしながら、その後、町村合併もおおよそ一段落を見つつありました段階におきまして、すなわち昭和三十三年四月に、当時の市町村の実情にかんがみまして、臨時にこの人口要件五万以上の緩和をはかることといたし、人口三万以上を有することをもって市となることができる特例を定めることとし、同年九月三十日までに処分の申請がなされたものに限ってその措置を講ずることといたしたのでございます。したがいまして、その後におきましては、昭和二十九年六月の改正の際の経過措置による場合のほかは、この場合に該当する件数はきわめて少ないのでありますが、市の人口要件は五万以上となっているのであります。
以上、申し述べました経緯からいたしまして、現在におきましては、市の人口規模は、人口五万以上のもの二百八十一、四万以上五万未満のもの百十三、三万以上四万未満のもの百五十三等というような状況であり、また一方には、三万以上あるいは四万以上の人口規模を持つ町村もかなり存在しているのであります。なおまた、最近の経済の動向からして、大都市にはますます人口が集中し、中小都市は次第に人口の減少を見つつあるという事実もあるのでございます。
今回提出されております政府原案が成立いたしまして、今後市町村の合併が行なわれる場合におきましては、合併関係町村においては、人口五万以上の要件を満たすことはできないにいたしましても、行政水準の向上のため、市となるべき期待を強く持つものも出てくることが十分予想されるのであります。また、比較的大規模な人口を持つ町村におきましても、同様な趣旨により、市制施行の期待を持つものもあると考えられるのであります。
以上のような事情のもとにおきまして、さきに申し述べました最近の市町村の人口の実態を勘案し、また、特に既存の市と今後市となるべきものとの人口規模の均衡という面を考慮いたしますとき、現行制度における市となるべき普通地方公共団体の人口要件である人口五万以上は、いささか厳に過ぎるものと考えるのでありまして、この際、臨時の特例措置として、これを緩和する必要があることを痛感するものであります。
このような必要を満たすため、本法律案に対して修正を加え、昭和四十二年三月三十一日までに処分の申請がなされたものに限って、市となるべき普通地方公共団体の人口要件を四万以上に引き下げまして、この特例規定を地方自治法附則に設けるものとし、その旨の改正を本法律案の附則において行なおうとするものでございます。
以上が修正案の提案の趣旨及びその内容の概要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/3
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004・林虎雄
○林虎雄君 私は、各派共同によりまして、市町村の合併の特例に関する法律案について次の附帯決議案を提案いたします。案文を朗読いたします。
附帯決議案
政府は、本法の実施について、次の事項につき、遺憾のないよう措置すべきである。
一、今後の市町村の合併については、いやしくも強制にわたることのないようにすること。
二、市町村の事務処理の現況にかんがみ、国、都道府県、市町村の間における行政事務の配分を適正かつ、合理化するため、事務配分を根本的に再検討し、地方自治の一層の確立をはかるようにすること。
以上でございます。
市町村の合併は、昭和二十八年に制定された町村合併促進法により、その合併が促進され、ほぼその計画に近い合併の実現を見たのでありますが、町村合併促進法が失効しました後は、新市町村建設促進法により、新市町村の育成をはかるとともに、町村合併に伴う争論の処理及びいわゆる未合併町村の町村合併の推進が強力にはかられたのであります。
以上述べました合併に関する法律の実施の過程におきましては、市町村の住民の意思に反した町村合併の計画が定められた場合、あるいは同じく住民の意思を無視したと思われる町村合併の勧告が行なわれた場合も多く、今日なお勧告どおりの合併の行なわれないブロックもかなり残っている実情であると思うのであります。政府は、今回、これらの合併に関する法律を廃止するとともに、広く市町村の合併一般について、自主的合併の実現を円滑ならしめるために本法律案を提出されているのでありますが、近くは新産業都市建設促進法あるいは工業整備特別地域整備促進法等の場合におきましても、その地区周辺の合併にかなり強い行政指導が行なわれた例もあることは御承知のとおりでございます。
今後におきましては、このようなことのないよう、市町村の合併は、地元からの自主的に盛り上がる意思のある場合に限るものとし、決して強制にわたるような合併を指導しないよう十分に配意をされたいのであります。また、今日の市及び町村自治能力の実態は必ずしも十分ではなく、財政力の格差はますます激しくなっており、国の出先機関の拡充等、中火集権の強化が目立ってきている現状であり、多年にわたる地方の要請にもかかわらず国、都道府県、市町村間の事務の再配分と、それに応ずる事務処理能力の付与とは、依然進捗を見ていない実情でありまして、地方自治は、いわゆる三割自治の実態を呈しているのであります。
政府は、この際、強力に行政事務の再配分について根本的にこれを再検討し、とりわけ市町村における事務配分及び事務処理能力の付与について合理的な措置を講ずべきであると考えるのであります。
以上の理由によりまして、ここに附帯決議案を提案した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/4
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005・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ほかに御意見もないようでありますので、討論は終局したものと認めて、これより採決を行ないます。
まず、討論中に述べられました各派共同提出の修正案を問題に供します。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/5
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006・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 全会一致でございます。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/6
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007・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 全会一致であります。よって修正部分を除いた原案は可決され、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
次に、同じく討論中に述べられました各派共同提出の附帯決議案を問題に供します。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/7
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008・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 全会一致であります。よって本附帯決議案は本法律案について本委員会の決議とすることに決定いたしました。
それではただいまの附帯決議につきまして、自治大臣の所信をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/8
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009・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/9
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010・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) なお、本案の審査報告書につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/10
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011・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 次に、地方行政連絡会議法案を議題といたします。
御質疑の方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 もうすでにこれは二回にわたって当委員会でいろいろ審議をしたものでありまして、またあらためて審議をするというようなことになっても、なかなかどうもこれは過去において行なわれたそういう審議の経過等からいたしまして、別段新しい問題が出てくるわけでもありませんけれども、ひとつ大臣に、この行政連絡会議法の基本的なものと私考えることにつきまして一、二お尋ねをいたしたいと思います。
これは大臣も、おそらく前の大臣、その前の大臣と、こうかわってきたということからしまして、あるいは当時の、最初に御提案になったころの大臣のお考え方、それと現在の大臣の考え方は、あるいは多少ニュアンスも違うのじゃないかとも思うのですが、それはともかくとして、一体この法律ができて、地方行政連絡会議というものができました場合の効果といいますか、あるいはまた別の面から申しますと、どういう効果をねらってこういうものをつくらなければならないのか、ぜひ必要だというふうに考えておられる点はどういうところなのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/12
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013・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) この法案につきましては、前にも提案されて御審議を願っておったところだと思いますが、御承知のように今回広域行政と申しまするか、地方行政の上において連絡をとるべき事項が非常に多くなってまいりました。したがいまして、各地域、たとえば九州で申しますれば、九州の各府県間の自治体間はもちろんのこと、行政官庁の出先官憲といたしましていろいろたくさんございますが、これらとの間に連絡、協調を保ちながら住民の福祉に貢献をしたい、こういうことでございます。で、実際上、せんだってもここで審議のときに申し上げましたけれども、その必要性がありまするために、ある程度事実上出先官憲と地方団体との間にこの種のいわゆる懇談等の催しもあるようなわけでございまして、これができまするというと、各地方団体間の連絡も非常によく進んでまいりますると同時に、政府の各官庁との間の連絡もできて非常にいい。それで、こういう法律がございませんというと、やはりそこに、何といいますか、責任というものが薄れがちになりまして、とかくある程度の効果はございまするけれども実際上思うようにいかないという点もございます。で、むしろ、これらの問題は、戦前にも一つこれに似たようなものがございましたために、何かこれは国が、一つの国の行政上の施策として地方団体に、ある程度のことを押しつける意味でやるのじゃないかというようなことが論議をされまして、これは衆議院の段階でもございましたけれども、そういうつもりはもう毛頭ございません。中をごらんいただきましても、議長たるべき資格の者は地方団体の長がこれに当たり、むしろ地方団体の便宜のためにと申しますか、福祉増進のために出先官憲がこの中に入りまして、そうして連絡協調を保っていきたい、こういうことでございまするので、その点ひとつ御了承を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 現在、地方において出先の国の機関の人たちと話し合いを始めておるところも出てきたと、こういうお話がございましたが、したがって、この法律が成立をし、この地方行政連絡会議というものが置かれることが、一そうその地方のそういうものの促進と申しまするか、したがって広域行政、住民の福祉ということに役立つと、こういうふうなお話だったと私聞きましたが、どこかでそういうあれですか、大臣がいまあげられたようなことが出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/14
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015・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 具体的にこれは組織的に現在はやっておるわけじゃございませんが、問題のあるごとに関係の府県知事が集まりまして、府県知事だけの会合は、御承知のとおりそれぞれのブロックにあるのでありますけれども、さらに必要のある場合には、関係の出先機関にも出てもらってやっているようでございまして、たとえば木曾三川の問題をめぐって関係の府県知事並びに出先機関が集まってやっておる。筑後川の問題についてもやっておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 すでにある地方では、必要によって府県知事、そのほかかに出先機関の長等が出席をして、問題の処理について話し合いをしておる……、そのままでは、じゃいけないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/16
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017・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) すでにやっておりますから、そのままでもいいではないかというお尋ねでございますけれども、現在やっておりますところも、いま申し上げましたようにございますけれども、やはりこういう問題は組織的に行ないますところに大きな効果があると考えるのでございます。たまたま集まって、だれかに出てもらおう、それじゃ出てやろうというような形では、なかなか円滑にいかない場合も多かろうと思います。それがこういう制度として確立されますならば、それぞれの出席者も、ことに国の出先機関においても、そういうところに出てやはり話し合いに応ずる義務があるのだという気持ちを持つわけでございまして、そこにやはりこういう問題を推進していく効果が非常に大きく出てくるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 これは地方団体が、いわゆる広域にわたる行政、自分の団体の区域だけでは処理できないような問題、したがって自分の区域を越えて他の団体の区域にまたがるような、そういう仕事、それを関係団体と話し合いをし、あるいは関係する国の機関の長その他責任者と話し合いをして事業の円滑な処理をしていきたいと、こういうことだと思うんです。私は、その限りにおいてはそういうことが必要だし、やらなきゃいけないと思うんですが、ただ、この場合に考えなければならないことは、こういう形で、いわゆるブロックをきめて、ブロックごとに、いわば組織的と、こういうふうにおっしゃいますが、これはあるいは違った意味で申されておるかもしれませんが、こういう参加すべき機関のそれなんかも列挙して、こういう形でブロックごとに設けるということになりますと、私は、ほんとうに必要な、さっき言ったような地域における広域にわたる行政を、関係をする、あるいはどうしても一緒にやらなければならないという、そういう団体間の相互の協力といいますか、あるいはその前提になる話し合い、こういうものをやるには、かえってうまくないんじゃないかという感じがするわけです。端的に私申しますと、いまの自治法の中にある協議会、これは別に区域を定めておるのでもなければ、それからいわば法律の面でこういう区域によって、あるいはこういうメンバーを集めて仕事をせいということでもありませんけれども、そのいまの自治法に定められてある協議会をもって、さらに足りなかったら、そういう協議会ができた場合に、国の各機関の長なり責任者なりというものも参加さぜるという、そういう意味での協議会をつくることが私は一番いいんじゃないか、初めからここからここまでというふうな、こういうふうな分け方をしておいて、いやたとえば必要があれば他のブロックの会議にも顔を出すことができるんだと、こういう一つのゆとりといいますか、それはありますけれども、むしろ必要によって関係府県が協議をする、その中に必要な関係のあるところの国の地方機関なり、出先の責任者なり、そういうものを参加してもらって、そこで具体的に事務処理をどうやったら円滑にうまく実施できるかという話し合いをさせることが私は一番いいんじゃないかと、こういうふうに思っているんですが、そういう面でいま大臣からも官房長からもお話がありましたけれども、一体これどういう効果が出るのか、こういう形につくっていって……。私は非常に心配です。まあその点、もうひとつ大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/18
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019・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お話の点、私もごもっともな点だと思います。したがいまして、私ども考えておりまするのは、たとえば九州をとってみますれば、九州一帯にわたる各地方団体と、それから出先官憲等との間に打ち合わせすべき事項も、今日のような非常に交通も発達し、いろいろの仕事も同じように進んできておりまするときには、私、必要な問題がたくさんあろうと思います。したがいまして、それが一堂に会して討議すれば、なるほどそうだなということで、それじゃお互いにこういう点はこういうふうにやっていこうじゃないか、こういうことで進み、そのうちに具体的なある問題については、それは二つの県だけでやっていく問題もございましょうし、また、ある県とある農林関係なら農林関係の出先とだけやっていく問題もございましょう。あるいは港湾をとってみますれば、ある県と港湾との間の折衝というものもございましょうけれども、そういう個々の問題でなくて、全体的にやはりお互いに連絡をとり、協調を保って、そうして住民の福祉に進んでいくという問題は、今日のこの社会情勢の段階におきまして、私はたくさん出てくると思います。出てきましても、これが一本で全部ここで決議をして、そうして全部を拘束をするというようなことは、私実は期待をしていないのであります。やはり地方団体というものは地方団体の議決機関も持ちまするし、また自治体としての主体性も持っておるわけでございますし、官庁は官庁で出先だけでかってに決定するというわけにもまいらないのでありますが、そこで、お互いが集まってお互いに議論をし、お互いこうやったほうがよくはないかというようなことで進めていく、それも非常な大きなプラスになる。一々中火にばらばらに府県の自治体がやって参りまして話しするということよりも、その地域地域には特殊性がある、九州は九州の特殊性がございましょうし、また、東北は東北の特殊性もございます。そこで、その上において、ある河川を中心にしたいろいろな具体的な問題、ある港湾を主体にした問題あるいはある道路といったようなものを共通に通していくといったような問題がございまして、それらの点について今度は具体的に進める問題は私はあろうかと思います。現に地方開発事業団というようなものもありますし、また府県組合の制度もございますから、そういう事業を具体的にいよいよ一緒になってやっていくといこことになれば、そういう組織を使う場合もございましょう。でありますけれども、ここでいま私どもがお願いをしておるものは、その事業を実施するということでなくて、各ブロックにおける府県及び出先官憲が、堂に会してお互いに論議をしながら共通の問題、あるいは共通でなくてもかまいませんけれども、住民の福祉に貢献したいということで進めていきたい、こういうことでございまするので、鈴木さんがおっしゃいました点も必要でございます。必要でございますが、そういう具体的の個々の問題だけでやるということでなしに、もう一つ高所から各地域において相談をしていただく、こういうことも非常に必要であろうと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 これは私わずかな狭い見聞だけですが、地方の知事なんかで、この法案の必要性あるいはこの法案に期待するものは、あまりないんですね、率直に言って。こういうものをやったって一体どうなるのか、まああってもいいかもしらぬがという程度でしょうな。ただ、へたな合併だとか道州制だとかというようなものをやられるよりは、まあこういうものがあってもいいだろうという程度ですわな。ですから、やっぱり現場におって、こういうことも心配し、その必要性も認めておる人たちが、また、それを一体どう処理していったらいいかということについても頭を痛めておる人たちが、こういうことを実行する、あるいは実施するための会議じゃないと、こう言っても、その前段の話し合いをする、あるいはいろいろ意見の交換をするという、こういうことに対しても、あまり期待を持っておりませんね。そこら辺、どういうふうにごらんになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/20
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021・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま先生から、現場において、こういう問題に関心を持っております地方団体側でも、この法律案についてあまり関心がないんではないかというお尋ねでございますが、全国知事会におきましては、この法案をすみやかに成立さしてもらいたいという意味の決議をされております。そういう点から見ましても、各県知事におかれましてもこの法律のすみやかな成立を期待しておるものと私どもは深く信じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 いわゆる広域にわたる行政というものは、いま一つのはやりみたいになって、どうも現在の府県なり、あるいは市町村の区域というのは昔のままで広域行政をやるためには不適当だと、すべからく合併せいというような意見、それからまた、合併までもいかなくとも、とにかく市町村なり府県自体だけでは取り扱えなくなってきているから、何か広域行政をやるために、何といいますか、もっと考えなきゃならぬじゃないかというようなことの意見は、ずいぶんあるんですがね。そこで、基本的に、一体いまの府県なりそういう地方団体が持っておる仕事、この中で、いわゆる広域にわたる行政、これはこの前の審議の際に、広域にわたる行政ということは、府県の区域を越え、あるいは両府県の区域にまたがる、こういうのだと、こういうお話でございましたが、そういうものは一体何かとなると、必ずしもそういう人たちが言うふうに、何でもかんでも広域処理をしなきゃならぬというようなことでは私はないと思うんですね。そこで、いまなすべきことは、さっきの市町村の合併の特例に関する法律案の附帯決議にもありましたが、一体、府県なり市町村なりというものが持つべき仕事は何であるのか。こういうことからやっぱりひとつ検討を始めて、そうして府県の仕事あるいは市町村の仕事、こういった場合に、いわゆる区域をはみ出して広域にわたる処理をしなければならない仕事もこれはあると思いますが、そういうものを一体どうやっていくのか。こういうことを私考えて、もう迂適なような話でありますけれども、それが基本にならなければいけないと思うんです。そういうことが現在においては検討されておらない。これはどこかの審議会とか調査会等においては検討されておることは聞いておりますが、そういうものを一つ持つ必要がある。そうでないと、この法律の目的にうたわれておる地方における広域にわたる行政というものも、この法案の中で矛盾が出てくる。これは私前に申し上げましたが、この広域にわたる行政というのは、府県を越えての行政ですよ。北海道で広域にわたる行政というのは一体何があるのか。こういう問題は、これは皮肉に聞こえるかもわかりませんが、そうなりますよ。そうして機械的に北海道は一つ、東北、新潟区域に一つ、そういうことになると、私がいま言ったような北海道で二つ以上の府県にまたがる仕事というのは一体何なのか。この法律では、さっき言ったように、広域にわたる行政というのは一つの区域を越えあるいはまたがってやらなければならぬ仕事についてお互いの話し合いをしようじゃないかということなので、北海道の中ではないじゃないですか。町村の区域を越える仕事はあるけれども。ですから、私は、これは変な例をとったように聞こえるかもしれませんが、そういうことですから、むしろ、よくいわれる行政の再配分なりそういうことばを使わなくても、一体府県、市町村においてどういう仕事を本来持つべきであり、やっていかなければならぬのか、そのうちで一体何が広域にわたる処理として取り扱わなければいけないのかということをやっていかないと、何をやっていいのかこれはわかりませんよ。どういう話をしますか。これは利根川の水のことで東京、埼玉、千葉、栃木、茨城もありますが、関東一円に、神奈川を除いて、みなあるわけなんですが、こういう問題も確かになくはない。しかし、それはさっきも育ったように、関係のある府県なりあるいはまた国の出先なりというものがその中に参加をしてやる。そういう意味での必要によってできたいわゆる連絡会議に岡の機関が参加をし、話し合いをし、そこに一つの円滑に処理できるような話し合いを進めていくという、そういう法律だったら私は有効だと思うのですがね。やっぱり大臣、これでずっとこうやったほうがいいというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/22
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023・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 先ほど申しましたように、いろいろの事項については、具体的に二つの府県だけとある官庁とだけで相談をして具体化していくという問題もございましょう。と同時に、また大きく各地域の地方団体と出先官憲とが一堂に会して、お互いに話し合いながらその地域の開発、特に住民の福祉に貢献していこうという問題も私あると思います。したがいまして、現在のところ、どういうふうな状況になっておるかと申しますと、各府県の長は全部中央に来る。今日のような交通の発達したときでありまするから、一晩でも来られることでありまするから、みんなばらばらで中央に来られて、そうして中央の官庁とばらばらに折衝をされる、そして中央の官庁は中央の官庁で、出先にばらばらに示達をして、そしてやるというのが私は現在の実情じゃないかと思います。それはそうしなければ用の達しないものもございましょう。したがってそういうことであるかと思いまするが、それを、やっぱり各地域地域で、ブロックによって会議をしながら、そこで最終的な決定に至らぬまでも、大体この地域ではこういう問題をひとつひとつお互いに促進しようじゃないか、やろうじゃないか、こういうようなことで進めていくことも私は確かに大きいプラスであると思います。なければなくっても、今日までやってきたことでございまするから、絶対になければ行なえないという性質のものじゃございませんが、今日のように住民の福祉に関する施策というものが非常に多くなってまいりましたときにおきましては、私は、こういう制度ができますることが、前向きと申しますか、前進をしていく、かように存ずるわけでございます。もちろん府県知事あたりも、ときどき中央に集まられまして、知事会議等によってお互いが論議されるものもございます。しかし、それは知事さん知事さんだけのお話でございまするし、まあそれは全国の府県等における共通の問題を述べられまするけれども、各地域ブロックにおきましては、それぞれのまた特殊な利害関係というか、重点を置くべき問題もあるかと思いまするので、私はやはりこの種の制度ができることが望ましいという観点でお願いをしているわけであります。これによって全部一切が一ぺんに解決するというふうに御期待をいただきますと、ちょっと無理かと思いまするけれども、こういう制度が今日の情勢においてはやはり必要である、こういうことでお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣のおっしゃる後段の、住民の福祉に関係する一切の問題、そういうおことばをもっておっしゃる以外に、これに対して積極的なものが期待できないんじゃないかと思うんですよ、私は。それは大臣のおっしゃるように、住民の福祉につながるもの、あるいは地方の開発につながるもの、これはあると思います。あると思うが、それを、ただ集まってやったところで、実施の機関でもないし、集まってお話をしてやったところで、そういうものの具体的な何をどうやるのか、こういうところまでいかなければいけないですね。そこで、その場合に考えなきゃならぬことは、一切のとか住民の福祉とか言って、一体何になるのか。だから、その何かという具体的な問題について、どうやればいいのかということを話し合うようにする、あるいは促進するようにする、そういうしっかりしたものをつくったらいいんじゃないですか。お茶飲み話にすぎなくなりますよ、大臣のおっしゃるこれは。それからもう一つは、いまの国のいわゆる出先機関のあり方、建設省は建設省の、農林省は農林省の、それぞれ出先機関の強化をやっているのです。そしていかにも地方なんかどうもまだるっこくてというようなかっこうでどんどんやっていく、そして地方のたとえば農政局なり建設局等に相当権限を与えているようでありますが、それはただその権限の関係で、本省との間のそれだけで、一体地方の問題を処理する際に、この会議のような形の中において、出先機関の一体どの程度の権限なりあるいは結論等を持っているかというと、これはいまだほとんどない。さっき大臣が言ったように、知事が東京に来なければいけないということは、こういう出先の機関が結局は何もたいした権限を持っておらぬところに問題があるので、ですからそういうものを寄り集めて何のかんの話をしても、結局これは何も結論が出ないようなことになってしまうと思うんです。その点は、どれほどの効果といいますか、それを期待されておりますか。ただそこで話し合いをしたんだ、みんなで寄り集まってやったのだということだけの期待であれば、私はそれでもまあいいかもしれませんけれども、少なくともいまいわれておるような広域行政 、広域処理という、こういうものをやるための機関であるならば、実施機関でなくてもですよ——やはり「実施」とありますね、「広域にわたる行政の総合的な実施及び円滑な処理を促進」するということなんですから、やはりそこら辺、もう少しきちっとしておかないと、せっかく法律をつくり、連絡会議をつくっても、期待した効果というものは何もあがらないのじゃないだろうか、こういうような心配を依然として私はぬぐい去れないでおりますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/24
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025・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) たびたび申し上げることでございまするけれども、一〇〇%きちっとこの会議で問題が解決をするというふうには考えておりません。また、それほど強力な機関であっては、かえって自治体というものをそこなうことになるかと思いまして、私どもはそこまでを期待していない、したがって、なまぬるいという御批判がございますれば、確かになまぬるいところはあろうかと思います。しかしながら、やはり各地域地域に共通した問題というものも相当ございまするので、自治体同士は自治体同士で話し合う機会もおそらくございましょう、しかし自治体同士の仕事だけではない、やはり建設省の関係の仕事も大いに関係がある、あるいは港湾関係の仕事、特にまた農林省あたりとの関係にいたしましても関係があろうかと思います。したがいまして、これらのものが一堂に会しますれば、農林省とだけ自治体が関係すれば、それで仕事がすべて終わるわけじゃない、やはり建設関係もそれに伴ってくる。特に今日地域開発というものが非常に大きく取り上げられているときでありまするから、私は非常に大きい期待を持ってこれが仕事をし、そうしてこの協議会自体が主体となって実施機関になるということは、これは私期待はできないのでありますが、そこで話し合ってできることは、それぞれの自治体がその自治体の権限に基づいて実施をしていく、また、関係の出先機関はそれを本省と折衝をして、それを予算化するなり、あるいは実施するという問題でございまして、先ほど申しましたように、これによってきちっとすべてが解決するというふうに考えますると、これはなかなかほど遠いものになるかもしれませんけれども、ないよりは一歩前進、二歩前進というふうな感じ、そういう関係で、事実この間も本委員会でも、地方で実際上やっているようなふうに見受けるので、こういうものをわざわざつくらぬでもいいじゃないかという御意見もあったくらいでございますが、そういうことが行なわれてくるということは、やはりその必要性に基づいてやっているのじゃないか、こういう感じがいたしまするので、まあ自治体同士とそれから出先官憲同士、同じ国民の福祉増進に寄与しようと思ってやっていることでありまするから、お互いが集まって話し合えばいい知恵も出るし、また、いい仕事もやっていけるのじゃないか、こういうふうに期待しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/25
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026・鈴木壽
○鈴木壽君 じゃ大臣あれですね、この法律の目的を書き変えなければいけませんね、別に「実施」なり「円滑な処理」に一〇〇%の期待も持っていないんだということだとしますと、これは法律の目的というのは書きかえたほうがいいんじゃないかな、「話し合いの場をつくります」と。いかがでございますか。これは単なる話し合いの場でなく、「実施及び円滑な処理を促進する」ということです。会議でもうすでに方向を出し、処理できるように、実施できるようにということじゃないですか、この目的は。大臣のお話からしますと、そこまではどうもやらないのだという、かうに聞こえますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/26
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027・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 私が申しましたのは、よく連絡会議法についてお話をしているうちに、府県合併というものを一方でやるんだから、合併しちゃったらこんなものは要らぬじゃないかというお話が、これは鈴木さんのお話じゃございません、衆議院の段階でございましたけれども、よく出るわけでございます。また、いわゆる府県連合というものをつくるという話だから、府県連合をつくっちゃったら要らぬじゃないかというお話がよく出ますから、いやそうじゃありません、それはそれで別個の問題で、いま府県を全部、九州は九州で一本に合併をするとか、連合をつくろうという考えじゃないので、具体的にいえば、大阪付近が三府県が合併したらどうかというような点と趣旨が違う、こういうことを言ったのが一つでございます。
それからもう一つ。実施機関でないということをとらえての御批判でございますが、事業団のように、今日地方開発の事業団法というものもございまして、数町村が一緒になって事業団をつくってやっている、こういうふうな事業を実施する意味のものでもない。府県が連絡をとり合って、しかし、ただ話をするだけといっても、話すだけでは意味がございませんで、ここにございますように、その上でお互いにこれのいいものは持ち帰って実施をする、出先官憲は出先官憲でこれを予算化して実施する、こういうことでなければ、ただ話してみるだけということでないことはもちろんかと思います。そういう意味において私が実施機関でない、こういうことを申し上げたのでございまするので、その点お含みをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/27
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028・鈴木壽
○鈴木壽君 実は私は率直に申しますと、この法案の扱いについて大臣に質疑をする、そして大臣から何か引っぱり出そうとするようなこと、これは少し気の毒だと思っているのです、ほんとうを言えば。あなたの代になってできた問題でもございませんし、何か変なかっこうで引き継ぎさせられたようなものですからね。ですから、それをいかにしてじょうずにうまく説別して、まあ通してもらうかということだけだろうと思うのですよ、ほんと。いや気の毒ですよ、そういう意味では。しかし、やはりこういうものを何も私は合併とすぐ結びつけたり、あるいは道州制に移行するからと、こういう心配で、それが先に立って、こういうものに対してどうのこうのと言っているんじゃないのです、ほんとうを言えば。しかし、こういうものをつくるからには、私はやはり実効のあるものをつくるべきだ。こういうかっこうでは、そうしてまた、お話を聞いても、何か、あってもなくってもたいしたことがないというふうな、そういうものを、しかも一方には、さっき申し上げましたように、いわゆる事務の配分というようなことも行なわれておらないときに、あれも広域だ、これも広域だというようなかっこうで寄り集まって話をしても、何も私はプラスにならぬだろうと思うのです。
それからもう一つは、たとえばこの前の四十六国会ですか、河川法が通って、河川はみな国の事務にして引き揚げられてしまう。こういう中で、自治体が広域行政だといって河川の問題を取り上げる場合に、一体どういうふうな取り扱い方、どういうふうなことをすることができるのですか、これは。自治体が権限を持っておって、管理権を持っておって、そうして、しかしその自治体だけでは解決がつかないという形において、他の団体との間の協議なり話し合いなり、具体的な解決策なりというものをやっていくというのであればいいですが、肝心の広域処理をしなければならぬという水の問題が、自治体の手からもう届かないところに取り上げられてしまっている。道路の問題しかり。こういう大きなブロックで連絡会議を持って話し合うというその中には、道路の問題あり、河川の問題が当然出てくると思う。むしろ、道路や河川の問題以外にあまりたいした問題はないのじゃないかと思います。少し極端のような言い方でありますけれども。こんなにたくさん集まってやらなければいけない会議というものの仕事というものは、私はないと思う。その肝心のものは、自治体の仕事でなしに、国で持っていっている。道路にすれば、市町村なりそういう小さな道路は、何も隣の県とそんなに話し合いしなくてもやれることなんです。河川の問題だって、小さな河川でその区域の中を細々と流れているようなものであれば、何も隣の県と話し合う必要はない。話し合わなければならないものは、もう自治体の仕事でなくなっている。こういう中でやるということは、これは国に対する何か要望とかお願いとかに終わってしまいますね。終わらざるを得ないです、これは。だから、そういうこともあるものですから、いかにもきちっと整備されたような形でありますけれども、こういうものをやってもこれは役には立ちませんぞ、かえって、いま言ったような河川なり道路なりという、こういう事務が現状のようなかっこうになってきた際には、かえって地方が国のほうからいろいろなそういう面でのコントロールをされてしまう、こういう結果になるような心配を私は否定できないのです。私は、ですから、広域行政を否定するわけでもなければ、関係のある府県が話し合いをする必要を否定するわけでもなければ、また、必要のある出先機関の長なりそういうものと話し合いをしなければならぬというふうにも思いますから、そういうことを否定するのじゃないけれども、こういう形でそれはやるべきでないというふうに、少し自分の意見になってしまいますが、思うんですね。私は、こういうふうな運営のしかたなりというものが期待でき、また、そういうふうな方向に行政連絡会議というものを持つのだということであれば、やや賛成してもいい気持ちもあります。それではこの会議の中で、さっきもしばしば申し上げましたように、ほんとうに具体的ないわゆる広域処理にあたってのいろいろな問題を相談をし、関係県がどのような形でそれをいわゆる広域処理の問題として処理していくかという、そういうこの会議の中で、知事なり団体の長が、ほんとうに自分たちの地方自治というたてまえに立ってやって、そういう話し合いができ、結論を出し、そして国がそれをバック・アップしてやっていくというような答えが出るならば、私はまあ一つの意義を認めてもいいんじゃないだろうか、こう思っていますが、そこら辺までどうなんでしょう、期待をし、あるいは考えるということはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/28
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029・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) これは各地域によっても問題点が違ってくるだろうと私は思いまするし、また、、やり方においては、ただ抽象的な話などというようなことなら意味はございませんで、必ず具体的な問題が私は出てくると思います。たとえば九州だったら九州を縦貫する道路というものが現在でも計画されておりますし、そういう問題も出てくるでありましょうし、あるいはまた新産都市等も九州あたりでも数ヵ所できていく、そういうものに関係した問題も出てくるでありましょうし、いろいろ具体的な問題が出てくる。したがってそういう具体的な問題について具体的に関係する出先官憲等との話し合いというものも私は起こってくると思います。ただ、もっとはっきりしたいという意味からいえば、これにある程度の権限を持たして、決定して、それが一つの実行といいますか、実施機関になるようにすれば、これは実効があがるかもしれませんが、それは今日の自治体というたてまえから見れば、私はこれは考えものである。やっぱりそういう具体的な問題を討議して、そしてそれをそれぞれの自治体の権限において行なっていく、また、官憲のほうもそれの御期待に沿って努力をする、こういうふうなところへ具体化していく。ただ私は、話し合いと、こう言いましたけれども、それは話し合いから始まりまして、おそらく具体的な問題に取りかかっていくのじゃないか、こういう気がいたします。で、それを実施するために、どうしても各府県だけではやっていけないから事業団をつくってやっていくということもございましょうし、あるいは府県連合という問題でやっていく場合もございましょう。それにしても、出先官憲との間に連絡というものなしには、なかなかできにくい問題もございまするので、地域地域によっていろいろな問題が出てくるだろうと思いまするので、どういう問題とどういう問題はというふうにも言い切れない問題がありますので、まあ先ほども申し上げましたように、ただ話し合いだけで終わるとは私どもも考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/29
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030・鈴木壽
○鈴木壽君 これは私の一つの考えがあって、そうしてものを言っておりますから、その限りにおいては、どうも大臣のおっしゃること、理解しにくいかもしれませんがね。なかなかどうもすなおに大臣のおっしゃるような、それをなるほどと、こういうふうにはなれませんが、私ほんとうにまじめに考えて、地方自治体のあり方、いわゆる地方自治というもの、それからさらにまた広域行政——いろいろ広域的な処理をしなきゃならぬ問題がたくさんあるということも一応踏まえながら、それを行なうには一体どうしたらいいのかということを、私実はまじめに考えての上でいろいろこの問題に対処してきたつもりなんです。そういう面からいって、どうもこれは確かに大臣が言うように、あまりこれに権限持たしたりすれば困るようなところもある。さればといって、こういうようなものをこのままにつくっていって、はたして一体何の効果が出てくるのか、こういうことですね。たとえばここにさっきもちょっと言いましたし、前からこれを言って、あるいは皮肉に聞こえるかもしれませんが、北海道にこういう形のやっとしてこの法案の中にこんなものをつくる必要があるのか。それは国の機関の参加ということだけでしょうね、これは。そうしますとね、私が提案めいたことを申し上げましたが、さっき私が言ったような形においてやらせる、そういう法律にする、そうすればこれ一番よくいきますわな。目的も書きかえなくてもいいし——目的を書きかえるというか、こんな法律要らなくなりますね。私は国のいまの自治法にある協議会、それに、必要なこういう国の出先機関等が入れるような法案をやったらいいじゃないかと思う。この法案の趣旨からすると、北海道の場合、何も連絡会議でも何でもない、国の出先機関とのこの話し合いの会議、それからこれも私前から言っておることですから、またかと言われるかもしれませんがね、東北地方だって関東だって、こうやって一体東北地方で具体的にみんなが集まって話をするという程度ならともかく、いわゆる広域にわたる行政の実施、処理、円滑なる推進という点から、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、こう並べてみた場合、東北開発というような面で確かにこういう区域がいまありますけれども、いまねらっている広域的な処理、実施というような問題でこれらの県の相互の関係を考えてごらんなさい、一体何を話しすればいいのかという県がありますね。あまり機械的にこういうふうにやってしまうと、いま言ったようなことが出てくる。もう一度はっきりと言いますと、新潟県と岩手県と広域にわたる行政の処理として一体何を話したらいいのか。南部の鉄びんが新潟へ行くから、あるいは新潟の何かが岩手県へいくから、そういう話があるかもしれませんが、いま問題になっているいわゆる広域処理、広域行政というような問題では、これは残念ながら関係がありませんね。オブザーバーとして意見を述べることが、あるいはあってもいいかもわかりませんが、必要が、新潟県は新潟県として、山形県とも福島県とも、それから長野県ともいろいろあるでしょう、そういう必要な場合に協議会をつくって、それに国の関係する出先機関の長なり、だれかが出ていって、そこでその問題の処理のために話し合いをする、かりに協議会が実施機関でなくてもいいと思う。実施するのには、さらに大臣が言うように一段と別の体制でいくというようなこともあると思うし、そういうのが私は効果のある、しかも具体的にいま急がなければならぬというそういう事務処理のためには必要なものではないか。こういう私の考えで、さっきのようなことを提案しているのですが、いかがでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/30
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031・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま御指摘のございました地方自治法にあります協議会のようなものにして、必要のある県が集まって、それに国の出先機関も出てもらうというような形で運営していったほうが機動的でいいのではないかというお尋ねでございます。御指摘のとおり、そういうやり方も一つのやり方であろうかと考えますけれども、今日の状態を考えてみますと、やはり一つの土俵をつくって、その上でいろいろ議論をする場を設けませんと、なかなか実効があがらないというのが実際のありさまじゃなかろうかというふうに考えております。そこで土俵のつくり方をどういう形にするかという問題になりますと、御指摘のように、新潟県と岩手県とはどういう関係があるかというような問題も出てまいるわけでございますけれども、そういう考え方もございますけれども、一応、社会通念と申しますか、今日の地域開発その他の上で、一つのブロックと観念されておりますところをもって一つの共通の土俵として、その土俵の上でいろいろ問題を協議していけるという体制を一つの恒常的な体制として確立するということにも大きな意味があるのではないかと、かように考えておるわけでございます。先生の御指摘のように、必要があったところだけ集まって、必要のある出先機関だけを集めてやったらいいじゃないかということも一つの考え方でございますが、そういうやり方では、なかなかうまく運営が、実際問題になりますと、できないのではないかというふうに考えております。もちろん、この連絡会議を具体的に運営いたしてまいります場合には、部会等を設けるというようなことで、ただいま御指摘のようなものに近い運営も考えていかなければならない場合も出てこようと思いますけれども、私どもとしては、一つの土俵をつくって、その土俵を中心にしてやはり常に協議をしていくんだという、こういう体制を打ち立てたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 土俵をつくることはけっこうですよ。私の言っていることも土俵をつくれということなんで、しかし、その土俵をつくって、上がらなくてもいいものを上げる必要はないと思う。何も上がらなくてもいいものまで土俵の上をにぎわしてじゃまになるだけでしょう。これはじゃまになるということは少し極端な話ですけれども、必要のないものは上げなくていいでしょう。もし必要のある事項であれば、たとえば新潟の場合に、私があまり具体的に言うからあなた方少し変に考えるかもしれませんが、これはやはり具体的に言わなきゃいけない。新潟の場合、東北開発という面では入っています。だから、東北開発の問題なら東北開発のほうでこれはやれるのです。あと、それ以上に、いま言ったように、ほかの県と一体どういう広域的な処理をするために土俵へ上がらなきゃいけないのかということなんです。土俵はつくってもいい。つくってもいいが、それは必要に応じた、上がる人のための土俵はさっき私が言ったような形でつくっておいて、そういうものに対してはこうなんだぞという土俵を提供すべきなんです。
それからまた、言うのはいやなんだが、北海道の土俵なんというのはナンセンスです。北海道の中で、道という中で、それは町村の区域を越えるいろいろな仕事があるでしょう。しかし、北海道の中で処理できることなんで、この法律で言う、府県が自分の区域を越える云々ということに当てはまらぬ、全然。そんな土俵をつくってやる必要はないでしょうだから、国の出先機関との話し合いが必要だったら、その話し合いができるような、さっき言ったような場をつくってやればいいじゃないですか。無理やりにこういう法律の中に、こういう組織の中にそれをやる必要はないと思う。行政局長だいぶ頭ひねっていますが、おまえの言うことおかしいぞということですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/32
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033・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま御指摘のございました、新潟県とほかの県とはそれほど関係がないのじゃないかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、一つ一つの県をとってまいりますと、遠いところとはそれほど関係ないという御議論もごもっともなことであろうと思います。しかし、新潟県は福島県とは密接不可分の関係がございますし、また、山形県とも非常に深い関係を持っております。したがいまして、このブロックをどういうふうにきめましょうとも、その境目になるところはいろいろな問題が起きてまいるわけでございます。自然につながっておる地域を人為的にある程度の区切りをつけるわけでございますから、そこに関係の厚薄というものはおのずから出てこようかと思います。しかし、一般的に東北地方という風土の中で考えられておりますものを対象として地域開発計画というようなものもできておりますことを考えてみますならば、やはり一つのブロックを分けるとすれば、こういうブロックの分け方が適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
なお、北海道についてしばしば御指摘がございましたが、御指摘のとおり、北海道は現在一つの道というものになっておるわけでございますから、二つの府県に関係があるというわけではございませんが、その地域の特殊性からして、やはり同じように連絡会議をつくったほうがいいのではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 松島さん、北海道に同じような性格の連絡会議……連絡会議というのは二つ以上の都道府県が連絡する会議ですよ。北海道にそれが一体あるのですか。さっきから言っているただ国の機関。だから、私はあまりこまかいことを実は言いたくないのだ。言いたくないけれども、いかにもりっぱでそれに効果があがるしというようなことを言うものものだから、皮肉めいたことを、そういうことを言いたくなるのですよ。何もこれは北海道にそんなものをつくらなくたって、この法案の中に無理やりにはめ込まなくたってい・いのだ、はめる必要ないのだ、これは。
それから、新潟県とそれから山形県となるほど境はずっと岩手県まで、どっかで結ばれるところがあるでしょう。ただし、いま問題になっているのは、地方団体でやらなければいけない事務として、しかも、それが自分の山県だけで処理できなくて、いわゆる区域をこえて、あるいは区域にまたがってある、そういうことの処理をしなければならない問題のためにつくると、こう言うのでしょう。川の問題をとってみたって、一体これは二つの県で話し合わなければいけないところがどうあるのですか。そういうむだな話をするよりも、関係のものを、さっきからも言っているように、たとえば川なら川、水なら水の問題、こういうことについて新潟県と福島県とやらなければ、只見川のようなああいう問題がありますし、こういうものをやらなければいけないというなら二つでやれと、私は、端的に効率的なそういう運営のしかたをすべきだ、そういうことを言っておる。なお、福島県と宮城県との間にもそういう水の問題もあります。こういうのだったらその必要の事業によっていろいろな連絡をし、協調をし、うまくできるように話し合いをする。そういう場は私は必要だと言うのだ。ていさいを整えてブロックを分けてやったって何も話し合うことのないものを土俵の上に上がってやったって、私はしょうがないじゃないか、そんなまどろっこいことはやめましょうよ、こういうことですよ。
まあ、あまり意見になってしまいましたから、一応きょうはこの程度で終わりたいと思います。ただ、私は一つ申し上げたいことは、単なるブームみたような、一つのムードみたような広域行政、広域行政というような事務処理をしなければならぬということで、あいまいな機構をつくったり会議をつくったりするよりは、一体、ほんとうに広域的に処理をしなければいけない仕事は何か、その仕事をどう処理すべきかということで、関係団体が、あるいは国の出先機関が話し合いをする、そういう方向でものごとを考えることが正しいのだということを一つつけ加えて、きょうのところは終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/34
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035・高野一夫
○高野一夫君 私ちょっと一つお尋ねしたいのですが、いま新潟の問題なんかは私もちょっと解せないが、たとえば北海道の場合、この第一条を見ても、地方公共団体が三つ以上なければ連絡会議を開かれないということにはなっておらない。地方公共団体と、特に国の地方機関、これとがみな総合して一つになって協議をする。それで北海道の場合に、これは北海道の道庁が財務局ともやり、あるいは陸運局ともやり、海運局ともやり、港湾局とも個々に折衝する。それは折衝するでしょう。しかし、その関係者が一堂に会して、そうして陸運なら陸運の、道路をつくる、あるいは鉄道をつくる、こういう場合に、港湾関係なり何なりといろいろなやっぱり関連が出てくる。そのときには、直接海運なり港湾関係の仕事ではないけれども、道路建設あるいはそういう鉄道建設ということが、いろいろ考えると、直接、間接に港湾なり、そういういろいろな海運関係との関連が出てくる。そうすると、同じ道内であっても、同じ一県の場合はあまり狭過ぎるが、北海道のように、九州と同じようにあるくらいな地方においては、国の出先機関を全部集めてそうして道というものと協議をする、こういう足場を持つということは、道としての仕事を進展させるのに非常に都合がいいのではないか、こう私は北海道を見て回って思う。それから、北海道の知事が個々に海運局あるいは陸運局あるいは財務局、こういうふうに折衝をするよりも、それが一体になって北海道の開発なら開発の問題について意見を交換する。自分のところに関係がなくても出てきてもらって、そうしていろいろな意見を述べ合うということになると、港湾のことでなくても、やはり国鉄なり道路建設は港湾に関係がある。ああしようじゃないか、こうしようじゃないか、そこを通さないで、あっちへ行って、港湾関係を引っぱっていこうじゃないかというふうな議論も出てくると思う。そこに、個々にやるとなかなか話は進展しないし、意思の疎通を欠くことがあるからこれを一緒にするということは、北海道の場合にもこれは効果がないことはないじゃないか、やはりいいじゃないかという感じを持つ。ただ一つ、私はそれで地域の広域化の上において、この連絡会議が私は非常にいいと思うのですけれども、ただ、この別表の分け方については、どうも少し解せない点もあるのです。たとえば四国みたようなところは、吉野川を中心にして四国開発計画を——どこが中心になるかわけがわからない。みんな奪い合っているわけです。結局、四国電力なんかが中心になって、いろいろな行政的な案をつくらなければならないというような実態になっている。だから、今度は四国でこれだけの四県が集まってこういう会議を開くなら、私は四国全体の開発計画というものが非常にスムーズにでき上がるのではないか。ただ、この甲信越の場合は、多くのブロック、いろいろな仕事なり何なりする場合に、大体甲信越というのが常識になっておって、そして新潟は東北開発では東北のほうに一緒になっているでしょうけれども、山形とも福島とも密接な関係があるけれども、長野との関係のほうが従来非常に甲信越——北陸と信州、甲州この甲信越が大体従来一つのブロックの扱いに、いろいろな場合においても大体そうなっておる。それが今度はそういうことになっておらないで、新潟が東北のほうに入ってしまっているというようなことで、そして山梨は関東に入る。山梨は、現在でも関東に入れてもらいたがったり、甲信越に入れてもらいたがったりするような特殊な立場にあるのですが、山梨のところは別といたしまして、そういう点にもう少しくふうをこらしていいところがあるんじゃないかしらんというような感じもするのですが、新潟の場合は、東北とも関係があるが、特に長野との関係もある。富山、北陸方面とまたことに密接な関係がある。この別表については、もう少しなお今後、いまこれを急に改めることがむずかしいようであれば、少し研究をする必要がありはしないか。それから、まあ九州なんかについても、北九州と南九州とでは全然違うのですよ。全然違う。だから、九州の知事会議を開きましても、ほんとうに集約されて結論が出るのは、ほんとうに全体、北九州、南九州も一緒くたにしたきわめて限られたる問題にしかすぎない。観光開発にしても、そのほか低開発地の開発ということにしても、非常に進んでいる工業地帯とも言うべき北九州、特に北九州市を入れた北九州というものと、南九州とはがらっと変わっている。そういう意味においては、私はむしろ北九州、南九州というふうに連絡会議を開くほうがより有効的じゃないかしらんとも考えられる。そこで、だから、そういう点について東北、…信越、九州というような点については、もう少し考慮する必要がありはしないか。財力の面において、あるいは産業の面において、北九州と南九州ではまるでがらっと様相が変わる。そこで、北九州と北九州とを共通するようなものは別個の知事会議なり何なりでいろいろやれるわけですから、意見の調整統一をはかれる。それを自治大臣のところに持ってこれる。ほんとうの仕事の面においてはどうも南と北とはがらっと変わっている。私は九州ですからよく承知しているつもりですが、これは二つに分けたほうがむしろこの法律の趣旨を徹底させる上において効果が出てくるんじゃないかというような感じを持つ。そこで、この北海道以外の別表について、そういうところをもう少しくふうしてもらったらばいいじゃないかしらんと、こういうことも考えるわけです。この同じ広い地域において、私は国の出先機関——各省の出先機関とそこの道庁なら道庁と、あるいは県庁というものが一緒になって、関係があるなしにかかわらず、一緒になって協議をする会議を持つということは、これは私はやはり必要であって、よくはないかしらんと思う。ちょっと鈴木さんとは少し違うかもしらぬけれども、そんな感じを持つわけなんですが、この点について自治大臣の私のそういう考え方、質問に対する一言お考えを聞いておきたい、これで私やめますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/35
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036・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 高野先生の御指摘の点は確かにあると思います。しかし、まあ、私どもがこういった一つのグループをつくりましたのは、いろいろな点を勘案をいたしまして、まずこれはこのブロックがよくはないかというところで入れておるのでありまして、一〇〇%このブロックというわけのものでない。新潟等につきましては、どちらに入れたらいいかという、相当これは問題になる点でございます。それから九州につきましても、南と北とでは相当の違う点もございまするけれども、まず、まあしかし、九州一円という一つの大きな問題をとらえてやっていく、こういうようなところからこういうふうなグループに分け、現在いろいろな出先官憲等のグループにつきましても、必ずしも一致していないのでありますが、それあたりを勘案いたしましてまあこういうグループをつくりましたが、なお念のために別表の最後に備考としてございまするように、都道府県は、特に必要があると認めるときは、関係地方行政連絡会議の同意を得て、同時に他の地方行政連絡会議に加入することができるものとする。」という、そういうことも起こるかなということで念のためにそういうものを置いたようでございます。また、実際やってみるうちに、だんだんと時勢の変化に伴い、あるいはまた実施した実績の面から、こちらのほうがいいというようなことも起こり得るかと思いますが、まず現在の段階において勘案をした結果がこういうグループに分けたようなわけでございまするので、御了承賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/36
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037・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっといまの高野先生からの話で……、長くしませんからやめますが、北海道の、私も国の出先機関との間のそれを否定しているわけではなくて、この法律がねらう、二以上の府県が集まって二以上の府県にまたがるような仕事の処理をする会議としては不適格じゃないかと、こういうことなんで、北海道は北海道の中でそれを処理……道という、これは区域は大きいけれども、したがって、仕事は広域行政というふうな範疇の中に入るかもしれませんけれども、しかし、それは北海道という一つの、あそこで処理をできるそれなんですね。ただ、そういうものをこの法律の目的にあるように、「広域にわたる」、「わたる」ということは何かと聞いたら、いま私が言ったように、府県を越えて、両府県あるいは府県を三つ、四つにまたがってだと、こういう仕事だと言うものですから、それでは北海道おかしいんじゃないかと、こういうことなんであります。ただ、国の出先機関との連絡はあっていいから、それはそれなりに、この法律によらない、こういうかっこうでなしにやれるような土俵をつくったらいいんじゃないかと、こういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/38
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039・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) ほかに御質疑はございませんか。——別段御質疑もないようでございますので、質疑は終了したものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/39
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040・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 次に、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に説明を聴取いたしておりますが、本日は補足して説明を願います。松村消防庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/40
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041・松村清之
○政府委員(松村清之君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明をいたしたいと存じます。
まず、消防法関係でございます。
第一の危険物の規制の強化につきましては、最近における危険物施設の高度技術化、複雑化に即応いたしまして、施設面から生ずる事故を防ぎますために、危険物施設の計器、安全装置の点検等に従事する施設保安員を設置させ、また、企業の自主的保安基準とも言うべき、予防規程を作成させ、これを市町村長等の認可にかからしめ、個々の具体的な危険物施設に応じて標準的な作業基準、安全装置の管理基準等について規定させ、主として従事する人の面から生ずる事故防止に役立てようといたしております。
また、自衛消防組織につきましては、一定の危険物施設で一定量以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う事業をとらえて、消防のための人的物的組織を整備させ、危険物施設を持つ企業の公共的責任として、初期消火に協力させようとするものであり、消火活動に必要な機械器具類、人員等については、いずれも政令によって基準を設けるものでございます。
さらに、最近危険物製品の著しい普及に伴って、危険物施設の設置の許可を受けないで、危険物を貯蔵し、取り扱っている者がふえてきておりますので、従来罰則だけで規制していたのを改め、こうした施設への立ち入り検査等を行なうことができるようにするとともに、法的手続を踏まないで指定数量以上の危険物を貯蔵し、あるいは取り扱っておれば、危険物の除去等を命ずることができるようにいたしまして、火災発生の危険性の排除に全きを期しております。
その他危険物施設における施設面の変更を伴わない危険物の種類、数量の変更届け出制度の新設、危険物施設外における危険物の仮の貯蔵、取り扱いの制度の整備など、危険物の取り締まりを実態に即して合理化するための規定の整備を行なうこととしております。
次に、消防設備士制度につきましては、消防用設備等の設置の工事及び整備を担当する者に対して、その知識及び技能について一定の資格要件を付そうというものであります。
消防用設備等は、一定の切火対象物に取り付けられ、火災が発生いたしました場合の初期消火、安全避難等に多大の効果が認められています。このように重要な消防用設備等が火災発生時に正常に作動しないということは許されないことでありますので、消防用設備等に使用される機械器具またはその部品については検定制度を実施し、そのような事故の発生の防止に努力してまいっております。
しかしながら、これらの検定による合格品を使用した場合にも、消防用設備等の設置の工事及び整備が適正に行なわれない限り、完ぺきを期することができないのであり、祝状は、これらの工事及び整備が粗雑あるいは不適切に行なわれている例がきわめて多いのであります。
そこで消防用設備等の工事及び整備については、都道府県知事が行なう試験に合格した者をしてこれに当たらしめることとしたわけであります。
なお、この消防設備士制度の実施につきましては、猶予期間を置き、混乱が起こらないようにいたしております。
以上のほか、従来の経験に徴し、屋外における火災予防のための措置の命令権者に新たに消防吏員を加え、火災予防上危険と認められる物件について所有者等に必要な命令をすることができるようにいたしますとともに、所有者等が不明の場合には、消防機関の手で必要な措置がとれるようにいたしております。
次に消防組織法について御説明いたします。
まず、都道府県の所掌事務でございますが、現在、市町村相互応援協定は、消防組織法第二十一条の規定により約八十五%の市町村が締結しておりますが、この締結の対象は隣接市町村の地域に限られており、最近の社会事情から見てこれらの措置のみでは防災体制として十分ではなく、市町村を越えた、できるだけ広い地域の市町村との応援体制を確立しなければならないと考えられるのでありますが、広域にわたる応援協定は、市町村の消防力の実態、消防体制等を検討し、全県的観点から合理的、能率的な相互応援を期するため都道府県に計画の作成の指導を行なわせ、これの促進をはかることといたしました。
また、最近における交通事故をはじめとする各種災害事故の激増にかんがみ消防法の一部を改正して救急業務を市町村の所掌事務とし、救急体制の整備確立をはかったのでありますが、高速自動車道路その他主要国道における救急業務の必要は増大の一途をたどっております。
そこで、これらに対処する指導を行なわせ、広域救急体制の整備確立をはかりますとともに、適切な救急活動が行なえるよう技術の指導をも行なわせることといたしました。
第二は、非常災害時における応援体制の確立であります。
地震、台風、水火災等の非常災害の場合、災害の発生した都道府県がその消防力をもってはこれに対処できない事態に遭遇することも予想されますので、当該災害の発生した都道府県の知事から消防庁長官に要請があり必要と認めました場合には、消防庁長官は他の都道府県の知事に対し応援を求めることができることといたしました。
また、災害発生地以外の都道府県知事に応援を求め、当該知事がそれに応じた措置を講じますためには、多くの場合、その管内の市町村の消防機関の協力が必要であることにかんがみまして、知事が市町村長に対し必要な措置を求めることができる規定をあわせて設けることといたしました。
次は、応援のため、派遣された職員の指揮についてであります。
現行消防組織法では、市町村の消防機関の職員が他の市町村の消防の応援のため出動した場合における指揮系列の関係を規定いたしておりませんので、この際、応援に従事する消防機関の職員の職務遂行に伴う混乱を避けますため明確に規定することといたしました。
次は、消防職・団員の研修についてであります。
最近の各種災害の大規模化、複雑化に対処いたしますためには、消防職員及び団員の資質の向上をはかることが必要であり、特に、非常勤の消防団員につきましては、本条と同趣旨の規定である地方公務員法第三十九条の規定の適用がなく、かつ、我が国の消防が、これら非常勤消防団員に依存しなければならない現状をも考慮いたしまして、本条を新たに設けることといたしたものであります。
以上が消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案のおもな内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/41
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042・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 御質疑の方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/42
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043・高野一夫
○高野一夫君 私、消防庁に伺いたいのですが、この消防法と組織法の改正は、これで現行のものよりは非常によくなるということは、私もそう思います。けれども、一つ画竜天晴を欠く点があるのじゃないかという点は、この法律の中にあるかあるいは政令だけできめるのか知らぬけれども、消火器の問題。ある席でも私はこの点を申し上げたつもりですが、消火器は現在こうこういう業種には置かなければならぬというような規定があるのでしょう。それはどこにどういうふうに規定してありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/43
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044・松村清之
○政府委員(松村清之君) これの根拠法規は消防法の十七条に法律がございまして、この法律に基づきまして消防法施行令第七条以下に詳しくこの規定がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/44
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045・高野一夫
○高野一夫君 そこで、伺うところによると、私も不敏にして知らなかったのですが、その指定した業種に消火器を置かなければならぬその消火器は、国家の検定を要する、家庭に置く消火器はその必要がないということがわれわれにはどうしてもわからぬ。この点の従来の考え方をひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/45
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046・松村清之
○政府委員(松村清之君) 法令によりまして消火器を設置しなければならないようにきめられております場所につきましては、お説のように、消防検定協会の検定に合格しました消火器でなければならないのでございます。家庭につきましては、消火器の設置はもちろん義務づけられておりませんが、今日のいろいろな事情から、家庭においてもそういった消火器を必要とし、また、需要をされております。ところが、この家庭で使います消火器につきましては、まあ、現在は消防検定協会の検定の対象にはいたしておらないのでございます。と申しますのは、これはいずれいまこの家庭に回ります消火器、これは厳格には法令で言う消火器とは私ら申しておりませんのですが、いわゆる家庭用の消火器でございますが、家庭用の消火器につきましても、現在多くの人が需要され、この多くの人にいい品物が渡りますためには、消防検定協会の検定に合格したものであるべきであると、そういうふうに考えることが妥当でございまして、これを検定の対象にいたすべく検討いたしております。しかし、ただいまの状況を申し上げますと、実はある一定の効果をおさめます消火器というものは、形も相当大きなものであり、内容も相当充実したものであるわけでございまして、そういったものを家庭において求められれば、もちろんいまも検定の対象になり検定の合格になったものでございますけれども、いま何ぶんにも相当金がかさみます。そこで、現実には小さな消火器を家庭消火器として売り出してあるわけでございまして、これらの点につきましては、先ほども申し上げましたように、消防検定協会の検定にできるだけ早い機会に何らかのくふうをして乗せて、いい品物が安心して買えるようにいたしたいと、実はそういうことを検討いたしておる最中であるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/46
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047・高野一夫
○高野一夫君 私はその点をこの機会にはっきりしておきたいのですよ。ということは、たとえばキャバレーに置かなければならぬ。相当大きい消火器でしょう。それはちゃんと管理者がおって、いつでも火災発生の場合は使えるような技術というのですか、そういうことになれておる。家庭においてはなかなかそれはなれませんよ。だから、大きい装置であるから検定が必要であり、小さい装置であるから検定の必要がないということは、これはおかしい。小さい装置であろうが、大きい装置であろうが、ほんとうの消火の目的を達するためには、十分それを保証し得るものでなければ。それで、検定すれば不合格になるかもしれないような消火器を家庭では大事にして、そうして何か火が起こったというときにそれを使おうとすると、役に立たない。あるいは買って備えつけてから半年たち、一年たち、二年も置くと効果がなくなる。こういう家庭の何もそういう専門の知識のないところに、これは強制的に置かせるわけではもちろんないけれども、自発的に置くのはけっこうなんだから、自発的であっても、そういうところに置く小さい装置であっても、十分なこれは効力があるということを保証しなければおかしいですよ、それは。わからぬですよ、家庭のほうは。ただ、それは消火器の製造会社なり製造所から売りにくる。これはいいものだと言うにきまっているのですから、それは。それを備えて役に立たない場合が出てくるということになると、家庭はむしろそれじゃ置かなくてもいいことになる。せっかく置いたのが役に立たない。これは私は、指定した業態よりも、何も指定しない、任意に置くべき家庭にこそなおほんとうに役に立つ消火器を買わせるようなふうに仕向けなければならない。いま検討中だとおっしゃったけれども、検討中でなく、速急に私はこの見解をきめてもらいたい。それは、消火器というのはああいうようなふうですから、どうせ化学的なものですよ。最初は効力があるけれども、時間がたてば効力が半減したりなくなったりする消火器もざらにある。そうして使えなくなる。家庭はそんなこと知らぬから、何かしら、ボヤが起こったらそれを使おう、役に立つだろうと思い込んで大事に保管をしておく。だから、その大きいキャバレーとかなんとかそういうような、官公署、学校、そういう施設には大きい装置が必要だけれども、それは熟練した管理者がいるからいいけれども、そういう家庭の中で、おじいさんが使おうが、子供が使おうが、おかあさんが使おうが、使いやすい消火器であってはっきりと効果があらわれる消火器であるということは、何らかの方法で検定して証明したものでなければおかしいですよ。だから、それは強制的に置かせるものだから検定が必要だ、家庭は自由だから検定が必要ないのだということは、私は言えないと思う。だから、家庭であるからなおさら、十分の効力のある、小さい装置であっても、大きい装置であっても、そんな装置の大小は別ですよ。内容いかんなんです。その内容がある制限された期間内においてはりっぱに効力を発揮するんですよということを保証をして、そうしてそれが家庭で使われる、こういうふうに私は当然すべきだと思うのですよ。そうするならば、家庭もなお安心して喜んで小さい消火器を置くだろうし、かりに石油ストーブから火が出たというのでも、使ってそうして効力あるならば、そういうものは迅速に消せる可能性が十分あるわけです。だから、置かなければならぬという場合と、置かなくてもいいが、各自がかってに置くんだという区別はそれはしてもいい、それはしてもいいが、だからといって、その両者に置く消火器について、一方は検定をし、一方はその必要がないということは、どうしても私は不合理で、消火器というほんとうの目的を達成する上からいって、どうしても納得することはできません。だから、政令で改正するならば、これは法律よりやさしいことですから、いまこの改正案そのものはけっこうですよ。だから、これはひとつできるだけ与野党一致して迅速に通するようにするとして、その政令の改正は必ずするのだという、ひとつ最後の採決までの段階において、何か私ははっきりした消防庁長官の責任において発言をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/47
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048・松村清之
○政府委員(松村清之君) これは、こういう事情にあるのでございます。消火器の能力の単位というものがありまして、この能力の単位というものは、一定規模の火に対して効力があるという、そういうものでございますが、こういう一定規模の火に対して効力がある、そういう能力を持った消火器、こういうことになりますと、いま検定協会で検定をして合格しております二、三千円もします相当大型な消火器でなければならないのでございます。そこで、いま市販されておりますいわゆる家庭消火器というものでございますると、そういう一定の能力単位というものがそれにはないわけで、そこで、そういう一定の能力に達しない消火器というもの一これも何木か集めて使えば一定の能力を発揮すると思いますが、一本ではそういう能力単位に達しないそういうものを一体どういうふうにいま扱ったらいいか。いまの段階では、完全なものとしては、先ほど申しましたような検定品を家庭でも使っていただきたい。しかし、それでは価格も高うつきますし、そういうことで、それに達しない市販されておる家庭用消火器なるものをどうしたらいいか。それを何かひとつ検定をして、まあ、一定の能力単位に達しなくても、検定をしてひとつ扱っていくようなことが考えられるのじゃないか、そういうことをいま現に考えておりまして、これは法令の改正というよりも、検定の実施の問題でございますので、私どもせっかくいま研究中でございますので、いましばらくひとつ御猶予をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/48
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049・高野一夫
○高野一夫君 いつまでも質問しているわけにもまいりませんが、一定の能力に達するとか、達しないということが事業場と家庭に置く区別みたいになるということが私はおかしいと思う。それは大きい学校とか、公共建築物とか、キャバレーというようなところでは相当大きな効力のあるものが必要でしょう。それでは、家庭でちょっと火ばちをひっくり返したとか、やれガスがどうした、こういうものを消す場合に、ある程度は、たとえば千なら千以上の能力のあるものとか、五百以内の能力のあるものを家庭に置くとか、置かなければならぬとかということで、能力の程度というものは対象によってそれこそいろいろできるわけです。その能力に達しないものがあるということと——それはあなた方は非常に専門家ですから、私はあなた方のおっしゃることはわかるけれども、家庭の人じゃわかりませんよ。そんなら、われわれは能力のないものを買わされているのか、こういうことにもなる。だから、家庭には家庭向きの能力の限度がありましょう。それはそれでいいのですよ。かりに、家庭の場合は五百、千までは少なくともなければならない、指定した事業場の場合には千以上の消火能力がなければならない、こういうようにすればいい。それは区別は幾らでもできると思う。ただ、無責任にいま消火器の製造業者がどんどん消火器を製造して無責任に家庭が買わされているという事態は、一日も早く改善しないというと、こんなに法律の内容を幾ら整備してみたところで、何にもならない。火災発生原因というものは、ただ危険物の貯蔵、工場、倉庫というものを防止するということでなくて、そういう点も考えてもらわなければ、どうも片手落ちになるような感じがします。これ以上は述べませんが、さらにこの点は十分研究していただきたいと思います。消火器はなかなかむずかしいですよ。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/49
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050・和田鶴一
○和田鶴一君 具体的な例をあげて、これはあるいは少しはずれるかもしれませんけれども、ちょっと関連して御質問します。消防組織法で、広域にわたる火災、台風その他の災害の発生のときの指揮系統について規定がしてありますが、火災は初期の防火が非常に大事だという点から考えると一この間、私の町で二千町歩の山火事があった。それは原因が落雷か何かわからない。ところが、燃え上がってくるが、奥地で火災が発生しているのでどうしようもない。それで、法律がいかに整備されても、やむを得ぬということで、ほったらかしにしておかなければならぬ。このあと雨季に入ると大洪水が起こる。そこで、こういうような法律を整備して組織を強化するというのであれば、いまこういう乾燥状態が続いているからといって、テレビやラジオで盛んに忠告を発しているけれども、何かもっと組織的にそういう危険地帯を、ヘリコプターだとか、そういうようなものでパトロールするというような制度を設けられないものかどうか。ただ、こういうちっぱな組織ができて、付近の市町村が手伝いに来て、消防団員がその当該町長の指揮下に入るという形はけっこうですけれども、起こってしまってからこういうことをやっても、何にもならない。ただぼう然と見ていて、周辺の村落に飛び火しないように、団員が何千人か出てきて、何かたたく。こういうきわめて原始的なばかげた防火対策しかとれない。ですから、ああいうようなときに、これは年がら年じゅうというわけにいきませんが、事前に、そういうような危険な状態にあるところを、数府県にわたって、広域行政の思想を生かして、何かして、何か法律の整備をしてパトロールするとか、何かこういう点について考えないと、これはもったいない話です。それから、火災が人家なんかの場合には、数時間働けば普通の消防団員は帰って百分の仕事につけるが、こういうような場合には、四日四晩も不眠不休で自分の仕事をほったらかしてやらなければならない。そういう者に対する手当とかなんとかもちっとも十分でない。ほんとうの奉仕ですよ。だから、私は具体的に消防を生かすという面について、法律の整備もけっこうですけれども、そういう基本的な問題について将来私は大いに考えるべきじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/50
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051・松村清之
○政府委員(松村清之君) 御承知のように、現在消防というのは市町村の責任になっておりますので、消防に関する仕事は、市町村がまず個々にやるたてまえになっております。これでは現在のいろいろな事情に合致しませんので、最近におきましては、またこの法案について特に御審議を願っているわけでございますが、市町村相互間でできるだけ広い地域にわたってひとつお互いに助け合って、いわゆるこういう形で消防の広域行政をやっていこうという試みでやっております。したがいまして、現在はヘリコプターを持つということは、こういう体制でございますので、実は東京都くらいはヘリコプターを来年度は持ちたいと思っていろいろ考慮いたしたのでございますが、実現ができない状況でございますので、一般にはそういうヘリコプターを持つというまでには至っておりませんが、そういうふうに、だんだん市町村が広域的に消防をやっていくという体制を考えつつ、将来はヘリコプター等を持って機動的に活躍する、こういうことに持っていきたいというふうに考えております。現在の市町村消防ということにつきましては、これももちろん制度として必要だだと思いまするが、一方においていろいろな欠点もあることも、これも事実でございます。それで、現段階では、市町村相互関の応援協定あるいは一部事務組合、そういった市町村を単位とした広域行政という形でやっていこう、これが現在の消防についての考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/51
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052・天坊裕彦
○委員長(天坊裕彦君) 本案についての本日の審査は、この程度にいたします。次回は、三月十八日(木曜日)午前十時に開会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814720X01419650316/52
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