1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十日(木曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 原 茂君
理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君
理事 前田 正男君 理事 石野 久男君
理事 岡 良一君 理事 田中 武夫君
大泉 寛三君 小宮山重四郎君
野呂 恭一君 三木 喜夫君
山内 広君 内海 清君
出席国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
出席政府委員
総理府事務官
(土地調整委員
会事務局長) 大山 隆君
科学技術政務次
官 田川 誠一君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 小林 貞雄君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局長) 村田 浩君
委員外の出席者
通商産業技官
(公益事業局技
術長) 藤波 恒雄君
参 考 人
(原子燃料公社
理事長) 今井 美材君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第八八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/0
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001・原茂
○原委員長 これより会議を開きます。
まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日原子燃料公社理事長今井美材君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/1
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002・原茂
○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/2
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003・原茂
○原委員長 この際、今井参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださいますようにお願い申し上げます。
委員各位に申し上げます。参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。田中武夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案について御質問いたします。
法律の名前が長いので、これから本法と申します。本法の改正案の内容は三点であります。一点は、時限立法の期限が来たので延長するということ、もう一つは、罰則の点において若干の字句の修正、それから地下資源開発審議会を鉱業審議会と直す、こういう三点でありますが、まず最初に、かりにこの法律が失効した場合はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/4
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005・上原正吉
○上原国務大臣 これが失効いたしますと、探鉱がたいへんやりにくくなる。特例がなくなりますから、どこへでも立ち入り検査をやって探鉱するというふうな特権が原子燃料公社側になくなりますので、たいへんに探鉱がやりにくくなる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 かりにこの法律が失効した場合は、原法の鉱業法に戻って行なうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/6
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007・村田浩
○村田政府委員 そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 そこで、本法は鉱業法の特別法といいますか特例法であります。ことに鉱業法よりか強い立ち入りとか収用とか使用とか、こういう点で規定がしてあるわけです。逐次その点についてお伺いをいたしたいと思うのですが、その前に若干基本的なことをお伺いいたします。
この法律を十年延ばしますと、すなわち昭和五十一年、十年後の電力の需給関係をどのように考えておられるか、これはひとつ藤波君にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/8
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009・藤波恒雄
○藤波説明員 ただいまの御質問は、いま資料を調べましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 実は、その電力全体の需給の見通し、そのうち火力が幾らを占め、水力が幾らを占め、原子力が幾らを占めるであろうかということをまず答えてもらわないと、ちょっと次へいきかねるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/10
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011・藤波恒雄
○藤波説明員 昭和五十年あるいは六十年ころの将来の電力需給の見通しにつきましては、ただいまエネルギー調査会におきまして、せっかく関係エネルギー源、すなわち石炭、重油等の見通しとも関連いたしまして現在検討を進めつつある段階でございますが、この中間的資料に基づきましておおよそのところを申し上げてみますと、昭和五十年におきまして水力が約八百二十億キロワットアワー程度、全体の約二一%程度を占める。それから火力が約二千七百七十億キロワットアワー、七〇%のウエートを占める。原子力につきましては、いろいろの前提条件によりましていろいろ考え方が変わってくるわけでございますが、現在のところ、電力会社等のいろいろな計画あるいは国内の準備体制等から見まして、一応五百万キロワット程度のものを五十年度末に建設するということをおおよそ目標に置いておりますので、それを前提にいたしますと約三百億キロワットアワーということになりまして、全体の約八%弱ということになります。総計いたしまして五十年度約三千九百億キロワットアワー、こういうぐあいに想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 燃料公社にお伺いいたしますが、わが国における原子力発電の開発規模と核燃料需給との関係という一月二十八日に出された資料がここにありますが、これには、いろいろの場合を考えて四つばかりの例があがっていますね。いま通産省の公益事業局のほうであげました、まあ十年先というか、五十年に原子力発電が全体の約八%、そして三百億キロワットアワーということに対して燃料公社の見通しはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/12
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013・今井美材
○今井参考人 ただいまのお尋ねの件で燃料公社がお答え申し上げる問題は、いまのような規模の原子力発電が実施されたとしたら燃料はどうするのだ、燃料資源の問題はどうあるのかというお尋ねかと思いますので答弁いたします。
いまの発電規模に見合う燃料の所要量を計算することはさまざまの仮定が必要でございますので、なかなか一元的にきめることは困難でございます。いまの御指摘の資料の中に盛られておりまする数字は、原子力産業会議の中にありまする一専門部会におきまして専門家が検討をなさいます道程におきまして、燃料使用量等も同時に検討いたしておくべきだという観点でそのような作業をいたしました。その資料はその際に内部で検討されました非公式なデータでございますけれども、散逸させるのはつまらぬことでございますので、皆さまのお手元にに一応お届けいたしました。
さて、その数字は、私ただいま正確には記憶いたしませんが、大体軽水炉ばかりが目標で建設をされますと、かなりな――かなりと申しますよりも想像以上に大きな燃料消費量になるわけであります。ところでこれを節約するのにはどうするかということになりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 いやいや、長いこと要らないんだ。どのくらいのウラン鉱があれば十年後の需要にこたえるだけの燃料を出すか、それは炉によって違うだろうがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/14
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015・今井美材
○今井参考人 非常に大きな軽水炉を主体にして考えますと、天然ウランのU3O8に換算いたしまして、昭和六十年ごろには……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 ぼくが言っているのは五十年、この法律は十年延ばすんだからその時点のことを聞いているんだ。――それじゃちょっと待ってください。委員長、質問の順序を変えましょう。
上原長官、十年後の電力に占める原子力発電は、いま公益事業局の試算によって大体三百億キロワットアワーで全体の八%、その場合に、燃料公社の資料によると、軽水炉だけでやる場合、軽水炉と高速炉でやる場合、あるいは軽水重水高速炉でやる場合、あるいは軽水炉と高速炉とを組み合わせてやる場合といったようなことが予想されておるのです。まず昭和五十一年、この法律の延長の期間である五十一年、そのころには一体中心は軽水炉なのか、今後高速炉をもっと開発していってそれが中心になるのか、そういう見通し、それからまず言っていただきましょう。そしてそれに見合う燃料の供給ができるかどうか、そういうことのほうが質問の順序としていいように思いますので、まず十年後の原子発電における炉はどういうものであろうか、どういうものが中心であろうか、こういうことについて科学技術庁なり原子力委員会ではどう考えておられますか。これは原子力委員会はきょういませんが、あなたも原子力委員会の委員長ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/16
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017・上原正吉
○上原国務大臣 現在開発されて実施されようとしておりますたとえば敦賀、東海、それから三重県等に設置されます軽水炉と申しますか、あれが十年間は中心になっていくのだろうと、いまのところは想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 じゃ、その場合は炉は何が中心ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/18
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019・上原正吉
○上原国務大臣 何と申しますか、在来炉、実証炉と申しますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 いままでの炉ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/20
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021・上原正吉
○上原国務大臣 そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 お聞きのとおり、いままでの炉だそうですが、いままでの炉でやるならば、燃料はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/22
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023・今井美材
○今井参考人 ただいまのお尋ねの時期におきまして必要なウランの量というものを計算いたしますと、ウラン鉱U3O8に換算いたしまして、鉱量U3O8年間約千八百トンくらいと考えております。ウラン鉱とおっしゃっていただいてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/23
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024・田中武夫
○田中(武)委員 ウラン鉱に換算して千八百トンですね。
この提案説明によると、この法律を十年延長して、そうして積極的に開発を行ならならば、「約二万トンのウラン鉱が把握できる、」こういうふうに提案説明で大臣は言っておられる。「なお十年間を要する見込みでありまして、これらの活動によって約二万トンのウラン鉱量が把握できる見込みであります。」この二万トンというのは、いま言っておられる千八百トンとだいぶ開きがありますが、そういたしますと、この法律を延長することによって、もちろん発電以外にも使うだろうと思いますが、いわゆる核兵器だとか、そういうことを考えなかったら――考えてはならぬわけですが、それじゃ十分にウランは確保できる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/24
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025・村田浩
○村田政府委員 ただいま燃料公社の理事長からお答えありました千八百トンと申しますのは、十年後の約五百万キロワットという発電が、大臣の申されました在来炉、この場合、主として、いまの見通しでは軽水炉が中心になるかと思いますが、この在来炉を使いまして行ないましたときの年間の所要量のおおよその推定であります。しかし、原子力発電所をつくりましたならば、当然それを継続して毎年稼動することでございますので、この程度の規模のものでございますと、年間千人百トンでございましたら、約十年余りの所要量に当たる。しかしながら、原子炉というのは一たんつくりますと少なくとも二十年、まあ私ども三十年くらい寿命はあるのじゃないかと思っておりますが、その耐用年数全体にわたって見ますと、二万トンというのは決して多くない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/25
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026・田中武夫
○田中(武)委員 多いとか少ないということじゃなしに、二万トンというのは、十年後に、ずっと探鉱した場合につかめる数量なのですね。年産二万トンが掘れるというわけじゃないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/26
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027・村田浩
○村田政府委員 そのとおりでございまして、わが国の国土内に事業的に採掘可能と考えられる天然ウランの量が約二万トンくらい、このくらい確保できるだろう、こういうことでございまして、これを掘り出しまして使うのは、そのときの採掘状況によって違うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/27
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028・田中武夫
○田中(武)委員 私が結局聞こうとしていることは、これを十年延長することによって、その時点において二万トンは把握できる。それでそのときの電力の状況から見て十分なのかどうかということ。
それからもう一つは、電力業界というか、原子産業界あたりでは、ちょうど石油が北スマトラとかアラビアのように外地で開発しておる、あるいは金属鉱産物にしても海外開発会社というものをつくらしてやっておる、そのように、いまのうちに、この形態は現在の燃料公社でやるかあるいは別個なものでやるかは別といたしましても、海外開発をやってもらわなくちゃ困るといいますか、それが必要であるという意見を聞いているのですが、その必要性についてどうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/28
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029・村田浩
○村田政府委員 御指摘のとおりに、かりに十年後に一応二万トン把握できたといたしましても、わが国の従来の原子力発電計画からいたしまして決して十分でない、むしろ継続的に発展させるためには足らないと申してもいいかと思います。ですから、その場合に備えまして供給源の多様化、そういうことは当然考えなくちゃならないわけでございますが、核燃料物質、ウラン鉱等につきましては、各国ともいろいろ国内的に鉱量あるいは開発度が違っております。それで、どういう形で海外にありますウラン資源の供給を確保するかということは、具体的にいろいろと調査いたしまして、その内容に応じた対策が必要かと思っております。原子燃料公社は当面この措置法の延長によりまして、国内における探鉱を促進したいと考えておるわけであります。もちろん同時にそのような海外における探鉱の可能性ということについても調査いたし、その調査の結果に沿った対策を立ててまいる必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/29
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030・田中武夫
○田中(武)委員 もし海外で開発をやるとするならばどういうところが望ましいというか、どういうところを考えておるか。実は私、昭和三十六年に南ア共和国に行きましたら、空港におりるなりその土地の新聞記者諸君に、ウランを買いに来たのか、こういう質問を受けたわけです。いやそうではない、エネルギー全体の問題で来たのだとは言ったのですが、あくる日の新聞を見ると、やはり貿易ミッションとかというような書き出しで、ウランを買いに来たというようなことを書いておったのです。こちらが言ったことと違ったことを書いたのか、言ったことがわからなかったのかわかりませんが、とにかくそれから察して、南アあたりでは安いウランを売りたいというか、開発してもらいたい、こういうような気持ちがあるように思いました。いま南アではいわゆる人種差別の問題、あるいは英連邦から独立した経過等でちょっと問題があるような点もありますが、そういうことを言われた経験があります。そういう点から考えて、一体どういう方面がいいのか。これは輸送等も考えなければならない。同時に向こうさんの御都合もあろうと思います。たとえば政府機関と申しますか、燃料公社でやるほうを歓迎するのか、あるいはそれ以外の方法を歓迎するのかという、向こうさんの都合もあると思いますが、そういうことについての一応の研究とか調査をしておられるか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/30
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031・村田浩
○村田政府委員 世界における現在わかっておりますウラン鉱の生産国は、ただいまお話しございました南ア連邦はじめ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/31
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032・田中武夫
○田中(武)委員 連邦じゃない、独立したのですから南ア共和国です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/32
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033・村田浩
○村田政府委員 南ア共和国、あるいはアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、こういったところでございます。これは現在生産国としてわかっておる国々であります。特にお話ございました南アでは、従来からも、わが国につきましてもこのウラン鉱を買わないかということについてのいろいろと非公式な話が原子燃料公社等にも参っております。しかしながら、南アにおきますウランの供給は、私ども承知しておるところでは、原子力委員会の管理下にあるわけでございますが、実際には、かつて金を採取しましたために金鉱でたくさんのボタ山といいますか、廃鉱の山ができておるわけですが、当時は見捨てて何ら顧みられなかった鉱津の中にウラン鉱が微量ですけれども入っておる。たしかパーセントにしまして〇・〇二%とか、そういう非常に低品位ではございますが、しかし山を掘って取り出すといういわゆる採掘費というものが要らない。それに目の前に積んであるわけですから、それを処理いたしまして多量のウランをイエローケーキの形にしまして、これを輸出しようとしておる、こういうことであります。
そこで、私どもがここで考えておりますような、どこにあるかわからぬがこの辺が有望地区らしい、そこを調べて、どのくらいの鉱量が地下に眠っているかを把握しようということと南アはちょっと状況が違うんじゃないかと思っております。すでに現在ありますものをひとつ金にかわって輸出しよう、輸出産業としてやりたい、こういうふうな意向で考えておるように私ども了解いたしております。
他方、カナダあたりはリオチント鉱山会社という一種の公団みたいなものがありまして、その会社の管理下にある民有の鉱山がたくさんございまして、これらの民有の鉱山がリオチント鉱山会社との間の契約で長期契約を結んでおるわけですが、毎年幾らというような鉱石を納めて製錬はリオチントが一括してやる、こういう形で供給しております。最近、民有の鉱山会社が長期契約が切れてまいりまして、あとの契約が続かないというために非常に困っておるようでございまして、そういうことから、たとえば最近の事例で申しますと、フランスあたりがそういう鉱山からの長期の供給を受けたいというような交渉をカナダ政府といたしておるということであります。ただ現在のところ、交渉は主として安全保障措置の問題からかなり難航しておるようでございまして、今日まだ結締されたという確認はございませんが、そのような形で、カナダとしましては外国に供給することも十分考えておるのではなかろうかというふうに思っております。
しかしながら、そういった国々とはまた別に、わが国の地位から見ますと、地理的環境から見ますと、東南アジア等が交通上も非常に便利なわけです。東南アジア諸国等の開発ということが今後行なわれるようなことになりますと、東南アジアとの経済協力という観点からも十分考慮してよい問題であろう、こういうように考えられますので、探鉱といいますか、そういった立場からはこういった国々の調査も重視すべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
東南アジアにつきましては、現在わかっております範囲では、インドにトリウム鉱でありますモナズ石が多量にございます。それに伴ってウラン鉱もあるようでございます。しかし、その他は主としてパキスタンあるいはタイ、そういったような国々にも、地層の状況等から見て相当のウラン鉱もあり得るのではなかろうか、そういうふうに思っておりますが、現在まだ十分な探査が進んでおりません。したがいまして、こういった地域の探査ということが、国際協力という場を通じてできてまいりますならば、わが国もそういうような点で大いに協力し、将来の供給源の確保という点にも関連して検討に値する問題ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 それは検討事項、研究事項ということにして次にいきたいと思いますが、藤波技術長にお伺いします。
原子力産業会議の開発計画委員会が出しておる電力需給と原子力発電の長期見通しというのがあります。それによると、ちょうど昭和五十年ごろに原子力発電コストは重油専焼の発電コストに競合する時代がくる、こういうようなことを言っておるのですが、十年後の原子発電のコストはどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/34
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035・藤波恒雄
○藤波説明員 ただいまのお話の原子力産業会議の資料というのは私どもも承知いたしております。それらの前提になっておりますコスト試算というものは、アメリカ等を中心とする諸外国の実情調査に基づきまして、主として先ほど来お話の出ております実証炉と申しますか、すでに大型発電設備としての実証がされつつあるタイプにつきましての実績をもとにいたしまして、それをわが国に導入した場合の想定をいろいろな条件において求めまして得られた想定値でございます。たとえばわが国の自然条件、たとえば地震の問題その他、あるいは地理的条件等によりまして建設費等に加算されるべきファクターとか、あるいは導入に伴うロイアルティーの問題であるとか、あるいは金利その他の諸条件の違いとか、そういうものを加味いたしまして想定された数字でございまして、もちろんわが国における実績はないわけでございますので、アンノーンファクターは残るわけでございますけれども、われわれといたしましては、その資料に載っております想定がほぼ妥当なものではないかと感じております。先ほど申し上げましたエネルギー調査会の原子力産業部会におきまして、この点も含めまして現在審議されつつある、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/35
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036・田中武夫
○田中(武)委員 前置きはその程度にして法律の内容に入っていきたいと思います。
まず、本法第二条で、核原料物質の定義が掲げられております。一方、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、それの二条三項に、やはり核原料物質の定義が掲げられておる。それは原子力基本法第三条第三号を援用しておるわけなんです。そこで同じ科学技術庁がおつくりになった法律、一貫した一つの法律であって、片や規制法のほうは原子力基本法の三条三号を援用しており、片や新たに別の定義を掲げておる。ところが、これを突き合わせたときにその範囲が違いますね。これはどういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/36
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037・村田浩
○村田政府委員 原子力基本法第二条第三号に定められております核原料物質は、御案内のとおり「ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質であって、政令で定めるもの」ということになっております。他方、臨時措置法のほうでは、ウラン鉱とトリウム鉱である、こうはっきり規定いたしてございますので、その規定のしかたの幅から申しますと、基本法の規定よりも臨時措置法のほうが狭くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 狭いのはわかっているんだ。なぜ、同じ科学技術庁が一つの一貫した法律としてきめたときに、同じ核原料物質とうたいながら、意味の違うことを考えておるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/38
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039・村田浩
○村田政府委員 基本法のほうは期限に限定のございませんものでございまして、未来永劫というわけではございませんかもしれませんが、要するに、長期に続く基本的な法律でございますので、したがいまして、今後の研究開発が進みますに従って、核原料物質に規定したほうがよろしいものもあり得るかということで、ただいま申しましたような「政令で定めるもの」ということをつけ加えてあるわけでございますが、臨時措置法のほうは、二つの理由でこれを狭めてあると了解しております。
その一つは、これは臨時措置法、つまり時限法でありまして、現行法では十年以内に廃止するものということで定めました。したがいまして、制定当時の十年という一つの目安からいたしまして、その当時の知識からしますと、ウラン鉱、トリウム鉱ということで十分目的が達成できるのではないかというふうに考えられたこと。
第二は、この臨時措置法が、先ほど田中先生からお話がございましたように、鉱業法の特例法でございまして、鉱業権によらない他人の土地への立ち入りとか使用とか、事業場の使用とか、あるいは鉱物の採取とか、そういう特別な措置を認めております。国民の権利義務に対しまして、鉱業法以上の一つの特例を認めておるわけでございますので、それの対象となります核原料物質というものの幅はできるだけ狭く限定してはっきりさしておくべきであろう、こういう考えのもとに、あえて基本法よりも幅の狭い定義を下しておるもの、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/39
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040・田中武夫
○田中(武)委員 いや、それだけの理由があったと思うのだが、これはあなたと議論するよりか法制局と議論するのがほんとうだと思うのですが、同じ用語、しかも一貫した一つの法律の中にあって、同じ用語で意味が違うということ、そういう前例はありますか。もしそうだとするならば――この法律は原子力基本法を受けて立つものなんです。だからむしろ、そうであるなら、原子力基本法三条三号のうちこれこれというように書くのがほんとうじゃないですか、立法技術として。この点はひとつ法制局と議論せぬといかぬと思うのですが、一貫した一つの法律の中にあって、同じ用語が法律的に解釈が違うといいますか、範囲が違うということに問題がある。しかも、この法律が原子力基本法を受けるものであるならば、原子力基本法三条三号の核原料物質のうちこれこれをいうというのがほんとうの言い方と違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/40
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041・村田浩
○村田政府委員 私、専門でございませんので、法律技術的な解釈のしかたはよくわかりませんが、ただ先生も御指摘のとおり、この臨時措置法は、原子力基本法の第八条ですか、を受けまして制定されたものでありまして、基本法に基づくものであることは明確であります。基本法をつくりましたときから、かかる臨時措置法を制定して、わが国内における探鉱開発を進めるべきである、こういう考え方があったわけであります。そういう明確なる考え方のもとに臨時措置法を制定いたしまして、その臨時措置法の中の核原料物質の定義が、先生のお話のような形にいたさず、つまり同じ原子力基本法に基づいてつくられた原子炉等規制法におけるような定義のしかたでなくて、あえて「ウラン鉱及びトリウム鉱をいう。」というふうにいたしましたのは、当時のことは、私は知りませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 あなたは、理由を二点あげたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/42
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043・村田浩
○村田政府委員 そういうことじゃないかと思っております。法律技術的には、私専門でないのでよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/43
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044・田中武夫
○田中(武)委員 お聞きのように、同じ原子力基本法から出てきた二つの法律なんです。しかも、これは原子力基本法を通じての一貫した一つの法体系の中にあって、用語の定義が違うということ、このことは少し法制局と議論をしたいと思います。この法律制定のときに、そういう議論があったのかなかったのか知りませんが、私は、やはり基本法にのっとってやる限りは、基本法の定義を受けて書くべきじゃないか、そう思うのですが、まあこういうことになるならあらかじめ法制局を呼んでおったのですが、なんでしたら、法制局を呼んでいただいてもいいし、次の機会に譲ってもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/44
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045・原茂
○原委員長 またこの次の委員会でやりますから、そのとき呼んできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/45
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046・田中武夫
○田中(武)委員 この第四条の「処分、手続その他の行為の効力」ということで、「土地の所有者、鉱業権者、租鉱権者又は関係人の承継人に対しても、その効力を有する。」というふうになっております。これは民法の相続からいって――これは民法の特例をなすものですか。特にこういう四条を設けた理由いかん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/46
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047・村田浩
○村田政府委員 法律技術的にこうであろうという明確なる御答弁は、私からはできませんが、私の考えでは、民法にございます同じようなこの規定を特にここに書きましたのは、先ほど私申しましたように、これが臨時措置法で特に強制的な問題を含んでおります、土地の所有者あるいは鉱業権者に対しまして。そういった点から、特にこの両方をここに規定いたしたものではなかろうかと、これは私の解釈でございますが、考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/47
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048・田中武夫
○田中(武)委員 臨時措置法だから、ことにこれはある種の強い措置を含めた法律であるから、特に書いたのだ、そういう御答弁でありますが、これも臨時措置法の場合は、こういう立法例をいままでとっておるのかどうか。民法で当然のことであるならば、それでいいのじゃないか。こうも考えます。「人ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ三年以上ノ懲役二処ス」、これではいかぬから「人は殺すべからず。人を殺したる者は」と書かなくちゃいかぬというのと同じじゃないですか、わかり切った原則の上に、なおかつそのことをうたうということは、いかがですか。これも法制局ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/48
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049・村田浩
○村田政府委員 ただいまの御質問に対して明確なる御答弁をいたしかねますので、調べまして後ほど御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/49
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050・田中武夫
○田中(武)委員 これもそれじゃあと回しということで、そこでこの法律には、これの探鉱をするものは地質調査所と燃料公社であるとはうたっていませんが、それだけになりますね。したがって、ここに通商産業大臣とあるのは、地質調査所がやる場合であり、燃料公社の場合は公社ということばが使ってある。それ以外のものはこの法律による探鉱はできない。そして手続も通商産業大臣がやる場合はそのままで、公社がやる場合は科学技術庁長官の承認を必要とする。科学技術庁長官はその承認を与える場合は通商産業大臣と協議する、こういうたてまえの規定が何カ所かにありますね。それでいいんですか。ということは、本法は鉱業法の特例である。鉱業法の所管は通産大臣である。そこで通産大臣というのを主管大臣として、そして燃料公社がやる場合は、その主管大臣である科学技術庁長官の承認を必要とする、そして承認を与えるときには通産大臣と協議する、こういうタイプになっておるのですね。それでいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/50
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051・村田浩
○村田政府委員 ウランも鉱業法に定める法定鉱物の一つでございます。広くはその鉱業法にかかるものであります。特にその開発を促進するという立場だけでこの臨時措置法を設けてあるわけでございますから、ただいま先生のお話のとおりでよろしいものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/51
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052・田中武夫
○田中(武)委員 そうだと思うのです。そういうタイプの規定が何カ所かあって、そうして今度はそのあとを受けて六条、鉱業権者もしくは租鉱権者は正当な理由がなければ立ち入りを拒んではならない云々。それをやった場合には罰則がある。第七条においては、植物等の伐採がうたわれておる、こういう点において、いわゆるこの法律によって与えられた権利の乱用、こういうことが考えられるのですが、そのことについてどのような配慮がなされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/52
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053・村田浩
○村田政府委員 そのような措置法の乱用が行なわれることは望ましくないことでございますので、この措置法に定めました他人の土地への立ち入りとかあるいは植物の伐採とか鉱石の採取とか、そういうことを実際に行ないますにあたりましては科学技術庁長官の承認を受けて、みだりに他人の権利義務を侵害するものではない、国の目的を遂行する上にこれは必要なものであるかどうか、そういうことを十分検討しまして、その承認を与える。その際にさらに鉱業法全般についての責任官庁でございます通産大臣とも協議いたしまして検討して、その点においてみだりに国民の権利義務を侵犯するものでないという見通し並びに国の目的にこれは沿うものである、ぜひやらせなければならぬものであるという判断を加えて初めて実施できるようにさせてある、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/53
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054・田中武夫
○田中(武)委員 法のたてまえを言っているんじゃないのです。実際の場において、往々にして権利乱用があり得るわけなんです。そういう実際の場においてはどういうような配慮がなされておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/54
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055・村田浩
○村田政府委員 この措置法が制定されて約十年に相なるわけでございますが、実際にこの措置法に基づいてこの権利を行使したということはなくてまいっております。これは実際に鉱業権者あるいは租鉱権者等と協議いたしますに際して、この法律がございますことが重要な意味を持ちまして、これまで原子燃料公社と土地の所有者あるいは鉱業権者との話し合いを円滑に進めさせる原因になっております。少なくとも今日までは、この法律を発動しまして実際にこの権利を行使したということはございません。したがいまして、ただいまのようなことで、科学技術庁長官が承認を与えるについてどのような検討を行なったか、あるいは通産大臣とどのような協議を行なったかということは、理念的に申し上げたわけでございまして、現実の事例はまだ起こっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/55
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056・田中武夫
○田中(武)委員 そうしてその次に今度は、強制的に土地の使用、収用の規定が並ぶわけですね。その場合に、最終的には土地調整委員会の裁定ということになるわけです。
そこで土地調整委員会の委員長にお伺いしますが、その裁定を下す場合にいわゆる補償金額、そういったものの基準はどうしてするのか、あるいはその地域、期間等はできるだけ最小限度にとどむべきだと思うのですが、そういうようなことに対しては土地調整委員会はどのような配慮をし、それから補償を決定する場合にはいかなる基準をもってきめておられるのか。その前に、そのことによる使用あるいは収用等について裁定をしたことがあるのかないのかということも聞かなければならぬと思うのですが、いま言ったようなことについてひとつ土地調整委員会から――あまり土地調整委員会というのは国会に来て質問に答えるようなことはないので、商工委員会でも来てもらったことはないのだが、きょうは特に少し議論してみたいと思うのです。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/56
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057・大山隆
○大山説明員 委員長はちょっと所用がございまして参れませんので、事務局長の私がかわりに参りました。
ただいまの問題、核原料物質開発促進臨時措置法に基づきます土地の使用、収用というものにつきましては、この法律ができまして以来、一度土地調整委員会のほうに原子燃料公社のほうから、あるいは場合によっては土地使用をお願いするようになるかもしれぬという話を、これは昭和三十二、三年ごろ、あるいは記憶違いがあるかもしれませんが、そのころ一度ございましたけれども、結局現地のほうで円満に解決がついたということで出てきておりますので、該当事案は一度もないような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/57
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058・田中武夫
○田中(武)委員 じゃ、あった場合を仮定して、そういう裁定を下す場合の配慮。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/58
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059・大山隆
○大山説明員 これはたしか法律でもって使用の期間は一年以内ということになっておりますので、土地調整委員会としましては、使用の場合は法律の一年というものにやはり縛られまして、その中でなるべく短期間ということは条件づけられると思いますけれども、具体的にその行使をするのにどのくらいの期間がかかるかということについては、実は一年でもって足りるのかどうかということについては、法律制定当時にもだいぶ疑問がございましたけれども、やはり一年ということになっておりますので、使用の場合は、期間は非常に短縮せざるを得ないだろうというふうには考えております。ただ、公社なりあるいは地質調査所あたりでやられる調査に必要な期間というものはやはりあるんじゃないか、それもなるべく短縮した期間でやりたい。
それから補償につきましては、どの程度の補償額を考えるかということは、これはやはり土地収用法の原則につきまして、近傍類地の地価あるいは通常生ずべき損失というものは加味しなければいけないであろうということで、これにつきましては、最近は法律が変わりまして、土地調整委員会でだいぶ権限が縮小になりまして、その補償関係は土地調整委員会の範囲からはずれてまいった傾向が多うございますけれども、当時におきましては、土地収用法のうち、鉱業法に基づいて土地収用委員会が収用の裁決をした場合は、その補償の額についても土地調整委員会が裁定をするということになっておりまして、補償額については相当研究しておりましたので、そういう資料に基づいてやれるのではないか、こういう考え方を持っておりまして、大体土地収用法と同じ線でいけるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/59
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060・田中武夫
○田中(武)委員 その裁定に不服の場合の訴訟ということが第二十三条にうたってある。これはまず裁決の「通知を受けた日から六十日以内」、こううたってあるのですが、土地調整委員会設置法の四十九条には、裁定書の「正本が到達した日から」とある。これは「通知を受けた日から六十日」というのですが、これは一緒ですか。いわゆる裁定書正本到達の日からと解釈していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/60
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061・大山隆
○大山説明員 大体同じと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/61
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062・田中武夫
○田中(武)委員 それから、土地調整委員会設置法の五十条には、裁定に対して訴訟を提起することができるとある。それは裁定の範囲全体であります。ところが、この法律は、補償金額の不足の場合、不服の場合のみとなっていますね。土地調整委員会の裁定に対して不服の訴訟の場合は、たとえば使用地域、あるいは使用の期間が、補償金以外にあるわけですね。ところが土調法の五十条と違った規定をここで置いて、特に補償金だけにとどめたのはどういう特別の理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/62
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063・大山隆
○大山説明員 土地調整委員会設置法五十条のほうの規定は、これはどちらかと申しますと行政不服審査法改正のときに入れました規定でございまして、土地調整委員会の裁定について、普通ですと、これは収用裁決でございますね。これは行政処分でございますから、これに対しては異議の申し立てができる、まっすぐ訴訟へいけるんだという意味でこれを加えまして、だから結局、補償額以外について土地調整委員会の裁決に不服のある場合、たとえば土地の範囲だとか、使用の期間あたりについて不服のある場合は、まっすぐ訴訟へいってください、こういうことをきめまして、ただ行政事件訴訟法のほうで、それは行政事件訴訟法の中のいわゆる抗告訴訟の形になっております。それからこの臨時措置法のほうは補償金額の問題なんで、行政事件訴訟法のほうは当事者訴訟という形になっております。訴訟形態が違いますので、別に書かれているのでそれは統合しなかった、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/63
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064・田中武夫
○田中(武)委員 訴訟形態が違う。しかし、土地調整委員会の裁定に対しては、その全項目に対して不服の訴訟が起こされて当然なんです。そうでしょう。ところがこの場合は補償金額のみに限定しておる。それじゃ、この法律による土地調整委員会の裁定なるものは補償金額のみかといえば、そうじゃないのです。使用、収用の土地の区域、あるいはその期間、時期等についても裁定せられるのです。ただ多くの場合は、補償金に対する不服だろうと思いますが、もちろんこの法律では、一部を使用あるいは収用せられたために他の残地が使用不能の場合は、それを全部を対象にしてくれということができるとかなんとかいう規定はあります。ありますが、しかし土地調整委員会が下した裁定の内容は、土地の区域とか時期とか期間をも含めてやられるのです。そのうちのいわゆる補償金のみに訴訟を許したということは、これはどういうことです。憲法違反じゃありませんか。まあ違憲論はまたあらためてやりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/64
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065・大山隆
○大山説明員 これは先ほど私の御説明がちょっと至らなかったと思いますけれども、臨時措置法の四十一条の訴訟の規定は前からございまして、これは補償金額につきましては、土地収用法と同じように、行政訴訟のほうで申します当事者訴訟にするという形になっておりまして、結局不服金額については、その裁決をした土地調整委員会を被告にしないで、公社もしくはそういうものを被告としてやるという規定でございます。それから土地調整委員会が核原料物質開発促進臨時措置法に基づきまして裁決した場合は、これは行政訴願の道、行政不服審査の道はなくて、まっすぐ訴訟にいく形になっております。これは行政処分の取り消しの訴えというので、この部分につきましては、土地調整委員会が被告となりまして、訴訟にいける。その訴訟形態のときは、被告を変えるという形でこれができておると思います。訴訟には両方ともいけることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/65
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066・田中武夫
○田中(武)委員 いやいや、この四十一条はこれこれを被告とするという書き方なんですが、その訴えの内容は租鉱料だとか補償金のみに限定していますね。これはおかしいじゃないかと言っている。一般の場合は裁定の全項目にわたって訴訟の対象になるのでしょう。ならないのですか。それは金額以外のことはどうするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/66
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067・大山隆
○大山説明員 非常に説明がへたでございますので……。土地収用法の場合にも、土地収用委員会が裁決をしました場合に、補償額だけについては当事者訴訟という形で、これは起業者を被告として訴えにくい。この場合は別途行政不服審査の道も開かれておりますけれども、訴訟の道も開かれておりまして、収用委員会が裁決しましたいまの土地使用の範囲とか、使用の期間、あるいは収用の範囲というものにつきましては、これは訴訟を起こす場合その道は封じられてない。ただこれは収用委員会を被告としての訴訟の道が開かれておる。それは別に法律にははっきり書いてございません。土地収用法のところと同じ書き方をしておる、こういうふうに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/67
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068・田中武夫
○田中(武)委員 じゃ、この規定は、金額に不服の場合に土地調整委員会が被告じゃなく、相手じゃなく、国または公社を相手どってやりなさい、そのほかのものは土地調整委員会を相手どってやりなさい、こういうように読むのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/68
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069・大山隆
○大山説明員 そういうふうに理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/69
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070・田中武夫
○田中(武)委員 これは土地収用法もそうであるというだけでは納得できかねるのですが、裁定を土地調整委員会がやった金額だけはその相手方に要求する。その他のことは土地調整委員会を相手どって行なうのだ。その辺、土地収用法がそうだから、これもそれでいいということは、問いをもって問いに答えることであって、そういうことがはたしていいのか悪いのか、根本的にひとつ考えてみましょう。どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/70
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071・大山隆
○大山説明員 この問題につきましては、確かに田中先生のおっしゃるような疑問点がございまして、実は行政事件訴訟法の前の行政事件訴訟特例法、あれの改正のときに、その前は、土地調整委員会は鉱業法に基づきました土地の使用、収用の裁決につきましては、収用金額についても土地調整委員会が裁決できるのだというような規定がございましたが、それもその改正のときに省かれまして、そのときに土地調整委員会が非常に抵抗を示しまして、当時の法務省とずいぶん折衝いたしまして、法制局のほうに行きましてがんばりましたけれども、前はたしか農地法関係でそういう規定がありましたが、農林省もその点は当事者訴訟にするということに折れて、土地調整委員会だけががんばるのはおかしいじゃないかというおしかりを受けまして、委員会としてもおりたということでございまして、土地調整委員会としては、当時から自分のした裁決につきましては最後まで責任を持って、補償額についても自分が被告になっていいじゃないかという考え方を持っておりましたけれども、一般にそういう訴訟制度というのは法務省のほうで認められない。民事局のほうでそういうのは認めるわけにはいかぬ、こういう線で、おりたような経過がございます。一応それだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/71
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072・田中武夫
○田中(武)委員 いや、法務省がどうであるとか、土調法には訴訟に対する法務大臣との関係なんかも何か書いてあったと思うんですが、そういう規定もあると思うのですが、そのときの経過をいま言われたのですが、もう少しあとでこれは聞かしていただきたい。私はこの点、ちょっとおかしいのじゃないか、こう思うので、ひとつ研究課題にしてみたい。調整委員会、よろしいか。法務省に気がねするとか、法制局がどうだということでなしに、ざっくばらんにその経過なり交渉なりを一ぺん資料で出してもらいたい。この点は、土地収用委員会と同じようなことをやる。だから一方がおりたから、こちらもおりねばならないということは私はちょっとおかしいんじゃないかと考えるわけです。これは委員長、いま言っているようにひとつ経過を出してもらって一ぺん検討してみないと、これは大げさに言うならば、憲法の関係まで出てくるのじゃないか、そこまでは議論は発展せぬとしても、こじつければできぬことはない。ひとつ研究課題にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/72
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073・原茂
○原委員長 では、次会までに検討していただいて、またおいでいただくようにいたしますから、そのつもりでお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/73
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074・田中武夫
○田中(武)委員 それからこの法律の改正点の一つですが、いままでの地下資源開発審議会を鉱業審議会に変えるというのは、通産省設置法か何かでそういうのが変わったからですか。それはどういうわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/74
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075・村田浩
○村田政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/75
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076・田中武夫
○田中(武)委員 通産省設置法の二十五条に附属機関としてずっと何とか審議会というのが書いてあります。それがいつ地下資源開発審議会から鉱業審議会に変ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/76
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077・村田浩
○村田政府委員 三十七年四月の通産省設置法の改正において、地下資源開発審議会が新たに鉱業審議会というふうに改正になりました。それで変えてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/77
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078・田中武夫
○田中(武)委員 それはおかしいじゃないですか。三十七年にそういうように通産省設置法で変わったなら、もう地下資源審議会というのはなくなったのでしょう。なくなっておるのが三十七年から四十一年の今日まで、法律の上に残っておるというのはおかしいじゃないですか。これはそのときの立法上のミスじゃありませんか。そういうような場合は、附則か何かに持ってきて全部変えるのが普通じゃないですか。いまここでこの法律の改正が出たかうこの機会にということですが、かりにそうでなかったらいつまでほっておくのです。これはむしろ設置法改正のときに、あらゆる法律にそういうことが出ておるのは、何々法の何条、何条のこれこれはこれこれと読みかえる。こういうことを附則でやるべきなんです。やっていなかったということは、これは通産省設置法を変えるときのミスであったのか、そのときに自分のところにもそういうものの関連の規定があるということを気づかずしてそういうことを言わなかった科学技術庁のミスかしらぬが、これは大きな立法上のミスですよ。認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/78
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079・村田浩
○村田政府委員 御指摘のとおり、本来通産省設置法を改正いたしますときに、その附則でこの臨時措置法を含め、地下資源開発審議会とありますのを、鉱業審議会と読みかえる規定が必要であったろうと思います。その点、それがなされておられませんでしたので、今回このように変えたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/79
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080・田中武夫
○田中(武)委員 これはもうそう言えばそれで済むことですが、これは大きなミスですよ。一つの法律が変わって、それに関連したものが直っていないということ、しかも、ありもしないものが三十七年以来この法律には書いてあるということ、当然設置法のときに検討すべきですよ。そういうことはどこの責任なんですか。法制局か、通産省か、技術庁か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/80
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081・村田浩
○村田政府委員 関係いたしております省庁全体にわたる責任であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/81
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082・田中武夫
○田中(武)委員 科学技術庁はどうも法律に弱いのだな。法律屋もおるわけだけれども、高文行政科を通った人がいま何人おるのだ。こんな法律の第一歩のミスを今日までほっておくというのはどういうことなんです。改正にあたって初めて気がついたのか、それとも、その当時気がついておりながら今日までほっておったというなら、これまた問題です。どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/82
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083・村田浩
○村田政府委員 三十七年当時の事情を私ちょっとつまびらかにしないわけでありますけれども、私の承知いたしております範囲では、昨年以来この臨時措置法の延長問題といたしまして検討いたしましたときに、これも直さなくちゃいかぬということであったと記憶いたします。これは臨時措置法は廃止するにいたしましても、いずれにいたしましても、経過措置につきまして新たな法律を提出する必要があるわけでございまして、そういう意味で、廃止法案をつくるか、延長法案をつくるかということで検討しました際に出てまいりました問題である。私の承知しますところではそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/83
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084・田中武夫
○田中(武)委員 三十七年当時の局長がどうだったか、これはもう済んでしまっておるのだが、ともかくこれはでたらめですよ。ありもしない審議会の名前が、四年も法律に残っておったというようなことは、たいしたことではないですが、しかしそのこと自体は法の権威から重大ですよ。名前が違うものが書いてあったからといって、実際は鉱業審議会というものでやっておったのだから、別に実質的にたいしたことでなかったかしらぬが、立法上の形式論としては重大です。といって三十七年当時の人を責めてもしかたがないのですが、これは一体どうしますか。だからいま直そうということだろうがね。少しあわてて基本法以下の法律をつくって、それから後にも、法律に弱いので、これを一ぺん全部洗い出してひっくり返したら相当な、先ほど私の指摘した定義の置き方等から、いろいろなものに食い違いが出てくるのじゃないですか。大臣どうです。お聞きのように、科学技術庁は科学に強いかしらぬが、しかし設置法に権限をきめられ、そして、その上に立って科学行政の調整機関としての役所、しかも時代の寵児原子力というものに対して専管をしておる。もちろん発電炉に関することは通産省ですが、その法律が、ちょっと私ゆうべ一時間ばかり見ただけで二点、三点欠点が出てくるようなことじゃ、本気で調べたらどういうことになるかわからぬでしょう。大臣、一ぺんこの法律全部洗い出して検討する必要があると思いますが、どうです。私は、ほんとうのところ、これはもう次長も御承知のように、何にもなかったのです。できることなら、忙しくてしようがないから、きょうは質問やりたくないと言った。もうだれもやらなければしようがないからと思って、テレビを見ながら一時間ばかり条文をちょっと目を通しただけで、これだけのミスを発見したのですよ。本気でやったらえらいことになりますよ。大臣どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/84
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085・上原正吉
○上原国務大臣 どうも仰せのとおりのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/85
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086・田中武夫
○田中(武)委員 簡単に大臣に頭を下げられたら、それ以上言うことができないのだが、ともかくこれは鉱業法の特例として、たとえば三十八条あたりでも、租鉱権に関する特例で、鉱業法では五年のところをここは十年、こういうようにウランあるいはいわゆる核原料物質の開発に特例を設けた、こういうことで一応理解いたします。いままで私が指摘してきた点、あるいは疑問として残った点については後日検討し、あるいは議論していきたい、こら思っておるわけなんです。
そこで、この法律は、探鉱は地質調査所と燃料公社が行なう。そして租鉱権あるいは採掘権、これは他のものが行なうわけですね。租鉱権の設定は公社がやるのですか、探鉱したときに。それから採掘はどこかにやらす、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/86
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087・村田浩
○村田政府委員 探鉱も含めまして核原料物質の開発――これは採鉱、さらにはその後の製錬まで入るわけですが――は、もちろん公社にも公社法によりましてやらせるようにしておりますが、民間企業が行なうことを妨げておりません。しかし、この法律は、地質調査所並びに原子燃料公社をしてその開発を行なう、これを促進させるための法律でございますので、公社についてのみ租鉱権の設定等についてのこういう特例を規定したわけでございます。民間企業が行ないます場合は、もちろん通常の鉱業法によりまして行なわれるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/87
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088・田中武夫
○田中(武)委員 この法律にちょっと目を通したときに、地質調査所と燃料公社のみに適用するとは書いてないですね。どこかに書いてありますか。しかし、たてまえはそうなっておる。そこで、そのことは、考えようによれば、ウラン等核原料物質の探鉱はこの二者でやる、民間がやってはいけないのではなかろうかという解釈も出てくるが、そういう禁止はないですから、やれるのだ。やれるのだけれども、そのときには鉱業法でやる。このニ者に対してのみ特別の特権を与える、こういう法律ですね。しかし、その中に、たとえば四十五条ですか、何か奨励金とかいって、民間に金を出すような規定もありますね。そういう規定も、それから賞金だとかいうことも、含まれておる。そこで、この二者がやるのだが、民間がやった場合には、奨励金を出すことやら、あるいは賞金を出す場合がある、こういうように理解していいのですね。
それから、先ほど二つのみに適用するということだったが、私、附則を見なかったけれども、附則かどこかに書いてあるのですか。法律からは当然、通産省と燃料公社ということで、そう読めるのですが、附則にも書いてないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/88
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089・村田浩
○村田政府委員 法の第三条あるいは第五条等におきまして、「通商産業大臣又は原子燃料公社は」云々というふうに、はっきり規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/89
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090・田中武夫
○田中(武)委員 いや、その三条の探鉱計画、五条その他で、「通産大臣又は公社」と、こうあるから、私が言っているように、法律の内容から見れば、この二者しかこれは適用ないということがわかる。しかし、まず前提として、この二者が探鉱する場合に適用する法律であるということは、うたってないですね、こう言うておるのです。その根拠は、法律の内容の個々の条文から、「通商産業大臣又は公社」ということばが何回か出てくるから、くみ取れるわけなんです。しかし、その前提はうたってないが、実際は通商産業大臣または公社しか適用ないように書いてあるのだからね。しかし、読み方によると、いま言ったように、それでは第三者の探鉱は禁じておるのか禁じてないのか。禁止規定がないからやれるのだ、やる場合はもとの鉱業法の適用を受けてやるのだ、これは当然出てくる解釈ですが、そうなんですね。その場合、いわゆる最初の目的に、原子力基本法に基づいてこれこれをすることを目的とするというあたりに、地質調査所あるいは通産省でもよろしいですが、通産大臣または公社が行なうときに、探鉱あるいは開発を行なうことに対する特例であるというように目的にうたう必要はありませんか。もしそれでうたうならば、「通産大臣又は公社」というようなことばをあらゆるところに出してくる必要もない。立法上の技術として、そのほうがスマートではなかろうか、しかも、そのほうが解釈も的確に行なわれるのではなかろうか、こう考えるのですが、これも技術庁では答弁できなくて、法制局とやりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/90
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091・村田浩
○村田政府委員 この法の第一条でこの法の目的を掲げておるわけでありますが、この目的は「核原料物質の開発を促進する」ということにあるわけでございまして、この根拠法になっておる基本法にもございますように、国全体としての開発が促進されてしかるべきであるわけでありますが、しかし、特に国として、国の目的から、地質調査所及び原子燃料公社につきましては、以下に述べる第五条その他における業務を、特例法を設けてさせたいということで、このような法体系でできておるものと私理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/91
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092・田中武夫
○田中(武)委員 いやいや、そうではなくて、法律の第一条をぱっと読んだら、この法律は何が目的かということがわかるのが普通ですよ。これだけでは、探鉱をする場合に、との特例法の適用を受けるのは、地質調査所と燃料公社だけだということが、この各条文の頭を読んで、初めて理解できる、総括的にほかのものには適用しないのですから。だから、目的のところかどこかで、ばんとうたうのがスマートではなかったか、こういうのです。――まあ、よろしい。法律的な点はまだありますが、この次ひとつ法制局を呼んでもらいましょう。
最後に、といっても、きょうの最後ですよ、この法案の審議の最後じゃありません。ちょっと方面を変えて、一言だけ聞いておきたいのです。
たしか今度の科学技術庁の予算の中に、海底調査船か何かを建造する予算がついておったと思いますが、この海底調査船というのは、どういうもので、潜水艦と比べれば、軍艦じゃありませんと答えられるだろうが、潜水艦とはどう違うのか、あるいは海底調査船がいわゆる原子力潜水艦の研究につながらないか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/92
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093・上原正吉
○上原国務大臣 海底調査船は、船といえるかどらかわからぬぐらいのものなのです。船のようなかっこうをしておるということで、目的は、海の底深く沈んで、底とまわりとを調査するということなんでして、動くことは動くのですが、あまり早く動かない。つまり何といいますか、それに母船が要る、つり下げる、こういうようなものなんでして、一人で動けるものではないので、船といえるかどうかはむずかしいくらいなものなのです。船のかっこうをしていますからへ海底調査船、こういうことなんでございまして、潜水艦にはならないものなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/93
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094・田中武夫
○田中(武)委員 いま一つの国民の警戒しているといいますか、危惧していることは、何回も政府は、自衛隊は核武装はいたしません、こう言っておる。ところが、だれかが言ったんですね。現在の日本の原子力の開発というか、研究開発の状態においては、核兵器は持てるんだ、つくることはできるんだ、しかし、憲法とか自衛隊法の関係で持たないんだ、あるいは原子力基本法もそうですね。そういうように、持つ実力はあるのだが、憲法とか自衛隊法とかあるいは原子力基本法――自衛隊法はどうかと思いますが、何かそういう議論がありましたね。そういうことに関連して、海底調査船というのは、やはり原子力潜水艦のはしりではなかろうか、あるいは原子力潜水艦を研究する前提ではなかろうか、水の中をもぐるのは、一緒ですから。ただ、それが何万海里動くのと、何百メートルか何か知りませんが、そこが違う、あるいはガラスと鉄板と違うというようなことはあるとしても、そういう危惧があると思うのです。それを払拭するための措置といいますか、PRといいますか、そういうものは必要ではなかろうかと思うのです。これは、長官、必要だと思うのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/94
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095・上原正吉
○上原国務大臣 私が承知する限りは、そういう疑念は全然ないのでございますけれども、世間一般に、あるいは議員の皆さま方に、そういう御疑念があるとすれば、それを一ぺん見ていただくのが一番早いのじゃないかと思います。そうすれば、一ぺんに解明するのじゃないかと思うのであります。船とは名ばかりで、船といえるかどうかわからぬものなのです。もちろん、原子力などはどこにも使いようのないものなのでして、原子炉などは積みようもないものです。いま官房長が言っておりますけれども、三億円しかかからないので、とにかくどうにも試験も実験もできるようなものではない。この船は、ただ海底深くもぐって調査するということのためだけのものなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/95
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096・村田浩
○村田政府委員 先ほど田中先生から御質問がございまして、検討事項になっておる項目が一、二あるわけでございますが、その中で、核原料物質の定義が、基本法第三条第三号によります定義と、この臨時措置法における定義とが違っておる、基本法に根拠を置くこの措置法での定義が、どうしてこのように別に違った形で定義されておるのか、こういう御質問であったわけでございます。
従来、いろいろ出ておりますように、臨時措置法は、基本法に基づく法律であると同時に、鉱業法の特例法であるという性格を持っておるわけであります。ところで、鉱業法のほうでは、定義の中で、たしか鉱業法の第三条と思いますが、その中で核原料物質としてはウラン鉱とトリウム鉱の二つだけしか定義されておらない。その他政令で定めるものという形が入っておりません。
そこで、探鉱であるとか、採鉱であるとか、その仕事の内容は、鉱業法に定める鉱業に類似する行為を行なう、それを対象といたすものでございますから、同法の趣旨からも、一応この法における原料物質の定義は、ウラン鉱、トリウム鉱というふうに定めるべきではなかろうか、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/96
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097・田中武夫
○田中(武)委員 私は、鉱業法の改正せられた時期と、この法律が制定された時期が一緒であるか、あるいはどっちが先であるか知りませんが、この定義だけは、鉱業法ができたときには、核原料物質というようなものはおそらく考えられなかったと思うのです。だから、この辺のところはどっちが早いのかということと、やはり原子力基本法を受けているんだから、原子力基本法三条三号の中のこれこれだ、あるいはその中で、鉱業法で定めるこれこれというような書き方をしてもいいが、私の疑問に思っているのは、一貫した一つの法律の流れの中で、同じ用語が違ったことに使われているということ、範囲が違う、そのことを指摘しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/97
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098・村田浩
○村田政府委員 御質問の趣旨はよくわかっておるのでございます。どちらが先にできたかということですが、この臨時措置法は三十一年五月に制定されたのでありますが、鉱業法の中にウラン鉱及びトリウム鉱を法定鉱物として入れましたのは、その前でございます。その入れました時期は、日にちははっきりいたしませんが、その前に、まず鉱業法のほうに法定鉱物として規定しまして、その後にこの臨時措置法ができた、こういう手順になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/98
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099・田中武夫
○田中(武)委員 それなら、通産省のほうで、鉱業法改正のときに――それは基本法よりか先ですかあとですか、その改正は基本法を受けて考えるべきであったと思うのです。だから、その辺のところは、一ぺん基本法は何年何月、これは何年何月、そうして成立はいつだ。こういうような表でもつくってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/99
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100・村田浩
○村田政府委員 基本法は昭和三十年十二月でございますが、この措置法よりも前でございます。鉱業法にウラン鉱、トリウム鉱を法定鉱物として入れましたのは、その前と記憶いたしておりますが、はっきりした年月はちょっとここではわかりませんので、その点は後ほど調べまして、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/100
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101・田中武夫
○田中(武)委員 これはここでの議論でなしに、本職の商工委員会に戻ってなにしますが、原子力基本法ができる前に、鉱業法を改正したんですが、その辺のところをひとつ資料としてととのえてくだざい。こちらも検討します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/101
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102・原茂
○原委員長 岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/102
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103・岡良一
○岡委員 時間もありませんから簡単に、ちょうど大臣も理事長もおられるから、一言二言お尋ねをしたい。
前々から委員会で私は、日本における核燃料サイクルの確立のためには、原料物質もまた燃料物質も民有化すべき段階ではないということをたびたびいろいろな角度から申し上げておる。ところで、原料物質が閣議の了解で一応民有に移されましたが、そのときにはただ天然ウランだけを民有に移すということであったのか、まだ何かほかに付帯的な閣議決定事項があったのか、そしてそれはいつごろでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/103
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104・村田浩
○村田政府委員 天然ウランの所有を民間に認めることを閣議で了解いたしましたのは昭和三十六年の九月でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/104
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105・岡良一
○岡委員 そうすると、私も実は法律には非常に弱いほうなのですが、この原子燃料公社法によると、「原子燃料公社は、原子力基本法に基き、核原料物質の開発及び核燃料物質の生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に」云々と規定してある。それでその業務として第十九条には「核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱を行うこと。」「核原料物質の輸入並びに買取及び売渡を行うこ
と。」、こういうことに規定してあるわけなので、もしこれがかりに民有に移されたということになれば、当然それに伴う法改正というものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/105
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106・村田浩
○村田政府委員 核原料における公社法等につきましての改正は必要がないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/106
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107・岡良一
○岡委員 しかし、それでは公社法の第一条の「核原料物質の開発及び核燃料物質の生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、」、このことは、燃料サイクルの自主的確立ということが私はこの法律制定当時の一つの大きなねらいだったと思うのです。であるから、それが民有に移されるということになれば、この重要な目的がやはり阻害される危険はなきにしもあらずと私は思うわけです。そういう意味で、やはり燃料公社法というものについても、民有に移したならば、そこにはそれなりな改正があってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうして必要ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/107
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108・村田浩
○村田政府委員 ただいま御指摘のございましたような総合的かつ効率的な管理とか計画的な利用ということは、当然原子力基本法に基づきましてわが国の原子力研究、開発、利用を進める上の基本的な方針でございますが、この方針を実施してまいりますのは原子燃料公社法のみではなく、たとえば原子炉等規制法の運用等においても行なわれるわけでありまして、核燃料サイクルの確立という基本的な方針あるいは安全管理というような問題は、この原子炉等規制法等の改正を通じ総合的に現在の法体系においてできるものという判断を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/108
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109・岡良一
○岡委員 規制法はこれらの原料物質や燃料物質の安全確保の問題とか、あるいはそれらの使用目的の平和目的を確保するというようないわゆる規制法です。しかし原子燃料公社法第一条のこの「核原料物質の開発及び核燃料物質の生産並びにこれらの物質」すなわち原料物質、燃料物質を含めての管理を総合的かつ効率的に行なう、これはやはり燃料公社の仕事でなければならないかと思う。したがって、業務においても、売り渡し、引き取り輸出入は公社の使命だということに、それを受けて規定される。
それじゃ今井理事長に聞きますが、あなたのほうの燃料公社としては、この民有化というようなことは燃料公社法の改正なしにでも可能であると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/109
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110・今井美材
○今井参考人 いろいろの面がございましょうと思いまするが、先ほどから御指摘の燃料サイクルの実施などということはもちろん大きな問題と思います。しかしながら、燃料公社がこれを実施してはならないということにいまはなっておらないと思います。それはおいおい実際問題が出てまいりましたときに処理できるごとく、常時検討はいたしておるつもりでおります。だから、そのような実態に逢着いたしましたならば、よく国の方針と合致するごとく処置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/110
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111・岡良一
○岡委員 さらに燃料物質からこうした範囲にまで民有化を進めようという方針を原子力委員会はとっている。そういうことで先ほどもお話しの五百万キロワットは在来炉でやろうというようなこと、しかし海外調査団の報告などを見れば、一九七五年までにはせめて新型転換炉のプロトタイプぐらいはつくりたいと言っている。そういう点、原子力委員長のきょうの御発言とは若干異なる感じを私は受けることもあるわけです。こういう点も掘り下げていけば、それこそ長い時間かかりますからきょうはやめますが、しかし将来にわたってそういう民有化を実施するという場合には、やはり燃料公社法の第一条の大きな目的を勘案して、早計に原子力委員会としては方針を決定したりすべきではない。私は少なくとも現状においてはそういうことは早計千万であり、また遺憾であると思います。
それはそれといたしまして、この機会にいま一言お尋ねをしたいことは、外務当局がしばしば、日本は核保有の能力があるということを言っている。これは国際的にも非常な誤解を生む可能性があると私は思う。一体、現状において日本は核を保有する能力がありますか、ないですか。法律のいかんにかかわらず、保有する物質的条件がありますか、ないですか。この点をひとつ原子力委員長から御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/111
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112・上原正吉
○上原国務大臣 私は現時点において即刻はないと思います。それは相当な年月をかけて研究を重ねてまいりますればその能力を得るようになるかもしれませんけれども、現時点においてはないと申し上げるのが正直だと思います。
それから、岡先生この間から御指摘をいただいております民有化の問題でございますけれども、この核物質の民有化と申しますことも、厳重に兵器に転用されない、武装に転用されない、こういうことが管理できませんければ、民有化というものはやるべきではないとも考えております。しかし、ただいまでも核原料物質は、たとえばIAEAの厳重な監査を受けておりまして、現在手持ちの核原料が、兵器に武装用に転用されないような追跡を受けておるわけでございまするし、これは今後ともさらにますます激しくなるものと思うのでございまして、それが完全に保障されなければ、民有だからかってに買い入れて、かってに何にでも使える、こういうことは絶対に許すべきじゃない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/112
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113・岡良一
○岡委員 それでは第一段の問題は、日本には核保有の能力は現在ない、こう御認識になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/113
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114・上原正吉
○上原国務大臣 現時点において即座にはない、時間をかけて研究を重ねてまいれば別ですけれども、現時点においてはないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/114
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115・岡良一
○岡委員 このことは言いかえれば核保有の可能性があるということであるが、核保有の可能性というのはどういう条件が満たされたときに核が保有できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/115
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116・村田浩
○村田政府委員 ただいまの大臣のお話に若干補足するような形になるかもしれませんが、御案内のとおり、わが国では原子力基本法に基づいて平和目的の開発、利用、研究を進めておりますから、その関係の施設なりあるいは研究者、技術者というものは相当に養成されてまいっております。その意味での原子力技術のレベルというものは、十年前と今日では相当に違ってきておるということは事実だと思います。ただ、これはあくまで平和目的の研究でまいりました、その分野における技術の向上でございます。かかる技術が直ちに原子力の軍事利用あるいは核兵器の開発というものにどう役立つかということは、これは基本法の精神からしてわれわれは全然扱っておらない。したがって、そういう能力があるかどうかということは、判断をする能力がないということが正直なところであろうと思います。もちろん大臣のおっしゃいましたように、いままで平和利用の施設なり研究者というものがおるわけであります。あるいはウランとかそういった材料も平和目的で使われ、あるいは研究をされておるということですから、これはそのまま軍事物質に転用されるということはあり得ないところであると思います。
さらに仮定の問題といたしまして、これは一般論になるわけですが、核能力を持つにはどういうことが要素として必要かということでございますと、当然そのもとになります原料、つまり濃縮ウランであるとかプルトニウムというもの、それからこれを加工し兵器に開発するために必要な施設、さらにこれらを扱う能力を備えた研究者とか技術者、さらにこれら全体をサポートしてその開発業務を推進するに足る経済的背景、こういうことであろうと思います。しかし、そういったものがわが国の今日持っておりますものでまかなえるかどうかということは、私ども検討したこともございません。そのつもりもございませんので、お答えする能力がないわけであります。ただ一つ、はっきり申せますことは、大臣も申されましたように、一番の基本であります原料、つまり濃縮ウランとかプルトニウムというものは、御承知のとおり、すべて厳重なる国際的な安全保障の網の目のもとに管理されております。国際管理の精神が平和利用物質の軍事利用への転用防止という点にございます限り、このような厳重な保障措置下に置かれておりますわが国の濃縮ウラン、プルトニウムといった原料が軍事目的に転用されることはあり得ないことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/116
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117・岡良一
○岡委員 ぼくは、別に村田局長から訓辞を聞いているわけではない。ただ物質的条件があるかないかということを聞いておる。これは今井理事長もおられるから、私が申し上げるまでもないが、プルトニウムもない、濃縮設備もない、まず何もないんですね。もちろん動力炉にしたって、それはアメリカも、ソビエトも、イギリスも、何も初めから発電用につくろうとしたのではない。これは御存じのとおり、原爆の材料であるプルトニウムをつくろうとして始めたのだ。だから技術的には、その能力というものはある程度まで追跡される。しかしつくろうったって原料はないのだし、大体こんな狭いところで実験する場所もないはずです。大体、国会がしてはならないという決議をしておることだし、日米の協力協定にしたってこれは破棄しなければできないことですし、国際原子力機関からも脱退しなければならない。部分的核停からも脱退しなければならないし、いろいろな条件でできっこないことはわかっておるのだけれども、ただ、外務当局が日本は核保有の能力がある――可能性があると言うのならいいが、能力があるというふうなことを言っているのに黙っておられるということは、やはり原子力委員会としては少し不見識じゃないか。こういう点ははっきりけじめをつけて、君のほうで能力があると言っているが、ないのだぞということをはっきり言わなければ、外国のある新聞は、日本は核保有の能力があるなというようなことをよけい重点的にとらえておる、そういう印象を彼らは受け取っておるということを私は聞いておる。そうすればやはり原子力基本法に立って平和目的利用のために原子力の研究開発を促進するという、いわば基本法の守護神でなければならない原子力委員会なり原子力委員長は、外務省に対して、そういう見解の不謹慎さなり、あるいはまたそういう早計な発言に対しては厳重にたしなめなければいかぬ。黙って傍観をしておる必要は私はないと思う。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/117
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118・上原正吉
○上原国務大臣 この能力が頭脳ということになってくると、私はないとは言えないと思うのです。おっしゃるように、現時点ではとうていいますぐに――すぐといったところで、三日や四日でなくても、半年や一年で核兵器をつくれといわれたって私はできないと思うけれども、日本人の能力は、頭脳が核兵器を開発できない頭脳であるということは私は言えないと思うのです。ですから、ないぞということもどうも力説できないと思って黙っているわけなんですが、いまやるような誤解を与えることはどうかと思いますけれども、日本人には核兵器を開発する能力がないとは私にも思えないのです。ただ、おっしゃるように、法律の上でも、また世界的な制約の上でもできないことは確かなんでして、そういうことを力説する必要もないし、頭脳の問題ならばできないと断わる必要もなかろう、こう思っておるわけなんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/118
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119・岡良一
○岡委員 しかし、それじゃ答弁になっておらぬので、日本人の頭脳はそういうものをつくる力はあるだろうと私は言っておるのです。それは、いま朝永さんのあとを継ぐ日本の科学的なポテンシャルというものは大きいと思う。ただ、問題は可能性があるかないかということでなくて、可能性はあるが、いろいろな事情で持てるか持てないか、そういうことをいま論議しているのじゃなくて、現時点において核保有の能力があるというような表現は、私は外務省は慎むべきだと思うのです。ところが、外務当局がそういう発言をしておる。しかも、それが国際的に若干の反響を呼んでおるということも私は聞くから、こういう点は、原子力委員会なり委員長としては、外務省のそういう実態を無視したいわば外交辞令的な発言についてはやはり厳に注意を喚起する必要が私はあると思う。能力があるとか可能性があるとかという問題じゃなしに、能力があってみたって、プルトニウムもなければ、濃縮ウランもないところで何ができますか。何もできないという現状をあなた方こそ把握しておるのだ。だから、そういう外務当局の不謹慎な発言に対しては注意を喚起するのが、原子力委員会の当然の責任だと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/119
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120・上原正吉
○上原国務大臣 外務当局がそういうことを声明しておるとおっしゃいますけれども、どうも正式に声明したりしているのではなくて、そういうニュアンスのことを言ったものを新聞や雑誌が取り上げていっているのではないかと思われるわけなんです。正式な発言として言われたものならば、当然私どもも何とか言わねばなるまいと思っておりますけれども、どうもそういう正式な発言ではないように思うので、いままで黙っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/120
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121・田川誠一
○田川政府委員 ちょっと関連して申し上げますけれども、大臣の言われていることは、外国なんかで日本に核兵器を開発する能力があるとか言っておられるのは、新聞なんかの情報として取り上げておられるようであります。それからそういうことに対してわれわれのほうで直接能力がないのだということをはっきり言うことが一体いいのかどうかということは、慎重に検討する必要があるのじゃないかと思います。
それからもう一つ、国内でそういうような発言をしている者があるかどうかわかりませんけれども、何かテレビでどなたかが言われたということをちょっと聞きましたけれども、こういう問題については、政府の部内あるいはわれわれのほうの党の部内というようなところで、もし何かそういうような発言をしたとすれば、いま岡先生の言われたように一般の誤解を招かないように私どもがそれをやらなければいかぬと思うのです。ただ非公式に新聞その他で興味本位の情報が出た、そういうものに対して原子力委員会がまっこうからそれを打ち消すようなしかたをやることがはたして誤解を解消するかどうか、これは十分慎重にやらなければならないのじゃないか、こういうように大臣も思われているのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/121
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122・岡良一
○岡委員 二月十七日ですかの下田発言も、核保有の能力――可能性とは言ってない、能力と新聞は伝えておる。これは単に下田事務次官の発言だけじゃない、新聞に伝えられただけじゃない、昨年の国連総会の第一委員会における松井代表の発言、あるいは椎名外務大臣の演説の中にも、私の読んだ限りではこのような印象を受け取るような表現があった。これは一ぺんあなた方のほうもよく調べてみてください。私ももう一度その演説原文そのものを読んで、もしそういうことがあったら、やはりこれは対外政策的な思惑的な問題として取り扱わないで、原子力委員会としてはもっと科学的な立場において、やはり外務省の発言に対しては注意を喚起する必要が私はあると思うので、お互いによくひとつ調べましょう。
もう一つこの際、これは特にこれまでにしばしば私がこの委員会で申し上げておったことなのだが、どうも原子力の問題、核の問題を外務省の何も知らぬ者が政策的に取り扱っているきらいがある。もっと科学技術庁なり原子力委員会なりが原子力外交については大きく発言権を持って進めていくという方向にいかなければいかぬ。ただ外交の窓口は外務省だという形式的な取り扱いで、ともすればあなた方のいわば実際その衝に当たる方々の意向が十分に相手国に伝わらないうらみがあったのではないか。その間に一つの壁があった。この点は、何とかその壁を越えてひとつ直接的にやってもらわなければならぬという話を私はしばしば主張しておったわけです。今度外務省の中に四月から軍縮室というものが設けられる。これも私は、非常にあいまいな、設置法も変えない変な存在だと思っているのだが、それはここでの論議は別としまして、おそらくここで取り扱う主目的は核探知クラブに入るか入らないか、あるいは核拡散防止条約のジュネーブにおける軍縮委員会の米ソの提案から、その後につけ加えられたコスイギン提案なり、さらにまた最近はアメリカの提案として、じゃあひとつおれのほうの大型の大陸間弾道弾というものを破壊しようじゃないか、そしてその中身の濃縮ウランは国際原子力機関に預けて平和利用の目的に各国に提供するようなこともどうだろうということをアメリカは提案している。そうなってくると、これは日本の原子力開発と不可分な問題点と結びついてくるわけですね。それを、ただ単にいわゆる外交政策的な観点からではなく、原子力開発という立場からこの問題の当否、是非というようなことについて、あるいはまた推進すべきものは推進するというような方向について、原子力委員会は無関心であってはいけないと思う。どうもこれまで外交のことは外務省だという。しかし専門家がみなここにそろっておるのだから、その皆さんがこういう問題については十分に検討されて、軍縮室なんという設置法にも基づかないそういう不見識なものが、ただ外交政策的にこれらの重要な問題を取り扱うということにまかせておるという態度は、私はむしろ原子力委員会として怠慢だろうと思うので、積極的にこういう事態については外務省から原子力委員会に報告を求めることもできるのだし、またそれに関する統一的な意見があったらまとめて原子力委員会としての意思表示を堂々とされる、これはちゃんと原子力委員会設置法に書いてある原子力委員会の重要な権限なのだから。いま世界の焦点が、こうして核拡散防止なりあるいは全面禁止への推進なり、あるいは核軍縮なりというような問題に触れ、具体的な提案が出てきつつあるときなのです。ぜひひとつこれは原子力委員会としても真剣に取り組んでいただきたい。このことを特に強く私は要望するものであります。委員長の決意のほどをひとつ聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/122
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123・田川誠一
○田川政府委員 岡先生が言われました最初に、外務次官が発言をしたこと、それから国連の機関内で発言があったというようなことでございますが、その発言がかりに日本が将来核兵器を持つという印象を与えたとすれば、これは非常に重大な問題だと思います。したがいまして、われわれのほうといたしましては、いま岡先生が言われましたいろいろな発言をよく検討いたしまして、もしそれが一般の誤解を非常に招くということでありますれば、原子力委員会から政府の内部とかそういう関係方面へ十分注意をし、いま御注意のあったことをさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/123
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124・上原正吉
○上原国務大臣 ただいま政務次官が申し上げましたように、国連の機関の中で、あるいは外務省の中で、核兵器を持ち得るということばが、近く持つかのごとき印象を与えるというふうなことであったとすれば、それは重大問題でございますから、よく調査をいたしまして、そういう誤解を与えることのないようにしなければいけないということを発言するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/124
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125・岡良一
○岡委員 後段の点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/125
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126・田川誠一
○田川政府委員 後段のことをちょっと……。先生のおっしゃったとおりだと思うのです。外務省が非常に独走しがちな面は、その他いろいろな面にあらわれておると思うのですが、核の問題にいたしましても、そういう点は十分連絡をとって、間違いのないようにやっていくように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/126
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127・岡良一
○岡委員 田川さん、そういう政治的な発言をしてはいかぬ。私は何も日本の政府の皆さんが核兵器を持とうとしているなんて勘ぐってものを言っているのじゃない。ただ事実に即して外務当局は発言をしなければいかぬ、核保有の能力があるというようなことは軽率に言うべきじゃない。これは国の内外に対して与える影響を考えた場合に、軽率にものを言うべきものじゃない。ところが皆さんのおっしゃるように、能力はいまないのだ、能力がないのに能力があるというのは、そういうことがもしあったならば、あなた方のほうで外務省に対して注意を喚起するというぐらいの、これはあなた方の責任じゃないかということです。核武装をすることは何も言ってはいないんだから、そんなことを何も椎名さんも松井さんも言っていないんだから。核保有の能力があるということをこの二月の十七日でしたか、下田発言の内容、あるいは昨年の国連総会の第一委員会の松井代表の演説、あるいは総会における椎名大臣の演説などなどは、私の記憶では、どうも核保有の能力があるというような印象を与えるようなことを言っておるので、つくる、つくらないということを私は何も言っておるわけじゃない。そういうことはやはり刺激的な一つのことばである。能力がないのだ、いま保有の能力はないのだ。可能性はあっても能力はないんだ、この点ははっきり注意を喚起することが一つ。これをぜひこの次までにお互いに調べましょう。
もう一つは、具体的に申し上げますと、軍縮室が外務省にできる。そこで四月から軍備縮小問題を取り扱うために軍縮室というものを外務省につくろうということが新聞に出ておりました。ところがその軍縮室はなぜつくるかというと、いま核拡散防止協定とか、あるいは核軍縮の問題が、国連の昨年度の総会の決議によって十八カ国軍縮委員会にも付託されてこの二つの問題が熱心に論議されているわけですね。そういうことになってくると、この核軍縮、あるいは核拡散防止協定にしましても、これはやはり科学技術庁としても、原子力委員会としても、関心の深い問題である。特に最近アメリカが、自分の持っておる大型の核兵器はある部分を破棄しよう。少なくともこれは六万キロ――自分たちの持っておる核兵器のうち、とにかく破棄して、破壊して、そして核兵器の中に仕込まれておる六万キロの濃縮ウランは国際原子力機関に渡して、国際原子力機関の査察のもとに、後進国の平和利用に提供してもいい。そのかわりソ連は、四万キロをひとつ提供しろ、こういうような提案をしておるわけだ。そうなってくると、原子力の研究、開発、利用の政策を企画し決定する原子力委員会といたしましては、こういう事態については重要な責任を持つべきものである。そういう意味で、こういうような問題については、これまでも私どもがしばしば言ってきたんだが、あまり外務省にまかせ過ぎないで、原子力委員会は設置法に基づいて意見を各省庁の長官を呼んで言うこともできるし、総理大臣に勧告もでき、かつその勧告を受け、意見を受けたならば尊重しなければならないという規定になっているんだから、その権限を十分に駆使して、そしてこういう問題についても責任ある積極的な態度を講じてもらいたい。講じられますか、どうですか。長官の御決意はいかに、こう私はお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/127
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128・上原正吉
○上原国務大臣 政府の各方面に対しまする外務省の言動が、いまにも核兵器を持ち得る能力があるかのごとき印象を与えたようなことばがあるとすれば、その点は一ぺん話し合ってみたいと思っております。
それから原子力基本法の精神に従いまして原子力委員会がやらなければならない義務、権限、こういうふうなものは原子力を世界的に平和利用だけに限るということが理想でございますから、その理想が貫徹できるような努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/128
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129・原茂
○原委員長 三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/129
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130・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣からちょっとはっきりしない決意の表明があったので、この上言う必要はないかと思いますけれども、いま次官も大臣も非常に歯切れの悪い言い方をされているわけです。それから私は技術庁の局長あたりの意見は聞かないのですけれども、局長あたりの考え方とお二人の考え方は遊離しているのではないかと思うのです。それは、私たちは、特にいま岡先生の言われたように、原子力基本法の精神であるという認識に立ってもらうということと、それからいまのことばじりをつかまえるのではないのですけれども、さらに認識の上であいまいなところがある。たとえば正式な発言があったとすれば、こういうことを大臣が言っておられた。しかしこれはどういうのを正式な発言というのか。下田次官が言われたのはこれは正式な発言ではないかと思いますし、国際機関の中で言われたらやはり正式な発言ではないかと思うのです。田川次官は、新聞は興味本位にとらえた、こうおっしゃいますけれども、そういう思想で、この核の兵器の問題を取り扱ってもらったらたいへんなことになると思うのです。日本はたいへんなあやまちをおかすと思うのですがね。大臣、次官がそういうやんわりした気持ちで、一方国の内外から相当関心を持って見られている問題を興味本位に新聞がとらえたという、こんな考え方は思想としてもどうかと思うので、これははっきりしてもらわなければいかぬ。
そこで私の聞きたいことは、核のかさの問題、それから原子力兵器の持ち込みの問題をめぐりまして、実に政府の態度はあいまいもことしております。外務委員会、予算委員会での質問に対する答弁もあいまいですから私たちは非常に心配をするので、あなた方、特にお二人にそれについて強い発言をしてこれをチェックしてもらわなければ困る、こういうように岡先生のほうからもいま要望があったわけです。特に核燃料物質の民有化の問題をめぐりまして私たちが心配していることは、民間から原爆をつくれという声が現実にあるのです。つくったらいいじゃないか、こういうような声があるからしてそういう心配を持つのですが、もう一回、大臣、そういうような観点に立って強く発言して、これは正式な発言をやっているのですから、それを科学技術庁の一番責任者である長官がそういうゆるい考え方をしてもらっては私は困ると思う。そういう点で決意を聞きたい。いまの発言で私はどうも決意がゆるいと思う。やっぱりどこかアメリカに気がねするか、日本のそういう財界の意向に気がねするか、そうならざるを得ない、足を引っぱっているものがあるからしてそういう発言になると思うのだが、その前段の理由と強い発言をやってくれるかという、この二つについて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/130
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131・上原正吉
○上原国務大臣 原子力委員会としても科学技術庁としましても、核兵器を開発しようなどという意思は毛頭ございませんし、それから現在の力では予算からいきましても機構からいきましても、核兵器の開発などは思いもよらないことでございまして、これはお答えする余地がないと思うくらいなんです。そして先ほど申し上げましたように、日本人の能力を誇示するようなことをどこかで言ったとして、そんな能力は、さっきも申し上げたようにそんな頭脳は日本人にはないということをどうも力説しなければならぬ位置にもいないと思うのです。原子力委員長といたしましても、科学技術庁長官としましても、私どもは原子力基本法の定めに従い、予算の指示するところに従って全力をあげて原子力の開発をやればいいので、それ以上のことができるはずもなし、やるつもりもなし、それから先のことは原子力委員長や科学技術庁長官の関与する範囲じゃないと思っているものですから黙っているわけなんですけれども、ここでまた強い発言をする位置にはいないような気がするから黙っておるわけなんですが、おしかりを受けて実は迷っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/131
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132・田川誠一
○田川政府委員 私の答弁に関することが御質問に出ましたので、一言申し述べさせていただきたいと思いますが、下田発言とか国連の中で発言があったということについては私も詳しく見ておりませんので、先ほど岡委員にも、そういう誤解を受けるようなことばであるかどうかということをよく慎重に検討したいと思うのです、そういう意味で申し上げたわけです。それから新聞などで言われておることが往々にしてそういう興味本位に言われることもあるので、そういうことを一々取り上げていくことがはたして誤解を解くことになるかどうかということが心配だという意味を申し上げたわけです。
それから私どもとしては、とにかく夢にも思わないことでありますから、そういう夢にも思わないようなことを一部で言われたことが、それをまっこうから反発することではたして誤解を解けるかどうかということが非常に心配でありまして、こういうことをやるかもしらぬ、ああいうことをやるかもしらぬという御心配はよくわかりますけれども、私どもとしてはそういうことは全然夢にも思っておりませんので、この点はひとつ十分御了承をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/132
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133・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連ですからもう一言だけ言っておきたいと思うのですが、インドの原子力委員長バーバーさん、それからシャストリ首相、お二人ともなくなりましたが、昨年会って、核兵器の問題、核兵器を開発する、原爆を開発する能力があるし、そういうことを国内からも言われておる、しかしながら絶対にやりませんという強い発言が外国人である私たちにもあったわけなんです。これはインドの良識がそうさせておるわけです。日本の良識は私は科学技術庁においてさせてもらう必要があると思う。それでいま岡さんからの発言になったわけですけれども、いまの大臣の御答弁を聞きましても、田川次官の発言を聞きましても、まだそういうことはあまり知らないとかあるいは興味本位に書いておるから、そんなことを一つ一つ取り上げておってもだめだ、こういうような言い方ですけれども、これは国の運命を決する問題ですから、新聞だって興味本位ではありませんよ、死にもの狂いで書いておるのです。私たちの党の中でもこういう意見がいま非常に大きく出てきておるわけです。あなたの自民党のほうでも起こっておるじゃありませんか。その問題をあえてよけて通ろうとするところに問題があるということを私は言っておるわけです。
それで、大臣、あなた、能力と頭脳と一緒にしておられるけれども、能力があるということは、村田局長が言ったずっと条件がそろうことが能力ですよ。金も何もかもみんなそろうことが能力です。これは文教でよくやかましく言うのですが、学力とそれから知能と一緒にしてしまうことであります。これは、能力ということになれば、からだを動かすことも能力です。字を書くことも能力です。絵をかくことも能力です。知能ということになれば頭の中にある問題だろうと思うのです。そんなものだけ言っておったら、日本人の頭脳はたいへん進んでおりますが、そんなことを言っておるのではないのです。あなた、そんなこととすりかえて話をされたらたいへんなことになる。そんなお話をなさるのなら、能力というものの分析からしていかなければならぬ。
そこで、田川さんの言われた、夢にも思わぬことを一方ばんばん打ち上げるのだったら、科学技術庁はまなじりを決しておこってもらって当然だと思うのです。それをおこるに値しないことだ、どうかわからないことだというようなとらえ方に問題があるということを私は言っておるので、幸い岡先生の要請によってこの問題はお互いに研究して調査しよう、こういうことになったんですけれども、そういうぐあいにやってもらわなかったら原子力基本法というものが泣きますよ。その上に持ってきて――私は絶えず言っておるのですけれども、科学技術庁というものは、ほかのあらゆる科学技術あるいは学術研究、こういうものを伸ばす中心でなければならない。むしろ、誤解を生むかもしらぬけれども、あらゆる研究機関を掌握するくらいの力を持たなければならない。特に原子力というような、こういう近代の科学を駆使した重要な問題に日本は取り組んでおるのですから、原子力委員長、科学技術庁長官というものの位置を非常に高めなければならぬ、私はいまその機会だと思うのです。十年に十人も委員長がかわったり、あるいは大臣がかわるようなことでは伴食大臣ということになってしまいます。上原さんはそういう能力があるのですから、そういう識見を持っておられるのですから、あなた個人の事業におかれても非常にりっぱな事業をなされておるのですから、その事業に対する識見を国のほうにも及ぼして、ひとつこの際まなじりを決してやってください。
このことをお願いしておいて、以下の問題は次会に岡先生に続いてやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/133
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134・原茂
○原委員長 今井参考人には本日はどうもありがとろございました。
本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三月十六日午後一時理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
午後一時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103913X00719660310/134
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