1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十九日(水曜日)
午後四時三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 柴田 栄君
理 事
栗原 祐幸君
下村 定君
伊藤 顕道君
委 員
源田 実者
三木興吉郎君
村山 道雄君
森部 隆輔君
占部 秀男君
鬼木 勝利君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
国 務 大 臣 臼井 莊一君
政府委員
内閣官房長官 橋本登美三郎君
内閣総理大臣官
房審議室長 松永 勇君
内閣法制局長官 高辻 正巳君
憲法調査会事務
局長事務代理 大友 一郎君
近畿圏整備本部
次長 町田 充君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省公衆衛生
局長 若松 栄一君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
厚生省医務局次
長 大崎 康君
厚生省国立公園
局長 今村 譲君
厚生省社会局長 牛丸 義留君
厚生省児童家庭
局長 竹下 精紀君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○憲法調査会法の廃止及び臨時司法制度調査会設
置法等の失効に伴う関係法律の整理に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・柴田栄
○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。
憲法調査会法の廃止及び臨時司法制度調査会設置法等の失効に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりまするので、これより質疑に入ります。政府側から橋本内閣官房長官、高辻内閣法制局長官、大友憲法調査会事務局長事務代理が出席いたしております。御質問のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/1
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002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して官房長官を中心に二、三お伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、憲法調査会を設立したことに関連したことで、一、二お伺いします。
憲法調査会は立法の趣旨にも明らかになっておりますように、現行憲法を改正する意思を決定する目的のもとに設置されたものであろうと思うのです。そこでそうだとすると、憲法改正の手続行為のその一部を行なう機関を内閣のうちに設置するということは、これは何と見ても憲法九十六条に違反するのではないか、こういうふうに考えられるわけです。このことに対する官房長官の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/2
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003・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) ただいまの伊藤さんの御質問でありまするが、内閣に憲法調査会を設置しました理由は、憲法改正の目的をもって設置せられたのではないか、こういう御質問でございます。これは御承知のとおりでありまするが、政府が憲法調査会を内閣に設置いたしましたのは、調査審議といいましょうか、御承知のように、この現憲法というものが戦後必ずしも国民の意思統一せられざる時代において憲法が制定せられた、さような事情がありまして、その後国民の各方面におきましても、憲法問題についての論議が行なわれておることは御承知のとおりであります。さような事情もありますので、政府としてはそうした世間の論議その他をも考慮して、これを調査審議するといいましょうか、問題点が、はたして政憲の必要があるかないか、あるいは憲法それ自体における問題点についての調査審議をするということが目的でありまして、お話しのような改憲を目的としてこの調査会を設置したものではない。かつまた、この調査会の設置でありまするが、もちろんさような意味での調査機関を内閣に設置することが憲法違反でないのみならず、国会において、いま申しましたような理由で、国会内に憲法調査会のようなものができることもちろんこれは当然であり、また、政府としてはこれを好ましいと思っておりまするが、現在のところはもちろんこの国会には調査会はできておりません。いずれにせよ政府としては、あえて憲法違反だとはしておらない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/3
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004・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御答弁ではございますけれども、私がお伺いしているのは、憲法改正の手続行為の一部を行なう機関を行政府たる内閣に設置することは九十六条違反ではないか、こういうたてまえからお伺いしておるわけです。そこで九十六条を見ますると、「憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、」ここに理由の意味があるのであります。「国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」こういうふうに明確になっているわけです。そこで憲法に関する限りは国会のみにその発議権があるということは、もう当然だと思うのですね。したがって、行政府の一機関にこういう憲法改正の問題を論議させるということは、これは不適当ではないか、国会こそが問題を論議する正当な機関ではなかろうか、こういう角度からお伺いしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/4
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005・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 御質問でありまするが、いずれ私のあとで、法律問題でもありますので、法制局長官から答弁をしてもらいまするが、発議権の問題は必ずしもさようにわれわれは解釈をいたしておりませんので、その点法制局長官から答弁させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/5
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006・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) まず最初に、憲法調査会がこの憲法改正の手続的な一環のようなふうにおとりになった上での御質問であるようにも思いますが、それは先ほど官房長官仰せになりましたように、憲法問題について、日本国憲法に検討を加えて憲法上の諸問題を調査審議するというのが憲法調査会の使命であるというわけでございますことは、先ほど申し上げたとおりでございますが、御質問の重点は、実は九十六条の解釈の問題になろうかと思います。で、お説のように、憲法の改正が、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議する、つまり国民に提案してその承認を経なければならない。その発議が国会でなければならぬことは、これはもう申すまでもない、内閣がかわって発議できないことは、これは言うまでもないわけでございますが、しかし、これもしばしば議論にもなっておりまするが、この発議をするについての議案を内閣が出せるのか、出せないのか。発議自身はむろん国会がやるのだけれども、その発議をすることについて議決をする議案は、はたしてできるのかできないのか、これがまあ法律の問題としてよく出る問題でございます。これについては、お説のようなことにも関連をして、これもまた国会議員のみができるというようなお説もあろうかと思いますが、実は議院内閣制のたてまえのもとでは、議院が出せるということから考えましても、内閣が御承知のとおりに半数以上は国会議員でなければならぬというようなこともありますし、実質的にこれを特に区別する理由もございませんし、また、内閣がこの発議の議案を出したところで、国会がこれに拘束を受けるわけでもございませんし、ちょうど法律案の場合についても同じような議論ができますが、憲法の場合は特に「国会が、これを発議し、」ということがあるので、特別に違うのではないかという御論もあるのではないかと思いますが、その発議のもとになる議案、それはむろん国会議員がお出しになることは当然でございますが、内閣もまた法律上出すことが不可能である、法律違反であるということにはならぬだろうというのがわれわれ従来からとってきた解釈でございますし、大体通説と見てもいいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、先ほど官房長官が御答弁になったのと、法制局長官との御答弁では、いささか食い違いがあると思います。と申しまするのは、発議権は国会のみにあるということを私はたてまえにお伺いしたのに対して、官房長官は、発議権は国会のみにあるとは限らないという意味の御答弁があったのですね。法制局長官としては、発議権はもう国会に限られているという御答弁をされておる。そうすると、明らかに食い違いがあるのです。この点を明らかにしていただきたい。どちらを信頼していいのかわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/7
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008・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) あるいは、私のことばが足らなかったかもしれませんが、発議権のもと、こう申し上げたらよろしかったかと思いますが、発議権そのものはいわゆる国会にあると解釈され、発議をするに至るまでのことについてはという意味と、法制局長官が答えられた内容の点でことばの不備がありましたから、その点は訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、政府並びに与党におかれては、調査会を行政府に設けた理由としてはこう言っているわけです。広く民間有識者を委員に任命する便宜上のためだと、こういう意味のことを言っておられるのですが、もしそうだとすると、かような便宜主義の議論で憲法上の重大問題を曲げることはこれは許されないことではなかろうか、こういうふうに思うのですが、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/9
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010・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 当初申し上げましたように、政府はこの調査会によって改憲を目的としていない、問題の所在を調査し検討をするということでありますからして、特定に方向づけて結論を得ようというような意味での調査会ではないという意味では、おっしゃるような弊害はなかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そのことに関連して、それでは憲法調査会設立のいろいろ目的があったと思うのですが、その主要な目的は一体何であったか、そのことを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/11
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012・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) これはその法律の定めるところを申し上げるのが一番客観的でございますが、これは「日本国憲法に検討を加え、関係諸問題を調査審議し、その結果を内閣及び内閣を通じて国会に報告する。」、したがって、中身は日本国憲法に検討を加えて、関係諸問題を調査審議するということでございまして、その報告も、つとに御存じのことと思いますが、憲法の成立の過程からするいろいろな語問題がきわめて精細に述べられているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあ御答弁がございましたけれども、表面はそうであったかもしれませんけれども、実際には憲法調査会設立のおもな目的は、私どもが考えておるのは現行憲法を改正して、たとえば天皇の権限を強化するとか、あるいは公然たる再軍備あるいは基本的人権の制限、あるいは家族制度の復活とか、さらには国会権限の縮小、こういうような一連の旧帝国憲法へ逆行するものではないかというふうにわれわれは考えておるわけです。そこでこういうことについては一体どういう御見解を持っておられるのか。いまあげた五つの項目がありますが、この各項目についての官房長官として御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/13
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014・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 憲法調査会からの御報告は御承知のとおりと存じますが、調査会自体もこの憲法調査会法に基づきまして検討を加え、関係諸問題を調査審議する、こうなっておりまするように、その検討した結果は、いまの問題につきましては多数意見、小数意見、いずれも併記して、それが多数決でもってこの結論をとるとかとらぬとか、そういう措置をとっておらないことをもっても御了承願えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 しかし、後ほどからも申し上げますけれども、この調査会は単に暦法そのものを調査するという、それはあくまで表面の理由であって、あくまでも改正に主限があったということは明白なる事実であろうと思うのです。そこでそうだとすれば、その目的の中には、大体、目標がなければならぬ。たとえば天皇の権限を強化するとか、再軍備とか、家族制度の復活とか、そういう、いま、私が五つほどあげましたけれども、これに対して一応の目標を置かれたのではないかと、こういうことが当然、私どもの立場からは考えられるわけです。そこで、このことに対して一体どういうふうにお考えか、そのお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/15
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016・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) 実はただいま仰せになりましたような議論は、実は憲法調査会設置法のときにも、しばしばそういう御質問がございましたと記憶しております。そのときも、これは議員提案の立法でございましたが、私、終始政府側から一緒にその場に臨ましていただいておりましたが、要するに憲法調査会というもので、この中にはそれぞれのいろんな意見を持った方々が入っておられるわけでございまして、したがって、この憲法調査会における競輪としては、いろいろな議論が出てくることは初めから予想されておったわけでございます。したがって、政府といたしまして、この憲法調査会で一義的な議論として、何らかの結論が出ることを当然に予測しておったというのは、やはり言い過ぎではないか。むろん、憲法調査会を設置しました上から言いますと、そこにおいて憲法の検討を加え関係諸問題を調査審議するという過程には、有力なる意見、あるいは少数意見というようなものがあることはむろんあり得るわけでございますが、現実の結果から申しましても。そういう多数、少数ということはございますが、それぞれの意見がそれぞれの価値を持って報告をされているわけでございまして、もともと調査会というものでございますから、他の何人かが何らかの予測を持っていたとしても、むろん指揮監督ができるわけなものでもございませんし、そういう性格のものでございますので、いろいろな意見が出るということはこれは初めから予想しておったことだと、こういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案は憲法の内応そのものについての論及を必要とする法案ではなくして、憲法調査会法を廃止しようという、そういう制約があるわけです。したがって、この法案に関連していま質問申し上げておるわけなので、したがって、いま憲法の内容に深く食い込んで輪講する段階ではないと思うので、これは別途として、いまこの法を廃止するということに関連して、そういう制約でお伺いしておるわけなんです。したがって、繰り返し申し上げるように、憲法の内容の論議は別の機会にやりたいと思います。
そこでお伺いいたしますが、憲法調査会では、その目的は、具体的に言えば憲法改正の必要の有無について、必要について調査すると、まあ表面はこう言っておられるわけですけれでも、ところが、その構成を見ると、大多数はもう初めから改憲論者を集めておられるわけです。したがって、日本の憲法学とか、あるいは憲法についての一般論を代表するものとは考えられなかったわけです。この点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/17
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018・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 御承知のように、憲法は国家の基本法であり、かつまた、国民にとっても最も重要な基本的な法律であります。したがって、先ほど申し上げましたように、常に国民が憲法について関心を持ち、これが社会的に進展をしていく場合もあるのでありますからして、そういう目的でもって検討を加え審議をするということは、政府におきましても、あるいは国会におきましても、当然のことであろうと思います。そこで、その人選等において初めから改憲を目的とするような者が多数選ばれたんではなかろうかという御質問でありまするが、もちろん政府はそういう意図をもって人選はいたしておりません。ただ、しからばほんとうに国民のあれを、わずか数十名の者で、九千万分の数十という割合の者でもって出せるかどうかということになれば、もちろんこれは問題があります。したがって、憲法調査会としては、御承知のように、各地において、いわゆる公聴会もしくは討論会と言いましょうか、さようなことによって広く国民の意見を取り上げるというやり方もあわせて行なっておるのでありますからして、それぞれの性格、思想傾向についてはももろん大いに注意をして人選をいたしたことではありますけれども、その点につきましては、そういうことの弊害におちいらざるよう、数十回にわたって各方面の意見を徴しておる、こういう事実をもっても、調査会が公正無私にこれが調査の目的を達成しようとした努力はわれわれも認めており、かつまた国会の皆さんにも御了承願えるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういう御答弁でございますけれども、良識のある、日本でも有数な憲法学者の方々に、たとえば我妻栄さんとか小野清一郎さんあるいは宮沢俊義さんとかあるいは鵜飼信成さん、こういうような日本有数の憲法学者は、調査会参加を要請されたけれども拒否されておるわけです。したがって、先ほども御指摘申し上げたように、憲法調査会は最初から大多数が改憲論者であったわけです、初めから。したがって、その構成から見ると、どういうような一体論議がされて、どういうような結果が導き出されるであろうかということは、もうわれわれは事前からそういうことを見通しておったわけです。それではあまり意味がないではなかろうかと、こういう角度からこの問題についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/19
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020・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 先ほども申し上げましたように、広く世間から、世間一般の広い国民の声といいましょうか、そういうような意見も徴し、かつまた、いまお話がありましたような方々に対しましても意見を徴して調査をまとめられた、そこでいろいろの御都合があって個人的な事情あるいは考え方等もありまして、委員を委嘱されましても参加ができなかったことと思いますけれども、調査会の委員諸君はそういうことには特別ないわゆる偏向的な傾向を見ずに、できるだけ各方面の広い意見を、あるいは世間でいうところの思想的な相違がありましょうとも、広くそういう意見を聞きまして、そうして調査書をまとめられたという努力は十分に御理解願えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この憲法調査会が提案されたのは、たしか昭和三十年の第二十二国会であったと思います。ここでは成立しないで、三十一年の第二十四通常国会で成立したと思うのです。ところが、成立はいたしましたけれども、その後一年有余の空白があったと思うのです。ところが、当時の岸総理が訪米されて——アメリカへいろいろと要件を帯びて行ったことがございますが、この訪米直後にこの憲法調査会が実質上発足したと思うのです。訪米の直後ですね。こういう点から見ますると、岸内閣のいわゆる対米ゼスチュアではなかったか、こういうことが当然に考えられるわけです。この事情は一体どういうわけなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/21
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022・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 御承知のように、憲法調査会が設立されまして、そこで各方面に委員の委嘱をお願いいたしましたけれども、特にまあ国会関係を重視しておりますからして、国会議員の委員の方も相当数が割り当てられておるわけであります。社会党の各関係委員にもお願いをいたしておったわけでありまするが、なかなか社会党のお願いしました委員が就任をお受けにならないこともありました関係上、しかしながら、これは先ほどから申し上げておりますように、国民の不磨の大典でありますからして、できるだけこれは御参加願って御意見が述べられることが妥当であるということからして、社会党関係の委員さんあるいは一部の学者の人につきましてもできるだけ参加を希望するというような理由で、いわゆる実際上の発足がおくれたことは右のような事情でありまして、総理がアメリカから帰りました直後にこれが発足を見たから、アメリカに対する何らかの措置ではないかというお話でありますが、憲法の問題を、条章を調査審議するというだけでは、あえてアメリカさんに対して特別の行為にもなるまいと思います。したがって、さようなことは考えようもありませんし、また、いやしくも国民の不磨の大典に対してはもっとえりを正してわれわれ国民はこれを検討していきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それは官房長官に向かって、憲法調査会が発足したのは時あたかも岸さんがアメリカに渡ったその直後であったから、それは対米ゼスチュアではないかとまっこうから質問をしたら、官房長官の立場で、そうでございますとは言えないと思うのです。その御心情はわかりますが、われわれは、諸般の情勢からそういうふうに見ておる。そういうことになると、政府与党の方方は、憲法論議になると、この憲法は押しつけられた憲法だとまっこうから誹謗し、これをきめつけておるわけです。ところが、一面、いまの対米ゼスチュアだということと結びつけて考えると、押しつけられた憲法だと現行憲法を誹謗しておきながら、今度は押しつけられた改悪を強行しようとする、こういうふうに一応解釈できるわけです。そうだとすると、われわれは、こういう点からもどうも納得しがたいと、こう考えるわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/23
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024・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 特に伊藤さんが御心配のようでありまするが、その点につきましては全く政府も考えておりませんし、おそらく自民党といたしましてもさようなことは考えておらないと思います。のみならず、最初に申し上げましたように、国民の不磨の大典でありますからして、ことにこの戦後間もなく制定せられた憲法、かつまた、その後における社会の進運等ににらみ合わして憲法を研究する、あるいは調査するということは、やはりこれは国民の義務でもあり、また、政府としても、そうした検討をし研究をするということは当然の責任でもあろうと思いますが、いわゆるこの目的を持ってある方向のもとにこれをまとめようという考えは毛頭持っておらぬことは、当初申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、その問題とも関連してお伺いしたいのは、憲法調再会が最終報告書を提出いたしました。このことに関連して一、二お伺いしたいと思いますが、これは昨年の七月の四日であったと思いますが、私どもの立場からは、これは違法の存在だというふうに見ておるこの憲法調査会が、七カ年の実質的な改憲準備活動を経て最終報告書を内閣及び内閣を通じて国会に提出したわけです。まあ政府としてはそういう措置をとったわけですけれども、私どもとしては、別行憲法を守る立場にあるわけです。そこで、これを守る立場からすると、このような違憲な報告を正式に承認することはできない、こういう基本的な考え方に立っておるわけです。まあそういう角度からお伺いするわけですけれども、このことに関しては官房長官としてはどのようにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/25
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026・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 報告書の問題のようでありますが、この報告書は御承知のように、一つの結論が示されておらないことは御承知のとおりと思っております。したがって、各委員からはそれぞれの解釈あるいは見解といいましょうか、及び認識等が述べてありまして、この点は憲法調査会の提案説明の場合においても当時説明が加えられておるようなものでありますからして、政府としては、これらのいわゆる委員各位の見解あるいは認識、そういうものについてこれを報告を受けたのであって、この報告書に対しましては、政府はよく今後ともに整理し、あるいは検討してまいりたいと、まあ勉強の材料といったものと御理解願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この調査会が発足する当時、われわれとしてはこれは改憲の目的を持っておると。で、また、ほとんどの委員が、先ほども指摘したように、改憲論者を集めておる、そういう構成である、こういう形で発足した憲法調査会が出すであろう結論は、もう最初から実質的には改憲意見書になるであろうと、こういうことをわれわれは指摘しておったわけです、その当時から。さて、そういうたてまえから、われわれ社会党としては、不参加を表明し、良識ある日本の有数の憲法学者の方々もこれを拒否した方々が多かったわけです。こういう中で、さて意見書が出た。出てみると、やはりその当時から指摘したとおり、これは改憲意見書に終わっておるわけです。りっぱな改憲意見書だ。こういうふうに見られるわけです。この点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/27
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028・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 報告書の結論が出ておるわけではございませんから、これ全体をもって改憲の意見書なりとこうわれわれは考えておりません。もちろんその報告書の中には、それぞれ各委員の見解に従って、ある者は改憲を主張し、ある者は現行憲法でよろしい、ある者は部分的な改正、が必要であるという委員それぞれの見解が述べられておるわけであります。政府としては、今日いまの憲法を改正する意図をもってこうした調査会をつくったものではないことは最初明らかにしたとおりでありますからして、要するに、政府が国民の不磨の大典であるべき憲法の内容につき、あるいはあり方につき、将来の発展につき、常に研究し、勉強していく、参考にしていくと御理解願えれば幸だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 繰り返しお伺いしておるように、この調査会発足にあたっては、われわれは参加しなかった。おそらくこういう改憲意見書になるであろう、改憲が目的であろう、こういう観点から参加しなかったことについては先ほど申し上げました。また、日本の有数の憲法学者の方々も、多くの方々がこれを拒否しておる。こういう点から見て、やはり客観的に権威のないものであったということはいなめないと思うのですよ、調査会は。全部の面を網羅していないわけですから。
そこで、この報告書にあらわれておる改憲論の大部分は、報告書に明らかになっておりますが、こういうのを見ますと、近代憲法の何ものであるかをよく理解しない学者の方々にも多かったのではないか。あるいは明治憲法の古い固定した観念からの論議が多かったのではないか。現行憲法意識に目ざめた上での論議はわりあいに少なかったのではないかという、こういう結果を報告書を見てそういう感じを私どもは抱いておるわけです。この点についてはどのように解釈なさるのか、この点を明らかにしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/29
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030・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 伊藤さんが先ほどおっしゃいましたように、まあ憲法報告書の内容に触れるのではないというお話でありますからして、内容に触れることは私自身も御遠慮申し上げますが、ただ、この機会に申し上げたいことは、こうして国会でこういう問題がこういう調査会法案に関連して議論が行なわれておるわけであります。民主主義というものは、私が申し上げるまでもなく、お互いが十分な意見を、与えられた場所において意見を述べることがやっぱり民主主義の原則であろうと思います。したがって、そういうようなごりっぱな御意見が、憲法調査会の席上でも参加された委員の中でも行なわれたし、かつまた、そういう御意見を持っておればこそ、そういう調査会の席上において、委員として積極的に御発言なさることが、やはりこれは民主主義を進める上からいって、われわれの当然の責任のようにも感ずるのでありますからして、したがって、各自がどういうような意見を報告書に意見を述べ、見解を述べておられるかは、報告書をごらん願えればわかるわけでありますが、必ずしも改憲の方向で政府がやったということではない。政府としては、重要な問題であるからして慎重に検討あるいは調査を進める、こういう段階においてこの調査会がつくられたということを御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この報告書を見ますると、日本憲法のいわゆる基本精神というと、どなたも国民主権とか、あるいは絶対平和主義、あるいは人権主義、まあこういう優越性を私どもは確認しておるわけですけれども、この憲法調査会の中で出されたこの改憲意見は、こういう基本精神を根底からくずすような感じの論議が相当多かったと思うんです。で、そうだとすると、ほんとうの意味の改正なら、いい悪いは別として、そういう方向は考えなきゃいかぬ。私ども社会党も、現行憲法がもう細部にわたってまでも、もう、てにをはに至るまでも完全無欠だとは言っていないわけです。しかし、現時点において、大綱において何もいま改正する必要は毛頭ない。それは文章とかてにをは、そういう細部にわたってはあろうけれども、大綱において何ら現行憲法は手を加える必要は毛頭ないと、こういう立場からお伺いしておるわけですが、そういう立場から言うと、これはまさに改悪であると、こういう断定を下さざるを得ないわけです、そういう観点から。何と言っても国民主権だ、あるいは絶対平和主義、あるいは人権主義、これは世界に誇り得る根本精神であろうと思う。こういう精神を根本からくつがえすというようなことになれば、これはなかなかもって容易ならぬ問題であるというふうに断定せざるを得ないわけです。こういう点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/31
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032・橋本登美三郎
○政府委員(橋本登美三郎君) 何か御質問の趣旨がよくはっきりいたしませんが、先ほど来から申し上げておりますように、政府は報告書をもとにして改憲の考えを持っているということを申し上げているのではないのであります。各人の意見、見解、認識等を、調査会を通じて知るために、さようなことをしておったのであって、いまおっしゃることは、あたかもこの報告書を基礎にして、政府なり自民党が改憲の方向を打ち出すための調査会であるという前提に立っての御議論は、どうも政府にいたしましても納得しがたいのでありまして、この点はひとつ誤解のないように、かえってそれよりは、当時社会党の方々も委員に依頼されました人は、出て十分に意見を述べる機会を与えられたのでありますからして、この機会を十分に利用せられなかったことのほうが、私は残念ではないか、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ちょっと速記をやめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/33
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034・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/34
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035・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 速記を起こしてください。
議事の都合により、本案の自後の審査は、一時あとに回します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/35
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036・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、これより質疑に入ります。なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりまするので、御了承を願います。政府側からは、臼井総務長官、松永内閣総理大臣官房審議室長、町田近畿圏整備本部次長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して総務長官を中心としてお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、「家庭生活問題審議会」というのがございますが、この提案理由の説明を見ますると、「健全な社会生活を営むために家庭のあり方が再認識され」ておる、こういう説明があるわけですが、ここでいうこの「再認識」というのは一体どういう意味なのか。どのように再認識されておるのか。このことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/37
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038・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 最近、戦後の家庭というものが戦前の家庭とだいぶ変わってまいりまして、家族制度の問題についてもいろいろの変化がございます。それとともに科学の進歩といいますか、家庭生活内にもそういう問題が非常にまあ取り入れられる機運になってきておるわけであります。とともに、たとえばまあ教育等の問題においても、従来からいわれておる社会教育、家庭教育というものが、特に家庭教育というものの重要性というものが非常に最近においては認識されてきておるわけでございます。教育というと従来何か学校まかせと、こういうような点がないでもなかったのでありますが、これはもうあたりまえのことではありますけれども、最近いわゆる虞犯少年の増加といいますか、青少年の不良化の防止、こういう青少年問題が盛んになってまいりますると、ここにまた一つその、家庭という問題に対しての認識といいますか、その重要性がさらにまあ一般に認識せざるを得ないという問題もあるわけでございます。そういうわけで、人間関係の問題がやはりいま言ったような青少年問題にまで響いてきております。親子の関係とかいうような問題についてもいろいろの論議の対象になりつつあるわけでございまして、まあ再認識ということになりますといろいろそこに問題がありますけれども、そういうような問題等が一つは最近の家庭においての大きな問題でまた再認識されておる。それから社会へ出て活動する上におきましても家庭がやはりいこいの場である。家庭でいこいの場として、そして翌日からのまた社会において活動をするそのエネルギーの源泉というような場所でもあるわけで、むずかしくいえば国民再生産のためのいこいの場、こういうこともいえるわけであります。そういうような点で最近家庭問題というものを特にまた重要視せざるを得ないということと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお提案理由の説明の中に「調和のとれた家庭生活のビジョン」とあるのですが、このここでいうビジョンというのはどのようなビジョンをさしておるのか、この点を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/39
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040・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) その点がまあいま申し上げたような、ことに戦後の新憲法下におけるいわゆる国主化した社会においての家庭のあり方、こういう問題についていま申し上げたようないろいろ問題があるわけでございますが、そこで家庭の生活の合理化という問題とかあるいはその生活技術とか家庭生活の設計とか、先ほど申し上げたような家庭内の人間関係、そしてまた、さらには社会と家庭との関係と、まあこういうようなことについていかに家庭というものが現代において新しい一つのあり方としてあるべきかというビジョンといいますか、一つの考え方というもの、そういうものをひとつここで審議し、でき得べくんばひとつ御決定をお願いしたい、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/40
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041・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、提案理由の中に、「家庭生活問題に関する重要事項」という項があるわけです。ここでいう重要事項というのは、どのようなことをさすのか。その内容をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/41
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042・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 重要事項というのは、ただいま申し上げましたような事柄が非常に重要であると、こういうことでございまして、そのうちどれが最重要かというような順位は別といたしまして、非常に家庭のあり方においても、人間関係の家庭内のあり方においても、生活のあり方においても、いろいろの重要な問題がある。こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/42
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043・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、本審議会を設置してですね、諮問するというその根底には、戦前のいわゆる家族制度を復活させようとする意図が含まれておるのではなかろうかと考えられるわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/43
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044・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 別にどういうことをという前提ではなくて、家族制度につきましても全部が全部悪い点ばかりあったわけではないと思いますが、しかし、戦後の民主化せられた社会においての家庭という問題につきましても、家庭内のいわゆる民主化という問題もあるわけでございまして、したがいまして、家庭内においての家族制度と一言に言えば、その中にいろいろの問題を含んでおると思いますが、いわゆる封建的な家族制度を復活しようと、そういう事柄ではなくて、現代の新しい観点に立った、それにマッチした家庭をつくることがどうあるべきか、こういうことだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この審議会については、委員が二十名だと、そして官民有識者から選ぶことになっておるということですが、この官民の比率は一体どうなっておるのか。私どもの考えでは、官は必要ないんじゃないか。民間の有識者だけで十分じゃないかというふうに考えるわけです。どうして公務員を入れなければならないのか。この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/45
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046・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 一応こちらで考えておりまするのは、民間のもちろん有識者といいますか学識経験者、この方面のそういう見識を持っておられる方々をお願いするとともに、また、各省の一応考えておりまするのは次官クラスの方で、特に家庭問題等に関係のある省庁の方面から次官にでもお入りいただいて御審議いただくことがよかろう、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ところが、委員は官民のメンバーからなっておるわけですけれども、専門委員の七名については、これは官民でなく民間有識者からなっているわけですね。委員と専門委員とにそういう差別をつけておるのは一体どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/47
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048・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) これが、特にこういういま申し上げたような家庭のあり方についての専用的な民間人、こういう民間の方をお願いすると、かように一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/48
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049・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、港湾調整審議会ということについての提案理由の説明がございます。そこで提案理由の説明を見ますると、港湾の近代的な秩序を確立して、効率的な利用をはかるためには、港湾労働の需給調整、港湾運送の近代化、港湾利用の改善等港湾に関する諸施策を総合的に推進する必要があり、そのために本審議会を設ける、こういう提案理由の説明があるわけですが、そこでお伺いいたしますが、現在港湾労働の需給は一体どうなっておるのか。まずこの点からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/49
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050・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 従来、港湾労働者というのが組合をつくっていて秩序よくやるのもあるし、また、古い形と申しますか、沖仲仕というような形でばらばらでやっているのもあると。この点につきましては、私専門家でありませんからわかりませんけれども、どうもそういう点で一つは港湾労働者について秩序が立っていない。そこでやはりそういう点で秩序が立って、そうして需給がうまくバランスがとれるようないわば組織化するといいますか、そういうようなことが必要6はなかろうかということが一つの点だと思うのであります。そこで、従来も組合がちゃんとあって秩序の立っている面ももちろんあるのでございますが、そういう点でとかく需給がアンバランスになりまして、そうしてそこにトラブル等が起こるような点があったというようなことで、しかも最近ではいろいろ港湾整備ということもいわれておりますので、機械的な設備もさることながら、やはり人が——労働者というものについていま申し上げたような点がありまするので、これを秩序正しく調和のとれたものにしたい、こういう考え方からこういう審議会を設けようということだと思います。なお、審議室長のほうから詳しく申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/50
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051・松永勇
○政府委員(松永勇君) 港湾労働者の需給の状況でございますが、三十九年五月の実態調査、これは六大港の事業所の約半数を任意抽出して調べたものでございますが、それによりますと、港湾労働者の不足率は、船内労働者約二六%、沿岸労働者約一五%に及んでおりまして、港湾労働に就労する労働者の数は逐年減少してきておる。このままもし推移するとすれば、今後の貿易の伸長に伴って相当数の労働者が必要とされるにかかわらず不足を来たすということが予想されるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/51
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052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、港湾運送の近代化について、これを先進国に比較すると一体どのような状況にあるか、こういうことを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/52
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053・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この点については、まあ運輸省ではそれぞれ比較されていると思いますが、毎年この問題につきましては、海湾施設あるいは設備の近代化、充実ということが強くいわれておりまして、各港湾を有する都市からもいろいろ強く陳情がありまして、必ずしも現在十分な施設を有しておると言えない面があるのではないか。したがいまして、やはり欧米先進国に比較してどうかというと、それよりも必ずしも優秀だとも言えないかと思いますが、しかし、この点については、日本は港湾が非常に多いものでございますから、その点では非常に各方面で研究して、石炭の積みおろしとか、あるいはセメントの積みおろしとか、穀物の積みおろしと、こういうことについては、私どもしろうと目で見ましても、相当にこの点は充実をしていると、こういうふうに考えておりますが、正確な比較してどの点がどうかということについては、まことに申しわけございませんけれども、ちょっと私にはまだ比較の点ではわかりかねますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/53
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054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、日本の港湾の運送の近代化については、先進国のそれに比較してどのように位置づけられるのか、比較して一体どうなのか、なお端的に言えば、大港については、重要な港についてはいいとか悪いとか、数が多いから全般にいうとはなはだ遺憾の点が多いとか、そういうふうに御説明いただかないと、いまの長官の御説明だけではちょっとつかみどころがないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/54
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055・松永勇
○政府委員(松永勇君) 日本の港湾施設というものが欧米の先進国に比べて相当劣っておるということは、これは実情のとおりでございます。特にそれが着山房荷役が行なわれる日数が非常に少ない。いわゆる沖取りが非常に多いという面にそれはあらわれております。そういう点で確かに貨物量、あるいは船腹の活動状況に比べて現在の港湾施設がなお非常に低位にあるという状況はすでに指摘されておるとおりであります。港湾のそういう面の充実ということにつきましては、港湾整備五カ年計画によって政府はこれを促進するということで現在やっておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/55
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056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、この提案理由の説明を見ますると、「港湾に関する各行政機関の施策のうち総合調整を要するもの」と、こうあるわけですけれども、そこで「総合調整を要するもの」とは一体どのようなものをさしておるのか、この点を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/56
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057・松永勇
○政府委員(松永勇君) 港湾は、御承知のように、港湾という場を通じて非常に多面的な行政がそこで行なわれている。そういう点から各省の行政も非常に入り込んでまいってきております。そういう点で総合調整を行なうべき分野が非常に大きいという実情になっております。そこで、当面どういう調整が予想されるかということは、まず先ほど申しました港湾労働の需給というものが問題になっております。それが根幹になってその港湾の活用にかかってまいりますので、海湾労働についての需給計画を策定する。これは港湾労働法のほうでそのことは基本方針として示されておりますが、そういうものの需給調整の場としてこの審議会を活用するということが第一。第二点は、港湾運送の近代化、港湾利用の改善等によって貨物輸送の円滑をはかり、その他港湾機能の効率的な運用に資するよう行政上の向上をはかるという点で、運輸省あるいは通産省、労働省の関係、場合によれば税関等の関係の行政で調整を要する分野がある場合、それについての審議会ということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最近、日本全国で暴力団の締め出しが行なわれておるわけですが、特にここでお伺いしたいのは、いわゆる港に入っている暴力団の組織というのが相当根強い、これを追放することはきわめて困難である、こういうふうに言われておるわけです。したがって、港に入っている暴力団の追放は困難であればあるほど一段とその対策は大事になってくるわけだ、こう思うのです。そこで、いまこの港に入っている暴力団の追放についてどのような対策が一体進められておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/58
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059・松永勇
○政府委員(松永勇君) 先ほど申しました港湾における港湾労働の需給の現状、しかもその労働力が現在きわめて低位の環境下に置かれているということが、一つには暴力団とか不法な温床の一つになっている現状でございます。そういう意味ではこの港湾における暴力団の排除の問題ということは大きな問題としてこの審議会と無関係というわけではございません。その根本をただそうというのがこの審議会の一つのねらいになっていると思いますが、当面のそういう暴力団の取り締まり対策ということは、これは警察庁、法務省において強力なる対策を立て、措置しておるということは、御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その対策はどのように進められておるか、御承知のとおりだとおっしゃるけれども、この対策が明確でないからお伺いしておるわけなんです。そこで、そういうことをお伺いしているわけじゃない。もちろん、直接総理府にこの対策は立てられて、そうして総理府が具体的に進めるということではないと思いますけれども、非常に関連の深い問題でしょう、しかも御説明にも至要な方策になっておるということであるから、そういう点について大体どのような手が打たれておるか。これは全然われ関せずえんでおることは許されないと思うのです。それでは怠慢になるのではないか。で、私も具体的にどういう対策が立てられておるかわからないのでいまお伺いしておるわけなんです。その大綱についてでけっこうです。細部については必要ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/60
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061・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) 暴力団対策となるとなかなかむずかしく、従来も各方面で手をやいているわけでございますが、最近は警察当局が、この対策につきましては特に重要視して各方面に努力を払っております。でございますから、やはり警察が中心となって、秩序のない港湾労働者方面に対して、まあ建築上でいえば飯場式な、そういうようなことに対しましても努力を払っているということは聞いております。そのほかにおきましては、やはりいろいろ登録をやっているわけでございますので、したがって、それについては悪質なものはもう登録を許さぬというような、そういうことでそういう者が入ってくる余地のないようにしようと、こういうことで今度の審議会をつくるのも、一つはやっぱりそういうような目標もあるかと思いますが、確かにこれを根本的にということになるのはなかなか容易ではないと存じますけれども、そういうふうにしてできるだけ努力をしている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官の御答弁によると、そういう暴力団が入ってくる余地のないようにしたい。そこでこちらがお伺いしたいのは、どのような対策を打ち立てたら暴力団が入ってくる余地がないのか、そういう具体的なことを実はお伺いしておるわけです。しかしながら、いまそのことに時間をかけてこれを深く追及することは私の本意ではございませんから、ひとつこのことについて要望申し上げておきます。たいへん関係の深いことであるし、案件も非常に重要なことであるということを政府みずから認めておるわけですから、ひとつこういうことについては、わが警察が取り締まるのだということでわれ関せずえんということではなくして、港湾行政を前向きの姿勢で前進させるためにもこういう点にも十分配慮してしかるべきだと思うのです。この点について強く要望申し上げておきたいと思うのです。
次にお伺いいたしますが、港湾調整審議会の構成メンバーを見ますると、委員は民間有識者から選んで七名、専門委員は民間有識者二十名、こうなっておるわけですが、どのような範囲の人を考えておられるのか、人選はこれからだと思いますが、こういうことを明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/62
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063・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この点につきましては、雇用者とそれから港湾労働のほうの組合の方面とも十分連絡をいたしまして、人選を慎重にしようとこういうことでございまして、なお、その専門委員方面には特にそういうことに識見を有する方になっていただこう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/63
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064・伊藤顕道
○伊藤顕道君 もしこの法・案が通ると、さっそく委員と専門委員の人選にかからなければならぬわけですね。したがって、もう具体的に大体民間のどの範囲、どういうところに目標を置いて選ぼうとするのか、あるいはもう一部選考は進められておるのではなかろうかと、こう考えられるので、そのことについてお伺いしておるわけです。いままだ全然めどがついていないということになると、本法案はあまり急いで上げる必要ないということになるわけですね。この法案、もし近い将来上がるということになると、さっそく人選が必要になってくると思うのです。そうだとすれば、それに並行して大体人選のめどはついていなければならぬ、こう考えられるわけなんです。そこでこのことについてお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/64
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065・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) まだ具体的な人名まできまっておるわけではございませんが、本法案が御審議の上通過させていただければ、すみやかにその人選をいたしたい。そして人選等については、労働省のほうでも特にいろいろ関心を持っておりまするので、いま申し上げたような、供給者と需要者と両方の方面の意見も十分ただして人選をきめたいと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/65
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066・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この審議会の設置については、昨年三月の港湾労働等対策審議会の答申に基づいて提出されたものである、こういう提案理由の説明があるわけです。そこでお伺いするわけですが、港湾労働等対策審議会の答申についてその概要を御説明いただきたいのです。ごく大綱でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/66
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067・松永勇
○政府委員(松永勇君) この、審議会は昨年の三月に答申になりましたが、そのおもなことは「港湾労働について」、この「海湾労働者の必要数を策定すること。」ということが一つ、それから「港湾労働の需給を調整し、必要な労働力の確保を図ること。」第三は「港湾労働者の登録制度を確立すること。」、第四は「労働条件の向上を図ること。」、第五が「福祉施設の充実を図ること。」、第六、「港湾労働者の資質と社会的地位の向上を図ること。」、第七、「港湾労働秩序を確保するための行政措置を行なうこと。」ということの七項目について答申いたしております。
なおこのほかに、港湾運送事業については、これを近代化する、事業を集約化して近代化していくということの措置を講ずべきである。それから「港湾運送事業の運賃及び料金の適正化を図ること。」倉庫業その他港湾運送に関係ある事業の適正な運営を図ること。」等が要請されております。
それから大きな項目の第三といたしまして、「港港の管理運営の改善」につきましては、総理府に中央港湾調整会議を設けて調整を行なうということを答申いたしております。そのほか、港湾管理者の財政の確立、港湾施設の整備等、港湾の管理運営の刷新についての答申をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/67
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068・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは郵合によってあと一点だけお伺いして、残りの質問要綱については、後刻また引き続いて質問申し上げたいと思います。その意味での最後の一点をお伺いいたしますが、総理府本府の定員増、これと関連してお伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、近畿圏整備本部と大阪事務所の所掌事務はどのようなものなのか、この点をまず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/68
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069・町田充
○政府委員(町田充君) 御案内のとおり、近畿圏整備本部の仕事は、近畿圏の整備開発に関するマスタープランをつくる、こういう仕事でございます。したがいまして、本来申しますと、大阪に本部があって東京に出先があるというのが常識かとも思いますが、役所の組織上、本部は東京に所在をいたしております。したがって、どうしても境地に出先を設ける必要がございます。したがいまして、現地におきますいろいろな調査の事務あるいはこれから工場制限の許可制度というふうな行政事務が始まるわけでございますが、そういった現地における処理の事務を大阪の事務所で処理をさせよう、こういう方針でいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/69
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070・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおお伺いしますが、近畿圏整備本部ですね、それと大阪事務所のそれぞれの現定員は一体どうなっているか。そうしてその充足率は一体どうなのか。なお、大阪事務所の定員五名増という説明でございますが、この五名の定員増だけで十分足りるのか、その見通しとこういうことをあわせて御説明願いた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/70
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071・町田充
○政府委員(町田充君) 現在近畿圏整備本部の全定員は三十七名でございまして、そのうち八名が大阪に駐在をいたしております。今回この大阪の駐在八名を五名増加しょう、こういう案でございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、近く工場の新増設についての許可制度、そういう行政事務、あるいは最近近郊整備区域であるとか、あるいは土地開発区域であるとかいう区域の指定を終わったわけでございますが、そういった指定された区域が提出してまいりますところの建設計画の承認といったような事務に対処いたしますために、この五名ではたして十分対処し得るかどうか、事務の運営の状況を見てみませんと何とも申し上げかねますが、最小限度の人員でできるだけ効率的に事務を運営してまいりたい、かように考えております。現在この定員はもちろん全部充足させてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/71
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072・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最近各地域で都市づくりとか、あるいは道路整備ということが盛んに行なわれているわけです。このことに関連して埋蔵文化財の保護、こういう問題がいま起きているわけです。そこでお伺いするわけですが、こういう埋蔵文化財の保護については十分な手が一体打たれているのかどうか、こうお尋ねすれば、十分遺憾ない手が打たれておりますと、御答弁になるやもしれませんけれども、現実的にはどうも十分な配慮が行なわれていないという批判が相当あるわけです。そこでお伺いするわけですが、この文化財保護等についてはどのような対策が一体講じられているのか、こういうことをひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/72
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073・町田充
○政府委員(町田充君) 埋蔵文化財等に関しましては、御案内のとおり、文部省が所管いたしておりますが、文化財保護法というような法律がございまして、その埋蔵文化財のみならず、その文化財を保全するために必要な範囲の土地については、一定の行為を制限をしたり禁止をしたりするようなこともできるたてまえになっております。ところが、なかなか実情は御指摘のとおりこれが完全に行なわれておりません。そこで、特に近畿圏整備法の中には、京都であるとか奈良であるとか埋蔵文化財の多い地区を含んでおりますので、立法の段階でも特にこういった文化財保全ということについては特別の考慮を払うようにということがうたわれておりますし、昨年国会でそういった保全地域のために特別の措置を必要とするときは別に法律をもって定めるというふうな、いわゆる保全立法というふうなものの制定も約束されているような状況でございますが、さて有効な対策をどういうふうに立てるかということになりますと、既存の法律との調整の問題あるいは補償の問題あるいは国なり地方公共団体が必要な土地を買い上げて保全をするといったような問題、すべて財源の問題に突き当たってまいります。そういったなかなかやっかいな問題をかかえておりますので、今国会に自信を持って提案するだけの成案を得ませんでしたために、なお今後早急に検討いたしまして、できるだけ早い機会に何らかの立法措置を考えたい、こういうふうなつもりでいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/73
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074・占部秀男
○占部秀男君 いま伊藤委員からいろいろ質問がありましたが、私は、伊藤委員の質問と重複しない杉で御質問を二、三したいと思うのですが、この改正法律案の中の十五条に、港湾調整審議会というのを設けて「港湾に関する」云々というここに所掌事項が書かれているわけでありますが、「港湾に関する」という「港湾」というのは一体、どの範囲の港湾であるか、その点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/74
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075・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この「港湾」の範囲につきましては、行政目的に応じてそれぞれ定められておって、別にその統一された定義はないようであります。港湾審議会は「港湾に関する各行政機関の施策のうち総合調整を要するものに関し、」調査審議する機関でありますので、各行政機関の施設がそれぞれ及んでいる港湾の範囲を総括的に受けることになることと思うと、こういうことでございますが、結局、重要港湾はもとよりでございましょうが、各種の港湾について広くこれが適用される、運輸省の主として関係の港湾ということだと思うのでありますが、非常に範囲を広く、この目的であるこの港湾労働者の需給の調整ということもありますから、そういう組織なりそういう働く余地のあるところについては少なくとも広くやる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/75
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076・占部秀男
○占部秀男君 広くこの範囲を考えるということになると、重要港湾はもちろんですが、地方港湾のほうも、漁港等も一部は入るというふうに考えてよろしゅうございますか。というのは、漁港関係についても、最近は近代化された、いわゆる昔の漁港でない、港湾労働者的なものが相当ある漁港が最近あるわけですから、そういう点についても側聞に入ると考えてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/76
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077・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この方針としては、逐次大きな港湾から、いま申し上げたように、広く下に及ぼしていく、こういう考えのようでありまするので、漁港になると農林省関係のほうになるので、やはり港ということではありますけれども、これはこの範囲におそらく考えていないんじゃないかというふうに考えるわけであります。しかし、そういうことも、漁港においてもそういう労働者等の関係でやはりすべきであるということになれば、これは重要港湾から始めて逐次そういう方面にまで将来及ぼすことが必要であれば、これは当然考えるべきことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/77
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078・占部秀男
○占部秀男君 そうしますと、当面は、重要港湾をはじめ主要な地方港湾等について主としてやる、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/78
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079・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) そのとおりでございまして、幅広くはやっていくけれども、最初は一番大きな問題を含みがちな重要港湾から始めて、逐次ほかのほうに及ぼしていく、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/79
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080・占部秀男
○占部秀男君 そこで港湾の範囲はわかりましたが、次に「港湾に関する各行政機関の施策」としてあるんですが、この「各行政機関」というのは、政府関係の行政機関をさしておるのか、それとも地方関係の行政機関もこの中に含まれておるのか。というのは、長官御案内のように、重要港湾なり、あるいはまた、地方港湾はもちろんでありますが、自治体関係の問題点が相当あるし、ものによっては自治体関係でむしろ主宰しておるのがあるわけですから、したがって、そういう点についての行政機関の範囲をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/80
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081・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この点につきましては、国及び地方公共団体が行なう港湾の施設設備、建設管理、それから運営、こういうようなものに関する行政を考えておりますので、地方の港湾も、国ばかりでございませんで、地方公共団体も、一緒に含んでおる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/81
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082・占部秀男
○占部秀男君 そうしますと、その次の「施策のうち総合調整を要するものに関し、」と書いてあるんですが、この「総合調整を要するもの」というものの範囲というか、とらまえ方が相当私は微妙になってくるんじゃないかと思うんです。というのは、国の施策と、それから地方のこれを受けての運営といいますか、実施のその間に、相当従来から港湾問題には問題が、長官御案内のように、あるわけですね。何か国の補助金、またその他の問題にからんで、地方の港湾に関する自治的な行政が相当中央官庁によって制約される、こういうことで名古屋に一例をとってみればおわかりだと思うんですが、名古屋だけでなく、いろいろな港湾で問題を起こしておるわけですね、この「総合調整」というのは、そういう意味ではなくて、純粋に施策を合理的に調整しよう、こういう意味であろうとは思うんですけれども、その点念を入れてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/82
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083・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この点は、港海機能の効率的運用をはかるために、関係行政機能の向上をはかる、というようなことで、関係行政庁間——関係行政機関といったほうが適当かもしれませんが、これの総合調整をはかるわけでございますから、したがいまして、これも相当範囲が広くなりますが、第一には、やはり先刻も申し上げたのでございますが、港湾労働者の需給調整とかそれから港湾労働者の確保とか、それから雇用の安定、また組合組織のあるものとないものとの間におけるトラブルとかそういうことをうまく調整したい。それから港の設備の近代化、そういうふうに相当幅広いことでございますし、いま申し上げたように、地方港湾ということになりますと、これまたいろいろこまかい点にまで国との関係もありまするし、そういう間のいろいろ調整をはかっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/83
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084・占部秀男
○占部秀男君 この審議会の委員及び専門委員、これは先ほど伊藤委員から質問がありましたように、民間の有識者からなっておるわけですね。そこで港湾労働者のいろいろな需給調整の問題をはじめ、労働関係の問題というのですから私はこういうことでいいんじゃないかと思うのですけれども、いま長官が言われたような問題点を調整し、解決するためには単にそれだけでは足りないのですね。たとえば地方港湾の場合もそうですが、重要港湾の場合でもその一部事務組合的な組合管理の港湾もあるわけですね。やはりこういうような問題点については調整をするあるいは総合調整をはかるというような場合には、当該といいますか、主として問題の起こっておるようなところの港湾管理者などを相当呼ぶかあるいは現地へ行くかしれませんけれども、それも意見を聞いてみぬと、どうも机の上の問題だけになってしまう。あるいはまた、民間識者の委員だけでは片寄ってしまう、そのために総合調整をはかるものあるいはまた、トラブルを解決したいというものが逆な姿になってくる、こういうような心配も、事港湾労働者の問題は御案内のように、非常にむずかしい問題ですからあれですが、そういう点の活用もこの中に考えられて加えられておるかどうか、その点もお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/84
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085・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) この委員につきましては、港湾関係の事業者とかまた、港湾労働者等の代表を加えるということで、したがってこの選任にあたりましては、そういう関係方面ともよく連絡しましていたしますが、なおいまのお話しのように、そういう地方の問題につきましても、これを調和させていく上におきましても専門委員が二十名ほどございますので、この委員自身は数が少のうございますが、専門委員でそういう御意見等も勘案いたしまして、そごのないようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/85
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086・占部秀男
○占部秀男君 次に、その「総合調整を要するものに関し、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議」すると、こう書かれておるのですが、格間の範囲の問題もあると思いますが、諮問をしない場合でも、重要な問題点の起こる場合があると思うのですけれども、これは諮問されたものに限るというように厳格な意味でかような字句が使われておるのかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/86
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087・松永勇
○政府委員(松永勇君) 法文にございますように、「内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議し及び内閣総理大国に意見を述べること。」したがいまして、この審議会から積極的にいわゆる建議と申しますか、意見を述べるということが行なわれることを期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/87
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088・占部秀男
○占部秀男君 そのことはあとで伺いたいと思うのですが、私の言うのはそうではなくて、「諮問に応じて調査審議」をするとしてありますね。そこでこれは内閣総理大臣が諮問した事項以外の問題で、諮問しない問題でいま長官が言われたような問題があった場合に、そうした問題についてはこれは諮問じゃないから調査審議はしないのだ、こういうように厳格な意味でこれが書かれておるのかどうか、こういう点を伺ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/88
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089・松永勇
○政府委員(松永勇君) 諮問をした事項にかかわらず、意見の具申をして差しつかえない、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/89
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090・占部秀男
○占部秀男君 そこでこの内容の最後なんですが、いま室長さんが言われたように「意見を述べる」ことができるということになっておるのですが、この述べた意見はどういう形で具体化をされるのですか。それはもちろんこうこうと文章的なものまできちっとというのじゃなくて、筋としてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/90
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091・松永勇
○政府委員(松永勇君) この審議会は国家行政組織法の八条機関でございます。そういう点では、政府に対して意見を述べる、その意見を政府として尊重をするということは、これは制度のたてまえ上当然でございます。その答申になった意見に基づいて、政府は政府としてとるべき措置を行なうということになろうかと思いますが、その際に、そういう措置を具体的に実施する実施官庁としましては各省がこれを実施する、ただその場合にこの答申どおりに行なうということが当然予想されているところでございますが、なお、政府としてこれを行なう場合に総合調整と申しますか、政府としての施策を総合調整するということが必要な場合には、現在の組織の上で総理府もしくはさらに内閣において総合調整をして政府全体として実施する、こういう筋合いになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/91
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092・占部秀男
○占部秀男君 この点についての最後の質問なんですが、いまの「意見を述べる」ということと、その前の「総合調整を要するものに関し」て調査審議するということに関連をするのですけれども、私これをきょうここへ来てもらったのですから、ちょうど法律を持ってきてないので正確には言えないのですが、この港湾関係、特に海上運送の関係については、港湾の設備運営についてのある一部のものについては、地方港湾あるいは重要港湾の一部で計画その他の運営といいますか、そういう問題について国のほうと地方団体、特に管理者を中心として協議する事項がたしかあったわけなんですね。こういうような点については、もちろん調査審議するときに、その協議事項にかかわるような問題点についてはもちろんこの委員の方々の審議の方法としては、当然正式に地方団体とも話し合ってこの内容を審議していく、こういうことになると思うのですけれども、そういう点はいかがですか。ぼくは法律をいまここに持ってきていないので、その点明確に言えないのですけれども、ちょっといまそういう点があったと思ったのでお伺いしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/92
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093・松永勇
○政府委員(松永勇君) この調整審議会と申しまするのは、いわば各省なりあるいは各都道府県で単独で実施し、それで問題がないというようなものに積極的に入っていくというものではございません。もちろんそれはそれでよろしい。ただ、こういう問題が非常に複雑になって、それぞれの意見の対立によって港湾の活用というものが十全に行なわれがたい問題が出る、そういう問題について調整を要する場合に、この審議会がこの使命を果たそうという趣旨のものでございます。したがいまして、もちろん地方公共団体のことにつきまして調整をいたしました場合に、国といたしましては、当然その監督、これは港湾施設の管理、運営という面につきましては、監督の衝にある運輸省が当該地方公共団体と協議して行なう、協議してその答申の趣旨に沿った実施に努力するというようなことが行政の実体となってあらわれてくるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/93
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094・占部秀男
○占部秀男君 そこで、この審議会のこの委員と、予算の問題なんですが、この「委員等旅費」こう書かれて十七万五千円ですか計上されておるのですけれども、これは「委員等」というのは、この中には委員と専門委員とが含まれていると思うのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/94
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095・松永勇
○政府委員(松永勇君) この予算といたしましては、専門委員を含めまして合計八十六万五千円、その内訳といたしましては、委員手当三十四万円、旅費十七万五千円、職員旅費十万八千円、庁費二十四万二千円というものが予算に計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/95
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096・占部秀男
○占部秀男君 そこで、私はちょっとこの審議会の機能が、いま長官の言われたようなところをはたして実際処理できるかどうか、こういう点について疑問を持つのですが、というのは、委員等の旅費が十七万五千円というと、委員と専門委員等を含めて二十七名あるので、一人当たり一万円にも足りないのですが、この港湾問題は、外からこちらへ引き揚げてくるのならいいのですけれども、やはり現地へ行って調査をするとかいろいろな問題が特に多いと思うのですよ。十七万五千円では、何か申しわけ的に、審議会はつくったけれども、実際は活動はあまりしないのじゃないかというような印象をわれわれに与えると思うのですが、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/96
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097・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) お説のように、必ずしも十分だと言えないかもしれませんが、今度が初年度でございまするし、それからまた、もし港湾調整審議会で費用が万一調査等のために足りない、こういうことでございますれば、実は審議室にはそう申すとあれでございますが、数が多いものでございますから、その間で多少は融通し合って、そのときの重点のものについてはある程度のことはやり得るように、弾力をもってやれるようにいたしてございますので、一応こういうふうに計上してございまして、事実地方等に調査に行くということになると、旅費が不足することも実際考えられますが、一応大蔵省と折衝した結果が、一応初年度がこういうことで発足してみる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/97
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098・占部秀男
○占部秀男君 その点は決してけちをつける意味じゃないのですが、私が心配に思っておるのは、この港湾の対象が漁港等は一応おいて、重要港湾もしくは主要な地方港湾だということで、ある程度はもう特定されたものですからいいわけですけれども、なかなか地方の港湾関係の労働の需給関係は、長官御存じのように、そう機械的にいかない面が具体的にあるわけですね。この調査あるいは何かのために審議する場合でも、簡単に行ってすぐに帳面づらでもって関係がつくというような問題ではない問題のほうが多いというふうに私たちは考えておるので、したがって、この旅費では少ないのじゃないかという感じを持ったのですが、弾力のあるということを聞いて、私はまあこれ以上は質問をしないつもりであります。
最後に、総理府に置かれる近畿圏整備本部の問題ですが、これはまたあとで伊藤さんの御質問があったときに内容的な問題について二、三触れてお伺いしたいと思うのですけれども、ただ一点だけお伺いしておきたいことは、この近畿臓整備本部あるいは各整備本部がありますけれども、地方団体とそれからこの本部の調整事務についての考え方との間に相当ズレがきて、「整備計画の実施の推進」と書いてありますが、この実施の推進にやや無理のいくような場合が相当あるわけですね。国からの補助金がある。問題点が相当ある。これについてこちらの地方団体はそこまでいきたくはないのだけれども、やはり縛られている以上ある程度がまんしなくち心、ならぬ、そういうような点が将来の自治行政の運営あるいは財政面に相当しわ寄せが来るというような場合も、たとえば河川問題その他等で往々あるわけですが、これは河川というよりは近代化のいわゆる産業基盤の開発その他を中心とした問題がまず問題になるだろうと思うのですけれども、この実施の推進については、私は地方自治の干犯あるいは制約にならないように厳にひとつこういう点については長官のほうで戒めてもらいたい。連絡会議法の問題もありましたけれども、どうかひとつそういう点明確にしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/98
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099・臼井莊一
○国務大臣(臼井莊一君) できるだけ地方の自治体が行政事務を行なう上においてこれが円滑にいくように、十分連絡を密にして円滑にいくように配慮をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/99
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100・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 議事の都合により、本案の自後の審査は一時あとに回します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/100
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101・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本・案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりますので御了承願います。
政府側からは、神田厚生大臣、梅本官房長、若松公衆衛生局長、舘林環境衛生局長、大崎医務局次長、今村国立公園局長、牛丸社会局長、竹下児童家庭局長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/101
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102・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して二、三大臣を中心にお伺いしたいと思いますが、まず最初にお伺いいたしたいのは、昨年九月臨時行政調査会が行政改革に関する意見を答申しておるわけです。これに対して各省庁等はその改革意見に対する意見を出しておるわけです。そこでまずお伺いしたいのは、もちろん私がお伺いするのは厚生省関係の分野についてお伺いするわけですが、最初にお伺いしたいことは、この臨調の答申に対する厚生大臣のお考え、基本的なお考え方は一体どういうことなのか、こういうことを一言お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/102
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103・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまお尋ねのございました臨時行政調査会の改革意見につきまして、厚生大臣はどういう姿勢をもって臨むか、こういうようなお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この臨調の答申についてはその趣旨を十分に尊重いたしまして十分検討いたしまして、個々の問題については具体的に結論を得まして、できるだけすみやかに逐次実施していく、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/103
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104・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、厚生大臣としては臨調の答申に対しては趣旨を尊重するという、そういうたてまえで具体的な問題と取り組んでいきたい、こういうことでございますので、そういう前提に立って、以下二、三の問題についてお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、通関関連行政に関する改善策のうちで、税関への新たな所掌事務及び権限の付与、こういう項について厚生省としては、結論としては反対の意思表示をされておるわけです。この反対ということはわかるんですが、さてそれではいかような理由で反対なさっておるのか、その理由についてひとつ簡明にお答えいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/104
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105・神田博
○国務大臣(神田博君) いまの通関関係の問題につきましては、その影響するところが非常に大きいものがございまして、それらの関係も十分慎重に検討を加えまして、そしてできるだけ趣旨には沿いたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/105
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106・伊藤顕道
○伊藤顕道君 どうもちょっと納得しがたいんですがね。十分検討をする、趣旨は尊重する、しかし結論は反対となっておるわけですね。
なおお伺いいたしますが、政府関係機関等の運営についての意見、この中で、自律的運営能力を有する法人についても勧告がなされておるわけです。これに対して厚生省は反対の意見を出しておるわけですが、その理由が明らかでないので簡単にひとつお聞かせいただきたい。——私の質問の要旨がよくわからないようでは無理だと思いますので、はっきり具体的に言いますと、厚生省としては、公団のうち所管大臣が二つ以上のとき監督を一元化することに反対をしておるわけなんですね。これはあなたのほうから公文で出された、もうすでにあなた方厚生省としては態度を決定しておる分から私はお伺いをしておるわけです。そのうちで納得できないと思われる分を抜粋していま二、三お伺いしておるわけなんです。だから、私の質問の意味が解しかねるというのはいささか解しかねるんですが、それは一体どういうわけで反対なさっておるのか、反対の理由を簡明にお聞かせいただければいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/106
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107・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 厚生省で港湾関係の問題といたしまして担当しておりますのは検疫でございます。検疫の関係は非常に自律的な分野でございまして、ほかの港湾関係の業務とあまり関連がございません。ただ、事務的な面だけが、全く事務的な面だけが一部共通しておりますので、そういう問題につきましては協議をいたしながらやっておりますが、業務それ自体につきましては伝染病の発見、防疫というきわめて特殊な分野でございますので、これは国内の伝染病発生と非常な関連がございまして、国内防疫と検疫は不離一体でございますので、これは国内防疫を担当いたしております厚生省のほうで所管したほうがよろしい、そういう意味で一語にできないという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/107
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108・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、医療金融公庫の融資業務を中小企業金融公庫に吸収すること、こういう意味の臨調の答申があるわけです。これに対して厚生省は反対の意思表示をしておるわけであります。そこで、いかなる理由で反対なさっておるのか、その理由だけを簡明にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/108
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109・大崎康
○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫は、国の医療保障計画に基づきまして国民の医療事業に対する医療機関の整備あるいは機能の向上に必要な政策的金融を行なうために設けられたものでございます。したがいまして、その融資におきましては、医療機関の公共性それから保険制度に基づきます診療報酬の制約等の事情にかんがみまして、貸し付け限度でございますとかあるいは貸し付け条件等の面で一般中小企業に対する融資とは異なった特別な配慮が必要であるわけであります。他面、融資対衆事業が国の医療行政と密接な関係にあるわけでございまして、融資の審査手続等におきまして医療に対する専門的なかつ技術的な配慮が要請されるわけでございます。このような融資を行なうためには医療行政と密接な連携を有する専門の金融機関が必要であるというふうに考えられまして、中小企業金融公庫の業務から分かれまして、現在の医療金融公庫ができたわけでございまして、したがいまして、中小企業金融公庫の業務の中にいま、医療金融公庫の業務を入れるということにつきましてはいかがかと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/109
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110・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、水資源開発公団がございますが、これは総合開発庁を主務官庁として再編成することと、こういう意味の答申がなされておるわけで、これに対して厚生省は反対の意思表示をなさっておる。そこで、その理由をひとつ簡明にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/110
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111・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 水資源公団につきましては、事業所管大臣が多数にのぼっておりますが、現在水に関しまする行政につきましては、それぞれの行政目的に応じまして各省庁が実施の責任と権限を持っておるのでございますので、水資源開発公団に対しまする事業監督等につきましても、各省庁がそれぞれの立場において監督を行なうことが適当である、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/111
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112・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、青少年問題研究所の設置という問題についての答申がなされております。これに対して厚生省はなお検討を要するという意思表示をなさっておる。これはいかような理由で直ちに賛成できないのか。その理由をひとつ簡明にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/112
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113・竹下精紀
○政府委員(竹下精紀君) 青少年問題に関しまする研究につきましては、現在、各省におきまして、それぞれすでに研究所ができておるところもあります。たとえば、法務省の関係におきましても、そういった研究所がございます。また、厚生省といたしましては、昨年より児童研究所というものを発足させておるわけでございます。そういった点からそれぞれ研究分野がございますので、まだそういった面で検討する余地がある、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/113
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114・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、内閣府の経済企画庁に消費者局を設けるべきである、こういう答申に対して厚生省では反対の意思表示をしておる。その反対の理由をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/114
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115・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 消費者行政の拡充強化につきましては、厚生省も非常に賛成でございます。しかし、この行政につきましては関係各省が非常にたくさんあると思われるのでございまして、厚生省も非常に消費者行政には関係がございます。それで、関係行政の拡充強化によりましてこの消費者行政を拡充していくということが可能でありますし、広く国民の福祉向上に関する基本的な政策の企画、立案を含んでおります消費者行政の総合調整を行なうという意味で、非常に広い範囲におきまして経済企画庁に消費者局を設けるという御趣旨でございますが、そういうばく然としたものでなしに、おのおのの省の任務なり権限なり等と関連いたしまして、消費者行政を進めていったほうが、個々の日常の事象に近い問題が消費者行政には多うございますので、そういう趣旨でおのおのの関係行政機関の部面につきまして消費者行政の観点から進めていったほうがいいという考えで、一応基本的には反対の意見を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/115
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116・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、行政機構の統廃合に関連して、臨調は厚生省に対して以下申し上げるような勧告をしているわけです。その一つとして、補助金関係部局の整理縮小。二つとして、国立病院、国立療養所のあり方の再検討、三つとして、保険局と年金局の統合、こういうことを具体的に勧告しておるのに対して、厚生省は反対の意思表示をなさっておる。この理由をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/116
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117・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) まず、補助金の整理統合、合理化を行なって、これに伴い補助金関係の部局を整理縮小すべきであるという点についてでございますが、補助金制度の合理的な簡素化につきましては、方向としてわれわれのほうは異存はございません。今国会に提出をしまして審議をお願いしておるものにつきましても、そういう趣旨のものを実現いたしておるものもございます。で、これによる事務員、人員の減少は、しかしこの補助金整理によりまして、結果としまして事務量、あるいは人員の減少というものがさほど期待されないというふうにわれわれのほうは考えておりますし、当然中央省庁の本来の任務であります企画機能、調整機能の拡充に一応は向けるということで、補助金を整理してそちらに向けるべきものであるという観点からして先ほども申しましたような人員の縮小というものはあまり期待できない。
それからもう一つは、これらのわれわれのやっております厚生行政につきましては、今後とも公害の防止でありますとか、生活環境施設の整備等、社会開発部面の進展を今後進めていかなければならぬというふうにますます重要性を加えておりますので、機構面につきましては、われわれの感じといたしまして縮小すべきものよりは拡充すべきものが非常に多いというふうな考え方から、それからまた御承知と思いますが、厚生省の行政につきましては、やはり一面ほかの省に比べまして国民生活に直接密接した行政が非常に多うございますので、省全体といたしましては、やはりできるだけ地方公共団体にまかせるというふうな趣旨で進んできております。したがいまして、補助金というものにつきましても各省庁に比べまして非常に大きなものを持っております。まあこの点につきましては冒頭に申し上げましたように、その合理化、簡素化につきましては反対すべきものではございませんけれども、今後ますます事務を増大していかなければならぬという情勢からしまして、その縮小ということにつきましてはあまり賛成できないというふうな考えを一応出したわけでございます。
それからその次に、国立病院及び療養所のあり方を根本的に検討すべきであるということの御勧告をいただきましたが、国立病院及び療養所の運営に関しまして、これは検討すべきことは事実でございます。現在のところ、厚生省の医務局が直接いろいろ指導監督をいたしております。で、今後の問題としまして、一般行政と現業部面の管理体制というものにつきまして、これを分離していくというふうな考え方について検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、勧告にございましたものは、基幹病院に地方医務局を併置するという御勧告がありましたけれども、この点につきましては、病院といわゆる医務局、地方医務局という行政機関、これにつきましては、機能が本質的に異なっておりますので、この点はどうかという考え方を持っております。
それからその次に、保険局及び年金局を統合すべきであるというふうな勧告でございますが、保険局及び年金局は、それぞれわが国の医療保障制度、それから所得保障制度の大宗をそれぞれ担当いたしております。で、その行政の質あるいは取り上げるべきポイントということにつきまして、保険局と年金局はそれぞれ非常に観点の違った形で行政を進めているわけでございます。すなわち、年金制度が中央におきまして長期的にわたり将来の見通しの上に立脚して、制度の細部にまでわたって精密な技術的な組み立てを慎重に検討する必要があるのに対して、医療保険制度につきましては、国民の医療を担当する医療担当の側と、医療費を負担する国民の側との関連を十分に考慮いたしまして、この見地から保険診療のあり方、適正な診療報酬の額等を決定するものでございまして、両者を同一に断ずることは非常に無理かというふうに考えております。加えまして、国民皆保険、国民皆年金を達成いたしまして、事務員は著しく増大しておりまして、とうてい一局のよく十分に処理し得るものでないというふうにわれわれは考えておりまして、この両者の統合につきましては、これは非常に無理かというふうに考えておるわけでございます。
まあ蛇足でございますが、最近御承知のように、医療費の問題につきましては、非常に問題が多うございまして、局をあげて努力をいたしておりますけれども、もう日常その事務に追われまして、非常な繁忙をきわめておりますし、一方、年金局におきましては、厚生年金の改正その他のことがございまして、これもまた局が総力をあげていろいろ企画立案を進めている事情は、最近の事象でもよく御承知だと思います。この二つを合わせて一局で処理するということは、現在の具体的な状態をごらん願いましても十分無理だということは御理解願えることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/117
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118・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、まだまだこういう個々の問題については、相当厚生省関係の面について臨調が勧告しているわけですけれども、大体具体的な問題についてはこの程度にとどめて、最後にこのことに関連して大臣の見解をお伺いしたいと思うのですが、と申しますのは、臨時行政調査会が、かつてない大きな規模で、しかも二年半という長い期間を要して、しかも相当の国費を費やして慎重、検討に検討を重ねて、昨年九月、内閣に答申したわけです。その当時の池田総理も、これを受けて立った佐藤総理も、内閣はこれを十二分尊重するという基本線を踏まえて今日に来ておるわけです。そこで、厚生大臣としても、この臨調の答申に対しては趣旨を尊重すると、こういう御趣旨であるということは先ほど承ったわけです。さて今度は、具体的な問題になると、いま幾つかお伺いしたわけですけれども、中にはときたま検討を、要するという項もございますけれども、大部分は反対です。もちろん臨調の答申に対して私どもとしても万全なものとは考えてないわけですが、前に比べて相当行政改革の面で前向きの姿勢をとっておるという点については、相当敬意を表する面もあるわけです。一歩前進の面はうかがえるわけです。いまだしの点、不徹底の点も考えられるわけです。いずれにしても私どもは、一歩前進という、そういう立場からこの臨調の答申に対しては賛成しておるわけです。ところが、いままでの具体事例でお伺いしてもわかるようにですね、厚生省としては、厚生省の組織拡大強化という面については賛成した面もあるわけです。統合縮小、廃合、こういうことについては反対しておるわけですね。ということになると、厚生省のそれだけを考えて、国全体の国政から勘案して、たとえこれが他省に権限が移譲されようとも、国の代表的な立場からひとつここで抜本的な行政改革をするんだという、そういう意欲に大臣が燃えておれば、多少自省の権限が縮小されるようなことがよしあっても、大乗的見地からこれを最後に通さなければならぬ。そうでなければ臨調の答申などはとうてい実行できない。ということは、行政改革は期待できないということに尽きると思うんです。ところが、いまの幾つかの事例でも明らかなように、大臣自体が趣旨は尊重すると言われておるにもかかわらず、さて具体的な問題になると大部分が反対だと。これではとうてい行政改革などは言うべくしてできないが、このことに対して一体政府には行政改革の腹はないと見る以外にないわけです。この臨調の答申に対しても、各省の大臣自体が取り組んではいないわけです。みな次官級にまかせて、大臣は直接関知しない。ということであるから、こういう国の大綱について大臣にお伺いしても、これは厚生大臣だけとはあえて申しません、各省の大臣お伺いしても、あんまりよくわからない、所管の部局の方々が御答弁なさる場合が多いわけです。これでは行政改革などはとうていできないと思うんです。やはり大綱については大臣みずから関与して、そうして行政改革に即応する、そういう姿勢を示されてしかるべきだと思うんですね。そういう点で遺憾の意を表さざるを得ないわけなんです。こういうことに対して大臣としては一体どのようにお考えであるか、このことをひとつ誠意をもってお答えいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/118
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119・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま伊藤さんのお尋ねにございましたことは、まことにごもっともなことをおっしゃっておられまして、実は私もそういうような意見を持ってまして、同感なんでございます。と申しますことは、最初にお答え申し上げましたように、臨調の報告というのは私はひとつ十分尊重して、そして検討してまいりたい、これは申し上げたとおりで、これは本筋でございます。特に私は、昨年の予算編成の閣議につきましても、本気に内閣が行政機構を改革して、そして冗費を省く、国費を有効にこれを活用するというならば、いまのような予算制度の予算要求のしかたであっては、ほんとうに必要なところに必要な金が出ない、どこが大蔵省に食いつくかわからぬというようなことで、大蔵省に要求をしている。必要なほうに予算がつかないで、つかぬでもいいと思ったようなところにつくというような声もしばしば耳にするわけであります。さようではとうてい行政能力を高めるというわけにはいかぬだろう、ひとつ各省の予算を総額できめていただいて、各省はその総額のもとで、ひとつ全体のバランスのとれた、いわゆる重点施策を掲げて、しかもきめのこまかい行政のできるような予算措置をして、そうして大蔵省と折衝させたらどうであろうか、こういう私は提案をしたくらいであります。どうもなかなか微力でございましてこの案は通りませんで、まあ結局前年度の三割頭打ちというようなことで、予算要求の形ができまして、従来とそう画期的だというようなことができなかったことは私も遺憾に思っております。私といたしましては、やはり今日とにかく数十年に至る長い間のこの予算の組み方が、いまや動脈硬化しているという私はかっこうだと思います。だから思い切ってひとつ清新な空気を入れる大胆な措置をとる、しかもきめのこまかい行政をするというようなことが必要じゃなかろうか、こういうことに考えておりまして、でございますから、臨調の答申につきましても、私はそういうとるべきものはとる、しかし、臨調でもいろいろまた当時の材料が少ないというような問題のために、あるいはまた、時期尚早というような問題もございます。そこで先ほどいろいろお答え申し上げました点につきまして、伊藤委員に少しこの十分な御説明でなかったと考えておりまして、非常に遺憾でございます。しかし、私はこの許認可等の整理につきましては、順次法律改正を要するものは法律改正をする、あるいはまた、政令、省令の改正すべきものはこれも順次やっていく、こういう考えをもちまして、まあ今日もこの国会に、精神衛生法の一部改正、母子保健法案というようなものもお願いいたしまして、この答申尊重の線を出しているわけでございまして、できるだけひとつ督励いたしまして、その趣旨に沿いたいと、こういう覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/119
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120・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、提案理由の説明を拝見いたしますと「国民厚生運動に関する事務を国立公園局の所掌に」云々という説明がございました。そこでまず順序としてお伺いしたいのは、国民厚生運動についてお伺いしたいと思いますが、国民厚生運動というのは、具体的に何を一体意味するかということ、それと厚生省は、これまで国民厚生運動に関連してどんな施策を行なってこられたのかということ、また、今後の方針は一体どうなのか、この三つのことをあわせて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/120
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121・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。国民厚生運動というのは、これは内務省時代——まあ戦前でありますけれども、いわゆる健康増進の一環ということで、あの当時は歩け歩けというような運動から始まったわけでありますが、その伝統から続いてきておりますが、現在厚生省の公衆衛生局で主管——やはり健康増進の一環であるということで、残っております。これは簡単に申しますと、最近のレジャーブームとかレクリエーションブームとかいうことでありますが、やはり国民の、職場から解放されて、レクリエーションというふうな運動が非常に強くなってきておりますが、従来はレクリエーションなどというものは、個人でかってに適当にやってこいというふうな程度の——まあ、終戦後非常に苦しい時代には問題になりませんが、最近のようになってまいりますと、やはり何か国民のそういうニードに合った政府なり地方公共団体なりのレクリエーションの健全な健康なしかもだれでもが享受できるというようなかっこうの政策が要るのではないか、こういうふうな考え方から御提案申し上げたわけでありますが、端的に申し上げますと、レクリエーション、心身の保養というものを政策的に何から容易にして差し上げるというようなのが国民厚生運動として厚生省に掲げておる理由だろうと思います。
それから第二点の、省は従来どうしておったかということでありますが、やはり現在公衆衛生局の中の主管になって、同じ文句で国民厚生運動というのがございますですが、現実論といたしましては、やはり健康増進という上から、衛生教育とかあるいはいろいろな地方の団体、あるいは民間団体を通じてのそういうレクリエーション的な指導を若干はやっておりましたけれども、やはりいままでは伝染病予防とか結核対策とかいうふうな大きな当面緊急問題にぶつかりまして、大きく柱としては出ておるというかっこうにはまいっておらない。形式上は残っておりますが、せいぜい保健所を中心とした衛生教育、その中にレクリエーションで精神の緊張をほぐそうというようなPR的な指導をしておったわけでありますけれども、いまのような情勢から、それで衛生面だけではやはり困るのじゃないかというかっこうからこのたびの改正をお願いするわけであります。
それから今後につきましては、こういうことが言えると思うのであります。国立公園局のいろいろ国民宿舎、あるいは国民休暇村とかあるいは自然公園を持っておりますので、年々、まあ昨年あたりで一億数千万という人が自然公園の中に飛び込んで来るというふうなものに対処しまして、道路とかいろいろな避難小屋というふうな問題のほかに、安くて家族連れでも簡単に泊れる、そういうふうなレクリエーションの受け入れ施設を公園局でやっておりますので、この際、衛生教育の範疇ばかり、じゃなしに、やはり具体的な施設をどんどんつくって国民のそういうニードにこたえたいというようなかっこうから、国立公園局、現在国民宿舎などやっておりますが、そういうふうなものにまとめたらいいじゃないか、こういうふうな趣旨から御提案申し上げたわけでございますが、今後とも観光基本法にありますように、何も外客ばかりではない、国民大衆のほんとうの旅行というものがいかに快適にしかもあまり高くなくやれるようにというふうな、そういう受け入れ施設というものを相当甘い切った推進をしていかなければならないのではないか。今後の厚生連動というものはそういう物的面の受け入れ態勢の整備ということが中心になっていくのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/121
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122・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国民厚生運動といってもなかなかこのことばはあいまいもことしていて要領を得ないわけです。そこでたとえばレクリーエーションの普及活動、たとえばですよ、こういうようなことにするとはっきり具体的なイメージが出てくるわけです。こういう点はここでどうということではございませんで、十分こういうことについても御検討いただきたいということを要望申し上げておきたいと思うのです。
そこで次にお伺いいたしますが、精神障害者の対策についてどうなっておるか。昨年三月だったと思いますが、例のあのライシャワー大使の刺傷事件がございました。それ以来精神障害者の野放しが社会問題として相当重要視されてきたわけです。つい最近にも異常者が小学生を傷害した事件が起きておるわけです。そこで厚生省としては、この精神障害者に対する対策を十分考えられておるとは思いますけれども、その施設を改善するとか、あるいは野放し状態についてはいささか問題のあるところで、この問題について警察庁としては治安対策に重点を置いた障害者の取り締まり、これは立場上当然そういう観点から取り締まり強化をはかっておるわけです。しかし、これに対して学界とか医療機関では、そうではなくしてやはり治療が先決であるということで、精神障害者に対する医療対策に重点を置いてですね、精神衛生法の改正を要望しておるわけです。こういう点でいま審議されておると思いますが、精神衛生法の一部改正法についてもこのことに関連してくると思うのですが、こういうことについて、要点をひとつお聞かせいただきたいと思います。なるべく簡明にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/122
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123・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 精神障害者が野放しになっておるという状況につきまして、できるだけこれを野放しといわれる状態から管理された状態に置きたい。そのための方法といたしまして、一つは精神障害者ができるだけたくさん収容されるように、病床の増設をはかるという点が第一点。
第二点は、病院に入るほどではないけれども、在宅で療養しておるそういう障害者に対して、適切な指導と助言をしていく必要がある。そういうために今般、今度の精神衛生法の改正におきまして、保健所が専門の指導職員を配置しまして、その職員が在宅患者の指導等をやっている。これによって実態を把握、管理をやっていくという点が一つ。
もう一つは、警察官あるいは検察官あるいは保護矯正施設等の職員が、それぞれ疑わしきものを知った場合に、できるだけ通報して、その把握及びその処理ができるように、通報の範囲の拡大をはかっております。
また、もう一つ医療機関の側からの意見が出ておりましたが、医療機関の側は通報等によって、患者が医療をおそれて逆に世の中の表面から隠れて、そのために治療がおくれ、逆に世の中に危害を及ぼす事例が出る。そういうことを防止するために、できるだけ患者の早期発見、早期治療が行なわれるようにする必要があるということから、このたびこの在宅患者に対する精神医療の費用を補助するという規定も、今度の精神衛生法に入れたわけでございます。なお、これらの施策を総合的に増強するために、地方に精神衛生センターという技術的な指導機関を設けることも、この際精神衛生法の改正に盛り込んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/123
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124・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、公害審議会に関連してお伺いしますが、今年度から新設される見通しとなっておる公害防止事業団ですね、これと公害審議会と相互関係は一体どういうふうになっておるかということ。それからたとえば公害審議会で調査審議された事項を公害防止事業団で実現化す、こういうようなルールをつくる必要があろうかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/124
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125・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 今回設置いたしたいと考えております公害審議会は、厚生大臣の諮問に応じまして環境衛生にかかわる公害諸関係、また環境衛生諸施設関係の調査審議をする機関でございまして、それらの審議会の審議の内容によりまして、必要な公害対策の施設の基準がきまる。あるいはまた、それに応じた公害の調査等の基準等も審議され、策定されることになるわけでございます。そのような基本計画がきまりました計画に応じまして公害対策が立てられ、あるいは公害に関する諸施設の設置が進められるわけになるわけでございます。その施設の設置並びに公害対策を進める上で、企業が各種の公害防止施設をつくるという事態になりましたときに、公害防止事業団がその設置の促進、みずからこの事業団が公害防止の施設をつくり、企業側に譲渡をする。あるいは公害防止のための緩衝地帯を設けて、その地帯の中に保健福祉施設をつくってまいるというようなことで、審議会が審議した結果に基づきまして、防止、事業団が実際の実務を行なうという関連性は相当出てくるものと、かように期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/125
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126・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、いま問題になっている医療費問題に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、最近各種の保険財政収支の赤字が目立って大きな問題になっております。最も深刻な赤字に悩んでおる政府管掌の健康保険に対しては、一般会計から三十億を繰り入れて、てこ入れをしておるようではございますけれども、四十年度の推定赤字額は八百四十億と、こういうことにあわせ考えてみるとこれはとるに足らぬ額だと思うのです。それから日雇い労働者健保も同様の悩みをかかえておる。また、国民健康保険も事務費不足で赤字に苦んでおる。一部地方団体ではいわゆる国民保険返上論さえ出ておる。こういう情勢があろうと思うのです。厚生省は、このような各種保険の赤字対策としていろいろ対策を講じ、苦慮しておるところと思うのですけれども、それはやはり社会福祉の観点から抜本的な対策を立てる必要に迫まられておるのではなかろうかと、こういうふうに考えるわけです。大臣のひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/126
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127・神田博
○国務大臣(神田博君) いま保険の問題についてのお尋ねでございましたが、お述べございましたように、それぞれの保険が大きな赤字をかかえ込んでおりまして、しかも、政府の投資が僅少だというような問題とも関連いたしまして、非常に困窮していると申しましょうか、困っていることはお説のとおりでございます。そこで政府といたしましては、抜本的な対策を立てまして、社会保障制度審議会、また社会保険審議会に諮問をいたしておりましてこれらの御審議を願っておりますから、有力な、政府の出しております案に対するいろいろな御答申が期待されております。この答申を尊重、いたしまして、そうして抜本的な手を打ちたい、解決いたしたい、かように考えております。この両審議会ともしばしば開いておりまして、社会保障制度審議会のほうでは特に答申をまとめにがかったような状態でございます。
それからもう一つ国民保険の問題でございますが、これもお述べなりましたとおりの事情でございまして、この点につきましては、財政当局ともお話しいたしまして、三十九年度の赤字を、百三十一億でございますか、できるだけすみやかにひとつ補正いたしたい。これは調査いたしますともう少しふえるようでございます。これはまあ当然でございますからひとつ補正をいたしたい。そこで、この国会に追加予算を出す予定もございませんので、とりあえずは四十年度に計上した予算を繰り上げ支出いたしまして、そうして臨時国会で補正予算を組んで、できるだけ市町村に御迷惑かからぬようにいたしたい、このような方針で財政当局と打ち合わせいたしておりまして大体の御了解はついておる、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/127
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128・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、健保の組合連合会外四組合が、一月九日に医療費九・五%の値上げを職権告示したところの厚生大臣を相手として、職権告示による医療費値上げ取り消し、この訴訟に付随して、最近、東京地裁が、職権告示は違法として、職権告示の効力停止の判決を下しておるわけです。このことから、新聞紙上でもいろいろな経緯を報道しておりますが、最近における政府の審議会のこれは審議の軽視と、こういう風潮がこの点からもうかがえるわけですけれども、この判決は、政府が審議会の審議軽視という、そのことに対する一つの警鐘を与えたものではなかろうかと、そういうふうに私どもは解釈しておるわけであります。ここでひとつ厚生大臣としては十分考えていただかなければならぬ問題が起きておるわけです。目下いろいろ奔走しておるようではございますけれども、この問題に対して大臣の見解並びに今後の収拾の見通しですね、こういうことについてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/128
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129・神田博
○国務大臣(神田博君) いわゆる厚生大臣のやりました告示につきましての地裁の決定は、いまお述べになりましたようなことでございまして、私どもといたしましては、これは将来大いに考えなきゃならぬ点を含んでおることはおっしゃるとおりでございます。しかし、政府といたしましては、あの決定の翌々日でございますが、即時抗告いたしまして、いま現に論争中でございまして、最終の決定が下されると思います。もちろん、この決定に服することは当然でございまするし、そこでこの間、いまお述べになりましたような二本立て料金というような問題が出てまいりまして、いろいろトラブルが起きておりますことはおっしゃるとおりでございます。厚生省といたしましては、二重料金立てのトラブルにつきましては、できるだけひとつ、裁判の一応の決定があったわけでございますから、決定を順守するようにそれぞれ手配をいたしました。また一方、医師会等とも十分な連絡をとりまして、医療の混乱のないようにひとつはかりたいというようなことで、話を一応医師会とはつけました。支払い四団体の場合につきましても、そういうような条件で——そう長い時期だとは思っておりません、いずれにいたしましても——医療の混乱のないようにいたしたい。医師対病人の関係がやはり相互信頼でうまくいくようなことにいたしたいと、かように考えまして、目下それぞれ努力いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/129
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130・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあそういう方面で善処されるということではございますけれども、混乱のないようにいたしますと言っても、現実にもう混乱しておるわけですね。すでに火は放たれておるわけです。それでよほどこれは抜本的な手を打たれないと、支払い側あるいは医療側と、両者の間にあるわけですから、両者を満足させるということは、これは一時を糊塗するような方法ではなかなかもって解決できないと思う。そこで思い切ってひとつ大臣の職をかけてもというぐらいの強い心がけでないと、なかなかこの難局は収拾できないと思うのですね。しかも、このままではますます混乱する一方です。ここでひとつ強い毒処方々一要望申し上げておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/130
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131・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまお述べございました御注意の点につきましては、重々ひとつ私どもも心がけておりますので、なお一そうの努力をいたしまして混乱を最小限度に食いとめ、また、抜本的な問題につきましても十分ひとつ御期待に沿うように努力いたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/131
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132・柴田栄
○委員長(柴田栄君) 議事の都合により、本案の自後の審査は、一時あとに回し、後刻行なうこととし、これにて暫時休憩いたします。
午後六時四十八分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814889X02419650519/132
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