1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十六日(水曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 古川 丈吉君
理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君
理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君
理事 久保 三郎君 理事 矢尾喜三郎君
有田 喜一君 川野 芳滿君
木村 俊夫君 高橋清一郎君
高橋 禎一君 長谷川 峻君
増田甲子七君 山村新治郎君
井岡 大治君 野間千代三君
山口丈太郎君 内海 清君
出席政府委員
運輸政務次官 福井 勇君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 堀 武夫君
運輸事務官
(観光局長) 増川 遼三君
消防庁長官 松村 清之君
委員外の出席者
議 員 野間千代三君
日本国有鉄道常
務理事 川上 寿一君
専 門 員 小西 真一君
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三月十日
委員小渕恵三君及び竹谷源太郎君辞任につき、
その補欠として賀屋興宣君及び西村栄一君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員賀屋興宣君及び西村栄一君辞任につき、そ
の補欠として小渕恵三君及び竹谷源太郎君が議
長の指名で委員に選任された。
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三月十二日
都市鉄道整備促進法案(野間千代三君外十七名
提出、衆法第二四号)
踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関
する法律案(久保三郎君外八名提出、衆法第二
五号)
同月十四日
港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一二号)
同日
個人タクシーの免許促進に関する請願(内海清
君紹介)(第一六七四号)
国鉄運賃値上げ反対に関する請願外七件(大出
俊君紹介)(第一六七五号)
同(久保三郎君紹介)(第一六七六号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第一六七七号)
同(志賀義雄君紹介)(第一六七八号)
同外三件(大出俊君紹介)(第一六八七号)
同(志賀義雄君紹介)(第一六九九号)
同(久保三郎君紹介)(第一七〇六号)
同外一件(志賀義雄君紹介)(第一七〇七号)
同(久保三郎君紹介)(第一七一四号)
同(野間千代三君紹介)(第一七一五号)
同外一件(大出俊君紹介)(第一七五九号)
土讃本線須崎、土佐新荘両駅間の新町踏切無人
化反対に関する請願(森本靖君紹介)(第一七
〇〇号)
臨時行政調査会及び地方制度調査会の答申に基
づく運輸行政の分断反対に関する請願(有馬輝
武君紹介)(第一七五八号)
三陸沿岸縦貫鉄道の早期建設に関する請願(森
田重次郎君紹介)(第一七六〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八七号)
踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関
する法律案(久保三郎君外八名提出、衆法第二
五号)
港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一二号)
観光に関する件(登録旅館火災事故に関する問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/0
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001・古川丈吉
○古川委員長 これより会議を開きます。
久保三郎君外八名提出の踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/1
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002・野間千代三
○野間議員 ただいま議題となりました踏切道改良促進および踏切保安員の配置等に関する法律案の提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。
踏切道を改良し、交通事故を防止し、交通の円滑化をはかるためには、去る第三十九国会において成立した踏切道改良促進法に基づいて改良計画が指定され、逐次、計画が実行に移されてまいりました。
しかしながら、同法は、踏切改良の計画を指定しつつも、これが実施のために必要な費用の負担区分や国家の助成措置等々の資金的な裏づけに乏しく、したがって五カ年計画の終了した今日においても踏切道の現状は、いまなお数多くの無防備踏切が存在し、交通事故に占める踏切事故の割合はきわめて大きいものがあります。
今日、政府においてもその実情にかんがみ、同法の五カ年延長の法案を提出しており、国鉄においては新七カ年計画によって、また私鉄においても踏切改良を重点施策の一つに取り上げ、それぞれ実施に移ろうとしていますが、踏切道の現状と将来を勘案するときに、すでに同法をもって処理することはきわめて不十分であるといわねばなりません。この際同法の骨子である改良計画のほかに、費用の負担区分、踏切保安員、助成措置等さらに内容を充実し、対策に万全を期するため、これを名実ともに恒久法とし、踏切道改良促進法を全面的に改正しようとするものであります。
その内容について概要の説明を申し上げます。
まず第一に、最近の踏切道事故の状況にかんがみて、道路法にいう道路の踏切道に限らず、私道における踏切道もこの法律の対象とし、すべての踏切道に対して、改良、保安設備の充実を行なわんとするものであります。
第二は、踏切保安員についての条文を新たに設けたことであります。踏切保安員については、何ら法的な根拠を有さず、従来、鉄道事業者の行なう認定のまま、その職務が行なわれていたのでありますが、踏切交通の重要性にかんがみ、踏切保安員に対して、その資格要件等について一定の法的基準を設けると同時に、政令による基準に従って保安員の配置を必要とする踏切道を指定して鉄道事業者に踏切保安員の配置義務を負わせ、同時に、踏切保安員の権限についても、踏切道における一定の通行指示権を与えることによって踏切交通の危険を防止し、その安全を確保しようとするものであります。
第三は、踏切道改良のための費用の負担区分について規定したことであります。立体交差または踏切道の新設の場合及びこの改築の場合は原因者負担とし、現に有する踏切道を立体交差施設に改良する場合は、実情に即して鉄道事業者と道路管理者とが協議してそれぞれの負担区分を決定することとした次第であります。なお、踏切保安設備計画実施の費用については、従来どおり鉄道側の負担とする等、それぞれ費用負担区分を明確にして、改良の促進を一そう円滑ならしめることとしたのであります。さらに、これら費用の算定については、その算定法式を政令で規定し、負担区分についての紛争を防止しようとしたわけであります。
第四は、これら踏切道改良に対する国その他の補助についての規定であります。
踏切道交通の安全とその円滑化の立場から、国がその改良計画を示し、その実施を要求するわけでありますが、立体交差、構造改良、保安設備の整備には多額の費用を要するものであり、鉄道事業者の経営実体は容易にこれに応じ切れない実情であり、また、国の責任で改良を促進するというたてまえからしても、相当の助成を行なうことが至当であると考えるわけであります。
よって立体交差、構造改良についてはおおむね費用の三分の一を限度として補助を行なうこととし、私道についても実情に応じて補助ができる道を講ずることとしたのであります。
保安設備については、その改善が鉄道事業者の負担であり、かつ、無人踏切の全般的改良を促進するためにも現行法より一歩進め、その費用の五分の一から五分の二の範囲で、国または地方自治体から補助を行なうこととしたのであります。
また踏切道の維持管理の費用についても、その公共性、社会性の観点から国がその費用の一部を補助することが妥当であると思いますので、その費用の二分の一を限度として政令で定め補助をなすべきであると考えるわけであります。
第五は、これら踏切道改良促進計画実施に必要な資金の確保についてでありますが、多額の資金を必要といたしますので、国がその資金の融資あっせん等資金確保について必要な措置をとることとしたのであります。
第六は、踏切道における交通の円滑化、交通事故防止の見地から、その改良計画には当然既存の踏切道の整理統合をも考慮する必要がありますので、このような場合、運輸、建設の両大臣は鉄道事業者、道路管理者に対して勧告を行なって、合理的な改良が促進されるようにいたしました。また、駅構内にある踏切道における鉄道の交通量が著しく多いため、当該踏切道通行者の交通をはなはだしく阻害していると認められるときは、鉄道車両の構内入れかえ方法等について都道府県公安委員会から鉄道事業者に対してその改善方を要請することができることとし、踏切道における鉄道車両と通行者との調整をはかることができることとした次第であります。
なお、その他権限の委任、罰則等所要の規定を設けると同時に、附則において、踏切保安員に関する規定の実施については、任用手続等の関係上、この法律の公布から六カ月後に実施をすることとしてあります。さらに、現行法との関係における必要な経過措置を規定して、踏切道改良促進に関する諸計画の円滑な実施をはかることとし、また、地方税法の一部を改正して、立体交差等の施設に対する固定資産税等の特例措置を行なうこととした次第であります。
以上が本法案の提案理由及び法案の概要であります。何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御賛成をいただきたいと思う次第であります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/2
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003・古川丈吉
○古川委員長 次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。福井運輸政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/3
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004・福井勇
○福井政府委員 ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
港湾運送が海陸輸送のかなめとして、流通機能の一翼をにない、産業の発展、貿易の振興等わが国産業経済上きわめて重要な機能を果たしておりますことは、御高承のとおりであります。
ことに近年、わが国経済の高度成長に伴い、港湾における取り扱い貨物は急激に増加しており、その重要性は一段と高まってきておりますが、これとともに、増大する運送需要に対応して港湾運送機能を整備、増強し、ことに最近における労働需給の逼迫、流通経費節減の要請等に対処して荷役を機械化、能率化することが各方面から強く要請されております。
しかるに港湾運送事業の現状は、一昨年三月の港湾労働等対策審議会の答申で指摘されておりますように、近代化、合理化をはかるべき幾多の問題を包蔵いたしております。この点につきましては、さきの通常国会における港湾労働法の御審議に際しましても、同法による近代的労働施策に対応して、港湾運送事業に関する合理化施策のすみやかな整備が強く要望された次第であります。
今回の港湾運送事業法の改正は、このような情勢にかんがみまして、港湾運送事業の近代化、合理化をはかるための諸施策の実施に関し、所要の規定を整備しようとするものであります。
改正の第一点は、港湾運送事業の事業規模の拡大をはかるため、免許の基準を整備することであります。すなわち、現行法におきましては、施設及び労働者については、当該事業を適確に遂行するに足りるものであることが要求されておりますが、さらにこれを事業の種類及び港湾ごとに一定規模以上のものでなければならないことといたしました。
改正の第二点は、港湾運送の一貫責任体制の確立をはかるため、下請に関する規制を強化することであります。現行法におきましても、引き受けた港湾運送の全部を下請させることは禁止されてはおりますが、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送のうちのいずれか一についてその作業の一部をみずから行なえば足りることとなっておりますため、主要港におきましては、港湾荷役作業が大幅に下請専業者の手にゆだねられるのが常態となっており、このため、港湾運送の円滑な遂行に支障を来たすことも少なくない現状であります。このような欠陥を是正するために、港湾運送事業者に対し、港湾運送の行為の種別ごとに一定率以上の作業の直営を義務づけるとともに、一定の要件のもとに下請制度の利用を認め、また港湾運送の再下請を禁止することといたしました。
改正の第三点は、港湾運送の円滑な遂行に資するため、これに直結して行なわれる船積貨物の位置の固定、警備等の行為を行なう事業を港湾運送関連事業として、新たに港湾運送事業法の規制の対象として届け出を要することといたしました。
このほか、現在までの港湾運送事業法の運営にかんがみ、港湾運送事業者の会計面における近代化をはかるため、会計に関する規定を整備する等所要の改正をすることといたしました。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/4
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005・古川丈吉
○古川委員長 これにて両案に対する説明聴取は終りました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/5
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006・古川丈吉
○古川委員長 次に、観光に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/6
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007・久保三郎
○久保委員 三月の十一日でありますが、政府登録旅館においてたくさんの人が火災によって死傷したのであります。これは群馬県の水上町でありますが、この問題点について一、二御質問を申し上げたいと思うのでありますが、質問に入る前に、観光局長並びに消防庁長官に、事柄の概要について一応御説明をいただいたらと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/7
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008・増川遼三
○増川政府委員 水上の火災事故に関します概要を御説明申し上げます。
菊富士ホテルは群馬県利根郡水上町大字湯原にございます。これの政府登録は昭和三十五年十二月二十七日、登録旅第二七八号で登録を行なったものでございます。この建物は、鉄筋コンクリートづくり地上三階地下一階建ての新館、これは十四室でございます。それから同じく鉄筋コンクリートづくり地上四階建ての秀嶺という建物で、これが十八室、このほかに木造の棟が七棟ございまして、二十八室でございます。これの延べ面積は五千七百九十五平方メートルになっております。以上合計の客室数は全部で六十室でございます。このうち外客向けの基準客室数が五十室になっております。
当日の宿泊客につきましては、茨城県東茨城郡御前山村長倉の石塚煙草耕作組合の人たちで百四十八名、同郡関城町の大竹電機その他の方々六十五名、合わせまして二百十三名でございます。
事故内容といたしましては、出火場所が一階厨房わきの警備員控え室、出火時刻は三月十一日の午前三時三十分ごろと推定されております。出火原因といたしましては、警備員の松井利次(三十七歳)の、石油ストーブを倒したということによる失火ということでございますが、これによる被害は、全焼部分といたしまして、鉄筋コンクリートづくり地上三階地下一階建ての新館、これには玄関、ロビー、客室がございます。それから木造二階建ての建物、厨房と客室と広間等がこれにございます。それから木造三階建ての建物、これは全部客室でございます。そのほかに被害のわりあいに少なかったものといたしまして、鉄筋コンクリートづくり地上四階建ての秀嶺、それから木造の離れ二棟等でございます。
死傷者といたしましては、死者三十名、そのうち男五名、女二十五名、負傷者は二十九名、重傷五名、軽傷二十四名。そのうち死者は全部、鉄筋コンクリートづくりの新館の二階及び三階に宿泊しておりました石塚煙草耕作組合長倉地区組合員でございます。
このほか観光バス四台が駐車されておりました。そのうちの一台及び乗用車が一台焼失いたしておるのでございます。
運輸省といたしましては、お配りしてございますような、陸運局長あての安全確保に関する通達、並びにこれと同内容の業界団体に対します警告を発した次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/8
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009・松村清之
○松村政府委員 ただいま運輸省のほうから御説明がありましたが、それ以外のことで消防の関係のことを申し上げます。
これもプリントをお配りしてございますが、いまの運輸省のお話と多少違いますのは、出火を消防のほうでは三時四十分ごろ、先ほどの三時三十分ごろというのと若干相違しておりますが、これは皆さんのいろいろな話を総合しておりますので、正確なところはどうともわかりかねると思います。ただ三時半から三時四十分ごろ、この時刻に火が出たと推定されるわけですが、これを消防機関がいつ知ったかと申しますと、ここは消防機関と申しましても消防団で消防をやっておりますので、役場に毎日、一人が当直しておりまして、そこへ電話がかかってきたわけでございます。それは三時五十八分に役場に電話がかかってきております。それでこの役場の当直者は、いつもは町長の指示を仰ぐのだそうでございますが、これは非常に大事な問題だと考えたのでございましょう、この当直者がすぐに消防団に対しまして出動の指示を出しております。そして消防団員が出動いたしましたのは、指令を出しましたのが四時で、それと同時に出動いたしております。一つの問題点は、覚知するまでの時間というものが非常にあるわけです。四十分にしても二十分あります。いま運輸省の言うように三十分ですと、三十分も間がある。これは一つの問題点ではないかと思います。
そこで、出火原因は、ただいま御説明がありましたように、いまのところは、夜警の過失で石油ストーブを倒したことによるということであります。しかもこの夜警は、最初は消火器でこれを消そうと努力したのでございますが、気が転倒しておったせいか、操作がうまくいきませんで、消火ができませんで火が広がってきた。そこでこの夜警は、これはたいへんだということで、従業員宿舎があるのでございますが、そこへ行きまして従業員を起こし、それとともに従業員の一人に、役場に電話するようにということを頼んで、その頼まれた人は近くの旅館の主人に頼んで役場へ電話をしたようでございます。そういう関係で先ほどのように役場が知るまでに時間がかかっておるものと考えられます。
そういう状況で、いまお話がございましたが、物的な損害は別として、この火災できわめて重要視しなければなりませんことは、残念ながら三十名の死者を出したということでございます。そこでその模様をちょっと申し上げてみますと、一番終わりに死者を出しました二階、三階の図面がついておりますが、この二階、三階の人は両方とも——一階に屋根が出ておるのでございますが、この屋根のあるところに泊まっておりました二階の人たちは簡単に屋根に出られたわけですが、三階の人もこの屋根に飛びおりまして、一名を除いては全部助かっておるのでございます。三階におりました一名は、どういうものか、おそらくこれは老齢のためか何かでそういうことができないでなくなったようでございます。その逆に、この屋根のない二階、三階に泊まっておりました人たち——一名だけは、無意識なんでごさいますけれども、自分の荷物を持ったまま下へ飛びおりておった。これは二階の人でございますが、飛びおりておった。気づいたときには収容所におった。こういうことで、自分も飛びおりたという意識はないそうですけれども、一人は飛びおりて、けがはしましたが、助かった。しかし、他の者は全部なくなっておるのでございます。こういう状況でなくなったのでございますが、これはいまから考えますと、老婦人が多かった関係もあるかと思うのですが、おそらく若い人なら飛びおりて、けがをしてでも助かったのじゃないかということも一つ考えられます。
それから一番問題と考えられますのは、二階にも三階にも屋外に非常階段が設けてあったのでございますが、その非常階段のとびらが締まっておった。そのとびらは外側からはあけられないようにはなっておりますけれども、内側からは回せば簡単にあくしかけになっておったのですが、こういうことを全然知らない。そこで非常とびらのところまで行ってなくなっておる人もございます。そうしてもう一つ、当時、こういう死者を出した原因として考えられますのは、こういう事態に立った場合に、ホテルの人たちがまず火事だということを知らせ、そして避難の誘導をする、とびらもあけてやる、こういうことをすべきであったかと思うのですが、そういうことが全然なされておりませんし、先ほど申し上げましたように、夜警ただ一人であった。コックが二人住んでおったようですけれでも、これはそういう用件でなくして寝泊まりしておったのですから、こういう用務のためには一人しかおらなかった。こういうことも非常に原因があるかとも思うのでございます。
なお消防のほうは、ここは先ほど申しましたように、消防団でやっておりますが、この近辺にも消防団員がたくさん住んでおりましたし、団員は、ここは地形の関係上大きなポンプ自動車が使えませんので、ポータブル、可搬式のポンプをおもに使う体制でございましたが、トラックにその可搬式のポンプを載せていく。トラックの運転手も団員でございますが、そういうような関係で、指示が出てからはいち早く現場にかけつけたようでございますけれども、当初申しましたように、何せ二、三十分間隔ができておりましたために、かけつけたときにはもう、人を助ける、そういう事態ではなかったのでございます。そういうふうにしてこの火災で三十名という死者を出したのでございますが、それにはいま申しましたようにいろいろな原因が考えられ、またそれに応じて今後いろいろこの対策を観光ホテル等にもやってもらわなければならぬこともたくさんあると考えられるのでございます。これが大体今回の火災の概況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/9
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010・久保三郎
○久保委員 概要御説明いただきましたが、私がお尋ねしたいのは、一つには、このホテルというか旅館は、いまの法律、制度というか、そういうものからいって、火災による災害から人間の命を守るという基準には合っているのかどうか。これは消防庁長官ですね。そういうものに合っているかどうか、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/10
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011・松村清之
○松村政府委員 私のほうからも現地へ二人、人を出していろいろ調べましたが、その結果では消防関係の政令、省令等できめますものには合致しておりますものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/11
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012・久保三郎
○久保委員 これはしさいに調査してからでないとあるいは答弁ができないかもしれませんが、いまのお話のように、現行の消防法、あるいは一連のそういう法規に照らして、ここの消防体制というか、そういう設備は基準に当てはまるということでありますが、事実は、基準がどうあろうとも、たくさんの人が焼け死に、あるいは重傷ということで、一切は破れたかっこうだと思うのですね。これなどは非常に死傷者が多いということでは特異な火災ではないかと思うのです。ついては、これに対して今後どういうふうに改善すべきかというようなことはまだ考えておられないかどうか。
それからもう一つは、これは観光局長にも関係があると思うのでありますが、お話によれば、非常階段というものもあるが、外からはかぎがはずれないが、中からははずれる装置になっておる。ところがどの一つの非常口もあけることができないで、そのまま死んでいったということなんだが、訓練というか、あるいは非常口のとびらの開閉に特殊な技術といっては語弊があるが、何かそういうものを知っていなければあからない設備になっていたのかどうか。それはどういうのですか。二点まずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/12
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013・松村清之
○松村政府委員 先ほど申し上げましたように、このホテルは法令の上では設備が整っておったわけでございますが、なぜこういう大きな事故になったかと申しますと、まずその第一は、順序を追って考えてみますと、夜警の人があやまって石油ストーブを倒して火を出したわけですが、その際に、せっかく消火器を備えておりながら、その使い方というものに十分熟練していない。おそらく平素は知っておったのかもしれませんが、こういう非常事態になりますと、そういうものは人間の本能的にまで熟練が高められておりませんと間に合わないせいかもしれませんが、ともかくせっかくの消火器というものが使いこなせない状態であった。そこでこれがもし十分に使いこなせておったならば、こういう火災というものは起こらずに済んだと考えられるのでございます。そこで一つは、そういうふうに消火器等、消防関係の設備を十分に使えるように、いつでも使えるように、平素の訓練を繰り返しておくということが一つ考えられると思います。
それからその次は、火が大きくなり出してあわてたようでございますが、もっと早く役場に連絡できなかったものかどうか。自分で消火器を使うと同時に、大事をとってすぐに役場に電話をかけておれば、すぐに消防が出動しますでしょうから、あるいは人も何らかの方法で助け出されたかもしれないと考えられるのでございます。
それから次には、これだけの観光ホテルでありながら、夜たくさんの人が泊まっておるのに、夜警が一人しかいないということ、これは聞くところによりますと、労働基準法の関係か何かで、労働省のほうで従業員は夜使わないたてまえになっておるようでございまして、夜になると宿舎に引き揚げるということでございます。そこでこういう従業員を、交代制にする、あるいは報酬をやって、せめてお客さんを何人か非常のときには誘導するくらいの人というものを置く体制にできないものかどうか。もしそれが法律か何かでできないとすれば、夜警というものをふやさざるを得ないわけですが、しかしそこまでしないでも、何かその辺に将来の対策が残されておるんじゃないか。こういうことが考えられます。
それから火災と同時に非常ベルが鳴ったことは鳴ったようでございますが、これが廊下にあったために、この災害にあった人たちの話を聞きますと、ある人は、あれは四時ごろだから女中さんの起床のベルだと思った。ある人は聞いたようだ、聞かないようだ、こういうことで非常のベルだと意識しておった人が少なかったんじゃないか。これはそう言っては失礼ですけれども、お客さんも茨城県のいなかのほうから来た、年とった方々が多いわけでございますから、こういう方については旅館のほうで、非常の場合にはこういうベルが鳴ります、できるならば各部屋にこういうベルを設置されておったならばなお望ましいのでございますが、そういうこともあらかじめよく旅館側で注意をしておれば、こういうことはなかったのではないか。
それから次には、先ほど申しました非常階段への出口の問題でございます。これなどは、私は当然旅館としては、非常のときにはここをこういうふうにやればあきますから、こういうことを言っておけばこれだけの死者を出さずに済んだんじゃなかろうか。それからなおこのなくなった人の部屋の前には、小さな幅でございますが、この地図にありますように、花壇があるのでございます。窓をあけてこの花壇を伝っても逃げられたそうでございます。ですから旅館のほうで、この非常とびらをあける、あるいはこの花壇を伝っても逃げられる、こういうことを徹底しておけば一人もなくならずに済んだのではなかろうか、そういうふうに考えられるのであります。
要するに、私は法令に合した消防関係の設備をせっかく備えながら、これを使うことを知らない。それから旅館のほうでお客さんに、非常の場合の避難その他のいろいろな注意というものを全然やっていない、この場合はやっていなかったのじゃないか。こういうことで、私はやはりこの問題、こういう類似の問題は平素の訓練、お客さんに対するホテル、旅館側のあらかじめの注意徹底、こういうことに帰するのではないか、こういうふうに考えておりまして、消防庁としてもさっそく——いままでは現地の消防当局をして、こういう旅館、ホテルのいろいろな問題についての指示なり注意なりをしておったのでございますが、それとあわせて、旅館の関係者も先般来呼びまして、そういう系統からもそういうことを十分にやってもらう、こういうことに現在いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/13
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014・増川遼三
○増川政府委員 私どもといたしましては、国際観光ホテル整備法におきまして、非常の場合の避難に重点を置きまして、客室から必ず二方向に避難できるような、避難に有効な階段等を設ける、あるいは非常の出口の標示、非常口への道順を示す標示をも設けるように規定いたしておるのでございます。かつ、これらがお客さんにもわかりやすいようにすることも義務づけておるのでございます。
今回の非常口のとびらのあけ方等につきましても、先ほど消防庁長官からもお話ございましたように、盗難等を考えまして外からはかぎをもってしなければあかないようになっておりますが、内からはきわめて簡単にあくようになっておるのでありまして、一つは簡単な指二本であきます。ロックを九十度ひねりますればハンドルが軽くあくというものもありますし、またそのままハンドルをひねれば簡単に内からあく、こういった施錠方式を用いておるのでございまして、非常に今回の場合には被災者があわてていたということもあるのではないかと考えるのでございます。なお、こういったことにかんがみまして、なお一そうの安全確保のための諸措置につきまして検討を加えてまいりたいと存じます。
さらに非常の場合におきます従業員の訓練等につきましては、これは消防法の第八条に基づきます当該施設の防火管理者というものが主体となって実施するように義務づけられておるのでございますけれども、こういったお客さんを常時多数泊めるというホテルあるいは旅館というものにつきましては、宿泊に際しまして、お客さんの生命財産を安全に確保するということは最大のサービスの提供と考えられるのでございます。今後は登録ホテル、旅館の事業主に対しましては、従業員を消防訓練とか避難訓練等に積極的に参加させるとともに、この種の訓練を事業主自体が自主的に行なうように強力に指導してまいりたいと考えるのでございます。さらに、宿泊者への非常時における避難方法の周知方の徹底等につきまして、今後さらに監督を厳重にいたしまして、指導してまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/14
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015・久保三郎
○久保委員 それぞれにお話がありましたが、死んだ人、けがした人には実際にたいへん申しわけないことだと思うのです。たとえば法律があったり、そういう取りきめがあっても、実際には作用しないままに焼け死んで行ったという一語にこれは尽きると思うのです。これは茨城のいなかのほうから出てきた云々じゃなくて、いなかのほうから出てくる者もあるし、そういう者の泊まる場所も東京のまん中にあるのですから、別にいなか者だったから云々は私はないと思うのです。私はいなか者ですが……。そうだろうと思うのです。これは長官、ことばじりをとらえるわけじゃないが…。たとえば消防器具があって、警備員がその操作に気が転倒したのか、うまく作用しなかった。これは事実そうだと思うのです。なぜそういうふうに熟練しなければ使えないような器具を置いたのかと、われわれは言いたいのです。だれでもが使える器具、とっさの場合にこれは投げればいいというならば、簡単にやれる。それから全国共通して、消火弾というのか何かわかりませんが、そういうものは投げればいいんだ、それがどこに行ってもあるということになれば、あらかじめ、旅館にお客が着いて、いらっしゃいませ、次に、火事になったときにはこれはこう押してやるのですという説明は要らないようにしてほしいと思います。着いたとたんに火事の準備をしなければならぬ、これでは気分こわします。しかし命と引きかえっこでありますから、大事な点であります。少なくともそういう熟練度を要するような器具は専門家が扱うべきであって、いわゆる消防士というか、消防団というか、そういう者以外の扱うものは、やはり簡単な操作で、だれが手にとってもすぐできる、こういうふうにすべきだと思うのです。きょうは臨時にこれは取り上げたことでありますから、長い時間お話を申し上げてあなたたちに納得してもらうわけにもいかぬと思うのですが、われわれ宿屋に泊まる者からいえば、いま申し上げたことは事実だと思う。それから夜警、警備員の問題でありますが、警備員が気が転倒したというが、それは転倒したと思うのです。それは私も認める。しかし転倒して使えなかった、やはりさっきの話と同じで、転倒しても何でも、け飛ばせばすぐ消火器になるものならば、これはできる。そういうものもまず第一に、あるのかないのかわかりません。なければ、消防の研究所がございますね。そういうところで予算もとってあるんでしょうから、研究を早く進めるということが一つだと思う。
もう一つは、従業員が基準法の関係でどこかへ行って寝てしまって、警備員一人で百何十名も泊まっておる棟にいた、こういうことでありますが、どうも基準法ばかりじゃないと思うのです。あなたのお話の中にも、金の問題やら人間の問題で、そういうふうになっておるのじゃなかろうかと思うのです。私は、少なくとも、これだけのホテルを経営するからには、そしてこれだけの人間を宿泊させて、いわゆる営利事業として経営を営む者の責任からいけば、やはり泊まってくれる人の生命財産を十分に守り得る体制がとれなければ、それでバランスシートが合うような企業でなければ、私は少なくともこれは社会正義の上から企業としてやるべきではない、そういうふうにも考えるのです。これは消防庁長官じゃなくて、観光局長に申し上げたい点です。
それからもう一つは、消防に連絡するまでにたいへん時間がかかったというのでありますが、大体このくらいかかるのはあたりまえじゃないですか。死んでしまったから、死んじゃった者に対しては申しわけないが、あたりまえです。こういう体制では大体二十分くらいかかるのですよ。むしろ私は、この惨事というか事故の反省から、少なくともここは旅館あるいはホテルが軒を並べているのでしょうから——これはわかりませんけれども、そうでしょうね。だとするならば、ここに自衛消防を企業の責任においてやはりとらせるということが一番大事だと思うのですね。町のいわゆる消防団にたよることもけっこうでありますが、まずもって軒を並べておる旅館業者に自分で防衛措置をとらせるというふうにすべきだと思うのですね。だから、その点は法律や何かでまた関係もあるかもしれませんが、必要なら法律の改正も考えていいじゃないか、そうすべきではないか、こういうふうに私は思います。
それから、消防庁長官並びに観光局長は通達を出されましたが、これはちっとも具体的じゃないですね。これはいなか者が見てはわからぬ。何を言っておるのか、どういたしたらいいのでしょうかということになる。これは具体的にかくかくのところをチェックしろとか、かくかくのところを直せとかいうことでなければ、これは通達か訓示か何か知りませんけれども、ちっとも意味がわからぬですよ、失礼だが。だから、水上の災害はかかる点に落ち度があった、かかる点に欠陥があったから、特にこの点はこういうふうに注意しろ、こういうふうに書いてあればいいのだが、これはしかたがないから、新聞に出たいろいろの人の意見の記事でも読んで、これと合わせる以外に方法がない、こう思うのですね、これは失礼だけれども。これはなるほど通達を出したから、観光局、運輸省としては、これで、出しておきました。「宿泊客の避難誘導訓練の励行」——励行といったって、朝から晩まで泊まり客を避難誘導訓練をやるわけにいきませんよ。そうでしょう。それから、「災害時避難方法の周知その他安全確保のための処置について万全を期するよう十分に指導されたい。」ちっともわからぬ。もしわかるとすれば、朝から晩まで泊まりに来たお客に対しては安全確保のために訓示する以外にない。これはけちをつけるわけでも何でもないが、消防庁長官も大体同様の通達を出しておるのじゃなかろうかと思うのですが、いや、専門家だから違うというならばけっこうであります。これは観光局長としても、これは少し言いにくいことを言ったが、これは死んだ人に対しても申しわけないじゃないかと私は思うのです。特にこれから、この三月から行楽期に入ります。大体いなか者が東京に寄ってくる。学校へ入る。就職する。これはみんないなか者ですよ、長官。だから、非常口と書いてあってもわからぬ。逃げる口と書いてなければ、非常口というのではわからぬということも、いなか者だからかもしれないが、そういうものを具体的にぜひ取り上げてやるべきだと思うのだが、これは政務次官おられるから、あなたに聞く。これは政府の問題としてやることだと思う。消防庁長官や観光局長の手もとでこれをやる事柄ではなさそうに、私は最近思う。運輸省は大体事故が多いけれども、今後行楽期あるいは多客期に向かってもう一ぺんやはり具体的な措置をするように私はすべきだと思うのだが、政務次官、そうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/15
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016・福井勇
○福井政府委員 多数の人命を行楽の楽しいときに失ったということにつきましては、心から哀悼の意を表し、また、今後こういうことがあってはならぬということを当局としてもしみじみ感じておるところでございます。
久保委員の御指摘のとおり、今後この種の災害が再び起きないように、御指摘のように、なお周知徹底、具体的な災害をなくさせるということにとくと早急に協議したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/16
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017・久保三郎
○久保委員 消防庁長官にお尋ねしますが、さっきぼくが言ったように、こういう旅館の密集地帯、それから人間がたくさん密集する場所ですから、しかも一軒や二軒じゃなくてずっと軒を並べているそういうところには、自治消防というか何というかわかりませんが、地域消防団にたよるのじゃなくて、あるいは旅館一つ一つの消防ではなくて、やはり自衛消防としての消防団の編成をすべきだと思うし、また、設備もそうだと思うのですね。こういう場合に単なるそこいらに置いてある小さな携帯用の消火器とか、そんなものでは役に立たぬ場合が多いと思うのですね。そうだとすれば、旅館とかホテルとか、そういうものになれば、自動的にせんをひねればいわゆるポンプ式の水が出てくるというような設備を考えないと、安心して泊まれぬと思うのです。そういう点はどうなっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/17
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018・松村清之
○松村政府委員 ただいまお話の旅館、ホテル等が消防隊を持つというお話でございますが、これは消防法に防火管理者というものを置くようになっておりまして、そうして防火管理者のもとに消防に当たる、いろいろな計画をつくり、訓練をし、そうして非常のときにはみずから消防に携わる、こういう制度ができております。それで、この水上の観光ホテルにつきましても、そういう自衛の消防隊がございまして、可般式の動力ポンプ一台と人員四名を消火に当たらせております。しかし私は、いまお話のように、この事件にかんがみまして実は同じ考えを抱いておったのでございますが、そういう一つ一つの旅館についてのそういう制度も大切だけれども、旅館群、たくさんの旅館があるそういう地帯においては、たくさんの旅館が共同の自衛消防組織を持つようにすることがいいのではなかろうか、そういう感を深くしておるのでございまして、この点につきましては、今後検討を加え——いいとは思っておりますが、検討を加えた上、いいとなれば早急にそういうことをするように持っていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/18
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019・久保三郎
○久保委員 時間もありませんから先へ急ぎますが、とにもかくにも起きたときに、単なる通達、訓示だけで、そういうものはみんな法律に書いてあるので、その法律を守ればいいんだというような観念だけでは、災害は防ぎようがないと思うので、ぜひそういう点についてはさらに補強をしていくという対策が必要だと私は思うのであります。
そこで、これは観光局長にお尋ねするわけでありますが、これは政府登録旅館だと思うのであります。登録である限りは宿泊約款というか、そういうものもあると思うのだが、災害があったときの約款の取りきめというのはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/19
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020・増川遼三
○増川政府委員 ただいまの宿泊約款でございますが、これは私どもといたしましては、国際観光ホテル整備法の第六条に定めておるのでございますが、これにはおもに宿泊の申し込み方法、サービスの提供条件等につきましての規定が置かれておりまして、火災等の事故に対します損害の賠償等につきましては民法等の規定に従いまして具体的な事情に即応して処理されることになっておりまして、同約款にはこのような火災事故等における賠償関係の規定は置いておらないのでございます。したがいまして本件の事故の賠償関係につきましては、直接民法等の規定によることとなるのでありますけれども、被害者及びその家族の状況等十分しんしゃくいたしまして万全の措置がとられるように、旅館側に対して指導等を行なう所存でございます。
なお、こういった経験にかんがみまして、今後そういった約款等にも必要がありますればそういったことも明文化させるということにつきまして十分再検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/20
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021・久保三郎
○久保委員 私どもとしては約款という限りにおいては、いまお答えがあったように、旅館側の責任で生命財産というものに損害を与えた場合の補償の条項なども、これはきちんとしておいたほうがいいのではないか、こう思うのです。具体的には、いまの水上の事故については、あなたのほうでは補償のことについては何か指導はされているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/21
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022・増川遼三
○増川政府委員 これはおそらく刑事問題と民事の関係と両方起こることと存じますが、警察並びに消防当局等の詳細な完全な調査が終了いたしますまでは、何とも私ども判断をいたしかねるのでございますけれども、そういったことがきまりました上におきまして補償につきましては十分なる留保をするように指導する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/22
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023・久保三郎
○久保委員 何かさしあたり見舞い金をというようなことが新聞に出ておりますが、いまあなたのお話だと、消防庁並びに警察のほうの調べがはっきりしないと何かうまくないような話ですが、旅館に泊まっていて、その宿泊人の責任ではない火事によって死んだことは事実ですね。そうだとすれば泊まって死んだ、あるいはけがをしたという人は、そのホテルなり旅館に対して一般的には損害の補償の請求はできるわけでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/23
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024・増川遼三
○増川政府委員 御説のとおり考えますけれども、これは事実認定がはっきりいたしました上で、所要の法規に照らしまして裁定されるものと思います。
なお御参考までに申し上げますが、関係条項といたしましては、民法第四百十五条の債務不履行の規定がございます。民法七百九条の不法行為の要件の規定がございます。また別に、失火ノ責任ニ関スル法律というのがございまして、これをどういうふうに当てはめるかということは今後の問題だと考えるのでございます。
また事故の直後に、旅館側といたしましては直ちにバスをチャーターいたしまして、遺族等の関係者を現地に輸送することもやっております。また、補償等につきましての折衝も始めておるのでございます。私どものほうの担当の専門官が当日直ちに現地へ向かいまして、その点も指導してまいった次第でございます。なお、その後の調査によりますと、とりあえず見舞い金といたしまして死者の遺族に対しまして二十万円、それから重傷者に対しまして五万円、軽傷者に対しまして二万円の支払いを済ませたという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/24
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025・久保三郎
○久保委員 最後に一つだけ意見として申し上げて見解を聞きたいのですが、私はこういう大災害を起こされたというか、死んだ人もたいへんだろうが、その旅館もこのように多数の死傷者を出してはたいへんだと思うのです。だからそういう意味ではやはり観光関係の、観光客というか旅客というかわかりませんが、そういうものの保険制度をもう少し体系的に、これを機会に確立する必要がありはしないか、そういうふうに思っているわけですが、これは御検討いただけるかどうか。
もう一つは、現実にはこの水上温泉の問題については、御指摘にあったとおり水上町当局あるいは被害を受けたほうの御前山当局、町村役場というか、そういう公的な機関もそれぞれ入っておられるから、十分に納得のいく善後措置がとられると思いますが、なお非常にむずかしい問題もあろうかと思います。これについては当然政府においてもできる限りの援助なり指導なり、これはやるべきだと思うのです。これは確認の意味においてどういう考えか聞きたいと思うのです。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/25
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026・増川遼三
○増川政府委員 これは災害時における補償、特に保険制度等につきましては、大蔵省銀行局の当局とも十分こういった点につきまして話し合いをしてまいりたいと考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/26
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027・古川丈吉
○古川委員長 次に、踏切道改良促進法の一部を改正する法律案、及び、踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/27
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028・野間千代三
○野間委員 それでは踏切道の問題について二、三質問をしたいと思います。
「踏切道改良促進法の一部を改正する法律案参考資料」というのがこの前に配付されておるわけですが、これの末尾に資料が二、三ついておりますので、これについて若干お尋ねしたいのですが、初めに一番末尾の「昭和四十一年度から昭和四十五年度までにおける指定予定踏切道数」という表があります。これで国鉄のほうにお尋ねしたいのですが、この第五表というのは昭和四十一年から昭和四十五年までに予定しているもので、この表に基づいて国鉄あるいは私鉄等において踏切道の立体化あるいは保安設備の設置、構造改良などが行なわれるわけですね。まず国鉄ですけれども、国鉄のほうでは七カ年計画で、たしか五百五十億ばかりだったと思います。それに基づいて、七カ年計画で踏切道の改良を行なっていくという計画が出されておるわけですが、七カ年計画で考えている計画と、この表で考えている計画との関連についてちょっとお尋ねをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/28
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029・川上寿一
○川上説明員 国鉄で七カ年計画で考えております踏切は、法指定の踏切を含みまして、国鉄独自の立場から、立体交差あるいは警報機を取りつけます必要があると考えましたものを計上いたしておりますので、そういう意味では運輸省御当局で出されました数字と多少違うわけでありまして、国鉄といたしましてはこの七カ年に、金額で申しますと、踏切対策として六百億を予定いたしております。そのうちで立体交差に二百億、踏切整備に三百五十億、立体交差改良といたしまして五十億を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/29
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030・野間千代三
○野間委員 そうしますと、この運輸省で出している予定数と、それから国鉄が考えている七カ年計画の内容とでは、法の指定を受けているものという点においては変わりがないわけですね。そうすると、実施をする個所において多少の違いがあるというふうに考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/30
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031・川上寿一
○川上説明員 大体先生のおっしゃるとおりにお考えになってよいと思いますが、私どもがこれを計算いたします基礎といたしましては、従来指定をされました踏切に今後指定をされるだろうと予想される踏切数を入れまして、そのほかに先ほど申し上げました国鉄が独自に法指定以外にも、いわゆる道路法に規定された道路以外のものもやりますから、そういうことも考えてこの個所数を想定しておりますので、そういう意味で、数字の違いはございますけれども、金の面ではこれで大体カバーをできるというふうに現在としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/31
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032・野間千代三
○野間委員 国鉄のいま御説明のあった七カ年計画の中で考えている踏切道の改良の数と、それからこの五カ年計画といいますか、改良促進法で考えている五カ年のこの予定数との間に、どうも多少の開きがあるような気がするのです。一方では、踏切道改良促進法を五カ年延長するという考えがあり、法律が通ればこれに基づいて工事は進めなければならぬというのがあるわけですね。一方国鉄のほうでは、独自に七カ年という計画があるわけです。この七カ年の計画で、この六百億というのが——金額の問題は別にあとで機会を見ていたしますが、この間にやはり統一した考え方なり、そういうものがないと、これは運輸省のほうの考えと国鉄の考えとの間に相違が出てくる危険性があるのではないか。つまりある踏切では、運輸省のほうでは五カ年のうちにやりたいと考えているものが、七カ年計画の中では、四十五年までの五カ年のうちに入っていないということもあり得るのじゃないかと思うのです。そういう関連は別に差しつかえないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/32
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033・川上寿一
○川上説明員 ただいまお話の、法律がこのたび改正されました暁におきましては、運輸省とその点は十分協議をいたしまして、間違いのないように、順序につきましても、法に指定されたようにできるだけ従うようにいたしたいと思いますが、七カ年と五カ年の問題でございますので、特に国鉄におきましては七カ年計画のうちで、前半に保安設備の金額を十分に使うように計画をいたしておりますので、そんなに大きな開きは出ないと思いますし、できるだけその辺は運輸省と緊密な連絡をとってやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/33
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034・野間千代三
○野間委員 わかりました。四十一年からいま国鉄が踏切計画を考えていて、法律が延長されてから協議をして行なうということですから、まず間違いはないと思いますが、実は昨日の四時十六分ですか、赤羽で踏切の事故がありました。これはまたあとでちょっと触れておきたいのですが、踏切警手がおる一種踏切です。そこで、幸いにして負傷者はなかったようですけれども、約二時間にわたって列車に支障を来たしたということになっておるわけですね。そこで監督官庁と国鉄との間で、あるいは私鉄との間でもそうですが、十分な打ち合わせをして、重要度、緊急度、そういうものについて正確な打ち合わせをしておきませんと、間違いを生ずる可能性がありはしないかと実は感じたものですから、この点については十分な打ち合わせをしていただきたいというふうに思います。
それでついでですから、ちょっと赤羽問題に触れておきたいのです。まず最初に国鉄のほうでは、あのときの状態について、すでに状況は概括的には把握をされておるのかどうか。こまかくは順を追って申し上げますが、まだ国鉄のほうにおいても調査中であるとかなんとかですと話が食い違いがありますから、とりあえず、まず概括的には国鉄として十分に事態を把握をしているということであるのかどうか。きのうの事件でしたから、もうすでに国鉄でも十分な把握がされていると思いますので、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/34
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035・川上寿一
○川上説明員 昨日の朝早く赤羽の踏切で起こりました事故は、この踏切は一種の踏切でございまして、踏切保安掛が勤務をいたしております。これは昼間は三名勤務しておりますが、夜間は二名になっております。この事件が起こる直前に、そのうちの一人の保安掛は便所へ行っております。そしてたまたまこのときは該当になりました保安掛が一人でおりましたのですが、私どもがいままで調べましたところでは、踏切の遮断機の降下が少しおくれておるようでございますが、本人がただいま警察のほうへ取り調べのために連れられて行っておりますので、本人からゆっくり直接に状況を聞くことができませんので、その程度のことしかいまわかっておりません。パトカーのほうも、踏切遮断機がおりるのがおくれておったために、十分安全と見て踏切内に入ったようでございます。その後エンストではないようですが、ちょっと手間どっていたような時間的に感じがいたしますが、その点も警察側の取り調べがもう少し進みませんと、非常に正確にはわからない。ただいまのところ、私どもとしては保安掛の過失で遮断機の降下がおくれたというように判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/35
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036・野間千代三
○野間委員 これは新聞報道によると、いま川上常務が言われたようなふうに読めますけれども、室内のブザーが鳴って、それからおろした。おろしたときに、おろすべき時間と、それから常務の言う室内のブザーが鳴っている、この間があるというのですね、いま常務の話は。そうですね。ブザーが鳴っている、それから遮断機をおろすという間に時間があった。だから、常務の話で言うと、国鉄の職員に過失がありはしないかという帰納をしているのだけれども、ただ、あるいはそれはそうであったかもしれないが、であるとすれば、パトカーが進入した時期が正確につかめなければいけない。その辺はどうなんですか。パトカーの進入した時期は正確につかまえておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/36
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037・川上寿一
○川上説明員 その進入の時期は、私どもではまだ正確につかめておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/37
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038・野間千代三
○野間委員 ですから、いまの川上常務の言い方は問題があるのですよ。たとえば、さっき言ったように、何秒かの違いがあるとする——たとえばですよ、まだはっきりしていないわけですから。あったとしても、パトカーの進入の時期がその前であれば、これはパトカーに責任がありますね。そうでしょう。ですから、進入の時期が明確でない前に、国鉄職員に過失がありそうだというふうに証明されることは、これは問題があるのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/38
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039・川上寿一
○川上説明員 私がただいま申し上げましたのは、責任があるのではないかというふうに予想しておりますので、まだそうと断定しておるわけではございません。そういう点でまだ取り調べ中という、正式にはそういうふうに申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/39
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040・野間千代三
○野間委員 これは、ものごとやはり正確にしておかないといけないと思うのですよ。これは人が罰せられるかもわからないことですから。ですから、過失がありはしないかということでなくて、実は本来であれば、これはまず前提条件としてパトカーの進入時期が問題なんです。パトカーの進入時期が正確に明らかになって初めて、その次に踏切保安警手はどうであったかということが問題になるのだと思うのです。ですからそういうことを考えれば、いまの調査の時点で、国鉄職員にありはしないかという疑問もやはり問題だと思うのです。ですからこれはそういう意味では、もう少し正確になってから職員のほうの問題についてもお触れになるべきで、そうでないうちはやはり触れるべきでないというふうに思いますから、これはそういうふうにひとつお願いしたいと思います。
それからもう一つは、いまの問題も相当重要な問題ですが、問題は、今後国鉄職員である踏切警手、保安掛が警察官に連行されたのですね。連行された時期はわかっておりますか。事故が起きたのは四時十六分で、連行された時期はおわかりでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/40
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041・川上寿一
○川上説明員 その点の正確な時刻は私のところではまだつかんでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/41
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042・野間千代三
○野間委員 これは、踏切保安掛としては勤務時間中です。自分の勤務の時間は、その日のたしか朝の八時四十分までか何かの時間のはずです、踏切保安掛ですから。駅長さんは日勤ですから、勤務時間中じゃありません。ところが聞いてみると、駅長さんが出勤をした時間——これは事故があったものですから急遽出勤されたと思います。相当早く出勤しているのです。出勤をされたときには、すでに保安掛は連行されたあとだったようです。これは別の機会にまたあらためて正確にしたいと思いますけれども、いずれにしても駅長さんが出勤をされたのは相当早い。通常の勤務時間ではありません。事故の起きた直後といってもいいです。そのときはすでに踏切保安掛は連行されておったというのです。これが一つ。
それからもう一つは、次に踏切保安掛を連行した警察官はどの警察官であったか。つまり車に乗っておった何とかという二人の警察官であるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/42
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043・川上寿一
○川上説明員 その点も私のところでまだわかっておりませんので、早急に調べましてお返事いたしたいと思いますが、駅長が出勤をいたします前でも、助役が駅長の代務をしておりますので、責任者としては、その責任者に断わったと思われますけれども、その点もよく私のところではつかんでおりませんので、十分取り調べてお返事をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/43
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044・野間千代三
○野間委員 私は別に駅長がどうと言っているのじゃないのです。駅長がいなくてもよいのです。ただ、駅長が出勤をされた時間は相当早い。そのときすでに保安掛が連行されておったという事実なんです。
〔委員長退席、壽原委員長代理着席〕
何か新聞の中には、事故の状態がやや平穏に復してから連行されたように流されておる部分もあるのです。そうではなく、事故の起きた相当近い時間に連行されている、これは事実なんですね。もう一つ、これはぜひ国鉄当局ではすみやかに事態を明らかにしておく必要があると思うのです。別に私は、国会議員ですから、いかに国鉄出身でも踏切保安掛だけを弁護するつもりはございません。事態を正確にする必要がありますから、それはありません。とにかく一応、片方は権力を持っている警察官ですね。片方は、あとで問題にしますけれども、何の権力もない国鉄職員、そうして事故を起こした警察官がもし連行しておるとすれば、さっき私が前提に言いましたように、警察官そのものにも過失があるかもしれない。つまり刑法百二十九条に該当するかもしれないわけです。そうですね。その者が連行するということはおかしいと思うのです。ですから、こういうことはすぐ出てくる問題ですから、ぜひ進入した時期あるいは連行された時期、また連行した警察官が——警察官もやはりあそこで車がとまったということは事実ですから、警察官がどういう措置をしたのか、道交法三十三条を正確にやったのかどうか。そういう点は、これは私鉄もそうでしょうが、国鉄当局としていち早く正確にしておかないと、公正に取り扱われない可能性がある。これはだれが見ても、どちらの権力が強いかはっきりしているわけですから、これはすみやかに国鉄のほうでも明確にしておきませんと、事後になっては——私は日本の裁判なり警察官がそういうことはないと思いますよ。思いますけれども、こういう問題ですから、いち早く正確にしておく必要があるというふうに思いますが、そういう事態を正確にしておくべき措置を、東鉄なりあるいは本社なりでは、たとえば派遣をするとか何とかということはされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/44
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045・川上寿一
○川上説明員 踏切事故ばかりではなくて、国鉄におきますいろいろな運転事故で交通あるいは旅客に支障を及ぼすような場合には、刑事事件になって係員が警察に連行されるという事件がいつもあるわけであります。そしていま先生の御指摘になりましたように、国鉄職員一般には自分の行動のいかんにかかわらず、警察官が参りますと、自分の言うべきことも言わないで連行されるような場合もありますので、そういった場合は常に、その勤務個所の長はもちろんでございますが、管理局の関係の課長、場合によっては部長が警察に参りまして、その点の事情を説明したり、あるいは、警察に長く置いておかれますと国鉄自体の調査に非常に困る場合がございますので、そういった場合もできるだけ了解を求めて引き取ってこちらで調べるというようなこともやっておりますから、今回の場合も、実は私はきょうよく承知しておりませんが、東鉄でも抜かりなくやっておると思いますが、至急にその点を聴取いたしましてお返事をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/45
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046・野間千代三
○野間委員 それでは、ほかにも調べるといろいろ問題が出てくると思いますが、大体いま申し上げたようなことが今回の場合の問題点になりはしないかというふうに感じますので、国鉄側としても十分な厳正な調査をしておいていただきたいというふうに思います。
それから、ついでですから一緒に申し上げますが、踏切保安掛の職務内容の問題なんですが、国鉄なり私鉄なりで置かれている踏切保安掛の職務評価の位置といいますか、そういう位置はどの辺に位置しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/46
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047・川上寿一
○川上説明員 国鉄の場合は職員の職責その他によりまして、大体十種類の職階を設けておりますが、踏切保安掛の場合はその初めの種類から第四というところまでくらいの地位を持っております。それで全般的には職務評価が非常に高いという状態ではないのでございますが、これは長い歴史的な問題もありましてごく低い。第一、第二の階級の者がやや重要な踏切につく場合には、特に一階級上げるような措置を講じております。
それから仕事の内容といたしましては、あくまでも鉄道自体の列車の運行を防護するというたてまえでやっておりますので、列車の通過前七十秒ないし百二十秒くらい前に踏初を遮断いたしまして、列車を安全に通過させるというのが職務の中心になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/47
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048・野間千代三
○野間委員 私鉄のほうは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/48
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049・堀武夫
○堀政府委員 私鉄につきまして全体の職階の中で踏切保安係がどの辺に位置しておるかということにつきましては、各私鉄いろいろ事情がございまして、おそらく人事制度はまちまちではないかと思われます。しかし、いまおっしゃいましたような国鉄の位置に似たり寄ったりではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/49
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050・野間千代三
○野間委員 これは運輸省に特に申し上げたいのですが、いま言いましたように、踏切の問題はたいへんむずかしい問題になってきておるのです。
委員長、きょうはだいぶ委員の入りが悪い状況で、もう少し本格的な問題は次会にさせてもらいたいと思うのですが、いまの問題にひっかかりましたから一つだけ申し上げますが、踏切の問題は、おたくで出された事故件数の中にも、いつか御説明があったように減少しておるけれども、これは踏切数が減ってきているということです。したがって、踏切ごとの量はそう減っていないというのが実態だろうと思うのです。そうして御説明によると、通行者のほうの責任による事故がパーセントとして相当多いという事情です。これはまた別の問題が発生してきますけれども、つまり踏切の面から見るとそういう状況にあるということです。したがって踏切保安係が行なう業務というのが、踏切保安係を置いた当時はこれほどの事態じゃなかったと思うのです。大正何年か明治何年かだったろうと思うが、そのころの踏切保安係の仕事の内容と今日の仕事の内容では、もう格段の相違があるはずです。したがって、そういう経過を通ってきたから、川上常務の言われるように、一ランクから四ランクというようなことまで起きてきたのじゃないかと思うのです。ただしかし、何といっても踏切保安係の扱い方は、いま局長の言われるように、国鉄においても私鉄においても、実際問題としていま置かれている事情とは相当違う扱いだと思うのです。ですから、これは踏切保安係の職務内容が変化したのに即応した取り扱いなり、あるいは待遇なりというものをする必要があるのじゃないか。これが踏切保安係が一そうこういう困難な仕事を遂行していく熱意を起こさせる——起きておるでしょうけれども、しかし、それだけにやはり側面としてそれだけの措置をする必要があるというふうに思うのです。したがってそういう待遇上の問題を職務上の内容の問題とあわせて——赤羽の事故が直ちにそうとは私も言いませんけれども、中には、制止を聞かないために事故が起きているという件数も、確かにこの件数の中にあったはずです。それを考えると、警察権的な、私が先ほど提案をした法律案の中にも書いておきましたが、通行指示権であるとか、あるいは制止権であるとか、そういうものを、やはり運輸省として関係当局と相談をしてきちんと法律的に付与する必要があるのではないか。この踏切道をつくるということだけでなくて、そういう法律を出すときにはそこまで考えて法律を制定する必要があるのではないかというふうに思うのですが、この点についての運輸省としての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/50
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051・堀武夫
○堀政府委員 踏切保安掛に法律的な権限を持たしたらどうかという御意見でございますが、これは先ほど野間先生の提案されましたこの中にもそういう考え方で書いてあるわけでございます。現行法並びにいま提案しておる政府案には、踏切保安員の指示権ということは、従来から規定してないわけでございます。これについては前からいろいろ議論がございまして、そういう法律的な意味の指示権を与えたほうがいいか悪いか、非常に議論になったわけであります。それでその結果われわれのいま持っておる結論といたしましては、いろいろ議論はあったけれども、踏切保安員の指示というものは、そういうような法律的な指示権を与えなくても、大体口頭でもって、言うなれば軽い指示でございますので、そういうかみしもを着たようなものでなくても実際問題としては支障がないのではないかということが一つでございます。
それからさらには、それをもし法律的な指示権というものを与えた場合、踏切保安員の不作為によって指示すべきときにしなかったとか、あるいは間違った指示をしたとかいう、刑事上の問題、それから民事上の問題、いろいろむずかしい問題が起こる場合が想定されます。それに従って踏切保安員の資格とか知識とか経験とかいうものを洗い直さなければならぬという問題ももちろん起こってくるでしょう。さらにもう一つの問題点といたしましては、道路交通の警察権との競合と申しますか、そういうようないろいろなひっかかりと申しますか、そういうものがありまして、われわれもいろいろ議論をいたしましたが、現在の制度で支障はないというような結論に達しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/51
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052・野間千代三
○野間委員 いまの局長の答弁はだいぶ反論の余地があったり問題点があるのですけれども、重要な問題ですからこれは、委員長、きょうの委員会はこれでは体をなしていないように思われますので、質問を留保したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/52
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053・久保三郎
○久保委員 いま野間委員からお話があったように、委員長がいないから委員長代行の壽原委員を通して申し上げておきますが、先日の当委員会の理事会でのわがほうの申し入れは、まず第一に、審議は尽くす、第二番目には、そのためには体をなすこと、体をなすことについては、もちろん野党といえども責任があるが、まず第一には与党の責任がある、そういうような確認をして、本日初めて入ったわけですね。壽原委員長代理もこれはおわかりのとおりです。たとえばくだけた話になりますが、野党の私に、ちょっと用があるからという断わりをすればそれでいいというふうにはなっていません。ただ私も人間でありますから、お断わりがあれば、そうですがとこれに返事するのはあたりまえでありまして、別にその人を拘束する権限はありませんから、そういうことだったのです。次会は十八日が委員会だろうと思うが、その前に理事会があると思いますから、その席できちっとものは申し上げますが、あまりにもこれでは身がってな話だし、なるほどここにある名札の諸君の大半は、きょうは出てきたことは事実であります、委員会にいたことは。しかしただいまは、与党委員は全く少ない。だから議事録に全部の名前、大半は載ると思うのですよ。だから議事録の上では構成されている。しかし私どもは、いま与野党の間に何も問題とするものは、今日ただいまはございません。だからそういうていさいをつくることで問題が解決するならば、われわれのほうにもこれは考えがあると言うんです。与党のほうの質問がないとき、おそらく質問があっても、質問者以外はあまり委員会開会から散会までおられる人は数少ないのじゃなかろうかと思うのです。ましてやこの、いま審議中の法案については与党は質問がないそうであります。それはそれでいいでしょう、なければなくても。だけれども、ないからいないというのでは国会は体をなしませんから、私どもは非常に不愉快な思いをしているわけです。しかもこういう体をなさない形で審議した場合に、審議の効果というものは何があるだろうか、疑問を持ちます。予算委員会の分科会ならば間々こういうことがあることは、壽原委員長代理も御存じだと思うのです。ここはそういうものじゃなくて、構成員は国会法に基づいてきちんと定数のきめがあります。そのきめに全然といっていいくらいこれは体をなしていません。あるのは質問者がいて、質問している。委員長代理がいる。速記者がいる。それで政府の答弁する側はおおよそいるというだけであって、これは委員会として体をなしておりません。私は次会十八日には理事会を開く前に、与野党で、必要があれば——私のほうは必要はございません、与党のほうで必要があれば野党に対していま私が申し上げる点について責任を持つかどうか御回答をいただいてから成規の理事会に入っていただきたい、こういうふうに思うのです。壽原委員長代理を通して申し上げますが、くどいようでありますが、われわれはこういう体をなさない形の審議は好みません。だから、こういうことがやむを得ないのだとか、いいのだとかいうようなあらわれが今後も出てきたらば、たちどころに野党のわれわれとしては審議はやめます。やめます。きょうも、大体部屋が変わったから、最初私が質問する際にも出席者が少なかったと思うのです、調べてはおりませんけれども。だけれども、まあまあお互いに、国会も正常化したきょうでありますから、事を荒立てずに審議の形が進めばいいということでやってまいりました。しかしもはやこういうものには限界がありますから、私はそういうあかしが立たない限りは、民社党の内海さんはいかがか知れませんが、社会党としては一切審議に応じかねる。国会正常化なってこんな形では、もう審議は出来ません。これはもう審議に応じかねるということを申し上げておくし、次の日程はおきめになってもいいでしょうが、われわれはそれを承認するわけには、ただいまはまいりません。壽原委員長代理に、とくとひとつ関係の向きにお伝えいただくようにお願いします。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/53
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054・壽原正一
○壽原委員長代理 ただいまの久保三郎君の御発言、ごもっともでございまして、次期理事会を開催するまでに与党内での話し合いを十分さしていただきたいと思います。それで御了解願いたいと思います。
次会は明後十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01719660316/54
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