1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月五日(火曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 渡海元三郎君
理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
島村 一郎君 周東 英雄君
中馬 辰猪君 藤田 義光君
村山 達雄君 山崎 巖君
井手 以誠君 久保田鶴松君
阪上安太郎君 島上善五郎君
門司 亮君 吉田 賢一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 佐藤 吉男君
専 門 員 越村安太郎君
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四月四日
地方公営企業の確立に関する請願外二件(大出
俊君紹介)(第二五三七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のた
めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内
閣提出第一三四号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六九号)
昭和四十一年度における地方財政の特別措置に
関する法律案(内閣提出第七八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
去る三月三十日付託となりました、内閣提出にかかる首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。永山自治大臣。
〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/1
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002・永山忠則
○永山国務大臣 ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案について、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、首都圏及び近畿圏の既成市街地への産業と人口の集中傾向は、近年ますますその激しさを加えてきておりますが、わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏及び近畿圏の建設とその秩序ある発展をはかるためには、特に首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域並びに近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発の推進をはかる必要があるのであります。
しかし、これによる経費は膨大な額にのぼり、関係地方公共団体の財政負担も急激に増大を見ますので、計画を円滑に推進してまいりますためには、これらの地方負担に対し、国が国家的見地に立って財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。
これが本法律案を提案した理由であります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一は、地方債の許可額の増大とその利子補給についてであります。
国は、関係都府県に対して、整備計画等に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅、道路、港湾等基幹的な施設の整備にかかる事業に要する経費について、その都府県の通常の負担額をこえる負担額の支出の財源に充てるものとして地方債の増額発行を許可するものとし、当該地方債に対し、地方交付税の不交付団体を除き、年利三分五厘をこえる部分を、関係都府県の財政力を勘案して政令で定める基準により、最高年利八分までを限度として補給することといたしました。
第二は、国の負担割合の特例についてであります。
整備計画等に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅、道路、下水道、教育施設及び厚生施設等基幹的な施設の整備にかかる事業について、関係市町村の負担額が標準的な負担額をこえる場合に、当該市町村の財政力を勘案しつつ、当該超過額に応じて国の負担割合を最高二割五分を限度として逐次引き上げることといたしました。
なお、地方債の発行の許可は、昭和四十一年度から昭和五十年度までとし、その利子補給は、昭和五十五年度を最終期限として、地方債の発行許可年度以後七年度間の各年度において支払われる利子について行なうこととし、また、国の負担割合の特例は、昭和四十一年度から昭和五十年度までの各年度において行なわれる事業について行なうことといたしました。
以上が首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/2
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003・大石八治
○大石(八)委員長代理 なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/3
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004・大石八治
○大石(八)委員長代理 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十一年度における地方財政の特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/4
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005・渡海元三郎
○渡海委員 本年度の地方財政計画並びにいま提案になっております町法案につきまして、簡単に質問させていただきたいと存じます。
国の行政を進めていきますのに、国家予算と地方財政は車の両輪だろうと思う。これが並行し、うまく両者が調和されて初めて円滑なる国政の施行が行なわれるのではなかろうか、このように考えるのでございます。四十一年度国の予算は、景気の刺激、不況克服ということを考えまして、税収の沈滞にもかかわらず画期的な大型予算が組まれたのは御承知のとおりでございます。一昨々日ですか成立しました予算は四兆三千百四十二億という大型のものでございまして、昨年度と比べて一七・九%の増。ところが、これに比べまして地方財政のほうは、来年度は四兆一千三百八十四億ということで一四・五%、国の大型予算に比べて地方予算が少し小幅になっておる。はたしてこれで調和が保たれていくのかどうか疑いが持たれるのでございますが、この間の御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/5
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006・柴田護
○柴田(護)政府委員 お話のように昭和四十一年度の地方財政計画は、国の一七・九%に比べまして一四・五%でございまするので、伸びは国に対しまして悪くなっております。しかし、国の場合は、たとえば地方と関係のない経費、国防関係の経費でございますとかあるいは公債関係の経費でございますとか、特別の経費がございまして、さような特殊経費を除外して考えますならば一五・三%の伸びになるわけでございます。地方財政の場合と比べましてそう大きな懸隔はないと考えております。また経費が伸びております中身をごらん願いますると、社会保障関係の経費と公共事業関係の経費は大幅に伸びております。特に公共事業関係の中でも災害復旧関係の事業費は一番大きく伸びまして三三%、三割三分強伸びておるわけでございます。さような関係で、地方負担の増加額というものは歳出全体の増加額に比べまして少ない。国庫補助負担金のみ大きくて、地方負担金のほうが少ない、これは経費の性質上そういうことになっておる次第でございます。その結果こういうような伸びの相違になったわけでございます。しかしながら、ごらん願いますように、大体国の補助負担金等に伴いますものはすべて計画どおり伸びておりますし、また地方独自の歳用等につきましても、節約すべきところは節約をいたしておりますけれども、単独事業等につきましても相当の増加額を計上いたしております。給与費その他の地方経費につきましても必要額は計上いたしておるのでございます。この財政計画でもって、決して楽ではございませんけれども、必要な歳出事務の執行には当たれるもの、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/6
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007・渡海元三郎
○渡海委員 国の予算と地方財政の予算、一応二様に分けましたならば、伸びの幅は違うけれども、均衡がとれ、円滑に国政の運営がされるものという御答弁でございました。今回の国の予算の内容の中で大きく柱として立てられたのは、一方では減税でございます。平年度で三千億をこす減税、初年度にいたしましても、国税だけで二千億をこす二千九十億という減税の措置がとられました。他方公共事業は八千八百億ですか、という大幅な公共事業の伸びもございました。社会保障関係の伸びも、いま局長が答弁されたとおりでございますが、これに合わせて地方財政も、公共事業も伸び、苦しい中でございますが減税の措置というものもとられたと思いますが、こういった大きな国の柱に対して、地方財政の面におきましてはどういう柱で組まれたか、国とどういうふうにマッチされておるか、この点をあわせて御説明を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/7
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008・柴田護
○柴田(護)政府委員 地方財政だけの立場から申し上げますならば、ここ数年、一般財源の増加承に比べまして事務的経費の増加率が上回っておるわけでございます。したがいまして、地方財政独自の財政的観点のみから申し上げますならば、減税ということは本来ならば不可能と考えておったのでございます。しかしながら、現行地方税制は御承知のように昭和二十五年のシヤウプ勧告を基礎にして今日まで至っておるのでありまして、その間昭和二十八、九年、三十年の改正を経まして、言うならば地方税制の合理化がおくれておる。国はその間どんどんとシヤウプ税制の現状にそぐわなくなった部分につきましてはそれぞれ必要な改定を加えて合理化してまいりましたが、地方財政の場合におきましては、地方財政の窮乏という非常事態にぶちあたりましたために、その間の合理化がおくれておったわけでございます。したがいまして、現行地方税制自身にはいろいろな矛盾があるわけでございます。住民税等につきましても、毎々当委員会におきましても御指摘がございますように、非常に矛盾があったわけでございます。したがいまして、その部分につきましては、地方財源全体の状況をもにらみ合わせながら、国の方針にある程度即応いたしまして必要最小限度の減税ということを行なうという態度をとったわけでございますが、同時にそういった減税、減収等に対しましては、地方財政が上がりますように必要な措置を別途講ずることによりまして、すなわち国税の減税に伴います地方交付税の減収に対しましては、地方交付税の税率を引き上げましてこの減収をカバーいたすとともに、住民税の減税等に対しましては臨時地方特例交付金という制度を新たに設けまして、経常財源の減少に対処をし、経常経費の支弁に遺憾のないように期したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/8
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009・渡海元三郎
○渡海委員 減税の措置も地方財政の中にもとられたという御答弁はわかったのでございますが、もう一つの大きな柱である公共事業の伸びというものの比率について、これは地方がやらなければ公共事業はできないのでございますが、地方財政計画におきましても国の伸びに相応するものが出ておるかどうか、この点御説明願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/9
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010・柴田護
○柴田(護)政府委員 公共事業につきましては、投資的経費の伸び全体は一九・七%でございますが、これは直轄事業の分担金、それから補助負担金を加えまして、いわゆる公共事業それから単独事業全部含めまして一九・七%でございまして、ほぼ国の公共事業の伸びと匹敵しておるという伸びでございます。ただ、この財源につきましては、国が減税を行なって、一方七千三百億にわたりまする公債を発行して、その間に財源を振りかえて需要の喚起をはかるという措置をとった関係もございまして、また景気が思うように伸びないといったような現実もございまして、地方財政の面におきましてもある程度地方債の特別増額をもって対処する、こういう方針をとらざるを得なかったのでございます。したがいまして、特に本年度に限りまして千二百億円の、特別事業債という名前でございますけれども、公共事業系統に充当する地方債の額をふやしまして、この間の経費の支弁に遺憾なきを期した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/10
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011・渡海元三郎
○渡海委員 いま御答弁の中で明らかにされたのでございますが、本年度の地方財政は、国の財政、国の予算と均衡さすために、景気の沈滞から税の自然増が期待できないにもかかわらず、税の合理化をやる、また一方、財源の少ない中からも国の公共事業に相当する公共投資のための投資的経費を盛らざるを得なかった、こういったところから多くの財源を要するという姿になった、これに対する措置として出されたのが、地方交付税率の二・五%の引き上げ、またいま言われましたように、今回特にとられた臨時地方特別交付金四百十四億円、そしてそれでなおまかない切れない分を特別事業債千二百億というふうな臨時的な措置によってなされたのであろう、かように考えます。しかしながら、このような措置がとられた結果、地方財政の構成比をながめてみますと、一般財源において、地方税、地方譲与税、交付税及び臨時地方特別交付金を入れましても、その構成比というものは五八%、昨年度の一般財源の六二%に比べては四%低下しておる。一方、国庫支出金あるいは地方債といったひもつきの財源が構成比率の中では増加しておる。国庫支出金は昨年の二七%から二九%にふえ、地方債は五%から七%という大幅な増加をしておる。このような傾向は、地方財政が自主性を強化しようと今日まで続けてきた努力にむしろ逆行するものではないか、このように感ずるのでございますが、この点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/11
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012・柴田護
○柴田(護)政府委員 御指摘のように、今年度の計画だけの計数面をごらん願いますとさようなことが言えるかとも思うのでございますが、しかしながら、ともかく経済が沈滞をしておるわけでございますので、税収入が伸びない、そういう事情のもとにおきまして、有効需要を喚起するというために投資的経費を大幅にふやしまして、公共投資をふやすのだ、一方減税もするのだということになってまいりますれば、これはやはり通常の財政関係の推移という頭でこれをあげていくわけにはいかないではないか、つまり異例の措置だというふうに思うのでございまして、国自身が異例の措置をとったと思うのであります。国と密接な関連を持つ地方財政におきましても、必ずしも、本来の姿からいいますならば、つまり長期的な観点からいいますならば、望ましいとは考えませんけれども、こういう姿をとって、そうして財政の立て直しの基盤である経済をよくする、こういう形をとらざるを得なかった、また今日の時点におきましては、そうすることがあたりまえだろうというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/12
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013・渡海元三郎
○渡海委員 七千三百億という公債政策がとられて、そうして需要喚起をやっておる、こういった国の措置に対して、地方も特別な措置としてこういうふうにやらざるを得なかったということでございますが、先ほどの答弁にも、これは本年度限りの特別な措置として臨時交付金の額を計上し、また特別地方債を計上したのだ、こう言っておられます。景気の立ち直りによってこれらを一般財源に吸収していくためにやむを得ざる措置であった、こういうことでございましょうが、国の七千三百億円の公債によるところの措置、これは私は本年度限りで済まず、当分続くというある程度の見通しを持って出されたものじゃないか、また予算委員会等を通じましての政府の答弁の中にもそういったものが見られる。ところが地方財源のほうは本年度限りの特別措置だ、こう言われましたが、国がこのような制度を続ける限りにおきましては、地方財政におきましても本年度に限らず、明年度もある程度こういった臨時的措置を続けていかなくちゃならぬのじゃないか、かように思うのであります。したがって、本年度とられた臨時措置といったものを明年度にも続けていくのか、あるいは抜本的な考えでいかなくちゃいけないのかということは、私は国の政策とあわせてある程度真剣に考えていかなければならぬ今後の大きな課題じゃないかと思う。大臣が所信表明の中で、今後地方財政につきましては引き続いて今後のあり方について検討していかなければいけないということを言っておられますが、その際に考えるべきことは、臨時地方特別交付金といったような臨時的な措置でなく、ある程度の見通しをつけた恒久的な財源に切りかえて、自主的な財源に切りかえていくという方向で努力されなければならない、このように考えておるわけでありますが、これらに対する方針を政府当局から、大蔵省主計官の御答弁もあわせて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/13
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014・柴田護
○柴田(護)政府委員 国債がどのような形をとるかという問題は、予算委員会の審議を通じて見ますると、そう急にこれが来年度以降なくなるというような印象を受けられなかったということはお話のとおりだとも思うのでございます。問題は、どういう形で今後国の財政の姿が運用されるかということは、結局本年度なさろうといたしまする施策というものがどういう効果をあげてまいるだろうかということにかかるだろうと思います。公債は、あるいは数年続くかもしれませんけれども、その規模等につきましては、おそらく弾力的に考えるということになるだろうと実は想像をするわけでございます。その様子によりまして、これが地方村政にはね返ってきますはね返り方がいろいろ違ってまいります。したがって、四十一年度以降においてもこういうような状態が続くのかどうかということは、続かないとも申し上げられませんし、続くとも申し上げられない。つまり年度の推移を少し見てまいりませんと、そこの見通しがつかぬのじゃないかと思います。そうしますると、それによって地方財政が受ける影響というものを考えまして、地方財政を長期的にどのような方向で考えるかということを検討してまいらなければならぬと思うのでございます。基本的に私どもは、毎々当委員会で大臣その他からお答え申し上げておりますとおり、国と地方との間の事務の再配分だとか、あるいは税源の再配分だとかいう問題が、地方財政全体の立場からは動かすべからざる一つの基本的な方針として希求さるべきものだと思うのでございますけれども、四十一年度の財政措置が来年度どうなるかということは、これとは別個に、経済の動き等を見ながら別途の配慮をしてまいらなければならぬだろう、こういう状態が続いてまいりますならば、やはり公債費の重圧が地方村政にいろいろな影響を及ぼしてまいります。これを避ける方法を考えてまいらなければなりません。また、そういう状況のもとにおいて、国と地方との税源の再配分がいまのような形でいいかということも検討していかなければならぬと思うのであります。いまここで、じゃあどうするということを明確にお答えいたすことができるような段階では残念ながらございませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、国の今後におきまする推移をにらみ合わせながら遺憾ないように措置してまいりたい、少なくとも、来年もまたことしのような暫定の措置というような事態は避けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/14
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015・佐藤吉男
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
たいへんむずかしい御質問でございまして、はたして的を射た御答弁ができるかどうかわからないのでありますが、四十一年度に七千三百億というような、その一年前では想像もできなかったような大きな額の公債の発行が行なわれたわけであります。それにはいろいろ原因があったかと思いますが、何といいましても一番大きかったのは景気の異常な沈滞でございます。それによります税収入の減少といいますか、これは昭和四十年度の当初予算税収総額三兆二千八百億円というものに比べまして、一年たちました四十一年度の予算が自然増収において、減税前でわずか千億円くらいしかない、そういうような、税収面でははなはだしい窮状におちいったわけでございます。そういうことからしまして一国の財政も積極的に公債を発行する、こういう新政策に加えまして、その額がまた、もしそうでない場合に比べて非常に増加したということも事実でございます。これがために地方におきましても、地方財政対策という面で臨時の措置が四十一年度については非常に多かったということも先生御指摘のとおりでございます。四十二年度にこれがどうなるであろうかということは、ただいま話がございましたように、四十一年度はいま始まったばかりでございまして、先のことはよくわからないわけでございます。ただ、公債発行の額については、この七千三百億という数字がおそらく来年もそう大差のない、多少ふえぎみではなかろうか、こういうような予測もあるわけでございます。こういう中におきまして、地方財政、特にその自主財源がどうなるであろうかということは、その相当の部分が経済の回復いかんということによるわけでございます。したがいまして、的確な見通しというものはきわめて立ちがたいわけでございますが、私どもの気持ちといたしましては、毎年、臨時臨時でやっていくということは、原則としては非常に好ましくないことではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/15
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016・渡海元三郎
○渡海委員 毎年、臨時臨時というふうなことで不安定なもとに置いておくことは好ましくない、ごもっともな御答弁であろうと思います。その中へ地方財政の自主性を強化するという一つの柱を立していただいて、臨時措置じゃなくて恒久措置、公債発行される国の予算のもとにおける地方財政のあり方の健全化というものをなお一そう前進させていただきたいと思っております。これは要望にとどめておきます。
そこで、特別地方債が千二百億ふえたのでございますが、今回の財政計画を見ますと、当然、従来でございましたら交付税の算定基準の中に入れなければならないようなものが起債に振りかえられて、基準財政需要額の経費の中から六百億ほど落とされておる。これは従来の行き方を変えて、地方財政も借金政策に切りかえたのではないか、こういうふうに考えるのであります。苦しい財政の中から国の公共事業をそのまま受け入れるためには、特別地方債という形でやらざるを得なかったんだという点は認めるのでございますが、一方から見たら、これは地方財政の借金政策である、赤字政策だと言われるのも当然であろうと思います。その点、建設のために、需要喚起のために、先の年度ですべきものを国が繰り上げるために、特別地方債というもので地方財政とは別にやられたんだ、だからこれは借金でもかまわないと言われるお気持ちじゃないかと思いますが、六百億も交付税算定基準から落とされて、これを特別地方債にかえられた、その特別地方債の性格等につきまして、ひとつ財政当局の確固たる御答弁をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/16
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017・柴田護
○柴田(護)政府委員 千二百億の特別地方債を設けました経緯等につきましては、先ほど申し上げましたとおりであります。したがって、まさに特別の事業債でございまして、本知の特殊性ということでございます。しかし、根本的にいいますれば、金がないから、本来、従来の行き方からいいますれば、それだけ経費を削って、あるいは減税もいたしませずに既存財源の中でやり繰りするんだというたてまえかもしれませんけれども、今日国、地方が置かれました財政の基盤である経済というものを考えます場合には、どこからか金をかき集めてきても仕事をしなければならぬということでありますので、こういう措置をとったわけであります。したがって、借金には違いないのでございますけれども、その借金の性格は、国が発行いたしました建設国債と少しも変わりはない。これはやはり将来の税収入を担保にする地方の公共投資の充実でありまして、言うならば基盤整備であります。したがって、性格といたしましては、国の建設国債と変わらないと考えておるわけでございます。
〔「名前がおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/17
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018・渡海元三郎
○渡海委員 いま、名前がおかしいじゃないかというようなことをおっしゃっておりましたけれども、将来の、公共投資というものを担保にするための先食いなんだという意味において、これは普通の借金政策と違うという点は私たちも認めるところでございます。そうすると、この起債の性格というものは、当然従来の地方債の性格と違ってくるんじゃないか、こう思います。むしろ国の方針で地方にこういうふうなものを押しつけたという形で出てきておる。特別地方債を出して地方に財源を与えるという姿は、むしろ国の責任においてそれだけの投資をさすんだという姿であるべきではないかと思う。したがって、従来の地方債でございましたら、地方債を起こす自治体自身が自主的に、責任を持って将来の支払いというものを確保しなければならないが、国の政策のもとに地方で起債で事業をやらすものでございますから、当然国のほうで責任を持ってこの地方債の償還というものを考えてやらなくちゃならぬのじゃないか、このように考えるのでありますが、この点、少なくとも元利補給というもの、あるいは償還というものを国が見てやるんだというくらいの責任を持って発行される地方債じゃないかと思うのでございますが、この点に対する国の責任というものを明確にお答え賜わりたいと思います。この点は、大蔵省ともども御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/18
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019・柴田護
○柴田(護)政府委員 従来も一般会計で発行しておりまする地方債、これにつきましては交付税計算上は、きわめて抽象的な形でございますし、また一般的な形でございますけれども、でき上がった施設の減価償却費という形でもって元利償還金を見ていくということに計算上はなるわけでございます。したがって、総額がふえるんだということに結果はなるわけでございますけれども、経緯その他から考えますれば、お話のように本来ならば一般財源で始来をすべきものだ、それが今回は、国も金がないから特別地方債ということで地方債を起こす、こういうような点から申し上げますならば、お話の点はそのとおりだと思います。しかし、やかましく理屈を言いますならば、別の理由も立ち得ると思います。したがって、いずれにいたしましても、地方財政全体の中におきましては、これらの必要な元利償還金は始末をしてもらえるということになるわけでございます。しかしその場合に、従来のような地方債の見方と地方債の元利償還金の見方と、この千二百億に対する見方というものは、形をかえて見なければならないのじゃないかという御指摘かと思います。これはおっしゃるとおりだと思うのでございます。それをどのような形でするか、地方財政全体の中で交付税の調整機能を通じてそれを見てまいるか、あるいは別途の手段を考えるかという問題は、実は昭和四十二年度以降どのような形で投資的経費に対する財源手当てが行なわれるかということと非常に深く密接に関連するわけでございます。この状況を見定めないと具体的な方途は立たないということでございます。いずれにいたしましても、この千二百億についての元利償還金につきましては、財政上完全な措置をしてまいらねばならないと思うのであります。その中で、同じ公共事業の財源に充てる地方債の中で、縁故債の七百億もございますれば、政府資金五百億もあるわけでございます。したがって、政府資金を割り当てられたところはこれがいいといたしましても、縁故債を割り当てられたところにつきましては、縁故資金なんかもいろいろ条件もまちまちでございますので、これを放置しておくわけにはいかぬだろう。そうしますと、そういう面からも、この事業債につきましては特別の配慮が必要じゃないかという見方もあります。ただ、どのような形で配慮するかという問題につきましては、具体的なやり方といたしましては、四十二年度以降の財政のあり方とも関連して、遺憾のないように措置をしてまいりたいというふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/19
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020・佐藤吉男
○佐藤説明員 特別事業債の償還問題につきましては、これはきわめて重要な問題であるというふうに私どもは認識しておるわけでございます。これにつきましてどういうふうにするかという面につきましては、その原則的な立場を大蔵大臣から、財政計画の中においてこれが十分処理できるように配慮したい、こういうふうに予算委員会等でお答えになっておるように伺っておるわけでございます。これを具体的にどういうふうにやっていくかということは、いろんな方法等もあると思いますし、それから、今後これがどういうふうに続くものであるかというようなことともたいへん密接な関係を持っておると思います。この点につきましては、そういう四十二年度の動き等ともにらみ合わせまして、自治省のほうとよく相談して、処理に万全を期したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/20
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021・渡海元三郎
○渡海委員 特別地方債に対する将来の措置の方法というものは、普通の地方債と別個に考慮して措置するという——今日の段階におきましては、具体的な措置の方法等をしていただくわけにまいらぬと思うのでございます。あくまでもこれは特別な措置、国のほうで責任を持って措置するんだという意味でひとつお考えを賜わりたいと思いますので、この点特につけ加えて要望しておきます。
なお、本年度臨時特別交付金と特別地方債、こういった臨時的な措置とあわせて、超過負担の解消というものを相当大幅にとられて、二百五十億とか聞いておりますが、しかしながら、なお超過負担は一千億以上にのぼるものが残っておるのじゃなかろうかと思います。来年度以降におきましても、これは最大の努力をして消していただかなければならない問題であろう。また、この二百五十億を予想しておられます超過負担の解消というものが、はたして現実にそれだけの超過負担を解消することができるのかどうか。本年度の超過負担解消の具体的な事例について、ひとつ御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/21
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022・柴田護
○柴田(護)政府委員 超過負担の解消につきましては、三十九年度のベースをもとに推算をいたしますると、大体千二百億弱のものがあるんだということを毎々、当委員会で御説明申し上げてまいりました。その間におきまして、昭和四十一年度の予算におきまして、名目三百三十億円、実質二百五十億円の超過負担の解消なんだということでありますが、その内訳を申し上げますと、補助職員等で八十三億、それから普通建設事業費系統で二百十六億、その他委託費等がありますが、そういう形に相なっております。したがって、具体的に申し上げますと、たとえば保健所職員の単価を例にとってまいりますと、医師はいままでの年額五十九万円という単価が百三万四千円、率にいたしまして七五%のアップ、その他の職員につきましては年額三十八万円の単価が五十万円、三五%のアップというようになっておるわけでございます。これは、知事会等いわゆる六団体の調査いたしましたところとあまり変わらない、ほぼ六団体で調べました実態と近いものになっております。ただ、若干人数等が精査されておりますけれども、その分につきましては、必要なものは、普通の職員、つまり補助職員以外の一般職員に振りかえる措置をとっております。したがいまして、今回直りました補助職員等につきましては、大体単価是正なるものがほぼ満足すべき状態で直っておるのじゃなかろうかというように思うのでございます。事業費等につきまして言いますと、若干まだ問題は残っておると思います。たとえば敷地関係の補助負担金の計算のしかたでございますとか、あるいは建築単価の問題とか、これも相当大幅に直してもらっておりますけれども、なお問題がないとは言えない。特に委託費系統になってまいりますと、国民健康保険でありますとか国民年金等が問題になりますと、どうしてもこの単価では必要な署務が十分できないのじゃなかろうか。私どもは、相当大幅に上げていただきましたけれども、この点につきましては問題があろうというように考えております。この単価で一体うまくいくかどうかというお尋ねでございますが、本来、従来のベースでもってものを考えられておる限りにおきましては、その直りました分につきましては、いま言われたとおりであります。ただ、御承知のように、補助負担金の行政が乱れていきます一つのもとに、この補助単価、補助対象の問題のほかに、補助条件という問題があるわけであります。この補助条件を適正にしてまいりませんと、せっかく直していただいた単価改正等が——合理化がまだそのまま進んでおるわけでありますので、そこで、それにつきましては、ぜひ補助条件は補助金の適正化法の精神に従って正しく運営してもらいたいということを関係各省にもお願いし、大蔵省にも補助負担金の認証をお願いする場合等につきまして、そういう配慮をしていただくようにお願いをした次第でございます。
なお、私どもの計算からいいましたならば、まだ相当のものが超過負担が残っておるわけでございます。この超過負担を今後どのように整理をするかということになってまいりますと、いつか当委員会でお答え申し上げましたように、やはり補助負担金の中身をさらに洗っていって、一般財源に振りかえるべきものは振りかえたらいいし、補助負担金として残すべきものについては、補助負担金としてさらに超過負担の解消に回したい、こういう方向をたどっていくことになっておりまして、なお一そうこの方向で努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/22
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023・渡海元三郎
○渡海委員 超過負担の解消で人件費等につきまして改正していただいて、そのために地方財政に及ぼすところ多いものがあると思います。それでもなお一千億にのぼる。私は、いま市町村にとって一番大きな超過負担の問題は学校じゃないかと思うのです。義務教育の学校の建設費の補助単価は相当上げていただいておりますけれども、いま局長が言われたとおりの、補助条件と申しますか、一方では認証坪数の補助金というものを条件をつけて落としておきながら、片一方では理想的な学校というものはこのくらいの姿でなければならぬのだという、その指導方針が二つに分かれておるのです。そのために、三分の一の補助金といいながら実際には四分の一しか渡らない。二分の一の補助金といいながら三分の一しか渡らない。これでしたら、認証坪数以外はその市町村の独自の立場で、一ぺんしかやれないからりっぱなものをつくっておくのだというので、自分の責任でやるならけっこうでありますが、それに対しては起債さえも許すことができないというのが現在の地方行政の姿になっておる。せめて起債でも許してもらえば適正なる借金で、いわゆる赤字に転落するということはないが、片一方で補助の条件をつけて認証坪数を少なくし、しかも起債もそれに応じた起債しか渡さないというところから、大きなやみ起債が発行され、そのやみ起債がもとになって赤字に転落しておる。これが地方自治団体のすべての姿で、超過負担の解消もこういったところにまで目をつけてやっていただかぬことには、市町村は国の施策のために赤字にならざるを得ない。この点、将来に向かってそういった方面にまでわたる超過負担解消のために御尽力賜わるように要望するとともに、この際、特に公共文教施設に関する超過負担がどのようになっておるかという点を資料としていただきたいと思います。文部省は来ておられませんが、ひとつ政府のほうにおいてそのように取り扱っていただき、資料としてお配り賜わりたいということをお願いしておきます。
次に、政府は、先般の公務員の給与の件に対しまして、人事院勧告の取り扱いについて種々協議されたようでございますが、とりあえず昭和四十一年度は従来どおりにやるということに決定されたと新聞は報じております。最近における諸物価の上昇、民間賃金の動向等を勘案した場合、昭和四十一年度におきましても年度途中の給与改定が行なわれるのではないか、このように考えるのでございます。そういった場合、この地方財政計画ではたして給与体系がいけるかどうか、どこにそれだけのものがあるか、そういった場合はどういうふうにされるか、非常に危惧するものでございますが、仮定の質問になりますが、ひとつこの点に対するお考えをこの際明らかにしておいていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/23
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024・柴田護
○柴田(護)政府委員 人事院勧告の取り扱いにつきましては、お話しのとおりの経過でございます。かりに本年度人事院の勧告があり、それによります給与改定があるということになりますと、現在の段階におきましては、地方財政においてこれをまかなう財源はございません。したがって、その時点においてどう処理するかということを考えざるを符ないと思います。大体私どもといたしましては、年度中途に給与改定を実施されることにつきましては、かねがね地方財政の立場からはなるべくごかんべん願いたいということを強く主張してきたわけでございまして、今日におきましてもその主張を変えておりません。しかし、在来は税の自然増収等にささえられまして、ある程度年度中途の給与勧告をまかなってきた時代もあるのでありますけれども、ここ二、三年は、御承知のように、毎年毎年借金をしてやってきておるという現状でございます。昭和四十一年度におきましては、経済の状況がどうなるかということが一つの問題点ではございますけれども、この財政計画のもとにおいて、現時点におきましては給与改定による財源が出ようはずはございません。もしさような事態が到来いたしますれば、その時点において財源確保の点を考えなければなりません。要するに地方財政の財源確保が一番問題点になろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/24
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025・渡海元三郎
○渡海委員 最後に、この間、政府は財政白書を出されたのでございますが、その地方財政の白書の中に、いまや地方財政は容易ならざる状態にある、こういうふうに率直に述べておられます。あるいは人によりますれば、今度の特別地方債発行等もあわせて、地方財政はいよいよ昭和二十九年あるいは三十年当時のあの地方財政の最も悪かった時代に再び転落をしようとしておるのではないか、このようなことになっておるのでありますが、現在の地方財政の姿をながめられて、自治省当局といたされましてはあの当時と比較していかに考えておられますか。私は、一般会計におきましては前と比べまして相当様子が変わってきたのではないかと思いますが、特に変わってきておるのは、公営企業の赤字が相当一般会計に大きくかぶさってきておる、また国保の赤字が市町村の一般会計に大きく財政負担としておおいかぶされつつある、こういった特別会計の回復なくして、今日の地方財政の赤字の克服ということは考えられないという状態であろうと思いますが、今日の地方財政の赤字を昭和二十九年、三十年当時と比較され、しかもその原因の相違点について考慮しながら、いかなる対策を持ってこの克服に進まれようとしておられるか、自治省当局の御見解をお伺いして、私の最後の質問といたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/25
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026・柴田護
○柴田(護)政府委員 お話のとおり、昭和三十九年度決算、三十八年度決算等の推移をながめてまいりますと、地方財政は非常にまた悪くなってきておるということが言えると思うのでございます。ただ全般的にこれをながめますと、御指摘のように特別会計が非常に悪くなっておりますということが目立つのでありまして、一般会計につきましては、赤字もふえておりますけれども、この赤字が特定の団体に増加しておるという特殊の現象が出ております。町村あたりではむしろ赤字が減っておるということになりまして、表面的にだけ見ますならば、二十八、九年当時と比べまして、一般会計の状態はさほどじゃないというように言えるかと思うのであります。しかしその中身を見ますと、むしろ私どもは二十八、九年のときよりかむずかしい問題にぶち当たっておるのではないか。言うならば、構造的にはなかなか困難の事態を迎えたというふうに思うのでございます。それは特別会計と一般会計との関係が必ずしも明らかじゃありませんので、特別会計の赤字が一般会計の足を引っぱっている、これをどのように清算していくかというのが問題でありますけれども、これがなかなかそう簡単にはいかない、これはむずかしい問題になっておるようでございます。それから国民健康保険会計につきましては、これは四十年度でいろいろな措置が講ぜられましたので、三十九年度の決算上の赤字は二百億円をこすわけでございますけれども、これは四十年度決算ではおそらくは非常に少なくなるだろう、おそらくは四、五十億程度のもの、あるいはもうちょっと出るかもしれませんが、その程度のものでおさまるのではないかというように私は思っております。しかしここにも、こういった国民健康保険というものの持って行き方を一体どうするのか、今後医療費は上がっていく、それから保険税は伸びないということになりますと、どうしてもここにも保険制度全体の中で国民健康保険をどうするかという問題にぶつかってくる。それから一般会計の問題では、職員費の問題をどう考えていくか、どうすれば一番安定した形になるかという問題があろうかと思うのでございます。だんだんと社会福祉国家が進んでまいりますれば、施設は充実してまいらなければならぬ、施設を充実してまいりますれば、どうしてもそこに維持、管理に当たる職員が要る、人員がふえますれば人件費がふえるにきまっておる、これをどのような形でもって合理的にマネージメントを行なっていくかというきわめてむずかしい問題。それから超過負担の問題にいたしましても、やはりいろいろ本年度は非常に国家の財政が苦しいときの中で相当の措置が講ぜられたのでございますけれども、しかしなおまだその点は残っておる、これもなかなか簡単にはいきませんので、相当長い期間をかけて適正化するような慣習をつくっていかなければならぬ、非常な努力が要るわけでございます。公営企業に至りましては、御指摘のとおり非常にむずかしい状態になってきておる。
こういう状態でございまして、言うなれば、質的には三十年前後の財政窮乏時代と比べまして、むしろむずかしい問題が重なってきているというように思うのであります。しかしそれは考えてみますれば、昭和二十八、九年ごろからすでにあった問題でございます。そのあった問題が一時の経済の好況にささえられて、未解決のまま放置されておった、それがある意味では今日のように深刻化した形でもって問題が露呈されたというようにも思うのでございます。ただ救われますのは、昭和二十八、九年ごろの状態におきましては、地方団体自体の財政運営態度というものが非常に安易でございました。その態度は今日ではほとんどございません。特殊の団体を除きましては、むしろ非常にきびしい態度をとってきております。それがまた、特殊の団体を除きましては赤字はあまりふえないという一つの原因ではなかろうかと思うのでございます。地方といたしましては、その運営態度を、むしろそれにたよるようなことはしてはいけない、それはあたりまえのことであって、それと離れて、国と地方との財政関係の正常化というものを踏まえて、その上で地方財源をどうしていったならば充実できるか、あるいはそういう基本問題をどうすれば一番解決できるかということに勇敢に取り組んでいくべきであると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/26
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027・渡海元三郎
○渡海委員 ただいまお話がございましたその中で、私特別に感じましたのは、昭和二十九、三十年ごろに対する地方自治体の財政運営状況と今日の財政運営状況は相当変わっておる、私自身そうじやないかと思うのでございます。この点、地方自治体の努力も買わなければならないのですが、往々にして三千五百の自治体の中でごく一部にあらわれるような放漫財政の姿を、地方財政全般がそのような姿ではないか、こういうふうに喧伝されるおそれなしとしないというのが今日の状態じゃないかと思います。この点、非常な苦しみのもとに地方財政の確立に臨んでおる地方自治体にまことに申しわけない、このようにさえ感ずるときがあるのでございますが、この地方自治体の努力というものを十分御認識の上で、今後ともに自治省の強力なる御指導によって、地方財政のこの危機を突破していくように要望しておきたいと思います。
最後に、国民健康保険のことについて、公営企業は今国会にも公営企業の改善のための法案がすでに提出されておりますので、この法案を通じて議論をし、措置されると思いますが、国民健康保険も四割補助ということになったのでございますが、それだけでは解決できない問題があるのではなかろうか。特に国保税のごとき問題は、これは税金ではございませんけれども、むしろ現在地方税とあわせて考えた場合、住民負担の一番大きな問題が国保税の問題じゃないかと思います。そういった意味におきましては、私はむしろ当然抜本的に取り組んでいかなければならない問題が残っているのではないかと思いますが、この点は本日厚生省も来ていただいておりませんので、後日この問題を当委員会において議論させていただくことを留保いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/27
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028・大石八治
○大石(八)委員長代理 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/28
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029・細谷治嘉
○細谷委員 まず最初に承りたい点は、昨日、総額千六百二十一億円の第一回の地方交付税の配付が行なわれたわけでございますが、ことしは八月くらいまでに六割以上の地方交付税を繰り上げ交付する、こういう方針のように聞いておるのでありますが、そういうことでやられるつもりかどうか、まずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/29
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030・柴田護
○柴田(護)政府委員 そういう方針をきめたわけではございません。ただ、地方団体におきまする公共事業等の事業の進捗度合いが、従来よりも増して上半期に集中するということを基本方針としてとっておりまするので、その財政需要に見合って、各地方団体の資金事情等を勘案して、それに遺憾ないようにいたしたいということを考えておるわけでございます。したがって、地方におきまする今後の資金の収支というものを検討をした上で、そういう必要が生じてまいります場合におきましては、交付税の一部繰り上げ交付ということも検討いたしたいと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/30
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031・細谷治嘉
○細谷委員 そういう方針にはきまっておらないという御答弁でございますが、実は三月十四日の日本経済新聞の記事によりますと、四十一年度の公共事業の施行を促進するために八月までに六〇%以上やるのだ、それを読みますと、たとえば、第一種臨時地方特例交付金二百四十億円というのを五月に全部交付してしまうのだ、そういうことが大蔵省と正式にきまった、こういうふうに書いてございます。いま提案されております法律を見ますと、法律にはそういうふうに書いてはございませんで、第一種特例交付金というのは五月と十月にそれぞれ二分の一ずつを交付する、こう書いてあるのでございますが、新聞の記事をそのままやっているということになりますと、いま提案されておる法律と違ったことが行なわれようとしておるようでありますから、まずその点をはっきりいたしたい、こう思っておるのであります。新聞にははっきりと、第一種特例交付金を、大蔵省に働きかけていたが、このほど五月交付が正式にきまった、そう書いてあります。新聞がうそということなんでございましょうか。この辺はっきりお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/31
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032・柴田護
○柴田(護)政府委員 御指摘の記事は非常に各方面に御迷惑を及ぼしまして恐縮でございます。それは間違いでございます。もとより御審議をわずらわしておる法律が、これが政府としてきまった態度でございます。特例交付金につきましてはそれ以外のことは考えておりません。しかし、普通交付税につきましては、必要があります場合は概算交付ができる、時期別の交付額も変えられるという制度になっておりますし、これは資金状況を見定めた上で実態に合う措置をいたしたい、こう考えておるわけでございます。そういう意味合いで、地方の資金事情が困るようなことになりますれば繰り上げ交付も考慮する、こういう方針でございます。国も、そのためには、三割国庫補助負担金等の概算交付等につきましても積極的に考慮するといったような話し合いになっておりますので、全体的の資金収支を見定めてそういう措置をとっていきたいというように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/32
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033・細谷治嘉
○細谷委員 そういたしますと、新聞の記事は誤りだ、こういうことがはっきりいたしたわけでございますが、普通交付税及び今度提案になっております第二種特例交付金につきましては、法第十六条第一項の規定に基づいてやるわけでございますが、事情に応じてある程度自治省令を変更することもある、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/33
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034・柴田護
○柴田(護)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/34
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035・細谷治嘉
○細谷委員 それがはっきりいたしましたから、次に進みたいと思うのであります。
先ほど渡海委員の質問の中にございました今度の交付税法の一部を改正する法律案あるいは交付税に関する特例の法律案と、従来になく二本立てできておるわけでございますが、まず一つ全体的にお尋ねいたしたい点は、今度のこの二本の法律で従来と変わっておる点を全部あげていただきたいと思います。全部といっても、おもな点でよろしいわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/35
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036・柴田護
○柴田(護)政府委員 二本に分けましたのは、従来のベースと申しまするか、つまり将来もそういう方向でいくのだというやや長期的な観点に立つものを本法に残しまして、それから四十一年度限りの措置ということで先ほど私が御説明申し上げましたいわば異例の措置に属するというものを特別措置に規定したわけでございます。したがって、本法には、税率の引き上げとメートル法施行に伴いまする読みかえ規定、それから文化財保護法、自然公園法等の課税の特例に関しまする基準財政収入額の算定方法の特例、住民税の計算方法についての規定の改正、それからいわゆる人口急減補正、この部分を残しまして、あとは全部特別措置法に移したのでございます。
特別措置法の中身を簡単に申し上げますると、要するに、臨時特例交付金の規定を設けまして、一種、二種の算定方法、それの交付、不交付等を規定いたしまして、同時に昭和四十一年度の基準財政需要額及び基準財政収入額の算定方法の特例を設けまして、そのうちの一番大きなのは、従来の給与改定の平年度化その他に伴います単位費用の改定のほかに、投資的経費の中で公共事業費系統のものについて、主として府県分について、これを地方債に振りかえますために、単位費用の削減を行なっております。それから、またそれに関連して、補正方法につきましても、事業費補正を行ないます関係上、密度補正適用の種目を減少しております。それから、市町村民税減税補てん債が減ってまいりますので、その減ってまいります部分を市町村の「その他の諸費」に、基準財政需要額に逆に切りかえております。それから、第一種特例交付金は、その性格が将来たばこ消費税に切りかわるという話もあるわけでございますので、これをたばこ消費税的な扱いをして基準財政収入額を計算する、こういうことにいたしております。また、従来、特別態容補正という補正がございましたが、この補正を廃止いたしまして、それぞれ関係費目に振りかえております。
大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/36
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037・細谷治嘉
○細谷委員 いま財政局長がおっしゃった補正の問題につきましては、従来時期に応じて年々とられてきておった措置が強化されるという形でありますが、その個々に入る前に一つお尋ねいたしたいことは、先ほど質問がありましたように、地方財政というのは非常な危機に立っておる。自治省は、昨年の十月ごろに、公共事業というのが二割程度前年比伸びていくのだ、公債は七千億発行するのだ、減税は三千億だ、こういう前提に立って、地方財政は三千三百六十億円程度財源が不足するのだ、こういうことで大蔵省に折衝をいたしたのでありますけれども、その後税調なりあるいは与党の税制改正大綱というのがきまりまして、計数整理いたしまして二千六百三十億円ぐらい不足するのだ、こういうことで、その場合に交付税はひとつ千三百八十六億円程度上げてほしい、税率にいたしますと五・八%ぐらいですか。ところが、明けて、大蔵原案が発表されたころになりますと、二千七百八十億円の財源不足だ、こういうことになりまして、交付税率は五・六%ですか、ぐらい上げるということにまあ引き下がったわけなんです。私は、当時までの自治省の態度というのは、大蔵省が言う臨時特例交付金というような措置ではだめなんだ、やはり交付税率を二九・五から五・六とか、そして千三百億円程度の交付税で財源を補てんしてもらわなければならぬ、こういう主張をしておった自治省の態度は正しいと思うのでありますが、結論は、わずか五百八十六億の交付税の引き上げ、二・五%の引き上げということになって、出てまいったのが臨時特例交付金の四百十四億、こういう数字で、主観的にも客観的にも地方財政の非常に不安定化を増す財政計画というのをつくっていった。これはどうも私は、自治省はこの問題に対しては非常に、まあ安易ということばは適切じゃありませんけれども、妥協をしたと思うのです。この辺の経緯について、ひとつ財政局長と、佐藤主計官が見えておりますから、何だって大蔵のほうはそういうふうに主張したのか、これも含めて経過を明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/37
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038・柴田護
○柴田(護)政府委員 全体の計数の推移は、お話のとおりであります。最初三千三百六十億円という不足額が出てまいりました基礎は、これまた細谷先生御指摘のとおり、経済成長率を、一一・五%だったと思いますが、と見、それから減税は二千億、それから公共事業の伸びは二〇%という前提で計算をしたものであります。そのときの地方税の減収は四百億と考えておりました。地方交付税の減収は六百億と考えておったのであります。その後、税がいろいろと変わってまいりました。税制調査会の答申が出ましたころ、国も地方も最終の税収見積もりを固めたわけでございますが、その結果、現行例度によります場合の地方税の収入、自然増というのが千五十億にふくらんだ。それから譲与税が三十八億出た。地方交付税の増加額は二百五十六億円ということになる、ということでありまして、あとのところはあまり変わっておりません。したがって、国税減税による減収が地方税四百億、交付税六百億と考えておりました計数が八百億台に下がってまいりました。一方、公共事業費等の伸びが、当初は国庫補助負担金を伴いますものの増加額が九百億と考えておりましたのが、六百億前後に下がってまいりました。それやこれやで、歳出歳入の変更によりまして不足額が減ってまいったのであります。
しかし、その際におきましても、お話のように、私どもはなるべくは地方債の増額は避けたかったのであります。たばこ消費税率の引き上げでありますとか、あるいは所得税の移譲とか、あるいは交付税の引き上げといったような問題を考えておりましたが、でき得べくんば独立税源を増強する方向でものを考えていこう。地方交付税率の引き上げは最後の手段として考えておったのであります。したがって、当初打ち出しましたときには、私どもの気持ちを大蔵当局に伝えましたときには、固定資産税等の合理化もやるけれども、しかし、たばこ消費税の税率を上げたり、あるいは所得税の移譲を受けたり、あるいは揮発油税の移譲を受けたりということは強く主張しておったのでございますけれども、国庫財政も減税をやって、足らずまえを交債発行して必要な財源を生み出すといったような非常手段をとってまいるということになりますと、どうしてもこういった独立税源の移譲というものはむずかしくなってくるのであります。そういうような状態のもとにおきまして、私どもは、住民税の減税をたばこ消費税率の引き上げによって補てんをいたしてまいりたい、それから法人税割りの減ります部分は、法人税割りの調整でもってこれをカバーする、残りは地方債をできるだけ避けて、地方交付税率を上げる、こういう方針で、そこで五・九%という率が出てきたわけであります。
その後いろいろやりました結果、結果としては交付税率の問題が、千三百八十六億円という計数が、もとが変わりましたので千二百九十億円に変化をいたしました。それが千億ということになって、足らずまえが地方債に振りかわった。この千二百九十億円に対する一般財源の補てんが千億。この千億が交付税率の五・九%の引き上げの部分と臨時特例交付金に振りかわった、こういうことになるわけであります。臨時特例交付金の四百十四億円が、たばこ消費税の引き上げにかわるものということになるわけでございます。
結果的には、いろいろと話を詰めております問に、不足額は二千五百億程度に落ちついたのでございます。この程度におきまして、先生御承知のような必要な措置が固まったのでございます。四百十四億円も、でき得べくんば臨時地方特例交付金という形ではなくて、恒久的な措置をいたしたかったのでございますけれども、それは経済がきわめて不安定な状態のもとにおきまして、国も各種の異例の措置をとっております関係もあり、地方財政にとっても将来どういうような形になるかということが不安定でございますので、臨時地方特例交付金という形でもって、その一部は将来たばこ消費税率の引き上げに振りかえるということを話し合いの上で約しまして、こういう位置づけをした、こういう経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/38
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039・佐藤吉男
○佐藤説明員 折衝の経緯の計数的な裏打ちは、ただいま自治省から御答弁ありましたとおりでございます。どうして最初そういうふうに自治省の数字と大蔵省の考えている数字と食い違っていたかということにつきましては、たとえば歳入面で見ましても、税収を見ますと、御承知のとおり国税の収入というものは大蔵省のほうでいろいろ検討して見込む、地方税につきましては自治省のほうで御検討をなさる、こういうふうなことで、それぞれ全部について単一の省で知っている、こういうようなことではないわけでございます。それに加えまして経済が非常に流動的であって、なかなか法人の九月決算というものがわからなかった、こういう状態にあったわけでございます。歳出につきましても、たとえば公共事業関係の補助金というものにつきましては大蔵省側でその数字を持っておる。いろんな資料が自治省と大蔵省の双方に分散されておる、こういうふうなことから、どうしても見込んでやるものでございますので、お互いの数字がそれぞれ違っておる、こういうことでございます。
それから最終案にこぎつけましたときの二千二百億円の特例交付金、それから特別事業債というものの考え方につきましては、結論はいま財政局長から御答弁になったような考え方できまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/39
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040・細谷治嘉
○細谷委員 私はこの経過について、大蔵省というよりも、むしろ地方財政危機といわれるこの段階における地方財政の番人である自治省が、きわめて安易な妥協をしたことについて遺憾に思っておるわけでございますが、この点に関連してひとつお尋ねいたしたい点は地方財政計画との関係でございます。最終的に大蔵省との間に煮詰まった数字は、地方税の伸びが千五十億円だ、こういうことに見積もられておるのであります。自治省は当初から七百億円程度だということで、だんだんだんだん税収をゴムのように伸ばしてきたのでありますけれども、地方財政計画で落ちついた数字は七百九十三億円というのが地方税の伸びなんです。そうしますと、大蔵と煮詰めました千五十億との間には二百五十数億円の差がすでに起こっておるのです。なるほど地方交付税を見ますと三百三十五億円増という形で数字が出ておるのでありますが、最終的にきまったあれは二百五十七億円でありまして、ここに若干の数字の違いがありますけれども、それにいたしましても地方財政計画の地方税の見積もりと、大蔵と煮つめた数字というのはかなり大きな差があります。これはどういう関係なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/40
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041・柴田護
○柴田(護)政府委員 その千五十億というのは現行制度による税の自然増収でございまして、これから税制改正による減収を引かなければならぬ。したがって、最終的に煮詰めまして措置をきめましたときの計数は、地方税の自然増収千五十億円、減税による減収三百七十六億円というのが最終の想定であります。その後、端数整理あるいは小さい計算をいたしまして御指摘のような財政計画上の数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/41
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042・細谷治嘉
○細谷委員 アンバランスはないということですね。それでは次に進みますが、今度の地方交付税法の改正によって、先ほど渡海委員の質問の中にたいへんな問題が起こっておるのですが、まずお尋ねしたい点は、昨年のベースで基準財政需要額を計算した場合には、一体基準財政需要額の増というのは幾らになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/42
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043・柴田護
○柴田(護)政府委員 大体千二百億円の特別地方債でまかなうものを全部基準財政需要額に見たという前提で計算いたしますと、大体伸びが一三%くらいになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/43
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044・細谷治嘉
○細谷委員 自治省財政局で編集をしております「地方財政」という雑誌を見ますと、交付団体べースで基準財政需要額の対前年度増加見込み額は千三百八十三億円だ、こういうふうに書いてございます。これは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/44
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045・柴田護
○柴田(護)政府委員 現在御提案申し上げておりまする表の単位を基礎にして計算いたしますと、大体御指摘の程度の基準財政需要額の増加を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 今度の交付税の計画によりますと——私がいま自治省に聞いたら、見込み額千三百八十三億というのが基準財政需要額の増だ、こういうことでありますが、自治省の言い分あるいは大蔵省の言い分というのは、理屈はさかさまです。千二百億という特例債が設けられたので基準財政需要額から切り落としたのだ、公共事業関係の地方負担を切り落としたのだ、こう言っておりますが、これは理屈はさかさまでしょう。交付税がないから、配りようがないから、いわゆる従来の交付税制度は破綻した。わずかに二・五%なるほど伸びましたけれども、交付税の額はほんのわずかしか伸びておらぬわけですから、配りようがない。従来の交付税制度が破綻した。そこでいろいろと知恵をしぼったあげく、公共事業の地方負担分を五百八十九億円——六百億円近い金でありますが切り落とそう、こういうことになったんじゃないでしょうか。どうも地方債がふえたので公共事業の地方負担分は基準財政需要額から切り落とした、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、そうじゃないでしょう。私が言ったような理屈じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/46
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047・柴田護
○柴田(護)政府委員 それは鶏と卵みたいなものでございまして、先生のおっしゃるようなことも言えましょう。また逆に、一般財源がないから地方債を総体的にふやして財源振りかえをやった、こういうことも言えるかと思うのであります。私どもは、本意じゃありませんけれども、こういう緊急事態でありますので、やむを得ずそういう地方債でもって将来の税収入を担保として仕事をする。言いかえれば仕事の繰り上げ消化みたいなものでありまして、そういう態度をもって財政計画を組まざるを得ぬので組んだ。そこでその組んだものを交付税にはね返していきます場合には、やはり従来のような一般財源でもって投資的経費を持っていくことに対しては、異例の措置をとらざるを得ない。それが財源振りかえという形でもって、基準財政需要額の地方交付税に対する移しかえだ、こういうことであります。言いようは二つあると思います。私どもとしては、いままでるる御説明したような考え方に基づいて措置をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/47
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048・細谷治嘉
○細谷委員 大体、鶏が先か卵が先かという議論をここに持ち込むことがおかしいのであって、そうならざるを得なかったのでしょう。それははっきり自治省がお認めになったほうがいいでしょう。そこで、先ほど自治省は、基準財政需要額というのは千三百八十三億円程度伸びるんだと言うのでありますが、今度の改正によりましていろいろな点が改正されるのでありますけれども、公共事業の地方負担分の五百八十九億円の中から、交付団体において振りかえられるものが四百八十二億円あるのです。四百八十二億円というのは、言ってみればいままでは交付税で見てもらったものなのです。そういたしますと、この自治省の資料による交付団体の基準財政需要額の増九百一億円、これは差っ引いて九百一億円になったのでありますから、これを加えますと、やはり千四百八十三億円という数字が出てくるのですね。ですから、自治省が計算した千三百八十三億円、それに最少必要限度の補正を行ないますと、ちょうど千四百八十三億円、これは最低限基準財政需要額が上がったというふうに私は理解すべきだと思うのです。試みに、一体交付団体で従来どの程度財政需要額が伸びていったかと言いますと、三十九年度は千八百五十二億円伸びておるのです。四十年度は千五百九十七億円伸びておるのです。ことしは九百一億円なのですね。これは四十年度あたりになりますと、財政の事情でたいへん苦しくなった。交付税の伸びも落ちてきておりますから、基準財政需要額をしぼったということでありますけれども、それでも千六百億円程度の需要額の伸びを見たのです。今度は九百一億円なのですね。こういう推移から見ても、従来考えられる地方交付税のていをなしておらぬと、こういうふうに申し上げなければならぬわけでありますが、その原因というのは、やはり交付税について十分な措置がなされなかったということから来るわけであります。ちょうど大臣が来ましたので、この問題はたいへん重要でありますから……。自治省がいままで積み上げてまいりました地方交付税制度をいかにして守り抜くかというところに今度は追い詰められていると思うのです。そこでひとつお尋ねしたい。大蔵大臣見えておりませんが、主計局の次長の鳩山さんの出席を要求しておったのでありますが、一切を佐藤主計官にまかせるという伝言でありますから、あなた、責任を持って答えてくださいね。
私が本会議で質問した際に、大蔵大臣は私の質問に対してこう答えたのです。「基準財政需要のうち、投資的経費六百億円を特別事業債財源に振りかえた、これは国でその元利の補給等は保証すべきではないかというような御意見でございまするが、この六百億円に限らない、今回の特例債千二百億円あるのです。六百億円はその半分なんであります。この全体につきまして、将来毎年の元利が支障なく払えるように財政上の措置をとりたい、さように考えておるのであります。」こういう答弁をしておる。私は、六百億円は最低限保証しろと言ったら、いやそれは、六百億円は半分じゃないか、千二百億円保証しますと言うのでありますが、よく読んでみますと、「将来毎年の元利が支障なく払えるように」ということになりますと、お前のところは少し税が伸びてきたから払えるじゃないか、おれのほうは知らぬぞというように逃げる心配があります。自治大臣の答弁はこういうことです。「千二百億円の特別地方債の関係は、これは何といっても三十億は、本年度の金利だけは財政全体の中へ組んであるのであります。」どこに三十億円組んであるか、私はちょっと気づいておりませんけれども、これをひとつ説明していただきたいと思うと同時に、さらに「将来これに対するところの財政的処置は、大蔵大臣の言いましたように、迷惑をかけないようにいたすということになることを絶対に確信をいたしておるのでございます。」確約はしないのです。大臣自体が、確信しておるというだけですから、いやおれは確信したけれどもならなかったと、本会議自体に対して確約していない、確信ということばを使っているので、これもやはり逃げる心配がありますから、せっかく私にとっては予想以上の答弁を得たのでありますけれども、逃げられそうでありますから、ひとつここで自治大臣とそれから大蔵省の態度をはっきりとしていただきたいと思うのであります。同時に財政局長さん、三十億円どこに組んであるか、それをひとつ内容をお示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/48
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049・柴田護
○柴田(護)政府委員 ことしの金利につきましては、地方財政計画の公債費の中に組み入れてございます。したがって、いろいろな措置は財政計画全体の財政措置の姿でありまして、これがいろいろな措置に振りかえていくわけでございますから、ことしの金利だけは財政の計画の中に組み入れて計画してございます。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/49
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050・永山忠則
○永山国務大臣 この千二百億円の財源措置に対しましては、将来の諸種の財政計画と相まつものがございますが、これに対しましては、方法はいろいろあると思いますけれども、地方財政を圧迫せないように、処置を必ずいたしたいと考えておる次第でございます。ただ方法についてどうするかということについては、この場合、今後の地方財政の財政運営のいろいろの点と総合して考えられるものでございますので、これが地方財政を圧迫することにならぬように処置をいたすという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/50
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051・佐藤吉男
○佐藤説明員 この問題は先ほど渡海委員から御質問なり御指摘があったわけでありますが、将来地方財政の運営上、この元利の支払いが滞りなく行なわれるように配慮したい、こういうような大蔵大臣の答弁でございまして、私どももそういう立場でこの問題を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/51
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052・細谷治嘉
○細谷委員 いまのことばも私は納得できないのです。まず財政局長からの、三十億円は組んであるのだというのでありますが、私も計数の内容を洗ったわけじゃありませんけれども、地方財政計画を見ますと、公債費というのは、前年比百四十一億円しかふえていないのです。昨年度は百九十二億伸びたんですね。その辺から推察いたしますと、これは洗ってみなければわかりませんが、どうも入っておるというのは、ことばは少し汚いですけれども、ごまかしじゃないかという気がいたします。それはほんとうに入っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/52
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053・柴田護
○柴田(護)政府委員 ごまかしておりませんで、ちゃんと入っておるわけであります。昨年非常にふえておりますのは、従来、財政計画上の地方債計画にあがっておりますものを基礎にして元利償還金を計算いたしておりました。ところが御承知のように、実行上、ワク外で地方債を発行するわけでございます。このワク外債も公債には間違いない。その元利償還金も公債費であることは同じことでございます。したがって、昨年からワク外のものも公債費に組み込んだわけでございます。そこで三十九年度と四十年度との公債費の相当額を比較いたしますと、非常にふえておる、こういうことになるわけでございます。言うならばそこには規模の是正が行なわれておるわけでございます。だから今年度の公債費が百四十一億円しかふえないのは少ないのじゃないかという御不審はごもっともでございますけれども、裏にはそういうことがあるわけでございまして、百四十一億円ふえておるということは、相当ふえて、その中には、いまの七百億円と、それから新産債等のうちの公募債二百億円、これを七分三厘の利子計算によって組み込んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/53
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054・細谷治嘉
○細谷委員 これはいま財政局長、利子のことまで言及されておりますから、これは信用いたしておきたいと思うのです。自治体の千二百億円という——私は、六百億円は最低限、元利補給をすべきじゃないか。というのはどういうことかといいますと、本来、これはいままで積み上げてまいった地方交付税法の中の基準財政需要額として算入されておったものであって、いわば地方団体にとりましては、法律で保障されたものなのですね。道路とか河川とか、あるいは海岸堤防とか、こういうものについての地方負担というのは地方交付税法によってこれこれもらえるという形で保障されたものなんです。ところが今年になりまして、突然として五百八十九億円切り落としたわけです。地方債に振りかえますということでありますから、地方団体から見ますと、地方交付税法で保障された既得権を剥奪される、こういうふうに申してもよろしいかと思うのです。既得権論争というのが予算委員会でだいぶありましたが、少なくとも既得権的なものだ。残りの六百億円は、もう期待権を越して既得権的なものだと理解すべきだと思うのです。千二百億円特別債があるわけでありますから、これはちょっと性格が違うと思うのですね。なるほど地方債はふえたわけでありますけれども、これは交付税法で保障されたという、基準財政需要額に算入されたというものでありませんから違うのです。しかしそれまで含めて保障をするというところに、私は、大蔵大臣の逃げの手があるんじゃないか。非常に好意的な答弁のようでありますけれども、どうもやはり全幅の信頼を置けない点があるんじゃないかと思う。千二百億円のうち五百八十九億円というものと、残りの六百億何がしかというのは性格が違うんです。基準財政需要額で見積もられたものを地方債に振りかえられたものが六百億円。そうでない特例債、公共事業を推進するための地方負担分を見てやるということでありますから、性格が違うのです。私が申し上げているのは、その六百億円というのは、これは一種の既得権的なものだから是が非でも、本来ならばことし基準財政需要額に算入してやるべきでありますけれども、そうならなかったのでありますから、これはやはり将来元利はそっくり国で補給してやらなければいかぬ、補償してやらなければならぬ、そういう筋合いのものであると私は思う。そうでなければ、もういままでの地方交付税制度は破綻した、こういうことになるわけであります。ことしは財政事情からそうしたのだ、これは必ず保障をいたします、自治大臣は確信じゃなくて確約します、こういう筋合いのものであろうと私は思うのであります。ですから、千二百億なんということでちょっと喜ばしておいて、あとでどさんと落とすのではなくて、いま私が言ったような趣旨なんですから、そういう筋のものですから、ひとつ大臣、六百億円は既得権的なものだから必ず責任を持ちますと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/54
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055・永山忠則
○永山国務大臣 同一考え方で現段階におきましては処置すべきものであるというように考えるのでございますけれども、しかし、経済状態というものはきわめて流動的でございますので、固定してこうするということを来年度の予算あるいは今後の問題について決定をすることは差し控えねばならぬかと思うのであります。たとえて申しますれば、観念でございますけれども、非常に景気がよくなって財政事情がよくなれば、三二%になっておりますからして、そうすると交付税もうんと上がる時代がくるかもしれないということが考えられるのでありますが、さらに地方財政は財源が非常に不足いたしておりますから、補助金の合理化、財源再配分というような問題も強力に進めねばならぬ。細谷委員の言われるごとく、非常に憂慮すべき問題でございますから、そういう方向でぜひやるという考え方においては同一意見でございますが、そういったような財源再配分等の関係で、地方財政の財源確立をやるというような諸問題も含めておりますので、それらの情勢を勘案いたしまして、お説のような考え方において処置を総合的にいたしたい、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/55
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056・細谷治嘉
○細谷委員 大臣の後段のお答えは私はいいと思うのですが、その後段を打ち消すような問題点がいま二つ述べられたわけですね。一つは、来年度以降地方財政がよくなったら、交付税灘を三二%なんて大幅に引き上げたのだから、よくなったらそんなことはもう補給してやらぬでもいいぞというようなことが含まれているようであります。もう一つは、いま問題になっておる国と地方との間の財源再配分という大問題もあるのだから、そういう中においてこの問題を解決してもいいじゃないか、こういう二点があげられた。問題がすり変えられているのですね。これは四十一年度の分なのですよ。将来にわたっていつの日かこれはやらねばなりません。国と地方との間で責任分野をはっきりする、こういう点からいって、事務の再配分と同時にこれはやらなければならぬたいへんな大きな問題であります。もう一つの、交付税率を上げたのだから、将来地方団体が少し裕福になることがあればその金はやらぬぞということになりますと、これはおかしいのですよ。おまえ少し給料が上がったから、この前一万円借りておったけれども今度返さぬぞ、こんなばかな話はないのですよ。筋が通らぬですよ。四十一年度にはやるべきものはやらないで、国が五百八十九億円というものを借金に振りかえたわけでありますから、渡海理事が言うように、これは借金政策で生じたわけでありますから、かりに景気がよくなって地方の財源がふえても、国は、借金でありますから、おまえ少し税が上がったから、五百八十九億円はかんにんしてくれということは、これは国としてはとれない措置ではないか、立場ではないかと思う。しかし、まあこの公開の席上では大臣なかなか答えにくいようでありますから、その二つの条件なんというものは、ひとつそんなことは考えないで、とにかく確かに借金だ、だからひとつ最大限の努力をしようという決意を固めていただきたいと思うのであります。しかし、これ以上言っても答えにくいだろうから、いずれ理事会等でこの問題をしぼらなければ、交付税の一番かなめであります。この問題がはっきりしない限りは、この交付税なんというのは、法律はできたって、これは地方は金を借りただけで、一向ありがたくない問題であります。そういうことでありますから、大臣、この問題については、この法律がこの委員会を通過するまでにぴしゃっとした腹を固めていただくということが条件だと思いますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
次にお尋ねしたい問題、四百十四億円の特例交付金のうち、二百四十億円というのは、来年度四十二年度においてはたばこ消費税に振りかえる、こういうことでございますから、一応地方団体としては財源が来年度以降保障された、こういうことが言えると思うのであります。ところが、残りの百七十四億円については何らの保障もないのですね。来年は切って落とすのでしょうか、これは何とか考えるおつもりなんでしょうか、大臣にお尋ねしたい。大蔵省もこれについて何かあったらお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/56
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057・永山忠則
○永山国務大臣 百七十四億円の関係は、やはり来年の財政状態を見た上でやらなければならぬ問題でございます。本年のような窮屈な情勢でございますなら、またより以上な考えを及ぼさなければならぬ状態が来るかもしれません。政府の財政計画と相まちまして、いずれにいたしましても、御憂慮をいただいておりますように、地方財政が安定する方向で、積極的に前向きで措置をするように考えたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/57
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058・佐藤吉男
○佐藤説明員 この百七十四億円は、たてまえは四十一年度限りの措置でございます。これは百七十四億円というものが恒久的な姿で表現されたもではないので、そういうことになるわけでございます。しからば四十二年度にこの種のものがどういうふうになるかということは、その事態に即してそのときに検討することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/58
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059・細谷治嘉
○細谷委員 四百十四億円という数字はどうして出たんですか。二百四十億円の第一種特例交付金、百七十四億円の第二種特例交付金、四百十四億円と出た経過というのは主計官御存じのとおりですよ。いろいろ詰めていって、これだけ足らぬ、そのうち一千億円は、これはつかみですよ。一千億円は自主財源的なもので見よう、一千二百億円は特例債だ。その一千億円の自主財源的なもので、交付税が二・五%上がったから、五百幾ら一千億円から差し引いて四百十四億円と出たんでしょう。そういう経過でしょう。そういう経過をたどっておって、その二百四十億円は金科玉条です、来年は保障いたします、残りの百七十四億円は経済状態を見た上で、地方財政の実情を見た上でという。二百四十億円というのは何から出たか、住民税の減税を補てんするという意味において、府県と市町村に減税分に案分したんでしょう。減税分は幾らかといいますと、二百四十億円じゃないですよ、三百億円あるのですよ。なぜ三百億円にしなかったのですか。減税分をそっくりそのまま三百億円にして、差し引き百七十四億じゃなくて、五十億円ばかり引いて百二十四億円というのを第二種にしたほうがよかったですね。減税分が三百億あるのですから、二百四十億円にしたのはおかしいですよ。そもそも第一種と第二種ときちんとこの段階では区別されておりますけれども、もともと理屈のない形で二百四十億と、百七十四億に分けたのでしょう。これはそういう経過からいっても理屈がないのだから、つかみでやっているのだから、保障すべきじゃないかと思う。重ねてひとつ大蔵省主計官、財政局長の考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/59
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060・佐藤吉男
○佐藤説明員 ただいまのお話の二百四十億円は、その数字の経緯を申し上げますと、政府の税調で住民税の減税に対応して二百三十二億円分、所得税をさらに減税いたしまして、その二百三十三億円分を住民税の税率引き上げによる増収に充てる、こういう案があったわけでございます。その二百三十二億円分が最終的には実現に至りませんで、その部分について考慮をすべきである、こういうことになりまして、その二百三十二億円をまるめて二百四十億円にしたものでございます。
それから全体につきましては御指摘のとおりでございまして、千億円というものが、あるいは合計して二千二百億円というものが政府が増減税以外に措置するものであるということに四十一年度はなったわけでございます。四十二年度に同じくこれがどういうふうに政府において地方財政上措置しなければならないかということは、その総額なり、その内訳なりは、経済の推移と来年の需要とあわせて四十二年度予算編成のときにきまってまいると思うわけでございます。そのときに、はたしてこの百七十四億円のような傾向のものが再びあるかどうか、そういうことについては目下のところ何とも申し上げられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/60
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061・柴田護
○柴田(護)政府委員 臨時特例交付金の内訳の計算についての経緯は御指摘のとおり、先ほどもちょっと申し上げましたように、千億円というものがまずきまって、それから交付税率を幾らにするかというものがきまって、そして残ったものが特例交付金、大蔵省から出してもらいましたときの計算は別にあるわけでございますから、最終的なきまり方はそういうことでございます。そのうちで二百四十億円というものは再び、たばこ消費税という形で要求しておったものが臨時特例交付金の中にもぐり込んだ。それを、ことしはすべて不安定な状態でありますので、第一種という形にした。そのときから数字はもう二百四十億円でありまして、三百億円じゃないわけであります。それで残ったものが第二種特例交付金という形でもって据え置かれたわけであります。この百七十四億が来年同じ状態で続くのか、あるいはふくれるのか、振りかわるのかということでありますけれども、私どもはごく率直に事務的に御答弁を申し上げますると、これは来年の時点でもってものを考えるのだ、こういうことになるわけですけれども、私どもの気持ちを含めて申し上げますると、やはりこれだけの一般財源で支弁さるべき歳出はあるわけでございます。その限りにおいて、これは地方に与えられた一つの財源だ、恒久的な経常財源だという考え方をとっております。これが将来どうなるかということは、これ以上減れば歳出が減らなければならぬ。歳出が減ります限りにおきましては、この部分は将来とも臨時特例交付金の形をとりまするか、ほかの形をとりまするか、それは別といたしまして、やはり経常財源として存置すべきものだ、こう思うわけです。希望といたしましては、こんなもので、妙な形でもって長いこと面持っていきたくないものでございまして、ちゃんとしたまともな形でいきたい、でき得べくんば独立税に切りかえたい、こういう気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/61
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062・細谷治嘉
○細谷委員 ちょうど十二時半が過ぎたということが一つ。それから、これは根本的な問題でございますから、いま私が質問してまいりました問題、いわゆる六百万円の問題、百七十四億円の問題、これは具体的にはっきりしませんと、さらにこれ以上質問しても意味がない。二つの理由で質問を保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/62
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063・大石八治
○大石(八)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02319660405/63
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