1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十三日(水曜日)
午後一時四十分開議
出席委員
委員長 古川 丈吉君
理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君
理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
理事 矢尾喜三郎君
浦野 幸男君 小渕 恵三君
川野 芳滿君 高橋清一郎君
高橋 禎一君 長谷川 峻君
増田甲子七君 松浦周太郎君
井岡 大治君 勝澤 芳雄君
泊谷 裕夫君 野間千代三君
山口丈太郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中村 寅太君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局保険部
長) 上林 英男君
農林事務官
(農政局長) 和田 正明君
運輸事務官
(自動車局長) 坪井 為次君
委員外の出席者
専 門 員 小西 真一君
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本日の会議に付した案件
自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/0
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001・古川丈吉
○古川委員長 これより会議を開きます。
自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。泊谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/1
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002・泊谷裕夫
○泊谷委員 運輸大臣と保険部長にお尋ねをしたいと思うのですが、本法の対象はいわゆる人身事故に限定して、物的損害事故を除外しておりますけれども、物的事故も毎年増加して、昭和三十七年の一カ年の損害額の推定は一千億をこえるというふうに聞いておるのでありますが、諸外国の例にもならってそろそろ物件事故もその対象とすることが必要な時期になってきたのではないか、こう思うのですが、大臣並びに事務的に担当されます保険部長の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/2
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003・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 物件に対する保険等も将来の問題としては検討の余地があると思いますが、現在の時点におきましては、まず人命尊重の精神から、人命の損傷に対する保険を完ぺきなものにしていくことのほうが急を要することでございますので、そういうことを整備しつつ、将来の問題としてなお検討していく必要のある課題であるとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/3
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004・上林英男
○上林政府委員 物的な損害を担保いたします制度といたしましては、強制保険ではございませんが、保険制度等におきましてもやっておるわけでございます。ただいま大臣も申し上げましたように、まず人的な面におきます担保制度につきまして強制的にやっておるわけでございますが、物的な問題については、たとえば自分の自動車の損害というようなことにつきましては、結局自己の財産を担保するというようなことでございますので、あるいは民営保険というようなもので運営していくのが適当かと思いますが、他人の財産に損害を与えたというような問題につきましては、もともと各国におきましてもあまり強制保険にしておるという例は、むしろ人的損害に比べますと少ないようでございます。今後の一つの検討課題として。運輸省の方々ともよく御相談をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/4
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005・泊谷裕夫
○泊谷委員 運輸省の自動車局長にお尋ねをしたいと思うのですが、道路運送法三十七条によりますと、運輸大臣の許可を受ければその事業用の自動車の貸し渡しをすることができるということになっておりますが、実際問題としてこれが事実あるかどうか。あるとすれば、どんな場合に許可されるか。どの程度の車両が許可されるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/5
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006・坪井為次
○坪井政府委員 貸し渡しの許可につきましては、相当例はあると思うのでございますが、一番問題になりますのは、いわゆるレンタカーというものがこの貸し渡しの許可において運用されております。これはオーナードライバーが自分で車を持っていない場合に、車を借りて旅行する、そういったようなケースで、これを貸し渡しの許可として現在運用してきております。そのほか個々にはいろいろと事業者間あるいは自家用者と事業者の間、そういったところで貸し渡しの許可という制度が活用されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/6
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007・泊谷裕夫
○泊谷委員 名義貸与について本件適用上の紛争が生じた事実があるか。あるとすれば何件くらい。特にトラック運送事業の関係においてこの紛争があるやに聞くのでありますけれども、これもあわせてひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/7
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008・坪井為次
○坪井政府委員 御質問は、この賠償問題についてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/8
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009・泊谷裕夫
○泊谷委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/9
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010・坪井為次
○坪井政府委員 貸し渡しを許可された車が事故を起こしたというような場合だと思うのでありますが、これにつきまして賠償問題といたしましては、補償あるいは保険ともに限度額まで被害者に支払われるたてまえになっておりますので、被害者保護の関係からは特段の問題はないと思われるわけでございます。ただそれをオーバーして保険の限度額を越える部分につきましての請求とか、あるいはまた国が補償したというような場合に、国から責任者に求償する場合にいずれに請求するかということで問題があるわけでございますが、これらの問題につきましては、貸し渡しの実質的な関係を具体的に検討しまして判断しなければならぬ問題でございまして、一般的には、判例によりますと、大体貸し主が責任を負う、そういうたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/10
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011・泊谷裕夫
○泊谷委員 貸し渡しでなくて名義貸与、俗に言う名義貸しという車両ですけれども、実際問題として名義貸しは存在しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/11
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012・坪井為次
○坪井政府委員 名義貸しという意味はなかなかむずかしいのでございますが、ある所有者が荷主の名義を使って荷物を運ぶという場合があるし、また、事業者の名義を使って運送事業を営んでいるというような、いろいろの場合があるわけでございます。この場合につきましても、補償問題あるいは賠償問題につきましては、先ほどお答えしたのと同じようなケースで取り扱っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/12
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013・泊谷裕夫
○泊谷委員 一般の自動車運送事業は、これは運輸大臣の免許を必要としておることは道路運送法できめられておりますね。自動車運送事業は、その名義を他人のために貸し渡しその他いかなる理由をつけようと、これを行なってはいけないというふうな規制がある。これは実際この賠償法と直接関係のないことでありますが、ハイヤー、タクシーなどにはその例があまり見られませんけれども、トラックなどにおいては事業者の名義でそれが下請のような形において運行されたり、あるいは零細なトラック事業については、その車両を運用しております従業員にノルマを与えて、そのノルマをこなし切ったらその車両をその稼働者に渡すというような方法をとって事業の遂行をはかっておるというふうに聞くのですけれども、こういう実態はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/13
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014・坪井為次
○坪井政府委員 トラック事業等については、そういう実態はないとは言えない、あるいはあると思われるわけでありますが、先ほども言いましたように、賠償問題につきましては、保険あるいは補償の限度内においては被害者の保護について欠けるところがないし、これをこえるもの、あるいはそれを求償する場合に、いずれに、名義貸しのほうに請求するか、あるいは借りているほうに請求するかは、実態関係によって具体的に判断しなければなりませんが、判例等によりますと、大体名義貸しのほうに責任があるというふうになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/14
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015・泊谷裕夫
○泊谷委員 自動車局長の答弁として、トラックの交通整理といいますか、これは簡単なものでないと私自身は考えますから、この答弁だけできっちり整理がつくとは思いません。思いませんけれども、名義貸しというものは許容されておりませんが、かりに存在したとしても、その賠償の責めは事業主に、名義を貸した者にあるということが、従前の判例できっちりしておるならば問題は別ですけれども、いま言われるように比較論で、総じてそれが多いのではないかということになっておりますが、それは負担力の関係で結果的にそうなってきて、現実の紛争というものは、ともすればトラック運送事業のほうは、名義を貸して人身事故が起きれば、その車を貸したところで始末をさせようという傾向が散見されるわけですね。でありますから、名義貸しをした認可事業については、認可を取り消すか、さもなくば自動車による人身傷害が出た場合に、名義を貸し与えたほうでその一切の責任をとるということを明らかにする必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/15
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016・坪井為次
○坪井政府委員 ただいまのいわゆる名義貸し、事業者の名義を貸しておるというようなものは、法律にも違反しておりますし、これは当然そのこと自体行政処分の対象になるわけでございますが、、ただいまの賠償の問題につきましても、そういった事例については、われわれとしては貸し主のほうに第三者に対する責任はあるのではないかというふうに考えております。これはもう事業者としての責任としても当然である、さように考えております。それらの監督あるいは行政処分等は、名義貸し自体の問題としてこれは別個に取り締まっていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/16
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017・泊谷裕夫
○泊谷委員 私ここでその事例を申し上げようと思いませんけれども、各裁判所の判決を見ましても、必ずしもいま自動車局長のお答えになったような一方交通で整理をされておるとは思われない。道路運送法上から、運送事業者は名義をいかなる形でも貸し与えてはいけないわけです。運輸大臣の認可がない限りこれはできないはずでありますから、この法案審議を機会にいたしまして、行政上の指導を強化してもらう、こういうことの必要があると思うので、その措置をとられる用意があるか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/17
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018・坪井為次
○坪井政府委員 名義貸しにつきましては、あくまでも法律で禁止されている行為でございまして、われわれとしては常時取り締まりの体制にはあるわけでございます。何ぶんにも事業者が多いし、取り締まりの体制も万全とは言えませんが、われわれとしてはそういったものが見つかり次第厳重に処罰する、さように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/18
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019・泊谷裕夫
○泊谷委員 この問題で少々くどいようですが、局長、事実があれば厳重に処分というのは、これはトラック事業から見ると、これまた非常に悩みの多い企業だと思うのです。中古車が町にはんらんしておりまして、それが次の車検を受けるまで自家用車と銘を打ってダンピングをして走られるものですから、認可をもらったトラック業界も、経営面としてはたいへんなものだと思うのであります。でありますから、その実態を見る限りにおいては、この違法なことには間違いないのですけれども、その個々の問題をとらえて一々陸運局で追及するということは実態としてはできない。しかし、それが間違えば人の命にかかわるということになるとすれば、困難であっても、認可事業をやっておる方はやはり姿勢を正すことが必要だと私は思うのです。でありますから、内部通達においても、名義貸し、特にトラックが多いようでありますけれども、これについては厳重に各事業主に勧告をして、この際、この自賠法の審議とあわせて、もう一度姿勢を正すという措置を事前にとっていただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/19
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020・坪井為次
○坪井政府委員 先ほどから申し上げますとおり、被害者の保護につきましては保険、補償いずれにいたしましても、その限度内においては何ら欠けるところがないと思われるわけであります。それをこえるものにつきましても、名義を貸した者が名義上の責任を負っている以上は、特に事業者については責任を負うべきものというふうにわれわれとしては考えておりますので、そういった責任については、われわれとしては当然とらすべきではないかと考えております。
また、名義貸し行為そのものの違法性については、御指摘のように法の禁止するところでありまして、十分取り締まっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/20
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021・泊谷裕夫
○泊谷委員 銀行局長にお尋ねをしたいのです。法十三条の保険金額ですが、今度改正されて提案になっておりますけれども、これはずいぶん週刊誌でも批判され、たたかれたものでありますが、五級九項と十項、これが同じ位置にありますのは改定の必要がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/21
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022・上林英男
○上林政府委員 まことに申しわけありませんが、九項と十項という意味がよくわかりかねますので、恐縮でありますが、お教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/22
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023・泊谷裕夫
○泊谷委員 九項というのは、女の方が事故の結果、顔の傷が大きくて醜くてどうもならない。十項は、これは男のほうですね。男のほうは、もう人生最大の仕事である子供をつくることができないように両方ともやられてしまったというものが、同じ補償額でどういうわけだろうというわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/23
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024・上林英男
○上林政府委員 御質問の後遺症の場合の保険金額でございますが、これは労災の場合におきます基準と全く同一の基準の適用をいたしまして分類をいたしたわけでございまして、この後遺症の金額的にどういう範疇に属するかというのは、いろいろ御議論があろうと思いますけれども、そういう先例に従いまして区分を設けました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/24
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025・泊谷裕夫
○泊谷委員 この区分は労災から出発したことは承知しているのですけれども、あれだけ週刊誌にたたかれて、女の人の顔がお岩のようにひどくなったというのと、男が両方の睾丸を失って全然もうどうにもならなくなったというものが、どちらも五十三万というのはどういうわけだ、これだけが出たわけです。でありますから、労災から出発したというよりどころじゃなくて、実際保険額としてこれがいいか悪いかということは検討されてしかるべきだと思うのですが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/25
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026・上林英男
○上林政府委員 確かにおっしゃいますとおり、この後遺症の基準につきまして、どのランクに属するもののウェートをどういうふうに考えるべきかという問題は、むずかしい問題かと考えております。これはある意味におきましては保険金額自体を高めるという問題とも関連するわけでございまして、このランクにつきましては、御承知のような一応の基準をつくったわけでございます。
なお、今回百万円の保険金額を百五十万円に上げますについて、五級につきましては八十万円に改定をする予定にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/26
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027・井岡大治
○井岡委員 先ほどの名義貸しの問題に関連をして、運送事業を認める基準は、実際問題としては名義貸しからこなければ免許がおりないという実態を御存じであるかどうか、ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/27
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028・坪井為次
○坪井政府委員 名義貸しが免許とどういう関係——名義貸しというのは、もうすでに免許をもらった人が名義を貸しまして、借りたほうがまたさらに免許を受ける場合ということでありますか。名義貸しは免許をもらっておるものだと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/28
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029・井岡大治
○井岡委員 これを言うと局長一番いやなことですが、私はこの際この点は明らかにしておかなければいかぬので……。運送事業は、実績がないと認めないわけです。申請書には、事業の施設、事業の収支の見積もりその他運輸省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない、見積もりということは、ある程度この会社に対して荷主がやってやるということからくる見積もり、これが一つの見積もりなわけです。それから実際にいままで運送をしておったいわゆる実績からくる見積もりというものがあるわけです。この二つが見積もりの中に入るわけです。
それからもう一つ、さらに第六条で「当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。」したがって「適切なもの」はどこで判断をするのか、ここに問題が出てくるわけです。したがって現在実際に免許を許しておるのは、実績主義によって免許を許しておるわけなのです。このことはあなた御存じのはずなのです。ですから名義貸しの問題等を含めて、これらの問題にどのような規制をしようとなさるのか、私は、現実には規制はできない、むしろ現在の申請それ自体のところに若干の無理がある、こういうように考えるのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/29
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030・坪井為次
○坪井政府委員 ただいまのお話はトラックのお話だと存じますが、トラックにつきましては申請者の実績というようなものをある程度審議のときに参考にはいたしておると思うのであります。これは、他人の荷物を運んではいかぬのでありますが、業としてそれをやる場合にはいわゆる無免許営業になるわけです。そこに至らぬ過程というものがあり得るわけでございます。そういったような意味のある程度の実績というものは考慮されるかと思いますけれども、それをどの程度考慮すべきか、あるいは具体的にその地区において輸送秩序あるいは既存業者の能力がどういった程度に荷主の要求を満たしているか、そういったような実態を十分調べた上で具体的な処分をする、そういうかっこうになっておりまして、そういうような点については、トラックにおいてはある程度考慮されておるということは事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/30
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031・井岡大治
○井岡委員 ですから現実の問題として、名義貸しということと実績ということは、免許をする場合において非常にからみ合ったものなのです。そこで自賠法をどのように適切な指導をするかということは、よほど慎重にやらないと逃げちゃうと思うのです。ですからこの点は、単にそういうことがあればということでなくて、現実に行なわれておることなのですから、あなたのほうも認めておいでになることなのですから、これをもっと指導するというように各陸運局等に適切な指示をしていただきたい。そうでない限り、いま泊谷君が質問をしたような問題がかなり複雑になってくると思いますから、この点ひとつ申し上げて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/31
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032・泊谷裕夫
○泊谷委員 いま保険から名義貸しに移ったので、もう一つ整理しておきたいのですが、自動車局長も困ったような問題ですが、これは最終的には大臣のほうに聞かなければならぬものも一つありますけれども、俗に言う白トラ、営業車でないもの、この始末についてはどういうことになっておりますか。白タクというのも同じような——ここに来ますとハイヤーも出てきますけれども、これは陸運局も地元の警察も協力してずいぶん整理をしているのですが、あの人々は移動を開始して、集団で盛んにおやりになるんですね。ですからこの始末について、この賠償法と直接関連を持つか持たないか疑問のあるところですが、しかし実際問題としては出てくることが予想されるわけであります。これについての処理の方針というものをひとつ聞かしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/32
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033・坪井為次
○坪井政府委員 白トラ、白タクと賠償法の関係につきましては、これは自動車でありますので、すべて保険が強制されておりまして、車検でチェックしておりますので、たとえ白タク、白トラでありましても、保険は全部かかっておるわけであります。車検がありますので、現在では保険が全部かかっておると思われるわけであります。したがいましてその関係では、被害者に対しては保険の限度内においては問題はない。それをこえる場合につきましては、確かにしっかりした事業者は賠償能力がありますけれども、そういったいわばいいかげんなものについては、それをこえる賠償額については確かに問題はあると思われるわけでありますが、これは現在の自賠法の制度が限度額をきめて、その範囲内で強制をしているというような一般の問題でありまして、それを越える問題については白タク、白トラばかりでなしに、一般の自家用についてもそういった問題がありますので、こういう点については特に拒否する理由はない、さように思っております。
それから、一般に白タク、白トラの取り締まりの問題につきましては、これはあくまでも道路運送法の輸送秩序を乱すものとして、われわれとしては取り締まるという方針で臨んでおりますし、特に白タクにつきましては不当運賃とかいろいろとそういった不測の事態も起こりますし、これは流して歩いているので、特に一見の客を相手にして不当な行為が起こり得るので、警察とも協力してその取り締まりについては特に厳重にやってまいりたい。それから白トラのほうにつきましては、荷主そのものが日本の経済事情からいって非常に零細な業者が多いものですから、それらとのからみ合いで、根絶するということは実際問題として非常にむずかしいわけでありますが、われわれとしてはあくまでも輸送秩序を正すという方向で取り締まりをやっていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/33
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034・勝澤芳雄
○勝澤委員 ちょっと関連をして。
白タクと白トラックの問題が出てまいりましたが、白タクの問題というのは一ころだいぶ騒がれまして、いまの実情はよく知りませんけれども、まだあるというような話を聞いております。白トラックの場合は、やはりいろいろといま局長の話されましたように、現実にやられていながらなかなか取り締まりが困難だ。取り締まろうとすれば、そこで免許申請というものが考えられる。片方、免許を出そうとしても、やはり輸送需給という問題からいってなかなかそう簡単にいかない。しかし網の目から漏らしてそのまま動かしていくわけにはいかない、やはり網に入れて行政指導していかなければならない、こういう点があろうと思うのです。ですから私は、そういう点から白トラックなどの問題については、やはり積極的に免許せよという言い方は問題があるとは思いますけれども、行政指導の中に入れて指導できる位置に置かなければいけないのじゃないだろうかと思うのです。トラック一台持ってやっているのはいいわけですけれども、しかしそれが三台なら三台、五台なら五台で組合をつくってやったらどうだというような形の指導をしていかないと、またいつか同じことが繰り返される。懲役にでも入ってにっちもさっちもいかないような刑罰ならなかなかそういうことは繰り返されないわけですけれども、やはり何か必要があってそういうことが行なわれておるわけですから、そういう点についての免許の取り扱い方というものを、もう少し行政の中へ入れて取り締まりができる、運賃のダンピングをせずに運賃を守らせる、あるいは輸送基準も守らせる、こういうふうに引き上げることの指導というものが欠けているのじゃないだろうかという気がするのですけれども、そういう点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/34
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035・坪井為次
○坪井政府委員 ただいまの御指摘まことにごもっともでございまして、かつてトラックの免許につきまして両数なり何なりを相当厳重に基準を高めて規制しておったのでございますが、それが非常に実情に合わない面もあるということで、白トラが相当数多く出まして、これをある程度経済の実勢に合わせるという意味で、免許基準その他の適用においても弾力性を持たせまして、たとえばいなかの地区においては相当小規模のものを認めるとか、あるいは既存業者で十分カバーできるところのものについては厳重に押えるとか、いろいろそういった現地の実情に応じて免許の運用をはかっておるわけであります。
それから一面、既存業者の育成といいますか、そういった意味でできるだけ組合なり協同化ということを行政指導しまして、事業者特に小業者の育成という見地から、ただいまも近代化計画というものを進めておりましてそういう行政指導によって質を向上させることによって、サービスのいい輸送秩序をつくっていきたい。それによっておのずから白トラあるいは白タク、そういったものを排除していく、これが行政の本道であると思うのでありますが、なかなか理想どおりにはいきませんので、われわれとしては、だんだんそういった方向で行政の運用に努力したい、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/35
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036・泊谷裕夫
○泊谷委員 これは自動車局のほうで、いまお話のありました白トラ退治とか、白タク退治といっても、車も業界から借りて、従業員の増務給もまともに払われないような貧弱な体制ですから、いかに悩んでおってもなかなかうまくいかないと思いますし、勝澤先生から提起された協同化も一つのシステムだと思うのですが、これは根本的には自賠法との関連を持ってきますから考えてもらわなければならぬと思うのです。とにかく自動車工業にはずいぶん力を入れて、生産を高められておるのですね。ですから、昭和三十九年には日本でも百七十五万三千三百九十八両生産されておる。これは世界で四番目で、イギリスとフランスに肩を並べておる。ところが御承知のとおりフランスの場合は三割四分、イギリスでも四割一分五厘というものを輸出しておるのです。ところが日本の場合は道路が、イギリスが一〇〇%舗装されておるのに、わずか一三%しか舗装されていない。しかも四トン積みのトラックが通れない道路が四一%もありますし、小型トラックのすれ違いのできないのも六五%もあるというようなことで、道路について第二次長期計画で金を入れたにしても、道路の伸び率はわずか七彩といわれております。そうしますと、狭い通りに外車を入れ、中古車は安直に路上に並べられれば、次の車検まで、つんのめるまで日銭を稼げる商売ですから、ただ認可した事業だけを保護しておるといっても、交通混雑はもちろんのこと、それによって起こる事故を少なくするということもでき得ないと思うのです。
それに関連して、誤解があってはいけませんが、私は大臣のとった態度については同意するのですけれども、こんな道路事情の中で認可事業で営業しておりますトラック、ハイヤー、タクシーが——国で直接関与する国鉄運賃や郵便料金は値上げを強行されて、本来民間企業であり、選択の自由のあるハイヤー、タクシーが今度値上げの申請をしたら、内閣で中村さんと藤山さんが相談されてとめられたそうですね。私も物価抑制策からそれはそうしてほしい。だが直接国は自動車産業には相当低利で長期の金を貸しているが、路面交通のものについては何ら見るべきものがない。それで料金だけ押えてどうしようというのだろう。押えたからにはやはり運輸大臣なり経済企画庁長官の、経営に見合うだけの措置がとられなければ、いかに担当主管局である自動車局がああせいこうせいと言ったって、ハイヤー企業の皆さんだって、トラック企業の皆さんだって、何を言ってやがる、国の直接関係するものはどんどん上げて、おれら民間で、しかも選択の白田のある企業が認可料金というものでもって料金を押えられておる、ということになったらどう説明されるつもりか。具体的に料金を押えて、そのかわりこういう措置をとって経営のつじつまを合わしてやるという措置についてまだ聞かされていないのです。これがひいては事故に大きく関連するものと思いますので、根本的な問題ですから、大臣の見解をひとつ明らかにしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/36
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037・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 今回東京のタクシー値上げの申請を押えましたのは、御承知のように、申請の内容がいろいろ運賃体系の基本的な問題に関連があることと、それから料率等がきわめて高いので、やはり大衆に与える影響も非常に大きいというようなことから、慎重に検討する要がある、こういうことで措置をしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/37
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038・泊谷裕夫
○泊谷委員 慎重に検討するというのは、個々の問題をながめて、それは料金修正をする部分もあるというふうなことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/38
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039・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 ハイヤー、タクシーのいろいろ内蔵しております諸問題を十分検討する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/39
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040・泊谷裕夫
○泊谷委員 だから、国会用語でなくてわかりやすく聞きたいわけなんです。とにかく新聞を見ますと、藤山さんと中村さんがだいぶ点数を上げて、ハイヤーの値上げはだめだと言ったと書いているわけです。それはそれでいい。けれども、国で直接やるものはどんどん上げて、バスとか電車とかいうものはだれしも乗らなければならぬものです、そういうものは上げて、選択の自由があるハイヤーなどについて料金を押えるというのは、いまの自民党の政策からいっても、ぼくは筋が合わないと思う。値上げを押えてもらうことは私は賛成ですよ。けれどもあなた方は、押えるだけでなくて、物価政策上それはうまくないから、政府としてはその間の方策についてはこうするというものがなければ、政治家のやる仕事ではないのじゃないか、こう思うのです。民営企業をたたいて官営のほうはどんどん上げる、それでは理屈が合いませんよ。だからいま言ったように、夜間割り増し、時間待ちだとか、そういう新しい提起はおかしいというなら、それはそれで理由はあるだろう、値上げ率五割がおかしいというなら、何割ならがまんできるんだがというような話もない。それも、民生安定上まずいからというのであれば、自動車工業と同じような低利融資を政府の責任で開銀を通してやるとか、あるいは北海道東北開発公庫を通してやらせるとかすべきだ。そういう措置が出されないで、あなたと藤山さんだけが人気取りのようなから演説ばかりしているということ、これはいけない。その点はどうなのか、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/40
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041・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 今回の値上げ申請の内容が、いろいろ賃金体系の基本的な問題等にも関連がありますということと、それから、一昨年値上げしておりまして、それにいま三十数%の値上げという料率は検討を要する、こういうことでああいう措置をとったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/41
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042・泊谷裕夫
○泊谷委員 検討を要するというのは、そうしたら、これから考えて、上げる場合も押える場合も政府で何らかの措置をするということを含めて考えるというふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/42
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043・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 タクシー等の問題につきましては最近いろいろ意見が出ておりまして、そういう料金制度の基本的な問題、あるいはいま規定しております賃金体系——今度の申請は御承知のように距離、時間制を併用したような申請内容でございますが、そういう基本的な問題に触れた申請でございますので、根本的に検討する、こういうことでああいう措置をとったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/43
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044・泊谷裕夫
○泊谷委員 わかりました。根本的な修正だから抜本的な検討を加えよう、その趣旨、意味はわかります。その先は、上げるかまたは押えるか、そのときになって考えることで、頭から押えつけたものでないと私は理解したのですが、そういう理解で間違いがあるならば、それは間違いだという回答をしていただきたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/44
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045・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 まあ無制限に、三年も五年も上げないということじゃございませんが、少なくとも一年以上上げない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/45
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046・泊谷裕夫
○泊谷委員 一年以上押える、それが明らかになりました。であれば、先ほどお話をしました、これに対する政府の措置はいかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/46
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047・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 政府としましてはいまの料金の制度上で当分いけるという見通しでございまして、いままでやった以外に何らの新しい措置をするということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/47
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048・泊谷裕夫
○泊谷委員 ぼくは値上げ賛成の立場をとるわけじゃないですから、客観的な事実としてはそれはいいことだと思うのですよ。しかし私ども幾ら野党だといっても、企業そのものをながめてみますと、建設省の統計では、道路混雑度二という数字は、もう車が自分の意思で走れない数字を示しておるのですが、昭和三十七年の統計を見ますと飯田橋が一〇・〇で、次が青山一丁目です。だから信号で二十サイクルとめられれば二キロ四百くらい車両が並ぶ。許された四十キロでセルも踏み込めない。実車率は四割三分程度です。ここで議論をする場合は、乗車拒否はいけないということで議論する、私もそうしてもらわなければいけないと思っておりますが、一つの信号越えるのに十三分もかかって九十円しか手にできない運転手だけを責めて、私ども国会議員がそれだけで能事足れりという姿勢は、何か忘れているのじゃないか。それじゃあなたがハイヤー企業を、いま言ったように、やれるというならば、実車率四三%か四四%で、どういうしかけでハイヤー会社が採算が合うというふうにお考えですか。スピードが極度に落ちまして、そして中古車でダンピングされ、たたかれているトラック企業を直せるのは、運輸大臣の主たる仕事だと思うのですよ。それじゃ、いままでこのトラックなりハイヤー企業は相当ぼろもうけをして蓄積があったと見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/48
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049・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 ぼろいもうけがあったとは考えませんが、いろいろの険路を解決していく諸施策を講じて、そして交通行政の円滑な推進ができるようにやっていけば、いまの状態で当分いける、こういう見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/49
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050・泊谷裕夫
○泊谷委員 これは大臣、自動車局長に聞いて数字をきちっとみな胸にたたみ込んでください。私は次会にあらためて議論することにして、きょうはお預けにしたいと思いますけれども、断わっておきますが、公共料金を抑制するということはいいことです。いいことですが、あなた、何もやらぬで抑制だけやっているんじゃ話になりませんよ。自動車工業のほうにどんどん低利の金を入れて、車の生産は世界で二番目から三番目、そして保有台数もふえているが、道路は狭くて走れない。その企業だけたたいて、そして何かいまの内閣の物価抑制の人気取りの手段に用いるなんていうのは、政治家のやる手ではありません。特に主管大臣としてこの点はきちっと、おまえたちはがまんせい、そのかわりおれたちもおまえらに世間並みの扱いをする、こういうあいさつをあわせてなされなければならぬと思いますから、次会にこの問題について回答をいただくようにお願いをしておきたいと思います。
次に移りますけれども、先ほどの保険金の後遺症の五級の九、十ですね。十は今度幾らになりましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/50
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051・上林英男
○上林政府委員 八十万円にいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/51
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052・泊谷裕夫
○泊谷委員 とにかく、男と生まれて両方の睾丸がなくなったというのが、いまの世間相場で八十万円でどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/52
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053・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 これは私は非常に安いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/53
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054・泊谷裕夫
○泊谷委員 事務局に検討を命ずる用意がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/54
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055・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は、日本の保険制度そのものが全体的に見てきわめて安い、これは漸次もう少し高めていく方向で検討をすべき課題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/55
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056・泊谷裕夫
○泊谷委員 じゃ、次の問題に入ります。
今度は自動車局長にお尋ねしますが、示談屋の業者数はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/56
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057・坪井為次
○坪井政府委員 ちょっと調査は古いのでございますが、昭和三十六年十二月末現在の調査によりますと、業者数は判明したものだけで全国で百九十六業者、またきわめて小規模のものが多い、こういう調査結果であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/57
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058・泊谷裕夫
○泊谷委員 この示談屋の大部分の名称ですが、これは交通事故防止協会とか、交通事故共済会、交通安全協会、それから交通災害福祉協会、交通事故防止指導委員会、まるで公共の団体のような名前を使っておりますね。中には株式会社とか社団法人、財団法人、法人格を有するものがあるのですけれども、この中でこういう責任を持つ体制にある業者はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/58
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059・坪井為次
○坪井政府委員 これらの業者につきまして調査したものとして、運営の方法としては大部分のものが自動車の保有者による会員制をとっておりまして、事故の場合、加害者側の代理として介入し、被害者を不当に圧迫する例が多く、また詐欺、横領等で起訴された例もかなりある、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/59
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060・泊谷裕夫
○泊谷委員 それで、いまそこまで尋ねてみたかったのですが、実際これは会員制にして三千円取っているんですね。示談といっても、被害者のほうはなかなか法律はめんどうで、手続が複雑で、ここへ出てくる形はいまいう加害者の立場で、いま自動車局長が認められるように、あまり好ましくないですね。一説によると、何か暴力団の方も介入される節なしとはしないというふうに聞いているのです。これはいろいろと弁護士法や何かの議論はあるでしょうけれども、示談屋なんというものは整理して、それこそ公共の機関で安直に、事務も簡素化して、ほんとうに困り抜いて、弁護士に頼むまでに至らないようなささいなものなども、気やすく相談に乗って、めんどうを見てもらうという組織をつくる必要があるのではないか。しかも交通安全協会、指導委員会なんといったら、これは業者の皆さんが一生懸命やっていらっしゃる看板と同じですよ。これは警察や陸運局が一生懸命になって交通事故をなくそうと努力しておるでしょう。同じ看板を使ってそういう悪さをするということが現実にあることは認められているので、それを具体的に阻止する方策と、今後の改善策について、大臣どうでしょう、意欲的な説明をいただきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/60
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061・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 泊谷議員の御指摘を受けましたが、交通事故のあとに起こるいろいろの被害者と加害者との関連の問題でございますが、これはいま言われますように、年間一万人以上の交通事故による死傷者、けが人を加えたら、あるいは数十万人だと思うのでありますが、それだけの数多い事故が毎年起こっておるのでございますから、これに対して、安心して被害者がまかせられるような機構といいますか組織をつくるべきである、これは私はやはり政治的な盲点であると思いますので、これは運輸省としてもいろいろ交通機関を預かっております立場から検討して、国民の人たちがもしも事故の起こった場合には、そこにまかせておけば大体間違いのないようなさばきができるような何らかの方法を考えなければならない課題であると思っております。この問題はそういう事情でございますから検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/61
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062・泊谷裕夫
○泊谷委員 示談屋の件に関連してだいぶ手が込んできまして、被害者のほうの給料伝票を偽造したり、それから勤務態様を変えることの書類作成を強要したり——これで一つ問題になってくるのですが、この賠償法の適用で関係する書類があまりにも多過ぎる、複雑過ぎる。示談屋を防ごうとすればさらに裏打ちするための書類が必要だという相矛盾する悩みを持つわけです。この問題については、特に何らか示談屋の整理について考えていただかなければならない。大臣がいまお話しされた筋はわかりました。了としますけれども、当面の措置として何らかの方法が考えられないものか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/62
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063・坪井為次
○坪井政府委員 示談屋の発生する原因と考えられますのは、先ほどお話がありましたように、裁判は期間も長く、また費用もかかる。一般人は示談等の処理にふなれである。また、保険金の請求手続が一般に認識されていない。あるいはまた、その手続が複雑である。そういういろいろの理由があると思います。手続の簡素化についてはわれわれとしてもかねてからいろいろ努力しておりまして、現在相当簡素化はされておるわけでございます。しかし、この対策として、根本的には、先ほど大臣のお話にありましたように、公正な、中立的な相談機関を政府がめんどうを見るということが一番積極的な方法であると思うのであります。われわれとしては、被害者保護のために賠償責任の担保という法律が現在できておるわけでございますが、これをさらに一歩進めまして、そういった対策まで被害者保護のために前進していくべきである。確かにこの点につきましてはまだ政府の手が回っておりませんので、今後関係方面と十分連絡をとって、こういった方面についてもさらに手を伸ばしていきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/63
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064・泊谷裕夫
○泊谷委員 では、次のお尋ねで、これは大臣でも保険部長でもどちらでもけっこうですが、再保険率の六割についてですけれども、これはほかの保険の割合と比較をして低率にあると思うのです。たとえば漁船保険は九割だし、木船保険は七割、これは修正ずる必要があると思うのですが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/64
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065・上林英男
○上林政府委員 国が再保をいたします割合はどういう考え方からきめるかと申しますと、国が介入をし、国が万が一の場合には負担をする必要性がどの程度あるかという考え方から再保の割合がきめられるのだと思っておるのでございます。したがいまして、民間だけでやっておりますと危険度が非常に高い。漁船のように零細な——木船だと思いますが、小さな船が集まりまして、万一沈みますと相当担保力を要するという場合には、おのずから国が介入する割合も多くなるわけでございます。自動車保険につきましては、当初発足いたしましたときに、確かに諸外国の自動車賠償責任保険の状況などを見ますと、相当困難な状態があったことも事実でございます。そういう意味で六割ときめられたものと考えておりますが、今後いろいろ経験を積んでまいりますと、いまの割合でも十分やっていけるという確信を私どもは持っておるのでございまして、これをむしろ上げるということは必要がないのではないかというような感じがいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/65
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066・泊谷裕夫
○泊谷委員 これは田邊委員並びに久保委員から質問があったところでありますが、もう一度はっきり聞きたいのですけれども、原動機付自転車に対する再保険をしない理由、これを保険部長からもう一度聞かしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/66
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067・上林英男
○上林政府委員 毎度申し上げているわけでございますが、国が財政的に関与をし、制度の円滑な運用に資するということをいたしますために、どういう場合にそれを考えるかということでございます。いま申しましたような、国が介入をいたしませんと、その制度自体の円滑な運営が望まれないという場合に介入するということであるかと思うのでございます。制度発足の当初は、いま申しましたようなことで、それを確保いたしますために、国の再保をいたしたわけでございます。その後経験を積んでまいったわけでございますので、民営の保険だけにおきまして十分その責任を果たしていける、また制度上の円滑な運営にも支障がないということで、今回追加をいたします原動機付自転車につきましては国の再保をしないということにきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/67
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068・泊谷裕夫
○泊谷委員 実は私自身、先日から保険部長と田邉、久保両委員のこの再保の関係に対する質疑応答を聞いていて、どうも釈然としない。保険部長の筋は、一つは介入、一つはその保険事業の収支、これに要約されるのですけれども、だとするならば、いつあなたの考えが国会の意思に反して単独で動き出したのだろうかという疑問を持ち出してきたわけです。昭和三十年五月二十八日にこの法律が提案されました際の運輸大臣の提案理由説明、これを読んでみますと、あなたのおっしゃるような筋にはなっていない。大蔵省のお役人というものは、どうしてそう時とともに自分のほうで逃げるようなことばかり悪知恵を働かして考えるのであろうか、こういう疑問を私は率直に持っております。必要な部分だけそれを読んでみますと、こうなっております。「諸般の事故防止対策の強化徹低にもかかわらず、不可避的に発生する自動車事故による被害者の保護に万全を期しますため、今世紀初頭よりつとに実施されております諸外国の立法例にならい、自動車損害賠償保障制度を確立するため、本法案を提出したものでありまして、道路運送法第百二十五条の二にあります自動車事故による損害賠償を保障する制度の確立に努むべき旨の規定の趣旨にも沿おうとするものであります。次に、本法案の骨子について御説明申し上げます。第一は、自動車による人身事故の場合の賠償責任を適正にするための措置であります。このために人身事故につきましては、自動車側に故意過失がないとともに、被害者または第三者に故意過失があったことを自動車側で証明できない限り、自動車側に賠償責任を負わせることにいたしまして、その責任を無過失責任主義に近づけたのであります。第二は、自動車側の賠償能力を常時確保するための措置であります。その一は、強制保険制度でありまして、原則としてすべての自動車について、賠償責任保険契約の締結を義務づけるものであります。この場合の保険者は民間保険会社といたしますが、本法案の目的を達成するために、引受義務、非営利的料率の算定等について、保険業法等の特例を設けますとともに、免責事由の縮減等について商法の特例を設けることにいたしております。さらに本保険につきましては、その特殊性にかんがみ、政府がその百分の六十を再保険する措置をも講じております。」こうなっておるのです。あなたの言を介入論と収支論だけで再保険というものが国会に提案されて、この法案ができたものではありません。でありますから、今回原付自動車を保険の対象にする場合、あなたの言われる説は、昭和三十年本法を提案された運輸大臣の趣旨とはおよそかけ離れた理論をお立てになった。この点は私は誤りだと思うので、特にあなた自身でお答えができないとするならば、関係個所と相談をしてこれについて鮮明な態度を表明してもらう必要があると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/68
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069・上林英男
○上林政府委員 ただいま提案の当時の提案理由を拝聴いたしておりまして、国が再保をいたしますのは、この制度の特殊性にかんがみというふうにお聞きしたわけでございます。確かに、その当時におきましては初めての試みでございまして、この制度がうまくいくためにどういう措置が必要であるかということも十分検討する必要があったことはもちろんであったと思いますし、また先ほどから申し上げておりますように、発足の当初におきましては、この保険がうまく成り行くかどうかという問題につきましても、外国の自動車保険の実績等にかんがみて不安もあったことは事実であろうかと思うわけでございます。そういうようないろいろな特殊性にかんがみまして、国が再保をするということになったのであろうかと思います。その後いろいろな経験も経、時代も変わっておるわけでございますが、そういう経験に基づきまして、いま新たに考えてみますと、この原付につきましては国の再保険がなくても十分円滑に運用ができるということは、私ども運輸省とも御相談した結果、運輸省からもそういう御指示があったとおりでありまして、そういう観点から原付につきましては、国の再保をいたきないということにいたしたものと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/69
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070・泊谷裕夫
○泊谷委員 そのときはそのときだった、いまはいまだというお話でありますが、法四十条は「政府は、保険会社が責任保険の事業によって負う保険責任を再保険するものとする。」ときっちりと書いてあるのです。自動車損害賠償責任保険の再保険者が政府であることをきっちりと明示してありますね。大蔵省と運輸省でどういうやりとりがあったか知りませんけれども、そういうおい立ちでこの筋が被害者保護に貫かれております法律、保険金を百万から百五十万に上げるということだけで、そして事故の多くなってまいりました原付自転車を対象にはしておるけれども、再保険をしないということは、何といってもあなた方の説明はこの筋から逸脱しておるといわなければならぬと思うのですが、あなた方のほうとして反論はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/70
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071・上林英男
○上林政府委員 一般被害者の保護という観点に限って申し上げますと、保険会社は国の再保がありませんでも、保険金の支払いに事を欠くというようなことは決してない。むしろいままでの経験によりますれば、事故率その他次第に減少もしてきておる状況でもございますし、国に再保をしないでも十分その職責を果たしていけるというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、そういう一般被害者保護の観点から申しますれば、国の再保を必要としないでりっぱにやっていけるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/71
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072・泊谷裕夫
○泊谷委員 運輸大臣、いま申し上げました法四十条には、明らかに「政府は、保険会社が責任保険の事業によって負う保険責任を再保険するものとする。」となっておるのです。これを原付だけ除外するということは、法違反ではありませんか。四十条を今度改正されるのですか。この点についていま幾ら大蔵省の答弁を聞いたって、大蔵省はねじ曲げようとして話をしておる限り、それは間違っておりました、かんべんしてほしいという話はどうしても出ない。再保険の筋が政府介入と保険会社の採算性だけでこの自賠法が成立したのですか、大臣としてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/72
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073・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 自動車局長からお答え申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/73
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074・坪井為次
○坪井政府委員 この法律制定当時、再保険につきましてはいろいろ論議があったと思うのであります。それでその特徴といたしましては、これが強制保険である。自動車側に、ユーザー側に付保を強制している。また保険会社に対しましても引き受け義務を課しておる。あるいは、保険の料率の算定に営利の目的の介入を許さぬ。こういったような一般の任意保険、自由意思に基づく任意保険とは違って、国が国家権力によって社会保障的、つまり被害者保護のためにこの保険を強制したという意味合いから、その保険運営については国が介入することが適切と考えられるというような趣旨だろうと思うのでございます。それで法律の上で、六割の再保ということがねらいだと思うのであります。こういった趣旨からいきますと、確かにお話のように、今度原付の付保を強制するということになりますと、再保をしたほうが適当ではないかということは十分主張できると思うのでございますが、この前もお話ししましたように、現実論として、今度原付が新たに加わるものであり、その原付の被害の実態、その他いろいろ考えまして、さらにまた事務能力その他を考慮しまして、総合比較して、原付については自動車の再保険を前提とすれば、保険運営の適正化は再保をしなくてもはかれるという見通しがついたので、今回原付については再保険をはずしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/74
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075・泊谷裕夫
○泊谷委員 自動車局長の話も聞きましたが、全然同じなんです。強制加入であり、そして引き受け義務を強制的にやっている。だけれども、通常保険の場合と違って、包括的な再保険の——特約条項を立てるのではなくて、本法自体、この自賠法自体、四十条で政府ということを立てておるというところに自賠法の意義があるのでしょう。特徴があるのでしょう。何と言おうと、政治折衝をしてそういうふうに曲げられたというんだから、これはやはり局長や大蔵省の部長さんでは答弁できないと思うのです。ですからこれはやはり閣僚の席におります中村さんから、この四十条をこら規定しておるということは何としても、——当然政治性を持っておる限りにおいて部分的な再保を制約する、排除するということでは、これは四十条の説明がつかないのじゃないですか。また自賠法の筋が全く壟断されちゃって、法治国家の国民としておかしいじゃありませんか。法のもとにみんな忠誠を誓わなければならないし、同じ保護を受けなければならないのに、そういうかってな解釈を出すということは、一体どういう精神なんですか。法を曲げちゃいけませんよ。大臣にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/75
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076・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 いろいろ問題はあったと思いますが、ただいま自動車局長が答えたようなことによって、今回のような立法になったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/76
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077・泊谷裕夫
○泊谷委員 中村運輸大臣、これ、自動車局長にあとで聞いてください。苦しい言いわけになったが、やっておるのです。うちらもそうです。当委員会はこの問題を提起しておきますから、また金曜日におやりになるでしょうから、これについてよく幕僚と相談をされまして、私どもがなるほどと思う理屈、まいりましたという理屈を持って、もう一辺出てきてもらうことを期待して、これはお預かりにしましょう。私のほうは、これは法違反だから許容されない、必ず原付の再保険はしなければならぬ義務を有しているということだけを申し上げておきたいと思います。
次に移りますけれども、昭和三十年七月二十日の衆議院の運輸委員会の附帯決議の五項、「本法が多分に強制保険の方法で被害者の保護を図る目的を有するものである点にかんがみ、更に国庫負担の増額を考慮すべきこと。」とあるが、その具体的な昭和三十年以降今日までなされた措置について、この際お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/77
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078・坪井為次
○坪井政府委員 国庫負担の増額につきましては、自動車事故による損害賠償の財源は、当然損害賠償責任者たる自動車保有者の集団の負担にのみ帰するのが法令の見地からいって妥当である、そういったような意見もありました。かつ政策的な理由から、附帯決議の趣旨に沿った措置が全然現在までとられておりませんので、この点まことに遺憾と存じますが、今後とも御趣旨に沿って努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/78
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079・泊谷裕夫
○泊谷委員 ですから私はおもしろくないのです。再保険だとか何か政府がさも気を配ったようなことをしていますが、再保険というものは、保険料を掛けるわけですから、だから自動車損害賠償責任保険を社会保障だなどという位置づけでそのことを言われるのはおこがましいと思うのです。でありますが、いまそれを主張しても、法四十条の関連で大きな誤りを犯そうとしておるのですから、その部分がありますので、きょうはその内容だけ明らかにしてもらってこれでとどめておきます。
次に六項。これは政府がいやがる金を出さなくてもしまつのつく話です。「自家保障については、速かに一定の基準の下に相互保険へ移行せしめること。」とあるが、その具体的処理方針を示してほしい。私としてはこの六項から考えて、共済制度による自家保障制度は、いま認められておりますけれども、聞くところによると、これを整理してしまおうなどという話があるやに聞くのです。とんでもない話で、当然自家保障制度というものは認められ、拡大されなければならぬ方向をたどるだろうと思うのですが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/79
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080・坪井為次
○坪井政府委員 六項につきましては、一定の基準のもとに相互保険に移行せしめるというようなこの問題につきましては、本国会でいままでずっと共済制度の問題にからんで論議されてきた問題でございますが、ただ、自家保障を廃止するというようなことに関しましては、われわれといたしましてはそういった考えは持っておりません。この自動車損害賠償保障法は、被害者の保護をはかることを最大のねらいとしているのでありまして、このために自動車側の賠償能力が確実に担保されることが必要なわけでございます。賠償能力の確保の手段としましては、自動車損害賠償保障法は強制保険と自家保障の二つの制度を設けているわけでございます。自家保障制度の実績を見ましても、この十年間において、特に制度に由来する欠陥のあることは考えられませんし、また必要な監督を加えながら、今後ともこの制度を維持していきたい、かように考えておりこす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/80
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081・泊谷裕夫
○泊谷委員 局長のお話が鮮明でありますけれども、議論があると聞きますからひとつ念を押しておきたいのですが、自家保障制度について申請があれば、特段の難点がなければ——制限条項はあります、もちろんありますけれども、適格条項を整えれば許可されるというふうに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/81
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082・坪井為次
○坪井政府委員 これは法にいろいろと基準がございまして、われわれとしては被害者保護に万全でなければならぬという見地から、この基準の取り扱い方について慎重に考えて運用をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/82
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083・泊谷裕夫
○泊谷委員 次の質問もありますから、はしょって大臣にお尋ねしたいのです。
先ほど申し上げたように、いま路面交通に携わっている業種はたいへんだと私は思います。昭和三十七年の国民総生産十九兆のうち、政府が直接関与できる公共投資は五割三分、そのうちの七割五分は東京——神戸間に注入されているということで、その恩恵をこうむっているものを拾ってみますと、海運、造船、鉄鋼、自動車工業など、数え上げれば切りがないのですけれども、ただ路面交通に携わる私鉄、国鉄、それからハイヤー、トラック、これらのものについては何らの恩恵がない。しかも狭い道路で車両を動かそうったって、いまは自動車などという名前は使えない。前の車がころがればうしろの車がころがる他動車だ。
そこでこの自賠法の保険会社に集まる財源ですね。これをただ財投の財源に引き当てるというのは、運輸大臣として何かおかしいのではないか。こういう財源こそ、これら路面交通に携わるものに、かりに信用保証協会その他の条件を出すとしても、ハイヤー企業なり、トラック企業、これらのものへに長期、低利の金の財源として考慮されてしかるべきだと思うのですけれども、大臣いかがですか。これだけは返事できるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/83
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084・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 路面交通に携わっておりますすべてのものは、やはり交通のためにいろいろやっておることは事実でございますから、できるだけそういう方向で善処していくということは、私も適切であると思います。ただ、いろいろ財投等にも限界もありますので、十分なことはできないが、そういうことが逐次行なわれていく方向で検討していくことは、私は適切ないき方だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/84
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085・泊谷裕夫
○泊谷委員 中村運輸大臣は品がよくてよく聞こえないのだけれども、政治的な配慮を受けていない路面交通について、融資上の措置としてこの種の財源を基礎にして何とか路面交通に携わるハイヤーとかトラック——いろいろお上の金ですし、みんなの金ですから、野放しにいかぬでしょう、信用保証協会その他の条件はあるとしても、その金融の道を開くことは、ほかの企業と比べても当然必要な措置ではないかと思うし、大臣も頭を縦に振られておるので、それであるならば、閣内でこの問題を適切な時期に話題に供してもらって、その道を開いてもらうように努力していただきたいと思うのですが、努力していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/85
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086・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 路面交通全体が、最近は泊谷議員も指摘をされるように、自動車が他動車になるような混雑状態でございますので、すべてのそろいう根本的な一つの交通整理といいますか、そういう問題も検討しながら、できるだけ安い長期の金をくめんして、それが直ちに大衆に還元していけるような行き方は、私は適切な方法であると考えますので、機会がある際にはそういう方向で行政の進展もはかりましょうし、さらに政府の財政措置などについてもそういう方向で努力してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/86
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087・泊谷裕夫
○泊谷委員 これは大臣、大蔵省の管轄だなんて逃がさないでやってほしいのです。先日の予算分科会でも、私は建設省の瀬戸山建設大臣にお願いいたしました。道路が新しい長期計画を立てましても、いまの車を収容する能力がどうしてもない。したがって建設大臣としては、主管事務は違いますけれども、車の輸出にできるだけ政府は骨を折りましょう、海外に市場を求めて道路と車両の調和を保とうということに、閣議で話を進めていただくようにお願いしておる問題もあります。これらの問題を全部提起して、ハイヤーの企業もトラックの企業も成り立つようになって、初めてこのハイヤー料金ストップという声が高々になるのです。いまのでは、また何だ、矢つぎばやに上げてはかっこうが悪いから、押えやすいものを二つ押えたなというふうにやゆされないように、ひとつ配慮をお願いしたいと思います。
最後のお尋ねですが、この前の附帯決議第六項の自家保障の問題でもお尋ねしましたが、これは共済制度による自家保障制度を認める方向が正しいとするならば、この間から田邊委員、久保委員が執拗に大蔵省のあなたにお尋ねして、まだどこからかくさびが入って返事ができないようでもありますけれども、いま問題になっております農協は、共済事業として昭和二十三年から出てもう二十年にもなって、全共連からもらった資料によりましても、この資産は三千億をこえているのです、日本生命の次ですよ。通常生命保険会社なんというものは、八十万程度のもので呼吸をしておる。そうしたら、この保障の問題について経理上不安があるなんという団体ではないでしょう。しかも独自の自動車共済を持って、農協として上乗せ保険をやっておりまして、いままで最高五百万を支払っておる。どこのよりも一番いい措置をとっているのに、なぜ大蔵省のみが頑強に抵抗されるのだろう。これは先日田道委員から指摘されました、人員の配置の都合があるのですか。おたくさんのほうから人を出す都合があって、同意できないものなんですか。理屈上からいけば、実態からいけば、あなた方の反論する根拠は何一つ見当たらないと思うのですが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/87
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088・上林英男
○上林政府委員 この問題につきましては先般来いろいろ御質疑がありましたが、この問題につきましていろいろ問題があることは、かねてから申し上げておるわけでございます。
したがいまして、その点について申し上げますと、保険と共済という本質的な問題についていろいろ研究すべき問題がございます。あるいは実際の運営上、これは第三者たる一般被害者の救済という観点に立っておるわけでございます。かつ強制保険でございますので、その運営上につきましてもいろいろ研究すべき問題がたくさんありますので、本件につきましてはなお幾多の問題を考えなければならないというふうに考えているわけでございます。私どもは一般の被害者保護の観点からどういう制度をやったらよろしいかということでものを考えておりますことを、特に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/88
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089・泊谷裕夫
○泊谷委員 いまのお話は、先日の田邊さんや久保さんへの答えと同じなんです。私どももやはり選挙をされて出てくるのですから、大体人並みの耳は持っておるつもりなんですが、なるほどなという話を聞かしてもらってないのがはなはだ残念なんです。気持ちとしては、私らのほうが理屈は勝っているぞ、何で頑強に抵抗されるのだろうという気持ちが私は強くしてなりません。残念ながらぼくは最高学府を出ておりませんけれども……。これはまた先輩の方が別な角度から話を進められると思いますから、これ以上はいたしません。
そこで、おしまいに大臣に、先ほどの、法四十条からいけば再保険は絶対しなければならない、これについては、幕僚と御相談いただいて次の委員会でお答えをいただく。それからもう一つは、これを財源としてハイヤー企業なりトラック企業なり、条件をつげようとも、金融の道を開いてもらいたい。これは閣議で努力をしていただくことになりました。だから、それを強力に推していただきたいと思います。三つ目はいまの問題ですけれども、運輸大臣としても、これは大蔵省と違って、この間から田邊さんや久保さんや、またきょうの私のを含めて、どうも筋としては政府側が弱いなということは胸のうちでお考えだと思います。誤りは二度と繰り返してはまずいし、あとになって、おれは運輸大臣時代にとんだ取りこぼしをしたということはまた気の毒です、私も運輸委員会に所属する一人として……。ですからこの問題も、この委員会終了後、もう相当長いこと審議しているわけでありますから、大臣も積極的にこの問題の打開に骨を折っていただくということにして、終わりにしたいと思うのですが、以上三つ、お願いしていいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/89
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090・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は、この問題は、委員会の皆さん方が英知を集めて慎重審議をしていただいておりますので、最善の結論が得られることを期待いたしておるわけでございます。私もその方向に努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/90
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091・泊谷裕夫
○泊谷委員 以上でおしまいにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/91
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092・肥田次郎
○肥田委員 実は私の質問表を見ましたが、私はいろいろもっと来てもらわなければならぬ人がありますから、きょうは質問をやめておきます。
一つ委員長にお願いしておきたいのですが、先ほど久保委員から私に伝言がありまして、久保委員が昨日要求した資料を、何か勘違いをされておるようで、ここでことばで言えばいいように思っておられるようですが、それはそうではなしに、文書で出してもらいたい、こういうことづけがありましたから、委員長、ひとつ確認をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/92
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093・古川丈吉
○古川委員長 次会は明後十五日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X02519660413/93
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