1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年十二月二十六日(日曜日)
午前十一時三十二分開議
出席委員
委員長 吉田 重延君
理事 天野 公義君 理事 金子 一平君
理事 原田 憲君 理事 有馬 輝武君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
押谷 富三君 木村 剛輔君
小山 省二君 齋藤 邦吉君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 福田 繁芳君
藤枝 泉介君 村山 達雄君
毛利 松平君 渡辺 栄一君
渡辺美智雄君 只松 祐治君
平林 剛君 藤田 高敏君
春日 一幸君 竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁調 宮沢 鉄蔵君
整局長)
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(理財局長) 中尾 博之君
大蔵事務官
(銀行局長) 佐竹 浩君
農林事務官
(農林経済局長) 森本 修君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房調査
課長) 吉田太郎一君
農林事務官
(農林経済局保
険管理課長) 池田 正範君
専 門 員 抜井 光三君
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本日の会議に付した案件
昭和四十年度における財政処理の特別措置に関
する法律案(内閣提出第七号)
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
閣提出第八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/0
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001・吉田重延
○吉田委員長 これより会議を開きます。
昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案及び農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。田澤吉郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/1
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002・田澤吉郎
○田澤委員 ただいま議題となっております農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案に関連して、さらに農業共済制度全般にわたって農林省並びに大蔵省にお伺いをいたしたいと思うのであります。
米、麦等の農作物に関する共済制度の改正に関しましては、一昨年抜本的な改正を行ないまして各界から非常な好評を博しているわけでありますが、農業災害補償制度全般から考えますと、農業界の成長部門であるところの家畜共済制度の改正、あるいは新しく果樹共済制度とかあるいは畑作共済制度というものが、今回ここ数年来の災害によりまして非常に農民からの希望があるわけでございまして、きのうも武藤委員並びに有馬委員からいろいろその点について質問があったわけでありますが、私もこの点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
まず、農林省にお尋ねいたしたいのでありますが、家畜共済制度の改正は一体いつごろ行なわれるのであるか。それから家畜共済制度というのは、御承知のように掛け金が高くて、そうして農家負担というものが非常に大きい。この点が非常に指摘されているわけでございます。さらにもう一つは、家畜診療所の経営改善をしていかなければならないという空気が非常に強いわけでございますが、こういう点を含めてどういうような改正を行なおうとしておるのか、また、これはできるだけ早く改正をしてもらわなければならないと思うのでありますが、その点に対する農林省の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/2
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003・池田正範
○池田説明員 家畜共済制度の改正につきましては、御指摘のとおり現在の制度そのものが、すでに改正が行なわれまして十年を経ております。その間ほとんど確たる改正の目を見ておりませんまま今日に至っております。なるべくこれは早急に改正する目標のもとに現在内部でいろいろ作業をしておりますが、でき得れば昭和四十二年から、家畜の料率改定が行なわれますので、この改定期から実施に移り得ますようなタイミングで改正を実施いたしたいというふうに考えております。
それから、内容の中で掛け金の負担が重いということが問題になっておるという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございまして、現在、特に酪農あるいは肉畜を通じまして畜産経営の報酬というものが、一般的な他の農作物に比較いたしましてもかなり低いという実情にございますので、したがいまして、この掛け金負担を何らかの形で低めるということを今回の改正の主眼の一つに考えております。ただ問題は、どうやって掛け金負担を低くするかということでございますが、掛け金負担が重いということは、これは申し上げるまでもなく、現在の保険のたてまえから申しますと当然事故率が高いということにも通ずるわけでございます。したがって、全般的にやはり事故率を低くしていく、そうして危険を低くすることによってそれに対応する掛け金を安くするということが、一番オーソドックスな行き方であろうと私どもは考えております。ただ、しかしながらこれはなかなか一斉にはその効果というものは出ませんものですから、したがって、当面の対策といたしましては現在の畜産経営のあり方、特に乳牛等におきますと、都市の近郊地帯とそれから農山村地帯と申しますか、そういう地帯との間でかなり違った経営の内容を持っておりますし、今後も、おそらく都市近郊酪農というもののあり方は、一般的な他の農村地帯の酪農のあり方と違った形で発展し、安定させていかなければならないのだろうと考えられます。したがって、当然経営の内容が変わってまいりますから、その内容に対応いたしますところの危険、経営上何が危険であるか、そのみなされ得る危険というものが当然変わってくるわけであります。例を一つ申し上げますれば、都市の近郊で一腹しぼり的な経営のしかたをしておりますと、そこでは子供をとるということをいたしませんから、したがってこの家畜共済の中で非常に危険率を高めております。たとえば繁殖障害といったような危険を、これはまさに物理的な危険でございますけれども、経営上の危険と考えなくて済むということがあり得るわけであります。そうしますと、掛け金の中にそういった危険も含んだ掛け金として払わされる場合には、絶対額の高い安いということよりは、不必要なものを含んだ掛け金を払わされるということで非常にいやがるという面が一つございます。したがって、これをはずすことによって、国の国庫掛け金負担を伴わなくとも、そういう必要なものを、ある意味で一品料理的な考え方で掛け金の中身を分けますと、それで安くやり縁る道が一つある。しかし一方では、たとえばいわゆる準農村地帯のように、やはり相当の自給基盤のしに立って自給飼料をベースにしながら飼っていくという農家を対象にいたします場合には、当然これは全部の危険負担というものを考える。しかも、その地帯の農家のそういう部分というものが一番資力も弱いわけでございますので、したがって、こういう地帯は、やはり掛け金についてある程度制度的な国庫負担を増すといったような方向を考える等いたしませんと、今後安定してまいるのはなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに、これは農林省としては現在考えております。
それから診療所の問題でございますが、これは先ほど田澤先生から御指摘がございましたとおり、各地域においてかなり苦しくなっております。しかしながら、診療所の経営自体が苦しくなったからといって、これを直ちに、現在の連合会あるいは組合の職員と同様の形で、国がその給与を肩がわりするという形で経営改善をするということは、なかなかむずかしいのではなかろうかと思います。やはりむしろ全体の家畜の危険率というものを下げていくために、事故防止の中核として家畜診療所がもう少し前向きの働きをしてもらう、現にやっておるのでございますが、報酬なしで実は現在やっております。したがって、そういった新しい機能というものを診療所に付与することによりまして、当然危険率が下がるわけでございます。それは相互のそれぞれの責任分担、国も団体もその負担をしていくという形で、診療所の現にやっております仕事の中身に入りましただけの収入というものが得られるような形にやはり仕組んでいかなければならぬのではないか。新しい制度の改正の中にそういった考え方を一部込めまして考えたらどうかということで、現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/3
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004・田澤吉郎
○田澤委員 次に、果樹共済制度でございますが、去る十月四日の災害対策特別委員会においても私は農林省に質問をしたのでありますが、台風二十四号、二十五号によりまして、私の県のリンゴの被害というものは非常に大きかったのでございます。特に農林関係の被害が六十一億一千万円あったのでございますが、その中の七五%がリンゴ、果樹の被害であったわけでございまして、これに対して地元の人たちは、できるだけ早い機会に果樹共済制度というものを実施していかなければ、これらの被害というものを防止するわけにいかないという声が非常に強いわけでございます。ところが、農林省のただいまの考え方としては、昭和三十五年から三十七年までを一応基本調査として調査を進めている。それから三十八年から四十年度までを試験調査として、共済制度としては、この試験調査が終わると大体実施ができるのじゃなかろうかという考えのようでございますが、いまだに実施の年次というものが明らかにされておりません。果樹地帯の農民にとっては、これは非常に大きい期待を持っているだけに、できるだけ早い機会にこれを実施していただきたい、こう思いますが、私は試験調査が終わったあと、できればすぐ四十二年度までにこれの実施ができるものじゃなかろうかと思うのでございますが、その点に対するお考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/4
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005・森本修
○森本政府委員 昨日も果樹共済の検討状況というお答えを申し上げたわけでございますが、われわれとしましては、いろいろな御要望がありますし、また御指摘がありましたので、できるだけ早く実施したいということでいま検討を進めておりますので、大体のめどとしましては、来年度共済制度の仕組みをつくりまして、なるべく早い期間に実施していきたい、そういう考えでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/5
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006・田澤吉郎
○田澤委員 昨日武藤委員の質問に答えて、六品目を大体試験している。かんきつ類とナシ、桃、リンゴ、ブドウ、カキ、この六品目のうちでどれが一番むずかしくて、すぐ取りかかれる品目はどれであるかということをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/6
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007・森本修
○森本政府委員 実はきのう申し上げましたように、専門家で検討していただいておるわけですが、試験調査のほうは六品目についてやっておりますけれども、専門家で検討しております過程では、あるいはその中でカキはその実施上すぐというわけにいかない事情があるので、カキを除く五種類については、大体果樹共済を実施する上に、多少いろいろな細部の検討はいたしますけれども、実施し得るのではないか、こういうような方向で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/7
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008・田澤吉郎
○田澤委員 実施がおくれているおもな原因というのは、たとえばリンゴにおいてはその被害額を把握するのがむずかしいとか、あるいはまた生産総数量を把握するのにむずかしいとか、地元の体制が整っていないとかいうようないろいろな条件があると思いますが、どういう原因によってこういうように果樹共済制度というものがおくれているか、その原因をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/8
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009・森本修
○森本政府委員 おくれておると言われましてもちょっとあれでありますが、御承知のように、共済制度というのは、その組み立ての点からいいましても、あるいはそれを実際に適用していくという点からいきましても、一定の検討を経ないと実施に移せないといったような技術的な問題があるわけでございます。そういう意味からいいまして、われわれとしましては試験をやるというプロセス、それから設計を立てるというプロセス、そういう一定のプロセスを経て実施したいということでありまして、その検討事項としましては相当たくさんの項目がございます。一々申し上げるのもなにかと思いますが、そういう検討のプロセスを経て実施しなければならない、こういう関係になっておりますので、先ほど来申し上げましたような手順で進めていったらどうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/9
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010・田澤吉郎
○田澤委員 水陸稲の農作物の共済制度にあたっても、最初は非常にずさんなもので実施したわけでありますが、実施している間にだんだん改正が行なわれてきている歴史的な事、実から見まして、やはり果樹共済に対してもやれるものから実施してみて、そうして改正を施していくという行き方が私は一番いい方法じゃないかと思うのですが、そういう考えがないかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/10
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011・森本修
○森本政府委員 御説のように、初めから完全なもの、できるだけそういうつもりではおりますけれども、まず実施をして、実施した経験によってまた直していくというふうな配慮をしていかなければならぬことは御指摘のとおりでございますが、ただいま言われました水稲の共済制度を実施するにも、私の記憶では約十年くらい実地の調査その他検討をしておりまして、果樹のほうは、いま申し上げましたような事情でございますから、なるべく三年くらいの実地調査でます出発をしたいということで検討しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/11
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012・田澤吉郎
○田澤委員 いろいろ果樹共済に関しましては、できるだけすみやかにひとつ実施していただくことを要望申し上げて、この点で終わりますけれども……。(「そんな要望でなしに、一体何年たったらやるか」と呼ぶ者あり)それでは、どうも外野のほうで応援がございますので、そうすると果樹共済制度というものを一体何年で実施するか、そのことをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/12
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013・森本修
○森本政府委員 私どもの一応の目標としましては、先ほど申し上げましたように、四十一年度に制度の組み立てをいたしまして、その末の国会にでも法案を提出して、必要な実施期間をおいてやってみたらどうか、こういう目標で現在検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/13
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014・吉田重延
○吉田委員長 関連質問を許します。岩動道行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/14
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015・岩動道行
○岩動委員 私も、本年度の災害で、青森県その他の果樹地帯で非常に巨額な災害を受けて、果樹栽培者は非常に苦しんでおる実情を実は災害視察で痛感いたして帰ったのであります。田澤委員がただいま真剣にその制度の早期の実施を要望した御質問をしておるわけでありまするが、私も災害の実態をまのあたり見て、これは一日も早く制度を発足させるべきである、かように痛感をいたして帰ったわけであります。
ただいままでのお話によりますると、四十一年度中に準備を整えて法案も出す、こういうことでありまするから、そうなりまするならば、四十二年度中には正式に制度が発足をして、四十二年の秋の災害時期には果樹栽培者が安心をしておられる、こういう状態ができ上がることが最も望ましいと思うのであります。この点についてはっきりした政府の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/15
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016・森本修
○森本政府委員 私どもの検討の目標といいますか、そういうめどを先ほど来申し上げておるわけです。四十一年度に制度を組み立てまして、を作成して提案をいたしますと、通常の手続でありますと、まあ法案の成立の町則がございます。それから約一年準備期間をおいて実施に移すというのが通常の状態でございます。大体そういうふうな目標でひとつやってみたいというふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/16
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017・岩動道行
○岩動委員 どうもはなはだのんびりした話で、私どもとしてはとうてい承知できないテンポであると思うのであります。四十年度中には準備を整えて、通常国会にはこれを提出して一日も早くやる、これを強く要望いたします。われわれ自由民主党、与党といたしましても、さらにこの点については十分に配慮していかなければならないと思いまするが、この点に関してはできるだけ早くやる、要望にこたえる、こういう前向きの御答弁をぜひいただきたいと思うのであります。そうして、これは農林省だけではなくて、大蔵省がいつも障害になる傾向がありまするので、この点は、政務次官が大臣にかわって、ひとつ明確な御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/17
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018・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 委員各位には年末御多用の中、本日、日曜日を返上されまして御審議をしていただきまして、まことに恐縮かつ感謝にたえない次第でございます。
ただいま農業共済、特に果樹共済について御熱心な質疑が行なわれたわけでございますが、私も政治家の立場において、果樹地帯を自分の地元に持っておる人間として、この問題については日ごろ関心を深く持つ一人でございまして、いま田澤委員、岩動委員の御指摘のとおり、先般たいへん果樹地帯が御苦労されたこともよく承知いたしております。いま農林省からいろいろ経過の報告をいたしたわけでございまして、昭和四十一年度にはその結果を基礎として専門家の結論を得て、加入の方式、あるいはまた損害評価方式、いろいろ検討をいたさなければならない問題点が多々あると思うのでございまするけれども、田澤委員御指摘のごとく、やはり拙速主義でひとつ発足を見て、逐次内容を整備するというかまえで促進をいたしたい、私が政務次官に在任中であるならば、ぜひひとつ推進をいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/18
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019・田澤吉郎
○田澤委員 大蔵政務次官の御答弁は了解できますが、農林省の態度がまだあいまいでございますので、強くこれを要望いたします。
さらに、共済制度というものは、農家にとってもうすでになれた、非常に熟練した心配のない制度でございまして、何年来やっておる制度でございますので、そう御心配になるものじゃないと思うのでございます。これはできるだけ早い機会に、ただいま大蔵政務次官が御答弁になったような線でひとつできるだけ早く実施するように提案してもらうことを要望いたします。
次に、畑作地帯の共済制度でございますが、北海道、東北は開拓地も含めていろいろ冷害あるいは災害に見舞われる地域でございますが、バレイショにしても、あるいはなたね等にいたしましても、一たん災害が起きますと全く皆無作になっちゃうわけでございます。そこで、それに対する対策としては、せいぜい種子を与える程度、あとは借り入れ金をしなさいというような非常に冷酷な対策よりないわけでございまして、借り入れに対しては、こういう零細な農民というものはとうてい借り入れをする能力はございません。そこで、あくまでもやはりこれには災害共済制度を早く実施していかなければ、これら零細農民というものは救われないと思うのでございますが、この共済制度に対してどういうような考え方で、いつ実施するかという点をまたお知らせ願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/19
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020・森本修
○森本政府委員 畑作共済につきましても、北海道あるいは一部の地帯から共済制度の実施方の要望がございます。われわれといたしましては、先ほどもお答えをしたわけでございますが、すでに北海道については実地調査をいたしております。ただ、内地についてはどういう作物を対象にしてやるかといったようなこともございますので、ざっくばらんに言いますと、これから調査をする段階でございます。それぞれ調査を進めまして、畑作共済の可能性についてなるべく早く検討いたしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/20
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021・田澤吉郎
○田澤委員 畑作共済に対する内地の分に関しては、できるだけ早い機会に作成してもらうことをお願いいたしまして
時間もありませんので次に移りますが、農業共済組合連合会の赤字というものは非常に大きいということを聞いております。そこで、せっかく制度改正を行ないましても、これの制度の健全な運営というものが行なわれていない、こう聞いております。青森県に例をとってみましても、たしか三億円くらいの赤字があると聞いております.この累積赤字を現在農業共済基金の借り入れてまかなっている。それで農林省の対策としては、さしあたり農業共済基金の融資の中から、連合会が累積赤字の一定額を無利息でたな上げをしている状態だということを聞いておりますが、この制度というものは万全なものじゃございません。やはり農業共済基金法というものを改正いたしまして、出資金を増額していくのがたてまえでなかろうかと思うわけでございますが、この点に関しての考え方、並びに農業共済組合連合会の実態は一体どうなっているのかということをお知らせ願いたいわけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/21
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022・森本修
○森本政府委員 ちょっといま数字的に調べておりますが、連合会の事業の状況を概括して申し上げますと、被害のわりあい少ない地帯では、御承知のように黒字といいますか、そういう状況になっております。当然のことですが、被害がわりあい多い地帯の連合会は、相当赤字を持っておるところもございます。そういう関係がございまして、全国一律の状況ではございません。先般来問題になりましたのは、赤字の諸県に対しましてどのような援助をするかということでございましたが、たしか昨年でしたか、赤字県が農業共済基金から借りている借り入れ金について、利子をたな上げするということをいたしたわけでございます。そういう関係から、今度は農業共済基金のほうに、約三十億円足らずでございますが、これが利子の収入が入ってまいりませんので、共済基金の資金繰りなりあるいは経理内容にそれだけ圧迫を加える、こういうことになるわけであります。そういう関係から、農業共済基金の増資問題というのが御承知のように出てきております。これにつきましても、われわれとしましては、もちろんこれは国のみではございませんで、連合会のほうでも半分は出資をしなければならぬ、こういう関係になりますが、そこらの状況をにらみ合わせまして、増資問題につきまして前向きに検討しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/22
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023・田澤吉郎
○田澤委員 ただいま農林省の説明がありましたように、農業共済基金の増資の問題が出ておりますが、この点に関して大蔵省はどういう考えを持っておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/23
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024・岩尾一
○岩尾政府委員 ただいま農林省のほうから御説明がありましたように、昨年のたな上げによりまして、農業共済基金のほうがかなり収支が苦しくなるのではないかというお話でございますが、三十九年度末の経理状況で申しますと、基金のほうでは約一億二千万円の黒字というふうになっております。したがいまして、先ほど利息を三十億円とおっしゃいましたが、これは貸し付け金のほうでございまして、利息自体の収入はそんなに大きいものではございません。したがって、貸し付け金の一部無利息たな上げを行なった後におきましても、もし異常な災害によって連合会に貸し付けをしなければならぬ、あるいは農林中金からの借り入れが非常に急激にふえるというような状態でもない限り、基金収支には問題はないというふうにわれわれは考えております。したがって、さしあたり基金への追加出資ということは現在予定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/24
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025・田澤吉郎
○田澤委員 次に、きのう武藤委員の質問にありましたが、農業共済組合の事務費、経常費あるいは人件費は、もちろん国庫からも援助を受けておりますが、賦課金による分が非常に大きい。三十九年度で共済組合は賦課金として三十六億円も負担しているという状態でございますが、こういう状態にも加えて、職員費というものが非常に問題になっているわけでございます。給与の問題でありますが、月額基準が、昭和四十年度で、農業共済組合では県連で二万一千二百二十四円、組合等で一万八千九百三十四円、これを公務員並みの一つの基準にしてほしいということでございますが、公務員は御承知のように昭和四十年度の県補助職員ベースで月二万五千七百六十五円、昭和四十年度補正予算でこれを改正する考え方がないかどうか、ひとつお尋ねいたしたい。また、期末、勤勉手当等に関してもひとつお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/25
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026・森本修
○森本政府委員 共済組合等の職員の給与についてでございますが、まず補正予算では、補正後の状況では月額で二万三千百二十四円程度に増額するということで現在お願いをいたしておる。なお、期末、勤勉手当等につきましてもここ一、二年来増額をしてきておりますが、来年度におきましてもできれば増額したいということで、目下予算の折衝をいたしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/26
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027・田澤吉郎
○田澤委員 次に、これは単位共済組合のその下の機構でございますが、部落共済連絡員、損害評価員についての手当の増額も非常に要望されておるわけですけれども、この点に関して農林省はどういう考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/27
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028・森本修
○森本政府委員 損害評価員あるいは共済連絡員、いずれも現在若干手当を与えておるわけでございますが、なお御指摘のように十分ではないというお話もございますので、予算要求を通じてわれわれとしては増額をしたいということで折衝をしたい、そのつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/28
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029・田澤吉郎
○田澤委員 この二つの手当というものは、結局正しい評価をする一つの基本でございます。もちろん十分とは言えないといいましても、できるだけ早い機会にこれを増額してやらないと、共済制度全体の一つの基本になる機関でございますから、これは十分考えていただきたいと思うわけでございます。
それから、農業共済団体に加入する高性能の防除機械を非常に要望しているわけでございますが、これに対する備えは一体農林省で考えておりますかどうか、これもひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/29
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030・池田正範
○池田説明員 制度が改正になりまして以降、各組合で防除活動を実施いたしますと、その場合には、損害評価の対象から病虫害の部分だけを除きましてやるという仕組みが新しく導入をされました。特に低被害地の組合等におきましては、被害によって共済金が支払われます機会が比較的少ない関係もございますので、むしろ積極的にこういう防除活動を通じて、組合の能力といいますか、機能というものを発揮していくという考え方が非常に大きいわけでございますが、昭和三十九年度現在におきまして、病虫害の共済事故除外の指定組合となっておりますものは全国十一県で、五十一組合でございます。それから、四十年にはさらにそれが十七県、七十九組合にふえておりまして、漸次この新しい仕組みの中で新しく与えられた組合の機能を活用していこうというところがふえておるということでございます。
それから、高性能の農機具の導入の問題は、これは実は、前国会でございますかに導入促進法が
できまして、それに基づくものでございますが、経済局の担当ではございませんで農政局のほうで担当いたしておりますので、詳細の数字は持ってきておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/30
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031・田澤吉郎
○田澤委員 今回の補正予算においては、この特別会計の農業勘定に使用する財源の不足を埋めるために、十六億三千一百万円を一般会計から繰り入れすることがこの法案の趣旨なんでございますが、私も、今回のこの春の異常気候あるいはまた収穫前の台風等に関しては、東北あるいは九州地帯等を見まして非常に大きい災害だということを見てとったわけでございますが、水陸稲等の被害の状況というものを、概括でよろしゅうございますから、お知らせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/31
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032・森本修
○森本政府委員 四十年産の水稲の減収量、要するに被害の量でございますが、昨日もお答えいたしましたが、共済減収量ということで約四十三万九千トンということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/32
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033・田澤吉郎
○田澤委員 そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、支払い再保険の増加見込み額等の繰り入れ額の算定の基礎を一応お知らせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/33
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034・岩尾一
○岩尾政府委員 今回繰り入れました十六億三千百万円の積算基礎でございますが、まず支払い再保険の関係で、先ほど局長から御答弁ございましたように、被害率が共済掛け金率よりもかなり大きなものでございます。陸稲も非常に大きい数字でございますが、そういう結果、当初七十四億円と思っておりましたのが二十九億円増加いたします。それから連合会等の交付金も、四十二億円と思っておりましたのが、十一億円増加いたしまして五十四億円というふうに相なります。そういった意味で、実際の支払い所要額といたしましては四十億円というものが増加するわけでございますが、この増加財源に対しまして、農業勘定自体で持っております手持ち財源というものを全部充当いたしまして、さらに今回三十九年度の共済掛け金の国庫負担額を三十四億円ほど増額いたしております。これを補正予算に計上いたしておりますが、その金額を差し引きますと、先ほどの増加いたします四十億円に対しまして、さらに十億円ほど来年の未経過の支払いの保険料というもの、麦の保険料を留保いたしますので、五十億円から三十四億円を引きました十六億円を、特に一般会計からこの法律で繰り入れたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/34
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035・田澤吉郎
○田澤委員 そこで、今回の繰り入れが春の異常気象あるいはまた収穫期の台風等による農作物の減少によって生じたものであるということはわかりますが、それ以外に、私はただいまの説明から通しても、三十九年度におけるこの会計の補正の際の見込違いというものがあったのじゃないか、それが今年度にしわ寄せしてきているんじゃないかと思うのであります。と申し上げますのは、農業勘定における前年度の繰り越し資金の受け入れの減少が十億四千七百万円である、再保険資金運用部勘定よりの受け入れ減少が十億二千五百万円、これが大きい影響を与えているんじゃないかと思うのでありますが、その点に対してお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/35
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036・岩尾一
○岩尾政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/36
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037・田澤吉郎
○田澤委員 そこで、過去における一般会計と農業共済再保険特別会計との間の繰り入れと繰り戻しの状況をひとつお知らせ願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/37
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038・岩尾一
○岩尾政府委員 過去におきます農業共済再保険特別会計と一般会計の繰り入れの状況でございますが、昭和二十四年から二十九年までは、毎年見込みました被害率よりも異常災害による被害のほうが多うございましたので、一般会計から農業勧定に繰り入れております。そこで、全体といたしますと、二十四年から二十九年までで百九十億円ほど繰り入れを行なっております。自後繰り入れはございませんので、逆に農業共済再保険のほうで多少剰余といいますか、収支のしりが出てまいりましたので、一般会計のほうへ三十三年から三十七年まで繰り戻しがされております。三十三年は十六億円、三十四年が九億円、三十五年が十一億円、三十六年が五十一億円、三十七年が七億円というふうな繰り入れが行なわれております。そこで、今度は過去三年間になるわけでございますが、三十八年からまた異常災害が続きまして、三十八年に八十八億円、三十九年に十八億円、さらに現在のこの法案と補正予算の計上額、この法案によります十六億円というものが繰り入れられるということに相なっております。したがいまして、一般会計への繰り戻しの総額は百十九億円ということになります。それから繰り入れました総額は二百九十七億円ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/38
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039・田澤吉郎
○田澤委員 ただいまの御説明によりまして、今回の繰り入れを行なうことによりまして三年間引き続いて繰り入れをしていることになるわけでございますが、そこで保険設計でございますが、長期的均衡を保つ設計をしていかなければならないのですが、その保険設計が適切でなかったのじゃなかろうか、こう思われますが、その点についてのお考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/39
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040・岩尾一
○岩尾政府委員 今回の繰り入れというのは三年間続いたわけでございますが、こういうような異常の事態というのは、特に標準の被害率をこえる被害が発生したということに基因するものでございまして、たまたまここ三年間引き続いて同様な事態が発生しておりますけれども、保険計算自体は、こういうものを含めまして二十年間にわたる長期の保険計算をやっており、長期的には均衡するように設計されておりますので、決してこれをもって適切なものではないというふうには私は考えておりませんので、やはり長い目で見ていただきましたならば、全体が均衡がとれるような形に相なるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/40
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041・田澤吉郎
○田澤委員 従来、農業勘定に生ずる財源の不足の処理に対しては、そのつど立法措置を講じて、そして必要な資金を一般会計から農業勘定に繰り入れてきているわけでございますが、将来これを恒久化いたしまして、予算の定めるところによって必要に応じて繰り入れる制度は考えられないものであるかどうかということをひとつお尋ねいたします。
それからもう一つは、農業勘定における支払い財源の不足というものは異常な事態でございます。たとえば台風とか、あるいは長雨とか、あるいは冷害とかいうように、しかも発生する度合いが非常に多いものでございますので、先ほど御説明がありましたように、現に昭和二十四年から三十九年までの十六年間で七回もやはり繰り入れをしている。しかも二百九十七億円にのぼる繰り入れを行なっておるわけでございますが、百十九億円の繰り戻しを差し引いても百七十八億円の残高に相なるわけでございまして、一般会計から繰り入れる方法を再検討していかなければならないのじゃなかろうかと思うのですが、この二点に対してお答えを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/41
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042・岩尾一
○岩尾政府委員 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、この三年こういった繰り入れが続いております。
そこで、どうしてこういう特例法によりまして繰り入れをしなくてはならぬかということでございますが、御承知のように、一般会計以外に特別会計というものを設置いたしておりますのは、一般会計と別に特別会計だけで歳入歳出というものを立てるということで、別の計算をする意味でつくっておるわけでございますが、その場合に、特別会計において会計法で予定をいたしております歳入歳出というのは、農業共済保険の一般的な、たとえば保険料でございますとか、掛け金でございますとか、また支払いのほうは一般の支払いというふうに、通常の被害の場合の共済の金を繰り入れるための歳入歳出というふうに規定をいたしております。したがって、今回のように異常な被害が起きまして、そのために繰り入れを行なわなくちゃならぬという場合には特別会計法における受け入れ金というものに該当しないということになりますので、どうしても特別法を出して受け入れなくてはいかぬということになるかと思います。
それから、第二点でお話しになりました、いかにも毎年毎年、しかも多額の金が入っておるので考え直してみたらどうかというお話でございますが、これも先ほど申しましたように、この保険は、やはり長期では均衡するというたてまえで二十年間の被害を全部集計いたしまして、保険料率、掛け金率というものを計算いたしておるわけでございますから、われわれといたしましては、こういうような事態がやはり非常に異常な事態なんで、そうたびたび起こるものではないということから、この繰り入れの特例法というものも、そのつど入れておけばいいんではないかというふうに原則としては考えておるわけでございます。しかし、御指摘になりましたように、毎年毎年の状況を見ておりますと、かなりそういう状態も続いておりますので、今後一応そういう意味で検討は加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/42
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043・田澤吉郎
○田澤委員 最後に、私は要望を申し上げて終わりたいと思うのでありますが、農業共済制度は、農家の多年の宿願であったこの共済制度というものが、非常な紆余曲折を経て第四十三通常国会で改正が成立しまして、農作物の共済を中心として大幅な改善を行なったわけでございまして、米に関しては三十九年度から、麦については四十年度から実施をしておるわけでございます。この制度は、災害から農業経営を守るために絶対的に必要な農業政策でございますので、この役割りは非常に大きいわけでございます。よって、初めに申し上げました新しい共済制度の確立とあわせて、運営に当たってはもっともっとこれに対して十分な配慮をしていかなければならないと思いますので、そういう点を希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/43
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044・吉田重延
○吉田委員長 谷川和穗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/44
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045・谷川和穗
○谷川委員 私は、最初に、わが国をめぐる経済の海外環境の変化についてお伺いをいたしたいと思います。
本年は、総じて世界経済の大勢は拡大の方向にあったと思うのでありますが、その中にあって日本経済は予想外の落ち込みをいたしたのでありまして、言うならば、海外環境との間にいささかズレが生じたわけであります。海外の景気変動に対してきわめて敏感であるといわれてまいりました日本経済といたしましては、この現象はやや注目してよい現象であったと思うのであります。来年の秋ごろまでに景気回復をはかることは、日本経済に課せられた非常に重大な課題であると思いますし、政府は来年も七%から八%の経済成長を期待したいといっておるようでありますが、現在準備されつつある新しい財政政策に加えて大幅の減税を断行するのだということで、施策のよろしきを得るならば、私はこの線はかなり可能な線だと思っております。しかしながら、一方において、この十月ごろから日本経済はインセンティブが消えつつあるとか、あるいは経企庁の世界経済白書などをもとにいたしましても、景気の回復期と目される来年秋ごろまで、日本の経済と海外環境とのズレが現在とちょうど逆の関係になるとか、あるいは後進国の経済あるいはアメリカの公定歩合の引き上げ、ポンド危機など輸出に及ぼすマイナス要因があらわれてくるとか、なかなかむずかしい面もあるのではないかという議論があるわけであります。経済の安定性がなければやはり七%、八%という成長率を期待できないのでありまして、主として海外環境と日本の経済のズレ、こういう点から日本の経済の先行きをどう見るかをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/45
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046・吉田太郎一
○吉田説明員 お話のとおり、最近の海外の事情は非常に流動的でございまして、アメリカの公定歩合の引き上げなどございます。わが国の輸出の見通しにつきましても、将来今後非常に楽観していいとは必ずしも言えないと思います。しかし、今日のわが国経済の実力というものはかなり高まっておるわけでございまして、国際競争力の基礎は、数年前とは格段に違っておるということも言えようかと思います。このことは、ここ数年来の輸出の好調ということ――これは必ずしもわが国の経済の内部的な要因で外国に出ていくということだけではなく、実力そのものが備わっておって、輸出が伸びておるという面も多々あろうかと思います。しかし、来年以降同じような状況で伸びるということは、われわれとしてもその前提でものごとが考えられないとは思います。しかし、海外全体の基調必ずしも急激に悪化するということも見込まれないのではないか。たとえばアメリカの公定歩合の引き上げも、むしろ米国の経済の需要が非常に強まっておるということに対する予防的な意味で引き上げられておるという点もございまして、ある意味から申しますと、米国の今日の景気がむしろ長続きするための予防的な措置であったという見方もあるようでございます。そういうことからいたしますと、これからのわが国の輸出もそう急激に悪化するとは考えられません。しかし、過去のように非常に目ざましい伸びを続けるという期待も、一がいにできないと思います。その辺のところは、たいへんむずかしいところだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/46
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047・谷川和穗
○谷川委員 本年の輸出の好調は、もちろんアメリカの経済の好調にささえられておったと思うのでありまするが、同時に、やはりアメリカ国内でいろいろ起こった事柄、たとえば鉄鋼ストだとか、あるいは、そういうことばを使えるかどうか存じませんが、特需的な動き、こういうものがあったと思うのであります。しかし、来年またこういうものを期待することはもともと間違いなんでございまして、そういう意味からすると、輸出に関しては十分努力をしなければならない、こういうように考えますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/47
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048・吉田太郎一
○吉田説明員 全くお説のとおりだろうと思います。それで、これから非常に輸出振興のためにあらゆる努力をさらにつけ加えていかなくてはいけないということは、先生先ほどおっしゃったとおりでございます。それで、基本的にはやはりわが国の経済の体質全体をよくする、特に企業の競争力を強めていくという方向で考えていかなくてはいけないのではないかということで、これからも経済政策の重点を、そういう意味で企業の体質を強くして国際競争力を強めていくということで、特段の努力が必要かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/48
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049・武藤山治
○武藤委員 関連して。これはどなたに意見を伺ったらいいかわからぬけれども、もし適当な答弁者が来ておらなければ政務次官に……。
これは、私は非常に政治的な大きな問題だと思いますが、いま貿易振興、輸出を大いに盛んにするという質問の最中でありましたからお尋ねをするのでありますが、実はメキシコへ行ってびっくりしたのは、日本とメキシコの貿易関係というのは、過去かなり長い間、年々一億ドル日本が入超なんですよ。これを政府は全然改善しようとしておらぬ。メキシコと日本は通商条約も結んでおらない。それが南アフリカあたりでは、日本のほうがちょっと輸出超過になれば大騒ぎされて、日本品を買わぬぞと言われるとすぐ特使を送ったりなんかして、わずか二、三千万ドルの貿易バランスの問題ですら政府は大騒ぎするのに、メキシコに対して、なぜ一億ドルの入超でありながらもっと日本品を売ろう、もっと日本品の輸出を真剣にひとつやろうという姿勢をとらないのか。しかも大蔵省は、メキシコへ駐在員を一人も送っておらない。これだけ貿易量のあるメキシコへ大蔵省の役人が一人も行っておらない。こういう点、輸出振興ということを国別に個々に当ってみたらたいへんな問題がある。どうもこれは大きな政治的な問題であるから、閣議あたりで、ひとつ大蔵大臣からでも、藤井政務次官を通じて発言をさせて、メキシコとなぜ通商条約を締結しないのか、なぜできないのか、この理由を閣議あたりでもやってもらいたい。それから、大蔵省から一人も駐在員が行っておらない。こんなにたくさん入超になっているのですから、貿易振興のために大蔵省の係官を派遣するくらいの検討をひとつしてもらいたい。こう私考えるのですが、どうですか。政務次官の御判断をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/49
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050・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 輸出振興が国の大切な当面の課題であるという、全く同感でございます。具体的にメキシコとわが国との貿易関係のお話がございましたが、私も実は先年メキシコへ参る機会を得まして、こちら側が入超であるという事実を見まして、その後通産省あたりの具体的な措置を聞く機会を失しておったのでございますが、たまたまいま武藤委員の御発言ごもっともでございまして、さっそく、所管は通産省かと思いますが、通産、外務、そういった方面と連絡をとり、わが国の貿易振興にひとつ大きなプラスになるように努力をいたさなければならない、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/50
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051・谷川和穗
○谷川委員 次に、国際収支に関連して、国際金利の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
国際収支については、海外の景気の伸びはともかくといたしまして、政府の施策いかんでは大きく影響される面もあると思うのであります。現在の状況のもとで預金金利の引き下げだとか、あるいは短期金利の引き下げなどを行なえば、資本収支の悪化を招くおそれなしとしないと思いますが、この点につきどうお考えであるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/51
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052・佐竹浩
○佐竹政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。したがいまして、こういう金利の体系につきましては、いやが上にも慎重な取り扱いをしなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/52
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053・谷川和穗
○谷川委員 再びアメリカの問題についてお伺いいたしたいのであります。
アメリカにおいて、去る十二月三日であったと思いますが、〇・五%の公定歩合の引き上げを行ないましたけれども、この影響並びに今日の日本におきますユーザンスの残高などをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/53
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054・佐竹浩
○佐竹政府委員 ユーザンス残高は約十九億ドルでございますが、アメリカにおきまして公定歩合の引き上げ、それに伴っていわゆるプライムレートの引き上げがありました。このプライムレートの引き上げというものが、やはりいわゆる銀行引き受け手形のレートアッブということで、当然ユーザンスの金利にはね返ってくるわけであります。最初、第一回目に約四分の一アップがございましたが、間もなく追っかけてさらに八分の一上げてくるというようなことでございました。そこで、わが国といたしましても、為替銀行におけるユーザンスのレートを、最初四分の一アップの、きはそのままこちらも写真相場でそれだけ上げたわけでありますが、二回目の八分の一アップにつきましては、為替銀行の手数料をさらに節減するという努力をいたしまして、その分は吸収してはね返らせないということにいたしております。その後、今日までいろいろ日本銀行はじめ各方面で情勢を見ておりますが、まだ今日までのところでは、このユーザンスから円ファイナンスに乗りかわってくるという動きは、さしたる気配はないようでございます。しかし、やはり内外金利差が相対的に国内金利のほうが有利になってまいりましたから、産業界といたしましては、この際一厘一毛といえどもやはり金利負担が軽いほうがいい、これは当然のことでございましょう。してみますと、まあまあいまのところは何とかおさまっておりますが、今後、はたしてどういうふうになりますか、これはよほど注意を要するところかと思います。したがいまして、日本銀行も実はその情熱を毎日注目して見守っておるわけでございます。今後、もし円ファイナンスに乗り移ってくるというような動きが表面化するということであれば、そのときにはそれに応じたまた何か措置も考えねばなるまい、こういうことでございますが、幸いにして今日までのところは、まだそういう動きはそう表面化しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/54
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055・谷川和穗
○谷川委員 それでは次に、本年度の税収の落ち込みに関連しまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。
過去十年間、平均した租税収入の所得弾性値は大体一・五程度だといわれてきたと思うのであります。四十年度の国民総生産の伸び率は名目で七ないし八%と踏んで、税収の所得弾性値を例年の平均に比べてかなり低目に見通しを立ててきたにもかかわらず税収の落ち込みが生じたのは、私がそう感じておるのでありまするが、経済活動の下方硬直性といわれる現象がわが国にもあらわれてきたためだとか、あるいは全般に日本経済が低圧型の経済に移りつつあることにも基因しておるのであって、言いかえるならば、税収の所得弾性値を過大に見積もったというより、日本経済の姿が変わったためだと言えると思うのです。こういう時期に財政需要を削減して予算の均衡をはかるということは、国の総需要の二割以上を占めるのが財政需要であるというような点や、あるいは企業経営の形が、政府依存の傾向がまことに強くて、財政が緊縮に向かうと民間経済は同時に鎮静しやすいという、比較的弾力性や流動性に乏しいわが国の経済の体質から考えて、これは必ずしも適当な措置ではないと思うのであります。経済の成長率を七から八%の間の線で維持しょうとすれば、政府の財貨サービスの投入が望ましいと思うのでありますが、言いかえるならば、財政の持つこの補正的効果を発揮するという意味で、日本経済の現状では国債発行の積極的な意義をここに見出すことができると思うのでありますが、その点財政当局はどう考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/55
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056・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 このたび、御承知のごとく、二千五百九十億円の税収減に対して公債を発行する決意をいたしたわけでございますが、この問題は、いま谷川委員御指摘のごとく、もしこれを従来の均衡方式によってバランスをとるとするならば、増税によるか、ないしは歳出を切らなければならない、これはもう現実にデフレのしわ寄せを日本産業、わけても中小零細企業にしわ寄せをせざるを得ない、たいへんな経済の大混乱を起こすと思うのでございます。そういう面からいたしまして、やはりここに日本の供給過剰の経済の実態に沿うて経済の調和のある発展への基礎固めをする、こういう点で適切な措置であるというふうに御了解いただけると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/56
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057・谷川和穗
○谷川委員 ただいまの藤井政務次官の御答弁から申しましても、このたび財政政策を積極的にこうした形で取り上げていくというきわめて建設的な、前向きな意味があると思うのでありますが、私はこの点、どうも巷間あるいはこの公債発行が直ちにインフレにつながるとか、あるいは過去の国債発行の姿を記憶してか、非常に心配の深い議論があると思うのでありますけれども、私はやはりここに、こうした形の財政政策をとる積極的な意義が、今日の日本の経済の中にあらわれてきておると思うのであります。
それでは、次にちょっと具体的な問題について、二、三お尋ねをいたしたいと思います。
昭和四十年度の補正予算では、大蔵証券の発行限度額を二千億円から四千億円に引き上げることになっておりますが、これは必要とあれば来年度予算ではさらにこの額を引き上げることも当然考えられると思うのでありますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/57
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058・中尾博之
○中尾政府委員 国庫の収支は、タイプといたしまして、第一四半期に相当な散超になります、第二四半期に若干の揚げ超、ただいまの第三四半期が非常に大きな散超、第四四半期は相当な揚げ超になるというのが毎年の形になっておるのでございます。蔵券の発行限度は、当然散超の多い時期に備えまして、発行の累積額ではなくて、そのピーク時の限度を議決していただいておるわけでございます。蔵券につきましては、ここ数年来発行限度は五百億円程度であったのでございますが、本年度は二千億円をちょうだいいたしておるわけであります。これは年末におきますところの収支のアンバランスがその程度であろう、こういうふうに見込まれたからでございます。特に例年と変わった点はなかったのでございますが、ただ、三十五年、三十六年あたりは千億円から二千億円の剰余金を持ち越しております。したがいまして、そういう国庫金の底だまりがあったわけでございます。それが三十六年をピークにしまして、七年、八年、それから九年と、七百億円、六百億円、さらに九年には二百億円台に落ちたという姿であります。それを受けましたので、本年度は二千億円の限度をちょうだいしておりまして、これをもってこの第四四半期のピーク時に備える予定であったのでございます。これにつきまして、ただいま補正でこれを四千億円に引き上げていただくという点につきまして御審議をいただいておるわけでございますが、これは税の落ち込みというものを主たる原因といたすものでございます。そのほかに補正の関係もございます。来年度でございますが、来年度は、従来と変わりますのは、相当額の公債財源を予定いたすことになるわけであります。したがいまして、従来の歳入とはその構造が変わりますので、歳入の入り方につきましての予測に特別の配慮が要るわけであります。公債は、すでにいろいろの席で大臣も表明しておられますように、七千億円がらみの数字になる公算が大きいわけでございます。これらにつきましては、どういうぐあいに、これを発行いたしていくか、市中金融のゆるみます時期を中心にいたしましてこれを発行いたしていくのが当然の常識でございますが、しかしながら、相当な金額でもありまするし、これをやはり計画的に発行していかなければ、この円滑な消化という点におきまして、欠けるところがあると思いますから、そういうことで考えております。そんなような状況でございますので、いずれ来年度の予算案がきまりますと、歳出と歳入の構造がわかるわけであります。それにつきまして、それが各月どういうふうに出ていくかということの推定を立てまして、ピーク時の限度をきめたいとこう考えております。おそらく、本年度よりも相当高い限度をいただいておきませんと差しつかえが起こると思いますので、ここは慎重に考えたいと思っております。いま申しましたように状況が非常に区々でありますし、諸般の計画と実行との間におきまして若干のズレ等がございましても間に合いますような安全を見まして限度を設定いたして、御議決を得たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/58
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059・谷川和穗
○谷川委員 理事会の決定において、大臣に対する質問者が決定をいたしておるようでございますので、私の残余の質問はここで留保さしていただきまして、質問者に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/59
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060・吉田重延
○吉田委員長 平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/60
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061・平林剛
○平林委員 私は、同僚委員に引き続いて、公債の問題について大蔵大臣の考えをただしてまいりたいと思うのであります。
公債発行の問題についての質疑は、私は今日まで福田大蔵大臣とは二回やりました。第一回は六月七日の大蔵委員会でありまして、福田大蔵大臣が新任をされた直後、初めてこの大蔵委員会で所信表明をなさったときであります。第二回目は八月六日の大蔵委員会で、参議院の選挙が終わったあと、第四十九国会で国の歳入予算の不足がようやく問題化された時期を選んで質問を展開しました。私は前後二回質疑を行なったのであります。いよいよきょうは年末でもありますし、この問題について私と大蔵大臣との間の議論をしたつけを清算してもらいたい、こういう意味で以下お考えを伺います。
第一回の大蔵委員会のときに、福田大蔵大臣が所信表明をなさったとき私が尋ねたのは、まず第一に、景気はこれ以上悪くならないかということでありました。そして物価の問題、公債について論じたわけであります。そのとき福田大蔵大臣は物価がおおむね安定をするというのは二年くらいかかる、しかし、景気のほうはつま先上がりによくなる、これからの経済状態はます徐々に回復期に向かうと判断をして、それに基づいて政策を実行する、こういうお答えがあったわけであります。このつけを清算していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/61
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062・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 景気は、私はもう少し早い時期に上昇傾向をたどるかと思ったのです。まあ二、三カ月くらいおくれているような感じがするのです。
それは二つ根本的な問題があると思うのですが、一つは、今日の経済状態が非常に困難な状態である。これはわれわれが経験したことがないぐらいむずかしい状態なんです。私はこれがほんとうに回復するのには時間がかかると思いますが、回復に向かって歩み出すという段階にぽつぽつなるんじゃないかということを申し上げたのです。それはちょっとずれておるのです。それはそういう非常に困難な状態であるということ。それからもう一つの問題は、私どもは、そういう困難な状態に対して、金融政策ばかりでなくて、財政政策の面において大いにやってみたいというふうに考えていろいろやったのです。財政の繰り上げでありますとか、あるいは財政投融資の問題とかいろいろやってみたのですが、財政投融資のほうはわりあいにスムーズにいったのですが、公共事業のほうがなかなかうまくいかない。公共事業のごときは、もろちん昭和四十年度は前年度よりも相当予算額はふえております。しかるにかかわらず、その実績を見てみますと、晩年の実績よりもことしの支出のほうが落ちている、こういう状態が十月までずっと続いたわけです。これは、一つは、一割留保による手戻りという問題が影響しておるのです。もう一つは、地方財政が国と同様に大きな影響を受けましたので、どうも先行き不安だということで仕事にかからない。その二つの面からだと思います。そういうことで、政府支出が公共事業を中心にいたしまして立ちおくれた、こういうようなことがまた一つの原因だと思います。そういうことで、経済企画庁あたりの月例報告なんかを見ましても、十月までの状態は、本年に入りましてからは全く経済は諸指標とも横ばいの状態であります。十一月になって鉱工業生産なんかは、わずかではありますが、ふえるような傾向を示しておりますが、私は、公共事業の支出が十一月には初めて前年を上回るというようになり、十二月も同じ傾向を示しておるし、それからこの一-三月になりますと、そういうおくれた支出が集中すると同時に、今度予算でお願いいたしました繰り上げ契約なんかもありますので、財政が第三四半期には相当実効のある影響を示す、こう見ております。今後の経済動向を占う意味において一番大事な問題は、何といっても昭和四十一年度の予算というものがどういう性格のものになるかということだと思います。これは何回か申し上げましたから省略はいたしますが、四十一年度は実質において七、八%も成長を実現するように予算また財政投融資、地方財政、そういうようなものの大ワクをきめたい、こういうふうに考えておるわけなんでありますが、まあ民間の経済活動から見ますと、設備投資がどうしても横ばい傾向であります。結局そういう中において七、八%の成長を実現するというためには、財政が大きな役割りを担当しなければならぬ、そういう意味において、昭和四十一年度予算というものはかなり積極型になると思いますが、そういう過程を通じまして、七、八%の成長を実現するというのですが、これが四十一年度になったら断層的にそういうふうに七、八%に移るというのじゃないと思います。これから一-三月の上昇傾向、その後を受けましてなだらかな成長をして、年を平均して七、八%になるという経済状態かと思うのであります。そういうふうにただいま経済を見通し、そういうふうにあることを実現するための財政金融対策を進めていきたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/62
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063・平林剛
○平林委員 いずれにしても、佐藤内閣の財政政策としては、その中心として登場した福田大蔵大臣の見通しが、私が尋ねた六月のときから見ますと決して当たっていなかった。いまいろいろお話がありましたが、経済の実態は何らよくなっておらぬし、生産、出荷は横ばいだし、在庫はふえるし、企業の投資意欲はきわめて冷え切っておるし、最近は人手不足というよりは、むしろ就職難の時代が来ようとするくらいな状態になったわけでございまして、この意味では当時の見通しは、福田大蔵大臣もかなり甘く見て、見誤っておったということだけは免れないと思うのであります。これは私は、あのときの議論から半年間を顧みて、そういう評価をせざるを得ない。
そこで、こういう状態のもとで昭和四十一年、いま議題になっておる法律案に基づいて公債を発行していく、それにわれわれは大きな不安を感ずるのです。いま福田大蔵大臣が中心になって公債政策をひっさげて、これから積極財政をやっていこうというその行くえについて大きな不安を感ずる。
八月六日の大蔵委員会で大蔵大臣は何と言ったかというと、私が公債の問題についてお尋ねをして、四つの条件を示した。これからの公債を中心とする積極財政の中で四つの原則は守れますかと、それを確認したわけです。覚えていますか。一つは、赤字公債は発行しない。第二は、追い詰められた公債は発行しない。第三は、公債の発行は不況を克服した後である。第四は、物価の安定が第一で、その見通しをつけて公債の発行を考える。この基本原則について確認をしますかと言ったら、その幕末的な考え方は変わっておりません。そういうお説のとおりにやります、こう言っておる。会議録がここにあるのです。この四つの原則は、いずれも八月六日の大蔵委員会の私の質問に答えた原則確認です。赤いチェックがしてありますから、そこをよく読んでください。このつけはどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/63
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064・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 第一は、赤字公債というのですが、私は、私自身の口から赤字公債と言ったことはないと思いますが、当時八月の時点におきましては、私は積極的な意味における公債発行、これを今後の財政政策の運営の基軸として考えていきたい、こういうふうに考えておったわけでございます。そういう意味合いにおきまして赤字公債は発行しない、こういうふうに申し上げておるのだと思います。
それから、追い詰められた形の公債は発行しない、こういうふうに私が申し上げておるというのでありますが、これはただいま申し上げましたような私の公債構想が、追い詰められてやるのだろう、結局赤字だろう、こういう御説に対して私が、そうじゃないのだ、これは積極的な意味で進んでやるのだという意味合いでございます。
それから、さらに第三点といたしまして、この積極的公債は不況が克服されたあとでやるのかというお話でございます。これは、実は私はそういうふうに考えておったのです。つまり、初めのあの段階では、本格的な公債は四十二年度からやろうかという頭があった。しかし、四十二年度を待つことができないというふうにその後判断いたしまして、四十一年度から本格的、積極的な公債を発行する、こういうふうに変わってきておるわけであります。
それから、第四点の物価の安定ということは、私は非常に重視し、佐藤内閣の経済政策の基軸をなすものである、こういうことについてはいまでも変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/64
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065・平林剛
○平林委員 だから、私が確認をした四原則に、いまのお考えになっているやつは、事志とは違ったかもしれませんけれども、みな反しているじゃありませんか。少なくとも、あのときに追い詰められた公債は発行しない、こう言われた。当時は、四十二年度ぐらいからと考えて――期限にはあまりこだわらないつもりだけれども、いずれにしても追い詰められた公債は発行しない、こう言われておったのです。ところが、いまのお話でもそうでしょう。それを待つことができなくなった。だから、財特法の場合は、これは赤字公債だといってシャッポを脱いだから別ですけれども、来年度からの七千億円については、これはおのずから議論があるところなんです。建設公債とか赤字公債というけれども、一体それはほんとうの積極的な意味のものであるかどうかという点には議論があるのです。いまのお話でも、待つことができないということは、追い詰められた公債ということじゃないですか。あなたは、追い詰められた公債は発行しないと私に約束した。公債の発行は不況を克服した後であるということも、いま経済見通しを最初の質問でお答えになりましたけれども、今日までの大蔵委員会で議論してきたことは、少なくともあと二年ぐらいは低圧経済は避けられない――不況ということばは使われないけれども、低圧経済ということは、ことばをかえれば同じことですよ。これは約束に反しておると思うのです。そういう意味からいくと、福田大蔵大臣のいわゆる公債政策というものは、これは私に約束したことと反しておる。間違いないでしょう。シャッポを脱いでもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/65
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066・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 あの当時は、私は、積極的な意味の公債は四十二年度から出そうかな、あるいは四十一年度から出そうかなと考えておる最中でございます。その後、四十一年度から積極的な意味において公債を出すことに変更いたしましたので、変更いたしたということは、率直にこれを承認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/66
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067・平林剛
○平林委員 私も、福田大蔵大臣の考えている公債と、これから展開しようという公債とは、かなり福田大臣も不本意なところがあると思うのですよ、確かにね。政治家として自分が描いていた構想をそのとおりに実行できないで、追い詰められた公債に入らざるを得ないという状況については御同情申し上げます。少なくとも、財政演説や今日までのお話を聞いておったときに、福田さんというのは経済政策の理論を持っているからと思っていたのですけれども、結局は、追い詰められて公債を発行するようになっているのですよ。われわれはそこに不安を感ずるのです。結局、幾らりっぱなことを言っても、どんな構想を描こうとも、現実においては今日のような状態の中で公債を発行していく、ここにわれわれは大きな不安を感じて、それだけに理論を必要としておると思うのです。
そこで、私は、福田大蔵大臣の財政演説も慎重にお聞きし、また、書かれたものも読んでみたのであります。「この際、財政政策の基調を転換し、公債政策を導入することにより、わが国の財政に新しい政策手段を装備し、これを健全に活用していくこと」、これがあなたの政策だ、こう言われておる。その言はいいのです。一つの経済政策理論としては、そういう考え方もあるかなという、これは理論としては私はあり得ると思う。しかし、現実は、そのつどそのつど確認をしてまいったのに反している。こういうことが、公債発行がインフレの道につながっていく、すでにその徴候が幾つかの面にあらわれてきておる。大体公債発行の長期見通しがないじゃないですか。ことしは赤字公債で財源不足を補うために二千五百九十億円、しかし、来年度は七千億円と言っているけれども、きのう同僚の藤田委員の問いに対しても、そんなにごりっぱな積極的な財政政策として公債を導入していくならば、長期的な展望がないというのはどういうわけでしょう。具体的な構想がないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/67
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068・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 きのうも申し上げたのですが、数字でいま申し上げるまでには至っておりませんけれども、しかし、経済成長、七、八%ということをできる限り続けていきたい。そういうために民間の経済活動がどういう状態であるかということを判断して財政の規模をきめていきたい。その財政の規模の中で租税収入をどうするとか、公債収入をどうするとかは、そのときの経済情勢を判断してきめる、こういうふうに考えておるのですが、今度は具体的な見通しからいいますと、私はこの三年間ぐらいは低圧型の経済状態だと思います。したがって、民間活動はそう活発にはならぬと私は思う。したがって、財政が活動しなければならぬ分野が大きいと思うのです。そういうことを考えますときに、やはりこの三年間を展望してみますと、公債の発行額は来年は七千億見当と申し上げておりますが、ややそれがふえる傾向を持つであろう、しかし、そうとっぴにふえるわけじゃない、そういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/68
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069・平林剛
○平林委員 私は、この点についてもなお議論しなければならぬ点が残っているのですけれども、時間の関係もあるから、具体的な問題について少し尋ねます。
来年度は、予算編成は来年度にずらされましたけれども、公債発行七千億、あるいはそれを上回る程度の発行を考えておるといわれるのですけれども、また積極的な意味の公債政策、そしてそれがわれわれの指摘するようにインフレにならないような公債政策ということであれば、私は具体的な構想というのがもうすでにでき上がっていないと、これは積極的なりっぱな公債とは言えないのです。やはり追い詰められたずるずる公債です。
そこで、私、お尋ねしたいのは、来年発行されるところのいわゆる財政法四条の範囲内の公共事業に使われる財源として七千億円あるいはその程度以上というのは、一体どこに重点を置いておやりになるのですか。どういう構想を持っているのか、あるいは、とにかく財源だけは確保して、何とか財政との全般のコントロールをするという考えなのか、どこに重点を置くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/69
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070・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは公債も出しますが、同時に政府保証債を出すのです。四千億円見当にこれもなろうかと思うのですが、これを一体として考えております。その一体として考えている中におきましては、住宅に最重点を置いて考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/70
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071・平林剛
○平林委員 建設省が発表しているあの住宅建設五カ年計画とかいう、あれに重点を置くということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/71
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072・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 もちろんこれは予算を要求するほうの考え方、これをできる限り尊重するというたてまえをとっておりますが、同時に、私の意見も加えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/72
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073・平林剛
○平林委員 私は、これからの経済を見通し、それから政府の具体的な計画などを考えますと、どうも積極的な、ゆとりある家庭ですか、蓄積ある企業、そういうビジョンがないまま公債政策に入っているような感じを受けるのです。口では、スローガンでは、看板ではいい文句が並んでいますけれども、今度の公債はそういうものじゃないのだ、少なくとも、しばしば福田さんが述べられたような積極的な公債政策というものではないんだ。はっきり言えば、これは不況対策なんだ、積極的な公債政策とは言えない、不況対策なんだ、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/73
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074・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 この公債の発行によりまして経済が正常化の方向に行く、そういう意味においては、これは不況対策的効果はあるのです。あるのだが、不況対策ばかりの考え方ではないのです。根本は、私が前にも申し上げておりますように、いま公共投資といいますか、社会資本のおくれというものをどうしても取り戻さなければならぬという問題に当面をいたしておるわけです。それからもう一つの問題は、国民負担の軽減という問題ですね。幾らか国が借金をしてまでもそういう方向に意を用いていかなければならぬときに来ておる、またそうしていい、こういう考え方、それからもう一つは、景気調整という問題です。今後のことを考えますと、均衡財政じゃどうしたってでこぼこが出てきます。これはやむを得ない必然的な結果として出てくると思う。私は、その調節弁ですね、これはどうしても公債政策だ、こういう考え方なんです。そういう考え方による公債の発行が、私は経済を常道に戻していく力を持ち、そのうらはらとして景気を立て直す力を持っている、こういうふうに考えている。景気対策ばかりじゃない、景気対策が済んだら、いまの不況を脱したら公債政策をやめちゃうとか、そういう考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/74
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075・平林剛
○平林委員 そういう意味で、不況対策だけではなく景気調整、大きな意味の財政政策を展開していくというお考えだといえば、不況のときも、あるいはまたこれが回復して好況に転じたときも公債を発行していくという考え方にあることは間違いないですね。この場合、私は裏からお尋ねしますけれども、現在の景気調整、つまり低圧型を一日も早く脱していくという意味においては、いまの七千億円――政府保証債を合わせると少しふえますけれども、これで十分だとお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/75
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076・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 経済成長を実質七、八%上昇させるというには十分である、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/76
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077・平林剛
○平林委員 きょうは、どうも時間が少し足りないものですから、議論が展開できないです。けれども、もう一つ聞いておきますが、今度発行すると予定されておる財特法によるところの二千五百九十億円の公債ですね。これはもちろん現在の法律のたてまえからいくと、いますぐ幾らというふうに――利回りは幾らになるとか、期限はどうなるかということをきめるわけにはいかないでしょうけれども、大体どういう発行の条件を考えておられますか、ひとつ大蔵大臣からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/77
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078・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは、お話のように最後的には法律が通ってからの話ですが、いま根回しをしておるわけであります。大体の根回しの結果私どもが得た結論は、利回りは六分七厘九毛五糸、その表面金利は六分五厘、売り出し価格は九十八円六十銭、償還期間は七年、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/78
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079・平林剛
○平林委員 これは昭和四十一年度に発行するいわゆる七千億円以上の公債と条件は変わらない、そのまま続くものと理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/79
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080・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 四十一年度の公債の条件につきましては、これはそのときの金融情勢その他を見て話し合おう、こういう考えであります。しかし、これは四十一年度のものが重要な参考資料にはなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/80
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081・平林剛
○平林委員 もう一つお尋ねしておきますけれども、かりに昭和四十一年度、公債を相当の規模で発行する場合に、一体その市中消化を原則とするという以上、可能かどうかということを私確かめたいのですけれども、いま都市銀行にしても、あるいは興長銀にしても、その他の機関にしても、長期にそうした資金を調達できるという余力はどのくらいあるというふうに見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/81
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082・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは、今日の状態で判断することはできないのです。つまり、政府の予算がきまって、政府資金の散布量というものがきまります。ことに公債が、かりに日銀引き受けというような形で行なわれたというと、まるまる七千億円の追加購買力が出るわけですね。それだけの通貨が市中を遊よくする、こういう状態になるわけです。したがって、市中の金融状況というものはまるっきり変わって、たいへんな緩慢状態になるわけであります。でありまするから、市中資金には相当の余裕が出てくるわけなんです。しかし、そういう日銀引き受けというような形はとりませんが、市中で財政の影響を受けて、これを吸収する力というものが今日の状態とはまるっきり変わってくる、こういうふうに考えております。それで、そういう財政の構想なんかも大ざっぱに示しながら、市中とも話し合っております。大体消化し得る額が七千億円程度である、こういうふうに見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/82
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083・平林剛
○平林委員 いろいろ想定を立てられますけれども、現実の問題として二千五百九十億円を消化するにあたって、大体政府の説明では千三百億円は金融債、その他はいわゆる市中消化ということでございますけれども、その市中消化について、引き受け団体の割合というのはどういうふうにするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/83
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084・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これはこちらできめるわけじゃないのです。シンジケートの中で話し合うわけですが、大体半分以上が都市銀行です。地方銀行は二割くらいであります。あと三割くらいをその他の機関が引き受ける。その中で証券会社が一割引き受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/84
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085・平林剛
○平林委員 そこで、私どもは、いまお考えになっておる政府の公債発行、あるいはその公債発行がインフレに通じないためにはどうすべきかという点を、われわれとしては政府にいろいろワクをはめなければならぬと考えておるわけであります。本来であれば、私との約束に従えば、四十一年度から公債を発行するというのは、政治家として責任をお持ちならおやめになるというのが当然でございますけれども、しかし、政府の現在の実情から見れば、せめてその中でどうやってインフレを押えていくかという点について、われわれは国民の立場に立った考えをしていかなければならぬと思う。
そこで、今日まで議論をされてきたのは幾つかあります。一つは、公債で得た金は、将来経済発展の基礎固めとなって、経済成長の原動力となる設備投資の範囲内に限る、財政法第四条の、いわゆる建設公債の範囲内で公債を発行していく、これはもう総理はじめ大蔵大臣もしばしば言明しておりますから、一つのワクですね。これは確認できると思うのです。第二は、行政費の、国の経済支出の財源としては、公債を発行するということは絶対に避ける、これも昨日来この大蔵委員会でも議論を尽くしておりまして、問題は、実際に守られるかどうかということですな。それで、予算委員会でも堀委員が質問をしたのに答えて、財特法はもう臨時的な特例のものであるから、これは繰り返さない、こういうことを約束されました。このワクについても実際に約束が守られるかどうかですよ。公債発行は四十三年からしかやらぬとか総理大臣は言ったけれども、実際は来年からやることになってしまったし、赤字公債のほうはことしからすぐに始まるわけですから、これは約束が守られるかどうかということが問題だと思うのですけれども、しかし第三の、国債は市中消化の範囲内とするという点に私は非常に問題があると思うのであります。いまそのために前段にいろいろなことをお尋ねしたわけであります。たとえば、公債発行をする場合に、公債発行論者の中でも、いま言ったことはみんなお互いに考えておるわけです。市中消化が原則である。しかし、市中消化が原則であるとすれば、それをやるための条件が整っていなければならない。これは、従来の公債を発行することを是認する人たちの議論、どの人の議論を聞きましても、この点はみんなお互いに強調しておるわけです。ところが、まだ公債を消化するところの社債市場というのが完成していない。これは一体どうするのか、こういうことがます一つあると思うのですが、これについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/85
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086・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 特に政保債なんかにつきまして、いままで気配交換さえも行なわれていない状態だったわけです。それで、十二月からそれを始めるようにいたしておるわけです。これが少しなれてきたら市場に上場するというふうにする考えであります。それから政保債は準国債でありますから、これの動きというものが国債にも重要な影響はあると思いますが、その動きを見ました上で、国債につきまして気配交換を行なう、その様子を見て国債の市場上場を行なうというので、計画的、段階的に交換性を持つようにするための措置を進めておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/86
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087・平林剛
○平林委員 時間もまいったようですが、最後にもう一度だけ市中消化の問題について確かめて七きたいのです。
先ほど公債の表面、あるいは利回り全般を見て六・七九五%だ、こういうお話がございましたけれども、結局公債を、二千五百九十億円にしても、来年度七千億円にしても、だれが消化するかということを考えますと、今日これの消化をする母体というのは、何といっても金融機関しかないわけですね。この場合に、昨日も銀行局長から預金コストについて話を聞いたのですけれども、最近の預金の利回りを見てみますと、普通銀行の場合、都市あるいは地銀だけを計算してみますと、預金の利回りは六・七二%です。全国銀行の預金償還コストは七・〇四%です。そうすると、ことしの赤字公債は六・七九五%でございますから、預金コストととんとんかあるいはそれを下回るようなものですね。そうなると、実際市中消化受け入れは市中の金融機関だといたしましても、そろばんが合うかどうかという点から見ると、公債にそう魅力を感じないわけですね。それからもう一つ、貸し出し利回りを調べてみますと、都市銀行で大体七・五五%、地銀に至っては八・一〇%、これは銀行局の調べですから大体間違いない。そうすると、この貸し出し利回りをながめますと、地銀のごときは八・一%、こういうのでしょう。そうすれば、いま五〇%ぐらいはこういう団体のほうにやらせると言われるのですけれども、貸し出し利回りのほうが、この公債発行の利回りよりも高いとなると、これもあまりそろばんが合わないということになりまして、魅力がないということになる。それで政府の保証債のほうを見ますと、政府の保証債のほうは大体七年で七・〇五三%、地方債で七・三五四%、電力債は七・四〇八%、B格の債券は七・五七三%、金融債、これは五年ものですけれども七・三%、そうすると、このいずれの債券よりも利回りの点では六・七九五%というのは条件が悪い。こうなると、これは一月、二月、三月に消化する千二、三百億円の場合は別で、何とかやりくりするでしょうけれども、しかし、来年度の七千億円以上の公債の消化というのは、これは一体どうなるのですか。市中消化でできるのですか。私の言わんとするのは、いまの一般事業債、つまり七・〇五三%、七・三五四%、七・四〇八%、七・五七三%、あるいは金融債の七・三%でも、政府の強制割り当てで金融機関がみな受け持っているんじゃないですか。それが六・七九五%で公債を喜んで買うということになるでしょうか。一厘を争ってその利を考える金融機関というものが、あなたのお考えのように市中消化というわけにいかないですよ。市中消化じゃない、市中割り当てぐらいだ。強制割り当てだ。結局とどのつまりは、これはどこへ持っていくかということになると思うのです。特に先ほどお尋ねいたしましたように、長期資金というものはあまり潤沢じゃありません。現に今度も、五十数%を受け持たせるところの興長銀あるいは都市銀行などにおいてももう一〇〇%の預貸率ですし、逆にいえば、今日日銀にはたくさんの政府保証債を持ってもらって、それを担保にして金を借りて運営している状態でしょう。具体的な数字は知りませんけれども、そういう状態でしょう。それなら一体、あなたが約束されておる市中消化の原則、その範囲内というのは守られるのですか。守られないでしょう。そうすれば、幾らわれわれがワクをはめても、これは守られない。そして結局、これは来年度の財政の膨張と並んでインフレの方向にいかざるを得ないのじゃないですか。インフレにならない、こういう保証がどこにあるのですか。私はその点を福田大蔵大臣からお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/87
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088・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは公債の額がどうきまるか、つまり、国民経済の物資、労務、資金、国際収支、そういうものの均衡を破らない限度においてきめられる、こういうことである限りにおきましては、インフレになる可能性というものは絶対にないというふうに思います。
市中消化の点ですが、これは、平林さんは利回りだけで言っておりますが、利回りばかりではないのです。それは銀行が投資をする、資金の運用をする、これは貸して損をするようなところも出てきます。いろいろなものに投資をいたしまして、そしてその平均を求めるということにあると思うのでありますが、国債は投資する場合におきまして利回りは安い。国債の利回りは安いけれども、しかしながら最もこれは確実なものです。いつでも現金になる、納税にまで使える、こういうように他の債券と全く違った性格を持っておるわけであります。これは現金みたいなものなんです。これの利回りは安いからといって、それを基準にして消化はできないだろうというような判断は、私は、これは頭の中だけで考えている議論だと思う。私どもは、実際にこれを金融機関に当たるのですから、そうして大体この見当はだいじょうぶだ、こういう判断に立つわけなんです。あなたのおっしゃるような議論で言えば、国債の利回りは政府保証債よりももっとゆるやかにしなければというのですが、私は、国の財務の担当者としてこれに臨むというためには、なるべく安くしなければならぬ、しかもこれが消化される、そのぎりぎりの線が、ただいま申し上げました六・七九五%である、こういうふうになっておるわけでありまして、その利回りの点につきましては、とにかくことしの二千五百九十億円は、みんなが喜んでこれを引き受けてくれるようであります。私はこの状態を見、また今後の金融情勢を見て、とにかくできる限り安く、しかもこれが消化されるという二大原則をもって対処していきたい、こういうふうに思っておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/88
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089・平林剛
○平林委員 私は、いま福田大蔵大臣が言われましたけれども、もっと利回りを高くせいという意味で言っているのじゃないのですよ。結局これは日銀にみんな持っていって、どう考えても通貨膨張と同じようにこれはインフレの道にいく、そういう危険性があるということを指摘しているわけですよ。公債は換金性があると言うけれども、私は頭の中で考えているのじゃないのですよ。換金性、ありますか。これはあるでしょう。あるけれども、いまのように市中に公社債市場がないときに、何で換金性があるのですか。それは私は、むしろ大蔵大臣のほうが現実離れしていると思う。そういう点から考えますと、預金コスト あるいは貸し出し利回りなどを考えてみても、みんな日銀に持っていってしまいますよ。それでこれからの金融がなお逼迫してくるようなことだなったら、みんな持っていってしまう。そういう歯どめは何もない。しかも私は、そういう意味では、金融面から日銀の公債などの保有高、そういうものの制限をする必要があるだろうと思うし、それからまた、こういう意味の日銀法の改正というものも考えなければならぬということでございまして、そういう点ではまだまだあなたに注文することがたくさんある。しかし、きょうはこの辺でやめますが、いずれまた機会を見て御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/89
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090・吉田重延
○吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十九分休憩
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午後六時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/90
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091・吉田重延
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/91
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092・有馬輝武
○有馬委員 予算審議で参議院のほうがお忙しい中をおいでいただきましたのは、福田大蔵大臣に、経済成長率の問題なりあるいはこの不況の中で公債が発行されて、それが福田さんの言うようにはたして景気の浮揚策になるのか、まあいろいろ、これは経済企画庁長官とお立ち会いの上で伺わなければ、どうも福田さんの表現によれば、藤山さんと福田さんとボールを投げ合っておるとおっしゃるのですけれども、藤山さんはときたま投げないとおっしゃったりするものですから、そういう点についてお聞きをしておきたいと思うのであります。
まず第一に、この不況の認識についてであります。時間が制約されておりますので、論議を簡略にするために、実態面に即応してお聞かせをいただきたいと思います。
多少冗長になるかもしれませんが、とにかく、ことしの中小企業の業績の悪化というもの、これは長官ごらんのとおり、きわめて深刻なものがあります。中小企業金融公庫で最近都内の取引先百六十二社を対象にいたしましてアンケート調査を行なったところによりますと、八-十月の売り上げの伸び率が、前年同期に比べまして平均二・四%減少いたしております。そして、いわゆる売り上げに対する換算点の比率、これが一〇四・八となりまして、普通言われておりますところの安定率の一〇九をはるかに割っておるのであります。こういう状態で、優良企業でありましても非常に落ち込んでおるのでありまして、好不況にかかわりなく、企業の格差もまた非常に拡大いたしております。このような実態の中で、私がまず第一にお伺いしたいと存じますことは、長官として、この不況というものを、一言では言い尽くせないかもしれませんけれども、どのように把握して対処しようとしておられるのか、この点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/92
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093・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 今日の不況が予想外に深刻になったと申しますか、長引いてきたと申しますか、あるいは回復がおそいということは、これはやはり私は、長年経済成長の中ででき上がったいろいろなゆがみ、ひずみというものが、現実にここにいろいろな形で作用をしてきた、こういうことがその大きな原因だと思います。したがって、いわゆる構造上というようなことばで言われておるとおり、構造上からきた問題でありまして、たとえば非常に設備投資が大きく行なわれ、推進されましたが、しかし、その設備投資が今日稼働しているかといえば、稼働率というのは非常にわずかな稼働率である。しかも設備投資による近代化その他が、大きな原料工業その他と、あるいは中小企業との間に近代化の差異ができている。その他御説明申し上げればいろいろな点がありますけれども、そういうところからきておりますだけに、この不況というのは相当深刻であって、これから立ち上がるためには、やはり相当大きな力を加えていかなければならぬのじゃないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/93
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094・有馬輝武
○有馬委員 そこで、いまの、藤山さんが深刻だとおっしゃっておられます状況、これをまた企業倒産の面から見ました場合に、先ほども平林君から、大蔵大臣は秋ごろからはつま先上がりになるだろうと言っておったのに、ならないじゃないかということで激しく指弾されて、福田さんにもことばがなかったようでありますけれども、私、やはり具体的数字を見なければいかぬと思うのであります。
最近の東京商工興信所の調べによりますと、十二月十日現在、十一月二十六日から十二月十日までで、全国の企業倒産は、負債総額一千万円以上のものを調べましても二百四十一件、負債金額は二百三十億五千五百万円となっておりまして、先月十日までの二百三十七件に比べて一・七%、金額では二百十四億九千万円に対して七・二%もふえておるのであります。四十年に入りましてからの企業倒産は、総計で五千七百六十七件、負債金額は五千三百六十五億三千万円となりまして、十二月十日現在ですでに、かって引き締め下に未曾有の倒産を見ました三十九年の四千二百十二件より件数としてもはるかにふえておりますし、負債金額も当時の四千六百三十一億五千万円をはるかに上回りまして、件数では三六・九%、金額では一五・九%も上回っておるのであります。問題は、このような不況に対して、やはり設備投資、生産調整、こういった面から、私は政府として当然打たなければならない手があるはずだと思うのであります。現在まで私どもが見ておりますと、何ら有効な手が打たれない、放置されておる、こう申しても過言ではなかろうと思うのでありますが、経済閣僚として、藤山さんと大蔵大臣はどのような手を打ってこられたか、自信があるならば、この際お述べいただいて、その効果がどのように出てきたかを明らかにしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/94
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095・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 ただいま倒産件数その他についてのお話がありまして、そのとおりでございます。そこで、現在の状況を私どものほうでもアンケート調査等をやってまいりまして、最近の実情から申しますと、やはり中小企業の方々のアンケートで著しくあらわれているのは、受注量の不足と申しますか、注文がないということでございます。過去においては労働力不足というときもございました。あるいは金融の問題、あるいは税制の問題もございましたけれども、この夏以降受注量が少ない。ことに旋盤その他機械メーカー、小型の中小機械メーカー、これはほとんど注文がないというので困っておるような状況でございます。そこでわれわれとしても、七月二十七日にああいう二千百億円を出しまして経済の浮揚力をつけていこう、今日、民間の設備投資に待つ、あるいは民間のいわゆる個人消費に待つということはできないのでありまして、やはり財政の役割りをもってこれに景気を浮揚させることにいたしてまいらなければならない、こういうときこそ財政がその役割りをすべきだと思います。過去において、日本の経済において財政がそういう役割りをしたということは非常に少ないのであります。財政は、やはり弾力性を持って動いていかなければならぬと思います。そういう意味で、政府需要によって一般の実需を喚起していくということを試みてまいったのでございます。同時に、一方では信用が非常に膨張しておりまして、金融が二十数兆円の非常に大きな信用膨張の結果として、中小企業その他にお産手形とか台風手形とか、いろいろな長期にわたる、そういう名称で呼ばれるような手形も出てくる、そうして、それらに対する歩積み、両建てその他金利の問題も非常な大きな圧迫をいたしておるのでございます。したがって、積極的に申せば、やはり政府需要によって受注高をふやしていく、刺激をしていく、そこで波及効果の多いものを選んでいかなければならぬ。二千百億円をやりましたときに、波及効果からいえば、住宅などは非常に波及効果の多いものでございます。しかし、土地の問題その他でもって、やはりすぐに景気に出てこなかった。たとえば電電公社に対するワクの拡大等によりまして、電話その他、そういう方面に対しての調べを通産省が最近いたしたのでございますけれども、調べによりますと、やはりそのほうは受注量がふえて生産数量は上がってきておるというのが明らかに出てくるのでございますが、住宅その他の問題になりますと、直ちにいかないわけです。同時に、大蔵大臣もおそらく説明されたと思いますけれども、四十年度予算が六月に一割削減ということをやりまして、その結果として地方におきます公共事業の計画が一時見送られた、あるいはとんざした。そういうようなことでさらに計画を練り直し、そこに一割は削減をしないのだということをやったので、支出が落ちたという状況もございます。その間に地方税関係が十分予想どおり入ってこないために、地方としてもどうしたらいいかということを考えた。そんなことでございますから、おそらく大蔵大臣も説明されたと思いますけれども、いわゆる緊急措置によります二千百億円のほうの注文、支払い等のものは十月、十一月に出てまいりましたけれども、十月までは、いわゆるいままでの四十年度予算におきます地方事業に対する受注と申しますか、また同時に仕事をしたことに対する支払い関係から見ますれば、昨年よりずっと低いのです。それがやはり影響しておったと思います。ですから、それこれ合わさりまして、もう少し活発に動いていくのじゃないかと私ども思いましたけれども、その意味からいえば、予想を若干――もう少しいくのじゃないかと思ったのが下回っておった。ですから、政府が有効需要を喚起するという手段をとれば、私はやはりこの際相当な影響があると思います。そしてまた、それによって景気を上昇さしていかなければならぬと思うのでありまして、そのこと自体は物価問題の解決にも、長期にわたって考えていけば、やはり住宅問題の解決あるいは輸送設備の改善、そういうような面に公共投資のものが集約されてまいりますれば、それらのものが需要として出てまいりますと同時に、それらの整備によりまして、今日起こっておる物価問題の、全部とは申しませんけれども、多くの部分に好影響を与えてくると思います。そういうようなことでせっかく努力をしていかなければなりませんが、やはり政府が計画して、かつそれぞれの役所が案をつくって、そして下までいくのになかなか時間がかかるという感じを私自身も持った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/95
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096・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいま企画庁長官から話したのと私の感想も同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/96
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097・有馬輝武
○有馬委員 福田さんのお答えも一緒であるとするならば、有効需要喚起のために、政府は、たとえば二千一百億円の緊急措置をしたとおっしゃるのですけれども、何かやればそれが効果があるかのごとく錯覚しておるところに、現在佐藤内閣の財政政策の貧困さというものが端的にあらわれておると思うのです。私が財政政策の貧困と言いますことは、いわゆる環境の整備というものをやらないでおいてその場当たりにやるとか、あるいは一時チェックしておいてそれをまた出そうとか、こういった無定見なもののやり方が、せっかくいま藤山さんがおっしゃったようなことをやろうとしても、やったって効果はないし、減殺しておるのですよ。たとえば二千一百億円の緊急措置をとるにいたしましても、長官も御指摘になりましたように、地方がこれに応ずる態勢にあるかというと、ないでしょう。地方財政の問題を検討しないで、政府が旗を振ればついてくるのだというようなものの認識に誤りがあったのではないか、こうぼくは思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/97
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098・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 二千百億円のものは、そう地方には関係ないのです。これは逆に地方に関係ありとすれば、地方に上、下水道の起債を回すという問題がありましたが、大体において地方に関係なく行なわれる問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/98
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099・有馬輝武
○有馬委員 たとえば現在の不況の原因が、消費が伸びない――そのためには、やはり国民に力を与えてやらなければいかぬわけですね。そこら辺について、大蔵大臣としては具体的にどのような手を打ってこられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/99
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100・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 国民に力を与えるというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/100
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101・有馬輝武
○有馬委員 具体的に申し上げますとへたとえば低所得者層に購買力をふやさせる、そのためにはどのような手を打ってこられたかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/101
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102・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そういうこともありますが、とにかく当面は、設備過剰が経済の落ち込みを招来しておる、こういう判断のもとに、遊休の設備に、全部というわけにはもちろんいきませんけれども、ある程度えさを与えるというか、需要を喚起するということこそが、これが日本経済に活力を与えるゆえんである。その仕事が始まること自体によって、これがまた国民個々に賃金その他の所得として浸潤をしていくわけであります。そういうふうな考え方をとった一わけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/102
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103・有馬輝武
○有馬委員 その浸潤していくあれを縮めるということが財政政策の基本でしょう。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/103
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104・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 全く逆のようなことですか、どういうことでしょうか、もう少し詳細にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/104
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105・有馬輝武
○有馬委員 たとえば、私先ほど申し上げましたが、こう不況の中でも企業の格差というものは拡大して、収益をあげるところがある。中小企業の中でも、具体的に申し上げますと、食品工業なんかでは、たとえば売り上げが一二%減りまして――しかし、その食品工業の中にも、いいものは四三%もふえるものがある。しかし、全体的にはやはり二〇%減少する。建設業全体を見ましても二〇%減で、いいものは二一%ふえて、悪いものは二七%も減っていく、この格差を縮めていき、国民全体の浮揚力をつけるというための手だてがなければいかぬ、こういう意味でお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/105
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106・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 それは結局、非常に大きく言いますと、国民総生産をふやすということなんですね。その国民総生産をふやすというための努力をしたわけなんです。去年はいまごろ、ことしの総生産は幾らだ、七・五%去年よりはことしは成長するだろうと見たのが、どうも横ばいな調子である、こういうので、これを浮揚させなければいかぬというための施策をとったわけですね。その施策として金融政策がとられる。これじゃ不十分だというので、ただいま企画庁長官からお話があったような財政政策に及んできた、こういうわけであります。国民全体の所得は、その背景となる総生産をふやさなければならぬという考え方に立脚しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/106
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107・有馬輝武
○有馬委員 次に、経済企画庁長官にお伺いしたいと思うのですが、あとで論議いたします、また、現在まで同僚委員各位が論議をしてまいりました来年度の経済成長率というもの、これは、私ども、公債の市中消化の問題等についてきわめて重大な関連があるということで、政府のものの見方というものを注意深く見守っておるのでありますが、予算編成を目前にして経済企画庁の見方というものが明らかにされないことは、私ども、この審議に重大なる支障を来たしておるのであります。そういう意味で、この際企画庁の、最終的にコンクリートになっていないといたしましても、現在の見通しというものをお聞かせいただきたいと思うのであります。たとえば、経団連あたりでは、実質成長率を六・五%、名目で一〇・八%くらいと、きびしい見通しを立てておるようでありますけれども、この際、企画庁長官としての見通しをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/107
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108・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 お話のように、まだいろいろ取りそろえなければならぬファクターがございますから、コンクリートなことを申し上げかねますけれども、大体の考え方を申し上げますと、まず、これは本年度の状況と関連して申し上げないとちょっと申し上げにくいところがございますので、関連して申させていただきます。
たとえば本年度は、個人消費支出について一二%――当初見積もりとしては七%くらいな対前年度比の個人消費の伸びであったろうと思うのですが、ただいまの実績として、これから三月末ごろまでに見込まれるものは大体二%前後ではないか。それから、設備投資のほうは四兆九千億円、四兆八千億円幾らだという数字でありますが、概略して四兆九千億円、前年度比で、三十九年度に対して五・四%くらいな伸びであったのですが、実際の伸びから見ますと四兆五千億円前後でございます。そこで、来年度の見通しとして、個人の消費は、三十九年から四十年に対して一一%くらい伸びましたが、これはほぼ横ばいと見られるんじゃないか。横ばいよりも若干、政府がいろいろ施策をいたしますから、強含みで横ばいと、こう見て差しつかえないのじゃないかと思います。
それから設備投資のほうは、いまの民間の設備投資のほうは四兆五千億円程度だろうと見ておりますが、これもまず横ばいであって、四兆五千億円と四十年度は見積もられますものが、少しは上のせができるのではないかと思いますけれども、大きな意味からいえば、大体横ばい程度ということです。
それから在庫投資は、当初見通しでは、やはり三十九年度の水準に対して大体横ばいぎみであったわけであります。そこで、実績見込みになりますと五〇%程度の減少をいたしておりますが、まあこう見ていいんじゃないかというふうに考えられます。
それから個人の住宅建設というのは、当初見通しで二四%ぐらい見積もられておったのですが、ほぼ、四十年度の実績はその程度の横ばいにいく、そうして来年度におきましてもこの当初見通しを若干上回る。これは住宅に力を入れてまいりますから、伸びていけるんじゃないか。
財政支出のほうにおきましても、当初見通しで、四十年度対三十九年度比一〇.二%くらいな増でありましたけれども、これは財政支出について相当な力を入れてまいりましたから、一四%くらい当初見通しよりも少し上回っていくのじゃないかというふうに考えられます。
それから輸出のほうは、御承知のとおり、当初見通しが七十六億ドルでございましたけれども、八十五億ドルくらいまでいっております。そこで、来年度はどの程度に輸出が伸びていくか。今年度は、こういう状況でありましたにかかわらず著しく伸びたわけでございますけれども、八十五億ドルが大体一〇%程度伸びたとすれば九十三億ドルないし九十四億ドルというところでございます。その辺を九十五億ドルと見るか、あるいは強気でもう少し見るという人もございます。しかし、一〇%程度とすれば九十四、五億ドルというところになるんじゃないかと思います。
それから輸入のほうは、当初の見通しが約七十三億ドルでございましたけれども、実績から申しますと、四十年度は六十九億ドル、七十億ドルにはならないだろうと思います。これは四十一年度でも、現状から申しますと、四十年度の伸びを若干上回る伸びを示すのではないか、こう思われます。
それから、鉱工業生産は、大体三十九年度から四十年度に対する当初見通しは一〇%ぐらいふえるところでございましたけれども、実績からいいますと二%を若干上回る程度の鉱工業生産の伸びでございました。これも若干の上昇が見られる程度です。
そういうようなことを仮定しまして、そうして消費者物価を大体どのくらいに見るか。今度は四・七%が七・五%くらいになりますのですが、来年度をどの程度に予想するかといいますと、大体五・五%ないし、六%には持っていきたくないというわれわれの感じもございますし、また、努力してそこにいかなければならぬ。一応そのくらいな数字を合わせてまいりますと、来年度実質七%前後の成長率になるのじゃないか。国民総生産としては本年が二十七兆七千億円でございますが、四十年度の予測もしくは実績が約三十兆円前後、こういうようなところに一応の予想がされるわけでございます。これらのことにつきましては、もう少し数字を詰めてまいりませんと正確なことは申し上げかねますけれども、大体そんな感じで私どもいま個々の数字を集めなから、それらの見通しを誤らないように検討をいたしておるところでございまして、予算編成のときにまいりますれば最終目標を出して、大蔵大臣のほうにも予算の編成をしていただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/108
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109・有馬輝武
○有馬委員 といたしますと、大蔵大臣のほうでは、大体予算編成の最終目標といいますか、これを来年の一月半はごろに置いておられるようでありますけれども、そのときまでにはいま言われた数字をコンクリートなものにするということでありますか。この点が一つ、それから問題は、公共料金引き上げとの関連についてであります。これをいま少し明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/109
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110・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 公共料金の引き上げの影響でございますが、公共料金につきましては、米ですと、CPIで考えてみまして、消費者米価につきましては平年度化しますと、配給でもって〇・五九%、非配給で〇・一八%、合計いたしまして大体〇・七七%くらいであります。それから国鉄につきましては、旅客について〇・九八%くらいなウエートを持っております。したがって、これに値上げ率をかけていくわけでございます。郵便ですと、CPIに対して大体〇・二%ぐらいなウエートを持っておりますので、これに値上げ率をかけてまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/110
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111・有馬輝武
○有馬委員 医療費はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/111
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112・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 医療費についてはいま手元に持っておりません。
そういうようなことで、来年度の物価の上昇率は数字から割り出してまいりますと六%前後になるのですけれども、しかし、やはりこれは努力目標を少し入れて五・五%くらいに押えていきたいというのを私どもの目標として考えております。消費者米価の問題については若干努力目標を掲げていかなければ、あまりに努力目標を大きく持ちますとしくじるかもしれませんけれども、ある程度のやはり努力目標を持つ、ですから五・五%というようなことを私大体言っているわけであります。これは必ずしも不可能ではないというのは、たとえば三十九年度から四十年度にまいります三月、四月のげたが三・四%あるのです。ことしはいまの状況でまいりますと四十年度から四十一年度にまいりますところのげたというのは二・五%になるわけでして、約〇・一%だけげたが低うございます。そこで、たとえば、ことし物価が七・七%上昇しますときに三・四%げたを引きますと約四%あるわけであります。げたでもって一%下がりますから三%になるわけでして、そうすると三に二・五加えれば五・五%、しかし計算はそうなりますけれども、これは努力を続けて他の対策を講じていかなければならぬ数字でして、ですから、先ほど申し上げましたように、うっかりすれば六%くらいいくのではないかという心配を打ちながら、しかし努力目標としてはあまり安易な数字を出しますと、そうかといって中期経済計画のように二年も三年も続けて二・八%という物価上昇率を置いたのでは、これは努力目標にはなりません。ですから、かようなところの努力目標ぐらいのものは若干置かなければならぬじゃないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/112
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113・有馬輝武
○有馬委員 藤山さんには先に帰っていただきたいと思いますから、まとめて質問いたしたいと思いますが、先ほどお尋ねしました物価の問題であります。公共料金の問題であります。異論があったらあとで大蔵大臣のほうからおっしゃっていただければいいですが、簡単に福田大蔵大臣の公共料金値上げを許容したものの考え方は、安定成長の基礎固めをこの際やっておくのだというようなものの言い回しだと思うのであります。しかし私は、公債が発行される一つの大きな前提としては、物価の安定ということが、通貨の安定ということが大きな前提にならなければならないと思うのでありますが、経済閣僚の一人といたしまして、大蔵大臣のいままでの答弁によりますと、来年度大体七千億円ぐらいの国債発行をするということでありますけれども、この公債を発行するということが明らかになっておるときに、郵便料金なりあるいは消費者米価なり国鉄運賃の値上げを認められる経済閣僚の一人としての藤山さんのお考え方をこの際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/113
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114・藤山愛一郎
○藤山国務大臣 御承知のように、いまの物価の問題は、私は構造上から来ておりますから相当根が深いと思います。したがって、これを基本的に解決しなければ、なかなか一年やそこらで済まない、そこで七、五、三だと笑われたのですけれども、一年目は五%台、二年目は三%台から四%台と逐次安定に持っていこう、こういうのもその根の深さにあると思います。
そこで、それではこれからどういうことを考えるべきかといえば、たとえば本年の四月に著しく消費者物価が上がりました。その内容というのは、住宅費と教育費の高騰でございます。したがって、住宅費の高騰ということは、住宅をたくさん供給することが可能になってこなければ、住宅の安定をはかる、家賃その他の安定をはかるということはできないことだと思うのでありまして、やはりその面に力を注いでいかなければならない。たとえば生鮮食料品その他の問題を考えてみましても、農産物価の安定をはかると同時に、輸送関係の改善をしていかなければならない。やはりそういうことから起こってくる根というものが解消されない限り、過去におきますように幾ら目標を二・八%くらいに置きましても、やはりそういうものの影響からきて、五%台とか六%台とか、本年のような七%台というような極端な例が出てくると思います。そこで今度は、たとえば財政支出によりまして景気の浮揚をするという問題も、たとえば住宅に力を入れ、道路、交通輸送に力を入れ、金をかけていくということは、景気浮揚の対策と同時に私は物価を安定させる将来の基本的な地ならしになってくると思うのです。ですから、そういう意味で、かりに公債を発行して、建設公債的な面に主力を注いでこれが使われるということになりますと、基本的な物価の上昇の基礎になっておりますいろいろな状況が改善されることによって、安定する道が開かれていくと思うのでありまして、公債を出すからすぐにインフレになるのだ、同時にそのインフレが物価をすぐにけ上げていくのだということは、むろん公債の出し方にもよります。たとえば、日銀引き受けをやりますれば、それはすぐに貨幣価値の下落にいくのですから物価に影響してきますけれども、そういうような公債の発行方法にも影響がございますけれども、同時に、発行された公債の使途というものがそういうふうになってくれば、たとえば公債を発行してそういうものに使っていくということになれば、一方では住宅が緩和される、同時に住宅建設ということ自体は非常に波及効果が多いものですから、いろいろな産業に対して受注量をふやしていく、浮揚力を与えていくという道につながってまいりますので、この場合における公債発行が直ちにインフレにつながっていくというふうには考えなくて差しつかえないのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/114
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115・有馬輝武
○有馬委員 参議院の予算委員会がまた始まったそうでありまして、いまから大蔵大臣と論議いたしたいと存じておりましたが、いわゆる公債発行のワクが守られるか、市中消化が実際に大蔵大臣が考えておるように可能か、いろいろな問題が大蔵大臣の考えどおりいく場合での藤山さんの結論なんです。そこにズレがあるわけなんです。しかし時間が参ったようでありますから、この問題はあらためてまた経済企画庁長官にお伺いをいたしたいと思う。
それでは序論だけ伺っておきます。それは明年度の財投計画についてでありますが、その規模がどの程度になるか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/115
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116・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 まだはっきりしたことは言えないのですが、大体二兆円くらいな規模になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/116
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117・有馬輝武
○有馬委員 まず第一に、この財投計画の資金繰りの問題になってくるわけです。これは時間がありませんので詳しい話はよしますけれども、資金運用部資金あるいは簡保資金あるいは外貨債、産投会計の出資、こういったものを検討してまいりますと、私は二兆円というものの資金繰りには相当困難な面が出てくるのではないかと思うのです、結論的に申し上げますと。ということは、このことが勢い公債の問題と関連して公債消化の場というものを圧迫する原因になるのではないかと思いますが、この点についてお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/117
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118・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 大体国債幾ら、政府保証債幾ら、それから地方債幾ら、事業債どのくらい、こういうことを総合的に検討いたしまして、国債だけのことを考えておるわけではないのです。全部が円滑に消化できるという資金計画のもとに進みたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/118
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119・有馬輝武
○有馬委員 それでは、私は具体的な数字をあげればいいのですが、財投の資金繰りというものは、私たち大体予測できるわけです。とすると、それが非常に困難な状況にあるのに、両方勘案して適当にやるんだといって済まされないところがあるからお伺いしておるのです。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/119
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120・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 総合して、全部支障ないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/120
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121・有馬輝武
○有馬委員 次にもう一点きょうはお伺いして、あと全部、また内容の問題については詳しくお伺いしたいと思いますが、日経連あたりでは金利の自由化を進めようというような意向を最近強く押し出しておるようであります。大蔵大臣のほうでは、たとえば興長銀の金利を、下げるというような、私たちから見ておりますと、とにかく低金利政策というものを押し進めていくのだというような気配といいますか、姿勢を見るのでありますけれども、この金利政策の根幹というものをどこに置こうとしておられるか、この点についてお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/121
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122・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 金利には長期、短期ありますが、短期、長期ともに私はなるべく低い水準がよろしいというふうに考えております。しかし、短期金利はそのときどきの金融状況において非常に弾力的に動かすこともあり得ることを考えなければならぬわけでありまするが、しかし、これはそういう変動はあるという前提のもとにおいても、趨勢としては、なるべく上がらぬようにしていかなければならぬというふうに考えています。
それから、長期金利につきましては、これは日本の輸出力という点、また、国内一般の産業負担という点、そういうようなものを考えますると、これもなるべく低位になったほうがよろしい、こういうふうに考えております。そこで、それでは金利水準を無理やりに引き下げるような施策をするのかというと、私は、金利というものは人為的なくふうをするべきものじゃない、これは環境をそういう考え方に沿って整える、そして自然にそれがそういう水準に落ちつくということになるようにしなければならぬ、そういうふうに考えておるわけなんです。それで実は、いまお話の長期金利につきましては、先般、開発銀行、その他これに準ずる北海道東北開発公庫、それから民間におきましてそういう資金を供給する興長銀、それから不動産銀行とか、あるいは信託、生保、そういうところの金利を三厘方引き下げたわけです。そのときの考え方は、あるいはもっと引き下げるようにしようかなと思ったのです。ところが、ちょうどそれと軌を同じゅうしてアメリカの金利引き上げの問題なんかも起こってきておる、そういうような機微な状況が出てきたわけなんです。そういうようなことから、とにかくとりあえずそういう範囲で三厘ということできめたのですが、もうこれ以上やろうとすると、一般の金融債などのコストを下げるという問題が民間の金融機関で起こってくるわけです。そういう問題に波及しない限度でとりあえずという措置をとったのですが、今後どういうふうな金融情勢になりますか、今後の金融情勢をよく見つめていきたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/122
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123・有馬輝武
○有馬委員 私は、金利の問題、また、国債の消化の問題あるいは償還計画の問題等、数多くの問題を残しておりますので、本委員会でも慎重審議の約束をいたしておりますから、これらの問題について明らかにいたしたいと思いますので、質問を留保いたしまして、本日はこれにて終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/123
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124・吉田重延
○吉田委員長 次会は、明二十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X00619651226/124
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