1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十四日(木曜日)委員会にお
いて、次の通り小委員及び小委員長を選任した。
固定資産税等に関する小委員
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀山 孝一君 渡海元三郎君
村山 達雄君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 細谷 治嘉君
安井 吉典君 門司 亮君
固定資産税等に関する小委員長
渡海元三郎君
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昭和四十一年三月二十四日(木曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
島村 一郎君 田村 良平君
中馬 辰猪君 登坂重次郎君
藤田 義光君 村上 勇君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 井手 以誠君
重盛 寿治君 島上善五郎君
安井 吉典君 門司 亮君
吉田 賢一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
自 治 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 鳩山威一郎君
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
自治事務官
(大臣官房参事
官) 鎌田 要人君
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の
件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/1
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002・奥野誠亮
○奥野委員 固定資産税の問題につきまして、予算の分科会においても御質問申し上げたわけでございましたが、また先日の参考人の意見を伺っておりましても、所得税や住民税の大幅な減税が行なわれる際であるので、宅地負担について、家屋や償却資産と均衡のとれた負担を求めている。それもきわめて微温的な漸増方式をとっていくとするならば、機会としてはよい機会ではなかろうかという話があったように承知いたしておるわけでございます。つきましては、それらの関係がどういう姿になっていくものであるか、政府において資料として提出しておいていただいたほうがよろしいのではなかろうかと思うのであります。
同時にまた、政府の御説明を伺っておりますと、固定資産税、都市計画税を合わせても、月額にすると四十円前後、ピース一個の負担の増額だ、こういうお話でございます。計算上はそのとおりだと考えるのでございます。しかし、土地に対する固定資産税が増額になったから、地代や家賃をふやしてもらわなければならないのだというような考え方が地主や家主のほうから借地、借家人に対して向けられていくんじゃなかろうかという心配も一面においては出てまいってきておるわけでございます。そうしますと、今度の税法改正によって、現実に土地の負担がどの程度ふえていくものであるか。具体の数字を通じて国民の前に明らかにされていく必要があるんじゃなかろうか。さきに地方税法の改正案につきましては、衆議院の予算委員会の当初から野党においてこの問題を大きく取り上げられた。私は、必要以上に国民に対しまして不安な気持ちを与えているんじゃなかろうかと心配をいたすものでございます。しかし、だんだんと政府の考えをただしてまいりますと、ピース一個の負担の増額なんだ、こういうことでございます。しかし、不安な気持ちを与えたことが逆に地主、家主に乗ずる余地を与えてしまう。したがって、不当な地代、家賃増額要求にはね返ってくるという心配もあるわけでございます。それだけにこの税法の具体的な内容を国民に周知さしていく。そうして土地を借りている人、家屋を借りている人、そういう人に対して不当な負担増加をもたらさないように、十分な配慮を政府において行なってもらわなければならないのじゃないだろうか、かようなことを痛感するものでございます。これらについてどのような処置をとっていこうとしているのか、政府の考え方のほどをこの際伺っておきたい、かように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/2
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003・大西正男
○大西政府委員 お答え申し上げます。
いま御指摘のございましたように、固定資産税関係におきます負担の調整措置によりまして、都市の標準的な住宅、これは土地が五十五坪、家屋が二十三坪、これを標準的な住宅と申しておりますが、その固定資産の税負担の増加は、御指摘のように、年額にいたしまして三百五十円、月額にいたしますと三十円でございまして、ピースの一個分に足りないという状態でございます。したがいまして、その額はきわめて微少でございますから、家賃等に及ぼしますところの影響も軽微であるというふうに考えておる次第でございます。
なお、総理府の家計調査に基づきますところの家計の消費支出総額は、一世帯当たり平均月額四万五千六百二十六円という数字が出ておるのでございますが、この中に含まれております家賃は三千四百九十二円ということになっております。そのウエートは七・六五%でございます。そこで、冒頭申し上げました都市の標準的な住宅についての固定資産の税負担の増加が、地代、家賃に上積みされるものとして計算をいたしますと、消費支出総額の増加はわずかに〇・〇九%でございますので、その影響はきわめて微々たるものだというふうに考えるのでございます。
そこで、なお政府といたしましては、固定資産税の負担調整に伴う家賃のいわゆる便乗値上げ、これを抑制するということがやはり必要だと思いますので、その点につきましては、地代家賃統制令の統制額につきまして、いま申し上げました微動いたします固定資産税額を加えた額を統制額とするというふうにいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/3
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004・奥野誠亮
○奥野委員 なお引き続いてお尋ねしたい点があるのでございますが、ちょっと十一時に所用を持っておりますので、私の質問を保留さしていただきまして、次の方に一応譲らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/4
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005・岡崎英城
○岡崎委員長 わかりました。
細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/5
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006・細谷治嘉
○細谷委員 地方税法の問題につきまして、固定資産税問題につきましては一応三党間で意見が一致しておりますから、それを除いた部分について、幾つかの点について質問をしてみたいと思います。
一昨日、ここに参考人を呼びまして意見を聴取したわけでございますが、その際、大都市の自主財源という問題がかなり強く参考人からも発言されました。たとえば大阪市の例をとりますと、大阪の市民が納める税金のうちわずか一割一分しか入ってこないのだ、八九%というのは国税と府税になっておるのだ、そのうち国税は七三%だ、こういうお話がございました。反面、大都市の性格として、いわゆる法人活動をかなり大きなウエートとして都市はやっておるわけでありますが、昼間人口というのが八十八万人ふえるのだ、それに対する財政計画あるいは税等で考慮されない必要財政需要というのは大きいのだ、こういう切々たる訴えがあったのでありますが、これについてどういうふうにお考えになっているのか、まずお尋ねをしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 大都市の財政事情が非常に苦しくなっておりますことは御承知のとおりでございます。それに対しまして、いろいろな財政の充足の方法があろうかと思いますが、その一つにやはり税制の問題があると思います。税制につきましては、一つには現行税制におきます是正すべき点がないかどうかという問題と、将来にわたって税体系上の問題としてどう考えていくかというふうに問題が分かれるかと思いますが、前段のほうは、先般来御議論いただいております現行の市町村税制の中で、住民税あるいは固定資産税等のウエートの問題が一つあると思うのでございます。その点につきましては、今回御審議をいただいております法案の中にも、固定資産税あるいは都市計画税の負担調整措置ということによって、負担の均衡化をはかりながら大都市の財政の一助にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それからいま一つは、大都市は、税制上の問題として、その背後にございます事務の分け前の問題があるわけでございます。少なくとも現行におきましても大都市は、たとえば道路の仕事をやっておるというようなことで、他の一般都市とは違った仕事をいたしておるのでございまして、その点につきまして現在税制上では道路譲与税でありますとか、軽油引取税の交付金であるとかいったようなものを大都市にそれぞれ所在の府県から分けるようにしておるわけでございます。それらの問題を今後どういうふうに増強していくかという点が一つの検討事項であろうと考えております。四十一年度におきましては、現在とられております軽油引取税交付金につきまして、その後の、最近の道路の交通量調査等を加味いたしまして、大都市への交付額を従来よりも増額してまいりたいというような方法を考えておるのでございます。なお基本的には、国あるいは府県、市町村間におきます税制の再編成と申しますか、こういった問題が残っておると思うのでございまして、それらにつきましてもなお引き続き検討を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/7
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008・細谷治嘉
○細谷委員 財政当局はおりますか。——あとで大臣にもこの点はお尋ねしたいのでありますが、私は、せんだって大阪の市長から参考人として、市税というのは大阪の市民が納めている税金の一一%しかないのだということを聞いて、たいへん驚いたのであります。私は昨年地方制度調査会の一員として名古屋に行ったとき、名古屋の杉戸市長から、名古屋市民の納める税金の一四%しか名古屋の市税はないのだと伺ったのであります。この間の参考人も言っていらっしゃったのでありますが、もともとシャウプ税制からいきますと、市町村の税財源を豊かにしなければいかぬということから出てまいったのが、年を追うてそのウエートが減ってまいりまして、いまでは一一%というのですね。国が七割税をとっており、地方は三割、その三割のうち、前は市町村が一六くらい、府県が一四くらいであったのが、今日では、大阪の例を引きますと、とにかく三〇のうち一九が大阪府にあって、大阪市には一一しかない、こういうことなんです。今日、地方財政危機といわれておる中において顕著な例は、地方団体全体としてはもう財政危機に立っておりますけれども、とりわけ、たとえば大都市のある府県と、そこの指定市、大都市との財政を比べてみますと、東京都などは全部都政ということで一本になっておりますからいいですけれども、名古屋市よりも愛知県の財政のほうがややよろしい、大阪市よりも大阪府のほうが財政事情がよろしいという結果になっておる。この問題は、私は府県と市町村の配分が悪いということを言っているのではない。根本的には国と地方との間の税の再配分ということが問題でありますけれども、そうなったことについて、やはり政府の地方団体に対する政治的姿勢、中央集権化を進めようというところからきているのではないかと私は思っている。そこで、税の問題については税務局長から話があったのですが、財政当局としては一体どういうふうに把握しているのか、どういうふうに打開しようとしておるのか、この辺をちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/8
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009・鎌田要人
○鎌田説明員 大都市財政の問題につきましては、ただいま御指摘になりましたような税制の問題がございます。それから過密状態にございます大都市の特殊な財政事情に対します交付税なり起債なり、こういったものの見方の問題もあるだろう。それからもう一つは、やはり大都市自身の財政運営にも問題があるのじゃないだろうかという感じを持っておるわけでございます。
税の問題につきましては、ただいま税務局長のほうからお答えがあったわけでございますけれども、現在の税制のいしずえを築きました昭和二十五年のシャウプ税制のときに、市町村税の大宗といたしましては住民税と固定資産税というものを持っておったのでありますけれども、その中で固定資産税の伸長度が弱い、低いといいますか、こういったことはやはり一つの問題であろう。かたがた、現在府県と市町村、特に大都市と大都市所在の府県との関係で一番問題になりますのは、やはり法人系統の税、それから消費課税系統の税、こういったものの占めるウエートが低いということが一つの問題ではないだろうかという感じは持っております。それから交付税の問題といたしましては、基準財政需要額の算定におきまして大都市の特殊事情というものをどれだけ織り込んでいくか、これはやはり大きな問題であろうと思います。御存じのとおり、交付税という限られましたこの入れものの中で、後進地域の格差是正ということから、後進地域の財政需要を見ろ、あるいはまた大都市あるいは大都市所在府県の財政需要をうんと見ろ、その中間的な団体の今度は落ち込みを是正しろ、こういうことで非常に注文が強いわけでございますけれども、そういった限られた中で、大都市の特殊財政事情に対応します財政需要の算定上、現実にできるだけ近いものに持っていくということが必要であろうと思うわけでございますが、基本的にはやはり私は大都市の場合、この過密状態を解消をする、あるいは都市の再改造をやっていくという場合に、道路の問題でございますとか、あるいは環境衛生施設の問題でございますとか、そういった問題でございますというと、やはり起債というもののウエートというものが大きな問題になってくる。起債というものにつきまして、やはり大都市につきましてはかなり思い切ったつけ方をしていくことによって、この大都市の当面する緊急の財政需要というものをまかなってまいる、こういったことを考えてまいらなければいかぬと思っておる次第でございます。いずれにいたしましても、昭和三十二年当時でございますと六大都市の中で不交付団体が五つ、交付団体が一つ、こういう状態でございましたのが、いまは逆転をしておる。六大都市いずれも交付団体という状態は、やはり私ども問題である、財源というものをもっと積極的に付与をしていくということを考えてまいらなければいけないという基本的な線に立ちまして検討をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/9
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010・細谷治嘉
○細谷委員 いまのおことばの中に、時間がありませんからさらにそれを追及しようと思いませんけれども、あなた方はすぐ、大都市の財政がここにきた一つの原因というのは大都市の財政運営がまずいのだということに責任をなすりつけているのだ。それは完ぺきではなかったでしょう、完ぺきではなかったでしょうけれども、マクロで見ても、税の一一%しか入らないということで、今日大都市あるいは都市、市町村が、完全自治体としての機能を発揮できるなんということはおよそ言えないですよ。そういう点で私は、常に財政運営が悪いとかなんとかということで責任を転嫁しているやり方というのはきわめて遺憾だと思うのです。
そこで私は、今度の税法の中に出てきたのは、せんだっても申し上げたのでありますけれども、おぼれる者わらをもつかむ、こういうことで、固定資産税の評価審議会は固定資産税を増税するなんという考えで評価の問題を検討したのじゃないですよ。固定資産税全体としては増税しないという形で、どうあるべきかということを検討して評価制度に対する答申をしたわけです。ところがその結果として出てきたところが、土地からはうんと税金が取れるぞ、こういうことになってきたのであって、いわばこれはおぼれる者わらをもで、何でもいいから取ってしまえ、こういうところに自治体が追い込まれておる、市町村が追い込まれておる、無理だと知りつつそれを了承しようというところまで追い込まれておる。自治省の今度の地方税法の改正を見ますと、何でもいいから税を取るようにしていこう、そうして自治体の自主財源の強化に一役買おうといっております。ところが基本的には、さきおととしですか、十月には二千八百億の税を国から地方に移譲しようという具体的な案を出した。府県に千四百億、市町村に千四百億という税財源を自治体に国から譲るべきだ、こういう方針を出した。一向動いておらぬ。今度の予算編成にあたっても、道路財源として五百億程度の道路譲与税をひとつ地方にやれということを言っておったけれども、これもアドバルーンを上げただけ、すぐ墜落しておる。こういうところに私は自治省が、口では言っておりますけれども、自治体の財源を守っていく、地方自治を伸長させようという真摯な態度が欠けておる、こういうふうに申さなければならぬと思うのです。この点についてひとつ税務局長から、いま申し上げた税務の面からの見解、ちょうど大臣いらっしゃって、前後のことはおわかりにならぬと思いますけれども、次官は前々から聞いておりますから、大臣にかわっての所見をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/10
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011・細郷道一
○細郷政府委員 現在の市町村での仕組みはシャウプ勧告による税制に基礎を置いておるわけでございますが、その後の推移を見てまいりますと、市町村税制の中におきましても非常に固定資産税のウエートが下がってまいっておることは御承知のとおりであります。特に土地等につきましても下がってまいっておりまして、たとえば昭和二十五年シャウプ税制ができましたときの市町村税の構成を見てまいりますと、当時は固定資産税が市町村税中の四〇%を占めておったのでございますが、その後ずっと、一時は四六、七ぐらいまで上がってまいりまして、三十年度には四七%まで上がってまいったのであります。ところが、またその後に至りまして下がってまいりまして、四十年では三八%に下がってきておる、こういうような推移をたどってまいっております。特にその中で土地について見てまいりますと、昭和二十五年は市町村税の中で土地の固定資産税の占めます割合は一六%でございました。三十年には一九%になったのでございますが、現在昭和四十年で見てまいりますと八%になっておるのでございます。こういったようなことは、やはり税制自体のその後の運営というものについて、やはり税制を立てられたときの本来の姿に従って運営されていかなかった面が多少あるのではなかろうかという、私どもにとって率直な反省もあるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、土地に対します固定資産税については、いろいろ研究の結果、今回こういうようなものを実は御提案申し上げたわけであります。
それからなお根本的に国と地方の税源移譲の問題、これは御指摘のとおりで、私どももかねてからの一つの宿題であるわけでございます。したがいまして、先般の税制調査会におきましても、国から地方への移譲の試案というものを実は私ども考えて、御検討いただいたわけでございます。前回の税制調査会は御承知のようにそれがもう末期でございましたので、時間切れになりまして、そのことにつきましては、次の税制調査会においてこれを引き続いて具体的に検討を進めるというようなことになっておるのでございます。その後の税制調査会は昨年の七月に開かれましたが、時間の関係で、長期的な問題につきましてはまだ十分深入りをいたしておりません。当面四十一年度の問題について審議をいただいて、年末に答申が出たわけでございますが、新年度からまた今後二年余りの任期を通じまして、いろいろ根本的なことを御審議いただくわけでございます。そういう際に、そういった私どもの考え方を反映させながら御審議をいただいてまいりたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/11
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012・大西正男
○大西政府委員 地方税と国税との比率と申しますか、そういうものにつきましては、いま局長からお話し申し上げたとおりでございます。ところで実際上、それらの国税、地方税を含めまして、最終的には租税の総額の六五%というものが現在、地方団体の行政経費として支出をされておる現状なんでございます。そこで、租税の効果的な使用という点から、やはり問題があると思うのでございます。この点につきましては、かねがね論議をされておりますように、補助金等の合理化審議会、あるいは税制調査会等におきましても、この点を指摘しておるところでございまして、国と地方団体の間の行政事務の配分、それを明確化いたしまして、可能な限り国庫補助金あるいは負担金を整理いたしまして、これによって生ずる財源を地方税源として地方団体に移譲する方向において、その具体策の検討を続けるべきだ、このように考える次第でございまして、政府といたしましても、こういう方向に今後十分検討し、また努力していきたい、かように考える次第でございます。ただ、四十一年度の関係におきまして、御指摘のように、地方財政の独立財源を強化するという点におきましては、いまだ十分ではございませんで、御承知のように、たばこ消費税の関係を臨時特例交付金といった形で二百四十億だけを地方の財源として与えるという程度でございます。しかし、こういう方向は将来さらに拡充をしていかなければならぬことだというふうに、委員の御指摘のように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/12
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013・細谷治嘉
○細谷委員 ただいま政務次官あるいは税務局長から、税財源の再配分というのは自治省も一生懸命考えているのだ、こういうことばでございますから、ひとつ大臣にお尋ねしたいのです。
いま、地方団体の自主財源というのは四割を切って三六、七%しかないといわれておるのであります。ところが、支出のほうはその二倍以上、国、地方を通じて全体の六二%程度というのは地方で支出して、国は四割弱しか支出してない。税のほうは七割とって四割しか支出しない。地方のほうは税は三割しかとらぬで六二、三%の支出をするのでありますから、これはたいへんなアンバランスになっているということでありますから、それを直そう、こういうお考えであることを確認したわけですが、そういう場合に、税財源というのは片寄らないようにということが必要でありますから、同時に今日の大都市の財政状態というのを勘案しますと、やはり所得税を移していく、法人税の一部というのを地方団体に国から移していく。それからどこへ行っても同じような、たばこと酒、たばこの消費税というのは府県と市町村に行っておりますけれども、これを全面的に地方の消費税にしたらどうか。酒は四千億くらいあるわけでありますけれども、これをひとつ全部でも自治体に移したらどうか。たばこと酒というのは、都会ですと高級なたばこを飲んで、一級酒を飲むということでありますけれども、量で配分していくということになれば、酒もたばこもあまり地域的な格差は起こらぬ。そういうことからいって、税というのもあまり格差が起こらないような配分ができるのじゃないか。ですから、所得税なり法人税なり、あるいは必要に応じて道路財源としてのガソリン消費税、譲与税あるいは酒、たばこ、こういう税を大幅に移すことによって、同時に補助金等を整理することによって地方団体が自主的に動けるような体制をとるべきではないかと私は思っておるのです。こういう方向に対して大臣、どういうふうにお考えになっているのか、ひとつ大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/13
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014・永山忠則
○永山国務大臣 御説のように、地方財源の確立と安定をはかりまして、地方自治の本質的なあり方を具現するということはきわめて望ましいことでございます。それには、事務の再配分、税源の再配分によりまして地方の自主財源を確立しなければならぬと考えるのでございます。補助金の合理化等々とあわせまして、勇断をもってやる時期がきているのではないかというふうに考えておるのでございます。したがいまして、所得税や法人税の、あるいはたばこ、酒等の消費税の一部移譲等もやはり自主財源確立の一番大きな道であると考えるのでございますが、同時にまた、地域間の税の不均衡、税収の不均衡を是正するために、交付税率の引き上げ等に対してもまた総合的にかみ合わせまして、これが財源の確立をいたして、また税源の均衡化をねらうという方向で検討する必要があると考えておるのでございますが、この抜本的処置に対しまして力強い御後援をいただいておりますので、われわれも強く国の税制調査会等にも働きかけ、なお、地方制度調査会等ともよく連絡をとりまして、地方財源の確立と、地方自治体の自主的な体制の確立ということに今後全力をあげねばならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/14
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015・細谷治嘉
○細谷委員 大臣のことばを聞きますと、あるいは次官のお話によりますと、行政事務の再配分というのを行ない、その上でそれに見合った財源を地方に与えるという順序でものごとを考えていらっしゃるようであります。私は、その点については意見を異にするのです。なるほど理屈は、どれほどの事務というのが地方団体にあるのか、それに見合う財源は幾らかという形で積み上げして、合理的に配分するというのが理屈でありましょう。しかし、現実問題といたしましては、二億数千万円使った臨時行政調査会の膨大な答申の一つすらも実現していないのです。さらには、第十次地方制度調査会の長年の蓄積に基づいた、一年間にわたっての労作、行政事務の再配分ということについても、その一つ一つというのが現在崩壊しようとしている。その上に、財源の再配分ということになりますと、これは言うべくして行なわれない。ちょうどネズミがネコに鈴をつけにいくのにどうするかということで悩んだ以上の困難さがあると私は思うのです。私はずばり言いますと、今日の現行法の中における国と地方の関係、それにのっとって、ずばり積み上げ方式でなくてマクロで税財源の再配分というのをやるべきじゃないか、そうしなければ不可能だ。事務の再配分を検討して、それに見合う財源なんということで積み上げていったって、これはとても不可能だ。これは地方団体は百年河清を待ってもできないことだ、こう私は思うのです。私はそう思っているので、とにかく事務の再配分、それに見合う財源という、そういう一見合理的なような非現実的な考えでなくて、現実どうすべきか、そこまで地方団体はきているんだ、こういう考えに立って、現行法の中においても積極的に税財源の再配分を断行するために努力する御意思があるかどうか、これを大臣にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/15
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016・永山忠則
○永山国務大臣 単に税源を移譲するというだけでなしに、やはり補助金の合理化並びに事務の再配分等を合わせまして、そうして税源を移譲をするという一体的な立場で進むべきではないか、こう考えるのでございます。すなわち、政府と地方とは一体的な立場において行政運営が進むことが必要であると考えるのでございますから、税源の移譲重点主義というものに加えて、やはり事務配分と補助金の合理化というものは、総合性をもって検討されるべきであると考えます。しかしお説のように、その名をかりて事実やらないではないかという御指摘は、まことにわれわれも心せねばならぬ点であると思うのでございまして、問題は政治の姿勢で、やるという腹を政治的にきめるかどうかという問題に帰着するのではないかというふうに考えておるのでございます。第十一次の地方制度調査会発足を契機といたしまして、強く御指摘の点を一体となって進めていきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/16
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017・細谷治嘉
○細谷委員 せんだっての本会議で門司委員から、政府は、口を開けば国と地方とは車の両輪だ、こういうふうに言うけれども、政府のほうの車には近代的なタイヤがついていて走れるけれども、地方団体の今日のものは、構造的に見ても実態から見ても、パンクしているタイヤどころではなくて、とにかく木でつくった輪っぱにも満たないようなものだ、こういう意味で、実際両輪じゃないじゃないか、これで何で走れるか、こういうふうなおことばもあったのですが、私も同感なんです。いまの大臣のおことばを聞きますと、どうも大臣としての所信をずばりとおっしゃらないで、すぐ、これから、五月ごろ開こうと予定しておる地方制度調査会に責任をなすりつけたとは申しませんけれども、そちらのほうを待ってという形で時間かせぎをしていると思う。ですから、大臣の気持ちをここでずばりおっしゃっていただきたい。車の両輪とおっしゃっているけれども、両輪じゃないんですよ。輪っぱがあるとしても、一方は近代的なタイヤつきの車、一方はがたぴしの木の車、これは走りっこないですよ。公共事業の推進なんていっておりますけれども、走れませんよ。もう一度大臣のずばりとした——なかなか大臣ずばりとものをおっしゃるので、私は期待しておるのですから、そのおことばを聞かしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/17
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018・永山忠則
○永山国務大臣 私の気持ちや観念や、またずばりものを言うだけでこれが実現されればけっこうでございますが、やはり国民や世論の喚起と相まちまして政治的なその姿が出てこなければ実現は非常に困難でございます。気持ちといたしましては同一な気持ちを持っております。ぜひひとつお説のように実現いたさねばならぬという気分は同感でございますけれども、これをいかに具現するかということになりますならば、やはりこの第十一次調査会等ともよく連絡をとり、また、政府の税制調査会とも連絡をとりまして、また地方団体の強い意思表示等とも相まちまして、国民的世論の喚起と一体になって進まないと、これが実現は非常にむずかしいのではないかということを考えまして、お説の点を具現するためにあらゆる努力をいたしたいという意味を申しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/18
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019・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、努力するということでありますから、その線で大いにひとつがんばっていただきたい、こう思います。
これに関連して、私は自治省のお考えを承りたいのでございますけれども、今度の税法を見ますと、従来一体でありました、ただ税率のみが違っておった、そうして普通税と目的税であるという違いがあった固定資産税と都市計画税というのは切り離されておるわけですね。そして都市計画税については三割、六割、九割ということで毎年毎年エスカレーションしていく、こういう形になるわけでありますが、これが三年後の四十四年度からはもうなくなってしまうわけですね。この問題については、数回にわたります固定資産税に関する理事懇談会等で根本的に検討をしよう、こういうことになっておるわけであります。そういうふうにこの税法の形ではなるわけでありますが、そうしますと、四十四年になると、たとえば九割ずつ上がっても三年間では三、九、二十七でありますから、三倍程度になるにすぎない。そうしますと、九割というのは八倍以上のところなんですね。ですから、税が都市計画税については三年後には三倍になっておるわけですけれども、四年目には、十倍のところは一気に三倍から十倍にはね上がるのですね。たとえば三千円納めておった人は、十倍でありますから一万円納めるようになる。たいへんな激変が起こってくる。どういうお考えでこの法律案を出したのか。これが一つ。
もう一つは、農地についても同様にやはり三年間という形で三十八年度の税額にとどめる、こういう暫定措置が講じられようとしておるのですが、しかし四十四年になりますと、これははずれてくるのです。そうしますと自動的に税を上げるということになるわけですね。この点についてはどうお考えなのか、具体的にこの二点について当局のお答えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/19
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020・細郷道一
○細郷政府委員 都市計画税と固定資産税は、いままで同じ課税標準を使ってまいりました。かつ、税務行政の面でも合わせてこれを行なうという仕組みをとってまいったのでございます。これは一つに戦後におきます都市計画税のできました沿革にもよるところでございます。しかしながら、都市計画税自体は、やはり都市計画事業に充てる目的税という特殊な性格を持っております。そういう基本的な性格の相違からいたしまして、これがいつまでも同じでいくべきかどうかということについては、十分検討の余地のある問題であったわけでございます。今回その両税の性格の相違、それから負担の度合い等を考えまして、負担調整の率を変えたわけであります。都市計画税につきましては、都市のいろいろな都市計画事業によります受益を強く受けます土地につきまして、その価格に応じて課税をいたしておるのでございますから、むしろ都市計画税自体は、できますならばその評価額そのもので課税をしてしかるべき税の性格を持っておると思うのでございます。現実に道路のために土地を買収する——東京の新宿等でもあるのでございますが、われわれの持っております資料によりましても、坪十四万円で新宿の角筈三丁目のところの土地を買収しております。そこの固定資産税の評価額というのは、わずかに二万八千円である。新評価額で二万八千円である。こういったような状況でございまして、この新評価額によりますものを、さらに現在は激変緩和と申しますか、暫定措置で押えておりますが、現実には坪当て、その土地につきましてわずかに五円六十銭の税負担しか都市計画税についてしていないというような現状でございまして、結局、都市が都市計画事業の土地買収等について負担いたします金額は、その土地から上がってまいります税金以外の部分につきましては、都市の住民の他の税負担にかかっていく、それが現在の仕組みでございますれば、多くの場合には住民税といったようなことにかかってまいるわけでございまして、その点から考えましても、やはり都市計画税自体につきましては、むしろ新評価額によっていってしかるべきではなかろうかというふうに考えるのでございます。外国の立法例等におきましても、土地につきましては申告をした価格で税を納めさせるが、同時に、買収をするときはそのままの価格でしか買収しないといったようなことがとられようとしておる例もあるのでございまして、そういったようなことも考え合わせますと、むしろ都市計画税については、新評価額によっていっても、なおかつ都市計画事業の目的財源としては不十分な面があるのではないだろうかというぐらいに議論をされておるのでございます。そういうような事情にかんがみまして、今回都市計画税につきましては三年間の激変緩和をする、こういうふうに考えておるのでございます。
なお、農地につきましては、当分の間といたしておりまして、文字どおり当分の間でございます。都市計画税につきましても、当分の間というふうに現在いたしております。ただ、将来、農地につきましては一般的に他の市街地等の土地と違いまして、値下がりをする部分もあるわけでございまして、そういうようなことから考えまして、四十五年の基準年度という時期が、農地の当分の間について見直すべき時期ではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/20
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021・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、いまのお答えによりますと、たとえば都市計画税は、現在、四十年度では千円納めておった人が、その宅地が十三倍に評価されておったといたしますと、四年後には一万三千円納めなければいかぬことになるわけですね。十倍になっておるといたしますと、一万円納めなければならぬことになっているわけです。この法律によりますと、ことし四十一年度は千円が千九百円になろう、四十二年度は千九百円かける一・九倍にしよう、四十三年度はそれのまた一・九倍にしよう、こういう形になる。ところが四十四年度になりますと、ぽんと一ぺんに一万円になる、現在、四十年度に千円納めておった人がぽんと三千円から七千円あるいは一万円になったり一万三千円になったりするので、たいへんな激変が起こるわけです。農地についても、現行の地方税法によりますと、四十四年度からは三十八年度並みの税額というのがなくなりますから、暫定措置がなくりますから、評価額でいってしまう、こういうことになるわけでありますが、これは、根本的問題はこの委員会でも検討することになっておりますが、そういう激変があってよろしいかどうか。いままで低かったのだから取ってあたりまえだ、こういうお考えのような税務局長の答弁でありますが、これは少しおかしいと思うのですが、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/21
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022・永山忠則
○永山国務大臣 農地につきましては、来年の評価がえはやらないということになっておりますので、その次の四十五年になると思いますが、そのときが評価がえの時期でございますので、その際どういうようにやるかということを検討いたす時期ではないか、こう考えるのであります。ということは、いま局長が申し上げましたように、農地は、あるいは耕作放棄をするような情勢のところもございますし、その農地の上昇率も非常に低いような関係があります。また食糧の需給関係というような問題、あるいは農民の所得の問題等いろいろの関係がございますので、その際検討を十分させていただく時期である、こう考えるのでございます。
都市計画税に対しましては、三年間ということになっておりますので、お説のような激変の生ずることも考えられると存ずるのでございますけれども、これは都市計画の目的税でもございますし、今日都市計画の関係は、土地というものが大体重要な費用になっておりまして、七、八割を占めるというような状態でございます。しかもその税率は、御存じのように〇・二%であります。固定資産税は一・四%でございます。税率もきわめて低いというような関係で、激変はございますけれども、税率の関係、また土地の受益の関係、都市計画による受益者の問題等総合いたしまして、またそういう土地の価格の非常に高いところを持っておる人は、そういう高い土地を持って、拱手傍観して土地の値上がりだけ待っておるということではないのです。やはりその土地の価格を利用いたしまして、収入等にしても相当な収入が考えられるのではないかというように考えるのであります。かりに四万円の土地を持っておる人が、いま四万円であるが、固定資産税が十倍であるとして四十万円あるといたします。そうするとこれを三十坪持っておるといたしますと、四万円の三十坪のしかも十倍でございますから、千二百万円の土地価格になるわけであります。その千二百万円の土地価格は、いまの評価からいえば半分くらいの評価ですから、三十坪で二千四百万円の土地を持っておる方でございます。それらの方は必ずや一定限の収入はある。かりに百五十万円の収入があるといたしますれば、今回の減税だけにおきましても、数字が間違っておればあとで訂正しますが、あるいは三万円前後の減税ではないかというように考えられるのでございますから、その今回の減税の関係、また将来減税がないということはないと思う。また所得も年々増大をいたす状態であると考えますので、私は現段階におきましてはこの激変はある程度やむを得ぬ措置であると考えるのでございます。しかしお説のような点もございますので、聞き及ぶところによりますと、行政委員会において小委員会でも十分検討してみようというお考えを聞いておりますので、十分ひとつこれらの点も御検討をいただき、われわれもなお将来検討を続けまして、納税者の負担の公平を欠かないように、あらゆる点を十分将来においては検討をいたしたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/22
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023・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、時間がないようでございますから、最後に、大臣の考えはともかくとして、税制等についての小委員会で検討した結論というのは尊重するという心がまえのようでございますから、これから根本的にこれを検討しようということでありますから、その結論については当然ひとつ尊重していただく。そういう激変は目に見えて起こるわけでありますから、もうかっているんだからいいじゃないか、評価額がそうだからあたりまえだ、こういうような考えでは困ると思うのです。そういうことでありますから、ひとつ大臣の末尾のところの精神、これを貫いていただきたい、こう思います。
大臣、時間が参議院のほうに行く予定だそうでありますから、この問題はここで打ち切って、次の問題について一、二お尋ねしたいと思うのであります。
今度の住民税については、せんだってもちょっと御質問したのでありますが、給与所得者に対しては標準世帯で現行三十五万円弱でありますけれども、四十二万三千円程度の課税最低限ということになるわけです。したがって八万円程度、課税最低限が控除の引き上げによって引き上げられる、こういうことになったわけでありますが、所得税は六十二万円程度、こういうことになっております。何か政府の考えでは、所得税も九十万円くらいの課税最低限にするんだということも言われております。標準世帯家族五人で四十二万程度の最低限で妥当と思うかどうかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/23
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024・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように、所得税と住民税は私性格が違うと思うのです。確かに同じ所得では支払われるのでございますが、所得税はどちらかといいますれば、所得に対する税であると同時に、富の再配分をするという機能を所得税に持たしているのであります。住民税の場合でありますと、所得に対する課税であると同時に、やはり市町村の、あるいはその地域団体の負担を分任をしていくという考え方が入っておるのでございます。したがいまして、両税はそれぞれ所得に対する課税ではございますが、その性格が違うので課税最低限自体、両税は当然違ってしかるべきなんだというふうに考えておるのでございます。政府の税制調査会におきましても常にこの問題が議論になりますが、一昨年でありましたか、両税の最低限というのはむしろ違ってしかるべきなんだという結論が出ておるのでございます。したがいまして、所得税の課税最低限が六十万円だから住民税についてもこれでいいのかというような問題以前に、地域の住民が地域の団体から受けますサービスに対する負担を、住民税は所得に応じて負担をしておる、また、固定資産税はその土地、家屋の財産価値によってこれを負担をしておるという負担分任の考え方に立って見るときには、必ずしもこの課税最低限について所得税と同一にしたり、あるいはこれに漫然と追随する必要はむしろないのではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。いわば住民税は、所得の課税最低限は低いのでありますけれども、その地域社会に住むための経費を出す。それは自分たちの生活の経費のうちから出してしかるべきものなんだ。し尿の処理でありますとか、清掃でありますとか、学校の経費でありますとかいったようなことは、むしろ生活費の中からこれを何がしか負担をしてもらうんだという考え方に立っておるのでございます。ただ、そう申しましても現実の世の中の進展というようなこともございますので、そういった点も考慮いたしまして、今回、六年ぶりに諸控除額を引き上げるという措置をとったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/24
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025・細谷治嘉
○細谷委員 税の負担分任だとか、あるいは応能性だとか応益性だとか、それはわかっております。私は、この住民税について、負担分任のものなんだ、応益性のものなんだというように割り切った税調の態度にも問題があると思うのです。私がお尋ねしたいのは、最低生活というものは憲法で保障されておるのですね。その一つの尺度ともいうべき生活保護基準というものが、四十一年度は二十五万円なんですね。一級地で二十四万七千九百四十四円、こういうことになっておるのです。そうしますと、この四十二万円との差は十七万円にすぎない。月一万円程度なんですね。生活保護を受けている人は教育扶助なりあるいは医療扶助もあるわけです。こういう人たちは生活保護世帯より月一万円ぐらいしか多くない。子供を学校にやらなければいかぬ。最低生活は保障されていませんよ。私がこう聞きますと、いや、最低生活というものと標準生計費というものと違うんだ、こういうことでありますけれども、四十二万円で五人世帯で生活できますか。最低生活を保障されておらぬという問題があると私は思うのです。憲法では、最低生活とは何と書いてある。明るい文化的な生活なんだよ。保障されておらぬでしょう。保障されておると思うのですか。最低生活に食い込む形で税を取るというのは、いかに負担分任であろうと、いかに応益性であろうと、私は問題があると思います。これをひとつ、次官の答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/25
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026・大西正男
○大西政府委員 最低生活というものを具体的にどこへ置くかということは、これは一朝一夕に論じがたいことだと思うのでございます。私はソ連を見てまいりましたが、ソ連の所得の最低を考えましても、いまおっしゃられておったような数字は、ソ連もその程度だと思うのでございます。したがって、これを一がいに数字をもって、どの程度が最低限度の生活というふうなことを申し上げることは私にはできないのでございますけれども、しかし文化の向上とともに国民生活が全体として最低の面でも一日一日向上していくということは望ましいことであると同時に、そうしなければならない問題でございまして、政府といたしましてもその点につきましては十分に意を用いて、できるだけのことを今後ともいたしていきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/26
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027・細谷治嘉
○細谷委員 私の答弁に対するお答えがなかったのでありますけれども、これ以上議論をしてもしかたがありませんが、今回かなり思い切った課税最低限の引き上げということが行なわれました。しかし、私はこれでもなお不十分だ、これは自明だと思うのです。いままで住民税のあり方について、ただし書きと本文というものの統一、そして本年は住民税の軽減ということに踏み切ったのでありますから、こういう点には竿頭一歩を進めることが必要ではないかと私は思うので、これを強く要望しておきたいと思います。
これに関連してお尋ねしたいのでありますが、標準税率をこえて課税しておる財政の貧弱な団体というのが今度の法改正によってどういう財政的な影響を受けるか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/27
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028・細郷道一
○細郷政府委員 財政的には、いなかの町村のほうが減収率が高いのでございます。実はこれは率だけでは申し上げにくいわけでございます。そこの財政の規模もございますし、従来の納税者の層もございますから、一律的な数字で申し上げることは困難でございますが、一般的に申しまして貧弱な市町村の影響が大きいのでございます。今回、住民税は都道府県民税、市町村民税合わせまして、初年度で二百九十七億の減収が全国で生ずるわけでございますが、そのうち町村部分が占めておりますものが約二四%の七十一億ございます。人口その他これに比べてみなければならないものもいろいろあろうかと思うのでありますが、こういうような状況でございます。したがいまして、これら貧弱な町村に対しましては、御承知のような交付税によります措置によってこれを埋めていく、同時に今回の住民税につきましては、御承知の二百四十億のたばこにかわる交付金が考えられておりますので、それによっても埋めていくというようなことがなされるわけでございまして、基本的に貧弱な町村に対してどういう財政的な運営をするかという問題になりますと、またいろいろ問題が別個に広がってまいるかと思いますけれども、住民税に関しましては、そういったことによって財政的な運営に支障のないように心がけてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/28
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029・鎌田要人
○鎌田説明員 標準税率をこえて課税をいたしております市町村の財政が、今度の住民税の減税によりましてどういう影響を受けるかという個々の実情につきましては、ここに手持ちの資料がございませんのでお答えできないわけでございますが、ただいま税務局長からも答弁申しましたように、おおむね後進市町村が多いわけでございます。後進市町村につきましては、かねてから交付税の配分にあたりまして、いわゆる傾斜配分と俗に申しておりますけれども、後進市町村に対する財政需要を割り増しすると申しますか充実する、こういう形で財源の付与をはかってまいっておるわけでございます。来年度におきましても、私どもの現在計画をいたしております中身といたしましては、たとえばその他の諸費のうちで人口測定単位とするものについて投資的経費の包括算入分を増額するとか、あるいは後進市町村におきます道路事業関係経費の財源の充実をはかるために道路費にかかわりまする態容補正係数の増額をはかってまいりますとか、あるいは人口減少団体に対しまする基準財政需要額の激減を緩和する措置をとりますとか、あるいはまた離島等の僻遠地補正というようなものを強化してまいりますとか、一連の後進市町村に対する財源付与の方法を措置しようといたしておるわけでございますので、そういった面で財政的には救済をされてまいるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
なお個々の市町村の実情につきましては、状況が判明し次第御報告を申し上げたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/29
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030・細谷治嘉
○細谷委員 いまのお話の交付税ですが、これはまたあとでその際に質問しますけれども、確かに交付税の中で、人口急減とかあるいは減税対策とかその他で百八十億程度のことを考えておるわけですけれども、私はその問題はその問題として、やはりそこをこえておるところには問題があるんじゃないか、こう思っております。しかし時間がありませんから、その間の資料を後ほど出していただくことをお願いしておきたいと思います。
これに関連してひとつお尋ねしたいのでありますが、徴税事務費を全国の突っ込みで見ますと、市町村民税等の徴収費というのは——都道府県民税というのは市町村に委任されているわけですね。私が気がかりなのは、大都市等については、この徴税関係というのは委託費と、いわゆる徴税取り扱い費ということで、かなり潤っているのでありますけれども、町村等ではずいぶん持ち出しが起こっているようであります。端的にいいますと、都道府県からの徴税取り扱い費を差し引いても一一%か一二%程度の徴税費がかかっておる。こういうことでありまして、団体の大きさあるいは人口の粗密ということによって違ってくると思うのです。この辺に貧弱団体は余分な負担を受けているんじゃないか、こう思うのですが、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/30
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031・細郷道一
○細郷政府委員 団体内におきまする納税義務者の層によっていろいろ事情が異なると思いますが、一般的には住民税の、低所得者の多いところあるいは均等割りだけを納める人の多いところにつきましては、どうしても徴税費が割り高になるわけであります。市町村自体が府県からもらう取り扱い費ではなかなかまかなえないというところも中にはあろうと思います。そういうところにつきましては市町村自体の徴税費が非常に高くかかっていると同時に、その府県も、府県民税について非常に割り高な徴税費を市町村に払っておるわけでございます。したがいまして府県、市町村という両者の関係というよりは、むしろそういう地域におきます立地その他から見て徴税費が割り高になっているという問題でございまして、このこと自体は、税制上にも今後いろいろと考えてまいらなければならないというふうに思うのでございます。すなわち税務行政をできるだけ簡素化していきたい、簡素化することによってそういう徴税費を節約できるような、いわゆる合理化できるような方法も考えてまいりたい。そういう意味合いにおきまして住民税につきましては、たとえばこの間参考人の方もここで述べておられましたけれども、現在均等割りといったようなものがあまりにも時代離れがして低過ぎる。こういったようなものも今後検討することによって、住民税の課税方式もできるだけ簡素化する必要があるんじゃなかろうかというふうなことをあわせて考えてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/31
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032・細谷治嘉
○細谷委員 そのほかに減免措置等の拡大等が行なわれておりまして、なお幾つか質問したい点はありますけれども、時間がまいりましたから私はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/32
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033・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/33
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034・門司亮
○門司委員 きわめて簡単にお聞きをしたいと思いますが、本会議で大臣に答弁を要求をしませんでしたので、この機会にお聞きをしておきたいと思います。
最初に、一体自治省は交付税を地方のほんとうの意味における自主財源と考えておいでになるかどうかということであります。これは本会議の議場においても大蔵大臣は、こういう措置をしたからというお話でございましたが、これはどうお考えになっておりますか。これは地方税を論議する場合のかなり大きな問題になろうかと私は思う。政府はほんとうにこれを税金とお考えになっているのかどうか、税の性格を持っているかどうか、その点をひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/34
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035・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように国税と地方税、それぞれの独立税に区分して税金を配分しておるというのが一つの税制の考え方でございます。現状におきます税制が、日本の社会経済の状態から見ますると非常に地域的な偏在といったような問題もございます。そういうようなことを考慮いたしまして、国税として徴収された税金を国と地方の間に大きく分け合っているというのが御承知の地方交付税であるわけでありまして、その限りにおきまして、地方交付税はその一定割合の分は地方団体の自主財源である。徴収の形態はいろいろ言い方もございまするが、直接徴収せずに、間接に徴収される共通の税源である、こういう言い方ができるかと思います。われわれも自主財源として扱ってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/35
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036・門司亮
○門司委員 問題はその考え方ですが、自主財源というなら、自治体の自由財源でなければならない。しかしこれは明らかに調整財源であります。私は税財源であると考えることに間違いがあると思う。税という名前をつけたから税である——以前は交付金です。税という名前をつけなくともちゃんとできたのである。やれる仕事である。配付金でもやれれば交付金でも何でもやれる。明らかな調整財源だ。地方の税源にアンバランスがある。税源に対するアンバランスですよ。税源に対するアンバランスがありますから、これが調整財源として今日使われておる。そしてこれがだんだんふえてきておる。これがふえればふえるほど、地方にはほんとうの意味における税財源が足りないということを裏書きするものであります。地方の税財源が枯渇すればするほど、これはふやさなければならない。こう考えてまいりますと、いまのお話は私は少し違いはしないかと思う。もしそうだとするなら、全体の地方団体に配分されなければならないはずだと思う。いわゆる徴税の便、不便からくる問題であるとするならば、国で取り上げておくことのほうが一応便利だということなら、現在そういう税金が地方税の中にまだあるのですよ。ないとは言えないでしょう。たとえば映画やその他にかかっております税金というようなものは、やはり国が徴収して、そして地方にそのまま分けておる。そのままの姿で出しておる。これも一時は、地方ではなかなか徴税が困難だから、徴税の便宜上国がこれを取って、そしてその中から当初は大体一割くらいの頭はねを国はやるつもりでおったが、地方の財源が非常に苦しいものだから頭はねができないで、そのままこれを地方に移譲した。徴税の便、不便からくるものであるならば、普遍的にこれが配分されなければならぬ。ところが三税の何%ということにきめられておる。だから私は、自治省の考え方がもし自主財源であるという考え方なら、これは非常に大きな誤りだと思う。あくまでもこれは調整財源でなければならないと考えておるわけです。ほんとうに自主財源とお考えになっておるなら、配分の方法はいまのようなことでよろしいとお考えですか。自治とは何であるかということです。しかもこれは政府が税制の中で案分をして、ことしはこれにウエートを置こう、ことしはこれにウエートを置こうというようなことで、毎年毎年この改正が行なわれなければ配付ができないのである。そうでしょう、本来この法律のたてまえ上。そのまま読んでごらんなさい、どういう形になるか。毎年毎年基準財政需要額が変わってくる、あるいはこの配分の基礎数字が変わってくるというようなことで、税金ということが言えますか。これは配分でしょう。しかも、本来からいうならば、地方自治団体のアンバランスの積み上げたものを国が配分するという形でなければならないはずのものである。ところがそれができない。できないから上できめて、下に配分していくという形になっておる。自治体から言わせれば、必ずしも自主財源とは言えない、配分財源であることに間違いがない。しかも、それは政府の手心でどんなようにでもなる。ことしはこれにウエートをよけいに置くという考え方で数字をいじってくれば、幾らでも手かげんはできる。一体どこに自主性があるか。どうも政府の考え方自身、私はおかしいと思う。大蔵省がある意味においてそういう考え方を持つことは一応わかります。しかし、自治省がそういうお考えを持っておいでになるということになると、これは税法の上において非常に大きな問題があると思う。調整財源なら調整財源でよろしい。税という名前をくっつけた、しかしこれは政府に対する義務づけである、配付税配付金あるいは交付金ということになると、結局政府が逃げる手があるから、政府に対する一つの義務づけで税という名前をくっつけておくというなら、それはまた話はわかる。しかし、自治省がこれはあくまでも自主財源とお考えになっていることについては疑問がある。これはどうして自主財源ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/36
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037・細郷道一
○細郷政府委員 門司先生のおっしゃるように、地方自治体が直接徴収をして自分の自由になる財源を自主財源、こういうふうに呼ぶといたしますれば、いわば交付税は自主的財源、それに準ずるといいますか、その次に位するものであろうと思います。個々の団体にとっての自主財源としては、地方税自体がそれに当たる。地方交付税は、地方団体全体を通ずる共通財源としての自主財源である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/37
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038・門司亮
○門司委員 全体を通じていないでしょう。制限があるでしょう。もらわないところがあるでしょう。全体を通じてというなら、なぜこれを通じさせないのか。同時に、この税金の中には約六%のものが特別交付税としてとられておるのです。これなど明らかに調整財源でしょう。どこまで行ってもこの税金は調整財源の範囲を出ない、出るはずがない。ほんとうに自治省がお考えになっているのなら、できるだけこの税金の交付率は減らして、自主的の税金を増してやることのほうが、私は自治省としては親切だと思う。政府がことし七千六百億出すなら、この七千六百億はほかの税目で、自治体が完全に掌握のできる、そうして自由に使える税源を一体どうして与えないのか。今日の地方の自治体がほんとうに自主的に運営できない、ゆがめられた姿におるということは、官僚が中央で地方の自治体を牛耳りたいという考え方がここにあらわれているのではないか。交付税を増してもらいたい、特別交付税をいただきたいと言って、どれだけ陳情してきているか。自主財源があるなら、地方の団体が陳情に来る必要はないでしょう。また自治省がかげんをして、ことしはこういうものを目標にしてたくさん配付する、それに当たらないところは、去年はたくさんもらったが、ことしはもらえない。どこに一体自治体の性格を持っているのですか。地方自治体から言わせれば明らかに調整財源です。それをどこまでも自治省自身がいまのようなお考えであれば、地方の自治体は、憲法に定めたほんとうの自治の本旨に従って行政など行なえない。自治省のそのお考えを私は改めてもらいたいと思う。そうしなければ、幾ら地方税法をいじってみたところで、地方税によって、自分たちの力によって自分たちの村をまかなっていく、自分たちが育てていくという自治の観念は起こらない。あくまでも中央に依存した自治体になっている。昔の自治体とちっとも変わらない。一体どこに新しい性格があらわれてきておるか。しかも、だんだんこの率をふやさなければならないような地方財政の現状では、自治省は一体何のためにあるのか、私はもう少し自治省の考え方を改めてもらいたい。そして率直に、これが調整財源であるなら調整財源である、改めなければならぬものは改めるという態度をとっていかなければならぬ。大蔵大臣が本会議で答弁したように、地方税の中ではことしは交付税をふやしたなどと平気で言っておる。その交付税もちっともふえていない。なるほど金額はふえておるけれども、去年は交付税が地方財政の構成に占めておったウエートは約三%であるが、ことしは二%しかない。金額はふえておるが、地方財政計画の構成からいけば去年より一%減っておる。これは明らかにごまかしでしょう。金額はどんなにふえても、構成比が落ちてくれば、それだけ地方の自治体の財政運営は悪くなるにきまっておる。私は、こういう自治体のあり方だけはこの際観念を改めてもらいたいと思うのだが、どうしても改めるわけにいきませんか。改められないなら、これから先、論旨を少しばかり進めていかなければならぬと思います。この点、大臣がおいでになれば大臣が一番いいのでありますが、政務次官からでもはっきり伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/38
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039・大西正男
○大西政府委員 先ほども論議が、それには直接関係ございませんが、多少触れる点があったかと思うのであります。地方税、国税を通じましてのこれの実際上の使い方とか、あるいはその比率とかいう問題につきましては、これは決して現状がそのままいいというふうには考えておらないわけでございます。しかし、この問題は国と地方との事務配分の問題とか、それから補助金の制度の合理化の問題とやはりにらみ合わせて考えていかなければならない問題ではないかと思うわけでございます。したがって、地方のいわゆる自主財源としての独自の税源の強化、こういうことを考えていきますとともに、反面におきましては、いまの交付税の問題についても、これらとの関連において考えていかなければならぬのじゃないかと思うのでございます。そこで、先ほども局長から触れましたように、直ちにそのままこれに見合うものを、門司先生の言われる地方の自主的な財源として地方税に移行するということについては、これはやはりまだ考えてみなければならない問題があろうかと思います。と申しますのは、税を生みますところの各地方の力がアンバランスでございますから、そういう点を考えてこの問題にも対処していかなければならぬのじゃないかと思うのでございます。
それから四十一年度に対する地方交付税の比率の問題でございますが、おっしゃられますように、パーセンテージはともかくといたしまして、実際の絶対額におきましてはわずかの伸びしか示しておらないことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、今回国のほうにおきましては、建設事業を大幅に推進するという面におきまして、補助率等の問題もございますので、その補助率が大幅に増されておる分についての建設事業が多くなっておるわけでございます。したがって、その面から考えますと、交付税自体のパーセンテージあるいは絶対量は当初希望したようなものでないといたしましても、それらの面を合わせて考えますと、地方の現状といいますか財政の要望に応ずることが、もちろん満足ではございませんけれども、かなりできておるのではないか、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/39
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040・門司亮
○門司委員 もう一つ、私はいまの御答弁の中からお聞きをしたいのです。事務配分だとか補助金だとかいうようなことで、いろいろ言われておりますが、地方自治体は、税財源がしっかりしておって、十分に行政をまかない得るだけの力を持っておれば、補助金などあまり要求しませんよ。補助金が必要だということは、それだけ地方自治体の財源が脆弱だということを裏書きするものである、私はそう考えざるを得ない。事務配分と言われますけれども、地方に税財源が十分にあって、こなし得る能力があれば、事務配分はおのずから出てくるのである。財源も与えないでおいて、そうして事務配分をしよう、事務配分をすれば、どれだけの財源をやらなければならぬかというようなややこしいことになっておるから、なかなか事務配分もうまくいかない、補助金の整理もなかなか困難である。私は何でもかでも補助金をふやしていって、そうして政府のひもつきにしようという、さっき申し上げましたいわゆる官僚の中央集権的なものの考え方の上に立って議論をすれば、いまの次官のような議論になろうかと私は思う。しかし、ほんとうに地方の住民が、みずからの創意とくふうと、みずからの自覚と責任において、自分たちの町は守るんだ、教育はやっていくんだ、道路だとか橋梁だとか、あるいは環境衛生というものは自分たちがやっていくんだという考え方に立とうとすれば、そこに必要なものは自分たちの手によって徴収のできる税財源でなければならぬ。この税財源を与えずにおいて、そうして事務配分がどうだとか、補助金がどうだということはおかしいと思う。ほんとうに自治省がお考えになっているなら、もう少し思い切って地方にお金を出してごらんなさい、地方はけっこうやりますよ。国から補助金をもらわなければ学校の講堂が立たないわけでもなければ、高等学校の建築ができないわけじゃない。財源さえあれば、けっこうやっていく。地方の自治体が自主的に近代国家としての様相を備えて伸びようとする芽をつんでいるのは政府です。しかも、その根底にあるものは、税財源が十分でないということです。毎年毎年地方税をこうしてわれわれ議論いたしておりますけれども、足りない。地方税をどういじくってみたところで、足りないものは足りないのです。この際、私は地方税を議論していこうとするなら、まず最初の一歩としては、税に対する観念を、この交付税なら交付税というものに対する観念を自治省が変えて、そうして、これは調整財源であるから、できるだけ低い率に置いていこう。私は、この際、財源がなくていいとは言いませんが、どこまでいってもアンバランスはできるものでありますから、それを調整する財源は国がめんどう見なければならぬことは、だれでもわかっている。しかし、できるだけこの幅は少なくしていくということが、地方の財政の健全性を保つことである。これがふえてくるということは、地方財政の不健全性ということである。このくらいのことは自治省だってわかるでしょう。どうお考えになりますか。私の考え方が違っているというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/40
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041・大西正男
○大西政府委員 門司委員の御議論につきましては、実は敬意を持って拝聴しておるところでございます。まことに傾聴すべき点も多々あると存じております。ただ、先ほど申し上げましたような実情を勘案しつつ、その中においていわゆる地方の自主財源というものを強化していく方向へ進んでいかなければならぬと考えるのでございますが、それらの点は、やはり具体的に全体を見渡していかなければならぬと思うのでございますので、税制調査会等におけるこれらの問題に対する審議、そういったものもにらみ合わせまして、政府としても十分検討していくべきだし、行きたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/41
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042・門司亮
○門司委員 そんな抽象的な御答弁では私はしようがないと思うのです。たとえば、この税法には関係ありませんけれども、いずれ出てくるであろう交付税の特例に関するものがありますね。その中で、来年度は二百億くらいたばこの消費税を移行しようというようなことが考えられておるようでありますが、これはごまかしですよ。来年やるなら、なぜことしたばこの消費税をふやさなかったか。ところが、たばこ消費税をふやせば、一体どうなったか。政府の腹が痛むわけでもどうでもない。むしろ地方に分けるなら、ことしから分けてもちっとも差しつかえないんです。
それから、先ほど次官のお話のように、地方の自治体の税金の納税の関係、こう言われますけれども、そうだとすれば、さっき細谷委員から言われましたように、たばこの益金であるというようなものは、地方住民のほんとうの経済力と嗜好による消費からくる税財源です。お酒も同じことだろうと思うのです。何も国が地方にこれだけお酒を飲めとか、これだけたばこを吸えという指示は何もしていない。そういう税負担を国民はみなやっておる。ところが、依然として国がこれを徴収して、地方にこれを与えようという。全額地方に出したからといって、私はたいしてむずかしい相談ではないと思う。もう少し自治省の考え方を変えていただかぬと、われわれがどんなに、さっきから申し上げておりますように、個々の税率についてお話をしても、これは税負担にはおのおの限界がありますから、どうにもならぬものが出てくる。
次官はお聞きにならなかったかもしれませんが、一昨日でしたか、参考人の意見を聞きましたときに、大阪の市長は何と言ったか。大阪市民の納めている税金の総額は三千八百九十三億だ。その中の七三%が国に取られている。府に取られているものが一六%、市役所に残るのはわずか四百三十億、一一%しか残っていない。こういう割合です。これではやっていけないのはあたりまえでしょう。この国税を納めているものは大阪の市民ですよ。だから、今日の税体系の中からくる国民の声を聞いてごらんなさい。国税の減税はわかる。しかし、地方税はちっとも減らないどころか、ふえておるじゃないか。地方税に対する住民の考え方というものは、一体何をやっているんだ。しかも、こういうところでわれわれが議論しているということは国民の諸君はよくわかりませんから、結局、大阪市がよけい取っている、横浜市がよけい取っている。国のほうは下げているじゃないか。市役所はけしからぬということになってくる。これでほんとうの自治体の運営ができますか。自治体というものは、次官のよく御存じのように、地方の住民がほんとうに信頼して、自分たちの市である、自分たちの町であるという観念がわいてこなければ、自治行政というものはうまくいかないのですよ。どんなにえらい人が市長になろうと、町長になっても、そういうふうに自治の本旨に従って——法律的には「自治の本旨」という文字をどういうふうに解釈するかということは、学問の上では議論がございますが、自治の本旨ということばが使われている。そうしてある程度のものが地方にまかされている。「その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、」とか、いろいろ書いてある。こういう今日の憲法が保障した地方の自治体のあり方というものが、住民から怨嗟の声で迎えられなければならない、このようなことが、この税の問題を中心として起こっておる。そうだとすれば、私は、もう少し自治省は親心を出して、ごまかしでなく、ほんとうの意味の自主財源というものを地方に与えることが必要である。しかも、税負担の割合からいけば、決して地方税が軽いとはいえない。先ほどからお話のございます所得税一つとっても、国のほうは下がってくるけれども、地方のほうは所得割りは下がらぬじゃないかという議論が出てくる。逆に、所得税は納めなくても済んだけれども、所得割りは納めなければならぬじゃないかという議論が出てくる。これは納める方が見てごらんなさい。おかしいということになるでしょう。所得税は納めないんだけれども、市民税のほうは所得割りがくるのはどうもおかしいということになるでしょう。それは、さっき細郷局長の言ったように、負担分任であるとか、あるいは応益の観念であるとかいう税の理屈をくっつけていけば、あるいはここでは言いわけが立つかもしれない。しかし、素朴な住民には、そういうことを言って聞かしたところで、なかなかうまくいかないと私は思う。こういう点は自治省はどうお考えになっておりますか。現状のままでよろしいというお考えですか。いま申し上げましたような比率になっているのですね。これでよろしいというお考えですか。私は、少なくともこうした形を改めて、そうして自主財源をふやしていって、そうして理事者と住民と、あるいは地域社会とがほんとうにこん然一体となって、理解し合って行政の行なえるような処置にどうしてもしなければならないと思う。地方の自治体でありますから、よけいなことを言うようでありますけれども、おのおの差はありますよ。住民全体がコーヒーの飲める村もございましょうし、番茶しか飲むことのできない村もございましょう。こういうところをみんな全部一緒にしろということは私は言いません、当然あるわけですから、それを動かすことはできません。しかし少なくともこういう、七三%も国が取って、一一%だけしか市の財源として残らない。それで住民負担ばかりふえて、道路なんかちっともよくならないじゃないか、下水も満足にできないじゃないかというようなこと、これでは日本のほんとうの意味の民主化にはならぬと思う。民主行政が行なわれていないと思うのです。ほんとうの意味の日本における民主政治を行なおうとすれば、やはり地方の自治体がほんとうに自分の力で、地域社会の住民の意思に沿うような行政のできるようなことこそが、民主政治の達成だと私は思う。そういう観念に立って、最初に戻るようでありますが、私はこの交付税の税率はできるだけ、調整財源であるから少なくして、自主財源をふやすように努力すべきである。この問題か解決すれば、先ほどから言われているような事務の配分あるいは補助金の問題というような問題はおのずから解決ができる筋合いのものだ、こういうふうに考えるのですが、もう一度お聞きをしておきますけれども、自治省の考え方は、やはり依然としていまのままでよろしいというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/42
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043・大西正男
○大西政府委員 決して現状でよろしいというふうに考えてるおわけではございません。委員の御指摘にもございますように、国税、地方税の比率と申しますか、七〇%、三〇%というふうになっておるのでございます。ところが、実際に地方におきまして使っておる金というのは、それらを込めて六十数%というものを各地方団体が使っておるわけでございます。それはまあ国のほうからいまの交付税とか、その他の形でいくわけですが、したがって、そこに考えるべき問題があるわけでございまして、これを先ほど申し上げましたように事務の再配分であるとか、あるいは現行の補助金制度の合理化について十分な検討をし直すとかということとにらみ合わせまして、地方の自主財源というものをそれらの観点からさらに検討して、そうして再配分をしていくべきではないか、こういう観点に立っておるわけでございます。それをやるにつきまして、具体的にどうしていったらいいかということについて、税制調査会その他の意見をも参考にしつつ、将来検討し、実現をしていきたい、こういうのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/43
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044・門司亮
○門司委員 まだそういう御答弁をなさるのですか。私はもう一つ言っておきますが、たとえば官治行政であって、われわれがいまの民主行政でないといって非難をしておったときですら、昭和八年の税の配分を見てごらんなさい、国が六二%で府県が一四%、市は二四%です。これは昭和八年です。昭和四十年はさっき言ったとおり国が七三で府県が一六で市が一一、こういうことになっておる。逆行でしょう。この当時は官治行政ですよ。私どもはこういう現実の姿をほんとうに自治省に知ってもらいたい。官治行政であって、自主などなかったというときでも、税配分というものはこういう形で、末端機構であります市町村の配分というものは非常に多かった。いまの倍以上になっておる。ところが、民主政治民主政治といって、地方自治体が大事だ大事だと言いながら、逆に税財源は減ってきておる、この実に奇妙な現象というのはどこからきておるのですか。これを改めようという気はないですか。私がさっきから言っておりますように、事務の再配分であるとか、あるいは補助金をどうこうということは二の次の問題である。自主財源によって十分まかなえれば、地方もそうたくさんの補助金も要求いたしませんし、同時に事務の能力があれば、いつ委譲したからといってちっともかまわぬのです。戦前の比率から見て半分しか地方に、ことに市町村には財源を与えずに置いて、そうして調整財源をふやしあるいは補助金をふやして、これで中央集権にならないでどうなります。私は税法改正についての議論としては、この点、特に自治省の考え方を改めてもらいたいと思う。そうでないと、さっきから申し上げておりますように、どんなにここで議論したところでどうにもならない。大蔵大臣は、私が本会議で聞きましたときにはごく簡単な答弁をしておりましたけれども、これは大蔵大臣としての立場から答弁したことだと思う。しかし自治省としては、地方の自治体をほんとうに守るという意味ならもう少し、せめて戦前までくらいに上げていく必要が私はあると思う。これはやれるのではないですか。これ以上私はもう政府に答弁を求める勇気は実はないのでありまして、依然として次官の答弁も変わらないということになると、自治省信頼するに足らずということになりはしませんか。全く現行憲法と逆行した中央集権的のものにならざるを得ない。いわゆる行政的には地方の自治体を支配することはできない。いかなる大臣といえども地方を指揮、命令、監督してはならない。行政的には自分たちの権能を取り上げられたから、今度は財政的に、からめ手からこれを支配していこうという、旧官僚のものの考え方だと私は思う。もしそういうことでなければ、さっき申し上げましたように、比率として見て、戦前と非常に大きな開きがある。民主行政であればよけいに、このウエートは逆でなければならないと考えておるが、しかし私はこれ以上意見を申し上げて答弁は要求しません。私はいままでの答弁を聞いて、実はこれから先質問をする勇気がなくなりましたけれども、自治省は、繰り返して申し上げますが、ほんとうに地方の自治体の実態を知ってもらいたい。地方の自治体のやりたいことがたくさんある。しかし税財源がない。したがってどうしても国にたよらざるを得ない。国にお百度参りをしなければならない。私は財政局長がおいでになるなら聞いておきたいと思いますが、地方の自治体が今日、自分たちの村、町、市、県の公共団体の行政運営のために政府に陳情に来る費用、人員が一体どのくらいあるか、言ってごらんなさい。おわかりだと思う。自治省はそのくらいのことはわかっているでしょう。どういう計算になりますか、もし答弁ができるならばそれをしてもらいたい。これは行政上からくる税金の浪費ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/44
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045・鎌田要人
○鎌田説明員 手元に的確な資料を持ってまいっておりません。個々の市町村あるいは県につきまして、私ども推測いたしまして、かなりの経費になっておるという推測はつくわけでございますけれども、たとえば地方議会の議員の方々が出てこられた場合の経費、こういったものにつきましての資料を持っておりませんので、後刻、わかるようでございましたならば最大限度の努力をいたしまして御報告いたしたい、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/45
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046・門司亮
○門司委員 これはわからないと言えばわからないでよろしいかもしれない。しかし地方に、都道府県市町村合わせて大体どのくらいありますか、約四千近く私はあろうかと思います。ここにかりに三十人の議員さんがおるとすると十二万人です。この十二万人の人たちが一年に一回ずつぐらい平均して出てきておると思います。そうすると、これが一体どれだけの費用になるか。概算としてはたいしてむずかしい計算にはならないと思う。これは全くの税金の浪費だと私は考える。もし地方の自治体が中央の財源にたよらなくて済むということになるならば、私はこういうことにならないと思う。われわれは、少なくとも地方の自治体に対しまする税財源の問題については、自治省もひとつ真剣になっていただきたいのです、こういう税金の浪費はさせないように。
まあこれの数字がわからなければわからないでよろしゅうございますが、もう時間もございませんので、最後に法案に対して一つ二つ聞いておきたいと思います。この法案の中の一つの問題は娯楽施設の利用税の問題でありますが、これの六分の一をことしから設置されておる市町村に配分する、こういうことになっております。六分の一ということになると百円だと思います。四百円を二百円上げるのですから、百円だということになる。しかし、増額した分くらいだけは、私は市町村に配分すべきじゃないかと考えるのです。市町村はかなり大きな地域を占領されて、そしてしかもそれは林野であるとかなんとかというのなら別の話だ、あるいは河川敷であるというならば別の話だ。そうでなくて農地がかなりたくさんつぶされておる。地方の自治体の経済力というものはそれだけ減収されておることは私は間違いないと思う。ところがこれが府県税でありまする関係から府県に六分の五がとられて、一しかいかないというのは、私は少しおかしいと思う。やはりふやしただけくらいは当該市町村に配付することのほうが税金としては私は理屈が通ると思うのだが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/46
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047・細郷道一
○細郷政府委員 ゴルフ場が地元市町村に与えております影響を考えて、今回引き上げ額の半分を地元市町村に交付することにいたしました。どの程度を市町村に交付したらいいのかということは、いろいろ考え方があろうかと思います。ただ現在の税制は、御承知のように府県、市町村の間におきましてもそれぞれ独立の税制をとっておるというたてまえのもとにおきまして、ゴルフ場の持っております特殊事情を考慮して、今回地元市町村への交付に踏み切ったわけでございますので、今回はとりあえず引き上げ額の半分程度、全体の六分の一程度を交付するというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。基本的にはやはり府県、市町村あわせて国との間の税源の配分、税目の配分といったような問題もあわせて考えるべき問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/47
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048・門司亮
○門司委員 これらの問題は、娯楽施設利用税ということですから、県が統括していくということがある意味においては正しいかもしれない。しかし、これは一つの店舗をかまえてやるとかなんとか、小さいものじゃないのです。かなり大きな村の地域を占拠しておるのです。だから当該市町村のそうした意味における被害はかなりたくさんあろうかと思う。したがって、もう一つ聞いておきますが、この中で固定資産税の問題としてかけられるものは、芝にかけられると私は思います。これは事業の用に供する機械器具というものに事実上税金をかけておりますから。ゴルフ場に芝がなくてごらんなさい、ゴルフ場になりません。これはゴルフ場という娯楽施設の事業の用に供する施設と解釈することが私は正しいと思う。そうするならば、これに固定資産税をかければ、当該市町村の財源になることは間違いない。これは一体どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/48
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049・細郷道一
○細郷政府委員 芝自体は現在固定資産税の課税の対象にいたしておりません。ただゴルフ場の土地の価格につきましては、御承知のように土地買収費にその土地の造成費を加えたものをもって価格といたしております。今回負担調整で、若干ではございまするが、その面の地元市町村への収入増も期待できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/49
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050・門司亮
○門司委員 そこがおかしいのですよ。一般の中小の商工業者や農民は、事業の用に供するものについて今度三十万円に上げたからといって、機械器具の物価の高くなっているときに、あまり大きな効果はないのじゃないかと考える。しかしそれにしても全然効果がなかったわけではないと思う。一般の人はどんな小さな床屋さんでもあるいは洗たく屋さんでも、あるいは農村において脱穀調製機みたいなものを買っても、いわゆる事業の用に供する機械器具だからということで、それにちゃんとかかっておる。ゴルフ場の芝というのは、ゴルフ屋さんの事業の用に供する芝です。ゴルフ場から芝をはがしてごらんなさい、ゴルフ場になるかならぬか。これは明らかに事業の用に供するものとしてかかってもちっとも差しつかえがないと思う。ただし、整地費がかかったから、それだけを地価に見積もったというようなことでは私は済まされないと思う。これは他の農民やあるいは中小企業の諸君の税負担との均衡からいっても、当然芝に固定資産税を、価格を見積もってかけることが私は妥当だと考える。これが妥当でないというのなら、これも実におかしな話であって、結局金持ちの遊ぶところには税金をできるだけ少なくしょうという、私どもから考えるとそういうことが言いたくなるのです。自治省はそうじゃないかもしれませんが、ゴルフ場の施設を使う方は少なくとも五十万円、百万円の入会金を納めて娯楽のできる諸君ですからね。その娯楽施設の用に供する芝が固定資産税の対象にならないとは私は考えられない。これは自治省の金持ちに対する恩恵だと思っていますよ。そのことのために村が貧乏したのじゃかなわない。これは一体かける意思がありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/50
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051・細郷道一
○細郷政府委員 償却資産の範囲をどこまで持っていくかということは、いろいろ議論になるところだと思います。現在、御承知のように山林におきます立木も固定資産税の対象にはなっておりませんし、一般のいわゆる植木類もなっていないわけでございまして、そういう点で、これをどこまでをその事業用償却資産の範囲の中に含めていくかというのはやはり研究問題であろうと思っておりますが、その範囲自体につきましての具体的な線の引き方ということになりますと、なかなかむずかしい問題がございます。現状においては芝そのものは課税の対象にならない、しかし土地造成費というものが含まれておりますので、地価は、いままでは非常な山林原野でありましたものが、かなりな額に実は評価されてまいっておるわけであります。なお、ゴルフ場を金持ちが利用するという問題、そういったような面を税制の面でとらえて、担税力ありとして今回娯楽施設利用税の税率の引き上げを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/51
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052・門司亮
○門司委員 どうもそういうことだとぐあいが悪いですね。山林の立ち木が事業の用に供するものですか。私は固定資産の償却資産のことを議論しているのですよ。山に木のはえているのはあたりまえじゃないですか。山に木がはえてなければどうかしている。あるいは庭石に固定資産税がかかっていないということもわかる。これは事業の用に供するものであるかどうかということは、庭石が事業の用に供するものであるとは私は考えない。固定資産税を財産税として見る場合にはいろいろの問題がございましょう。しかし現在の固定資産税の性格はそこまでいっておらない。同時に、法律には明らかに事業の用に供する機械器具ということに限定がされておる。私はこういう立場でひとつ当局は答弁してもらいたいと思うのです。庭の木であるとか、あるいは山林に木があるとかというようなものは、事業の用に供するために一体山林に木を植えておくのですか。これは収入を得るための木でしょう。あるいは料理屋の庭石は、多少の事業の用に供するものと解釈してもいいかもしれない。もしそういう解釈ができるならば、ここに税金をかけても私はちっとも差しつかえないと思う。税の本質、税金とちゃんと書いてある、これを文字どおりに読んでいって、事業の用に供するものに、零細な中小企業、零細な農民がほんとうに苦しい中から固定資産税を納めておる、自分の使っておる機械器具、言いかえれば生産手段である、そういうものにも税金がかかっておる今日、娯楽と考えられるこのゴルフ場の芝に税金がかからないということはおかしいのです。明らかにこれは事業の用に供するものであることは間違いない。いまのようなごまかしの答弁では私は引きさがるわけにはまいりません。一体、立木が事業の用に供するものですか。山の木は何の事業に供するのですか。山主から言わせれば、ただ財産だけでしょう。もう少しまじめに答弁してもらいたい。われわれはかつて立木税を考えたことがあるが、またそういうことも考えられる。今日、木引税が徴収が非常に困難であるというのなら、伐採期以上の樹齢を持っている木に対して財産税的の税金をかけるということも考えられる。今日一番大きな金持ちであって税の対象になっていないのは山林地主でありますから、山林地主にかける方法としては、そういう方法があるはずであります。しかし、これは現実に村役場が一々立木を計算するということは非常に困難だ。徴税上の技術の上からいって非常にむずかしいというような理屈でわれわれはちゅうちょしているのである。固定資産税を財産税と考えるなら、当然そういうことも考えられてしかるべきだ。山村に行ってごらんなさい、一番大きな金持ちが一番税金をのがれているでしょう。小さな二反か三反かのやせ畑を持っておっても税金はかかっておるのです。こういう税の不合理さがあるということはわかっておるが、いろいろな面で今日これは徴収されておらない。にもかかわらず、いまのような詭弁を自治省側のほうで、しかも税務局長からお聞きするということになると、これは聞き捨てにならない。自治省は一体そういう問題に対してどういうお考えでありますか。私はこの娯楽施設についての議論をしているのであって、これは次官から答弁をいただいておきたいと思いますが、芝は事業の用に供するものとみなされませんか。あれは自然に野っ原にはえたものだから、しかたがないということですか。現実に植えているのでしょう。またこれがなければゴルフ場にならないでしょう。明らかにゴルフ場としての利用価値あらしめることのための事業の用に供していることに間違いないのであります。次官の考え方をひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/52
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053・細郷道一
○細郷政府委員 門司先生すでに御承知と思って答弁を少しあれしましたが、御承知のように固定資産税の対象となります償却資産は、事業の用に供する償却資産でありまして、これは法人税、所得税等におきまして減価償却をする資産、こういうことになっております。したがって、ゴルフ場の芝につきましては、現在法人税、所得税におきまして減価償却の対象資産といたしておりません。そういうことで法律制度的に固定資産税の対象にいまなっていないわけであります。ただおっしゃるように、立木その他の問題につきましては、いろいろ議論のあるところでございます。今後の問題であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/53
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054・門司亮
○門司委員 これを国が減価償却の対象にしていないからというが、地方で独立税はかけられるでしょう。法律違反にはならぬでしょう。地方の市町村が法定外の独立税としてかけて差しつかえないでしょう。これは差しつかえないでしょう、どうですか。地方の市町村が自分のところの法定外の独立税としてかけることには異存はないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/54
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055・細郷道一
○細郷政府委員 それは、いま私が申し上げましたのは、固定資産税の対象としてかけていないということを申し上げたわけでありますが、これをゴルフ場について別個の法定外税を起こすというようなことは、その中身の問題はあろうと思いますけれども、考えられることであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/55
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056・門司亮
○門司委員 いま独立税としてかければかけられるという答弁、私もそのとおりだと思う。ただこれらの問題は、実際からいうと、地方の自治体に関しては、かなり有力な諸君の所有物であることには間違いありません。したがって、力の弱い町村の議会がこれを押し切って、あるいは町村長さんが押し切って独立税がかけられるかどうかということは、私は技術上の問題としてかなり疑問があろうと思う。したがって、これはやはり国の力でこれにかけるということ、いわゆる減価償却ができるものであるとかないとかということは技術的の問題であり、同時に一つの考え方であって、法律の文面をそのまま読めば、事業の用に供するものとしか書いてないのである。これは私は、あくまでもこれらの問題については、地方でかけられるということが一つあることは最初からわかっておる。しかし、これはさっき申し上げましたように、技術的に比較的困難ではないかということである。これは、地方自治体は、村とか町とかいうものはその地方のボスににらまれると、御存じのようになかなか運営がしにくくなるから、町村長さんもこれに税金をかけたいと思っても、なかなかかけにくいのだと思う。やはりこれは国が行なうことのほうが普遍的であって、適当だと私は考えるから申し上げておるのであって、国ではどうしてもかけられないというのであればやむを得ない、地方でかけるということになるかもしれない。しかし、私の気持ちとしては、いま申し上げたように、普遍的に税金を取ろうとすれば、やはり固定資産税の対象にするということが正しい考え方であると思う。
ちょうど時間になっておりますので、きょうはこれ以上御質問申し上げません。自治省に対しては、この問題は将来の一つの問題として、次の税法改正のような場合には、金持ちだから遠慮するというようなことでなくて、取れるところから取ったほうが、応能の原則というものがちゃんと税法の中にあるのですし、これらの諸君は納める力をちゃんと持っておるのですから、ただ土地からくるものだけでなくて、その上に家が建っておれば、やはり家としての税金も取れるでしょうし、あるいはその他の収益もあがってくることでしょうし、村にとってはかなり大きな問題だと考えておる、したがって、そういう点を十分に考えておいてもらいたい。私どもはこれを強く主張いたしてまいります。
これできょうの私の質問は終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/56
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057・岡崎英城
○岡崎委員長 奥野誠亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/57
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058・奥野誠亮
○奥野委員 先ほどに続きまして、宅地課税の問題について、なお若干お尋ねしておきたいと思います。
今度の地方税法の改正案の中で、宅地に対する固定資産税の負担を漸増していく、このことの可否が一番争いになってまいったわけでございます。だんだん話を詰めてまいりますと、現在の宅地負担が、家屋や償却資産との間でバランスがとれているのだということを主張される向きもございました。私たちは、新評価に基づく法律上の課税が行なわれるようになって初めて家屋、償却資産との負担のバランスがとれるのだ、かように考えております。しかしながら、だんだん宅地の負担がふえていく、それによって固定資産税の収入もふえてくるわけでございますので、その暁には固定資産税の税率について当然引き下げが検討されるべきである、かように考えているものでございます。先般の松隈参考人の意見を伺いましても、現行法のたてまえどおりにしておくと、宅地に対する負担が一挙に数倍にもなっていくのだ。そこで毎年若干ずつふえていく漸増方式、漸増にとどめようとしたのだ、引き上げ幅が低い、中間的な経過的な措置を答申したのだ、だから税率調整のことには触れなかったんだ、こういう説明がございました。私たちもそのような理解のもとにこの地方税法案の審議に当たっているわけであります。したがいまして、政府のお考えをこの際ただしておきたいのでありますが、先般税制調査会の松隈参考人が述べられたような考え方に基づいてこの法案が提案されている、かように理解してよろしいかどうか、念のために伺っておきたいと思います。
繰り返し申し上げますと、引き上げ幅が低い中間的な経過的な措置なんだ、だから税率の点には触れなかったんだ、しかし、将来宅地に対する負担がだんだんふえてくる、固定資産税収入が漸増していく、その暁には固定資産税の税率を引き下げることが可能であるかどうか検討して必要な措置を講ずるのだ、そういう考え方のもとにこの法律を提案しているのだ、こう理解してよろしいかどうか、念のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/58
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059・大西正男
○大西政府委員 奥野委員仰せのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/59
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060・奥野誠亮
○奥野委員 なお、宅地の負担がふえることについての議論が多いわけでありますが、宅地即住宅用地即家賃にはね返ってくる、こういうような考え方が持たれやすいのでありますが、いわゆる宅地という分類の中には、工場用地もあれば店舗用地もある、店舗住宅併用地もあれば専用住宅用地もあるだろうと思うのでありますが、総評価額の中で専用住宅の用地というものはどれくらいの割合になっているんだろうか、このことを明らかにしておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/60
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061・細郷道一
○細郷政府委員 二二%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/61
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062・奥野誠亮
○奥野委員 一般的に、自己所有の土地の上に住んでいる人は半分ぐらいではなかろうか、こういうようにどこかで伺ったように思うのであります。そうしますと、いわゆる宅地総評価額のうちで、自分の土地の上に住んでいる人というものは一〇%前後だということになるのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、そう理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 専用住宅の二二%ぐらいのウエートといいますのは、税額から見て、現状においての負担が土地の二二%ぐらいになる、こういうことでございます。
それから住宅調査によりますと、住宅の総数約二千万戸ございますが、そのうち持ち家が千三百万戸、そしてその千三百万戸のうちで九百二十万戸が自己所有地の上に乗っておる、こういうことでございますので、住宅の面から見ますれば、住宅総数二千万戸のうち九百二十万戸ぐらいが自己所有の土地の上に建っておる、約半分足らずである、こういうことでございます。なおこれにはいろいろ、農家といったような一般的な傾向も入っての数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/63
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064・奥野誠亮
○奥野委員 だんだん伺いますと、なるほど農家になってまいりますと自己所有の土地の上に住んでいる人が多いだろう、こう思うわけであります。そうすると、工場用地というものはどの程度の割合を占めているものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/64
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065・細郷道一
○細郷政府委員 土地全体の中で見てまいりますと、税額から見て、工場専用地は約七%ぐらいということでございます。なおこのほかに、事務所、商業用地と申しますか、いわゆるオフィス、店舗街といったようなものもございます。それが一二%ぐらいになっております。なお、住宅には併用住宅、店舗と住宅と一緒になっているものがございますが、その辺は、はっきりした数字は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/65
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066・奥野誠亮
○奥野委員 だんだん伺ってみますと、宅地の評価が非常に上がっているのに、それから考えると六分の一、七分の一に押えておる。この現状でバランスがとれているんだということは、ますます不可解なような気がするわけでありまして、やはり政府案のように漸増方式をとっていく、そして適当なときに税率調整を行なっていくということが妥当な行き方であるという確信を深めたような次第であります。
なお、先日の参考人の意見を聞きながら、この政府案のままではたして十分であるかどうかについて、非常な疑問を感じた点が一つございます。それは、新大阪駅付近では新評価額が三十倍前後に上がっている。しかし取引価格から見るとそれでも三分の一ないし五分の一だ、こういうお話がございました。おそらく、今度の政府案によりますと、八倍以上に新評価額が上がっているわけでありますから、毎年三割増しの負担の増加が求められるということになろうかと思うのであります。三十倍にも上がっているんだ、しかも取引価格と比べるとそれでも三分の一ないし五分の一だ。それを政府案のように毎年三割ずつふやしていけばそれでよろしいんだという案で、はたして均衡がとれるだろうか、どうだろうか。私たちは、土地はやはり国民全体において適切に利用されていかなければならない、また適切に利用すれば非常な価値を生み出せる土地であるから、著しく値上がりがしてきておるのだろうと思うのであります。それにもかかわらず、税負担は非常に低い、それでは売り惜しみをしちゃって、なかなか有効に利用できる人の手に利用されるようにならないじゃないか、こういう心配を多分に抱かざるを得ないのであります。そうしますと、こういうような土地についての固定資産税の課税方法の改正につきましては、もう一歩突き進んだ方法を考えられるべきじゃないか、今回の改正案につきましては、こういう面が全く無視されておるのじゃないかと私は考えるわけであります。一部に、漸増方式について非常な反対論がありました結果、こういう問題の解決に憶病になってもらっては困ると思うのであります。ほんとうに土地は、国民全体から見まして有効に利用されなければならないにもかかわらず、また有効に利用すれば相当な価値を生み出せる土地であるのにもかかわらず、負担が低いために、そのまま利用されないで済まされるという場合もこういう面からは心配されるわけでございますので、これらの点についてどのようなお考えを持っておられるか、この機会にただしておきたい。私としては、十分に研究をされて、なるべく早い機会にこれか解決案を国会に示されるように希望をいたしたいものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/66
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067・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税は、御承知のように財産価値の大小に応じて税負担を求める。その基本には、非常に価値の大きいものは、それなりの利用度と収益度がある、価値の小さいものはそれなりに小さいのだというふうに考え、またそれをもって、非常に利用度あるいは収益度の高いものはそれなりに利用されていくべきものなんだということを前提としてつくられておる税制であると私どもは考えておるわけであります。したがいまして、財産価値の大小によって外形的な課税をしておる、こういうことでございます。いまお話のございましたような今回の負担調整案では非常にもの足りないのじゃないか、もっとそれは突き進んでいくべきではなかろうか、こういう御議論がございますが、先般来税制調査会等におきましても、固定資産税の負担の求め方については、考えの基本の問題と現実的な税負担の変動の問題とをどう調和していくかということについて、かなり議論がございました。その結果、今回のような上昇区分に応じた負担調整率をかけていくという方式が出されたものでございまして、これによりましていま以上に土地の負担が、他の資産なりあるいは他の税目と比べてアンバランスの点が漸次是正をされてまいることになるわけでございまして、税制全体あるいは固定資産税の税率といったような問題も、そういう面で将来検討されなければならないということで、税制調査会では、固定資産税につきまして、特に税率は、税体系における地位であり、あるいは企業に対する課税のあり方であるといったようなことで、引き続いて検討する、こういうことになっておるのでございます。われわれも、そういった今後の審議の結果を待ちまして、よりよい案ができますれば、それに移っていくことにやぶさかではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/67
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068・奥野誠亮
○奥野委員 いまの答弁ではたいへん不満足であります。私は、この間の参考人の意見を伺いますと、新評価額は売買時価の二分の一から三分の一くらいだ、しかし新大阪駅付近なら三分の一から五分の一くらいだ、こういうお話を伺ったわけであります。実際新評価額は、この間の参考人の述べられたように、売買時価から考えると二分の一ないし三分の一くらいのものであろうと思うのであります。売買時価にまるまる課税していくのだというような誤解を国民がかなり受けるのじゃないかと思います。同時に土地、家屋、償却資産を比べた場合に、土地は最も安定した資産ではないか、これを強く感ずるものでございます。そうなってくると、やはり負担の均衡についてもう一歩突き進んだ考え方がとらるべきではないか。政府案によりますと、三倍から八倍までに値上がりをしている資産については、毎年二割の負担の増加を求めていく。土地の所有者に対しましては、いろいろ事情もございましょうから、同情すべき点も多々あるとは思います。あるとは思いますが、二割ずつ上げてまいって、十年で六割だと私は思うのであります。なおかつ十年たっても法律上の価額にはならないのであります。しかも先般予算分科会で伺いましたところでは、先の評価額から今日すでに、地価は鈍化してきたとは言え、二割五分の値上がりを見ているのだ、こういうことであります。そうなりますと、一そう土地負担をどうしていくかということについては、十分な配慮が加えられなければならないのじゃないか、かように考えるものでございます。もとより私がこのような主張をするのは、固定資産税全体としての税率調整を基本にものを言っているわけでございまして、ただ税額をふやせ、こう言っているわけじゃございませんで、負担の均衡をとるべきだ、こういうものの考え方から主張しているわけでございます。ことにまたこの間の話では、都市街路事業のような場合に、地域によっては、買収している場合の基礎の価額と、税負担を求めている基礎の価額には五十倍の開きがあるということを伺ったのでございますので、これらの矛盾を早急に是正するように、根本的な案を引き続いて検討されるように希望しておきたいと思います。
その次に、娯楽施設利用税のことについて簡単に伺っておきたいと思うのであります。今度の改正案では、娯楽施設利用税について、特にゴルフ場の利用については四百円の標準税率を六百円にする、そしてそのうちの百円分だけを市町村に府県から交付していくという案が盛られているのでございます。門司委員から指摘されましたように、私はできることなら二百円を全部市町村に交付したほうがよかったという考え方を持っているわけでございますし、また案の過程においていろいろ意見も述べてまいったものでございます。今日のゴルフに対する国民感情から言いますと、私はこの程度の負担を特に市町村へ一部を譲与していく、そういう見地から引き上げられたことはやむを得ないことだと考えておるものでございます。しかしゴルフの関係者からは非常に熱心に課税撤廃運動がおこされておるようでございまして、その主張を伺っておりますと、すでにゴルフ人口というものは二百万人にもなってきたのだ、しかも戸外における健全スポーツだ、年をとってからもゴルフをプレイすることができる、八十をこえてもプレイしている人たちがたくさんあるじゃないか、スポーツに対する課税は不穏当ではないか、こういうような意見をたびたび述べられておるわけでございます。ゴルフ関係の課税としては、物品税もございますし、また先ほど門司委員から指摘されましたように、固定資産税課税が適切であるかどうかという問題もございましょう。これらについて私は適正な課税が行なわれることが望ましいと考えているのです。しかしながらプレイをする人そのものに課税する、これはやはりだんだん考えてみると、問題があるのじゃなかろうかという気持ちをこのごろになって強く持ち始めております。そこで伺っておきたいのでございますが、世界の中で、特に先進国の中で、プレイをする者に課税をしている国が、どことどこなんだろうか、それがどの程度に行なわれているか、これを教えていただきたいと考えるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/68
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069・細郷道一
○細郷政府委員 詳細な資料はいま持っておりませんが、例は少ないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/69
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070・奥野誠亮
○奥野委員 私はやはり不勉強だと思います。これだけ多くの人たちがいろいろと言っているのなら、進んで調査しておくべきではないか、少ないように言われると、どこか必ずある国があると思うのでありますが、どこかもし御記憶があれば教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/70
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071・細郷道一
○細郷政府委員 ただいま資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/71
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072・奥野誠亮
○奥野委員 私は、先ほども申し上げておるように、物品税課税とか固定資産税課税とか、それぞれ適正に行なわれること、その結果ゴルフ関係者の負担が重くなっても、これはいいと思うのであります。しかしプレイする人そのものに課税をするというやり方については、非常に疑問を感じ始めてきているものでございます。そこで、この課税が感情的な課税にならないようにしなければならない。現在の国民感情からいいますと、まだゴルフというものはぜいたくなものだ、思い切って負担をふやしてやれという気持ちもかなりあると思うのであります。しかし国民の中に健全な気風を醸成していくということを考えてまいりますと、あながちそういうような感情的なことで税制を運用することは慎しむべきことではなかろうか、こう思うものでございます。
そこで、私は二つ伺っておきたいのであります。一つはゴルフ場の施設の関係からでございます。メンバーコースに入ろうとしますと多額の入会金を必要とする、またそれだけ多額の入会金を支出できない人たちは、パブリックコースを利用していると思うのであります。できるだけ私は、こういうプレイできる人はプレイさせてあげるべきだ、そうなってくると、パブリックコースの場合には、同じ娯楽施設利用税であっても、軽減措置がとられることが望ましいのじゃなかろうか、こう思うのであります。私はむしろスポーツという見地から、できる人たちは、いたずらに飲食に多額の金を投ずるよりも、できればこういう健康な肉体、健全な精神を養える方向に金を使うほうが望ましいと考えますだけに、どういう配慮をしようとしているか、伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/72
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073・細郷道一
○細郷政府委員 メンバーコースに比して、パブリックコースについては今回の値上げ幅を若干低めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/73
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074・奥野誠亮
○奥野委員 もう一つは、プレイする人の関係から伺っておきたいと思うのであります。現在学校の中には、あるいは乗馬部があるとか、あるいはヨット部があるとか、いろいろな部の中に、ゴルフを愛好する人たちの部も設けられてまいってきておるわけでございます。私は、スポーツは、それぞれ長い間につちかわれた伝統とか精神とかいうものがあるだろうと思うのであります。特にゴルフにつきましては、きびしいしつけ、やかましいエチケット、これは他のスポーツに見られないきびしいものがあるように考えておるわけでございます。また古いメンバーコースになってまいりますと、学生がプレイに来ると決してキャディをつけません。学生自身にバックを持たして歩かせます。セルフバッグを強要します。キャディを要求しても認めません。これは私は非常にいいならわしだ、かように考えておるものでございます。同時にまたウイークデーですいている場合には、そういう大学のゴルフ部の学生がプレイする場合には、ビジターフィーを求めない、メンバーフィーでそのゴルフ場を利用させております。これがゴルフ場の本来の姿ではなかろうか、かように考えているわけでございます。そうなら課税の面でも、こういう面には適当な配慮が払われるべきではなかろうか、こういう考え方を持っているものでございます。むしろ課税の面においても、収入さえあげればいいんだというような、安易な運営に堕さないような配慮を私は希望したいものでございます。ゴルフ場の運営よろしきを得れば、情操豊かな社会を建設していく上において、大きな役割りを私は演ずると思うのであります。そういうこともあって、また今日多くの学校ではゴルフ部が生まれてきていると思うのであります。またそのゴルフ部においては、メンバーコースも積極的な協力を今日では与えていると思うのであります。積極的な協力を与えている面については、課税の面についても私は十分な配慮をなされてしかるべきではなかろうか、またそういう方向にゴルフ場経営も持っていかせるべきではないか、経営倫理というものを確立させる方向に持っていくべきではないか、ゴルフ場の中には日本ゴルフ場連盟というような式の社団法人もできているようでありますけれども、そういう機関を通じて経営倫理の確立を求めながら、税制の運用においても必要な配慮が加えられてしかるべきじゃないか、かような考え方を持っているものでございますが、この点についての御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/74
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075・細郷道一
○細郷政府委員 ゴルフ場の娯楽施設利用税について、なかなか人的な仕分けによって税額を変えるということは非常にむずかしいと思います。いま御指摘のような、学生のセルフバッグの税額はまけてやれ、こういう御意見のようでございますが、そういう意味合いにおいてもなかなかむずかしい問題だと思います。学生について特にゴルフを奨励したい、あるいは学生について特別にしたいということであれば、私はむしろ利用料金のほうの問題が先行すべきではなかろうか、こう考えるのであります。いろいろ御意見ございましたが、将来のゴルフ場の利用税につきましては、従来が、わりに上下の幅がいろいろございまして、各県によって多少アンバランスな点もございました。今回の改正を機といたしまして、できるだけバランスのとれたものになるように極力指導をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/75
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076・奥野誠亮
○奥野委員 時間の関係がありますので、他の委員に御迷惑をかけても適当でございませんから……。いまの答弁に私は非常に不満足であります。したがいまして、これらの点についてもっと研究をしていただきたい、そうして善処をしていただきたいということを特にお願いを申し上げておきたいのであります。
先ほども申し上げたように、収入さえあげればいいんだということじゃなしに、同時にまた社会環境もどんどん変わっていってきているのだ、こういうことについても目をそらさないようにされながら、ゴルフ場運営の経営倫理、これもまた私は求めるべきだと思うのであります。そしてまた、ゴルフ場が学生に対して特別な配慮をしているような例を先ほども私はあげたのでありまして、メンバーコースではメンバー並みのフィーにして十分利用させるという面もあるわけであります。そういう場合には税の面においても適当な考慮をしてあげるべきじゃないか、こう言っているわけであります。あなたはただ料金だけで適当にやればいいのだということをおっしゃった。そこが不十分だということを私は言っているわけであります。対応して税の面においても考慮をされるべきではないか。基本的にはプレイする者に課税することの不合理を感じているわけでありますが、それは別にいたしましても、いまのような点について並行的な配慮がなされるべきだ、かように申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/76
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077・細郷道一
○細郷政府委員 現在のゴルフ税は、御承知のように一種の外形的な課税をしているのであります。課税技術の点もございまして、そういうしかたをいたしておるわけでございます。したがって、人的要素での課税の区分ということをこれに導入することについてはかなり困難な点がございますので、そういう点を御了承いただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/77
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078・奥野誠亮
○奥野委員 人的要素を考慮することは不適当だというお話でありましたが、たとえば入場税の場合でも、学生については課税をしないとかいうようなものがあったわけであります。だからそれが困難だからやらないということでは、私はとてもいまの御説明には納得ができないのであります。担税力を見出して課税するのでしょう。プレイする人にも、担税力にはいろいろ差があるわけでしょう。また社会全体の推移から考えても、奨励すべきものとすべきでないものといろいろあるわけでしょう。そこをやはりプレイする人の内容によっても十分区分することは、研究する余地が多分にあるのじゃないか、かように考えるわけでありまして、区分することはできないのだと言い切られることは非常に不満足であります。検討をしていくお考えがないかどうか、もう一ぺん伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/78
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079・細郷道一
○細郷政府委員 いろいろ御注意の点、検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/79
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080・岡崎英城
○岡崎委員長 本会議終了後再臨することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十四分休憩
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午後四時十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/80
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081・岡崎英城
○岡崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/81
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082・安井吉典
○安井委員 福田大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。
二月の十四、十五両日にわたりまして、予算委員会で地方税法改正の中の固定資産税の問題につきまして議論をいたしましてから、きょう三十九日目で地方行政委員会における話し合いがつき、このあと三党共同修正をもって土地の免税点を八万円、家屋の免税点五万円、償却資産の免税点三十万円、さらに水道に対する電気ガス税の非課税措置につきまして措置されることにお話し合いがついたわけでありますが、これによって五十数億円の当初の地方財政見積もりより減収を見ることになるわけであります。このことは、私どもは、政府原案では最初当然見込むべきものでない増収を見込んだというふうな考え方で主張をいたしておりました経過もございますし、さらにまた三党書記長、幹事長会談におきまして、政府が責任をもって措置するとの話し合いもありますので、この際、大蔵大臣としてのお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/82
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083・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 固定資産税に関する国会審議の経緯につきましては、私もよく承知しております。私どもといたしましては、地方行政委員会における審議の結果を待つ、こういうことでありましたが、御審議の結論が出る段階になりましたと承っておるのです。ついては、お話のように、その結果五十億円程度の欠陥を生ずる、こういうことになるわけであります。私は、地方財政は国の財政と一体だ、地方あっての国であり、国あっての地方である、そういうふうな考え方で地方財政問題に臨んでおるわけでありまするが、今回のこの歳入五十億程度の欠陥に対しましては、自治大臣ともよく相談をいたしますが、責任をもって措置いたしたい、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/83
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084・安井吉典
○安井委員 その措置の内容につきましては、私どもは単なる起債の措置で埋めるとか、あるいはまた後年度における地方交付税の中に算入してやるとか、そういうような形では十分な措置ではないと思います。大臣はいまはっきりと言明をお避けになったわけでありますが、そういうふうな措置ではなく、きちっとした措置でなさるものだと思うのでありますが、本日の段階では、方針等について明言をしていただくわけにはいきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/84
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085・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 この問題のいきさつをよく承知しております。今日修正になったいきさつですね。そのいきさつも頭にありますから、そのいきさつを尊重して、地方財政に圧迫がその結果いかないように、私は責任をもって善処する、かように考えております。そのやり方の方法はいろいろあると思うのです。あると思いますが、その方法も、経緯にかんがみ常識的な線でいく、その具体的方法は自治大臣とよく相談する、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/85
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086・安井吉典
○安井委員 今日の段階で明言をいただけないような事態のようでございますから、いまの大臣の言明を私も深く信頼をしたいと思います。先ほど来申し上げておりますように、この経過というものがあるわけですから、いいかげんな措置で放置されるということが絶対ないように、その点だけをお願いしておきたいと思います。
自治大臣に続けて伺いたいと思います。
これまでの論議の中で相当程度尽くされておりますので、私は最終的に自治大臣としての固定資産税の問題についての今後の取り組みの御決意を伺っておきたいと思うわけです。土地についての固定資産税の課税標準を、旧評価額を基礎とするものから新評価額まで上昇させるというときは、たとえ漸増方式によるとはいいながらも、現行制度のままでは税負担が年を追って増加し、年度が重なるにつれて、税率が同じでありますから、大幅な増税になるわけです。四十一年度の当面の措置については後ほど共同修正が行なわれるわけでありますが、四十二年度以降の固定資産税については、税負担の増大に見合って抜本的な措置が講ぜられなくてはならないと思います。先ほどゴルフ税等のお話も出ておりましたけれども、退職金を出して土地を買い、そこにささやかな家を建てておる、そういう庶民生活、そういうような人の宅地までが今後どんどん値上がりをしていく、税金が上がっていく、こういうようなものは私どもは放置するわけにはいかないと思うわけです。これはゴルフ税のほうは増税しても、こういうふうな庶民的な土地所有者については、住宅政策の意味からも負担を高めていかない、あるいはもう税金はこういうものにはかけなくてもいいというふうな仕組みをつくらなくてはいけないと私は思うわけです。あるいはまた、どんどん固定資産税が上がることによって地代や家賃へのはね返りも予想されます。そういう庶民の生活の場を守っていくということが、今後どんどん固定資産税額が上がっていくことが明らかである際において、考えていかなくてはならない点だと思います。あるいはまた、日本の農業の低位な生産性にかんがみても、農民に対する固定資産税課税の問題も十分に再検討をしなければならないと思います。こういうふうな際でありますので、この地方行政委員会におきましても特に小委員会を設けて、固定資産税のあり方につきまして今後慎重な検討をしていくということも申し合わせをいたしているところでありますが、政府においても、免税点の引き上げでありますとか基礎控除制、累進税率制または課税標準や税率の調整等、適切な措置をもって対処するということでなくてはならないと思います。この点につきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/86
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087・永山忠則
○永山国務大臣 昭和四十二年度以降の固定資産税につきましては、お説のように免税点、基礎控除、税率の調整等を含めた抜本的な検討が本委員会の小委員会でも行なわれることでございますから、院議を尊重をいたし、また政府といたしましては、引き続き政府の税制調査会の意見をも聞きながら、十分抜本的な検討を続けて、必要な措置を講じたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/87
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088・安井吉典
○安井委員 ただいまおっしゃった税率の調整の中には、私どもが主張しておりました累進税率制という点も含まれていると理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/88
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089・永山忠則
○永山国務大臣 かねてから御主張されておるそれらも含めまして十分検討をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/89
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090・安井吉典
○安井委員 先ほど大蔵大臣から、減収は必ず責任を持って補てんするという言明があったわけでありますが、この減収は、このたびは免税点の引き上げを中心にして行なわれるわけで、したがって、全国の市町村のどこがおもに当初見込みより減収するかという点については、これからの段階で明らかになっていくだろうと思います。ですから、総額で補てんするにいたしましても、減収の場に必ず補てんがいくようにそういう緻密な対策というものが自治省になくてはならないと思うわけですが、その点も十分御考慮を願いたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/90
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091・永山忠則
○永山国務大臣 お説のように減収を受ける場を十分考慮いたしまして、これが対策を立てたいというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/91
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092・安井吉典
○安井委員 先ほどもちょっと触れましたが、固定資産税の増税が地代や家賃等にはね返るおそれがあるわけです。たとえば昭和四十一年度は一番上がっても三割程度の引き上げでありますから、計算上はたいしたことないようでありますが、しかし地代、家賃等は、物価の値上がりやあるいは公共料金の値上げ等の傾向の中で、普通の状態でも上昇傾向にあります。先年固定資産税が二割上がった際も、税金が二割上がったからということを口実にして家賃を二割上げたという例を全国で幾つも耳にいたします。税が上がるのはほんのわずかな額で、二割というものはわずかな額でありますが、家賃の二割というものは相当大きな額になるわけであります。次元の全然違う問題でありますけれども、そういう口実に使われるという例が非常に多いわけです。しかしながら、家賃を今日の段階で押えるというのもなかなかむずかしいような面もあろうかと思いますが、政府の住宅政策という立場からも、私はそういうふうな傾向が起きないことを念じながら適切な措置を講ずべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/92
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093・永山忠則
○永山国務大臣 住宅に対する固定資産税の負担の増加が地代や家賃等の不当な増額の口実を生じないように、住宅あるいは宅地等、住宅政策の総合的な見地に立ちまして必要なる措置を講じたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/93
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094・安井吉典
○安井委員 最後に、地方財政の最近の危機的な実態に対しまして、今回講ぜられました政府の税財政措置はきわめて不十分であると私は考えます。この危機を救う道は、地方自治という名に値する、そういう自主財源を持つ自治体にすることだと私は思います。そういうような意味で、国税の地方税への移譲等による地方自主財源の強化につきまして、これまでの御努力はわからないわけではありませんけれども、昭和四十二年度以降は、この危機の情勢はもっともっと深刻化するのではないかということを私は考えますので、自主財源の強化の問題には、大臣は従来以上の真剣な熱意を持ってお取り組みになるべきだと思います。その点についての御決意を最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/94
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095・永山忠則
○永山国務大臣 自主財源を強化して地方自治の確立をはかるということは、お説のとおり最も緊要なことであると考えるのでございます。したがいまして地方制度第十一次調査会等へもよくはかり、さらに政府にございます税制調査会等にもよく連絡をとりまして、なお皆さん方のほうの委員会の意見をも、院議を尊重して、地方財政確立に対しまして税源の再配分、あるいは事務の再配分、補助金の合理化等あらゆる面を総合いたしまして、財政の確立に今後も全力をあげたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/95
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096・安井吉典
○安井委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/96
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097・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/97
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098・門司亮
○門司委員 私は、大臣がおいでになりましたので、特に二、三の点についてだけ大臣に御質問申し上げておきたいと思います。
一つは、いま問題になっております固定資産税について、三つの要素、課税客体を持っておる固定資産税、これからくるいろいろな論拠が対立する危険性が実はあるわけであります。それはどういうことかと申しますと、土地と建物との関係についても、土地は年々ずっと増価をしていく。建物は償却を見るとそう急には上がってこない。従来から土地家屋税というものが——家屋税と地租というものがございましたが、この場合は家屋税と地租というものは別々になって議論をされております。それからもう一つは、これに償却資産が加わっておる。この償却資産というものは全然性格の違うものでございまして、ことに近年のように資材が非常に高くなってまいりますと、償却資産は償却を見る反面、やはり資材自身が高くなっておるという矛盾がございますが、同時にこれを事業の用に供するという文字を使っております関係から、ごく零細な中小の企業者あるいは零細な農民にまでこれがかかるという形をとっております。そういうことでありますので、この税金は性格上非常に複雑性を持っておる。土地にいたしましても、農村の土地と都会の土地とでは全然性格を異にしております。農村の土地は、今日農地改革を行なわれた現在においては、ほとんど土地自身については、地主が手をこまねいておっては収入の道というものがないといっても差しつかえないのじゃないかと考える。農民が汗とあぶらを流して種をまいて肥培管理を行なって初めて土地の価値は出てくるものである、こういうふうに考えるので、ある意味においては、単なる生産手段にすぎない。ところが、都会の土地はこれとは逆に、土地を持っておるということで土地の値上がりと、人に貸しておるということで、労力も何も地主は要しないで、かなり大きなというよりばく大な収益がある。同じ土地についても性格を異にしておる。さらに山林等についてはほとんど今日まで手がつけられておらない。こういう複雑な税を一本にしておるというところにいろいろな問題があるのではないかと考える。これをもう少し整理して、性格をはっきりさせて、税の所在と申しますか本質が納税者にわかりいいようにしむけるようなお考えはございませんか。この固定資産税の整理をするというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/98
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099・永山忠則
○永山国務大臣 お説のようにきわめて複雑多岐でございますので、政府の税制調査会等にもはかり、また皆さん方の委員会においても十分御検討をいただき、これらを総合いたしまして、ただいまのお説の点は将来十分検討いたしたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/99
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100・門司亮
○門司委員 十分検討するということで逃げられればそれだけのものでありますが、実はこの問題については、たとえば中小企業に対しましても、事業税の減税はこの国会である程度、この税法で行なわれております。ところが、固定資産税の面は、修正をいたしますから十五万円の免税点が三十万円になるわけでありますが、政府原案では何ら考慮されておりません。事業税のほうは、御承知のように税の本格論から言えば、これは収益課税であり、純益課税ということであります。しかし現在は何といっても所得税の性格を持っておる、そういう一つの税金の性格を持っておる。そこで所得税が安くなり事業税が安くなるということになると、県税と国税は安くなったということになるのだが、市町村民税の税関係は安くならない、こういう形が実は出てまいるわけであります。これらの点について、私は、こういうふうに非常に資材の高いときに、十五万円あるいは三十万円程度の償却資産の免税点では低過ぎると思います。これは洗たく屋にいたしましてもあるいは床屋さん等にいたしましても、今日の機械器具の合計で免税点が三十万円では、一体どれだけのがれられるかということであります。私は、今日中小企業の非常に困っておりますときには、これらの免税点をもう少し引き上げる必要があるのではないかというふうに考えるわけです。こういう意味からいいましても、この固定資産税については、先ほどから根本的に考えるというお話でございますが、そういう面を考慮されたわけですか。一つ一つの税について、これをどういうふうなあんばいでいくというお考えであるか、その辺をもう一度聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/100
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101・永山忠則
○永山国務大臣 お説のように償却資産の問題についても御意見がございましたので、これらもあわせて、すべて検討いたしたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/101
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102・門司亮
○門司委員 これ以上私は押し問答はいたしません。検討する、検討するということで逃げられれば、それで大体おしまいになってしまいますが、時間もございませんので、その次にお伺いしておきたいと思いますことは、先ほど安井委員からもお話がございました例の自主財源の問題であります。午前中、大臣のおいでにならなかったときも、かなり私は重複してお聞きしたのでありますが、何といいましても地方財政の税財源の面は減っております。四十年度の財政計画では大体四一%税財源があったはずだが、四十一年度の財政計画では三八%にこれが落ちております。そうして本会議でも申し上げましたように、地方財政の中で、自主財源で費用を分担していく面から考えてまいりますと、税金では、借金の元利払いと給与を払うとなお七百億近いものが足りないということになって、これでは自主財源といってみたところで、実際には自主財源でも何でもない。給与を払って借金を払ったら七百億足らなかったというのでは、結局それをどこからか持ってこなければならない。こういうことでは事業は絶対にやれないということになろうかと思う。そういたしますと、ついでだから申し上げておきますが、大蔵大臣は交付税をふやしたとおっしゃった。なるほど交付税はお金の面では額はふえております。しかし、財政構成の面から申し上げてまいりますと、去年の交付税の財政構成の中に占めておったものは約三%、ことしはお金の高はふえてもウエートは二%ということになって、実際は減っておるのだ、こういう実態でいいかどうかということであります。私は議論はいたしません。午前中にかなり議論いたしましたから、大臣にはもうくどくは聞きませんが、交付税という税金は、地方自治体に対しては、ほんとうの意味の自主財源ではないと私は考える。ほんとうの意味の自主財源であるならば、各都道府県や市町村に全部これが配分されなければならない。しかし、これはあくまでも財政需要額と財政収入額とのアンバランスを埋めていくという調整財源であることには間違いないのでありますから、これを大蔵省が自主財源だといって逃げるのは、幾らか大蔵省の立場からはそういうことも言えると考えるが、自治省が自主財源だ、調整財源ではないということを言うに至っては、自治省はどうかと私は思うのです。私はあくまでも調整財源であることには間違いがないのであるというように考えるが、大臣のお考えをこの際はっきりさせておいていただきたい。繰り返して申し上げますと、税収によって地方自治体は給与と借金払いに足りない、これを補うに交付税をもってしておるが、しかし交付税はあくまでも調整財源であると私は考えておるが、この二つの問題に対する御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/102
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103・永山忠則
○永山国務大臣 地方の自主財源確立に対しましては、国税の移譲とさらに交付税関係等の総合調整をいたして確立する必要があると思うのでございます。ただ税源だけ移譲いたした場合におきましては、貧弱な市町村等の税収が非常に落ち込んできて、アンバランスを強化するのではないかという点もございますので、これが総合調整をよく検討いたしまして、財源の確保に力を入れたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/103
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104・門司亮
○門司委員 私がさっき聞いたことは、そういうことを聞いているんじゃないのですよ。この交付税というのは、大体自主財源かどうかということを聞いているのです。これがはっきりしませんとどうも調子が悪いというか、ほんとうの自治体の行政というものがわからなくなってくる、そうでしょう。自治体では自分のところの力があって、そしていろいろな行政を住民の要求に応じて行なうということが正しいたてまえであります。そのためには、今日の自治行政を見てまいりますときに、いまの政府が考えている財政需要額あるいは財政収入額というような基準は、実際は地方の自治体が仕事をしたくてもできないのであります。同時に自治行政のたてまえからいえば、先ほども申し上げましたが、コーヒーの飲める村はコーヒーを飲んで私はよろしいと思うのです。お茶しか飲むことができないのはお茶を飲んでもよろしいと考える。ただ、お茶とコーヒーの差がついておったのでは、同じ日本の国民として、あるいは行政の範疇から見て一体どうかと思われる点があるならば、その低い、お茶を飲んでいるところにやはりコーヒーを飲めるような調整財源を支給することが私は当然だと考える。しかし、コーヒーを飲める者に、いやコーヒーを飲んじゃいかぬ、おまえのところもこれくらいにしておけといってならして、みんな貧乏にするような交付税の配付のしかた、あるいはこの政府のものの考え方というものは自治行政を助長するものではないと思う。かえって自治行政を萎縮さしておる。そして、そのことからくる地方から政府に対する陳情その他はおびただしいものでしょう。先ほど午前中、一体どのくらい陳情にお金が使われて、一体どのくらいが投入されているかということを聞いたら、自治省はわからぬとお話しになっているのですが、国の行政上の措置によって地方の自治体が地方住民の税金を浪費するようなことがあってはならないのであります。約四千近い今日の地方自治体が、かりに三十人の議員といたしましても十二万人、これらの諸君が東京に一年に一ぺんずつ陳情に出てくるにしても、どれだけの金が要るかということであります。しかも、それが全部といっていいほど補助金の分け前をどうしてくれるか、あるいは交付税の配分をどうしてくれるかということであって、すべてが行政の問題よりも財政の問題にかかってそういう陳情が来る。貧乏な村がまた金を使って、そしてまたよけい貧乏になる、こういう形が示されておる。こういう状態で一体ほんとうに自治行政がやれるかどうかということを考えてまいりますと、私は自治行政を考える場合に、本会議で申し上げましたので、いまここで重複いたしては申し上げませんが、いま少しく地方の自治体へのいわゆる国の政策からくる犠牲を緩和する必要がこの際ある。このことを自治省としては、本会議では大臣の答弁を求めませんでしたけれども、ここでは地方行政委員会でありますから、ひとつ大臣の答弁を求めておきたいと思います。国のとっておりまする、いわゆるこの産業の助成措置あるいは技術の振興及び設備の近代化に対する問題、内部留保の充実、資本の蓄積その他社会政策、あげてこれは大きな産業、企業家に対する国の政策的な恩恵であります。これがいわゆる俗にいわれる租税特別措置法といわれておるものでございます。これが二千二百二十億というものが今日減税になっている。このことのために当然地方自治体に税の負担として供給されるべきものが大体六百三十九億くらい私はあると思うのです。全く地方自治体は国の犠牲になっている。こういうことがどうして一体改めることができないかということを言っている。そのほかに、本会議でも申し上げましたように、民間航空その他公団住宅、あるいは国有鉄道、あるいは国有財産等に対しまする交付金あるいは納付金といったようなものについては、御承知のように大体四百四十四億くらいの税収減になっておる。こういうものをずっと総合してごらんなさい。また所得税で御承知のように一銘柄、株式配当については五万円までは申告しなくてもよろしいという法律が二、三年前にできた。そのことのために結局地方の自治体では、これは株式の配当でありまするから、申告制度になっておるから、住民税にはね返りがない、これは申告をしなければ結局住民税のかけようがないのである。そういたしますと、国税でそれだけ減税をされて、地方税ではそれを捕捉することができないとする、ここで大体五十五、六億くらいの減収が来ていると考える。私は、国の行政の犠牲になって地方自治体が非常に苦しい目にあっている、この調整はできませんか、この点を一体自治大臣としてどうお考えになるのか、この場合にひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/104
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105・永山忠則
○永山国務大臣 租税特別措置に関しましては、本年度も一億以上の法人の資本構成の関係、あるいは合併の問題、スクラップの関係等の特別措置は地方財政にはね返らぬように処置をいたしておるのでございまして、原則としては地方にはね返らぬようにやることが望ましいと考えておるのでございますが、中小企業、農漁山村等の事業の育成関係等、体質を改善して、そうして経済の安定をやる、やむを得ざるものに対しては、これを認めざるを得ないかと考えておるのでございますが、お説のように地方財政の苦しいときでございますから、今後も地方へのはね返りに対しては十分ひとつないように努力をいたしたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/105
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106・門司亮
○門司委員 最後に、これだけはひとつ聞いておきたいと思います。
それは、いま大臣はおざなりの答弁だというとおこられるかもしれませんが、私の聞いているところ、大体おざなりの答弁だと考えております。もう一つ大臣にほんとうに考えていただきたいのは、今日大都市が全部といっていいほど赤字に転落しているという原因を、一体自治省は突きとめておいでになるかどうかということであります。従来、大都市は財政はきわめて豊かであるということが定説になっておる、またそうであったと私は考える。しかし、最近一ぺんにこの地方の大都市が赤字団体に転落せざるを得ない原因が一体どこにあったかということである。これを自治省はどうお考えになっておられますか、突きとめておりますか。もし原因を突きとめておいでになるというなら、この機会にひとつ発表しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/106
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107・永山忠則
○永山国務大臣 お説のように大都市の赤字に対しましては、やはり税源を移譲するということが基本的な問題であると考えるのでございまして、将来これらの点について検討はいたすのでございますが、とりあえずの関係におきましては補助率の格差の是正関係等、さらにまた軽油引取税の配分その他の固定資産税等の処置、都市計画税等の関係等、諸種の関係を本年考慮いたしまして、赤字解消へ一歩前進をいたしておるのでございますが、これらの点だけでは解消は困難であると考えますので、今後この税源を確立するために一段の努力を続けたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/107
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108・門司亮
○門司委員 せっかくですけれども、私の聞いておりますのは、そういうことではなくて、地方の大都市が全部転落をしなければならない原因を突きとめられておるかどうかということです。原因がわからないで、どんなにはたから療法を行ないましても、病気はなおりませんよ。やはり病源がどこにあるかということをひとつ突きとめておいていただかないと、病気はなおらない。私はそのことを聞いているのです。病源はどこにあるかということを聞いているのです。自治省はどうお考えになっているかということです。自治省はどういうふうにお考えになって、どういう手当てをされましたか。いまお話しになりましたことは普遍的のあるいは平面的のものであって、それだけの療法では、私はなおるとは考えられない。やはり原因を突きとめてもらいたい。これは地方財政と税の財源を論議する場合の中心の課題でなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/108
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109・永山忠則
○永山国務大臣 この大都市関係の、あるいはその周辺の財源が非常に苦しい状態になってきているということに対しましては、単なる税だけの問題ではございません。いわゆる国勢調査の結果を見ましても、大阪−東京間のベルト地帯に人口が一千万から十年間に集中をいたしまして、全人口の五〇%に近いものがこれに集中をいたしてきておりまして、過密的状態になっておるのでございます。これが再開発をいたし、そして地方への工場分散等も考え、いわゆる国土総合開発を強く推進をする等、あらゆる面で力を入れなければ、根本問題の解決はできないのであるというように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/109
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110・門司亮
○門司委員 それはそういうことも一面言えるかと思いますが、私、この税の問題から議論をしておるのでありまして、私が先ほどから申し上げておりますように、租税特別措置法やあるいは国の政策によって地方の自治体が非常に迷惑をしておるということは、数字的にいま申し上げましたが、私がなぜそういうことを言うかといいますと、今日大都市が非常に転落をしておるということの最大の原因は、企業の公共性が忘れられておるということであります。そうなんですよ。住宅は住宅公団がたくさん建てる。ところが住宅公団で何万戸できましても、その人口はふえてまいりますが、しかしその土地にどれだけの収益があるかということになると、ほとんど収益が見られない。自治体からやるものは、学校を建てなければならない。道路をこしらえなければならない、上下水道が必要である。いわゆる公共投資を非常にたくさんしなければならない。そこから上がってくるものは何がありますか。ところが、そこから上がらなければならない固定資産税は半額しかいまとっていないでしょう。企業は地方の自治体に対して非常に大きな迷惑をかけている。大産業が一つできてまいりますと、その大産業に付随してたくさんの人が集まる。いま人口がたくさん集中したと言われておりますが、産業と経済がこういう資本主義の社会で一つのところにたくさん集まるのはあたりまえだ。一つの大きな企業ができて、たくさん人が集まると、いま申し上げましたように学校も建てなければならない、道路もこしらえなければならない、下水も水道もということで、地方の公共団体は施設の費用というものも非常にたくさんしょわなければならない。ところが、税制の面では、結局租税特別措置法という国の産業政策、国の産業基盤の確立の問題、こういうことから、租税特別措置法によって地方の自治体は約七百億近いものが減収になっておるということです。これは税金の減収です。一方においては、たくさんの公共投資を要求される。一方においては、そういう減収が国の施策の中から行なわれてくるという、いわゆる企業の公共性というものを忘れた今日の日本の経済政策と税制政策であると私は言わざるを得ないのである。こういうことが大都市の転落する最大の原因ですよ。施設はたくさんつくらなければならない。費用はたくさん必要になってくる。ところがそれを穴埋めして当然地方にいただかなければならない税金が、国の施策によって減収になっておるというところに問題がありはしませんか。いま住宅公団の問題だけを一つ取り上げてまいりましたが、住宅公団でもそうなっておるのですよ。あるいは国が持っております道路その他の国有資産等に対しましても、大体固定資産相当額の半分しか出していないでしょう。こういうことでは、これは大都市が転落するのはあたりまえだ。この辺をほんとうに自治省がお考えになっていなければ、ここでどんなにわれわれが税制論議をいたしましても、財政論議をいたしましても、根本の病源がわかっていないで手当てをしようといったって、手当てのしようがない。したがって、私は、いま再度申し上げてはなはだ恐縮でありますが、いままでの答弁のようなことでなくして、地方の大都市が転落しているこのことは、単に一般財政だけではございません。これは公営企業のところで申し上げることでありますが、今日の公営企業の赤字にいたしましても、八〇%以上は六大都市に限られておりましょう。六大都市の赤字の分が全国の八〇%をこえておりましょう。八七%ぐらいになりますよ。そういうことになっておるのだ。これはあげて企業の公共性というものが忘れられておる。そうして国の産業政策あるいは国の社会政策的な問題が地方の自治体の減収となってあらわれてきたその結果だと申し上げても私はたいして差しつかえないと思います。この私の意見を否定されるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/110
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111・永山忠則
○永山国務大臣 お説のように、公共事業に対する国の財政的処置においては、超過負担等に見られるごとく、なお十分ではないと考えるのでございます。種々御議論されました点はごもっともと考えますので、将来地方財政確立の面に向かいましては、お説を取り入れまして検討を続けていきたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/111
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112・岡崎英城
○岡崎委員長 安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/112
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113・安井吉典
○安井委員 資料要求をいたします。
企業誘致条例の実態について知りたいわけですが、工場を誘致するために地方公共団体が税金を安くしたり、あるいはまた税金に見合う分を補助金として出したりする例がずいぶんあるわけですが、その実態は現在どうなっているか、全国的な実態はどうなっているか。それから、それについての支出額はどの程度になっているか。それから、自治省のその誘致条例の問題についての指導方針はどういうふうに行なわれているか。これが明らかになるような資料をひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/113
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114・岡崎英城
○岡崎委員長 安井委員の要求された資料は、自治省のほうに私から要求いたします。
他に質疑はございませんか。——なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/114
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115・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、地方税法の一部を改正する法律案に対し、渡海元三郎君、細谷治嘉君及び門司亮君から三派共同提出にかかる修正案が、また日本社会党から秋山徳雄君外三名提出にかかる修正案がそれぞれ提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/115
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116・岡崎英城
○岡崎委員長 これより提出者から順次趣旨の説明を求めます。渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/116
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117・渡海元三郎
○渡海委員 ただいま議題となりました自民、社会、民社の三党共同提案にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、三党を代表して、その提案の理由及び内容の概要を申し上げます。
御承知のとおり、政府案における今回の土地に対する固定資産税の負担調整措置は、漸増方式によって新評価額に移行しようとするものでありますが、この際、零細な固定資産の所有者の負担を免除するとともに、納税事務の煩瑣を排除するため、固定資産税の免税点を引き上げることとする次第であります。
なお、上水道事業等に使用する電気に対する電気ガス税については、第四十八回国会における附帯決議の趣旨にもかんがみ、水道料金のコスト引き下げに資するため、これを非課税とする措置をこの際あわせて講じようとするものであります。
以上の事由によって修正案を提出することといたした次第であります。
次に、修正案の内容について御説聞いたします。
その一は、固定資産税の免税点を引き上げようとするものであります。すなわち、土地に対する免税点は、政府案におきましては三万円に引き上げられておりますが、これをさらに八万円に引き上げて、零細な土地所有者の負担の軽減をはかることといたしました。家屋及び償却資産に対する免税点につきましては、政府案においては改正が行なわれておりませんが、土地に対する免税点の引き上げに伴い、家屋につきましても現行の三万円を五万円に引き上げ、償却資産につきましては、さらに中小企業者、農林漁業者等の負担の軽減をはかるため、現行の十五万円を三十万円に引き上げることといたしました。
その二は、上水道及び工業用水道事業に使用する電気につきまして、電気ガス税を非課税としたことであります。すなわち、電気ガス税については、すでに現在、政策的な非課税措置が講ぜられているものもありますので、これらとの均衡とも関連し、また非課税措置を講ずることが、ひいては電気料金の引き下げを通じて住民負担の軽減に資することとなることを考慮して、上水道及び工業用水道事業に使用する電気を非課税としようとするものであります。
以上がこの修正案の提案の理由及びその内容の概要であります。
何とぞ全会一致、御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/117
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118・岡崎英城
○岡崎委員長 秋山徳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/118
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119・秋山徳雄
○秋山委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題とされている地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその内容の大要を御説明いたします。
地方財政は、昭和三十六年度を峠に、加速度的に悪化の方向へ進行いたしております。三十九年度決算について見ると、一般会計決算において赤字自治体の赤字額は三百七十二億円、これに公営企業の赤字六百五十五億円、国民健康保険の赤字二百五億円を加えると赤字額は約一千二百三十二億円にも達しているのであります。しかも、この傾向は、さきの財政再建のときと異なり、特に大都市及び都市において著しくなってきているのが特徴であります。
こうした地方財政悪化の原因は、物価上昇に伴う給与費、社会保障費等の義務的経費の増加に加え、政府の高度経済政策のもとで国家的公共事業に伴う膨大な公共投資支出をしいられ、財政需要は急増している反面、地方税収の伸びが鈍化しているからであります。その上、大都市においては産業と人口の集中によって生ずる過密化の当面の対策に追われて財政支出の膨張をもたらし、一方、農山漁村部においては、人口の流出、農業、中小企業等の衰退によって収入の減退を来たし、乏しい財政のやりくりに四苦八苦している状況であります。
政府は、こうした地方財政事情の危機を顧みず、四十一年度において、大型予算を編成し、不況対策として七千三百億円に及ぶ国債を発行することとしているのでありますが、これによる公共事業の拡大は当然地方分担金の規模をさらに拡大させ、また膨大な超過負担をしいることになるのであります。同時に地方交付税及び地方税の減収を招き、地方交付税率を二・五%引き上げ三二%とすると、その伸び率は四十年度に比しわずか四・七%、金額にして三百三十五億円の増にとどまっています。また、地方財政の赤字拡大、国債発行は地方債への依存を必至ならしめ、二兆数千億円に達する地方債残高にさらに上積みすることになり、かくて地方自治体では、増税、料金値上げ、元利償還金の増大等によって住民に負担が転嫁されるのであります。
政府提案の地方税法の一部改正法案では、以上のような地方財政の窮乏とひずみを根本的に是正し、地方財政を強化発展させるにはほど遠いものがあり、かつ、物価高に悩む国民の生活を守るためには、所得の名目的な上昇に見合う分ぐらいは当然減税措置を行なうべきにもかかわらず、見るべき減税はほとんどなく、政府案では、住民税における個人の基礎控除等の引き上げにより、住民税所得割りの課税最低限は、標準家庭で平年度三十四万九千八百十六円から四十二万五千六百四十四円に引き上げていますが、まだ生計費に大きく食い込んでおり、所得税に比し著しい差を生じております。さらに、国税における租税特別措置の拡大のため地方税へのはね返り減収を増大し、国民の税負担の不均衡と地方財政への独占の圧迫という両面で、問題を一そう大きくしていると言えるのであります。
この際、憲法に保障する地方自活と住民福祉を守る立場から、大衆負担の軽減並びに地方財政の強化の立場に立って、地方税財政の改革を行なうことは緊急の要事であります。わが党は、この見地から地方自主財源充実のため国税の大幅地方移譲を骨子とする財源の再配分、国と地方との間の行政秩序の確立、国の予算編成についての地方財政との関連等につき根本的な検討を政府に要求いたしたいのであります。ここに、今次の改正法案に対しても、当面この程度は当然実施すべきであると考えられる諸点につき修正案を提出するものであります。
第一に住民税についてであります。まず、道府県民税課税方式は、三十七年度比例税率制に改められましたが、この際、低所得者の負担軽減のため、所得割りの比例税率制、すなわち課税所得百五十万円以下二%、百五十万円超四%を廃止し、課税所得を十三段階に区分する超過累進税率制に復元することといたしました。なお、退職所得の分離課税にかかる所得割りの税率についても超過累進税率制を採用いたしております。
市町村民税所得割りの課税方式統一は、四十年度で完成され、本文方式一体になり、準拠税率も標準税率に改められるのでありますが、制限税率が一・五倍となっていることは大き過ぎ、かつ減収補てんは制限税率で課税したこととして行なわれるため、当然制限税率一ぱいまで徴収する傾向となるので、制限税率は標準税率の一・二倍に押えることといたしました。
また、道府県民税及び市町村民税における課税最低限の引き上げその他の減免措置として、所得割りの基礎控除を十万円から十二万円に、扶養控除は四万円を五万円に、配偶者がない場合の扶養控除は七万円を八万円に、配偶者の前年の合計所得金額が五万円をこえる場合の扶養控除については、六万円を七万円に修正いたしております。新設の配偶者控除は八万円から十二万円にいたしております。また農協、生協その他に対する非課税や課税標準の特例の復元、障害者、未成年者、老齢者また寡婦についての非課税の範囲を改正案二十四万円を二十五万円に引き上げることにいたしております。
第二に事業税についてであります。事業税は本来二重課税的な性格を持つものであり、個人事業税は将来撤廃することを目途に、当面の措置として事業主控除を改正案二十五万円を三十万円に引き上げ、専従者控除を青色申告の場合現行十万円を十二万円に、白色申告の場合現行六万円を八万円に引き上げることにしています。なお、住民税の場合と同様に、農協、生協その他に対する非課税や課税標準の特例措置を復元いたすことにしております。
第三は娯楽施設利用税についてであります。ゴルフ場の利用料金の実態にかんがみ、ゴルフ場の娯楽施設利用税の標準税率を政府案六百円から千円に引き上げるとともに、その税収額の二分の一に相当する額をゴルフ場所在市町村に対して交付することといたしました。
第四は料理飲食等消費税についてであります。旅館の宿泊及び飲食について控除を現行八百円から千円に、免税点を政府案千二百円から千四百円に引き上げるとともに、飲食店、喫茶店等における免税点を政府案六百円から八百円に引き上げ、大衆負担の軽減をはかる措置を講じたのであります。
第五は固定資産税についてでありますが、土地課税調整のための増税に関連する問題は、別に各党共同修正をもって措置することといたし、わが党独自の提案としては、特に農地、農機具等の農業用固定資産税は大幅に軽減すべきであると考え、政令で定める田畑、牧野、果樹園、作業場、農機具その他農業用固定資産についてはすべて課税標準を評価額の三分の二とすることといたしております。これらの措置は、立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっており、諸外国でも農業用固定資産について軽減措置を行なっていることからも当然の配慮であろうと考えるものであります。また、負担均衡化のため大企業に対する特権的な課税標準の特例を廃止することにしております。
第六は電気ガス税であります。大衆負担軽減に力点を置き、税率を現行七%から五%に引き下げるとともに、免税点を現行電気について月額四百円、ガス五百円をいずれも七百円に引き上げるようにしております。また、大企業に対する非課税の特例を廃止しております。第七は消防施設税であります。これは、消防施設をより拡充整備するための目的税として創設するもので、都道府県は、市町村に対し消防に関する費用に充てる財源を交付するため、火災保険会社の火災保険料収入の三%を消防施設税として課するものといたしております。第八はたばこ消費税でありますが、地方自主財源強化と減税補てんのため、道府県たばこ消費税の税率を現行九%から一四%に、市町村の場合は現行一五%から一九%にそれぞれ引き上げるよう修正いたしております。
なお、そのほか国民健康保険税については、従来のとおり、所得割りの計算について市町村民税ただし書き方式による計算が存置されておりますが、せっかくただし書き方式が廃止されたことでもあり、市町村民税所得割りの課税方式によることとするよう修正いたしております。
わが党は、別途地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案を用意し、地方交付税率を政府改正案三二%から三七%に引き上げることとしており、さらに国税における租税特別措置の改廃により、当然、地方税及び地方交付税の大幅増収となるので、本修正案による地方税減税額は二千六億円にのぼるのに対し、地方財政全体の増収額は、四千三百五十一億円に及び、差し引き二千三百四十五億円増加することとなるのであります。
以上が本修正案を提出する理由並びにその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げまして、私の趣旨説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/119
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120・岡崎英城
○岡崎委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、秋山徳雄君外三名提出にかかる修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/120
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121・永山忠則
○永山国務大臣 秋山委員外三名提案の修正案の各事項は、いずれも慎重に検討を要するもので、政府としてはにわかに賛成いたしかねる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/121
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122・岡崎英城
○岡崎委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案及び同法律案に対する両修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/122
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123・奥野誠亮
○奥野委員 私は自由民主党を代表して、地方税法の一部を改正する法律案に対する三党共同提案の修正案に賛成、社会党提出にかかる修正案に反対、三党共同提案にかかる修正案を除く政府原案に賛成の討論を行なおうとするものでございます。
第一に、三党共同提案にかかりまする修正案について討論をいたしたいと思います。
今回、固定資産税にかかる免税点がかなり大幅に引き上げられたわけでございます。この引き上げによりまして、どちらかといいますと、徴税費倒れになるような課税客体に対する課税は排除していこうというような、免税点の性格が、さらに零細な課税客体は進んでこれを課税から排除していこうじゃないか、そうすることを通じて、納税者に与える苦痛を緩和し、ひいては徴税者と納税者との間の摩擦を排除していくというような性格を持つようになってまいった、かように考えるわけでございます。このことは、将来の地方税制を確立してまいりまする上におきましても大きな前進である、かように考えるものでございます。政府原案よりも、納税者において、土地の場合には二七%以上、家屋の場合は八%以上、償却資産については三〇%以上の人たちが納税義務者からはずれてまいるわけでございます。また平均価格でいいますと、一般住宅用地において、四十一年度では都市平均の場合には約四十二坪、町村平均の場合には百十一坪の宅地が課税からはずれます。田だけでありますと、二・一五反、畑だけの場合には五・七七反が課税からはずれるということになる点からしても、私がいま申し上げた点を御了承いただけると考えるわけでございます。
ただ問題は、減税規模を五十億円程度と予定をいたしまして、土地と家屋と償却資産の免税点の引き上げにこれを配分していく、その際に土地の免税点引き上げにもっぱらこの財源を使いたいというような考え方を強く主張される向きもあったりいたしまして、土地の免税点が八万円であったのに対しまして、家屋の免税点が五万円にとどめられているところに将来への問題点が残されている、かように私は考えるものでございます。市町村の施策から最も大きな利益を受けるものは、私は家屋よりも土地であると考えるのであります。同時にまた資産の安定性という点から考えましても、家屋よりもはるかに土地がすぐれていると考えるのでございます。それにもかかわらず、家屋の免税点が土地よりも低く据え置かれているということについては非常に問題があると考えます。したがいまして、なるべくすみやかな期間に家屋の免税点を少なくとも土地の免税点まで引き上げていかなければならない、かように考えておるものでございます。
水道事業に対しまする電気ガス税の課税排除も、多年関係者から要望されてまいったところでございますので、この問題も解決を見ることになって、好ましいことだと考えるものでございます。
次に、社会党の修正案について討論を申し上げたいと思うものでございます。
社会党の修正案を拝見いたしますと、所得課税でありますところの住民税をはじめといたしまして、大幅な減税案が盛られているわけでございまして、その額が二千億円をこえるといま御説明を伺ったわけでございます。その穴埋めを主としてたばこ消費税の税率引き上げ等によって補おうとされているのでございます。
私にここで二つの問題を指摘しておきたいと思うのでございます。第一点は、たばこ消費税の税率引き上げは、おのずから日本専売公社から国庫に納付されます専売益金の減少をもたらすわけでございます。国庫の予算案は、すでに衆議院を通過して参議院に送られているのでございます。もとより多数決によって衆議院では議決されたとはいいましても、いままですでに論議を尽くされ、決定された中身をこの案は変更しようとする内容を持つものでございます。そのような論争を続けておりましては、いつまでたっても政治は前進しないじゃないか、かように考えるものでございまして、私は民主政治を円滑に進めていく上におきまして、社会党のこのような修正案の態度については納得しかねるものを持つものでございます。
第二は、社会党の案におきまして、所得保税である住民税についてさらに大幅な減税が考えられておるわけでございます。住民税につきましては、市町村間に負担の程度に大きな隔たりがございまして、三十七年度以来意欲的に地域間の負担の均衡化が推し進められてまいったわけでございます。すなわち五つの課税方針が二つに統一される、さらにはまたそれが一つに統一される。その完成を見るや、引き続いて今度は課税最低限の引き上げに進もうとしているのが政府案でございます。わずか五年の間にこのような改正が毎年毎年継続して行なわれてまいったということは、私はその意欲を高く評価すべきものである、かように考えるものでございます。それにつきまして、社会党案はおそらく政府案の二倍以上の減税になるものではなかろうかと考えるものでございます。政府案の保税最低限の引き上げは、夫婦子三人の給与所得昔の標準世帯において現在が三十四万七千円程度でありますものが、所得割りの課税最低限を平年度四十三万六千円に引き上げようとするものでありますので、一挙に九万円引き上げることになるわけでございます。これもやはりかなり意欲的な前進だ、こう評価して差しつかえないものだと考えるのでございます。これをさらに大きく減税をしていく。あるいは社会党の方々は自分たちは課税最低限のもう一そうの引き上げを考えているんだと言われるかもしれません。しかし、課税最低限の引き上げだけのことでありますならば、また違った改正案もあるはずでございます。所得課税について、住民税においてさらに大きな減収をもたらす結果は、国民の税金を一たびは国庫の歳入を経過して地方に与えるという方途をとらざるを得なくなるじゃないか。同じ所得課税で、あるならば、所得税と住民税とは一体にして考えるべきである。住民から直接市町村に税金を納付させ、住民の鋭い批判を市町村行政に反映させるべきではなかろうか。そのことこそ真に地方自治を愛するものの立場ではなかろうか、かような考え方を強く持つものでありまして、そういう意味において、同じ所得課税でありますならば、所得税、住民税を一体として考え、あとう限りは納税者から直接市町村に財源を提供させる道を選ばなければならないはずではなかろうか、かように考えるわけでございまして、このような考え方から社会党の修正案に対して反対いたすものでございます。
次に、三党共同提案の修正案を除く政府原案に賛成の討論をいたしたいと思います。今度の政府原案で一番問題になりましたのは、土地に対する固定資産税の負担調整でございまして、私はこの問題を二つの立場から申し上げておきたいと思います。
一つは、納税者の立場からでございます。納税者の一番強く要望しております問題は、何といっても負担の均衡化ということであろうかと考えるのでございます。政府に問いただしてまいりますと、宅地課税については、家屋や償却資産に対する固定資産税が評価額の一・四%であるのに対して、〇・二%の実質税率にとどまっているということでございまして、しかも宅地の評価額は現実の取引価格から見ればその二分の一ないし三分の一程度であるようでございます。そういたしますと、やはり土地に対する、特に宅地に対する固定資産税の負担は、家屋や償却資産に比べればある程度ふやしていくということが納税者の均衡感を満たすゆえんではなかろうかと考えるわけでございます。政府原案によりますと、評価額が三倍までのものについては一割ずつ負担をふやしてもらう、三倍から八倍までのものについては二割ずつ負担をふやしてもらうという式に、値上がりの著しいものから若干負担をよけいしてもらうんだということにはなっているわけでございますが、新評価額を課税標準として法定の税率を適用する負担になるまでには十数年を要する、きわめて微温的な、中間的な経過的措置を政府としてはとろうとしているわけでございます。しかも将来固定資産税収入がふえてくる暁には、税率の再検討もしたいんだ、こう説明されているわけでございますので、納税者への、特に土地所有者への配慮も十分なされているといわなければならない、私はかように考えるものでございます。
もう一つ、市町村の立場から私の意見を申し上げたいのであります。市町村にひとしく税収入を与えていく、そのような税種が市町村として最も望ましいことは言うまでもございません。何と言いましても、土地はどの市町村にもあるわけでございます。したがってまた、土地に対する課税は市町村税として従来から与えられてまいってきているわけでございます。しかしながら、現行法では土地に対する課税について、先ほど申し上げましたように新評価額の〇・二%程度の課税しか求められないような法律制度になっているわけでございます。でありますから、市町村当局者も声を大にして土地に対する固定資産税課税の制限を緩和しろと強く訴えているわけでございますので、私は、市町村はまず市町村に与えられた税源について確保し得る収入は確保できるような道を与えていくということが、市町村税制を考える場合に最も大切なことでなければならないと考えるものでございます。しかも、そのような道を開いてまいりますことが逆にまた市町村の施策を活発にならしめる、そのことがまた土地の利益にはね返ってくるはずではなかろうか。かような考え方も強く抱いているものでございまして、多年にわたる市町村当局の要望を満たす意味からも、この改正案は早急に取り上げられてしかるべきものであった、かように確信をいたすものであります。
いわんや私がここで特に強調いたしておきたい問題は、政治の場面におきましてどのような社会を実現しようとするのか、その社会をどのような方法において実現しようとするのか。私はこの二つのいずれもがきわめて大切な問題だと考えるものでございます。どのような社会をお互いが夢見ていくか、その社会をどのような方法によって実現していこうかということにつきましては、民主政治を採用する以上はとことんまで議論を尽くすべきだろうと思うのであります。お互いに理解し合いながらとことんまで議論を尽くし、話し合いの上で少数は多数に静かに座を譲っていくべきものだと思うのでありますけれども、はたしてこのような慣習が十分に国政の上においてつちかわれているかということを考えますと、非常な不安を持つ一人でございます。そうであればあるだけに、国民に対しましてこのような政治の進め方を深く理解させ、またこのような運営に深く習熟させていくということが今日の急務であると考えます。
そういう意味においては、市町村自治の充実あるいは市町村自治の確立ということが、今日の政治の場面においてすみやかに確立されることをはからなければならない大切な点でございます。私は責任のないところに独立はないと考えるものでございまして、市町村が活動に必要な財源はみずからの責任において確保する体制を強めていかなければ、市町村の完全な独立というものは期待できない。市町村が住民身辺の問題を自分たちの責任において解決していく、自分たちの責任においてとことんまで話し合いを進めながら円滑にこれを発展させていくという体制を強めていきたいと考えるものでございまして、そういう意味合いにおきましては、せっかく市町村に与えられている重要な税源でございます土地について不当にその課税を押えているいままでの制度については、すみやかに改正が加えられなければならない、かように確信をいたすものでございます。そういう意味合いにおきましても、政府原案をぜひ成立させたい、かように念願をいたすものでございます。
先ほど住民税の課税最低限の引き上げについて論及をいたしました。また所得税や住民税について大幅な減税が行なわれる際でございますので、ある程度宅地に負担の増加を求めるにも求めやすい時期だ、こう言われておるわけでございます。家計調査による標準的な給与所得者の所得は八十八万円余りだと伺っているわけであります。また、全都市の標準世帯の使用しております宅地が五十五坪、家屋が二十三坪だということも聞いておるわけでございます。四十一年度の所得税、住民税、固定資産税の総合負担を調べましたところが、この所得者において一万四千二百六十一円の税負担の軽減になるという結果が出るわけでございますので、税制全体を通じて考えました場合に、今回の政府原案はきわめて穏当なものだと考えるわけでございます。
しかしながら、この案に対して、そうはいっても、毎年毎年土地負担の増額が行なわれていくじゃないかという非難もございます。しかしながら、その程度は、私ども当初に申し上げましたように、新評価額に対する法律どおりの課税になるのにも十数年を要するというようなきわめてゆるやかな負担の増加を求める政府案でございますので、そういう意味合いにおきましても、政府原案に賛成をいたすものでございます。
自余の部分については省略をいたしますが、主として至当な減税案になっているようでございますので、政府原案をぜひ成立させたい、かように考えるものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/123
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124・岡崎英城
○岡崎委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/124
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125・細谷治嘉
○細谷委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案のうち、固定資産税等に関する三党修正の部分については賛成して、その他の政府原案については反対、日本社会党が提出いたしました修正案に全面的に賛成の討論をいたしたいと思います。
まず第一に申し上げたいことは、予算委員会でも問題になり、三党の幹事長、書記長会談を経て、固定資産税に関する三党修正ができたのでありますが、私は、この内容自体については、まだまだ不十分だ、こういう見解を持っております。政府自体が一世帯一住宅、こういうことをスローガンにし、佐藤内閣は社会開発だということを強く主張しておるのでありますが、先ほど奥野委員のことばにあったように、徴税事務費がよけいかかる、徴税事務費以下のものが免税だ、こういうことでやっておる態度は、社会開発なり一世帯一住宅を主張しながら、それを実行しない態度だ、こういうふうに申さなければならないと思うのであります。
今度の三党修正によりまして、土地については政府案三万円を八万円に、家屋については現行三万円を五万円に、そして償却資産については、中小企業や農業、農機具、こういう実態を考えまして、十五万円を三十万円に、こういうことにいたしたわけでございますけれども、一世帯一住宅、こういう観点から見たり、あるいは国民の税負担の均衡、こういう点から申しますと、なお不十分だと申さなければならないと私は思うのであります。先ほども奥野委員は、土地が評価額が六倍も七倍も上がったのだから、当然税金は六倍も七倍も取っていいのだ、それを三年間に分けてきわめて微温的な上げ方をすること自体がおかしいのだ、こういうことでございますけれども、一体家屋なり償却資産というのが評価において大きな変動はないのに、土地は六倍にも七倍にもなった、はなはだしいのになると十何倍にもなったということは高度成長政策を推進してまいったところからくるのでありまして、私に言わせますと、花見酒の経済、実のない土地の評価だ、こういうふうに申しても過言でないと思うのであります。もともと土地なりあるいは家屋、償却資産というのは、この税ができたとき均衡を保っておった。アンバランスができたところに、私は政策上の問題があると申さなければならないと思うのであります。そういう私どもの見解からいきまして、私どもはこの微温的、しかも十数年といいますけれども、たとえば都市計画税を例にとりますと、この法律案によりますと、四十三年までの三年間は三割、六割、九割と上がっていきますけれども、四十四年になりますと一ぺんに評価額どおりに課税されるのであります。農地についてもどうなるか保証がないのであります。現行法律によりますと、農地についても一ぺんに税金が上がっていくという法律の状況になっております。こういう観点から申しまして、私どもは不満でございますけれども、数回にわたりましてこの委員会の理事懇談会で忌憚のない意見を交換し合った結果、後ほど附帯決議として、附帯決議の冒頭に、税負担の均衡をはかるために、これからこの委員会に小委員会を設けて根本的に検討をして必要な措置を講ずるのでという確認がありますので、これを前提として、これを条件として、私どもは三党修正に賛成の意思を表明いたすわけであります。
この固定資産税等を除いた政府案について幾つかの問題点を申し上げてみたいのでありますが、その前に、先ほど奥野委員のことばの中に、社会党の修正案なんというのは、たばこ消費税の大幅値上げなんだ、住民税の減税が大幅なんだ、こういうことでありますが、そのことばの中に、もう政府の予算案は通って参議院で審議されているじゃないか、そういう時期に法律案に大幅な修正を加えるなんて不届きだ、言語道断だ、こういう意味のことばがあったのでありますが、このことばこそ言語道断です。一体法律が基礎であります。その基礎であるべき法律を予算案よりはるかにおくれまして国会に出しておきながら——私どもは鋭意審議をしてまいりました。予算が通ったのだからもう法律を修正などできないのだ、こういう態度こそ、やはり国権の最高機関という国会を軽視したものだと私は申さなければならぬと思うのであります。こういう態度は改めていただかなければならぬ。それならもっと早く法律案を出しなさい。法律に基づいて予算を組むというのがたてまえである。その基礎である法律を出さないでおいて、予算案だけ先にやって審議するという政府のやり方こそ間違いである。これこそ直すべきだと私は思うのであります。
そこで、内容について申し上げたいと思うのでありますが、住民税の所得割りについて、政府案によりますと、現行四十年度ですと三十四万程度が課税最低限になっておるのでありますが、生活保護ですらも二十四万円であります。最低生活——その最低生活も、裁判ではあるときには憲法違反だという判決も下った。その生活保護の最低基準、それが今度二十四万であります。今度の課税最低限というのは、先ほど話がありましたように、四十三万か四万、昨年が三十四万くらいでありますから、確かに九万円程度上がっております。一体憲法で保障されておる最低限度の生活を、四十何万で、家族五人で、保障されますか。いかに税が負担分任によるのだ、応益性のものなんだ、こう申しましても、最低生活に食い込む住民税を課税するということには、私どもは賛成できないのである。したがって私どもは、やはり最低生活が保障される程度まで住民税といえども課税の最低限を引き上ぐべきだという形で修正案も提出いたしておるわけでございます。
この問題に関連いたしまして、道府県民税については数年前に百五十万、今度の修正案は百六十万でありますが、現行は百万以下は二%、百万をこえるものが四%と、比例税制であります。前はもっと段階があったのであります。今日住民税は十三段階をとっております。負担の均衡ということを考えておる。個人県民税というのは、百五十万にいたしまして、二%と四%の二段階である。これは不合理じゃないか。やはり市町村民税同様に十三段階にして、負担の均衡をはかるべきだと思うのであります。
と同時に、私はこの際申し上げておきたいのでありますが、税調の権威をいつも口にするのでありますけれども、税調の答申にない、個人県民税の三十七年法律の改正によって今日までありました税額免除の特例を一方的に廃止しております。この部分については増税であります。総額五十四億円、けしからぬことだ。
さらに住民税の問題については、標準税率の一・五倍までは取ってよろしい、こういうことに法律で制限がきめられておるのでありますけれども、私はこれは過大だと思っておる。しかも交付税の裏づけがないのであります。私は一・二倍程度にすべきだ、党の修正案も一・二倍に改めよう、これはきわめて時宜を得た措置であると思うのであります。
事業税の問題あるいは料理飲食等消費税の問題あるいは固定資産税等の問題についても修正いたしておるのでありますが、特にこの税の中では、せんだっての参考人の意見においても、国税あるいは地方税を通じて、どうも租税の特別措置というのは多過ぎる、整理しなさい、これが一致した参考人の意見でありました。ことしばかりではありません。例年そういう意見が聞かれるのであります。ところが、この今度の地方税法を見ますと、いろいろな減免措置が講じられておるのであります。整理する方向ではないのであります。拡大する方向にあるのであります。ですから、特権的なそういう減免は、私どもは整理して、租税の均衡、租税負担の公平、こういうものをはからなければならないと考えまして、これに関連する修正をいたしたいと考えるのであります。
さらに、いま新聞を見ますと、毎日のように火事が起こっております。そしてその火事では、近ごろは必ず死人が伴っておるのであります。何人か死んでおります。ところが消防施設というのはどうかといいますと、新聞にも書いてあるように、事実はきわめて貧弱であります。政府の措置は、何をやったかといいますと、去年とことしは変わりありません。近代消防といってもわずかに、ふやしたのは五千万、五千万、一億円でございます。値上がりにも及ばないのであります。今日の火災の実情、しかも生命が失われているという現状から、もっと消防施設を充実すべきだ。それには目的税的な消防に対する税、自主財源というものを充実してやるべきだ。十分ではありませんけれども、前向きでやるべきだ、こう主張しておるのでありますが、いつまでたってもこれを取り上げようとしておりません。この間本会議でも、どうもこういうものを取り上げないのは業者とくさい関係があるのじゃないかとすらも発言をした人があります。私は、そういう問題よりも、もっと今日の消防体制を整備するという意味において、消防に対する目的税を新設すべきだという社会党の主張は正しいものだと思うのであります。
さらに、せんだっての参考人も口をきわめて主張しておった点は、道路財源の充実、公共事業重点ということでありますが、道路財源をぜひ充実してほしい。自治省ですらも、今度の予算編成にあたっては五百億程度の道路財源を地方に移譲してほしいということを大蔵に折衝したのでありますが、何も実がありません。私は今日、府県ばかりじゃなくて、市町村にも道路財源を付与してやるべきだ、こういうふうに思うのでありますが、社会党の主張は、私の意図と一致したものでございます。
さらに、最後に、国民健康保険税の問題でありますが、これはもう住民税が本文方式一本になったのでありますから、古いただし書き方式を残す根拠というのはないのであります。にもかかわらず、これについては何ら手を触れようとしたい。私どもは、住民税が本文方式一本になった以上は、国民健康保険税も地方税の中の一税でありますから、これは本文方式に統一すべきだ。そういうことによって事務が二つに分かれるのを一本にして、住民税と国民健康保険税とは、一つの台帳、一つの基礎によって計算ができるということになれば、事務の繁雑も避けられ、大臣が言う事務の合理化の線に沿うわけでありますから、そういう修正をいたしたいと思うのであります。
こういう観点で社会党がつくりましたこの修正案というのは、先ほども話がございましたように二千億程度の減で、増収になるものが四千三百五十億円程度でありまして、差し引き二千三百四十五億円程度の地方財源の増、こういうことになるわけでございます。
先ほど来議論がございましたが、今日の地方財政というのは危機に立っております。むしろ破綻しております。税は七割が国税であって三割は地方税だ。支出のほうは一体どうかといいますと、六割二分が地方の支出で、国が支出するのは三割八分程度ということでありますから、車の両輪といいまずけれど、一方はタイヤのついた車、一方はガタピシャの木の車、こういうことになっていると私は思うのであります。こういうことでございますから、十分ではありませんけれども、地方にひとつある程度の財源を付与したい、こういう考えに立って、二千三百四十億円程度の差し引き自主財源がふえたことは、今日の地方財政にとってはたいへんけっこうなことだと思うのであります。
こういう点におきまして、私はこの政府案というのは、今日の地方の財政実態を見詰めない、おざなりの、そうして極端に言いますと、取れるものは何でも取りなさい、大したものじゃありません、鼻くそ程度のものでも取りなさいということで、百億円程度の固定資産税に飛びついた。おぼれる者わらをもつかむような地方財政に追いやり、また地方財政にそういう気持ちを起こさした、ここに問題があるわけでありますから、私どもは不十分でありますけれども、この社会党の修正によってある程度の自主財源の増加ということが地方自治の発展に寄与するものと確信をいたしております。こういうことによりまして、政府が出しました原案に反対し、社会党の修正案に全面的に賛成の意を表しまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/125
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126・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/126
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127・門司亮
○門司委員 私はまず最初に、いま提案されております三党共同提案の修正案につきましては賛成の意を表するものでございます。これは妥協の産物でございまして、必ずしもこれで満足すべきものではないと思いますが、現段階における一つのあり方として賛成の意を表しておきたいと思うのでございます。
次に、日本社会党提案の修正案でございますが、この修正案の中にいろいろな問題がたくさん含まれておりまして、一々検討する場合には多少議論のあるところも私はあろうかと思います。しかし、一方において税の整理を行ないつつ地方財政を充実させるというその意欲と意図に対しては、賛成の意を表せざるを得ないのでございます。
さらに内容につきましても、いまお話のございました、たとえば消防施設税の創設というようなものについては、いま始まった本委員会における議論ではございませんで、ずっと長い間われわれが議論をし、また自治省におきましても一時この法案を立案した過程もあるのであります。同時に、消防施設税については、この沿革をわれわれは考える必要がありはしないかと思う。日本における消防に対しまする一つの問題としてありましたものは——いわゆる火災保険の保険業務か開始をされましたのは明治二十一年だと私は心得ておりますが、多少年度が違うかもしれません。そのときの東京火災の五十周年記念の出版物を読んでみますと、創設された当時火災保険会社は消防施設を充実しなければならないからということを理由にして、当時の東京市長に対して一万五千円、当時の金でありますからきわめて少額のものではございますが、一万五千円の補助金の要請あるいは貸し下げ金の要請をしておるという事実が書類によってはっきりいたしております。同町に保険会社はみずからの営業を守るために、みずからの手によって消防施設を持っておったということは歴然としておる。またこの保険会社がみずから持っておりました消防組を廃止いたしましたのが明治四十二年であります。明治四十二年までは、この東京火災がみずから消防施設を持って消防の任に当たり、そして自己の損害を防止するというたてまえをとっておった歴史的過程があるのであります。決してわれわれはこれを思いつきで言っているのではないのであります。そういう角度から考えてまいりますと、結局近代化した今日の都市行政の中で最も困難なものはいわゆる火災に対する一つの大きな施設であり、制度でなければなりません。そのことのために科学消防が必要になり、あるいは機械化されなければならないことは当然である。そうしてたくさんの費用を地方の自治体がつぎ込んで、そうして住民の福祉を擁護すると同時に、そのことによってたとえ火災を一件でも免れれば、その免れた利益は保険会社の利益になることは間違いないのである。だといたしまするならば、みずからの営業を守るという歴史的過程から申し上げてまいりましても、応分の消防施設税を創設することには私は何らのふしぎもなければ、異議もないと考える。このことによって被保険者の負担のふえるようなことを先ごろ本会議では大蔵大臣が申されましたが、それこそ行政措置によってふえないようにすればけっこうである。現実には保険会社は良心的であると私は言いたいのであります。やや良心に近い態度において毎年二十台ないし三十台の消防自動車を各市に寄付をいたしておる事実がございます。寄付は受け入れる、税金で取ってはならないという理屈がどこにありますか。私は地方の自治体の独立と尊厳を維持するのならば、寄付を受けるというような処置でなくして、当然いただくものは税によっていただいて、それによって消防施設をするという自主的な行為こそ望ましいのである。このことは地方税を考えまする場合に、地方財政と住民の福祉を考えてまいりまする場合に、消防施設税はより以上に喫緊の問題でないかというふうに私は考えられる。社会党の提案の中にはこれが明示してございまするが、この点については特にわれわれの賛意を表する点であり、同時に政府は、いま申し上げましたような、寄付によってかろうじてごまかす——ということばはいかがかと思いますが、お茶を濁しているようなことでなくして、やはり税金は税金としていただいて、それによって自主的に施設のできるような制度にするということこそが、自治体に対しては望ましい態度でなければならないと私は考える。これについて今日まで創設のできなかった経緯はいろいろございましょうが、私はそういう意味においてもこの消防施設税の創設については賛意を表する次第でございます。
その他の問題につきましても、先ほど申し上げましたような意図について賛成の意を表するものであります。
同時に政府原案に対する問題でございますが、ここで問題になりましたのは、先ほど自民党の奥野委員からお話のございました、土地の評価に対して当然かけるべき税金はかけるということがよろしいのであるというおことばであります。私は税の体系から見ればそのとおりだと思います。課税客体を正しくつかんで、正しく価値を評価して、それに正しい税金をかけていくということが正しいあり方であることに間違いはございません。これは税の法則である。しかしその場合においても、それが過当に住民経済に影響をするというようなことが考えられまするならば、政治でありますから、そこには行政上の配慮が行なわれなければならないことは必然であります。したがって、税率を下げるとか、方法はいろいろございましょう。しかし、いま奥野委員の言われるようなおことばをそのまま使ってまいりまして、土地は五倍にも十倍ににも上がっているんだ、土地は財産としては家屋よりも安定感かあるんだ、また価値観もあるんだという議論は私は一応成り立つと思う。しかし、だからといって土地が現実に上がっております今日、この法律が指定いたしておりまするその年度分の土地は一月一日の時価で、時価とはいわゆる売買価格であるというような観点で、野放しでこれに税金をかけてごらんなさい。一体どういう社会的現象が生まれてくるか。私は都会の土地は、自分の使用しているところだけが自分の所有地であるというような土地は少なくて、多くは大地主がかなりたくさんの土地を持っているということが現実だと考える。これがほとんどと言っていいほど貸し地になっておるといたしまするならば、税金が上がれば上がるほど、これを口実にして地代が上げられるだろうということは当然である。地代が上がれば家賃が上がるだろうということは当然である。いわゆる土地も家も持たないきわめて零細な庶民階級にこれが転嫁されるということは当然である。もし自民党の意見のような形で、正当な価格によって正当な課税をすることが正しいのだという原則に立つならば、これから来る社会のそうしたひずみ現象を押えるための措置が前段において講じられて、そうして家賃に対しまする制限令であるとか、あるいは地代に対しまする制限令であるとかいうような上を押える措置が講じられるということこそがまず先でなければならない。ここを野放しにしておいて、土地の価格が十倍に上がったから税金を十倍にするということは、それは地方自治体の財源にはなるかもしれませんが、しかし地主さんがそれだけ直ちに納めてくれればけっこうでありまするけれども、それが家賃、地代に転嫁されたら一体だれが払います。土地を借り、家を借りている零細な人たちに転嫁されなければならないということはわかりきったことである。したがって、やはり私どもはそうした意味でなくして、それらの問題を十分勘案しつつ、社会の情勢を十分勘案しつつ——今日のように家賃が非常に高い、自己の給料の三分の一に相当するようなものを家賃として払わなければ家に住めないというような現実の姿があるときに、ただ理屈だけでこの税金をあげていくということになってまいりまするならば、結果はどうなるかということを政治を行なう者としては配慮をしなければならない。私はそういう意味において、今度たとえ五十億ではございますがこれを減税するという措置に出たということは、妥協の産物であるといたしましても当を得たものであって、先ほど賛成の意見に述べられたただ単なる学問的の理論の上だけに立って税法は処断すべきものでは決してない、この地方の自治体の実態を十分に把握することが必要であるということが考えられる。
同時に、今度の税法の改正の中には、いろいろ改正はされておるようでございますが、実際の面から見てまいりますならばきわめてあいまいである。ことに、この問題に対する私の最も遺憾にしておりますことは、固定資産税は、いままでの法律の附則によって四十二年度から当然改革をしなければならないものを、事情があったからといって四十一年度から出し抜けにこういう措置をとられた不信行為であります。私は、少なくとも、この行為に出られる前におきましては、十分なる話し合いと十分なる理解がなければ、政府はこういう不信行為をすべきではないということである。税金は、御承知のように、国家権力によって——収奪するということばを使えば行き過ぎかと思いますが、徴収するものでございますので、これに反抗する場合は、結局、国民は罰則によって処断されなければならないというきつい権力を持つものでございます。したがって、これは四十二年度から改正するという法律附則があるならば、政府はこれに従うべきではなかったか。しかも、その税額がばかばかしい大きなものであれば別でありますが、総額三兆一千億の予算の中で百億である。わずか百億の税財源を得るために政府が信を失うような態度に出られることについては、きわめて遺憾に考えております。
こういう点等につきましての私の反対の意見を申し上げまして、先ほど申し上げましたように、三党共同の修正案に賛成をし、さらに日本社会党の修正案に賛意を表しまして、政府原案に対しましては反対の意思を表する次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/127
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128・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で、討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、地方税法の一部を改正する法律案に対する渡海元三郎君、細谷治嘉君及び門司亮君の三派共同提案の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/128
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129・岡崎英城
○岡崎委員長 起立総員。よって、三派共同提出の修正案は全会一致可決されました。
次に、秋山徳雄君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/129
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130・岡崎英城
○岡崎委員長 起立少数。よって、秋山徳雄君外三名提出の修正案は否決されました。
次に、ただいま可決されました三派共同提出の修正部分を除いた原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/130
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131・岡崎英城
○岡崎委員長 起立多数。よって、地方税法の一部改正する法律案は、三派共同提出の修正案どおり修正議決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/131
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132・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、大石八治君、秋山徳雄君及び門司亮君から、三派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
本動議を議題として、その趣旨の説明を求めます。大石八治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/132
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133・大石八治
○大石(八)委員 私は、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自民、社会、民社の三党を代表して、その提案の趣旨を御説明申し上げます。
附帯決議案文はお手元に配付されておりますので、朗読は省略させていただくこととし、提案の趣旨を御説明申し上げます。
第一は、今回の土地に対する固定資産税の負担調整措置は、委員会等においても御承知のとおり種々の論議のあったところであります。したがいまして、本委員会に小委員会を設置し、税負担の均衡をはかるため、昭和四十二年度以降の固定資産税について、免税点、基礎控除、税率調整を含め、基本的な検討を行なうことといたすのであります。なお、税率の調整には累進税率の採用を含めるべきであるという意見があります。政府においても、これらの点について検討を加え、必要な措置を講ずべきであると存ずるものであります。
第二は、本法案の修正によって免じますところの固定資産税等の減収につきましては、地方財政の現況から、政府の責任において完全に補てんすべきであると思うのであります。
第三は、宅地に対する固定資産税の負担増加が、地代、家賃等の引き上げとなって、借地人及び借家人の負担増をもたらすおそれがあり、最近における公共料金の引き上げ諸物価の上昇と相まって特に家計に及ぼす影響もあると思われますので、国民生活の安定の見地から、負担増を口実とする不当な地代、家賃の値上げ防止のため政府は総合的な施策を講ずべきであると思うのであります。
以上が提案の趣旨であります。何とぞ御賛同をくださいますようお願いを申し上げます。
—————————————
〔参照〕
地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
政府は、本法の施行にあたり左の諸点について留意すべきである。
一、税負担の均衡をはかるため、昭和四十二年度以降の固定資産税については、免税点、基礎控除、税率調整を含め、根本的な検討を行ない必要な措置を講ずること。
二、本法案の修正によって生ずる減収額については、政府の責任において完全に補てんすること。
三、宅地に対する固定資産税の負担の増加が、地代、家賃等の不当な増額の口実を生じさせないような必要な措置を講ずること。
右決議する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/133
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134・岡崎英城
○岡崎委員長 これより本動議について採決いたします。
本動議のとおり決するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/134
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135・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は大石八治君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、永山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/135
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136・永山忠則
○永山国務大臣 附帯決議になりました事項は、いずれも重要なる事項でありますので、御趣旨を尊重して、引き続き検討を加え、善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/136
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137・岡崎英城
○岡崎委員長 おはかりいたします。
ただいま修正議決されました本案に対する委員会報告書の作成等つきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/137
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138・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/138
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139・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。
ただいま議決いたしました地方税法の一部を改正する法律案の取り扱いにつきましては、過去数回にわたり委員懇談会を開き、各党間で慎重に協議してまいったのでありますが、理事懇談会の申し合わせ並びに附帯決議の趣旨にかんがみ、今後さらに本委員会において固定資産税等の問題につき小委員会を設け検討を加えることになった次第であります。つきましては、昭和四十二年度以降の固定資産税について、免税点、基礎控除、累進税率等の問題を根本的に検討するため、小委員十名からなる固定資産税等に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/139
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140・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。
小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/140
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141・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。
それでは、小委員に
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀山 孝一君 渡海元三郎君
村山 達雄君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 細谷 治嘉君
安井 吉典君 門司 亮君
を指名いたします。
小委員長には渡海元三郎君を指名いたします。
なお、おはかりをいたします。
ただいま設置いたしました固定資産税等に関する小委員会の小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/141
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142・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十分散会
〔参照〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X01819660324/142
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