1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月三十一日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 坊 秀男君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
押谷 富三君 木村 剛輔君
木村武千代君 小山 省二君
田澤 吉郎君 西岡 武夫君
福田 繁芳君 村山 達雄君
毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺 栄一君 佐藤觀次郎君
只松 祐治君 日野 吉夫君
平岡忠次郎君 藤田 高敏君
山田 耻目君 横山 利秋君
春日 一幸君 永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 武藤謙二郎君
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 畠山 一郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(恩給局恩給問
題審議室長) 大屋敷行雄君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 辻 敬一君
厚生事務官
(公衆衛生局企
画課長) 宮田 千秋君
厚 生 技 官
(保険局医療課
長) 浦田 純一君
日本専売公社職
員部長 園部 秀男君
日本国有鉄道参
与
(厚生局長) 中西 幸雄君
日本電信電話公
社厚生局長 飯森 実君
専 門 員 抜井 光三君
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五月三十一日
委員野口忠夫君、日野吉夫君及び横山利秋君辞
任につき、その補欠として中澤茂一君、西宮弘
君及び川俣清音君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員川俣清音君、中澤茂一君及び西宮弘君辞任
につき、その補欠として横山利秋君、野口忠夫
君及び日野吉夫君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した案件
昭和四十年度における旧令による共済組合等か
らの年金受給者のための特別措置法等の規定に
よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第七七号)
昭和四十年度における公共企業体職員等共済組
合法に規定する共済組合が支給する年金の額の
改定に関する法律等の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/1
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002・山田耻目
○山田(耻)委員 先週の金曜日に引き続きまして質問申し上げますが、きょうは大臣もお見えになっておりますので、大臣に御考慮いただきたい問題などを少し先にお伺いしたいと思います。関係のある問題について、順次関連を少し明らかにしながら御質問したいと思いますので、金曜日に三公社のほうにお願いいたしておきました例の年金の調整、スライドにつきまして、国家公務員共済組合の関係並びに恩給の関係については審議する場所が設定されておるようでございますが、三公社の関係については審議する機関というものがない、そういうことでは全体の公平を失する可能性すらあるので、きょうの委員会までに考えられ得る方法について検討願っておくということにして預けてあるわけです。これについてどのように三公社のほうで御相談になったのか、この点についてまずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/2
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003・畠山一郎
○畠山政府委員 お答え申し上げます。
公共企業体の共済組合の関係で、国家公務員共済組合あるいは恩給等のような審議会をつくりますことは、関係三省いずれに置くといたしましても、設置法上相当問題がございまして、困難かと思われます。したがいまして、三公社共済組合のそれぞれの運営審議会のメンバーと相談をいたしまして、また、学識経験者の意見も聞きまして三公社の共済組合の意見を固め、その後三公社の間で意見を調整しました結果を三省で持ち出してもらう、三省でこれを協議いたしまして、他の公的年金との関連、バランスを考えまして適当な措置をとりたい、そういうふうな考え方で調整規定の具体化について考慮していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/3
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004・山田耻目
○山田(耻)委員 三公社が持っておるそれぞれの運営審議会などでこの問題について協議をして、その協議の結論を持ち寄って、そうして監督官庁のほうの当番官庁がそれをもって、そうして設置されておる国家公務員共済組合審議会のほうの窓口で相談をして措置をしてまいりたい、こういう御答弁のようでありますけれども、結局、三公社というものは自主性なり主体性というものを全く失っております。まさに従属的な状態であります。これじゃ、三公社の共済組合というのは膨大な組合員を持っておるのでありますが、この人たちのこの調整に関する独立的な自主的な議論というのは、私はやはり公的年金の中に正しく反映していくということにならないと思います。しかし、いまの法律のたてまえから、あるいは運用のたてまえからなかなかむずかしいということがおっしゃっている言い方の背景にはあるようでございますので、それらについて大臣にひとつ私はお伺いしたいと思うのでありますが、まず差別をつけてはいけない。御存じのように、恩給の関係につきましては、恩給関係の審議会で今回法律をおつくりいただきました二条の二項に基づいて調整の立場というものが通されていく、それから共済組合法の関係につきましても、せっかく一条の二項で調整の措置ができ上がっていくのでありますけれども、この部分については、国家公務員共済組合の関係は審議会でやる、三公社のほうについては、そういう調整法を設定してもらったけれども審議する場所がない、だから、いまのように、適当に連絡会を開いて、だれか担当省が意見を言っていこうじゃないか。三公社の担当省は大蔵、運輸、郵政ということになる。その担当当番がどこかでものを言う。これじゃ、法律のたてまえがうまく生かされていかないことになるのじゃないか。特に調整の問題、いわゆるスライドの問題につきましては、共済組合相互間の利害の対立というのはございません。あくまでも、物価の高騰なり、生活水準の変異に伴って、客観的にどれだけスライドしていったらいいかということが討議される場において三公社という非常に多くの数の組合員をかかえておる共済組合は直接的に意見が申し述べられない、だれかを介してものを言わにゃならぬ、こういうことは、私は、こういう制度がまさに民主的に運営されていく、公平にものごとが定められていくということにならないと思う。直接審議に参加しないのですから。こういうことじゃ私はいけないと思う。
そこで大臣のお考えを伺いたいのでありますが、恩給関係につきましては、これは一応共済組合関係とは別個にものを考えてよかろうと私は思うのです。ところが、公的年金の関係につきましては、国家公務員共済組合の立場、三公社共済組合の立場、それに私学年金の問題、農林年金の問題、こういうふうにございます。こういう公的年金の関係が、一つの審議をする場所を設定して、そこでお互いが法律の定めに従って審議を尽くして、そうして一つの結論を得て所要の手続に乗せていくという立場をとられていくのが私は一番至当なような気がする。差別がなくて、公平で、民主的です。こういう制度をつくろうとすれば、設置法の一部改正をやりまして、総理府にお願いすることになると思いますけれども、設置をしていただくということになるわけであります。こういう手続を経て、そういう公的年金関係の調整に関する審議会というものをひとつつくっていただくということが私は一番いいと思うのでありますが、大臣のお考えはいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/4
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005・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私は、恩給にいたしましても、あるいは共済にいたしましても、 スライド制、この基本的な原則は確立しておると思います。その適用が、恩給あるいは共済、その共済の中の三公社あるいは国家公務員というようなもの一つ一つにつきまして差異が出てくる、差別が出てくる、こういうことは私は適切ではないと思います。ただ、実質的に差別が出ないということでありますれば、その手続が必ずしも共通した手続でなければならぬというふうにも考えませんが、私はその手続がいまどういうふうになっているか詳細に承知もしておりません。期するところは、実質においてそう違いが出てくるようなことがあってはならぬ、それを実現するに足る手続でなければならない、こういうふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/5
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006・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣のおしゃる気持ちはどっちにウエートがかかって申されているのか、私はよくわからぬのでありますけれども、結局、こういう公的年金にそれぞれ差異があるということはあまりよくない、差異をなくするということと手続ということとは同列に考えていいんじゃないか、むしろ差異をなくするというところに中心を置くべきだというふうにおっしゃっているんだと思うのでありますが、いま私が申し上げておるのは、この公的年金関係の差異を正すという立場でものを申し上げておるわけではないのでございます。これはまたいろいろ議論すべき点も多くあろうと思いますけれども、いま申し上げておるのは、今回法律の中に挿入されました、恩給関係では二条の第二項、共済組合関係では一条の第二項に、いわゆる調整の制度がつくられていくわけであります。いわゆるスライド制がつくられていくわけでありますが、このスライド制を将来具体化するという前提に立ってこの法律は生まれてきておるわけであります。しかも、おおむねいままでの審議を見ますと、四十二年くらいを目途にできるだけ体系化していきたい、抽象的な法律では将来困難を招く、そういう立場から具体化を一日も早くしたいということの議論がされておるわけであります。そこでこういう調整制度につきましては、これはもう国の立場、使用者の立場、そうして組合員の立場、三者構成でよく話し合いをして、そうして客観的な一致点を見出して結論を得、社会保障制度審議会等の答申を経て実行に移されていくという筋道が、私はやはり一番正しいと思うのです。だから、その前提である国並びに使用者、組合員等で基礎的な審議をする、できるだけ客観的に一致点を見出そうとして審議をする場所、この場所から三公社だけがはずれておると言うのであります。恩給関係も場所がございます。国家公務員共済関係も場所があるのですよ。国家公務員共済組合の審議会の中でやろうときめておるわけであります。そこで、場所のない三公社は一体どうなるのであろうか。国家公務員の共済組合と三公社の組合と、それに農林と私学を加えた公的年金の調整審議会を設置して、そこで国、使用者、組合員と三者で基礎討議をして、できるだけ客観的に一致できる一致点を見つけるような制度をつくれば、こことここはできておるけれども、三公社と農林、私学ははずされておるというふうな差別のある扱いでなくて全体ができるではないか。いまの郵政のほうからの答弁を聞きますと、はずれておるので、全然意見を聞かぬというわけにいかぬから、それぞれの連絡会を持たしてやる、そこで意見を聞いて、わしが代表でものを言ってあげる、こういう言い方をしているのでありますけれども、それじゃ私は、独立した共済組合の権限、人格というものを失わさせることになるから、全体がそれぞれの人格を持っておるのでありますから、その人格が一つの審議会の中でともに自主性を発揮できるようにしてあげるという制度をつくることが一番いいのじゃないか。これは現在ございません。だから、そういう方向で大臣も御検討いただくというふうにして一致点を見出していただければ、英知を傾けて、理事会の皆さんなり、それぞれが御相談いただけるものと思いますから、大臣の考え方について、その点にしぼってお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/6
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007・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私、ただいま申しましたように、手続がどういうふうになっているか、その詳細を存じません。いまあなたからお伺いをするような状態なんです。しかし、その実態が、先ほど申し上げましたように区々になってはいかぬと思う。これは私はそのことは厳格にやっていくべきものだと思います。いまお話を承りますと、三公社ついては、国家公務員共済組合と違って審議会というような場がないというお話でございます。これは私の想像でありますが、沿革なりそういうものがあってそういうことになってきておるんじゃないかと思いますが、その辺のことはよく検討いたしまして、先ほど申し上げましたように、これが実際に差別をもたらすことのないように、手続的に問題があるかどうか検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/7
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008・山田耻目
○山田(耻)委員 どうも大臣の御答弁というのは、やはりその程度の答弁が一番政治的なのかもしれませんけれども、まじめに検討する、全体がそういう調整の問題について審議できる一つの場所をつくるように検討する、こういうふうにおっしゃっていただきたいと思うのです。そういう趣旨でおっしゃっているものだと思いますけれども……。ただ、大臣に少し私現状を御報告申し上げておきますと、いろいろと審議をする場所が違うがゆえに共済組合の適用の違いがたくさん出ているのでございます。それは、きょうここでお配りいただきました、この間問題になりました短期給付というのがありますけれども、いわゆる病気になったとき、共済組合に入っておる者は、本人はただでございますが、家族は何ぼを一体共済組合から給付を受けるかということで、金曜日にだいぶ議論をやったわけです。その議論の中で、これは大臣に別に答弁を求めようとは思いませんから、そのおつもりでお聞きいただきたいのですけれども、三公社の中でも違いがあるのであります。掛け金が一番高い国鉄が家族給付が一番低いのでございます。それでは、一体国家公務員と三公社の掛け金の違いはどうかと申しますと、これはずっと見ますと、国家公務員共済組合の平均掛け金は千分の三十五でございます。ところが、国鉄の掛け金はたしか千分の三十三・八でございますね。ところが、この家族療養費付加金の内容を見ますと、これは国家公務員共済組合のほうが三公社と比較して圧倒的にいい。一〇〇%給付のところもあるし、八〇%程度が平均じゃないかと思う。このように、同じ共済組合制度でも短期給付の内容が著しく差異がある。長期給付の場合にも私はやはり差異が出てくると思うのです。それは相談し合う場所が違うがゆえに起こってきたような理由も指摘できるんじゃないだろうか。しかし、ここでそういう点私は強く指摘しようとは思いません。これはそれぞれの共済組合がこれから改めていかなければならない問題でありましょうから、それはきょうここでは指摘をいたしませんが、いまも大臣がおっしゃっているように、内容の公平性はどうしても守らなければいかぬ。しかし、その結論を生み出してくる幾つかの諸制度についても、公平であるように検討したい、こういうふうに私はいまの御結論をいただきまして、これはまた後ほど理事さんたちの御協力で、できるだけ全体が出て、公平に民主的に客観的な一致点を得るように協議できる場所をつくってもらう。その場所の一つの構想としては、これは考えても結論はすぐ一つのものしか出てこないのでありますけれども、公的年金関係の調整に関する審議会、こういうものをひとつ具体的に検討いただきますように、大臣に特にお願いしておきたいと思います。これは決して無理なことでも、党利党略でもございません。最もあるべき正しい姿だと思いますから、そのようにひとつお願いしたいと思います。
次に、もう一つ大臣にお願いをしておきたいのでございますが、これもひとつ御検討いただくようにお願いしたいのであります。国家公務員共済組合は、昭和三十六年六月十九日に改正をされまして、過去の通算措置に対して、昭和三十六年六月十九日以後国家公務員をやめた者は、過去の断続期間を通算をしていく、掛け金を掛けておる本務の時代を通算をしていく、これは私たちは当然なことだと思いますが、問題は、一日違いで三十六年六月十八日にやめた人は過去のそれの通算がない。著しくこの違いがある。法律の無情というものをしみじみと当該本人は感じ取っておるわけです。そのために、郵政関係だけで二、三百人程度、全体から見るとたいへん大きな数ではございませんが、この二、三百人の人々は、いままで幾たびかほんとうに泣くような陳情を続けてきておるわけであります。過去の経緯を見てまいりますと、郵政の人事局長あたりが文書でお答えしておるのを見ますと、何とかして法律の改正をしてあげて、そうしたわかり切った差別の取り扱いが起こらないように法改正のために努力をしてあげたいという文書による返事もなされておるように、書類を見ると見受けられます。期間は、昭和三十四年一月一日から昭和三十六年六月十八日までにやめた人々であります。過去断続しておる部分についての通算措置が、三十六年六月十九日以後の取り扱い、今日の取り扱いの解釈の中にはめられていけば救済をされていくわけでございます。わずかな人が非常に苦しんでおりますので、この点について、大臣にひとつ御検討をいただく御決意がございますかどうか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/8
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009・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 政府委員からまず答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/9
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010・辻敬一
○辻説明員 ただいまお話のございましたように、共済組合法関係の改正のうち、恩給関連以外の分につきましては、その措置を将来の退職者に限定いたしまして、過去の退職者に及ぼしておりませんことは御指摘のとおりでございますが、こういう取り扱いは、ただいまお話のございました件のみならず、一般的にそういうルールで処理しているわけでございます。
その理由といたしましては、現在の新しい共済組合の制度は、保険システムに立つ制度でございまして、拠出と給付とは密接な関連がございます。そういうような拠出と給付の均衡、保険の公平性と申しますか、そういう観点からいたしまして、たてまえ上、過去にさかのぼって適用するのは問題があるのではないか、そういうことが第一点でございます。
それから第二点は、恩給と若干性格を異にする面があるわけでございますが、恩給は、表現は多少問題がございますけれども、いわば過去の制度でございまして、新しく恩給の受給者が出てくるということはないわけでございます。しかしながら、共済は、いわば前向きのずっと永続する制度でございます。したがって、改正のたびに共済組合制度のできました三十四年まで施行をさかのぼるといたしますと、将来、十数年あるいは何十年にわたってさかのぼらなければならないというケースも出てまいりまして、技術的にも相当問題がございます。その点が第二点でございます。
それから第三点は、財源の問題でございますが、そういうようにずっと遡及適用するといたしますと、相当財源的にも影響がございます。
こういうような点を総合勘案いたしまして、共済固有の問題につきましては遡及適用いたさないということでただいままで処理してきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/10
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011・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいま政府委員から御説明したような事情がありますので、ただいま御指摘の点はなかなかむずかしいのですが、これは共済制度全般についての問題だと思います。そういう観点から、ただいまの段階ではなかなかむずかしい問題である、かように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/11
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012・武藤山治
○武藤委員 関連。
福田大臣、いま、なかなか関連があってむずかしいという大臣のお答えがあったのでありますが、一体、大臣はその実情を知らないから、そう簡単にむずかしいとおっしゃるのです。いろいろこれを私どもも考えて検討してみると、具体的に申しますと、たとえば、昭和十二年から十四年まで二年間つとめた、ところが一年間今度は休みができて、十五年から十七年までつとめた、十七年にまた一時そこで首になって、半年後からまた二年間働いた、そういう期間が全部年金給付の期間に——昭和三十六年六月十九日以後にやめた者はその断絶期間が全部年金の計算に入るのです。ところが、その施行令がつくられた以前の二カ年間にやめた者、三十四年から三十六年六月十八日までにやめた者は、一日違うためにその断絶期間が全部パーになってしまう。これでは、取り扱いが血も涙もない、あまりにも非情なやり方です。そこで、ほんのわずかな人数なんだから、特例を設けて、この二年間にやめた者で断絶期間を切られた者については思いやりのある処置をやってもいいんじゃないか、こういうことなんです。それは給与課でいえば、法律を守っている立場から、重箱のすみをようじでつつくような解釈できちっとしてきますよ。それも一つのしかるべき正しい姿勢です。しかし、実態を調べてみればこうです。確かに公務員として働いた期間はずっとある、たまたまその間に断絶があるために、その断絶の期間は公務員としての資格を認めてくれぬということから、六月十八日の前にやめた者と翌日やめた者ではもらう年金がべらぼうに違うというこの実態、これは私はすみやかに温情ある処置をとるのが政治家福田大蔵大臣のとるべき態度だと思う。それが、単なる大蔵省の給与課の法解釈だけに追従をするということでは、私は温情ある処置だとは考えないのであります。大蔵大臣はまだ実態をよく御存じないからはっきりお答えできないのだと思いますが、いま例で言いましたようなのが具体的な例なのであります。だから、三十四年以前にやめた者、それから三十六年以後にやめた者、これは同じに取り扱って、まん中の二カ年間だけ施行令の関係で救われない。これは人数もそう多くの人数じゃないわけです。したがって大蔵大臣、ぜひその実態を給与課に調査させ、なるほどその程度のことで、予算措置も微々たるものである、これならば、何とか前向きの姿勢で、臨時の特例で救済可能かもしらぬ、そういう答えが出たら、ひとつこの際温情ある措置——福田さんというのはわれわれ公務員に対して思いやりがある、こういう結論が出るような前向きの姿勢で検討していただきたいのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/12
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013・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 どうも、事給与の問題は委員会でお答えするのが非常にむずかしいのです。つまり、いろいろな意味においていろいろなひっかかりが他のものに出てくるわけであります。おそらくこの問題もそういう関係なしとしない、こういうふうに私はただいま推想をいたしておるわけです。それからもう一つ、遡及が六月十九日以降というふうに区切っておるようでございますが、じゃ、十八日の人はどうするんだ、こういうお話になってくるわけです。そうすると今度は、十七日の人はどうだ、十六日はどうだということで、その辺の限界がなかなかむずかしい問題になってくると思います。これは私もいま初めて伺う問題でありまするから、さらに調べさせてはみますけれども、いろいろひっかかりが出てきそうな問題である、そういうふうな予感がいたすのであります。十分考えてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/13
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014・武藤山治
○武藤委員 大臣、それは給与課からあとで詳細報告を受けたら認識は深まると思いますが、ただ、昭和三十四年前の人たちは継続があった、機関定員法の関係で救済をされている、きちっと処理がされている。それから三十六年以後の者も改正できちっと処理されている。その間の二年間にやめた者だけがそういう取り扱いになっているわけです。その前にずっと影響はないのです。三十四年から三十六年の二カ年間にやめて断絶期間を有する者、この実態を調べてみると、そういう具体例の出てくる者は、おそらく全国で千人といないのじゃないかと思うのです。非常に数が少ないものなのです。しかし、そういう受給者の立場から見たら不合理で不公平です。だから、そういうものはやはりこの際前向きの形で臨時の処置で、あとへそういうものが引き継げるような形の処理はできるわけです。こういうものだけを処置することは可能なはずであります。いままでもそういうこまかい問題についての幾つかの処置は、それとは全く同じ問題ではないが、非常勤の問題なんか処理したのですから、福田さんがやろうと思えばできるわけです。十分温情ある前向きの姿勢で検討していただきたい。強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/14
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015・堀昌雄
○堀委員 私もちょっと一言だけ……。
いまの議論をずっと私ども見ておりますと、実は、社会保険としての考えの問題ではなくて、法律の技術的な、制度の転換がもたらした盲点だと私は思っておるのです。だから、社会保険のものの考え方としては、当然そういうものが断絶されないような処置をとるべきであるにもかかわらず、要するに、恩給法と新法と施行令というものが段階的な処置をされたために、私どもからいえば、政府の側に落ち度があったという感じがするのです。そういうもののない形で引き継げるような遡及した処置をとるべきであるし、それをその時点で配慮せずに移行したという移行形態の犠牲者なんだから、これは単にいまの共済組合が保険数理でできておるとかできていないとかいうような技術論の問題ではなくて、一体そういう人たちをどういう形で初めから社会保険として考えてやるのかという根本原則に立ち返ってものが考えられておればこういうギャップはなかったのだけれども、非常に法律技術の面だけが先行していったために、今日振り返ってみるとそういうギャップができて、その間の人だけが非常に気の毒な状態にある、こういうことだと私どもは理解しております。ものを考えていただく基本は、やはりいまの社会保険は何かといえば、これは被保険者の利益を守るために設けられておるというのが根本原則ですから、そういう社会保険の根本原則に立ち返って、技術的にその間保険料がうまく取られなかったというのは、その人たちは保険料を取ってくれたならば払っておったのに、制度として取らないでおいて、われわれは取らなかったから給付しないのだというのは、これは論理が合わないと思いますので、大臣、その点は十分お調べをしていただいて検討しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/15
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016・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣にひとつ御検討いただきまして、いわゆる法のもとには平等であるという立場で、いろいろ技術の関係から不利益を受けることのないように御検討いただきます。
ここでひとつ御理解を願っておきたいのは、過去の三十四年以前の断続期間の中には、昭和二十四年、五年に政府がおやりになった行政機関定員法というものがございますが、この定員法によって若い人たちでやめざるを得なかった者がある。ところが、年月がたってまた採用するという約束ができておった官庁関係は多いのでございます。しかし、その場合はやはり再採用の形式がとられておるわけです。ですから、掛金をかけていた過去の時代は脱退一時金をもらってやめていく、本人の意思でなく、当時国の行政の中の一つの意思として、本人たちの意思をじゅうりんをして、つとめたい欲望を押し切って機関定員法でやめさせて、あとでまた採用していった。こういう幾つかの本人の責任でない事例もたくさんあるわけでございます。そういうものは戦後の日本の公務員形態の中では臨時的に行政上内蔵しておることでありますが、それも三十四年に新法が生まれ出るときに、それまでは通算をして全部処理をしておった。そして三十六年六月十九日以降やめた人にも通算をして措置をする。三十四年から三十六年六月十八日までにやめた者、二年数カ月の人々だけが通算の措置を受けないというのでは、いま堀委員が申し上げましたように、やはり立法上の問題等も加味されて御考慮されなければなるまい。そういうふうになりますと、給与課長が言っておるような気持ちはよく私たちはわかりますけれども、それだけでは救済できない。置き去りにされていっておるこの人々を救済する立場からの検討を、この際特に私たちとしては強くお願いしておきたい。あなたの御検討いただくという御返事でございますから、きょうこれ以上具体的にお答えいただくわけにはまいりませんが、わずかな数でございますから、この人々を救済していくという立場に立って、大臣のほんとうに私たちが拍手を惜しまないような英断をお下しくださいますように特にお願いしておきます。その立場で御検討願います。
以上、大臣に意見をお伺いしたのでございますが、時間もあまりございませんが、もう一点だけ大臣にお願いしておきたいと思いますことは、共済組合関係で、特に退職年金を中心としております長期給付の財源がなかなか苦しゅうございます。特に国家公務員関係、三公社の共済組合関係それぞれございますが、三公社の関係の中にも、長期給付を、掛け金を引き上げることによって財源を確保して運営に支障のないようにしたいというそれぞれの運営委員会に対する審議会からの答申が出ておるようでございますが、この際、長期給付に対して国からの国庫支出が一五%でございますが、これを幾ばくか引き上げていきたい、こういう気持ちで私も金曜日、きょうお話を進めておるわけでございます。本来、こうした長期給付のたてまえ、年金制度のたてまえというものは、社会保障的な性格を多分に持っておるのでございますから、老後の生活というものが十分保障されていくような年金の支給、しかも、それに対する財源というものはできるだけ国庫が大幅に引き受けていくことにしたい、こういう思想というものは私今日あるものだと思うのであります。しかし、具体的には国庫がわずか一五%、あとはそれぞれがほとんど折半に近い負担をいたしておる。この国会で農林年金なり私学の問題につきましては一五%が一六%に引き上げられました。わずか一%でございますが、従来から見ますと一歩か半歩か前進だと思うのです。共済組合に対する国のながめ方としては、大臣の思想、さっきから申されておりますように、差別があってはならない、そういう立場からこの問題を取り上げてみますと、国家公務員共済組合、三公社の共済組合が一五%では片手落ちではないか。しかも、将来の運営を考えてまいりますと、この三公社あたりでは、特に国鉄などはちょうちん型要員構成といいまして、ある時期になりますと、かたまって退職年齢に到達をする。戦後の労働者構成の不健全な姿が今日しわが寄ってきておるのでございますけれども、将来の共済組合運営もかなり苦しくなってくるだろうと私たちも思います。そういう諸事情をも勘案いたしてまいりますと、国庫負担というものを二割程度に引き上げていく、こういうものごとの考え方、そういう要求というものは、あながち無理だといって一蹴してはならないものだという気がしてなりません。いまの農林年金等の国庫補助率の引き上げ、国庫負担の引き上げ等からながめましても言えることでございますし、大臣としていかがでございましょうか。二割程度国庫負担を引き上げていくという立場に必ず近い将来お立ちになると思いますけれども、今日どのような立場で私が申し上げた点を御理解いただけるか、御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/16
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017・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いま社会保障制度の諸問題があるわけでありまして、その制度の内容に応じまして、これが政府の関与のしかたというものに厚薄が出てきておるわけです。いろいろそういうことから違いが出てきておりますが、たとえば国民健康保険、これは非常に零細なものがおもな構成になっておる。農村の人なんか多いわけです。そういうようなことで四割までのあれをしておりますが、共済関係になりますとそれよりはずっといずれも低いわけであります。低い中でも多少のニュアンスの違いがあるわけで、共済に似た厚生年金というようなものになりますと共済よりももう少し高い。しかし、そういう違いがありますけれども、数字の統一というほかに、また、ただいま申し上げましたようなその制度の内容等も考えて、また、その制度を動かすところの財政の事情というようなものも考えまして、数字的には多少の変化がありますけれども、各種のいろいろな観点から見ると、ただいまのところ現行の姿でバランスはとれている、こういう考え方に立っておるわけなのであります。たとえば、一つの共済を動かすというと、これはもうずっと他の共済にも波及してくる問題です。つまり、いまいろいろな角度からバランスのとれているという考え方をとりますれば、一つその現状に変化を及ぼせば他にも影響する、また、共済に変化が起これば、それにつり合いをとって他の社会保障の諸制度にも影響を及ぼしてくる、こういうことを考えますときに、一つの共済あるいは共済全体の国庫の関与率のレベルアップ、これはなかなか慎重に考えなければならぬ問題だ、こういうふうに見ておるわけであります。しかし、共済の制度もだんだんと進んでくる、あるいは国の財政事情にも変化が出てくる、そういう変化を無視して、永久にこれで膠着するという性格のものではないと私は思います。しかし、また、現役階において、現在国全体の財政事情というようなものを考えますときに、ただいまこれを引き上げるというふん切りはまことに困難な問題じゃないか、さように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/17
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018・山田耻目
○山田(耻)委員 まあ、いろいろと財政上の立場からも、バランスの立場からも、現状で国庫負担を共済組合関係に増額することはむずかしいということをおっしゃっておるようでありますけれども、趨勢としては、社会保障制度的なこうした一連の年金関係問題については充実をさせていく、こういう思想が今日政府内部にもあるいは一般論の立場からもとられておるということは、大臣もお認めのことだと思うのです。まあ、いろいろと国民年金の問題にいたしましても、厚生年金の問題にいたしましても、ああして年金の額が引き上げられてまいりますと、当然国庫が負うべき負担というものもふえていくわけです。同じ公的年金の中でも、農林年金なり私学の年金というものは、いろいろ基盤の強さ弱さはございますけれども、やはり国庫負担率はふえていく、三公社並びに国家公務員共済組合も、趨勢としては退職年金というものはふえていかなければなるまい、こういうふうな一般的な趨勢の中で、どうしたら負担金をなくして年金額をふやしていくかということを考えるのは、片面で社会保障制度的な性格を持っておるだけに、私は当然だと思います。そうなってまいりますと、財源は一体どこからとっていくのか、国庫の負担を増額する以外にはございません。発想には若干の違いはあったとしても、一般の年金制度の問題、あるいは共済組合の年金制度の問題も、やはり国庫に依拠する部分というものが逐次増大していくことは私は避けられないと思います。それがいま私が申し上げているように、今日共済組合関係には一五%の国庫の補助しかないけれども、それをふやして年金額を増大させていくという傾向というものはお認めにならざるを得ない今日の段階ではないだろうか。ただそれが、今日の財源等で直ちに結論が出ないにいたしましても、将来に向かって十分御検討をいただく、そうしなければ、あくまでも年金というものは労使がともに負担をしていく保険数理に基づくものであるという言い方だけでは、私はやはり他の年金関係との基本的なバランスを失する、こういう気持ちがしてならぬわけです。やはり、国庫の負担部分を国家財政等も片側で検討しながらも増大をさせていく、そうして、本人負担部分をできるだけ少なくして、社会保障制度としての年金制の方向に近づいていくというのが、いまの政府なり、あなた方がお考えになっておられる福祉国家への道筋ではないかと私は思うのです。そういう意味から私は申し上げておるのでございますので、あなたのいまの御答弁だけですべてを満足し、承知するわけにはまいりません。やはり国庫負担の方向というものを、そういう公的年金の将来のあり方等も考えて慎重に検討していく、他との基本的なバランスもとりたい、こういう立場で私は御答弁をいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/18
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019・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私は、いまあなたのおっしゃることとちょっと違うのですが、共済組合はやはり組合員各自がその相互的協力によって老後を保障する、こういう仕組みが基本であって、それを政府が援助をしていくという考え方に立っておると思うのです。それは、政府が中心であって、そしてほかは相互協力が従である、こういう考え方でできておるものであるとは私は考えません。私は、この相互扶助のたてまえに立つ共済組合が円滑に動くように政府がこれに対して援助をする、こういう立場にあるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。共済組合が、あなたがおっしゃるように、政府が責任を持ってやっていくべき性格のものなんだ、こういうことになりますれば、給与制度全般の問題として考えなければならないような性格のもので、共済組合制度というだけの立場から考える性格のものでないと思います。しかし、公務員あるいは三公社五現業の職員が安んじて働かなければならない、これはもう政府の期待するところであります。そういうところで共済組合制度というものは大きな意義を持つものでありますから、これが円滑に動くというためには、政府としてもできる限りの協力をすべきものである、こういうふうに考えます。基本がどうも少し違うような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/19
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020・山田耻目
○山田(耻)委員 委員長もお聞きでありますように、いま大臣に三点お伺いをしたのでありますが、一点の、例の公的年金のそれぞれの分野で調整制度に対する審議会を持って、そこで公平に、客観的に一致点を見つけるような制度をつくることについて大臣も十分検討したいとおっしゃっていますから、もちろん、このことはほかに方法はないのでございますから、一ぺん委員長のほうで理事会等で御相談いただきまして、附帯決議などについての御配慮を、これはまた私のほうの理事さんを通じてあらためてお願いをいたしますから、よろしく取り上げていただきたいと思います。
次に、これは三公社五現業、国家公務員、それぞれ関係があるのですが、この間お願いをしておきました短期に対する国庫補助、これはそういってもいまはできない。しかし、原爆の関係については原爆医療法というものがございまして、この部分は当然国が負担をするように予算が組んでありますので、それを共済組合が負担をしておるというのでは、苦しい短期財源がますます苦しくなるということで、この部分の国庫負担についてのお願いをし、きょう御返事をいただくようになっておるのですが、その点についての御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/20
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021・辻敬一
○辻説明員 お答えいたします。
原子爆弾被爆者の医療につきましては、御承知のように原子爆弾被爆者の医療等に関する法律においてきめられておるわけでございますが、その七条におきまして、「原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者」すなわち、直接の被爆の傷害に対する医療費につきましては、これは全額を国が負担をすることになっております。ただ、十四条の二の規定がございまして、一定の条件のございます特別被爆者と申しますか、被爆を受けた方々の一般疾病につきまして規定がございまして、原子爆弾による被爆者という特殊事情を考慮いたしまして、一般の被保険者などよりも特に優遇する趣旨で、医療費の自己負担分を公費でまかなうという制度があるわけであります。このように、この共済組合が負担をしておるという御指摘の問題は、一般疾病の問題でございまして、直接原爆症の問題ではございません。それから、これは共済組合だけの問題ではございませんで、健康保険その他社会保険医療すべてがそういう取り扱いになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/21
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022・山田耻目
○山田(耻)委員 辻さんは被爆者医療法の実際の運用について御存じないのじゃないかと思いますけれども、いまの七条の関係は、これは認定被爆者でございます。これは全額国庫で見ておるわけであります。それから、十四条の二の関係に、特別被爆者で、これは距離それから被災の実情等によって一般被爆者と区分けがしてある。私もケロイドを持っておりますが、このケロイドを直接治療する場合の国庫負担というものと——私は特別被爆者手帳を持っておりますけれども、たとえば、私がかぜをひいた、あるいは内部疾患がございますね。胃腸病になる、こういう場合には国庫で負担をしてくれるわけです。それは直接原爆による原子病ではございませんよ。原子病ではございませんけれども国庫で負担するようになっておる。それがいわゆる原爆医療法に基づく診療費の関係です。そういう関係は国庫の負担になっておるのでございますけれども、それを共済組合が負担をしておる。この部分の共済組合の負担は、これは余分なことではないか。当然国庫に請求をして、国庫の負担となるべきものである。あるいは、国庫がその部分については当然支出をしてやって、短期共済組合の財源をカバーしてやらなければならない、こういう意味で私は申し上げておるのでございまして、あなたのおっしゃっているお話では、一般疾病については原爆医療法の救済の対象になっていないというふうな話に聞こえてならないのでありますけれども、それは間違いでございますから、そのようにひとつ十四条の二は御理解いただかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/22
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023・辻敬一
○辻説明員 先ほど申し上げましたように、この問題は共済組合だけの取り扱いの問題ではございませんで、健康保険その他社会保険医療全般の問題でございますので、主管省の厚生省のほうからお答え申し上げたほうが適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/23
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024・宮田千秋
○宮田説明員 厚生省で原爆医療法を担当いたしておりますので申し上げますが、いまお話の原爆の放射能に直接起因する疾病というほうは、お話のように全額国費でいたしておりますので、それが共済組合や他の健康保険の負担に転嫁されるということはおそらくないというふうに私どもは思っております。制度のとおりに実施せられておるというふうに思っております。それから、先ほど来お話のありました放射能に直接起因する疾病ではない、関連した一般疾病という部分は、御承知のようなことで保険が優先をして、残りを公費が負担をするということになっておりますから、それは共済組合をはじめ各保険で一部負担しておるということはございます。ケロイド云々というような、直接起因する疾病については、おそらく保険に転嫁されておるものはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/24
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025・山田耻目
○山田(耻)委員 そうなりますと、三公社にお伺いするのでありますが、国鉄は千七十人くらい被爆者がいる。それは共済組合員本人でございますから、一般疾病を含めて、直接医療機関にかかります場合、一般民間の医療機関にかかります場合でも全額組合負担になりまして、ただでございます。その人々、いわゆる原爆被爆者の人々が自分の所属の医療機関並びに民間医療機関にかかったときには、その部分の医療費は国庫からいただいておるかどうか、いわゆる原爆医療法に基づいて措置されているかどうか。いまの厚生省企画課長のお話では、支給しておるはずだ、共済組合に迷惑をかけちゃいない、こういうことでございますけれども、その点はいかでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/25
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026・宮田千秋
○宮田説明員 ちょっとことばが足りませんで申し添えますが、原子爆弾の放射能に直接起因する疾病は全額国庫負担、したがいまして、直接起因する疾病じゃない、普通のかぜを引いたとか下痢をしたとかいう普通の疾病は、それぞれの保険なり、それぞれの個人負担で持つわけでございます。全額公費で持ちますものは、直接起因をする、いわば白血病みたいなものが一番多うございますが、直接起因する疾病をなおすときだけが全額公費負担になる。したがって、被爆者であっても直接起因しない疾病の場合には——特別被爆者ですと、さっき申しました一般医療費の制度がございます。それが特別被爆者じゃない普通の被爆者で、直接起因しない疾病の場合には原爆医療法の適用はないというふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/26
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027・山田耻目
○山田(耻)委員 原爆医療法の関係につきましては、その個々の解釈については私は十分承知しておるつもりでございます。ただそれが、いまのそれにかかわる疾病をいやすにあたって、それぞれの共済組合短期給付の財源に肩がわりをするというふうな事例があることは間違いございませんから、その点は一ぺん三公社並びに共済組合関係全体を通して御検討をいただいておきたいと思います。
この問題については、ここで資料がないのであまり追及してもいけませんが、ただきょうは、三公社のほうから、これだけ原爆の被爆者がいる、あるいは国家公務員共済組合のほうではこれだけいる、これの一体治療状態はどうなっている、こういうふうな資料も出されて御答弁がいただけるものだというようにほんとうは私は思っておったのでございますけれども、それがいまのような原爆医療法の七条と十四条の二の関係の解明議論になったのでは、これはだいぶ話が違ってまいりますから、あらためてこの問題については資料の提出をお願いいたします。
原爆被爆者の実数、それの医療に関する措置のしかた、そうしてそれに対する費用の負担、こういうものについてひとつ資料要求をいたします。
時間がございませんので先を少し急ぎたいと思います。これは大蔵省並びに三公社ともに御意見を伺うことになると思うのでありますが、さっき申し上げました調整制度でございます。恩給法にいう二条の二項の条文、それから共済組合法にいう一条の二の条文、これらは恩給法なりあるいは新共済組合法といいますか、これの該当者に対しては調整の制度を適用する、条文をストレートで受け取りますとそう理解されます。そうなりますと、旧法、旧令に関する人々については、一体どの条文で調整措置をとる根拠法になっておるのか、この点をひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/27
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028・辻敬一
○辻説明員 今回国家公務員共済組合法関係で調整規定を設けておりますが、それは三つございます。
一つは、旧令年金でございますが、旧令年金につきましては、旧令措置法の新しい一条の二という規定を設けております。規定のしかたはいずれも同じでございますが、それによって措置いたすわけでございます。それからその次に、旧法、旧共済組合法時代の年金者に対しましては、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法に新しい三条の二という規定を設けてございまして、それによって措置をいたすわけでございます。それから、新しい共済組合制度ができました以後の新法年金者につきましては、国家公務員共済組合法の一条の二という規定を設けて、それによって措置するわけでございます。
したがいまして、国家公務員共済組合法関係におきましては、旧令、旧法、新法、いずれもそれぞれ別の規定ではございますが、中身は同じでございまして、それぞれの規定によりまして同様な措置をとってまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/28
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029・山田耻目
○山田(耻)委員 そういたしますと、三公社関係の人々も国家公務員共済組合関係の人々も、旧令、旧法の年金該当者はいま申されたような三つの法のたてまえで全部統一的に包含をされているものであるというふうな、統一的な解釈がされておるものと理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/29
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030・畠山一郎
○畠山政府委員 公共企業体の場合におきましては、公共企業体職員等共済組合法の附則におきまして、旧組合が同一性をもって存続して新組合になるということもございまして、この本則の一条の二の改正のこの法律の規定によるというのを、旧法時代も含めて読むということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/30
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031・山田耻目
○山田(耻)委員 どうもおっしゃっていることがよくわからぬのでございますが、結局、附則によって旧令、旧法による組合を新法に引き継いできたのだから、今回の一条二項の改正によって旧令、旧法のものも当然含まれておるのだというふうにおっしゃっているのか。そうでございますか。——それならばわかりますけれども、そういう解釈が三公社できちんと統一されて、そうして大蔵省のほうもそれを十分理解されておるし、これは運輸省、郵政省のほうも十分理解されておる、そういう統一解釈に間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/31
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032・畠山一郎
○畠山政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/32
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033・山田耻目
○山田(耻)委員 時間がございませんので、あと質問者もあるようでございますから、いまの原爆医療法と共済組合の負担等につきましては資料要求をお願い申し上げておりますから、資料が手元に入りましてからまたあらためて質問をいたしたいと考えます。
きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/33
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034・三池信
○三池委員長 只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/34
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035・只松祐治
○只松委員 大臣がお帰りになりましたので政務次官でけっこうでございますが、保険審議会の構成、運用等について、ひとつ御感想なり、あるいはこれで十分かどうかお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/35
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036・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 現実の運営について私よく承知いたしておりませんので、政府委員のほうから答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/36
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037・辻敬一
○辻説明員 国家公務員共済組合審議会の構成についてのお尋ねだと思いますが、国家公務員共済組合法の第百十一条で組合審議会の構成を規定いたしておりまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/37
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038・只松祐治
○只松委員 いや、それではない。——では、いま当該の責任者がお見えでないようでございますので、突っ込んだことをまた他日お聞きすることにして、直接これとは関係ないわけですが、ただ、類似保険というようなものを社会保障制度という見地から整理、統合し、一本化していくということは私たちもあれですが、大蔵省も非常に努力しているわけです。そういう中で、労災保険とか、あるいは住宅のいろいろなそういう関係の保険みたいなものを一本化しよう、こういう形で大蔵省側はお考えになっているとするならば、それに対する答申というものは出てくるわけです。答申をつくる前提のそういう構成員の人について、ほとんど労働者側いわゆる勤労者の代表が入らないでそういうものが出されようとしておりますので、私は、この機会にひとつそういうことを聞いておこうと思ってお聞きしたわけですが、該当者がおいでになっておりませんし、大臣もお帰りになりましたので、また他日聞くことにしたいと思います。
それでは、すでにたくさんの方が質問をされておりますので、重複したりお答えになった面、その他あると思いますけれども、問題点だけ二、三お聞きしたいと思います。
まずその一つはスライド制でございますが、スライド制も先ほど質問がされておりまして、大臣もお答えになっておりますが、スライド制が必要である、こういうことぐらいはお答えになると思いますし、あるいは、いまの法案の中にも精神訓話的なものはうたわれております。しかし、諸外国のように具体的にスライド制をどう取り入れてどう実施していくかというようなことは、なかなか皆さん方のほうもお答えになりませんし、そこまで煮詰めた論議というものは少ないわけです。抽象的に言うならば、スライド制と、賃金なり消費者物価指数、そういうものの関係を皆さん方はどういうふうにお考えになっておるか。日本の場合、どの程度まで物価が上がったら必要というふうにお考えになっておるか、こういうことを順次聞いていきたいと思うのです。
その前に、諸外国のスライド制は大体どういう状況になっておるか。よく日本は先進資本主義国の一つだということを口ぐせにおっしゃる皆さん方ですから、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/38
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039・辻敬一
○辻説明員 ただいまちょっと手元に資料がございませんので、必要がございましたら後ほどお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/39
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040・只松祐治
○只松委員 私はスライド制のことを聞くといって通告をしておったわけですが、全然ないですか。概要ぐらい御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/40
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041・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 恩給局でただいままでに非常に大ざっぱに調べておりますが、ただいままでの調べた結果によりますと、賃金と年金が自動的にスライドするという国はフランスだけであって、他の国は一応そういうような形をとっておりますが、自動的にスライドするというところまではいっておらないようであります。
概略を申し上げますと、まずアメリカでございますが、アメリカでは人事委員会が物価指数に基づいて増加率を決定する、たとえば昨年の十月に一応増額しておりますが、この増額法によりますと、退職時に格差を設けまして違った率で一応出しておる、しかしながら最終的には若干政治的な配慮あるいは経済事情を考慮して考えておる、いわば日本と同じような制度をとっておるのではないかと思います。それからイギリスでございますが、イギリスも大体公務員給与にスライドするということは、財政的あるいはいろいろな経済的な事情によって行なっておる、こういう実情であります。次に西ドイツでございますが、西ドイツにおきましても、イギリスと同じように財政的あるいは経済的な考慮のもとに、スライドといいますか、調整をする、ただ、フランスの場合だけが文武官を問わず現職の公務員の給与が増額したような場合には、自動的に恩給あるいは年金を増額する、こういうような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/41
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042・只松祐治
○只松委員 私がいただいた資料によれば、自動的あるいは半自動的にスライドし、調整されていくという国は、デンマーク、アイルランド、スウェーデン、フィンランド、ルクセンブルグ、アイスランド、アルゼンチン、ブラジル、ドミニカ、メキシコ、オーストラリア、ブルガリア、チェコスロバキア、西ドイツ、フランス、ルーマニア、たくさんあるようですね。いまの御説明とは多少異なるようであります。こういう国は大体何%ぐらい賃金なり物価が上がればスライドするようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/42
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043・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 まだそこまでこまかいところは調査いたしておりませんが、まあ、資料もなかなかございませんので、大体の規定のしかたというところまでしか調査できておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/43
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044・只松祐治
○只松委員 こういう共済とか保険とか、いわゆる社会保障制度というようなものは、これは日本独自のものではなくて、特に日本はおくれておるわけですね。後進的ですから、そういう進んだ諸外国のものをもっと調査し、データを集め、そういうものが日本にどの程度どう適用されていくかということを、その専門の職にある皆さん方は常時調査をして、そして、日本の国家公務員、地方公務員あるいは一般勤労者のために取り入れていくというのが皆さん方の任務じゃないですか。しかも、きょう突如としてではなくて、長い間この共済の審議が行なわれておるというのに、諸外国のそういうこともわからぬというようなことでは、これはどういうことですか。スライドのパーセンテージも何もわからぬということじゃ日本の共済制度の審議を進めるわけにはいかないんじゃないですか。全然諸外国のがわからぬじゃ、日本のほうがいいか悪いか、これは論議の対象にならないでしょう。わからなければ、私が資料をいただいておるので、それで多少教えてもいいですよ。私たちみたいな、いわば専門外の人間だって、資料をもらって多少手元にあるのですよ。皆さん方みたいに、それで飯を食っておるといえば失礼だけれども、専門家の人がこういうこともわからぬじゃちょっとお粗末じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/44
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045・武藤謙二郎
○武藤政府委員 どうもおしかりを受けまして、特に、本日資料の用意がなくて申しわけないと思いますけれども、この規定ができて、これからその運用の段階で、いま恩給局のお話がありましたように、自動的スライドするというのは、大きな国ではフランスだけのようですから、ほかの国もこういう運用でどうするかという規定があるのだろうと思いますので、これからよく勉強しまして、本日はまことに申しわけありませんけれども、御要望に沿うようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/45
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046・只松祐治
○只松委員 そうあっさりかぶとを脱がれてはこれ以上なかなか文句が言えないわけですが、これは皆さん方がちょっと国会図書館あたりへ行ってお調べになってもその程度のことはすぐわかるわけですからね。それはここでの受け答えだけでなく、皆さん方も国家公務員の一人だと思うのだけれども、自分自身のためにもあるいは多くの国家公務員のためにも、広く諸外国のものをやはり求めて、いいものを適用していく、こういうことを皆さん方の任務とされなければ、日常どういう仕事をしておられるのか。自分で諸外国のものを勉強しなければ、日本は発足して間もなくで、皆さん方は、日本人の知恵でそういうものを創造しょうというふうにお考えになっておるのかどうか知りませんが、私はちょっと理解に苦しみますね。もう少し皆さん方はそういうものを勉強して、日本の共済制度というものは発足してまだ日にちがたたないし、いろいろ複雑な複合したものがあるからなかなか理想形態に近づけないのだ、諸外国にはこういうものがありますと言うならば、皆さん方の真意というものを買いますよ。そうじゃなくて、これは何日間かいろいろ論議がされておるわけで、いろいろあれこれ受け答えをなさっておりますけれども、外国のものをちょこっと聞かれて、そういう資料もございませんし、不勉強の至りですと言うのじゃ、ほんとうに皆さん方が共済制度の確立というものを熱心にお考えになって、この確立のために努力しようとしているのか、真意を私は疑いますね。
たとえば、デンマークのものなんかちょっと見ても、一%以上物価指数が変動すれば自動的にその率が年金額にスライドしていく、こういうことになっていますね。またフィンランドでは生計費の一〇%変動、こういうことになっておりますね。まあ、その国々によって、何%賃金にとるか消費者物価指数にとるか、いろいろなとり方も多少違っておりますし、そのスライドの率、あるいはまた方法等も異なってきております。しかし、これは各国の経済力なり、あるいはその国の保険制度なり共済制度なりの発展の度合いなり何なり、そういうものとも関係してくるし、国民所得等とも関係してくると思うのです。ひとつ、諸外国がどういうものをとっておるか、日本の国情に合うのはどれかくらい、せいぜいよく勉強しておいていただきたいと思うのです。いずれまたお聞きします。
そこで、日本ではスライド制というものがとり得るか得ないか。まあ、諸外国のことは勉強してなかったけれども、日本のは三十四年からもうだいぶたっているわけですから大いに勉強なさっておると思いますが、日本でスライド制というものが取り入れられるかどうか、まずお聞きをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/46
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047・辻敬一
○辻説明員 スライド制ということばの意味でございますが、一定の物価なりあるいは賃金に文字どおりスライドいたしまして自動的に改定するという意味のスライドでございますと、これはいろいろ問題もあろうかと思います。現在の厚生年金保険等におきましても「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」というようになっておりまして、自動的なスライドという規定になっておりませんことは御承知のとおりでございます。そこで、今回、国家公務員関係あるいは公共企業体関係におきましても、このような民間の厚生年金あるいは国民年金の規定を参酌いたしまして、それに公務員あるいはまた公共企業体職員の特殊性を盛り込んだ調整規定をつくったわけでございます。その意味におきましては、自動的なスライドではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/47
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048・只松祐治
○只松委員 まあ、スライドというからには、そのときどき必要に応じて調整をするというのはちょっと、広義のスライドといえばいえぬことはないでしょうが、スライドじゃないでしょうね。やはりスライドというからには、自動的あるいは半自動的にその賃金なり消費者の物価指数というものの変動に応じてまた年金の給付額が変わっていくというのをスライドというのじゃないですか。これはある意味では狭義と言えるかもしれませんが、そういうふうに解する。そういうものが日本にいま考えられるかどうかということを具体的に——日本の場合も調整規定が精神訓話としては入っておりますけれども、これは一々こうやって国会で論議しなければ、私たちが一生懸命に引き上げなさいと言ってもなかなか引き上がらないわけですから、これはむずかしいわけでしょう。そういうことを言っているんではなくて、自動的にスライドできることが望ましいとは皆さん方お考えになっていると思いますけれども、具体的にはできるかどうか。時期的にいまできないとするならば、何年ぐらいたったら、どういうふうに具体的にこれが実施できるようになるかということを、その衝に当たっております皆さん方のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/48
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049・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは共済だけでなくて、御承知のように恩給もありますし、厚生省関係もございますし、非常に広い問題だと思います。いまのところはこの規定にあります程度で、自動的に何かある指標をつかまえまして、それに機械的にスライドするということは、日本の現状ではむずかしいだろうと思います。
これはほかの省とも相談してから御答弁すべきことですけれども、私、御質問を伺ってすぐ感じますのは、御承知のように、日本の経済は非常に急角度の成長をいたしております。そしてまた、この急角度の成長がいつまで続くかというところはいろいろと議論が分かれております。したがいまして、そういう状況のもとでは、自動的な規定ということは、これはいろいろな見通しをつけないといけませんので、特にほかの国に比べて困難なことがあろうかと思っております。現状ではこういう規定で、そのときそのときに、生計費とか公務員の給与とか物価とか、さらに財政の状況とか、そういうことを総合的に勘案して処理していくということが精一ぱいだろう、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/49
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050・只松祐治
○只松委員 いまできないというなら、皆さん方の見通しなり計画として何年後くらいにそういうスライドというものが可能であるか、全然見通しが立たない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/50
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051・武藤謙二郎
○武藤政府委員 非常にむずかしい問題で、ここで単純に、何年くらいたったらまあいくだろうという軽率なことは差し控えなければいかぬ問題だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/51
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052・只松祐治
○只松委員 皆さん方としては軽率か知れぬけれども、公務員なり国民の側にとってみれば、軽率じゃなくて、大いに待ち望んでいるところです。むしろ、それを言わないほうが軽率かもしれませんね。だから、これはあとで言いますが、これだけ高度経済成長が急角度に進んだということは、逆に言えば、物価指数なり何なりが上がって、現実の賃金を取っている者はまあまあとしても、退職金で生活している、あるいはこういう年金で生活している人がたいへんに困っている、こういうことなんです。だからこそ、スライドというものがよけい当面必要だ、こういうことも言えるのです。決して軽率じゃないですよ。国民の側から見れば、逆に、言わないことが軽率かもしれない。それ以上言ったってあなたは答弁し切れないか知らぬから、これ以上追及しません。
それで、その場合に、日本の場合は物価指数によったほうがいいと思いますか、賃金指数によったほうが妥当だというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/52
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053・辻敬一
○辻説明員 その点はいろいろ御議論がございますし、御意見があると思いますが、現在の段階では、今度の改正法案に盛っておりますように、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案してまいるのが最も適当ではないか、そういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/53
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054・只松祐治
○只松委員 いろいろ国によって違うわけですが、何に一番ウエートを置いてやったらいいか。いまのように何もかも並べて、何もかも勘案したといえば当面当たりさわりはないわけですが、具体的に何をとったら一番そういうものの指数に近づく、こういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/54
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055・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これはどれが主たるファクターであるかということを決定するまでの用意ができておりません。そこで並列的にこう並べておるのが現状でございます。
この中でどれが一番大事か、主として何だという御質問でございますが、ただいまのところそれに対して御答弁は残念ながらできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/55
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056・只松祐治
○只松委員 それもきわめて不勉強で、何が一番日本の現状において、あるいは将来重きをなす要素であるかということをまだ見きわめておられないわけです。ひとつ、それもできるだけ早く御勉強なさって、日本には何をとったら、過去の経済状態あるいは今後の見通しに立っていいか、あるいは一つだけではなくて、いまおっしゃったように、全部を入れなければ日本の場合出てこないというような結論も出るかと思いますが、いまお答えになっておるのは、おそらくそういうものを研究された結果ではなくて、そういうものを並べておいたほうが当たりはずれが少ないという程度ではないかと私は思う。ひとつ、そういう要素もよく調査をしていただきたい。
次に、いまの日本ではときどき調整をされておるわけですが、そういうふうに、もろもろお並べになっておるわけですけれども、何%指数が上がれば、スライドまで行かなくても、調整しなければならないというふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/56
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057・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これも実はこれまでも御質問ございまして、五%というのはどうかとか、いろいろ御質問ございましたが、いまのところは何%というのを申し上げる程度になっておりません。今後の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/57
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058・只松祐治
○只松委員 事務当局としては何%くらいが望ましいとお考えか。それはあとは政治的判断——大臣がいなくて政務次官がおいでになるのでお聞きしてもいいのですが、事務当局としては、諸外国等調べていないくらいだからわからぬかもしれぬけれども、結局、諸外国がこういうふうにやっているし、あるいは国民の声を聞いたり生活実態を調べて、五%上がればどうもスライドしなければならぬ、一〇%上がればこれはしなければたいへんだ、こういうふうにお思いになるか、あるいは二〇%まではだいじょうぶ、こういうふうにお考えになるか、いろいろ皆さん方でも御論議なさっているでしょうし、お考えがあると思いますが、事務当局のその事務的な御意見をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/58
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059・武藤謙二郎
○武藤政府委員 どうも再々申しわけないのですが、これから恩給審議会、それから共済の審議会、そういうところで御検討願うということでございまして、事務当局としては何%くらいがいいだろうということをまだ算出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/59
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060・只松祐治
○只松委員 事務当局にそういうお考えがないということは、結局もっぱら政治的な判断にゆだねられておる。あるいは、ほかにも大蔵省の資金的な要因というようなことも関連してくるかもしれぬけれども、ずばり言えば、政治的判断にゆだねられておる、こう言ってもいいわけですが、そういうことですか。現在行なわれている調整は、事務当局に考えがないとすれば、もっぱら政治的判断だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/60
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061・武藤謙二郎
○武藤政府委員 もっぱら政治的にということではございませんで、またこれはおしかり受けるかと思いますが、まだいまの段階では事務当局としてこの辺がいいだろうという案を得ていない、こういうことでごごいます。この問題については、いろいろな関連がありますし、先ほど来お話がございましたように、相互の間に特殊性もあるでしょうけれども、また均衡も得にゃいかぬということで、そういう点を考えながら、事務当局としてはある段階になればこういうことで、という案をつくるようになると思います。したがいまして、いまのところは数字を申し上げることできませんけれども、もっぱら政治的に片づけてしまおう、そういう考えではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/61
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062・只松祐治
○只松委員 ある段階とは、具体的にいつをさすのか。特に恩給審のほうでいま御論議になって、いつ結論を出すか。まあ、私たちとしては早いほどいいわけです。少なくとも来年度に間に合うようにそういう結論をお出しになることができるかどうか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/62
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063・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは恩給局とも相談しなければいけませんし、厚生省とも相談することがありますので、いまのところ、いつの段階で、あるいは来年度に必ずやるかということはちょっとお答えしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/63
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064・只松祐治
○只松委員 ナマズかウナギの問答みたいで何にもお答えをいただけないのですが、何日間かここで共済問題論議が行なわれておるので、私は一番あとごろになったから、質問することはなくなってしまったし、質問すればずばりずばり答えが出るものだ、こういうふうに思って聞いていたのですが、一番初めの処女みたいにあんまり答えがないわけです。大臣がいないから政務次官でもあれですが、ここで審議するのに、答弁もあまりできないし、いまのような問題等も、恩給局にしろ厚生省にしろ、全部相談しなければ答えができない。それは結論として、来年から実施するか、さ来年からするかということは、これはおのずから出てきますが、しかし、事務的に事務を運んでいるのに、見通しも立たなければ、自分たちの答えもできない、こういうことですか、政務次官。もう少し大蔵省関係というものは見通しはあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/64
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065・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 先刻来、事務当局からいろいろ御答弁いたしておりますように、いわゆる著しい諸事情の変動を総合勘案してという、こういう基本的なかまえでございますし、同時にまた、恩給法にならって今度新しく調整規定を設けたわけでございまして、事務的に、この法案が成立して後いろいろなデータを勘案し、諸外国のよき例も他山の石として検討していくということになるのでございますので、むしろ私は、この時点において来年あるいはさ来年というお答えは無理かと思いますし、それが事務的に怠慢だからやっておらないという御理解はちょっと——実情をもうちょっと理解をしていただきたい、このように思うわけでございまして、決してこれが単なる場当たりの規定ではなくして、まともにひとつ今後検討していきたい。やはり社会保障制度として一番立ちおくれておるのが老後に対する安全保障だと私は思うのです。したがって、こういう年金に対する調整措置というものは今後きめこまかく配慮すべきである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/65
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066・只松祐治
○只松委員 いまおっしゃったのは、もう少し気長く待っておってくれというような話ですけれども、こういうふうに物価が七%も八%も——これは全部の総合物価指数ですが、しかし、身近な消費者物価というのは三〇%、五〇%上っているのがたくさんあるわけですよ。こういうときにスライドをしないということは、逆に言えば給付金額の引き下げということになるのです。実質上引き下げが行なわれておる。賃金の場合は、春闘がいいとか悪いとか皆さんおっしゃるけれども、とにかく毎年上がっておるから、現実に働く勤労者というのは、相対的に下がっておっても何とかカバーできる。ところが、こういうふうに年々物価が急速に上昇しているときにスライドしないということは、実質上年金額が引き下げられているということになるのです。そして、それは退職した人々であるし、あるいは力のない人々、もの言わない人々なんです。しかし、軍恩というやつだけえらい自民党さんが力を入れられて、ふんばっておりますから上がっていきますけれども、ほかのこういうまじめに働いた人々の老後というものは、物価の上昇に比例して上がっておりません。スライドしておりませんから生活が苦しくなっております。退職者ですから、ものは言わないわけですね。日本の政治というものは、心身重症者等の問題から始まって、こういう退職後の共済とか恩給とかあるいは年金とか、こういういわば弱い立場の人々、ものを言わない立場の人々というのは非常に軽んじられているんですよ。これは為政者として、政治家として非常に反省しなければいけない。特に官僚機構でもそうなんですね。私たちは国家独占資本ということばをよく使って攻撃いたしますけれども、そういう強い者の立場、たとえば山一証券なんか、この委員会で年じゅうやるように、こういうものとか銀行とか、そういうものは非常に手厚い保護を受ける。これはかゆいところに手が届くほど何でもやる。無利子、無催促、ところが、こういう面に至っては、じんぜん日を費やしてなかなかやらない。少しまともな議論をすれば、もう少し気長く見てくれとか、あるいは調査しなければならないとか、こういうことです。山一あたりが倒れるのもたいへんだけれども、これだけ物価が上がっておるときに、わずかな退職金や一時金をもらって、年金があまり上がってこない、どう生活しようかということで、個々人にとってはえらいたいへんなんです。だから、皆さん方のそういう強い人に何かしていくという立場からものをお考えになり、おっしゃるならば、それほどのことじゃないかもしれぬけれども、私たち、非常に困っておる者の立場、特に野党というのはそういう人々の立場というものを重く見て論議をし、政治をしていかなければならぬと思うのです、そういう立場から見るならば、これは非常に急がなければならぬ問題だ、こう思うのです。ただ、いまから外国の問題も勉強いたします、日本国内のいろいろな条件も調査研究をいたします、何年先になるかわからぬけれども、ひとつ待ってくれ——これはちょっと話としては私たちいただけないんですよ。ここで大声張り上げて何か強いことばを言ってみたって、あなた方もびっくりするわけじゃないでしょうし、だから、ぼくらはこういう理詰めの話をせざるを得ないわけです。そういうものに対する姿勢といいますか、考え方というものを皆さん方お変えになったらどうですかね。私たちが言っているのは確かにじみちであるかもしれぬし、小さい声で言っているのかしれぬけれども、この問題は非常に喫緊の問題ですよ。だから、スライド制の問題一つにいたしましても、私はもう少しまともな形で取り組んでいただきたいと思うのです。いまの段階では、こういうスライドというものは何%上がったら——スライドということばをはずして調整、皆さん方がいま好んで使っていらっしゃるこの調整ということばにこの際取りかえてお聞きしてもいいんですが、いまみたいに年に七、八%も上がっているという段階で、何%くらい上がったら調整の必要があるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/66
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067・武藤謙二郎
○武藤政府委員 何%上がったら調整の必要があるかという御質問でございますが、現在のところ、たとえば公務員給与なりあるいは国民の生活水準なりが何%上がったら、すでに退職した人の分も直してやるかということをはっきり申し上げる段階にない、したがいまして、いますでに退職をして年金を受けている方にはたいへん御不満でしょうけれども、しかし、こういう調整規定が入りましたということは一歩前進だろううと思っております。で、こういう規定が入りまして、これからほかのいろんな制度ともバランスをとって、そちらのほうへ前進する、しかし、現段階においては、何%上がったらどうするかという見通しがなかなかつかない。先ほど来お話がございますように、確かに物価が非常に上がり方が激しいというときには、すでに年金をもらっている方の苦しみがそれだけ激しくなるわけでございます。しかし、逆にまた、それを救済するために相当大きな金が要るという問題が出てくるわけでございます。これは、非常に経済が安定している国ですと処理しやすい問題だと思いますけれども、現在の日本のような情勢ですと非常に処理しにくい問題でございますので、何%上がったらどうかということをお答えできる用意がまだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/67
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068・武藤山治
○武藤委員 関連して。
武藤さん、いまの議論を聞いていても、この調整規定をいかに現実に働くようにするかということになると、非常にたいへんな問題だということはわかるわけです。いま只松君が聞いているようなことは私も三週間くらい前に質問して、大蔵省が何も持ってないということがわかったわけです。そこで、具体的にこの規定が働くようにするためには一体どうするか。そうすると、あなたは、公務員共済組合審議会でやる、こうその場は一応答えたけれども、そんな簡単にあの審議会でやれるようなしろものではないのですね。世界じゅうの各国の例から、いろいろな学者の意見や、そういうものを総合しないとなかなかできない。そこで、先ほど山田委員が言うように、どうしてもこれは公的年金専門にとりかかれる統一機関を設けないことには単なる訓示規定みたいに終わってしまうという心配があるわけです。
そこで、これはあらためて政務次官、先ほど大臣が検討すると申しましたが、この質疑応答を聞いておって、私はさらに強くそれを感じたわけです。どうしてもこれは公的年金専門の、調整規定を生かすような、前向きに検討できる権威ある機関を法律によってつくる——内閣設置法なり大蔵省設置法なりの一部改正をやってつくって、正式なそういう機関であらゆる人材を網羅して検討しないと、大蔵省はこれは単なる気休めにつくったのだという非難を受けますよ。だから私は、いままでの発言には一切こだわらずに、ここで一応きちっと統一機関をつくろう、そういう方向で努力しよう、こういう答えが出てしかるべきだと思うのです。それでないと、いま只松さんが質問されていても、これはまるでウナギとナマズをとっつかまえるために飛んで歩いているようなもので、答えは出ないですよ。だから、これはそういう権威ある人たちを集めて統一ある機関を設ける、ここまではふん切ってしかるべきだと思うのですが、どうですか。この三週間にわたる質疑を聞いておって、政務次官、そういう感じは持ちませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/68
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069・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 申し上げるまでもないことですが、近代政治の目標は、いわゆる福祉国家の建設ということばでいわれております。これは与野党を越えての共通目標だと思うのでありまして、そのためには、病気になったときの手当、それから貧乏になったときの手当、それともう一つは老後の問題だと思うのでありまして、曲がりなりにも病気と生活に対する防衛対策は相当前進していると思うのです。問題は、やはり老後の保障問題、これは私も、先般来のいろいろの審議を通じても、また、日ごろ考えている自分の考え方としても、御説の点はよく理解できます。したがいまして、公的年金のみならず、公的年金を含めて、日本の年金制度全体がどうあるべきか、これと真剣に取っ組まなければならない、こういうふうに思うわけでございまして、特に、われわれは、直接職場を共にする公的年金について、この不均衡を是正しながら、しかも現実の生活に合う老後の体制というものを整えるためにはいまくらいの機構では不十分である、根本的に前向きで検討をすべき問題である、このように理解いたしております。大臣にもよく御報告をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/69
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070・只松祐治
○只松委員 いま、私の質問の一つの結論みたいなことが武藤委員の質問で出たわけでありますが、ひとつ、ぜひその面について格段の御努力と御実行をお願いしたい。
両院議員総会がありますのでやめますが、ついでですから、一つだけいまの問題に関連した問題で聞いておきますが、そういう問題の事務的な一つの側面として、いろいろ共済組合がありますね。そこを、あるところに六年、あるところに五年、あるところに十年と住んでおって、二十一年になった、こういうような場合に、それぞれABCと三つ歩いてきたとすると、ABC三つのところから支払いも行なわれているわけですね。事務的に非常に繁雑だそうです。これは受け取るほうも繁雑で、支払うほうも繁雑でしょうが、いまの答えの具体的な一つの問題として、そういう支払いならば支払い、たとえば連合会だとか、あるいは郵政省だとか、地方公務員だとか、そういうふうにいろいろありますが、そういうものの一歩前進のために、支払い機関だけでも統一したものをつくって、そうしてそこで支払うものは全部一本に集めて支払う、こういう形にしてきたら、この一本化の前進のために役立つのではないか、こういうことを私は考えてきたわけですが、いま、そういう一つの前提としての調査や審議機関というような面も含んでの機関の一本化ということを武藤委員のほうから要望がありまして、答えがあったわけであります。具体的には、支払いの面から見てもそういうことが言えるわけであります。こういうものの一本化ということを皆さん方のほうでひとつ御努力をしてもらいたいと思いますけれども、そういう意思があるかどうか。時間がありませんので、それだけ聞いて私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/70
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071・辻敬一
○辻説明員 現在の通算年金制度のたてまえでございますと、御指摘のように、それぞれの保険なり共済組合なりのほうからそれぞれの分を支給するということになっております。これはいろいろ沿革もございますし、技術的な問題もございます。また、御承知のように、各保険なり年金なりで、それぞれ給付水準なり制度なりが違っているという問題もございますので、お示しのような線で統一してまいることにもいろいろ問題はあろうかと思いますが、なお、今後、公的年金制度全般の問題として、一つの研究課題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/71
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072・三池信
○三池委員長 次回は、明六月一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04619660531/72
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