1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月三十一日(木曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 野田 武夫君
理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君
理事 藏内 修治君 理事 始関 伊平君
理事 壽原 正一君 理事 多賀谷真稔君
理事 松井 政吉君 理事 八木 昇君
大坪 保雄君 神田 博君
田中 六助君 中村 幸八君
西岡 武夫君 三原 朝雄君
滝井 義高君 中村 重光君
細谷 治嘉君
出席国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
出席政府委員
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
通商産業事務官
(重工業局長) 川出 千速君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 熊谷 典文君
委員外の出席者
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 吉光 久君
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第五三号)
産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五四号)
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第五五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/0
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001・野田武夫
○野田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/1
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002・滝井義高
○滝井委員 大臣が来られておりませんから、審議に協力する意味で条文上の問題を先にして、私は十一時までしか質問できませんから、あとは多賀谷さんにしてもらって、大臣を必要とする問題はあとでまた一括してやらしていただきます。先日質問をいたしまして、原油関税に関連する資料をいただきましたが、その資料の問題点も次回にやらしていただきます。
そこで、きょうは、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律について質問をいたします。他の産炭地関係のものは次に譲らしてもらいます。
まず第一に、今度のこの石炭鉱業合理化臨時措置法の改正で、機械の貸与をやることになっておるわけです。一体、炭坑の近代化に必要な機械というようなものは、どういう範囲のものがこの場合に炭坑の近代化に必要な機械ということになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/2
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003・井上亮
○井上政府委員 これは必ずしも狭い概念ではございませんで、やはり大手、中小両方にこの機械貸与制度を適用いたしたいと考えておるわけでありますが、大手につきましては、新型の機種、たとえば、国内でまだ開発されていない、輸入によって開発していくというような、いわば新規機種でございますが、そういうようなものを中心に大手については考えていきたい。中小炭鉱につきましては、もちろん新規も入れますけれども、新規に限りませんで、坑内の採炭、運搬、掘進というような点についての機種を考慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/3
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004・滝井義高
○滝井委員 この予算上の関係は一体どういうことになるのですか。その場合に、大手に貸す分については、最新式の、外国からでも輸入した新しいものを貸す、中小のものは、これは坑道の条件その他もそれほど大型のものを使うほどのものではないでしょうから、必ずしも新しいものを貸すことにはならぬと思うのですが、その予算上の比重というのはどういう形になりますか。たとえば、中小炭鉱で言えば、中小炭鉱の機械化に二億八千万円という出資金もあるわけですね。その出資金との関係もあるわけです。その予算というのは、大手、中小はどういう割合になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/4
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005・井上亮
○井上政府委員 御指摘のように、出資金による中小炭鉱の機械化の問題もすでに既存の制度としてあるわけでございますが、これは、御承知のように、出資金といいますのは合理化事業団に対する出資でございまして、合理化事業団から貸し付ける。ですから、これは一般の合理化事業団からの融資になるわけでございます。今回新しい制度として貸与制度を始めたわけでございますが、これは、予算項目としましては炭鉱機械化促進出資金ということで、同じ出資金ではございますが、これは実は機械貸与の出資金という意味でございまして、予算は新規のものにつきましては三億ついているわけでございますが、三億のうち、大体二対一くらいの割合で、二が大手、一が中小というような配分で運用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/5
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006・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、中小炭鉱というのは非常に数が多いわけですね。大手は数が少ないわけですが、二対一というと、中小に一億くらいの金がいくことになるわけです。そうしますと、いまあなたの言われた合理化事業団の出資金の炭鉱機械化促進出資金、これは出資金となっておるけれども機械を貸す。それから、いままでありました、四十年度三億円で四十一年度二億八千万円の中小炭鉱機械化出資金、これとの関連は一体どうなるのか。たとえば、出資金を合理化事業団から借りて機械を買い入れた炭鉱にはもう機械は貸す必要はない、こういう問題があるわけですね。そこらの使い分けをどうするのか。大手ならば多々ますます弁ずるでしょうけれども、中小に一つのところに二つのものがいくということもなかなか問題があるように思うのですが、そこらの行政上の指導の状態はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/6
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007・井上亮
○井上政府委員 中小炭鉱機械化出資金のほうは、御指摘のように、これは同じ出資金ではございますが、中小炭鉱に貸し付ける、つまり、機械、を買いたいという場合にその資金を無利子で貸し付けるということでございまして、片方の機械化促進出資金のほうは、事業団が機械を買いまして、所有権は事業団にありまして、その機械を貸し付けるということになるわけですが、この二つの制度を併用していろいろ中小炭鉱の近代化に裨益してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、そういった趣旨からしますと、重複してももちろん差しつかえないわけでございます。ただ、しかし、実際問題として、この貸与制度の機種は、どっちかといいますと新規開発機械が中心になろうと思いますので、その面で違いはございます。しかし、新規開発機械が中心であるからといって、それじゃ資金の貸し付けのほうでそういうものを貸し付けないかといえば、必ずしもそうではございませんから、もちろん重複する場合もありますが、しかし、貸与のほうは、通常融資ベースに乗りがたいような場合に、そういった新規機種を中心に運用してまいりたいというふうに考えております。
なお、本年度は機械貸与は三億円ということになっておりますが、これは、初年度でございますので、テストケースとして、大手二億、中小一億ぐらいというような割合で機械貸与の運用をやってまいりまして、成績がよろしければ、次年度以降この貸与制度をもうちょっと大幅に考えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/7
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008・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この中小炭鉱機械化出資金を貸し付ける場合の基準があるわけですね。それから、機械を貸与する場合の基準、これは一体どの程度の力があったらそういう機械を貸すことになるのか、何か基準を示しておかぬと、どこにもここにもというわけにはいかぬと思う。というのが、「石炭坑の近代化」、こうなっておるわけですね。だから、昔ながらのことをやっておるところに貸すことにもなるような感じがするのだが、そういうところでは、その借りた機械の維持管理の費用が要るわけです。その維持管理の費用というものは一体だれが責任を持ってやるのか、これは事業団のほうが維持管理の経費までその炭鉱に機械を貸すときにはつけてやることになるのか、ここらあたりとの関係も出てくるわけです。したがって、出資をした金を貸す場合の基準と、促進出資金で買った機械を貸す場合の基準と、そして、借りた機械の維持管理というものはだれが責任を持つのか、その経費はどこから出すのかという点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/8
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009・井上亮
○井上政府委員 和様石炭坑の近代化に関しましてやはり貸与するわけでございますので、貸与制度の適用を受けたいと言われます、たとえば大手、中小炭鉱の方々は、やはり一つの近代化計画というものを一応合理化事業団に出していただく。その近代化計画の中で、そのほしいと思う貸与機械をどのように運用して近代化していくかというような計画を出していただきまして、その計画が適切であるかどうかというのをやはり合理化事業団としては一応審査することになろうと思います。それから、同時に、一般論としましては、まあ一応どなたにも、およそ炭鉱を経営している方でしたら差別なく貸与するわけでございます。ただ、しかし、やはり貸与料の支払いもできないようなところにちょっと貸すわけにもまいりませんので、合理化事業団としましては、石炭坑の近代化に関しまして適切な計画を持っているということと、同時に、これを的確に遂行するに足るだけの経理能力といいますか、経理的な基礎がありまして、そうして貸し付けました機械を効果的に使用できるというような条件を審査しまして貸し付ける。ただ、一般論としては、だからといって特に一般的に排除する条項はございません。ただ、貸し付けを受ける者について、そういう点と、貸し付けの代金といいますか、賃貸料をいただくという立場からの審査はする。
それから、管理の費用でございますが、これは、まあ貸し付けに伴います事務費等につきましては、当然合理化事業団の事務費で負担する。しがし、借りました以後における管理の費用は、管理といいましても自分が使用するわけでございますから、これは当然借りました者が負担するということに相なる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/9
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010・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、機械を中小炭鉱に貸与する場合には、その経理能力というものが必要だ。賃貸料はとる。事務的経費は事業団が負担するが、借りたあとの修理その他の管理等はこれらの借りた鉱業権者がやる。こうなりますと、ここに何か賃貸料というようなものを省令その他で定めなければいかぬわけですよ。そういう規定が法律には何もないわけですね。ぼくは実はこれはただで貸してくれるものかと思っていたんです。ところが、これは賃貸料をとる。それで、それほどの機械だということになると、経済的な能力のほかに技術的な能力というのが必要になるわけです。大事な機械を貸してやったところが、使いきらぬで、へたな技術者がいじってこわしちゃったということになると、これはたいへんなことになる。したがって、そうなりますと、賃貸料は一体どのくらいとるかということのほかに、それを操作する技術者の養成ということをやはり国がやらないといかぬのじゃないか。たとえば、立て坑一つ掘るにしても、シーメンスの立て坑を掘ると、ドイツのシーメンスから技師が泊りきりでやってきているんですね。そうして、その機械の管理運営等の指導については、ずっとおってやっているですよ。そうしますと、近代化するためにそういう新しい機械を入れてやるとすれば、当然、近代化計画というものを炭鉱に出させる見合いとして、おまえのところにこの機械を今度貸すから、三人なら三人は技術修練のために講習をここで受けさせろとかいうような制度がマッチしていかないと、これは画竜点睛を欠くことになるわけです。
それで、賃貸料というものについて、私はいままでこれは無料で貸してくれるものと思って意気込んでいたんだけれども、賃貸料をとるとしたら、こういう機械にはこの程度の賃貸料をとるということを、きょう答弁しなくても、一覧表でも出してもらいたい。しかも、その近代化に必要な機械の種類なんか、これは省令で定められるわけです。そうすると、こういう機械については一年にこれだけの賃貸料をとる、そして、そういう機械を貸すならば、その技術者というものはこういう技術的な資格のある者でなければこの操作に困りますとかいうものが同時についてこないといかぬと思うのですよ。そういう形のものを当然しておかないと、野方図にそれを貸したら、貸しくれたまえになっちゃうんですよ。ぼくはそこらをまず心配するのです。いずれこれはあとで大手のことについても質問しますが、政府が言うように交付公債を将来貸すというと、これは交付公債を返す能力はいまの炭鉱にはないですよ。見通しとしてはないですよ。そうすると、これはもう棒引きになる可能性が十分ある。と同じように、機械を貸したら、貸しくれたまえになる可能性が十分にある。それなら、貸しくれたまえになるはなってもいいから、それを使う技術者がおらぬと、機械を借りたって、もうどっかの銀行に担保に入れちゃったというようなことが起こったら、これはたいへんだ。中小炭鉱はえてしてそういうことがあるのですよ。ですから、そこに使う技術者がいれば、これは使うことになる。やはりそこらのかゆいところに手の届くような政策的配慮だけはしておく必要があると私は思うのです。この点に対して、きょうもし御答弁ができなければ、種類と料金表ぐらい出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/10
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011・井上亮
○井上政府委員 お答えを申し上げます。
貸し付け条件につきましては、細目は目下関係方面といろいろ検討中でございますが、ただ、ただいま考えております骨子を申し上げたいと思います。貸し付けの期間としましては、それぞれの機械に法定耐用年数というものがあるわけでございますから、これを勘案いたしまして期間を定めたい。
それから、貸し付け料がどの程度かという問題でございます。これは、合理化事業団が機械を貸与するわけでございますから、合理化事業団はもうける必要はございません。したがいまして、合理化事業団が買いました原価、それを、耐用年数もございましょうから、耐用年数で勘案しまして、減価償却額を中心に貸し付け料を算定いたしたい。しかも、それは、まあ中小炭鉱の方が多いと思いますので、この貸し付け期間中、年間一本でとるなんということをしないで、半年賦で貸与料を支払ってもらうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/11
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012・滝井義高
○滝井委員 ちょっと、私もその炭鉱の機械の種類をよく知らないのですがね。したがって、できれば一ぺん、この種類を省令で定めることになるわけですから、どういう種類のものを貸すということと、それから、ホーベルならホーベルを貸したら、貸し賃は一年に幾らとるというぐらいのことはわかりませんか。そして、それに対する技術者というものはどういう技術者が必要なんだということ。これはだれでもできるというものではないですよ。やはり相当な技術者でないとできない。だから、そういう技術者というものは、こういう機械を貸したらどういう資格の技術者が何人必要だというぐらいの一覧表をつくって出してもらいたいと思うのですよ。これはどうしてそういうことを詰めるかというと、御存じのとおり、いま中小炭鉱の皆さん方は、今度の政府の政策というのは、大手と中小の政策を見ると、中小には非常に冷淡じゃ、われわれは大手の半分も石炭を出しておるのに、われわれをつぶす気か、そういう気持ちがあるわけです。だから、やはりそういう表をつくって、料金はこのくらいだ、こういう機械を貸すのだということを明白にしてもらう必要があると思うのですよ。われわれもいままで石炭政策についてはだいぶんきめこまかくやっておったつもりでおったんだけれども、どうもちょっとじょうずの手から水が漏れるようなところもあった。何とか審議会というのにばかりまかして、その結論を拳拳服膺する形だったんだけれども、もう上から来たものだけでは納得ができなくなっちゃった。いろいろ諮問委員会の諸先生方にはお気の毒だけれども、その先生方の言うことばかり聞いておったので、石炭企業というものはもうどうにもならなくなったんだから、あの先生方の意見も参考にはするけれども、やはり国会が相当積極的に乗り出さなければならぬ。それは、まさに、石炭と医療問題と、この二つがそうですよ。諮問機関の意見ばかり聞いておったのでは、ぬかるみがますますひどくなって、どうにもならぬ。どろ沼の中にみずからおばれてしまうような状態ですよ。だから、非常にこまかいことを言うようだけれども、こまかいことを出してもらって、それを確認して実施するという形に持っていかざるを得ないと思うのです。仏の顔も三度までというけれども、三度拝んだが、だめだった。したがって、そういうこまかいところをひとつ出してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/12
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013・井上亮
○井上政府委員 先ほど答弁を一つ漏らしたわけでございますが、こういう機械を貸与いたしますときに、先ほども御説明申しましたように、新型機種が多いと思いますので、一体中小炭鉱あたりに適切な技術者がいない場合にどういうふうにするのだというような御質問かと思いますが、その点につきましては、私ども全くそのように考えております。大手につきましては、御承知のように、相当使いこなすだけの技術者がおられると思いますけれども、中小炭鉱の場合は、やはり新型の機種ということになりますと、なかなかこれを使いこなされる方が少ないと思います。そこで、私どもとしましては、運用の問題といたしまして、合理化事業団が貸与いたすわけでございますので、合理化事業団は単に商売として貸与するわけではないので、やはり、炭鉱を育成していく、特に中小炭鉱については大手と違ってきめこまかい指導をしてやるということが必要だと思いますので、合理化事業団の技術者がみずから、貸与されました中小炭鉱に対して指導あるいは技術的援助をするといいますか、そういう親切な運用をしてもらいたいというふうに考えております。御承知のように、合理化事業団には相当その道に習熟したエンジニアも多いわけでございますので、この貸与に関連いたしまして、あわせて中小炭鉱の助成・育成のために特にそういう運用を考えている次第でございます。
それから、なお、先ほど資料の点を仰せでございますが、資料については、貸し付け対象機種といたしましていま考えておるのはいろいろございます。たとえば、レンジング式ドラムカッターとか、多段式切削刃を有するホーベル、ステーブルマシーンとか、全断面掘進機とか、坑道拡大機とか、あるいは急傾斜採炭に必要な自走支保の機種とか、いろいろあるわけでございますが、こういった問題につきまして、ただいま具体的にはいろいろもっと広く検討いたしております。ただいま申しましたのは一つの例示でございまして、なお、貸し付け条件につきましても、一般の方針論としては、先ほど申しましたような方針で考えております。具体的に幾らかというのは、その機種の価格にもよりますので、もし資料で提出するといたしますと、私がただいま申しましたような、貸し付け制度に関連して全貌のわかる程度の解説的なものにさしていただきたい。金額は幾らかというところまでは、まだ目下関係方面と検討中のものもございますので、ただその算定の考え方というような点。方針はもうそういうふうに考えております。それから、機種等についても、例示程度はできますが、まだ全貌というところまでまいらぬ点もありますので、まあそんなような程度の資料でお許しをいただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/13
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014・滝井義高
○滝井委員 資料はそういうことでいいと思うのです。私もよく知らないのですけれども、いま言われたようなホーベルならホーベルで、いまあなたの言われた方式で言えば、原価で、もうける必要はない。そうすると、その原価を五百万円なら五百万円とすると、その五百万円の機械をAならAという炭鉱にずっと貸し切りになってしまうのか、それとも、Aに二年貸す、その次はBに二年貸す、Cに二年貸すということになるのか、いずれにしても、この機械の耐用年数は六、七年ということになれば、それは六年か七年の間に原価を取り戻すような賃貸料が出てこなければならぬわけですね。だから、そういうあなたがいま考えておられるような重要な機種を書いていただいて、そして、その価格というものを書いていただいて、これは一体耐用年数がどの程度でだめになる、だからおよそこの使用料というものは一年でどの程度になるだろう、そしてそのためにはどの程度の資格の技術者が必要だというくらいのことを参考のために教えていただきたいと思うのです。そういう点をしておいてもらえば、今度中小企業の皆さん方が機械を借りようとすれば、一体おれのところはこれだけの機械を借りる力があるかないか、いわゆる経理的能力があるかどうか、同時に、みずからも職員の技術的な能力というものを知って、勇気を持って申し込むことができる。そういう指針だけは明らかにしておく必要があると思います。だから、例示的な機種でいいのですから、五、六種を書いてもらえばいいのですから、一番典型的な、しかも中小炭鉱に一番使われそうなものでけっこうです。もう一つ、その資料とあわせて、できれば、さいぜんの出資金ですが、この出資金のほうで一体どういう機械が買われつつあるかということです。これは今後貸与する上に非常に参考になるわけです。だから、これも四十年度はすでに三億円の出資金が出ておりますから、もう実績があるわけです。それもひとつあわせてごめんどうでもしていただきたいと思います。このことは、今後の中小炭鉱の近代化に一つの指標を示すことになると思いますので、ぜひお願いします。
それから、この機械の貸与が四十三年三月三十一日までに限っているが、これはどうしてそういうふうに限るのか。機械の貸与が四十三年三月三十一日くらいまでの寿命しかないということになると、利用が非常に限局されてくる可能性があるし、もし四十三年三月三十一日までしか貸さないということになれば、その後のその機械というものは一体どうなるのか、私はここを疑うわけです。そうすると、貸すといって貸しておって、一、二年すると結局貸しくれになってしまうのではないかということを心配するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/14
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015・井上亮
○井上政府委員 四十三年までということになっておりますが、これは、私個人の意見としましては、実際問題としては、そうなりませんで、当然延長されることになろうかと思います。なぜそうしたかと申しますと、滝井先生もよく御承知のとおり、合理化臨時措置法の全体の法体系が四十二年度一ぱいということに相なっておりまして、たとえば、石炭鉱業合理化基本計画というようなものも、四十二年度自立ということを目標につくるということになっているわけでございます。したがいまして、全体系がそういうことになっておりますので、今度新設いたしました機械貸与についても、この法体系に合わせざるを得ない。これは立法技術上というだけの趣旨でありまして、実体論から申しますと、これは単に貸与制度だけではございません。たとえば、スクラップ・ビルドをやっております閉山炭鉱の買い上げ制度とか、あるいはビルドのいろいろな助成策というようなものについても、私個人の意見としましては、これは当然相当長期延長されるものというふうに考えております。個人と申しましたのは、これは改正を待たなければならぬことで、その点をはばかってのことでありますが、見通しとしては、個人としてはそのように確信しております。したがいまして、すぐに二、三年で貸与が打ち切られるということは万々あり得ないというふうな見通しをしているわけでございます。
なお、貸しくれというようなお話がしばしば出たわけでございますが、私はそういうことにはならぬと思っております。と申しますのは、やはり、機械の寿命というものは、最近非常に進歩が激しいものですから、耐用年数が五年とか、長くたって七年というようなケースが多かろうと思います。あるいはまた、炭層条件が変化するなどということになりますと、せっかく貸与を受けました機械も不要になる、あるいは適用しがたくなるというような場合があろうと思います。そういう場合には、私は、方針といたしまして、合理化事業団がまた返還を受けて、あるいはその機械を炭
一件に合ったほかの必要な炭鉱に貸与するというような運用をしてまいりたいと思います。したがいまして、貸しくれということは一切考えてもみませんし、実際問題としてもそういうことはあり得ないんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/15
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016・滝井義高
○滝井委員 この法律の附則の第二条の二の二号等をごらんになっても、四十三年三月三十一日までと期限を切っている場合に、金を貸したり債務の保証をするという場合の期限はここまでですよというのはいいんです。ところが、物を貸す場合に——しかもこれは、ちょっと使うような機械じゃない。もうほとんどその炭鉱のいわば生命になってしまうわけですよ。それがなかったら炭鉱の能率ががたんと落ちてしまう。一たびそれを使い始めるとそういうものなんですよ。それを今度は四十三年三月三十一日までしか貸しませんぞという形になると、借りた本人はどういうことになるかというと、この法律は四十三年三月三十一日までだから、もう余すところ二年しかない、だから、これはどんどん使わなければ損だということになる。いまあなたが言うように、耐用年数が五年か七年ある機械が、むちゃくちゃに使われたら三年くらいでだめになってしまう。自動車だって、昔の古い型の自動車を丁寧に使って二十年も乗り回している人もおるし、むちゃくちゃに乗ってしまったら、タクシーみたいに、一年か二年でスクラップになってしまう。問題は心がまえなんですよ。だから、この機械貸与については、こういう法律があるけれども、それは期限を入れないほうがいいんじゃないか。やはり、例外的に耐用年数だけは貸しつける、この法律がその期限になったときには別途に考慮するとかなんとかということを入れて、弾力を持たせて、借りたほうにこれはすぐには取り上げるものではないということを明らかにしておいてやらぬといけないのではないか。金を貸したり保証するのと違う。これは物を貸すのですよ。これは鉱害のことで期限を切ることにも関連があるので、あとで大臣が来てから質問をしますが、物を貸すのに四十三年三月三十一日までしか貸さないんだということになると、借りたほうからすれば、そのとき取り上げられるかもしれぬからむちゃくちゃに使っておけ、どうせ払う金は一年に幾らときまっておるんだから、こうなる。そうすると、今度は四十三年三月三十一日になって合理化事業団が引き揚げて次に貸そうと思っても、ものの役に立たなかった、スクラップになる、こういう可能性があるわけですよ。やはり、人間の非常に機微なところは機微なように法文をしておく必要があると思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/16
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017・井上亮
○井上政府委員 滝井先生のお話、まことにごもっともなお説だと思うわけでございますが、ただ、私の説明がちょっと舌足らずな点がありましたので、補足させていただきたいと思います。
法律で、貸与業務としましては、一般の整備資金の貸し付けだとか、近代化資金の貸し付けだとか、交付金の交付だとかいうのと同じように、四十三年三月三十一日ということで立法技術上歩調を合わしたわけでございます。実際問題として、たとえば中小炭鉱の方が合理化事業団から機械の貸与を受けますときの貸与の契約としては五年なり七年なり十年という契約でいたすわけでございますので、ただいまおっしゃいましたような懸念がないような運用が可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/17
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018・滝井義高
○滝井委員 それは、しかし、おかしいと思うんです。貸すという法律の規定が四十三年三月三十一日までとしているのに、それを役所と鉱業権者がかってに五年とか十年とかの契約をすることはできないですよ。四十三年三月三十一日までの契約でないと、この法律にマッチしないことになる。私がそれを言うのならいいのです。そういうことにしておいてやらないと、いま言ったように、むちゃくちゃに使う可能性があるんです。しかし、いま契約は四十三年三月三十一日以降にわたってできますか。できないでしょう。法律できまっておるんです。できないと言っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/18
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019・井上亮
○井上政府委員 この法律の附則第二条の二に、ほかの一般の開発資金の貸し付け等と並べまして、近代化機械の貸し付けということばを追加いたす改正をいまお願いいたしておるわけでございますが、このことは、近代化機械を合理化事業団が中小炭鉱に毎年予算の範囲内で貸し付けるという行為は四十三年三月三十一日までということになりますので、四十三年四月一日以降の新規貸し付けの業務ができないということは明らかでございますが、だからといって、四十二年三月三十一日までに予算を持ってその範囲内で業者に貸し付けた機械については、その貸与の条件として合理化事業団がそれ以降にわたって契約しても、それは法律違反にならない、そういう解釈であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/19
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020・滝井義高
○滝井委員 しかし、法律がなくなってしまうと、貸し付けの根拠がなくなるわけでしょう。契約は残るかもしれないけれども、法律がなくなったら、その機械は一ぺんもらってしまわなければいかぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/20
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021・井上亮
○井上政府委員 その必要はないと思います。
〔「金の場合はどうするか」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/21
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022・滝井義高
○滝井委員 いまの、金の場合はどうするかという問題が出るのですよ。だから、そこらあたり、金ならばその期限までと期限を切ってしまうのです。だから、当然物も期限を切るものと思っておったのですけれども、そこらあたりがあいまいだから、期限を切ったことの意味がないし、ずるずると何かけじめなくいってしまうのです。だから、それならば、この法律の中に、何もあなたの言うように四十二年三月三十一日までと頭をそろえなければならぬことはないのです。人間の世の中だから、機械については、この法律の期限にかかわらず、耐用年数までは貸し付けておってもよろしいならよろしいということをきちっと書いておくがいいのです。そして、その機械を貸し付ける金は、四十三年三月三十一日まではその出資をする。しかし、それ以降の出資はないのです。ないと考えていい。いまの段階ではやらないと考えていい。しかし、機械の寿命というのは、四十三年三月三十一日までに買い入れて貸した機械というのは、五年先まで貸してやらないとどうもならぬ。それがあなた方のほうの契約でかってにやれるのだということになると、法律がなくなってしまって、根拠法がなくなって機械だけ残ってしまうことになる。そうすると、その機械の運命が今度は問題になる。この機械は最後は一体どういうことになるのですか。最後は、スクラップになった場合はスクラップを事業団が引き取ることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/22
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023・井上亮
○井上政府委員 いろいろ御心配をいただいておりますけれども、たとえば、単に機械の貸与制度だけでなくて、現在やっております近代化資金の貸し付けとか、そういう業務でも、これは類似業務ですが、これは四十三年三月三十一日までしか、この法律では新規の貸し付けはできない。したがって、四十三年度以降の予算は現行法をこのままにしておく限りは取れないということになりますが、四十三年三月三十一日までに貸し付けました貸し付け金は、直ちに回収するわけではございませんで、貸し付け契約に基づいて、一定の据え置きとか、あるいは償還期限というようなものがあって、それはその貸し付け契約によって生きておるわけであります。すぐ回収するわけでございません。それと同じように、この貸与制度につきましても、新規貸し付けの業務としては三月三十一日までしかできないということに一応なりますけれども、しかし、貸し付けたものを三月三十一日になったら直ちに返せということにならないで、これは貸し付け契約の期限に従って運用されるというように解釈いたしております。ですから、そういう御心配はないと思います。
それから、なお、そのオシャカになったら返すかということですが、これはもう、中小炭鉱が借りました機械について故障等があって使用不能になるというようなことになれば、返還という問題があろうかと思います。それはそのときに事業団が引き取るということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/23
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024・滝井義高
○滝井委員 これは私もちょっと参考にしたいと思うわけですが、前に災害その他があったときに、これは大蔵省の所管だと思いますが、国有財産の機械を中小企業その他に貸し付けていますよ。これは貸し付け料を取って貸し付けておると思うのです。その場合に、貸し付けた機械の最終的な運命というものが一体どういうようになっているか。通産省関係で他に機械の貸し付けがあったかどうか知らぬが、大蔵省はあります。何か機械を貸与する法律がありますからね。その貸し付けた機械の運命というものが一体どういう形でやられておるのか、大蔵省関係の機械貸与の実施の状況を次回にちょっと報告してもらいたいと思うのです。あなたのほうでわからなければ、大蔵省の国有財産か何かの担当の人でもかまわぬですけれども、他の例をわれわれもちょっと参考にしておく必要があると思います。ちょっとそこが不勉強ですから、御報告を願うことを要望して、きょう私、ちょうど時間が来ましたから、あと多賀谷さんにやってもらって、まだありますけれども、これで質問をやめさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/24
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025・野田武夫
○野田委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いまの滝井君の質問に関連をして質問をしておきたいと思います。
大体附則において期限をつけておるでしょう。ですから、今度のたとえば鉄道運賃の延納にかかる債務の保証、こういうのを期限をつけておるから、もう法律をわずらわさなきゃいかぬわけですよ。しかし、本則の中には、運賃延納に関する債務の保証というのが三十六条の二十二にあるんですよ。そうして、一回一回附則でその期限をつけるんですよ。期限をつけるから、この前運賃延納の債務の保証を事業団がやったけれども、それは附則でもう期限切れになって、またこうやっているんですね。今度提案しておる。ところが、本則の中には、すでにもうその業務があるわけですね。私は、実にこれはおかしいと思う。立法上親切だけれども、国会から言えば、こういうことはどうも行政の範囲に入っておるんじゃないか。運賃延納の問題は、何も石炭合理化法の一部改正の問題じゃないですね。ですから、肝心な必要であることは立法事項にしないで、必要でないところを立法事項にして、これは実に国会としては迷惑な話。たとえば、補助金を出す場合に、法律に書かないで、行政措置で補助金を最近出しておる。はなはだしきは今度の問題になった農林年金のごときで、法律では一五%になっておるのに、予算は一六%にして、法律を改正しないでもできるんだ、こう言っておる。こういう行政府のやり方というものに非常に疑問を感ずるのですよ。今度だって、運賃延納にわざわざ四十二年三月三十一日なんて書くから、またこれが問題になるのですよ。延納が起こったら、これまた直さなければならないでしょう。しかし、これを延期をするかどうかという問題は合理化法の問題ではない。ですから、こういう立法形式が私は実におかしいと思うのです。われわれそこまで行政府を拘束してないのですよ。これは当然予算で拘束されるものであり、あるいはその他、国鉄の運賃の延納の場合は、これはいわば国鉄と関係者において話をされるべき問題でしょう。ですから、なぜ附則でそういう期限までつけるか。これは立法事項としてきわめて技術的な問題だけれども、おかしいでしょう。御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/26
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027・井上亮
○井上政府委員 合理化法全体として、ただいま御指摘のあった運賃延納の保証業務だけでございませんで、全体として期限を随所にそれぞれの業務について付す立法形式になっておるわけでございますが、この点につきましては、大まかに申し上げれば、この法律の立法の趣旨が、四十二年度に石炭鉱業を自立させる、それまでの臨時措置というような性格があったものですから、全体として限時法の性格を持っておるわけでございます。ただ、御指摘のように、運賃延納等について一々期限を切ると、その後今度は実態面として運賃を延納せざるを得ないというようなときに一々法律改正の煩瑣な手続を経なければならない。しかし、法治国家ですから、私は丁寧なほうがいいという個人的に気持ちを持っておりますけれども、しかし、その程度のことまで一々やらなければいかぬ、そのために、たとえば運賃延納の問題に関連いたしまして、この法案が早く上がりませんと中小炭鉱に対する国鉄の延納をしていただけない、これは合理化事業団が延納保証をしなければ国鉄は中小炭鉱については運賃を認めないわけですから、そういう困った事態になるので、そういうような臨機に変わり得る行政事項についてはもうちょっと期限を付するなんていうことはしない措置ができないかという御質問だったと思いますが、私ども、いろいろ反省させられる点が多いと思うので、今後の運営について検討したいと思いますが、ただ、現在の法体系が先ほど来申し上げたような体系でできておりますので、一応いまは法形式上それに合わせてそれでやっておる。それにまた、今度延納ということになりますと、また抵触する事態が起こったわけでございますので、これまた修正せざるを得ないという措置をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 運賃延納にかかる債務の保証という場合に、保証に期限をつける。しかも、その本文の中には、事業団の債務の保証として、運賃延納にかかる部分が書いてあるのですよ。そうして、その運賃を延納するかどうかというのは、何もこの合理化法できめるのではないのですね。それは別の国鉄運賃の関係できまるわけですよ。ですから、こんな附則で全部を押えるような法律というのがおかしいのじゃないか、こう言っているのですよ。運賃延納がこの法律によってきまるのなら、当然法律事項にすべきですよ。運賃延納そのものが、ここではきまらないのですよ。ほかの国鉄運賃の関係できまる。運賃延納は法律事項じゃないのですよ。それはお互いの話し合いできまる、協定できまる。その協定できまったことを受け入れる体制として、すでに事業団の債務保証としてそれができるようになっているのに、附則でその部分だけを期限をつけるというのはおかしいじゃないか。附則で一番しっぽのほうだけ期限をつけて規制し、そして法律の本文には債務保証の規定を設け、しかも運賃延納そのものは法律事項でないという、こういう立法形式というのはきわめておかしいでしょう。本元は法律事項じゃないですよ。最後に附則で保証の期限までつけているというのは実におかしいじゃないですか。これはやはり局長では無理でしょうね。いまでなくてもいいけれども、法制局を呼んでください。こういう立法をつくるというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/28
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029・井上亮
○井上政府委員 いずれにいたしましても、現在の法律では、運賃の延納措置に伴いまして合理化事業団が債務の保証をいたすわけでございますが、その保証業務というものは、現在のところ、やはりこの現行法、改正法ではなくて現行法では、さらに四十二年三月三十一日まで延長するという修正をしないと、現行法の体系上そういう保証業務ができないということになりますので、改正をお願いいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、改正をしたことよりも、改正をする前の現行法そのもののできが悪いわけです。ですから、こういうことになっておるわけです。われわれとしても、こういうものは非常に困るのですよ。すなわち、木元は法律できめないで、一番しっぽを法律できめる、それによって実際上動かないようになっておるという法形式は、非常に困るじゃないですか。延納そのものだって法律事項じゃないですよ。今度の国鉄運賃法の中にも書いてない。延納なんて一言も書いてないでしょう。ですから、それはいわば国鉄と通産省との間で合議される問題ですね。そして、それだけでいいのですよ。しかも、事業団の業務の中に運賃の延納にかかる債務の保証ということが書いてあるのですからね。ですから、それで十分だと思ったところが、この附則に、三十九年三月三十一日と、こういうのを入れておりますから、ここに改正せざるを得ないという問題になる。むしろ、改正をするなら、削ればいいのですよ。要するに、この附則の一とか二というのを削ればいいのです。附則の第二条の二というのを削ればいいのですよ、もう少しはっきり言うと。そうすると、これは今後も起こるわけですね。また来年起こるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/30
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031・井上亮
○井上政府委員 もう来年は起こらないという決意て一年だけ延納を国鉄にお願いしたい次第でございまして、やはり期限を切りませんと、これは国鉄当局としましてもなかなか寛大たり得ない点がございますので、期限を切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかし、局長、運賃延納に話が飛びましたから、続いて質問いたしますが、運賃延納の問題それ自体、きまっていないでしまう。何か法律を通過さしてくれれば延納がきまるような話をしておるけれども、延納自体がまだきまっていないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/32
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033・井上亮
○井上政府委員 四月一日から一年間、今度国鉄運賃の値上げ分につきましては全額延納するということについては、話し合いがついているわけでございます。ただ、いま事務手続上閣議決定はおくれておるというのは事実でございますが、その基本方針は一応決定しているというように了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なぜおくれているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/34
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035・井上亮
○井上政府委員 特におくれている理由はないわけでございますが、いろいろ細部の、ちょっといままだ話しの合致しない点もございます。たとえば、中小炭鉱については、この法案が通りますれば合理化事業団が保証するということになるわけでございますからいいのですが、大手について、従来連帯保証ということでやっていただいていたので、今度も連帯保証ということでお願いしております。これは大体国鉄当局も了解してくれるというふうに確信しておりますが、ただ、根本的には、やはり、昭和三十六年の運賃値上げのときに三十九年度から支払いますという約束が、さらに三十八年に閣議決定をもちまして、三十九年からは石炭鉱業の現状においてなかなか支払えないということで、さらに四十三年以降に支払うという措置をいたしたわけでございます。そういった経緯から、国鉄当局もいまそういった延納の条件につきましてなかなか意見がございまして、目下調整中でございます。しかし、先ほども申しましたように、一年間全額延納するという点の基本方針については、これは大臣間でも話がついているわけでございます。この点は間違いない。あと、そういった実際の具体的な延納条件、手続等についていま事務的に打ち合わせておるという段階でございます。近くまとまる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、なぜ延納が最終的に決定しないかという内容を知っております。しかし、そういうこと々糊塗しておるから、私は日本の石炭政策は全部うまくいかないのだと思うのです。先ほど滝井君が質問しておった近代化の機械の貸与だってそうですよ。それは、なるほど中小企業でも機械の貸与という問題は起こっている。なぜ炭鉱に機械の貸与をしなければならぬかということですね。機械の貸与といっても、ある一時期に要る機械とか、その時期が過ぎればその炭鉱には要らないから、炭鉱としてはその機械はとても購入するわけにいかないから共同購入というような意味において事業団が購入してそれを貸す、そういう性格のものはごく少ない。大部分はその炭鉱で永遠に使う機械なんですね。なぜそういうことをしなければならぬかといえば、結局炭鉱に金を借りる力がないからですよ。要するに、金を借りる能力がないから、合理化事業団で機械を買って貸与する。しかもこれは中小だけでなく大手もそうです。こういういわばこう薬ばりなんですよ、石炭におけるあらゆる政策が。基本は、炭鉱が基本的に自立できない情勢にあるから、いろいろな形で補助をしておる、突っかい俸をしておる。ですから、いまの機械の貸与だって、永続的にそこに要る機械なんでしょう。それをなぜ貸与しなければならぬかというと、それは機械を買う能力がない。要するに、資金の調達ができない。だからこういうことをせざるを得ないというのが実態なんですね。だから、局長が答弁する場合に、そういうところはやはりこの石炭委員会であからさまにしないと、問題の本質をつかむことができないですよ。そういう例は幾つもある。
ですから、あとからも質問しますけれども、貯炭の問題だって、坑所貯炭が約三百万トンくらいになっておる。これなんかは、私はむしろ異常な貯炭であると思わない。一年間に五千万トンになっているのに、山元で三百万トンくらいの貯炭はあたりまえですよ。むしろ正常貯炭に入る。ところが貯炭が多いというわけでしょう。結局、その貯炭を持ち切るだけの能力が炭鉱にないからですよ。これは普通の工場なんかではそのくらいの在庫を持つのはあたりまえですよ。在庫としてはごく低い在庫です。掘ったものがすぐ売れるものではない。貯炭がないと需要家に迷惑をかける。ですから、貯炭が持てないという実態を十分把握しなければいかぬです。貯炭が非常に少なくて、石炭局長が各社の社長を集めてハッパをかけて、需要家に迷惑をかけるから石炭を掘れ、こう言った。そうすると、もう石炭は余って引き取り手がないなんという不安が出るというのは、実におかしな話ですね。ここらはどこかに欠陥があると考えなければいかぬ。主千百五十万トンくらい出して、それがどうも引き取り手がなくて困るというようなことで経営も苦しくなる。そうして、五千五百万トンを目標に掲げておるわけですから、くずしていないのですから、本年度に比べて四十一年度は著しく増産になるということでもない。ですから、私は、問題をこの委員会でもう少しはっきり出して、そうして論議をして、いわば十分根本的な石炭対策を立てなければいけないと思うのです。
私は、逐次、第一次答申からなぜ第二次答申に移り、あるいは中間答申に移り、今度抜本対策をとらなければならなかったかという経緯について質問をしたいと思うのです。これは、いまから考えてみると、結局は全部ごまかしですよ。そのことを、もう第一次答申でも指摘をしておるのですよ。今度の抜本策の必要が起こることを指摘しておるのです。しかし、指摘をしておりても、政策はきわめて糊塗的な政策に終わっておる。第二次答申でも、問題の本質を指摘しているのですよ。指摘をしているけれども、出てきた政策はきわめて中間的な政策になる。ですから、そういうように本質をつかまえて議論をすべきではないか、こういうように思いますから、御答弁もさようにお願いをいたしたいと思う。
そこで、まず当面の問題として、一昨日石炭鉱業審議会の合理化、雇用部会で発表をされました、いわばわれわれから言いますとむしろ需給の見通し、これを中心として局長から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/36
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037・井上亮
○井上政府委員 一昨日石炭鉱業合理化審議会の合理化部会・雇用部会の合同部会を開きまして、石炭鉱業合理化臨時措置法に基づきます四十一年度の石炭鉱業合理化実施計画、この御審議をいただいたわけでございます。なお、従来、私どもは、この合理化実施計画を定めますに際しましては、この内容は、御承知のように、出炭計画、出炭能率、必要な資金あるいは閉山合理化計画、それから出てくる離職者に対する再就職計画、こういうことでありますが、この再就職計画は労働省が通産省の作成いたしました閉山合理化計画に見合ってお立てになり、それをあわせて審議するというしきたりになっておるわけでございまして、この審議をいたしたわけでございます。なお、しかし、特にこの生産計画につきましては、あるいは生産能率の目標等につきましては、合理化臨時措置法で、政府の意思を決定した場合には告示で明らかにするということになっておるわけでございますが、手順といたしましては、御承知のように、石炭鉱業審議会の合理化部会、雇用部会、ここがただいま申しましたような問題を審議するわけですが、そのほかに、需給問題につきましては需給部会というものがありまして、この需給部会でやはり、この出炭計画、需給の見通し、こういった点のバランスをとる会議をいたすわけでございまして、こういった石炭鉱業審議会の内部のいろいろな各部会各部会の意見を総合いたしまして、審議会としての意見がまとまりましたときに、審議会の会長である植村さんから通産大臣に御答申があるということに相なるわけでございまして、この答申を待って政府としての正式の態度をきめるというのが従来のしきたりになっておるわけでございます。
それだけ前置きさせていただきまして、一昨日の合理化部会・雇用部会合同部会できまりました内容の骨子と、さらに需給の今後の見通しという点について簡単に御説明を申し上げたいと思います。
一昨日合理化部会・雇用部会の合同部会できまりました四十一年度の出炭計画でございますが、出炭計画としましては、生産量実トンベースで五千九十七万トン。実トンベースといいますと、大体現在ではカロリーが六千カロリーくらいかと思います。これを通常計画を立てますときに五千九百カロリー換算で生産量をはじきますが、これに直しますと約五千百五十万トンでございます。なお、この五千百五十万トンという出炭目標は、昭和四十年度のこの合理化部会で決定いたしましたときの計画が五千百六十万トンになっておりますから、十万トンほど減っておりますが、ほぼ横ばいというふうに考えるわけでございます。
そこで、この合理化部会におきましては、本年度におきましては需給の問題が非常に困難な見通しがございますので、この生産計画をどう考えるかということで、需給部会長も参加いたしまして相当熱心に御討論があったわけです。需給の問題は、あとでも申しますが、そう簡単に予断を許さない問題もありますし、また、相手業界があるわけですから、これの御納得、御了解を得なければならぬ問題があるのでございますけれども、合理化部会とされましては、そういった事情は一応あることを前提としながらも、この出炭計画そのものとしましては前年度のほぼ横ばいでもあり、かつまた、第二次答申等におきまして、今後の出炭目標は大体五千二百万トン程度の横ばい、この程度が妥当ではなかろうかというような考え方があり、そういったものを背景にしながら、さらに、この五千百五十万トンという数字がわりあいにかた目の数字である、特に、四十年下期以来今日までの出炭の経緯を見ますと、相当順調といいますか、非常に好調な出炭成績をあげておりますので、この四十年下期の生産ベースよりも下回った計画であるというような点を考慮をしたわけであります。さらにこれを下回った生産計画を組むということになりますと、この中にも実は二百万トンの閉山計画を織り込んであるわけでございますが、さらに下回らせますときには、相当新たな閉山政策を取り入れざるを得ないというようないろいろな点を考慮しまして、こういった重大な問題は、この年度初めの当初計画におきましてそこまで深く掘り下げるわけにまいらない、むしろこれは、現在御承知の石炭鉱業についての抜本策を検討中でもございますので、そういった問題ともからみ合い、それから、ただいま同じく検討中の位置づけの問題ともからみ合う問題でありますので、それを待つことはこの際できないので、とりあえず年度初めの計画としましては、そういった従来の経緯等からしましておおむね妥当と思われるこの出炭目標を合理化部会としては採択したいということで、採択されたわけであります。
なお、政府の立場としましては、さらにこの審議会の中に需給部会というものがございますので、私どもは、この出炭計画をもとにしまして需給計画を組み、そして、需給計画を組みます場合に、需要部門等との調整をはかる問題が残っておるわけであります。そういった点を終えまして、政府としての正式の告示ということに移りたいというふうに考えております。
なお、ついででございますから、この出炭計画に関連しまして、閉山計画としましては、四十一年度は約二百万トン程度の閉山を予定いたしております。これから出てまいります離職者は約七千名、それから、さらに、年度末に発生しました三千九百名程度を加えますと、四十一年度に再就職を必要とする離職者数は一万一千百四名という数にのぼります。この新規の再就職を必要とする離職者に対しまして、労働省では再就職計画を組みまして善処するというようなことが決定されたわけでございます。
そこで、次に、今後開いてまいります需給部会をどう運営していくかということになるわけでございますが、需給部会は例年合理化・雇用合同部会のあとにやるわけでございますが、ただいまのところ政府部内でもいろいろ検討中でございますが、私ども、需給部会の中立の先生方を中心に、各需要部門の意見、動向というような点についていろいろ調査を進めておるわけでございますが、御承知のように、関係業界、特に鉄鋼等につきましては相当不況の際でもあり、それからまた、電力につきましても、本年度は約束どおり千九百万トンの炭を引き取っていただいたわけですが、豊水その他の事情、あるいは業界の好況、不況つまり電力消費の関係というような点で、約百万トン程度引き取りに対して実際の消費が少ない、消費されます見込みは大体千八百万トン程度、引き取られましたのは千九百万トンというような事情もあって、増量引き取りについてまだ御意見があるというのが実情でございます。鉄につきましては、同じく鉄鋼業界の不況もありまして、特にまた、豪州炭の輸入につきまして、従来は相当長期の安定的な豪州炭の引き取りというのがやや不明確な点があったわけですが、昨年の秋以来豪州炭の長期引き取りは可能であるという見通しが得られました。そうなりますと、豪州炭の値段は国内炭に比べまして揚げ地で千円近い相違があります。産炭地におきましてはさほどの相違はございません。たとえば北海道とか九州の製鉄所については国内炭との格差はさして大きくはありませんが、揚げ地についてはそういうような問題がある。御承知のように、鉄鋼業界は、従来、国内炭優先使用原則というような考え方で、きわめて好意的に国内炭について引き取りをやっていただいたわけでございますが、最近の不況等から、従来の優先使用原則というものについて再検討願いたいという声が一部にございます。全部ではございません。一部にございます。ただ、鉄鋼業界は、引き取らぬというんじゃなくて、鉄鋼業界の要望、これはまだ鉄鋼業界として正式にきまっていないのですが、私ども知っております範囲では、やはり豪州炭との格差についての配慮が何かはしいというような意味合いでございまして、そういうようないろいろな意見がありまして、これはまだ全部確定的にはなっておりません。私どもあるいは石炭鉱業審議会の需給部会の中立の先生方が一応非公式にサウンドした感触であります。そういったいろいろな意見がある際でありますので、私どもとしましては、通産省内でも、今後の石炭の引き取り問題についてさらに事務的に詳細に検討を進めてまいり、同時に、並行的に需給部会の中立委員の先生方にも御研究いただき、できるだけ早い機会に需給部会が開けまして、昭和四十一年度の石炭の需給が円滑に行なわれるように努力してまいりたいというふうに考えております。
なお、石炭鉱業審議会全体としてはまだでございますが、合理化部会として決定いたしました先ほどの五千九百カロリー換算で五千百五十万トン、これを各需要部門別に考えてみますと、まず一般炭でございますが、一般炭につきましては、現在貯炭が約八百万トンございます。これは、大口工場で五百四十五万トン、山元で二百五十三万トン、これは一般炭だけでありますが、約八百万トンございます。それから、なお、原料炭の貯炭は百四十六万トンございます。ですから、合わせますと九百四十六万トン。これについては、先ほど多賀谷先生が、資金経理がしっかりしておればこの程度のものは何でもないとおっしゃいましたが、お説ごもっともでございますが、九百四十六万トンの貯炭ということは、これは相当なる過剰炭でございます。私は異常とまでは申しませんが、相当なる過剰貯炭である。通常貯炭につきましては、御承知のように、全部合わせまして七百五十万トン程度の貯炭が適正貯炭というふうに考えられておりますので、それに比べますと、異常ではないかもしれぬけれども、過剰貯炭であります。そこで、私どもは、四十一年度末の在庫をかりに現在程度というふうに押えますと、非常に遺憾なことでございますが、一般産業の需要は御承知のように年々減少いたしております。その分を従来一般炭につきましては主として電力に引き取りを要請してまいったわけでございまして、本年度電力は約束どおり千九百万トン取っていただいたわけでございますが、これに増量をお願いしないと過剰炭がさらにふえていくという姿になろうかと思います。それから、原料炭につきましては、これは一般炭と違いまして若干の増産がありました。御承知のように、原料炭のほうは山が非常に若くていいわけであります。優良炭鉱が多いわけであります。そういった意味で、全体の炭は一般炭も少し減っておりますから横ばいでございますけれども、原料炭のほうの増産のウエートが少しあったものですから、したがいまして、これはやはり鉄鋼業界に相当額の増加引き取りをお願いしたい。現在の在庫そのままとすれば、そういうふうにお願いせざるを得ないという実情に相なります。しかし、これにつきましては先ほど来の問題がありますので、私ども、今後、通産省内部におきましてはもとより、関係業界とも十分お打ち合わせをして、石炭の需給に遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 第一次答申、三十七年十月に出されました答申では、電力用炭について、四十年度においては二千四百万トン、四十二年度においては二千五百五十万トン引き取りを要請しておるわけです。さらに、鉄鋼用炭につきましては、四十年が九百七十万トン、四十二年度が千百八十万トン要請をしておるわけであります。なるほど電発の新設等もありますけれども、この点から見れば、いま四十一年度の需要計画をお話しになったけれども、むしろ第一次答申よりも低い線である。ただ、第二次答申によって価格を上げたという問題がある。これは、需要業界としては、第一次答申の場合には千二百円引きであったにかかわらず、第二次答申で逆に、電力用炭について三百円、鉄鋼用炭については二百円上げたから、事情が違う、こういう話があるかもしれないけれども、量としては、当時予想しておりた量よりも多いというのではなくて、むしろ低目である。この低目の量がどうして取れないのか、非常に私は疑問に思うわけです。しかも、当時五千五百万トン予定しておったのが、五千三百五十万トンで、それで供給過剰になるという、こういう現象、こういうことでは、一体行政はないと言わざるを得ない。ですから、大臣、これは一体どういうようにお考えですか。労働者は、石炭局長からハッパをかけられて、最近一生懸命になって炭を掘った。そうして、いま抜本策が出るかどうかというせとぎわに来ておる。非常に期待をしておる。そのやさきに、実は石炭は余って、これはもう引き取り手がないような状態になって、貯炭も相当出て、あるいはダンピングになるんじゃないかという不安を持つ。抜本策の出る前にこういう現象が起こるということ、これだけでも、いま非常に敏感になっている労働者にとっては非常なショックなんですよ。せっかく炭を掘れ掘れといって炭を掘ったら、いよいよになって引き取り手がないということは、労働者はすぐわかるわけですね。自分の炭鉱に貯炭が山になるわけですから、貨車が来て持っていかないから、すぐ貯炭場に山になるわけですから、わかるわけですよ。わあ、これは石炭が余ってきておるぞ、最近売れないらしいということで、そういう現象が起これば、また勤労意欲を阻害する。そうして、また離山ムードが起こる。もうこれは結局石炭はだめだ、いろいろ言っているけれども、やはりこれは立ち直れないんだという感じを与える。ここは非常に大事な点なんです。そこで、少なくともこの四十一年度、将来のことは抜本策に待つとして、四十一年度についての需給の安定を早く政府として決定してもらわないと、これが動揺することは、抜本策を幾らやっても、いままで石炭当局が長い間かかってヒヤリングをした基礎がくずれますよ。ですから、ひとつ大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/38
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039・三木武夫
○三木国務大臣 合理化部会で五千百五十万トンという今年度の出炭目標をきめたようですが、これは、審議会とかいろいろありまして、最終決定ではないわけです。やはり、いま御指摘のことは、それだけエネルギーの需要が違ってきておるということですね。だから、もしこれを採算の点から言えば、なかなか石炭というものは立ち行かないということですね。しかし、それは、石炭政策を考える場合に、採算ばかりではいけないんだ、いま言ったような、いろんなエネルギーの安定供給とか、国際収支とか、地域経済とか、いろいろ考えてみて、そういうことでどうしても維持していかなければならぬのだということで抜本策を考える。抜本策といったところで、財政資金の肩がわりということが、どういう形で行なわれるものかは別として、やむを得ないんですからね。それはただ採算だけでないという証拠で、いま多賀谷さんから、貯炭が一ぱいふえて勤労意欲が減退するという話ですけれども、しかし、今度政府が抜本策を講じたいということは、額面どおりに受け取られておるんじゃないでしょうか。だから、やがてはこれは根本策を講じて、あんなに政府が言っているんだから——私も読んでみて、ずいぶん抜本抜本ということで、そんなにまで言わなくてもいいんだというくらいに、いろいろ原案の中にも抜本が入ってくるので、これを私の責任において言っておるわけですから、そういうことで、いまはそういう事情もありましょうが、やがて政府は一やがてといっても、今年中に取り組もうということで、そう将来に希望がないわけじゃない。やるだろうという期待もあるわけですから、その点は、皆が勤労意欲が減退してどうにもならぬというふうには考えていない。それだけにわれわれの責任は重い。これはやはり、今回は、あまりこう薬ばりでなしに、非常な長期というか、なかなかこういうエネルギー革命の時代ですから、むずかしいが、ある一定の期間は石炭産業というものはこれでやっていけるんだという、このくらいの案はつくらなければならぬということでありますので、まあいろいろな御心配もあろうけれども、いまそういう案を出そうとしておる前でありますから、できるだけ皆がいい案を考えて、これは多賀谷さんなんかのいろんな意見も取り入れて、そうしていい案をつくって、石炭事業というものを安定さすよりほかにはない。いまいろいろ言ってみても、こういう状態のもとで、石炭産業というものについて皆が安心だという状態がつくれない。ですから、そういう意味においても、どうしても抜本策というものが急がれるのだ、こういうふうな責任と自覚のもとにこの問題に対処していきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで、当面、いま石炭局長が読みましたが、四十一年度の電力、鉄鋼の予定需要はあるわけですか。それは買ってくれるのですか。そうして、この合理化部会で出されたのは、貯炭をそのままかかえるということが前提ですよ。貯炭が減るのじゃない。先ほど局長は、これは異常とまでいかないが非常な過剰な貯炭だと、こう言う。それはそのまま持ち越されるんですよ。一千万トン近い貯炭はそのまま持ち越して、そうして、さらに電力及び鉄鋼に要請をする需要というものは増大するわけですね。これが貯炭を減らす政策として行なわれるというのならば若干弾力性があるけれども、いまの計画は、貯炭はそのまま移行していって、そうして、それでもむずかしいというのでしょう。ですから、これがもたもたしてきまらないと、第一抜本策はできませんよ。抜本策をつくる前に、当面、四十一年度は安定させなければいかぬでしょう。四十一年度を安定さして、そうして技本策をやらなければいかぬ。その点について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/40
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041・三木武夫
○三木国務大臣 これは、いま言ったように、電力業界、鉄鋼業界に相当に頼まなければならぬわけであります。まあ抜本策も六月ごろには何とか出したいということですから、それまでの間、四十一年度のある程度の目標は立てなければならぬ。これは相手のあることですけれども、私自身も、やはり鉄鋼業界、電力業界には協力を強く要請するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それから、政策として、たとえば低品位炭発電所をつくらす、発電所はできたが石炭はなくなった、こういう政策は私は慎むべきだと思うのです。それは、やりたくてやったのではなく、自然にそうなったわけですけれども、電力業界にも迷惑をかけておるわけですよ。低品位炭火力発電所をつくった、まだ償却もできないうちに石炭のほうはなくなったというんじゃ困る。それで、たとえば若松発電所のごとく、若松炭鉱の再建の問題と関連をしてあれは存続することになったわけです。ですから、山のほうのスクラップの状態も、ただ申請したものをどんどん許可するというんじゃなくて、もう少し政策がありそうなものだ。閉山をするなら閉山をする政策というものがあると思うんです。需用業界はどうでもいい、炭鉱のことだけを考えて閉山をするというような態度をとったから今日のような状態が起こっておるんですよ。それで、結局一時は引き取ろうにも石炭が少なくてどうにもならなかったという状態が電力会社にも起こった。そこで、逆に電力会社のほうは重油に対する長期契約を結んだでしょう。その分だけ石炭のシェアが少なくなっているわけでしょう。ですから、そういう何らかの政策ができないかどうか。いまここに貯炭がある。しかし、この貯炭は大口工場の持っている貯炭を入れれば何と一千万トンで、非常に多いという感じがするけれども、このくらいの貯炭は、私は持ってしかるべきだと思う。そうしなければ今後操作がつかないですよ。ちょっと渇水になってごらんなさい、また石炭が足りませんよ。いま電力業界は重油を入れるからそう心配はしないかもしれないが、石炭のシェアというものはそれだけ少なくなってくる。ですから、炭鉱がそれを持てないなら何か機関で持たすというような方法だって考えられる。電力用炭株式会社なんというものもあるのですから、何らか政策的にやることを考えないと、わずか三百万トンくらいの貯炭でびっくりするようなことではどうなりますか。政策はつきませんよ。ですから、そういうふうに、もう少し弾力性のある政策ができるようにしないと、ぎりぎり一ぱいでやっておったらどうにもならぬですよ。これはおそらく三百円上げてもらってもまた必ず安売りが起こりますよ。貯炭融資は市中銀行はもちろんしないし、政府もそういう方向でないだろう。これは早く手を打たなければダンピングが起こる。せっかく三百円表で上げてくれたけれども、裏ではもとへ返ったということが必ず起こりますよ。ですから、その点を供給側のほうから乱すことのないように、早くそういう政策を立ててやる必要がある、こういうように考えるわけです。
そこで、とにかく、四十一年度の電力、鉄鋼の需要、それから一般産業の需要、これは全く野放しですね。私は規制をせいとは言いませんよ。しかし、もう少しサービスをやったらどうですかね。大体、自分の石炭がどこへ売れてどこで使われているか知らぬ炭鉱業者は幾らでもおるのですからね。どのぐらいの値段で売れておるか、自分が直接納める以外は知らぬ者がおるのです。ですから、そんなものをほんとうに信用して買うわけにいかないのですよ。われわれ炭鉱地帯におりましても、暖房用炭は高いですよ。北海道の連中もそう言っておるわけです。もっとも、需要者のほうも中塊のいい石炭ばかりをたこうとする。それも問題がある。しかし、それならそれで、そういう粉炭も使われるような器具をやはり炭鉱側のほうで研究してやらなければならぬ。全く電力、鉄鋼にたよって、もう一般産業はどうせだめだからというので、手を打たない。そうして、第一次答申にそれが書いてあるのです。たとえば、東京においてはヒーターのセンターをつくるなんて書いてある。書いてあるけれども、全然実行されていないでしょう。ですから、問題は全部出ているのです。指摘されているのです。それが実行されていないのです。ですから、とりあえず、四十一年度の需給をいつごろまでに決定してやるか、それについて、鉄鋼、電力の問題、貯炭対策をどうするか、これをひとつ大臣からでも局長からでも明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/42
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043・井上亮
○井上政府委員 先ほど御説明申し上げました出炭計画は合理化部会の段階で一応決定したのでありますが、なお、石炭鉱業審議会といたしましては、需給部会を開きまして、ただいま問題になっておりますような問題を討議いたしたいというふうに考えております。なお、政府といたしましても、並行的に、関係事務当局等と私どもこれから鋭意円満な解決のための話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。
いつまでにということでございますが、これは、四月一日から新年度でございますので、新しい引き取りの問題が起こるわけでございますが、できるだけ早く解決するように努力したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それから、当面の貯炭はどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/44
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045・井上亮
○井上政府委員 当面の貯炭は、これは山によりまして非常に過剰で困っておる山もございますが、全体的に見ますと、まだ今日現在では、多賀谷先生先ほど御指摘がございましたように、さほど異常状態ではないというふうに考えております。ただ、しかし、先ほど来の問題になっております電力、鉄鋼等との引き取りの需給調整の問題が進みませんと、これはやはり六月末ぐらいになりますと相当異常在庫に転じていくのじゃないかということを憂慮いたしております。したがいまして、私どもとしましては、できるだけ早く解決するように努力してまいりたい。現在の貯炭程度では、まあさほど御心配はない。ただ、御承知のように、三池に相当な、五十万トン程度の貯炭があるとか、常磐炭鉱に相当貯炭があるとか、個別的に問題はございます。これは貯炭融資の問題等はそろそろ起ころうかと思いますが、まださほど切迫した状態になっていないというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いまから不需要期に入るのですよ。石炭の要る時期に入るのではないのですよ。ですから、四十一年度末までには解決するでしょう。しかし、いまから不需要期に入るのです。局長がそんなのんきなことを言っておったらだめですよ。いまから八月、九月までにはどんどん貯炭はふえるのですよ。しかもこれは、原料炭ならばわりあいコンスタントに使いますけれども、一般炭はずっと不需要期に入るのですよ。ですから、この貯炭は、正常と言ったけれども、それは年間を通じて見れば正常だろうが、いまから見ればどんどん余ってくる。だから、この手当てをしてやらなければだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/46
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047・井上亮
○井上政府委員 ただいまも申しましたのは現在時点での貯炭のことでございます。先ほど申しましたように、六月末ぐらいになると異常性がそろそろ出てまいるのじゃないかということを憂慮いたしております。しかし、それまでには何とか、ただいま問題になっておりますような需給調整の問題を解決いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで、大臣、いまの貯炭でも、業者から言いますと非常に過剰貯炭だと言っている。私は、政策的に見ますと決して過剰ではない、むしろいまの程度持つぐらいの能力がなければいかぬ、政策もできない、こう思います。しかし、業者のほうからすれば負担能力がない。ところが、いまから不需要期に入るわけです。雨も相当降るわけですよ。電力も工場にかなり貯炭をすでにかかえているわけですね。千九百万トンとってくれたわけです。ですから、四十年度分が余っている。そこで、貯炭融資という形ではむずかしいけれども、何らか実質上その方法を講じなければいかぬ。抜本策が出ましても、これは答申でしょう。大部分は国会にかかるでしょう。いまの政局から見ると、はたしていつ解散するかわからぬけれども、政局は必ずしも臨時国会を開いてゆうゆう石炭問題を解決することができるかどうかわからぬですよ。ですから、私は、政策が出ただけでは、当面の対策をしてやっておかなければ安定しないんじゃないかと思うのです。そこで、これらの問題について至急検討していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/48
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049・三木武夫
○三木国務大臣 この貯炭の問題は検討いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/49
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050・野田武夫
○野田委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00919660331/50
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