1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月二十六日(火曜日)
午後一時三十六分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 坊 秀男君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 堀 昌雄君
理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 木村 剛輔君
木村武千代君 小山 省二君
砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 西岡 武夫君
毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺 栄一君 渡辺美智雄君
佐藤觀次郎君 平岡忠次郎君
永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(銀行局保険部
長) 上林 英男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(銀行局保険部
保険第二課長) 田辺 博通君
専 門 員 抜井 光三君
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四月二十三日
所得に対する租税及びある種の他の租税に関す
る二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦
共和国との間の協定の実施に伴う所得税法、法
人税法及び地方税法の特例等に関する法律案(
内閣提出第一四六号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地震保険に関する法律案(内閣提出第七三号)
地震再保険特別会計法案(内閣提出第七四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
地震保険に関する法律案及び地震再保険特別会計法案の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/1
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002・平林剛
○平林委員 私の質問は、先回保留をしたのが一件ありますが、これはあとで事務当局のほうからお答えいただくことにいたしまして、初めに大蔵大臣にお尋ねします。
地震保険に関する法律案の第三条に「政府は、地震保険契約によって保険会社等が負う保険責任を再保険する保険会社等を相手方として、再保険契約を締結することができる。」と書いてあるわけです。私は、初めこの地震保険に関する法律案を審議しておったときに、現存の保険会社、損害保険会社と直ちに政府が再保険をするのだと思ったのでありますけれども、この第三条を読んでみると、そうでない、間にもう一つあるような表現になっておるのですが、このところの事情は一体どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/2
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003・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そのとおりなんです。つまり、火災保険会社が二十社あるわけです。その二十社が政府と再保険契約をおのおのするというのでなくて、そこに一つ中間段階をつくるという考え方をとっておるわけです。なぜ中間段階を置くかと申しますと、これは地震ばかりではないのでありまして、あるいは原子力というような場合におきましても、あるいは航空機事故というような場合におきましても、損害が非常に会社ごとに片寄る傾向が多いわけであります。そういう場合に対しましては、プール計算でもしてその損害を共同で分担するという考え方が取り入れられておるわけなんであります。今回の地震のできごとは、会社ごとに見まするときには損害が最も片寄り過ぎるという傾向が予想されますので、そういう傾向に対処いたしまして、中間段階としてプール的性格の保険会社を新たに設立して、この保険会社が元請保険会社との間に再保険契約を行なう、その超過部分につきまして、今度は政府との間に再保険契約をその新設された会社が取り行なう、こういう考え方をとっておるわけなんであります。これはそういう保険の性格上、そういう段階を踏むことが適切である、そういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/3
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004・平林剛
○平林委員 事務当局でもけっこうですが、これを具体的に少し説明してもらいたいのです。私は、この間岩動委員の質問を聞いておりまして、いまの再保険だけを専門とする会社の設立の話を聞いたわけでございますが、具体的な準備がもう進められておるのですか。その状況についてお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/4
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005・上林英男
○上林政府委員 先日もお答え申しましたように、ただいまこの法案の審議と並行いたしまして、できるだけ早く、この地震保険の実施を目途にいたしまして、ただいまお話がございました再保険会社についても準備を内々進めております。その規模といたしましては、保険会社二十社が全部出資をいたしまして十億円の株式会社を設立し、この再保険会社を設立する予定でございます。その運用につきましては、できるだけ簡素に、経費のかからないようにいたす予定にしたいと思いますが、また、こういう会社の計画につきましてもいろいろな準備がございますので、そういう準備を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/5
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006・平林剛
○平林委員 結局、いまのお話ですと、一つの再保険会社をつくる。名前も、私承知しているのでは、日本地震再保険株式会社、資本金がいまお話のように十億円、そして損害保険二十社が発起人になっていく、そうすると、設立の認可はまだ大蔵大臣のところに届けていないとすると、この法律がかりに成立をしても実際には生きてこない、こういうふうに私は思うのですが、そういうことは時期的に見てどうなんでしょうか。たとえば、これは地震のことだからいつ起きるかわからぬということで、なるべく早く成立をさせたいと希望する人もありますけれども、この会社が設立をされて、準備が進められて、認可がおりない間は、この法律そのものに穴があくということになりはしないか、そういう関係についてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/6
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007・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これはもう準備が取り進んでおりまして、法が施行されますとすぐ会社ができる、こういうことになるわけであります。観念上はお話のようなことはありますが、実際上はありませんのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/7
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008・平林剛
○平林委員 それから、法律案の第三条では、再保険をする会社を相手にするとなっておるのにかかわらず、相手の会社はまだ設立されていない。そういう意味では、この法律案そのものが、実際上はだいじょうぶだ、こうおっしゃるが、一つの欠陥が出てくるのではないだろうかという疑問が一つあるわけであります。
それからもう一つは、この第三条が生まれてくる経緯について、私、疑問を感じたのです。それはなぜかというと、この問題については、地震保険制度に関する答申というのが出されまして、あらゆる問題を検討されたわけですね。そして、検討されている中に、私いろいろこまかく端から読んでみたのでありますけれども、こういう保険会社をつくったらどうかというような構想は、どうも見当たらないわけなんです。そうすると、この答申を受けて検討している間にこの構想が生まれてきたという解釈しかできない、こう思うのでありますけれども、その経緯はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/8
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009・上林英男
○上林政府委員 第一の点でございますが、ただいま申し上げましたように、できるだけ早くこの制度がスタートいたしますように内々準備いたしておりますので、通常の会社の設立期間よりも比較的早目に設立できる見通しでございます。若干法定の手続が要るわけでございますが、その期間をできるだけ短縮する予定でございます。
第二の点でございますが、確かに、答申の中におきましては明確に書いてはございませんけれども、あるいは答申の段階においてもすでにそういう考え方も持っておったように聞いておりますが、具体化いたしますにつれて、また、前回にお答え申しましたように、新しい、しかも巨大な危険を担保するような保険を行ないますときには、こういうようなプール機関をもって処理するのが大体保険会社の通例でもあるわけでございますし、それにふさわしいことでもあるわけでございます。そういうような意味からいいましてこういう制度を採用をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/9
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010・平林剛
○平林委員 採用したのはわかっておるけれども、ここの地震保険制度に関する答申を出される前に、いろいろな関係者が何回も何回も委員会を開きまして、そうして結論をつけたのですね。それだけいろいろな各般の議論をした中に出てこないで、突如としてこの法律に出てきたというのはどういうわけかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/10
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011・田辺博通
○田辺説明員 当時、私はこの審議会にずっと出席しておりましたので、その間、正式の答申、あるいは印刷物には印刷されていない事項でございますので、私から御答弁を申し上げます。
そういう話が審議会の席上でも出てまいりました。民間の負担額、国の再保険、こういう議論をしておる間に、民間の負担額部分について、一体どうするのが一番いいのかという議論が出まして、今回法案に盛りましたような、一括、全社の危険をプールして、それを再保険するという形式をとり、その再保険会社が一本になりまして、政府と再保険契約をする、正確に言いますと、再々保険契約でございますが、そういう方式が一応御披露をされまして、これにつきましては、審議会では、それは民間の内部の問題である、民間の負担部分をどうするかという問題であるから、この審議会で特に議論をしていいとか悪いとかいう問題ではないであろうということで、次の問題に移ったという記憶は、確かにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/11
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012・平林剛
○平林委員 それは話として出たでしょう。話として出たけれども、答申として、こういうような形で再保険することが望ましいということからこの保険制度が発足するわけでしょう。しかし、再保険、再々保険というような形では出ていなかったということを私は言っておるのですよ。それが出てきたのはどういうわけか。これは重要な柱になるわけでしょう。それならば、なぜこの答申案になくて——いま、話を聞いたことがあるとおっしゃるけれども、聞いたことがあるというのじゃないのですよ。私が言うのは、こういう答申の中に、そういう機構でもってやるのが適当であるというふうに答申がなかったのになぜ生まれたかということを聞いておるわけです。いいですか、この答申の二十四ページに書いてありますが、いろいろ今度の地震保険をやっていく場合に、民間でやるのがいいか、民間と共同で政府がやるほうがいいのか、場合によっては、こういうのは特殊性のものだから、政府自体がやったらどうだろうかというような議論もあったのですよ。これは話でなく、経過がちゃんと書いてある。ところが、そのとき特殊法人というようなものをつくるという案は、「民間保険会社と国が共同出資し、保険会社に契約の引受業務を代行させるものであるが、問題は担保力が当面その資本金に限定されることであり、地震保険として期待される保険金の支払いを行うことができる程度の出資金をあらかじめ確保することは困難であるとして採用するところとならなかった。」こう書いてある。要するに、新しい特殊法人をつくって地震保険全部をやらしたらどうかという案については、結局国も共同出資しなければならぬし、資本金が限定をされて、保険の支払いを行なうことができる程度の出資金をあらかじめ確保することが困難であるからやらぬ、こう書いてあるのです。いまのお話だと、日本地震再保険株式会社の資本金は十億円じゃありませんか。そうすると、ここに書いてありますように、ほんとうは国と共同でやるほうがいいんだという議論があったにもかかわらず、それはその出資に限定されて、非常に支払いが困難になるからいかぬというやつが、十億円ならどうしていいのか、再保険をするという会社としてどうして適当なんだ、こういう疑問はすなおに考えたって出てくるじゃないですか。ですから、こういう地震保険制度に関する答申にもないものがなぜ生まれてきたかということを、もう少し国民にもわかりやすいように説明してもらわなければ困る。私、これは疑問なんですよ。
それで、たとえば十億円出資して、一体再保険料というのは幾ら取るつもりですか。それからまた、これは株式会社ですから、十億円出資すれば、それに対して配当金を払わなければならぬということになるでしょう、配当金を払わない株式会社ということはちょっとあり得ないことですから。少なくとも、この資本金を出した運用利益くらいは配当しなければならぬというはめにおちいるでしょう。私の質問は、何でこういう会社をつくる必要があるかということにあるのです。ですから、再保険料は幾ら取るのか、それからまた、実際にこの会社は配当していくような会社なのかとうなのか、そういう点もひとつあわせて——本質的には、私が言った、なぜ生まれてきたかということを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/12
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013・上林英男
○上林政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、新しいこういう機構をつくりますときには、プール機構をもって処理をいたしますことが円滑に処理をするゆえんでございます。また、国と再保険をいたすわけでございますので、こういうプール機構に法人格を与えまして、保険会社として確立した地位を与える、それが適当である、こういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、この制度を円滑に運用いたしますためには、このような再保険会社設立によるプール機構というものを整備することが私どもも適当である、こう考えましたし、また、保険会社におきましても、この地震保険を行ないますにあたりまして、これは保険会社全体の共同の連帯責任というような気持ちで運営をしていこうという気持ちがあるわけでございます。その一環ともいたしまして、こういう機構を設立したものでございます。したがいまして、この保険会社に対します十億円の出資につきましては、いわば各二十社の保険会社の分身という気持ちで、これはかりに保険会社を設立いたしませんでも、プール機構をつくりますと、それぞれの経費が要るわけでございますから、そういうような二十社の分身である、あるいは共同責任を具体化する一つの方法であるということで、もちろんこの再保険会社において利益を期待しているわけでもございません。当面、この十億円の出資につきましても、この十億円の資本金が生みます利息は配当してしかるべきであろうかとも思いますが、これについても、当面においてはこの地震の再保険の担保力を増すために配当も期待しておらない、こういう状況でございます。(堀委員「ずっと配当しないのか」と呼ぶ)いま申しましたように、当面は配当も期待しておらない、こういうことでございます。したがいまして、配当をするつもりはございません。定款上は、もちろん株式会社でございますので配当をすることができる道は開いてございますが、いま申しましたような趣旨で、二十社の分身といたしましてこれを処理するつもりでございますので、出資の各保険会社におきましては配当を考えておらないという状況でございます。
それから、再保険料につきましては、まだ確定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/13
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014・平林剛
○平林委員 いまの説明もあまり納得できませんけれども、もう一つ別なところでお尋ねします。
大体この会社はどこへ設けられますか。それから機構はどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/14
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015・上林英男
○上林政府委員 この事務室につきましては、非常に簡素な保険会社の機構を考えておりますので、ただいま再保険を専門といたしております東亜火災という損保会社がございますが、その中に事務室を設けるつもりでございます。また、機構といたしましては、いま申しましたように、きわめて簡素に、社長ほか、常務の重役としては二人程度、それから職員としましては六名程度ぐらいの人員で事が足りるのではなかろうか、そのような程度の規模のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/15
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016・平林剛
○平林委員 大蔵大臣、私いまお聞きいたしておりまして、これはあまり適当な機構じゃないというように感ずるのですよ。なぜかといいますと、まず、先ほど申し上げたように、これは地震保険制度に関する審議の中ではお話はあったというけれども、答申にはなっていない。そして、これが、業務を円滑にするものであるということの解釈は大蔵省の解釈である、分身として考えるという理解で運営したいというのは損害保険会社の解釈である。しかるに、地震保険に関する答申を出されました各委員は政府にこれを答申していない。まずそういうことがひとつ言えます。
それからもう一つ、資本金十億円の株式組織である、もちろんその配当は期待をしない、こういうわけでございますが、これは奇妙な株式会社でございます。同時にまた、この答申の中にありますように、こういう資本金に限定をされる会社、特殊法人をつくるというようなことでもいかぬ、つまり、出資金をあらかじめ確保して、地震があったときにあらかじめどの程度あるかわからない、それを出資金に限定されるようなことは困るというので、特殊法人の会社さえができなかったのにかかわらず、これが許されるというのは奇妙な感じである。それから東亜火災の一室を借りる。そし構成は、社長は当然おるのでしょうが、常務取締役も幾人かおり、事務員は六人程度、十人足らずの人がこの仕事をやる。再保険料は幾らか、いままだきまっていないと言いましたが、おそらく一〇%や二〇%の再保険料は取るでしょう。そうすれば保険料の収入が、正味四十一年度六十五億円程度ですか、予定をされておる。そのうち、政府のほうには十一億円払う、この会社のほうには四億円になりますか、十億円になりますかわかりませんけれども、そこにも払う。それがこの程度の機構で、しかも東亜火災の一室を借りてやる。私はこういうことは円滑にやるということだけでは済まされない問題があるではないかと思うのですね。こういう社会的な注視を浴びてまいりました地震の保険制度でございますから、私は、そういう意味では、むしろ政府と、あるいは民間を入れてもいいですが、特殊法人をつくって、そしてそこに基金を積み立てるというやり方のほうが適当ではないかと思うのですが、大蔵大臣いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/16
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017・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いろいろ御推量があるようですが、これはきわめて平たく考えていただきますれば、これはプール計算を、各社のプールという形でない、一つの独立企業体という形でもう少し明確ならしめた、こういう意味だと御理解願うと、すっとするんじゃないかと思います。何も裏の意図があるわけじゃないんで、ただ単にそれだけの考えに出ておるものであります。それで、まあ問題は、こういう中間機構をつくりまして、そのために被保険者ですね、この負担がふえるということになると、私は問題だろうと思う。しかし、全くノミナルというのに近い機構でございますので、それほどの影響もないわけで、プール計算をするのにつきましても、これは人手が全然かからぬというわけではない。それをそのまま株式会社という機構にしたというだけのものであり、しかも、そういう性格のものでありまするから、配当などのことはもちろん考えてはおりませんことでありまするし、したがいまして、被保険者により重い負担がいくというわけでもございませんし、こういう機構でやっていきたいという保険二十社の意向ですね、そういう意向があるのです。これを尊重してやっていく、これが新しい制度を円滑ならしめるゆえんである、こういうふうに考えまして、ただいまのコースの準備を進めておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/17
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018・平林剛
○平林委員 ただ私、再保険料の問題もありますけれども、結局、地震保険が実施されることによって、政府のこの間からの説明だと、四十一年度大体六十五億円くらい保険料として入ってくるわけですね。十一億円は政府のほうに再保険料として支払うわけです。そうしてまた、この中間の会社にも、これは何億かわかりませんけれども、かりに四億円とか十億円払うということになれば、いまは配当は期待しないというけれども、だんだん十億円になり、これが出資金も少しずつふえるかもしれない。この会社だって、ふやさなければ、担保能力ありませんからね。十億円くらいの会社に、どえらい地震がくるかもしれないというときにこれを担保させるということはおかしなことですから、出資金もふやさなければならない。そうすると、しまいには、長い間そのまま遊ばしておくわけにまいりませんから、運用して益が出てくれば配当しない株式会社はないという理屈が出てまいりまして、配当せいという形になる。そうすると、私は、この地震保険というものは安くして、こういうものは、ほんとうは初めからそのための保険料を取らないでやってくれるくらいに思っておったところが、やはり何ぼか上げるということになる。それでも不満だと思っていたら、またこういうことになる。それで私は、むだになるんじゃないか、それだけ中間経費をかけるならば、むしろ特殊法人のようなものをつくって、そうしてそれを基金として置いておいて運用していく、政府が運用していくというやり方をとりまして、保険料を安くしてもらったほうがいい、こういうことになると思うのでありまして、これは私は、大蔵省もこういう点はすぐここでひっくり返す——きょう言おうかと思ったのですが、そこまで言わないことにしたのですけれども、一、二年ぐらい様子を見て、やはりある程度こういう委員会においてこういうことは適当かどうかということをやってもらう必要があるんじゃないでしょうかね。やはりこのためにこういう専門家の人もお集まりになってやってくれたのですから、そこを筋を通してやる。私ら気がつかなければぱっと通ってしまって、あとで日本地震再保険会社が生まれた、ああ、あの制度かということになってしまうのですけれども、幸い委員に勉強家の人がいて出してくれたからいいですけれども、これではだめですよ。だから、やはりすぐだめだというわけにいかない。きょうは全損までの質問はしないことにして、分損か三分の一損くらいでやめることにしていますからやめますけれども、大蔵大臣、そうでしょう。やはりこういうことを議論をしてもらうことをやってもらう、検討してもらうということは必要なんじゃないでしょうか。最小限、そのくらいの態度は明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/18
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019・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これはまたやってみまして、弊害があるというならもちろん考え直します。御意見のほどはよく私も了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/19
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020・平林剛
○平林委員 それじゃ、この間私事務当局のほうに言った、あらゆる場合の想定をしてお尋ねをしたことの回答がまだないのです。つまり、私が申し上げたのは、地震保険がこれから実施をされるわけだけれども、結局、地震保険ができたことによって割りが悪くなってしまうなどという国民がないようにしたいということで、いろいろな想定をまとめまして、これはどうだ、あれはどうだと聞いたわけであります。そのお答えがないわけです。
私がお尋ねしましたのは、地震が直接的原因でなくて発生した火災に対して、取り扱いはどうするのか。なるべくその契約者に対して有利な解釈でやってもらいたいという意味を込めて私は設問をしたわけであります。
第二点、地震で火災が生じて、その火災による延焼で焼失した場合の取り扱いはどうするのか。それから第三点、地震が、今度の法律によると、一回は七十二時間だというんだけれども、七十二時間が終わってしまった、ところがそのとき気がつかなかったんだけれども、電線の故障で、何日か後漏電があって火事になった。直接地震ではない、しかし地震のときに故障が起きて、あとで気がついたら漏電ということで火事になった、こういう場合はどうするのか。これは地震保険だから限定額だけしか払えませんというのか、こういう場合は情状酌量して、普通の火災保険として支払うのかどうか。
また第四は、地震は終わった。それは三分か五分くらいで終わってしまった。しかし、停電してしまったので、しょうがないから、ろうそくを使った、東京電力のほうに申し込んだがなかなか来ない、そうしたらそのろうそくの取り扱いを誤ったために火事になった。これは過失ではあるけれども、普通の場合でしたら、地震さえなければ火災保険契約満額もらえるのに、地震があったためにだめだということになるのかどうか、こういう点は一体どうするのか。いま長野県の松代で地震がある、この場合は一日に二千回も、からだに感じないものまでも含めると何千回もある。このときに火事があった。だけれども、それは何も地震によって火事が起きたんじゃない、普通の不始末によって火事が起きた。しかし、地震地帯であるし、震度は人体に感じなかったり、あるいは震度一とか二くらいであった、だから、地震があったから火災保険のほうは払わないと、こう言うのかどうか。また、次の設問は、地震があった。その地震はたいした震度ではなかった。しかし、中にはあわて者がいるから、あわててうちを飛び出した。ほかの人は静かに天井を見て、電灯のゆれぐあいを見ていたけれども、そいつは特にあわて者だから出かけた。ところが、その出かけたときにうっかりして、火の元の始末をしなかったために火事になった。これはあわて者だから火事になったので、地震で火事になったのでございません。こういう場合はどうするのか。
まあ、いろいろ具体的な問題が考えるとあるわけであります。私は、この地震保険というのは、ある意味では、こうした問題についていいように取り扱いなさいよということで出発したのであるが、そのために従来の火災保険契約の中において不利になる国民があってはならぬ、そういうことを考えていろいろなことを申し上げたわけであります。条件によっていろいろむずかしいから、取捨選択をせにやならぬ問題もあるでしょうけれども、私は、こうした問題を、なるべく被保険者にとって有利なようにやってもらいたいと思っておるわけなんであります。そうしたことについてどうしてくれるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/20
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021・上林英男
○上林政府委員 ただいまの保険約款によりますと、原因が直接であると間接であるとを問わず、地震または噴火によって生じた火災及びその延焼その他の損害、これを免責といたしております。今回の地震保険におきましては、この免責約款の穴をふさぐものでございます。したがいまして、ただいまの御質問のまず第一問でございますが、地震を直接的な原因でない、間接的な原因とする火災もあるわけでございますので、その間接的な原因とする火災につきましては、地震火災ということになるわけでございます。
それから第二の、延焼の問題でございますが、これも地震火災によるものということになるわけでございます。
さらに、地震による損害という場合におきましては、地震と損害の間に相当因果関係があることが原則でございまして、その相当因果関係にあるかいなかは、種々の状況によって異なってまいります。たとえば、損害発生までの間に過失等がございますと、因果関係は中断されたと見るのが普通であります。したがって、その場合は地震による火災となりません。しかし、過失といいましても、非常事態の際のように、人心が動揺いたしまして、社会秩序も混乱しているという場合と、一般的に平静で、地震の有無を感じない程度の場合とでは、過失とするかどうかが異なってまいります。すべてそのときの状況によって判断せざるを得ないということになるわけでございます。したがいまして、ただいまの御質問の第三点と四点につきましては、地震と漏電との間、または地震とろうそくの取り扱いの誤りとの間に因果関係があるかどうかということによって、地震火災かどうかがきまってくるわけでございます。
それから、五番目の御質問につきましては、火の不始末が、通常一般的にやむを得ざる程度のものであって、過失とならなければ因果関係は中断いたしませんので地震火災となりますが、通常考えられる程度の地震があり、因果関係が中断されたものと認められれば地震火災とならない、こういうふうに考えるわけでございます。
いずれにいたしましても、ただいま御質問ございましたように、この地震保険ができましたことによって、いままでよりも地震火災と考えられるものが広くなるというようなことではたいへんでございますので、そういうようなことは絶対にすべきではなく、そうしないように、むしろ、いまいろいろ御質問がございましたような想定の問題、これもただいま申しましたように、そのときそのときの情勢によりまして判断が違ってくるわけでございまするからむずかしい問題もございますけれども、そういうような場合もあらかじめ考えて、できるだけ基準的なものもつくり、円滑に運用ができるようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/21
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022・平林剛
○平林委員 とにかく、いまの前段のお話を聞いていると、私は保険会社の説明を受けているような感じがいたしましてしょうがない。国民というのは、こういう場合になりますと、私のような立場からものを考えたいですよ。ですから、なるべくその気の毒な立場にあった人の側に少しついたような返事をもらいたいんですよ。
そこで、後段に言われましたように、今後査定をするときに、いまのように保険会社が約款で調査してやるというだけでは、そういうときは強者と弱者のような関係にあるわけでありますから、国民が非常に不利になる。ですから大蔵大臣、この点どうでしょうか。まだあまりそういうものがなく、冷静に判断できるようなときに、もう少し——現在の地震免責については、国民はまだいろいろな不満を持っておるわけでありますから、これについての査定の基準というものを大蔵省がつくって、そして国民的立場に立って保険会社に示すというようなことを大蔵当局にやらしてもらいたいと思うのですよ。このお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/22
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023・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 御趣旨の点は、よく検討してみます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/23
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024・三池信
○三池委員長 両案に対しまして、西岡武夫君外三十八名より、三党共同提案にかかる修正案がそれぞれ提出されております。
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025・三池信
○三池委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。西岡武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/25
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026・西岡武夫
○西岡委員 ただいま議題となりました両法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、修正の趣旨を御説明いたします。
案文の朗読は省略させていただきます。
御承知のように、政府原案では、両法律の施行期日は「昭和四十一年四月一日」からと定められておりますが、これを、地震保険に関する法律案におきましては「公布の日」からとし、地震再保険特別会計法案におきましては「地震保険に関する法律の施行の日」からとし、「昭和四十一年度の予算から適用する。」ことに改めようとするものであります。
このように改めますのは、従来の慣例上必要と認めたからでございます。
何とぞ御審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/26
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027・三池信
○三池委員長 これにて両修正案の趣旨説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/27
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028・三池信
○三池委員長 これにて両案並びに両修正案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/28
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029・三池信
○三池委員長 これより討論に入るのでありますが、両案並びに両修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、これより順次採決に入ります。
まず、地震保険に関する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。
まず、西岡武夫君外三十八名提出の修正案について、採決いたします。
本修正案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/29
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030・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。
これを可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/30
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031・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。
次に、地震再保険特別会計法案及び同案に対する修正案について、採決いたします。
まず、西岡武夫君外三十八名提出の修正案について、採決いたします。
本修正案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/31
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032・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。
これを可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/32
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033・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/33
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034・三池信
○三池委員長 次に、ただいま議決いたしました両案中、地震保険に関する法律案につきまして、堀昌雄君外三十八名より、三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、この際、提出者より趣旨の説明を求めます。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/34
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035・堀昌雄
○堀委員 地震保険に関する法律案に対する附帯決議の案文を朗読いたします。
地震保険に関する法律案に対する附帯決議案
政府は、保険事業の現状にかんがみ、次の諸点を検討し速やかに措置すべきである。
一、地震保険のてん補範囲に分損を加えること。
二、保険料を一層低率とすること、殊に地震保険について考えること。
三、保険事業に関する税制について再検討を行ない一般企業との均衡を考慮すること。
四、火災共済協同組合が、可及的速やかに地震保険業務を営み得るよう適切な行政指導をはかること。
五、地震保険については施行後の推移を考慮し適切な運用改善をはかること。
過ぐる新潟地震のありましたあとで、当委員会において地震保険をすみやかに設けるべきであるという附帯決議を行ないました。それに基づいて、今回地震保険に関する法律案が政府において提案をされ、今日可決をされたわけでありますが、私どもは、この地震保険の法案審議の過程の中で、今回の地震保険がてん補範囲を全損及び経済的全損に限っておるのでありますけれども、この問題は、その全損の範囲の確定にもいろいろと問題がありますし、さらに、広範な被害者の中には、いろいろな損害の程度において公平を失するおそれも十分にあると考えられますので、今後の担保力その他の点を考慮に入れながら、政府におきましても十分財政的な配慮を行なって、てん補範囲に分損を加えるよう、すみやかに検討を進めていただきたいということであります。
第二の保険料の問題でありますが、日本の火災保険料は、必ずしも一般の者が加入するについては十分な低さになっておりません。私たちは、このような経過がかんがみ、世界に例のない所得税における火災保険料の控除等の制度を設けてまいったのでありますけれども、今回、地震保険について、さらに、総合保険においては保険料が約一円程度高くなるというような問題もありますし、いろいろ勘案をいたしまして、現在の保険料をさらに一そう低率にすることによって火災保険の普及を促し、その普及に伴ってさらに低率にすることが望ましいと考えますし、ことに、地震保険につきましては、いつ起こるかわからない地震に対して、強制的に総合火災保険においては保険料を負担させるという問題もありますので、特に地震保険につきましては、さらに保険料を低率にすることについて十分検討を進めていただきたいという趣旨でございます。
保険事業に関する税制につきましては、これまで担保力が不十分であるという過程がございまして、いろいろと恩典が講じられておるのでございますけれども、ようやく担保力も相当大きくなってまいっております現状では、この際、再検討を行なって、一般企業との均衡を考慮することが適当である、こう考えておるのでございます。
火災共済協同組合が、現在はこの地震保険の取り扱いからは除外をされておりますけれども、火災共済協同組合の趣旨にのっとり、すみやかに地震保険業務が営み得るような適切な行政指導をはかって、これらも地震保険に参加できるような道を開いていただきたいということでございます。
ただ、これらのいろいろな問題は、初めて行なわれる地震保険の制度でありますので、施行後いろいろな情勢の推移等を十分考慮して、ただいまの再保険会社の問題等を含めて、適切な運用の改善をはかるということを強く要望いたす次第でございます。
以上が、この附帯決議案に対する趣旨説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/35
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036・三池信
○三池委員長 おはかりいたします。
堀昌雄君外三十八名提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/36
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037・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、堀昌雄君外三十八名提出の動議のごとく、本案に三党共同提案による附帯決議を付することに決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/37
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038・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいまの附帯決議に対しましては、よくその御趣旨を尊重し、検討の上、善処することにいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/38
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039・三池信
○三池委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/39
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040・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/40
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041・三池信
○三池委員長 次会は、明二十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X03619660426/41
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