1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月一日(水曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 坊 秀男君
理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 堀 昌雄君
理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
小山 省二君 田澤 吉郎君
谷川 和穗君 西岡 武夫君
羽田武嗣郎君 福田 繁芳君
村山 達雄君 毛利 松平君
渡辺美智雄君 有馬 輝武君
佐藤觀次郎君 只松 祐治君
藤田 高敏君 春日 一幸君
永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 武藤謙二郎君
厚生事務官
(保険局長) 熊崎 正夫君
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 畠山 一郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(恩給局恩給問
題審議室長) 大屋敷行雄君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 辻 敬一君
農林事務官
(大臣官房参事
官) 来正 秀雄君
日本専売公社職
員部長 園部 秀男君
日本国有鉄道参
与
(厚生局長) 中西 幸雄君
日本電信電話公
社厚生局長 飯森 実君
専 門 員 抜井 光三君
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本日の会議に付した案件
昭和四十年度における旧令による共済組合等か
らの年金受給者のための特別措置法等の規定に
よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第七七号)
昭和四十年度における公共企業体職員等共済組
合法に規定する共済組合が支給する年金の額の
改定に関する法律等の一部を改正する法律案(
内閣提出第一二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改定する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/1
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002・平林剛
○平林委員 共済組合法案についての質問がだいぶ続けられまして、およそ審議は大詰めに来たようでありますが、きょうは私から若干のお尋ねをいたしたいと思いますから、質問のほうは簡潔、要領を得た質問をいたしますので、答弁のほうも、簡単にして明快、意を尽くした答弁をしてもらいたいと思うのであります。
そこで、私が最初取り上げるのは、長期在職者の低額恩給とか共済年金の最低保障額の問題についてお尋ねをしたいと思います。
今回の法律改正によりまして、退職年金の額が六万円に満たない者は、一定の条件がありますけれども、六万円を支給することになりました。この最低保障が妥当かどうかという問題が一つあると思うのでありますが、初めに、今回の改正によって最低保障の六万円の規定で救済される者というのは一体どのくらいあるのか、公務員全般、それから国鉄、専売、電電公社、それぞれからひとつお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/2
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003・辻敬一
○辻説明員 国家公務員共済組合関係につきまして申し上げますと、まず、旧令の年金につきましては、今回の改善措置による対象人員は約二千五十名、それから旧法年金につきましては約五千六百名、新法年金につきましては約三千六百名、合わせまして約一万一千二百名になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/3
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004・平林剛
○平林委員 ついでに所要財源。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/4
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005・辻敬一
○辻説明員 所要財源は、四十一年度につきましては、旧令年金の分が約三百四十万円、旧法年金の分が六百八十万円、新法年金の分が千四百万円、合わせまして約二千四百万円になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/5
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006・畠山一郎
○畠山政府委員 公共企業体関係について申し上げます。
対象人員は、専売で九十三名、国鉄で五千二百五十二名、電電で十八名、合計五千三百六十三名でございます。
所要財源は、四十一年度におきまして一千六百三十五万円でございます。専売では三十万円、国鉄におきましては一千六百万円、電電公社におきましては五万円でございます。合計いたしまして
一千六百三十五万円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/6
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007・平林剛
○平林委員 今回の二つの法律改正によりまして、六万円の最低保障額の規定で引き上げられる者の数はただいまお答えがあったとおりでございます。国家公務員の場合におきましては、その数は一万名をこえて、金額にして昭和四十一年度二千四百万円の財源である。ところが、公共企業体関係になりますと、専売公社関係で九十三名、三十万円、電電公社では十八名で五万円、国鉄では幾らか数が多いのでありますから、その財源が千六百万円ということになりますが、実際問題としては、公共企業体関係においてはその数が非常に少ないということになるわけでございます。私は、先般もいろいろお尋ねがありましたけれども、今回の最低保障の六万円という額についてはなお低過ぎるのではないだろうかと思うのであります。特に、新法の国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法第十三条の特例には最低保障の規定がございまして、現行では最低年金が八万四千円、遺族年金が六万七千二百円、こうあるのでありますけれども、一方にこういう規定があるのにかかわらず、今回の共済年金の最低額六万円というのは権衡がとれていないのではないだろうか、この理由は一体どういうわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/7
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008・辻敬一
○辻説明員 今回の措置は恩給等と十分均衡をとりまして措置したものでございます。恩給におきましても、御承知のように、長期在職者につきまして、普通恩給につきましては六万円、扶助料につきましては三万円というふうに改善措置をとったわけでございます。共済制度は恩給とは若干性格を異にいたしておりますけれども、恩給制度を引き継いだ関係上、制度的にも恩給と密接な関係がございますし、従来からこの種の改善につきましては恩給と常に均衡をとって措置してまいった経緯がございますので、そういうところを考えまして、恩給と歩調をあわせまして六万円、三万円という額にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/8
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009・平林剛
○平林委員 この件については、武藤委員からいろいろなことで指摘されておりまして、ただいまの御説明ではどうも納得できないということはあなた方も御承知のとおりだと思うのであります。ただ、それでは、国家公務員の場合はこれは一応恩給の問題と重大な関連があるということにいたしましても、公共企業体の場合はどうなんでしょうか。最低保障の規定はやはり公共企業体共済組合法にも規定があると思うのでありますけれども、それはどういうふうにして御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/9
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010・畠山一郎
○畠山政府委員 公共企業体におきましても、先ほど大蔵省から御説明がありましたと同様でございまして、恩給法の改正にならいまして、それと均衡をとって六万円ということにいたしたわけでございます。なお、公共企業体の共済組合法におきましては、本則におきましては最低保障の規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/10
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011・平林剛
○平林委員 最低保障の規定が現在の共済組合法に置いてない——もう一度ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/11
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012・畠山一郎
○畠山政府委員 公共企業体共済組合につきましては、新法の部分につきましては国家公務員の場合の八万四千円に当たるような最低保障の規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/12
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013・平林剛
○平林委員 いずれにしても、生活保護法による生活保護の金額は、大体一級地の場合で四人世帯は月額二万六百六十四円、年額で約二十五万円、二級地の場合でも相当高いわけでございまして、これと比較しても六万円というのがどうも低きに失するのではないだろうか。こういう状態から考えますと、もう少しこれを高く主張する声があってよかったんでないか。恩給と並んでいるから恩給にならったということだけでは、これは最低保障額という名前が泣くんじゃないでしょうか。最低保障額というからには、やはり今日の生活実態から考えて、生計がある程度維持できるものに近い線で努力するのがほんとうであって、恩給がそうなっておるからということで右へならえということだけでは、最低保障額という名に値しないのでないか、私はこう思うのであります。特に公共企業体関係においては、これを引き上げるような話し合いというものは全くせなかったのか、その必要を認めなかったのか、あなた方は実際問題としてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/13
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014・畠山一郎
○畠山政府委員 公共企業体共済組合につきましても、やはり恩給を引き継いで、そのまま期待権を尊重いたしまして新しい共済組合ができたわけでございますので、旧法の部分につきましては、やはり恩給の例にならうのが適当であろうと考えてこういう原案にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/14
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015・平林剛
○平林委員 恩給の額にならうのが適当だという判断が私にはわからないのです。この最低保障という名前からいきまして、六万円ではどうも低過ぎるんではないかということに対する答えにならない。六万円の根拠というものがわからない。それではただ恩給にならったというだけにしかならない、これは実態に合わないじゃないですかということを聞いているのです。そういう意味から、全くあなた方はそれでいいのだ、こういう考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/15
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016・畠山一郎
○畠山政府委員 やはり旧法時代の問題でございますので、恩給の例にならうのが適当であろう、そういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/16
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017・平林剛
○平林委員 大蔵大臣、ぼくはこの点少しも理解できないのです。恩給で六万円となったのだから、共済年金のほうあるいはその低額恩給の長期在職者のほうも六万円にするという従来の慣行があるからということだけですが、先ほどから申し上げておりますように、新法の国家公務員共済組合法では、長期給付に関する施行法の特例で現行で最低年金八万四千円、こうなっておる、こっちのほうは六万円だという、そこの辺が、ただ恩給にならったからというだけではどうも納得できない。これはもう少し引き上げる必要があるということを現実の生活実態から私は考えるのでありますけれども、大蔵大臣の御見解はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/17
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018・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 今回の政府の考え方は、ただいま政府委員からお答えを申し上げておりますとおり、恩給と均衡をとる、こういう考え方に立っておるわけです。共済組合の給付、これは他の比較的これと同じ性格を持った給付、それとの権衡、これは常に私は考えておかなければならぬ問題だと思います。そういう水準全体としてこれが給付の内容が充実しているかどうかという問題は、これはあるだろうと思いますし、それは今後総合的に常に見ていかなければならぬ問題だと思いますが、ただいま共済組合の給付を検討するという段階の問題としますと、どうしても恩給と権衡をとるという考え方を捨て切るわけにまいらない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/18
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019・平林剛
○平林委員 最低保障額というからには、恩給にならったというだけではどうも理屈にならないじゃないでしょうか。六万円でいいのだ、それは最低保障額だという根拠、私はその根拠がもう少し.意を尽くした形で御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/19
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020・辻敬一
○辻説明員 この六万円あるいは三万円の額は、ことばの正確な意味におきます最低保障額であるかどうか、その点につきましては、いろいろな問題があるところでございますが、要するに、今回の措置は長期在職者につきまして低額年金の是正改善をはかるという趣旨におきまして行なったものでございます。なお、一応の六万円の額は厚生年金との均衡も考慮いたしまして、御承知のように、厚生年金の低額部分の額が六万円でございますので、そういう点も考えあわせまして定めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/20
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021・平林剛
○平林委員 それにしても、たとえば専売の共済の場合には九十三名で、これに要する経費が三十万円でしょう。電電の場合には十八名で、これに要する財源が五万円でしょう。国鉄の場合には五千二百五十二名で、千六百万円ということになっておりますけれども、せっかく最低保障額というものを取りきめるとするならば、竿頭一歩を進めて、いま少し前進していいんじゃないか。これはなかなかいいことをきめたなと、初め私も読んだときには感じたのですけれども、財源が五万円と三十万円くらいで法律に書くということは、ちょっとこれは恥ずかしいと思いませんか。私はその点を言いたいのですよ。今度の法律改正で救われる者は、電電の場合十八名、財源五万円、専売の場合九十三名で三十万円、極端な二つの例ですけれども、これで最低保障額ということ、これは私は、これに引き上げられる者は数が少ないから不満というわけじゃないです。最低保障額という以上は、法律にうたってこれを規定する以上は、もう少し中身のあるものであっていいじゃないか。中身がないということは、結局、この最低保障額の六万円という規定そのものが実効のないものだ、現実の生活実態から考えてみて低きに失するものだ、こういう考えで私言っておるのです。恩給からどうのこうのと御説明聞いたって、私の質問の答えにはならぬのです。ですから、そういう意味では、少なくともこれは相当程度引き上げる必要があるじゃないか、こういうことを言いたいのですけれども、どうも意を尽くした答弁になってないから、ひとつもう一度答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/21
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022・辻敬一
○辻説明員 共済組合制度におきましても、旧法の時代には最低保障の規定はございませんでした。そこで、再三繰り返すようでございますが、恩給と共済は、性格は違いますけれども、退職者に対する処遇という面では共通の要素がございます。それから制度的にも、先ほど申し上げましたように、恩給を引き継いだ関係上、恩給期間の分は恩給同様の計算でやるというような仕組みになっておりますし、従来の経緯もございますので、財源その他も勘案いたしましてそういう措置にいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/22
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023・平林剛
○平林委員 財源その他を考えたと言うけれども、あなた、専売共済で三十万円、電電公社で五万円なんというのは財源を考えたうちに入らぬじゃないですか。私の言いたいことがわからぬですか。三万円や五万円の財源措置でしょう。これは国鉄の場合には千六百万円ありますけれども、それにしたって、三つの企業体で千六百三十五万円というのは、財源を考えたなんというような義理合いの数字じゃないでしょう。私はそこを言いたいのです。財政上考えたと言うけれども、そんなものはそんなに首をかしげるほどの財源じゃないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/23
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024・辻敬一
○辻説明員 恩給の関係につきましては、このために要します増加所要額は、四十一年度におきますと五千二百万円、それから平年度におきますと二億円程度と伺っております。公共企業体関係につきましては、いろいろ御指摘もございましたけれども、やはり制度全体としてバランスをとることが必要でございますし、従来からその方針に従って措置してまいりました経緯もございますので、現在の段階ではやむを得ないところじゃないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/24
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025・堀昌雄
○堀委員 関連して。
皆さん非常に理論的にものをやっていらっしゃるのですが、この間も私ちょっと言ったのですけれども、共済制度というようなものは、ともかく相互扶助が基本にあって、みんなで助けていこうという考えだと思うのです。困っている人の場合には助けてあげましょう、共済というのはそういう字でしょう。これは本来がともに助けるという意味だろうと思うのです。そうしてみると、その六万円をはじくときには、もし私が政府なら、今度六万円にする人たちはいまどういう生活をしているのか、これを一ぺん調査をするのが私は前段ではないかと思うのです。そうして、その生活の調査をしてみて、六万円でまあまあこれまでより引き上げていいのだということなら私はまたわかりますがね。皆さん調査をしてみましたか。廃疾になった人たちが一体どういう生活をしているのか、ちょっと具体的に各公社を含めてひとつ実態を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/25
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026・辻敬一
○辻説明員 いろいろな機会にいろいろな方法におきまして生活実態に触れている面はございますけれども、特に年金の受給者の生活実態調査ということで実施いたしましたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/26
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027・堀昌雄
○堀委員 いろんなときにおりに触れて調査をしたことがあるというお話ですが、いま私が言ってるのは、その他のことを言っていないのです。一番きびしいところにおられる人たちのことぐらいは、実態を明らかにせずして、恩給はこうだから、スライドしたらこうなるからこれでいいのだなんというのは、血も涙もない処置じゃないでしょうか。一般に、ちゃんと健康でつとめられて共済年金をもらっていらっしゃる方と、働けなくなって廃疾の年金なんかをもらうような方と同じような感覚で処理しようとしたら、これは大間違いですよ。佐藤さんは、ともかく人間尊重の政治を言っておられるが、一般的に人間を尊重しなければならぬのは当然ですけれども、そういう最も恵まれない人を人間らしい生活にするということが、私は人間尊重の政治だと思うのです。大臣、いかがでしょうか。この問題は、事務的な問題ではなくて、すべて私は政治的な問題だと思う。私がいま問題提起をしておるが、実態も調べないで、実情も何も知らないで、ただ恩給がこうなったからスライドしたらこれだけでいいのだ、それが最低保障だというようなことなら、最低の保障なんということばを使ってもらいたくない。そんなものは最低でも何でもないのです。保障に値しないものだと私は思う。大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/27
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028・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 共済の給付というような問題は、これは厚生年金の関係もあるし、恩給の関係もあるし、あるいは国民年金の関係もあって、非常にむずかしい問題なんです。これは四方八方を見回して、国民各界各層との均衡をはかりながら考えなければならぬ問題である。そういうことからいいますと、共済だけを見て事を論ずるということは、また非常にむずかしい問題を提起すると思うのです。皆さんのおっしゃる趣旨のことはよく私もわかりましたから、なお引き続いて検討するということにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/28
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029・平林剛
○平林委員 私、三公社の方に聞きたいのですが、一方においては、最低保障という名前に値するかしないかは別にいたしまして、たとえば八万四千円という数字がありますね。せめてこの程度まで引き上げたらどうだろうかとか、あるいは欲をいえば十二万円くらいまでは、最低保障額というなならば引き上げたらどうだろうか一これは常識的ですよ。財源が許すか許さないか、こまかく数字を検討しなければまだなかなか言えないかもしれませんけれども、八万四千円というのが一つの規定にあるのだから、どっちみち今回の改正で引き上げるならば、せめて八万四千円、欲をいえば十二万円くらいまで上げたらどうだろうかくらいな考えはなかったのでしょうか。私はそこを聞きたいのです。十二万円まで言わなくたっていい。八万四千円程度まで引き上げるというようなことは常識的にぴんときそうなものだけれども、そういうことについてはどうして考えなかったのでしょうか。そのところを私は聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/29
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030・畠山一郎
○畠山政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、すべてこれは旧法時代の問題でございまして、新共済年金法は、旧法、つまり恩給をそのまま引き継いでやってまいるというたてまえになっております。また、従来もそういう措置をとってまいりましたので、恩給の例にならいまして六万円ということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/30
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031・平林剛
○平林委員 どうも自主性がないので私は不満ですね。国鉄にしても、電電にしても、郵政にしても、やはりそういうことで、そういうことについては口にも出さなかったのですか。それぞれからちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/31
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032・中西幸雄
○中西説明員 国鉄におきましては、今回の法の対象になる方は旧法、旧令を受け継がれた方が対象になるために、恩給者との均衡を保つということだけを考えておりまして、そういうお願いをいたさないでおった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/32
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033・飯森実
○飯森説明員 いま国鉄からお答えになったとおりでございまして、旧法、旧令につきましては六万円の最低保障をお願いしたわけでございますが、新法については考えませんでした。ただ、新法につきましては、六万円以下の人は実態上ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/33
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034・園部秀男
○園部説明員 専売公社につきましても、今回の根拠法規が恩給法に伴う問題という観点で、支払い主体としての専売の共済組合という観点でございますので、今回については同様に取り扱うのが妥当だ、かように考えたわけであります。新法については、六万円に該当する者はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/34
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035・平林剛
○平林委員 こういうところで答弁すると、口をそろえて、判で押したような答弁しかしないのだが、実際はそうじゃないでしょう。実際はもう申し上げたほうが適当だと腹の中では考えているのだけれども、そういう話を持ち出すと、大蔵省のほうから別のところで頭を押えられるものだからそれを言えないというところが実態じゃないですか。支給年金額の最高を押えられちゃうというようなことが出てきたのじゃ困るから、六万円というのは不満だけれども、それを言えない、こういうところに実態があるのじゃないですか。私はそれは聞かないけれども、大体見当をつけて言うとそういうところがほんとうであって、現在の場合、判こをついたような答弁をせざるを得ない、こういうところだと思うのです。そこに、私に言わせると、これからの年金の問題やスライドの問題だとか、あるいは受給者に対する実際上の生活上の保障を与える面において現在の体制が欠くるところがあるということになるのじゃないかと思うのです。非常に必要なものを言わないのだな、そこに問題があると思うのですよ。
そこで、私ちょっとお聞きしておきたいのですけれども、その程度の最低保障額を支給される場合でも、こういう不満足なものであるにかかわらず、たとえば一時金なんかが支給されると、これから差し引いていくという考えのようですけれども、その点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/35
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036・辻敬一
○辻説明員 控除いたさないことにしております。今回の措置につきましては控除いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/36
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037・平林剛
○平林委員 そうすると、今度の最低保障額を六万円と規定した、はなはだ申しわけないくらい低いものである、したがって、一時金などが支給されても、この分についてはこの最低保障の六万円の中からは差し引かないでやっていく、差し引いたのでは、最低保障額の名前がそうでなくても泣いてしまうから、また、最低保障の意味が薄くなるから差し引かないようにする、こういうことですか。もう一回確認をしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/37
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038・辻敬一
○辻説明員 今回の措置につきましては、恩給法上におきましても、既支給の一時恩給を控除しないというたてまえになっておりますので、それとの権衡も考えまして控除いたさないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/38
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039・武藤山治
○武藤委員 関連して。
そういたしますと給与課長、今回の最低保障の分からは脱退一時金は控除しないけれども、これからやめていく現在の者は、支給額の中から脱退一時金は引くのだ。この原則はずっと変わらず続けていくのかどうか、また続けるとしたら、その趣旨は一体何なのか。脱退一時金でせっかくもらったものを、十五年後あるいは五年後に、その支給のつどまた取られていくというのはどういうことなのか。大体脱退一時金というのは、給与のあと払いみたいな、そういう性格も退職金と同じように持っていると思うのです。それを今度は年金額から差し引いていくという思想は一体どういうことなのか、そこらをわかりやすく説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/39
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040・辻敬一
○辻説明員 新法の制度におきまして、八万四千円の金額から、それまでに退職一時金を受給した者につきましては、一定の額を控除するというたてまえになっておりますことは御指摘のとおりでございます。その趣旨は、退職一時金の受給者につきましてその期間をまたまるまる見るということになりますと、組合期間に対する給付額をいわば二重に計算するというようなことにもなるわけでございますし、それから、退職一時金をもらった者ともらわない者との実質的な均衡という問題もございます。そういう点を考えまして、現在の制度におきましては、一時金を受給した者については額を控除するという仕組みにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/40
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041・平林剛
○平林委員 とにかく、この問題については私はなはだ不満なのでありまして、なお聞きたいことがありますけれども、次の調整規定の問題についてお尋ねを移してまいりたいと思います。
今回の法改正によりまして、年金受給者の年金額の実質的価値を保全するために、国民の生活水準あるいは公共企業体職員の給与、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案をして、すみやかに年金額改定の措置を講ずる、こういう旨の調整規定が設けられたわけでございますが、いろいろ審議を続けている中で、この調整規定というものは、いわゆるスライド制とは意味合いが違うという点が明らかになってまいりまして、私も正直者ですから、初め読んだときにはこれでスライド制ができたのかと思ったら、そういうわけではなさそうでございます。この点については、昨日諸外国の例は一体どうなっておるかという質問がございましたが、どうもあまりはっきりした答えがなくて終わったのでありますけれども、一晩よく考えてみたらこういうことであったという、その結果がわかりましたか。ちょっと諸外国の例を、この際、きのうは答弁できなかったけれども、恥ずかしいことですが、一晩よく考えただけではだめだが、資料をよく読んでみたらあったあったというぐあいになりませんでしたか。一夜づけの勉強かもしれないが、諸外国の例は一体どうなっておるか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/41
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042・辻敬一
○辻説明員 諸外国の例を、公務員ばかりの例ではございませんで、全体的なものにつきまして簡潔に申し上げますと、年金額の調整の方法につきましてはいろいろの方法があるようでございます。一つは、政策的に改定すると申しますか、要するに、そのつど必要に応じまして個別の法律で調整を行なってまいるという方式をとっておるところがございます。それから、それに対しまして、自動的あるいは半自動的に調整してまいるというような方式をとっておるところがございます。それで、前者のような方式をとっておりますのが、イギリスでございますとか、アメリカでございますとか、あるいはスイスでございますとか、そういうところでございます。もっとも、公務員だけをとってまいりますと若干性質が違うところがございますが、公的年金全般の問題として考えてまいりますとそういうことになるわけでございます。
それから、次のやり方の自動的あるいは半自動的に調整してまいる方式でございますが、完全に自動的に調整するという方式をとっているところは少ないようでございまして、実際には半自動的にやってまいるというような方式を採用しているところが多いようでございます。フランス、西ドイツその他がこれに当たるようでございます。
それから、その調整の基準等の具体的な方法につきましては、やはり物価水準でございますとか、賃金の水準でございますとか、それの変動に応じまして検討するというシステムをとっているわけでございます。個々の内容につきましてはいろいろこまかくなるわけでございまして、物価水準の場合でございますと、たとえば一〇%変動をした場合に動かすところもございますし、五%のところもございますし、二・五%程度のところもあるようでございます。賃金の水準につきましては、三%というところもありますし、もっとこまかく変動に応じて上げていくというところもあるように聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/42
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043・平林剛
○平林委員 お役所の言うことは、私に言わせると、どうも抽象的でよくわからない。私いただいた資料の中に、アメリカ合衆国の場合にはこういう規定があるというのですが、どうでしょうか。
アメリカ合衆国では、消費者物価指数が対前年度比三%以上増大した場合は、その年の一月二日以前に受給開始の年金を四月以降増額調整する。イギリスの場合には、消費者物価指数が上昇した場合、そのつど立法措置をとり、恩給受給者に対する保護を行なう。西ドイツの場合は、公務員の給与額に改定があったときは、同時に恩給についても同様の措置をとる。フランスの場合には、現職公務員の俸給額の改定は自動的に恩給金額の前定となる。このように、いずれも退職公務員の処遇についてはスライド制が設けられておると聞いておるわけでございますが、いま説明のあったのはこれと違わないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/43
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044・辻敬一
○辻説明員 ただいま私が申し上げましたのは、公務員に限定いたしませんで、全体の公的年金の仕組みについて申し上げたわけでございます。その意味で、若干御指摘の点と食い違っているか思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/44
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045・平林剛
○平林委員 指摘の点と違っているのはわかるけれども、いま私が言った具体的な動向は大体そのとおりだ、こうおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/45
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046・辻敬一
○辻説明員 そのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/46
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047・平林剛
○平林委員 そうだとすると、今回せっかくある程度前進をしたのですけれども、諸外国の例、特に主要な国の例を見ますと、いずれもかなり明確に、具体的な比率だとか処理の方法だとかにつきまして規定をされておるわけですね。今回においてもその程度までは進めなくてはならない、また進むことが必要でないだろうか、こう私は思うのですけれども、大蔵大臣、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/47
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048・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 今回は調整規定が設けられたということで一つの大きな変革だと思います。これをどういうふうに具体化していくかということが問題なのですね。あくまでも自動的にこれが物価なりあるいは一般の賃金にスライドしていくというような趣旨じゃないのですが、実質的な価値は保全をしたい、こういうたてまえになっておりますので、そういう考え方からどういう方法がいいか、これは慎重に、ちょうど審議会あるいは連絡会なんかもあるわけでありますから、そういう場を通じて掘り下げていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。たとえば、公務員の給与、これなんかは民間の給与を基準として勧告があるというふうなたてまえにいまなっております。ですから、ある程度民間給与とのスライド制というたてまえになっておりまするが、それも財政上、資金上、そういう見地から再検討というまたワクにかけられておるような次第でございまして、恩給におきましても、やはり他の諸問題も考慮し、かつ、実質的に受給額の価値を維持するという考え方で適正な方法をきめていくということにいたしたらどうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/48
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049・平林剛
○平林委員 大蔵大臣のおことばを聞いておりますと、そのことは決して間違いじゃないですよ。また、佐藤総理にもいつも悪口を言うのですけれども、スローガンはいいけれども、実際の中身になると、結局時間がおくれているということになるので、いまの退職公務員にしても、あるいは年金を受けて生活する者にとっても、ことばや考え方ではないのですね。実質的なものがほしいわけです。この場合に大蔵大臣は、そういう問題については恩給審議会とか公務員年金制度連絡協議会などで相談をして、漸次その方向にいくんだ、こういうお考えのようですけれども、さっきの三公社の担当者の各答弁は、聞いておられたように、どうも総理府に設けられた公務員年金制度連絡協議会というのは、恩給局や地方公務員担当の自治省や公共企業体関係の三公社や厚生省の年金局の担当者の方がいて相談をなさる、ここで相談をなさっても私は悪いことはないと思いますけれども、政府のほうの腹がまえがきまらないと、あと右へならえ、判こで押したような答弁しかできないし、自発的にこうだという積極的な見解というものは生まれてきそうもない。ですから、ことばは、そういうところで相談をします、こういうことで、はあそうですかということになるわけですけれども、実態を考えてみると、はあそうですかというぐあいにいかないんじゃないか。恩給審議会についても、この間第一回の会合が開かれたようでございますけれども、そのメンバーを見ますと、いずれも学識経験者の方が多いようでありまして、やはり、政府の腹はどうか、財政上の問題はどうかということになりますと、あたりを見回わす。ことばとしては、見解としてはいろいろな問題が出てまいりましても、最終的には政府の考え、財政の事情ということになってくるわけですね。それを考えますと、私は今回の法改正の趣旨、ことばはりっぱであるし、前進をしておると思いますけれども、実体が伴っていない。そこで、この実体を伴うようにさせる結論は一体いつごろまでに大蔵大臣としては自分ではきめたいと思っておられるのでしょうか。そうでないと、今回は精神的、訓示的規定で中身はない、方向だけきめて実体はない、ただ時間がずるずる延びたということになりまして、一向に退職公務員の気持ちは救済されないし、実態は救われないということに相なるわけでございますから、大蔵大臣としては、この結論はいつごろまでに出してもらうというお気持ちであるのか、その点をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/49
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050・福田赳夫
○福田(赴)国務大臣 なるべくすみやかに結論を出すように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/50
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051・平林剛
○平林委員 なるべくすみやかに結論を出す、ことばはそのとおりで、たいへんけっこうなことばでございますが、実体がわからないんですね。普通この場合には恩給審議会ですかに諮問をされるわけでございまするけれども、その場合、たいがい一年以内とかあるいは二年程度とかいうような腹づもりというものは、やはり政府としてどこら辺にあるのかということがないと、恩給審議会の委員の人も、あるいはその他の機関がかりにできた場合でもたいへん困るんじゃないかと思うんですよ。これはさいふを握っているのだから、ある程度の腹づもりとして、可及的すみやかというのは——結論を得てもらいたいという気持ちは、普通一年くらいというふうにいまのは私は聞いたんですけれども、そういう程度に出してもらえる、こう期待していいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/51
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052・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これはまだいつという見当をつけておりませんが、私もなるべく早いほうがいい、そういうふうに考えておりますので、最大の努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/52
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053・堀昌雄
○堀委員 もう大臣の御答弁で私どもも方向はきまったと思います。そこで、ただ、私もいま平林委員の発言を聞きながら、アメリカだとかイギリスだとかいう国は、非常に消費者物価が上がらない国なんですね。三%上がったらこうするということは、これはもう三%以上というのは実はたいへんなことなんだという認識なんです。ところが、わが国の場合は、もう六%、七%があたりまえみたいになって、政府でも五・五%以内にするなんというのは、世界的に物価の問題から見ると異常な状態になっておるわけですね。ですから、この点は諸外国でもそういうことになっておるとすれば物価のほうも考えていただかなければならぬけれども、取り残された人たちの問題もやはりこれはよほど時間的に詰めて考えてあげなければ、私は問題が残ると思います。私どもはやはりそのためには、ひとつ二者構成になるところの統一された権威のあるような機関をまず早急につくっていただいて、具体的にそういう検討に入っていただかないと、いまあるばらばらのものをどこかにやってみたところで、これは幅が広いものですからなかなか簡単にいかないと思うのです。やはりそういう三者構成のようなもので、統一された権威のあるような機関をつくることによっていまの大臣の御発言が具体的に前進するというふうになることが、私は非常に常識的に考えても望ましいのではないか、こう考えますけれども、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/53
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054・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 やはりこの問題は、あるいは共済の問題もあるし、あるいは恩給の問題もあります。いろいろその間に総合性、統一性があったほうがいいと思います。ですから、できる限りその総合性、統一性が保たれるような方向でこれから努力をするようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/54
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055・平林剛
○平林委員 それで私、この点はもう一回おさらいになるのですけれども、調整規定の具体的な処理の方法、比率の問題などについては、恩給審議会で協議されるんですか。それから共済組合審議会でもやるんですか。それからもう一つ、武藤委員からも提案がありましたように、年金制度のスライドだけをやるところの機関をつくってやるんですか。ここいら、ちょっとはっきりこの機会にお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/55
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056・辻敬一
○辻説明員 形式的に申しますならば、恩給関係については恩給審議会、それから国家公務員共済組合の関係につきましては共済組合審議会にはかってきめる、こういうことになるわけでございますが、先ほど大臣の御答弁にございましたように、各公的年金の相互間の均衡を十分にはからなければならないわけでございますから、実質的にはおおむね同じようなところをめどにして実施してまいるということになるかと思います。なお、御承知のように、総理大臣の諮問機関に社会保障制度審議会が設けられておりまして、制度全般にわたって調査、審議、勧告を行ないまして制度間の均衡をとっておるわけでございます。それから行政的には、再三申し上げておりますように、総理府に公務員年金制度連絡協議会を設けておりまして、十分各責任官庁間の緊密な連絡調整に当たっておりますので、そういう機関を活用して十分に統一がとれるように措置してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/56
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057・平林剛
○平林委員 これはこの間の武藤さんの言われたこともございますから、いま並べられた社会保障制度審議会、共済組合審議会、恩給審議会、総理府の公務員年金制度連絡協議会、これらで総合的にやるというのだけれども、ばらばらになるおそれがあるから、この問題については何か独自なものをつくったらどうかという提案がございまして、大蔵大臣も、これについてはひとつ検討するというお答えをこの間いただいておる。それはひとつ十分検討してもらいたいと思うのですが、私は、大蔵大臣、こう考えるのですよ。
やはり、こうした年金のスライド制ですね、物価がどのくらい上昇したらこうするということを、政府が積極的にすみやかに結論を得ていきたいというお答えがありましたように、早くきめるということは、私は、一つには最近の物価上昇に対する政府の心組みの問題にもなってくるのじゃないかと思うんですよ。つまり、もし物価がどんどん上がっていきますと政府財源がどんどん必要になってくる。これはたいへんなことになるから、物価抑制については熱を入れなければいかぬ、まあこういうことになるわけです。これは必然的に政府もそういう用意を十二分にとらざるを得ない、とるようになるというねらいも一つあるのです。そうすれば大蔵大臣も、この問題についてこういうふうになっておるのだから、物価の問題については人ごとにまかしておけない、乃公出でずんばといって、自分から積極的に出るようになる、こういうねらいが間接的にも出てくると思う。そういう意味では、やはり具体的な比率というものをきめる必要があるのではないだろうか。精神的な訓示的なことで、あとは総合的に判断する、総合的な中には政治的な判断があるというようなことだけではちょっと都合が悪いので、具体的なものをきめていくという考え方のほうが、むしろ物価抑制という問題から考えても有効な措置になりはしないか、こう考えるのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/57
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058・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いまの御所見はどうでしょうかね。私は、物価問題というのは、そういう財政が窮屈だから物価問題に取り組まなければならぬという角度じゃないんです。これはもう何といっても経済の秩序を維持しなければならぬ、こういうたてまえで物価問題と取り組んでおるわけで、恩給がスライド制になったから物価問題により一生懸命になるというのじゃなく、それ以前に物価問題はそういう問題とは別の問題として解決を真剣にやらなければならぬ、こういうふうに存じております。しかし、今回こういう改正が行なわれたその趣旨は、これは具体化しなければならぬ、こういうふうに考えまするし、また、スライド制というか、調整規定が入ってきたこの段階におきましては、ますます努力をいたしまして、調整規定なんか必要ないというような経済情勢を実現したい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/58
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059・平林剛
○平林委員 私も直接的にそれが物価抑制に役立つというのではなくて、間接的に有効な手段になりはしないかと、幾分逆説的な言い方かもしれないし、皮肉が少し入っているかもしれませんけれども、そういうことに役立つじゃないかという気持ちを私は持っておるわけです。そこで、たとえば、いま物価上昇は非常に激しいものがございまして、政府の努力目標としては、藤山さんも言われておるように、七、五、三ですか、今度は五%程度に押える、こう言われるわけですけれども、いずれにしても現状からいきますと、どうしても五%で押えられるかどうかという点が非常に疑問なんですね。そういうことから考えますと、私は、少なくともこの結論は一年以内くらいにはぜひひとつ出してもらいたい、こう思うのです。先ほど可及的すみやかと言われましたことは、私の希望としては、一年以内には出してもらいたいということを希望するのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/59
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060・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 できるだけ努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/60
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061・平林剛
○平林委員 それで、もう一つ私はこの機会に申し上げておきたいのですが、恩給審議会のメンバーをこの間見せてもらったわけです。ただ私、この恩給にしても、年金にしても、あるいは共済組合の問題にしても、非常にむずかしくこまかい問題が多いわけですね。そうすると、かなり学識経験者でございますけれども、さて実際問題としては、こまかいところに行き届いたところまでやってもらえるかどうかということについて非常に疑問を感ずるのです。
それから、私がいつも痛感しておりますのは、こうした法律改正が出るたびに、いろいろなことがむしろ私側のほうから提起されているのですね。たとえば、国鉄職員の満鉄における勤務のことはどうするんだとか、今回もまた新たに赤十字の問題について出されるとか、あるいは先回の改正のときにはまた別の問題が出されるとか、いろいろそのつど新しい問題が提起され、またわれわれから注文をちょっと出して、それが取り入れられて解決をしていくのですね。こういう点では、私たちもそれは自分で発見をして要求しているわけじゃございません。その退職公務員の切実なる、しかも実際上の問題からくる政治に対する希望というものがあらわれてきておるわけですね。こういうことから考えますと、何か、恩給審議会の中に退職公務員とか、実際にそうした問題を取り扱っている人たちが入っていって、そうして、そこでいろいろな注文を出したほうが行き届いた一あとでこま切れのように、今度はこれ、この次はこれというようなぐあいにあとを断たないというようなことではなく、行き届いた措置が完了するのでないだろうか、こう思うのです。こういう意味から、恩給審議会あるいはその他の審議会でもそうですけれども、合理的な改善が行なわれ、あるいはこまかい行き届いたものが出てくるまでは、関係者も意見というか、見解というか、十分聞くという配慮、さらに一歩進めるならば、委員の一人にそれを加えるとかいうようなやり方が望ましいと思うのです。今回は発足してしまったけれども、何かそれを補完するようなことをお考えいただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/61
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062・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 こういう問題は、利害関係というか、そういうものを持っておる人が一番実情はよく知っておるわけです。そういう人の御意見、お気持ち等を十分聞く機会を持った上で結論を出すべきものだ、こういうふうに思います。ただ、その利害関係者あるいは団体を代表するような人が委員となってその決定に参加する、これは私は非常に弊害があるだろう、こういうふうに思います。そういう弊害を断ち切りながら、しかも実情はそういう人たちを通じてよくお聞きをする、そういう形できめられていくことが私はいいと思います。お気持ちの点はよくわかりますから、そういう方向で善処をいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/62
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063・平林剛
○平林委員 ちょっと事務当局のほうにお尋ねしますが、恩給だとか共済年金の実質的価値が保全されるように、現職の給与に即応して改正してもらいたいという希望が強いことは御承知のとおりだと思うのです。現在はこの要望に対しまして非常におくれているのではないだろうか。たとえて言うと、現在の国家公務員の給与水準がかりに三万九千円ぐらいだといたしますと、恩給、共済年金のベースというのは二万四千円ぐらいだと聞いておるわけですけれども、かなりのおくれがある。こういう点については、どうお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/63
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064・辻敬一
○辻説明員 現職公務員の給与ベースと、それから恩給あるいは共済年金のベースとに若干の差のございますことは、ただいまお示しのとおりでございます。しかし、この問題につきましては、単に現職公務員の給与にスライドするという考え方をとっておりませんで、今回の調整規定にございますように、国民の生活水準であるとか、物価でございますとか、その他公的年金全体のバランスでございますとか、そういうところを総合的に勘案して従来も措置してまいったわけでございます。公務員の給与だけにスライドしてまいるという考え方はとっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/64
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065・平林剛
○平林委員 とっていない理由はどういうところですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/65
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066・辻敬一
○辻説明員 ただいま申し上げましたように、そのほか国民の生活水準でございますとか、物価でございますとか、あるいは社会保障全体の体系、つまり厚生年金その他との均衡も十分に考慮する必要があると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/66
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067・平林剛
○平林委員 そうすると、現在のものはそういう意味でバランスがとれている、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/67
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068・辻敬一
○辻説明員 ただいま申し上げましたようないろいろな事情を総合的に勘案した結果現在のようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/68
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069・平林剛
○平林委員 なっているのはわかりますけれども、バランスがとれているかどうか、あるいはこの差を縮める努力はしなくていいのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/69
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070・辻敬一
○辻説明員 今回設けられました調整規定をどのように運用していくか、どのように適用してまいるかという問題になるかと思いますが、繰り返しお答え申し上げておりますように、恩給審議会その他の場において十分御議論をいただいて、今後慎重に検討してまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/70
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071・平林剛
○平林委員 恩給審議会で議論をされる場合、たとえば、恩給に対する性格の議論があるわけですね。たとえば、恩給というものは何ぞや、退職した公務員の生活を保障するものなのか、そういう性格のものにすべきものか、あるいは国家公務員として特別の権利義務があった、それに対する国家の保障かという議論が、当然性格の問題としてはあるわけですね。現在、政府のほうは、社会保障的な、生活保障的な方向というよりは、むしろ国家公務員の一つの特別の権利として、国家の保障という考え方にあるようだと私は承知しておるわけですが、こういう問題は恩給審議会において議論をされると承知しているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/71
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072・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 お答えいたします。
ただいま御質問の点は、もちろん今回の恩給審議会は、恩給に関する重要事項を検討していただくことになっておりますが、恩給の性格論から検討していただく、こういうことになると思います。
〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/72
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073・平林剛
○平林委員 恩給審議会においては、基本的な問題として恩給の性格についても議論をする、こうなるわけですね。その場合に、最近の現状から見て、また経済事情の変化等から考えて、やはりある程度社会保障的な要素を加えていかなければならぬ、また、それが今日の政府の考えている政策から考えてみてもその方向にいかなければいかぬというような結論がかりに出た場合は、いまの恩給、共済年金と現職の公務員との違いというものは縮まる方向にいくという勘定になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/73
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074・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 恩給は、御承知のように、原則的に申しますと、退職当時の俸給、それと在職年の長さ、こういう要素できまるわけでございますから、社会保障とは非常に性格は違うわけでございます。しかしながら、戦後の恩給制度におきましてはいろいろ複雑な事情が出てまいりましたので、最近の改正の経過におきましては社会保障制度とは申しませんが、若干それに似かよったような改正をしておるわけであります。したがいまして、恩給審議会におきましても、もちろん本質論からなされると思いますが、こういう問題にも触れていただくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/74
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075・平林剛
○平林委員 大蔵大臣、いまお話聞いておったですね。結局恩給審議会においては恩給の基本的な性格についても議論をせられる。その議論はいまのところ二通りの見解があるわけですね。この議論がされて、従来私たちと政府との間にいろいろ議論をしてきたわけですね。そういうことについて一つの結論を出してもらうということになっているわけです。それとの関連においてお尋ねしておるわけです。現在の恩給とか共済年金の実質的価値が保全されるように、現職給与に即応してひとつ改正をしていってもらいたい、いまは公務員のベースが三万九千円なら恩給のベースは二万四千円で、その差は非常に開いている、その差は一万五千円も低くなっているし、約六三%違っておる、高低がある。こういう主張で、これを縮めていってもらいたいという希望があるわけですね。ところが、いま政府の事務局のほうに聞くと、一般のいろいろな関係でもってそのバランスをとっているというのかといったら、そういうはっきりしたことは言わないけれども、まあまあだ、こういうような趣旨の答弁があったわけですね。こういうことにしている理由は何かという本質的な問題は、恩給審議会でなされる恩給の性格の議論の結論にも関係してくると私は思うのです。私は、そういう基本的な問題を議論するのは、何もおしゃべりするための議論じゃないと思うのです。おしゃべりをして一つの提議をするだけでは意味がない。そうではなくて、これがある程度社会保障的な、あるいは老後の安定という方向に向かうという努力をすべきだというような方向に大方の審議会の委員の議論がかたまってきたならば、この差というものも縮めるような努力をすべきでないだろうか。いまもうこれでバランスがとれているのだから、あとは物価とかその他のもので調整していくだけでいいんだという、こういう考え方でなくて、できるだけこの差もベースとして縮めていくような努力をすべきだ、私はこう思うのですけれども、そういう努力方向について大蔵大臣はいかがお考えになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/75
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076・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 それは恩給の基本問題に発展してくる問題と思います。そういうことで恩給審議会としては、恩給とは一体どういうものであるかということから始めていくわけでございます。この性格をどういうふうにいたしますか、その結論によりまして、ただいまのような具体的問題、あるいはいま問題になっておる次の問題である調整の問題、こういう問題が出てくるのだろうと思います。よく審議会の場において基本的な問題から議論いたしまして、適切なる結論を出すべきものだ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/76
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077・平林剛
○平林委員 私は実質が伴わないとちっともよくわからないのでございまして、いま政府の考えは、どっちかというと、ある程度差があるというのは、恩給の性格に由来するものなんだという説明なんですね。それで、この差があるというのは、政府としては、公社、つまり国家公務員の特殊な立場にある者に対する国の保障という意味から考えておるということなんです。恩給審議会において、いや、そればかりでは十分じゃない、政府が今後一つの理想を描いて社会保障的な性格の方向にいくとすれば、こうした問題についても前進があってしかるべきものであるというような結論が、私は方向として当然出てくるだろうと思うのです。これは政府も、時期は別にして、そういう方向を目ざしていることは間違いないのですから。そうすれば、こうしたベースの違いについても縮めるような努力がされるべきものである。そこで恩給審議会において、恩給の性格が時代とともに変わってくる、昔のままではいかぬじゃないかということになったならば、こうした措置についても当然具体的にとらるべきものですかと私は聞いておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/77
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078・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いま予断を持って恩給審議会に臨むということは、私は適当じゃないと思います。恩給審議会の場で十分恩給の性格というものを論じて、恩給の性格上こうすべきものだ、しかし、財政上の都合もあろう、まあ、段階的にどうだというような結論が出る場合もあるかもしれません。あるいは、恩給制度というものはただいまのとおりでいいんだ、いままでの観念で押し通すべきものであるというような結論になるかもしれない。いま私どもが何か構想を持つ、つまり、あなたの御質問に的確に答えるというような形で臨まないほうがいいと思います。平林さんの御意見は御意見として、臨むに際して十分私どもが承知いたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/78
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079・平林剛
○平林委員 この程度にしておきます。
最後にもう一つだけ聞いておきます。それは、これからいろいろな審議会その他の機関において、調整規定の問題であるとか、あるいは恩給の性格とかが出る、それには実質を伴うものにしてほしい、ベースの縮まり方も努力してほしいと希望したら、大蔵大臣もそれは十分お聞きしておきます、こういうことですが、いずれにしても財源が必要になってくるわけですね。その場合に、共済組合の場合ですと、その財源を掛け金に求めるのか、国家がこれを負担していくのかという問題があるわけですね。上げるけれども、これは掛け金を上げなければならぬということになりますと、また新しい問題が利害関係で出てまいります。その割合とかいうことにも関係がございますけれども、出てくるわけですね。そこで、こういう議論があることは御承知だと思うのです。たとえば、最近年金額の決定をし、それを引き上げなければならぬということも、あるいはまたスライド制を採用して具体的な比率をきめてもらわなければ困るというようなことも、結局はどこに原因があるかというと、最近の物価上昇というものに一番大きなウェートがあるわけですね。そうすると、生活の水準を高めるということと、物価の上昇のために実質的な効果が低くなったということと、二通りあるのだけれども、物価上昇によって調整をしなければならぬとか、あるいは年金額の引き上げをしなければならぬというようなことは、政府の政策にも相当責任があると思うのです。そうすると、こうした分については国庫負担でやるべきだという議論があるわけです。掛け金によらないで、その分については国庫負担によるべきだ。給付内容とか生活水準の上昇に伴う分は掛け金のほうでやってもしようがないけれども、政府の政策にある程度責任があるという問題については国庫負担のほうでやってもらいたい、こういう希望があるわけです。こういう主張に対しましては、大臣は納得できるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/79
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080・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いまの制度で言いますれば、物価が上がる、上がるに伴いまして給与も上がっていくというような仕組みになっております。したがいまして、給与の中から支払い得る可処分の所得もそれだけふえるわけであります。したがって、あなたがおっしゃるように、共済組合の給付がふえた、その財源は物価が上がったのだから政府が持てという議論にはならないと思うのです。持ち得る財源で政府は措置するということになっておるわけなんです。そういうようなことを考えますと、いまあなたがおっしゃるような考え方は私は妥当ではない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/80
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081・平林剛
○平林委員 私の質問のしかたがちょっとうまくなかったかもしれませんけれども、これは理屈としてはやはり考えてもらわなければならない問題なんです。共済組合関係には政府のほうも相当借金もあるわけですからね。そういう問題を考えてみても、国庫負担の分をもっとふやしていかなければならぬということは私ども常に主張していることですし、また理屈の上からも検討しなければならぬ問題でございます。もう時間もございませんからこれ以上申し上げませんけれども、ぜひひとつ、政府においてもこの点は十分わきまえておいてもらいたい。いずれこれはあらためて申し上げたいと思いますが、きょうはこの程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/81
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082・武藤山治
○武藤委員 関連してちょっと。
給与課長に実態を明らかにしてもらいたい問題が一つあるのです。現在公団から公務員になった場合、公団に勤務した期間は年金通算の期間に入るのか入らないのか、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/82
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083・辻敬一
○辻説明員 公団からこちらの公務員に転じた場合につきましては、国家公務員の組合員の期間に通算するということにはいたしておりません。通算年金という制度でもって処理しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/83
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084・武藤山治
○武藤委員 いま地方公務員で、地方公務員から公団に行った場合の措置はできておるが、公団から地方公務員になった場合には何の措置もないという陳情があるようでありますが、それについては、何も措置する必要は認めないのですか、それとも何らかの措置が必要だと大蔵省は考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/84
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085・辻敬一
○辻説明員 公務員から公団その他の政府関係機関の職員に転じます場合には、いろいろと人事管理上の要請もございますので、一部特例措置を講じております。しかし、公団等の政府関係機関の職員から公務員になるというケースにつきましては、そういう意味の必要性が比較的乏しいのではないかというように考えておるわけでございまして、その点につきましては、先ほど申し上げましたように特別の措置はとっておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/85
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086・武藤山治
○武藤委員 片方の場合には特別措置で措置がなされて、片方の入ってくるほうの場合には措置が要らないというのはどういうことですか。具体的にそういう人が出た場合にはそれは措置できないじゃないですか、救済できないじゃないですか。やはり交流できるようにしなきゃいかぬのじゃないですか。一方交通で、片方だけは措置してあるが片方のほうは措置してないというのは、どういう根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/86
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087・辻敬一
○辻説明員 国から政府関係機関へまいりまして、また帰ってくるようなケースについては措置できるわけでございますが、初めから政府関係機関の職員でございまして、それが公務員にかわるという場合は非常にまれでございます。そこで、そういう場合についてまで特例措置を拡大するということにつきましてはいろいろと問題がございます。これは公的年金全般の問題でございますが、そういう場合の措置については、通算年金という仕組みによりまして措置をするというたてまえになっておりますので、現在のところは必ずしもその必要性はないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/87
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088・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/88
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089・有馬輝武
○有馬委員 最初に、大蔵大臣にお伺いをしたいと存じますが、私ども、堀理事、武藤理事等とともに短期給付の国庫負担金導入の問題につきまして大蔵大臣に要請をいたしました。それに対する回答が三月三十一日に行なわれたのでありますが、その第一項目で「社会保険に対する国庫負担については、一般に社会保険制度相互間の均衡を考慮しつつ、国庫負担の緊要度、国の財政能力に応じ、低所得階層等を対象として重点的効率的に行なうべきものと考えている。」こういうぐあいな回答があったわけであります。私、本委員会におきまして、武藤委員、横山委員、山田委員、また、ただいまは平林委員の質問に対する政府側の答弁を伺いますと、大体この大臣の回答の線に沿って行なわれておるようでありますが、私はこの回答がきわめて抽象的でわかりませんので、いま一度基本的な社会保障制度に対する姿勢についてお伺いをしたいと思うのであります。
「社会保険制度相互間の均衡」ということでありますが、これはどういう意味なのか。また、後段に「低所得階層等を対象として」ということばが使ってあるのでありまするが、私は各階層に対する措置というものを、せめて現在の国家公務員、地方公務員、公企体職員並みに引き上げることが社会保険制度を考慮する政府の姿勢でなければならぬと思うのでありまして、低い層が残っておるからほかのところは全然考えられないのだというこの考え方はむしろ逆ではないか、このように考えるのでありますが、この立場から「相互間の均衡」ということがどうもわかりませんので、大蔵大臣のこの問題に対する基本的な姿勢を、具体的にわかるようにお聞かせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/89
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090・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いまわが国の社会保険制度は、今日に至りましたその経過、沿革から見ていろいろ複雑な面を持っておるわけであります。たとえば医療保険なんかにつきましては、今日何とかして統合しなきゃならぬということが叫ばれるほど多岐な制度で運営をしておるという状態でございます。しかし、そういうように複雑なものになってきたのにもそれぞれ事情があってそういうふうになってきておるわけであります。したがいまして、社会保障の一つ一つをとってみますると、統一されない違った面をいろいろ持っておる。そういう面を持っておるもの全体を、また違った面を持ちながらも均衡をとっていかなきゃならぬ、こういうことを申し上げたのがただいま御指摘の私の回答であります。つまり、国民健康保険、これは大体において農村が中心だ。その他資力の乏しい人が中心になっておる。これは高度の補助をいたしておるわけであります。しかし、わりあいに給与水準の高い被用者健康保険組合、こういうものにつきましては政府は補助をしない、こういうようなたてまえをとっておるのであります。そういう違った政府の措置が出てくるゆえんのものは、それぞれの社会保障諸施設に違った態様がある、こういうことに基づくものであります。国民健康保険に対しては高額の補助をする、健康保険組合に対しては補助をしない。これが一つの権衡である、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/90
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091・有馬輝武
○有馬委員 その御説明がわからないのでお伺いをしておるわけです。確かに、それぞれの態様を持ち、それぞれの内容を持っております。しかし、日ごろの大蔵大臣の財政に対する見解からするならば、国民にかわってということばがあったと思うのです。確かに、一般のものに比べまして公務員はある程度恵まれておるという言い方もできるかもしれません。しかし、恵まれているはずの公務員というのが、あとでも具体的にただしてまいりますけれども、多くの問題点をかかえております。せめて公務員並みに一般を引き上げるという方向で検討さるべきものを、それぞれの態様があるから、それぞれの沿革があるからというようなことでもって、たとえば、先ほど平林委員の質問にもありました最低保障額等についても、ことばと実態とがあまりにも遊離しておるこの現実、これを前向きにすることが現在の政府の仕事ではなかろうかと思います。そういう角度からお伺いをしておるのであります。いま一度御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/91
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092・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 権衡をとりながらやるということはどういうことかという先ほどの御質問でありましたから、その権衡ということは、それぞれの社会保障諸施設の内容に応じてバランスが全体としてとれるようにということである。一例をあげれば、国民健康保険には高率の補助をするけれども、健康保険組合に対しましては補助をしない、そういう結果になる、これが一つの権衡なんだ、こういうことを申し上げたわけです。
しかし、もう一つのいまお尋ねの問題、つまり、社会保障施設はこれから大いに充実していかなければならぬ、こういう御趣旨のお尋ねでありますが、それは私もそう考えます。経済が発展をする、その間において、みんながそのときどきの、または老後の生活について安心していけるようにという社会保障施設につきましては、私は前向きで取り組んでいかなければならぬ、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/92
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093・有馬輝武
○有馬委員 私がお伺いしておるのは、たとえば、先ほどの平林委員の質問にありました最低保障額、これは廃疾についてでありましたが、たとえば老齢年金等につきましても、イギリスあたりでは従来三ポンド七シリング六ペンスというぐあいで、一応常識の線、それで食えるか食えないかという問題はまだ残ると思います。これはそれぞれの国における物価の問題なり何なりありますから一がいには言えないと思いますけれども、その常識の線にすべてを近づけていくという方向で検討さるべきではないか。先ほどの給与課長の答弁を聞いておりますと、財政的ということばが使われる、財源その他を考慮し、ということばが使われたのであります。
給与課長にお尋ねいたしますが、財源を考慮するという場合に、政府の社会保障制度に対する基本的な姿勢というもの——これは私の質問も抽象的ですけれども、それをどのように把握して財源の問題を考えようとしておられるのか、この基本的な姿勢について、いまの大臣の答弁と関連して、ひとつ大蔵省の考え方を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/93
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094・辻敬一
○辻説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、もちろん、社会保障制度をできるだけ充実するという方向に向かって進みまするのは、現在の福祉国家の理念からいたしまして当然のことでございますが、それにはやはり各制度間の、年金ならほかの年金制度、あるいは医療保険で申しますと、健康保険その他の民間の制度との均衡をとりながら、また財源という面もあわせ考えて進むということが適当な形ではなかろうか、そういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/94
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095・有馬輝武
○有馬委員 いまの答弁の中に、現在の政府の姿勢の一番大きな欠陥があらわれているのです。というのは、いわゆる均衡ということばが使われるのですけれども、その均衡ということは、ある一つのものが常識的な線にいっておる。また、常識的な線に持っていこうという姿勢が前にあって、それから出てくる均衡論でなければおかしいと思うのです。とにかくこういう制度があるから、共済制度として長期、短期の給付をやることになっておるが、しかし、それについては他の国民健康保険なり日雇い健康保険なりというものがある。これがこの程度だからこれよりあまり上回った形のものを出しては困るのだ。そういう形で、他を見てセーブするという姿勢の中からは真の社会保障制度の確立ということは望めないのではないかという意味でお尋ねをしておるわけです。いま一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/95
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096・辻敬一
○辻説明員 共済組合の制度も社会保障制度の一環でございますから、ほかとのバランスを全然無視して措置してまいるということはいけないのではないかと考えるのであります。たとえば、政府管掌健康保険に比べてみますと給付の水準にも差がございまして、法定給付でも、災害の給付がございますとか、あるいは傷病手当金の率が違いますとか、そういうように共済組合のほうが有利になっております。また、前回御指摘のございましたように、付加給付という制度がございまして、その点でも政府管掌健康保険より有利でございます。また、そういう給付水準のからみで考えてみますと、現在の掛け金の水準は必ずしも高くないというような点もございます。予てのほか、福祉施設、病院でございますとか、保養所でございますとか、そういう福祉施設の面について考えてみましても、政府管掌の健康保険よりは有利であると思うのでございます。そこで、そういう点を総合的に考えますと、共済組合単独で措置するというわけにはなかなかいかないのではないか、こういう考え方に立っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/96
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097・有馬輝武
○有馬委員 頭のいい給与課長だが、なかなかわからないね。私の言っておるのは、掛け金率についても、給付についても、共済の場合には政府管掌よりもというおことばがあったが、そのことばを使う姿勢の中に私がさっき指摘したような点があらわれているのではないかということを申し上げておるのです。だから、基準のとり方といいますか、あなた方の均衡論の設定というもの自体、出発点自体に問題があるのではないかということを問題にしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/97
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098・辻敬一
○辻説明員 私が申し上げましたのは、現在の段階においては、そういうほかのバランスを考えると、直ちに国庫負担という御議論には結びつかないのではないか、そういう点を申し上げたわけでございます。それで、この国庫負担を含めまして医療保険なりあるいは医療費体系全般の問題につきましては、いろいろと御議論なり御意見のあるところでございまして、政府としても臨時医療保険審議会を設けまして、そこで抜本的に検討いたすことになっておるわけでございます。そういう審議会におきまして十分ほかの制度と権衡をとって検討をされることになるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/98
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099・有馬輝武
○有馬委員 その審議会で検討していただくことも必要でありましょう。しかし、最終結論を出すのはあなた方なのです。そうでしょう。答申を待っていろいろ検討した結果をあなた方がさらにそれを制度化していく、その責任を負っておられるわけです。ですから、繰り返すようですけれども、さっきの姿勢の問題についていま一度具体的にお伺いいたしますが、この前の大臣の回答の中で「国家公務員等の共済組合制度は、」、「定率国庫負担の行なわれている国民健康保険及び日雇健康保険の場合とは対象とする被保険者等の事情を異にする」このようなことばが使われておりましたが、政務次官、この「事情を異にする」というのは、どういうぐあいに事情を異にするのでしょうか。政務次官と給与課長からお伺いいたします。——政務次官、おわかりになりませんでしたか。この前の回答の中で、第三項目に「国家公務員等の共済組合制度は、国家公務員等の相互救済を目的とする制度であり、定率国庫負担の行なわれている国民健康保険及び日雇健康保険の場合とは対象とする被保険者等の事情を異にするとともに、」この「事情を異にする」というのは、いかに事情を異にするのか、御説明をいただきたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/99
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100・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 お答えいたします。
中心は、やはり国民健康保険ないし日雇い健康保険の場合は、いわゆる低所得階層、これが中心の層をなしておる。ところが、国家公務員の共済制度の場合は、端的にいえば、いわゆる中産階級と申しましょうか、そこいら辺を中心にした層である。これが一番事情の異なった内容ではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/100
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101・辻敬一
○辻説明員 政務次官のお答えになりましたとおりでございますが、一点補足いたしますと、国民健康保険は、御承知のように地域保険でございまして、事業主の負担がございません。そういう点も考えまして四割という定率国庫負担になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/101
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102・有馬輝武
○有馬委員 国家公務員なり地方公務員を中産階級と考えられる政務次官のお考えの中に問題点が介在しておるのではないかと思うのでありますが、私の言わんとするところは賢明な政務次官はおわかりだろうと思いますので、その点についていま一度お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/102
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103・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 私は、相対的な比較論で話をしたので、いささかことばが足りなかったと思いますので、補足的にお答えをさしていただきますが、いわゆる、あるべき日本の社会における中産階級という面からいえばまだほど遠いという、こういう見方もあろうかと思うのでありますけれども、他と比較してと申しますか、国民健康保険ないしは日雇い健康保険層から比べればややゆとりのある層である。それと、ただいま給与課長から答弁がございましたように、事業主の負担がない、事業主にかわって国が応分の負担をする、両方合わせて事情が異なるという内容に御理解をいただきたい、このように思います。
〔公務員が中産階級か」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/103
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104・有馬輝武
○有馬委員 いま不規則発言がございましたように、やはりそういった実態の認識というものから出発しなければならないのではないか。既存の各制度というものにがんじがらめにされて、これを手直しすればこれに差しさわりがあるというようなところからは一歩も前進しない。ただ文字をいじくるだけに終わってしまう。その結果が先ほどの最低保障額の論議にも見られるような結果になってくるので、そういった意味合いにおきまして、この三月三十一日の回答を、大臣はおられませんけれども「均衡を考慮しつつ」ということを、実態に即応するよう検討するという形に進めていただきたいと私どもは思うのであります。政務次官の御見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/104
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105・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 福祉社会の建設というのがこれからの政治の理想だという前提から考えますと、おっしゃるとおり、前向きで、過去の制度のワクの中でものを考えないで、それを抜き出していく努力というものは必要だと思うのでございます。しかしながら、現実にこれが予算措置を考えながら、この制度の改正をやろうという場合は、やはり現実をかけ離れていきなり理想論に到達できないことは、有馬委員もよく御理解いただけると思うのでありまして、多少表現の違い、アクセントの違いこそあれ、同じ気持ちでわれわれも対処していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/105
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106・有馬輝武
○有馬委員 前向きの御答弁でありがたいのでありますが、いま財政負担の問題が出ましたので、私どもが短期の二〇%国庫負担導入ということを強く要望いたしておりますけれども、それに伴って要する財政負担は、現行組合員数等から見て年額どの程度になりますか、給与課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/106
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107・辻敬一
○辻説明員 国家公務員共済組合の関係におきましては約六十億円、それから公共企業体の関係が四十億円、合わせまして約百億円ということになると思います。そのほかに、地方公務員共済組合の関係が約百四十億円でございまして、全体合わせますと二百四十億円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/107
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108・有馬輝武
○有馬委員 政務次官、巨額といわれた額が二百四十億円であります。もちろん二百四十億円それ自体は巨額でありますが、やはり私たちがものを考えます場合には、一般会計予算のトータルからものを考えるのでありまして、そのことと、いま一つは、私ども何もかたくなな要求はしておりません。やはり理想に近づくには、いま政務次官がおっしゃいましたように、これはなかなか一気かせいにできるものではございませんので、漸進的な姿というものがあってもやむを得ないということは、私たち自体も十分心得ているつもりであります。二百四十億円のうち半分にしても百二十億円、十分の一にすれば二十四億円であります。いま政務次官のおっしゃるような、一歩でも前進させる理想にはちょっと困難かもしれぬけれども、もし前進させるというお気持ちがあれば、一〇%の二十四億円、二〇%の四十八億円でも四十二年度予算に組まれる考えがあるかどうか、先ほどの前進させる方向でというおことばをそのように理解してよろしいかどうか、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/108
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109・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 来年のことを言えば何とかという話を申し上げるわけではございませんけれども、具体的なお尋ねでございますから、具体的にお答えしなければ答えにならぬかと思いますけれども、来年の財政事情がどのような状態で推移するか、これはやはり総合的に−ただ、いまお答えいたしましたのは、国家公務員あるいは公共企業体共済組合並びにこれにならって地方公務員の共済組合、これだけが合計して二百四十億円でございますけれども、これを手直しすれば、当然他の関係の健康保険の国庫負担率も手直しをしなければならぬ、相当な財源を要求すると私は思うのであります。したがって、来年直ちにその線に具体化できるかどうか、私の現在の立場において御答弁しかねるわけです。まことに御質問に沿わない答弁になりましてたいへん恐縮でございますけれども、意のあるところは十分私も心得て対処いたしたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/109
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110・有馬輝武
○有馬委員 来年のことではないのでございます。大蔵省の予算編成は来年じゅうに原案は終わられるのでありまして、しかも、与党の財政部会とお打ち合わせになる大蔵省の心組みというものをこの際伺っておかなければ、私ども何のためにこの共済制度を審議いたしておるかわかりませんので、いま一度お聞かせをいただきたい。
それから、この短期に二%の国庫導入をいたした場合には、はね返りがどの程度になるか、これは勘でよろしいですから、給与課長のほうからあわせてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/110
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111・辻敬一
○辻説明員 他の健康保険に対するはね返りの計算はいま手元に資料がございませんが、大体私の記憶しているところでございますと、政府管堂健康保険の場合には、大ざっぱに申しまして給付金が三千億円だと記憶いたしておりますが、二〇%にいたしますと……(有馬委員「かりに二%にした場合」と呼ぶ)二%といたしますと先ほど申し上げた数字の十分の一になるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/111
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112・有馬輝武
○有馬委員 いま政務次官お聞きのとおりに、はね返り分を考慮いたしましても、たとえば二%というような芽を出させるだけならば、来年度の予算の規模がどの程度になるかわかりませんけれども、とにかく三兆五千億円はこすものと見られます。その中で百億に足りない額でおさまるわけであります。幸いにして与党の財政部長もここにおられますので、名前は何とおっしゃるかわからぬけれども、財政の責任者がおられるのですが、そういう意味で、二%でも三%でも五%でも芽を出させる、その方向で御努力いただけるかどうか、政務次官からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/112
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113・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 財源の問題を中心に先ほど御答弁いたしましたので、いま御質問がまた財源を中心にお尋ねをいただいたと思うのでありますが、財源もむろん大切な一つの要素でございますけれども、やはり国家公務員の共済組合の場合は、申し上げるまでもなく、組合員相互のいわゆるともに救い合うという原理の上に立っておるわけでございます。その考え方の上に立っての短期給付の問題でございますから、やはりたてまえが国民健康保険あるいはまた日雇い健保の場合とはちょっと違うと思います。したがって、国家公務員の共済組合の短期給付に国が定率の補助をするということは、量の問題というか、金額の問題よりも、根本的にそこまで国が手を伸ばし得る余裕があるかどうかという質的な検討をした上でないとむずかしいのではないか。そこまで国が入り込むことは、私は理想としては大いに今後目標とすべきだと思うのでありますけれども、そこまで考え方を進めていくことは、他のこれに類似した制度に対してもやはり均衡上財源措置をしなければならぬということになれば相当の金も要るし、また国の施策がそういう方向へ浸透していけば、ただに健康保険問題だけでなくて、他の制度にもいろいろ手当てをしなければならない、このように頭に浮かびますので、せっかくのお尋ねでございますけれども、それじゃ来年からやることを努力をいたしますとお誓いいたします、こういうことも私の立場ではちょっと判断しかねる、このように思いますので、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/113
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114・有馬輝武
○有馬委員 いまの御答弁は率直な御答弁であろうと思います。理事さんにお伺いいたしますと、本案は金曜日に採決の予定だそうでありますから、この点だけを保留いたしまして、大臣と、また関係ある方々とお打ち合わせをいただきまして、二〇%には固執していないというたてまえから、いまの点について結論を出して、金曜日にお聞かせをいただきたい。この点だけは保留をいたしておきますので、よろしく委員長のほうにおいてもお取り計らいをいただきたいと存じます。お願いをいたします。
次にお伺いをいたしたいと思いますが、給与課長、この国家公務員共済組合法の第十九条第二項で責任準備金の一部を資金運用部に預託して運用しなければならないとした立法の根拠といいますか、理由はどこにあったのでございますか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/114
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115・辻敬一
○辻説明員 ただいまお尋ねの点は、厚生年金との均衡を考えたわけでございます。御承知のように、厚生年金につきましては積み立て金がすべて資金運用部に預託して運用することになっております。一方、共済制度は国家公務員を対象といたします厚生年金を代行する特殊な保険であるというたてまえでございますので、厚生年金の給付に相当する部分につきましては、それとの均衡上、資金運用部に預託して運用するということになっているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/115
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116・有馬輝武
○有馬委員 大蔵省は均衡論がお好きで参るのですが、厚生年金の場合にしても、この共済組合の場合にしても、イージーな形で資金運用部の資金に回すこと自体について再検討すべきではないかと思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/116
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117・辻敬一
○辻説明員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、ただいま申し上げたような趣旨で資金運用部に預託するというたてまえになっておりますので、その点を改めるということは、ただいまのところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/117
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118・有馬輝武
○有馬委員 ただ単に厚生年金でやっておるからというのでしたら、ほかに決定的な理由がなければ預託をやめてしまってもいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/118
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119・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは私のほうからお答えするより、ほんとうは理財局からお答えすることかと思いますが、御承知のように、いま、いろいろな政府の施策をいたしますのに、一般会計の予算だけでなくて、財政投融資というものが非常に重要なことになっております。財政投融資に対する要求が非常に殺到しております。そういう点で、こういう資金が資金運用部にということは、国全体の経済を健全な方向へ持っていくというためには必要なことだと思っております。そういう背景のもとで、ほかとバランスをとってこちらのほうも資金運用部へ入れる、これは現状としては必要なことだろう、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/119
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120・有馬輝武
○有馬委員 私もその資金運用部を通じての財政運営というものについて異議を差しはさんでおるわけじゃないのです。しかし、この共済制度のあり方からして、私は資金運用部に預託する前に、やはり組合員に還元するということを第一義的に考えるべきではないか、こういうたてまえからお伺いしておるわけです。イージーな形で資金運用部の資金をここに求めるべきものではないのではないか、こういう立場からです。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/120
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121・武藤謙二郎
○武藤政府委員 組合員にどういうふうに還元していくかという点を、給与課長から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/121
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122・辻敬一
○辻説明員 共済組合の資金につきましては、資金の性格にかんがみまして、「安全かつ効率的にしなければならない。」ということが共済組合法の第十九条に示されておるわけでございますが、それと同時に、ただいま御指摘のございましたように、できる限り組合員の福祉の向上について配慮しているわけでございます。
長期の資金がどのように配分されているかと申しますと、まず第一は支払いのための資金が必要でございます。この分が原則として五%ということになっております。ただ、現在は積み立て金がふえる段階でございますので、必ずしも五%必要ございません。そこで、経過措置といたしまして、従前三%、本年四月からさらに二%ということに改正いたしました。いずれにいたしましても、支払い資金の分がそれだけ必要でございます。それから、その次に運用資産と申しますか、その分が五〇%ということになっております。その中に、先ほどお尋ねがございました資金運用部に対する預託が三〇%ということになっておるわけでございます。ただ、これにも経過措置がございまして、一挙に三〇%ということはいろいろ問題がございますので、ただいまのところは積み立て金の増加額の三分の一ずつふやしていくということになっております。それから、不動産あるいは組合の行なう事業のうち、不動産の取得を目的とする貸し付け金ということで二〇%を割り当てております。それから、最後に不動産取得以外の組合の行なう事業に対する貸し付け金が二五%ということになっております。
この一番あとで申し上げました二つ、つまり不動産の貸し付け金とそれ以外の貸し付け金、合わせますと四五%程度になりますが、それがいわゆる福祉還元のための資金でございます。これによりまして、病院、保養所等の福祉施設でございますとか、あるいは特別借り受け宿舎——準公務員宿舎と申しておりますが、そういうものの建設に充てますとか、組合員に対します貸し付け資金に充てますとか、そういう運用をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/122
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123・有馬輝武
○有馬委員 私も、四十一年三月末の積み立て金の運用について短期性預金が五十億円であり、長期性資金が七百八億円で、そのうちの資金運用部の預託金が三百七十一億円、それから不動産投資及び連合会の貸し付け金、各共済組合貸し付け金というぐあいに千五百五十二億円、資金運用の一つの見通しといいますか、状況についての資料は持っておるわけでありますが、この中で、この運用部の預託三百七十一億円というものは、先ほど申し上げたような意味合いから検討してしかるべきではないか、こういうことをお尋ねいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/123
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124・辻敬一
○辻説明員 ただいま申し上げましたように、組合員の福祉の向上という面につきましては相当の配慮をいたしておるつもりでございます。共済組合の資金もやはり公的な性格を持った資金でございますので、先ほど申し上げましたような厚生年金との均衡等も考えまして、その分につきましては資金運用部に預託をするというたてまえで運用しておるのでございます。
〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/124
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125・有馬輝武
○有馬委員 これはなかなか論議が発展しませんから、やはり組合員に還元するという立場から、この資金運用部の預託については再検討をいただくように、この際要望をしておきたいと存じます。むずかしい問題であることもよく承知いたしております。しかし、私は、先ほどから申し上げますように、常に組合員ということを主体にしてものを考えなくちゃいかぬ、一方的に財政運営の立場からだけ問題を把握することは少し行き過ぎではないか、このように考えておりますので、御検討をいただきたいと存じます。
この運用の問題でありますが、宅地の分譲事業等が行なわれております。現在までこの制度ができまして以来どの程度の分譲が行なわれたのか、面積にしてのトータルを大体お聞かせいただきたいと思います。あわせまして、宿泊所、総建坪数は大体幾らくらいになっておるか、それと、組合員に対する貸し付け並びにその使途、これをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/125
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126・辻敬一
○辻説明員 共済組合連合会の経営いたします宿泊所、保養所、共済会館は全国で七十二カ所でございまして、そこの総定員は四千八百名ということになっております。それから、組合員に対します貸し付け金につきましては、四十年度の事業計画、これは見込みでございますが、それにおきましては総額が約四百億円、組合員一人頭にいたしますと約七万円という程度になっております。それから分譲土地でございますが、これは現在までに施行いたしましたもの、あるいは施行中のもの合わせて四カ所でございます。第一が愛甲原でございますが、これが約八万坪、それから奈良でございますが、これが約一万五千坪、それから柏が三万六千坪、小金井が二万二千坪ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/126
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127・有馬輝武
○有馬委員 その四カ所の宅地分譲は、最初いつごろから手がけられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/127
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128・辻敬一
○辻説明員 ちょっと正確な年代を記憶しておりませんが、柏につきましては相当以前でございまして、三十年ごろであったかと思います。その分につきましてはすでに施行済みでございます。その他につきましては比較的新しい事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/128
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129・有馬輝武
○有馬委員 次に、時間がありませんので……。
農林省来ておられますね。農林省の運営審議会、これは比率としては、労使委員定数が九名で、労組の代表委員が四名出ておりますが、連合会の評議員に厚生課長を選んでおる理由について、農林共済の代表者、これは純粋には農林大臣ということでしょうけれども、その代理として厚生課長を選んでおる理由をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/129
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130・来正秀雄
○来正説明員 農林省の共済関係は厚生課長が主として担当しております。それから同時に、職員の代表といたしまして——共済組合の組合員には、労働組合に関係します者、それからそれに関係してない職員と二種類がございます。そういう関係もありまして、特に、厚生課長が一番適当であるということで、評議員として農林大臣が選んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/130
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131・有馬輝武
○有馬委員 農林大臣が厚生課長を選ぶときには来正さんなんかの意見を聞いて選ぶんでしょうけれども、いまの御説明では、農林省のいま五万六千人ですかの代表者が厚生課長であるという理由が明確でございませんので、厚生課長が代表者として選ばれるに最もふさわしい人物である、ポストであるという理由をお聞かせいただきたいということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/131
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132・来正秀雄
○来正説明員 厚生課長が職員の一般厚生を扱っておりますし、また共済組合の事務も実質上扱っております。そのように、農林省の中におきまして最もそういう関係の深い職責にございますし、また同時に、共済組合自体の中におきまして非常に重要な仕事上のポストでもあるという関係で、最も適当であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/132
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133・有馬輝武
○有馬委員 来正さん、厚生課長はたまたまその仕事をやっておるというだけであって、農林省の共済組合員の意向を代表するかいなかという点については、多大の疑問なきを得ないと思うのです。それはいま厚生課に何人おるか知りませんけれども、課の人たちくらいの代表にはなれるかもしれないけれども、五万六千人の代表になるというには少しおこがましいんじゃないかと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/133
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134・来正秀雄
○来正説明員 厚生課長は職責上もそういう重要な責任を持っておるわけでございます。また、当然そういう関係で、ポストとしてもそういう席についております。人物としても当然そういう関係に向いており、能力も持っておる方がつかれるわけでございますから、そういう点で、人物なり、あるいは代表する上においての能力なりから考えまして、不適任かいなかという問題につきましては、むしろ適任であるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/134
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135・有馬輝武
○有馬委員 あなたはいまの厚生課長を頭の中に入れて答弁しておられるからいまみたいな答弁が出るかもしれませんけれども、組合員の意向を吸収するのに一番ふさわしい地位にあるかどうか。具体的にいま少しお尋ねしますならば、全農林の委員長の渡会君のほうが組合員の意向は十分吸収され得るんじゃないですか。比較論で、あなたもなかなかつらいだろうけれども、純粋な制度の問題として、比較の問題としてお伺いしているのですから、厚生課長に遠慮なさらないで、どっちのほうが組合員の意向を吸収し得る立場にあるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/135
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136・来正秀雄
○来正説明員 当局側におきましても、もちろん組合側の意見もしばしば聞いておる次第でございます。また、農林省の中の共済組合におきましても、これは、組合代表が参加いたしまして、運営審議会等で論議いたします。また同時に、労働組合の組合員以外の共済組合の職員が多数おる点もございまして、そういう点から言いましても、厚生課長のほうが、むしろ一般職員を代表するというような考え方で処理したほうがいいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/136
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137・有馬輝武
○有馬委員 運営審議会では、渡会君なんかの意向を聞かなければ全組合員の意向というものはわからぬでしょう。厚生課長でわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/137
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138・来正秀雄
○来正説明員 もちろん、職員なり、そういう一般の意向につきましては常時把握しながら審査をやった上で出席しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/138
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139・有馬輝武
○有馬委員 私がお伺いしているのは、どちらのほうがより組合員の意向を把握し得る機構の上に乗っかっておるか、こういう立場からお伺いしているわけです。これは客観的に見てですよ。厚生課長は、本省はもちろん、各試験場なり何なりずっとのべつなく聞いて回っているわけじゃないのです。そうでしょう。その意味からするならば、それぞれの機関を持って組合員の意向を吸い上げるためには渡会君のほうがもっと私はふさわしいのではないかと思う。何も農林省をやり玉に上げてぼくは言っているのではない。
給与課長にお伺いしますが、この運営審議会の構成員が各省ばらばらですね。衆議院の場合は十人のうち五人入っておりますし、参議院も五人入っておるが、総理府は九人のうち四人しか入っていない、文部省も四人しか入ってない、外務省は全然入ってない、運輸省は八人のうち三人というぐあいにばらばらなんですが、この運営審議会のあり方について、大蔵省としてはどのように指導しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/139
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140・辻敬一
○辻説明員 共済組合の運営にあたりましては、できるだけ組合員の意思が反映されて、自主的に行なわれることが望ましいわけでございます。そういう目的のために、ただいま御指摘の運営審議会の制度が設けられております。そうして、定款変更でございますとか、事業計画、予算、決算等については運営審議会の議を経るということになっておりますことも御承知のとおりでございます。
そこで、運営審議会の委員でございますが、法律の九条によりまして、各省各庁の長が委員を命ずる場合には、特に一部の者の利益に偏することのないように、相当の注意を払うということが示されております。各省各庁ともこの趣旨に従いまして、原則としては労使と申しますか、組合の事務を主管する側の立場と、組合員を代表する立場、両方から委員を任命しておるわけでございます。ただ、いろいろと各組合それぞれの沿革なり事情もございます。そういう事情を考慮しながら各省庁で適当に判断される方法によりまして委員の選出が行なわれているもの、そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/140
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141・有馬輝武
○有馬委員 大蔵省としてはどのような形が望ましいと考えておられるのか、また、それに対して運営審議会の各単位共済の運営についてはまかせきりで、大蔵省としては指導しておられないのかどうか、指導しておるとするならば、どのような方向に持っていこうとしておられるのか、この点をお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/141
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142・辻敬一
○辻説明員 先ほど申し上げました運営審議会の制度の趣旨なり法律のたてまえに沿っておやりになる限りにおいては、各省庁のそれぞれの実情に即して自主的におやにりなることでけっこうであろう、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/142
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143・有馬輝武
○有馬委員 望ましい姿は構成としてどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/143
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144・辻敬一
○辻説明員 要するに、組合員の意思をできるだけ反映するということが望ましいわけでございます。各省庁の中には組合の結成を禁止されておる職員のおられますところとか、いろいろな特殊な事情があるわけでございます。その点を各省庁において判断されて、そういう制度の趣旨に沿っておやりになる限りにおいては、実情に沿って自主的におやりになるのが適当であろうと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/144
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145・有馬輝武
○有馬委員 次に、先ほど農林省の来正さんにお尋ねいたしました連合会の評議員会の問題でありますが、法第三十五条で「評議員会は、連合会加入組合を代表する組合員である評議員各一人をもって組織する。」、「前項の評議員は、連合会加入組合に係る各省各庁の長が、その組合員(その組合の事務に従事する者でその組合に係る各省各庁について設けられた他の組合の組合員であるものを含む。)のうちから任命する。」ということになっておって、具体的には、厚生課長でなければならないとかなんとかいう厳密な規定といいますか、明確な規定はどこにも見当たりません。それと同時に、本委員会における山田委員の連合会の今井さんに対する質問の中でも、今井さんは、何も厚生課長でなければならぬということを連合会としては考えておりません、こういう答弁をいたしております。二十名の評議員全部が、少なくとも厚生課長なり何なりの各省各庁のそういったポストの人たちによって占められていることは御承知のとおりだ。ところが、何もないときはいいけれども、たまたまこの前みたいな事件が起こった際に、組合員の不信感というものがこの人的構成の中からも払拭しきれない面が出てくるのではないか、こういうぐあいに考えられるわけであります。そういった意味合いにおきまして、私は二十名の評議員の実態について再検討すべき時期にまいっておるのではないかと思います。給与課長の見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/145
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146・辻敬一
○辻説明員 連合会はそれぞれ独立した法人でございます単位共済の連合体でございますので、その評議員会等の構成につきましては連合体の組織原理上の制約があるわけでございます。そこで、評議員の選任につきましては、ただいまお示しのあったとおりでございます。法律的には厚生課長でなければならないということにはなっておりません。しかしながら、そういう連合会の性格なり共済組合制度のたてまえを考えますと、やはり加入組合の代表者でありますとともに、組合の業務を日常総括的に処理する立場にある者、つまり厚生課長をもって充てられるのが自然な形ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
なお、その評議員会の問題と別にいたしまして、組合員の意思ができるだけ連合会の運営にあたってより一そう反映されるようにするということは、御指摘を待つまでもなく当然のことでございます。そこで、従前から予算、事業計画の作成にあたりましては、単位共済の労使双方の代表の方にお集まり願いまして、そこでおはかりしているということをやっておるわけでございますが、それをさらに進めまして、定款上の機関として設置するという方向で、ただいま連合会あるいは各省とも御相談の上進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/146
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147・有馬輝武
○有馬委員 給与課長も御承知のように、法では、評議員会の運営については、定例は年二回、それから理事長が随時ということになっておるけれども、今井さんの実情報告の中では、まあそれも一回くらいということで、年三回くらいしか開かれない、そういう状況であるならばなおさらのこと、何も厚生課長が年じゅうその業務をやっておるからという立場からでなくて、やはり共済組合はどうあるべし、掛け金率はどうあるべしという基本的な計画について全組合員の意向を代表する者を相当数入れる、そういう立場から、私はこの評議員会二十名については再検討すべきではないか、このような考え方に立っておるわけでありますが、これは誤りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/147
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148・辻敬一
○辻説明員 先ほど申し上げましたように、連合会は、申すまでもなく連合体の組織でございます。そういたしますと、各単位共済の代表者から評議員会が構成されるというたてまえに相なるわけでありますが、そこで、そのたてまえをとる限りにおいては、やはり単位共済を代表して評議員になられる方は、共済組合の業務を日常総括的に処理している厚生課長が当たるのが自然なあり方ではないかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/148
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149・武藤山治
○武藤委員 ちょっと関連。
給与課長、あなたも御存じだろうと思いますが、この前今井さんを大蔵委員会に参考人としてお呼びしたときの今井さんの答えは覚えておりますね。今井さんはこう答えておるわけです。現在は単数制で各加入団体から一人出しておる、これを二名にしたらどうかという職員団体側の意見というものは十分今井さんとしても聞いておる、したがって、直ちにそこへ今年から行くか、それとも、一年間検討期間として審議会なるものを一応非公式に設けて、今度は定款を変更してそういう機関をつくって、そこで一応意見を聞きます、しかし、これはあくまで暫定的なんだということを今井さんは答えておるわけですね。一年間はこれでやらしてみてください、その結果によって抜本的な移行を考えたい、議事録を読むと今井さんはこういう答弁をしておるわけです。そこで、責任者である今井一男さんがそういう答弁をしておっても、肝心の大蔵省が前向きの姿勢でそういう一年間のテスト期間を置いてみて、なるほどこれは今井さんの構想に移行できる、こういう判断で、やはり大蔵省側が少し前向きに姿勢を変えてくれぬことには、幾ら連合会のほうでこういう方法でやってみようといっても、法律改正手続は大蔵省が出しているのですね。だから、なかなかそこらが私は微妙なところだと思うのですよ。そこで、今井さんのああいう答弁に対しては、給与課長はどういうお考えを持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/149
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150・辻敬一
○辻説明員 実際面におきまして、できる限り組合員の意思が反映するようにするという方向につきましては、もとより異論がございません。
そこで、先ほども申し上げたように、従来からも単位共済の労使双方からなります会議を設けまして、予算、事業計画等の作成にあたって審議をしているところでございますが、その制度を一歩進めまして、定款上の機関というような方向で進めたいというふうに考えておるわけでございまして、その方針につきましては異論がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/150
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151・武藤山治
○武藤委員 その方向までは——いま定款を変更して審議会を設けたことまでは異論、異存はない。その先ですね、私がいまあなたの姿勢を伺ったのは。今井さんは、これは一年間テストケースとしてやってみたい、その結果、これは複数の評議員会制にしても心配がないと判断ができたときには、抜本的に複数制の評議員会にすることがあり得る、こういう意味の答弁をしているわけです。その先はいかがですか。定款変更して審議会をつくったまでは大蔵省はよろしい、了解したからできたのでありますが、その一年間の検討期間後における抜本的機構改革、これについてのあなたの見解はどうかと、こう尋ねておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/151
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152・辻敬一
○辻説明員 法律上の制度といたしましては、これはいろいろ議論のあったところでございますが、繰り返して申し上げるようでございますけれども、なかなかむずかしい問題もございます。要するに、連合会が単位組合の連合体であるという本来の性格からくる制約があるわけでございまして、たとえば、健保連等におきましても大体同じような制度になっているように承知いたしておりますが、したがって、直ちに法律上の制度として改めるというところまではまだ考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/152
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153・武藤山治
○武藤委員 いや、まだといういまの時点を聞いているのじゃないのですよ。いま定款を変更して審議会を一応つくって、労使双方二名が出て、一応意見を聞けるような組織をつくった。ところが、今井さんは、これはあくまで暫定措置だと言っているのですね。これを一年間実験してみたい、うまいぐあいにいくか、また、これによって実験をした結果、これは法律改正して二名制にしてもいける、こういう判断が立ったらやります、こう言うておるわけですね。あくまでもこれはテストケースだ、こう言っているわけです。しかしながら、大蔵省がいまのような、法のたてまえがこうで、一団体一名しか代表は出せぬのだという、かちっとした見解を通しておったのでは、今井さんのその答弁は実を結ばないということになるわけです。そこで、大蔵省としてのこれから検討する姿勢というものが問題になるのだ、そこでいま、私は先のことではあるけれども、大蔵省の見解をただしておるわけです。もう一度答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/153
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154・武藤謙二郎
○武藤政府委員 ただいまのお話ですが、参議院で今井さんが答弁されたときのことを聞いておりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/154
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155・武藤山治
○武藤委員 いや、衆議院のこの委員会で山田君が質問した。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/155
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156・武藤謙二郎
○武藤政府委員 こちらのときは私おりませんでしたけれども、要するに、こういう方法、いままでは定款上の制度じゃなかった、それで、ある程度実行上の機関としてやってみた、今度は一歩進めて定款上の機構としてやってみたい、それで、その結果でどうするかという先のお話でございますけれども、まあ、これから定款上の機関としてやってみようということでございますので、どうするかということは、その結果を見てからわれわれも判断したいと思いますので、いまたいへん先のことをあれして、それがどういうふうな結果になるか、たぶん、うまくいくときにはどうするかというお話でございましたけれども、一年間の結果を見てから、どうするかということはお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/156
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157・有馬輝武
○有馬委員 逆説的な言い方をしてあれですけれども、この前みたいな事件が起こる、その不信感を除去するためには、いまみたいな評議員会の構成では困るのじゃないか、また、運営にしても、むしろ評議員会を決議機関にする等の前向きの方法を検討すべきではないか、こういう立場から申し上げておるのです。それで、先ほど私わざわざ第三十五条を読み上げたのも、そこにその基本的な立場があるので、やはり二十名の現在の評議員のうち十名は組合員代表にする、そういう形の中から民主的な運営というものが生まれてくるのではないか。武藤君の言っておるところの前進的なものの考え方というのも、そこに基本的な立場があるのではないかと思うのであります。だから、とにかく厚生課長でなければならぬのだということは、法三十五条にはうたっていないのです。それをあえて大蔵省が固執するのだったら、機構上の問題、性格上の問題があるというけれども、どこに厚生課長でなけばならぬという性格があるのですか。その点はどうしても納得いかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/157
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158・武藤謙二郎
○武藤政府委員 厚生課長でなくてはいかぬということを法律に書いてあるわけではございませんけれども、単位組合の連合会で、したがって、単位組合の代表者が集まる、これはほかにも例があるということは、参議院で今井さんも答弁しておられます。先ほどから給与課長が答弁しておりますように、そういうのが自然の姿だ——こちらから見ますとこれが自然の姿だと思います。しかし、先ほど来御指摘のように、それでは共済組合の組合員の意向がうまく反映できるかどうかという問題がございます。そこで、そういう欠点を補うために、いままでの事実上の機関を、今度は定款上の機関としてその欠陥を補っていきたい、こういうことが現在の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/158
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159・有馬輝武
○有馬委員 その代表者に対するものの考え方が、大蔵省はかたくななんだから……。たとえば、各単位共済で、組合がみんなやめたと言ったらどうなるのです。厚生課長でおさめられますか。これはちょっと極端な言い方かもしれませんけれども。やはりその全組合員の意向を反映するような方向に持っていくということが基本でなきゃいかぬと思うのです。ですから、暫定的な措置として現在考えられておることをいま一歩進めるという立場から、ぜひこの問題については評議員会の構成として考えてほしい。これは皆さん方があくまで厚生課長でなきゃならぬということで固執されるならば、われわれはそれにふさわしい運動を展開していく、それでほんとうに連合会が運営できるかどうか、単位共済が運営できるかどうか。大蔵省が自信を持って自分たちの考え方を固執されるなら、われわれにも考えがある。だから、やはりそういった点についてはいま少し柔軟なものの考え方をしてほしいということをこの際要望いたしておきたいと存じます。
それからいま一つは、各省の掛け金率が、これはそれなりの由来その他でやむを得ないものであるかとも思いますけれども、負担率が違っておる点について、どのような方向でならしていこうとしておられるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/159
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160・辻敬一
○辻説明員 短期給付の掛け金率の御質問かと存じますが、御承知のように、現在共済組合のたてまえでまいりますと、各組合が自主的に運営するという仕組みになっております。そこで、各組合の実情がそれぞれ違いますので、短期給付の掛け金率につきましても、現在で申しますと、千分の二十四が一番低うございますが、一番高いとろは千分の四十一というように差があることは御指摘のとおりでございます。この問題をどういうふうに扱っていくか、非常に重要な問題でありまして、現在の共済組合の制度の基本に触れる問題でございます。なおその点につきましては慎重に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/160
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161・有馬輝武
○有馬委員 これはまた掛け金率については相当時間を費やさなければなりませんので、いずれ機会をあらためたいと思います。
次に、短期給付の埋葬料、家族埋葬料あるいは弔慰金、家族弔慰金、これは実態にそぐわないようになってきていると思いますが、そう思いませんか、給与課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/161
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162・辻敬一
○辻説明員 埋葬料につきましては俸給の一カ月分、家族埋葬料につきましては俸給月額の二分の一ということになっております。特に実情に沿わないとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/162
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163・有馬輝武
○有馬委員 ただ私は、俸給比例制というのは実情にそぐわなくなってきているのじゃないか、こういうことなんですよ。焼き場にも一等、二等、三等とあるから俸給の順で焼けと言ったって、これはちょっと無理ですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/163
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164・辻敬一
○辻説明員 現在の共済組合のたてまえを申しますと、掛け金のほうも俸給を基準にして徴収する、給付のほうも俸給を基準にして支給しているという形になっております。医療給付につきましては、おっしゃるように医療費の給付でございますけれども、その他の現金給付につきましてはそういうような俸給基準のたてまえをとっております。この点についてはいろいろ問題もあろうかと思いますが、一方、最低保障の額もありますし、最低保障につきましては、多くの組合では付加給付ということで最低保障の底上げを行なっているような実情もございます。そこで、大体現在のところで特に実情に反するようなことはないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/164
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165・有馬輝武
○有馬委員 頑迷固陋もいいけれども、時と場合によりけりで、死に方にも月給の安い死に方をしろ、灰になり方も、月給の安い者は半焦げになってもしようがないというものの考え方は現実にそぐわないのではないか。そうでしょう。半焦げでもいい、おれはまるまる焼いてもらうけれども、というのはちょっと実情にそぐわぬと思うのですよ。給与課長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/165
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166・辻敬一
○辻説明員 最低保障の額につきましては、健康保険とのバランスもございます。ただ、先ほど申し上げましたように、各組合の付加給付につきましては最低保障額を引き上げておりますので、その意味において特に支障はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/166
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167・有馬輝武
○有馬委員 だから、これは第三者がこの論議を聞いておったら大体わかるだろうと思いますが、常識的な方向にぜひこういう点については改めてほしいと思うのです。共済組合法というものは、ほかの法律に比べたらわりと詳細な規定が法体系の中で取り上げられています。それだけに、やはり実情にそぐわない面は、現実に即して改めていくという態度があってしかるべきだと思うのです。単なる均衡論なり何なりで律し切れない分野が出てきたときには率直に改めていく、これが私は政府の姿勢でなければいかぬと思います。あなた方がやらなければ、われわれがやらざるを得なくなる。いま一度検討願いたいと存じます。
時間が参りましたので、先ほど藤井政務次官に、短期の国庫負担導入の問題については要求の二〇%にこだわりませんので、たとえば二%でもいいから四十二年度予算からひとつ手をつけてほしいということを要望いたしましたところ、政務次官としては、なかなかむずかしい問題で、という答弁でありました。だから、その点については、大臣ともよく御相談願い、関係者ともよく御相談願って、金曜日に本案が採決される前に御答弁を願うということで保留をいたしておきましたので、ひとつこの前の木で鼻をくくったような回答でないように、強く要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/167
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168・三池信
○三池委員長 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/168
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169・堀昌雄
○堀委員 いま有馬委員が触れておりました問題を含めて、きょうはあと三十分ばかりですから、ひとつ、社会保険という問題の基本的な問題点について、私の意見も申し上げ、大臣にお答えをいただきたい、こう思うのです。
国家公務員共済組合法の五十一条というのは、そこにいろいろなものがありますけれども、まず第一が療養の給付及び療養費、二が家族療養費、こういうふうになっております。健康保険法四十三条でその療養の給付というのはどういうものかということを具体的に書いておりますけれども、ちょっと大臣にひとつ頭に入れておいていただきたい点は、いまの健康保険なり、あるいは共済組合もすべてそうでありますけれども、たてまえがその他の部分と非常に違うところがある。療養の給付とは一体何かと申しますと、ここにたとえば「一 診察、二 薬剤又ハ治療材料ノ支給、三処置、手術其ノ他ノ治療、四 病院又ハ診療所ヘノ収容」と、ずっとこうありますが、要するに、病気になったときに治療をいたします治療そのものを給付をするということになっておりまして、金を給付するようになっていないのです。よろしゅうございますか。それで、家族のほうは家族の療養費を支給することになっております。ですから、さっきの給与課長の答弁の中で、給与課長は、現金給付はすべて給与に見合う、こういう答弁をしたのですが、家族療養費の給付というのは現金給付なんです。ここでは療養の給付というのは本人だけが医療そのものを給付されるのであって、その他は実は全部現金給付になっております。だから、給与課長がさっき家族療養費の給付というものは現金給付でないというつもりで言われたと思うのですが、それは間違っておりまして、家族療養費という費用を給付しておるのは現金給付なんですから、その点、さっきの給与課長の答弁はちょっと問題がある。まあそんなことはいいのですが、私が申し上げたいのは、健康保険法の基本的なたてまえに非常に実は問題がある点があるわけです。それで、療養そのものを給付します、こうなっておりますから、では療養そのものとは何かといいますと、これは実は費用ではないのです。よろしゅうございますか。これは療養そのものなんですね。療養そのものというものは、これは医学、要するに科学に基づく行為なんです。科学に基づく行為であると、現在、科学というものがどんどん進歩をいたしますと、それに見合って医療というものは科学の発展に応じて進歩をしますね。進歩をすると、それに伴って費用はふえるというのが、これはもう私は一般的な原則だ、こう思います。そこで問題は、要するに健康保険あるいは共済組合は相互扶助、助け合いだ、社会保険だ、こういう表現を使っておられると思うのですけれども、本来、割り切って社会保険ということなら、これは全部療養費の給付でなければ問題が起こるわけです。私が診療しておりますときでも、現在私がちゃんと大学で勉強をし、その後自分で医学をさらに勉強をして、いまの医学の水準で最もアカデミックに良心的な治療を私はします。そして保険の請求を出すと、減点というものをいまやっているのです。基金というところがありますね。紙の上に書いたものを赤鉛筆でもって削るわけです。請求したのを削って私のところへ金を払ってきます。私はこういうたちですから、われわれ医者が診療行為をやっておることについて、行為そのものに介入するとは何ごとか、こう言っているのです。私が正しいと信じてやったことは、それはもう絶対正しいという信念なくしてやらないわけですから。それが、金がないからお金はお払いできませんというなら、わかるというのですよ。ところが、実はこの減点というのは、金を払わないということじゃないのです。医療行為に対する制限を加えてきておるわけです。私は、これは根本的に非常に間違いだ、こう言っているわけです。だから、ここに問題が非常に複雑になってきますのは、医学が進歩してくれば当然医療費はふえるんだということです。私はこれは間違いない事実だ、こう考えております。
そこで、保険局長にお伺いをしたいのは、健康保険その他皆保険になって何年かたちますが、最近のそういう情勢は、皆さん特に健康保険のほうがよくおわかりだろうと思いますが、患者一人当たりの受診日数あるいは平均寿命、こういうものは、いまの健康保険の非常な発展によって平均寿命も非常に長くなったし、それから受診日数もだんだんと減ってきておる。要するに、お医者さんにかかっても早くなおるようになった。ということは、もう皆さんのほうで統計的に立証できる、こう思いますけれども、そこのところだけひとつお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/169
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170・熊崎正夫
○熊崎政府委員 堀先生御指摘のとおり、国民皆保険になりまして、医療給付の内容が向上いたしますにつれまして、御指摘の受診率につきましてもふえております。たとえば政府管掌自体につきましても相当ふえておりますし、一番著しいのはやはり国民健康保険です。これは給付割合をふやしてきておりますからふえておりますが、それにからみまして一件当たりの日数、これは治療日数というふうに考えてもいいと思いますが、この治療日数は非常に医学、医術が進歩したために、価に減ってきております。しかし、医療費はふえてきておる、この医療費のふえてきておる原因といたしましては、医療内容の中身が向上しておるということで、たとえば、高価薬等が使われるということによりまして一人当たりの医療費がふえてきておる、これが最近の医療費の増高という形になってあらわれておる、こういうふうに私ども理解いたしております。したがいまして、皆保険体制下におきまして、国民の健康保持といいますか、病気になった場合の疾病の治療等の中身につきましては相当程度向上しておるのではないかというふうに私ども考えておりまして、具体的にそれが、たとえば国民の平均年齢、余命の長くなったというようなことにも通ずると思いますけれども、一般的に医療内容の中身がよくなっておるというふうに私ども理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/170
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171・堀昌雄
○堀委員 実は大臣、昔、十五年くらい前のころの議論ですが、私どもこういうことがよく言われていたのです。健康保険というものは、言うなれば、当時はまだ汽車の三等があったのですが、三等のようなものだ、だから、そのころは一番安い治療をやるべきだという指導が行なわれておったのです。金のある者は一等で行けばいい、しかし、保険というのは三等並みだ、こういう議論が一あったわけです。私はそれはおかしいと言ったのです。一等でも三等でも、大阪を出て東京に着くのは同じなんですね。要するに、医療がなぜあるかといえば、一日も早く病気をなおすことによって、患者の苦痛をやわらげる、労働力を再生産をする、あるいは寿命を延ばす、これが医療の本来の目的ですから、要するに、同じ時間に着くならば費用は最少のほうがいいですよ。しかし、医療の場合はそういかないわけです。ともかく、いい薬が出た場合に、それを使わないで昔どおりのアスピリンなんかを飲ましていたら一週間か十日かかる、アスピリンがきかなくなったらその次はサルファ剤を使いなさい、それがきかないときはさらにいい抗生物質を使いなさい。実は昔はそうだったんです。それが、そんなばかなことがあるかというので、今日では、必要があれば最初から抗生物質を使ってよろしい、こうなってきたわけですね。医療費がふえるのはあたりまえなんです。しかし、医療費はふえるけれども、それだけ患者が早くなおるし、前には死んだ者が助かるようになってきたわけですから、現在の社会保険の医療は非常に役に立っておりますが、それの根本にあるものは、そういう医療そのものを給付をするというふうになっておる部分については、科学の進歩があればこれはどうしてもふくらんでくる。よろしゅうございますか。これは保険の掛け金の数理では出ない問題です。保険数理では出ない。だから私は、もしこの問題を抜本的に解決しようというのならば——逆に、全部が療養費になっておるならば、保険経済に見合ってこれだけしかお払いできませんというのなら話はわかるけれども、現在の法律のたてまえはそうはなっていないのですよ。家族は療養費ですから、家族の問題は別建てです。しかし、現在は本人について療養の給付をする以上は、医学医術が進歩すれば、これは掛け金の問題ではない、保険数理をこえた問題がある、こういうふうに私は理解をしておるのですが、大臣、その点御理解いただけたでしょうか。これは原則の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/171
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172・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そのように私も考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/172
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173・堀昌雄
○堀委員 その点は大臣も御理解いただけたようです。
実は、いまの短期給付についての国庫負担の問題というのは、二つの側面から理解をしておかなければいけないと思うのです。一つの側面は、経済的側面なんです。経済的側面というのは、しばしば皆さんがここでお話しになるように、国民健康保険は使用者がおりません。要するに、その他の保険と比べてアンバランスでありますから、使用者分について国が考えてあげようということで定率の国庫負担が行なわれている、これは私はそのとおりだと思うのです。日雇い健康保険も同様に非常に条件が悪いから、経済的な側面として定率の国庫負担をやりましょう、これもよろしいのです。これは経済的な側面における相互性の関係において論理がはっきりしているのです。その他は収入が多いのだからその必要はありません。ここは皆さんの仰せのとおりでいいと私は思っているのです。しかし、いま私が触れた療養の給付をするという一つの基本的な問題点は、保険数理だけでは解決のつかない問題点として実は出てきておるわけです。保険数理というのは、要するにこれだけの掛け金をして、これだけの治療費をやりましょう。しかし、治療費というのは、いまも申し上げたように、医学医術の進歩とともにどんどん伸びていくとするならば、そういう部分のものについては、皆保険という段階に来たならば、その部分のこえた部分は国がある程度考えなければいかぬ。療養の給付というものは、社会保障の医療という概念で考えないでこれは出たと思いますけれども、実は健康保険法が最初に出たときからそういうたてまえになっておるわけなんです。だから、これが全部療養費を払いますとなっておれば、これはすべて社会保険でいける。療養費ならそのときの掛け金に見合った分だけの金を払いましょう、こういうことでいいわけです。しかし、現在の健康保険法は、最初にできたときからたてまえがそうなっていない。これは社会保障の医療と社会保険の医療とがくっついたようなかっこうでできておるから、社会保障の医療部分については、社会保障だから国がめんどうを見なければ問題は解決しないような仕組みに実はこれがなっておる、こういうふうにひとつ理解をしておいていただきたいと思うのです。
要するに、国庫負担の問題というのは、一つの側面としては、そういう経済的な格差上の問題が一つありますけれども、一つは、全体を通じて療養の給付をするという概念に立った社会保障的な医療という問題で国庫負担をある程度していかなければ、ただ単に掛け金だけをふやすということでは問題が解決をしない仕組みが基本的にあるということです。だから、いますぐに定率でどうこうという問題ではないのです。ものの考え方は、いまのこの法律のたてまえを整理して申し上げておかないと、常々ここで非常に議論が起こる。私ども診療担当者の立場——私はいまは違いますが、医者の立場から申しますと、減点するなんというのはけしからぬということになってくるわけなんです。減点するのではなくて、金が払えませんというのならよろしいと私は言うのです。医療行為は制限しないが、金がないから払えないというのならいいけれども、しかし、いまは療養の給付をしなさいといっている以上減点してはならぬ。ただし、家族療養費についてはこれはわかる。療養費払いなんだから、家族の療養費については、金がないからこれだけしかお払いできませんというのならこれはよろしい。療養費の払い方についてはそういう方法もある。しかし、療養の給付そのものをやっている場合に制限はおかしい。そうならば、そこは社会保障として国がどこかでつながってめんどうを見なければならぬ問題というものが基本的にはあるんだ、こういうふうに私は考えておるのですが、その点、大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/173
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174・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 堀さんは御商売柄非常に実感を持った御意見をいろいろ述べられましたが、あなたのお考えのように、大体健康保険の給付はこれは義務じゃない、サービスだ、したがって、そのサービスはだんだんと近代科学技術の進化に伴ってふえてくる、しかし、それを金で評価すると金の額かかさむ、こういうことですね。それはそのとおりだと思います。しかし、それがかさむから、そのかさむ額だけは国庫が負担しなければならぬ、こういう後段の御意見には私は同意いたしかねます。これはそのときの保険会計の状況あるいは国家財政の状況あるいは国民の負担力の状況、そういうものを見て総合的に判断しなければならぬ問題で、給付の内容が進化した、その部分は理論的にこれは国庫が負担する性格のものであるというふうに結論するわけにはちょっといかぬように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/174
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175・堀昌雄
○堀委員 いままで私が議論した範囲ではおっしゃるとおりです。ところが、だんだんとその短期給付の——要するに、医療給付というものは科学の進歩につれてやはりふえてまいりますね。これはいま御確認をいただいたわけです。それでは、それと見合って、常に社会保険の被保険者、事業主の負担をどんどんふやすだけでいいのかといいますと、ここに一つの問題点が出てくる。これが福田さんが常々おっしゃるゆとりのある家計の問題にくると思うのです。ゆとりのある家計ということは、健康であることが私はやはり一番基本だと思うのです。経済的なゆとりが幾らあっても、病気で寝ていたのでは、私どもはそれをゆとりのある家計とは考えられませんから、ゆとりのある家計という福田さんのおことばは、私はやはり健康で働きながらゆとりのある家計だろう、こう思います。そうすると、健康で常に愉快に働くためにはやはり医療費はふえる、その負担がどんどんそういうところへ返ってくるとなると、ここで一つ問題が出てきますのは、所得の高い層はいいのですけれども、所得の低い層には、その健康保険の保険料というものは、それは所得ベースに見合うとはいいながら、比率が上がってくれば負担は非常に大きくなってくるわけです。皆さんの党の賀屋さんが、減税よりも社会保障を考えろ、こうおっしゃっておることをちょっと聞いたことがあるのですけれども、私がこれまで減税の問題を常に検討しながら感じておりますのは、去年の暮れですか、予算委員会で、要するに、減税される人はいいけれども、減税されない人には一体何をプレゼントするのですか——ちょうどクリスマスの前でしたからそういう議論を予算委員会でしたのですが、大臣もお聞きいただいたと思うのです。税金を払っていない人たちへのプレゼントは、私は社会保障でプレゼントするということでなければいけないのじゃないかと思うのです。それ以外では本来的なプレゼントにならないと考えているのです。要するに、税金を払えないような人たちに対してのプレゼントを社会保障でするということは、裏返していえば、その分をこちらで減税をして、その減税をした分がここから上の人にいくのならば、その部分に見合うある程度のものは社会保障費として、今度はその下側の人たちに行き渡るような国庫負担のあり方というものがあっていいのではないか。私は実は、この国庫負担をしたから、それが全部の被保険者に階層的に均等にいくべきだと思っていないのです。ここで国庫負担をしたら——それは税金の線がどこへくるか別です。また、減税というのは恩典と考えるべきかどうか、これも問題がありますよ。ありますが、しかし、現実には、所得の高いほうには減税はメリットとしてくるのです。所得の低いほうには効果が起きないというときには、その所得の低いほうの保険料の上がる分というのは、国庫負担を入れてこれをカバーしてやる、これが減税と社会保障が組み合わされて全国民が公平な国家からの恩典を受けるということになるのではないか。恩典であるかどうかは別です。回収分であるかもしれません。けれども、そういう意味では、そのような財政上の考え方という発想があっていいのではないか。ですから私は、単に定率国庫負担ということだけが問題ではなくて、要するに、おのおののそういう共済組合、健康保険組合、政府管掌健康保険、何でもいいですけれども、その人たちの所得に応じて、要するにある一定の所得以下の人の保険料率が著しく上がらないようにするためには、まず第一段階として国はそこへ一つ国庫負担を入れて、そうして、療養の給付というのは公平にくるわけですから、そういう人たちのいまの所得上の問題についても考慮を払って、ゆとりのある家計という方向へ前進させるということは、今後の問題の医療費の増高を見通した上で、そろそろ政府、特に財政当局として、減税という問題に関連をしながら考えていただかなければならぬ問題点ではないだろうか、こう思うのですが、大臣いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/175
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176・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 あなたのおっしゃられるお気持ちはわかるのですがね。こまかいことになりますと、必ずしも全く同感ですとも言えない節がある。つまり、社会保障を充実していく、低所得者対策が主軸をなすわけでありますから、それらに対する対策、つまり、国民全部が安心して生活できるような社会状態ですね、そういう意味の社会保障を充実していくということは、近代国家の世界的趨勢でありまして、これはわが日本も大いに努力していかなければならぬと思います。ただそれが、あなたはお医者さんですから医療医療とおっしゃいまするが、これは医療だけじゃないと思うのです。いろいろな面の社会保障施設というものがあるのです。医療だけに例をとってみましても、医療保険というものを充実するという行き方もありましょう。しかし、また同時に、社会保障制度の一つの主軸である所得保障というような面で充実し、もって社会保険に完全にはまっていくという体制を整えるという方法もありましょう。いろいろありますので、あまり医療医療というふうにとらわれると困るのでありまするが、私も、みんなの健康を国家がその背景となって維持していく、そういう仕組みをどんどん進めていく、これは近代国家の大きな方向である、こういう点については同感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/176
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177・堀昌雄
○堀委員 おっしゃるように、所得保障も確かに重要なんですね。私もその所得保障はどうでもいいとは言わないのです。しかし、所得保障もさることながら、まず健康であるということは、これはもう一番大事なことですね。いまおっしゃるように、それは医療も大事、所得保障も大事、しかし、実はこれは同じ水準で並べられないと思うのです。生活保護という意味における所得保障は、これはもう非常に重要でありますから別問題として一これは私は日本が世界に誇る制度だと思っているのです。内容は十分でありませんけれども。これは社会保障をはっきりと所得保障でやっているわけでして、その点は非常にりっぱだと思うのですが、しかしその次に重要なことは、これは何といっても医療保険の問題だろうと思うのです。健康でなければ、一日たりとも私どもは楽しい生活ができないわけですから、健康であるということは非常に重要なんです。その医療保険という問題は、御承知のように、いま非常にたいへんな問題になっているわけです。いま臨時医療保険審議会ですか、何かつくっていろいろなさろうというけれども、あれつくりこれつくりする必要はないと言っているのです。私はこの前も佐藤さんにちょっと申し上げたのですけれども、とにかく、有能な厚生大臣をひとつ三年間動かさないでおきなさい、毎年毎年かわるような厚生大臣でこの重要な問題について何ができますか。この間、私は鈴木厚生大臣に、ともかくしっかりやらなければだめだと言ったら、いや、命が縮みます、こう言うのです。私は率直に言って、このくらいのことで命が縮むような厚生大臣にまかしておくことはできない。これは大いにますますやります、私はこれから三年間真剣に取り組んで、日本の医療制度なり、医療のいろいろな問題を抜本的に改善しますというくらいな抱負がなければできないのです。毎年毎年かえていたら、ようやくわかったころにはやめる。医療保険は簡単じゃないのです。そういうようなことを一面でして、むだは省いて、医療費は合理化をしてやればいい。私も合理化していいと思うのです。合理化できるものもある。しかし、合理化したってふえるのは間違いない。どうしたって科学の進歩とともにふえていくのは間違いない。その中で、私がいま申し上げたように、これはどこかの段階でやはり国が考えてやる、皆保険なんですから。よろしゅうございますか。もしこれを国が考えないで医療費のワクだけを縮めるようなことを考えたら、これは福田さんたいへんです。世界に冠たる日本の医学、医術はぐっと低下する、要するに、費用を伴わずして科学は進歩しないのですから。科学の成果が医療の中に取り入れられなければ、医療なんてやる必要はない。私はよく言うのですけれども、金で手を縛るならおれは医者をやめると言うのです。私たちは、病人に対しては、現在の科学の許す範囲の最大の治療をするのだ、それが医者としての良心ではないか、こう言っているわけです。ですから、医療行為を金で縛るようなことをしてはならぬということです。そのためには、所得の関係としてはどこかに限界がくるから、その段階をにらみながら、国としてそこに金を入れる、さっきそこで定率国庫負担の話が出たのですが、政府管掌三千億円だ。有馬さんはたいへん遠慮して二%と言いました。私は、二%なんて遠慮することはないので、最初から五%くらい入れたっていいと思う。問題は量の問題じゃない。入れるか入れないかという問題が重要な問題で、それは、いま申し上げたようないまの保険の仕組み自体の中にあるし、同時に、減税を毎年やっていくという中では、減税の恩典に浴さない所得階層に対する国としての財政上のメリットを考えるべきだということも国として当然であるし、そういう総合的な問題を勘案しながら、今後の医療制度の改善の問題もありましょうけれども、同時に、財政当局、特に大蔵大臣にものごとの本質を理解をしておいていただいて、それがいつからどうなるかということはいろいろ問題がありましょうけれども、しかし、そういう質的な転換というものは時間の問題ではないのか。ですから、その意味では、佐藤さんがほんとうに人間尊重の政治をやりたい——たとえば、この間、榮ちゃんと呼ばれるような政治家になりたいということばが新聞に出ましたね。私は、榮ちゃんと呼ばれるよりも、ほんとうに国民が心から、佐藤さんいいことをしてくれた、私たちはこれで病気になっても安心だなというような政治が行なわれれば、佐藤さんの世論調査は上がると思うのです。いま佐藤さんは、ほんとのそういう国民のはだに接した問題を何もやっていない。それをやれるかやれないかは、福田さんの腹にあると思う。国民が、なるほどわれわれのほんとうにありがたいことを一つやってくれましたな、そう思う、これじゃないでしょうかね。福田さん、政治というのはそういうものだと思う。金額は、いまの四兆何千億円の中で二百億円や三百億円国庫負担として入れることが何ほどのことがありますか。公債発行の問題でも、そのために二百億円ふやすというのなら、実際に国民はその二百億円の国債を買うだろうと思うのです。そういうものの考え方に立って財政を云々していただかなければならぬと思う。現在は、日本の政治の中には、行政はあるけれども政治はないと私は思っているのです。そういうのが政治というものではないのか。行政というのは、そろばんだけはじいて、そうして、ただ形式的な処理が縦横でされるのが行政でしょう。政治というのは、血の通った人間と人間との間の問題じゃないでしょうか。そういう点で、金額なり方法なりは皆さんが御検討なさればいい。しかし、もうここへきて、短期給付を含めての社会保険の医療というものは全般的に国庫で見る。その見方はお互いに考える。国も考え、あるいは保険者も考え、医療担当者もみんなで考えようということでいいですよ。いいけれども、国もそこまで私は一歩前進をしなければならぬ段階に来ていると思うのですよ。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/177
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178・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 医療保障を今後充実しなければならぬ、こういうことは、私も高い政治の一つの大きな課題である、それはそう思います。しかし、同時に、医療保障だけあって他の施策がなくていいかというと、そういうことではありませんから、これはやはり総合的にものごとは考えていかなければならぬ、こういうふうに思います。ただいま非常に御熱心な御議論を承りましたが、私も重要な参考にさせていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/178
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179・堀昌雄
○堀委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/179
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180・三池信
○三池委員長 次会は、明後三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X04719660601/180
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