1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十八日(火曜日)
午後一時二十五分開会
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委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
光村 甚助君 山本伊三郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 柴田 栄君
理 事
栗原 祐幸君
下村 定君
伊藤 顕道君
委 員
源田 実君
塩見 俊二君
三木與吉郎君
村山 道雄君
森部 隆輔君
八木 一郎君
占部 秀男君
鬼木 勝利君
国務大臣
国 務 大 臣 高橋 衛君
政府委員
経済企画庁長官
官房長 澄田 智君
経済企画庁調整
局長 高島 節男君
経済企画庁総合
計画局長 向坂 正男君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
経済企画庁長官
官房参事官 矢野 智雄君
経済企画庁長官
官房企画課長 橋本 徳男君
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本日の会議に付した案件
○経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○旧軍人等に対する恩給に関する請願(第一号)
(第二号)(第一一一号)(第一二七号)(第
一四八号)(第一八五号)(第二一一号)(第
一二七号)(第二三八号)(第三一四号)(第
三一五号) (第三一六号)(第三三六号)
(第三三七号)(第 三四七号)(第三五四
号)(第三五五号)(第三六五号)(第三七一
号)(第三七二号)(第三九五号)(第三九六
号)(第三九七号)(第四一六号)(第四一七
号)(第四一八号)(第四二一号) (第四三
四号)(第四四一号)(第四七九号)(第四八
二号)(第五六二号)(第五九二号)(第六〇
八号)(第六三六号)(第六八九号)(第七一
〇号)(第八二一号)(第八七八号)(第一〇
六 二号)(第一一一四号)(第一二一〇号)
(第一三〇一号)(第一三一七号)(第一四一
四号)(第 一四二七号)(第一五二六号)
(第一五四七号) (第一五五一号)(第一五
五四号)(第一五六四号)(第一五六五号)
(第一六〇〇号)(第一六〇 一号)(第一六
〇二号)(第一六一三号)(第一 六一四号)
(第一六一七号)(第一六一八号)(第 一六
二五号)(第一六三〇号)(第一六三九号)
(第一六四〇号)(第一六四一号)(第一六四
二号)(第一六四三号)(第一六四四号)(第
一六四五号)(第一六五六号)(第一六五八
号)(第 一六五九号)(第一六六九号)(第
一六七〇号) (第一六七一号)(第一六七二
号)(第一六七三号)(第一六八二号)(第一
六八三号)(第一六八四号)(第一六九一号)
(第一六九二号)(第一六九六号)(第一六九
九号)(第一七〇〇号)(第一七〇一号)(第
一七〇二号)(第一七一三号)(第一七一四
号)(第一七二八号)(第一七二九号)(第一
七四一号)(第一七四四号)(第一七四五号)
(第一七四六号)(第一七五二号)(第一七六
〇号)(第一七六二号)(第一七六三号)(第
一七六四号)(第一七六五号)(第一七八七
号)(第一八〇五号)(第一八〇六号)(第一
八〇九号)(第一八一四号)(第一八三六号)
(第一八四四号)(第一八四五号)(第一八八
四号)(第一八九九号)(第一九〇二号)(第
一九〇六号)(第一九〇七号)(第一九〇八
号)(第一九一六号)(第一九三〇号)(第一
九三一号)(第一九三二号)(第一九三三号)
(第一九五〇号)(第一九五一号)(第一九八
二号)(第一九八三号)(第一九八四号)(第
一九八七号)(第一九八九号)(第一九九〇
号)(第一九九一号)(第一九九三号)(第一
九九四号)(第二〇二五号)(第二〇四一号)
(第二〇四二号)(第二〇六〇号)(第二〇六
一号)(第二〇六二号)(第二〇八九号)(第
二〇九〇号)(第二一一〇号)(第二一四〇
号)(第二一四一号)(第二一七一号)(第二
一七二号)(第二一七三号)(第二一七四号)
(第二一七五号)(第二一八六号)(第二一八
七号)(第二一八八号)(第二二四二号)(第
二二六七号)(第二二七四号)(第二二七五
号)(第二三〇三号)(第二三〇四号)(第二
三〇五号)(第二三〇六号)(第二三七八号)
(第二三七九号)(第二三八〇号)(第二四一
五号)(第二四一六号)(第二四一七号)(第
二四一八号)(第二四一九号)(第二四四三
号)(第二四六六号)(第二四六七号)(第二
四七一号)(第二四七二号)(第二四八六号)
(第二四八七号)(第二四八八号)(第二四八
九号)(第二五〇五号)(第二五二六号)(第
二五二七号)(第二五 二八号)(第二五二九
号)(第二五三〇号)(第 二五七六号)(第
二五七七号)(第二五七八号) (第二五七九
号)(第二六一四号)(第二六一五 号)(第
二六二〇号)(第二六二六号)(第二六 四〇
号)(第二六四二号)(第二六四三号)(第
二七〇一号)(第二七〇二号)(第二七〇三
号)(第二七〇四号)(第二七〇五号)
○農林省蚕糸局存置に関する請願(第二四号)
(第二五号)(第二六号)(第一〇〇号)(第
一一八号)(第一二八号)(第一二九号)(第
一三〇号)(第一三一号)(第一六六号)(第
一六七号)(第一六八号)(第一八六号)(第
一九一号)(第二〇二号)(第二二九号)(第
二三〇号)(第二三一号)(第二四七号)(第
二四九号)(第二五七号)(第二五八号)(第
二六二号)(第二六七号)(第三〇九号)(第
三一〇号)(第三一七号)(第三一八号)(第
三四五号)(第三四六号)(第三八六号)(第
四〇三号)(第四一三号)(第四一四号)(第
四一五号)(第四二二号)(第四二八号)(第
四三二号)(第四三三号)(第四三八号)(第
四三九号)(第四五七号)(第四五八号)(第
四五九号)(第四六〇号)(第四六一号)(第
四六二号)(第四六三号)(第四六九号)(第
四七〇号)(第四七一号)(第四七六号)(第
四七七号)(第四七八号)(第五〇五号)(第
五〇六号)(第五〇七号)(第五三一号)(第
五三二号)(第五四五号)(第五六三号)(第
五六四号)(第五六五号)(第五七七号)(第
五八一号)(第六〇九号)(第六三七号)(第
七二九号)(第七三七号)(第七四九号)(第
七五〇号)(第七六三号)(第七七一号)(第
七七二号)(第七八九号)(第七九四号)(第
八一六号)(第九四五号)(第九四六号)(第
一〇〇八号)(第一〇六一号)(第一一一一
号)(第一二七四号)(第一三二二号)(第一
四一二号)(第一五四九号)(第一五六二号)(第二四七〇号)
○恩給(共済年金)の格差是正に関する請願(第一
一二号)(第一四一三号)
○茨城県水戸対地射爆撃場返還に関する請願(第
一五〇号)
○公務員労働者の賃金一律七千円引上げ要求実現
に関する請願(第一八四号)
○公務員の賃金、一時金及び諸手当引上げに関す
る請願(第一九三号)(第六八三号)
○退職公務員の恩給、年金増額に関する請願(第
一九四号)(第六八四号)(第六八五号)(第
六八六号)(第六八七号)(第六八八号)
○米海軍厚木航空基地移転に関する請願(第一九
五号)(第三二一号)(第六〇一号)
○元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の
恩給、共済問題に関する請願(第二八二号)
(第三〇八号)(第三六四号)(第三八五号)
(第五九八号)(第七一六号)(第七二一号)
(第七二二号)(第七三六号)(第七四二号)
(第八〇六号)(第八六四号)(第八六五号)
(第八六七号)(第一〇七一号)(第一一二二
号)(第一一四〇 (第一一四二号)(第一二
〇九号)(第一三二五号)(第一六八九号)
(第一八一〇号)
○農林省蚕糸局の整理縮少反対に関する請願(第
二八九号)
○金し勲章受章者処遇審議促進に関する請願(第
三八四号)(第六三八号)(第六四七号)(第
七七三号)(第一三二六号)
○金し勲章年賜金復活に関する請願(第四四〇
号)(第四八八号)(第五〇八号)(第七四六
号)
○金し勲章受章者処遇復活に関する請願(第四六
四号)(第五〇三号)(第五九三号)(第七三
五号)(第九四七号)(第一二七五号)(第一
三四〇号)
○米海軍厚木航空基地の即時移転、返還に関する
請願(第五七〇号)
○京都府における断定手当に関する請願(第七一
一号)
○元満州国等外国政府職員の恩給問題に関する請
願(第七一五号)
○恩給、年金の給与制度改善の法制化と給与増額
に関する請願(第七四一号)(第七五九号)
○旧海軍文官の退職賞与金の改定支給に関する請
願(第七八五号)
○総理府に青少年局設置等に関する請願(第八六
六号)
○公務員の給与改善及び公務員法改正反対に関す
る請願(第九四四号)
○国立大学教官の待遇改善に関する請願(第九四
八号)(第九四九号)(第九七二号)(第一〇
一五号)(第一〇六六号)(第一〇八九号)
(第一一五六号)(第一二四三号)(第一二七
六号)(第一三三三号)(第一三七三号)(第
一三八四号)(第一三八九号)(第一三九六
号)(第一三九七号)(第一四一〇号)(第一
四一一号)(第一四二八号)(第一四二九号)
(第一四九一号)(第一四九二号)(第一四九
三号)(第一四九四号)(第一五〇〇号)(第
一五一二号)(第一五一三号)(第一五二〇
号)(第一五二七号)(第一五二八号)(第一
五四八号)(第一五五五号)(第一六四七号)
(第一六六五号)(第一六六六号)(第一六六
七号)(第一六六八号)(第一六七九号)(第
一六八〇号)(第一六八五号)(第一六八六
号)(第一六九三号)(第一六九四号)(第一
六九五号)(第一七一〇号)(第一七一五号)
(第一七二三号)(第一七四七号)(第一七五
一号)(第一七五三号)(第一七七四号)(第
一七九六号)(第一七九七号)(第一八一五
号)(第一八三七号)(第一八六八号)(第一
九〇九号)(第二〇四五号)(第二一一一号)
(第二二〇八号)(第二二〇九号)(第二五〇
六号)
○刑部日羅に対する贈位に関する請願(第九五四
号)
○恩給調整・年金スライド制実施促進に関する請
願(第一一五一号)(第一三〇七号)
○特高罷免並びに武徳会追放等による警察退職者
救済に関する請願(第一二六四号)
○公務員共済組合の短期掛金引上げ反対等に関す
る請願(第一四〇八号)(第一七七五号)(第
一七七六号)(第一八〇一号)(第一八七三
号)
○国家公務員に対する寒冷地手当改定に関する請
願(第一五三八号)(第一六三一号)(第一六
四六号)(第一七〇三号)(第一七四〇号)
(第一七七一号)(第一七七二号)(第一七七
三号)(第一七九八号)(第一七九九号)(第
一八〇〇号)(第一八一六号)(第一八一七
号)(第一八一八号)(第一八一九号)(第一
八二〇号)(第一八二一号)(第一八二二号)
(第一八二三号)(第一八二四号)(第一八二
五号)(第一八二六号)(第一八二七号)(第
一八二八号)(第一八二九号)(第一八三〇
号)(第一八三一号)(第一八三二号)(第一
八三三号)(第一八三四号)(第一八三五号)
(第一八五〇号)(第一八六九号)(第一八七
〇号)(第一八七一号)(第一八七二号)(第
一八八五号)(第一八八六号)(第一八八七
号)(第一八八八号)(第一八八九号)(第一
八九〇号)(第一八九一号)(第一八九二号)
(第一八九三号)(第一八九四号)(第一八九
五号)(第一八九六号)(第一八九七号)(第
一八九八号)(第一九〇三号)(第一九〇四
号)(第一九〇五号)(第一九一七号)(第一
九一八号)(第一九一九号)(第一九五二号)
(第一九五三号)(第一九五四号)(第一九五
五号)(第一九五六号)(第一九五七号)(第
一九五八号)(第一九五九号)(第一九六〇
号)(第一九六一号)(第一九六二号)(第一
九六三号)(第一九六四号)(第一九六五号)
(第一九六六号)(第一九六七号)(第一九六
八号)(第一九七七号)(第一九七八号)(第
一九七九号)(第一九八〇号)(第一九八一
号)(第一九九二号)(第二〇二六号)(第二
〇二七号)(第二〇二八号)(第二〇二九号)
(第二〇三〇号)(第二〇三一号)(第二〇三
二号)(第二〇三三号)(第二〇三四号)(第
二〇三五号)(第二〇三六号)(第二〇三七
号)(第二〇三八号)(第二〇三九号)(第二
〇四四号)(第二〇七七号)(第三〇九二号)
(第二一一二号)(第二一一三号)(第二一一
四号)(第二一一五号)(第二一一六号)(第
二一一七号)(第二一一八号)(第二一一九
号)(第二一二〇号)(第二一二一号)(第二
一二二号)(第二一二三号)(第二一二四号)
(第二一二五号)(第二一二六号)(第二一二
七号)(第二一二八号)(第二一二九号)(第
二一六五号)(第二一六六号)(第二一八七
号)(第二一八五号)(第二二一〇号)(第二
二一一号)(第二二一二号)(第二二一三号)
(第二二一四号)(第二二一五号)(第二二一
六号)(第二二二三号)(第二二四一号)(第
二二五四号)(第二二五五号)(第二二五六
号)(第二二五七号)(第二二五八号)(第二
二五九号)(第二二六〇号)(第二二六一号)
(第二二六二号)(第二二六三号)(第二二六
四号)(第二二六五号)(第二二六六号)(第
二二八八号)(第二二八九号)(第二二九〇
号)(第二二九一号)(第二二九二号)(第二
二九三号)(第二二九四号)(第二二九五号)
(第二二九六号)(第二二九七号)(第二二九
八号)(第二二九九号)(第二三二五号)(第
二三四六号)(第二三四七号)(第二三四八
号)(第二三四九号)(第二三五〇号)(第二
三五一号)(第二三五二号)(第二三五三号)
(第二三五四号)(第二三五五号)(第二三五
六号)(第二三五九号)(第二三六〇号)(第
二三六一号)(第二三六二号)(第二三六三
号)(第二三六四号)(第二三六五号)(第二
三六六号)(第二三六七号)(第二三六八号)
(第二三六九号)(第二三七〇号)(第二三七
一号)(第二三七二号)(第二三七三号)(第
二三九八号)(第二三九九号)(二四〇〇号)
(第二四〇一号)(第二四〇二号)(第二四〇
三号)(第二四二六号)(第二四二七号)(第
二四二八号)(第二四二九号)(第二四三〇
号)(第二四三一号)(第二四三二号)(第二
四三三号)(第二四三四号)(第二四三五号)
(第二四三六号)(第二四三七号)(第二四三
八号)(第二四三九号)(第二四四〇号)(第
二四四一号)(第二四四二号)(第二四五四
号)(第二四五五号)(第二四五六号)(第二
四五七号)(第二四
五八号)(第二四六九号)(第二五〇九号)
(第二五一〇号)(第二五一一号)(第二五一
二号)(第二五二五号)(第二五六一号)(第
二五六八号)(第五六九号)(第二五七〇号)
(第二五七一号)(第二五七二号)(第二五七
三号)(第二五七四号)(第二五七五号)(第
二六〇八号)(第三六〇九号)(第二六一〇
号)(第二六一一号)(第二六二五号)
○法務局職員の一万名増員に関する請願(第一六
一二号)(第一六三二号)(第一六七六号)
(第一七〇六号)(第一七六六号)(第一七六
七号)(第二三四二号)(第二四〇四号)(第
二六九七号)
○公務員の寒冷地手当改善に関する請願(第一七
三〇号)
○公務員労働者の基本賃金引上げ等に関する請願
(第一七五四号)(第一八〇二号)(第一八三
八号)(第一八七四号)(第一九二〇号)(第
一九二一号)(第一九二二号)(第一九二三
号)(第一九二四号)(第一九二五号)(第一
九二六号)(第一九二七号)(第一九二八号)
(第一九二九号)(第二一五〇号)(第二三四
三号)(第二六九八号)
○建設省設置法の改悪反対に関する請願(第一八
〇三号)(第一八〇四号)(第一八七五号)
(第二六六七号)(第二六六八号)(第二六六
九号)(第二六七〇号)(第二六七一号)(第
二六七二号)(第二六七三号)(第二六七四
号)(第二六七五号)(第二六七六号)(第二
六七七号)(第二六七八号)(第二六七九号)
(第二六八〇号)(第二六八一号)
○日本赤十字社元看護婦の戦時召集期間を恩給等
に通算するの請願(第一九三四号)
○旧軍人恩給制度の改善に関する請願(第一九九
五号)
○公務員労働者の退職条件改善等に関する請願
(第二一五一号)
○傷病恩給等の不均衡是正に関する請願(第二一
八九号)(第二二四〇号)(第二二八七号)
(第二三〇七号)(第二三〇八号)(第二三〇
九号)(第二三二六号)(第二三八一号)(第
二四二一号)(第二四四六号)(第二四六五
号)(第二四九〇号)(第二五三一号)(第二
五三二号)(第二五三三号)(第二五六四号)
(第二五八〇号)(第二六九五号)(第二六九
六号)(第二七〇六号)(第二七〇七号)(第
二七〇八号)
○公共企業体職員等共済組合法の一部改正に関す
る請願(第二三〇〇号)(第二三四四号)(第
二三四五号)(第二四〇五号)(第二五〇八
号)(第二五五九号)(第二六〇七号)(第二
六四五号)(第二六四六号)
○退職公務員の恩給、年金等に関する請願(第二
三二一号)(第二三五七号)(第二三五八号)
(第二三七四号)(第二三九七号)(第二四二
〇号)(第二四四四号)(第二四四五号)(第
二四五三号)(第二四六八号)(第二四八四
号)(第二五〇七号)(第二五二三号)(第二
五二四号)(第二五六〇号)(第二五六二号)
(第二六一二号)(第二六一三号)(第二六一
九号)(第二六九九号)(第二七〇〇号)
○旧中華民国新民会を恩給法上外国特殊法人に包
含するの請願(第二四八五号)
○継続調査要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/0
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、光村甚助君が委員を辞任され、その補欠として山本伊三郎君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/1
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002・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、これより質疑に入ります。
なお、本案は、お手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりまするので御了承を願います。
政府側から高橋経済企画庁長官、澄田官房長、向坂総合計画局長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、まずお伺いいたしたいのは、臨時行政調査会が行政改革に関する意見を各省庁関係にも出しておるわけですが、それに対する経済企画庁関係分だけに限定して、現役企画庁長官としての基本的な考え方、受けとめ方、こういうことをまずもってお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/3
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004・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、国民生活局の設置につきましては、四十六国会に総理府設置法の改正の一部として提案いたしました次第でございます。その当時、ただいまお話のございました臨調の答申との関係もあるということで、一部その点を削除いたしまして、保留になった形であったわけでございます。それで、今回再び、四十六国会に提案いたしましたそれを、一部臨調の答申も勘案いたしまして提案申し上げた次第でございますが、私どものこの国民生活局の設置という考え方と、臨調答申の消費者行政局という考え方とは本質的には大体同じだと、かように受けとめておるわけでございます。ただ、名称をなぜそれでは消費者行政局としないで国民生活局としたかと申しますと、御承知のとおり、相当の期間わが国は経済の相当高度な成長を続けてまいったわけでございますが、その経済成長の反面、国民生活の質的な充実という面から見ますると、その面に必ずしも十分な点がなかったということを率直に認めざるを得ない、こう考える次第でございます。言いかえれば、経済の成長が国民の福祉の向上に、生活の向上に調和のあるような結びつき方をするということが必要なことでございますが、そういう点に総合性に欠けておったというような点を認めざるを得ないかと考えるのでございます。そういうふうな面から、単に消費者行政局という名称になりますると、消費者の保護ということのみに重点が置かれる面もございます。私どもといたしましては、どうしても、何と申しますか、将来の日本人としてのあるべき国民生活の姿というようなものについてもある程度のビジョンを持ち、前向きに経済成長がいわゆる社会開発と調和のとれたものになっていくという姿を描き出すためには、むしろ国民生活局というふうなもう少し広い意味の名称にしたほうが妥当である、そしてそこに将来の日本人の国民生活としてのあるべき姿というものを、絶えず理想というものを描きながらそれに向かっていく、同時に地方消費者行政局として臨調が指摘しておられるところの物価の問題または消費者の保護の面、そういうふうな面も十分にこれに取り入れて、そして総合性のあるところのやり方をやっていきたい、こういう趣旨で、名称は国民生活局という名称にいたしましたが、実体については臨調答申の精神と一致しているものと、かようにまあ考えておる次第でございます。なお、臨調ではたしか消費者等に対し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その程度でけっこうです。具体的な問題は順を追うてお伺いするつもりで、最初はこの臨調の改革意見に対する長官としての基本的なお考えを、また受けとめ方ですね、これをお伺いしたわけなんです。そういういま詳細御説明がございましたが、基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思う。以下具体的な問題は順を追うてお伺いしたい。——私がまだ御質問申し上げる意味がよくおわかりでなかったかと思うのですが、私がお伺いしておるのは、臨時行政調査会が昨年九月「行政改革に関する意見」を答申したわけですが、これは各省庁みんな広範な項にわたっておりまして、経済企画庁関係も相当あるわけです。こういうのを一覧して、大体まあ臨時行政調査会の答申を尊重しようとする態度で取り組んでおられるのか、まず個々の問題を検討してみて、それから後にこれは尊重するとかあるいは尊重しないとか、そういう態度をあとからきめようとするのか、最初の取り組みについての基本的なお考えをまず順序としてお聞きしたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/5
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006・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 政府といたしましては、臨時行政調査会の答申を尊重して、そして一歩一歩これが実現をはかりたい、かように考えておる次第でございますが、何ぶんにも政府全般にわたるところの非常に広範なものであり、しかもその一つ一つが相互に関連性を持っておる次第でございますので、その中で一部分でも実現可能のものはどんどん着手をしていくベき筋合いのものだ、これは主管としては行政管理庁の主管の問題ではございますが、政府としてはそういうふうな受けとめ方をいたしておる次第でございます。しこうして、この消費者行政についての臨調の御答申については、このただいま御提案申し上げましておる精神と完全に一致しておる、かような観点から、こういうような面からぜひ少しでも早く実現に向かっていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは具体的に幾つかお伺いしますが、まずお伺いしたいのは、「内閣の機能に関する改革意見」のうちで、内閣を構成する機関として、あるいは内閣官房、内閣法制局それから総務庁、これは御承知のように、行管と総理府本府を統合して総務庁とする、こういう意見ですが、これに対して経済企画庁としては賛成なのか反対なのか、中には検討を要するという項もあるわけです。そこで以下お伺いしたいのは、まず賛成か一反対かということをお述べいただいて、それには理由がなければならぬわけですが、その理由を簡単に、ひとつ簡明にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/7
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008・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいま御質問の内閣官房と総理府の一部を統合して総務庁をつくるべきだという答申があったわけでございますが、これらの点については経済企画庁も総合官庁でございますから、もちろんこれに対しては意見があるべき筋合いではございますが、私どもといたしましては、なおただいま実は検討申でございまして、政府としてのまとまった見解はまだお答えできる段階ではない次第でございます。ただ経済企画庁については、そういうふうにここ数年米消費者関係の問題が非常に大きな政治問題になってまいっておりますし、また、国民生活関係についてずいぶん検討を要する問題点が相当出てまいりましたので、そういう意味で御提案申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御答弁ございましたが、この項に対して経済企画庁としては反対の態度をとっているわけですね。これ公文でそういうふうに回答しておると思うのですが、その内容を見ると、「公害防止行政の企画、調整のための「恒久的機構」は、当庁に設置予定の国民生活局の所掌とする方向が妥当である。」こういう意見が出ておるわけです。それから統計の管理について、経済統計とか国民経済計算の企画、調整は、経済企画庁に担当せしむべきである、こういう意見が経済企画庁から回答されておって、結論は反対であると思うのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/9
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010・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 別に反対という趣旨ではございませんが、公害の問題もやはり各省ばらばらに行なうのではなかなかむずかしい問題がありますから、それで総合調整の必要があるという意見は経済企画庁として提出いたしておる次第でございます。
また、統計につきましては、これは私どもも常に痛感いたしておるわけでございますが、現在の経済の現状分析をいたします際に、または先行きの見通し等を立てます際に非常に敏速に速報的なものでも入手できるということが時間的な問題として非常に緊急を要する場合が多いのでございます。ことに経済の動きがデリケートなときにはそういうふうなことを特に痛感いたします次第でございます。そこで、今日は各省に非常に緊密なる御協力を願って、そうしてこれの敏速化をはかってはおりますが、しかし、できれば経済企画庁としてはこういうふうな経済に関する統計を一元化して、そうして敏速に常にこれを実用化していけるというような方向に持っていきたいという意見を申し述べておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、総合開発庁を新設すべきであるという、こういう改革意見に対する経済企画庁のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/11
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012・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 伊藤先生御承知のとおり、経済企画庁に総合開発局というのがございますが、この地域開発の問題は非常に複雑多岐にわたりまして、実はその事務分量が相当大きいものでございますから、実際上これが運営に非常に苦心をいたしておることは実態でございます。ことにこの主管しておるところの法律がほとんどが議員立法に基づくものであり、かつて新産都市建設促進法等の採決の際に附帯決議として、こういうふうな法律を一体化せよという御趣旨の附帯決議もついた次第でございますが、事実問題としてなかなかこれはどうもむずかしい、したがって、各法律それぞれの実施にあたって非常に複雑多岐な仕事をせざるを得ない、ことに国土総合開発という仕事は非常に膨大な事務分量を持った仕事でございます。そういう意味で、一局の仕事としてもう少しこれを大きくしてやっていくということの必要は私ども認めておるわけでございますが、しからばといって地域開発の問題、または国土総合開発の問題というものが、経済の運営の基本方針というものと離れてはこれはまた意味をなさぬのじゃなかろうか、どうしても総合調整ということは、国土の総合開発ということと緊密な一体をなした考え方でいかなければ、ほんとうの調整ができ得ないのじゃないか、こういうふうな観点からいたしまして、全然経済企画庁と別の官庁にするという考え方にはどうも私ども必ずしも同調できない。その間に十分な連絡がとれるように、できればむしろ経済企画庁の外郭というふうな形で、これを総合調整ができる形に持っていきたい、かような考え方を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 経済企画庁としては、この答申に対しては公文では反対ということであって、ただ説明として、経済企画庁の外局として存置することが必要かつ妥当である、こういう意見を出しておると思うのです。それから水資源の開発保全については、やはり経済企画庁の外局としての総合開発庁の所管とすることがこれも必要かつ妥当である、こういうふうに公文では言っておると思うのですが、その後、変更がなければそういうことであろうと思うのです。そこで、要は総合開発庁自体に反対しておるのではなくして、そういうものをつくってけっこうだから、それを経済企画庁の外局としてほしい、そういうことではなかろうかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/13
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014・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 水資源局も総合開発庁の中の仕事の一つとしてやっていって、そして御存じのとおり、水資源の開発というのはやはり国土総合開発と切っても切れない関係を持っておる仕事でございまして、これを切り離すということは妥当でない、したがって、国土総合開発の一つの内容として総合開発庁の仕事にしていく、同時にこれを経済企画庁の、ただいまお話のありましたように、外局として国全体の経済政策の総合調整というものに支障のないようにしていきたい、こういうのが経済企画庁としてのただいま提出してまいりました意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、経済協力行政に関する改善案の中で、外務省に新たな任務を付与すべきである、こういう改革意見に対して、経済企画庁としてはこれは賛成なのか反対なのか、どういう理由でと、こういうことをお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/15
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016・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) この面につきまして、臨調では外務省にそういうふうな協力機構をつくるべきだというお考え方が答申されておるのでございますが、経済企画庁としては、海外協力という問題は国内の経済政策と、これはもううらはらの関係になる次第でございまして、したがって、国内の経済政策というものの総合調整ということをいたします際に、同時に海外経済協力についてどの程度日本が日本の経済力からいってなすべきか、またはなす必要があるかというふうな問題に
ついては、やはり経済企画庁が中心となってこれが政府の考え方の取りまとめをするのが筋道であろうかと、かように考えてそういうふうな意見を申し述べてまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、経済協力基金に対する自主性の付与という項があるわけです。これは具体的に言うと、基金の所管について答申しておるわけですが、これに対して経済企画庁としての賛否はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/17
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018・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、経済協力法金ば、法律ができまして五年目に入ったわけでございますが、何ぶんにも当初はふなれでありました関係で、実際に運用しました、貸し付けました金額も、最初の二年度間は九・九億円、三年目になって二十九億円、昨年度は六十五億円と非常に急速に伸びてまいったわけでございますが、経済協力基金はそれ自体調査もなし得るたてまえになっておりますし、また、特に必要のある場合には直接投資もできるというようなたてまえになっておるわけでございます。そういうふうな関係から、漸次自主性を持ち、みずから調査をし、みずから判断をして、そうして積極的に動いていくという方向に育っていくことを私どもは期待いたしておるのでございますが、設立の当初においては、何ぶんにも海外市場がなかなか調査がしにくい、的確に把握できないというふうな関係から、いままでそういう点において遺憾の点があったことはそれば率直に認めざるを得ないと思います。それでそういうふうに漸次自主性を持ち、積極的に活動してまいって成長してまいったと思うのでございますが、それと、どこでもって主管するという問題とはこれは全然別問題であると、私どもはかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この基金の所管については、従来は経済企画庁にあったわけですね。したがって、経済企画庁の意見としては、従来どおり経済企画庁に賢くべきであるという意見であろうと思うのです。もしそうであるとすれば、改革意見には反対でなければならぬ、表面は。そこで反対という意見を出しておると思うのです。ところが、外務省はこれに賛成しておるわけですね。外務省の賛成の理由は、外務省が主管することが便宜かつ適当であるということを言っておるのです。ここでわれわれがこういうことを通して気づくことは、各省庁が自分の省庁の拡大強化されることにはいずれも賛成して、機能が縮小統廃合されることには反対だ。こういうのが——これは経済企画庁だけについて言っているんじゃないんです。各省庁の答申に対する意見を徴してみると、いずれも拡大強化、機能の拡大強化ということにはもうちゅうちょすることなく賛成という表現を使っておる。ところが、統廃合ですね、縮小、機能の縮小にはみんな反対なんです、例外なく。これらもその一つの例であろうと思う。いわゆるなわ張り争いの一つの具体例であろうと思うのです。経済企画庁からこの基金の所管を外務省へ移すということになると、機能、権限の縮小ということになるわけです。その受けるほうり外務省は、機能が強化されるわけですからこれは賛成ですね、というふうに、各省庁がみんなそういうことがあらわれてくるわけです。そこで臨調の答申に対する各省庁の意見を総合してみると、いま言ったことが如実にあらわれておるわけです。こういうことでは、臨調の答申は尊重するというその当時の池田内閣、これを受けた佐藤内閣についても、基本的には臨調の答申は尊重するという基本姿勢はくずしてないわけです。現在でも持ち続けておると思うのですね。それから経済企画庁長官としても、冒頭お答えがあったように、尊重の態度でこれに取り組んでおると、そうだと思うのですが、さて、具体的な例になると、いずれも機構拡大強化の面には賛成、機構の縮小、統廃合については反対と、これはほとんど例外ないです。いまの事例でこういうことが察知できると思うのです。これでは臨調の行政改革もなかなか、期待どおり実現できないと思うのですが、このことに対して、長官としてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/19
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020・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 他の省庁の関係はよく存じておりませんが、事経済企画庁に関しましては、そういうふうな権限争いとかなわ張り争いというふうな考え方で申し上げておる趣旨ではございません。ことに経済企画庁は、伊藤さん御承知のとおり、出光幾関を持っておる官庁じゃございません。むしろ政策の総合調整をはかりまして、各省庁に十分にその能力を発揮していただくということが経済企画庁の本来のあるべき姿であろう、かように考えておるわけでございます。そういうふうな観点から、いかにすれば能率的な運営ができるかという面から申し上げておるのでございまして、経済企画庁の権限が拡張すればいいんだと、こういうふうな考え方で受け取っておるわけでは絶対ございません。ただいま御指摘の海外経済協力基金につきましても、これは伊藤さんもよく御承知のとおり、通産省、大蔵省、農林省、外務省と、それぞれ関係官庁が非常に多いわけでございます。それで、どうしても、結局、それらの各官庁に相談しながらこれを育てていくという必要があるわけでございますが、そういう場合において一番大切な問題は、やはり日本の経済の力から、どの程度までできるかという問題点が一つと、もう一つは、日本の輸出入行政、御承知のとおり、低開発国に対する日本とそれらの国との貿易の関係は片貿易になってしまっているというのが現在の実態でございます。いわば輸出が多くて輸入がないということになっておるわけでございます。したがって、そういうところに対して相当の開発投資を必要とするというふうな必要がずいぶん多いのでございますが、そういう場合に、開発投資をいたしました際に、日本が開発投資をしてできたものを日本が輸入できないというようなことになったのでは、これは、そのこと自体が無意味になるということで、たとえば農林省等の意見というものは十分反映をされなければならない。それで、そういうふうな国内におけるところの調整という面が非常に大きなウエートを持つ。そういう意味で、私どもは、外務省が現実に即してもっと能率化をしていきたいという御主張の点はよくわかりますから、そういう点の改善は、ぜひどんどんやっていきたい。しかしながら、同時に、全体としてのもっと能率的な運営、運用という面から見ますると、臨時行政調査会の御答申の点については同輝いたしかねるという考え方を持っておる次第でございます。
〔委員長退席、理事栗原祐幸君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、東北開発株式会社は、相当赤字が累積しておるわけですが、この累積赤字の処理は、別に検討することとして、民間会社として再建する方途を検討すること、こういう意味の答申をしておるわけです。これに対して経済企画庁としては、どういう態度をとっておられるか、この点を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/21
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022・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 東北開発株式会社については、ここ二、三年前からいろいろな問題が出てまいりまして、国会でもずいぶん御批判をいただきましたことば御承知のとおりでございます。したがって、一昨年この問題について相当基本的な検討をいたしまして、そうして昨年度からこれが五カ年間にわたるところの再建計画を開始いたしました次第でございます。同時に、昨年重役陣も全部変えて、また内部の機構の整理も行ない、そうして株式会社として成り立つような方向に、しかしながら、同時に東北のあのおくれた地域の開発にも貢献できるような趣旨でもってやっていきたい、こういうことで昨年方針を一応立てまして、そうして毎年政府から十二億円ずつ出資をする、そうして四十年度友までに大体累積赤字が六十億円になるという見込みでございましたので、その六十億円を毎年政府出資十二億円ずつ五カ年間いたすことによって、この累積赤字を消して、そうして新しい姿で健全な株式会社としての姿で、しかも開発に貢献していく、こういう形でいこうということで、昨年以来鋭意努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 経済企画庁としては、この累積赤字を五カ年計画で処理しようという意図のもとに、これを目下実施中、こういう点はうかがえるわけですが、そこで五カ年計画で、この累積赤字を解消し得る見通しはあるわけですか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/23
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024・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほどもお答え申しましたように、三十九年度の見込みの赤字並びに四十年度においても、なお多少の赤字が残る見通しでございますが、そういうものを全部累積いたしますると約六十億円になるであろうという見当をつけまして、それを毎年政府から十二億円ずつ出資をするということによって、この累積赤字を国庫の出資によって肩がわりいたしまして、そうして金利の負担をなくして身軽な形で、健全な形で再建をいたしたい、こういう考え方でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 関連があるからお伺いしたいのですが、民間に委譲すれば、赤字経営から、黒字経営へ転換できるというのはどういう意味なのか、この点をひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/25
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026・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 臨調の答申では、委譲することも考えられるという趣旨の書き方といたしておりますが、政府といたしましては、この会社の歴史的な背景、それからこの会社の特殊会社として法律上目的とされている事柄、そういう点から考えまして、民間に委譲することによってその目的はとうてい達成できないと、また東北地方におけるところの、このおくれた状態を何とか国の力を差し伸べて、そうして開発を促進したいというこの考え方も捨てるわけにいかないという考え方から、民間の純然たる株式会社に委譲するという考え方は現存持っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど冒頭にお伺いした際、長官から消費者行政の改革に関する意見に関連して、詳しい御説明があったのですが、消費者行政の改革に関する意見として、内閣の経済企画庁に消費者行政局を設けることと、これに対して、先ほど御指摘があったと思うんですが、ところが、これも官庁によってはいろいろと態度が違うわけですね。厚生省としては反対しておるわけで、経済企画庁としてはさらに検討を要するということであるのですが、これはまた後ほど法案自体にも関連してまいりますので、この項については、後ほどまた詳しくお伺いしたいと思うんですが、最後に、この臨調の改革意見としてお伺いしたいのは、消費者行政の評議会を経済企画庁には付置する、こういう改革意見に対しては、経済企画庁としてはどういう態度をとっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/27
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028・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 臨調では、消費者行政評議会という名称でもって一般民間の苦情とか、その他広範な問題について検討させる機関として置いたらどうかという趣旨の答申があったわけでございますが、御承知のとおり、現在経済企画庁に国民生活向上対策審議会というのがございます。この国民生活向上対策審議会の考え方よりも少し広範な面を持っておりますので、局の名称を消費者行政局から国民生活局といたしましたと同じような趣旨をもちまして、同じようなところを大体目ざして、目的といたしまして、国民生活審議会ということにいたしたいと、かように政府としては考えておる次第でございます。
それはどういうことかと申しますと、やはり消費者行政ということになると、何か将来の理想像というものが掲げられる具体的なルーティンワークのような感じがするもんですから、名称はやはり国民生活審議会ということにし、同時に、いままでは経済企画庁長官の諮問機関でございましたが、これを総理大臣の諮問機関というふうに格上げいたしまして、そうして大きく政策の一環の問題として取り上げて、御審議を願う、こういうふうに考えてまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体臨調の意見に対する経済企画庁の意見、こういうものについては大綱わかりましたので、次にお伺いしたいのは、臨調の答申と、この法案の内容として説明のございました国民生活局の設置に関する問題、この面から二、三お伺いしたいと思いますが、この国民生活局の設置は、昨年の第四十六通常国会に総理府設置法の一部改正案として提案されたわけですが、国会において修正かつ削除されたと思うんです。その理由は、臨調の答申を待って再検討すべきである、そういうことで修正削除されたわけですが、そこでこういう観点から、今回の国民生活局と臨調答申の消費者局構想との関係については、どうもよく明らかでないので、この点ひとつ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/29
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030・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほど御答弁申し上げましたように、名称の差が示しますように、単に消費者行政だけではなしに、国民生活に対する将来のビジョンを絶えず持ちながら、国民生活のあるべき姿を描きながら、調和のある、総合性のある指導をしていきたい、同時に、消費者の保護をやっていきたい、こういう趣旨をもって国民生活局という名称にいたしましたので、この目的とするところは、臨調の御答申のところと大体一致していると、かように私どもは考えておる次第でございます。
なお、先ほどちょっと答弁を漏らしましたが、厚生省等においても反対があるという御指摘がございました。これは両省間に当初意見のありましたことは事実でございますが、これは完全に調整されてまいっておりますので、その点をあわせてお答え申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この臨調の答申でいうところの消費者局の構想の基本は、消費者行政改革に関する意見、ここで詳しく述べられているわけです。その要点を見ますと、現在公正取引委員会、厚生省、経済企画庁、農林省また通産省、運輸省、建設省、地方公共団体等、こういうふうにまことに広範な機関でまちまちに行なわれている、こういうことをまず指摘しておるわけです。そこで消費者保護行政と同じ見地から総合調整するために強力な総合調整機関として消費者局を設けるべきである、こういう観点から消費者局を設けるべきである、こういうことを強調しておると思うのです。そこであくまで消費者保護強化の行政需要に対応するために独立した消費者局を設けるようにすべきだ、こう言っておるわけですね、この答申の意見を見ますと。ところが、今回の政府案の内容を見ると、国民生活局としてその所掌の一部に消費者保護の事務を取り扱うような構想をそこに立てておるわけで、これは明らかに答申の内容とちょっとそぐわないように思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/31
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032・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 新しい国民生活局の内容は、消費者行政課それから物価政策課並びに国民生活課、この三つの課に分けていく予定にいたしておるわけでございますが、この国民生活課というのは、先ほど来申しておりますとおりに、消費者行政をいたします上においても、将来の国民化活のあるべき姿というものを絶えず見ながら、国民生活の各項目の間におけるところのバランスをとっていくという趣旨をもって一課を設けることにいたしておるのでございます。もちろんこれは消費者行政の一環ではございますが、そういう意味で消費者行政の一環としてこれを取り出して考えていくという考え方をいたしたわけであります。しかして、物価問題につきましては、これは単に消費者物価のみならず物価全般についてやはり物価を考えていかなければ、消費者物価だけを取り出して、卸売り物価に関係のない政策では、総合調整はいたしかねる、そういう点もございまして、そういう面から物価対策課としていままでの物価政策課の仕事を引き継いでやっていく、そういう観点から申しますと、やはり消費者行政局という名称よりも、国民生活局という包括的な名称のほうがより内容にも適当であり、また、今後の政策運営の実行面におきましてもそれがぴったりだ、こういう考え方に基づいて、しかも臨調の答申の目的を完全にこれで達成できるという考え方に基づいてこういうふうな構想にいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この提案理由を見ますると、臨調の答申の考え方は、前々国会に提出した国民生活局の構想と大筋において合致するものである、こういうことを言っておられるのですが、私どもから見ると、どうも合致しないようにしか受け取れないわけです。一体どのように合致するのか、この点をひとつ納得いくように御説明いただきたいと思います。われわれの見方は、どうも合致してないと思う。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/33
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034・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 臨調の答申は、文章をずっと読んでみますと、先ほど御指摘のありましたとおり、たとえば農林省または通産省、厚生省、その他公正取引委員会、まあ各省庁にわたってこの問題が行なわれておって、これが十分な総合調整というものができていないという欠陥があると、そこに焦点を合わして御答申になったわけでございます。それでその点はもちろんわれわれも、四十六国会に提案申し上げたときも、その点に重点を置いてものを考えたわけでございますが、それだけを取り出すんじゃなしに、やはりそれと直接の関連がある問題も同時に取り上げて、そして総合調整、斉合性のある政策をとっていくということにすることのほうが、よりこの目的を達成するのに必要であると、こういうふうな考え方を持っておるわけでございまして、その点はむしろ臨調の御答申の目的を完全に達成するのにはこういう方法が一番いいんだと、こういう考え方に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この臨調答申に対する各省庁の意見をまとめたものがございますが、これを見ますと、経済企画庁としては、消費者保護行政は国民経済全体の視野に立って広く国民生活行政の一環として行なうべきである。そのため国民生活局を置くのだと、まあこういう意味で言っておるわけですが、そういう表現からすると臨調の消費者局の構想は、これとは違って国民経済全体の視野に立っていない、広く国民生活行政の一体性を没却したところの構想だというようにとれるわけですが、そういう受け取り方をしていいのかどうか。この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/35
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036・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 経済企画庁の意見がどういうふうに出ていたのか、私記憶いたしておりませんが、もちろん臨時調査会はそういうような狭い視野でもってお考えになっておるとは思いません。その目的とするところは、経済企画庁が国民生活局を設置しようとする趣旨と私はその精神において何ら差異がないと、かように考えておるわけでございます。そんな狭い視野に立った御答申とは私どもは受け取っていないわけでございます。ただ名称その他を考えます際に、またその仕事の内容を考えます際に、やはりそれと緊密、密接不離な関係にある仕事は一体として扱っていったほうがいいという考え方から国民生活局というふうな名称にした。そして絶えず理想を求めながら行政を総合調整をしていくということのほうがよりすなおないい形じゃなかろうかと、こういうふうな考え方のもとに御提案申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この今回提案された国民生活局の所掌事務を、前回出されたそれの所掌事務と比較してみたわけですが、そうするとこういう点が違っているだけなんですね。一般消費者保護に関する経済政策及び計画の総合調整の規定を生活環境の整備などの総合調整の項目から独立させておるわけです、今回は。それが前回と違ったところなんです。実体的に見て他の面ではほとんど変わっていないと思うんですが、そうだとすると、前回この国民生活局の所掌事務を提案されて、これはまあ先ほど申し上げたような事態になったわけですが、いま私が指摘した点は確かに違っておると思います、その点を独立させたという点は。それ以外に別段変わった点は見受けられないのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/37
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038・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいま御指摘になりました点は、もとは包括的に一項目として書いておったのを、臨調の御答申もございましたので、これを二つに区分してそして明確化してここに規定をいたした次第でございます。それ以外には四十六国会に提案したものと違った点はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういうことになると、ここにまた問題はあろうと思うのです。いろいろ臨調答申で注文をつけられていると思うのですが、この項については。ところが、経済企画庁としては結果的にはこの臨調の答申を非常に軽視してしまっているのではないか。一べつも与えていない。はっきりいろいろ注文しているにもかかわらず、先ほど指摘した点くらいしかかわりばえがしてないわけですね。これでは臨調の答申を軽視している、臨調の答申を尊重しているものではない。こういうふうに断定せざるを得ないわけなんですけれども、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/39
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040・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 臨調の答申は相当精神的な面が多うございまして、法文化する場合にはなかなかそのとおり法文化できないような部分もございますので、私どもはあの精神は十分にくんで、そしてその精神が最も完全な、すなおな形で実現できるあり方がこの国民生活局の設置という方向である、かように存じまして、そういうふうにいたしましたような次第でございます。なお、補足的に事務当局から御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/40
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041・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 事務的な面にわたりますので、簡単に御答弁いたしますが、おおむねにおきましては長官の御説明のとおりでございます。それからそれ以外に臨調の答申を受けて特に考えました点は、国民生活向上対策審議会の性格を臨調の答申のいわゆる評議会の機能を十分発揮せしめるような形に改組したという点が一つでございます。それからさらに臨調の答申の中で十二項目いろいろ指定はされておりますけれども、たとえばその中で消費者に関する補助金を与えるとか、あるいは広報活動をやるとかあるいは地方公共団体に対する連絡、助言をするとか、こういったことをやる、こういう規定がたくさん盛られております。こういった点は十分考えてはございますが、通常設置法の場合には、これは法文化しないで総合調整の一環として読むというふうなたてまえになっておりますので、特に明記しなかったわけでございますが、政令等におきましてはたとえば広報活動等はこれは法文化したいというふうに考えております。
〔理事栗原祐幸君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/41
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042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで国民生活局の所掌事務を検討してみると、一号の国民の合理的な生活水準及び生活構造の策定並びに国民生活の安定及び向上に関する基本的な経済政策及び計画の企画立案及び総合調整に関することは、現在調整局で行なっている所掌事務をそのまま持ってきただけのことであって、そうだとすると、これは従来から経済企画庁でやっていることではなかろうかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/42
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043・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 法文といたしましては、今日調整局でやっておることもございますが、調整局でやっております現在の法文は、「国民の合理的な生活水準の策定」というふうなことばで、まあこれでも読めますけれども、さらにそれを分化いたしまして、横のレベルの関係の、生活水準と生活諸要素間の斉合性という意味から生活構造の策定ということで、この二つによりまして将来のビジョンというふうなものを考えたい。それからさらに「国民生活の安定及び向上に関する基本的な経済政策及び計画の企画立案」と申しますのは、こういった前段の考え方のいわゆるビジョンを達成するためにどういう経済政策を行なうべきかというふうなことをここで明記してございますので、形としましては同じような文章になっておりますが、前段を受けておるところで意味があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/43
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044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、四号の面について見ると、四号の「物価に関する基本的な政策の企画立案及び総合調整に関すること。」、これも現在調整局で行なっておるのではなかろうかと思う。なお関連して、六号の「国民生活研究所に関すること。」で、これも調整局の所掌を移しがえしただけだと思うのですが、この点はどうか。それから五号の規定も、調整局で現に行なっておる長期経済計画に関する関係行政機関の重要な政策、計画の実施の総合調整の一部を抜き出してきたものではなかろうかと思うのですが、こういう点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/44
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045・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 御説明申し上げます。確かに四号の「物価に関する基本的な政策の企画立案」につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、現在調整局に規定されておる事項でございます。ただし、これを今回国民生活局に移管いたしましたのは、消費者物価というふうなものが非常に今日大きな問題になっておりまして、間々これが生産者あるいは供給者サイドからものが見られるのではないかという批判が一般にございます。経済企画庁としましては、むしろ消費者の立場に立っていろいろやってきたわけでございますが、この際こういった行政の態度を消費者のサイドからいろいろものをやっていく見方にウエートを置くのだということを明らかにする意味におきまして、相当意味があるのではないかというふうな考えでおります。
それから五号の点につきましては、今日、経済企画庁では長期計画はうちの計画局でやっております。それの実施を調整局が行なうという規定で同じような規定がございますが、ただ今度局ができますと、この長期計画のうちで、国民生活に関する事項につきましては国民生活局が行なうということで、この正号ができておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/45
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046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでこれを総括的に見ると、国民生活局として新規なものは、先ほども指摘したように、一般消費者保護、生活環境の整備、こういうものの基本的な経済政策及び計画の総合調整、こういうことだけだと思うのです。国民生活局の所掌事務は従来から繰り返し申し上げるように、経済企画庁でやっていたものに若干新規の権限を与えただけで、臨調答申にいう十二項目にわたる事務を消費者局に所掌せしめようとするこの臨調の構想は完全に受け入れられていないということを断定せざるを得ないと思うのですが、臨調の答申では十二項目にわたる事務を消費者局をつくって、そこで所掌せしめなさいと、こういう意味の答申であろうと存じます。ところが、実際には従来から経済企画庁にあったものに若干の新規なものを加えただけにすぎない、こういうことになりますから、結局総括的にいうと臨調の構想は無視されておる、あまり尊重されていないんじゃないか、こういうことがいえると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/46
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047・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、項目としては従来も経済企画庁の所掌事務としてありましたことはこれは御指摘のとおりでございますが、何ぶんにも調整局の一部、一課と申しますか、一、二課の所掌事務でございまして、これを担当する職員も少ない、また調整局長自体、相当広範な、経済政策全般の総合調整という非常に大きな責任を持っておる局でございますためにこれに専念することができないというふうな面もございます。そんな観点からこの十二項目を、十分にこの目的を達成するのにはやはり国民生活局というような新しい局にこれを独立さして、そうして局長のもとに相当職員の充実も行ないまして、それぞれこの目的を達成していくということが必要である、こういうふうな観点からその精神においては従来もそのことを意図しておったことは事実でございますが、遺憾ながらきわめてわずかな職員であり、しかも課としても小さな課であったというふうな観点からそれが達成できなかった。その点を今回は、その臨調の答申に基づいてこの目的を達成しようという非常な意欲を持って出発しようとしておるのがこの国民生活局の設置の御提案である、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/47
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048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういういままで私が指摘してきたという事態であるにもかかわらず、経済企画庁としては、消費者保護行政は国民経済全体の視野に立って広く国民生活行政の一環として行なうべきであった、こういうふうに説明しておるわけですけれども、どうもこういうことでは一般には納得できかねると思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/48
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049・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、もちろん各省に分属しておりました消費者行政というものを統合するという、総合調整をはかるという官庁でございますから、ここで全部実行できる問題じゃございませんが、しかし、これでもって相当総合調整的な機能を十分に発揮するためにはこういうふうな新しい局の設置が必要である。その場合に、消費者行政局というふうな名称になりますると、その範囲が狭く、しかも密接不離な関係を持っておるところの仕事が入ってこない。また、国民生活のビジョンと申しますか、もう少し——経済成長の目的はどこまでも国民生活の向上であり、福祉の増進であるわけでございますから、そういうふうな面に向かって、その理想に向かって消費者行政をどういうふうに扱うべきかという面からもこれを検討すべきであるという点から名称を国民生活局というふうにいたしましただけでございまして、実態はどこまでも消費者の保護という面に重点を置いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/49
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050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この臨調のいっておる消費者局の構想のうちで特に重要と思われるものは、たとえば「政府が関与する重要物価、料金等の決定の基本方針に消費者の利益保護をはかるため参画すること」こういうことと、それから「生活環境整備の基本方針の企画立案に消費者の利益保護をはかるため参画すること」こういうふうに積極的な参画規定があると思うのですが、ところが、今回の国民生活局の所掌にはこういう点は無視されておると思う。こういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/50
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051・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 私からお答え申し上げたいと思います。
第一点の「政府が関与する重要物価、料金等の決定の基本方針に消費者の利益保護をはかるため参画すること」、うちのほうでは「政策の企画立案及び総合調整」となっておりまして、「参画」以上に「企画立案」というのは法文的に強い表現でございます。それで、これの臨調の趣旨は、おそらく、ここで「参画」というのは、消費者物価だけではなしに卸売り物価、いわゆるこれは消費者と直接関係ない点も含んでの「参画」というふうに書いておられるのではないかというふうに聞いておりますが、われわれのほうでは、消費者物価につきましてもまた卸売り物価につきましても、「企画立案及び総合調整」ということで、十分その趣旨はこの中で生かされておると考えております。さらに生活環境の点につきましても、これは、現在、生活環境につきましては、それぞれの省がいろいろ具体的にやっておりまして、したがいまして、こういった点につきましては「総合調整」という段階におきまして、十分各省との施策を具体的に国民生活の方向に持っていくような考え方は、十分この段階でとれるのではないかというふうな考えでございます。そういうふうに、実は、この十二項目につきましては、一応、各項目ごとに、このわれわれの提出しておりまする法文の中のどれに該当するか、またその間の関係はどうかという点もしさいにわれわれ検討いたしておるのでございますが、もしなんでしたら御説明申し上げてもよろしゅうございますが……。
いたしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/51
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052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/52
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053・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) それでは、臨調の答申の第一が、「国民生活の安定および国民福祉の向上に関する基本的政策の企画立案」という考え方をとっております。それにつきましては、提出法案の第一号の規定で、「合理的な生活水準及び生活構造の策定」というところの基本的政策の企画立案というところで、十分その任務は果たせるというふうに解釈できます。もちろん、その「企画立案及び総合調整」ということばにつきましては、若干の法文上のニュアンスの違いはあるかと思いますけれども、趣旨におきましては同じでございます。それから臨調の第二点といたしまして、「消費者行政に関する関係行政機関の重要な政策および計画の実施に関する総合調整」というのは、政府提案の二号の規定「一般消費者の保護に関する基本的な経済政策及び計画の総合調整」ということと符合してございます。それから臨調の第三号の、「消費者物価に関する基本的政策の企画立案および総合調整」これは、先ほど申し上げましたように、四号と並びまして、臨調の四号が、「政府が関与する重要物価、料金等の決定の基本方針に消費者の利益保護をはかるため参画すること」ということにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、うちの規定にございます「企画立案及び総合調整」というところで十分その趣旨は織り込まれておると考えております。さらに臨調の五番目の「生活環境整備の基本方針の企画立案に消費者の利益保護をはかるため参画すること」、これはうちの第五号でございます。それから次に、臨調の六号の「国民生活の実態に関する調査、分析および消費関係資料の収集」、この点につきましては、うちのほうで明文はございません。これは、現在うちには、各局がやっておる仕事につきましては、それに必要なる調査、分析ということばは、法文に掲げなくても、「総合調整」ということばは、全部それを含んでこのことであるという法文上の解釈になっておりますので、したがいまして、調整局もそういう規定はございませんし、計画局のほうにもございません。したがいまして、うちのほうの一号、二号、三号、四号、五号を通じましての「総合調整」ということばで十分織り込まれておるというふうに考えておる次第でございます。それから第七号の「消費者の不満、苦情の収集、処理のあっせん」というのが臨調の答申にございます。それら「不満」とか「苦情」の「収集」ということは、これは、法文といたしましては、いわゆる調査、分析ということばで十分読むことができるというふうに考えられますので、調査、分析ということになりますと先ほどのような形になると思います。しかし、こういった点につきましては、消費者の意向というふうなものを、われわれは研究する必要があるという点から、さらに政令の段階におきましてこれを明文化したい。法律でいきますと、ちょっとダブる形になりますが、政令で明文化したいというふうに考えております。
それから第八号の「消費者教育に関する基本的政策の総合調整」という点につきましては、「教育」ということば、これは現にそういう表現を使うまでもなく、いわゆる国民生活局事務のこういった、一号、二号、三号の一環として読めるというふうな解釈になっておるので、法文上はこれは明記しないのが恒例であるということで明記してございません。それから九号の「消費者行政に関する各種補助金等につき基本的な検討と効果の測定」、補助金というのは経済政策の一連でございますので、これも法文といたしましては、経済政策の総合調整、企画立案ということで十分読めるということでございます。さらに十号の「消費者行政に関する広報活動」これは先ほども申しましたように、一応法文にしないのがたてまえでございますので、政令段階におきましては、これの趣旨をとにかく入れたいということで、政令段階で入れる考えを持っております。それから「地方公共団体に対する連絡、助言」でございますが、こういう点につきましては、今日自治省の任務でこういった規定が入ってございます。したがいまして、法律上これをやれば、一々自治省を通してやらなくちゃならないという形になります。したがいまして、こういうことは現実に、入れなくても、事実問題として今日いろいろ行政——各地方公共団体と連絡してやっております。これは調整局段階におきましてもやってございますので、これはかえって法文化しないほうが事務が円滑にいくのじゃないかというふうな考え方で省いております。同じような規定が、「国際的な消費者行政機関および消費者団体との連絡提携」というのが次の十二号にございまして、これも厳格に見ますと、法文の形としましては、外務省ということになりますが法文には載せないで、事実上やる場合には、これで十分の各国の情報等の交換をやってございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/53
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054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 繰り返しお伺いしておるように、臨調のいわゆる消費者局についての構想は、現在の消費行政の弱体を、何とかひとつ積極的に、意欲的に立て直そうと、そういうところにあろうかと思う。ところが、いま詳細に御答弁もございましたが、こういう意図のもとにあげられた各項目については、今度のいわゆる経済企画庁のこの案にはあまり取り入れられていないということを指摘せざるを得ないわけなんです。そういうことになると、結局臨調の答申は、繰り返し指摘しておるように軽視しているではないか、尊重したことにはならないではないかと、結論的にこういうことを言わざるを得ない。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/54
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055・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいま十二項目について詳細に御説明申し上げましたとおり、設置法という法律で、こういう形でもって法文化いたします場合には、どうしても包括的な表現を用い、そうしてまた、具体的な面は、政令等に譲るというのが慣例でございますために、そういうことで設置法の法律の上にはあらわしてなくても、その中に含まれておって、具体的には政令でもってある程度これを明らかにしていくということで臨調の御答申の趣旨は完全に、十分にこれを実現できる。ことにこれは新しく局をつくって、そうして、責任者を置いて、しかも職員の数も現在の倍以上に増員をいたしまして、そうして内容を充実していこうというところにきわめて意欲的な臨調の御答申を十分に実現していきたいという意欲をお認め願いたいと、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/55
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056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、臨調が消費者局についての各要望しておる項目については法文とはいたしがたいので、政令としてその精神を取り入れて、その線に沿うてひとつ前向きの姿勢でやっていきたい、こういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/56
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057・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) ただいま御質問の御意見のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、さらにお伺いしますが、消費者保護行政を望むことはもう国民一般が望んでおると思うのです。臨調の答申でもこれを強調しておることは先ほど来私が指摘しておるわけであります。ところが、従来の行政は生産者保護行政であって、生産に関連しない面は軽視され過ぎてきたんではないか、こういう傾向が従来あったと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/58
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059・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) たとえば通産省所管におきましては、中小企業団体法というような法律がございます。また、農林省関係においては、各種農産物の生産についての奨励に関する法律が多数存在いたしておりますが、これらの法律の中において、常にこれはもう、もちろん生産が中心になっているところの法文の規定にはなっておりますが、常に消費者の利益を害せざることという一項目が常にその中には規定が織り込まれておってまいっておるのでございます。しかしながら、ただいま御指摘のとおり、何と申しましても生産を中心に考えがちな傾向を持つ官庁でございますので、そういう意味で、経済企画庁において消費者保護という立場から、総合的な観点から、そういうふうな面について絶えず総合調整を行なっていく必要がある、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その生産の目的とするところは、あくまで国民福祉の向上というところになければならぬと思うのですね。それがややもすると、生産が国民福祉を圧迫するというような状況になるとこれはゆゆしい問題だと思う。まことにそうだとすると遺憾だと思うのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/60
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061・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御指摘のとおりでございまして、これは生産のみならず環境衛生関係の問題についても同様な問題であります。したがって、法文上、消費者の利益を害せざることと、必ず明記されておりますが、そういう面について、やはり総合的な観点から経済企画庁において絶えず注意を払っておるという必要があろうかと、かようなふうに感じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 言うまでもなく、いまは大量消費時代に変わってきておるわけですね。こういう、現在いわゆる行政の重点が変化してくるのもまた当然といわなければならぬと思う。そこで、生産者保護行政から大きく消費者保護行政に向かって進展するであろう、こういうことが当然考えられるわけです。こういう意味から、今後はやはり行政の姿勢は、あくまで消費者保護の基本的な立場を堅持しながら進んでいかなければならないのではなかろうかと、こういうふうに考えられるわけですが、この考えに対する長官のひとつ見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/62
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063・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 経済の成長は、経済の成長それ自体が目的ではございません。また生産の増強というものも、生産の増強それ自体が目的でなしに、どこまでもそれが国民の福祉に結びついて初めてその目的を達成し得る次第でございます。そういうふうな観点から、経済の成長と調和のとれた、佐藤総理は社会開発ということばを用いておられますが、社会開発ができるような調和のとれた政治をやっていくと、ここに非常に重点を置いて国民生活局の設置も強力に進めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/63
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064・伊藤顕道
○伊藤顕道君 経済企画庁としては、この消費者保護という限られた狭義の立場から保護行政を考えるべきではなくして、広義に国民全体の国民生活局、全体から行なわれるべきだと、こういうお考えであろうと思う。そうだとすると、臨調の言わんとしているところは、消費者保護行政は、そういう経済企画庁のお考えでは、消費者保護行政は推進できないではないか、臨調の言わんとしている消費者保護行政は推進できないのではないかと、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/64
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065・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御意見ではございますが、むしろそういうふうな理想を持ち、国民生活をどうしたらもっと理想的な、もっとほんとうに国民の要望にこたえた姿に持っていけるかという理想を描いて、そしていく場合において初めて消費者の保護というものが完全に行なわれ、消費者保護行政の目的も十分に達成できる。したがって、表現のしかたとしては、臨調においても消費者行政ということばをお用いになっておりますが、精神はどこまでも国民の福祉の向上という点にあろうかと存じます。要するに国民の生活水準の向上であり、または相互に調和のとれた理想的な国民生活というものを描きながら、それに向かって意欲的に前向きに進んでいけと、こういう趣旨であろうと私どもは受けとめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/65
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066・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは臨調が答申しておるその姿勢を見ると、あくまでも消費者行政の強化ということを強調しておるわけであります。ところが、現在企画庁の言わんとするところは、国民生活という抽象的、そして総花的な行政をさしているのではないかと、こういうふうに相当の開きがあると思う。臨調の答申は、あくまでも消費者行政というところに重点を置いて、そういうことの強化を強調しておるわけです。明らかに経済企画庁の見解とは違うように思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/66
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067・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) これは非常にことばの問題の受け・取り方でございまして、技術的な面も含んでおりますので、事務当局から御答弁をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/67
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068・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 御趣旨の点につきまして、われわれの立場というものは二つあるのではないかと。一つは個人という立場と、それからそれの総合としての国民生活という二つの立場がございます。われわれが個人としての立場でいろいろ保護されるべき問題といいますと、たとえば薬を買う場合は薬事法とか、あるいは誇大広告の宣伝に惑わされないとか、あるいは割賦販売で不当な販売条件を押しつけられないとか、こういったようないろいろ身辺を取り巻くいろいろな問題がございます。そういった個別の問題につきましては、実施は各省でやってございます。しかし、そのやり方等につきまして、必ずしも国民のサイドを十分理解した立場にないものも中にはあるし、また、やり方につきまして不統一な点も多々ございますので、そういった点を個々の消費者のサイドに立った考え方でやっていこうというのがこれ臨調の考え方でございまして、これはうちの法文でいきますと二号、三号がそれを受けてやってございます。さらに今度の国民生活審議会におきまして、消費者保護部会というのをつくりまして、その消費者の代表からいろいろ日常生活に関しまする不平不満等の声を十分聞きまして、それを可能な限りにおいて行政措置に反映させるような手段もやっていきたいというふうなことで、従来の国民生活向上対策審議会を改組いたしまして、諮問ではなしに、一般から積極的に意見を述べられるというふうな考え方に政令改正をするような準備を現在やってございます。したがいまして、そういう意味におきましては、先生のおっしゃいます、いわゆるまた臨調の答申にございまする個々の消費者の立場というものを十分考えていくという考え方は織り込んでおるわけでございます。ただ、それの総合である国民生活というものは、同時に経済の発展というものと国民生活全体の発展がバランスがとれていかなければならない。しかもまた、国民生活というものは、経済の発展の段階に応じてしかるべき適当なる資源配分を受けなければならないという考え方に立ちまして、そういうサイドから将来のビジョンをつくっていくということで、この二面を備えたのが今度のうちの改正案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/68
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069・伊藤顕道
○伊藤顕道君 試みに外国の傾向を見ますると、アメリカをはじめイギリスとか、フランス、ドイツ、イタリアもそうですが、これらのすべての近代国家群について見ると、消費者行政の推進に非常に力こぶを入れておる、これが現状であろうと思います。で、具体的には消費者保護省というのがあるわけです。あるいは消費者庁。こういう省庁がすでに設けられておる国もあろうと思います。こういう姿勢が臨調の答申の姿勢であって、大量消費時代には欠くことのできない要件ではなかろうか。外国の先進国のこういう姿勢ですね、消費者省とか消費者庁。ここまでいって初めて臨調のいわゆる構想が出てくるんではないか。また、このことは、大量消費時代には欠くことのできない要件であろうと思うんです。この点に対する長官の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/69
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070・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 臨調の御答申にもございましたが、なるべく行政機関というものは簡素強力化するという観点から、臨調の御答申においても消費者行政局という趣旨の御答申に相なっているわけでございます。しかしながら、その目的とするところは、理想とするところは、ただいま伊藤先生の御指摘のとおりの精神でなきゃならぬと、かように考えて、そういうふうなきわめて意欲的な前向きの考え方のもとに局の設置を進めていきたいと、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/70
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071・伊藤顕道
○伊藤顕道君 生活局についてはだいぶ明らかになりましたので、次にお伺いしたいのは、国民生活審議会について一、二お伺いしたいと思います。
国民生活向上対策審議会、これが今度国民生活審議会に改組されたわけですが、その改組された理由は那辺にあるのか。この辺を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/71
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072・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) これは先般、先ほど企画庁長官から御説明いたしました点にも触れますが、臨調の答申で消費者行政評議会というふうなものを設けて、そこで国民の声を積極的に聞きなさいと。従来の審議会では、政府サイドから諮問をいたしまして、格間に答申をするのが審議会の使命である。それではいけないからというので、評議会を設置せいと言われたのが骨子でございます。それで、そういう点につきまして、従来経済企画庁にございました国民生活向上対策審議会も経済企画庁長官の格間に応じて審議をする、こういうふうになっておりましたのを、今回それを改めまして、諮問に応じて審議もいたしますが、また同時に、積極的に意見を申し述べることができるということを法文に明記いたしまして、諮問のあるなしにかかわらず、国民が意見を申し述べることができるというふうに考えたわけでございます。それと同時に、従来は経済企画庁長官が所管大臣になっておりましたのを、臨調の答申もございますので、内閣総理大臣及び関係大臣ということで、各省大臣の共管という形におきまして所掌の大臣になっていただきまして、関係各省一堂にそろって国民の声を聞くというふうな考え方をとったわけでございます。したがいまして、そういう実質的に非常に大きな変革をいたしましたもんですから、名前を国民生活審議会というほうがふさわしいと思いまして改めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/72
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073・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御答弁の中にもありました国民生活審議会は、総理大臣及び関係各大臣の諮問に応ずるようになっておる。こういうことは明らかなんですが、そこでお伺いしたいのは、ここでいう総理大臣というのは、内閣の首長としての総理大臣なのか、総理府の長としてのものなのか。もし、総理府の長としてのものとすれば、関係各大臣の中には経済企画庁長官は含まれないことになるわけですが、他の例で言うと、たとえば地盤沈下対策審議会は、経済企画庁長官または関係各大臣の諮問に応ずることになっておるわけです。ところが、本審議会は所管大臣である経済企画庁長官が直接に諮問できないということになっておるわけです。これはおそらく外局であるという組織上のことからそうなっておることとは推察はできますけれども、ちょっとどうも納得しがたいと思うのですが、直接関係のある経済企画庁長官に諮問できないというのは、これはどういうわけなのか。この辺を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/73
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074・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 現在やはり内閣に経済審議会がございまして、経済審議会は総理大臣の諮問機関になっておりますが、経済企画庁の所掌事務でございまして、経済企画庁のつまり企画室案に基づいて総理大臣が諮問を出される、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがって、総理大臣が諮問をし、総理大臣に答申をする総理大臣の諮問機関ということになっておりますが、実態上は経済企画庁がこの仕事をやる、こういうたてまえになっておりますので、その点は何ら支障のないのみならず、他の各省庁からの意見も十分強力に総合調整していける、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/74
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075・伊藤顕道
○伊藤顕道君 お考えはわかりましたけれども、これはやはり私が指摘した外局であるという組織上のことからこうなっているのだと思うのですが、そういう解釈でいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/75
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076・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/76
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077・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この審議会の構成ですね。たとえば委員の数とか、人選の範囲、これは具体的にはどういうふうに考えておられるのか。ひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/77
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078・矢野智雄
○説明員(矢野智雄君) 現在国民生活向上対策審議会は、定数三十名になっておりますが、そのうち現在二十六名の方にすでにお願いしております。これは法文上に学識経験者ということになっておりますが、実際にはその中には国民生活に関係の深い部門の方々、具体的には消費者団体の代表者あるいは労働組合の代表者、さらに報道関係の方々及び国民生活に関連しますいろいろな項目、たとえば住宅であるとかあるいは食料の問題であるとか、そういう個々の項目につきましてそれぞれの非常に専門的な学識経験を持っておられる方々、そういう方々から選んでおります。
ただ、今度の改正の予定では、学識経験者及び消費者代表から選ぶという形で臨時行政調査会の趣旨も織り込みまして、消費者代表を任命する、これは従来も運営上は、すでに先ほど申しましたように、消費者代表の方々にお願いしておりますが、今度はそれを政令の上では明記して、消費者代表は必ず入れるという形で、運営上は大きな変化はありませんが、姿勢としましてはそれを明確にする予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/78
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079・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、関係各大臣とありますが、この関係の範囲はどういう意味ですか。その範囲をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/79
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080・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) これはそのときのテーマによりまして、たとえば食糧問題でございますれば農林大臣、厚生大臣、あるいは医療その他の問題、電気器具とか家庭用品といったようなことでございますれば通商産業大臣といったように、国民生活の諸要素につきましてのそれぞれの関係の大臣というふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/80
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081・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この審議会に対する諮問事項についてはどのようなものを用意されておるのか、その大綱を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/81
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082・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) この諮問ということにつきましては、今日この経済審議会が実は二つの機能を果たすと思うのでございます。国民生活向上審議会の三つの性格を持ちまして、一つはいわゆる非常に基礎的な国民生活全体の問題につきまして、その点につきまして諮問という形で経済発展に伴い確保されるべき望ましい生活内容及びこれを達成するための基本的政策いかんということで今日諮問してございまして、これの答申を今日審議していただいておるわけでございます。
それから国民生活に直結する問題につきましては、御説明いたしましたように、必ずしも諮問ということではなく、国民からいろいろな生活上の消費者の意向を積極的に発言していただくというふうな考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/82
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083・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この国民生活局の組織、定員、それから予算、予算というのは四十年度の事業予算に限ってですね、これをひとつ項目別にその慨要を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/83
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084・橋本徳男
○説明員(橋本徳男君) 国民生活局は三課でございまして、国民生活課、それから消費者行政課、物価政策課というふうに考えております。もちろん局長一名に参事官一名がその上につくというふうに考えておるわけでございます。
それから予算でございますが、四十年度におきましては五千八百万円でございまして、そのおもな内容といたしましては、国民生活充実対策費が五千五百万円、それから物価安定対策が三百万円というとかうなことになっております。さらにこの国民生活充実に関する経費といたしまして、先ほどの五千五百万円のうちでおもなものといたしましては、国民生活向上対策審議会、これは名前は変わりますが、この国民生活向上対策審議会関係としまして三百八十八万円、それから国民生活の白書が七十万円、さらに福祉水準の測定と生活連関表の作成経費といたしまして三百八十万円、それからこういった国民生活のいろんな調査研究をしていくのでございますが、国民生活研究所がございますが、それに対する補助金といたしまして四千五百万円というふうなことになっております。その他百六十万円が計上されてございます。
それから定員につきましては四十四名の予定にしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/84
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085・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に方面を変えまして、最近大企業に圧迫されて、中小企業の倒産が相続いている。そのことについて一、二点お伺いしておきたいと思うのですが、三月の企業倒産はこの調査によりますと大体五百二十一件、負債金額は九百九十億といった戦後最高になっていると思う。これはいわゆる大型倒産が多発化している、こういう現実を長官としてはどのように見られているのか、この点についてひとつ見解をお述べいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/85
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086・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御指摘のとおり、昨年の十月ごろから漸次中小企業関係の倒産が多くなってまいりまして、それで政府といたしましては中小企業金融対策等を相当強化してまいりまするし、また同時に、一昨年の暮れから経済の調整の方法として金融の引き締めを実施してまいりましたが、昨年の暮れから漸次一つずつ下げてきて、この四月の初めには、一昨年の暮れに始めました経済の調整を大体もとどおりに、もとの状態に戻すというふうにいたした次第でございます。しかして、三月期においてなおかつそういうふうに相当大きな金額の倒産債権額であり、また、件数としても相当件数にのぼっている。四月においても約五百数十件にのぼるところの件数がありまして、四月においてはしかし金額としては三分の一程度の金額に相なりました。そういうことでなお中小企業等におけるところの倒産が続いておりますことは、私どもとして看過し得ざる点であろうかと考えているわけでございます。ところでそういうふうな倒産の原因を、いろいろと検討してみておりますが、もちろん原因は単純ではございません。いろんな原因がございますが、要するに、その経済の成長が漸次安定的な基調になってまいり、また、物価につきましても消費者物価についてはそれほど安定したとは申し上げかねますけれども、卸売り物価については大体横ばいという状態がずっと続いてきているというような関係から、つまりコストの上昇が物価によって吸収されるということができないという面から来るところの企業の倒産等がたくさんあったことはこれは事実でございます。そしてこういうふうな状態がいま直ちにすっかりなくなるかと申しますと、なおしばらく、あるいは根絶するということはとうてい困難でございますが、相当激減するというふうな状態に持っていくことは、なおちょっとの間はむずかしいのじゃなかろうか、かように見ているわけでございます。先ほども申しましたとおり、金融ももとの状態にもどりましたし、それから一番地方金融機関等から資金を都市銀行等に吸収しておりました原因でありましたところの短期市場のコールレート等も大幅に下がってまいりました。したがって、地方銀行等におきましてはむしろ中小企業等において有利な貸し付け先を物色するというふうな気配も見えてまいりましたし、したがって、金融面からくるところの原因は漸次緩和されてまいるだろう、かように私どもは期待いたしているのでございます。しかしながら、半面たとえば山陽特殊鋼等について問題になっておりますように、経営者が長年にわたって相当放漫な、無責任な態度をもってやってきた、それが非常に大きな波及効果をもって連鎖反応を起こした事態もまた看過し得ないところでございます。そしてああいうふうないわゆる融通手形と申しますか、というようなものがどんどん出ておりました関係上、企業相互間においても不信感が相当深まってまいった。また、金融機関と企業との間においても信頼関係が非常に薄らいできておる。そういうような関係がなおまだ改善されていない。このムードとしての不信感がどうしてもなかなか改善されていないという面からいたしまして、先ほど申し上げましたように、なおこういうふうな状態が遺憾ながらどんなに手を尽くしても続くのじゃなかろうかというふうな心配をいたしておるのでございます。しかしながら、同時に、こういうふうな問題についての基本的な欠陥はどこにあるかと申しますと、生産性の格差が相当あります状態のもとにおいて、大企業と中小企業との間には生産性の格差が相当大きいことは御承知のとおりでございますが、そういう生産性の格差が現存する上において、賃金なり所得水準なりの平準化が急速に行なわれてきた。統計の示すところによりますと、大企業と中小企業におけるところの賃金水準は漸次格差が狭まってきていることは、これは統計の示すところでございますが、そういうようなところに、やはり構造的な面に相当大きな要因があると私どもは判断せざるを得ない。そういうふうな関係から申しまして、こういうふうな面の摩擦をできるだけ少なくするということがどうしても政府としてとるべき態度であろうと、こういうふうな観点から、御承知のように、昭和四十年度の予算におきましては、中小企業の合理化または高度化資金というようなものは三一%も前年に比較して増加いたしましたし、また、財政投融資においても相当増額いたしました。そうしてこういうふうな予算なり財政投融資の実施をできるだけ急速にいたしまして、そしてそういうふうな生産性の格差をできるだけ早く狭めていくという努力をしていく、こういうふうな構造改善の途上におけるところの摩擦を最小限度にとどめる努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/86
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087・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私はこう思うのですけれども、景気循環的な要因による中小企業の倒産、それが続出しているということであるならば、これは循環的ならまた戻ってくるわけですけれども、そうではなくして、やはり構造的な背景に基づくものではなかろうか。たとえば大企業のシェアの拡大とか経営の多角化あるいは中小企業固有の市場が狭められていくために、あるいは大企業みずから合理化を強行するとともに、系列下請企業の合理化を強制している、それから大企業における優良企業の直接的吸収、合併。ところが、それと逆に不良企業の切り捨て、こういうふうな基本的な背景のために、こういうふうな中小企業の倒産が続出しているのではなかろうか、こういうふうになると、結局現在、経済企画庁で重視しておる国際競争力の強化あるいは輸出産業振興、こういう名による中小企業対策は、そういう基本的な背景に基づくものであるならば、ひとつ根本的に再検討を要するのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけです。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/87
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088・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) お話しのように、現在の中小企業の倒産の現象がもっぱら構造的な要因にのみよるものだとは私ども考えておりません。景気循環的な要因と構造的な要因が併存してまいりましたために、こういうふうに倒産件数も多くなり、金額も大きくなったと、かような分析をいたしておる次第でございます。しこうして、景気循環的な要因については、先ほど申しましたように、金融の引き締めを緩和いたしましたことによってこれから漸次その要因は除かれていく、こういうふうに考えておりますが、しかし、構造的な要因は、これはもうずっと続く要因でございます。それあるがゆえに政府といたしましては、中小企業の設備の近代化、合理化または高度化というふうな問題、または共同化、組織化というふうな、こういうふうな問題に非常に熱意をもちまして、予算も増額いたしますし、法制的ないろいろな手当てもしてまいり、その間におけるところの摩擦を最小限度にとどめていきたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/88
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089・伊藤顕道
○伊藤顕道君 二月の鉱工業生産は、まあようやく生産調整が浸透して、生産財の生産が低下してきたようではありますけれども、在庫率の指数はなお上昇しておりますので、再び生産上昇に向かうのにはさらに時日を要するのではなかろうかと一応考えられるわけですけれども、こういう点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/89
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090・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、また、ただいま御指摘のとおり、生産も二月ごろから大体落ちついてまいりましたし、在庫率指数につきましても二月、三月と落ちてまいったわけでございます。ピークは一三二ぐらいまでになったかと思うのでありますが、それが一二八程度まで二カ月間連続して低下してまいりました。
それからいま一つ申し上げたいと存じますのは、機械受注がこの三月においては前月比較において三割六分程度上昇いたしましたわけでございますが、これはもちろん電力等におけるところの特殊な要因もございます。季節調整の必要もございますが、季節調整済みにおきましても、相当上向いてきておるという面から、私どもは機械受注が一番景気の先行指標になるというふうなところから、そう長くはこういうふうな状態が続かずに、まあ大体てこ入れをしたというふうな感じをもって経済の現状を見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/90
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091・伊藤顕道
○伊藤顕道君 政府、日銀が四月二日に、予想より早目に公定歩合の再引き下げを決定したわけですが、これは近ずく参議院選挙を前にして、もたつく景気回復のテンポを早めよう、ここにねらいがあったのではなかろうかと考えられるわけです。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/91
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092・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 政府は選挙のことを対象に考えておるのじゃ全然ございません。伊藤さんもよくおわかりになりますように、昨年の暮れから、先ほども御説明申し上げましたが、融通手形等の横行のために企業相互間の不信感が相当強まり、また金融機関の警戒等も非常に行き過ぎが出てきた。そういうところから一月に公定歩合の一厘の引き下げをいたしましたが、その経過を一月、二月、三月と見ておりましても、その間、相当なそういうふうな警戒ムードと申しますか、不信ムードと申しますか、そういうふうなものが直ってくるものと私どもは期待いたしておったのでございますが、それがなかなか回復に向かわない、またその他の先行指標等を検討いたしましても、なかなかそれがうまく出てこないというふうな面から、私どもはもう一厘下げることによって、これはもちろん日本銀行が決定する問題ではございますが、政府といたしましても、そういうふうな面について、引き下げることによって景気の再び過熱を起こすというふうな心配は毛頭ないのみならず、この経済界にびまんするところの不信感または警戒ムードというようなものを少しでも緩和して、そしていま申しました企業倒産等の座標税象をできるだけ少なくしていきたい、かような観点からあのような措置に日銀は踏み切ったものと政府としては判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/92
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093・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このことに関連して、現在の二十三兆円に達する企業間の信用があるわけですね。この原因は、察するに過剰生産を無理やりに解消するための押し売りとか、買い掛けにあるのではないか。そうだとすれば、金融緩和によって解消することは困難であろうと思う、そういう前提に立てば。そこでやはり抜本的な対策は当然必要になってくるのではないか、こういうふうに考えられるわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/93
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094・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) 企業間信用の問題については、これはまあ非常にむずかしい問題でございまして、政府の指導その他によってなかなか左右できる問題ではございません。しかし、昨年の暮ごろからの倒産の頻発またはその他の不信感、警戒ムード、こういうふうな面から漸次これが整理されていくものと私どもは期待いたしておるのであります。しかし、もちろんこれには指導だけでうまくいくものではございませんので、経済の全体の基調が安定的な基調に漸次落ちついてまいる、そして前向きに企業がなりましたときにそういうふうなものが漸次清算されていくものと、こういうふうに私どもは見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/94
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095・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後に一点お伺いしておきたいのは、最近政府が経済企画庁の週間卸売り物価調査の廃止を決定したと思うのです。もしそうだとすると、日本銀行の調査は、第一次卸売り段階の価格であって、経済企画庁の調査は第二次卸売り段階の価格であるために、そのために食い違いが出てきた、こういうことから経済企画庁のそのものを廃止したというふうに解釈するわけですが、そこで考えなければならぬのは、こういう調査は政策立案の基礎となる大事な統計であろうと思うのですね。こういう大事な統計を一内閣の便宜的な判断で簡単に改廃されていいものかどうか、大いに問題のあるところではなかろうかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/95
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096・高橋衛
○国務大臣(高橋衛君) この問題は昨年の中ごろからずいぶんと検討してみました。ずっと前まではそれぞれ性格もある程度違っており、また、二つとも違っておるような関係から、政府としても別に卸売り物価指数の調査を必要とする、こういうふうな判断のもとに続けてまいったものでございますが、政府といたしましてはできるだけ、日本銀行のものもその後だんだん内容も充実してまいりましたし、その正確度もだんだん進んでまいりました結果として、ずっと比較してみるとほとんど差がないという状況になってまいりました場合に、これは日本銀行も政府の関係機関でございますから、むしろ一本化することのほうがいい。一本化する場合にむしろ企業に近いところの日本銀行にこれをお願いしたほうがより適切であろうという考え方から、まあ経済企画庁としてはこの事務をやめましてそして他のほうに振り向けて充実していきたいと、こういうような考え方のもとに、日本銀行の卸売り物価にいろいろ注文をして、そしてこれに依存するという考え方に変わってまいったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/96
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097・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/97
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098・柴田栄
○委員長(柴田栄君) それでは速記を起こしてください。
ほかに御質疑はございませんか——。別に御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/98
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099・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御異議ないものと認めます。
暫時休憩いたします。
午後三時二十六分休憩
—————・—————
午後三時五十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/99
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100・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を再開いたします。
本委員会に付託されました、第一号旧軍人等に対する恩給に関する請願外七百四十四件の請願を、便宜一括して議題といたします。
慣例により、速記を中止して審査を行ないます。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/100
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101・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記を起こしてください。
それではただいま御審議を願いました七百四十五件の請願のうち、国家行政組織関係一件、国家公務員関係三百二十一件、恩給共済関係二百八十八件、防衛関係五件、以上合計六百十五件の請願は、いずれも議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/101
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102・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/102
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103・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 継続調査要求についておはかりいたします。
国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査、国の防衛に関する調査、以上二件につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/103
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104・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/104
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105・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 経済企画丘設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
休憩前に質疑が終局いたしておりまするので、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は質疑を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/105
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106・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任願います。
議事の都合合により暫時休憩いたします。
午後四時七分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02319650518/106
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