1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十一日(水曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 天野 公義君
理事 小川 平二君 理事 河本 敏夫君
理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君
理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君
稻村左近四郎君 小笠 公韶君
海部 俊樹君 神田 博君
小宮山重四郎君 佐々木秀世君
田中 六助君 三原 朝雄君
大村 邦夫君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 栗山 礼行君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
出席政府委員
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
通商産業事務官
(大臣官房長) 大慈彌嘉久君
中小企業庁長官 影山 衛司君
委員外の出席者
議 員 板川 正吾君
議 員 田中 武夫君
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五月十日
中小企業振興対策の強化に関する陳情書外一件
(第三八四号)
教育用電力料金の値下げに関する陳情書
(第三八五号)
北陸電力株式会社の電気料金値上げ抑制に関す
る陳情書(第三八六
号)
同(第四四九号)
中小紡績の不況対策に関する陳情書
(第三八八号)
一九六六年度中国貿易展覧会並びに東西貿易促
進に関する陳情書外二件
(第三九〇号)
ハチみつの輸入に関する陳情書
(第
四四八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
官公需についての中小企業者の受注の確保に関
する法律案(内閣提出第一四二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(板川正吾君外十八名提出、衆法第二
二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(麻生良方君外一名提出、衆法第三四
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/0
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001・天野公義
○天野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案、板川正吾君外十八名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案、麻生良方君外一名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案を議題として、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/1
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002・板川正吾
○板川委員 委員長、その前にちょっと……。
恐縮ですが、質問に入る前に資料の要求をいたしたいと思います。
それは、この法案に関係しまして、去る三月七日に建設事務次官の名において「中小建設業の受注機会の確保について」こういう通達が流れております。これは中小企業の建設業の受注の拡大をはかるという本法案の趣旨に基づいて、建設事務次官が通達を出したわけであります。その内容は、第一は、「発注標準を厳守し、中小工事にはみだりに大手業者を指名しないようにすること。」小さい工事には大手業者を指名するなということを第一にうたっております。第二に「地元業者の活用を図るようにすること。」ということ。第三は「中小建設業者の施工能力の向上の機会を考慮するようにすること。」第四は「その他の留意事項」として二点をあげております。こういう内容に対しまして、きょう、五月十一日の日本経済新聞によりますと、参議院議員の鹿島守之助氏が鹿島建設会長という資格において、この建設事務次官の通達は、大企業の入札を拒否して中小企業者に指名するようにすることは、憲法上にも問題があるということで意見書を出されております。そこで、これに対して全国中小建設業協会が対策を検討した結果、さらにこれに反論を建設大臣に提出した、こういうことが報道されております。これは、もし参議院議員の鹿島守之助氏と、それから大手建設業界の代弁者である鹿島守之助氏の意見が建設省を支配するならば、この法案は実は有名無実になるおそれもあります。したがって、私はこの両者を次の機会に呼んで——中小建設業協会も呼び、鹿島守之助氏もひとつ参考人として呼んで、この間の事情を明らかにすべきだ、こう思うわけであります。とりあえずその前に、鹿島氏の意見書なるものをひとつ資料として出していただきたい。参考人招致については理事会にいずれおはかり願うことにいたしたいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/2
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003・影山衛司
○影山政府委員 御要求の資料を早急に提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/3
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004・天野公義
○天野委員長 板川先生の御要望中参考人その他の問題につきましては理事会で御相談をいたします。
中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/4
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005・中村重光
○中村(重)委員 長官でけっこうですが、予決令が変わりましたね。その内容はあなたのほうから資料として提出された官公需確保対策関係資料の中に書いてあるとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/5
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006・影山衛司
○影山政府委員 先般予決令の改正によりまして、従来会計法第二十九条に基づきまして、少額の予定価格のものにつきましては指名競争または随意契約にすることができるという規定に基づきまして、たとえば指名競争に付することができる場合につきましては予定価格二百万円をこえない工事、または製造の場合には指名競争にすることができるというような規定になっておりましたものを、三百万円に引き上げるというふうな改正が行なわれたわけでございます。この改正の趣旨は、少額なる契約につきましては、大体、ほとんどが中小企業者が参加をいたしておるわけでございます。その中小企業者が参加するところの随意契約の金額を上げることによりまして、中小企業者が受注し得る金額、それがまたおのずと上がってくるということになったわけでございまして、やはりこれも受注確保をはかるための措置であるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/6
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007・中村重光
○中村(重)委員 従来六十万円であったものが百万円、百万円が百五十万円という形に引き上げられておるようですが、そうすると、各官庁において物件等を調達する場合に競争参加音の資格基準というものがきめられてくることになる。ところがその基準というのは各省ごとに、同じこともありましょうけれども、異なってくることになろうと思うのですが、その資格基準というのはあなたのほうでわかっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/7
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008・影山衛司
○影山政府委員 たとえば建設関係の資格基準につきましては、先ほどちょっと板川先生からも御指摘がございましたように、資格基準をきめます際に一応ランク制をきめて、A、B、C、D、Eというふうに予定価格ごとに資格基準をきめておる、そういう基準のきめ方をいたしております。そういう例もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/8
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009・中村重光
○中村(重)委員 そういうことはわかるのだけれども、具体的にきまっておるだろうと思うのですが、明らかな範囲でよろしいのですが、どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/9
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010・影山衛司
○影山政府委員 建設工事の入札参加者の資格の緩和及びランク制に応じた工事発注の促進などを建設省のほうでおやりになったのですが、この際工事の発注規模をA級、B級、C級、D級、E級というふうにきめまして、A級につきましては一億五千万円以上の予定価格のもの、それからB級は五千万円のもの、C級は一千五百万円、D級は三百万円、E級は三百万円以下というふうに工事の規模ごとに発注規模をきめまして、そのおのおのの発注資格者というものにつきましては、B級のランクのものは直近上下のものには参加し得る。しかしながらD級、E級のような小さい工事には参加をしてはいけないというふうな資格基準がきめられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/10
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011・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、私が先ほど申し上げた金額の小さいものは、これは随意契約の対象になるものだと思うのですが、その随意契約が今度百万円が百五十万円に引き上げられた。それ以上、それをこえる金額というのは、大蔵大臣と協議をしなければならない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/11
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012・影山衛司
○影山政府委員 そういう場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/12
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013・中村重光
○中村(重)委員 そういう場合もあるというのではなく、百五十万円をこえるものは、大蔵大臣と協議をするということに、これはその点はきちっと限定されておるのじゃありませんか。予決令の中でどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/13
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014・影山衛司
○影山政府委員 予決令におきまして、小額のものについて随意契約あるいは指名競争入札ができるという場合は、政令で金額がきめられておりまして、それ以上は大蔵大臣協議という制度は認められていないというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/14
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015・中村重光
○中村(重)委員 いや、それをこえる金額は、大蔵大臣と協議するということは認められていないというのですか。こえる金額は大蔵大臣と協議しなければならないとなっておるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/15
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016・影山衛司
○影山政府委員 予決令の中に、第九十四条におきまして、指名競争に付することができるという場合は、会計法第二十九条の三第五号の規定により指名競争に付することができる場合は、次に掲げる場合とするということで、これは先ほど御説明いたしましたように金額を限りまして指名競争ができる場合ということでございます。
それから、その他の場合におきまして、指名競争に付し、または随意契約によろうとする場合に、大蔵大臣へ協議をして初めてできるという場合があるわけでございまして、それは金額の限度以外に場合が定められておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/16
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017・中村重光
○中村(重)委員 金額以外の場合も定められておるのだけれども、まず金額を聞いておるのです。それ以外にもあるのだが、金額は大蔵大臣と協議をしなければならない、金額の規模が大きくなったら、それはどういうことになっておるのですか。運用上の問題が出てくるのですよ、大蔵大臣と協議するといったって、なかなか複雑なんだから。だからそれを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/17
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018・影山衛司
○影山政府委員 金額をこえる場合につきましては、指名競争入札ができないことになりますので、それをこえる場合につきましては、一般の指名競争入札になる場合には、資格基準等をきめる場合には大蔵大臣と協議する場合があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/18
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019・中村重光
○中村(重)委員 金額をこえる場合に指名競争入札ができないという場合がある。随意契約は、いまあなたが言われるように金額がきまるわけですね。しかし、それだけでなくて、随意契約は緊急を要する場合であるとかあるいは特定な業者に発注することが必要であるという場合、そういう場合に金額にかかわらず随意契約をなし得る。だから金額の場合とそういう特定な事情による場合が随意契約はあるのです。だから私が言うのは、大蔵大臣と一々小さい金額まで協議するということになると複雑なのでなかなかたいへんだろうと思う。だからして、金額の面については予決令で今度改められたわけだから、どの程度以上が大蔵大臣と協議しなければならない金額になるのか、それを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/19
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020・影山衛司
○影山政府委員 予決令及び会計法の特例によりまして指名競争に付することができる場合、金額が限定されておりますのは、工事または製造の場合には予定価格が三百万円をこえない場合、それから財産を買い入れる場合は予定価格が百八十万円をこえない場合、その他賃借料とか財産売り払いの場合も金額がきまっておりますが、この場合に関係いたしますのは、工事または製造させる場合の三百万円、財産買い入れの場合の百八十万円、それから随意契約の場合は、工事または製造させるときには予定価格が百五十万円をこえない場合ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/20
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021・中村重光
○中村(重)委員 それをこえる場合、そういう小さい金額まで大蔵大臣と協議しなければならぬということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/21
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022・影山衛司
○影山政府委員 この金額をこえた場合につきましては、やはり一般競争入札になるわけでございますので、大蔵大臣協議云々の問題は出てこないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/22
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023・中村重光
○中村(重)委員 今度予決令が改正になって、相当額が引き上げられた。そういうところから中小企業者に対するところの官公需の確保というような法律案は出さぬでもいいじゃないか、こういうことを大蔵省はあなたのほうに主張したわけです。そこで、三木通産大臣の政治力でどうしても出すのだということで、最終的には大蔵省のある程度の反対を押し切って提案する運びになったのだろう、そう思っているのです。だから、予決令によってある程度緩和されたものの、依然として制限があるわけだから、それをどう運用していくのかということがきわめて複雑になってまいりましようし、官公需の確保などという法律案も出てまいりますと、大蔵省の抵抗もいろいろな形において出てこないとはいえない。だから、そういう場合にそういった予決令あるいは会計法がどう定められており、またこれがどう運用されていくのかという点を伺っておかなければならぬから、実はお尋ねしておるわけです。だからいまあなたが、それをこえる場合は指名競争入札にしなければならないのだから大蔵大臣との協議は起こらない、こう言っておるのだけれども、そうではないのじゃありませんか。この「官公需をふやす」、「中小向け今週にも具体策」、日経紙に書いてあるのを見たのですが、それはいまのあなたの答弁のようにはなっていない、これは新聞が誤報なのかどうかわかりませんが、あなたのお答えのとおりでもないのじゃありませんか。時間がたちますから、あとであなたのほうでよく調べてください。
次にお尋ねしますが、あなたのほうで配付していただいた関係資料によりますと、中小企業者に対する官公需を確保するというための努力をいろいろしておられるが、金額にしますときわめてわずかな金額ですね。三十九年度三百三十万円ですか、四十年度も官公需をさらに確保するという積極的な意向を大臣は表明しておられるのですけれども、これも三百三十万円と三十九年度と同じ。しかしこれは「官公需契約の手引き」という印刷費が中心になっておるようでして、なおその上に今度は、四十一年度においては旅費等を若干予算に計上しておるようですが、これとても全くわずかな金額にすぎない。こういうことでどこまであなたのほうの官公需を中小企業に確保するというための成果が上がるのか、これはきわめて疑問であるわけです。しかし形としては、中央においては各省庁、主要公社、公団等の契約担当官を集めて官公需確保推進協議会を開催する、そして中小企業者に対する官公需の個別受注あっせん指導を行なった、こういう報告がなされておるわけですが、これはどの程度のそうした会合をお持ちになり、具体的にはどのような成果が上がったとあなたのほうではお考えになっていらっしゃるか、いまのは中央でございますけれども、各通産局におきましてもいろいろなことをやっておられるようでありますが、その点の成果も含めてお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/23
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024・影山衛司
○影山政府委員 従来から中小企業に対する官公需の確保対策というものは、基本法の規定にも基づきまして努力をいたしておったわけでございますが、従来は主として先生御指摘のように「官公需契約の手引き」というものを中小企業者に配りまして、中小企業が官公需契約に参加し得るその手続等につきまして周知徹底をはかるというような努力をいたしておりましたのが一つと、それから官公需確保推進協議会というものを随時開催いたしまして、主として直接各省の契約担当官を集めまして中小企業に対して受注の機会を確保するようにという要請をいたしてまいっておるわけでございますが、たとえば建設省等におきましてもそういう要請に基づきまして御承知のようにこの三月七日におきましても発注基準の厳守、あるいは地元業者の活用というようなことを建設次官名で出しておられるというようなこともやっております。それから先ほど御説明申し上げました小額の随意契約の限度額、あるいは指名競争入札の限度額を上げるというようなことも、こういう官公需の確保推進協議会の結果というふうに私どもは考えております。それから各通産局における措置といたしましては、従来はそういう連絡会議は通産局別には設けておりませんで中央だけでやっておったわけでございますが、今度四十一年度からは予算を確保いたしまして、各通産局別に都道府県の担当官を集めまして、通産局主催で、中小企業者に対する発注の促進という措置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/24
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025・中村重光
○中村(重)委員 あなたのいまの御説明のとおり、中央ではいままでこの「官公需契約の手引き」というための製作費として、昭和三十八年百九十三万円、三十九年度三百三十万円、四十年度は三百三十万円、同額。こういう形で計上されておるのですが、四十一年度は同じくこれは三百三十万円であろうと思うのですが、旅費と庁費、これを含めまして総額六百三十五万八千円を計上しておられるようですね。どうでしょうか大臣、今度はいろいろ私どもも官公需確保に対する法律案を提案をいたしております。あとで大臣とわがほうの提出者と並んで、ひとつこれから審議をしてもらうことになるわけです。内容にはいろいろ相違するところもあるだろう。正直に言って、これから私もお尋ねをしてみなければなりませんが、政府提案のこの官公需確保という点については、あきたりないものを感じます。感じますが、少なくともあなたが中小企業の官公需を確保していきたいということで、政府部内における相当な抵抗、反対というものも押し切って提案されたというその熱意は、私は評価をいたしたいと思います。思いますが、これが隠れみのになってはならない。各企業等において、赤字を出しておるけれども、黒字であるという擬装決算というようなもので会社がつぶれていくというような事例がありますことは、よく御承知のとおりでありますが、官公需確保ということで非常に熱意のあるというような、あえて私はあなたに装えとは申しません。申しませんが、えてしてそういうものが実はある。ところが、そうでないということになってまいりますと、この官公需確保に関する法律が制定をされる。これがいかに運用されるかということによって、私はこれが隠れみのにもなり、実際は相当効果を発揮するものにもなるであろう、こう思っております。しかし、いずれにいたしましても、官公需を確保するための積極的な施策というものが必要になってまいります。しかし、そのためにはその裏づけとなる予算というものがなければならないと私は思います。精神的だけではなかなかうまくいくものではございません。しかし、それがいま申し上げましたように、六百三十五万八千円の約半分は、この手引きなるものの印刷費に食われてしまう。その残りは、いま中小企業庁長官の、予算を今度は確保して各通産局へやるんだという答弁は、きわめて積極的な感じを与えるのでありますけれども、金がないのではどうにもならぬだろう。こういった程度の予算というものに対して、大臣はどうお考えになっておられるのか。またこの官公需確保のために、この後どのような積極的な施策を講じていこうとお考えになっていらっしゃるのか、決意のほどをひとつ伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/25
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026・三木武夫
○三木国務大臣 これは官公需、まあ官公の需要確保については、このパンフレットというようなことだけでなしに、地方の通産局でも中小企業庁でも——これはどうしたって、ある程度需要を確保するということでなければ、仕事がないということでは中小企業はやっていけぬですから、そういう意味で、この予算が即熱意のあらわれだということではないわけで、通産局も中小企業庁も、この問題はやはり大きな課題の一つであります。ただしかし、金額全体としては、中村さん御指摘のように少ないですから、これは将来においてはやはり相当、こういう法律もできると、これを周知徹底したりするためにある程度の予算が要ると思います。これは将来そういうことも考えて予算はふやさなければならぬだろうと思います。これで何とか本来のそれは大きな使命の一つでありますから、本年度はその範囲内でいろいろやれるだけのことをやるとして、将来としてはやはり予算をふやさなければ、少し少額過ぎるという感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/26
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027・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるように、金が多いからといって成果がそのままの形で上がるというようには考えられない。やはり関係のすべての人たちが積極的な取り組みをしていくということでなければならないわけです。ところが、私はこの前の委員会におきましても指摘をしたわけですが、この親企業と下請業者との関係ですね。大臣御承知のとおりに、親企業が最近不況であるという名のもとに単価の切り下げとか、下請中小企業というものに対して非常に不利益な押しつけを優越的な地位を利用してやっているということは、御承知のとおりでございます。ところが、そういった問題に対して、通産局で下請関係の業者を集めて会合を持った。その会合を持った際に、下請企業がいろいろといまの単価の問題あるいは支払い手形の問題等々、通産局にもっと積極的な改善策を講じられるように御協力を願いたいといったような要望というのか陳情をすると、通産局はこれをきめつける。おまえのほうの努力が足らないのだ、もっと能率を上げるようにしなければならないのだ。そういうようなことでは、われわれは何のために集められておるのか、何のために開かれた会合なのか、親企業の利益を守るために、われわれをきめつけるためにこういう会合を催したのかというので、ものすごい憤りと不満をもって引き揚げたということが伝えられておるわけです。私は、それらのことがそのままでなかったにいたしましても、期待はずれの会合というものが持たれたということは否定できないのではないか、こう思います。だから、官公需の確保の問題等におきましても、大臣がいまお答えになりますような、必ずしも積極的な官公需確保のために大きな効果をもたらすようなことばかりあるとは私は考えられない。したがって、大臣がこれに取り組む姿勢というのか、そういうものを伺っておかなければならぬと私は思いますから実はお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/27
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028・三木武夫
○三木国務大臣 これは中村さんもいろいろお述べになっておったですが、必ずしもこの法律案が日の目を見るまでには、非常にスムーズにいったわけではないのです。いろいろな異論があったけれども、しかしながら、中小企業の需要を確保するためにこの規定が、いろいろ不備な点はあるにしても、こういう倫理規定といいますか、努力をみながしなければならぬというような法律があることによって、そして国及び公社、公団はもちろん、あるいは地方の公共団体も、中小企業の需要を確保するために努力をしようということで、物資の調達などのときにそういう考え方をみな一ぺんは考えてみるということは必要であるということで、これを提案いたしておるわけでありますから、これは中村さんの言われるように、この法律の精神を実際生かせるかどうかということは運用の面が非常に重大な影響があると思いますので、この法律が皆さまの御賛同を得て立法化されたときには、この法律を背景として積極的に運用の面においてこの目的が達せられるようにしたいという非常な決意を持っておるわけであります。どうしても合理化、近代化をやるのはいいけれども、やりながら、やはり一方においては中小企業の分野を確保して、需要を確保するという努力もなければ、やはり次第に中小企業の分野は少なくなってまいりますので、非常に積極的な意図を持ってこの法律案を提案いたしておるものであるという決意はここに申し述べておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/28
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029・中村重光
○中村(重)委員 それではまた長官に、先ほどの基準の問題に戻ってお尋ねをいたしますが、今度一般競争入札、指名競争入札、随意契約、こういう契約の基準というものが変わってきた、こういうことですが、この内容に対して、あなたのほうでおわかりになっておられれば伺いたいのでございますが、この競争に参加できない業者という範囲が、実はきめられておるわけです。その範囲というのはいろいろあろうと思うのですが、まず、「契約の履行に当たり故意に工事若しくは製造を粗雑にし、又は物件の品質若しくは数量に関して不正の行為をした者」、それから、「公正な競争の執行を妨げた者又は公正な価格を害し若しくは不正の利益を得るために連合した者」、それから、「落札者が契約を結ぶこと又は契約者が契約を履行することを妨げた者」、こういったようなものが、競争に参加させない業者の範囲だ、こういうことになっておるようでございます。ところが、どうも私どもが把握をいたしておりますいろんな場合、いまここで競争に参加させない業者の範囲というようなものが役所の一つの考え方ということのみによって動かされておるような感じがいたします。決算委員会等におきましてもよく問題になるのでありますが、会計検査院が不当事項として指摘している、それを見ると、いつも会計検査院から指摘された中に、同じ業者の数が出てくる。それは不正工事が行なわれたものである、あるいは不当にその仕様書にあるような工事を実際は行なっていなかった、そのためにこれが改善を要求されたといった場合等がある。あるいは物品を納入した、その物品が実際は契約の内容と異なったものが納入されておった、いろんな事例がある。あるけれども、そういう業者が依然として競争に参加する業者の範囲に、いわゆる競争に参加している。ところが厳密にいいますと、それは競争に参加させてはならない業者だと私は考えるのでございますけれども、そういうことが行なわれておる。これらの点に対して、いろいろと問題があるのではないかと思いますが、この点に対しておわかりでしたらお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/29
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030・影山衛司
○影山政府委員 競争入札等に参加できるものの資格基準については、先生御指摘のとおりの基準がきめてあるわけでございますが、その参加をしたものの中で、決算委員会等で指摘をされ、あるいは会計検査院から指摘をされて、不当な入札の方法をやっておるとか、工事をやっておるというようなことが起こった場合、そういう場合は、やはり会計検査院なりあるいは決算委員会というルートを通じまして、こういう不正不当をただしていくということが必要かと思うわけでございまして、私ども中小企業庁といたしましては、中小企業者ができるだけ指名競争でも一般競争でもあるいは随意契約でもその契約に参加する機会を確保してあげるという立場からいろいろなものを考えていく、あるいは契約の実績等もチェックをしていくということを考えておるわけでございまして、今度この官公需の法律ができました際には、そういう方針をもって法律の運営にあたっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 それでは時間がございませんから、その点お尋ねしておきたいこともありますけれども先に進みます。
随意契約をやる場合、あなたのほうでは、第三条ですか、組合に積極的に受注の機会を与えるように「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」ということがあるのでございますが、随意契約等を行なう場合、事業協同組合との契約というものは物品購入だけであって、工事であるとかあるいは製造、そういうものには事業協同組合との契約は行なわれないことになりますか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/31
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032・影山衛司
○影山政府委員 予決令のほうで規定されておりますところの、協同組合が随意契約の対象になり得る場合と申しますのは、事業協同組合等の「保護育成のためこれらの者から直接に物件を買い入れるとき。」というふうに規定されております。ところが一方工事等につきましては、別途の観点から、たとえば先生先ほど御指摘のように、各省各庁の長が一般競争の参加者あるいは指名競争入札参加者の資格を定めるということになっておりますので、その場合にたとえば工事等についてジョイントベンチャー式な協同組合を中心にした参加の資格を定めるというようなことで、協同組合も工事等にも参加し得る道は開けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 それでは予決令にはそうなっておるけれども、あなたのほうとしては国等の契約の相手方として組合を活用するように配慮するんだということですが、この点は事業協同組合に対して、予決令にかかわらず積極的にこれに発注をするように努力をするという方針であると理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/33
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034・影山衛司
○影山政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、今度決定いたします方針につきしても、そういう組合の積極的な受注というものができるような方針をきめていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 そこで契約に参加をいたします場合、入札等ももちろんあるわけでありますけれども、入札保証金あるいは契約保証金というのがこれまた予決令できめられておると思うのでございますが、この保証金というのは絶対にとらなければならない、こういうことになりますか、入札保証金、契約保証金を含めてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/35
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036・影山衛司
○影山政府委員 現行会計法規上の規定によりますと、契約保証金につきましては契約金額の百分の十以上納付させることとされておりますが、現行で次の場合には全部または一部を免除できるということになっております。たとえば延納担保が供された場合とかあるいは相手方が国を被保険者とする履行保証保険契約を定めるとかいう場合には、全部または一部の免除ができるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 そういうことは、まあ、わかっていると私は言いません。これはお尋ねしてお答えになったのですから。それはそれでよろしい。当然中の当然なんです。私がお尋ねをしておる趣旨は、中小企業者というのは、入札する場合、入札保証金が右から左に調達できるとは限らない。なかなか調達をするのにも苦労する。額が大きければ大きいほど、百分の十でありますから、それは相当大きい金額です。しかしながら、それは現金でなくていろいろな証券でもよろしいんだというんだけれども、そういったような証券を持つ業者といろものは、比較的それは経営が楽な企業体であるということが私は言えると思う。したがって、この入札保証金のために非常に困っておる。だからして、あなたのほうが中小企業の振興というものを積極的に推し進めていこうというたてまえからいたしまして、この入札保証金というものに対しては、先ほどあなたがお答えになっておりますようなそういう場合でなくて、この入札保証金をとらないで入札に参加させるということが必要であるとはお考えになりませんか。契約の場合の保証金も含めてひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/37
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038・影山衛司
○影山政府委員 この免除の規定につきましても、予決令のほうで全部または一部の免除をできる場合をきめるようになっておりますので、ただいまのところ、どういう場合に免除、あるいは一部の免除の規定を追加するかということは、正直に申し上げまして、検討不十分でございますけれども、今度中小企業者の便益をはかるという意味から、早急に検討いたしまして、この問題も予決令の改正ということでやり得る問題のようでございますから、早急に検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 その予決令の改正というのは、なかなか私は簡単にはいかないと思う。だからして、その予決令の改正をしなくても、いわゆる運用という問題においてその入札保証金あるいは契約保証金等を積み立てをしなくともやれるという運用方法というものは考えられないのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/39
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040・影山衛司
○影山政府委員 現行の政令の範囲内でも、一般競争の場合等において落札者が契約を結ばないこととなるおそれがないと認められるというような場合には、弾力的に免除ができるというふうになっておりますので、そういうふうな趣旨を拡大いたしまして、できるだけそういうことができるんじゃないかというふうに考えております。これも今後先生の御趣旨に沿うて検討いたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 その点です。入札保証金を積ませることは、落札をしたけれども、はたしてその工事を落札者が施工するかどうか、もししなかった場合は、いわゆる二番札との差が相当ある場合がある。ほとんど変わらないような場合もありますけれども、相当な差がある場合がある。だからして、その場合は二番札入札者のその金額をもって契約をしなければならぬという場合もありましょうし、あるいはそれは一応取り消して、予定価格の範囲内において随意契約を結ぶということも起こってくるでありましょう。まあ非常にめんどうな場合が起ってくるということから、この入札保証金制度というものが実は行なわれておるわけです。だから、いまあなたがお答えになりました落札者が契約を履行するということですね。それは落札してからその後契約は結ぶんでありますけれども、いわゆる契約する。そしてその契約を履行するということが十分保証されるというか、確認されるといったような場合は、入札保証金を積まなくてもよろしいというようなことに解釈されるのであろうと私は思います。思いますが、なかなかこれを弾力的に運用していないというのが、今日までの実は実情でございます。そこで今度官公需の確保というような形において、このまま積極的な施策を講じていこうというお考え方でございましょうから、一般入札という場合と違って指名競争入札等の場合は、業者の信用というものもありますから、そう落札をしながら物品を納入をしないとかあるいは工事をしないとかいうような、そういう業者というものはまず考えられないと私は思います。したがって、できるだけ業者の負担にならないように中小企業者を育成していくというようなたてまえから、できるだけ弾力的な私は運営をしていかれる必要があるであろうと思います。だから長官の決意のほどをひとつこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/41
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042・影山衛司
○影山政府委員 制度的にも、あるいは具体的な場合につきましても、そういう先生御指摘の方向で、今後法律の運用にあたりまして努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 それではもう時間もありませんけれども、法律案の内容について若干きょうはお尋ねをいたしておきたいと思います。
まず第一の「目的」でございますが、この目的の中に、これは同僚委員からすでにお尋ねになっておるところでございますけれども、なお私納得のできない点がございますから伺いますが、特に「中小企業者の受注の機会を確保するための措置を講ずること」、こういうことになっておるのでございますけれども、ことさらここに受注の機会を確保するというこの「機会」を入れなければならないという理由がどこにあるのであろうか、ほんとうに中小企業者のための官公需の確保をしようというかまえであるならば、中小企業者の受注の機会を確保するのでなくて、受注を確保するということにそのままずばりとひとつお書きになることが、私は適当ではなかったのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/43
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044・影山衛司
○影山政府委員 お答え申し上げます。
目的に「中小企業者の受注の機会を確保するための措置」というふうに規定いたしました趣旨でございますが、これは先生御承知のように、中小企業基本法第二十条におきまして、「中小企業者の受注の機会の増大を図る等必要な施策を講ずる」というふうに規定をされておりまして、それに準拠いたしまして中小企業者の受注の機会の増大をはかるというふうに規定をいたしたわけでございますが、またその趣旨につきましては、やはり一方におきましては発注者側、政府側等におきまして、発注の機会の増大の努力をいたしまして、中小企業者がそういう官公需の契約に参加しやすくする努力をいたすという努力を一方においてやりますと同時に、他方では中小企業者の側におきましてもやはり良質、廉価のものを提供するという自主的な努力を行なう、その両者が相まちまして、社会党案等に規定をいたしてありますように、受注の確保あるいは発注の確保ということになるわけでございますので、終局的には、考え方といたしましては、社会党の案とも同じわけでございまして、単純に段階の途中を書いただけでありまして、社会党案は終局的な段階を書いたというほどの違いではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 終局的に私は同じであるとは思わない。やはりあなたのほうが中小企業者に対してほんとうに官公需の発注をしよう、受注を確保してやろう、しなければならぬというような考え方の上に立っておるならば、私はこの「目的」の中には、「機会を確保する」というようなあいまいなことではなくて、あなたのほうの責任を明確にするという立場からしても、そのままずばりの受注を「確保するための措置を講ずることにより、中小企業者が供給する物件等に対する需要の増進を図り、もって中小企業の発展に資することを目的とする。」こう書くべきであると考える。社会党案はもうあえてここで読み上げませんけれども、そのままずばりと、いわゆる受注の確保という形において、その責任を明らかにしておるわけです。「機会を確保」ということは、あなたのほうとしてはほんとうに積極的に中小企業者に対して受注を確保してやろうという決意の上に立っていない。ただできるだけ入札に参加させるといったようなことにしたい、差しつかえなければ中小企業者から購入をしてやるようにつとめていきたいというような、きわめて消極的な考え方の上に立ってこの「目的」ができておるというように感じられる。この点はそうでしょう。それでなければ、わざわざ「機会」ということを書く必要はないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/45
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046・三木武夫
○三木国務大臣 これはやはり熱意ととるべきではないので、私は一つの民主主義の原則は常に機会の増大だと思っている。雇用の機会の増大、教育の機会の増大……。これはやはり個人の努力というものが伴うわけですから、雇用でも、働きたくないという者の雇用を確保するわけにいかない。教育でもやはり能力とか教育の熱意ということがある。中小企業でも、内容の悪いものを中小企業なるがゆえに需要を確保せんならぬというものではない。やはり努力をして、調達さるべき役務とか物資というものが、ほかのものと競争しても質的にも劣らぬだけの努力がなければならぬ。だから、一つのものの考え方の原則としては、やはり機会の増大ということが私は原則としては正しいと思っている。何でも確保せんならぬということではなくして、やはり機会を増大して、個人の選択、努力、こういうものの余地があることが自由民主主義の社会の原則としては正しいことだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 私はそうは思わない。それは憲法に基づいても、国民に対して文化的な最低限度の生活を保障している。これは国民に対していわゆる適当な生活を国は義務づけされている。だからして、失業者に対しては生活を保障していかなければならない。同時に、生活困窮者に対しては生活保護というものを当然国の責任においてやらなければならない。だからして、この場合においても中小企業者に対して受注の確保をするというのは、あなたがいまお答えになったように、何が何でも、中小企業者であるからその中小企業者の能力がないという場合においても、絶対に中小企業者から物を購入し、あるいは工事をさせなければならぬというようなことではなくて、取捨選択というものがあり得る。あり得るけれども、そういう中小企業者に対して受注を確保していくんだという国の責任というものは、私はこの「目的」の中には明確化していく必要があるのだ、こう考える。だからして、あなたがいま自由主義の社会においてはとおっしゃるけれども、少なくともこの法律案というものが中小企業者に対しての官公需の受注を確保するんだという考え方の上に立つておるならば、特にこの「目的」の中に「機会の確保」というふうに書く必要はないのであって、受注を確保するということにそのままずばり書いていくことが適当ではないか、こう私は思います。そしていろいろな具体的な発注等におきましては、まあランクもされるわけでありますから、そういうことにおいて適当に取捨選択というものが私は行なわれてくると思う。それから中小企業者の努力も求められるでありましょう。また中小企業者が健全になるためのいろいろな金融、税制上その他の施策というものを国が行なうことによって、両々相まってすべての中小企業者というものが受注を確保し得るようになると私は考える。どうしてもここに「機会」を入れられるということについては納得いかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/47
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048・三木武夫
○三木国務大臣 これはおそらく中小企業基本法からとったんでしょう。これは私自身の考え方としても、プリンシプルとして機会の増大というものは正しい。機会をできるだけ提供して、それで努力をして、その機会に応じられるようにする。やはり一つのリベラルな社会の原則は常に機会の増大だと私は思う。何でも、教育でも、頭の悪い者まで教育せんならぬ義務を国が負うとは思わない。しかし、能力がある者が勉強できるような機会を常に確保するということが大事なんで、常に民主社会における原則は機会の増大である。やはりその努力とか個人の能力とか、そういうものの余地があるほうが、リベラルな社会としてはいい。だから常に機会の増大というほうが考え方としては正しいと私は思っているのです。これはしかし原理、原則から来たのではなしに、おそらく中小企業基本法の文句から来たんだと思います。だからこの問題は原則的にもそういうことが正しいのだ。そのことはこういう立法をやろうとするのですから、逃げ腰だったらこんなものは国会の途中で出しゃしませんよ。大いにやはり確保しようという熱意のあらわれですから、国会の半ばでこういう法案を出そうという熱意、かなりそれをまとめるまでにいろいろな紆余曲折があっても、これをやはりどうしてもこの機会に国会で御審議を願おうという熱意は、そういう「機会」ということばに籍口して、逃げ腰でこんな法律案を提案して御審議を願うというような、そういうものではない。その「機会」というのは、そういう意味の逃げことばに使ったのではないという善意は、中村さんに信じてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 いまの点についてはもっと議論をしていかなければならぬのですが、約束の十二時ですから、あと保留してきょうはこれで質問を打ち切りますけれども、これは全体的な「目的」に「機会」があるように、各条文の中にそれがあらわれてきております。あなたの熱意は確かにありましょうけれども、ところが官公需の確保という思想的な流れというものが、社会党の案と政府案との中で非常に違っておるものがある。それが具体的な場合においては大きな開きとなってあらわれてくるであろうと思います。このことはまたこの次の委員会において議論もし、お尋ねをしていきたい。きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/49
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050・天野公義
○天野委員長 栗山礼行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/50
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051・栗山礼行
○栗山委員 質問をいたします前に、ちょっと委員長に伺ってまいらなくちゃならぬと思いますが、昨日の理事会では、この、政府及び社会党、民社党の官公需の中小企業の確保の問題の法案で与野党が質問を活発に展開をされまして、問題が浮き彫りされたのでありますけれども、政府及び社会党、民社党が提出いたしておりますことを、さらに民社党の提案の内容を踏まえつつ、社会党さんに、精一ぱい胸をかすから質問しろ、あるいはなお、質問は君のほうも済んでおるけれども、そういう関連で政府に質問をしてもらいたい、こういうふうな御決定をいただきまして、急遽、にわか仕込みで、頭を若干未整理のままできようの委員会に臨んだのです。したがいまして、私は短い時間で私の質問を終わらしていただきたいと思いますけれども、大臣は、秘書官のお話によりますと、十二時半までがんばってまいろう、こういうお話でございますが、最小限度、やはり一時間半なり二時間ちょうだいしなければ、やはり私はものを申すだけではなくて、お伺いする立場等も持ちますので、いかがなものでしょうか。大臣が時間が切れまして、そして社会党さんの説等も関連して伺うために、きょうの時間切れで、再度別な機会に継続して質問をお許しいただくというような委員長の御配慮を願えるかどうか、あるいはまた、できるだけ私の質問を早めまして、簡潔要を尽くす、こういう立場できょうの私の質問を打ち切るか、こういう点がございますので、仰せのとおりに従がいたいと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/51
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052・天野公義
○天野委員長 大臣は一時まで都合をつけるそうでございますので、約一時間大臣の出席時間がありますので、できるならばおまとめをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/52
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053・栗山礼行
○栗山委員 では社会党の先生、一時までお許しをいただく、こういうことで質問をしてよろしゅうございますね。——ありがとうございます。
御案内のように、今日まで、与党、社会党、民社党のそれぞれの方から、この問題は非常に大きな関心と内容を意味するものでありますから、真摯な質問と御答弁をいただいておりまして、私も記録や、あるいは委員会でその意見を拝聴いたしました。ただ、ここにあらわれた問題は、政府のほうは、官公需についての中小企業の受注の確保ということでありまして、社会党は、一緒に生まれてまいったというような関係等もございましょうが、が然受注の確保ではなくて、発注の確保というようなことで出てまいったのであります。いろいろ御答弁や質問を伺ってまいりますと、大きな発想について、目的は共通の理想を持ち、願っておるのでありますけれども、しかし、その構想については必ずしもその道程としての一致をしないというところにとの問題があろうかと思うのでありますが、それを、どちらも好きなのだから、どういう形においてめおとになって、これを縁結びをするかという、こういったところに大きな問題点が今後残されてまいっておるのではないか、こういう考え方を踏まえてお尋ねを申し上げたい、かように考えております。
まず、大臣に一発お伺いいたします。おいでにならなかったのでありますが、四月の二十七日に本委員会で、わが党の麻生委員と与党の浦野理事が影山中小企業庁長官に御質問をされておるのであります。その中に、影山長官の御答弁は、この問題は、中小企業基本法の第二十条に基づいて、中小企業政策の一環としてこの法律を提案したものである、こういうふうに御説明がされておるのでありますが、信任の厚い中小企業庁長官のことでありますから、大臣は、中小企業基本法の第二十条に基づき、中小企業政策の一環としてこの法律を提出した、こういう御確認があるのではないかということで、ひとつ大臣の一発答弁を願いたい。
〔委員長退席、河本委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/53
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054・三木武夫
○三木国務大臣 そのとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/54
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055・栗山礼行
○栗山委員 中小企業庁長官にお尋ね申し上げますが、政府案の第三条は、受注機会の増大について、国等が努力すべき責任の規定をいたしておると思います。努力責任、これに基づきまして、第四条では、「受注の機会の増大を図るための方針を作成するものとする。」という規定をされているのであります。政府案は、このように、受注の機会の増大をはかってまいるということにたいへん鼻高々と御自慢のような御説をしつつあるように伺うのでありますけれども、しかし、法案全体をながめてみますと、その内容については、基本政策が何一つとして規定されておらない。これは御承知のとおりであります。これでは中小企業基本法の第二十条の示しておりますこと、いわゆる「国等からの受注機会の確保」の条項と、今度の官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案と、どこに政策的相違点があるのであるか。私の言いたい点は、中小企業基本法の念仏と、それから政策的、基本的内容とが伴ってこなくちゃならないのでありますけれども、念仏をそのまま持ってきている、こういうふうな解釈を私はいたすのでありますが、中小企業庁長官にこれをひとつ率直にお答え願い、また、社会党の田中先生には、私の質問について端的に御指示をいただく、こういうことでお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/55
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056・影山衛司
○影山政府委員 先生の御指摘の点でございますが、まず、先ほど大臣が答弁いたしましたように、この法律が基本法の第二十条に基づく法律であることは疑いのないところでありますが、それに基づきまして、たとえば第三条におきまして同じような趣旨のことを繰り返しておるではないかというような先生の御趣旨だろうと思うのでございますが、ここのところは、第三条におきましても、「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」というふうになっており、従来組合というものは受注機会に参加のチャンスが非常に少なかったのであります。そういうものを具体的に配慮しなければいけないというふうな規定をいたしておる点がまず大きな違いだと思います。
それから、第四条以下におきましては、「受注の機会の増大を図るための方針を作成する」というふうに書いておりますが、この方針の内容は、一つは、量的な努力目標というものを具体的にこれには規定をいたしております。
それから方針の中の第二におきましては、受注機会の増大のための具体的な施策の内容というものをこの方針の中に織り込むということでございまして、この方針というものは、この法律全体を簡素、強力なものにいたしたいという趣旨から、できるだけ煮詰めたかっこうをいたしておりますけれども、この方針の策定いかんによりまして相当具体的な内容がこの法律全体の趣旨から出てくるということになるわけでございます。
それから方針を決定いたしまして、第五条で実績を具体的にチェックいたします。それから第六条におきましては、そのチェック等の結果に基づきまして、具体的な問題あるいは一般的な方針といたしまして、各省各庁の長に要請をするというふうなことになっていますので、私どもといたしましては、具体的にこの法律は運用できるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/56
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057・田中武夫
○田中(武)議員 栗山委員の御質問、ある程度私も同意見でございまして、基本法はあくまで基本法だから、抽象的な表現でいいといたしましても、それに基づいて出される単独法でございますから、より具体的なものでなくてはならない、こういう御趣旨だと思います。そこで政府案と社会党案もしくは民社党案を比べましたときに、政府案はより抽象的であり、われわれのほうが具体的である、こういうふうに思います。その点につきましては、たとえばあなたが最初触れられました受注と発注、一条の関係ですが、この法律はあくまでも政府並びに公社等に対する一つの義務づけをきめる法律である、したがって発注の確保というほうがより妥当ではなかろうか、こういうように思います。それから第二条、あるいは三条等で見ました場合でも、政府案は、たとえば受注機会の増大の努力、あるいは四条では、この方針の作成というようになっておる。それに対してわれわれのほうは、割合をきめる。いわゆる中小企業に何パーセント確保するのか、こういうようにきめて、それを公表する、こういうようになっておりますので、より具体的かつ明確な規定を持っておると信じております。したがいまして栗山委員のお感じになっております、より抽象的ではなかろうかということについては、同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/57
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058・板川正吾
○板川議員 ちょっと補足して申し上げます。
こういうふうに読めるのじゃないかと思います。受注の機会を確保する、受注の機会を増大するということは、受注の機会が増大したら、必ず発注を受けるということではありません。それは入札に参加することが受注の機会を増大することであります。しかし発注を受けることにはイコール通じておらないのです。社会党案——民社党案もそうでありますが、これはその受注の機会という手段、手続を経て発注を確保するということで、中小企業の発展、国民経済の健全な発展に資するためには、最終的には発注を確保しなければ意味はないのであります。ですから受注の機会の増大ということは、その方法であり、方法論である、目的は発注を確保することにならなくちゃならない、こう思うのであります。そういう意味で、政府案の規定は非常にあいまいであって、あたかも受注の機会の増大があるから発注があるかのごとく思わせるところに問題があるだろう、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/58
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059・栗山礼行
○栗山委員 影山中小企業庁長官、私は、中小企業基本法の明示する内容に基づいて具体的な政策の方向が中小企業の官公需の確保になり、あるいは私どもからいう発注ということにならなくちゃならぬ。これは政策論議の問題である。積極的であるか、あるいは消極的であるか、あるいは中身の貧困な政策か、より卓見を持つ政策であるかどうか、これはいろいろ議論の内容等がございますけれども、努力目標というかっこう、その他二、三いろいろございます。これは順次具体的に影山長官の言われるような内容であるかどうかということについてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、社会党の御見解についていろいろ伺いまして、これまた順次具体的な内容等によってお示しをいただくということにいたしてまいりたいと思います。
確かに影山長官が言われております第三条によります規定で、あとでお伺いをいたしたいと思いますけれども、ただぼろくそに言っているわけではありませんので、高い苦心を評価等もしつつ、なおかつ政策論議というような内容を持っておりますので、私は、いま長官が言われた、組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならぬ、これはまことに卓見であると深く高い評価をいたしたい。これに関する限りにおいては、そういう見解等も持っておる、こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
社会党の先生にお伺いをいたしたいのであります。社会党案と民社党案に比較いたしまして、政府案の違いの最大のポイントというものは何か、こういうことになってまいるのでありますが、われわれの案は、発注の確保をはかる構想なのに対しまして、先ほど申し上げましたように、政府案が受注の確保をはかる構想に立っている点であります。これは非常に意味するものが違ってくる、こういう私の理解であります。社会、民社両党がともに第三条で「官公需契約の割合の公表」という条項を制定をいたしております。これは民社党も社会党も私どもが解しますと、発注の確保並びに年次を追いまして発注の拡大についての政府の責任体制を明らかに示してまいるという重要な条項の一つであると、私どもはみずから自賛をいたしておるのであります。政府はこの責任を負うからこそ、そこに政府が発注増加のためのあらゆる努力を傾倒されるということに相なってまいるんだ、これは責任の方向の問題であります。こういう観点に立って考えてまいりますと、第五条で、契約の特例の条項を、御承知のとおり、社会党及び民社党は設けておるのであります。しかし、この事柄は、会計法あるいは会計令等の規定がございますにかかわらず、その除外例として中小企業のみの一般競争に対する特例を認めたのであります。たいへん重要な点であろうかと思います。政府案は中小企業者の受注確保を中心に法文が構成されておるのでありますが、このような政府案の努力についての規定が、私から申し上げますと、基本政策の明示がないのです。私は、そういうことで、念仏あって政策なし、こういうことを申し上げたのでありますが、消極的だということよりも、これなら必要がないんだ、若い私の気持ちからとらえると、そういうことにもなると思うのです。
そこで社会党さんに第一にお伺いいたします点は、社会党の発想がわが党と同じでございますから、発注確保という基本構想に立って、政策上の基本理由としてこれをとらえておられるのであるか。わが党は、いま申し上げましたように、この問題は、中小企業基本法に基づきまして重要な一つの政策的基本という立場から、以上三点の問題等を示しておる。社会党さんこれまたお示しになっておると解するのでありますけれども、御見解を両先生から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/59
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060・田中武夫
○田中(武)議員 社会党が官公需の発注確保に関する法律案というのを作成し、提出いたしましたのは、三十八年のいわゆる基本法の成立以前からでございます。したがいまして社会党といたしましては、中小企業の発注の確保ということには、もう十年近く前からそういう方針を立ててまいっております。したがって、そういう面で理解を願いたいのと、それから先ほども申しましたように、かりにこの法律が政府案どおり、あるいは若干の修正等々で成立いたしましたと仮定いたしました場合に、この法律は一体何をするのか、こう考えた場合には、私はやはり国いわゆる省庁、あるいは公社等々の長、その他を拘束する意味の法律であろうと、こう考えております。したがいまして、やはり発注というほうがこのほんとうの意味じゃないか。仕事を出すほうの側を、いわゆる国の機関、あるいは公社の機関等を拘束するのだ。この法律の役目はそういう面を持っておるのだというふうに理解をしておりますので、そのほうがより正しいのじゃなかろうか、かように思っております。
それからもう一点、第五条ですか、これは大体同じ規定を民社等もお持ちですが——これはお手本が最初一緒だったせいもあろうと思いますが、このことは私はやはり重要であろうと思うのです。やはり大、中、小と並べたときに、受注の確保をするといっても、自由な競争を大と中小でやらすなら、やはり大のほうにいく。しかも、先ほど来というか、昨日来問題になっておるようでありますが、政府案の場合の「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」云々という規定を思い合わせた場合には、より大企業へ出したほうが安いといいますか、効率的であるということによって、大企業のほうへ集中せられる。機会を与えたが中身はやはり大企業へいくというおそれがあります。それに対しまして、われわれの五条は、同じ立場にあるものの中で自由な競争をさせるのだ、言うなら、えさ箱は別にするのだ、ライオンとか、あるいはトラとかという猛獣と、そうでないおとなしい動物とは同じようなところに置いたって、それは一方に食われてしまう。そこで、あらかじめえさ箱は別にしておいて、ライオンはトラやライオンで競争させる。いわゆる家畜というか、おとなしい私のような性格のものはおとなしいもの同士でやらすというのが、五条の意味であります。大体この三点で御理解願えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/60
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061・栗山礼行
○栗山委員 長官にお伺いいたします。
あなたは、この間の二十七日に、基本法に基づく政府のやはり画期的な政策的な内容の法律案である、こういうふうなことで御答弁なさいましたし、大臣もそれをそのとおりだということでお認めになったのであります。そうすると、基本法に基づいた関連法であるといたしますならば、当然それは政策条項を法文化しなければならぬ、こう.いうところにやはり中心を置いて見るべきじゃないか、こう考えるのでありますが、ところが、そういう法文としての内容がこれはございません。これは見解になると思うのですが……。結局これを示されておりますことは、これは努力するという論理規定だ、こういうふうに私は理解をいたしておるのです。そうしますと、御答弁されておることとこの中身の問題ということについて大きなやはり相違点がここに出てきておるのじゃないか、これを長官はお認めになりますか。さにあらずということで、ひとつ勇敢に御答弁をいただきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/61
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062・影山衛司
○影山政府委員 両社党案と政府案との差異の中で一つ大きく違いますのは、先生御指摘のように第五条のような契約の特例があるかないかという点であります。この点につきましてはすでに両社から国会に提案もなされておりますので、この両社の法案も検討いたしまして私どもの参考にしたわけでございます。その場合に考えましたことは、会計法に穴をあけるかどうかという問題になるかと思うのであります。その場合に、極端に申しますと、高いものでも悪いものでも中小企業者に受注させるチャンスを与えるということになりますと、会計法の特例的な規定をこの法律で書かなければいけないということになるわけでございますが、そういうことは許されないわけであります。それでは同質同価の場合、大企業と中小企業と同質同価、品質が同じで価格が同じという場合に、中小企業者のほうに落としてやりなさいというふうな場合は、これは現行の会計法の予決令等の運用によりましてできるわけでございます。その先例といたしましては、国産品の使用をいたします場合には、商品を指定いたしまして指名競争あるいは随契に付することができるということになっております。そういたしまして、現行の会計法の運用上におきまして中小企業者が受注の機会を確保するという規定なり制度が十分やっていけるのだ。高くても悪くてもということなら別でございますけれども、そうでない範囲におきましては十分やっていけるという確信を持ちましたので、特に特例法的な穴をあける規定を入れなかったのであります。それではそういうふうな、できるだけ中小企業のほうに落札なり入札をさせるチャンスを与えるということは、どういう点で確保するかと申しますと、先ほど私御説明申し上げましたように、この「方針」でございますが、「方針」の中には具体的な受注機会確保のための施策の内容を盛り込むことになっておりますが、そういうところで、予決も照らして、前向きのかっこうでやっていきたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/62
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063・栗山礼行
○栗山委員 御答弁いただきます前に私も実は少しあなたの御答弁、それから他の委員の先生の質問を読んだのであります。おぼろげながらそれを頭に全部整理しつつ御質問申し上げておりますから、できるだけ大臣いらっしゃる時間に勝負をつけたいと思いますので、できるだけ簡潔に願えればけっこうだと思います。
私はもっと素朴に、いろいろ苦心はある、苦心はあるけれども、でき上がったものを、小々まずくてもこれを買いたいという気持ちを持ちつつも、なおしかしこういうような方向で取り組めるかどうかというところに、これは中小企業を救うのだとか社会政策とかというような問題でなくて、私のとらえ方は日本の経済問題である、日本の産業問題である、それからまた大きな国の政治の取り組むべき課題であるという観点から中小企業問題を論ずるべきである、こういうふうに考えますと、基本法ができて、それに基づく明確な現経済産業状態に適する政策を推進するということがきわめて当然じゃないか、そういう観点から私は、基本法と基本政策の明示のないという姿に大きな失望を感じている。これは私の率直なとらえ方でございます。大臣、二十七日にわが党の麻生委員と、それから与党の浦野先生の御質問に対して長官がこういうふうに答えられているのです。影山長官は、努力して実現すべき方針の内容として、第一に、中小企業に対する発注のための量的な努力目標の明示ということを示されております。それから第二番目には、それを実現するために施策の方向の明示、これを浦野委員の御意見及び御質問に対しまして長官は答えられておるのであります。これは会議録がございますから、大臣は、この二つの長官の御答弁を政府の方針として御確認をなさいますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/63
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064・三木武夫
○三木国務大臣 努力目標ならそれでいいと思います。幾ら幾らというパーセンテージをきめてこれを確保せなければならぬということは実際に無理がある、だから、ある努力の目標を掲げるということは、これはそれでいいと私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/64
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065・栗山礼行
○栗山委員 これは努力目標じゃなくて努力目標の明示ということになっておる、これは実現するための施策の明示でありますから、ちょっと大臣のいまの御答弁——じょうずな御答弁をいただいたものとお尋ね申し上げていることとは少し違うのでありますが、非常に重要な問題でございますので、えらいたてつくようでありますけれども、ひとつ重ねて適正な御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/65
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066・三木武夫
○三木国務大臣 これはやはり努力目標を明示するわけです。明示せなければいかぬ。またその努力目標を達成するための施策も明示するわけで、長官の答弁、私もそれでいいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/66
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067・栗山礼行
○栗山委員 影山長官、そういたしますと、たいへん事務的なことになりますが、政府は、毎年、この法律が施行されるということになりますと、年度初めに中小企業に対する発注の努力目標を必ず公表するものと理解をいたしてよろしいかという点、それからもう一点は、来年度はこの努力目標を必ず実施する、こういう二点を踏まえてお示しになっておるかどうかをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/67
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068・影山衛司
○影山政府委員 先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/68
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069・栗山礼行
○栗山委員 そういたしますと、この努力目標としての発注割合を達成するための施策を明示する、こういうことになると思うのでありますが、これらの施策は非常に多種多様でございまして、年度を追いまして新規の政策が追加されるというふうな発展的な内容等も持ってまいると思うのでありますけれども、しかしそういたしますと、一貫した基本施策というものがなければならぬ、こういうことにまたこれは帰ってくると思うのです。ちょっと私の質問に不徹底な感を持たれると思いますけれども、逆戻りをいたしますが、いまのような努力目標の明示を必ずされるという前提になりますと、いろいろ多種多様の政策的な方向というものが積み上げられてまいる、こういうように理解いたしますけれども、やはり基本施策というものがなければそういうことにならないと思うのです。政府はその基本目標といいますか基本政策は一体何なんですか、長官にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/69
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070・影山衛司
○影山政府委員 基本的な目標、施策でございますが、これは明らかに、第三条あるいは第四条等にも書いてございますように、中小企業の受注の機会の増大をはかるという大目標のためにすべての施策を集中するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/70
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071・栗山礼行
○栗山委員 やはり政府案も、少なくとも私どもの解釈からいきますと、非常に大胆なことを言うようでありますけれども、会計法を若干改正しても中小企業の契約を増大していく方向、私どもはそういう考え方ですが、これが一点。それから二番目には、中小企業者に官公需の発注がいつ、いかなる形において行なわれるかということの周知徹底の方法の問題であります。三番目には、努力目標達成のための責任体制。やはりこの三点に私は尽きると思うのです。ところが、政府案の本文に規定しておりますのを見ても、これらの点についてこういうことが明らかに読み取れるものがちょっともないのです。それからまた長官の御答弁をいろいろ伺ってまいりますと、こういう責任体制というものの明示がないわけです。したがって、私がいま指摘いたしました三点について、一点ずつこれは明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/71
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072・影山衛司
○影山政府委員 会計法の特例的な規定を定めるということにつきましては、会計法の特別法をきめるということでございますので、冒頭に御説明申し上げましたような趣旨から、私どもといたしましては、会計法の範囲内でできるだけのことをやっていく、それでまた相当のことができると確信いたしておるわけでございます。
第二の周知徹底でございますが、これは、官公需の契約の手引き等を毎年出しまして官公需の発注の機会の増大のためのPRを相当やっておるわけでございますが、その基本的方針につきましては、第四条の方針を作成する場合に、施策の内容といたしましてそれを規定いたしたいというふうに考えております。
それから第三点の努力目標の達成のための責任体制でございますが、これもいろいろと具体的に必要があればその方針の中にも定めたいと思っておりますけれども、この法案におきましては、第五条におきまして実績の通知を受けまして、それと方針とを照らし合わせまして、不十分な点があれば、第六条におきまして各省各庁の長に対して要請をするということになっておりまして、そういう実効の確保あるいは責任体制のチェックということもできることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/72
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073・栗山礼行
○栗山委員 どうも時計をながめつつやっておるわけでありまして、これは、ここで一言私の意見があるのでありますけれども、またひとつ掘り下げたかっこうの機会が与えられましたら、この問題は長官とひとつ論争しなくちゃならぬと考えておりますが、今度はひとつ政府と社会党の御見解を伺いたいと思います。
端的に申し上げまして、政府案も社会党案も民社党案も同じく中小企業に対する発注増大ということを最大のねらいとして取り組んでおりますことは、共通の理解だと思うのでありますが、中小企業に対する契約を増加するためのこの法案は、会計法の特例法とみなせるかどうか、あるいは特例法でないのかどうか、これはひとつ、弱い法律論でありますけれども、重要な点でありますから、長官から承りたい。それから、社会党のほうからも同様にこれは御見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/73
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074・影山衛司
○影山政府委員 会計法の特例法ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/74
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075・田中武夫
○田中(武)議員 私もこれを立案したときには別に会計法の特例法をつくるという気持ちはございません。しかし、具体的な規定の中で会計法と競合するものがあるとするならば、新法は旧法に優先する、そういう考え方でいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/75
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076・板川正吾
○板川議員 政府案は、「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ、」ここに引っかけて特例法ではないという解釈をとっておるわけです。社会党は、第五条の後半で、いま言った大上段から特例法だということではありませんけれども、「官公需契約につき、国等がなす契約に関する法令又は公社等の定めの規定にかかわらず、指定業種に属する事業を営む中小企業者のみの一般競争に付することができる。」と書いてありまして、これは民社党案も同様でありますが、ここにこの部分において特例的な規定を設けておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/76
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077・栗山礼行
○栗山委員 田中先生の御見解は、これは会計法の特例法とは理解しにくい。ただしこの法案はやはり優先するものである、こういう御見解、いま板川先生からもちょっと伺ったのであります。長官、伺いますが、そうすると、あなたは、これは特例法でないんだと言ったが、これは第何条によってその点を理解して、特例法の除外例でないんだ、こういう法律の規定を一ぺん私に教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/77
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078・影山衛司
○影山政府委員 先ほど板川先生から御説明いただきましたように、第三条の規定におきまして、「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」という規定がありますが、これは会計法に準拠して行なうものという規定でありまして、特例法ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/78
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079・栗山礼行
○栗山委員 会計法の何条にそういうことがあるのですか。これはここに問題があるんです。きのう板川先生の質問されました「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」ということについては、これは非常に重要なネックです。よくわかるのです。だからこそ私どもは会計法の改正をしてでも中小企業の確保をはかるという一つの考え方を、突破口をやはり私どもとしては考えたわけなんであります。私は、いま伺いたいのは非常に問題になります「予算の公正かつ効率的な使用」というものは、その理解によって私どもはこれを是認したいのです。こういうワク内で是認をいたしたいのですが、特例法でないということについては、第何条の規定をもって特例法でないか。特例法でないという御答弁をされておるが、それをひとつしろうとの私にお示しをいただきたい、こういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/79
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080・影山衛司
○影山政府委員 第三条の先ほど申し上げました「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」という精神から会計法の特例法の規定ではないということになると思うのでありまして、明確にこの法律で会計法の特例法ではないということは規定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/80
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081・栗山礼行
○栗山委員 条文でなくて法の精神からそういう理解をいたしておるんだ、ちょっと法律論としたらあいまいですね。やはり条文が示されるということが当然な問題になってこようと思うのでありますが、これは深追いを避けておきましょう、こちらもしろうとでございますから。田中先生、あなたは法務大臣だからひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/81
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082・田中武夫
○田中(武)議員 いまの問題で、たとえばわが党案の第五条は、会計法の何条に定めてあるけれども、その特例法というような書き方をやっておる場合は、会計法の特例だと言えると思うのです。そういう意味で、会計法の定めにかかわらず云々という考え方ではないわけです。しかし一般契約の中で不特定多数といいますか、やるものに対して、特定の範囲をきめたというところにおいて契約の特例である、こういうように考えております。したがいまして、それが会計法のたとえば二十九条の六との関連でどうか、こういうようなときになりますと、私はやはりこの法律が、政府の場合はこの特例がないので、そういう点に触れられていませんが、わがほうは特例を持っておりますので、それがもしこのままで成立するならば、会計法との関係はどうかということなら、新法が優先する、そういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/82
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083・栗山礼行
○栗山委員 たいへん勉強さしていただきましてありがとうございました。それじゃ二点、ひとつ長官と社会党からずばり一言でお答えいただきたいと思います点は、私はどうも、現行の会計法のワク内でという一つの事態になりましたでしょう。現行のですよ。そうすると、これの官公需の確保とか、あるいは発注というようなことをいろいろ法文化するというようなことになりましても、これは中小企業の体質の改善のための一般の施策があれば十分なのであって、現行の会計法のワク内でということになりますと、あえて——社会党、民社党案ということになればこの法案の示すところが大前提、大目的があるのでありますけれども、政府案の内容なら、この政府案の原案を必要としないという私の推論になってくるのでありますが、これは政治論じゃございませんので、一ぺん長官から私の見解について所見を伺っておきたい。こんなものだったら必要ないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/83
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084・三木武夫
○三木国務大臣 私が答えましょう。これはやはりたいへんな法律だと思いますよ。第三条でこの努力の義務を課しておるわけです。これはやはり国及び公社、公団を倫理的にある程度拘束するでしょうね、この規定は。努力目標、努力しなければならぬ。それから第四条においては、その目的を達成するために方針をきめて、毎年閣議できめなければならないですからね。また五条、六条で、これに対して各省の長は実績をやはり報告しなければならぬ。それがまたこの法律の目的に沿うてないような場合は、通産大臣が要請できる権限も持っておるのですから、これはもうたいへんな法律だ。こういうものができたことによって、もしこの法律ができて空文化すればやはり政治的にも批判を受けるわけですからね、疑惑を受ける。毎年これが閣議でも決定して、この法律の実施というものが国会及び国民の批判の前にさらされるわけですから、私は栗山さんが、これはたいしたことではないということは非常なやはり認識不足だと思う、これはたいへんなことですよ。これはもう政府は受注を確保するために非常に努力をしなければ、国会あるいはまた国民の批判を受ける。これは非常な画期的な意義を持っている。だからこの法案の評価をあまり過小評価をしてもらいたくないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/84
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085・栗山礼行
○栗山委員 これはまだ順次社会党の先生に伺ってまいらなければならぬと思います。大臣にはこれは討論はいたしません。ただ大臣は、非常に卓越された高度の政治論を展開されているので、それについては私はよく理解できる。しかしやはり具体的に意味するものと、それから法律の条文に照らしてどうなのだ、こういう一つのとらえ方でやっているところの相違でございますから、この点はひとつ勝負預けということで、これは委員長に預けておきましょう。そうするよりしかたございません。
これに関連しまして政府にお尋ねいたしますが、会計法の第四十六条の第一項によりますれば、官公庁の予算の執行としての契約行為について必要な指示をすることができるのは大蔵大臣の権限であって、通産大臣でない。こういうふうに、私もしろうとでありますが、少しこれをながめてみますとそういう明示が法解釈でできるのではないか。ところが、政府案の第六条では、これを含む指示を通産大臣が行なうことにしているのです。これは会計法第四十六条第一項の改正を意味するのか、あるいは私の法律見解というものが間違ってこういうお尋ねをしているのか、その点は法律論として明確にお答えいただきたい。
〔河本委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/85
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086・影山衛司
○影山政府委員 大蔵大臣が予算の執行の面で指示ができるというのは、国の血税でできましたところの予算の執行という場合の適正かつ公正かつ効率的に実施をするという観点からの指示でございます。それから私どもが第六条につきまして要請をいたしますのは、その中では特に中小企業者の受注の確保をはかるという観点からの要請でございます。おのおの観点が違うわけでございます。両者の規定は併存し得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/86
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087・栗山礼行
○栗山委員 そうすると、あなたの御見解でいきますと、これは会計法の問題と、それからこの法案の通産大臣に与えられた権限内容というものは、会計法上の問題とは全然別途として扱うべきだというのが法解釈としての御答弁、こう理解してようございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/87
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088・影山衛司
○影山政府委員 あるいはダブる面があるかもわかりませんけれども、違う観点からの指示あるいは要請だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/88
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089・栗山礼行
○栗山委員 この問題もこれは法律論でございますから、田中法務大臣もおられますけれども、これは正式の法務大臣に会って法制局と検討を加えまして、後日この問題の適正な法解釈を求めたり、私のほうもひとつこれは勉強さしていただく、こういうことでこの問題はお預けをいたしておきたいと思います。
政府と社会党のほうにお伺いをいたすのでありますが、社会党案、民社党案はともに監督大臣を総理大臣にいたしておるわけであります。政府案は、官公需契約方針の作成に、閣議決定を経た後、通産大臣が方針の要旨を公表することとしている。すなわち通産大臣が本法施行の主務大臣となり、これに伴う実績の概要の通知、要請等を行なう、こういうことにこの法案が規定されております。そこで、私どものほうからいきますなれば、やはり内閣の最高責めをお負いになる総理大臣が中小企業政策の一環としての方向としてこの責めを持たれることが、あるべき姿でないか、こういう理解で民社党も内閣総理大臣、こういうふうな条文を設けたのでありますけれども、社会党が内閣総理大臣をということでお示しになっておるのは、民社党の見解と相違があるのか、社会党さんが独自な一つの見解に基づいて内閣総理大臣という責任の所存をお示しになっておるのかどうか、この点をひとつ田中先生、明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/89
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090・田中武夫
○田中(武)議員 社会党案が内閣総理大臣としておりますのは、各省庁の長に対して一つの拘束を与える法律である。したがって、通産大臣は一つの省庁の長ですから、やはりそれをまとめる内閣総理大臣のほうが適切である、こう考えております。さらに、政府案でいきましても、これは四条の二項で閣議の決定も求める、こういうことになっておる。閣議の決定ということを実施するのは各省庁の長ですから、そういうことであまり変わりはないのじゃないかと思うのですけれども、片方では閣議の決定ということもある、しかし、私は各省庁の長をまとめていくのですから、内閣総理大臣のほうが偉いかどうかは別としても、やはりその職制上内閣総理大臣のほうがいいのじゃないか、このように考えております。
なお、これは質問外にわたるかもわかりませんが、先ほど栗山委員が政府案について批判をなさいました。私も同じような考え方を持っておりますが、しかし、現内閣の手においてこの法律が出たということには私は一応の敬意を払います。しかし、この法律をずっと見た場合に、やはり第一条での受注の機会の確保、あるいは第三条ですかの予算の公正かつ効率的な使用、あるいは努力目標、こういうことになっておるのは、いわゆる常識内で、新しい一歩を踏み出しての考え方の上に立っていない、こういうように考えます。
それから先ほど来問題になっております第五条——社会党案、民社党案の第五条ですが、これはぜひなければ中小企業のほんとうの受注確保にはならない。これは特例といっておりますが、先ほども申しましたが、これは契約自由の原則に対する特例である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/90
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091・栗山礼行
○栗山委員 そうすると、引き続いて今度は社会党の基本政策についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。
わが党は、先ほどちょっと触れたのでありますが、やはり中小企業の官公需の発注の確保については、これは大胆に会計法を改正いたしまして、そうしてその前提に立って予算の公正かつ効率的な使用の範囲内で、中小企業に対する契約を最大限に拡大すべきである、こういう私どもの解釈でいっておるわけなんです。このような点について社会党の政策的構想といいますかをひとつお示しをいただきたいというのが一点であります。
それからわが党案について少し自画自賛になりますけれども、発注確保のための基本政策といたしましては、第三条で官公需の契約の割合の公表、こういう割合の公表という明示をいたしております。第四条では割合達成の努力であります。第五条では契約の特例、必要によって契約の特例によって中小企業者の入札をなし得る、こういうことでありますから、これは特例であります。それから第六条に発注に臨んで中小企業者への配慮ということを、これは特に入れたのでありますが、これはやはり入札でございますとか、契約の問題でございますとか、やはりできるだけ中小企業の発注の確保を前提とする、いわゆる中小企業者に対して飛び込んでかくしなさいという政府の中小企業政策の施策の方向を、飛び込んで迎え水をかけて持ってこなくちゃならぬ、こういうことでなければ今日の中小企業政策の意味するものはない、こういう考え方でこの第六条に入れたのであります。これが私どもの一つの考え方でございますが、社会党の政策構想としての、いま民社党の見解を示しつつ、それらの点について御見解をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/91
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092・田中武夫
○田中(武)議員 社会党の中小企業に対する政策、これは何も官公需の発注の確保だけではなくして、広くわたって、今国会にもたとえば中小企業省の設置、組織法あるいは事業分野あるいは紛争調整、いろいろの分野にわたって考えております。その一つの法案であります。したがいましてわれわれといたしましては政府案のように機会を与えるということではなく——機会を与えるということならば憲法ですでに保障せられておるところであります。ところがしかし私は機会を与えるということでなくて、より積極的に、たとえばお示しの第五条のような条文を置いて、積極的に中小企業へ発注がいくようにしたい。そうでなければ、ただ、いままでのような状態であれば、すべてのものは大企業へとられてしまう。しかも実際仕事をしておるのは下請あるいはその下請というかっこうで中小企業が仕事をしているのじゃないか。言うならば中小企業が仕事をして、そうして大企業はその間の何と申しますか、リベートというのか、利ざやというのですか、何か知りませんが、それをピンはねをしておるのだ。それならば直接中小企業に仕事をさしたらいいじゃないか、積極的に中小企業の仕事の量を増すのだ。ことに国あるいは国の機関等々は、それはすべて税金である。したがって、それは中小企業へ多く還元するようにしてやる。そうでなければいわゆる経済の二重構造の解消にはならないのだ。したがいまして社会党の中小企業政策の基本理念を一口で言うならば、経済の二重構造の解消を目ざしておる。その二重構造の解消のための一つの施策としてこの法律案を提出した。そうしてその各条項はおおむね民社党と変わりございませんが、それぞれの条文は同じような観点に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/92
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093・板川正吾
○板川議員 別な観点からちょっと補足します。
いま提案者である田中委員から社会党中小企業政策委員長としての発言がありました。この政府案と社会党案の根本的な差は、中小企業の現状をどう見るのか、中小企業に対して社会政策的な見地から対策を考えるかいなか、こういう点が根本的な政府案との違いだろう、こう思うのです。社会党の考え方は、いま田中委員が申し上げましたように、経済の民主化をはかって二重構造をなくして国民経済の健全な発展に資する、こういう基本的な考え方の上に立っております。政府案は、自由競争の原則をくずさないのだ、ただ、同じものであれば中小企業になるべく多く注文をするような姿勢をとろう、中小企業も大企業に負けないように、品質的にあるいは工事も内容的に成長してほしい、こういうふうなことであろうと思う。しかし、いまの社会経済体制の中で、中小企業が大企業と競争して勝てるという条件は、これは特別の例以外にはないのです。もうそれは一般原則的にいえば、中小企業は大企業に自由競争の中では負けることは当然なんですね。そういう中で自由競争の原則を踏まえておれば、これは中小企業政策をどんなにうまく書いても、絵にかいたもちではないか。だからほんとうに中小企業の発展に資するんだというならば、政府案の根本的な思想を変えて社会政策を加味するんだ、こういう起点の上に立たない限りは、実は絵にかいたもちになりかねない。大臣はたいへんなことだと言われますが、そういう絵にかいたもちではないかと言われるものもあるわけです。そこが社会党案と政府案の根本的な違いだろう、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/93
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094・栗山礼行
○栗山委員 私は昨日大臣の御答弁を伺っておったのでありますが、経済合理主義という一つの貫いた立場において中小企業の官公需の確保の方向に持っていくべきだというのと、板川先生の見解は、いまお示しになったような論争点を、これも平行線のものでお伺いいたしました。栗山私案も持っておりますが、これは時間がございませんから、ひとつ御見解を承ったということにいたしましてなににいたしますが、ちょっと長官、きのうのとそれから二十七日に、あなたが、三十八年の中小企業の官公需の確保は、一切ひっくるめて四三・八%である、これは地方自治体も入れてですね。そうですね。それで地方自治体の高率的なものと、それから政府及び公社というもののまことに低い率、それをトータルしたものが四三・八%である、こういう三十八年の例をお示しになった、こう私は理解をいたしまして、進めてまいって間違いございませんね。そして目標としては、長官は五〇%を一つの目標に置いて将来取り組んでまいりたいのだ。それをどの時点でどういう年次計画のもとに五〇%というようなことを、お伺いもいたさなかったのでありますけれども、問題はやはり毎年——きのう板川先生裏話がございましたように、金額の問題でなくてシェアの問題ではないか、それは年々拡大するというところにやはりこの法案の意味するものがあるのじゃないか、こういうことでありまして、私は政府に一番言いたいことは——これで私どもと異なった点は、政策上の柱の問題政策上の柱の問題というのは受注の機会の増大ということなんです。あるいはまた発注の確保の増大、強化、こういうことがやはり政策としてあらわれてこなくちゃならぬ、こういうふうに私は考えておるわけなんです。これがなければ、先ほど申し上げましたように意味をなさないのだ、こういうふうに私の見解が落ちつくわけなんでありますが、いま申し上げましたように、四三・八は、まことにいいものをひとつ含めて、そして足らざるものもこういう目標のもとにやるということなんでありますが、この点はやはり責任と目標が立てば、どういう努力目標と、それを年次的にどう進めてまいるのだ、こういうことがなければこれまた長官は、非常に御答弁がうまいということだけで、見て美しいけれども、食べたら味がないのだ、こういうことになるとどうかと思うので、ひとつ明確な所信といいますか、これを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/94
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095・影山衛司
○影山政府委員 地方公共団体の受注のシェアを含めて四三・八%を五〇%に持っていきたいということは、私どもの理想といたします念願でございます。それでこれをいかなる手順で、年次計画で持っていくかということは、今後私どもも一生懸命に勉強いたしまして、各省庁とも相談をいたしまして、やってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/95
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096・栗山礼行
○栗山委員 与党の浦野先生にお答えなさったことと同じくされておる。それでは意味がないのだと言って浦野先生すらあなたに叱咤激励をされたのです。これを思い浮かべまして、私は、日も変わっておる、こういうことからもう少しあなたの具体的な決意の方向というものは、日とともに進歩する、こういうことで伺いたかったのでありますが、やはり一つも変わっておらぬというところに若干残念な感もいたします。しかしなかなか言外の内容もおありになる長官のことでございますから、十分ひとつ御賢慮を願っておきたいと思います。
それからついでに事務的な問題でありますが、政府案の第三条で、中小企業の組合を契約の相手方として活用するよう配慮する旨を法定されたということは、私は高く評価いたしておる、これは卓見であります。まことに敬意を表することにやぶさかではございません。しかし影山長官は、組合とは協同組合をいうと説明されたと思います。そうですね。——第二条第一項第四号にいう「組合」の範囲を具体的に明らかにお願いしなくちゃならぬ、こういうことであろうかと思います。これが第一点であります。
第二点の問題については、これらの組合に対する発注の機会を増大していくということについては、組合の育成指導というものが非常に重要な対策上の問題になるのでないかと思いますけれども、組合を入れるという規定だけであって、この組合がそういう方向に沿っていくように施策として取り組んでまいるということを法文で明らかにされておらないのでありますが、この点をひとつお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/96
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097・影山衛司
○影山政府委員 組合の範囲でございますが、事業協同組合あるいは事業協同小組合、その両者の連合会、商工組合、その連合会、それから企業組合も含めます、その他必要に応じまして商店街振興会あるいは環境衛生同業組合等も含めていきたいというふうに考えております。一方におきまして、この協同組合等組合員を契約の相手方として活用する際に受け入れ体制といたしまして、組合の責任体制がはっきりしていなければならない、あるいは検査設備等もはっきりしていかなければならない、それから受注体制、共同受注体制をはっきりしていかなければならないというふうな受け入れ体制も非常に必要なわけでございまして、現状では、協同組合等におきましても、なかなかその受け入れ体制が整っているものは少ないわけでございまして、私どもといたしましても、今後組合の指導育成の方針といたしましては、そういう方向で強力に推進していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/97
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098・栗山礼行
○栗山委員 もう一点でございますからお許しをいただきたいと思いますが、最後に、わが党の案は、第九条で、中小企業官公需確保審議会というものを設置する、こういうことにいたしております。社会党さんは、これはこの内容がないのであります。これは民社党が入っておるから社会党は入れない、そういうような感情論はないと思いますが、私どもはこれは非常に多岐にわたる専門分野の問題であるから、中小企業審議会によってこれを扱っていく、こういうことでなくて、やはり権威ある官公需の専門の審議会というものを特に設けてこれは取り組んでいく必要がある、こういう見解から私どものほうは第九条にこれを入れておるというのが私どもの精神でございますが、田中先生はこの間私はちょっと理事会のほうで伺いましたところによると、やはり中小企業審議会のほうで、これは部会あるいは専門部会というようなことで取り組んだらよろしい、きのう長官の御答弁を伺っておりますとそういうふうなことを御答弁された。そうすると、審議会の性格からこれをひとつ官公需確保の専門部会あるいはそういう部会ということでやるというものについては若干性格を異にする、任務を異にするものなんでありますから、私は必ずしも同意、理解しにくい、こういうことなんでありますが、もし長官がそういうことを考えておられれば、明らかにこれの重要性にかんがみてあるいは効率的な効果にかんがみて、そういう方向を明示するということが必要であったのではないか、こういうような疑問もここに起きてまいるので、社会党の第九条に対する見解あるいは長官の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/98
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099・田中武夫
○田中(武)議員 社会党の案も最初はこの審議会が入っておったと思います。ところがその後中小企業基本法が通りまして、そこで中小企業政策審議会というのができ、これは一がいには言えませんが、現在大体議運等あるいは政府もそうであろうが、方向はあまり審議会を多くつくるのはどうかというような一つの流れもあります。そこで中小企業基本法に基づく中小企業政策審議会ができたのだからということで、実は九条をはずしました。最初はわが方も盛っておりました。そこで、それでは専門的な問題では、こういうことであるので、前にも申しましたように、中小企業政策審議会の中に専門部会なり等々設けましてこの役割りを果たすことも可能ではなかろうか、こういうような考え方から実は最初あったのを削ったわけでございまして、民社党と違いを出すために削ったのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/99
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100・影山衛司
○影山政府委員 中小企業政策審議会の権限関係でございますが、御承知のように中小企業政策審議会は中小企業基本法の第二十八条及び第二十九条に基づいて設置されておりまして、この第二十九条におきまして「審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。」ということになっております。この基本法の第二十条によって、中小企業者に対する受注機会の確保の条文もございますので、当然これに属しておるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/100
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101・栗山礼行
○栗山委員 ちょっと時間を超過して申しわけないのですが、昨日の理事会の決定の趣旨にかんがみまして、若干民社党の提案いたしております問題の本旨等も踏まえて、政府案及び社会党案に御質問をいたしました。
そこで結論を申し上げますと、やはりどうも恋人で何とか寄り合いたいという気持ちを持ちつつも、結合するのにはもう少しいろいろ条件が足らないようなものがあるんじゃないか、こういうふうに御答弁を承りまして感ずるわけですが、しかし何としても恋人にならなければいかぬ、こういう課題は——私は政府の三木大臣におこられると思うのですが、私は過大評価しつつなお足らざるものがある、こういうことで申し上げたのでありまして、そういう点から見ていろいろ結論を私大臣とそれから社会党の御見解を承っておきますのは、これは三派鼎立ではございません。そうじゃなくて同じ共通の基盤と何とかしたいという願いを持ちつつ、若干の距離やその味つけに相違がある、こういうことが露出したことだけは明らかになってまいりました。そこでこの問題、法案を通すために、やはりいかなる態度で政府は臨むべきか、社会党及び民社党の入れておることも、民主主義の原則に基づいてそれを生かすという何らかの処置をとってこれを通すという内容であるかどうか、あるいは社会党さんもやはりこの問題の相違点が明確になった以上、どうこれを取り扱うか、こういうふうないろいろ御見解のほどもあろうかと思うのでありますが、民社党案を申し上げますと、何とかしてひとつ社会党さんも政府についても、これは三党でいい味つけができれば、私どもきん然これに通過への努力を惜しむものでない、こういう結論を申し上げて、大臣と社会党のこれは明確な御決意を承りたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/101
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102・三木武夫
○三木国務大臣 この三党の法律案の目標というものは、目ざすものは一緒である、たいした違いはない。ただそこで自民党内閣がこういう法案を提出したということは、これはやはり相当な評価を受けなければならぬ、そういう意味で今回の場合は政府の原案について歩み寄っていただいて、将来この問題がいろいろ改正する必要も起こるでしょうが、しかし、とにかくこの法律案ができるということは、栗山さんはたいしたことはないじゃないか、私はそう思わない。これは将来政治的ないろいろ批判を政府が非常に受ける法案でしょうね、努力しなければ。そういう意味でこの法案というものは相当将来に向かって政府の努力も拘束するものであるし、これを出したという自民党の勇気、英知に敬意を表してもらって、そして今回は原案でこれを皆さんが通過に協力願うということがいいのではないか。ただ多少のニュアンスが違いますのは、われわれはやはり一つの経済に対してできるだけリベラルな考え方をしようと思う。だから中小企業者も努力してもらいたい。社会政策と板川さん言われますけれども、それはやはり無利子の金とかああいう金利を安くするとか、そういう点で社会政策的な意図も要るでしょうが、官公需の需要というものに社会政策的な考えをしたくはない。やはり大企業に比べて値段の点でもあるいは内容の点においてもそれは劣らないということでなければ、もし社会政策的な意図があるならば他の政策においてすべきで、官公庁の需要確保というものをあまり社会政策的に考えることは、予算執行の全体の姿勢を乱すと私は思っておる。そういう点で、この点はほかのほうで大いに社会政策的に考えるべきで、そういうことを考えますと、多少はやはり中小企業者も、いろいろな社会が足の弱い者に一列に足をそろえろという考え方には同意できない。足が弱くても将来はみな自動車に乗せていけるような、馬に乗った人も、自動車に乗った人も、弱い人に足をそろえようという考え方はわれわれはとらない。足の弱い人も馬に乗せ、自動車に乗せられないか、そういう努力の余地を残しておくことがやはり社会の発展のために必要なんではないか。だからこういうふうな、たとえば機会にしても、いろいろな点で不利な点があっても機会が増大しているので、やはり中小企業も努力してください。ただ何でも、安くても高くても、品物が悪くても、中小企業なるがゆえにこれを使わなければならぬというような考えで甘やかすことは、かえって中小企業のためにもよくないのではないか、そういうことの多少のニュアンスの差があると思う。これは社会主義政党と自由主義政党との多少のニュアンスの差だと思いますが、しかしこの問題に関してはあまりねらっておる目標というものはたいして違わないのではないか、だから政府原案に皆さんが同調願うことは社会党、民社党の主張を本質的に曲げることではない、これをつくったことに非常な意義があるので、皆さんが与党に敬意を表して原案どおりひとつこれは通過するように努力をしてもらいたいとお願いをする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/102
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103・田中武夫
○田中(武)議員 政府案と両社案が出ております。これは先ほど来議論になっておりますように、いわゆる方向としては同じ方向に向かっておることは間違いございません。したがいましていま大臣も申されましたが、現内閣のもとにおいて通産省がこれだけのものを出すことは相当な勇気が必要であったということについては私はこれを称賛するのにやぶさかではございません。しかしやはり政府部内といいますか、あるいは各省庁間の問題等がございまして、通産省では表現といいますかまだ十分に法定ができなかった問題もあるんじゃなかろうか、そういう点こそわが商工委員会において補足していくべきじゃなかろうか、私はこういうように考えております。そこで栗山委員は民社党の立場からずばり申されましたので、私社会党商工部長としてずばり申し上げます。
政府案を中心に、両党案を対比をしながら政府としてやりたいが、いま申しましたような内閣の内部においても十分に表現できなかったところ、そういう点は足らざるを補っていくという態度でもって今後協議を続けていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/103
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104・栗山礼行
○栗山委員 たいへん時間をとったのでありますが、大臣のおことばもお伺いいたしました。板川先生の言もございますけれども、政府の考え方、社会党の考え方の驥尾に付しまして、ひとつ何としても、これはよかったという成果をあげるように、民社党も議会制民主政治の政党の本旨を発揮いたしましてこれの通過を望みたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/104
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105・板川正吾
○板川議員 いま大臣が、社会党は社会政策オンリーであって高くても安くてもそれを注文しろ、こういうふうな誤解をされております。社会党案は、社会党の考え方も、決して高くて悪いものを注文しろといっているのではないのです。ただ政府案のように、自由競争経済の原則という点であまりその原則にばかり立っておれば、この法案の目的である中小企業者に実際に発注するということはおそらく増大しないだろう、こう思うのです。だから増大させるため、法律の目的を果たすためにはどうしてもそれに社会政策的な見地を加味しなくちゃならぬじゃないか。社会党の立場にはその加味する度合いが大きいです。しかしいまの政府でも私はそういう意味において加味してもいいじゃないか、ある部分入れてもいいじゃないか、こういう主張をしておるのであります。高くて悪いものを社会政策上どんどん注文しろ、こういう趣旨をいっておるんじゃないし、経済の原則もわれわれは全く否定しているわけではないのです。ただ、いまのこの法案で、中小企業者の発注の増大を自主的に確保するためにそういう観点が必要だという点を、政府の考え方の抜けている点を私どもは強調したのでありますから、その点誤解のないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/105
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106・天野公義
○天野委員長 次会は明後十三日金曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03419660511/106
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