1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十四日(木曜日)
午前十時十七分開議
出席委員
委員長 田中 正巳君
理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君
理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
理事 松山千惠子君 理事 伊藤よし子君
理事 河野 正君 理事 吉村 吉雄君
大坪 保雄君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 坂村 吉正君
藤本 孝雄君 粟山 秀君
山村新治郎君 滝井 義高君
辻原 弘市君 堂森 芳夫君
長谷川 保君 吉川 兼光君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(大臣官房会計
課長) 戸澤 政方君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 中原龍之助君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
厚 生 技 官
(医務局長) 若松 栄一君
厚生事務官
(薬務局長) 坂元 貞一郎君
厚生事務官
(社会局長) 今村 譲君
厚生事務官
(児童家庭局
長) 竹下 精紀君
厚生事務官
(保険局長) 熊崎 正夫君
厚生事務官
(年金局長) 伊部 英男君
社会保険庁長官 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁医
療保険部長) 加藤 威二君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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三月二十三日
診療エックス線技師法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二五号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/0
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001・田中正巳
○田中委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。吉村吉雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/1
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002・吉村吉雄
○吉村委員 きょう私は、健保三法の問題を中心にして、その周辺にあるもろもろの問題、こういった事柄について、若干質問をしたいと思うのです。
まず初めに、改正の提案説明の中では話されておりますけれども、この健保法の改正をしなければならない、するという方針をきめた動機をなしているもの、あるいはその背景、こういったものについての大臣の考え方、これをまずお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/2
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003・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 保険三法の改正案をこのたび国会に提案をし、御審議を願うことになりましたのは、御承知のように、近年医療費が増高を来たしまして、急速に保険財政が悪化をいたしてまいっております。その理由といたしましては、すでに御承知のように、受診率が急激に上昇をみております。また、医学、医術の進歩に伴いまして、医療給付の内容も向上をいたしておる。こういうよらないろいろな理由等がございまして、最近保険財政がきわめて困難な状況に相なっておるのでございます。そこで、神田厚生大臣の時代に、その対策につきまして社会保障制度審議会、社会保険審議会に諮問をいたしたのでございます。その諮問案はすでに御承知のように、標準報酬制を現在とっておりますのを、総報酬制にしたい、また薬価の一部負担を実現したい、こういうことを骨子とした諮問案を両審議会に諮問いたしたのでございますが、両審議会におきましては、総報酬制なりあるいは薬価の一部負担というものは、制度の根本に触れる問題であるから、当面はこの保険財政の応急対策として——この際は、総報酬制なり、薬価の一部負担の問題は将来の問題として検討することとして、当面は標準報酬制の等級区分の上限を五万二千円ないし十万四千円に引き上げる。また大幅な国庫負担をひとつこの際やるべきである。また保険料率については、千分の六十三徴収しておるものを、現行法の最高限である千分の六十五にすべきである。そして財政対策としての不足な点については借り入れ金でまかなうべきである。こういうような御答申があったのでございます。そこで、私はこの答申の趣旨を体しまして、総報酬制なり薬価の一部負担というものは、これは今後の問題として見送ることにいたしまして、答申にありましたような御趣旨に沿らて今回改正法案を取りまとめまして、そして御審議をわずらわすことに相なった次第でございます。
今回の提案をいたしました背景、またその理由、趣旨等につきましては、以上簡単でございますが、御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/3
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004・吉村吉雄
○吉村委員 いまの答弁ではっきりいたしましたことは、あくまでも暫定的な方針である、こういうことでございますが、この両審議会の答申の問題については、私はあとで触れたいと思います。
いまの大臣の答弁、あるいは前回と前々回における大臣の答弁の中でも言われておりますのは、根本的に改正をしなければならない動機をなしているのは、医療費の増高に伴って保険財政というものが容易ではなくなっておる、こういうことが主体的な原因であるようでございます。そこで、その中で医療給付が改善されたということがしばしば言明されておるのでありますが、この給付の改善ということは具体的にはどういう内容のものであったのか、これは保険局長のほうから御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/4
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005・熊崎正夫
○熊崎政府委員 毎年政府管掌につきまして、医療給付の対年増加率を見てまいりますと、大体昭和三十六年ころから急激にふえてまいりまして、増加率は対前年に比べまして二〇%以上という形でふえてきておるわけでございます。したがいまして、赤字の要素が出てきましたのが三十七年からで、それまでは若干黒字になってきておりましたが、三十七年から赤字の要素が出てまいりまして、四十一年度では御承知のように単年度で七百二十億という状況になっているわけでございます。その間給付の内容につきましては、たとえば、給付率を改善するとかいうふうなことにつきましては、これはなかったのでございますが、
〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕
医療給付の中身につきまして、新薬の導入その他高度の医学、医術の進歩に伴いました各種の内容の改善といいますか、そういったものが大幅に取り入れられまして、それが結局医療給付の中身を豊かにしていくという形になって医療給付の中身の増高、こういうことになってまいったわけでございまして、これはたとえば入院等につきましては、受診率等はそうふえていないわけでございますが、外来につきまして、受診率は相当な、毎年一〇%以上の増高を示しているという形になっているわけでございます。
経過としては大体そういうことが言えるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/5
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006・吉村吉雄
○吉村委員 いまの説明によりますと、給付率そのものの改善というものはないけれども、給付の中身、言いかえますと、医学、医術の進歩に伴うところの改善、こういうことになっておるというお話でありますが、それだけが原因だとしますならば、この傾向はむしろよい傾向である。医療費の増高というものはよい傾向である、こういうふうに理解せざるを得ないと思いますけれども、大臣は、一体その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/6
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007・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 私は、適正な医療の給付が行なわれており、その内容が医学、医術の進歩に伴って内容的に充実をしていく、そのために非常に早期に治療の効果等が上がっておる、こういう状態は喜ぶべき傾向である、このように考えるわけでございます。ただ問題は、そういう形で増高してきたところの医療費をどうやってまかなっていくかという財政対策、この問題が必然的に提起されてくる、また解決を迫られてくる問題であるわけでございまして、これが第一点。それから、私どもはやはり適正な医療ということを確保してまいらなければならぬのでありまして、そこにむだがあってはいけない、やはり合理的なものでなくちゃいかぬということも、財政の面ともからみ合わせて必要であると思うのであります。たとえば、濃厚診療でありますとか、あるいはさらに事務的な面その他でロスがあるようなことであってはいけない。そういう意味において、つまり医療保険制度というものが適正に運用されなければならない。またさらに、この医療保険制度をやってまいります場合におきまして、正しい、適正なる診療報酬がなされておるかどうか、そういう問題もあるわけでございます。さらにまた、御承知のように、医療保険制度はいろいろ多岐に分かれておるのでありますが、その各制度間の負担の問題にしても、給付の内容にしても、そこにアンバランスがあっては、国全体の医療保険制度としては、やはりこの点も改善を要する。特に皆保険下における医療問題としてはそういう問題もある、私はこう考えておるのでありまして、今後私どもは、そういう解決を迫られておるいろいろな問題につきまして、今回の改正だけでは不十分である、やはり根本的な制度の改善策につきましても引き続き検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/7
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008・吉村吉雄
○吉村委員 それで次にお尋ねしたいのは、昭和三十五年以降四十年までの国民総所得の伸び率と、それから総医療費の伸びの状態、これを数字とパーセンテージを年度ごとに明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/8
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009・熊崎正夫
○熊崎政府委員 三十五年からの数字を申し上げます。単位を億にいたします。三十五年が、総医療費が四千四百二十六億、それから国民総所得十一兆九千三百七十一億、国民総所得と総医療費の対比は三・七。三十六年になりますと、総医療費が五千四百六十二、国民総所得は十四兆一千九百六十四、対比が三・九であります。三十七年は総医療費六千五百十一億、国民総所得十五兆七千八百二十五、対比四・一であります。三十八年、総医療費七千九百六十六、総所得が十八兆一千八百八十六、対比は四・四になります。三十九年になりますと、総医療費九千九百五十億、総所得二十兆五千二百二十五、対比は四・八でございます。四十年になりますと、総医療費一兆一千七百七十一億、総所得は二十二兆三千四百億、対比は五・三でございます。
大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/9
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010・吉村吉雄
○吉村委員 いま説明された数字でありますが、この国民総所得の伸びの割合に対して、総医療費の伸び率が非常に高くなっておりますけれども、この状態は、医療給付のあり方等から見て、大体これがノーマルな状態だ、こういうような理解をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/10
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011・熊崎正夫
○熊崎政府委員 新しい医学、医術、あるいは薬学の進歩に伴いまして、医療の中身が改善されていくということは、これは各医療保険につきまして、一転、二転して、被保険者にこれを与えていくということは当然のことだというふうに私は思っております。片や、高度成長に伴いまして国民の所得も上がっていく、それに応じまして医療担当者の生活水準もおのずから上がっていかなければならないはずでございますので、この点は、三十六年度以降機会を見て医療費の改定を行なってきたということにも関連をしてくるわけでございますが、御参考までに、先ほど説明を落としましたけれども、三十六年以降大体七回ぐらいにわたりまして医療費の改定を、診療報酬点数表の改定を行なってきた経緯がございます。多いときには三・五%の医療費の改定、少ないときでも、緊急是正、たとえば地域差等を撤廃いたしまして、二・三%の改定をやったというふうな事例がございまして、やはり片一方におきまして、医療担当者の生活の中身を充実していくということも国として考えていかなければならないという点も考えまして、以上のような経過をたどったものというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/11
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012・吉村吉雄
○吉村委員 大臣、これは西欧諸国等の例から見まして、国民総所得に対する総医療費の比率というものはどのくらいが適当である、日本の場合には今日の状態の中でどの程度が適当である、こういう方向というものを考えておると思いますけれども、この点は一体どの程度のことを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/12
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013・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 社会保障給付全体につきましては、日本は、西欧先進国に比べまして必ずしも十分とは申せない現況にございます。今後においても相当努力をしなければならぬのでありますが、この医療保障の面につきましては、先進諸国に比べましてもそう見劣りをしていない。大体西独の行き方、こういうものをわが国におきましては参考にいたしまして今日までやってまいったのでありますが、大体におきまして、西独と日本の医療保障は同じような水準になっておるのではないか、また内容的に見ましても、公費負担の面あるいけ事業主の負担あるいは被保険者の負担等々の面からいたしましても、おおむね西独と似たような状態に私はなってきておると思う。また傾向といたしましては、わが国だけでなしに、イギリスその他の国々におきましても、最近医療費が増高しておるという傾向はやはり指摘できると思うのでありまして、そこに医療費問題がわが国だけでなしに各国とも大きな社会問題、政治問題として提起されておる、こういうことが言えるかと思うのであります。私は医療保険制度、医療保障につきましては、ほかの社会保障全体では相当おくれておりますけれども、わが国の水準は決してそう見劣りするものではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/13
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014・吉村吉雄
○吉村委員 そうしますると、いま私が聞いているのは、総医療費の問題について尋ねておるわけですから、社会保険診療報酬に限定をしているわけではない。そこで重ねてお尋ねをしますけれども、四十年度の国民総所得に対するわが国の総医療費は五・三%になっておる。四十一年度はもっとふえるであろうというふうに大体予想されますけれども、大体、医療行政の担当省であって、その最高責任者として、今日の日本の経済状態、こういう中で国民総医療費というのは総所得の中で一体何%くらいが妥当だと、こういう一つの方向、考え方というものがなくてはならないのではないか、このように思いますけれども、それは四十年度の実績からしますと五・三%、それで大体西欧の水準までいっているというお話でありますが、この程度でようしい、この程度でやっていこうという、そういう方向なのかどうかをお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/14
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015・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 昭和四十一年度の見通しにつきましても、大体四十年度と同じような水準を歩んでいくのではないか、こういう見通しに立っておるわけでありますが、私は、先ほど申し上げましたように、医療保障につきましては、西欧諸国に比べましても決して見劣りをしないと思う。でありますから、大体こういう程度で医療保障というものは行なわれていいのではないか、こう思うわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、わが国の医療制度の中には、各保険制度によって給付面、負担の面等において非常なアンバランスがそこにございます。そこで制度の根本的な改定について私どもは今後取っ組んでいかなければならない。また、診療報酬体系につきましても同様でございます。こういう制度の根本的な改正にあたりまして、先ほど申し上げましたように、適正な医療の確保、そこにむだがあってはいけない、内容を充実すると同時にロスを省く、またそこに、運用上においても適正を欠くようなことがあってはいけない、こういう観点で、制度全体をひとつもう一ぺん見直していきたい。そういうところから今後の国民総所得の中において占める医療費というものが的確に把握されてくる、こう思うのでありますが、大ざっぱに申し上げますと、西欧諸国の医療水準、また医療給付というものと比べまして、そう見劣りがしない段階でございますので、私はこの程度でいいのではないか、こう考えております。正確には、制度の根本的な改正をする際に全体をもう一ぺん見直して、そして的確な判断を下す以外にはない。腰だめで大ざっぱに申し上げますならば、西欧並みの現在の水準でいいのではないか、こういうことがいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/15
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016・吉村吉雄
○吉村委員 わが国の振替所得というものは西欧諸国に比較をして非常に低い。その低い根本的な原因についてはいろいろありますけれども、一般的に言い得ることは、やはり社会保障に要する費用というものが少ないことが西欧に見劣りがする最も大きな原因であるということは、よく大臣も言明をされておるとおりでありまするし、私もそういう理解をいたしておるのでありますが、いまの大臣の御答弁から考えられますことは、きわめて慎重ではありますけれども、総医療費については大体四十年度水準、国民総所得に対するところの総医療費といろのは五・三光程度が妥当であろう、こういう理解を持って事に当たっておる。もとより大臣がしばしば言明をされておりまするように、諸制度間におけるところの不均衡その他の問題がたくさんあることは御存じのとおりでありますから、総ワクとして議論をするとすれば五・三%前後、そういう数字をあげるのは妥当かどうかわかりませんけれども、四十年度の実績くらいのところを一つのめどとして内容の検討、不均衡の是正というようなことをはかっていきたい、こういうお話のようでございますが、その点の是非の問題はともかくとして、大臣の方針上の考え方はわかりましたので、この点はその程度にしたいと思います。
次はわが国の社会保障費、すなわち一般的にいわれる国民総所得に対するところの社会保障給付——振替所得といわれます、これは、この前の私の質問では、四十年度の実績は六・四%という御答弁が大臣からなされました。私は非常に改善をされたもの、こういうふうにそのとき理解したのでありますが、この振替所得六・四%という場合に使われておる社会保障費の内容というのは一体どういうものであるのかを、この際明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/16
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017・戸澤政方
○戸澤政府委員 お答えいたします。
社会保障の経費のとり方にはいろいろございますけれども、一応そういう比較をいたします場合に、私どものとっております社会保障関係費というのは、予算でもって社会保障関係経費としましておもな項目を掲げております。それをとっておりますが、その内容としましては、生活保護費関係、それから児童福祉その他の社会福祉関係の経費、それから社会保険関係、これは医療保険、各種年金等を含みました社会保険関係の経費、それから失業対策費関係、それから保健衛生対策としまして、結核、精神、その他の公的制度による保健衛生対策費、大体その五つの大きな項目を取り上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/17
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018・吉村吉雄
○吉村委員 ただいまの説明によりますと、厚生省がよく発表されております社会保障費の中の狭義の意味での社会保障費、こういうものが四十年度の実績六・四彩になったという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/18
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019・戸澤政方
○戸澤政府委員 広義に解釈しますれば、恩給とかいろいろ入りましょうが、そういうものを除きました狭義の意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/19
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020・吉村吉雄
○吉村委員 これは大臣、四十年度の振替所得の内容について私はお尋ねをしたわけですが、それが六・四%である。その六・四%の中身は、いまの会計課長の答弁によりますと、厚生省で使っておるところの狭義の意味での社会保障費、こういろ説明でありますけれども、これは間違いはないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/20
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021・戸澤政方
○戸澤政府委員 その六・四%の計算をした内容を、いまちょっとつまびらかにいたしませんが、大きな間違いはなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/21
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022・吉村吉雄
○吉村委員 それでは、いまの会計課長の説明をされた各項目の金額、それから四十年度の国民総所得、これを明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/22
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023・戸澤政方
○戸澤政府委員 ちょっといま、資料を持ち合わせませんので、すぐに取り寄せましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/23
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024・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 会計課長が個々の項目につきましてお話し申し上げたのでございますが、私が六・四%の点を申し上げておりましたのは、従来から厚生白書におきまして、各国の、特に先進諸国の国民総所得と社会保障給付費の割合、これをずっと調査をいたしまして出しておるわけでありますが、その際に、一九六〇年の各国の統計をずっと調査をいたしておりまして、その際における日本のそれに比較しての数字も、そこに出しておるわけであります。そういうような内容のもとにおける一九六三年のわが国の比率、そういうものも出しており、また先ほど申し上げましたように、六・四%というような状況にまで前進してきておる、こういう御説明を私はその当時申し上げておるのであります。それと会計課長が申し上げた内容がぴったりいたしますかどうか、これはこれから具体的な数字を集計いたしまして出してみなければならぬ、こう思うわけでありますが、私の申し上げたのは、そういう厚生白書に準じましてずっと推計をいたしましたのが六・四%に前進をしておる、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/24
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025・吉村吉雄
○吉村委員 私は、この際厚生省のほうでも十分留意をしてもらいたいと思いますのは、社会保障費の要素の取り方、これがそれぞれ国際的にも異なっておる。所得倍増計画の中におけるところの振替所得の目標額というのは、御存じのように六・一%であったわけです。ところが、その後わずか五年ぐらいの間に六・四%になったということになれば、わが国の社会保障というのは驚異的な充実ぶりを示したということになる。したがって、この場合の社会保障費、振替所得の中身というものが一番問題にならなければならない。厚生省で使われておる社会保障費というものについては、ILOに対する報告の中では、狭義の意味での社会保障費と広義の意味での社会保障費、これをそのまま報告されておる、こういう実情だろうと私は推測をします。したがって、いま私が問題にしました、この前の大臣答弁の振替所得六・四%というのは、正しくは一体広義の意味での社会保障費なのか、狭義の意味での社会保障費なのか、この点を明らかにしなければ、わが国の社会保障の水準というものを国際比較をするわけにはいかない、こう考えて、いまお尋ねをしてみたところであります。その六・四%の中身は一体どれでございますかと、こうお尋ねをしましたところが、会計課長の答弁によりますと、それは厚生省で一般的にいっておる狭義の意味での社会保障費、こういうものを羅列しましたから、したがって、だとしますならば、その数字、こういうものを明らかにしてもらわなければいけない。広義ならば広義でいいのです。どちらかということがはっきりしなければ、これは社会保障の問題を議論していくわけにはいかないではないか、こう思ってお尋ねをしたわけでございます。これはいますぐ数字が出ないとするならば、いたし方はありません。いたし方はありませんけれども、こういったことについては、大臣が答弁をするわけですから、その六・四彩の中身というものが一体何かということについては、十分事務当局のほらでも把握をされた上で御答弁を願わないと、私どものほらとしても今後の方針を論議したりなどするには非常に困難を感じますから、この点は十分注意をした上でひとつ答弁に当たってもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/25
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026・戸澤政方
○戸澤政府委員 ただいまその六・四%の資料を取り寄せておりますので、参り次第お答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/26
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027・吉村吉雄
○吉村委員 これは私の推測ですけれども、狭義の意味でのわが国の社会保障費が国民総所得に対して六・四%というのは、少し上がり方が多過ぎるのではないか、こう思います。どちらでもけっこうというわけではありませんけれども、とにかく政府、与党、野党を問わず、四角なものは四角だ、まるいものはまるだ、こういうことだけは明確にしなければ政策の議論はできない。その中に、ある人はまるく見て、ある人は三角に見ておる。それをそのまま放置をしておくというのでは、行政官庁は無責任のそしりを免れないのではないだろうか、こう思いますから、その点はひとつはっきりしていただくようにお願いしたいと思うのです。そして、もしこれが私の推測どおりのようなことであるとするならば、この六・四%の数字を言明した大臣自体も、この言明は変えてもらわなければならないということにもなりますから、きわめてこれは重要なことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/27
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028・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、六・四%の中身は、後ほど資料に基づいて御説明を申し上げますが、厚生白書で先進諸国との比較をやっております。そういう従来からとってまいりましたところの社会保障諸費、これは今度初めて、六・四%をつくるためにやったのではありません、従来からとってきたものさしでもってそこまで前進をした、こう申し上げておるわけでございますので、そういうぐあいに御理解をいただけばよろしいと思うのであります。
厚生白書に載っておる従来の方式、そしてその具体的内容につきましては後ほど項目別に数字をもって明らかにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/28
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029・吉村吉雄
○吉村委員 大臣、あまりこれは強弁をしてもらわなくてもいいんですよ。厚生白書に基づいてのあなたのほらの数字の発表であったということは再三聞きました。私はその数字の中身が一体何かということをお尋ねをしている。その数字の中身を大臣のほらでも十分掌握をした上で言ってもらわないと——わが国の社会保障費というのが一つであればいいですよ。ところが厚生省自体も大体二通りに分けて使っておりますから、そのどちらをとるかによってだいぶ違った結果が出ますから、中身を掌握された上でひとつ言明をしていただくようにお願いをしたいと思うのです。
その次にお尋ねをしたいことは、先ほど総医療費の額の説明がありましたけれども、この総医療費というものの中身は一体どういうものなのか。一般的に言って総医療費と言っただけではちょっとわかりかねると思います。厚生省としてはこれをこまかく細分化すればたいへんだろうと思いますけれども、大体幾つかに区分ができるものというふうに理解できますが、内容的に説明をすればこれはどういうふうに区分されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/29
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030・熊崎正夫
○熊崎政府委員 従来とも総医療費ということで厚生省側から各方面に発表いたしております中身は各種健康保険並びに生活保護法、結核予防法、精神衛生法その他の諸法関係及び労災保険、それに自費や売薬等の分も含めまして、これを合わせて総医療費ということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/30
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031・吉村吉雄
○吉村委員 その中に占めるところの一番問題になっている医薬品はどういうふうな状態ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/31
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032・熊崎正夫
○熊崎政府委員 医薬品といいましても、大部はいわゆる治療薬として各種の健康保険の中身に入っておるわけでございますが、その他売薬といをことで、たとえばかぜを引いた、腹が痛いといった場合に薬局等で購入する経費を自費その他と含めまして大体例年六百四十億程度見込んでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/32
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033・吉村吉雄
○吉村委員 私は医療問題については専門家ではないので、専門家のほらからこれは詳しく説明をしてもらいたいのですが、一般論的に言うて総医療費の中に占めるところの薬代といいますか医薬代、こういうものはいまのような小さい数字ではないと思いますけれども、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/33
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034・熊崎正夫
○熊崎政府委員 総医療費の中身の内訳で売薬といろ形で取り上げております数字は、総医療費を一〇〇といたしまして、パーセントで言いまして大体二、三%程度、十年ぐらい前はこれが七、八%になった年もございますが、大体二、三%程度見込んでおるわけでございまして、ほとんどの薬といいますのはやはり治療薬ということで保険制度の中あるいは各種の諸法の中に含まれておるわけでございます。したがいまして、医療費の中に含まれております薬代が大体どのくらいかということになりますと、これは昨日も長谷川先生の御質問の際に申し上げましたように、入院、外来その他を合わせて一定の率は出せるわけでございますが、医療費の中の売薬等につきましては、われわれのほうで計算いたしております率としてはそうたいした数字ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/34
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035・吉村吉雄
○吉村委員 そうしますると、保険医療等も含めて総医療費の中に占めるととろの医薬品というのは一般的に何%ぐらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/35
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036・熊崎正夫
○熊崎政府委員 大体ここ数年ふえてまいっておりますが、三〇%ないし四〇%というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/36
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037・吉村吉雄
○吉村委員 そうしますると、先ほどの説明によれば、四十年度の総医療費一兆一千七百七十一億ですか、ここに占めておるいまの医薬品というのは何%ですか。大体でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/37
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038・熊崎正夫
○熊崎政府委員 三〇ないし四〇と申し上げましたのは、これは政府管掌におきましての保険医療の中の入院、外来を含めました大体の数字というふうに御判断いただいてけっこうだと思いますが、これは生活保護法その他の諸法につきましてもその数字を大体類推いたしますと三〇%前後、つまり総医療費を一兆円としますとそのうちの三千億程度というふうに考えていただいていいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/38
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039・吉村吉雄
○吉村委員 それは三〇%前後とか四〇%前後とかいうそういう数字しか出ないのですか。総医療費が一兆一千七百何十億というところまで出るのであれば、その中で医薬品はどれだけだという数字も当然にして出て初めて総医療費が出るものと私は理解するのですけれども、これは何%程度ということしか出ないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/39
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040・熊崎正夫
○熊崎政府委員 実はなはだ不確かなことを申し上げて恐縮でございますが、吉村先生の御質問の趣旨も、たとえば薬の生産額が年間四千億近く、そのうち保険の中で医薬品として使われておるものがどのくらいの金額かというのは簡単に推計ができるはずだという逆の面からの御判断もあろうかと思いますけれども、生産額といいますものは流通過程に乗らない前の価格でございまして、いわば生産者の蔵出し価格といいますか仕切り価格といいますか、そういう形で算定されましたものが薬の総生産額になっておるわけでございまして、これが流通過程に入ってまいりますとB価価格、つまり卸売り価格あるいは小売り価格という形で価格が上がってくるわけでございます。それで保険医療の場合に採用されております薬代といいますのは大体卸売り価格というふうに考えていただいてけっこうかと思いますけれども、これにつきましてもいろいろ差があるわけでございまして、一〇%増しかあるいは二〇%増しか、これは薬価基準の採用が九〇%バルクラインということにもなっておりますので、たとえば三千何百億とかあるいは二千何百億というふうなはっきりした数字はなかなかっかみにくいわけでございます。私どもが申し上げられますのは、先日も申し上げましたように社会医療調査によります入院、外来といったものを含めました総数におきましていわゆる薬剤費、これは注射代を含めましてそういったものが三〇ないし四〇であるということになって、それによって類推する以外にない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/40
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041・吉村吉雄
○吉村委員 わかりました。なるほど、それは保険医療の中についてだけは把握ができる、簡単に言えばそういうことになりますね。それではわかりました。
その次に、ちょっとお尋ねしたいのは、各健康保険制度に対する国庫補助の推移の問題ですが、これはきのう来厚生省のほうにも話しておきましたので、おわかりだろうと思うのですが、政管健保に対する国庫補助額というものが三十年度以降どういうふうになっているか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。それから次は国民健保に対する国庫の補助額、この二つを大体三十年以降くらいから数字で明らかにしてもらいたいと思うのですが、これは前もって話しておきましたので、おわかりだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/41
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042・加藤威二
○加藤(威)政府委員 政管健保の国庫負担額につきまして、昭和三十年度から申し上げます。
三十年度が十億でございます。それから三十一年度が三十億でございます。それから三十二年度が——いま申し上げておりますのは、政管の給付費に対する国庫負担でございます。三十二年度が三十億でございます。それから三十三年度が十億です。三十四年度も十億、三十五年度が五億、三十六年度が八億、三十七年度が五億、三十八年度が五億、三十九年度も五億、四十年度が三十億、四十一年度が一応百五十億というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/42
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043・熊崎正夫
○熊崎政府委員 国民健康保険に対しましての国庫補助額の推移を申し上げますが、これは政管健保の場合と違いまして、三十年ごろになりますと、まだ皆保険になっておらない前でございますので、数字を申し上げてもあまり比較になりませんので、便宜三十四年から申し上げてみます。
三十四年度二百三十一億、それから三十五年度三百二十八億、三十六年度が四百六十九億、三十七年度が五百八十二億、三十八年度が七百五十二億、三十九年度九百二十九億、四十年度が補正後で千四百六億、四十一年度が千四百五十一億ということになっておりまして、三十四年度を一〇〇といたしまして、四十一年度は六二七、六倍になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/43
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044・吉村吉雄
○吉村委員 同時に、政管健保の適用人数と国民健保に対する適用人数、これは必ずしも毎年一定というわけではないと思いますけれども、大体のところを出してもらいたいと思います。
同時に、それぞれの制度の適用者、被保険者一人当たりの国庫補助額、これはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/44
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045・加藤威二
○加藤(威)政府委員 政管健保の被保険者の数でございますが、三十一年度は五百六十一万七千人でございます。それから、三十二年度は六百四十五万二千人でございます。三十三年度が六百八十九万九千人、三十四年度が七百五十六万二千人、三十五年度が八百五十四万六千人、三十六年度が九百四十七万五千人、三十七年度が千二十万三千人、三十八年度が千七十三万八千人、三十九年度が一千百三十二万人、それから四十年度が一千百七十四万七千人でございます。
国庫負担の一人当たり金額でございますが、昭和三十一年度が五百一土十四円、三十二年度が四百六十五円、三十三年度が百四十五円、三十四年度が百三十二円、三十五年度が五十九円、三十六年度が八十四円、三十七年度が四十九円、三十八年度が四十七円、三十九年度が四十四円、四十年度が二百五十四円、四十一年度が千二百四十円、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/45
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046・熊崎正夫
○熊崎政府委員 国民健康保険の被保険者数と一人当たりの国庫負担の分を申し上げます。
三十四年度四千三百四十三万人、三十五年度が四千四百六十一万人、三十六年度が四千六百八十万人、三十七年度が四千五百七十八万人、三十八年度が四千四百七十万人、三十九年度が四千三百七十五万人、こういうことになっております。
それから、一人当たりの金額を申し上げますと、三十四年度が五百五十六円、三十五年度が七百十二円、三十六年度が九百七十八円、三十七年度が千二百四十八円、三十八年度が千六百五十七円、三十九年度が二千八十六円、こういうことになっております。これはみな決算額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/46
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047・吉村吉雄
○吉村委員 だいぶお手数をかけました。
この政管健保と国民健保に対する国庫補助の状況を見ますると、数字の示すとおり、国民健保に対する補助は非常に多い、こういうことになるのでありますけれども、政管健保の被保険者と国民健保の被保険者の収入の状態というものはどういうふうになっているかということを、これも数字上調べてみたいと思うのですけれども、全期間についてはともかくといたしまして、三十九年度あたりから四十年度あたりまでの状況は一体どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/47
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048・加藤威二
○加藤(威)政府委員 政管健保の被保険者の収入状況でございますけれども、先生御要望のような各年度についての資料が手元にございませんが、四十年十月現在でどういう状況かという資料でございますけれども、これは結局、三千円から現在五万二千円までの、標準報酬二十五等級でございますが、その分布が大体どういうことになっているかということを申し上げますれば大体政管健保の被保険者の収入状況というものがある程度御想像いただけるかと思うのでございます。
昭和四十年十月末で標準報酬の被保険者全員の平均は二万六千百六十二円でございます。それで、たとえば、三千円から五万二千円まで二十五等級ございますけれども、そのらち、たとえば二万円で区切りまして二万円以下の被保険者がどのくらいあるかということを見ますと四四・四%であります。それから三万円以下が七〇%でございます。それから四万五千円で区切ってみますと、四万五千円以下の人が八九%、こういうことでございます。以下は、まあ四万八千円から五万二千円くらいまでという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/48
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049・熊崎正夫
○熊崎政府委員 国民健康保険のほうは年額になっておりますが、三十九年度で申し上げてみますと平均所得が二十七万六千円になっておりまして、分布だけ申し上げておきます。全体を一〇〇といたしますと九万円未満が一八・八%、それからあと五万円ずつのきざみでいっておりますが、九万円以上十万円未満が二・五%、それから十万から十五万、この辺が非常に多いわけですけれども、十万から十五万、それから三十万から四十万までが一番多いわけですが、十万から十五万が一二・七%、それから十五万から二十万が一四・五%、二十万から三十万、ここが一番多いのですが、二二・一%、三十万から四十万が一二・二%、四十万から五十万になりますと落ちてまいりまして六・四%、以下ずっと漸減いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/49
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050・吉村吉雄
○吉村委員 このようになってまいりますと、政管健保の場合には大体月平均の収入というのが三万以下のもので約七〇%ですか、こういうことです。それから国民健保の場合には年間収入四十万以下の方々で占める割合というのはこれは八三%くらいになるようですね。そうしますと、大体のところ収入だけから見てまいりますと、月平均三万円ということは年間三十六万円でございますから、国民健保の場合の四十万以下の人数と大体対比してもいいではないか、このように私としては理解をいたします。国民健保に対するところの国庫の補助というのは、先ほど御説明がありましたように比較的多い。これは比較論でありますから、これでいいといろ議論ではないのです。比較的多い。こういう状態の中で政府管掌健保の場合においては、収入の状態においては同じような状態であるのにもかかわらず国庫の補助額はきわめて少ない、こういう状況になる、これは数字上大体明らかになったと思います。そういうような状況であるのにもかかわらず、今回千分の七十に引き上げをする、しかもこれは答申の線からしますならば〇・〇五多い、こういうことになるのでありますが、これを三万円と仮定をしますと、答申の線よりは百五十円だけ三万円以下の収入にあるような低所得の方々に政府は負担を負わせようとする、こういう結果になるだろうと思いますけれども、この点は一体私の理解が間違っているかどうか、ひとつ御見解をお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/50
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051・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 政管健保の被保険者と国保の被保険者の所得の模様につきましては、ただいま計数的に御説明を申し上げたとおりでございます。ただ、いまの国庫負担あるいは国の補助といろううなものを判断いたします場合は、それだけでは私は不十分だと思うのでございまして、国保の場合には政管健保のように労使でもって折半をして負担をしておるという関係にございませんで、事業主が政管の場合に負担しておりますような分をもある程度考慮されて国でめんどうを見ておる、こういう点もまた考慮の中に入れる必要があるのではなかろうか、こう思うわけでありまして、そういう観点から国保の同じような年収四十万円以下とかそれに相当する政管のほうの階層の方々、この方々が負担の面で保険料、保険税として負担する面、あるいは一部負担の面、こういう点の負担の面をも比較いたしまして、それに対して国の負担なりあるいは助成なりというものがどっちに厚くなっているかという点もこれは検討の材料になるのではないか、かように考えますので、ただ所得だけでもって国の負担率が薄いとか厚いとかいうことだけではちょっと不十分ではなかろうか、こういう感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/51
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052・熊崎正夫
○熊崎政府委員 ただいま大臣申し上げましたように、国保の場合とそれから政管の場合、いま申し上げました数字だけでパラレルに並行的に考えるのは——やはりいろいろな要素を入れてお考えいただかなければならないと思います。まず第一に政管の標準報酬につきましては、あれは標準報酬制でございますので、いわゆる賞与関係の分は入っておりません。それからまた政管の場合には大体三万円以下、あるいは二万円以下になりますと、独身世帯が多いという関係もございますし、全体から申しましても、政管の場合の被扶養者と国保の場合の被扶養者は全然違っておるわけでございます。国保の場合には、大体被扶養者が一世帯三人ちょっと。政管の場合には大体一人というふうになっておりますから、その辺も考慮していただきまして、御判断をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/52
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053・吉村吉雄
○吉村委員 大体そろいう答弁だろうと思うのですが、なるほど政管の場合には使用者負担というものもありますし、その面だけからの比較をすることはどうかというふうに私も考えます。ただ私がここで申し上げたいのは、いずれにしましても、政管健保の場合といえども、その所得は月額三万円以下の人によって七〇%以上占められておる。ところが今度はこの健康保険だけの問題ではないわけです。厚生年金保険等の問題もあり、非常にこの被保険者の負担というものは多くなりつつある。こういう状況のもとで、しかも月額三万円以下の人が大部分を占めておる政管健保の中で、今度の保険料の引き上げというもの、しかも答申の線からするならばそれよりも上回ったような政府原案というものが出されている。こういうような被保険者の所得水準の状態と他の年金制度等の保険料の負担の増加、こういうものから見まして、今度の改正の考え方というものは妥当だというふうに考えられるその根拠というものをまず示してもらいたいということが質問の本旨なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/53
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054・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 今回の法改正をいたします場合の保険財政の財政対策をいろいろ大蔵当局とも話し合いをいたしたのでございますが、その際にこのままでまいりますと、昭和四十一年度には七百二十億も赤字が出る。四十年度までの赤字も約七百億あまりある。こういうような状況下において当面の火がついております保険財政をどうやって守っていくか、私どもはそういう観点から暫定対策として考えたのでございますが、まず一つは従来五万二千円で頭打ちをしておりましたものを、これを所得に応じてひとつこの際負担をしていただこうということで十万四千円まで等級区分の上限を引き上げたのでございます。そこで八万円とか、九万円とかいう方は相当今回は急激な負担の増になるのでありますけれども、五万四千円以下の方々は二万円のクラスで月額約七十円、三万円のクラスの方々で百五円というようなことで比較的その保険料負担の増額は低目に押えられる。また国が四十年度に三十億の負担をいたしましたものを四十一年度に百五十億というこの財政きわめて多端の際に負担をするにつきましては、やはり国も大いに奮発いたしますけれども、被保険者の方々にもこの際応分の御協力をいただかなければいかぬというふうな観点からさようなことにお願いをいたすことにしたのであります。これははっきりした計数的なものではございませんが、大体私ども把握できる数字を見まして、腹づもりにいたしまして、今回の千分の七十というのは労使が分けますと、千分の三十五でございますが、これは国民健康保険なり、あるいは公務員の共済組合なり、そういう面の医療保険についての負担の均衡、そういうものとの見合いからいっても決して無理な数字ではないのではないか、こういう判断に実は立った次第でございます。公務員の共済等においてはもっと重い保険料の負担をいたしておる。また一番所得が低いといわれる、負担力の弱いといわれる国保の面におきましても、おおむねその程度の御負担は願っておる。こういうようなことから、この際政管健保の財政的な現況からいって、国も相当大幅な財政負担はいたしますけれども、関係者にもこの際御協力いただく、こういう趣旨でございまして、決して、私はしばしば申し上げておりますが、少数意見をとったとかそういうことではございません。実態的な関係からそういうような保険料率の改定をお願いをしたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/54
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055・吉村吉雄
○吉村委員 医療費が増高する。保険財政がきわめて逼迫する。したがって、その医療給付についての財源をだれがどう見るかということは、今日たいへん大きな問題でありますが、いまの大臣の答弁によりますと、厚生省の考え方の一端が表明をされたわけでありますが、応分の負担を被保険者、労働者にも負ってもらわなければいけない。この応分の負担というものをだれがきめるのかということが一つは問題になるだろうと思います。したがって、政府のほうとしてはそういう場合の意見というものを広く民間等から聴取するためにそれぞれの審議会というものを設置しておる。こういう状態でありましょうから、したがって、厚生大臣のいまの考え方が、はたして今日において応分の労働者の負担として適合するのかどうかということについての意見は後ほど私も述べてみたいと思います。
次に、お尋ねをしておきたいのは、たいぶ先ほどこまかい数字を尋ねて、少し時間をとりましたので、大まかでけっこうでありますが、医療施設に対する投資というものの状況、これを実は明らかにしたいと思うのです。医療施設については、御存じのように公共的な医療機関もありますし、私的な医療機関もある。こういう状態ですが、公共的な医療機関の三十五年以降くらいの投資額の総計は一体どうなっておるのか。もちろんこれは公共の施設といいましても、その内容はいろいろあるだろうと思います。国立の場合もあるでしょうし、あるいは各県、市立、こういったものもあるでしょうけれども、これを詳しく知りたいと思いますが、トータルの数字でけっこうでございますから、大体三十五年以降今日までの間に公共医療機関の施設の面に対する投資額は一体どうなっておるのか。それから私的医療機関、民間医療機関については、医療金融公庫の貸し出し以外には政府としては掌握できなかろうと思います。したがって、これは金融公庫の貸し出し状況を私の調べた範囲では、三十八年までしかどうしても厚生白書には出てまいりませんので、最も最近の状況までを——あれは発足が三十六年ですか、三十六年以降のようでありますから、合計でけっこうでございます。どのくらいになっているのかということをお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/55
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056・若松栄一
○若松政府委員 三十五年以降のトータルをいま計算いたしております。そのトータルが出る前にちょっと申し上げておきますと、医療機関の整備のために国費を投じますものは、厚生省関係、文部省関係その他の省、三公社、労働福祉事業団等がございます。それらのものが個々ございますが、それらの各省、三公社、労働福祉事業団合わせまして、三十五年が六十六億八千三百万、三十六年九十四億二千九百万、三十七年百十二億四千六百万、三十八年百五十五億五千六百万、三十九年百七十三億三千二百万、四十年二百六億五千万。公的なものはそういうものでございまして、国費の分が六年間総額で八百八億九千六百万でございます。
それから補助金といたしまして、公的な病院、市町村立の病院あるいは精神病、結核、伝染病というようなものに対する国の補助金がございます。それらの合計額が、三十五年では四億九千八百万、三十六年六億六千万、三十七年七億三千二百万、三十八年八億三千三百万、三十九年九億四千三百万、四十年十一億一千九百万であります。補助金の総額が四十七億八千五百万でございます。
それから民間のほらでございますが、これはいろいろございます。地方債あるいは特別地方債、金融公庫あるいは年金事業団、中小企業金融公庫、国民金融公庫等がございます。そのうち先ほどお話しのありました医療金融公庫につきましては、三十五年が三十億、三十六年七十億、三十七年九十億、三十八年百十億、三十九年百三十五億、四十年百七十億、以上の合計額は六百五億でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/56
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057・吉村吉雄
○吉村委員 この医療施設に対するところの国の資本の投下額あるいは民間の医療施設に対する医療金融公庫の貸し出し額、いずれもこれは昭和三十六、七年ごろから急激に増加をしておる、こういう形態が大体わかります。それと医療費の増高の状況、これとが若干年代を一にしている、こういう傾向を私は見るのでありますけれども、これは一体何の関係もないものなのか。関係があるという理解をしておるかどうか、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/57
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058・若松栄一
○若松政府委員 医療というものも、大きな意味で見ますと医療産業というような見方をすることもできることは当然でございまして、その中にどういう資本投資をするという場合、資本投資とランニングのコストと両方分けることができるのでございまして、ランニングのコストにつきましては、この前の委員会で、公的医療については大体赤字が三〇%程度ということを申し上げました。その公的医療機関におきましても、日赤とか済生会というようなものは、それぞれ設備投資についても償却をいたしております。それにつきまして、たとえば厚生団でございますとかあるいは国立というようなものは、現在そういう資本投資については償却はいたしてはおりません。したがって、国立の関係につきましては医療費にはね返されるという要因はないわけでございますけれども、医療費の支払い、診療報酬というものは一本でございますので、当然民間におきましてはそれらの設備が償却されるために医療費にはね返ってくることを予想するのが適当であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/58
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059・吉村吉雄
○吉村委員 いまの医務局長の答弁によりますと、施設に対する投下の償却というものが医療費にはね返ってくるということを肯定されておるのでありますが、医療経営の中でそういうことが私設医療機関といえども具体的にはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/59
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060・若松栄一
○若松政府委員 結局、診療報酬の中にそういうものを具体的にどう組み入れるかというような問題があろうかと思いますけれども、現実にはそのような大きな償却については、現在の診療報酬の体系の中には若干入っておるわけでございますけれども、最近のような濃厚な、急速な投資に対して償却できるだけの計算があるかどうかということは非常にむずかしい問題であろうと思います。したがって、やはり設備投資等を濃厚に行ないますと、経営者はそれなりの経営努力をするということがあらわれてまいりまして、そういう経営努力を通じて収益を上げ、それによって償却していくという形になってまいるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/60
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061・吉村吉雄
○吉村委員 その経営努力の内容というのは、診療報酬制度の中では、点数制の中には若干しか含まれていない。今日のように非常に急激な資本の投下というものがあるという状態の中では、現在の制度のもとではそれは償却でき得ないであろうから、したがって、経営努力の中でと、こういう答弁でありますが、これは経営努力というものは具体的には何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/61
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062・若松栄一
○若松政府委員 経営努力と申しますのは、積極的には収益を上げることであろうと思います。積極的に収益を上げることで、その収益を上げるということは、現在の診療報酬が大体出来高払い制になっておりますから、したがって、その医師の診療の量を大きくするということが積極的な経営努力。消極的な経営努力といたしましては、経営費の切り詰めということで、いろいろな合理化なりあるいはむだな経費を省くなりということで、経営費の節約をはかっていくということが消極的な努力であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/62
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063・吉村吉雄
○吉村委員 その積極的な経営努力の中での収益を上げるということ、そういう表現自体の意味はわかります。しかし、新しい病院をつくった、あるいは今度は医院をりっぱなものに改築した、いい機械を購入したということによって、病人の需要が急にふえるというものではないわけだと思います。それは他の場合と違って、医療というものはやはり病人がなければ、患者がなければ、これはなくて済むわけですから、したがってこれは私の推測でございますけれども、このごろ国、公立を問わずあるいは民間を問わず、非常に急激に施設に対する投下額がふえている。この事実は医療費増高の有力な原因になっているのではないか、こういうふうに私は考えます。そのことについては医務局長も半ば——全部ではないにしても、半分くらいそろいうことを認められた発言を先ほどいたしました。しかし、それは当然資本の償却というものをはかっていくためにいろいろの形で努力をされていると思いますけれども、しろうと流に観察をしてまいりますと、この医療費増高の中で特に大きなウエートを占めているのは薬価である、こういう状態だとしまするならば、これは資本償却のために、いわゆる積極的な努力の中にそういったものが含まれる危険性というものがあるのではないか、こういうふうに考えられます。この点は非常にデリケートな問題ではありますけれども、しろうと流に考えてみても、どうもこの医療費の増高というものと、それから国あるいは民間の医療機関に対する施設の投下というものが軌を一にして上がってきておる、こういう状況から見ますると、何らかの関連というものを持っているのではないかというふうに考えられてしようがない。もし私の推測が正しいとするならば、それは現在のこの医療制度というものが、大体施設の問題といわゆる経営の問題と医療というものがごっちゃになっているというところに根本的な原因があるのではないか、こういうふうに考えられますので、この経営のあり方というものと医療というものとを区分するような方向、こういうような方向をとらなければ、この事態というものは解決をしていかないのではないか。たとえば、医療金融公庫の貸し出し額等を見ても、発足当時から見まするならば、約十倍くらいにその資金というものは増額をせざるを得なぐなっておる。しかもなお、それでも需要に応じ切れないというのが今日の医療金融公庫の実情である。これは当然の趨勢であると見なければならぬだろうと思うのです。しかし一方、国立のほらの関係はどうか、こういうふうに見てまいりますと、それぞれ三公社の医療機関というものをつくる、あるいは国立のものをつくる、あるいは県立、私立、こういったものをどんどんつくっていく、こういうような状態で、医療の施設、医療の面については全く国と民間というものが無政府的にどんどんと施設をつくり上げていく。施設が医療の中できわめて重要な役割りを果たすということは、これは当然だろうと思います。しかしそこに何らかの規制といいますか、国民全体の医療の均てんということを考えなければならぬというふうに思いますけれども、この点は前回の委員会でずいぶん地域的な偏在というものについても、いろいろと議論をされましたから重複は避けます。重複は避けますけれども、私がここで指摘をしたいのは、どうしても医療施設に対する投下というものと、それから医療費の増高というものとの関連について少しく厚生省としては検討をしてみなければいけないのではないか。もしその中で私の推測のような事態があり得るとするならば、それは経営と医療というものについて区分をする方向、こういうものを打ち出さなければいけないのではないか、こういうふうに考えますけれども、これらの諸点についての厚生大臣の見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/63
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064・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 近年医療施設がだいぶ近代化、あるいは設備の内容の充実整備というようなことが行なわれておるのでありますが、これは私は、医学、医術が進歩をし、また国民の医療の質的向上をはかっていくという面からいたしまして、決して心配すべき方向ではない。なるたけ整備された近代的なまた進歩した医学に即応するような設備が整備されるということは、ある意味では私は非常にいいことだ、こう思うわけであります。ただそれが過当競争になって——先日も滝井さんから御指摘がありましたが、デラックス競争というような過度の競争になりまして、必要以上に内容よりも建物だとかなんとかそういう輪奐の美を競うような、医療の内容から離れた、ただそういう大きな施設をつくる、そういうような過度の競争等がありましては、これは私は不健全だ、こう思うのでありますけれども、そうでない意味における、医学、医術の進歩に即応するところの近代的な進歩した設備を整備するというようなことは、国民に対してりっぱな医療給付を行ならという観点から私は当然のことであり、これは政府としてもむしろ助長すべきことだ、こう思うのであります。
もう一面、私は、この医療施設が一部に偏在をしてはいけない、一方において、皆保険下において離島あるいは僻地においては十分な医療施設がない、また医療給付ができない、こういう状況を早く克服せねばいかぬと思うのでありますが、一方において大都市等に偏在するというようなことも、ただいま御指摘になりましたように、めぐってはそれが医療費に対する圧迫、増高の原因にもなりかねない、こういうこともあるわけでございまして、そういう意味合いからいたしまして、厚生省におきましては医務局が中心になりまして、各地域における適正な病院の配置、診療機関の配置、ベッド数の配分、そういうことをいたしておりますことは御承知のとおりであります。特に医療金融公庫が中心になりましてそういう設備資金を貸し出しをするという際には、医療行政と金融とが表裏一体になり、そしてそういう観点での医療機関の整備を計画的に進めるということに配慮を十分いたしておるのでございます。同時に、私どもとしては、公立の医療機関に対しましてはできるだけ国の助成、補助等の措置を講じまして、そしてそれの償却等のために医療費の圧迫にならないようにそういう面も考慮する必要がある、また医療金融公庫等を通じて長期の資金を融資するということ等もそういう配慮からであるわけであります。診療報酬の中にどの程度一体そういう償却費とか修理費とかそういうものを見ていくべきかといろ点につきましては、今後診療報酬体系を私ども再検討いたします場合に、適正化をはかります場合に十分慎重に検討さるべき一つの課題である、こう考えますが、昭和三十六年当時の資料がここにあるのでありますが、月額四十一万円程度の収支で経営される診療所におきましては、三万円余りの減価償却費その他の修理費というようなものが、診療報酬の中に認められておる、こういうことでございまして、私は今後の新しい診療報酬体系をつくる際にはこの問題は十分研究をする問題点であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/64
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065・吉村吉雄
○吉村委員 初めからいままで言われている中で一貫しているのは、医療給付内容が向上して、そして医療費がかさむことは何らとやかく言う問題ではない、むしろ喜ぶべき傾向である。問題は、医療給付改善だけにこの医療費の増高というものが結果づけられているということが実は問題だというふうに私も思うのです。
そこでいまの大臣の御答弁のように、医療という観点から考えまして、施設や機械器具も非常に重要な役割を果たす、これらも近代化していくということは当然望まれなければなりません。ただ、あまり急激なそういった投資というものが個人個人の負担に帰せられるということは、民間の医療機関等の場合にはどうしても、先ほどの医務局長の答弁ではないけれども、収益をよくするように努力をしていかなければならないという事態に追い込められていく。そうすれば現在の中で一体どういうようなものが出てくるのか。これはいろいろ微妙な問題があると思いますけれども、そういうものと、よく一般にいわれるところの医薬品に対する医療機関の取り扱い方、そういうことが結果づけられてくる危険性なしとしない。医療費の増高の中における最も大きなウエートを占めているのは薬の問題だ。薬については今日の状態ではお医者さん自体がある程度——ある程度といいますか当然にしてこの薬は必要だという判断をする、こういうことになるわけですから、そういうようなことはないとは思いますけれども、数字的に見ますると、医療費の増高というのと、医療施設に対する投下資本のあり方というものとの関連づけを考えざるを得ないような状況になっている。私はそうでないことを望みますけれども、そういうようなことについてもしむだがあるとするならば、もし患者、国民の側にその負担が負わせられるということであるとするならば、これはやはりむだの一つであるといわねばならないと思うのです。言いかえますと、それは医療行政の中で、医療制度のあり方の中でもっと検討していかなければならない、こういう問題になるのではなかろうかというふうに思います。したがって、一つの方向としては、医療に必要な施設や機械器具はどんどんと近代化していったほうがよい。これは当然のことでありますから、こういう費用については公費でこれを見るというような考え方をとったらどうだろうか。医療従事者はあくまでも医療従事だけに専念できる、そういうことによって経営というものと医療従事というものとを区分けする、こういう方向が打ち出されなければ、いまの事態というものが、私の推測どおりにむだがあるということであるとするならば、そのむだを排除することはできないのではないだろうか、こういうふうに考えられますけれども、こういう点も十分検討していかなければならない問題だ、こう思いますが、この点は一体どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/65
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066・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 ただいま医療設備とその経営とを遮断してやることがいいのではないかというせっかくの御提案でございますけれども、現在のように国立病院だとか国立療養所だとか、あるいは都道府県立の公共団体の経営いたします医療機関と、それから民間の診療所あるいは開業医、こういう私的医療機関が並列をして医療に当たっておるという現状を変革する意思は私は持っておりません。御指摘の医療費の面においてできるだけこういうことが大きな負担にならないように、また診療報酬体系の再検討の際において、そういう減価償却の面をどう見るかというようなことは慎重に検討いたしますけれども、私は現状の公的医療機関と私的医療機関の並列によって仕組まれておるわが国の医療制度というものを根本的に変える意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/66
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067・吉村吉雄
○吉村委員 鈴木厚生大臣はそういう御意向のようでございますから、これはまさに見解の違うところで、どうにもしようがないと思いますが、いずれの時代かは別としまして、そういう方向に進んでいくであろう、こういうふうに私は考えていることだけをこの際申し上げておきたいと思います。
次に、これと関連をする問題でありますが、私の調べたところによりますと、厚生省で調査をされておるいわゆる無医地区というのは一種、二種、三種とある。その一種、二種、三種の無医地区を合計したところの数は三百五十であって、ここに住んでおる人口は四十万五千人である。こういう調査が厚生省から発表されております。この無医地区に住んでおる人といえども、国民健康保険法の適用を受ける人が大多数であろうと私は考えますけれども、保険料を支払っていながらも必要な医療を必要に応じて受けることができないこういう方々が、同じ日本の国民の中に相当多数いる。これは四十万全体というのではありません。相当多数おる。この現実は一体何に原因をしておるのか。これを解消していこうという努力を厚生省がいろいろやっていることはわかります。巡回車、その他をやっていることはわかります。しかしいずれにしましても、この土地に住んでいなければならないという事態は同じなんです。むしろ病気の発生する割合は多いかもしれぬ。そういう場合に、皆保険のもとで保険料だけを払っておって、そして医療の機会に恵まれないという状態、これは一体どこに原因があるのか。私をして言わしむれば、たとえば個々の施設をつくったり、その他の医療機関をつくったにしても、そこに行くお医者さんの希望者がいない。こういう問題も大きな原因であろうと思う。したがって巡回車ということになるだろうと思いますけれども、これまたなかなか医療の必要に応じてといろわけにはいかない。こういう状態で、国民的な立場からいえばきわめて不公平な状態にさらされておる。この現実は一体どこに原因をするのか。これを解消していく根本的な方針は一体何かということを考えてみたいと思うのですけれども、これらについての厚生省の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/67
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068・若松栄一
○若松政府委員 お話のように、皆保険であってすべての国民が平等な受診の機会を確保しなければならない状態にあるにかかわらず、僻地においては医療の供給がきわめて円滑を欠いているということはまことに残念なことでございます。先ほど申しましたように、医療といえども、現在の日本の自由主義経済のもとにおきましては、医療産業ということばをちょっと使いましたけれども、自由な企業の形をとっておることは事実であります。したがって、そういう一般診療の大多数を受け持っております開業の診療所、そういうものが現在では一つの医療企業として採算をとらなければならない宿命にあることは当然でございます。したがって、そういう採算という面から考えましても、非常に人口の少ない僻地に診療所が開設されるということは、事実上不可能なごとでございます。またある程度採算がとれるにいたしましても、その地域の居住性という問題がございまして、その地域に住んでいたのでは子弟の教育ができないというような問題もございます。採算以外に、また地域の総合的な居住性の問題から医師が定着できないという状況もございます。したがって、そのような意味から、僻地というものについては自由企業的な開業医による医療の供給の確保ということは事実上不可能になるわけでございます。したがって、当然こういうものに対して公的な負担において何らかの努力をしなければならない。その公的な負担のあり方といたしまして、公的な費用をつぎ込んだ診療所の設置、つまり僻地診療所を市町村が設置するという方法が一つ、さらにそれも当然赤字が出ますので、それに対して赤字の補てんをやるという財政的な裏づけをやる、これが一番基本的なことでございますけれども、それにいたしましても、一応財政的な補てんはできたといたしましても、先ほどの医師の居住性の問題から、そういうところの診療所がそれでもなお成り立ちかねる。したがって、やむを得ずそれを補うために巡回診療をやる。あるいは逆にその地域から医療機関のあるところまでの交通を円滑にするために、マイクロバスを設置して町村にそれを経営させる。それに対して国が補助をしていくというような方法をとらざるを得ないということになるわけでございまして、そのようないろいろな方法につきまして、できるだけ公的医療機関が人の面等でも協力をするというたてまえをとって、それを促進しているわけでございますけれども、それにもかかわらずまだ十分でないという点は、まことに残念に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/68
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069・吉村吉雄
○吉村委員 厚生大臣、子供の教育については全国至るところ学校、山の中では分校、そういうことで、教育については機会均等が不十分ながらも大体行なわれておる。教育は国家的な非常に重要な仕事であることは言うまでもないのです。同じような意味で、国民の健康と生命を守る医療ということもこれまた重要ではないか、こう思います。教育については至るところ教育の施設というものがあって、また教育従事者というものがあって、そこで教育というものが行なわれておる。それよりももっとある面では重要視されるかもしれない医療についてはいまのような状態、このよってくる根本の原因は一体何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/69
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070・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、国民の健康と生命を守る、そのための医療の確保という問題、特に医療皆保険下における医療の提供、これは全く御指摘のとおり、政府に重大な責任がある。そこで現在、僻地あるいは離島、そういう医療機関の不十分な、あるいは無医村地区といわれる地区に対しましては、ただいま医務局長から御説明申し上げましたような当面の対策を講じつつ、医者及び診療従事者の確保をはかり、その間における補完的な施策として、マイクロバスでありますとか、巡回診療でありますとか、そういうようなことを鋭意努力いたしまして、保険医療がそういう地方においても確保できますように、今後一そう努力してまいりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/70
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071・吉村吉雄
○吉村委員 この無医地区の問題については、歴代の厚生大臣が同じような答弁をずっと繰り返していると思うのです。しかし容易にこれは解決をしていかない。医務局長の先ほどの答弁によりましても、たとえば医療機関を国でつくったとしても、そこに行く医療従事者の確保がなかなかむずかしい、こういう事態であります。医療機関のほうは、私は金によって何とかなると思います。国がその決意さえすれば、金によってつくることはできると思います。しかし、医療機関だけできても、医療はそこで成り立つものではない。医療従事者がいなければならない。医療従事者の確保は、今日の段階のもとでは、いままでもむずかしいと言っている。医療機関と医療従事者を確保しなければ、厚生大臣がいま言った言明、努力というものは実現しないことになる。いまのような医療の状態の中で、私は努力をします、努力をしますと言っても、具体的に何をどうするかということが示されない限り、それは単なる言明だけに終わってしまって、実現はほど遠い、こういうことにたるのではないか。医療機関のほらは、私は可能性あると思いますよ。しかし医療従事者のほらはほとんど不可能であろう。だとするならば、大臣のその努力というものは水泡に帰してしまう危険性なしとしない。この問題を解決するために一体どうするかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/71
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072・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 医者及び医療従事者の養成、確保という問題は、当面の大きな問題でございます。また非常に困難な問題でもあるわけでございます。その一環といたしまして、今回、保健所の医師及び看護婦等の処遇の改善につきましては、超過負担の問題等も相当考慮いたしまして、大幅な待遇の改善をいたしたのでございます。また、地方における医師の確保のために、奨学資金制度その他の活用の面につきましても、私ども意を用いてやっておるのでありますが、この点につきましても、まだ十分な成果があがっておりません。しかし、これは先ほど来申し上げますように、子供さんの教育の問題でありますとか、あるいは医者としての研究その他の面で、僻地等におるとどうしても立ちおくれになるというような面等からいっても、いろいろ困難な事情があるわけでございます。単に待遇だけの問題でもない。そういう居住性の問題もある。医者としての研究や向上の問題もある。子供さんの教育の問題もある。いろいろむずかしい問題がございますから、これは単純な対策だけではいかぬ。やはり総合的な対策が要るわけでございまして、そういう面に私どもは今後たゆまない努力が必要であると同時に、ただ、それができないからといって、この皆保険のもとにおける医療の対策というものは一日もゆるがせにできませんから、そういう意味で、巡回診療であるとかマイクロバスの配置であるとか、そういうような面も強化いたしまして、当面そういう応急の対策を講じつつ、基本的な医師の確保という面につきましては、いろいろな総合的な観点でこの対策を進めなければならない、そういう方向へ努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/72
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073・吉村吉雄
○吉村委員 これも幾ら答弁を願っても、とにかく巡回パス程度のことになりそうでありますからそういう点に努力をしていこうとするその気持ちだけは、私も理解をします。しかし、それだけで根本的に解決をしない。そこで考えていただきたいのは、先ほど私は申し上げましたけれども、教育については、至るところ、これはどういう子供であっても、どんな山の中の子供であっても、教育は受けられるという状態にあるのです。教育は国の責任でしょう。同じように医療についても、国民の生命と健康の問題ですから、これは国の責任でなされなければならない。特に国民皆保険のもとにおいてはしかりだ、こういうことになってくる。そういう点から考えてみて最も必要な事柄は、私は医療の問題については、医療従事者に対するある程度の社会的、国家的な規制、そういうものがなければ、医療従事者の配置も、あるいは医療機関の適正な配置も、不可能になってくるのではないか、こういうふうに考えられてしようがない。そのことは、医療国営の議論になるといって、一方からいろいろな非難を受けるのでありますけれども、しかし、医療国営全体の問題でなくしても、そういうところについての国としての責任を果たすためには、人の問題と機関の問題、施設の問題を同時並行的に解決しなければならない問題なんですから、だとするならば、そういう部分については国として責任を持っていくという、それをきちっとしなければ、これはどうにもならない問題ではないか、こういうふうに考えられてしようがないのです。これはもう採算性とかなんとかの問題ではないのです。採算以前の問題であって、国民の健康と生命を守るための国の責任をどうして果たすか、こういう基本的な問題であろうと私は考えるのです。したがって、それを実現していくためには、どうしても医療従事者の養成とその配置、これについて国家的なある程度の規制を加えるという、そういう決意をしなければ解決しないのではないか、こう私は考えますけれども一この点もおそらく厚生大臣とは意見の食い違いになるだろうと思いますけれども、念のためにお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/73
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074・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 この問題は、先ほど来申し上げておりますように、医師の養成なり、あるいは処遇の改善なり、あるいは研究に対するところの助成措置なり、あらゆる面から私ども配慮をいたしまして、そうしてこの僻地、離島等の非常な悪条件、非常に不利益な環境、そういうようなものを補うような措置を講じて、そして医師及び医療従事者が、そういうところに長くとどまって地域住民の医療に従事できるような、そういう条件を整えることに今後努力をいたしたい、こう考えるのでありまして、この人事の配置等について、法的な規制をいま直ちにとるということにつきましては、そこまで考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/74
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075・吉村吉雄
○吉村委員 いま直ちにという前置きがつきましたから、そうすれば将来検討することになるかもしれないということになるでしょう。しかし、どういう形態になるかは別にして、いずれにしても、国民の生命と健康というものについて国が責任を持つ、こういう立場から、当然の責任から考えますならば、私が申し上げたような方向に進まなければ、根本的な解決にはならないであろうということを、この際私は明らかに申し上げておきたいと思うのです。
なおこの際、厚生大臣はこういうこまかい数字まではわかっていないでしょうから、申し上げておきますが、さっきの無医地区という中には、一種、二種、三種とある。その中で、三種というのは、ほとんど医療に恵まれないという人たちですよ。それがどのくらいおるかといいますと、十四万九千ですから、約十五万人おるということです。こういう問題は、巡回バスやあるいは巡回医療船やそういうことで解決できるというものではない。もっと根本的な問題がある。国としてもっと根本的に検討し、施策をしなければならない面があるということを強調しておきたいと思うのです。
次にお尋ねしたいのは、日本のお医者さんの社会的な地位、こういうものがいろいろ議論をされるのでありますけれども、この委員会の中にも、先輩議員の中にもたいへんお医者さんも多いし、与党のほらにも多いのでありますが、第三者的といいますか、国民の一人としての立場から、若干承っておきたいことがある。それは、いまの日本の医師の所得の水準というものは、国際的に比較をして、大体どの程度のところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/75
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076・若松栄一
○若松政府委員 医師の所得水準ということは、なかなかはっきりした数字ではつかみにくい問題でございます。したがって、いろいろな学者あるいは個人が調査した、あるいは推計した成績等を文献で見るよりしようがないと思います。一つの資料で申し上げますと、一九五五年のアメリカの医師の平均として年収五百七十万円、西ドイツが二百四十五万円、スウェーデンが二百十万円、フランス三百十万円という一つの数字がございます。これに対して日本の医師はどうかということになりますと、これはもらいろいろでございます。一つの例といたしまして国立病院を考えてみますと、国立病院で初任給が大体三万円、それから医長になりまして七万円前後、それから副院長程度になりますと九万円程度、院長になりますと、十万円から、大きな病院では十五万円ぐらいということでございまして、国際的な水準に比べますと、かなり低いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/76
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077・吉村吉雄
○吉村委員 いまの比較の中で出されたのは、国立病院に働いておるところの医療従事者ということでしょうから、全般を規制するわけにはいかぬだろうと思います。民間の私的な医療機関といいますか、民間医療施設の医師の収入というものは、国際的にどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/77
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078・若松栄一
○若松政府委員 私どもの調査の中にあります一つの資料といたしまして、一般診療所の医師の生活費というものを推計いたしました場合の数字として、月額十六万六千円という数字がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/78
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079・吉村吉雄
○吉村委員 いつでしたか、私がこの委員会で、医師の所得の国際的な水準についてお尋ねをしたときに、当時の医務局長は、こういう比較をされたことがあるのですよ。熟練労働者の約五倍というのが大体西欧においては医師の収入である、医師の所得水準である。それと比較をして日本の場合はどうか、こういうことに対しては、少し低いけれども、大体同一水準に近づきつつあります、こういう答弁がありましたけれども、この答弁の内容はいまでも変わりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/79
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080・若松栄一
○若松政府委員 ただいまのお話の、諸外国におきましては医師の収入が熟練労働者の五倍程度、それに日本も近づきつつあるという答弁であったといたしますと、私の個人的な感覚といたしましては、日本では医師の収入はそれほど高くはないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/80
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081・吉村吉雄
○吉村委員 その次にお尋ねしたいのは、日本の場合には、戦後敗戦によって国民の体力水準というものも非常に急激に低下をする、国民の健康状態も非常に悪化をする、こういう状態がございまして、医療というものには、今日でもそうでありますけれども、当時はさらに強く社会的な責任が非常にあった、こういうことだろうと思いますけれども、医師の所得については、わが国の場合には、所得のうちの七二%は必要経費として差し引かれ、残り二八%が課税の対象になる、こういう状態でありますけれども、それは今日の事態においても変わりはない、必要な条件と国が考えられておる理由、根拠、そういうものについてお示しを願いたい。——答弁しにくければあえてなにしません。これは私も冒頭に話しておりますようになかなか言いにくいことです。言いにくいことでしょうけれども、事柄を明らかにしていかなければならぬだろうという立場で私は聞いておるつもりですけれども、いずれにしましても、現在日本の医師の場合には、その所得の七二%は必要経費として差し引かれ、二八%について課税対象になっておるというのが実情です。これは外国に一体そういう例はありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/81
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082・熊崎正夫
○熊崎政府委員 二八%の課税につきましては、租税特別措置法の中身でそういう取り扱いをいたしておるわけでございますが、経営規模のいかんにかかわらず一律に二八%という取り扱いをしておるところは外国にはちょっとないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/82
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083・吉村吉雄
○吉村委員 日本でだけそうしなければならない根拠は、大臣何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/83
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084・熊崎正夫
○熊崎政府委員 当時の状況といたしまして、医療費の引き上げということで非常に問題の多かったときでございまして、当時としましては、医療担当者側の要望の線と、政府側できめました要望の線とは必ずしも一致せずに相当開きがあったわけでございます。片やそういう関係も考慮いたしまして、租税特別措置でもって医師の収入をある程度確保したいというふうなことも考えられて、国会内において審議されたというふうに私どもは拝承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/84
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085・吉村吉雄
○吉村委員 いまきわめて平面的な説明ですからそれ以上はなにしません。
いま一つは、民間の医療機関に対しては、先ほども少し触れましたけれども、医療金融公庫によって、その施設あるいは機械器具等について公の金を貸し出すという制度になっておりますけれども、こういった制度は外国にはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/85
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086・若松栄一
○若松政府委員 外国事情については残念ながら存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/86
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087・吉村吉雄
○吉村委員 できるだけこれは諸外国の状況についても調査をして、実情を把握していただくように要望しておきたいと思うのですが、とれほど医療の問題が大きな政治問題になっておる。しかも医師は国民の健康と生命を守るために必要な社会的な条件、社会的な待遇、地位というものが与えられなければならない。国の施策はその一環としていろいろな施設をやっていこうとするわけでありましょうが、しかし、経済情勢というものも変化をすると同じように、必ずしも一定不動のものであっていいというものではないと思うのです。しかし現実のように、日本は特殊な国家的な便宜といいますか、そういうものをしなければならないというには、それだけの説明のつく根拠がなければ国民はやはり納得しない。そういうところに医師に対して不必要な見方、誤った見方というものも生まれてくる危険性がある。ですから、そういう点については、国がなぜそれを必要とするのかということを明瞭にした上で議論すべきものは議論する、こういう立場に立ってもらうようにお願いしたい。そのためには、国際的な事例というものを明確に掌握をしていただくように特に私は要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/87
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088・河野正
○河野(正)委員 関連。いま吉村委員からいろいろ医師の社会的地位、あるいは保険医療における医師の地位なり、そういう問題についての質問があったのですが、そういうやりとりを聞いておりまして、一つ私は矛盾を感じておりますので、それらの矛盾点について若干お尋ねをしておきたい。
一つは、先ほど局長のお答えを聞いておりますと、医師の生活費の実態というものが大体十六万六千円というようなお答えがあったようであります。ところが一方、国立病院におきます医師の処遇については初任給が三万円、医長クラスで七万円、副院長クラスで九万円、院長クラスで十万から十五万円だという。そうしますと、少なくとも国の医療機関における医師の数の占めます比重というものは、一般の医局員クラスが大部分ですから、そういうことになりますと、少なくとも三万から七万の処遇を受ける医局員というものが大部分を占めておるだろう、こういうことを感ずるわけです。そこで先ほど大臣も、国の機関における医師の処遇なり、あるいはまた看護婦の処遇なりについては大幅に善処をしたというふうなお話でございます。ところが、いま私が御指摘を申し上げますように、国の医療機関の中に占めます大部分の医師というものが三万から七万ということで、いまの医師の一般的な生活水準というものが十六万六千円ということになりますと、これは非常に大きな隔たりがあります。こういう隔たりについていかがな考え方を持っておられるのだろうか。私は、よくも十六万六千円なんということがこの席上で言えたものだというような印象を持つわけです。これは恥ずかしくてとてもそういうことが言えるような状態ではないわけですから、私はその点についての所見をひとつ聞いておきたい。
それからもう一つは、先ほど保険局長のお答えによりますと、この租税特別措置法によります二八%というものは、現在の医療を守るという意味で二八%に所得を押えた、こういう話です。ところが、それならばなぜ一般の、たとえば病院であるとか、あるいは医療法人であるとか、そういう医療機関における所得というものが、この租税特別措置法の適用を受けないのか。なるほど診療所は二人の適用を受けるけれども、一般病院の場合は受けない。そうすると、一般病院の場合は適正な医療というものを守らぬでもよいのか、こういうような議論が出てこようと思う。そこで、いま局長のお答えによりますと、医療を守っていくためには租税特別措置法の二八%が必要だということになれば、診療所以外の医療機関というものは一体どうあればよろしいのかという一つの矛盾点が出てくると思う。関連でございますから、その二点についてひとつ御見解をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/88
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089・熊崎正夫
○熊崎政府委員 先ほど個人立院長の所得といたしまして、一般診療所の場合十六万六千円というふうに申し上げましたのは、実は一般診療所の場合の積算の基礎につきまして、これは明らかにしなければおわかりいただけないと思いますが、中身といたしましては、三十九年に推計をいたしました資料として、私どもが中央医療協議会に出しておる資料でございます。詳しく申し上げますと、昭和三十六年の七月に診療報酬の一二・五%の大改定をいたしたわけでございますが、その当時の積算基礎で推定されました個人立の施設院長の税込み生計費は、一般診療所の場合には八万六千五百十九円であったわけでございます。この八万六千五百十九円を総理府の支出金額別世帯数分布、つまり一番上の階層からずっと順番に、支出金額別の世帯数の分布状況のあれがあるわけでございますが、それに当てはめていった場合には、一般診療所は九十五・六番目だということになっておったわけでございます。三十六年の七月のその計算を基礎にいたしまして、その位置にランクされました世帯の昭和三十九年の実支出を推計いたしました。それを三十六年と比較して、それぞれの位置の実支出の金額の上昇率を算定いたしました結果が十六万六千円、こういうことになったおけでございまして、これは先生御指摘のように、国立病院の院長とか、あるいはそういう勤務医師の場合と違いまして、一般の開業医の場合の実寸出の計算を、このような根拠に基づきまして算定をいたしましたということを申し上げておるわけでございます。
それから第二点の御質問でございますが、二八%の問題につきましては、その理論的な根拠その他につきましては、私ども実は内容をつまびらかにいたしておらないわけでございまして、当時、政府立法でやったというように私どもは聞いておりませんので、ただ医療法人等の病院につきましては、あの措置がとられましてあと——当時私は医務局の課長をやっておったころでございますが、医療法人についても同じような措置をとるということで立法措置はとられておると私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/89
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090・河野正
○河野(正)委員 第一点の医師の生計費の問題ですけれども、この答えに確信を持っておられるならば、私はいまさら医業の実態調査というものは必要なかろうと思う。これはもう必要ありません。そういう意味で、厚生省がいまの医業の実態調査をやらぬ限りは、医療費の算定その他も困るんだ、こういう御趣旨の言い分ならば、いまの十六万六千円という問題については非常に疑問がある。これは関連してくるのです。それほど的確な数字ならば、何もいまさら医師会とトラブルを起こしてまで医業実態調査をする必要はない。ですから私はこの数字については、非常に疑問を持っておるということを指摘をしておきたい。
それからもう一つは、医療法人については租税特別措置法の適用を受けられるというようなお話でございますけれども、これは全く認識不足もはなはだしい。これはそうしろという要求があるのであって、そういうような適用を受けておらぬことは、今日までの国会審議の中でもいろいろ論議されておりますから、これは私はあえて申し上げる必要はないと思う。二八%というものが、いまの医療を適正に守っていくという意味において必要だというならば、そういう御意思であるならば、なぜ一般の病院についても二八%で押えぬのか、こういうふうになる。二八%に対する根拠なり理由というものが明らかにされれば別ですよ。単に適正な医療を守っていくためには、租税特別措置法によって、二八%で押えなければならぬということになるならば、一般の病院においても、当然二八%が適用されなければならぬ。そうしなければ一般の病院については適正な医療を守っていかないでもよろしいということに通じていくと思うのです。ですから、これは吉村委員からも指摘がありましたけれども、その間の理由というものがはっきりならぬ限りは私は問題が残っていくと思う。ですから、二八%については、別な意味があるということならば別ですが、単に適正なる医療というものを守っていくためにそうでなければならぬということならばこれは問題が残ると思います。関連でございますからこれ以上申し上げたくございませんけれども、これはすっきりしておかぬと疑問が残っていきますよ。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/90
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091・熊崎正夫
○熊崎政府委員 実は租税特別措置法の二八%の取り扱いにつきましては、中身としましてどういうふうなことでそうなったということは、私ども先生御指摘のとおりつまびらかにしておらないわけでございます。ただ、取り扱いとしまして、これを個人の診療所の場合だけに限定をして考えるということについては、確かに問題があるという点を考えまして、医療法人の場合に、同様の取り扱いをしなければならないというふうな御要望の線に沿って、私どもも大蔵省と折衝したことを覚えておるわけでございますが、ただ何ぶん税法上の取り扱いの問題でもございます。また税制調査会等の御意見といたしましても、あの租税特別措置法の中身につきまして、いろいろと御意見があることは私ども承知をいたしております。これを先生御指摘のように、すべての医療機関に適用するかどうかということについては、非常に問題の多いところだろうというふうに私ども考えておりまして、いずれにしましても、所管自体が大蔵のことでもございます。私どもは保険医療全般の問題として、税制の問題も、医療費の積算の基礎に考えていかなければならない問題でもございます。今後ともその辺十分慎重に検討してまいりたいと思います。
第一の点につきまして、十六万の金額につきましては、冒頭申し上げましたように、中央医療協議会の提出いたしました資料の中身としてそういう金額を出しておったというふうに申し上げましたが、例の九・五%の緊急是正をやります場合の積算の基礎等につきましては、これは先生御承知のように、二十七年の実態調査、それ以降の物価の変動なりあるいは稼働日数の変動、その他いろいろな要素によってスライドしてやっておるわけでございまして、一応そのスライドの数字その他必ずしも的確なものでもないことは私どもも承知の上で、これしか方法がないということでやっておるわけでございます。結局推計値みたいな形で経費の積算の基礎をやること自体が問題ではなかろうかということで、常に医療協議会の中でも、実態調査をやったほうがいいということで、支払い団体側のほうからの御要望もある線であります。したがいまして、私どもは、一応積算の基礎としてそういう数字を出しましたということでございまして、必ずしもそれが、実態がそうだとかあるいはとれでいいとかいうふうなことを私どもは考えておるわけではございません。その点は十分御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/91
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092・吉村吉雄
○吉村委員 私が医療従事者の問題について議論をしていますのは、何といいましても、医療従事者の社会的経済的な地位、こういうものについて各方面からいろいろの意見が出されている、現在の医療行政の中でもそれをどういうふうに位置づけるかということが終局的には問題になる、こういうことから事の実情を明らかにしていかなければならぬ、こういうつもりで質問をいたしておりまするので、その点はひとつそのように御了解を願っておきたいと思うのです。
次に、日本の医師の総数は、三十八年の状況のものを厚生白書で見ますると、十万六千五百人ということに出ております。この医師の総数と国民の人口との割合、こういうものから見て、国際的な比較の中で、大体どの程度の状況になっているのか。なおわが国の場合は、医師の数は——国民総人口の増加割合よりも医師の増加割合のほらがここしばらくは多くなるという見通しのようでありますけれども、この点は、国際的な比較の中で、国民総人口と医師の人口というものは一体どういうふうになっているのか、あるいは外国の例等から見て今日の日本の状況というものは妥当であるという考え方を持っているのかどうか、ここらの点をひとつお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/92
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093・若松栄一
○若松政府委員 医師の国民の総人口に対する割合の問題でございますが、日本は、大ざっぱに申しまして、世界的に中位のところにおります。人口十万対の医師数でございますが、これは一九六〇年の資料でございますが、一番多いのは、ソ連が人口十万対三百二十六。端数は省略いたします。イスラエルが二百四十七、このグループが特にきわめて高いグループでございます。それから西欧関係は、オーストラリアが百八十三、スペインが百七十、イタリアが百六十四というようなところがそれに次いで高いところでございまして、西ドイツが百四十五、スイスが百三十四、デンマークが百二十一、ノルウェーが百十八、それから日本が百十・八でございます。日本より低いところが、カナダが百十・六、フランスが百七・七、スェーデンが九十五、ポルトガルが八十五というようなことで、そのあと低いところはずっと低くなりますが、たとえばエジプトが三十九、セイロンが二十二というようなぐあいに、世界的に統計のあるところでも十台のところから三百台までございすして、日本が大体文明国、先進国といわれるグループの中では中位の下という程度でございます。そうしてこれに対してどの程度が一体適当であろうかという問題は、私どもいろいろな角度から検討いたしまておりますけれども、どの程度が適正であり、どの程度が必要だという計算はきわめて困難でございまして、いろいろな要素、前提を置きまして計算をいたしますけれども、その前提がちょっと狂いますと非常に狂ってまいりますので、いろいろ計算したのはございますけれども、いまここで現在これが適正であるということは申し上げにくい状態でございます。ただ、きわめて大ざっぱに申しますと、医師の量と医療の質と量というものと非常に関係があると思います。もちろんある程度の量をこなすためにある程度の医師が必要でございますし、同時にまた質を改善するために医師が必要でございます。そういうわけで、量と質を向上するためにもつと医師を増加しなければならぬという状況は確かでございます。現在のところ、ここ十年程度、十万対の率は、ごくわずかしか変わっておりません。ほとんど横ばいからほんのわずか上昇ということでございます。これでは私は不足だと思いまして、一つの試案といたしまして、昭和七十年ごろまでに現在の百十を百二十以上くらいに持っていく必要があろうというふうに考えております。大体見通しはそうでございますが、現実の医師の養成も大体その方向に向かっております。といいますのは、最近の五カ年間くらいで医科大学の入学者が九百二十名ふえております。この九百二十名といいますのは、五年前のものに比べますと約四割程度でございまして、そういう意味では、最近は医師の養成が相当急カーブに上昇しているといっていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/93
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094・吉村吉雄
○吉村委員 医師の数そのものもまだ中位の段階でございまして、いま局長答弁されましたように、医師の数が多いからといってそれでいいというものでないことは言うまでもないと思うのです。これは答弁にあったように、その国の平均寿命だとか、健康水準だとか、いろいろな問題と関連をして、どの程度の割合が適当かといろ問題になると思いますから、これまた非常にむずかしい問題だということはわかります。しかしいずれにしましても、いまのままで推移をしていく、現在の制度のままで推移をしていくということになるならば、やはり医師の数と国民人口との関係ということについて、国としてのある程度のめど、こういうものをつけざるを得ないことになるのでありましょう。少ないうちは、ふやしていくという段階においてはそれでいいと思うのです。いわゆる医師が自由業だという考え方に基づいていくとするならば、これは何らかの形で考えていかなければならない、こういう時期がくるであろう、こういうふうに私は考えます。同時にまたこの医師の配置の問題について、先ほど断片的にお話が出ておりますけれども、この配置の問題についても遺憾ながら、いまのところ、民間医については医療金融公庫法によって自主的に規制をするという、こういう形をとっておる。公的な医療機関についてはへこれまた厚生省で必ずしも規律し得る条件下にあるものでもない。ある程度の規制力は持っているにしましても、全体を規制するという状況でもない。三公社なりその他の官庁等でも建設をしていく。こういうようなことになれば、当然そこにおけるところの医師の配置の問題も必然的に起こってくる。こういうことで、医師の数がまだ不足をしているという中で、しかもそれが偏在をしておる、こういう状況でございますから、国民皆保険という看板はあがったけれども、実際には中身のほうは、無医地区に典型的にあらわれておりますように、医療の機会に恵まれない状態にある国民が非常に多い。こういうことについては、私は、社会的な医師化、国家的な医師化によってこれを規制する以外に方法はないであろう、こういうふうに考えざるを得ないわけです。遺憾ながら、医師の問題について詳しく私は知りません。しかし、医師の生活の根源となるところの収入については、一点単価制をもって国家的な規制を加えておる。こういう実情の中で、医療というものが、医療従事者の診療とそれから薬と施設や機械器具で成り立っているとするならば、医師の生活の基本となる収入については国が規制をしておる。あと薬についてもあるいは施設についても、これは野放しの状態に置いておる。こういう状態では、正しい意味での医療というものを均てんにするということにはどうしてもなっていかぬではないか、こういう気がしてならないわけです。したがって、今日的な課題としてその中で特に問題にしなければならないと思うのは、薬の問題でございますけれども、薬については薬価基準だけが国家規制の方法としてとられている手段です。しかし、これまたたいへん問題になっておる、こういう実情でありますから、少なくとも国が国民の生命と健康について責任を持たなければならないとするならば、国民の健康と生命にきわめて大きな役割りを果たすところの薬の問題等については、それはその生産あるいはその販売、こういうことについて、国家管理ということは言えないにしても、もっと国家的な規制を加えなければ正しいものになっていかないのではないか、こういうふうに考えられるのでありますけれども、この薬の問題も、先ほど人の問題については申し上げましたから、薬の問題についての大臣の御見解、この点は、この間本会議の質問の際に、きわめて簡単に大臣は答弁されましたので、もう少し詳しく薬の問題についての大臣の御所見というものを伺っておきたい、こら思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/94
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095・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 国民医療の中に果たしております薬、医薬品の重要性ということは、いま吉村さん御指摘のとおりでございます。私は、わが国の薬品化学、これが近年非常に開発研究も進み、向上いたしておるということにつきまして、非常に意を強ういたしておるものでございますが、医薬品の価格につきましては、公正な競争を通じて、そうして適正な医薬品の価格というものが自然にそこに形成をされる。公正な競争を通じて、そうして質的にも量的にもまた価格の面でもそれが自然に適切なところに価格等も形成されてきまっていく、こういうことが私は望ましいことだ、このように考えておるわけであります。ただ、保険に採用いたしますところの医薬品につきましては、これは実勢薬価、実際の適正な先ほど申し上げた価格と、保険に収載されておる薬価基準というものが、できるだけそこに格差がないようにこれを行政的に措置してまいるということが必要とこう考えるのであります。昭和三十五年以来いろいろな医療紛争の関係で、この薬価基準が改訂されないままになっておったのでありますが、昨年の十月、十一月、二度にわたりまして幸いにして薬価基準の改訂をすることができまして、だいぶこの実勢薬価との格差というものが私は是正された、こう思うのでございます。今後さらに製薬業界の企業努力であるとかあるいは薬品の自由化であるとかそういうようなことを通じまして、医薬品の価格が適正なものに落ちついていくということが私は望ましい、また期待できる、ころ思うわけであります。
さらにまた、医薬品の製造の許可を政府がやっておるわけでありますが、この面につきましては、薬剤の副作用、そういうことでいろいろな事故も発生をいたしておるのでありまして、そういう観点から、動物実験でありますとか臨床例でありますとかそういう点をさらに一段と強化をいたしまして、副作用等が起きないように安全性をさらに強めるということに意を用いておるわけであります。また、国際的にも類似の薬剤についての情報あるいは資料の収集というようなことをやりまして、国際的にもこの医薬品の安全性の確保ということにつきましては十分意を用いておるところでございます。
販売あるいは流通の過程におきましては、私はこの点は今後、率直に申し上げるのでありますが、改善を要する点が多々あると考えております。たとえば要指示薬の取り扱いの問題であります。とか、あるいは劇薬等の取り扱いの問題でありますとか、あるいはまた医薬分業の面からのこの制度の再検討、そういろいろいろ医薬品の流通過程の問題では今後検討を要する点が多々あると思うのでございます。
またさらに、四千億以上の生産がありながら二%程度しか輸出がされていない。ところが、先進国からは相当この自由化に伴って医薬品の輸入あるいは特許権の利用、そういうことがなされておるのにかかわらず、日本からの輸出等は非常に微々たるものである、こういう点につきましても私は、国際的な視野に立って、日本の医薬品の開発研究といるようなものがもっともっとやはり進めらるべきである。そうして有効な、国民の医療の上に寄与できるようなりっぱな薬が開発生産されるように指導してまいらなければならない、かように考えておるのであります。御指摘のとおり、国民医療の中に占めるところの医薬品の役割りというものは非常に重要でございます。とかく医療保険制度の中において、この薬務行政というのが過去において非常に従属的な何かそういう傾向があったのではないかということを反省もいたしておるのでありますが、薬務行政につきましても特に今後改善すべき点につきましては十分適切な指導をやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/95
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096・吉村吉雄
○吉村委員 この医薬品の問題についても、いま少しくただしたいことがあったのでありますが、時間もだいぶ迫っておりますから要約していきたいと思いますけれども、私の考えるところでは、何といいましても、この医薬行政については、もっと国家的な規制を強化する以外に道はないんじゃないか。いま大臣も、いろいろ改善すべき点は改善をしていままでのまずかった点を改めていくという、そういう趣旨の話でありますが、国民の健康に直接的にその影響を持っているということについては、去年あたりは感冒薬のショック死だとか、あるいはそれ以前はサリドマイド禍とか、過般のこの委員会で問題になった農薬の問題とか、とにかく国民の生命に直接関係をするということなんですから、これらについてはもっと国家的な意思を作用せしむるような方法を通じて、そうして国民の健康と生命というものを守っていくという立場に立って御努力を願わなければならぬのではないか、このようにだけ申し上げておきたいと思うのです。
それからその次にお尋ねをしたいのは、医療費問題の混乱の過程で、昨年の二月の二十七日に政府及び与党と、それからいわゆる支払い者側との間に幾つかの了解事項が取りかわされております。それは当面の措置の問題と恒久措置の二つに分かれておるのでありますが、この了解事項というものは、そのままこれを実施をするための努力をなされておると思うのでありますけれども、その点は全般的にどういう考え方で今日おるかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/96
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097・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、昭和四十年の二月二十七日に、政府与党と支払い団体との間に医療問題につきましての話し合いが行なわれ、また了解が成立をいたしておるのであります。その当面の措置とまた恒久措置ということに相なっておるのでありますが、私が就任以来、この了解事項というものにつきましては、十分この御趣旨を尊重いたしまして、それぞれの項目につきまして善処してまいっております。まだ実行に至っていない面も一、二残っておりますが、おおむねこの御趣旨の線に沿うて医療行政は進められておる、かように私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/97
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098・吉村吉雄
○吉村委員 この点は少し議論になると思いますので、きょうは問題の提起だけにとどめますが、特に重要な事柄は、現在審議されておる保険三法の改正案に対するところの取り扱い方、こういう点については、政府は審議会の答申を待ってこれを尊重するという一項があります。尊重したのだけれどもこういう原案になったのだという答弁をするでありましょうけれども、この申し合わせというものを特にしておるということは、私は今日の事態の中では政府のとっておる態度というものは非常にこの趣旨に反しておる、こう理解せざるを得ない。それから、いま一つ重要な問題は、当面の措置の五項には、今後の医療費の改定は、医業経営実態調査に基づいて行なう方針のもとに、その円滑なる実施方法について検討するということが載っております。この実態調査の問題は、長い間の懸案の事項だと思うのです。医師会としてはこれに反対をしておるということも承知しております。反対をする根拠についても十分検討しなければならない、傾聴すべき事柄もあるように私は見受けております。しかし、いずれにいたしましても、今日、この保険制度の中におけるところの医療費というものが非常に大きな問題になっておる、あるいは国民の医療の中で何といっても重要な役割りを果たすものは医療従事者である、こういう関連から考えてみますと、これは何らかの答えを出さなければ全国民が納得するような医療費の制度あるいは医療費の算定ということにも結論は出ないのではないか、こういうふうに考えます。この申し合わせ事項は、そういう趣旨のもとになされたものと思いますけれども、これまたたいへん困難な条件が幾つかあるように考えられてしようがない。それは根本的には医師会の厚生省に対する見方の問題、こういうことが一番大きな障害になっておるのではないか、このように考えられます。しかし、どうしてもこれは必要なことではないかという考え方を私はとります。そういう点で医師会側のほうの御了解をとって、そうして実態調査というものを進めてもらわなければならない。その中で初めて日本の医療費というものはどういう基準に従ってどうあるべきかという答えが公正な立場で出てくるであろう。遺憾ながら支払い者側の見方のらち、あるいは一般国民の側の見方の中には、医師の今日の社会的な地位なりあるいは経済の実態なりというものについて、むしろかえって実態調査をしないために誤解をしておる向きなしとしない、こういうことを私は心配をしておるものです。医師のあの診療報酬の請求の事務などを考えてみますると、われわれも想像できないほど容易でない。しかし一般国民の中にはそういうことも知られていないということで、形だけの経営の状態、形だけのものを満たしておる、こういうことから起こっておる誤解もあります。ですから、国民がほんとうに納得できるような状態をつくり上げるためには、何らかの形でこれは実現をしなければならない問題だと私は考えます。この実態調査について、これを実現をしていくために一体具体的にどういう方向をいま考えられておるのか。困難な問題であるだけに、相当決意も必要ではないかと考えますので、その方針と現在の厚生大臣としての決意、こういうものをきょうはお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/98
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099・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 医業経営の実態調査を行ないますことは、今後の診療報酬体系を検討いたします上からいたしましても、また医療従事者の社会的な、また医療保険の中における位置づけ、処遇ということをいたします上からしても、私は非常に必要なものである、このように考えておるのでございます。そこで、就任以来この問題を医師会側の御理解と御協力を得ながら円満にこれを実施することが必要である、こう考えまして、医師会側に対しまして常に接触を保ち、また話し合いを実はいたしておるのであります。また、昨年中央医療協議会が私に答申をいたしました際におきまして、意見書をお出しいただいておるのでありますが、その意見書の中にも中医協の各委員全体の一致した御意見として医業経営の実態調査を行なうということを私に対して建議をされておると同時に、現在東畑会長のもとに、この中医協がこれから取り上げて検討を進める議題の一つとしてこの問題を取り上げられまして、ただいま支払い者側、診療者側でいろいろこの具体的な進め方についてお話し合いを願っておる、こういう段階でございます。また医師会側におきましても、御承知と思うのでありますが、医業経営の実態調査ということにつきましては自主的に相当な費用をかけて、そうして大学の教授等も委嘱されまして、相当客観的な、きわめて科学的な調査もお進めになっておる、こういうことも私は聞いておるのでございます。また昨日もお話をいたしましたように、厚生省におきましては、国立病院その他厚生省としてできる実態調査というものもいたしております。今後、医師会側と十分話し合いをし、理解ある協力を求めまして、そうしてこれが円満に行なわれるように進めてまいりたい、このことを私はこの機会に申し上げておきたいと思うのであります。
それから、保険三法についての了解事項にある、答申を待ってこれを尊重するという点でございますが、この点につきましては、答申の御趣旨を尊重いたしまして、神田大臣当時諮問いたしましたのに対する答申として、総報酬制と薬価の一部負担はいかぬ、これは基本的問題だから将来の問題として見送るべきである、こういう御答申、これも私は尊重いたしまして、現在のように総報酬制を中心としたもので法案の御審議をわずらわしておるわけでございます。それから、さらに標準報酬等級の上限引き上げの問題につきましても、御答申のとおりこれも尊重いたしておるのであります。また国庫補助の大幅な引き上げという面につきましても、四十年度三十億に対しまして百五十億というぐあいに、政府としては相当の大幅な引き上げをいたしておりますことは御承知のとおりでございます。ただ一点、保険料率の問題につきまして、御趣旨に沿わない面があるわけでありますが、これは先ほど来るる説明を申し上げております点でありまして、十分この点は御審議をわずらわしたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/99
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100・吉村吉雄
○吉村委員 いまの申し合わせ事項に関する保険三法の改正案についての厚生大臣の見解は、私はそのまま受け取るわけにはいかない。薬価の一部負担あるいは総報酬制の採用の問題等については、これは制度の根本に触れる問題なので十分検討をするということになっておるから、それはそのとおりにしました、こういうお話でございますけれども、このこと自体はきわめて大きな問題なので、もっと時間をかけてやりなさい、こういう趣旨であろうと思いますから、これはむしろあなた方のほうでもこれを肯定をされての立場ではないかと思うのです。問題は、ここで了解されている事項というものは、やはり一番大きな問題は国庫負担の問題と保険料率の問題だと見なければならないと思うのです。そういうことについて審議会が明確に数字をあげて答申をしておる。国庫負担等についても数字をあげて答申をしておる。それは将来の方向等も考えつつあの答申がなされたというふうに私は思います。なるほど二百億のうちの百五十億を国庫補助するというのであるから、これも尊重だといえば尊重になる、こういうことになろうと思いますけれども、そういう期待をしたものがこの了解事項の第三項ではないと私は思うのです。もっとせっぱ詰まったものがあった、その事態の解決のためにどうするという中でこの了解事項が行なわれた、そういうことを思い起こしてもらわなければいけないと私は思うのです。この了解事項がなかったならば、社会保険審議会というものは軌道に乗らなかったことは明らかでしょう。そういう事態の中で、政府が、日にちがたってしまえば十分尊重しましたからということで逃げられたのでは困ると思いますけれども、この点についての議論は保留してあとの機会に譲ることにしたいと思うのです。
それから医業実態調査の問題についても大臣の立場はよく理解することができます。ただ、これも当面の措置の中に入っておるということが私は問題だと思うのです。これは将来十分検討して云々という恒久措置の中に入っておるのではない、当面の措置として並列条項の中に入っておる、こういうことでありますから、そこに重要な意義があるだろうと思う。とは言っても、なかなかむずかしい問題でございますから、急にこれをどうこうするわけにはいかないかもしれませんけれども、この了解事項に忠実なるためには直ちに積極的にその作業を開始しなければならない、そういう誠意が見られなければまた再び医療費問題についての支払い者側の不満というものが爆発してくる、こういうことになっていくのではないか。こういうふうに考えられますから、この了解事項の個々の問題については当時の状況等を十分勘案して、早急にこの作業に入ってもらうように要望しておきたいと思うのです。
そのほか、実は社会保障政策をやっていくための基本的な長期の構想というものが今日の段階では厚生省にない、こういう状況にいまあるだろうと思います。医療の問題については次官を長とする機関を設けられたようでありますけれども、社会保障全般について従来は厚生省の長期基本構想なるものが一応のめどとしてあったわけでありますが、それすらもいまはもう消えてなくなってしまっておる。そういう点が私はたいへん根本問題ではないかという気がいたします。経済政策やあるいは道路の計画なんというものは長期計画がある。しかし国民の生活の基本になるその生活のささえ、国が最低の保障をしようという、最低の責任を果たそうとする社会保障についての国家的な長期展望の計画がいまの段階ではなくなってしまっておる。こういう状態についてもたいへん問題があると思いますので、これらの点並びに、本会議でも少しく触れましたけれども、大蔵省の主計局で医療費の問題について統一見解ともいうべき見解を発表されておる。この点についても私は、財政の問題からあれが出された、財政上の見地からだけ議論をされているとするならば、それはそれなりでいいと思うのです。ところが医療の保険制度はかくあるべきである、こういう議論を大蔵省から出されるということは、私はどう見ても他省に対する干渉だというふうに考えられてしようがない。それがどういう形にして出されたかは別としまして、世の中に発表されて、そういうことについてやはり厚生省としても十分これは考えて、厚生省としてはかくかく考えるというそういう態度というものを明確にしなければならぬはずだというふうに考えて、本会議で質問をしたのですけれども、どうも厚生大臣、大蔵大臣の前ではだいぶ小さくなってしまうのかどうかわかりませんが、あれは当然でございますなどという、そういう答弁では私は厚生行政の責任者ということにはどうもなり得ないのじゃないか、厚生行政の責任者としての言として私は受け取れない、こういう感じがしてなりませんでした。しかし、このことも少しく大蔵省の統一見解の中身の問題についてここで議論をしないと理解が深まらないと思いますが、時間もありませんからこれもまた保留にして、一応私の質問は終わることにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/100
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101・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 社会保障に対する長期的な計画がないではないか、これどうするのだという御質問でありますが、これは御指摘がありましたように、長期の経済計画というものが一応御破算になったわけであります。そこでこの長期経済計画に見合うところの長期の社会保障の計画というものも一応ここに消えたのでありますが、しかし、御承知のように社会保障制度審議会が社会保障の調整に関する答申を出しておられるのであります。私どもは一応あの社会保障制度審議会の御意見というものを今後のわが国の社会保障の長期的な計画を立てます際の一つのめどとしてこの趣旨を尊重してやってまいる、こういうように考えておりますし、また政府におきましても近く中期計画にかわる長期的な経済計画を策定する、こういうのでありますから、それに見合ったところの長期的な社会保障の計画をその際立ててまいりたい、このように考えるわけであります。
さらに、医療保険制度が国民の問題として大きくここに提起されておる問題でありますから、大蔵省が財政当局として特に皆さんから国庫負担等大幅にやるべし、こういうような御要望が出ておる際といたしましては、ますます大蔵省がこの問題に関心を持って財政当局としていろいろこれに対する検討を加えるということは当然のことでありまして、私は大蔵省だけでなく関係各省並びに特に国会の御意見等に十分耳を傾けまして、そして医療保険制度の行政の責任者として適切な施策を今後進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/101
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102・吉村吉雄
○吉村委員 先ほど申し上げましたようにまだ若干質問が残っておりますけれども、きょうは本会議の時間がきましたからこれで終わりますが、いまの大臣の答弁を聞けばまたやっぱりものを言わなければならなくなってしまうのです。社会保障制度審議会の答申と勧告についてはそれが一つの将来のめどだということについてはわかります。私の申し上げておるのは、そういう将来の方向に対して国としてはどういう計画でこれに近づけていくという、そういう具体的な計画がなければ、どうも議論の対象にならぬではないか、そういうことが再三この委員会でも議論をされて、そして厚生行政の長期基本構想なるものが生まれた。生まれたけれどもそれが中期経済計画が御破算になると一緒にこれまた御破算になってしまっている。それではやはり委員会の考え方にも沿っていないし、あなた方自体も必要と認めたものが御破算になっているのですから、やっぱり新たに具体的な計画というものを立てる必要があるであろう、こういうことを指摘申し上げておるのでありますから、その点はひとつ誤解のないようにお願いをして、私の質問は一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/102
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103・齋藤邦吉
○齋藤委員長代理 次会は来たる二十九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104410X01319660324/103
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