1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十一日(金曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 木村武千代君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 西岡 武夫君
福田 繁芳君 村山 達雄君
毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺 栄一君 渡辺美智雄君
佐藤觀次郎君 平岡忠次郎君
藤田 高敏君 山田 耻目君
横山 利秋君 竹本 孫一君
永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(主計局次長) 武藤謙二郎君
大蔵事務官
(主税局長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(関税局長) 谷川 宏君
大蔵事務官
(銀行局長) 佐竹 浩君
国税庁長官 泉 美之松君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 辻 敬一君
日本開発銀行総
裁 平田敬一郎君
専 門 員 抜井 光三君
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三月十一日
委員羽田武嗣郎君及び春日一幸君辞任につき、
その補欠として西岡武夫君及び竹本孫一君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員西岡武夫君及び竹本孫一君辞任につき、そ
の補欠として羽田武嗣郎君及び春日一幸君が議
長の指名で委員に選任された。
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三月十日
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五九号)
関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六〇号)
関税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
七二号)
関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関
係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一
〇三号)
同月十一日
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四九号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五九号)
関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六〇号)
関税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
七二号)
関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関
係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一
〇三号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二〇号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、関税法等の一部を改正する法律案及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
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関税定率法の一部を改正する法律案
関税暫定措置法の一部を改正する法律案
関税法等の一部を改正する法律案
関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関
係法律の整備等に関する法律案
〔本号「その二」に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/1
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002・三池信
○三池委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/2
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003・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律案外三法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
最初に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。
最近における経済情勢の変化に対応し、関税率等について所要の調整を行なうとともに、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税率表を同条約の品目表に適合するよう改めるほか、関税の軽減、免除または払い戻しに関する制度を整備し、その他関税についての申告納税制度の採用に伴う所要の規定の整備を行なう等の必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税定率法別表を同条約の付属書を構成する品目表の分類に適合するよう全面改正を行なうことであります。
わが国は、すでに昭和三十六年の関税率表の全面改正に際し、基本的には、この条約の品目表に準拠した関税率表を採用しておりますが、この際、本条約に正式に加入することが望ましいと判断し、今国会において条約の御審議をいただく予定にいたしております。今回の改正は、この条約に加入するための分類の整備でありますので、税率については原則として変更を加えないこととしておりますが、税表分類の変更に伴い、税率の均衡上、または税表の細分の範囲を商取引の実情に合致させる等の必要から、若干の品目については税率改正を行なうことといたしております。
第二は、最近における経済情勢の変化に対応して、関税率等について必要な調整を行なうことであります。
今回行なう税率等の調整のほとんどは、関税暫定措置法に定める暫定税率にかかるものでありますが、関税定率法別表に定める基本税率につきましても、ノリ、コール酸等、五品目につき現行税率を引き下げることとしております。
なお、砂糖について、その国際価格が高騰した特定の場合に、所要の関税の軽減または免除を行なうことができる規定を設けることといたしております。
第三は、輸出振興対策の一環として、保税工場の利用促進をはかるため、保税工場におけるスポット輸出の場合の振りかえ免税制度を創設することであります。
すなわち、保税工場において製造している製品につき外国から引き合いがあった場合において、保税原料品を使用して当該製品の製造を行なったのでは納期内に輸出することが困難である場合に、税関の確認を受けて、当該保税工場で同種の課税済み原料品または国産原料品を用いて製造した同種の製品を輸出したような場合には、その使用した課税済み原料品等の数量を限度として、その輸出の許可の日から六カ月以内に輸入される同種の外国原料品の関税を免除する規定を新たに設けることとしたのでありまして、別途、関税法の改正において予定している保税制度の全面的な簡素、合理化措置と相まって、保税制度の利用促進と輸出の振興に寄与するものと期待されるのであります。
第四は、今国会に提出して御審議をお願いすることといたしております関税法等の一部を改正する法律案において、新たに関税について申告納税制度を採用することといたしておりますことに伴い、関税の課税価格の規定につき、従来の原則を維持しつつ、客観的、具体的な基準を示して、申告納税方式に適合したものに改めるほか、所要の規定の整備を行なうことであります。
第五は、無条件免税の対象品目として、輸出品に張りつけるため輸入する品質保証ラベル等を追加することとしたほか、関税の再輸入免税及び再輸出免税制度について、所定の期間内に輸入しまたは輸出することができないやむを得ない理由がある場合には、税関長が所要の期間延長を認め得ることとする等、所要の規定の整備をはかること
であります。
次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
最近における経済情勢の変化に対応し、関税の暫定税率及び暫定的減免制度等につきまして所要の調整を行ないますとともに、新たにガス製造用揮発油にかかる関税の還付制度を追加するため、関税暫定措置法の一部について所要の改正を行なおうとするものであります。
第一は、最近における経済情勢の変化に対応して、関税の暫定税率について必要な調整を行なうことであります。
現在、暫定税率を設定しております品目のうち、百十品目が本年度末にその適用期限が到来することとなっております。これらのうち、九十五品目につき適用期限の延長をはかるほか、経済情勢の変化等に対応して、新たに十八品目について暫定税率を設けることといたしたのであります。
これらの内訳を簡単に申し上げますと、暫定税率を新設する十八品目のうち暫定減税となるもの十六品目、関税割り当て制度を新設するもの二品目、また、すでに暫定税率の設定されている品目について、その税率に変更を加えた上で適用期限を延長する品目十一品目、単純に暫定税率の適用期限を延長する品目八十四品目となっております。
第二は、今年度末に期限の到来する重要機械類の免税、肥料製造用揮発油等にかかる関税還付等、十四の関税暫定免除及び還付制度の適用期限をさらに一カ年延長することであります。なお、これらのうち、石油化学製品等、製造用触媒の免税制度については、触媒製造用の触媒担体を免税の対象として追加することとしております。
第三は、都市ガス製造用揮発油について関税還付制度を新設することであります。
ガス製造用原油については、すでに免税制度を実施しておりますが、最近、中小ガス事業者を中心にガス原料を揮発油に依存するものが増加している実情にかんがみ、このような措置をとることといたした次第でありますが、この場合、大手ガス事業者につきましては、同じく公共事業である電力業の石油関税還付制度等との均衡に配意して、一定数量の国産石炭の購入を要件とするほか、すでに原油について免税を受けている点との調整をはかるため、揮発油に対する還付率も中小ガス事業者より低くすることといたしております。
第四に、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約への加入に伴う関税定率法別表の全面改正とあわせ、別表の全面改正を行なうほか、所要の規定の整備をはかることといたしております。
次に、関税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
最近における貿易量の増大に対処し、輸入貨物の通関事務の促進等をはかるため、関税、とん税及び特別とん税について新たに申告納税制度を採用するとともに、輸出振興等に資するため、保税上屋、保税倉庫及び保税工場にかかる許可、承認、届け出等について制度の簡素、合理化をはかるほか、開港及び税関空港を追加する等の必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、関税について申告納税制度を採用することであります。すなわち、入国者の携帯品や外国郵便物に対する関税等、特殊なものを除き、関税について現行の賦課課税制度を申告納税制度に改めることであります。
申告納税の方式は、原則として、内国税における申告納税方式に準ずるものといたしておりますが、通関の実情に即するよう加算税制度を設けないこととする等、所要の調整を加えることといたしております。
さらに、申告納税の円滑な実施をはかるため、税関は、納税申告に必要な貨物の税番、税率、課税標準等についての納税者等からの照会に対し、適切な教示につとめることとし、また、全輸出入貨物について税関が検査を行なうこととしている現行法のたてまえを改め、実情に即して必要な検査を行なうこととする等の改正を行なうほか、申告納税制度の採用に伴う所要の規定の整備をはかることとしております。
第二は、保税制度について、全面的な簡素、合理化をはかることであります。
まず、保税工場制度につきまして、外国貨物を保税工場に入れる際の税関の事前承認を廃止し、保税上屋の場合と同様、搬入届けだけで足りることとし、移し入れ後十五日を過ぎて蔵置きする場合には承認を要するものとして、保税工場にも保税上屋の機能を営むことができるものといたしております。また、日曜日、休日その他税関の執務時間外の貨物の出し入れ及び取り扱いの許可制の廃止、保税工場における貨物の収容能力の増減、改築等の工事についての承認制を届け出制に改めること、製造歩どまり等が安定している保税工場で税関長の指定したものについては、製造のつどの作業開始届け、終了届け、貨物搬出届けを廃止し、所要の定期報告にかえること等、抜本的な制度の簡素化を行ない、その利用の促進をはかることとしております。さらに、保税上屋及び保税倉庫につきましても、保税工場に準じ、制度の簡素、合理化をはかることといたしております。
第三は、最近における外国貿易の実情に顧み、新たに苫小牧港、直江津港、田子ノ浦港、蒲郡港、尾鷲港、福山港、三田尻中開港、高松港及び八代港の九港を開港に、名古屋空港及び奄美空港を税関空港に追加することといたしております。
第四は、とん税及び特別とん税につきましても申告納税制度を採用し、所要の規定の整備をはかることといたしております。
最後に、関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、ただいま申し上げました関税法等の一部を改正する法律案に関連して、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律その他の内国消費税に関する法律について、その整備をはかるため、所要の規定の改正をしようとするものであります。
まず第一は、関税法の改正案において、新たに関税について申告納税制度を採用することに伴い、輸入する物品に対する内国消費税につきましても申告納税制度を採用することであります。
すなわち、輸入品に対する内国消費税につきましては、従来賦課課税方式によることとされておりましたが、今後関税につき申告納税方式による物品については、内国消費税についても申告納税方式によるものとし、その税額の確定、納付等の手続につきまして、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律、酒税法等の内国消費税に関する法律につきまして所要の規定の準備を行なうことといたしております。
第二は、税関における事務処理の簡素、合理化をはかるため、輸入品に対する内国消費税についての申告を輸入申告にあわせて行ない、適用法令、課税物件の確定の時期についても、関税の場合と同一にする等、輸入品に対する関税と内国消費税の徴収の手続等の一元化をはかることであります。
第三は、関税法及び関税定率法の改正において予定しております保税工場制度の改善策に対応して、保税工場制度の利用の促進をはかる等のため、内国消費税に関する法律の改正を行なうほか、関係法律について所要の規定の整備をはかることであります。
以上が、関税定率法の一部を改正する法律案外三法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/3
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004・三池信
○三池委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
各案に対する質疑は、後日に譲ります。
午後零時四十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十六分休憩
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午後零時五十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/4
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005・三池信
○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。
御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますから、両案に対する質疑は、これにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/5
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006・三池信
○三池委員長 これより順次討論、採決に入ります。
まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。
通告がありますので、これを許します。藤田高敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/6
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007・藤田高敏
○藤田(高)委員 私は、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表して、以下反対の討論を行ないたいと思います。
まず、反対の第一の理由は、委員会審議の中でも指摘をしてきたところでありますが、今回の法律改正は、資本金をそのままとして、借り入れ、貸し付けワクの倍率を変更することによって業務内容の拡大をはかろうとしているのでありますが、これは現行の開銀法第十八条二の一に規定している借り入れ及び債券発行の限度額等の趣旨にももとるものであり、今回のような改正が幾たびも行なわれるということは、資本金を土台として、その借り入れ、貸し付けの限度額をきめている現行の法的基準とその理論的根拠をみずから抹殺ないしは無視するものでありまして、今回の改正のあり方は全く便宜主義的であると言わざるを得ないのであります。かかる理論的根拠の薄弱にして、本末転倒ともいうべき改正措置に対しては賛成することができないのであります。
続いて、第二の反対理由でございますが、現下の経済不況の原因とその特徴点というようなものについて検討します場合に、これは歴代の自民党政府と独占資本の無計画な設備投資の結果、設備過剰となり、それが生産過剰となって今日の不況を招来しておるのであります。そして、不況期にもかかわらず、消費者物価をはじめとする諸物価が連続して高騰しているところにその特徴があると言わざるを得ないと思うのであります。したがって、今日の不況克服の重要な根本的な手段は、異常な設備投資を抑制して安定成長への経済ベースに乗せることでなければならないと思うのであります。したがって、金融政策もまたこの基本政策と合致さすことは当然でありまして、わけても、政府の金融機関は率先してその路線を実現するために努力すべきであります。したがって、今回の改正に見られるごとく、その運用資金量を増大して、総体的には長期の設備資金を拡大、補完することは、現下の情勢にそぐわない対策と言わざるを得ないのであります。いわんや、その資金ワクの増大は、四十一年度国家予算に占める国債発行をはじめとする幾つかのインフレ要因を持つ予算項目とのからみ合いにおいて、結果的には物価をますます高騰させ、インフレを助長し、ひいては国民生活を圧迫することになるのであって、かかる政策の一翼をになうがごとき施策に対しては賛成することができません。
かかる事情を前提として私が反対する第三の理由として、私は、政府の金融機関たる開銀は設立の趣旨に沿って現在何をなすべきかといえば、それは資金量の拡大をはかるよりも、現状のワク内において経済効果の高い重点目標を設定して融資業務を行なうところに力点を置くべきであると考えるのであります。設立以来今日まで、開銀が最も力点を置いてきた石炭、海運、電力、鉄鋼のうち、電力、鉄鋼等につきましては、委員会の審議を通しても明らかになりましたように、近来の資金融資の実態推移から見ましても、その利用度も極度に減少しており、これらの産業の大半は、自己資本によって経営が十分可能となっております。したがって、従来これらの産業部門に向けていた資金ワクというものを、いわばおくれた産業分野、特に国民生活に関係の多い、たとえば、ばい煙規制であるとか、あるいは汚水処理対策であるとか、あるいは交通事故防止対策であるとか、こういったような事業部面に重点的にこれらの資金を配分、利用すべきであると考えるのであります。それにもかかわらず、当面する開銀融資の方向とその内容を検討するとき、これらの分野に対する融資はほとんど見受けられないのみか、開銀融資の性格から見ても好ましくないと思考される産業分野や企業に融資され、かつ、融資されつつあることは、はなはだ遺憾であります。その代表的なものは、観光融資に名をかる芦有開発株式会社に対する融資でありまして、これについては別途指摘することといたしますが、最近の業務内容によっても明らかなように、自動車、石油化学あるいは石油精製等、俗にいわれておる体制融資のワクになしくずし的に開銀融資のワクが踏み込んでおり、そうして、自己資本と一般金融で十分自立発展のできる独占企業にまで融資のワクを拡大し、その結果は、過去においてすでに三回廃案となりました特定産業振興法を、いわばやみ行政とやみ金融で実現しつつあることに対しては、絶対に私どもは承認できないところであります。言うまでもなく、特定産業振興法に基づく新産業体制とは、国際競争力の強化というにしきの御旗を手段として、独禁法を骨抜きにし、そうして、産業の官僚支配を前提とする産業の寡占体制を確立することにあったことは、あまりにも明白であります。その結果国民生活にいかなる影響を与えるかにつきましては、これまた論をまたないところであります。かかる寡占体制を確立する産業分野に対する融資は、たとえ資金の補完的業務といえども私どもの賛成しがたいところであります。
最後に、反対する第四の理由として、委員会における審議を通じて具体的に指摘したところでありますが、先ほども触れました芦有開発株式会社に対する融資のごときは、融資目的、融資基準に反するばかりでなく、不当であるとさえ思われるような利権あさりをする特定な営利企業や事業に対してまで開銀融資のワクを無原則に拡大し、その返済もきわめて不確定なまま今日に至っておるがごときは、開銀自体の業務運営の弛緩と怠慢をきびしく責めなければならないと思うのであります。これを機として芦有開発株式会社の融資のごとき開銀融資は再び絶対行なわないと同時に、むやみに業務内容のワクを拡大せず、法の根本精神と、わが党が委員会審議を通じて指摘してまいりました融資目標というようなものを集中選定して、本来の目的を果たすべきであります。かかる折り目もつけないまま、いわばなすがままに従った業務内容の拡大イコール資金ワクの便宜主義的拡大には反対であります。
最後に、芦有開発株式会社の融資の処理については、可及的すみやかにこれを善処し、その経過と結果を委員会に報告されることを強く要求いたしまして、以上をもって、反対討論にかえるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/7
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008・三池信
○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。
続いて採決に入ります。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/8
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009・三池信
○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/9
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010・三池信
○三池委員長 次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
おはかりいたします。
本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/10
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011・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/11
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012・三池信
○三池委員長 次に、本案につきましては、平林剛君外三十八名より、三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、この際、提出者より趣旨の説明を求めます。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/12
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013・平林剛
○平林委員 私から、ただいま委員長が述べられましたように、三党を代表いたしまして、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提案いたしたいと思うのであります。
初めに、案文を朗読さしていただきます。
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
一、内国旅行における甲乙両地方の区域区分については、最近の宿泊料金の実態等にかんがみ、実情にそうよう再検討すること。
二、移転料については、実費弁償を建前として制度の合理化を図ること。
三、日額旅費については、実費を下回らないよう定めること。
以上であります。
先ほど、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案は、国家公務員が内国旅行をする場合の日当、宿泊料及び移転料等について昭和三十七年に定額が改定されたまま今日まで据え置かれておりましたため、現行の定額では実情に沿わなくなったので、これらの定額を実費弁償のたてまえに即して改定をする必要があるという改正案でございましたので、私ども、その趣旨と方向におきましてはこれに賛成いたしたのでございます。
しかしながら、なおその実態を審議いたしてまいりますと、ただいま申し上げましたように、宿泊料の欄の中に甲地方、乙地方の区域区分が行なわれておるのであります。甲地方とは、東京都、大阪市、名古屋市、横浜市、京都市及び神戸市のうち、大蔵省令で定める地域その他これらに準ずる地域で、大蔵省令で定めるものをいっておるのでありまして、乙地方とはその他の地域というのでありますが、最近の実情は、この甲乙両地域に区分することが適当であるかどうか検討しなければならぬ情勢にあると思うのであります。また、一つの例を申し上げますと、乙地域における最低の宿泊費は、六等級以下の職務にある者は千六百円と改定をされました。しかし、新潟県における人事委員会が調査した資料によりますと、この県内は乙地域でございますが、宿泊料は、交通公社協定旅館で千七百七十六円、また、日本観光旅館連盟加入店で千七百五十四円でございまして、おそらく乙地域の各県の実情調査を行えばこれと同じような状態があるのではないかと思考されるのであります。したがいまして、今回の改正は、そういう意味では実情に沿わない、そこで、この点については実情に沿うように検討すべきであると考えるのでございます。
また、移転料の問題につきましては、実費弁償をたてまえとするのは、法律改正の際にも政府から申し述べられておることでございまして、もとより当然でございますが、現在の移転料はこれが九等分程度に細分化されておるのであります。宿泊料、旅費等においては六等分、このほうは九等分、これだけ等級を区分する必要があるかどうか、その点については多大の疑問の存するところであります。そこで、その実態を調査をいたしまして、これが適当であるかどうか、移転の実情に沿うよう合理化をしていくべきであると考えまして、制度の合理化をはかるように要望いたしたいと思うのであります。
日額旅費につきましては、これは、政府においても、最近の実情にかんがみ三割程度の増加をはかるように検討中であるとのお話でございましたけれども、実際上は最近の旅費は、運賃法の改定によりまして二倍程度になっているところもあるかもしれない。そういうことを考えますと、やはり実費を下回らざるような配慮をすべきものと考えられます。
よって、この附帯決議案を提案をいたした次第でございまして、各員の御賛同を得たいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/13
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014・三池信
○三池委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
おはかりいたします。
平林剛君外三十八名提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/14
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015・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、平林剛君外三十八名提出の動議のごとく、本案に三党共同提案による附帯決議を付することに決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/15
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016・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、御趣旨を尊重し、よく実態を調査した上、善処いたします。
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017・三池信
○三池委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/17
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018・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/18
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019・三池信
○三池委員長 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/19
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020・横山利秋
○横山委員 ずいぶん多くのことを質問したいと思うのですが、しかし、時間がございませんので、まず冒頭、大臣に、時間がございませんから、後刻適当な機会に回答並びに中間報告がいただけるかどうか、だめ押しだけひとつしたいと思います。
一つは、先般当委員会で私が、継続費並びに債務負担行為の問題にからんで、二回国会で議決する矛盾、それに伴って国民と国との契約が破棄された場合における問題、その統一見解を大臣から伺うことになっておるのですが、きょうは時間がございませんから、これは不日実行していただけるかどうかという点が第一点、第二番目には、本委員会並びに本会議において私が執拗に要望し、大臣が善処すると言っておりますが、公共事業の繰り上げに伴う中小企業の官公需の確保の方法、並びに協同組合が政府より受注を受ける便宜を取り計らう方法、その二つについては、大臣から善処していただける旨承っておるのですが、これも不日具体的に御報告がいただけるかどうか、その二点をまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/20
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021・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いずれもきょうお答えしてもいいのですが、時間がないというお話ですから、いずれ適当な機会にお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/21
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022・横山利秋
○横山委員 それでは、さっそく所得税法に関する質問をいたしたい。
これもたくさんの問題がありますけれども、時間の関係で二つの問題だけに限って、まず政府委員の御意見を聞き、それを大臣にぜひ是非の判断をしていただきたい。私がこの二つの問題を特に選択いたしましたのは、私にとりましては実に奇怪な問題だと考えるからであります。
一つは、未収利息の問題であります。わが国の会計原則は発生主義をとっておる。たとえば、横山という会社が福田という人に金を貸した、あなたは一割の金利を負担する、次の決算にはまだ未収である、しかしながら、未収利息であっても、発生主義をとる会計原則、並びに所得税法三十六条によって、横山という会社は未収利息を益金に計上しなければならない、こう定められており、事実、各企業すべてのところで、法人税法、所得税法によって、すべて既経過の未収利息については益金に算入しておる、こういうふうに承知をしておるのですが、主税局長は異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/22
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023・塩崎潤
○塩崎政府委員 一般的な原則としてはそういった会計原則のもとに税法はでき上がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/23
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024・横山利秋
○横山委員 私の手元にあるのでありますが、昭和二十六年に大蔵省銀行局長から国税庁長官あてに照会状が出され、その照会状によれば、「従来銀行、無尽会社及び信用組合の決算に当っては極力自己資本の充実を図り、健全経営の実を挙げしめるため既経過の有価証券及び貸出金の未収利息については原則としてこれを計上しないこと、」にする。つまり、益金に算入しないということについて銀行局長から意向をただしたところ、国税庁長官は「金融機関の経理方式を決定するまでの暫定措置として、当分の間貴官の指導方針にもとづき、法人税の取扱についても、これを容認することといたしたいから御了承願いたい。」という回答を出した。この事実は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/24
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025・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、昭和二十六年に銀行局長からそういう照会がございまして、国税庁長官名をもってそういう回答をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/25
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026・横山利秋
○横山委員 私の推算するところによりますと、この一片の回答によって、今日この未収利息を一般会計原則、並びに所得税法三十六条、法人税法等の取り定めによって未収利息による金利を益金に計上することになれば、約一千億円ぐらいの税収が確保できる、私の推算では一千億円よりもまだ上になるのではなかろうか、こう考えるのであります。この計算にはいろいろな方式がある。しかし、それはいま言いますまい。けれども、もし必要であるならば、私は計算方式を出してもよろしい。しかし、それはそれといたしましても、一体、国税庁長官が、会計の企業原則並びに所得税法、法人税法に定める発生主義の原則を破って、一片の回答でかかる恩恵措置が講じられ得る権限を持っておるかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/26
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027・泉美之松
○泉政府委員 金融機関につきましては、横山委員すでに御承知だと思いますが、古くから、金融機関の健全性の保持ということからいたしまして、現金主義による保守的な会計制度がずっととられてまいっておったのでございます。そこで、お尋ねの昭和二十六年の際に、当時、御承知のとおり、企業再建整備が行なわれまして、それに引き続きまして金融機関再建整備が行なわれましたあとでございます。その当時、やはり金融機関の健全性を強化するために金融機関の経理規程を整備したいという意向が大蔵省内にあったわけでございますが、その金融機関の経理規程を整備するまでの間の暫定措置として、いまお話のような貸し付け金及び有価証券の未収利息は資産に計上しないという措置がとられておるわけでございます。その当時、いまの貸し付け金及び有価証券のほかに、本来経費のほうの面でありますけれども、既払いの未経過利息あるいは再割引料、金融債券の割引料、こういったものについてもいろいろ問題があったのでございますが、その後におきまして、経費になるいまの三つの分につきましては発生主義に切りかえることにいたしたのでありますが、貸し付け金と有価証券の未収利息の点につきましては、いまなお保守的な現金会計になっておりますことは、税法のたてまえからいたしますと非常に違っておりますが、私どもといたしましては、それを是正するように努力いたしてまいっておるのでありますけれども、今日までこの是正ができておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/27
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028・横山利秋
○横山委員 私の聞いておるのは理由ではない。少なくとも、法律並びに企業原則に従って、わが国における企業会計は発生主義、それから税法は発生主義という原則が貫かれておる。その原則があるにもかかわらず、何ら法律的根拠なく国税庁長官が、金融機関に対してのみ、ほかの企業全部が発生主義をとって、まだ利子をもらわなくてももらったとして税金を出せとなっておるのに、金融機関だけはもらっていない利子は、権利が発生しておっても、もらってなければ益金に計上しなくてもいいということをこの回答によって示しており、自来十五年間これでやっておる。私の言いたいのは、国税庁長官はいかなる権限があってそういう回答ができるかと聞いておる。大蔵大臣が命令したのか、税法が変わったのか。税法は発生主義の原則に立っておるにもかかわらず、なぜ長官がそういう原則と百八十度違うことができるのか、なぜそれが許されるのか、これを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/28
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029・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、税法におきましては、債券につきましては発生主義をとっておるところでございますが、法人税法の二十二条の規定の問題がございます。これは、実は昨年法人税法を全文改正する際に、いまの未収収益について規定を設けるかどうか、いろいろ論議があったのでございますが、この金融機関の未収収益だけではなしに、一般の会社の未収収益につきましても会計上いろいろ論議がございますので、法人税法の二十二条におきましては、そういった点につきまして明確な規定を若干避けまして、「当該事業年度の収益の額とする。」というように、発生主義であるかどうかということはややぼかしました規定を設けたような次第でございまして、そういった点からいたしまして、お話のように、他の法人につきまして権利発生主義をとりながら、金融機関についてだけ、しかも、その貸し付け金とか、有価証券という二項目に限って未収収益の計上をしないことを認めておるという点は問題があると思いますが、何分にも過去の長い間の経理の慣行がそういうふうになっておりますので、そういった企業の経理の慣行を尊重いたしまして、国税庁長官の通達を出しておる次第でございます。この点につきましては、私どもとしては、なるべく早い機会に是正をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/29
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030・横山利秋
○横山委員 まさに私は重大な越権行為であると思っておる。発生主義をとりながら、しかも、この既経過の未収利息は益金に計上しなくてもよろしい、一方は既経過の未払い利息については損金に計上しろというのです。どうですか。まだもらわない利息は益金に計上するな、まだ払わない利息は正確に損金に計上しろ——発生主義をとるならば、両方とも発生主義をとるべきだ。現金主義をとるならば、両方ともに現金主義をとるべきだ。まさにこれは、両方とも都合のいいように矛盾するやり方を許しておるとは言語道断ではありませんか。あなたの責任とは言いませんよ。あなたはそういう時代にはそうではなかったですからね。けれども、これが現金主義をとるなら、なぜ既経過の未収利息も現金主義をとらないのか。これは当然のことではありませんか。どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/30
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031・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、その点はどちらか現金主義なら現金主義、あるいは発生主義なら発生主義に徹するということが望ましいかと思います。したがって、先ほどちょっと申し上げましたように、二十六年当時とられておりましたこの金融債券の割引料でありますとか、あるいは日銀との間の再割引料であるとか、既払いの未経過利子などにつきましては、その当時におきましては、期間に対応しないものでも、払ったものはすぐ一時の損金に落としておったのでありますが、これを期間対応によりまして、その期間に対応する分だけしか損金に認めないというふうにだんだん直してまいったのでございます。ただ、お話の貸し付け金と有価証券につきましては、まだその点が是正できておらないのは、はなはだ遺憾に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/31
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032・横山利秋
○横山委員 この回答は、「金融機関の経理方式を決定するまでの暫定措置として、当分の間貴官の指導方針にもとづき、」つまり、銀行局長の指導方針に基づきと書いてあるのです。すでに十五年たっているのです。この問題について、十五年間銀行局は何をしておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/32
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033・佐竹浩
○佐竹政府委員 ただいま横山委員の御指摘のとおり、金融機関の経理方式につきまして、国税庁長官も先ほどお答え申しましたが、実は、戦前から貸し出し並びに有価証券にかかわる未収利益につきましては一切計上しないようにという指導をいたしてまいっておるわけでございます。その点、戦後に至りまして発生主義といったような形になってまいりましたについて、さてどうするかということで、実は私どもも国税当局とも十分緊密な連絡をとりながら検討を続けてきたところでございますけれども、目下の段階におきましては、まさに先生御指摘のように、昭和二十六年における国税庁長官との、いわば協定と申しますか、国税庁長官の税法上の解釈というものをもとにして銀行に対する指導をいたしておるわけでございます。
その間何をしておったかというお尋ねでございますが、私ども実は経理方式の改善につきまして、いろいろ検討、くふうも続けてきたわけでございます。ただ、何分にも金融機関の健全経営というものに対する要請は非常に強い。米国等におきましては預金保険といったような制度もございますけれども、わが国においてはそういう制度はない、したがって、もっぱら健全なる経営を行政指導によって確保していく、そのためには、経理方式につきましても、かなり保守的な原則というものをある程度やはりとらざるを得ない。しかし、まさに先生がおっしゃるように、発生主義に統一すべきものであるという基本原則は、私どもとしても決して否定しているわけではございません。現にその証拠に、この十数年の間に逐次発生主義に実は移りつつある。先ほどのお話にございましたように、割引料でございますとか、あるいは、いわゆる損金面の扱いは発生主義になって、実は、唯一の現金主義として今日残されたところが、先生ただいま御指摘の点の一点になっておるわけでございます。そこで、これについては、先ほど国税庁長官からのお答えもございましたように、私どもとしても国税庁と十分相談をしながら検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/33
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034・横山利秋
○横山委員 当時、百歩も千歩も譲って、ここにいうところの国税庁長官が「経理方式を決定するまでの暫定措置として、当分の間」と言ったのは、二十六年当時、金融機関の企業の基盤が弱体であること、また、再建整備をしなければならぬこと、経済情勢の不安があること、焦げつきの危険があること等の事情が私はあったと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/34
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035・佐竹浩
○佐竹政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/35
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036・横山利秋
○横山委員 そうだとすれば、いまの金融機関はどうですか。四十年九月の決算、大法人のランク三十番まで整理した表をもらったのですが、三十九年九月期においては、上位の三十社のうち、金融機関が三社、四十年三月に至って六社、四十年九月に至ってまさに十二社、世間は金融機関がずいぶんもうけておる、ネコもしゃくしもそう言っていますよ。金融機関はもはやこの暫定措置をするときの情勢ではない。それにもかかわらず、金融機関の威勢を銀行局長はおそれておるのか、金融機関擁護の銀行局長であるのか、主税局や国税局がだらしがないのか、いま質疑応答をいたしておりましても、ほとんどお二人の方のお答えは、実態として、また理論的に私の主張を認めていらっしゃる。それにもかかわらず十五年間も放置されるということは納得できない。本件については、会計検査院から指摘を受けたことがあると私は信じておるが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/36
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037・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、会計検査院からは昭和二十九年以来指摘を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/37
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038・横山利秋
○横山委員 本件については、税制調査会が三十八年の十二月の答申で、もうこれはやめるべきである、こう言っておるのは御記憶でございましょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/38
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039・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。そういった答申がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/39
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040・横山利秋
○横山委員 本件については、各国の情勢は選択を許しておる国がある。私は、本来企業会計の原則は、発生主義ではあるけれども、理論上選択があって悪いとは言わない。悪いとは言わないが、本件に関する限りにおいては、当時における国税庁長官のまさに越権行為である。当時金融機関の再建整備ということに名をかりて、まさに銀行局が、国税庁なり、あるいは主税局を強姦したようなもので、強姦されたほうも、一体長官の権限にもあるまじき回答を出して——私はこの回答を調べるのにずいぶん骨を折ったけれども、一体この回答だけで済ましておるものでありますか、基本通達なり、しかるべき傘下各方面に通達が出ておるものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/40
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041・泉美之松
○泉政府委員 国税庁長官から銀行局長に対しまして行ないました回答を全国の国税局長に通達として流しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/41
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042・横山利秋
○横山委員 回答を流すというその回答の性格にずいぶん問題があります。私は、国税庁長官の回答というものが適法であり、あるいは妥当な回答である、つまり、法律の解釈として行なわれたものならいいけれども、法律に違反しておる、百八十度性格が変っておるという回答を出すことは越権行為だと思うけれども、その回答を全国に流すだけであって、基本通達の上にこれが浮かんでこないという点については、ずいぶん疑問を感ずる。この回答と基本通達の関係については、時間がございませんから指摘するにとどめます。これもきわめて遺憾なことだ。そこに、私は、銀行擁護といいますか、こんなややこしい、おかしい問題になりそうなものは、まあまあ適当に、あまり外に漏れぬようにと、役所だけが知っておればいいという感じがほの見えてしかたがない。
それに関連をして、次は歩積み、両建ての問題です。同じ範疇になりますが、大臣、聞いてください。私があなたに百万円貸して、あなたが私にまた何かの形で債権が五十万あるとする。そうすると、あなたと私の関係は五十万円だ。私はあなたに実質五十万円しか貸していない。だから私は貸し倒れ準備金を五十万円しか計上できないのです。あなたに百万円貸して、あなたから五十万円何かの形で借りておるとすれば、横山という会社は五十万円しか貸し倒れ準備金が計上できない。そうですな、長官。ところが、金融機関はどうでありましょう。いま国会で大問題になっている歩積み、両建て、自粛拘束預金があることは銀行も認めている。銀行は福田という人に百万円貸して、五十万円の定期をもらって、そうしてまた、さらに担保を取る。一体貸し倒れ準備金を銀行は幾ら計上すべきだと思いますか。いまの最初の前段で言えば、銀行は定期を五十万円もらっているのだから、その上にさらに担保を取っているのだから、せいぜい二十万円かそこら貸し倒れ準備金を計上すればいいでしょう。なぜ銀行だけが百万円の貸し倒れ準備金が計上できることになるか、この御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/42
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043・泉美之松
○泉政府委員 お説のとおり、貸し倒れ引き当て金につきましては、法人税法の規定がございまして、それを受けまして政令の九十六条に、内国法人の当該債権にかかる債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられないものは、これを差し引いて貸し倒れ引き当て金の積み立ての対象となる債権とするということになっております。したがって、同一人に対しまして貸し付け金と借り入れ金の双方がありますときには、これを差し引いたその差額につきまして貸し倒れ引き当て金を積み立てるということになっておるのでございますから、一般論といたしましては、銀行についても同様にしていいじゃないか、こういう議論があることは私どもも承知いたしております。ただ、この銀行の歩積み、両建てにつきましては、現実の問題といたしまして、銀行の預金が口数も多く、また、御承知のとおり、預金名義も架空のものがあったり、無記名のものがあったりいたしまして、その名寄せが実際上困難であるというようなことからいたしまして、現在のところにおきましては、受け入れたそうした預金につきましては控除しなくていい、こういうことにいたしておるのでございます。これはいろいろ問題のあるところでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げました政令の九十六条で、金融機関側の収入になっているものは、自分の勘定になっているものは差し引くことができるわけでありますが、そういうふうになっていないものは差し引かなくてもいいということにいたしておるわけでございまして、したがって、たとえば、質屋におきましても、担保に取っておるだけのものは、それを差し引かないで債権の額を計算する、こういうふうになっておるわけでございます。しかし、そういうやり方につきまして、金融機関の場合、歩積み、両建てである程度確保されているではないか、したがって、貸し倒れ引き当て金はそれに充てる必要がないではないか、こういう実体的な議論につきましては、なお検討を要する点がある、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/43
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044・横山利秋
○横山委員 銀行のほうが間違いないのですよ。個人間ないし会社間で、会社があなたに百万円貸して、五十万円あなたから債務があるという場合よりも、銀行のほうが画一に定期を取って、担保を取っているのですから、百万円借りて、そして五十万円出して、担保も出しているのですから、銀行だけ貸し倒れを百万円認めて、他のところはその差額しか認めない。問題があべこべじゃありませんか。私は、先ほどの未収利息あるいは未払い利息、それからこの歩積み、両建て——いままでは歩積み、両建てはないと言っておったけれども、本委員会をはじめ、予算委員会の懇談会で、銀行、金融機関からの報告と公取の報告とは違うけれども、しかし、それにしても、金融機関はいわゆる自粛預金、歩積み、両建てが厳としていまあるということを認めたじゃありませんか。そうだとすれば、それを除外して、貸し倒れ引き当て金を政府が認めるということがおかしいじゃないか。腹が立ってしかたがないという第一の問題がこの二つです。大臣、即刻決断をしてほしい。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/44
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045・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 なかなか重要な御指摘だと思います。私も横山さんの御指摘で初めてそういう問題があることを承知したような状態でございます。おっしゃることはいろいろ理由のあることかと思います。お話のように十分検討してみたい、さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/45
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046・横山利秋
○横山委員 いまのあなたのお話し方は、言外の意味はよくわかるのですけれども、速記に載って、あとで速記を読んでみると、前向きで言っておるのか、うしろ向きで言っておるのか、少しもわからない。大臣答弁というのはうまいので、いま聞いておる同僚諸君もみんな、そうか、大臣も腹をきめたんだなという感じは持つ、感じは持つけれども、文章を速記録で読んでみれば、前向きか、うしろ向きか、ちっともわからぬ。もう少しはっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/46
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047・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 前向きで検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/47
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048・横山利秋
○横山委員 私はこの問題について税金がどのくらいこれで確保できるかという積算の根拠を一つ持っておるのでありますが、どうしても時間がないですから、私が先ほど一千億円以上と言ったら、少しどうかなという顔を政府側がしておるようでありますが、これはあなたのお得意の、ことし七千三百億円か発行される国債の利息がどのくらいで、そうすると、それがどのくらいになって、未収利息がどのくらいでということを国債だけで勘定してみなさい。たいへんな数になりますよ。そうでしょう。ですから、金融機関が未収利息はどのくらいあるかという計算はできると思いますが、一ぺん私は、同僚諸君の御参考のためにも、今日までのこの未収利息に関する銀行局の照会状、回答、それに対してどういう措置を国税庁が行なったか、未収利息はいまどのくらいあるか、未払い利息はどのくらいあるかという積算をひとつ当委員会に提出を願いたいと思う。よろしゅうございますね。これは委員長、お手配願います。
その次にもう一つ腹が立つ話をして、大臣に御見解を伺いたい。
きのう私どもは板橋の税務署を調査をいたしました。感想はずいぶんたくさんあるのですが、その中に、この調査に協力をしている日本税理士会の諸君の十数人無料報酬で応援をしておるのが目につきました。私はその年寄った税理士さんにどういうふうにやっていますかと言ったら、交代表を見せて、ほとんどの税理士はこういうふうに応援をしているのですと言う。どうですかと言ったら、まあ、とにかくこういう実情ですと、いろいろ実情を説明してくれたのです。
そこで、長官にお伺いしたいのですが、この税理士の協力を受けている今日、日本税理士会及び税理士の諸君に対して、いまどういう方針を持って臨んでいらっしゃるのか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/48
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049・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、日本税理士会の所属税理士の方は、毎年所得税の申告時期になりますと、無料でその地元の税務署で申告書の代筆の仕事をやっていただいております。私どもたいへん感謝いたしておるわけでございます。
それで、税理士一般の業務につきましては、私どもといたしましては、横山委員御承知のとおり、税理士の方々が納税者から依頼を受けて、税務代理あるいは納税相談あるいは税務書類の作成、こういった仕事を十分適切にやっていただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。ただ最近の情勢を見ますと、十分適切にやっていただいている方もあるわけでございますが、中に、必ずしも十分でなくて、税理士の関与された事件と税理士の関与されない事件とを比べてみても、更正割合がむしろ多いといったような面もございますので、そういった点につきましては、税理士の方が十分その職責を自覚されまして、その職責を十分果たされるようにお願いいたしたい、かような気持ちを持って、そういった点につきましては、できるだけ適正なやり方をやっていただくように指導いたし、また、要すれば監督をする、こういうような態度をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/49
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050・横山利秋
○横山委員 使うだけは使っておいて、陰で税理士をしょっぴく、目を光らしている、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/50
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051・泉美之松
○泉政府委員 はなはだ私の言い方がまずかったために皮肉にとられたかもしれませんが、もちろん、私どもそういう無料奉仕されることにつきましては、長官名をもちまして感謝のお礼を申し上げております。しかし、税理士一般といたしまして、やはり税理士全体の水準が向上することが望ましいと考えておりますので、そういった不十分な向きにつきましては、できるだけレベルアップしていただくようにお願いいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/51
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052・横山利秋
○横山委員 税理士というものは、税理士法の際に本委員会においてずいぶん議論をしたものであります。私どもは、常に税理士が納税者の求めに応じて、端的に言えば、納税者の利益を代表して、税法を的確に駆使して、納税者側に立って税務署と話し合いをするというふうに私どもは考えている。しかし、あなた方は、どうも税理士というやつは脱税の相談ばかりやっているという性悪説で、納税者だけだと思ったら、税理士までもそういう性悪説で臨まれているのではないかと思われる節があるが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/52
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053・泉美之松
○泉政府委員 私どもは決してそのような目で税理士の方を見てはおりません。ただ、先ほど申し上げましたように、税理士の関与された事案で更正の割合が比較的多い方もおられますので、そういう方につきましては、そういう間違いを重ねないようにお願いする、こういうだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/53
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054・横山利秋
○横山委員 それでは、ひとつここに秘密文書として某局長が出した「税理士等に対する指導監督実施要領の制定について」という文書がある。この秘密文書は一体長官御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/54
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055・泉美之松
○泉政府委員 実は、国税庁から、私が参ります前に国税庁長官名をもちまして発遣した書類は私存じておりますが、某局長名なるものは、私存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/55
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056・横山利秋
○横山委員 その長官名で行なわれた通達はどんな内容のものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/56
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057・泉美之松
○泉政府委員 これは昨年の十一月二十二日に長官名をもって各国税局長に通達されたものでございまして、大体私が先ほど申し上げたように、税理士の方につきまして、更正などの場合不正計算が多いということがありまして、それについて税理士の方に責任があると認められるものにつきましては、その税理士の方の責任の状況等につきまして、理由書を記載して出していただく、こういう内容になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/57
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058・横山利秋
○横山委員 お話を伺った分では、いま手元に差し上げましたこの内容とほとんど変わりませんな。そうすると、これは国税庁長官の通達が根拠になって——これは抜粋でありますから全文ではありませんよ。国税庁長官の通達が根拠となってこの某局長はこれを出しておる、こう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/58
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059・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、国税庁長官の通達を基礎といたしまして局長が出されたことと思いますが、これは抜粋でございますので、国税庁長官の通達とこの通達の内容がどの程度異同しているかどうかについては、まだこれだけではよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/59
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060・横山利秋
○横山委員 要するに、これは税理士のブラックリストではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/60
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061・泉美之松
○泉政府委員 私どもは先ほども申し上げましたような趣旨で考えておりまして、これによって税理士の方のブラックリストをつくるような気持ちは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/61
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062・横山利秋
○横山委員 事実そうではありませんか。この文書によりますと、この大きな表をごらんください。「総務課用」と書いてあります。この複写式の大きな表、「責任の度合」、「1、税理士が不正行為に関与したものと認められる。2、税理士が相当の注意をしたら避けることができたと認められる。3、その他」とあり、更正決定があったら、全部この相当の注意を怠ったかどうかということの調査の対象になる、調査の理由書を税理士からとる、こういうかっこうになっているではありませんか。そしてもう一つ小さい「税理士等のカード」、これは極秘文書になっておりますが、「記入確認年月日」、「要注意事項の概要」、「左の事項に基づく処置」、「備考」、これは税務署の極秘文書として保存されるようだ。これがブラックリストじゃなくて何ですか。一体税理士というものをあなた方は何と思っているのか。少なくとも、更正決定なりあるいは重加算がかけられた場合においては、まず税理士が相当の注意をしたかどうかを調査せよ、そして税理士から理由書を出させろ、理由書を出したら、税理士等の極秘文書のカードに書き込め、それを保存しておいて、あいつは二重のマークをしろ、あいつは一重のマークをしろ。これがブラックリストでなくて何です。これでもブラックリストではないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/62
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063・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、この様式から見ますと、いささかブラックリストの観があるのでございますが、国税庁といたしましては、そこまでつくるように指示はいたしておらないのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、最近の更正の内容を見ますと、税理士の方が関与されているにもかかわらず、税理士の方の関与されていない事件とほぼ同数あるいはそれ以上の更正割合がありますので、そういったことについてはできるだけそういうことが少なくなることが望ましいわけであります。税理士の方が相当の注意をもってしたならばそういう更正は避けられたのではないかというような面もありましょうし、あるいは中に不正の行為について税理士の方に責任のない場合もあろうかと思います。そういった事実を十分調査いたしまして、更正についてすべてということではございませんで、更正の金額の相当多額なものについて、ことに、その中に不正計算があったものにつきましては、税理士の方からどういう注意をされたかということを十分お聞きいたしまして、その理由書を出していただくということでございまして、更正の件数すべてについてこのような措置をとるということは申しておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/63
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064・横山利秋
○横山委員 いずれにしても、あなたは、この局は自分の前任者の出した趣旨とは違うと言いますけれども、末端に行けば、要するに、税理士に注意しろ、税理士に監視の目を光らせろ、こういう結果を招来して、それが忠実に行なわれるならばブラックリスト、必然の結果ですよ。それはそうでしょう。一体、弁護士、弁理士、土地測量士と、ほかに税理士と同じような士がつく職種がたくさんございますが、かかる制度をやっておるところは私聞いたことがありません。どこかにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/64
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065・泉美之松
○泉政府委員 弁護士の方は、御承知のように、別に監督機関があるわけではございませんから、これは別格であります。それ以外のいわゆる士族の方につきましてどういうような措置がとられているか、私あまり詳しく存じておりません。ただ、私どもといたしましては、税理士の方につきましてやはり指導監督の責任がございますので、そういった点で、税理士の方のレベルアップをお願いしなければならぬ面がある点につきましては、私どもとして十分配意いたしたいと思っております。しかし、それ以上さらに税理士の方に目を光らしてどうこうということは考えておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/65
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066・横山利秋
○横山委員 ほかには例がない。こういうやり方は、これが合法であり、あなたの監督権限に照らして間違いがないとするならば、なぜ秘密扱いにするのですか。秘密扱いにする理由は、ブラックリストであり、しかも特高警察的なものの考え方があるから秘密扱いにするのです。もしもあなたが心にやましいところがなければ、なぜその文書を秘扱いにするのですか。しかも極秘扱いにさして、目を光らして税理士を横目でながめ、あいつの悪いことをしたことは書き込んでいく、そして、一たん書き込まれれば、もう折り紙がついてしまって、横山なら横山という税理士は、本来悪いやつだ、何をしてもあいつは注意しなければいかぬ、こういう結果にならざるを得ないじゃありませんか。時間が来たそうでありますが、大臣、これがほんとうに私の第二に腹が立ってしかたがないことです。撤回してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/66
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067・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これも、私も初めてのことでございますが、伺っていまして、要するに、これは税理士制度というものを国税庁がどういうふうに考えているか、こういう問題、それからまた、税理士というものにいわゆる善意をもって臨んでおるのかおらないのか、こういうことだと思うのです。善意だということになれば、やはり税理士制度がどういうふうに動いているのであろうか、税理士がどういう仕事をしているのであろうか、その効果というものはどういうものだろうか、これは調べておく必要があるように思うのであります。ですから、結局税理士と国税庁との関係がどういうふうになっているか。おそらくこれは、私は、国税庁が税理士制度というものをやっかい視し、あるいはこれが税の妨げになっているというふうな感覚は持っていないのじゃないか、そういうふうに思うわけですが、もし善意とすれば——善意だと思いますが、善意とすれば、いろいろな資料を、今後の税理士制度の運営、税理士との接触、そういう面から整えておく、こういう必要もあろうかと思うのでありますが、税理士制度は税務執行上非常に重要な制度でありますから、私も十分気をつけていくように心がけたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/67
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068・横山利秋
○横山委員 時間がないのが残念でありますけれども、これは悪意のかたまりですよ。もしもあなたのいうように善意があるならば、書き方が違っているはずです。まじめな税理士も必ず記入しろとか、表彰を受けた場合には記入しろとか、何かあるはずです。ところが、これは悪意のかたまりだ。悪いことばかり全部つけようというわけです。そういうものの考えで国税庁が税理士を見ながら、一方、この三月十五日には手伝え、手伝えといって、ありがとうございましたと表向きは言っている。人をばかにするにもほどがある。これは大臣からもう一言聞かなければ、本会議はむずかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/68
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069・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私もいま率直に初めてだと申し上げたのですが、初めてのことですから、十分国税庁からも状況を聞き、これも前向きで検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/69
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070・横山利秋
○横山委員 それでは、時間がございません。同僚諸君に申しわけありませんから、その結果を質問することを保留して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/70
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071・三池信
○三池委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後二時五分休憩
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午後三時五十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/71
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072・三池信
○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/72
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073・横山利秋
○横山委員 先ほど時間の関係で節約をしまして問題をはしょりましたので、もうその二点に関する点についてはほんの一、二点だけお伺いしたいのですが、二番目の税理士に関するブラックリスト、これは国税庁長官の通達によって行なわれたということがわかりましたが、ひとつ、国税庁長官の通達を本委員会に提出をしてもらいたいと思うのですが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/73
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074・泉美之松
○泉政府委員 先ほどの点でございますが、国税庁長官の通達にはそういうブラックリストをつくれというようなことは実は書いてないわけでございます。先ほど申し上げましたように、税理士の関与されている事件につきまして更正の事例等がありました場合におきましては調査票を作成する。そして、その更正を受けました金額が非常に大きい場合におきましては、税理士のほうでそれに責任があったかどうか、そういった点について、税理士の方の理由書を提出していただくということしか通達にはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/74
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075・横山利秋
○横山委員 そうすると、問題が二つに発展するのです。ブラックリストをつくれとまでは書いていないものを、某局ではブラックリストまで書け、つくれ、そして保存しておけということになったのは、明らかに逸脱行為である。したがって、それは取り消しさしてもらいたい。
それから、その次に、あなたが出されたものについての口頭の説明は受けましたけれども、しかし、それが基礎になっておるとするならば、あなたのほうでお出しになったものを参考のために本委員会に出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/75
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076・泉美之松
○泉政府委員 国税庁長官の通達に基づきまして、各国税局におきましてそれぞれ通達を出しておるわけでございますが、それは、結局、国税庁長官の通達におきまして、税理士につきまして指導監督するよういっておるわけでございますので、その具体的手段として先ほどのような書類を作成するというようなことを言っておることかと思います。その内容につきましては、私どもまだ十分調査いたしておりませんので、その内容を十分調査いたした上で善処いたしたいと考えております。
なお、国税庁長官の通達につきましては、これは解釈通達というよりは、執行通達でございます。一応「秘」扱いにはなっておるのでございますが、委員会の御要求がありますれば、提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/76
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077・横山利秋
○横山委員 それはぜひ出していただきます。
それから、局長がそれに基づいてやったことは、調べてみなければわからぬと言っていらっしゃるけれども、あなた自身がブラックリストまでつくれと言った覚えはないと、再三ここで言っていらっしゃるのですから、そのブラックリストはあなたに参考のために差し上げたのです。それが国税庁長官の意図に反したものだということが、結局は結果として明らかになったのですから、それはやめろと、こう言っているのですから、その点も聞いてもらわなければ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/77
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078・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、内容を調査いたしました上で善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/78
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079・横山利秋
○横山委員 それでは、後刻国税庁長官から出ましたこの基本的な通達を拝見をしてからあらためてただしたいと思います。
そこで、最初に返りまして、先ほど時間の関係で大臣から三点について御報告を、またの機会とは申しましたが、私もそういつも質問をする時間もありませんから、この機会に、継続費並びに債務負担行為、二重採決、並びに国とそれから国民との間に起こった契約の不履行、こういう問題についてのお約束の統一見解をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/79
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080・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 御質問の趣旨は、ある年度において国庫債務負担行為に基づく契約を締結し、次年度予算で支払う予定のところ、次年度の予算が不成立になった場合には、履行期に支払いができなくなり、政府に損害賠償の責任が発生するのではないかということと思いますが、この問題につきましては、次のように考えております。
一、本予算が不成立となった場合の措置としては、暫定予算を編成することになるのであるが、国庫債務負担行為及び継続にかかわる債務で支払い期限の到来するものについては、これを暫定予算に優先的に計上すべきものである。したがって、実際問題として履行期に支払い不能となることは考えられない。
二、しかし、その暫定予算も編成されないという場合には、どのようになるかにつきましては、次のようになるものと考えられます。
すなわち、約定の支払い期日におくれれば、損害賠償の問題が生じ得る可能性があります。現行制度の解釈上の問題としていえば、たとえば、支払い期日におくれた場合の遅延利息について、支払遅延防止法第八条に、「約定の支払時期までに支払をしないことが天災地変等やむを得ない事由に因る場合は、」「当該事由の継続する期間は、」「遅延利息を支払う日数に計算しない」という規定があり、また、個別の契約においても、通常は同趣旨の規定を置いている例が多いが、予算に空白期間が生じ、また、予算の修正減のため、支払い期日に支払いができなくなったということが、ここにいう「やむを得ない事由」に該当するかどうかについては、次のように考える。
すなわち、予算の不成立または修正減といっても、それは国の内部の問題にすぎず、遅延の責任は国自身にあるのであって、支払遅延防止法第八条が例示する「天災地変等」という外部的原因に基づくものとはいえないので、このような場合は同条にいう「やむを得ない事由」には該当せず、このような場合でも遅延利息を支払う必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/80
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081・横山利秋
○横山委員 第二回目に、つまり翌年度に国が予算を減少し、ないしはその事案の予算否決をした場合には、いまのお話によって、国の意思としては二つに分かれるのではないか。一つは、先に議決したことは無効とするという議決の場合がある、一つは、予算の縮小によってすぐには払えないという場合、あなたのお答えは二番目の答えだと思う。つまり、最初の、私の想定することは、次の国会においてその予算にからまる予算が否決されたのであるから、国は契約は履行し得なくなった、こういう立場に立つのが法理解釈ではないか。そうだとすれば、損害賠償が当然契約者である国民から提起される。そこのところを私は聞いたのです。遅延の問題ではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/81
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082・岩尾一
○岩尾政府委員 御質問は、国庫債務負担行為につきまして、今年議決をしまして、債務の御承認をいただいた、ところが、翌年その支払いについての歳出予算が、計上して予算を出したんだけれども、これが不成立になった、あるいは修正をされた、こういう場合という御質問だと思いますが、その場合に、もし修正あるいは不成立によって支払い予算のほうが実行できないという状況になった場合に、まず、前回といいますか、その前の年に定められた債務についての議決というものが無効になるのかといいますと、これは無効になりません。そこで、その債務をやったということは有効で生きておる、実際上、それを履行するために、支払い予算を計上して払いたいというふうに国が出したものが否決をされたために、これが支払いができないということになる場合には、国としてはその分について、たとえば、先ほど大臣のおっしゃいましたように、その不成立ということが暫定予算等によって埋めなくちゃならぬものであるならば、暫定予算をつくり、それに必ずそういうものを計上するという努力をやる。それから、院のほうで否決をされたということであれば、その否決をされたことが、本来ならば、これはその人にとってみれば、一つの債務を国が行なってもいいという意味においての既得権があったわけでございますから、そういうものを院のほうで否決をするということは、修正権からいえば、多少行き過ぎということがあるかと思います。しかし、そういう点を、なお従来の事情をも考えて、さかのぼってこれを否決するんだというような御趣旨であるときには、国としては、その分について損害賠償の予算を計上してでも、次にそういうものを支払うような措置をなしていくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/82
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083・横山利秋
○横山委員 わかりました。
第二に大臣にお伺いしたい先ほどの点は、かねがね私から強く本会議、委員会で要望いたしております公共事業の繰り上げによって、その一定率を中小企業に確保するという点について、方法はともあれ、御同意を願い、承るところによりますると、各省、特に中小企業庁を中心にして、中小企業に官公需の確保の方策について検討せられておるというのであります。その経過並びに現状はどこまで進んでおるのか伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/83
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084・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 中小企業がこの長期不況下において非常に困窮しておる。そのためにいろいろの対策をとっておるわけですが、またいろいろの対策をとりたい、こういうふうに考えておるわけですが、先般横山さんからもいろいろ御指摘があったわけであります。その中で、いまお話の中小企業に、拡大された公共事業などの国家支出になるべく均霑する機会を与えたらどうか、こういう話、私もごもっともに思ったのです。そういうような見地から、あの直後からこの問題を提起しておりまして、関係各省間でいろいろ話を進めております。中小企業庁のほうでもいろいろ考えております。昨日の支出促進会議におきましては、大蔵省から五つの点を指摘しておるわけです。その五つの点を指摘しまして、ひとつ検討しよう、その中には、あなたが特にまた御指摘の協同組合等に対する支出の拡大ですね、これも入っておるわけです。それらの点につきまして、行政運営でできるのか、あるいは法令の改正を要するのか、それらの問題も詰めてみたい。それで、これを至急実行に移したい、こういうふうにいま考えておる段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/84
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085・横山利秋
○横山委員 その五点とおっしゃるのは、いまおわかりになりますか。——それでは、その点は後刻御報告をいただきたいと思います。
主税局長にお伺いしたいのですが、大臣も聞いておいてほしいのです。
明年度の税収予定のうち、更正決定の増差税額の問題であります。毎年、更正決定の増差税額、その収入歩合は八五%として推定がされておる。ところが、四十年度補正予算に際して、補正予算の結果を含めてこの収入歩合を八〇%として推定をされた。ところが、四十一年度の予算を見ますと、再び八五%の収入歩合になっておる。最近私が各方面の税務行政の調査をいたしましたところ、あとで長官にもお伺いしたいのですが、三千億円の減税というアドバルーンの陰で、徴税というものが非常に緻密になってきた。先般大臣はここで、そば屋がやかましいのでおれもそば屋を調べたら、そんな言うほどのことはなかったと言うのですけれども、大臣の耳にまでそば屋が達するということは、だれかが大臣に告げ口をしたと思うのですが、私の入手いたしました点は、ふろからパーマネントから幼稚園から、きわめて庶民的な業種、業態に至っておるのです。いま税法の改正ということはさはさりながら、大臣は、税金を三千億まけた、税法をこういうふうにしたという点が、あなたのテレビにしろあるいは御答弁にしろ、常にそういうものがある。ところが、庶民の立場からいいますと、税法が改正されても、徴税行政というものが緻密になるばかりでは、結局どうにもならぬという声のほうが強いのです。要するに、税法の改正と行政のあり方というものは別な次元で納税者のほうでは議論されておる。私が提起するのは、そういう気持ちでもろもろの問題を提起したいのです。
第一の問題は、いま申し上げたように、更正決定がまだ予算として多くなっているんじゃないか。その収入歩合をなぜ八五%に還元したのかというところからまず質問を始めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/85
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086・塩崎潤
○塩崎政府委員 お答えを申し上げます。
横山委員の御指摘のとおり、昭和四十一年度の法人税の税収見込みの算定にあたりまして、更正決定増差見込み税額を、収入歩合を八五%見込んでおるのでございます。これは、言うまでもなく、最近の実績を勘案いたしまして、私どもはその実績の示すところによって計上しておるわけでございます。なお、横山委員御存じのように、更正増差税額は、ある年には大きい場合もあり、ある年には少ない場合もございます。法人税は多分に景気の影響を受けます企業収益に基づいておりますので、金額といたしましては、景気の悪い最近におきましては、三十九年ころに比べますと更正増差見込み額は少な目に見積もっておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/86
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087・横山利秋
○横山委員 四十年の補正後の八〇%を議論をいたしますゆえんのものは、更正増差税額が予算が八千九百六十二億円、更正が六百二十四億円、〇・〇六九%、四十一年度に至ると予算が九千三百二十二億円、更正が七百三十一億円、〇・〇七八%、つまり、この予算収入からいって更正決定を多く見積もっておるということなんです。だれも予算がふえたから税務署が一生懸命やれということではないと思うのですが、気がまえとして更正決定のパーセントをふやしておる、こういうことが言えると思うのです。一体、四十年度と四十一年度とを比較して、この比率を四十一年度のほうの更正決定を多くしなければならない理由は何であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/87
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088・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは、いつも申し上げておりますように、租税収入予算の見込みにあたりまして、実績を基礎にいたしておるのでございます。四十年度の補正後の更正増差見込み額は確かに七百八十億円でございます。収入歩合は六百二十四億円でございましたが、四十年の四月から四十一年の一月までの実績が六百八十一億円、こんなような情勢になっております。こんなような情勢から見まして、八百六十億円程度の更正増差見込み額は行なわれるであろうという推計を立てたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/88
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089・横山利秋
○横山委員 それならば、補正後、更正決定の収入歩合が八〇%になっているものを、なぜ八五%の収入歩合にしなければならぬのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/89
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090・塩崎潤
○塩崎政府委員 やはり、最近の収入状況を見まして八五%程度がいい、過去三十六年度から四十年度までの収入歩合毎年八五%というところを計上したのでございますが、そんなようなところから見まして、これが妥当と考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/90
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091・横山利秋
○横山委員 それならば、なぜ四十年度を八〇%にしたのですか。四十年度は不況だから、補正によって八〇%と収入歩合を見積もったわけです。そうすると、四十一年度は、過去、池田内閣当時の非常に好況のときの収入歩合をそのまま適用したということになる、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/91
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092・塩崎潤
○塩崎政府委員 横山委員御指摘のように、確かに収入歩合は企業収益の状況、好況、不況、金繰りに左右されるのでございます。四十年度は、御承知のように、法人税の見込みにつきまして千四百億円ばかりの減収が立ったわけでございますが、これらを勘案いたしまして、こういった八〇%という収入歩合を計上した、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/92
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093・横山利秋
○横山委員 大臣、ひとつ聞いておいてほしいのですけれども、税収面ではもう好況時におけるものの考え方で税収の見積もりをしておるということなんですよ。あなたがここで、ことし一ぱいはまだまだそうはいかない、先般のお話によれば、赤字が減る程度と考えてくれと言っているのだけれども、税収見込みとしては好況時と同じようなものの考え方で税収見込みがされておる、それから収入歩合もきめられておるということです。
それから第二番目に、今度減額修正、つまり、税金を私が払っておる、税務署から更正決定で、おまえは脱税したのだ、ふやすということについては五年までさかのぼってやれる、いつまででもやれるというのですね。それが、納税者が、おれは間違っておったから減額してくれ、自分は申告したやつが間違っておったから減額してくれという異議申し立ての減額修正の期間は、いままで一カ月だったやつを、まあ、私も先般わいわい言ったのですが、今度二カ月になった。法律案はそうですね。この二カ月というのは、一体どういう理屈でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/93
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094・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは税法のたてまえでございますし、その税についてのこういったたてまえが税法上とられなければならない点につきましては、横山委員、過去におきまして更正の請求の制度の際にずいぶん御指摘のあったところでございます。御承知のように、税金はできる限り納税者の申告に基づきまして納税していただく、その際には、確定決算をもとといたしまして、慎重な計算が行なわれて申告される、多分に私は、現在の納税者の意識のもとでは、どこの国でもそうだと思いまするけれども、みずから意識して過大申告するということはない、むしろ過少申告の傾向のほうが多いのが実情じゃないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、申告して納めていただきました税額は、その税額といたしまして早く確定したい、これが一つの税制上のたてまえでございます。そういった意味で、更正の請求の期間は一カ月という限度が設けられておるのでございます。しかしながら、御指摘のように、税法はきわめて複雑でございますし、ことにまた、膨大な経理事務を持っておる法人等におきましては、間違い等があって、一カ月では無理ではないかというお話がございますので、これを二カ月にしたのでございます。しかし、これが間違いがあって多目に納めていた際に、税務署と申しますか、政府といたしまして、租税を取り切るということではないのでございます。これは、私どもの調査によりまして誤謬が発見されますれば、減額更正という形で還付されるというたてまえになっております。ただし、来年度の改正といたしましてお願いいたしております粉飾決算の問題は別でございます。そういったたてまえから、納税者の権利といたしまして、減額更正するのは、現行法では一カ月であり、改正案では二カ月になっておる。しかしながら、それは税務署の調査によりまして誤謬であることを発見いたしますれば、税務署のほうから進んで還付する、こういうたてまえになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/94
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095・横山利秋
○横山委員 大臣、私の言いたいことは、こういうことなんですよ。税務署は納税者に対して五年間はいつでも、どんな条件でも調べて、まだだめだ、まだだめだ、更正決定をしておいてまた再更正、また再更正、何べんでもやれる、いつでも自由にやれる。ところが、納税者が税務署に申し立てる権利は、更正の請求ならば一カ月、不服申し立てならば一カ月、減額修正ならば二カ月、これじゃ納税者の権利等は擁護されない。しかも、おれは間違っておったから減らしてくれと言ったって、二カ月たったらだめだ、しかし、そのときは、主税局長の言うように、お上が恩恵的にしてやる、こう言う。何も恩恵的にしてもらう必要はないのです。当然の納税者の権利だ、間違いなんだから。おれは百万円と申告したけれども、八十万円が正当だったといって申し出る。二カ月一日目に申し出たら、一日違いでおまえはだめだ。それなら済みませんといって手を合わせると、税務署長がふんぞり返って、それならしようがない、してやろうか、ありがとうございました。何がありがたいのだ。ちっともありがたくない。あたりまえのことじゃないか。そういう仕組みがいかぬと私は言うのです。どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/95
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096・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 なかなかむずかしいことですね。行政処分がどんどん変わっていく、こういうことは、国の行政全体としてなかなか安定をしないということから問題があるのじゃないかというふうに思います。あなたの議論で言いますれば、五年間は遡及して調査をするということになっておりますれ。そうすると、五年間は、あのときはこうだったというような争いができることにならぬとさつばりしない、こういうことになりますが、それじゃどうも行政が非常に安定をしない、こういうことになるのじゃないか、こんなふうに考えますが、なおよく考えてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/96
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097・横山利秋
○横山委員 これも大臣初めて聞くから即答はできぬとおっしゃるかもしれぬけれども、これはきわめて卑近な、常にある問題なのです。税務署だけは何べんでも更正決定ができる。五年間はいつでもできる。納税者は一カ月か二カ月しか文句が言えぬ。権利がない。こういう簡単なことが私はおかしいと言うのです。行政が混乱するといったって、事実は、同じ、これを多くするか、少なくすることについて、一方には五年間権利があるけれども、一方は一カ月か二カ月しか権利がない。もしも納税者が三カ月過ぎに減らしてくれと言ったら、行政が混乱しますか。税務署は五年前のやつでもやれると言うのですから、同じことじゃないですか。ふやすか、減らすか、同じことです。こんな簡単な論理は、私は、大臣すなおにわかっていただけると思う。要するに、それは税法が納税者の権利を守らない立場で、お上のやることは常に正しくて、納税者は、まあ許しておいたら何を言ってくるかわからぬので、一カ月か二カ月でおまえはしまいだ、もう何を言ってきたってだめだというものの思想があるというわけです。そこをまず第一に考えてもらいたい。
それから、二番目に考えてもらいたいことはこういうことなんです。私はいま更正決定何回でもと、こう言いましたね。まさに何回でもです。たとえば、税務署が私のところを調べる、調べて問題がわかった、更正決定になった、あるいは減額修正になった、あるいはそのままでよかったとなったら、そこに税務署は責任を持たなければいかぬ。五カ月過ぎてまたやってきて、もう一ぺん根っこから調べると言うのですね。十カ月たってまたやってきて、また調べる。一ぺん更正決定したり、一ぺん調査をして結論がついたら、税務署はそれについて責任をとるべきではないか、ここでその年度のことについては是認をすべきじゃないか、新しく事実がまるっきり違えばともかく、その年度について調査をしたならば、その年度について責任を持つべきではないかと思うが、長官はこの点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/97
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098・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、税務官庁におきまして更正決定をいたします場合に、その調査によって知れた範囲につきましては、十分な調査を行なって更正決定を行なうわけでありますから、納税者の方に二度も三度も更正するということは適当な行政のやり方とは思っておりません。したがって、できるだけ調査を十分に行なって、一回の更正決定で済ますように指導いたしております。ただ、横山委員もおっしゃいましたように、調査いたしました際に判明しなかった他の事柄がいろいろ起きてまいる場合がございます。そういたしますと、そういった場合におきましては、重ねて更正をせざるを得ない場合が出てまいるわけでございます。そういう意味で、現行の税法におきましては、更正決定を一たん行ないましたあとにおきましても更正がなおできるということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/98
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099・横山利秋
○横山委員 それから発展して二つの問題がある。
一つは、少なくともその年度これこれについて調査をした。これこれについては是認をする。あなたもおっしゃるように、他の問題が発生したならば別だけれども、一たん税務署がその点について調査をしたことについては責任を持つ、他の問題が出れば別だが、そこははっきりしておいてよろしいでしょうね。それが一つです。
それからもう一つは、担当者がかわると、前の担当者の言ったことについて私は責任を持たぬということの事例が少なからずある。これは人間ですから、法律の解釈の違う場合が、ときにはないとは言わぬ。言わぬけれども、少なくとも納税者と担当者の間に、じゃこれはこうしましょうと明白に言ったことについて、転勤が多いですから、次にかわってきた担当者が、そんなことは知らぬ、おれはおれでやるのだから、このほうが税法が正しいのだからという事例が少なからずある。それは一体どう考えたらよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/99
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100・泉美之松
○泉政府委員 前段の点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、更正決定にあたりましては、十分調査を行ないまして更正決定を行なうわけでありますから、その点につきましては、調査者が十分責任を負うべき点であろうと思っております。ただ、同じ資産項目について調査いたしましても、そこにあらわれなかった事例があとで判明するといったような、たとえば、同じ売り上げを調べた場合におきましても、相手方が違ったり何かすると、そういうことはやむを得ない場合が起きてくるかと思います。
それから第二番目の点でございますが、この点につきましてはいろいろ御意見のあることとは存じておりますけれども、私どもといたしましては、何といいますか、担当者がかわりましたときは、前の調査者と違った見解の場合があって、納税者の方に迷惑をかけておるということ、これははなはだ遺憾に存じます。担当者がかわりましてもそういうことのないように行政をやっていく必要があると考えておるわけであります。ただ、ときとしましては、前の調査者がそれでいいと言って認容したのが、税法の解釈上間違っている場合がときどきありまして、そして問題を起こすようでございます。要は、前の担当者とあとの担当者との間に解釈上の違いがないように、国税庁の基本通達を中心といたしました解釈通達を明確にいたしまして、調査者が違うことによってそういう事態が起こらないようにすべきものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/100
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101・横山利秋
○横山委員 あなたの言うように善意に解釈して、前の解釈が間違っておった、しかし、あとの解釈が正しいとすれば、これは国税庁としては、前のやったことは私は知らぬ、だからちゃんと重加算も取るし、利子も取るしということですか。その点は責任を持ってもらえますか。前の人の言ったことは間違いであるが、これは税務署の責任だからそのような加算はしない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/101
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102・泉美之松
○泉政府委員 いまお話のような点につきましては、前の調査者とあとの調査者との見解が相違して、それについていかがすべきかということについて国税庁に上申書がくる場合がございます。そういった場合、内容は相当悪質にわたるような場合はほとんどございませんので、そういったことで重加算税を取るというような事例は、私はないと思っております。それから、そういう場合におきまして、無申告加算税あるいは過少申告加算税をどうするかということになると、これはケース・バイ・ケースになろうかと存じます。
なお、そういうことを避けるためといたしまして、私どもといたしましては、前の調査者からあとの調査者にかわるときには、前の調査者が担当いたしておった当時はこういうふうに処理しているということで、事務引き継ぎ書を作成いたしまして、そういったことで誤りのないように期しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/102
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103・横山利秋
○横山委員 ことばが濁ったようですが、あなたの言う前の調査者、担当者の責任が明白な場合において、それに伴って納税者が損をしたという場合には、損をさせないようにする。重加算もそれから利子その他についてもめんどうを見る、こういうふうに理解をしてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/103
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104・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたのは、重加算税をとるような事例はほとんどありません。ただ、無申告加算税あるいは過少申告加算税、延滞税の問題になってまいりますと、その前の調査者の処理のしかたがどうであったかという、ケース・バイ・ケースによって処理することになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/104
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105・横山利秋
○横山委員 大臣、あなたはそば屋がたいへんお好きらしいのですけれども、そば屋はどういうふうにあなたの耳に入ったのでしょうか。私は、大臣がそば屋を取り上げて調査を命ぜられたということを聞いて、まことにこれはいい機会であった、こう痛感をしたのです。しかし、あなたはそば屋を調べたけれども、たいしたことはなかったらしいという話を承ったので、どういうふうにそば屋は文句を言っており、そして大臣の聞いた国税庁としてのそば屋の調査には遺憾がなかったか、どういうふうに理解していらっしゃるか、参考のために伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/105
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106・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そば屋の団体から話がありまして、どうも税収が落ち込むというので、取り立て主義になってきた、それがわれわれのところへはね返ってきておる、これはけしからぬ、こういうのが一般的な言い方です。それから、いろいろなことを言っておりますが、具体的な問題としては、遡及するのは不当じゃないか、こういうことなんです。それで、国税庁に聞いてみますと、事情がありまして、東京でそば屋の調べをしたのです。それから他の局でも東京に見習って調査をしたところがある。しかし、東京におきましては、遡及は特別の例外のもののほかはしないという行政措置をしまして、大体話がまるくついておるようだ、こういうふうな話であります。それから大阪につきましても、東京に準じてやるというようなことをいたしまして、話はむずかしくなってはおらぬ、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/106
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107・横山利秋
○横山委員 私の理解するところによれば、そば屋を含めて業種別指導分担調査方式と、これは横山流の言い方か、国税庁流の言い方か知りませんけれども、業種別に指導という名前をもって重点的に調査が行なわれておるというふうに感ずるのです。私の得ました情報は、ふろ屋からパーマネント、幼稚園等にわたって調査をしてみたのですが、一例をあげてみますと、東京のある区のふろ屋でございます。どういう調査が行なわれたかというと、五軒の幹部のところを五人ずつで集中調査をした。そして、時計でふろへ入っていく人を調べた。まあ、ずっと立っておったのでしょう。そしてまた銀行調査を行なった結果、五軒の人の集中調査は相当増差が出た。それを三年さかのぼってかけることになった。そこで、国税局は組合幹部を呼んで、ひとつこれはあなたのところばかりでなくて、全面的に、われわれの調査によれば、ふろ屋はまあふろを流しておるか、湯をごまかしておるか、とにかくそういうふうに感ぜられる、したがって、組合幹部は全面的に協力をしてもらいたい、協力がされぬならば、われわれのほうとしても考えがある、こういうふうに、すかしたか、おどかしたか、やった。そこで、組合幹部はいたたまれなくなって、組合員全員を集めた、そこへ税務署が来て、そして、大体われわれはこう考える、できるならば、ひとつ重加算になるから、三年春かのぼって修正申告をしてもらいたいというふうに慫慂した。しかしながら、団体交渉は一切受け付けない。個々に修正申告をしてもらいたい。修正申告をお出しにならないということであるならば、やむを得ないから個別調査をする。なるべく私はその調査の結果を客観的にお話をしたつもりなんです。この方式が、私は決して全面的に逸脱行為があるという意味で言っているのではないのです。しかしながら、かねがね本委員会で森脇事件以来取り上げて、全国直税部長会議の議題にもなり、国税庁としても、国会の意思を尊重して、大企業に重点的にやるようにというふうにおっしゃって、それがあちらこちら報道をされておるけれども、一方においては、ふろ屋とかそば屋とかパーマネント屋とか、そういうところもまさに投網をかけたようなやり方、しかも個別調査をしないで、一部の幹部をぐっと握って締め上げて、そこからぱっと広げて、いやおうなしに修正申告させるというふうな方式は、私は少しねらいが違いやせぬか、こういうやり方で次から次へと零細な組織をまるごと、組織ごとに投網をかけていくというやり方については、私はあまり方向として感心しない、こういうふうに考えているのです。まず長官から御意見を伺いましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/107
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108・泉美之松
○泉政府委員 税務の調査にあたりましては、横山委員もすでに先刻御承知だと思いますけれども、税務署の管内におきまして同じ種目の事業を営んでいる人が相当数おられますので、そういった場合に、その営業者の間の課税の権衡をはかるというために、大きい人、小さい人、こういったそれぞれの段階に分けまして、それを調査しておるわけでございます。そして、その実額調査を基準にいたしまして、それに権衡をとって申告の内容を審査する、こういうたてまえになっておるわけであります。いまお話のように、各局におきまして、それぞれふろ屋であるとかそば屋とか米屋等につきまして実額調査をいたしましたところ、申告と調査実績との間にかなり開差の大きい業種のものがあったようでございます。それらの業種につきまして、業種団体を通じまして修正申告を出していただくようにお願いしたわけでございまして、一々調査するよりも、自主的な申告をしていただいたほうが、申告納税制度の本旨に合うのではないかということからいたしまして、そういう向きについては修正申告を慫慂したというのでございます。お話のように、税務の執行にあたりまして、そういう中小企業ばかりを調査しておるのかというような御趣旨かと思いますが、私どもとしては、決して中小企業ばかり調査するということでなしに、前提としては、できるだけ大企業に調査の重点を移し、同時に、申告額と調査額との間の開差の大きい企業あるいは個人を調査対象に選定する、こういうやり方をとっておるわけでございまして、ただ、調査の結果、いかにも申告額と調査額との開差が大きいという業種があり、しかもその差額の状態からいたしまして、普遍的にそういうことが行なわれておるのではないかというふうに認められます場合におきましては、そういった業界団体を通じまして修正申告の慫慂をするのは、適当な方策であろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/108
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109・横山利秋
○横山委員 結論じみたことを少し申しますけれども、私はなるべく客観的にふろ屋の話をしたのですが、この事例を少し理屈をつけて申しますと、こういう欠陥がある。それは、この方式がなかなかうまくいくということによって、その幹部のところが更正決定をする必要があるかないか、脱税をしておるかどうかはわからぬけれども、とにかくやっちゃえとやっちまう。やっちまって、幹部をまずおどすという心理的要素を利用しておる。つまり、ねらい打ちにして一つの投網をかけるためには、その幹部をまずやれ、幹部に脱税の疑いがあるかないか別にして、まずやって、たたけばほこりが少しは出るという気持ちがそこにひそんでおる。その次に、やられた幹部に今度は、あなたのところばかりやらぬで、ひとつ協力してくれ、協力してくれれば何とかするという第二段の心理的要素がそこに働く、第三番目の問題は、そしてたくさんの組合員を集めて、そこでわしらの調査をしたのはこういうことだ、だからあなた方もそうだろう、修正申告してもらいたい、調べやせぬけれどもやってもらいたいということは、その集まった組合員に対する第三番目の心理的な一種のどうかつだと思う。だから、そこの集まった組合員の中に、おれのところは何もやっておりゃせぬで何でもないと、きちっと言っていい人と、まあ、ああ言うものだから、少しふやさなければうるさいぞという心理的要素が働くことは当然なことだ。だから、脱税の疑いがある、更正決定をしなければならぬと見定めをつけて調査がされ、行なわれたのではないということなんです。結果としては、あなたの期待したとおりになったかもしれぬ。けれども調査の方式としては、ずいぶんそこに納税者に対する心理的な作戦的なもの、そういうものが利用されておることはよくない、私はこういう立場なんです。
時間が参りましたから、同僚委員と交代をするのですが、三十分ばかり多少きめのこまかい質問をいたしましたけれども、要すれば、それは冒頭に申しましたように、税法をどんなに変えましょうとも、税務行政の民主化が相伴わなければだめです。それからもう一つは、このねらいを、国税庁でおきめになった大方針である森脇を含めて大きなところをねらい打ちにして、租税の公平の観念、信頼感を植えつけるというようなお気持ちがほんとうにあるならば、こういうような零細企業を投網にかけるやり方が国会で問題になったり、大臣の耳に入るというようなことを避けてもらわなければいかぬというのが私の結論でございます。大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/109
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110・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいまいろいろお話を承りましたが、税務当局は税務の執行をするためにはどうしても調査はしなければならぬわけです。あるいは同業の中で各納税者のバランスということも考えなければならぬ、また、違った業種間のバランスということも考えなければならぬ、とにかく、税法の命ずるところを適正に執行しなければならぬ、そういうことで調査があるのはやむを得ないことでございますが、それに行き過ぎがあってはならぬ、こういうところなんだろうと思います。長官にもよく気をつけてもらいまして、行き過ぎにならないように、しかし、税務の執行は適正を期するように、むずかしいことでありますが、その二つの要請を満足するように一そう努力してもらいたい、かように存じます。
それから、先ほど横山委員から、中小企業に政府支出に対する受注の機会をなるべく与えろ、こういう問題に関しまして、これはもとより中小企業庁が中心でやっております。これはいろいろなことを考えておりますが、大蔵省として検討したいといって提起している五つの問題ということを申し上げたのですが、第一は、入札参加者の資格条件を緩和できないか、こういう問題であります。それから第二は、業者の施行能力のランク制を中小企業者に有利になるよう改善できないか。第三は、中小企業者が受注できるよう分割発注制度を採用できないか、こういう問題です。それから第四は、中小企業者の契約保証金の減免をより大幅に認められないか、こういう問題であります。それから第五は、協同組合等への共同発注をさらに拡大する方法はないか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/110
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111・横山利秋
○横山委員 せっかく御努力を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/111
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112・三池信
○三池委員長 平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/112
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113・平林剛
○平林委員 私の質問に入る前に、先ほど横山委員が指摘をされました銀行等の未収入利息に対する取り扱いについては、私きわめて重要な問題であると考えるのであります。それで、いずれ横山委員から要求されました資料について提出があった後に、私どもとしてもこれを取り上げて問題にしていきたいと考えております。
そこで、あとで銀行局長がおいでになりましたならば、昭和二十六年当時の国税庁長官とそれから銀行局長の名前、銀行局長おらなくても、だれかわかっておれば、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
同時に、会計検査院からこの問題について指摘を受けた。そのときに、この問題については何らかの善処がなければならぬはずであるのに、そのまま放任をされた。しかし、会計検査院の指摘ですから、何の議論もなくほうりっぱなしにしていたということは考えられないわけでありますから、そのときに、政府としてはどういうような話をされて、どういう結論でもってそのまま過ごされたのか、その理由をひとつ明らかにしてもらいたい。
もう一つは、昭和三十八年に税制調査会が、これはもう適当でないということで、答申の中にその意見が盛られたのにかかわらず、これは大蔵大臣のほうの責任になると思うのでありますが、今日に至っても措置をされなかった。本日横山委員の指摘によって初めて大臣も聞いた、こういうお話のように、捨てておいたという理由はどこにあるのか。私は、これらの問題については十分解明をされて、そして後にこの問題についての取り扱いをどうするかということをきめねばならぬ性質のものだと思っております。したがって、後ほど私のこの三つの問題についてお答えができる段階になりましたら、途中でもいいですから答えてもらうということにいたしまして、私の本題の税法についての質問を行なってまいりたいと思います。——先ほどの私の質問についての回答も次回まで留保してけっこうです。
そこで、きょうはこれから税法についてこまかい質問を展開しようと思っておったのですけれども、諸般の事情で次の機会に大蔵大臣が御出席のときを得て始めたいと思いますので、きょうは私は全部次回に一たん質問を留保しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/113
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114・三池信
○三池委員長 次会は、来たる十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X02019660311/114
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