1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十二日(木曜日)
午前十一時七分開会
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委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
山本 利壽君 三木與吉郎君
和田 鶴一君 八木 一郎君
田中 清一君 塩見 俊二君
四月二十二日
辞任 補欠選任
八木 一郎君 佐藤 芳男君
源田 実君 平島 敏夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 柴田 栄君
理 事
栗原 祐幸君
下村 定君
伊藤 顕道君
委 員
佐藤 芳男君
塩見 俊二君
林田 正治君
平島 敏夫君
三木與吉郎君
村山 道雄君
森部 隆輔君
鬼木 勝利君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
国 務 大 臣 増原 恵吉君
政府委員
行政管理庁行政
管理局長 井原 敏之君
行政管理庁行政
監察局長 山口 一夫君
農林大臣官房長 中西 一郎君
農林省農林経済
局長 久宗 高君
農林省蚕糸局長 大口 駿一君
農林省園芸局長 林田悠紀夫君
食糧庁長官 齋藤 誠君
水産庁長官 松岡 亮君
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○行政監理委員会設置法案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/0
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
四月十四日、山本利壽君、和田鶴一君及び田中清一君が委員を辞任され、その補欠として、三木與吉郎君、八木一郎君、及び塩見俊二君が選任されました。
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002・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。
政府側からは、赤城農林大臣、中西官房長、久宗農林経済局長、大口蚕糸局長、林田園芸局長、齋藤食糧庁長官が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法律案に関連して二、三お伺いいたしますが、前回最終的にお伺いしたのは、農林関係の一般会計予算、このことについてお伺いしたわけですが、本年度の場合は、前年度に対して一〇・一%伸びておる、こういうことをもとにして大臣から御説明があったわけですが、一〇・一%も前年度より比して伸びたというと相当伸びたような一応の感じを受けるわけですけれども、それをさらに検討してみますると、国の総予算の膨脹ぶりを見ると一二・四%伸びておるわけです。したがって、農林関係は、これに比較して二・三%の伸びの率が低いということになるわけですね、数字から見ると。二・三%も総予算の膨脹ぶりに比して低いということは、それだけ、見方によると農業が軽く扱われておるのではないかということも反論できるわけですが、この点いかかですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/3
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004・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) ちょっと数字にわたりますので——この前申し上げたのは、農林省全体の予算をひっくるめまして総予算に対するウエートが一〇・一である。また、全体ひっくるめまして昨年に対して伸び率が一〇・一%であるということを申し上げました。さらにわれわれ事務的に厳密に申しますと、食糧管理特別会計あるいは農業共済の関係、災害の関係等、年によってでこぼこの非常に大きい予算がございます。そういうものを前年と本年度から落としまして対比させまして伸び率を見ますと、二〇%に近い伸び率にことしは相なっております。そういう意味で、国の総予算が一二・四%の伸び率だったと思うのですが、そういう変動要因の多いものを除いて実質的な農業政策というものを取り上げて伸び率を見ると、一二・四%よりははるかに高い約二〇%に近い伸び率を下しているということで、実質的には予算はある程度確保できているのではないか。そのほか大きな項目で、構造改善あるいは選択的拡大、価格安定対策、流通対策というふうに区分けしまして数年間の伸び率を見ますと、相当大きな伸びをここ数年では示しているというふうに数字の点では考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国の総予算の膨脹ぶりがいま言ったように一二・四で、農林関係の場合は二・三も伸び率が低いと、こういう伸び率の問題もたいへん重要な問題だと思うのですけれども、さらにそれにもまして重要なことは、この予算案そのものが持つ性格がどうかということ、ここがさらに一そう大事な問題ではなかろうかと思うんですね。そういう観点から、この農林予算の中から幾つかの特徴点を引き出してみて比較してみますると、第一にまず指摘されなければならないのは、価格政策が後退しているのではないか、こういう点がうかがわれるわけです。したがって、まずこの点からお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/5
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006・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かに予算の伸び率もさることながら、その内容がものをいうといいますか、問題だろうと——御指摘のとおりでございます。そこで内容全体について申し上げることは差し控えますが、重点政策につきましては相当伸び率も、内容も充実さしたつもりでございます。価格政策について十分でないじゃないか、こういう御指摘でございます。いま農産物の七割程度は価格支持対策を講じておりまして、米麦等の予算、これもいま価格支持というようなことになっていると思いますが、この予算は相当大きなものでございますので、そういう意味におきまして、価格政策全般につきまして相当配慮をいたしております。ただ、今度新しくやることにいたしておりまする牛乳の不足払いというものは四十一年度から実施に移すと、こういうことでございますので、予算面においてはその準備的なものだけであるというような関係から、四十年度予算には計上されておらないわけでございます。その他、甘味資源等につきましても、法律面では今度御審議願うことになりますが、そう価格支持対策も講じようとしているわけでありますので、私は価格政策につきましても相当配慮をいたしたつもりでございます。ただ、価格政策は、生産政策あるいは構造政策のどちらかといえば補完的な位置づけと、こういうふうに考えます。しかし、生産対策、構造対策というものが急速に実を結ぶというわけにはまいりませんから、価格政策を相当推進いたしませんと、農業、漁業、林業等、全体に対しましてまあびっこになるといいますか、跛行的になるようなことがありますので、価格政策には十分配慮をいたすつもりでなおひとつ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この本年度の予算をいまの要領で検討していきますと、どの項目も金額ではふえておるのですね。どの項目もふえておりますが、この農産物価格安定対策費だけは昨年よりも二十億減っておるわけですね、金額においても。二十億低い百五十五億となっておるわけです。しかし、ほかにもあるじゃないかと、たとえば近代化資金融通対策費、これは九十四億も減っておるわけですけれども、これの減り方というのはまた意味が違うと思うのですね。これはすでに造成した助成金の運用益を活用するためであって、単なる削減ということには当たらないと思うのですね。それと災害復旧費も三億減っております。これも同じ意味であって、単なる削減ではないということになろうと思うのですね。そういうことになると、やはり農産物価格安定対策費だけがいわゆるいうところの削減であるということが言えると思うのです。で、やはりこの前も申し上げたように、農家が非常に苦しい生活を送っておる。農産物の収入だけではなかなか生計が立たぬということについては前回申し上げたわけですけれども、豊かな農村づくりということのいろいろな要素はありますけれども、やはり農産物価格安定をはかるということが最も大事な基本的な一つでなければならぬと思うのですね。こういう観点からいって、このことは、どうもこの時点で昨年に比較して二十億も減ったということには問題があるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。その点をひとついま一度解明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/7
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008・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 価格安定の予算でございますが、これは実はこの分類、締めくくりのしかたが多種多様でございます。そういう意味で、数字の取り方もいろいろ出てくるのでございますが、われわれ通常やっておりますベースで御紹介申し上げますと、価格安定、それから青果物の指定産地の問題とか、生産安定事業、さらに所得確保のための大豆、なたねの関係、えさの需給安定、あるいは牛乳乳製品等についての畜産事業団のやっております仕事、米麦全部合わせて一まとめに申し上げますと、三十九年度は千百五十二億円でございます。四十年度は、審議願いました予算が千百八十四億、三十二億円ふえておるというふうに考えております。まあふえ方が少ないという感触はあるのでございますが、米麦等につきましては、年度の途中でいろいろ事情が変わってまいりますので、四十年度を過ごしてみた時点で振り返ってみれば、千百八十四億というのはさらに変わってまいる数字であると考えております。ちなみに千百八十四億に対応いたします——農業基本法ができましたのは三十六年でございますが、その前の年の三十五年の数字を申し上げますと、三百六十二億でございます。それが五年の年月の間にほぼ三倍、千百八十四億になっておる。まあ逐年価格政策には相当な重点を置いておる。いま申し上げました価格政策は、当然流通所得対策を含んでおりますが、そういうふうな感触であります。そのほか大臣からお話がございました非常な重点施策としての牛乳不足払いの問題等も将来の問題としては大きな施策の柱になる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま一つ、食管会計の繰り入れを見ますると、昨年当初予算より七十億増ということになって、千九十六億となっておるわけです。農林予算の全体に占める比重から見ると、昨年は三〇・六%であったと思うのですが、今年は消費者米価を値上げして、食管会計の独立採算を強める政策をとった関係もあって、二九・六%に下がっておるわけであります。こういう食管会計の繰り入れにしても、こういうことが言えると思うのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/9
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010・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 御指摘の点でございますが、食管会計の繰り入れ、これは米麦農産物勘定あるいはえさ勘定全部含めまして、昨年の当初が千二十六億でございます。補正後は千八十六億でございます。で、四十年度の要求予算は千九十六億、えさの関係が四十一億ですか、入っておりますが、千九十六億。で、消費者米価の改定を受けまして、こういう形には相なっております。ただこの予算の編成は生産者米価等につきまして、それぞれ前年のベースで組んでみまして、年度の途中で米価審議会等も経て新しい産米産麦の値段がきめられます。そういう意味合いで、例年この補正予算の数字が結果として含まれてくる性質がございます。今年も賃金の問題あるいはパリティの問題等、いろいろ検討要因がありますので、相当大幅な改定があることも予想されます。いずれにいたしましても、消費者あるいは生産者の利益をそれぞれ勘案しながら、必要な部分は国が負担いたすというたてまえは貫いてまいるという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それじゃ時間の関係もございますから、農林関係予算については以上の程度にとどめて、次に法案自体にあります農林研修所について一、二お伺いいたしますが、この農林研究所の設置の理由とか研修計画、そういうものについては明らかでないので、ひとつ具体的に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/11
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012・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 設置の理由から申し上げたいと思いますが、最近におきまする農林行政の高度化及び複雑化、こういう事態に対処しまして、円滑な運営を期するためには、これを担当しまする職員に対しまして、常に新しい専門的知識及び技術を付与することが必要でありますので、そういう新しい専門知識とか技術を付与する目的をもって設立いたそうとするものでございす。場所は八王子市の長房町というところに設置することを予定しております。また、研修内容につきましては、農林行政を実施するに必要な法令上あるいは予算上等の知識または技術に関するもの、こういうことを研修内容といたしております。また、研修対象人員でございますが、昭和四十年度の研修対象人員は約三千二百人、そのうち農林省職員は八百人でございますが、都道府県職員も研修対象人員としておりまして、これが約二千四百人を予定しておるわけでございます。
予算といたしましては、御審議をいただきましたとおり、一千四百七十四万円を計上しております。組織とか定員でございますが、農林研修所の組織は、所長のもとに庶務課及び教務裸の二課を置くと、こういうことにしておりまして、四十年度の定員は九人でございます。計画といたしましては、四十一年度に総員十六人、こういう予定を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、この研修所の職員の定数についてお伺いしますが、四十六人増員するようですが、この増員の理由は一体那辺にあるのかということと、充当計画ですね、これをひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/13
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014・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) ただいま大臣から申し上げましたが、定数は四十年度は九名でございます。所長が一名、庶務課長と教務課長これが一人ずつ。庶務課に庶務係長と経理係長を置きまして、その下に係員が一人ずつつく。教務課は研修第一係と研修第二係、それに係長を置きますが、そのほか、係員を一人ずつという予定でございます。併任が一人ありますので、全部で十人が勤務するわけですが、定員としては九人でございます。来年度は、だんだん施設も充実してまいりますと、四十一年度でございますが、四十一年度は、それをさらに十六名程度にはふやさなければならないのではないか、これはまだ確定ではございませんが、事務的な案としてそういう考え方を持っておるわけでございます。なお、四十六人というお話がございました。これは研修所だけでございませんですが、本省の関係で、植物ウィルスの研究強化あるいは植物防疫の業務の牧化その他数項目ございますが、本省関係で四十三人の増員を予定いたしております。結果としまして、本省は二万三百二十八人に相なります。食糧庁の関係では、庁務職員の集中管理、ただいまの四十三名の中にあるのですが、食糧庁から本省へ振りかえする分が二名、それからさらに、これも本省への振りかえですが、国際関係の事務の強化で食糧庁から十一名、その他生活改善、流通飼料対策等で、合計食料庁から十七名を減じまして、本省のほうへ振り充てると、そのほか、林野庁で森林保険事務強化のために二名、水産庁で漁業取締船を新造いたしますその関係で、乗り組員の十八人の定員増加を要する。そこで全部申し上げますと、本省で四十三名プラス、食糧庁で十七名のマイナス、林野庁で二名のプラス、水産庁で十八名のプラス、差し引きいたしまして農林省全体で四十六名の定員増を要すると、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に問題を変えまして、日韓漁業交渉について、一、二お伺いしておきたいと思います。
去る三日の仮調印された例の日韓の三つの懸案については、これは正式調印は大体いつごろの予定なのか。こういう質問は外務大臣にお尋ねするのが筋だとは思いまするが、日本の国民にとって、特に漁民にとって重大な関心のある漁業交渉に関係のあることでありますので、農林大臣としての一応の目安をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/15
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016・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま案文の整理に日本側と韓国側事務当局が当たっておる次第でございます。私も間接に聞いたんでございますが、前には朴大統領ですかが訪米を五月にする。それで日本に立ち寄ってそのときにきめる、調印するというように聞いておったのでございますが、その後の報道によりますと、朴大統領は日本へ寄らないというようなことになっております。しかし、察するといいますか、たぶん五月の末ごろを予定しておるんじゃないかと、こう思っておりますが、まだ具体的にいつごろという交渉には外務当局が入っておらないと思いますが、大体そういうめどではないかといふうにまあ私申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今度の日韓交渉では、いわゆる漁業交渉については日本側としては絶対譲れないと、日本の利益を確保しなければならないと、こういう一線できわめて重要な交渉であったと思うのですが、ところが、一般国民が受ける感じは、日本側はどうも譲歩に譲歩を重ねてきたんではないか。そういう印象があるようですが、大臣としてはこの交渉についてどのようにお考えになっておりますか。この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/17
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018・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 率直に申しますと、日本側の主張をあまり通し過ぎたということになると、韓国側で、現在騒いでいるようにたいへんな騒ぎを起こして、この問題の解決を挫折させるというようなことがあろうかと思いまして、私のほうでは控え目に発表といいますか、言っておりましたので、たいへん日本側は譲歩したように世間で受け取られておるかと思います。しかし、実際問題として譲歩したというような点は、まあ交渉でございますからある程度ありますけれども、私どものほうではそれほど譲歩したということはなく、むしろ李ラインの撤廃ということも実現させましたし、あるいは日本のあの水域における漁獲量といいますか、また出漁する漁船の数等におきましてもこちらの主張を通しました。それほど世間で言うほど譲歩したという点はないと思います。済州島の周辺につきましては、これは前から、去年の交渉のときに大体きめておった線を踏襲する結果になりました。少し線を外側にずらしたということがあるいは譲歩したというふうに見られたかもしれませんが、それ以外におきましては譲歩というような点は私はないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御答弁のうちに李ラインも撤廃されたし、そういう成果があがったんだという御指摘ですが、これは新聞報道ではありますけれども、季長官は、今回の合意によって李ラインは実質的に解消されることになったといわれておるが、この点はどうなのかという記者の質問に対してこう答えておると報道しておるわけですが、「今度の漁業交渉を通じ日本側に誤解があるようだが、李ラインの撤廃には関係はないと考えている」と、そういうふうに答えておるわけですが、もしそうだとすると、大臣はいま李ラインは撤廃になったんだと——日本側と韓国側とでまさしく食い違っておるわけでありますが、これは非常に大事な問題でもあるのでこの際ひとつ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/19
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020・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 李ラインというものは、私のほうでは不法不当なものとして認めておりませんけれども、韓国側から見まするならば国内の二法律によって設定されておるわけでございます。でございまするから、形式的にはその二法律を廃止しなければ向こう側としては撤廃ということには相ならぬと思います。しかし、私のほうから見れば、事実李ラインというものの中において専属的といいますか、一方的に取り締まりをしたり、あるいは裁判の管轄をしたり、すなわち拿捕したり、抑留したりということをしておったことが今度の協定ができ上がればやめることになりますから、そうしてまた領域というものも遠いところでは百五十海里ぐらいまでが李ラインの線でございましたけれども、これを十二海里、国際先例等に従った十二海里の専管水域内に縮小したといいますか、限定した。それ以外はすべて公海だ。そうして公海自由の原則を守る。こういう内容になっておりまするから、事実上李ラインというものは協定ができ上がれば撤廃される。また協定ができ上がりませんでも、お互いに自粛しております。でございまするから、この間問題があった点なども、これは専管水域の近辺で問題になったことがありました。日本では専管水域には入らぬように自粛さしておりますが、向こうでもいままであるところの李ライン内で拿捕というようなことはいたさないようにしてあります。でありまするから、これは条約が——条約といいますか、協定が正式にでき上がれば当然なくなるわけでございますけれども、協定が成立しなくても、現在におきましても仮調印の趣旨に従って両国とも進めていこうということでございますので、実質的にはなくなっておると、またなくなるというふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうだとすると、この大事な李ラインの問題を、日韓のいわゆる合意事項とか、あるいは共同コミュニケになぜその撤廃を明記されなかったのかという問題が出てくると思うのであります。明記されておれば問題ないわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/21
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022・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これは向こうも国会もありまするし、でありまするので、出先におきましてやっぱり国会の審議も経ないうちにこれを形式的に撤廃というようなことは言えないと思いまするし、わがほうといたしましても、向こうの国会までに口を出して共同コミニュケに書くというようなことは差し控えなくちゃならぬ、こういうふうに考えましたので、その点は共同コミニュケにはうたいませんけれども、共同声明の中に実質的になくなるというような意味は御承知のように掲げてあるわけでございますので、その意味におきまして繰り返し申し上げまするように、実質的にはなくなってくる、こういうことだと私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、農林大臣としても、日本漁民の従来の実績は確保すると明言してきましたし、また、それが貫かれたとしても、やはりこういうことの内容の具体的な明記さえあれば今後に問題ないわけでありますけれども、まあ先方にも国会——国内事情があって明記しなかったがということですが、やはり今後に混乱を起こす可能性が憂慮されるわけですね。明記してあればもう問題はすらすらいくと思うのですが、国内事情をも考慮して明記しなかったということも一つの理屈にはなりますけれども、今後に問題を残すのじゃなかろうかと、そういう憂慮が持たれるわけですが、その点についてはいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/23
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024・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 仮調印した内応そのものが協定になりますならば、今後憂慮すべき事態は全然ないわけでございます、すなわち李ラインの範囲というものは、いままでの範囲というものは向こう側から見ますならば、専管水域沿岸から十二海里、この水域だけは李ラインと同じような韓国の権限内にあるわけでございます。しかし、その外は全部公海として共同水域で、共同規制水域におきましては同国平等で魚をとる、公平にとる、でその十二海里から外のものはいわゆる公海でございますから、ここにおける取り締まり権あるいは裁判管轄権はおのおのの国、日本の漁船に対しては日本、韓国の漁船に対しては韓国、日本の漁船等につきまして韓国が容喙するようなことはない、こういう取りきめでございまするから、この仮調印しましたものがそのまま協定になりまするならば、後日紛争を起こすようなことはございません。それになお協定の仮調印の中に協定の前文に、つまり日本憲法なら日本の憲法の前文のように、公海自由の原則というものは、これは厳に守らなくちゃならぬ、こういうことによって国際条約が国内法に優先する、こういう趣旨を協定にうたうことに相なっております。でございますから、あらゆる方面から実質的には李ラインというものはなくなるということでございますので、この仮調印したものをそのまま協定に持ち込まれるならば、季ラインというものに対しまして後日紛争を起こすというようなことはないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/24
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025・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 質疑の途中でございますが、ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。八木二郎君が委員を辞任され、その補欠として佐藤芳男君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、拿捕漁船の損害賠償請求権を放棄されておるわけですけれども、これは日本側にとってきわめて遺憾なことだと思うのですが、その点はいかなる理由で放棄されてしまったのか。これは非常に大事な問題だと思うのですが、その点を解明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/26
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027・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) この請求権は大平・金メモ等で三億、二億。有償、無償の請求権にこたえる一億以上の民間供与、こういうような取りきめの経緯もありますので、請求権問題としまして、実は私どもの交渉から全般的な交渉のほうに移したわけでございます。でありますので、私自身この問題は折衝にはあづからなかったわけでございます。そこで、外務当局として、あるいは全体の関係からの折衝をいたすわけでございますが、その折衝におきまして、こういう話に一度はなったようでございます。韓国に船の側がある仲国籍の船、これは韓国が独立する前、終戦のときでございますが、終戦のときに韓国新のあった船が終戦と同時に非常に減った、その韓国箱の船が減った、その船は、当然韓国のものだった、減った分は日本に請求して、日本からその金をよこせといいますか、出せというような話があったと聞いております。そこで、その金と拿捕された船、あるいは人等に対する損得、約七十二億円というふうに計算されておりましたが、それと相殺する、こういうような話が今度の交渉で一度あったようでございます。ところが、韓国の籍の船の請求権というのは、大平・金メモの三億、三億、一億ドル以上というときに、もうすでに向こうも放棄した、あるいはその中に含まれているといいますか、そういうような課題になっているというようなことがはっきりしてきたといいますか、だんだん判明してきたような状況下におきまして、それでは、この相殺ということにも相なりませんので、拿捕の請求権をあま放棄ということばが当たっているかどうか知りませんが、請求しないことにするというふうな話し合いを外務当局の交渉でいたしたというふうに聞き及んでおります。しかし、私のほうとしては、それでは困るというようなことから、これは実際言えば向こうに請求して、それを漁民に賠償するということが私どものほうは筋だということを、私どものほうとしては主張をしたのでございますけれども、そういうようないきさつになりましたので、追って検討の上、これは日本の国内の措置として、その賠償は被害者に対してしなくてはならぬのじゃないか、これはそれぞれの筋の了解を、私のほうからは国内的には了解を得ておりますが、額等につきましては、なお調査の必要がありますけれども、そういうようなことで、この点はまことに私としては遺憾と存じておりますけれども、そういうようないきさつだと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この拿捕漁船の損害額が七十二億というと、相当な額なわけですけれども、これは国内の補償ということになると、一体どうなるのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/28
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029・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これはせざるを得ない、こういう了解を得ておりまするが、閣内においても得ておりますが、額等につきましては、なお調査を必要とする、そういう調査の結果、額等も確定することになりますならば、予算に計上することに相なろうと思います。そういうところまで進んでおりませんが、賠償しなくちゃならぬ、こういうことにつきましては、閣内におきましても、それぞれの了解は得ておる、こういう事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、漁業協力のための民間信用供与ですね。この九千万ドルというものですが、その進め方についてお伺いしたいと思いますが、たとえば、政府はいかなる形の援助をするのか、あるいは保証を与えるのか、こういうような問題ですね。こういう点をひとつ具体的に説明願いたいということと、それからどういう内容のものを民間に期待しているのかということ、こういうような問題について、あわせて御説明いただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/30
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031・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 九千万ドルの漁業供与でございますが、これは先ほど触れました三億、二億の、有償、無償の請求権にこたえるほかに、一億ドル以上の民間供与という大平・金メモがあったのでございまするが、一億ドル以上というものを、今度は椎名外務大臣のもとで、三億ドル以上と、こういうふうに改めたようでございます。これは純然たる民間ベースで、この中の九千万ドルと、こういうことに相なるのでございまして、向こうからのお話によりますというと、民間ベースでございますが、どういうものについての協力をしてほしいのかということでありますが、それにつきまして、漁船の輸出、日本から漁船を輸入して漁網とか、あるいは漁具等を買いたい、あるいは古くなった船等につきましてのエンジンなどの装備を新たにしたい、あるいは沿岸における冷凍装置、貯蔵倉庫といいますか、貯蔵所等をつくりたい、これの金をほしいと、こういうことでございますが、いま申し上げました民間ベースでございますので、政府が三億、二億、ほんとうは三億、二億の中でやるべきだと、こう言ったのでございますが、向こうではそれはほかに使いたいというようなことでありますので、民間ベースということでございますから、政府といたしましてどういう援助方法をするかということは考えられないわけでございます。政府としては援助方法はないわけでございます。民間としてそういういま申し上げましたようなことに対して協力をする、それに対して延べ払いをする、その場に輸銀の資金を使う、こういうことでございます。でございますから、政府としては民間の資金等をあっせんするというような程度でございまして、政府自身が援助をするとかいう筋合いの金ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/31
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032・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
農林省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/32
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033・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。
午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
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午後一時二十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/33
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034・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を再開いたします。
自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。政府側からは吉武自治大臣、松高官房長、佐久間行政局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いいたしますが、前回までお伺いしてまいりましたのは、臨時行政調査会の行政改革に関する意見に対する自治省の御意見ということにしぼってお伺いしたわけですが、まだ若干残っておりますので、その面についてお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、広域行政の改革に関する臨調の意見に対して、そのうち地方総合開発審議会関係の面があるわけです。これに対する自治省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/35
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036・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、臨調の意見におきましては、中央の行政機構、総合開発庁の設置に対応いたしまして、地方におきましては、地方総合開発審議会を置いて、そこに調整官を配置をするという方式を述べられておるのでございます。この方式につきまして、私ども検討をいたしましたところによりますると、調整官という中央の総合開発庁の役人が議長になりまして調整をしてまいるという方式では、関係地方公共団体並びに関係出先機関の間の調整が効果的にできないのではなかろうかという点を、一つ憂慮をいたすのでございます。それからいま一つは、地方の総合開発は、地方公共団体、特に都道府県が実施の主体になることが多いわけでございまするので、地方における総合開発計画の調整につきましては、都道府県知事に主体性と申しますか、積極的に働いてもらうような仕組みでなければ、なかなかうまくいかないのではなかろうか、かような点から考えまするというと、国の機関としての地方総合開発審議会を設けて、そこに総合開発庁の調整官が配置をされて、それが議長になって調整をするという方式よりも、自治省が今国会に提案をいたしまして成立をさしていただきました地方行政連絡会議を、むしろ活用して行なうほうがよろしいのではないか、かような意見も持っておる次第でございます。で、地方総合開発審議会の構成メンバーも、関係地方公共団体の長と、国の出先機関の長、それに学識経験者が入っておりまするが、地方行政連絡会議は、関係都道府県知事と、関係地方出先機関の長とで構成をされておりますので、学識経験者を除きますると、地方総合開発審議会と、構成メンバーはほとんど同じでございます。同じでございまするが、都道府県知事がむしろ中心になって運用をするという点で、この臨調の御趣旨を相当尊重しながら、なおかっこのほうが効果的なんじゃなかろうか、かような考え方を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、その御答弁を要約すると、賛否はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/37
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038・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 地方総合開発審議会そのものにつきましては反対でございまするが、その考え方は相当取り入れていこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、臨調の改革意見に対しては、これを尊重しながらも、結論的には反対であると、そういうふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/39
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040・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御趣旨は尊重いたしまして、そのやり方の仕組みを、関係都道府県の積極的な意思の反映ができるような仕組みに変更と申しますか、変えて、この趣旨を実現していこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/40
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041・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは次にお伺いするのは、予算の早期執行についての臨調の意見が出されておるわけです。これに対して自治省の意見としてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/41
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042・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 予算の早期執行につきましては、私どもといたしましても、地方団体側からも強い要請のあることでもございますし、できるだけ早く予算が執行されるような体制にすることが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/42
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043・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、賛否はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/43
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044・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 賛成ですか、この公文書によると、検討を要するということになっておるのですが、——どちらでもいいですが、ただ、出した公文と、いまの御答弁と食い違っておるから、どちらが正しいのかということを伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/45
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046・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) お尋ねの点は、暦年制の採用の問題をさしておられるかと存じますが、暦年制の採用の問題につきましては、いろいろ議論のあるところでございまして、府県、特に積雪寒冷地帯の府県におきましては、国の予算が成立いたしまして、配分を受けて事業にかかりますと、どうしてもその事業の最盛期が積雪期にかかって、翌年に繰り越さざるを得ないという事情が多い。したがいまして、できるだけ予算の執行が四月当初できるようにしてもらいたいという要望がございます。四月当初から予算の執行をいたしますために、逆に国のほうは、地方公共団体よりも三カ月早めて、一月から国の予算は成立し執行できるようにしてもらいたい、すなわち、暦年制を採用してもらいたいという意見が地方団体の側には相当強うございます。この問題につきましては、私どものほうの、地方の財務会計制度につきまして調査会で御検討願いましたときにもそういう問題がございました。ただ大蔵省の側といたしましては、長い間四月から三月というやり方をとってきておりまして、それが経済の仕組みの中にもいろいろと取り入れられているたてまえ上、それを直すことは困難であるという意見がございました。私どもといたしましては、むしろ地方団体側の立場と申しますか、要望も、予算の効率的な執行の面からいえば当然考えられるべきことであるという考えを持っておりますので、ここにもございますように、積極的な姿勢と申しますか、前向きの姿勢で検討すべきであると、こういう意見を出しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私は重ねてお伺いしたのは、そういう意味を聞いておるのではなくして、あなたのほうから、臨調の改革意見に対する自治省としての意見を出されておるでしょう、それには、検討を要するということで、暦年制の採用について積極的に検討すべしと、こういう結論であろうと思うのですが、ところが、いまお伺いすると賛成だということなんですが、いや賛成と要検討ではいささか迷いがあるんだがと、いまの御答弁は賛成になっておる、公文でお答えになっているほうは検討を要するとある、その食い違いは、どちらをわれわれはとったらいいかということをお伺いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/47
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048・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 私どもの遺児といたしましては、積極的に検討すべきであると書きましたのは、前向きの姿勢で考えるべきである、こういう趣旨でございますので、自治省といたしましては、その線に賛成という意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/48
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049・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、要検討というのは間違いで、賛成と解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/49
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050・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/50
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051・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、補助金等の合理化についての臨調の改革意見が出されておるわけです。これに対して自治省としてはどういう結論を出されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/51
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052・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 臨調では、補助金の整理統合、一般財源への振りかえというような御意見も出ておりまして、その面におきましては、私ども臨調の御意見に賛成でございます。ただ、臨調の中で、すべて国から地方団体に支出されますものをいわゆる補助金として一括して取扱っておりますけれども、私どもの考えております国から出ております支出金の中には、国の義務として当然支出すべきものと、国が奨励的な立場から支出するものとの二つの種類が大きく言ってあるのではないか、国が当然支出すべきもの、国が支出する義務を負うもの、こういうものについては、やはり負担金という概念を持ち、国が奨励的な立場から支出するものは補助金という概念で整理をし、その上に立って補助金がいかにあるべきかということを論ずるほうがより適切な制度ができるのではなかろうか、かような考え方で、その部分については、しいて言えば反対ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/52
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053・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、「公務員に関する改革意見」が出されておりますが、この中で「特別職と一般職の区分の再検討」という項があるわけです。この面に対する、臨調の改革意見に対する自治省の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/53
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054・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 原則的には臨調の御意見に賛成でございます。ただ、ここに私どもが出しましたのは、現在地方公務員法上公務員として包括をいたしておりますものの範囲につきましては、さらに明確にするように検討する必要がある、ということを申し添えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/54
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055・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、高級公務員の立候補の制限について、こういう臨調の改革意見が出されておりますが、これに対して自治省としては、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/55
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056・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) この件につきましてはいろいろと議論のあるところでございまして、慎重に検討をいたしておるところでございますが、憲法問題その他等の議論もございまするので、立法技術上いまのところ困難ではなかろうか、かように感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/56
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057・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、結論的には検討を要するというふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/57
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058・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/58
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059・伊藤顕道
○伊藤顕道君 参考までに、人事院のこれに対する意見を調べてみましたところ、この臨調の意見に対する人事院としての考え方は、「選挙の公正という観点から、むしろ選挙制度の問題としても考慮すべき事項を考える。」こういうことですが、各省庁の高級公務員は、その地位を利用して、たとえば参議院選挙の全国区に立候補すればきわめて有利であることは明白で、そこで、人事院が、選挙の公正という観点から云々と意見を出しておるわけですれけども、何らかの制限をしなければ選挙の公正を期しがたいということだけはもう明確だと思うのです、どなたがどう考えても。こういう点に対してひとつ自治大臣としての御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/59
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060・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) この点は選挙制度審議会等でも議論になったところでございますが、先ほど申しましたように、立候補の制限になりまするので、憲法上疑義があるということで、慎重な検討を要するということを申し上げておるわけでありますが、しかし、これに関係いたしまして、つまり一般の公務員が選挙運動等に従事するということになりますと、弊害が起こるということで、それを制限するということで、一応処置をしておるわけでございます。しかし、それだけで高級公務員が立候補する問題が解消されるというわけではございませんけれども、そういう点を考慮して、先般改正をして制限をしておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/60
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061・伊藤顕道
○伊藤顕道君 臨調の改革意見では「現職の公務員が、近い将来国会議員の選挙に立候補する意図から、行政権力を乱用して、事前運動を行なうことは、単に公職選挙の公明を阻害するだけでなく、公正な行政の執行を確保する上からも、見過ごすことのできない問題である。」この意見に対して自治省はどういうふうに考えるかお伺いしたわけですが、なお、この点についてはしばしば論議のあったところで、公務員の地位利用による選挙運動に対する規制は一応強化されておるわけですけれども、にもかかわらず、なお弊害が除去されていないということに問題があろうと思うのです。したがって、これは選挙法にも非常に重点が置かれなければならないと思いますけれども、この際当面の問題でもあるので、重ねてこの弊害を何とか除去しなければならぬ。具体的には一体どういう方向で改善をしなければならないのか考えておられます方向についてでもひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/61
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062・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 先ほど申し上げましたように、高級公務員の立候補を制限するという問題につきましては、憲法上等の議論もございまして、ちょっとこれは取り上げがたいというところでございます。しかし、その公務員が地位を利用してやるということは、これは好ましいことじゃございませんので、先般この制限を行なっておる、こういうことでございます。したがいまして、高級公務員でありましょうとなかろうと、その地位を利用してやるということにつきましては、これはもう取り締まりをしなければならぬと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/62
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063・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ方策はあろうかと思いますけれども、何といっても選挙運動に相当の影響力を持ち得る——同級公務員であろうとなかろうと、いまおっしゃいましたけれども、やはり何といっても、同じことをやっても高級公務員のほうが影響力が大きいと思うのです。したがって、たとえば離職後一定期間、なお具体的に言えば、たとえば離職直後の選挙終了までは立候補できないとか、そうすれば、離職して一年間は、その選挙の終了するまでは立候補できないということになると、その次ということになると、参議院の場合は三年後ですからだいぶ影響力がなくなる。これが一つの方法であろうし、あるいはまた、立候補にあたっては人事院の承認を得るとか、こういう点が具体的には考えられるわけですけれども、最も効果的なのは離職直後の選挙には立候補できないということになれば、これは相当効果があるのじゃなかろうかと思うのですけれども、こういうような考え方に対して、自治大臣としてはどういうふうに考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/63
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064・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) そういう議論は選挙制度審議会等におきましても議論にはなっておったのでございますけれども、先ほど来申しましたように、やはり立候補するという基本的な問題を法律で制限をするということになりまするというと、これはいろいろ問題があろうかと思いまして、したがって、目下のところは困難であるということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/64
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065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあ現実の問題としても、たとえば防衛庁とかあるいは郵政省にこれに該当する例が現実にあるわけですね。しかし、いまの規制ではそこまでいってないわけですから、これが不適法とかなんとかいうことには当たらぬと思いますが、要はその地位を利用して云々の問題ですが、これはなかなか判定はむずかしいと思う。いわゆるその地位にあって離職前に地方を回ると、これは考えようによると職務に忠実という面が出てくるし、考えようによると、その地位を利用して夢前運動ということにもなるわけで、非常に微妙な問題がそこに介在しておるので、判定が非常にむずかしい問題となるわけですね。しかしながら、いま私が申し上げたように、離職直後の選挙には立候補できないと、たとえばそういう方法ならこれは問題ない、こういう方向で自治省としても今後、ここでどうする、イエスかノーかということではなくして、この臨調の意見に対して自治省としても検討を要するという問題の一つになっておるわけですから、ここでこの点を追及する意図は毛頭ないわけです。ただ、そういう前向きの姿勢でひとつ今後十分この問題を、もちろん自治省だけの問題ではありませんけれども、非常に関係の深い省でありますので、こういう点についての大臣のお考えをこの際お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/65
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066・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お話しのように、そういう点も議論になっておるところでございまするので、目下のところは憲法上の問題等もございまして、はなはだ困難であろうかと思っておりまするが、なおこれは検討を要する問題と、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/66
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067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、労使関係と労働基本権の問題について臨調は改革意見を出しておるわけです。これに対する自治省のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/67
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068・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この問題につきましては、非常に根本的な現在の労使関係全般に影響する問題でございまするので、公務員制度全般の問題といたしまして慎重に検討を要するという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/68
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069・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、要約すれば、さらに今後検討を要するということのお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/69
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070・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/70
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071・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この政府と公務員との間の問題ですが、これはやっぱり相互理解と信頼、その上に立たなければなかなか公務員の能率向上は期しがたい、これはもうはっきりしたことだと思うのですが、そのためにはどうしたらいいかという問題になろうかと思うが、やはり労使は相互理解の上に立ってお互いに信頼し合う、こういう前提に立って初めて公務員の能率を向上し得る、これは一つの動かすことのできない原則だと思うのですけれども、さて実際にはどうか、この点大臣としては、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/71
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072・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 私はお話しのように、相互信頼と理解の上に立っていくべきものと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/72
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073・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういう前提に立つと、たとえば勤務条件の改称とか人事管理の基準、こういう大事な問題について、常時やはり労使が意見を交換する慣行を制度化するということも非常に意味があることだと思うのですが、そういう考え方に立つと、原則として労働基本権を認めるべきではなかろうか、こういうことになろうと思うのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/73
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074・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) それは労働基本権という問題とも関係があるかもしれませんが、そういう問題と別に、やはり相互信頼の関係というものは、これは必要なことであり、また進めるべきである、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/74
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075・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは労働基本権に関係あるかもしれないが、たいして関係ないような御意味の御答弁でございましたけれども、やはり相互信頼、そして信頼し合うというような、常時に話し合いの場を持たないと、そこまでなかなか進んでいかないと思うのですね。お互いにお互いの意思を十分通じさせるためには、やはり常時にそういう労使はお互いに話し合いの機会を持つ、こういう点はいかがですか、話し合いの場を常時に持つということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/75
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076・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) けっこうなことだと思うのでありますが、それは権利であるとか、義務であるとかいう問題ではなくて、実際上そうなっていくことが好ましいことである、かように存じております。私どもは自治労の方と、会いたいと言えばいつでも会ってお話もすればお話も聞く、別に法律にどうこうというものはございませんけれども、話し合っておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/76
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077・伊藤顕道
○伊藤顕道君 常時にお互いの意見を交換し合う、これはたいへん大事なことだと、そこまでお認めになったわけですから、今度はその常時に話し合いをする慣行を制度化するということになると、これは労働基本権の問題になろうかと思うのですね。そこで、ここでまた大臣にそういう前提に立つと、これをせんじ詰めると、結局労働基本権を認めるということになるわけですねしかし、心配なさらないでいい。ここで大臣にひとつ認めなさいと、そんならそういうふうに答弁してほしいということは、ここでは言いません。やはり大きい問題ですから、十分今後検討を要することとは思いますけれども、そういう方向で努力すべきではなかろうかと、こういう考え方に対してのお考えはいかがかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/77
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078・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) 法律的に申しますと、労働基本権として権利があるかないかということになってきまするし、またそうなると非常にむずかしいのであります。たとえば私が自治労に会うにいたしましても、いわゆる地方公共団体の公務員と自治大臣とは何らの雇用上の関係もございませんし、ですからそれを権利で基本権を認めて会えとか会わぬとかいうことになりまするというと、それはそういうわけにはいかぬということになるわけであります。しかし、実際に会いたいとおっしゃれば、会うことは、これは事実上の問題として差しつかえないわけであります。ですから私はその法律上、いや義務があるとか権利があるとかいう問題ではなしに、先ほどおっしゃいましたように、相互信頼の関係に立つことはけっこうなことであり、お互いに努力すべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/78
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079・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきますが、公務員の給与に関連して、これはもう言うまでもないことですが、現在の制度に対して人事院としてはどのようにお考えになっておるか。もちろん地方公務員については国家公務員との公平の原則に立って、まず公務員の給与についての人事院勧告がなされ、それを国会で議決された場合に、政府がこれを法案化して国会で可決された場合に公務員公平の原則は適用されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/79
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080・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) いまの御質問、はっきり受け取りにくいのでございますが、地方公務員の給与につきましては、私ども人事院の勧告を尊重して国家公務員に準じていきたいと、かような考え方で臨んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/80
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081・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしているのはこういう意味でお伺いしたわけです。先ほどもお伺いしたように、まず国家公務員の賃金は、人事院の勧告が内閣及び国会に出され、政府はこれを実施する場合は、法案化して当内閣委員会で審議される。そしていい悪いは別として、これが国家公務員の給与がきまった場合に、地方公務員については公平の原則でこれに準じてやると、こういう形式は、もう現行はこういう規定になっておるわけですね。いい悪いは別として。そこで私が特にお伺いしたいのは、現在の制度をどういうふうにお考えになるかという意味は、いま大臣もおっしゃいましたけれども、人事院の勧告はいい悪いは別として、まあ労働者、公務員側から言うとずいぶん不満は多いわけですけれども、一応実施の時期などについて五月実施すべきものと勧告しておるわけですね。それで政府はどうするのかというと、勧告は尊重しますということは、口を開けば必ず勧告は尊重しますと言って、長い間これを十月に延ばしておる。少しも勧告を尊重していないわけですね。昨年は諸般の情勢から一月だけ早めて九月に実施したと、こういう現実があるわけです。そこで尊重すると言うからには、これは実際にそのとおりにやらなければ尊重したことにはならないわけです。脇町行政調査会の改革の意見に対する自治省のお考えを伺っても、基本的には臨時行政調査会の行政改革に対する意見についてはこれは尊重するということを言っておるわけですね。にもかかわらず、いろいろお伺いしてきたように、まあ反対の意味を含めてよく検討とか賛成というのは至って少ないので、ほとんど反対が多いわけですね。これは自治省だけの問題ではなく、各省庁はなべてそういう方向に行っておるわけです。これと人事院の勧告に対する政府の考え方、これも尊重するということは言っておるわけです。しかし、実際には人事院の勧告そのとおりに実施の時期が守られたことはない。一度もないわけです。それでは基本的な態度はどうかというと尊重する。さてこれを具体化して、具体的な問題になると、少しも励行されていない。臨時行政調査会の答申に対する倉見も同じことです。給与に対する政府の考え方も同じこと。そういうことになると、政府の尊重するということばの価値は那辺にあるのか、われわれは了解に苦しむわけです。われわれが尊重すると言うのは、もうそのとおり、文字どおり、尊重するというからには、その本旨において尊重すると言うた以上、これを具体化する場合もこれを尊重されなければならないわけです。こういう点で政府の尊重するというそのことばには非常に解しがたいものがあるという意味でお伺いしておるわけなのです。これはまあ自治省だけがそうやっておるということでは毛頭なくして、現在は各面でみな言うところの尊重という意味はそういうあいまいもことしておる。原則においては尊重しますと発言するけれども、具体化になると少しもこれが尊重されていない。こういう現実をどう見られているかという意味でお伺いしているわけです。重ねてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/81
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082・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) お話しのように、私どももできるだけ文字どおり尊重をしていくべきであると考えております。しかしながら、実は御承知かと思いますが、今日地方団体の財政は非常に苦しい状況でございます。しかも、人件費の占める割合は、全体から見ましても三兆六千億の地方財政の規模のうちで給与費だけで一兆三千億をこえるというような状況でございますから、ベースアップだけでも四十年度は前年度に比べて財政規模の四千八百億の増のうち、千八百億がつまり給与の増に使われるという状況であります。したがいまして、なかなかむずかしい中をできるだけ尊重しようということで、昨年は一カ月早めたわけでございます。財政がだんだんと豊かになりますればそのような時期が来るかと思いますけれども、そういう関係でございますので、やむを得なかったということを御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/82
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083・伊藤顕道
○伊藤顕道君 地方財政のきわめて困難な事業はよくわかるわけです。そこで、いま私は自治省のその態度を責めているという意味で伺っているわけではないのでございます。やはり繰り返し申し上げるように、国家公務員の賃金がきまらぬと地方公務員の給与もきまらぬわけです。国家公務員の賃金がきまれば公務員公平の原則で、ほとんど横すべりできまる。しかし、そのもとになる国家公務員の実施の時期がずらされているわけです。にもかかわらず、それならば地方公務員だけせめて勧告どおりやらないかということを言っているわけじゃないんです。やはり公平の原則はどこまでも公平の原則であって、いわゆる人事院は国家公務員について勧告しているわけですけれども、国家公務員の給与がきまって初めて地方公務員の給与がきまる、こういう現実があるわけですから、そこであえてお伺いしているのは、そういう前向きの姿勢でいわゆる閣僚の一員として今後そういう方向で努力してほしい。そういうことであえて大臣のお考えをお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/83
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084・吉武恵市
○国務大臣(吉武恵市君) その意味では、私はできるだけ尊重していきたいという感じを持っております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/84
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085・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。源田実君が委員を辞任され、その補欠として平島敏夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/85
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086・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論を終局したものと認め、これより採決に入ります。
自治省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/86
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087・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/87
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088・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、行政管理委員会設置法案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
政府側からは、増原行政管理庁長官、井原行政節理局長、山口行政監察局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/88
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089・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して二、三お伺いいたしますが、まず、順序としてお伺いしたいのは、この行政管理委員会設置の問題と臨時行政調査会の行政改革に関する意見との関連についてその一面からまずお伺いしたいと思います。
御承知のように、臨時行政調査会の意見においては、行政監察に民間の意見を導入し、その機能を強化する。そうしてあわせて行政制度及び行政通常の改善に関する重要な事項を検討させる、こういうためにこの行政管理委員会を設置する必要がある、そういう提案理由の説明の趣旨であるわけです。そこで、このことについてまずお伺いいたしますが、臨時行政調査会は、行管に監理委員会を置くようにとは一言半句も言っていないわけですね。総理府本府と行管とを統合して、新たに総務庁を設ける。そうしてこの総務庁に行政管理委員会を置くように、こういう趣旨で勧告しておろうと思う。したがって、臨調の改革意見にこの点では反しているのではないかという反問が必ず出てくると思う。一行も半行も行管にこの監理委員会を設けなさいとは言っていないわけだから、この点どうにも了解に苦しむわけですが、この点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/89
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090・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 臨時行政調査会の答申は、御承知のように、そのきわめて重要な部分として内閣の行政についての統制機能を強化しようということで内閣府を置く。その中に広範な職務権限を持つ総務庁を置くように答申をしておることは御指摘のとおりでございます。その総務庁というのは、機能的に言いますと、現在の行政管理庁の職責を包含するものでございます。この内閣府及び総務庁の構想実現はきわめて重要な項目でありまして、なお、政府部内において相当の検討をまだ要するわけでございます。早急にこの実現はいまのところ実行困難でありますが、その場合にいわゆるこの行政監理委員会を設けて、これは総務庁に置く行政管理委員会でございますが、そのねらうところは、行政機構及び運営の改称に民間の意見を導入し、これを背景として推進をしていくという趣旨のものでありまして、そういう趣旨のものは内閣府及び総務庁ができない場合でも、これをつくることが臨時行政調査会の答申の十六項目全般にわたる推進には、やはりたいへん役に立つものであるというふうに考えまして、行政管理委員会はこれを設置をしたい。設置をしまするとなると、内閣府、総務庁の実現をしていない段階では行政管理庁に置くことが最も適当であるというふうに考えまして、今回の法案となったわけでございます。御指摘のように、臨調答申そのものずばりではございませんが、その趣旨は十分にこれを生かしてつくったというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/90
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091・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御説明ではございますけれども、私どもとしても行政監理委員会を設置することが、行政改革の面に役立つということに反対しておるわけではない、いささかも行政管理委員会の設置には反対してないわけです。ただ行管が臨時行政調査会の行政改革に関する意見に対して、あくまでもこれを尊重するという態度をどこまでも貫くというのであるならば、まずその勧告どおりに総理府水府と行管を統合して、総務庁をつくって、その総務庁に行政監理委員会を設置する、こういう趣旨で、またこういう意味で臨調は改革意見を出しておるわけですね。したがって、本筋からいえば当然そうなければならぬわけです。ものには順序があるわけですから。したがって、行政監理委員会の設置にはいささかも反対してないわけです。ただ、だからといって臨時行政調査会は、行管に行政管理委員会をつくりなさいとは一言も言ってないわけですから、順序としては、当然に総務庁に置かなければならない、こういうたてまえは当然出てくると思うんですね。しかし、行政管理委員会が行政改革の面に非常にプラスになる、こういう考え方には変わりはないわけです。そこのところはどうもおかしいではないか。長官の御説明によると、行政監理委員会というのは行政改革に対して役立つものだから、本旨はそこにあるんだからどこへ置いてもいいんじゃないか、総務庁以外に置くとすれば行管だと、それは総庁のできる前に——まだないわけですから、総務庁というものは——だから置くとすれば行管に置く、こういうこともわかるわけです、ほかにはないわけですから。しかしながら、あくまで臨調の意見をそのまま尊重するという態度をくずさないなら、少しでもこれをくずせばそういう意見も成り立つわけですけれども、そのまま尊重するというたてまえに立てば、繰り返し申し上げるように、総理府水府と行管を統合してまず総務庁を置くべきではないか、これを本筋からお伺いしておるわけなんです。この点についてひとつ御解明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/91
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092・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 御指摘の点はそれはもうそのとおりでございます。そのとおりでございまするが、さっきも申し上げましたが、ただ総理府の行管を統合して、総務庁を置くということでは、臨調の趣旨、大きいねらいというものは、十分に生きてこないわけでございます。やはり内閣府をつくり、総務庁を置くという形まで、やはりその場合には私は問題を割り切っていくべきものであろう、これもしかし臨調の答申として、十分に尊重し、その線に沿って検討をいまいたしておるわけですが、なかなかこれは率直に申して早急に実現をしてこの国会に法案を提出するという段取りには至らなかったわけでございます。そこでまあいわば次善の策にすぎませんが、次善の策としてものを考えますると、やはりこの行政監理委員会というものは、行政機構の改革なり運営の改善を推進する、民間の意見を導入して推進するものとしては、やはり早急につくることが適当であろうと、これはその趣旨は御賛成を願っておるようでございます。つくるとしますると、この内閣府及び総務庁ができるまで待つということをしないでつくるということがよろしいとわれわれは判断をしたわけであります。そういう判断に立ちますると、現在の状態のもとでは行政管理庁に置くことがよろしい、しかし、その趣旨を十分生かしまするためには、いま、御承知のとおり、この委員は両議院の承認を得るという重い措置をとるし、この監理委員会は所管する事項に関しまして、必要があらば直接内閣総理大臣に行管長官を通して意見を述べることができるという形をとりまして、十分その趣旨、権限が生きてくるような配慮はそうした点では十分に考えておる、御指摘のように、内閣府をつくり、総務庁をつくってやるべきものであることはそのとおりでございます。なかなかそれが急にはいかないという場合の次善策としては、やはりこの形で行管に置くことがよろしい、こういう結論に達した、まあそういう趣旨であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/92
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093・伊藤顕道
○伊藤顕道君 臨調のねらいとするところは、現在でも総理府木府の総合調整機能、それと行管は当面の大事な仕事としておる組織管理及び行政監察、この機能を一そう強化しよう、そうしてその結果を内閣の政策決定とかあるいは予算編成、こういう大事な面に反映させよう、そういうねらいから総理府水府と行管をこの際統合して新たに総務庁を設けるべきだ、したがって、臨調としても非常に重視しておるわけですね、いやしくも一国の内閣の政策を決定したり、あるいは予算編成にまでこれを反映させようという、それにはいま総理府水府の持っておる機能と行管の持っておる機能を合わして、さらにこれを強力なものにして、そうして政策決定とか、一国の予算編成に反映させようという臨調のねらいはそこにあるわけです。その総務庁に行政管理委員会を設けて初めてその目的を達し得る、こういうところに臨調のねらいがあろうと思うのですね。いま次善の策として、行管にこれを設けるということの御説明があったわけですけれども、それは次善の策というものはどういうものかとお尋ねした際、そういうお答えがあれば理解できるわけですけれども、臨調のねらいとするところはもっと大きいのですね。一国の政策あるいは予算編成にまで反映させようという、そういう強力なものを臨調はねらっておるわけです。そういう強力な総務庁に行政監理委員会を設けてはじめて機能を十分達し得ると、こういう要旨であろうと思うのですけれども、この点は私の考えが間違っておれば別ですけれども、臨調のこの改革意見を見ますと、そういうふうに受けとめられるわけですけれども、この点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/93
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094・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 趣旨は私もそのとおりと了解をします。内閣総理大臣の統制機能を強化するというために内閣府を置く、その中には総務庁だけではございませんで、内閣官房を現在のものとはまた異なった意味で調整能力を強化しようというのが同時に重要な項目になっております。内閣官房、総務庁、そういうものが相並んで内閣の中に大きい総合調整能力を持つ、その総務庁の中に行管は包含をされるという趣旨でありまして、全体でねらっておるところはお説のとおりでありますが、これは内閣府をつくって内閣官房の改善を行ない、あるいは総務庁をつくるということは今度の国会までには間に合いかねたわけであります。間に合いかねるという見通しがついたところで、それではしかしそういうものができてから監理委員会をつくるほうがいいかどうかということを検討した結果、そういう内閣府の新機構ができる前でも行政監理委員会はつくったほうがよろしい、これは臨調のねらっておるところである、むしろ、待つよりは、という結論に達してそれを次善と申したわけであります。そういうことでこういう形の法案をつくり、これを行政管理庁に置くと、こういうことにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/94
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095・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この行政監理委員会法はごく最近国会に提出されたわけですね。これは行管としてもっと強力にこの行管に行政監理委員会を付置するという不動の姿勢でこの問題に取り組んでくれれば、行管にとってきわめて大事な法案ですから、これは当然会期の初めに提案してしかるべきなのに、いまごろ、と言ってはおかしいですが、もうだいぶん進んできて、残りわずかになったこの時点でこういう大事な法案を出されるということは、はなはだ了解に苦しむわけです。これは那辺にその事情があったか、これもお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/95
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096・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 最初、臨調の答申を受けて総括的な検討をやりました段階から、何といいますか、大ざっぱに、直観的に、この行政監理委員会は早く具体化をしてこの国会に提出をしたいというふうに考えたわけですが、さらに具体的に各項目を横付する、これは行政改革本部でその措置をとったわけでございます。具体的に検討を進めていき、各省それぞれの分野で検討を進めてもらう段階になりまして、具体的に行政改革本部で全体の問題を取り上げて、さらにこれを具体化する進行作業をやったわけですが、行政改革本部で取り上げる段階で御承知のように、新しい委員会であり、きわめて内容において重要な委員会でありまするので、なかなかに論議が出まして、その段階で相当の日数を費やし、さらにわれわれの現在の立場において自由民主党の、意見というものも、これを聴取をするという経過をとりますので、その段階でも審議に重要なものでありまするので、若干の日数を要して、今日に及んだ。たいへんおくれてきたことは申しわけもないし、残念に思っておりますが、なお相当の余日もあることでございます。十分御審議をいただきまして御賛成をいただきたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/96
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097・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この行政監理委員会を行管に設置するという問題を離れて考えてみても、今度の臨時行政調査会の改革意見に対する各省庁の意見ですね。こういうものをおおよそまとめてみるとこういうことが言えるわけですね。たとえば行管については、いま関係のある面でいうと、総理府本府と行管を統合するということになると、行管という名称はなくなってしまうわけですね。総務庁となる。発展的に解消するわけです。しかし、これは廃止とか縮小ということでなく発展的解消だからこれは大所高所から見れば進んで強力に推し進めるべき筋合いのものだと思うのですけれども、それからしたがってどうも総務庁をいますぐつくることにはどうも気が向かない。各省庁の意見を見ても、たとえば機構を拡大するということにはみな賛成しておるのです。例外なく。それから機構を縮小するという方向の面を見ると、各省庁あげて反対だ、こういうことは総括的に言えると思うのです。これはどの省とかどの庁ということでなく、総括的にそういう把握はできるわけなんです。そこをひとつ行管が押し切っていただかないと、各省庁がみんな自分の省庁に割拠して、少しでも大きくなるところには賛成で、少しでも縮小ということにはもうあくまで反対しておるわけだ。こういうことではなかなか行政改革は、口に言うべくしてなかなか実現できないのじゃなかろうかと思うのです。やはり自分の省が少し縮小されることであっても、いわゆる日本全体から前向きの姿勢で拡大できるという面については、たとえ自分の竹が少し縮小、廃止される問題でも大らかな気持ちで島国根性を捨てて賛成すべきだ。にもかかわらず、ほとんど例外なく拡大については賛成、機構の縮小については反対、こういうことが各省庁の意見を調べた結果総括的に言えることなんです。こういうことでは私は行政改革などという大きな仕事はとうてい実現できない。しかも臨時行政調査会が、かつてないあれだけの大規模な、そうして長い日数を要して、しかも当内閣委員会で会期までもさらに延長して慎重審議をやってきた。さてその改革意見が出された、前の池田内閣も、これを引き継いだ佐藤内閣も、あくまでもこれを尊重するという態度を持ち続けて現在に至ったわけです。にもかかわらずこの臨調の行政改革に関する改革意見に対しての各省庁の意見は繰り返し申し上げているように、どうも口には尊重々々というけれども、今言ったように、自分の省に利益のあるものだけは賛成、不利益と思われる部分については反対、もしくは反対の意を含めた要検討と、そういう表現で意見を出しておるわけです。こういうことではなかなかもって行政改革はできないのではないか、こういうことを憂慮するあまりお伺いしておるわけなんであります。この行政監理委員会が行政改革の面に役立つ、こういうことよくわかるわけです。だから反対じゃないのです、賛成しておる、しかし、これほどの臨時行政調査会の改革意見すらなかなか実現できないのに、行管に付置される行政監理委員会が行政改革について効果をあげ得るだろうかという憂いを持たざるを得ないわけですね。こういう基本的な問題が当然各省庁の意見を通して総括的に言えることばだと思うのですね。この点についてひとつ解明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/97
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098・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) お述べになりましたことは、まことに重大な核心をついた問題でございいます。行政機構の改革なり通常の改革は、申すまでもなく、わが日本の国だけでなくて、世界じゅうで、また歴史的に前後を通してみましてなかなかうまくいかない、皮肉な人は、官僚のいろいろな法則などをこれから演繹して導き出したりして皮肉っておりまするが、やはり機構の縮小、権限の縮小というようなものは、官僚機構は洋の東西を問わず、歴史の古今を問わず、これにいろんな形で反抗をしてくるということをまずやっておるわけでございます。したがいまして、行政機構改革、運営改革はなかなかむずかしい、わが国でもそういう経過を戦後も深刻にたどった結果臨時行政調査会ができた、二年有半にわたり綿密な検討の結果、総論十六項目にわたる答申を出してもらったということになるわけですが、これを具体化するという段になりますと、まことに御指摘のとおりで、機構が縮小し権限が縮小するような問題については、なかなか賛成をしない、これはしかし、官僚がしないだけではありませんで、関係ある国会の諸先生も、まだ非公式ではございまするが、そうした官僚の態度に同調をされる方が少なくないという状態でございます。したがいまして、これは政府としてもとよりしっかりしたイニシアチブをとって断固改革をやるという姿勢をとることが一番でございます。これは答申を受けました池田内閣においても、現在の佐藤内閣においても、その趣旨をはっきり鮮明をいたしておるわけでございます。そうしてその具体化を、行政改革本部を通してやろうということでございまするが、しかし、いつもこのことでありまする機構の整理縮小等についても、これになかなか端的に賛成をいたしかねるという空気は、やはり牢固としてあるわけであります。これを政府として、あるいは当面の行政管理庁として、しっかりくずしていかなければならぬということであるわけでございますが、そうした政府自体の決意と努力に、やはりこれを支援、推進をしてもらうものがあることがまことに望ましいのであります。
この行政監理委員会は、そういう意味でこれを設置しようとし、したがって、適格なる方々を両議院の承認を得て任命をし、力強く、そうした障害のある厳然たる事実を承知の上で、行政機構の改革なり運営の改善の推進の役目をひとつ果たしてもらう。これにおんぶをしてわれわれが楽をしようという趣旨では毛頭ございません。われわれは政府として、行政管理庁として、十分の決意と努力を持ってやるのでございますが、これにさらに推進の役をするものとして行政監理委員会を設けたい。これはまあ見ようによっては臨時行政調査会の延長とも言える機能もあるわけであります。
〔委員長退席、理事下村定君着席〕
臨調答申というものを実現する意味での推進役を強力にやってもらう。もとより主体性は、政府、行政管理庁等にあります。これは一生懸命やることは当然であるが、その推進の役をここにひとつ期待をしよう、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/98
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099・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ御説明があったわけですけれども、これは見方によると、臨時行政調査会というのは、ああいう大規模で各面にわたって広範な機構についての意見を出しておる、これはいい悪いは別としてなかなかすぐには実現できない面もあると、そういうことで、それはある意味においては臨時行政調査会、あまりにも大きな、大規模なものであったから、行管の中にひとつそれを縮小したような、できる面からひとつ行政改革をやっていこうということで、それで行政監理委員会を設置して、あまり大きな、たとえば行管と総理府本府のそれと統合する、そういうことはちょっと手がつけかねるから、できる問題からやろうと、そういうねらいもあって、まず臨時行政調査会を、先ほどの延長の面もあるとおっしゃったのは、そういう意味も、ある意味からすると解釈することができると思いますが、そういう意味はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/99
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100・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) そういう意味はありません。全体的な、基本的な問題はやりにくいから、まあ比較的軽微な問題をやるために、その推進役の行政監理委員会を設けようという趣旨はございません。しかし、もとより臨調と同じものではございませんから、包括的に、さらにまた行政機構改革なり運営改善を包括的にここで審議してもらうということではないのですが、しかし、基本的なものをはずす意味はありませんから、たとえば内閣府をいよいよ実現して、その中に現在の官房をさらに何と申しまするか、機構改善をし、総務庁を置くという問題についても、われわれが政府あるいは行政改革本部という立場で検討をする際に、やはりその推進という基本的な問題についても推進の役をやり、ここに期待をしたい。もとよりそういう大きいものであれば、ここに必ずたてまえとしてかけるわけでありますから、その推進役を期待したい。なるべく簡単な手っとり早いものをやる、その推進役をこの行政監理委員会に期待をしようという趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/100
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101・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして、本日のところは私の質問は終わっておきたいと思いますが、最後にお伺いしたいのは、私は前向きの姿勢で質問を申し上げておるのであって、行管に行政監理委員会を付置すると、そういうことが大きな障害になるなどとは考えていない。ただ管理権はないわけですからね。臨調すらなかなか尊重されない。試みに統計数字をあげてみたのですが、臨時行政調査会の改革意見に対する各省庁の意見は、賛成、反対、要検討と、この三段階になっていますね。その要検討、よく内容を詳細に当たってみると、反対の意味で要検討というのが非常に多いのですね。だからある意味からいうと、要検討というのは賛成には入れがたいわけです。むしろ賛否どちらに入れるかというと、反対のほうに入る向きが多いわけです。
〔理事下村定君退席、委員長着席〕
そこで、先ほど来申し上げてきた臨調の改革意見に対する各省庁の意見、これは前の池田総理も、これを引き継いだ佐藤総理も、あくまでも尊重する、そういう基本的な態度でもってきているわけですが、先ほども御指摘申し上げたように、さて各省庁の具体的な問題になると、大部分が反対もしくは要検討だ。たとえばある省の、あえて省の名前を申し上げませんが、私は一つ二つの例を言うと、一つの省は三十四件の意見を受けておって、そのうち四つが賛成です。十が反対、あとの二十が要検討。この要検討の二十をさらに吟味してみると、ほとんど反対しておるのですね。そのうたったことには趣旨はいいけれども、これはこういう意味で反対せざるを得ない。したがって、賛否どちらかに入れるかというと、反対のほうに近いわけです。ということになると、三十四の意見の中で四だけが賛成で、三十は反対とまで言えるわけですよ。各省庁みなそれぞれ改革意見の量は違いますけれども、ほとんどその割合で反対もしくは反対の意味を含めた要検討が圧倒的に多いということははっきり言えると思う。ということになると、どうも納得がいきかねるわけですね。これが逆ならば一ある程度の反対ということは当然あり得ると思うのです。それからさらに検討を要するという問題も出てくる。賛成が三十四のうちわずかに四だけしかないわけですよ、一つの例ですけれども。こういう事態が各省庁にも当てはまるわけです。そこで、どうもこの行管に行政監理委員会をつくっても、どうも意味がない。管理権はないし、意見を出しても、おそらくいい意見が出ると思う、改革意見が。出されても、それは無視されてしまったのでは、臨調のこの例からそういうことが言えるわけですから、そういう辺に大きな問題があるのではないか。
そういうことで、行管に監理委員会をつくることに反対はしていませんけれども、どうも意味がないように受けとめられるわけですね、臨調の例からして。こういう点をひとつ納得できるように御説明いただかないと、どうも了解に苦しむだけで、この点を何とかひとつ理解させていただきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/101
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102・増原恵吉
○国務大臣(増原恵吉君) 臨調の答申については、たいへん伊藤委員は御検討をいただいて感謝のほかありませんが、各省の出してまいりました意見というものは、これはそのままでよろしいというふうにまだなっておるわけではございません。各省が、改革意見に賛成というものは、そのままでよろしいということになると思いますが、検討を要するというようなものは、もとよりこれから改革本部で検討いたしまして、臨調の答申がそのまま実行できないとすれば、どこが実行できないかということをしっかり詰めて、これを実行するかしないかをきめるわけでございます。反対と申しておるものでも、これをそのまま取り上げる意思は持っておらないわけでございます。各省の省として見ておる見地からの反対を、政府全体として、一応は改革本部というところで取り上げて検討をして、その反対意見がもっともであれば、これを取り上げるという形でございます。そういうことで臨調の答申が、いま非常に多く無視され、じゅうりんされておるということには、まだ決してなっておらないわけでございます。しかし、傾向は御指摘のとおりでございまして、まことにこれは行政管理庁長官の私から見て、非常に残念しごくな徴候を示していることは、これは間違いございません。しかし、これはまあある意味では行政機構の改革なり運営改善の当然当面すべき障害であるともいえるわけでございまして、これは政府、特にその中で機構改善、改革を受け持つ部分が政府全体の支援のもとに、さらに国会の強い支援を受けて突破をしていかなきゃいかぬというふうに考えるわけでございます。さらにこれはまあ臨調でもその点は非常に意識的に積極的に心がけられたのですが、この機構改善、改革というようなものは国民の声としての支援を必要とするということで、その手続も金とひまを相当つぎ込んで終結をされたわけです。そういうことも私どもはやはり十分心がけて、将来そうしたながなかにむずかしく強い障害を打ち破っていくために努力をしなければならない、その一つのやはり推進役としてはこうした行政監理委員会をつくり、これに期待をいたしたい。むずかしいことはまことに御指摘のとおり、いまの傾向も御指摘のとおりでございまするが、それをしかし打破していく努力をぜひやりたい、そのためのひとつ有力なるやはり推進の機関として行政監理委員会というものを期待をいたしたい、こういうように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/102
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103・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X01919650422/103
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