1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十八日(金曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 天野 公義君
理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
理事 河本 敏夫君 理事 田中 榮一君
理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君
理事 中村 重光君
稻村左近四郎君 小笠 公韶君
海部 俊樹君 神田 博君
黒金 泰美君 小宮山重四郎君
佐々木秀世君 田中 六助君
中村 幸八君 三原 朝雄君
早稻田柳右エ門君 沢田 政治君
實川 清之君 田原 春次君
山崎 始男君 栗山 礼行君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
出席政府委員
外務事務官
(経済協力局
長) 西山 昭君
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
通商産業事務官
(通商局長) 渡邊彌榮司君
通商産業事務官
(企業局長) 島田 喜仁君
通商産業事務官
(重工業局長) 川出 千速君
通商産業事務官
(重工業局次
長) 赤澤 璋一君
中小企業庁次長 影山 衛司君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商局市場第
三課長) 小村 康一君
通商産業事務官
(重工業局重工
業品輸出課
長) 原 潤蔵君
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三月十八日
委員田原春次君辞任につき、その補欠として松
平忠久君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員松平忠久君辞任につき、その補欠として田
原春次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事加賀田進君同日理事辞任につき、その補欠
として田中武夫君が理事に当選した。
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三月十六日
機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一一八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出一一八号)
機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四七号)
通商産業の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/0
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001・天野公義
○天野委員長 これより会議を開きます。
おはかりいたします。
理事加賀田進君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/1
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002・天野公義
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
ただいま加賀田進君が理事を辞任されましたのに伴いまして、理事に欠員を生じましたので、その補欠選任を行なうのでありますが、従来の慣例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/2
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003・天野公義
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、田中武夫君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/3
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004・天野公義
○天野委員長 去る十六日付託になりました内閣提出、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することといたします。三木通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/4
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005・三木武夫
○三木国務大臣 機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
機械工業は、御承知のとおり、これまで経済成長のにない手として、飛躍的な発展を遂げてまいりました。さらに、今後においても、開放経済下におけるわが国産業構造の中核として大きな役割りを果たすものと期待されております。現行の機械工業振興臨時措置法も、このような機械工業の重要性にかんがみ、その振興をはかるため、昭和三十一年六月に制定されたものであります。当初は、五年間の限時法でありましたが、昭和三十六年に、貿易自由化に対処して、その内容を拡充し、強化し、五年間延長されたものであります。制定以来十年間、本法は機械工業の設備の近代化と生産体制の整備を通じ、機械工業の体質改善に相当の効果をあげてまいりましたが、本年六月をもって廃止されることになっております。
しかしながら、わが国の機械工業は、設備の近代化と生産体制の整備について、なお解決すべき問題をかかえております。すなわち、機械工業の設備については、新鋭設備が増加した反面、老朽設備の比率もまた増加しております。また、専門生産体制の確立や企業規模の拡大も、たまたまこの十年間が機械工業の躍進期に当たっていたこともあって、必ずしも十分な成果をあげ得たとは申せません。他方、従来までの機械工業の成長は、活発な設備投資を中心とした内需の伸びを基盤としており、輸出は相対的に立ちおくれていたのでありますが、今後は、内需の拡大もさることながら、輸出について従来以上に積極的な努力を傾注しなければならないと考えられます。
かかる情勢のもとにおいて、今後のわが国機械工業がその課せられた役割りを果たすためには、これらの問題を解決し、その国際競争力をさらに強化することが必要でありますので、この際、さらに本法の有効期間を昭和四十六年三月まで延長するとともに、機械工業の技術水準の向上をはかるため所要の改正を行なうことといたしたいと考える次第であります。
これが本法案を提出するに至った理由でございます。
次に、本改正案の内容について、その概要を申し上げます。
改正の第一点は、ただいま申し上げました理由により、本法の有効期間を昭和四十六年三月三十一日まで延長したことであります。
改正の第二点は、今後の機械工業の振興をはかるためには、生産面の合理化に加えて、技術開発を促進する必要がありますので、特にその必要の強い分野について、技術開発に関する振興基本計画と実施計画を策定することができるようにしたことであります。
以上、本改正案の要点を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同くださらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/5
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006・天野公義
○天野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本案についての質疑は次会に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/6
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007・天野公義
○天野委員長 内閣提出、機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
まず、先般十六日の委員会における田中武夫君の質問に対して、川出政府委員から発言を求められておりますので、これを許します。川出重工業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/7
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008・川出千速
○川出政府委員 この前の商工委員会で田中先生から非常にごもっともな御質問がございまして、その御質問に対しまして急速部内でいろいろ検討いたしましたが、これにつきまして、機械類賦払信用保険臨時措置法とそれから中小企業信用保険臨時措置法との問題につきまして御説明したいと存じます。
まず、両法によります目的、趣旨についてでございますが、両者ともに破産、更生手続開始等の状態を例示的に規定しているところが非常に類似しておるわけでございますけれども、それぞれの規定の設けられた趣旨は異なっておると思います。まず、機械類賦払信用保険臨時措置法第五条カッコ書きは、未到来決済期にかかわる割賦代金につきましては、保険事故が発生したものとみなし得る場合を例示しておるわけでございます。中小企業信用保険臨時措置法第二条第二項第一号の規定は、本臨時措置法が適用される倒産関連中小企業者の定義でございまして、親会社のいわゆる倒産状態を例示的に列挙しておるものでございます。
それから次に内容の問題でございますが、上記の目的、趣旨の違いから両者はそれぞれ異なった観点に立ちまして立案され、したがって結果的にかなり類似する状態を規定しておるものでございますけれども、厳密には同一状態を規定しておるとは必ずしも言えないと存じておる次第でございます。機械類賦払信用保険臨時措置法第五条カッコ書きは、未到来決済期にかかわる代金が回収できなくなったことが確実であると認められる場合の例示でございまして、かかる場合の例示としては、破産の申し立て、更生手続開始の申し立て等では不十分でございまして、破産宣告、更生手続開始の決定等が必要だと考える次第でございます。また、中小企業信用保険臨時措置法は、信用力が乏しく信用を受けがたい中小企業者が、親会社の倒産等の場合には一そう金融を受けがたくたることが明白でございますので、これを救済するために設けられた措置でございまして、この場合の親会社の倒産等の例示としては、破産宣告ではおそきに失し、破産の申し立て等が適当ではないかと考えておる次第でございます。
それから例示の問題でございますが、例示の精粗に差異があるのは、まず最初に申し上げましたように、規定の目的の差によるものと考えられます。なお機械類賦払信用保険臨時措置法の場合はカッコ書きであるので、簡明にしたほうがいいというような配慮もあったのではないかと思われます。
それから最後に、機械類賦払信用保険臨時措置法におきまして更生手続決定をあげ、破産宣告を例示しなかったのは、破産宣告その他これに準ずる場合と規定いたしますと、あまりに運用上の幅が狭くなり過ぎはしないかということをおそれたための配慮と考えられます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/8
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009・天野公義
○天野委員長 次に、質疑の申し出があります。これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 それでは前回に引き続いて二、三質問をいたします。
大臣のこの法律案の提案理由の説明を伺ったわけですが、この提案理由の説明の中にも、「本保険制度は、中小企業の設備の近代化に役立つ重要な機械設備について、その割賦販売取引の健全な発展をはからんとするものでありますが、資金力に乏しい中小企業にとって、今後割賦販売が果たす役割りはますます重要化するものと考えられ、」云云、また先には中小企業の設備の需要が非常に拡大してくるんだ、こういうようなことで、この制度の目的が中小企業の近代化に重点を置いておる、こういうことがうかがわれるわけです。ところが、私はこの法律案の目的は、いずれにウエートがかかっておるのかという質問を実は重工業局長にしたわけです。ということは、「中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に資することを目的」とする、こうなっておるわけです。それはそれなりでいいと思う。思うのですけれども、 いままでのこの法律の運用、は中小企業の近代化は副次的なものである。機械工業の振興、機械メーカーの危険防止という形にどうもウエートを置かれて今日までこの法律が運用されてきたという傾向があります。これは私ども社会党だけでなく、与党も質疑応答を通じてそういった認識をされたであろうと思う。したがいまして、一応この質疑が終わりましたら、これは適当でないからこれを是正しろという附帯決議をつけることに実はなっておる。時間がございませんから、私が感じたままを申し上げますが、大体重工業局がほんとうに中小企業の近代化をどこまで必要であるという認識を持っておられるのか。やはりそれは肝心の中小企業庁が中小企業の近代化に対してはより認識があるし、またこの法律の運用に対する関心だって持っておる。しかしながら、今日まで中小企業庁と重工業局がこの指定を拡大するという場合には、それは重工業局のほうから中小企業庁のほうに合い議するということもあろうと思うのですが、中小企業庁自体もこの法律の運用に対してはあまり熱意がなかったのではないか。これは他省であろうと共管にすべき性質の法律案であると考える。しかも同じ通産省の中ですから、この法律案をこの目的に沿うように、中小企業の近代化というものに重点を置いて、そしてそれを近代化することにおいて機械工業の振興が結果として、はかられてくる、こうすら考えておるわけです。ですから、大臣はもちろんこのことについてそこまで知っておられたというようには思っておりません。だから、この法律案を今後運用するにあたって大臣はどういう心がまえで対処しようとお考えになるのか、まずその点を伺ってみたい。さらにまた重工業局、中小企業庁、私がいま指摘したことに間違いがあるならば、それは間違っておる、こういうことで御発言になることはけっこうです。まず大臣の考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/10
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011・三木武夫
○三木国務大臣 中村さん御承知のように、あれは十八種類くらいの機械の指定があります。あれもやはり九五%くらいは中小企業です。したがって、この機械振興のほうの立法の精神にこの運用が反しておるとは言えないので、対象は、今度の場合も中小企業です。今度は、中小企業庁の要望を入れまして、対象の機械類を相当ふやしていこうということで、いま案を持っておるようであります。そういうことですから、中小企業というものをおろそかにしておるではないかという御批判は当たらないと思います。ただしかし、これは中小企業庁と重工業局との連絡は、同じ役所のことですから、いまは緊密な連絡をとってやっているのですが、それがもし欠陥があったら、その点は是正することにやぶさかでありません。もっと連絡を緊密にするような方法については、検討を加えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 大臣は、この法律案の審議にあたって、きょう初めて御出席になったのだから、いままでどういう質議応答がかわされたかということは、御存じない。したがって、いまのあなたの御答弁のようなことになった。実際の運用は、私が指摘した、そういった批判というものは必ずしも当たらない、こうおっしゃるのだけれども、時間がないから、どういうことが議論されたかということを、あなたにまた繰り返して申し上げると、それだけで時間がたってしまいますから、繰り返しません。
ともかく最後の、あなたがこれを是正することにやぶさかではないと言うた、そこに重点を置いて、これから十分ひとつ重工業局、中小企業庁ともに、私は、この目的が十分達成できるように運営をしてもらいたい、こういうことを強く求めておきます。
それから、中小企業庁として、この法律案の運用ということについて、たとえばいま十八機種ですか、これを拡大するということ等について、何か考え方はありませんか。影山さん、あなたからでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/12
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013・影山衛司
○影山政府委員 機種の拡大につきましては、ただいま重工業局のほうと打ち合わせ中でございます。たとえば織機でございますとか、あるいは食料機械でございますとか、窯業機械であるというようなものについて対象を拡大するという方向で、ただいま検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 あなたのお答えの点も、私がこの前の質問の中で指摘したところですが、さらに付保険期間ですが、これは田中委員の質疑の中でも取り上げられておるわけですが、一律五〇%ということに実はなっておる。しかし、この機種別というか、企業別に一律五〇%というのではなくて、六〇%であるとか、七〇%というように、中小企業の信用保険と同じように、一種、二種というようなことで何か考える必要があるのではないか。あなたは、田中委員の質問に対して、ほとんど九〇%は中小企業なんだから、したがって、五〇%ということはむしろ中小企業には、保険会計の面から見れば、有利になっておるのではないかという意味の御答弁になったのですね。しかしながら、それは検討してみようということですが、しかし、検討するということは、質問が行なわれた、それに対して、いや、それは適当じゃございませんというようなことじゃなくて、何か検討いたしますというようなことで、質問者に一つの満足感を与えるというか、あるいは期待感を与えるという、そういうことで検討するということをおっしゃったのではないのじゃないか。やはり田中委員の質問というものに、なるほど検討に値する、こうあなたがお考えになって、検討するということをおっしゃったので、どういう点で検討しなければならぬというように、あなたは今日までこの法律を運用して感ぜられたか、また田中委員の質問に対して、あなたは、検討に値するという点は、どういう点であったのか、まずその点をひとつ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/14
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015・川出千速
○川出政府委員 ただいま先生の御指摘のように、より中小企業の設備の近代化に重点を置いていく、しかも中小企業の中でも、規模の小さいものにも重点を置いていくということになりますと、現在の五〇%のてん補率でいいかどうかというところに問題があると思いますので、積極的に検討してみたいということで、申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 一律五〇%である。ところが、これはほとんど中小企業で、大企業は一〇%程度にすぎない。こういうことになってくると、保険会計の面から見ると、中小企業が多く対象になるから、それなりにより有利になるということも考えられないではない。だがしかし、 やはりメーカーが機械を販売をする場合に、その中小企業の信用度合いということを考えると、五〇%という危険負担をしなければならないから、どうして本中小企業の中でも規模の大きい企業に対して販売をする。規模が小さい企業というのは、どうしても敬遠するという形になる。だがしかし、これが危険負担が五〇%でなく、かりに三〇%ということになりますと、それだけ機械メーカーは安心をして販売をするということになろうと思う。そういう点から、中小企業の近代化、特に近代化がおくれているこうした小規模企業というものに対して特別な配慮をする必要があるのではないか。子のことは、前の委員会でも私は申し上げましたように、特別に金融上の、いわゆる消費者金融というような形において考える点もありましようけれども、やはりこの保険制度の中でそうした配慮が必要になってくるのではないか、こう思うわけです。
具体的に私は申し上げましたから、まずその点に対するあなたの考え方をいま一度聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/16
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017・川出千速
○川出政府委員 てん補率の問題と販売金融の問題でございますけれども、その点は、私も、てん補率が高くなれば、それは金融をする機関からの立場からは、それだけ安心感があるわけですから、販売金融の面もより円滑になろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/17
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018・中村重光
○中村(重)委員 大臣、どうでしょうか。いまお聞きになって、てん補率の問題は、一律五〇%。この法律の対象になる中小企業の規模別は、いままでどういうことになっておるかということについては、実は重工業局も中小企業庁も調査をしてないわけです。したがって、明らかでなかった。だから、あとで資料としてこういうものを出してもらおうといま要求しているんですが、一応の考え方として、大臣はてん補率、近代化がおくれている中小企業というものをよりこの保険制度の対象にして救い上げていく、こういうために検討に値するのではないか、こう思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/18
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019・三木武夫
○三木国務大臣 いまのところは、急にてん補率をどうこうということは考えていないのでありますが、機械貸与制度というようなものが実施されていきますと、こういう関連においてやはり検討を加えるような必要が起こってくるのではないか。これは検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/19
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020・中村重光
○中村(重)委員 いまの中小企業の機械貸与機関というのが今度新設される。これは私は続いて質問する予定だった。貸与機関だけは、特殊の機関であるから、これを考える必要があるのではないかと私は思う。このてん補率を引き上げるという問題も、単にメーカーの利益をはかるということだけでは全然意味がないでしょうけれども、機械工業の振興をはかるという一つの目的に沿うわけだから、私は、より重点を置いてこのてん補率のことを言っておるのは、どうしてもメーカーが敬遠する近代化のおくれている中小企業、この制度の対象から実質的にはずされて——形式的にはこれはもちろんどうということを区別してないのですから、これは入るということになるわけですけれども、実質的にはずされている、そういうものをこの保険制度の対象として救い上げていく、そうして中小企業の近代化をはかるこの目的をさらに強めていくという点から申し上げておるわけです。時間もありませんから、局長もこれは検討するということを言明をしていることでございますし、いま大臣も機械貸与機関の新設とあわせて検討したいという御答弁でございましたから、そういうことでやっていただきたいと思います。
なお、私はここで感じるのですが、一回滞納をする、事故が起こって一カ月後に保険金の請求をすることができることに実はなっている。私はこれは政令事項になっているところに問題があると思う。本来これは法律事項にする必要がある。そうしなければ一ほかの輸出保険等をいろいろ私は見てみた。もちろんこの輸出保険とこの賦払い信用保険というものは性格は若干違います。若干違いますけれども、メーカーといわゆる被保険者の関係だけがこの法律の中に取り入れられてあって、この機械を購入した側、そしてもし手形の一回でも不払いが行なわれたとするならば、直ちにこの機械は引き上げられる、こういうことに実はなっている。それが実は政令にゆだねられているわけですね。こういう権利、義務が発生する問題というものは、当然法律事項として明文化していく必要があると私は考えている。これはどうして法律事項にされないのか、その必要はないとお考えになっておられる点はどういうことなのか、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/20
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021・川出千速
○川出政府委員 この制度はいわゆる契約ベースで、国営保険でございますけれども、保険契約でもって成立するという制度ができておるわけでございまして、ただいま先生の御指摘になりました点は、実は約款できまっておるわけでございます。これを法律事項にしなかったのは、そういう契約事項でございまして、非常に技術的な問題あるいは非常にこまかい細則的な問題もいろいろ多うございますので、これは機に応じて実情に合うように運用できるように約款でやることにしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/21
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022・中村重光
○中村(重)委員 そういうこまかい点は約款でけっこうです。しかし割賦販売代金の不払い事故が生じたときは、被保険者は事故発生から一カ月後に保険金の請求ができるといった問題、こういうことは割賦販売法審議の際に相当詰めてきた。それは両者の関係に重大な権利義務が発生するのです。大体請求書というものを出すあるいは解約通告というものをするのかどうか、そういったようないろいろな問題が実はあるわけです。だから私がいま読み上げた一カ月後に保険金の支払い請求ができるといったような問題だけは、法律事項にする必要がある。そうしなければ、いまの約款だけではどうしてもこれは力関係その他いろいろありまして問題がある。だから一カ月後に保険金支払い請求ができるということは、手形は大体一カ月ぐらいで発行しておると思います。だから一回支払いを怠ったということになってくると、手形を出していますから、それが銀行に回るわけですから、不払いになる。そうすると実際問題としては、機械が引き揚げられるという形になってくるわけです。この間参考人を呼んで懇談会をいたしました際もそういうような答弁がありました。手形の不払いがあれば、これはいわゆる不払い事故とみなす、そうしてその機械を引き揚げる、こういうことになってくる。いろいろな事情によって手形の不払いというものも起こる。あるいはどうも今度は手形を落とし切らないということになってまいりますと、前もって両者の間の話し合いというものも行なわれなければならない。しかしそういうことは行なわれなかったといたしましても、手形が一回不払いになったからといって、直ちにこの機械が引き揚げられるということではなくて、やはり両者の合意がありますれば、いわゆる取引停止という形にならなくて済む方法だってあるわけです。だからして、この機械を引き揚げてしまうという前に、両者の間に、メーカーと購入者側との間にはいろいろな話し合いというものがなされなければ倒産対策という点からも問題なんです。機械をさっと引き揚げられてしまう。もう少し余裕をもって対策を講じてもらえればよかったものを非常にきびしくやられたために肝心の機械を取り上げられて、倒産しなくても済むものが倒産してしまうというようなことが起こらないとは言えないと私は思う。だから問題は非常に重要な内容を含んでおると考えておるわけです。だから、あなたのほう並びに中小企業庁に対して私はこの法律に関心を持って、ほんとうに、むしろ専管事項という形で中小企業庁は取り組むべしと主張いたしております点は、こういう点もあるわけです。だからこうした法律の運用に対して、この後どういうかまえでいこうとお考えになっておられるのか、なおまた私がこの点だけでも法律事項とすべきだということを特に強調した点について、異なったお考え方があるならばまずその点を聞かしてもらいたいと思います。実は私はこれは附帯決議の中に入れてもらう必要があるのではないかと思いましたが、まあ趣旨説明の中でこの点についても触れられるであろうと、実は期待をいたしております。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/22
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023・川出千速
○川出政府委員 保険金の請求をする期間が一カ月を経過したあとでなければいけないと申しますのは、不払いがあった場合に、直ちに保険金の請求をしますと先ほどのような問題がありますから、少なくとも一カ月は請求ができないという最短期間を設けてあるわけでございます。しかしながら実際問題といたしましては、この保険制度のてん補率は五〇%でございまして、あとの五〇%は保険契約書がかぶるわけでございます。したがって、保険契約者としましては、なるべく事故が起こらないほうが得なわけでございまして、事故が起きた場合は半分しかてん補してもらえないわけでございます。したがって、できるだけ猶予をして何とか更生をさしていくように努力をするのが実情でございます。これはてん補率があまり高くなりますと、保険金をもらったほうがいいというような考え方も出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/23
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024・中村重光
○中村(重)委員 あなたはほんとに知っておって答弁していますか。五〇%だから損をするというが、その機械は消えてなくなるのじゃないですよ。引き揚げて転売するんですよ。メーカーはもうかるかもしれないですよ。そういうような考え方でこの法律を運用しようとするから欠陥が出てくるのだと私は言うのです。そうでしょう。なるほど五〇%、そういうことになりますよ。なるけれども、機械そのものはこれはまた転売することをちゃんと約款の中にだってはっきり書いてあるじゃありませんか。だからあなた方の保険会計の中だって転売をして回収金というのがどんどん出てきているでしょう。これも時間がないから自分だけでしゃべらなければいけないのだけれども、回収金の証明だってどういうことをしているのか、あなたのほうは回収金がどういう形でされているのか、その機械がどこに転売されて、幾らで転売されているかということだって十分つかむことができないと私は思う。いわゆるメーカーの証明、メーカーの報告にたよる以外にはない。ここだって問題があると思う。だからもう少し実態をつかんで法律の運用をしていかなければ、仏つくって魂入れず、せっかくいいものが、せっかく大臣が中小企業の近代化をはかるためにこの法律を運用していくのだ、こういうことを強調されたけれども、結果的には、中小企業の近代化という形だけはつくったけれども、最終の美はこれを発揮することができなかったというてんまつになるのですよ。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/24
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025・川出千速
○川出政府委員 ごもっともだと思いますので、実情をよりよく調査をいたしまして、法の精神に合うように運用したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/25
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026・中村重光
○中村(重)委員 まあ独立採算の問題、それからもっと国の補助金をふやしていくということ等も考えなければならない、私はこう思うのであります。せっかく時限法を恒久法にしたのだから。まあこういういろんな議論がある。だから、恒久法にするからには内容的にもっと検討して、そうしてより充実した法律をつくっていく、こういうことでないと私はいかなかったと思う。単に時限法を恒久法にするということだけの一部改正ではだめじゃありませんか。あなた方の、中小企業庁を含めて、熱意のなさというものがここで私は暴露されておると思う。しかし附帯決議をつけます。また浦野委員からも相当趣旨説明の中であなた方に強く指摘されるであろうと期待をいたしますから、きょうはこの程度で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/26
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027・天野公義
○天野委員長 おはかりいたします。
本案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/27
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028・天野公義
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/28
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029・天野公義
○天野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/29
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030・天野公義
○天野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/30
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031・天野公義
○天野委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して浦野幸男君外二名から本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。浦野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/31
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032・浦野幸男
○浦野委員 ただいま議決されました法律案に対し附帯決議案を提出いたしましたが、私から、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、左の諸点につき特段の考慮を払うべきである。
一、本法の運用にあたっては、機械工業振興の面とともに、中小企業の設備近代化促進をより一層重視するよう努めること。
一、本法の対象機種については、中小企業の近代化促進の見地から、これを拡大する方向で常時検討すること。
以上が案文でございます。
若干補足的に内容を説明いたしますると、第一点は法律運用の根本方針についてであります。御承知のごとく、本法の目的は、中小企業の設備近代化と機械工業の振興とを並行的にはかることにあります。したがって、本法が重工業局の所管でありましても、その運用にあたっては中小企業の設備近代化を促進するという目的をより一そう重視して、中小企業庁と密接に連絡をしつつ法の精神を生かすことが必要であります。
第二点は、本法の対象機種の問題であります。現在は政令によって十八機種が指定されておりまするが、なお中小企業の近代化促進の見地からさらに追加してしかるべき機種もあると思われまするので、今後中小企業者の要望を広く取り入れる等によって随時拡充をはかる必要があると存じます。
なお、本法におきましては具体的な施策の多くが政令、省令にゆだねられており、その政省令も、たとえばさきに申し上げました中小企業の近代化促進という趣旨を明確に示していないきらいがありまするので、今後整備をはかる必要があることを特に申し添えます。
以上、はなはだ簡単に説明いたしましたが、何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/32
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033・天野公義
○天野委員長 以上で説明は終わりました。
直ちに採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/33
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034・天野公義
○天野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、三木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。三木通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/34
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035・三木武夫
○三木国務大臣 いま、各党共同提案による附帯決議の御趣旨は、今後の本法の運営に対して十分に尊重をいたしまして、今後の運用に誤りなきを期したいという所存であることを申し述べておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/35
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036・天野公義
○天野委員長 おはかりいたします。本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/36
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037・天野公義
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/37
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038・天野公義
○天野委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/38
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039・天野公義
○天野委員長 それでは速記をお願いします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/39
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040・天野公義
○天野委員長 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 それでは西山経済協力局長にお尋ねしますが、対韓経済協力の実施計画ですね。まずこの点について伺ってみたいと思います。どういうところまで進んでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/41
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042・西山昭
○西山政府委員 実施計画につきましては、無償と有償と両方あるわけでございまして、韓国側から案を提示してまいりまして、目下細目につきましていろいろ韓国側の案の具体的な計画の内容だとか、あるいは個々のこまかい点につきまして、先方の係官から私どものほうで関係省合同いたしまして事情を聴取しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、最終的にはこの合同委員会が開かれることになるわけですね。合同委員が開かれる前の前段作業という形で、いまあなたがお答えになりましたように、それぞれ係官との間の事情聴取という形ですね。そうしますと、そこである程度煮詰まって、合同委員会に付議する、こういう形になりましょうから、実質的には初年度計画というものは合同委員会が開かれる前に内定をする、こういう形になろうと思いますが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/43
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044・西山昭
○西山政府委員 私どもといたしましては、初年度のことでありますし、いろいろ考え方その他につきましても十分基礎的な思想の調整をやる必要がございまして、そういう意味で正式の会談という形をとらないで非公式にいろいろ話し合い、あるいは相互の理解を進めておる段階でございまして、御指摘のように協定上は合同委員会にかけまして、そうして正式の実施計画の決定の運びになる順序となるわけでございますが、合同委員会にかけますまでに、全部細目につきまして完全に合意に到達いたしますか、あるいは合同委員会の席上でさらに詰めますか、その辺はまだ未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 そのとおりだと思いますね。やはり合同委員会開催前にすべてまとまってしまうというようには考えられない点もあるだろう。初年度であるから韓国としてはやはり初年度にできるだけ韓国の主張を取り入れさせたいという考え方で出てくるであろうことは予想をされる。そこで、いまそれぞれ係官の間において細目にわたっていろいろ検討を加えておる、こういうことですが、あなたも韓国においでになっていろいろ折衝されたことも伝えられておるわけですが、当初民間べースの三億ドル以上というように期待されておった漁船の建造であるとか、あるいは漁業、中小企業、あるいは農業というものが、今度はそうではなくて、無償三億ドルの中に大きく取り入れていきたい。その資金を利用して、それぞれの産業の振興をはかっていきたい、こういったような方向のように伝えられておりますが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/45
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046・西山昭
○西山政府委員 御指摘のとおりに、交換公文の民間借款の中に漁業用の了解がございます。側におきましては、いろいろ民間借款におきまして必要とされます金利だとか、あるいは頭金の問題、そういう点に関しまして関係業者といいますか、漁民といいますか、そういう漁船を使用いたしまする人々の経済力、そういうものから見まして、そういう民間借款には適しないといいますか、能力がないというような面もございまして、ただし民間借款も活用するということで、実はそういう点につきましてどういうぐあいに韓国側が実施上の具体的な計画を持っているのか、どういうぐあいに両者を活用するのかという点を現在煮詰めて話し合っている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 第一は民間借款の場合に、いまのお答えのとおり頭金の問題が出てくるわけです。日本の商社としても韓国の企業が非常に弱い、こういうことになってくると、どうしても貿易の取りきめができない、こういう形になってくる。そうなってくると、どうしても有償、無償の経済協力の方向に依存せざるを得ないという形になってくる。そういう形になってまいりますと、すべて有償、無償に集中してくるということになろうと思うのですが、民間ベースがこの借款というものに期待されるという点ですね、そういう点はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/47
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048・西山昭
○西山政府委員 その辺は現実にわがほうの民間業者と契約が締結されて実施されることになるわけでございますが、具体的にどういう契約の商談が進行中であるかつまびらかにいたしておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 そういうことでなくて、もう新聞にどんどん伝えられているのですよ。ですからもう少し具体的な答弁ができるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/49
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050・西山昭
○西山政府委員 ただいま申し上げましたように具体的に民間同士の商談がどういうぐあいにどういう規模でなされておりますか、外務省の私どものどころにはまだ情報が入っておらないのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 どうも政府は、民間べースの借款について、これは純然たる民間借款である、政府はこれに対してはタッチしないのだ、こういうことを一生懸命おっしゃる。こだわっておるという感じなんです。外務省だけじゃなくて大蔵省もそうなんです。しかし、韓国側はそういう受け取り方はしていないのですよ。韓国側は、形式的にはそれは民間借款である。だからして政府が有償、無償の経済協力と同じような扱いをするということは適当ではない。しかしながら日本政府がこれの責任を持ってきめたのだ、そういう考え方ですから、この民間借款の問題に対しましても、ある程度の政府との間の話し合いというものが行なわれる。また韓国側はそういう形で持ちかけてくることに間違いないわけですね。具体的な取引というようなものは、それは民間同士で話し合うということにもなりましょうけれども、やはりいわゆる三億ドル以上という金額そのものに対しては、政府が責任を負っておる。これは日韓会談の経過を考えてみれば、韓国側の考え方、主張というものは当たらないとは私は言えないと思う。そうすると、最終的には金額の面で政府に持ち込んでくるということになる。最終的に持ち込んでくるのだから、それまではわからないのだ、こうあなたのほうは言えば言えないことはないですね。しかし、最終的に持ち込んでくる性格のものであるからして、どうしてもその過程においていろいろ話し合いというものが持たれることは間違いないと思う。しかも当初民間借款の中で考えられておったものが今度は有償、無償の経済協力のほうに移行してきた、そういう経過でございますから、なおさら民間借款の関係というものは政府もそれなりの関心を持たざるを得ないという形に私は必然的に追い込まれてくる、そういう方向で進むだろうというふうに考えるのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/51
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052・西山昭
○西山政府委員 もちろん私どもは関心を持っておりまして、具体的にこの案件が、商談が進行いたしまして、関係省のほうに輸出の承認を申請する段階になりますと、私どもとしてもその事実を知る段階になるわけでございますが、先ほど申しましたように現在まで具体的なそういう事例につきましては、まだ私どものところまではきておらないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 それならば、先ほど私が申し上げましたように当初政府も考えておったいわゆる民間借款のほうで扱われるであろうと考えておった農業あるいは漁業、中小企業ですね、そういうものの振興に対する事業というものが、今度は無償のほうに、韓国側はそういう形で計画を立てるという方向に進んできたことは間違いないならば、民間の経済協力、民間借款のほうでは、どういうものが考えられるのですか。それはわかるでしょう。具体的にどういう形で進んでおるのか、そこまではわからないとおっしゃるならば、どういうものが無償、有償、それから民間借款、こういうことで実施計画が進められていくかという大綱だけはわかるでしょう。だいぶ前から事情は変わってきていますからね。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/53
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054・西山昭
○西山政府委員 民間の借款の関係の分につきましては、個々の案件が、商談が進められてきまして、具体的に事実がはっきりするわけでございますが、協定に基づきます無償、有償の分につきましては、韓国政府が日本側に提示した案によりまして、具体的な内容は判明するわけでございます。したがいまして、いろいろの種類別の問題につきましては、話が進みますと、御指摘のような点が比較的輪郭もわかるかと思いますが、現状におきましては御承知のとおりまだ初年度でございまして、なかなかそういう全貌を一から十まで業種別にはっきりできない事情にございます。先ほど御指摘の漁船の関係につきましては、そういう点も含めまして、水産庁その他関係の役所とも合同で先方の実情を聴取しておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 残念ながらきょうは私時間の都合がございますので、この点についてはあらためてお尋ねをしたいと考えます。
次に進みますが、韓国から貿易調査団が来日することが伝えられておりますが、いつごろ来ることになりますか。それから、それはあなたのほうとのいろんな話し合いもありましょうけれども、韓国側としてもそれぞれ計画があるようでして、各地を訪問するというようなことが伝えられておりますが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/55
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056・小村康一
○小村説明員 お答え申し上げます。ただいまの点につきましては、御質問の趣旨は、今度来日されると伝えられております民間の使節団のことをおっしゃっておられると思うのでございますが、これにつきましては、韓国の大使館を通じまして、外務省のほうに来るという通知があったのでございますが、まだ詳しい日程、希望などは確実なところは聞いておりません。ただいまお話しのようなぐあいに、日本に来まして、繊維産業その他こちらのいろいろな工場を見て回りたいという希望は伝えられておりますが、具体的にどういうものかまだ詳しく承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 その程度ではないのじゃありませんか。もっと具体的に受け入れ側との間の話し合いというものが進められておるのではありませんか。受け入れ側が相当準備を進めているようだから、あなたのほうがおわかりにならないことはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/57
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058・小村康一
○小村説明員 お答え申し上げます。ただいまのことにつきましては、ジェトロに対応いたしますコトラという組織がありまして、ここがあっせんしてやっているようでございます。したがいまして、このコトラが、関係の業界にじかに依頼をしておれば、これは私のほうでわからないのでございますが、こちらのほうにはまだごく大まかに日本のいろいろな関係業種を視察してまいりたい、そういうばく然とした依頼だけでございまして、個々の具体的なあれは、コトラのほうからじかに参っております。ただコトラが関係の業界にあるいは接触していることはあろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 私、長崎県ですが、長崎県でも相当受け入れ体制を着々として進めております。これは民間ということよりも、県がやっておりますから、この点だけでもあなたのほうはわかっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/59
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060・小村康一
○小村説明員 私のほうでまだその点詳しいことを承知しておりません。少なくとも正式にはその段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 韓国に対する中古の漁船の輸出がどんどん進められておるようですが、この輸出の状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/61
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062・原潤蔵
○原説明員 ただいまのところ、韓国向けの漁船の輸出については、諸外国向けの漁船の輸出と同じ条件で、同じ条件と申しますか、同様の審査で輸出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/62
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063・中村重光
○中村(重)委員 そういうことじゃないんじゃないですか。韓国との間に古船の輸出については条件が付せられて協定ができていやしませんか。西山さん、御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/63
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064・西山昭
○西山政府委員 日韓協定の際に了解ができまして、書簡の交換がございまして、その中で漁業協力の面におきましては、九千万ドルの額に達することが期待される漁業協力のための民間信用供与が行なわれまして、また三千万ドルに達することが期待される船舶輸出のための信用供与が含まれておって、それらはできるだけ好意的に配慮する、こういうことになっております。漁業協力の九千万ドルにつきましては、四千万ドルの程度につきましては、金利五%程度、残りの五千万ドルにつきましては、金利は五・七五%程度を目途と予想される、こういうようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 あなたがおいでになって、その点についての話をされたように伝えられているのですが、これは中古船といっても、そう古いのはいけないのであって、進水後何カ年という条件がありますね。それはどういうことで協定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/65
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066・西山昭
○西山政府委員 先ほど申し上げました九千万ドル、それからこういう程度の金利が予想されると申しますのは、それだけでございまして、それ以上の詳しいことについては何ら了解はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/66
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067・中村重光
○中村(重)委員 進水後六カ年以内のものということになっているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/67
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068・西山昭
○西山政府委員 民間信用供与に関します先ほど申し上げました了解については、そういうものは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/68
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069・中村重光
○中村(重)委員 ところがどうですか、進水六ヵ年以内という形で協定が行なわれておるということが伝えられておるわけです。それより古いものは向こうは買わないということなんですが、しかしあなたはそれは御存じない、こうおっしゃる。しかしそこが別に重点ではございませんから、その点はこれ以上お尋ねしませんが、中古船というのは輸出余力があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/69
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070・赤澤璋一
○赤澤政府委員 いまの御質問にすぐぴたりとくるかどうかわかりませんが、去年の七月から韓国に対しまするところの船の輸出が出ておりまして、七月から十二月までの輸出承認の実績を見てみますると、新船が二はいばかりございますがあとはいずれも中古船でございまして、そのうち鋼船が合計二十九隻、約三百四十万ドル程度であります。木造船が約十ぱいございまして、これはいずれも中古船でございます。木造船のほうは約八万三千ドルばかり、合計いたしまして三百五十万ドル程度の船が昨年の七月から十二月までの間にほとんど全部キャッシュベーシスで韓国に輸出をされておる。これはただいま経済協力局長から御説明のありましたいわゆる協定に基づく経済協力の分ではございません。いわゆる普通の、通常貿易の分としてこれだけのものが出ておる、かようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/70
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071・中村重光
○中村(重)委員 通産省としての方針なんですが、こり中古漁船の輸出ということについては、積極的にこれを進めていこうとする考え方なんですか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/71
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072・赤澤璋一
○赤澤政府委員 通産省としましては、特に中古船だから進めるとか新造船だから進めるとかいうような考えは持っておりません。もっぱら運輸省のほうの船舶対策あるいは造船対策のほうからくる問題であろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/72
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073・中村重光
○中村(重)委員 しかしあなたのほうは貿易振興をおやりになる、だから貿易振興の中で、できるだけ輸出を促進したいという考え方があると、単にそれは運輸省の方針であろうからというようなことだけじゃないでしょう。あなたのほうとしては、当然貿易というものに対する関心を持って、中古船の輸出は可能であろうかどうだろうか、新造船のほうはどうだろうかと絶えず調査をされる、そしてまた輸出余力というものがあるのかどうか、そこらあたりを絶えず調査をし、またそれぞれこれを推進をしていくということが、あなたのほうの仕事でなければならぬわけですね。同時に、これからお尋ねをいたしますけれども、それに伴う国内に及ぼす影響というものは当然これは並行して考えていかなければならぬ問題でしょうが、その点は総合的に考えられることだと思うのですね。
そこでこれは西山さん、通産省いずれにもお尋ねするのですけれども、新造船の建造計画というものが韓国ではあるわけです。実施計画の中でも考えられているようですが、伝えられておる一千五百万ドルですね、これは無償経済協力の中で韓国側は考えておるのだということが伝えられておりますが、この点、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/73
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074・西山昭
○西山政府委員 目下、非公式に話し合い中でございますので、詳細な点につきまして御説明を遠慮さしていただきたいのでございますが、韓国側は無償の要望の中に漁船等につきまする新しい船の提供及びそれに必要な資材の要求というものを含めております。それから有償につきましても、漁船ではございませんが、輸送用の船舶の要望を入れておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/74
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075・中村重光
○中村(重)委員 韓国側が、その無償供与の中で、韓国の水産振興という立場から漁船建造をやりたい、こういう形になってまいりますと、日本政府としてはこれに応ずるというかまえなのかどうか、その点どうですか、基本的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/75
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076・西山昭
○西山政府委員 この点につきましては、漁業協力その他の日韓の全般の関係を考慮いたしまして、目下水産庁をはじめ各関係省と協議しておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/76
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077・中村重光
○中村(重)委員 千五百万ドルということになってまいりますと、大体これはまあ鉄船でしょうが、どの程度の隻数になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/77
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078・西山昭
○西山政府委員 千五百万ドルという数字もまだいろいろこまかい内訳になっておりまして、漁船につきましては百トンないしはそれ以下のものであると了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/78
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079・中村重光
○中村(重)委員 もう少し詳しく説明したって別に差しつかえないでしょう。大体一千五百万ドルということになると、どの程度の隻数が建造されるということになるのか、あるいは、韓国はどの程度の船を希望しているというようなことだって、いままでの話し合いの中で出ておりましょうから、いまあなたが、国内に及ぼす影響等を考えて、通産省であるとかあるいは水産庁等と話し合いをしてやっていきたい、とこういうことなんだから、もうこの話はずいぶん——昨年から持ち上がっていることですから、まあいろいろと話し合いは進められておるであろう、具体的にあなたのほうも検討しておるであろうと思うからお尋ねをしておる。ですから、その程度の答えはできるのじゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/79
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080・西山昭
○西山政府委員 御説明申し上げましたように、千五百万ドルの内訳と申しますのは、いろいろだくさんの項目が入っておりまして、漁船そのものが千五百万ドルというわけではございません。それから船につきましても百トンないしはそれより以下のものが大部分である、こういうぐあいに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/80
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081・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、千五百万ドルは、伝えられているのは漁船の建造、とこういうことですけれども、漁船の建造だけでないということになりますと、どういうものが入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/81
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082・西山昭
○西山政府委員 水産関係のいろいろな船以外の項目もたくさん入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/82
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083・中村重光
○中村(重)委員 どうも、口を緘して語らずで、用心して答弁なさるのだけれども、もうすでに造船所なんかは見積もり書を提出しておる向きもあるのでしょう。どうですか、そこまで事実は進んでおるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/83
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084・西山昭
○西山政府委員 私どもはまだ承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/84
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085・中村重光
○中村(重)委員 知らぬ存ぜぬの一手だものだから、どうもなんですが、実はさっき通産省のほうからは、それは民間の貿易使節団だから全く関知しないんだ、こういうことなんだけれども、いま私がお尋ねしているような具体的なことが、話し合いが進められるのですよ。そういうことは外務省だって通産省だってあるいは水産庁だってわからないはずはないと思う。大体一隻一千万の船だと五百隻できるのですよ。三千万円だと百八十隻、そういうことになりまして、これはたいへんなことなんです、日本の漁業に及ぼす影響というのは。だからそこらあたりが先ほど西山さんお答えのとおり、国内のそれぞれの産業に及ぼす影響というようなものを配慮していかなければならない。そういうことだと思うのですね。ですから、私どもは、この漁業の問題に対しましても、日本の漁業に及ぼす影響というものはきわめてこれは重大であるということで関心を持っておった。それで、日韓特別委員会の中で、実は私も特別委員でございましたから、この貿易問題を中心にいたしまして相当勉強もし、問題の指摘もひとつしようと、こういうことだったのですが、とうとう質問を打ち切られてしまって、一言もものを言わせられないまま、実は委員が委員会においてものを言わぬでもいいんかいというような皮肉まで飛び出すような結果になってしまったのですね。
きょうは時間がございませんから、突っ込んでお尋ねすることもできないわけです。問題指摘もできないのですが、いずれあらためてお尋ねしようと考えておるのですけれども、あなたは全く知らぬと、こうおっしゃるのですが、先ほど申し上げましたように、事実は相当進んでおる。同時に、そのことは、一番敏感になっているのは日本の漁業者であるということです。昨日の内閣委員会におきましても、例の拿捕事件に関連をいたしましていろいろ質疑が行なわれ、問題提起がなされたということも、新聞紙上を通じまして知っておるわけですが、この点は外務省としても通産省としても無関心ではあり得ないであろう、こう思いますが、昨日のそうした内閣委員会等における質疑等を通じまして、あなた方の心がまえといいますか、そういう点をひとついま一度お聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/85
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086・西山昭
○西山政府委員 漁業協力の問題につきましては、私どもは日韓の漁業関係が円滑に進められるということを念願にいたしまして、そういう心がまえの中でどのような形の漁船の輸出が、あるいは協定に基づきまする提供が適当なことであろうかという点を関係省と相談して検討の説明を現在聴取しておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/86
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087・中村重光
○中村(重)委員 それから通産省に考え方を聞かしていただきます。
先ほど、民間の経済調査団がやってくる、これは民間のことであるから全く自分のほうはそいつはわからない、そういう話も聞いておるけれども。まあこういうことですが、私はそれがほんとうであるならば熱意不足というのか、全く怠慢というのか、いまの答弁を聞きまして失望したのでございますが、どうですか、外務省のほうではこれは当然おわかりになっておられると思うのですが、通産省としてはそういう程度でこれは当然だという考え方なんですか。民間の調査団というのか、使節団というのか、来日する、こういうことになってまいりますと、どういうことでやるのであろうか、いつごろ来るのだろうか、あるいはどこに行くのだろうか、内容的にはどういったような話し合いがなされるのであろうか、そういうことについて十分関心を持ち、進んでこれを調査していく。そうしてそういったことを確認をする。それで貿易振興に資する。また、そのことがあまり進み過ぎると国内の漁業、農業あるいは中小企業等にどういったような影響を及ぼすか、あらゆる角度からもっと積極的な取り組みというものがなされるべきだ、こう私は考えるのですが、そうは思われませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/87
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088・小村康一
○小村説明員 ただいま、私の前にいたしましたお答えがあるいははっきりいたさなかったかもしれないのでございますが、私たちは民間の使節団だからといってほうっておくわけではございませんし、向こうのコトラを通じましてこの使節団の来訪があるということを聞きましたので、たいへん私たち関心を持っていろいろ先方に質問をしたわけでございます。その質問の要旨はいまおっしゃったとおりで、向こうが一体どういう目的でどういうことを見たいのだというあたりをよく詰めて聞いたわけでございます。その辺が少なくともコトラの関係者が参りまして説明したときには、はっきりいたさなかった点が多かったものですから、再度本国のほうによく問い合わせをして、その辺の事情を調査してもう一度電話をするように、こういうことを言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/88
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089・中村重光
○中村(重)委員 事実が進んでいなければ私はこうは言わないのです。しかし事実はもう相当進んでいるんですよ。そして肝心の通産省がそういう程度だから、私はおかしいと言っているのです。しかし時間の関係がありますから次に進みます。
西山さんにお尋ねしますが、インドネシアに対する経済協力の経過と実情を伺ってみたいと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/89
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090・西山昭
○西山政府委員 インドネシアに対しましては、御承知のとおり戦後賠償協定が締結されまして、その協定に基づきまして目下賠償を実施中でございます。賠償以外には工場等に対しまする建設用の長期の延べ払い、それから長期ではございませんが、短期の消費財等の信用供与というものがございます。それ以外にはプロダクション・シェアリングと申しますか、インドネシアの外貨不足事情を考慮いたしまして、日本側で必要とします国内の原材料を入手しますために設備等を借款で与えまして、そうして製品を現物で入手して、それによって返済を受ける^こういう形の生産分与方式も契約が若干ございます。それ以外には現金取引が大部分でございまして、またそのような資金的な関係以外には、技術面におきまして留学生を受け入れたり、日本から専門家を派遣したり等の技術面の協力関係がございます。現状におきましてはそのような種類の関係が今日まで行なわれてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/90
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091・中村重光
○中村(重)委員 この賠償は十二年払いになっておるわけですね。当初の十一年間は二千万ドルですから、七十二億円ということになっておるわけでしょう、それはそういうような形でずっと進められておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/91
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092・西山昭
○西山政府委員 これは一年間にその金額を提供する、こういうことでございまして、年間の金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/92
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093・中村重光
○中村(重)委員 賠償支払いは十二年間という形になるわけですが、毎年七十二億円ぴちっと支払うわけではない。最終的ということでございますが、計画はしかしそれぞれインドネシア側としてもあるだろうと思う。大体パーセンテージとしてどの程度になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/93
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094・西山昭
○西山政府委員 賠償につきましては、インドネシアは履行率が現在におきましては六六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/94
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095・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、賠償はいま六六%だ、しかしこれは最終的に賠償総額の支払いということになるのだろう、こういうことですから、それは年間それぞれ変わってくるだろうということは考えられる。貿易の関係で尋ねしますが、いまインドネシアの貿易というのは事実上途絶しておる、こういうことだと思うのですが、その状況はどういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/95
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096・西山昭
○西山政府委員 昨年の十一月の終わりごろ以来、インドネシア銀行の日本に対しまする支払いが遅滞を生じまして、そのために通産省におきましては保険の免責をされまして、それ以来貿易がとまっておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/96
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097・中村重光
○中村(重)委員 これと関連をして政治的な背景を通産大臣にお尋ねしなければならないのだけれども、通産大臣は向こうの本会議がおくれておるということで、どうも迷惑な話です。そういうことだったら、大臣に行ってもらうのじゃなかった。ところが向こうの本会議が、結局開会がおくれたのだろうと私は思うが、まあそれはしかたがありません。そこで、債権回収が非常に困難であるといったようなお答えがいまあったのですが、それだけじゃなくして、インドネシアの政情といったようなこと等も影響しておるのじゃありませんか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/97
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098・西山昭
○西山政府委員 九月二十日にクーデターといいますか、一種の政変がございまして、そのあと政治情勢が非常に混乱しておるということは事実でございますが、貿易の面におきましては、その以前からもインドネシアとは密接な関係がございますし、そのあとにおきましても、財政状態その他が許しますならば貿易を継続することはもちろんでございまして、支払いの遅滞、貿易の中絶の問題はそれとは直接関係ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/98
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099・中村重光
○中村(重)委員 スカルノ体制というものを警戒をしておる、こういったようなことはないのですか。外務省筋からいろいろ伝えられておるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/99
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100・西山昭
○西山政府委員 スカルノ大統領が統治しておりまする現在のインドネシアが経済的にはなはだ混乱状態におちいっておるということは事実でございまして、私どもとしましては、インドネシアと密接な経済協力の関係を進めますためには、そういう混乱から脱した良好な経済的な基盤ができることを希望しますのは当然でございます。そういう意味で、何とか経済的な回復と申しますか、建設の方向に政府としていってもらいたいという希望を強く持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/100
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101・中村重光
○中村(重)委員 いまのあなたのお答えの中からは、まあ私の受け取り方の間違いかもしれないけれども、スカルノ体制そのものは好ましくないというような受け取り方もされる。そうじゃなくて、インドネシアの経済状態、財政状態というものが健全になるということが好ましいというような受け取り方にもなるのだけれども、どうも私は前段の解釈が当たっているのではないかと思うのは、御承知のとおり三月の十二日に発生した政変ですね、それでスハルト陸相が事実上インドネシアの政権を掌握する、こういうことが伝えられた。ところが、日本政府はどういう態度をとったかというと、これと同時に、直ちにインドネシアに対する経済援助というものを行なうという方針をおきめになった。しかも、外務省筋から伝えられるところによると、この政変が非常に好ましい、好感を持って迎えておるというようなことも伝えられておるわけですね。西山さん、そこらあたりはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/101
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102・西山昭
○西山政府委員 私が承知いたしております限り、外務省としましては、まだそのような方針を確定しておるとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/102
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103・中村重光
○中村(重)委員 日本政府がこのスハルト政権に対して直ちに経済援助を行なうという方針をきめたことは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/103
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104・西山昭
○西山政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、何ら確定をしておらないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/104
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105・中村重光
○中村(重)委員 何ら決定はなされていない。しかし経済外交関係の経済閣僚会議、そういう中でこれが議題となり、話し合いが進められておる。そうすると、何も、その閣僚会議でおやりになることは、閣僚だけがぽつんと雲の上でやるわけじゃない。だから、やはり外務省並びに通産省その他大蔵省、関係各省がおぜん立てをしておるということは間違いないんだから、全然そういうことが問題になっていない、そういうことにはならないんじゃありませんか。知らないということはないでしょう。事実はあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/105
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106・西山昭
○西山政府委員 情勢の推移を注意深く見守って検討しておることは事実でございますが、援助をやるという決定に至っていないと私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/106
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107・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、経済協力をするという方針で検討を進めていることは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/107
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108・西山昭
○西山政府委員 貿易の途絶以来、私どもとしましては何とか貿易を再開しなくちゃいけないという気持ちは持っておりまして、その前提といたしましては、そういうことが可能な経済的な状態にインドネシアがあるかどうかということを、最大の関心を持って検討しておるわけでございまして、現状におきましては、まだそこまでの結論は出ていないというのが真相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/108
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109・中村重光
○中村(重)委員 まだその結論が出ていないなら出ていないというようなことでまずいいとして、このインドネシアの政変が行なわれて、スハルトが、軍部がインドネシアの政権を握った。こういうことが伝えられたとたんに、日本政府としてはいわゆる経済協力の方針を打ち出したということは間違いないでしょう。これは新聞にだって伝えられているでしょう。私の持っている新聞だってそういうことが書いてある。内容を読んでみても、いまあなたがお答えになるような抽象的なことじゃありませんよ。もっと具体的に話は進めておるじゃありませんか。外交関係の経済閣僚会議で政府の態度決定を協議する、こういうことがなされているんだから。しかもそれは十七日、きのうやられているでしょう。それを外務省が御存じないということはないんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/109
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110・西山昭
○西山政府委員 たびたび申し上げたとおりでございまして、私は、決定等が行なわれたということは何ら承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/110
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111・中村重光
○中村(重)委員 だから、閣議決定という形がなされていないにしても、そういう方向で検討が積極的に進められておる事実があるかどうかということを私は聞いているんだから、それは答弁ができるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/111
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112・西山昭
○西山政府委員 先ほど申し上げました貿易再開あるいは経済の交流の再開、こういうものを含めまして広く協議検討しておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/112
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113・中村重光
○中村(重)委員 それでは、この新聞に報道されておるような事実はない、これは間違いである、誤報である、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/113
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114・西山昭
○西山政府委員 閣僚協議会のことは、私、閣僚でございませんので、何とも申し上げかねるのでございますが、推測するに、情報のいろいろの交換が行なわれた程度であろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/114
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115・中村重光
○中村(重)委員 閣僚会議でやったことは自分は知らない、閣僚会議が雲の上でやったんだったら、それはそうだろうけれども、具体的にあなたのほうがおぜん立てを進めていかなければ、そういう方向には進まない。またスカルノ体制の中において、先ほどあなたがお答えになったように、どうも好ましい状態でないということは、絶えず政府が、各省が考えておった。なかんずく外務省がそういうことを考えておった。だから、政変があるや、とたんにそうした態度を打ち出すという方向に進んできておるのでしょう。
通産省にお尋ねしますが、産業界は、インドネシアの情勢に対してどのような反応を示しておるのか、またスカルノ体制に対してどういう受け取り方をしておったのか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/115
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116・渡邊彌榮司
○渡邊政府委員 インドネシアの貿易につきましては、日本の産業界は、一日も早く再開されることを非常に希望しておると思います。ただ、インドネシアが政治的にも経済的にも安定いたしまして、従来のような正常な形で貿易ができることが、産業界——いろいろ見方があろうと思うのでありますが、一致した考え方としましては、何とか政治的に早く安定してもらいたい。どういう形での安定ということは、いろいろ考え方があろうと思いますが、何しろ非常に不安定な状態、それができるだけ早く安定を見て、貿易が再開されるようにということを非常に待望しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/116
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117・中村重光
○中村(重)委員 そういう、いまあなたの御答弁のようなことも全然ないではない。しかし、産業界が今度のインドネシアの三月十二日の政変というものを非常に期待をして、これからインドネシアとの貿易が相当積極的に行なわれるのではないかというような受け取り方をしておるということは、これは新聞に伝えられておるのだからそうだろうと思う。同時に、産業界としては、日本政府がインドネシアとの貿易を途絶しておるということで、全くお手あげの状態で、政府の出方次第だ、こういうようなことを考えておる。そこで政府に対しても、何とかインドネシアとの話し合いを進めて、積極的に貿易振興が促進されることを強く望んでおるということが、これは新聞にも伝えられておる。だから、こういう産業界の積極的な動きというか、政府に対する働きかけというものはいままでなかったんですか、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/117
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118・渡邊彌榮司
○渡邊政府委員 御説のように、この前輸出保険の関係等におきましてもいろいろ困難が出てまいりまして、事実上貿易が中断するような形になりまして以来、毎日のように貿易再開を早くやってもらいたいという要望といいますか、産業界からの働きかけは、ずっと連続しまして非常に強くあるわけでございます。結局どういう形かということもございましょうけれども、何とか早く貿易が再開し得るような体制、政治的経済的な安定といいますか、そういうことにつきましては、引き続き毎日のようにそういうことの要望がまいっております。私ども通産省としましても、何とかそういう事態が早くまいりますように待ち望んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/118
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119・中村重光
○中村(重)委員 私はいろんな資料もあるのですが、時間がまいりましたから、あらためてまた大臣の出席の際に外務大臣等にも来ていただきまして、お尋ねいたしたいと思います。西山さん、外務省は全く何も御存じないようなことなんだが、新聞はそうは伝えておりません。インドネシアの政変というもので日本に対する期待が非常に強まるのではないか。外務省筋としては期待しておるようなことが伝えられておる。しかし、まあ、あなたはお答え以上の答弁はここでできないでしょうから、これでやめておきます。
ヨーロッパ筋からポンドの切り下げの情報が伝えられております。あなたのほうにもそういった情報が伝えられておるのではないかと思いますが、ノルウェーとかスウェーデンとか、そういったヨーロッパ筋からポンド切り下げが行なわれる、こういう情報が伝えられておる。これは事実だとすると私はたいへんだと思う。だからしてポンドのレートはどういうことなのか、そういう情勢についてお答え願うとともに、いまの情報についてどの程度これを把握しておるのか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/119
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120・渡邊彌榮司
○渡邊政府委員 ポンドの危機の問題というのは、先生よく御承知のように前からございまして、私ども事務当局もいろいろ心配して対策を考えたりいろいろしておったわけでございますが、わりあい持ち直しまして、最近は、いま先生が御指摘のようなポンドの危機が新しくまた問題になるということではない、といいますか、比較的にいろんな困難を打開しながら、ポンドはやや安定した状態になってきておるのじゃないかと思います。もちろんポンドの危機のときに、先生よく御承知のように、たくさん問題がございまして、そういうポンド危機の原因になったむずかしい問題というのが必ずしも十分解決されているわけではございませんので、随時ポンドのいま言ったような問題はうわさに出るわけでございます。ただ最近特に、非常に切迫したそういう危険が感じられているというふうには、私ども不勉強な点があるかもしれませんが、特に最近そういうことが非常に切迫した感じで取り上げているというふうには私ども考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/120
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121・中村重光
○中村(重)委員 ポンド切り下げが行なわれたとしますと、波及的な影響というものをどのように把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/121
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122・渡邊彌榮司
○渡邊政府委員 輸出の面と輸入の面とそれぞれ影響が違ってまいるわけでございますが、何にいたしましても、これだけ大きい力を持った国際的な通貨といいますか、支払い手段でございますので、個々的には輸出と輸入で短い期間で考えますと、非常に打撃を受ける面とある意味ではそれによってむしろプラスになるというと何ですが、関係の業界、業種は輸出入等でいろいろ影響が違ってまいりますが、総合的にやや長期的に見ますと、ポンドの安定というものは日本の貿易の将来のために非常に望ましいので、これは何とかして各国とも可能な範囲の協力をしてでもこれはぜひ安定してもらわなければならない。いろいろ影響を研究してまいっておるのでございますけれども、何しろやや長期的に見ますとぜひ安定しておかないと非常に大きい影響があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/122
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123・中村重光
○中村(重)委員 ポンド切り下げの問題につきましては、あなたは持ち直しの状態にある、そう切迫した状態ではないということですが、しかし、そういう情報がひんぴんとして伝えられておることも事実なんだから、十分調査して、連絡もしてもらいたい。私のほうでも調査したい。
最後に西山さんにお尋ねいたします。長崎県の対馬の小型船による貿易、これは従来も行なわれておるのだが、密貿易というようにお考えになっておられますか、そこらあたりのお考えを聞かしていただきたい。これは通産省も御存じでしょうから、通産省からもお聞きしたいと思います。この一問にとどめますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/123
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124・西山昭
○西山政府委員 実は私の所管と違うものでございますから申しわけございませんが知っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/124
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125・渡邊彌榮司
○渡邊政府委員 韓国側から協力を求められておりまして、韓国側が対馬で日本の商品を買いまして、それを韓国側へ持っていく。これは日本側から見ますと普通の形の商売でございます。日本の国内的に見れば普通の取引なんですけれども、韓国側からは日本が協力して韓国側で処理しやすいようにしてくれという要望が来ておりますので、実態につきましては、もっと詳して勉強して御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/125
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126・中村重光
○中村(重)委員 よく調べぬとだめです。それは日本側から見れば密貿易ではないと言う。じゃ韓国側から見れば密貿易かということになる。ところがそんなものではないはずです。ちゃんと税関があるでしょう。それだから日本側から見て密貿易でなければ、韓国側から見ても密貿易ではないのです。ちゃんと証明がある以上は、これは正規のルートにおいて行なわれたものであるという理解でなければならない。西山さんが帰ってしまったから外務省の悪口を言ってもしょうがないのだが、あなたのほうも何というかそういうことに対して関心を持っていない。小型船による貿易であるから零細業者に及ぼす影響あるいは地域経済に及ぼす影響というものは非常に大きいですよ。もっと外務省がどういうことをやっておるかということを調査をして、そうして外務省に対して厳重に申し入れをする必要があるときはやる、こういうことによって貿易振興をはかっていかなければ、三木通産大臣だって泣くでしょう。そういうことではあれですから、この点はあらためてお尋ねいたします。
大臣、ずいぶん待ちましたが、私のほうの時間がなくなりましたから、一言だけお尋ねしますが、インドネシアの政変が三月十二日にありましたね。ところが、従来までインドネシアとの貿易というものは、決済関係の関係もありましょうし、インドネシアの政情の影響というものもいろいろ政府としてはおもんぱかっておったと思うのですが、途絶の状態である。ところが、この政変が行なわれたとたんに、政府としては、今度の軍部政権に対して経済協力をやり、経済援助を行なうということで方針を決定したと伝えられておるわけですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/126
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127・三木武夫
○三木国務大臣 政府はインドネシアというものに対して非常な関心を持っておるわけです。それは何かといえば、あれだけの人口、一億をこえるんでしょうからね。最近の新聞では一億をこえるということで、どのように人口調査を行なったのか知りませんけれども、あれだけの資源を持っている国でアジアにおける重要な国の一つである、アジアの動向をきめていく上において重要な国の一つである、こういうことで、当然にアジア外交という場合に、インドネシアの動向というものは重大な関心事でなければならぬわけです。したがって、それは内政に干渉するというのではなしに、スカルノさんの政治路線というものが中共との間にも非常に密接な連絡のあったその時代から、日本はスカルノ政権の時代においても経済協力というものは相当やってきたわけです。今度どういうことになるか、それはインドネシア自身がきめるべきで日本は干渉すべきではない。新聞で見ておると、ときどき、スハルトさんへ大統領の権限を委譲して、スハルト氏のもとに政情が安定するかというと、あくる日はまた巻き返しがあるということで流動的ですから、もう少しインドネシアの政情の安定というものを見きわめなければならぬですよ。見きわめた後には——政府方針は未決定と西山君から書いてよこしたが、これは未決定ということではない。やはり協力はするというのが方針で、それを具体的にどうするかということは政情の安定を待ってということで、具体化ということは将来の問題が未決定ということで、インドネシアに経済協力をするという基本的方針というものは変わらない。ただ具体的な方法は、まだ向こうの政情の不安定から熟していないけれども、これは将来政情の安定あるいは向こうもいろいろな計画を立てるでしょうから、そういうことで協力をしていきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/127
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128・中村重光
○中村(重)委員 私が言うことをあなたが言ってしまった。そうでなければならないんだけれども、そうしないからいかぬと私は言っている。しかし政府は、反共ということになってくると、とたんに前に乗り出してくる。政治体制が異なってもアジアの諸国とは仲よくしていくんだ、貿易は積極的に行なうんだということが伝えられている。ところが、保守党の中における進歩的政治家三木通産大臣が通産省にでんとしてすわっていらっしゃるんだけれども、どうもいまあなたが言われるような方向ではない。インドネシアとはどうもうまくいってない。貿易も途絶している状態である。ところが、政変が起こると、とたんに政府の方針も経済協力を進めるというようなことを打ち出した。ところが、あなたがいまお答えになったように、インドネシア情勢というものが安定をしたのかといえば、スカルノさんはスカルノさんとして閣僚を任命する権利はおれが持っているのだと言う。ところが、スハルト陸相はそうじゃない、こう言うので、また行動を起こす準備をしているというのであって全く流動化している。そういうときに反共政権ができると、とたんに日本政府が飛びつくといったような方針をきめるから、これがどうも適当ではないじゃないか。だからどういうことなんですかと私はお尋ねをしたわけです。新聞にはいまあなたがお答えになったような方向では伝えられていない。きのうも経済外交関係の閣僚会議で、インドネシアに対するところの経済援助について方針を打ち出すということが伝えられている。全くこれは誤報なのかどうか。そこらあたりはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/128
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129・三木武夫
○三木国務大臣 打ち出すというならばやはり少し誤報でしょう。これは何かといったら、向こうの情勢は、こっちで見ておってもインドネシアの情勢がどういうふうになっていくかということはなかなか捕捉しがたいものなのでありますからね。一応だれが首班になるにしてもインドネシアの政情が安定をして、向こうのほうとしても日本に対しての経済協力のいろいろな要請も出てくるでしょうから、そういうことで問題が具体化するのであって、いままではああいう状態の中で、日本が経済協力をするといっても受け入れ体制がまだまだ流動的ですから、そういうことできのうの外交関係の閣僚会議においてもそういうことはきめてもないし、またきめらるべきでもなかったということでございます。しかし、いずれにしてもインドネシアに対して経済協力をやらぬということでは、アジア外交を口にしてはいけない。やはりインドネシアというものに対してはできるだけのことはするんだということでなければ、アジア外交を口にすることは僭越過ぎると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/129
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130・中村重光
○中村(重)委員 それでは時間がございませんので、きょうはこれで私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/130
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131・天野公義
○天野委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/131
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132・板川正吾
○板川委員 この機会ですから大臣に伺っておきたい点が二つほどあります。
それはけさの新聞に通産省として重大な関心々持つ二つの問題が報道されております。第一は、西独が中国へ大型の製鉄プラントを国の保証のもとに延べ払い輸出をするということを決定されたことが一つ、もう一つは、韓国の商工次官が、ソウルの日本の吉田公使を呼んで、「韓国の一次産品への輸入制限を撤廃しない限り当分日本商社の活動を禁止すると通告した」という報道、「同紙はさらにこれは金商工次官が十六日明らかにしたものだ」こう言っております。まず西独が中国の製鉄プラント輸出を国が承認して、国の保証のもとに延べ払い輸出を認めたということは、日本の中国貿易に対しても重大な影響を与えざるを得ないだろうと思うのです。この日中貿易の問題は、大臣と私と横路委員との間で何回か論争されました。いま議事録を精細に読んでみましても、去年の八月二日の商工委員会における通産大臣の答弁は、「吉田書簡、吉田書簡と、こう言い、中国側も言いますけれども、しかし、個人の書簡がずっと政府の政策を拘束するということは考えられないことで、吉田書簡をいまごろ持ち出して、これをどうのこうのとあまり言わないほうがいい。われわれもそれに拘束を受けないで考える。しかし、中共貿易、共産圏貿易には国際的な制約もありますし、輸銀のワクばかりでもない。そういういろんなことを勘案して、政府がそのつど自主的に判断したらいいのだ、」そうして、「日本の政府は自由な立場で自主的に判断する、これが原則である、」こう言っております。それから日韓特別委員会において横路委員と私とで質問をし、政府の統一見解が発表されました。その政府の統一の見解を三木通産大臣が代表して答弁されました。それは「吉田書簡は両国間の取りきめのようなものではないが、吉田書簡が出たという当時の経緯を無視するわけにはいかない。自主的な判断をする場合には、こういういきさつ等も判断の材料になることは当然であると考えております。こういう答弁ですね。そうしてこれは、通産大臣のこの八月二日の商工委員会における私の質問に対する答弁と、この政府の日韓国会における吉田書簡に対する統一見解とは何ら食い違いはない、こういうことを大臣は言われておる。これは文書の解釈、ことばの解釈ですから、ある点に重点を置けばそういう考え方もないではない。いずれにしてもこの答弁のよりどころになっているところは、政府が自主的にこの問題は決定するんだ、吉田書簡に拘束されないで自主的に決定するんだ、こういうのです。しかし自主的に決定する場合に、吉田書簡というものも考えないわけにいかないんだ、こう言っておるわけです。しかし前の商工委員会における大臣等の発言のニュアンスから考えて、日中貿易を拡大していこうという大臣の意図があることはわかります。そこで、自主的に判断される場合に、今度は諸外国の例も一つの判断の材料になるだろうと思う。従来政府は共産圏の延べ払いは西欧並みでやると言っておるのです、西欧並みならばいいんだ、西欧が五カ年の延べ払いなら政府はそれでもいいんだ、七カ年の延べ払いならそれでもいいんだ、とにかく西欧よりも先に条件を緩和した方法はまずいが、西欧並みならいいんだ、こう言っておりましたね。これは池田内閣以来政府が言っており、当委員会でも歴代大臣がそう言ってきておった。そうしますと、このヨーロッパ並みの延べ払い輸出ということになると、中国への西独政府の製鉄プラントの輸出というのも、これは当然自主的判断の材料にならなくちゃならぬ、こう思うのですが、大臣の考えはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/132
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133・三木武夫
○三木国務大臣 自主的な判断という中にはいろいろなものが入る。その中にはやはり自由諸国が中共に対してどういうふうな状態であるかということも、判断の一つになることは事実です。ただ、しかし西欧がやったら——新聞の記事ですからどういうことが事実か、私も読んだのですけれどもまだ実際はどうかということは調べておりません。しかし西欧、西独がやったらそれは日本もだ、そういうふうには考えていない。ただ、しかし自主的な判断をする場合に、そういう自由諸国と中共との関係ということも、やはり判断の一つの要素になるということは、板川さんのおっしゃるとおりだと思います。しかしそれが直ちに機械的でないというところが、あなたはもう西独もやったからそらやれ、こう言うならば、ちょいとそうはいかぬということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/133
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134・板川正吾
○板川委員 私は西独がやったからいますぐ許可する、こういう機械的な方針を立てるべきだという意味じゃないのです。しかし西独が政府の保証のもとにこの延べ払い輸出を認めたということになれば、私は従来の自民党の中国貿易政策というのはこの辺で、従来の公約からいって、共産圏に対する延べ払いはヨーロッパ並みに扱うという言明をしてきたのです。ヨーロッパにおいてもこういう画期的な一つの変化があった、ここでこういう事実を確かめて、政府としても従来の政策をひとつ前進させるという意味で再検討を要すべきではないのか、こういうことの大臣の見解を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/134
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135・三木武夫
○三木国務大臣 これはやはり自主的判断の場合の一つの要素にはなるけれども、すべてではないのですからね。この西独の鉄鋼設備のプラントというものが出たからすぐ再検討ということには結びつかぬ。やはり共産圏に対しても輸銀を使わないという理屈は、これはなかなか成り立たない。だからいろいろなことを判断する場合に、対中国貿易に対する輸銀使用の問題というものは、そういう西独のことが出る出ないにかかわらず、絶えずこれは前向きに検討を加えるべきものだと私は思います。また加えつつあるわけです。それで自主的判断の中には西欧のこともあるだろうし、そのほかまたアジア全般のこともあるであろうし、いろいろなことが入るのです。そういうことも頭に入れながら、しかしそれが出たからというのではなくして、いつかはこの問題は解決せなければならぬ課題である、それはタイミングはあるでしょうが、そういうことで、すぐ結びつけるというのではなくして、常に日本の政治の検討の課題であるということは、私は西独と結びつけていうならば、板川さんと多少ニュアンスが違いますが、検討しなければならぬ課題であるということは、私もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/135
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136・板川正吾
○板川委員 政府の重大な過去の政策がいろいろの点からやはり再検討を迫られているのではないか、そういう意味で、この記事を重要視して検討されることを私は要望するのです。この新聞にもありますように、「西独政府は十六日の閣議で中国向け製鉄プラントに対して五年の輸出延払いを認めた。これによって西独の中国貿易は飛躍的にふえるとともに、対象が製鉄プラントである点が政治的にも注目されている。このプラントは総額六億マルク(五百四十億円)にのぼる巨大なもので、これを西独第二の重電メーカー「デマーク」を中心とする国際輸出供給団が請負う。」ことになっておる。そして「西独組でその受持ち分三億五千万マルクに対して政府が輸出保険を引受けたわけである。」こういっておりますね。しかしこのことに関して、従来西独の間でも一部の西独紙はその政治的意味を重視してこういっております。「「米中対決の現状下で中国に製鉄所をつくってやることは一種の利敵行為であり、同じように東独と対抗している西独としてはそういう考慮があるべきではないか」と批判的な論説さえ掲げている。」これは日本でよくある考え方ですね。しかしこういう一部の声があるにしろ、西ドイツ政府が製鉄プラントを認めた気持ちはこういっております。「しかしこのところ輸出が伸び悩みであるうえ、対共産圏貿易での西側各国の競争は激しくなる一方であり、西独政府としてもそういう政治的な配慮よりも経済的な突上げに押されて踏切ったものとみてよい。」「今度は前例のない巨額のため、互いに延払いで一致したようだ。」従来は延べ払いは少なかったのですが価格が大きいから延べ払いになった、こういうのですね。そして西独が政経分離の態度で中共に接近していく、こういうことを言っておる。政府の態度としては、延べ払い問題が出ると、これはヨーロッパ並み、そして政経分離だ、こう言っておるんですね。ですから私は、ヨーロッパで西独がこういうことをやれば、同様のことをフランスは当然やるだろうし、イギリスもあるいはイタリアもやるでしょう。こういうふうに中国に対する経済交流というのは流動的ですね。ですから、いつまでも前の決定なり原則なりにこだわって、流動化していくそういう情勢を見ないというのはおかしいのじゃないか。私は西独の政府が認可したこの気持ちというのは、その他の西欧諸国に大きな影響を与えるだろう、当然これは日本としても見のがすわけにいかない問題である。ですから政府がこの際、過去のいきさつがどうあろうとも、ひとつ前向きの姿勢において再検討をすべきじゃないか、こう思うのです。それから先ほどの吉田書簡の問題も、自主的に判断すると言っております。だからこだわっていないともいえるし、こだわっているともいえるのです。要するに、拘束されているともいえるし、されてないともいえるのです。しかし、われわれ拘束されていないというほうに希望を持ちたい、そういうふうに解釈を持ちたい。ですから、私はこの際、日中の貿易拡大が幸いにして非常な伸びを示しておって、いま日本経済が比較的輸出が拡大されたのは、共産圏貿易が伸びた原因がまあ半分近くあるはずでありますから、こうした貿易拡大の方向に通商産業省としてはひとつ再検討されるべきだ、こう思うのです。大臣の見解を伺って終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/136
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137・三木武夫
○三木国務大臣 この問題は西独問題にかかわらず、常に政府がやはりいつかは解決しなければならぬという姿勢のもとに絶えず検討されている問題点であります。これはもう全部いまの考え方でずっと押し通すというのではない。やはりいつかは解決しなければならぬという問題で、いまに始まったことではなくして、検討の課題であるということは事実でございます。
それから板川さんの前の韓国のソウルの商社締め出しの記事は、私もけさの新聞を見まして、直ちに調べてみるようにということを秘書官を通じて言ったわけですが、まだその調べた結果が在外公館から何も報告がきてないというメモがいまきましたので、調べてみることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/137
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138・板川正吾
○板川委員 韓国の問題は、向こうで商工次官が通告したというから、政務次官に聞こうかと思ったのですが、ひとつ調査をして資料で報告していただきたいと思うのです。
重ねて言うようですが、中共貿易については、三木通産大臣の気持ちと総理大臣である佐藤さんの気持ちが、実はニュアンスとして若干違うのです。それは三木通産大臣は何とか日中貿易を拡大していこう、こういう前向きな積極的な意欲を持ちながら、しかし佐藤内閣の閣僚ですから、佐藤総理は、吉田書簡を尊重し、そういうことはやるべきじゃないという考え方に立っておる。しかし、といって中共貿易は一切しないのだということも言えないから、まあその辺でせっかくの通産大臣の意図も押えられているような感じがしておるのです。しかし、私どもは、通産大臣に、ひとつこういう情勢の変化をとらえて、われわれが主張しておったような、われわれが考えておったような情勢がきておるのではないか、こういう主張を閣内においてもされて、理解不足の中国観を持っておる人たちを頭を切り変えさして、ひとつ国民のための東西貿易の拡大のために努力してもらいたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/138
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139・三木武夫
○三木国務大臣 いま佐藤総理と私の考えが違うということですが、これは閣内不統一になってもいけませんから……。違ってはいないのですよ。やはり佐藤総理もいつかはこの日中貿易という問題を、いまのこの停滞の状態を打ち破らなければいかぬという考えを持っていることは事実です。そのときの自主的判断ということを、一体いつどういうことを頭に入れながらするかということです。やはり日中貿易を前進していこうということに反対があるわけではない。閣内不一致になってはいけませんから一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/139
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140・天野公義
○天野委員長 次会は来たる二十二日火曜日、午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X01619660318/140
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