1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 和爾俊二郎君
理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
島村 一郎君 中馬 辰猪君
登坂重次郎君 藤田 義光君
山崎 巖君 重盛 寿治君
島上善五郎君 安井 吉典君
門司 亮君
出席政府委員
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
参 考 人
(税制調査会委
員) 松隈 秀雄君
参 考 人
(全国市長会相
談役) 中馬 馨君
参 考 人
(全国市長会財
政分科会委員
長) 森 昌也君
参 考 人
(全国町村会副
会長) 野中 広務君
専 門 員 越村安太郎君
―――――――――――――
三月十九日
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣提出第一一九号)(予)
同日
ボーリング場の娯楽施設利用税撤廃等に関する
請願(田邉國男君紹介)(第一九〇二号)
地方公務員等共済組合法の一部改正に関する請
願(稲富稜人君紹介)(第一九四五号)
同(華山親義君紹介)(第一九八〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/0
-
001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。
本日は、本案について参考人として松隈秀雄君、中馬馨君、森昌也君、野中広務君の御出席を求め、それぞれ御意見を聴取することにいたしております。
この際、一言ごあいさつ申し上げます。
参考人各位には御多用中のところ、当委員会の法案審議のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。本委員会において審査中の地方税法の一部を改正する法律案について、松隈参考人には税制に関する学識者としての御意見とともに、さきに行なわれた昭和四十一年度の税制改正に関する答申について税制調査会における審議の経過等をも述べていただき、他の参考人の方々には、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
なお、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ十五分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対してのお答えを願いたいと存じます。
それでは松隈参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/1
-
002・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいま御紹介をいただきました松隈であります。税制調査会の委員をいたしておりまするので、税制調査会が昭和四十一年度に地方税法の改正につきましてどういう審議を行ない、どういう答申をいたしたかといういきさつにつきまして、簡単に御報告を申し上げます。
税制調査会は、長期の税制改正問題を審議することを本来のたてまえといたしておりまするが、昭和四十一年度の税制改正についても臨時の答申を出すことになりまして、同調査会内に臨時小委員会が設けられまして、昭和四十一年度の税制改正について審議をいたしまして、その結果答申がまとまりましたので、総会の議決を経て政府に答申した次第であります。今日は国税のほうの改正については省略いたしまして、地方税法の改正について申し上げますが、地方税制の改正にあたりまして注意いたしました重要な事項を先に申し上げますると、国の財政も昭和四十一年度は、一方において国債を発行しつつ、他方において相当大幅な減税をするという状態でありまして、財政状態を相当考慮しつつ、減税案も計画する必要があったのでありまするが、地方財政の場合におきましては国以上に財政が困難である、こういう事情を多分に考慮に入れた次第でございます。なお、地方税の改正にあたりまして、地方財源を充実する、特に自主的な財源をふやしたいというたてまえも考慮に入れてございます。それから、税制改正にあたりまして、税の負担の均衡ということを考慮することは当然でございまして、これは国税と地方税との間における均衡、また地方税各税間におきまする均衡というような点についても配慮をいたしたという次第でございます。そういうような前提のもとに各税目について審議を行ないました結果、結論といたしましては、次に申し上げるような答申をいたしたのでございます。
まず住民税の改正でありまするが、所得割りといたしましては、基礎控除をはじめ各種控除を一万円引き上げるということを答申いたしました。次に税率の改正でありまするが、住民税所得割りの税率を簡素、合理化するという見地から、市町村民税の税率は現在十三段階でありまするのを六段階にする。その際、税率を幾分引き上げるというような改正を行ないました。府県民税については、現行の二段階税率はそのままでありまするが、これも税率の適用区分を引き下げるということによって増収をはかるということにしたのでございます。要するに税率の改正によりまして府県、市町村ともに増収をはかりましたのは、先ほど申し上げました各種控除の引き上げによりまする地方団体の減収が約三百十五億円ほどになりまするが、地方団体の財政の困難である点を考慮しまして、国から地方に財源を移譲する。そのためには国税において所得税の税率を、本来の所得税軽減の意味における税率援和を行ないました上に、さらにもう一段の改正を行ないまして、所得税を約三百六十億円ほど余分に減税をいたしまして、その分、地方税において二百四十五億円ほど増収を得て、地方税の住民税におきまする各種控除の引き上げによりまする減、三百十五億円ほどを埋める、こういう案に答申したのでございます。これはたびたび申し上げまするように、地方税が国の財政以上に困難である。そこで、かねて国、地方の間におきまする財源の再配分というような考え方が税制調査会の一つのプリンシプルというようなことになっておりましたから、それに従うことにいたしたのでございます。こういうことをいたしまするというと、地方団体は自主財源で減収がカバーされる、こういうことでございまするので、交付金、補助金よりも一そう財政力を充実できる、こういう見地から答申をいたしたのでございまするが、これは、政府におきまして各種の政治的な配慮も加わったと思うのでありますが、各種の考慮をされました結果、この案を取りやめまして、臨時地方特別交付金というものに置きかえられたというわけでございます。
次は固定資産税であります。固定資産税につきましては、御承知のとおり新評価基準が昭和三十八年にできたのでございまするが、宅地等につきましては平均して六・七倍というような上昇率でありまするので、直ちに新評価基準によって課税をするということになりまするというと負担の激増を来たすということから、三年間特例的な扱いといたしまして旧負担の二割増しということになっておったのでありまするが、税制調査会といたしましては、この制度が必ずしも税の均衡の見地からいうと適当でないという感じを持ったことが第一でございます。それから次に地方財源、ことに都市財源の不足というような点がございまするので、そういうことからして、四十一年度は、なお暫定期間中には属しましたけれども、この際不均衡是正をすることの必要性を感じまして調整方法に変更を加えまして、最終案といたしましては、政府が提案しておりまするとおり、増加割合を三段階に区分しまして、三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上、こういう区分に従って毎年度それぞれ前年度の税負担の一割増し、二割増し、三割増しということにするという答申をしたのでございます。審議の段階におきましては、これよりもさらに増加割合の高い案も問題となったのでありまするが、大体において減税をするという方向の際であるからして、あまり固定資産税について増率をするということは無理であろうということからして、税制調査会といたしましては最小限度の案が採用になった、こういうわけであります。
都市計画税につきましても、都市開発の重要性にかんがみまして、都市財政需要の増加に対応する何らかの確定的な自己財源を持つ必要がある、こういう見地に立ちまして、先ほど申し上げました三つの区分に従いまして、このほうは三年間という年限を切りましたのと、元額が小さいからして割り増し率も高くしてよろしいということで三割増し、六割増し、九割増しということに答申をいたしてございます。
事業税につきましては、事業主控除を二十四万円から二十五万円に引き上げ、専従者控除について二万円ないし一万円の引き上げをいたしております。
娯楽施設利用税につきましては、ゴルフ場の定額税率の四百円でありまするのを五割上げまして六百円にするという答申にいたしました。
その他といたしましては、料理飲食税等について、免税点の引き上げ、それからサービス料金の非課税等の措置について答申をいたしました。
なお、退職所得にかかるところの住民税所得割りにつきまして、退職時に納税できる道を開きますほか、申告手続の改善を行なうなど、税務行政の簡素合理化をはかる、こういう答申をいたしました。
時間の関係でおもなる税制調査会の地方税に関する答申事項を申し上げたのでありますが、今回、政府の地方税法改正の提案を拝見いたしますというと、先ほど申しました住民税の税率の改定の点は取りやめになりましたが、その他は税制調査会の答申を尊重されまして、さらにそれにもう一そう詳しく詳細な点にわたって考慮を払われまして提案されておる次第でございますので、私といたしましては税制調査会の意見が尊重されましたものと認めまして、政府原案が通過して法律となって施行されますことを希望いたしておる次第でございます。
簡単でありますが、私の口述といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/2
-
003・岡崎英城
○岡崎委員長 中馬参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/3
-
004・中馬馨
○中馬参考人 大阪市長の中馬でございます。
地方行政委員会の皆さまには、地方自治の振興、住民福祉の増進のために御努力をいただいておりますことを厚くお礼を申し上げます。
特に、私ども指定都市の財政事情につきましては、指定都市の市長、議長が共同でしばしばお訴えをいたしておりますように、まことに深刻な事態に立ち至っておるのであります。税制調さ会におかれましても、指定都市の財政の実情を御検討いただきまして、すでに一昨年の長期答申の際に、大都市税財源の強化の必要性を答申していただきました。また、昨年の第四十八国会におきましては、地方税法改正案審議に際しまして、皆さまの衆議院におきましても、また参議院におきましても、大都市税財源強化の附帯決議をしていただいたのでございました。また、現に最も豊かであるとされてまいりました六大指定都市が、一市漏れなく一般交付税の交付団体に転落をいたしておりますことによって、むしろ世間を驚かしておるのが今日の状態でございます。
なぜこんなことになったかと申しますと、大阪市の例で申し上げますと、大阪市民が貧困であるわけではないのでありまして、ただ大阪市が財政的に窮迫しておるのであります。大阪市内から納められております税額は、すべてひっくるめまして、三十九年度で実に三千八百九十三億円の巨額であるのでありますが、そのうちの七割三分の二千八百五十五億円は国税で、国に行っております。一割六分の六百八億円が府税でございます。大阪市の自主財源として残っておりますのは、わずかに四百三十億円で、全体の一割一分にすぎないのでございます。申し上げるまでもなく、指定都市でありますから、道路交通をはじめとして、市内の行政の責任はほとんど大部分市自体が負うておるのでありまして、こんな状態ではわが国の産業中枢都市としての再開発などはとてもできないといわなければならぬのであります。
しからば戦前はどうであったかと申しますと、市内からあがっております税金は、昭和八年度の例をとってみましても、その六割二分――今日は七割三分でありますが、六割二分が国税でございます。一割四分が府税でございます。大阪市の自主財源としては、二割四分を占めておったのでありますから、もし戦前の割合だといたしますと、倍以上の千億近い税収があってもいいということになるのであります。大阪市に毎年五百億程度の増収があるといたしますれば、大阪の町は今日のような混乱はいたしていないと思われるのであります。
その上に、申し上げるまでもなく、今日では、世界の都市はすべて自動車激増時代を迎えておりまして、世界のどの都市でもまことに大胆に、いわゆる都市の再開発に真剣に取っ組んでおるのであります。ところが日本の都市は、なるほどりっぱなビルディングもできましたし、工場は技術革新によって非常な高能率を誇っておるのでありますが、一たび町を見ますと、公共投資のたいへんな立ちおくれから、日々ごたごたと混乱をして、交通麻痺を繰り返す非能率な状態にあります。
大阪市の例をとってみますと、昭和三十年――十年前でありますが、大阪市の市バスは一時間に十四・六キロ程度走れたのであります。それが今日では道路の混雑で一時間にわずかに十一・九キロしか走れなくなっている。近代都市としての能率は年々こうして悪化をいたしておるのであります。このことは一国の産業能率の上にも大きな、はかり知れぬ影響を与えておるものと思うのであります。スモッグや水の汚濁、その他市民の生活環境も年とともに悪化いたしまして、公害問題もようやく問題化してきておるのが現状でございます。
今日、いまや大都市というものはよほど急いで、また、ばく大な公共投資をする必要に迫られているといわなければならぬと思うのでありますし、現に政府の公共事業の認証も非常な勢いでふえておるのであります。公害問題も無為無策を許されない状態までまいっております。しかし、財政これに伴わずというのが現状でございます。
それでは、なぜとらなったか。いまさら私から申し上げるまでもないところでありますが、昭和二十四年、シャウプ博士は、わが国のデモクラシーの基盤をつちかうためには、どうでも市民生活に直結をした市町村の自治を伸ばさなければならない、そのためには府県税は現状維持でいいが、市町村の税収は五割程度伸ばすことにいたすべきであるということで、税制の改正が行なわれたのでありました。また事実においてシャウプの意図のとおりに、翌年は市町村税の総額は一挙に五割二分程度伸びました。これをかりに府県税総額と比較いたしてみますと、改正前の市町村税の総額は府県税総額の一・二倍、二割程度市町村税総額のほうが多かったのでありますが、改正の結果は一・七倍、市町村税総額のほうが七割も多いということに改善をされてまいったのであります。
ところが、大都市に限っては、増収どころか、シャウプの意図とは全く逆に、私どもの予想とも全く反対であったのでありますが、付加税主義の旧税制に比べて、大減収をもたらしたことは御承知のとおりであります。まことに大減収といわなければならぬと思うのであります。それだけではなくて、大都市の場合には昭和二十九年の改正でも、今日から検討してみますと、やはり失うところが多かったのであります。さらにその後も大都市財政は、数字の上で見ますと、じり貧を続けてまいっております。
しかし、その後の傾向は、ひとり大都市だけの現象ではなくて、全国の市町村の自主財源というものはだんだんと貧弱化の一途をたどってきておるのであります。三割自治といわれておるのでありますが、それどころか、年一年と自主財源は萎縮を続けてまいっております。かりに先ほどの府県税総額と対比いたしてみましてもこのことは明らかであります。シャウプ税制によって一・七倍にまでふえていました市町村税の総額は、だんだんと減って、昭和三十九年度では、逆に、府県税総額よりも減ってしまいまして、府県税総額の九七%に転落をしておるのであります。
いろいろな原因が考えられる中で、最も大きな原因の一つは、全市町村に共通する問題として、固定資産税の伸び悩みであるといわなければならぬと思うのであります。シャウプは、市町村に安定した税目、普遍的な税目として市町村民税と固定資産税とを与えて、府県には事業税、自動車税、遊興飲食税等のむしろ都市的な色彩の濃厚な税目を与えたのでありましたが、その結果、その後の経済成長並びに都市の発展に伴いまして、国税や府県税、府県税の中でも大都市所在の府県の税収は、大きく自然増収をもたらしたことは御承知のとおりでありますが、市町村税の中の固定資産税は評価がえをしなければ伸びないのであります。その上にこの伸長性の乏しい現行税制の伸びをさらに押えてまいりましたのが、昭和三十九年度以来とられておる土地の負担調整の措置であるのであります。
大阪市の例をとってみますと、十年前の昭和三十年を一〇〇といたしまして、市民税のほうは四六七%、五倍近く伸びております。これに反して固定資産税は、約その半分の二四〇%にしか伸びておりません。その中でも土地は一六一%で、市民税の三分の一程度にしか伸びていないのであります。土地の固定資産税の伸び率はあまりにも低いといわなければなりません。固定資産税の中で土地の占めております比率を見ましても、昭和二十五年は三九%を占めておったのでありますが、十年後の今日では、半分近い二三%にウエートが軽くなっておるわけであります。こうして見ていきますと、土地の負担は相対的にはかなり低くなっておるのでありまして、固定資産税間の税負担の不均衡をも生じておると思うのであります。
御承知のとおり、昭和三十九年に土地の新評価が行なわれたのでありましたが、これによりますと、大阪市では、宅地については平均約七倍の上昇を示しておるのであります。しかし、これはあくまでも平均でありまして、もちろんところによってたいへん違っております。国鉄新幹線の終着駅であります新大阪駅付近や弁天町付近などは、二十倍、三十倍に上がっておりますが、中心部はさほどでもありません。にもかかわらず、その税負担が一律に三十八年度の二割増しと定められたために、たいへんな税負担の不均衡を来たしておるのでありまして、税の公平原則にも著しく矛盾する状態に立ち至っておるといわなければなりません。新大阪駅付近は、前は坪一万円から二万円のところでありましたが、今日では坪二十万円、三十万円、高いところは四十万円、五十万円といわれておるのであります。現在は、三十八年度評価、わずかに千四百円であります。高いところで三千円であります。これを基準に二割増しのところで課税されておるのでありまして、昭和三十九年度に一応新評価がなされ、評価がえがされたのでありますが、その新評価でも四万円、最も高いところで、あの新幹線の終着駅付近で七万円程度にしか新評価されていないのであります。このように、新評価でもなおかつ一般取引の三分の一ないし五分の一程度にすぎないのでありますから、私どもは新評価の四万円-七万円を基準にして課税しても、税の負担が過重になるとは考えていないのでありますが、しかし個々の人たちの事情によっては急激な負担増にたえがたいものがありますので、相当長期の段階を踏んで新評価に近づけていただく必要があると思うのであります。
大阪市は、一方ではたいへんな土地を買っております。昨年度でも一般行政会計だけでも百五十八億円の土地を買っておるのであります。その用地買収のほうは常に新評価額の三倍以上になっておるのであります。地価はこの十年間に八・六倍になっておるのに、税はわずかに一・六倍にすぎないのであります。固定資産税の課税標準と市が土地を買わねばならぬ財政支出の水準との間には、このような常態を逸したギャップを生じておるのであります。
固定資産税につきましても、税は低ければ低いほどいいことはもちろんでありますが、第一に、固定資産税は住民税とともに、何といたしましても民主主義の基盤といわれる市町村の税収の大宗をなしておるという財政構造上の立場を御検討いただきまして、ことしのように国税において大減税が行なわれたときこそ、国民の負担を特にふやすことなくして自治体の自主財源を拡張し、三割自治といわれる地方の自治の振興をはかっていただく最適の時期かと考える次第であります。
またさらに先ほど来るる申しましたように、固定資産税が他の税種に比べてかなり低く据え置かれておる。また、はなはだしく負担の不均衝を現に生じておるということや、また土地の値上がりには私どもばく大な公共投資を年々やっておりますが、そのおかげで値上がりをする不労利得的な要素を含んでいる場合も多いのであります。受益者負担やあるいは土地増価税の論議の対象となるようなものをもかなり含んでおるのでありますから、相当の段階を踏むことはやむを得ませんが、できるだけ新評価に近づけていただくようなことによって、私どもの自主財源また都市経営が少しでも改善されるようお願いをいたしたいのでございます。
以上、今回の地方税改正案に関連したことを申したのでありますが、何しろ大都市というものは、大阪の最近の国勢調査の結果、私どもは昼間流入人口は七十五万程度だと思っておったのが、ふたをあけてみますと八十八万の昼間流入人口であります。この人たちは市税を納めてくれておりません。そして大阪市は行政負担だけは多くなって、税収は貧困化していくということです。こういうものをどうして把握するか、また町の性格を考えてみますと、経済の中枢都市でありまして、むしろいわば法人の町であります。法人の町であって、法人活動によって私たちの仕事も産業の基盤をつちかうためにたいへんな公共投資を余儀なくされておるのでありますが、その法人からの税収というものはほとんど大阪市にないのであります。法人関係の法人課税の配分を見ますと、七四・五%が国であります。二一・一%が府であります。大阪市には港をつくり、道路をつくり、交通機関を整備するといったような産業の基盤、法人活動の基盤のために行政を行なっておるにもかかわらず、わずかに四・四%の税収しかないのであります。こういうようなことから、アメリカのフィラデルフィアなどでは流入人口に対する課税の方法なども講じておるところもあるようであります。そうした問題も考えられるので、今後研究されなければならぬかと思うのであります。
しかし、昼間人口の負担してくれる他の方法としては、あるいは料飲税の問題でありますとか、入場税の問題でありますとか、あるいはただいま申しました法人税の配分の問題でありますとか、いろいろ問題があると思うのであります。どうか皆さま方には、何とぞ大都市財政の実情、それが国家の産業中枢的な機能を果たさなければならない、そして世界に例を見ないような混乱状態にある実情をお考えくださいまして、その改善についていろいろと御検討いただき、御指導いただくことをお願いをいたしまして、私の口述といたしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/4
-
005・岡崎英城
○岡崎委員長 森参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/5
-
006・森昌也
○森参考人 島田市長の森でございますが、中小都市の市長の立場から申し上げたいと思います。
私ども中小都市をお預かりしておるものといたしましては、住民の生活をよくするという仕事を進めるわけでございますが、その一つは住民負担の軽減、このたび御計画になっておられまするような減税と同時に、税外負担の整理というふうなことを通じまして負担を軽減する。他の一面は、住民の生活がその上に築かれておるところの社会資本の蓄積、公共資本の投資というふうなことによって、生活をよくする道をつとめておるものでございます。
このたびの改正法案によりまして、あるいは住民税の課税最低限の引き上げ、あるいは法人税の減税に伴うところの法人税割りの減収に対する補てん措置、また、ただいま税制調査会の答申の内容としてお話のございましたゴルフ場所在都市のゴルフ施設利用税の交付金制度の創設、固定資産税、都市計画税における調整措置など、一方において減税をやりながら、それに対する財政的な補てん措置をお考えくださいましたことは、まことに適切な措置と考えておる次第でございます。
しかしながら、ただいまの政府原案がかりに修正をされました場合には、都市の税源に非常に影響を及ぼしてまいるわけでございます。したがって、これに対しては完全なる減収補てん措置というものを講じていただかないと、都市といたしましては非常な困難に遭遇をいたすわけでございます。御承知のように地方財政の不足と考えられておりますものが、四十一年度二千七百八十億でございますか、これに対しまして、固定資産税、都市計画税等の増によりまして約百億、それから地方交付税の交付税率の引き上げが約六百億、臨特といわれておりますものが御承知のように四百億、それに特別事業債として千二百八十億ぐらいのものが見込まれておるわけでございますが、その不足分がさらに四百億ほどございます。その四百億に対しましては、一方に超過負担の解消として二百五十億ほどをお考えくださっておりますことは、私ども非常にありがたいことでございますが、さらにその不足しておるところの百五十億というものは、地方団体の経費節減ということで埋めていこうという計画になっておるようでございます。しかし、現在市町村の、特に都市の行政というものは住民と直結をいたしておりますので、住民の非常にきびしい監視のもとに置かれておりまして、そう大きなむだ使いというものはできないことになっております。しかしながら、国の政策に応じまして、私ども極力その節減につとめたいと考えておりまするが、その都市の歳出の中で、年々累増してまいりまして、非常に大きな問題となっておりまする人件費の節約すら、私どもが多年要望してまいりました定年制の実現もなかなか思うにまかせないわけでございまして、政府におかれましては非常に強い御考慮をいただいておりまするが、なかなかそれがむずかしいというふうなことでは、人件費の問題で非常な困難をきたしてまいります。こういうことで、百五十億の節減というものもやらなければなりませんが、たいへんな困難があるであろうというふうに考える次第でございます。したがって、この上さらに政府原案の修正が行なわれまして税収の減ということになってまいりますと、これに対しては完全なる財政補てんというものが講じられなければならないと考えます。しかも、それが地方交付税というふうな形で行なわれます場合には、不交付団体には何ら補てんにならないことも御承知のとおりでございます。自主的な財源としてこの補てんが当然行なわれなければならぬというふうに考える次第でございます。
以下、税法のおもなる問題について意見を申し上げさしていただきたいと存じます。
第一に住民税でございますが、この住民税の負担軽減ということは、私ども第一線にあります者として常に希望するところでございます。先般は課税方式の統一、本文方式への統一ということで、不均衡な極端な超過課税というものを解消をいたしました。今次改正案におきましても、課税最低限の引き上げ等が行なわれたわけでございますが、これに対して恒久的な減収補てん措置が講ぜられておりますことは、一に諸先生方の御尽力によるものでございまして、この点はこの席から厚くお礼を申し上げたいと存じます。
次に固定資産税でございますが、これは住民税とともに市町村税制の主柱でございます。ただいま大阪市長からお話のございましたように、固定資産の評価が現実とたいへん離れてまいりまして、したがって、都市の税収の中でその比重が年々低下をいたしております。固定資産の三資産間のバランスも著しく不均衡になってきております。これを救うために先年評価がえが行なわれたわけでございます。三十七、八年でございますか、非常な費用と時間と手間をかけまして、都市は評価がえを実行いたしました。島田市のような人口わずか六万の小都市におきましても、評価がえのみに投じた費用は六百万をこえております。そらした非常な手間をかけて評価がえをいたしたわけでございますが、その結果は平均の六倍ぐらいの評価増となりますので、その負担の激変緩和のために暫定的な調整措置がとられております。これが昭和四十二年から実施をされるということでございましたが、その後の土地の価格の変動と申しますものは急激でございまして、このまま放置してまいりますと、非常に苦労をして行ないました新評価というものが、いつの間にか旧評価になってしまうという事態になると私は存じます。それで、その固定資産の新評価に基づくところの税制改正というものは、一方におきましては、こうした現実に非常な変化がきておるということ、それから非常な手間をかけて行ないました新評価が、いつの間にやら旧評価になってしまうというふうな事態が刻々に迫っておるという問題、もう一つは、申すまでもなく、都市の財政対策として考えられておるものでございますので、そういう点から、私どもは、何らかの形でこの政府原案というものは貫いていただきたいということを考える次第でございます。
なお農地につきまして、政策的な見地からでございましょうか、農地以外の土地と区別をいたしまして特別な扱いをいたしております。これはしかし、同じ土地の中で農地と宅地との不均衡というものがますます拡大をしていくという点から、農地に対しましても何らかの御考慮をいただきたいと思うのでございます。たとえば農地の中で、将来ずっと農業用土地として使われてまいりますものと、将来近い期間に宅地化するという見通しを持っておりまするもの、その中間のもの、農林省方面におきましても一種地、二種地、三種地の区別をいたしております。あるいはこういうものを参考といたしまして、農地に対してももう少し何らかの、これは近い将来宅地化していくものもあるわけでございますので、そういう点については特別の御考慮をいただくことが適当ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
また、私ども、これは仄聞いたすわけでございますが、住民の負担の軽減という意味から、固定資産税について基礎控除制度がとられるのではないかということも伺っておりますが、基礎控除という形は、これは所得課税に適用してまいるべきものだと存じます。物税につきまして基礎控除というような形は、税制の混乱を起こすのではなかろうかという気がいたします。むしろそういう御考慮がありますならば、免税点の問題等によって御操作をいただくことがいいのではなかろうかと考えます。特に、また基礎控除などをこの際採用してまいりますると、すでに都市におきましては四十一年度固定資産税課税に対しておおむね準備を完了いたしております。そして国のほうの御結論が出ることを待っておるわけでございます。そういたしませんと、増税というのは常に住民の納得のいくようなPRをいたしまして課税をいたさなければ、私ども税金をいただく者の立場として、第一線では非常に困るわけでございますので、一刻も早くその結論が出て、住民にPRをいたしまして、その上で課税をしていかなければならぬという立場から、大体の準備を行なってきております。この際、基礎控除という形をとってまいりますると、税務上非常な繁雑を巻き起こしてまいります。まだ免税点引き上げのほうであれば、まあ会計機等を全面的に採用して計算事務の機械化をやっておりますところであれば、大きな混乱は起こるまいと思いますが、基礎控除の場合は非常に税務事務上大きな混乱が起こってくるのではないかということもあわせ考える次第でございます
しかしながら、このようにもし原案が修正をされますならば、それがどれほどでございましても、先ほど冒頭申し上げましたような都市の財政上非常に大きな衝撃となりますので、これに対する完全なる補てん措置ということをぜひあわせて御検討をいただきたいと思う次第でございます。
その一つといたしましては、ただいま固定資産税、電気ガス税等に関しまして、きわめて大幅な事業関係等に非課税あるいは減免規定がございます。私はこういうものはどんどん整理をいたしまして、国の経済的な助長政策というものは別途助成金その他でもって考慮すべきであって、事業に対する大幅な非課税規定あるいは減免規定というものはできるだけ整理をして、税制というものの筋を通すべきではなかろうかという気がいたすわけでございますが、現実にはかえってこれが拡大の方向にあるということはまことに残念でございます。こういった点も、地方財政の問題として税制上もぜひ正していただきたいと思うわけでございます。
そのほか、都市が非常に困難をいたしておりますものに道路財源がございます。今回七千億の公債政策をおとりになりまして、その中で相当程度の建設財源が見込まれておるということは、たいへん私ども地方におります者としてもありがたいと思うわけでございますが、ただ自動車は国道だけを通るものではございませんで、市町村道を通っておりますので、ぜひ早い機会に道路目的税源といろものを地方に与えていただきたい。むしろ国の道路財源は公債によって充足をされまして、揮発油税、石油ガス税の一部または全部を地方に移譲をされまして、市町村にもこれを譲与する、こういう形をぜひとも御検討をいただきたいと思うのであります。
時間がございませんので、ごく簡単に申し上げましたが、こうした状態にただいまございますが、もしこの新しい法が、その成立が新年度に食い込んでまいりますると、先ほど申し上げましたような第一線の都市といたしましては、課税事務の上からもあるいは住民の理解を得て――ただ課税してよろしいということではございませんので、地方の自治体としては住民の納得のいく、十分に理解をした上での課税を行なうべきでございます。そうやっておりますので、この点がもし新年度まで持ち越されてしまうということになりますと、税務行政上非常な混乱が起こってまいるわけでございます。ぜひ先生方のお力によりまして、少なくとも年度内には――私のほうから申しますと、半年ぐらい前に新しい税制というものはきまりまして、そうして十分なPRの期間を置いて税制改革というものを、特に増税の場合には行なうべきであると存じますけれども、ただいまといたしましては、少なくとも年度内にはこの法案が法律として成立、確定をいたしまして、直ちに税務に入っていけるよう御配意をいただきたいと思うわけでございます。都市によりますと、すでに四月、五月にはこの固定資産税の問題で令書を出していかなければならぬというふうなところに追い込まれておるわけでございます。第一線の税務職員は、すべてその計算等の仕事を終わりまして、そしてこの確定を待っておるわけでございます。私どもただいま、明後日新年度の予算市議会を終わるわけでございますが、そうした歳入の見通しにつきましても、一応ペンディングな形でもってこれを組まざるを得ないというふうな、非常な困難な状態に追い込まれておるわけでございますので、この点もぜひひとつ御了察をいただきまして、一刻も早く御結論が出てまいりますようにお願いを申し上げたいと存じます。
たいへん失礼でございましたが、市長の立場から意見を申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/6
-
007・岡崎英城
○岡崎委員長 野中参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/7
-
008・野中広務
○野中参考人 園部町長の野中でございます。今回の地方税制の一部改正法案につきまして、全国町村会を代表いたしまして意見を申し述べたいと存じます。
まず最初に、ただいまも島田市長さんからお話がございましたが、当初にお願いをいたしたいと存じます。
毎年地方税制が改正されますことは、経済事情の変化等よりいたしましてやむを得ないと存じますが、税務事務の執行にはそのつど相当な影響を与えております。特にその成立が遅延をいたしますと、ただいまもお話しのとおり、新年度から始まります新税制の執行にいろいろと支障を生ずるのみならず、住民の納税感情にもかなりの影響を与えると考えますので、ぜひ本法案の早期の年度内成立がはかられますよう、当初にお願いをいたしたいと存ずる次第であります。
私どもは、従来より基本的な主張をいたしまして市町村の自治の自主、自立性を強化いたしますために、その自主財源の増強を要望いたしております。この点は今回の税制改正では十分生かされていないと存ずるのでございますが、将来この問題について抜本的な御検討を願いたいということを前提といたしまして、今回の税制の改正につきまして若干の意見を申し述べたいと存じます。
今回改正の重要な柱は、住民税の減税と固定資産税の負担調整でありますが、基本的な方向として、所得課税の軽減は今後とも行なうべきであると存じます。その結果、財産課税の比重が増大してまいりますことは不可避と存ずるのでございます。特に町村では所得の伸び悩みが顕著でありますために、税収中の五割を固定資産税が占めておる実情でありまして、この傾向は今後ともなお続いていくであろうと思うのでございます。このような傾向を念頭に置きますと、今回の住民税の減税につきましては私どもは賛成であります。連年、減税されます所得税との振り合いや生活保護基準等の引き上げなどを考え合わせますと、この程度の軽減はやむを得ないと存ずるのでございます。ただ、私どもの心配は、現在の地方財政の破綻の状態から、その財源補てんでありましたが、幸いにいたしまして、臨時特例交付金という名目ではありますが実質的にはたばこ消費税の増額措置等の方針をもってこういった基本的な方針が打ち立てられたことは、私どもとしては感謝にたえない次第でありますとともに、税には税をもって措置するという原則が貫かれる方針が打ち出されましたことは、まことに地方団体としてけっこうに存ずるのでございます。しかし、減税額が三百億とお聞きをいたしておりますが、これと措置をされました二百四十億との間には差があるのでありまして、将来の税の伸びも差が生ずるかと考えますので、地方税の総量をふやすという基本的要望とも関連をいたしまして、今後の御配慮をわずらわしたいと存ずるのでございます。
次に、固定資産税につきましては、現行の暫定措置には大きな無理がございます。かえってそれによりまして地域内の負担の不均衡を助長しておるのが実情でございます。私ども末端のいなかの町村におきましても、これは顕著にあらわれておるのでございます。
ここで私どもの町の例を失礼ながらとってまいりますと、ここ数年間国道あるいは府県道の改修、舗装等は見るべきものがございます。したがって、これが都市のみではなく、山間僻地の農村地帯におきましても、国道がここ数年非常に見るべき姿で整備をされてまいりました。また府県道もこれに伴って整備をされてまいりました。私の町におきましても国道中央線が従来の国道と非常に変わった路線でつけかえられたのでございます。したがいまして、昭和三十三年からこの工事が行なわれ、昭和三十六年で終わったのでございますが、これに伴いまして、その新しい国道の周辺に商店街が進出し、あるいは住宅が進出をしてまいりました。従来、旧国道においていわゆる一等地といわれた地域は非常に凋落をしてまいりまして、新国道口の商店街に押されてしまう、いわば新国道口がほんとうにいい土地柄になったということでございます。そういう点で、私どもは三十八年の新評価に矛盾解消の大きな期待を寄せたわけでございますが、実際は一・二倍のいわゆる暫定措置に押えられまして、従来の旧の一等地がそのまま町内における一等地になり、最近の新しい変化に伴う一等地はそのまま押えられるという矛盾を生じております。これは非常に小さな町道あるいは府県道においてもその例を見ることが顕著でございます。住民の中にはもちろんこの措置によります大きな不満もございます。
かつまた、先ほど来お話のございましたごとく、相当な事務量と経費を投入いたしましてこの新評価事務と取り組みました市町村当局におきましても、またこれを指導いたしました府県当局におきましても、その結果的な処置から取り扱いに非常に弱っておるという実情でございます。今日まで私どもは、組織を通じて関係の皆さん方にこの矛盾排除のために固定資産税のいわゆる公平化をお願いをしてまいりましたが、今回税制調査会の答申となり、あるいは政府原案となって、いわゆる激変緩和の配慮を含めながら負担調整の行なわれることが考えられましたことは当然の措置と考えるものでございます。町村といたしましては、この措置で多くの増収が結果的に期待できるわけではございませんけれども、主として住民の中にある負担の不均衡が是正される意味におきまして、私どもは政府原案による成立を強く希望をしておるのであります。
しかし、一部私どもが仄聞いたしまするところによりますと、種々の経過から国会での御修正があるようなことを伺うのでございますけれども、先ほど島田市長さんからお話がございましたごとく、零細資産の所有者を救う意味で免税点の引き上げ等で御配慮を願いたいと存ずるのでございます。万一そういった点で基礎控除制の創設というふうなことになりますと、私どもの零細な市町村の事務においては、この事務の繁雑、複雑化していくのをとても消化することができないということをひとつ十分お考えをいただきたいと思うのでございます。
なお、申し上げるまでもないことでございますが、かりにこういう修正によりまして財政計画上の既定額を削減されるような状態になります場合は、一般財源によるこれが財源対策に万全を期せられるよう、あわせてお願いを申し上げる次第でございます。
今回の改正事項につきましては以上でございますが、今後の問題といたしまして全国町村会が御要望を申し上げている点につきまして一言申し上げ、特別の御配慮をわずらわしたいと存ずるのでございます。
その第一は、先ほどもお話がございましたごとく、市町村の道路財源の充実強化であります。地方道路の整備が当面の課題となりつつあります現今におきまして、地方通路譲与税を市町村にも配分をされたいというのが私どもの年来の望みでもございますので、ぜひ近い将来にこれが御配慮をお願いする次第でございます。
第二には、住民税、固定資産税以上の問題になっております国民健康保険税でございます。年々減税をされる住民税等に反比例をいたしまして、国民健康保険の負担は非常に大きな増大をいたし、税そのものの負担も、五割・五割の負担をいたしております私ども零細町村におきましても、一世帯割りの負担は一万円をこえるという状態で、五割・七割の負担をいたしておりますところでは一世帯割り一万四千円程度負担をするという状態でございまして、住民税とは比較にならない住民負担となっております。しかもこれは非常に所得の低い階層をかかえておるだけに、私どもにとりましては、住民税以上の問題として弱っておる次第でございます。特に地方財政の困窮から一般財源からの補てんも十分でない状態を考えますときに、何とぞ本問題の取り扱いにつきましては、十分御理解の深い先生方の格段の御理解と御措置をお願いを申し上げる次第でございます。
以上、今回の税制につきまして簡単に意見を申し上げました。何とぞよろしく御配慮をいただきますことをお願いを申し上げまして、終わらしていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/8
-
009・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/9
-
010・岡崎英城
○岡崎委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/10
-
011・奥野誠亮
○奥野委員 時間の関係から、四人の方々に一まとめに御質問申し上げたいと思いますので、またお答えもできる限り簡潔にしていただいたほうがしあわせである、かように考えるわけでございます。
最初に、税制調査会委員の松隈さんにお尋ねさせていただきたいと思います。
政府から提出されております地方税法改正案のうちで土地、特に宅地に対する固定資産税の負担を改めていくということが一番論議の的になっているように考えるわけでございます。ある人は、毎年毎年土地の負担が引き上げられていく、増税になっていく、一年だけのことじゃないじゃないかというような非難をいたします。しかし、真実は土地の負担が家屋や償却資産よりもかなり大幅に軽減されているのだ、その軽減の度合いを毎年毎年若干ずつ薄めていくのだ、こういうことになろうかと思うのでございます。もとより将来は固定資産税全体について税率を再検討するということはきわめて必要なことだろうと思うのでございます。こういうことから、私反省をいたしておるのでありますが、二十五年に固定資産税が設けられましたときには、土地の評価は毎年毎年行なっていくということになっておりました。しかし、当時土地の値上がりが著しかったものでございますので、毎年かなりきつい負担の増加があったりいたしましたので、その後、三年ごとに評価をするということに改めたわけでございます。これは私にも責任があるわけでございます。その後三十八年に税制調査会から、三年ごとに評価がえを二年ごとに改めろという御意見が出たように思っております。政府がこれを取り上げなかったことをむしろ私は遺憾に思っておるわけでございますが、二年ごとの評価がえよりも、より根本的にはやはり昔の毎年ごとの評価のほうがよかったのではないだろうか、こういう感じをいたしておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましてもいまの土地の負担は六分の一、七分の一というふうに据え置かれておりますから、自然政府のほうでも四十二年の評価がえもやめるという法律を出しているわけでございます。したがいまして、こういう議論は、こういう問題からは必要ないことでございますけれども、私のお尋ねしたいのは、国民経済が毎年毎年伸びていく、ということは、半面土地の生産性も上がっているというふうに見られるのじゃないだろうか。そうすると、税制が全体として維持されていきます場合には、土地の負担も、国民所得の増加に準じた負担の増加を求められてもやむを得ないのじゃないだろうか、どんぴしゃりに負担の増加を求めるとは申し上げませんけれども、国民所得が全体として伸びていくのだ、国民経済が伸びていくのだ、そうすると、やはりその中で土地の果たしている役割りもふえていっているのだ、土地の生産性もある程度伸びていっているのだ、だから国民所得が伸びていく限りにおいては土地の負担も毎年伸びていくことはやむを得ないじゃないか、程度には問題がありましょうけれども、こういう考え方がとられるのではないか、かように考えられるのでございます。土地の値上がりが非常に大きくなった、それに比例して一ぺんに負担の増加を求めるということは、これは私は無理があると思います。しかし、全体として国民所得が伸びていく程度のものは毎年土地についても負担の増加が求められても、これはやむを得ないことじゃなかろうか、こういう感じを抱いているわけでございますので、この点についてのお考えをお示しいただければしあわせだと思います。
もう一つは、大阪市長から指定市の税源について、事務は他の都市と違っているのだけれども、道路目的財源については特別な措置がとられていないという意味のお話があったと思うのでございます。それで、松隈さんにお尋ねしたいのは、基本的には、やはり税制について他の都市とは違ったものがとられるべきであるとお考えになっているかどうか。お考えになっているといたしますならば、どういう税種についてお考えになっているか、たとえて申しますと、法人税割りについて、府県の仕事を指定市は相当多くのものをやっているのだから、府県の法人税割りの分量を少なくして指定市の分量をふやすべきじゃないかというような意味合いで何かお考えがありますれば、それをお聞かせ願っておきたいと思います。
もう一つお伺いしておきたい問題は、森さんや野中さんたちから、土地に対する固定資産税について基礎控除制度をとられることは、物税というたてまえからも納得しがたいが、それより以上に事務的にとてもたえられないというお話がございました。私もどうも昔から、いまの固定資産税をネットの財産に課税する財産税にでもするのなら格別でありますけれども、いまの制度をそのままにして基礎控除制度をとる、たとえば庶民の住んでおる土地については課税をしないような式に基礎控除制度をとるということでありましても、人的事情を全然考慮していないわけでございますので、とてもできないことじゃないかと思うのでございますけれども、その辺についての理論的にお考えをお示しいただければしあわせだ、かように考えるわけでございます。
次に、大阪市長の中馬さんにお尋ねさせていただきたいと思います。いまお話を伺っておりますと、新大阪駅の付近において、三十八年の新評価額が取引価格の三分の一から五分の一程度である、こういうお話がございました。私、もっともなことだろうと思うのであります。取引価格ということになりますと、どうしても売り手相場ということになってくるだろうと思うのであります。なかなか土地を手放さない、ぜひ買いたいということで、自然売り手の手放せるところで値段をきめられていくというようなところから、どうしてもいわゆる時価と比べますと評価額というものはかなり低いものだろうと思います。それは不穏当だとは思っておりません。たまたまいわゆる時価に比べて三分の一から五分の一の評価なんだ。だから毎年毎年上がっていくと言われるけれども、時価の三分の一ないし五分の一程度の価格まで上がっていくだけのことだということになろうと思うのでございます。そこで、一体旧市内の市街地において、取引価格と新評価額がどの程度なんだろうか、私は全国的にまず二分の一ぐらいじゃなかろうかという大ざっぱな自分なりの考えを持っているわけでございます。あるいはもう少し低いかもしれませんけれども、大阪においてどんな程度なんだろうかということを教えていただきたいと思うのであります。
それから島田の市長の森さんに伺いたいわけでございますが、先ほど、電気ガス税などについていろいろ減税が行なわれている、そういうものを大幅に整理すべきだというお話がございました。これはまた電気ガス税の本質をどう考えるかということの理論にも関係を持ってくる問題だと思います。そこで私の伺いたいのは、電気ガス税については免税点制度をとっておるわけでございます。そうして免税点をある程度引き上げながら、いま月額四百円でしたか、ガスについては五百円であったかと思いますが、までの場合には電気ガス税を課さない、こういうことにいたしておるわけであります。これをむしろ引き上げていくことがいわゆる大衆に対する負担の軽減措置ということになってくるのじゃないだろうか、こう思うわけでございまして、今回住民税につきまして課税最低限をかなり大幅に引き上げられたわけでございますけれども、残っている大衆負担の軽減ということになってまいりますと、電気ガス税の免税点を上げていくというようなことが好ましい大衆負担軽減の方向ではないかと思うのでございますけれども、たまたま電気ガス税減税についての御意見があったものでございますから、私のいまのお尋ねにつきまして何か御意見がありましたら教えていただきたいと思うのでございます。
それから園部の町長の野中さんに伺っておきたいと思うのでございますが、自主財源を増額しろという御意見がございました。もっともなことだと思っております。そうしますと、市町村通じて税収入を与える、どの市町村にもある税源ということになってまいりますと、やはり土地、家屋のようなものであるとか、人に対する所得課税のようなものであるとかということ以外には普遍的なものはちょっと考えられないのじゃないだろうか、こういう感じもするわけでございます。そうしますと、こういうものについての税制の適正を期していくということは、いまお話にありました御希望からいいますと非常に大切なことなんだ、またそういう意味で今回の宅地に対する課税の適正化が取り上げられてきた、かように考えるわけでございます。人に対する課税として、住民税についてはやはり所得割りの大幅な軽減措置がとられているわけでございます。ただ均等割りの問題になりますと、二十五年以来今日まで、二割五分の軽減が行なわれて、その後そのままになっておるわけであります。貨幣価値が非常に変わってきておりますし、また所得が全体として伸びているときから考えますと、均等割り制度を残しておく場合にはこれでいいのだろうかどうか、私は疑問を持っておる一人でございます。均等割りに手をつけるということは政治的には非常に勇気の要る問題であります。勇気の要る問題でありますが、このままでいいのだろうかということについては非常な疑問を持っておる一人でございます。町村の均等割りが二百円だと記憶しておるわけでございます。当初は四百円であったように思うのでございます。四百円だったものが二百円、県民税の所得割りを加えても三百円、こういうことになっておるわけでございます。でありますので、私は低い所得の人たちについてはこれを上げることは適当でない。だから何段階かの均等割り制度をとったほうがむしろ住民の負担に適合した課税が行なわれるのじゃないか。どの程度収入が得られるか疑問はありましょうけれども、この均等割りを残しておくならば、いまのままではナンセンスではないか。そうかといって、所得の低い人に均等割りをやりましても、引き上げていくことには非常に困難があります。これは何段階かの区分を設けた均等割り制度をとって課税の適正化をはかる必要があるのではないか、こういう感じを持っておりますので、そういうことが考えられるかどうか、伺っておきたいと思うのであります。
なお、松隈さん、森さん中馬さんは、これは市町村の住民によって違うと思うのでありますが、私の考えでは、自己所有の土地の上に住んでいる人というのは、かなり恵まれた人ではないだろうか。もちろん、退職所得を得て、それで土地を買ったという人もないわけではないでしょうけれども、一般的には、自己所有の土地の上に住んでいるという人は、かなり恵まれた人じゃないかというふうに私は思うのであります。しかし、そうではないんだ、一般の庶民も土地をどんどん買っているんだ、こう言われる方も政治家の中にもおられるのでありますが、私にはぴんとこないのであります。
そこで、お三方に、自己所有の土地の上に住んでいる人は、税制上非常に配慮を加えなければならない、負担軽減を積極的に考えなければならない人であるかどうか、比較的恵まれた人なのか、それの感じをお聞かせ願えれば幸いであると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/11
-
012・松隈秀雄
○松隈参考人 奥野委員の御質問の第一点は、固定資産税につきまして、土地の評価を毎年改定したらどうかということであります。国の経済発展ということは、土地の生産性向上ということが大きく寄与しておるので、したがって土地の評価を毎年見直して、それに相当する固定資産課税を実行すべきである、こういう理論に対しては賛成でございます。
ただ、現実の問題といたしますと、三年ごとに評価を行ないます関係上、ことに宅地につきましては地価の騰貴の範囲が大きいものですから、その新しい評価基準を採用することに難点がありまして、調整措置を講ぜざるを得ないという実情にあります。まず三十八年に行なわれた新評価基準にいかにして近づくかということが第一歩でありまして、その後二年ごとがいいか、三年ごとがいいか、そういう改正を行なうか、あるいは毎年改正するということにするかということを考慮すべきであって、現段階においては、理論的には正しいけれども、毎年の評価がえということは実行が困難ではないかと思います。
それから問題は、確かに長所は毎年の評価がえにあるのでありまするが、土地、特に宅地等については変動も相当多いのでありまするから、これを調査するということになると、調査費といいますか、事務費が相当負担になるのではないか。この負担にたえ得るかどうかという点が一つ疑問になっております。税制調査会といたしましては、先ほど申し上げたような答申をいたしましたが、固定資産税についての根本的な改正は引き続いて行なうべきである。土地の評価が低いから、これを時価標準をたてまえとすることによって、それに合わせた際における現在の固定資産税のあり方はそれでいいだろうかどうか。土、家屋、償却資産と、それぞれ収益率も違います。たまたま一番収益率の低い土地は、いま評価がおくれておるから、同じ一・四%というような税率でがまんができるということになっておるけれども、等しく時価基準となったときに、はたして一・四%という税率で課税するのがいいかどうか、こういう問題にも触れてまいりまするので、暫定措置を講じつつ、その後の固定資産税のあるべき姿についての検討をしたい、こういうことになっております。奥野委員のおっしゃった理想と申しますか、理論についても、今後検討はされることと思っております。
次に、指定都市の財源充実の問題でありますが、これは税制調査会も、その指定都市の特別な性格に基づきまして、必要性を認めるということで、長期答申の一項目になっております。具体的な方法といたしましては、先ほどおっしゃいました法人税割りの税率の府県と指定都市との間の組みかえの問題、あるいは料理飲食税というものが現在府県の財源になっておるけれども、指定都市については、その一部を指定都市でとれるようにする、こういうような問題になりまするけれども、これまた現実の問題といたしますると、府県の財政必ずしも楽でない、こういうことになりまするので、府県の財源を減らして、市町村、ことに指定都市に回す場合においては国、地方を通じてのある程度の財源調整を伴いつつ実行しないと、抵抗が多くて、答申をしても実現の可能性がない、こういうふうな心配があるものですから、具体的にまだ問題に取り組んでおりません。しかし、何らかの方法で解決する必要があるということは認めております。
それから、固定資産税に基礎控除を認めたほうがいいかどうかというお話でありますが、これについては、物税であるという性格からいって、基礎控除を置くべきではない。それから、基礎控除を置くということであるならば、これは人的課税の税に原則として認めるべきではないか。固定資産税の場合には、御承知のとおり、名寄せということをいたしておりません。府県別にばらばらに持っておるという場合に、基礎控除を置くことがはたして妥当であるかどうか。それから基礎控除を置くということは、どういう場合に認めるのであるか、庶民住宅に、気の毒であるから認めるというならば、中小企業の店舗はどうするか、あるいは工場はどうするか、こういうような問題も出てまいる。その上、徴税事務の繁雑ということもあるとすれば、基礎控除は、これを認めることは非常に困難である、むしろ認めないほうがいい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/12
-
013・中馬馨
○中馬参考人 第一番に、大阪の新駅付近は、新評価の三倍ないし五倍で取引されておるということを私は申しましたが、もっとひどい場合には七倍、八倍という取引が行なわれております。しかし、大体三倍ないし五倍程度で取引されておるのであります。
その他の一般の土地についてはどうかということでございましたが、一般的に二倍から三倍くらいだということを一般市民は申しておるのが実情であります。二倍から三倍の間で、土地の動きによって、土地柄によって非常に違ってまいる。ただ、私どもが買っておりますのは、毎年非常にたくさんの土地を一般行政会計においても買っておるのでありますが、これは大体新評価の三倍ないし四倍くらいになっておる。これはあるいはやむを得ないかと思います。多くは道路をつくるとか、区画整理をやるといって、土地の開発をする場合が多いのでありますから、当然その周辺の値上がりを予想して、なかなか売ってくれないというような事情が加わっていると見るべきであろうと思うのであります。
それからもう一つは、土地を持って、家を持っておる人たちの負担力に対してどう考えるかというお尋ねであったかと思うのでありますが、これは中小都市と大都市の場合とでは多少事情が違うのではないかと思いますが、大阪市のような場合には、非常に土地は高いのでありますから、その土地を幾らかでも持っておるという人は、かなり負担力のある人と一般的には見られるのではないか。これは非常に特殊な場合がないではありませんが、一般的にはそういうことじゃないかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/13
-
014・森昌也
○森参考人 電気ガス税についての質問に対してお答え申し上げたいと思いますが、私は、電気ガス税というのは企業、事業に課せられる動力関係の電気ガス税と、生活のための電灯その他に課せられる電気ガス税とは区別して考えていくべきだという考え方を持っております。わが国における電気の消費のしかたというものは、一般の生活物資とは同じカーブを描きませんで、ずっと収入に応じて伸びてきておるカーブを持つわけでございますけれども、しかしながら免税点の引き上げによりまして、そうした生活に直接必要な電気ガス税が免税されているということについては、私はけっこうだと考えております。私が申し上げました非課税規定の大幅な整理ということは、むしろ、ただいま税法の中に産業別、あるいは品目別の非課税のものがたくさん列挙してございます。非課税品目がどんどん追加されてきておるような現況でございますので、こういうことは産業方面からも、これは原料課税であるというふうなことから反対だという御意見がありますけれども、これはやはりただいまの都市の実態から申しまして、税種の中で安定性と同時に伸長性を持っている税源と申しますのは電気ガス税がその主たるものでございます。したがって、都市の発展とともに行政需要が増加をしてくるという場合に、電気ガス税というものが非常に有力な都市の発展に即していく財源となってまいりますので、こうした大企業あるいは事業等に課されてくるところの電気ガス税というものは、これはむしろ非課税規定を全面的に整理をして公平を期すべきである。そうして国がその事業によりまして助長をしていくというふうなものは、先ほど申し上げましたように一つの経済政策でございますので、助成金その他をもって当然やるべきではなかろうか、こういうふうに考えまして、先ほどは、大衆に課せられるところの生活上の電気ガス税の意味ではなく、事業に課せられる電気ガス税の非課税規定を大幅に整理すべきであるということを申しましたわけでございますが、ことばが足りなかったわけでございますが、一般の免税点の引き上げにつきましては私は賛成でございます。
それから、自己所有の土地の問題でございますが、地方の都市におきまして、もちろん仰せられますように土地を持っておるというのは比較的恵まれておるという人ではないかという点も一面ございますけれども、また一面、わずかな土地にようやく自分の家を建てまして土地家屋を所有しておる、しかもその土地家屋は特に利潤を生んでこない、ただ持っておる、そこを売ろうとしても売れない、やむを得ずそこに住んでおる、これに対して固定資産税がどんどんふえてくるというふうな実情にあるものが非常に多うございます。それで、先ほどのお話のように、土地そのものの経済全般の中に果たしている機能というものが高まるという点は確かにございますけれども、直接の利潤を歩んでこないというふうな土地家屋については考えるべきではないかということを、実は私、以前から自治省の係りの方にも申し上げて、そこに何か利潤を生む土地家屋と生まざるものと一線を画することはできないだろうかということで、何か方法を考えていただきたいということを申し上げたことがございますが、やはり専門的にお考えになりましても、非常に一線を画することはむずかしいというお話でございました。そういう点で、あるいはこういうことが免税点の引き上げというふうなことで救われるのではなかろうかという気もしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/14
-
015・野中広務
○野中参考人 均等割りにつきまして御質問をいただいたわけでございます。私どもも、現在の均等割りは、住民みずからが地方公共団体を組織するというこの地方自治の趣旨からいきましても、非常に低きに失すると考えております。特に私の町の例を申し上げますと、小学校に生徒一人を一年間預かりまして、先生の給与等は除きまして、その他町費をもって処置する額が昭和四十年度で九千六百円であります。純町費だけです。幼稚園に例をとりますと、先生の給与自身も町が支払いますので、園児一人について、保育料を除きまして二万四千円でございます。保育所におきましては、これは国の補助及び保育料を除いて二万六千円必要でございます。こういう点から考えましても、現在の住民税の均等割りは非常に低く据え置かれたままでございます。住民がその町を形成する上からいきましても、この引き上げは考慮をさるべきであるというように存じますし、税制調査会の中間的な話し合いの中にもそういう点が織り込まれておりまして、期待をいたしておりましたが、今回その実現を見なかったのでございますけれども、ただいまお説のように段階制等も配慮に入れながら、ぜひこれは考慮をさるべき問題だと思うのでございます。先ほど大阪市長さんから、急増する大都市の困難性についていろいろお話を伺いましたが、私どもは非常に困難な、零細な町民財政の中からそういう人材を養成いたしまして、養成した人材はすべて都市に吸収されるという状態でございまして、最近町村長の間では、むしろ大都市から人材養成費をもらおうじゃないかというようなことまでもきざやかれる状態でありますので、均等割り等については、十分な御配慮をいただきたいと思うのであります。
なお、自己所有の土地に住んでおる人の問題につきましては、先ほどもお話がございましたが、非常に所得に比例をしないものは特に農地でございます。これについては、新評価につきましても例外としての措置をされております。その他につきましては、特別な例を除きまして、ほとんど私は現在のようなきびしい経済事情のもとでは、手放すべき人は手放しております。そういう状態の中では、現在土地を持っておる人は、比較的恵まれた人であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/15
-
016・岡崎英城
○岡崎委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/16
-
017・細谷治嘉
○細谷委員 最初に松隈さんにお尋ねしたいのでありますが、今度税制調査会が四十一年度の税制改正に関する答申を出されたわけですが、昨年長期答申というものを出されております。どうも実現不可能なものは答申しても意味がないというおことばにもあったように、やはり税調そのものが自主性を失って、政府ペースで動いているのじゃないか。端的に言いますと、四十年度に出された長期答申というものと、今度四十一年度の税制答申というものが無縁のものだ、こういうふうに思うのでありますが、ひとつ松限さんの御見解をお尋ねしたいと思うわけであります。
第二点は、先ほど松隈さんのおことばで、答申と今度の政府の税制改正の案というものは、かなり大きく食い違っております。たとえば税制調査会では、十三段階の市町村民税を簡素化するという意味において、六段階くらいにして、実質的には増税を試みたわけでありますけれども、これはまあできなかった。ある意味では地方税の一つの中心的な答申の一部と思うのでありますが、にもかかわらず一応満足した、こういうことは私には解せないわけであります。この点についてのお考えを一つお聞きしたいのであります。
それから第三点は、いま住民税の話が出ましたが、答申にない部分も織り込まれておるのであります。たとえば、個人の府県民税の税額控除の特例というのが三十七年の税制改正以来あったのでありますけれども、今度はこれが答申にはございません。しかし、政府案の中では五十四億円の増税、この税額控除の特例というのを廃止するわけです。これは、三十六年から三十七年への税制改正へ行った経緯、所得税が一部府県の府県民税に移ったという経緯からいって、基礎控除を一万円上げただけで、これを廃止するということは不当である、こう思っております。税調も取り上げておりません。これについて税調としてどういうふうにお考えなのか、これをお尋ねしたいと思うわけです。
それから、固定資産税について、三カ年間という形で暫定措置がとられてまいったのでありますけれども、この三カ年間を二年で打ち切って、アンバランスが起こっておる、こういう名のもとに、今度は税調では固定資産税と都市計画税を分けて、毎年毎年増税していくという方向をとられたわけであります。これは暫定措置を、三年を二年に切り捨てたということも問題がありますが、毎年毎年の増税、いわゆるエスカレーション方式、こういうことでありますから、住民にとってはやはり非常に大きな関心の問題であろうと思うのでありますが、これに関連して、一つは、固定資産評価審議会というのが、この固定資産の評価のあり方についてかつて答申をいたしたわけです。これは、固定資産税総額というのは動かさないで、三つの固定資産税の中のバランスをとろう、いわゆる土地、家屋、償却資産のバランスをとろう、こういうことから出ておるわけでありますけれども、その線に沿うておらぬと私は思うのであります。固定資産評価審議会の考え方と税調の考え方というのは食い違っておるのではないかと思うのでありますが、この点についてどうお考えなのか。
それから、これに関連したもう一つの問題点として、固定資産税につきましては、四十二年の評価は三十九年の評価そのままにいたしまして、それから四十五年と評価がえをしていくわけであります。何年か後に、少なくとも一割であっても、八年か九年いたしますと、とにかくいまの税の何倍か、平均いたしますと六倍ないし七倍という土地に対する固定資産税が課せられる、こういうことになるわけであります。ところが、都市計画税については三割、六割、九割、こういうことになって、三カ年間、かりに三割といたしましても、三カ年間といいますと約倍になるわけです。ところが、三倍のところになりますと、これは激変が起こってまいります。三カ年後には激変が起こるわけであります。都市計画税、もとが小さいんだということでありますけれども、評価の基礎というのはやはり評価額でありますから、確かに税率は百分の〇・二でありますから固定資産税より低いのでありますけれども、これはやはりかなり激変が三年後には起こってくると思うのであります。なぜ一体固定資産税と目的税と、課税標準は変わらぬのに、ここで切り離したのかという問題について、ひとつ解明を願いたいと思うのであります。
それから最後に、この固定資産税に関連してお尋ねいたしたい点は、税調の答申には、先ほどちょっとおことばがあったのでありますけれども、四十一年度に対しては答申されたわけでありますけれども、「固定資産税の税率については、今後における土地評価の動向、国民経済の推移等を勘案しつつ、国、地方を通ずる税体系中に占める固定資産税の地位、特に所得課税と外形課税を通ずる企業課税のあり方等と関連して、引き続き検討を行なうものとする。」と、こう書いてございます。これについてのひとつ松隈さんの具体的な御構想をお聞かせいただきたい、こう思うのであります。
それから大阪の市長さんにお尋ねしたいのでありますけれども、おっしゃるように、地方税全体というものと国税との関係は七、三というかっこうになっておるのでありますけれども、その中で府県税と市町村税というのを見てみますと、年々歳々府県税のウエートが大きくなって、市町村税というのがウエートが少なくなって、まあ二、三年前、三十七、八年くらいから逆転いたしまして、前には市町村税のほうが五三、四%、府県のほうが四七、八%といっておったのが、いまでは逆になりまして、市町村税のほうが四六、七%、府県のほうが五〇何%、こういうかっこうになっております。先ほど、大阪市民が納める税金というのは、とにかく七三%は国であって、そうして市には一一%しか入っておらぬ、こういうことでありまして、確かに大都市の税のあり方、こういうものは大きな問題であり、課題であると思うのです。ところで、私は思うのでありますが、このアンバランスという土地の問題新大阪駅付近のことを御指摘になって土地のアンバランスということでありますが、私は率直に申し上げますと、あまりにも苦しい大都市の財政、市町村財政というものは追い込まれて、おぼれる者はわらをもつかむという、こういうところに市町村が来ているのであって、一億でも十億でも二十億でも、ふえる税なら何でもほしいというようなところに来ているのじゃないかと私は思う、たいへん失礼な話であるが。そろいうところから、土地についての課税、これがあれば全国で二十九億、政府案によると二十九億でありますから、かなりの足しになるということから、無批判に政府の案というものにしがみついておるという感を非常に強く受けたのであります。もっとこの問題については固定資産税制度というのが設けられた経緯、三十七年から三十九年にかけての評価の時期、とにかく三本、償却資産、土地、家屋というのは当時バランスしておったものが、なぜ一体今日土地が大幅にアンバランスを来たしたかという根本原因、これが今日やはり地方財政が窮地に追い込まれておる原因になっておるわけでありますから、そういう点を指摘して、もっとやはり地方官主財源を確立する、拡充する。要するに三七、八%の自主財源で、とにかく全体の六〇数%を支出していく二号生活になっているわけです。二号生活でありますから、ちょっとでもよけい税が入れば、場合によっては操を売ってもかまわないというような二号出活根性というのが地方団体に起こっておるのじゃないか。これでは私は今日の地方財政というのを救うことはできないのじゃないかという気がしみじみといたしますので、こういう点についてはひとつ中馬さんの率直なお考え、それから税調のひとつ松隈さんのお考えもこの際お聞きしておきたい、こう思うのであります。
それから、もう一つ中馬市長さんにお聞きしたいのは、先ほど昼間人口というのが非常にふえておる、七十五万程度と思っていたら実際は八十八万程度、私はせんだって新聞に、その昼間人口という問題について大阪市の統計の調査の結果が出ておったのを拝見いたしまして、これは容易ならぬことだ。昼間入ってきますれば小便もする、大便もする、ごみも出す、あるいは交通関係というものもラッシュになってくるということでありますから、それを解決するということで、たいへんな問題だ。先ほど市長さんは、とにかく大阪市というのは法人活動をやっているのだ。その法人活動をやって、いろんな財政支出が要るのだが、その裏づけというのは一つもないのだ。もっと法人税の問題等について財源を付与するという形を考えていただきたいという意味のこと、あるいはまた、料飲税等は入るけれども、これは市に入らぬで府県税だ。娯楽施設税もそのとおりだ。こういう点の検討についての御意見があったのでございますけれども、私も税全体としてはやはり、この大都市の税というのが最近とみに悪くなった、そういう点はやはり都市開発、こういうところにあろうかと思うのであります。いまの法人税の問題、いわゆる法人活動をやっているのだから、その裏づけとしてということについては、私どもは共鳴するところが多いのでありますが、この点についても、もう少し立ち入った御意見を聞かしていただければ幸いだと思っております。
それから森市長さんにお尋ねしたいのでありますが、法案が修正されることは必至なんだ。その場合に、自主財源がなくちゃ困るのだ。交付税方式で配分されるといっても、これは不交付団体には何もないのだから困る。なるほど今度の固定資産税という問題に限りますと御指摘のような面があろうかと思います。具体的にはそういう自主財源として、市長さんの名案でもおありでしたらお示しをいただけたら幸いだ、こう思っております。
以上が参考人の方に対する質問点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/17
-
018・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいまの御質問の第一点は、税制調査会は長期答申をさきに答申しておるが、四十一年度の税制改正の答申は長期答申と一致しておるかどらか。見方によっては矛盾しておる部分が多いというような御意見でありましたが、税制調査会は昨年の八月に委員の交代がありまして、新委員としては、今後数年先の経済情勢を見通して、それに即応する税制改正の答申をするというので、検討に入っておりますが、税制調室会そのものは継続しておりますので、やはり答申の継続性ということは新委員も相当尊重いたしております。したがって、前の委員によってなされました長期答申というものをできるだけ尊重をしてまいる、こういうことについては意見が一致しております。たまたま今回、四十一年度の答申を出すにあたりましても、でき得る限り前回の長期答申の線に沿うように努力いたしたのでありまして、たとえて申しまするというと、法人税の軽減の場合に一般税率を引き下げる、その場合に配当軽課税率は一般税率とあわせて一本にしつつ引き下げの方向に持っていくというような答申が出ておりましたので、できるだけその方向に沿おうとしたことは事実であります。ただ現段階におきまして配当軽課税率を引き上げるということは、配当性向の高い方面に相当の打撃を与えますので、それを延ばしたということから、一般税率の引き下げ幅を縮めました。しかし一方において、現段階において企業減税が相当必要であるということから、むしろ特定な目的を達成するための租税特別措置を新たに少なくとも大きな柱で三つ、たとえば資本構成の是正であるとか合併であるとか、企業設備のスクラップ化であるとかいうことを導入いたしまして、これにつきましても、秘税特別措置はできるだけこれを整理縮減して合理化していく、こういう長期答申が出ておりますから、新規の租税特別措置はこれを容易に入れるべきでない、こういう見地で、審議はいたしましたが、経済情勢が前の長期答申を出した当時とだいぶ違ってまいりました。前の長期答申を出した当時においては、大体において経済の長期的発展段階が実を結びつつあるというような状態でありましたが、その後長期経済が経済の発展のテンポが早過ぎて反動がきた、こういうようなことからして経済界の不況を招きましたので、四十一年度においてはある程度フィスカルポリシー、経済政策を財政に反映せしめることもやむを得ないだろう、国のほうも公債まで出して一般会計の歳出をふやし、また減税も行なう、こういう財政政策をとることになったことを考慮に入れるとすれば、租税特別措置のうち、フィスカルポリシーの見地からいって、効果の顕著であるというものは導入する、しかし新規追加ばかりであっては、租税特別措置はできるだけ整理合理化すべしという答申に反しますので、大体において目的を達したと思われるもの、あるいは新しい租税特別措置との関係で必要性がないと認められるようなもの、二つについてはこれを廃止するというような配慮を払いつつ減税と申しますか、税制改正案を立案したという点は御賢察を願いたいのでございます。
第二の問題点といたしまして、住民税におきまして、市町村民税の税率を、十三段階でありますのを六段階に整理をした、これはできるだけ税制の整理合理化をはかるというかねてからの方針、それは長期答申にもらたわれているものでありますので、その線に沿う、こういうことで立案をいたしました。そしてその際に、住民税において負担の増を来たしたのでありますが、それは先ほど説明申し上げましたように、所得税においてそれ以上の減税を行ないまして、それを住民税の段階において、取り返すということばは必ずしも適当でないのでありますが、住民税の段階において、負担の増加の形において財源を国から地方に移譲する、これはかつて昭和三十六年であったと思うのでありますが、府県民税において約二百億円ほどの財源移譲をしたことがございます。国、地方の間で、できれば国から地方に財源を移し、それを自主的な財源として地方団体が獲得するということがきわめて望ましいということは税制調査会の長期答申にも出ておることでありますから、その実現の一方法として実行したわけでございます。このほうが自由財源が確立されるので、かねて地方団体が要望しておる線に沿うと思うのであります。たまたま政府がいろいろな事情を考慮してこの点を削除されましたことは、先ほど政府原案に対して全面的に賛成と申しましたけれども、これはどちらかといえば、税制調査会としてはやはり答申の線が変えられておるのであるから、不満であると言えないことはございません。この埋め方として、臨時地方特別交付税の形、これは税調の答申であるところの自主財源付与から見れば、どちらかと言えば、まだ地方団体としては必ずしも満足すべきものではない。交付税であるけれども、臨時という名がついて、そのうちの二百四十億ばかりはたばこの消費本数で分けるというから、どうやら地方団体の方もこれでやむを得ない措置とされたと思うのでありますが、税調の案のほうが自主財源付与という点ではまさっている、こういうことが言えると思うのであります。それだけに、政府の改正は税調としては遺憾ということは言えます。
それから府県民税の税額控除の特例を廃止したことによって五十四億円ほどの増税になるということでありますが、これにつきましては税制調査会に自治省のほうから説明がありまして、この際住民税全体を通じて三百億円程度の減税を行ならのである。したがってその機会に、三十六年の改正の際認めた税額控除の特例は事務簡素化と申しますか、税制をできるだけ簡素にする、こういう方針、先ほどの税率を十三段階から六段階に改正するというのも、その簡素合理化でありますが、そういうこととの関連もあって廃止したいというお申し出がありまして、それで調査会は、減税の中で消化されることであるし、合理化ということであり、簡素化ということであるならばやむを得ないというような空気であったのでありまするが、問題が小さいものと言っては、これもちょっとことばがあてはまらないかもしれませんけれども、しいて答申に入れることはない。自治省において必要であればおやりになってもというような気持ちで、承っておくというような状態で委員会が済んでおるということは、事実そのとおりなんであります。
それから固定資産税につきまして、三年間の調整を法律で定めておるのに、最後の一年にそれを変えて、そして増税のほうに踏み切ったのはどうかと、こういう点でありますが、これも先ほど説明を申し上げたとおり、税の負担の公平という見地を強く考えたからでありまして、一つは住民税の負担が重過ぎる。ことに国のほうにおいて所得税の大幅な軽減を行なう場合に、住民税の負担をそのままにしておきますと、いまでさえ住民税の負担過重を訴えておるその声がますます大きくなるから、住民税の負担を軽減したい。ところが地方団体は財源がない、そこで国から財源を回すということであったが、これは形は変わったけれども、なお別の形で国から財源を回す、そうすると地方団体は全部国の世話になって減税をするということでは、あまりにも国にたより過ぎるじゃないか。そこで、自己財源というもののうちに負担増加をはかる余地がどこかにないかということを考えて、そうすると固定資産税の新評価に乗り移った際に、旧負担の一律二割増しということは、必ずしも税の公平の見地から言って望ましい姿ではない。むしろ不公平ははなはだしいものだ、こういう点があるから、その不公平を直す。つまり一方において重い住民税を減らすという、その税と税との間の均衡の問題、それから固定資産税の中での、上がった割合が違っておるのに、もとの負担の二割増しというのは不公平だという、その中での均衡をとる、こういうようないろいろの意味からの均衡論からいって、負担の増加を求めてもやむを得ないのではないか。それからその負担増加も非常に大幅なものであっては、これはやはり減税ムードと申しますか、全体が減税をしようというときに無理であるというので、資料について説明を自治省のほうに願ったのでありますが、その負担増加も大したことではないという資料が提出されておりまして、たとえば普通世帯で宅地五十五坪、住宅二十三坪を所有しておる全都市平均的な単価で算出しまして、税制調査会が出した答申によりますと、負担増加率を見ますと、四十一年度で年に五百十一円、月に四十三円といった程度の負担増であるということであったので、この程度であるならば負担にたえられるのではないか。それが四十二年に、次々に、ただいまお話しのようにエスカレーターに乗ったように上げるとして、四十二年度になりましてもその負担増は六百七十六円、月で五十六円という程度でありますから、この程度であればということで答申したのであります。そこで問題は、先ほど御指摘の、増税が毎年続いてエスカレーターに乗っておるようだ、こういうことでありますが、これは一つの考え方でありまして、いずれは新評価に乗りかえなくちゃいけない。それを一ぺんにやることが無理だということで、二割増しで三年間据え置いたのでありますが、毎年少しずつであれば、何といいますか、税の負担になれて、その程度の負担に応じ得る。それを今度は毎年やらなければ、二割で三年間据え置きだったのを、今度は五割で三年間据え置きとか、六割で三年間据え置きということになりますから、考え方でありまして、ある範囲を上げて二年か三年据え置くのと、それから軽い増加でいって毎年増加させて消化しやすいようにする、こういうことがいいかという、これは人の判断によって多少相違しますけれども、エスカレーションというような方法も負担緩和の一方法である、こういうふうに考えられるわけであります。
それから、次に御指摘がありました固定資産評価審議会は、土地の新評価をする、しかし固定資産税全体としては負担を増さないという方針を答申しておったというのに、今回税制調査会が固定資産税のうち宅地――まあ税制調査会は土地について答申したのでありますが、土地の増税を行なうというのはどういうわけかということであります。税制調査会も、土地の負担を大幅に引き上げるということであれば、固定資産評価審議会の答申に基づいて、家屋なり償却資産の税率を下げまして、全体として負担のふえないようにする方法をとる必要がある、こういう意見が出たのであります。しかし今回の引き上げ幅が狭いので、これはまだ中間的な、経過的な措置である。やがてこれが上がってくるとすると、税制調査会の委員の任期はあと二年ばかりありますから、その間に固定資産税について、先ほどの答申にありますように、各土地、家屋、償却資産の間のバランスを考え、土地を上げたために家屋、償却資産の税率を下げるほうがいいか、逆に現在は土地が時価より低くされておるから一・四%でいいのであるが、土地が時価並みになったならば、収益性も考慮すると、土地の税率は家屋、償却資産より下げたほうがいいのではないか、かつて地租とか家屋税とかいった時代には、やはり税率は別であった。そこで税率を別に考えるという論があるのですが、税率を別に考え始めますと、土地税、家屋税、償却税といった三本の税が単に固定資産税の中に同居しているだけではないか、三本論になりますと、償却資産になぜ課税するかという根拠が非常にあやしくなると申しますか、むずかしくなる。固定資産税の中に同居しておれば同一税率がいいというような意見がありましたので、時間的に固定資産税の検討が中途はんぱの段階で今回の答申が行なわれておる。したがって一割、二割、三割増の答申をしておりますけれども、これの期間中、少なくとも現在の税制調査会の委員の期間中に、新評価に追いついた場合にはどうあるべきものであるか、追いつかないで、四十二年の再評価をストップさせた姿においてはどういう税率であるべきかというくらいの答申は出す責任がある、こういうふうに考えております。
大体以上をもって御質問の趣旨にお答えしたと思うのでありますが、もし言い足りない点があれば、さらに後に御指摘によってお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/18
-
019・中馬馨
○中馬参考人 地方税の比重の中で市町村のウエートが年々下がっておることは先ほど私も申し上げ、ただいまも別な角度から数字をお示しくださったのですが、実際に市町村の税収というものは、比較してみますと相対的に年々下がっておるのであります。そして地方自治の立場から言ってもだんだんと自主性を失って、中央依存の傾向が強くなっておることは、私どもとしてまことに残念に思っておるところでございます。したがって国税においては若干の減税がなされ、また府県税と市町村税の間には適当な再配分がなされることが必要だというのが、私ども市町村の立場であるのであります。したがって、ただおぼれる者わらをもつかむという考え方でなくて、大方針として、私どもは中央の国税においては常に減税の方針がとられ、市町村税においてはわが国の自治を振興する意味において増収をはかっていただかなければならない、かようなことを大都市なり、また市町村の財政の実態を各方面にお訴え、お訴えして今日に至っておるのであります。学者の人たちもこれをいまは完全に認めております。税調会においても御承知のとおりの答申をされておるのであります。これは今日はもはや衆目の一致するところだと言ってもいいと思うのであります。さようなことから、そうした認識の上に立って税制の改正をお願いしておるのでありまして、私どもとしては、先ほど申しましたような法人税割り等の再配分もしていただいてもいい性質のものではなかろうか、あるいは料飲税とか入場税といったようなものも大都市の場合等においては、特に昼間人口等との関連において御配慮願ってもいい性質のものではなかろうか、かようなことを広くお訴えいたしておるのであります。その中で土地の固定資産税につきましては、これは本来私ども市町村が持っておる税目でありまして、これが先ほど来松隈先生もお話しになりましたように、ほかの税目と比べまして非常に伸び悩んでおる。伸び悩んでおればそれでいいんじゃないかという御意見があるかもしれませんが、私どもの町の実態からいたしますと、非常な不均衡を生じておるのであります。負担の不均衡、もう租税の公平原則に矛盾するような現象すら町にはあらわれておると思うのであります。それから土地の値上がりということは、先ほども触れましたように、今日人口の都市集中と、それから必要に迫られて、都市はたいへんな公共投資をいたしておるのであります。その公共投資のはね返りとして土地の生産性も高まってき、土地の価格も上がってくる、いわば先ほど申しましたように、不労所得的なものも多分に含んでおるのでありますから、そういう点等もあわせ考えますならば、現在ほかの家屋関係、償却資産関係等との均衡から言っても、もう少しは上げていただいていいのじゃないか、こういうことを私ども自身がむしろ町の実態から痛感しておる。税調等にも、わらをもつかむ気持ちというよりも、むしろこうされて税の公平原則も守られていくのだというような信念でお願いをいたしておるような次第であるのであります。
それから、この土地の固定資産税をこの機会に上げていただくのがいいのではないかという理由にもう一つ、ことに指定都市――私はたまたま指定都市の当番をしておる関係もありまして、指定都市を代表する意味においても、こうしてお訴えしておるわけでありますが、指定都市の関係等でいろいろ検討しながら、こうした国の大減税が行なわれるときにやっていただくことが、住民負担をふやさないでいいのではないかということを考えておるのであります。ここに私どものほうの事務関係者がつくりました数字がございますが、夫婦子供三人の世帯でありますが、所得六十万円で土地二十坪を持っておる庶民、それでも土地を持っておる人たちであります。それの税関係を調べましたのが、所得税の減税が三千八百四十円になります。住民税が二千八百円の減税になり、固定資産税のふえる分が、土地の値段が三倍未満というところでは百六十円、都市計画税が五十円でありまして、差し引きいたしまして六千四百三十円の負担の減になっておるのであります。三倍から八倍のところで六千二百五十円の減税になっております。またもう一つの例といたしまして、所得百五十万円で土地を四十坪持っておる世帯について調べましたのが、三倍未満の場合には所得税の減税が二万六千百六十円、住民税の減税が四千五百二十円、固定資産税の増が二百四十円、都市計画税がわずかに百円であります。そうして実質の減税が三万三百四十円。また三倍から八倍の場合につきましては、実質減税がちょうど三万円になりますほか、八倍以上の場合も数字はそう変わりません。こういうことでありまして、たまたまこうした大減税が行なわれて国民の負担が軽くなった際に、自主財源を与えて地方自治の振興をはかっていただくということが、時期としてもいいのじゃないかと考えたような次第であります。
昼間人口の問題につきましては、非常に御厚意ある御指摘であったのであります。私ども、多くて七十五万くらいと思っておりましたのが、八十八万という人口が入ってまいっておりますので、実はこうした昼間人口の税負担をなさしめておるところは外国にもその例はないかということで、先般も日米市長会議等で私は議題にいたしまして、その例を尋ねたのでありますが、アメリカにおいては、フィラデルフィアにおいて海軍工廠ができました関係から、州を越えてたくさんの労働者が入っていくということで、このことが論議されて、七回にわたって連邦議会に提案されたようでありますが、七回とも否決された。しかし八回目に実現した例があるというようなことを教えてもらったようなわけであります。何らか大都市の昼間人口に見合う税収をどうして確保するか、このことについては、税制調査会はじめ皆さま方に今後ともよろしくお願いをいたしたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/19
-
020・森昌也
○森参考人 御質問にお答えいたします。
私、先ほど、かりにこの修正がなされて税収減となった場合には、完全なる補てん措置をお願いしたいということを申し上げましたが、その補てん措置の方法として、地方交付税という形では不交付団体がその恩典に浴することができないということを申し上げたわけであります。これに関連をして、自主財源として何か案があるか、こういうお尋ねでございますが、私は第一に、自主財源が不当に奪われることを防止していただきたいと思います。
その一つは超過負担。四十年度の現在として、約一千二百五十億の超過負担があります。四十一年度で二百五十億の超過負担解消の道をおとりくだすっておられますことは、確かに一進歩でございますが、なお四十年度で計算いたしましても一千億円の超過負担が残るわけです。こういった問題をとにかく国がしっかり手当をしていただくことが、市町村の自主財源を増してくると申しますか、確保する第一のゆえんであります。
第二は、財政支出の負担区分を正していただきたいということでございます。国が法的に当然なすべき仕事を府県に転嫁させておられます。また地方団体間では、府県が当然なすべきことを市町村に転嫁と申しますか、地元負担のような形でやっております。これは地方団体が財政力が貧弱でございますから、先ほど申し上げました住民のための公共的な施設をつくるためには、市町村は弱い立場に置かれますので、国あるいは府県にすがって、そうした地元負担をやっておるわけでございます。これにつきましては、地方財政法の改正によりまして、先年、いかなる名目をもってしても市町村に府県立の学校等の負担を負わせてはならぬというふうな規定を改正をしていただいておりまして、この点は将来はある程度是正をされると思いますが、学校のみならず、たくさんこういう例がある、こうした自主財源が不当に奪われておるという点を第一に防止をしていただきたい、この点が第二でございます。
それから、積極的に自主財源として何か案がないかというお尋ねでございますが、私が先ほど補てんの一つの例として申し上げました目的財源としてのガソリン税の市町村還元をなぜやらないのか。もう長いことかかって訴えておるのでありますが、特に今度は、国は七千三百億の公債をお用いになりまして、その中で建設財源を相当おとりになるわけです。こうした機会に懸案のガソリン税を、道路財源として、目的税として還元をするのでなければ、その機会はないと私は思います。今日の交通事情から申しましても、市町村の行政支出の非常に大きな部分を占めておりますものは道路でございます。これをガソリン税あるいは石油税等の還元によりまして確保することが、どれだけ市町村の財政を自主的に救っていくかわからないのでございます。この点が第三。
それから先ほど申し上げました電気ガス税の、特に大企業に課するものが、非課税品目の数々の追加によりまして、これまた奪われておる、こういった問題を一刻も早く整理をしていただきまして、産業が発展する都市にはそれだけの行政支出があるわけでございますので、産業に課せられました電気ガス税の非課税を大幅に整理をしていただきたい、これは先ほど申し上げたとおりでございます。そういうことによって都市の自主財源を強化することが私はできると思います。
それから、今度の、地方交付税によらずに、臨特の形でおやりくださいまして、それが四十二年度からはたばこ消費税に移行していく、こういう措置をおとりくださいましたことは、私ども非常に感謝をしておるわけでございます。こうしたたばこ消費税というふうなものも、もっともっと都市、市町村に還元をしていってよいものではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。
あるいはもう一つの問題といたしましては、ただいま公営住宅の売り渡しを禁止いたしております。これは御承知のように、公営住宅が以前つくられましたときには、五年間家賃を払って住んでおれば、希望によって売り渡すことができるという方法で公営住宅というものは建設をされたものでございます。それが昭和二十八年ごろでございましたか、次官通達によって、売り渡しはまかりならぬということになってしまったわけでございます。その後多少緩和をされまして、災害の場合にやむを得ざる措置、あるいは特別に不便なところにあって管理上さしつかえがあるというふうなものに対しては、その借りている者が希望すれば売り渡してもよろしいというふうにやや緩和されておりますけれども、いま市町村の仕事として非常に大切なものの一つは住宅政策でございます。これは国もおとりになっておられますが、その場合に、なぜこれを売り渡してはいかぬのかと以前聞きましたところが、国庫補助金が入っているから個人の所有に帰してはいかぬのだという御説明がお役所のほうからございました。私どもは、国庫補助金が入っているならば、これを希望者に売り渡して、そのかわりその売り上げは次の住宅建設に充てなければならぬというひもつきにしておきますならば、国庫補助金は永遠に回転をして、住宅の増築がされているので、かえって趣旨に沿うのではないかということを主張いたすわけでございます。どうしてこれが禁止されているのかさっぱりわかりません。もしこれが希望者に売り渡してよろしいということになりますれば、これを財源として都市は住宅を建設することができます。そういうふうな点からも、自主財源の強化は行ない得ると考えるわけでございます。あるいは自動車取得税というふうなものを府県税として創設をいたしまして、それを市町村に交付していく、こういうようなことも、今日自動車を買う場合に、これは差しさわりがあるかもしれませんが、多少の取得税くらいがかかっておりましても、そう問題にはならないのではないか。このような自動車の激増でございますので、そういうふうな税金の創設をも考慮していったらどらであろうか、かように考えるわけでございます。こういう点につきまして、なおよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/20
-
021・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/21
-
022・門司亮
○門司委員 私は、時間が非常におそくなっておりますし、皆さんから十分聞かれておりますので、松隈先生に一言だけ税制調査会のあり方についてのお話を伺いたいと思います。
このことは、地方財政が非常に困っているということ、それから、ことに大都市が非常に窮迫しつつある、従来の関係と全然逆になったということについて、税制調査会はどういうふうに御検討がされているかということであります。従来大都市はみなよかった、それが最近は非常に悪くなったという現象の中には、企業の公共性というものが忘れられていやしないかということであります。従来資本主義社会の非常に伸びております時代には、企業というものがあることによってわりあいに都市の発展を来たしたということは事実であります。またそれが貢献したことも事実であります。ところが、ある一定の限度にこれが到達してまいりますと、先ほど大阪の市長さんから申されましたように、結局そのことのために地方自治体に非常に大きな負担をかけているということは、繰り返していえば、結局企業の公共性がおろそかにされている、こういうことになろうかと思います。企業が来ることによって道路や橋梁の施設も非常に必要でしょうし、交通の関係も何とかしなければなりますまいし、住宅、教育、環境衛生といったようなものが、すべてが非常に大きな膨張を一時に来たしていることは事実であります。したがって、それに対するものの考え方として、税制調査会ではどういう角度からこれが審議されているか。基本的な問題で、非常にむずかしいようなことを言うようでありますが、私は非常に大事なことだと思いますので、この点をひとつ聞かせていただきたいと思います。
従来は、企業の社会性についてはかなり論議されておりましたが、最近公共性についてはあまり論議されていないように会議録その他から見てまいりますと考えられますので、この点をお伺いしておきたいと思います。
それからもう一つの問題は、したがって私どもがここでそうした問題を土台に置いて考えなければならないことは、国の産業政策と地方の自治体とのあり方であります。いわゆる国と地方の行政のあり方であります。これが非常に大きな食い違いをあらわしてきておる。それは、個々に列挙いたしてまいりますと、たとえば、租税特別措置法という法律があって、たとえば産業の助成あるいは技術の振興及び設備の近代化、内部保留の充実、もう一つは国民全体の貯蓄の奨励というようなこと、その他社会政策的なものがたくさんございますが、大まかに分けて五つの問題を考慮して、ことしは租税特別措置法という法律を考えて減税をいたしております。これはあげて国策による減税であります。それなら、これが地方にどういう影響を与えておるかということになってまいりますと、これからくる地方税の減収分というのは大体六百三十九億、約六百四十億くらいが考えられる。この点は、さっき申し上げました企業の公共性との関連から申し上げてまいりますと、何も地方がこれの犠牲にならなければならないという筋合いは見つからない。国が産業政策をとる以上、あるいは工業近代化をとるために助成されることは考えられます。しかし、百歩譲ってこれを考えるといたしましても、地方がこれの犠牲になるということは今日の時代ではもう許されないのではないかというように考えてまいります。
それからさらにもう一つの問題は、先ほど地方税の非課税の問題がございましたが、地方税の非課税の問題の中にも、電気ガス税のような、たとえば企業の原材料と見なされるものについては課税しない。平たく言えば、総生産費の五%以上に電気ガスの料金が及んでおるときにはこれを非課税にする、大体基本的の考え方で非課税にしております。これは、ある意味においては産業政策からきた一つの政策だと私は思う。こういうふうに、いま申し上げましたようなことで、かりに地方税の非課税分を全部これを加算いたしてまいりますと、大体七百五十六億くらいに相なってまいります。
それからもう一つの問題といたしましては、御承知のように民間航空の問題やあるいは国有鉄道の問題、国有資産の問題というようなもの、ことに住宅公団に対しまする財政措置、これらはいずれも地方の固定資産税の大体半額見当が個々に交付税として、あるいは交付金として、あるいは納付金として納められておる。これの全体の総額は四百四十四億くらいの数字が出てまいります。これを両方加えてまいりますと、約千八百億近い大きな、当然地方の自治体から考えればあってもよかそうなものが、国の経済政策あるいは社会政策の中から減収になっておるという事実がございます。これに対して税制調査会がどういう形で取り組んでおいでになるか、これは国税であるからそっちのほうでというようなお考えには私はないと思いますけれども、地方税だけの措置でまかなうというお考えであるとするならば、これはどこまでいっても現在の地方財政の窮屈さというものはのがれることはできません、こう私は考えておる。どうしても国税の移管をするか、あるいはこういう点を改正するかという二つ以外に私は方法はないと考えておる。それでなければ、国民から、結局よけいな税金というと語弊がございましょうが、増徴をしなければならない羽目に地方の自治体がおちいるであろうということです。したがって私は、市長さんや町長さんの地方行政の非常にやりにくい面は、住民の税負担に対する声だと思います。国税は多少年々下げてくれるが、地方税はどうして下がるどころか上がってくるということで、一体市や村は何をやってくれているのだというので、地方の自治体の住民と理事者との間に行政上の疎隔というものがはなはだしくなってきはしないか。もしこういうことになってまいりますと、結局地方行政というものは非常に困難なる状態におちいって、行政と住民との間の感情がもつれてくればくるほど、結局自分たちに直接の関係がある政治を信用しないという、こういう形が出てくる。政治の不信は国家的にも非常におそろしいのでありますが、地方自治体でもしこういう住民感情が生まれてくるということになりますと、これはやはり地方行政の上にゆゆしい問題を引き起こすと思います。したがって、いま申し上げましたような点だけについて、ひとつ地方の税制に対する税制調査会の方向でもお示しが願えれば非常に幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/22
-
023・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいま門司委員の御質問になりました御趣旨、全体としてはまことにごもっともでありまして、税制調査会はまさにそういう方向で検討を続けて、しかるべき答申を出すべきだ、こういうことを冒頭に申し上げることができると思います。
具体的な問題といたしまして、大都市特に指定都市の財政が悪化しておる、これを何とかせなければいけないということは、すでにたびたび申し上げましたとおり、税制調査会でも一本の柱として認めて、その具体的な対策に取り組んでおるわけであります。その場合に企業の社会性と公共性をどういうふうに判断して、企業負担というものを地方への税で貢献するその程度をどの程度にすべきかということの判定は、なかなかむずかしいのであります。一方、具体的な問題として租税特別措置をおあげになりましたが、これもお話のとおり、租税特別措置は主として国の産業政策に基づく租税軽減措置でありますから、できるだけ地方団体にはその影響を遮断する、こういう方針でありまして、原則的には地方団体に及ばないようにしており、例外的にある程度のものが及んでおる、それが六百数十億円になっておりますが、将来の方向としてはそういう点もできるだけ地方団体に及ばないようにすべきだと思います。これが絶無とまで言い得るかどうかということになりますと、財源のほしさと申しますか、財源がそれだけ他の財源で埋められない限り、一挙に解決は困難ではないかと思います。企業に来てもらって、かえってその企業が来たために公共施設のための負担がかかるというけれども、一方においては、ある程度先を見通せば、企業に来てもらったほうがいいというので工場誘致もする、こういろ状況にありますので、その辺むずかしいのでありますが、方向としては門司委員のおっしゃったとおり、私もそういう方向に税制調査会も努力をすべきだと思っております。
それと並びまして、地方税の非課税規定というものも、これはできるだけ整理圧縮すべきだということを税制調査会も方針として認めております。税制調査会は、非課税とかあるいは延納とかというようなことを一度認めますと、とかくそれが既得権化し、安易になるということでありますので、非課税規定の増加ということに対しては消極的の態度を持しておるのでありますが、現実問題とすると税制調査会が考えているとおりにいかずに、どちらかというと租税特別措置あるいは非課税規定というものが増す傾向にあります。それは、一つは財政と申しますか予算要求と関連しておりまして、近ごろの各省の予算の要求が、一方において補助金その他の政府予算の支出を要求します。それと同時に、これも予算をよけい要求したからといって損はない、要求しておいて、査定をされてももともとだ。ところが一方においてそういう予算の要求をすると同時に、他方は大蔵省に対して、税をまけてくれ、租税特別措置あるいは非課税規定を置けというような要望が出てまいりまして、今度の税制調査会でも、そういう租税特別措置なりあるいは非課税措置の拡大なりの要望事項というのは数が非常に多いのであります。これも要求しておいて損はない。たまたま税制調査会が認め、政府も認めてくれるならそれだけまる得ですから、そこで税制調査会は、毎年の税制改正に当たって各省の要望事項というもののさばきをつけるのが、大蔵省の主計局が予算の査定をするのに苦労するのと同じような苦労をしているというのが実情でございます。したがって、門司委員のおっしゃること、まことにごもっともであり、税制調査会もできるだけそれに乗らないようにしておりますが、苦労はたいしたものだということをこの際ちょっと御披露申し上げておくわけでございます。
それから、全体として地方団体の財政と国の財政と比べて、地方団体の財政のほうが苦しい。したがって、むしろ国の税源を一部地方団体に移したらどうかという御意見、ごもっともでありまして、これも税制調査会の検討事項になっておりますが、ただその場合に、やはり税だけすぐに取りあげることはできないで、事務の国、地方間の合理的な再配分の問題、あるいは国が税で徴収したものを補助金の形で出しておるが、これが必ずしも効果があがっていないから、補助金を整理するならば税を増してもいい、こういう問題とからみ合うものですから、時間的にひまがかかって、検討はしていてもなかなか結論を得ないというわけでございますが、まあ、少し申しわけが多くなりましたが、御趣旨は門司委員と私同感でありまして、税制調査会としてもまさにそういう努力を続けるべきだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/23
-
024・門司亮
○門司委員 あと一問お尋ねしておきます。先ほど問題になりました例の固定資産税の問題であります。基礎控除の問題ですが、私は必ずしも成り立たないとは思わないです。それはこの税金の性格でありまして、これを財産税と見る場合においては、ある程度の基礎控除があってもよろしいと考えておる。同時に応能原則から言いますならば、この土地、建物等につきましては、やはり累進課税が当然組まれてなければならないというように考えられます。その辺は税制調査会等で調査が行なわれておりますか、お聞かせ願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/24
-
025・松隈秀雄
○松隈参考人 固定資産税につきましては、税制調査会も検討しておりますが、まだはっきりかくあるべき性質のものであり、したがって基礎控除のようなものを認めるべきか、あるいは認めないほうがいいか、そういう問題について具体的結論は出しておりません。ただ、いま少なくとも私の了解しておる固定資産税というものは、物税的な性格を持った財産税である。一般的財産税であれば、免税点のほかに基礎控除を置くということも考えられると思う。これは人的性質が相当強くなってまいるからであります。いまの固定資産税は、物的な財産税であるから、基礎控除というものがなじまないのではないか。その上、御承知のとおり所在市町村ごとに課税して、名寄せをしておりませんから、能力原則からいえば基礎控除を設けることは必ずしも公平と言えない、ここに問題点がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/25
-
026・岡崎英城
○岡崎委員長 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01719660322/26
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。