1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年十二月二十五日(土曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 吉田 重延君
理事 天野 公義君 理事 金子 一平君
理事 原田 憲君 理事 坊 秀男君
理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
小山 省二君 齋藤 邦吉君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 福田 繁芳君
藤枝 泉介君 村山 達雄君
毛利 松平君 渡辺 栄一君
渡辺美智雄君 岡 良一君
佐藤觀次郎君 只松 祐治君
平岡忠次郎君 平林 剛君
藤田 高敏君 横山 利秋君
春日 一幸君 竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(主税局長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(理財局長) 中尾 博之君
大蔵事務官
(証券局長) 松井 直行君
大蔵事務官
(銀行局長) 佐竹 浩君
農林事務官
(農林経済局
長) 森本 修君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局保
険管理課長) 池田 正範君
専 門 員 抜井 光三君
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本日の会議に付した案件
昭和四十年度における財政処理の特別措置に関
する法律案(内閣提出第七号)
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
閣提出第八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/0
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001・吉田重延
○吉田委員長 これより会議を開きます。
昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案及び農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/1
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002・武藤山治
○武藤委員 本日は農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案について、さらにこれに付随をする農業共済制度全般にわたっての政府側の見解あるいは現状、対策、そういうものについてお尋ねをしてみたいと存じます。
まず最初に、今回繰り入れ金をせざるを得なくなった最大の原因は、低温、台風等による被害に対する補償金の支払い、これが原因だと思いますが、特に今年の水陸稲の被害状況の結論的数字が出たと思いますので、どの程度の被害を受けたか、さらに、でき得るならば、それをブロック別に大きく分けた地帯別に御発表願えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/2
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003・森本修
○森本政府委員 四十年産水稲の被害量でございますが、全国で見ますと約四十三万九千トンということになっております。地域別に見ますと、北海道が約六万二千トンということで、ちょっと大きな県を申し上げますと、東北では青森県が約一万一千トン、それから秋田県が約一万四千トン、それから、茨城県、栃木、いずれも一万一千トンないし一万三千トン、それから中部では岐阜県、静岡県あるいは愛知県、それから関西では兵庫県、それから中国では岡山県、こういうようなところが比較的大きな被害量になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/3
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004・武藤山治
○武藤委員 共済制度があることによって、被害に対して——それも非常にむずかしいわけでありますが、どの程度の補償率、たとえば本年の例の場合でけっこうでありますが、全体の被害金額が幾らに対して補償される、充足される率というのは一体どの程度補償されておるか。これは非常に大ざっぱなつかみ方でありますが、その点幾らくらい補償されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/4
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005・森本修
○森本政府委員 率にして申しますと、六三%くらいになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/5
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006・武藤山治
○武藤委員 それは被害金額に対してですね。たとえば水稲の場合七割が被害を受けた、あるいは皆無だった、そういうふうな場合の大体六割というんですか。それとも全体の被害総額を何百億と見て、それに対する——本年は百五十八億四千四百万円資金を必要としたというのでありますが、実際の被害総額というのは一体幾らになりましょうか。それに対して何%ぐらいが補償されておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/6
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007・森本修
○森本政府委員 先ほど私の申し上げましたのは、反当にいたしまして被害がほとんど皆無であるというふうな場合には、現在の共済制度の仕組みでは金額で約九〇%、それから収量で約七〇%というふうな形でてん補することになっておりますから、それをかけ合わせますと、大体先ほど申し上げましたようなてん補率になる、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/7
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008・武藤山治
○武藤委員 いまの共済制度の欠陥の中に、無事戻し制というものをもっと年数を短縮してくれという農民の意向などもあるわけでありますが、無事戻しをするようになってから、まだ一度も、三年経過してないから無事戻ししてないわけですか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/8
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009・池田正範
○池田説明員 低被害地におきましては、いま先生御指摘のように、確かに、特に制度改正前までは無事戻しの機会が非常に少ないということに対する批判が多かったわけであります。そこで、制度改正によりまして比較的低被害の地域におきましても無事戻しの機会をよけい与えるという形で改正が行なわれました結果、最近では一部すでに無事戻しの行なわれつつある地域もございます。ただ、いまの制度になりましてもなお低被害地において不満が残りますので、そこで法令の範囲内で今春省令を改正いたしまして、無事戻しをいたしますもとになります財源の基準をかなり下げまして、そしてやりやすく——非常に簡単に申しますと、従来の非常に長かった地域ではほぼその半分くらいの見当に早まった、まあそういったような措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/9
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010・武藤山治
○武藤委員 現在の無事戻しをする場合には、三年無被害だったという場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/10
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011・池田正範
○池田説明員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/11
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012・武藤山治
○武藤委員 そうしてすでに無事戻しをした金額というのは、たとえば前年度でもいいです。いまあなたの持っている一番近い年度の資料で、無事戻しの総額はどの程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/12
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013・池田正範
○池田説明員 これはそれぞれ末端の組合が実施をいたしておりますので、実は現在私の手元には総体の額として幾らということはございませんけれども、農家がかけました掛け金の額の三分の一を返すという形で実施されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/13
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014・武藤山治
○武藤委員 あとで資料で、無事戻しをした地帯が大体わかれば——あまりこまかい市町村別でなくてもけっこうですから、ブロック別、あるいは県別でわかれば県別でもけっこうですが、この無事戻しの状況を提出願いたい。それはよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/14
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015・池田正範
○池田説明員 提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/15
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016・武藤山治
○武藤委員 私自身も農業をやっておるので特に農業共済には関心を持つ一人なんでありますが、現在七段階に掛け金が分けられておって、どの掛け金額をとってもいい、これは選択になっておるのでありますが、最高の掛け金をとった場合に給付される額、皆無の場合、九割の場台、あれは七割以上でなければだめですか、認定される例を、皆無の場台とそれから最低の被害の場合で、もうかすかすで適用される場台、その場合反当たり幾らになるかをひとつここで例を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/16
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017・森本修
○森本政府委員 ただいま御指摘がありましたように、現在単位当たり共済金額というのは七段階に区分をされておりまして、それぞれ農家が自主的に選択できる、こういうことになっておるわけでございます。一番高いのは、キログラム当たりにいたしますと八十円、それ以下大体十円刻みでずっと七段階になっておるわけであります。八十円を選びました場合には、反当たり全損の場台には二万五千二百円共済金がもらえる、こういうことになっております。なお、七十円のときには二万二千円、以下それにスライドしたような形でてん補額がきまっておる、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/17
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018・武藤山治
○武藤委員 キログラム八十円と申しますと、大体標準反収でいくと一反当たりどのくらいの掛け金になりますか。どうもキログラムで言われるとちょっと弱いのですが、一反当たり幾らの掛け金になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/18
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019・森本修
○森本政府委員 水稲で、ただいまお示しになりました例ですと二百十三円ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/19
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020・武藤山治
○武藤委員 次に、少し角度を変えまして、これだけの掛け金を全国集めますと、大体今日加入しておる人たちの年間の総額は何百億になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/20
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021・森本修
○森本政府委員 三十カ年度の農家負担の水稲の掛け金は五十七億大千万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/21
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022・武藤山治
○武藤委員 さらに三十九年度の被害により、これに対応して交付された補償金額は幾らぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/22
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023・森本修
○森本政府委員 それに対応いたします水稲の共済金の支払いは百六十七億八千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/23
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024・武藤山治
○武藤委員 さらに、現在共済組合の事務費、経常費、こういうものに対しては農民から一切賦課金は取っておらぬのかどうか。過去においては賦課金を取って事務費を農民負担をさせておる。こういう点についてわれわれは非常な不満を表明してきたのでありますが、現在は経常費、人件費、事務費、そういうものに対して農民からは一切負担さしておらぬという状況であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/24
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025・森本修
○森本政府委員 予算のたてまえといいますか、そういうことでは組合の基幹的な事務費、これにつきましては、国庫負担は、何といいますか、補助というたてまえになっておるわけでございますが、そのほか、組合等でたとえば防除事業をやりますとか、あるいは多少指導的な事業をやるとか、こういった関係の仕事もやっておりますので、農家からの事務費、そういう向きについては徴収をしておるというふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/25
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026・武藤山治
○武藤委員 農家から徴収しておる事務費総額というのは、そこでわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/26
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027・森本修
○森本政府委員 三十九年度では、共済組合に対する農家の事務費の賦課金といいますか、そういう形で負担しておりますのは約三十六億円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/27
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028・武藤山治
○武藤委員 この三十六億円は農民に負担をさせずに、当然これは国家あるいは地方自治体が持つべきだ、こういう議論があります。それに対して農林省担当官としてはどういう見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/28
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029・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、国としては現在組合の事務費の基幹的なものについては全額補助をするということで、大蔵省から予算もつけられまして組合に渡っておるわけでございますが、それ以外に、先ほど申し上げましたようなことで、組合自体として防除事業をやるとかそういうこともございます。
それから、先ほど申しました基幹的な事務費に対して国が全額持つということでありますけれども、実情においては若干付帯的な事務費あるいは基幹的な事務費について、もう少し国庫の補助を増してもらいたいという要望が確かに地方からあることは私も承知しております。そういうふうなことでありますので、毎回予算編成の際におきましては、共済組合に対する事務費はもう少し増額をしてもらいたいというふうなことで財務当局に対しては折衝いたしております。相当財務当局から御協力をいただいておる、こういうような実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/29
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030・武藤山治
○武藤委員 森本さん、現在共済制度には共済組合営のものと市町村営のものと、二種類ございます。何カ所くらいが市町村営で、全体の率は何%くらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/30
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031・森本修
○森本政府委員 現在市町村営でやっておりますものは、四十年の四月一日現在で八百七十九、共済事業をやっております市町村と共済組合を含めました末端の組合等といっておりますが、これの全体の数字が三千七百七ということでございます。割合にいたしますと約二五%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/31
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032・武藤山治
○武藤委員 私ここでちょっと疑問に思うのは、市町村営の場合には事務費その他防除費、そういうようなものを農民からの負担で吸い上げていないで、組合営の場合だけが吸い上げている、そういうアンバランスは一体ないかどうか。私どもは従来から、共済制度というものはこの際もう全部市町村営にすべきだ、そうしてできるだけ地方自治体が責任を持って共済事業というものは推進をしていくべきだ、こういう議論を社会党としては長く続けてまいりました。そういう立場から今日二本立てになっておる場合に賦課金の取り扱いがアンバランスになっておらぬかどうか、その辺の実態をひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/32
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033・森本修
○森本政府委員 市町村営でやっておりますものも、大部分は市町村では特別会計のような形でそれだけセパレートされた計算でやっておりまして、市町村営でもやはり多くかかる向きは農家から負担をさせているというふうな状況だと承知しております。そういう意味で、組合営でありましても市町村営でありましても、農家に対する事務費の負担はまあ同様な形になっておるのではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/33
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034・武藤山治
○武藤委員 三十六億円の事務費に対する農民負担が今日課せられている、これを大蔵省の岩尾主計局次長にお尋ねいたしますが、大蔵省としては、農民がそういう程度のものを負担することはやむを得ぬことだ、これは大蔵省としては手当てをする必要はないとお考えになっているのか。財源が苦しいので三十六億円をとても大蔵省でめんどうを見るというわけにいかぬのだというのか。どちらの見解に立たれておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/34
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035・岩尾一
○岩尾政府委員 共済保険の国庫負担金の問題でございますが、先ほどいろいろお話がございましたように、あらゆる補助金に共通する問題でございますけれども、一般の基幹的な仕事をするものについては国のほうでめんどうを見る、実際にそれに付随するような、あるいはその団体独自でおやりになるような仕事については独自でまかなっていただくというたてまえで、国のほうとしてはいろいろと考えておるわけでございますが、その場合に、基幹的なものをやる経費につきましても、これはそのやった実績をそのまま見るということではないのでございまして、やはりその仕事をするに必要な金額というものを見ていく、そういうふうにいたしますと、実際に算定をいたします場合には、どうしても基準的なものを想定をいたしまして、その基準的なものに必要な金額というものを配分をして、それを一つのめどとして仕事をやっていただくというふうなことになるわけであります。実際上はそういう基準よりも高い年齢の人をお雇いになるとか、いろいろ実際上の問題では差がございますけれども、やはり補助をする立場といたしましてはそういう必要な経費を見ていきたいと思っております。したがいまして、いろいろ農家負担の問題もございますけれども、本来基幹的におやりになる仕事とあるいは付随的におやりになる仕事と、そういうものをよく判断をいたしまして、特に基幹的な仕事については、必要な量は十分見たいというふうに思っておりますけれども、ほかの問題につきましては、おのずから限度がございますので、その辺よく勘案をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/35
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036・武藤山治
○武藤委員 森本局長にお尋ねいたしますが、そう長くなくていいですが、過去三年間くらいの国の繰り入れた金額、それから実際に補償した金額、過去三年くらいのをずっと一回発表していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/36
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037・森本修
○森本政府委員 ちょっといまの御質問の趣旨がよくわからないのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/37
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038・武藤山治
○武藤委員 過去三年か五年でいいですから、共済に対して国から出た金と、実際に農民に補償として出た金、人件費や事務費を除いたものですね。ほんとうの補償金として交付された金額、それを過去三、四年でいいから出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/38
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039・森本修
○森本政府委員 ちょっと単年度では資料が手元にないのですが、昭和二十二年から三十九年までの累積の統計がございます。それによりますと、共済掛け金として全体で千六百二十五億円ということになっております。そのうち、農家が負担をいたしましたのは六百五十三億円ということで、したがって約千億円足らずは国庫が負担をしておる、こういうかっこうになっております。なお、同年度、同期間の支払い再保険金の額は七百三十九億円ということになっております。これは水稲に関するものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/39
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040・武藤山治
○武藤委員 共済制度については、農民とすれば一銭でも安い掛け金で、被害があったときには最大限もらいたい。被害がなければとにかく、できるだけ掛け金をした全額に近い金を無事戻しをしてもらいたい。これは農民個々の気持ちで、それを全部満たしてやるなどということはとうてい不可能でありましょうが、ただいま質問をしてきた幾つかの項目、無事戻しの問題あるいは地帯別に、被害の毎年起こり得る地帯、それと非常に被害の少ない地帯とのアンバランス、さらに補償額の反当たり最高は二万五千二百円であるが、最高に入っている人が少ないという地帯の人たちの声、私たちは農村を歩いても、共済制度に対する批判というものや不満というものはまことにまちまちであります。ですから、これを一本にまとめた形できちっと農民の期待にこたえられるように直すということは非常に至難ではありましょうが、しかし、これをやはり前向きの姿勢で検討し、改善をしていくためには、ひとつの方法としてはやはりこれは全部市町村営にすべきではないだろうか、市町村営にして、自治体の責任においてやるというほうが合理的ではないだろうか、私はこういう感じを持つのでありますが、局長の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/40
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041・森本修
○森本政府委員 御指摘がありましたように、共済制度に対しましては、被害の比較的多いところからは共済金を多くもらいたいという要望がございますし、被害の比較的例年少ない県では掛け金の負担があるにかかわらず恩典がないというふうな話で、少なくとも無事戻しなどの拡充をしてもらいたいといったような要望がございまして、何といいましても一つの統一した制度でやっておりますので、確かに昔からそういう非難が——実は非難といいますか、要望といいますか、そういうことがあるわけであります。私どもとしましては、共済制度発足以来何回にもわたりまして、そういった実情に合うように現在まで改正をしておりまして、最も最近の改正は、御承知のように昭和三十九年産から実施をいたしておるわけです。たとえば、末端の組合の自主性をもう少し地方の実情に合うように、自主的な運営ができるような形で改正をいたしております。そういう関係から、最近の実情を見ますと、共済制度に対する農家の反応が従来よりは多少はよくなっているというふうに判断をいたしておるわけであります。
なお、末端の組合を市町村営にしたほうが実情に合うとか、あるいは事業の運営が合理的にいくのではないかという御指摘でございますが、確かに、たとえば共済組合の経理を明確にするとか、あるいは仕事をきちっとやるとか、そういうふうな面では、市町村営は組合営よりもすぐれておるというふうな感じがいたします。しかしながら、また反面、農家に対するサービスといいますか、あるいは民主的な運営といいますか、そういった点からいきますと、やはり組合営のほうが農家にしっくりいっておるというふうなことも、実情からうかがいとれるわけでございます。したがいまして、制度的には、組合営でありましても、あるいは市町村営でありましても、どちらでもいけるように数年前に改正をいたしております。漸次市町村営に移行するものが多くなってきておる、こういう実情でございますが、われわれとしましては、ただいま申し上げましたように、まだ一長一短あるというふうな状況でございますので、地方の自主的な判断で、組合営にするか、あるいは市町村に移すか、それをきめてもらって、役所としては画一的に指導するということは避けておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/41
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042・武藤山治
○武藤委員 それから、本年の災害で飯米すら確保できないという農家があった。私どもは新潟、秋田方面からもたいへん陳情、請願を受けたわけでありますが、農林省はそれに対して飯米確保の方策というものはとったのかどうか。そういうものに対する処置は、災害時において本年はどういうことをおやりになりましたか。それをひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/42
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043・森本修
○森本政府委員 お尋ねでございますが、ちょっと私、飯米確保のほうの担当の部局ではございませんので、そういうことがありますれば、おそらくとっておるのではないかというふうには思いますけれども、担当の局が参りまして御答弁を申し上げるのがいいか、後ほどまたお答えを申し上げるほうがいいか、どちらでもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/43
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044・武藤山治
○武藤委員 そういたしますと、経済局として今年災害時においてとった対策、それは具体的にどういうものがあなたのほうの管轄で行なわれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/44
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045・森本修
○森本政府委員 保険制度でございますので、それほど毎年変わったことがやれるわけではございませんけれども、御承知のように、災害がありまして共済金の本払いをするには、収穫時に確定的な損害評価をしないと、実はたてまえ上払えないということになっております。しかし、災害があったので、なるべく早く金をもらいたいといったようなことで毎年要望もございますので、これも例年のことでございますが、あるいは組合から仮渡しをする、それからそういった資金が不足をすれば再保険特別会計から概算払いをするというふうなことになっておりまして、本年も春以来相当多数の件につきまして仮払いをやったりあるいは特別会計から概算払いをしておる、こういう状況でございます。
なお、先ほどお尋ねがありましたことに関連するかどうかちょっとよくわかりませんが、ことしは異常な天候でございましたので、品質が非常に低下しておるということで、そういう品質低下上共済制度の損害評価との関係をどうするということが相当地方でも問題になりましたので、本年度の品質低下に相当するような損害評価の特例を地方に通達をいたしまして、本年度の災害の実情に合うように弾力的に共済制度を運用していく、そういうようなことで処理をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/45
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046・武藤山治
○武藤委員 概算払いをした金額はどのくらいで、何%くらいに当たりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/46
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047・森本修
○森本政府委員 末端の共済組合が先ほど申し上げました仮渡しをいたしましたのは、現在までで約十三億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/47
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048・武藤山治
○武藤委員 それはだいぶ少ないようでありますが、それはどういう理由なんでしょうかね。飯米確保もできない、全滅だといってたいへん陳情や請願を受けるのでありますが、そういう感じから見ると、十三億円の仮払い、概算払いというのはだいぶ額が少ないような感じなんですが、何かそれには特別な——共済金というのはどうせ額が少ないかられそんなものはもらってもしようがない、だから概算払いももらわぬでおけという農民の心理からでしょうか。それとも手続上煩瑣だというので、なかなか農民がそういう手続をとらぬのか、こういうところにそういう原因があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/48
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049・森本修
○森本政府委員 本年度は実は年内に共済金の本払いをしてもらいたいという——仮渡しの要望もございましたけれども、それよりもなお強く年内に本払いをしてもらいたいという要望がございました。例年でありますと、なかなか本払いが年内にはむずかしいわけでありますが、本年度はそういう特殊な事情がございますので、少なくとも北海道、東北、北陸等の早場地帯は年内に本払いをするということで、実は末端ではその手続をいたしております。私どものほうでも損害評価を確定いたしまして再保険金を渡す、こういうことになっております。そういう関係からあるいは二度手間になるというふうなこともありまして、概算払いが御指摘のようにそう進んでいないというようなことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/49
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050・武藤山治
○武藤委員 それから麦の問題でありますが、現在政府は農業基本法をつくる前の年あたりから、どうも裏作というものに対して非常に軽視をする政策をとってきたわけです。一時は大麦、裸麦を転換すれば反当たり二千二百円の奨励金をやるからというような法案まで用意して、どうも日本の食糧自給あるいは国内の農業開発あるいは飼料対策、そういうふうな面から考えた際に裏作を軽視するというこの政策は、私は日本の国家百年の大計を誤る道に通ずるたいへんなことだと、実は個人的には憂えておるものでありますが、共済関係で麦の加入状況あるいは該当面積、こういうようなものが年々減っておるのじゃないだろうか、こう考えるのですが、どうでしょうか。ここ五年間くらいの推移、反別による年々減っている情勢をちょっとお教え願いたいのでありますが、資料がありましたら明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/50
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051・森本修
○森本政府委員 麦の共済の関係でございますが、五年間というお話でございますが、昭和三十五年を申し上げますと、作付は面積が麦で百五十万町歩、それから三十九年では百五万町歩、まん中を飛ばして申し上げますが、そういうかっこうになっております。それから共済面積のほうが、三十五年では九十七万町歩、約百万町歩、それから三十九年では約六十五万町歩、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/51
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052・武藤山治
○武藤委員 これは大臣か総理大臣に農業政策の推移を知ってもらうためにたいへん貴重な数字だと思うのでありますが、国会ニュースの記事によれば、藤井さんは近き将来大臣に、就任するということでありますが、ひとつ今後の日本の農業を憂えられる立場から、藤井さん、特に三十五年が百五十万町歩だったのが、三十九年、わずか四年間に百五万町歩に減ってしまった。これはもうたいへんな減り方です。わずか四年間に三割以上減ってしまっておる。このことが日本の飼料輸入を増大せしめ、外貨をむだに——むだと言ってはちょっと語弊がありますが、かなり多く放出をさしてしまう、片方では選択的拡大だ、やれ養鶏がいい、養豚がいい、酪農がいいといって、もうかる農業をやれと奨励するものの、その基礎になる飼料というものはことごとく外国に仰がねばならぬ。こういう情勢のときに、裏作がこんなにも減っていくという傾向は、これは政治家として私は憂うべき情勢だと思うのであります。この裏作をもっとうまく飼料作物をつくる、あるいはその飼料について政府がある程度国策的な高所から抜本的な政策を考える、こういう必要が私は今日ほど痛感させられるときはないような気がいたすわけであります。いまの数字を見て政務次官、一応政治家として裏作農業についての何か抱負、経綸がありましたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/52
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053・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 ただいま農林省のほうから具体的な数字をもって最近の農作物の生産の推移を聞きまして、たいへん激しい移りかわりにまことに驚いておるわけでございます。いま御指摘の問題につきましては、やはり主食はできるだけ自給するという体制が政治の基本でなければならぬ。これはただ単に経済的な問題だけでなくて、大切な私は政治の姿勢であると思うのでございます。ただ、裏作の問題について、麦が非常に減ったということについては、私も専門家ではございませんから受け売りでございますけれども、非常に米は良質で、日本の米にまさるものはない、ところが麦のほうは外国でつくった輸入の品物は品質がよくて非常に安い、こういう状態でございます。武藤委員御案内のごとく、まさに世は開放経済体制、やはりお互いが物を売るかわりに買わなければならぬ、こういうことでありますので、以後世の中はいろいろけわしい一長一短の動きはございますけれども、全体的に平和な方向にいかなければならぬという考えを前提にいたしますと、やはり裏作の利用のしかた、飼料作物を中心とした積極的な体制ということはぜひ必要だと思います。この問題については、現在米審でもいろいろ積極的な意見もあるようでございまして、麦作の対策については目下検討をしておるように聞いておりますので、いずれ具体的な線が出ましたら、大蔵省としてもこれが積極的な対策に協力をしなければならぬ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/53
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054・武藤山治
○武藤委員 いま山中農林大臣候補がいないので聞かせようと思ってもちょっと残念でありますが、実はこの裏作が、なたねにしてもだめ、私たちの地帯では日光イチゴをビニールハウスで促成栽培し、ナシ、キュウリもやるこういう都市近郊はそういう方向にある程度は転換できるのでありますが、東北地方あるいは都会から離れた地帯においては裏作を遊ばしておる。国土有効利用という立場から見てまことにもったいない話である。私はそういう点をもう少し農林省が真剣に取っ組んで、燕麦をつくるわけにいかぬのか、燕麦あるいはマイロをつくるわけにいかぬのか、何か飼料作物を裏作につくるということをもっと政府が大腰を入れてやるならば、日本の国土利用という面から見てもあるいは国内の飼料をできるだけ自給度を高めていくという立場から見ても有効な施策はあり得ると思うのです。それを政府は、食糧管理法の中に麦が含まれておるから、麦をどんどんつくられると、どうも国の買い入れが多くなり、合庫に眠らせる、これはたいへんだ、こういうようなことから裏作を奨励しない。奨励しないどこるか、やめた者には奨励金まで出す法律が出たのでありますから、どうも日本の国内飼料自給体制というものは弱いのではないか。これは経済局長の管轄じゃないので、飼料関係になるとあなたに聞いてもこれは無理でありますが、しかしあなたもそういう担当の局長にかわってくるかもわからぬし、農林次官にならないとも限らないのですから、農林省におる限り何か裏作に対するあなたの感じですね。これはぴちっとしたあなたの責任を問うような答弁を引き出そうなどとは思っておりませんが、農林省という省の中におって局長の地位にあれば、やはり裏作に対する見解抱負というものを何か持っておるような気がするのですが、あなたの見解いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/54
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055・森本修
○森本政府委員 担当ではございませんからお許しをいただきたいと思うのでありますが、裏作は確かに御指摘のようにずいぶん減ってきております。地域的にもちろん差はございますけれども、全国的にそういう方向にあることはいなめない。その原因は、一つはやはり労働力が農村から都市に相当多量に流出しておるということであります。やはり手間不足ということが裏作を減らしている一番大きな原因ではないか、こういうふうに思っております。
それから二番目には、やはり裏作の対象の作物になっております御指摘のような麦なりあるいはなたねなりというものは従来から必ずしも生産性が高くない。日本の農作物の中でも生産性の低い部類に属しておる。したがって、先ほど藤井政務次官からもお話がございましたように、外国の農産物に比べますとなお生産においては数段の格差がある、こういう状況になっております。そういうところからおそらく裏作が相当減ってきておるというふうに言えると思います。したがいまして、対策の方向としては、やはり裏作の作物についてできるだけ手間のかからない、そしてまた収益性の上がるような方向に、技術なり機械化体系なり、そういうものを整備していきませんと、経済現象としては、なかなか減少を食いとめることができない、こういうふうに思うわけでございます。先ほど政務次官からも御答弁がございましたように、麦その他につきまして、何といいますか、外貨収支の面からいいましても、あるいは国土利用といったような観点からいきましても、このまま放置することはどうか、こういう御意見もございます。農林省もそういうことは痛感いたしております。したがいまして、いま申しましたような方向で何かもう少し技術的な革新はないか、あるいは機械化の裏作に適したような方法は生み出せないか、そういうことで目下関係部局で検討しておる、そういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/55
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056・武藤山治
○武藤委員 担当官でない森本さんとしてはやや九十点の答弁で、内容については私同感ではありませんが、一応この問題は、担当外でありますから議論はやめます。
そこで、麦作についての共済制度の中で、ここ一両年の間、さっきと同じような立場からの質問ですが、農民の負担と政府が出している補助金と交付された金額、それの数字は大体どういう状況になっておりますか。麦作のほうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/56
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057・森本修
○森本政府委員 三十九年産の数字でございますが、麦では農家負担の共済掛け金が約六億円、それから見返りの支払い共済金が四十三億円という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/57
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058・武藤山治
○武藤委員 それから、共済に加盟していない作物、たとえば大麻とか、あるいはよくひょう害で栃木県などはやられるのでありますが、ひょう害の場合は全滅になってしまうわけですね。全く全滅になってしまう。これが共済がないために何の手当てもされない、こういうような農作物について、あるいは果樹を最近つくろうという機運が非常に強くなっておるようでありますが、ミカン、リンゴ、こういうものに対して農林省は今後どういう手だてをしていこうと考えているのか、現在練っておる構想、さらにやり得る作物はどういうものならどの程度まではやり得るという見通し、そういうものについてはどういう検討をなされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/58
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059・森本修
○森本政府委員 新しい共済の対象作物についてどう考えておるかというお話でございますが、私どもとしましては、一番優先順位といいますか、そういうかっこうから申しますと、やはり選択的拡大といったようなことで、相当農家のほうで生産の拡大しつつある果樹、それから被害の最近の状況からいいましても、果樹が一番緊要な作物ではないか、こういうふうにと思っておりまして、果樹のほうはそういう、状況でございますから昭和三十八年から四十年まで三カ年の計画で実地の調査をいたしております。対象の果樹としましては約六品目ばかり、ミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ、桃、カキ、そういう六品目について実地の試験調査といっておりますが、これは主産地二十数県で実施いたしております。一方、そういう実地の調査のほかに、何といいますか、共済の制度の組み立てについて、理論的といいますか、そういう点も検討しなければいけませんので、三十九年から果樹と、それから共済の専門家にお集りをいただいきましてそういう共済の設計理論、そういったようなことについて実施するとすればどういう組み立てがあるかということを検討しておるわけであります。われわれの段取りとしましては、四十年までで実地の調査ができますので、それが大体四十一年の半ばごろ全部の資料がまとまる予定になっております。それから一方また、先ほど申しました専門家による検討も骨格が漸次できつつあるという状況でございますので、それぞれそういう両面から詰めましたものを集約いたしまして、四十一年度中には果樹共済の制度の組み立ての結論を出していきたい、こういうふうな手順で目下検討をしておるわけでございます。
それから、そのほか主として畑作物につきまして、先ほど言われましたような地方的な作物もございますし、共済制度にのせる可能性があるかどうかということについて、これも数年来実地調査を北海道についてやっております。来年度からは内地について主要な県を対象にしてやりたいということで、目下予算の折衝をいたしております。そういうものが漸次でき上がりますれば、地方的な畑作物についての共済制度の可能性が漸次わかってくるもの、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/59
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060・武藤山治
○武藤委員 ぜひ果樹類については早急に結論を出すようにして、共済制度にぜひ組み入れられるような前向きの姿勢で検討をお願いし、さらに大麻や、あるいはいまさかんにやっておるビニールハウスなどでやる早期栽培のトマト、キュウリ、ナス、こういうような場合も、時期的に非常に時期はずれに栽培をするために被害を受ける率が多い、こういう作物についてはどうするか、こういうような点も今後十分実地調査と計画をできるだけすみやかに、しかも実態を十分把握して進められんことを切に要望しておきます。
佐藤先輩が時間の都合でどうしても十二時前に出かけなければならぬというので、私の質問を一応これで終りますが、あとで時間がありましたら、また委員長お願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/60
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061・吉田重延
○吉田委員長 佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/61
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062・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 農業共済のことについては、私は昭和二十二年に代議士に出たのですが、その立時日本の農業は、御承知のように非常に原始的な農業でありました。まあアメリカでは農業共済制度が非常に普及しておりまして、これが非常に有効なものとなっておったのでありますが、日本では初めての制度でございまして、なかなか共済といっても百姓が非常にいやがった例があるのですが、このごろはそういう傾向はないのですか。簡単に局長のほうから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/62
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063・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、共済制度は非常にむずかしい面がございまして、制度を実施しましてから数年あるいは十数年かなりいろいろな面で要望なり批判、そういったようなものがあったわけでございます。先ほどお答えをいたしましたように、そういった線に沿うように数次の改正をしてまいりました。最近の改正は、先ほども申し上げましたように、昭和三十九年産の水稲から改正制度を実施しており、実施後の状況を見てまいりますと、たとえば共済金額の選択の面におきましては、毎年農家のほうは高いほうの共済金額を選択するというような状況であります。あるいは掛け金の徴収率が制度の改正前よりも相当進捗率が高い、あるいは損害評価についてのトラブルといいますか、そういう事情が前よりも少なくなっておるというような数点の状況から見ますと、改正前に比べまして、改正後の共済制度は、農家から見ましても、これは相対的な問題でありますが、比較的好評に迎えられておるのではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/63
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064・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 農業は危険な事業ではないようで、非常に危険な事業であるということは、最近非常に災害が多いのでわかってきたのでありますが、昭和二十三、四年ごろは、どうも掛け金を捨てるように農家が思っておって、なかなか実施がむずかしかったのでありますが、さて災害になると、農業共済をかけておったほうがよかった、かけておったことにしてもらいだいとかいうように、非常に注文が殺到したことがありますが、現在農林経済局ではいろいろ推進をされておるようだし、いま武藤委員からも果樹などの共済の問題についても御質問がありましたが、日本の農業の立場からいえば、こういう制度が非常に大事であって、いま農業は非常に衰微しておりまして、何といってもこのままにして捨てておくと農村はたいへんなことになるように、私たち農村の選挙区でありますから心配しておるわけであります。
そこでお願いしたいのは、農家は、共済のために、結局は損をするより利益があがると思いますが、一体共済金と共済の掛け金と国の補償というものについてはどんな関係になっておるのか。これは大まかなことですから的確なことは言えませんけれども、今度は御承知のようにこういう法律ができて十六億三千百万円というような数字になっておりますから、そういう関係はどんなことになっておりますか、大体の目安をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/64
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065・森本修
○森本政府委員 たとえば昭和三十九年度で申し上げますと、農作物共済、これは水陸稲、麦の関係でありますが、農家が払いました掛け金が六十五億円、それから農家が受領した共済金が約三百二十億円、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/65
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066・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ、日本の農業というものは保護を加えなければなかなか成立しない。それはどういうわけかというと、皆さん御承知のように、米価というものは消費者の関係で非常に低く押えられておる。いま統制があるのは米と、それから御承知のように自動車が制限がありますが、それ以外はほとんど統制をはずしておるわけです。そういう農業の不均衡のために、農民は——私らのほうは名古屋の郊外の選挙区でありまして非常に農業の進んだところでありますけれども、ここ数年間ほとんど裏作はやらない。これはいろいろ農民に話を聞いてみると、一番収益のあがっておる米でも、金額からいえば、ほかのものに比較すると非常に少ない。名古屋のほうに働きにいけば一日千五百円になる。これは米に換算したならばたいへんなことになるわけでありますが、そういう立場からも、私は農業共済ということは非常に大事なことでもあるし、これをもっと推進する必要がある、こういうふうに思うのですが、森本さんはどのようにお考えになっておられるか、あなたの立場としてどんな御感想を持っておられますかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/66
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067・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、制度を改正いたしましてからまだ一年ちょっとという状況でございます。もちろん、先ほど来御指摘がございますように、共済制度についても従来からいろいろ問題がございます。また改正をいたしました後でも、実情に合うようにいろいろなとるべき措置はしていかなければならぬというふうに思います。ただ、われわれとしましては、改正直後のことでもございますので、もう少し改正制度の実施状況を見ていきまして、もちろんその途中におきましても検討は加えていくわけでございますが、それらの状況を見ながら、また実態との関係でいろいろな問題がございますれば、改正について検討していくというふうなことは今後いたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/67
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068・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最近農林省の指導で農民も災害ということについてだいぶ関心を持ってきましたけれども、将来ひとつ、こういうような農業というのは危険な事業であるということを認識されて、もっと共済の拡充をはかれるように私は期待いたしまして、簡単でございますが、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/68
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069・吉田重延
○吉田委員長 有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/69
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070・有馬輝武
○有馬委員 森本さんにお尋ねをいたしますが、先ほど武藤委員から質問のありました無事戻し制度についてであります。この点については農民の多年の要望でありましたが、私、武藤委員が質問したときにちょうど席をはずしておりましたので、ダブる点があるかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと思いますけれども、制度が確立されてからこの件の適用がどうなっておるか、これをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/70
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071・森本修
○森本政府委員 先ほど武藤先生のお尋ねもございましたが、ちょっといま手元に無事戻しの金額の実績の資料がないものでございますから……。ただ、従来から無事戻しについていろいろな御意見がございました。無事故地帯あるいは被害の少ない地帯では掛け金をかけてもなかなか恩典がないというふうなことで、前回の改正で無事戻しの制度について修正をいたしまして、従来でありますと、三年間無事故である場合に三年間の掛け金の六分の一を払い戻す、こういうことになっておったわけですが、それを三分一払い戻すことができるというふうなことで、そういった要望にこたえるように制度は改正をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/71
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072・有馬輝武
○有馬委員 課長のほうからでいいですが、資料がなくてもいいですから、おおよそのあれがわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/72
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073・池田正範
○池田説明員 いま局長のほうからお話し申し上げましたように、実際に無事戻しをいたしました数字が手元にございませんので、これはあとで武藤先生のほうへもあわせまして資料を差し上げたいと思いますが、現にどのくらい無事戻しのための積み立て金を積んでおるかという数字がございますので、それを申し上げます。全国合わせまして、無事戻しのための積み立て金が約九億円ございまして、平均いたしますと、一組合大体二十三万円見当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/73
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074・有馬輝武
○有馬委員 次にお尋ねをいたしたいことは、これは農民の間で、掛け金だけにして、賦課金を検討せよということが長い間言われておるわけですが、これについて農林省で検討されている経緯についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/74
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075・森本修
○森本政府委員 先ほども同様なお尋ねがございましてお答えを申し上げたわけでございますが、組合などの事務費につきましては、たてまえとしては基幹的な事務費の全額を国が補助する、こういうことになっておるわけでございますが、実情から申しますと、いろいろな単価の計算その他がございまして、基幹的事務費についても、結果的には必ずしも全額というふうなことになっていない場合もございます。それからなお、先ほども申し上げましたが、付帯的な事務費がございまして、組合等で損害防止その他の事業もやっております。そういう関係は農家負担ということになっております。御指摘のように、そういう面から、農家が掛け金のほかに事務費についても負担するのはたいへん負担が過重であるというふうなことも言われております。われわれとしては、たてまえはたてまえでございますけれども、できるだけ基幹事務費につきまして、先ほど言いましたたてまえと結果のギャップを埋めるように国庫からの補助金について増額をしていただきたいということで、財政当局とも毎年折衝をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/75
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076・有馬輝武
○有馬委員 それで、これは局長も御承知のように、やはり機構の面というよりも、事務人件費をどのように見るかというところに根本的な問題があると思うのです。農民の間では、われわれの掛け金、賦課金であの職員を養っておるのだという意識があって、共済の職員は非常に仕事がしにくい面があるわけです。これは皆さん方御承知のとおりです。ですから、一歩でもこの農民の率直た感情というものにこたえる、そういう方途を考慮していくべきだと思うのでありますが、その点について、局長どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/76
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077・森本修
○森本政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨がよくのみ込めない点もございますが、いずれにしましても、先ほど来御指摘がございますように、農家が共済組合の事務費についても負担をしておる、それがかなり高いというふうな点がございます。そういうことにつきましては、できるだけ予算折衝の過程等で改善をはかっていきたい、こういうふうに繰り返しになりますが申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/77
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078・有馬輝武
○有馬委員 次にお尋ねをしたいと思いますことは、共済の対象を広げよという要望が強くあるわけです。主幹作物といいましても、日本のような南北に長い国におきましては、農作物に対する概念といいますか、その地域地域によって支柱が違うわけであります。ですから、やはりその地域におきましては、これも共済の対象に入れてほしい、極端に言うならば、米なんかどうでもいい、麦なんかどうでもいいというような議論があるわけです。この日本農業の地域性というものに対して、共済の面からどのように考えておられるか、これをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/78
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079・森本修
○森本政府委員 現在共済制度で取り上げております対象作物は、御承知のように、米麦、家畜、蚕繭といったようなことで、大体全国で普遍的に作付をされたりあるいは飼育をされておるというふうなものを対象にしておるわけでございます。これは何といいましても、一つは共済制度でもって災害対策をやるというふうな技術的な手段からくる一つの制約という面があると思います。といいますのは、何といいましても全国的にある程度危険を分散するといったようなことが、共済制度の一つの眼目といいますか、目標、そういうかっこうになっております。そういう点からいきまして、従来から対象作物が相当制約をされておるという関係になっております。ところが、御承知のように、漸次農村なりあるいは農作物の実態の変化がございますから、たとえば果樹でありますとか、あるいは畑作の中でも相当普遍的につくられているといったようなものについては、今後共済制度の対象にしていくことは十分検討の可能性があると思っております。ただ、ざっくばらんにいいますと、一地方といいますかあるいは三県といったような作物を現在のような共済制度の対象にしていくことについては、相当技術的に困難があるのじゃないかというふうに私は思います。現在それをカバーするために、任意共済事業というのが共済組合連合会単位でやれることになっております。しかし、やりました数例を見ますと、やはり先ほど申し上げましたようなちょっと無理がございます。一県でどかっと災害があるといったようなときには、なかなか立ち上がりにくいといったような関係になっております。そういう点からいいまして、地方的作物を共済制度にどう取り入れていくかということは、将来技術的にもあるいは実態面でも相当慎重な検討を要するもの、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/79
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080・有馬輝武
○有馬委員 プロパーのものでなければなかなかやりにくい、技術的に困難な面があるということはわかるわけです。その前提でもって私はお尋ねをいたしておるわけです。政務次官にお尋ねをいたしますが、たとえばあなたのところの桃なんかだって、これはがたっとやられると、ことしの青森のリンゴみたいな形になるわけです。ですから、やはり果樹を対象に入れろとか、なたねを対象に入れろとか、これはもう農民の熾烈な要望だと思うのでありますが、政務次官の政治的な判断をお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/80
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081・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 果樹に対してどう共済制度を結びつけるかという問題については、かねがね関係農民からの熱心な陳情を私も聞いておりますし、私の地域も果樹地帯でございます。ただ、いろいろ技術的に非常に簡単にいかないということで、農林省あたりで研究をさしてくれということで、すでにそういう段階から二、三年たっておるように私も承知いたしておりますので、具体的に農林省のほうから案が出されましたら、ひとつできるだけ早い機会に共済制度にのせていくということで、できるだけ努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/81
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082・有馬輝武
○有馬委員 森本さん、いま政務次官からもお答えありましたように、これは農民の長い間の強い希望なんです。それについて、これは何年たっても、技術的に困難でありますから検討をいたしますが、ということだけに終わっておるのです。それで、具体的に農林省としてその困難な面を摘出して、そのためにはどういう手当てをすべきか、こういう点についてはすでに結論が出ておると思います。そういう点についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/82
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083・森本修
○森本政府委員 先ほど武藤先生にお答えを申し上げて、多少重複すると思いましてことばを少なくいたしたわけでございますが、果樹につきましては、昭和三十八年度から四十年度まで、二十数県、それから六種目にわたって実地の調査をしておりまして、それが大体四十一年度の半ばごろ実地調査の結果がまとまる、こういう段階になっております。それは実地の被害の率とかそういうものをずっと調べておるわけでございますが、一方、共済にのせるとすれば一体どういう形でやるのかということを積極的に検討しなければならぬということで、昭和三十九年度から四十年度にかけて、共済の専門家と果樹の専門家にお集まりをいただいて、そういう面から共済制度の組み立てを現在研究をいたしております。中間的には、大体共済制度の骨子といいますか、そういうふうなものが最近まとまりまして、その専門家から報告をいただいております。私どもとしましては、四十一年度に先ほど申し上げましたような実地調査の結果が出てまいりますので、それによって、いま言いました骨子に肉づけをいたしまして、共済制度を急速にやってまいるための制度の仕上げを四十一年度中にはいたしたい、こういうふうな大体の進度状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/83
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084・有馬輝武
○有馬委員 ところで、そういった形で、果樹をはじめとして、私は相当広げるべきだと思うのでありますが、考えられる対象というもの、農林省で検討しておられる種類についてこの際お聞かせおきをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/84
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085・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げたのですが、果樹の対象として考えておりますのは、現在かんきつ、それからリンゴ、ナシ、ブドウ、桃、カキ、その六種目について現在実地の調査をいたしております。もちろん、実地の調査の結果によりまして、あるいはその種目の中から一部は共済制度をすぐ実施するのはむずかしいといったようなものも出てくるかと思います。しかし、大体現在の見当では五種目ぐらいは共済制度にのせ得るのじゃないか、こういうふうな見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/85
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086・有馬輝武
○有馬委員 果樹以外ではどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/86
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087・森本修
○森本政府委員 畑作につきましては、果樹よりも多少作物がマイナーなものになるものもございますので、共済制度の可能性については、先ほど申し上げましたように、まだ見通しを立てにくい段階でございますが、現在まで、あるいは将来調査をいたしたいと思っておりますのは、バレノショ、それから豆類、てん菜、ハッカ、除虫菊、なたね、亜麻等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/87
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088・有馬輝武
○有馬委員 いまおあげになりましたような、たとえばなたねその他について、これは果樹と同じようなテンポで私は相当急いでもらいたいと思うのです。で、これは共済制度がどう運営できるかということを先に考えると、いまあげられたような対象を入れていくことはなかなか困難だと思うのです。やはり共済制度の備荒貯蓄という根本精神に立ち返って、そしてその立場からこれを克服していくという方途をとってもらいたいと思うのです。そうしないとなかなか問題は解決しないと思います。特に農業基本法で選択的拡大ということを言って、現在までの農業の形態というものを農林省としてもこれは変えていく、省力栽培その他、とにかくあらゆる手を尽くして農家経済というものを前向きに考えていく中で、私は共済制度の問題をいま申し上げるような角度で検討していくことが、大きな助けになると思うのです。そうしなければ、たとえば私のところなんかでは、台風に強いサツマイモに永久にたよらざるを得ない、こういうことになって、基本法で言うところの選択的拡大なんというものは、ただから念仏に終わってしまう、こういう結果を招来しておるのが現実の姿だと思うのです。そこら辺について、いま一度農林省としての基本的な態度についてお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/88
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089・森本修
○森本政府委員 御指摘のとおり、地方的な作物につきましても、それぞれの地方で選択的に拡大をしていかなければいかぬといったようなものも多数あることは承知いたしております。そういう際に、共済制度の果たす役割りも相当重要であるということも御指摘のとおりでございます。したがいまして、われわれとしましては、先ほど申しましたように、そういったものについて共済制度にのせ得るかどうかということを技術的にもあるいは実地にも検討しておる段階でございます。ただ、御指摘にもございましたように、従来のような共済制度をそのまま適用するということになりますと、相当困難があります。あるいは備荒貯蓄を加味するとか、そういうような方法を検討すれば、あるいはもっと変わった形で実現する可能性もあるのじゃないか、そういうことも十分御指摘のとおりあると思います。われわれとしましては、そういう線に沿ってできるだけ実地調査を進めまして、その可能性について検討いたしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/89
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090・有馬輝武
○有馬委員 賦課金の問題と関連いたしまして、共済の職員の待遇というよりも、身分について検討すべき時期にきておるんじゃないか。ざっくばらんに申し上げると、農林省でかかえなさい、人件費も見なさい、事務費も見なさいということを言いたいのですか、この点についての困難性はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/90
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091・森本修
○森本政府委員 各県で共済制度といいますか、農作物の保険をやっております仕組みはいろいろございます。ある県では、いわゆる公社制度といったようなことでやっておるところもあります。ある県では株式会社が保険をするといったような県もございます。いろいろその土地とい、いますか、国々の事情で共済制度をやる仕組みもそれぞれ特色があるようでございます。日本のほうは発足以来一つの農家の共済、それに対して国が災害補償的な見地から相当重要なてこ入れをする、こういうふうなことでやってきております。漸次国が事務費なりあるいは掛け金に対する国庫負担なりあるいは支払いの面なりということで国の財政援助を強化しつつ今日まできておるのであります。私どもとしましては、一挙にそういう公社制度といったようなことにいたしますと、各県の事情を見ましても、それぞれ一長一短がございます。そういうことでございますから、現在のところでは、従来の基本線に沿って、国の援助についてもできるだけ財政当局にお願いをしながら援助をしていくというような線で当面は対処していったらどうか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/91
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092・有馬輝武
○有馬委員 その国庫補助なり何なりを検討することによって、私がまあ非常に荒っぽい議論をした、その線に近づけていくということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/92
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093・森本修
○森本政府委員 大体御趣旨に近いかと思いますが、ただ、国がまるがかえ、あるいは共済の職員を公務員にするとか、あるいは仕組みを公社制にするとかいったようなところまではちょっといきにくいわけでございますけれども、実質的には漸次国の負担を増加していくというふうなことで災害対策の強化につとめたい、こういうことで考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/93
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094・有馬輝武
○有馬委員 いま共済の職員の平均ベースはどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/94
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095・池田正範
○池田説明員 ただいまの実績は、諸手当等を含みまして、共済組合におきまして二万四千二百五十六円、それから組合連合会の段階におきまして、現実に三万六千三百三十九円が支払われております。しかしながら予算の単価といたしましては、共済組合の段階では一万八千九百三十四円、それから連合会の段階では二万一千二百二十四円ということになっております。したがいまして、事務費全体としての実負担額が、組合の段階では約七〇%、それから連合会の段階では約五〇%渦というところが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/95
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096・有馬輝武
○有馬委員 いま家族構成なり、年齢についてお話がありませんでしたけれども、あなた方御承知のように、末端の共済事務所に行ってみますと、男子で五十歳前後の人が非常に多いと私は思うのです。それが二万円以下で生活できるかどうか。これは常識的に考えて、少し世間離れがして.おるのではないかと思うのです。私はこのこと自体を論議しようとするのじゃなくて、こういった実態を踏まえて、先ほど申し上げたような点について前向きに検討しなければ、人的な面からも共済制度それ自体に一つの危機を招来するのではないか、このように考えるわけです。このことが一つ、それから、私は現在の評価制度についてもいろいろ問題点があるのじゃないかと思うのです。
これをどのように前進させるか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/96
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097・森本修
○森本政府委員 農作物の損害評価は、御承知のようになかなかむずかしい面がございます。共済制度の運営の中で問題の多い項目ということに、御承知のようになっておるわけでございます。漸次これらの一面も整備はしてきておるつもりでございます。たとえば連合会の評価の段階ではそれぞれ坪刈りを実際にやる。検見だけではなしに、そういうふうな形をとっていくとか、損害評価に対する機具等についても国から補助をいたしまして漸次整備をしつつある、こういうことでございます。最近の状況を見ますと、いままでは国の統計調査の結果の数字と、組合なり連合会が評価をいたしました数字とが従来は相当かけ離れておりまして、それぞれ認定するときにかなり問題が多かったわけでございますが、それらの開きぐあいも、ここ二、三年の数字を見てまいりますと、漸次接近をしてきておるというふうなことで、末端における損害評価のやり方の整備とともに、そういった面も漸次解決をされていくのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/97
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098・有馬輝武
○有馬委員 時間もあれでありますので、これを最後にいたしますが、一つには、私は実収高の把握といいますか、これについて現在の制度に一つの欠陥があるのじゃないか。やはり強権供出時代の意識というものが農民の間にあってはならないはずなのに、あるということも一つの障害になっておると思いますが、そのほかにもいろいろ私は問題点が残っておるような感じがいたしますので、この点についてひとつ検討を願いたい、これが一つの希望であります。
それと評価員についての手当、これも浮き世離れがしていますね。ここで数字をあげなくても、とにかく忙しい中をさいてその仕事に従事するというていのものでないことはきわめて明らかであります。やはりこういった一つ一つの面を少しずつでも前進させる形に持っていかないと、この共済制度それ自体が根幹からゆらいでくるのじゃないか、崩壊してくるのじゃないか。私はこのような懸念を多年抱き続けておるわけです。もちろん無事戻し制度なり何なりについて前向きに解決された向もあります。それと同時に、いま私が指摘いたしましたような点について、相当突っ込んだ、しかも急ぐ姿勢というものがなければ、私は問題は解決しないと思いますので、いまあげましたような点について、少なくとも来年度の予算編成の際、予算審議の際には、こういった面が具体的に検討されたそのあとを予算の分科会その他において明らかにしていただきますことをこの際要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/98
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099・吉田重延
○吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/99
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100・金子一平
○金子(一)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/100
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101・只松祐治
○只松委員 この前、私の質疑の途中で終わりホしたので、また初めから繰り返すのもどうかと思いますが、多少中途はんぱになりますが、前段を抜きにして、この前のことから質問を続けてまいりたいと思います。
前回は、いわゆる現在出されておるこの財特法二千五百九十億円というものに関する限り、税収不足から出てきたものであるからこれは赤字でおる、こういうお答えまでいただいた。しかし、明年度以降出てくる——七千億とか八千億とかいろいろ言われておりますが、この公債については建設公債だ、こういうふうにお答えになりました。そこで、私は、本年の公債が赤字でありながら、明年度以降のものは建設公債である、こういうふうに画然と割り切るのはおかしいのではないか、こういうお話を申し上げたわけでございます。
そこで、私があのときに質問をいたしましたように、自民党でございますから、社会主義経済に変わる、こういうことはないと思います。資本主義経済だと思います。いわゆる経済そのものが根本的に変わるとか、あるいはまた資本主義であっても予算の編成方針が、たとえばドッジさんがお見えになって大きく変わったことがあるように、何か基本的に変わる、こういうことがあるか、たとえばいまでも年々十何%の予算の増大が行なわれているわけですけれども、明年からは予算を縮小する、こういうふうに予算編成方針でも変わるということになれは——これは私はそこまで詰めませんが、あとで同僚議員たちがそういう御質問をするだろうと思いますが、明年度の予算内容を見ましても、そういう明年度予算は縮小するという方針にでもなれば、あるいはおっしゃっているように明年度以降は建設公債である、こういう考えもできないことはないと思いますが、現在までの予算方針で貫きながら、明年度以降は建設公債である、こういうことは私は正しいお答えではない、明年度以降も赤字公債である、こういうふうに私は思うわけでありますが、大臣のお考えはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/101
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102・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ことしの公債と来年の公債は公債であることには違いありません。また、経済に与える影響、そういうような点につきましては、似通った点が多いと思いますが、これはそもそも出発点が違うのです。ことしの公債を考える以前に、昭和四十一年または四十二年以降において公債を出す政策に転換をしようということを構想しておったわけなのであります。その考え方につきましては前にも申し上げておりますが、とにかく社会資本がずいぶん立ちおくれになってきているのではないか、国力がここまでついてくればその問題をどうしても解決しなければならぬ時期にきている。それから、借金をもって罪悪視するような考えをとることは、これは間違いである。国力がここまでついてきた今日の段階になれば、もう国民そのものを安定させるために国の財政というものは考え方を変えていくべきではないかというようなことから公債政策の採用ということを検討しておったわけてあります。ところが、その構想はもう出ておる。その後に至って、二千五百九十億円にのぼる巨額の歳入欠陥に相なるということが明らかになってきましたので、ことしは率直にやろうじゃないか。いろいろ議論はありましたが、率直に歳入欠陥が生じておるという事実を認むべきである、そのすなおな考え方で財政処理をしたほうがよろしい、こういうことにいたしまして、今度の財政法の判例による公債を発行するのだという考え方を取り入れたわけであります。その発想の根源が違う、主観的に全く違ったところから出発しておるということで私どもは割り切っておるような次第でありす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/102
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103・只松祐治
○只松委員 おっしゃるように、発想の根源が違うことまでは私どももわかります。それは認めます。しかし、本年度のものは赤字公債で、来年度のものは赤字公債でない、建設公債である、こういうふうにおっしゃることがわからないのであります。たとえば、いまのままの経済情勢、いまのままの予算編成方針、したがって、財源になる税収というものを見てまいりますと、税収も来年度不足することは当然だと思うのです。来年は、この経済情勢の中から自然増収がそう余る、こういう状態ではないだろう。まして減税を大幅に進める、こういうことがなされれば税収はずっと不足をしてまいります。こうなってくると、そこに当然に国家財政に赤字というものが出てくる。こういういわば大ざっぱな考え方から見ても、本年度のものは税収不足に基づく赤字である。来年度はやはり同じように税収不足が出てくるけれども、七千億というものは赤字ではない。初めから考え方を変えたのだからこれは建設公債である、こういうことには私はならぬと思うのです。私が大ざっぱに考えてもそうですけれども、それでは七千億の中にどれだけ建設というものが——住宅、港湾、あるいは下水その他どういうものが七千億円の中に具体的に占めるのだ、こういうことになってまいりますと、私はそこまでの時間がございませんのでその点は省略いたしますけれども、あとで同僚議員等からやると思いますが、七千億円の中にどれだけ具体的に建設費が含まれておるか、含まれる予定であるかお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/103
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104・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私どもが公債発行の対象といたしますのは、国民、国家の財産としてあとに形を残すものである、こういう考え方でございまするから、その中心は公共事業費であります。公共事業費その他かような資本的支出がどのくらいになりますか、ことしだけでも六千四、五百億円はあるのであります。その他特定財源を持っておる道路もありますが、その特定財源を持ったものを除きましても、六千四、五百億円のものはあるわけでありまして、それは先ほど申し上げましたような趣旨から、昭和四十一年度においては大幅増額するという考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/104
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105・只松祐治
○只松委員 私たちの試算によりましても、建設費目に属するものは、来年度おそらく七千億円を下るだろう、のほらない、こういうふうに私たちは思っております。さっきから言いますように、それはおきまして、それでは具体的に、何々の費目、子算の款項目を打った建融費、こういうふうにされるのか。あるいはそういうふうな付か法律なり政令でも出して、建設公債というものはこれこれこれの款項目だ、あるいはこういう費目だ、こういうふうにおきめになる予定ですか。あるいはそういうものが何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/105
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106・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 財政法第四条による公債を出す場合におきましては、予算上その対象となる資本的支出というものはどういう費目であるかということを国会に拠出し、御審議を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/106
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107・只松祐治
○只松委員 いまそれが明らかになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/107
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108・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 昭和四十一年度につきましては、まだはっきりしておらないのです、予算そのものがまだ編成の過程でございますので、ただ、大体四十一年度の場合にどんな費目をそういうふうに考えておるかという中間的な考え方は申し上げることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/108
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109・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、たとえば、いままで道路とか、下水とか、住宅とか、そういう建設費目に属しておったものは、いままでの予算の中からほとんどというか、全部取り除いて、そういうものは別個に建設公債でまかなう、通常予算というのはほとんど一般経常費だけ、こういう形の編成方針をされるわけです。そうすると、私が一番最初にお尋ねしましたように——お答えにはならなかったけれども、いままでの予算編成方針とは、その意味では抜本的にこれは異なってくる、こういう編成方針だと思うのですが、そういうふうな編成方針をおとりになる、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/109
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110・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 資本的支出の幅というものは相当大きいと思うのです。これが公債発行の上限になるわけですね。それとイコールじゃないわけです。公債発行額をきめるめどといたしましては、さらに公債の民間消化能力というものを考えまして、もし消化能力が公債発行、資本的支出の総額に足らぬということであれば、それは低くせざるを得ないわけであります。そういうふうに考えますので、建設的な、資本的投資額と公債発行額は一致するわけじゃない。公債発行額は常に建設的投資のより内輪な額になるというふうにお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/110
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111・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、各省あるいは地方自治団体に具体的に予算がおりていく、執行されていくという場合に、どうやってこれは建設公債である、これは一般予算である、こういうふうに明確に分けていくことができるか、あるいはそういうことを一能だとお思いになっておるか。さっきから言うように、建設公債というものは四条のワクの中にはまっておって、項目をあげてこうやっていくんだ。これはまあ話としてはわかりますよ。そうすると、具体的に各省や地方自治団体におりていく場合にはいままでの予算編成方針と大きく異なってくるが、そういう予算の使い方をなさるというならば、相当明確な指示なり使い方をなさるのですか。私は、多少の名目ワクというようなことはあるかもしれませんけれども、実際上使用していく場合にはほとんど変わりない、こういうことになるんじゃないかと思います。何か明年度から特別の予算執行上の特例の法令を設けたり執行の方法を考える、こういうことまでお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/111
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112・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 執行段階では何も特別のことを考えておりません。予算編成段階におきまして発行される公債がはたして資本的支出の内輪であるかどうかということがはっきり国会でおわかりになるような書類を提出いたしまして御審議を願う、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/112
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113・只松祐治
○只松委員 時間がありませんから話を進めていきますけれども、本年度のものは赤字である。明年度以降は具体的に建設公債であるから赤字ではない、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、私は、明年度以降も赤字であると思う。また、本年度の二千五百九十億円というこの赤字公債は来年度にも若干引き続いて残っていく、こういうことも実際上の問題として一これは予算の編成上はそうじゃないですが、実際上の問題として考えられる。来年度以降税収不足に基づく赤字公債を出すということになる。これはあとで問題にいたしますけれども、きょうは時間がありませんから問題といたしませんけれども、そういうふうに具体的に税収不足による赤字公債である場合には、これは参議院でも木村さんが多少議論になったことだと思いますし、またいまからなるかと思いますが、明らかに財政法四条の違反、財政法四条と問題が出てくる。特にいま具体的な執行面についてもちょっとあれいたしましたけれども、具体的執行の場合にはそう区別するものはない、こういうお答えであります。さらにきのう参考人がおいでになりまして、これは本来なら公聴会を開くべきところですが、参考人でお見えになりました。そのときにお尋ねをいたしましたが、建設公債と赤字公債は区別がなかなかわかりませんと舟山さんなんか率直にお答えになりました。私も具体的にそのことは存じません、こうお答えになっておる。いわば参考人に出てくるほどの日本の金融界の中枢にある人々、こういう人々が、やはり建設公債と赤字公債というものの区別がさだかでない、こういうことを言っておられるわけです。そういう点を考え合わせますと、私は、本年度が赤字公債であり明年度以降は建設公債である、こういうふうに明確に割り切ること、規定することはなかなか困難だと思う。あくまで、やはり大臣は、明年度以降は建設公債である、いま申しますように、明年度以降税収不足に基づく赤字公債というものが実際上出てきても、それは財政法四条の違反ではない、こういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/113
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114・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 あくまでも来年度は財政法第四条に基づく公債であります。これはそれと寸分たがわざるような公債の形をとる考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/114
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115・只松祐治
○只松委員 それは赤字公債が含まれていない、赤字部面が含まれていないという意味において四条違反ではない、四条の範囲内だ、私が言うように建設費は七千億円もなくて、それに満たない。国家予算を全部合わせてなおかつ七千億円なり七千五百億円、あるいは八千億円の公債が出たというときには、これは明確に四条違反の問題になります。赤字公債の問題になってまいります。そのときは当然に四条違反である、こういうふうに大臣もお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/115
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116・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ちょっとよくわからなかったのでもう一度願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/116
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117・只松祐治
○只松委員 七千億円、明年度公債を発行すると仮定をいたします。しかし、建設費関係予算は全部洗いざらいしても六千八百億円しかなかったというときには、たとえば二百億円の赤字公債と目されるものが出てくる。まして七千五百億円なり八千億円という公債が発行されるならば、六千八百億円が建設費だといたしますと、当然にそこに赤字公債というものが見込まれてくる。それは四条違反ではないか、こういうことを言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/117
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118・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 それは四条違反でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/118
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119・只松祐治
○只松委員 いまもしそういう事態になれば明らかに四条違反、こういうことでございます。私はその問題はその程度にして、次に話を進めたい。
この建設公債とともに、歯どめのいま一つの重要な問題は市中公募である、こういうことが言われておるわけであります。そのほかにもいろいろあるわけでございますが、その市中公募ということは、いま金融機関のシンジケートをつくって御相談になって、ことしの分は大体めどがついておる。来年以降、特に明後年にはたいへんに問題になるということがうわさされておる、喧伝されております。私たちも実際にそのことを心配いたしておる。ところが、その一つの問題として、個人消化という問題がここに出てくる。金融機関だけですと、これはあとで聞きますが、金利の問題と関連をいたしまして、日銀から安い金利で借り出して六分五厘、実際上七分に近い金利になりますと、日銀肩がわりというものが当然出てまいります。現に、ある証券会社あたりでは、一応われわれが引き受けるけれども、実際は一年たてば日銀がこれを肩がわりしてくれるんだ、こういうことがすでに言われております。当然に私は日銀の肩がわりという問題が出てくると思います。それが、あとでまたお聞きいたしますが、市中公募の場合には、個人消化ということをお考えになっておりますか。個人消化ということになれば、当然に公社債市場等の問題も出てくると思いますが、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/119
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120・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 なるべく市中消化の慣行を広めていきたい、こういうふうにいま考えております。初めのうらはなかなかむずかしいだろうと思うのです。今度のたしか二千五百九十億円にいたしましても、その半額くらいを市中で消化する、その市中消化の千三百億円くらいの中の一割くらいは民間消化ができそうだ、こういうように言われておるのですが、さあそれが七千億円だというふうな巨額になった場合に、その一割である七百億円がうまく消化できるかどうか、こういうことにつきましては、よほどこれは努力をしなければならぬと思うのです。しかし、これはどうしてもその努力に努力を積み上げて、これが一割から一割五分に、二割、三割となるようにして、国民みんなが公債に関心を持っていただくというふうにしていきたい、こういうふうに考えております。そういうような見地から、まずさしあたり今回発行する昭和四十年度債につきましては、市中消化額の一割見当を証券会社が引き受けることにいたしまして、そして証券会社の窓口を通じて一般民間に流すというふうに考えておるわけであります。そういうことを考えます場合には、証券市場に公社債市場というものができることが必要である、こういうふうに考えておるわけであります。今日まで政保債は政府関係としては出ておるわけでありますが、まず政保債につきまして気配交換を行なう、これが少しなれた段階になりましたらば、これを市場に上場する、こういうことを考えたいと思っております。それが大体熟した時期、来年の春以降になりましようか、国債につきましても気配交換を行ない、さらにその様子を見てこれを市場に上場するという手順を踏んで、国債に流動性、交換性を与えていきたい、かような準備をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/120
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121・岩尾一
○岩尾政府委員 先ほどの大臣の御答弁にちょっと補足して説明さしていただきます。
先ほど先生の御質問で、公債を七千億円出して、そうして建設財源というものが六千四百億円というような場合に、あと絶対に発行することはないかというふうに御質問になりました。これに対しまして、大臣は、そういうことはいたしませんというふうにお答えになりましたけれども、財政法四条には、公共事業以外の出資、貸し付け金も建設公債の財源として充当し得るという規定がございますから、実際はそういうものに充当する場合もあり得るわけでございまして、そういうものを含めて、大臣は、建設財源というものは全体で六千四百億円の場合にはあり得るというふうにお答えになりました。そういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/121
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122・只松祐治
○只松委員 私がいま大臣からお聞きしたのは、結局、七千億円出して、幾ら洗いざらいやっても建設関係が六千八百億円しかなかったというときに二百億円残る。さらにそれが七千五百億円なり八千億円出されたときには、それ以上赤字部面が出てくる、これは財政法違反じゃないかという大まかな質問をしたわけです。それに対してそうだというお答えがあったわけでございまして、さらに時間があれば、私は本年度予算なりそういうものから出てくるものをもう少し詰めた話をしたいのだが、まだほかにも聞きたいことがあるので、そっちを質問しているわけです。そういう意味から私は聞いております。
さらに、いま大臣のお答えになりました一般論はわかりましたけれども、具体的に、今度は証券会社を通してですが、一般の、たとえば店頭を通して何か——戦時中のように隣組を通してというようなことはないと思いますが、市中公募を個人消化する、こういうことをお考えになっておる。そういうことになれば、いまでも証券会社等から免税をしてくれとか減税をしてくれ、こういう要望書がすでに出ておりますので、当然にそういうことも出てくるだろうし、お考えになると思います。そういうことについても、もう明年度からそういうことをやるというならば、すでに御論議があって——税調でやっておるということはまだ聞いておりませんが、論議されておるか、あるいはそういうことについてお考えを持っておられるか、その点も聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/122
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123・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいまのところ、税法上いままで以上の優遇措置というものは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/123
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124・只松祐治
○只松委員 市中公募は明年度からおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/124
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125・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 市中公募は今年度の分からいたします。先ほど申しましたとおり、大体一割方はやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/125
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126・只松祐治
○只松委員 一般的な市中公募でなくて、私の言っているのは個人消化——店頭等を通して、証券会社等を通してというお話もありましたけれども、これは間接的と申しますか、そう一般的ではないと思います。一般的でない意味での個人消化というものは明年度からおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/126
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127・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 今年度といえども、証券会社が約一割くらい引き受けますから、その引き受けた一割を一般大衆に売るということが好ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/127
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128・只松祐治
○只松委員 本年度証券会社を通して一割ということでございますが、諸外国、たとえばフランスでは約三〇%であるとかいろいろあるわけですが、明年度は日本は大体何%ぐらいがいまの経済情勢あるいは諸般の公債発行上その他から好ましいとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/128
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129・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 かりに七千億円くらいな規模とした場合に、一体どのくらい民間消化ができるだろうかということにつきましては、まだ最終的な結論を得ておりません。おりませんけれども、証券会社なんかの見方では一割はこなせます、こういうことを言っているのです。それから証券会社でないほうの見方では、まあ五分くらいかな、こういうようなことも言っておるのでありまして、その辺、もう少し見当をつけて最終的な結論を得たいと思うのですが、いずれにいたしましても、それは来年の三月ごろに大体見当をつけるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/129
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130・只松祐治
○只松委員 次に、金利の問題について若干お尋ねいたします。
きのうも参考人の方に金利の問題を若干聞いたわけです。金利というものはどうしてきめられるものであるか、こういうふうにお伺いしたところか、大蔵省と私たちのほうで御相談をしてというようなお話があったのです。金利というものは、公債の金利でございますが、どうやって最終的にきめられるものか。大臣の認可があればそれまでですが、、実際上具体的にどういうふうにきめられるか。それから今年度幾らの金利にずるという腹づもりでおいでになるか。聞くところによると、この法案が通ったのちでないとなかなか金利というのは具体化しない、だろうというお話もあるそうですが、むしろこれだけの問題でございますから、金利等も明らかにした上でこの法案を通すということが本来の筋ではないか。そういう観点から金利の問題についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/130
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131・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これはほんとうは法律案が通ってからきめるべきものでありまして、また形式的にはそういうふうにしますが、実はこの公債は来年の一月に約七百億円くらい発行することを考えておるわけであります。非常な金融緩慢期なので、それを絶対のがしてはならない。こういう考え方でまいりますと、もう年内にはどうしてもシンジケートとの間に約束をしなければならない。こういうことになるので根回ししている。その根回し段階の、私どもの大体の見当は六分七厘九毛五糸というところでいこう、こういう考え方であります。
その利回りを決定するには二つの考え方をいたしておるわけであります一方においてはこの出す公債か非常に歓迎裏に消化をされるということであります。同時に、大蔵省は国の財務の統轄者でありますし、また国会に対して国の支出の責任を持たなければならぬ、そういうようなことから、利息負担をなるべく少なくしなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。なるべく金利は安くして、しかも十分に消化していくという一線がこの利回りに結論としてはなってくる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/131
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132・只松祐治
○只松委員 売り出し価格の割引その他を全部計算して六分七厘九毛五糸、そういうことでございますね。——これはいまお話がございましたように、特に市中消化等を進めるという意味からは高いほうがいい。あるいは金融機関からいっても高いほうがいい、一般的な国民の側なり政府の側からすれば安いほうがいい、こういうことだと思います。なかなか中をとるのは容易でないし、どれが高いか安いかということの絶対論的なものはないかと思いますが、たとえば日経という日本の経済を主として論じておる新聞の論説を見ましても、いま言われておるその程度のことを想定しておるわけでございますけれども、高いではないか。日銀の貸し出しが日歩一銭六厘で、これが五・八四%になるということからするならば、結局この公債を買うだけで金融機関というものは相当の利ざやをかせいでいけるのではないか、こういうことを強く言っております。金利は高過ぎる、もっと金利は低くすべきである、こういうことを言っております。いま言いますように絶対論的なものはございませんから、これも一つの相対的な議論だと思いますが、これは経済界の全般的なものを日経というものが代表した議論ではないか。ほかの新聞にもそういうものがときどき見受けられますけれども、大臣としては一般的に金融機関に迎合し過ぎた金利ではないか、あるいは将来の低金利政策を想定する場合に、高きに失するのではないか、こういうふうに私は思いますが、大臣はどう思われますか。さらに、金利というものは、公債は今度一回限りでありませんから、第一回は歓迎その他を含めて、こういうふうにしておいて、明年度以降においては、やはり金利を変更することがある、たとえば安くすることがある、こういうふうにお考えですか。当分はこういう金利でいく、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/132
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133・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 それはむしろ国会からはほめられると思っておるのです。今日の長期債金刑で最も国債に近いのは政府保証債ですが、これが応募者利回りが七分五毛三糸になるわけであります。それから政府ではありませんが、地方公共団体の発行する地方債、これが七分三厘五毛四糸となるわけでございます。さらに電力債なんかになりますと、もっと高いので、七分四厘八糸、こういうことになりますので、政府が保証しておる、つまり償還の確実性なんかにおきましては国債とほとんど変わりがないものが、いま私どもが考えておるものよりは二厘五毛も高いというような状態です。それから地方債なんかに比べますと、たいへんな開き、五厘五毛の違いかある、こういうことで、私としてはこの利回りは、国債としてはずいぶん値切ったというか、思い切ったというふうに考えておるわけなんです。高過ぎるというのは、どういうことを言われるのかよくわかりませんが、私は国会に対しても十分説明ができる数字である、こういうふうに考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/133
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134・只松祐治
○只松委員 さっきから繰り返しますように、どれが絶対高いか、絶対安いかということはなかなか決定しかねるわけですか、いまおっしゃったような関係の利息というのは、必ずしも短期だけのものではございませんが、これは公債とはだいぶ趣を異にするものだと思います。やはり公債というのは短くても今度七年の償還期限、あるいは十年、十五年だ。あるいは基本的に国の今後の経済情勢を、皆さん方発表されておるPR紙その他で見ましても、抜本的にこの異常な日本の経済状態に基づき、根本的に日本の経済情勢に対処するという非常に極言的なことばが使われております。そのように、公債問題というのは国の基本的な経済にかかわる問題だ。そこで、たとえばこの論議一つにいたしましても、大臣に連日出ていただいて、大臣のもとでないと審議しない、こういう審議をいたしているわけであります、そういう国の基本的な問題もあるし、あるいは将来長期にわたる面から見るならば、なおかつ——私もこの各金融機関と日銀との取り引き関係、その他全部詰めるのに時間がございませんけれども、いままでの金融機関と日銀の関係、そういうものを想定した場合に、先ほどちょっと私が言いましたように、あるいは各新聞でもそういう心配をいたしておりますように、すぐ肩がわりをする。さっき言いましたけれども、証券会社のある人が、一年たったらこれを肩がわりしていいというような、まあ相手が言ったとは言いませんが、大体了解がついておる、こういうことが言われておりますけれども、すぐこれを担保として日銀に持ち込む、こういうことは当然に考えられる。ここに私たちが、市中公募と言いながら非常にしり抜け的になって、インフレに公債というものが落ち込んでいく一つの大きな要因がある、こういうことも言っておるわけです。それの歯どめ策というものは別に考えるとして、やはりこの金利というものが一つのそういう歯どめ策の一環をもなす、そういう面から見るならば、私はなおかつまだこれは若干高いのではないか。ことしはとりあえずこれでやって、来年度以降になったらまた考慮する、あるいは引き下げる、こういうふうにお考えになるか、あるいは、いやそれは絶対に国会でもほめられると思っておるくらい安いのだから、来年度以降はむしろ高くしたいのだ、こういうふうに逆にお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/134
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135・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 国債の金利、利回りは、これは長期金利外邦の一環なんですね。ですから、短期金融の金利とは直接の関係はないわけです。しかし、いま只松さんが何回か言われます、日本銀行にこれを打ち込むのじゃないか。これは打ちこんでもそう得になりません。日本銀行の担保貸しは一銭六厘、これは年歩に直しますと五分八厘四毛でございましょう。六分五厘の公債を出す、それには税が一割源泉でかかることは御承知のとおりであります。税引きしてみますと六分八厘五毛になります。一毛違いですね。これはほとんど同じといっていいわけなんです。ですから、川俣貸しの担保としてこれを使うといっても、そう妙味はないわけなんです。しかし、それはそれといたしましても、私どもの金融政策をこれからやっていく考え方といたしまして、日本銀行が国債担保貸しをどんどんやっていくかというと、これは特別の事情のある場合以外はいたさない、そういうふうにしようと思います。日本銀行が国債を手に入れるという場合には、オペレーションの対象として買い取る、こういうふうにしていきたいと思いますので、ただいまお話のあったような問題は、御心配は全くないことであるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/135
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136・只松祐治
○只松委員 その点重ねてお尋ねをしておきますが、当面の方針としてしないということでございますか。それとも大蔵省の通達か何かお出しになって、あるいは何かして絶対に変えない、ここまできびしくおやりになるのでございますか。当面の方針、だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/136
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137・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは法的にどうのこうのという問題はないのです。日本銀行の金融政策の運用上の方針としてそういうものをとっていく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/137
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138・只松祐治
○只松委員 次に、私は一番最初時間がなくて、日本経済の今後の動向その他についてお尋ねする機会をなくし九わけでございます。その際にお聞きしようかと思っておったのですが、したがって結論だけになりますが、こういう公債政策というものは、いまの経済情勢からするならば、いつごろまで必要か、いわば続けていかなければならないか、こういうことについて大臣のお考えをお聞きいたしたいわけであります。というのは、これはさっきお尋ねいたしましたようないろいろな懸念とともに、公債の一番危険性といわれておるのは累積性、いわゆる増大していく、長期化していく、このことにあるわけであります。したがって、当初は今日大臣かお答えになっておるようなことを懸念しつつ、あるいは留意しつつそういうものに対処していくと思うのですけれども、これかずっと長年にわたっていく、あるいはこれか当然であるというような形になり、累積してまいりますと、これは利子の問題一つだけとりましてもたいへんなことになってまいります。したがって、十年後には十五兆円とか二十兆円の公債が出るということを今日まことしやかに心配しておる、こういう向きもあるわけでございますけれども、いまこの公債を出すにあたって大臣の考えておられる、あるいは大蔵当局が考えておられる、この公債の永続性あるいは累積性というものについてお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/138
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139・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私は、公債政策はごくわずかな額である限りにおいては、これはそう心配する必要はない、むしろ景気調整機能として必要であるとさえ考えておるのであります。しかし、只松さんがいまおっしゃるのは、七千億円とかあるいは一兆円とか、そういう巨額な公債発行状態が続くのか、こういうことだろうと思いますが、私は、経済が今日のような低圧型である、こういう間はしばらく多額な公債を毎年出していくということを続けていかなければならない、こういうふうに存じておるのであります。しかし、その額も、景気が公債政策の結果よくなり、そして自然増収がどんどん出るというような状態になれば発行額は逓減せしめ得る、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/139
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140・只松祐治
○只松委員 一般論としてはそのとおり、だと思うのですが、いま本年度の補正予算が通ったわけでありますが、これから来年度予算の編成をされる場合、公債は当然でありますが、減税にいたしましても、単年度でなしに何年度かにわたって、少なくとも三年や五年くらいを展望しながら減税その他を考えなければならない、こういう意見が出されておることを考慮されておるわけでございますから、そういう趣旨からも——二時から本会議ということでありますから一々前提条件は申し上げませんが、そういうことで、当面、明年度からは七千億円前後の相当大幅な公債を政府としてお出しになるわけでありますが、これは明年度だけというものじゃない。そういう意味から、具体的にいまどの程度、来年七千億円、再来年八千億円出していったならば、大体三年後なら三年後に景気が回復する、こういうことがめどにないと、これは来年度の七千億円というものを全くあてずっぽうで出せるものでないと思う。具体的にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/140
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141・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 まあ、今後三年間くらいのことを考えてみまするときに、いまの設備過剰という状態は——私、来年は経済がよくなると思います。思いますが、根本的にこの設備過剰状態が解消して、高圧経済型になるとは考えておりません。そういうような経済情勢を考え、またこれからもどんどん社会資本の充実をやっていかなければならぬという国家的要請というものをあわせ考えまするときには、昭和四十二年度、四十三年度までの段階においては、公債の発行額はややふえていく傾向になるのではないか。ただ、それも四十一年度の予算をやってみて、公債の消化状況はどうかというようなことにも関連はあるわけであります。それを除いて考えまするときには、まあ少しふえる傾向を持つであろう、こういうふうに考えるわけであります。その後においては、おそらく相当自然増収なんかも出てくるような情勢になりますので、私どもといたしましては、そうそう公債発行額をふやしていくというようなことのないように気をつけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/141
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142・只松祐治
○只松委員 本鈴ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/142
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143・金子一平
○金子(一)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後二時休憩
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午後六時十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/143
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144・吉田重延
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。藤田高敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/144
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145・藤田高敏
○藤田(高)委員 すでに、財特法の問題についていろいろ質疑がかわされてきたところでありますが、非常に重要な問題でありますので、重ねて大臣にお尋ねをいたしたい。
この財特法に対する基本理念と、今回特例法によって、いわばこの基本法としての財政法のワク外において財政措置をしようとしておる政府の態度についてお尋ねをしたいと思うのです。審議の実質的効果をあげる意味から、私のほうから、まずその見解を申し上げて、大臣の所見を伺いたいと思うのです。
まず、財政法に対する基本的理念であります。これは本会議におけるわが党の平岡議員の質問の中にもありましたが、この財政法は、新憲法体制の重要な一環であり、特にその第四条と第五条の立法的な意義というものは、過去の歴史的事実の中から生まれたものでございまして、特にその立法の眼目とするところは、戦争の危険を防止することであり、第二には、特定支配階級に対する奉仕の財政政策というものを排除して財政の民主化を確保するということがねらいであり、第三には、通貨膨張とインフレを防止することがこの第四条、第五条の立法的意義だと私どもは理解をいたしておるわけでございますが、この点については、一点のまぎれもなく、政府も、またその所管大臣である大蔵大臣も、この私どもの基本的な認識とそごがないのかどうか、立法に対する基本的な考え方については見解は一致するのかどうか。この点、ひとつ念のため重ねてお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/145
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146・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いま財政法第四条、第五条の趣旨として三点あげられたのですが、第二の点は、どうもそのままそのとおりに私どもは理解をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/146
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147・藤田高敏
○藤田(高)委員 第二点の理解については、これはある場合には若干の見解の相違が生まれてくるかもわかりませんが、それでは第一、第三の点については全くそのとおりだ、このように理解をしてよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/147
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148・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 第一点は、終戦後の特殊なああいう事態を背景として財政法というものが生まれた、第三点は、インフレは絶対に抑制する、こういう見地だ、こういう御説と理解しますが、その点は、私はそう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/148
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149・藤田高敏
○藤田(高)委員 それでは、一応基本的な理解については原則的な認識の統一がなされたという前提に立って、以下、私は質問をしたいと思うわけです。
順序は不同になりますが、まず第一に、今度の法律改正を見ますと、その附則の第二項において、いわゆる「国債に関する法律(明治三十九年法律第三十四号)」を、いわば書きかえをする形の条項ができてきておるわけです。この点は、地方自治法の起債発行の条件を見ますと、地方自治法の二百三十条には、「普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。」、そうして地方債を起こす場合において、「地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、予算でこれを定めなければならない。」こういうふうに、いわば今度ここに改正をしようとしておる、いわば広い意味の読みかえと申しましょうか、「第一条中「起債」を「発行価格、利率、償還期限其ノ他起債二関シ必要ナル事項並ニ」」、この国債に関する発行条件に見合うものは、地方債の場合には地方議会における予算として議会の議決事項として処理されることになっております。ところが、この国債に関しては、いま問題になっておる公債に関しては、これはいわば大蔵大臣の専決と申しましょうか、いわゆる大臣の権限において日本銀行をして取り扱いを行なわす、いわゆる大臣権限になっておるわけです。私が先ほど財政法の基本的理念というものをあえてお尋ねをしたのも、やはり憲法の第九条の平和主義を実質的に裏づけるものがこの財政法の四条、五条であり、さらには、この財政法というのは、財政の民主主義というものをこの立法の中で保障する条件だと思うのです。そういう点から申しますと、この地方自治法の中には、財政角柱主義の原則に沿って、いまここで問題になっておる公債の発行条件に関するものが全部議会の議決事項になっているにもかかわらず、この国債については大臣の権限にゆだねるということは、これは立法の立場からいって財政民主主義の原則に反するのではないか。したがって、やはり財政民主主義の原則というものを尊重していくというたてまえに立つなれば、地方自治法の中で明記されておると同じように、これらの発行条件についても、国債については、国会の議決条件として、そうして国.会のコントロールがなされるというふうにすることが、真の意味における民主政治、いわゆる予算の民主主義を確保し、保障することになると思う。したがって、そういう意味にこの附則を改正するのであれば、この地方自治法の立法の基準に沿ったような改正を行なうことが妥当であると思うのでありますが、その点についての見解を求めたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/149
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150・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 今度の国債に関する法律の改正は、これは実体を変えたわけじゃないのです。国債に関する法律があまりにも古い、明治三十九年でありますから非常に古い法律であり、その表現等が近代的でなく、かつ、その内容にもあいまいなところがありますので、これを正確に表境をしておこう、これから公債も出ることでもありますからということでございます。
それで、それとは別に、いま条件等についても国会で議決をしたらいいじゃないかというようなお話でございますが、国債の発行条件等は、これは引き受け業者とのネゴシェーションできまる問題であります。これをあらかじめきめまして押しつけるというような性格のものじゃないのであります。したがいまして、大体の考え方は、国会では申し上げますけれども、これが実行はそのときの市中の状況において行なうほかはないのであります。大体先進国におきましては、アメリカにおきましてもイギリスにおきましても、大蔵大臣が条件はきめるということになっておるのでありまして、これを法律できめるとか、あるいは予算できめるというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/150
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151・藤田高敏
○藤田(高)委員 それでは、この国債、いわゆるいま問題になっておる公債と地方債との性格の関連についてでありますが、地方債の場合は、御承知のように予算事項として議会の議決を必要とする、そうしてその利率の変更とかあるいは償還期限の変更等については自治大臣の許可を必要とする、そうして起債のワクについては、財政投融資のワク内において地方債というものは発行されることになる。こういうふうに非常にコントロールされるセクションが幾つかあるわけであります。そうしてこの地方債の場合は、そういう性格とコントロールの機関があるだけに、日本経済全体に影響を及ぼすというような性格のものでは、極論をすればないと思う。いわゆる公債の場合は、これは経済全体あるいは財政、金融全般にわたって影響を及ぼすわけですね。そういう質からいえば、むしろ一国の経済に重大な影響を与えるというものでないものに対してまで議会のコントロールのいわゆる権限を付与しておるにもかかわらず、公債を発行するかしないかというような、その国の経済に重大な影響を与えるようなものに対して立法機関が発行の限度額だけについて権限があって、他の条件に発言権といいますか、議決権限がないということは、やはり予算の民主主義の原則からいって、これは非常に旧法律概念といいますか、旧帝国憲法、旧憲法の概念に基づいて基準をきめようとすることは、これは基本的な誤りをおかすのではないか。これから先、私の特に個人的な意見でありますが、いま問題になっておるような国債を発行するということについては、明治三十九年のこの法律が六十年目に生き返ってくるというようなことはちょっと予想をしてなかったのじゃないか。そういう意味で、本来なればこの財政法ができた二十二年にこの明治三十九年の国債に関する法律というものは一度廃止をして、そうして新しい民主憲法の原則に沿った国債に関する法律の基準というものをつくるべきではなかっただろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、そういう私どもの基本的な理念の上に立って考えると、この附則の改正はやはり立法の基準としては非常に時代おくれのものである。いわゆる私がいま指摘したような基準に沿って、同じこの際附則を改正するのであれば、地方自治法の二百三十条に見合ったような改正をすべきであると思うのでありますが、重ねて見解をただしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/151
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152・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 自治省との関係につきましては、理財局長から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/152
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153・中尾博之
○中尾政府委員 地方起債の関係と国債の関係とは取り扱いが変わっておる点が確かにあるのでございますが、国債の場合には、すでに国家の租税公権というものを背景にいたしまして、一定の信用というものが確立しておるわけです。そうして、それが公債を発行いたしますそれなりの条件でネゴシエーションできめるということになりますが、地方自治体の場合におきましては、その財政的基盤は非常に区々でございます。地方公募債をのせるというような団体もございますし、あるいは縁故の起債すら困難であるというような団体もあるわけでございます。したがいまして、その条件というものはおのずから区々になると存じます。そういうような関係から、国債の場合のような、結果的に見て一時的な姿というものはとりがたいのが実情でございます。そういうようなところから、特にその管理に関しましては取り扱いが異なっておるものである、このように理解いたしております。
それから二番目のお話でございまするが、現在のこの法律は六十年目に生き返ったということでありますが、そうではございませんので、ずっと適用いたして現在まできておるわけです。現在でも借りかえ債は発行いたしておるわけです。事務手続で生かしておるのでございます。もちろん、ただいま大臣から御答弁がございましたように、ネゴシエーションをもって発行する必要のない特殊の使途に対しまして国が一方的に給付するという、こういう交付公債といったようなものにつきましては、法律をもって条件を定めておる例はございます。それはそういう特質によるものでございまして、市場において、市場の自主性に応じて発行いたしまする場合は、これは法律あるいは議決をもっていたしましてもどうしようもないのでございまして、事実上できるところでやっていくということでございまするから、事の性質によるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/153
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154・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 国債に関する法律は、第一条ばかりじゃないのです。以下ずっと続くわけでありますが、国債に関する法律の第一条だけがちょっとあいまいな点があるというので、この際明らかにしておきたい、大体言っていることは同じなんですが、内容をこの際はっきりしておきたい、こういうことでありまして、この法律を全面的に改正する必要はない、ただ第一条だけなものですから、第一条の改正の手続をとる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/154
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155・藤田高敏
○藤田(高)委員 若干くどいようでありますが、私は先ほどの質問で、この明治三十九年の法律が戦後一回も適用されていない、こういうことは言っいないのです。いまここに改正をされてきておるこれは、この部分については六十年目に手をつけたということですから、その点から私考えまするに、やはり現在の新憲法ができたときに、国債に関するような基本的な法律条項というものは、新憲法に見合った基準に沿って法律改正をされることが最も妥当ではないのか、こういうことを言っておるわけです。そういう基準に照らして今日の地方自治法の地方債の発行条件というものがきめられておるのではないだろうか。さすれば、それ以上に国の経済に影響を及ぼす国債については、質的な意味からいうと、それ以上の規制措置、立法機関の意思が介入するような立法条件にすることが、より憲法の精神に沿った法律ではないのか。今回ここで第一条に手をつけるのであれば、同じように、そういう方向で手をつけるべきではないかということを言っておるわけであります。
そのことに関連をして重ねてお尋ねをいたしたいのは、この地方自治法の場合は、いま申し上げたように、国の経済全体に重大な影響を及ぼすということは、公債に比較した場合には少ないと思うのです。ところが公債の場合には、そういう影響力が大きいわけですから、それだけに、地方自治法以上に国債の財政法に関するウェートというものは重く見なければいけないのではないだろうか。なるほど、大蔵大臣にこの種の問題の権限を移譲すれば、これは経済の変動に応じて、いま大臣が言われたように利率の変更なり、償還期限の変更等については、極論をすれば、条件を経済状態に即応して、自由自在に、いわばスピーディに改正することはできるかもわかりませんが、国債の発行及びその発行の限度額、条件変更というものは、私はある意味においてその重要性を同じに見るべきではないか。ですから、公債の発行をするかしないか、その限度額をどういうふうにするかという点について、立法機関の意思介入がなされると同時に、その条件を変更するときにおいても、そこでやはりコントロールするようなことのほうが、公債発行に対しての歯どめというものについて、より多くの効果を発揮することになるのじゃないか。そうしてこの経済の変動に即応してという意見ですが、今回、国会の開かれておる現状というものを見れば、通常国会が百五十日、過去一年間と振り返ってみれば、ほとんど休んでおる期間というものはないわけです。ですから、国会の意思を、立法機関の意思をただそうとすれば、そういう機会は幾らでもあるわけなんです。そういう面からいっても、私はこの際、この法律改正については、ぜひ地方自治法の二百三一条の基準に沿って改正すべきであるということを強く注帳をして、最後にもう一度見解をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/155
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156・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 一番極端な例を申し上げますと、外債の発行です。外債を幾らできめて、これを押しつけるというようなわけにはとうていまいらない。それと同様な事情は国内においてもあるわけであります。さればこそ、英米等におきまして、その条件をきめることは重大な問題ではありますけれども、これを大蔵大臣に委任をしておくわけであります。これを国会できめてというような御説じゃ、これはもう公債なんか絶対に発行はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/156
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157・藤田高敏
○藤田(高)委員 その点については、これは見解の対立といいますか、意見の相違で、そのこと自身について時間をこれ以上とることは省きたいと思います。
それともう一つ、基本的な問題についてお尋ねをしておきたいと思います。これは先輩武藤議員もこの問題の冒頭に質問をされたかと思うのですが、こういった財政法のような基本立法に対して、特例法というようなものをもって実質的に法律の中身を改正するといいますか、改正する以上に基本法のワク外に——相撲でいえば土俵のワク外で相撲をとって、もっと卑俗な言い方をさせてもらえば、憲法を法律で改正する、こういうようなことがなされてよいものかどうか。これは私は、言い分はいろいろありましょうけれども、基本的な法律概念としては、このたびの特例法によってこのような財政措置を行なうこと自体は、いわゆる財政法に違反するものであり、はなはだもって不法性の強いものである、こういうふうに思うわけでありますが、この点についての見解をもう一度ただしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/157
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158・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 それも見解が違うのです。私は、今回特例法をお願いしておるということ自体が、きわめて民主的な行き方である、こういうふうに考えておるわけであります。つまり、今回いろいろな角度から検討しまして公債を出さないわけにはいかぬ、こういう結論になりまして、その際、財政法第四条の解釈でいけるじゃないか、こういう議論もあったわけであります。また、それを支持する学説なんかもあるわけであります。しかし私は、それはいかぬ、四十一年度から公債を発行しますが、この公債は積極的な意味において前々から考えておった公債である、ところが、その公債発行の構想を進めておる過程におきまして、二千五百九十億円の税収欠陥が生ずるということになってきた、そこで、それを何ともならないので公債を発行する、これは率直に言って何ともならぬ公債である、こういうふうに観念して、財政法第四条に基づく四十一年度以降の公債とは性格が違うのだ、これは率直に国会にそのことを申し上げて、そして特例法を制定して、それに基づいて一回限りの措置としてやるのだ、そういう方法をとることこそが、民主的な行き方である、こういう考え方に立って特例法の御審議をお願いいたしておるわけであります。それが土俵の外だというお説に対しましては、これは見解の相違と申し上げるほかはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/158
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159・藤田高敏
○藤田(高)委員 これは基本的な見解の相違になろうかと私は思いますが、やはり今日の財政法は、いま予算が通りましたが、予算に盛られておる二千五百九十億円、二千六百億円という赤字、この種の追い詰められた赤字というものは出さないのだ、現在の財政法はこういう法律なんですね。ところが、こういう特例法をもって出してきておるわけです。私は、なるほど一つの法律解釈の便宜的な解釈としてはいま大臣の言われたような解釈もあろうかと思いますが、それはあくまでも形式的な民主主義論だと思うのです。財政法の本質論からいけば、この種の重大な歳入欠陥をもたらして、そして法律の中でも憲法の裏法ともいうべき基本法に手をつけるような場合は、少なくとも国会の中だけでわれわれがこの種の法律の改正をやるのではなくて、政府自身がこういうものに手をつけざるを得なくなったのだという国民の意思をただして、もしそういう基本法に手をつけるとすればつけるべきではないか、そういうことが憲法改正の発議権あるいは憲法改正の基本的な条件でありますが、やはり憲法とうらはらの関係にあるこういった基本法については、非常に歳入欠陥ができたから、その赤字公債の性格というものをはっきりすれば法律の改正は容易にできるのだ、こういう便宜主議的なものの考え方というものは私はとるべきでないと思うのです。そういう点からいって、いわゆる法律の基本的な考え方において、今度の特例法による財政処理というものは非常に無理をなさっておるのではないかと思うのですが、その点の見解をいま一度ただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/159
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160・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 無理をしておるのではなくて、私どもの気持ちはきわめてすなおにやっておるというつもりでございます。憲法を改正するわけじゃないので、やはり財政法は憲法と密着している法律で、これを尊重すべきことはもとよりでありますから、それに違反したことをしてはいかぬ。これは違反というか、そのらち外に出る行為をするということになるとすれば、どうしても国会で御論議願ったほうがよろしい、しかもそれは一回限り、当年度限りだということでお願いをいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/160
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161・藤田高敏
○藤田(高)委員 私は、この点についても非常に大きな見解の対立、隔たりがあるわけでありますが、私どもの基本的な考え方としてはいま申し上げたとおりでございまして、一言にして言うなれば、このたびの特例法による措置というものは、非常な不当性というより、むしろ不法なものである、いわゆる違法的な措置であるという私どもの見解を強く主張をいたしまして、時間の関係もありますから、この問題にさらに時間をとることについては省略をいたしたいと思うのであります。
そこで、私は、きょうは幾つか質問の条項を用意いたしておりますが、大臣の時間的な関係もありますので、できるだけそのものずばりでお尋ねできるようなところへ焦点を合わして、以下質問をいたしたいと思います。
今度の通常国会が始まってから、特にこの財政処理の問題、公債発行に関する問題が論議される過程において、大蔵大臣は、今度の財政処理としてやっておる二千六百億円というものと来年以降発行されるであろう建設公債というものは質的に違うのだ、いわば赤字公債ではないのだということを盛んに言われておるわけであります。これはたいへん皮肉な言い方かもしれませんが、二千六百億円の追い詰められた赤字というものは田中前大蔵大臣のやったことであって、わしの知ったことじゃない、わしのように少しばかり財政的に精通しておる者のやるのはかくかくのごとく違うのだという、一つの折り目をつけたそういう政治的な意味からいけば、私は言われることはわからぬことはないのです。ところが私は、福田大蔵大臣が盛んに強調されておる来年以降の建設公債も、結果的には追い詰められた赤字公債になる危険な要素を非常に多く含んでおると思うわけであります。そこで私は、一つの試算をいたしておるわけでありますが、その前に、私自身の見解を申し上げ、判断材料として事務当局にお尋ねをいたしたいのであります。また大臣からでもけっこうでありますが、その第一は、四十一年、四十二年——公債問題を論議する場合に、やはり中期経済計画ではございませんが、四十三年度くらいまで——少なくとも四十三年、特に大蔵大臣は、この種の問題を論議するのは長期的な見通しの中でお互いが議論をしなければならぬ、こういうことをけさ方来も強調されておったので、そういう大臣の御主張なさっておる歯車に合わしてひとつ議論を発展させるという立場からお尋ねをするわけでありますが、いま言った四十一年、四十二年の成長率というものをどの程度に見ておるのか。これは昨日でございましたか、予算委員会においてすでに御答弁になられておるようでございますが、この点について、なお本委員会において御答弁をいただきたい。
第二には、四十一年、四十二年、できれば四十三年を見越した税の自然増収というものについてどの程度の見通しをお立てになっておるのか。これはあくまでも大臣が御答弁なさるでありましょう。七%になるのか、八%になるのか、その経済成長率に見合った税の自然増収というものはどの程度になるという計画をお持ちなのか、これはひとつ主税局長からお答えを願いたい。
第三点は、四十一年以降は、けさ方の大臣の答弁を聞いておりましても、赤字公債は出さないのだ、いわゆる公債を出す場合は、財政法の四条でいう四条的性格のものに限定をするんだ、まあ、原則的にはそういうことをおっしゃっておられる。これはここで一言言っておきますが、私どもは、この種の性格のものを、これはもう実質的には一般歳入が欠除して公債を発行するのですから、これも赤字公債だと考えておるわけでありますけれども、その論議はともかくとして、そういうことを四条的性格のものだ、こう言っておられるのでありますが、それでは、四十年、四十一年以降の公債発行額というものはどの程度に考えられておるのか。たとえば、四十一年は、巷間論議されておりますような七千億円とか八千億円といわれ、あるいは自民党の政調会あたりでは一兆円といわれておりますが、政府としては、四十一年以降、四十二年、四十三年ぐらいまでどの程度の公債を発行なさろうとしておるのか、この点をひとまずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/161
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162・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 来年は、大体実質で七、八%の成長と見ております。その次の年度になりますと、まだはっきりしたことは言えませんが、大体その辺で動くのがいいのじゃないか。昭和四十三年度についてもそういうふうに考えております。
それから、その際の租税収入が一体どうなるのかということは、減税をどういうことにするかということによって違うのですが、減税は、かりにことしの一ことしというか、昭和四十一年度にやるというものを基礎としていきますると、これは弾性値を一体どういうふうに見ていくか、税収の弾性値を一・三と見るか、一・四と見るか、そういう辺で多少の変動はあると思います。それで、結局私は、三カ年ぐらいの間は、もう確実に低圧型の経済情勢である、こういうふうに見るわけであります。私は、来年の予算は、そういう典型的な年であり、七、八%の成長をするとすれば、どうしても財政が大きく出ていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまするが、そういうような傾向は続いていくんじゃないか、そういうふうに考えるわけであります。ただ、ほかの経済要因である輸出が一体どうなるか、そういうような問題もあります。それから、設備投資が来年は横ばいであるにせよ、再来年あたりどういうふうな動きになりますか、そういうことによって財政の規模というものは変わってまいるというふうに思いますが、まあ、傾向としては低圧型であり、したがって公債の発行額は四十一年度よりはやや上回る傾向をとるのではあるまいか、そういうふうな観測をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/162
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163・塩崎潤
○塩崎政府委員 私の答弁は、大体いまの大蔵大臣の御答弁で全体的には尽きていると思うのでありますが、ただいま大臣のおっしゃられましたように、税収は成長率によってきまるものでございます。それがいわゆる弾性値といわれるものでございますが、その弾性値も各年度によって違いますし、過去の経験値で見ますと、不景気から好景気に移るときの弾性値、さらにまた、好景気から不景気に移るときの弾性値、種々の弾性値がございまして、そのあたり、どんな弾性値を使うか、いろいろ問題点がございます。一・四あり、一・五あり、このあたりでかりに計算いたしておりますが、まだ確たる自然増収の見通しは立てていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/163
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164・藤田高敏
○藤田(高)委員 これは、たまたまこういう変則といえば語弊があるかもわかりませんが、異常な国会運営の結果、来年度予算が年内には提示されておりませんが、例年なれば政府の復活予算が今日段階では提示されていなければならないわけですね。ですから、マスコミあたりで言っておりますように、来年の一月五日ぐらいには大蔵原案ができて、大体一月十五日ごろには政府原案ができるんじゃないだろうかというところまで、実質的には審議といいますか、検討が進められておると思うのです。ですから、私は四十二年、四十三年以降については、いま御答弁をされたような抽象的な見解しか出されないかもわかりませんけれども、四十一年度の自然増収についてはどの程度のものが見込まれるのかという点については、もう今日段階でわからないなんていうことは、これはおかしいと思う。少なくとも公債を七千億円出すか八千億円出すかという基本的な問題が論議されておるときにそういうものが明示されないなんていうことは、私どもは国会審議の権威にかけても納得がいかない。ですから、少なくとも自然増収としてはどの程度のものが見込まれる、本来なれば中期経済計画からいう成長率の七ないし八%程度ということで、四十三年度までは大体自然増収についてもこの程度で計画を組んでおります、こういうことにならないと、大臣のおっしゃっておる、けさ方の只松議員ではないですけれども、質問をすれば長期的な観点からお互いに論議しなければいかぬ、それではやや長期的な観点から論議をしましょうということで論議を発展さすと、そのことはごく抽象的で、具体的にさっぱりわからない、こういうことでは歯車のかみ合った議論はできない。ですから、そういう点からいって、私は重ねてお尋ねをいたしますが、四十年から少なくとも四十一年についての自然増収の見通しについて、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/164
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165・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 大体四十一年度は自然増収一千億円程度と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/165
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166・藤田高敏
○藤田(高)委員 四十一年度は一千億円、そこまで出ておるのであれば、四十二年、四十三年について、これは一つの大綱的なものでいいですから、大体どの程度か、見通しをお聞かせいただきたやと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/166
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167・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 四十二年度、四十三年度は、四十一年度の租税収入に対し経済成長が幾らになるかということで大体四十二年度の額がきまってくるわけですね。つまり、弾性値の問題もあります。そういうものを加味しまして、ですからおおむねの見当はつくと思うのですが、ことしは、昭和四十年度の当初予算に比べまして落ち込みがひどいものですから、自然増収の形では千億円ぐらいしか出てこないわけですが、四十二年度、四十三年度は相当多額の自然増収が出てくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/167
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168・藤田高敏
○藤田(高)委員 重ねてお尋ねしますが、四十二年度の経済見通しですね、これは経済の成長率を大体来年度程度だろう、こうおっしゃったんですが、さらにその税収の大綱的な見通しについてひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/168
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169・塩崎潤
○塩崎政府委員 ただいま大臣のおっしゃいましたように、経済成長率をどういうふうに見るか、これと、もう一つは弾性値をどう見るかによってきまるわけでございます。いろいろな仮定が要りましょうし、また現在これが絶対という基準の弾性値はございません。一応の成長率を幾らとし、さらにまた一応の弾性値を幾らぐらいにするということにすれば、計算は一応できるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/169
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170・藤田高敏
○藤田(高)委員 いま主税局長が言われた意味の、そういう程度のことでいいですから、答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/170
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171・塩崎潤
○塩崎政府委員 名目成長率を一〇%といたしまして、弾性値を一・四という計算が一つできるわけでございます。そういたしますと、四十二年は、四十一年度の減税を幾らにするかまだきまっておりませんから……。(「それは大体三千億と予算委員会で大蔵大臣が答えておる。」と呼ぶ者あり)しからば、国税にかりに減税が二千億円あるといたします。四十一年度二千億円減税があるといたしますと、減税前では租税の収入が三兆四千百九十億円になります。減税が二千億円ありまして、したがいまして租税収入が三兆二千百九十億円になります。ここで四十二年度に移るわけでございます。そこで名目成長率が一〇%で弾性値一・四といたしますと、減税前で三兆八千九百七十七億円になります。しかし、過去の減税の二千億円が同じく自然増で伸びますから、これが三千七十八億円ばかりになります。差し引きの三兆五千九百億円ばかりが四十二年度の収入になるわけでございます。四十三年度は同様の計算を継続いたしまして、四十三年度の減税前は四兆四千四百三十三億円になりまして、四十一年度の二千億円が大きくなり、三千五百九億円になります。そういたしますと、四兆四千四百三十三億円から三千五百九億円を引きました四兆九百二十四億円、これが四十一年度に行ないました減税が影響いたしましたところの四十三年度の税収でございます。四十二、四十三年度は減税なしという計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/171
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172・藤田高敏
○藤田(高)委員 ちょっと私自身読み取れなかったのですが、四十一年から四十三年までの減税の結論だけもう一度言ってくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/172
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173・塩崎潤
○塩崎政府委員 ただいま私が申し上げました四十二、四十三年の減税額というのは、四十一年年に行ないました減税が経済の成長によりまして大きくなった金額でございます。四十二年度にはそれが三千七十八億円と評価され、四十三年度にはそれが三千五百九億円と評価される大ざっぱな見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/173
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174・藤田高敏
○藤田(高)委員 いまの案でいきますと、ごく大綱的な見通しですが、減税のワクは四十一年は二千億円、四十二、四十三年は一応ない、こういうことだと思うのですが、私は、いまの御答弁からいきますと、たとえば予算の伸び率と、これから先どの程度の財源不足額ができてくるか、それと減税をどの程度やるか、こういう三つの条件をかみ合わしていった場合に、四十一年は、なるほど大臣がおっしゃるように、従来財政法の四条的なものでいろいろな公共事業あるいは出資金、貸し付け金、こういうものを公債で七千億円だったら七千億円出すということになれば、どうにか歳入欠陥を補うような措置ができるかもわかりませんけれども、四十二年以降については問題が起こってくるように思うわけです。
そこで、私は先ほど十分承らなかったわけですが、四十一年の公債発行の一応の目安額、これは大体七千億円と踏んでよろしいのかどうか、これは一つ御答弁がなかったと思うので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/174
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175・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 公債の消化の額、消化力ですね。それから財政のいま大体考えておる規模、さらにそういうような公共事業費など財政法四条に該当するもの、そういうものを総合しまして大体七千億円見当、これは見当です。最終的なあれでいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/175
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176・藤田高敏
○藤田(高)委員 それでは、政府答弁による成長率は一応七ないし八%程度、来年の公債発行額は約七千億円程度、そうして減税については主税局長が答弁をされたような条件、こういう三つの条件を勘案をしまして、これはごく大ざっぱな見当でありますが、私はそういう条件で計算をしていきますと、四十一年度はどうにか七千億円程度の公債発行によって——このいい悪いは別ですよ、財政上のつじつまだけを合わすという観点からいけば、約七千億円程度の公債を発行すればつじつまは合うかわかりませんけれども、四十二年になると、これはおそらく福田大蔵大臣がだれかほかの大蔵大臣にバトンタッチをやるころには、またそこで四条のワク外へ出る赤字が出てくると思うのです。その試算を申し上げたいと思うので、これはひとつ数字を控えて御答弁を願いたいと思うのです。四十年の予算規模は三兆六千五百八十億円、いま巷間に伝えられておる来年度の予算規模は四兆二千八百億円程度、そうしますと、前年度対比においてその伸び率は一六%、その予算額の差額は六千二百二十億円程度、ところが大体過去の予算の伸び率をずっと見てまいりますと、これは一応若干の問題点はあるかもわかりませんが、四十二年度の予算の伸び率を一応一五%程度と見ますと、その予算規模は四兆九千五百億円になります。そうすると、四十一年と四十二年のその絶対額の差額というものは六千七百億円になるわけであります。この六千七百億円になるということは、結局四十一年度いま予定をされておる四兆二千八百億円として、いま私が指摘をした四十二年度が四兆九千億円程度の予算になるといたしますと、結局その間の差額、税収、歳入差額が六千七百億円程度のものがなかったら予算が組めなくなりますね。そうでしょう。そうしますと、この四十二年度の公債の発行額は、いま大臣の御答弁では来年が七千億円程度だというわけですから、予算の伸び率を一五%と見ますが、一応おまけをして二〇%と見て千四百億円、そうすると、公債の増加分によって補ってくれるものが千四百億円ありますから、その分を差し引きますと、すってもむいても税の歳入増によってまかなわなければならないものは、四十二年度の段階では五千三百億円程度となるわけであります。そうすると、先ほどの主税局長の御答弁にもあったように、この二千億円の減税というものは来年はやる、再来年は一応やらぬ、こういうことになっても、国民は来年も再来年も減税をやってくれると思っておると私は思うのです。ところが、これはやらない場合は、いま私が試算しておるように五千三百億円毎度のものが出なければいけない、もし減税を政府が言っておるように二千億円ないし三千億円程度のものをやるとすれば、四十二年の時点では七千三百億円から八千億円の税収を中心とした歳入増に見合うだけの財源を確保しなければ予算が組あないということになるのです。そうしますと、この七千三百億円から八千億円の税収というものが、はたして七%ないし八%の成長率によってこれがけの収入というものが確保できるのかどうか、これが一番重要な問題点になると私は思うのであります。この点は過去の実績から私は一つの推論々いたすわけでありますが、ずっと自然増収の経過を見てまいりますと、高度成長の三十五年千九百六十六億円、三十六年三千六百五十五億円、三十七年四千五百三十四億円、三十八年二千八百八十三億円、三十九年、去年が一番ピークで六千五百七十億円、四十年度は御承知のように二千五百九十億円のマイナスであります。これをひとつ過去四年の平均で、一番いいところで、ことしの二千五百九十億円という落ち込んだ要因を入れないで年間平均をしますと四千四百億円の自然増であります。ところが、経済にはでこぼこがあるわけですから、一応五年間のことしまでの二千五百九十億円のマイナス要因を入れて計算をいたしますと、年平均自然増は三千億円程度しかない。かりに四千億円あったといたしましても、いま私が指摘した財源収入に見合う七千三百億円、あるいは八千億円という財源は、はたして自然増収を前提にして出てくるのかどうか。出てこなければ、ここにいよいよ四十二年の段階で、福田大蔵大臣がだれかにかわるであろうというその段階でまた赤字、四条のワクをこえた赤字というものが出てくると私は思うのです。それが出てこないという自信があるのかどうか。その点についてひとつ納得のいく説明をしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/176
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177・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 四十二年のことについていろいろお話でございますが、これは財政をどういうふうに、一般会計の予算をどういうふうに編成するかというその方針の問題なんです。でありますが、私どもは大体の見通しを持っておるわけなんですが、経常財源をもって経常支出をまかなう、こういうたてまえについて変更する意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/177
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178・藤田高敏
○藤田(高)委員 かなり具体的なものを私は私なりに、重大な問題だけにしろうとながらまじめな質問をしたつもりでありますが、やはりいま私が質問したようなことに対しては、今度は質問者の歯車にかみ合うようにお答え願わなければいけませんし、その点では財政方針をどうするかなんという、そういう逃げ口上ではなくて、成長率をどの程度に見込む、減税方針についてはこういうことにしたいということですから、これは予算規模については、大体過去の実績というものが一つの基準になるのでなかろうか。しかも、成長率というものが一応仮定にもせよ、前提が置かれておる以上、財政規模を縮小するということは基本的にはないだろうと思う。(「財政縮小予算だ」と呼ぶ者あり)そういう点からいけば、いまうしろのほうで意見が出ておりますが、昭和二十九年か三十年ごろのような大胆な財政縮小予算でも組まない限り、いまのベースをくずさなければ、いま私が試算をし、指摘をしたようなことになると思うわけであります。ですから、ここで四十一年は大体こうだ、しかし四十二年の時点において赤字公債を発行するような危険はないのかどうか。そういう点についてはやや具体的に数字を明示してお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/178
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179・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私が減税の規模等についてここでなかなかはっきりしたことを言わない。言わないのは、将来のことを考えておるからなんであります。そういうことで、どういう税制にするか、あるいは政府部内に何カ年計画とか、いろいろあります。そういうようなものをどういうふうにあんばいしていくかというようなことを最後的にまだきめていないのです。そういう諸要素がきまって初めていまお話のような具体的数字の問題が論議をされるべきでありまして、いまはみんないろいろな仮定の上に立っております。仮定の上に立っておる議論に対しまして、私がここでどういうふうにするのだ、どこが違うのだということを申し上げるわけにいかない。いかないのは、その仮定についてこれをあなたに申し上げる段階までまだきていないのです。でありますから、私がはっきり申し上げますことは、経常財源をもって経常歳出はまかなう、この原則だけは堅持してまいる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/179
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180・吉田重延
○吉田委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/180
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181・有馬輝武
○有馬委員 大蔵大臣、藤田君は、仮定ではありますけれども、現在までの経済成長率、それから予算規模、すべて過去の実績に基づいた話をしておるわけです。だから、奇想天外なことを言っておるのではなくて、すべて数字に基づいて、四十一年度はどうか、四十二年度はどうかという質問をしておるわけでありますから、ただ架空の話でものを言っておるのじゃないのです。ですから、大蔵大臣のほうも御親切に、具体的な数字に基づいてお答えをいただきたい。はたで聞いておりましてかみ合っておりません。これは困りますよ。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/181
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182・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 かみ合わないはずなんです。それはかみ合わすべき私のほうのものさしがまだきまっていない。そこでかみ合わない。ですから、皆さんが考えておる点は、四十二年度になったら経常財源を公債でまかなうおそれがあるのじゃないかということを申しておるのではないかと私は思いますが、それは絶対にいたしませんということだけを申し上げている。私のほうのものさしと皆さんのほうのものさし、こういうわけですが、私のほうのものさしがまだきまっていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/182
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183・有馬輝武
○有馬委員 何も福田さんも佐藤総理も来年の予算編成だけでもう内閣を投げ出すんだというわけじゃないのでしょう。そうでしょう。それに、経済成長率について、それが幾らになるか、ときたまことしみたいな誤りをやるかもしれませんが、それにしても一応の推計が立てられないという、そんな経済政策、財政政策はないですよ。そうでしょう。だから、その前提に基づいて藤田君の質問に答えてくださいということをお願いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/183
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184・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ですから、四十一年度の予算の御審議をお願いする際にはある程度のことは申し上げられると思うのです。ところが、四十一年度そのものがまだ固まらないのです。したがって、四十二年度を推計すべき基礎がないのですから、四十二年度に発展するわけにはなかなかいかない、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/184
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185・有馬輝武
○有馬委員 それじゃ佐藤内閣はその日暮しなんですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/185
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186・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 その日暮しというわけじゃございませんが、四十一年度予算を編成するという際には将来のことも見通してやらなければならぬ、私はそういう必要があると思います。いろいろいま検討しております。検討はしておりますが、まだ固まらないというのですよ。そのことを申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/186
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187・有馬輝武
○有馬委員 すべてコンクリートになった、その上で答弁してくださいということを言っておるのじゃないのです。固まらない過程において、当然政府でわかっておること、それに基づいて答弁をしてくださいと、藤田君はきわめてあたりまえの質問をしているのです。常識論です。常識論に対しては常識論の答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/187
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188・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ですから、常識論とすれば、私は経常歳入をもって経常歳出をまかないます、これは御心配ないようにお願いします。こう言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/188
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189・藤田高敏
○藤田(高)委員 大臣の御答弁というものは、これはいつの時代に、いつどこで大臣になろうとも、いま言うようなことを言っておけば当たりさわりがないと思うのです。ですから、これはある意味においてはこれだけ非常に不まじめな答弁はないと思いますよ。
そこで、私は時間の関係で——私のほうの時間はかまわぬが、大臣の時間の制約があるようですから、委員長に特別お許しを得て約四、五分時間をいただきたいと思うのですが、この問題についての一つの締めくくり的なことを質問いたしたいと思います。
私は非常に残念に思いますのは、政府は安定成長に入るんだ、こうおっしゃっている。私は安定成長というのは——来年の予算編成がまだ固まっていないでしょう。最終的には固まっていないけれども、もう今日段階においては四十一年度の予算はこうなります、減税はこの程度にしたいと思います、少なくとも二年、三年の見通しについては、政府はこういう経済政策なり公債政策——公債政策の是非は別として、公債を発行するという立場の政府としてはこうやりたいと思いますという、そういうものが国民の前に提示されることが私は安定成長だと思うのです。そういうことが提示されないで、経常収入で経常歳出をまかなうんだ、こういう通り一ぺんな御答弁というものは、国民に対してはなはだ不親切な態度である。というのは、私はけちをつけるわけじゃないですけれども、この一年間、この大蔵委員会における政府の財政処理のやり方はどうですか。まったくちゃらんぽらんじゃないですか。今日このように公債を発行しなければいけないというような状態が生まれてくるのであれば、あの財政法の六条のごときは、二分の一を五分の一に切り下げたりするのではなくて、二分の一を少なくともそのまま確保すべきですよ。そういうことをしない。そうして例の国税収納金整理資金の規則についてはどうでしょう。これも国会審議が終わった三月三十一日に規則改正をやって、かれこれ六百億円の金を四十年度で計算をしておるものを三十九年度で繰り上げて決算をする、こういう、いわば便宜主義、極論をすれば、思いつきによって財政運営、財政のつじつまを合わしてきておると思うのです。そういう不定見なことでは、われわれ国民は政府のやることに信頼をしていっていいのかどうかわからないと思う。私は時間がありませんので、この点は後刻時間がございましたらこの次をやらしてもらう、こういうことに留保しておきたいと思います。
そこで最後に、私はいまの御答弁を聞いてたいへん残念に思うわけでありますが、結局、七千億円という来年度の公債のワクをきめたのは、本会議における平岡議員の質問にありましたように、福田大蔵大臣は財政法四条のワク内において公債を発行するのだ、この七千億円というものの出どころは、公共事業、出資金、貸し付け金、こういうものを拾ってみますと、大体そのワクというものは七千億円になります。ですから、実は来年一兆円の公債を発行したいのだということになれば、いわゆる四条のワクをはみ出るのじゃないかということで野党から攻撃される。七千億円でいくと、四十二年には今度は穴があいてきて、赤字公債を出さなければいかぬ。どちらになっても、早いかおそいか、これは赤字公債に発展する。四条のワク外に出る。これは赤字公債を出す要因を含んでおる。この点だけは厳格に申し上げておきたいと思うのです。そういう点からいきますと、その赤字要因が出るような大きな公債を発行した場合に、今日政府保証債というものが四十年度においても三千六百億円、その他電力等事業債が三千九百億円、こういうものを来年もそれ以上に出していくでありましょうが、そういうものを合わしていきますと、政府は公債を発行して銀行団に引き受けをさせるのだといっておりますが、はたしてそういうものが銀行団だけで消化できるかどうか。しかも現在、都市銀行を中心として政府保証債を相当多く持っております。現在の預貸率から見ましても、先ほど試算を申し上げましたが、そういう要素を入れて公債を発行していきますと、結果的には銀行はこの公債を市中消化できなくなって、この公債自身をストレートで日銀には持っていかないかもしれないけれども、もう余しかげんになっている政府保証債というものをワンステップの形で私は日銀に持ち込んでいくと思う。そういうふうに持ち込んでいけば、大蔵大臣は、インフレは起こらないと言われておりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/189
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190・吉田重延
○吉田委員長 藤田委員に申し上げますが、約束の時間が、ずいぶん超過しておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/190
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191・藤田高敏
○藤田(高)委員 そういう過程を通じて、私は赤字公債がインフレになる要因を多分に含んでおると思うのでありますが、それについての大臣の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/191
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192・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 国債の消化ということは、国債だけが消化できればいいということじゃないのであります。そのほかに政府保証債もあれば地方債もある、事業債もある。それらを含めまして、みんなが順調にいくという意味においての国債の消化であります。そういう点は十分計画的に、そごのないようにいたしていきたい、こういう考えでございます。それで、今後経済が成長するに伴いまして日本銀行の通貨は私はふえていくと思います。ふえていきますが、これは適正な成長通貨としての性格を堅持していきたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/192
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193・藤田高敏
○藤田(高)委員 大臣の時間の関係がありますので、私はいま最後に質問をしました点については、私自身の主張点もたいへんはしょって結論的なことを申し上げたので、この点については、質問の機会を留保した形で、一応質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/193
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194・吉田重延
○吉田委員長 次会は明二十六日午前十一時より理事会、十一時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00519651225/194
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