1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月七日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君
理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 島村 一郎君
田村 良平君 中馬 辰猪君
登坂重次郎君 藤田 義光君
村上 勇君 村山 達雄君
森下 元晴君 山崎 巖君
井手 以誠君 阪上安太郎君
重盛 寿治君 島上善五郎君
西宮 弘君 野間千代三君
安井 吉典君 門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁水
資源局長) 鈴木 喜治君
大蔵事務官
(主計局次長) 鳩山威一郎君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
建 設 技 官
(河川局長) 古賀雷四郎君
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(環境衛生局水
道課長) 大橋 文雄君
通商産業事務官
(企業局次長) 中川理一郎君
運輸事務官
(大臣官房都市
交通課長) 二宮 敞君
運輸事務官
(鉄道監督局民
営鉄道部長) 蜂須賀国雄君
建設事務官
(河川局次長) 青木 義雄君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 鎌田 要人君
自治事務官
(財政局公営企
業課長) 近藤 隆之君
専 門 員 越村安太郎君
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六月七日
委員久保田鶴松君辞任につき、その補欠として
西宮弘君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西宮弘君辞任につき、その補欠として野間
千代三君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員野間千代三君辞任につき、その補欠として
久保田鶴松君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三八号)
地方公営企業財政再建促進特別措置法案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三九号)
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
安井吉典君外九名提出、衆法第四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、地方公営企業財政再建促進特別措置法案、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上の四案を一括議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。西宮弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/1
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002・西宮弘
○西宮委員 先日に引き続きましてお尋ねをしたいと思うのであります。その前にお断わりをいたしておきますが、できるだけ時間を節約して能率をあげたいと思いますので、私、いろいろ私の意見として申し上げることが多いと思うのでありますが、そういう点について一々各省のこれに対する見解をお答えを願うといいのでありますが、一々やっていると時間が足りないという問題もありましょうから、そういう際にはどらかそちら側から気のつかれた点を、それは君の考えが間違っているということを御指摘を願いたいと思うのであります。私が自分の意見を述べる場合がたびたびあると思いますので、そういう方法で進行したいということをお願いしておきたいと思います。特にきょうはアロケーションの問題に入りますので、工業用水担当の通産省の担当官にもおいでを願っているはずでありますが、あまり私のほらから一々御質問をする時間がないと思うのです。ですから、その際いま申し上げたような趣旨で、もし私の言うことに間違いがあったら御訂正を願いたいと思います。
さて、第一のお尋ねをいたしたいのでありますが、近藤隆之さん、つまり公営企業課長でありますが、「町村週報」という全国の町村に配られる新聞がありまして、その中に先般「地方公営企業における経済感覚の欠如」という見出しで書かれた論文があります。その中に、戦争前の上水施設でコストが十六円かかっていたものがあるのだけれども、それをずっと機械化すると二円でできる、こういうものがあるということをあげておるのでありますが、こういう例はどの程度あって、自治省としてはそういうふうにコストダウンをさせるためにどういう指導なりあるいはお世話なりをされたか、そういう事実をお聞かせ願いたいと思います。これは局長でも課長でも、どちらでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/2
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003・近藤隆之
○近藤説明員 ただいまお話のございました上水道で、設備の近代化によりまして非常に安い経費で水ができるという例、私が最近視察いたしました非常に効率があがっている例をそこに引いたのでございまして、それは最も極端な例だと思います。というのは、そのケースというのは、原水コストというものは全然変わりない、上水の経常費というものについてそういう形になっておるのでありまして、そういう例が全国的にどれだけできるかということについては、現在のところ調査したものはございません。ただしかし、設備近代化のいろいろな経費につきましては起債を認めておりますので、ある程度どの都市でも効果はあがっておるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/3
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004・西宮弘
○西宮委員 つまり、そういう例を論文の中にあげているのですけれども、その筆法で指導するなりお世話するなりして、こういうふうな改善が行なわれたという例はない、こういうわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/4
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005・近藤隆之
○近藤説明員 御承知のように昔の水道事業におきましては、たとえばろ過池などにおきましても全部手でやっておった。それが最近のものではすべて機械化でできるということで、人間の労力というものを非常に節約できるような体制になってきております。したがいまして、最近新しくできるもの、あるいはもう古くて老朽のものを改造する、給水量の増大に伴いまして大改造をするという例がございますので、そういうものは無人化装置というものを相当取り入れておりますので、コスト的に見ましては安くなっておるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/5
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006・西宮弘
○西宮委員 つまり、ここで言うところの十六円かかるものが二円で上がる、こういうことを言っておるのだけれども、この例と同じことをほかにもやらせた、そういうのはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/6
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007・近藤隆之
○近藤説明員 それは先ほど申しましたように非常に極端な例でございまして、日本で一番古いような水道が一方にあり、それはもう老朽化しておる。一方で一番近代的な非常に大きなものをつくったわけでございます。したがいまして、そういうようなコストの開きが出ておる。まあこういうような例もあるということで引用したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/7
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008・西宮弘
○西宮委員 私はそこに問題があると思うのです。もしそういうものがあれば、そういうものを取りかえろ取りかえれば安くなるのだ、こういうことで指導をするなり、あるいはまたそれが指導しても金がなくてやれないというなら、金の心配をするなり、そういうことが当然なさるべきことで、そういう点がさっぱりなされないで、要するに公営事業であるために、おおむね合理化による切り下げの熱意が希薄である、そういうことで、要するに経済感覚の欠如ということが公営企業の経営悪化の原因だ、こういうふうにきめつけておるわけですが、私はそういうことではなしに、そういう具体的な例があるならば、そういうことを親切に指導をすれば、これは八分の一になるというのですから、こんなありがたい話はない。だれでも飛びついてやってくれると思う。そういう指導なりお世話なり、そういうことを抜きにして、単にこういうことで訓示をするような、あるいは説教をするような、そういうやり方では少しも問題の解決にならない。しかも、今日の地方財政の公営企業の苦しい状況は、そういうあなたの言うような地方公営企業における経済感覚の欠如、そういうことが今日の苦しい経営をなしておる理由ではない。その理由はすでに、たとえばこの答申の中にも明らかに四つあげておるわけですね。人件費、物件費等の増高により原価が急速に上昇した。それから二番目は、特に上水道、地下鉄等に顕著に見られるように、社会的要請に対応して急激に巨額の建設投資を余儀なくされた。三番目には、料金の改訂が政府で押えられた。四番目には、経営の合理化が不徹底である。こういう四つの点をあげておるわけですね。私はこの四つの中で、少なくとも一、二、三はまさしく政府の責任というか、特に第一の人件費、物件費の高騰というのは、政府の経済政策の影響であり、あるいは二番目の急激に設備を拡張しなければならなかったということも、いわゆる最近の経済成長に伴う都市の人口集中、こういうことが原因であって、三番目はもちろんでありますが、四番だけが地方団体のやり方が悪い、調査会としてはこういう御指摘だと思います。しかし私は、前のほうの一、二の例、たとえば特に仙台とか北九州とかあるいは福岡とか、そういうところは最近急激な拡張をして、そのために今日その重圧に苦しんでいるという状態であることは御承知のとおりなんです。そういう状況であれば、それに対する反省がなければならぬ。大臣も御承知のように、私が特に言いたいのは、これが政府の政策の大きな影響だということを書いたいのであります。この中にもうたわれておるように、昭和三十六年ごろから急速に悪化の一途をたどってきた。昭和三十六年から急速に悪化の一途をたどってきたということは、申すまでもなく、あの所得倍増計画による大きな経済政策の転換、それが直接の誘因であったことは、これは何人も否定できないと思うのです。要するにそういうことであって、決していわゆる経営者が経済感覚が欠如している、そのために赤字が出るのだ、そういうことでは私は断じてないと思う。そういう点の強い反省を要求しなければならぬ。その点は、ここで言う四番目の合理化の不徹底というような点に、さっきの経済感覚の欠如というようなことは入るのかもしれません。しかしこれは、私の見るところでは、現在の公営企業はそうのんきなことを言っておれない時代だと思うのであります。この答申の中にも、公共性の名のもとに合理的、能率的経営がなおざりにされているとうたわれておりますけれども、昔はそういうこともあったかもしらぬ。しかし、今日はきびしい世論の中に立って、そういうのんきなことは許されなくなってきていると思うのです。それは私の感じなんだけれども、しかし、これは具体的な例について検討しなければ意味がないので、そういう抽象論をしても水かけ論に終わってしまうと思うのであります。ですから、もしそういう具体的な例があるならば、具体的と申しますのは、ほんとうに具体的な、何県の何市の何事業の何の項目に何百何十円の、あるいは何万何千円の不要な、不急な、ぜいたくな予算が計上されておるとか、あるいはまた、いつ幾日の何時からの超過勤務手当は不当な支出であるとか、あるいは何のたれがしの給料は高過ぎるとか、そういうような具体的な例がもしあるのならば、それはあとで書面で聞かしていただきたいと思うのです。そういう具体的な問題でなければ、この四番目の、経営の合理化が不徹底であるというようなことは、議論をしましてもあまり実りがないと思うのです。ですから、私はその論議を避けまして、そういう具体例があったらばぜひとも聞かしていただきたいということをお願いしたいと思います。そして、あくまでも今日地方公営企業が苦しんでおる最も大きな理由は、さっき申し上げたような大きな経済政策の転換というようなことがその根本であるということを、あらためて確認をしておきたいと思うのであります。その点は、この調査会の答申においても、一番最後に、「より根本的には、地方に対する国の行政の刷新が必要であることを附言したい。このことは、たとえば、人口の過度集中、交通の過密化、住宅の無計画な建設などが地方公営企業の経営に大きな圧迫となっていることを思えば、きわめて明瞭である。」こういうふうに最後の結論として結んでいるわけであります。ここでもそういうふうに、根本的な問題は地方に対する国の行政の刷新にあるのだ、こういうことがいわれておるので、その点を大臣もとくと御承知を願って、それに沿った対策を講じていただきたいと思うのであります。
それでは、一体政府は何をやったのかということを、この前もだいぶ時間を費やしてその点を論議をいたしましたが、そういう論議よりも、きわめて具体的に書かれておりますのは、自治省がお出しになった「昭和三十九年度地方公営企業決算の概況」であります。これを見ますと、国がやったものとしてあげておりますのは、経営合理化計画の策定指導、資金のあっぜん、その次は再建の努力を行なわない赤字企業に対する起債制限等の措置、この三つだということをこの報告の中でうたっておるわけです。つまり、もう一ぺん繰り返して言うと、いわゆる地方の自治体に対する合理化計画の指導、それから資金のあっせん、それから、要するに経営合理化をサボっている団体に対する罰則、厳罰を適用する、こういう三つであります。その第一のいわゆる指導というのは、その前に注釈がありますけれども、料金の適正化、経営の合理化、負担区分の明確化、こういう点を指導したというのです。その料金の適正化というのは、要するに、具体的には料金を上げろということですね。それから経営の合理化というのは、おおむね人件費を節約しろ、まあ人を減らせとか給料を下げろとか、そういう内容である。負担区分の明確化は、先般も申し上げたように、これはけっこうだと思います。まあそういうことですね。そして、いずれにしても、そういう指導とか助言とか、あるいは訓示をしたり説教をしたり、つまり、おまえのところは経済感覚が欠如しているのではないかというようなことを指導したり、そういうことをおやりになったのだろうと思います。三番目の、言うことを聞かないやつは厳罰に処する、これはここで論議する値打ちがありませんから、そうすると、二番目の資金のあっせん、いわばおやりになりましたのは資金のあっせんだけだということになるわけです。これはこの前もすでに論議済みであります。それも、その政府資金は六百六十億要求されて、わずかに二百億だけ計上された、こういう経過があるわけでありますが、実際にはその地方団体のなまの要求、なまの必要額はどの程度あって、それに対してどういう措置ができたのか、お聞かせを願いたいと思います。もしいまここでまずかったら、あとで資料でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/8
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009・柴田護
○柴田(護)政府委員 近藤君の論文を中心にしていろいろ御議論がございました。私どもも、設備の近代化等によりまして経営コストを下げていくということは毎々やかましく言っておるわけであります。ただ、その仕方がまだ十分ではないじゃないかという御質問かと存じますが、その点につきましては今後とも十分気をつけてまいりたいと思います。
なお、再建債の問題でありまするが、六百六十億は一応要求いたしました。これは全部の地方団体が再建を申請するものという前提でございます。しかしいろいろ話をいたしておりまして、実際的にはどれぐらいになるだろうというめどがはっきりつかめない、そこで地方債計画上は一応二百億としておく、しかし申し出があれば、それによってもちろん資金面は弾力的に運用する、つまり二百億で足りません場合はそれをふやしていく、こういう話し合いになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/9
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010・西宮弘
○西宮委員 再建債だけでなしに、今日地方の公営企業が必要としている資金の必要額、それに対して今日まで措置してきた手当て、そういうことを、これは数字ですから、あとでお聞かせを願いたいと思います。いま局長も、そういう設備の近代化というようなことについてはこれからも大いにやらなければならぬというお話でありますから、私もそれに大いに期待をいたしたいと思います。要するに私は、そういうふうに実際上困っておる団体に対して一つ一つ親切に手を打っていくということが最も大事なことであって、こういうふうに今日苦しんでいるのは経済感覚の欠如のためであるというようなことで、訓示したり説教をしたり、そんな態度にはどうしても承服できないわけです。そういう点を特に申し上げておきたいと思います。さっき言ったように、いままで実際やったのは資金のあっせんだけだ、いわば人のふんどしを借りてやる、お世話をしただけだ、こういうことになるので、それだけではあんまり大きな顔をして説教をしたりということはできないのじゃないか。しかし何にもやっていないから、せめて説教だけでもしようというのならば、これはまた話は別でありますが……。
先般、何も具体的にやっていないじゃないかということを申し上げたときに、厚生、自治両局長から期ぜずしてお話のありましたのは、アロケーションについて努力をしておる、今後の上水道の負担区分の問題についてこれを改善すべく努力しておる、こういうお話がありましたので、両局長から、どういう方向で努力をしておられるのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/10
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011・柴田護
○柴田(護)政府委員 資金のあっせんだけじゃないかというおことばがございましたが、いろいろいままで御指摘のございましたのは、三十九年度までの自治省としてやってまいりましたことについての御批判でございます。そういったことではどうも間に合わぬじゃないかということで調査会をつくって、さらに施策を前進させようとしてまいったわけでございます。しかし調査会で答申に出ているものが全部実現していないじゃないかとおっしゃられれば、そのとおりでございますが、しかし一ぺんにできない、できるものだけ現状においてこん身の力を尽くしたつもりでございます。しかし、なおこの点につきましては今後も努力をいたしたいと思います。
アロケーションの問題につきましては、自治省といたしましてはいままでアロケーションについて一種の慣習法的なものがあるわけでありますが、どうもそこらのところのきめ方に多少不備がある、と申しますのは、はっきりした理論的根拠というものが必ずしも明確でないのじゃないか、そこで、これを明確な形に理論づけをしてやり直す必要があるのではないかということで経済企画庁にお願いしているわけでありますが、経済企画庁のほうでもその気になっていただきまして、アロケーションについて再検討しようということで、現在関係官の間でいろいろ議論がなされている、こういう段階でございます。水道問題で最近具体的に大きく拡張をする必要のあるものがいろいろ出てまいっております。その場合に、多目的のダムをつくって、それを水道にも使えば、ほかのほうにも使うということにもなるわけでございますので、その際のやはりアロケーションを適正化してもらいたい、見方によっては、いまは適正だという議題も出てくるかもしれませんが、私どもの立場からいえば、どうも適正と見られない、そこではっきりした理論的根拠を明確にして、適正化してもらえないだろうか、こういうところから話が始まったわけであります。それは、やはりこのアロケーションの費用というものが水道の経営に非常に大きく響いてまいります。特に先行投資的なものになってまいりますと、これが致命的になってまいります。これをどのような形で水道事業が吸収するか、あるいは一般会計とのつながりをどうするかという問題も出てくるわけでございます。当委員会におきましても、新産、工特の財政援助に関連をして、こういう場合にどうするかといったような何らか財政的援助の措置を考えろという附帯決議もございました。ただ工業水道という一つの企業体になってまいりますと、直ちにそれが財政的に結びつくかといいますれば、その前提としてやはりアロケーション問題から手をつけて結論を出すべきものではなかろうかという考えに立ったわけでございまして、そういう方向で経済企画庁にもお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/11
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012・舘林宣夫
○舘林政府委員 最近の水道の経費の中に占める建設費に対する償却、元利償還の比率が高まるにつれまして、しかもそれらの建設が近年ますます多目的の水源を開発するということによる経費が重なってまいるにつれまして、そのアロケーションの仕方が水道の経営に大きく影響するという実態があるわけでございます。このアロケーションにつきましては、昭和二十八年に総理府令で定められて今日に至っておりますが、その当時のアロケーションの仕方と今日における考え方には再検討を要するものがある。従来は身がわり妥当を中心として考えてきておりますが、その考え方の中に、支払い限度というような、個々の水を利用するほうの財政的な立場というものが考慮されているわけでございますが、それらに対する考え方は、今日においてはいま一度検討してみる必要がある、かようなことで、厚生省といたしましても、前々から経済企画庁に対して、アロケーションに対して再検討してもらいたいという希望を申し述べておったわけでございますが、最近経済企画庁を中心として関係各省寄りまして、特段にこの問題だけに協議会をつくって検討中でございまして、私どもといたしましては、妥当なアロケーションであるように従来より以上に努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/12
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013・西宮弘
○西宮委員 そのアロケーションの問題を議論をすると当然に工業用水との問題が対比をされるわけでありますが、ただ、お断わりをしておきますが、私も決して工業用水道事業が今日経営が楽なんだ、だから向こうのほうにかぶせろというようなことは、そういう気持ちは持っておりません。むしろ、工業用水道事業も今日地方の自治体に非常に大きな財政圧迫の要因になっておるということは、これは私も十分認識をしております。自治省の先ほどの資料を見ましても、三十九年の実績では、三十八事業体の中で十三が赤字である。しかも赤字は加速度的に加わってまいりまして、三十九年度はその前の年に比べて倍増しておるということが報告をされております。ですから、それを見ただけでも工業用水道事業が非常な経営困難にあるということは疑う余地がないので、私は決して楽だなどと言っているのではない。しかし、これはなぜこういうふうに工業用水道が苦しまなければならぬか、これはむしろいまの制度の中にその問題がひそんでおるのではないかということをまず考えてみなければならぬ。それは現在の水道の補助制度が、工事費が妥当投資額を上回る場合は、それに対して国が助成をする、こういう補助規定でありますが、ただしそれは無制限に補助をするのではなしに、三五%、二五%、二〇%、この三つの段階に分けて、それぞれ該当の事項にそれを限度にして補助をする、こういうことになっておるわけでありますから、その妥当割の額が多い場合は当然そこに穴があくわけです。それはどこからも穴を埋める方法がない。やむを得ないから企業債を起こして、企業債で一時ごまかしていく。ところがそれに対する元利償還金はどこからも出てくるはずがない、料金は押えられているのでありますから。だからその分だけは当然に赤字になり、したがって短期融資等を得て、これをころがしていくということで事実上操作をされておるところもあります。だから、短期融資のころがしということになれば、当然に高い利子で運転をされるということになりましょうから、いまのその補助制度の中にまず根本的な問題がひそんでおる。それからその次は、これは最後に利用されるその時期と、今日工業用水が現実に売られておる状態、この間に大きなギャップがある。しかも、これなどもずいぶん極端だと思うのでありますが、たとえば宮崎はわずかに四・四%しか売れておらない。水島の第一期は一六・七%、宇和島は一七・九%、仙塩は一九・三%、こういうことが報告されているのでありますが、つくった商品がこの程度にしか売りさばきできないということであれば、これはそろばんがとれないのはこれまた明々白々だと思うのですね。それから制度上の問題として、これは上水道の場合も同様でありますが、実際の耐用年数と借りた金の償還年限が一致をしないという点でありますね。たとえば政府資金は二十五年、金融公庫が十八年、縁故債は、いろいろありましょうけれどもせいぜい十年程度だろう、こういうととで、そこにも大きな食い違いがあるわけでありますから、実際の減価償却をしていく金と返還をしなければならぬ金との間に開きが出てくる、こういうことでは、これは資金繰りに苦しむのは理の当然であります。
要するにこの工業用水の場合には、売るほうの値段を一定に押えておいて、コストのほうとは無関係に値段だけきめておるというところに最大の問題があるわけであります。あえて私が御指摘をするまでもないと思っております。こういう実態は、これは要するに産業優先あるいは大企業保護というような、そういうことから必要とされる施策でありましょうけれども、それはそのまま裏返していえば、地方自治体を見殺しにするというような実態にあるわけです。当然にその結果として地方財政は一般会計にも大きく影響をするし、あるいはまたアロケーションの問題等を通じまして上水道等にも影響してきて、したがって市民の側からすれば二重にも三重にもそのしわ寄せを受ける、こういうことになっておるのであります。ですから私どもは、工業用水は独算制にすべきだ、こういう主張をいたしておりますが、これは決して私どもは単なるイデオロギーでそういうことを言っておるのではありません。いわゆる企業偏重だというようなことで、そういうイデオロギーだけで議論しておるのではないので、現実にそれがあるいは税金にはね返りあるいは水道の料金にはね返る、そういうことで市民生活を大きく苦しめておるという点を強く指摘をしなければならぬわけです。もっともこういう点について、通産省は当然にこういう釈明をされると思います。それは、もし工業用水に助成金等を出さないならば製品のコストが当然に上がり、したがって製品が値上がりをする、それは物価が高くなるのだ、それでもよろしいですかと、おそらくそういうふうにおっしゃるのだろうと思いますけれども、しかし今日そういう大企業の生産コストを下げてみたところで、いわゆる独占価格、管理価格なるものはそういうことでは容易に動かない。これはもうあくまでも独占の利潤本位に価格を決定しておるわけですから、そういうことでは動かされないと思うのであります。今度の調査会の答申をめぐりまして、あるいはそれをその後法制化する過程において、自治省が極力独算の原則を一貫しようということで努力され、それに対して通産省と産業資本が大きくこれを妨害をして、ついに押し切られた、こういうことは天下周知であります。自治省はさだめし残念無念というところだと思いますけれども。したがって、その御所見はどうかというようなことはあえてお尋ねをいたしません。ただ、これに対して企画庁はどういうふうにお考えになりますか、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/13
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014・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 いま先生からいろいろお話しがございましたが、私どもが担当しております水資源の開発あるいはアロケーションの問題、こういう面は非常に技術的な点でございまして、各種の事業内部における政策問題はそれぞれの責任官庁がございますので、むしろ私どもがいろいろ個人的な意見を申して誤解を招いてはいけませんので差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/14
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015・西宮弘
○西宮委員 それはまことに無責任だと思うのです。それに対する見解を私はお尋ねをしたのですけれども、誤解を生むおそれがあるから発言をしない、これは少し責任を感じないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/15
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016・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 ただいま先生からの御質問と申しますか御意見の点は、工業用水について独立採算の原則に立つべきではないか、裏返しますと補助制度をやっておるのはおかしいじゃないか、こういう御意見と思います。私見にわたるかもしれませんが、多少とも水に関係しております企画庁の水資源局といたしまして、それぞれやはり政策の目標なりあるいはそれを実現します手段なりの違いがあると思います。たとえば上水道について、現在融資を中心にして行なわれておるわけでございますが、先日も環境衛生局長から、最近七割程度普及した、近いうちに一〇〇%まで普及したい、こういうお話がございましたが、七割普及しておりましても、たとえば大都市、東京の例などを見ますとよくわかるわけでございますけれども、必ずしもその七割が十分な需要に応じた供給になっておるとは言い切れない点がございます。したがいまして、まだまだこれほど必要な生活用水でございますので、一日も早く全国的に十分な水を供給するということが先決問題、こういうふうに考える次第でございます。したがって、現段階におきまして融資を中心にして大幅に資金を確保して建設をやっていく、こういう点はやむを得ないのではないかと考えるわけでございます。一方工業用水につきましては現在補助金制度があるわけでございますが、これは歴史的には最初地盤沈下から始まりました。やむを得ない地盤沈下等を工業用水道でカバーしていく、地下水のくみ上げを規制していく、こういう点から始まったわけでございまして、そういう意味で当初非常に補助の点が明確であったわけでございます。その後それが一般的になってまいりまして、いわば産業政策と申しますか、産業の非常に重要な原単位であります水についてはある程度の政策料金で押えていきたい、こういうことで現在やっておられるわけでございまして、上水道、工業用水、こういうふうに政策目的が違いますので、違った扱いが現在されておる、あるいは現段階が違うのでそういう扱いが行なわれておる、やむを得ない点じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/16
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017・西宮弘
○西宮委員 それではもう少し内容を分析してからさらに企画庁の見解をお尋ねすることにいたします。
私は、それでは、非常に具体的でありますので、工業用水と上水道とを対比しながら、どちらがより公共的であるか、あるいは公益的であるかということを検討してみたいと思うのであります。なぜならば、先般来明らかにいたしましたように、いわゆる公益的なもの、公共的なもの、これは一般会計が行政として施行するのが当然だし、そうでないものは受益者が負担するのが当然だ、こういうことがすでに論議されておりますので、私はこの二つのどちらがより公益的であるかということを論議をしたいと思うのであります。そのいわゆる公益性あるいは公共性というのはどういうものであろうか。私は学者の説を見たのでありますけれども、たとえば蝋山政道先生の公益事業学会というのがありますが、あそこではこういうふうに書いております。公共事業の定義を、公衆の生活にとって日常不可決の便益、サービスを普遍的、無差別に提供すべき社会的責任を負う一連の事業、こういうふうに言っておるわけであります。あるいは北村教授は、公共性というものを、生活必需給付の独占的提供は社会公共の福祉に重大な関係を有するものであるから、かかる性質を公共性と称する、こういうふうに定義づけておるのであります。そこで今日の上水道と工業用水を比べてみますと、水道法の第一条、第二条には「公衆衛生の向上と生活環境の改善」、「水道が国民の日常生活に直結し、その健康をまもるために欠くことのできないものであることにかんがみ、」こういうふうにうたっておるわけであります。工業用水道の場合は、「その地域における工業の健全な発達と地盤の沈下の防止」、これを目的に掲げておるわけであります。この目的を比較しただけでも、先ほどのいわゆる公共性、公益性というものにどちらが合致するかということは、私は明らかだと思うのでありますが、もっと具体的に、法律上きめられた手続の点でどういう区別があるかをお尋ねしたいのであります。あるいはそれを取り上げたいと思うのであります。
企画庁あるいは厚生省にお尋ねをいたしますが、地方団体がこれらの仕事をするときには、その許認可のやり方、あるいはまたその許認可の場合の条件、そういうものにどういう違いがありますか。企画庁いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/17
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018・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 私ども担当しておりますのは、水資源開発促進法に基づきまして、重要水系について緊急に水の需要がふえます場合にこれを早急に開発していく、こういうことを中心にしてやっておるわけでございます。したがいまして個々の上水道なりあるいは工業用水道なりについて必ずしも十分な知識を持っておりませんので、それぞれ担当していらっしゃいます厚生省なり通産省からお答え願ったほうが適当ではないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/18
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019・西宮弘
○西宮委員 そういう大事な問題も御承知ないのでは、はなはだ心細いと思うのであります。
それでは厚生省の課長にお尋ねしますが、いまの点にどういう違いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/19
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020・大橋文雄
○大橋説明員 新設もしくは拡張——この場合の拡張はある一定規模以上の大きな拡張になりますが、新設もしくは拡張しようとする場合には国の認可を必要とします。ただし給水する人口が二万人以下の小規模のものにつきましてはこの権限が県知事に委任されております。
工業用水につきましては通産省のほうからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/20
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021・西宮弘
○西宮委員 企画庁の局長に申し上げたいのでありますが、いま水道課長は、自治体が上水道の仕事をやる場合には認可を必要とするということを言ったけれども、工業用水の場合には認可は要らないわけですよ、届け出で済むわけです。それだけでも国が二つを比べてみてどっちに重点を置いておるか、重点というか、どちらを公共性を高く見ておるかということは明らかだ、私が言ったのはこういうことで申し上げたので、その辺のことはぜひひとつ御勉強願いたいと思う。
それから認可の条件、これも企画庁の局長さん御存じありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/21
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022・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 私、十分に勉強しておりませんが、当然上水道と工業用水道とを比較いたしますと、上水道の場合には国民の各位がそれぞれ飲料として飲まれる水でありますので、その点、主として衛生上の見地から認可その他厳格にやっておられる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/22
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023・西宮弘
○西宮委員 私が認可の条件云々と言ったのは、上水の場合には幾つかの項目をあげて、最後に、公益上必要と認めるもの、こういうふうに明らかにうたわれておるわけです。ところが工業用水にはそのことはない。したがって今日行なわれております水道事業は、所管大臣によって公益上必要だ、こういうふうに認定されたものだけなんです。その一点だけでも、どちらが公益的であるかということは明らかだと思います。
それでは次にもう一つお尋ねをしますが、法律の規定で上水道と工業用水の場合に、たとえば法律家は契約締結の義務とかあるいは事業継続の義務とか、こういうことで呼んでおりますが、そういう点にはどういう違いがございますか。企画庁にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/23
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024・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 申しわけありませんが、十分承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/24
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025・西宮弘
○西宮委員 それじゃ申し上げますけれども、いわゆる契約締結の義務と呼んでおりますのは、水道法十五条の一項であります。つまりだれとでも、ほしい人には供給しなければならぬという義務ですね。これが上水道にも工業用水にもあるわけです。しかし、これも学者の説を紹介すれば、たとえば金沢良雄教授の「水法」でありますが、それによると、工業用水に契約締結の義務を課しているのは、その理由はきわめて薄弱だ、そういう義務を課することは疑問がある、こういうことをいっているわけです。そして、上水道の場合は、それが一般公衆が日常生活に直結するものである点において、工業用水よりははるかに公共性が大である、こういうふうにいっております。しかし、理屈はとにかくとして、上水も工水も両方あるわけですから、区別がないと言ってもいいかもしれません。学者の見解はいま申し上げたとおりでありまするけれども、それじゃもう一つの事業継続の義務、これは供給を受ける者には常時水を供給しなければならぬという義務があるわけです。途中でやめちゃいかぬという義務が課せられている。これは水道法にだけ課せられておって、工業用水には課せられておらないわけです。そういう点からも、いまの金沢教授の説によりましても、明らかに工業用水と上水道との間に公共性の比重が違うんだということを指摘をしているわけです。そういう点も十分企画庁でも御認識を願いたいと思います。それでありまするから、監督事項も上水道については非常に厳重であります。これは大体似たようなものが工業用水にもありまするけれども、この金沢教授の説にも、公共性の強いものほど監督が厳重である、水道事業に対する監督は最も厳重である、こういうふうに書かれておるのでありまして、そういう点にも差がある。ですから、私が繰り返し申し上げてまいりましたのは、要するに二つを並べてみると、その法律の扱いにおいても軽重の差をつけておるのではないかということを申し上げたのであります。ひとつ十分その辺も御検討願いたいと思います。
自治省にお尋ねをいたしますが、答申の中に工業用水道事業について「国が国家的見地から料金水準の引き下げをはかるために建設費の一部を負担する場合において」云々ということがあるのです。要するに工水道は国家的見地から建設費の一部を負担するんだ、こういうことをいっておるわけですが、これはどういう意味ですか。工水道のほうがより国家的だ、だから建設費の一部は国が負担するんだ、こういうことをいっているわけですか、三十五ページです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/25
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026・柴田護
○柴田(護)政府委員 御承知のように工業用水道の料金につきましては届け出主義でございまするけれども、工業用水につきましては料金の制限が補助条件としてきめられております。その場合に、補助条件としてきめられておりますのは料金を低くする、それは国家的見地からやっておるのじゃないか、それならば、そういう場合においては、そういうために建設費の一部を国庫補助金として出しておるのだろう、そういうことであれば云々、こういうことでありまして、特にこの工業用水道と上水道を比較して、片一方が公共性が非常に強い、片方が公共性が弱いといったような議論から出ておるものではございません。ここで答申のうたっておりますのは、工業用水道について国が一部の負担金を出して、そうして一定の料金をその条件としてきめておるということは適当じゃないじゃないか、そういう趣旨をここで明らかにしておるわけであります。
同様の趣旨は、四十四ページの、工業用水道について料金の一般会計と企業会計との負担区分のところにおきましても同じような趣旨がうたわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/26
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027・西宮弘
○西宮委員 私がお尋ねしたいのは、工業用水道について国家的見地から建設費の一部を負担するのだ、料金を下げるために、ということをうたっているわけなんだが、もし工業用水のほうがより国家的であるというのならば、工業用水にこのことが行なわれて、上水道にはそのことが行なわれないということでもやむを得ないと思うのだけれども、もしそれが同じであるか、ないしは逆に上水道のほうが公共性が高いという判断であるならば、むしろそっちにこそ建設費の一部を国家が負担するということが是認さるべきだと思うのですけれども、ここではいかにも、工業用水道の建設費の一部を負担しているということが当然だとして是認されている、これは国家的な理由だ、こういうのならば、上水道をあえてそれよりも低く押えるという手はないと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/27
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028・柴田護
○柴田(護)政府委員 この答申の四十四ページをごらん願いますると、「工業用水道については、水道事業との均衡から考えても原則として地方公共団体の一般会計において負担すべきではない。」ということでありまして、工業用水道と上水道というのは、むしろ公営企業という形におきましては、並列的に考えておるのでございます。ただ、現に補助金を出しておるわけでございまするから、その補助金を出しておるということが一種の料金政策である、こういう形で課せられておるものについて、それを是認する場合においても云々という言い方でございます。特にこの場合に、先生がおっしゃるように、公共性について上水道と工業用水道の優劣を議論されたことはないのでございます。むしろ企業としての形からいえば、工業用水道も上水道も同じじゃないか、したがって原則は同じように扱うべきであるけれども、一種の物価政策といいますか、価格政策といいますか、産業政策といいまするか、そういう場合で補助金を出して料金を抑制する場合においてもという言い方をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/28
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029・西宮弘
○西宮委員 その両者に優劣の区別はないという自治省の見解だ、あるいは調査会の考え方だということはわかりました。
私はいままで申し上げたことは、むしろ上水道のほうがより公共的なものとして扱われているということを、単に私の意見として、あるいはまた学者の見解としてそういうことを言ったというのではなしに、法律の中に明らかにそういう区別をした取り扱いをしているということを三つ、四つ例をあげて申し上げたのです。したがって、私は明らかに上水道のほうが工業用水道よりはより公共的であるということを強調したいわけです。あるいは私はそれを確信をして疑わないわけです。上水道の法律にも規定されたように、日常生活に欠くことのできない、不可欠のものだ、こういうことが明白にうたわれているので、こっちのほうがはるかにそういう点では公共的だということを私はあくまでも確信をしておるのであります。かりに百歩を譲って、それじゃ同じだ、両方並列だとするならば、なぜ上水道が工業用水よりも冷遇されなければならぬのかということについて、企画庁の御見解を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/29
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030・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、やはりいろいろな補助金なり融資なり、それぞれの現段階に応じた違いが出ておるのじゃないかと思います。したがって、究極的にどうあるべきかという問題ですと、また違った面があるんじゃないか。たとえば、先ほども申し上げましたように、上水道においては、いろいろ財政問題が出ておりますが、私が申し上げましたように、いまの段階は、国民の一人一人が飲む水でございますから、一日も早く十分な水を供給するという点に力点が置かれているんじゃないか。一方工業用水につきましては、若干例がおかしいかもしれませんが、農業につきましても補助金がございますように、産業政策上必要だからということで、ただいま財政局長の答弁の中にもございましたように、料金政策上そういう補助金が出ておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/30
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031・西宮弘
○西宮委員 農業の場合には明らかに違うと思うのですね。農業の場合には、政府の予算の大体一割を投じて、あるいは一割以上になっておりますね、ことしなんか。そういうものを投じて、現在非常に格差の開いてきた農業を保護しよう、こういう立場で国の大政策を立てておるので、それと、あくまでも自立、自活のできる工業とを同じように考えるということはとうていあり得ないと思う。
そこで私がお尋ねをしたいのは、もう一ぺんそれじゃ確認をいたしますが、上水道は工業用水道よりも冷遇されるのが当然だ、したがって企画庁としては今後もそういう方針でアロケーションの問題等を論じていく、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/31
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032・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 先ほども申し上げましたように、究極的にどちらがどうあるべきかという問題ではなくて、現段階においてそれぞれの立場が違うので、いろんな政策上の違いが出ておるんじゃないか。またアロケーションの問題に最後に触れられましたが、アロケーションの問題は、そういうような政策的な差異によってアロケーションの問題を考えるべきじゃないと私は考えております。むしろアロケーションとしましては、アロケーションの行なわれます多目的の事業それ自体が、単独に事業をやる場合に比較しまして当然経費の節約になるわけでございまして、そういうような経費の節約を各事業に公平に負担してもらう、これがアロケーションの方針だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/32
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033・西宮弘
○西宮委員 全く公平でないから問題にしているわけですが、いまお話しの中の、現段階において差がある、究極のことを言っているのではないと、こういうお話で、現在差があることは百も承知ですよ。だからそういう差があることは正しい、それがあくまでも正当なんだということでそういう評価をしておられるのか。したがって、そういう評価ならば、当然に今後もそこにはあくまでも差をつけていく、こういろ姿勢になると思うのだけれども、その評価をどう見ているかということをお尋ねしているので、現在差があることは十分承知しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/33
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034・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 これまた水資源局長としての個人的な見解になるかもわかりませんが、上水道の現段階におきましては、やはり一日も早く十分な水を供給する、ここにどうしても力点を置かざるを得ないのじゃないか。かつて上水道についても補助政策があったわけでございますが、補助政策をとっておりますときには、補助金によって逆に事業が縛られるというような現実の事態も発生しまして、地方債に重点を置くことに切りかえられたわけでございます。しかしながら、各地のいろいろな水道事業の料金等を比較してみますと、先日環境衛生局長からの答弁にございましたように、確かに基本的な基準料金について非常に差があることについては問題がある、その辺については今後財政制度上もいろいろ考えていかなければならぬ、こういう点は先生のおっしゃるとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/34
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035・西宮弘
○西宮委員 それでは最初に、私の言うとおりだと言われたのは、少なくとも上水道と工業用水道の間にはその優劣の差はない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/35
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036・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 私が申し上げましたのは、アロケーション上はそういう政策問題を織り込むべきじゃない、政策問題としましては、工業用水の場合には主として産業政策上の、たとえば国際競争力とか、あるいはかつてそれが中心でありましたように地盤沈下対策、そういうような意味での補助金だと思います。したがって、飲料水であります上水道とそのまま比較して、いずれが公共性が優先するかということで必ずしも現在の財政制度を論議できないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/36
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037・西宮弘
○西宮委員 もう一ぺんお尋ねをしますが、そうするとアロケーションにおいてはそういう政策的な区別をすべきじゃない、それがまず一つですね。その次の問題は、補助金を出すとか出さぬとか、そういう問題になるわけだけれども、これは大蔵省等の見解が中心になりましょうけれども、水を管理する立場にある局長の見解をもう一ぺん重ねてお聞きをしておきたいと思うのです。その点についても、片一方は産業政策上補助金を出しているんだ、それが是認されるならば、国民生活を守るという立場からも補助金を出す、そういうことがかりにあっても、それは容認されるかどうかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/37
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038・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 たびたび弁解を申し上げて恐縮でございますが、私が担当しておりますのは、先ほども申しましたように、水資源開発促進法に基づきまして重要水系の開発を促進しよう、そういう仕事でございます。したがって、水の管理全般について総合調整する立場にはございません。したがいまして、ただいまの先生の政策的な問題について、必ずしも責任を持った答弁ができない立場にございます分で、先ほど来個人的な見解という注をつけましてはなはだ恐縮でございますが、そういう個人的な見解としましては、現段階としてはそういう差異があるのではないか、そういうことで政策が現に予算化されているんじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/38
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039・西宮弘
○西宮委員 その一つだけ明確にしておきたいと思うのだが、それじゃ水資源局の所管をする、特にアロケーション協議会の幹事局長として、その点だけそれじゃ一つだけでも明確にしておきたいと思うのですが、要するにアロケーションの場合にはそういう点に政策上の差を設けるべきじゃない。つまり一方は産業政策、一方は国民生活擁護、そういう政策であるべきである、そういう点について差を設けるべきではない、こういう見解だけそれじゃもう一ぺん確認しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/39
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040・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 先ほども申し上げましたように、アロケーションは多目的事業に参加しますいろいろな事業、実際にかかった費用を公平に負担するのがねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/40
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041・西宮弘
○西宮委員 それでは厚生省にお尋ねをしたいと思いますが、そのアロケーションの問題はそういうことで甲乙の区別をつけるべきじゃないということが明らかになったわけですが、たとえば補助金等の問題については、これは大幅に工業用水に比べて水をあけられているわけですね。不遇な扱いを受けておるわけです。そういう点を、上水道に対する不遇というようなものをどうして訴えないのですか、世論に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/41
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042・大橋文雄
○大橋説明員 西宮先生から御指摘になりましたように、確かに現時点におきましては上水道と工業用水を比較いたしました場合に、補助金がある、ないというような点、いろいろな点で差がございますし、またアロケーションの問題で、実際にあたりましては、たとえば、簡単に水を一トンとるのに上水道と工業用水道と差がついているというようなことで、われわれとしてはできる限りそれを是正ずるという方面で努力しているわけでございます。先ほど来たびたび答弁に出てまいりましたように、アロケーション問題協議会にこの是正等をお願いしたいということで、経済企画庁に協議しておるわけでございます。そのほか、今後この上水道に対してどういうふうな助成措置をとっていくかということにつきましては、関係方面よく協議いたしまして、上水道のやりやすいように強化をはかってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/42
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043・西宮弘
○西宮委員 これからアロケーションの問題を、さっき企画庁から答弁のあったような大方針に基づいて検討するということでありますから、しばらくそれにおまかせすることにして、厚生省に私が注文をつけたいことは、少なくとも上水道が——上水道だってりっぱに融資をしているわけですから、工業用水はそれにプラス補助金を出しているわけですから、それならば上水道に対しても補助金の予算要求をするというくらいのことは当然だと思う。ところがそういうことが一向になされておらないというのは、冷遇に甘んじている、それが当然なんだというふうに見ているのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/43
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044・大橋文雄
○大橋説明員 今後の問題につきましては関係方面とよく検討、相談いたしまして、処置していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/44
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045・西宮弘
○西宮委員 たとえば通産省は「工業用水道の基本的性格について」、こういうのを例の調査会に対する資料として出されたようでありますが、厚生省ではごらんになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/45
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046・大橋文雄
○大橋説明員 まだ正式には見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/46
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047・西宮弘
○西宮委員 それは私ははなはだ不勉強だと思うのであります。通産省では「工業用水道の基本的性格について」ということで、これはおそらく調査会に出された資料だと思いますけれども、この中に、工業用水道がいかに重大な仕事であるかということで、うっかりこれを批判したら非国民扱いを受けるのじゃないかと思うほど大問題として取り上げているわけです。通産省としてそういうふうに解釈をされるのは、自分の仕事ですから当然だと思いますけれども、通産省でこういうものを出して、したがってこれは調査会の記録にも明らかに入っているはずですよ。そういうことであるならば、厚生省も、上水道の基本的性格についてというようなものを発表して天下に訴えるべきだと思うのですが、そういうことをなぜなさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/47
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048・大橋文雄
○大橋説明員 おっしゃいますように、今後の上水道のあるべき姿全般につきましては、前回にも局長から答弁いたしましたように、ただいま審議会の水道部会において検討してもらっておるわけであります。近々そういうふうな答申を受けまして——もちろんその中にたとえば経費の問題というようなものは必ずしも第一線として審議はなされておりませんけれども、広域水道の一環というようなことで議論されておりますので、今後そういうような答申を受けましたら、ひとつそういうものを参考にいたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/48
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049・西宮弘
○西宮委員 大蔵省からも来ていただいておりますのでお尋ねいたしますが、この前本年度予算要求の過程において、自治省からはいわゆる料金の格差是正ということで要求をされたのでありますが、それが削除された。そしてそのときの削除の理由は、水道を所管する厚生省のほうから何らの意思表示がないのに、自治省にそういう予算をつけるわけにはいかない、こういうことで削除されたというふうに楽屋裏の話を聞いておるわけでありますが、その辺のいきさつを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/49
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050・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 本年度予算の場合の折衝過程におきまして、いまおっしゃいましたような水道料金の問題の場合に、所管の問題をどこがすべきであろうか、これは水道の問題と地下鉄の問題とあったわけでございますが、それぞれ厚生省、運輸省が水道あるいは地下鉄につきまして所管をされておりますので、所管の省との関係はどうであろうかということを、まあ話し合ったことはございます。しかしそれはそれだけの話でありまして、最終的にはただいま自治省と、いまお出ししてあるような再建される公営企業に対しまして一定の対策をとるのだということと、それからなるべく低利の資金を、水道が利子負担を少しでも軽減できるようないろいろな方策を講じようじゃないかということで、決着をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/50
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051・西宮弘
○西宮委員 この問題もすでに論議済みですけれども、いわゆるその利子負担の軽減も、三厘だけ下がったわけです。むろん下がらないよりはいいわけでありますけれども、そんなことでは当面の急を乗り切ることはとうていできない。これに対して今後厚生省等から予算要求等がある場合は、その点を十分考えてもらわなければならぬと思うのです。いまここでその問題について予算をつけるつけないという、そういうことまで明言はできないと思うのです。しかし少なくとも、ここで論議の間で明らかになった点は、工業用水道と上水道との間は区別して待遇すべきではないということだけは明らかになったのですから、その点だけは十分認識をしておいてもらいたいと思います。
そこで、実は建設省の局長は公務のため出張されるということでありますので、行かれないうちに建設省の考え方をお聞きしておきたいと思うのであります。
私がひとつ建設省にお聞きをしたいことは、これはあとでだれかほかの方でけっこうですから、数字的な問題をいろいろお尋ねしなければならぬと思いますが、ただしかし、建設省のお立場は、今日までアロケーションの問題等でいろいろ実際上これを扱ってきたわけですが、しかしそれは要するに、さっきから繰り返しておるような、工業用水道との間にこういう大きな取り扱い上の差があって、そういう厳重なワクをはめられて、そのワクの中でいわば機械的に計算してきた、こういうことでありますから、当然に各種の数字に差が出てくるのはあたりまえである。ですから、私は今日はそういう数字を問題にしているのではない、そういうふうなワクをはめるということ自体を問題にしているわけであります。ですから、あくまでそういうワクをはめるようなやり方を撤廃すべきだということをこれからさらに強調していきたいのでありますが、この際に建設省に私は、こういう考え方はとってもらえないものかどらかということを伺っておきたいと思うのであります。
それは、アロケーションの問題など、技術的にもなかなかむずかしい問題であることもわかります。さらにそれが理論的に解明されたとしても、具体的にはそういう理論的な解明とは別に、地方団体は大きな財政負担をしょわなければならぬ、しかも先行投資等で非常に苦しい経験をしなければならぬということは、今日隠れもない事実であります。したがってそれらを救う唯一の方法としては、私は、ダムは国が責任を持ってつくりあげる、そしてでき上がったダムから上水でも工業用水でも、あるいはかんがいでも発電でも、そういうものが必要な際に必要な量を必要な地点から取る、こういうことができれば最も合理的ではないか。今日、水がそういう遠隔の地から運ばなければならぬというふうになってきたのは、昔と事情が非常に変わってきたわけです。ですから、そういうことになれば、その分だけは建設省が責任を負う、こういう体制になることが最も望ましい。そういうことになれば、片っ方に補助金がついたとかつかぬとかいう問題なども一ぺんに解消するのではないか。したがって、国としてそれだけの責任を負担してもらうということがもしできれば、私は一番最良なんだと思うのですが、建設省はそういう方向で努力をするというような御意向はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/51
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052・古賀雷四郎
○古賀政府委員 現在私のほうで相当多目的ダムをやっております。その多目的ダムを施行する際に、アロケーションで、上水道の負担の問題あるいは工業用水の負担の問題で、なかなかまとまらない場合があるのであります。ようやくまとまったにしましても、その後の負担の問題とか、いろいろな問題とかで負担金が納まらなくて、多目的ダムがなかなか竣工しにくいという面がありまして、これはいま御指摘のとおり、多目的ダムの施行についてはもう少し強力な措置が必要ではないかというふうには内々感じているわけでございます。
ただ、いま先聖がおっしゃいましたような御意見は、今日のような水の不足の状態、あるいは水の広域性の問題、あるいは公共性の問題もあるかと思いますが、そういう点から考えると非常に傾聴すべき御意見だと思いますので、われわれとしましても、将来の問題として十分関係方面と打ち合わせしまして、検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/52
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053・西宮弘
○西宮委員 いまの問題は相当財政上の問題もありましょうから、簡単なお答えは私も期待できないと思いますけれども、あるいはさらに財政上の問題以外に、たとえば水利権というような問題になると、これはそれぞれ各省等の考え方もありましょうし、ですから、将来はたして必要なときにそういう水利権が十分確保できるかというような心配等もあるかもしれません。ですから、そういろ問題は十二分に検討しなければなりませんけれども、しかし私は、あるべき姿は、そういう必要な水をつくるというまでの仕事は、国が国の責任においてやる、そしてあとはそれを必要とするものが、それぞれの負担においてその水を分け合ってその目的に充当する、こういうことがぜひあるべき姿であり、また、当然そうなければならぬと考えるわけですが、くどいようですけれども、もう一ぺん将来の方針として見解を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/53
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054・古賀雷四郎
○古賀政府委員 多目的ダムに水利権を設定するということが、現在多目的ダムの建設において行なわれております。水利権を設定しますと、その水利権の容量によりまして、そのダムが固定してくる。したがいまして、非常にフレキシブルな運営ができないという面もあるわけです。たとえば利水専用のダムにおいては、洪水の場合に緊急の措置がとれないといろ問題もございまして、われわれとしましては、そういった面も考慮しまして、災害対策の面から、あるいは低水管理の面から、どういうぐあいにすべきかということを検討しております。これは将来の方向として、先生のいまおっしゃられた方向というのは非常に示唆のあるおことばでございますので、われわれとしましても、そういう方向で関係各省と検討してみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/54
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055・西宮弘
○西宮委員 それでは、その点に多大の期待を持って、ほんとうにそれが具体化されて成果があがるように、私どもは心から期待をしたいと思います。そういう面で、われわれもそういう方向で外部から努力をしていきますから、ぜひ政府部内の意見もそういうふうにだんだんに向けてもらうようにお願いしたいと思います。
それでは、環境衛生局長——まだですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/55
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056・岡崎英城
○岡崎委員長 いま参議院に行っておりますので、すぐ呼びにやりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/56
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057・西宮弘
○西宮委員 それではその前にお尋ねをしたいと思います。これもやっぱり厚生省の所管になりますが、末端の価格をきめる——工業用水は末端価格をきめているわけですね。それならば上水道についても末端の価格を政策的にきめる、こういうことが当然あっていいはずだと思うのでありますが、そういう点について、今日までどういうことをやってこられたか、どういうふうに検討してこられたか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/57
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058・大橋文雄
○大橋説明員 ただいまの御質問にお答えします。
工業用水がたとえば末端価格四円だとか六円だとか、トン当たりの価格がございますが、水道の場合には、水道料金と申しますか、それが非常に安いものは基本料金十トン当たり百円ぐらいのところから、七、八百円というふうな高いところまで、非常に格差があるということでございまして、結局、それからいろいろな問題が発生するわけでございますが、特にアロケーションにあたりまして、末端の価格からはじき出すという方向をどういうふうに今後考えるかということにつきましては、これは非常に根本的な問題になりまして、実はそういうようなことをも含めまして、ただいま検討しておるわけでございます。先ほどの御質問の水道のあるべき姿と申しますか、そういうふうなものにも関連いたしますので、局長は間もなく参ると思いますので、含めまして一括答弁をしていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/58
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059・西宮弘
○西宮委員 それでは、その間、経済企画庁の意見を伺ってもよろしいと思いますが、経済企画庁では、末端価格をきめる、そういう方針はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/59
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060・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 私どもがただいま各省のアロケーションに関係いたします局長の協議会で検討しております点に関係ございますので、その点を説明いたしますと、従来のアロケーションのやり方では、必ずしも上水道、工業用水について統一的な算定方法、基準がございませんでした。これは一つには治水とか、かんがい、発電等は、前から非常にウエートが高かったために、そういう面については、ある程度の整備が行なわれておったわけでございますが、たとえば多目的ダム法ができるころの上工水のウエートというものはそれほど大きなものではなかった、そういう点もございまして、各省共通の統一的な基準ができないままに今日に至っておる。したがいまして、各地におきまして上工水問のバランスというような問題も発生したのではないか、こういうことで、その辺を議論の一つのポイントとしまして、ただいま検討しておるわけでございますが、工業用水につきましては、末端に政策料金がございますので、その辺から出発してアロケーションをやるという例が多いわけでございます。上水道の場合には、末端から出ます分と、山元の原価を想定しましてやるのと、それから上工水一本にしまして身がわり建設費でアロケーションをいたしまして、その後上工水を分ける、大きく分けますと、最近までに行なわれましたこの三つに分けられると思います。そのうち、御指摘のたとえば末端の料金から算定したらどうか、こういう御意見もございますが、水価を基準としてやります場合には、いろいろ困難な点がございますので、ただいまわれわれが検討しておる原案と申しますか試案と申しますか、そういう段階では、最近上工水のウエートが非常に高いので、上工水を一本にしまして、それの身がわり建設費を基準として算定していく。その後、上工水間に、これは大体試案としましては、身がわり建設費の比率あるいは貯水容量の比率あるいは使用水量の比率、この三つを平均しました比率で分けよう、こういうことでいきますと、いままでの例から見ましても、非常に問題が片づくのではないか、こういう方向で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/60
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061・西宮弘
○西宮委員 その末端価格をきめるという点について、たとえば企画庁の考え方が昭和三十七年七月二十三日の水道新聞、業界新聞で紹介されておるのですが、そのとき、末端価格にも地域別に若干の差を設けて、それできめようというふうな案があったわけです。これは三十七年ですからかなり古いので、いまの考え方はこれとは違うだろうと思うのですが……。いま、末端価格から消費者価格、これをきめてかかるべきではないかということを議論しておったところですが、その前に、先ほど課長の答弁をもらったわけです。それは、この間の調査会の審議の過程で、工業用水は、工業用水道事業の基本的性格についてという大論文を発表して調査会に臨んでいるわけです。課長はそれを御承知かといったら、見たことがないという話なんで、いわんや局長は御承知ないんじゃないかと思いますが、私は、それではまことに心細い、工業用水道の基本的性格ということをあれほど重大問題として通産省が主張するならば、厚生省は上水道の基本的性格というようなものを明らかにすべきであったのではないかということを言ったのですが、これまた局長は御承知ありませんでしたか、その通産省の工業用水に対する問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/61
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062・舘林宣夫
○舘林政府委員 通産省の関係の水道の性格というものは、私どもが上水道の問題を論議する際に、しばしばそれの補助金、いわゆる国としてこれに対処する取り扱いというものが問題となってきておりますので、そのような発表があったといなとにかかわらず、私どもとしては十分関心を持ち、上水道のあるべき姿ということは絶えず問題とし、考えておったところでございまして、これに対しましては、当然私どもとしても今日並びに将来における上水道に対しまする国の姿勢といいますか、考え方というものは明確でなければならない、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/62
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063・西宮弘
○西宮委員 先ほど問題にしておった点に戻りますけれども、いわゆる末端価格をきめる、政策的な料金をきめる、こういう考え方は厚生省にはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/63
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064・舘林宣夫
○舘林政府委員 末端価格に対処する考え方の基本になるものも、水道に対して国がどう考えておるか、水道というものを今後どう取り扱っていくかという基本問題から割り出すわけでございます。私どもとしては、今日における水道というものは、先般申し上げましたとおり、すでに国民の七割以上にも普及し、単に口を通るという水だけでなくて、国民生活全般を流れておる全般の潤滑油的な水道に対しましては、国として、従来のごく一部の人が便宜上水道を使っておる、あるいは飲む水がないから使っておるという種類のものとは違う考え方で対処しなければならない、かような考え方に基づきまして考える場合の末端価格あるいは価格差というものに対する考え方は、これを明瞭にし、整理をし、国としての姿勢を明らかにする必要がある、かように考えておるわけでございまして、しからばこれに対してどう考えていくかということは、今日においては、なお私どもとしては私どもの関係の水道の審議会に諮問中でもございますし、そのような答申等も明らかになりました上で、あらためて私どもの考え方も整理して確立してまいりたい、かように考えております。
〔「二年前と同じ答弁だ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/64
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065・西宮弘
○西宮委員 そういういまのような考え方は私は十分承認できると思うのです。非常にけっこうだと思うのです。ただ、それが、いまどなたか言われたように、二年前の考え方と一向に変わらない、言うならば結局何もやっていないんだ、それじゃ将来も何もやらないのじゃないかという不安が私どもには残ります。しかし、いまお話しのとおりの、そういう姿勢で国の姿勢を明確にするという、そういう態度でこれに取り組んでもらうならば、われわれはそれに大きな期待を持つことができると思います。ぜひがんばってもらいたいと思います。
水道料金は、末端で飲む水はどの程度が妥当であるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/65
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066・舘林宣夫
○舘林政府委員 これは今日の水道料金の平均的な値段で申しますと、普通の家計の支出の〇・五%以内、むしろ〇・四%前後でございますので、家計に与える財政的な圧力という点では、他の生活に非常に関係のある電気あるいはガス、ことに食料等に比べたらはるかに低いものではございますけれども、しかし、一番大きな問題は、これが各地区によってはなはだしい差があるという点が、この値段の絶対性に比べてかなり大きな点であります。それからこの価格の絶対性を論議する場合に、やはり私どもとしては他の国における生計費とのバランスというものも、わが国の施策が適当かどうかということを判断する一慮にもいたしたい、かような考えでおりますが、今日の全国平均おおむね二百二十円前後という価格が絶対的に高過ぎるかどうかということは、なおただいまの段階でこれをきめるということはいたしかねる、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/66
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067・西宮弘
○西宮委員 具体的な一例として、基本水量が十トン、基本料金が二百五十円、超過料金はトン当たり三十五円、こういうのは高いですか安いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/67
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068・舘林宣夫
○舘林政府委員 ただいま申しました全国平均二百二十円と申しますのが、おおむね基本料金、一月十トンに対します価格でございますが、家計にとって一カ月二百二十円の金を払うことが家計の飲食費の中のかなり大きな部分であるかどうかということは、これは今後のわが国の生活水準との関連もありますし、また個々の家計の規模、低所得者にとってはこれは相当な負担でございましょうし、そういう関係もございますので、この段階で全国平均二百二十円という平均値で申し上げることは申しかねるわけでございますが、水道の料金の中に千円前後というようなはなはだしく高いものがあります。このような高い価格のものが家計に与える影響は非常に大きいことでございますので、こういうものは当然に引き下げるべきである、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/68
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069・西宮弘
○西宮委員 当然に引き下げるべきであるということになれば、その引き下げる方策を当然国において考えるべきだと思う。そのことはぜひいまの答弁を明確にしておいて、その引き下げる方策を国でとってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
私がいま一例としてあげた数字は、実は私の住んでおります仙台の水道の料金を言ったわけであります。先般、私どものほうから代表者が人名ばかり参りまして、局長にお会いをしたときに、少しも高いことないじゃないか、もっと高いところは何ぼでもある、あるいは電灯に比べれば安いんだというような、そういう答弁で、全く取りつく島がなくて非常に失望、落胆をして帰ったわけです。私どもは、事水道に関する限り、おすがり申し上げるのは実は厚生省なんですよ。その厚生省ににべもなく突き返されたということで、せっかく来た連中が非常に失望をして帰ったのです。そういうことのないように、水道の所管省としてはぜひ態度を明確にして、さっき答弁されたようなことで当たってもらいたいと思うのです。実は私、地元のことを申し上げて恐縮でありますが、いま申し上げた仙台の水道料金などは、高いほうから数えてみると、たとえば基本料金では大体六番目だと思います。超過料金では三番目だと思います。だからそういう点からいっても、これは相当高い料金だと言わざるを得ないのでありますが、その料金をまたさらに今月中に上げなければならぬわけです。それに対して非常な苦労をしておるわけです。
自治省にお尋ねをいたしますが、この答申の三十二ページに、料金を上げろというようなことが書いてあるわけだが、その中に、「一部の政治的要請に動かされることなく、時期を失せず合理的な料金決定を行なうべきである。」この「合理的な料金」というのは要するに上げろということなんですが、「一部の政治的要請に動かされることなく、」これはどういうことを意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/69
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070・柴田護
○柴田(護)政府委員 調査会の答申の趣旨は、料金をきめます場合の算定基礎はやはり合理的なものでなければならぬ、合理的なものというのは、要するに能率的な経営のもとにおける合理的な料金だ、こういう論議を展開いたしまして、現実問題といたしましては、料金を決定いたします場合に、御承知のようにいろいろの政治的要請が入るところがあるわけであります。そういうことはよくない、企業の経営という立場から言いますならば、純粋に合理的な算定基礎の上に立ってやるべきである、そういう趣旨を記しただけでありまして、地方地方におきますいろいろの問題にあまり振り回されずに、公営企業としての立場に立っていくべきであるということをうたっておるわけであります。その奥にそう深い論議がざれたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/70
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071・西宮弘
○西宮委員 私は、この「一部の政治的要請に動かされることなく、」ということはきわめて重大だと思うのであります。これは先日も申し上げたように、大学の先生だから第三者だということを盛んに一番初めの日に強調しておられましたが、たとえばその委員の一人であります細野日出男さん、これは起草委員長ですよ、ですからおそらくこの人の考え方がここにこういうことばであらわれたと思うのですが、この人は雑誌の中で、地方公営企業は独立採算制という経営原則に徹すべきことを強調しておる。この答申をどういう態度でやったかということを言っているわけです。「しり抜けの、いわゆる親方日の丸を全面的に否定していることは、近年労働組合や社会主義政党または消費公衆方面において、公共企業を行政事業化せよとか、料金値上げを行なわずに、国または地方の一般会計から補給を求めよとかの議論が横行していることに対する正面からの否定である。しかもこれが本答申のねらいの第一のものである。」こういうふうにいっておるわけです。これなどはおそらく、たとえば社会党などが料金値上げに反対する、そういうことに対して、社会主義政党が横行しているということをいっているのだろうと思うのですが、決して私は、今日の社会主義政党が横行闊歩しておって、それで値上げができないというようなことではないと思うのです。ここでいうところの「一部の政治的要請に」云々ということですね、たとえば現に、これは自治大臣もひとつごらんを願いたいと思うのですが、仙台がいま言ったように今月中に値上げをしなくちゃならぬわけです。それに対する反響として、これは一つの新聞でありますが、それに連日載っている記事は、全部これに対する一般世論の反対であります。たとえば「高い水に怒りの声」とか、「強まる市民の反発」、「市議会でも波乱必至」あるいは「反対運動表面化へ」というようなことで、市民の反対、また各団体等の反対あるいは投書その他が連日連夜こういうふうに紹介されておるのです。これらは要するに、今日高い水道料がますます高くなる、さなきだに物価騰貴に苦しんでおる市民が、またかということでそういう強い反発があるので、決して社会主義政党が横行しておって、われわれがかってにそういうことをやっておるのじゃない。そういうことを十二分に認識をしてもらわなければならぬと思う。そういう中で、今日地方の行政を担当しておる人たちは、市長であろうと議会であろうと、少しびろうな言い方だけれども、血の小便を流しながらこういう問題に取り組んでおるわけです。それを先ほど来言われておるように経済感覚の欠如であるなんということで簡単に扱われたのでは、ほんとうに私は情ないと思うのです。私どもはそういうことを聞くと、あるいは空気からも税金を取れなんというような議論を聞いたりすると、全く情なくなってしまうのです。しょせんはそういう第一線の現場の苦労は中央官庁の皆さんにはわかってもらえないのじゃないかというような、言いようのないもどかしさ、 いらだたしさを感ぜざるを得ない。ぜひそういう点で、真剣な問題として、現場の第一線ではほんとうに悪戦苦闘しておるのだということを知ってもらいたいと思うのです。
そこで、先ほどのアロケーションの問題に話を戻しますけれども、アロケーションの原則は何ですか、企画庁にお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/71
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072・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、単独で事業をやるのに対しまして、共同で多目的で事業をやるととは当然経費の節減をねらっておるわけでございますが、こういうような多目的事業によって少しでも事業費の節減をはかる、それを公平に割り振りすることがアロケーションの基本だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/72
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073・西宮弘
○西宮委員 この前の予算審議の分科会で私から質問をいたしましたときに、企画庁あるいは厚生省から、要するに身がわり妥当投資法が原則であるという答弁があったのでありますが、実はその原則どおりにやっているのは、私が見た範囲ではほとんどない。犀川ダムがその例のようでありますが、あとはほとんどないのですね。だからこれでは何が原則かさっぱりわからない。あるいはいわゆる身がわり妥当投資法というようなことをきめながら、その施行規則等はきわめて不完全で、御承知の建設省令の施行規則の第四条には、ほかの治水とかかんがいとか発電とか、あれ以上規定できないのじゃないかという程度に、かなり明瞭に書いておる、ところが上水道と工水は全くそれにないわけです。そこでいままでとられておった、あるいはそこの中でうたわれておるいわゆる妥当投資法の計算のしかたは、分子は水量と価格をかけるわけですね。そうなりますと、価格を上げさえすれば妥当投資なるものの金額は無限大に拡大するわけですね。だから妥当投資というのは読んで字のごとく、どの辺まで投資をするのが妥当かということなんだろうけれども、その計算のしかたは水量に価格をかけるのだ、水量はきまっているんだからあとは価格だ。そうすると その料金を上げれば妥当投資は無限大に伸びていく、こういう制度、それに対比をさるべき工業用水は料金が固定している、そういうことでは全く体をなしておらない。それじゃ分母のほうをお尋ねをしますが、企画庁等はどういうふうにお考えでしょうか。たとえば分母のほうの減価償却率、これはどういう実態にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/73
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074・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 ただいまの御質問の前段の点でございますが、身がわり妥当支出法で計算する場合に、無限大に広がるのではないということでございますが、理論的には、末端の単価のきめ方によってそのとおりでございますが、現実にやっておりますのは、大体妥当投資額を上水道の場合に二円という計算例が非常に多いわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、必ずしもそういう方式でなくて、三つばかりのグループに分かれるような方式でいままでのところやっておりましたので、各地によって出てまいります原水単価というものは違ってくるというのもまた事実でございます。
それから、ただいま分母の話が出ましたが、従来、妥当投資額の算定に使いましたのは、分母としましては、利子率に減価償却率を加えたものを使っておりましたが、これについても、ただいま各省の協議会でやっております議論としましては、多少問題がございますので、現在、まとまりつつある案としましては、複利年金計算による資本回収率で割ることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/74
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075・西宮弘
○西宮委員 その減価償却率のいままでの実績はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/75
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076・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 関係各省の申し合わせになっております発電、かんがい、洪水調節等につきましては一・二五%から二%の間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/76
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077・西宮弘
○西宮委員 私は実績をお尋ねしたのです。お持ちでなければ私のほうから申し上げますけれども、たとえばここにありますのは、萱瀬ダム、管野ダム、水沼ダム、鏡ダム、天ケ瀬ダム、犀川ダム、これだけでございますが、これを見ると、一つは〇・〇二、あとはいずれも〇・〇一二五という減価償却率を使っておるわけです。〇・一二五といえば、最後の残留価値を残しても七十二年で償却をするというわけですね。そういうふうに、上水道の場合はそういう計算を用いている。それに対して工業用水の場合は、いずれも少なくとも〇・〇二の程度だ。そういうきわめて不公平な——あるいは具体的に私のほうの地元の例をあげるならば、大倉ダムの場合には、工業用水は減価償却率が〇・〇三です。それに対して上水道は〇・〇一八、ですからこれは工業用水は三十年で減価償却ができる。上水道のほうは、五十年で、こんなばかな話があるはずはないじゃないですか。そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/77
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078・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 御指摘のとおり、ただいままでにアロケーションをやってまいりました中で、治水、かんがい、発電につきましては、関係各省の申し合わせが十分にできておりますので、それがそれぞれ申し合わせ事項として確定されております。それ以外の上水道、工業用水につきましては、先ほども申し上げましたように、このアロケーションの制度を始めましたと同時にまだ比較的ウエートが低いというようなこともございましたし、その後、関係各省の間で十分調整ができないままに今日に至っておりますので、具体的な例は、関係各事業の主管官庁が中心になりまして、関係の各省がそれと協議していく、そういうことで、結果的にはいろいろな事例が出ておる、それは先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして私どもとしましては、これらを改めるべく、ただいま関係各省の間で協議会を設けまして鋭意努力して、合理的な基準をできれば年内に決定したい、こういうことで作業をやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/78
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079・西宮弘
○西宮委員 具体的にそろばんをはじくのは各それぞれの事業官庁だと思います。しかしそれはさっきも言ったように、こういう一つの大方針がワクがきまっておりますので、その事業実施官庁はワクの中で計算をするから、そういう無理な計算をせざるを得なくなる。そのワクをそろそろ問題にして、これを是正してもらわなければならぬということを言っているわけです。それに対して局長は、これから検討するというお話でありますから、われわれはその検討に待ちたいと思いますけれども、しかし今日までの実績は、いま申し上げましたような不合理が、不公平が全部それにきているわけです。あるいはその利子率で——分母のもう一つの問題は利子ですね。この利子も明らかに違いがある。たとえば工業用水の場合は、おそらくほとんど全部七分三厘というので計算をしていると思います。ところが上水のほうは七分一厘、あるいはさっき申し上げました私のほうの大倉ダムなど、その他にも例がありますが、それを見ると六分八厘、こういうことで計算をしている。これは実に不合理もはなはだしいと思うのですね。一つのダムから水を取って、途中の専用施設等はありましょう、ありましょうけれども、それがたとえば同じダムで、工業用水の場合には三十年でゼロになってしまうのだ、上水の場合は五十年使える、そんなばかな話が一つのダムについてあり得るはずがない。ところがそういうことが今日まで平然として行なわれてきたということが、今日の上水道を苦境に追い込んできた最大の理由である。それじゃ、さっき原水二円というお話であったけれども、原水二円というのは実績はどうですか、二円かっきりじゃないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/79
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080・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 手元にございます十二ばかりの例で申上げますと、二円を中心にしまして、その前後非常にまちまちな結果が出ております。ただこれは当然のことでございますが、山元の原価を、妥当投資額を二円として計算した場合は、大体その前後に落ちついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/80
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081・西宮弘
○西宮委員 その原水二円という計算は全く不合理だ。これはさっき言ったようなことからやむを得ずそういう計算に追い込まれていったことで、これそのものがきわめて不合理だけれども、それでは工業用水の場合は原水で計算をしてみるとどのくらいになりますか、つまり上水二円に対して工業用水はどの程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/81
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082・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 工業用水の場合には、いずれもそれぞれの政策料金を出発点にして計算をしておりますので、ただいま先生御指摘のような計算例は私の手元にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/82
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083・西宮弘
○西宮委員 資料を持っておらないというのではお話にならないのだけれども、それではこれから企画庁はどういうことを主張されるのかということに私どもは非常な不安を感ぜざるを得ない。どうせどっちかに——末端価格で比較をしてもいいと思います。あるいは原水で比較をしてもいいと思います。しかしどっちかに合わせて、上水道が原水ならば、工業用水も原水で計算をすれば幾らかということを当然やるべきだし、あるいは末端でするならば末端でもけっこうだと思いますが、どっちかに合わせるべきだと思う。時間が忙しいから私の持っておる資料でお話をいたしましょう。それによると、たとえば鏡ダムというのは最もひどいですね。いわゆる二円というけれども、ここでは二円九十七銭です。それに対して、工業用水は四十一銭といろ。あるいは私の地元のダムなども、これよりはややいいけれども、この比率に近い。こういうことが今日まで何ら疑問を持たずに行なわれてきたということは、私どもは重大な問題である。
それでは、だんだん時間がなくなりますので終わりにしなければなりませんが、こういうまことに不合理きわまる、これはもうだれが考えてみてもこんなばかなことがあり得るはずがないのだけれども、こういうことが今日までまかり通ってきておるわけですね。私は、そういう政治のやり方に限りない憤りを感ぜざるを得ない。いまここで、たとえば新たに出してこられた分離費用残留便益法というのをこれから検討の素材にしようというお話だそうでありますが、非常にむずかしい内容のようでありますから、私自身わかりませんので、議論はいたしません。ただ注文だけ申し上げておきたいのだけれども、これはアメリカの翻訳だそうですか、アメリカなどは、その金利は二分五厘で見ている、あるいは便益の期間を百年で計算しておる、こういうことで、日本の実態とは全く違うわけですね。だから、そういうものを持ち込んできて、それがアメリカのやり方だからけっこうだというようなことで、簡単にそういうものを取り入れるというようなことのないように、あくまでも日本の実情に沿った、しかも、局長も繰り返し言っておったような負担の公平ということを原則にして考えてもらいたいと思うのです。
それでは結論として、これは大臣にもぜひ御答弁願いたいと思うのですけれども、工業用水と上水道とを比べてみて、上水道を工業用水よりも冷遇するという根拠は全くないと私は思うのですが、それに対してお答え願いたいと思います。これは、冷遇する根拠はあるのかないのか、簡単にイエスかノーでお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/83
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084・永山忠則
○永山国務大臣 ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/84
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085・西宮弘
○西宮委員 わかりました。これは非常に重大な問題でありますから、その点を明確に確認をしておきたい。私がるる申し上げたのは、ほんとうは上水道のほうが工業用水よりもより公共的だということを強調したのですが、少なくとも上水道が冷遇されるといういわれは全くないということを明確にしておきたいと思います。
二番目には、料金についての格差是正ということが必要であるかどうか。もっともこれは答申の四十四ページにもそのことをうたってあるわけですから、必要だというお答えになると思いますけれども、これもイエスかノーでお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/85
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086・永山忠則
○永山国務大臣 格差の是正はできるだけやるべきである、ことに非常に高いものにつきましては十分留意をしなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/86
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087・西宮弘
○西宮委員 三番目にお尋ねをいたしますが、いわゆる生活用水ですね。この前論議をしましたし、この答申にもうたわれておるのですが、生活用水に対しては国が当然に配慮すべきだということを考えますが、その配慮の必要はありやいなやということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/87
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088・永山忠則
○永山国務大臣 生活用水は、できるだけ安いことは望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/88
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089・西宮弘
○西宮委員 生活用水はできるだけ安いほうがいいというととであれば、当然それは、たとえば地方団体が地方の公営企業のワクの中でそれをやるということであれば、一般財源から補てんをするというような必要が起こってくると思う。そういうことが現実に起こった場合には、その財源補てんということについて国が努力をすべきだと思うのですが、その点重ねてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/89
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090・柴田護
○柴田(護)政府委員 多少技術的な問題がありますから、私からお答え申し上げます。
やはり先ほど来大臣からお答え申し上げましたような方向でものは考えるべきだと思いますが、企業という性格を中心に考えてまいりますれば、でき得べくんばまず最初には金利計算と申しますか、ものごとは資本費でございますので、資本費の軽減というものを極力その方向で努力をするという問題が、第一に考えらるべき問題ではなかろうか。お話しのような問題が起こってくるかもしれません。今後どういうような水源を確保するためにどういうような施策がとられ、またどういうような費用が起こってくるかわかりませんので、その問題を考えますと、将来の財政のあり方ということにつきまして、ここで明言をいたしますことはややはばかられますけれども、方向といたしましては、第一義的にはやはり資本費の減少ということに力を尽くすべきであろう。現にいままでも、少なくともそういう方向をとってきたわけでございます。十分でないというおしかりがあるかもしれませんが、なおまだ資本費の軽減につきましては力を尽くすべき余地が残されているだろうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/90
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091・西宮弘
○西宮委員 その資本費の軽減の方法としては、金利を引き下げる、あるいは償還期限を延ばすという点もありましょう。もう一つ、工業用水にとられておるように建設費に助成をする、こういうこともあると思う。この両者について、金利の問題はすでに何べんも論議をしましたからわかりました。それでは、建設費に対して助成をするということについて、厚生省はそういう補助金の要請をするかどうか、その際に大蔵省はどういう態度をとるか、こういうことを両者からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/91
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092・舘林宣夫
○舘林政府委員 上水道に対して補助金の制度はすでにかつてあったものであります。これは当然補助金の対象として考える事業である、かように基本的には考えております。ただ、今日、この上水道に対してどのような形で国が助成していくか。それは先般来お話ししておりますように、融資の条件を緩和することによって措置していくか、直接的に補助金を出していくか、あるいは本年度の予算要求において自治省がとられたような補助金の出し方をしていくかという、いろいろな形が考えられるわけでございまして、それらの形なり助成の方式については今後考えてまいりたいが、建設費に対しまして国が助成を考えていくということは、基本的には必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/92
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093・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 上水道に対しますいろいろな補助、助成の方法が考えられますが、いずれにしても現在やはり年間千数百億の事業量をやっておるわけでございます。いろいろな対策をいたしますにしても、相当多額の財源を必要とすることと思います。それでございますから、来年度の予算の編成につきまして、これは相当基本的な問題としていろいろな政策決定がなされなければならないと思いますが、現在の段階では、そういったことがなかなか申し上げにくい段階であります。いずれにしても、ただいま自治省あるいは厚生省からお答えがありましたように、来年度の重要な問題として検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/93
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094・西宮弘
○西宮委員 いままでの厚生省なり自治省なりの見解を十分尊重をして、それを重大な問題として、重要な問題として認識をする、こういうことでありますから、それ以上ここで結論をお聞きするのも困難だと思いますので、ほんとうに重大だという認識に立ってやってもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。厚生省なり自治省なりがひとつほんとうに本気でこの問題に取り組んで、少なくとも工業用水にも出されている補助金なんでありますから、そういうことを同じように考えてもらうということを要望しておきたいと思います。
最後に、私は時間がありませんでしたので、労働問題等については何も申し上げることができませんでした。それを省略をいたしますが、ただ答申を見ましても、答申の一番最後のほうの六十三ページにあるわけですが、これなども職員や労働組合に対しては協力させろというようなことを書いて、あるいはその実態をよく認識させろ、説明してやれ、そういうことの周知徹底をはかることが肝要だというようなことを言っているんだけれども、要するにこれは、賃金の引き上げとか何か、そういったようなことはもうとてもできないのだ、早く組合員にあきらめさせろ、こういうことを言っているんだけれども、私は少し感覚がなさ過ぎるのじゃないかと思うのです。その労働条件等も十分改善をしながら能率を向上させろ、おせじ程度にも言うべきだと思うのです。ただこれじゃ組合をあきらめさせろということを言っているだけで、まことに感覚のなさにがっかりするのでありますが、この答申そのものが、実はいわゆる国民不在の答申だと私は言いたいと思うのであります。なぜならば、この答申をつくるまでに総会を二十九回、第一部会を九回、第二部会を九回開いておるわけであります。しかし、その間にただの一ぺんも消費者、利用者、そういう人の意見を聞くというようなことは、つまり国民の声を聞くということは、ただの一ぺんもやっていない。全部経営者の立場の意見だけです。労働組合の意見も聞いておりますけれども、金を払って水を飲んだり、金を払って電車に乗ったり、そういう人の意見はただの一ぺんも聞いておらない。国民の声というものを全然聞いておらない。私は、その意味においてこれは全く国民不在の答申だと言わざるを得ないと思う。先般参事官は、これは唯一最高のものだということで全く感涙にむせんでおられたけれども、私はこれでは国民不在の答申で、しかもその答申の中の独立採算その他の都合のいいところは大いにとっているけれども、生活用水その他、その中でさえあげておる問題も、都合の悪いところは全然予算その他に具体化しておらない、こういうことではまことに情けないと思うのでありますが、ひとつ今後十分にその改善をするということで、アロケーションの問題も含めまして、将来上水道に対しては徹底的な改善をはかる、あるいは住民の負担の軽減をはかる、こういうことを最後に大臣からお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/94
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095・永山忠則
○永山国務大臣 上水道の関係については、アロケーションの問題等も十分ひとつ検討いたしまして、お説の点をよく尊重をいたして検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/95
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096・岡崎英城
○岡崎委員長 野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/96
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097・野間千代三
○野間委員 時間がありませんので、一点だけ伺っておきます。序論くらいのつもりで。
この前華山委員の資料要求によって「地方公営企業法改正に伴い制定すべき政令の主要内容」というのが出ましたけれども、法律の十七条で負担区分の問題についての改正が行なわれました。その問題に関する政令については、との表によると、注というところで欄外に、「企業会計と一般会計等との負担区分の基準(第十七条の二)については検討中」であると書いてあるのですが、これは最初にいつごろ出すつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/97
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098・柴田護
○柴田(護)政府委員 関係各省との間の話がいろいろございますので、時間がかかると思いますけれども、それでは審議に間に合わないということになりますので、とりあえず私どもの考え方を中心にしたものを至急にお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/98
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099・野間千代三
○野間委員 この負担区分の問題は、これは先ほど問題になった制度調査会をつくるときに一番重要になった問題ですね。したがって、調査会のほうでも相当検討をして答申の中にあらわれておる。ある程度具体的にこれこれのものは一般でやる、これこれのものは企業でやる、またこれこれのものは国でやるというふうにしてあります。したがって、法律改正案が出るときには、当然法改正の中心部分である資本の負担区分等についてもきちっと出さなければ、法律のていをなさなくなると思うのです。ですから、これは当然法律と同時に提案さるべきものが、政令ですからあとでいいのだということではまずいと思うのです。しかもすでに法案審議も進んでまいっておりまして、いまや中盤戦というふうになると思うのです。したがって、私は、この十七条の二の負担区分の問題についてどう考えているか、相当大きな問題で、それを中心にして質疑をしたいというふうにも思うのです。したがって、きょうは時間がないので言いませんが、次は大体九日あたりになると思いますが、九日あたりまでにはぜひ出してもらいたい。これは検討中でありますから、何と何を検討している、どういう問題をどう検討しているでもいいと思うのです、政令そのものでなくても。それが一つ。
それからもう一つは、答申の第一の八項に、「企業会計と一般会計等との負担区分」というのがあります。これはぼくが読み上げるまでもなく、地方公営企業が負担すべきでないものがたくさんある。そこで「地方公共団体の一般会計又は国が負担すべきものである。」こう書いてあります。ところが、十七条の二項では、「一般会計又は他の特別会計において、」こうなっておる。したがって、これは一般会計とそれ以外のそれぞれ自治体の他の特別会計から負担をしてもいいということであって、一言も国の問題については触れておりませんけれども、それはどういう関係になるのか。その二点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/99
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100・柴田護
○柴田(護)政府委員 法案の書き方の問題は、一番最初考えておりましたことと最終案とは、多少考え方が変わっております。全体として貫かれております思想といたしましては、この負担区分の考え方というのは、言うならば企業の経済性と申しますか、そういうものと同時に持つ公共性と申しますか、それの調和を負担区分として考えております。厳格に考えまするならば、負担区分をぴしゃっときめてしまって、あとは全部企業の中でまかなうというのが、一番徹底した考え方でございます。現実を考えますると、そこまでいくのは問題があるということで、明らかなものを負担区分として残しておく。やや不明確なものは、一般会計または他の会計からの補助金、従来の補助規定を残しておるわけでございます。したがって、答申の考え方からいたしますれば、そこのところは多少ズレがあるわけでございます。したがってきわめて明確なものだけを負担区分として規律したい、こう考えておる次第でございます。
なお、政令につきましては至急提出いたします。
それから、国の問題は、国と地方団体との間の問題として別個に考えるべき問題と考えております。この法案では、自治法に対する公営企業、言うならば自治法の特例法みたいな形でございますので、もっぱら一般会計と企業会計との区分を明らかにする、こういう態度をとったのでございます。したがって、たとえば前々問題になっておりまする地下鉄に対する負担の問題といったような問題になってまいりますれば、別個の法的措置を考えていきたいという考え方をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/100
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101・野間千代三
○野間委員 最初の問題は、近いうちに出してもらえるそうですね。それはそういうふうにお願いします。
二番目の、そうすると、もちろん私も、この法律は自治法に基づく法律ですから、この法律でなければならぬとは言いません。言いませんが、そうであれば、法体系全体の中にどこに国のこれこれの問題を入れる、そういう法改正が一緒に提案されないと、答申の趣旨に沿わないと思います。それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/101
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102・柴田護
○柴田(護)政府委員 やはりそれぞれ事業法があるわけでございます。事業法というものが縦の軸といたしますれば、公営企業法というものは横の軸でございます。両方そろってうまくいく、こういうようなことになるしかけになっておるわけでございますけれども、そういう形からいいますならば、国と公営企業との間の負担区分の問題というものは、やはり原則は各事業法において規律さるべきものだというふうに考えております。この法案で各事業ごとの負担区分までを書くことは、法律的には若干問題がありはしないか。むしろそれは個々の事業法に譲ったほうがいい、こういう考え方をとったわけでございます。したがいまして、本来ならば、おっしゃるように全部できておりますならば、地下鉄の問題その他の問題等について、同時に附則でもって改正するという筋が正しいのかもしれません。ただ、これもすでに前々申し上げましたように、今年度、四十一年度におきましては、そこまで至らなかった。負担区分の確立をしたかったのでありますけれども、諸般の情勢がございまして、そこまで至らなかった。したがって、問題は将来に残されております。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/102
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103・野間千代三
○野間委員 これは自治省でも言っておられるように、答申が唯一最高のものだ、それほど言われていらっしゃるわけです。その答申の中で一番重点になっているのは、この負担区分の問題でしょう。ですから、それは他の事業法の関係であるとか、あるいは他の法律であるとか、いろいろ関連をするところが確かにございます。そういうものを全部整理をして、そうして、たとえばこの委員会でなければ他の委員会でもけっこうです。それぞれの担当する委員会に提出をして、そして全部そろえるということが、公営企業を健全にするほんとうの基礎じゃないのですか。ところが、これだけでくるから、それでは地方公営企業は完全に立ち直るわけにはまいりませんよ。したがって、地方あるいは一般会計あるいは企業会計、それと国が負担すべきものはどこどこの法律であるというふうに規定をして、それを全部そろえてこの国会に出すということが、当然の任務じゃないですか。
それでは聞きますけれども、いま答申に基づいて国が負担すべきであると考えて、これこれの法律についてはこう変えたいと考えていらっしゃる分があれば、御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/103
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104・柴田護
○柴田(護)政府委員 おっしゃるようにしたかったのでございます。したがったのができなかったのは、力が足りぬからだと言われれば、そのとおりかもしれません。率直に申し上げまして、私どもといたしましてはしたかったのでございます。しかし、いろいろな事情がございまして、そこまで至らなかったのでございます。この答申の中にうたわれております負担区分の中で一番大きな問題は、地下高速鉄道の問題だと思います。この問題は、ことしは国庫補助金の増額という形でもってケリがつけられておりますけれども、負担区分の問題は残されておるわけでございます。とりあえず、私どもは、その問題は負担区分として考えていくべきものである。私どもが考えておりました非常に高い、非常に経費のかかる水道についてどうするか、先ほど来御議論がございましたけれども、これはやはり財政援助の問題であって、負担区分というよりは補助金的なものであろうというふうに考えておりまして、とりあえずは、公営企業の中でこれだけはと思うものは、やはり地下高速鉄道であろうと思います。
なお、前からこの委員会で議論になっておりますのは、先行投資分についてどういう見方をするかというような問題があるわけでございます。この問題は、これも先刻来御議論がございましたが、私どもはやはりまずアロケーションの問題を片づけなければならぬ。アロケーションの問題を片づげる際にその問題の結論的なものを出したい、こういう考え方でございます。本来ならば、そういうものは全部そろえて、そして公営企業法改正法案その他の御審議をわずらわすべき筋合いのものであろうと思うのでございますけれども、何ぶんにも公営企業の現状は、御承知のとおりでございます。やはりできるものからやって、そして早く再建の軌道に乗せますほうがいい、こういうふうに判断いたしましたので、問題を若干残しまして、こういう法案にまとめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/104
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105・野間千代三
○野間委員 答申で述べておるのは、地下鉄の問題と先行投資の問題と、それから八の4の病院の問題、それから工業用下水道の問題等、列記しておるのはたくさんございます。ですから、そういうものについて国がどういう部分について負担するかということは——そういうものがいま地方公営企業が赤字が六百五十九億もあるというふうになってきている大きな原因の一つとしてあがっているわけですね。そうでしょう。ですから、そういうものが整理をされるというふうにならなければ、公営企業は再建をされるということはできないわけです。まず、そういう外的な条件を全部整理をして、そしてあとで内的条件を整理していく、この法律に書いてあるような整理をしていくということになっていって、初めて総合的な再建の法ができるわけです。そういうものについては、しかも重要なそういう地下鉄とか、先行投資とか、そういう問題については全く触れないで、できるものだけとなったのでは、これは結局はこの法案がねらっておるような労働条件の切り下げと料金の引き上げだけになってしまうわけです。これではぼくは、これはあとで触れますけれども、再建はできないと思います。したがって、当然この答弁に述べている他の要素についても、国が負担すべき問題についてはきちんと国が負担をする法律を制定をする、改正もするというふうにしなければ、これは再建ができないというふうに思います。これは自治省の力の問題よりも、三十九年の料金ストップ令のときに、さんざん論議をした問題ですね。ですから、もう二年間たっているわけです。この二年間のうちに、いま申し上げたようなすべての準備ができないことはないと思う。それをしないで、二年間かかっていながら、とりあえずできる簡単なものだけするという態度で、公営企業が再建できるのですか。ちょっとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/105
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106・柴田護
○柴田(護)政府委員 公営企業もいろいろあるわけでございます。おっしゃるように、お説のような態度をとって全部ものごとが完結して再建に着手するという方法、それも私は本来の筋からいえばそういうことであるべきかと思いますけれども、逆にまた早く軌道に乗せるほうがいいという考え方も立つわけでございます。企業によりましては、仰せのように、そういうものがそろいませんと、なかなか完全にうまく歩まないというものもあるかと考えます。しかし、企業によりましては、そういうことでなくて、ちょっと手を加えてやれば再建ができるというものもあろうかと思うのであります。したがって、私どもとしましては、これだけでもう再建ができたのだということを申し上げるつもりは全くございません。なお問題が残されておるということは、初めから口がすっぱくなるほど申し上げておるわけでございます。しかし、現在の公営企業の状況を見ますならば、早く軌道に乗せるほうがいいというように判断をしたわけでございます。外的条件も御指摘のようにございますれば、同時にまた内的条件もあるわけでございます。したがって、全部がそろえば一番よろしいのでございますけれども、それができないということになりますれば、そろったものからやるということになるほうがいいのじゃなかろうかという態度をとった次第であります。もちろん残された問題につきましては、ぐずぐずしておるわけにはいきませんので、これは今後といえども、できるだけ早く趣旨を達成するように努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/106
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107・野間千代三
○野間委員 早いものから片づけていくという考えであれば、別段この地方公営企業法という法律そのものを変えなくても、暫定措置でもできるはずです。暫定的に、とりあえずできるものはしていって、そしてそうなれば結局一番むずかしいのが残るわけですから、それは全体として再建をするということができるはずです。それはそう思います。
それから、それでは今後順次やっていくのだ。したがって、いま問題になった地下鉄であるとか、先行投資の分であるとか、病院であるとか、公共用下水であるとか、そういうものについて順次法律改正をしていく、そういう考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/107
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108・柴田護
○柴田(護)政府委員 問題が片づきますれば、片づき次第必要な措置をとる、法律改正を要するものは法律改正をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/108
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109・野間千代三
○野間委員 それは政府部内でそういうことで協議がととのっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/109
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110・柴田護
○柴田(護)政府委員 その協議ができておりますれば、今回一緒に提案できたわけであります。それができておりませんので、今後その方向で努力をする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/110
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111・野間千代三
○野間委員 私が聞いているのは、いまぼくが申し上げたようなことは、法律改正を進めていくということについては協議がととのっておるのかというととなんです。いま局長が答えたのは、全部相談が終わっておれば、これは当然法律改正が行なわれます、それはいまできていない。できていないが、いま列挙をされた問題については、それぞれ関係各省との間で、基本の問題については、こういう方向で法律改正はしていこうじゃないかという相談がととのったのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/111
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112・柴田護
○柴田(護)政府委員 そこまで話はととのっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/112
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113・野間千代三
○野間委員 それでは、そこまでもいってないとすると、これはちょっと大臣に聞きたいのですが、いまの柴田さんの答えでは、一番肝心の問題について一応政府部内で方向だけでもきまっておれば、利用者あるいはわれわれのほうでは、それではいついつごろにはこれは具体的にそうなってくるということを楽しみにして期待をして、この法案に取りかかっていけると思うのです。そこまでもいっていないとすると、この法案そのものにいろいろな問題があるわけです。反対に出てくるいろいろな問題がある。そういう問題について、これは解消ができないまま、しかもいつになったらそれが関係各省との間の協議がととのうのかということもはっきりしていないという状態で、さっき西宮君が言った労働者の問題であるとか、いろいろな問題がある、そういうものだけはきまってしまうわけです。そういうことになると、これは完全な再建にはならぬと思う。したがって、この法案の審議が終わるときの条件としては、少なくとも関係各省との間に、いろいろな問題についての、将来の法律改正の方向についてだけは協議をととのえておいて、そしてこういう方向で法律改正について進めていこうというぐらいの段階までは進んでおく必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/113
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114・永山忠則
○永山国務大臣 地下鉄の問題が一番大きな問題だと思いますが、これにつきましては、本年度はとりあえず補助金増額でいきましたが、来年度予算編成をめどにどういうように国の負担をもっていくか、負担区分の問題を十分各省で検討をして進めていきたいというふうに考えております。
なお、水道の、特に建設費の高くなる部分につきましても、本年の話し合いは十分ついておりませんが、これらの利子補給の問題についても、来年度予算編成までには話をきめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
先行投資の問題につきましても、建設省の問題等もからんでおりますが、これも来年度予算編成までには十分話をつけていきたいという気持ちで折衝を続けたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/114
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115・野間千代三
○野間委員 本来であれば、この国会中にこの地方公営企業法改正案が一応どうにか決着がつくわけですね。そうならば、政府の考えとしては通したい。法律が通って施行され、再建の段階に入っていくときに、いま大臣の言ったような、地下鉄その他のいろいろな要件についても相談がととのっていれば、完全な再建ができるとぼくは思います。ところが、いまの大臣の答弁では、来年度予算の相談をするころということですから、そうすると、八月ごろから来年度の予算の相談が始まるわけでしょう。そのころまでには、大体地下鉄あるいは先行投資という問題については、国がどの程度負担すべきである、どの部分については負担すべきであるという方向くらいは、協議をととのえて予算の相談に入っていきたいという答弁と考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/115
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116・永山忠則
○永山国務大臣 来年度予算編成を目ざして、話を十分進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/116
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117・野間千代三
○野間委員 この法律が通ると、直ちに再建の計画を立てて、自治大臣の承認を受けなければならぬ。そうすると、この法律だけが突っ走って、自治体のほうではこの法律だけで再建の案をつくらなければならぬ。それは不可能です。これはあとでまた質問しますけれども、そういうことはほとんどできないと思うのです。したがって、他の要件の問題についても、一応の方向が出て、この分については国がこれこれ負担をする、この分についてはこれこれ負担をしてくれるということがあって、初めて再建の計画ができる。これは手順でしょう。そうじゃないですか。そういうことであって、初めて地方自治体で再建の計画ができると思うのです。それがいまの答弁のように、再建の計画を立てる段階には国の負担問題については考えられていないということでは、これは再建の計画は立てられないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/117
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118・柴田護
○柴田(護)政府委員 技術的な問題でございますから、私からお答え申し上げます。
国と公営企業との間の負担区分の問題ということになってまいりますと、やはり予算というものがどうしても間に入ってくるわけです。したがって、いま大臣からお答え申し上げましたように、やはり来年度予算というものに焦点を合わさざるを得ない。本年度できておりますればおっしゃるとおりやったわけでございますけれども、それができなかった。したがって、一年間延びたという形になるわけであります。
それじゃ再建ができないじゃないかというお話でございまするが、これは昭和三十年前後のころのいきさつを考えますと、同じような問題が昭和三十年ころの再建時代にあったわけでございます。このときにも、当初は非常にきついものができ上がった。しかし、それは財源が足らなかったわけですから、そういう結果を生まざるを得なかった。その後において努力をいたしまして、逐次それをまともなものに直していった、こういう経過がございます。私どもがなぜその再建をこの法案に規定してやりましたかといいますと、やはりいま早く不安定債務というものを安定債務に切りかえる必要がある。これがやはり一番企業を圧迫しているのじゃないか。それで、そのためには再建措置をとっていかなければならぬ。その間は、完全な再建計画というものはむずかしいかもしれない。企業によりましてはできますが、企業によりましてはむずかしいものがあるかもしれません。それはその部分で便法を考えていかざるを得ない。それが給与費その他にしわ寄せになるのじゃないかといったような御心配でございますけれども、実際問題を考えますれば、そうびっくりぎょうてんするようなことは、やろうと思ってもできるものではありません。私は、昭和三十年前後のころの経緯を考えますと、今日もなお再建団体がございますけれども、その団体の事情を考えてまいりますと、そう御心配になるようなことはないのじゃなかろうか。また、そうさすべきではないというふうに考えるわけでございます。いま一番必要なことは、不安定債務を安定債務に早く切りかえさせたい、それが一番企業のためじゃなかろうか。妙な利子負担を漫然とさしておくより、これは早く安定さしたほうがいいのではないか、こういう考え方から、お話しのように不十分な点はありますけれども、あえて再建をやる、そういう考え方をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/118
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119・野間千代三
○野間委員 時間がないので、最後に答弁を確認だけしておきます。
いまの財政局長の答弁によると、現在の政府部内での相談、協議、そういう実態を見てみると、いま柴田さんが言われたとおりだと思います。そういうことは、基本的な地方公営企業法を改正するのではなくて、暫定的に時限法であるとか、そういうもので処置をしていくという問題であるべきだと思います。これは答弁は必要ないが、大臣に最後に答弁をもらいたいのです。
そうすると、ぼくは十分とは言いませんけれども、大臣の答弁としては、次の予算編成期のときには国が負担する問題についてきちっときめて、国が負担すべきものは負担をします、そういうように協議をしますということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/119
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120・永山忠則
○永山国務大臣 そういう方向で努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/120
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121・野間千代三
○野間委員 きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/121
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122・岡崎英城
○岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04019660607/122
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