1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月四日(金曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
福田 繁芳君 村山 達雄君
毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺 栄一君 有馬 輝武君
小林 進君 佐藤觀次郎君
只松 祐治君 平岡忠次郎君
山田 耻目君 横山 利秋君
春日 一幸君 永末 英一君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(主計局次長) 武藤謙二郎君
大蔵事務官
(主税局長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(国有財産局
長) 松永 勇君
大蔵事務官
(銀行局長) 佐竹 浩君
委員外の出席者
議 員 武藤 山治君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 辻 敬一君
日本開発銀行総
裁 平田敬一郎君
専 門 員 抜井 光三君
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三月三日
委員西岡武夫君及び野田卯一君辞任につき、そ
の補欠として賀屋興宣君及び木村剛輔君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員賀屋興宣君辞任につき、その補欠として西
岡武夫君が議長の指名で委員に選任された。
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三月三日
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五〇号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)
同月二日
企業組合に対する課税適正化に関する請願(小
川半次君紹介)(第一四三四号)
各種共済組合法の増加恩給受給権者に対する不
均衡の是正に関する請願(高瀬傳君紹介)(第一
四五六号)
個人企業に完全給与制実施に関する請願外十件
(森下元晴君紹介)(第一五六三号)
税関職員の増員及び労働環境改善に関する請願
(大出俊君紹介)(第一六五〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共
済組合法の一部を改正する法律案(有馬輝武君
外十二名提出、衆法第六号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五〇号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
有馬輝武君外十二名提出の国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/1
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002・三池信
○三池委員長 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/2
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003・武藤山治
○武藤議員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は相変わらず低い状態に置かれております。さらに物価高を背景として、社会保障の飛躍的な拡充が望まれるところであります。
特に、最近における医療費の急激な増加は、各種共済組合の財政収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくさせており、このまま放置するならば医療保険は崩壊の危機に追い込まれるのであります。また、老後の生活安定のための年金保障制度の確立は、今日、労働者の切実な関心となっているのであります。
このときにあたり、国は社会保障の立場から強力な財政措置を講ずる必要があると考えるものであります。
すなわち、まず第一に、組合員の掛け金及びこれに見合う使用主負担の財源だけで運営されている現在の保険主義の原則を改め、大幅な国庫負担の導入により共済組合の社会保障的性格を強める必要があります。イギリスに例をとれば、国民保険事業に要する費用の七六%(国六八%、地方八%)が公費負担であり、国民の生命と健康の管理には巨額の予算が組まれております。いやしくも政府が福祉国家の実現を政治スローガンとする限り、医療保障に対する国の財政的裏づけを強化すべきことは当然であります。
第二は、大幅国庫負担の導入、つまり、社会保障主義の拡大をはかりつつ、ばらばらの各種医療保険を高い給付水準で統合し、医療サービスの格差と不均衡等を是正することであります。政府は、医療保険の中核たる政管健保の保険料率の引き上げなどを実現し、このようにして押し下げた水準で全体の統合調整を強行しようとしております。われわれは、医療給付水準切り下げの統合調整構想は不当であり、今日必要なことは、働く者の医療保障を前進させる高い水準での制度統合であると考えるものであります。
以上の立場から、特に医療費増高の事態に対処して、さしあたり共済組合短期給付の充実強化をはかるため、この改正案を提出することといたした次第であります。
次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げますと、国家公務員及び公共企業体職員等の共済組合の短期給付に要する費用につき、新たに社会保障の立場から、国庫は二割相当分を負担することとするものであります。これにより、国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国五割、組合員三割の負担、公共企業体の議員等の共済組合につきましては、国庫としての国二割、公共企業体五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。
なお、この法律案は、公布の日から施行することにいたしております。
以上、この法律案の提案の趣旨及びその内容の概要を申し述べました。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/3
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004・三池信
○三池委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/4
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005・三池信
○三池委員長 これより質疑に入ります。
通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/5
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006・有馬輝武
○有馬委員 提案者に一点だけお伺いをいたしたいと存じます。
現在、社会保障制度の中で、国家公務員共済組合、公企体職員共済組合の持つ意義はきわめて大きいのでありまして、それに対して、このような適切な改正案を出されたことについて心から敬意を表して、一点だけお伺いをいたしたいと思うのであります。と申しますのは、国家公務員共済組合連合会をはじめ、各単位共済に対しまして、私どもは、この短期の二〇%引き上げをはじめといたしまして、多くの問題点を日ごろから指摘してまいりましたが、その中で、単位共済組合並びに連合会の運営の民主化という点について、特に強く指摘してまいったところであります。ところが、つい最近、これはおとといでありますが、連合会におきまして一連の汚職事件が発生いたしております。この運営の民主化という点から考えまして、やはり私どもが日ごろ指摘しておるような欠陥が連合会の運営の中にあった結果、そういう事態を惹起したのではないかと思うのでありますが、この点について、提案者の御見解を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/6
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007・武藤山治
○武藤議員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
御承知のように、今日長期給付の問題と短期給付の問題について、それぞれの連合会の中に二つの分野が分かれております。それについて、特に加入者側である公務員を過半数加入させ、理事者側の独走や独断に走らないように牽制できる体制にしなければ誤りが起こる危険があります。今回の汚職事件の発生は、まさにその端的な例であると思います。私たちは、常々、加入者である公務員に半数の構成を人員として与え、さらに理事者側が半数をとって、お互いが不正が起こらないように、公正な使用、資金が効率的に行なわれるように配慮しなければいかぬということを強く要求をしてまいりました。ただいまの有馬議員の御質問、まことに今日反省をしなければならぬ点でありますから、今後十分実態を調査して、本委員会においても、皆さんと一緒に究明をしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/7
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008・有馬輝武
○有馬委員 岩尾次長にお伺いしたいと思いますが、ただいま武藤議員からも答弁のありましたように、このよって来たるゆえん、あのような汚職が発生したゆえんについて、大蔵省は現在まで、私どものこの運営の民主化という点について、ただ旧来の慣行なり何なりでやむを得ないという形で処理してまいられましたけれども、この点について、現在、事件の経緯から考えまして、どのように配慮しておられるか、それをお聞かせいただきたい。また、その概要についてもあわせて御報告を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/8
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009・岩尾一
○岩尾政府委員 御質問にございました今回の連合会職員の不正事件について、まず、概要を申し上げたいと思います。
現在まだ捜査段階でございますので、詳細についてはまだわかっておりませんけれども、現在判明しております状況におきましては、連合会の事務局嘱託西尾治郎、それから常務理事栗田千足、事務局営繕課長後沢信吾、この三名が、三十九年以来、神奈川県厚木市郊外の愛甲原というところにおきまして施行しております公務員向け分譲地の造成事業に関連いたしまして、同用地の買収にからんで、都下国分寺不動産業寿産業より収賄したという容疑によるものでございます。西尾につきましては二月十六日、栗田、後沢につきましては二月二十八日、それぞれ逮捕を行ないました。なお、伊勢原町役場の職員も、同事件に関連いたしまして、現在収賄容疑で逮捕されております。
以上のような状況でございますが、大蔵省といたしましてはまことに遺憾に存じておりますが、捜査当局の捜査の推移によりまして、事件の内容が判明次第、監督官庁としての立場から、すみやかに事件発生の原因及びその根本的対策につきまして十分な検討をいたしたい。なお、具体的問題でなくて考えますると、やはり、かようなことの起きまするのは、相当資金量も大きくなっておりまするし、それから、やっております仕事もいろいろ複雑な仕事をやっておりますので、そういう面で、今後の連合会の組織、機構その他につきましても十分検討しなければならのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/9
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010・有馬輝武
○有馬委員 いま次長から御指摘のありましたように、やはり資金が膨大になってまいりました場合に、これを組合員に還元する、方法論については、いろいろ多角的に検討されなければならないでしょうけれども、やはり根本的には組合員に還元するという方向で考えなければいかぬということが一つであります。
それから、いまおあげになりました諸君の年齢を見ますと、六十歳以上の諸君が相当入っておる、老齢化しておるということと同時に、長期にわたって同じポストについておることが人事の沈滞となり、その沈滞の中から腐敗が醸成される、そのことについても特に配慮しなければならない面があろうと思うのであります。りっぱな今井理事長のもとであのような事件が起こるということは、これはきわめて遺憾でありまして、そういう点についても、やはり、私どもが日ごろ主張しておりますように、組合員の代表を相当入れて、民主的に運営するということが必要であろうと存じますので、本法律案を審議の過程でもまた詳しく述べたいと存じますが、そういう意味で、大蔵省のほうにおいてもやはり前向きに検討するように特に要望いたしまして、本案に対する私の質問は、これで終わりたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/10
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011・三池信
○三池委員長 次に、物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/11
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012・三池信
○三池委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/12
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013・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
物品税法の一部を改正する法律案におきましては、最近における物品税負担の状況並びに経済情勢の推移に顧みまして、健全な消費需要を喚起し、あわせて輸出振興に資する等の観点から、物品税負担の軽減合理化をはかるとともに、納税手続の簡素化等を行なおうとするものであります。
また、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、企業の体質の改善強化、輸出の振興、農業構造の改善の促進等の特別の措置を講じようとするものであります。
以下、まず、物品税法の一部を改正する法律案の内容につきまして、その概要を申し上げます。
まず、税負担の軽減合理化について申し上げます。
その一は、課税の廃止であります。すなわち、現行課税物品は五十九品目に分類されておりますが、このうちには、最近における消費態様や企業規模の零細性等から見て課税することが適当でないと見られるに至ったものがありますので、煙火、ネオン管等九品目のほか、品目の細分として掲げられている室内装飾用品、薬きょう等につきましても課税を廃止することとしております。
その二は、税率の引き下げであります。耐久消費財等の課税物品のうち、その普及が国民の生活水準の向上と密接な関連を有するもので、かつ、その消費拡大が輸出振興に寄与すると考えられるもの等については、税負担の軽減を行なうこととし、写真機、テレビ受像機、小型乗用自動車等の十七品目について税率を引き下げることとしております。
その三は、特別措置の期限の延長であります。ステレオ装置等七物品に対しましては、国際競争力強化等の見地から暫定的に税率の軽減または非課税の措置を講じてまいりましたが、その期限の到来を迎えるにあたり、現下の経済情勢等に顧みますと、その措置を打ち切ることは適当でないと考えまして、現状のまま二年間その措置を延長することとしております。
その四は、課税の合理化であります。以上の軽減措置にあわせ、税負担の均衡をはかる等の見地から、清涼飲料の課税を従量税方式から従価税方式に改めるとともに、銃の部分品に対し新たに課税する等課税の合理化をはかることとしております。
なお、以上のほか、政令におきまして、課税最低限の制度及び物品の特性等による非課税の制度を設けておりますが、これにつきましても法律における減免とバランスをとりつつ、課税品目の整理及び課税最低限の新設ないしは引き上げを行なうことを予定しております。
次に、納税手続の簡素合理化について申し上げますと、納税義務者が税務署長の承認を受けないで未納税移出のできる範囲を拡大する等、手続の簡素化を中心に諸規定の整備をはかるとともに、別表に掲げてある課税物品表を見やすくするため、同種の物品ごとに区分する等の措置を講ずることとしております。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の内容につきまして、その大要を申し上げます。
第一は、今回の税制改正において特に重視しております中小企業の体質の強化に資するための措置を講ずることであります。
その一は、資本金一億円以下の法人について、二年間、貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額を二〇%引き上げるとともに、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を現行の〇・五%から一%に引き上げることとし、あわせて中小企業海外市場開拓準備金制度の簡素合理化をはかることとしております。
その二は、主務大臣の承認を受けた組合について中小企業構造改善準備金の積み立てを認め、その組合員が支出する賦課金を所得計算上必要経費または損金に算入するとともに、その組合が取得した一定の共同利用施設について特別償却をすることができることとしております。また、個人が二年以内に協業のため現物出資をした場合の譲渡所得税について、三年間の延納制度を設けることといたしております。
その三は、中小企業近代化促進法による指定業種の割り増し償却制度について、その指定期限を延長するとともに、割り増し償却の対象範囲を拡大し、また、ボランタリーチェーン用倉庫について、五年間割り増し償却をすることができることとしております。
第二は、右の諸措置に加えて、企業の体質改善を促進するためにとることとした措置であります。
その一は、資本金一億円超の法人が、増資、内部留保の増加、借り入れ金の返済等によって二年以内に自己資本比率を向上した場合には、その向上の度合いに応じて法人税額の二%ないし一〇%に相当する税額控除を行なうこととしております。
その二は、一定の産業に属する企業が、二年以内に主務大臣の承認した計画に従って機械設備のスクラップ化を行なった場合には、そのスクラップ化を行なった機械設備の取得価額の一〇%に相当する所得税または法人税の税額控除を認めることとしております。
その三は、法人が二年以内に合併した場合には、合併後三年間、法人税額のうち合併によって増加した資本の割合に応じた金額の二〇%に相当する税額控除を行なうほか、合併登記の登録税を軽減することとしております。
第三は、輸出の振興に資するため、輸出割り増し償却制度について、その割り増し率を現行の八〇%から一〇〇%に引き上げるとともに、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、第一次産品の輸出収入及び外貨による旅行あっせん手数料を加える等の措置をとることとしていることであります。
第四は、農業構造の改善に資するため、個人が農地管理事業団に対しまたはそのあっせんにより農地等を譲渡した場合の譲渡所得税について、五十万円の特別控除を行なうとともに、農地等の生前一括贈与にかかる贈与税の合理化及び登録税の軽減を行なうこととしていることであります。
最後に、これらの措置のほか、従業員が勤務先から有利な条件で住宅等の分譲または住宅資金の貸し付けを受けた場合の経済的利益について、所得税を課さないこととするとともに、地震保険等について、準備金制度を拡張し、また、割り増し償却対象資産として特定の営業用倉庫等を追加し、さらに、航空機用揮発油等に対する揮発油税及び地方道路税の免税措置の適用期限を延長する
一方、新規重要物産免税制度を廃止する等所要の措置を講ずることとしております。
以上、物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容を申し述べました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/13
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014・三池信
○三池委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/14
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015・三池信
○三池委員長 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/15
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016・小林進
○小林委員 時間の関係上、最初はごく正常な質問を申し上げますが、開発銀行の協調融資の経緯、今日における状態、民間金融との比率等を具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/16
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017・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/17
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018・佐竹浩
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。
第一の点は、開発銀行の貸し付け金利の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/18
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019・小林進
○小林委員 金利までいかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/19
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020・佐竹浩
○佐竹政府委員 どうも失礼しました。民間金融との協調のお話かと思います。これは各種の産業の業種によってそれぞれ差がございます。全体としてみまして、設備資金のいわゆる借り入れ総額、その中で占めますところの開発銀行融資部分というものは、最近産業資金全般の中におきましては比較的低い率でございます。ただ問題は、電力、海運、石炭、そういった重点業種について見ますと、各重点産業の設備投資のために、いわゆる借り入れ金、つまり自己資金以外の部分、借り入れ金でやっております部分、その中で占める開発銀行の割合というものは相当高いものでございます。一例を電力で申し上げますと、四十年の十二月末で見まして、電力が約五七%開発銀行が占めております。海運におきましては約七割、石炭については七五%というように、かなり高い率になっております。ただ、これを全業種の総平均で見ますと、約二四%程度に当たるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/20
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021・小林進
○小林委員 私がお尋ねいたしたいのは、開発銀行が融資をいたしますね。そうすると、一般の民間銀行が協調融資の形で融資をいたします。開銀が融資をいたしております産業——貸さない産業は聞かないのだ。貸しているその貸し付け金額と、協調融資で民間がやっている貸し付けの金額の比率がどんなぐあいになっておるか、それも、過去の歴史から今日に至るその経緯と、今日の状況をお示し願いたい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/21
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022・佐竹浩
○佐竹政府委員 これは、つまりあらかじめそういう協調の比率を定めております部分は、一番大きな問題は、一つは海運でございます。海運関係は、御承知のように、海運の中でも、いわゆる定期船でございますとか不定期船、そういったようなもの、それからいわゆるタンカー、油送船といったようなものによって違います。タンカー等につきましては、開発銀行はその八割を融資する、いわゆる定期船ないし不定期船といったようなものにつきましては七割を融資するということでございます。それからもう一つあらかじめきめられておりますのは、重電機の延べ払いというものがございます。これは、いわゆる頭金部分を除きまして七〇%を融資するということでございます。これらはあらかじめそういう比率を定めておるのでございますが、その他のものにつきましてはあらかじめ定めてはおりませんけれども、実行上それぞれ一定の割合を保ってやっておるわけでございますが、その中で個別的に申し上げますと、たとえば、硫安の肥料関係は大体四〇%でございます。それからいわゆる石炭火力——火力発電でございます。これにつきましては、産炭地である場合には四〇%、それから揚げ地であります場合に五〇%、それから私鉄がございます。私鉄の関係につきましては、これまたいろいろな種類がございまして、たとえば踏切保安でございますとか、そういう事故対策施設、そういう保安施設につきましては五〇%、それからそのほかに、いわるゆ新線建設でございますとか、立体交差といったような場合になりますと二五%、かように実はいろいろあるわけでございます。そのほか、繊維関係につきましては三〇%、それから、昨年から非常に問題になりましたいわゆる産業公害——小林先生非常にお詳しい産業公害の点は、実は五〇%見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/22
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023・小林進
○小林委員 それで、時間もありませんから、ひとつ重点的に項目的に聞いていきますが、開銀でお貸し付けになっている金利でございますけれども、基準金利と特別金利——特別金利にも設備その他によっていろいろ違うようでありますけれども、大まかにならしての平均金利、それから市中の銀行の平均金利、これは比較しまして大体どれだけの差があるのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/23
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024・佐竹浩
○佐竹政府委員 開発銀行の金利の中には、御承知のように、いわゆる基準金利の部分と、それから特別金利を適用しておる部分とございます。そこで、基準金利は従来八分七厘でございました。それを本年一月一日から八分四厘に引き下げるという措置がとられております。そのほか、いわゆる特別金利と申します中には、これまたいろいろ各種の段階がございまして、六分五厘のものあるいは七分五厘のものといったようなものがございます。ただいま先生のお尋ねは、そういったようなものを全部総平均したらどうなるかということでございます。これは三十九年度の実績で申しますと、大体七%になっております。それから四十年度におきまして、これは見込みでございますが、大体約七%近く、すなわち六・九九%という姿になっておるわけでございます。これは、申し上げるまでもなく、いまのいわゆる普通金利で借りておるもの、特別金利で借りておるもの、それぞれの貸し付け残高、これのつまり加重平均でございます。
そこで、じゃ市中金利はどうかということでございます。この場合に開発銀行金利と比較すべきものは、市中におけるいわゆる長期金利に相なるわけでございます。長期金利の中で一番代表的なものは、いわゆる興業銀行、長期信用銀行と申しますようなところの金利でございますが、これはいわゆる長期金利の標準レートと申しますか、それは昨年まで大体八分七厘でございました。それが本年一月から八分四厘に引き下げる、ただ、これは興長銀の中でのいわゆる標準レート、プライムレートと申しておりますが、つまり、電力でございますとか鉄鋼といったような、いわば超一流に対して出しておる、言ってみれば、興長銀では一番安い金利でございます。したがって、興長銀の長期金利はそれより高いのはいろいろございますので、そこらをやはり加重平均をいたしますと、今日においては大体約九%程度に相なっておるわけでございます。したがいまして、開発銀行のいわゆる普通貸し付けの基準金利というもの、すなわち、八分四厘というものは、市中の、つまり電力向けの融資と全く同じ水準である、しかしながら、電力以外の、その他業種も含めた一般に対する長期金利の平均というものから見ますと若干割り安になっておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/24
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025・小林進
○小林委員 開銀でお出しになっておりまする特別金利と基準金利の貸し付けの比率は、大体どれくらいになっておりますか。業種というか、総額というか、その比率ですね。この平均でいきますと、基準のほうは、やはり少ないのでしょうね。高い金利が少ないから六・九九%ぐらいになるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/25
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026・佐竹浩
○佐竹政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、いわゆる基準金利適用部分は、全体のうちの約二割でございます。したがいまして、残りの八割がそういう特別金利の適用を受けておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/26
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027・小林進
○小林委員 そこでひとつお聞きしたいのですが、一体、開銀で基準、特別の——産業別の区分は、いただいている資料の中で大まかなところはわかりますけれども、個々の貸し付け先は全然私どもはわからない。大体口にいたしまして——一口というか、貸し付けの業種別の区別じゃない、個々の貸し付けは、一体何千口か、何万口か知りませんけれども、どれくらいあるものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/27
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028・佐竹浩
○佐竹政府委員 ちょっといま数字を調べておりますから、すぐお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/28
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029・小林進
○小林委員 私どもそれが非常に知りたいところでございまして、どうも世上、開銀の貸し付け内容も時の流れに従って変わってきて、最近はパチンコ屋にも貸し出しておるのじゃないかと思っておるのです。これは悪口を言う諸君の話だと思いますが、それほどまでに開銀の貸し付けが大幅になっているとは思いませんけれども、いろいろの風評が出てまいりまして、われわれのような正常の、日本の産業に従事して、大いに国家に協力をしよう、こういうわれわれにさっぱり貸さないで、何か代議士先生あるいは次官先生等の御紹介があると、パチンコ屋までも貸しておる。こういう声が巷間に満ち満ちているのでございますが、一体貸し付けの内容はどんなぐあいになっておりますか、お聞かせを願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/29
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030・佐竹浩
○佐竹政府委員 まず第一に、貸し付けの口数の話でございます。これは三十九年度末までにおきまして五千三百四十一件でございます。
次に、お尋ねのパチンコ屋にも貸しておるのじゃないか、かようなお話でございましたが、これは実はそのようなものには全く貸しておりません。大体のところを申し上げますと、電力、海運、石炭、鉄鋼という、いわゆる四大重点産業を中心にしておりますことは、先生先刻御承知だと思いますが、ただ、あるいは先生のお耳にどういう話が入っておるのかわかりませんが、比較的小口と申しますか、出てまいります可能性を持つものは、この開銀融資の中では、いわゆる地域開発というものがございます。この地域開発の融資でございますが、これは昨年末までにおきまして大体千三百件ございます。これは非常に口数が多いわけでございまして、その残高が約千二百億円、ただし、これはそれまでに貸し付けた累計でございます。中にその後において償還が参っておるものもありますので、償還を差し引いた残高で申しますと、約九百億円残っております。これが、あるいは先生御懸念の種ではなかろうかと、かように実は思われるわけでございますが、これをまた中身をしさいに分析をいたしますと、業種別に見て、この中で一番大きい割合を占めておりますのは製造業でございます。製造業は七九・三%、約八割でございますね。そのうち、機械工業でございますとかあるいは化学工業関係合わせて約三割というものがそういう関係でございます。次に出てまいりますものは、大体運輸業でございます。運輸業の関係で約八%ぐらいが出ておるわけでございます。さらには電気、ガス事業でございますが、地方におきます電気、ガス事業に対する融資、これが約三%ぐらい、そのほか国際観光といったような関係で約三・九%ぐらいのものがある、さらに、いわゆる特殊なものとして土地造成の関係で〇・二%ぐらい、これは非常に率が低うございます。
以上申し上げましたようなことでございまして、大体八割は製造業でございますし、また、先般の藤田委員の御質問の際詳細申し述べましたように、今日の開発銀行というものの使命は何かというところで、第一条の目的、十八条の業務等々で申し上げましたように、やはり日本経済の再建、産業の開発ということに貢献をいたす、そういうものに対する設備資金というものを中心として見ておるわけでございますから、先生御懸念のような、そういったパチンコ等に出るはずがございません。事実そういうものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/30
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031・小林進
○小林委員 どうも、力を入れて、そういうのはないとおっしゃるのですけれども、あるいは、パチンコをやっている営業店に貸してはいないのだろうけれども、機械製造業のため七九・三%、いわゆる地域開発とおっしゃる融資の中で七九・三%があるという、その機械工業の中にパチンコ制造業というのが一体入っているのか、入っていないのか。あるいは、運輸業だといったって、パチンコの玉は走りますからね。(笑声)あれも運輸業の一つじゃないか。私のところへ来る確証のあるような話が、開銀の貸し付けの中にパチンコ屋があるということばがありますものですから、疑って失礼でございますけれども、そういう製造業、運搬業、運輸業の中に入っていないのかどうか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/31
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032・佐竹浩
○佐竹政府委員 この点、非常に大事なことでございまして、小林先生のような非常に良識のある方がそういう疑問をもしお持ちいただいておるといたしますと、これは開発銀行にとりましても、また政府といたしましても、やはりよくないわけでございますから、こういう機会になるべくそういうことを明らかにさしていただいたほうがいいと思います。したがって、詳しくは開発銀行当事者からお答え申したほうが、あるいは適当かと思いますけれども、私のほうからちょっとつけ加えて申しますと、あるいは、こういうような話があるのかもしれません。すなわち、さっき申しましたように、国際観光ホテルの関係に開発銀行の融資が出ておることは事実でございます。ただ、世間で往々にして、パチンコの営業等がホテル経営者と同じような経営者のもとに行なわれるということは間々あり得ることでございますので、何かその間の誤解とかなんとかいったようなものが種になっておるのかもしれません。しかし、それは、開発銀行の融資対象ということはきわめて明確に限定されておるわけでございますので、決してそういう御心配は要らぬと思います。なお、詳しくは開銀当局から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/32
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033・小林進
○小林委員 時間もありませんから、よろしゅうございます。開銀の総裁にあとでゆっくり御質問することがありますから、けっこうでございますが、私はこの際、そういう意味において、それほど明確に日本の産業あるいは経済を助長発展せしむるために有意義な貸し付け投資をおやりになっておるということであるならば、個々の貸し付けの先を発表せられてよろしいじゃないか。先ほどのあなたのお話によりますと、五千三百四十一口ですかをお貸し付けになっておるというのでありますが、その一覧表を国民の前に発表せられる意思があるのかないのか。差しつかえないはずですがね。パチンコ屋にも貸していない、正々堂々と、至るところにりっぱに貸し付けておるのなら、発表せられて一向差しつかえないと思うのですが、いかがでしょう。資料としてちょうだいできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/33
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034・佐竹浩
○佐竹政府委員 これは、先生御存じのように、もう数千件に上るものですから、まことに膨大なものになるわけでございます。結局、開銀の活動というものはいかなる営業活動をしておるかということを的確に把握する意味において、各業種あるいは各項目ごとにつくりまして、それを整理したところで従来御説明を申してきておるわけでございます。したがって、決して、開銀当局としても、そういう天下に公表できないような貸し出しがあるとは私は思いません。したがって先生のおっしゃるように、これは一件残らずガラス張りで、しっかり国民の目の前に示すべきだというお気持ちは非常によくわかります。わかりますけれども、これは何分にも非常に煩瑣なことでもございますので、この点は、やはり業種ごとの重点的なもの、あるいは、場合によっては、その中の一定の規模以上のものとかいったようなものに限りまして御提出をするということは従来もやっております。予算委員会等からの御要求資料もあり、そういう一定額以上の貸し出しというものについての資料を出したこともございますが、何分にも六千件近いものでもございますので、できれば、ひとつ御容赦をいただけたらと思います。決してこれはできないと申しておるわけではございませんので、あしからず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/34
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035・小林進
○小林委員 せんずるところは、やはり国民の出資いたしました金でございますので、私は、税金の行くえの一銭一厘も追及するのは、われわれ国民の代表たるものの責任だと思っております。その意味においても、民間金融機関ならともかく、国がまるがかえの開発銀行でございますから、その貸し付けの先まで一々お教えいただくことは、私は決して不当な要求ではないと思う。そういうことによりまして、皆さん方のほうは、やれ電力だ、海運だ、やれ石炭だ、硫安だ、あるいは鉄鋼だ、国際観光だ、こういうようなことで、皆さん方の都合のいいように業種を区分せられて、そのトータルだけお出しになって、これで国民に対する報告は一応済んだような顔をなさる。これが巧妙なんだ。しかし、その手に乗っていたんじゃ、われわれの任務を果たすわけにはいきませんので、残念ながら銀行局長の御説明を了承するわけにはいきませんけれども、しかしこれは、いまに始まったことじゃありません。あなたのおっしゃるように、前からも、予算委員会その他に要求せられて、あなた方が一生懸命に抵抗せられて、出さないように、出さないようにやってこられた、これは積年の懸案でございますから、一挙にここで解決しようなんという考えはないけれども、きょうのところはこれを重大なネックにいたしまして、後日またあらためて論争を期待することにいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/35
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036・佐竹浩
○佐竹政府委員 一言補足さしていただきたいのでございますが、御承知のように、開発銀行につきましては、大蔵省における検査というものもございます。それからまた、会計検査院の会計検査がございます。その会計検査の結果、あるいは不当もしくは非違の事項があれば、当然決算委員会を通じて国会に報告をされておるわけでございますし、従来、決算委員会においても詳細に御審議をいただいておるところでございます。したがいまして、その点、ひとつ、その間の事情もお含みいただきまして、われわれも厳正に実は開銀の融資については検査等を通じて見ておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/36
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037・小林進
○小林委員 私も決算委員会にいたこともございますし、決算委員会に行きますと、いわゆる抽出検査で五%とか七%しかできないから、なかなかおっしゃるように全部見るわけにはいきませんのでと、会計検査院では会計検査院でまたそういう言いのがれがございまして、あなたのことばをふえんしていくと、結局、まあ、われわれのやることにまかしておけ、おまえらはいろいろなことを言うなということになってしまう。そうはいきません。そうはいきませんが、これはひとつネックにいたしておきましょう。
次に、開銀の総裁もお見えになっておりまするので、直接業務の内容にはわたりませんけれども、これはわが党の有志から、君、ひとつこの際御質問をしておいてくれないかという依頼もございましたので、有志一同を代表いたしまして、開銀総裁の総裁としての姿勢についてお伺いをいたしたいと思うのでございます。
私がこう言えば、総裁はもうお気づきになっていると思うのでございますが、あなたのいわゆる購入せられた、現在お住まいになっている土地の問題であります。これは決算委員会においてすでに論じ尽くされた問題でございましたが、残念ながら、決算委員会には総裁みずからおいでをいただいて、そこで総裁の所信を承るという機会がなかった。これがまあ一つ心残りになっているわけでございまして、今回は大蔵委員会に総裁がおいでを願っておるのでありますから、この機会を活用いたしまして、総裁の御心境を国民の前に明らかにしていただくことも、あなたのためにもなるし、国会の問題の仕上げにもよかろう、こういうことで御質問を申し上げるという経緯になったわけでございます。
昭和二十三年の三月、物納財産税で、あなたのいまお住まいになっている土地百四十二・七四坪、さら地でございまするが、それが国に物納をせられた。その後、この土地を、当時の郵政省でありまするか、電電公社がこれを国から借用して使われておった。ところが、二十九年の四月でありまするか、あなたが国税庁長官の地位を得られると、大蔵省の現在の国有財産局でございまするか、電電公社に——私のことばが少し激しかったら御訂正を願ってもよろしいが、圧力を加えて、その貸した国有地を取り上げて、そして、総裁がお住まいになるような便宜をはかって、その土地をあなたに貸与をした。当時の百四十二・七四坪の土地の賃貸料でございますか、一年間の賃貸料が二万七千八十一円であった、こういうことです。どうでございましょう。これまでの経緯に間違いはございませんか。これは国有財産局長に御返答をいただきましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/37
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038・松永勇
○松永政府委員 小林先生のおっしゃったいままでの事実関係でございますが、大体事実としてはそれに近い状態のものでございます。なお、この物納になりました土地は、戦前から逓信省が使っておって、その敷地を物納されたということになっております。物納された全体の土地は五百四十六坪七八という少し大きな土地でございます。その土地全体を逓信省が使っておった状態のうち、その利用関係が、比較的未利用と申しますか、空閑地が相当ございまして、その一部である百四十二坪というものは、使い方がそういう使い方であったので、その土地を大蔵省に返還を受けて、そうしてこれを活用するという措置になっておりまして、先ほど小林先生、圧力をかけてということを述べられましたが、これはいま申し上げましたような情況で、国有財産を活用しようという観点から返還を受けたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/38
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039・小林進
○小林委員 ともかく、戦前から逓信省が国からこれを貸与を受けて使っていた土地であったことには間違いがないことが明らかになりました。それを、平田さんが国税庁長官になられると、何かおうちが非常に遠過ぎる、そこで国税庁へお通いになる便利な土地が必要であるからということで、財産局長と平田さんの御令室との随意契約のかっこうでその土地を逓信省から取り上げて——あなたのことばによれば、逓信省が、空閑地でその利用方法があまりうまくないから、大蔵省がこれを取り上げたということになるのでございましょうが、いずれにしても、逓信省から取り上げて、それをお貸し付けになった。そのときの貸し付けの料金が一年間二万七千八十一円であった。その料金は、やがて三十八年の十月三十日にこれを平田さんに売買をするという売買契約が成立するのでありますが、その間約十年以上にわたる間、この土地の賃貸料は一体どういうふうになっておりましたか。やはり一年間二万七千八十一円はそのまま据え置きでございましたかどうか、まずこの賃貸料をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/39
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040・松永勇
○松永政府委員 国有財産の貸し付け料につきましては、国が基準によりましてそれぞれ貸し付け料を算定いたすことになっております。この二十九年当時は、すなわち、この貸し付けを始めた初年度におきましては、先ほど小林先生のおっしゃるように、年間二万七千八十一円となっております。その後、三十年度は三万五千二百四円、三十一年度は四万八千八百五十一円、三十二年度も同様四万八千八百五十一円、それから三十三年七万三千七十六円、三十四年十万九千九百十四円、三十五年十五万一千五百九十七円、三十六年十九万三千二百八十円、三十七年二十四万八千八百五十八円、三十八年、この年は売り払いした年でございますが、年間に直しますと、三十九万三千百二十三円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/40
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041・小林進
○小林委員 毎年毎年値段をお上げになりまして、そして、あなた方は国税庁長官からその土地代金をお取りになっていたのでありますか。私もずいぶん土地も借りてみたし、借地人も知っているけれども、毎年毎年これほど確実に土地の代金を上げて取っている地主さんなんというのは、私はいままで寡聞にして知らないが、国有財産局は確実にそんなことをおやりになったのですか。ただ計算だけしてみたというのか、このまま実施したというのか、どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/41
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042・松永勇
○松永政府委員 国有財産の従来の貸し付け料につきましては、その時価というものを基礎にいたして算定いたすことになっております。御承知のように、時価は最近の土地事情から上がってまいっておりますので、その時価の上がったのに応じて借料というものを上げてまいっております。この平田氏の場合には、このとおり算定をし、このとおり納入をいたしてもらっております。ただ、このような国有財産の貸し付け料を時価にスライドしてどんどん上げていくということは、事実、他の貸し付けの場合には相当トラブルを起こしております。貸し付け料の値上げ幅が非常に大きいとかということで、いろいろなトラブルを起こしておりまして、こういう貸し付け料のあり方というものについては、会計検査院からも、実は検討を要するではないかというような御趣旨のなにもございまして、昨年来この貸し付け料のあり方については検討いたしております。妥当な貸し付け料としていかなる基準を設けるかということを目下検討いたしております。近く成案を得て、われわれとしても従来の時価にスライドするという考え方を検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/42
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043・小林進
○小林委員 全国であなた方が国有財産のどれだけのものを個人ないし法人にお貸し付けになっておるのか、それは私はきょうは調べてこなかった。あなた方の国税庁長官に対して、三十年、三十一年、三十二年と、これほどに毎年スライドをして貸し付け料金をお上げになっているのだから、そのほかの土地に対しても必ずこういう基準で——もちろん、土地の価格の上がらぬところもあるだろうし、上がっているところもあるだろうが、毎年毎年あなた方のお貸し付けになっている土地代金は全部改定をせられて、時価に見積もって料金を取っていられるはずであります。その資料をひとつちょうだいをしたい。これだけは特例でありますなんていうことは許さるべきじゃない。これに準じて、あなた方のお持ちになっている貸し付け土地は全部毎年上がっているはずです。二十九年から三十八年に至るまで、あなたたちが貸している土地のいわゆる評価の値上がりに準じて、毎年どれだけ一体貸し付け料を上げていったか、正確な資料を出してください。出してくれなければ、あなたのこの答弁は特殊なケースだなんていうことを許さるべきじゃない。いいですか、出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/43
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044・松永勇
○松永政府委員 ちょっと小林先生に補足的に申し上げておきます。貸し付け料につきましては、先ほど言ったような時価にスライドして貸し付け料を算定するという原則になっていることは、そのとおりでございます。貸し付け期間は大体三カ年で貸し付けをする、その三カ年間というものは大体据え置く、こういう考え方になっているわけでございます。そこで、いま言ったように、時価が三カ年たちますと相当上がってくる。時価というものが非常に急激な上がり方をいたしますので、私のほうといたしましては、その上げぐあいを、一挙に六割とか、場合によると倍額に上がるというような状態がございましたので、そういう上げ方を避けるために、三カ年間漸増措置ということを講じてまいっております。この平田氏の場合も、その漸増措置の結果、毎年上がった形になっております。いま申し上げましたのは、平田氏の場合は例外ではございません。すべての貸し付けの例と同様の措置でやっておるわけでございます。
そこで、先ほど小林先生からの御要求の資料でございますが、貸し付け件数が非常に多うございまして、同様のことはいつでも例示として申し上げられるわけでございます。ただ、私の答弁が間違ってないということを御了解願うために、そのために必要な程度の資料としてお届けすることにさしていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/44
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045・小林進
○小林委員 その資料は、あなたの説明の正当性を裏づけるような範囲で、国民を納得するような形のものを、ぜひともひとつ整えていただきたいと思う。
そこで私は申し上げるのですが、三十八年にその土地の一部分が、首都高速道路公団でございますか何かによってその土地がもぎ取られた。売卸ですか、貸し付けですか、とにかく百四十二坪が、何か道路の関係で百十五坪の土地に縮小をせられて、平田さんに貸したうちの二十七坪、三十坪近くのものが高速道路公団かどこかに転売をせられた。そのときの権利金、いわゆる賃借人の賃借権に基づく一つの補償として、平田さんは一千二百万円の金を補償料としてとられた、こういうことになっておるのでありますが、この事実、這般の経緯はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/45
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046・松永勇
○松永政府委員 先ほど小林先生の申されましたとおり、貸し付けの坪数は百四十二坪七四であります。その土地の一部を首都高速道路公団の高速道路が通過するという事態になりまして、その一部である二十七坪四一というものがその道路にとられる、これは平田氏に売るのではなくて、国有に存置しておく、この二十七坪四一は、別途道路法九十条第二項の規定によって、東京都に無償貸し付けをすることになるわけでありますが、そういうことになります。道路にとられる残りの土地、すなわち百十五坪三三という坪数のものを平田氏に売却するということをいたした次第でございます。
なお、この高速道路にとられる二十七坪四一のものにつきましては、平田氏は借地権を持っておりますから、その借地権に相当するものは首都高速道路公団から補償がされたということは、先生のおっしゃるとおりでございます。この補償された金額は、これはその借地権のほかに、いろいろな補償費——これは通常道路を買収する際の補償費と同様のものでございますが、そういうものも含めまして、全部で約千二百万円が支払われたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/46
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047・小林進
○小林委員 その借地権に基づく補償料、その他の派生する権利というのは何だ。あるいは豚小屋でもあったか、犬小屋でもあったか、あるいは音がうるさいとか、道路が通るから精神的に圧力を加えるとか、そういうものがあるかしらぬけれども、いずれにしても、借地権を主体にせられて一千二百万円の金を平田さんは首都高速道路公団から受領せられたことは間違いない。そのときのその土地の評価は一体幾らになっていますか。首都高速道路公団にあなたたちが無償貸し付けするにしても、そのときにおける土地の評価額は一体幾らになっておるか。私の調査によると、坪二十一万円というふうに評価をせられて、そして借地権に基づく請求権一千二百万円の金額が生まれてきたと言われておるが、評価額はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/47
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048・平田敬一郎
○平田説明員 ただいま御指摘の補償の点につきまして申し上げておきますが、いまお話のとおり、道路にひっかかることになったのでございますが、建物のうち三分の一程度を実はこわしまして改築するの余儀なきに至りまして、その建物の補償と、それから、いま国有財産局長から御説明になりました借りていた土地に対する使用権の補償、それを加えまして千二百万円でございまして、たしか、土地の補償の分だけは四百万円前後であったと記憶いたしております。大部分は建物のほうの補償でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/48
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049・小林進
○小林委員 私は何も総裁のあげ足をとるというのじゃないのですけれども、一千二百万円の補償料を取られて、土地の補償が四百万円、家の補償が八百万円、どんなにりっぱなおうちをおつくりになったか知りませんけれども、どうもこの計数は少しおかしいのじゃないかという感じを私は持つのです。いずれにいたしましても、そういうあげ足とりの話は別として、もう土地も変わったし、家も変わっておるのでありますから、それは当時の写真でもあれば別でありますけれども、そういうことまでも追及していく必要はない。ただ、そのときの土地の補償の基準となったいわゆる借地権、補償の基準となったその土地の評価が坪二十一万円ですか、これを基準にして、その金額を、四百万円なら四百万円でよろしいが、はじき出された坪の単価は、国有財産局の評価が当時二十一万円の評価に至ったというこの基準は間違っておりませんでしょうな。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/49
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050・松永勇
○松永政府委員 首都高速道路公団から補償をなされた坪数の、その坪単価が幾らであったかということは、実はこれは首都高速道路公団が払ったものでございまして、私のほうは正確には存じておりませんが、先生のおっしゃるような数字に近いものだったということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/50
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051・小林進
○小林委員 あなた方は肝心なところにいくと逃げられるのです。私どもは、この首都高速道路公団がその補償単価をお出しになるときには二十一万円でしたか、その七掛け、こういうような形でこの補償料を出されたと聞いている。間違っていたら訂正してもらってよろしい。時間もないから先を急ぎますけれども、そうやって、同年の近い期日で、今度はいままで国有地を、一方は、大蔵省から東京都へ無償で貸し付け、その委託を受けて高速道路公団が買収事務をやっており、片一方の残された百十五坪アルファは、今度は平田敬一郎氏の名前にして、国有財産局が正式に売買契約を成立せしめた。そのときのあなた方の売り値は幾らなんですか。百十五坪の売り値は一体幾らでしたか。一千九百八万円じゃないですか。二千万円にならないのです。一千九百八万円、そのときの坪の単価は十六万円と私は聞いておる。同じ国有地で、同じときにおける土地の評価が、片一方は二十一万円で、片一方は十六万円というのは、一体どういうわけなんですか、違っていたら違っていると言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/51
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052・松永勇
○松永政府委員 国が平田氏に支払いました土地の評価につきましては、先ほど小林先生がおっしゃったとおり、坪当たりの単価は十六万五千四百七十円となっております。この価格が、先ほどの高速道路公団が補償の算定の基礎とした単価と一致していないということは、先生のおっしゃるとおりでございます。この評価がこのように開きがある、期間的にはそうあまり開きがない期間において開きがあるということにつきましては、いろいろとこれは実際の問題としては申し上げたいことがございます。ただ、国といたしましては、国の評価は、御承知のように、民間精通者の意見を聞く、その他固定資産税、相続税等の標準価格から算定いたしまして、妥当な値段とするものを算定した上で売り払うという措置を講じております。この価格が、そういう結果十六万五千何がしになったわけでございますが、国といたしましては、この平田氏に売り払った時期に、しかも、その周辺で同様の土地を一般の民間の方にも売り払った事例が多々ございます。そういうものとの比較を見まして、これは、昨年の九月三十日の衆議院決算委員会におきまして、この当不当の問題を種々御質疑がありました際に、資料として提出を求められまして、国としての評価、それは、そのときにおける妥当だと思われる評価をいたしております、当時の民間の方に同様の土地を同様の時期に売り払った金額とほぼ同じように出てまいっておりますということを申し上げ、資料も差し上げておるところでありまして、ただ、首都高速道路公団がいろんな補償という形の際に、いろんな補償事務の非常な困難さ、複雑さというような点から、この付近一帯の補償を一括して行なわねばならなかった、しかも、オリンピックも間近に控えた段階において行なわねばならなかったというような観点のもとで、しかも、最終的にはいわゆる補償金額——総額が、補償の事務のときには問題になるわけであります。そのときのいろんな算定の根拠の中に、国が評定した土地の価格と公団が算定した土地の価格との間に若干の違いがあるということも、これは現実の行政事務の段階においてはやむを得なかったことではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/52
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053・小林進
○小林委員 私は、あなた方の行為を正当化するために、そういう十六万五千何ぼでしたかの土地、それと、その近所の同じ条件下にある土地を同じように評価されたというような、そういうことでわれわれを納得させようとしてもだめだ。そういう理屈はだめだ。私がお聞きしているのは、同じ土地を——それは、だれも個人の利害得失があるから、もらうべき金はよけいもらいたい、払うべき金は少なく払いたい。それは人情のしからしむるところだから、それを徹底的にやろうというのではないけれども、その中に国有財産を預かっておる大蔵省というものが存在して、その大蔵省の君たちの先輩の平田さんという大ボスだ、それが介在している形で、同じ土地が、人から取るときには二十一万円の評価で千二百万円取って、今度は国から土地を払い下げてもらって、払うときには——片っ方はたった二十七坪じゃないか、たった二十七坪の土地を、高速道路公団に共通したというそれだけの条件で千二百万円の金を取っておいて、残った百十五坪という土地を今度国から払い下げてもらうときには、総合計でたった千九百万円、その千九百万円も、九百万くらい納めておいて、あとは十年の年賦償還でよろしい。だれが考えたって、こんなうまい話があるか。こういううまい話がもっとあるならおれにもやらしてくれ。国有財産局長、そんな話があっら、私にもひとつ教えてくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/53
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054・松永勇
○松永政府委員 私が先ほどまで申し上げましたのは、小林先生の御質問によりまして、事実関係を申し上げました。本件につきましては、昨年の三月以来、国会において種々御批判があり、また昨年の九月、いわゆるリスト問題として国会並びに世間から相当大きな批判があったことは、御承知のとおりでございます。ただいままで申し上げました事実関係は事実関係といたしまして、こういう国有財産の処理が一般国民の疑惑を招くというところに相当大きな点があるんじゃないかということを反省いたしております。決算委員会の席上でも申し上げましたとおり、そのときどきの国有財産の処理としては、それは妥当と見えるように私たちは確信いたしております。おりますが、それが一般の世人、国民の疑惑を招くというようなことを今後も続けていっていいということはございません。これは押谷先生から、李下に冠を正さずということばを御引用になって、種々御指摘を受けました。その際にも申し上げましたとおり、この李下に冠を正さずという東洋の倫理道徳というものをもう一度服膺いたしまして、その趣旨に沿うた姿勢をすべきであるというふうに考えまして、自来その方向で参っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/54
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055・小林進
○小林委員 国有財産局長にお聞きしますが、わが社会党の文化会館というのが三宅坂にあります。これも同じく国有財産でございまして、いまあなた方から借りているのです。あれは坪数が四百二十二・二三坪だ。ちょうどいま私がここで問題にしている土地の大体三倍と見てよろしい。大ざっぱに見て三倍の土地を、三十八年の八月二十一日、いま私どもが問題にしているその土地をあなた方が売買して一千二百万円取ったり、あるいは百四十二坪を安値で払い下げてみたりしているさなかに、わが社会党は、社会文化会館の敷地をあなた方と契約をしてお借りした。一体、あのときの坪単価は幾らに評価しているでしょうか。あの三宅坂の、があがあ車が通ったり、高速道路を自動車がうるさく通ったりして、人間など住めないような土地だ。その土地を国は幾らで評価して社会党に貸したか。幾らで貸しましたか。時間がありませんから、私が言いますが、三十五万円じゃないですか。まるで、平田さんの土地から見たら、人間の住むところと動物の住むところの違いがある。動物の住むようなところを三十五万円だとは何です。そうして、総合計一千四百万円に土地の評価をして社会党に貸した。(「一億四千万円だ」と呼ぶ者あり)あの土地が一億四千万円——何しろ貧乏人だものだから、一億などというお金は勘定ができないで間違えたが、一億四千万円にあの土地を評価している。そして、それに対する年額の貸し付け料が、驚くなかれ四百四十五万一千五百二十九円、年ですよ。百四十二坪を年二万七千八十一円と、土地の広さが三倍とはいいながら、四百四十五万一千五百二十九円と、この開きは何だ。同じ国の土地ではないか。みんなあなた方がやっている仕事だ。それを十二カ月の月賦で割って、このしがない社会党から取りも取ったり、一カ月の家賃が三十七万九百六十円という、高利貸しよりもひどい土地の貸し方をしているではないか。これが一体均衡ある国家財産の管理か。どうです、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/55
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056・松永勇
○松永政府委員 国有財産の貸し付けについては、種々御批判があるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。私どももこの貸し付け料については検討をいたしておるところでございます。先ほどのお話の平田さんの場合とこの社会党の貸し付けの場合との開きというのは、これは考え方としては、先ほど言った基準の考え方に立っておるわけでございまして、要するに、その貸し付けの土地の時価が、一方の社会党の本部の土地には三十五万円という時価、この特価が基礎になっておりますから、それに対する原則として百分の四という貸し付け料率、これは百分の四というのは、いろいろ種々の場合に多少の弾力がございますが、そういう関係で、大体考え方としては同様になっておるかと思います。社会党の場合にもおおむねその考え方を若干下回った数字で貸し付け料がきめられておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/56
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057・小林進
○小林委員 とにかく、あそこは行政地区に位するといって、社会党が入らなければ、だれがあんな土地に入りますか。商店なんか入っても商売はできない。ガードの下じゃないですか。行政地区にいたしますというから、それじゃ、国のために社会党が借りてやろうかといって、無理にも借りてやった。そういうような、行政センターと銘打って、だれも住めるところじゃないのですよ。一定の地域の制限があるのです。そういうことを考えたら、いま少し安く、行政のあり方を考えて、行政センターなら行政センターらしくきちんと貸すという、そういうことでなくちゃいけない。それを、われわれのような、ほんとうに国家国民のために昼夜の分かちなく努力しておるこういう社会党から容赦もなく、時価評価でございますの、何でございますのといって取っておいて、そうして、皆さん方の先輩である、同じ大蔵省の内部であるということになると、人がどうも明確に了承できないような、そういう影の濃い払い下げのしかたや、あるいは貸し付け方をしておいでになる。個々のケースを見てみればふしぎはないけれども、全般から見れば、李下に冠を正さずなどということばで私をごまかしたところで、世間をごまかせるものじゃありませんよ。いま大蔵大臣が来たら、私はほんとうに声を大きくして、大蔵大臣にこういうことについて警告を発しようと思ったけれども、大臣は運よくこの危険をのがれたけれども……。
私は、最後に申し上げる。平川さん、あなたは、最初に申し上げたように、開銀という一本の産業の中心に位する大きな舞台の総裁の地位に立って、大蔵省と裏表になって、国家の経済をささえておられるのですから、よほど姿勢を正しゅうして、しっかりやってもらわなければならぬと思う。決して、あなたがパチンコ屋に金を貸しているとか、そんなことまで疑っているのではないけれども、この際、ひとつ国民の前にそういう疑惑を解いてもらいたい。先ほども言われるように、去年も決算委員会で言った。何で言ったというけれども、決算委員会は決算委員会、大域委員会は大蔵委員会だ。だから、私が最初から言っているように、去年から問題になったけれども、まだ平田敬一郎総裁の直接の話は、どこにも議会を通じて国民に明らかにされていないのです。だから、きょう私はこの問題を取り上げているので、どうか総裁、最後に国民の前にあなたの所信を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/57
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058・平田敬一郎
○平田説明員 たいへん御厚意のある激励をいただきまして恐縮いたしております。私は、いまこの問題についていろいろ陳弁するつもりはございません。ただ事実を一点だけ、先ほどお尋ねの中で、公団から補償金をもらいましたのは、先ほど申し上げましたように、実は土地代は一部でございます。建物の三分の一程度破壊せざるを得なくなりまして、その改築費が大部分でございまして、実はその間、約半年ないし一年、道路のために建物の半分近くを改造するの余儀なきに至ったのであります。したがいまして、そのことをつべこべ申し上げるわけじゃございませんけれども、一方において千二百万円もらって、千九百万円で買ったじゃないかということにつきましては、もう少し事実をはっきり御認識の上、御判断願うようにお願いいたしたいと思います。補償金の大部分は建物の改築費に費やしたような次第でございますことを申し添えさしていただきたいと思います。それ以上私はいろいろこの問題についてとやかく陳弁するつもりはございません。お話のとおり、昨年来各方面にたいへんなお手数をおかけいたしまして、それからまた、いろいろな批判を受けた次第でございます。率直に考えまして、私個人のことでこのようなことになりましたことをまことに恐縮に思っております。今後におきましては注意に注意を重ねまして、できるだけ論議の対象にならないように心がけたいと思っております。不動産事情が、何しろ十年前と今日とたいへん変わってまいりまして、そのことに関する認識が不十分ではなかったかと存じまして、今後、そういう点につきましても、さらに細心の注意を加えまして、御期待に沿うべくつとめたいと考えておりますので、今後とも、どうぞひとつ皆さんよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/58
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059・小林進
○小林委員 私は、実はきのうも頭の疲れるままに落語を聞きに行った。その落語の中に出てくる話はまるであれだ。たばこ屋の参議院議員、まだやめないのか。考えてみたら小林章君なんです。その中に出てくるのは、おれもこういう大蔵省の役人になって、土地をただでもらいたい。榮作さん、何をしているのか——何の話をしているのかと思ったら、榮作さんというのは佐藤さんだ。もはや漫才や落語の中では、たばこ屋さんをなぜやめさせないのかと世間でいわれている。みんな声をあげて喜んでいる。それくらいに、もはや高級官僚並びに政治に対する不信というものがここまで——私はりつ然として、はだなお寒い感じを受けた。平田さんの後輩の専売公社総裁をやめた阪田さんは、中島何がしなどという美人を妻にせられて、そしていやいやながら専売公社をおやめになったようだけれども、あの人なんかも、最後まで、一体小林章君の選挙違反がなぜ悪いんだ、おれはどうしても了解できないといって、みずから責任をとるような形もなしにやめていかれたという形でありますが、私は、何もいま平田総裁の話を聞いて、けちをつけようというのではありません。確かにあなたのおうちをおつくりになって、そのおうちを改築するために一千二百万円の金をお使いになったもしれません。そのかわり、庶民にはねたましいような豪壮な、御殿のようなおうちができ上がったことでありましょう。さもなければ、そうたくさんなお金がかかるわけはない。われわれ庶民のうちは百万円か二百万円でできるとは思いますけれども、いずれにいたしましても、そんなことを私が繰り返し言ったところで法案の審議が進むわけじゃございませんので、先ほど大蔵省からちょうだいしました資料のほかは——その資料に基づいて納得のいかないときは、いま一回また質問さしていただきますけれども、願わくは、これで私も打ち切りたいと思う気持ちがありますので、総裁、将来とも、こういう世間の誤解を招くことのないように、特に開銀という大きな舞台にすわっておられますので、どうかひとつ高潔、妥当、清潔な行動をしていただくようお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/59
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060・三池信
○三池委員長 次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/60
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061・只松祐治
○只松委員 物価の急上昇をしておる中で公務員等の旅費関係が上がらなかったのは、むしろふしぎなくらいでございまして、こういうふうに上がるということは、私たち社会党も原則として賛成でございます。しかし、まだこれが必ずしも十分ではございませんので、若干御質疑をいたしたいと思います。
まず、この旅費のうち、日当、宿泊料の問題でございますけれども、聞くところによりますと、昨年度あたり一定期間を限って抽出調査をなさって、こういうところでほぼ妥当ではないか、こういうことでおきめになったということでございますけれども、民間のほうでは大体実費支給が原則のようになっているというふうに聞いておりますが、官公吏の場合に実費支給ということになりますと、非常にその人員が膨大でございますので、なかなか実費支給というわけにはまいりかねると思いますが、民間との比較、かね合いというものをどういうようにお考えになっているかお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/61
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062・武藤謙二郎
○武藤政府委員 民間との比較はなかなかむずかしいことでございますが、特にその民間でも、会社により、また、会社の中でも、その仕事の内容によっていろいろ差がありますが、われわれ今度宿泊料、日出について三割の値上げをいたします際に、一つは、先ほどお話がありましたように、財務局で実態の調査をいたしました。もう一つは、消費者物価指数がどのくらいであるか、そういうことも調べました。そのほかに、いまお話がありましたように、民間の支給額を調べました。たとえば、会社によって非常に差がありますが、係員クラスというのは、大体宿泊料で申しますと、甲地方が二千円、乙地方が千六百円ぐらい、今度の改正で大体バランスがとれている、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/62
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063・只松祐治
○只松委員 日当、宿泊料のほうは、いまお答えになりましたように、約三割上がっている。この中で、一般的に六等級以下の職務にある者というものの宿泊を見ますと、甲地方で二千円でございます。これをずっといろいろ見ますと、三等級以下が二五%アップの二千五百円、上に行くに従って、五〇%アップの三千円、さらに七五%、三千五百円、四千円、四千八百円、最高が一二〇%アップ、こういうことになっております。以下、乙地方においてもそういうことですが、一つは、多少管理職にあるといいますか、そういう人が泊まるのは四千円かかる、そうでない者は二千円でけっこうだ。ちょっと一〇〇%違うわけですね。総理大臣とは一二〇%違う。総理大臣が泊まるのに四千八百円で泊まれるとは思いませんが、それにしてもこの差があり過ぎる。こういうものぐらい差をなくすように、こういう機会にしていったらどうだろうか、こういうことが一つ、それをどういうふうにお考えになりますか。
それから、甲地方の二千円というのは、日当を合わせても二千四百円にしかならないわけですけれども、出張をして、御飯を食べて一日二千四百円で過ごせといっても、なかなか二千四百円であがる道理がないと思いますが、何を基準に二千四百円でできると考えるか。きょうはそこまでの段階でお聞きするわけでございますから、あまり意見なんか申し上げませんけれども、そういうことだから、結局、行き先でいろいろ業者の供応を受けたり、あるいは出先の機関の接待を受けたり、おのずからそういうことになる。そういうものを含まないと、なかなか出張ができない、こういうことになる。その二点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/63
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064・武藤謙二郎
○武藤政府委員 お答えいたします。
等級でもって旅費に差があるという点につきましては、前からもっと差を縮めるべきではないかという御意見がございまして、この前の改正のときに、それまで九段階に分かれておりましたのを六段階に圧縮するということをいたしました。そこで、民間の実情につきましてもやはり差がございますので、さらにこの際圧縮するということは適当だろう、そう考えまして、今回はそのグループ別のものは据え置きにしております。
それから、今度の改正でもって足りるかという点でございます。いまお話がございましたように、旅費でもって無理な単価で赤字が出る、そのために公務員の生活が非常に苦しくなるということは非常に困ることですので、お話のように今度の改定をお願いしているわけでございますけれども、最近の調査でやりますと、この程度の単価で大体赤字なしにやれるだろう、そういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/64
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065・只松祐治
○只松委員 これは、ここで論議をしましても、やれないといえばやれない、大体やれるだろうといえばやれるだろう、こういうことで、どこの旅館に二人で泊まりに行きますか、アベックじゃないけれども、といって、泊まってみないことには結論がなかなか出ない。しかし、一日二千四百円で知らぬ土地に行って過ごせというのは、率直にいってなかなか無理なわけです。だから、この差をずっと縮めて、最低、いまでいえば二千五百円とか三千円にする、そのかわり上を落としていく、上のほうほど出張の機会が多いわけですから、出張に要する全体の費用は、調査すればそういうことが出てくるだろうと思う。いわば下級公務員ほど出張の機会が少ないわけです。そういうことにいたしますと、もう少し三段階か四段階に——前回改めたなら、こういう機会にこれはできるだけいいほうにしていっていいわけだから、そんなに局長なり課長なり係長なり課員が出張するのに、一々こんなところまで違わす必要はないと思う。給料その他で相当違ってきているわけですから、せめて三階級ぐらいにしておいて、そうして差をなくしていく、こういうことの考えがあるかどうか、ひとつ重ねてお聞きします。
それから、こういう六等級になったのは、いままであったからそういうことにしておるのだ、倍率もそうだからそういうふうにしたと言われればそれまでであります。倍率も二五%ずつアップしているのですが、そういうアップの理論的な根拠があるのですか。そうじゃなくて、慣例があるからそういうふうにした、いままでそうだから今度も段階でこういうふうにした、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/65
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066・武藤謙二郎
○武藤政府委員 お答えいたします。
この前、段階の数を減らしたのだが、さらにこの際縮めることは考えていないかという点でございますが、これは公務員の給与もそうでございますけれども、旅費につきましても、やはりその階層によりましておのずからどういうところへ泊まるかということも、ある程度社会的に必要なことがあるだろうと思います。そこで、この前、ここまで簡素化いたしましたが、さらにこれ以上縮めるということは、民間のほうの実情を見ましても適当じゃないと考えております。
それから、今度スライドするときに、一つ一つ実情を調べて、その結果が同じような率になったのかというお尋ねでございますが、これは実は非常に困難なことでございますので、われわれのほうで、平均してこのぐらい上げる必要があろうということで、この計算はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/66
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067・只松祐治
○只松委員 きょうは私は、本格的にこれを論議しようというあれじゃありませんから、またいずれやりますけれども、身分によって泊まるところも違うのがあたりまえだとおっしゃるけれども、逆に、対象になる旅館がそんな六等級に分かれていますか。木賃宿からどの程度の宿があるのか。大体あそこの土地に行ったら、文部省の人はこういうところに泊まる、大蔵省の人はこういうところに泊まる、課長、局長だったらこういうところに泊まる、普通だったらここに泊まると、相手の出先が大体勘案して、一カ所か二カ所、せいぜい三カ所ぐらい旅館のお得意があってそこに泊めるというのが慣習でしょう。それが実際上の問題でしょう。そうすると、六等級以下はこの旅館に泊まる、ここは係長以下、係長が来たらここ、課長が来たらここ、局長が来たらここと、こう分かれちゃいないはずですよ。だから、実態に応じても、必ずしもこういうものは合わないわけですよ。だから、きょうはさっき言ったように、本格的に論議をしようとは思いません。またいずれやりますが、少なくとも、今度一挙にできないならば、そういうこともよくわかっておりますから、この次改正なり、将来にわたって改正をいたしますということを、あなたで答弁できなければ、大臣はきょうは来ていないから藤井さんでもけっこうですけれども、これは、実際上そういう分類のしかたというものはないわけですから、実態に応じた形にしていく、こういうことを考えるのが、あるいは、そういうふうに実施するのが当然だと思う。どうですか、藤井さんでもけっこうですが、そういう意向はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/67
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068・武藤謙二郎
○武藤政府委員 お答えいたします。
たいへん具体的な例を引かれたのでございますけれども、実情は、同じ土地に、どういうレベルの人ならばどの旅館ということもありますだけでなくて、同じ旅館でも部屋によっていろいろ値段が違っておりますので、その辺は六段階ぐらいが適当であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/68
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069・只松祐治
○只松委員 将来も改める意思はない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/69
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070・武藤謙二郎
○武藤政府委員 将来のことにつきましては、今度の値上げのあとで——また今度は四年間据え置いたわけでございますけれども、さらにもっとこまかく本格的に調査をする、そうして、その結果でどうするかということを考えたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/70
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071・只松祐治
○只松委員 まあ、将来は調査をして改める意思もある、こういうことでございますが、改めるにはばかることはないわけですから、今回の場合でも、よくいまから論議をいたしますので、それに基づいてひとつ御検討を一お願いしたい。
それから次に、移転料は約六割上がっておるわけですね。これは相当大幅な値上げですからいいと思うのですが、これも非常に段階があるわけですね。それこそ、局長さんが移転するから、課長さんが移転するからといって、移転のトラックの代なり、あるいは汽車の運賃が六等級もあるわけではないのですから、こういうものを、いわば近代的と申しますか、合理的と申しますか、もう少し幅をなくしていく、こういうことにすべきではないかと思うのです。これもやはりいま言った、旅館も、旅館だけでなくて、部屋によって違うということまで言われるけれども、汽車もいろいろ違う、貨物列車もいろいろ違うと、こうおっしゃいますか、あるいはトラックもいろいろ違う、こうおっしゃるかどうか知りませんけれども、もう少しこういうのも格差をなくしていく、これは同じ意味の質問でございますけれども、そうお考えになりませんか。少なくとも、旅費がそうなれば、この移転料ぐらいは何かそういう形にしていったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/71
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072・武藤謙二郎
○武藤政府委員 この移転料のほうは、生活の程度が違いますと家財道具も違う、家族の関係もございますが、そういうことで、別に給料の安い者は国鉄で割り引きしてくれるわけではございませんけれども、この程度の差は適当だろう、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/72
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073・只松祐治
○只松委員 だから適当だろうと言われればそれまでのことで、これは問答にもならないわけですが、少なくとも、それほどトラック代や国鉄の輸送費が違わないわけなんですから、実際にかかる費用が一!局長さん、あなたが係長あるいは課長だったときに地方に移転するときと、局長になって移転するときと、そんなに違いますか。あなたは同じ人です。いまは物価は上がっていますよ。年限がたてば違ってきますけれども、あなたの役職によってそんなトラック代や何かかかるわけじゃないのですよ。多少荷物が多くなったり何かすることはある。しかしそれは、係長から課長、局長になったからといってでなくて、たとえば、同じ一般公務員が三年、五年、十年つとめておりますと、その間に家財道具その他多くなるわけですから、役職だけではないのです。しかし、これからいくと、七等級以下の場合はすべて同じなわけです。何年かそこにつとめておる勤務年限等をこれにかけ合わせればいいわけですよ。しかし、これは等級だけ、役職だけによる差ですからね。勤務年限をここに加味すれば、まだあなたの言うようなことも考えられぬことはないけれども、役職だけによって、何か荷物が多かったり、そういうものが違うということは、たいへんな誤りだと思う。あなたたち高級官僚の思い上がりだ。だから、少なくともそういうものを今後是正をしていく、こういうことくらいには皆さん方のほうでもお考えになるのは、官庁民主化の一つの行き方だと思うのです。人間の行く出張旅費はあれだけれども、荷物の移転くらいは、こんなにシビアに階級を設けなくてもいいと思うのです。これこそ、ほんとうは大臣が答弁すべきだと思うのですが、大臣がいないから、次官、それくらいの方向は出していったらどうですか。荷物くらいは等級差を薄くしていくということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/73
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074・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 申し上げるまでもなく、こういった費用の弁償は、いわゆる実費弁償の原則と申しましょうか、たてまえでございます。したがって、いまいろいろお話がございましたが、一応従来それぞれの事情があって等差を設けておるわけでございまして、やはり階級が上がるに従って持ち物も多くなる、こういうことも一つの理由かと思うのでありますが、おっしゃる趣旨もよくわかりますので、今後の検討事項にさしていだたきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/74
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075・只松祐治
○只松委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
ついでに聞いておきますが、家族の移転料はどういうふうになっていますか。これもこれに比例して上がっていくようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/75
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076・武藤謙二郎
○武藤政府委員 この移転料は、家族が一緒に移転するということで考えておりますので、家族を置いて単身赴任するという場合にはこの半額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/76
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077・只松祐治
○只松委員 移転料それから汽車賃や何か含んでのあれですか。そういうのは今度は全然手をつけてないから、それは変わりはない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/77
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078・武藤謙二郎
○武藤政府委員 本人とか家族が汽車に乗って当然赴任することになっています。その場合には、今度国鉄運賃が上がりましたので、当然それに応じて上がる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/78
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079・只松祐治
○只松委員 次に、宿泊あるいは移転、それよりも一番重要な問題は、特に一般公務員にとって関係の深い問題は、日額旅費の問題だと思うのですが、日額旅費は、旅費法の二十六条によって各省庁の長がきめる、こういうことになっております。こういうふうに出張旅費や移転料が上がりますと、この日額旅費も上がることだろうと思いますが、これはどういうふうな話がいま進められておりますか、あるいは決定がされていますか、お尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/79
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080・武藤謙二郎
○武藤政府委員 日額旅費も同じように上げるということをいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/80
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081・只松祐治
○只松委員 どの程度上げる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/81
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082・武藤謙二郎
○武藤政府委員 各省の実態も考慮しなければいけませんけれども、大体これと同じような率で上げる、そういうことをいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/82
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083・只松祐治
○只松委員 これと同じようにということは、出張旅費からいたしますと、三割ということになりますし、移転料は六割ですか、中をとれば四割五分くらいになりますが、およそ何割かということを聞きたいと思います。御承知のように、私たちは前から、たとえば国税庁の税の取り方その他については苛斂誅求ではないかということをいろいろ言っておりますが、しかし、たとえば徴税の任務に当たる国税庁の役人の方々の出張というのは、相当のところまで行っても日額八十円くらいですか、とにかく日額出張旅費たるや、まことに微々たるものなんですね。官公吏のこういう日額旅費の僅少ということは、これは当然に地方自治体もそれに準じますから、地方公務員あるいは学校の先生たちが研修会その他に行く旅費、こういうものも非常に低い。そういうことで、勢い、研究会や何かで先生が市内あるいは県内に行く出張旅費もPTAの会費から負担をしなければならない、こういう現実になってきておることは御承知だと思います。知らなければたいへん不勉強だと思うのですが、実際上はそうなってきておる。遠くへ行くのも不均衡がありますけれども、こういう市内なり県内なり、そういう中で行動していく旅費というものは、もっと実費制度にするか、あるいはそれに近づけるか、あるいはある程度の余裕を見ていく、特に誘惑の多い業務に携わる、たとえば国税庁の職員、こういう人々の場合は多少の余裕くらい見ないと、ポケットにたばこがない、それじゃたばこをと、こう出されると、つい吸わなければならなくなる。そういうことから、夕めしくらい一ぱいどうです、こういうことになってしまうわけなんですね。したがって、やはり行動させる場合には、たばこの一つくらい余分に買える、こういう形のものを、その職種に応じてですが、めんどうをみていかなければならないと思うのです。何ぼ上げるか、ひとつお尋ねをしておくとともに、その上げ方についても、これは各庁省間のなわ張り等があってなかなか容易でない点もあるかと思いますけれども、ひとつ、そういう点まで配慮をしたやり方、これは各省庁の長によってきめることができるわけですから、そういうきめ方をお願いしたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/83
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084・武藤謙二郎
○武藤政府委員 日額旅費に見合いますのは日当でございますので、この日当を約三割上げるということにしておりますから、大体三割程度上がる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/84
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085・只松祐治
○只松委員 日当だけで、車貨その他はいままでどおり、一キロ五円程度ですか、やはりかかった費用、そういうことですか。これについても、もうちょっとくらい——自動車、ハイヤーの実費までとは申しませんけれども、多少実費を上げる、こういうお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/85
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086・武藤謙二郎
○武藤政府委員 車賃のほうは、調査したところでは、上げなくてもよろしいという結果になりましたので、今度はいじっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/86
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087・只松祐治
○只松委員 車賃というのは、バス代とかそういうことだけですか。実際上のハイヤー、タクシー、そういうものは全然使用しては相ならない、その場合実費を使っても実費を支給しない、こういうことですか、全然上げないというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/87
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088・武藤謙二郎
○武藤政府委員 いまの制度も、公務上どうしてもそういうハイヤー、タクシーを使うのが必要だ、そういう場合には実費の額を支給できる、こういう規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/88
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089・只松祐治
○只松委員 だから、どうしてもやむを得ないということで、実際上はよほどの特殊の事情でもないとなかなか使えないわけなんですね。だからそこいらももう少しルーズに——あなたたちのほうから見てそういうのですが、ルーズにしろということでなくて、多少ゆるやかにしていく、こういう形にでもしたら、働く人の気持ちもたいへん楽になる。たとえば、雨が降り出したが、かさを持ってきていなかったとかなんとか、きょうは一々論議しませんけれども、実際上そういう個々の論議をしていけば、やむを得ないという事態はたくさん出てくる。それでもやはりそういう特殊の事情でもないとなかなか使えぬ場合が多いわけですね。そういうことも含んで、もう少しこの旅費のほうもやはりゆるめていくといいますか、引き上げていく、こういうことをお考えになっていただいたらいいと思います。きょうはそこまで全部私は本委員会で論議する予定ではございませんので、国家公務員等の旅費に関する法律の皮切りをここでやっておこうということでございますから、いずれ日をあらためまして、そういうデータを持ってきて論議をいたしたい。そういうことで、私は引き上げを要望いたしまして、本日は質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/89
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090・平林剛
○平林委員 資料要求ですが、いま議題になっている法律案の中で、宿泊料の甲地方と乙地方につきましては、大蔵省令でこまかく定めるようになっておりますから、その具体的な地域について、一覧表にして提出をいただきたいと思うのであります。
それからもう一つは、日額旅費の問題についてですけれども、日額旅費の各省庁の実態の一覧同一であればかまいませんけれども、それぞれの特殊事情があって違いがあれば、その各省庁の実情の一覧をつくってもらいたいと思うのです。
それからもう一つは、移転料について、各等級に分かれて額が定められておるわけでありますけれども、この等級別の転勤者の数の実態というのがつかめておりましたら、それを出してもらいたい。これがないと予算の積算ができないのじゃないですか。現在の実態を、全部というとたいへんかもしれませんけれども、もしこれを把握してあるならば出してもらいたい。あとで、私議論する参考にしたいと思っておりますから、全然だめだというのでは困ります。これだけ等級を分けてあるのですから、予算の積算をする場合にも必要でしょうし、今後改定をする場合の根拠などを調べてみたいと思いますから、それを出してもらいたい。
それから、ついでにもう一つ、国家公務員の等級別の定員数を出してもらいたいと思います。
私からお願いしたい資料はそれだけでありますから、なるべく早く出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/90
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091・武藤謙二郎
○武藤政府委員 最初の甲地、乙地の点はさっそく提出いたします。
二番目の日額旅費、これは各省でそう違っていないと思いますので、あまり違っていないところは、典型的な例で御容赦願えれば非常に早く済むと思います。
三番目の等級別の移転、たとえば、昨年についても、どこへどれだけ赴任があったか、これは調査に非常に手間どりますので、調べられるだけやってみようと思います。恐縮ですが、これはできるだけということで御了承願いたいと思います。
それから、最後の等級別定数、これは提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/91
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092・三池信
○三池委員長 次会は、来たる八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01719660304/92
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