1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年二月二十二日(火曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君
理事 辻 寛一君 理事 長谷川四郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 田口 誠治君
理事 山内 広君
臼井 莊一君 加藤 高藏君
藤尾 正行君 保科善四郎君
堀内 一雄君 前田 正男君
茜ケ久保重光君 稻村 隆一君
中村 高一君 村山 喜一君
受田 新吉君
出席国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
文 部 大 臣 中村 梅吉君
農 林 大 臣 坂田 英一君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
文部政務次官 中野 文門君
文部事務官
(大臣官房長) 安嶋 彌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 齋藤 正君
文部事務官
(大学学術局長)杉江 清君
文部事務官
(管理局長) 天城 勲君
委員外の出席者
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局審議
官) 岡内 豊君
専 門 員 茨木 純一君
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二月十八日
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
八〇号)
同月十九日
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三
号)
同月二十一日
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三
号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三三号)
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
八〇号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の
説明を聴取いたします。椎名外務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/1
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002・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
この法律案におきましては、第一に在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の別表を改正することにより、在勤俸の支給額の一部を改めることといたしております。
現行の在勤俸が昭和三十七年に制定されまして以来四年間に、世界各地とも物価、生活条件等の変動があり、かつ諸外国における公務員給与の引き上げにより、わが国の在勤俸の現行支給額は、諸外国外交官の給与に比し格差がいよいよ著しくなってきましたほか、さらに各任地間の給与の均衡という観点から見ましても、是正を要する点が目立ってまいったのであります。しかも、最近の国際情勢にもかんがみ、外交機能の充実、強化、なかんずく在外公館の活動を一そう強化することが急務となっておりますので、在外職員をしてその職責遂行を遺憾なからしめるためにも、この際現行在勤俸の支給額を改善することがぜひとも必要となってまいった次第であります。
よって、この法律案におきましては、大使を除く在外職員の在勤俸の一般水準を向上せしめますとともに、各任地間の在勤俸支給額の格差をできるだけ実情に即するように是正する見地から、生活環境が特にきびしいアフリカ、中近東及び中南米の一部における在外職員の在勤俸支給額を特に改善するよう配慮した次第であります。
なお、この法律案には、一部在外公館の昇格等の実施時期に関連する若干の経過規定を含んでおります。
以上のとおり、外交活動強化の一環として、在外公館に勤務する外務公務員の給与を改善するための法的措置といたしまして、この法律案を提出する次第であります。
何とぞ本案につき慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/2
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003・木村武雄
○木村委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、説明を聴取いたします。坂田農林大臣。
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理 由
水産庁の附属機関として南西海区水産研究所及び遠洋水産研究所を新設し、これに伴い南海区水産研究所及び内海区水産研究所を廃止するとともに、農林省の職員の定員を改める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/3
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004・坂田英一
○坂田国務大臣 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案の提案の理由と改正の内容を御説明申し上げます。
まず、水産庁の付属機関である水産研究所について所要の改正を行なうことであります。
水産研究所は、全国で八カ所に設置され、水産に関する試験研究、調査等を行なっているのでありますが、近年、わが国の漁業をめぐる諸情勢の推移に伴い、水産研究所が行なうべき業務の内容、重点は、相当に変化しております。すなわち、遠洋漁業の著しい発達と国際的問題の処理のため、遠洋漁業に関する試験研究、調査等の重要性が一そう加わり、その業務も著しく増大しております。沿岸漁業等についても、その振興が強く要請されている実情にあり、このため、沿岸漁業等の実態に即し、試験研究、調査等の一そうの効率化をはかり、これを強化することが緊要となっております。
このような事態に対処するため、かねてより水産試験研究体制の再編整備をはかっているところでありますが、今回は、遠洋漁業については、新たに遠洋水産研究所を設置して、現在幾つかの水産研究所が行なっている遠洋漁業に関する試験研究、調査等を一括してこれに行なわせることといたすとともに、沿岸漁業等については、漁業の実態により即した試験研究体制を整備するため、内海区水産研究所と南海区水産研究所の沿岸漁業等に関する部門とを合わせて、南西海区水産研究所を新たに設置することといたしております。
このほか、この法律案におきましては、農林省の職員の定員に所要の変更を加えることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/4
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005・木村武雄
○木村委員長 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。安井総理府総務長官。
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理 由
昭和四十年法律第八十二号附則の規定による恩給の増額改定についての年齢制限を緩和し、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給の年額について所要の是正を行ない、妻子に給する加算恩給の扶助料の年額について特例を設け、旧軍人遺族について特例扶助料の給与条件を緩和し、日本赤十字社救護員の在職期間を通算することとするとともに、長期在職者の低額恩給を改善する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/5
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006・安井謙
○安井国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
この法律案による措置の第一点は、恩給扶助料の年額を増額した際における増額分についての年齢による制限の解除であります。
昭和四十年における恩給扶助料の増額に際しては、老齢者を優先させる精神に基づきまして、恩給扶助料を受ける者の年齢により、その増額分を一定期間停止する措置をいたしましたが、この措置を六十五歳以上の者及び六十五歳未満の妻子については昭和四十一年十月分、その他の者については昭和四十二年一月分以降解除しようとするものであります。
その第二点は、妻または子が受ける扶助料を改善しようとするものであります。
加算年を算入して初めて普通恩給年限に達する恩給扶助料の年額は、実在職年だけで普通恩給最短年限に達しているものの算出率百五十分の五十から、普通恩給最短年限と実在職年との差の一年につき一定の率を減じたもので計算して得た年額とすることとしているのでありますが、妻及び子に給するこの種の普通扶助料の年額につきましては、普通恩給の所要最短恩給年限の扶助料の年額に相当するものを支給しようとするものであります。
第三点は、長期在職者の低額の恩給扶助料を改善しようとするものであります。
恩給扶助料の基礎となっている実在職年の年数が普通恩給についての最短恩給年限以上のもので、普通恩給の年額が六万円未満のものについては、その年額を六万円に、扶助料の年額が三万円未満のものについては、その年額を三万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。
その第四点は、恩給扶助料の年額について調整規定を設けようとするものであります。
恩給扶助料の年額は、国民の生活水準、国家外務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案し、すみやかに改定の措置を講ずるものとする旨の調整規定を設けようとするものであります。
その第五点は、長期在職の旧文官等の恩給扶助料を改善しようとするものであります。
昭和二十三年六月三十日以前に退職し、または死亡した旧文官等の恩給扶助料につきましては、過去数回にわたり手直しをしてまいったのでありますが、なお、一部のものにつきましては、若干の是正をすることが適当と認められますので、今回は警察・教育職員の恩給扶助料を軸といたしまして所要の調整をいたそうとするものであります。
その第六点は、不具廃疾の成年の子を加給の対象にしようとするものであります。
公務扶助料または増加恩給を受ける者に不具廃疾で生活資料を得る道のない成年の子があるときは、その者について扶養加給を認めようとするものであります。
その第七点は、特例扶助料の支給条件を緩和しようとするものであります。
いわゆる特例扶助料の支給条件といたしまして、営内に居住すべき者という制限及び昭和十九年前の負傷または罹病については、職務に関連することが顕著であるという制限がありますが、この制限を撤廃して、この特例扶助料を支給しようとするものであります。
その第八点は、日本赤十字社救護員の在職期間を恩給公務員期間に通算しようとするものであります。
日本赤十字社の救護員で恩給公務員に相当する者が、旧陸海軍の病院等に派遣され、戦時衛生勤務に服していた期間を恩給公務員期間に通算する道を開こうとするものであります。
その第九点は、文官等の在職年に旧軍人等の加算年を通算しようとするものであります。
文官等の恩給の基礎在職年を計算する場合には旧軍人の恩給の基礎在職年に算入されることとされておる加算年は、昭和四十二年一月以後、文官の在職年にも通算しようとするものであります。
以上述べました措置は、第一から第八までの事項は昭和四十一年十月から、第九の事項は昭和四十二年一月から実施することといたしております。
これが、この法律案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/6
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007・木村武雄
○木村委員長 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/7
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008・村山喜一
○村山(喜)委員 中村文部大臣に、このたび提案をされました文部省設置法の一部を改正する法律案の中身につきましてお尋ねをしてまいりたいと思うのでございますが、第一点は、調査局を廃止して文化局を設置する、それに伴うところの内部機構の改正の問題が提案をされておるわけです。そこで順次これにつきまして質問をいたしてまいりますが、この機構改革によりまして、第一に私、問題に考えました点は、いわゆる官房の事務という中に、従来調査局で持っておりました実務的なライン的な業務内容が二課ほど官房の中に取り入れられておるということを見まして、一体官房というものに対する認識をどういういうにしていられるか、この点についてまずお尋ねをいたしてみたいのでございます。
御承知のように、行政機構組織の分配の理論の体系から申しますならば、官房の業務というのは、いわゆる機密的な秘書的な事務、人事、文書、会計、総合的な調整事務、いわゆるスタッフ的な機構と総合調整の機能というものを官房は持たなければならない。そういうふうに考えるのでございますが、この中に、従来調査局がやっておりました学力テストのようないわゆる統計事務と申しますか、教育行政の上から、文教行政を進めていく上において、そういうようなものは直接的な業務の形態から申しますならば初中局の業務内容に入れられなければならない存在のものを、なぜ官房の中に取り入れてやろうとしているのか、そういうような点が、非常にわからないのです。それで、私はやはり最近の各省設置法の中身を見てまいりますと、いま申しましたように、官房機能というものがスタッフ的な構成からだんだんライン的な構成に変化して、官房存在の本来の意義というものが薄れるような傾向が随所に見られるのでございます。それと同じような形の中で、今回は文部省も二課ほど官房に増置をすることによりまして、そのような方向を打ち出しておられるのでございますが、これは最終的に文部省の定員なり機構なりをこういうようなものにいたしたいのだという形の中から生み出されたものなのか、それとも、とりあえずの措置として、将来は内部機構の改編という問題についてはさらに検討をしていくのだという形の中でつくり出されたものなのか、そういうような点について説明を願っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/8
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009・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 御指摘のとおり、官房はスタッフ的な役割りと同時に、省内の総合調整をつかさどる役目を持っておるわけであります。そこで、今回文化局を設置するにあたりまして、御承知のとおり、新しい局の新設は、政府の方針として、また行政管理庁の方針として認めない、置きかえをするような場合には別であるが、新設は認めないという方向が、近年堅持されておるわけでございます。さような次第で、文化関係の方面からは非常に強烈に文化局を設置すべきであるという要望がございまして、その要望にもこたえ、また文化活動というものが教育と並行して重要な部門であることにかんがみまして、今回文化局の新設に踏み切ったわけでございます。
かような観点から、調査局を廃止することになりまして、調査局にあります調査統計事務を官房に移すことにいたしたわけでございます。各省を見ましても、調査統計事務の官房にあるところが多いのと、もう一つ、従来調査局という独立した局がありました時代でも、調査統計等の事務をいたしますのには、それぞれの各部局と緊密な連絡をとりまして、たとえば初中局関係であれば初中局、大学局関係であれば大学局と緊密な連絡をとりまして、その主管局の意向を中心に調査統計を進めてまいっておる次第でございますので、独立した局でなくても、これはむしろ総合調査を担当しておる官房に移して支障はない、と同時に、しかるべきであるというような観点から、このたび文化局の新設に伴いまして、また調査局の廃止に伴いまして、調査局が担当しておりました調査統計事務を総合的な任務を持っております官房に移した次第で、今後の行政運営上支障がないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/9
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010・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これは大臣官房に企画室と調査課と統計課を置くということになりますが、これのいわゆる内部機構の課の統廃合、いわゆる編成というものは、これは単に暫定的な措置として今回は考えているんじゃなくて、恒久的な措置として大臣としては考えておられる、こういうように受け取って差しつかえございませんか。——しかりとするならば、行政管理庁の行政機構のあり方の本来の姿の上から、これについてはどういうような考え方を行管としては持っておるのか、これについて行管のほうから答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/10
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011・岡内豊
○岡内説明員 私、行政管理局の審議官をしております岡内でございます。説明員として参っております。
ただいまの御質問でございますが、調査統計関係の一事務といいますものは、これは従来から大体各省庁と官房に置かれておりまして、官房の総合調整機能を発揮するにおいて必要な統計調査資料を中心にいたしまして、各省各局の総合調整をはかるというようなことから、大体官房に置かれていることが多いわけでございます。ただ一部の省庁におきまして、総合調整的な役割りを持った局がございます役所もございます。そういうところでは、その当該局に統計調査部というようなものが設けられておりますけれども、一般的に申し上げますと、大体そういった調査統計というものは、官房に置かれておるというのが通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 調査統計を官房に置くことについてはわかりました。しかしながら、官房のいわゆる存在の理由としては、いわゆる総合調整といいますか、そしてスタッフ的な機能を発揮するというところに、その所在の理由があろうと思うのであります。そういたしました場合に、現在各省庁の内容を機構的に分類をしてまいりますと、一番官房に集中的にライン的な業務が集中しているのが外務省であります。この膨大なる機構を持っている官房が、そうしてそういうような実務的な内容を持ちながら、なお総合調整をやらなければならないという仕組みになっている。今回の文部省設置法の改正案を見ましたときに、私、そういうような方向に傾向的に進んでいくのではないかという危惧を持ちましたので、これについて、そういう立場から、本来のあり方の上からの問題としてただしたのでありますが、行管としましては、現在のそういうような各省庁の実態というものに目をつけて、将来あるべき姿としてはどういうような方向を目ざして検討をしていこうというふうに考えているのか。私いままでの考え方の中では、調査統計という事務は、これはそういうような現業的な局がない場合には、やむを得ず官房の中に入れるべきであるとは思うのでありますが、その他の仕事の内容から関連をして、基本的な行管の今後の行政上の管理、運営の方針というものを、この際お尋ねをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/12
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013・岡内豊
○岡内説明員 官房の役割りといたしまして総合調整機能が大切であるということは、これは臨時行政調査会の答申にも出ておることでございまして、臨時行政調査会の答申の中におきましては、事務次官補的なものを置いて官房の総合調整機能を強化したらどうかというようなことが書いてございます。私どもといたしましては、臨時行政調査会の答申の中身につきまして、将来その官房機能をどうするかというようなことについて、ただいま慎重に検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/13
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014・村山喜一
○村山(喜)委員 慎重に検討するということだけでは、前向きかうしろ向きかわからないわけであります。私が言う方向で、本来あるべき姿の方向に検討をしておられるのだろうと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/14
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015・岡内豊
○岡内説明員 私が申し上げたいのは、現在の各省庁のあれをながめてみますと、むしろライン的な各局というものが非常にふえてきて、仕事が複雑になってきておる。各省庁単位で見た場合にも、その省自体の総合調整機能が弱いのではないかと思われるような省庁もございますので、そういった省庁につきましては、官房機能のそういった総合企画的な面を強化していく必要があるということは、私どもも痛感いたしておる次第でございます。したがいまして、そういった方向でもってどういうふうなかっこうにしたらよろしいのであろうかということを、いろいろと私ども内部では検討しておる、そういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/15
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016・村山喜一
○村山(喜)委員 その点わかりました。そういうような方向でひとつ検討をしていただいて、こういうような文化局を新設をする中で、文部省の官房のいわゆる所管内容というものが、こういう三課もふえてくるような形の中ではたして正しい方向であるのかどうかという点についても、今後将来の問題としてはやはり考えて検討を加えてもらいたいと思う点があるので、その点は今後に譲ることにいたしまして、次の問題に入ります。
文部省設置法の一部を改正する法律案の新旧対照表の三枚目でございますが、第十一条の十号「公費又は私費による在外研究を援助すること。」十二は、「大学及び高等専門学校の教授の国際交換に関し、連絡調整すること。」十三、「外国出版物の購入、交換等に関する事務を処理すること。」この条項は、新しい文部省設置法の改正条文の中には入っていないわけですね。ということは、これは必要性がなくなったというふうにお考えになっているのか、それとも他の条項の中にひっくるめて考えているのか、この点については、官房長のほうから説明を願っておきたい点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/16
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017・安嶋彌
○安嶋政府委員 現行の文部省設置法十一条の十号、十二号、十三号の取り扱いでございますが、新しい改正法の十三条の二号に、今回若干規定を追加いたしまして、「国内における国際協力に関する事務を行ない、」という条項を挿入したわけでございます。これは本省の内部部局の共通事務として挿入したわけでございまして、ただいま御指摘の十号、十三号、これはいずれの局におきましても国際協力に関する国内事務として行なうべきものでございますし、かつまた、各局におきましてこの条項で読み得るというような考え方から削除したわけでございます。つまり、公費又は私費による在外研究を援助すること。」あるいは「外国出版物の購入、交換等に関する事務を処理すること。」ということは、各局の共通事務といたしまして、それぞれの局において処理をするという考え方でございます。それが十三条二号の改正規定に挿入されるわけでございます。それからなお現行十一条の十二号に「大学及び高等専門学校の教授の国際交換に関し、連絡調整する。」という号がございますが、これは新しい文化局の十一条の五号に、「教育、学術又は文化に関する国際的諸活動についての各部局の事務の連絡調整に関すること。」という号を新たに挿入いたしております。したがいまして、この条項で読めるということでございます。事務の実態を変更するということではなくて、規定上若干の調整を行なったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/17
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018・村山喜一
○村山(喜)委員 あまりにも細分化された内容を具体的に記入するのもいかがかと思うのでありますが、そういうふうな意味において、新しい十三条の二号の中で、これをいわゆる統括をした表現の方式で記載をしてあるということで了解はいたしますけれども、そうすることによりまして、この所掌事務を遂行していく際において、これらの問題についての共通事務という形で表現をすることがはたして正しいのかどうか。というのは、文化局の業務内容を十三条で「各局の所掌事務に関し、」という形の中で共通事務として置きかえるということになってまいりますると、内部におけるところの権限関係の調整は、これは官房のあなたのところでやられるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/18
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019・安嶋彌
○安嶋政府委員 新しい文化局の十一条の五号でございますが、これはただいま申し上げましたように、国際的諸活動についての各部局の事務の連絡・調整を行なうということを書いておるわけでございます。連絡・調整という事務は、これは官房だけに認められている任務では必ずしもないというのが私どもの考え方でございまして、新しい文化局に設置されまする国際文化課におきましては、省内における国際協力関係の事務を連絡しあるいは調整するという任務が付加されておるわけでございます。連絡・調整はすべて官房の事務ではなくて、国際協力に関する部分につきましては、文化局の国際文化課で連絡・調整を行なう。その連絡・調整につきまして、さらにいろいろ問題がございますれば、官房といたしまして、省内全体の事務の配分の問題として、さらにその調整に当たるということはあり得るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/19
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020・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで定員関係の問題ですが、文部省の設置法の定員関係を見てまいりますると、いわゆる凍結欠員という内容の内訳が出ているわけであります。国立学校におきまして凍結欠員が五百六十三名見込まれて、そうして新規の増減関係では、三千九百七名が増員という形になっているわけであります。この中で私は——まあこのたび国立学校設置法の改正案が提案をされている中で、新規の大学設置なりあるいは改組、学科等の増設に伴う人員の増が出されているわけでありますが、一般の行政官庁の場合には、凍結欠員に対する消化の度合いというものは、ある程度の行政努力によって可能であろうと思うのであります。しかしながら、学校の教職員につきましてこの凍結欠員をそのまま適用をしていくという考え方をとってまいりますならば、新たに講座なり学科を設置いたしました場合に、それだけ必要な教職員が補充できないという姿になるのではなかろうか、こういうように考えるのでございますが、これの国立学校関係の五百六十三名という内訳は、教官定数の内容であるのか、それとも事務職を含めた内容であるのか。事務職を含めた内容であるとするならば、教官が幾らで事務職が幾らなのかという説明を願っておかなければ、せっかく定員を増加して大学急増期に備えるという形をとりましても、実際その効力を生じないのではなかろうか、こういうように考えるのでございます。この点については、計数的な数字でございますので、大学局長のほうなりあるいは官房長のほうから説明を願っておきたいのでございます。
それからこれに関連をいたしまして、私立学校の場合には、新しい学校を設置をする。そうすると、いろいろ審議会等の関係から、大学の教授、必要な教職員をそろえるのにあたりまして、年次的にそろえるわけでありますが、少なくともこの一定の基準がありまして、教養関係については半分はそろえなければならないとか、いろいろ資格条件というものが大学の設置をめぐりまして非常にやかましい条件があるわけであります。その場合と国立大学の場合との関連性の上からその条件を比較検討した場合には、やはり国立なりというもののほうが条件が非常にやわらかい形の中で教官の補充は学年進行に伴って行なえばよろしいという考え方をとるのに対しまして、私立のほうは、ある程度の見込みを全体的に立てた上で、一定の教官数の配置をもう初年度においてから十分に用意しなければならないという基準があるかと思います。その適用基準の教官数の配置基準について、国と公立あるいは私立の区分が今日どういうふうになっておるのか、この点について、この際説明を願っておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/20
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021・安嶋彌
○安嶋政府委員 前段につきまして私からお答えをいたしますが、凍結欠員の差しかえ分の五百六十三の内訳でございますが、これには教官は含まれておりません。教官と申しますのは、教授、助教授、講師、助手でございますが、それは含まれておりません。内訳といたしましては、事務職員が五百六十、教務職員が三、合わせて五百六十三というのが、凍結の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/21
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022・杉江清
○杉江政府委員 設置基準と国立大学教官組織の関連でございますが、まず国立大学におきましては、その設置基準以上の整備をいたしております。設置基準は大学学部をつくるときのいわば最低の基準を示しておるのでありますが、国立大学においては、その最低の基準によらず、それよりも充実した計画で進めております。ただし、新しく大学をつくるときの設置基準の適用におきまして、私立の場合においては、当初から全体の教官整備につきまして、その見通しを確実にするためにかなりチェックをしております。しかし、このことは、国立大学をつくる場合も基本的には同じことでございます。やはり同様に全体の教官整備の状況をチェックいたしましてするのであります。むしろこの国立と私立の場合の設置の際における差は、施設設備の整備状況に具体的にあらわれるわけであります。施設設備の整備にあたっては、国立の場合は、やはり毎年予算をもって整備をする、こういうたてまえから、必ずしも最初にそれほど整備を厳にしておるという状況を要求しておらない、こういう点において差はありますが、教官の整備については、基本的にそれほど大きな差はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/22
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023・村山喜一
○村山(喜)委員 施設設備につきましては、最低基準を必要とすることは言うまでもないのでありますが、教官の配置基準、これもいわゆる国立、公立、私立の場合には、学年当初においてこれだけは準備しておかなければならないという一つの基準があったと思うのであります。前は、国立の場合等は、比較的人材を得るのに容易であるというようなことから、たしか差があったと私は覚えているのでありますが、いまの局長の御説明を承りますと、差はないということであります。そのとおりでございますか。ないとするならば、初学年度の場合にはどれだけの人員を配置をする、こういう計画がありましたら、それを示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/23
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024・杉江清
○杉江政府委員 国立の場合は、全体の教官整備は基準以上にいたしております。全体を通じて大きな差はないと申し上げましたが、厳密に言いますならば、教官整備を公私立については三カ年ですることを要求しております。国立については四カ年で整備をする、こういう計画で進めております。だから、その間に若干の差はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/24
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025・村山喜一
○村山(喜)委員 それだけの差をつけなければならない理由というものが今日においてもなお存在をしているかどうかということについて、ひとつ説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/25
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026・杉江清
○杉江政府委員 公私立の場合におきましては、大学を設置いたしました後における国の監督権限というものは、きわめてわずかでございます。一たん認可されました後に、当時予想されました計画がたとえ欠けましても、その計画がそのとおりいかなくても、それを規制する有効な措置は、現在ないと言ってもいい程度でございます。その程度に大学の自主性を尊重し、大学の良識にまっておるというのが、現在のたてまえでございます。国のほうは、毎年予算で確実にやっていく、しかもそれについては国会等の十分な御批判、御監視があるわけでございます。そういうふうな現在のたてまえからいたしまして、公私立の場合に、新しく大学をつくる際の基準としては多少これを厳格にし、その計画が確実に実施されることを保証する意味において両者の差を設けることは、ある程度やむを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/26
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027・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、今回国立学校設置法の改正の中で、新しい大学の設置、あるいは大学院、学部、養成所、それに付置研究所、こういうようなものが内容的に提案をされているわけです。けさほどの新聞を見てまいりますと、国立学校の第一期校のいわゆる応募者の受験の競争率というものは、最高を示しています。七・何人かであります。七名に一人の割合の応募者である、こういうような状態の中から、ことしはそういうような大学浪人といいますか、大学へ入れない浪人の数が数十万に及ぶであろうということがいわれておる。とするならば、今回これだけの定員をふやすことによりまして、学生の増募というものの計画、文部省が初めつくっておりました急増に対応する急増計画にズレがきているのではないかということがいわれておるわけでありますが、その問題につきまして、その計画と、現実に予算的に裏づけがされる募集定員との関係、この内容について、計画と実際の内容を説明を願いますと同時に、将来どういうふうにこれに対処していこうとしているのか、その点についても、説明を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/27
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028・杉江清
○杉江政府委員 志願者急増期間における大学の拡充整備の基本的な態度といたしましては、著しく入学競争を激化し、社会的不安を生ずるというようなことは、極力避けたい。と同時に、大学の質を低下さすということのないようにしたいというような観点から考えまして、合格率を著しく下げない、六〇%を著しく下回るというようなことのないようにしたい、かように考えて計画をいたしたわけでございます。そこで、計画といたしましては、四十一年度に国立については四千から六千の増募をしたいと考えて予算要求いたしましたし、私立については、これはなかなか計画的にきっちりその計画に乗せるということはむずかしいのでありますけれども、その設置申請の状況を見まして、この程度は伸びるだろうと予想をいたしました数字は、三万一千でございます。これは定員としてこの程度伸びるだろうという数字でありますが、実際は実員の伸びが定員の伸びを上回りますので、増加実員としては五万人になるだろう、こう考えたわけであります。これに公立の増募分を加えまして、総数といたしまして五万八千人程度がふえるだろう、こういう見通しを立てたのであります。しかし、その結果はどうなったかということでございますが、国立について申し上げますと、国立において実際に増加措置をいたしました数字は、約五千でございます。これは小学校の教員養成の三百八十を含んだ数字でありますが、約五千でございまして、まあ当初計画は四千ないし六千と考えましたわけでありますから、大体その中間の数字に相当するわけでございます。私立につきましては、大学設置認可の際に相当不合格ができまして、定員として措置しました数字は、二万六千になっております。実員の伸びはほぼ四十年と同じであるとしますと、増加実員としては四万二千となります。そういたしますと、この四十一年度に実際収容いたします学生数としては、おおむね五万になろうと思います。当初見込みよりも下がりはいたしましたけれども、また公私立においても、相当の努力をいたしております。これによりまして合格率はどの程度になるかということでありますけれども、おおむね五八%になると予想いたしております。六〇%を多少下がりましたけれども、しかし、この合格率は、過去数年前にもこの程度の合格率であった時代がありますので、著しく合格率を低めたということでは必ずしもない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/28
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029・村山喜一
○村山(喜)委員 問題は、国立の計画は四千ないし六千という幅を見て、その中の中間値である五千ということで押えた、残りは私立に全部おんぶしていこうという姿が、大学教育に対する文部省の基本的な考え方だ。しかし、その結果、二万六千名しか当初計画に比べて実際は措置されなかった。それは内容的に、問題は資格審査をやってみたら、案外それにパスしない、不合格が非常にたくさん出た。その不合格が出た理由は、一体どこに原因があるのですか。教官人員の面であるのか、施設面であるのか、あるいはつくっても採算がとれないという、そういうような経営上の問題であるのか、その点については、どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/29
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030・杉江清
○杉江政府委員 教官の面と施設設備の面との両方でございます。ただ、傾向としましては、教官の入手難ということが次第にあらわれてまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/30
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031・村山喜一
○村山(喜)委員 教官は、これは学者の養成、研究者の養成という問題が基本的に関係があるわけでありますが、長い伝統を持っている私学では、そういうような教官を自分の学校の中で養成をするという方向をとられる。けれども、新設の大学の場合には、あちらこちらからかり集めてこなければならない。ところが、そのかり集めが両方にダブっておって、一人の人間が二、三校にかけてふくそうしておるというようなことで、これはだめだということで落とされる。あるいは現実には行く意思がないのに、リストだけには載っておるというような形で、落とされた模様等もあるということも聞くのであります。なお、必要な講座に、あるいは学科に、必要な教職員をそろえることができなくてオミットされる。こういうような例もあるやに聞くのでありますが、そうなってまいりますと、その学校の教育のにない手である教授、助教授が足らないという問題が、これは基本的な問題として大学急増の隘路になっておると思う。これに対応する教育の方法なり内容のあり方という問題については、どういうような方向をお考えになっておりますか。たとえば現在のマスプロ教育といいますか、そういうものをどういうふうにしていくのだという問題を、やはり文部省としても指導の中で考えられなければならない段階にあると思う。その点についてどういうふうに対処するのか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/31
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032・杉江清
○杉江政府委員 教官の入手難に対処して教育のあり方をどうするかという問題については、私は、一般的に言いますならば、私学はすでにいわゆる多人数教育をしておるのでありまして、これ以上に多人数教育をするということは、適当なことでもないし、望めないと思うのであります。ただ、現実に多人数教育が行なわれておるのでありまして、しかし、その多人数教育のしかたについては、改善すべき多くの課題があると思います。これは大学の改善くふうの努力を通じて、なお努力すべき点が残っていると考えております。国立については、私学に比べればそれほどのいわゆる詰め込み教育はやっておりません。しかし、現在国立においても優秀な教官は得がたいのでありまして、しかも収容力をふやさなければならぬ、そういう状況においては、教育方法に格段のくふうをこらす必要があるわけであります。そこで、今回国立大学における新しい試みとしては、いわゆる多人数教育を行なって、しかもなおかつ教育の質を低下させない方法として、特に工学教育において新しい形の定員増加をしておるのであります。具体的に申し上げますと、一般教養、基礎教養において、かなりいままでと比べれば同時に授業を行なう生徒数はふやします。しかし同時に、それに相応して必要な施設設備の充実をする。同時に授業することのできるだけの施設設備において格段のくふうをこらす。同時に、いままでの方以上に、講師、助手、助教授、そういった層の定員をふやしていく。そして専門課程の教授については、いままでよりも比較的少なくて済む、こういう新しい教育の形態を考えて、四校においてこれを実施しております。こういう方法は、今後とも検討され、また拡充されてしかるべきだと考えております。
ただ、この際繰り返して申し上げておきたいのですが、これは決して教育の質を低下させることではない。あくまでも教育の能率をあげるという観点において考えておりまして、この方法を採用するまでには一年以上の専門家の御審議を経て、現にその方法を明年度から採用することにいたしたわけでありまして、こういう努力は今後とも続けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/32
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033・村山喜一
○村山(喜)委員 好むと好まざるとにかかわらず、今日大学教育の中で行なわれているマスプロ教育というものの内容をどういうふうにして高めていくかという問題は、教育内容の問題として、当然教授方法なり、いま話がありましたようにいろいろな施設設備を用いてこれを補強するというような方法がとられなければ、大学教育の内容の充実ができないわけです。ところが、ようやく国立にして初めて四校にモデル的にそういうようなのがつくられ始めている。ましてや財政的に不如意な私立関係におきましては、そういうようなものが行なわれていない。そこに一つの早稲田問題の盲点が、私はあるのではないかと思うのです。そういう点から、この問題については、そういうようなのを国立学校が中心になってやるのも適当でありますけれども、もう少しやはり私立学校あたりにそういうようなのをひとつモデル的にやらしてみるというような方向も検討を加えて、内容の充実の方向がはかられるように措置を願っておきたいと思うのであります。
そこで、私はこの際、いわゆる早稲田の問題について大臣に見解をお尋ねをいたしておきたいのでございます。後ほど同僚議員のほうからも関連質問があるようでございますが、われわれが新聞なりを見ておりまして、早稲田の大学当局、学生、それぞれの立場があろうと思うのでありますが、どうも教育という姿、学問の尊重という姿が欠けているところに問題があるのではないかと、新聞報道等から私たちは受け取るわけでありますが、国会の稲門会の先輩の諸君が調停に乗り出した。初めは、早稲田当局のほうがこの調停に乗ろうとはしなかった。白紙委任をしようとはしなかった。ところが、そちらのほうが今度は白紙委任をしようという形になった。学生のほうは、これに対して白紙委任は絶対にだめだという態度をとるに至った。その時間的な動きをずっと見てまいりますと、大学の大浜総長がそういうような決定をして、そして十八、十九ですか、この両日にわたって、自分のほうでもう一回学生の諸君に話をしてみるから、そのあとにしてくれということで、十九日の夜おそくなってから、十二時過ぎですか、もう二十日になろうとする段階の中で稲門会のほうに白紙委任ということになった。ところが二十日の日は、これは考えてみれば日曜日である。学生の諸君は、大多数はいないわけです。したがって、学生の中で収拾をはかろうとしても、二十日の朝の午前八時までですか、その時間を切っての間における調停の工作というものをやってみても、それを学生全体の大衆討議の中で処置して、そして全員投票に求めるというようなやり方の方向をとろうとしても、それが現実的にできない。したがって、あそこの実行委員会といいますか、闘争本部に集まっている連中にはかる。ところが、そこに集まっている連中は、いわゆる先鋭な分子が中心になってリードしている。こういう形になってまいりますと、せっかくそういうような調停案を出しても、それが守られないような形の中に追い込まれていったんじゃないかというのが、われわれが新聞を見ての印象であります。とするならば、そういうような時間を切って、あなた方にそれを委任をしましょうという形で持ってこられても、現実に学生という対象物がおる、そういうような人たちがこれをどういうふうに受け取るかという大衆討議の場所が与えられない形の中で、結局退去しないということをきめたということで、警官が実力行使をする。それが排除されて、やれやれと今度は大学当局が思っておったら、また再度これを占領する。そして警察がこれに介入をしていくという形の中で、どろ沼におちいってきている。しかも基本的には、これは授業料の値上げという問題から端を発した問題、施設の整備費の充実という問題、それの寄付金の増額ということから端を発した問題です。とするならば、一体この私立大学なり私立学校というものの経営の内容について、大学の理事会あたりとしては、それについてこういう状態になっているから授業料なり施設負担金というものを上げなければならないのだという、学生に対する納得工作というものを十分にやっておったかというと、いや経営権は自分たちにあるのだから、そういうことを学生の諸君に明らかにする必要はないと言って、それを身をもって説得しようというかまえがない。教授会においてもそのとおりだと書いてある。とするならば、これはいわゆる教育の姿ではない。経営体とそこに学んでいる学生との間には、労使関係のような姿が存在をしている。そこに私は、大学の危機があり、今日の私学の問題があろうかと思うのであります。
こういうような時点から問題をとらえていった場合に、せっかく文部省のほうとしては大蔵省とかけ合いをして、三十億円という、いわゆるうしろ向き融資といいますか、高利の借りかえ債というような方向でこれをカバーをしようということが決定はした。しかし、これは三年間で百億円、いえばまさに十分の一程度の、私学の負債の額からいうならばきわめて僅少なものにすぎない。これでは基本的な問題の解決はできない。文部大臣のほうからは、いや、それは私学問題の審議会のほうに諮問をしてあるから、その答申を受けてこの問題については対処するのだとおっしゃるかもしれないけれども、もう今日、そういうような民主的なルールを経る方向も必要でありますが、ここらあたりで大臣が教育行政の責任者として天下にその決意とそして解決の方向を表示される段階に、時期的に来ているのではないか、こういうふうに私は考えるので、この点について大臣の見解をお尋ねいたしますと同時に、今後の私学対策についての方向を示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/33
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034・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 私学に対しましては、従来も、十分とはまいりませんが、国の資金によって助成の道は講じてきておったわけでありますが、最近とみに、特に各大学におきましては設備の増設あるいは教職員の待遇改善等によって非常に出費が多くなり、経営困難になっておる実情にかんがみまして、文部省としては何とか私学に対する振興対策を進めなければならない、かような観点に立ちまして、昨年来、御承知のとおり私学振興方策調査会を制度上設けまして、私学関係の方にも入っていただき、学識経験者にも入っていただきまして、基本的な私学振興方策について鋭意研究中でございますが、さしあたりこの急場をどうして乗り切っていくかということにつきましては、苦慮してまいりましたが、これも予算要求から見れば十分とはまいりませんけれども、昭和四十一年度におきましては、大体私学振興会の運用資金を二百四十二億円くらいに増強いたしました。これは前年に比較いたしますと、約倍額でございます。この中で、特に相当の金額を銀行等から借りられるものですから、その借りられる信用を活用してある程度金融機関から高利の金を利用しておるところもあり、あるいはそういう金の借りかえ時期が来ているものもありいたしますので、そういう急場をしのぐための方策をとりあえず講じたいということで、予算編成以来大蔵省と折衝を続けてまいりまして、ようやくまとめましたのが二、三日前に公表いたしましたとおり三年間で約百億、とりあえず昭和四十一年度高利債の借りかえに振り当てるワクを三十億ということで折り合いがつきまして、公表し、これを実施に移してまいりたいと思うのでございます。かようにいたしまして、大体私学関係が全体でしょっております負債は一千億といわれておりますが、しかし、全部を直ちに右から左にどうするわけにもまいりませんので、高利の利子とか、さしあたり困っておるというものに対して高利債の借りかえで約三十億、総額で二百四十二億、四十一年度はこういう大幅な融資の道も講じて、私学の経営難を打開していきたい、そのうちに目下根本的に検討しております調査会の結論を得次第、その答申を尊重して政府としては善処をしていきたい、かように実は考えて努力をいたしておるような次第でございます。
早稲田大学の問題につきましては、私どもまことに遺憾にたえないのでございますが、従来とも政府は融資その他で助成の道は講じておりますが、学園の自治を尊重して、自主的に運営をすることを期待しておりますが、制度上も、文部省としてあるいは政府として口出しをすべきすべが実はないのでございます。したがいまして、すべがないと同時に、かりにすべがあったとしても、ああいうふうな紛争になってまいりますと、冷静な学生だけではなく、学生運動家ともいうべき部分も相当ありますので、かえってこれはいろいろな余波を及ぼしますので、慎重に取り扱うべきものだと思います。特に制度上においても、現在のところ文部省が関与すべきすべがないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、先ほどもお話がありましたように、早稲田大学卒業の国会議員も各党にたくさんいらっしゃいまして、この稲門会の方々が事態の収拾について心配をしていただいておりますので、この方々の努力によって解決することを希望して今日に至ったわけでございます。しかし、考えますと、こういう紛争が続いておることによって、約十万人内外に達するといわれております新入学の受験生というものがありますが、これだけは学校当局としても、また先輩である在学生としても、これを妨害することは社会問題で、よろしくないのであります。したがって、何とか入学試験だけは平穏裏に済ませるような道を講ずべきではないか、かような考え方をもちまして、稲門会の方々等にそういう趣旨のごあっせん方を実はお願いしておるような次第で、まことにどうもあれだけの社会的な事件が、学園の内部とはいいながら、起きておるのに手をこまねいておるような姿で、われわれもまことにいても立ってもいたたまれない気持ちがいたします。さりとて、それでは何か口を出したら解決するめどがあるかといったら、解決するめども立たないというような状態で、苦慮しておるというのが現況でございます。私学のになっておりまする役割りの重要性にかんがみまして、われわれとしては、私学の健全な経営、それと同時に、できるだけ学校の管理というもの、あるいは教育のあり方というものについても御注意を願い、また学生は学生の本分としての立場を守るように今後努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/34
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035・木村武雄
○木村委員長 岩動君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/35
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036・岩動道行
○岩動委員 ただいま村山委員から私学振興に関するきわめて貴重な御覧間があったのでございますが、私もそれに関連いたしまして、特に私学振興会に対する財投関係について、若干の御質問を申し上げたいと思います。
つい二、三日前にきまりました、特に問題になっております例の高利の借りかえの問題でございます。これは当初財投計画においては、文部省はたしか六十億円程度のものを要求しておられた。総額の対象金額はちょっと私記憶をいたしておりませんが、とりあえず四十一年度では六十億程度はほしいということでございましたが、これがようやく三十億程度でおさまった。私どもは、私学の今日果たしておる重要性から考えますと、特に経営が困難でいろいろな問題を起こす今日でございますので、三十億というのは非常に不満足と申しまするか、まだまだ不十分であるということを痛感いたしておるわけでございます。そこで、旧債の借りかえの対象となる金利は二銭五厘ということを原則にしておられるわけですが、二銭五厘以下でも借りかえの対象にしていかれるというお考えをお持ちであるのかどうか。また、その場合には、どの程度のところまでどういう基準でこれを対象にされていくかという点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/36
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037・天城勲
○天城政府委員 お答えいたします。現在私学の持っております負債は大体一千億でございますが、このうちには、もちろん私学振興会の融資に関する二百四十億ほども含んでおりますが、特に市中金融機関から借りておりますものが、六百億近くございます。この市中金融機関から借りておりますもののうちには、全体として見た場合に、利率において非常に差がございまして、高いものもございますれば低いものもあるという状況でございます。その他の負債は、学校債ですとか、あるいは地方の振興会ないしは公共機関からの借り入れでございますが、これは高利の市中金融機関からの負債が、金利におきましても、また償還期限の関係からも、私学の経営上かなり圧迫になっておると考えられますので、これを抜本的な政策ができる前に少しでも軽く整理しておいてやるという意味で今回の措置を考えたのでございますが、いま御質問の対象となります金利でございますけれども、一応二銭五厘という旧債以上のものを対象に考えておるわけでございますけれども、私学の負債のあり方が、学校の資産構造でかなり条件が違っておりまして、場合によりますれば二銭五厘以下の利率のものでも、資産構造上非常に大きなウエートを占めておるものもございますので、その点は、これからそれぞれの実情に応じて弾力的に考えていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/37
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038・岩動道行
○岩動委員 具体的に二銭五厘以下のどの程度のところまでというお示しがないのでありますが、これは各大学あるいは私学の実情に応じて適宜適切に対象を拾い上げていただいて、問題のないように特段の御配慮をいただきたいと思うわけでございます。その場合に、貸し付けの金利のほうは年七分ということになっております。これは一般の財投で貸し付けをする場合には六分五厘というのが原則でございますから、それに対して七%というのはまだきわめて高い。これはやはり六%台に——少なくとも六分五厘と七分との間くらいのところまでこれを引き下げて貸し付けをすべきではないか。また、償還の期限はたしか七年と承知いたしておるのでありますが、これも七年というのを十年くらいまでむしろやはり努力をすべきではなかったか。これらの点を考えてみますると、今度の百億程度を基準として二銭五厘を基準とし、さらに貸し付けのほうの金利は七分ということになりますと、大体二%程度の救済しかできない。そういたしますと、百億でもわずかに二億程度の負担軽減にしかならない。これでは焼け石に水ではないかという感じがするわけでございます。その点において、私は、文部省の大蔵省との折衝には、もっと強力に、これはひとつ文部大臣がみずから政策的に大蔵大臣と御折衝になっておやりになるというくらいの熱意を示していただきたかったのでございます。もちろんおやりになったかとは思いまするが、どうも大臣折衝という感じのことがなかったようにも思われますし、もしも文部大臣が直接この問題について大蔵大臣とお話しになるならば、さらにもっといい結果を生み出したのではないかというふうにも考えられるわけでございます。この点について、文部大臣が今後さらに努力をして、四十二年度においては、あるいは四十一年度の実施の実態を見て、これではいかぬということで、さらにその条件についての改善をおはかりになる御意思があるかどうか。私どもはぜひそのような方向で進んでいただきたい。特に金利の問題につきましては、大蔵省等の考え方は、一般の金融市場の金利というものをいつも頭に置いてやっております。しかし、私学というのは、営利事業ではございません。りっぱに国家の果たす役割りの相当部分を担当しております。営利事業ではないのでございますから、金利については十分なる配慮をしなければならない。これは大蔵省と文部省の折衝と申しまするよりも、政府の姿勢としてそうでなければならない、かように考えるのでございますが、特にその点大臣の御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/38
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039・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 御指摘の点、まことにごもっともに存じております。私どもとしましても、高利借りかえの私学振興会の融資金利につきましては、できるだけ低くいたしたい、特にせめて六分五厘ぐらいにはいたしたいというつもりでいろいろな折衝を続けてきたわけでございます。予算の場合のように、わざわざ大蔵省に出向いて大臣折衝のようなことはいたしませんが、週に少なくとも二回は閣議等で顔を合わせますので、その機会に私のほうの考え方は十分申し述べておった次第でありますが、大蔵省としては、他のいろいろな方面の金利との関係、こういうものを非常に気にいたしまして、どうしても七分を固執された結果、この結論を得るまでに予算編成から最近まで引き続いて折衝を続けてまいりまして、あまり期間が長くなりましたので、七分の線で一応妥結して早くこの高利借りかえの道を開くことについて一般私学関係にも承知をしてもらいたいというつもりで、この線で今回は結論を得たような次第でございます。今後とも御指摘のような点につきましては、十分に努力をしてまいりたいと思います。
なお、私ども考えておりますことは、この私学の自主性というものから考えれば、いま私学振興方策調査会でも御研究願っておるわけでございますが、一体国の資金で世話をするのがいいのか、あるいは私学は私学の特異性がありますから、寄付金等をもっとたやすく求められる道を講じて、寄付金等を中心にして、授業料にたよらずに学校運営ができるようにしたほうがいいのか、これらの点も、非常に問題点があるわけなんです。さしあたり今年も寄付についての緩和措置を講じまして、寄付に対する免税についての緩和措置は前進をさしたわけでございます。今後、これらの点については、私学の援助の道と並行して研究をいたしまして、近く結論を得たいものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/39
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040・岩動道行
○岩動委員 ただいまの大臣の御答弁で了承いたしますが、特に前向きの財投資金を出すことでもなかなか十分な資金が得られないという状態でございますから、過去の旧債についてなかなか難点のあるのは、私ども了承できるわけでございます。しかし、ただいま大臣が仰せられたように、寄付金等を考えて、とにかく今後の問題については相当の改善が期待できるわけでございますが、旧債は、これはいかんともしがたいものでございますので、これはやはり政府関係の資金において十分にめんどうを見るということを考えていただかなければならぬ、かように考えるわけでございます。特に私学振興方策調査会というものが発足をいたしまして、私は、四十一年度の予算あるいは財投計画を樹立いたします場合に、この調査会におきまして中間報告的にも何か公式の見解を出してそうして私学の助成についての一つの意見を正式に出していただければ、さらに私学振興の予算あるいは財投計画がもっといい結果を生んだのではないか、かように考えられるわけでございまして、この点は、私も再々当局には御進言を申し上げましたが、ついにその結果が得られなかったので、まことに残念でございますが、来年度の予算編成に間に合うように、ひとつ振興方策調査会のほうで十分なる結論を急いでお出しになって、前向きの姿勢をさらにとっていただくことを心からお願いを申し上げまして、私の関連質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/40
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041・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私は、やはりただいまもお話がありましたように、私立学校の問題でありますが、今度具体的に稲門会のほうで調停案をつくった。これは七点に及ぶところの調停案が出ている。その中で、授業料なりあるいは施設費の値下げを一万円ずつやろうという。これを大学当局のほうじゃ初めのんだのですね。ところが、学生がああいうような形になったからということで、これについてはもう白紙に還元されたのだ、解消されたのだという考え方が出されて——それは学校の経営体としての立場からの問題として見るならば、私は、採算上五億円も赤字が出るというような問題が出てくるので、それはやむを得ないと思う。しかし、そういうような調停案が出て、一時はそれをのんで、今後やはり私学振興の問題としては、国会といわず、私学といわず、一体となってやろうじゃないかという決意に立ったその時点においては、前進的にこの問題を解決をしようという教育的な動きが私はあったと思う。しかし、それがない、もう今日においては白紙に還元をされた、こういうような形になってまいりますると、授業料が三万円ないし四万円ずつ上がる、あるいは施設費の寄付金というものが上がる、こういう形の中で、いまや私立大学は、庶民大衆の普通の生活をしているサラリーマン層からは、もう大学に進学ができないような状態の中にある。みずから門戸を閉ざしてしまうよりほかにない。経営の上から言うならば、これはそういうような方向を歩みつつあるのではないかと思うのであります。具体的に申しますと、私も今度高等学校に進学をするむすこを持っておりますが、すべりどめのために私立学校を受けさせました。ところが、それについては一番安いところで四万円程度、そうして高いところは十万円も取っておるわけです。そういうような方向をとらなければ、私立学校の経営が成り立たない。大学については授業料、施設費を上げなければ成り立たない。こういうことになってまいりますと、一般の庶民大衆は、私立学校には行かせられないという事態がもう出てきている。こういうような状態の中にありますときに、大学の経営の状態というものをどういうふうに把握をしておられるのか。寄付行為の変更届け等によりまして、その書類上の審査はしておられると思うのでありますが、それによりますと、授業料等の正当な収入というものは、定時的な収入は四五%、それに施設費等のそういうような借り入れ金に属するものが約二〇%、あとは寄付金その他不定時収入にたよらなければならない、こういう状態にあるところに、もう今日非常に大きな問題が出ているのではないか。経常費に補助をしなければやっていけないような状態にまで、私立学校は、特に大学の場合にはなっているのではないか。これを解決するという方向を出さない限り、早稲田の問題は、また次の問題として今後において派生をする問題である。幾ら警察権力で押えてみたって、そういうような問題は解決しないと私は思う。そういう立場から、大臣は、その私学振興のための方針についてはせっかくいま審議会に答申をしてもらうように準備をしてもらっているところだからとおっしゃるけれども、先ほどの話のように、中間で答申を求めるというような措置をこの際おとりになることが必要ではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/41
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042・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 お話しのとおり、調査会の答申はできるだけ早くいただきたいものだと私ども考えておりますが、数回の総会をやりまして、現在部会を設置して、部会ごとにいろんな活動を始めております。特に私学の立場の方から学校別に主要のところは事情を聴取いたしまして、どうあるべきかということについての検討をいま開始しておる段階でございますから、いつどういうふうにという期待は困難でございますが、調査会の方面に対しましても、あるいは最終的な結論が延びるならば、中間的な暫定措置はこうあるべきであるというような方法を早く打ち出していただくことを望んでおる次第で、私どもも、その促進方については今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/42
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043・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで私は、今度は物価の問題の関連性からこの問題を取り上げてみたいと思いますのは、昨年の四月に、東京は、公立、都立の高校で授業料の値上げをいたしております。六百円を八百円にいたしております。それに学校給食が、御承知のように、小学校三九%、中学校三四%の引き上げをいたしました。またことしは、そういうようなことで、地方財政計画の中で幾ら高等学校の授業料収入が見込まれているか知りませんが、おそらく全国的に歩調をそろえて、いままで低いところのものを高いところにそろえるという平準化運動が行なわれていると思うのであります。そして高等学校の授業料収入の基礎算定は、たしか八百円か八百五十円で算定をされているに違いないと思うのです。それに基づいて、それは教育費に充てるんだということで、各都道府県ではそれぞれ府県会に出すように予算措置をいましている段階であろうと思うのであります。そうなってまいりますると、国立の授業料は上げないということを大臣は決定をされました。しかしながら、公立のそういうような授業料の値上げをはじめ、私立の学校の場合等におきましては、これまた授業料の値上げが、二〇%あるいは三〇%というふうに上げられるようになっている。大学においては、五〇%も六〇%も上げるような計画が立てられているわけです。こういうような形の中でこれを規制する方法は、ではあるのかというと、規制する方法はないのでしょう。そういうような実態の上から考えてまいりまするならば、私はこの辺で、やはり経理の公開といいますか、私立学校というのは営利事業団体ではないということは、これは学校教育を行なう法人である以上は、たてまえとしては当然のことでありますから、その経理の内容を定期的に国民の前にそのような法人関係については明らかにしていく、どういう方法をとる中で、世論の中でその問題についての勘考を促し、そしてどういうふうに措置したらいいかということを国民の政治意識に基づいて決定をしていく、そういう民主主義的な方向における解決の道を打ち出していかなければ、この問題についての解決のめどはないのではないかと思うのであります。いまの学校教育法なりあるいは私立学校法なり、そういうような中の規定なりを操作しまして、いま単なる寄付行為についての変更届けを出す程度にとどめているようでありますが、それをやはり公開の原則に従って措置するという方向で考える段階に私は少なくともきたと思うのでありますが、これについてどういうふうに大臣としてはお考えであるのか、この点について御見解を承っておきたいのであります。
それと事務当局のほうからは、このように授業料なり小中学校の学校給食、高等学校の授業料値上げ、それに教科書代の値上げ、あるいはその他いろいろな教育関係の雑費に属する教育費の家計費の中に占める割合というものが、最近非常に大きなウエートを持つようになってきた。それが物価指数の上にどのような影響を与え、そしてそれに対する上昇寄与率はどういうふうに動いていくのだという算定をされていると思いますから、その点についての説明を事務当局のほうから承っておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/43
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044・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 私学のあり方につきましては、いまいろいろ御指摘をいただきましたが、まことにごもっともな点が多いのでございます。私どももすみやかに根本的な対策を考えなければたらない、かように思いまして、気持ちはあせっておるのでございますが、だんだんこういうような事態が緊迫してまいりまして、制度上調査会が昨年の国会で議決をいただいて設置され、それから私が就任いたしまして、すみやかに発足をさせて御審議を願っておる段階でございます。ここには私学の現状及び今後の対策、国はどうすべきか、また学校経営者の立場はどうあるべきか、いろいろな角度から研究を願いまして、その上で私どもとしては抜本的な方法を講じたい。これは私学の場合におきましては、従来私学の自主性というものからかんがみまして、国がかれこれ口出しをすべきではないというのがわが国のたてまえとして成長をしてまいりましたので、同じ国の手助けをするにいたしましても、いろいろな問題点があると思います。それらを総合して、研究を積み重ねた上でありませんと、具体的な方策が立ちませんので、そういうこととにらみ合わせて私どもとしては全力を注いでまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/44
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045・安嶋彌
○安嶋政府委員 教育費の物価に及ぼす影響でございますが、経済企画庁の資料によりますると、消費者物価指数の費目中教育費の占める割合は、四・三%ということになっております。関連してほかのものを申し上げますと、食糧が四五・二%、被服が一二・九%、住宅が九・三%等でございますが、それに比べまして教育費の占める割合は、ただいま申し上げましたように四・三%でございます。したがいまして、これが若干上昇をいたしたといたしましても、消費者物価全体に及ぼす影響は特に大きいというほどのものではないのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/45
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046・村山喜一
○村山(喜)委員 それは官房長、ウエートの置き方の中での割合を示しているのです。そのウエートは、昭和三十五年を基準年次にしまして、そして当時の状態の中から策定をした。それは今日においてはもうだいぶ違ってきておるわけですね。三十五年が基準年次ですから、ことしはもうそのウエートの改正をやらなければならないという段階に、統計上の上から見ましてもきているわけです。そしてそれがどういうふうにノーマルな姿で反映をするかという問題をわれわれが検討をしてみますと、食費の割合というものは非常に低下しておる、エンゲル係数の低下と同時に。そして御承知のように、雑費の中の教育費のウエートが非常に大きくなっている、これはゆるがせない事実なんです。だから、文部省のほうがいろいろな教育費の問題についての父母の負担の解消という問題を心がける立場にあられる以上は、その立場から、授業料なりあるいは給食費なりあるいはその他の教育費の値上がりというものがどういうふうに動いていくんだという実態を、あなた方のほうでは少なくとも把握をされておく必要があると思うのです。それは国民のための教育をやろうとしている文部省の当然の責任だろうと私は思う。ただ経済企画庁のほうがそういうような四・三%だから、物価に及ぼす影響はないというような、そういうような機械的な答弁じゃ、それは現実の事実認識の上に立ち、国民を説得をする力というものはないでしょう。そういう点から、これについてはあなた方のほうはもう少し研究をし、検討をされてしかるべきであると思うのでありますが、どうですか、私の話を聞いて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/46
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047・安嶋彌
○安嶋政府委員 実は私、物価に対する寄与率についてのみお答えしたわけでありまして、その他の点は、施策といたしましては、もちろん教科書無償の拡大でございますとか、あるいは就学奨励の措置の拡充でありますとか、あるいは学校給食に対する父兄負担の軽減に関するいろいろな措置でございますとか、そういった関連した措置は、文部省としてはいろいろ講じておるわけでございます。その点の説明をただいま申し上げなかったわけでございますが、私ども物価に対する寄与率が少ないからといいまして、これを軽視しているという意味では決してございません。ただいま申し上げましたような各般の施策を講じて、その軽減につとめているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/47
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048・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題はここではもう追及いたしませんが、明日物価の特別委員会がございます。そこで私は、これらの点につきましてはもう少し詳細な答弁を文部当局から承りたいと思いますので、それまでの間にひとつ試算をしていただいて、現実の物価の動き、それに与える影響、度合い、こういうようなものについては、あなた方も自分の問題として、そういうように片一方においては教科書無償などを推進をされるわけですから、それと同じような形の問題のとらえ方をしてもらわなければ、国民に対する納得を得ることはできないと思いますので、検討方を要望申し上げておきます。
そこで、時間もそろそろまいりましたので条文にまた返りますが、この条文の中で比較対照表の旧十一条の六の二です。「文部省の所掌事務に係る賠償に関する事務を行うこと。」というのがございます。これが今度の新規定にはないわけですね。ないということは、この賠償関係の事務というものはないのかどうか。ないからこそ削ったんだろうと思うのでありますが、いわゆる日韓条約等によります問題の処理などは、文化協定の問題に対しては一体どこで処理されていくのか、このあたりがはっきりわかりませんので、これは一体どういうふうに処置されたのか、この点について、条文の関係の上から説明を願っておきたいのであります。
それからもう一つ、この新しく設置されました、これは一ページですが、七条の十五号、「基本的な文教施策について、調査し、及び企画し」、云々とありますが、これは旧条文によりますと、十一条の五号ということになっておったのです。それがこれを前に条文の単なる移行という形でされるというのであるならば、新改定の十九号にあたるはずであります。ところが、それだけは特に大事だとあなた方が考えられたのかどうか知りませんが、それを繰り上げて十五号としてそこに設定をされておるということは、一体何らかの意図的なものがあってやられたものなのか、単なる条文整理として打ち出されたものなのか、そういうようなところがはっきりとわかりませんので、それのやり方についての見解というものをお尋ねをしておきます。
それからこのたびの機構改革によりまして、社会教育局がいまの六課から四課になって、定員も九十一名から六十八名に減少するという形になってきている。ということになりますと、社会教育軽視といいますか、そういうような印象を与えるのでございますが、それにつきましては、はたしてこういうような形の中で、いまでさえも非常にむずかしい社会教育のあり方を、どういうふうにやっていくという考え方をお持ちになっているか、これは担当の局長から説明を願っておきたい点でございます。以上、三点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/48
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049・安嶋彌
○安嶋政府委員 第一の賠償の関係でございますが、賠償事務といたしましては、文部省には現実の事務は実はございません。ただいま日韓関係の事務についてのお尋ねがございましたが、これは賠償として実施しておるものではございません。両国の親善のために文化財を贈与する、そういう基本的な立場に立って行なっている事務でございまして、所掌は文化財保護委員会でございます。そういった関係から、調査局の所掌事務を整理いたします場合に、これを整理したということであります。
それから「基本的な文教施策について、調査し、及び企画し、並びに文部省の所掌事務の運営について評価すること。」という条項の位置でございますが、これは御指摘のとおり、私どもこの事務を非常に重視いたしまして、そういった意味合いから配列の順序を繰り上げたということでございます。官房の企画・調整機能を強化するという基本的なねらいがあったわけであります。特に最近、中教審等におきまして、基本的な文教施策がいろいろ審議されております。そういった関係の事務処理にも重点を置きまして、その規定の順位を繰り上げたという次第でございます。
それからなお、社会教育局が縮小されたことについてのお話でございますが、仕事の実質は従来と変わらないわけでございまして、むしろ社会教育局という局が、いわば純粋に社会教育の事務をもっぱら処理することができることになったわけでございますから、そういった面から、むしろ事務の遂行は充実されていくというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/49
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050・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで私、政務次官おいでになっていますね、あなたもただそこにすわっておられるだけではつまらぬだろうから、質問します。大臣はちょっと所用がおありだそうですから、よろしいですか。——いま各省設置法をずっと見てまいりますと、いろいろな研究所、付置研究所、研修所、そういうようなものが大学校という名前をつけて出されるのが、非常に多いのであります。具体的に申し上げますと、建設大学校、自治大学校、そのほかいろいろな大学校が続々として出てきているのでございます。それを各省別にそれぞれ審議をすることに、今度の内閣委員会でもなるわけでございます。これはやはり学校教育法からいうならば、私は各種学校であろうと思うのであります。その各種学校につきましては、各種学校規程というのがあることは、次官も御承知のとおりであろうと思うのであります。ところが、これの内容を私はずっと検討を加えてみますと、この規程の第三条によります修業期間というのがございます。これによりますと、少なくとも各種学校は一年以上とする。臨時的に簡易にやる場合におきましても、その技芸等の課程については三カ月以上という規定がございます。ところが、それらの各省がやっております研究所なり、大学校になったものを調べてみますと、中には確かに一年以上やっているのもあります。ところが、きわめて短期日の間において処理されているものがあるわけです。そうなってまいりますと、一体各種学校の取り扱いをするのであるならば、私は、学校教育法に基づいて文部省がこれについてはチェックしていくといいますか、指導をしていく立場にあろうと思うのであります。ところが、それらの問題についてあなた方がどの程度、それらの各省設置法が出される場合に、研修所あたりが大学校になる場合等につきましては、内容的に相談を受けられているか、この点についての御見解をお尋ねをしておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/50
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051・中野文門
○中野政府委員 私、ただいまのお尋ねの点につきましては、専門的なことを十分承知いたしておりませんが、いわゆるおことばにありましたような各省庁が持っております大学校と名のつくような施設は、おのおのその特別法に根拠を置いて設けられておるのではないかと思いまして、いわゆるわれわれがいう各種学校の範疇の中ではないのではないか、かように思いますが、なお詳しいことは事務当局のほうから御答弁さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/51
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052・天城勲
○天城政府委員 いま政務次官のお答え申し上げましたことを条文的に申し上げますと、学校教育法の八十二条に各種学校の規定がございますが、ここに「第一条に掲げるもの以外のもの」、すなわち幼稚園、小、中、高等学校、大学でございますが、これ「以外のもので、学校教育に類する教育を行うものは、これを各種学校とする。」という規定がございますが、そこにカッコしてございまして、「(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものを除く。)」という形が入っておりますので、いま政務次官が申し上げましたように、防衛大学校あるいは海上保安大学校等いろいろございますが、それぞれの別の法律の根拠がございますので、ここに申しております各種学校ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/52
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053・村山喜一
○村山(喜)委員 法律上の根拠はわかりましたが、大学校と最近は名前がどしどしつけられまして、内容的に見ますと、三カ月未満の大学校もあるようでございます。そういうような点から、私はやはり学校教育法の体系上から見るならば、それらの各省の設置法等に基づいて、他の法令に基づいてつくられるものも、これはやはり学校教育上の教育法体系の上からいうならば、各種学校であろうと思うのであります。それ以外の何ものでもないということになるならば、その学校という名前をつけること自体がおかしいのじゃなかろうかと思うのでありますが、それについてはどういうような見解でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/53
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054・天城勲
○天城政府委員 いま御指摘になりましたような各省所管の教育機関は、おおむね設置法に基づいて目的が書いてございますが、一言で申し上げますと、一種の訓練機関あるいは現職教育機関というふうに考えられるのじゃないかと思っております。なお、一般的に学校教育のような形態をとっている教育施設というのは、大げさに申しますと世の中にいろいろございまして、講習会あるいは講座の名前で行なわれているものでも、あるいは自動車の操縦というような技能的な訓練のものでも、いろいろございますけれども、各種学校は一定の基準のものをその中から対象として取り上げているわけでございまして、法律的に申しますと、何々学校という名称はこの学校教育法の規定に基づいたものだけでございまして、それ以外は法律上の学校ではないというふうにわれわれも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/54
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055・村山喜一
○村山(喜)委員 まあ大学ではないわけですから、法律上の区分はそう言えばそうなんですが、しかし、建設研修所あるいは自治研修所ということで現職の公務員の研修機関であるのに、それに大学校というような、学校教育法上の名前とまぎらわしい名前をつけて、そして盛んに設置をしていくというようなところについては、文部省としてもやはり一言なかるべからざるところだと私は思うのでありますが、これについては、文部省としては全然いままで意思表示をしておられないというふうに承るのでありますが、そういうようなことをされたことがございますか。また、ないとするならば、それに対する政務次官の見解はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/55
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056・中野文門
○中野政府委員 御質問のような事柄につきまして、いままで文部省でどういう経緯があったか私存じませんけれども、仰せのようにまぎらわしい、いわゆるわれわれが言うところの、文部省が所管するところの大学なんかと同じような名前のものがたくさんあるということは、それ自体がすみやかに、適当に、いかにすればよいかということにつきましては、前向きで検討の要が十分あろう、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/56
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057・伊能繁次郎
○伊能委員 関連。いま村上先生の質問に皆さんが答えてないのじゃないかと、私は感ずるのです。ということは、国会としても従来——各種学校といま法律的に説明されましたが、大学校の設置を承認したことについては、国会としても私は責任がないとは言わない。しかし、各種学校であるからといって、設置法で一条そういうものができたとたんに、文部省は何らこれに関与できないのか、してはいけないのか、できるのだがしないのか、その辺のところは明確でない。そうすると、水産講習所なんか、かつては講習所であっても、学校であった。これは私はよくわからないのですが、それがいま水産大学。これは文部省の法律に基づく学校なのか、やはり農林省所属の各種学校になってしまったのか。それから商船大学。これはかっては東京高等商船学校というようなものであったのが、商船大学。そうすると、それは各種学校なのか、文部省の法律に基づく大学なのか、この辺のところも明確でない。こういう点について、たとえ設置法に基づいての各種学校であっても、文部省はそれに行政的な監督が——主管大臣である、建設大学、自治大学、警察大学なんという各大臣の行政上の指揮命令は別として、文部省としては、各種学校を大学として、あるいは学校として、どういう行政的な指揮監督ができるのかできないのか、その辺のところをお伺いしたいというのが、村山委員の質問の骨子だろうと私は思うのですが、どうもその点にはお答えがないように思う。その点ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/57
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058・安嶋彌
○安嶋政府委員 文部省の権限に関することでございますので、私からお答えをいたします。
文部省は教育、学術、文化に関する所管省でございますが、教育は、学校教育と社会教育に分かれます。学校教育は、さらに学校教育法第一条に規定いたします正規の学校と各種学校に分かれるわけでございます。ただいま村山先生から御指摘のありましたいわゆる大学校でございますが、これは管理局長も答弁申し上げましたように、第一条の学校でないことはもとよりでございますが、形式的には八十三条の各種学校でもない。特別な設置法に基づく特別な学校でございます。したがいまして、これは文部省が所管いたします教育の外だということでございます。したがいまして、これに対しては文部省は権限はございません。
それから伊能委員からのお尋ねの水産大学、商船大学でございますが、これは前身は御指摘のように水産講習所といったような特殊な教育機関でございましたが、現在は学校教育法第一条の大学、正規の大学に属するもの、水産大学、商船大学、いずれもそうでございます。したがいまして、これは文部大臣の所轄ということになっておりまして、権限は行使しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/58
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059・村山喜一
○村山(喜)委員 中野政務次官は、これは前向きで検討するとおっしゃるのだけれども、いま各省設置法の中で、その付属機関としてそういうようなものがあります。それをずっと広げて整理してみますと、研究所、研修所という名前を残しているのが大体半分ぐらい——半分までよりももっと多いです、五分の三ぐらいございます。こちらのほうでは、だんだんにその名前を改定しまして、大学校という名前のものがどんどん生まれつつあるわけです。今度も運輸省設置法の中なんかでも出てきていることは、御承知のとおりであります。そうなってまいりますと、すみやかに前向きで検討されるというのはいいのですけれども、各省はそれぞれ設置法の改正規定の中で国会のほうに出してくる。そうなると、まあ半々ぐらいに残るとします。研修所があり、大学校があるという形の中で、正規の学校教育法にいう大学があり、各種学校がある。教育体系の上から考えましても、これは私はふさわしくない姿だと思うのです。行政機構の上から考えましても、省ごとにそういう名称が違うというのも、きわめて不自然な姿だろうと思う。そもそも大学校という名前をつけたのは、それだけの肩書きをつけさせてやろうというような気持ちの中から官僚的な発想として生まれてきた思想だと思って私は見ているのです。とするならば、学校教育の正統のあなた方が所管の仕事をしておられるわけでありますから、これらについては、あなたは閣僚会議に出ることはできないけれども、そしてまた内閣法による代行権もありませんけれども、しかしながら、文部省の省議あたりにおいてよくそれらの問題を取り上げて、これについて根本的な検討をしておく必要が、この際あるのではないか。私はそういうふうに考えますので、前向きの形で早急に善処されるのはいいですが、そのように出されてきている問題点等を控えておりますので、可及的すみやかに検討を願って態度をきめておいていただきたいということをあなたに要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/59
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060・木村武雄
○木村委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X00719660222/60
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