1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十五日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 和爾俊二郎君
理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
周東 英雄君 田村 良平君
中馬 辰猪君 登坂重次郎君
藤田 義光君 山崎 巖君
門司 亮君
出席政府委員
内閣審議官
(内閣官房内閣
審議室長) 高柳 忠夫君
総理府技官
(近畿圏整備本
部次長) 上田 稔君
総理府事務官
(首都圏整備委
員会事務局長) 鮎川 幸雄君
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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四月十四日
委員田村良平君辞任につき、その補欠として地
崎宇三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員地崎宇三郎君辞任につき、その補欠として
田村良平君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員吉田賢一君辞任につき、その補欠として山
下榮二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山下榮二君辞任につき、その補欠として吉
田賢一君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十四日
地方公営企業の確立に関する請願外一件(大出
俊君紹介)(第二九九一号)
同外一件(大出俊君紹介)(第三一〇三号)
同外八件(矢尾喜三郎君紹介)(第三一〇四
号)
地方財政の強化に関する請願(星島二郎君紹
介)(第二九九二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のた
めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内
閣提出第一三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。
この際、近郊整備計画等及び都市開発整備計画等について関係当局から説明を求めます。鮎川首都圏整備委員会事務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/1
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002・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案におきまして、この第二条で、近郊整備地帯整備計画また都市開発区域整備計画という定義がなされておりますが、この整備計画について概略御説明申し上げます。
その前に、首都圏の計画の前提となっております考え方について簡単に御説明申し上げますが、首都圏整備委員会は昭和三十一年に発足いたしまして、三十三年に基本計画を策定いたしたわけでございます。基本計画におきましては、人口及び産業の基本になることを定めておるわけでございます。さらにそれに続きまして、首都圏の全域にわたる重要な連絡幹線道路網の整備であります。それから既成市街地の整備計画、こういう計画をつくっておるわけでございます。さらに、このような計画とともに法律上の手段といたしまして、既成市街地につきましては首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律というものを制定されておりまして、これによって首都圏の既成市街地における工場等の制限をいたしておるわけでございます。また、首都圏市街地開発区域整備法が設けられまして、この法律によりまして、首都圏における人口、産業の適正な配置をはかるための市街地開発区域の整備を行なってきておるわけでございます。
そこで、このような法制上の手段、計画に基づいて、それぞれの計画がつくられておるわけでございますが、ただいま上程になっております首都圏及び近畿圏の財政援助の対象になります近郊整備地帯整備計画、それから都市開発区域整備計画は、その一環の中の一つでございまして、まず近郊整備地帯の整備計画について申し上げますと、首都圏の計画は、基本計画それから各地域別の整備計画及び事業計画の三つに分かれておるわけでございますが、この整備計画は、各地域の整備計画に当たるわけでございます。この地域の整備計画は、近郊整備地帯とそれから都市開発区域の両者についてつくられることになっておるわけでございまして、この整備計画がこの法律の対象になってくるわけでございます。
まず、近郊整備地帯の整備計画でございますが、実は昨年、首都圏整備法の一部改正が行なわれまして、従来の近郊地帯、いわゆるグリーンベルトと申しておりますが、近郊地帯という制度が、この六月からなくなることになりまして、新たに首都を中心として五十キロ圏の区域に近郊整備地帯という地域を制定することになっておるわけでございます。ただいまこの地域につきましては、法律の趣旨に従いまして、この地域を指定するよう準備をいたしておるわけでございますが、この一、二カ月中に指定を終わる考えでございます。その指定を終わりまして、今後その中の整備の内容を定めていくことにいたしておるわけでございます。この計画につきましては、今後この法律におきましては、近郊整備地帯において計画的に市街地を整備する、またあわせて緑地を保全するということになっておりますが、この趣旨に沿いまして、この近郊地帯の整備の計画は今後定めていくことにいたしておるわけでございます。
ただ、当面、暫定的な措置といたしましては、後ほど申し上げます都市開発区域の整備計画とあわせまして、この中に現在七地域の都市開発区域がございますが、この七地域の都市開発区域につきましての計画を、暫定的に近郊地帯の整備計画にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
次に、都市開発区域の整備計画でございますが、都市開発区域の整備計画は、現在首都圏が発足いたしましてから、十八地区の地域について整備計画が定められておるわけでございます。この地域の整備の基本的な考え方は、人口、産業を首都圏において適正に配置するという考え方に立っておるわけでございまして、集中する人口、産業の中で、特に工業等を一方においては制限いたしておりますので、この制限された工場を適地に分散させ、また、集中する人口を周辺の地域においてこれを受けとめる、こういうような考え方に立っておるわけでございますが、このような考え方に立ちまして、現在十八地域の市街地開発区域が指定され、それについて、それぞれ整備計画がつくられておるわけでございます。
この整備計画の内容でございますが、それぞれの地域を指定いたしまして、その地域につきまして、宅地、道路、公共空地、上水道、工業用水道、下水道、清掃施設、河川、公共住宅、義務教育施設等につきまして、それぞれの地区において計画を策定いたしまして、それぞれの計画は四年ないし六年の計画でございますが、それぞれの地区ごとに計画を策定いたしまして、事業を進めておるというのが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/2
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003・岡崎英城
○岡崎委員長 上田近畿圏整備本部次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/3
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004・上田稔
○上田(稔)政府委員 それでは、近畿圏整備本部ができましてから、どういうふうにいままで整備をやってきておるかということについて、御説明を申し上げたいと思います。
近畿圏におきましては、昭和三十年以降、非常に人口が集中をして、また、終戦後日本の国が農業立国から工業立国に変わって、そうしてこの京阪神間の工業地帯というものが大いにその役を果たして、工業が隆盛になってきた、そういうことによって、工場も非常に集中し、また、改善されてきたわけでございます。そういうようなことによって、日本の工業化というものが、首都圏とあわせて、四大工業地帯といったほうがいいかもしれませんが、そういうものが活躍をして、そうして工業化を助け、一億の人口を養っていくことになっておるわけでございます。しかしながら、その反面、既成都市周辺というものは非常に人口が多くなり、また、工場が集積し、また、それが放置されたような状態でふえてきておるものでございますから、非常な過密の弊害というものが生じてきておるわけでございます。この過密の弊害のために、公害が非常に大きくなってまいりまして、そうして通勤の時間には非常なラッシュになり、また、昼間においても暗くなる、昼なお暗いという、つまり夕立のときあるいはもっとひどいような状態になって、電灯をつけなくちゃいけない、電灯をつけなければ何も見えないというような状態になることが多うございます。また、その排気ガスといいますか、あるいは工場から出るガスとか、そういうものによりまして非常に空気が汚染されて、健康上も悪いというような状態になりつつある、また、河川も非常に汚濁をされてきておる、その悪臭のために非常に悩んでおるというような状態になったものでございますので、昭和三十八年七月に近畿圏整備法を制定していただきまして、そうして近畿圏の秩序ある発展をなさしめたい、こういうところからスタートをしたわけでございます。
それで、この近畿圏というのは一体どの範囲かといいますと、大阪、京都二府を含めまして、福井県、滋賀県、奈良県、三重県、和歌山県、兵庫県と、この二府六県にまたがる区域を近畿圏といたしまして、そうして整備をしていただくことになったわけでございます。
この整備の方法でございますが、人口が非常に集中し、先ほど申しましたような弊害が起こっておる地域、過密地域、そういったような地域を既成都市区域といたしまして、その周辺に、過密地域からさらに産業あるいは人口が非常に伸びてきておって、現在スプロール状態にあるような地域を含めまして、その既成都市から大体半径五十キロ圏内くらいのところを近郊整備地帯として指定をいたし、そうしてそのまた周辺であって、既成都市と密接な関係を持たすことができたならば、そこに工業も定着さすことができるであろうようなところ、あるいは人口を収容できるようなところを都市開発区域といたしまして、そうしてそれを指定して、既成都市に集まろうとする——結局公害があっても、非常に利点があるから集まってくるのであって、その利点は生かして、その既成都市の周辺に整備された、せいせいたる生活のできるような基地をつくるということを考えておるわけでございます。
それで、近畿圏の中に、いま申し上げましたそういう既成都市区域、その外周に近郊都市区域、そのまた外側に都市開発区域、それからそのほかに、近畿圏は特に文化財が非常にたくさんございますので、その文化財の周辺をこめまして、文化財の保存と、それから既成都市の周辺の緑地というものの保全、それからまた近畿圏には非常に観光的にいいところがございますので、そういうところを観光の保全開発というようなことをこめて、保全区域というものを考えまして、そういう四つの区域の指定を、昨年の五月にやっていただいたわけでございます。
それからまた、その近郊地域並びに都市開発地域に対しまして建設計画を作成することにつきまして、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律を昨年の五月にきめていただいたわけでございます。
それからまた、既成都市におきます産業及び人口の過度の集中を防止するために、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律、これを昨年の七月に制定をしていただきまして、現在既成都市区域の中には、工場並びに工場等の新増設の制限をさしていただいております。
こういうふうな状態で現在進んでおるわけでございまして、ただいま近郊整備区域並びに都市開発区域について、その建設計画をまとめようとしております。これができ上がりますのが、大体六月ごろを目標にいたしております。首都圏と違いまして、近畿圏におきましては、そういう建設計画を府県が、一応地元の公共団体が案をつくってまいりまして、それを私どものほうで調整をいたしまして、そうして各省にもはかって調整をいたし、そうしてきめていただく、こういうことになるわけでございます。大体府県から案を出してもらいまして、現在調整を行なっておる段階でございます。こういうふうにして建設計画を立てるわけでございます。
そのほか保存区域につきまして、これの整備のために、現在いろいろと検討いたしております。
また既成都市の区域の整備及び再開発につきまして、資料がございませんので、まず調査をいたしまして、再開発に関する計画を考えたい、こういうふうに考えております。
また、万国博覧会がこの近畿圏において行なわれますので、それの開催に伴っての関連の公共施設というものについても、近畿圏の計画とあわせていきたいということから、現在検討をいたしております。
いろいろ建設計画を立てる上におきまして調べてまいりますと、近畿圏の近郊並びに都市開発区域の市町村というものは必ずしも財政的に豊かでございませんので、建設計画がなかなか思うようにできないような、あるいはできてもなかなか実行ができないというおそれもございますので、ひとつ何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/4
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005・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/5
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006・岡崎英城
○岡崎委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/6
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007・細谷治嘉
○細谷委員 質問というほどではないのですけれども、資料等に関連してお尋ねいたしたいと思うのです。
まず首都圏整備について、ただいま簡単な御説明と、せんだって四十一年の一月にできました「首都圏整備の概要」というパンフレットでありますが、このパンフレットによりますと、大体首都圏整備というものは三千七十七億円程度の市街地開発区域整備計画事業費となっておるわけでありますが、このパンフレットの三ページに、「現在、改定のための作業が続けられている。」こういうふうに書いてございます。この関係はどうなっておるのか。したがって、いま申し上げました三千七十七億円程度の計画というものは変わってくるものかどうか。この辺をお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/7
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008・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいまお尋ねの点は、二点あるわけでございますが、まず三千七十七億円の計画は、どういう点からなっておるかということから簡単に御説明申し上げます。
三千七十七億円の額は、先ほど御説明申し上げました十八地域の市街地開発、今後は都市開発区域というふうに改められるようになっておりますが、この地域におきまして、先ほど申し上げました宅地、道路、その他の各種事業を行ないますためのそれぞれの地域における計画、これは若干期限等も違っておるものもございますが、それらの地域における整備計画に基づく事業費の総額でございます。
ただ、この十八地域は、実は七地域と十一地域に分かれまして、七地域は近郊整備地帯の中に入ってくることになるわけでございます。残りの十一地域が近郊整備地帯以外の区域になってくるわけでございますが、この三千七十七億円は、従来からやっている仕事でもございますので、そういう計画の改定いかんにもかかわりませず、当面はそれぞれ都市開発区域の整備、また近郊整備地帯の整備計画として、今後この財政援助措置の対象にしていただきたいというふうに考えておるわけでございまして、この数字は、したがいまして変わることはないと考えておるわけでございます。
それから二番目に、どういうふうに計画改定のための作業が進められておるかということでございますが、この点について御説明申し上げますが、現在の基本計画は昭和三十三年に制定されておりまして、その後若干、一部修正がございましたが、今日に至っておるわけでございます。現在の基本計画におきます一番主要な問題は、まず人口想定でございますが、現行計画におきます首都圏の人口は、昭和五十年に二千八百二十万というふうに想定いたしておるわけでございます。ところが、昭和四十年度の国勢調査等を見ますと、もうすでに昭和四十年に首都圏の人口は二千七百万人に達しておったわけでございまして、当時に想定しました昭和五十年の人口想定は、もう数年をたたずして、この数字を改定せざるを得ないという状況になっておるというわけでございます。そのほか、先ほどもちょっと触れましたけれども、従来首都圏の基本計画、いわゆる土地利用の基本的な考え方といたしまして、既成市街地、それから近郊地帯、それから都市市街地開発区域というふうな、土地の利用区分に基づいて仕事を進めておるわけでございますが、近郊地帯、いわゆるグリーンベルトという制度を改めて、近郊整備地帯という指定をいたすということになりますと、従来の地域区分に非常な変革がくるわけでございます。したがいまして、そのような昨年の法律改正に伴いまして、従来の基本計画で考えておりました土地利用と申しますか、基本的な首都圏の整備の基本となる地域区分が変わってまいります。したがいまして、そういう点からも基本計画を改定せざるを得ないという点にまいっておるわけでございます。
なお、そのほか約十年にわたります社会経済情勢の変転等がございまして、また各種公共事業が相当進んでまいっております。たとえば中央道、東名道その他の高速道路も、あるいは東海道新幹線というような、各種の公共事業がだいぶ進んでまいりまして、従来の基本計画に考えておりました事態と、いろいろな点で検討しなければならないという点がただいま出てまいっておるわけでございます。そこで、いま委員会といたしましては、人口想定の問題、その他地域区分の問題、公共施設の整備等の問題、その他それぞれのいろいろな問題に当面いたしておりますので、実は昨年の暮れから、首都圏整備審議会という諮問機関がございますが、その審議会を中心として、今後どういうふうにこの計画を改定すべきかという点の検討をただいま進めておるという状況でございます。しかしこの計画は基本的な計画でございまして、当面の事業の対象としましては、先ほど申し上げました数字を、計画を基礎として進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/8
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009・細谷治嘉
○細谷委員 三千七十七億円というのは、いわゆる市街地開発区域というのでありますが、近郊整備地帯と都市開発区域に分かれているわけでありますが、それでは既成市街地のほうの計画はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/9
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010・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 この法律の対象になっております地域は、近郊整備地帯、それから都市開発区域、こういうことになっておりまして、残されている部分は既成市街地と、それからもう一つはそれ以外の白地の区域と通称言っておりますが、そういう底域が残されております。既成市街地につきましては、まず第一に既成市街地の基本的な考え方といたしましては、工場、学校等、人口集中の原因となる主要なものについては、これを制限をいたすということでございまして、まず集中を抑制するということを基本的に考えておるわけであります。ただその既成市街地の整備につきましては、従来から、これはもう数年、いわゆる首都圏の発足以前の前々からも既成市街地については計画がつくられておるわけでありまして、既成市街地につきましても、道路、宅地、公共住宅、建築物の商層化、公共空地、上水道、下水道、その他各種の事項につきまして、大体十カ年ぐらいにわたる計画をつくって、それぞれの計画に基づいて各省関係、また各公共団体関係が仕事を進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/10
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011・細谷治嘉
○細谷委員 これでは詳しくわかりませんけれども、人口の移動等も計画されているのでしょう。これはいずれ詳しく御質問しなければならぬのでありますが、人口約六十五万人ぐらいを全国にばらまくというのでしょう。たとえば、全国的な地域開発の推進によって首都圏外において措置されることを期待するというのですから、六十五万人というのはとにかく首都圏外に出すわけですね。そうしますと、この首都圏外に出す全国的な地域開発の推進というのは一体何なのか、それから既成市街地について私がいま質問したことについてはどういう計画があるのか、具体的にわからないですね。いまのおことばですと、いろいろ計画はあるようでありますけれども、具体的にはどうもわからない。ですから、近郊整備地帯と都市開発区域と、こういうものがあるわけでありますけれども、そのもとである、一番問題である、いわゆる既成市街地、東京都の区部、あるいは川崎とか横浜とか、あるいは三鷹、武蔵野、川口、こういうようなところの一部、そういうものが一体どうなるのか。六十五万はき出されるのが一体どうなるのか。この辺の関係がちょっとわからないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/11
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012・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 まず六十五万人の問題から申し上げますと、現在首都圏の基本計画の人口想定におきましては、先ほど申し上げましたように、昭和五十年で二千八百二十万人というものを想定いたしておるわけであります。ただ、その当時、計画されたときの考えにおきましては、実は二千八百二十万人は、その六十五万人を加えました二千八百八十五万人が一応想定されたわけであります。しかしこの中の六十五万人につきましては、全国の均衡ある発展を企図いたします全国総合開発計画その他の施策によりまして、御承知のように新産都市の整備等の事業が行なわれておるわけでありますが、したがいまして、そういう全国の均衡ある発展をはかるための施策の推進等を期待いたしまして、これらの首都圏外の地域において六十五人という人口は一応吸収されるのではないか、こういうような考えに立っておるわけであります。
次に既成市街地の整備の問題でございますが、既成市街地も確かに御指摘のように非常に大事なことでございまして、この整備はいろいろな面で急がなければならない点が多々あるわけであります。この地域につきましては、先ほど申しましたように、一応工場、学校等を制限するほか、従来それぞれの事項についてそれぞれの機関が整備計画及び各省の計画等に基づいて仕事を進めておるわけでございますが、当面この法律におきましては、特に人口が急増する近郊整備の地域の問題と、それから首都圏の整備に重要な関係があります周辺地域の都市開発区域の整備というものを一応対象として、この財政援助措置をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/12
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013・細谷治嘉
○細谷委員 先ほどお話がありましたが、四十年度の国勢調査によりますと、この首都圏にすでに二千七百万、昭和三十年には、これによりますと二千十九万人であったのですね。三十五年には二千二百五十七万人ですね。そうしますと、三十五年から四十年の五カ年間におよそ五百万人ふえているわけですね。この計画では四十年では幾らになるつもりであったのですか。二千八百八十五万というのは、六十五万引いて、計画が二千八百二十万にするわけでありますが、あと百八十万人しか余裕がないのですよ。五年間に五百万ふえているわけですね。そのとき、四十年というのは一体どのくらいと想定されておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/13
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014・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 現在の人口想定の基礎となっておりますのは、人口問題研究所の数字が基礎になっているわけでございますが、まず、御指摘のように、昭和三十年の人口をもととし、それを基礎にして昭和五十年における人口想定をいろいろな、人口問題研究所の想定、試算等を用いてつくってあるところの一つのグラフのようなものを出してあるわけでありまして、それに該当する昭和四十年度がその際にどういう考えであったかということは、実はいま直ちにお答えできかねるわけであります。と申しますのは、昭和五十年だけがどうなるかという十カ年だけのいろんな全般的な想定をいたしまして、したがってそれは昭和四十年度あるいは各年度別の人口がどうなるかという算定ではなくして、五十年を目途とした計算が行なわれておるわけであります。カーブを出せば出てくるわけでございますが、御指摘のように昭和四十年は、今度の国勢調査ではすでに二千六百九十六万ぐらいになっておりまして、なおこの二千六百九十六万は多少訂正と申しますか、御説明を申し上げなければならないわけでありますが、首都圏の区域はほぼ一部七県でありますが、大体この中の人たちを中心とする百キロ圏でございまして、県の行政区域を全部集めて申し上げました場合と若干の数字が違いますが、ほぼそういう数字になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/14
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015・細谷治嘉
○細谷委員 聞けば聞くほどわからなくなってしまうわけですけれども、大体三十年から三十五年で二百四十万程度人口がふえているわけですね。そうしますと、そのままの推移でいきますと、四十年は二千六百万くらいになると思われるわけでありますが、およそ二千八百万ですから、それが二百万よけいにふえているわけです。おそらくそうでしょう。カーブはそういうことでしょう、連続しているのでしょうからね。一定の傾向を持っているわけです。そうしますと、二千八百八十五万、いまちょうど昭和四十一年なんですよ。過去のものは、昭和三十何年かに法律ができたわけですけれども、十年経て四十年くらいからようやくものになりかけておるわけですけれども、前提がてんで狂ってきておるのじゃないですか。二千六百万くらいだと推定されたと思うのでありますが、それがもう二千八百万になっておる。六十五万を全国のとにかく都市にばらまこう、新産都とか工特地域とかありますから、ばらまこうといったら、六十万なんという問題じゃないのですよ。昭和四十年というスタートにおいて二百万の狂いがきているのですから、先ほどあなたのおっしゃった三千七十七億というのは変わらないのだ、こう言いますけれども、根底が狂ってしまっているのですから、この計画というのは当てにならぬじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/15
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016・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいま御指摘がございましたように、現行計画におきます昭和五十年の数字というものは、国勢調査の数字等と比較いたしますと、だいぶかけ離れてきておりまして、修正をせざるを得ないという状況にあることは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、また私どもも先ほど申し上げましたように、昨年の秋以来人口想定をいたします場合には、これに対する産業動向、産業の持つ人口集中力、その他いろいろな要素を考えなければならないわけでございまして、いろいろな面を勘案いたしまして現在の計画の人口想定及び将来の見通しについては鋭意検討を進めておるのが現状でございます。しかし、かりに人口がふえましても、三千七十七億という数字は、従来からやっている既定計画でございまして、ふえましたからといって、これを拡大するというようなこともございませんし、これを土台としてそれぞれの地域の実情等によって若干変化し、修正を要する点は出てまいるかと思いますけれども、この基本的な数字はそう変るというふうには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/16
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017・細谷治嘉
○細谷委員 私どもがいただきました「首都圏整備の概要」というのは、人口の面からこれをとらえてみますと、とにかく昭和五十年には首都圏外に六十五万の人口を移動させよう、それから三百二十万人の人たちを、既成市街地から工業衛星都市、いってみますと都市開発区域に移動させよう、六十五万と三百二十万でありますから三百八十五万の人口移動をもとにしてやっておるわけです。スタートにおいて二百万狂っているんですよ。これはもう多少の変更どころじゃないと私は思うのです。計画は根本的に変わってきている。しかも、現にそういうところに人口が疎開する、分散するという傾向にあるんじゃなくて、残念ながら人口集中の傾向というのはいよいよその速度を早めておるわけです。そうでしょう。一九八〇年ぐらいになりますと、日本の人口が一億二千万ぐらいになって、そのうちの八割というのは太平洋ベルト地帯に集中するだろうというのが現在からながめた人口分布なんですね。疎開するどころじゃないですよ。人口分布がそういう新しく開発された衛星都市に移っていくとかなんとかいう問題じゃなくて、あなた方の意図とは逆に、集中しているのです。この計画はそれでは困るというので、六十五万と三百二十万というものを疎開させよう、そのための住宅だとか、そのための環境衛生整備の問題だとかいう形で三千七十七億という計画が出てきたのでありますから、もうすでに二百万の狂いが生じておるのですから、この計画は多少の変更どころじゃなくて、根本的に改めなければならぬのじゃないか。そこで私は冒頭質問しましたように、この三ページに書いてありますように「基本計画の決定後においても依然として人口及び産業の集中が激化していることに対して、その適切な評価を行なう必要があること、また、昭和四十年の法改正により首都圏における地域構造等に大幅な変更があったこと等の理由によりこれを根本的に改訂する必要が生じたため、現在、改訂のための作業が続けられている。」と正直に書いてある。あなたのことばはそうではない、そう変わらないと言う。これには正直にこう書いてあるわけです。ですから私どもは三千七十七億ということではなくて、昭和四十年の人口というのは国勢調査ではっきり出てきているわけですから、それに基づいて根本的な計画のやりかえをしなければ、これなどはもう空文化した数字だと私は思うのです。その辺をはっきりしていただきませんと、これに基づいて今度法律が提案されておるのですから、審議に入りようがない。その点を明らかにしたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/17
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018・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 まず最初に六十五万人の問題についてもう一度申し上げますが、六十五万人の数字は、首都圏において一度これが吸収されてまた首都圏外という意味ではなくして、全国的な立場からの国の施策が行なわれなければ六十五万人程度はこちらに入ってくるだろう、しかしながら新産都市あるいは工業整備特別地域の制度等、それぞれの各地域の全国的な立場からする施策が進展をしていけば、こういう数字は、首都圏以外の地域において、首都圏に入ってこられるものが一応食いとめられるのではないだろうかというのが現行の考えです。
それから三百二十万人の点について若干御説明申し上げますが、三百二十万人という数字は、この首都圏におきます既成市街地の人口を、現在基本計画において適正な収容人口として千二百二十五万人を想定いたしておるわけでございますが、千二百二十五万人がこのまま放置されれば千五百数十万人になる。したがってその中の三百二十万人を先ほど申しました都市開発区域においてできるだけ、分散というだけではなくして、集中を抑制する、それぞれの周辺の地域の都市を整備することによって既成都市街地、首都そのものに直接に入らなくて、地域における都市の発展によってそれぞれの人口が定着されるであろう、こういういろいろな点を勘案いたしまして、三百二十万人という数字が考えられておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、これは現行の基本計画の考え方でございますけれども、この最近五カ年における東京、特に南関東におきます人口の集中度合いは非常に激しいものがあるわけでございまして、毎年六十万人前後が首都圏の特に南の部分に集中しておるというのが現状でございます。このような非常な激しい人口、産業の集中に対しましては、今後どういうふうな角度でこれを考えていくかということは当面の大きな問題でございますので、先ほど申し上げましたように、基本計画そのもの自体におきましてこれを検討いたしまして、それらに対する対策を講ずるというふうに考えておるわけでございます。たびたび申し上げますように、そういうことによって人口の想定がかりに変わりましても、既定の計画を大きく変更するということではなく、たとえて申しますと、市街地開発区域、都市開発区域をもっと大規模な角度で整備をする。たとえば従来やっております地域のほかの地域をさらに増加するなり、あるいはもっと大規模な広域的な連合的な都市を整備するなり、そういうような検討も行なわなければならないと思いますし、近郊整備地帯におきましても従来の考え方の、いわゆるグリーンベルトという地域でだいぶ計画的な開発ができなかった面もございますけれども、そういういわゆる近郊整備地帯というものをさらにもっと現状に即して計画的に整備をするということも今後考えていかなければならない大きな課題であるわけでありますが、この前提となります基本計画自体は現在検討をいたしておる段階でありまして、この計画の基本ができますと、そういう従来の計画に合わせまして、そういうものをさらに今後追加して整備していきたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして従来の計画自体が、もちろん増大という意味の変更はあるかと考えられますが、いままでやっておりますことを基本的に変えなければならぬというふうには考えてないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/18
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019・細谷治嘉
○細谷委員 だんだんわからなくなってきたのですが、いまのおことばをもう一ぺん私から理解したところを申し上げますと、首都圏整備ということでこの近郊整備なり都市開発に三千七十七億円程度の計画を持っておるんだ、これはこれとしてやるんだ、このほかに既成市街地の整備もやらなければいけないんだ、それではとても埋まらないんだから、近郊整備地帯と都市開発区域というのはできたのですから、首都圏というそういう整備法一本でやらないで、また別の整備法をつくっておやりになるということですね。そういうお話のようでしたが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/19
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020・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 今後のこの整備の方向につきましては、先ほど申し上げましたようないろいろな角度から人口想定あるいは産業の動向その他各地域の現況等を十分考慮して、学識経験者、専門家等にお願いいたしましてただいま検討いたしているわけでございまして、そういう基本的な方向が出てまいりまして、これに対する法制上、財政上の措置をさらに従来の制度のほかにやらなければならないという結論に達しましたならば、当然このほかの——このほかと申しますと、ただいまの財政援助措置のほかに従来いろいろな制度によって、首都圏整備がたくさんの法律によって行なわれているわけでございますが、そういうほかにさらにこういう制度が考えられることは一応予想されますが、ただいまのところまだ具体的な案まではつくっていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/20
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021・細谷治嘉
○細谷委員 そうしますと、この三ページに書いてあります、現在改訂のための作業が進められているということは、場合によってはこの首都圏整備法によらないこともあり得るものも含めて検討しているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/21
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022・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 首都圏整備法が基本法でございますので、基本法のこの目的、考え方以上のことは、もちろんそういうことは考えられないわけでございますが、首都圏整備法の第一条に「首都圏の整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設とその秩序ある発展を図る」こういう目的が規定されているわけでございますが、この目的に沿う手段等はいろいろと考えられることはあるわけでございますので、そういう点については、この目的に沿うような法制上、財政上の措置は今後とも検討していかなければならないというふうには考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/22
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023・細谷治嘉
○細谷委員 いまあなたがお読みになった第一条に、首都圏を整備するんだ、そのための総合計画をつくるんだ。現実に人口は変わってきたのでしょう。これは三十一年に法律ができたのですね。もう十年経過しているのですよ。いま四十一年ですよ。そのとき想定したものは、前提条件ががらり変わってきている。なぜ抜本的にやり直して、首都圏といえばかくあるべきだというビジョン、青写真を描いて、それに基づいてこういう計画をやっていくんだということにやらなければいかぬでしょう。いや、いままでつくったのはそれでいいんだ、また必要があれば別の法律なり別の計画を立てればいいんだ、それでは総合的なものはできないでしょう。それはどうして一条のいまの目的に基づくような計画をつくらないのか、おかしいですよ。わからない。ひとつも総合的じゃないです。それは部分的じゃないですか。その部分的は薬になるか毒になるかわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/23
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024・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいまここで御審議いただいております法案は、近郊整備地帯及び都市開発区域における財政援助についての措置でございまして、これも首都圏整備における重要な内容を含みます財政上の特別措置でございます。こういう措置をやっていただくことによって、必ずしも十分でなかった従来の計画等に基づいて進めております都市開発区域における整備の問題、あるいは近郊整備地帯の整備等の問題が、このような措置によって格段と進展されるということを私どもは期待しているわけでございますが、そのほかに、いま御指摘のように、人口等の非常な増大に対して今後どう対処すべきかについては、いろいろな角度から十分検討して、これに対する従来の措置のほかに、今後いろいろ考えなければならない点があるわけでございますが、これについては、先ほど申し上げましたように、審議会等において検討中でございまして、この検討の結果を経て、これが今後やるべき施策等については、十分内容を固めていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/24
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025・細谷治嘉
○細谷委員 ここは地方議会じゃないんですよ。首都圏だけの問題を議論しているところじゃないですよ。国会なんです。国全体の中において首都圏というのはどういう地位にあるのか、国全体の中において首都圏というのはどういうふうにつくっていくのか、その首都圏の中における近郊整備というものはどういうふうに進めていくかというような関連がわからなければ、いや、この法律は首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の法律をつくろうとしているんだから、そんなことは知らぬでもいいじゃないか、そんな関連は何も議論の対象じゃないじゃないか、法律以外の問題になる、そういうことは言えませんよ。そういう連関の中において、この部分は全体の一環としてこういうことを進めていくんだということがはっきりしなければ、この法律は審議ができませんよ。いまあなたの話を聞くと、出たとこ勝負だ、これからまた計画をプラスしていくんだ、プラスするのは別の法律になるかもしれぬ、別の計画になるかもしれぬ、こういうことです。そんなばかなことはありませんよ。ここは地方議会じゃないです。おわかりにならないですか、私の言っていること、頭をひねっていますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/25
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026・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 私の説明がたいへん不十分で申しわけない次第でございますが、首都圏整備につきましては、先ほど申し上げましたように、既成市街地の整備、それから近郊整備地帯の整備、それから都市開発区域の整備というのが三つの柱になっていることは御承知のとおりでございますが、この財政援助の措置は、その中の都市開発区域と近郊整備地帯の問題で特に重要な内容を含んでおる問題について財政措置をお願いしているという御説明を申し上げたわけでございまして、もちろん首都圏全体の整備につきましては、この財政援助措置のほかに、従来やっております首都圏の既成市街地における工場、学校等の制限の措置、あるいは既成市街地の再開発等の既成市街地の整備の問題、その他今後の都市開発区域を含める公共的な各種道路網その他の施設の整備、いろいろ各般の事業があるわけでございますが、それらの事業を含めまして、首都圏整備ということは、今後いろいろな措置を講じて進めていかなければならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。ただいまのところは、従来の計画に基づく整備の内容につきまして、必ずしも十分でなかった点をさらにやっていただくというのがこの法律の趣旨になっております。各方面のいろいろな問題について、起こっておる問題はあわせて今後十分検討しながら、従来の足りなかった点の整備をさらに進めていかなければならないというふうに考えておるのがいまの現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/26
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027・細谷治嘉
○細谷委員 もうこれ以上お尋ねしても意味ありませんからお尋ねしませんが、委員長にお願いします。せんだっていただいた資料、三千八十億円という計画の内容はわかりましたが、現在改定のための作業が続けられておるそうでありますから、これはことしの一月にプリントしてあるから、作業は完了していないと思いますけれども、その概数はすでにわかっているのではないかと思います。どういうふうになるのか、その辺の概数でもけっこうでございますから、審議の資料として御提出をいただきたいということが一つでございます。
それからもう一つは、この計画ができたときの推定された条件というのは完全に狂いがきております。人口問題等についても完全に狂いがきておりますから、四十年には国勢調査も行なわれたのでありますから、想定された帰趨と国勢調査に基づいて得られた現実の帰趨、その辺の違いを表示していただいた資料をひとつ御提出いただきたいと思うのです。
それからもう一つ、いま質問を通じてわからないのでありますけれども、何が足らないのか、足らないのはどういう点が問題なのか、その構想がおありでしたら、その資料もひとつ出していただきたい、こう思います。
次に、近畿圏のほうについてお尋ねしたいのでありますが、昨年の五月の十五日に基本整備計画というものが内閣総理大臣から公表されたわけです。これに基づいての各県でつくる計画、それはこの六月にできるというのでありますが、そのあらかたの内容等は、六月といえばあと間もないことでありますから、もうすでにおつかみになっているのではないかと思うのです。あるいは、総理大臣から公表いたしました基本整備計画というのは、詳しく書いてありますけれども、具体的にはあまり書いてない。ただ抽象的に書いてあるだけです。そこで、これに基づいてのいまあなたが大体おつかみになっている計画のトータル、こういうものでもお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/27
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028・上田稔
○上田(稔)政府委員 ただいま御質問の趣旨は、近郊整備区域並びに都市開発区域の建設計画の全体の概要はどういうものであるかという御質問であると思うわけでございます。
これにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、計画中でございますので、はっきりした数字はまだ未確定でございますので申し上げられませんが、府県から出してきております数字は、少し膨大ではなかろうかと思われるのでございますが、大体八兆程度のものが出てきております。これは十カ年でございます。それで、現在この区域内で行なっておりますそれらの事業に見合う事業は、大体二千億程度のものを行なっておるわけでございます。それから推定をして、そして各省の御計画がありますが、そういうものをにらんで、そしてこれを調整していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/28
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029・細谷治嘉
○細谷委員 まことに相済みませんが、各県から出たそのままでもけっこうであります、あなたのほうは少し大き過ぎるのだと言っておりますが、約八兆円、それをひとつ資料として出していただけませんか。現在二千億円ぐらいのペースでやっておるそうですか、二千億で十年間というと二兆円ですが、その四倍ですよ。概数でけっこうでありますから出していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/29
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030・上田稔
○上田(稔)政府委員 ただいまこれはまだ府県のほうでも、何と申しますか、地元のほうとの調整を行なっておる最中でございまして、まだ固まった数字でございませんので、公表をいたしますと、ちょっと困るわけでございますが、できたら、いまのところもう少し検討をさしていただきたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/30
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031・細谷治嘉
○細谷委員 あなたのほうで計画もつかんでおらぬのに、こんな法律をつくられたら迷惑ですよ。そうでしょう。あなたまだ計画を持っておらぬというのです。府県の段階だというのです。計画もないのにこんな法律をつくられて迷惑ですよ、そうじゃないですか。いや、それは先に必要なんだから、こういう法律はあったほうがいいんだ、こういうお考えもおかしな話ですよ。計画もないのに、国会にも出せないような、概数すらも出せないのにこんな法律つくったって、われわれはどうなるかわからぬですよ。これは審議するには必要ですよ。計画もわからぬで、この法律でございます。その一部でございます。審議してくださいと言ったって、山に入っておるのに山の景色を見ないで、あすこに木が一本あるからといってまっすぐ行ったら、どこにぶつかるかわからぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/31
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032・上田稔
○上田(稔)政府委員 ただいま申し上げました数字は、公共事業以外の計画も、基本計画に基づいてのものでございますので、入っておるわけでございます。そういうものも入れましての数字でございますから、その点はお間違いないようにお願いをいたしたいと思います。たとえて申しますと、通信施設であるとか、あるいはまた電鉄会社のほうの軌道の金であるとか、そういったようなものも入っておりますので、その点はお間違いのないようにお願いをしたいと思います。
それから、計画ができておらないではないかというお話がございますが、基本計画というのは、やはりそういうところである程度の積み上げをやっておりますので、そういうことからも、それからいまの計画がまだ固まってないからと言われるわけでございますが、その点においては、確かにいま現在においてきまっておりませんので、確かに申しわけございませんが、とにかくこの近郊整備地帯には、全国から中学校、高等学校を卒業した方々が集まってこられ、またその方々が家庭を持たれて生活をしておられるわけでございます。それで、現状におきましては、非常に申しわけございませんが、スプロールの状態になって、非常に通勤にはお困りになり、道路は自動車であふれておるというのが現状でございます。こういう現状を一日も早く解決をしてあげたいというのが私どもの念願でございまして、そして、それをやろうとして計画を立てる。ところが市町村の財政力あるいは府県、まあ大きい府県もございますが、そういうところはいいとしても、小さな府県ではそれに耐えられないというのが現状でございまして、そういう面において、少しでも早く解決をしていただきたいということで実はお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/32
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033・細谷治嘉
○細谷委員 計画はできていない、八兆円というのは公共事業じゃないのだ——そうでしょう、二千億円程度のペースでやっている、計画はできていません、しかし苦しそうだから、また現実に苦しいんだから、こういう法律でもつくってやればちっとは役に立つだろう、そんなことではいかぬですよ。六月というのですからね。そこまでにあなた方も、いまのおことばのように、そこに住んでいる人が困るということなら、去年内閣総理大臣が五月に公表したのですよ、もう概数ぐらいはつかんでおらねばどうしますか。国が心配していると同時に、市町村だって困っているのですよ。急げば、一年たてば基本計画は、かっちり固まらぬにしても、概数ぐらいはつかめるはずですよ。八兆円の中で公共事業というのは一体どのぐらいなのか、その他分はおよそどのぐらいなのか、二千億円の内容というものはどんなものなのか、そのぐらいの数字はひとつ出してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/33
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034・上田稔
○上田(稔)政府委員 いま公共事業につきまして、あるいはまたそのほかの事業につきましても同様でございますが、その点をいま詰めておるわけでございます。もう少しお待ちいただくと提出できるのですが、いまのところ、トータルで出すということでございますと大体出せるわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/34
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035・細谷治嘉
○細谷委員 トータルでもいいと私は言っているのですよ、概数と言っているのですから。それが出ないと、審議はそれまで待ちましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/35
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036・上田稔
○上田(稔)政府委員 どうもたいへんおきびしいことばをいただきまして、さっそくそれではそういう点につきまして、概要で出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/36
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037・細谷治嘉
○細谷委員 高柳審議室長さん、時間があるそうですから、ちょっとお尋ねしたいのですが、たいへんたよりのない首都圏と近畿圏の現況だということを私も初めて知ったわけですけれども、仄聞するところによりますと、近く中部圏整備という構想が、固まったのか、あるいは伊弉諾、伊弉册尊ぐらいの固まり方か知りませんけれども、近く国会にその法律が出るというようなお話を承っておるのでございますが、その辺はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/37
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038・高柳忠夫
○高柳政府委員 ただいまのお話のような中部圏開発整備法案という法案の準備につきましては、地元の関係県及び市並びに当該地元の出身の国会議員の方々の間で法案の整備が進められておることは伺っております。また、その法案の案なるものもわれわれ事務当局にも示されて、検討をするようにというお話も、ことしの二月になってまいっております。その骨子は、これを議員提案とせずに、できるならば政府提案にしてほしい、したがって政府で十分われわれの案を検討して、その結論を出して、政府提案にお願いしたい、こういう、非公式でございましたが、お話がございましたので、関係省庁との間に、私が主宰いたしまして、数回にわたって事務的な検討をいたしてまいっております。また、自民党、社会党、民社党等のそれぞれの調査会の機関を通じて御審議が進んでいるように伺っております。実は四月の十一日に自民党から内閣官房長官あてに法案を示されまして、これを政府提案にするように至急検討をしてほしいという申し入れがございました。したがいまして、十一日でございますので、正式な話はつい最近でございますが、そういう提案もございましたので、従来の非公式なわれわれの検討の結果と相まちまして、できるだけすみやかに政府としてのこの申し入れに対する態度をきめたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/38
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039・細谷治嘉
○細谷委員 いまのおことばによりますと、議員提案になるのか、政府提案になるのか、まだ確定していないようでありますが、今国会中に出てくるか出ないかということもわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/39
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040・高柳忠夫
○高柳政府委員 できるだけすみやかに政府提案にするかどうかということと、それから今国会に間に合わせて提出するかどうか、この両者あわせて至急検討する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/40
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041・細谷治嘉
○細谷委員 私どもの党の政審全体会議で、その構想の一端をごく最近聞いたわけですけれども、そこまできているとしますと、あなたのほうでも一つの中部圏整備のための青写真というのがおありじゃないかと思うのです。まだ数日前にそれを聞いたということだけで、青写真というところまでいかないかもしれませんけれども、首都圏がある、近畿圏がある、その中間に中部圏というものがあるわけでありますから、言ってみますと新産都市、工特、首都圏、近畿圏あるいは中部圏というようなことになりますと、全国津々浦々、地域開発と名のつかない、法律のかぶさっておらないところはないでしょう。全国かぶさっておらないところはないということは、かぶさっておらないということと同じなんですね。全部法律で何かにひっかかっているということは、逆に言うと何もないと同じことだ、現状はそんなような気がするのです。その辺の中部圏の青写真というようなものはまだ固まっておらないでしょうけれども、そういうものがあるかどうか、あったらひとつ参考に御提出をいただきたいと思うのです。そこまできているのに、首都圏と近畿圏だけに触れて、中部圏はこれはもう別ものだというわけにはいきかねるのじゃないかという気もしますからお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/41
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042・高柳忠夫
○高柳政府委員 御質問のいろいろな開発立法がございます。たまたまいま問題になっております中部圏の開発整備法案の対象地域となっております地域のうち長町県、岐阜県、静岡県、愛知県というのは開発促進法もかぶりませんし、また大都市のただいまお話しのある近畿圏、首都圏の整備の法案もかぶっておらない、いわゆる空白地帯でございます。そのほかに工特とかその他低開発のものが市町村に若干かかっておるところがございますが、近畿圏や首都圏と対比できるような、いわゆる都市整備計画または都市の開発計画というふうな、開発の基本に関するような計画の法的措置というのは、ただいまこの四県にはないわけでございます。また、これが裏を返して言えば、中部圏開発整備法をぜひつくってほしいという大きな動機になっているのじゃないかと私たちは理解しております。したがいまして、いま法案を推進せられておる方々も、この空白地帯並びにすでにあるところと総合して中部圏の開発整備の法的措置を講じてほしい、その法的措置が講ぜられるならば、法律に書かれているようなもろもろの基本計画を政府機関でつくってもらえる、それが首都圏及び近畿圏と均衡のとれた、または中部圏の独自の開発計画とも相まった計画が法律の裏づけでできる、こういうのが強い要望の理由ではないかと思っております。したがいまして、開発計画の青写真というのがあるかというお尋ねでございますが、ただいまのところ、それぞれ各省がそれぞれの法律に基づいての、または予算に基づいての計画は当然あると思いますが、総合されて内閣から御説明申し上げるような基本計画というものはただいまのところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/42
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043・細谷治嘉
○細谷委員 すると、いまは全然何らそのものについては白紙に近いということですね。そうでしょう。白紙なんだから参考にすべきような資料というのは皆無だ、こういうように理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/43
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044・高柳忠夫
○高柳政府委員 その皆無というお尋ねの意味がちょっとわかりかねるのですが、この法律に基づいて、または、近畿圏、首都圏のようなスタイルの開発計画というものがあるかといえば、これはございません。しかし、開発計画がこの中部圏には全然ないかといえば、それはそれぞれの地方団体及びそれぞれの事業を担当している各省の中には当然持っておるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/44
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045・細谷治嘉
○細谷委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/45
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046・岡崎英城
○岡崎委員長 ただいま細谷君から要望のありました各資料は、審議の進行上ぜひ御提出を願いたいと思います。
華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/46
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047・華山親義
○華山委員 この次に私が質問するための材料として、審議を早める意味で、その前に資料を出していただきたい。この次はいつになるかわかりませんが、その日の前にでも資料を出して御説明をしておいていただきたいと思います。その資料と申しますのは、近畿圏、首都圏、中部圏におきまして、水は一体どうなっておるのか、どうするつもりなのか、昭和五十年を考えたときの水の使用量はどういうふうな状態になるのか、そういう問題について資料を出していただきたい。水と申しましても、これはもちろん上水道、下水道及び工業用の水、そういうものの水の使用量でございます。
第二番目には、いわゆるベッドタウン等を考えておられるようでございますが、何といたしましても東京、あるいは近畿圏におきましては大阪周辺に集まってくる交通量の問題がございます。五十年の際に、どれだけの交通量が、時間的に人が流れてくるのか、どういう想定を持っておられるのか、そういう点につきましての資料を御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/47
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048・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいまの水の問題と交通量に関する資料の御要求がございましたが、非常に重要な問題であるという点で、そういう資料御要求の趣旨はまことによくわかるわけでございますが、首都圏の立場で申しますと、水の問題あるいは交通の問題につきましては、必ずしも首都圏整備委員会だけでやっておる問題ではないことは御承知のとおりでございまして、水につきましては建設省関係、あるいは経済企画庁の水資源開発の関係、交通につきましては運輸省の関係、それぞれ各省関係に該当する点が相当あるわけでございまして、それを私ども首都圏整備の立場で調整的な面、また総合的な面で必要な場合についてはやっておるわけでございますが、いずれ御趣旨の点は、できるだけそういう立場をお考えいただきまして、私どもの限界もございますので、私どもはできるだけくふうをしてみますが、そういう資料について各省との関係も十分相談さしていただきたい、かように申し上げて、私どもなりにできるだけ勉強はいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/48
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049・華山親義
○華山委員 私はそういう問題を解決されなければ、首都圏整備といったって、まず何にもならないんじゃないかと思うのです。私は当然、数カ月前にできた役所でもございませんし、そういうふうな資料は十分に整備されていると思ってお尋ねしたのでございますけれども、できるだけいまから資料を集めなければいけないということは、私は聞いておりまして意外でございます。集められるだけの資料を集めて整とんされまして、資料としてお出しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/49
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050・岡崎英城
○岡崎委員長 華山君から御要求の資料は、首都圏整備の必要上、当然委員会等ででき得べきものと私ども思いますので、至急御提出願いたいと思います。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02619660415/50
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