1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十三日(木曜日)
午前十一時四十四分開会
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
久保 等君 占部 秀男君
五月十三日
辞任 補欠選任
山本伊三郎君 光村 甚助君
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出席者は左のとおり。
委員長 柴田 栄君
理 事
栗原 祐幸君
下村 定君
伊藤 顕道君
委 員
源田 実君
塩見 俊二君
林田 正治君
三木與吉郎君
村山 道雄君
森部 隆輔君
八木 一郎君
占部 秀男君
光村 甚助君
鬼木 勝利君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
総理府総務副長
官 古屋 亨君
総理府恩給局長 増子 正宏君
宮内庁次長 瓜生 順良君
皇室経済主管 並木 四郎君
大蔵政務次官 鍋島 直紹君
大蔵大臣官房長 村上孝太郎君
日本専売公社監
理官 半田 剛君
大蔵省関税局長 佐々木庸一君
運輸政務次官 大久保武雄君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 深草 克巳君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
大蔵省主計局給
与課長 秋吉 良雄君
大蔵省国有財産
局臨時貴金属処
理部長 向井 正文君
国税庁次長 喜田村健三君
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本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○昭和四十年度における旧令による共済組合等か
らの年金受給者のための特例措置法等の規定に
よる年金の額に改定に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○昭和四十年度における公共企業体職員等共済組
合法に規定する共済組合が支給する年金の額の
改定に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/0
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず委員の異動について御報告いたします。
昨十二日、久保等君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。
また本日、山本伊三郎君が委員を辞任され、光村甚助君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/1
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002・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。政府側からは、増子恩給局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、本法案に関連の二、三問題について質問申し上げたいと思います。時間の関係もございますから、恩給局長に前もって要望申し上げておきますが、誠意を持ってひとつ要点を重点的に簡明にお答えいただきたい、あらかじめお願い申し上げておきます。
さて、最初にお伺いしたいのは、この前に、日・満・日と日・満のケースについては、ほぼ解決しておりますけれども、満・日の問題については、まだ解決の糸口はついておりませんので、前回も強く要望申し上げましたように、ひとつこの問題とは真剣に取り組んで、近い将来必ず解決できる、また解決しなければならない、こういうひとつ心組みで真剣に取り組んでいただきたい、こういうことを重ねて要望申し上げて、そうして次の抑留期間及び留用期間の通算について二、三お伺いしたいと思います。御承知のように、満州国あるいは満鉄、満州電電等の職員で、終戦時にソ連とか、あるいは中共地区に抑留または留用されたものが相当数おるわけです。これらの方々は、これは戦犯は別個といたしまして、いずれも職務のために抑留されたものであり、あるいは留用されたものであり、本人には何らの責任はないわけです。国家の犠牲となって朔北の異郷に、長い方は十年も、いわゆる虜囚の辛苦をなめさせられた気の毒な方々であるわけです。そこで、ソ連、中共側では、これらの者を関東軍の軍属であると、あるいは軍事業務を担当した者の扱いをして拉致、留用したと、これが現実の姿であるわけです。ために心身を消耗し、引き揚げ後活動にも耐えないで、あるいはまた、就職口もふさがれて老後の生活に困窮しておる、こういう気の毒な方々、なおまた、抑留中に病没した方々もあるし、行方不明の方もある。これらの抑留期間が在職期間として通算されていないのが現状です。これはいかなる理由によってこういう不均衡、そうして不合理がい家だにそのままになっておるのか、こういう理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/3
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004・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 外国に終戦後抑留されておりました場合の期間につきましては、恩給公務員、すなわち文官なりあるいは旧軍人等につきましては、その期間中当然その身分を、公務員としての身分を持っていたということで、在職期間に入るわけでございますけれども、御指摘の、外国政府職員もしくはこれに準ずる特殊法人なり特殊機関の職員として留用なり抑留された場合のことを考えますと、その期間におきましてはすでに前の外国政府なりあるいは特殊法人の職員としての身分も失われておるというふうに考えておるわけでございます。すなわち、身分等の面におきましては、一般の民間の方々同様というふうに考えられますので、そういった立場において抑留なり留用されておりました人との均衡を考えますと、やはり現行法のように通算の適用外におくということのほうがまあいわば適当であるといいますか、妥当であるという考え方で今日に至っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今日までは一般として扱ってきたという御見解でございますけれども、満州国、満鉄等、満州電電も含めて満鉄等、このものについては国家機関に準ずべきものである。もしくは国家そのものである。国家機関そのものである。こういうことについては、ずいぶん当委員会で私から説明を繰り返してきたものです。そういう確認に立つならば、従来はそういう一般者と同様に扱ってきたとしても、今日までは……、今後はひとつ、そういう認識の上に立って、満州国、満鉄等については、国家の代行機関である。あるいは国家機関そのものであるという、そういう認識の上に立って、今後はひとつ新たな認識でこういう問題を早急に解決すべきではないか、こういうことを強く要望したいわけです。と申しますのは、これに比べて、あるいは朝鮮あるいは樺太等の在勤された官吏、軍人、軍属、こういう方が抑留された場合は、内地に上陸の日まで在職期間として通算されておるわけですね。恩給とか、あるいは共済年金、あるいは一時退職金についても、通算措置が講ぜられておるわけです。しかも軍人については、今回の改正法案で、抑留期間一ヵ月について一ヵ月の加算、こういうことまでが認められようとしておるわけです。もし法案が通れば、一ヵ月がさらに一ヵ月の加算ということにもなるわけです。こういうことをあわせ考えた場合、国家公務員とその本質において変わりがないと、こういう認識の上に立つならば、満洲国官吏、満鉄等の職員が、当然この抑留あるいは留用期間を通算してしかるべきだ、こういうことをはっきりと言えると思うのです。こういう朝鮮、樺太等のこういう者と比較して、あまりにも不均衡、あまりにも不合理ではなかろうか、こういうふうに断定せざるを得ないわけです。この点をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/5
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006・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 従来の考え方につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、なるほど御指摘のような角度から考えますと、いろいろと御意見がございますことは、私どもも承知をいたしておるわけでございます。その意味におき冒して、従来検討しておったのでございますが、今回の改正案に載っておりますいわゆる抑留期間の加算の問題は、御指摘のように、ただいま御審議をいただいておるわけでございますが、この問題等の関係もございますので、御意見もありますから、今後引き続きこの問題につきましては、検討を進めたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 満洲国とか、あるいは満鉄等の通算を認めた根本の趣旨は、その形式にとらわれないで、実質的に国家機関の職員であって、公務員と同様に取り扱うのが、実情に即した合理的な措置である、こういう理由に基づくものであったと思う。そうだとすると、たとえばシベリアに抑留された場合についても、ただ単に、単純な形式的な解釈ではなくして、いわゆる事態の実質を見きわめた上で、この抑留期間は日本公務員の在職とみなすのが適当ではないか、こういうことが言えると思うのですね、こういう観点からも、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/7
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008・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) この通算問題についての基本的な考え方につきましての先生の御意見は、しばしば承っておりますので承知をいたしておりますが、私どもの考え方は必らずしも先生の考え方と一致していないということも、すでに何べんも申し上げたところでございますので、御理解いただいておると存じます。したがいまして、ただいまの点でございますが、満州国なり、あるいは満鉄等の職員の在職期間が、公務員と全く同じように扱うべきであるから通算をしたのだということには、必らずしも私ども考えていないわけでございます。そういう点もちろんありますけれども、そのほかに、それが後に国家公務員になったとか、あるいはそういう外国等に行く前に日本の国家公務員であったという、その国家公務員、あるいは恩給公務員のその自身関係、それに非常に重点を置いておるというふうに私ども考えるわけでございます。したがいまして、抑留期間、留用期間が公務員としての在職期間と全く同じように見るべきだという御意見でございますと、その後国に帰ってきましてから、公務員になろうと、なるまいと無関係どいう御意見もあるいは出てくるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、その留用期間が国家公務員と同視すべきであるということではなくして、その後国家公務員になったと、そして相当の年齢になるけれども、恩給もつかない、したがって、退職もなかなか困難であるというような事態を何らかの意味で救済しようという観点から、在満時代の在職期間もある程度通算するという措置がとられたものと理解しておるわけでございます。そういうことでございますので、単に在職期間の評価を、それは公務員と同視すべきであるということばかりではなく、そういう点も重要ではありますけれども、それのみで通算という結論にはならないというふうに私ども考えるわけでございます。しかし、いずれにしましても、一つの政策的な配慮としまして、先生の御主張のようにやるべきであるという御意見、これは私ども御意見として全く無視すべきであるというふうな、そういう考えは毛頭持っていないわけでございます。御意見として私ども十分敬意を表しておりますし、したがいまして、従来もそうでございますが、今後におきましてもいろいろな角度から検討いたしたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そのことにも関連して、三十八年の六月二十日の当委員会で、その当時の徳安総務長官は、私の質問に対してこう言っておられるわけです。法律的な形式解釈でなく、政治的に真剣に取り上げて善処いたしたい、善処すると、こういうことをこの委員会の場で約束されておるわけです。それから数えた二ヵ年経過しておるわけです。そこで、総務長官はお見えになりませんので後ほど伺いたいと思いますが、副長官お見えになっておりますから、ここで約束された、真剣に取り上げて善処すると言われたのですから、その二ヵ年の間どのように真剣に取り組まれたのか、具体的にこれを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/9
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010・古屋亨
○政府委員(古屋亨君) ただいま伊藤先生のお話でございますが、実は、御承知のように、昨年の四月に私ども恩給問題審議室というものを恩給局内につくりまして、こういう問題、抑留の問題、あるいはベースアップの問題等をずっと検討しておったのでございます。ただ、昨年の四月にそういうものを設置いたしましてからでございますので、先般もお話し申し上げましたように、非常にいろいろな政策的な見地からも、検討しなければならない問題点が非常に多いことは御承知のとおりでございます。実は、昨年の四月一日に恩給問題審議室ができましてからは、いろいろの問題がありますが、大体ベースアップの問題を一番中心に検討しておりまして、それが大体去年の十月から十一月ごろまでにその問題を中心にしてやっておりまして、審議室はいまもずっと政令によりまして活動を続けております。一応このベースアップの問題がお認め願えて法案があれいたしますと、私どもはそういうような先生のお話しのありました抑留の点も含めまして検討してまいりたいと存じております。実は、何をしておったかというお話でございますが、非常にいろいろの問題、抑留の問題、その他たくさんございます。附帯決議で御指摘になっているような点も多々ございます。ただ、実際面におきましてそれをやらなかったのではなくて、時間的にベースアップの問題をとりあえず中心に検討しておりましたために、なおそういう問題の検討がおくれているわけでございまして、この点、私ども非常に遺憾に思っておりますが、この法案を御通過させていただきますと同時に、その他の問題につきまして十分検討を続けてまいりまして、なるべく早い機会に結論を下しまして、そういう点についての政府としての考え方、政策的な考えるべき問題について取りまとめたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その御答弁はきわめて不満足です。もちろん、ベースアップの問題と真剣に取り組んでおられた。ベースアップもきわめて大事な要素でありますから、これは異論のないところです。より一そう真剣に取り組んでいただきたいと思う。ところが、総理府にはこういう担当の専門家がたくさんそろっておるわけですから、そのための総理府ですから、こういうものと並行して当然真剣に取り組まなければならないと思うのです。しかも、総務長官は、国会の場で約束されておるわけです、真剣に取り組むということを。しかも、それから二ヵ年もたっているわけです。二ヵ年たって、まだ何ら具体化さないということについては、これはもう怠慢のそしりは免れないと思うのです。ベースアップ、ベースアップと、べースアップだけで取り組んだら、ほかのことは一切できないということじゃないと思う。並行してやるべきだと思うのです。そのことについては、きわめて遺憾の意を表さざるを得ないわけです。
そこで、さらにお伺いしますのは、この抑留期間について、いま要点申し上げたわけですが、さらに留用についても同じことが言えると思うのです。満鉄あるいは電電等の優秀な特殊技術者、あるいは業務上専門知識を持った方あるいは長期経験者、こういういわゆるエキスパートと言われるような方々は、終戦後も、長い方は、おそらく十年以上おったと思いますが、あるいはソ連に、あるいは中共等に、これは戦勝国の一方的な強制によって、本人の意思にかかわらず、ソ連あるいは中共の一方的な強制によって留用された者がおったわけです。しかも、そのために帰国はおくれる。当然の結果として就職の機会も失しわれる。こういう方々についても、この留用期間は、外地抑留者と全く同様に、日本公務員の在職年数と見なして通算すべきではなかろうか。こういうことが実現された場合、はじめて不公平、不均衡というものが是正されることになろうかと思う。こういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/11
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012・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 御指摘の留用の問題につきましても、私どもといたしましても同様に考えてよろしいのではないかというふうに、一応考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この留用とか抑留者については三十八年の第四十三国会、そして昨年の第四十六国会の当委員会で、全会一致で附帯決議がなされていると思う。これはもう検討の余地はないと思うのです。国会の場で全会一致で附帯決議があげられたことについては、政府はこれを最大限の努力をもって解決する、実現する義務があろうと思うのです。しかも、この附帯決議については、三十八年から見ると、もう二年たっておるわけです。いずれもこの問題についてはいまだ解決を見ないということは、全く遺憾にたえないわけです。これをひとつ早期実現してしかるべきだと思いますが、恩給局長は恩給局長としての立場から、また、総理府としての立場から、それぞれ今後の取り組まれようとする熱意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/13
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014・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 附帯決議の内容でございますが、御承知のように、恩給関係につきましては非常に問題がたくさんございまして、改正案を御審議いただきますつど、附帯決議でそれらの事項を取り上げられているわけでございます。今日まで、恩給局といたしましては、それらの事項につきましては最大限の努力をいたしてまいっているわけでございます。御承知いただけますように、最近におきます改正案の内容は、ほぼ従前の附帯決議で取り上げられている事項でございます。そういう意味におきまして、実現の努力をいたしているのでございますけれども、いろいろな事情、私どもの力の足らざるところ等ございまして、必ずしも全部が全部実現を見ていませんことは、まことに申しわけない次第でございます。今後におきましても、附帯決議の御趣旨を十分尊重して、その実現に努力するということは変わりございませんので、その点特に御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/14
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015・古屋亨
○政府委員(古屋亨君) ただいま恩給局長からお話しになりましたとおりでございまして、私どもも総務長官のもとに、ただいま恩給局長が御説明申し上げましたことにつきましては、前向きの姿勢をもちまして、附帯決議の指摘になりました事項につきまして、一そう勉強させていただきまして、いまのお話しのような点の検討を進めてまいりたいと思っておりますので、御了承を願う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この留用とか抑留期間については、時間の関係がありますので、言及したい点がたくさんあるのですけれども、結局、抑留も留用についても同様、いままで申し上げてきたようなよってきたるゆえんもあるわけでありますので、一段と前向きの姿勢でひとつ取り組んでいただきたいということを強く要望して、この項を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/16
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017・光村甚助
○光村甚助君 関連。重複するかもしれませんが、ちょっとお聞きしておきたいのは、満鉄とか電電なんかに勤めた人は、在職期間中のやつは恩給に加算されましたね、去年ですか。そうすると、今度の、いま問題になっているのは、抑留になった場合には、そこで職員の身分が切れたからそれは加算しない、こういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/17
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018・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 満州国政府その他のいわゆる特殊法人、特殊機関等の在職期間の通算につきましては、昭和二十年の八月八日まで在職した者という法律の規定になっておりますので、その後につきましては、もちろん通算の対象にはなっていないわけでございます。ただいま問題になっておりますのは、その後の期間において、特に外国に抑留あるいは留用されておった期間、何年か抑留されて、そうして日本に帰ってきた、その期間を公務員としての期間に通算するという問題でございまして、それは先ほど申し上げましたように、現在では通算の対象にはされていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/18
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019・光村甚助
○光村甚助君 軍人はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/19
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020・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 軍人の場合には、終戦によりまして直ちに軍人の身分を失ったという取り扱いになっておりませんで、したがって、外国に抑留されております場合も、まだ軍人の身分を持っている。そうして内地に帰ってきたときに、初めてそこで復員ということで軍人の身分を失うという取り扱いになっておりますので、そういう意味で、海外におりました期間は軍人としての在職期間になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/20
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021・光村甚助
○光村甚助君 そうなれば、これは理屈の問題ですよ。軍人は認めるのだ、しかし、日本には軍部というものはもうなくなっているはずなんですね。片方は抑留されても身分を失ったからだめだ、軍人のほうはまだ身分が残っているというのは、それはあなたのほうの解釈次第で、抑留されたのはだれの責任なんですか。その本人がかってに抑留されたのですか。日本政府が戦争に負けたから抑留されたんじゃないですか、どうなんです。これはあなたのほうのえてかってな解釈じゃないかと私は思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/21
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022・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) ただいま申し上げましたのは軍人ということで申し上げたので、今日は軍は解体しておるというお話しでございますが、文官の場合もやはり同様でございます。すなわち、恩給公務員としての身分がつながっておるというのがこれは従来の扱い方でございます。つまり恩給法としては本来のやり方として今日に至っているわけでございます。ただし、御指摘の外国政府職員等につきましては、実は従来からここでも御論議いただいているわけでございますが、本来的に恩給法の対象ではなかった職員でございます。もともと恩給法はその限りにおいては適用のない、いわば民間の方と同じような状態にあった方のことでございまして、それをどの程度恩給法の中で取り扱っていくかという問題でございます。それにはいろいろな程度があろうかと思います。すべて今日までのやり方におきましては、先生が不合理だというふうにおっしゃった点が、実は従来の扱いとしては、何といいますか、適当ということで今日に至っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/22
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023・光村甚助
○光村甚助君 関連質問だからあまりやらない、そしていままでこれはやられたことだとは思うのです。しかし、これはだれが聞いても納得できませんね。抑留されたとたんに身分を失うのだから、これは加算しないのだということは、これは一つのへ理屈ですよ。だから伊藤委員からも言われましたように、これはもっとやはり研究していただいて、なるべくそういう人たちを救済する措置を講じなければ、仕事をしておった期間はかわいそうだから見てやったのだ、しかし、これは公務員じゃないのだけれど、政府の国策会社だったから公務員に準じて認めてやったのだ。それなら抑留された場合でも引き続いているのですから、満鉄職員、電電職員であったがために抑留されたのでしょう、だから、それならもう一歩やはり進めてこれは見てやるのが当然じゃないかと、私はここで初めて聞いて、しろうと考えでもそう思いますよ。だから、その点は関連質問ですからあまりしつこく言いませんが、もう少し前向きの姿勢で検討していただくように私から要望して、関連質問ですからこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは公務死ですね、公務死した者の遺族に対する扶助料の支給について一、二お尋ねしますが、満州国という実体が日本国と一体のものであったことについては、先ほども申し上げたように、当委員会でしばしば繰り返してきたわけですが、その官吏で建国途上において、あるいは反乱、討伐、ソ連参戦、そういうことで敵弾に倒れたその遺族をいまだ何の処遇もせずほうったままにしておくということは、これは大きな片手落ちではなかろうかと思うのです。このことについてはどのように検討されておるのか、ひとつその経緯を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/24
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025・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) この問題も従来からいろいろ論議され、あるいは私どもとしましても検討しておる問題でございますが、現在までのところは、なるほど実態におきまして非常に同情申し上げるべき点があるわけでございますが、何ぶんにも御本人が恩給公務員でございませんので、その方がなくなりました場合の遺族も恩給法上の遺族として扱う根拠がないということで、恩給法上の措置としては、ただいま御指摘のように適用がございません。今後におきましても、これを恩給法上の公務扶助料とすべきやいなや、これは相当にやはり問題ではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほども抑留、留用について光村委員からもさらに御指摘があったように、軍人についてはそういう有利な解釈をしている、それに私どもは反対しているんじゃない。これはけっこうだと思う、だからそれとの均衡上ぜひ抑留、留用についても通算すべきである、こういう趣旨で申し上げているわけです。しかも軍人については一ヵ月がさらに一ヵ月、倍になるわけですね。一年が二年に加算される、法案が通ると。そういう加算を軍人は認められようとしているわけです。こういうことからあわせ考えた場合、いま恩給局長からは、いわゆる恩給法の改正によってやることは非常に困難だという意味の御指摘であったわけですけれども、こういうことをあわせ考えた場合、恩給法の改正によって、旧関東軍の軍属並みの処遇をしてしかるべきだと思うのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/26
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027・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 御意見ごもっともな点もあるわけでございますが、まあ満州国官吏の場合は、もう本来満州国富史というものを日本国官吏と同じにして恩給公務員にしてしまえば先生の御意見のとおりのわけでございます。しかし、それでは、満州国政府はそれでよしとして、それでは満鉄はどうかというようなことでだんだんとその点を、線を引くことはむずかしくなりまして、満州で何らかの国の仕事、あるいは国策に関係のある仕事をしておった人は、全部もう恩給公務員として扱うということであれば、まあ一つのそれは形であろうかと思います。しかしながら、恩給法の措置としまして、そこまで拡張することにつきましては、私どもとしましては、どうも賛成申し上げかねるということでございます。と申しますのは、国内におきましても、やはり同じような問題があるわけでございます。たとえば毎回申し上げることでございますけれども、府県の事務吏員でございますとか、市町村の事務吏員、なお特に国の場合におきましても、官吏だけが恩給法の対象になっておりまして、いわゆる雇い等につきましては何年役所につとめましても恩給法の対象になっていなかったということでございます。そういう点も考えますと、恩給法というものをもう初めから全く考え直すのでなければ平仄は合わぬということになるのじゃなかろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御説明を承っていると、恩給局長は、外国政府職員であるから恩給法の適用はできない、こういう意味の御指摘であったわけですけれども、この点については、三十六年以来、日本と満州国の双方で足がかりを有する者は通算するというたてまえに踏み切ってもらっている。満州国を不完全ながら認めた現時点においては、こういう最も悲惨な戦死者の、しかも遺族ということをあわせ考えた場合、当然に考慮してしかるべきだと思います。そこで過去を責めているという意味でなく、ひとつこういう認識に立って今後前向きの姿勢で取り組んでしかるべきだと思うのですが、この点については大事な問題であるので、総務長官もお見えになりましたので、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/28
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029・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 伊藤先生の御質問のお気持ちはよくわかるのでございますが、しかし、何ぶんにも先般の太平洋戦争が非常にひどかっただけに、また関係する範囲も各方面にわたっております。したがって、たとえばいまお話の恩給につきましても、どれだけ適用するか、どれだけ拡張するか、こういうような問題につきましてもなかなかむずかしい問題がありまして、従来恩給という点になりますると、非常に厳格に規定をしていたようでありまして、まあいまでも、軍人であっても営外層住というようなことのために、常識から考えると適用してあげなければ気の毒だと思われるような実情の人でも、これも適用されないというような現在の状況で、そこでできるだけそういうようなことを解釈運用でできることは広げていくということでやりつつあるようでありますが、その不備を援護法等でひとつ補っていくと、こういうことでやっているわけでありまして、したがいまして、いまの問題にいたしましても、お説のように、そちらのほうだけ広げてそれでいいかというと、さらにそれが関連して、それじゃ内地にもそういう例があるじゃないかとか、いろいろの問題に広がってくるわけでございますので、なかなかこれを直ちにということはむずかしかろうと思いますが、しかし、日本の経済が、また財政が次第にそれを許すに従って、できるだけあたたかい気持ちで適用をということでやっておるわけでございますが、直ちに御意見どおりということも、いま恩給局長の答えましたように、困難ではないかと、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この恩給法の改正がどうしてもできないという仮定に立つならば、一つの方法があるわけです。援護法を改正して救済する方法も一応考えられるわけです。これは所管は厚生大臣でありますけれども、この問題に関係するので、総務長官としてはこの問題をどういうふうにお考えになるか、このことをひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/30
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031・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 私はいま、そういう恩給で救えないところは援護法でということで、そういう趣旨でやっておりますが、何ぶんにも援護法のほうは厚生省の所管でございまして、厚生大臣に関係することでございますから、私のほうでこれをとやかく言うと、どうも権限のほうの関係もありまして、なかなかお役所というところは、そういうところがむずかしいようでございますので、私からは、御遠慮申し上げておきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私からも指摘したいのですが、当然援護法ということになると、これは厚生省の所管だということは、前提に申し上げたわけです。
そこで、具体的に、こうするああするということは差し出がましくなるわけです。ただ、そういう問題を総務長官の立場でどのようにお考えになるか、こういう意味で承ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/32
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033・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 先刻申し上げましたように、事情によって非常に気の毒であるが、しかし、恩給法の適用は受けられないという面につきましては、援護法でいろいろ救済の道を講じておるわけでございまして、しかし、まあこれがはたして、いまお説のような問題が、その法を改正すべきであるかどうか、こういうことにつきましては、私からは申し上げられないということを考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、定額の恩給権を得て日本から満州に渡った方々の通算について、こういう問題について一、二お伺いいたしますが、満州国は建国の直後から、日本から多数の青年の官吏を招聘しておるわけです。その送り出し側であった日本の各省庁においては、恩給年限に達している者を優先的に選考して渡満させておった、これが現実の姿であったわけです。そういうことから、こういう事情から、そういう方々が戦後日本に引き揚げてきた年齢の関係で、公務員として再就職もなかなか困難である。たまたまできた方もありますけれども、大部分は再就職の道を失ってしまった、結局ふなれな職を求めて苦労を重ねてきた、こういう実情が考えられるわけです。ところが、昭和三十六年に恩給法の改正があって通算が認められた。しかし、恩給既得権者として当然これは除外されたわけです。約三十年前の日本退職時のこの恩給額というものはきわめて少ない額であったわけです。たとえば私の調べによると、元巡査級で年額三万、各省庁の属官級で五万から六万の程度であったわけです。いまの物価指数とかその実情から、年額三万ではこれは何ら生活の足しにならぬということはこれは常識で、容易に判断できるところであろうと思う。総務長官としては、この実態を一体どういうふうに見られるか、そのお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/34
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035・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) この問題はまあ常識的にばかりはいかぬ法律的な関係もあるようでございますので、局長のほうからその間事情をひとつ直接御説明をいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/35
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036・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 満州国あるいはその他の特殊法人等の在職期間の通算の問題は、先生の御指摘のとおりになっておるわけでございます。すなわち、日本の公務員であって満州へ渡りました場合に、このときすでに恩給年限に達しておる者、すなわち文官でいいますれば、今日は十七年ということになっておりますが、十七年以上日本で公務員をやっておった、そして満州に渡ったという場合には、帰ってまいりましても、その満州在満時代の在職期間は通算しないというのが、これは実は昭和十八年の法改正で通算問題が入りましたときからの条件でございます。その条件を戦後におきましては、その趣旨を含みまして、いわゆる昭和三十六年の改正ということになったのでございまして、したがいまして、その条件は昭和十八年の法律の内容と同様にいたしておるということでございます。この点は伊藤先生が問題だとして御指摘になるのはまことにごもっともでございます。従来から伺っております考え方からいたしますと、当然の結論であろうかと存じます。同時に私どもといたしまして、これを通算の中に入れるということにつきましては、再々申し上げているような意味におきまして、従来の条件と全く違ったものにいたすわけでございますから、その取り扱いにつきましては、にわかに肯定的な結論を得ない次第でございます。内容的に申し上げますと、実はすでに恩給権が発生して、恩給をもらって満州に渡りました場合には、満州においては日本の恩給をもらいつつ、満州国政府なり、あるいは満鉄から別に俸給はもらっておったわけでございます。したがいまして、その恩給をもらっておった期間をさらにあとになって在職期間に入れるということは、やはりちょっと問題であろうというふうに思われるわけでございます。もちろんその間にもらっておった恩給は全部返すから在職期間に通算してくれ、こういう考え方ももちろんあろかと思います。しかし、今日まではその扱いをしていないのでございます。
それからなおもう一つ、警察官とか、あるいは属官等でやめて満州国に渡った人が、そのやめた当時の恩給は年額三万なり五万程度で、まことに少額であるということを仰せられたのでありますが、それはまさに、そういうことがあると存じます。しかしそれは、実は満州に行かなかった人の場合でも同様の問題でございます。その当時やめられた方の恩給というものは、今日から見ますと、いろいろ差異があるわけでございます。で、これの扱いにつきましては、すなわち三万、五万円では少ないという問題は、過去にやめた人の恩給額の増額の問題ということになるわけでございます。これもしばしば申し上げておりますように、いわゆる既裁定恩給年額の増額改訂の問題としまして、できるだけ実情に即したように引き上げてまいりたいというのが、私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは日本国の満州国における治外法権の撤廃、それから満鉄付属地の行政権の移譲、こういう実施によって、本人の意思ではなくして、付属地の地方事務所の職員や、あるいは警察官吏、税務官吏、満州国の中にある日本領事館の職員ですね、こういう方々は、いやおうなしに満州国に身分を転換させられたわけです、本人の意思のいかんにかかわらず。ここに問題があろうと思う。本人の意思ではない。結局その当時の国策に即応させられたという結果、こういうことになった。もしこれらの人々が、こういう行政権の移譲によって、こういう強制的な身分の転換がなかったならばどうだったかということになると、これは時間の関係で、詳しい資料はございますけれども、一々申し上げませんが、大体私の計算によれば、約三倍の恩給になっておるはずだと、こういうことをあわせ考えた場合、しかもこういう該当者は、一平均年齢でもう六十六歳である。しかもこの方々は年々欠けておるわけです。数はだんだん少なくなっている。こういうことを、額をあわせ考えて、せめて満州国に実際に勤務した期間だけくらいは通算してしかるべきじゃないか、従来はこういうことは何ら考慮されていなかったわけですけれども。そこで今後の問題として、ひとっこれも前向きの姿勢で、真剣にひとつ取り組んでいただいて、十分真剣に検討すべき課題であろうと思うので、このことに対する総務長官のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/37
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038・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) お説のように、恩給につきましては、いろいろその後経済の変動等から見ましても、現在の日本の国情から見てもそぐわない面もやはり見受けられる面があるようでございますので、それらにつきましては、やはりできるだけ実情に沿うようにこれを順次、一ぺんにというわけにはいきませんけれども、順次直していくということが望ましいことだと考えます。いまお説の問題なども、やはりそういう点につきましては検討を要することだと考えますので、ひとつ今後政府におきましても十分検討させていただきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次の問題としてですね、除隊軍人から採用したれの通算について、こういう問題をお伺いしたいと思うのですが、これは日本から派遣された職員についてはこれはもう通算されておるので、この際申し上げる必要もないのですが、ただ、除隊後ですね、満州国の官吏とかあるいは満鉄等の職員に採用された者があるわけです。ところが、日・満とか、日・満・日の問題については解決しておるわけですけれども、これらの方々については、たとえ十七年以上勤務しておった場合でもこれは通算から除外されておると、このような差別待遇は撤廃してしかるべきだと思うのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/39
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040・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) この問題は、実は先生がかねてから御主張の、通算ということのまあ根本的な考え方につながる問題があるわけでございます。すなわち、日本の公務員期間とそれから満州等における在職期間を通算いたしますのは、日本の公務員をやめて向こうに行くことについては、上司の指導とかあるいは奨励といいますか、説得とか、やはりそういった関係、特に人事管理上のそういった関係があったことをまあ要件にいたしておるわけでございます。そこで、満州に兵隊としておった人が、特に現役が満期になったとか、あるいは召集が現地で解除になったという場合、そうしてその方が満鉄等に入ったという場合は、実はこの通算の要件であります満州国の職員となるため公務員を退職したという、なるためという条件には該当しないというふうに考えておるわけでございます。すなわち、現地で除隊になったと、その結果まあ満州で何かやはり仕事をしなきゃならぬという意味で満鉄に入った、あるいは満州国に採用されたというのは、いわゆる人事管理上の要請といいますか、そういう形ではなくして、まあ本人の偶発的といいますか、偶然的な事情でまあ満州関係で就職されたということでございますので、この通算の要件を満たしていないというふうに従来から運用いたしておるわけでございます。したがいまして、先生の御主張をもしいれるといたしますと、この何々となるためという条件を撤廃いたしまして、ともかく日本の公務員であった者が、どういう事情であろうと、一年後であろうと、何年中をおきましょうとも、結局は満州国で就職したという場合には、前の日本の公務員期間とそれからあとの満州国の在職期間を通算するということにするということになるわけでございます。そういたしますと、この通算の問題は、考え方としても根本的に従来とは違ってくるわけでございます。もちろん先住の御主張のように、そういうふうに従来の考え方と、全くもう改めるのだということであれば、それは一つの考え方であろうかと存じます。私どもとしましては、昭和三十六年の外国政府職員等の通算の場合、それからその後の累次の改正につきましても、すべてこれは昭和十八年の改正の際に恩給法に入っておりましたあの外国政府職員の通算の規定、改正前の恩給法で、八十二条ノ二という条文でございますが、この条文の趣旨、これを戦後においてまあ救済という形で取り上げたというふうに承知いたしておるわけでございます。したがいまして、従来のいわば伝統的といいますか、そういった考え方によってこの通算措置を考えておるわけでございます。先生の御主張の点は、まあそういう従来の行きがかりやいきさつは全部御破算にして、全く新しい形でこの通算問題を考えるべしというお考え方であろうとまあ私ども理解するわけでございます。そういうふうに改めることにつきましては、従来からしばしば申し上げておりますように、今日まではそうした結論に達していないのでございます。したがいまして、結論を申し上げますと、ただいま御指摘の点、これは今後引き続き問題としてやはり真剣に研究しなければならぬことであるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/40
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041・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日本の恩給法でも文武官の通算が原則となっておるわけですね。こういうたてまえからも、日本軍人期間と満州国官吏あるいは満鉄等職員の期間を通算しても、どうも不合理はないと思うんです。
で、この問題については、いま恩給局長からも今後ひとつ課題として検討したいということでありますが、どうですか、総務長官、この問題も一つの重要な課題として前向きな姿勢で、誠意を持って取り組むと、こういう決意の表明があってしかるべきだと思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/41
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042・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) その問題につきましてもひとつ検討を十分いたしてみたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/42
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043・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後にお伺いしたいのは、終戦時まで在職した者に限って通算するという条件があるわけですね。こういう条件はひとつ撤廃してしかるべきじゃないか。この改正法では終戦時まで在職した者でなければ通算しないという条件がついておるわけです。そのために日・満を合算すれば十七年以上になる者でも終戦前に死亡した者、政府もしくは会社の都合で国策会社あるいは日本の省庁等に転出した人たちは通算から除外されておるわけです。これもきわめて不合理であり、不均衡であろうと思うんです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/43
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044・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) ただいまの点もいままで御指摘になった問題と問題の性質としては同様のものと考えるわけでございます。要するに、現在の法律で通算されます場合には無条件ではございませんでして、いろいろ条件があるわけでございます。先ほどの満州国等に行く前にすでに日本で恩給法年限に達していない場合には通算しないだとか、あるいは日本の公務員をやめる際に、満州国政府の職員等になるためにこちらを退職した者だという条件がなければならないというようなこと、同様に終戦時まで在職したことということが現行法の実は通算の条件になっているわけでございますが、先生の御意見ではこれらの条件は一切撤廃すべしということになるわけでございます。したがいまして、昭和三十六年に始まりましたこの種の改正につきまして根本的に見直すということになるわけでございます。したがいまして、いままで申し上げてきたことと同様の内容を御回答として申し上げることになるわけでございますが、繰り返しますと、非常に重要な問題でございますので、今後とも十分検討いたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうも終戦の時点を押えて制限しなければならない理由が私にはよくわからないんです。昭和十八年改正の恩給法で、さっき御指摘があったかもしれませんが、第八十二条ノ二の場合においても、文武官吏が外地で二年以上在職すればいつ復帰してもよいということになっておったと思うんですが、そこで察するに、政府の真意とするところは、この条件を撤廃すべきとは思う、思うけれども、該当人員がどうも多いので、うっかりこれを通してしまうと容易ではないということに考えが及んでおるんじゃなかろうかと思うんだ。そうだとすれば、人数の多いということをおそれておるというなら、一定の条件をつければいいと思うわけです。たとえば終戦前何年以内に政府または会社の命令で転職したもの、たとえばですよ。そういう制限をつけて、そして通算してやれば筋が通ると思うのです。そうすると、政府が心配しておるであろう該当人員の多い問題は解決するわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/45
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046・増子正宏
○政府委員(増子正宏君) 私どもとしましては、ものの考え方の点でございますから、該当人員が多いか少ないかということは、いわば二義的のことになろうかと存じます。この終戦時までと限りましたのは、要するに、満州国政府にいたしましても、その他の特殊法人、特殊機関にいたしましても、ソ連参戦後における満州の混乱した状態においては、そういった機関は事実上消滅し、崩壊してしまったという考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、その後の期間在職しておったということは考えにくいということではないかと私ども考えておるわけでございます。したがって、この期間を延ばすということは、先ほどお話しになりました抑留期間や留用期間ということとも関連してくるわけでございます。この点は、したがいまして、通算ということの根本的な内容についての考え方、それをどうきめるかということにつながる問題でございます。したがいまして、もう一度申し上げますけれども、非常に重要な問題として、私ども今後とも検討させていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、時間の関係もございますから、最後に強く要望申し上げて、私の本法案に対する質問を終わりたいと思うのです。
以上、もろもろの角度からお伺いしてきたわけですけれども、これらの点については、第四十六国会の当委員会で全会一致で附帯決議がなされた、そういう事情があるわけですから、こういう事情をよくかみしめていただいて、今後前向きの姿勢で、誠意を持ってひとつ早急に立法化そうという、そういう心がまえで取り組んでいただきたいということを重ねて強く要望申し上げておきたいと思うのです。総務長官のこのことに対するひとつ決意のほどをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/47
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048・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) いろいろ御熱心に御審議、御討議いただきました点、また、御決議にあるような点につきましても、慎重にひとつ検討いたすようにいたしたいと思います。ただ、事務的にはいま恩給局長の申し上げたようなわけでございますが、波及するところが非常にいろいろ多いとか、財政上の理由でというようなことで、これがなかなか思うようにいかぬ場合もあるわけでございます。しかし、まあ筋の通った点につきましては、先刻申し上げましたように是正すべきものは至急改める、こういうのが本来かと考えますので、十分ひとつ御趣旨に沿って検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/48
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049・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/49
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050・栗原祐幸
○栗原祐幸君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法律案に賛成をいたします。
しかしながら、恩給の改善につきましては、委員会の審査においても明らかになりましたように、本改正をもってもなお不十分な点が認められますので、次の附帯決議を付することといたしたいと存じます。なお、この附帯決議案は、自由民主党、社会党、公明党各党の共同提案にかかるものでありまするが、便宜私からその趣旨を御説明申し上げます。
まず、附帯決議案を朗読いたします。
恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は
一、本改正による恩給増額の三年に亘る段階的措置を、速かに短縮すること。
二、生活水準の向上、物価の上昇並びに現職公務員の給与に即応して、恩給年額を引上げること。
三、残された文武間等の不均衡是正、未処遇の解決及び傷病恩給の改善等の措置を講ずること。
四、外国政府、外国特殊法人職員の恩給最短年限をこえる在職年の通算等の早期実現を図ること。
以上の問題について、速かに検討の上、善処するよう要望する。
右決議する。
この附帯決議案の第一点は、今回の改訂による恩給年額の増額は、本年十月から年齢別により三年間にわたる年次計画によって処理されることになっておりまするが、この期間は長きに失すると思うのであります。特に六十歳未満の者については、三年近くも本改正の恩恵に沿しないことと相なっておりまするが、でき得る限りこの期間を短縮するよう要望するものであります。
第二点は、いわゆる恩給年額のスライド制の問題であります。最近における国民生活水準の向上と物価の上昇に伴い、現職公務員の給与の増額が毎年行なわれているのにもかかわらず、恩給年額についてはその引き上げがこれに伴わないで、常に不利な立場に置かれておるのでありまして、この点については当内閣委員会におきましてもたびたび附帯決議を行ない、政府に対してその善処方を要望しておるのでありまするが、いまだに根本的な対策が立てられておりませんので、この際、重ねて政府の善処方を要望するものであります。
第三の点は、これまた従来からたびたび附帯決議等において政府にその解決を要望してまいったにもかかわらず、いまだに取り残されている問題についてであります。すなわち、仮定俸給並びに一時恩給受給資格年限等における文武間の不均衡是正、特例扶助料の支給範囲の拡大、傷病恩給における裁定基準の是正、傷病年金受給者の妻以外の者に対する家族加給の支給、及び第三項症以下の傷病恩給受給者に対する特別加給の新設、外国政府、外国特殊法人職員等の恩給最短年限を越える在職年の通算等の諸懸案について政府がすみやかに善処するよう要望するものであります。
以上が附帯決議案の趣旨でございます。
以上をもちまして私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/50
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051・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙者を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/51
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052・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました栗原君提出の附帯決議案を議題といたします。栗原君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/52
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053・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって栗原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
臼井総務長官から附帯決議に関して発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/53
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054・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、なかなか困難な問題を含んでいるかと存じますが、御趣旨に沿いまして、十分検討をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/54
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055・柴田栄
○委員長(柴田栄君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。
ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/55
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056・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記起こして。
午前の審査はこの程度にとどめ、午後は一時四十分再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後一時四十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/56
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057・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を再開いたします。
皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
政府側からは臼井総務長官、瓜生宮内庁次長、並木皇室経済主官が出席しております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしますが、まずお伺いしたいのは、総務長官に対してこういう質問を申し上げたい。昨年の九月臨時行政調査会が行政改革に関する意見を答申しておるわけです。そこで、各省庁がそれぞれみなこれに意見を出しておるわけです。そこで、総務長官としての立場から、この臨調の行政改革に関する意見に対する総理府の意見を、基本的な表現で、ひとつ基本的な考え方をひとつお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/58
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059・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 臨調の答申に基づきまして、現在行政管理庁を中心にいたしまして行政改革本部をつくりました。そこで、まあこの臨調の答申に基づく行政改革の答申の中で、できるだけ早くできる問題とそれからまた、相当準備なり調査なりをさらにしてやる問題と、こういうようなことにいろいろ検討をいたしました。そこで、いま申し上げた行政改革本部で、現在どういう問題を実行に移すべきか、こういうことを大体八月ごろまでにそこで検討いたしまして、そうして、それぞれ至急にやり得ること、また、やるべきことについては実行に移そう、と申しますのは、ちょうど四十一年度の予算のそろそろ内容検討という準備に入るのが八月ごろであります。そこで、まあそれに合わせて検討をして、ひとつ各方面にわたって実行に逐次移せるようにしようということで、目下本部において検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、臨調のこの意見に対する総理府としての御意見はいかがかと、基本的な考え方をお伺いしたいということでありますので、個々の問題にはまだ触れていないわけです。そこで臨調の意見は、これは尊重するたてまえで取り組もうとするのか、そうではなくて、まず検討してみて、尊重するか尊重しないか検討の結果そういう態度をきめようとするのか、これはだいぶ違ってくると思うのです、その取り組む態度が。その基本的な気がまえのほどをお聞かせ願いたいと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/60
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061・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 臨調の答申につきましては、これを政府として尊重して実行に逐次移していきたい、こういう基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これはいま言うまでもなく、臨調がかつてない大きな規模でしかも長期間を要して慎重審議を重ねてきたわけです。そうしてその検討の結果に基づいて昨年九月、当時の内閣総理大臣である池田さんに答申しておるわけです。これを受けとめた池田内閣そうしてこれを引き継いだ佐藤内閣もこの答申は尊重するという基本態度を堅持して今日にきておるわけです。ところが、いま総理府についてのお考えを聞いたところ、いま委員会で検討中だということですが、これは答申をされたのは昨年の九月です。そこで現在までもうすでに八ヵ月たっておる。この臨調の改革意見に対して、各省庁の意見は総理府を除いてはみな出ておるわけです。総理府だけがまだ臨調の意見に対する意見が出されていない、こういう結果である。ところが、総理府というのは国の各省庁の行政機関の統合調整をする立場にあろうと思うのです。国政の統合調整の府が総理府である。こういう解釈は当然成り立つと思う。もし、そうであるならば、統合調整する立場にある総理府が各省庁に率先して、この前の池田内閣が、そうしてこれを引き継いだ佐藤内閣が基本的に尊重するというたてまえで取り組んでおるわけですから、総理府だけがいまだこの意見が出ていないというのは解しかねるわけです。したがって、ほかが出ておるのに、率先してまず出すべき総理府が出てないということは怠慢のそしりを免れないと思うのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/62
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063・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 総理府はまあその一番トップが総理でございまして、私は、総務のほうの長官ということでございますが、そこであの改革案に基づきますと、相当広範囲、大規模な改革案も含まれておりまして、まあ総理府の権限を拡大して、また、行政管理庁もむしろこの中に含めるぐらいにして、そうして内閣府と、こういうようなものにしたらどうだというような意見等もありますので、したがって、なかなか検討を要する向きがありますので、たとえば青少年問題に対するいろいろばらばらの行政を青少年局をつくってこれを総合調整したらということで一応考えたのですが、これもさらにもう一度答申に基づいて調整官を置いてやったらよかろうと、こういうような意見等のためにそれも見合わせました。そうしてこれも八月までをめどとして行政改革本部において検討いたして、いま申し上げたような総理府自体の大きな全体的な改革といいますか、改組といいますか、それとあわせてやっていきたい。調整官につきましてはひとり青少年問題ばかりじゃございません。そういうふうに慎重にいろいろいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/63
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064・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで大体総理府のお考えはわかりましたから、具体的な問題を二つだけお伺いしたいのです。
まずその一つは、内閣に内閣府を置くことと臨調が勧告しておるわけですね。これは内容は御承知のように「内閣府の設置」という、そういう項目のもとに「内閣府の機関に所属する職員の人事権は、すべて内閣府の長としての内閣総理大臣にあるものとし、必要の限度に応じて内閣府の国務大臣を長とする行政機関の長に委任するものとする。」こういう意見が出ておるわけです。この改革意見に対する総務長官のお考えはどうかと、こういうことをお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/64
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065・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) お説のとおりでありまして、人事権につきましては、今度のILOの批准とともに総理府に人事局ができるのでございますが、しかし、これは大幅の権限はございませんで、大体人事院に従来どおりあります。ただ、各省庁部内における人事権につきましてはその長に委任をする、こういう形をとろうと、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/65
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066・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/66
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067・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/67
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068・伊藤顕道
○伊藤顕道君 続いて宮内庁にお伺いしますが、まずお伺いしたいのは、天皇の国事行為についてです。昨年の通常国会で国事代行法案が成立いたしましたので、天皇の外遊につきましての道が開けたわけです。その後、天皇の御来賓を希望する国々もあろうかと思うのですが、そこでこのことに関連してお伺いいたしますが、どうような国から御希望があるのかという点が一つ。それから現在のところ、天皇御自身は外遊についての御希望があるのかどうかという点。それからまた、天皇外遊については宮内庁の考えは一体どうなのか。この三つの点をあわせてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/68
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069・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 例の国事臨時代行法ができましてから、その後、日本の天皇陛下においでいただきたいということを特に申し出ている国はいまのところございませんです。
それから第二の点でありますが、天皇陛下のお気持ちはどうかということでございますが、この点は、まあほんとうに適当な機会があって必要があればおいでになろうという気持ちだと思いますけれども、その程度にわれわれは察しております。
それから第三の宮内庁としてはということでございまするが、宮内庁といたしましては、まあ皇室に関する国家事務を所管する役所としてそのこともわれわれの仕事の一つでございまするが、このほんとうに適当な機会においでになるということが必要であるというようなこと、そういう事態がありますれば、それに対する準備をいたしたいと思っておりまするけれども、現在のところはまだそういうようなことの予定されるものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/69
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070・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大正十年であったと思いますが、陛下は皇太子時代に、六ヵ月の御予定でイギリス等をはじめとしてヨーロッパ諸国を訪問されたことがあったと思うのです。そこで、今度ここに国事代行法が昨年成立したわけですから、先ほども申し上げたような天皇外遊の道が開かれたということですが、今後天皇外遊という問題について問題となるのはやはり時期の問題だと思う。もしありという前提に立てば、どういう時期にということになろうかと思うのです。そこでやはり公務に差しつかえては相ならぬということも一つの考え方になるわけです。そういうことを勘案して外遊についてもさらに考えなければならぬのは、何か目的がなければならぬ、こういうことについて宮内庁としては一体どのようにお考えになっているか、こういう宮内庁としてのお考えをひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/70
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071・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いままで皇太子殿下が天皇陛下の御名代で外国を御訪問になっております。そしてその外国から元首級の方が日本を訪問されて、それに対する答礼というような意味でお出かけになっておりまするが、この法律ができましたからそういうような御名代はお出かけにならないで、天皇陛下御自身がおいでになるように考えるかということでございますが、そういうふうには考えていなのでありまして、外国からの訪問される数も非常に多くあります。一々天皇陛下がお出かけになるのもなかなかたいへんでございます。ところがまた、皇太子殿下がおいでになる国と天皇陛下がおいでになる国ができますことは、よほど考えないと、それは適当なことであるというふうに考えられる場合はよろしいのでございますけれども、よく考えないと差別待遇になってもいけないということもございます。そういうようなことで元首の訪問のありましたところの答礼にお出かけになるのは、まず従来のなさり方の線に沿って皇太子殿下が大体おいでになるというふうに考えております。しかし、天皇陛下がおいでになるのがきわめて妥当であるというような判断ができるような場合でありますると、陛下がお出かけになることも考えられると思いますが、そういう適当な時期というものがあればどういうことで考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/71
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072・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしまするのは、これは昨年当委員会でも問題にされたわけですが、昨年たしか三月ごろであったと思いますが、アメリカの有力婦人雑誌マッコールズ三月号が、美智子妃殿下の現状を特集された記事が衆参内閣委員会でいろいろと論議された。そこでいまこの問題を私は問題にしようというのでは毛頭ないわけです。そういうことではなくして、この問題を当時宇佐美宮内庁長官が釈明されているわけですね、この問題について。そこでこのことに関連してお伺いするわけですが、現在の状況はその釈明のとおりに配慮されているのかどうかという問題がある、その釈明というのは、次長も御存じのように、そのときの長官の答弁の一節にはこういうお話があったわけです。結婚以来一ぺんにいろいろな物事をやられたのでお疲れになったと思う、もっとゆっくりとやっていただくべきだった、こういうような意味の釈明があったわけです。その後そのような配慮がなされているのかどうかという点をまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/72
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073・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) そういうような点、特に御結婚以来外国を御訪問になるような機会が引き続いて相当期間、二回なり相当ありましたのですが、そういうことなんかも一つの例でありまするが、御健康のことも考えましてこの御旅行にお出かけになる時期、それからその回数等についてもあまりひんぱんにならないようにというふうな点は考慮されております。昨年ですと、春、メキシコに、それから年暮れにタイ国においでになるというふうに三国の訪問をしておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/73
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074・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最近の健康状態はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/74
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075・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 最近はいっときのこの前の異常妊娠がありましてその後健康を害しておられました。その当時から比較するとずっと回復されまして、お元気に明るく暮らしておられるわけでありまして、すでに御承知かと思いまするが、御懐妊のきざしもありまするが、順調に進んでおられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/75
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076・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後にお伺いしたいのは、そのことに関連して、常陸宮妃についても民間の御出身であるので、同じような配慮がなされていると思うのです。この点についてお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/76
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077・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 常陸宮妃殿下につきましても、あまり御無理な御負担のかからないようにという点は考えております。で、その他の秩父、高松、三笠の宮家に対するよりはよけい常陸宮家に対してはいろいろなほうからぜひ来ていただきたいという方が相当あるわけであります。それもあまり御無理にならないように、ある程度のところでお出かになっております。それでも相当お出かけになっておりまするけれども、非常にお元気でございますので、御健康はきわめてすぐれておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/77
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078・光村甚助
○光村甚助君 関連。いま伊藤委員からお話しになりましたが、少しことば足らずかもしれませんが、昔なら不敬罪になることばかもしれませんが、官内庁がひっぱり回すのじゃないですか。前に話が戻りますけれども、美智子妃が病気になられたのなんか、一年に四回か五回外国に行かれましたね。そのあげくが異常妊娠だったのでしょう。人の気も知らずに、ついて回る人はいいかもしれませんけれども、これは宮内庁自体が反省しなければいけない。ああいう高い地位におられる人は、おれは疲れているからいやだということは言えない。それを無理やりに今度どこに来たから、どこから案内が来たから行きましょうといってああすることが、実際われわれから考えても、宮内庁のやり方には納得できない点があるのですよ。だから相当これは気をつけなければ非常に私たち本人に対して気の毒だと思いますね。そういう例が、いまもあなたのおっしゃるように、常陸宮家にもたくさん来ておられる。それは日本国民の感情として、来ていただきたいという国民の感情はわかりますよ。わかるのですけれども、要望があったからといってむやみやたらに引きずり回したり、常陸宮家に対してもそういう問題ができますので、これはよほど宮内庁の人たちは考えてもらいたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/78
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079・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いまおっしゃいますような点は、過去を振り返って見て、もう少し考えなくちゃならなかった点があったんではないかということは、皇太子妃殿下の場合に関連して考えております。つい、いろいろなおりにぜひ来ていただきたいといわれると、それにほだされていろいろ皇太子殿下、妃殿下、お二人に御相談をしますと、まあ行こうとおっしゃいますし、また、そういうようなことでやってきたということであります。今後はより一そう御健康のことも十分考えて慎重にやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/79
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080・光村甚助
○光村甚助君 常陸宮さまは、学校は卒業されたんですか。まだ在学中なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/80
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081・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 常陸宮さまは、学習院大学はもう数年前に御卒業になって、それから東大の動物学研究室に研究員として研究にお出になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/81
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082・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/82
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083・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記をつけて。
ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/83
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084・伊藤顕道
○伊藤顕道君 総務長官、中座されたので一時中断しましたが、引き続いてお伺いします。
そこで次にお伺いしたいのは、内閣府に付置する機関の一つとして宮内庁があげられておるわけです。臨調の改革意見で。そこでお伺いしたいのは、この改革意見に対する総理府としてのまず基本的なお考えをお聞かせいただきたい。
なお、前回の当委員会で、このことに対する宮内庁としての御意見を伺ったわけです。宮内庁の御意見としては、内閣府の機関として付置されること、それから宮内庁が行なう一般行政事務について、総務庁の長の監督を受けること、このことについては特段の意見がないという、これは正式な公文で出ておる内容ですが、で、ここでまずお伺いしたいのは、この臨調の改革意見に対する総理府のお考え。二つにはこの臨調の改革意見に対する宮内庁の意見、これに対する総理府の御意見。それから三つとしてお伺いしたいのは、総務庁というのは、言うまでもなく、総理府と行政管理庁を統合して総務庁にしようとする、これも臨調の改革意見です。この三つの点に対して、それぞれお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/84
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085・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 先刻のお話でございますが、なお申し上げますと、各局のほうからはいろいろ行革、臨調に対する意見に対してのまた意見も出てきております。それを現在検討中でございますのは、まあ何といっても総理府だけの考え方でもまいらぬ点があることは、やはり内閣との関係がございまして、それのためにまあ検討中でございますが、なるべく早くまとめてこれを出したいと思っております。それから宮内庁につきましては、いまの御質問のような内容の意見書が総理府のほうに出ております。そこでまあ宮内庁を外局とするものにつきましては御異議がないようでありますから、そういうふうにすることになると思います。ただ、人事権を宮内庁長官のほうに渡してくれというような、そういう御希望もあるようでございまして、これらの点につきましても、よくひとつ検討を要すべき問題であると存じますが、私どもとしては、できるだけまあ御希望に沿ったような方向でいきたいとは考えておりまするけれども、いま申し上げたように、こちらだけで、総理府だけの考えでいかぬ点もありますので……。
それからもう一つは何でしたっけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/85
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086・伊藤顕道
○伊藤顕道君 臨調の改革意見に対する宮内庁の意見が前回聞かされたわけです。それに対する総務長官としてのお考え。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/86
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087・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) それもやはり他の局と同じように、意見の出ている中であわせて検討中でございまして、まだ全部の結論が出ておりません。たとえばあの答申の中には、恩給局は厚生省に移せとか、そういうことに対してもその局から意見も出てきていますし、あるいは特連局を自治省に移せというような意見もあるようであります。これらにつきましても、たとえば沖縄なら沖縄というものが施政権はこちらになし、内地の県と同じというわけでもなし、かといって純然たる外国ではないと、こういうようなことで、やはり総理府に置くほうが適当ではないか、こういうような意見等々が集まってきておりまするので、宮内庁の問題につきましてもあわせて十分検討いたしまして、できるだけすみやかに決定したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/87
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088・伊藤顕道
○伊藤顕道君 またお答えが残っておるわけですが、総務庁ですね、総理府と行政管理庁を統合して総務庁とするという、この意見に対する総理府のお考えは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/88
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089・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 行政管理庁を総務庁の中に合わせたらよかろうという臨調の答申でございますが、これなどもやはりそういうふうで、総務庁としてもよかろうかとも思うのでありますが、しかし、行管という重大な職責、所管から言いましての意見もまたあるかと存じますが、できるだけ臨調の線に沿ってこれはやるべきものと、こう考えますので、いろいろの意見は意見として、やはりそれを尊重して、その方向でやっていくのが本旨だと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/89
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090・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それじゃ、ほかの関係もございますから、最後に一点だけ総務長官に御要望申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、先ほども御指摘申し上げたように、総理府というのは各省庁の統合調整の立場にある府であろうと思うんですね。そういう前提に立てば、やはり臨調の行政改革に関する意見に対して各省庁に率先して、やはりその範を示さなければならぬと、そういう立場にあると思う。にもかかわらず、逆に各省庁はみな意見を出しておる。総理府だけが意見を出さぬで検討また検討——私は検討することに反対しているのじゃない。慎重に検討する、たいへんけっこうです、けっこうですけれども、昨年九月臨調の意見が出されて、それからもうすでに八ヵ月経過しておって、まだ一つも具体化しないでいずれも検討中、これも検討中ということでは、せっかく前内閣に臨時行政調査会が設置せられた趣旨にも反するものではなかろうか。こういうことで早急に、慎重に検討されることはたいへんけっこうですから、そうして慎重に検討して、早急にひとつ結論を出されるよう、強く要望申し上げて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/90
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091・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/91
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092・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と慰めます。よって本案は、全会一致をもって厚案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/92
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093・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/93
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094・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、これより質疑に入ります。なお、本案は、お手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりまするので、御了承を願います。
政府側からは、田中大蔵大臣、鍋島大蔵政務次官、村上官房長、佐々木関税局長、向井臨時貴金属処理部長、喜田村国税庁次長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/94
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095・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して大臣を中心に二、三御質問申し上げたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、各省庁にみなお伺いしている問題でございますが、昨年九月臨時行政調査会が行政改革に関する意見を答申しておるわけです。そこでこれに対する大蔵省関係の分について、大蔵省としての基本的な御意見をまず最初に承りたいと思います。個々の問題は、あとでお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/95
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096・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 臨調の答申につきましては、内閣全体といたしましてこれができるものから取り上げて具体化してまいりたいと、こういう基本的な態度でございます。大蔵省といたしましても、大蔵省に関係する分もできるものはやりたいということで、そのまず第一段として、臨時貴金属処理部の廃止をしなさい、こういう線でございますので、今度の大蔵省の設置法の改正案で、貴金属処理部の廃止をお願いをいたしておるわけであります。その他主計の部局とか予算編成の方針とか、これはいろいろございますが、国のためにいいことであればどんどんやりたいと思いますが、どうも大蔵省の機構に関しましては、私は大蔵大臣だという立場で申し上げるのじゃありませんが、予算、決算等の問題を基礎にして考えますと、どうも答申の線そのものをずばりと具体化をするということは、非常に大蔵省の関係としては困難だという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/96
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097・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私お伺いしたいのは、臨調の改革意見に対する大蔵省としてどういう態度で一体臨むのか、たとえば最初から尊重するたてまえでこれを検討して、できることからやっていくのか、尊重するかしないか、内容を見てみなければわからぬから、これから検討してみて、みた結果これを尊重するとかしないとかの態度をあとからきめるのか、その取り組みの心がまえですね、基本的な態度をお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/97
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098・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 内閣といたしましては、臨調の答申はできるだけ基本的に尊重する、こういうたてまえをとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/98
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099・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで二、三具体的な問題についてお伺いしたいと思いますが、これは膨大なものなんでございますので、ほんの一端についてお伺いしたと思います。
まずお伺いしたいのは、経済協力行政に関する改善策が答申されておるわけですね。たとえば経済関係の閣僚審議会の設置、こういう問題が答申に出されておるわけです。これは時間の関係もございますから、大臣から率直に簡単にその理由を言って、そうして反対とか賛成とか保留とか、検討を要するとか、そういうことでお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/99
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100・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 海外経済協力のものはできるだけ外務省に一元化するということでございますが、この経済協力の問題は、通産省及び経済企画庁、外務省等いろいろ問題がございまして、その結果国内問題との緊密な関係もありますので、経済企画庁で所管するという現在の状態になったわけでございますしいますぐこの事務を全部外務省にやれるかということになりますと、国内経済の問題とも関連がございますので、将来の問題は別にいたしまして、現在直ちに外務省に移管することは困難だという見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/100
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101・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大蔵省としては、この審議会の設置には反対をしておるわけですね、結論としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/101
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102・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたとおり、外務省に一元化しようということ自体がまだいま明確に申し上げられないという段階でございますので、審議会そのものに対しても留保といいますか、検討いたしておる、こういう域を出ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/102
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103・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこてこでお伺いいたしますが、「行政機構の統廃合に関する意見」の中で、これは大蔵省そのものに関係した「主計局法規課の整理縮小」、こういう改革意見もありまするし、あるいは「主計局司計課の整理縮小」、それから「主計監査官の廃止」、こういう答申もしてあるわけです。なお、「理財局地方資金課の大幅縮小」、こういう問題を、これを一括してお伺いするわけですが、簡単にその態度をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/103
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104・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) どうも行政機構改革の問題が出ますと、必ず大蔵省、特に予算編成の問題に対して大蔵省が独断に過ぎると、もっとこれは別な組織をとるべきである、内閣に予算局を置けとか、そういう趣旨の考えがいつでも出ますが、よく検討してみると、もうなかなかそういうわけにいかぬということになって実行を見ないわけでございます。いままで、私も大蔵省に参りましてから、相当、ただ大蔵省のセクショナリズム的なものではいかぬということで、みずから大蔵省の部局にいたしましても検討いたしまして、為替局などという時代おくれのものに対しては国際金融局にし、また、管財局を国有財産局と改めていただいたり、国民がよくわかるようにその実態を整備しなければいかぬ、こういう考えでまいったわけでありますが、どうもこの主計官とか——ただ観念的にこうすればいいんだというようなものではないわけであります。やってみますと、主計局の法規保などというものは、これはどうも縮小するよりも拡充しなければいかぬ、こういう状態であります。これはいろんなものを持ってくるわけですから、各省から。それを法規課でもって、これは適法である、適法でない、だめですと、こういう取捨選択をする。全部基本となるものを法規課でやっておるわけです。それを一々法制局に話を聞くといったら、予算などは一年たってもとても、編成できません。これは各省との間の協議で、これが適法かどうか、その間会計検査院の意見を聞きましたり、そういう事実こまかいものを全部日々瞬間で整理しておるわけでございますが、その意味で私は大蔵省の主計局法規課というのは、これはもう縮小するというよりもいまの状態では拡充する必要があるというぐらいでございます。これは主計局自体は全然別なところに持っていってしまうということになれば、全然法規課も要らなくなるということになりますけれども、そうでないということになりますと、どうしても法規課は要るということでございます。
それから主計局の問題でございますが、これは理論的には主計官というような太政官時代からの名前のような、そういうものがやっているからいかぬのだといいますけれども、それは観念論なんです。これは各省の次官でも局長でも、大蔵省に行きまして予算が要りませんから返納しますというような人は一人もおりません。予算をふやす議論ばかりしかしない。こういう諸君が幾ら寄っても、乏しい一定の財源の中で、ある時期までに合理的な、とにかくその時点において最大の合理性を持った予算を組むということは、これは非常にむずかしいことであります。ですから私は、大蔵省の主計局というものが、国を思うのはわれわれだけだというような思い上がった態度があってはなりませんけれども、私たちは世間から非難をされているというような状態に対して、心静かにこの実態を見ますと、世間の批判のほうが当たらない、私は遺憾ながらそう思わざるを得ません。とにかく金はあるだけ使ってしまう、増額をするというような立場の人たちが幾ら寄りましても——予算局を別に内閣につくっても予算などはできるとは思いませんし、私は遺憾ながら主計局の弊害があるならばこれは正していって、現在の大蔵省の中でやっぱり予算を組むならば、主計官、主計局の制度はやはり必要である。また、特にこの問題の根幹をなす予算——歳入歳出というものは一体でなければなりません。歳入とは全然関係なく予算が組まれるということになったらこれはたいへんでございまして、日々の歳入の問題、それから民間と政府資金の出資、こういうものは非常に密接な関係で予算がつくられ、予算が執行されるという状態から考えますと、いまの状態で他の機構に予算編成機構を移すということは、理論の上では成り立ちますが、実際問題としてはむずかしい。こういうことを推し進めますと、臨調の大蔵省に対する答申、要求というものに対しては、縮小、廃止はある意味においてむずかしい。また、できるものに対しては、先ほど申し上げましたように、臨時貴金属処理部の廃止は、これはすなおに廃止をお願いしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/104
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105・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでまだ膨大な具体的な問題がたくさんあるわけですけれども、一括して私のほうからまとめてお伺いしたいと思うのです。「信用金庫の事業免許その他の監督権限は将来都道府県の行政能力充実と見合って知事へ機関委任」、これに対する大蔵省の公文による御意見は反対。それからいわゆる経済協力行政についても大蔵省は反対。「対外経済協力審議会の改組」、この意見に対しても大蔵省は反対。「外務省への新たな任務の付与」、これも大蔵省は反対。なお、いまお伺いした主計局法規課の整理縮小、以下御説明いただいたようなこと、いずれもこれは反対。それから「融資関係事務の整理縮小」、これも反対。「信用金庫にかかる事務の都道府県移譲」、これも大蔵省は反対。「政府関係機関等の運営についての意見」の中で「自律的運営能力をもたない法人」について、この答申についても大蔵省は反対。なお、「予算・会計の改革に関する意見」、これは特に大事な問題ですが、「予算の編成、執行の合理化」のうち「財産運営の基本原則確立のための審議機関設置」、これも大蔵省は反対。「予算執行を変更、停止する権限をもつ監査機関の設置」、この意見に対しても大蔵省は反対。あと反対はほとんど続いておるわけですね。そこで私がお伺いしたいのはこういうことなんです。個々の問題をお伺いするのがねらいじゃないわけです。臨時行政調査会が前池出内閣時代にかつてない大きな規模で、しかも長い期間を要して慎重審議して、その当時の池田内閣はこれを基本的に尊重するたてまえで、また、これを引き継いだ佐藤内閣も臨調の意見は尊重する態度を堅持してきたわけです。ところが、各省庁のこの臨調に対する意見を調べてみると、大蔵省もそうであるように、おのれの省の拡大強化にはみんな賛成しておるわけです。そして縮小、統合廃止、こういうことにはみんな反対しておるわけですね。ことばをかえて言えば、各省庁がみんななわ張り争いを依然としてやっておるわけで、省の拡大にはみんな賛成である。縮小統合にはみんな反対しておる。そうして、大蔵省に限らず——大蔵省はいま申し上げたように反対しておる点がずいぶんあるわけです、まだ申し上げなかったけれども、大部分は反対なんです。ところが、最初大臣の基本的なお考えは、臨調の改革意見に対しては大蔵省はこれを尊重する態度で取り組んでおる、こういう意味の御答弁があったわけですね。ところが、各省庁もみんなそういう意味の御答弁しかないわけなんです。そこで私が特にお伺いしたいのは、それでは旧態依然としてなわ張り争いを各省庁がやっておる間は臨時行政調査会の答申はとうていこれは実現されないであろう、こういうことを考えるわけです。そうだとすると、あれだけの長い期間を、要してかつてない規模で相当の国費を費やして臨時行政調査会を開いても、これは何の意味もないではないか。基本的には尊重するとは言いながら、個々の問題になると非常に問題があるわけですね。非常に意見が多いわけです。反対意見が大部分です。そこで、検討を要するというのも相当ありますけれども、この検討を要するというのを掘り下げてみると、ほとんど反対に近い検討を要するで、賛成はほんの一部、統合拡大された場合に賛成という態度をとっておるわけです。こういうことではせっかくの臨時行政調査会の答申も意味がないではないかということをお伺いしておるわけです。この点に対する大蔵大臣としてのお考えをお開かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/105
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106・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 臨時行政調査会からの答申は基本的に尊重するという政治的には責任を負っておるわけでございます。しかし、膨大なものでございますから、急激に現状を変えるということもできませんので、でき得るものから手をつけよう、こういう閣議の申し合わせでございます。私もそのように考えております。ただ、事大蔵省に関しまして私は大蔵大臣をやっておりますからということではなく、もっとフェアな立場から、大蔵省の機構を廃止するなら廃止してよろしい、こういうたてまえで私は検討したわけでございますが、遺憾ながら、大蔵省に関しましては臨調の答申そのままをいま直ちに実行するということは不可能であるという考え方でございます。これは国民の税金を守っていくためにはいまのような組織、長い伝統の上に立った組織は必要であるということを遺憾ながら考えざるを得ません。それはいろいろな制度をつくって大蔵省だけが——確かに大蔵省は世界的に見ても強い構成によっておりますから、そういう意味でこれをばらばらにしたほうがいいというような意見もありましょうが、やはり憎まれるというところがどこかに必要だ。だれが憎まれ、だれが国民の税金に責任を持ってやるのか、こういうことになりますと、とにかく現在予算の編成でもあれだけ血道をあげてやるわけでございますが、予算を返納するとか縮小するという動きはほとんどないのでございます。みんな使ってしまう。もっと出せ、もっとあるだろう、こういう感じの人、またこういう感じの機構を幾らつくっても私は国民の利益を代表するわけにいかぬ、こういうたてまえで、やはりわれわれも野にありますときには大蔵省を目のかたきにしたものでありますが、行なってみると憎まれる人がちゃんと存在してまあまあ何とか守られているのだなということがよく理解できますので、これは我田引水じゃありません、もっといい機構があるならばそれに移すという誠意はございますが、どうもいますぐこれを抜本的に改善していくということはむずかしいという段階は私の申し上げたとおりでございます。ただ、もっと行政機構、これはとにかく複雑である、複雑でありますから、書類とか法律とか、そういうものからまず簡素化をして——だんだん複雑になってしまって十人の国民に対して十人の警察官とか教職員とか、いろいろな行政をやる人が一対一になってしまう、こうなってはどうにもなりません。ですから、私は行政機構の簡素化は絶対的に必要だということは私自身は十分感じております。去年でも、わずかのベースアップでありますが、これが地方庁だけで地方財政の中で平年度化すれば千八百億になるわけであります。一千億や一千三、三百億の減税をやったって、とにかくちょっとした調整だけで二千億になんなんとする月給がふえる、こういう状態から考えても、うんと行政の簡素化をしなければならぬ、こういう考えでございますので、政府でも臨時行政調査会の答申も十分読みながら一つ一つできてるものから簡素化してまいりたいという基本的な考えでありますので、実効はいますぐはあがりませんが、御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/106
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107・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、提案理由の説明に基づいて二、三お伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは臨時貴金属処理部の廃止についてです。これは説明によりますと、終戦後連合国占領軍によって政府及び民間から接収された貴金属等はどのくらいあったのですか。金とか銀とかダイヤモンド等に分かれておりまから、その概要をごく簡明にひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/107
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108・向井正文
○説明員(向井正文君) 接収された数字が幾らかというお尋ねでございますが、実は私ども接収された数字というものを、正式に占領軍のほうから引き継ぎを受けておりません。私ども承知しておりますのは、占領軍が接収いたしまして、あるいは一部は国内の産業用のために配給する、あるいは一部はこれは日本の戦争中の占領国から持ってきたというので、そちらに返還するとかいういろいろなことがありまして、そのあと日本政府に引き継いでまいりましたその数字からあとが私どもがはっきり承知している数字でございます。金は概略百トン、銀千七百トン、ダイヤモンド十六万一千カラット余り、その他白金、その他若干ずつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/108
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109・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、終戦当時占領軍等によって貴金属類とか貴重な文化財、こういうものが相当数海外へ持ち去られたというようなことを聞いているわけですが、こういう問題について政府としても調査されたのか、一体あるのかないのか、あるとすればどういうことなのか、こういう問題についてお聞かせ願いたい。なるべく御答弁は簡明にひとつ要点だけをおっしゃってください、わからぬものはわからぬでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/109
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110・向井正文
○説明員(向井正文君) 私どもそうした調査をいたしたことがございませんので、ちょっとお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/110
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111・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、この占領軍によって民間から接収されたのは一体どういう形で行なわれたのであるかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/111
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112・向井正文
○説明員(向井正文君) 形という意味がちょっとよくわからないのでございますが、目的でございましょうか、接収の現実のやり方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/112
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113・伊藤顕道
○伊藤顕道君 質問の意味がわかりかねるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/113
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114・向井正文
○説明員(向井正文君) やり方といいますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/114
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115・伊藤顕道
○伊藤顕道君 占領軍によって民間から接収されたわけですね。接収はどういう形で行なわれたものか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/115
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116・向井正文
○説明員(向井正文君) 接収の目的等については必ずしも明確でございませんが、想像いたしますと、あるいは賠償の用に充てるというような目的があったのじゃないかというふうに考えられる面もございます。それから接収されましたのはもう日本政府、政府関係のいろいろな法人、民間の法人、個人あらゆるものを対象にして接収したのでございます。現実問題としましては、当時まだ軍政がしかれる前でございまして、第八軍というものが日本の占領をやっていた当時だと思いますが、直接軍の関係者がそれぞれの出先に参りまして、そこで接収をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/116
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117・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間があまりありませんので、次の問題をお伺いしますが、保険部の新設に関してこれは提案理由にあるわけですが、民間企業では企業年金としての適格退職年金制度を実施するものが多くなってきたようだ、その概要についてお伺いしたいわけですが、さらにこの問題と関連して厚生年金保険法の改正によって調整年金制度が実施されるようになると、先ほどの適格退職年金との関係は一体どうなるのか、これらの年金制度の将来の見通しはどういう方向へいくのか、そして将来は地震保険の創設ということも考えられるのではなかろうかと思うのですが、この地震保険については一体どういうことになっておるのか、一括ごく簡単に要点だけをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/117
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118・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いま大体保険がどんな状態になっておるかということを簡単に申し上げますと、保険の保有契約高は三十八年の数字で申し上げましても、戦前に比して実質価値は生保、損保等合わせて両方とも三倍強に達しておるわけでございます。保険の種類も非常に多様化しておりまして、企業年金保険とか、原子力保険とか、自動車損害賠償責任保険とかいろいろなものがございます。新種保険の数だけで二十三種あるわけであります。損害保険につきましては百五十種類もある、こういうことで非常に多様化しております。しかもこの保険は他の金融機関、銀行局が所管しておりますものと性質は違うために、保険部という独立したところで所管することが最も合理的だ、こういう考え方に立っておるわけであります。地震保険につきましてはようやく審議会の答申もいただきまして、地震保険は非常にむずかしいということで、長いこと懸案になっておりましたが、新潟地震を契機として私も事務当局に検討を命じ、これが実現方をはかってまいりました。まあ、答申もいただきましたのでこれは発足する、こういう考え方でいま進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/118
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119・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは税関関係についてですが、これも提案理由の説明を伺ったわけですが、先ほど指摘申し上げた臨調の答申に対しては、大蔵省は私からも指摘したように、反対が多かったわけですけれども、大体税関の機能強化に関しての臨調の答申に対して、大蔵省側でもおおむね賛意を表しておるわけです。そこで具体的にこの税関に対してどの程度検討されたものか、この税関の機能強化についてですね。この説明によりますと、今回の改正案で税関職員は百四名増加ということになっておるわけですが、それからさらには長崎税関は最近事務量の増加に対応するために鑑査部を設けるということがあげられておるわけです。この程度の定員で労働過重にならないか、こういう問題について一括お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/119
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120・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 具体的な問題につきましては関税局長からお答えいたすことにいたしますが、税関は非常に事務量が膨大になっております。しかし、港湾の施設とかその他の近代化、合理化もあわせて行なわれておりますし、また、税関の検査の方法も科学的方法とか、また設備の近代化、機械化、こういうものも行なって今日に至っております。今回の改正案で百四人の定員を増していただきたいということでありまして、これは必ずしもこれで万全であるという考えではございませんが、荷物のあるところ、ないところというもので、人員の異動とか適正な配置ということも考えておりますので、いまよりもよくなるし、また、実情に合うような税関をつくってまいりたいという基本的な態度で整備をはかっております。しかし、税関の仕事が非常にふえておりますので、急激に機械化するといっても、税関の仕事の特殊性がございますので、そうばかりもいきませんし、人員につきましては最小限の要求という状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/120
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121・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、最近特に悪質なピストルとか麻薬の密輸事件が多く出ておるようですが、当局ではどういうような取り締まりをやっておるのかというようなことと、検挙の概要をごく簡明に御説明いただきたいということ、それから密輸をも含めて違反事件の捜査とかあるいは摘発、こういうことはきわめて困難であるということを承っておるわけですけれども、こういうことの捜査、摘発を困難にしているものは一体どういうことなのか、そしてもしこの対策があるならばどういうことを考えておるのか、こういうことをひとつ簡明にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/121
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122・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 具体的な問題は局長から答弁申し上げますが、なかなかうまくなりまして、摘発は非常にむずかしいということであります。特にこのごろ日本人の中で、そういうのはよろしくないと思いますが、出かけるときからもう靴の底を二重底にしておいてその中にいろいろなものを入れてくる、非常に困ったことでありますが、摘発をされると非常に損をするんですから、おやめなさいということを非常に出るときも要請するんですが、ときどきそういうことがございます。ただ、そんなものよりも問題はピストルの持ち込みとか、麻薬の持ち込みでございます。麻薬は情報がないとなかなか取り締まれないというのが世界的な例でございますが、これはやはり国際警察といいますか、現地に人をやってひとつ国際的に協力をして、国際捜査網といいいますか、そういうものをもっと発達せしめていって、日本もそれに加わっていくというようなこともしなければならないだろうというふうに考えます。このごろ税関に関しましては皆さんが取り締まりが手きびし過ぎて待たせる、持たせることはよろしくないというんですが、悪いことをしなければ待たせることはないんですが、どうもそこが悪循環でございます。ですから、私もできるだけ税関はスムーズに人が、荷物が通れるようにしなさい、こう言っておりますが、日本はそういう意味で取り締まりをしても、取り締まりする価値があるくらいにいろいろな持ち込みがある、こういう特殊性もあるわけでございます。犯罪防止、密輸につきましては重大な関心を持ちまして、新しく近代的な捜査方針も立てて、できるだけ摘発に万全を期しておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/122
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123・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に国税庁関係について、これは提案理由の説明を承ったわけですが、そのことに関連して一点お伺いいたしますが、行政管理庁では直接税を中心とする税務行政の監査を行なっておるわけです。そしておもな問題点については、二月十一日に大蔵大臣に対して改善方の勧告をしておるわけです。この勧告に対する大蔵省側としての所見についてはいかがなのか、このことについて要点だけを簡単にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/123
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124・喜田村健三
○説明員(喜田村健三君) お話の行政管理庁の報告につきまして、国税庁といたしまして十分検討いたしました。その結果、行政管理庁が非常に詳しく御監察なさったために、その監察の内容は国税庁が従来努力、改善いたしております方向と全く軌を一にいたしておりまして、基本的には方向を一にいたしておりまして、われわれといたしましては非常に意を強くした次第でございます。また、今後税務行政の改善の方針として非常に有効なものと考えておりまして、具体的なこまかい問題につきましては、いろいろ今後こうした勧告の趣旨、示唆を十分くみ取りまして、税務行政の適正化の改善に役立てたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/124
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125・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは時間の関係もありますから、最後に一点お伺いいたしますが、今回の改正で税務職員を二百名増加することになっておるわけです。これで税務事務については遺憾なく実施できるのか、また、労働強化になるような心配はないのか、こういうことについての御説明と、さらには、それとあわせて、かつて国税庁では各税務署ごとにその年度の徴税目標を、ノルマのような形で割り当ててこれを強行させたために、零細な事業者の中では無用の摩擦を受けた方があったと聞き及ぶわけです。本年度はいろいろな事情で、説明によりますと、自然増収を多く望めないと予想されると、こういうおりからでもあるので、またこのようなノルマのようなことが強行されると、特に零細な企業などでは非常に容易ならぬ事態になるのではなかろうかということが憂慮されるわけです。こういうことについて大蔵省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/125
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126・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 課税は適正に行なうべきでございまして、ある一定の目標を立てて、その努力目標に合うように徴税強化を行なうというようなことは厳に慎まなければなりませんが、かようなことは過去のことでございます。現在目標を掲げて割り当て徴税を行なうというようなことは内部的にもやっておりません。現に、私からも厳重に注意をいたしておりますので、このような過去のやり方は一切ないということだけは明らかにいたしております。
それから今年度お願いいたしました二百人の国税の職員、これは年度末における欠員が多数ございますが、これとあわせまして、ちょうど一年間税務大学に入れて優秀な税務官吏をつくる、こういうことでございます。また、こういう高い教育をして優秀な税務官吏をつちかうということ自体が国民の納税に便利になるように、徴税強化などという考えではなく、納税者の利便も十分はかれるように高度な税務職員をつくっていくという考えを基本にいたしております。二百名増員していただいた分も税務大学に入れる者でございますから、そのように御理解を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/126
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127・光村甚助
○光村甚助君 大臣の答弁の中から、私は別に反対意見を述べるわけではないのですが、私も下級公務員をやったことがありますから、臨調の言っておる、何でもつぶしてやれ、ただ国民にこびるためにつぶしてやれという意見には賛成はできませんが、ただし、大蔵省が自分のところの権限を広げることに非常にやっきになっていやしないかという点は、そういう点があるのじゃないかと思います。私は二年ほど前に本会議で大臣にも質問したことがありますが、たとえば郵政省が簡易保険の金をだいぶ集めている。それを自分のところで運用したいと言っても、財政投融資は大蔵省が一本でやらなければならないのだと言う。理屈はわかりますが、ある程度こういうものなんかは、郵政省に簡易保険で集めてきた金は権限を委譲するということもできるのですね。そういうことはやらずに、何でも大蔵省でやらなければいけないのだという考え方が私たちには一つは納得できないのです。そういう面で何でも自分のところで、大蔵省でやらなければいけないという考え方、これが私はもう一つわからない。
もう一つの点はさっき税関の話が出ましたが、確かに最近は旅行者が悪くなって密輸をやってけしからぬのもおりますが、善良な者は迷惑します。また、新聞にも出ておるように、税関吏員というものの横柄な態度、新聞にも出ておりますが、私もこれにひっかかったことがあります。国会議員だから目こぼししてくれということは言いませんが、議員だということがわかっていてなにしたのです。しかもこれは外国に行っている人が日本の人に物をたのまれるのです。写真なんかですね。チョコレートなんか、こういう封がしてあったら、私はこれはたのまれ物だと言っても、写真なり、その封を切ってしまう、こういう税官吏もいるのです。確かに悪いやつはどんどんひっくくらなければいけないが、そういう点で税官吏が非常に横柄だということもありますから、税関長は特に注意して、そういうことのないようにしていただきたい。
もう一点は、ここで東京造幣局に次長さんを置かれるというのですが、一体造幣局東京支局というところは何人いるのですか。次長さんをつくってどういう仕事をされようというのですか。この三点についてひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/127
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128・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 大蔵省は何でもやらなければならぬという考えはございません。これは厳に慎まなければなりませんから、そういう基本的な考えはございません。簡保の自主運用とかいう問題、これは私も郵政大臣をやりましたので、大いにそれを強調した立場もございます。現在だんだんそれが拡張されておるということであります。これは資金が潤沢であるかどうかという問題に関係がございますし、資金の統一運用、効率運用というために一本でやろうというようなことから資金運用審議会で意見を聞いてやるようになり、その上に簡保の一部自主運用がだんだんと広げられておるということでありますので、この間の事情はひとつ御了解いただきたいと思います。
第二の税関の問題、これは確かにそのとおりでありまして、どうもむずかしい問題でございますが、特に相手を犯罪人であるというような認定のもとにそういう態度をとる、これは厳に慎まなければならないことでありまして、これからも税関職員に対しての指導を十分やってまいりたいと思います。
第三点の問題は事務的な問題でありますから、事務当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/128
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129・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) いま造幣支局の点について調べておりますが、現在の造幣局の機構は、局長が大阪におりまして、そうしてときどきこちらへ参りまして、東京にも工場がございますので、本省との関係その他工場の管理関係の仕事をいたしております。そういう関係で、東京支局は工場管理の上に理財局その他の本省との関係も非常に忙しいということで、その責任者を一人つくりたい、振りかえでございますけれども。そういう意味で置くわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/129
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130・光村甚助
○光村甚助君 これは支局長がおるわけでしょう、東京には。それにまた次長までつくらなければならないという理由を聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/130
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131・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) その仕事の関係で現在まで支局長が一人でやっておりましたけれども、最近における硬貨の需要その他いろいろの仕事の繁忙をきわめておりますので、そこで支局長の補佐人を一人置きたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/131
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132・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
大蔵省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/132
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133・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/133
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134・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記を起こして。
十分間休憩いたします。
午後三時十分休憩
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午後三時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/134
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135・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 休憩前に引き続き、これより委員会を再開いたします。
昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案、及び、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりまするので、これより質疑に入ります。政府側からは、鍋島大蔵政務次官、半田日本専売公社監理官、秋吉給与課長、深草国鉄部長、中村財政課長、山口日本専売公社職員部長、豊原国鉄常務理事、十河国鉄厚生課長、田中電気通信参事官が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/135
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136・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して、以下二、三の問題についてお伺いをいたします。
まずお伺いしたいのは、共済組合の民主的な運営、こういう課題のもとに一、二お伺いしたいと思いますが、このことについては、第四十六国会の当委員会の附帯決議に、共済組合連合会の役員並びに評議員会の構成について政府はすみやかに善処せられたい、こういう旨が要望されておるわけです。この点に関して、政府はその後いかような措置を講じたのか、この点について具体的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/136
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137・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 共済組合の民主化、特に連合会の民主化につきましては、三十一国会におきましても附帯決議をちょうだいいたしましたし、また、前国会におきましても参議院において附帯決議をちょうだいしたわけであります。この問題につきましては、連合会の、特に共済組合の相互扶助方式にかんがみまして、民主的な運営が行なわれるということは、これは最も望ましいわけでございます。問題は、連合会という、単位組合の連合体であるそういう組織からいたしまして、この民主的な方法がどのように法制上また事務上調整されるかという問題でございますが、私ども、十分この問題につきまして検討いたしたわけでございます。
まず、問題の御指摘は、評議員会に二名の代表をそれぞれ加えたらどうかということが御質疑があったかと思います。これにつきましては、やはり単位共済の連合体でございますから、したがいまして、評議員会につきましては、各組合を代表する者が一人ずつが集って評議員会を構成するというのが、やはりたてまえとして正しいのではないかというふうに考えられたわけでございます。しかしながら、附帯決議の趣旨もございますし、そういった法制上のたてまえを抜きにいたしましても、よりよく、またよりストレートに組合員の意思が反映するような方途が別途な角度からないかというようなことも、私ども検討いたしました。これにつきましては、とにかく各共済組合の運営審議会の主管者割の代表である委員と、それから組合員側の代表である委員と、つまり各共済組合の運営審議会のそれぞれ一名ずつ、つまり二名の方々が御参集いただきまして、たとえて申しますと、共済組合の連合会の事業計画を作成する場合、本年度で具体的に申し上げますと、昭和四十年度の事業計画を三月につくるわけでございますが、その際におきましても、今度の新しい試みといたしまして、特に、何と申しますか、まだ新しいことばではございませんが、連合方式と申しますか、事実上、そういった各共済組合の運営審議会の委員が二名ずつ御参集願って、活発な御議論をいただき、その意向を反映するよう事業計画等も作成したわけでございまして、これにつきましては、三回も会合をいただきまして、鋭意そういった民主的な運営に沿うように努力しているし、今後もそういった考えのもとに検討を続けてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/137
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138・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題については、一部御指摘もございましたが、昨年の三十六国会、六月二十三日の当委員会の議事録をごらんいただくとよくわかるように、詳細にわたって、運営の民主化等をも含めて、各角度から強く要望を申し上げたところなんですが、まだまだ言うべくして民主化が具体的にはいまだしの感もあるわけです、実際の運営が。こういうことをあわせ考えられて、ひとつ早急に文字どおり民主的な運営が遺憾なくなされるようにさらに一段と具体的な面でひとつ努力いただきたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。
そこで引き続いてお伺いいたしますが、次に年金の増額についてお伺いしたいということですが、共済年金の増額は従来恩給の改定に準ずるものとして行なわれてきてあるわけです。今回は新法部分にかかわる年金についても改定が行なわれることになっておって、将来はその新法による共済年金制度が中心になっていくわけでありますので、そこで従来のように恩給の改定に準ずるというような消極的な態度ではなくして、ひとつこういう態度をかなぐり捨てて、共済組合が独自の立場から自主的にイニシアをとっていくように当然いたされるべきだと考えられる。この点に対して政府はどのようにお考えになり、どのように取り組んでおられるか、こういう点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/138
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139・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 御指摘のように、新法年金は昭和三十年に新しい共済組合ができまして、従前の恩給から全く社会保険に脱皮した新法年金制度として発足しておるわけであります。したがいまして、思想的には恩給と新法年金は相当な開きがございます。全く御指摘のとおりでございます。しかしながら、新法年金が発足しましたとはいえ、従前の恩給公務員期間に対応する部分につきましては、恩給の期待権あるいは既得権といいますか、そういったものを尊重するたてまえのもとに、そういった過去の恩給公務員期間につきましては、具体的に申しますというと、三十四年の十月前の期間につきましては、これは恩給制度をそのまま取り入れております、経過的に。そこで好むと好まざるとにかかわらず、そういった恩給公務員期間につきましては恩給制度の計算方式をそのまま採用いたしております関係上、どうしてもその恩給公務員期間の分に対応いたしますものにつきましては恩給に追随せざるを得ないというたてまえになっております。そこで、そのウエートは一体どの程度であるかということでございますが、これは今度の二割アップ、恩給の二割アップに関連いたしますと約九八%、これが恩給公務員期間でございます。九八%でございます。したがいまして、新法年金だけ独自の改定案というわけにもなかなかまいらない。九八%のものが恩給公務員期間でございますから、どうしても恩給に追随せざるを得ないという現段階でございます。しかしながら、仰せのように、将来新法年金はむしろウエートが高くなり、それが中心となるような時代となりました場合には、これは新法年金といたして自主性を持って独自の検討をいたすことは当然でございますが、なお、この新法年金と恩給の調整の問題につきましては、さいわい現在総理府に公務員年金制度連絡協議会という制度がございます。それらの制度を活用いたしまして、十分密接な関連を持って今後ともども検討いたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/139
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140・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、年金のスライド制についてお伺いいたしたいと思うのであります。今回の共済年金の増額に関しては社会保障制度審議会が答申を出しておるわけであります。その一端に、各種の年金に対するスライド制の確立及びこれに伴う負担の関係について各制度を通ずる原則の確立を急ぐべきである、こういう意味の答申がなされておるわけです。そこでこのことに関してお伺いいたしますが、諸外国ではすでに年金のスライド制を実施している国が相当あると見ておるわけですが、そこで、各国の実情をこれは簡明にお願いしたいのですが、このことについて御説明いただきたいということと、このスライド制に関する政府の考え方、スライド制に対しては当局はどのようなお考えを持っておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/140
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141・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 外国の実例でございますが、スライド制は一体何かという点からいろいろ問題になるわけでございますが、ILOで採択しております——一九五二年でございますが、これによりますと、生計費に相当な変動、一般所得水準に相当な変動がある場合に検討を加えるものであるというのがILOの採択基準になっております。したがいまして、制度といいますか、考え方をもちろん日本においても受け入れておりまして、そこで、今度の恩給の改定あるいは年金の改定あるいは厚生等の改定が行なわれておることは御案内のとおりでございます。そこで、かりにスライド制なるものが何かの一つにリンクをいたしまして自動調整的に引き上げをするという意味のスライド制ということにいたしますならば、各国の例を申し上げますと、これも実は諸外国の詳しいデータ等は実はないのでございますが、既存のラフな資料で申し上げたいと思いますが、したがいまして、ちょっとその点は責任ある御答弁はできかねると思いますが、一応私ども手元にあるラフなメモ程度なことで申し上げますと、アメリカにおきましては消費者物価にスライドするということになっております。しかしながら、一定率の開きがあった場合にはそれまで持っていくというような率で多少容認されておるような点がございます。それからフランスの場合は、これはむしろ給与ベースに考え方をとっておるようでございます。それからスエーデンの場合は物価指数、それからデンマークも物価指数じゃないかと思いますが、これもちょっと責任ある答弁じゃございません。その点御承知いただきますが、それからイギリス、西独の場合は、特にそういったスライドは採用しておりません。そのときそのときの実情によって検討するということになっておるのではないかと考えております。これは私どものラフなメモによる外国の実例でございます。
そこで、今後日本政府としてはどういうふうにスライド制を考えるかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、年金の実質価値が下落しないように、それを維持するように適切な配慮をするということは従前もやっておるわけですし、今回御審議をいただいておるとおりでございますが、かりにそれがスライド制が自動調整的なスライドということでありましたならば、この年金の、共済年金、厚生年金、公的年金全体を通ずる問題でございますが、そのリンクする場合の基準がはたして消費者物価がいいか、あるいは生計費がいいか、あるいは給与ベースがいいか、恩給につきましては、在職者公務員ベースについては非常に技術的なむずかしい問題があるというような御指摘もあるようでございますし、また、そういった全体の組み合わせがいいか、いろいろ基準のとり方があろうかと思います。が、しかしながら、共済年金の場合よりかむしろ生活にもっと直接的に密着しておる生活保護のほうがむしろ先にスライドをやるべきじゃないかという議論も起こると思います。それからまた、恩給もございます。それからまた、援護法関係もございます。そういった単に公的年金のみならず、そういった全体の問題のスライドということも当然起こるべき問題だと思います。そこで、その場合に、基準を何に求めましょうか。引き上げる場合に、一体それに伴う各組合員の負担能力がはたしてあるかどうかという問題もございます。それから、恩給とかそれ以外のもの、特に財政負担を伴うようなものにつきましては、はたしてそれに見合うような長期的な財政の見通しがあり得るかどうかというような問題にも当然ぶつかってくると思いますが、そういった、この問題についてはいろいろな角度から問題点が出てまいるかと思いますが、いずれにいたしましても、年金の実質的な価値が下落しないように今後とも適切な配慮を加えるということは当然でございますし、公務員年金制度連絡協議会等において十分検討しなくちゃならぬ問題だと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/141
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142・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、追加費用の負担問題についてお伺いいたしますが、その提案理由の説明を見ますると、新法部分にかかわる共済年金の増額に関する費用については、労、使、国、この三者負担となっておるようですが、この年金の費用については本来賃金部分に属するものである、こういう考え方も成り立つと思うのですね。また、物価の上昇等による貨幣価値の下落というものは政府のとった経済政策のひずみによるものであると考えられる。こういう考え方に立つと、その責任は一にかかって政府にあると言わなければならない。こういう観点に立って、そこでこういうことに考えを及ぼすと、当然に増額に要する費用については全額国庫負担でいくのが当然であると言わなければならないわけでありますが、そういう考え方に対する政府のお考えはどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/142
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143・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 新法年金の引き上げに伴う追加費用は、これはすべて国が負担すべきではないかという御指摘でございますが、新法年金は、御案内のように社会保険に脱皮いたしたわけでございます。そこで、現在の社会保険の根幹でございます厚生年金保険は、やはり過去におきまして、今度の改定を入れまして、六回にわたる累次の改定を行なってきております。その場合に、既裁定年金の引き上げによる追加費用はすべて三者負担の原則で今日まで貫かれているわけでございます。したがいまして、共済年金も社会保険の一環でございます。そこで、社会保険の根幹でございます厚年のスタイルに合わせざるを得ないというたてまえをとらざるを得ないわけでございます。
それから、御指摘の、物価が上がった、それで政府の責任であるという観点に立てば、当然国が持つべきではないかという御指摘でございますが、そういう立場に立てばそういう御議論も出ようかと思いますが、物価が上がり、また、賃金も上がり、それから組合員の負担能力も上がっておるというようなこともございますし、またさらに、共済の場合で申し上げますと、特に共済組合の場合には、過去の、つまり既裁定年金の受給者、そういった過去の組合員の方々から蓄積された種々の保険施設があるわけでございます。そういった保険施設を現在の組合員が均てんを受けているわけでございますし、やはり、過去の組合員のそういったものは現在の組合員が負担し、また、現在の組合員のものは将来の組合員が負担する。そういった縦の社会連帯性ということがやはり社会保険においては基調として要請されるのではないか、かように考えられるわけでございます。したがいまして、新法年金の追加費用はそういうルールに従いまして、三者負担とせざるを得ない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/143
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144・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、この問題に関連していろいろな角度から聞きたいと思うのでありますが、時間の関係もありますから、あと二、三お伺いすることにとどめますが、この年金の増額による費用負担の問題は、将来においても引き続き問題ある問題として残ろうと思うのです。
そこでお伺いいたしますが、この三者負担の原則については、将来においても政府としてはこれを貫いていく所存であるのかどうか。また、先ほど私がお伺いしたように、貨幣価値の下落は、政府のとった経済政策のひずみに関係もあるという、そういう考え方に立てば、当然に国が全額負担してしかるべきだ、こういう問題も出てくわけです。そこで、過去の問題を私はいま言っているのではなくて、将来前向きの姿勢でやはりこの問題は全額国庫負担をしよう、こういう方向で極力ひとつ一段の努力をしてもらいたい。同時に、この問題をひとつ明るい方向に持っていくためのさらに一段の努力を願いたいと思うのです。こういう要望を兼ねて、将来一体どうするのか、こういう問題を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/144
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145・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 現在の新法年金に伴う追加費用を三者負担にした場合に、どの程度財源率に影響があり、また、組合員の掛け金率の負担に影響があるかということでございます。それは、幸いにも新法年金の部分は、先ほど申し上げましたように、ほとんど大部分——九八%は恩給公務員期間に対応いたしております関係上、影響は全くございません。しかしながら、将来におきましては、御指摘のように、当然そういう事態が起こるわけでございます。その場合にどうするかということでございますが、そういった場合におきましては、私どもといたしましては、社会保険全体、特に公的年金全体、厚生省の厚年、そういった他の社会保険との制度上の関連、同様の取り扱い措置との関連を考慮しつつ、また国の財政能力、それから組合員の負担能力、そういった点を総合的に勘案いたしまして、今後ともそういう負担関係については検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/145
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146・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、常勤的非常勤職員の職員期間の通算問題が一つあるわけです。今回の改正で、かつての常勤的非常勤職員期間が通算されることになったわけです。これによって適用される職員の数は一体どのくらいあるのか。これは分けると全面通算の方もあるし、また資格期間だけの分もあるわけですね。二つに分けて、ごく概要だけでけっこうですから、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/146
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147・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 常勤的非常勤の組合員期間の算入の問題につきましては、前国会において附帯決議をちょうだいいたしたわけでございます。その際、私どもといたしましては、つぶさに実情を調査した上で十分検討いたしましょうという態度でおったわけでございますが、よく考えて見ますと、この問題は実情を調べることもさることながら、やはり理論的に割り切って制度上解決すべき問題が多々あるということで、具体的なケースの点まで入らずに、理論的、制度的に割り切って救済措置を講ずる考えだということでございますから、したがいまして、的確な数字はお答えしにくいかと思いますが、私どもの一応手元にありますラフな数字で申し上げますと、この問題につきましては農林省と林野庁においてある程度の調査がされております。したがいまして、農林省と林野庁のそういった当局の数字を申し上げたいと思いますが、農林省からいただいております数字と申しますと、約一万人以上ということに相なっております。林野庁につきましては二万四千人程度、農林省は一万二千人程度、そういった数字をいただいております。建設省につきましてはまだ実情を調査してないというふうに承っておりますから、その点私ども把握しておりません。この数字は常勤的非常勤職員期間の全部を通算になる数字でございまして、これ以外にいわゆる年金受給資格期間として救済の対象になる公務員もこれ以外に起こり得ると思っておりますが、これについての調査はまだいたしておりません。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/147
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148・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでさらにお伺いいたしますが、この通算の際に職員期間が引き続かなかった者に対しては資格期間だけということになっておるわけです。かつて非常勤体制では実質的に引き続いていても形式的に中断するような形態をとった者もあるやに聞いておるわけです。そこでお伺いするわけですが、こういうことになると、あとで調べる場合に当時の実情は完全にとらえられないと思うのですが、調査の実情はどうなっておるのか、この点を御説明いただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/148
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149・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 具体的に立証の段階になりますと、それ相応の心証を得なくてはならぬわけでございます。それが、だれが心証を得るかということでございますが、これは具体的に関係当局でございます。大蔵省ではそこまでは関与すべき筋合いのものではございません。各当局においてそういった事態があったという心証を得るようなデータ等で考えられて、それを連合会の年金部で裁定をするという形になります。そこで問題の御指摘はおそらくそういった客観的な具体的などんぴしゃりとした資料はないというような具体的な事例が相当出るんじゃないか、その場合にどうするか、あるいは形式と実体が合わないという場合も相当あるんじゃないか、そこでその場合にどうするかという問題かと思いますが、これにつきましては、どこまでも給与につきましてはやはり形式よりも実体が優先すべきでございます。そこで実体に即応するよう、なおかつ、それ相応の心証が得られるようなかっこうでこの問題を運用してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/149
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150・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、医療費等の短期給付に要する費用の負担問題、この点について一点だけお伺いしておきたいと思いますが、医療費等の短期給付の費用の負担割合は現行では労使折半となっております。しかしながら、社会保障制度の現状から見て、国として負担を大幅に考えるべきではなかろうかと、こういうふうに考えられるわけです。で、このことについては一体大蔵省としてはどのように考えておるのか、大臣お見えにならぬので、ひとつ政務次官からこの点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/150
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151・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 政務次官の前に、事務的にちょっと御説明いたしたいと思いますが、短期給付、特に医療保険の問題でございますが、これにつきましては、御案内のように、労使折半で五〇、五〇の負担割合になっております。国庫負担はございません。これに国庫負担を導入すべきじゃないかという御議論も、これはかねてからある問題でございます。そこで、なぜ長期給付にあって短期給付にないかということでございますが、長期給付におきましては何せ雇用関係が断ち切られたあとのところまでの給付でございまして、したがって、雇用関係後の問題まで手を伸ばすわけでございます。したがいまして、社会保険主体である公経済、国といたしましては負担をいたしておるわけでございます。短期給付につきましては、特に医療保険につきましては、雇用関係継続中の事案でございます。したがいまして、従前労使折半ということでまいってきております。しかしながら、御案内のように、短期給付のものにつきましても、日雇い健保だとか、あるいは国民健康保険につきましては所要の公庫負担がございます。日雇い健保につきましては三五%、国保につきましては調整交付金を入れまして三五%の国庫負担をいたしておるわけでございますが、その理由といたしましては、やはりそういった日雇い健保それから国保につきましては、低所得階層を主体としておるというような特殊性にかんがみまして、特に国の負担の手を差し伸べておるというわけでございます。そこで、今回医療費の増高にかんがみて短期給付についてはどうするかという問題でございますが、何せこれはもとになる薬剤の半額負担がいいか、あるいは総合報酬制がいいかというような基本的な問題、現在保険三法につきましては、社会保障制度審議会、社会保険審議会に諮問をし、その答申を待っておるという段階でございまして、その答申をいただきまして、十分ひとつ慎重に検討いたしたい、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/151
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152・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、角度を変えてお伺いしたいのは、共済組合の非更新組合員に対する通算措置、この問題についてお伺いしたいと思いますが、これは国家公務員共済組合の長期給付に関する施行法、地方公務員に対する同じく施行法、公共企業体等職員組合の施行法、こういう一部改正によって外国政府職員、それから外国特殊法人職員であった者に対する共済年金の支給に関してそれぞれ前歴期間の通算が公企法の改正に即応して行なわれたわけです。この措置は、いずれも改正の前後にわたって在職した、いわゆる更新組合に対する措置であって、それぞれ関係法律の施行日以前の退職者及び施行日以後の新採用者には適用がないわけです。これは不合理ではないか、こういう問題があるわけです。この点はどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/152
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153・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) ただいまの外地の鉄道その他政府機関、これらの人の通算問題でございますが、仰せのように、当時組合以外に適用されていないじゃないかということでありますが、そのとおりでございます。それは新しい法律、社会保険的な新法に移りましてから、従来の既得権を尊重しなければいけないという議論がございまして、恩給法あるいは旧令の共済組合、これを既得権として引き継いでまいっておるわけでございまして、その後に新しく入りましたといいますか、外地から帰ったというような者につきましては、この新法の制定当時には組合員でなかったというような関係もございまして、当時組合員で、新法に移りました当時に組合員であった者のみを、過去の既得権を尊重しようということでございまして、その人についてその後のいろいろな改正が行なわれておりますが、仰せのように、そのときに組合員であった者のみしか行なわれていない、あくまで既得権の尊重ということだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/153
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154・伊藤顕道
○伊藤顕道君 一部御指摘ございましたが、これらの施行日以前退職者の中には、恩給公務員は恩給法の適用を受けて通算措置が講ぜられておるから、これは問題ないのですが、ただ雇用人であった方は旧共済組合法の適用を受けておったがために取り残されて通算措置がいまだに行なわれてない。これは公務員公平の原則に反するではないか、こういう立場からお伺いしておるわけなんです。この点は何とか恩給法の適用を受けた方が通算できるようにできておるように、雇用人であった方にも何とかこれは通算措置が講ぜられてしかるべきだ、そういう程度からお伺いしておるわけなんですが、これに対するお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/154
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155・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 雇用人の話が出ましたが、雇用人は恩給法の適用を受けませんが、旧共済組合法、旧令の共済組合法の適用は受けておるわけでございます。その点につきましては、同じ更新組合員であれば、引き継ぎといいますか、通算ができておるわけでございます。で問題は、たとえば恩給法で戦地加算がついて、それが今度の共済組合員、更新組合員につきまして取り入れられておる。しかし、雇いにつきましては恩給法上の加算が旧令の共済組合法でございませんので、落ちておるというようなことが大きな違いになっておるわけでございますが、この点につきましては、やはり新しく社会保険に脱皮しました共済組合の性格から申しますと、ただ更新組合員で過去の恩給制度及び共済組合制度をその時点において引き継いだということだけでございまして、過去にさかのぼりまして、更新組合員以外の者にまでそういった恩典を与えるということにつきましては、すでにおやめになった方々の処遇の問題、その他死亡された方の更新組合員以外の方の人とのバランス、こういった問題もありまして、影響が非常に重要かつ広範でございますので、いまのところ、御趣旨のような改正をすることは困難ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/155
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156・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このことは恩給法がそれぞれ共済組合に切りかえられて、恩給法の通算措置に即応して共済組合法等でも通算措置を講じたわけですが、切りかえ前に恩給公務員でなかった者ですね、問題は、恩給公務員でなかった者は恩給法の適用外であったがために取り残されてしまったわけですね。そこでお伺いするのは、その恩恵に浴し得なかった結果となった方々は、まことに形式にとらわれた法規改正で、恩給法改正の精神にそぐわないと思います。この恩給法改正の精神にも反するし、何とかこれはひとつ改善にすべきではないか、こういう形になったのは一つの政府の大きなミスではないか、こういうことは指摘できると思うのです。この点はいかようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/156
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157・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 国有鉄道部長の答弁で尽きておるわけですが、共済の新法の年金制度ができましたゆえんのものは、御指摘のように、国家公務員法を受けまして、そういう身分差があるのはおかしいじゃないかというような問題、それから特に公共企業体におきましては、公社制度になりました際に、経過的に従来の公務員につきましては恩給は適用になる、それから同じ公社職員につきましては片や共済制度、しかも、公務員の場合には任官という制度がございますから、恩給の均てんをする余地があった。ところが、公社の場合には任官という——つまり公務員でなくなりますから、そういった機会も与えられていないというようなことからいたしまして、そういった公務員法の精神等を受けまして、新しくそういった公務員、雇用人の身分を撤廃いたしまして、新しい年金制度をつくるべきだ、いわゆるマイヤース勧告等も参考にいたしまして、新しい年金制度ができたわけでございます。この点については、御案内のとおりでございますが、その際に、制度といたしまして、従前の恩給公務員期間に対応するものについては、これは恩給という既得権、期待権はございますから、したがいまして、経過的に、そういった三十四年以前につきましては、恩給制度をそのまま取り入れざるを得ない仕組みになるわけでございます。と同様に雇用人につきましては、やはり昭和二十三年以後適用になっておりました旧国家公務員共済組合員に対する、雇用人に対する共済制度そのままを経過的に取り入れざるを得ない仕組みになっておる。昭和三十四年以後におきまして、御指摘のように、そういった公務員についての身分的な差別を撤廃するという制度になったわけでございまして、経過的には一時点を限りましては、どうしても片や恩給制度をそのままとり、片や旧国家公務員共済制度をそのまま取り入れざるを得ないわけでございます。そこで恩給制度については戦時加算という、これは昔からそういう制度があったわけでございます。雇用人の国家公務員共済組合制度については、そういった加算制度はなかったわけでございます。しかし、一方におきましては、たとえて申しますと、恩給の場合には、休職とか停職になりました場合には給付が二分の一になりますけれども、共済の場合には満額、そういったいろいろな問題がございまして、この問題は、なかなか制度的にそういった仕組みで新法年金が経過的に旧制度をそのまま取り入れているということからいたしまして、先ほど来申し上げておりますように、はなはだ困難な問題ではなかろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/157
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158・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特にお伺いしたいのは、恩給法の運用においては社会福祉的色彩が加味されておるわけです。ところが、社会福祉的性格が最も顕著であるべき共済組合法において、昔の身分によってかかる不均衡な取り扱いが残されておるということは、きわめて不合理ではなかろうかと、こういうふうに考えられるわけです。そこで、やはりこれは何とか改善がなされるべきではないか、当然これはひとつ公平の原則で同等に扱うべきではないかという考え方が当然出てくるわけです。この点についてはいかようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/158
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159・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 御指摘のように、公平の原則に立ちまして、公務員、雇用人を通じます新しい年金の共済組合制度は三十四年以後にできたわけでございますが、それ以前の段階におきましては、既往の制度を取り入れざるを得なかったわけでございます。その意味におきまして、過去にさかのぼって全体を統一するということははなはだ困難な問題かと思いますが、なお研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/159
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160・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで現実の問題として、旧満鉄職員であって引き揚げ後国鉄に入社しておった方が相当いるわけです、現実の問題として。国鉄はその人事の資格構成が他の公社、官庁と異なっておって、恩給公務員は三割、雇用人は七割であったがために、定員に抑制されて満鉄職員で恩給公務員相当の者が国鉄の雇用人に彩用されたり、あるいは生活のためやむなくこれに甘んじておった方々が相当あるわけです。そのうち相当の者が新共済法の切りかえ前に退職しておる。これらの者は旧共済組合員であったがために、通算の恩恵に浴し得ない。こういうことはきわめて不均衡ではないかと思うのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/160
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161・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 満鉄職員でございますが、御案内のように、日本から満州に行きまして、それからまたこちらに帰りました。これは全部通弊になっております。それから、満・日のケースでございます。これは資格期間としては認めておるわけでございます。御質問の点は、この新しい法律、公共企業体の場合は昭和三十一年でございますが、それ以前に満州から帰って国鉄に就職をされてやめられに方に適用がないのじゃないかという御質問だと思いますが、先ほども申し上げましたように、新しい観点での法律でございまして、そのときに存在した組合員について、いわゆる更新の組合員という形で、それを中心に考えておりまして、そこまでその時点による人、それ以後ずっと組合員であった人につきましては、いろいろな恩給法の改正その他の改正に準じました適用をしておるわけでございますが、それ以前におやめになった、つまり更新組合員でない人につきましては、遺憾ながらいろいろなそのほかの影響もございますので、御趣旨に沿いかねているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/161
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162・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、私はお伺いしておるのは、国鉄に入った場合のことをいまお伺いしたわけです。ところが、国鉄以外の他の公社に入社した方々及び公務員となった方々は、前歴によって恩給公務員に彩用されて通算措置を受けておる。ところが、たまたま国鉄に彩用された方々は、いわゆる人事の資格構成が他公社、官庁と異なっておる、そういうことから当然に恩給公務員として彩用される方々であっても、そういう彩用をされなかった。そのために通算措置を受けていない。これはきわめて不合理ではなかろうか、こういう点をお伺いしておるわけなんだ。これは当然にこの不均衡は是正して通算措置を講ずるのが至当ではなかろうか、こういう角度からお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/162
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163・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) お尋ねの点は、満州から帰られて、同じ政府関係機関、あるいは政府機関に就職された人の彩用時の身分、あるいは彩用後の身分の問題じゃなかろうかと思います。仰せのように、最初は、極端な人は臨時人夫、それから雇いとかいうようなかっこうで経過したわけでございますが、そういう人も日をふるに従いまして普通の者と同じような待遇を与えてまいっております。御案内のように、そういう人が法律ができます前におやめになった場合には適用がございませんので、現在と申しますか、三十一年当時すでに組合員であった者につきましては、雇いだろうとなかろう同様の取り扱いをいたしておりますので、その点につきましては変わりはないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/163
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164・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後に、公企体共済組合の問題を一、二お伺いいたしますが、まずお伺いしたいのは、公企体職員等共済組合法は、その所管が、あるいは運輸省あるいは郵政省、ときに大蔵省、この三省にわたって回り持ちになっておるのが現状です。法案の担当省が持ち回りになっておるということは、いろいろな観点からきわめて不都合ではないかと、こういう見方もありますし、この際、担当省を一本化すべき要望も相当各方面からあるわけです。この問題について政府としては基本的にどういうお考えを持っておるか、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/164
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165・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) お尋ねの法改正その他の担当省の一本化に関する問題、実は、第四十三回の通常国会で、衆議院の大蔵委員会で附帯決議がつきまして、「政府は本法の改正についての担当省を一本化するよう改善の措置を検討すべきである。」というような附帯決議をいただいておるわけでございます。その後、三公社の監督官庁寄り集まってお話し合いをしまして、組合員が一番国鉄が多いので、国鉄を監督しております運輸省で担当したらどうかというようなことで話し合いがつきましたけれども、やはりこの問題につきましては、いろいろ陣容の問題その他のあれもございまして実は予算要求をしたわけでございますが、残念ながらそのとおりにまいりませんで本日まで経過しておる。たまたま私のほうが今回担当省に当たったわけでございます。この線でわれわれとしても今後努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/165
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166・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、年金増額に要する費用の負担問題について、今回の公企体職員等の年金増額に要する費用負担については、恩給公務員期間、それから旧法等の組合員期間にかかわるものは公企体が全額負担すると、こういうことになっておるわけですが、これは将来もこういう増額問題が必ず起こると思うのです。この場合、追加費用を公企体だけで負担するということになると、公企体の財政上きわめて憂慮すべき問題が起きてくるのではなかろうか。こういう点が当然に考えられるわけです。この点についてはどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/166
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167・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 仰せの、今後新法年金あるいは旧法年金の年金の改定が行なわれた場合に、国鉄をはじめとします三公社の財源にどういう影響があるかというお尋ねでございますが、専売公社につきましては、これは国庫納金との関連で、実質的にこれの費用がふえますと、国庫納金の上納が減るというような因果関係があるわけでございますが、その他、国鉄、電電につきましても、極端に大きな年金改定が行なわれますと、財政の影響は免れないことでございます。で、全額公共企業体の負担といいますのは、一つは使用者の立場の公共企業体、一つは公経済の主体——国にかわって事業をやっておるという立場で、理論的には二つに分けられておりますが、従来の沿革、あるいは恩給法当時も恩給法の関係をやはり国鉄の特別会計が負担し、それを運賃にはね返らしておったというようないきさつもございまして、理論的にはいろいろ問題がありますが、ただ、将来大きな財政問題となったときに、実質的に公経済の主体たる公社の負担をどうするかという問題につきましては、実はこの法律を諮問をいたしました社会保障制度審議会でもいろいろ御議論になったわけでございますが、そのときにも答弁いたしましたが、将来大きな額になって、国民に運賃としてあるいは電話料金としてはね返らせることが妥当かどうかというような時点になりましたら、この点も十分考え直すと申しますか、真剣に検討しなければいかん問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/167
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168・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点お伺いいたしますが、いまお伺いしたように、追加費用を公企体だけで負担するということは、将来にわたって禍根を残すということから、これは当然国としても負担することが考えらるべきではないか。このことについては、地方公務員の場合も全く同様であって、地方財政にも悪影響を及ぼすことが容易に察知されるわけです。そこで、何とか追加費用を公企体だけで負担するというようなことは避くべきではないか、国が当然ある部分を負担してしかるべきだ、これは国家公務員の場合も、地方公務員の場合についても同様であるということをここで指摘したいわけです。このことに対する政府としてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/168
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169・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) 現在のたえまえは三者負担ということになっておりまして、まず三者負担の長期給付で申し上げますと、一五%は公経済が持つ、あと残りの八五%をそれぞれ労使が折半する。したがいまして、公経済主体として一五%、使が四二・五、労が四二・五、こういう形になっております。そこで問題は、国が持つべきか、あるいは公経済主体が一部負担すべきかという議論に尽きるかと思います、この問題につきましては、これはかつて地方公務員共済組合法の制定の過程において相当の議論がなされたところでございまして、先ほど先生御指摘になったように、地方公務員共済組合法におきましては、やはり公経済主体としての地方公共団体が負担するのだというたてまえに現在なっておるわけであります。したがいまして、現在のたてまえは、そういった社会保険主体は何も国ではなしに、それぞれの公経済が持つのだというたてまえになっておりますし、国鉄等におきましては、一種の租税負担的な、独占的な料金収入という制度があるわけでございまして、したがいまして、そういった意味からいたしまして、社会保険主体として社会保険を推進する立場にあるのは、何も国に限らず、公経済が主体になってしかるべきだという政府の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/169
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170・伊藤顕道
○伊藤顕道君 せっかく運輸大臣お見えになっておるので、これは運輸大臣に重大な関係があるわけです。追加費用を公企体だけで持ったら、公企体が今後財政上非常に芳しい羽目に追い込められるのではないか、そういう運輸大臣に同情した発言であるわけです。そこで運輸大臣としてはこのことについていかようにお考えかということをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/170
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171・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 御指摘の点につきましては、額が非常に大きくなった時分に、またあらためて検討をお願いしようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/171
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172・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは大臣、よくその質問の意味がわからないで、適当に答弁なさっておる。質問の意味がわかっていますか、まずそれからお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/172
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173・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ようやくわかりました。御承知のごとく、四十五万人もおるところで、いまのような御質疑の点については、それは額が非常に多くなりますから、そういう場合にはさらに私どものほうで検討いたしましてこれに応ずることのできるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/173
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174・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大蔵大臣も幸い見えましたから一点だけお伺いしておきますが、年金増額に要する費用の負担問題についていまお伺いしておるわけです。これは国庫負担ということになると、当然大蔵大臣の分野の問題なので一点だけお伺いするわけですが、途中からお見えになったので質問の要旨を申し上げると、いま年金増額に要する費用の負担問題についてお伺いしておるわけです。そこで、詳しいことは省略いたしますが、結論だけお伺いすると、いろいろ追加費用を公企体だけでいま負担するということになっておるわけです。追加の費用分をですね、公企体だけで。こういうことになると、将来公企体の財政上に悪影響を及ぼすのではないか。だから——ここからが大蔵大臣に関係しているわけです——だから、この分については、負担分については国が考慮すべきではないか、こういうことをお伺いしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/174
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175・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) あなたのお考えはよく理解できますが、こういう制度をつくりますときに、一体こういうときの負担は国が行なうのか地方が行なうのかという問題を議論をして、最終的には公経済主体といいますか、その企業体が負う、こういうことになっておりますので、いまの時点におきましては、やはり現状維持がいいと思います。何でも国々といいますが、このごろ財政も非常に多端でございますし、そういう意味で、まあやれることは、できるだけ要ることには金を出すつもりでおりますが、現在いろいろなものがございますので、国民の税金を使うわけでありますから、やはりあり余るという場合ではなく、いずれが優先するかという評価の問題もございますので、現在の段階において国が負担をするということを申し上げる段階でありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/175
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176・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは最後に御要望申し上げておきますが、いまこの追加費用の分を現状のまま公企体だけが負担するというと、今度公企体のほうはお手上げになるということが考えられるわけです。そこで、そうしますとかしないとか、そういうことをお伺いしておるわけじゃないのです。こういう問題が問題になっておるから、ひとつ追加分の費用については国も将来できるだけ負担しようという前向きの姿勢で今度十分検討していただきたい、そういう意味でいまお伺いしたわけです。そういう誠意はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/176
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177・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) まあ公共企業体等はこれを維持していくためには、私はそういう国で負担するということよりも、金を安く貸したり、また補助金を出したりいろんな制度がありますから、この制度の中でこれを負担するかどうか、またその企業体そのものを国が維持していくためにどうなるのかというような問題もありますので、比較検討してみなければならぬ問題であります。いずれにいたしましても、私としては勉強いたして一向差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/177
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178・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。−ほかに御発言もなければ、両案の質疑は終局したものと認め、これより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/178
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179・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております二法律案について賛成するものであります。しかしながら、本法律案をもってしてもなお十分でない点がありますので、この二法律案に対してそれぞれ自民、社会、公明各党共同提案による次の附帯決議案を提出いたします。
まず、附帯決議案を朗読いたします。
昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案に対する附帯決議案
政府は、次の諸点につきすみやかに検討の上善処すべきである。
一、物価の値上り、生活水準の向上並びに現職公務員の給与に即応して年金額を引き上げうるよう、スライド制の確立とその財源措置について検討すること。
二、共済組合の年金額引上げは、従来、恩給法の改正に追随してきたが、将来は、共済組合の自主性を考慮して措置するよう検討すること。
三、本改正案の三年に亘る段階的増額の措置は、極力短縮するよう措置すること。
四、短期給付については、医療費の増加に伴う組合財源の困窮及び組合員の負担増加の現状にかんがみ、これが健全化及び組合員の負担の緩和をはかるため国庫負担の導入について検討すること。
五、国家公務員共済組合及びその連合会の民主的運営について、第四十六回国会における委員会の附帯決議の趣旨を早急に実現すること。
右決議する。
昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案に対する附帯決議案
政府は、次の諸点につきすみやかに検討の上善処すべきである。
一、物価の値上り、生活水準の向上並びに現職組合員の給与に即応して年金額を引き上げうるよう、スライド制の確立とその財源措置について検討すること。
二、共済組合の年金額引上げは、従来、恩給法の改正に追随してきたが、将来は、共済組合の自主性を考慮して措置するよう検討すること。
三、本改正案の三年に亘る段階的増額の措置は、極力短縮するよう措置すること。
四、短期給付については、医療費の増加に伴う組合財源の困窮及び組合員の負担増加の現状にかんがみ、これが健全化及び組合員の負担の緩和をはかるため国庫負担の導入について検討すること。
右決議する。
ただいま朗読いたしました二つの附帯決議案のうちで一項と三項については、先ほどの恩給法の一部改正法案に対する附帯決議と同趣旨でありますから説明を省略いたします。
その他二項の自益的な共済年金の引き上げ措置と、四項の医療費等短期給付に関する国庫負担制度の要望は、現在の共済組合制度がになうべき役割りを考慮すれば当然のことと考えるわけであります。五項の連合会等の民生的運営については、すでに当委員会の附帯決議等において繰り返し要望してきたところでありますが、まだ解決されておりませんので、この際重ねてすみやかな解決を要望するものであります。
以上私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/179
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180・柴田栄
○委員長(柴田栄君) ほかに御発言もなければ討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/180
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181・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって両案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました附帯決議案について採決をいたします。
まず、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案に対する附帯決議を議題といたします。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/181
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182・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。
次に、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案に対する附帯決議案を議題といたします。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/182
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183・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって両附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し田中大蔵大臣、松浦運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/183
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184・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) ただいま御決議になりました事項は、いずれも重要かつ困難なものでございますが、御趣旨によりまして、できるだけすみやかに結論を出すよう十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/184
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185・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 松浦運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/185
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186・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいまは、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案につきまして、慎重御審議の上御採決をいただきましてありがとうございました。なお、これに関連いたしまして御決議をいただきました事項につきましては、重要かつ困難な問題ではございますが、御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/186
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187・柴田栄
○委員長(柴田栄君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任を願います。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02219650513/187
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