1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月二十一日(木曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 和爾俊二郎君
理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
島村 一郎君 周東 英雄君
田村 良平君 登坂重次郎君
藤田 義光君 山崎 巖君
島上善五郎君 安井 吉典君
門司 亮君 吉田 賢一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
総理府技官
(近畿圏整備本
部次長) 上田 稔君
警察庁長官 新井 裕君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 今竹 義一君
総理府事務官
(首都圏整備委
員会事務局長) 鮎川 幸雄君
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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四月二十日
委員吉田賢一君辞任につき、その補欠として山
下榮二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山下榮二君辞任につき、その補欠として吉
田賢一君が議長の指名で委員に選任された。
四月二十日
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一
部を改正する法律案(内閣提出第一一三号)(
参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一
部を改正する法律案(内閣提出第一一三号)(
参議院送付)
首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のた
めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内
閣提出第一三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
昨二十日、参議院から送付されました内閣提出にかかる銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。永山国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/1
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002・永山忠則
○永山国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬数取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、最近における銃砲による犯罪並びに事故の状況にかんがみ、猟銃及び空気銃の所持に関する講習会及び所持の許可の更新の制度を設けるとともに、銃砲の所持の許可についての基準を整備する等その所持、使用及び保管に関する規制を強化するほか、猟銃等に使用される実包、空包等に関する取り締まりの実効を確保するため、その譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可に関する権限を都道府県知事から都道府県公安委員会に移管すること等をその内容とするものであります。
まず、猟銃及び空気銃の所持に関する法令及びその取り扱いについての講習会の開催並びにこれに関連して所持の許可の基準を整備することについて御説明いたします。
現行法においては、猟銃及び空気銃の所持の許可を受けた者の法令及びその取り扱いに関する安全準則等の知識については、これらの者が自主的に修得するものであるというたてまえをとっているのでありますが、最近猟銃及び空気銃を所持する者が増加していること等もあって、事件及び事故の中にはこれらの知識が不十分のために発生しているものもありますので、都道府県公安委員会は、猟銃または空気銃を所持しようとする者を受講者として銃砲の所持に関する法令及びその取り扱いについての講習を行なうものとし、この講習会の修了者または鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく狩猟者講習会の修了者等これと同等以上の知識を有する者として政令で定める者でなければ、猟銃または空気銃の所持の許可をしてはならないこととしたのであります。
次に、猟銃の所持の許可の制限年齢の引き上げについて御説明いたします。
銃砲刀剣類の所持の許可は、産業用銃砲の所持に対する考慮及び火薬類の取り扱いとの関連から、その制限年齢を、空気銃についての特例を除いては一律に十八歳と定めているのであります。しかし、猟銃はきわめて危険なものであり、昨年七月には神奈川県及び東京都において未成年者による猟銃乱射事件が発生しており、他方、未成年者は鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律により狩猟を禁止されているところでもありますので、政令で定める射撃選手等を除いては、二十歳未満の者には、猟銃の所持の許可はしないこととしたのであります。
次に、猟銃及び空気銃の所持に関し更新制度を採用したことについて御説明いたします。
現行法においては、銃砲刀剣類の所持の許可は、拳銃の所持の許可の一部について期限を付することとされているほかは、永久許可制をとっているのでありますが、所持許可者の身体的条件等はもちろんのこと、銃砲の機能等も変化するものであり、他方猟銃及び空気銃は危険でありますので、その取り締まり密度を高めるため、猟銃及び空気銃の所持の許可については、五年ごとに更新を要することとしたのであります。
次に、銃砲の所持の許可対象たる用途に関する規定を整備したこと及びこれに関連して銃砲の使用に関する制限を明確にしたことについて御説明いたします。
現行法においては、銃砲の所持の許可対象たる用途に関する規定が明確でない点がありますので、この点を改め、用途と銃砲との関係を明確にするとともに、これに関連して、銃砲は許可にかかわる用途以外には使用してはならないこととしたのであります。
次に、許可をしてはならない銃砲の構造等の基準を政令で定めるとともに、所持許可を受けた者に対して、その基準を維持する義務及び危険な付属品を所持してはならない義務を課することとしたことについて御説明いたします。
所持が許可される銃砲は、その用途に応ずる機能構造を持てば足りるものであり、危害防止の観点からも悪用されやすい構造の銃砲は規制するのが至当と考えられますので、所持の許可をしてはならない銃砲の構造等の基準を政令で定めるとともに、許可された後においても、この基準に適合するように銃砲を維持しなければならないこととし、これに関連して、猟銃等に装着できる消音器、一定数以上の多連装弾倉及び一定の長さ以下の替え銃身を所持してはならないこととしたのであります。
次に、銃砲の適正保管義務の新設について御説明いたします。
現行法では、銃砲の保管義務については一部の拳銃についてのみ規定され、他は所持者の良識に期待しているのでありますが、所持の許可を受けた銃砲について家族、友人等の持ち出しによる事件及び事故が多発していることにかんがみ、保管にあたっては実包等を装てんしないでみずから保管しなければならないこととしたのであります。
次に、猟銃等の所持許可の取り消し事由として、これらの銃砲に使用される実包等に関する火薬類取締法の違反を加えることについて御説明いたします。
これは、次に御説明いたしますように、都道府県公安委員会が猟銃用の実包の譲り受け等を規制することに関連して、これらの実包等についての火薬類取締法違反については、銃砲刀剣類所持等取締法違反と同様に評価して、猟銃等の所持の許可の取り消し処分ができることとしたのであります。
次に、猟銃等に使用される実包、空包、銃用雷管及びこれらに用いる火薬の譲渡、譲り受け等の許可の権限を、都道府県知事から都道府県公安委員会に移管することとした火薬類取締法の改正について御説明いたします。
現行の火薬類取締法においては、猟銃等に使用される実包等の譲渡、譲り受け等の許可は、他の火薬類と同様、都道府県知事が行なうことになっておりますが、銃砲による危害を防止するためには、それに使用される実包等についても、都道府県公安委員会が一元的に規制する必要がありますので、これらの火薬類の譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可は、都道府県公安委員会が行なうこととするよう火薬類取締法の一部を改正することとしたのであります。
最後に、これらの改正に関連して、銃砲刀剣類所持等取締法に定める手数料徴収事項を追加する等所要の改正をすることとしております。
以上が、この法律案の提出理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/2
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003・岡崎英城
○岡崎委員長 次に、補足説明を聴取いたします。新井警察庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/3
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004・新井裕
○新井政府委員 銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明申し上げます。
最初に、銃砲刀剣類所持等取締法の改正点について申し上げます。
第一は、銃砲の所持の一般禁止の例外について合理化するための第三条第一項の改正であります。
その一は、今回猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の規定を新たに設けることに関連するものでありまして、都道府県警察の警察職員は、この講習会の教材に供するため必要な猟銃及び空気銃を所持することができることとし、あわせて鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく講習会の講習に従事する都道府県の職員についても同様に、その教材に供するため必要な猟銃及び空気銃を所持することができることといたしたことであります。
その二は、猟銃等販売事業者または捕鯨用標識銃等販売事業者が、没収その他の理由により国または地方公共団体に帰属した銃砲を競売等の方法により業務のため譲り受けた場合には、その所持について許可を要しないとしたことであります。現行法におきましては、このような場合におきましてもその所持について許可を受けなければならないのでありますが、これらの者は、すでに販売事業の許可または届け出により十分な行政監督を受けておりますので、このような場合の所持については許可を要しないことといたしたのであります。
第二は、所持の許可の対象となる銃砲の種類とその用途との関係を明らかにするとともに、銃砲刀剣類の所持の許可はそれぞれの用途に供する者でなければ受けることができないものであることを明確にした第四条第一項の改正であります。
これは、現行法の用途に関する規定が明確でない点がありますので、これを改め、それぞれの用途ごとに許可される銃砲の種類を明記することとしたほか、最近においては指定射撃場における標的射撃は、狩猟のための射撃練習というのみでなく、それ自体が猟銃及び空気銃の用途とされておりますので、その用途として標的射撃を加えることといたしたのであります。
第三は、用途に比し必要以上に威力が強い銃砲、または悪用される危険性の高い構造の銃砲については、許可をしてはならないこととするための第五条第二項の改正であります。
これは、たとえば機関銃式の猟銃は、その用途に比して必要以上に威力の強いものであり、また消音器つきの猟銃は悪用の危険性の高いものであり、これらは危害防止上の観点から許可することが不適当でありますので、銃砲の用途ごとにその構造機能等について一定の基準を政令で定め、この基準に適合しない銃砲については許可をしてはならないことといたしたのであります。
第四は、猟銃及び空気銃の所持の許可の基準の特例を第五条の二として新設したことであります。
その一は、これらの猟銃及び空気銃については、あらかじめ都道府県公安委員会が行なう銃砲の取り扱いに関する講習を受け、その課程を修了した者または鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく講習を受け、その課程を修了した者等これらと同等以上の知識を有する者として政令で定める者でなければ、許可をしてはならないこととしたことでありますが、これは、最近における猟銃または空気銃による事件及び事故にかんがみて、銃砲の所持等に関する法令並びにその取り扱いに関し、必要な知識を有することを許可の要件とするのが適当であるからであります。
その二は、猟銃の所持の許可の制限年齢を二十歳に引き上げたことであります。これは、猟銃は所持の許可の対象となっている銃砲のうちでも威力が強く危険性も高いので、未成年者に所持させることは、最近における悪用事例にかんがみても適当でないと判断され、かつ、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律における狩猟年齢も勘案して、その所持許可の制限年齢を二十歳に引き上げることといたしたのであります。ただし、国民体育大会の選手または候補者として政令で定める者から推薦される者については、危害予防上も支障がないと認められますので、現行法どおり十八歳とするよう特例を許けることといたしたのであります。
第五は、猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の規定を第五条の三として新設したことであります。
これは、さきに述べた第五条の二第一項の規定と関連するものでありますが、都道府県公安委員会は、その管轄区域内に住所を有する者で猟銃または空気銃の所持の許可を受けようとする者を受講者として、猟銃及び空気銃の所持に関する法令並びに猟銃及び空気銃の使用、保管等の取り扱いについて講習を行なうことといたしたのであります。講習の内容、方法または時間等につきましては政令で定めることといたしております。
なお、猟銃及び空気銃の取り扱いの技術的な面について、専門的立場から研究、指導をしている民間団体もありますので、これらの民間団体など政令で定める者に講習会の事務の一部を委任することができることといたしております。
第六は、猟銃及び空気銃の許可の更新の制度を第七条の二として新設したことであります。
現行法においては、国際的な規模で開催される拳銃射撃競技に参加する選手等が許可を受けて所持する拳銃などについては許可の有効期間を定めることとなっておりますが、その他の銃砲については永久許可制をとっており、許可された者の欠格事由の調査等については、検査の規定等を活用してその把握につとめているの下あります。しかし、猟銃及び空気銃は他の銃砲に比し危険でありますので、その取り締まり密度を高めるとともに、その所持について継続所持の意思を確認する必要がありますので、猟銃及び空気銃については五年ごとに許可の更新を行なうものとし、更新を受けない場合は、その許可は期間の経過によって失効するものといたしたのであります。
第七は、銃砲または刀剣類の携帯、運搬及び銃砲の発射等に関する規定の整備並びに規制の強化をはかるための第十条の改正であります。
第十条の規定は、許可を受けて所持する銃砲または刀剣類の携帯、運搬並びに銃砲の発射に関する制限等を定めたものでありまして、危害予防上重要な規定でありますが、さきに御説明いたしましたとおり、第四条の許可にかかわる用途を明確にいたしましたので、その規制の内容を一そう徹底させるため、規定を整備するとともに、規制を強化いたしたのであります。
第八は、許可を受けた銃砲の保管義務規定を第十条の三として新設したことであります。
現行法においては、国際的な規模で開催される拳銃射撃競技に参加する選手等が許可を受けて所持する拳銃については、使用する場合のほかは、警察署長等に保管の委託をしなければならないこととなっておりますが、その他の銃砲については、保管についての規制がなく、所持者の良識に期待しているのであります。しかし、銃砲による事件及び事故の中には、保管の方法が適切を欠くことに基因するものが多く見受けられますので、今回危害予防の観点から、銃砲の所持の許可を受けた者は、銃砲をみずから保管するものとし、保管する場合には、実包、空包または金属性弾丸を装てんしてはならないことといたしたのであります。
第九は、許可を受けて所持する銃砲を政令で定める基準に適合するように維持すべき義務及びこれに関連して消音器等の付属品等を所持してはならない義務を課するため、第十条の二及び第十条の五を新設したことであります。
これは、さきに御説明いたしました第五条第二項の規定に関連する改正でありまして、許可を受けた銃砲を政令で定める構造等に適合するように維持しなければならないこととするとともに、このような構造等の変更を容易にすることのできる政令で定める消音器、一定数以上の多連装弾倉及び一定の長さ以下の替え銃身は所持してはならないことといたしたのであります。
なお、試験または研究のためにはこれらの危険な付属品等を必要とする場合がありますので、特例を設けております。
第十は、拳銃等または猟銃の所持の許可を受けた者が、実包、空包等に関し火薬類取締法の規定に違反した場合は、当該拳銃等または猟銃の所持の許可を取り消すことができることとするための第十一条第四項の改正であります。
これは、今回火薬類取締法の改正により、実包、空包等の譲渡、譲り受け等の許可は都道府県公安委員会が行なうこととなりますので、これに関連して、これら実包等について火薬類取締法に違反したときは、その者の所持する拳銃等または猟銃の所持の許可を取り消すことができることといたしたのであります。
第十一は、手数料の整備に関する第二十九条の改正であります。
これは、都道府県公安委員会の行なう猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の開催並びに猟銃及び空気銃の許可の更新に関する規定を新たに設けることに伴うものでありまして、都道府県は、講習会の開催については五百円、講習を修了した旨の証明書の再交付については百円、許可の更新については四百円をそれぞれ最高限として、手数料を徴収することができることといたしたのであります。
次に、火薬類取締法の改正点について申し上げます。
今回の火薬類取締法の改正は、銃砲刀剣類所持等取締法の改正、特に猟銃に対する取り締まり強化に関連するものでありまして、拳銃等または猟銃にもっぱら使用される実包または政令で定める火薬及びけん銃等、猟銃または古式銃砲に使用しまたは使用させることを目的とする空包、銃用雷管または政令で定める火薬の譲渡、譲り受け、輸入または消費の許可は、一定の場合を除き、都道府県公安委員会が行なうものとする旨の第五十条の二の規定を新設したことであります。
これは、銃砲のうち特に犯罪に悪用されやすく、かつ、危険性の高い拳銃等または猟銃については、その所持のみならず、これに用いられる実包等についても、一元的に都道府県公安委員会が規制することが取り締まり上効果的であるので、今回これらの火薬類の譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可は都道府県公安委員会が行なうことといたしたのであります。ただ、製造業者、販売業者が行なう輸入等については、それが製造目的または販売目的等業務のための取り扱いでありますので、従来どおり都道府県知事の許可とし、また産業用銃砲に使用する目的で行なわれる空包等の譲渡、譲り受け等についても、悪用される危険性が少ないことから、従前どおりとしたのであります。
なお、このことに関連して、これらの火薬類について、災害の発生の防止または公共の安全の維持のため緊急の必要があると認められる場合には、必要な限度において、その消費につき都道府県公安委員会が所要の権限を行使し得るよう、第四十五条の規定を改めることといたしたのであります。
最後に、この法律は、昭和四十二年一月一日から施行することとし、また、現に所持の許可を受けている猟銃及び空気銃については、この法律施行後五年以内に更新を行なうものとする等必要な経過措置を附則において規定いたしております。
以上が銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/4
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005・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で本案の説明は終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/5
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006・岡崎英城
○岡崎委員長 次に、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/6
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007・華山親義
○華山委員 この前の委員会におきまして水と交通量に関する資料の御提出を願いまして、いただいたのでございますが、これにつきまして伺っておきますが、この調査の数字の出場所、どこの調査を根拠にされたものでありますか、提出者の側から御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/7
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008・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 首都圏整備委員会に関係する資料に関して御説明申し上げます。
ただいまお話がございましたように、先般の委員会で首都圏における水の需給の関係と交通量の問題につきまして資料の御要求がございましたので、その二つの資料につきましてただいまどういうところからこれを出したかというお話でございますので、その点と、必ずしも十分な資料になっていない点もございますので、その点を補足して説明させていただきたいと思います。
まず水に関する資料から御説明申し上げますが、水に関する資料は、先般は首都圏における水の全般的な需給の状況についての御要求であったと思うわけでございます。ところが首都圏の整備委員会におきましては、水の供給体制を広域的に整備するという所管の問題につきましては、実は昨年法律改正がございまして、そこで昨年の法律改正後この水の全般的な利水の問題についてこれを調査し、これの問題を検討するということになったのでございます。そこで本年度ようやくこれに対する調査費を要求をいたしておるという段階でございまして、昭和四十一年度におきまして首都圏の賦存水源に関する調査と用水の使用状況等の調査を実施するという状況でございます。したがいまして、提出いたしました資料は既存の資料でございまして、私どもの首都圏整備委員会の資料ではございません。御承知のように、経済企画庁は水資源の開発促進法に基づいて水の各水系ごとの需給状況等の調査及びそれに対する総合的な計画をつくっておられるわけでございますが、私どものほうといたしましては、企画庁において特に利根川水系における水資源開発の基本計画がつくってございますので、これについての資料を提出いたした次第でございます。これは、経済企画庁が水資源開発審議会の審議を経てつくられて告示をされている水の用途別の需要の見通し、また供給の目標について定めたものでございまして、これは昭和四十五年度の目標といたしておるものでございます。
それから次に交通の関係の資料でございますが、交通の関係の資料につきましては、提出いたしております資料の六ページの一番最初にも、「東京を中心とする総合的交通量を把握し、その対策を実施するために必要な首都圏における人口の想定、土地利用の基本、これに関する地域整備の方針は、現在基本計画改訂作業として検討中である。なお、各関係行政部門においては、それぞれの交通施設の建設に必要な長期的見通しに関する調査を行なっている。」、こういうふうに掲げておりますように、交通の総合的な需要量の見通しにつきましては、この根底となる人口の想定あるいは土地利用の基本、あるいはこれに関連します各地域の整備という基本的な問題が存するわけでございますが、先般の委員会において御説明申し上げましたように、現在首都圏におきましては、東京都、その周辺の整備のための近郊整備地帯の整備あるいは都市開発区域の整備を含めまして、また基本的な人口の想定等の改訂作業等もあわせてやっておる段階でございます。したがいましてただいま交通の問題もあわせて、そういう基本的な前提が固まりました際に、そういうものの数字を把握し、また計画を立てたい、こういう段階でございますので、現在のところ私のところにはございません。
そこで、ここに提出いたしました資料は、まず東京を中心とする自動車交通量に関する資料を提出いたしたわけでございます。これは昭和三十三年から三十七年、五十五年におけるそれぞれの地域における自動車の台数、またそれぞれの三十三年以後の倍率等を掲げておいたわけでございますが、この資料は、東京都において都市計画の再検討あるいは高速道路網の計画をする場合に使っておる数字でございます。これは東京都の資料でございます。
なお、その他の道路及び鉄道等の施設の計画の概要を資料として掲げておきましたが、道路につきましては、首都圏におきます重要幹線道路網の整備計画において掲げております重要幹線街路の計画でございます。また鉄道につきましては、国有鉄道の新長期計画に基づく線路増設等の計画でございます。また地下高速鉄道につきましては、都市交通審議会が運輸大臣に答申いたしました基本的計画に基づく路線の計画でございます。
なおそのほかに、その後御要求がございました市街地開発区域、都市開発区域と名称を変えておりますが、この市街地開発区域の整備計画、それに基づく実施状況はどういう状況であるかという御要求もございましたので、これもあわせて提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/8
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009・上田稔
○上田(稔)政府委員 近畿圏の提出をいたしました資料について御説明を申し上げます。
まず、水の問題からでございますが、淀川下流における水需要の見通しという資料を御提出いたしております。この水の問題につきましては、近畿圏と建設省それから経済企画庁、この関係の各省寄りまして、そのほかにまだ出先の農林省の方であるとか、あるいはまた通産省の方であるとかいうような方々が、近畿圏整備本部の基本計画をつくりますときにいろいろ相談をいたしましたのですが、経済企画庁がおきめになった四十五年度のフルプランをまず御提出をいたしました。それからいま申し上げました、いろいろ御相談をいたしまして五十年度の見通しというものを立てておりますが、その見通しがそこに出ております八十トンということになります。
次に、大阪を中心とする交通に関する資料でございますが、これは大阪の、やはり周辺におります出先でございます近畿地建であるとか、あるいはまた大阪府、市、それから兵庫県、近辺の奈良県であるとか京都であるとか、和歌山県であるとか、神戸市も入っておりますが、そういうところが寄りまして、幹線道路協議会というものをつくっております。そういうものによりまして算出をいたしたものでございますが、その算出したものを利用して私どものほうの近畿圏整備本部の基本整備計画に取り入れております数字でございます。
それから鉄軌道につきましては、これも運輸省のほうと連絡をとりまして、いろいろ向こうのお考えになっておることを聞いたり、それから私どもの計画と合わせてどうなるであろうかという通勤客を想定をいたしておりますが、その想定をいたしております数字でございます。これも基本整備計画に取り入れております。
それからこの近畿圏の建設計画における投資額の要望額の集計をいたしました。これは府県から要望のものをそのまま集めたものでございます。
それから四十一年度の事業の見込み額、これは近郊整備区域と都市開発区域の両方のものでございます。これを提出いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/9
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010・華山親義
○華山委員 公営企業法の改正法案が追ってこの委員会で審議されることになっておりますので、その際に各省に対しまして詳細に私からお聞きいたすつもりでございますから、いまここでは概略的なことにとどめますが、この首都圏整備委員会事務局、あるいは近畿圏の整備本部でございますか、そういうふうなお役所は、整備ということにつきましてどういうお立場にあるのでございますか。各省各庁あるいは各府県のいろいろな意見をまとめていくというお立場にあるのでございますか。自分で立案をしてそれを各省庁なり、あるいは府県に対して要請するという立場にあるのでございますか。どちらなんでございますか、お立場を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/10
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011・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 首都圏整備委員会の所掌の業務のやり方については、首都圏整備法の一条と四条に掲げてあるわけでございますが、首都圏整備委員会といたしましては、まず、総合的な計画を策定するということが第一条の主たる任務になっておるわけでございます。また第四条におきましては、首都圏整備計画の作成と、この作成のために必要な調査を行なう、それから首都圏整備計画の実施に関する事務について必要な調査を行ない、その実施を推進する。またその他、この法律に基づく以外のことで、法律によって掲げられましたならば、そういうことについて権限が付与された場合にはそれを行なうということでございます。
現在までにやった状況を申しますと、首都圏整備委員会におきましては、まず、既成市街地につきましては、御承知のように、工場、学校等を別途の法律において制限をいたしております。そういう意味で、制限の主体としてやっておるわけでございます。その他首都圏整備計画は、基本計画、整備計画、事業計画に分かれておるわけでございますが、それぞれの計画を作成をいたし、その実施につきましては、それぞれ各省がそれぞれの権能に基づいて実施をいたしておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/11
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012・華山親義
○華山委員 近畿圏のほうは、首都圏と同じでございましたら、違う点だけでよろしゅうございますが、簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/12
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013・上田稔
○上田(稔)政府委員 近畿圏について御説明申し上げます。
近畿圏につきましては、基本整備計画であるとか、あるいは名前が少し変わっております建設計画という名前をつけておりますが、そういうものであるとか、それから事業計画、名前は少し違いますが、計画そのものは首都圏とあまり変わりはございません。ただ建設計画というものが少し違っておるわけでございます。建設計画というのは、これは近郊整備区域であるとか、その外側にある都市開発区域、こういうものについての建設計画でございますが、これは府県がまずいろいろ案をつくられまして、その案を整備本部へ持ってこられて、その持ってこられたものにつきまして調整を行なう。私たちの独自の調査に基づいた資料も、その中にもちろん考えを入れてそして調整を行なう。調整を行なったものを今度各省に、また各省がどういうふうに考えておられるかそれをはかる、そういうふうにいたしましてまとめるわけでございまして、その点が幾ぶん首都圏と違っておる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/13
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014・華山親義
○華山委員 首都圏のほうではきちっとした計画、それはいつごろになるとできるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/14
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015・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 現行の基本計画は、御承知のように約十年ぐらい前にできておるわけでございますが、その中で最も重要な人口の想定等が相当変わってまいりました。またその間にいろいろ社会経済情勢等も変化してまいりました。また先般申し上げましたように、首都圏整備法の改正がございまして、従来の地域区分といたしまして既成市街地あるいはその周辺の近郊地帯と申しました地域が今度変わりまして近郊整備地帯という地域を指定することにいたしておりますが、そういうような法制上の点からいたしまして、地域の整備の基本的な考え方を変えざるを得ないという状況に立ち至っているわけなのであります。
そこで昨年の法律改正以後、そういうような諸情勢の変化に対しまして、私のほうといたしましては、昨年の秋以来、首都圏整備審議会という諮問機関がございますが、この諮問機関におきましてこの計画を諮問いたして、そして計画を固めることになっておるわけでございますが、非常に専門的な事項が多いわけでございますので、その審議会を補佐する専門的な機関をつくりまして、たとえば基本計画をつくります総合的な総括の専門委員会あるいは近郊整備地帯あるいは都市開発区域等の整備に関する地域整備の専門委員会、それからまた、これはまだできておりませんが、その他に交通とか水に関する委員会等も考えているわけでございますが、それらの専門委員会を通じて計画をさらに最終的に固めていこうということでございます。今日まで十数回以上専門委員会等を開きまして、逐次急ぎますものから実は手をつけている状況でございます。たとえば近郊整備地帯の指定等が急がれておりますので、これにつきましてはすでにその専門委員会等の結論が出まして、これを各省と相談いたしまして、あと今月中かあるいは来月早々でも近郊整備地帯の指定をするというように準備をいたしておるわけであります。その他の事項につきましては、非常に広範なまたむずかしい問題がたくさんございます。
またもう一つは、首都圏の計画は首都圏だけでできるわけではないのでございまして、国土総合開発計画、全国計画との調整等をはからなければならないわけでございます。その全国計画の動きもあるわけでございます。この調整等を考えますと、今月中ぐらいをめどにしてやらなければならないと私どもは考えておるわけでございます。ただいまのところ、そういう目標で進めておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/15
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016・華山親義
○華山委員 今日計画をされております目標は、大体何年を目標といたしまして計画をなすっていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/16
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017・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 現行の計画は、昭和五十年を目標といたしておるわけでございますが、今後何年を目標とすべきかということにつきましては、現行の五十年案、それから五十五年の案、それから六十年の案、そういうような三つぐらいの案をつくりまして、そのいずれをとるべきかということ自体も、専門委員会において検討していただくような重要な検討課題にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/17
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018・華山親義
○華山委員 その専門委員というのには、各省の方が入っているのですか。入っておらないで、ほんとうの学者とか、そういう方だけでやっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/18
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019・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 専門委員のことについて御説明申し上げる前に、法律で定めております首都圏整備審議会の構成から申し上げますと、この審議会にはかってこの計画は定めるわけでございます。この審議会の構成は、国会議員、各省の事務次官、それから都道府県の知事及び議長、それから学識経験者、こういう構成になっております。そこで、審議会はそういう構成でございますが、先ほど申し上げました専門委員会は、専門的な事項が非常に多いわけでございますので、学識経験者だけにお願いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/19
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020・華山親義
○華山委員 事務の当局の方に申し上げてもやむを得ないと思いますけれども、私は考えますと、この次も申し上げようと思うのでございますけれども、水につきましても、大体どれだけの省が関係しているか。私はこれは本会議でも言おうと思っておるのでございますが、農業用水については農林省がある。工業用水については通産省がある。上水道については厚生省がある。下水道については建設省がある。そのほかに、地方公営企業としては自治省がある。財政的には大蔵省がある。大体関係各省は七つですね。それではもう何ともならないというふうな、おととしでしたかの東京砂漠の場合には、実力河野大臣が出てきた。八つだ。日本の水がめからはやまたのおろちが出ているのですよ。そういうふうなことで、どうして日本の水の行政というものが統制のとれた形でできるか。これは私がここで申し上げるまでもないのでございますが、ひとつ考えていただきたいのでございますけれども、学識経験者を集めて、かりに計画を立てられても、今日のような状況ではとてもできないと私は思う。それですから、私は非常になんでございますが、やはり専門委員には各省の人を入れられたほうがいいんじゃないか。そして各省には、工業用水には工業用水としての調査があります。農業用水については農業についてのりっぱな調査ができている。そういうふうなことであって、また各省につきましては、各省の分野としての水の調査、そういうものができている。文献として非常にりっぱなものだと私は思うのです。ただその結論が、いかにも読んでみますと、政治的な部分に入りますと、我田引水とならざるを得ないのですけれども、私は、基礎資料としてりっぱなものだと思うのですよ。そういうふうなものを取りまとめていくことこそが首都圏整備委員会等の任務なのじゃないか、私はそう思います。たとえばアメリカにおきましては、とにかくアメリカが今後資源的に困るという時代が来るならば、それは水であろうと言われておる。水によってアメリカの繁栄は制限されるであろうということを言っておりますし、それをアメリカ自体が心配しておるわけです。それであそこでは、そのための全部の各省のエキスパートを集めて、そして全国的な水の調査というものを三年かかって、そうして膨大な資料を出しておるのです。そういうふうな状態でございますから、ただ専門の方々を集められるということだけでなしに、そういうふうな各省が貴重な予算を使って調査をされておられるし、そういうふうなことで我田引水にならないような総合的なものになさることこそが経済企画庁の任務であり、これが首都圏に関しますと、首都圏整備委員会の任務だと私は思うのですよ。各省次官なんか集めたって何にもなりません。それはただ財政的のこととか、そういうことに限られます。府県知事でもそうです。そういうふうなことでやりませんと、大体詰まってくるのじゃないかという気がします。たとえば、これはまたそのときに重ねて申しますが、東京都に、下水道というものは都市中心部にしかないでしょう。周辺地区にはほとんどない。イギリスにおいては、大体全国民の一〇〇%が下水道を使っておる。ニューヨーク等におきましても、大体それに近いようなかっこうになっておる。下水道のないということは、これはスラム街の一つの特徴なんです。それでそういう理論からいうならば、日本という国はいかにいばったって、東京都の周辺はヨーロッパ風に言うならばスラム街なんですよ。それだったならば、この下水道というものに対してどうなのか。まあ建設はできるでしょう。金とセメントがあればできる、労働力があればできるのですが、水は何ともなりません。大体二十三区全部下水道にした場合のトイレットだけの水の使用量というものが、名古屋市の水道量の半分に達するといわれておる。それだけ水が大体用意できるのか、そういうことを心配いたしますから、私は資料をお求めしたのです。水の輸入はできません。ほかのものの輸入はできても、水の輸入はできません。そういうふうなことを考えますと、首都圏整備委員会ばかりではない、経済企画庁もそうかもしれませんが、ひとつ真剣に水というものを全国民総力をあげて、総知識をあげて、専門家もあるいは各省の水の専門家も集めて、そして研究をされるべき問題じゃないかという気がするわけです。
それで、今度水の調査をなさるそうですか、その予算は幾らついておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/20
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021・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 水の今年度の予算は、八百四十万円程度でございます。首都圏におきまして行ないたいという水の調査のほかに、各省がいろいろやっておる点が多いわけであります。そこでその概況から申しまして、私のほうは、それじゃなぜこういうことをやるかというと、つながりを簡単に申し上げたいと思いますが、水の問題は、御指摘のように非常に大事な問題でございままして、首都圏整備におきましても重要な事項になっておるわけでございます。ただこの点に関しましては、治水、利水の面においては建設省、それから下水的な面の総合的な計画については経済企画庁が、さらに先ほど御指摘のような関係省庁といろいろな関連を持ちつつ総合的な計画を水系ごとにつくっておるわけです。そこで、利根川水系につきましては、この資料にも差し上げておりますように将来の上水道、工業用水、それに農業用水の将来の見通しを含めまして利用の見通しを立て、それに対しまして、河川については各ダム群の建設あるいは河口ぜきの建設あるいは湖沼の開発、こういう総合的な開発をやって需給のバランスをはかろう、こういうふうな考え方に基づき、さらにその開発した水を必要な地区に運ぶための幹線的な用水路の建設、こういうこともあわせて水資源開発の基本計画になっておるわけであります。そこで、この基本計画どおりにまいりますと、首都圏の水の重要な問題はほぼ解決されるという段階に至っておるわけでございます。
そこで、私どもはなおそのほかに水の調査をいたしたいと思っておりますのは、利根川水系のほかに中小河川等もございます。そういうようなすべての水系を通ずる水の資源がどうなっておるかという、どちらかと申しますと、従来の水系の計画等において残されておる部門の、いわゆる既存水量の調査をひっくるめて調査をいたしたいという点が一つ。それからもう一つは、開発をしますためには、将来どの程度の水の需要があるかという点につきましては一応のめどは立ててありますけれども、これは首都圏整備という総合的な立場に立って需要の見通しを立てる必要がありますので、そういう今後の用水の見通しはどうなるだろうか、しかしこの用水の見通しは今後の人口の問題あるいは地域整備の問題とからんでまいりまして、この点につきましてはなかなか各省だけではやりがたいという総合的なものを持っておるわけであります。したがいまして、そういう点を含めまして、従来の各省でやっておられる以外の点につきまして、そしてそれをとりまとめようという計画でございまして、今後数年間かかってやろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/21
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022・華山親義
○華山委員 少し話がこまかくなりますが、利根川水系の開発、私も計画はよく知っております。しかし利根川という川は、これは御承知と思いますけれども、決して性質のいい川ではありません。水の多いときと水の少ないときでは非常に違いのある、日本においては悪質の川である、そういう川でございますから、相当にこの川を利用するということではたいへんな計画が要るだろうと思うのでございます。将来水の需給はだいじょうぶというような趣旨の話もありましたけれども、利根川水系の水をどういうふうに最も有効に使われるという計画はきまっているのですか。現在のところ計画されております矢木沢ダムとか河口ぜきとか、それから神戸ダムとか渡良瀬川の水の問題とか、そういうことは私は承知しておりますからよろしゅうございますが、それだけでやっていいのか、そうでないとするならばどういうふうなことを利根川について考えていられるのか、具体的になっておる点がありましたらば承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/22
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023・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 いま御指摘のように利根川は、ほかの河川もそうでございますが、渇水と増水との差が非常にはなはだしい、こういうことは御指摘のとおりでございますが、しかし洪水時の水をできるだけたくわえて渇水時に使う、こういうふうにいたしますと、河川の総合的開発と申しますか、河川の利用がフルに行なわれるわけでございます。したがいまして、できるだけ渇水時におきましても洪水時の水が使えるように、別のことばで申しますと、無効に放流されておる水をできるだけ使うような方策をつくるということが基本的な課題だと思うわけでございます。そのために、先ほど申し上げましたようなまずダム群の建設が行なわれる、こういう点が一つ、もちろんこれは治水上の観点も含めてでございますが、ダム群の建設、さらに昨年から利根川河口ぜきの建設あるいは湖沼の開発、そういう治水、利水を含めまして、利根川の総合的な開発計画というものがいま行なわれておるわけでございます。これを別な数字で申しますと、利根川へ流れます一年間の水が約百三十五億トンといわれておりますが、その利用率がまだ一二、三%から一四、五%、こういうことに伺っておりますが、これをさらに数倍に高める、こういうことが必要になってくるだろうと考えます。そういうふうにいたしますと、この利根川の利用率が非常に高まってまいりますので、その需要に見込んだ開発の方式ということを行なえば、今後は相当の水が期待できるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/23
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024・華山親義
○華山委員 おっしゃることは私は大体承知しておりますからいいのです。ただ、いまあなたのおっしゃるように、もっと川の水を利用するためのダムの建設とかいろいろなことがございます。それで現在もう具体的に計画されている矢木沢とかあるいは神戸とか渡良瀬とか、そういうことのほかに、それで十分なのか、それ以上に整備されるものがあるのならば、それはどういう地点でどういうことを考えておられるかということをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/24
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025・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいま確定いたしておりますのは、お手元に差し上げておりますような内容でございまして、ここに掲げておるようなものは確定されておるわけでございますが、これ以外のところはまだ各省で調査中でございますので、いま内容についてはまだ私のほうからもはっきり申し上げられないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/25
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026・華山親義
○華山委員 それはもう利根川の水というものはまだむだに流れているのであって、その水をできるだけ有効に使うという観念、感じは、私はよくわかりますけれども、問題はそういうふうな観念論じゃない、だれでもわかっておることなんです。しからばそれをどうするかということだと思うのです。そういうふうなことが少しも進んでおりません。今日の計画で、これが何年もちますか、小河内ダムができたときに、東知事は、当分東京都の水はだいじょうぶだと言った、そういう祝辞を贈った、それに大台風が二度続いた、そのために東知事の言うことはほんとうらしく見えたけれども、台風がこなくなると、翌年から慢性的な渇水になってきた。そしておととしでしたか、あの東京砂漠ができたでしょう。いまの東京都なり建設省が考えているあのダム、あるいは水を引く計画、こういうことで、私は小河内の二の舞いを見ることは明らかだと思いますよ。いまの人たちだけが使っているのならこれだけのものでいいかもしれませんけれども、それじゃだめなんでしょう、もう増すにきまっている、私はそういうふうなのんきなことは言っていられないと思うのですよ。私はその意味でお聞きしたのでございますが、その辺でやめておきます。
それから交通の問題でございますが、交通の問題は、現在のように自動車の使用というものが、もう道さえ広くなれば幾らでも来ていいのだ、こういうことでやっているのですか、東京都の車の使用の状況というものは現在のままでいいのだ、朝晩でもトラックが走ってもいいし、それから車も走ってもいいし、そういうふうなことをするためにはこういう幹線が必要なんだ、こういう前提はどうなるのですか。この前提は、現在のままの自由放任主義の前提でやっておられるのか、あるいは交通の規制ということが行なわれる前提のもとに計画されているのか、どっちなんです。これは首都圏のほうにばかりお聞きしてもなんでございますから、近畿圏の次長さんにひとつお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/26
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027・上田稔
○上田(稔)政府委員 お答え申し上げます。
近畿圏におきましては、交通、たとえばいま道路の問題が出ておりますが、道路の問題につきましては、いままでの道路の計画というのは、その道路を通っておる台数の増加を比率にいたして出しておったのが多うございましたが、この基本計画で考えましたのは、将来の人口の増加と工場の出荷額、こういうものを想定をいたしまして、昭和五十年度を目標にそれを各地区に割り振りまして、土地利用計画というものを考えまして、その土地利用計画から算出をしてきておるわけでございます。そのためOD調査といいまして、いま交通が行なわれております出発点と最終点、そういうものを調べまして、その目的を調べて、そしてこういう生産のためにはこういうような交通量が必要であるというようなことを算定をいたしまして、それから算出をいたしておるわけでございます。これは現在建設省もそういうやり方をとっておりますが、近畿圏におきましてもそういう方法をとりまして、建設省とタイアップをいたしまして計算をいたしております。当方で計算してみた概算と、向こうでおやりになったものとあわせてやってみたり、あるいはまたこちらの計画を向こうにお話を申し上げまして、こういうふうな土地利用になりますというようなことをして合わせておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/27
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028・華山親義
○華山委員 いまの話では、今日のような無軌道な、大きな自動車が東京都のまん中をまっ昼間に走ってもいい、十万円で中古の車を買って、それを運転して東京都に来てもいい、朝晩ラッシュアワーにトラックも自動車も来てもいい、こういうふうな前提でやっていられるのであって、車の道の利用はどうするか、道の占有面積と車の占有面積との関係はどうあるべきか、そういうふうなことは全く抜きにして御計画になっているわけですね。これは別にあなたを責めるわけじゃございません。そういうふうな今後の政策の前提なしにやっていられるかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/28
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029・上田稔
○上田(稔)政府委員 ただいまの御質問は遠距離交通の問題かと思うわけでございますが、そういうものにつきましては流通センターというものを計画に入れていきたい、こういうことで、周辺に流通センターをつくる。そしてそこに倉庫的なものをつくっていただき、そういう大きなトラックが遠距離から来てすぐに走るというようなことをやめていきたい。しかし、やむを得ないものについては都市の中に、私のほうは阪神高速道路というものをつくって、そういうものによってある程度さばいていきたい、こういうふうな計画を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/29
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030・華山親義
○華山委員 乗用車はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/30
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031・上田稔
○上田(稔)政府委員 乗用車につきましては、先ほど申し上げましたように、人口の配分をいたしまして、また工場の出荷額から工場地区というものを推定をいたして、そこから発生するであろう乗用車というものを推定をして道路の築造、幅その他をきめておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/31
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032・華山親義
○華山委員 その際には今後何年かあとには、自分のことを言うのはおかしいのですけれども、私どものように国鉄と都電で通っておるというふうな者も、将来はみな自動車で来るようになるかもしれない。私も乗用車というものを持てる時代がくるかもしれない。そういうふうなことを考えたとき、乗用車の数というものは、人口比例よりももっと大きく増加するのだというケースは考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/32
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033・上田稔
○上田(稔)政府委員 なかなかその辺になってまいりますと、まだ非常にむずかしい問題が残っておりまして、非常に困難な問題があるわけでございます。乗用車につきましては、先生の御指摘のとおり、都市というものについて勤労者をどういうふうに張りつけるかという問題もありますが、しかしそのほかに乗用車というものは将来はおそらくレクリェーションというようなものにも相当使われる、日本人の生活というものが向上し、収入が向上してくるにつれまして、そういうようなことも考えられるわけでございます。したがいまして、その辺の推定になってくると、現在確かにその推定はまだできておらないわけでございまして、アメリカであるとかイギリスであるとかフランスであるとか、そういったような国と日本の国が同様になるということについてもいろいろ疑問がございますし、そういう推定値をそのまま持ってくるということはできませんので、その辺はまだ今後の問題として検討をしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/33
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034・華山親義
○華山委員 私はこれで両局長に対する御質問は終わりますけれども、私は非常に困難な問題だと思うのです。自由かってに自動車というものは道じゅうどこでも走れるのだというものの考え方、そういう考え方でやられましたら、幾ら道なんかをたくさんつくったってだめです。また、そんなにたくさんつくれるものでもないと思うのです。そういう面に一つの規制が出てこなければいけないのではないかと私は思うのでございますけれども、そうすればあなた方の計画というものは、ただもう何かしら現実に追われるだけで、さっぱり役に立たないものになりはせぬか、そういうふうな心配も私はいたすわけであります。決して両局長をお責めするわけではありませんけれども、あなた方は政府に対してものを言える立場にある。そういう点に留意されまして、そしてもうある一定の限度の道路というものをつくったならば、それ以上というものは車のほうから制限をしていかなければいけないのではないか。これは水とは違いますよ。水道のほうももっと儉約しなければいけない面もありますけれども、これは水のほうは違うのです。水の制限をするということはできません。しかし自動車はできるはずです。そういう面で、どこで自動車のふえ方、道路面積のふえ方というものを調整していくかということが、私はやはりむずかしい問題じゃないかと思うのです。そういう点を考えませんと、あなた方の計画は、いまの状態で五十年後には人口がこうなるだろうからこのくらいの道でたくさんだといったって、五十年後はだめです。ただ通れるというだけです。走れない限度まで自動車というものはたくさん集まってくるのです。そういうふうなことをひとつ、これから計画を立てる面において、専門家もいられると思いますから、そういう立場からも考えをまとめて、専門委員会なりにやはり御考慮を願ったほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますので、申し上げます。
委員長、この問題は私はもう一ぺんやりますから、おまえもう言ったじゃないかと言わないでください。局長が違うのですから、今度やるときは各省が来るのですから、同じことをもう一ぺんやりますから御了承いただきたい。うるさいやつだと思わないでください。
それから、新雄都市と今度の整備のものとはやり方において、財政的な措置等多少違っておるわけでありますが、この精神においては同じだと思うのでございます。それで新産都市の場合にこの委員会は附帯決議をつけて、その附帯決議には上水道、工業用水道等のこういうふうなものにつきましても補助金の対象にすみやかにすべきである、できるだけ早くすべきであるということをいっておる。その点につきまして、どういうふうな経過で今度それが入らなかったのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/34
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035・柴田護
○柴田(護)政府委員 新産、工特の場合と首都圏の場合とは若干性格が違いますので、財政援助方式そのものは新産、工特方式を踏襲いたしておりますけれども、内容は若干違っております。お話のように上水道等につきまして附帯決議があったことは認めております。上水道等につきましては、その問題の取り扱いについて主管省である厚生当局には連絡をし、要請をいたしておったのでございますけれども、私どもといたしましては補助金は補助金として、上水道だけの問題として実は財政援助方式というものを考えたのでありますけれども、予算折衝等におきましてその機が熟しませんで、今年度は実現を見るに至らなかった、こういう経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/35
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036・華山親義
○華山委員 私は、首都圏にいたしましても、近畿にいたしましても、新しいところに人口が集結していく、新しいところにあるいは工業地帯が集結していくというふうなことでありますれば、私は、水道というものは、どうしたって工業用水道、上水道というものは重要な問題であって、財政的措置が要るものだと思うのです。それをどうしてこういうことについて入れられないのか、私にはふしぎでならないのでございます。いま局長からのお話もございましたけれども、私は納得がいきません。今日まだ首都圏整備委員会というものが整備が十分にできておらないのでございますけれども、いわゆるベッドタウンの卵みたないな、あるいはもうベッドタウン化しておるかもしれませんけれども、そういうところに人口がいく、その人口に対しまして何よりも初めにしなければいけないのは水でしょう。それをやらないというと文化村の赤痢なんというものが起きてくる。まず水のことをしなければいけない。しかし、水というものは、水道というものは、今日は人口が三千だから三千人分、来年は五千人だから五千人分というわけにはいきません。どうしたって初めからある程度の規模のものをしなければいけない。先行投資の最たるものはこの水道にあるのです。それに対しまして補助をしない、私はどうかと思いますね。それで、そういうことに市町村は追われるものだから、人間の生命、生活に関するものですから、それを第一にやらなければいけない。それで何がおくれるかというと、教育設備がおくれてくる。学校のほうは、これは困ったことでありますけれども、とにかく集めて教えればいいということになちゃう。そうすれば、教室に何人も入れてみたり、バラックかなにか、ベニヤ板なんかで部屋をつくって教えてみたり、この水道、そういう方面に金をとられちゃって、肝心な教育というのは最後になってくるのです。私はそういう面からいいましても、これは自治省といたしましてどうしても先行投資の最大のものだ。またこれを先行投資的にやりませんと、あとで非常に不経済なことも起こりますし、私は水道というものについては、特にベッドタウンとしての上水道等については、私はどうしても補助金という制度があるべきだと思うのです。ほかのものには、道路やなんかにはあって上水道にはない、私はおかしいと思うのです。大体政府のやり方は、民衆の生活のほうはあと回しになっちゃって、トラックなんかで荷物を運ぶというほうが大事じゃないかということになっているのじゃないですか。それだから水道等にはしない、道路等にはする。道路等をよくすればよくするほど工場等ができたり、ビルができたり、そういうものが出てくる。ますます人が集まってくる。東京のまん中から水を運んでいくわけにはいきませんから、そうすれば自宅のほうには水道をつけてやらなければいけない。こういうふうなことなんであって、私は並行していくべきであって、人口集中をするようなものに先行しておいて、人口集中したあとのしりぬぐいをあとからするというのはおかしいと思うのです。私は水道等につきまして、このような民生的なものをあとにする、補助をしない、こういうことは間違っておると思う。その点は特に新産都市よりも、すでにでき上がっている圏内のほうが、目に見えて人口がふえて、新しい住宅というものができなければいけないのですから、私は必要だと思うのです。局長と私は逆なふうにも考えるんですが、どうでしょう、局長もこれはもう少しがんばってやってくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/36
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037・柴田護
○柴田(護)政府委員 新産、工特に関します法案審議の際にいただきました附帯決議に対しまする経過は、ただいま御説明申し上げましたとおりでございます。それで、じゃあおまえたちはあきらめたのかとおっしゃいますかもしれませんが、私ども別にあきらめておりません。ただ今回の予算折衝等におきましては力及ばずしてそこまで手が回らなかったというのが実情でございます。ただ新産、工特の場合と首都画、近畿圏というような場合におきまする水道問題というものを考えます場合には、私は、おことばを返しますけれども、やはり新産、工特といったような場合のほうが先ではなかろうか、つまり先行投資的な因子というのはそのほうが強い。首都圏、近畿圏というふうに人口がすでに集中しているところにおきましては、十分その投資というものを回収することが可能であります。ただその場合に問題になりますのは、非常に遠方から水を引っぱってくるという場合に若干問題があるという問題でございまして、水道事業そのものに関します先行性ということになりますれば、やはり新産、工特のほうが問題はもっと、先行投資という形からいえばそぐうものではなかろうかというふうに実は考えるのであります。
それともう一つは、やはり人口集中してくるから水をという問題の前に、やはり人口をどのように配置するかという問題が基本的にあるだろう。特に首都圏、近畿圏等考えました場合には、釈迦に説法でございますけれども、やはり東京周辺の人口配置をどうするのだということ、二十三区を無限に広がらすのかという問題があるのではなかろうか、そこからやはり考えていかなければいかぬのではなかろうか。現在の状況で考えますれば東京のような場合を想定いたしますと、幾ら金をかけて水を引きましても、水道によって充足されるよりか人口のふえるほうが早いということでは永久にシーソーゲームじゃないかという基本問題があろうかと思います。これはとてもわれわれのような乏しい頭では解決できませんけれども、その問題はやはり関連があるのではないか。御指摘の点はよくわかっております。今回は遺憾ながら実現の運びにいきませんでしたけれども、なおそういった問題についての財政的なバランスをとるためのあり方、補助のあり方といったような面につきましては引き続き努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/37
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038・華山親義
○華山委員 私も局長と同じように考えますよ。もう東京には幾らでも人が来ていいんだ、大阪付近には幾らでも人が集まってきていいんだ、国も地方財政もそれを追っかけながら施設していかなければいけないのだ、こういう態勢が悪いことはよくわかる。しかしいまのところそういう態勢をとめられないでしょう。いまの自民党政府じゃそんなことできませんよ。社会党だったらできるかどうか、それは私もわかりませんけれども、とてもそういうふうな情勢じゃないのだな。ただ理論を言っていたってしょうがないのです。それですから考えようによると、私も前に言ったことがありますけれども、東京には、委員長も東京都出身の方でいらっしゃるが、もう何もしないことですよ。そうすればあきれ返っちゃって東京には人が来なくなる、そういうふうなことにでもならなければ、この問題は解決しないのですね。しかしそういうことは現実にできないのだ。現実にできないならば、私は、どうしてもそういう問題は、もう地方の問題なんだと言ってまかせておけないと思うんですよ。国のほうはほとんど何もしない。池田さんは、東京に都政なしなんて言っておったけれども、あんなことはうそですよ。国が何もやらないでおいて都政なしなんということはないですよ。そういうふうなことで、私はどうしてもここに助成が要るんじゃなかろうかと思いますけれども、現実にはできないんですから、できない現実に立ってどうするかということをやはり考えなければいけないと思います。局長、私もそう思いますよ。それですから、私はこの点についてひとつ首都圏、近畿圏の整備をされる責任の局長さんもおられますから申し上げますとともに、そういうふうな民生に対する事業というものについても、やはり優先して補助を与える、こういう方向へいっていただきたい、こう思うわけで申し上げたようなわけでございます。
大臣がいらっしゃいませんから、それでは政務次官に申し上げますが、とにかく私、考えるのですけれども、現在地方は、数県を除いては人口が減少しつつあります。この人口が減少しつつあるという現実は、その府県知事あるいは県会議員、そういう連中に非常に微妙な心理的影響を与えている。何としてもこの人口の減少をとめなければいけないというふうなことを考えるわけですね。そんなことはできないのだということを知っておっても、そういうことをしようとする政治的のゼスチュアを示すわけです。それですから工場誘致のための先行投資、こういうことになる。やってみたところが工場なんかそう来るものじゃない。そういう無理な財政投資を地方はやっておりますよ。そういうことが私は、現在地方財政に対しまして非常に悪い結果をもたらしているんじゃないかと思う。無理な地方条例をつくってみたり、企業誘致条例などというようなものをつくって補助金を与えてみたり、無理な土地開発をやってみたり、そういうふうなことでございますね。私をして悪口を言わせるならば、これは自治省の責任でありませんけれども、通産省の責任だと思いますけれども、それをいいことにして地方にいろいろな負担をかけている。それが工業用水道にあらわれた、土地造成にあらわれた、そういうことなんです。自治大臣としましては、地方を守る立場にある自治大臣なんですから、そういうことのないようにひとつやっていただきたいと思うのですが、大臣がおいでにならないから、次官、ひとつ御所見でもありましたら承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/38
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039・大西正男
○大西政府委員 華山先生の御議論は非常に傾聴すべき点が多々あると思って、敬意を払って拝聴しておったわけでございますが、私ども、非常に個人的な意見にわたるかもわかりませんが、地方がこういう人口移動の中に、人口移動と申しますのははなはだ大げさな言い方でございますけれども、人口のそういった大都市への集中、そうして農山漁村の減少、こういうことが傾向として存在しておるわけでございますが、そういう人口の減少しつつある地方自治団体においては、それぞれの地方自治団体がそれらの傾向に対処して、みずから将来に対するビジョンを自主的に持たなければならぬのじゃないかと思うのでございます。そういう自主的なビジョンを現実に即しつつ持つことによって、そうしてそれに対してある計画をみずから樹立していくということであるならば、これは当然国が大いにバックアップして財政的にも援助していくべきだと思うのでございます。そういう趣旨で考えなければならぬのじゃないかと思います。日本全体の傾向からいいますと、いま御指摘のように大都市中心に人口が集中しつつあるわけでございますから、これをさしあたりどういうふうにやっていくかということについて、やはり国としてはそれを優先的に考えることも、これまた当面の問題として必要やむを得ざることであろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/39
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040・華山親義
○華山委員 地方公営企業に関連して通産大臣にあとで私伺いますけれども、日本のこれからの経済成長が安定成長に入り、いままでは安定的でなかったから地方のほうも多少そういうことに望みを託したかもしれないが、安定成長に入ったあと、地方に行くスピードはどういうふうなのか、そういう点もまた伺いますけれども、きょうはこれで質問を終わります。
重ねて申し上げますが、私はまたやりますから、ひとつ委員長、そのときは、二へんも同じことを言わないでというようなことを言わないでいただきたい。どうぞよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/40
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041・岡崎英城
○岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X02719660421/41
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