1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月二十七日(水曜日)
午前十時十六分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 和爾俊二郎君
理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
田村 良平君 藤田 義光君
山崎 巖君 井手 以誠君
阪上安太郎君 門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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四月二十七日
委員吉田賢一君辞任につき、その補欠として竹
谷源太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員竹谷源太郎君辞任につき、その補欠として
吉田賢一君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十六日
地方公営企業法の一部を改正する法律案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三八号)
地方公営企業財政再建促進特別措置法案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三九号)
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
安井吉典君外九名提出、衆法第四〇号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)
同日
地方公営企業の確立に関する請願外二件(秋山
徳雄君紹介)(第三四〇三号)
同外一件(中嶋英夫君紹介)(第三四〇四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
昨二十六日付託になりました内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/1
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002・永山忠則
○永山国務大臣 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容の要旨を御説明申し上げます。
近年、地方公営企業は、国民生活水準の向上、地域開発の進展に伴い、事業量、事業数ともに急速な拡大発展を続けておりますが、一方その経営状況は悪化の一途をたどり、昭和三十九年度における累積赤字は、年間料金収入の二三%にあたる六百六十億円の巨額に達するに至っております。
地方公営企業の経営がこのように悪化した原因としては、人件費、資本費等のコストの増加、料金改定の遅延、経営合理化の不徹底等があげられますが、基本的には、企業の管理体制、給与制度、料金の決定方法等現行の地方公営企業制度にも問題があると考えられるのであります。したがいまして、今後地方公営企業が健全な発展を続けていくためには、その合理的、能率的運営が可能となるよう地方公営企業制度に所要の改正を加えるとともに、過去に生じたる赤字を計画的に解消するための措置を講ずることが必要となった次第であります。
このため、地方公営企業制度調査会の答申の趣旨に基づいて、地方公営企業法に所要の改正を加えることとしたのであります。
次に、順を追って、この法律案の改正の要旨について御説明申し上げます。
第一は、地方公営企業制度の改正についてであります。これは、地方公営企業の合理的、能率的な運営を確保し、その健全なる発展をはかる見地から規定の改正を行なうものであります。
その一は、この法律の適用範囲の拡大であります。
地方公共団体の経営する水道事業、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業及びガス事業には、すべてこの法律を適用することとし、これらの事業とは性格を異にする病院事業につきましては、この法律の財務に関する規定のみを適用することといたしました。なお、簡易水道事業はこの場合の水道事業には含まれないことを明確にいたしております。
その二は、管理者の地位の強化であります。
地方公営企業には、管理者を置くことといたしますが、大規模なもの以外はあえて専任の管理者を置く必要がない場合もありますので、政令で定める基準以下の企業には管理者を置かないことができることといたしました。
管理者の権限につきましては、予算の原案を作成すること、管理者限りで契約を結ぶことができること、その権限に属する事務の一部を他の管理者に委任する場合に地方公共団体の長の同意を要しないこととすること等その権限を強化し、管理者が自主的に企業の運営を行なうことができるようにいたしました。なお、管理者の権限を強化することに伴い、かつ、広く人材を求め得るよう、その身分は特別職とし、任期は四年といたしました。
その三は、企業会計と一般会計等との経費の負担区分の明確化であります。
地方公営企業の経費の負担の原則を確立するため、地方公営企業に要する経費のうち、その性質上経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費及び企業の性質上経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難な経費は、地方公共団体の一般会計等において負担するものとし、これらの経費以外の経費につきましては、企業自体においてまかなうことといたしました。
その四は、財務制度の改善であります。
地方公営企業の料金につきましては、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならないことといたしました。
次に、地方公営企業の予算につきましては、地方公共団体の一般会計の予算と異なり、毎事業年度の業務の予定量及びこれに関する収入、支出の大綱を定めるものであることを明らかにいたしました。
また、地方公営企業の出納を取り扱う金融機関につきましては、管理者が地方公共団体の長の同意を得て指定するものとし、監査委員は、地方公営企業の公金の収納または支払いの事務について金融機関を監査することができることといたしました。
なお、地方公営企業の用に供する資産のうち、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものの取得及び処分につきましては、従来、個別に議会の議決を得ることとされていたのでありますが、これも毎事業年度の予算に含めて一括して議会の承認を得ることといたしました。
その五は、職員の給与制度の合理化であります。
地方公営企業の職員の給与につきましては、その職務に必要とされる技能、職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員の発揮した能率が十分に反映されるものでなければならないものとするとともに、その決定にあたっては、同種の国及び地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与を考慮し、かつ、その地方公営企業の経営成績を考慮しなければならないものといたしました。
その六は、企業団制度の確立であります。
地方公営企業の経営に関する事務を共同処理する一部事務組合につきましては、企業の経営を能率的かつ機動的に行なうことができるようにするため、次の改正を行なうことといたしました。
まず、地方公営企業を経営するための一部事務組合の名称を企業団とするとともに、企業団の管理者として企業長を置き、企業の管理者の権限は企業長が行なうことといたしました。
企業長は、規約で別段の定めをしない限り、企業団を組織する地方公共団体の長が共同して任命するものとし、企業長の任期、資格要件等その身分取り扱いにつきましては、企業の管理者とほぼ同様の取り扱いとするものといたしました。
企業団の監査委員につきましては、その定数は二人または一人とし、企業長が企業団の議会の同意を得て事業の経営管理について専門の知識経験を有する者の中から任命することといたしました。
企業団の議会の議員の定数につきましては、十五人をこえることができないものとし、経過措置として、法律施行後四年間は、従前の定数によることができるものといたしました。
以上のほか、地方公営企業制度につきまして所要の改正を行なうことといたしております。
第二は、地方公営企業の財政再建についてであります。
まず、再建対象事業は、昭和三十九年度において赤字を有する水道事業、建設にあたって国庫補助を受けていない工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業、ガス事業及び病院事業の八事業といたしました。これらの企業を経営する地方公共団体は、議会の議決を経ておおむね五年度以内に赤字を解消することを内容とする財政再建計画を定め、自治大臣の承認を受けて財政再建を行なうことができることといたしております。
次に、再建企業に対する国の財政援助措置としましては、財政再建債の発行を認めるとともに、その利子に対し年六分五厘をこえる部分について利子補給を行なうこととするほか、企業債の償還の繰り延べ等の措置について配慮することといたしております。
なお、企業の健全な経営を担保するため、政令で定める年度以降の年度においては、赤字の企業は財政再建を行なう場合でなければ企業債を起こすことができないことといたしております。
また、昭和四十年度以降の年度において赤字を有する企業につきましても、財政再建を促進する必要がありますので、これらの企業が財政の再建を行なう場合には、財政再建債及びこれに対する利子補給に関する規定等を除き、財政再建に関する諸規定を準用することといたしております。
以上のほか、企業の財政再建につきましては、地方財政再建促進特別措置法の相当規定を準用することといたしております。
以上が地方公営企業法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/2
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003・岡崎英城
○岡崎委員長 次に補足説明を聴取いたします。柴田財政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/3
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004・柴田護
○柴田(護)政府委員 地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、改正条文の条項を追いまして、補足して御説明申し上げます。
便宜お手元に配布申し上げておりまする新旧対照表をごらん願いたいと思います。
第一条の改正規定は、公営企業法に財政再建の条章を入れることに伴いまする条文の整理であります。
第二条の改正は、法律を適用いたしまする企業の範囲について、従来職員数に応じまして区分をいたしておりましたが、法施行後相当年月も経過いたしておりますし、企業の会計といたしましては、発生地主義によることが望ましいのにかんがみまして、水道、工業用水道、軌道、自動車運送、地方鉄道、電気、ガスの七事業につきましては、すべてこれを適用することにいたしました。同時にまた、簡易水道事業につきまして、従来から解釈上適用企業に含まれないということになっておりましたが、これを明文をもって明確にいたしました。
第二条の三項の規定は、条文整理でございます。
第四条の改正規定は、「公営企業の基本計画を定めるもの」と従来いたしておりましたものについて、地方自治法第二百四十四条の二の、公の施設の設置及びその管理に関しまする条例の特例であります趣旨を明確にするように、条文の改正をいたしております。この第四条で「経営の基本に関する事項」と申しますのは、従前の「基本計画」に相当するものでございます。
第五条の二の改正規定は、国の行政機関の長の公営企業関係業務の処分その他の事務の執行にあたる一般的な義務規定でありまして、現行法の運営にあたりまして、地方公営企業の健全な運営がはかられるように、処分その他の執行にあたって配慮するという一般原則を規定したものでございます。
第六条は、条文整理でございます。
第七条の改正規定は、長と管理者の関係を、従来よりより一そう管理者の独立権限を強めました関係によりまして、必要な条文の整理を行なったものでございます。
第七条の二の規定は、管理者の選任及び身分の取り扱いに関する規定でございます。従前と取り扱いを異にしまして、管理者は長の任命する職員ではありますが、一般的な長の指揮監督を受けない、いわば任期を有する特別職といたしまして、それぞれ管理者の欠格条項、任期、兼職禁止等の条項を規定をいたしております。
また第七項におきましては管理者の罷免事由を明らかにしまして、心身の故障のため職務の遂行にたえないと認められる場合、あるいは管理者の業務の執行が適切でないため経営の状況が悪化したと認める場合、その他一般に管理者がその職に必要な適格性を欠くと認められる場合には、これを罷免することができることと規定いたしました。
それから、第八条の改正条項は、管理者の地位及び権限に関する条文でございますが、条文の整理でございます。
第九条の改正規定は、第三号及び第四号につきましては、予算に対しまする考え方を、あとで申し上げますように若干変えておりますので、これに伴います変更であります。条文整理であります。予算の原案を作成する権限を管理者に与え、予算に関します実施計画、資金計画その他のものにつきましては、一部は予算に含まれますので、移行いたしますので、残ったものを自治法と同じ立て方にいたしまして、説明書にいたしました。
また、第九号並びに第十三号の規定は、それぞれ従来の規定の明確化をはかったものでございます。
第十一条及び第十二条につきましては、管理者の身分取り扱いが変わりましたのに伴いまして不必要になりましたので、削除いたしました。
第十三条は管理者の代理及び委任の規定でありますが、管理者に対します機動性を確保いたしますために、管理者に事故があったり、あるいは管理者が欠けたような場合には、あらかじめ長の同意を得て指定する上席の職員がその職務を行なうと規定したものであります。
第十五条の改正規定は、企業職員の取り扱いであります。従来企業職員につきましては、上級職員とその他の企業職員とを区別して扱っておりましたが、企業職員の身分取り扱いをほぼ統一をいたしましたことによりまして、その区別を撤廃いたしたのであります。
第十六条は、管理者と長の関係であります。管理者に対しまして長が一般的な指揮監督権を持っておりましたが、これを限定的に監督することに改めまして、管理者の独立性を強めました。したがって、住民の福祉に重大な影響がある地方公営企業の業務の執行に関し、その福祉を確保するため必要があるとき、または当該管理者以外の地方公共団体の機関の権限に属する事務の執行とその公営企業の業務の執行との間の調整をはかるため必要があるとき、この二つの場合において、長は管理者に対して業務執行について必要な指示をする、こういうようなことができるということを明確にいたしたのであります。
第三章、財務の項につきましては、第十七条の改正規定は、二つ以上の公営企業の経理を一括することができる場合でありますが、やや乱に流れるきらいもありますので、乱に流れないように政令で基準を定めることにしました。
第十七条の二は、経費負担区分の原則であります。公営企業で政令で定めるものについては、一般会計と特別会計において負担するものとするという原則を明確にし、第二項におきまして、その他の、一般会計及び特別会計で負担するもの以外につきましては、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てるということを規定いたしたのであります。
第一項の第一号の規定は、性質上その地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てるととが適当でない経費、いわば受益者が不特定であるような場合の経費であります。たとえば消防におきます消火せんの経費、病院における看護婦養成に関しまする経費等を予想をいたしております。
第二号は、地方公営企業の性質上、能率的な経営を行なってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められるとき、これはいわば受益者が特定いたしておりますが、そのすべてを料金で回収することが客観的に見て不可能であると考えられる場合であります。たとえば病院の高度医療の場合、あるいは不採算地区の病院の場合、あるいは地下鉄建設事業の一部、病院建設事業の一部というものを予想いたしております。いずれも政令で規定することにいたしております。
第十七条の三の規定は、現行の十七条の第二項の規定であります。負担区分の原則を明確にいたしましたことに関連いたしまして、例外的に補助の規定を特記いたしまして、一条を設けることにいたすものであります。
第十八条は、第一項の改正規定は条文整理でございます。
第二項の改正規定は、特別会計に対しまして出資をいたしました場合、利益の状況に応じて納付金を、それぞれ出資いたしました会計に納付するという、いわば資本報酬的な考え方をとり入れたのであります。
第十八条の二は、第一項は条文整理でありまして、第二項は、借りました場合におきましては、適正な利息をその借りた会計に払うという趣旨を明確にいたしたものであります。
第二十一条の改正規定でございますが、料金に関しますものでありまして、表現を明確にいたしておりますが、基本的考え方は従来と同じであります。また旧第三項は新しい第三十三条の二に移行せしめました。
第二十四条の改正規定は、予算に関するものでございますが、企業予算は企業活動の目標設定の意味を持つものでありまして、一般会計の予算とは意味を異にいたしておりますので、その趣旨を明確化いたしたのであります。
第二十五条は予算に関する説明書でございます。さきに申し上げましたように、事業計画に関します部分は新しい予算に吸収されますので、あとを一括いたしまして説明書といたしたのであります。詳細は政令で規定するつもりであります。
第二十六条第二項の改正規定は、管理者の権限を強めたことにかんがみまして、予算の繰り越しにつきまして長の承認を得る必要がないことにいたしたのであります。
第二十七条は出納に関します改正規定であります。この規定は、先般自治法が改正されましたことに伴いまして、地方自治法の二百三十五条の四の一項の規定と同じ扱いをいたすことにいたしまして、必要な部分を整理したものであります。
第二十七条の二、これは公金の収納等に関しまする監査委員の権限でございます。従来若干疑義がございましたので、疑義を除く意味合いにおきまして、疑義を明確化する意味におきまして、この条文を明確に規定いたしまして、監査委員は公営企業の業務に関しまする公金の収納または支払い事務について監査することができるという趣旨を明確にいたしたのであります。
第二項は、その結果の議会並びに長及び管理者に対する報告義務であります。
第二十八条の規定は条文整理であります。
第三十条は決算の規定であります。第三十条の第三項の規定でありまするが、監査にあたりましては、監査委員は地方公営企業の運営が地方公営企業法第三条の規定の趣旨に従ってなされているかどうかということについて特に配慮をせよという、監査委員の監査に関しまする基準を置くことにいたしました。監査の適正化を期した次第でございます。四項以下はそれぞれ条文の整理であります。
第三十三条の改正規定は、資産の取得、管理及び処分に関しまする規定であります。資産の取得、管理及び処分については管理者が行なうことといたしました。ただしそのうちで種類及び金額について、重要なものにつきまして、条例で定めるものの取得及び処分については予算で定める、予算の審議に合わせて議会の審議を仰ぐことにしたのであります。第三項の規定は、行政財産の目的外使用に関しまする規定でございます。これは管理者限りでできるということにいたしまして、機動力を付与することにいたしました。
第三十三条の二の改正規定は、公金の徴収または収納の委託に関しまする改正規定でございまして、旧法の第二十一条の第三項と同じ趣旨のものでございまするが、経営の合理化を推進する意味におきまして、地方公営企業の業務にかかる公金の徴収または収納の事務について、一定の場合においては、政令の定める基準によって私人に委託してもよろしいという規定を置きました。政令で定めますのは、料金の払い込みその他会計上の取り扱い手続でありまして、現地方公営企業法施行令第十六条の二第三項以下の規定を規定する予定であります。
第三十四条は、公営企業に従事する職員の賠償責任に関しまする規定でありまして、地方自治法第二百四十三条の二の規定の準用に関しまして、必要な読みかえ規定を整理したのであります。第三十四条の二も、条文整理に関しまするものであります。
第四章の職員の身分取り扱いに関しまする第三十六条及び第三十七条の規定は、さきに御説明申し上げましたように、企業職員の身分の取り扱いを廃止いたしましたので、これ以下は企業職員ということにいたしたのであります。それに伴いまする整理の条文であります。
第三十八条は、給与に関しまする条文でございます。企業職員の給与は、給料及び手当とし、またその給与は職務に必要とされる技能、職務遂行の困難度等、職務の内容と責任に応ずるものであって、職員の発揮した能率が十分に反映されるものでなければならないとし、その給与は「生計費並びに同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮し、かつ、当該地方公営企業の経営の状況を考慮して定めなければならない。」ものといたしました。従来三十八条の解釈としていろいろ言われておりましたことと同種のものでございますが、やや従来解釈問題をめぐりまして議論がございましたので、これを明確化したのでございます。
第三十九条は、地方公務員法の適用除外の規定でありますが、これは企業職員を一括いたしましたこと等に伴います必要な条文整理であります。
一部事務組合に関しまする特例の第五章第三十九条の二以下の一部事務組合に関しまする条文は、地方公営企業に関しまする一部事務組合の管理者につきましては、これを企業長といたしまして、そして管理者を置かないことにいたしました。また企業長は、企業団の規約で定めのない場合においては、特別の定めをいたしません場合には、「地方公営企業の経営に関し識見を有する者のうちから、企業団を組織する地方公共団体の長が共同して任命するもの」といたしております。また企業団の監査委員の数は、第五項にありますように、企業団の規約で定めるところによりまして、二人または一人と規定をいたしました。その資格を第六項において明らかにいたしました。また企業団の議会の議員の定数は、十五人をこえることができないことといたしました。企業団がその趣旨に従いまして、機動的に活動できるように配慮をしたのでございます。この条文の第四項は、企業長に関しまする自治法、公務員法の引用に関します読みかえ規定でございます。なお議会議員の定数、監査委員の任期、企業長の任期等につきましては、附則におきまして適当な期間までの暫定措置を構じております。
第三十九条の三は、企業団の財務に関する規定であります。それぞれの準用に関します読みかえ規定であります。
第六章の雑則、四十条の一項の適用除外に関しますものにつきましては、契約、財産の処分、取得につきましては、それぞれ原則としては管理者の権限といたしました。またその財産の処分、取得についての重要なものにつきましては、さいぜん申し上げましたように予算で規定をし、議会の審議を経るというたてまえにいたしました。なお、訴えの提起、和解、あっせん、調停及び仲裁その他損害賠償の額の決定等につきましては、それぞれ管理者の権限といたしたのであります。
第四十条の二及び三につきましては、それぞれ条文整理であります。
第四十二条は、地方公共企業体に関します根拠条文でありまして、地方公共団体は、別に法律で定めるところによって地方公営企業を経営するための地方公共企業体を設けることができることといたしました。新しく公共企業体形式による、いわば間接経営による地方公営企業の経営形態の道を開いたのであります。
第四十三条は、再建計画の策定に関する規定でありまして、この法律を適用している水道、工業用水道、軌道、自動車運送、地方鉄道、電気事業、ガス、病院についての赤字事業につきましては、四十年三月末、つまり三十九年度決算におきます赤字団体を対象といたしまして、再建の措置を講ずることといたしました。なお補助工業用水を再建からはずしましたのは、補助工業用水についての取り扱いは、他の公営企業と若干取り扱いを異にしておりますのと、補助金を含めまして負担区分のあり方につきましては根本的な問題が残されておりますので、一応この際は再建計画から除くことといたしました。なお再建の対象にいたしますものは、三十九年度末において実質収支が赤字である、しかも不良債務を持っているものということに限定をいたしました。不良債務の計算につきましては、政令を規定するつもりであります。それから第二項は再建に対する勧告の規定であります。第三項は財政再建計画のあらましでありますが、基本方針、各年度に解消する不良債務、不良債務を解消するための具体的措置、再建債の償還計画といったようなものを基本方針として規定することといたしました。期間はおおむね五年程度といたしております。もっとも「おおむね」でございますので、一般会計の再建の場合と同じように、実情に応じこれを伸縮するつもりでございます。
それから第四十四条は、財政再建計画の承認に関する規定であります。おおむね一般会計におきまする財政再建の規定と同じであります。
第四十五条は、財政再建債に関する規定であります。
それから第四十六条が財政再建債の償還に関する規定であります。
第四十七条は、財政再建債の利子補給に関しますものであります。年六分五厘をこえる部分について、八分を限度として国が財政再建団体に対して利子補給をするという規定であります。
第四十八条は、財政再建団体に対します優遇措置でありまして、企業債の償還繰り延べその他財政の再建促進のための配慮をすることを規定いたしております。
第四十九条は、昭和四十年度以降の年度における赤字団体に対する財政再建の規定であります。一般会計におきます準用団体に相当するものであります。
それから第五十条は、財政再建の担保に関する規定でありまして、赤字の企業の企業債の制限の規定であります。政令で定める年度以降において、赤字の企業で政令で定めるものについては再建計画を立てなければ企業債を起こすことができないということにいたしております。政令に譲っておりますのは、企業の健全運営の基礎が完全にでき上がっておりませんので、それが完全にでき上がります年度以降というものを予定しております。
また、政令で定めるものについてというのは、ごく少量の赤字のものまでこの規定によって縛ることは適当でないというように考えますので、赤字の額を一定の制限を置く必要があると考えたからであります。
第五十一条は、地方財政再建促進特別措置法の準用に関しまする規定であります。地方財政再建促進特別措置法のうち、必要な規定はそれぞれ公営企業の再建について準用することといたしております。
第五十二条は、自治大臣の権限委任に関する規定であります。
それから附則でございますが、附則の第一条はこの法律の適用関係でございます。
ごく簡単に申し上げますと、再建関係の規定は公布の日から。管理者、企業団等組織に関しまする規定は今年十月一日から。予算に関しまするものは昭和四十二年の一月一日から、つまり昭和四十二年度予算から。適用範囲、負担区分、決算等に関しまする規定は昭和四十二年四月一日から適用することといたしております。
第二条以下第三条、第十条までは、それぞれ本法施行に関しまする経過規定でございます。混乱の起こりませんように、それぞれ必要な配慮を加えたのであります。
それから第十一条は政令への委任規定でございまして、第十二条以下十七条までは、それぞれ地方財政法以下関係法令の条文整理の規定であります。
以上、簡単でありますが、逐条説明を終わらせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/4
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005・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で説明は終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03019660427/5
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