1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十五日(金曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 天野 公義君
理事 小川 平二君 理事 河本 敏夫君
理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君
理事 田中 武夫君
稻村左近四郎君 内田 常雄君
小笠 公韶君 海部 俊樹君
神田 博君 黒金 泰美君
小宮山重四郎君 田中 六助君
三原 朝雄君 早稻田柳右エ門君
沢田 政治君 島口重次郎君
田原 春次君 麻生 良方君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
出席政府委員
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
通商産業事務官
(貿易振興局
長) 高島 節男君
通商産業事務官
(重工業局長) 川出 千速君
中小企業庁長官 山本 重信君
委員外の出席者
通商産業事務官
(重工業局重工
業課長) 荘 清君
通商産業事務官
(重工業局自動
車課長) 中村 俊夫君
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四月十三日
電気工事業法制定に関する請願(栗山礼行君紹
介)(第二八七九号)
中小企業団体の組織に関する法律の違反業者制
裁処分に関する請願(中馬辰猪君紹介)(第二
八八〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一一八号)
通商産業の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/0
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001・天野公義
○天野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/1
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002・板川正吾
○板川委員 機械工業振興臨時措置法の一部改正案に関しまして、若干の質疑をいたしたいと思います。
まず、本法の成立以来十年間経過をしたわけでありますが、この十年間の本法の運用の実績等についてひとつ報告をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/2
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003・川出千速
○川出政府委員 機械工業振興臨時措置法は、三十一年の六月に五年間の期限をもってスタートをしたわけでございますが、その期限の到来しました三十六年に、さらに五年の期限の延長をするとともに、法律の内容を改善強化して今日に至り、その運用の期間は十年に及んでおるわけでございます。前半の五年と後半の五年の間には、法律の内容も変わっておりますが、おもな運用の結果につきまして簡単に御報告したいと思います。
この法律の基本は、合理化のための振興基本計画を設け、それから、これは毎年のことになりますが、振興実施計画を設けまして公表をいたしておりまして、それを実現するために、生産設備合理化資金の確保、あるいは生産体制整備のための合理化カルテルの指示とアウトサイダー規制命令の発動、それから合併、共同出資等に対する課税の特例、生産技術基準の公表等を行なっておるわけでございます。
なお、この法律の適用を受けますのは機械全般でございますけれども、政令指定をしまして、特定機械につきまして、そういう基準の公表とか、あるいは資金の確保をはかる仕組みになっておるわけでございます。当初、機種の指定は二十二業種でございましたが、その後目的を達したものは削除し、あるいは追加をし、現在では三十九機種にのぼっておる次第でございます。
その運用の大まかな結果でございますが、まず資金の確保、これは非常に大きな効果をあげまして、機械設備の近代化、合理化に大きな貢献をしたわけでございますが、これを量の面から申し上げますと、三十一年から三十五年度の間に開発銀行から百十二億の融資がされております。それから三十六年から四十年度の五年間にわたりまして開発銀行から三百三十五億円、中小企業金融公庫、これは改正のときに入ってきたわけでございまして、当初はなかったのですが、これが百九十三億円、合計五百二十八億円でございまして、十年間の開発銀行と中小企業金融公庫の融資の実績、これは承諾ベースでございますが、六百四十億の巨額に及んでおる次第でございます。これは設備投資の全額を融資するわけでございませんので、実績で見ますと、三割ないし四割見当になっておると思いますが、近代化投資額はこの倍以上ということになる次第でございます。
それから次に、産業体制整備のための合理化カルテルでございますが、これは融資に比べますと、必ずしも活発に行なわれたわけではございませんで、品種の制限につきまして六業種について合理化カルテルが指示され、実行されておる次第でございます。なお、三十六年の改正で追加されました合併税制等の適用を受けましたのは七件でございます。生産技術基準の公表は、銑鉄鋳物等四業種について公表されている次第でございます。
私どもは、これによりまして十年間機械工業の振興に非常な効果をあげてまいりましたが、開放経済になりまして機械工業の重要性はますます高まっておりますので、さらにこれを延長し、足らないところは改善運用を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/3
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004・板川正吾
○板川委員 十年間で三十九業種にわたって基本計画を立てて、機械工業の振興をはかってきたのでありますが、この十年間の実績の中で、一体どういう機種が一番効果をあげ、順次どういう順序に効果をあげてきたか、まあ頭から十番目くらいの順序で指摘してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/4
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005・川出千速
○川出政府委員 効果をあげました内容についてはいろいろ見方がございますが、たとえば生産実績、あるいは輸出、あるいは品質向上等で目的を達して、すでにもう機種の指定から落とされたものもございますけれども、何にいたしましても、生産設備をいかに改善したかという点は、政府の資金をどの程度業種別に確保してあるかというところに、私は端的にあらわれておると思いますので、そういう業種についてそのような観点から申し上げますと、六百四十億ただいま融資が承諾ベースでなされておると申し上げましたが、その中で一番大きな金額を占めておりますのは、自動車部品の百四十六億でございまして、これが圧倒的に大きいわけでございます。まあ自動車工業の振興に役立っておると考えておる次第でございます。それからその次は、やはり機械の中の機械といわれております金属工作機械、これが七十一億円強でございまして、これも非常に近代化に貢献をしておると存じます。それから大きなものを若干拾ってまいりますと、機械の基礎といわれております銑鉄鋳物、これが三十五、六億だと思います。それからボールベアリング、軸受けでございますが、これも工作機械とほぼ同額の融資がされております。そのほか基礎部品でありますネジあるいは切削工具、それから金型というようなものが主要なものであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/5
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006・板川正吾
○板川委員 機振法を今後五年間さらに延長しようということでありますが、五年間延長した場合のメリットというものはどういうふうな予想をされておるのか、その点をひとつ説明してもらいたいと思うのです。たとえば、問題点をあげますと、政府は五年間機振法で資金の確保をするわけでありますが、どの程度の予定をされておるのか、それから外国技術の特許料、ロイアルティーの収支が最近幾らか改善はされてきておりますが、いまのところ、支払いが十に対して、こっちの受け取りが一くらいの割合のようですね。これが機械工業振興によって、五年間たつとどういう程度の変化を示すだろうか。それから、この機械振興をしたために機種の年齢が非常に改善をされてきた。五年未満の新鋭機械というのが大体全体の四〇%程度だ。しかし、十五年以上の年齢を持つ機械設備というものがまだまだ四〇%近くある。こういうのです。工作機械の耐用命数というのは最近十二年に下がってきておりますが、一体これが五年後にはどういうふうに改善されるだろうか。これを平均機齢といいますか、自動車の場合には平均車齢といっておりますが、耐用命数に対して平均車齢がどういう程度であるかということによって、その企業の自動車の新旧の度合いというのがわかるのですが、平均機齢というものがこの五年間にどういうふうに変わるだろうか。それから、西欧諸国では輸出の第一位が、機械の総合的な結果である乗用自動車の輸出だということになっておりますが、現在西欧諸国では、機械の中で四〇%から五〇%程度が自動車の輸出になっておる。そうしてこれは輸出産業の中で第一位を占めておるようであります。日本はまだ一位ではない。これが五年後に一体どういうように変化をするだろうか。こういった点から、五年延長された後の日本の機械工業の予想図というものを、その他も含めてひとつ説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/6
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007・川出千速
○川出政府委員 広範な御質問でございますので、落ちる点がありましたら、またあとで追加をいたしたいと思います。
五年延長する場合の長期的な見通し、機械工業をいかにしていくかという御指摘に尽きるのではないかと思いますが、まず、機械振興臨時措置法の運用の問題から申しますと、いままで一番効果をあげてまいりました資金の確保の点でございますが、これは過去十年間に六百四十億円ということを申し上げたわけでございますが、四十年は設備投資の意欲がだいぶ減退をいたしまして、不況の影響を受けましてあまりふるわなかったわけでございますが、四十一年は、現在の財政投融資計画では、開発銀行が四十億、中小公庫が二十五億で、六十五億ということになっております。これは四十年の当初の計画に比べますと相当減っておりますが、実は四十年度は、先ほど申し上げましたように、申請が少ないような状況もございまして、使い残しが相当繰り越しになって、開発銀行並びに中小金融公庫にあるわけでございまして、それを考慮いたしますと、その数字のトータルは、開発銀行、中小金融公庫を含めまして約百億円程度になりまして、実績によりますと四十年度より若干高いというところに落ち着くと思います。
なお、四十二年以降五年間をどういうふうに持っていくかという計画は、現在のところできておりませんので、今後の実情に合わせまして、毎年、財政投融資計画をつくる際に織り込んでいくように、前向きに検討していくというつもりでございます。
それから、今後の運用の見通し、基準ということになるわけでございますが、資金の確保はさようにしてはかってまいりますが、今後の機械工業の大きな問題は体制の整備。体制が、過去の非常な成長期に必ずしもうまくいかなかった。その結果も最近あらわれてきておりますので、これに重点を置いていこうと思います。機振法の運用といたしましては、過去あまり活発に行なわれなかった合理化カルテルを、今後品種の制限のカルテルにとどまらず、この機振法に許されているいろいろな合理化カルテルについて相当前向きに運用していく点で、現在すでに数業種について検討を加えておるような次第でございます。
それから、先生の御指摘にございましたように、何にいたしましても、日本の機械工業の非常なウイークポイントと申しますのは、技術開発力が弱いということでございますので、これは技術導入に過去非常に依存をしてきているという点もあるわけでございますが、今度の改正に際しまして、そういう試験研究というような立場から基本計画並びに実施計画も策定をして業界の道標にいたしたいという考えを持っておる次第でございます。
先ほど御指摘になりました技術導入に関する収支バランスということでございますけれども、先ほどの数字は先生の御指摘になりましたとおりでございます。これは、機械工業だけではなく、全体の数字だろうと思いますが、最近徐々に改善をされてきておることは事実だと思いますが、それが五年後にどのようなことになるかということはいまにわかに即断はしがたいわけでございまして、これはいずれにいたしましてもなるべく改善をすることが機械工業の一つの目標になろうかと思います。
それから輸出の問題でございますが、輸出の問題は、いまから十年くらい前、たとえば三十年くらいには機械の輸出というのは三億ドルなかったわけでございます。二億八千万ドルぐらいでございます。これが三十五年には十億ドル台になり、昨年四十年度はこれが三十億ドル強になりまして、過去十年とちょっとくらいの間に十倍に伸びたようなわけでございまして、これも、機械工業の体質が改善をされ、国際競争力を持ってきたことと思います。
ほかの工業国は、機械輸出の中で自動車が圧倒的なウエートを占めているという点は全く事実でございまして、その点は、日本はそういうことに現在なっておりませんけれども、自動車工業は現在非常に飛躍的に成長しつつあるわけでございまして、将来は船舶と並んで機械工業の中の大宗になるという見通しを持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/7
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008・板川正吾
○板川委員 機械工業を振興すること、これはわれわれもいいと思うのですが、ただ、問題になる資金その他振興計画というのが、その年度だけである。一応五年延長するならば、少なくとも五年間はこうしたいという大まかな——それは大蔵省の了承を得たものでなくてもいい。通産省として、五年間にこういう水準まで引き上げたいという目標がなくては、一年一年計画を立てておるというのでは、どうも振興上不十分じゃないかな。こう思いますね。
それから、技術特許料の支払い収支関係ですけれども、これがバランスをとるということは、それだけ日本のいわゆる機械工業を——これは主として機械でしょう。あるいは科学技術関係もありますが、これをとるということは、日本の技術水準の向上ということを意味するわけですね。ですから、そういう意味で、いままではこういうものは手っとり早く外国の技術を輸入して西欧並みの技術水準、科学水準まで到達しようというので、戦後、技術導入、技術提携が行なわれておったのですね。しかし、ここまできたら今度は日本から技術輸出するような情勢に持っていかなくちゃならない。まあ、それは産業全般のことですが、その中で大きな役割りは機械工業にもあるのだ、こう思うので、年度計画ばかりでなくて、五年間の見通しというものをひとつ考えてもらいたい、とこう思うのです。
それから、十年間の運用の結果今後改善しようという中で合理化カルテルを拡大していこうといういまの御説明でございます。機振法の中には、御承知のように通産大臣が指示するたくさんのカルテルがあります。しかし、この指示カルテルの中で実際に運用されたのは「品種の制限」だけであって、他の「品種別の製造数量の制限」とか「技術の制限」とか「部品又は原材料の購入方法の制限」とか「生産又は加工の施設の利用」とかという問題は、全然この法律は動いていない。これは、合理化カルテルのうちで「品種の制限」は、実は独禁法でもできないことはない。ほかのは独禁法でできないものもあります。ほかのは動いていない。そうすると、この指示カルテルは、実はこの法律の中でそれほど大きな役目を果たしていないならば、独禁法の穴あけ法といわれておるのですから、とったほうがすっきりしているのじゃないか、こう思うのです。三十六年のときに独禁法関係の追加がありましたね。規格の制限に関する問題とかあるいは生産または加工の施設の利用とかというような追加をしたけれども動いていない。さらに規格の制限に対するアウトサイダー規制の問題も追加をされておるが、全然動いていない。こういう動いていないものが大部分ですし、動いた「品種の制限」というのは、独禁法にも合理化カルテルで認められるのだからはずしたほうがいいじゃないか、こう思うのです。三十六年当時は、実は独禁法は、政府の姿勢もそれから財界の要求も、独禁法というのはなくしていこう、自由化に備えてあんなものはもう必要ないのだという思想であったのですよ。だから、なるべく適用除外法をいろいろつくって、そうして実質的に独禁法というのは骨抜きにし、適用除外を奨励しようという空気であったことは事実なんです。ところが、そういう意味で機振法なんかに独禁法除外規定を拡大した。この数年間やってみたらいろいろな点で独禁法というのはなかなか効用を持っている。これは政府あるいは一般財界も最近は独禁法というものを目のかたきにするような発言はなくなった。それからやはり独占の行き過ぎがあるから独禁法で目を光らせるということは経済の民主化のために必要だということにもなってきた。物価の硬直性、協定価格の値上げということなんかも国民の大きな関心の的になったために、最近は財界も、独禁法を目のかたきにして改正しようという空気はなくなってきた。そうすると、私は実際動いていないこういう独禁法適用除外の規定はやめて、そうして必要があれば独禁法によって正式の手続で品種の制限等の合理化カルテルをやったらどうだろう、こう思うのです。これはどうでしょう、大臣の考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/8
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009・川出千速
○川出政府委員 先生の御指摘のとおりに、過去の運用につきましては、品種の制限の分類だけが活用されてまいりました。しかし、これは独禁法にもないアウトサイダー規制命令がございまして、その点は独禁法ベースの、任意のものが集まってやるいわゆる合理化カルテルとは違う点がございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、その品種の制限以外の合理化カルテルにつきましては、いろいろそういう胎動しておった時期もあったわけでございますけれども、まあ成長期にありましてなかなかそういう話し合いがむずかしい面もありまして、現実にこの指示を発動したという事例は残念ながらないわけでございます。現在品種の制限以外の合理化カルテルにつきまして、具体的に検討中のものがかなりあるわけでございます。一例を申し上げますと、ネジにつきまして原材料の共同購入をしようというような話が現在進行しております。あるいは木工機械につきまして、帯のこ盤の購入、部品の規格の制限と並びまして資材の共同購入をする、あるいは付属機械の共同生産をするというような話が現在進行しております。そのほか工業機械あるいはバルブ、ネジ等につきまして、品種の制限以外の合理化カルテルの話が検討されておりますので、これはぜひとも存続をさせる、今後の体制整備と申しますか、国際競争力の強化に資したいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/9
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010・板川正吾
○板川委員 いままで品種の制限以外にやりたいというのは、ネジ、それから木工ののこぎりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/10
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011・川出千速
○川出政府委員 木工機械でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/11
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012・板川正吾
○板川委員 そのほか何があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/12
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013・川出千速
○川出政府委員 印刷機械、それから試験機、それから現在検討されておりますが農業機械、大体現在検討されておりますのは以上のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/13
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014・板川正吾
○板川委員 五年延長されれば共同行為の項で適用されてない項目も有効に活用したい、こういうわけですね。有効に活用したいというのが、ネジ、木工機械、印刷機、試験機、農業機械、こういった種類を考えておる。そこで原材料の購入のほうではネジを予定しておる。ネジ、木工機械、印刷機や試験機、農業機械というのは、この項目の指示カルテルのどこを考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/14
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015・川出千速
○川出政府委員 ネジにつきましては、「部品又は原材料の購入方法」ということになろうかと思います。それから軸受けにつきましては先ほど申し上げませんでしたが、これは品種の制限をやろう。これは現在運用されておる品種の制限であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/15
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016・板川正吾
○板川委員 ベアリングですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/16
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017・川出千速
○川出政府委員 ベアリングです。農業機械につきましては、これは耕うん機を中心に考えておるわけでございますが、品種別の製造数量の制限ということを考えておる次第でございます。それから木工機械類につきましては、先ほど申し上げましたように品種の制限とあわせまして部品あるいは原材料の購入方法、あるいは生産または加工施設の利用等につきまして現在検討いたしております。それから試験機につきましては品種の制限を現在実施しておりますが、それに加えまして技術の制限、それから生産または加工の施設の利用というようなことを現在検討いたしております。工業計器は品種の制限にあわせまして部品または原材料の購入方法を考えておる次第でございます。印刷機械は、部品または原材料の購入方法それから現在またそのほかに技術の制限を検討いたしておる次第でございます。
以上のような点でございます。
それからなお自動車部品につきまして、これはどの程度実現性があるか、まだいま未検討でございますが、生産または加工の施設の共同利用というようなことが検討されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/17
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018・板川正吾
○板川委員 共同行為の問題はひとつあとで資料をもらって、次の機会にさらにやりたいと思います。
それから機振法の基本計画と近代化促進法の近代化計画と一体どう違うのですか。この差を中小企業庁長官なり重工業局長なりに伺いたいのですが、内容的に見るとそう違わない、若干違う点がありますが違わないのです。一体近促法の近代化計画と機振法の基本計画とどう違い、どういうふうにお互いに持っていったらいいのか、説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/18
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019・川出千速
○川出政府委員 機振法のほうは必ずしも中小企業に限定をいたしておりません。したがって、中小企業以外のいわゆる中堅企業等も相当入ってくるわけでございます。中には大企業も入る場合もございます。近代化促進法のほうは中小企業のみでございまして、中小企業のみの計画を立てるわけでございますが、機振法の対象も中小企業を中心にした業種もございますので、そういう業種につきましてのそういう基本的な計画は趣旨が同じでございますから、あまり変わりはないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/19
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020・板川正吾
○板川委員 中小企業近代化促進法、近促法といいますが、これでも業種を指定して近代化計画を立てて、近代化、合理化に関する方針を出していて、非常に以ているのですね。機振法と同じような競合したところが多いのです。中小企業者の中でこの適用を受けるものは、たとえば機振法の適用を受けるものもあるだろうし、近代化促進法の適用を受けるものもある。大企業は近代化促進法の適用を受けませんが、それは別として、中小企業者の場合には、どっちがどのように有利なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/20
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021・川出千速
○川出政府委員 現在中小企業近代化促進法と機振法と共通に指定をされておる中小企業と申しますか、そういうものは七業種ございます。
それから法の運用、内容ということになりますが、機振法のほうは時限立法でございますし、近代化促進法のほうは恒久法になっております。近代化促進法の特徴になっておりますのは、近代化促進法に基づいて特別償却制度が設けられておりますが、これは機振法にはございません。それから中小企業同士の合併の場合に、合併に伴う設備の近代化のために高度化資金から無利子の設備資金が相当額近代化促進法に基づいて援助されることになっておりますが、そういうものは機振法にはないわけでございます。それから近代化促進法のほうにありまして機振法のほうにない、あるいは近代化促進法のほうになくて機振法のほうにございますのにたとえば合理化カルテル、アウトサイダー規制、あるいは金融の問題になりますと中小企業金融公庫の貸し付けの利子でございますが、促進法のほうは七分九厘でございますが、機振法のほうは七分五厘ということになっておりまして、実際上の運用につきましてはダブって指定をした場合にそれぞれ都合のいいものを取り上げて運用し、長短補って目標を達成させるというような運用をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/21
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022・板川正吾
○板川委員 本法で資金融資実績を検討してみると、過去においては、予算は計上されたが、予算のとおりほとんど満ぱい使ってないというのは、四十年度以外は大体予算どおり使用しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/22
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023・川出千速
○川出政府委員 四十年度以外はむしろ不足ぎみでありまして、予算のとおりに使用されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/23
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024・板川正吾
○板川委員 機械工業の研究費というのは、一体日本の企業はどういう状況であるか。資料によりますと機械工業の業種で研究費に投資しておるものがアメリカでは四%から一〇%、イギリスでは二%から一二%だ。しかし日本はこの研究投資はわずか一、二%だ、こういうのですね。これが低いのはどこに原因があるだろうか。考えられるのは戦後日本の機械工業が急速に水準を上げるために外国からの技術輸入、技術提携をした。とにかくある水準までは先進諸国の技術を購入してもいいから買おうということで研究費は少なくて技術提携費なり技術購入料というものが多かったと思います。日本と外国との産業における研究投資というか、研究のために使った費用というものはどういう状況であるか、その点伺いたい。
これはけさの新聞かに、トヨタ自動車の会長の石田さんが、創立者豊田佐吉さんのことを随筆風に載せております。トヨタ自動車の創設者である豊田佐吉という人は、研究がなければ技術は向上しないのだというので研究のためにたいへんな費用を使った。だから今日のトヨタ自動車の業績は上がったというようなことをきょうの随筆で書いておるようなんです。
日本の機械工業がこれから世界の競争に伍していくためには、やはり研究費がどの程度使われるかということによって伸びるか伸びないかということになると思うのです。過去は、いま言ったように技術購入費、技術提携費が主で、その企業の研究費というものは少なかったと思うのです。これからはそうであってはいけないと思うのです。過去の実績というのはどういう程度であるか、あわせてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/24
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025・川出千速
○川出政府委員 こまかい点につきましてはあとで重工業課長から御説明申し上げますが、先生御指摘のとおりに、戦後研究開発の投資がふるわなかったのは戦前戦中にかけまして封鎖経済で日本の技術が非常におくれておりました。それを取り戻すために活発に技術導入が行なわれた。技術導入件数のうちの五五%は機械でございます。それによりまして短期間に近代化が非常に促進をされたという効果は忘れることができないわけでございますが、もう一つの理由は、やはり自己資金が不足をしておった、資本の蓄積が足りない。これは機械関係だけではございませんが、そのような理由で技術導入が非常に活発に行なわれたことと思います。しかし技術導入と申しますと、どうしても外国の一番先端を切っている技術導入ということは、これは非常にむずかしいわけでございまして、大体二次、三次というようなものを追っかけていくわけでございますので、こういうように機械工業の地位が国際的に高まってまいりますと、どうしても自己努力、自己開発で国産技術を振興していかなければならない時期にきておろうかと思います。その点先生のおっしゃるとおりでございまして、今度の改正にもそういう点を織り込んだつもりでございます。なお、数字につきましては重工業課長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/25
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026・荘清
○荘説明員 研究投資の実績数字について御報告いたします。科学技術庁の調査いたしましたデータで申し上げます。
昭和三十五年でございますが、機械工業におきまする、民間会社におきまする研究投資の金額は五百三十一億円でございます。昭和三十八年度におきましては、これが八百六十七億に上昇いたしております。なお、三十五年の五百三十一億と三十八年の八百六十七億が、それぞれ機械工業の売り上げ高に占める率を申し上げますと、三十五年におきましては〇・七一%でございましたが、三十八年には若干上昇いたしまして、一・一%となっておりますが、まだ非常に低い水準であることが指摘されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/26
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027・板川正吾
○板川委員 あとで調べて資料で出してください。大臣、いま言ったように外国では四%から一〇%、これはアメリカ。イギリスですら二%から一二%民間会社が売り上げに対する技術研究費というのを使っているのですね。日本はわずか一・一%、最近上がっても二%程度だ、これじゃ機械工業が外国と競争して勝つわけにいきませんね。ただ、いままでは技術導入、外国の二流の技術を購入してその外国の水準に近づけたのです。これからはそうであってはいけない。こういう点で、機械工業ばかりじゃない、産業全体として研究投資というのを拡大していかなければならぬ、こう思うのです。大臣、そういう方面でひとつ大いに指導力を発揮してもらいたいと思うのです。
それから、今度の改正で試験研究という項目が加わりましたね。生産技術に関する試験研究も指定機種、業種に加えることになる。この試験研究で予想される品種なり機種なりというのは何と何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/27
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028・川出千速
○川出政府委員 たとえば工作機械につきまして、数値制御の自動盤でございますとか、数値制御式のフライス盤、それから冷間成型プレス、現在これも試作程度でございますが、そういうものでございますとか、高圧のコンプレッサー、高圧の連続染色機へ合成繊維等の染色機でございますが、こういうものはいずれも輸入に依存している度合いが非常に高うございます。国産はまだ地についていないわけでございます。そのほかにもございますが、そういうようなものを中心に考えていきたい、これは例示でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/28
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029・板川正吾
○板川委員 最近問題になっておる自動車の排気ガスの規制から、自動車の排気ガスの有害をなくするような研究、これに対してはどう考えますか。ほんとう言えば、これこそ試作を含めて試験研究の対象になって、しかもこれこそ緊急を要する課題ではないかと思うのですが、この問題を試験研究の中で予定していないというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/29
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030・川出千速
○川出政府委員 ただいま申し上げましたのは例示でございまして、予定していないというわけではないわけでございます。自動車の排気ガスの問題につきましては、現在日本でも非常に大きな社会問題になっておりまして、公害委員会等でも議論をされておるわけでございますけれども、アメリカはやはり自動車の先進国でございますので、伝え聞くところによりますと、相当そちらのほうの技術が開発されて、実用段階になってきておるようでございますが、ヨーロッパではそこまで至っていないと聞いております。日本でも最近一酸化炭素等の有毒性の排気ガスについての規制を強化しなければいけないということで、一応来年の秋以降の新車等につきまして、あるいはことしの秋以降モデルチェンジされた新型車が出る場合には、その新型車等について一定の規制を設けて、それ以内におさまるように規制を設けていくという方針になっておりますが、根本的なものはこれは技術開発をしていかなければいけない問題でございますので、そういう点もあわせてこの業種指定のときには考慮したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/30
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031・板川正吾
○板川委員 大臣、公害問題で社会がうるさくなって、アメリカでも先べんをつけて、都市公害の大きな問題は自動車の排気ガスが原因である、自動車の排気ガスについて規制をしよう、一九六八年以降の新車には全部そういうものがついてなければ、排気ガスの有害性を除去する装置がなければ、これはもう輸入も国内生産もできない、こういうことになるという法律が提案されている、日本でも御承知のように、国会で公害対策特別委員会で議論をしております。それはそれでいいと思いますが、通産省の行政としては、それに対応する技術開発というのをひとつ急速に急がなければならぬと思うのです。それともう一つは、せっかく機械工業を振興してその機械工業の総合的な生産物であるところの自動車、これを輸出する場合に、外国の規制に引っかかっていかぬ、輸出はできぬ、外国の規制はこうだが、日本でも規制しようとする、日本の規制と外国の規制と違ったのでは、日本ではいいけれども向こうでは買えないという問題もあるでしょう。外国の法律はまだきまっていないけれども、場合によってはこっちはいいと思ってつくったら、向こうで試験した結果合わぬということにもなる。そういう点でアメリカの動向というものをひとつこの際重視しなければいけないと思います。それにいずれにしても、アメリカの場合には大型車二千三百cc以上の車の排気ガス中には一酸化炭素が一・五%以下でなくてはいかぬ、また炭化水素が二百七十五PPM以下でなくてはいかぬ、それが基準になっておるようであります。日本でいま考えられておるのは、二千cc以下の小型車ですが、一酸化炭素が三%、アメリカの倍ですね、炭化水素が五百PPMですから、約倍という状況です。技術者の説によると、小型車ほど何か技術的にむずかしいというのだそうですね。そういう点で、しかもこれは期限が限られておりますから、早急に開発をしなくてはいけない、こう思います。それからアメリカと日本の規制の基準がかわっても困る。違っておって、日本でいいと思っても向こうでだめだというのでは困る、こういった通産省の技術開発に対する指導といいますか、アメリカとの関係、これをひとつ、大臣も関心を持っておることでしょうから発言していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/31
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032・三木武夫
○三木国務大臣 板川さんの御指摘のように公害問題というのは大問題になって、日本の場合も、第一番には日本の都市における公害問題、そういうことで九月から一酸化炭素を少なくする装置をしない新型車は販売できなくなる。それから一般の新車については来年中に一つの結論を出して——結論を出してというのは、御承知のようにこの問題は資源技術試験所でやっているのです。したがって一酸化炭素の排気ガスを少なくするような装置については、今度やったのではなくしていままでも研究しておりますから、こういう研究ともにらみ合わして、少なくとも来年中にはこれに対する結論をつけて、全部新型単にはこういう装置が要るということに持っていきたい。その間にはアメリカ等の動向なども——乗用車の輸出はこれから相当進んでくることでしようから、諸外国におけるそういう規制等もにらみ合わして検討を加えたい、こういうふうな考え方で自動車業界等にも協力、推進方を要請しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/32
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033・板川正吾
○板川委員 自動車工業会の川又会長は、この技術開発の目途は来年五月ごろまでにしたい、こう言っているのですね、来年じゅうじゃなくて。そこでめどをつけて、それ以降自動車に取りつける技術の方向に持っていこうということを言っている。そうするとこれはあと一年しかないですから、この問題は直接機械工業振興のために重要な問題ですから、ひとつ真剣に取り上げてもらいたいと思います。
それから、自動車関係でもう一つは、最近は高速自動車道ができて、自動車がスピードアップされております。またオーナードライバーが非常にふえてまいりまして、ようやく先進国的な風景も徐々に見られるようになってまいりました。この場合にはやはり諸外国のように、自動車の、公害防止という面もあるのですが、事故防止という面も技術開発が必要じゃないか。一説にいわれておるように、いまの自動車は衝突した場合には運転者がハンドルで胸を打って死ぬあるいはけがをするという割合が事故の中で非常に多いのです。そこで、ぶつかった場合にハンドルがある程度伸び縮みするような方法でショックをそのまま受けないようにする方法、あるいはハンドルの輪っぱは必ずしも非常にかたいものでなくていいのですね。ハンドルが切れれば、やや弾力性を持ったものでもいいのです。そういうものであれば、衝突したときに死ぬものが重傷で済む、重傷のものが軽傷で済む、こういうことも考えられると思うのです。こういった技術開発といいますか、試験研究というのも今後大いに伸ばしていかなくてはいけないだろうと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/33
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034・川出千速
○川出政府委員 自動車による交通事故の場合の被害を最小限度に食いとめるための研究あるいはその実用化につきまして、アメリカが一番発達しておるようでございまして、ただいまお話のございましたハンドルによって殺傷されるというような事例も非常に多いわけでございます。アメリカでも研究されておりますが、最近日本でも民間でそういう研究がされつつあるわけでございまして、政府といたしましてもそういう点について大いに奨励をし努力をしたい。この機振法の運用につきましてもその点も考慮したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/34
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035・板川正吾
○板川委員 最後に一つだけ。いまのアメリカの排気ガス規制問題で、国際自動車会議所、BPICAというのがパリにあるそうですか、ヨーロッパでもアメリカに相当の乗用車の輸出をしておって、排気ガス規制を一九六八年から実施されたのでは技術開発が間に合わないし、たいへんだということで、向こうでもいろいろ問題をかもしておるようであります。そこで国際自動車会議所というのが中心になってアメリカに、一九六八年から実施しょうというこの排気ガス規制法を延期してほしいという申し入れをしたならば、米国側でもこの実施時期についてはやや弾力性を持つ考え方に変わってきておる。こういう説があるそうでありますが、その動きはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/35
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036・川出千速
○川出政府委員 御承知のようにヨーロッパからのアメリカに対する乗用車の輸出は、日本よりはるかに数量が大きいわけでございまして、アメリカの輸入自動車に対するそういう排気ガスの規制が強化されますと、これは輸出する国にとっては大問題でございまして、日本だけではなくて、ヨーロッパ諸国も非常に問題にしておるわけでございます。したがってヨーロッパの自動車会議所と日本の自動車工業会も一緒になりまして、その規制の緩和あるいは期限の延長というような点について非常に強い要望を出しておることは事実でございます。この要望の一部がいれられたためと存じますけれども、規制の緩和、特に小型車については規制の緩和の方向になっておる、かように聞いております。詳細はいま調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/36
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037・中村俊夫
○中村説明員 ちょっとただいまのに補足いたしますと、ヨーロッパの自動車会議所と日本のメーカーが共同いたしまして米国政府にアプローチいたしまして、その結果、従来アメリカのほうの案は各気筒容積別に分けておりませんで、全部炭酸ガス一・五%、HCが二百七十五でございましたけれども、これを気筒容積別に三段階に分けまして、二千三百から千六百までのものにつきましては炭酸ガスが二%、HCが三百五十PPM、それから八百から千六百のもっと小さいものにつきましては炭酸ガスが二・三、HCが四百十というふうに、小型車についてはかなり緩和をした措置を米国がとるようになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/37
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038・板川正吾
○板川委員 時間になりましたから、次の機会にいたします
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039・天野公義
○天野委員長 次に、通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/39
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040・加藤進
○加藤(進)委員 先般衆議院の予算委員会におきましても、私は主として三木通産大臣に最近のベトナムの特需の問題について質問をしたわけであります。その後、参議院の段階におきましてもこの論議はいろいろやられております。私はそのような予算委員会段階における論議のあとを受け継ぎまして、政府の所信をお尋ねをしたいと思うのです。
アメリカ軍がその後も引き続いて敗色濃厚になってまいっております。にもかかわらず、ベトナムの侵略戦争はいよいよ凶暴化し、拡大の一途をたどっている。またこれに伴っていわゆるベトナム特需なるものが非常に増大しているということは、これはもう周知のことになっております。もちろんベトナム特需と申しましても、これは在日米軍の直接発注に関する部分だけでないことは言うまでもありませんが、ここで議論を進めるにあたりまして、最初に、最近の在日米軍が直接調達をやっているいわゆる特需でありますが、その特需の内容や実態についてどのように政府はこれを把握しておられるか、その概況について簡単でよろしゅうございますから、基本的な数字ないし所見を述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/40
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041・高島節男
○高島政府委員 特需の実態の動きでございますが、先生いまお話がございましたように、在日米軍の直接調達を中心にいたしまして、在日米軍の消費等を含めまして、いわゆる特需収入と称しております。これが正確に出てまいりますデータといたしましては、日本銀行でやっております為替統計、これは日本に落ちました金額として正確に出てまいるわけでございます。普通正式の特需収入統計と称しておりますのはこれでございます。したがってまずこれによりまして数年間の動き、及び、それから出てまいります感じを申し上げまして、あと若干われわれのほうで特別のデータで調べまして、どんなものが動いているかというところを把握しましたもので具体的に補足して、先行きの見通しをつけたいと存じます。
第一段の点でございますが、特需総額は、朝鮮事変当時、昭和二十七、八年でございますが、このころは大体七億六千から八億という非常な高水準のものが出てまいっております。ただこの特需の中にはもちろん在日米軍の消費を中心にいたしました円セール、それから労務者の給与あるいは物資、サービスの調達を中心といたしましたいわゆる預金振り込みと称しておりますものと、大体半々くらいで入っておったかと感じられます。最高時は若干物資調達のほうにウエートが高かったと思います。それが三十六年、七年、八年といったころにどのくらいになっているかと申しますと、トータルといたしまして、大体四億二千からだんだん減りまして、三億七千、三億四千と、こういったトレンドをとって三十六、三十七、三十八とやってまいりまして、三十九年では三億一千五百万ドルという水準であがっているわけでございます。それが四十年に入りましてから、どういう動きをいたしておるかと見てまいりますと、四十会計年度の四月から十二月までのところでは二億五千四百万ドルという数字が出ております。それから暦年で四十年の一月から十二月をとってみますと、三億二千三百万ドルという数字が出ております。したがって三十九年の三億一千五百と四十暦年の三億二千という数字の間には、ここまでのところあまり大きな金のベースとしての変動はありません。これが年末ごろまで、特需にあまり大きな変化が見られないという感じで把握しておったゆえんでございます。ところが四十年の月別の動きを見ておりますと、大まかに申しまして、ややしり上がりの傾向——十二月ころが相当多うございまして、四千万ドル程度一カ月で出ておりますから、全般にしり上がりの傾向が見えてまいっておるかと思います。
それで先生お尋ねのポイントは、おそらくそういった正式の統計ベースではまだ時期的なおくれがございますから、入金としてはその程度にとどまっておるであろうけれども、最近の契約の状況あるいは動きについての内容であろうかと思います。われわれのほうで特別に調査いたしております特需の契約高、これは先行指標でございまして、それが直ちに入金になってくるという性格のものではございません。そしてものの性質上非常にイレギュラーに、あるいはある品物をある月にはぱっと入れたり、ある月にはこっちの品物に急にきたりという変動がありますので、あまりならしたものではとらえられませんが、最近の契約状況を見てまいりますと、大体月別にいたしまして三百万ドルを相当こすところでこの一、二月推移いたしております。これは物資の契約だけであります。先ほど申しましたのは円セールから何から全部含めたものであります。トレンドとしてはこのところ一、二月相当上がりぎみであって、これが将来の入金を若干ふやすのではないかという感じは私どもいたしております。
しからば次にどんなものが主としてこの対象にされておるかという点の、若干の分析をいたしてまいりますと、まず食料品、飲料品といったようなものは、これはわりあいコンスタントであります。携帯食糧とかいうようなものもございましょうが、これはわりあいコンスタントで、月ごとのそう大きな——二、三十万ドル程度で、あまり大きな変動はございません。
次に繊維品でありますが、繊維品は四十年度の四−十二で百四十八万ドル程度の実績をあげております。問題は一月、二月に相当のテンダーがございましたようで、一月には袋、砂袋かと思いますが、六十五万ドル程度の成約を見ております。それから二月には衣料品の形で七十九万ドル程度のものが出ておりますことが、非常に見えております。これはある月に出たから次の月にもあるという性質のものではありませんが、あるいは衣料品になり、あるいは砂袋になって、ある月にテンダーがあればその月に出てくる。したがってこれは先ほど申しました特需の入金にはまだ入っていない段階かと思います。
次に雑貨的なものとしましては、靴がわりあいに従来から多いのであります。四十年の四月から十二月で百三十六万ドルという数字がございますが、この一月には三十万ドル、二月には十五万ドルといった程度で、これがちょっと注目される品物であります。
それからこれも調子の波が非常にイレギュラーでございますが、石油製品が四十年若干目につく、それからあと金属関係、鉄鋼等、それに最近は組み立て住宅用の資材とか機械類が若干ふえておる、こういう傾向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/41
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042・加藤進
○加藤(進)委員 詳細な報告があったのですが、いままで政府が再三言明され、また国会の答弁でも、最近の特需の状況は従来に比してそれほど変化はない、多少上向いている程度だという答弁です。ところが実際世間では、ベトナム特需は非常にふえている、これはもう雑誌その他の論調から見ても明らかです。私は、そういう論調についても、ある程度信憑性を持っておると思いますけれども、在日米軍でもこれは認めている。たとえば、去る二月の二十八日に、在日米陸軍の調達部の代表アーネスト・ロウ大佐は、東京での在日アメリカ商業会議所の昼食会で、次のように述べております。ベトナム戦争の激化に伴い、在日米軍による日本国内でのベトナム向け軍需物資の買い上げ量が急増している、こう言っています。政府の弁明とは違うのです。またこれを裏づける資料は相当あります。私は、いろいろ申し上げるわけにまいりませんが、たとえば最近の東洋経済四月二日号にこう書いてあります。「最近サイゴンから帰ったある商社マンは、こんなに多くの種類のものが大量に日本から送られているとは想像もしなかった。テント、かや、綿布、シャツ、インスタント食品、魚貝、かんづめ、ビール、食器類から、はてはトイレット・ペーパー、ゴム製品、キニーネその他の薬品類、そして小銃、大砲、弾薬、ロケット、河川用ディーゼル船、ジープ、トラックにいたるまで、ベトナムの兵士たちは、二四時間を日本品にとり囲まれてすごす」こう言っているのです。私は、特にこの記事の中で見のがすことができないのは、従来私たちは幾度も指摘をしたとおりでありますけれども、日本から送られた兵器弾薬類などの軍需物資が公然とアメリカのベトナム侵略戦争に使われているということをあらためて証拠立てておる。
そこで、私は、実は通産大臣にお聞きしたかったわけでございますけれども、このようなことは絶対にございません、こういうふうに断言されるのかどうか、この点をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/42
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043・高島節男
○高島政府委員 先ほど御説明いたしましたように、軍需品と申しましても、医療とかあるいはそのほかの雑貨とか金属製品とか、そういったものがかなり増勢に転じつつあるという段階であるというように私たちも把握しております。ただその程度がどのぐらいであるかということは、これはまだ先行指標の段階でありますので、三億二千万ドル程度の従来の実績が、それよりも減ることはなく、どの程度上がるかということはまだ予測し得る段階ではないと思います。したがって、正式の特需としてどのぐらいのものになるか、金額の把握はできませんが、全体の輸出が九十億から百億になろうというとき、また日本経済の現在の国民所得が大きくなったところから見まして、全体に対する影響は大きなものではない、朝鮮事変当時と全くそこの性質は違う、こういう気持ちから従来の政府の答弁は、まだ先行指標しか出ておりませんし、実績も出ていないので、あまりたいしたことはない、こういう見方をしているのではないかと思います。
それから第二点の兵器の関係がどうだという点でありますが、現在のところわれわれの調べましたところでは、武器、兵器については、これは他の目的からでありますが、契約の届け出制はとっております。したがって間接にこういうものがどうなっているかということはわかるたてまえになっております。
それから、いま私が申し上げましたどんな契約が行なわれているか、実際の調査に当たってみましたところでは、今回の問題とからみまして武器、兵器あるいは弾薬というようなものが日本から直接出て行っておるということは、私どもの調査しました範囲ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/43
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044・加藤進
○加藤(進)委員 そこでお尋ねしたいのは、ともかく一般世上で言われるベトナム特需の量と政府発表の間には非常な相違がある。しかもベトナム現地に行っている諸君が、この目でこの耳で見、聞いているこういういわば日本のベトナム向け特需の状態とは違う。
私は、ここでお聞きしたいのは、政府がある程度掌握しておられる政府発表の特需概況なるものは、一体その一番大事なところ、たとえば契約内容等々については、どこからその情報が提供されているか、どういうものを根拠としてこの特需概況なるものが作成されているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/44
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045・高島節男
○高島政府委員 現地へ参りまして見た印象というものは、これはいろいろわれわれが海外あたりへ行って当たって見たとき、かなり専門的な事項でも、第一印象というものはいろいろに評価され、直感が主体になりますので、いろいろな角度の見方があるかと思います。したがって数字にたよってこれを把握していくよりわれわれもしかたがないと思います。
さて、その数字の把握の仕方でございますけれども、私どものほうは、在日米軍関係のほうの協力を得て、そこのデータをアメリカ大使館を通じて私どものほうに契約内容として送ってもらっているわけでございます。それに基礎を置いて契約高統計をとっているということでございます。片方の入金がほんとうに幾らあったかということは、これはきっかりと日本銀行で外貨の収入面から把握しているわけでございまして、こちらのほうは契約書をとにかく回してもらって、それを整理していく、こういう形で、先行指標的に実態を把握していくということでありまして、契約ができたからといって、直ちに計算が出るということではありません。大体一カ月おくれ程度のもので状態を把握しているということでございます。
それから数字の差がいろいろ出てくるゆえんは、調達を横浜なら横浜のAPAでやりまして、こんな調達をしたということが大きく出ておりますが、そのときに日本の業者のほかに台湾とか韓国とかアメリカとかいう外の業者も一緒に入って、そのテンダーに参加しております。それで日本が必ずしも労賃その他の関係で残念ながら勝つばかりでもないということがちょいちょいありまして、発表は総額幾らの調達があったということでよく数字上の感じの違いが出てまいることが多いように思います。
それから、もう一点は、駐留軍労務者の調達関係の金額を米軍関係ではよく中に入れて議論をしていることが多いわけでありますが、私どもの先ほどから申し上げております契約高のほうは、物資のサービスだけを入れている、こういうことでちょいちょいその統計の基礎で食い違いがあるように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/45
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046・加藤進
○加藤(進)委員 あまりこまかいことをお聞きしないで、一番基本的なことをはっきりお聞きしているわけですから、その点よろしくお願いしたいと思います。
いま率直に御返事をいただいたと思うのですが、ともかく政府発表、通産省発表の特需概況というものは、その基礎資料は在日米軍の協力によってそのデータをアメリカ大使館を通じていただいている、これははっきりしておりますね。これは通産大臣自身が予算委員会においても私に証言いたしましたから、これは間違いないと思うのです。そこで振り返って、日米安保条約第六条に基づく地位協定がありますが、第十二条第一項によれば、米軍は日本で物資、役務を自由に調達できるという権限を持っている。これは明らかです。自由にですよ。しかも米軍は調達の内容、条件等を日本の政府に報告する何らの義務も持っていない、義務的なものは何らない、向こうの好意によるのだ、向こうの主観によってその報告が日本政府に提供される。ですからアメリカ大使館を通じて提供される特需の情報なるものは、まず何よりも米軍の都合ということが一つの条件に入ると見ていいと思う。したがって、あるものは秘匿されてもかまわないし、日本の政府はこれに文句を言ったり、それは違うじゃないかと言う筋も一つもない。あるものは事実を曲げて日本政府に報告しておるということもあり得る、こう私は判断するのですけれども、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/46
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047・高島節男
○高島政府委員 日米両国間の関係は、この問題に関しましては御指摘のとおり安保条約で規制されております。私から所管の外務省を差し置いて申し上げてややあれでございますが、そういう立場に立ちますと、いま御指摘のとおり、先方としてこちらに対する条約上の報告義務はないわけでございます。われわれのほうとしましてはそういう地位に立っております。
特需の問題でございますが、われわれの感じとしては、特需の実態を把握する目的というものはどこにあるかと申しますと、日本の経済、産業、そういうものの動きぐあい、大きなものがある特需の物資に出まして、それの国内需給がひどく逼迫するとか、必要なものをみな持っていかれてしまうとか、そういう点がひとつ問題としてあろうかと思います。そういう関係からの把握はしなければいかぬ、こういった気持ちでずっと問題を見ておるわけでございます。米軍に調達される限りにおいては、これは政治的な問題としましては一応無色の形で、経済的な問題としてどうであろうかという形で見ておるわけでございます。それで、先方から日本に対して通報しております内容に対して条約上の義務は確かにございませんが、われわれの受けております感じとしては、世上でいろいろに申しますけれども、その内容は、そう大きな食い違いは契約統計等から見まして、いままで特需の物資について事実はないように思います。武器、兵器等が現実にあるとかいうようなことになってまいりますと、これはまた一つの政治的な問題であろうかと思いますが、それはない。とにかく現在の不況に悩んでおった産業に、ある一つの有効需要がついておる。ただこれが長続きがしないから、臨時的なものだから大きく依存するわけにはいかないけれども、そういう実態のもとに海外に一つの有効需要が出ておるという意味で、ある意味ではごく短期的ではありながら、経済の供給過剰の消化の一翼にもなるという感じのする問題でございますので、全体のトレンドとしてどうであろうと、経済問題としてとらえているので、いま程度のデータの取り方であって十分それは把握できるのじゃないか、こういう感じを抱いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/47
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048・加藤進
○加藤(進)委員 私の聞いておるのは、政府の感じではというような議論ではないのです。政府の感じがそうなら国民の感じはまた別にある。だからそれが一致できるように私は質問をしておるわけです。しかし感じは別として、日本の政府はともかく在日米軍が日本においてさまざまな物資に対する発注調達をやる、またこれを海外に持ち出すということについてもし多少の疑問が起こった場合においても、これを調査するというような権限は私はないと思うのですけれども、ありましょうか、法的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/48
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049・高島節男
○高島政府委員 現在の条約のたてまえから御指摘のとおり特需の事業法がございまして、それで届け出が出ているものは、これはほかの目的から出ているわけでございますから、それからの調査が間接にできるものもございます。それが武器、兵器等でございますけれども、正面からは米軍は、日本との協定に基づきましてその点は米軍の調達であるという形でものを調達していく限りにおいてはそういった義務はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/49
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050・加藤進
○加藤(進)委員 わかりました。すなわち日本の政府は、米軍の調達する特需なるものについてこれに介入する権限というものは法的には存在しない、こういうことが明らかになったと思うのです。
その点をまず確認しておいて、もちろんベトナムでいまはんらんしている物資がすべてAPAによる調達の物資だ、こういうふうに私は言っておるわけじゃないのです。もちろんベトナムに行っている日本品はさまざまなルートからこれが行っている。たとえば対米の通常輸出を通じてベトナムに送り込まれておる。たとえば新三菱重工の製作によるMU2というのが、ビジネス用という銘が打たれておりますけれども、アメリカではこれを日本から買ってベトナムとのゲリラ戦用に改装して使用する、こういうことが言われている。また川崎航空機のヘリコプターもそうです。これはベトナムに直接は行っていないけれども、ベトナムに派兵しておるタイ、フィリピン、オーストラリアなどの国々からの発注が多くなっている。これもベトナムに回っていくであろう、こういうふうに世間は見ておる。また最近では、サイゴンに直通するというルートではなしに、タイのバンコックを経由してベトナム向けの物資がどんどん送られているという事実があります。これは国会でも議論になりましたけれども、政府がタイに向けて昨年輸出した五千丁の警察用の小銃、あるいは警察用でございますと言われておりますけれども、これがタイに入っています。これがベトナム戦に使われないという保証は何一つないと私は思っている。そのとおりでしょう。さらに注意すべきことは、韓国を通じてのものです。たとえば韓国にアメリカが発注したジャングルシューズ八十万足の原材料は、布から底に入れる鉄板、歯どめから金具に至るまですべて日本から買い入れられている。韓国はこれを加工するだけでベトナムに送っている。韓国特需の軍服八十四万着分の布地は日本から出されている。また三月十日のアメリカ上院の本会議でこういう証言がやられております。ベトナム政府が韓国、台湾から購入する亜鉛鉄板は日本で製造された鉄板に亜鉛メッキをちょっと施しただけで南ベトナムに輸出されている、こういうのがある。
また、最後に私は政府にこの点だけは聞いておきたいと思いますけれども、いわゆる日韓条約によって有償無償の第一年度分の中には、ベトナム特需の原材料が相当含まれている、こう言われている。含まれていないというふうにはっきりと政府はこれを断言できましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/50
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051・高島節男
○高島政府委員 ベトナムへ向けまして、他国へ日本が輸出したものが加工されたりいたしまして出ていくというのですけれども、これは貿易全体から申しまして、ああいった不幸なことではありますが、戦乱が動機となって一つの有効需要が出て、それが他国の需要を刺激し、それに対して日本の品物が全般的に出ていく、こういった現象はあり得ることと思います。ただ行く先としましてはベトナム以外の国へ対して行く形でございますから、日本政府としてはそこまでのトレースはしておりますが、それから先のことは全体の需給関係で動いていくということだと考えます。
ただ問題は、日韓条約とのからみ合いで最後に御質問がございました点でございます。実は第一年度のネゴシェーションがこれから行なわれる段階でございまして、先方がいわゆる原材料的なものを有償無償の中にどういう形のものを入れてどうネゴシェーションをしてくるかということは、現在のところまだ実態を把握いたしておりません。総額程度のところはそろそろ実態を明らかにいたしておりますが、物資の内容等につきましては、まだ本格の段階に入ってのあれは事務折衝にも入っていないという段階で、全然実態は把握いたしておりませんが、日韓条約の一つのたてまえがございます。これは外へ特需で出す出さぬということで制約しているわけではございませんけれども、日韓条約としては、韓国経済の発展に寄与していくということを中心に、あの中に思想が一つ流れているかと思います。その際に、もちろんこれは外貨かせぎにはなるわけでございますから、これも韓国経済の発展に、そういった形で出ていった場合に、大きくなることは事実でございますけれども、単純に日本から品物を入れまして、それに何らの加工をしないで向こうへ持っていく。ベトナムに限らず第三国へ再輸出していくというのは、少し話が極端ではないかという観点から、再輸出については先方とこれは具体的に協議することにはなりますが、再輸出をストレートでやる。加工も何も施さないでストレートでやるということは、これはたてまえとして望ましくないという態度は、たしか条約の中のどこかに流れていたように記憶いたします。したがって、日本から出ましたものがそっくりそのまま向こうへすぽっといってしまうということはないと思います。韓国の経済に一回入り込みまして、その中で、安い労賃が先方の経済の特色でございますから、それによって加工されて出ていくという姿、これは経済協力のあり方としてもやむを得ないのではなかろうか、こう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/51
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052・加藤進
○加藤(進)委員 ですから、韓国に入った日本の材料がそのままベトナムに行くんだということを私は申し上げておるわけじゃない。加工されて出ていくという危険性が非常に濃厚だ、こういう点を指摘したわけですが、その点では政府も否定はできないと思っているのです。こういう以上のような輸出ルートを通じてベトナムにさまざまな日本の軍需物資が流れている。私はここでその点を以上にとどめまして、実はお聞きしたいのは、在日米軍の直接調達による特需の中にさえ大量の兵器、弾薬等の軍需物資が含まれているという。これを証明するような事実がいろいろあるという点であります。私はその点をこの国会においてはっきりするために予算委員会における政府の答弁を引用したいと思います。まず第一に、日米安保条約に基づく地位協定があるから、米軍が日本において調達する物資については、制限を加えることはできない、こう言っておられる。無制限だと言っておられます。そこで私はここで念のためにお聞きしたいのは、このような地位協定に基づくと、米軍は日本において武器であろうと弾薬であろうと自由に調達するという権限を持っている、こう私は理解すべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/52
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053・高島節男
○高島政府委員 その点は通産省からほんとうはお答えいたす筋合いではなくて、むしろ外務省の外交当局から答えるべき性格だと思います。また大臣が特需に関連してその場でお答えになったことだと思いますが、私の答弁はきわめてそこは条約論等を離れて常識的なものであるとお考えいただきたいと思います。
過去におきまして、朝鮮事変のときに米軍が日本で、たいした量ではございませんが、武器、弾薬に類するものの調達が若干あったということは聞いております。それからも推察できますように、要求がありました際に、現在の地位協定で品目についての制限を加えておりませんから、そういう状況があったときに、これに対して拒否するという、条約上、法規上の権限は、私は正確ではございませんが、ないのじゃないか、こう考えております。
ただ私は、外務委員会へやはり今日と同じような問題で呼ばれまして、たしか椎名外務大臣からのお答えだったと思いますが、そこのところは政治的には問題である、もし調達をそういったものまで大いにやろうという心がまえになって臨んでまいった場合には、日本政府としては、政治的にはそれは問題であると思う、そういう段階になった場合には政治的な角度から考えざるを得ない。これはおそらくアメリカ関係のほうと相談をしていって、事実上の問題で何か当たるべきだ、こういうお感じだと思います。ただ事実私どもは、先ほどの内容説明で申し上げましたように、他方の航空機あるいは武器の事業法等から届け出をとっておる点から見、また米軍からの提供資料ではございますが、それをもとにした契約統計から見まして、直接現在の段階で武器、兵器が調達されているという事実は現在認められませんので、そういった政治的な問題としての交渉等の場に持ち出すべき実態ではないのではなかろうか、こういう判断をして問題に臨んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/53
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054・加藤進
○加藤(進)委員 いまの答弁では、私の質問に十分答えておられないわけですけれども、とにかくおっしゃることは、日本の政府の目に映った限りでは、そういう兵器、弾薬類の特需なるものはない、こういう点に私は尽きると思うのです。しかし権限から言うならば、米軍は特需の中で、兵器、弾薬類を含めて自由にこれを日本で調達するという権限を持っている、権限が行使できる、こういうことは明らかです。したがって、私はここで政府が再三にわたって特需の中に兵器、弾薬類はございません、こういうふうに答えられておるその根拠を実は聞きたいのです。これは法的には存在しないのです。そうすると、いまおっしゃるように、政府の感じでは、政府の見たところでは、政府の得た情報の範囲においてはということになるのです。それじゃ、情報の範囲外はどうか。政府の手の届かないところ、目の届かないところでこのような調達ができない、絶対にできませんという保証が政府はどこかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/54
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055・高島節男
○高島政府委員 先ほどから御説明いたしましたように、制度上の保証は、これは安保条約の関係とでございません。ただ、われわれの調査——一部武器、兵器につきましては現実に届け出をとっている。これは法的権限によって国内法でやっているわけでございますから、それに基づいたものはやはり政府の調査の方法としては一つの公の根拠があるわけでございます。これは重工業局へちゃんと出てまいっておる、これをトレースする限りにおいて、政府としてはないということを基礎に置きまして、あとは私どものやっております向こうからの契約調査というものと裏表から照らし合わせてみまして、そういった武器、兵器という物騒なものの直接調達というものは、現在までのところないということを申し上げておるわけでございます。多少、大臣答弁とことばのあやといいますか、そういう点があるかと思いますが、おそらくわれわれの調査を基礎に置かれまして、実態上そういうことがないということを言っておられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/55
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056・加藤進
○加藤(進)委員 いまのあなたの答弁の法的よりどころというのは、武器等製造法、これがやはり中心でしょう。そうですね。——もちろん武器等製造法によりますと、武器を製造しようとする業者または米軍といえども、このような武器を発注したり調達しよう、こういう契約を申し出られるような業者については、武器等製造法において日本の政府、いわば通産大臣に対して届け出をしなくてはならぬ義務がある、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/56
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057・高島節男
○高島政府委員 重工業局長おられますので、間違いましたら最後に答えていただくことにいたしまして、続きで私申し上げますが、武器等製造法によりますと、義務は米軍に課しているわけではなくて、米軍へ納入する製造業者に課しておりまして、それが注文がありましたときは、内容を明らかにして届け出なければならぬ、こういう実態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/57
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058・加藤進
○加藤(進)委員 その点は予算委員会の三木通産大臣の答弁の中で非常にあいまいな点があったのです。それは米軍といえども届け出なくてはならぬ、こういうような答弁がありましたが、いまのあなたの答弁でそのような内容と理解していいと思うのですね。
そこで、武器等製造法によってチェックできる。いわば政府は武器その他の発注調達が行なわれるかどうかをはっきりつかむことができる、こういう見解だと思うのです。ところが業者が届けるならいい。しかし届けなかったらどうなります。業者が届け出ないものは、これは兵器、弾薬類の特需はないものと政府が判断をいたします。これ以外には何も政府の弁明というものはないのじゃないですか。届け出がある場合に、兵器、弾薬類の特需はあると認められる。ないからないんでございます。これだけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/58
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059・川出千速
○川出政府委員 武器等製造法は、法律によって武器の範囲を限定しております。その武器を製造する業者は政府の許可を受けなければなりません。その数は限定し、実態はよく把握をいたしております。
それから、いま貿易振興局長の申しました届け出でございますが、これは朝鮮事変のときの実績で出血受注を防止するための規定でございます。それは特需の場合に限らず、いろいろ契約等をする場合には、相手方その他を政府に届けなければならない、こういう意味の規定でございまして、三十五年以降はいわゆる特需、米軍を相手にする契約はしていないということでございまして、これは企業の数が限定をされ、事業許可制になっておりますから、相当厳重に監督をいたしておりますので、そういう届け出の漏れはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/59
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060・加藤進
○加藤(進)委員 私は現実問題を聞いているのじゃないのです。いわば在日米軍がその有する権限に従って日本の業者に発注を行なう場合に、日本の業者はそういう発注を受けてはいけません、こういう意味で政府がその業者に対してそれを拒否させるような何らかの法的根拠はありますか、ないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/60
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061・川出千速
○川出政府委員 ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/61
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062・加藤進
○加藤(進)委員 そうすると、米軍は自由に発注できる。業者もこれを受けることができる。ただ政府の知り得るのは、届け出によりある程度の調査はあるかもしれません、こういうことですね。したがって、結論として言えることは、政府の武器弾薬の特需はない、現在のところないというただ一つのよりどころは、業者の法を守るという彼らの良心にまって届け出を当然してくるはずだ、してこないところを見るとそのような兵器に関する特需はないのだ、こういうこと以外にないと思います。そこに私は大きな抜け穴がある、こう指摘しなくてはならぬと思うのです。
念のためにもう一つお聞きしますけれども、武器等製造法ができ、施行されて以後でも兵器の特需というものは相当の量ありましたね。したがって日本の業者はその兵器の発注を受けて、そうして兵器をどんどん出したという、いわば従来の実績がちゃんとありますね。そう点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/62
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063・川出千速
○川出政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/63
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064・加藤進
○加藤(進)委員 これは政府発表の資料がありますから、そのとおりでしょう。
それからまた私の手元にありますが、機械工業審議会の答申というものがありますね。これは昨年の八月二十日に出ておりますが、これには相当すごいことが書いてあるのです。兵器輸出をどんどんやれと書いてある。このことをどんどんやれということは、何ら政府においてそういうことを大っぴらにいってもらっては困るとか等々のいわば規制は何もないですね。どんどん促進してもいいわけですね。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/64
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065・川出千速
○川出政府委員 機械工業審議会の答申にございますが、通産省の兵器の輸出に対する方針は、兵器の輸出を全面的に禁止するという態度はとっておりません。兵器は輸出管理令によりまして承認品目になっておりますので、自由に輸出することは許さないことにしております。承認をする場合に、たとえば国連決議のある場合でありますとか、あるいはココムのリストにある場合であるとか、その他国際紛争のおそれがある場合であるとか、これは外務省当局とも連絡をするわけでありますが、そういうときにケース・バイ・ケースでチェックをする、そういうたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/65
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066・加藤進
○加藤(進)委員 私は、武器等製造法その他の規制というものがどういうものであるか、きわめてこの内容があいまいなものであって、業者の良心にまつ以外にない、こういう危険な状態にあると思う。しかも一方では、兵器輸出はどんどんやれという声がいわば業界から大きく出ているということ、これについては、外へ出す場合に輸出貿易管理令等々がある。これはただチェックできるだけである。これはいけないとか禁止するとかといえるものは何一つない。こういう点をまずはっきりとしておきたいと思うのです。だから、この武器等製造法があるから、届け出がないからベトナムなんかに兵器弾薬類が出ておるなどということはございませんという答弁は、これはごまかしであると私は言わなくちゃならぬと思う。再三政府はそういってきました。そういって国会の追及をのがれてきておるのです。しかし、いまはっきりしたことは、業者の良心、いわばこの法律のたてまえからいって届け出を、ぜひやります、こういうたてまえの業者だけならば、あるいは政府はこれをいえるかもしれぬけれども、いわゆる死の商人といわれるような、軍需物資、兵器生産で大もうけをたくらむような腹黒い業者が、わずか十万円程度の罰金があるなどということにおそれおののいて、これは、ぜひとも届け出なくてはならぬというふうに考えるのは、あまりにも子供じみています。私は国民の立場からはそう見なくちゃならぬと思う。
もう一つ、私は別の観点からお聞きしたいことがあります。日米相互防衛援助協定、御承知のMSA協定というものがあります。この第三条によると、アメリカの政府が日本に供与する秘密の物件、役務または情報について秘密保護の措置をとることが規定され、それに基づいて昭和二十九年、御承知の秘密保護法が制定されております。この秘密保護法の第一条によると、アメリカから供与された船舶、航空機、武器弾薬等についてその構造、性能、製作等に関する技術、使用の方法、品目及び数量及びこれらについての文書、図画または物件などの防衛秘密を守らなくてはならないということが規定されてあります。これは御承知のとおりです。そこで、この場合に政府にお聞きしますけれども、アメリカの政府またはこれを代行する在日米軍が日本政府に供与した装備品です。装備品というのは、前にいろいろ規定がありますから繰り返し申しません。装備品と同様のもの、すなわち装備品なるものは秘密を守らなければならない。その装備品と事実同じものであるか、あるいは同じようなものであるかという理由をつけるかはともかくとして、在日米軍が日本の武器製造業者にこれを発注するという場合、これは起こり得ることですね。日本の業者はこの防衛秘密を守る義務を負うものと思いますけれども、その点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/66
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067・高島節男
○高島政府委員 ただいまの御質問の点は、実は通産省の所管外でございまして、私どももその点につきまして、いままで特に詰めてほかの省のほうから内容を聞いたことがございませんので、ちょっと、間違うといけませんから、その点は所管の防衛庁のほうに質疑をしていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/67
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068・加藤進
○加藤(進)委員 それは困りますよ。私の聞いているのは条約の一般論じゃないです。日本の製造業者に対して、あなたたちの言われる届け出のある、三十三社と言われておりますけれども、三十三社の武器製造業者に対して、公認の製造業者に対して、もしこういう、いわばMSA協定に基づく秘密保護法の適用をうしろだてにして、米軍が秘密を厳守せよということを要求して発注した場合のことを言っているんです。これは業者自身の問題です。これを政府は知らないとはいえないです。通産省はこの点責任があるのです。これは重工業局長からも一度お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/68
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069・川出千速
○川出政府委員 私、遺憾でございますが、さような事例を聞いておりませんので、さっそく調査して御答弁したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/69
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070・加藤進
○加藤(進)委員 きわめて残念ですけれども、わからぬと言うならやむを得ないと思います。
そこで、私は論旨を進めなくてはなりませんけれども、ともかくこういう義務は負わざるを得ない。秘密保護のたてまえに立って秘密を守らなくてはならぬ。相手は米軍だ。米軍の機密に属すると言われた場合に、日本の業者はそれを受ける。受けても、政府に届け出できぬじゃないですか。どうですか。届け出できるかできぬかということです。武器等製造法によって届け出しなくてはならぬと言われる。私のいま言ったような事例にあたって、日本の政府は業者に対して、にもかかわらず届け出せよ、届け出ないものはこの法に従って罰則を適用する、こう言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/70
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071・川出千速
○川出政府委員 これは届け出なければならないことになっております。届け出ておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/71
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072・加藤進
○加藤(進)委員 私はだからいままでの質問をしつこく言っているんです。武器等製造法によれば届け出ぬならぬです。秘密保護法によればどうなりますか。存じないとおっしゃるでしょう。それじゃだめなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/72
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073・川出千速
○川出政府委員 秘密保護法のほうのことは、私、先ほど申し上げましたように、存じませんものですから、調査して御答弁申し上げるわけですが、武器等製造法のほうの届け出というのは、実はきわめて簡単な内容になっておりまして、これは出血受注を防止するための届け出でございますので、そういう、米軍からこういうものについて発注があったという内容は、法律に基づいて届け出なければならないことになっておりますし、事業許可を受けました武器製造業者においてそれを怠る者はないと思います。これは厳重に監督をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/73
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074・加藤進
○加藤(進)委員 政府の側から見て、私の立論についてどのように否定されようとも、現実には、条約のたてまえから見て、安保条約のある限り、行政協定とMSA協定のある限り、これは日本の業者に対して、在日米軍が日本の政府に何らかかわりなく、無制限に、思うままに武器でも弾薬でも発注し、調達し、そうしてLSTに載せてベトナム戦線に送ることができるし、また、これは現に送っておりますよ。そこで私は、そのような事実があるという点で、皆さんあまり日ごろ読まれないかもしれませんけれども、赤旗の資料を皆さんに差し上げたわけです。赤旗の三月三十一日号に出ております。赤旗はうそを申しませんよ。これには出どころがあり、根拠があるのです。その赤旗の記事に対して、私はすべてをここで申し上げるつもりはありませんけれども、その中で、これは兵器だ、これは弾薬である、間違いないというふうにだれしも認めなくてはならぬような物資がほとんどでしょう。しかも、それは昨年の十二月、ことしの一月、二月の分です。そこには、政府の否定されるような機関銃、大砲、自走砲、迫撃砲、砲弾、銃弾、機雷、発射薬、潜水艦用レーダー等々が受注され、そうして納入した会社、取り扱った商社もはっきりしております。契約日も納入日もはっきりしておるのです。もうあと数日で納入しなくてはならぬというような部品もあるのですよ。しかも特にその中に、昨年十二月十四日には、これは会社名だけを申し上げておきましょう。日本医療機器研究所というのがあります。この医療機器研究所は、在日米軍からの発注によって、何と細菌の育成装置、細菌の放出装置、このワンセットを出しております。こういう事実があるのです。私は、政府が、武器等製造法その他で、とにかくそのようなことをやっておるならば、全部届け出なくてはならぬ義務があるとおっしゃるなら、こういう犯罪行為に対して厳重に調査して、その調査の結果を国会に報告してもらいたいと思うのです。私はこまかい点は申しませんけれども、資料はあります。だから、こうして国民の目をかすめ、またあるいは政府も知らないうちに、日本の武器製造業者や商社がいわば死の商人となって、ベトナム人民を殺戮するような兵器、弾薬等をつくり、これを米軍に渡しているのです。この実態こそが、日本が安保条約、行政協定のもとでベトナム侵略戦争にますます協力し、アメリカ帝国主義の行なう侵略戦争の共犯者になっているという何よりの証拠じゃないですか。このことをいままで国会ではひた隠しに隠して、武器等製造法がある以上は、兵器弾薬類については絶対にそんな事実はないと言い張ってきたのです。しかし安保条約のある限りは、日本の主権はこのように侵されておるのですよ。あるいは政府もつんぼさじきです。御存じかもしれないけれども、あるいはつんぼさじきになっておる状態だろうと思うのです。こうして日本の安全とアジアの平和は実に危険にさらされている。したがって、私たちは絶えず安保条約を破棄しないでどうして日本の独立、日本の安全、アジアの平和があろうか、この点を常に強調しているのです。
時間が十分にございませんので、私は以上のことを警告いたしまして、ひとつ政府が日本の国内法に基づいて可能な限りの努力を払うという点で、せっかくの調査、さらにこれについての報告を国会にお願いしたい。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/74
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075・天野公義
○天野委員長 次会は来たる十九日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X02719660415/75
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