1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十三日(火曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
村山 道雄君 河野 謙三君
栗原 祐幸君 井野 碩哉君
源田 実君 野上 進君
四月九日
辞任 補欠選任
河野 謙三君 村山 道雄君
井野 碩哉君 栗原 祐幸君
野上 進君 源田 実君
四月十三日
辞任 補欠選任
三木與吉郎君 山本 利壽君
八木 一郎君 和田 鶴一君
塩見 俊二君 田中 清一君
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出席者は左のとおり。
委員長 柴田 栄君
理 事
栗原 祐幸君
伊藤 顕道君
委 員
石原幹市郎君
塩見 俊二君
林田 正治君
村山 道雄君
山本 利壽君
和田 鶴一君
中村 順造君
衆議院議員
発 議 者 八田 貞義君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
農林大臣官房長 中西 一郎君
農林大臣官房予
算課長 太田 康二君
農林省農林経済
局長 久宗 高君
農林省農政局長 昌谷 孝君
農林省園芸局長 林田悠紀夫君
水産庁長官 松岡 亮君
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治大臣官房参
事官 宮澤 弘君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
農林省畜産局参
事官 吉岡 茂君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○旧勲章の年金受給者に関する特別措置法案(衆
議院送付、予備審査)
○自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/0
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。本日、八木一郎君、三木與吉郎君が委員を辞任され、その補欠として、和田鶴一君、山本利壽君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/1
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002・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、理事の補欠互選を行ないたいと存じます。
四月八日、栗原理事が一たん委員を辞任され、翌九日、また委員に復帰されましたので、栗原祐幸君を再び理事に選任することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/2
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003・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/3
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004・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、旧勲章の年金受給者に関する特別措置法案を議題といたします。
先般、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案について提案理由の説明を聴取いたしましたが、同法案は四月九日衆議院において撤回されて、ただいま議題となっております旧勲章の年金受給者に関する特別措置法案が提出されましたので、あらためて発議者から提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員八田貞義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/4
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005・八田貞義
○衆議院議員(八田貞義君) ただいま議題となりました自由民主党、民主社会党の共同提案にかかる旧勲章の年金受給者に関する特別措置法案について、提出者を代表いたしまして提案の理由を説明いたします。
戦後二十年、この間幸いにわが国の経済は順調に再建発展しまして、国民生活も年一年と向上をたどりつつあります。この間にあって旧金鵄勲章年金受給者におかれてはかって支給されていました年金は打ち切られ、その経済的期待権を喪失し、経済的また精神的に不遇のうちに老残の日々を送っている人々も多いのであリまして、まことに惻隠の情にたえないものがあります。
御承知のごとく、旧金鵄勲章年金令は明治二十七年勅令第一七三号によって制定されました。その後この年金令は昭和十六年に至り勅令第七二五号によりまして廃止されましたが、同時にまたこの勅令により昭和十五年四月二十九日以前の叙賜者につきましては、旧令によって年金は下賜されていたのであります。しかるに終戦後昭和二十一年三月に至りまして、この勲章年金は、昭和二十年十二月末を限りといたしまして、一切廃止されることとなって今日に至っておるのであります。よって本法律によりまして、これらの人々の処遇改善をはかるため、特別の措置を講じようとするものであります。
本法律案の趣旨は、本法施行の日において生存する旧金鵄勲章年金受給者にして満六十歳に達しておられる方々並びに昭和三十八年四月一日において六十歳に達したもので本法の施行の日までの期間において死亡された方々に対し、旧制の功級による区別なく、その処遇の改善の一端として金七万円の一時金を特別措置として支給しようとするものであります。その認定はこれを受けようとする者の請求に基づきまして、内閣総理大臣が行なうこととしております。
なお、この法律の実施のための手続その他につきましては、政令をもって定めることとしております。
以上をもちまして提案の趣旨説明といたします。何とぞ本委員会におかれましては、慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/5
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006・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/6
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007・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、自治省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、これより質疑に入ります。
政府側からは吉武自治大臣、松島官房長、宮澤自治大臣官房参事官、佐久間行政局長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案について大臣にお伺いいたしますが、提案理由の説明によりますと、最近、日本の地方行財政については、租税条約の締結等緊密な国際的連携を必要とする問題が増加してきたということ、そこで地方行財政に経験の深い者を海外に常駐させる必要があると考える。そういうことで、自治省定員のうちの一名を在外公館の要員として外務省に移しかえをいたす。こういう趣旨であるようでありますが、そこでまずお伺いしたいのは租税条約の概要ですね、趣旨、おもな面容等についてお伺いをしたいということ。
それからこの租税条約は、昭和二十九年にアメリカと租税条約を締結したのが最初だと思うのですが、以後、諸外国ともだんだん締結している国がふえてまいったわけでありますが、そこでお伺いしたいのは、一本日本と租税条約を締結した国はどの程度あるのか。これは同時に締結したわけじゃありませんから、年代順にその相手国をあげていただきたい。
こういうことをあわせて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/8
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009・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) こまかい点は政府委員からお答えをいたさせますが、御承知のように、国際間における課税関係を調整するということで、国際間の経済あるいは人的あるいは文化の交流等に資するために国税の関係で条約が結ばれつつございました際に、地方税についても同様の取り扱いをすべきであるというところから、ただいま御指摘になりました二十九年にアメリカとの間に租税条約が締結されまして、その後だんだんカナダとか、フランス等も含めまして、現在まで十四カ国の間に条約が締結されておるわけでございます。まだいま問題になっておりまするところはイタリアとか、西ドイツ等もひとつ含めてということで検討を進めておる状況でございます。その詳細につきましては、政府委員からひとつ答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/9
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010・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 租税条約の趣旨につきましては、ただいま大臣から御答弁を申し上げたとおりでございます。
その内容でございますが、ごく概括的に申し上げますと、御承知のように、国際間で租税を課します場合には、居住者と非居住者という二つに概念を分けておるわけでございます。居住者と申しますのは、たとえば日本について申しますならば、日本に住所を持っております者、あるいは日本に本店のございます企業でございます。それから非居住者——日本とフランスの例で申しますならば、フランスに本店があって、日本に支店のあるような企業、あるいはフランス人であって、日本から源泉のある所得を得ている、こういう者が非居住者であるわけであります。
租税条約といたしましては、居住者につきましてはいわば包括的な、あるいは無制限納税義務を負わせておるわけでございます。日本に本社がある法人でありますとか、あるいは日本の居住者、これは日本としては包括的あるいは無制限な課税権を持っておりますし、また、それらの人は無制限の納税義務を負っておるわけでございます。非居住者につきましては制限的な納税義務を負うわけでございます。先ほどの例で申しますならば、フランスの法人で日本に支店を持っておりますもの、これは日本で申しますと、日本の非居住者であるわけでございます。そういうものは、日本といたしまして課税権を行使いたします場合に、制限的な課税権を行使いたします。逆に申しますならば、フランスといたしましては、フランス法人でございますから、その法人については包括的、無制限の納税義務を負うわけでございます。そこで問題は、居住者につきましては問題はないわけでございますけれども、非居住者につきましては、先ほども申しましたように、居住地国と、それから所得の源泉地国との間でおのおの課税権をどう調整をしていくか、こういう問題が出てくるわけでございます。片方は無制限の課税権を持っているし、片方は制限的な課税権を持っているわけでございます。その制限的な課税権をどの程度行使をするか、こういうことが問題になるわけでございます。そこで国際間で協定を結びまして、非居住者につきましての納税義務についておのおの相互主義の原則に基づきまして取りきめをいたす、これが大体租税条約の中心的な課題であると、こう申し上げてよろしかろうかと思うのでございます。
なお、それに付帯をいたしまして、租税条約が締結されますと、締結国間におきましておのおのの課税権の行使につきましていろいろトラブルが生じました場合には、相互の機関が調停に努力する条項でございますとか、あるいはお互いにその国の税制について情報を交換をする条項でございますとか、そういうものがあわせて取りきめられるわけでございます。大体租税条約の基本的な内容はそういうことになっております。
それからなお、この件につきましては、従前から各国それぞれ相互主義の原則に基づいて交渉をしていたわけでございますが、一九五六年でございますか、OECDでおのおの租税条約を締結する際のモデル条約案と申しますか、大体基本になる考え方について審議を開始をいたしまして、一九六三年に最終案がまとまったわけでございます。大体今後は、OECDのモデル条約案を中心にいたしまして関係国が交渉をする、そういうことに相なっているわけでございます。
それから租税条約をわが国が締結をしている国、年代順に説明せよというお話しでございますが、最初はアメリカ合衆国でございまして、署名年月日が二十九年四月十六日でございます。条約が発効いたしましたのが三十年四月一日でございます。以下スウェーデンの署名が三十一年十二月十二日、発効が三十二年六月一日。それからパキスタンが三十四年二月十七日が署名年月日で、発効は三十四年五月十四日。ノルウェーは署名が三十四年二月二十一日で発効が三十四年九月十五日。デンマークは三十四年三月十日の署名年月日で、発効が三十四年四月二十四日。インドは署名が三十五年一月五日で発効が三十五年六月十三日。シンガポールは署名が三十六年四月一日で発効が三十六年九月五日 オーストリアは三十六年十二月二十日署名いたしまして、三十八年四月四日に発効いたしております。英国は三十七年九月四日署名で、三十八年四月二十三日発効。ニュージーランドは三十八年一月三十日署名、三十八年四月十九日発効。タイは三十八年三月一日署名、三十八年七月二十四日発効。マラヤは三十八年六月四日署名、三十八年八月二十一日発効。それからカナダが三十九年九月五日署名。大体ただいまのところまとまっておりますのはそういうところでございます。
なお、フランスにつきましては、この国会におきまして条約案についての御承認を終えておるところでございます。
以上十四カ国でございますが、なお先ほど大臣が申し上げましたように、目下ドイツ、イタリアあるいはオーストラリア、スイス等の国と交渉をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、この租税条約の対象とする税目ですね、これに関連してお伺いしたいと思いますが、調べてみますと、当初は国税だけであったようですが、大蔵省の主税局国際租税課が担当しておって、国税だけを扱っておったけれども、二重課税を防止したり租税条約をより効果あらしめるために、そういう意図から地方税についてもその対象とする必要がある、こういう観点から、最近では原則として地方税をも含めた総合的な租税条約を締結する方針となっておる。こういうことでありますが、地方税ということになるとなかなかこれは容易じゃないと思うのですが、税制の相違点は各国にあるわけで、これが統一されておれば問題ないと思うのですが、おのおのその国独自の税制をしいておりますから、こういう点から非常に困難な問題が多かろうと思うのですが、現状は一体どうなっておるのか、こういう点についてひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/11
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012・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 確かに御指摘のとおり国税でも同様でございますけれども、なお、地方税につきましては、各国その地方自治のあり方のいかんによりまして、地方税の税目なり、課税の方法につきましてはいろいろあるわけでございます。基本的には、確かに御指摘のとおり、租税条約を結ぶにあたりまして、特に地方税につきましてはいろいろ問題があるところでございます。そこで現在の租税条約は、御案内のように、OECDのモデル条約との関係もございまして、所得に対する課税についての条約の締結をいたしておるわけでございます。所得につきまして二重課税の防止なり、何なりの趣旨を貫きますために租税条約を締結いたしておるわけでございます。所得に対する課税ということになりますと、御案内のように、国税といたしましては所得税と法人税、それから地方税につきましては住民税があるわけでございまして、所得に対する二重課税を防止するというような見地から申しますならば、やはり国税のみならず地方税もでき得る限り入れていく必要があろうと思うのであります。そこで御質問の点に関連いたすわけでございますが、でき得る限り入れることにいたしたいのでございますけれども、相手国の地方自治体の実情なりあるいはその地方税の課税の実体によりましては、御案内のように、租税条約は相互主義をたてまえにいたしておりますので、わが国の地方税の住民税に相当するような税目がある場合もございますし、ない場合もございます。そういう点を考慮いたしましていままでのところの考え方といたしましては、やはり相互主義の原則で相互に国税、地方税を含めて所得に対する二重課税を防止をしていく、こういうたてまえで折衝をいたしておりますのが原則でございます。ただ関係国といたしましては、なお所得に対する課税以外にも、そのほかたとえば資産に対する課税でございますとか、あるいは現在OECDで議論をいたしております売り上げ税の相互調整の問題でありますとか、そういう問題が出てまいりますわけであります。資産に対する課税になりますと、これはやはり各国所得課税以上に非常にその実態がまちまちでございます。したがいまして、わが国といたしましては、特別な船舶、航空機というようなものは別にいたしますれば、現在のところは所得に対する課税についての租税条約を締結をいたしていく、こういうことが現状でございます。
それからなお、御質問に関連をするかと思うのでありますが、地方税を入れます場合も、先ほど申し上げましたように相互主義でございます。ところが、たとえばアメリカ合衆国でございますとかカナダのように、連邦政府でございまして、地方自治権と申しますか、地方自治権が憲法上非常に強い根拠を持っておるというところは、これは中央政府が地方税を含めて租税条約を結ぶという環境にないわけでございます。そういうところにつきましては、これはやはりあくまでも相互主義でございますので、わが国といたしましても国税のみを対象にして、地方税は対象とせず条約の締結をしていく、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この租税条約において適用対象とされておる地方税にはどんなものがあるのか。おそらく住民税とか、あるいは事業税などが中心になっておると思うんですけれども、ほかにどういうものがあるかということをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/13
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014・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 漏らしまして恐縮でございましたが、この対象になっておりますのは、一般的には住民税でございます。一般的と申しましたのは、ただ船舶と航空機につきましては、これは船舶、航空機の特殊性から申しまして、どの国も先ほど申しました居住地国のみが課税権を持つ、こういう考え方で、これは従来から一貫いたしておるわけでございます。そこで、船舶、航空機につきましては、国税のほかに住民税と事業税を対象にいたしている場合がございます。しかし、船舶、航空機、これは特殊な例でございまして、それ以外につきましては、これまでのところは住民税を対象にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それで、国税に比べてこの地方税が租税条約の対象になりにくい、いろいろ困難な問題があってですね、この租税条約の対象に非常にいろいろ問題が出てくる、こういうことはおもな理由はどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/15
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016・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) それはやはり各国におきます地方自治制度というものが非常に異なっているというところに原因があると思うのでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、アメリカやカナダのように連邦国家でございますと、これは連邦政府自身が州その他地方団体の課税権にあまり手を触れられないというような憲法的な要請もあるようでございます。そういうところにつきましては、これは相互主義の原則に基づきまして地方税を含めまして租税条約を締結するというわけにはまいらぬわけでございます。いまのような例は極端な例でございますが、それ以外の地方税を対象にした租税交渉を進める場合におきましても、それ以外の国におきましてもやはり各国の地方自治体のあり方というものがまちまちでございまして、場合によりましては所得に対する課税というものが地方自治体が課税権がなくして、地方自治体はむしろ資産に対する課税権だけを持っている、こういうような自治制度で組み立てられております国もあるわけでございます。やはり根本は地方自治制度が各国によってまちまちである。したがって、地方自治体が持っております課税権の種類なりなんなりも非常に多種多様である、こういうところにあるのであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この租税条約を実施することによって二重課税は回避されると思うんですけれども、これは一体どの程度租税条約を実施したためにこういう二重課税が回避されるようになったのかということと、それからこのうちで特に地方税の占める割合は一体どのくらいか、こういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/17
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018・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) どういう方面から二重課税の回避ということが言えるのかという御質問でございますが、一つは、基本的には課税権の配分をいたすわけでございます。先ほども申し上げましたように、船舶と航空機につきましては、居住地国、いわば本店所在地国でございます居住地国のみに課税権を認める、こういう相互主義のたてまえをとっているわけでございます。たとえば、日本とフランスで申し上げますならば、日本航空がフランスに乗り入れております。それからフランスのエールフランスが日本に参っておるわけでございますが、これにつきましては、エールフランスにつきましては、たとえ日本で発生した所得につきましてもフランスだけが課税権を持つ。日本航空につきましては、フランスにおいて日本航空が得た所得につきましても日本のみが課税権を持つ、こういう仕組みになってまいるわけでございますので、そういう協定をいたしますことによって明白に、協定がなかりせば二重課税になるところが二重課税にならない、こういうことが言えると思うのでございます。つまり居住地国のみが課税権を持つ。所得というものを明白に分類することによりまして二重課税の発生が防止されるわけでございます。
それからなお、非居住地国も、先ほど申しましたように、制限的ではあるけれども課税権を持つことを申し上げたのでございますが、その場合の課税権の行使につきましても、たとえば利子所得なら利子所得を例にあげますならば、国際間で、非居住地国において課する利子所得の課税限度というものを協定をいたすわけでございます。利子所得でございますと、ただいま大体一〇%ということが普通でございますが、そういうことによりまして居住地国におきましては、非居住地国において一〇%の利子所得課税が行なわれたということを前提にして、居住地国においてはその残りの部分を課税をするということで二重課税の防止が行なわれる、こういうふうに申し上げることができると思うのでございます。
それから、これによって、地方税についてどの程度実際の影響というか、それがあるのかという御質問でございますが、地方税につきましては、まだ地方税を入れましてから日もたっておりませんし、具体的の数字につきましては、私どもはそこまで検討をする資料の入手をいたしておりません。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この租税条約を相手国と約定する際ですね、日本の交渉体制というのは一体どうなっておるのか、特に自治省としてはどのようにこれに関与しておるのか、こういうことについて説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/19
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020・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど来申し上げておりますように、これまでは大体国税が中心であったわけでございますが、しかし、これまでも相手国といたしましてはやはり地方税も一同じ所得に対する課税であるなら対象にしてほしいという要望がしばしばあったわけでございます。そういうことから、近年地方税も対象にいたしているわけでございますが、大体交渉の手順といたしましては、やはりおのおの相手国の税制を知悉をしておりませんと、交渉もなかなか難航をきわめるわけでございます。これまでといたしましては、私ども、外国の税制につきましては、外国の高官を通じて情報を入手をいたしましたり、あるいはその他の方法によって情報を入手して、大体基礎的な資料を獲得をいたし、あるいは大蔵省自身は、御承知のように、海外に各所に駐在官を置いておりますので、大蔵省のほうからもあわせて地方税についての情報を得ているわけでございます。しかし、やはり大蔵省は地方税について専門的な知識等がございませんので、なかなか思うようにまいらないわけでございます。そこで、今回海外派遣についてお願いをいたしているわけでございます。そういうように、いままでといたしましては、多少不十分でございましたが、いろいろな方法で情報入手をいたしまして、大体租税条約のやり方といたしましては、相手国で一回交渉いたし、それから次の第二回目は、相手国が日本に参りまして交渉いたし、大体二回で交渉を行なう、こういうことがこれまでの通例であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 外国の国税制度については、大蔵省の主税局国際租税課ですか、ここが中心になって調査を進めておるようですが、この地方税については、自治省としては一体どんな組織で調査研究を進めておるのか、こういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/21
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022・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 非常にその点、先ほども申しましたように、いままで資料も不足であり、調査機構というものも不備であったわけでございますが、やっと昨年でございましたか、自治省の府県税課に外国税制の係を設けまして、そこに人間を配置いたしまして、各国の資料その他の収集をし分析をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、租税条約のモデルはOECDで検討されておるようですが、一九六三年の七月に最終的な案をまとめたようですが、そのOECDの理事会では、租税条約の締結にあたっては、加盟各国に対して、原則としてこのモデル条約によるべきことを勧告しておると思うのです。そこでお伺いしたいのは、日本では一体この勧告に対してどのような態度をとっておるのか、こういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/23
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024・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) OECDのモデル条約でございます、かつ勧告でございますけれども、やはり加盟国は、原則といたしましてそれらを尊重するたてまえになっておるわけでございます。ただ日本といたしましては、OECDの加盟にあたりまして、基準の条約、モデル条約中に、わが国の従来の条約例の相違をしております点、あるいはさしあたり実施が困難であるというような点がございますので、その点につきましては、一応留保をつけているわけでございます。たとえば、一例を申し上げますと、使用料でありますとか、特許料でありますとか、通常ロイアルティーと言っております工業所有権とか、そういうものでございますが、ロイアルティーの課税につきましては、OECDのモデル条約案におきましては、居住地国のみが課税権を持っておる、こういうことに相なっております。例をあげて申し上げますならば、日本の会社が、たとえばフランスから。パテントを購入をいたしまして何か日本でその製品をつくるといった場合に、そのパテントの使用料につきましては、OECDのモデル条約案では、居住地国すなわちフランスだけが課税権を持つ、こういう準則になっておるわけであります。しかし、御承知のように、日本といたしましては、現在そういうロイアルティーにつきましては、むしろ輸出国よりも輸入国であるという現状でございますので、そういう財政収入の点から申しましても、あるいはその他の利子なり配当に対する税の考え方からいたしましても、日本としても非居住国ではあるけれども、そのロイアルティー所得については、課税権をやはり持ちたい、こういう考え方があったわけでございます。その点につきましては、OECDの加盟にあたりまして留保をしておる、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、現行の租税条約に規定する内容について、これはもとより相手国によってそれぞれ相違があろうかと思うのですけれども、その大体のいわゆる概要と申しますか、こういうものについて簡明にひとつ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/25
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026・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) これは御承知のように、交渉の相手国との内容によって多少異なるわけでございます。大体概略的に申し上げますと、総則的な事項あるいは定義的な事項といたしまして、たとえば適用税目——これは基本でございますけれども、基本適用税目についてどうするという条項でございますとか、あるいは先ほど来申し上げております居住者、非居住者についての定義的な事項でございます。そういうようなものを総則的な定義的なものとしてまず規定いたすのが普通でございます。
それから次に、具体的に所得課税につきまして、この所得課税の課税権をどう分配をしていくかということになるわけでございまして、この所得課税が幾つかの項目に分かれるわけでありますので、不動産所得でありますとか、事業所得でありますとか、先ほど申し上げましたように、船舶、航空機の所得でありますとか、配当所得、利子所得、こういうように各所得別に所得課税についてどう扱うかということを定めるのが普通でございます。
なお、資本課税、資産課税について規定を置きます場合には、資産課税についても同様な条項を置くわけでございます。
それから第三番目に、二重課税の排除を一体どうやって行なっていくか。これは所得を控除する方式と、それから税額を控除する方式とがあるわけでありますが、いずれの方針をとるかということを中心にいたしまして、二重課税排除の具体的方式を定めるわけでございます。
それから最後に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この租税条例の適用について、両国間にいろいろトラブルがありました場合に、双方の関係機関が協議をする条項でございますとか、あるいは相互に税制についての情報を交換する条項でございますとか、こういうものがつきまして、それから最後に条約の効力発生についての規定を置く、大体こういうのが通例の形であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどの地方税制については一体自治省はどのような組織で調査研究するのかということをお伺いしたわけですが、そのことに関連して、最近各国でも非常に地方税制が充実してきて、地方税を含めなければもはや租税条約としての実効を期しがたい実情にあろうかと思う。ところが、地方税制は必ずしも中央政府の所管するものではないという国もあるわけですね。こういうことで、日本では自治省が中心になって操作しておるわけでありますけれども、こういうことから考えると、地方税制に関する調査研究というのは大事な緊急性のあるものではないか、こういう考え方を持つわけですけれども、このことについてひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/27
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028・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) まさに御指摘のように、日本ばかりでなく、各国とも地方税を含めて租税協定を締結するというような機運になってきているわけでございます。先ほど申しましたアメリカなりカナダなりは、何か憲法上のどうも制約があるようなふうに私ども受け取れるのでございますが、こういう国につきましても、実はOECDを中心にして、そういう国も地方税についても租税条約が締結できるように何らか解決策を考えるべきではないかというような検討も進んでいるのが現状でございます。そういうことでございまして、今後ますます国際間の物と人との交流が激しくなりますと、自治省といたしましても各国の地方税制について検討し、情報を常に得ておくことが必要になってくるわけでございますから、本庁といたしましては、先ほど申しましたように、現在、係がやっておりますけれども、一昨年から実は自治省といたしましても、国際租税を担当する専門的な課を設置すべきではないかということで、大蔵省方面にも予算その他の折衝をいたしておるわけでございます。それから今回、定員一名をお願いをいたしておるわけでございますけれども、なお今後の推移によりましては、この方面につきましてもさらに考慮していただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、OECD、それからEECですね。これにおいては間接税の国際的統一と、こういうことがいま問題になっていると思うのですが、このことについてひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/29
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030・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 御指摘のように、確かに現在OECDにおきましては、間接税につきまして国際協定を結ぶべきではないかという議論がございまして、目下検討が進んでいるわけでございます。で、その内容は、私どもはあまりつまびらかにはいたしておりませんが、中心は売り上げ税一般売り上げ税、これは西欧各国にわりあい多く見られる税目でございますけれども、この一般売り上げ税につきまして、各国間の税制をもう少し調整をして、物の流通を阻害しないようにしていこう、こういう考え方のようでございます。わが国におきましては、御案内のように、現在のところは一般売り上げ税に相当する税目は、国税、地方税を通じてはないわけでございます。ただOECDの今後の具体的な検討がどうなるかでございますけれども、このいかんによりましては、たとえば国税におきます物品税でございますとか、あるいは地方税につきましても一料理飲食等消費税というようなものも何らかの関係を持ってくるのではないかと思うのでございますが、まだOECD自身、一般売り上げ税の調整について具体的かつ最終的な検討の結果を出しておりませんので、私どもそれを待ってまた考えていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この間接税の国際的統一がいま大事な問題となっていると、そういう前提に立てば、関係諸国との間の接触とか、情報の収集、こういうことは当然必要になってくると思うのです。ということになると、これに対して自治省としては一体どのような対策を持っておられるのか、こういうことについて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/31
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032・宮澤弘
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど申しましたように、OECDが中心になって間接税、特に一般売り上げ税につきましての各国税制の調整について検討をしているわけでございますので、私ども、やはり常にそのOECDの検討に接触を保っていくということが必要であろうと思うのでございます。やはり海外におきまして人間を置きまして、そういう人間がヨーロッパ全般の動きにつきまして常に情報を得ていくということが必要であろうと思うのであります。まあ私ども、国内におきましても、先ほど申しましたように、もう少し自治省の国際租税に関する機構、スタッフを充実をしていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 提案理由の説明によりますと、「地方行財政に経験の深い者を海外に常駐させる必要がある」のだと、こう説明しておるわけですが、それの具体化として一名を外務省の在外公館に送るという説明でありますが、そこでお伺いするわけですが、現在自治省のどのような地位にある職員を送られるのか。どこの在外公館に行かれるのか。また、外務省に移しかえということになると説明しておるのですが、在外公館というのは、一体在外公館のどのような地位に移しかえられるのか、こういうことについて具体的な説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/33
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034・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) お答えをいたします。ただいま予定をいたしておりますのは、三等書記官でございますので、中央の役所で申しますと課長補佐クラスでございます。現実の人を配置いたします場合は、この方面にできるだけ経験の深い者を配置をいたしたいと考えております。なお、場所は、ただいまのところ、一応ロンドンを予定をいたしております。で、大使館の中でどういう組織の中に組み入れられるかという問題でございますが、おそらくこの方面を担当しております国際政治と申しますか、そういう方面の担当の大使館内の組織に入れられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特にロンドンを選ばれたということについて、何か根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/35
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036・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 最初の試みでもございますし、また、いまのところただ一人でもございますので、できるだけヨーロッパの中心的なところがいいのではないかと、かような考えで、外務省とも御相談の上、ロンドンを一応予定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 こういう意向で自治省から外務省に移しかえになったという自治省の職員は過去にはなかったかどうか。もしあれば、現在何名かということ、海外に常駐させるということでありますが、おのずから期間があろうかと思います。およそのめど、大体どのくらい常駐するのか、それから任期を終わってまた帰国した場合には、その職員の身分は一体どうなるのか。おそらくまた自治省に戻るのか、こういう点について具体的に御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/37
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038・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) これは、任期は一応外務省とのお話では、少なくとも三年ぐらいはということになっておりますので、私どもといたしましてもその辺をめどにいたしてまいりたいと思います。なお、帰りました場合に、その職員を具体的にどういうふうにするかという問題でございますが、帰りましたならば自治省にその職員に関する限りは戻るわけでございまして、戻りましたならば、その経験を生かす意味においても現在自治省の機構の中で国際租税問題を取り扱っているところに配置をいたして、活用をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、方向を変えまして、次にお伺いしたいのは、臨時行政調査会が行政改革に関する意見を昨年九月にまとめて各省庁等に出しておるわけですね。この行政改革に関する意見を受けとめた各省庁等においては、またそれに対する意見を出しておるわけです。
〔委員長退席、理事栗原祐幸君着席〕
そこで、このことについてまずお伺いしたいのは、この臨時行政調査会が、かってない大きな規模で、しかも長期間相当の国費を費やして慎重検討して昨年九月意見をまとめて勧告しておるわけです。この臨時行政調査会の勧告に対して、自治大臣としては一体どのような態度をとっておられるのか、基本的な考え方についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/39
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040・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 御指摘になりました臨時行政調査会の答申につきましては、自治省はもちろんのこと、政府といたしましても、できるだけその趣旨を尊重していきたい、こういうことで進んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/40
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041・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは各項にわたって、以下若干お伺いしたいと思うのですが、これは具体的な問題になりますが、いわゆる財政局調査課の事務と他の調査事務を統合することと、こういう趣旨の臨時行政調査会は勧告しておるわけですね。これに対して、自治省は賛成はしていないわけです。検討を要するということの態度をとっておるわけですね。これは現在の自民党内閣が歴代、行政の簡素化とか民主化、あるいは効率化、合理化、こういうことを柱として強調してきたことは御承知のとおりです。こういう観点から臨時行政調査会が、先ほども申し上げたように、かってない大きな規模で、長い期間を要して、しかも相当の国費を費やして、慎重審議して、その結果をまとめて行政改革に関する意見として各省庁に勧告したわけでありまするので、いま大臣の基本的な態度を伺っても一、極力尊重したいということであるわけです。まあ行政の簡素化のそういう観点から、財政局調査課の事務と他の調査事務を統合をしてしかるべきだ、そういう意味の勧告がなされたわけですね。これは行政の簡素化、効率化という点から見ても、これは統合してしかるべきだと考えられるわけです。これに賛成しないで、検討を要するという御回答があるのは一体どういうわけか、その意味をひとつ解明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/41
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042・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいまの御指摘のございました、財政局の調査課と、自治省の所管しておりますその他の調査事務とを統合する問題につきましては、ただいまいろいろ検討いたしておる段階でございます。現在財政局の調査が、最近特に地方財政の問題が非常にいろいろ問題がございまして、地方財政の白書の編さんでありますとか、地方団体の財政状況の調査でありますとか、自治省の調査しております事項の非常に大きな部分がこの財政関係にあります関係上、財政局に調査課を特に設けまして、その方面の仕事を担当させているわけでございます。もちろん、ほかの仕事も調査事務を統合するという行き方も必要かと考えまして、検討いたしているわけでございますけれども、ただいまのところは、何と申しましても自治省の行なっておりまする調査統計事務の大部分がこの財政関係の仕事にあります関係上、その辺との調整をどうはかっていったらいいかということについてなお検討を要すべき点がございますので、せっかく調査会の御答申でございますので、検討いたしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/42
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043・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお問題を進めますと、政府関係機関等の運営についての意見、こういう項の中で、自律的運営能力を有する法人についての勧告があるわけですね。で、この法人についての勧告に対して、自治省はこの臨時行政調査会の改革意見に対して反対しておるわけですね。反対する以上、何か理由がなければならぬわけです。いかなる理由でこの法人についての勧告に対して反対しておるのか、この点を明らかにしていただたきい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/43
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044・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 臨時行政調査会の公社公団等の改革に関しまする意見のうちで、官庁との人事交流を行なわないようにしたほうが適当であるという御意見に対しまして、自治省といたしまして、ただいま御指摘のございました、いわば反対のような意見を出しておるわけでございます。私どもは、一般的に公社公団全部について反対をするものではございませんで、自治省に直接関係ございます公営企業金融公庫について申しているわけでございます。公営企業金融公庫はきわめて小さな組織でございますので、ここで職員を独自に採用をもちろんいたしておりますけれども、それだけでいくということになりますと、やはり職員の採用の上においてもなかなか適切な人材が得られないという悩みを公庫自体が持っておられますので、そういった意味で画一的に、およそ公社公団との人事交流は一切いかぬということではなくて、やはりその公社公団の実態に応じて考えられるべきではなかろうか。そういう意味では公営企業金融公庫のような非常に小さな組織についてはやはり考慮していただくほうが適当ではなか
ろうか、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、総合開発庁を内閣府に設置すること、こういう意味の勧告をしておるわけですね。ところが、自治省はこれにも反対しておるわけです。この反対の理由は一体どういうところにあるのか、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/45
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046・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 内閣府に置くことにつきまして、全面的に反対をいたすわけではございませんが、内閣府そのものの性格、機能につきましてはいろいろな問題があるように存じまするので、この機構自体の問題といたしましては、総合開発庁は、国と地方公共団体との連絡を密にいたしまして、相協力してこの総合開発を進めていくことが適当でございまするし、現実の進め方を考えてみますというと、プランニングは国の段階において総合的に考えることが必要でございまするけれども、事業の実施につきましては、部分的には直轄工事もございまするが、主としては、この地方公共団体が主体になってその事業を実施をしていく、そういうたてまえをとりますことが効率的に開発を進めるゆえんではなかろうか、かような考え方に立ちまして、総合開発庁を自治省に置くということが適当ではなかろうかという意見を提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 幾つか具体的な問題をあげてお伺いしたわけですけれども、まだまだたくさんあるのですが、ここで以上の問題点をひとつまとめてみると、こういうことが言えると思うのです。自治省としては、臨時行政調査会の行政改革に関する意見のうち、まず、自治省、自分の省いわゆる自治省にとって、いわゆるものを統合廃止するとかあるいは他省にその機関を移行するとか——いわゆる自治省にとって有利と考えられる問題には賛成であって、整理統合縮小と、こういう自治省にとって一見不利と考えられるような問題については反対と、こういう傾向は、この二、三の問題から察知されるわけですけれども、これでは行政改革などという大事業はとうてい期待できないと思うのですね。これはいま自治省設置法についてお伺いしておるから、自治省についてこういうことが言えるわけです。これは各省庁のなか等で自治省だけが特別にこういうことの傾向にあるということではなくして、各省庁ともみんな自分の省に都合のいい組織の拡大強化ということには賛成しておる。膨大な資料がここにありまして、それを調べてみると、いま私が言っておるように自省の拡大についてはみな賛成が多い。自分の省のある機関を他省に移すというような問題についてはあげて反対しておるわけですね。こういうことは、こういう膨大な数を統計をとってみると言えるわけです。これでは先ほども一申し上げたように、かつてない大きな規模で、しかも期限まで延長して——当内閣委員会で期限延長の法案を出して期限をさらに延長して、長い間慎重審議して出たその結論に対して、各省庁がみんなそういうかってばらばらな考え方を持っておるわけですね。この統計からそういうことが言えるわけです。反対の項だけ拾ってみると、みんな自省に不利だと思われるほうには反対だ。こういうことでは、せっかくの臨時行政調査会がひとつ抜本的に行政改革に乗り出そうということに対して、とうていこれは行政改革などは期待できない。こういう問題がわずか二、三の問題からも察知できるわけです。これはきわめて遺憾だと思うのです。しかしながら、その当時の池田内閣も、これを受け継いだ佐藤内閣も臨時行政調査会の行政改革に関する意見は尊重するという態度を持ち続けてきておるわけです。自治省大臣も同じように、基本的には尊重するという基本的態度の先ほど解明があったわけです。こういうことと、さて今度は具体的な問題になると、いま私は繰り返し申し上げたように、みんなそういう不利と思われる問題は反対という、そうして検討を要するという、これが非常に多いのですね。それをよく読んでみると、反対の方向で検討を要するとなっておる。で、ただはっきり反対というとどうもかどが立つというので、えんきょくに反対しておるのが要検討だ。これは内容を検討してみるとすぐそういうことがわれわれにも察知できるわけです。これではなかなかもって行政改革の実現などは期待しがたいと思うのですが、これは非常に大事な問題であるので、これに対する大臣のお考えをひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/47
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048・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) ただいま御指摘になりました点は、そういう傾向がございまして大いに考えなければならぬところだと思います。したがいまして、今度の臨時行政調査会にはいろいろな点にわたり御指摘があるわけでありまして、政府といたしましてもその線に沿うていくという、原則は先ほど申し上げたとおりでございます。それぞれの省はそれぞれの省の立場において善意な観点から意見が出ておると私は思いますが、しかし、国家の全体的な立場、総合的な立場から見ましてこうあるべきということであれば、内閣としてはその線に沿うていくつもりであり、またその努力を払っておるところでございます。私はあの御指摘になりましたのは、一応全部じゃなくてお気づきになった点だけを拾って、こういうふうだぞという御注意だと思うのでありますが、第一に御指摘になりました地方財政関係の調査の問題でございますが、調査は一つにまとめて一本にしたいという原則はこれはごもっともだと思います。それぞれの課でそれぞれの調査をするというよりも本にまとめてやるということは非常にけっこうなことで、各省も大体はそういう方向で進んでおると思いますが、この地方財政に関する調査と申しまするのは、実は地方財政の実務に直接関係しておる関係の調査でございまして、ただ一般の地方財政の調査ということでなくて、地方財政需要計画をつくり、地方交付税の配分をする基礎の財政の調査——直接結びついておるものですから、それがほかのところでただ抽象的に総合的に調査をするということ、だけでは仕事に結びつかない点がございまして、地方財政局においてやる仕事は、調査がすなわちすぐそれに結びついて交付税の基礎になりなんかしておるわけでありますから、そういう実務の関係で申しておると私は思います。原則に反対しておるわけじゃございませんで、ただ抽象的に地方のいろいろな調査をして、その調査の資料に基づいて財政課がすぐやるという事務とちょっと違う点がございますので、この点は原則に反対しているのじゃなくて、具体的な問題についてであるというふうに御了承いただきたいと思います。なお、この点につきましては、さらに先生の御指摘の点で、しかし別のところでもやれるものならそれはそれで一つだと思います。私のいま感じました点は、なるほどこれはちょっと普通の調査と違うなという気がいたしましたので、まあ申し上げておるわけであります。
それから公社その他について勧告の件も、これは私も原則としてはそうあるべきことで、その原則自体に反対しているのじゃないと思います。で、先ほど申しましたように、公営企業金融公庫というのが、自治省としては一つこれがございますけれども、御承知のように、公営企業の実態と、それからいまそれに関係いたしまして財政局でやっているのともこれはほんとうに結びついておりまして、水道の問題にいたしましても、赤字を解消するといえばすぐ起債の問題にも結びついているものですから、これも離れて、全然別でもできぬことはございませんが、やっぱり中に入っていた者が入ってやるということが、実際の面からいうと私必要なような気がするわけであります、ちょうど先ほど、外国に行って外国の調査をして帰った者が、国際のいまの条約関係をやるということで初めて仕事が結びつくようにですね。ですから私は、この臨時行政調査会の答申は、原則は、いろいろ御検討の上でつくられたことですから、私はこれはどこまでも尊重していかなければならぬと思いますが、原則が打ち立てられたからといってそれをしゃにむに全部に徹底をするというと、実際の面で多少マイナスといいますか、不便の点もございますので、その点はひとつ多少実情ということも御考慮を願うのがいいのじゃないかと、まあしかしみんな各省かってに、いま御指摘になりましたように、役人というものはとられるのはいやですから、みんな自分のほうにという気はございます。それは私も役人の経験をいたしておりましたからよくわかることで、そういうことではいつまでたっても改革はできませんから、これは私はどこまでも進めなければなりませんけれども、そのものによっては具体的の場合になるほどというものもあるということもひとつちょっとお考えをいただけないかと、こう思います。
それから総合開発庁の問題でございますが、これはやはりいろいろな各省との関係もございまするので、私は内閣につくられることを別に反対をしようとは思いません。思いませんが、これは自治省の身がってだと思われるのははなはだ心外でございまするけれども、いま自治省がやっておりまする仕事は、地方自治体の実はお世話をしているわけでございます。で、自治体は自治体の自主性というものがございまするから、自主性というものをこわさない程度で財政のいろいろなめんどうも見、起債のめんどうも見なんかしているのでありますが、まあ総合開発になりますれば、建設の関係もあり、農業の関係もありまするから、各省の関係ですから内閣もけっこうでありますが、ほんとうに自治体の地方開発に熱意というと、少してまえみそになりますけれども、心配をして、何とかせにゃならぬという切実に迫られておるのは実は自治省でございます。私どもいま取っ組んでやっておりますのは、地方の開発をどうしてやるか、それから地方とのいわゆる格差を何とかして是正したいということで取っ組んでおるものですから、できれば自治省にそういうものができるというと、まあ手が届くがという気で、これは自分のところに取り込もうといういわゆる縄張りで言っているということでなくって、そういう気持ちもございますから、しかし、そうは言っても各省から言わせるというと、建設はおれのほうじゃないかと、農業はおれのほうじゃないかというようなことになりますから、そういう権限の争いは非常に見苦しいことでございまして、国家全体としての発展を希望することですから、私はこれはしいてとは思いません。ただ自治省は、その熱意を持っておるということをひとつ御了承賜わりたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/48
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049・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の都合もございますから、最後に一点だけ重ねてお伺いして、本日のところ私の質問を終わっておきたいと思いますが、いまのたとえば総合開発庁については、それを内閣の府に設置することに大臣として反対ではないんだと言うかと思うと、いわゆる広域行政の立場からこれは当面、自治省に置くのが適当だと言ってはっきりと反対しておるわけですね。それで要検討じゃあないと、反対だと。これはちょっとおかしいと思いますね。私の調査によるというと、広域行政は地方公共団体が主体となるべきで、その意味で自治省に置くのが適当、したがって、勧告には反対しておるんですね、いま大臣の説明を聞くと。この開発庁を内閣の府に設置することに反対じゃないんだと、そこまではいいんですけれども、反対じゃないということですけれども、だんだん説明を聞くと、最後の結論は自治省に置くのがいいんだと、適当だというふうにして、結論は反対だと、まあこれが要検討ということであれば、まだまだいいわけですけれども、はっきりと初めは賛成だとおっしゃっておって、今度は公文で臨調の行政改革に関する意見に対する意見は反対だと、だからつじつまが合わぬじゃないかと当然にそうお尋ねしたくなるわけです。それはちょっとおかしいと思うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/49
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050・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 私は全体の御意見で、内閣に置かれることには反対はいたしませんが、これは先ほど申しましたように、希望としては自治省に置くほうが私はほんとうの地方の開発についてはいいんじゃないかという、これは私はそういう感じを持っております。だからそういう感じを持っておるなら、強く反対をして自治省に取ったらいいじゃないかということも言えるかもしれませんが、これは私どもだけの意見によってきめるべきものではございませんから、全体の意見に従うということでございまして、私は、自治省の事務当局が言っておるばかりではございませんで、これは自治省でもしめんどうを見ていくことになれば熱意を持っておるということだけはひとつお含みとりをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/50
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051・伊藤顕道
○伊藤顕道君 重ねてお伺いいたしますけれども、この総合開発庁を内閣の府に設置することには反対するんじゃないけれども、現時点に立って諸般の情勢を考えると、なお自治省に存置するのが適当であるということであれば、さらに検討を要するということなら理解できるのですがね。なおまっこうから内閣の府に開発庁を設置することは反対だとおっしゃればこれは話は別ですけれども、反対はしないのだけれども、現時点ではなお自治省に存置することが適当だというならさらに検討をする要があるわけですね。内閣の府に設置するのもいいのだ、自治省にも設置したいということであれば、これははっきり反対か賛成かということが言いかねるわけですから、そういうときにこそ要検討という項目は出てくるのじゃないですか。しかし、自治省の場合は明確に反対と打ち出しておるわけです。だからどうも論旨が合わないと申し上げておるわけです。趣旨が通らないということを申し上げておるわけです。こういうところにはそれこそ要検討とおっしゃれば話はわかる。明確に公文には反対と出ておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/51
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052・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お話しのように詰めてこられますとそのとおりでございますが、先ほど来申し上げまするように、熱意を持っておる、また、そのことがいいと実は考えております。しかし、全体の御意見で内閣に移したほうがいいとおっしゃれば私はしいて反対はしません、こういうふうにひとつ……。それじゃ熱意を持ち希望するならば何も遠慮しないで堂々と主張したらということも言えますけれども、これはまああまりそういうことによって争うというべきものじゃない、こういうことのようにひとつ御了解願いたい。私は事務当局と別にこれを打ち合わせしたわけじゃございませんけれども、自治省というものは地方を何とかしてひとつ開発したい、そうして今日大きくなりつつある地域格差の是正を何とかして進めていきたいという実は切実に迫られておるわけであります。仕事というものはそういう切実に迫られたところにおいて初めて実っていく、内閣に置いたらそれが実らないというとややことばが過ぎるかもしれませんけれども、仕事というものはそういうものじゃないかという感じを私はいたしておるわけでございまして、希望するというふうに申しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/52
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053・栗原祐幸
○理事(栗原祐幸君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言もなければ、本案の質疑は本日はこの程度にとどめます。
午前の質疑はこの程度にとどめ、午後は二時再開することとして、休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後二時四十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/53
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054・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を再開いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。本日、塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として田中清一君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/54
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055・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。政府側からは、赤城農林大臣、中西官房長、太田大臣官房予算課長、久宗農林経済局長、昌谷農政局長、林田園芸局長、松岡水産庁長官が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/55
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056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三お伺いしたいと思いますが、その前に、前回お伺いいたしました地域農政懇談会を法制化するか、あるいは必要がなければ廃止する、こういう問題に対して大臣は、行管とも御相談の上次回までに態度を御決定になるということでございましたので、その後十分御検討なったと思いますので、この機会にひとつどのような態度に御決定になったか、まずもってお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/56
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057・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 地域農政懇談会につきましては、過日御質問をいただき、これに対しまして私の考えを申し上げたとおりでありますが、地方農政局に関する事項について、そのつどのテーマを中心に、適当な人々に集まっていただいて意見の交換をするといいましても、これらの会合を、地域農政懇談会ということで制度化しているということになりますと、御指摘のような危惧を生ずる面もありますので、きわめて早い機会に、このような制度を廃止する方向で処理いたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは地域農政懇談会に対する大臣の明確な答弁がございましたので、その問題は了解いたします。
次にお伺いしたいと思いますが、時間の関係もございまして、私が調べた農業収入とか農業支出、農業所得、家計支出、差し引き赤字、こういうような、これは農林省自体の発表になった統計によるわけですけれども、時間の関係で数字はあえて申し上げませんが、この表をよく検討して見ますると、こういうことが言えるわけです。農業所得では二十八年については、家計費のわずか三割程度、三十九年については四割程度しかまかなうことができないという結論になっているわけですね。そうだとすると、農民は生活できないという結論になりますから、三割や四割じゃどうにもならないわけですね。生計費の三割、四割では。この前もお伺いいたしましたように、農業以外のどこかで働かなければならない。そうして所得を何とか補給しなければならない、これがいわゆる兼業農家ということになろうと思うんですね。そこでそういう方が多いから兼業農家が非常に多いという結論になるわけです。このことに対して農林省としてはこれはゆゆしい問題だと思うんですが、どのように把握されて、どのように対策をとろうとなさるのか。そういう大方針について、ここでは大綱でけっこうです。そういうものをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/58
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059・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 兼業農家の中でも農業というものがほとんど副業といいますか、主たる職業がほかのほうにあるということで兼業の農家もあると思います。こういうものがはたして農業としての範疇に入れていいかどうかという問題は別といたしまして、農業者といいますか、ことに一般農業におきましても、収入に比較して支出が相当ふえております。でありますので、所得の面からいたしまするならば、兼業農家というものもこれはやむを得ざるものといいますか、所得を得るには必要なことだと、こう思います。しかし、農業本来からいいまするならば、国民の食糧をまかなっていく農業、農作物の生産に当たっているということには適当ではないと、こう考えておりますので、そういう面から考えまするならば、私どもは自立経営農家、経営面積も相当なものであり、あるいはまた、所得も他の産業にたよらないでやっていけるというような自立農家がより多く育成されることを期待し、また、その方向にいろいろ施策を講じておるわけでございます。しかしながら、いまの実態所得の面、所得を得るという面から、兼業農家ということも当然増加もしております。こういうものを農業面から見まするならば、いわゆる所得は所得で所得を得られるような、遠くで所得を得るというよりは、近接したところで他産業からの所得をとるような地方開発というようなことを進めていきたい。また現に進めております。同時に、農業面から見れば、やはり農業の生産性を維持していかなければなりません。そういう面ではやはり協業といいますか、協同、特に人手も不足しておるのでございますから、そういう人々にとりましては、人手不足を克服する意味におきましても、大型機械等を導入して、そのもので労働の作業を進めていく、そういう意味で農業の方向をやっていってもらいたいと、こういうことで、それぞれの対策を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで経営規模が小さな関係で、繰り返し申し上げるように、農業所得が家計費の三割とか四割、これではどうにもならないから兼業をやるということ、これに比較して経営規模が比較的大きい農家は、兼業をやらないで、いわゆる専業農家として運営に当たっておるわけです。この兼業農家と専業農家を、二つだけを比較してみると、専業農家の一人当たりの所得も、家計費も、兼業農家のそれに比較して少ないということがわかるわけですね。ということは、専業農家もまことに生活が苦しい。むしろ兼業農家よりはさらに苦しい、そういうことが数字から当然出てくることになるわけなんです。こういうことに対して、ただ兼業さえやれば、農家は何とかやっていけるということにはならないと思うのですが、この点についてもひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/60
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061・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 専業農家が兼業農家よりも所得が少ないという御指摘でございますが、専業農家の中でも、一町五反以上の農家等におきましては、生活水準の比較等をとってみましても、一般的には七一%くらいの程度でございますが、一町五反以上の農家は、他の産業、それも近接地帯、都会ということでなくて、同じような環境にいる人、給与を得ている人との比較から言いまするというと、九〇%以上ということでございますので、一般的に、専業農家が兼業農家より所得が低い、こういうことにはなっておらぬと思います。農業面から見まするならば、先ほど申し上げましたように、何といたしましても国民の食糧をまかなっていく立場でございまするから、農業の生産性が高い自立経営農家が多く育成されることが希望されるわけがございます。そういう意味によりまして、先ほどから申し上げておりますように、所得の面におきましても、あるいは生産性の面におきましても、自立経営的農家のほうが、何といいますか、国家に対しましても、全国民に対しても望ましい姿だ、こう思います。兼業農家をどうするかということにつきましては、先ほど申し上げたような次第でございます。ただ、自立経営農家ということを申し上げても、ただ経営面積だけで自立経営農家を定義するということはいかがかと思います。たとえば都市近郊の農家等におきましては、耕地面積は小さくても、集約的農業が営める。たとえば花にしても、野菜にいたしましても、あるいは養鶏にいたしましても、経営面積が小さくてもやっていけるというようなこともありますので、一がいに土地の面積、耕地面積ばかりをきちんとして、定義するわけにはいきませんけれども、そういうような選択的拡大、あるいは適地適作というような形で所得を得させる方法、同時に価格政策等もありまするから、その価格政策等の裏づけもあって、そして所得を安定させる方向へ持っていくべきだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろな対策があろうかと思うのですが、農業の近代化というようなことが、最近相当強調されているわけですけれども、この農業の、近代化に立ちおくれたために、どうも国内では生活が成り立たぬということで、海外農業移住の方向へ走る人も相当多かろうと思うのです。そこでつまり移住状況とか、その移住後の生活状況、こういうことの概況でけっこうですが、そういうものをひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/62
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063・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 海外移住のことでございますが、もとより移住なさる方の中には、こちらで農業をやっておられる方、それから向うへ行ってから農業をおやりになる方が大部分の数を占めておりますけれども、しかしながら、農業外のいわゆる技術移民といったような方々も最近はかなりふえておりますので、それら総体につきましては、御承知のように、外務省あるいは移住事業団体といったようなところが、外国の事情その他も御調査の上、移住の全体のめんどうを見ておられますが、私どもとしては、沿革的にも、また先ほど申しましたように、移住者の大部分が農業移住であるといったような関係で、特に移住につきましては関心を持ち、また、農業団体等の御協力を得て促進をはかっておる次第であります。いわば広い意味の構造改善の一環をになうものというような形で、出ていかれる方々の援助といったようなことを骨折っております。古く戦前のことは別といたしまして、戦後国交が回復いたしましてから、つまり、昭和二十七年以降と申し上げて大体よかろうかと思いますが、それ以降、海外に移住といったような形で出られた方々は、農業関係その他全部を含めますと、おおむね十三万人程度というふうに聞いております。そのうち、約五方七千、六万人弱が中南米に対する移住でございます。昭和三十五年が大体戦後のピークと言われておりますが、約一万人程度が出たわけです。その後国内の経済情勢あるいは雇用情勢が、急速に、何と申しますか、高度成長等の影響で、堅調と申しますか、あるいは非常に順調と申しますか、労働力不足現象が国内に起こってまいりましたので、その後海外移住者の数は逐年減っております。昨年あたりは、大体一年間に千名程度出たというような実態でございますが、しかし、いずれにいたしましても、戦後三十八年までに、おおむね先ほど申しましたような数で、南米約五万七千人、そのうちさらにブラジル国へ参りました者が四方六千人というような結果になっております。なお、昭和三十五年の国勢調査の時点で調べましたところによりますと、南北両アメリカの在留同胞の大体推定の数は約百が人というふうになっておりまして、そのうちの約半数がブラジル、それから四割程度がハワイを含めました米国というような状況でございます。
大体以上が戦後の移住が再開されましてからの状況でございまして、移住事業団ができ、移住事業団が直轄の移住地あるいは相手国から集団的に提供を受けました移住地を中心に最近では移住要請が行なわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/63
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064・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、開放経済への移行に伴って、外国からいろいろの要請があろうと思います。たとえば農産物の輸入制限の撤廃あるいは輸入ワクの拡大とか関税の引き下げ、こういうようないろいろな要請がきておろうと思うのですが、現在の時点に立って、実情はどうなっておるか、こういう問題について概要を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/64
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065・久宗高
○政府委員(久宗高君) 最近農産物の輸出国並びに後進国から農産物の輸入の増大につきましての要請が非常に強くなってまっておるわけであります。御承知のように、ガットにおきます例の、ケネディラウンドの問題をはじめといたしまして、また、南北問題という形で昨年ジュネーブで相当論議を呼びました会合にいたしましても、そういう一連の要請のあらわれというふうに考えております。一昨年五月ジュネーブでガットの大臣会議が行なわれまして、その際に合意を見たケネディラウンドの関係でございますが、工業製品につきましては、昨年の十一月に、ケネディラウンドに乗らないもの、いわば例外品目を各国が持ち寄りまして、一応軌道に乗って交渉が進められておるわけであります。
農産物につきましてはどういう形で交渉をいたしますか、交渉のしかたにつきましては非常にむずかしい問題でございますので、持に米国とEECの間で交渉のしかたについての意見が非常に食い違いまして、なかなか軌道に乗っておらないわけであります。最近に至りまして、——まだ交渉のこまかいルールにつきましては固まっておりませんけれども、いわば簡単に申しますと、ルールなしに持ち寄りまして、事実上話を再開しようじゃないかという動きが見られます。現在わかっておりますスケジュールといたしましては、五月以降にさような持ち寄りをいたしまして、少なくとも穀物については、話し合いをもう少し実質的に進めていこうじゃないか、こういうことに経過的にはなっております。しかしながら、御承知のように、今日まで経過してまいりましたのも、EECとアメリカを中心といたしました旧輸出国との間に意見の食い違いがありまして、なかなか軌道に乗りにくいものではないかというふうに見ております。
それから後進国関係でございますが、ガットにおきましても、一部の後進国から、いわゆる南北問題のはしりというようなことでいろいろ議論が出ておったわけであります。一番顕著にあられました動向といたしましては、特に数年来引き続きました後進国関係の産品が交易条件が非常に悪いそのために、開発が非常におくれるというような関係もありまして、そういうものが固まりまして、昨年のジュネーブ会議になったわけであります。これはガットに対します一つの批判と申しますか、従来先進国のクラブのような感じでおりましたもので、必ずしも後進国の意向を十分そんたくしないという感じが非常に強い形であらわれまして、ジュネーブ会議になってきたわけであります。その後ガットを中心といたしまして、先進国にもこういう問題の処理をおろそかにできないということで新しくガットの規定の中に、後進国産命につきましての扱いにつきましての新しい章を加えまして、従来はガットの条文の中にたった一条しかなかったわけでありますが、新たに三条をそれに加えまして新しい章を入れようじゃないか、しかもそれは各国の批准を得ますのに相当時間がかかるわけでありますが、大体話がついたところで実行していこうじゃないかという宣言をしようというような動きがこの二月にございまして、そういうものが動き出しておるわけでございます。ただ後進国のほうでは、必ずしもそういう先進国側の動きに十分満足しておりませんで、昨年のジュネーブにおきます盛り上がりを、そのままさらに押しまくろうという感じが非常に強うございまして、現在アメリカにおきまして、昨年のジュネーブ会議のその後の進捗状態につきまして、討議が行なわれておるわけであります。先進国側におきましては、ジュネーブできまりましたことを今後どうやっていくかというスケジュールーを検討しようという形で臨んでおります。後進国側ではもう少し実質的にジュネーブ会議以後各国がどういうことをやったのか吟味しようという形で、これが対立しながら、現在会議が続いておるというような状況であります。全体といたしましてさような情勢下でございますので、各国関係から輸入の量の拡大につきましての要請がいろいろな形で出てきておるわけでございますが、私どもといたしましては、繰り返し申し上げておりますように、国内の農業の国際的に見た立ちおくれがございますので、さような体制の強化と関連しながら、影響のできるだけ少ない形で処理をしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/65
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066・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま南北問題についての指摘があったわけですが、世界農産物貿易で、いま御指摘のあった低開発国の輸出振興をめぐっていわゆる南北問題が起きておるわけですが、この南北問題について、現状をいま一部御説明ありましたが、将来の展望ということについてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/66
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067・久宗高
○政府委員(久宗高君) たいへん広範な問題になるわけでありますが、全体としてのジュネーブ会議以後の扱いといたしましては、やはり南北問題の取り上げ方が、従来ガットあたりでも非常に十分じゃなかったということで、先ほど申しましたように、ガットでも新しい章を設けて南北問題に本格的に取り組む体制をとっておるわけです。また一方、後進国側におきましても、ジュネーブ会議では少し言いつのりまして行き過ぎがございましたために、いわば先進国側を逆に少し固めてしまう結果になりまして、そのあとの処置を国連を通じましてどうやるかがいま実は問題になっているわけでございます。日本の側から申しますと、御承知のとおり、わがほうの経済の体制から申しまして、後進国、特に東南アジアに対します貿易の依存度が、つまり輸出面の依存度が非常に強いわけでございますので、国ごとに見ますと、相当輸出入のアンバランスが目立つわけでございまして、したがいまして、各国とも輸入のアンバランスを回復する意味におきまして、第一次産品を買ってくれという御要求が非常に強いわけでございます。しかしながら、御承知のとおり、そのおもなるものの中には、直接にもあるいは間接にも日本側におきます生産体制と直接競合するものがございまして、必ずしも貿易のギャップをそのまま埋める形で協力のできにくいものが相当あるわけでございまして、したがいまして、必ずしも全面的な受け入れができにくいわけでございますが、貿易のわが国の構造から考えましても、また単なる経済問題以外の問題もございますので、やはりこの問題につきましては前向きに取り組む必要がある。しかしながら、いきなりそれにつきまして輸入のワクを拡大するというようなことになりますと、相当影響する品目もございますので、これは品目ごとに慎重な検討が要るのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/67
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068・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に方向を変えて、大宮種畜牧場についての提案理由の説明を承ったわけですが、この大宮種畜牧場の移転理由は一体どういうことなのか、移転先の状況、さらには事業内容、予算、こういう具体的の問題について概要を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/68
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069・吉岡茂
○説明員(吉岡茂君) 大宮の種畜牧場の移転について説明いたします。
現在大宮の種畜牧場は、鶏千八百ほどおるわけでございますが、御承知のように、養鶏業の将来の振興というものを考えますと国内の採卵鶏の品種改良ということが非常に大事なわけでございますが、千八百の種畜牧場でございますので、これを将来の規模といたしましては一万一千くらいに拡張いたしたい、こういうように考えておるわけでございます。そうしますと、現在の大宮の種畜牧場は約二十町歩ほどの面積でございます。それからもう一つ周囲が漸次宅地ないし工場化してくる、そういうような環境条件もよくない、一方においては面積もむしろ狭過ぎる、そういうようなことを考えまして、現在福島県白河市十三原にあります約百町歩くらいの福島種畜牧場の一部に移転をいたしまして規模を拡大してやってまいりたい、そういうように考えております。移転の準備は三十九年から始まりまして四十年で一応現地に移転し、四十一年度で一億くらいの経費をつけまして整備を完了いたしたい、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/69
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070・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、現在の食用鶏と鶏卵の需給関係は一体どうなっておるかを、大体バランスがとれておるというようにも伺っておるわけですが、実際はどうなのかということと、それから養鶏を含めた畜産飼料ですね、畜産飼料が極度に不足しておるというふうにも承っておりますが、これは将来の展望に立って一体どうなのか、大体需給体制というものは立てられないものか、こういう問題を含めてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/70
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071・吉岡茂
○説明員(吉岡茂君) 現在採卵鶏につきましては一億二千万くらい飼養されておるわけでございます。そして鶏卵も産卵量、トン数にして三十九年度について見ますと約百万トン近い卵が生産されておるわけでございますが、需給の関係につきましては、最近の状況を申し上げますと、需要というものも相当程度充足せられて来ておる。ここ四、五年間の需要の伸びを見てみましても、大体前年比で一一〇%くらいの伸びであったわけでございますが、昨年あたりから四%ないし五%、要するに一〇五%の伸びと、そういうようなことに漸次需要の伸びが鈍化をしておる、そういう状況でございます。
それから飼料の関係について申し上げますと、これは現在輸入濃厚飼料は数量にして三十九年度で大体五百四十万トンくらいであろうと推測されるわけでございます。そうしてこの輸入濃厚飼料と国内産の濃厚飼料との比率を見ますと、約四六%くらいが輸入によってまかなわれておる、そういうような状況でございます。そして輸入飼料の中の大半は配合用、特に鶏の配合飼料に一番大きく使われるトウモロコシとマイロでございまして、三十九年度の数字をとってみますと、トウモロコシが三百万トン、マイロが九十万トン、両方で約四百万トンくらいの数字になっております。それで配合飼料の使用の状況を見てみますと、約七百万トン近い配合飼料が生産されておるわけでございますが、そのうちの七五%が養鶏用に使われておる、こういうような状況でございます。そうして将来の需給の趨勢を見てみますと、トウモロコシについてはまだ相当程度供給の余力はあるのではないか、そういうように考えられております。今年の一月の中旬ころからアメリカの港湾ストライキがありまして、一時需給について危ぶまれておりましたわけでありますが、全購連等の早期の手当て、そういう問題もありまして、また、部には太平洋岸からの輸出、そういうものもございまして、配合飼料全体の需給の状況はそう大きな混乱はなかったのではないか。そうしてむしろ四月ないし五月には船が相当程度到着するということで、これは将来としては安定的に推移していく、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/71
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072・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私の出身地は養鶏農家が多いのですが、いろいろの実情を承ってみると、最近養鶏が非常に盛んになってきて、供給のほうは相当出ておる。したがって、単価が下がっておる。しかし一方、飼料は不足しておるくらいですから相当高くなっておる。高い飼料で養鶏して手間も出ないというふうにだいぶん悲観的な展望に立って実情を訴えられておるわけでありますけれども、この点は最近はどうなんです。また、将来の展望に立った場合、これはむろん需給の関係あるいは飼料とも関係してくるわけですが、需給と飼料との関係で将来の展望は一体どうなるのかということをひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/72
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073・吉岡茂
○説明員(吉岡茂君) 三十八年度におきまして鶏卵の価格がわりあいに高かったわけでございます。その結果といたしまして、三十八年の後半から三十九年にかけまして鶏の羽数が非常にふえた、そういうこととそれから鶏の飼養管理技術が進んだ、そういうこと、多頭羽飼育というものが進んだそういうものとも関連いたしまして、卵の生産量が三十九年から非常にふえてきた。それと同時に、需要の伸びというものが従来のような対前年比一〇%ないし一二%というような伸びが昨年あたりから鈍化してきた。そういうものと関連いたしまして、昨年の夏ごろから鶏卵価格が百六十円前後に低迷をしてきたわけでございます。したがいまして、農林省といたしましては、昨年夏と秋と二回、基準価格というものを告示をいたしたわけでございます。ことしに入りましても最近また百六十円前後になっております。
そこで将来どういう見通しを持っておるかということでございますが、昨年の秋ごろからの鶏の羽数が非常に調整されまして、ことしの下半期になりますと、鶏卵価格は相当程度回復するのではなかろうか、そういうように考えておるわけでございます。
それからもう一つ、えさの価格の関係でございますが、今年の一月の中旬になりまして、トウモロコシ、マイロ等の——これは世界的条件でございまして——世界的な需給の関係、特にアメリカにおきます干ばつそれから作付面積の減少というものがございまして、トウモロコシの供給量が若干減った、そういうことで、原料について見ますと、約四〇%くらいの値上がりをしたわけでございます。それにつれまして配合飼料もトン当たり五百円ないし千円、パーセンテージにしまして三%弱、二・八%くらいだと記憶しておりますが、そういうように上がってきたわけでございます。御承知のように、鶏卵価格の生産費を見てみますと、えさの代金が六割をこすというようなことでございます。で、将来におきましても、えさが安定的に供給されるということが養鶏の生産というものを考える場合に一番大きな問題であろうかと思っておるわけでございます。そこで、政府といたしましても四十年度からは新たにトウモロコシについても十五万トンの調整保管をするというようなことも講じて、濃厚飼料の輸入については確保をしてまいりたい、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/73
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074・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、畜産物の需要の増大ということと、いわゆる農家生業といいますか、これの経営の多角化、こういうことは時代の要請であるといわれておるわけですけれども、日本の現状では遺憾ながらまだこの要請には即応していないと思うのです。
そこで特にお伺いしたいのは、畜産振興についてどのような施策を持っておられるのか、こういうことについて問題をしぼって御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/74
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075・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 畜産につきましても一般と同じように多頭羽飼育といいますか、いま酪農等は平均三頭でございます。そういう面から見まして、多頭羽飼育の方向に持っていきたい、こう考えております。
それから畜産については、何としてもいまお話がありましたように、飼料でございますえさが、輸入飼料等に依存しておる面が非常にウエートが多いのでございます。それで、これはやはり自給飼料の面のウエートを高めていかなくちゃならないということで、酪農等につきましては大々的な草地造成、こういうような面で自給飼料でまかなっていきたい。また、濃厚飼料等につきましても、裏作の放棄が非常にふえております。この裏作の放棄を解消するという意味におきまして、農協等に大型機械等を導入さして、そうして飼料としての麦類等を増産していく方向へ持っていって、できるだけ自給飼料でまかなっていきたい。
それから畜産物の価格の面が一面においてございますが、卵もそうでございますが、卵なども非常に下落するという傾向でありまするならば、自主調整といいますか、自主価格、これに対して助成等もいたして、数量の調整をしていく。それからまた、牛乳等につきましての価格も間接の支持をいたしておりますけれども、直接に不足払い的なもので価格支持をしていく。こういう価格政策等も併用してといいますか、あわせ行なって畜産振興に寄与したい。ただ生産と需要との調整等も十分考えていかなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/75
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076・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大臣はこれから、三時半々目途に農水のほうの委員会に御出席のようでございますので、次に農林予算について大綱お伺いしようと思いましたが、詳細伺えませんので、最初一点だけこの予算についてお伺いして、本日の私の質問は終わっておきたいと思いますが、ことしの農林関係の一般会計予算の総額は三千六百九十九億であって、昨年の当初予算よりも一二百三十九億の増額だ。前年度に比して一〇・一%の伸びとなっておる、こういうことで、赤城農林大臣も九分どおりとまではいかなくても、八分どおり要求は通ったと、こういうふうに言われておるようですが、この予算に対する農林大臣としてのお考えを、まず基本的な問題ですからお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/76
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077・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しのように、農林予算総額といたしましては一〇・一%の伸びでございますので、私といたしましても満足をいたしておるわけではございません。三千七百億円、大体のようでございますが、これは総予算額の一〇・一%で、先ほどの申し上げたことを訂正しておきます。——十分だというような気持ちではおりません。ただ予算編成上変動要因の多い食糧管理特別会計繰り入れ、農業近代化助成資金の繰り入れ、災害復旧等の経費、こういう経費を控除した予算規模で比較いたしまするというと、農林関係予算の国の総予算に占める割合は前年度の六・六%から、昭和四十年度には七%と増加している。いいというわけではありませんが、そういうふうな見方をいたしておるわけであります。そこで、予算編成にあたりまして、当時申し上げましたように、農林漁業の生産基盤の整備、これに相当力を入れて千二百九十九億円、これは前年度の予算よりも相当増しております。第二には、農林漁業を通ずる構造改善事業の推進、これは百八十六億円でございます。第三には、自立経営農家の育成、第四には農業生産の選択的拡大、第五には、農林畜水産物の流通の合理化及び価格の安定、第六としては、試験研究体制の整備強化、技術の普及、第七としては、農業後継者の育成、確保、第八としては、農林漁業金融制度の拡充、こういう点といいますか、平面的の中から重点的に予算を相当確保していく、こういうふうにいたして編成をいたしたわけであります。こういうふうな重要経費の農林関係予算に占める割合から申し上げますと、前年度が七三・三%でございましたが、昭和四十年度は七七・九%、こういうふうになっていまして、質的にといいますか、重点的には相当力を入れて予算の御審議を願った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/77
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078・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01819650413/78
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