1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十五日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
砂田 重民君 西岡 武夫君
毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺 栄一君 渡辺美智雄君
小林 進君 佐藤觀次郎君
只松 祐治君 藤田 高敏君
山田 耻目君 春日 一幸君
永末 英一君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(銀行局保険部
長) 上林 英男君
委員外の出席者
参 考 人
(保険審議会機
構部会長東京都
民銀行頭取) 工藤昭四郎君
参 考 人
(損害保険料率
算定会理事長大
正海上火災保険
株式会社社長) 村瀬 逸三君
専 門 員 抜井 光三君
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四月十四日
委員有馬輝武君及び小林進君辞任につき、その
補欠として淡谷悠藏君及び角屋堅次郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員淡谷悠藏君及び角屋堅次郎君辞任につき、
その補欠として有馬輝武君及び小林進君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として永
末英一君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十三日
税制改正に関する請願外二件(山田耻目君紹
介)(第二八五九号)
同外六件(山田耻目君紹介)(第二九一三号)
戦傷病者の恩給担保融資額の是正に関する請願
(大坪保雄君紹介)(第二八八四号)
同(藤本孝雄君紹介)(第二九一〇号)
同(森下元晴君紹介)(第二九一一号)
同(西村直己君紹介)(第二九五〇号)
各種共済組合法の増加恩給受給権者に対する不
均衡の是正に関する請願(増田甲子七君紹介)
(第二九一二号)
同月十四日
農業所得における専従者控除引上げ等に関する
請願(池田清志君紹介)(第二九九三号)
税制改正に関する請願(野口忠夫君紹介)(第
二九九四号)
戦傷病者の恩給担保融資額の是正に関する請願
(相川勝六君紹介)(第三〇二六号)
同(加藤常太郎君紹介)(第三〇二七号)
同(小金義照君紹介)(第三一二七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地震保険に関する法律案(内閣提出第七三号)
地震再保険特別会計法案(内閣提出第七四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
地震保険に関する法律案及び地震再保険特別会計法案の両案を一括して議題といたします。
本日は、お手元に配付いたしました名簿のとおり、参考人の方々が御出席になっております。
両参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。
本委員会におきましては、地震保険に関する法律案及び地震再保険特別会計法案の両案につきまして、審査を行なっているのでありますが、本日、両参考人より御意見をお伺いすることは、本委員会の審査に多大の参考になるものと存じます。両参考人におかれましても、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願い申し上げます。
まず、参考人の方々より御意見をお述べいただき、そのあとに質疑を行なうことといたします。
それでは、まず、工藤参考人からお願いいたします。工藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/1
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002・工藤昭四郎
○工藤参考人 地震保険制度につきましては、従来いろいろの論議がかわされておるのでありますが、いろいろの支障がありまして実現がおくれておったのであります。ところが、たまたま新潟地震が起こりまして、その被災等の関係から、一昨年の七月に、地震保険制度の確立に関する具体的方策について、大蔵大臣から保険審議会に諮問が出されたわけでございます。この地震保険問題を主として機構部会が審議することになりました。
機構部会に回されたわけでございますが、問題が専門的でなかなかむずかしいものでありますから、小委員会を設けまして、それで審議を続けることになりました。
たまたま私が機構部会の部会長でありましたので、小委員会の委員長としまして意見を取りまとめることになったわけであります。一昨年の十月から八回にわたりまして小委員会を開きまして、いろいろ審議いたしました。その結果、昨年の一月に小委員会としての案がまとまりまして、その小委員会の結果を機構部会の審議にはかりました。そして去年の四月の総会にかけまして、その総会の議を経まして答申を決定したわけでございます。
きょうは参考人としてお呼び出しにあずかったわけでありますから、審議会において問題となれました点を御説明申し上げることにいたします。
最初に問題となりました点は、はたして地震の危険が保険の対象になるかどうかということであります。御承知のように、地震というのは、いつ、どこで、どんな規模で起こるか見当がつかぬものでございますから、従来この点が大きな障害になっておったわけでございますが、特に関東大震災のように非常に巨大な震災でありますと、保険の数理にのりにくいのでございます。民間の保険会社ではとうてい処理ができないというような点もございまして、今日まで延び延びになっておったのでございます。ところが、最近になりまして保険会社のほうでもこの問題についてだいぶ積極的になりました。ぜひこれを具体的に実行したいと思っても、なかなか現在の保険会社では力の及ばない点がございます。したがいまして、これを実現させますためには、長期にわたりまして収支のバランスをとっていくようなことができる国が関与することが必要であろう、これが第一の問題であり、それから、損害の過大な集積を避けること、それから、この制度を普及させますために、いわゆる逆選択を防いでいく、こういうことの三点が前提となりまして制度の具体的内容の検討に移ったわけであります。
国の関与につきましては、いろいろ議論がございました。しかし、結局、現在の法案にありますような政府の超過損害額再保険方式が最も適当であるという結論になったのであります。
第二の損害の過大集積の排除につきましては、たとえば、支払い保険金の額をもとの契約、主契約の三割を前提とし、かつ、建物につきましては九十万円、家財につきましては六十万円、合計百五十万円を限度とする、こういう意見に一致したわけでございます。国が再保険をするといたしましても、無制限の負担を負うわけにはまいりませんし、異常な大きな地震が生じました場合には、支払い保険金の総額をあらかじめ定めた限度をもって頭打ちにすることがどうしても必要になってくるわけであります。第三の逆選択の防止につきましては、総合保険に自動的に付帯するというたてまえをとったのでございます。
その他の点につきましては、審議会から大蔵大臣あてに答申書が出ております。また、主要審議内容として別にまとめたものを大蔵大臣に御報告申し上げておりますので、説明は省略することといたしますが、審議会として特に苦労したという点がございますので、そのことについて若干御説明申し上げます。
そのおもなものは、第一に、支払い保険金額の程度、これをどうするかという問題であります。第二に、保険金額の削減の問題第三に、いわゆる全損に限りますか、あるいは分損もカバーしますか、こういう問題が論議にのぼってきたわけであります。
第一の問題につきましては、何しろ地震災害が時に非常に巨大なものとなりますために、付帯せられますもとの契約の保険金額、すなわち主契約の保険金額と同額、つまり一〇〇%まで支払うということになりますと、これは巨大な金額になりますので、とうてい不可能であると考えられます。支払い割合、すなわち、主契約の保険金額のある一定の割合を支払い保険金とすることを考えざるを得なかったのでございます。この場合、たとえば、関東大震災のような非常に大きな震災ということのみを前提として、すべての場合に一定率の保険金の割合を考えますと、その割合は当然これは低くなってくるのでございます。そこで、比較的小規模の地震災害の場合には、もっと支払いの割合を厚くしたらどうだ、災害の程度に応じて段階を設けたらどうか、こういう議論も出てまいりましたが、これには料率算定がほとんど不可能なんです。これはむずかしい程度を通り越して、ほとんど不可能だ、こういう意見が強かったのであります。また、被災者の公平を失するという考えもございまして、そのために、震災の規模にかかわりなく、一定率の割合がいいだろう、こういう結論になりました。もちろん、この率は高ければ高いほど被災者にはよいのでございますが、保険料負担も上がるし、支払い金総額もふえるということになりますので、先ほど申し上げましたように、もとの契約の三〇%、三割ということに取りまとめた次第であります。
なお、建物を九十万円、家財を六十万円、合計百五十万円を支払いの限度といたしましたのは、この保険の性質にかんがみまして、主契約の金額がいかに高額でございましても、常に三〇%払うということになりますと、大きな災害のときには支払い金額が非常に大きくなりますので、現在におきましては、建物については、ただいま申し上げました九十万円、家財につきましては六十万円、合計百五十万円を一応の限度とする、こういうことに話がまとまったわけでございます。
第二に、保険金の削減は、保険の常識としましては考えらるべきではないという議論も出てまいりました。しかし、これは国の債務負担にもおのずから限度がございますので、この規定を置くことはやむを得ない、こういう結論になったのであります。
したがいまして、私どもといたしましては、わが国において予想される大震災のときにおきましても削減の事態が生じないよう配慮されたいという希望をいたしましたが、この案の内容によりますと、関東大震災程度の大きな地震が起こりましても、支払い率をそれ以上削減する心配はないというお話でございました。その点は私ども安心しておるわけであります。
第三に、全損に限るかいなかの点でございますが、これは契約者の保険料の負担の面、あるいは分損額査定技術上なかなかむずかしいのでありますが、技術上の事務能力の面、あるいは損害の集積への影響面、つまり、支払い金額が非常に大きくなるおそれがある点、そういう点から考えました結果、国民生活の最低の線、つまり、災害後の生活を安定させるという点から、住宅が残った被災者と、それから全く住居を失った人とを区別したほうが合理的ではないかという考え方から全損だけを取り上げたわけであります。
答申案の内容につきましては、おそらく不満足な点が多いだろうとは思いますが、もともとこの問題は非常にむずかしい問題に取り組んだわけでございまして、当初から理想的な方向に進むということはどうも実情に合わないというようなところから、まず現実的に可能な案によって制度の発足をはかる、こういう考え方から、私どもが答申しました線は現状においては精一ぱいのところだと思うのです。
審議の経過は以上のようでございますが、この審議に当たりました私どもとしましては、この地震保険制度が一日も早く実現せられることを強く望んでおります。その点よろしく御審議をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/2
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003・三池信
○三池委員長 次に、村瀬参考人にお願いいたします。村瀬参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/3
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004・村瀬逸三
○村瀬参考人 村瀬でございます。御指名によりまして、私の考え方を述べさせていただく次第でございます。
御承知のとおり、わが国は世界一の地震国でございます。ことに日本の地震が放出するエネルギーは、世界の全地震の放出するエネルギーの約十分の一、一割に相当するということが言われておる次第でございまして、私ども損害保険事業に携わる者といたしましては、できることなら、地震による損害を担保して、地震国日本国民の生活の安定のために寄与いたしたいものだとかねがね考えておりましたし、また、実際に研究したこともいろいろあるのでございますが、火災保険は、御承知のとおり大数の法則で年々の損害率をおよそ把握することができるのと異なり、地震は、被害を起こすような地震が全くない年があるかと思うと、続いて起こる年もございますし、また発生の頻度が現在の段階でははっきりこれをつかむことができないわけでございます。あるいは地震による損害の度合いを統計的に把握することができないとか、あるいは学問的にもまだわからない面がたくさんあるようでございます。われわれといたしましても非常に苦労をいたしたわけでございます。損害の規模にしましても、先ほどお話がございましたように、関東大震災のような損害がいつまた発生するかもわからない次第で、あるいはそれ以上の地震が発生する可能性もないわけではないのだろうと考えられます。したがって、これを保険制度に乗せることはわれわれとして非常に困難性があると考える次第でございます。
たとえば、関東大震災のときに罹災した物件のうち、火災保険がついていたものの保険金額が当時十五億九千万円であったのに対して、そのときの保険会社の総資産が二億三千万円しかないわけです。もしかりに当時の保険会社に保険金支払いの義務があったといたしましたら、申すまでもなく大部分の保険会社は破産の状態におちいるようなことになってしまったわけです。
われわれ損害保険会社といたしましては、別に普通の火災、海上、自動車、航空保険その他各種の保険責任を引き受けておりますので、地震保険だけのために全財産を投げ出すことはちょっとできがたいと思うのでございます。また、かりに全財産を投げ出しましても、引き受けております保険金を支払うことは不可能な状態だと考えられるわけであります。民間の保険会社の力だけではとうてい処理し得ないというのがわれわれの結論であったわけでございます。
したがって、地震保険というものは、われわれといたしましても、何百年という長い盾の年月を通じてこれの収支計算をしなければならない性格のものでございますので、われわれ一年ごとに決算をしなければならない民間企業のベースには、ちょっとこれだけをとりましては乗りがたいと考えられるわけで、このようなことから、今日まで、われわれといたしましても、普遍的な地震保険をつくり得なかったのでございますが、われわれ業界といたしましては、以上申し上げたように、何とか実現の道はないかということは考えておった次第でございます。そうしておりますうちに、一昨年六月に新潟地震が起こりまして、その折、さっそく当大蔵委員会におきまして、「速やかに地震保険等の制度の確立を根本的に検討し、天災国ともいうべきわが国の損害保険制度の一層の整備充実をはかるべきである。」という附帯決議が行なわれたわけで、当時、私ども従来の研究を一歩進めて、何とか実現すべきものと決心を固めておりましたところ、たまたま大蔵大臣におかれましては、さっそく保険審議会に対してその具体的方策について諮問をされました。かくして、政府におかれてはその審議会の答申を受けて、目下当委員会において御審議中の法案を御提出になることになったわけでございます。
われわれといたしましては、政府の再保険措置等のバックアップをたよりに地震保険制度を始めるのでございますが、前にも申し上げましたとおり、私どもは、従来から営業をいたしております各種の保険契約に対して非常に大きな責任をしょっております。もし地震保険を実施いたしましたがためにこれらの契約者の方に御迷惑を及ぼすようなことになっては、国民生活の安定あるいは産業経済の維持発展というものに影響を及ぼすようなことがあってはたいへんと思うのでございます。そういう意味におきまして、いまでも非常に心配はしておるのでございますが、何とか社会の要請に応じなければならないという考えを持ちまして、われわれは決意をしたわけでございます。
政府に再保険する方法をとって、民間保険会社として一事故についての責任額に限度が設けられておりますけれども、この地震保険を創立いたしまして早々にあるいは大地震が発生することがあることも考えられるかもしれませんし、地震による被害の大きさによっては、経済界も相当の混乱を来たしまして、保険会社といたしましても資産を直ちに換金することが困難であったり、好ましくないというようなこともあり得るかと存じます。
そのような場合には、契約者全般の利益保護に欠ける事態にならないように、どうか政府におかれましては、この法律の趣旨を十分おくみ取りいただいて、その運用にあたっては慎重に御配慮くださるようお願いいたす次第でございます。
また、この保険の内容については、われわれもそう思うのでございますが、またいろいろ御不満な点もおありになることと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、数百年の長い年月をかけて、どうにか長い年月の統計をとりまして、何とかこれの収支相償う程度の低い保険料率を考えておりまして、また経費もこういうものでございますので、極力切り詰めたものでやろうと考えております。われわれは、もとよりこの保険から利益を得ようというようなことは少しも考えておりません。逆に、場合によっては、保険会社といたしましては配当もできかねるような事態も起こり得るかとも覚悟して実施に踏み切った次第でございます。内容的にはいろいろ不十分な点もございますと思いますが、従来何度か研究を試みながらも実現しなかったこの保険制度を、どうにか実施にこぎつけたというところにどうか意義をお認めくださいまして、本法案のすみやかな成立をおはかりくださいますようお願い申し上げる次第でございます。
はなはだ簡単でございますが、私といたしましての意見を申し述べた次第でございます。どうも失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/4
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005・三池信
○三池委員長 続いて質疑に入ります。
通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/5
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006・只松祐治
○只松委員 せっかく御両名がお見えでございますので、地震保険の問題をお尋ねする前に、二、三保険一般の問題についてもひとつ御高見を賜わりたいと思っております。
保険と一口に言いましてもいろいろございますが、しかし、たくさんあるこの保険でも、これを要約いたしますと、お互い人間同士が、火事なりけがなり何なりいろいろ不幸な事態が起こったときに相互に助け合おうというのが保険のできた趣旨だし、今日ある趣旨だと思うのですが、そういうことで相互保険、相互という字がたくさんに使われておるのではないか、そういう意味で、私は、保険は、いわゆる支配者とか被支配者とか、あるいは権力者とか権力者でないとか、こういう関係ではないと思う。相互が保険の大前提だと思う。しかし、今日ややもすると、何かマンモス化した大会社と被保険者とが、支配者、被支配者、権力者と非権力者、こういう形の面が相当強くあらわれておるのではないか、こういう印象を受けるわけなんです。ひとつこの際、保険業の本旨について、村瀬さんからでもけっこうでございますが、御高説を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/6
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007・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまのおことば、われわれとしても大いに参考にしなければいけないことなのだと思うのでございますが、われわれはそういう考えは毛頭持っておりませんで、保険はお互いに契約を取りかわした内容であって、決して支配をするとか、そういう考えは毛頭持っていない気持ちでやっておるのでございますけれども、ただいまのおことばのような節があちらこちらにもしもあったといたしましたら、われわれのまことに不明のいたすところと存じまして、今後ともそういう点のないように十分われわれとしては心を配りまして、代理店のほうにも、またわれわれの仕事をなすほうにもよく申しつける所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/7
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008・只松祐治
○只松委員 村瀬さんのみをいじめるとか、そういう形ではないわけでございまして、保険業務一般についての趣旨を、あといろいろ御質問をいたしますので、お伺いしたいと思ったわけです。ひとつ相互保険の趣旨を、衝に当たられる方はぜひ生かしていただきたい。
次に、いま参考資料を多少いただいておるわけですが、この数年間のデータを見ましても、生命保険においては完全に三倍、損保の中の火災保険に例をとってみましても二倍半、こういう契約金額が出てきております。こういう契約高あるいは契約口数、大ざっぱなものでけっこうでございますが、そういうものをお知りならばお知らせいただきたいし、もしなければ、大体そういうものに間違いはないかどうか。それに関連しまして、保険料率の低下にいかように努力をなされましたか。そういう点もあわせてお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/8
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009・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまの御質問、確かに、物の価格が上がっておりますので保険価格が非常に上昇しております。私もいま詳しい数字はちょっと覚えておりませんで、まことに申しわけありませんが、しかし、保険料のほうは終戦直後のいろいろなごたごたのときに多少の値上がりがございましたりいたしましたけれども、私いま記憶しておりますところでは、昭和二十三年以来年々と保険料は引き下げまして、現在はその当時の約半分くらいが平均したところの料率ではないかと考えております。今後もわれわれといたしましては、こういう仕事に従事しておりますものですから、われわれもできるだけ合理的な方策を講じまして会社の経営をいたしまして、料率をできる限り安くして皆さまにお報いしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/9
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010・只松祐治
○只松委員 たとえば生保でとりますと、三十四年四月一日で料率が二十八円九十銭、現状においては五十万円未満の場合二十七円八十銭、五十万円以上の場合二十六円八十銭、いわば一円十銭か二十銭しか差がない。それから損保の火災を見ますと、やはり同じく三十四年からのデータですと、普通物件で平均料率が三十四年に四円五十七銭がいま三円九十五銭ですから、これは一円も下がっておりません。六十何銭です。しかし、契約高のほうは、生保のほうで、さっき言いますように三倍以上、火災保険で二倍半以上、こういうふうにたいへん増加をいたしております。したがって、生保、損保の収入も大幅に増加をしておることは当然でございます。いわゆる保険会社が一口にもうけ過ぎておるというようなこともございますが、もうけ過ぎておるか過ぎてないかはここの論議じゃございませんから別にいたしまして、こういうふうに全体の契約高が急にふえてきておるならば、私たちはもう少し料率その他にも御努力があってしかるべきだと思う。いまこまかいデータを持ち合わせてないようでございますけれども、こういう機会でございますから、私たちもぜひ保険料率の一そうの低下のためにお骨折りをいただきたいと思います。
それから次に、いわゆる名目は相互保険でございますけれども、何人かの代表者を選んで代表社員とかなんとかいうのでいろいろ運営がなされておりますが、こういう形よりも、ここまでマンモス化しますと、完全に法人化する、あるいは近代化を別な方向から考える必要が保険業界にはあるのじゃないか、こういうことも考えます。特に地震保険なんかは、これは任意じゃなく、強制的に加わらなければならぬわけですから、そうすると、もう地震保険になると単なる相互ではないのですね。だから、そういう面からしますと、もっと保険業界全体のあり方という問題について御検討をいただかなければならぬ時期にきておるのではないか。そういう意味で、御両人とも審議会の委員だそうですが、保険業法全体の相互から――まあ、精神は相互でございますけれども、それから脱皮して、完全な法人化あるいは近代化という形をとる必要があるのじゃないか、こういうふうにも考えますが、工藤さんでけっこうでございますが、ひとつ御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/10
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011・工藤昭四郎
○工藤参考人 いまのお話の問題につきましては、審議会に経理部会というのがありまして、もう一つ契約部会というのがございますが、その方面で主として論議せられております。機構部会では話にのぼらなかったわけでございます。しかし、相互会社がいいか株式会社がいいか、そういうわけで、私は個人としましても、その選択についてはここで結論的な考えは持っておりませんから十分のお答えはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/11
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012・只松祐治
○只松委員 まあ、こういうばく然たる論議では、抽象論はいろいろあるわけですから、なかなか結論は出ないと思います。たとえば、これはあとで地震保険の場合にもお尋ねしようと思うのですが、損保の場合に例をとりますと、火災が起きる、その火災の支払い金額をどう認定していくかということで常に問題なり紛糾が起こるわけです。いわば、これはたいへんに恣意的なものです。中央には確かに学識経験者を中心にした審議会をおつくりになったようでございます。大きな問題で根本的な対立が生じればそこで審議する、こういうことになっておるようでございますが、この人たちといえども、それぞれの仕事をお持ちになったお方であるし、専門家ではないわけです。これだけの膨大な損保事業のいろいろな諸問題にタッチし得る方々ではない。たとえば、東大教授の鈴木さんとかあるいはNHKの福良さんとか、長期信用銀行の浜口さんとか、いろいろほかに仕事をお持ちの方がおやりになっておるわけですから、いわば名目上あるというにすぎない。名目上のこういうものではなくて、いろいろそういう問題が起こってきた場合に審査をする公正な第三者機関というものが、保険業務としては当然に必要ではないか。私が近代化と言うことは、そういうことも含んでおるわけです。保険会社は、まあ第三者といえば、消防署なりあるいは警察なり、そういうもののいろいろな事情を聴取して認定の基準にはされておりますけれども、必ずしもこれは妥当ではない。私が近ごろ関与した一つの事件ですが、二百九十万円の契約をなさっておって、まあ、自分の家も事実上まる焼けになったし、隣も焼いたから、隣からも損害要求をされておるし、何としても二百五十万円くらいほしいところであったけれども、二百二十万円で打ち切られた。二百二十万円になるときに、とにかくこうやってとりあえず判こを押しなさいというので、本人は不服だけれども、とりあえずということで押したら、相手の損保の保険会社は、いや、もうその人は御納得して円満妥結しました、こういうことで一方的に打ち切られて泣き寝入り、こういうことです。火事場どろぼうじゃございませんが、どさくさでございますから非常にその当事者は意気消沈をいたしております。あるいは幾らか金でもほしいというときでございますから、その弱みにつけ込んでと言ってはなんでございますけれども、泣く泣く判こを押す、片方は円満妥結だ、こういうことになります。これは私が現に仲に入って損保協会にも口をきいた事件です。二百二十万円ではだめですからひとつ出してくれ、こういって私のほうからお願いしたけれども、片一方では、これは円満妥結だ、こうやって、私たちが仲に入ってさえもそういうふうに一方的に打ち切られる。まして私たちが口でも出さなければ、そんなものはどうなるかわからぬというのが損保の支払いの実態なわけですね。だから、そういう査定のしかたはきわめて非近代的、手工業的ですよ。そこで紛争が起きると、個々の被災者の場合はよけいにほしいわけですから、それを裁定する第三者機関、公平な機関というものが必要になってくると思う。そういうものがなければ、契約するときには被契約者にいわば頭を下げて入ってもらう、いざ支払うというときには、柱一本残っていても支払わない、こういう事態が出てくる。ただ、地震保険の場合なんか、頭打ち百五十万円に限定されるだけに、きわめてそういう重要な問題が発生してくる可能性がある。そういう点についてもひとつ御考慮をいただいて、いまのこういう有名無実の第三者機関ではなくて、もっと実際に動く第三者機関で公平な判定をするということに御努力あってしかるべきだと思いますけれども、いかようにお考えですか、お考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/12
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013・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまのお話、まことにごもっともなことだと思うのでございます。もし保険会社のほうから強制的にあれしたというようなことが感じられるような感じを被保険者の方に与えたとすれば、これは私どもはなはだ行き届かない次第だと思うわけでございまして、そういう場合には、われわれといたしましても十分によく被保険者の方にお話をして、よくわかってくださるように注意をしていたしておる次第でございます。また、いまのいろいろの保険の問題につきましては、各保険会社がまた出先に相談室というものを設けておりまして、いろいろそういう御相談にも応じるようにもいたしておるわけでございますし、また、保険会社と被保険者との間にいろいろのトラブルがもし起こった場合には、調停委員という第三者の方も入っていらっしゃいます委員会を設けておりまして、そこにお諮りいただいてもいいような方法を講じているわけなんでございますけれども、原則といたしましては、いまお話しになりましたように、われわれといたしましても、契約当初そういう話がなくて、契約のあとからそういう話がくるというお話をときどき耳にするものでございますから、われわれの契約をいただく者あるいは代理店にはそういうことをよく申しつけているのでございますけれども、そういう被保険者の方が罹災した場合に、十分御納得をしてくださるように、よくこの上とも説明をさしまして、そうして事件を解決していくように持っていきたいと思っている次第でございます。
以上が私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/13
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014・只松祐治
○只松委員 私は、個々の事件の解決方法ではなくて、保険業務全体がそういう意味で近代化のための努力を――旧態依然たる姿で、相互保険の形で発足した当時のままの形、精神はそれでいいけれども、経営形態を変えるように努力してもらいたい、こういうことを言っておきます。
次に、地震保険についてお尋ねをいたしますが、皆さん方そこの中にお入りになっておったわけですが、いろいろ御不満の点その他もあると思いますけれども、率直に、この法案で十分だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。個々の皆さん方としては、もう少しこういう点をどうしたかったのだ、そういう御意見でもございますかどうか、工藤さんからでもどちらからでもけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/14
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015・工藤昭四郎
○工藤参考人 さっき申し上げましたように、金額の点その他についていろいろ意見が出たわけです。九十万円、六十万円という金をもらっても何も役に立たないだろう、現在の物価水準からいって、そんなものは何もならぬじゃないかという意見もずいぶん出ました。しかし、何しろ巨大な地震が起こりましたときにどのくらいの保険金の支払いになるか、その見通しもなかなかつきかねるような状態でございますから、災害を受けた人がとにかく最低に生活安定ができるような、家だけでもお持ちになるような方向に持っていきたい、そういうことから出発する以外に道はないのじゃないかという考えでございます。ただ、今後長期的に大きな震災等がない場合には、保険会社の保険金支払いの担保になる財産もだんだん集積されるものですから、相当の力が出てくると思うのです。そういう状態に見合わしてだんだんそういう不満足な点は改善をしていく、こういうような動きが強かったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/15
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016・只松祐治
○只松委員 そういたしますと、とりあえずはこの程度で、順次基本的な地震対策に見合うようにというお考えのようですが、そうすると、特別に建物を三百万円、家財を二百万円、したがって、九十万円と六十万円ということに限定された根本的な理由というものはないので、大体こういうところを一つのめどと、こういうことでございますか。何かそこいらに特別の――あと審議する上に多少関係があるものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/16
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017・工藤昭四郎
○工藤参考人 地震につきましては、世界的の地震の歴史のレクチュアを受けまして、大体どういう大きさのものがいつごろ起こったかということを勉強したわけです。しかし、われわれが経験しておる範囲内においては、関東大震災というものが被害額が一番大きかったものですから、それを頭におきまして、それと国庫の負担能力、それから保険会社の保険金支払いの担保力、その現在額がどのくらいであるかというようなことから割り出しまして、大体予想金額をきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/17
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018・只松祐治
○只松委員 それから次に、私はいま第三者機関をもっと完全なものを設けたら、こういうことを言ったわけですが、この地震保険の場合も、たとえば火災ですと、建物が三百万円、家財二百万円を完全焼失の場合に受けられるわけですが、それが地震と認定された場合には、建物九十万円、家財六十万円、最高百五十万円しか受けられない。あるいはまた、五百万円でもそうですが、一千万円なり二千万円なりおつけになっておれば、火災保険の場合はもっと完全にもらえる。これが地震だということに認定されますと百五十万円で打ち切りになってしまう。これはぼくは必ず争いができると思う。たとえば、大地震が起こってがらがらっときて、関東大震災みたいなものが起こったというなら、これはまあ地震でいいでしょう。たとえば、さっき火災の場合は認定がなかなかむずかしいということを私は申し上げましたけれども、松代地震がいまたびたび起こっておりますが、それでたまたま同時に停電をしておった、停電をしたからろうそくを立てておった、ろうそくを立てておったら地震のゆれがきて、ろうそくが倒れて、それが原因で火事になった。これが地震が原因であるか、あるいは単純火災であるか、この引例は必ずしも十分ではございませんけれども、こういういわゆる地震であるか、単純火災であるか、それも一軒か二軒焼けたならまた別だと思うのです。わりと簡単に単純火災で片づくだろうと思う。たまたまそこに強風が吹いておって、三沢ではございませんけれども、それが大火になったというように、すべてのそういう条件が重なり合った場合には、さてこれは地震保険で支払うか、損保会社としては当然に地震保険のほうが被害が少ないわけですから、それを適用しよう、こういう論議が出てくるだろう。しかし、地元の町民や市民は、それでは百五十万円で打ち切りになりますから、これは地震ではないという形で市民がかばい合って、これは単純火災だ、こういう争いが、普通の火災保険みたいに個々の契約ではない事態が――契約は個々ですけれども、全体としての問題が出てまいりますから、当然そういうものをどこで判断していくかというたいへん困難な事態が、現実問題として起こった場合には発生するだろう。しかも常に関東大震災とか新潟地震とかいう大きい場合だけでなく、いわば部分的な地震においてもそういうことが起こり得ないとも限らない。こういうことを御討議になりましたかどうか、これが一つ、それから、そういう事態が起こった場合には、どういう機関で、どこで判定をなされますか。まあ、新しい法律をつくる場合には一応あらゆるものを想定した論議を行なっておくことが必要だと思います。私はここにも問題があると思います。御審議の経過をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/18
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019・村瀬逸三
○村瀬参考人 いまの御質問にお答え申し上げます。
確かに、いまお話になったように、その原因が地震に基因するものか、単純な火災かということは、非常にむずかしい問題だと思うのでございます。われわれにいたしましても、そういう点についてのいろいろなケースを、目下そういう損害が起こったときの問題についてはいろいろと検討しているわけなのでございます。確かに、おっしゃったようにいろいろの問題が起こることは考えられるのですけれども、いままでもいろいろのケースもあるのだと思うのでして、やはり地震に基因するか、あるいはこれは単純な火災に基因するかという問題については、われわれのいままでのいろいろな経験からも出てまいりますし、判断でき得るような人も相当われわれの保険会社の中にも養成してございます。また、それで御不満の場合、いろいろその原因をきめていただく機関もあるだろうと思うのでありますので、いま一がいにそういう点についてどうだということを申し上げかねますけれども、確かに、お話のように非常にむずかしいケースも起こるだろうということをわれわれ想定して、いろいろ研究しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/19
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020・只松祐治
○只松委員 だから、地震、火事、強風その他いろいろなものが総合して、そこに、たとえば津波なんかも入ってくるわけです。伊勢湾台風の問題とかああいうものを全部考えた場合でも、いろいろなものがふくそうすることが予想されるわけです。そういうものを単に感情や経験だけじゃなくて、最終的には訴訟を起こせばいいという形になるかもしれませんけれども、そういうことでなくて、新しいこういう法律をつくるならば、やはりそういう問題を想定して、その紛争をどこかで防いでいく、こういうことも当然に考えなければならぬ。そのためには、ぜひ私が前に申しました一般的な保険業務とともに――特にこの場合は百五十万円頭打ちが出てくるわけです。頭打ちが出てこなければ、一千万円かけているのを七百万円か六百万円かの争いである程度話がつきますよ。火災保険なら五百万円も八百万円も一千万円もかけていてももらえる。ところが、地震保険だということになりますと、これが百五十万円で頭打ちになってしまうわけですから、必ず大問題が起きてくるだろうと思う。そういう問題が予測できるわけです。私たちしろうとが考えただけでもすぐそういうことがわかるわけですから、皆さん方専門家としては、事前にそういう第三者機関を設けて、そういう紛争が起きないように、あるいは公平に判断ができるように立法のときにあたって御考慮いただきたい。これは私たちがいまから法律をつくるわけでありますから、いろいろ論議をいたしますけれども、皆さんのほうでも御配慮をいただきたい。
最後に、生命保険の場合に控除額がわりあい高いわけですが、損保の場合は所得税の控除額は火災保険で二千円にしかなっていないわけです。たとえば五百万円かけて、大体一万円の保険料を払っていく、今度百五十万円かけますと、したがって五千円の保険料が上がっていくわけです。そうなりますと、自然にこれは所得控除額も引き上げなければならぬと思うのですが、生保に対して損保は低いということ、さらに今度は、ここで半ば強制的に五千円かけていく、こういうことになってくるわけですから、その審議会の中で保険控除額等についても御論議になったり、あるいは政府当局に要望されたとか、されるとか、そういうようなことがありましたかどうか。もしなかったとするならば、そういう点についてどういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/20
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021・工藤昭四郎
○工藤参考人 機構部会で地震保険問題を審議しましたときにはそういう問題は起こりませんでした。しかし、控除額について生命保険と非常な開きがあるということは、何かバランスがとれていないような気がしますから、そういう点は改めていったほうがいいのじゃないかという感じはしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/21
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022・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまのお話、われわれといたしましても非常に考えておるところでございまして、いま二千円が所得から控除されておるのでございますけれども、二千円といたしますと――これは単なる火災保険だけでございますが、一番安い料率二円といたしましたら、百万円の保険金額がつくことになりますけれども、しかし、別にいろいろの保険をまたつけていらっしゃいます、あるいは傷害保険とかいうようなものも保険料を払っていらっしゃるわけでありますので、われわれといたしましては、火災保険だけではなく、損害保険全体の保険料を所得からどれでも控除できるようにしていただく、これはわれわれの希望だけでありまして、国の財政いろいろなものに関係いたしますからまた別でございましょうけれども、われわれといたしましては、昨年度も一万円ぐらいは控除していただきたいのだということをお願いしたわけで、また、いまのおことばにもございますように、今度は地震保険というものをおつけになりますと、どうしてもやはりそれだけまたふやした保険料というものをお払いになることになりますから、われわれといたしましても、いまの点については今後関係当局のほうにもお願いをし、また皆さま方にもそういう点についての御配慮をいただくような機会があるかとも思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/22
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023・三池信
○三池委員長 小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/23
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024・小林進
○小林委員 参考人の先生方、まことに御苦労さまでございます。
私、新潟でございます。あの新潟地震のときに、これは銀行関係ではございません、保険会社の協会といたしましてお幾らをお払いくださいましたか。金一封をたしかいただいたはずでございますので、幾らでございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/24
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025・村瀬逸三
○村瀬参考人 われわれといたしましては、御承知のとおり、保険契約の内容によって、あれは地震に基因した火災が多いものでございますから、それにお支払いできなかったわけでございます。しかし、われわれ一般の損保協会が義援金といたしまして、たしか私の記憶では二億円かと思うのでございますが、これを適当にお使いいただきたいといって、現金を寄付いたしたことを記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/25
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026・小林進
○小林委員 金一封でございますかな。金一封、二億円なりをちょうだいいたしたわけでございますが、あのときには、新潟には労働組合が主体になって経営しております福対協というものがございまして、それがやはり損害保険、火災保険等をやっているのでございますが、まあ、規模の非常に小さい保険でございまして、これは加入者には全部保険金を支払ったはずでございますが、こういうことを御存じございませんでしょうか。――これは大蔵省のほうでもけっこうですが、大蔵省、どなたか御存じありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/26
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027・上林英男
○上林政府委員 そういうお話は伺ったことはございます。消費生活協同組合の場合におきましては、若干の見舞い金と申しますか、詳しいことはよく存じませんが、お払いになっているということは聞いたことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/27
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028・小林進
○小林委員 いま見舞い金のことを協会のほうから聞いたのだけれども、福対協のほうからは加入者にそれぞれ加入金額をみな支払ったはずだと記憶しておるのです。あなたは知っていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/28
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029・上林英男
○上林政府委員 詳しいことはよく存じておりませんが、私が聞いております範囲では、消費生活協同組合が支払いましたのは、契約金、共済金全額ではなくして、ある程度の削減のある金額である、それを見舞い金と称しますか、共済金と称しますかよく存じませんが、そういうものを支払ったというようであるということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/29
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030・小林進
○小林委員 案外勉強しておりませんな。もう少しそういうのは正確に勉強しなければいかぬ。
それで、新潟地震の損害は総額どれくらいございましたか。御存じございませんか。おわかりにならなければ、政府でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/30
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031・上林英男
○上林政府委員 被害額の調査につきましてはいろいろな調査があるようでございます。ここに科学技術庁の防災科学技術センターで調査をいたしました資料がございまするが、住宅その他、ありとあらゆる土木被害まで含めました被害が二千大百七十三億円という数字がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/31
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032・小林進
○小林委員 ちょっとお伺いしますけれども、そういたしますと、今度のこの法律案の中において定められた支払い保険金額の総額は限度三千億円ということになっておるが、支払い限度三千億円といいますると、たいした地震ではございませんな。これはどうですか。今日インフレと物価高の中における三千億円というものは、これは地震の規模、査定の方式にもよりましょうけれども、あとでお聞きしますが、住宅と家財だけの総額が三千億円なんでございましょうな。いまここでおっしゃる三千億円というのは、家財と住宅だけの損害の総額が三千億円、こういうことなんでございましょう。それにいたしましても、この三千億円というのはなかなかちゃちなもので、ちょっとがらがらっとくるとすぐ三千億円をオーバーするということになるのですが、どうですか。この限度額はこれでよろしいというふうにお考えになっていらっしゃいますか。いかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/32
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033・上林英男
○上林政府委員 ただいま申し上げましたのは住家だけではございませんで、土木被害その他いろいろなものが含まれております。この調査によりますと、住家だけの被害は百五十億円程度でございます。もっとも、地震保険の保険金の支払いになりますと、この住家のうちのどの程度の方が保険に入っておったかという普及度の問題がさらに加味されてまいるわけでございます。さらに、おっしゃいますような限度もあるわけでございまして、いろいろと保険金の支払いの額になりますと、またこの金額をさらに下回るということに相なるわけでございます。三千億円の問題につきましては、先ほどから申しております国の財政力や保険会社の担保力なども考えました反面、さらに、かりに非常に大きな地震があって削減をしなければならないような場合におきましても、過去にわれわれが経験いたしました最も大きな震災でございます関東大震災が起こりました場合におきまして、四十一年度の付保状況というものを勘案いたしました場合には、大体三千億円をもって十分足りる、保険金の支払いを削減しないで済むというようなめどをもらましてこの三千億円を定めたというような経過になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/33
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034・小林進
○小林委員 新潟地震のときには火災保険や損害保険にお入りになっていた者が相当ございますけれども、がらがらっと地震が来たということで、それは二億円の包み金でパーになったわけでございまするから、これはちょっと意地の悪い言い方ですけれども、そうすると、火災保険や損害保険をおやりになっている保険会社は、地震さまさまということになるんですな。普通の火災ならば契約の金額はお払いしなければならぬのに、地震がやってくれたために支払い金額は全部払わぬでよろしい、包み金で済んだということでございまするから、まことに地震はありがたい、こういう結果になりませんかな。これはどうでございましょう。そういう理屈にならぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/34
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035・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまのお話、保険会社がもしそのまま払わずに、いただいた保険料をそのままにしておきましたら、確かにおっしゃるとおり、はなはだ不当だと思うのでございますけれども、われわれ、焼失しましたお宅にはそういう保険料を日割りで皆さんに御返還したわけでございます。それですから、つまりその地震が起こるまではあるいは火災が起こるかもしれませんから、われわれは保険料をいただいておりましたけれども、地震が起こって、その地震に基因していたからお支払いできないという結果になったものに対しては、それまでの契約年月に対する保険料はお返しいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/35
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036・小林進
○小林委員 なるほど、それじゃあまりもうけないですな。まあ損もしないが、もうけにもならないということになるわけですな。実はそういうことを聞きたかった。どうも新潟あたりでは、こういう地震の災害のときに助けてもらいたいのに、こういうときに何も保険金がこないというのは実に言語道断じゃないかという話もあったのです。その分だけ保険会社がまるまるもうけられたということになれば、若干これは人道上の問題もあったでしょうけれども、保険会社に言わせれば、そういうわけでやはりお返しする分はお返しになったということでありますから、じゃやはり大岡裁判による両損ということでございますな。それじゃ、時間もありませんからそういうところで……。
この場合における地震保険制度について、保険の対象物件を住宅及び家財に限定されてあるのですね。もちろん目的も、ここにありまするように、目的は、いわゆる損害を全部補てんしようという考えではなくて、何か生活の安定を目的にする、こういうふうに一つ頭をかちんと押えているということでもございましょうけれども、それにしても、どうも住宅と家財だけに限定されたというのは、地震の救済にしては少し範囲が狭過ぎるのじゃないか、こういう感じを受けますが、いかがなものでございましょう。これはせっかく参考人がおいでになったのでありますから、ひとつ工藤先生に格調の高いところを御答弁いただくことにしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/36
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037・工藤昭四郎
○工藤参考人 いまお尋ねの点も、審議の過程において意見があったわけでございます。しかし、たとえば商店の商品とかあるいは工場の機械機具その他のものを含めてやるということになりますと、どこまで広げていくかなかなかむずかしいのでして、大きな工場等が入ってきますと、それだけでも非常に大きな金額になる。そういうことから、生活の安定ということを主題にいたしまして、そして家財と家屋ということに限定して答申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/37
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038・小林進
○小林委員 保険の金額には六十万とか九十万とかいう限度があって、この金額で押えているのですから、物件についてはそう狭く押えぬでもいいじゃないかという気持ちもするのでございますが、これはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/38
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039・工藤昭四郎
○工藤参考人 お話のとおりでございます。しかし、一面から考えますと、企業の経営を継続するという面からいえば、それくらいの保険金をもらっても足しにはならぬということにもなるわけです。そういうこともありまして、企業は除いたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/39
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040・小林進
○小林委員 現在、工場とか倉庫等の企業物件については、担保契約によって、地震による危険が担保されることになっておりますね。現在でもこのような企業物件に限っては任意保険を認めているというのですが、この理由は一体どこにあるのか、それが一つです。
それから、新潟地震の場合に、こういう企業物件に対し、保険金の支払いは一体どれくらいになっているのか。これは大蔵省でよろしゅうございますが、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/40
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041・上林英男
○上林政府委員 仰せのとおり、企業物件につきましては、若干のものにつきまして、地震の拡張担保によりまして、保険会社が地震につきましてもその危険を担保いたしております。私の記憶によりますと、契約金など、約二千億円程度だったと思います。ただし、その九〇%をロンドンに再保険に出しておるという現状でございます。しかし、日本の地震につきましては、ロンドンにおきましてもいろいろ被害率が高いという評判でございまして、評価にやや困難な状態でもあるのであります。
なお、新潟地震の場合におきましては、外国の保険会社に地震保険につきましても保険をかけておりましたケースは、タンクローリーをかけておりました例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/41
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042・小林進
○小林委員 いまの答弁は私の質問に合っておりますかね。ぼくは、新潟地震で、企業物件に対して保険金の支払いが大体どれくらいあったか、こういうことを聞いているのですよ。再保険かどうかそれは知らぬが、新潟地震において、工場とか倉庫とかの企業物件について、地震による担保されている企業物件に対して保険金の支払いがどれくらいあったか。ロンドンから来たかパリから来たか、それはどっちでもいいわけです。ニューヨークでもいいが、どれくらいあったかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/42
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043・上林英男
○上林政府委員 新潟の場合におきましては、企業物件につきまして、地震保険に付せられておりましたのは、いま申しましたタンクローリーが一件だけでございましたので、その保険金額として三千万円支払われたという例のみでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/43
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044・小林進
○小林委員 たった一口ですか。それは残念でしたな。では、やはり新潟地震のために被害を受けて入ってくる金は少ない。
では、次にいま一つ、いずれまたあらためて政府にお尋ねしますが、参考人の方々にいろいろ御研究いただいてまことに恐縮ではございますけれども、この対象になる原因の面は「地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による全損」、どうしてこれを全損だけにとどめて、分損を認めないか。最近は日本には分損ということばがはやっている。この分損をなぜお認めにならなかったかということが一つであります。
それからまた、わが日本は、天災国といわれるほど、単に噴火とか津波だけではなしに、風水害による被害というものも実に大きいのです。台風の被害ですね。こういう現実にこうむっているようなものをなぜ一体お含めにならなかったか。地震も多い、津波も多い、阿蘇山の噴火も多いけれども、いま現実に国民が毎年悩まされているのはむしろ風水害なんだな。ちょっと発音が悪いですけれども、風水災保険だ。風災、水災という、こういう災害保険がたくさんあるのでありまするから、むしろそういうものを含めて、広く天災保険といったようなものを創設すべきが至当ではないかと私は思うのでありまするけれども、こういう答申をなさる過程において、この風災、水災という風水害等の問題が一体議題にのぼらなかったものかどうか。広く天災保険といったようなものを将来おつくりになるお考えはないのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。また、いまの分損の問題ですね。広く天災の範囲を広げるという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/44
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045・工藤昭四郎
○工藤参考人 分損の問題につきましては、損害の査定をやるのがなかなか困難なんでございます。非常に困難です。それから、短時日のうちに全部見なければいかぬ。たとえば、倒れてはおりませんけれども、いつ倒れるかわからぬというような状態になっているものを早くやりませんと、それが分損であるか全損であるかわからないような結果になります。ところが、そういう技術を持っている者がわりあいに少ないので、そういう面から見てもなかなかむずかしいのです。それで、分損を含めるということになりますと、保険料の問題についても、いまの保険料ではいかぬだろうという、また考え直さなければならぬ点がありますね。それと、分損を含めますと、保険金額の総額が非常に大きな額になってくる。(小林委員「保険会社は成り立たないですか。」と呼ぶ)保険会社が成り立たないばかりでなく、国の財政負担にも限度がありますから、なかなかそれはむずかしい、こういうことを考えたわけであります。関東大震災のようなものを対象としていろいろ計算しましたから、そういう場合には三千億円じゃ足りなくなるおそれがあるのじゃないか、こういう意見も出たわけです。
それから、風水害につきましては、これはお話のとおりたいへんな災害でございますけれども、近ごろよく言われますように、台風の進路というものは大体きまっておりまして、毎年同じようなところを通っているわけですね。したがって、その付近が非常に災害が多い。ところが、そうでない地域についてはほとんどその災害がないということになりますと、普及させることが非常にむずかしいのです。ということは、結局、保険の原理からいって、危険分散ということになりにくいのですね。そういうことから、風水害の問題は別の機会に検討していただくということになります。ただ、地震に伴う噴火とか津波とか、こういう問題は地震と関連が非常にあるわけでございますから、これを含めて検討する、こういう結論になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/45
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046・小林進
○小林委員 時間もありませんし、まだほかの人も質問されるようでありますから、私だけやっては失礼でありますからやめますけれども、風水害は特定の地域に限られておるけれども、地震は分散性があるから、地域はどこにあらわれてくるかわからないということだが、いま、地震でも、松代みたいに、きまったところでがたがたっとくる。おっしゃるように決して分散性じゃない。やはり地震も特定の地域にがたがたやっているようでございますが、しかし、過去の例から見れば、関東地震、新潟地震というふうに、あっちこっち飛んでいるようでございます。けれども、将来は、むしろ国が困っていることですから、こういうこともひとつ十分御考慮をいただければぐあいがいいかと思うのですが、ちょっといまのお話では、何か、風水害をお入れにならなかったのは、理由が少し薄弱だったような気がします。それから、どうも分損も査定が困難だし、分損までやると相当補償金が多過ぎるので、国家財政、保険会社の財政に影響するのじゃないか。これもどうも、やはり被害者の立場を少し軽視をした考え方ではないかというふうにも考えられます。いまここでおっしゃった最後の一点は、その保険金の問題なのでございますが、これの引き受け方法は、地震災害の特質にかんがみ、自動付帯をたてまえとする、住宅総合保険または店舗総合保険に自動的に付帯せしめる。一体普通の火災保険はどうなるのか。これには自動的に付帯せしめないのか。任意に地震保険をつけて契約できるという道を開くということになっておりますが、これはいまはどうなっておりますか。これは認められないのかどうか。
それからもう一つは、保険料が若干高いようですね。現在保険料は、千円に対して三円五十銭、百万円に対して三千五百円、それに自動的に付加せられるものが、百万円の場合は二千五百七十円何ぼという形になって、千円に仮定すれば三円五十銭プラス二円五十七銭何ぼという勘定になる。しかし、どうもこれは掛け金が少し高過ぎるのではないか、こういう感じがいたしましたが、いかがでございましょうな。保険まるもうけ、国家まるもうけなどというようなことになって、まあ、四百何十年間か、過去の歴史にさかのぼって大体料率をお調べになったというのだけれども、どうも少し高いような感じがいたしますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/46
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047・村瀬逸三
○村瀬参考人 料率でございますね。――料率はまだきまったわけじゃございませんで、われわれなるべく安いあれで料率をきめなければ、こういう特殊の保険に対して非常に意味を失うのじゃないかと思いますので、その点について、いま一生懸命に、さらに何かいいあれはないかとまだ研究しておるわけでございまして、きまっておるわけではございませんけれども、たとえば、いまのお話からいたしましても、それはいまの掛け金を三割にしないときの例をお考えだと思いますからね。三割にいたしますと、百万円で、いまの三円としても九百円くらいのところじゃないかとも思います。しかし、まだ決定したものではございませんから、お含みいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/47
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048・小林進
○小林委員 私は問題の要点をるる調査いたしましたけれども、大体いまの御答弁によりますと、まだきまっていない点も多々あるようでございますし、肝心の大蔵省の担当官のほうも少し勉強が足らないようでございますから、しばらく勉強していただく間、時間をおかしするという意味において、きょうの質問はこの程度にとどめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/48
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049・三池信
○三池委員長 平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/49
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050・平林剛
○平林委員 今回の地震保険に関する法律案は、大体いろいろの議論の末にまとまってまいりまして、委員会に提出をされておるわけでありますが、今回の地震保険は、結局政府の再保険という形に落ちついたわけであります。しかし、こうした日本の地震国であり、地震が多いということから地震保険をつくってほしいという国民の希望というのはかなり多かった。そこで、それを担当するのはだれがやったらいいかということは、いろいろ昔から議論があったと思うのであります。御承知のように、戦時中は戦時特殊損害保険法というのがありまして、戦災にあったところの家屋、財産等に対して国家がこれを補償した。大体ほとんど国家が助成したもので補償しておったということがございます。それから、たしか昭和三十二年ごろだったと思うのですけれども、郵政省のほうで地震風水害災害保険という名で、政府でやりたいというような構想も検討されたことがあるわけであります。いつ起こるかわからないという地震による災害というものを扱う場合に、先ほどお述べになりましたようにいろいろなケースが考えられるわけでございますが、そういう場合、国民として最も安心できるというのは国家ですから、むしろできればそういう形で実現をすることが望ましいと思うのでございます。地震保険制度に関する問題をやった保険審議会でも議論があったようでありますが、とどのつまりこういうことになりました。結局、皆さんがこれをひとつ積極的にやってやろう、やろうというふうにお考えになりましたその理由はどこにあるのでしょうか。そこをひとつお伺いしたいと思います。非常にむずかしいのにかかわらず、ひとつわれわれのほうでやってみようというお気持ちになりました理由をお聞かせいただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/50
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051・工藤昭四郎
○工藤参考人 直接の理由はやはり新潟大震災だったのですね。あれで非常に悲惨な被災者が出たものですから、こういう制度を早くつくりたいという気持ちがあったと思います。ただ、やり方について、いまお話のように、国家が直接やるか、あるいはある種の機関に扱わせるかということについては議論がありました。しかし、現在の損害保険会社におきましても、大体地震保険の保険金に支払い得る担保力というものが三百億くらいはあるという話でございました。それだけのものは使える。しかも、年数を経るに従ってだんだんそのための担保の財産がふえてくる、こういう話もありました。それから、国家が直接扱うにしましても、窓口の手続がいろいろめんどうでありますから、いままで企業経営をやっておられる保険会社に扱わせるのが適当ではないか、そういう意見でありまして、結局保険会社が扱う、国家が再保険をする、こういうことにきまったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/51
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052・平林剛
○平林委員 そこで、この地震保険制度を検討する審議会の中で、いまお話のように、国がやるか、国と民間でやるか、あるいは民間だけでやるか、いろいろ議論があって、その利害とか実情について検討があったと思うのです。そして、いまあなたのお答えのように、損害保険会社も大体担保力もついた。実際上の事務の取り扱いについて、国がやると手続がめんどうだから損害保険会社がやったらいいということは、私も承知しているのです。そこで、こういうような構想は、皆さんのほうが積極的にやろうというお気持ちになったのか、いや、ほんとうは政府や何かでやってもらいたいのだけれどもというお気持ちでこういうことできまったのか、その点を私はお聞きしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/52
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053・工藤昭四郎
○工藤参考人 今度の審議の場合には、保険会社が相当積極的にやってみたい、こういうお話がありまして、それが中心になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/53
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054・平林剛
○平林委員 そこで、損害保険会社の担保力という点については、いずれいろいろ議論しなければならぬ点だと思うのでございますけれども、もしこの地震保険が実施をされるようになりましたならば、担保力はあるというお話ですが、まあ、地震の規模によっても違いますけれども、一応どのくらい加入者ができるのか、それによるところの保険料収入というのはどのくらいあるだろうかという点については御試算になっておられると思うのですけれども、大体どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/54
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055・工藤昭四郎
○工藤参考人 その点につきましては、至急にこれが普及せられるように、総合保険にこれが付帯するということにきまったわけでありますから、おそらく相当広がっていくと思うのですがね。ただ、どのくらいの保険料かということについては、まだ計算したことがございませんし、検討したこともございませんが、おそらく保険会社のほうでは御承知だろうと思いますから、村瀬さんからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/55
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056・上林英男
○上林政府委員 四十一年度にどの程度の地震の保険契約が見込まれるかという点につきましては、過去の総合保険の付保状況等勘案いたしまして、四十一年度におきましては八百十六万件程度、保険金額にいたしまして七兆一千億円程度の総合保険、すなわち地震保険契約が締結されるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/56
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057・平林剛
○平林委員 保険料は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/57
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058・上林英男
○上林政府委員 これに対します保険料は、純保険料にいたしまして大体五十五億円程度でございます。したがいまして、営業保険料にいたしますと、これに二割程度の保険料が付加されますので、六十八億円程度になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/58
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059・平林剛
○平林委員 ついでにあなたにお尋ねします。
その中から政府のほうに再保険料を支払うわけですね。それはどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/59
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060・上林英男
○上林政府委員 再保険料は、国の負います危険度と民間の負います危険度の割合に応ずるわけであります。したがいまして、これは付保の状況によりまして、地震保険の普及度によりまして変わってまいります。と申しますのは、国の行ないます再保険は、一定の金額をこえました場合に国が再保険金を支払う、こういうかっこうになっておりますので、付保状況が低い間は支払うべき保険金額も小さいわけでございます。したがいまして、支払うべき保険金額が小さいときは全部民間が負担するというようなかっこうになっております。今度この御審議いただいております地震保険の法律が通りますと、その後徐々にいままでの総合保険契約に地震保険がくっつきました総合保険契約に切りかわってまいるわけでございますが、その時日がたちますにつれて、一年たちますと、大体一年契約でございますから、ほとんどすべての総合保険が地震保険がついた総合保険になります。そういう場合に、そういうふうにつき切りました事態で再保険割合を四十一年度で考えてみますと、三五%程度になる。それで、さらに四十一年度は、ただいま申しましたように、徐々に地震保険がつきました総合保険が普及してまいりますので、その普及の過程を毎月ごとに計算いたしまして国の保険負担度を計算いたしますと、四十一年度は三一%程度になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/60
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061・平林剛
○平林委員 なるべく政府当局との質疑でないようにいたしたいと思うのでありますが、それでは参考人のほうにちょっと方向を変えましてお尋ねします。
結局、私、との地震保険というものがどの程度普及してくるかという点は、一応の計画だけで、見通しはまだ立たぬと思うのです。しかし、全般から見て、保険料の料金にもよりますけれども、また地震帯といいますか、地震が多くある地域と、おれのところは安心、――安心ということはないにしても、歴史的に見てかなりだいじょうぶだというところとは、普及率から見てかなり違ってくるだろうと思います。しかし、長野県の松代だとか、新潟だとか、あるいは酒田だとか、最近では関東にも大きな地震があるんじゃないかというような風説もあるわけでございまして、かなり加入をする人もあるかもしれませんけれども、しかし入らぬ人もあるだろうと思うのです。新潟の例のときはまだこの保険制度がなかったので、先ほどのお話では一件しか支払いの対象にならなかった。結局、そこで見舞い金二億円を損害保険協会から、大蔵大臣の示唆もあったんでしょうけれども、義援金として放出なさった。今後この地震保険法が実施された後において、かりにどこかにぽかんと大きな地震があったという場合、普及度にもよりますけれども、あまり普及しておらなかった、こういうようなときはどうなんですか。もうこれができたんだから、この間のように二億円とか何億円とかいうような、義援金のようなものはごかんべん願いたいというような御意思なんでしょうか。実情にもよりますけれども、そういうようなことは、法律が施行された後には考えないというおつもりでしょうか。そこいら辺はどんな御相談がございますか、また御意見がございますか、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/61
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062・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまのお話、たいへんむずかしい問題でございますが、われわれといたしましては、従来も経済団体のほうから何か起こった場合に義援金の募集がございまして、そういう場合に、われわれも企業として社会からいろいろの援助を得ているわけでございますので、そういう面に対しては、従来もわれわれとしては義援金を出しております。今後またそういうことが起こりました場合には、一般的義援金として、そういうものにわれわれとしてもおそらく出すことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/62
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063・平林剛
○平林委員 それでは、最後にもう一つお尋ねしておきます。
損害保険会社およそ二十社の資本金といわゆる基金との調査をちょっとしてみたのでありますが、私の資料は少し古いかもしれませんけれども、昭和三十九年度末で、資本金が四百七十九億九千二百万円、資産総額が四千百六十三億円ということでございまして、まあ、先ほどの、今後の地震保険をする場合の担保力というのはかなりついた。そのついたことがかなり積極的に損害保険会社側でも地震保険を採用しようという気がまえになったと思うのでありますけれども、ちょっとこの問題とは離れるかもしれませんが、資産内容を見ますと、資産総額四千百六十三億円のうちで、株式の保有が千四百五十四億円あるわけです。最近は公債なども少し買わされるというようなことになりまして、有価証券の額としてはもっとふえるのではないかと思いますけれども、いずれにしても株の保有だけで三四・九%ある。私の承知しておるところでは、損害保険あるいは生命保険などは株式の保有は、およそ三〇%程度をめどにして限度額がきめられておるというように聞いておったのでありますけれども、いかがでしょうか。まだ非常に割合が多いようでございますけれども、現在の実情はどうであるか。それからまた、こういう株の保有が多いということは、実際上どういう利害があると思うか、また、この割合になっている理由は何かという点につきまして、ひとつこの機会にお聞かせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/63
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064・上林英男
○上林政府委員 私からまずお答えをさせていただきます。
仰せのとおり、保険業法及びその施行規則におきましては、保険会社の資産運用が流動性を持ち、安全確実に運用されまするように、株式につきましては、原則として三〇%以内というふうに規定いたしております。しかし、またいろいろの事情がございまして、四十年九月末におきまする株式の保有割合は、二十社平均いたしまして三三・五%ということでございます。もちろん、中には最低二一%、中にはさらに高いものもございます。しかし、この株式引き受けにつきましては、契約獲得のために株式引き受けというようなことを行なうという面もないではないと思いますが、それよりもむしろ、契約がございまして、一定の関係もあるわけでございますので、そういう契約の維持のために株式を持つというような場合もないとは言えません。しかし、もちろん資産の安全性なり流動性を不当に低下させるということは好ましいことではございませんし、また、不当な競争を起こすことも、これも望ましいことでございませんので、こういう問題につきましては、今後のいろいろな産業界の増資動向なりあるいは金融情勢の推移などとも関連があるわけでございますので、こういう点もよく考えあわせながら、できるだけこういう点につきましても改善を行なっていくように私どもも検討を加えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/64
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065・堀昌雄
○堀委員 ちょっと関連してお尋ねします。
保険業法施行規則第十九条は「保険会社が其ノ財産ヲ利用スルニハ総資産ニ対シ左ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ依リ大蔵大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ」こうなっているわけですね。それで、株式の保有十分の三となっている以上は、いまの質問に対しては、一体その特別の事情とは何ぞやということを答弁しておかなければ、質問に答えたことにならないわけだ。いまの答弁で、最低が二〇%で平均三三%なら、四〇%をこえているところもあり得るわけだから、三〇%をこえたものについては、特別の事情によって大蔵大臣が認めていなければならぬはずだ。施行規則にだって、「左ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ」こうなっているのだから、その点を明一らかにしなければ、いまの質問に対する答弁にならぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/65
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066・上林英男
○上林政府委員 株式の保有割合につきましては、二時産業界において非常な増資などが行なわれたわけでございまして、その増資に応ずるというような額も非常に多かったような事情もございまして、たとえば、三十六年の保有割合というのは平均で三九%というような時代もあったわけでございます。そういう先ほどから申し上げておりますようないろいろな事情もありまして、またやむを得ず特別な事情があるということでこれを認めておったわけでございますが、御指摘のような点もございまするし、一方におきまして増資の状況も非常に鎮静をしておるような状況でございますので、そういうような状況にかんがみながら徐々に低下をさせてまいっておりまして、最近におきましては、先ほど申しましたような率まで低下をいたしておるわけでございます。大蔵省といたしましても、そういう株式取得の金額につきましては、あらかじめ各会社からそれぞれの株式引き受け計画などを提出していただきまして、おのおのの会社のいろいろな事情をお聞きし、できるだけいまの原則の中に入っていくように徐々に改善を加えておるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/66
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067・平林剛
○平林委員 ただいま地震保険の実施にあたって、損害保険会社というものがその担保力があるかどうか、これは非常に問題があるわけですよ。政府がこれをやるほうがいいのか、あるいは損害保険会社が積極的にこれを希望しておる、それを認めて保険制度を実施するかということは、やはりその資産内容なり担保力があるかどうかということをしっかりさせなければ、国民は安心できないですよ。また、その担保力のないものにやたら大きなものを押しつけてしまって、それがかえって、法律に書いてあるように、場合によっては保険額を削るぞなんというような不安定なことになっているわけですから、ここのところが一番大事なところでしょう。
私は資料を要求しておきます。きょうは参考人もおいでになりますからこれ以上のことは議論しません。しかしいまの問題は、堀委員も言われましたように、株式保有には三割以上投資してはならない、あるいは同じ会社の社債でも一割以上持ってはいけないとか、不動産には二割以上投資してはいけないとかいうような規定があるわけです。いまの御答弁を聞いていると、このごろ大蔵省の監督がそういう点について十分行き届いているように思えない。損害保険二十社の現状について、ひとつ資料としていま私が指摘した点についてどうなっておるか、提出をしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/67
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068・堀昌雄
○堀委員 いまのだけではなく、要するに、保険業法施行規則第十九条に一から六まであるわけだから、それをこえておる分については、全部各社別に資料を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/68
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069・平林剛
○平林委員 それでは、きょうはこれで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/69
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070・三池信
○三池委員長 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/70
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071・堀昌雄
○堀委員 私は、きょうちょっと参考人の方にお伺いをしておきたいのは、実は、日本は火災発生件数としては世界的にはわりあい少ないのです。アメリカは非常に多いのです。人口一万当たりの出火件数は、一九六三年にアメリカは一三〇・三、こうなっておりますけれども、日本の場合にはわずかに五・二ということで、発生件数は非常に少ないということになっておるわけです。しかし、一件当たりの損害額は、実は日本は世界で一番高いということになっております。私どもは、日本では火災がわりあい少ないのだという点は非常にいいことだと思うのですけれども、一件当たり比較的損害が高いということは、やはり保険に入っていない人がそういう火災のために非常に不測の災害を受けるということになるわけですから、いま只松君の触れました損害保険、火災保険に対する所得税控除の問題は、私、三、四年ばかり前でありますか、当委員会で田中前大蔵大臣と論議をいたしまして、そうして、その結果として法制化をされるに至ったわけであります。その動機は何かと申しますと、できるだけ火災保険料を安くすることによって加入しやすくする、加入しやすくすることによって多数のものが火災保険に入れば、自動的に保険料は安くなる、そういう方向にこれが循環をしていくことが望ましいというのが、実は発想の主体であったわけであります。そこで、現在の資料によってみましても、家計保険の対象となる全国の世帯のうち、火災保険契約を締結しているものは四六・三%という結果が出されているが、一世帯について、建物契約と家財契約との重複及び会社別の重複契約があること等を勘案すると、実際はこの半分、すなわち二三%程度が家計保険の普及率と考えられる、こうなっておるわけであります。ですから、二三%の保険料でいまの火災保険がまかなえるということは、やはり総体的に保険料が高くならざるを得ないのではないか。また、傾向としては、火災保険は総合保険という方向に動きつつあることもやむを得ないのではないかと私は思うのですが、さっきすでにちょっと論議がされました今回の地震保険が自動加入制になるために火災保険料が上がるという問題は、これは私は非常にゆゆしき問題だと思うのです。というのは、地震というのは、すでに十分御調査いただいていると思いますけれども、確率の非常に少ないものなんです。火災保険に入る人たちの中で、地震にあって保険金が受け取れるというものは、現状では非常に少ないにもかかわらず、これが、表現をかりれば、総合保険の場合は強制的に加入させられる仕組みになって、いま三円幾らのものが、どうしてもやはり平均して一円は上がるのではないかと思います。三円三十銭か四十銭かのところ一円上がるというのは、これは保険料としてはかなり問題がある、私はこう考えております。先ほどもすでに議論になりましたけれども、私どもは、地震保険というようなものの性格は、より多く国家的にこれを考えるべきものだと思うのです。一種の所得再分配政策の部分的な施行であります。ですから、それを保険に取り入れたことは、やはり事実上国だけがこれを処置するというのはたいへんむずかしいことですから、火災保険の中に取り入れることについては私は異議はないわけですけれども、しかし、その負担の区分については、国がもっと大幅に見ることによって火災保険料の上がるのをもっと小幅にしない限り、総合保険で一円上がるということは、逆に火災保険の普及に非常にヘンメンする影響力を与えてくるおそれがある。この点は、私は日本の損害保険の普及上に非常に重要な問題を提起することになるのではないかという不安を持っておるわけなんです。この点について、ひとつ小委員長の工藤さんのほうから――考え方の問題ですね。もちろん、それは国も財政がいろいろ窮屈だといえば窮屈かもしれません。しかし、国民が災害にあったときに、その国民を救うというのは、私はやはり国家本来の目的だろう、こう思うわけでありますから、考え方としては、一体再保険程度のことでいいのか、もう少し国はこの地震保険のようなものについては特別の考慮を払うべき余地がないのか、少なくとも、その担保力の問題その他を見て、損害保険のほうではどうしても一円ということになるのなら、その半分くらいは国で何とか考えよう、あとの半分くらいということになるならば、要するに五十銭の値上がりで済むわけでありますから、何らかそこに国の責任というものがもう少し明らかになっていい性格のものではないのか、私はこういうふうに考えますので、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/71
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072・工藤昭四郎
○工藤参考人 今度答申いたしました内容から申しますと、保険会社の震災保険金の担保余力というものは、現状において大体三百億円ぐらいと見ておるわけです。それ以上の金額に達したときには国家の再保険で払ってもらうということになっておりますが、その当初は、つまり震災の損害の少ないときには保険会社で負担するというたてまえになっておりますから当然総合保険で負担しますけれども、若干保険料をふやすということになっておるわけです。しかし、気持ちとしましては、いまお話のようなことでございますから、なるべくその保険料率を小さくする、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/72
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073・堀昌雄
○堀委員 なるべく小さくしていただきたいのですけれども、しかし、保険会社といえども営利企業です。それは公共性のある営利企業ですから限界はありますが、営利企業となりますと、裏返して言えば、地震保険をやったことによって、その他の保険加入者にマイナス要因がいっても困るわけですね。そうなりますと、この問題は、幾ら安くというふうにお考えになっても限界がやはりあるということではないのか。
ちょっと政府に聞きますけれども、これはわれわれ地震保険をどうせ来週議論するからあれですけれども、いまの段階では、政府の見通しとしては、総合保険で一体どのくらい保険料が上がると考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/73
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074・上林英男
○上林政府委員 大体の料率につきましては、先生がおっしゃいましたように、現在の総合保険の料率は千円に対しまして三円四十銭弱、それに対しまして、今回の地震保険料は、その主契約に対しまして、千円に対して一円程度上乗せするものになるであろうという予定を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/74
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075・堀昌雄
○堀委員 そうなりますと、やはりいつ起こるかわからない保険――普通の火災は、もちろんいつ起こるかわかりませんけれども、可能性のほうははるかに大きい。年間にともかく三万四千二百七十七件ですか、これが四十年度の指標でありますから、五百軒に一軒ぐらいは確実に火災になる。ですから三円幾らでも払いましょう、こうなるわけですけれども、地震というのは、なければ何にもないわけですし、あったって地域的には非常に制限されている。そのために三割保険料が上がるということはなかなか重大な問題だと思うのです。これでは、せっかく私どもが火災保険の所得控除なんというふうにして、何とか保険料率は加入者の増加によって安くしたいという発想の全然逆の方向になってしまうわけですね。なるほど、私は地震によって災害を受けた人たちのことも重大だと思うのですけれども、しかし、日本の現在の火災になっておる中で火災保険を受け取っておるものというのは、最近は半分以下ではないかと思うのです。この点は、村瀬参考人、火災が起きて、その際に日本で損害保険が保険金を払う対象でございますね、火災発生件数に対する保険金支払い対象というのは最近どのぐらいでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/75
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076・村瀬逸三
○村瀬参考人 正確なところは、まことに申しわけないのでございますけれどもあれですが、大体は、相当普及しておりますから、そして普及してないのはやはりあまり火災が頻発してない山間部とか、極端に申しますれば、そういうところになりますから、起こりましたものの六割から七割は保険金を払うケースではないかと思っております。新聞に出ておるものは非常に少ないケースかもしれませんけれども、新聞に出ていない火災も多く、そのうちにも保険金を支払っているのが非常に多いのでございます。そういう程度がいまわかっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/76
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077・堀昌雄
○堀委員 私があの問題をやりました四年ぐらい前は、火災件数に対して、たしか半分ぐらいしか実は入っていなかった。当時はそういうことでございましたが、その後火災保険その他がふえておりますから加入者もふえております。火災件数はあまり動いておりませんからだいぶふえたと思いますけれども、やはり依然として、実はまだ入ってないものがかなり大きいと見て私はいいと思うのです。ですから、その面では、今後の問題でありますけれども、ひとつ保険審議会としてももう少しその方向で考えていただきたい。特に、私どもはやはりもう一つ、さっき小林委員が取り上げられた風水害その他による災害の保険も考える必要があると思っておるのです。これもしかし、私は、やはり国が主体となって考えるべきことで、ただ、その事務的な取り扱いその他の関係もありますから、これはやはり損害保険その他の民間の会社が扱っていただいてけっこうだと思うのですが、より国が負担を考える形でこういう災害の問題というのは考えるのが、私はもののあり方として筋道ではないのか。ですから、裏返して言うと、さっき工藤参考人がお述べになりました担保力三百億円というのは、一体どこから出てきたのか。これはこれまでの損害保険に入っておった人の――要するに正味、事業費なりあるいは保険支払い金なりの残ったもの、それが積み立てられて出てきたのが三百億円であって、それは保険加入者という特定の人たちから集められたものです。そういう災害というのは、そのときにその金がそっちへいったらいいのだという問題ではないのではないか。ものの考え方からするならば、私は、そういう担保力のあるその部分というのは、どっちかというと、これまで入り、今後も入っていく人たちの方向に主として振り向けられる形になって、そういう災害その他のようなものはもっと国が配慮して処置をするというのが考え方のたてまえになるのではないかと私は思いますので、今後ひとつ、さらに風水害の問題も審議会で取り上げていただきたいと思うのですけれども、そういうもののあり方についての考え方ですね。この点をもう一ぺんちょっと工藤参考人に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/77
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078・工藤昭四郎
○工藤参考人 先刻もこの風水害の問題をお話しになりましたけれども、ちょっと御説明申し上げましたように、大体台風の進路がきまっておりまして、一定地域がひんぱんに災害を受けるわけであります。したがって、相互扶助とかあるいは危険分散ということから考えますと、なかなか保険業務としてはやりにくい、こういうことで、実は皆さんの意見が一致しておるわけであります。なお、この点につきましては研究はいたします。
それから、今度の総合保険に地震保険が自動的に付帯せられるということにつきましては、これは強制保険と変わらないわけでございますから、そのために保険料率あるいは保険料が上がるということにつきましては、私自身としては、できるだけ低位に持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/78
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079・堀昌雄
○堀委員 それでは、いまの問題は今後の問題といたしまして、一つだけ、損害保険全体の問題について伺っておきたいのでありますけれども、実は、私は過般生命保険の解約返戻金の問題について当委員会で議論をいたしました。現在生命保険加入者の非常に大きなターンオーバーの問題というのは、私はいまの解約返戻金が非常に巨額に達しておる問題と無関係ではないと思うのです。原則的に、常勤職員でセールスが行なわれるような体制に早急にいくことが望ましい、私はいまの生命保険あるいは損害保険における乙代理店というような式の問題は、これは私は、やや前近代的といいますか、合理性から少し欠けておるのではないか、こういう感じがしてならないわけであります。ですから私は、そのいまの解約返戻金の例に簡易保険の例を出しておるわけでありますけれども、政府がやっております、郵政省がやっております簡易保険と、生命保険ですが、民保を比べますと非常に格段の相違があるわけです。それはどういうことかといいますと、簡易保険の勧誘をしております郵便局の郵政職員は、恒常的な生活に対する安定があって、その上で保険をとって、多少の歩合金が取れる、こうなっておりますから、無理な形で保険をとっていないということが、解約や返戻を非常に少なくしておる一つの大きな原因だと思います。ところが、生命保険の場合は、御承知のように、家庭婦人その他が副業的に入っていらっしゃって、親戚、知人を義理人情で泣き落として保険をとる、そうなれば、当然義理を果たしたら、一ぺん払えばそれであとはかんべんしてもらいたい、それが年間二百四十億円にものぼったという事実があるわけでございます。ところが、ちょっとこの資料で拝見をしておりますと、損害保険は解約返戻金というのはたいしてないのかと思っておりましたら、昭和三十九年で九十一億一千九百万円と、これもかなりな額の解約返戻金というのがあるようでございます。私は生命保険ならこういう解約返戻金はわかるのですが、損保が相当巨額にのぼっておるのは、これはどういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/79
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080・村瀬逸三
○村瀬参考人 損害保険の解約返戻金というのは生命保険とはちょっと違いまして、おっしゃるとおり、それはそういう考え方からいくとちょっと奇異にお感じになると思うのですが、われわれのほうの解約返戻金と申しますのは、期日を改めるとか、それから一回取りこわして、また新しくその場所へつくるとか、そういう場合に解約が行なわれまして、それでまた次につきまして保険に入るのでございますけれども、一応それは解約して返すわけでございます。そういうものの累積ではないかと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/80
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081・堀昌雄
○堀委員 損害保険は一年契約でございますから、問題は非常に私は違うと思うのでありますが、私が問題にしておりますのは、やはり一般的には案外いろいろな火災保険に対する知識が普及していない感じがするわけです。代理店という仕組みが、積極的にそういうセールスマン的に保険を売っておられるかどうか私はつまびらかにいたしませんけれども、いまこの資料で拝見をしておりますと、この乙代理店と申しますか、この問題は保険審議会でも議論をされて、いろいろと改善はされつつあるようでありますけれども、相当多数の者がごく少額の保険の処置しかできてない。やはり私は、全体としてはこういうものはそういう常勤職員を徐々に訓練をし、能力のある常勤職員が十分保険の思想、損害保険についてもですが、それを十分国民に納得のいくように説明をする、そういうことを通じて、納得をしてみなが入ってくるような情勢をつくることが、やはり国民のためにも必要なのではないか、こう考えるわけでございます。ですから、今後の保険募集の原則的なあり方について、工藤参考人と村瀬参考人からお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/81
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082・工藤昭四郎
○工藤参考人 いまお話のような弊害がずいぶんありますので、保険審議会では契約部会というのがありまして、そこで外務員の質の向上とかあるいは教育とか訓練とか、そういうものをいままでよりももっともっと厳格にやる、そうしてそういう人が契約をする人のお話し相手になって十分御納得を願う、こういう方向に進めておるわけであります。それをすぐ内勤に切りかえるかどうかということにつきましては、いろいろ会社のほうに御事情もあると思いますが、私のほうの例から申しますと、銀行でも実は外勤員というのはあったわけです。しかし、これは非常な弊害がありますので、私どもはもう外勤を一切採用しないことにしております。だんだんそれを内勤に切りかえる、こういう方向で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/82
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083・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまの御意見、御質問、実にごもっともなことで、われわれもそういう問題については常日ごろ非常に頭を悩まして考えておることなんでございます。われわれの損害保険の中でも、一、二社外交員みたいな形でやっておるところもあると私も記憶しておるのでございますけれども、なかなか合理的にうまくいっているかどうかは、われわれの見ておりますところでは疑問が生じてくるわけなのでございます。
それから、ただいまのお話の、いわゆる昔の乙種の代理店は、実はわれわれもそういう点についてはいろいろ考えているところなのでございます。しかし、ずっと昔からそういう方々が非常に保険の普及についてその方々なりの御努力をなすったところなのでございますし、また、われわれといたしましても、いろいろの契約をとっていただいてきて、そうして代理店口銭をそこの方々に差し上げているものでございますから、なかなかいろいろな問題があっても従来どおりなんでございますけれども、まあ、一般論といたしまして、もちろん乙種の代理店の中でも特別な方はいらっしゃいますけれども、いまお話に出たようなぐあいであっては、確かに保険の普及に不十分といわざるを得ないと私も考えておりますので、実は関係当局ともお打ち合わせいたしまして、われわれも昨年から代理店そのものを非常に訓練をし、そして代理店の階級をつくって、勉強をしていただいたわけなので、同時に、その代理店の業務に従事する方がそういうことで、あるいは最高クラスにいかないとしても、その勉強の過程において保険の内容等、いろいろなことをお知りになるということだけでも非常に必要じゃないかと思います。それから、各地に相当の場所をきめましたり、それからまた、それをするためのいわゆる指導者のあれも、われわれも犠牲を払いましたりして人をつくりまして、昨年、正確に申し上げると八万か九万くらいじゃないかと思うのでございますけれども、代理店の方に教育をしております。それは引き続きやっております。そして、代理店のクラスが上になるに従って口銭もよけいにいくというような仕組みになっておりまして、ただいまお話しになったような、社員で働かせることが一番いいということも、私もそういう御意見よくわかるのでございますけれども、われわれのほうも、先ほど工藤先生からお話もございましたように、昔、いわゆる外務員というものでやったのでございますけれども、ちょっといろいろ不都合が起こるものでございますから、だいぶ前、戦争前のことでございますが、廃止いたしまして、代理店にもっていったわけでございます。そういう事情なので、代理店保険というもの――いまの保険というものを一般のものにもっともっと普及しなければならぬことはわれわれも十分に必要を感じておりますが、その前に、保険の代理店というものになってくれる人、よく理解してくださる方を養成していくことも必要だろうと思って、いまわれわれのほうも、そういう点についての人も養成し、考えておる次第なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/83
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084・堀昌雄
○堀委員 沿革があるからと思うのでありますが、ここに資料として出されておるものを見ましても、代理店のうちで、二十歳から五十歳までが四一・四%、五十から六十歳までが二四・四%、六十歳以上が三四・二%というのが代理店の年齢構成であります。これは歴史的な沿革の問題があろうと思いますが、私は、どうも、六十歳以上の方が三四%もあって、一般的に話に行かれる場合、若い人の世帯が多いのに、とてもセンスも何もつながったものではないと思うのですね。普通の会社なら五十五歳が定年という段階に、六十歳以上が三四%、これは沿革もありましょうけれども、やはり私はこういう点は徐々に改善をしていただいて、急にはいかないことでありましょうが、方向としては内勤の社員をもってこれに処置するという一つの柱を打ち立てて、その方向にはどうしていけばいけるのかという問題を、ひとつ保険審議会でも一ぺん少し真剣に御検討を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/84
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085・三池信
○三池委員長 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/85
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086・春日一幸
○春日委員 大体、私の持ち時間が二十分ということでございます。この間に、私は重要なる問題七項目について質問をいたしたいと思います。一項目質疑応答を通じて三分間、これでこなしたいと思いますので、このように御協力のほどをお願いいたします。
そこで、この地震保険法というものの基本的性格について、御両氏にお伺いをいたしたいと思うのでございます。
由来、保険事業、損保事業と申しますものは、公共的性格が強いとはいいながら、これは営利事業である。ところが、今回のこの地震保険は、国が国民の血税三千億円を限度とする予算外の債務負担をするという立場において、これは非常に政策的色彩が濃厚であり、公共的意味も非常に深いと思うのでございます。したがいまして、もとよりこれは、営利会社であります保険会社が主としてこの業に携わることになるのでありますが、しかしながら、これが公共事業、公益事業と言い切れないまでも、とにかく一定の災害救助という政策目的を持つところの、言うなれば、公益性、公共性の強い事業と判断しておられるか、あるいはまた、従来どおりの範疇の損保事業、公益性のある営利事業というぐあいに理解されておるのであるか。答申された工藤さん、これを受けて事業に当たろうとする村瀬さんから、それぞれ端的に御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/86
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087・工藤昭四郎
○工藤参考人 ただいまお話のありましたように、大きな災害があったときに、災害救助というやり方と、そのほかに、相互扶助の精神から保険の原理を用いるという、二つの方法があると思いますが、国の財政負担をあまり過重にしないということから保険ということに踏み切ったわけでございます。したがって、保険業務として行なっておる範囲におきましては、やはり公共性はありましても、従来の営利的観念も入ってくるのもやむを得ないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/87
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088・村瀬逸三
○村瀬参考人 私も、いまの工藤さんと同じように考えておるのでございますけれども、しかし、その点はできるだけ、こういうものでございますから、われわれは利益というようなものから考えないでその目的が達成できるようにしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/88
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089・春日一幸
○春日委員 災害救助に重点を置くか、あるいは共済機能に重点を置くか、この問題は、保険料率の取りきめ、国に対する再保険料率の取りきめに重大な変更をもたらす大いなる要素、条件となるものであろうと思うのでございます。これが単に共済機能に期待するということであるならば、これは事業として、おのずからそこに自弁できる体制を持たなければならぬ。ただいま堀君が指摘されましたように、地震保険の料率はおのずから高くならざるを得ないのである。われわれ本委員会において、このような制度をすみやかに設けなければならないという決議をいたしましたことは、いま工藤さんが言われたような、共済的機能に重点を期待してああいう決議をしたものでは必ずしもないと思うのでございます。たとえば、ここに災害救助法というものがある。これなどによって救済を受けます場合、被救済者は何らの支出を行なわないのである。別途税金を納めておるのであります。四兆数千億という税金を納めて、お互いが健康にして文化的な生活が確保できるように、そこに政治に期待し、政策の効果を求めておるのでございます。だから、そういう意味で、国が今回予算外の債務負担、ここに三千億円のものをかまえてこのことに当たろうといたしておる。しこうして、従来の統計によれば、相当の大損害でも三千億円をこえることはないであろう、こういうことで国が三千億円の金を出すということは、もう政策的に政府が踏み切ったのであるから、したがいまして、これは共済的機能に期待をするのではなくして、あくまでも災害救助を行なうのである、不測の災害を受けた気の毒な兄弟に対して国がそれを助けるのである、そういう制度を、幸いに火災保険あるいは損保会社がそういう施設も機能も持っておるので、これを活用しながら、かたがたもって、その大目的を達成しようというところにあるのでありまするから、どうかそういうような意味合いにおいて、初心忘るべからずということばがありますが、ここでこのような構想が発端したことの意義を十分御理解なされて、今後の料率の設定、あるいは国と再保険の料率の取りきめ等については十分心してやっていただきたい。こんなものがいままでの火災保険や総合保険と同じようなものであるというような考え方ならば、とんでもない間違いであるということを指摘いたしておきたいと思います。
第二点は、保険の対象物件についてお伺いをいたしたいのでありまするが、本法案によりますると、保険の対象は、居住用の建物及び生活用動産と局限されておる。ところが、ここに小規模事業者というものは、すなわち事業用の建物あるいは事業用の動産というものが一つの生活手段になっておる。基本的にそういう事業用資産と生活資産というものとの区別は事実上ないのであります。したがいまして、私は、こういうような場合には、最高限度額の設定もあることから判断をいたしまして、たとえば、小規模事業者に限っては最高限度額を五百万円ということにしてもいいと思うのであります。これについては、事業用建物あるいは事業用動産も保険の対象物件に当たるべきものであると思うが、これに対して御所見はいかがでありますか。答申は、これはとりあえず生活を安定、回復せしめることのためにとあるのでありますが、御存じであるかあられないか存じませんけれども、小規模事業者たちは、そのお店が、その商品そのものが生活手段である。だから、大企業あるいは大資本家、そういう大きな諸君と零細事業者とは、その救済目的を達成する手段としていろいろな手だてを講じます場合、その方法はおのずから変わってきてしかるべきもので法律は、さまざまな場合において、特に小規模事業者のためにケース・バイ・ケース、これに類する特例を開いておることにかんがみまして、その必要ありと思うが、御所見いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/89
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090・工藤昭四郎
○工藤参考人 いまお尋ねの件につきましては、審議の最中にいろいろ議論が出たところでございまして、これにつきましては、さきにお話し申し上げましたように、商品とかあるいは小規模の工場の機械器具その他の設備、こういうものまで含めますと、小規模という限界をどこに持っていったらいいか非常にあいまいになってくるわけでございます。したがって、今度の場合は、居住者の住宅及び家財ということに限定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/90
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091・春日一幸
○春日委員 小規模事業者というものは、中小企業等協同組合法あるいは団体法等において、工業においては従業員二十名以下、商業においては十名以下であります。そういうことで、一定の政策的区分というものはもうなされておるのでございまして、何ら憂うるところはございません。しこうして、いま申し上げましたように、そのような零細業者にとっては、その事業用資産と生活資産とを区別しようと思っても、しょうがない。同一主体が両用のものになっておるのである。そういうような実態をとらえて政策を立てるのでなければスリップしてしまう。ただ、対象がエンドレスに広がっていくのであるというような問題は、他の法律においておのずからそこに区分、区画があるので何ら憂うるに足らない。審議会において、なおその点については十分認識がなかったのであるか、あるいは審議会メンバーの中にそのような関係の人々が加わっていなかったことが、あなた自身の重大な手落ちではなかったかと思うのでありますが、そういう問題については、今後の審議の過程において十分ひとつ各党の御考慮を願いたいと思う。
第三点は、損保のてん補率の問題でありますが、法律的に見ますと、全損でなければこれは対象としないと言っておる。ところが、実際に半壊の場合、あるいはその損害の著しい場合、こういうような場合は、全壊の場合よりも立ち直るために払わなければならない努力は、時と場合によっては、むしろ大きい場合がある。半壊の場合は、これを取りこわして、これから建てなければならぬ場合があるので、いっそ地震で全部こわしていってくれたほうが、こわし料を払わぬで済むからいい、そういう場合も出てくるのではないか。ですから、私がこの際申し上げたいことは、とにかく、半壊の場合と、そういう著しい被害を受けた場合の再建に払わなければならない努力の度合いが全壊の場合に比べて何ら劣るものではないのみならず、むしろ余分の努力を払わなければならない事態もあることを想定し、こういうものについては、私は、今後法案の審議の過程において、国会の責任において善処しなければならぬと思うが、実態論として、村瀬さん、これはどういうようにお考えになりますか。半分こわれて、建て直すためには、そのこわれたものをもう一ぺんきれいにこわし直して建てなければならぬ。地震が全壊していってくれたほうがはるかにいい。片一方ではもらえる。片一方では全然もらえない。そんなことは片手落ちである。実態に合わないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/91
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092・村瀬逸三
○村瀬参考人 ただいまの御質問は、確かに、いいろな面においておっしゃったような感じがいたします。われわれは、全損と申しましても、いま考えているところは、経済全損という問題も含めて全損にするのが至当ではないかというふうに考えている次第なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/92
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093・春日一幸
○春日委員 経済全損というものを拡大解釈しながら、今後の審議の過程において、各党の共同の努力によって、実態に即する、効果のあがる、確保のできるような体制にしていきたい。
第四点は、損害の認定について、小林君も他の諸君も触れられましたけれども、これは非常に困難性を伴ってくるのではないか。それだけに、何らかの機動力、それから公正性、こういうものを確保していかなければならないが、はたしてこれが可能であるかどうか。また、どのようにして万全を尽くす考えであるか、お伺いいたしたい。法律によりますと、全損とは八〇%以上の損害を全損と言うというようにわれわれは説明を受けているのであるが、全損とは何%以上の損害を称するのか、政府から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/93
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094・上林英男
○上林政府委員 全損と申しますのは、基本的には、そのものが本来の用途に使われなくなった場合に全損と申すわけでございますが、これを現実に執行してまいります場合には、査定にいろいろと問題を起こすわけでございますので、いろいろな査定基準を考えておりますが、その中において、たとえば、過去の経験によりますと、柱がどの程度だめになっておれば、これを修復するのにどれくらい費用がかかるかというような経験値が出てまいっておりますので、そういうところから、たとえば、柱が四〇%程度だめになっているときには八〇%程度の修復費用が要る、そういうようなものをほとんど建てかえなければならぬという場合には、これを全損という形で査定基準をつくっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/94
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095・春日一幸
○春日委員 たとえば、柱が四十本倒れますと八〇%の経済全損になるということですが、たとえば三十九本倒れた、そしてそれが七八%の場合には一体どう違うのかという問題です。いままでの火災保険の場合ですと、分損なら分損で、分損のカバーができた。ところが、今回はオール・オア・ナッシング、八〇%の場合はよろしい、百五十万円まではこれが担保される、ととろが七九%の場合はゼロなんですね。そこに非常な問題点があると思う。いままでかってなかったところの新しいやり方をここに組み立てていかなければならない、だから、とこに全損に踏み切ってしまったということは、単なる被害査定の能率の問題ではないと思う。私は、答申がずさんではないか、大蔵省がそれをうのみにして法律を出してきたのではないか、これが国の制度として今後施行されていくという形になれば、少なくとも法律の前に、政策の前に国民は平等でなければならぬ。八〇%の人は百五十万円もらったが、七十九%の人は一銭ももらえない、しかも保険料は同じように納めてきておる。火災保険や一般災害の場合は分損に対してカバーができるから、そういう問題についてはみんな適切な調整がおのずから講じられるわけだが、この制度をそのままやっていくと、何十年保険料を納めても、災害になったら七九%で全損ではないからだめだというようなことでは、この政策は体をなさなくなるのではないか。やってみて将来直すという手もあるだろうけれども、そんなくらいなら初めから直したほうがいいわけだ。だから、この問題については、全損ということだけに局限をしないで、分損の場合においてもやはりてん補なし得るがごとくに十分なる考察を遂げて、その対策を組んでいく必要があると思う。ただいま工藤さんは、ぱっと災害が起きた、早く復旧せんならぬから、調査もせんならぬからとおっしゃるけれども、早くやるといったところが、早く切り捨てられてしまったら、切り捨てられる者はたまったものではない。極端な例を言うと、たとい一カ月待とうと二カ月待とうと、もらうにしかず、そのためにこそ保険料をかけてきたのだから、しかして、そのときには国が三千億円というような膨大な債務負担をする以上、中央、地方公共団体の職員その他のものを動員する等、いろいろなその損害査定の機関の設定等は、考察し、策をめぐらせば、私は他に幾らも便法は立ち得ると思う。この問題についても十分考慮が願いたい。
それから第三は、再保険料というものが政府に相当考慮されてくると思う。現実の問題として再保険料を国に払う。ところが、四百七十年間の統計によると、一年間の損害が百八十億円ということなんだから、したがって国は若干もうかるのではないか。大災害が起きる場合はこれは別でありまするけれども、そうでなければ、平常災害程度の地震をこなしていくということであれば、これの普及度合いがだんだんと高まるに従って、国の再保険料というものの蓄積が相当になると思うが、これの運営、運用をどういうぐあいに考えておるか、端的にお答え願いたい。考えていないなら考えていないでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/95
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096・上林英男
○上林政府委員 この運営は、御存じのように、理財局で国庫金の統一運用といたしまして、各特別会計からの預託金を統一運用いたすわけでございます。この特別会計の資金もその例外ではないわけでございます。財政投融資につきましては、先生よく御存じのように、できるだけ国民一般、公共の利益を守るように投資をされていくことは御承知のとおりでございますけれども、その線に沿いまして、またこういうような問題も加味いたしまして運用されていくものと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/96
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097・春日一幸
○春日委員 いままでに財政投融資、資金運用部資金等の運用は、何となく保険をかけた当事者等に還元されていない。当事者に還元されていないということは、従来のいろいろな非難事項であった。だから、したがって今回の場合は初めからきめておいたほうがいいと思う。だから、こういうものはできるだけその当事者等の福祉にこれが還元融資がされるような措置をおのずから論じ合っていくべきである。残った金を全部資金運用部資金とかそういうほうへ流し込んでしまって、そうして、その運用効果をはかっていかぬというようなことがないように十分考慮が願いたい。
最後に、ただいま堀君の統計で三十九年度には支払い準備金、それから異常危険積み立て金その他流動資産総額が二十社で四千一百億と言われたが、本時点で幾らになっていますか。損害保険会社二十社の流通資産のグランドトータル、四十年はわかっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/97
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098・上林英男
○上林政府委員 四十一年の一月末現在で四千七百億円の総資産を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/98
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099・春日一幸
○春日委員 四千七百億円というものは、実際問題としてたいへんな金だと思うのです。私たちがテーブル・ファイヤー事件でいまから十年前ここでいろいろそういう問題に触れて調査したが、あのときはたしか一千億くらいだったんですよ。これがわずか十年足らずで五倍にハイジャンプしたということは、とにかくこれは異常な事柄であり、損保事業の共済的性格から判断すれば、これは当然料率をうんと下げてしかるべきだと思うのですよ。うんと下げても勘定が合うのです。各種準備金、異常危険積み立て金があるといえども、燃えないから使えない。燃えなければそんなに高く取る必要はない。これはもう三歳の童子でも――三歳じゃ無理かもしれないが、中学生でも判断がつく、もうこれは算術上の結論なんですね。だから、政府当局が十分指導されて料率を下げていかなければだめですよ。現実の問題として、そのような流動資金の運用すら、いやしくも法律で定めたことが守られていない。特認、特例、これが長い年月のうちに限られた時点における特殊の現象であるというならばまだしものこと、昭和三十四年には悪かったが、だんだんよくなってきたといっても、平均率で三三%なんということは、私は、政府が法律に基づいて執行していない、けしからぬと思うのですよ。だからそういう意味で、いま四千七百億円になんなんとする膨大な流動資産が備蓄されておるとするならば、限界があるかは知らないけれども、戦後われわれがこのような説をしばしばなすことによって五回も六回も下げられてきた。この間においても相当下げられたかもしれないけれども、さらに下げていただく必要があると思う。
それから、最後に私はこのことをお伺いしたいと思うのですけれども、戦時保険ですね。あの当時、戦争保険料を付加することによって、火災保険会社と被保険会社との債権債務の関係は、戦時補償特別措置法によって、法人はたしか一万円、個人は五万円でありましたか、それで切り捨てられてしまったんです。あれは戦時補償特別措置法、敗戦という特殊の事態にかんがみてあのような特殊な措置がとられたのでありまするし、しかも、これはやむを得ないものとして、当時被保険者は、結局法律だからやむなくそのまま泣いてきたんですね。ところが、火災の統計によりますると、大体五十年に一ペんくらいしか家は焼けないものであるそうです。五十年間かけてきて、そうしてさらに戦争になったから危険の度合いがふえてきた、だから、いままでの火災保険料にプラス戦争保険料をかけて、はたして燃えた、燃えたら、個人は五万円、法人は一万円で切り捨てられてしまって今日になっておる。ところが、火災保険会社は、その当時さまざまな理由があって、支払い能力もあるないといういろいろな判断があって、そういう結果になされて今日に至っておると思うけれども、しかし実際には、その二十社の現在の損保会社は、その当時ののれん、それからその当時の動産、不動産さまざまな資産を継承されて今日に至っておる。その結果、今日四千七百億円という膨大な資産を蓄積されたからには、私は、旧債について何らかの考慮をなすべきではないか、たとえば、戦時補償特別措置法ありたりとはいいながら、引き揚げてきた諸君、在外資産の問題についても論じられておる、あるいは農地報償の問題についても、みなその権利が復元された形でそれぞれの政策的措置がとられておる。私は、このような事態にかんがみて、損保会社がいま保有されておるそのようなマンモス的資力、これをやはり活用されて、そうして他に事例のないわけでもございませんから、したがって、あの戦争によって打ち切られた損保会社側の持っております債務、戦災者側がその当時ぶった切られたところの債権、これについて何らかの考慮を自発的にさるべきである。されないとするならば、後日、私どものほうでプランを立てて、鼓を鳴らして攻め寄るであろうことをここに宣言をいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/99
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100・三池信
○三池委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
両参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会といたしましては、両参考人の御意見は、今後の法案審議に十分尊重反映せしめたいと存じます。ここに、厚く御礼を申し上げます。
この際、暫時休憩いたします。
午後一時二十二分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03219660415/100
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