1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十七日(金曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君
理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
田中 六助君 田村 良平君
中馬 辰猪君 森下 元晴君
山崎 巖君 大出 俊君
島土善五郎君 安井 吉典君
門司 亮君 吉田 賢一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
警察庁長官 新井 裕君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 今竹 義一君
厚生事務官
(医務局次長) 渥美 節夫君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁保安局
保安課長) 雨森 和雄君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局次
長) 平間 修君
運輸事務官
(鉄道監督局民
営鉄道部長) 蜂須賀国雄君
建設事務官
(都市局都市計
画課長) 大塩洋一郎君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 鎌田 要人君
自治事務官
(財政局公営企
業課長) 近藤 隆之君
専 門 員 越村安太郎君
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五月二十七日
委員村上勇君及び久保田鶴松君辞任につき、そ
の補欠として纐纈彌三君及び大出俊君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員纐纈彌三君及び大出俊君辞任につき、その
補欠として村上勇君及び久保田鶴松君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一
部を改正する法律案(内閣提出第一一三号)(
参議院送付)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三八号)
地方公営企業財政再建促進特別措置法案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三九号)
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
安井吉典君外九名提出、衆法第四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。秋山徳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/1
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002・秋山徳雄
○秋山委員 一言、二言質疑を重ねてみたいと思いますが、先般来の委員会の質疑を通じていろいろお尋ねした向きを聞いておりますと、今度の改正によりまして新しく銃砲刀剣類につきましての所持規則がかなり変わってくるわけであります。それにつきまして、新しく持とうとする人などにつきましては、これらの人に講習を行なって、済んだ方には受講証明書を交付をしていく、こういうふうな仕組みになっておるようでありますが、その受講者は全国で約三万五千人ないし四万人程度ということのようでございます。これを一府県に割ってみますと、大体八百人から千名程度ではないかということになろうかと思います。これをまた各方面別、すなわち警察署単位ということになりますと、これが二十名ないし多くても五十名程度ということではなかろうかと思います。これに対しまして、受講生は最高五百円程度の受講料を徴収されるということのようでございます。これらを実施していく上におきましては、何カ所か設ける講習所を指定するのでありましょうけれども、これらの会場の場所を知らせる、日にちを知らせる、こうしたときには当然これを宣伝しなければなりません。これにはやはりポスターで宣伝するなり何なりしなければならぬかとも思います。同時にまた講師に選ばれた人、こういう人たちには多少にかかわらず謝礼なり何なりをしなければならぬ。またこれが外部の人でなければ、署内の人が行なうといたしますならば、やはりこれに対しての何かの、たとえば時間外勤務になれば超勤手当も払わなければならないのではないかという気もするわけであります。また警察署で行なわないということになりますと、会場の費用なども捻出をしなければならぬし、あるいはまた講師の人たちにもお昼なりあるいはまた夜になれば夕食なり、これらを与えなければならぬではないかという気もするわけですが、同時にまた受講者に対しましての名簿をつくったり、あるいはまた完了した人たちに対しましての名簿をつくっておく必要があろうかと思います。そういうことごとを考えてまいりますと、それに見合う費用として五百円の受講料を取るということではないかという考え方も、一応持てないわけではありませんけれども、いま申し上げましたようなことごとを考えてまいりますと、これだけで財源が間違いなく足りるかどうかということにも考えを及ぼしていかなければならない、こういうことが考えられてくると思います。こういうことを一体あなた方はどういうふうにお考えになっておりますのか、こういう点をまず承っていきたいと思うわけであります。私がなぜこういったことを聞いてみるかということになりますと、いままで各種のことごとにつきまして、国会でいろいろの法律が出されてまいりまして、これらを審議し、決定しております。なるほど役所のほうでは法案を提出すれば事済むでしょうし、また国会においてもそれは適切であるからということで、審議の過程あるいはそれを経て制定をしたということになりますと、今度はそれを実施をしていく省庁というものは、これはそれだけでは済まない場合もありましょう。今度の問題にいたしましても、農林関係のほうの連絡も必要でありましょうし、いろいろ問題が出てくるわけであります。これらのことがいままでややもすると、大きな問題は別として、なかなかそこまで考えが及んでいかない。こういうことの上に立って地方庁にはかなり無理が押しつけられているのが現状だろうと思います。自治省関係の問題といたしましても、選挙制度の問題が先般来どうやら衆議院を通過して参議院段階になっていると思いますが、これらに対しましても、永久選挙人名簿というとりっぱな名前になりますけれども、これを実施するのにいかほどの予算が組まれているかということを考えてみますと、わずか四億数千万円しか組まれていない。なるほど永久選挙人名簿が新しくできるのだから、これに伴う予算ということになると、台帳の経費などはその中に入っているかもしれぬけれども、それを積み重ねていわゆる実施調査をやっていく職員関係の費用などは一切含まれていない、こういうことが考えられなければならないと思います。そういうことを考えてまいりますと、警察のこういう問題にいたしましてもやはりいままでの陋習にとらわれて、そういうことを考慮に入れないで今度の法律の作成がなされたのではないかという気もしないわけではありません。したがってこういうことを基調として考えた場合には、先般来の質疑の中にもありましたように、幾人か警察官を増していくのが妥当ではないかという質疑も行なわれたわけであります。同時にまた、これに見合っての予算も組んでいくべきものではないかというふうな質疑も重ねられておりましたけれども、これらにつきましてもう一言お答えをいただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/2
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003・今竹義一
○今竹政府委員 講習会等を実施するにあたりまして都道府県に超過経費の負担分を課すべきではないという御趣旨、まことにごもっともでございます。私ども講習会の手数料等を算定いたします場合、これはいわば特定の者に対する特定のサービス行為になりますので、これを手数料の対象にしたわけでございますが、これを算定いたしますにつきましては、御指摘のございましたような広い意味の人件費の問題あるいは教材の問題あるいは会場の借り上げの問題あるいは各種の印刷製本あるいは食糧費の問題等をいろいろ算定いたしまして、五百円が最も相当の額である、かように考えた次第でございます。そこで、五百円の講習手数料で各都道府県のこれらに要する経費がまかなえるもの、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/3
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004・秋山徳雄
○秋山委員 これはまかなえるとかまかなえないだろうとかいうことになりますと、いろいろ考え方、見方によって違ってくるかと思いますが、先ほど私からも申し上げましたように、たった二十人か二十五人平均の一会場当たりの受講者であって、その人たちの経費を計算してみますと、二十名にしてもわずかの一万円くらいにしかならないわけですね。この一万円でもってポスターもつくらなければならぬ、あるいはまた実施をする団体に依嘱をしなければならぬということになりますと、これは団体におぶさっていくかあるいは市町村、都道府県におぶさっていくかしなければ、この費用ではおそらく足りないんじゃないか、こういうふうな気もしないわけではありません。そういうことを考えてまいりますと、これは実際にやってみなければわからぬことですからやってみて、そして足りなければそのときはあらためて予算を確保します、こういう御答弁でもいただけるのならばともかくとして、いままでのケースからいろいろ考えてみますと、えてしてそうなりがちなことが多いのであります。それがみんな市町村あるいは府県に対しての超過負担となってあらわれてきて、これを積算をしてまいりますと一千数百億になるというふうなことも言われてくるのであります。ですから少なくも中央官庁においてこういうものを考えて出して、直していくんだということの上に立ったときには、十分とは言わないまでも、私どもの懸念が少しでも起こらないように考えていただいて、それに見合った財源措置を考えなければならぬ。これも受講者だけでまかないがつかなくても私はいいんだと思うのです。これについては、やはりこういう問題ですから中央官庁なりあるいは国の経費なり、そうしたものを持ち込んで行なっていくべきものだろうと思います。そういうことの上に立って私は申し上げているのであって、先般来私がちょっと触れておきましたように、いま交通地獄と言われておるさなかでありますので、これらについてもかなり学校単位に父兄の人たちなどが朝夕ちまたに出ていろいろ指導をしております。これらに対しても何らの報酬的なこと、感謝の意味をあらわすこと、こういうことごとも国では知らぬ顔の半べえであって、これを従来どこでやっているかということになると、これは府県にみんなおぶさっているわけですね。そういうことではいけないと思うのです。従来考えてみると、警察でやっていることごとというものはえてしてそういうことが非常に多いのでありまして、たとえば防犯協力会ができると、これに対していろいろな方々から寄付を仰いでいく。あるいは今度は交通安全協会ができてくると、これにもやはり関心の深い人たちからいろいろな形で寄付を仰いだりなどしていかなければならない。そういうことだけが大きく各地方では言われているのでありますが、これもやはりせんじ詰めていけば、自分たちの子供たちを守っていくんだという上に立って協力をしているのであって、あるいは近所隣や自分のうちへ強盗が入ったりどろぼうが入ったりなどしたのでは困るということの上に立って少しでも警察に協力をしていこう、こういうことであろうかと思います。それを甘んじて受けっぱなしで、これがあたりまえなんだという気持ちでいることは私は許されるべきことではないと思う。だからそういうことの上に立って考えたときには、やはりそういうあたたかい心持ちにはあたたかい心持ちをもって報いていくべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。したがってそういう気持ちをいつも忘れないで、こういう法律が出されるときにおきましては、そういう心持ちを持った予算の確保ということが望ましいと思います。そういうことの上に立ってもう一言事務当局から答えていただいて、そうして最後には国家公安委員長からお答えをいただければ幸いだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/4
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005・新井裕
○新井政府委員 ただいま保安局長からお答え申し上げましたように、一応私どもの計算では五百円を取れば間に合うことに計算上なっております。秋山委員からいろいろこまかく御指摘のございました点、十分考え合わせまして、もしこれで足りないということであれば適当な措置をいたすように研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/5
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006・永山忠則
○永山国務大臣 いま長官がお話をいたしましたとおりに、実施を見ました上で、その必要性に応じて十分検討はいたします。かつ、あたたかい気持ちで協力をしてくれるということになれておんぶせないように、御注意の点も十分心に入れて指導いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/6
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007・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/7
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008・門司亮
○門司委員 この法律について、四、五点についてお聞きをしたいと思うのですが、一つは、拳銃の入手について、外国との関係であります。
御承知のように、日本では拳銃を所持する範囲というものは、きわめて限られておる。おまわりさんか、あるいは公安官か麻薬取締官かというようなことで、非常に限られておる。しかし、所持している人はかなり範囲が広い。それが、ほとんど毎日の新聞というと少し大げさになるかもしれないが、いろいろ問題をかもし出している。その入手の経路をたどってみると、一つは、外国に行けば、実際は自由に買えるわけであります。したがって、外国に行った諸君が持って帰ってくる、それが横に流れる、あるいは駐留軍の諸君が引き揚げて帰るときに、向こうでは自由に買えますから、こちらでお金になればこちらに置いていくというような、拳銃についてはそういう入手の経路が私はあろうと思うのです。その経路に対して、一体警察はどういう処置をとられておるのか。ここが野放しになっておれば、どんなやかましいことを言ったって、国内でこれの完全な法律の施行なんということは私は困難だと思います。それに対して、今日まで警察当局はどういう手を打たれておるか、また、将来どういうことにこれをされようとするのか、その辺をひとつこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/8
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009・今竹義一
○今竹政府委員 御指摘のとおり、昭和四十年で押収しました九百五十丁の拳銃のうち、駐留軍の関係が四十丁、密輸とはっきりいたしておりますのが二百八十六丁、あとは旧軍人が戦前から持っておったもの三十一丁、手製のものが十九丁、拾得三十丁、出所不明のものが五百四十四丁となっておりますが、この出所不明のものの中には、かなり密輸のものがあるということは、御指摘のとおりでございます。
これらに対します警察の措置でございますが、まず駐留軍関係につきましては、法改正のつど、特に昨年密輸入罪の創設されました機会に、日米合同委員会の刑事裁判管轄権分科委員会を通じまして、米軍に対して拳銃の不法所持の部内監視の強化、これは従来からもやっておるのでございますが、それをさらに密輸入の法改正の機会に、その措置の強化を要請いたしまして、その後一、二回打ち合わせ会をやっており、米軍のほうでもその趣旨を内部に指示、通達いたしております。
それから密輸の関係でございますが、これにつきましては、昨年の六月、リオデジャネイロで第三十四回の国際刑事警察機構の総会がございまして、わが国の代表から、わが国の拳銃規制の件を各国の代表に説明しまして、日本人船員、また日本人の旅行者には拳銃を売らないように指導してほしい旨の協力を要請いたしました。なお、本年もスイスでこの会議が開催される予定でございますので、その際重ねて要望する予定でございます。また、東南アジアの諸国を集めて、麻薬密貿のゼミナールを毎年開催いたしておりますが、その機会にも東南アジアの諸国にわが国の法規制の話をよく話して、そういうことについての協力を要請いたしております。それからさらに、運輸省の海運局長及び航空局長を通じまして、船主、船長あるいは船員等に対しまして、この拳銃の規定の趣旨を昨年の七月九日に十分徹底してもらうように要望いたしました。
以上のような措置を講じまして、密輸の防止に当たっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/9
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010・門司亮
○門司委員 措置はとられておるという御説明ですけれども、その効果がどういうことになっておるか、説明がないのでわかりませんが、たとえば麻薬にいたしましても、これは国際的に大体麻薬を使ってもいいという国はないはずであって、非常に私は問題があろうかと思う。麻薬の根絶はおそらく非常に困難だといわれておりますが、その困難な理由はほかにあるのであって、取引も非常にむずかしい問題であるが、麻薬の原産地であるアジアの奥、あるいはアフリカ等については、非常に生活に農民が困っておって、麻薬をつくることが一つの生活のかてになっておるということで、ここを直さなければ麻薬の取り締まりは幾らやったってだめだ。つくる者があれば結局売ることになる、売る者があれば買うことになるということを、私ども麻薬の取り締まりに関しても聞いておるわけであります。拳銃についても、こういう形で、いま御説明のありましたようなことだけでは、私は国内でどんなきびしい法律をこしらえてみたところで、なくならぬと思う。ところが外国の場合は、御承知のように、これは自由に買える。麻薬とはその辺はちょっと違う。が、しかし、それにしても、こういう問題についていま少しく日本政府が強く外国に対して、日本人に売ってくれるな、売ってはいけないということを、アメリカなりその他の国が法律できめるということは私はなかなか困難かと思いますけれども、やはりアメリカ側における、あるいは外国側における販売業者その他に向こうさんから徹底するような処置はとれないものであろうかということ——向こうで法律できめることは私は非常に困難だと思いますよ。しかし、できれば日本人には証明書がなければ、結局、渡航証明書と同時に拳銃を買うことのできる証明書がなければ売ってもらっては困るというような処置が外国側でできれば、非常に私は幸いだと思う。こういう点についての見通しはどうですかね。そういうわれわれが積極的に言うようなことは、なかなか外国との間にはできないものですかね。その辺の見解をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/10
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011・今竹義一
○今竹政府委員 御指摘の麻薬と同様に、買う者がおるからつくる者がおるということは、やはり拳銃にもございまして、数年前に非常に大量に検挙されましたフィリピンのCRS拳銃でございますね、これは粗雑な拳銃でございますが、この点につきましては、フィリピン政府の協力及び日本の取り締まりによりまして、最近はほとんどないという状態になって、密輸をなくするということに成功いたしております。ただ、最近非常に多く押収されておりますのはアメリカ製の普通の拳銃であります。これは、御承知のとおりアメリカの国内では、所持許可そのものについては、精神病者あるいは犯罪者というような特定の者以外には所持許可が要りませんで、携帯の許可のみを厳重に規制しておるというような法規制のたてまえがございますので、法を直してもらうことは、御指摘のように困難だと思いますが、しかし、私ども、日本人に売らないようにという指導を向こうの関係当局からやってもらうということは、できることだと思っております。そういう意味におきまして、われわれの国際会議等を通じまして、先方の警察隊長に対しましてそういう趣旨はよく話して依頼をいたしておりますし、また、そのあらわれとしまして、先日カナダの騎馬警察からは、日本人に大量に売っておる者がおる、買っておる日本人船員がおるということで、船の名前までこちらへ知らしてくれました。それによって、日本国内に持ち込まれた拳銃を数十丁押収したという事例もございますので、今後その方面の国際協力をさらに強化して密輸を防止するという方策をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/11
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012・門司亮
○門司委員 一応の話はあったようでありますが、問題は、こちらへ来てこれを取り上げて処罰したからといったところで、それは犯罪者をつくるだけであって、実際の効果はないと思う。その過程でもし事件でも起こればどうにもならない。事件をほんとうに未然に防ごうとすれば、やはり外国に要請して、そうして、さっき申し上げましたように、日本人の場合は所持の許可証がなければ売らないようにする、それはおまえさん、持って帰ったって使えないじゃないかということで、私は向こうさんにも言いわけはできると思うんですよ。持っていけないものを買って帰るということはよくないことだという、そのくらいの言いわけは、向こうの販売業者にできると思うんです。この間フィリピンかどこかでしたか、たくさんこしらえておったところがありまして、それは私ども存じあげておるわけですが、そういう大量なもの、あるいは向こうでも粗雑なものをこしらえておって、向こうの取り締まりにも引っかかるようなものは容易に処置できると思いますけれども、向こうではやはり正規に売られておるものであり、だれでも買えるものであるということになれば、日本国民に対しては特別にやはりそういう処置をぜひとってもらいたいと思うのですが、これは警察当局ではなくて、ひとつ公安委員長のほうから、この点についてははっきりした意思表示をこの機会にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/12
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013・永山忠則
○永山国務大臣 国内での不法所持につながるものでございますから、ただいまのお説の点についてはできるだけ御期待に沿うようなぐあいに努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/13
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014・門司亮
○門司委員 それで、さらにその次にひとつ聞いておきたいと思いますことは、これからくる実際の影響ではありませんが、実は映画その他で、例の西部劇その他でこういう拳銃を使ってかなりいろいろな映画を見せておる。その影響は、子供のおもちゃに非常にたくさんこういうものが売れるという形、同時におもちゃにしてもかなり精巧なものができている、こういう筋合いもあろうかと思います。しかし、子供がああいう飛び道具を好むということは一つの心理でありまして、これは、だから子供が悪いんだというわけにはなかなかいかない、私はこう思います。しかし一面、あれらの問題が刺激している、面も実際にないではないと私は考えております。このことについては、これは余談のようでありますが、かつて二十六年の春に私、最初にアメリカに行きましたときに、アメリカ人に対してこれを言ったことがある。どうもおまえのところからむやみに西部劇など、あんなピストルや機関銃みたいなものを撃ち合っているような映画を日本に持ってくるものだから、どうも日本ではやっかいで困っていると言ったところが、向こうさんのほうでは、あれはおれのほうの時代劇だ、おまえのほうだってチャンバラをやっているじゃないか、あれと同じものだ。おれのほうの時代劇が悪くて、おまえのほうの時代劇がいいというわけにはいかぬだろう、こういうことで、そのときは笑い話になりました。日本の時代劇も、なるほど長い刀を振り回して人殺しを盛んにやっていることはよくわかる。しかし西部劇等のものも、これは日本でほんとうに持ってはならないという規定のあるものについて、これをあまりにも刺激するようなものについてはいかがなものかという気がときどきするのであります。一面において拳銃を非常に取り締まって、やかましいことを言っておっても、ここでやはりある程度こういうものを認めておってはと思うことがときどきあるのでありますが、こういうもの等についてのお考えがもしおありでしたら、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/14
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015・今竹義一
○今竹政府委員 玩具拳銃が非常に青少年の問題として問題であるということは、御指摘のとおりでございます。玩具拳銃に幾つかの類型がございまして、一つは、玩具拳銃ではあるけれども、弾丸発射の機能があるものがあるわけであります。これは主としてアメリカ製とかイタリア製等の外国品の玩具拳銃でございますが、私ども弾丸発射の機能があるものは拳銃と認めまして、これを取り締まりいたしまして、数年前に九種類ばかりございましたが、これはもう現在ではなくなっております。御指摘のものはそういうものでなくて、いわゆる高級モデルガンと言われる、二千円ないし四千円で分解組み立てもできる、非常に形のよく似たものだけれども弾が撃てないというものであると思いますが、これにつきましては児童福祉法の八条によりまして、こういう児童に有害なものを売ってはならないという規定がございますので、これを適用いたしまして、滋賀県、広島県、山梨県等で四種類のものを指定いたしまして、児童への販売を制限いたした事例もございます。また青少年保護条例を適用いたしまして、そういう有害玩具を児童に売ってはならないということで、滋賀県、広島県等で三種類を指定した事例がございます。またこういうものを隠し持っておる場合には軽犯罪法に触れますので、それによって取り締まったこともございます。私ども、いろいろこれの規制について研究いたしておるのでございますが、さしあたっての対策としましては、青少年不良化の問題としまして、児童福祉法なりあるいは青少年保護条例の運用なりによって対処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/15
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016・門司亮
○門司委員 いませっかくの答弁ですけれども、その程度でこれがよろしいかどうかということには、私ども実際は多少疑問があるのです。青少年の保護に関する問題についても、実はこれだけを取り上げてみてもかなり大きな問題があるわけでございます。ところがそれをきょうここで議論する時間はないかと思いますけれども、問題はこういうことなんです。さっき言いましたように、時代劇だといっても日本の場合は、国民全体がやはり時代劇だというある程度の認識を持ってこれを見ておる。それから刀剣というようなものを、昔のように一部の階級であっても腰にさして歩いている現状ではありませんし、ほとんどみな持っていないということになっておる現状から見れば、私は同じ時代劇であっても、刀を振り回していることが現代にぴったりきていないので、過去のものだという見方が多かろうと私は思う。しかし西部劇その他の場合は、さっき言いましたように、なるほど向こうさんに言わせれば、あれはおれのほうの時代劇だということになるかもしれない。しかし向こうは向こうでやはり時代劇であっても、それからくるいまの国民認識としては、みなが所持することができるのであって、別段これを不思議とは考えていないと私は思う。そこは国民の認識の相違だと私は思うのです。現状だと思うのです。こちらではそれが厳重に取り締まりを受けている。映画その他の影響というものは、向こうさんの国民の認識とこちらの国民の認識との相違がかなりあって、そうしてそれからくる悪影響というものは、これは私は否定することはできないと思う。そういうもの等がもう少し映倫その他等との話し合いの中で、あるいはアメリカの映画会社等との中で話し合いはできませんか。私は、向こうではちっとも差しつかえがないものだと思いますよ。しかし、同じことをやっておっても、こちらに来るとやはり影響が出てくる、こういうことになる。こちらは刺激されるということになろうかと思います。その辺についてのもう少し突っ込んだ御意見があるなら、ひとつこの際聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/16
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017・今竹義一
○今竹政府委員 確かにチャンバラと拳銃とでは、同じ時代劇にしても違うじゃないかという点については、御指摘のとおりであると思います。ただ現在の映倫の規程等によりまして、残酷なものはもちろんこれはカットするということになっておりますが、そういう特に宵少年に見せて悪いというものでない限り、映倫の規程には禁止の規程はなかったかと思います。ただテレビ等の番組につきましては、テレビ番組の審査員の方等が見ておりまして、家庭の中まで入り込むそういうものについて、少年のそういうガンマニアを養成する、あるいはマニアであればまだいいのですが、それを持って悪用するというような事例については、かなりきびしい内部的な審査が行なわれておる、かように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/17
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018・門司亮
○門司委員 警察側としてはきわめて消極的で、私は向こうまかせであってはならないと思うのです。もう少し警察側の意向というものが反映して——この問題は、犯罪者をこしらえることですから、警察は犯罪者をつかまえることでなくて、こしらえないことのほうが先の仕事だと思うのですよ。できたやつさえおれのほうはつかまえればいいのだというようなことは間違いであって、そうするには私はもう少し突っ込んだ御意見があってしかるべきだと思うのですが、そういうことしかないと言われれば、それ以上ただしてもしようのないことだと思いますが、要するにこういう拳銃その他の取り締まりを厳重にすると同時に、やはりそういうものについての国際関係というものをもう少しやってもらいたい。
きょうここに外務省の諸君も見えておりませんし、通産省の諸君も見えておりませんので、いろいろなことをこれ以上聞くことはどうかと思いますが、もう一、二聞いておきたいと思いますことは、警察だけが国際刑事警察の関係でそういうことをやられておるということも一つの方法でしょうが、もう少し国と国との間の高いところの次元でこれを相談するようなわけにはいきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/18
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019・今竹義一
○今竹政府委員 玩具拳銃のことについて私の答弁がやや不十分だったと思いますので補足させていただきたいと思いますが、玩具拳銃等の状況、これの悪影響等につきましては、私のほうでも十分に実態を掌握して、青少年問題審議会等の議題に出しまして、これらの点についての関係方面の措置を要望いたしたいと考えております。
なお、諸外国とのこれらの問題についての関係についても、御趣旨のございますところを十分に拝聴いたしましたので十分研究いたして善処をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/19
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020・門司亮
○門司委員 どうも答弁が、私はあまり満足するわけにはいかぬのですが、善処するという、全体からいえば善処されることになるかもしれませんけれども、私の聞いておりますのは、要するに国際刑事警察等の会議のときにそういうことを警察の立場からお話しを願えて、そしてできるだけ協力をしてもらうというようなことも、具体的の、末端と言うとおこられるかもしれませんが、行政の中の現実に取り締まっておる立場に立っておるもの同士が話し合うということも私は一つの方法だと思いますが、しかしそれよりも、これは公安委員長に頼みたいのだが、もう少し上の次元で話し合いはできませんか。これは外務省の事項になるかもしれない、あるいはそうならないかもしれないが、しかし出先の、と言うとおこられるかもしれないが、行政組織からいえば出先であり末端であろうかと思いますけれども、その辺で相談するよりも、やはりさっき言いましたように、ができるかできないかということは私は非常にむずかしい問題だと思うが、しかしそれにしても、アメリカならアメリカ全体の国の方針としてこうするのだというようなことで話し合いはできないものだろうか。そうしないと、御承知のようにアメリカなんというところは、一つの国であることに間違いありませんけれども、やはり州の権限が非常に強いのであって、これらの制限が国全体の刑事警察の中で話し合われておっても、州の警察は州の警察としての考え方もやはりあろうかと思いますし、それから同時に州が今日までずっととってきた伝統というようなものはあの国では容易にくつがえすわけにはいかないと私は思う。そういう点で、外国から流れてくる——ほとんど外国からきた拳銃だと申し上げても差しつかえないと私は思う。もしそうでないとするならば、日本のどこかで製造しているところがあるということになろうかと思う。いま日本で不法所持されている拳銃はほとんど外国製でなければならないはずだと思う。もし古いものがあれば、昔の憲兵が使っておったかあるいは軍が使っておったようなものがいまだに保存されたものがあるかもしれない。しかしそれ以外のものは、日本で製造していない限りはないはずである。日本で製造していないということがはっきりしておれば、ある拳銃はことごとく外国から来た拳銃であるといってもちっとも差しつかえない。その辺をもう少しどうでしょう、さっきの、善処するというようなことでなくて、公安委員長のほうから、あるいは警察庁の長官のほうから上の次元に上げて、そういうことのないようにするというようなお話は願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/20
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021・新井裕
○新井政府委員 先ほど国際刑事警察機構と申し上げましたが、これは通称をICPOと称しておりまして、国際連合の下部機構の形をいたしております。そういう意味で、ここにおける相談は私は非常に有権的だと思っておりますし、この加盟国は、共産圏を除いてほとんど全世界に、もちろん新興国もございますけれども、ございまして、たとえば門司委員の御指摘のように、アメリカはたいへん多心的でございますけれども、アメリカのある一つだけの警察機関でなくて、いろいろの警察機関がこれに加盟をいたしております。そういう意味では、私はこういう技術的な問題を討議する場所としては最も公認された権威のある機構だと思っております。そのほかに、たとえばアメリカでいえば、連邦であればFBIというようなものもございますので、機会あるごとにこういうものとは話し合いを進めております。したがいまして、現在の段階ではしんぼう強くこういうことの話し合いを進めるのが一番実効的な方法だと思っております。それから、最近雑誌で見たので、内容がわからないので問い合わせをいたしているのですけれども、アメリカ合衆国でも銃の取り締まりについて新しい法律を出しているということでございまするので、それらもよく取り寄せてみまして、われわれのほうと平仄が合うのであれば、さらに一そう協力を進める、そういうふうに実効的な方法を具体的に進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/21
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022・門司亮
○門司委員 どうもはっきりした答弁にならないですね。アメリカがある法律をこしらえたからといって、日本人に売ることができればどうにもならない。アメリカ人にも売ってはいけない、日本人にも売ってはいけない、日本と同じように所持者というものをきめてしまって、これ以外の者には流れていけないということになれば、これはまた別の話ですが、私はアメリカはそういうことにいかないと思う。そんな極端な法律をいまこしらえるわけにいかないと思う。どんな法律ができても、私はアメリカの法律にたよっているわけにいかぬ。もう少し日本の政府に強い方針がない限りは、私は、どんな法律をこしらえても、拳銃があれば撃つにきまっておると思う。撃たないために拳銃を買った人は私はないと思う。同時に、それが凶器になるかならないかということは別の角度です。自分自身は護身用だというお考えでお持ちになっておるかもしれないけれども、しかし実際に使われる場合にそれが護身用になるのか凶器になるのかということはわからない。あれば撃つにきまっておる。また、そうなるだろうということも想像にかたくない。だから、持たせないということが一番いいことである。持たせないということのためにお互いがどういうふうに努力するかということだと思う。まあそれ以上のことを望めなければしようがありませんけれども、もう少し警察は積極的にこの拳銃の問題について、拳銃だけじゃありません、その他の銃砲等についても、向こうでは容易に買えるのでありますから、本気でひとつ私がいま申し上げましたようなことについて検討してもらいたい。そうしない限りは、いつまでたっても同じことだと思うのです。
それから、ついでに聞いておきますが、さっき申し上げましたように、私は、日本では拳銃をこしらえているところはないと考えておりますが、いま警察官の持っておる拳銃あるいはその他許されておりまする諸君の持っておりまする拳銃は、日本製のものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/22
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023・今竹義一
○今竹政府委員 日本で製造を許可されておる工場がございまして、名古屋で、これは正規に製造しておるところがございます。新中央工場という会社でございまして、それからミロク製作所という会社、二社でございます。このうち新中央工業の製作にかかるニュー南部という型式のものを警察官の拳銃として公認いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/23
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024・門司亮
○門司委員 そうすると、それからまた問題になるのは、結局日本でこしらえておることがはっきりしてくる。そういたしますと、それの生産されたものと、それを国が買い上げたもの等の検査、あるいは数量等の問題はどういうことになっていますか。これは厳重に、やはり注文しただけしかこしらえておらない、一つも横に流れていないというような保証がつけられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/24
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025・今竹義一
○今竹政府委員 これは武器等製造法によって厳重に規制されておりまして、製品製造の数とそれの販売先というものは明確になっておりまして、横流れのような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/25
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026・門司亮
○門司委員 そうすると、いま不法所持をしておる諸君の挙銃は外国製である、外国製であるものは全部一応不正だということが言える。しかし、内地でこしらえたものについては、これも横に流れるはずがないということになりますと、大体内地の諸君が持っているものは、結局やはり警察官の持っておったものが横流れしておるというように解釈する以外にないのですが、これはそうなりますか。私はこの点は非常に大事なところだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/26
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027・今竹義一
○今竹政府委員 国内でつくられたものが若干ございますが、これは、こういういわゆる正規の製造工場から流れたものでございませんで、不良工員等が自分で手製でつくった、こういうものが若干ございます。これは全くの手製でございます。あとは御指摘のとおり、外国の製品でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/27
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028・門司亮
○門司委員 そうすると結論としては、結局いま不法所持されているものは大体外国の製品であり、それから私のこしらえたものだ、警察官その他正規に許された諸君の持っておるものが横流れしておるというようなことは、製造工場を通じてもない、こういう答弁だと私は思います。それがあるとは私はなかなか言いにくいと思いますが、ところが往々にして、実際に私はないとも、言えないと思います。警察の拳銃の保管その他を考えてまいりますと、警察に保管されたものが必ずしも員数が全部合っているかどうかということについては、私も調べないからわからないが、多少の疑問を私も持っておる。こういうこと等についても、ひとつ十分に気をつけていただきたいと思います。
それから、その次に聞いておきたいと思いますことは、精神障害者等の関係であります。多くの殺傷事件が起こってまいりますと、大体この銃砲刀剣等の問題が必ず出てくる。出てくる場合には、どうもあれは気違いだったというようなことで済まされる。参議院の附帯決議にもあるようでありますが、いまの精神病者とそれから警察との関係はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/28
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029・今竹義一
○今竹政府委員 精神衛生法でこの関係をすべて規定いたしておるわけでございますが、まず重要なものを数点申しますと、二十四条で「警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。」という警察官の義務がございます。それから逆に無断退去者に対する措置としまして「精神病院の管理者は、入院中の者で自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのあるものが無断で退去しその行方が不明になったときは、所轄の警察署長に左の事項を通知してその探索を求めなければならない。」、こういう関係に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/29
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030・門司亮
○門司委員 私は、法律的にそういうことになっておると思います。ただこの問題は個人の人権に関する問題で、そう簡単に割り切れる問題ではないというふうに私は思う。精神病者であるらしいからといって、そうしてすぐそれを精神病者扱いにするということは、人権にかなり大きな影響を持つ危険性があります。ところが事件が発生してくると、往々にして、何年前にどこの精神病院に入っておったのだとか、あるいは平素からそういう行為があったのだとかいうことが多いのです。したがって、そういう連絡というようなものが、ある意味においては個人の人格あるいは人権に非常に大きな関係を持つことになろうかと思う。しかし、だからといってこれをそのままに放任しておけば、社会に及ぼす影響というものは、いい影響はない。こういうのはむずかしい問題があろうかと思いますけれども、しかしその点、精神障害の諸君の病院等との間の連絡というようなものは、いま十分にこれをとられておりますか。三年前、五年前に精神病者だったのだ、それがなおっておるような顔をしておったのだが、発作的に出てそういうことになったのだというようなこと。これは精神病者ということがはっきり断定された者が野放しになるということになれば、これはある程度わかりもするし、それから行った先の調査もできるでしょうけれども、そういう既往症みたいなものがあるような人たちに対する連絡というものはどういうところでとられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/30
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031・今竹義一
○今竹政府委員 精神病者のうち警察が対象といたしますのは、ただいま申し上げましたように自傷他書のおそれがある者、こういうことに相なるわけでございますが、数字の面から申しますと、自傷他書のおそれがあると見まして警察のほうで保健所長に通報いたしました数が、昭和三十九年の場合に四千四百八十三名、昭和四十年の場合には五千四百名、こういうことになっておりまして、これらについては知事のほうで適当な措置が講ぜられております。それからもう一つの、いわゆる無断退院した者で病院のほうから警察に探索を依頼された者でございますが、これが昭和四十年の場合で千九百七十五名、こういう数字に相なっておりまして、精神病者対策については、警察と、治療面の知事部局のほうと十分な連絡がとられておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/31
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032・門司亮
○門司委員 どうもあまり安心のできるような答弁でないようでありますが、この点はひとつ、さっきから申し上げておりますように、事人権に関する問題があろうかと思いますので、そうでない人、完全になおった人をいつまでも気違い扱いにしておくわけにはまいらぬでしょうし、その辺にはかなり私は問題点があろうかと思うが、もう少し連絡をよくしてもらう必要がありはしないかということであります。
それからその次に、それではずっと聞いていきますが、銃砲刀剣を所持する者と文部省関係の文化財としての指定との関係であります。御承知のように、手続としては、一応警察に所持をしている者が届け出をして、そして所持することのできるような手続を一応行なう。さらに文化財委員会でそれに対する認定を受けて、そして初めて銃砲刀剣というようなものが持てることになるようになっておるはずであります。この場合に、文化財の指定される範囲というものは、一体どの範囲くらいまでがこれに行なわれておるか。その辺を文部省側からひとつ実際のことを率直に話していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/32
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033・平間修
○平間説明員 率直に申し上げますと、御案内のとおり火なわ銃等の古式銃それから刀剣数というものが、登録すれば所持することができることになっておることは、先生おっしゃるとおりでございます。その刀剣類等の登録に際しましては、範囲と申しますか、大体委員会の規則で基準をきめております。そしてその基準の基本となるものは、一口に言ってしまえば、いわゆる昭和新刀というようなものは含まない、古来の伝統の技法でつくった日本刀である、こういうような観点から基準に従って登録をしておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/33
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034・門司亮
○門司委員 文化財としての認められる範疇というものと、それから認められない、文化財でないというものの範疇は、割合からいけば非常にむずかしいのじゃないか。いまのお話のように、昭和刀みたいなものは最近できたものであって、別に先祖から伝わったものであってその人にとっては非常に重要なものとはいえないのじゃないか、刀自身やり自身を鑑定してみれば、全く名もない人のこしらえたものであっても、所持しておる者にとっては、これは先祖から受け継いだものであるから、こしらえた者がだれであろうと、わしのうちには大事なものだという問題が私はあろうかと思う。そういうものについての認定というものは非常にむずかしいと思いますが、いまのお話のように、一応昭和刀みたいなものについては認めないつもりだという、こういうことになりますと、結局警察側にお願いをしても文化財として指定されないということになれば、これは没収されるか——あれは大体没収になっていますか、あるいは本人の破棄になっていますか、どういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/34
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035・平間修
○平間説明員 そういうこちらで登録をしないという刀は、実は不合格というような、もちろん申請者に対するそういう通知と同時に、公安委員会、警察署のほうに、これは不合格であったという通知をしております。したがってその後の措置のことは、十分私たち実態を詳しくはわからないのでございますが、もちろん由緒あるものとかなんとかいうようなものは、公安委員会のほうの許可ということによって所持することができますが、私のほうでも問題にならないようなさびついたものとか、著しく美術的価値が劣るものとかというものは、没収されておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/35
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036・門司亮
○門司委員 保護委員会では、没収されておるように聞いておると言っておりますが、警察側ではどうですか。公安委員会の証明のないようなものは本人に破棄させるか、警察が没収しているのか、一体どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/36
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037・雨森和雄
○雨森説明員 登録に値しないようなものは、これは任意に提出していただいて、これは持つことができないものでございますから、警察のほうで集めまして廃棄をする、あるいは本人が警察官の目の前で廃棄するということでございますれば、そういうふうにしていただくというようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/37
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038・門司亮
○門司委員 その辺が文化財との関係で、届け出その他に多少の影響があるのではないか。じっと持っておれば、まあよくないこととは知っているけれども、へたに文化財に申請して、これはどうも値しないのだというようなことになっても、そういう証明がなければこっちに持ってきてもらうか、こわしてもらうか、どっちかにしてもらいたいというようなことになりますと、そういうところに多少の未登録のものの出てくる原因がありはしないか。こういうものは実際は案外所持者には徹底していないですね。文化財の指定だというから、何かよほど名前のあるものででもなければ文化財に指定なんかできないのだという錯覚をある程度持っていはしないか、そしてこういうものが隠れてかなりありはしないかというようなことが考えられるのです。それでなければ、たとえば暴力団等がよくやって、そのときに没収した刀の中で、登録されたものはごくわずかで、あとはほとんど登録されておらない、こういうことをどういうふうにお考えになりますか。私はむしろ今度の法律で、五年ごとに更新するなら更新することにして、この刀はだれが持っているということがはっきりするようになれば、そういう面についてはやはり登録がある程度自由に行なわれるようにしていただきたい、こう考えるのです。そうでないと、暴力団などのあと始末を見てみますと、警察で押収した刀は五本も十本もあって、その中で登録されたものが一本か二本しかない、こういうことになっているのです。あれは全部昭和刀とは考えないですよ。やはり古い因縁の刀もある。そういうものもへたに届け出すとだめになってしまうのではないか、せっかく先祖から伝わっているのだからおれは持っていようということが手伝っていはしないか。この辺の関係をもう少し国民に徹底して、そして安心して持てるようにしないと、隠れたものがだんだん潜行してしまって、いまお話をしたようなことに現実になってきはしないか。だから、取り締まりを厳重にすれば厳重にするほど、そういう隠れたものが出てきはしないか。これは国民の心理ですから、なかなか法律だけで片づく問題では私はないと思う。その辺についてきょう御答弁を求めることはいかがかと思いますけれども、これはひとつ警察側と文化財委員会との間でもう少し検討してもらいたい。そうしませんと、新聞その他を通じてみて、どんなにこんな法律をこしらえたって、登録されたものはごくわずかであって、あとはほとんど未届けのもので凶器になっている、こういう現状です。これをひとつどういう形でか、やっていただきたいと思います。
それから、あまり長くお話をしていると差しつかえがあるようでありますから、少しはしょってお話を申し上げますが、その次に、この法律で、いろいろ銃砲や何かの問題について講習会その他等が行なわれるように聞いておりますが、これは一体どの程度でどういうことをおやりになるのですか。私は率直に聞きたいのは、ごく最近、例の神奈川県の川崎の御幸警察で起こったあの密猟事件に対する検挙の状態であります。これは私、見に行きました。見に行って、どういうことになっているかということを係の人からかなり詳細に聞いてみましたが、その中にはいろいろな経路のものがあるようです。ごく少ない鳥であって、そしてとってはならない鳥である。しかしそれは見分けがつかなかったとか、時期が少しはずれておったとかというようなことが密猟の原因になっている。最近私どもが特に保証鳥に対して考えてもらわなければならないということは、農薬を使うことによって非常にいろいろな虫が減ってきておる。逆に今度は、そのことのために天敵が減少することになりつつある。それからもう一つは、そこからくる一つの問題として、一つの例を申し上げますと、これは私この間警察で聞いた話でありますが、例のコノハズクが禁鳥になっている。コノハズクが禁鳥になっているが、これはただコノハズクというものが非常に少ない、そして非常に風流のある泣き方をするので、おもしろい鳥だということで禁鳥になっているのかと聞きましたら、そうじゃない、こう言っているのです。コノハズクは農村にとってはどうしてもいてもらわなければ困る鳥だ。コノハズク一羽が農村に与えている利益というのは一年に四十万円と換算されておる。これは農作物を最も荒らす野ネズミをコノハズクが一年に食べる量を調べてみると、農薬でこれを殺そうとすれば大体四十万円くらいかかるはずだ、だからこれを保護鳥にしているのです、こういう説明を私は聞いた。そうなってきますとたいへんなことになってきて、狩猟者に対する教育というものは非常に大事なものだと私は思う。私の聞いた範囲はコノハズクだけしか聞きませんでしたから、ほかにもこういうものがかなりあろうかと私は思う。これらの問題について教育をされることになろうかと思いますが、そういう専門的のもの、それから、それはこういうものだということがどの程度まで一体警察側で教育されているかということです。これは御幸警察のやった一つの大きな——愛鳥協会か何かからか御幸警察の署長の児山君は表彰されたということを私は聞いているのですけれども、事ほど害鳥獣の駆除については重要な問題があるのと、これにからんだ密猟との関係というものを、一体今度の法律ではどの辺までくらいやれる自信がございますか。こう聞いても、法律ができてそれからやるのだということで、即答はできかねるかと私は思いますけれども、その辺についてのお考えがあるなら最後にひとつ聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/38
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039・今竹義一
○今竹政府委員 「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の取り締まりにつきましては、林野庁と私ども最も連絡を緊密にいたしましてやっておるところでございまして、毎年狩猟期の際には十分に中央、地方でもしばしば打ち合わせ会等をやって励行いたしておるところでございますが、最近の状況を見ますと、狩猟期だけではなく、いわゆる狩猟法違反が行なわれておるという面がございます。この面につきましては危害予防上も、また保護鳥獣の保護という観点からも、林野庁と十分に緊密な連絡をとりまして取り締まりを励行いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/39
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040・門司亮
○門司委員 これで私は一応きょうの質問は終わりますが、総括して、この法律の趣旨からくる徹底した行き方をしようとすれば、先ほどから申し上げておりますように、一つは拳銃が日本に流れてきている。国内で生産したものがわずかで、これが絶対に外に流れていないということになれば、結局いま日本にある拳銃はほとんど全部と言っていいほど、昔の憲兵や何かが使ったのが隠されて持っておるとするならば、これは別だが、外国から来ておると考えられる。そうするならば、そこを一応押える必要がどうしてもある。しかしこの法律をつくっただけでは、そういうところには何らの関係はないようであります。
それからその次には、やはり刀剣等の所持について、この法律だけでは、五年ごとに更新するからといったところで、現実は不法所持のほうが多くて、そして届けのほうはきわめて少ない。このことの原因がどこにあるかといえば、やはり文化財との間の問題がありはしないかと私は考える。どう考えてもそういうことがありそうな気がする。警察に届けにいってもいいが、さらに文化財に持っていけば、そこでもしだめだと言われれば、これはもうだめだ、黙って持っていたほうが無難だということがありはしないか、こういうことです。この法律が従来の銃砲刀剣等に対する取り締まりから一歩進んで、所持と狩猟法と年齢を合わせるというようなこと、これは空気銃その他に対する問題等についても、法律自体についても多少の進歩のあとは見られますけれども、基本的な考え方についてちっとも触れておらないというところに非常に問題点があろうかと思います。こういう点は大臣もひとつ十分気をつけていただきまして、特に私は再三申し上げるようでありますが、先ほどの警察庁の長官の答弁だけで、さようでございますかというわけにはなかなかいかないのでありまして、なるほど一面から考えれば、国際連合の下部機構であるから権威があるということになろうかと思います。しかしそれだけでなくして、外国に対してはもう少し強い態度でひとつ臨んでいただきたい。そうして法律の実効のあがるようにしていただきたいと思いますが、これは私の最後の要望でひとつ聞いておいていただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/40
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041・岡崎英城
○岡崎委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/41
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042・細谷治嘉
○細谷委員 最後でありますけれども、今度のこの法律案については附帯決議がつかぬようでありますから、私は一、二点確認をしていただきたいと思います。
一つは、火薬数についての取り締まりを、従来野放しの観があったのでありますが、これを今度は強化いたしたわけです。ところで、同じような事故を起こしておる空気銃弾については野放しなんです。従来も空気銃で人が死んでおりますし、また事故を起こしておる。私がせんだって質問した直後に東京の護国寺ですか、電車に向けて空気銃をぶっ放している。幸いに運転手なりお客さんにけがはなかったのでありますが、やはり空気銃弾を野放しにしておくということは、法律技術上の問題はあろうかと思うのでありますけれども、現実問題としては問題があろうと思う。また法律上もやはりアンバランスの観があるのではないかと思うのです。これについて今後どうしようとするのか、これはひとつ大臣と長官にはっきりとした御方針を承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/42
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043・新井裕
○新井政府委員 先般来、空気銃のたまについて細谷委員から御指摘がございまして、私どももやや研究不足でございまして十分なお答えができかねたわけですが、ただいまもお話がございましたように、非常に重要な問題でございますので、われわれとしても今後十分に研究いたしまして、なるべく早い機会にまたおはかりをするような段取りにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/43
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044・細谷治嘉
○細谷委員 第二点は、今度は十八歳のものが二十歳、こういうことにいたしましたし、それからいろいろな事情で登録にはかなりの年数がかかるわけでありまして、この辺の問題があったわけです。従来は十八歳から持っていたのですが、狩猟を業とする人は二十歳ということで年齢が違っておったわけです。私は、狩猟する人はこれは家業で生活を立てているわけですから、二十歳でもけっこうだろうと思うのです。現実にいま銃砲によって事故があまり起こっておりませんからね。問題は、趣味で業としない人たちに事故が起こっておる。しかも若い人に起こっておるわけですから、私は被選挙権くらいになったほうがいいのではないか。端的に申しますと、十八歳というのを二十歳にするのを、狩猟はそのままにして、一般の人は二十五歳ぐらいにしたらどうかということを申し上げたのでありますけれども、二十歳、全部一律だ、こういうことであります。ところが数日前の新聞で、二十歳というのは、法務省あたりでは一人前というか、成人ですが、それにはもう考えておらない。十八歳までは少年だ、二十三歳までは青年だ、二十三歳をこえると成人だ、こう言っているのですね。こういうことからいっても、せっかくの効果をあげる問題、しかも十八歳から二十一、二歳ぐらいまでに問題の事故が起こっておるわけでございますから、この辺の検討をする必要があるのではないかと私は思うのです。これについてもひとつ大臣か長官のお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/44
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045・新井裕
○新井政府委員 御指摘のように、先般、法務省におきましては、少年法の改正の方向として二つ案を出しまして、一つの案としては、十八歳から二十三歳までを一つの年齢段階として認めて青年、そういう一つの新しいつかみ方をしようということのようでございます。私どもはまた、これについてはいろいろ意見がございまして、いずれまとめて皆さんの御意見も伺いたいと思っておりますけれども、御指摘のように、もしかりに少年法がそういうふうな方向に改正されるということになりますれば、確かに御指摘の点もありますので、その段階において十分再検討をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 もう一点。これは衆議院の地方行政委員会の調査室から出たのでありますけれども、昨年は刀剣類について主としてこの法律の改正をやったわけです。ことしは鉄砲のほうについて改正の重点が置かれておるわけです。しかも考えてみますと、刀剣のほうで事故が起こったので法律改正をする、今度は銃のほうで、渋谷のライフル銃の問題とかなんとか事故が起こったので、それにウエートを置いて法改正をする、こういうことになって、後手後手と踏んでおるわけなんです。私は、今日の段階において、銃砲と刀剣は、まあ言ってみれば飛び道具とそうでないものなので、これを一つの法律で規制していくということもどうも徹底を欠くのではないか。やはりもっと徹底をするためには、銃砲は銃砲、刀剣は刀剣という形で、それに即応するような、中間的なものじゃなくて、法律をつくり上げていくのが今日の段階では妥当ではないかと私は思っております。これについてひとつ大臣か長官、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/46
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047・新井裕
○新井政府委員 法律を一つにするか二つにするかは、私はそれほど大きな問題ではないと思いますが、御指摘のように昭和二十七年に前の勅令が法律になりましてから数回改正をいたしております。また御指摘のように、拳銃の輸入罪というものをつくりましたけれども、それ以外はすべて刃物に関する規定でございます。われわれの改正がいつも後手後手だという御指摘で、確かにその通りでございます。私は、こういう行政的な法律というのは、ある程度社会の実態が変われば、それに追いついていくというはかなかろうと思います。そういうことをもししないということになりますと、戦前と同じように広範な委任規定を置いておくようになってしまって、かえっていまの時勢にはそぐわないと思っております。ただ、を一つにするかしないかは別として、確かに御指摘のようにわれわれのやり方について、腰を据えた長期的な見通しがあまり見えなかったということは、事実率直に申し上げてございました。今国会におきまして、参議院におきましてもそういう御指摘がございましたので、われわれとしても十分研究いたします。それからまた、ほかの国と比較いたしましても、この規制の仕方は日本独特でございますので、われわれが十分に勉強しなければ、どこにも参考書がないことでございますので、十分に御趣旨を体しまして、少し腰を据えて見通しを立てて研究いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/47
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048・岡崎英城
○岡崎委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/48
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049・岡崎英城
○岡崎委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決たします。
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/49
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050・岡崎英城
○岡崎委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/50
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051・岡崎英城
○岡崎委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/51
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052・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/52
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053・岡崎英城
○岡崎委員長 次に、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、地方公営企業財政再建促進特別措置法案、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/53
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054・大出俊
○大出委員 きのう大臣に中心点をひとつ承ろうと思ったとたんに、定数不足なることで流会ということでございまして、まことにどうも腰折れの感があるのですが、きのうの重盛さんの論議その他のやりとりを聞いていて感じたのですが、今回のこの地方公営企業法の一部改正法案を提出される前提になっております地方公営企業制度調査会、これは内閣委員会でかつて成立をいたしまして、この最終答申を受けて出されたわけでありますけれども、この地方公営企業制度調査会に当時の早川自治大臣が諮問いたしました中心点は二つありまして、その一つは、つまり諮問することになった理由としてということで、一昨年の七月六日の第一回の総会で早川自治大臣が申し述べておられるわけでありますが、その一つは、社会経済の急激な変化、発展に伴い地方公営企業は変革を要請されておるのではないかと考えられること、これが一つであります。もう一点は、最近数年の地方公営企業の経営状況は全般的に非常に悪化しつつある傾向がうかがえること、これが二点目でありまして、つまりこの二つが諮問理由なのであります。ところが、出てまいりました答申の中身というのは、第一点の社会経済の急激な変化、発展に伴い、つまり公営企業それ自体の内部事情ではなくて、これは柴田財政局長が再三再四私とのやりとりで言われておりますように、公営企業を取り巻く環境の重大な変化、こういうことばが使われております。つまり外的条件、これを諮問しているのでありますけれども、ここのところはどうもさらりとお茶を濁した、と言ってしまえば御無礼にあたると思いますけれども、核心に触れていない、こういうことであります。したがいまして、私は受け持つその範囲といたしまして、一部改正の今回の法案の個々の条文について本来ならば詳しく当たりたいのでありますけれども、メンバーの方々もたくさんおられますので、その点はひとつ後ほど他の方々から御指摘をすることになると思いますから、私はその前段の外的条件、ここのところを、答申は触れておられないと言っていい状態でありますから、そこらあたりを明らかにしてまいりたい実は気持ちなんでありまして、それで実はきのう冒頭に、大臣に、問題の中心点は国の補助、自治体の一般財政からの支援、さらに地域の住民の公共性という意味における負担、いわく料金値上げとからむわけでありますが、さらに能率化ということばが使われておりますが、これは合理化とからむ、こういう形の答弁がありまして、その中で国の援助というものは、まあ二つに分けて言っておられましたけれども二億、四億、この程度しかない、こういうわけであります。あとは利子補給などというものがありますけれども、いずれにしろ借金財政ということになるわけでありますからたいしたことはない。こうなってまいりますと、まあ看護婦さんの養成に対して基準財政需要額の中に認めて云々ということばがありましたが、まあその程度。そうすると、主たるものは地域住民の負担という形における利用者負担の形の料金値上げに結びつく問題と、企業の合理化ではないか、ここまで実は話を進めたわけなんであります。ここでひとつ柴田さんにこれだけは取り消していただきたいのですが、きのうのお話に、政令にゆだねる部門がたくさんあるのだが、それを出してもらわないとわからぬではないか、大臣の答弁では、政令等があるので、その面で努力するという、こういう答弁があったのだけれども、政令が出なければどうするかわからぬじゃないか、だからそれを出してもらえぬかと言ったら、あなたの答弁は、この法案を通していただけるのならば各省折衝を急ぎます、こういうお話で、そうでなければ急がぬというわけでありますが、これはどうもいささか穏当を欠きますので、ひとつ取り消していただきたい、こう思います。ところで、何か政令の主要内容案というものが出てまいったようでありますが、後ほど読ませてもらいます。
ところで、せっかくお呼びをいたしました関係各省の方々がおられますから、その方々に先にお伺いしたいのでありますけれども、最近、都市問題がやかましくなりまして、都市問題講座などというものが出てまいりましたし、各大学教授その他が主張をしておられますが、つまり東京都における状態をながめてみますと、この資料を先に申し上げておきますが、運輸省の都市交通年報、これは三十七年のものでありますから、その後出ているかどうかわかりませんが、もし数字的に違いがあればお教えを賜りたいと思っているのでありますけれども、これによりますと、都心と周辺部第一圏の都内十四区、この中における人口の割合が二八%にすぎない、こういう数字があがっております。つまり、念のために申し上げておきますが、都心の第一圏というのは、この運輸省の都市交通年報の資料によりますと、説明がついておりまして、都心第一圏とは千代田、中央の二区、都心二圏は港、新宿、文教、台東の四区、周辺第一圏とは墨田、江東、品川、目黒、渋谷、中野、豊島、荒川の八区、こういうふうになっておるわけであります。つまり、私が申し上げておるのは、都心と周辺部第一圏の十四区、この中が都の全体の人口の二割八分足らずしかない、こういう状態で変化してきてしまった。ところが、今日の東京都における交通局の事業というのは、ほとんどこの十四区内に限られてしまっている、こういう実情にあるという説明がついております。その関係で、今日その面から東京都の都市交通というものの経営採算、これが極端に悪くなる他動的な要因になっているんだ、こういうわけであります。そこで、逆に中央線なんというものが都心に乗り入れております関係で、この線はたいへんな人口増をこの周辺が誘発する。この人口がふえるということは、逆に中央線等のダイヤその他を改革をして大量輸送に見合う輸送機関の増設が必要になる。ところがそのことは逆にまた人口増を誘発するということで、つまり中心を一つとりまして同心円的な発展のしかたに、なるべく都市政策的にはそうなるべき筋合いのものが、そこのところの手がついていないという形のために不均等発展を続けつつあるというところに、根本的な都市問題というものが起こってしまう。単に道路計画が悪いというようなことのみではないという根本的な計画の問題が出てきております。本来ならば東京都の都市計画局の方をお呼びしなければならぬのですけれども、実はこの席は参考人か何かしか呼びませんから、それで都市局から関係の大塩さんにおいでいただいた、こういうわけであります。将来に向かって、たとえば地下鉄を計画するにあたりましても都市計画審議会でいろいろやっておられる建設省でありますから、そこに人を出されておりますし、地下鉄のための運輸審議会なんかにおきまして、たとえば横浜部会といえばそこでは建設省の関係の方もでておられる、こういう関係を持つわけでありまして、このあたりの学者の指摘する今日の都市問題の中心になる都市交通問題等がやかましくなり、一部改正の手直し案が出ておって、たいへんな意見の対立を来たしておるのであります。その根本的な他動的な原因として、いま私が述べましたようなことがたくさんある。これは将来都市政策という面、地下鉄等の交通の面をあわせまして、どういうふうにしようという青写真を皆さんがお持ちなのかということを聞いておきませんと、これから先論議をしていきます中で責任の所在が明らかになりません。その意味で、ひとつそこまで御答弁がいただけぬというならば、可能な範囲でけっこうでありますけれども、持っていき場所がございませんのであなたのところに持っていったのでありますが、御答弁いただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/54
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055・大塩洋一郎
○大塩説明員 非常に大きな問題でございますので、明確な将来の青写真をお答え申し上げることは非常に困難でございますけれども、いま先生のおっしゃいました点を東京の例で申し上げますと、おっしゃいますように東京の都心のいまあげられましたデータはおそらく夜間人口だと思いますが、夜間人口は都心は減って、周辺に定住地が延びているという形は御説のとおりであります。その発展のしかたは、第一次的には放射線内といいますか、鉄道沿線内にヒトデ型にほうっておけば発展してまいるわけでございます。そこでこういう形が、漸次環状線という形で都市の形がまとめられまして、一つの既成市街地というものの形が、たとえば環状六号から環状七号、環状八号、それから外郭環状線という形でヒトデ型に延びた町の形というものが、環状線で一つのフリンジ、既成大都市のワクというものが形成されつつありますし、またそういう環状線をもって都市の形を整えていくということが必要でございます。それとともに住宅地が外に無計画に乱雑に発展していくということを極力避ける必要がございますので、最近におきましては計画的な宅地造成を行なえるようにいたしますために、大規模な住宅団地の開発を計画的にやりますとか、あるいは横浜の田園都市線の新設とあわせて行なわれております大規模な区画整理事業のように、計画的な団地をつくっていくということとあわせまして、民間の宅地造成もそういう計画的な実施ができますように、住宅地造成事業法等によりましてこれをコントロールする方法をということで、先般の国会におきまして住宅地造成事業法というものを通していただいたのであります。
このようにして住宅地を計画的に配置しますとともに、それを結びつける通勤施設といたしまして、御指摘のような大量輸送機関としての高速鉄道網の整備というものが必要になってまいります。そこで、建設省としましては運輸省と十分協議を行ないまして、高速鉄道の整備につきまして総合的な宅地の計画的な発展の見通しとあわせまして、高速鉄道を整備していくということを考えております。その内応としましては、高速鉄道と地下鉄との相互乗り入れの促進ということが一点でありますし、一方また横浜等におきましても都市高速鉄道の計画を進めておりますが、さらに運輸省におかれましても、国鉄の通勤者の増加に対処するための第三次計画等における輸送量増強というようなことをお考えいただいております。これらをあわせて交通の確保をはかっていくというようなことを計画的に進めておるわけでございます。
さらに、最後に、自動車の交通が増大いたしますので、これに対処いたしますために幹線道路網の計画の実現ということが急務でございまして、新大宮バイパスであるとか、あるいは環状線、第三京浜、横浜新道、京葉道というような高速道路を整備いたしますほかに、国道とかあるいは都市計画の街路の重要なものからこれを計画的に処理していく、こういう考え方で住宅地の外縁的な発展をある程度計画的に押えながら、それと輸送施設との調和というものを極力はかっていくというような形でおりますが、人口と産業の大都市への集中という問題は非常に大きな幾つかの基本的な原因がございますので、このスプロールのもう少し徹底した防止についてもっと対策を立てるべきではないかというような点が指摘されております。
そこで、われわれは、現在こういった問題を処理いたしますために、宅地制度審議会で土地利用部会というものを設けまして、土地の利用計画について検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/55
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056・大出俊
○大出委員 少し回りくどいようですが、なぜ私がこの問題を提起したかと言いますと、いまお話に出てまいりました中に幾つかすでに関連があるのでありますが、どうも運輸省は運輸省だけで交通行政の一元化などということをしきりに考えておられるようであります。かつまた、一方、宅地部の新設などということで設置法まで出されて、建設省は建設省でやっておられる。東京都は東京都でやっておるわけですけれども、さっぱりどうも、それが資本主義社会秩序であるという前提に立つ限り、なかなか前進をしないというやむを得ざる特質があるわけですね。そこのところが一つ問題点でございます。つまりこの外的要因に基づく今日の都市交通全般の——路面電車にしても、バスにしても、地下鉄にしても事情はおのおの違います。違いますけれども、答申の内容、また自治省の柴田さんはじめ皆さんは、まさに前しか見えない馬車馬じゃありませんが、そこのところだけながめて進めているということになると、きのう聞いておりましても、どうも問題がかみ合わない。したがって、私は、そういうことでは困りますから、いまのようなものの言い方をするのですけれども、一つ例をあげて申し上げます。路面電車あるいはバス等を抜きまして、国鉄の局長さんお見えになっておりますから、地下鉄についてひとつ質問をしてみたいのであります。
まず山手線と地下鉄、あるいは中央線と地下鉄等の詳細な単価、原価の比較が資料として載っております。山手線は複線を持っておって、軌道延長キロが百七十二キロあるそうですね。ところが、営業キロ一キロ当たりの固定施設、これは山手線が五億五千五百四万円、こういう数字になっておる。これは局長さん御存じだと思います。一キロ当たりの山手線の、これは貨物線まで持っておって、なおかつ五億五千五百四万円。ところが、地下鉄一号線は同じような貨物線等は入れない、ないのでありますから。それで三十四億五千五百四十九万円、営業キロ一キロ当たりこういう数字になるわけですね。お手元に資料がないと思いますからもう一ぺん言いますが、山手は営業キロ一キロ当たり五億五千五百四万円、地下鉄一号線は三十四億五千五百四十九万円、この倍率は営業キロ一キロ当たり山手に比べて何と六倍、貨物線とかなんとか入れませんで。だからこれはずいぶん——それを入れればなお比率は高くなる、こういうわけであります。ところでこの営業キロ一キロ当たりの比較からいきますと、算術計算的にものを考えれば、料金でまかなおうというものの考え方が先行すれば、山手線に比べて地下鉄は少なくとも六倍の料金を取らなければ採算が成り立ちません。そこで、しからば補助だのあるいは一般会計の繰り入れだのあるではないかという意見が出てくるわけであります。
そこで資料をもう一つ申し上げます。これは東京都交通局の調べでございますけれども、同じ地下鉄一号線、それからその他の収支計算の比較であります。地下鉄一号線というのは乗車料金は、昭和三十五年の始まったころには三千二百万しか年間なかったわけでありますが、これがだんだん発展をいたしまして、昭和三十八年度五億一千十五万四千円、これが乗車料に基づく収入でございます。地下鉄一号線の収支実績、こういう表でございます。つまり五億一千十五万四千円、これが収支の収入であります。乗車料収入であります。そのほか広告料等がございますが、一般会計の繰り入れが、苦しまぎれにずっとやっておられますが、三十六年が一億七千万、三十七年が二億四千万、三十八年が三億二千万、こういう繰り入れできておるわけなんです。
ところで、ここで問題になりますのは、国庫補助金、これは幾らかと言いますと、三十七年になってようやく四千七百万、正確に申し上げますと四千七百四十五万二千円しか国庫では補助をしない。三十八年度は幾らかと言いますと五千四百七十四万四千円、これしか国庫は補助していないのであります。なきにひとしい状態であります。その証拠に、本年の予算がついたというのも、自治省が利子補給で大蔵省に要求してがたがたやり始めて、結果的に補助という形で四億ふえて、運輸省が八億になった、こういうわけです。四億しか補助がないのでありますから、東京も大阪も借りておるのだから、他の都市も借りておりますから、このくらいしかつけようがないと思います。でありますから、いまの一般会計の東京都の繰り入れと国庫補助と比べてみればおわかりのように、これだけ膨大な費用がかかっておる中で、何とわずかに四千百万だの五千四百万だの——五千四百万というのは三十八年ですよ。こういうふうなことになっているわけであります。
そこで、三十八年度の地下鉄一号線の収入の合計は、広告収入も入れて九億九千三百八十五万四千円しかない。ところが支出のほうはどうなっておるかと言いますと、元金償却ではなくて支払い利息だけはじいてみますと、十五億五千七百四万円。広告収入から国庫補助金から一般会計の繰り入れまで入れて九億九千三百八十五万四千円しかないのに、支払い利息だけが十五億五千七百万もあったんじゃ、これはとてもじゃないがやれないことは明らかであります。そういたしますと、地下鉄ということを一つ考えたときに東京都、つまり自治体がさか立ちをしたところで、赤字が累積することに間違いがないという現実になる。ここのところ、私の資料が違っておれば御指摘いただきたいのですが、学者というのは正確な資料をとりますから……。電話で聞いてみたところ三十九年の資料がないというので、やむを得ずこの資料を私は使って申し上げておる。新しい資料があればお教えいただきたいし、この数字に間違いがあるかないかをまず確認をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/56
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057・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/57
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058・大出俊
○大出委員 間違いがないとおっしゃると、これは自治大臣にひとつものを申し上げておきたいのですが、簡単に、たとえば路面電車と地下鉄の問題を持ち出したり、将来の都市交通というものについて、路面電車の廃止という面で、廃止したら都民が困る、市民が困るのですから、それならバスだというのだが、バスも路面交通の繁雑のために走れない。してみると地下鉄しか方法がないということが一ぱい書いてある。おまけに地下鉄は速度が速いから料金が安過ぎるということが書いてあるが、ばかも休み休み言ってもらいたい。そんなに簡単に考えて地下鉄経営が成り立つものじゃない。いま申し上げた数字で明らかなとおり、六倍の値上げをしてごらんなさい。たとえば一区間二十円で、ここから霞ケ関まで行くというのに、六倍に上げて百二十円でだれが乗りますか。それなら自動車で行ったほうがいい。そうなれば乗客が乗らないのですから、したがってやはりある程度海面電車なりバスなりに均衡のとれる、あるいは国電に均衡のとれる形における料金設定が必要になる。そうなりますと、明らかに料金の限度、上げられないという限度がある。してみれば、将来主として地下鉄に依存しようというならば、そこに計画局、都市局さらには運輸省、こういうところで、どうすれば一体地下交通にたより得るかという資本となるべきもの、建設的社会資本と学者が言いますけれども、資本となるべきものをどうするかということを真剣にお考えいただかなければ、そういうことを口の先で言われてもきわめて迷惑なんで、そこらあたりを運輸省の皆さん、建設省の皆さんはどうお考えになるかということを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/58
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059・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 ただいまの大出先生のお話でございますが、運輸省としましては現在の都市交通につきましては、都市の人口、産業の集中から見まして非常に混雑しておりまして、現在通勤、通学等の面におきましても輸送力増強をやっておりますけれども、なおかつ混雑しておる状況でございます。なお都市内に入りますと、道路交通の混雑によりまして、バス、路面電車におきましてはスピードが落ちてまいりまして、そのために非常に輸送力が落ちております。したがいまして、運輸大臣の諮問機関として都市交通審議会がございますが、この審議会に諮問いたしまして、東京、大阪、名古屋等につきまして、都市交通に関する基本的な計画につきまして答申をいただいております。その答申によりまして、東京では十路線で二百六十七・七キロの地下鉄道の建設計画を立ててもらっております。現在開通しておりますのは八十・六キロでございますが、最終の竣工の時期を昭和五十年に置いております。名古屋につきましては五路線の七十八・七キロでございまして、これは昭和六十年を竣工にしておりますが、現在開業しておりますのは九・八キロでございます。大阪につきましては六路線の九十九キロの答申をいただいておりますが、これは竣工を五十年に見ておりますが、現在開業しておりますのは三十二キロでございます。これらのものにつきまして現在建設を進めておるわけでございますが、これにつきまして、ただいまお話がございましたように非常に建設費が高くかかっておりまして、これはたとえて申しますと、建設時期の点は多少変わっておりますけれども、現在交通営団でやっております丸の内線がキロ当たり二十億でできております。日比谷線になりますとキロ当たり四十億、さらに東西線になってまいりますとキロ当たり五十億の建設費がかかっております。こういうふうにだんだん高くなっておりますが、そのおもな原因は、だんだん建設する場所が都心に入ってまいりまして、都心の土地が高いという問題と、もう一つは、トンネルが深くなりまして、そのために経費がかかる。いま一つは、輸送量が非常に多いわけでございまして、そのために連絡両数を四両、六両さらに八両、十両というふうにふやしてまいっておりますので、駅設備が非常に長くなるわけでございますが、そういう面から建設費が非常に高くなっております。したがいまして、現在の地下鉄につきましては、経費の大部分は資本費でございます。これにつきまして運輸省としては、現在、ただいまお話がございましたように、少額でございますけれども補助金を出しておるわけでございますが、さらにこの金額の増加につきまして関係方面とも連絡いたしまして、さらに折衝を進めていくつもりでございます。それから路面交通におきましては、これは年々輸送需要も減ってきておりまして、たとえば東京などにつきましても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/59
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060・大出俊
○大出委員 発言中恐縮ですけれども、私が御質問申し上げたのは、私がいま端的に数字をあげて、しかもおたくの資料とそれから東京都交通局の資料に基づきまして、私が数字をあげてみたところが、これは実は手の打ちようがないということになる。——どうぞおすわりください、けっこうですから。——実はどうにも手のつけようがない。この地下鉄に必要とする資本、これをどこでどう回収をして地下鉄路線を維持していくかということを、私はしろうとなりに幾つか資料を集めましてずいぶん時間をかけて読んでみたのですけれども、正直に申し上げてどこにも結論がない。結論がなくて論議していたのでは、これはらちがあかない。学者がこれだけ集まって論議して結論がないとなると、地方公営企業に対する審議会、調査会などというものを幾らつくってやってみても、今度の答申もそうですけれども、これは根なし草なんですね。結論がないままに企業の合理化だとか、賃金を下げろとか、詳細に原価計算も何もしてみないで、この答申にはそういう資料というものは何もない。ただ単に、都市交通なり横浜の交通局なり川崎の交通局なりの職員の賃金というものは民間賃金と比較してみて、単純に比較してみて高い、安いと言っているだけである。一体どうしてこういうことになるのかという原価というものを、走行キロ数から、低速化されてきていることから、すべて当たってみて計算をしているのではない。さらに東京の交通が総体的には赤字になってきた。なぜ赤字になってきたか。これは地下鉄です。ところがその原因について確かめようともしない、資料もない、そういう形で出されたものをまに受けたままで、さて一部改正でございますといって出しているところに、財政のきんちゃくを握っているからということで、そこからだけで判断をされたんでは世の中はえらいことになる。その心配があるから承ろうと思っているので、私の質問の要点は、いま申し上げたような趣旨になるのだが、将来地下鉄建設にからんでいく建設省の都市局の方なり、運輸省の鉄監局長さんはじめ皆さんのほうで、一体どうすれば——料金値上げには限度があるということは明らかなんだし、一般財政からの繰り入れも限度があることは明らかなんだから、国の補助なんというものはそれこそ吹けば飛ぶようなものしか出ていないのだから、責任を持っていないのだから、そうだとすれば、一体どうすれば地下鉄路線というものは将来に向かって国民の足を確保するという意味で維持ができるのかということを聞いているので、あなたのほうにも結論がないというなら、ないとおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/60
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061・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 現在運輸省としましては、ただいま申しましたように補助金の増額という問題と、もう一つは金利の引き下げでございますが、現在公営につきまして起債で工事しておりますけれども、これに対しまして、政府資金の場合は六分五厘でございますが、公募債券でございますとこれが七分三厘になっております。これにつきまして政府資金の割合を高くするということにつきましても、これはもちろん金利低下については非常にむずかしい問題でございますけれども、関係方面に折衝しまして、金利引き下げという方向につきましても努力してまいりたいと思っております。それにつきまして、なお現在の高速鉄道につきましてこの建設をどうするかという問題があるわけでございまして、これに対して、助成法というものにつきまして各省と打ち合わせしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/61
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062・大出俊
○大出委員 いま助成法について各省と打ち合わせたいという御意見が出たのですが、自治大臣、これは自治省の担当者として、行政長官として、各六大都市中心に地下鉄網がどんどん延びていく性格を持っているとすれば、いま助成法などというものが出てまいりましたが、自治大臣としてはどうお考えになりますか。地下鉄の足を確保するために、延ばすために資金が要る。いましきりに起債のワク云々と言われたけれども、それは借金だからこそさっき申し上げたように、収入が政府の補助からあるいは一般財政の繰り入れから全部入れて、三十八年度地下鉄一号線というものは九億九千三百八十五万四千円しかないのに、支払い利息が十五億五千七百四万円もあることになってしまうのです。借り入れ資本でやるのでありますから、外国のように九十九年債という、自治法の二十三条に書いてあるような永久債の制度がとられていないのですから、そうなると利子が利子を生むというかっこうで、それでにっちもさっちもいかなくて、東京都の交通も赤字になったわけですね。
ここに都市交通の経営問題についての論説が載っておりますが、これによりますと、六大都市合計では、三十三年度二億一千万円の赤字から三十七年度三十二億一千三百万円赤字、三十八年度五十二億九千九百万円赤字と年々赤字がふえている。三十八年度の東京の赤字は十六億三千九百万円、大阪の赤字は十三億五千七百万円であった。地方九都市合計では、三十三、三十四年度は黒字であったが、三十五年度以降赤字に転化しておる、こう書いてある。三十七年度のこの赤字、このときから東京都の赤字の原因は何かといったら、最大のものは地下鉄なんですよ。そうなってまいりますと、助成法のお話も出ておりますけれども、こんな一部改正ということよりも、もっと根本的に国民全体のために、議会は審議の場所なんだから、一体どうすれば自治大臣、国民の足は確保できるのですか、そこを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/62
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063・永山忠則
○永山国務大臣 根本的にはやはり公共企業体のような交通機関の一元的企業体制を確立するという方向でいく場合においては、あらためてそれに対する法案等を措置するというようなことになっておるわけでございます。また全般的な話でいきますと、地下鉄関係においては国の負担、それから一般会計、地方負担、また地下鉄自体の負担というものの負担関係を区分する、すなわちどれだけ国は補助しなければいけないかということですね。また、現在借りておる資金の良質化をはかるとか、あるいは利子補給の問題とか、そして経営関係の能率化というようなものを、三者を総合して基本的にやるべきである、こう考えておるのでありまして、自治省といたしましても一歩前進しようという考えで、御存じのように、とりあえず利子はとにかく補給しようというような角度で折衝を続けましたが、ことしはとりあえず補助金を増すということで、しかしこの健全経営化に対しては直ちに十分案を立てようということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/63
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064・大出俊
○大出委員 ちょっとここで一つ承りたいのですが、運輸審議会に横浜部会ができましたね、地下鉄問題をやっておりますね。時間がありませんから横浜の一例だけ申し上げておきますが、横浜もいよいよ地下鉄をつくろう、そうしなければ路面交通の緩和とあわせて市民の足が確保できない、こういうふうになってきているわけであります。これはたいへんな金がこれまたかかる。私もこの計画をよく読んでみましてあきれ返っているわけですけれども、比較的わかりやすいところで申し上げますが、桜木町から根岸線というのが新しくできましたが、桜木町駅から関内駅、弘明寺、上大岡というほうに抜けていく六・五キロメートル、全線地下ですが、建設費は概算で百六十六億円かかる。キロ当たり二十五億五千万円。東京では三十五億くらいかかっておる。二十五億五千万円でこれはあがるかなという気がしたのですが、ともかく概算が百六十六億円、その他を含めてたいへんなものだ。しかしこれは自治体が借金しようと何しようと、やらなければおさまらないのです。横浜は人口がふえていますから、こういうようなところに追い込まれている。ところで運輸審議会の横浜部会のほうは、聞くところによると、六月答申と聞いておりますが、その辺どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/64
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065・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 七月の初めの予定でございますが、なおこれは都市交通審議会の横浜部会、これに対しましては横浜市のほうからも実は要望がございまして、地下鉄でやらなければならないということでございまして、どうせつくるならば長い面を考えて計画的につくろうじゃないかということになって、都市交通審議会に諮問したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/65
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066・大出俊
○大出委員 たいへん応援が参っておるようで恐縮でありますが、きょうはひとつ定足数が欠けないようにお願いしておきたいのです。
ところで大臣のいまの御答弁は、私一緒にやってまいりましたから性格をよく存じ上げておるわけでございます。したがって、前向きの御答弁をされているのだと思います。しかし、自治省に大臣としておすわりになったらにっちもさっちもいかない、八方ふさがりというのが今日の実情だろうと思うわけであります。いまの補助金ですが、自治省から利子補給を予算要求したが、これを補助金に肩がわりしてやっと四億運輸省予算につけた、こういうかっこうになっている。予算折衝の十二月三十日くらいに私が鎌田さんに電話をかけたら、そういう話で、これは間違いない。そういうことだと、さっき私が申し上げたように、何千万という補助しか出ない、地下鉄への補助金は四億何がしふえて八億なんだから、東京の地下鉄への補助は億という単位にならない。そういうさびしい状態だ。これは東京都の副知事が参考人としてあらわれて何を言ったかといえば、まさに地下鉄建設の苦衷のほどをるる述べて、何とかしてくれ、一般会計さか立ちしてやっているから、何とか国はしろと言っているのだけれども、皆さんに回答がない。にもかかわらず、片一方ではさあ公営企業法の一部改正だ、答申が出たのだから、こういうばかげた話はないだろう。だからその前提となる、つまり答申が出る、あるいは出た、出たが、しかし答申の問題点については詳細な資料も何もない。したがって、それに該当するものはこの委員会で論議する責任がある。その上で答申の受け取り方をひとつただして、さて提案をされている一部改正のこの法案の審議に入る、こういう筋になっていただきたいと私は思います。
そこで、地下鉄についてはまさに結論がなかった、どうしようもない、こういうわけです。皆さんのお話を聞いてみると、建設省から運輸省から自治省から、いないのは大蔵省のさいふのほうだけだ。そこで、そうなればかねや太鼓で大蔵省を攻めなければならぬということになるのですが、その前に、路面電車とバス、この問題なんですが、そこでひとつ運輸省の局長さんに聞きたいのですけれども、路面電車の赤字の最大の原因は低速化ということだと思うのでありますが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/66
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067・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 路面電車につきましては、御承知のとおり、都市交通の混雑によりまして低速化しております。なおバスの発達によりまして、バスのほうは電車に対しまして非常に機動性に富んでおりまして、たとえば短絡とかいろいろの面で融通がきくわけでありまして、そういう面からバスに客をとられておりまして、昭和三十年あるいは三十五、六年ころから客がどんどん減ってきております。なお、車両につきましては運用効率がずっと落ちてきておるわけであります。そういう問題も赤字の原因になっております。なお従業員につきましては、発展するのではなくてむしろ整理するというような方向にいっておりますので、そういう面から見まして、従業員につきましても高年齢化といいますか、そういう趣になってまいりまして、そういういろいろな面から一般の賃金も高くなっておりますし、そういう面から赤字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/67
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068・大出俊
○大出委員 どうもそこのところが問題なんだけれども、たいへんがしゃがしゃ一緒にお話しになりましたから、一つずつ分けてケリをつけていきたいのであります。どのくらい東京都の路面電車は、昭和三十年、このあたりを基準にされてもけっこうですし、三十五年でも七年でもけっこうですが、どのくらいの速度で低速化、これが進んでおりますか。あなたのほうに資料があるはずです。ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/68
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069・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 東京都の路面電車でございますが、三十四年が時速十三・六キロでございますが、これが三十五年が十三・三キロ、三十六年になりますと十三キロ、三十七年が十二・九キロ、三十八年が十二・五キロ、三十九年が十二・三キロというふうに法定速度が落ちております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/69
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070・大出俊
○大出委員 ところで、乗客のほうの減少状態はおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/70
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071・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 乗客は、三十五年を一〇〇といたしますと、三十六年が九七・五%、三十七年が九一・七%、三十八年が八九・二%、三十九年が八一・八%になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/71
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072・大出俊
○大出委員 私のほうの資料と大体似たようなことなんですが、ところでこの低速化してきた最大の原因は何ですか。速度が落ちてくる最大の原因は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/72
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073・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 交通混雑でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/73
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074・大出俊
○大出委員 この交通混雑という面も、これは何も都市交通自体の責任じゃない。これは建設省の都市局もおられますけれども、つまり道路政策あるいは都市政策などというものの、だれの責任ということは申し上げませんが、いわく貧困、こういうことになるわけであります。先ほどの大臣の一元化というものの考え方にひっかかるのでありますけれども、交通政策の一元化、さっきそれしかないだろうとおっしゃった。ところで一元化というものは、大臣、ここで一ぺん聞いておきたいのですけれども、簡単にいまの状態でできるとお思いになりますか。先ほど大臣は、どうすればいいかと言ったら、交通政策の一元化だとおっしゃった。一元化したいのは、あちらもしたいのはやまやまなんですが、できないところに問題がある。あなた、できるとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/74
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075・永山忠則
○永山国務大臣 やはり公共企業体を確立しまして、路面電車や地下鉄あるいはバス等の総合運営ができるように、また必要度に応じて合理化していく、すなわち路面電車のバス化あるいは地下鉄化というような関係も、やはり乗客、混雑、すべてを総合してこれをやるというように、やはり公共企業体というものを確立していくということから前進せねば、東京都のようなところはなかなかやれぬのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/75
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076・大出俊
○大出委員 大臣、これはそういうふうに言わないで、一ぺん根本的にお考えいただきたい。申し上げておきますから。というのは、東京に乗り入れてきている周辺の鉄道の各種の路線がありますが、このキロ当たり基本賃率と申しますか、この相違を調べてみますと、国鉄は二円七十五銭、東武は三円十銭、西武は二円六十五銭、京王三円、小田急二円八十五銭、東急二円三十七銭、京浜二円七十五銭、京成三円、こうなっている。みんな違う。これは資本形態、つまり一つの車両のつくり方、単価がみんな違う。それから人の配置が違う。そこから問題を解きほぐさないとなかなか平準化できない。だがしかし、大きく違えば人が乗らないから、だから単独路線のところ、ほかの並列路線がないところでもうけて、そういう区間差があるというようなところをおのおのとっているわけです。それはみんな資本が違う。そうなると、資本主義社会秩序を前提にすると、これを一元化する、一つの大きなコーポレーションをつくるなんということを言ったって、とてもじゃないができっこない。よほど強力な政治家があらわれて、まさに与野党一致して国会が決議をしたなんてとんでもないことでも考えなければ、これはちょっとできない、こういうことなんです。だからその実現ができない一番根本に何があるかということを、まず第一に大臣にとくとお考えを願いたいのです。
そこで、いまのお話について申し上げますが、いま三十七年が十二・九キロ、こうおっしゃった。正確に申しますと十二・八七キロなんです。ところで、三十七年の例が出ましたから、三十七年の数字で申し上げますと、都電と都バスと地下鉄と国鉄の時速の開き——東京都の機関別時速調べというのがある、これを調べてみますと、都電が十二・八七キロ、都バスは十四・八〇キロ、これは時速です。それから地下鉄は二十九キロ、極端に速い。国鉄が三八・二〇キロ、こうなっておる。ここにつまりある一面、全部ではありませんよ、全部ではありませんが、あとでお尋ねをいたしました乗客の減りぐあいがひっついているわけです、この三人の学者の説によりますと。
そこで問題は、しからばなぜ東京都の都電利用者というものがいまだに七百万からあるか——七百二十六万くらいあると思いますが、あるかという問題なのであります。これは二つ要素がある。一つは安いからということ。時速はおそいが安いからということ。つまり本人は給料をよけいもらってないからということ。もう一つは何かというと、地下鉄に比べますと、網の目のごとく張られている路面電車というものと、網の目までいってない地下鉄との相違があるということ。だから、地下鉄の駅でおりたのでは遠過ぎる、おそいけれども都電に乗っていけばすぐそばでおりられるというところに、都電というものの、路面電車というものの必要最大の価値理由があるわけなんです。そうなりますと、速度がおそいからということで、地下鉄が完備していない、網の目のようになっていない時点で路面電車の廃止などということを軽々しく考えたら、その面からくる乗客に与える影響というものは非常に大きなものになる。そこにさっきおっしゃっておった公共性、公益性というものがあるわけでありまして、この面からいけば、時速が低下して、乗る人が時速の速いほうの地下鉄その他に乗りかえていったら、その面から人が減ってきた、減ってきたが、しかし不採算ではあってもまた路面電車は維持しなければならぬという必要が出てくる。これは数字的に理論的に端的にあらわれているのであります。
それからもう一つの問題がこれにございます。それは何かといいますと、時速が落ちてきたということは何かというと、逆に人が減りそうに皆さん思うかもしれぬけれども、そうではない。人は要る。よけい要る。運転士さん、車掌さん、よけい要る。なぜかといいますと、時速がおそいから、そのダイヤを完全にやろうとすれば、一定の人員で足りなければ超過勤務をやる以外にない、同じ時間でそこまで行けないのですから。そうでしょう。だから時速が落ちてきた、低速化ということは、逆に人が要る、時間外勤務がふえる、こういうかっこうになる。それから年齢構成比が違う。私営バス、私営の交通機関と公党とは年齢構成比が違う。高い。これは歴史的にそうなんです。都市交通が先にできたのですから、それからつとめていて、長年つとめていれば年齢が多くなるのはあたりまえです。そうなりますとその年齢構成比が違う。給料決定の期間が違う。きのうしろうと答弁を柴田さんされておったようだけれども、後ほど申し上げますが、賃金をきめる期間が違う。そういう歴史的な背景が違うから、それに時間外勤務というものがつけ加わると、目に見えるものは相当の金額になる。相当の金額になるのだが、その中身というものはたいへんな労働をしていることになる。ここに単純比較でものを見てはわからない根本原因がある、こういうわけです。だから、この学者諸君のものの考え方、意見も、撤去を急いではならないということを明確にうたっている。話せば長くなりますから、おおむね私が申し上げたようなことだから申し上げませんけれども、地下鉄が路面電車のごとく、パリの地下鉄のように、あるいはニューヨークの地下鉄のように、あるいはモスクワの地下鉄のように発達すれば、これはいやでも路面電車は要らなくなる時期がくる、その場合には、路面に働いている方々を転換する職場ができる、こう考えなければならぬわけです。私はここに、つまり合理性というものが発揮されなければ労使の関係は実は逆に片づかないという問題が起こってくる、こういうふうに考えなければならぬと思うわけであります。
それからもう一つ、国鉄の方がお見えになっておりますから承りたいのですが、こういう事情なのですが、バスのほうは一体何が原因で赤字なんですか。バスも黒字ではないんでしょう。赤字ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/76
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077・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 私は担当ではございませんけれども、バスの赤字の原因もやはり路面電車と同じように、非常に速度が落ちてきております。さっきお話がございましたように、そういう低速化という問題から非常に従業員の能率も落ちてきておりますし、車の能率も落ちてきております。そういう面も一つの大きな原因になっております。いま一つは、バスの車掌等の採用につきまして、地元から得られなくなってまいりまして、遠方から車掌を連れてまいる関係で、寮だとかあるいはその他の付帯施設に非常に金がかかりまして、そういうような付帯的な経費というものが非常に大きくなっております。したがって、そういうような面からも経費がふえて赤字の原因になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/77
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078・大出俊
○大出委員 私、たいへん御無礼しましたけれども、自動車の担当でないのにうっかり質問しまして恐縮でしたが、お答えいただきましてありがとうございました。
ところでバスなんですけれども、いまおっしゃったように車キロ当たりの支出の増加ですね。これは車両の稼働率はふえているのです。なぜかといいますと、路面電車その他走行キロの速さが違いますし、乗る利便がありますので、人はバスのほうに移っている。これは数字的に明らかです。そうなりますと、乗客がふえる、しかもやはり同じ路面交通ですから走行キロは減ってくるとなると、車両の稼働率がふえるという形、つまりその意味では人件費もよけいかかりますし、それに付随する費用もよけいかかるという形が出てくるということなんですね。私はいま路面電車、バス、地下鉄の三つを例にあげたのですけれども、こういう事情が背景としてあるということになると、この面からも今次答申にあらわれたような無責任きわまる言い方で糊塗するわけにはいかない事情が存在をしているということになる。どこも責任を負わぬで自治体に責任をおっかぶせて、しかも自治体の中の公営交通なり公営企業だけに負わせて、その中で人の賃金を引き下げろなんていうのは暴論ですよ。私はそういうことにはならぬと思うのです。
そこで柴田さんのほうとかみ合う論議になりますけれども、簡単に高い高いと言うんだが、公労協の仲裁裁定が出たけれども、あの三公社五現業の内容というものは全然単価が達う。ここに電電のがありますけれども、電電は定期昇給三・五%で千六十円、今回の六・五%の仲裁裁定でいきますとこれが二千五十一円ということになる。ところが郵政のほうでいきますと、定期昇給は千八十六円、六・五%の引き上げは二千百三十四円。これだけ違う。なぜ違うか。年齢構成が違うからです。そうなると年齢構成から賃金決定の期間、それから先ほど申し上げた諸事情を勘案しなければ賃金確定はできない。だからひとつ承りたいのだけれども、三十九年の七月、東京都の例の大騒ぎになったあのときに、東京都交通局と東京都の交通労働組合の間で中労委に調停を申請をいたしまして、ここで公営交通のベースアップについて交通局からも資料が提出され、組合側からも提出され、そうして公労委からも調停段階でいろいろ出てまいりました。ここで東京都の問題についての中労委の意見が何と一体出たかと申しますと、東京都の交通関係の職員給与の上昇率というのは一般の賃金上昇と比べて特段に高かったわけじゃないと言い切っておる。これを読んでみますと、過去四年間における交通局職員の給与の上昇率の三八%は、一般的な賃金の上昇傾向、これは全産業平均が三八%ですから同じなんですが、その一般的な賃金の上昇傾向に比較して特に不合理であったとは考えられない。都市交通事業の今日における収支のアンバランスは、人件費を含む営業費の増加、これは過去四年間で四八%上がっている、つまり収入のほうの増加が支出の増加に追いつかないという現象なんで、そういうことからいって、賃金が特段によけい上がったのではない。賃金は全産業平均の三八%と同率で上がっているんだけれども、しかしその全産業平均の賃金の上昇をカバーするだけ収入がふえなかった。ふえなかった原因は、私が最初から申し上げているように、都心人口が二八%減ってきたということも含めてるる申し述べた事情があるから営業収入がふえなかった。賃金が極端に上がったのではない。ここのところを自治省の皆さんは一体どう判断をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/78
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079・柴田護
○柴田(護)政府委員 やはり企業でございまするので、一般の行政の場合ももちろんでございまするけれども、やはり経営の能率化ということには常に心がけねばならぬ。たとえば同じ公営交通でございましても、札幌市の場合を考えて比較してまいりますると、これはりっぱに営業をやっておる。なぜ東京都の場合が赤字になるかということは、いまるるお話がございましたような原因があることは私どもも十分承知しておるわけでございます。しかしそれでは、いまこういう人員構成だからしようがないんだと言われますれば、私どもはそれであってはいかぬだろう、やはり新陳代謝を促進することも必要でありましょうし、あるいは給与費のカーブが適当でなければ、これも逐次直していくことも必要でございましょう。したがって東京都の場合につきましていろいろお話がございましたが、東京都の経営自身についてさらに改善、合理化すべき点がないとは言えない。しかし同時にそれだけでものが片づくかと申しますると、御指摘がございましたように、それだけでは片づかないと私どもは考えております。外部要因の除去ということにつきましては、やはり相当大きな手を打たなければならぬだろうということは十分考えるわけであります。しかし、だからといってほっておくわけにはいかぬ。そこでやはりこの際には、再建措置をとって早く不安定債務を安定債務に切りかえる措置をとっていきながら、いまお話のありました外部要因の除去等につきまして政府といたしましても努力をいたしますとともに、東京都自身におきましてはやはり内部経営の刷新、合理化に努力をする。すなわち三者が一体にならなければ東京都の場合はなかなかむずかしかろう。
答申もいろいろ御批判ございましたが、実はいまお話にありましたようなものは答申の中には出ておりませんけれども、答申ができまする過程におきましては多々議論がありました。その結果、やはり東京都のようなところにつきましては、少なくとも区部における交通等につきましては交通の一元的経営というものが望ましい、こういう結論を出しておるわけであります。私どもも、方向といたしましてはそういう方向ではないかと実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/79
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080・大出俊
○大出委員 柴田さん、私はむちゃくちゃなことを言う気はないのですよ。それは企業が能率的に運営されるということは、官庁であれ民間であれ同一であります。できるだけむだを省くということは当然なことです。しからば都市交通関係における企業経営者は一体その努力をしないできたかというと、そうではない。私も横浜におりまして、飛鳥田君が市長になってからずっと一緒に見てきておりますけれども、彼も組合とぶつかりぶつかり、一生懸命になってやってきておる。これは幾つも資料を差し上げてあるし、私もお届けしたことがあるからおわかりだと思う。東京都の鈴木副知事が来られて言っておられる内容を見ても、一生懸命やっておられる。仙台の島野市長も同様なことを言う。私もまるきり公営企業制度調査会の中身を知らないわけではない。大阪市の交通局長の今岡鶴吉さんが、大阪市のバスは、昨年は時速が十二キロでしか走れなかったのだけれども、毎年速度は低下している、かりに時速を十六キロ、十八キロ、二十キロまで上昇させますとどうなるでしょう、全く民営と変わるところはなくなる、この時速低下を無視した車キロ当たり人件費比較というのははなはだ誤りであると述べている。ところが、こう言っておられる担当者が、自分の経験でここまで明らかにしているのに、こういう問題は資料としては上がってこない。陰の話はあくまでも陰なんで、やはり答申が出たりして法律を一部手直しをするというならば、その答申の中身であるところのいろいろな資料というものは親切にお出しいただかなければ、どこかほかで見つけるより手がない、そういうことになる。ここで今岡さんが言っていることは、私がさっきから申し上げたことと変わりない。だからこの今岡さんが国会でしゃべっておられることを読んでみても、それは自分の企業ですから、しかも市民なり都民なりの企業なんだということで、どんな企業でも一生懸命努力している。しかし欠陥がない企業はない。なおかつ今日も欠陥がありましょう。だからそう欠陥を直していく努力をするのはあたりまえです。あたりまえだが、しかしそうかといって限度があります。その限度を超えてものを考えられると、これは話の筋が通らなくなる。ここを実は私は言いたいわけなんです。
そこで、交通の「都営・民営企業の職種別平均賃金の比較」というのがございます。資料を申します。「運輸省調。東京都交通局「中央労働委員会提出資料」による。」これはさっき私が申し上げました中央労働委員会に提出した資料でございますから正式の公のものであります。これに基づいて申し上げます。役付職員というのがありまして、これは民間のほうが高いのです。民営大手九社の役付職員の平均年齢は四十四・一歳、勤続年数は十八年三カ月、平均給与が十二万三千三百四十三円、非常に高い。都営バスのほうの役付職員は五十・八歳、これが年齢です。年齢が高い。何と勤続年数は二十九年六カ月つとめている。倍にもなる。たいへんな長年勤続、たたき上げてきている方々です。この方々が何と十一万八百六十三円しかもらっていない。明らかに都営バスは民営よりも低いのですから、その意味で、A分のBという倍率をとれば〇・八九というふうに低いわけでございます。こういうことになっている。それから事務員で申しますと、平均年齢は民営九社の場合は三十五歳二カ月、勤続年数は十一年九カ月、四万九千三百四円、都バスのほうは平均年齢が四十一・三歳、年齢的には五年も高いわけでございます。そうして平均勤続年数は十七年八カ月、民営のほうは十一年九カ月ですから、たいへん長い。この年齢構成と勤続年数構成をながめてみますと、実は民間の四万九千三百四円に対して都バスのほうは六万七千九百二円もらっておりまして、倍率は一・三八倍になりますけれども、いま御指摘申し上げましたように、年齢構成、勤続年数比をながめてみておわかりのとおり、高いとは決して言えない。運転手さんをながめてみますと、民営九社のほうは平均年齢は三十三・四年、平均勤続年数は四年七カ月、きわめて短期でございます。それで給料は四万一千百九十七円、都バスのほうは平均年齢は三十五年三カ月、二年何カ月高いです。平均勤続年数は七年七カ月ですから、これも倍まではいきませんが、たいへん高い。それで五万三千二百六十八円で、倍率は一・二九倍、二割九分高い。しかし年齢構成と勤続年数比を入れれば、これも高いとは言えない。念のため車掌さんまで申し上げておきます。民営の車掌さんの平均年齢は十九・七歳、平均勤続年数は二年二カ月、これもうんと短い。平均給与は一万八千九百四十八円、都バスのほうは平均年齢は二十歳九カ月、平均勤続年数は三年六カ月、このほうもやはり長いです。年齢も高い。それで倍率は一・五五、つまり二万九千二百三十七円もらっているからであります。このあたりの年齢構成比なりあるいは勤続年数比をとりまして、どうやら幾らかこころもち高いかなという程度であります。そうなってまいりますと、高い高いというけれども、さっきから出ているように、都市交通なんですから、永年勤続者がおることは間違いない。その意味で新陳代謝ということを柴田さんおっしゃるが、この新陣代謝ということも、生活に不安がなくて若い人がどんどん入ってくるならば、これは新陣代謝もできなくはない。飛鳥田というのが市長になってから、高齢者の首切りみたいなことを大騒ぎをしてやっておる、そういう努力をして、どこの理事者だってみんなやっている。それを踏まえて論議していただかなければ困ると思って、私はこういう例をあげて申し上げておるわけでありまして、決しておかしなつもりで申し上げているのではございません。企業努力をすることは当然であります。しかしそれには限界があるということを言いたいのと、給与というものは単純比較では困るということを申し上げたいので、いま例を引いた、それから地下鉄その他各交通部門について、これはそれなりの理由があって今日存在するところの企業経営をしているので、おのおのがばかではない、有能な方々ばかりがやっておるのです。そこを十分検討して出された答申かいなかという点が私は疑問だと言いたいのです。なぜならば、この答申云々にあたって内閣委員会に、地方公営企業制度調査会なるものの案がかかりました。そのとき私は実は、人員がきまらなければ通さないで握っておれということを主張した一人なのです。ところがあの当時は六十億の料金ストップの金をどうする、こうするということで、永山さんも一緒になってがんばった方の一人だけれども、そういうことをやっていた時期だから、皆さんを信用して、泣くに泣けないことを実は泣いたのです。ところがさあ出てきたものをながめてみたら、とんでもない人たちばかり入っておる。あのときの永山さんの発言を申し上げておきましょう。「関連いたしまして。公共料金並びにこれに準ずるものを一年間ストップするという政策は、法律違反の疑いもあります。池田経済政策の矛盾でございます。すなわち、中小企業、零細企業者の犠牲において物価安定をはかろうというきわめて誤ったる政策でありますから、この場合、運輸大臣は公共料金、これに準ずるものを一年間ストップするというこの基本方針を再検討されて、正しい経済政策に戻されるよう、特に要望いたしておく次第でございます。」というのが永山内閣委員の当時の発言であります。こういう実は状態だから、私も泣くに泣けないところを泣いたところが、さあ人選された内容を見たところが、学識経験者では学者の方々は五人しかいない。あとは前自治省次官などまで入っておる。こういうことでは私どもが考えるような公正妥当なものは出ない、こう考えておるわけであります。そこのところを私は立証し、申し上げたかったので、そこまで実はあげたわけでありますが、この辺でひとつ、交通政策の一元化ということを大臣がさっきおっしゃったので、せっかく御出席いただきましたから、運輸省のほうの方からもひとつ、短時間でけっこうでございますから要点をお話しいただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/80
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081・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 都市交通一元化につきましては、現在運輸省といたしましては都市交通審議会に諮問しておりまして、現在検討しております。
なお一元化につきましては、各都市の交通は歴史的に発展してまいっておりますので、各都市によって非常に事情が違っておりまして、また実態も複雑でございます。現在の運輸省といたしましては、さっき御指摘がございましたように、東京都におきましても、あるいはその他の都市におきましても非常に交通が混雑しておりまして、輸送力が不足しておりますので、とりあえずといたしましては、輸送力の増強をまずやりたい、それが中心になっております。したがいまして、この一元化につきましては、将来の方向としては望ましいと思っておりますけれども、直ちに現在の段階におきまして具体的に進めるというものにつきましては、いろいろ問題があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/81
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082・大出俊
○大出委員 もう簡単に二問だけ申し上げまして、時間の関係でというので、たいへん恐縮なんですけれども、きのうもまことにこま切れでございましたので、要点のみ申し上げますから、この次の機会に続けさせていただきたいと思うのであります。
そこでひとつ要点のみという意味で念を入れて申し上げさせていただきますけれども、永山さんが大臣におなりになってから、こういうふうに言っておられるわけであります。これを質問いたしましてから、厚生省に一問だけ申し上げさせていただきます。
大臣のお話というのは、これはたいへんいいことでありますが、私は内閣委員時代と変わらないということをおっしゃって、「私はいまもなお、前から申しておりますとおり、日本丸を運営いたしておる枢軸、大黒柱というべきものは行政官である。」中央、地方の公務員だというわけです。「もちろん立法、司法、行政とありますが、三本柱の一つでございますので、その推進力が日本丸を高い、高度の知性と特性を持つ方向へ運航するか、低いほうへやるか、あるいは曲がった方向に伸ばすか、運命をきめる重大なる地位にあるのであるから、したがいまして、その給与は、大会社へどんどん優秀なのが取られて、そしてその残りが来るということのないようにせなければいけない。そのためには、まず給与は大会社に劣らないような情勢まで持っていく必要があるのではないか。さらにまた、したがってやめても安心して生活ができ、一生行政に奉仕するという体制を確立する必要があるから、途中で首にしたり、あるいはよそにやるというような体制はとらないことが好ましい。適材適所で、みずから将来のために、やめるのをとめるものではないが、安心して老後の生活ができ、子供の教育もできる体制にやるべきだ。それには恩給、年金関係を物価、生活費にスライドするという体制を確立する心要がある。なお、場合によれば、国家財政の関係も見合わせなければならぬけれども、三分の一の恩給をあるいは二分の一に引き上げるとかいったような方向は、西ドイツその他でも先進国はやっているではないかというようなことを申し上げ、またそう思っております。」こういう御発言があるのですが、私はこれは永山さんのおっしゃるとおりだと思うのです。これは大臣におなりになってからですよ。私は、国家公務員、地方公務員を問わず、公営交通、公営企業を問わず、能力のある地方自治体の首長ならば、給料は国家公務員より一割や一割二分高くしておるはずです。つまり人間にはエリート意識があるのだから、同じ公務員試験を受けるなら、上級職あるいは六級職を受かったなら、できれば国家公務員になりたいです。だがしかしいろいろな縁故もあり、地方公務員になれば給料が商い、こういうところで、優秀なエリート意識を持っている方でも、横浜につとめたり東京都につとめたり、交通局につとめたりするのですから、有能な自治体の首長であるとするならば、給料というものは国家公務員よりは一割や一割五分高くしておかなければ地方自治体に優秀な人がとれない、こういうことになる筋合いだと私は思う。まして都市交通というのは、横浜でも川崎でも東京でも同じだけれども、始発電車に間に合う地域に住んでいなければ雇ってくれないのです。これが契約条件ですよ。そうなってくると、高い都市に住んでいるのですから人は限られてくる。だからそういう意味では民間企業よりは高くてもふしぎでないと私は思っているのだが、にもかかわらずさっき私が申し上げたように、年令構成、勤続年数等を考えても、昨今の低速化というものと超勤等をあわせて考えると、決して賃金は高くない、私は、こまかく調べてそう思っております。したがいまして、給与給与としきりに言われますけれども、そこらあたりのことはそう変わってないはずです、私が判断するところ。自今、都市交通の企業内努力はけっこうですが、名目比較の上で、年齢構成も勤続年数も作業の実態も別にして、財政を担当されてきた方々あたりが、都市交通の給料は高いのだということを口にしていただきたくない。大臣、ひとつここで御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/82
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083・永山忠則
○永山国務大臣 やはり御説のように、企業内の能率化というものと合わせまして待遇の処置を考えていくべきでございまして、やはり高能率、あるいはことばは悪いかもしれませんが、高賃金というような立場において優秀なる人材も入れ、能率化をしていく。さらに企業全体から見ますれば、路面電車とバス関係の相互関連等を見合わし、地下鉄の関係等を考慮しまして、効率化の線に向かって総合的に進んでいくことが好ましい。まあそういうことを言うのはどうかと思うのですが、横浜につきましても大阪につきましても、そういう観点で非常な努力を続けられておるということに敬意を払っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/83
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084・大出俊
○大出委員 私が御質問申し上げることに正面から御答弁いただけぬのは残念なんですが、大臣の苦しかろう立場もよくわかります。いま私が読み上げた議事録どおりのことをそこでおっしゃるとケリがついてしまいますから、おそらくこのとおりはおっしゃれぬと思うわけであります、柴田さんの答弁と全く違うのだから。これはいいですが、責めませんけれども、いじめに来たわけじゃないのですから……。
このあたりでひとつ、せっかくお見えをいただいた厚生省の方に、時間がございませんで恐縮でありますが、ひとつだけ御質問をいたします。かつて私は、三十九年五月十二日に小林厚生大臣に対しまして、当時財務規定の適用がはかられた時代でございまして、公共立病院に対しまして、百人以上のところにつきまして具体的な例をあげて御質問申し上げたわけです。その具体的な例は、こういう医療を財政の面からぴしっと締め切ってしまったら何が起こるかといえば、正規の職員を減らして臨時やパートの職員をふやす、こういう現象がすでに起こっております。正規の職員の夜勤がふえる、これも起こっております。さらに外来患者を減らして収益のある入院患者重点に切りかえる。これも政策として私の地域に出ております。さらに高価な薬はなるべく使わない。さらに患者を早く退院させて回転を早める。さらにもうからぬ診療科目の廃止、病院の統廃合、差額ベッド、つまり幾らか差額を取って入れるという差額ベッド等が公共立病院に出てくる。これはゆゆしきことになる。厚生省が医療行政の中心的管理責任官庁なんですから、財政の面だけで、財務規定の適用ということだけで攻めたてられたのでは安心して国民医療というものをまかしておけなくなる。しかも診療報酬というものは、公立病院だからといってかってにきめるわけにいかない。国がきめる、あるいは審議会できめるのです。そうでしょう。そうなると収入のふやしようがない。だとすれば、できないものはできない、赤字のものは赤字で、その上に立ってそれをどういうふうに国民医療に心配のないようにするかということが重点でなければならぬ。この意見に対して、小林さんは同感だとおっしゃった。したがって以後の実情を厚生省は調べさせて、その上で財務規定の適用というものの結果が国民一般の医療にどうあらわれているかということを明らかにいたしますという答弁をいただいている。したがってそのあたりを厚生省は今日どう考えているかを一点だけ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/84
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085・渥美節夫
○渥美政府委員 前回の公営企業法の改正にあたりまして、小林大臣からお答えを申したわけでございますが、その後公営企業法の適用を受けております病院につきましても、その医療の実態がそれによって変化したというふうなことはあり得ない。私たちの調べでもそういうふうなことになっておらないわけでございます。今回の公営企業法の改正案、御審議されているわけでございますが、独立採算制の原則というものは病院においてはこれをとらないわけでございます。ただ地方公共団体がその使命といたしますいろいろな事業がございます。公衆衛生事業でございますとかあるいは看護婦の養成であるとか、あるいは民間病院としてはとてもできないようなこと、こういった事業に要します経費につきましては一般会計からこれを補助してもらうというようなことで、適正な医療をはかるようにさらに努力していきたい、かように思っております。なお差額徴収等につきましても、昭和三十九年以降の調査によりましても、地方公共団体の病院におきましては病床数の約二〇%程度でございまして、これがさらにその後上がったというふうなことは出ておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/85
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086・大出俊
○大出委員 論議のあるところでございますが、時間がございませんので、いまの点は一般会計から補てんをするということになりますと、じゃ一体今日自治体の財源はどういう状態になっているかという問題に返ってまいります。これは鎌田さんの答弁の中にもあるのでありますが、次回に紹介いたしますけれども、あなたもその点は私のほうにたいへん都合のいいことをおっしゃっているのです。そこで問題は、一般会計財源が豊かであれば、たとえば地下鉄であってもあるいは路面交通であっても、競輪でもうかった金をぶち込んで何とか交通の赤字を消すなんということで努力している人もあるのだから、やってやれないことはない。一般財源が困窮極に達しておるからこそ、地方財政は昭和二十七、八年ごろ以来初めての危機だとまで言われているわけで、その危機の原因は大臣に私が端的にいって何だと聞いたら、高度成長政策のひずみでございますとあなたは答えた。ここに議事録がちゃんとある。ですから高度経済成長政策のひずみによって地方財政は徹底的な困窮になっている。あなたは税源配分を変えなければいかぬ、変える方法は幾つもあるとおっしゃった。この次に読み上げます。そういうわけですから、いまの御答弁はそれとからむ。したがって、そこのところを私は次回に明らかにしていただこうと思いますが、本日は時間がございませんから、これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/86
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087・華山親義
○華山委員 ちょっと資料をお願いいたします。
この間いただいた資料の中でいろいろ見ましたけれども、不満な点がありますので、とりあえず申し上げておきたいと思います。
工業用水道事業の他会計からの繰り入れの内容でございますが、たとえば宮城県におきましては四十一年度予算におきまして、私の資料では約五千万円ないし八千万円の繰り入れをいたしております。したがってこういう資料では誤解を招くおそれがありますので、四十一年度の予算を基礎にした資料を各県庁に聞いて出していただきたい。
それから私がお願いしたのは、給水が中小企業と大企業にどういうふうにやられているかということをお聞きしたのでございますけれども、これにつきましての資料がございません。それで、とれないのであるかどうか。とれないとすれば、たとえば宮城県では二十九とかあるいは福島県では九つとか、非常に少ないのでございますが、これはほとんど全部大企業であるというふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/87
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088・近藤隆之
○近藤説明員 工業用水の場合には一口が大きうございますので、地盤沈下地帯を除きますれば全部大きな工場と解していいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/88
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089・華山親義
○華山委員 それと、交通に関しまして資料をお求めいたします。
一、東京都及び大阪市における過去十カ年の運行している自動車数。これは課税等によってわかるわけでございますが、そういうものと、今後の増加の見込み、これをいただきたい。
二、東京都心、まあ二十三区及び大阪市の過去十カ年の公道、これは公団経営を含めていただきたいのでありますが、公道の路面面積がどういうふうに推移してきたか、これからどういうふうに拡張する計画がおありになるか。
三、東京都内に乗り入れている都営、民営バスの平均時速、走行キロ数及び乗客数が過去十カ年でどういうふうな割合で推移してきているか。
四、大阪市において、東京都にいま申し述べました点をお求めいたします。
五、東京都及び大阪市における自動車通行量の多いと思われる地点、たとえば東京都でございますれば、そこの祝田橋の通行量の多いときの自動車の通行台数。一時間におけるあるいは一分間における自動車台数、その他信号待ち時間、自動車列の長さ等、警察庁でお持ちだと思いますので、資料を出していただきたい。
六、過去十カ年の警視庁交通係官の員数、勤務時間延長等の事実があるならば、その延べ時間等によってどういうふうな実態で警察官を増員していかれるのか、その今後の計画を伺いたい。
七、過去十カ年の警視庁管内の自動車の事故、死亡及び負傷者の員数。これは私もきわめて簡単なことでとれますけれども、ひとつとっていただきたい。
八、過去十カ年における地域別、公団及び公営企業別地下鉄の延長、今後の年次別の延長の計画。
九、地下鉄キロ当たり建設費の実態。どういうふうな建設費の状態であるか、そのうちでトンネルの部分についてどういうふうな割合であるか、その点をひとつとりあえず資料として御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/89
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090・岡崎英城
○岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X03619660527/90
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