1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十二日(水曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 押谷 富三君
木村 剛輔君 木村武千代君
小山 省二君 谷川 和穗君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
羽田武嗣郎君 福田 繁芳君
村山 達雄君 毛利 松平君
渡辺 栄一君 渡辺美智雄君
有馬 輝武君 佐藤觀次郎君
只松 祐治君 平岡忠次郎君
藤田 高敏君 山田 耻目君
横山 利秋君 春日 一幸君
永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
出席政府委員
外務政務次官 正示啓次郎君
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(主税局長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(国際金融局長
事務代理) 村井 七郎君
国税庁長官 泉 美之松君
建設事務官
(計画局長) 志村 清一君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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六月二十一日
都市近郊農地の相続税軽減に関する請願(福田
篤泰君紹介)(第五七三七号)
国民金融公庫環境衛生部融資による公衆浴場業
者の借入金利子減免に関する請願(渡辺栄一君
紹介)(第五七三八号)
公衆浴場業に対する所得税及び法人税減免に関
する請願(渡辺栄一君紹介)(第五七三九号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第五七九〇号)
全税関労働組合員に対する不当差別反対に関す
る請願(大出俊君紹介)(第五七六六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会における参考人出頭要求に関する件
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四〇号)
アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法
律案(内閣提出第七六号)
租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一五〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、西岡武夫君外二十三名より修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/1
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002・三池信
○三池委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。西岡武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/2
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003・西岡武夫
○西岡委員 ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して修正の趣旨を御説明いたします。
案文の朗読は省略させていただきます。
御承知のように、政府原案では、施行期日は、「昭和四十一年四月一日」からと定められておりますが、審議の関係上、施行がおくれることとなりましたので、これを「公布の日」からに改めようとするものであります。
何とぞ御審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/3
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004・三池信
○三池委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/4
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005・三池信
○三池委員長 これより両案並びに修正案を一括して討論に入ります。
通告がありますので、これを許します。藤田高敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/5
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006・藤田高敏
○藤田(高)委員 私は、いま提案になっておりますアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して、反対討論を行ないます。
まず、反対討論を行なうにあたりまして、わが党の基本的な立場と、その見解を明確にしておきたいと思います。
すなわち、わが国が今日国際社会において、特にアジアの一員である立場から、アジア及びその極東において果たすべき政治的、経済的任務ともいうべきものは、アジアのあらゆる地域から戦争をなくし、また、いかなる形のものにもせよ、一切の植民地政策を排除して、それぞれの国の民族が民族自決の自主的立場に立ってその国の完全独立を達成し、その結果として、それぞれの国がそれぞれの政治体制を越えて平和共存が可能になる政治的条件をつくり上げることに積極的かつ具体的に努力すべきであります。また、それと並行して、アジアの経済的貧困を解決するために、イデオロギーにとらわれない経済協力によって、アジア諸国民の平和的な生活条件の向上のためにわが国は最大限の力をかすべきであります。この基本政策に合致する限りにおいては、アジア諸国民の全体的繁栄のために、あるときはなけなしの資金を投じてでもその目的を達成するためには協力を惜しむべきではありません。この主張と考え方こそが、アジア諸民族の感情と民族的悲願に完全にマッチするものでありまして、わが国が現在及び将来にわたってアジア諸民族から尊敬される唯一の道でもあると確信するものであります。したがって、わが党の基本的な政策的立場からものさしを当てる限り、このアジア開発銀行の設立に対しては、絶対賛成することができないのであります。
その反対する具体的な問題点の第一は、このアジア開発銀行への加盟国の構成が、全くアメリカを中心とする反共国家群によって形成されているということであります。
すなわち、アジアとその極東地域における社会主義国家と称する中共、北鮮、北ベトナム等は、その加盟において完全にボイコットされているという事実であります。この結果もたらされるものは何でありましょうか。それは、政府は口でこそ平和目的であるとか政治目的にはこの銀行は利用されないといっていますが、それはいま激しく戦われているベトナムに一例をとってみましても明白でありましょう。すなわち、一方の南ベトナムはこの銀行への加盟国であり、その一方たる北ベトナムは非加盟国であります。この銀行がアメリカのかいらいたる南ベトナム軍事政権に対して行なう融資あるいは経済援助は、直接、間接を問わず、政治的、軍事的援助となり、侵略戦争に加担することになることは必至であります。これをチェックし、これをコントロールする規制措置は何もないではありませんか。戦争介入への措置を具体的に歯どめする措置は、これまた何も保障されていないのであります。このことは、六億の人口を有する中国政府と台湾亡命政権との関係及び北鮮と韓国との関係においても言えることでありまして、かかる戦争介入への有力なる手段となり、かつ民族の統一を阻害し、内政干渉にも及ぶがごとき経済外交に対して、わが国がなぜ積極的に買って出てまでアジアの緊張を激化さし、アジアをさらに二分さすことに手をかさなければならないのか、その理由はどこにもないはずであります。この点が、わが党が反対する最も大きな理由であります。
次に反対する第二の理由は、その加盟国の出資金構成からくる支配力の問題についてであります。
すなわち、出資総額十億ドルのうち、アメリカ二億ドル、日本二億ドルを中心として、いまベトナム戦争に軍隊を派遣してまでこの戦争に直接介入している韓国、オーストラリア、ニュージーランド等、数ヵ国の出資総額は優に五・五%にも及ぶものであり、これらの出資加盟国は日米安保条約、米韓相互防衛条約、ANZUS条約、東南アジア集団防衛条約等の加盟締結国であり、アメリカ極東戦略の有力な構成メンバーであります。かかる出資額構成からくるアジア開発銀行の支配力とその運営の方向は、いま指摘した軍事同盟とのからみ合いにおいて、アメリカのアジア戦略達成に焦点を合わせて運営されることは必至でありましょう。このことは、米州開発銀行におけるアメリカの四〇%の投票権によってアメリカがその全運営を支配、掌握している事実からも容易に判断できることであります。いわんや、このアジア開銀のその基本的な性格、構成、運営等はこの米州開発銀行に準じていることから見ても、かつて米州開発銀行がキューバ事件に関連をしてベネズエラやコロンビアがキューバと断交するや多額の投資が与えられ、反対にメキシコ、アルゼンチンが米州外相会議においてキューバに対する集団制裁に反対したためにいかに冷淡に取り扱われたか。ところが、その後アルゼンチンがキューバとの断交に踏み切るやいなや、その翌日には一億五千万ドルにも及ぶ融資が与えられたという、これらの事実経過からして、この二の舞いをやらないという保障はどこにもないのであります。加えて、昨年七月の第四回日米貿易経済委員会でアメリカがその拠出を約束した政治性の非常に強い信託基金との関係において、アメリカの中国封じ込め反共政策にこのアジア開銀が大きな役割りを果たすこと、これまた必至でありまして、去るソウルにおけるアジア・太平洋閣僚会議に見られるごときアジアにおける反共体制の強化の動きとともに、かかるアメリカの世界戦略の一環としての反共政策に協力させられることは断じてできないところであります。これが第二の反対理由であります。
続いて第三の反対理由は、国連を隠れみのとする日本政府の経済外交のあり方とその姿勢についてであります。
かつて、一九五一年朝鮮動乱以降、スエズ、コンゴ、西イリアン、キプロス等々におけるアメリカのとった態度は、すべて国連憲章上確たる根拠を持っていないのみならず、国連憲章で禁じていることをやってきたのでありまして、今日の国連は決して本来的な国連憲章機能を発揮していないのであります。いわんや、このアジア開銀のおい立ちは、かりに国連のエカフェから発足したものであったとしても、正式な国連の下部機構でもないものにまで国連という冠をかぶせることによって、あたかもこれが平和のシンボル機構であるかのごときベールを装う欺瞞的な外交姿勢に対してわれわれは協力できないのであります。あえて国連を引き合いに出すなれば、アメリカの対外軍事援助からくるドル不足を日本が肩がわりするようなこのたびの地域開発銀行に血道を上げることをやめて、国連本来の低開発地域の経済開発を行なうことを目的としている国際開発協会、いわゆる第二世銀等の機能を強化拡大し、中国の国連加盟への努力とあわせて、ソ連、フランス等の理解と協力のもとにその目的を果たすことが本命でなければならぬと思うのであります。
今回のアジア開銀の設立加盟にあたって、アメリカ、日本はソ連に対し猛烈な働きかけを行なったが、ソ連は加入せず、また加入の見通しもほとんどなく、また、フランスは完全に背を向けているのも、以上私が指摘、反対をしてきたところに根拠があるわけでありまして、かかる国連を隠れみのとする政府の主張は全くつくりごとであって、われわれの断じて承服できないところであります。
以上の観点から、私ども社会党は、冒頭申し上げました二つの法案に対し反対であることを強く主張いたしまして、私の反対討論を終わるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/6
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007・三池信
○三池委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/7
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008・永末英一
○永末委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程されております二法案に対して、賛成の討論を行なおうとするものであります。
現在、核戦略下の世界におきまして、核兵器を使用する全面戦争の脅威は一応遠のいているように見えます。しかし、その間、現在の世界における平和撹乱の一番大きな原因は、いわゆる新興諸国における経済不安がそれぞれの国内における政治不安と結びつき、これに対して対立する二つの政治圏から力が加わっている、これが世界平和を乱す原因になるということであります。したがって、私どもは、この新興国の経済安定をはかることが世界平和を保障するきわめて重大な問題だと考えます。
全世界の民主社会主義者は、それぞれの国内におきましては、何よりも国民間の経済格差をなくし、まず福祉国家をつくり、さらには、民主社会主義社会に至ることを標榜して戦っておりますが、世界的には、現在の諸国家間におきます経済格差をなくし、何よりも福祉世界をつくることが必要だと考えております。しかし、この世界において、われわれは資本主義を奉ずる国家と共産主義を奉ずる国家の存在することを認めております。これらの両国家群の共存、この事実を前提にして、以上述べましたことを行なわなければならぬと考えます。
今回設置されますアジア開銀は、その機構の形はまことに資本主義的であります。しかしながら、資本主義的とは申しても、それはかつての資本主義のように一国の利益のために帝国主義的侵略を行なおうとする機関であるとはわれわれは認めておりません。しかし、この組織にわれわれが入るにつきましては、わが日本国の国際政治上における立場を明確にして入っていくことが必要だと考えます。
まず第一に、わが日本国は共産圏諸国との間における経済交流についてどういう確固たる立場に立っておるかということを明確にすることが必要であります。たとえ国家目的の違う国家間でありましょうとも、経済、文化等の平和の鎖で結び合うことが世界平和を保つ上にきわめて重要だとわれわれは考えます。
第二に、政府は、国民所得の一%をこれら新興諸国の経済開発のために使おう、こういう意図を明らかにいたしました。この意図を明らかにした以上は、これについて具体的な計画を立てる必要があります。このことがまだ見られておりませんことをわが党はきわめて遺憾とするものであります。しかしながら、この意図が発表された以上、これに基づいて、第二世銀あるいはまた日本が、これらの諸国との間に二国間のローンあるいはまたこれらの国々との貿易の構造、これらを明確な方針のもとに計画を立て、これらに対して一つ一つ精力的な接近をし、問題の解決をはかる必要があろうかとわれわれは考えております。そのためには、わが政府部内における機構の改編ということを考えていかねばならぬと考えております。その立て方の基本は、従来それぞれのものがきわめて商業ベースによって行なわれていたこと、日本の示す平和への熱意が盛られるような政治的な立場に立つ行動というものが望ましいと思います。これらに対しまして、この第二世銀に加盟していくことについて、あるいはアメリカ帝国主義のお先棒をかつぐのではないかと心配する人もございます。しかし、要は、われわれ日本民族が世界平和について、少なくともわれわれの周辺にある国々の経済安定についてまじめな熱意を持って取り組んでおる、このことがわかっていくならば、このようなことは杞憂となるであろうことをわれわれは信じております。
この意味合いにおきまして、私ども民社党は、この二法案に対して賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/8
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009・三池信
○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。
引き続き採決に入ります。
まず、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。
まず、西岡武夫君外二十三名提出の修正案について、採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/9
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010・三池信
○三池委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。
これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/10
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011・三池信
○三池委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。
次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案について、採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/11
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012・三池信
○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/12
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013・三池信
○三池委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/13
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014・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/14
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015・三池信
○三池委員長 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/15
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016・只松祐治
○只松委員 租税特別措置の法案に関連しまして、まず最初に、若干税調の進捗状況をお尋ねしたいと思います。
と申しますのは、いま税調で明年度のものと長期のものと審議に入っておるようでございます。私たちはいろいろ税の問題についてわが党の立場を申しておりますけれども、特にその中で租税特別措置というのは、日本ではあまりにも広範囲にかつ多額のものが適用されて、それをすみやかに廃止するように、あるいは軽減するように、こういう意見をたびたび私たちは国会で述べております。本日、それに関連する法案が出ておるわけであります。ひとつ、明年度あるいは長期税制に対する大蔵省のそういう方針に関連いたしまして、税調の進捗状況等についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/16
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017・塩崎潤
○塩崎政府委員 税制調査会の進捗状況につきまして、私から若干御報告を申し上げたいと思います。
この点につきましては、先般、税制執行小委員会におきまして、平林委員あるいは藤田委員から御質問ございましたので若干お答え申し上げましたが、その後若干進捗もありましたので、あわせてお答え申し上げたいと思います。
もうすでに一般税制部会を二回、企業税制部会を二回、地方税制部会を二回、税制簡素化特別部会を三回開きまして、相当順調な審議の状況を示しておるのでございます。税制執行小委員会でも申し上げましたが、今年度の国会におきまして、四十一年度税制改正案に関連いたしまして国会等で御要望になりました事項につきましては、すべて網羅いたしまして税制調査会の総会におはかり申し上げ、さらにそれをふえんいたしまして、各部会で御要望あるいは検討事項等につきまして検討されるようにお願いしておるのでございます。さらにまた、長期税制構想、長期減税構想が大きな柱となっております。このあたりも昭和三十九年には答申が一応税制調査会として出されたわけでございますが、現在の税制調査会が改組されました関係もございますので、ひとつ新しい角度から見直してみよう、そして、三十九年の答申のうち修正すべき点がどのような点にあるかというような点を中心といたしまして検討が熱心に続けられておるところでございます。
たとえば、昭和三十九年の答申におきましては、長期税制の方向といたしまして、自然増収の二〇%を減税に充てるといったことが基本的なラインとして出ておりましたが、今年度の経験から見ておわかりのとおり、そういった方向では簡単な減税もできないし、また、税制に対する期待も十分実現しないということで、こういった情勢の変化はひとつ見直して、公債政策導入下における税制のあり方としてもう少し見直そうではないか、さらにまた、景気変動に対するあるいは景気の循環に対しまする税制の措置といたしましても、もう少し現下の経済情勢から見て税制に期待するところがあっていいのではないか、こんなような御議論がされておりまして、そういった角度から深い検討がなされる予定でございます。
御指摘の租税特別措置法の問題につきましても、主として企業税制部会の問題でございますが、企業税制のあり方、さらにまた、個人家計に対する課税のあり方といたしまして根本的に検討されることになっております。
来年は御存じのように特別措置の期限が来るものが最も多い時期でございます。いつも御指摘の利子配当に対します特別措置、さらに買いかえの特例の時期、さらにまた交際費の課税も、ほっておけば無条件損金に算入になるような時期が来るわけでございます。
そんな意味で、今年度の税制改正は、租税特別措置につきましては格段の検討を要するのではないか、こんなような空気でございますし、私どもはそれを網羅いたしまして、数十項目の期限の切れる項目をお示し申し上げまして御検討をわずらわしておる次第でございます。
地方税制部会は、御存じのように、国と地方との間の税源配分をどういうふうに持っていくか、自主財源をどういうふうにふやしていくかということをまず前提といたしまして、これは三十九年の答申にも示したところでございますけれども、これをもう少し詳細に検討してみようということで、現在根本的な議論がされております。
さらにまた、今年度税制調査会の大きな特色としまして設けられました税制簡素化特別部会でございますが、税制の平準化、税法の簡素化、これを通じて国民によって理解され、また国民が利用しやすい税制にしようということで、これは回数が最も多く審議されております。どういった点が複雑であるのか、なぜこういった複雑な結果を来たしておるのであろうか、これを直すにはどうしたらいいかといった技術的な考慮、さらにまた、簡素化の見地からくる他の大きな税制改正の要望も出てまいりますので、他の部会と関連、これらの問題も種々ございます。こんなような問題で、また今週の金曜日に一般税制部会と税制簡素化特別部会が開かれることになっております。こんなような進捗状況を示しておるわけでございます。
私の見るところでは、国会等の御要望にこたえまして、税制調査会の審議が非常に順調に進んでおるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/17
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018・只松祐治
○只松委員 いまのお話の中でも、私も直接質問はいたしませんでしたが、給与所得者に対する所得税の話が全然なかったのですが、皆さん方の試算によっても、五年後には三千三百万人からの所得税を納める人々が出てくる、こういう試算が出ております。現在でも二千万人の人口をこえた場合には徴税技術上いろいろな問題が出てくるということも、これは明らかなことでございます。したがいまして、当然に税率の変更ということもそこで考えられなければならない。まあ、きょうはこういう問題を本格的に突っ込んで質問するという予定でございませんので、詳しい論議はいたしませんけれども、この給与所得者関係に対する考え方を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/18
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019・塩崎潤
○塩崎政府委員 私、一番大きな問題点を言い落としたような感じでございます。
給与所得者の税金が、相対的かもしれませんが、最も重く感ずるのではないか、さらにまた、三十一年の納税人員が千百万人であったのが、現在二千百万人、千万人ばかり増加しておりますけれども、そのうちの九百万人は給与所得者であるというような数字が示され、これについての減税の要望が強いことは御存じのとおりでございます。
そこで、私どもの大臣が言っております八十万円までが課税最低限、これをひとつ実現することによって、しかもまた、そのうちで給与所得者に対する減税を中心的に考えていく、これをひとつ根本的に御検討願いたいということで、先般国会に、課税最低限を八十万円までにした場合の型、五つございましたが、御提示申し上げました。まず第一は、基礎控除だけを引き上げまして課税最低限を八十万円といたします。その場合には納税人員は二千万人から千万人程度に落ちてくる、最も納税人員が減るわけでございます。第五の、これはいままでのようなやり方の踏襲でございますが、扶養控除も同時に上げて、世帯持ちのほうに減税の重点を置いていく、こうなりますと、税収は千七百億円ばかりで、減税財源は最も少ないわけでございます。一方、納税人員は四百万人しか減らない、こんな五つの、一つの極から他の極にわたる案、国会にもお示し申したことを再び税制調査会にも御提出申し上げまして、御検討をわずらわすことになっております。今度の金曜日には、理想的な所得税という問題で、ことに、給与所得者にひとつ何とか釈然とするような税制をつくるには、直ちには実現いたされないにいたしましても、将来の理想図を描けないものであろうかというような御意見も出まして、そういった点を中心として、給与所得控除のあり方等について御検討をいただく、そんなようなつもりでございます。
さらにまた、減税財源は今後苦しいことが予想されます。そういった場合に、どういった方向で、結果的に減税財源を少なくする方向で、しかも給与所得者、さらにまた低額所得者の減税の要望を満たすにはどうしたらいいかというような点もあわせて検討する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/19
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020・只松祐治
○只松委員 そういう税調のほうの進捗状況、それに対する皆さん方の態度、またしたがって、それに提出する資料、いろいろ出てくるわけですが、皆さんの都合で、大蔵委員全員でも税小委員でもけっこうですが、こまごまとした全部までは要りませんが、そういう基本的な資料を、私たちもいろいろ勉強したいと思いますので、ひとついただきたいと思いますが、いかがでございますか。委員長においてお取り計らいをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/20
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021・塩崎潤
○塩崎政府委員 私、詳細に御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/21
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022・只松祐治
○只松委員 そこで大臣、いまお答えのような状況でございますが、特に何が大切、何が軽いということではないわけです。きょうは提出されております租税特別措置について議事が進められておりますので、大臣において、いまお答えになったような方向で大蔵省としては格段の努力をするということをお答えいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/22
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023・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そのとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/23
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024・只松祐治
○只松委員 次に、税収の状況について若干お尋ねをいたしたいと思います。
大体、昨年度の税収がもうトータルが出たと思います。それから、本年度も六月に入りまして、二カ月ぐらい税収のトータルが出てきたと思いますが、そういうものを見合って、今後の税収の状況についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/24
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025・塩崎潤
○塩崎政府委員 まず、四十年度の税収の結果でございますが、現在四月末まで数字が判明しておるわけでございます。四月と申せば、四十年度につきましてはほとんど九九%まで、決算に近い数字だと思います。四月末の累計にいたしまして、補正後の予算で——補正後の予算と申しますのは、二千五百九十億円の自然減を立てた後でございますが、これに対しましては、二百一億六千七百万円の増となったわけでございます。そのうちのおもなものは、これもたびたび私どもの大臣から申しておりますように、利子率の低下に伴いますところの法人税の延納が減ったことによります法人税の収入歩合が比較的よかった、これが予算に対しまして三百六億円ふえたということが大きな原因でございます。しかし一方、酒税あるいは所得税、これあたりはむしろ補正後の予算に対しまして減収を生じたためにいま申し上げました二百一億六千七百万円の増加にとどまった、こういうところでございます。
次に、四十一年度の租税収入の動向でございます。現在のところ、四月末までしか数字はわかっておりません。今月末になりますれば五月の分がわかるわけでございますが、現在のところは四月末の累計がわかっているわけでございます。したがいまして、わずか一カ月ばかりの進捗状況でございまして、まだまだこれをもって四十一年度の租税収入の動向を占うわけにはまいりませんが、例によりまして、昨年度の収入歩合と比較いたしまして申し上げますと、四月末におきましては、前年は九百二十九億円の収入実績がございましたが 本年度は、もちろん経済の上昇がございますので千百三十四億円、二百億円ばかりの増加が生じております。もちろん自然増収を見ておりますので、対予算に対しますところの収入歩合を見なければなりません。そういたしますと、前年度同期の収人歩合は三・一%でございましたが、本年四月の収入歩合は三・五%、したがいまして、前年に比べまして〇・四%だけいい、これはまだ多分に法人税の影響等があらわれるかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、予算に見ている程度が、まだ一カ月ばかりの数字ではございますが、まずまず順調にいっていると見ていいじゃないか、こういう状況でございます。
なお、三月決算の動向等も私ども調査しておりますが、これらか判明いたしますれば——もう少し情勢が進まないと今後の租税収入の動向は簡単には予想できない、いまのところでは、予算に見積もった程度のことしか申し上げられないのではないか、
〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/25
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026・只松祐治
○只松委員 大蔵省のほうからいただいた四月末のものを見ましても、一般会計分合計が一〇七%と、いろいろありますが、トータルいたしますと予算をこえておるわけですね。こういうところから見ると、税収は順調だ、こういうことが、内容は別ですが言えると思うのです。これには、たとえば所得税の源泉徴収分なんかにいたしましても、申告分なんか九九・一%、およそほとんど一〇〇%入ってきているわけですね。昨年度あたり必ずしも景気はよくなかった。現在も中小企業はよくないわけですけれども、ほとんどこれが一〇〇%取られておるということはいろんな問題を含んでおるんじゃないか、こういうことを私は考える。
その前に、ちょっとひとつ要望をしておきますが、昨年まではこの報告書に対前年度比をパーセンテージで入れて配付されておったのですが、ことしは対前年度比のパーセンテージを削除されております。これは多少めんどうくさいかしれませんが、それほどのことはないと思いますので、ひとつできるだけそういうものを入れてわかりやすく、昨年度と同じような表をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/26
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027・塩崎潤
○塩崎政府委員 私、昨年度の数字は存じませんが、この四十一年四月末の租税及び印紙収入額調には収入歩合が出ておりますが、それに対する前年度同期の収入歩合の意味ならば、そういった数字を入れましてなるべく御提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/27
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028・只松祐治
○只松委員 ひとつ、ぜひお願いをいたします。
それから、そういう税収の伸びといいますか、収入歩合がいいのに対比いたしまして、一方滞納というものも非常に多いわけですね。むしろ多いというより、ふえておる。八百七十億円、八十万五千件から滞納件数がある。こういうことになっております。その徴収状況あるいは見通し、こういうものについてお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/28
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029・塩崎潤
○塩崎政府委員 現在手元に滞納の数字を持っておりませんが、景気の影響等によりまして滞納の増減があることは、もう御指摘のとおりでございます。しかし、私どものと申しますか、国税庁の徴収の担当者の御努力によりまして、現在までのところ特別に悪くなったというところもなければ、また、努力によって平常どおりの収入成績が上がるのではないか、特別に私も変わったという点は聞いておりませんので、滞納につきましては、むしろいつもの国税庁の政策のとおり、やはり滞納防止の方向で、あるいは滞納整理の方向で努力をされる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/29
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030・只松祐治
○只松委員 国税庁長官お見えになっておりますが、この滞納状況の中身というのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/30
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031・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、本年四月末で八百七十億円の滞納になっておりまして、租税の滞納状況について申し上げますと、昭和三十四年が一番滞納の減った年でございまして、その後三十五年以降逐年滞納の絶対額は、徐々にではありますがふえてまいっております。昭和三十四年当時四百数十億円でございましたのに対して現在八百七十億円程度にふえてまいっております。もっとも、これは御存じのように年々の調定額が非常にふえてまいったのであります。したがいまして、その調定額に対する比率で申し上げますと、格別ふえておる、比率が上がっておるわけではございません。ただ、調定額全体がふえてまいりましたために滞納額もふえてまいっておるということでございます。税目別にこの滞納の内容を申し上げますと、おもにふえておりますのが、申告所得税と源泉徴収の所得税でございます。これは源泉徴収の所得税の中には、源泉徴収義務者が——まあ、法人税のほうでございますと、景気がだんだん悪くなって所得がなくなれば、法人税それ自体納税義務がなくなってくるわけなんでありますけれども、源泉徴収の所得税のほうは、これは給与を払っておりますので源泉徴収義務は当然生じておる、しかし景気が悪くて、中には倒産するといったようなものが出ますと、これは滞納のままになる、こういう状況が最近あるわけでございます。これが徴収につきましては、御承知のとおり、経済の状況もよくなく、倒産しておる例がかなりございますので、税務当局としてはかなり苦慮をいたしておるわけでございます。
それから、申告所得税のほうは、これまた年々調定額がふえてまいりますために滞納が若干ずつふえてまいっておるという状況でございますが、これはふえ方はそうたいした問題ではないというふうに考えられております。
なお、法人税のほうは、景気の動向によりまして所得がふえる関係で法人税がふえていかない、むしろ、御承知のとおり昨年あたりは予算より相当減っていくといったような状況でございますので、滞納自体もふえないでむしろ停滞ぎみ、こういった状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/31
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032・只松祐治
○只松委員 この滞納の中には、いわゆる文字どおり滞納で取れるものというのと、これはどうしてもだめだ、取れない、こういうものとあると思うのです。そういうものを、税小ではございませんからあまり詳しく論議してもどうかと思いますが、やはりそこいらの基準となるべきもの、特にこういう中小企業に不景気がいま浸透しつつある状況のもとでは、業者にそれを示すというところまではできないにしても、皆さんのほうで何らかの基準をもってこういうものを処理していかないと、八十万件なんというものは、いまの税務職員が新たに事件を調査したり、いわゆる新年度の徴税問題に取り組むのに、こうやって八十万件の滞納分をかかえて処理していくというのは、これだけでもたいへんな仕事だと思うのです。そういう点について、やはり取るべきものは取ると同時に、取れないものは処理していくというようなことをしていかないと、聞きましても、末端の税務職員はなかなかたいへん重荷をしょって御苦労の面もあるようでございます。いかなる処理のしかたをされておるのか、あるいは今後されていくか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/32
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033・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、滞納になった場合に、すぐに納付することは困難だけれども、時間をかけてやっていけば比較的納付しやすい場合、それから、倒産などいたしまして、とうてい納付がむずかしい、こういった場合と、いろいろ事例があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、滞納になりますと、まず幹部が出かけまして納付能力の調査をして、その滞納者は今後どういうふうな政策を講じていけば、多少時間がかかっても納付できるか、あるいはもう納付の見込みはないか、こういった点につきまして納付能力の調査を行ないまして、それに応じて、時間をかけても納付の見込みがある場合におきましては分割納付の手続をとりまして、だんだんとなしくずし的に納付をしていただく、それから、納付能力の見込みのない場合におきましては、やむを得ませんので、いろいろ第二次納税義務があるかどうか調査をいたしますけれども、どうしても納付見込みがないという場合におきましては、これはやむを得ず執行停止のほうへ持っていかざるを得ないというような場合があるわけでございます。それぞれ滞納者の個々の事情に応じた措置をとってまいるという方針をとりまして、それでやっていっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/33
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034・只松祐治
○只松委員 特に滞納と延納との関係で、延納が認められるならばその滞納分を徐々に納入したい、こういういわば納税に協力する良心的な国民の人でも、やむを得ず支払えなくて滞納しておる人が私たちの知っている範囲においてもあります。そういうことで、できるだけ延納を認めてもらいたいという希望が強い人もある。しかし、実際問題として、これがいま言いますように、限られた税務職員で滞納問題を解決していく、処理していくとなると、早いほどいいのですが、なかなか延納が納税者の言うとおりに認められがたい面もあるし、いわゆる全然払わないという者と、払うという意思がある人の分については、ひとつ、よくそういう点の判断、基準をどっかできめて、そのかわり延納しても納める意思があるという人にはあたたかく見てやって取っていく、こういうこまかい配慮といいますか、そういうこともして問題の処理を進めていただきたい。これは要望にとどめておきたいと思います。
次に、例の白金事件についてお聞きいたしたい。その後、この事件はどのように進展をいたしておりますか、まずお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/34
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035・泉美之松
○泉政府委員 本件につきましては、先般申し上げましたところでございますけれども、増淵氏が死亡されました後、調査を一時中止いたしております。その後、格別の進展を見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/35
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036・只松祐治
○只松委員 一般的に、国税庁でこういう事件、あるいはこういう事件に限りませんけれども、脱税とか、いろんな国税に関する法律に違反しておる、こういう状況のもとに調査をされる。これは国税犯則取締法に基づいて行なわれておるわけでございますが、私たちいろいろお聞きするところ、皆さん方からじゃなくて、国民のほうからそういう点をお聞きいたしますと、調査件数がたいへんにふえておる、それから、調査の態度が非常にきびしい、こういうことがよくいわれます。あとでも具体的にお聞きいたしますけれども、私はこの一ヵ月来、税務署からの査察を受けてノイローゼぎみになったというのも数件耳にいたしております。これは権力を持った側と、持たないで取り調べを受ける側との認識の相違によるところが非常に多いと思いますけれども、特に警察権力の場合には身柄拘束ということができますが、財産という問題はそういうことは出てこない。ところが、国税庁の場合は、強制的な身柄拘束はほとんどありませんけれども、増淵さんのように非常に強い調査を受ける、と同時に、自己の財産問題に関連してくる、こういうことでたいへん国民が苦悩をする、こういう事態が多いやに見受けられるわけであります。
そこでまず、近ごろにおける、あるいは昨年一年間でもけっこうでありますが、国税庁のそういう調査、査察件数、それから前年度と対比すべきものがありましたら、そういうものと対比したパーセンテージ、そういうものについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/36
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037・泉美之松
○泉政府委員 いま査察件数が非常にふえておるようなお話でございますが、査察という制度が設けられまして以来そんなに件数がふえておるわけではございませんで、年々、査察立件いたしますものは全国で百五十件程度でございまして、それがほとんどそうふえておる状況ではございません。
それから、先ほど只松委員のお話にございました税務署の調査でノイローゼというお話がございますけれども、これは査察ではありません。査察は国税局でやるものでございまして、税務署で行なうものは、あるいは特別調査というのがございますけれども、税務署で査察をやるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/37
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038・只松祐治
○只松委員 その税務署のものも含んでお答えをいただきたいと思います、局だけでなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/38
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039・泉美之松
○泉政府委員 まず査察の着手件数で申し上げますが、三十九年度が百三十七件、これに対しまして、四十年度が百五十五件、若干ふえておりますが、処理件数で申し上げますと、三十九年度が前年度からの繰り越しを含めまして百四十二件、四十年度が百四十五件、こういった程度になっております。
税務署の特別調査の件数は、あいにく手元に資料を持っておりませんが、もし御必要でございますれば、調べましてお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/39
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040・只松祐治
○只松委員 一般中小企業者やなんかの対象になるのは、局の査察ではなくて、いまお答えにならなかった署の特別調査、そういうものです。あるいは、さらに一歩下がりまして、東京、千葉、神奈川等でそば屋やその他の修正申告が行なわれましたね。ある程度のモデル店を抽出して、そこで調査をされる。この店でこのくらいだから——Aという店で百万円、Bという店で七十万円程度、だからあなたのところもこれくらいあるのじゃないかということで、税務署としては、勧告といいますか、要望といいますか、要請といいますか、されるわけですね。ことばや態度やなんかは非常にやわらかいし、必ずしも強いということではないようでございますけれども、そういうこちらの大体推計した金額に従わなければあなたのほうは徹底的に調査をいたしますぞ、こういう上に振り上げるものを振り上げておいて、口ではやわらかに、こういうことですから、東京、千葉、神奈川の三県でも三十億円からの増差が出て、二十億円くらいの税金をそば屋さんが払わなければならない、こういう形になっておる。これは査察どころか、調査どころか、そこまでいかない修正申告というのですね。この修正申告も、厳密に言えば税務署の——これは法律は、いまの新憲法下に自衛隊が置かれる時代ですから、拡大解釈すれば幾らでも解釈できますけれども、そう軽々しく業者に対して修正申告をやらせる税務署側の強い権限というものはないわけです。しかし、これが事実上こうやって各業種に対して非常に強い権限でもって修正申告というものがなされております。業者は何ら反抗することができない状態で、無条件です。ある面では、私たちがそういうことを多少聞きかじりまして、何かございますかといって、へたにそういうわれわれなり何なりがくちばしを入れると、税務署からよけいに強い態度に出てこられるし、きびしい目で見られる、こういうことなので、表面に出ないで、ひとつ、何かあれば来てください、こういうことで、私たちが多少お話を聞くことさえもおそろしがられて、業者の人は、御遠慮をいただきたい、こういうことを言われる。こういうことを見れば、査察までいかなくても、修正申告においても相当に強い態度でもって末端の税務署がお臨みになっておられる、こういうことが言えるわけです。
これは、あなたたちがお疑いになるならば、私の部屋から業界等に対して電話をかけて、そばでお聞きになっておれば、それに対する応接態度等ですぐ明らかです。録音等をとってそういう態度を聞かれてもいい。そのくらい業界というものは税務署に対して非常に畏怖の念を持って接しておられるということが言えるわけです。したがって、局の査察あるいは調査だけではなくて、修正申告に対してもたいへんな恐怖というものを感じておられる。こういうことを長官なり大蔵省の最高首悩の人はよく知っていただきたいと私は思うのです。そういうことをよく知らないと、増淵さんの事件にいたしましても、なかなか私は正しい解釈なり認識というものが出てこないのではないか、こういうふうに思う。
たとえば、私が国税庁の次長の中嶋さんに電話をいたしました。そのときに中嶋さんは何と言ったか。増淵さんは庁内で死んだんだけれども、いわば、自分たちが殺したのではない、自分たちとは無関係である、こういうお答えをいただきました。私は非常に激高いたしました。直接自分たちが手を下したものじゃなくても、少なくとも自分の局内で前代未曽有のそういう自殺事件というものが起こったならば、遺憾の意を表すべきではないか。前の委員会で武藤理事等から、弔電や何かを打ったか、そういう配慮もすべきである、こういう意見が出されまして、大臣も、そういうことをすると言われました。確かに谷川局長は二回ほど増淵さんのうちにお見えになっておったようでございますけれども、とにかく、話がだんだん余談になりましたけれども、やはりそういう調査の実態、末端の税務行政の実態というものをよくお知りにならないと、やはりこういう問題というものは、私はこの前極論として、第二、第三の増淵ができますぞと言ったこと、あるいは、いまノイローゼになったといって私のところにお見えになった方、あるいはそういう相談をされた方が、全然つくり話である、うそである、こういうふうにしか受け取られない。これはぜひいわゆる財産権に関する庶民の感情というような問題までお考えになって、皆さん方から見れば国税犯則取締法に基づく簡単なる取り調べ、あるいはそこまでいかないけれども、不正申告やその他に対する修正、こういうふうにお考えになっておることが、必ずしもそうではない、こういうふうに思うのです。ひとつ、ぜひ大臣以下そういう点について新たな認識を持っていただきたいと思います。
そこで、問題の増淵さんの事件に入るわけでございますけれども、この前お聞きいたしましても、朝から夜まで五日間ぐらいですか調べられた、こういうことで、調べられたのも田中さんとかいいましたね。この事務官が調べられた、こういうことですが、私が奥さんにお聞きいたしましたところが、ほとんど連日税務署に呼び出されて、そうして、税務署というところはたいへんおそろしいところだそうだ、警察よりも強い権限を持っておるところだそうだ、こういうことを言って帰ってきて、背中が痛い、疲れた、こう言っていたということです。増淵さんという人はうちに仕事のことを全然持って帰られない人で、あまりそういう詳しいことは存じません、こういうことだそうです。これは奥さんの話です。しかし、そういうぐちはやはりこぼされたそうであります。それで奥さんが、それなら、休ましてくれとか何か言えばいいじゃないですか、いや、そんなことを言ったって、いま言うように警察よりも強い権限を持っておる、そうして入れかわり立ちかわり調べるのだから、そういうことはできないのだ、こういうことを増淵さんが言われた。それから推測いたしますと、田中さん一人ではなくて、幾人かの人がそこでお調べになった、こういうことが推測できます。
したがって、いかなる調査方法がとられたのか。田中さんだけでなく、何人でお調べになったのか。この前は田中さん一人というお話しでありましたが、死んだ増淵さんには口がございません。奥さんの話では、そういうことではない、幾人かが入れかわり行って調べた、こういうことでございます。ひとつ、国会で御報告をされる場合には、私はぜひ真実を言っていただきたいと思います。奥さんの口をかりてすれば、まあ、自宅に行かれた方があるかどうか知りませんが、あとでも事情を話しますが、今度のこの事件に関連して、奥さんは、小学校一年の子供をかかえて、何か密輸業者の手先になり下がった、こういう印象を受けて、隣近所の人もつき合いをしてくれなくなった、こういうことで非常に悲嘆にくれた生活をしておられます。おいでになればこれはすぐわかりますけれども、門もかたく閉ざして、かぎをかけて、よその人もできるだけ入れないように、こういう生活態度をしておられるわけですけれども、そういう状態の中で、私は奥さんがそんなにうそを言うとは思わないわけですよ。ひとつ、そういう取り調べの状況をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/40
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041・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、査察事件につきましていろいろ調査をいたす際には、何分にも国税犯則取締法に基づく調査でありますけれども、いわゆる身柄拘束はしないにいたしましても、強権を持っておる調査でございますので、その調査の行ない方につきましては十分慎重を期するように、また、相手方が疲れているといったような場合には、一時調査を延ばしていくといったような配慮を十分するように指示いたしておるわけでございますが、増淵さんの場合には先般申し上げましたとおり、六月の三日午後一時から五時までと、六月の四日の午前九時半から午後二時三十分まで、その間昼食のため約三十分余り休憩いたしております。それから六月の六日、月曜日は四時から六時半まで、それから七日の火曜日は午前九時半から、昼食のため一時間十五分ほど休みまして午後五時三十分まで、それから六月の八日は午前九時三十分から、昼食のため一時間休みまして二時三十分ごろまで、こういった調査をいたしているわけでございますが、六月三日と四日、それから六日のときには査察課の主査と査察官と二人で調査いたしておりますが、主として査察官が調査いたしまして、主査がそこに立ち会ってその調査事項について漏れがないかどうかということを確認するようにいたしております。三日と四日、五日は同様でございます。それから七日の日は査察官が一人で調査いたしております。八日の日には査察官とそれから補佐と二人が——この補佐は立ち会いでございます。もっとも補佐が立ち会ったのは午後だけでございますが、そういう立ち会いをいたしております。入れかわり立ちかわりというおことばでございますが、それほど入れかわり立ちかわりいたしておるわけではございません。大体におきまして、査察事件の場合におきましては、どの人はだれが専担者で調べる、こういう分担をきめて調べておりますので、そのように入れかわり立ちかわりという調査はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/41
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042・只松祐治
○只松委員 私たちも現場を見ておるわけではございませんから、長官が事実に基づいてそういう答弁をされますと、そうですかというほかに方法はないわけです。ただ、増淵さんのように、家庭にほとんど仕事を持ち帰らないで、ぐちとかそういうことは言わなかった人が、そのときに限ってたいへん心理的ショックを受け、かつ、からだの疲労も訴えたということでございますから、少なくとも皆さん方のほうではそれほどじゃなかったかもしれぬけれども、当の増淵さんにとってはたいへんなことだっただろうということは推定できるわけであります。こういう調査方法というのは、増淵さんだけでなくて、どなたにもこうやって、連日呼び出したり、いわば警察よりも強い権限をおれらは持っているのだからどうにでもできるのだぞ、こういうことばのもとに調査というものが進められておるのですか。それとも、脱税という事実が明確になれば、それこそ一種の犯罪的要素を帯びるわけですけれども、そういうものの嫌疑が明らかでない段階から、何か犯罪人扱いしたり、被疑者のようなそういう強い態度をもって臨んで調査をなされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/42
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043・泉美之松
○泉政府委員 おことばでございますが、この増淵さんの場合には、合資会社白金の仕入れ係長といたしまして、仕入れの事実についてお伺いをいたしておったのでございまして、御本人自身が脱税云々ということは毛頭ないわけでございます。仕入れ係長としての職責上、この合資会社白金のいろいろな貴金属の仕入れについて帳簿に記載がありますので、その帳簿に記載されているところが真実であるかどうかという点についてお伺いしたわけでございます。これは御承知のとおり、相当たくさんの仕入れ件数がございますので、それについて、一々、これは真実の仕入れであるかどうか——と申しますのは、この仕入れについて架空仕入れの疑いがございましたのでその仕入れが架空であるかないかという点について、増淵仕入れ係長にお伺いをしたわけであります。したがいまして、件数が多いものでございますので調査に相当時間を要した、しかも、先日お答え申し上げたと思いますけれども、その増淵氏のお話とそれから仕入れ先であるという人との話が食い違いまして、しかも相手方の供述が二度三度と変更になりましたので、増淵さん自身は終始一貫した同じお話を繰り返されたわけでありますけれども、相手方のほうが二転三転供述をひるがえされましたので、そのためにいろいろ調査に手間取った、こういう事情でございます。したがいまして、常にこういうふうに同じ人について連日調査するということは、普通にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/43
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044・只松祐治
○只松委員 一般的に一つの調査事件で何日くらい呼び出しというものをなさっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/44
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045・泉美之松
○泉政府委員 これはもう事案の内容によって千差万別でございまして、査察事件であれば必ずこういう程度というような標準的なものはございません。事件の内容、関係者が多数であるかどうか、そういうことによって非常に違っておりますので、一がいに申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/45
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046・只松祐治
○只松委員 それじゃ、こういうふうに局やそういうのに呼び出してする調査、それから会社や、いわゆる現地に乗り込んでする乗り込み調査、こういう形がとられておりますが、これも千差万別といえば、その件数、事件の内容ということになるかもしれませんが、一般的に、乗り込み調査なり呼び出し調査なり、どういう形の調査方法をとられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/46
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047・泉美之松
○泉政府委員 これも事案の内容によるわけでございまして、一般的に申し上げますと、査察立件当日にいろいろな証拠書類を押収するわけでございますが、しかし、それを当の査察を受けた相手方に保管を命じておきまして、そしてその場でその書類を見ながら調べたほうがいいというような場合におきましてはそこで調べる、したがいまして、その場所で調査を続行していくという場合もございます。それから、局のほうに証拠資料の収集のための場所が余裕がございますと、証拠資料を局のほうに引き揚げてまいりまして、そこでその証拠資料について調査を行なう、こういうことでございますので、それぞれの事例と、それから局の証拠資料を置く場所があいているかふさがっているか、こういった事情によって違ってまいるわけでございます。したがいまして、どういう場合に必ず局に来てもらう、どういう場合には必ず査察被疑者の居宅——居宅でやる場合はございませんが、そういう法人の所在地でやるかどうか、これは一がいには申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/47
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048・只松祐治
○只松委員 この関係者のお話を聞きますと、増淵さんに中心に聞かれたこと、調査されたことは、増淵さんの背任関係だった、こういうことがいわれております。密輸とか脱税ではなくて、増淵さんの背任関係を中心に聞いた、そういうところに増淵さんが非常に心理的に会社との板ばさみの状態に立たされたのではないか、こういうことがいわれております。私も事件記録を見ておりませんから、関係者の話を総合して判断するよりほかにないわけでございますけれども、もしそうだとするならば、国税庁で必ずしも無関係ではないのでしょうが、税の問題とそれほど重要でない背任関係やそういう問題から脱税の問題に入っていく方法もなきにしもあらずですが、そういうことをお聞きになるわけですか。これはこの問題だけではなくて、ほかの場合でも、いわゆる事件そのものとはさして関係のない問題を、これは若い職員もたくさんおいでになるからそういうこともありがちなことかと思いますけれども、そういうことを行なわれていることを私はほかにも知っておりますけれども、いわゆる国税庁の行き過ぎ事件というのが間々あります。この場合も関係者はそういうことを言っておりますが、大体何を中心にお聞きになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/48
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049・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたとおり、増淵氏には、仕入れ係長といたしまして、仕入れの個々の事実につきまして、それがほんとうの仕入れであるか、架空仕入れでないかどうか、こういう点を中心にお聞きいたしたのでございまして、お話のような背任関係云々ということは、こちらから聞き出したのではございません。ただ、金の仕入れにつきまして、鎌倉のだれそれとかいうようないろんな人の名前が出てまいりまして、それをお伺いしておるときに、増淵氏のほうからみずから、実は自分は金の仕入れに際してリベートをもらっておる、これが会社のほうに知られると非常に都合が悪いので、できるだけそういう点について便宜を計らってほしい、こういう申し出があったことは事実でございますが、当方といたしましては、それは別段追及すべきことでございませんので、それを特に聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/49
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050・只松祐治
○只松委員 それから、密輸関係があるというような、特にこれはだれが発表したと載っておりませんからあれですが、なくなられたときにも、そういうことが若干あるかのような新聞記事等のにおわし方が出ております。これはあとでお聞きいたしますと、全然無関係だというような話でございますけれども、その後岡島何がしの事件と関連して、いかにも密輸のために脅迫され、その他で苦慮して死んだ、こういうふうな状況に追い込まれてしまっておる、一般的にはそう見える、そういうことで、私がいま言いましたように、隣近所の人も何かおっかながってお宅に近寄ってこない、こういうような状況にもなってきておるわけです。聞きますと、事件は東京国税局と関信越国税局と全然違うということですけれども、そういうふうにうかがえる。当日の新聞にもそういうことが若干あるわけです。密輸と何らかそういう関係なりというものがあるわけですか。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/50
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051・泉美之松
○泉政府委員 増淵氏が貴金属の仕入れをいたしておるわけでございますが、その貴金属につきまして、どういう状況で仕入れをしたかというようなことは、架空仕入れであるかないかということを確認するためにお聞きいたしておりますが、私どものほうとしましては、金の仕入れが事実ありさえすれば、それが密輸品であるかどうであるかということに関心はございませんので、そういうことについて調べはいたしておりません。ただ、後ほど別の事件といたしまして、東京国税局で岡島次郎氏の脱税につきまして査察立件をいたしたわけでございますが、岡島氏の経歴の中に、密輸関係で起訴され、逮捕されたことがあるといったようなことがありましたために、新聞でそういうことに関連して密輸云々という記事が出たことかと思いますけれども、増淵氏が密輸に関連しておったとかいうようなことは、私どものほうでは全然調べておりませんし、そういう事実について調査することはいたしておったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/51
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052・只松祐治
○只松委員 ちょっと途中ですけれども、建設大臣が出席されたので、平岡さんと交代します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/52
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053・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/53
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054・平岡忠次郎
○平岡委員 いわゆる瀬戸山構想をバックにいたしまして、今国会で、まず政府の買い上げる地価を抑制しようと土地収用法改正案が上程されました。その内容は、土地収用に関し、その補償額算定の時期を原則として事業認定の告示のときに改めて、いわゆるごて得を防ぐということを骨子といたしたものであります。政府の買い上げる土地の価格抑制のための第二弾が、ここに提案されている租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案であると私は解釈いたしております。これは周辺の民間土地に重税を課しまして、収用土地の地主を消極的に満足させ、政府買い上げの土地に関する限り、これを低価格に押え込もうという発想であるように私は理解いたしておるのであります。しかし、見落としてならないのは、民間宅造はこの瀬戸山構想によって阻害されることがあっても、前進は期待し得ないのではないかという疑問があるわけであります。民間宅造停止という犠牲の上によし政府の宅造が前進し得たとしても、これは跛行的前進でありまして、自民党政府の四十一年度から四十五年度にかけてのいわゆる住宅建設五カ年計画は、そのためにひっくり返る可能性があると私は心配いたしておるわけであります。
その理由は、政府の住宅建設五カ年計画は、御承知のとおり、六百七十万戸を想定いたしておりまして、そのうち政府分は二百七十万戸、四〇%にすぎません。民間に四百万戸、六〇%を依存せざるを得ない実情にあるからであります。誤解があってはなりませんので申し上げますが、私の言う民間とは、政府の計画にいうところの民間同様、不動産会社という意味ではない。国民一人一人、すなわち政府以外の国民全部をさして言うのであります。
瀬戸山建設大臣は、地価抑制二法案と政府の住宅建設五カ年計画の間に何ら矛盾をお感じ取りにならないかどうか、この点につきまして御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/54
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055・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 地価抑制と申しますか、地価の不当なと思われる値上がり、高騰、そういう事態が起こっておるということは、平岡さんももちろんよく御了解願っておると思います。したがって、これは住宅建設のみならず、国民の負担であります膨大な公共事業等、これは土地を離れてやるものは一つもありません。それがきわめて国民の負担を増しつつあるという現状も御理解であろうと思います。それがひいては、国民経済といいますか、あるいは産業のコスト高を来たしておる、あるいは国民生活のコスト高を来たしておる。簡単に申し上げて恐縮でありますが、重大な影響を及ぼしておる、これも御理解願っておると思います。したがって、地価抑制といいますか、不当な高騰を押えるといいますか、正常に復する、これはわが国における、いま最大と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、私は最大の課題である、かような理解に立っております。したがって、昭和三十九年に衆議院においても全員一致で、この問題に政府が取り組め、したがって、地価対策と申しますか、土地利用その他を含めて地価暴騰の抑制策というものを強く講ずべきであるということを決議されておるわけであります。これをどう実現するかということは、土地と社会経済との関係がきわめて複雑であり、また密接でありますからそう簡単でございません。政府は、御承知のとおり、いろいろな手段と申しますか、方法を講じて、できるだけこの抑制をはかろう、こういうことを進めておるわけでありますが、その中で土地収用法の改正でいまおっしゃったように事業認定時という時期を定めて、そのときの価格で評価して公共事業等の用地を取得する。これは何ら個人の財産権に不当に損害を与えるものでないと私どもは確信をいたしております。不当な利益を与えないかもしれぬけれども、不当な損害を与えておるものではない。といいますのは、地価の高騰の原因はいろいろあって、もちろん需要供給の問題もございますけれども、しかし多くは社会資本の投下、社会の進歩に伴ってそれを土地所有者が特別に利得をしておる、こういう現実であります。したがって、そういう特別な利得というものをこの際排除することが、わが国の国民全体からいって適当である、こういう考え方に立っておるわけであります。そういう意味で、土地収用法は、公共事業等の施行によっての不当な値上がりをチェックする、こういう考え方に立って改正をお願いして、衆議院は御可決願った、こういう事態でありますが、公共用地等の場合は、一応十全ではないかもしれないけれども、ある程度相当な効果がある、かように判断をいたしておりますが、しからば一体、それ以外の土地はどうなんだ。それ以外の土地は、ただ高騰、暴騰をそのままにしておくということは、地価全体の問題、土地というもの全体から考えて適切ではない。と同時に、社会公平の問題からいいましても、なるほど公共事業に協力する人はそれでいいかもしれぬが、その他は野放しということは、政治の姿勢として適当でない。そういう意味で、いま直ちに土地利用計画を立てて、その各種の使用を規制するということはそう簡単でございませんから、税制の面でその点をバランスをとろう、こういう意味で今度の税制改正を政府は出しておる、こういうことであります。
〔吉田(重)委員長代理退席、金子(一)委員長代理着席〕
住宅等の建設について、それでは、世間で言われておりますように、売り惜しみ等の現象が起こって住宅計画に逆行するではないか、こういう御意見があること、承知をいたしております。なるほど現時点における判断では、ある程度そういうこともあり得ると思います。御承知のように、世の中にはいろいろの考え方の方があると思いますから、あり得ると思いますけれども、私どもは、やはり長い目で将来を見て、地価というものはこういうものであるということを、この際わが国においては、特に世界に類例のない地価の高いわが国でありますから、その原則をどうしても国民の全部の方に理解をしてもらわなければならない、そのためには、当面はこういうある程度の支障があるかもしまけせんけれども、やはり長い目で見て、地価というものはそういうものであるということが一般に認識されますと、そこに安定の時期が必ずくる、こういう考え方であります。
なお、税制によって、不当に利得をされるところを押える。これは簡単に申し上げて恐縮でありますが、一般社会資本の投下によって、たまたま土地所有をしておる方々が特別な利益を得る、これをチェックするということは私は当然であろうと思う。それだから土地を売らないのだという人も多分にあるかもしれませんけれども、しかし、そういう制度が国家として確立されますると、売り惜しみをしても何らの利益にならないということになれば、おのずから安定する時期がくる、私はかような考え方を持っておる。非常に抽象的かもしれませんけれども、そういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/55
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056・平岡忠次郎
○平岡委員 あなたからちょうだいしましたこの本、瀬戸山三男著「日本の栄光」を私読ましていただきました。そこで、瀬戸山さんの土地哲学も時間があれば十分拝聴したいのであります。しかし、現在この委員会の場におきましては、そうやたらに場を広げていいわけではございませんので、当面政府が住宅建設五カ年計画というものを策定してこれを実行に移すという、こういう短期展望の中において、しかも、その住宅建設五カ年計画におきましては、民間に期待する部分が、政府自身が直接に手を下すものよりも比重が大きいという現実、この現実を前にいたし要して、あなたの土地収用法並びに租税特別措置法の改正というものが、民間の宅地造成を阻害する結果になりはしないかということをおそれ、お尋ねするのであります。その点について、具体的なあなたの御所見をもう一度お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/56
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057・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 明確なところは、実施をしてみなければ私はわからないと思いますが、言われておりますような事態はそれほど起こらないのではないか、と言いますのは、いわゆる地価を不当に押し下げるという考え方に立っておるわけではございません。案にありますように、三年程度の段階を設けて、不当と思われる利益の社会還元と申しまますか、国家に吸収する税制をつくる、こういうことをいたしておるのでありまして、私は、世間で一部に言われておりますようなおそるべき弊害ということはないと思います。もしそういう事態が起こりますと、これは今後の検討でありますけれども、政府の宅地取得は大幅にやらなければなりませんけれども、いまはお話のとおりなかなか国だけでまいりません。民間にも御協力を願っておるところも非常に多い。もしそういう非常な弊害が起こりますれば、私は、やはりいわゆる民間宅地造成という大規模な造成がありますけれども、それについても土地収用法を適用するという制度をつくる段階がなければならない、これはやはり日本の住宅建設というものが国民全体の基礎的な条件である、こういう考え方に立っておるわけでありますが、これはそのときのことでありまして、いまここでは問題にいたしませんけれども、私は、これは先ほど申し上げたとおりやってみなければわからぬと思いますが、それほどの弊害はいまは考えていない、杞憂されておるようなことはないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/57
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058・平岡忠次郎
○平岡委員 いま瀬戸山さんのおことばに、非常に重大なことが示唆されておるわけです。私は、あなたのお考えの論理的帰結は、やはり少なくとも首都圏国有とか市街地公有とか、そこまでいくと思うのですよ。やはりそれなしには瀬戸山構想はあり得ないのです。いま民間宅造と政府宅造と、現実には二本立てになっております。しかし、あなたの打ち出した構想の論理的帰結は、いま民間宅造自身を政府宅造が食っていかなければならぬという論理にいきつくと思うのです。この法律案が提案されたのはたしか五月十三日でしたが、その前の日、五月十二日に私が政府の主税局の担当者を私のところに呼びまして、この説明書、法案の骨子を聞きました。そのとき私はその担当官に率直に言いました。この法律案はよく自民党を通ったなあということを言うたんですよ。それから一ヵ月ほどたちますと、民間専門家筋から、利害関係者から騒然たる反対の声が上がってきたわけです。ともあれ、私はそれより一ヵ月前に、よくこれが閣議を通ったものだなあということを申し上げたわけなんです。
そこで、いまあなたのきわめて率直な見解のうちに、論理的にはやはり宅地造成においては国営的なことでやるべきであるとしており、その発想の根源は、あなたの土地哲学にあると思うのです。土地は商品ではないということですね。この思想は、単に瀬戸山さんだけの専売特許じゃないと思うのです。自由主義を謳歌する英国にもロイアル・ランド・コミッションというような思想があるということは、女王政府といいますか、土地はクイーンの所有であるという考え方、それから普通の登記上の土地所有者というものは、それを預っておるという思想ですね。そういうことで、単に日本だけでなしに、英国その他各国に、戦後の宅地造成、住宅建設の問題はやはり大問題になっておると思うのです。余談かもしれませんけれども、英国の、日本で自治省に当たる省は何と言うかというと、ローカル・ガバメント・アンド・ハウジング、ローカル・ガバメントは、まさにその仕事の中核的なものはハウジング、家をつくることだ、そういう看板が日本の自治省に当たる英国の省札に書いてあるのですね。ですから、瀬戸山さんのお考え方自身は、瀬戸山さんに特有なことではないわけでありまして、これは十分整合され、体系づけられる限りにおいては、日本社会党はむしろあなたをお迎えするぐらいの気持ちを持っておるわけですよ。ところがあなたは、足のほうは、自由主義経済の閣僚の一人として自由主義を踏まえておる。しかし、あなたの構想は、これはあなたの土地に関する哲学からいうならば、それは国家社会主義的である。そこまでかどうか知りませんが、そういう論理を持っておるわけなんですよ。
私の言いたいのは、非常に複雑なむずかしい問題をひっさげてあなたが一歩踏み出した。問題提起をしたという意味においては、私は非常に評価したいと思うのです。しかし、現実の租税論——土地収用法はあなたのほうの専門でしょうが、今度租税論ということになりますと、実にずさんだと言わざるを得ないのです。そこで、決断的に問題を提起した限りにおいては評価しますけれども、私は租税論として実に不可解なんです。主税局の局長さんはそこにおりますけれども、今度の場合においては、瀬戸山構想に押されて、受け身としてこの租税特別措置法の改正案を手がけたのではないか。まともならこんな改正案は出てこないのですね。そういう疑問を持っておるわけなんです。事ほどさようにあなたの投げた一石は大きいともいえるのです。
さてそこで、建設大臣、あなたは先ほどはたいしたことはない、弊害はないのだよ、民間の宅地造成に対しても障害にならぬだろうということをおっしゃいましたが、そうはいかぬということを、逐次私の見解として述べていってみたいのであります。具体的にこの租税特別措置法及び所得税法の一部改正案の骨格を追いまして私の見解を申し述べ、あなたの御所見を承りたい、かように考えます。
上程されております租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の内容を追っていきますと、第一は、土地等の収用対価に対し千二百万円の特別控除を認めたこと、なお、納税者の選択によっては、この特別控除制度にかえて、収用された資産の取得価額を代替資産の取得として引き継ぐことを認めているわけであります。私はこの点はあまり問題ないように思います。ただ、後段の代替資産の取得価額をして引き継ぐのを認めるという点には、あなたの心配されている土地価格を暴騰させる要因がやはりここにありはせぬかということを少し懸念いたしております。しかし、総じてこの第一項部分に対しましては私も賛成していいと思います。問題は第二の項であります。周辺の土地価格の値上がりに対しバランスをとらせるものとして、従来は個人が三年をこえて保有していた土地建物等を売った場合に、その譲渡所得の二分の一を課税所得としていたが、今回最高七割五分までこれを引き上げようとしておるのであります。この第二の改正点は、土地収用法の改正に伴って、安く収用された地主とその周辺部にあって地価の値上がりを享受する地主とのバランスをとることに端を発しておりますが、その後周辺部の限界線を確定しがたいので、これを全国一律に及ぼしたものと考えます。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、公共事業に関係なく全国に課税を強化することは、当初の趣旨を逸脱しておりまして、もはや土地収用法改正とは直接関係がないものと断ぜざるを得ないのであります。日本社会党は、税金をよけい取るということには原則的には反対です。しかし、瀬戸山さんのような土地を商品にしてはいけないという発想それ自身を否認するわけではないのですから、時と場合によってはこれにも応諾することもあると考えております。ただし問題は、この土地価格をうんと刺激して高値に持っていった元凶に対してこの法律の規制が及ばぬことです。つまり、法人関係による土地の仮需要とか、投資対象として土地を選ぶとかいう法人の利潤追求自身は譲渡所得税強化と何も関係がないんですよ。日本の土地価格をつり上げている元凶がその辺にあるにもかかわらず、それが譲渡所得税の規制によってはひとつも押えることができないという矛盾にぶち当たるわけです。御承知のとおり、法人は、土地の売買によって得ました利益に対しては、これは法人の決算における損益に出てくるわけでありまして、益がありました場合には三五%の法人税を取られるだけですから、高度の累進課税の対象にならぬ、ですから、この辺の一番大事なところが何ら押えがきいていないというところに、瀬戸山さんの構想——それが嵩高な一つのあなたのお考えであるにもかかわらず、まるでそれがくずれ去る要因があるように思えるわけであります。要するに、そういう一番押えるべきものが逃げてしまって、個人の土地所有者だけが非常に普遍的に、公共投資関係と何ら関係のないところまで課税の増強を強いられる。この矛盾をどうお考えでしょう。これは建設大臣並びに福田大蔵大臣、お二方からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/58
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059・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 いまの問題点は二つあると思うのです。
第一点は、公共事業に関係ないところまで増税をするのは適当じゃない。私どもはあえて何も増税を好むわけではありません。ただ、土地問題については、先ほど申し上げましたように、これは長いこと申し上げませんが、個人の生産するものじゃありませんから、そこで土地の価格というものはおおむね社会資本等の投下によって利用価値が上がったということで、たまたま所有者が大きく利益を得る、こういう事態が私はおおむねであろうと思います。これは何らの弊害がなければ放任しておいていいわけでありますけれども、これは弊害があるからということで、先ほど引用いたしましたように、国会でも決議されて何らかの措置を政府はとるべきである、こういうことまでなっておるのはそこにあると思うのです。したがって、一般的にやるのはおかしいじゃないかとおっしゃることは、やはりこれは一般的な問題として土地の価格というものを適当なものに安定させる、こういう意味においては私は不当ではないと思います。
第二の問題点として、個人所得あるいは法人所得とは違うじゃないか、さっき租税論云々がありましたが、残念ながら、租税論は私は全くしろうとでありますから、そういう深いことはわかりませんけれども、そういう点については、これはギャップがあると私も思っておる。これは大蔵省当局で地価対策の一環として御検討を願って御提案を願っておりますけれども、私はもっと突き進むことが必要である、こう考えておるわけです。といいますのは、土地価格の問題だけからずっと筋を通していきますと、これはいわゆる分離課税にすべきで、個人であろうと法人であろうと、分離課税に、土地所得あるいは土地価額というものはこういうものであるということですることが終始一貫した理屈になるんじゃないか。租税論云々は知りません。ただ問題は、分離課税にするとかあるいは総合課税にするとかということは、税制体系にそれこそ関係があるのでしょう。そういう意味で、直ちにこれをここで立法するということは早急にはできない、こういう御意見等もあって、これは将来の検討にまかせる、検討事項にする、こういうことになっておると私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/59
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060・塩崎潤
○塩崎政府委員 税制の仕組みのお尋ねでございますので、若干ふえんいたしましてお答え申し上げます。
土地収用地周辺の土地に限定すべきではないかというお話に対しまして、いま建設大臣からお話がございましたので、この点は省略いたしまして、今回の譲渡所得の一つの改正案が、なぜ個人だけを対象にし、法人の取得する土地に対して税制改正を行なわなかったか、こういう御質問だと思います。
ただいま建設大臣も、土地につきましては、いろいろな考え方があり、税制といたしまして分離課税の方向に進むべきであるというようなお話も出たわけでございます。私どもは現在の税制をしさいに検討いたしまして感じたのでございますが、現在の土地に対しましては複雑なる譲渡所得税が、個人、法人ともにあるわけでございます。そのうち、個人のほうは御存じのとおり半額課税である、この点につきましては、あとからおそらく平岡委員の詳細なる御質問があろうかと思いますけれども、この考え方は、シャウプのときに、譲渡所得は当然全額課税であるべきである、ただ、長年の発生した所得が一時に実現するのであるから平均課税をすべきだということで全額課税になりましたが、複雑なる平均課税を設けました。しかしながら、その後株式の譲渡所得が非課税になりました際に、株式の譲渡所得も非課税だというようなことのバランスを考えますと、土地についても緩和する必要があるのではないか、さらにまた、シャウプ流の平均課税方式が非常に複雑であるというようなことから、非常に単純な、シャウプが最もいけないと言った二分の一課税方式に変わったわけでございます。二分の一の課税を私どもは説明いたしまして、これは累進課税の緩和の方法であると言っておりますが、やはりこの方式は巨額の譲渡所得を有する者にとりましては非常に緩和し過ぎた結果ではないか、シャウプが言いましたように、やはり平均課税を考え、全額課税をする、つまり、全額課税をするほうがより理論的ではないかというふうな感じがしたのでございます。そういったことが言われておりますときに、土地についてこういった課税をすべしという要請があるわけでございます。そんなような関係で、個人につきましてはこの二分の一課税を何らかの形で合理化する、こういった趣旨から今回の御提案を申し上げたのでございます。
一方、法人の土地について、譲渡所得について何ら手当てしてないという点でございます。これはもう御存じのように、法人の土地につきましては全額課税であります。しかもまた、税率はただいま国税の法人税だけ申し上げましたが、事業税まで込めますと大体四五から四六くらいの実効税率になっております。個人のほうの税率は、半分にいたしますと、国税だけでは最高のところまでいって三七・五くらいで、こんな例はめったにありませんので、これよりずっと低い、また、住民税を入れましても最高で四〇をちょっとこえるところまでしかいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/60
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061・平岡忠次郎
○平岡委員 個人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/61
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062・塩崎潤
○塩崎政府委員 個人は半額課税でございますから、国税ならば七五の半分でございますから三七・五しかならないわけでございますね。そこで税率の違いもあるわけでございます。
それともう一つ、法人にはこういった特殊な事情がございます。御存じのように、個人は、これもまたおそらくこれから御質問の対象になろうかと思いますが、土地については昭和二十八年の相続税の評価額をもって取得価格としております。戦前に取得した土地についても戦後のインフレーションによって名目価格が高くなっているところから、その名目価格を排除するために昭和二十八年一月一日現在の相続税評価額を取得価額とする制度を設けております。このために取得価額のべースは少し高目でございます。ところが、法人のほうは、現在は過去に取得した帳簿価額でございますから、このほうの譲渡所得のベースは非常に低目になっております。そんなことからすると、法人のほうはむしろ高い課税を受けておる、こういうことが言えると思います。
こんなような関係で、個人と法人とは考えを変えても現在の土地課税に対する要請から見てもバランスがとれるのではないか、こんなような考え方で法人につきましては改正案を準備しなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/62
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063・平岡忠次郎
○平岡委員 答弁が冗長のときには大体内容がない。私はそんなことを聞いているんじゃない。瀬戸山さんは瀬戸山さんなりに首尾一貫しているんですね。法人によるところの土地の高騰の刺激があるんだからやはり押えるべきなんだとし、主税局のほうで法人の場合でも個人の場合でも同様に分離課税をすることを期待しているという御答弁があったわけなんです。それに対応するかまえが大蔵省においてあるのかどうか、その点をひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/63
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064・塩崎潤
○塩崎政府委員 私はやはり税は支払い能力によってきまると思います。分離課税はいい面もございますが、むしろ弊害がある面がございます。分離課税の最も大きな弊害は、たとえば、その人に非常な損失がある、あるいは欠損が過去から繰り越されておるといったようなときに譲渡所得が出た、これもおそらく過去の欠損を埋めるための譲渡所得だと思います。分離課税になりますと、そういった人的な事情が全く考慮されないでそのまま重課される。私は、税はやはり個人に帰属する所得のすべてを総合いたしまして、個人に備えられておりますところの人的事情あるいは経済状態は考慮しないといけない、そんなような意味で、たとえ土地の譲渡所得に対する課税においても、やはり分離課税は支払い能力の点から適当でないと思います。たとえば、赤字のある法人が土地を売るようなことが多いことは御存じのとおりでございます。そんなようなときに、分離課税という理由ではたして課税することがいいかどうか、これはよほど慎重に検討しなければいけない、所得税の体系あるいは法人税の体系の中では分離課税といったようなものは乗ってこないのではないか、転々流通する譲渡税とかあるいは移転税とかいったようなかっこうならば、私は分離課税の思想が出てまいるかと思いますが、譲渡所得税といえども所得税、法人税の体系でございますので、そういった分離課税の方式は私は適当でないと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/64
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065・平岡忠次郎
○平岡委員 大蔵大臣、御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/65
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066・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私は、平岡さんのお話、第一点の減税のほうは大体賛成だ、しかし第二点のほうはどうも賛成できない、こういうような腹でいろいろお聞きを願っておるようでございますが、第一点のほうは御賛成ですから別といたしまして、第二点の、ふえるほうをなぜ一体反対されるのだろうか、ちょっと私は理解ができない。私はあなたと同様に、土地は商品ではないという瀬戸山構想には賛成しております。そう思います。表現は別として、持っておる考え方自身は、私は賛成なのです。つまり、土地というものは生産できるものじゃない、普通の大量生産できる商品とは区別して考えなければならぬ。やはり私有財産下ですから私有財産ではあります。しかし、これは広く国民の利益のためにいわば信託を受けているという形の考え方をとることが適正である、私はこういうふうに思います。その信託下における土地を、所有するというだけの一点から、社会の開発、進歩のために地価が高騰する、その高騰した土地を売却する、それによって過高の利益を得る、これは社会正義の観念からいいまして、どうしても何らかの調整を要する問題である、こういうふうに私は考えざるを得ないのです。たまたま今度土地収用法の問題が出てきた。これはもうどうしてもこの問題に解決をつけなければならぬところに逢着するわけです。土地収用法で計画当時の価格で政府は収用する、ところが他の土地は何らのそういう規制が行なわれていない、こういう時点において、どうしても私が前段に申し上げました土地を所得するということそのことだけに基づく過高の利益、つまりこれは社会の発展に伴う利益ですが、これが調整をとられないでいいかという問題に決着をつけなければならない、こういうふうに思うのです。でありますから、どうしてもこれは何らかの措置を必要とする。まあ、いろいろ考えてみたのですが、税によるほかはない、こういう結論が今回の税制審議の問題なんです。
それじゃ法人のほうはどうするか、こういうお話ですが、法人は、いま主税局からお話のように、もとから全額課税です。これはもう手を加える余地がないじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/66
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067・平岡忠次郎
○平岡委員 租税論としてはあとからゆっくりやりますが、瀬戸山さんの時間的制約がありますからもっと大まかな筋を話して質疑したいと思います。
続けますが、今度の改正案の第三項目は何かといいますと、現行法では居住用財産を譲渡したときは譲渡資産の取得価額を引き継ぐ制度を認めておりますが、昭和四十三年一月一日以降からは、居住用財産を譲渡した場合は九百万円の特別控除を認める、また、土地等を居住用財産に買いかえる場合も譲渡所得の課税にあたって同様九百万円の特別控除を行なう制度としようとしております。前段の居住用財産を譲渡した場合の九百万円の特別控除は、たとえば未亡人等が居住用財産を縮小して将来の生計を立てる等の必要に応ずるというようなこともありましょうから、私は賛成に値すると思うのです。しかし、後段の居住用財産買いかえ特例の廃止は、たとえ九百万円の特別控除を新設したとはいえ、現行二分の一課税を四分の三課税に改める長期譲渡所得の課税方式改正とともに大いに議論のあるところであると思うのであります。建設大臣も福田大蔵大臣も茶飲み話としての甲論乙駁をされるのはかってですが、しかし政府が現実に五カ年計画を立てて、民間に非常に宅地造成の多くの部分を期待している最中において、いま私が指摘した、議論が大いにあるという二つの項目を含める税改正を出してきたのはどういうわけか。それで政府の五カ年計画が遂行できるのかどうか。問題をこの土俵に限ってくれませんか。私は非常に疑問を持つわけです。それに対するお答えがなく、ただ抽象的な議論では委員会の議論にならない。どうですか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/67
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068・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 いまあなたの御指摘の個人の住宅用の不動産、この問題につきましては三年後にこれを施行する、こういうことなので、これは土地の需給の状態からいえば、私は有効な効果を持つと考えます。
それからもう一つの問題は、いま土地を売って新しい住宅を求めたいというような気分があるわけですが、その場合に、土地を売って新しい住宅を求めるという人は、やはり近代的なこじんまりした住宅という傾向を持つようであります。ところが、今日の取得価額までは売った価額を差し引くという税制を放置しますと、どうしても必要な土地以上の土地を買い入れるという傾向を持つ、私はそういうふうに見ておるわけであります。したがって、土地政策の面からいいますると、今日の税制というものは土地政策の正しいあり方とは逆の効果を与えておる、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/68
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069・平岡忠次郎
○平岡委員 あまり議論してもしょうがないですから、私は結論的に考えていることを申し上げたいと思うのです。
結論的に申せば、地価対策二法案は政府の買い上げる土地は安くなりますけれども、民間の土地流動化を押えるもろ刃の剣となり終わる公算がきわめて大であるということを指摘したいのであります。かくては都市超高層化による再開発も、工場の疎開、大学の疎開あるいはまた民間企業によるニュータウン建設等も全く不可能になるのではないかと思います。ここでもっと具体的に事例を引いて申し上げたいのであります。
あなた方も御承知かもしれませんが、これは自民党政府とは親戚筋の経済同友会の発想にかかる宅地造成の問題があります。政府自身の策定した住宅建設計画それ自身でも民間に期待しているのですから、これに相応ずる一つの発想が出てもこれは当然だと思うのです。そこで経済同友会が、官庁ばかりにはまかしておけないというそういうきっかけから、大団地造成民間版として一つ大きな企画をしようということで寄り寄り準備をしておるということを聞いております。新都市開発株式会社というものを興しまして、たまたま私は所沢の居住者ですが、所沢ニュータウンの構想を打ち出しています。当初の宅地計画が三百六十万坪、それから先行き一千万坪に及ぶニュータウンを民間の創意と資力をもってやっていくという構想が立てられ、現実に一歩踏み出していると聞いています。まさにそのときに、今度この法律案ができますと、全然土地取得はできなくなるわけですね。こういう点につきまして、民間の会社ですから、まさか土地収用法をもって土地取得を強行するわけにはいかぬ。それで収用法が適用されない限りは、逆に用地取得が壁にぶつかるわけです。
まず、どういうことになるかといいますと、一つには売り惜しみないしは切り売りです。一ぺんではよけい累進課税が作用しますから、五カ年とか七カ年に分けて売る、そういう切り売りを招くことになろうと思うのであります。そうしますと、宅地を大量かつ迅速に供給するということは当然阻害されます。また第二番目に、居住用資産買いかえの特例を廃止するということでありますから、土地ないし住宅を売って別のところに引っ越していこうとする意欲を失わせまして前段と同じことが起こると思うのであります。
この辺につきまして、現実の問題として政府はどういうふうに対処しようとしておりますか。先ほど建設大臣のお話では、将来は民間にも、民間の企業といえども土地収用法を認めるというところまでいく考えが私にはあるということをおっしゃっているわけですね。現実のこの問題に対してどう政府は取り組み、どう対処なさろうとするのか、ひとつ明快にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/69
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070・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 こういう税制をとると民間の計画は不可能になると言われるが、私はそうまでは考えておりません。これはさっき申し上げましたように、やってみなければわからぬといえばそれまででありますが、率直に申し上げて、いま変革の時代ですからここに非常に矛盾があるのです。平岡さんのお考えをもし正面に持ち出しますと、幾らでもいいから高いのをどんどん買って宅地を造成し、家を建てたらどうかというのは、一つの手段であると思います。しかし、いま国民が一番問題にしておりますのは、幾らできても高くて手に入らない、コストによって家賃を取ったり、宅地を分譲したりしますから、そこに矛盾があると私は思います。私どもは、もちろん経済を破壊して、そうして個人をつぶして土地政策はできるとは思っておりません。また、そういう考え方は基本的に持っておらない。そう急激な変化を起こそうとはこの税制では考えていないのであります。もっとドラスティックな方法を考えることはできますけれども、これは社会を混乱さして実効が伴わない、そういう配慮をしながら漸進的にやろう。むしろ社会党のほうからはなまやさしくて、そんなものじゃだめだといっていつもおしかりを受けておりますけれども、しかし、いまおっしゃるように、現実の問題としてそうはなかなかまいりませんから、まあ、おしかりを受けながらも漸進的な方策を講ずるよりしかたがない。高く買えば幾らでも売るからそれでやったらよかろうという考え方にはどうしても賛成ができない。それはなぜかというと、やはり一般社会が求めておりますのは、宅地も家賃もできるだけ安く、そういうことでありますから、そのかね合いと申しますか、バランスの問題を私どもは考えながらやはり住宅政策を進めていかなければならない、かような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/70
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071・平岡忠次郎
○平岡委員 所沢周辺での一千万坪。関東平野のどまん中ですから、それであれは松平知恵伊豆守の領地であった昔から非常に区画がりっぱにできていまして、所沢周辺でしたら大体が自作農、これは昔から自作農が多いのですけれども、大体七町歩前後耕作していますね。それが首都圏建設の影響を受けまして、逐次アイヌ族が北海道に追い払われたように、武蔵野の森の陰に生活を営んでおった農民諸君は、これはアイヌとは違うかもしれぬけれども、大体後退に後退をしていくということなんです。それで滅亡していく先住民に対するはなむけが何であるかということになりますと、大体五町歩といたしまして、この住宅建設ということになりますれば、全部一括して買収するわけですから、反当たり四百万円といたしましても、五町歩で四、五の二十ですから二億円くらいの売り渡し価格になろうと思います。二億円の価格の場合、従来の二分の一を非課税とする法律で計算してみますと、国と地方税を合わせまして五千五百五十六万円ないし五千八百八十六万円の税負担であるものが、今回の改正によりますと、税金は一億一千九百七十八万円ないし一億二千八百九十五万円ということになる。ないしと申し上げたのは、所得税法はきまっておりますが、しかし地方税は所得税額を受けまして、通常の場合には市町村税におきまして一八%、ただし、条例によりましては、その五割増しの二七%までいけるということを計算したわけです。そういう理由です。都道府県税は四%ですからこれは変わりません。この計算の想定には、いま言った五町歩に対して一反四百万円という計算の基礎に立っている。それから取得原価等を一千万円、こうはとてもなりませんが、かりに一千万円と想定をいたしております。そういうことで、概略従来のものは五千五、六百万円の税金を払えば足りたものが今度はその倍額一億二、三千万円というものが税金として取られる。こうなれば土地は絶対動きませんよ。それではこういう人たちに、これが不当の利益であるかどうか、そういう議論には別建議論があると思うのです。この点は塩崎局長が首をかしげているから私はあとから教育しますが、いずれにいたしましても、現実のこういう計算が提示された場合、これは経済同友会の、政府のどういうバックアップによってやるのか知りませんが、この所沢ニュータウン計画というのは画餅に帰するということは必然ですね。しかも、経済同友会というのはあなた方の親戚筋ですから、政府のこの五カ年計画に大いに協力しよう、それで官庁のあるいは非能率であるところに、民間の創意と濶達な人たちの企画によって民間版を出してみようという意欲に燃えているわけですね。この辺の調整をおたくのほうはどうなさるのですか。私はあまり関心はないけれども、第三者として傍聴席、観客席におって政府がこれをどう始末するか、非常に興味を持って見ているわけです。福田さん、どういうふうになさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/71
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072・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そこが三年間の猶予を置いておるところでもあるのです。あなたは土地政策に支障があるということを非常に御心配のようですが、私は、土地政策にこの税法は支障はない、むしろ有効な効果がある、こういうふうに考えております。三年後には税法にきめるフル課税になる、早く売りたいという意欲が出てくるのは当然だろうと私は思います。そういうようなことで、当面緊急とする土地対策に対しましては有効な効果を持つ、こういう見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/72
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073・平岡忠次郎
○平岡委員 福田さんもよく御承知でそういう答弁をしていると思うのですね。経済同友会の計画をやるためには、さっきちょこっとほんとうのことを建設大臣はおっしゃったのですけれども、やはり民間のそういった筋の通った会社には収用法は適用するか、あらためて租税の面で別なことを考えるとか、そういうことをやろうという含みがあるのじゃないですか。はなはだ答えにくいことであろうと思うのですが、私はそういうことも聞いているのです。土地収用法を準用してもいいんだという考え方があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/73
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074・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいま私はそういう考え方を持っておりませんけれども、これは土地政策の今後の推移を見まして、そういうこともあるいは考えなければならぬかもしれない。しかし、あなたは、所沢ニュータウンの話ですか、これは行き詰まるというように申されておりますけれども、今回のこの税法改正、これは三年後には税法にきめられるフル課税になる、段階的にいくわけですから、したがっていまのうちにという売り急ぎの傾向は私は出てくると思うのです。そういう意味において、いま御指摘の所沢の問題なんというようなものに対しまして有効な効果がある、かような見解であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/74
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075・平岡忠次郎
○平岡委員 途中ですが、ここで中断して、只松さんからさっきの結論を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/75
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076・只松祐治
○只松委員 ちょうど山場で中断をいたしまして、これ以上この内容を蒸し返したり論議しましても、警察や何か取り調べをするところではございませんので省略いたします。
国税犯則取締法の第十条によって頴末書をおとりになっておると思いますので、それをひとつ資料としてお見せいただければ、それであと私のほうもいろいろ調査したいと思いますので、それをお見せいただけるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/76
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077・泉美之松
○泉政府委員 本件は、まだ調査査察立件をいたしまして間もない時期にこういう事態になりまして、まだ調査中の段階でございますので、いま直ちにお話のような記録をお見せすることは至当ではないので、将来のことでございますれば別でございますが、いま直ちにはごかんべんをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/77
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078・只松祐治
○只松委員 将来も将来によりけりで、近い将来ということならばまあそういうことでよろしゅうございます。何年か先の将来ではあれですから、きわめて近い将来ということでお見せをいただければけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/78
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079・泉美之松
○泉政府委員 別段そんな何年も先ということを申しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/79
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080・只松祐治
○只松委員 これは大臣にひとつお考えなりお答えをいただきたいのですが、まだこの事件は調査の段階でございますけれども、関係者の話を総合いたしますと、密輸などということはない、それから脱税ということもない、こういうことでございます。これは今後にあるが、まあよしんば脱税というものが——これは刑事犯罪と違いまして、税金の場合には脱税が一つもないかということになりますと、これは全国民一つもないということはないと思うので、その状態によると思う。それほどたいした脱税の状況がない、こういうことになれば——関係者はそう言っておりますが、あるいはそういうことがないとしても、こういうふうに局の建物の中で、他の要因によらない。いわゆる国税局の取り調べによる要因によってこういう事態が起こったということに関しては、私は、えりを正さなければならないだろう、こういうふうに考えます。私は、これも国税局長を責めるだけ責めておるのではなくて、税務行政全般について、やはり信賞必罰と申しますか、第一線に立っていろいろ御苦労をなさっておる、国務の遂行、重要な任務を遂行されておるわけですから、賞すべきものはやはり賞さなければならぬだろう、そういう点も、国税庁の場合には私たちは寡聞にしてあまり聞かない。さらに内部犯罪というものもたくさんあるわけなんです、これはそういう危険の多い部署で働いておられるのですから。そういう者に対する必罰というものも、内部ではいろいろおやりになっておるようですけれども、外にはそれが出てこない。ひとつこういう際、私は信賞必罰というものを行なうべきであると思いますが、大臣の御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/80
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081・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 当局におきまして調べたところでは、取り調べに行き過ぎがあるという見解ではございませんでした。しかしながら、庁内において取り調べの過程においてああいう事件が起こった、これはもう非常に遺憾なことでございまして、こういう問題を契機としまして、税務の執行にあたりましては、国民の皆さんにできる限り親切にやるようにこの上とも指導してまいりたい、そういう心がけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/81
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082・只松祐治
○只松委員 犯罪というのは、自己の意思に基づかないで、過失によって起こる場合もあるわけです。それから、こういうふうに社会が複雑になってまいりますと、自己の過失だけではなくて、他人の要因による過失もある。しかし、問題の責任の所在というのは、そういういろいろなことがあろうとも、たとえば交通事故等で、最大限の注意を払っておってもやはり大きな事故が起きると、たとえば国鉄なら国鉄、私鉄なら私鉄当局というものは、それに対して応分の責任というものをとるし、えりを正す、こういうことがあるわけです。たとえば桜木町事件のような、あるいはいろいろな国鉄の事故にいたしましても、みずから起こそう、運転士がみずから死を覚悟してやるようなことはない。過失によって起こることがたくさんあるわけです。しかしその事件関係者というものは責任を負うわけです。それでは税務署内なり国税庁でどういうものがいわゆる事件として起きるか、私は国税庁の中でそうたびたび——私はいろいろ知っています。知っていますけれども、そういうことの責任をとれとか、そういうことではない。こういうふうに明白に取り調べ中に事件を起こしたならば、それはその人たちは応分の責任というものは負う、こういうことがないと、次長の話ではないけれども、警察は拘束力を持っておる、われわれは拘束しておるのじゃない、拘束しておったのではない中で死んだのだから、警察の自殺や何かと全然違う。確かに法律上はそうかもしれません。しかし、道義上——自分らが拘束したところで死んだのじゃないから知らない、そういう論理ならば、先日も副社長かだれかお見えになって、こういうふうにしておるからひとつお手やわらかに頼みます、こういう話なり、あるいは、自殺するかもしれないというようなことを口走ったり何かしたことがあるわけです。にもかかわらず、そういうことは全然意に介さないで、拘禁しておる警察ならば相応に対処するだろう、ところがそういうことを意に介さないであくる日呼んで調べておる。私はそういうものの法律上から見た責任論争をしようとは思いませんけれども、やはりこういう機会に、えりを正すべきものは正し、罰すべきものは罰し、賞するものは賞して問題を処理していかないと、国民の信頼を税務署がかち得る、国税庁がかち得ることにはならない。そういうことを牽強付会に言ったからといって、決して国税庁の信頼を得る道には通じないと思う。ぜひ私は、責任の所在というものを明らかにして、えりを正していただきたいと思いますが、重ねて御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/82
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083・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 御意見としてよく承っておきますが、とにかくああいうことが庁内で起こるということはまことに遺憾千万です。そういうことを契機といたしまして、ますます税務当局が国民に親しまれるような指導をしてまいりたい、これが私はこういう問題に対して当局としてとるべき最善の方途である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/83
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084・只松祐治
○只松委員 いま大臣から意のあるお答えをいただいたわけでございますが、私がこの問題を取り上げて、あるいはこの前も平岡さんと一緒に取り上げてきたのは、何も国税庁当局の責任を責めるだけではない。税務署というのをもっと——私は個々の税務署に参りますけれども、玄関にもう少し木を置いたらどうですかなんてこまかいところから始めていくのですが、もっと税務行政というものを明るいものにするように、大蔵当局、国税庁当局はひとつぜひ努力をしていただきたい。まあそう言っては何ですけれども、大臣行って、調査官、査察官の顔をごらんなさい。刑事さんと言っては失礼だけれども、何か犯人を追う人の顔と一緒であってはならぬと思うのですが、大体犯人を追う人の顔とそう変わらないですよ。そうじゃなくて、税務行政というものは暗いところであってはならぬし、明るいところでなければならぬ、このことを繰り返し私は言っている。私は、税務行政が暗いということは、政治が暗いということだと思います、昔の悪代官のころから。私は、税務行政が明るいということは、これは喜んで金を出す人は少ないので、何といいますか、無定見に明るいということではないと思いますけれども、少なくとも税務行政は明るい方向を向いていかなければならぬ。ところが、こういう事件が幾つか重なってきますと、決して国民は明るいものとは思わない。東京のある署の管内でも、お医者さんの奥さんが、てんかんではないのですがひっくり返った。そういう事件が起こっても税務署の職員の人は逃げちらかして、そのこと自体を処理しなかったり、こういう類似の事件というのは私は幾つか知っておる。そういう問題を一々出しますと、そういう関係者に、それこそ信賞必罰で責任の問題が起こってきますので私は個々の具体的例は出しません。けれども、そういうことを幾つか知っておる私として、繰り返しそういうことが再び起こらないように明るい税務行政というものをお願いしておるわけです。ひとつ、こういう機会にぜひ大臣なり長官の格段の通達なり何なりを出してそういう方向に指導して、増淵さんの死を——これは私はよく自宅に行ってこういうことを非常に痛感してきたわけですが、奥さんなり小学校一年の子供をかかえてどうするかという状況、隣近所が寄ってこない、こういう状況を見まして、これを決してむだ死ににさせないで、この増淵さんの死を契機としてそういう点をひとつ反省をし、もっと税務行政を前進させていただきたい、こういうふうに思って、たいへんくどいようでございますけれども、質問なり議論を申し上げてきたわけです。ぜひひとつおくみ取りをいただきたい。
以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/84
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085・三池信
○三池委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時二十八分休憩
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午後三時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/85
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086・三池信
○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/86
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087・平岡忠次郎
○平岡委員 午前中に引き続いて質疑をいたします。
その前に、土地譲渡による収入二億円、取得価額等一千万円、譲渡益一億九千万円の場合についての国税、地方税合算の税額は、現行法で五千五百五十六万円、改正法案では四十四年度以降で約一億二、三千万円となり、著しく課税強化となるから、土地の売り惜しみ、または数ヵ年にわたる分割供給となり、政府の期待する民間宅造が阻害されるのではないかとの私の質問に対しまして、大蔵大臣は、右の課税強化が完全に働くのは四十四年一月からであり、その間漸進的重課税の方式をとるのでその心配はないとの答弁があったわけであります。そこで私は、念のためにこの経過的漸進的税額がどうなるかということを計算してみました。そういたしましたところ、四十一年中の成約では現行の五千五百五十六万円がそのまま税額となり、それから四十二年中の成約は八千五百七十万円、四十三年中の成約では一億二百六十万円、四十四年以降は先ほど申し上げたように一億二、三千万円となるわけであります。ちなみに収用の場合について改正法でどうなるかということを計算してみますと、これは三千三十六万円であります。いずれにいたしましても、公的機関によるものと一般民間によるものとの間に土地提供者に対する課税の格差は右のごとく過大に広がっておるわけであります。このことは、両大臣のしからざるべしというお答えにもかかわらず、今後の民間宅地造成事業を強くはばむに間違いございませんし、また、二年前に成立した住宅地造成事業法の第二十条で政府がその助成を約束していながら、かくのごとき税制改正をはかることは、結果的には政府の住宅政策とも矛盾をいたし、民間宅造の推進を大きく妨げることは必至であると思います。数字をあげての私の解明でありますので、そのとおり虚心にお聞き取りを願いたいのであります。
そこで、両大臣も実はこのことに気づいていらっしゃると思うのです。したがいまして、この改正租税特別措置法が通りますと、確かに当面これは土地供給が阻害されるということ、このことはお気づきになっていると思うのです。そこで、一つのうそを飾るために他のうそと申しては何ですけれども、他のうそをつかなければならぬというそういう論理が働いてか、何、そのときには民間の宅造を大いに推進するようなおぜん立てをするということをほのめかしておられます。私があえて推測いたしますなら、特殊な民間企業によるところの宅造については、場合によっては土地収用法を適用させるという御意図があるようにも見受けられます。もう一つには、今後新住宅市街地開発法に関し税制上特別の措置を講ずる、この二つの道があると思うのです。大蔵当局としてはどのようにお考えなんですか。どういうふうに現実に、政府が計画しておる——民間宅造を当て込んでいる政府の施策、この路線を確実ならしめるために、これとまっこうから矛盾するこの租税特別措置改正法をどういうふうに取り扱っていくのか。租税特別措置法自体は、結局大臣自身もいわゆる土地供給をはばむものだ、できるだけこの税制による漸進的重課方式によって、土地の所有者から、自発的に早く手放せばそれだけ得だという漸進方式によって土地の供給をさせる、だけれども、いよいよだめなら、四年目くらいから伝家の宝刀として民間企業にも収用法を用いしめることがある、こういうかまえなのかどうか、非常に重要な問題ですからお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/87
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088・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 民間企業に土地収用法を使うということは、ただいまは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/88
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089・堀昌雄
○堀委員 関連して。
具体的には兵庫県の芦屋と有馬を結ぶところに芦有開発株式会社という利益を目的とする会社がある。これが開発銀行をペテンにかけて金を借りた、そうして芦屋から有馬をつなぐ道路をつけている。その道路を事業認定をした際に、それにインターチェンジが要るのだということで、他人の土地に対して土地収用をかけて、現在これは係争中なんです。私はこれを当委員会で二回ほどやったことがありまして、具体的にこういう利益を目的とした民間会社が道路の関係の法律のもとに土地収用をやっている。だから、土地収用ができるのは、私どもはこれまでは公的な機関のみと、こう考えておったところが、これはもうそういうことで、民間会社といえども土地収用ができる、だから目的のあり方によっては、これはいろいろと変わってくる、こういう実例はあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/89
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090・平岡忠次郎
○平岡委員 堀さんの例は、裁判をしているくらいですから、これは本筋じゃないと思うのですが、本来でしたら、やはり国とか、地方自治体とか、あるいはそれと一連の立場に立つ住宅公団とか、そういう機関だけが強制収用を用いることができるというのが常識だと思うのです。ただ、非常に大事な点は、所得措置の改正案によって土地供給というものが阻害されるであろう、そういう事実の・前に、政府のほうは租税特別措置の改正案を撤回することなしに切り抜けようという方途を考えている、その場合にはさっき私が言いました所沢ニュータウンを計画している経済同友会の新都市開発株式会社のような企業体には、たとえ民間の企業体であっても土地収用法的なものの権利を与える、そういう考えがあるのではないのかという点です。先ほど来、建設大臣の主張は首尾一貫しているのですよ。私のそうした質疑に対しまして、それは土地収用法なり、あるいは私がただいま申し上げたような新住宅市街地開発法を改正をして、即応した体制をとることもあり得るという御示唆があったわけです。この点は非常に重大なことですから、もう少しはっきりお答えのほどをお願いしたいと思います。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/90
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091・三池信
○三池委員長 御静粛にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/91
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092・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 途中からでありますからよくのみ込めないところがあると思いますが、先ほどもお答えいたしたわけでありますが、私は今度の税制の改正で平岡さんが懸念されているほどは懸念しておりません。ある程度の問題点があるであろうということは考えておりますけれども、ざっくばらんに申し上げて、やってみなければどういう事態が起こるか、いまのところは明確にはお互いにこれは断定ができない。ただ、私は住宅政策と申しますか、住宅問題については、これはまだ政府の統一した見解であるとかあるいは研究した結果であるとかということではなしに、住宅問題というのは人間の基礎的な問題である。そういう意味で、集団的な住宅を建てる場合に、たとえ民間の企業であっても土地収用法を使わせるといいますか、適用するといいますか、そういうことを考えなければならない時代がくるかもしれない、こういうことであります。
それはなぜかと言いますと、民間企業であっても、御承知のとおり公益的な、あるいは公共性の強いものは現在土地収用法をたくさん使っております。従来、住宅というものは個人のものである、したがって住宅についてはやらないというのが、一般の収用法あるいは憲法上の解釈でありましたが、数年前の土地収用法の改正でも、五十戸以上の団地は住宅であっても収用法を適用するということで、いま収用法を改正されております。私は、そういうふうに、一体社会公共とは何ぞやということは時勢の推移によって変わってくるものである、そういう意味で、どうしてもそういうネックがあって、いわゆる社会生活に重大な支障を来たす、こういう事態が起これば、いま申し上げたようなことも考えなければならない時代がくるかもしれない、これはそういう考えを持っておるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/92
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093・平岡忠次郎
○平岡委員 私は建設関係のことはしろうとなんですが、あなたがいまおっしゃった五十戸以上の住宅経営の場合の用地取得は収用法がかけ得るという、これは私企業ではないからでしょう。私企業ではそういう例はないはずです。公的機関による宅地造成に関して、は、五十戸をつくるというようなことであってもかなり重大なことであるから、やはり土地収用法を適用させるということ、このことをあなたははき違えておっしゃっていると思います。これは土地収用法の第三条それから租税特別措置法の第三十一条に該当します。しかし、これを行なう主体はあくまでも公的機関なんですよ。私はそう理解をしているのですけれども、あなたがいまおっしゃったのはあなたの勘違いであるのか、私的な機関でも収用法が適用できるものであるか、明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/93
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094・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 もちろん現収用法は地方公共団体等がやるいわゆる住宅建設であります。その際の議論を私は申し上げたのです。従来、住宅というのは個人の財産である、個人の問題であるという観念が数年前までは支配的であった。したがって、住宅建設について土地収用法を適用するということは適当でないという議論がありましたけれども、時勢の変化によって、住宅というのも、これは公共団体がやる場合はきわめて公共性が高いものである、こういうことで改正になったということを申し上げた。現在はさようになっております。ただ、民間企業でも電気事業その他公益性の高いものは、もちろん収用法が適用されることは御承知のとおり、そこで、住宅問題というのはきわめて公益性が高いものである、こういう観念が私は現在の世相であろうと思います。個人の居住でありますけれども、人間の居住というものは最高の場であるという観念がだんだん進んでくろ時勢であろう、そういう意味で、必要が生じてくれば、個人の企業の大住宅団地建設といえども土地収用法を適用しなければならないという時代がくるかもしれぬ、必要性を生ずるかもしれない。もちろんそのときは私企業でありましても、やはり公共団体がやるような公共性の高い宅地造成あるいは住宅団地の建設というものは、もしそうかりますれば当然側面の規制がかかる、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/94
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095・平岡忠次郎
○平岡委員 とにかく瀬戸山建設大臣の主張は、主張としては首尾一貫している。ただ問題は、その御主張自身が現時点において、あるいは現時点にきわめて近い時点において現実の、税法なりあるいは土地収用法なりの改正等を通じて実現していくのかどうかという点が関心事であるわけです。
途中で中座をされましたから、もう一回かいつまんで私の言わんとすることを申し上げますと、政府は五カ年計画によって住宅建設を行うことをきめました。その計画によりますと六百七十万戸を想定しておる。その六百七十万戸のうち、四〇%に当たる二百七十万戸は政府の手によって、自余の六〇%に当たる約四百万戸は政府以外の民間の手によるべきことを期待して五カ年計画を発表いたしておるわけです。そこで、政府の公共投資の貴重な金はなるべく効率的に使いたいという気持ちから、なるべく政府の買う土地を安くしようということ、そういう動機と申しましょうか、そういう必要性をお感じになって土地収用法の改正案をまず出し、それと一連の立場において租税特別措置法の改正案というものを推進された。要するに、地価抑制の二法案が出そろったわけなんです。
結論的にかいつまんで申し上げれば、確かに政府自身のお買い取りになるべき土地はこの二法案によって非常に低く買い得る道が開けたと思います。しかし、地価抑制の二法案のうちの租税特別措置法関係の改正案は、実はもろ刃の剣であって、政府の土地取得には都合がよいけれども、民間の土地取得に対しては決定的なオブスタクルになるという、このことをあなたはお認めになら、ざるを得ないと思うのです。先ほど建設大臣は、そんなことはやってみなければわからないのだ、だからそう心配しないと言うのですけれども、それでは議論が少しざっぱく過ぎますから、私は具体的な事例といたしまして、譲渡収入二億円、原価等一千万円、譲渡利益一億九千万円のそういう場合を想定しましての計算をやってみたわけです。そうすると、先ほども申し上げましたが、おおむね次のような計算が出てまいるわけです。
私が計算したところを申し上げますと、四十一年中の成約では、現行法が適用されますから、税額は国税、地方税を合算しまして五千五百五十六万円であります。四十二年中にはどうなるかといいますと、これが経過的措置の第一段階でありますので八千五百七十万円になります。四十三年中の成約は一億二百六十万円になります。四十四年以降はフルに働きますので約一億二千万円ほどになるわけであります。いずれにいたしましても、現行五千五百五十六万円が異常な重課になることはこの数字で明白であります。なお、参考までに収用の場合の改正法案によるとどうかという点になりますと、三千三十六万円ですから、あなたの御意図が十全に反映されておるわけですね。ただ問題は、御意図が十全に反映し過ぎまして、結局公的機関によるものと一般民間によるものとの間に土地提供者に対する課税の格差が開き過ぎるという結果を招来しておるわけであります。このことは、あなたの、たいしたことはあるまいというお答えにもかかわらず、今後の民間宅地造成事業を強くはばむことに私はなると思うのです。
それで、その点をお尋ねしますと、大蔵大臣も、これは段階的だからだいじょうぶだということなんですけれども、いま私が休み中に計算したところによっても、大蔵大臣もそう簡単ではないということをお考えになったと思うのです。事実、この租税特別措置法自身を少し軽率に出したけれども、これは政府の意図する民間に期待する宅造が困難になるということはもはやお気づきになっていることと思う。では、これを何とか打開する方法はないかということになりますと、いまさら租税特別措置法の改正案を引っ込めるわけにはいかぬからということで、なお、うその上塗りと申しましょうか、別な方途にこれを求めるという意図が働かざるを得ないと思うのですよ。
それについては、私が具体的な問題としたほうがわかりいいので申し上げたのですが、経済同友会が官庁の開発だけにはまかしておけないというきっかけから、大団地造成民間版をひとつ手がけようということで、新都市開発株式会社というものをつくって、所沢ニュータウンの構想をぶち出しておる事例、これはさしづめ三百六十万坪を対象とし、行く行くは一千万坪の大団地造成をやるということです。経済同友会は政府の企図する五カ年計画に相呼応してこのことをやろうというのですから、政府から文句をいう筋はないですよ。非常に歓迎すべきことなんです。それにもかかわらず、結局はこうした経済同友会の発想自身も画餅に帰するようなオブスタクルを税法上つくったということ、この点に矛盾はないかということです。そうしますと、あなた方お二人から、そう明確ではないのですが、その場合には民間企業といえども、合理性のあるりっぱな会社である限り、土地収用法を認めてやってもいい、そういう機運が生まれてくるに違いないという趣旨のお答えとなったわけであります。
ですから、私のいまあなた方に問いたださんとすることは、将来そういうことがあるというようなばく然としたことではなしに、このテストケースとしての新都市開発株式会社に対して、土地供給がうまくいかなかった場合においては、土地収用法の権限を与えるという用意をしているのかどうかということです。ところが、民間主体の会社が土地収用法を持つということになれば、これは一般国民から吹き上げられますよ。法的人格でありますけれども、われわれと同列な個人が強制法を適用するということはたいへんなことです。したがいまして、政府自体は、今度はそれに基準を設けたり、うんと介入してくる。そうすると、結局土地問題に対しては官僚統制がオーバーウエルミングな力を持ってくることになる。私はだから自民党さん自身の自由主義経済それ自体とまるであべこべな一つの結果が出てくるということで、いま異常な興味を持っており、現実にあなた方がどういうふうにこの問題を解決するか、お答えをぜひとも聞きたい、こういう趣旨で質疑申し上げておるのであります。だから、具体的に所沢ニュータウンを計画している経済同友会主催による新都市開発株式会社に対してどのように対処するか、具体的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/95
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096・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 私は所沢ニュータウンの経済同友会の計画というのは詳細には知りません。新聞でそういうふうな構想があるというようなことをちょっと見たようなことはありますけれども、具体的にどういう計画かということは残念ながら詳細知りません。
なお、いまお尋ねでありますが、この平岡さんのおっしゃった具体的な計画について土地収用法の適用があり得ることを現在考えておるのかというお尋ねですが、それも現在考えておりません。私が先ほど申し上げたのは、もし住宅建設について平岡さんおっしゃるような、何と申しますか、国民全体から見て不適当な事態が起こって、必要性を国民の多くが認めるという時代になれば——あるいはなるかもしれない、住宅問題というのはきわめて大事な問題だと私は思っておりますから。国民の考え方がそうなるという時代になれば、私は、いわゆる個人会社といえども、住宅問題というのは相当公共性の高いものだと、これは私の見解でありますが考えておりますから、そういうことも考えられる時代が来るかもしれぬということを申し上げておるのでありまして、具体的な、いまおっしゃる計画について土地収用法を適用しようかという案をいま考えておるということはございません。ただ、先ほど来御議論がありますように、そういうことをすると住宅建設計画を税制によってチェックするじゃないかという御議論があるわけであります。そういう議論というのはもう長い間議論がされてまいりまして、そういうラフな答えじゃいかぬとおっしゃるかもしれないけれども、そうであるかもしれぬ、あるいはそれほどでないかもしれぬ、これに両論あると思います。したがって私は、ざっくばらんに、やってみなければどっちが適切かということは、いまのところは断じかねるということを申し上げておるわけであります。私どもが、皆さん方はどうお考えになっているか知りませんけれども、土地政策あるいは地価対策ということを考えておりますのは、必ずしも住宅政策だけじゃないのでありまして、幾らでも高く買って、どんどんつくったほうがいいじゃないかという考え方では地価対策は永久にできない。ある程度のトラブルがあり、ある程度のネックはあるかもしれないけれども、漸進的に、土地というもので多くの利益を得るという投機的な考えというものはこの際わが国においては漸次改めていくべきものである、そういう基礎的な考え方でいろいろ対策を講じようという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/96
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097・平岡忠次郎
○平岡委員 大蔵委員会の場というのは、現実の法案審議なんですよ。あなたの土地哲学は、まあ融通無碍ということですか、そういうことですから、発想的にはいろいろおもしろいのです。だけれども、ゾレンとして考えていることを現実のザインの場におろし、いかに対処するかということになれば、そう簡単に税法の問題等があなたのために右へならえしていいとは思えないのです。私はただ瀬戸山さんが確かに問題に石を投じたという点で高く評価しておるわけなんです。それだけに、瀬戸山構想の論理的な帰結がどこにいくのかということが私の関心事なのです。そうすると、リベラリズムに立脚して、民間の濶達な能力に期待するという自民党政府のたてまえと違った結果が出てくるということに、非常にいい意味での興味を感じておったわけなんです。ただ、この大蔵委員会という現実の政治の場で議論するにはあまりにも素朴過ぎて、私としては何回もこの質疑応答を繰り返してもしょうがないのではないかと思うのです。ただ、あなたのまいた一つの種から新しい芽が出てくることを非常に期待をしていますけれども、それには単なる茶飲み話のざれごとではなしに、それを裏づける具体的な政策というものに対して真摯な検討を慎重に加えるべきだと思うのです。まあ、いずれにいたしましても、大体あなたとのやりとりに、そうこれから発展はないように思いますので、御都合ならお引き取りいただいてけっこうだと思います。
あとは、税制論として大蔵当局としばらく質疑応答を続けたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/97
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098・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 もちろん税制の問題は、土地政策の一環として専門の大蔵省に御検討願っております。税制については、先ほど申し上げましたように、私はずぶのしろうとであります。いろいろ御研究願って、土地政策と住宅が立つようないい方法を皆さんで考えてもらうことを大いに私はお願いしておきたいと思います。
ただ、私が願いたいことは、やはり基本的な土地政策、あるいは基本的な地価問題、その線を生かすという前提において考えていただきませんと、資本主義であるとかあるいは社会主義であるとか、そういうものにこだわった考え方では、私はこういう問題の解決にならないというふうに考えておりますので、よろしくお願いしておきます。
〔「定足数が足りない、集めなければだめだ」と呼ぶ者あり〕
〔委員長退席、坊委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/98
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099・坊秀男
○坊委員長代理 このまましばらくお待ちください。——平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/99
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100・平岡忠次郎
○平岡委員 冒頭に申し上げたいのは、確かにこの法律案は自由民主党の財政金融部会を通り、閣議決定になっておるということですから、形式上はこれは確定法案として出されてきたと思う。ところが、その後の情勢を仄聞いたしますと、これは必ずしも確定法案じゃないような気がするめです。実質的に確定法案でないものである限り、汗水たらしてこれを論議するのはおかしいような気がするのです。
〔「聞こえないぞ」と呼び、その他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/100
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101・坊秀男
○坊委員長代理 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/101
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102・平岡忠次郎
○平岡委員 これはやはり正式にわれわれの審議を通じて修正されるとかあるいは廃案になるとか、そういう性格のものになっているのじゃないですか。われわれ野党は審議をするには確定法案を出してほしいのですよ。ところが、一応確定法案的な形をとってきましたけれども、その後の政府部内等の御様子を見ますと、必ずしも確定法案に値せぬのじゃないかと思うのです。われわれの審議の力の入れようがそれによって違ってくるわけですが、どういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/102
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103・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは閣議の決定を経て提案に至ったものであります。その前には与党である自由民主党の成規の手続一切を了していることを申し添えます。
なお、立案の過程におきましていろいろな議論はありますが、自由民主党は一本の政党でございまして、最後に党議としてきまったものにつきましてはみんなこれを支持する、こういう体制でありますことも、また申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/103
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104・平岡忠次郎
○平岡委員 大体午前中から午後にかけての私の質疑の合い間に、あらためて自民党の同僚諸君がこの法律案に対してけんけんごうごうの議論をしているというのですから、あなたのおことばをおことばどおりとるわけにいかぬのです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/104
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105・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 これは議員の間にはいろいろの意見のあること、これはもうどこの政党でも私はあり得ること、かように存じます。しかし、党議としてきまったものであり、また閣議において決定したものである、こういう前提で御審議をお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/105
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106・平岡忠次郎
○平岡委員 自民党並びに政府の中にこの問題につきまして議論がいまだにあるということは、ある意味ではけっこうなんです。大いに論議をする価値があると思います。どうして私がこういう議論をするかといいますと、主税局長あたりは何か勘ぐっておるようですけれども、私は首都圏整備審議会の委員なんです。そういう点からも非常に関心を持っているということ、それから、先ほどの具体的な事例としての所沢ニュータウンの計画等は、私の出身の市が所沢である限りは当然関心があるわけです。そういう点から私は議論しておるわけです。したがいまして、何も私自身の私的利害とかそういうことは一切関係がないということを、これはあたりまえのことですが、一応念を押しておきます。
先ほど来私が申し上げているように、今回の租税特別措置法改正案の問題点は四つありまして、その第一項目の千二百万円の特別控除を認める、それから四分の一を適用する、それから場合によっては、選択によって取得価額を他の買いかえ資産に引き継がせる制度も認めておる、この第一項はいいと思うのです。私も賛成です。問題は、特に第二項にあるわけです。それは二分の一を非課税とするという現行特例を、七五%まで課税所得のうちに最終的には入れるということ、この点に問題があるわけなんです。
〔坊委員長代理退席、委員長着席〕
大体主計局等のお答えのニュアンスからは、二分の一を非課税としてきたことそれ自体は恩恵であったのだ、だからこの際は取りやめるのだ、そういうふうに聞けるわけです。ところが私はそうは考えられない。と申しますのは、要するに譲渡課税所得を計算するための譲渡益というものは、売り渡した価格から原価等を差引く、そこに譲渡利益が出るわけです。したがって、大きな要素は売り渡した価格が一つ、他の大きな要素は取得原価なんですね。ところが、この取得原価それ自体が非常に流動的で、つかみようがないということがあるわけです。極端な例を申しますと、農地等につきまして、実際に私は川越辺の農家の人から相談を受けるのですが、そのときに譲渡価額は、いま売る価格ですから、契約上はっきり出ておりますから、ごまかしのない限りはっきりしています。ところが取得価額のほうは、政府の答弁では、二十八年の財産税の評価額をもって取得価額とみなすのだというふうに説明されていますが、現実の税務署等の扱いにおきましては、これは昔から先祖伝来持っていたものだから、この取得価額はゼロだよくらいの扱いが多いのです。これは非常に矛盾なんです。一歩譲っても、二十八年の財産税評価額がみなし取得原価として正しいかどうかという問題は、やはり吟味されなければならぬと思うのです。二十八年というと、現時点から十三年前ですね。なぜ二十八年でなければならぬかという問題があるのです。その間残念ながらインフレーションは進行しました。したがいまして、二十八年の財産税の評価額をもってするというその定着のしかたはまるっきり実情に合いません。ある政府委員は、これは終戦のときから二十八年くらいまでは狂瀾潤怒濤のときですからインフレもずいぶん進行した。しかし、二十八年では一応落ちついたからという、そういう説明のしかたをしておる。ところが、実情は必ずしもそうではないわけですね。
早い話が、私は昭和二十七年の十月に国会に議席を持ちました。その当時、すなわち二十七、八年のわれわれの歳費は四万円か五万円台であったと記憶しておる。現在は二十四万円ですから大体四、五倍になっておるわけですね。われわれの実感としてはそのときより飛躍的にたくさんのものをちょうだいしておるという実感はないのですね。そういう点から申しましても、二十八年のものをもって取得原価にしておること自身がおかしいですね。ですから、そういうことをおしなべて含め、計算がむずかしいので、非課税部分を二分の一にするということで救済しておると私は理解しています。それが実情だと思う。だから、今回非課税部分を圧縮しまして、逆に言いますれば、課税部分を多くするということを、いかにも従来の恩恵をはずすのだという説明のしかたは間違っておると思う。この辺のところに、やはり提案をするからには慎重な考え方を入れないと間違っておると思うのです。この点につきまして、これは主税局長でもいいですからひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/106
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107・塩崎潤
○塩崎政府委員 譲渡所得の計算のベースになります取得価額が非常にむずかしい問題をはらんでいるから、したがって譲渡所得の計算上二分の一という非課税限度をつくるのは当然出てくることではないかという御質問でございます。それに対して、ます第一に、平岡委員のお考えになりました取得価額の問題につきまして御説明申し上げて、二分の一課税方式がそれと結びつくかどうか、これについて御説明申し上げたいと思います。
まず第一に、譲渡所得課税制度を採用する場合にどういった取得価額をとるかというのは非常にむずかしい問題でございますが、少なくともみずからの経済的な地位が増加した場合には、やはりその基準は当初の取得価額だろうと思います。百万円で買ったものが二百万円になった。二百万円マイナス百万円が差額だと思います。しかし、平岡委員のおっしゃったのは、先祖伝来持っておるものはいつからのものを譲渡所得と見るか、こういう御疑問だと思います。これは各国ともこの点につきましてはいろいろな態度がありますが、大体共通的なところは、所得税法施行時の時価というのが普通の考え方であります。アメリカは、したがいまして一九一三年の時価が先祖伝来持っておる場合の譲渡所得の生ずる資産のベースでございます。しかし、アメリカは非常に貨幣価値が安定しておるからそれは無理であろうという御質問が出ようかと思います。私がこれから申し上げることは、沿革的に申し上げて水かけ論で、私が感じで申し上げる意味じゃないので申し上げるので、少し長くなるかもしれませんがお聞き取り願いたいと思います。
わが国が所得税法で譲渡所得課税を始めましたのは戦後でございます。そのときに譲渡所得課税のベースを何にとるかという点は非常に問題であったのでございますが、昭和二十一年三月に財産税が施行されまして、すべての財産に対しまして例の法律の財産税がかかったわけでございます。そこで、譲渡所得は財産税で一ぺん清算されたと見るべき節がある、譲渡所得のベースは二十一年三月三日の財産税評価額ということに、先祖伝来のものについては全部見たわけでございます。もちろん二十一年の三月以降の、二十二年に取得したものは、現実の二十二年の取得価額を譲渡所得のベースとするということは当然でございますが、長らく持っておるものにつきましては、二十一年三月三日の財産税評価額をベースとしたわけでございます。しかし、その後御存じのとおりインフレーションがありまして、この間の譲渡所得についてどういうふうに計算したらいいかという点は非常な争いがあったところでございます。シャウプ勧告はこれに断を下しまして、当時の政府では、勤労所得者はインフレーションに悩んだから、譲渡資産を持っている者だけがそんなに譲渡所得を貨幣価値の修正のないまま、まるまる税金から免れるというのは少しよ過ぎるという議論があり、再評価の問題も進まなかったわけでございますが、シャウプ勧告が断を下しまして再評価を認めた、これが二十五年の価格でございます。したがいまして、減価償却資産につきましては再評価が行なわれ、譲渡所得につきましては、二十五年一月一日現在の価格をもちまして取得価額といたしました。しかし、その後再び朝鮮動乱がございまして、卸売り物価が五倍くらいに上がったわけでございます。もう一ぺん再評価しようということで、減価償却資産につきましても再評価を行ない、譲渡所得の生ずる資産につきましては、そのベースは二十八年一月一日現在の相続税評価額に改めたものでございます。
その後貨幣価値がどういうふうな変動をしたかという問題でございます。貨幣価値をどう見るか、これは再評価法にもいろいろな物価指数を使った考え方もございますが、基本的には卸売り物価をもって再評価のベースと考えました。二十八年から現在までの卸売り物価は、私どもの調査では一〇三%でございます。したがいまして、卸売り物価の面から見るならば、取得価額を再評価して譲渡所得を圧縮するという理由は、これはもちろんこれまでの態度でございますから、そういった態度を改めて、たとえば消費者物価指数はどうだ、消費者物価指数をもって新しい貨幣価値の基準にして再評価を認めるようなやり方をすればいいじゃないか、こういうお話がまた一つ出ようかと思います。しかし、譲渡所得のこれまでの考え方は卸売り物価が基準でございます。
一方、土地は、六大都市で見るならば二十一倍ばかりに上がっておりますから、おっしゃるように二十八年一月一日のときの相続税評価額と現在の土地価格では非常な開きがあることになります。われわれもこれらの問題について検討を加えたいと考えておるところであります。消費者物価指数の上昇を入れるという考え方も一つでございます。丁六倍くらい上がっております。こういったことで、譲渡所得資産につきまして六割上げるということも可能でございます。
しかしながら、私はもう一つ、これはやはり当時のシャウプ勧告の前後に行なわれました議論、所得税についてもここでも御議論がありますように、賃金というものは消費者物価の上昇につれて上がる、その名目的な上がりについても所得税はかかるんじゃないか、しかもフラットな税率ではなくて、累進税率がかかってくるではないかというようなお話がございます。譲渡所得税をキャピタルゲインについてだけ課税をすることも、再評価することもなかなかむずかしい、これはひとつ今後の問題といたしまして税制調査会にも御提案申し上げておるのでございますが、貨幣価値変動、その貨幣価値変動には卸売り物価あり、消費者物価指数ありということになりましょうけれども、税制はどういうふうに対処していったらいいか、いまも申し上げました減価償却資産、それからこのような資本資産あるいは普通の所得、相続財産、あるいは間接税の免税点まで含めまして御検討をわずらわし、一つの確たる基準をつくっていただきたい、こういうふうに御提案申し上げておるのでございます。
こんなような関係でございますから、私は沿革的に、さらにまた外国の税制から見ましても、取得価額はおかしいから二分の一課税をしておるんだということにはならない、こういうふうに考えております。二分の一課税は、シャウプ勧告にも詳しく書いてございます。アメリカの譲渡所得課税の悪い点をまねしている面がある、これは全額課税にして、ただし長年の所得が一ぺんに実現するんだから二分の一課税はやめなさい、そのかわり平均課税をしなさいということで、平均課税をするということにしたわけでございますが、それが昭和二十八年に、先ほども申し上げましたように株式譲渡所得が非課税になったこととのバランス、さらにまた、いま申し上げました平均課税方式が非常に複雑であったために現実にできなかったということのために、また簡単な二分の一課税方式に戻ろう、こういうふうにしたわけでございます。しかしながら、その二分の一課税方式は、非常に巨額な譲渡所得に対しては恩恵であり、完全な変動所得の平均課税方式としては適当なものではないということが言われるわけでございます。また、その後の土地価格の上昇は、先ほど申し上げましたように非常に高かったわけでございます。株式のように、もうけたときもあれば損をしたときもあるといったものとも違った土地に対しては、譲渡所得課税が常に——もちろん流動性の見地から軽減という要求もございますが、一方、一社会正義あるいは将来の長い目で見ますれば、土地はやはり税が高くかかるんだということによって思惑買いを防止するというようなことから、・譲渡所得税を上げなさいという声もあるわけでございます。そんな関係で、現在の取得価額あるいは二分の一課税の仕組みが出ておるわけであります。
沿革的にあるいは外国の税制の比較で申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/107
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108・平岡忠次郎
○平岡委員 枝葉末節と言っては悪いですけれども、木を見て森を見ず、枝葉を見て森を見ずといったようなことで、あなたの説明のペースで聞いていると、ああそんなものかと思いますけれども、大体国民の感覚的な受け取り方にはならぬと思うのですね。というのは、たとえばこういう例はどうでしょう。
これは私の身近な例なんですが、マリアナが落ちたというようなときだったと思うのですね、昭和十八年ころ。土地の価格というものは、それはまだインフレ以前の問題ですから、その当時に一万坪の土地が十万円であったとしますね。そうすると、その十万円は、その当時としては非常に大きな金だと思います。そうして、十八年から二十八年までとして、十年ありますね。そうすると、その十万円というものは十年たてば大体倍になりますね。二十万円になる。それにインフレの係数をかけるということになれば——インフレの係数を五百にするか千にするかは議論がありますが、かりに五百倍とすれば、それが結局一億円ですね。ところが、現在譲渡所得税を計算するときの譲渡利益というものは、譲渡所得価格から、一億円はおろか、現実には二十八年の財産税の評価額ということになれば百五十万円にもならぬものを引くのですね。現実には百五十万円くらいにしか取得原価はならないわけですね。インフレに見合う名目的上昇というものが当然あってしかるべきなのに、その点が再吟味されなければおかしいと思うのですが、あなたの説明ももっともらしいですけれども、現実のそういう事例から見ると、やはりインフレ上昇に見合う名目的な上昇を取得価額に認めなければならぬ、こういう議論になると思うのです。これは今後の重要な問題でございますよ。二十八年をもって定着するということが、先ほど来私が言ったことによって、適当でないということ、反駁されたわけですね。今後の推移の見通しも、やはり公債政策のもとにおいてインフレは進行するわけですから、たとえいつの時点でも定着させてはいけないのです。譲渡が行なわれる三年前の相続税評価額のごときものをいつまでも取得原価とするとかなんとか、そういうふうなことにすれば私は妥当だと思うのです。それがいいかどうかわかりませんけれども、第二項の問題点である公共投資によって過当に値上がりしたという周辺部の限界をどこに引くかという難問題、この問題も、私のような仕組みにするならばこれはちゃんと解決がつくと思うのです。今度「公共投資の恩恵によって利益が増加した」ということがまくらとしてあるにもかかわらず、その限界点が明確にできないというので、全国一律の改正案になったというところに問題が確かにあるわけですが、三カ年前の時点における相続税の評価でも何でもいいですが、それをみなし原価とするということになれば、公共投資の行なわれたところは三カ年前のとものすごく開くわけですから、それはうんと課税をすることができます。何も影響がないところは三カ年前とあまり違わないから、そこのところはおのずから受益程度が低いということで、それに相応して低い課税がなされる、そういう結果が得られると思うのです。
いずれにいたしましても、この法律案は、まさか主計局のイニシアチブのもとにやったのではないなどとはいえないから、主税局長のほうでは適当に調子を合わせておりますけれども、これは瀬戸山さんに引き回されて、パッシブな形でおっちょこちょいに出してきたという非難は免れないと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/108
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109・塩崎潤
○塩崎政府委員 だいぶむずかしい御質問でして、答えにくいのでございますが、事を事務的に考えまして、いま御提案の、譲渡所得のベースをどういうふうにするかという、非常に税制理論の深い問題を御提案になったようであります。たとえば、十八年に取得した財産の相続税評価額というものは、世間が予期しておるような評価額になってないという面が指摘され、さらにまた、そういった世上の期待に答えるには、たとえば相続税評価額は三年前のものをとるということはどうかという御提案がありたのでございますが、譲渡所得のベースはやはりむずかしいことでございます。インフレがあるようなときにはむずかしくなりますけれども、やはり現実の取得価額がほんとうだと思います。それで、シャウプ勧告は、相続の際にはこれは一ぺん清算して、また新しく相続税評価額からスタートするというようなことをやっておりましたが、相続の際の譲渡所得は課税しない、そのまま過去の取得価額を引き継ぐというような制度になり、さらにまた、そこで貨幣価値の変動が若干でもあり、もう一つは、土地価格が普通の物価以上に大きく上がったことが平岡先生のおっしゃることの裏づけだろうと思うのです。どうも土地価格がうんと上がっておる、しかしながら相続税評価額はきわめて低い、その比較は、私が先ほど申し上げましたように、二十八年一月一日以後は卸売り物価が上がってきていない、そんなようなことから、相続税評価額というものは、これは土地でございますから、若干土地の値上がりは考えてまいりますけれども、二十八年前後は土地はそれほどでもなかった、三十二年くらいから土地の上がりが非常に激しくなった、これは私は価幣価値を上回る騰貴だと思うのでございますが、これはまさしく名目利益をこえた、実質的には土地だけの利益だろうと思うのでございます。そういったものを課税するのはけしからぬというなら別でございますが、名目的な利益を上回る部分を実質的な利益と考えるなら、これはやはり課税すべきであり、そのときの取得価額はやはり名目価値を排除した部分、それを実質価値であると考えるべきだ、かように思うのでございます。
御提案の、三年前の相続税評価額をとるということは、一定限度で打ち切るということの御提案とも聞こえるのでございますが、譲渡所得を所得税制度に入れる以上は、その御提案は少し根本的な破壊になりはしないか、どこの国の税制を見ても、御存じのとおりに、やはり現実の取得価額があり、あるいは税法施行の当時の——今度イギリスでも譲渡所得課税を始めましたけれども、それは始めたときの時間ということで一つの線がある。そうなりますと、平岡提案のもとで譲渡所得課税を再現いたしますことは、譲渡所得課税制度をこわすものである。もちろん、譲渡所得課税につきましては、平岡委員御存じのとおり、どこの国でも普通のインカムと違った、キャピタルゲインといわれておりますように、特殊性がございますし、普通の所得と同じような課税ができないことは私も十分存じております。しかしながら、やはり普通所得の変形であり、むしろ、将来生ずべき所得の現時点におけるところの前払いであり、前受けであるというようなことを考えますと、これをはずすことは非常な欠陥がある、さらにまた、財産所得という性格も持っておりますので、現在の所得税の体系上これをはずすことはできない、はずさないとすれば、やはり譲渡所得のベースになります所得価格というものは、現実の所得価格、あるいはインフレを排除したところの一定の税法上の所得価格をとらざるを得ないことが二十八年の相続税評価額であろう、かように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/109
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110・平岡忠次郎
○平岡委員 瀬戸山構想というものは次元の違う発想からきているのですよ。その次元の違うものと現行の税体系とはどういうふうに調和さしてみようとしても無理があるのです。したがって、現行の税体系の対象とすべきものとしてこの土地問題を把握するか、それと離れて、発想の違う瀬戸山構想というものを推進するかということはさい然と区別しなければならない。突き合わせているから無理がある。だから、あなたのほうをベースとして、瀬戸山構想がどうじゃじゃ馬的であろうとも、それを押えるというのか、瀬戸山構想を新しい芽としてこれを現行の租税体系とは別個に扱っていくべきであるかという、この問題を投げかけられたと思うのです。たとえていいますと、さっきあなたがもっともらしくくだくだと説明をされましたが、法人によるところの法人の投資対象としての土地とか、そういうことが現実に地価を上げている元凶なんです。だから瀬戸山さんははっきりしているのだ。個人であると法人たるとを問わず、土地の売買というものはちゃんと区画して分離課税としてやるべしということを出しているわけですね。これは、その限りにおいて、瀬戸山さんはしろうとしろうとと言っていますけれども、えらいくろうとだと思うのです。しかし私は、こういう議論はいろいろ言ってもしょうがないと思うのですよ。ただ、言いたいことは、事ほどさように瀬戸山発想は大きな問題を提起しているのですから、おっちょこちょいのなまはんかに租税問題にまでそれを波及さしてはいかぬということで、大いに慎重にこの租税特別措置法の改正案は見直すべきであるというのが私の結論です。
そういうことで、これは与野党を問わず検討に値することですから、問題提起を尊重して、少し時間をかけてやるべきだと思っております。ごて得等の問題があって、瀬戸山さんが執念として考えている土地収用法それ自体は私はかまわぬと思うのです。また、当委員会の関係ではありませんから深くそれに触れる必要もありません、まあ、関心がないというわけじゃないのですけれども、それはそれでいいと思うのですが、それに対応する租税特別措置法については、大かたの人が、これは認めてもいいだろうというのが第一項であると思うから、その程度の改正案として原案を修正されて、あとはぶった切るという意味ではないが、大いに時間をかけ、これから議論をして、りっぱなものにつくっていく、そのような扱いのほうが私はいいと思うのです。時間をかけるべきだと思います。最後はただいまの時点における私の主張です。
以上をもちまして、私の本日の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/110
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111・三池信
○三池委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/111
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112・横山利秋
○横山委員 平岡委員の最後の意見は、意見として聞きっばなし、言いっぱなしにするのはもったいないような気がするので、私もその続きから始めたいと思う。
国会はいよいよあと数日を前にしてきょうからこれを審議をする。参議院の日程を見ましても、これは少し無理だと大臣お考えになりませんか。しかも、私から言うては何でありますけれども、どうも与党の中でも完全にそしゃくがいっていないような気がするのであります。これだけ問題のある法案でありますから、問題のないところだけちぎって通すとか、問題のあるところだけはもう少し審議を継続するとか、何か知恵を働かせなければ、衆参両院を通じて少し無理だ。賢明な大臣でありますから、その辺のお考えはあろうかと思うのであります。大臣、いまこのノーマルになった国会の状況の中で、どうしても強引にこの法案を通さなければならない積極的必要性というものは一体どういうことなんであろうかと思って、私もいろいろ考えるのでありますが、必ずしもその必要はないんではないか。その点、大臣の御意見を、平岡委員の最後の意見とも関連して伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/112
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113・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 この法律案の提案がたいへんおくれたわけなのですが、それに先立って土地収用法が出ているわけです。本院を通過して参議院で相等慎重審議が重ねられて、最終段階にきております。土地収用法が成立いたしますと、非常に大きな変化が起こりますのは、収用を受ける人の政府から受け取る収用価格は、今度は計画の告示されたその日になる。そういうことで、これは実際問題とすると、非常に価値が変わってくると思うのです。そういうことを考えまするときに、収用に関係のない土地が従来のような高い価格で売買されている、これとの間に非常な不権衡を生ずる。これは国民感情として、収用法が新しくなるという際に、ちょっと見のがすことができない大きな問題である、こういうふうに考えるわけであります。その国民感情にこたえるためにこの租税特別措置法をお願いしている、これが、せっぱ詰まった事情があるかとおっしゃるから、それにお答えした事情でございます。
そこで、このたいへん差し迫ってきておる、しかもまだ他にも議案があるという段階で、なかなか御無理なお願いだと思いますが、そういうせっぱ詰まった事情もありますので、ひとつ御審議願いたい、こういうふうにお願いをいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/113
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114・横山利秋
○横山委員 これだけ問題のある法案でありますからと言えば、土地収用法が参議院に行っているからと言われる。それなら、土地収用法は社会党は反対でありますから、簡単に言えば、土地収用法も継続審議にすればいいではないですか。そして両方とも継続審議すれば、それで話は終わりですね。あなたの御心配はなくなる。けれども、国会の模様は、衆議院から参議院へ移ってもいろいろ問題がありますから、現実問題として土地収用法が通ってこの法案が通らないということはあり得ることとして大臣も腹をきめてもらわなければいかぬ。その場合にはどんなふぐあいが起こるか。それはいま大臣がおっしゃったようなことなんです。現実問題としてはあり得ることとして腹をきめてもらわなければならぬ。そういう場合には、法律論としては、もう大臣も腹に承知しておられるのですが、現実処理としてどうなさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/114
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115・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 さような場合のことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/115
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116・横山利秋
○横山委員 それはしかし、大臣そうおっしゃったって、あと数日ですよ。きょう水曜ですから、木、金、土、それで日曜はまさかやりやしませんよ、月曜と、四日間ですよ。私のところはまだ次から次へと質問者が続出するのです。大臣は、五時に帰してくれと私に頼まれたのですが、大臣に頼まれると私は弱いのですが、あと十五分しか聞けない。そうすると、ぼくは大臣にまだいろいろ聞きたいのですから、あしたでもあさってでも、もう一ぺん来てもらわないといかぬぞということにぼくもなる。そうなると、大臣、これは気はやたけにはやれども、法案はそう簡単に通りませんぞ。この程度でどうするかという現実処理をお考えになるべき段階であって、参議院も両方ともうまいこと通る、そういううまいことには世の中はなかなかいきませんもんですから、現実的処理々考えてもらいたいという、これは要望になるか、忠言になるか。五時から六時なり、何の御用事か知りませんが、その間によくお考えを願っておきたいと思うのであります。
それから、大臣のいらっしゃる間に伺っておきたいのですが、四十三年一月一日以降に適用するということです。一年半先に適用する法律をわれわれはいま審議している。こんなばかなことを私は審議する値打ちがないとすら思っている。経済事情も、土地のいろいろな問題も変わっていくときに、何で一年半先に発効する法律の議論をせんならぬ、こういうわけであります。その点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/116
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117・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 収用を受けた隣地というか、これは実際は全国的な何ですが、それに対して従来の二分の一課税方式を拡大する。この点は段階的にやっていく、そのことによって取引を刺激する効果を持たせたい、かような考え方と、とにかく大きな土地課税の変更でありまするから猶予期間を置きたい、こういうことであります。
それから、買い継ぎの問題につきましては、これも大きな変化でございますので、国民一般にあらかじめこれを御了知願っておいたほうがよかろう、こういうことで経過期間を置いた、かように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/117
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118・横山利秋
○横山委員 そうおっしゃいますが、舞台裏は妥協の産物だ、これを最後におっしゃらなければうそになる。妥協の産物として、党内における、あるいは外における反対者をこれで納得をしてもらったんだということになると思いますけれども、四十三年一月一日以降発効するというなら、あなたのほうで党議でおきめになっておけば済む話で、何も国会でわれらの審議に供するだけの積極的必要性はないと私は思うのです。実はほかの問題もあるので、その問題もあわせて四十三年一月一日にしたということらしいんですけれども、そういう一年半も先のことについてここでわれわれは議決する熱意はまず第一ない。どう情勢が変わるかもしれない、あるいはあなたのほうの身内の中で四十三年一月一日に納得を一応せられた人は、なに、一年半あるんだからその間にもう一ぺん情勢も変わって、ひっくり返すよという気持ちがある人もあるかもしれない。それはしかしおたくの内内の事情なんですね。私どもにしてみれば、一年半先の経済情勢なりあるいは土地の状況なり、そういうものを判断をして、そして審議をさせるということ自身に誤りがある、こう不満を持つわけですね。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/118
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119・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 二分の一課税の変更の点は、ただいま申し上げましたように、段階を踏んで四十四年ですか、四十四年の一月からフルに適用される、こういうことになる。その間段階を踏むわけです。これがまあ四十四年になれば税率が高くなる、こういうことで、それまでにいかがであろうか、早く処分をしようというような刺激的な効果も持つであろう、こういうことを考えておるわけなんです。と同時に、この問題につきましては、非常に大きな税制の変化でありまするから、先の展望も持っていてもらいたいという意味も持たせております。
買い継ぎ制度の廃止の問題ですね。これはまあ前広に、これも個人の住宅の問題ですから、それは大きな国民の関心事です。これも早々と国民に、こういうふうになるんだということを承知しておいてもらったほうが、税の行き方としてよろしい、さような考え方です。土地立法の土地収用法の変化に即応しまして、この際これらの点を一括して明らかにしておきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/119
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120・横山利秋
○横山委員 これはもう意見の違うところで、そういうことはかけ込みの土地売買を早くやれというような、抑制でなくして促進的なことをおっしゃっておるので、これは立案の趣旨とあなたのいま御説明による情勢の変化とはえらい話が違う。そういうことをわざわざ早くやれ、やりたい人は早くやれというようなことを大臣みずからおっしゃることは、不要不急の交換なり何なりというものを早くやらせるという結果になってしまうことを私は指摘しておきたいのであります。
それから、大臣のいらっしゃるあと五分のうちに主税局長と一問をいたしますから、聞いておってほしいのです。時間の節約のために例示を出して質問いたします。
交換譲渡の特例の問題であります。これは国税庁資産税課譲渡所得係長高島巌のものらしいですね。問い「借家人の受ける立退料」「家主から立退料をもらって立退きましたが、この立退料の課税はどうなりますか。また、この立退料で小さな住宅を買った場合には、居住用財産の買換えの特例が認められるでしょうか。」答え「借家人が家主から受ける立退料は、通常一時所得として課税されます。借家権はそれ自体で独立した権利としては取引の対象とされておりませんので、一般的に借地権ほど固った権利として認められておりません。将来、借家権が借地権と同じように独立した権利として取引の対象とされるようになれば、家主から受ける立退料であっても、借家権の対価として譲渡所得の課税が行なわれることになると思いますが、現段階においては一時所得として課税することに取り扱われています。したがって、立退料をもって自己の居住用財産を取得しても、租税特別措置法第三十五条の規定による居住用財産の買換えの特例の適用は認めておりません。」この解釈は主税局長、まずいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/120
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121・塩崎潤
○塩崎政府委員 譲渡所得の対象資産の範囲はどの範囲かという問題でございますが、私どもは借家権の立ちのき料は譲渡所得と考えておりますので、ただいまの解釈は少し間違いがあるような感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/121
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122・横山利秋
○横山委員 次に引用いたします借家人補償「〔問〕Y市で店舗を借りて飲食店を営んでいますが、市道拡張のため立退きを要求され、立退きのための補償金を受けることになりました。この際、私も自分の店舗をもちたいので、この補償金で小さいながら一戸の店を建てたいと考えていますが、この場合の課税はどうなりますか。〔答〕借りていた店舗が収用等をされますと、借家人には、転居先の家屋の権利金などに充てるための補償金が支払われます。これを借家人補償といいます。借家人補償は、立退料として支払われるものですから、物の代償として支払われるものではありません。したがって、厳密に言えば、借家人補償として受ける補償金は、譲渡所得の対象となるものではありません。しかし、借家人は、通常、この立退料をもって転居先の家屋を借り、または、あなたのように自分の店をもつために土地家屋を取得しています。またそうでなければ住むのにも事欠くこととなりましょう。このため、借家人補償金は、資産の譲渡をしたことによる対価として受ける補償金ではありませんが、収用等の場合に限り、対価補償金とみなして取り扱うことにしております。したがって、あなたの場合には、借家人補償金の全部をもって他に土地家屋を取得されますと、租税特別措置法第三十一条の規定により、いわゆる圧縮記帳の適用があり譲渡所得は課税されませんし、また、借家人補償金の一部で土地家屋を取得されますと、租税特別措置法第三十一条と第三十三条の規定の適用が認められ、いわゆる圧縮記帳の特例と補償金の残額について四分の一の課税の双方の特例が適用されます。」この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/122
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123・塩崎潤
○塩崎政府委員 収用の件につきましては、全くそのような解釈で行なわれております。先ほどの普通の場合の立ちのき補償につきましては、現在の所得税法、さらにまた買いかえの措置法、これらに若干の家屋ということばで、借家ということばが入りませんから疑問が持たれてそういった解釈がなされておるのではないか、収用の場合にはまさしく譲渡所得と同じような取り扱いになっている、したがいまして、買いかえも認められ、四分の一課税も認められる、かようなことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/123
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124・横山利秋
○横山委員 そこで大臣、私の提起いたしますことは、借家権という問題であります。たとえば、いま後段の項にありましたように、あなたのうちを、あなたが借家人であって、土地収用法にのっとって大家から立ちのきを要求された、その場合に、あなたはその立ちのき料をもらってうちを建てる場合には、後段の項によって買いかえの特例が適用されるということですね。ところが、あなたが十年の契約をして、土地収用法でなく大家から立ちのきを要求された、契約期間中に立ちのきを要求された場合に、あなたは立ちのき料なしでただで出ることはあり得ない。したがって、立ちのき料をもらって、もらった立ちのき料で土地を買い、あるいはアパートの保証金を払うという場合に、なぜ交換譲渡の特例が適用できないのかという点が私の論拠の中心になる。後段の場合、土地収用法の場合におきましては、そのときに限っては立ちのき料は、これは譲渡所得の対象としよう、けれども、普通の契約期間中に出ていけと言われて、立ちのき料をもらったものについては認めないというのは筋が通らない。私の言うことはわかりますね。これはこの収用法ばかりでなくて、いろんな場合にあり得ることなんで、出ていってくれと言っても出ていかぬ、裁判をやる、金をもらう、あたりまえのことだ。そのあたりまえのときの借家人の件、借家法によって契約期間中入居をする権利がある、あるいは家賃の不当な値上げは払わなくてもいい、対抗する権利がある、あるいは造作物を自分がやった場合には造作物の買い取り請求権がある。それから民法九百五十八条では、相続人は、おやじが死んでもそこにおれる権利が民法上認められておる。つまり、借家人の借家権というものは、民法にしろ借家法にしろ確立されておると見るのが筋である。ところが、税法上においてだけはこの借家権というものの存在をまだ認めていないことは不当であると私は考える。いま交換譲渡の特例について議論をしておるわけでありますが、実質の土地なり建物を持っておらなければ交換譲渡の対象にしない。借家権という、世間で通常行なわれておる立ちのき料、そういうものについて認めないというのは不当ではないかというのが私の意見なんです。これはもう主税局としても国税庁としても相当内部で議論が行なわれておる問題であります。ただし、いまの税法上では明白にこれを認めていない立場にある。それにもかかわらず、この土地収用の場合についてだけは認めている。なぜ土地収用の場合についてだけ認めて、一般的な場合立ちのき料を認めないのかとなると、筋が通らぬ、こういう問題があって、心ある主税局の人や心ある国税庁の幹部並びに末端の人たちは、横山さんの意見は全く正しいと、こう言っている。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/124
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125・塩崎潤
○塩崎政府委員 法文の書き方等に若干の違いがあり、さらにまた、今後内容について、収用等の場合において感情的にもある程度扱いを変えてもいいのではないかということからきておりますが、おっしゃるように、私は、譲渡所得と見る以上はやはり譲渡所得を発生する権利あるいは資産と考えますならば、できるだけ統一したほうがいいと思います。解釈上問題がございますが、統一の方向で検討してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/125
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126・横山利秋
○横山委員 そういたしますと、この借家権に伴う税法の対象については改正をする方向で、また、交換譲渡の特例には、この借家権に伴う立ちのき料等については交換譲渡の対象にするという方向であるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/126
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127・塩崎潤
○塩崎政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/127
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128・横山利秋
○横山委員 それには税法改正を伴うことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/128
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129・塩崎潤
○塩崎政府委員 現在の法文では不明確でございますので、税法の改正を伴うことにいたしまして、改正を研究してみたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/129
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130・横山利秋
○横山委員 それでは私の主張が認められたものとして、なるべくすみやかにその検討を急いでもらいたいと思うのであります。
先般私は一つこのような問題に逢着をいたしまして、筋は通るけれども、法律上これをあえて押し通すことについては、いまの役所の関係からいって困難であるということはわかりました。しかし、どう考えても、これは法律が筋が通らない、また通達が筋が通らないということになりましたので、この機会にひとつそういうお約束をいただければ、すみやかな結果を待ちたいと思うのであります。
それから、ちょっとこまかいのですけれども、「土地等を居住用財産に買い換える場合の譲渡所得の特別控除」で「新たに取得する居住用財産は、譲渡した不動産の譲渡の日前一年または譲渡した年の十二月三十一日まで(とくに税務署長の承認をうけた場合には譲渡の日から二年以内)に取得し、かつ、その取得の日または譲渡の日のいずれか早い日から二年以内に自己の居住の用に供するものでなければならない。」ここにいう税務署長の承認を受けたときには二年とかいうその承認の基準というものは、一体何でありましょうか。つまり、本人がこういう事情で私は一年以内にできないのだからということを言えば、税務署長の自由裁量になっているものでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/130
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131・塩崎潤
○塩崎政府委員 この制度の趣旨は、横山委員御存じのように、買いかえがそう短期間にいくことがない場合がございます。そういった場合は救済しよう、こういう趣旨でございます。したがいまして、そういった事情が立証されれば、当然そういった規定の趣旨から私は承認すべきものだ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/131
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132・横山利秋
○横山委員 ちょっと国税庁の人がいない模様だから、塩崎さん通達を見てものを言っているのか、勘で言っているのかちょっとわからぬのですが……。どうも勘らしい。これはどうも自由裁量でなくて、何かの通達が出ている模様なのであります。私が直面いたしましたのはこういうことであります。一年を過ぎてしまった。なぜ過ぎてしまったかといいますと、買いかえの土地に建物をつくる、それを、買いかえの申請の対象にする建物をつくるのに、鉄骨の建物であるから、住宅金融公庫に申請をしたり審査をしておると間に合わない、間に合わなかった、こういう通常きわめてありふれたことなんです。それが税務署長がだめだったとかなんとかいうことだったらしいので、いささか私もおかしいと思った。どういうふうに申請をしたんだと言ったら、資金運用上困難であったからという申請らしい。なぜ内容を言わなかったと言ったのでありますが、勘で言われたのですが、二年以内の税務署長の裁量は、これは制限列挙方式になっているのか、それとも例記列挙方式になっているのか、いまそこではわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/132
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133・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にこまかい御質問でございますが、私も国税局長で買いかえの特例が期限の関係で認められなかった事例に悩んだことが何回もございます。私は、さきの御質問は、三月十五日の申告期限までに買いかえをする、それを一年間で取得するのではなくて、鉄筋コンクリートの建物は二年間の買いかえを認めてくれというふうに伺ったのでありますが、いまのお話では期限を三月十五日の所得税の申告期限までに申告はせずに、その年に買ってしまっておった事実をあとで買いかえを認めてくれというようなふうに聞いたわけでございます。事例によりましょうけれども、制限列挙とかがどういう意味か私も法律的にはよく知りませんが、承認の趣旨はただいま私が申し上げましたような趣旨でございます。それに合うか合わないかによって承認される、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/133
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134・横山利秋
○横山委員 大臣に伺いたいことがあるのですが、先ほど了承してしまったものですからまことに恐縮なんですが、私もちょっと時間がありますので、ここで質問を一たん中止いたしたいのでありますが、主税局長の担当の問題で、税法で私が質問した問題の区切りをつけておきたいのであります。
一つは未収利息につきまして、先般調査を願った中間報告でもけっこうでありますが、どういう状況に進展をしておるかということ、それからもう一つは、保険並びに損害保険の法人税ないしは掛け金の問題について、大臣から前向きに検討する旨のお約束を得たのでありますが、あなたの関係として、この二つの今日の状況について説明を受けておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/134
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135・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十一年度の税制改正につきましてただいま御指摘の二点が横山委員から御指摘され、そういった方向で検討するという大臣の御答弁があったわけでございます。
まず第一の未収利息の点につきましては、先般銀行方面から、新聞に出ましたように、長い間の現金主義、これは利息だけでございまして、私も問題があろうかと思いますが、これを改めて、発生主義にすることにしようということになっておるようでございます。ただ問題は、これまでの期間のずれによりますところの未収利息が相当巨額に出る、その税金を一ぺんに納めなければならぬ、この点を何とかしてくれ、延納を認めてくれというのが提案になっております。これをどういうふうにさばきますか、現行税法でいけるかどうか、利子税をその際どうするか、このあたりにつきまして今後関係方面と検討してまいりたい、かように考えております。
第二の保険会社の課税問題でございます。これも横山委員御指摘の、三十五年以来いろいろないきさつを経た問題でございますが、この問題も保険会社、あるいは私ども内部の保険部局等、十分問題点の所在も存じておりますし、私も何回もこの趣旨を申し上げまして、近い機会にこの問題の検討に入る、かようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/135
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136・横山利秋
○横山委員 もう一つ忘れましたが、あのときに私の質問の中でどういう御答弁を承ったのか、議事録を見ずに来ておるのですが、私の解釈に間違いなくんば、割引債券の償還差益については源泉課税をするという方向で御答弁を願ったように記憶しておりましたが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/136
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137・塩崎潤
○塩崎政府委員 割引債券の問題は、先般税制執行小委員会におきまして、手形割引についての脱税事件査察事件につきまして横山委員から御指摘があり、手形割引のみならず、割引債券についても一つの徴収確保の見地から源泉徴収をしたらどうか、こういう御提案でございました。私は三十六年のときの、横山委員も御指摘ございましたが、割引金融債の利子の源泉課税のときのいきさつも申し上げ、なかなかむずかしい問題がある、しかしながら、脱税を大きく防止する意味において、理論にもとらわれない方向で、広い角度から、源泉徴収制度を含めて検討すると申したつもりでございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/137
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138・三池信
○三池委員長 参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。
金融及び証券に関する小委員会において、来たる二十四日、証券に関する件について、日本銀行副総裁佐々木直君、日本共同証券株式会社社長三森良二郎君及び日本証券保有組合専務理事山崎文治君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/138
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139・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次会は、明後二十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X05219660622/139
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