1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月八日(木曜日)
午後一時二十五分開会
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠専任
浅井 亨君 柏原 ヤス君
秋山 長造君 松本 賢一君
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出席者は左のとおり。
委員長 山下 春江君
理 事
久保 勘一君
二木 謙吾君
小林 武君
委 員
植木 光教君
木村篤太郎君
近藤 鶴代君
笹森 順造君
中野 文門君
中上川アキ君
野本 品吉君
千葉千代世君
松本 賢一君
柏原 ヤス君
発 議 者 小林 武君
国務大臣
文 部 大 臣 愛知 揆一君
政府委員
文部政務次官 押谷 富三君
文部省大学学術
局長 杉江 清君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
文部省初等中等
教育局審議官 安嶋 彌君
文部省大学学術
局学生課長 笠木 三郎君
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本日の会議に付した案件
○国立及び公立の産業高等学校の教職員に対する
産業教育手当の支給に関する法律案(小林武君
外四名発議)
○日本育英会法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○参考人の出席要求に関する件
○教育、文化及び学術に関する調査
(道徳教育に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/0
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001・山下春江
○委員長(山下春江君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
本日、浅井亨君、秋山長造君が辞任され、その補欠として柏原ヤス君、松本賢一君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/1
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002・山下春江
○委員長(山下春江君) 国立及び公立の産業高等学校の教職員に対する産業教育手当の支給に関する法律案を議題といたします。
まず、発議者から提案理由の説明を聴取いたします。小林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/2
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003・小林武
○小林武君 ただいま議題となりました国立及び公立の産業高等学校の教職員に対する産業教育手当の支給に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
去る昭和三十二年に産業教育振興法第三条の三の規定の趣旨に基づいて、農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に対する法律が制定され、これに基づいて、国立及び公立の高等学校において産業教育に従事する教員及び実習助手に対して産業教育手当が支給されることになり、自来、わが国の産業教育の振興に貢献してまいりました。
しかしながら、この法律には、以下申し述べますように種々不備な点があり、産業教育の振興をはかる上から障害となる面が次第に顕著となってまいりました。すなわち、現行法における問題点の第一は、本法適用の対象に商業及び家庭科に関する教育が含まれていないことであります。この法律の母法でありますところの産業教育振興法第十二条の産業教育の定義には、商業及び家庭科に関する教育も含むことが明記されてありますし、また、商業及び家庭科に関する教育も、農業、水産、工業及び商船に関する教育と同様に産業教育の振興に重要な役割を果たしておりますにもかかわらず、本法適用の対象とされていないことは納得できないところであり、商業及び家庭科にかかわる産業教育に従事する教職員にも当然産業教育手当を支給できるよう措置すべきものと考えます。
第二には、盲学校、聾学校及び養護学校の高等部において、高等学校におけると同様の産業教育に従事している教職員について産業教育手当が支給されていないことであります。盲学校、聾学校及び養護学校の高等部における産業教育に関しては、産業教育振興法第二条の産業教育の定義の中に含めて規定されており、実際に高等学校におけると同様の産業教育に従事しておりますにもかかわらず、その教職員に産業教育手当が支給されていないのは不適当と言わなければなりません。さらに、このために盲学校、聾学校及び養護学校の高等部において産業教育に従事する適当な人材の確保をきわめて困難にし、人事交流の面からもしばしば支障を来たし、教育不振の一因ともなっておる実情であります。したがって、これら高等部において産業教育に従事する教職員についても当然産業教育手当を支給すべきものと考えるものであります。
第三には、産業教育手当の支給の対象が産業教育に従事する教員及び政令で定められた実習助手に限定されていることであります。農業、水産、工業、商業、家庭または商船に関する専門教育を主とする学科を置く両等学校等において、産業教育に従事する教員及び実習助手以外の普通教科を主として担任する教員及び実習助手も、産業教育の一翼をになってその振興につとめているのであります。これら産業教育を行なっている学校において、単に産業技術の習得のみにとどまらず、くふう創造の能力を養い、調和のとれた人間を養成するためには、普通高校における場合より一そう普通教科に関する教育が重要視されなければなりません。しかも、これらの学校における普通教科に関する教育にあたっては、普通高校における場合と異なり、産業教育の振興に役立つべき内容を加味して、産業教育との関連において教育が行なわれることがきわめて必要かつ有意義であり、そのためには特別な図書や資料を購入して、絶えず真剣な研究が行なわれているのであります。また、普通教科を担任する教育職員は、普通両校に比べて本来授業時間の不足な普通教科を、限られた授業時間内において最も有効にするために常に教授法等についても検討反省を重ねるとともに、生徒に十分な一般教養等を身につけさせるための補習授業にもつとめている実情であります。
さらに、教育職員以外の事務職員も、実習や機械の購入、整備等に伴う事務や会計処理等の仕事に、用務員等は実習後の整備、清掃等の仕事に、それぞれ普通高校における場合よりはるかに労働加重をしいられ、産業教育振興の縁の下の力持ちとしてつとめている実情であります。したがって、これら教職員を含めて産業教育を行なっている高等学校の教職員全員に対して、産業教育手当を支給することがきわめて適当な措置であると考えるものであります。
しかるに、現状では産業教育に従事する教育職員に対してのみ産業教育手当が支給されておりますので、産業教育手当が支給されていない教職員との間に差別感が醸成され、両者の感情的対立、教育意欲の減退等が招来され、また、適材の誘致、人事交流についても支障を来たし、いまやこれらの学校における教育上のゆゆしい問題となっている現状であります。真に教育の充実向上を期すためには、教職員全体が一致協力して教育に当たることこそ必要であります。この現状を解決することは、産業教育の振興をはかるため目下の急務と言わなければなりません。
以上申し述べました理由により、現行法を廃止いたしまして、不備な点を改め、新たに本法律案を提案いたしました。
次に、その内容について簡単に申し上げます。本法律案の内容の第一点は、農業、水産、工業、商業、家庭または商船に関する専門教育を主とする学科を置く国立の高等学校及び国立の盲学校、聾学校及び養護学校で、文部省令で定める産業教育に関する課程を当該高等部に置くものの校長、教員、事務職員その他の職員には、その者の俸給月額の百分の十に相当する額をこえない範囲内で産業教育手当を支給するものとしております。第二点は、公立のこれらの産業教育を行なっている高等学校等の校長、教員、事務職員その他の職員の産業教育手当は、国立の学校の職員の場合を基準として定めることとしております。第三点は、農業、水面、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律は廃止するものとしております。なお、この法律は、昭和四十年四月一日から施行することとしております。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/3
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004・山下春江
○委員長(山下春江君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/4
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005・山下春江
○委員長(山下春江君) 日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続きこれより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
なお、政府側より、愛知文部大臣、押谷文部政務次官、杉江大学学術局長が出席いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/5
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006・小林武
○小林武君 初めにこの育英会の事業の問題でございますが、この事業面について、育英会の事業の振興策あるいは事業の再改革を要するというような育英会における責任ある人たちの意見が述べられているのでありますが、どういう内容を持っているのかお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/6
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007・杉江清
○政府委員(杉江清君) いろいろ懸案はたくさんあるわけでございますが、まず何といいましても、事業の総額をふやす必要がある、そうして、そのねらいは、やはり単価を引き上げるということ、これは一般貸与におきましても、特別貸与におきましてもその単価を引き上げる。それから特に特別貸与につきましては、その対象人員を大幅に引き上げる必要があると考えております。特に修士課程等におきましては、本年度の予算措置をもっても、なお私は相当不十分であると考えております。これらの点の改善を必要とすると考えます。事業についての大きな今後の課題としましては、以上の点にあるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/7
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008・小林武
○小林武君 これは文部大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、ただいまの御答弁ですね、必ずしも育英会の責任者のおっしゃっていることとは一致しておらないように思われる。額を引き上げるというようなこととか、総額を引き上げるとか、単価をもっと上げるとかいうようなことについては、これは私も特別、事業の再改革と言うべき筋合いでもないと思います。まあその際に述べましたこの特別貸与の問題については、若干先ほど私の質問した内容に触れておるようにも思いますけれども、そういうことではなくて、森戸会長の言われておることはそういうことでないように思うのです。育英事業の新たな視野の上に立って、そうして事業の再改革と振興をはからなければならないということは、そういうことではないと思うのですけれども、この点、大臣からお伺いしたいのです。しかし、特段にございませんでしたら、これは大臣にお伺いしても、育英会の言っていることでありますから、これは無理ですから、特段になければそれでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/8
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009・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 育英会につきましては、森戸会長、それから理事長以下役職員の方々が非常に御熱心にやっていただいておりまして、私もその意欲についてはかねがね敬意を表しておるわけでございますが、いまおあげになりましたように、再改革ということについては、いろいろ積極的なお考えもあるようでございますが、具体的に一から十までというふうに私からお答えするのもいかがかと思いますが、相当の積極的なお考えは持っておられるようですが、いずれ当委員会におきましても直接お聞き取りいただく機会もあるようでございますから、ただいまお尋ねの中にもございましたように、直接にお聞き取りを願ったほうがよろしいかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/9
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010・小林武
○小林武君 この点につきましては、参考人としておいでをいただいて、次の機会にもう少し詳しくお尋ねをすることにいたしまして、一点だけお伺いしておきたいと思いますのは、これが例のあの問題とも関係があるのですね。学徒援護会の問題とも多少関連をぼくは持っていると思うのです。育英会は、あれですか、総花主義といいますかな、いままでのやり方を総花主義と、こういうふうに表現をしております。従来までの行き方というようなものを改めて厳選主義でいきたい、こういうことを大体方針として御採用になっているかどうかということをお尋ねしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/10
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011・杉江清
○政府委員(杉江清君) いまの御質問に対して、特に、従来の方針に対して、きわ立って厳選主義をとるということは私ども考えておりませんし、また、おそらく育英会でも考えておらないのじゃないかと思います。ただ、現状においてどこに重点を置くかということになりますと、まずやはり特奨のほうの充実ということに相当の重点を置くべきではないか。それから、なお、貸与するにいたしましても、現在の単価ではなかなか育英奨学のほんとうのねらいを達するのには金額が少な過ぎる、そういう点からやはり単価を上げていく、そうしてほんとうの育英奨学の実をあげるようにしたい、そういうふうなことを当面の問題、課題としてその改善をはかろうという考えを育英会は持っておられると思います。私どもまた、そういうことが当然の必要なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/11
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012・小林武
○小林武君 先ほど学徒援護会の問題とも関連があるということを申し上げたのは、この前に私は学徒援護会の問題で、雑な表現をもってすれば、学徒援護会というのはもう貧乏人の子供ばかり、いわゆる貧困な学生ばかり相手にするあれではない、こういうようなことを、学徒援護会の内部において、公式の席上で発言しているということを尋ねたら、その後、担当の課長から、いろいろ調査をされまして非常に丁寧な報告がございました。私もその報告については了としているわけですけれども、しかし、そういう考え方がやっぱり文部省の育英事業に多少関連を待つ仕事の中に出ているような気がどうもこのごろするわけであります。たとえば、この森戸さんの言われたところの総花主義よりも厳選主義というような考え方もその一つなんです。私はこのことは必ずしもわれわれの推量だけではないように思うのです。たとえば、育英事業の概況というのを、あなたのほうから資料としてお出しになっておる。これを見ますと、二ページの奨学金の状況を見ますというと、一般の貸与の場合において、両校の貸与人員というのは、昭和三十七年度、三十八年度、三十九年度、この三年度を見ますと、高校の貸与人員というのはずっと減なんです。大学の場合も同様なんです。こういう減の理由は、一つは特別貸与というところに重点を置いたせいかとも思いますけれども、この特別貸与の額は、いわゆる倍増の形に、昭和一千七年、一十八年の総計を見るとなっておる。こういう数字的傾向は、さらにもっと強調されなければならないという考え方がどうも森戸さんの考え方にあるのじゃないか。それから、横に入って申しわけないけれども、学徒援護会の中においても、たとえば寮の中に入れる者の対象も、何かすでに計画が一つあって、それは必ずしも貧困で学問を続けるのに困難という者が対象ではなくて、もっと何というか、成績がいいとか悪いとかいうようなこと、われわれから言えば、奨学資金が貧困のうちにもわりあい恵まれているというような者が対象になるんだというような一つのうわさも聞く。こういうことを聞いておるものですから、一つの数字的なあらわれから判断してもはっきりいたしますので、これは一体そういうようなことを——これは育英会のことは後日聞くといたしまして、文部大臣の一体気持ちの中に、一つの方針の中にそういうものがあるのかどうか。厳選主義というような考え方の上に立ってだんだん縮小していって、いわゆる数の少ない者にたくさんの額のあれを支給するという形をおとりになるつもりなのかどうか。なお、学徒援護会の話をしましたけれども、これはいずれ文部省の外郭団体の問題全体でひとつお尋ねをしなければならぬと思っておるわけでありますけれども、一体そういうことは、たとえば育英に関係のある学徒援護会の問題でも文部省としてお考えになっているのかどうか、ここらはやっぱり大臣から私は大きな方針としてどうなのかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/12
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013・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は私は育英会のほうからもお聞きとりいただきたいと思いますけれども、現在程度の貸与金の額では、いずれにいたしましても私どもとしては不満足なんで、もっとこれを大規模に拡大をいたしたい、その一つに私の気持ちはしぼられております。その気持ちということは、結局いまおっしゃったように、この程度の幅の中でどういうふうな人間を、何かの意図を持って育英するとか何とかいうことをかりに考えるとしても十分なことはできないと思いますし、私はそういう意図は持っておりません。学徒援護会につきましても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/13
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014・小林武
○小林武君 この点については文部大臣からそういう御答弁をいただいて、まず打ち切りますが、たとえばこういうことについてお考えになったことがございますか。私立大半の問題で、この前、大臣にいろいろな点をお尋ねいたしたわけでありますが、その際、私立学校の学生の負担というものは非常に大きい、国立の学校に比べて。ところがこれに対しては、いまのところは特段にそれに対して負担が少なくなるような方途というのは、非常にそういう気持ちはあるけれども、実際のあれとしてはあらわれておらないことなんでありますが、一体この大学とか、その他高専でも短大でもけっこうですけれども、私立学校と国立との占めている数の比率はどうなんです、貸与の学生の。それからこれはきわめて雑なものの言い方ですけれども、片方が十三万幾らも授業料とられるのに片方はきわめて少ない。そういうあれからいえば、私立学校のほうをふやすことも必要であるし、もう一つは、私立学校の学生の数が多いわけでありますから、私からいえば数の比率は大きくなるということと。もう一つは、私立学校の金のかかる学生というものと国立の学校のあれとは貸与額において差をつけるというような、こういう一体考え方というものは成り立たないのかどうか、そういう点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/14
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015・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この点は私も非常に大きな問題だと思っているわけでありますが、まず第一に、私立大学の学生の負担、したがって、父兄の負担が国立大学に比べまして非常に格差が大きくなってまいります。私としては、まず一番実際的にこの格差が現在以上に広がらないように、現在以上に大学生やその父兄の負担がふえないようにということをまず実際的な目標として、あらゆる意味の対策を打っていきたいものだと考えているわけであります。その中には、私立大学の経営の実態の点からいってよく問題になりますような、高利債に追われて債務償還に追われているというような現状を打開するためには、私学振興会の事業の拡充というようなことが大きな一つの役割をなすのでありましょう。また、定員増につきましても、御同様、私学振興会等の貸し付け金というようなものが非常に大きな役割りを果たすであろうと思います。しかし、それだけではとても対策にならないのであって、たとえば私の念願で、何とかして実現をはかりたいと思っていることの一つに、たとえば一定の授業料については、生命保険の保険金の控除という制度が税法上もあるくらいなんでありますから、将来の子弟の育成のための授業料を所得税の基礎控除に入れてもらうというようなこともできれば非常にありがたいことである。これには私としては非常な努力を今後も続けていきたいと思っております。
それから、そのほか一ぱい私の頭の中にございますけれども、一々、従来も申し上げておりますから、あえて繰り返しません。それから育英会の問題についても、お詳しい資料を幾らでも御説明できると思いますが、端的に言って、国立大学の学生のほうが、数におきましても、比率におきましても、この恩典に浴しているのが多いのでありまして、その点からも、実質的には国立大学生と私立大学生との間の格差というものは非常にある。これはやはり非常な問題だと思います。従来は、先ほど私ちょっと申しましたように、こういったような育英会の奨学金制度などは非常にけっこうなことだけれども、何ぶんにも総額が十分でないために、そのときどきの国家的要請と言うとおしかりを受ける点かもしれませんけれども、たとえば理工科の学生をできるだけ多く養成したいというようなことから、国立大学の理工学部の学生数が多い、自然またそういうところが奨学金の乏しい中でも対象として選ばれたというようなこともあるでありましょう。しかし、一般的に言えば、今後、私立大学の学生についてもできるだけ格差を少なくして、奨学金の恩典に浴させるようにしなければなるまいと思います。それから、この法案の中でも御審議いただいておりますように、たとえば優秀な若い人たちに教職員に意欲を持って当たってもらいたい。この点についても御意見がいろいろおありのことは私も十分承知いたしておりますが、やはり国家的にいえば、幼稚園に至りますまで、教職員になるような人に対して、乏しい中でも育英会の返還の免除というようなことをやらなければならない、この範囲はできるだけ広げていかなければなるまいと考えております。こういったような点について、あるいは学徒援護会の問題につきましても、考え方は同様でなければならない。しからば、何をそのときどきで、乏しい中を重点的に振り分けるかといえば、いま申しましたように、たとえば今日においては教職員になってくれるような優秀な学生を、できるだけそういうところに比重を置いて貸し付けたり、あるいは返還の免除をしたりすることが私はよいことである、こういう確信に基づいて、そういう方向で育英会も大いに活動されることを私は期待しているわけであります。しかし、前提が、私の前提は、いずれにしてもこの程度ではなかなか思うように手が行き届かない。そうすれば、乏しい資金の中でいろいろそういう目的も考えていくということになりますと、いろいろ御批評や、御希望が出てくる、これはどうも現状においてはやむを得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/15
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016・小林武
○小林武君 非常にいろいろな点について文部大臣が対策をお考えになっていることについては私も敬意を表します。ひとつ御努力をいただきたいわけでございますけれども、やはりお話の中にございましたように、私立大学の学生というようなものが、やはり国立よりかも奨学金の制度の中でも比較的恩恵を受けることが少ないというようなことについては、やはり問題があるのではないかと思うのであります。この点は、かつて私は何かそういうようなことについて申し上げたと思うのでありますが、国立大学に入る者はわりあいにいまのところ裕福な者の子弟が入っているというような傾向が出てきておる。逆に、私立大学のほうには貧困な家庭の者が多いという、そういうやはり実際の現象もあるわけでありますから、私はやはり私立大学のこのぼう大な数に、全部その奨学金を直ちにやれなんて議論はなかなかできないことでありますけれども、やはりその恩恵に浴させることについては、もう少しやはり御配慮をいただいたらどうか。もっと一歩進めば、さらに負担の大きいところの学生に対しては、やはり多額の金を貸してやる、そういうような考え方もひとつ御採用願いたいものだ、この点を申し上げておきます。
この点については一応質問を打ち切りまして、次の問題に入りますが、私は今度のこの法律案の中に、監事のことについてお書きになっておる。私は大体の御趣旨を推察いたしますというと、育英会のいろいろな仕事の中で、この監事という仕事が非常に重大だという点にお気づきになって、そうしてこういう法律案ができたのだと思うのでありますけれども、私は監事の問題も非常に重大でありますが、役員の問題について私は一つ考える必要があるのじゃないかと思うのです。役員、職員、こういうものは育英会の中で一生一懸命にやはり努力するということでなければ育英会の業績というものはあがらない、限られた予算、この予算の範囲内でやるにいたしましても、あるいはいま特に問題視されておりますところの返還の問題につきましても、これはもうあげてこの育英会の関係者が努力をしなければならない問題だと思うのでありますが、そういう意味で一つお尋ねをするわけでありますが、いまの会長さんは森戸さんであります。たいへんまあけっこうな方だと私も思うのでありますが、森戸さんは文部省のいろいろな仕事におつきになっておる。幾つおつきになっているのか、ひとつ知らしていただきたい。私はとにかくあのNKKの何か高等学校の校長か何か——週刑誌を見ると、名刺にも書き切れないほどのたくさんの何か役職をお持ちだということを聞いています。まあお年のわりに精力絶倫のお方でいらっしゃることも承知いたしておりますから、決して役職をたくさんお持ちになっておったからできないというようなこともないかとも思いますけれども、私はそうは思わない。育英の仕事というような重大な仕事は、本来ならば一人で一つの仕事をやり抜くというようなそういう形、やはりほんとうに、この役職の立場にいて、育英会をもっとやはり趣旨に沿うようなやり方をやらなきゃだめだ。監事によって監査をするというようなことだけで、育英会が立ち直るものでも何でもない、私は職員をふるい立たせることもできないと思う。そういう意味だ、まず一体、森戸先生はどれほどの役職をお持ちになっておるか。大体、政府機関のいろいろな何か役職についている人はそういう傾向が強いと実は私は思っておるのでありますが、森戸先生の人格とか手腕とかいうものについては異存がないけれども、私は率直に言って数が多過ぎるのじゃないか。人間である以上そんなにできるものじゃない。失礼だが、お年だと、そういう若い者のように無理のきくものでもないだろうからということは腹の中に置いて質問しているわけであります。一体、どれだけの仕事を文部省で森戸先生に頼まれておるのか、それをまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/16
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017・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 幾つやっておられるかは事務当局から御答弁いたさせますが、森戸先生については、たとえば育英会の会長、あるいは中央教育審議会の会長、あるいは国語審議会の会長といったような相当多くの会長その他をお願いいたしております。これは、ひとえに森戸先生という方の人格、識見、過去の経歴、非常に幅の広い、また信頼の厚い方でありますので、私もこれ以上森戸先生をわずらわすことはたいへんなことである、とうてい、これ以上はいろいろとお願いすることは差し控えなければならないとかねがね考えておりますけれども、たとえば私が直接関係いたしまして苦慮いたしましたことの例を申せば、国語審議会というようなところは、たいへんこれは通常にむずかしい、学問的な問題でもありますし、なかなかこれは大きな仕事でございますが、実はこの際においても、私はこれ以上お願いすることははばかったのでありますけれども、国語審議会の方々の総意で、どうしても森戸先生に会長をやってもらいたいという、たっての御希望でこの会員の方々がありますので、やむを得ず私もお願いしたというような経緯もあるくらいであります。これは、ああいう方はなかなか得がたい、したがって、ぎりぎりのところまで御迷惑をお願いしておると、こういうわけでございますが、いまどれだけ多くの肩書きをお持ちであるかということは詳細に御答弁いたさせますけれども、私としてはたいへん御信頼申し上げて、これ以上お願いするということは、これはもう物理的にも無理だと思っておりますから、現状におきましては、たとえば育英会にいたしましても会長をお願いし、非常に御熱心に指導していただいておる。しかし、同時に理事長以下のスタッフがおるわけでございますから、運営の点については遺憾なくやっていける、こういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/17
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018・杉江清
○政府委員(杉江清君) ただいま大臣がおっしゃいました以上の詳細なことは、いま調べておりますから、しばらくお待ちいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/18
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019・小林武
○小林武君 いまの点についてはあとで調べていただいてけっこうです。
大臣が信頼されているということについては別段の異議もございません。ただ私が申し上げるのは、文部省の関係のいろいろな審議会とか委員会とかいうものを見ましても、いずれもりっぱな方がなられているということについては、私はかれこれ批判は申しません。しかしながら、人間にはやはり能力の限界というものがある。体力の限界もある。ほんとうに委員会なり審議会なりの運営というようなものを、目的の完遂の線に沿うておやりになろうとするなら、私はその点では、単にその人個人がりっぱであるというようなことから、あっちからもこっちからもというようなことはまずいのではないか。運用する方々のやはりそこらは割り切ったお考えがないというと、能率的な運営ができないのではないかと思いますので、その点につきましては、ひとつ御考慮をいただきたいというような気持ちがするわけであります。
次にお尋ねいたしたいのは、まず監事のことは抜いて、職員の問題にちょっと入りたいのでございますが、何か文部省の中には外郭団体というのは相当数あることになっているそうであります。先ほども申し上げましたように、文部省の外郭団体であるといえども、文部省のやはり一つの文教政策というものの中では一翼をになった方々である。学徒援護会にしろ、国立競技場の問題にしろ、あるいはオリンピック——今度できる振興何とかのあの問題にしろ、一生懸命そういうものは文教行政の一翼をになっている方だと私は思うのです。これらの人たちがほんとうにやはり意欲的な働きをしないことには、文教政策というものを推進できないと思います。そこで、私はそういう立場からひとつお伺いしたいのですけれども、ここに採用になるのにはどういうやり方をしていらっしゃるのか。これは文部省の職員として採用になるのか、それともそれぞれ個々でやっていらっしゃるのか、何か聞くところによると、統一試験があるという話も聞いておるのでありますが、採用のしかたについてひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/19
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020・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 特殊法人関係の採用につきましては、ただいま御指摘がございましたように、最近になりまして大体同一の基準で選考することが望ましいという考え方のもとにおいて、大体、採用年次の前年度の秋に外郭団体関係の募集をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/20
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021・小林武
○小林武君 これは統一試験というようなものを実施したのはいつからでありますか。その以前はどういう採用のしかたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/21
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022・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 統一試験を始めましたのは、私の記憶では三十八年度以降というふうに承知しております。それ以前の段階では、各団体ごとにそれぞれ独自の選考をしておられたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/22
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023・小林武
○小林武君 統一試験というのを実施するのは文部省でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/23
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024・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) これは特殊法人関係で一種の申し合わせをいたしまして、それに基づきまして実施いたしますのは特殊法人関係者がするわけでございます。文部省では直接いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/24
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025・小林武
○小林武君 この文部省の外郭団体、八つか九つかあるという話でありますけれども、この外郭団体の三十八年度以降採用になった方々は、いずれも統一試験を受けられて、そうしてその統一試験の際に振り分けをするわけですね、どこどこの団体に。その振り分けは一体どこでなさるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/25
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026・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 私もごく詳細の点につきましては必ずしも明確でございませんが、ただいま承知しておるところでは、各団体ごとにその次年度におきましての採用計画、それに伴いましての採用人員を出しまして、それを一括して募集するという形で、もちろんその中身といたしましては、個々の団体で、大体何名程度採用するというワクは個々の団体ごとに示すというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/26
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027・小林武
○小林武君 御答弁によりますというと、あまり文部省ではこれに関知していないというようなことで、その団体間の申し合わせによって行なわれているということでありますが、そうすると、これはだれを呼んだらよくわかるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/27
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028・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) これはそれぞれの団体の担当理事が当然その仕事にタッチしているわけでございますから、その関係団体のどなたか理事者をお呼びになればおわかりになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/28
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029・小林武
○小林武君 これは文部大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、外郭団体でこの文部省と直接的な関係というようなことにはならないし、また、文部大臣がこれについていろいろ干渉されるということもなかなかできないというふうにも考えられますから、文部大臣にどうかというようなことは、あまり聞くのもおかしいようなんでありますけれども、先ほど申しましたように、文部省の外郭団体は文部行政の一翼をになっておるという立場をとりますと、何といいますか、これらの人たちにいろいろ仕事の一つの使命感のようなものを持ってもらうというようなことになりますと、そういう使命感とか責任感とかいうものを持ってもらうということになりますと、待遇とかいろいろな面について、将来の問題について、たとえば文部省との人事交流をやってくれるとか、あるいは文部省との人事交流をやらなくても、その団体の中でそれぞれ将来やっぱり一つの希望を持って働けるという条件について、お考えをいただいていると私は思うのですけれども、そういう点についてはどうなんですか。たとえばこの待遇の問題なんか、特に賃金の問題なんかについては、文部省並みの一体扱いをするというようなこととか、その他何かどこかの基準によるものがあって、文部省関係団体は非常に悪いというような、待遇の上で。そういうようなことが起きないような御配慮をいただいているのですかどうですか、その点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/29
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030・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 文部省のいわゆる外郭団体にもいろいろあるわけでありまして、その中で一番いま御質問の要点は、特殊法人的なものが中心じゃないかと思いますので、そういうふうにかってに理解させていただいてお答えいたしたいと思いますが、法律等によって設置されます特殊法人等については、これは文部省だけに限りませんが、特に文部省としては、理事長とか、会長とか、理事者の選任についてはできるだけ慎重に、かつ、われわれと相協力してやっていただけるような方を、これは特に留意して人選をいたしておるつもりであります。その責任名の方に、あとの人事構成というものは当然全部おまかせをする。少なくとも私は一切了解したこともなければ、御相談にあずかったことも職員についてはございません。
それから、その次の待遇の問題でございますが、これはもうよく御承知のことと思いますが、特殊法人については、大体これは予算が関係していることであります。その予算の編成について大蔵省を中心に、大体特殊法人の格というようなものが一応あるわけであります。それに従って予算が組まれておりますから、大体、政府関係の特殊法人等においては、おおむね給与の基準というようなものは大体一致していると思います。その基準で理事者が適当にやっておられると、かように私は理解いたしております。
さらにその次の問題は、しからば、いま私が申しました格づけというような——格づけということばがあるわけではございませんが、常識的に言って、他省に比べて文部省の外郭団体が妥当なる待遇を受けているであろうか、こういう点については、率直に言って、やや低めではなかろうかということはかねがね私自身としても気がかりな点でございます。これは機会あるごとに、できるだけ他の特殊法人のいいところと比べても劣らないような予算的な措置がとれるようにいたしたい。また、たとえば育英へ会にいたしましても、あるいは私学振興会にいたしましても、おかげさまでその事業内容はもう年を追うごとに非常に拡充され、その仕事の重要性が、御指摘のとおり、年を追うごとに高まっているわけでありますから、これに意欲的に働いていただくためには、やはり相当の待遇をもって報いなければならない、かように考えておりますので、この事業内容の充実に伴って、四十年度ではそこまでまいりません点もありましたけれども、四十一年度以降におきまして、さらに努力をいたしたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/30
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031・小林武
○小林武君 いまお話があったように、私が申し上げているのは、外郭団体といっても特殊法人の問題で、大体御了承いただいているものと思って、その点については先ほどからそういうつもりで御質問しているわけでありますが、これは大臣でなく、担当の局長にお尋ねいたしたいのですけれども、他のたとえば公団とか、そういうものに比べてどうなんでしょう。若干低いというような、若干でなくて、賃金の問題ですが、一体どういうことになっているか。やや具体的にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/31
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032・杉江清
○政府委員(杉江清君) かつては文部省の外郭団体は、いわゆる公庫、公団と比べまして、まあその給与水準は低かったということが言えると思います。それには適用する給与体系を異にしておった。で、公庫、公団並みの給与体系があったのでありますけれども、こちらはそれとは違った給与体系をつくっておった。そこで、こちらの給与の改善ということから、いわゆる公庫、公団並みの給与体系への移行、その適用ということに努力してまいったのであります。そしてその大部分がその方向に移行しております。ことにこの育英会においては、本年度の予算措置をもってその移行をいたすわけでありますが、それによりまして、ほぼいわゆる公庫、公団並み、他省関係の外郭団体の給与水準になるわけでございます。ただ、その移行に関しては、いわゆる退職金等のいろいろ技術的な問題がありまして、いろいろ困難な問題がありますけれども、しかし、漸次そういう困難を解決して、いわゆる公庫、公団並みの給与体系の適用、それによって給与の改善ということをはかっておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/32
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033・小林武
○小林武君 まあその問題については、またあとで詳しくお尋ねする機会があると思いますから、あまりこれについて質問いたしませんが、ただ、中にはまた、たいへん悪いものも事実あるようでです。たとえば学徒援護会などというのは私はたいへん悪いと思います。この点はいずれあとで申し上げますが、その他のものも私は必ずしもいいとも思いませんけれども、これはまああとにして、育英会の例をとってみても、できてから相当の年数がたったわけであります。そして大きな使命をやっぱり果たしてきたと思うのです。この点はやはりそこにつとめている職員みんな、やはりそれぞれ功労があったと思うのですが、私は待遇というそういう賃金の問題と同時に、その他賃金以外の人事の問題はどうかということは、やはりそれぞれ人間である以上、意欲的な仕事をするかしないかということについては、これはもう関係がきわめて深い。これは役人をやっていらっしゃる方みなわかっていると思います。これはどうなんでしょうか。たとえば、まあどういう線を引いているか知りませんが、たとえば課長とか、それからそういうような役職につく者、そういうものは大体何であるか。公団とか、あるいは外郭団体とかというようなものは、どうもそこではえ抜きといいますか、採用されて、はえ抜きの人というのは、あるところまでいくというと、どんどん横から天下り的なあれが行なわれて、そこで一生懸命苦労してきた、俗なことばでいえば、骨を埋めるような気持ちで働いている人たちが、どうもいつも頭がつかえて、何ぼ経験を持っていても、熱意を持っていても、適当なあれにつくことができないということのために、きわめて意欲をそがれているというようなことが多いように聞くのです。一体、文部省の外郭団体というのは、そういう点どうなっているのか。育英会なんかというのはどういうことですか。これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/33
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034・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 育英会の場合で申しますと、ただいま、いわゆる課長としての管理職についております者はほとんど全部、いわゆるはえ抜きの人たちであります。援護会の場合もほとんど同様の状態でございまして、育英会と援護会に関する限りは、大体、下からそのまま上がっていくということが大体の傾向になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/34
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035・小林武
○小林武君 その点はたいへん、事実であると思いますが、けっこうだと私は思うのですが、なお、ほかのいろいろな外郭団体についても重要なことではないかと私は思うのです。なお、役員の問題についても、私はやはり相当の考慮をそういう面で払わなければならないと思うのでありますが、これはいずれまた後刻やることにいたしまして、今度、法律案の中に監事の仕事のことについて出ておるわけでありますが、一体、監事というものは、育英会法によって業務監査をやるということになっておりますが、どういう業務監査をいままでやっておったか、どういう内容の。戦時中につくった団体としたら、戦時中にはどういう業務のあれがあったのか。最近は一体どういう監査をやっておったのか。私はこの業務監査の仕事の面で、ひとつ育英会の中に活を入れようというような気持ちから、おそらく今度の法律改正の中にもそういう点がひとつつけ加えられたのじゃなかったかと、こう想像しておるのであります。なお、前回質問をいたしました二木委員からも、監査の重要性についてはるる述べられている。どういう監査が一体されておったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/35
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036・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) このたびの御審議をお願いしております法律の改正案の中で、きわめて具体的にその職務内容につきまして規定をいたす予定でございますけれども、実態といたしまして、ただいままでに育英会の監事のやっておりました仕事の内容は、ほぼこのたびの法案で予算されております事項と同じような事柄をすでにやっておられたのであります。で、従来は育英会の内部規程といたしまして監査規程が設けられておりまして、この中で具体的に監査の事項としてあげられておりますのは、たとえば業務運営の基本方針、予算実施計画及び事業実施計画の実施状況についての事項、それから資産の取得、管理及び処分の状況、財産目録、貸借対照表等、いわゆる財務諸表に関する監査、それから定款によりまして文部大臣に提出いたします財産目録等に関する監査、それから会計検査院に提出する重要な書類に関する監査、かようなことがその業務内容の実態的な事柄となっております。で、この監査の方法としましては、書面監査及び実地監査その他適当な方法をもってやるということになっておりまして、定時の監査は毎年六月でございますが、その他随時必要と認めるときにはこれを行なうことができるようになっております。なお、監査いたしました結果につきましては、文得または口頭をもって会長に報告することになっておりまして、まだ、文部大臣に直接監査の結果によりましての上申なり報告をするという事例は一件もございませんけれども、部内におきましては、会長までのところでは、いま申し上げたような報告その他の事項をいままでにすでにやっておるわけでございます。以上が大体監査規程等によります具体的な監事の職務内容の例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/36
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037・小林武
○小林武君 私がお尋ねしたかったのは、この監査にあたってどういう点がいままで指摘されたかということにあったわけなんです。しかし、そのことは時間もきましたのであれしませんので、こちらから申し上げますと、昭和三十四年度に返還体制確立五カ年計画というものが立てられた。このあれによるというと、昭和三十四年にすでにこの返還事務に関して問題を感じておったんですが、それは監査の指摘によってそういうことを感じられたんだと私は思うのですけれども、そういう点の監査が行なわれた事実があるのでしょうね、そういう点について指摘があったのでしょうね、おそらく。それからまた、私はいまの五カ年計画というのはどういう計画なのか、内容をひとつ簡単にお示しいただきたいし、なお、その五カ年計画というものの実績はどういうことで、成果はどういうことになったのか述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/37
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038・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) ただいまそのもとになりまする書類等を、資料を持ち合わしておりませんので、正確な御説明はいたしかねる点があると思いますが、御指摘のとおり、昭和三十四年前後から特に返還関係の状況が思わしくないということは、やはり会内外にわたって注意されてきたわけでございます。そこで、年次計画をもってこれの解消、返還のネックの解消をはかるということをめどにいたしまして、その計画の査定をいたしたことも事実でございます。で、その指摘がございましてから具体的にこれが返還の事業計画といたしまして、年次的に実施の緒につきましたのは、具体的には昭和三十六年度のあたりだと記憶しております。たとえば、その結果につきまして、昭和三十六年度からはいわゆる外務員を使いまして、支所を設けまして、これによりまして具体的に個々の職場なり学校等を回りまして、返還該当者につきましての指導あるいは普及徹底というようなことにつきましての努力をいたしました。その後、三十八年度に至りまして、全面的に事務能率をあげるために事務の機械化をはかったわけでございます。で、その機械化は、現在なお進行中でございまして、その具体的な成果が出てまいりますのは、最終的にはさらに若干の時期が必要かと思いますが、一応その機械化によりましての事務能率の向上もはかってまいったわけでございます。その他関係事務につきまして、その能率向上のためにいろいろな改善措置を部内におきましても講じてきたわけでありますが、あわせて昭和三十六年度におきましての法律改正の結果、返還回収の事務につきましての基準を文部省令で定めるという措置をとったわけでございまして、その後はこの省令の基準に即しまして、返還回収の事務が運用されているというのが実態でございます。以上のような種々の措置を講じました結果、すでに御承知のとおり、返還回収の割合が非常に顕著な向上を見たと考えております。たとえば、昭和三十五、六年度におきましては、返さるべき金、要返還金に対しまして、すでに返った金が大体六割を割っておったわけでございますが、昭和二十八年度末におきましては、これが大体七割弱の回収率まで向上したような実態を生じてきたわけでございます。なお、今後ともこの返還回収の事務につきましては、育英会と協力いたしまして、その能率の向上に努力をしてまいりたいと考えております。
なお、いま申し上げましたような、いわゆる部内の組織といたしましての返還回収の事務能率向上のための具体的なあらわれといたしましては、たとえば、これを直接担当しております返還部関係の職員は、ほぼ育英会の全職員数の三分の一をこえております。なお事務費といたしまして、返還回収関係に使っておりますものは、昭和三十五、六年当時から見ますと、大体八割増くらいの見当に昭和三十九年度現在では立ち至っております。以上のようないろいろな措置を講じましたのが、返還回収率の向上を来たした結果に大いな影響を持ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/38
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039・小林武
○小林武君 三十四年に返還体制の五カ年計画を立てられた。ところが、その返還体制の内容というのは、支所を設けて、そうして外務職員による集金事務を大体合理化するということにあったということは、いま御説明で明らかになりました。しかし、その支所のうち、六カ所のうち三カ所は書いてないわけですね、福岡、仙台、広島。で、私は、五カ年計画というものは失敗に終わったと見ているのです。だから、昭和三十七年に産業能率研究所に事務診断を依頼した。この事務診断の結果によって、いわゆる支所設置によるところのやり方というものが適当でないという結論が出たということになったのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/39
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040・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 支所の予定の計画は御指摘のとおり、さらにたとえば各ブロックに一カ所という程度の構想があったわけでございますが、これはその計画を中止したわけではございませんで、先ほど申し上げましたような、いわゆる事務の機械化という観点で、一般事務の能率向上に伴いまして、必ずしもすぐに、いわゆる足を使いましての集金事務の支所というものの拡充を並行的に行なうことが一番妥当かどうかということにつきましては問題があったわけでございます。したがいまして、現在、事務機械化をまだ進行さしておる途上でございますので、その見通しを立てました上で、さらに支所の拡充につきましてもあらためて校訂していきたい、かような考え方で、三十八年度以降は支所の増設につきましては一時計画をおくらしているという状況でございます。で、先ほどお話がございましたような、いわゆる事務診断によりました結果、支所の設置が不適当ということでこれを延期したわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/40
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041・小林武
○小林武君 この点について論争しようとは思いませんけれども、事務診断の結果というのはどういうことをやったのですか。その事務診断の結果はいわゆる支所を置いてやるというような一種の地方に分散するといいますか、地方への分散というような形での一つの体系でやろうというやり方でなく、機械化するということになると、これは中央において、結局あれでしょう、中央中心の、中央に集約するやり方ということになりますね。これはこの産業能率研究所ですか、そこの研究所に依頼して事務診断をやってその結論というものが出ないはずがないと思うのですね。その出た結論というのに従って機械化をやったんですから、この機械化というのは、結局五カ年計画というもののやっぱり是非の問題の上に立ってやられたと私は判断したのですよ。これは大体私が考えて間違いのないような気がするのですがね。機械化に踏み切られて、そうしてやられた。さらにまたその機械化をやったのに、今度はさらに支所をつくって、こうずっとやっていこうというやり方を継続してやっていくわけですか。この点はちょっと何だか納得いかないような気がしますけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/41
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042・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 事務診断の結果の一番骨格は事務機械化という回答でございましたが、なおその他に、日常の業務の運営につきましても、たとえば、事務の流れを整備することによりまして格段な能率の向上が期待できるというふうな、こまかいいろいろ指摘があったわけでございます。で、ただ支所の点は、これはいわゆる足を使ってやる集金事務が主体であったわけでござますが、この点につきましては、今後、事務機械化によりまして、いわば中央的な統制ということが並行的に進むことになりますと、多少、従来までの支所の事務内容と今後の支所の事務内容のあり方というものにつきましては、変わってくる部面はあり得ないことではないと考えております。で、ただ具体的に、やはり足を使って集金事務をいたしましたり、あるいは要返還者に面接し、必要によってはいろいろな指導をするということ自体の効果も、これもきわめて大きなものがございますので、片方では事務の中央統制による能率向上とあわせまして、こういう方法による事務の実施ということにつきましても、やはりそれとしての大きな特徴があるわけでございます。したがって、今後の方向といたしましては、この事務機械化と並行いたしまして、先ほど申しましたような、いわゆる支所の拡充による方法ということも取り入れて、両方を総合いたしまして対処することが一番望ましい方法ではなかろうかというふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/42
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043・小林武
○小林武君 まあそれはその辺にしておきまして、あと一、二の点だけお尋ねいたしますが、あれですか、この奨学資金を受ける場合には、能研テストを受けなければぐあい思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/43
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044・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 能研テストを受けることを要件とはしておりません。ただ、能研テストを受けました者が志願いたします場合には、その資料をつけるようにという指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/44
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045・小林武
○小林武君 何のためですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/45
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046・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) これは現在、特別貸与奨学生を採用選考いたします場合には、育英会独自でつくりました試験問題によりましての試験をいたしておりますが、この目ざします方向は、能研テストのいわゆる適性検出という方向と非常に似ている点があるわけでございます。で、したがいまして、その能研テストによる結果と、それから育英会独自の検出方法によります結果とを比較対照いたしまして、将来の研究をいたしたい、かような考え方でこの資料をつけさしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/46
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047・小林武
○小林武君 能研テストの有効であるかどうかということの御研究は私はけっこうだと思う。それを奨学金の制度に使うというのはどういうことなのか、私は意味がわからないのです。研究材料にそういうことをやるというようなことはちょっと合点がいかない。大体、大学の中にさえ能研テストについて問題を感じている大学が多い。これは非常に有効だから、ぜひ将来普及さしたいというのは、骨子はよくわかるけれども、しかし、奨学金を得たいという者の中に、そういうまだ未確定なものを、受けておれば便利だという、そういう考え方を取り入れるということは私は非常におかしいと思うのですよ。大学が必ずこの能研テストでもって入学か入学させないかということを決定するというのなら、これはまあ大学の態度ですからけっこうですが、奨学資金を受けるというようなことのところに、能研テストを受けている者もあれば受けていない者もある、そういうときに、私はその中に入れるということについてはいささかどうも行き過ぎではないかと考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/47
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048・笠木三郎
○説明員(笠木三郎君) 先ほども申しましたように、選考につきましての要件ということでないことはもちろんでございます。ただ、先ほど申しましたような、一つのホーム・ワークの研究という意味での資料であると同時に、なお選考につきましては、できるだけ詳細な資料によりまして判断をいたすということが望ましいことでもございますので、能研テストを受けました者につきましては、その資料を兼ねていることによりまして、育英会独自の検出方法との比較研究のほかに、参考としての材料をそこで見ることも可能であろう、かような考え方で、便宜、能研テストの資料をつけさしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/48
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049・小林武
○小林武君 能研テストの問題、もうひとつ後刻また詳しく御説明をいただきたいと思います。これでやめますが、私は最後にちょっと申し上げたいのですが、これは「育英通信」というものでありますが、この一番最後のところの「水脈」というところに、「五月から訟務課が発足し強制徴収の仕事にたずさわって、この課が栄えることのないようにと念じつつ身にしみて思う、こんな親になりたくない、こんな子供に育てたくないと。」、こう田中という人の署名入りで書いてある。なるほど育英会にはふさわしくない課ができたものだと私も思うのですがね。これは返還の仕事をひとつ能率的にやるということは私も賛成です。なるたけ返還金を多くして、そうしてたくさんの人に貸すということを私もしたいと思う、協力もしたいと思うのです。しかし、いささか育英会のやる仕事にしては、これはどぎつい仕事だと思う、訟務課という課がです。田中さんという人はその訟務課の何か知りませんけれども、その課にいる者は、この課がさびれることを念じつつやっているわけです。まあ私はそういうものをつくっておやりにならなければならぬというような実情かどうか、また、そのほかにいい知恵がないのかどうかということについては、ここで申し上げませんけれども、ひとついろいろと文部省もそれを指導する立場にあるのでありますから、十分ひとつ御連絡をされて、育英会がほんとうに目的遂行のために、うまくいくように御努力をいただきたいということを申し上げまして、きょうの質問を終わりまず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/49
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050・山下春江
○委員長(山下春江君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/50
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051・山下春江
○委員長(山下春江君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
日本育英会法の一部を改正する法律案の審議のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/51
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052・山下春江
○委員長(山下春江君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/52
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053・山下春江
○委員長(山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/53
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054・山下春江
○委員長(山下春江君) 教育、文化及び学術に関する調査中、道徳教育に関する件を議題といたします。
なお、政府側より愛知文部大臣、初等中等教育局安嶋審議官、西村初等教育課長、渋谷中等教育課長が出席しております。
質疑の申し出がありますので、これを許します。小林委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/54
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055・小林武
○小林武君 きょうは時間もございませんので、一点だけお伺いしておいて、あとでまた続けてやらしていただきますが、その道徳教育の問題について、私がこれから聞こうとすることは、中心になるのは道徳資料の問題なんです。しかし、きょうは資料の問題に入る前に、文部大臣並びに局長にお尋ねいたしたいのですが、人間像というものは、これは学術用語でありますか、何でありますか。私はあちこちで調べたのですけれども、どうも見当たらないのです。しかし、文部省という権威のあるところでお取り上げになったことでありますから、教育上の問題でありますから、教育学上の学術用語であるのかどうか、お知らせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/55
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056・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 期待される人間像ということばの意義でございますけれども、これは御承知のように、昭和三十八年から中央教育審議会で、後期中等教育のあり方いかんということを、当時の文部大臣から御諮問申し上げたことに関連いたしまして、一体どういう人間というものを期待するのかという話が出て、その中教審の方々の御意見によって、期待される人間像というものを同時に路閲しようではないかというお話し合いから発足したものであって、経過的には私さように了解いたしております。したがって、私の理解は、まあそう申してはたいへん失礼な言い分でございますが、学問用語であるか、何であるかと聞き直ってお尋ねがありましたのに対して、私から一〇〇%御満足のいくような御答弁は私はできかねますけれども、常識的に、どういう人間を日本人として期待するのがいいのであろうかというような、そういう常識的な考え方から出たことばではなかろうかと私は理解いたしております。同時に、しかし、経過から申しまして、中教審で、あれだけごりっぱな方々が委員として御熱心に御討議になっているその雰囲気の中から出てまいりましたことばでございますから、それぞれの教育に御専門の方から言えば、おのずから人間像ということばの持つ意味といいますか、というものは、ばく然とあるのではなかろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/56
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057・小林武
○小林武君 ばく然では困るのであります。私は人間像とは何かということがはっきりしませんと、たくさん出された道徳資料、あるいはその他の教科でも、ほんとうにその人間像をつくる役には立たないと思うのです。どういう人間をつくりたいというのか、どういうことなんですか。そういうことをこれはやはり明らかにしてかからないといけない。たいへんりっぱな方が出たから間違いはないだろう。あまりりこうでない者が質問することもないだろうということには私は考えない。
そんなものが権威かどうかということにも私は考えない。えらい人が集まったから、そこでやることは大体間違いないだろうという考えはぼくは持っておらぬ。これは愛知文部大臣の時代じゃないから、局長はそのころからおられるのですから、起案した側でしょうから、そのときは人間像というのは一体どういうことなのか。これは学術的な用語なのかどうか。学術的な用語でなくて、常識的におやりになったというならば、常識的にはどういう人間像というものの把握のしかたをしたのか、これははっきり答える必要がある。日本全国の教師、日本全国の国民が、期待される人間像とはこういうもだの、こういうことを文部省から出されたからにはその内容を知るあれがある。権利がある。また、協力するという立場からいえば、国民全体がその内容を真に知ってそれに協力しなければいかぬ。大事なことなんです。学術用語でなくて、それが常識的に言うならば、常識論としてどういうことを言うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/57
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058・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ学問的な問題であろうかもしれませんけれども、同時に、私はこう理解しているのです。私は中教審の先生方が、第十九部会ですか、そこから中間の答申というものを、中間草案というものを御発表になった。この執筆に当たった方々、あるいはそれに協力された方々のお気持ちからいえば、あの中間草案に盛られたようなものが、その方々からいえば人間像の内容である、こう理解していいのではないかと思います。いまの御質問の範囲外になりますけれども、私は再々申し上げておりますように、あの内容は、何と申しますか、ことばは非常にげびたことばで恐縮でありますが、たたき台にしていただいて、そうして、こういうふうな考え方についてはどういうふうにいろいろの方々がお考えになるであろうか、その反響なり、あるいはこれがたたき台になって、いろいろの意見というものが出てくる。そうして、その中からだんだんと考え方がまとまる場合もございましょうし、あるいはまたいろいろの考え方が多岐にわたって出てくる場合もございましょうが、私としてはその最初から言っておりますように、あれを一つの鋳型として文部省が国民に押しつけるものでも何でもない。こういう考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/58
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059・小林武
○小林武君 大臣の答弁でなくて、ほかの人でなくちゃぐあいが悪いということを言うわけではありませんけれども、大臣の考え方はわかりました。まだいま鋳型でないということを言うが、鋳型でないとしたら一体どういうことなのか、やはりもう少しこれは起案した人が答えるべきだと私は思うのです。これはおそらくそういうことを答申されたのだ。答申されるときには、一体人間像というものに対する、人間像そのものについてはっきりした理解がなくて答申を求めるあれがない。だから、ひとつ安嶋審議官にお尋ねいたしますが、どうぞひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/59
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060・安嶋彌
○説明員(安嶋彌君) 実は私、本日は道徳教育資料についてお尋ねがあるということで伺ったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/60
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061・小林武
○小林武君 関連がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/61
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062・安嶋彌
○説明員(安嶋彌君) 関連はございますが、中教審の答申についても主管の局は調査局でありまして、局長にただいま連絡中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/62
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063・小林武
○小林武君 局長こなければやれないな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/63
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064・安嶋彌
○説明員(安嶋彌君) 起案したものという話でございますが、私、起案には関係いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/64
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065・小林武
○小林武君 起案をしなくてもけっこうです。よく存じていればやってください。これが文部省の人間像に対する定義だというのならばそういうのでやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/65
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066・安嶋彌
○説明員(安嶋彌君) 私の個人的な意見を申し上げるのも場所柄適当でないと思いますので、これはやはり責任のある局長から御答弁をいただいたほうが適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/66
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067・山下春江
○委員長(山下春江君) 速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/67
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068・山下春江
○委員長(山下春江君) 速記を起こしてください。
他に御発言がなければ、本件に対する本日の質議はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815077X01319650408/68
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